(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-29
(54)【発明の名称】自己展開式ストラットを備えた閉塞デバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 17/12 20060101AFI20240122BHJP
A61M 25/06 20060101ALI20240122BHJP
【FI】
A61B17/12
A61M25/06 550
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023513589
(86)(22)【出願日】2021-08-31
(85)【翻訳文提出日】2023-04-24
(86)【国際出願番号】 US2021048567
(87)【国際公開番号】W WO2022047431
(87)【国際公開日】2022-03-03
(32)【優先日】2020-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】323012025
【氏名又は名称】ポリイムボ,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100147511
【氏名又は名称】北来 亘
(72)【発明者】
【氏名】フォジティク,ショーン ピー.
【テーマコード(参考)】
4C160
4C267
【Fターム(参考)】
4C160DD53
4C160DD54
4C160DD62
4C160DD63
4C160MM33
4C160NN04
4C267AA05
4C267GG24
4C267GG32
4C267GG34
(57)【要約】
自己展開式閉塞デバイスがハイポチューブを含んでいる。目標場所に配備されたときに、閉塞デバイスの外側直径が自己展開し又は増加し、閉塞デバイスは自動的にその最終形状を呈する。閉塞デバイスは、目標場所にて1つ又はそれ以上の条件にさらされたままでいることで、その増加した外側直径及び最終形状を保持することができる。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被術者の身体内の目標場所へ配備されたときに、増加した外側直径及び最終形状へ自己展開するハイポチューブ、を備えている閉塞デバイスであって、前記増加した外側直径及び前記最終形状は前記被術者の前記身体の一部分を通る通路を少なくとも部分的に閉塞させることができる、閉塞デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の閉塞デバイスにおいて、
前記ハイポチューブは、被術者の身体内の所定の条件にさらされたときに、前記増加した外側直径及び前記最終形状へ自己展開する、閉塞デバイス。
【請求項3】
請求項2に記載の閉塞デバイスにおいて、
前記ハイポチューブは、体温にさらされたときに、前記増加した外側直径及び前記最終形状へ自己展開する、閉塞デバイス。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の閉塞デバイスにおいて、
前記ハイポチューブは形状記憶材料を備えている、閉塞デバイス。
【請求項5】
請求項4に記載の閉塞デバイスにおいて、
前記形状記憶材料はニチノールを備えている、閉塞デバイス。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一項に記載の閉塞デバイスにおいて、
前記ハイポチューブの前記増加した外側直径は、前記ハイポチューブの拘束された外側直径の少なくとも100%である、閉塞デバイス。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一項に記載の閉塞デバイスにおいて、
前記最終形状はコイルを備えている、閉塞デバイス。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか一項に記載の閉塞デバイスにおいて、
前記最終形状にある前記ハイポチューブは、前記被術者の前記身体の前記一部分を通る前記通路の断面積の少なくとも約75%、前記被術者の前記身体の前記一部分を通る前記通路の断面積の少なくとも約80%、前記被術者の前記身体の前記一部分を通る前記通路の断面積の少なくとも約85%、又は、前記被術者の前記身体の前記一部分を通る前記通路の断面積の少なくとも約90%、を閉塞させようとする、閉塞デバイス。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか一項に記載の閉塞デバイスにおいて、
前記ハイポチューブのルーメン内の充填材、を更に備えている閉塞デバイス。
【請求項10】
請求項9に記載の閉塞デバイスにおいて、
前記充填材は吸収性材料を備えている、閉塞デバイス。
【請求項11】
請求項9に記載の閉塞デバイスにおいて、
前記充填材は放射線不透過性材料を備えている、閉塞デバイス。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れか一項に記載の閉塞デバイスを用いて被術者の身体内の通路又は空隙を閉塞させる方法において、
前記閉塞デバイスを、拘束状態で、前記被術者の前記身体内の目標場所へ導入する工程と、
前記閉塞デバイスが前記目標場所へ導入された際の、
前記閉塞デバイスのハイポチューブの外側直径を展開させる工程、及び、
前記閉塞デバイスが最終形状を呈するのを許容する工程と、
