(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-29
(54)【発明の名称】電池の充電方法及び車両の電気システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/04 20060101AFI20240122BHJP
H02J 7/10 20060101ALI20240122BHJP
H01M 10/615 20140101ALI20240122BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20240122BHJP
H01M 10/633 20140101ALI20240122BHJP
H01M 10/6571 20140101ALI20240122BHJP
【FI】
H02J7/04 L
H02J7/10 H
H02J7/10 L
H01M10/615
H01M10/625
H01M10/633
H01M10/6571
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022548238
(86)(22)【出願日】2022-04-26
(85)【翻訳文提出日】2022-08-08
(86)【国際出願番号】 CN2022089334
(87)【国際公開番号】W WO2023123770
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】202111631807.1
(32)【優先日】2021-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】劉帝平
(72)【発明者】
【氏名】顔▲ユー▼
(72)【発明者】
【氏名】左希陽
(72)【発明者】
【氏名】潘先喜
(72)【発明者】
【氏名】李宝
(72)【発明者】
【氏名】但志敏
【テーマコード(参考)】
5G503
5H031
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB02
5G503CA01
5G503CB11
5G503CC02
5G503GD03
5G503GD06
5H031HH06
(57)【要約】
本願は、充電パイルが低温環境で低SOC動力電池を安全で効率的に充電することを満たすことができる電池の充電方法及び車両の電気システムを提供する。電池充電の制御方法は、車両の電気システムに適用される。該システムは、半導体デバイスを備える電流制御ユニットを含む。該方法は、電池の温度が第1の予め設定された温度より低い時、電流制御ユニットを、半導体デバイスの回路への逆方向アクセス状態を含む第1状態にあるように制御することと、第1充電電流を含む第1充電要求の送信を要求することと、電池の温度が第1の予め設定された温度に達した時、電流制御ユニットを、半導体デバイスの回路からの切り離し状態又は半導体デバイスの回路への正方向アクセス状態を含む第2状態にあるように制御することと、第2充電電流を含む第2充電要求の送信を要求することと、を含み、電池が第2充電電流で充電される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の電気システムに適用される電池充電の制御方法において、
前記車両の電気システムは、半導体デバイスを備える電流制御ユニットを含み、前記電流制御ユニットの一端は電池に接続され、他端は充電電源に接続され、前記方法は、
前記電池の温度が第1の予め設定された温度より低い時、前記電流制御ユニットを、前記半導体デバイスの回路への逆方向アクセス状態を含む第1状態にあるように制御することと、
前記電池を前記第1の予め設定された温度に加熱するための必要な電流である第1充電電流を含む第1充電要求を送信することと、
前記電池の温度が前記第1の予め設定された温度に達した時、前記電流制御ユニットを、前記半導体デバイスの回路からの切り離し状態又は前記半導体の回路への正方向アクセス状態を含む第2状態にあるように制御することと、
第2充電電流を含む第2充電要求を送信することと、を含み、前記電池が前記第2充電電流で充電される、
ことを特徴とする、制御方法。
【請求項2】
前述の前記電池の温度が前記第1の予め設定された温度に達した時、前記電流制御ユニットを前記第2状態にあるように制御することは、
前記電池の温度が前記第1の予め設定された温度に達した時、0である第1充電電流を含む第1充電要求を送信することを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の制御方法。
【請求項3】
前記電流制御ユニットは半導体デバイスと第1リレーを含み、前述の前記電池の温度が第1の予め設定された温度より低い時、前記電流制御ユニットを第1状態にあるように制御することは、
前記電池の温度が前記第1の予め設定された温度より低い時、第1リレーをオフにするように制御することを含み、前記第1リレーの一端が前記電池に接続され、前記第1リレーの他端が充電電源に接続され、前記半導体デバイスが前記第1リレーに並列接続される、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の制御方法。
【請求項4】
前記電流制御ユニットは半導体デバイスと第1リレーを含み、前述の前記電池の温度が前記第1の予め設定された温度に達した時、前記電流制御ユニットを第2状態にあるように制御することは、
電池の温度が前記第1の予め設定された温度に達した時、第1リレーをオンにするように制御することを含み、前記第1リレーの一端が前記電池に接続され、前記第1リレーの他端が充電電源に接続され、前記半導体デバイスが前記第1リレーに並列接続される、
ことを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の制御方法。
【請求項5】
前記電流制御ユニットは双方向半導体デバイスを含み、前述の前記電池の温度が前記第1の予め設定された温度に達した時、前記電流制御ユニットを第2状態にあるように制御することは、
電池の温度が前記第1の予め設定された温度に達した時、前記双方向半導体デバイスが回路へ正方向にアクセスするように、前記双方向半導体デバイスを転向させるように制御することを含む、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の制御方法。
【請求項6】
車両の電気システムであって、
前記システムは、
半導体デバイスを含み、一端が電池に接続され、他端が充電電源に接続された電流制御ユニットと、
電池の温度が第1の予め設定された温度より低い時、前記電流制御ユニットを、前記半導体デバイスの回路への逆方向アクセス状態を含む第1状態にあるように制御するための制御モジュールと、
前記電池を前記第1の予め設定された温度に加熱するための必要な電流である第1充電電流を含む第1充電要求を送信するための通信モジュールと、を含み、
前記制御モジュールは、さらに、前記電池の温度が前記第1の予め設定された温度に達した時、前記電流制御ユニットを、前記半導体デバイスの回路からの切り離し状態又は前記半導体の回路への正方向アクセス状態を含む第2状態にあるように制御することに用いられ、
前記通信モジュールは、さらに、第2充電電流を含む第2充電要求を送信することに用いられ、前記電池が前記第2充電電流で充電される、
ことを特徴とするシステム。
【請求項7】
前記通信モジュールは、さらに、前記電池の温度が前記第1の予め設定された温度に達した時、0である第1充電電流を含む第1充電要求を送信することに用いられる、
ことを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
車両の電気システムであって、
前記システムは電池と、第1リレー及び半導体デバイスを備える電流制御ユニットとを含み、前記第1リレーの一端が前記電池に接続され、前記第1リレーの他端が充電電源に接続され、前記半導体デバイスが前記第1リレーに並列接続され、
前記電池の温度が第1の予め設定された温度より低い時、前記電流制御ユニットが第1状態にあり、前記第1状態において、前記第1リレーがオフし、
前記電池の温度が前記第1の予め設定された温度に達した時、前記電流制御ユニットが第2状態にあり、前記第2状態において、前記第1リレーがオンする、
ことを特徴とするシステム。
【請求項9】
前記電流制御ユニットは前記第1リレー、前記半導体デバイス及び第2リレーを含み、前記第1リレーの一端が前記電池に接続され、前記第1リレーの他端が充電電源に接続され、前記半導体デバイスが前記第1リレーに並列接続され、前記第2リレーが前記半導体デバイスの配置されている分岐路に接続され、
前記電池の温度が第1の予め設定された温度より低い時、前記電流制御ユニットが第1状態にあり、前記第1状態において、前記第1リレーがオフし、且つ前記第2リレーがオンし、
前記電池の温度が前記第1の予め設定された温度に達した時、前記電流制御ユニットが第2状態にあり、前記第2状態において、前記第1リレーがオンし、且つ前記第2リレーがオフする、
ことを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
コンピュータプログラムを呼び出して上記の請求項1~5の何れか1項に記載の方法を実行するためのプロセッサと、前記コンピュータプログラムを記憶するためのメモリと、を含む、
ことを特徴とする電池管理システム。
【請求項11】
上記の請求項1~5に記載の方法を実行するためのコンピュータプログラムを記憶することに用いられる、
ことを特徴とする読み取り可能な記憶媒体。
【請求項12】
請求項6~9の何れか1項に記載の車両の電気システムを含む、
ことを特徴とする車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互引用
本願は、2021年12月29日に提出された名称が「電池の充電方法及び車両の電気システム」である中国特許出願202111631807.1の優先権を主張し、当該出願の全ての内容は引用により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本願は、電池技術分野に関し、特に電池の充電方法及び車両の電気システムに関する。
【背景技術】
【0003】
新エネルギー電池の急速な発展に伴い、電気自動車は、自動車産業の将来の発展のための新しい方向になっている。動力電池技術はますます成熟しており、ユーザーは動力電池の充電速度と安全性に対するニーズが高まっている。しかし、現在一般的な充電パイルは、低温環境で低充電状態(SOC)の動力電池を安全で効率的に充電することを満たすことができず、充電パイルの機能及び応用が制限されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願は、充電パイルが低温環境で低SOC動力電池を安全で効率的に充電することを満たすことができる電池の充電方法及び車両の電気システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1態様によれば、本願は、車両の電気システムに適用される電池充電の制御方法を提供しており、該車両の電気システムは、半導体デバイスを備え、一端が電池に接続され、他端が充電電源に接続された電流制御ユニットを含む。該電池充電の制御方法は、電池の温度が第1の予め設定された温度より低い時、電流制御ユニットを、半導体デバイスの回路への逆方向アクセス状態を含む第1状態にあるように制御することと、電池を第1の予め設定された温度に加熱するための必要な電流である第1充電電流を含む第1充電要求を送信することと、電池の温度が第1の予め設定された温度に達した時、電流制御ユニットを、半導体デバイスの回路からの切り離し状態又は半導体の回路への正方向アクセス状態を含む第2状態にあるように制御することと、第2充電電流を含む第2充電要求を送信することと、を含み、電池が該第2充電電流で充電される。
【0006】
本願の実施例により電池の充電方法を実現することができ、電池の温度状況に基づいて電流制御ユニットの動作状態が第1状態又は第2状態にあるように切り替える。電池の温度が第1の予め設定された温度より低い時、電流制御ユニットを第1状態にあるように制御し、半導体デバイスが回路へ逆方向にアクセスし、この時に電流制御ユニットは電流の通過を遮断することができ、充電電源は動力電池の充電を停止し、充電電源と電池加熱モジュールが回路を形成し、電池加熱モジュールに給電して電池を加熱する。電池の温度が第1の予め設定された温度に達した時、電流制御ユニットを第2状態にあるように制御し、半導体デバイスが回路から切り離されるか、又は回路へ正方向にアクセスし、この時に電流制御ユニットは電流の通過を許可し、充電電源、動力電池及び電流制御ユニットが回路を形成し、動力電池を充電し、充電電源と電池加熱モジュールとの接続がオフし、電池加熱モジュールへの給電を停止する。このように、電池を低温で充電するプロセスにおいて、通信プロトコルを変更せずに加熱のための充電電流を要求することができ、同時に加熱のための充電電流が動力電池内に流れ込まないように効果的に確保し、電池の破損を回避することができる。常温又は電池に必要な動作温度に加熱した後、電流制御ユニットの切替によって通常の高速充電を行うことができ、それにより充電電源が低温で低SOC電池を安全で効率的に低温充電することを実現する。
【0007】
一つの可能な実施例において、電池の温度が第1の予め設定された温度に達した時、電流制御ユニットを第2状態にあるように制御することは、電池の温度が第1の予め設定された温度に達した時、0である第1充電電流を含む第1充電要求を送信することを含む。
【0008】
上記実施例において、電池を第1の予め設定された温度に加熱した時、第1充電電流が0であることを要求し、また電流制御ユニットを第2状態に切り替えるように制御し、即ち、電流制御ユニットの動作状態を切り替える時、加熱のための充電電流を0に低下させる。電流が電流制御ユニットの動作状態を切り替えるプロセスにおいて電池内に流れ込むことによって電池の破損を引き起こすことを防止し、電池を低温で充電する安全性を更に保証する。