を備えている方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法において、
前記閉塞デバイスを前記目標場所へ導入する工程は、前記閉塞デバイスの前記外側直径を自己展開させ且つ前記閉塞デバイスが自動的に前記最終形状を呈するようにさせる少なくとも1つの条件に前記閉塞デバイスをさらす工程、を備えている、方法。
【請求項14】
請求項12又は13に記載の方法において、
導入する工程は、
前記閉塞デバイスを前記目標場所まで挿入デバイスに通して前進させる工程と、
前記目標場所にて前記挿入デバイスの遠位先端から前記閉塞デバイスを押し出す工程と、を備えている、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
「複数の自己展開式のストラット、形状、及び方法を備えた閉塞デバイス」(OCCLUSIVE DEVICE WITH MULTIPLE SELF-EXPANDING STRUTS, SHAPES, and METHODS)と題された米国仮特許出願第63/072,926号(「’926号仮出願」)の出願日である2020年8月31日に対する優先権をこれにより主張する。これにより’926号仮出願の開示全体が本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、概括的には、被術者の身体内の空隙及び通路(例えば、動脈、静脈、他の脈管、室、及び他の同様の構造)を閉塞させる自己展開式デバイスに関する。より具体的には、本開示は、ハイポチューブから形成された自己展開式閉塞デバイスに関する。被術者の身体内の空隙及び通路を閉塞させる方法並びに製造の方法も同様に開示されている。
【背景技術】
【0003】
療法目的又は診断目的で、被術者の身体内の血液の流れを遅くし又は停止させるために、及び被術者の身体内の他の空隙を閉塞させるために、コイルやプラグを含む閉塞デバイスが使用される。同じ脈管構造の閉塞デバイス設置前と設置後それぞれの画像である
図1A及び
図1Bが、被術者の脈管構造に対する閉塞デバイスの効果を示している。閉塞デバイスは、動静脈奇形、出血、穿孔、動脈瘤、腫瘍(例えば、脈管遮断(devascularization)など)、静脈瘤、鬱血、及び他の病気の治療を含め、様々な目的に使用され得る。
【0004】
コイルやプラグの様な閉塞デバイスは、典型的には、装填デバイス(loading device)内に拘束され、その後、管状のカテーテル、シース、ニードル、カニューレ(何れも「送達デバイス」)又は他の同様のデバイスを通って(単数又は複数の)目標場所まで押されてゆき、次いで、送達デバイスの先端を出て、療法的閉塞を促進するべく自己展開するように設計された自己展開式デバイスである。金属ベースのコイルやプラグがポリマー製のコイルやプラグより一般的である。特定のコイルやプラグは、ポリマー、ファイバ、被覆、ファブリック、マーカ帯、及び他の特徴を、金属又はポリマー製スキャフォールドの外部に、スキャフォールドの特徴間に、及び/又はスキャフォールドの特徴より近位又は遠位に含んでいる。
【0005】
ホワイト、ケン、クロフト、カルメスによる「ナッツシェル内のコイル:コイルの物理的特性のレビュー」、
AJNR、2008年8月(「ホワイト」)(White, Ken, Cloft, and Kallmes, “Coils in a Nutshell: A Review of Coil Physical Properties,”
AJNR, August 2008 (“White”))から抜粋された
図2A及び
図2Bは、コイルを備える閉塞デバイスのための特定の設計を描いている。
図2に示されているコイルは、ワイヤ直径D1を有する細い中実ワイヤ1°(初期の構造又は「初期のワイヤ」)を含んでいる。細い中実ワイヤ1°は、コイル状ワイヤ直径D2を有するコイル状ワイヤ2°(第二期の構造又は「第二期のばね」及び/又は「初期の巻き」)へと形を変える。コイル状ワイヤ2°は、展開可能直径D3を備えたコイル状チューブ3°(第三期の構造)へと形を変える。
【0006】
コイル状ワイヤ直径D2、又はより具体的にはコイル状ワイヤ2°の外径すなわち外側直径(OD:outer diameter)はコイルのカテーテル送達サイズを画定する。一実施例として、0.018インチ(0.46mm)の送達カテーテル用に設計されたコイルは、~0.018インチ(~0.46mm)ODのコイル状ワイヤ直径D2を有し、0.035インチ(0.89mm)の送達システム用に設計されたコイルは、典型的には、~0.035インチ(~0.89mm)ODのコイル状ワイヤ直径D2を有する。製造業者は、典型的には、彼らの製品提供を、コイルのコイル状ワイヤ直径D2を参照した「0.018コイル」、「0.035コイル」、及び他のサイズの様な幅広い見出しの下に一覧化している。
【0007】
コイル状ワイヤ2°の代替として中実ワイヤ又は中実複合ワイヤがコイル状チューブ3°のために使用されることもある。
【0008】