【0009】
一つの可能な実施例において、上記電流制御ユニットは半導体デバイスと第1リレーを含み、電池の温度が第1の予め設定された温度より低い時、電流制御ユニットを第1状態にあるように制御することは、電池の温度が第1の予め設定された温度より低い時、第1リレーをオフにするように制御することを含み、該第1リレーの一端が電池に接続され、該第1リレーの他端が充電電源に接続され、該半導体デバイスが第1リレーに並列接続される。
【0010】
一つの可能な実施例において、電流制御ユニットは半導体デバイスと第1リレーを含み、電池の温度が第1の予め設定された温度に達した時、電流制御ユニットを第2状態にあるように制御することは、電池の温度が第1の予め設定された温度に達した時、第1リレーをオンにするように制御することを含み、そのうち、第1リレーの一端が電池に接続され、第1リレーの他端が充電電源に接続され、半導体デバイスが第1リレーに並列接続される。
【0011】
上記実施例において、電流制御ユニットは第1リレーと半導体デバイスを含み、且つ第1リレーが半導体デバイスに並列接続される。第1リレーをオフにすると、電流制御ユニットが第1状態にあるように、半導体デバイスを回路へ逆方向にアクセスする。第1リレーをオンにすると、電流制御ユニットが第2状態にあるように、半導体デバイスをバイパスすることができる。第1リレーのオン又はオフを制御することで、半導体デバイスの回路へのアクセス及び回路からの切り離しを実現し、電流制御ユニットの動作状態を切り替えることができる。
【0012】
一つの可能な実施例において、電流制御ユニットは双方向半導体デバイスを含み、電池の温度が第1の予め設定された温度に達した時、電流制御ユニットを第2状態にあるように制御することは、電池の温度が第1の予め設定された温度に達した時、双方向半導体デバイスを回路へ正方向にアクセスするように、双方向半導体デバイスを転向させるように制御することを含む。
【0013】
上記実施例において、電流制御ユニットは双方向半導体デバイスを含み、双方向半導体デバイスの方向を切り替えるように制御することで、電池の温度が第1の予め設定された温度より低い時に回路へ逆方向にアクセスし、電池の温度が第1の予め設定された温度に達した時に回路へ正方向にアクセスすることを実現することができ、電流制御ユニット内のリレーが不要になり、回路をより簡単に接続及び制御し、それにより電流制御ユニットの動作状態を速やかで効率的に切り替えることを保証する。
【0014】
第2態様によれば、本願は、半導体デバイスを備え、一端が電池に接続され、他端が充電電源に接続された電流制御ユニットと、電池の温度が第1の予め設定された温度より低い時、電流制御ユニットを、半導体デバイスの回路への逆方向アクセス状態を含む第1状態にあるように制御するための制御モジュールと、電池を第1の予め設定された温度に加熱するための必要な電流である第1充電電流を含む第1充電要求を送信するための通信モジュールと、を含む車両の電気システムを提供しており、制御モジュールは、さらに、上記電池の温度が第1の予め設定された温度に達した時、電流制御ユニットを、半導体デバイスの回路からの切り離し状態又は上記半導体の回路への正方向アクセス状態を含む第2状態にあるように制御することに用いられ、通信モジュールは、さらに、第2充電電流を含む第2充電要求を送信することに用いられ、電池が第2充電電流で充電される。
【0015】
上記の実施例は、車両の電気システムを提供しており、車両の電気システムにおいて電流制御ユニットを使用することにより、電池の温度状況に基づいて電流制御ユニットの動作状態を第1状態又は第2状態にする。電池の温度が第1の予め設定された温度より低い時、電流制御ユニットが第1状態にあり、半導体デバイスが回路へ逆方向にアクセスし、この時に電流制御ユニットは電流の通過を遮断することができ、充電電源と電池加熱モジュールが回路を形成し、電池加熱モジュールに給電して電池を加熱する。電池の温度が第1の予め設定された温度に達した時、電流制御ユニットが第2状態にあり、半導体デバイスが回路から切り離されるか、又は回路へ正方向にアクセスし、この時に電流制御ユニットは電流の通過を許可し、充電電源、動力電池及び電流制御ユニットが回路を形成し、それにより動力電池への通常の充電を行い、充電電源と電池加熱モジュールとの接続がオフし、電池加熱モジュールへの給電を停止する。このように、電池を低温で充電するプロセスにおいて、通信プロトコルを変更せずに加熱のための充電電流を要求することができ、同時に加熱のための充電電流が動力電池内に流れ込まないように効果的に確保し、電池の破損を回避することができる。常温又は電池に必要な動作温度に加熱した後、電流制御ユニットの切替によって通常な高速充電を行うことができ、それにより充電パイルが低温で低SOC電池を安全で効率的に低温充電することを実現する。
【0016】
一つの可能な実施例において、通信モジュールは、さらに、電池の温度が第1の予め設定された温度に達した時、0である第1充電電流を含む第1充電要求を送信することに用いられる。
【0017】
上記実施例において、電池を第1の予め設定された温度に加熱した時、通信モジュールは第1充電電流が0であることを要求し、制御モジュールは更に電流制御ユニットを第2状態にあるように制御し、即ち電流制御ユニットの動作状態を切り替える時、充電電流を0に低下させる。電流が電流制御ユニットの動作状態を切り替えるプロセスにおいて電池内に流れ込むことによって電池の破損を引き起こすことを防止し、電池を低温で充電する安全性を更に保証する。
【0018】
第3態様によれば、本願は、電池と、第1リレー及び半導体デバイスを備える電流制御ユニットとを含む車両の電気システムを提供しており、第1リレーの一端が電池に接続され、第1リレーの他端が充電電源に接続され、半導体デバイスが第1リレーに並列接続される。電池の温度が第1の予め設定された温度より低い時、電流制御ユニットが第1状態にあり、第1状態において、第1リレーがオフする。電池の温度が第1の予め設定された温度に達した時、電流制御ユニットが第2状態にあり、第2状態において、第1リレーがオンする。
【0019】
一つの可能な実施例において、上記電流制御ユニットは、第1リレー、半導体デバイス及び第2リレーを含み、第1リレーの一端が電池に接続され、第1リレーの他端が充電電源に接続され、半導体デバイスが第1リレーに並列接続され、第2リレーが半導体デバイスの配置されている分岐路に接続される。電池の温度が第1の予め設定された温度より低い時、電流制御ユニットが第1状態にあり、第1状態において、第1リレーがオフし、且つ第2リレーがオンする。電池の温度が第1の予め設定された温度に達した時、電流制御ユニットが第2状態にあり、第2状態において、第1リレーがオンし、且つ第2リレーがオフする。
【0020】
上記実施例において、電流制御ユニットは、第1リレーと半導体デバイスを含み、第2リレーを更に含み、第2リレーは半導体デバイスの配置されている分岐路に接続され、半導体デバイスに直列接続されることで、半導体デバイスの回路へのアクセスと回路からの切り離しを制御することができる。半導体デバイスに並列接続された第1リレー及び半導体デバイスに直列接続された第2リレーを使用して、半導体デバイスの回路へのアクセス及び回路からの切り離しを同時に制御することで、回路の安全性を向上させることができる。何れか1つの分岐路のリレーが無効するか、又は障害が発生する時、別の分岐路のリレーが動作し続けることができることで、半導体デバイスの回路へのアクセスと回路からの切り離しとの切り替えを保証し、該電気システムの確実性を向上させる。
【0021】
第4態様によれば、本願は、コンピュータプログラムを呼び出して上記第1態様における任意の可能な実施例の方法を実行するためのプロセッサと、コンピュータプログラムを記憶するためのメモリと、を含む電池管理システムを提供する。
【0022】
第5態様によれば、本願は、上記第1態様における任意の可能な実施例の方法を実行するためのコンピュータプログラムを記憶するための記憶媒体を提供する。
【0023】
第6態様によれば、本願は、上記第1態様と第2態様における任意の可能な実施例の車両の電気システムを含む車両を提供する。
【0024】
本願の実施例の技術的解決手段をより明らかに説明するために、以下に本願の実施例で必要な図面を簡単に説明する。明らかに、以下に説明された図面は本願の幾つかの実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的な労力を要することなく、図面に基づいて他の図面を得ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本願の一実施例により開示される充電システムの構造概略図である。
【
図2】本願の一実施例により開示される車両の電気システムと充電電源との接続の構造概略図である。
【
図3】本願の一実施例により開示される別の車両の電気システムと充電電源との接続の構造概略図である。
【
図4】本願の一実施例により開示される更なる車両の電気システムと充電電源との接続の構造概略図である。
【
図5】本願の一実施例により開示される電池充電の制御方法のフローチャートである。
【
図6】本願の一実施例により開示される別の電池充電の制御方法のフローチャートである。
【
図7】本願の一実施例により開示される更なる電池充電の制御方法のフローチャートである。
【
図8】本願の一実施例により開示される電池管理モジュールの構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面及び実施例と組み合わせて、本願の実施形態を更に詳しく説明する。下記実施例の詳細な説明や図面は、本願の原理を例示的に説明するものに過ぎず、本願の範囲を制限するものではない。即ち、本願は説明される実施例に限定されない。
【0027】
本願の説明において、説明すべきことは、別途説明がない限り、「複数」とは2つ以上であることを意味する。「上」、「下」、「左」、「右」、「内」、「外」などの用語で指示される方向又は位置関係は、本願を説明し、説明を簡略化するものに過ぎず、示された装置又は素子が特定の方向を有し、特定の方向で構成して操作しなければならないことを指示又は暗示しないため、本願に対する制限として理解すべきではない。また、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、説明するためのものに過ぎず、相対的な重要性を指示又は暗示すると理解すべきではない。「垂直」は厳密には垂直ではなく、許容誤差範囲内である。「平行」は厳密には平行ではなく、許容誤差範囲内である。
【0028】
下記説明に現れた方向の単語はいずれも図に示されている方向であり、本願の具体的な構造を限定するものではない。本願の説明において、更に説明すべきことは、別途明確な規定や限定がない限り、「取付」、「連結」、「接続」という用語は、広く理解する必要がある。例えば、固定するように接続されてもよく、着脱可能に接続されてもよく、又は一体的に接続されてもよい。直接連結してもよく、中間仲介部材によって間接的に連結してもよい。当業者にとって、具体的な状況に応じて、本願における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0029】
図1は本願の実施例に適用される充電システムの構造概略図を示す。
【0030】
図1に示すように、該充電システム10は、充電電源100と車両の電気システム200を含むことができる。選択可能に、車両は、純粋な電気自動車とプラグ可能なハイブリッド電気自動車を含む電気自動車であってもよい。
【0031】
選択可能に、車両の電気システム200に少なくとも1つの電池パック(battery pack)が設置されてもよく、該少なくとも1つの電池パックの全体は動力電池、即ち電池210と総称されてもよい。電池の種類に関しては、該動力電池は、リチウムイオン電池、リチウム金属電池、リチウム硫黄電池、鉛酸電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、又はリチウム空気電池などを含むが、これらに限定されない任意の種類の電池であってもよい。電池の規模に関しては、本願の実施例における動力電池は、電池セル/電池単体(cell)であってもよく、電池モジュール又は電池パックであってもよい。その中で、電池モジュール又は電池パックはいずれも、複数の電池が直列・並列接続によって形成されてもよい。本願の実施例において、動力電池の具体的な種類や規模はいずれも、具体的に限定されない。
【0032】
また、動力電池をインテリジェントに管理し、メンテナンスし、電池の過充電と過放電を防止し、電池の使用寿命を延ばすために、車両の電気システム200には一般的に、車両の電気システムの制御及び電池210の状態の監視に用いられる電池管理モジュール220が更に設置されている。電池管理モジュールは、電池管理システム(battery management system、BMS)又はドメインコントローラユニット(domain control unit、DCU)であってもよい。選択可能に、該電池管理モジュール220は、動力電池と同じデバイス又は装置内に集積するように設置されてもよいし、又は、該電池管理モジュール220は、独立したデバイス/装置として動力電池の外部に設置されてもよい。
【0033】
具体的には、充電電源100は、車両の電気システム200内の電池210に電気エネルギーを補充する装置である。本願の実施例における充電電源100は高速充電パイル、自動車ツーグリッド(vehicle to grid、V2G)モードをサポートする充電パイルなどであってもよい。
【0034】
選択可能に、充電電源100はワイヤーにより電池210に接続され、且つ通信回線により電池管理モジュール220に接続されてもよい。そのうち、通信回線は、充電電源100と電池管理モジュール220との間の情報交換の実現に用いられる。
【0035】