コイル状チューブ3°は、コイルの最終的な展開後であって拘束されていないOD又は第三期の形状を表現している。一例として、「035 5mm×2cmコイル(035 5 mm x 2 cm coil)」は、0.035インチ(0.89mm)のワイヤ直径D2、5mmの拘束されていない展開可能な直径D3、及び2cmの長さを有する。臨床使用では、目標の解剖学的構造に設置するためのコイルをどの様にサイズ設定するかに関しては製造業者間でばらつきある。たとえば、Ruby(ペナンブラ社(Penumbra))コイルとAzur CX(テルモ社)コイルは、解剖学的構造に対してオーバーサイズ設定されてはならない――5mm内径すなわち内側直径(ID:inner diameter)の脈管には5mm展開可能直径D3のコイルを入れるべきとしている。また一方、ボストンサイエンティフィック社(Boston Scientific)及びメドトロニック社(Medtronic)は、臨床医に両社のインターロック・コイル(Interlock coil)及びコンチェルト・コイル(Concerto coil)を10~20%オーバーサイズ設定することを推奨しており、したがって5mmIDの脈管には5.5mm又は6mmの展開可能直径D3のコイルを入れるべきとしている。特定のプラグは30~50%オーバーサイズ設定することを推奨されている。
【0009】
コイル形状をした閉塞デバイス(occlusive device)を含む閉塞デバイスは、配備されたときに多種多様な第三期の形状の何れかを形成するように製造され、例えば、
図2A及び
図3Aによって描写されているコイル状チューブ3°形状又は対称螺旋形状に加え、
図3Bに示されている非対称螺旋形状、
図3C及び
図3Dに示されている漏斗形状、
図3Eに示されているボール形状、及び他の各種形状を含む様々な他の形状を形成するように製造されることができる。
【0010】
コイルの様な閉塞デバイスの第三期の形状は、デバイスが、初期の閉塞、フレーミング(framing)、充填、填塞、又は別の閉塞機能の様な特定の機能を遂行することを可能にし得る。填塞コイル及び充填コイルは、初期の閉塞を提供しているコイルの内部に又は隣接して(例えば、後ろに)使用されることができる。填塞コイル及び充填コイルは
図4に示されている様に空隙(動脈瘤嚢など)内に使用されることもある。フレーミングコイルは、空隙のネック部(例えば、動脈瘤のネック部など)の様な目標をフレーミングして、空隙内に填塞コイル及び/又は充填コイルを囲い込み及び/又は空隙内部の塞栓物質(embolic material)を囲い込むことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国仮特許出願第63/072,926号
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】ホワイト、ケン、クロフト、カルメスによる「ナッツシェル内のコイル:コイルの物理的特性のレビュー」、AJNR、2008年8月(「ホワイト」)(White, Ken, Cloft, and Kallmes, “Coils in a Nutshell: A Review of Coil Physical Properties,” AJNR, August 2008 (“White”))
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
既存の閉塞デバイスは有用ではあるが、それらが提供する閉塞は、閉塞デバイスがその第三期の形状を呈した際にデバイスの基礎構造及び基礎構造上の被覆又は補助的材料が一体としてどの程度まで填塞され得るかによって制限される。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本開示による閉塞デバイスは、自己展開式本体を備え、本質的に自己展開式本体から成り、又は自己展開式本体から成る。本体は、その外側直径(OD:outer diameter)を展開させ(即ち、第1の展開度)及びハイポチューブが既定の第三期の形状を呈することを又はその所望の閉塞形状又は最終形状を呈することを可能にする(即ち、第2の展開度)、というやり方で展開することができる。
【0015】
幾つかの実施形態では、閉塞デバイスの本体は、展開可能区分を有するハイポチューブを備えていてもよい。展開可能区分は、ストラットを画定する複数のスリットを含んでいてもよい。スリットは、ハイポチューブがその固有ODから展開後ODへ展開するのを許容するやり方で配列されていてもよい。ハイポチューブは、更に、ハイポチューブがその既定の最終形状又はその所望の閉塞形状に展開するのを究極的に可能にするやり方で形を変えるようになっていてもよい。
【0016】
閉塞デバイスのハイポチューブは、ハイポチューブの被術者の身体内への挿入及び/又は身体からの除去を容易にする形状へ拘束されるが拘束力が取り除かれたときに展開することができる実質的に剛性な材料から形成されていてもよい。限定するわけではないが、ハイポチューブは、金属(例えば、ニチノール、ステンレス鋼など)又はポリマー(ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)など)から作製されてもよい。ハイポチューブは形状記憶材料から形成されていてもよい。限定するわけではないがハイポチューブが形状記憶材料から作製される実施形態を含め、幾つかの実施形態では、閉塞デバイスは、意図される目標場所にて所定の条件(例えば、温度、湿度など)へさらされたときに、及び何らかの拘束力が取り除かれたときに、所望形状又はその最終形状を呈することができる。
【0017】
幾つかの実施形態では、閉塞デバイスのハイポチューブの展開可能区分の長さに沿ってスリットの列が画定されていてもよい。スリットの各列は、展開可能区分の母線(即ち、ハイポチューブの展開可能区分の一方の端から展開可能区分の他方の端まで、展開可能区分の軸に平行に延びる線)に沿って位置決めされていてもよい。代替的には、スリットの各列は、ハイポチューブを周ってやや螺旋状に配向されていてもよい。各列のスリットは、隣接列のスリットからオフセットされていてもよい。各スリットは、隣接列のスリット1つの半分と重なりあっていてもよいし(スリットがハイポチューブの端又は端付近に位置する場合)又は隣接列のスリット2つと重なりあっていてもよい(スリットが中間に位置する場合)、つまり言い方を変えれば、展開可能区分のスリットは、いわゆる「レンガ積み」配列を有していてもよいし、又はそれらはいわゆる「長手積みパターン」のレンガの様に配列されていてもよい。スリット及び隣接列のスリットによって画定されるストラットのその様な配列が、ハイポチューブの展開可能区分が所望の最終形状(例えば、対称螺旋形状、非対称螺旋形状、漏斗形状、修正型漏斗形状、球形状、又は何れかの他の所望形状)を呈することを可能にし得る。
【0018】
幾つかの実施形態では、閉塞デバイスのハイポチューブの展開可能区分のスリットは、展開可能区分又はその一部分が展開するにつれて、ストラットがトルクを与える及び/又は捩じれる又は回転することを可能にするやり方で配列されていてもよい。その様な配列は、更に、ひとたび適度な拘束力がハイポチューブへ加えられたら、展開可能区分の展開した部分がその未展開状態へ復帰するのを可能にし得る(例えば、外部の力がハイポチューブを管の中へ拘束したとき、チューブの直径は減少し、回転するストラットは平坦な非回転時位置へ回り戻ろうとする、など)。その様な配列により、展開可能区分は、拘束状態又は未展開状態であるときには平滑な外側表面を有することができる。
【0019】
本開示による閉塞デバイスの製造は、ハイポチューブの壁の適切な場所にスリットを切り込む工程を含んでいてもよい。ハイポチューブを所望形状へ形成するためにハイポチューブはマンドレル上へ装填されてもよい。ハイポチューブの所望形状、ひいては閉塞デバイスにとっての所望形状は、(例えば、ハイポチューブがニチノールから形成されている場合には加熱による、などによって)固化され得る。次いで、ハイポチューブ又は閉塞デバイスを収縮させる又は縮ませるように、ハイポチューブ又は閉塞デバイスへ拘束力が加えられてもよい。拘束力は、ハイポチューブを、その収納及びその後の被術者の身体の中へのその挿入を容易にする形状及び寸法へ収縮させることができる。幾つかの実施形態では、閉塞デバイスは装填デバイス内に拘束されてもよい。
【0020】
閉塞デバイスの使用が所望されたときに、閉塞デバイスは被術者の身体の中へ導入されることができる。例えば、カテーテルが被術者の身体内の所望場所へ前進させられてもよい。閉塞デバイスは、カテーテルの近位端の中へ導入され、カテーテルのルーメンを通って所望場所まで進められてもよい。閉塞デバイスが所望場所にてカテーテルの遠位先端を出ると、閉塞デバイスは自動的にその増加した外側直径及び意図された最終形状を呈し、その結果、所望場所を所望のやり方で少なくとも部分的に閉塞させることができる。目標場所での条件(例えば、温度など)が、閉塞デバイスが自己展開し自動的にその最終形状を呈することを可能にし、及び/又は、閉塞デバイスが目標場所での1つ又はそれ以上の条件にさらされたままでいることでその増加した外側直径及び最終形状を保持することを可能にし得る。
【0021】
当業者には、次の説明、添付図面、及び付随の特許請求の範囲の考察を通して、開示された主題の他の態様、ならびに開示された主題の様々な態様の特徴及び利点が明白になるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1A】脈管構造の閉塞デバイス設置前の画像であり、
図1Bと共に被術者の脈管構造に対する閉塞デバイスの効果を示す。
【
図1B】
図1Aと同じ脈管構造の閉塞デバイス設置後の画像であり、
図1Aと共に被術者の脈管構造に対する閉塞デバイスの効果を示す。
【
図2A】コイルを備える既存の閉塞デバイスの特徴を描いている。
【
図2B】
図2Aと共に、コイルを備える既存の閉塞デバイスの特徴を描いている。
【
図3A】対称螺旋形状を備えるコイル状閉塞デバイスの或る実施形態を示している。
【
図3B】非対称螺旋形状を備えるコイル状閉塞デバイスの或る実施形態を示している。
【
図3C】漏斗形状を備えるコイル状閉塞デバイスの或る実施形態を示している。
【
図3D】修正型漏斗形状を備えるコイル状閉塞デバイスの或る実施形態を示している。
【
図3E】やや球状又はボール状の形状を備えるコイル状閉塞デバイスの或る実施形態を示している。
【
図4】空隙内、即ち動脈瘤嚢内の閉塞デバイスを描いている。
【
図5A】展開可能且つ収縮可能な外側直径(OD)を有する展開可能区分を含んでいる本体を有する閉塞デバイスの或る実施形態を描いている。
【
図5B】
図5Aと共に、展開可能且つ収縮可能な外側直径(OD)を有する展開可能区分を含んでいる本体を有する閉塞デバイスの或る実施形態を描いている。
【
図5C】
図5A-
図5Bと共に、展開可能且つ収縮可能な外側直径(OD)を有する展開可能区分を含んでいる本体を有する閉塞デバイスの或る実施形態を描いている。
【
図5D】
図5A-
図5Cと共に、展開可能且つ収縮可能な外側直径(OD)を有する展開可能区分を含んでいる本体を有する閉塞デバイスの或る実施形態を描いている。
【
図6A-1】その最終形状にある従来式閉塞デバイスの端面図を提供している。
【
図6A-2】その最終形状にある従来式閉塞デバイスの等角投影図を提供している。
【