例として、該通信回線は、コントローラエリアネットワーク(control area network、CAN)通信パス又はデイジーチェーン(daisy chain)通信パスを含むが、これらに限定されない。
【0036】
選択可能に、充電電源100は、通信回線により電池管理モジュール220と通信することに加えて、無線ネットワークにより電池管理モジュール220と通信することもできる。本願の実施例では、充電電源100と電池管理モジュール220の通信種類を具体的に限定しない。
【0037】
市販されている新エネルギー自動車の動力電池は充電可能な蓄電池が多い。最も一般的に、リチウムイオン電池又はリチウムイオンポリマー電池などのリチウム電池である。電池温度及び温度場の均一性は動力電池の性能と使用寿命などに大きい影響を与える。動力電池が低すぎる温度下で動作するか、又は低温環境で動力電池を充電すると、電池からリチウムが放出され、電池の性能が低くなり、電池の容量と使用寿命に深刻な影響を与える。従って、低温環境で電池を充電する時、まず電池の加熱処理が必要である。
【0038】
現在、電池が低温環境にある時、電池が低SOCの状態である場合、外部へ放電することができず、電池加熱モジュールは動作できない。この時、車載充電器を介した低速充電にでしか電池加熱モジュールに給電できず、それにより電池を加熱する。電池の温度が特定の値に上昇した後、正常に充電することができる。ところが、この方法は限界がある。一部の車両では低速充電ポートがない場合、車載充電器を介した低速充電によって電池加熱モジュールに給電することができない。例えば、商用車では高速ポートのみがある場合、電池の低温及び低SOCの条件下で、車両は充電できず、使用できない場合がある。
【0039】
高速充電パイルにとって、従来の加熱充電方法は、充電パイルは車両が低温環境にあることを認識することで、充電パイルに加熱補助機能を備えさせるように、通信プロトコルを変更する必要がある。この方法は、真新しい高速パイルを開発し、充電時の通信プロトコルを追加又は修正する必要があるため、標準国際プロトコルに適用されず、市販されている高速パイルは依然として広く使用することができない。
【0040】
従って、上記問題を解決するために、充電パイルに低温環境で低SOC動力電池を安全で効率的に充電することを実現させる。本願の実施例は、電池充電の制御方法及び車両の電気システムを提供する。
【0041】
図2は本願の実施例の車両の電気システム200と充電電源100との接続の構造概略図を示す。車両の電気システム200は電池210、電池加熱モジュール230及び電流制御ユニット240を含み、電流制御ユニット240の一端は電池210に接続され、他端は充電電源100に接続される。電池加熱モジュール230は電池210と電流制御ユニット240に並列接続され、電池加熱モジュール230の一端は電池210と充電電源100に接続され、他端は電流制御ユニット240と充電電源100に接続される。
【0042】
選択可能に、
図3に示すように、電池加熱モジュール230は第3リレーK3と加熱器R1を含み、第3リレーK3は加熱器R1に直列接続される。そのうち、第3リレーK3は電池加熱モジュール230の回路へのアクセス又は回路からの切り離しを制御することに用いられ、加熱器R1は電池210を加熱することに用いられ、PTC加熱器又は加熱膜であってもよい。本願の実施例において、電池加熱モジュール230内の加熱器の具体的な種類と規模はいずれも、特に限定されない。
【0043】
選択可能に、
図4に示すように、電池加熱モジュール230は第4リレーK4を更に含んでもよい。第3リレーK3、第4リレーK4は加熱器R1に直列接続され、且つ第3リレーK3と第4リレーK4は加熱器R1の両端にそれぞれ設置されている。第3リレーK3と第4リレーK4は電池加熱モジュール230の回路へのアクセス又は回路からの切り離しを制御するように協力し、回路システムの安全性と確実性を強化する。
【0044】
電流制御ユニット240は半導体デバイスを含む。選択可能に、
図3に示すように、電流制御ユニット240は第1リレーK1と半導体デバイスD1を含む。その中で、第1リレーK1の一端は電池210に接続され、第1リレーK1の他端は充電電源100に接続される。半導体デバイスD1は第1リレーK1に並列接続される。
【0045】
選択可能に、
図4に示すように、電流制御ユニット240は第1リレーK1と半導体デバイスD1を含み、第2リレーK2を更に含んでもよい。第1リレーK1の一端は電池210に接続され、第1リレーK1の他端は充電電源100に接続される。半導体デバイスD1は第1リレーK1に並列接続される。第2リレーK2は半導体デバイスD1の配置されている分岐路に接続される。
【0046】
選択可能に、電流制御ユニット240内の半導体デバイスD1はダイオード、制御可能なシリコン、双方向IGBT又は他の半導体デバイスに設置されてもよい。即ち、半導体の一方向導電性を利用し、半導体デバイスD1の回路への逆方向アクセスによって、電流の遮断を実現することができる。また、該半導体デバイスD1の回路での接続方向を調整することによって、該電流制御ユニット240を電池210の正極バスバー又は負極バスバーに設置することができる。本願の実施例では、一例として、電流制御ユニット240が電池210の負極バスバーに設置される。
【0047】
選択可能に、電流制御ユニット240内の半導体デバイスD1は双方向半導体デバイスであってもよい。
【0048】
図5は本願の実施例にかかる電池210を加熱して充電するための充電制御方法500を示す。該方法500は、具体的には、下記ステップの一部又は全てを含んでもよい。
【0049】
ステップ510:電池の温度が第1の予め設定された温度より低い時、電流制御ユニットを第1状態にあるように制御する。
【0050】
そのうち、第1状態は半導体デバイスの回路への逆方向アクセス状態である。具体的には、第1の予め設定された温度が電池210の充電許容温度であり、電池210の温度が第1の予め設定された温度より低い時、電池210は低温状態にあり、充電前に加熱する必要がある。この時、第1リレーK1をオフして半導体デバイスD1を回路へ逆方向にアクセスし、それにより電流制御ユニット240が電流の通過を遮断するように制御し、充電電源100が電池210に充電することを停止し、同時に充電電源100と電池加熱モジュール230が回路を形成し、それにより充電電源100が電池加熱モジュール230に給電して電池210を加熱する。
【0051】
選択可能に、
図4に示すように、電流制御ユニット240は第2リレーK2を更に含み、電池210の温度が第1の予め設定された温度より低い時、第1リレーK1をオフし、且つ第2リレーK2をオンして半導体デバイスD1を回路へ逆方向にアクセスし、それにより電流制御ユニット240が電流の通過を遮断するように制御する。
【0052】
選択可能に、電流制御ユニット240内の半導体デバイスD1が双方向半導体デバイスである場合、回路内の双方向半導体デバイスD1の方向が電流に対する逆方向の状態に保持されるように直接制御することができ、それにより電流の通過を遮断する。
【0053】
電流制御ユニット240が第1状態にある時、電池加熱モジュール230は回路へアクセスし、充電電源100と回路を形成する。具体的には、第3リレーK3と第4リレーK4をオンし、充電電源100が電池加熱モジュール230に給電して電池210を加熱する。
【0054】
ステップ520:第1充電要求を送信する。
【0055】
そのうち、第1充電要求が第1充電電流を含み、該第1充電電流は電池を第1の予め設定された温度に加熱するための必要な電流である。電池加熱モジュールなどの電気化製品の電力に応じて設定することができる。具体的には、この時、充電電源100が第1充電電流を送信することを要求し、その後、電池210の通常の充電を行うように、電池210を第1の予め設定された温度に加熱する。
【0056】
この時、充電電源100から出力した第1充電電流が車両の電気システム200へ流れ込み、半導体デバイスが回路へ逆方向にアクセスするため、電流制御ユニット240が第1状態にあり、即ち電流制御ユニット240は電流の通過を遮断することができる。従って、第1充電電流は、電池210へ流れ込むことなく、電池加熱モジュール230へ流れ込んで電池210を加熱することができ、電池の破損を回避する。また、電池210と充電電源100の回路がオンに保持され、車両の電気システム200は、通信プロトコルを追加又は修正することなく、充電電源100と通常に接続を確立して充電電流を要求することができる。
【0057】
ステップ530:電池の温度が第1の予め設定された温度に達した時、電流制御ユニットを第2状態にあるように制御する。
【0058】
そのうち、第2状態は、半導体デバイスの回路からの切り離し状態又は半導体の回路への正方向アクセス状態である。具体的には、電池210の温度が第1の予め設定された温度に達した時、電池210の通常の充電を行うことができる。この時、第1リレーK1をオンして半導体デバイスを回路から切り離し、即ち半導体デバイスD1は短絡され、それにより電流制御ユニット240が電流の通過を許可するように制御する。
【0059】
選択的に、
図4に示すように、電流制御ユニット240は第2リレーK2を更に含み、電池210の温度が第1の予め設定された温度に達した時、第1リレーをオンし、且つ第2リレーK2をオフし、半導体デバイスD1を回路から切り離し、即ち半導体デバイスD1がバイパスされ、それにより電流制御ユニット240が電流の通過を許可するように制御する。
【0060】
選択的に、電流制御ユニット240内の半導体デバイスD1が双方向半導体デバイスである場合、回路内の双方向半導体デバイスD1の方向が電流に対する正方向の状態に保持されるように直接制御することができ、それにより電流の通過を許可する。
【0061】
この時、電池加熱モジュール230は回路から切り離される。具体的には、電池加熱モジュール230内の第3リレーK3をオフし、又は、第3リレーK3と第4リレーK4を同時にオフし、電池加熱モジュール230をバイパスして充電電源100が電池210の通常の充電を行う。
【0062】
ステップ540:第2充電要求を送信する。
【0063】
そのうち、第2充電要求が第2充電電流を含む。具体的には、電池210の充電ニーズに応じて、充電電源100が第2充電電流を送信して電池210を充電することを要求する。
【0064】
この時、電池加熱モジュール230はバイパスされ、電流制御ユニット240が第2状態にあり、即ち、電流制御ユニット240は電流の通過を許可し、充電電源100から出力した第2充電電流は電池210へ流れ込み、通常の充電を行うことができる。
【0065】
該実施例において、車両の電気システムに電流制御ユニットを設置し、電池の温度が第1の予め設定された温度より低く、電池を加熱する必要がある時、半導体デバイスが回路へ逆方向にアクセスするように制御し、電流制御ユニットが第1状態にあり、即ち電流制御ユニットは電流の通過を遮断する。このように、通信プロトコルを追加又は修正することなく、電池と充電電源との接続を保持し、充電電源から充電電流を出力することを通常に要求することを実現することができるだけでなく、同時に充電電源から出力した第1充電電流が電池内部へ流れ込んで電池の破損を引き起こすことを効果的に防止することができる。電池の温度が第1の予め設定された温度に達したことが検出され、充電を許可する時、半導体デバイスの回路からの切り離し又は半導体デバイスの回路への正方向アクセスを制御し、電流制御ユニットが第2状態にあり、即ち電流制御ユニットが電流の通過を許可する。このように電池の温度が充電許容温度に達した時、電池の充電効率に影響を与えることなく、車両の電気システムが通常の高速充電状態に直接入ることができる。電流制御ユニットを設置することによって、その動作状態を制御し、充電電源が低温且つ低SOC電池を安全で効率的に低温加熱充電することを実現することができる。
【0066】
更に、上記実施例の充電制御方法は、
図6に示す充電制御方法600に拡張することができ、方法600は、具体的には、下記ステップの一部又は全てを含んでもよい。
【0067】
ステップ610:電池の温度が第1の予め設定された温度より低い時、電流制御ユニットを第1状態にあるように制御する。
【0068】
そのうち、第1状態は半導体デバイスの回路への逆方向アクセス状態である。具体的な実行方法は方法500と類似し、ここではその説明を省略する。
【0069】
ステップ620:第1充電要求を送信する。
【0070】
そのうち、第1充電要求が第1充電電流を含み、該第1充電電流は電池を第1の予め設定された温度に加熱するための必要な電流である。電池加熱モジュールなどの電気化製品の電力に応じて設定することができる。具体的には、この時、充電電源100が第1充電電流を送信することを要求し、後続に電池210の通常の充電を行うように、電池210を第1の予め設定された温度に加熱する。
【0071】
ステップ630:電池の温度が第1の予め設定された温度に達した時、0である第1充電電流を含む第1充電要求を送信する。
【0072】
具体的には、電池の温度が第1の予め設定された温度に達した時、充電電源100から出力した第1充電電流を0に低下させることを要求し、更に電流制御ユニット240の動作状態を第2状態に切り替え、即ち電流制御ユニット240の動作状態を切り替える時、加熱のための充電電流を0に低下させる。電流制御ユニットの動作状態を切り替えるプロセスにおいて電流が動力電池内へ流れ込んで動力電池の破損を引き起こすことを防止し、電池を低温で充電する安全性を更に保証する。
【0073】
ステップ640:電流制御ユニットを第2状態にあるように制御する。
【0074】
そのうち、第2状態は、半導体デバイスの回路からの切り離し状態又は半導体デバイスの回路への正方向アクセス状態である。具体的な実行方法は方法500の記述と同じであり、ここではその説明を省略する。
【0075】
ステップ650:第2充電要求を送信する。
【0076】
そのうち、第2充電要求が第2充電電流を含む。具体的には、電池210の充電ニーズに応じて、充電電源100が第2充電電流を送信して電池210を充電することを要求する。