図6B-1】その本体がその最終形状を呈しながらも未展開状態にある本開示の閉塞デバイスの或る実施形態の端面図を提供している。
【
図6B-2】その本体がその最終形状を呈しながらも未展開状態にある本開示の閉塞デバイスの或る実施形態の等角投影図を提供している。
【
図6C-1】その本体が展開状態にあり且つその最終形状を呈している
図6B-1及び
図6B-2に示された閉塞デバイスの実施形態の端面図を提供している。
【
図6C-2】その本体が展開状態にあり且つその最終形状を呈している
図6B-1及び
図6B-2に示された閉塞デバイスの実施形態の等角投影図を提供している。
【
図7B】その本体が
図6B-1及び
図6B-2に示された未展開状態にある、
図6B-1及び
図6B-2に示された閉塞デバイスの実施形態の詳細な端面図を提供している。
【
図7C】その本体が
図6C-1及び
図6C-2に示された展開状態にある、
図6C-1及び
図6C-2に示された閉塞デバイスの実施形態の詳細な端面図を提供している。
【
図8】その本体が
図6C-1、
図6C-2、及び
図7Cに示された展開状態にあり、その少なくとも一方の端がテーパしている、
図6C-1、
図6C-2、及び
図7Cに示された閉塞デバイスの実施形態の或る変形型の等角投影図である。
【
図9A】やや球状の形状を有している本開示による閉塞デバイスの別の実施形態の側面図である。
【
図9B】
図9Aのやや球状の形状を有している本開示による閉塞デバイスの断面図である。
【
図9C】
図9Aのやや球状の形状を有している本開示による閉塞デバイスの斜視図であるある。
【
図10】閉塞デバイスの本体の展開可能区分のストラットが鋸歯状エッジを有している、
図9A-
図9Cに示された閉塞デバイスの実施形態の或る変形型を示している。
【
図11】本開示による閉塞デバイスの別の最終形状を描写している。
【
図12】展開可能な被覆及び/又は充填材料を備えた閉塞デバイスの或る実施形態を描いている。
【
図13】ファブリック又はフィルムの覆いを含んでいる閉塞デバイスの或る実施形態を描いている。
【
図14】被術者の身体内の目標場所に閉塞デバイスを配備するための方法の或る実施形態を描いている。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図5A-
図5Dを参照すると、閉塞デバイス10の或る実施形態が描写されている。閉塞デバイス10は、閉塞デバイス10の被術者の身体の中への導入及び/又は身体からの除去を容易にする未展開状態又は拘束状態で示されている。
図5Aに描かれている様に、閉塞デバイス10は、拘束状態にある間は細長状であるとしてもよい。
【0024】
閉塞デバイス10は本体12を備えている。本体12は、各種の適した材料の何れかから又は適した材料の組合せから形成されることができる。幾つかの実施形態では、本体12全体が、金属の様な実質的に剛性な材料から形成され得るハイポチューブから画定されているか又はハイポチューブを備えていてもよい。適した金属の例としては、限定するわけではないが、記憶合金(例えば、ニチノールなど)、コバルトクロム(CoCr)合金、ニッケルクロム(NiCr又はニクロム)合金(限定するわけではないがNiCr鋼を含む)、ステンレス鋼(例えば、316Lステンレス鋼、316ステンレス鋼など)、及び同様物が挙げられる。代替的に、本体12はポリマーから形成されていてもよい。適したポリマーは、十分な硬度(例えば、少なくとも35ショアD、35ショアD~55ショアD、35ショアD~72ショアDなど)を有するものとしてもよい。適したポリマーの例としては、限定するわけではないが、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド、ナイロン、ポリエーテルブロックアミド(PEBA、例えばPEBAX(登録商標)として商標化されているものなど)、及び押出成形プラスチック(但し、以下に解説されている様に、それらのストラット36の幅を超えない壁厚さを有することを前提とする)が挙げられる。
【0025】
閉塞デバイス10の本体12の展開可能区分30は、
図5Aに示されている未展開状態から展開状態へ及び最終形状へ外方(例えば、半径方向外方など)に展開することが可能であってもよい。例えば、本体12が形状記憶合金の様な形状記憶材料から形成されている実施形態では、展開可能区分30は、適切な条件(例えば、体温など)にさらされたときにその最終形状へ展開することができる。別の実施例として、本体12がステンレス鋼又はポリマーから形成されている実施形態などでは、展開可能区分30は、本体12から拘束力が取り除かれたときに、その最終形状へ展開することができる。
【0026】
図5B-
図5Dに示されている様に、展開可能区分30は、本体12の壁を少なくとも部分的に貫いて延びるスリット32のシリーズ34a、34b、34cなどによって画定されていてもよい。幾つかの実施形態では、各スリット32は、本体12の壁をその外側表面からその内側表面まで完全に貫通して延びていてもよい。他の実施形態では、各スリット32は、本体12の壁を(例えば、壁の外側表面から壁の内側表面に向かって)部分的に貫いて延びているだけであってもよい。各スリット32が本体12の壁どの程度貫いて延びるかは、少なくとも一部には、本体12が形成される材料に依存するだろう。
【0027】
スリット32は(展開可能区分30の端に位置する幾つかのスリット32を別にすれば)互いに同じ長さを有していてもよい。シリーズ32a、32b、32cなどのシリーズ内の隣接するスリット32は本体12の中実の切られていない領域によって離間されている。これらの中実領域は接合部38又は交差部と呼ばれることがある。
【0028】
各シリーズ34a、34b、34cなどは、直線的に整列したスリット32によって画定されていてもよい。スリット32及び各シリーズ34a、34b、34cなどは、本体12に沿って長手方向に延び、各シリーズ34a、34b、34cなどは、展開可能区分30の母線(即ち、展開可能区分30の一方の端から展開可能区分30の他方の端まで、展開可能区分30の長手方向軸に平行に延びる線)に沿って位置決めされていてもよい。その様な配向は、「直線」配向と呼ばれることもある。代替的には、各シリーズ34a、34b、34cなどは、本体12を周って螺旋状に配向されていてもよい。
【0029】
各シリーズ34b、34c、34dなどのスリット32は、各隣接するシリーズ34a、34b、34c、34d、34eなどのスリット32に対してオフセットされていてもよい。シリーズ34a、34b、34cなどのシリーズ内の各スリット32は、各隣接するシリーズ34a、34b、34cなどの周方向に隣接するスリット32の1つの半分と重なり合い(スリット32が展開可能区分30の端又は端付近に位置する場合)又は2つと重なり合っていてもよい(スリット32が展開可能区分30の長さに沿って中間に位置する場合)。本体12の展開可能区分30の周囲を周ってスリット32を段違いにすることが、いわゆる「長手積みパターン」に配列されたスリット32間の本体12の中実部分と共に展開可能区分30にいわゆる「レンガ積み」外観をもたらすことになる。
【0030】
スリット32の周方向に隣接するシリーズ34a、34b、34cなどは本体12の周囲を周って等距離に離間されていてもよい。展開可能区分30は、スリット32の偶数個のシリーズ34a、34b、34cなどを含んでいてもよい。スリット32の偶数個の周方向に隣接するシリーズ34a、34b、34cなどが本体12の周囲を周って等距離に離間されている実施形態では、展開可能区分30の各スリット32はその周方向に隣接するスリット32に対して段違いになっていてもよい。代替的には、1つの周方向に隣接するシリーズ34aのスリット32間距離は、別の周方向に隣接するシリーズ34cのスリット32間距離とは異なっていてもよく、したがって、1つの周方向に隣接するシリーズ34aのスリット32の数は別の周方向に隣接するシリーズ34cのスリット32の数とは異なっていてもよい。
【0031】
スリット32の各隣接する対のシリーズ34aと34b、34bと34c、34cと34dなどの間に位置している本体12の中実部分は展開可能区分30のストラット36を構成している。より具体的には、各ストラット36は、スリット32の隣接するシリーズ34aと34b、34bと34c、34cと34dなどの間の本体12の中実部分を備えていてもよい。別の言い方をすれば、各スリット32が、一対の周方向に隣接するストラット36間のギャップを構成している。シリーズ34a、34b、34cなどが本体12の長手方向軸に沿って配向されている実施形態では、ストラットもまた本体12の長手方向軸に沿って配向され、シリーズ34a、34b、34cなどが本体12を周って螺旋状に配向されている実施形態では、ストラット36もまた本体12を周って螺旋状に又は螺旋として配向される、ということになる。
【0032】
スリット32を段違いにすることが、展開可能区分30が展開することを可能にし得る。幾つかの実施形態では、展開可能区分30が展開するにつれて、ストラット36は回転することができる。その様な回転は、例えば、展開可能区分30を周って周方向に整列されたストラット36の各環が偶数のストラット36を含んでいる実施形態で起こり得る。スリットは回転するにつれて展開可能区分30の周囲から外方(例えば、半径方向など)に突出し、閉塞デバイス10を所定場所に固定することができる。
【0033】
他の実施形態では、スリット32は段違いになっておらず、展開可能区分30が展開されたときにストラット36は回転しない。その様な実施形態でも、結果として得られる閉塞デバイス10は、なおも展開し、閉塞デバイス10が留置される脈管又は空隙の壁との複数の接触点を作り出して、閉塞デバイス10を脈管又は空隙内の所定場所に固定することができる。
【0034】
閉塞デバイス10の本体12の展開可能区分30のスリット32及びストラット36によって提供される展開性は、本体12の外側直径(OD)が展開し、第1の展開度をもたらすのを可能にする。加えて、本体12のODが展開するにつれて、本体12は、既定の第三期の形状又は所望の閉塞形状又は最終形状を呈し、第2の展開度をもたらすことができる。
【0035】
図6A-
図6Cは、従来式閉塞デバイス110がその最終形状(
図6A-1及び
図6A-2)を呈したときに起こるところの単一の展開の程度によってもたらされる閉塞を、本開示による閉塞デバイス10が展開し、その最終形状(
図6B-1乃至
図6C-2)を呈したときに起こるところの2又はそれ以上の展開度によってもたらされる閉塞と対比している。
図6A-1は、最終形状へとコイル状を成したコイル状ワイヤ112を含んでいる従来式閉塞デバイス10’の実施形態(例えば、035 5mm×2cmコイル)の端面図を提供しており、従来式閉塞デバイス110のコイルは
図6A-2にも見られる。その様な従来式コイル状閉塞デバイス110は、それが設置される管腔(例えば、脈管など)を横切る面積を(例えば、約59%)縮小させる。注目すべきことに、コイル状ワイヤ112のODは展開しない。