【0077】
該実施例において、電池の温度を第1の予め設定された温度に加熱した時、第1充電電流が0であることを要求し、更に電流制御ユニットを第2状態にあるように制御し、即ち電流制御ユニットの動作状態を切り替える時、充電電流を0に低下させる。電流制御ユニットの動作状態を切り替えるプロセスにおいて電流が動力電池内へ流れ込んで動力電池の破損を引き起こすことを防止し、電池を低温で充電する安全性を更に保証する。
【0078】
図7は、上記充電制御方法に基づいた可能な実現方法のフローチャートである。電流制御ユニットの動作状態を制御することによって、充電電源が低温且つ低SOC電池に安全で効率的に低温充電することを実現する。
図4に示す車両の電気システムを例として、方法700は具体的に以下を含むことができる。
【0079】
ステップ701:充電電源と車両との接続が確認され、充電を開始する。
【0080】
ステップ702:電池の温度が第1の予め設定された温度を満たすか否かを検出する。
【0081】
そのうち、第1の予め設定された温度が電池210の充電許容温度である。電池210の温度が第1の予め設定された温度を満たす場合、電池210を加熱する必要がなく、ステップ708へ進む。電池210の温度が第1の予め設定された温度を満たさない場合、ステップ703へ進んで、電池210を加熱する。
【0082】
ステップ703:K1をオフし、K2をオンし、電流制御ユニットを第1状態にする。
【0083】
そのうち、第1状態は半導体デバイスの回路への逆方向アクセス状態である。この時、第1リレーK1をオフし、第2リレーK2をオンする。
【0084】
ステップ704:K3とK4をオンし、電池加熱モジュールを回路へアクセスする。
【0085】
ステップ705:第1充電電流を含む第1充電要求を送信する。
【0086】
そのうち、第1充電電流は、電池210を第1の予め設定された温度に加熱するための必要な電流であり、電池加熱モジュール230の電力に応じて設定することができる。この時、充電電源100が第1充電電流を送信することを要求し、第1の予め設定された温度に達するように加熱電池210を加熱し、それにより、その後、電池210の通常の充電を行うことができる。
【0087】
ステップ706:電池の温度が第1の予め設定された温度を満たすか否かを検出する。
【0088】
電池210を加熱した後、加熱効果を検出する。電池210の温度が第1の予め設定された温度を満たす場合、加熱を停止し、ステップ707へ進む。第1の予め設定された温度を満たさない場合、加熱電池210を加熱し続け、ステップ703へ進む。
【0089】
ステップ707:0である第1充電電流を含む第1充電要求を送信する。
【0090】
電池の温度が第1の予め設定された温度に達した時、充電電源100から出力した第1充電電流を0に低下させることを要求し、更に電流制御ユニット240の動作状態を第2状態に切り替え、即ち電流制御ユニット240の動作状態を切り替える時、充電電流を0に低下させる。
【0091】
ステップ708:K1をオンし、K2をオフし、電流制御ユニットを第2状態にする。
【0092】
そのうち、第2状態は半導体デバイスの回路からの切り離し状態である。この時、第1リレーK1をオンし、第2リレーK2をオフする。
【0093】
ステップ709:K3とK4をオフし、電池加熱モジュールをバイパスする。
【0094】
ステップ710:第2充電電流を含む第2充電要求を送信する。
【0095】
この時、電池加熱モジュールはバイパスされ、電流制御ユニット240が第2状態にあり、即ち電流の通過を許可し、充電電源100から第2充電電流を出力することを要求し、電池210の通常の充電を行う。
【0096】
ステップ711:充電が完了する。
【0097】
上記実現可能な方法から分かるように、電流制御ユニットの動作状態を制御することによって、通信プロトコルを追加又は修正することなく、電池と充電電源との接続を保持し、充電電源から充電電流を出力することを通常に要求することを実現することができる。また、低温充電プロセスにおいて充電電源から出力した電流が電池へ流れ込んで電池の破損を引き起こすことを回避し、それにより充電電源が低温且つ低SOC電池を安全で効率的に低温充電することを実現する。
【0098】
本願の実施例は、電流制御ユニット、制御モジュール及び通信モジュールを含む車両の電気システムを更に提供する。電流制御ユニットは半導体デバイスを含み、該電流制御ユニットの一端が電池に接続され、他端が充電電源に接続される。制御モジュールは、電池の温度が第1の予め設定された温度より低い時、電流制御ユニットを、半導体デバイスの回路への逆方向アクセス状態である第1状態にあるように制御することに用いられる。通信モジュールは、電池を第1の予め設定された温度に加熱するための必要な電流である第1充電電流を含む第1充電要求を送信することに用いられる。制御モジュールは、さらに、電池の温度が第1の予め設定された温度に達した時、電流制御ユニットを、半導体デバイスの回路からの切り離し状態である第2状態にあるように制御することに用いられる。通信モジュールは、さらに、第2充電電流を含む第2充電要求を送信することに用いられ、電池は該第2充電電流で充電される。
【0099】
具体的には、制御モジュールは、車両の電気システム200内の電池加熱モジュール230、電流制御ユニット240に接続され、K1、K2、K3及びK4のオンとオフを制御することで、電池加熱モジュール230の回路へのアクセス又はバイパス、及び、電流制御ユニット240が第1状態又は第2状態にあるかを制御することに用いられる。通信モジュールは、充電電源100との情報交換に用いられ、その通信方法は、コントローラエリアネットワーク(control area network、CAN)通信又はデイジーチェーン(daisy chain)通信を含むが、これらに限定されない。
【0100】
図8に示すように、本願の実施例は、コンピュータプログラムを呼び出して前述の本願の各実施例における充電制御方法を実行するためのプロセッサ221と、コンピュータプログラムを記憶するためのメモリ222と、を含む電池管理モジュール220を更に提供する。
【0101】
本願の実施例は、前述の本願の各実施例における充電制御方法を実行するためのコンピュータプログラムを記憶するための読み取り可能な記憶媒体を更に提供する。
【0102】
本願の実施例は、前述の本願の各実施例における車両の電気システムを含む車両を更に提供する。
【0103】
本明細書の具体的な例は、当業者が本願の実施例をより良く理解するのを助けるものに過ぎず、本願の実施例の範囲を制限するものではないと理解すべきである。
【0104】
本願の様々な実施例において、各プロセスの実行順序はその機能と内部ロジックにより決定されるべきであり、本願の実施例の実施プロセスに対する如何なる制限も構成してはならないことも理解されたい。本明細書に記載されている様々な実施形態は、個別に実施してもよく、組み合わせて実施してもよい。本願の実施例は、これに対して限定されない。