【0036】
図6B-1及び
図7Bは、本開示の閉塞デバイス10の或る実施形態の端面図を提供しており、その本体12は未展開状態にあるが
図6B-2に見られる様にコイル状最終形状を呈している(例えば、035 5mmx2cmコイル)。閉塞デバイス10の本体12の固有寸法(例えば、そのODなど)は、従来式閉塞デバイス110のコイル状ワイヤ112の対応した寸法(例えば、0.035インチ又は0.89mmのOD)と同じ又は実質的に同じであるとしてもよい。
【0037】
従来式閉塞デバイス110のコイル状ワイヤ112のODは展開しないが、
図6C-1、
図6C-2、及び
図7Cが描いている様に、本開示の閉塞デバイス10の本体12のODは展開することができる(例えば、0.070インチ又は1.8mmのODの様な2倍に展開)。
図7Cが示している様に、本体12は、そのスリット32が本体12の周囲を周って口を開けることで展開する。
図6C-2に示されている様に、本体12が展開するにつれ、本体12は増加した体積を占め、閉塞デバイス10がその最終形状を呈することで改善された閉塞をもたらすことを可能にする(例えば、閉塞デバイス10は、それが設置される管腔を横切る面積を少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、約92%縮小させる)。
【0038】
図8に示されている様に、閉塞デバイス10の本体12がその展開状態にあるとき、本体12の一方又は両方の端16、17のODは本体12の残部(中央部分)に沿ったODと同じであってもよく、及び/又は、一方又は両方の端16、17は絞られたODを有していてもよい(例えば、それはその端、その端に隣接した場所、などにテーパをつけられていてもよい)。描写されている実施形態では、端16は、本体12の大半のODと同じOD(例えば、0.070インチ又は1.8mmのODなど)を有し、一方、端17はより小さいOD(例えば、0.035インチ又は0.89mmのODなど)へテーパしている。
【0039】
閉塞デバイス10は、その最終形状へ展開されたときに、多種多様な既定形状の何れかを呈することができる。その様な最終形状には、限定するわけではないが、
図3A-
図3Eに示されている形状が含められる。
図11は、菱形形状又は二重漏斗形状を有する閉塞デバイスの或る実施形態を描写している。
【0040】
図9A-
図9Cは、閉塞デバイス10’の或る実施形態であって、その一杯まで展開された状態(即ち、閉塞デバイス10’の本体12’が展開され、その最終形状を呈することを許容された状態)に入ったときにやや球状の最終形状を有するプラグを備えた閉塞デバイス10’の図を提供している。描かれている様に、本体12’が展開状態に入ったとき、ストラット36’は外方に回転し(例えば、最大で約90°まで、など)、閉塞デバイス10’は、それが押し当てて位置決めされ及び展開されている組織(例えば、脈管内膜など)に係合できるようになる。限定するわけではないが、最終形状は、最大で約5mmの直径を有していてもよい。
図10は、スリット32’’が鋸歯状エッジを有するストラット36’’を画定している閉塞デバイス10’’の或る変形型を示している。
【0041】
本開示による閉塞デバイス10の或る特定の実施形態は、例えば、約0.035インチ(約0.89mm)のODから約0.070インチ(約1.8mm)のODへ展開することができる。約5mm×2cmの寸法を持つ対称螺旋状の最終形状を有するその様な閉塞デバイス10は、約0.035インチ(約0.89mm)のODを有し且つ同じ最終形状及び最終寸法を有する従来式閉塞デバイス10よりも50%少ない金属質量を有し得る。例えば、0.005インチ(0.13mm)のワイヤを有する標準的な035 5mm×2cmコイルは、2.387mm3/cmの金属体積を有するのに対し、0.0018インチ(0.046mm)の壁厚さを有するハイポチューブで形成された本開示による035 5mm×2cmコイル閉塞デバイス10は、1.015mm3/cmの金属体積を有する。ゆえに、本開示の閉塞デバイス10は、金属体積及金属質量を、同様のサイズの従来式閉塞デバイスの質量よりも約50%~約80%減少させることができる。
【0042】
金属質量を減少させることは、閉塞デバイス10が被術者の身体の中へ植え込まれた後の閉塞デバイス10のコンピュータ断層撮影(CT)のアーチファクトを低減させるはずである。既存の従来式閉塞デバイスを有する特定の被術者である患者は、その様な従来式閉塞デバイスによって発生するCTアーチファクトのサイズ又は場所が原因で、将来的なフォローアップについてCTを用いても有効に画像化されないかもしれない。必然的に、フォローアップには侵襲的な血管造影が必要になる可能性がある。本開示による金属系閉塞デバイス10を受け入れている被術者は、CTアーチファクトが低減されることによって、将来的なフォローアップのためにCTスキャンを受けることができるようになるだろう。
【0043】
幾つかの実施形態では、本開示による閉塞デバイス10、10’、10’’、10’’’、10’’’’(簡潔さを期してこれ以降は閉塞デバイス10と称する)は、被覆(例えば、展開可能な被覆、弾性的に展開可能/圧縮可能な被覆など)及び/又は充填材(例えば、展開可能な被覆、弾性的に展開可能/圧縮可能な充填材料)を含んでいてもよい。被覆及び/又は充填材がなおいっそうの閉塞を提供することができるだろう。被覆が、閉塞デバイス10の本体12、12’、12’’、12’’’、12’’’’など(簡潔さを期してこれ以降は本体12と称する)の外側表面を覆って延びていてもよい。充填材は、閉塞デバイス10の本体12を画定するハイポチューブのルーメンによって閉じ込められていてもよい。幾つかの実施形態では、被覆及び/又は充填材は、本体12へ貼着されていてもよい。