【0105】
好ましい実施例を参照して本願を説明したが、本願の範囲から逸脱することなく、様々な修正を行うことができ、その一部を等価物に置き換えることができる。特に、構造上の矛盾がない限り、各実施例で言及される各技術的特徴はいずれも、任意の方法で組み合わせることができる。本願は、本明細書に開示される特定の実施例に限定されず、特許請求の範囲内に含まれる全ての技術的解決手段を含む。
【手続補正書】
【提出日】2022-08-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の電気システムに適用される電池充電の制御方法において、
前記車両の電気システムは、半導体デバイスを備える電流制御ユニットを含み、前記電流制御ユニットの一端は電池に接続され、他端は充電電源に接続され、前記方法は、
前記電池の温度が第1の予め設定された温度より低い時、前記電流制御ユニットを、前記半導体デバイスの回路への逆方向アクセス状態を含む第1状態にあるように制御することと、
前記電池を前記第1の予め設定された温度に加熱するための必要な電流である第1充電電流を含む第1充電要求を送信することと、
前記電池の温度が前記第1の予め設定された温度に達した時、前記電流制御ユニットを、前記半導体デバイスの回路からの切り離し状態又は前記半導体の回路への正方向アクセス状態を含む第2状態にあるように制御することと、
第2充電電流を含む第2充電要求を送信することと、を含み、前記電池が前記第2充電電流で充電される、
ことを特徴とする、制御方法。
【請求項2】
前述の前記電池の温度が前記第1の予め設定された温度に達した時、前記電流制御ユニットを前記第2状態にあるように制御することは、
前記電池の温度が前記第1の予め設定された温度に達した時、0である第1充電電流を含む第1充電要求を送信することを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の制御方法。
【請求項3】
前記電流制御ユニットは半導体デバイスと第1リレーを含み、前述の前記電池の温度が第1の予め設定された温度より低い時、前記電流制御ユニットを第1状態にあるように制御することは、
前記電池の温度が前記第1の予め設定された温度より低い時、第1リレーをオフにするように制御することを含み、前記第1リレーの一端が前記電池に接続され、前記第1リレーの他端が充電電源に接続され、前記半導体デバイスが前記第1リレーに並列接続される、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の制御方法。
【請求項4】
前記電流制御ユニットは半導体デバイスと第1リレーを含み、前述の前記電池の温度が前記第1の予め設定された温度に達した時、前記電流制御ユニットを第2状態にあるように制御することは、
電池の温度が前記第1の予め設定された温度に達した時、第1リレーをオンにするように制御することを含み、前記第1リレーの一端が前記電池に接続され、前記第1リレーの他端が充電電源に接続され、前記半導体デバイスが前記第1リレーに並列接続される、
ことを特徴とする請求項1
又は2に記載の制御方法。
【請求項5】
前記電流制御ユニットは双方向半導体デバイスを含み、前述の前記電池の温度が前記第1の予め設定された温度に達した時、前記電流制御ユニットを第2状態にあるように制御することは、
電池の温度が前記第1の予め設定された温度に達した時、前記双方向半導体デバイスが回路へ正方向にアクセスするように、前記双方向半導体デバイスを転向させるように制御することを含む、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の制御方法。
【請求項6】
車両の電気システムであって、
前記システムは、
半導体デバイスを含み、一端が電池に接続され、他端が充電電源に接続された電流制御ユニットと、
電池の温度が第1の予め設定された温度より低い時、前記電流制御ユニットを、前記半導体デバイスの回路への逆方向アクセス状態を含む第1状態にあるように制御するための制御モジュールと、
前記電池を前記第1の予め設定された温度に加熱するための必要な電流である第1充電電流を含む第1充電要求を送信するための通信モジュールと、を含み、
前記制御モジュールは、さらに、前記電池の温度が前記第1の予め設定された温度に達した時、前記電流制御ユニットを、前記半導体デバイスの回路からの切り離し状態又は前記半導体の回路への正方向アクセス状態を含む第2状態にあるように制御することに用いられ、
前記通信モジュールは、さらに、第2充電電流を含む第2充電要求を送信することに用いられ、前記電池が前記第2充電電流で充電される、
ことを特徴とするシステム。
【請求項7】
前記通信モジュールは、さらに、前記電池の温度が前記第1の予め設定された温度に達した時、0である第1充電電流を含む第1充電要求を送信することに用いられる、
ことを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
車両の電気システムであって、
前記システムは電池と、第1リレー及び半導体デバイスを備える電流制御ユニットとを含み、前記第1リレーの一端が前記電池に接続され、前記第1リレーの他端が充電電源に接続され、前記半導体デバイスが前記第1リレーに並列接続され、
前記電池の温度が第1の予め設定された温度より低い時、前記電流制御ユニットが第1状態にあり、前記第1状態において、前記第1リレーがオフし、
前記電池の温度が前記第1の予め設定された温度に達した時、前記電流制御ユニットが第2状態にあり、前記第2状態において、前記第1リレーがオンする、
ことを特徴とするシステム。
【請求項9】
前記電流制御ユニットは前記第1リレー、前記半導体デバイス及び第2リレーを含み、前記第1リレーの一端が前記電池に接続され、前記第1リレーの他端が充電電源に接続され、前記半導体デバイスが前記第1リレーに並列接続され、前記第2リレーが前記半導体デバイスの配置されている分岐路に接続され、
前記電池の温度が第1の予め設定された温度より低い時、前記電流制御ユニットが第1状態にあり、前記第1状態において、前記第1リレーがオフし、且つ前記第2リレーがオンし、
前記電池の温度が前記第1の予め設定された温度に達した時、前記電流制御ユニットが第2状態にあり、前記第2状態において、前記第1リレーがオンし、且つ前記第2リレーがオフする、
ことを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
コンピュータプログラムを呼び出して上記の請求項
1に記載の方法を実行するためのプロセッサと、前記コンピュータプログラムを記憶するためのメモリと、を含む、
ことを特徴とする電池管理システム。
【請求項11】
上記の請求項
1に記載の方法を実行するためのコンピュータプログラムを記憶することに用いられる、
ことを特徴とする読み取り可能な記憶媒体。
【請求項12】
請求項6~9の何れか1項に記載の車両の電気システムを含む、
ことを特徴とする車両。
【国際調査報告】