【0044】
一実施例として、被覆及び/又は充填材が、ひとたび閉塞デバイス10が設置されたら膨潤して充填体積及び填塞密度を高め得る発泡性ヒドロゲルを備えていてもよい。
図12に描写されている別の実施例として、閉塞デバイス10’’’が、形状記憶ポリマー(SMP)、例えば、ポリウレタンSMP(例えば、N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン(HPED);2,2’,2’’-ニトリロトリエタノール(TEA);1,6-ジイソシアナトヘキサン(HDI);トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(2,2,4-及び2,4,4-混合物)(TMHDI)など、から形成され得る発泡可能なポリマーフォーム又はメッシュ40を提供されていてもよい。別の実施例では、閉塞デバイス10には可撓性フィラメントが提供されていて、可撓性フィラメントは、本体12のルーメン内に配置され、スリット36(
図5B-
図5D)を通って延び、及び/又は本体12の外側表面上に設けられていてもよい。
図13に描写されている更に別の実施例として、ファブリック(例えば、PTFEなど)又はフィルム50(例えば、ポリマーフィルムなど)が、閉塞デバイス10’’’’の本体12’’’’の開口したスリット36’’’’(
図5B-
図5D)を通って流体が流れるのを防止するやり方で本体12’’’’の少なくとも一部分(例えば、その外側表面及び/又はその内側表面など)を覆っていてもよい。
【0045】
閉塞デバイス10の閉塞する能力を強化することに加えて又はその代替として、被覆及び/又は充填材が閉塞デバイス10に更なる特性を与えていてもよい。例えば、被覆及び/又は充填材が、被術者の身体からの流体を吸収し、塞栓を促進するようになっていてもよい。
【0046】
別の実施例では、充填材が閉塞デバイス10に放射線不透過性を与えていてもよい。その様な充填材は、充填材が本体12と共に及び/又は本体12の内部で展開することを可能にすると共に展開状態にあるときに充填材が本体12から外へ移動するのを防止するやり方で本体12へ貼着されていてもよい。その様な充填材は、綿、ナイロン、ファイバ、フィラメント、及び/又は他の適した材料を備えていてもよい。充填材は吸収性であってもよい。幾つかの実施形態では、充填材は、放射線不透過性材料(例えば、タングステン、バリウム、ヨウ素、三酸化ビスマス(酸化ビスマス(III)及び/又はBi2O3)など)及び/又はX線視覚化を容易にする別の材料を用いて製造されることができる。
【0047】
充填材は、被術者の身体内の目標部位へ送達されるべき物質を担持(例えば、吸収など)していてもよい。充填材によって担持され得る物質の例としては、限定するわけではないが、造影剤、薬物、及び同様物が挙げられ、それらは、充填材へ製造中に適用されてもよいし、又はテーブルサイドで臨床医によって処置中に、配備に先立ち、配備中に、又は配備後に適用されてもよい。
【0048】
臨床医は、閉塞デバイス10を被術者の身体内への送達のためにカテーテル内へ装填する前に、閉塞デバイス10を収容している出荷用又は貯蔵用の管の中へ物質を注入してもよい。閉塞デバイス10中の任意の充填材が、物質を吸収するか又はそれ以外のやり方で担持するようになっていてもよい。物質が造影剤を備えている実施形態では、造影剤は、設置時に閉塞デバイス10がカテーテルを通って目標場所へ押されてゆく際の及び閉塞デバイス10が目標場所に配備される間の案内をするために、蛍光透視検査のX線下に放射性不透過性であるものとされる。配備後、造影剤は、閉塞デバイス10から放散し、溶出し、及び/又は洗い流されることができる。これにより、閉塞デバイス10は設置中に見えるようになるが、設置後にはX線視覚化が弱まるので、隣接する解剖学的構造及び病変部を視認することにとっては好都合であるだろう。物質が、薬物、治療剤(例えば、放射線塞栓処置中の、腫瘍崩壊性放射性同位元素、例えばイットリウム-90(Y90)など)、栄養素、診断試薬、マーカ、標的化化合物、又は同様物を備えている実施形態では、物質は、ひとたび閉塞デバイス10が目標場所に設置されたら溶出されるようになっていてもよい。
【0049】
随意的には、臨床医が、閉塞デバイス10を(充填材の有無にかかわらず)配備していて、閉塞デバイスがカテーテルに沿って前進させられる前に又は最中に、閉塞デバイス10を送達するカテーテルの中へ物質を注入してもよい。これは、拘束された閉塞デバイス10がカテーテルを通って押されてゆく間に臨床医が物質をカテーテルの中へ注入できるようにするが、閉塞デバイス10がその目標場所に設置された後に物質が放散するのを可能にする。
【0050】
別のオプションとして、閉塞デバイス10が配備された後に、物質がカテーテルを通って閉塞デバイス10の中へ又はその充填材の中へ導入されてもよい。
【0051】
物質は、更に、閉塞デバイス10の本体12へ(例えば、その1つ又はそれ以上のストラット36などへ)直接適用されてもよい。物質は、閉塞デバイス10の本体12へ貼着され、塗られ、接着され、又はそれ以外のやり方で適用されてもよい。別のオプションとして、物質を担持している帯(例えば、放射線不透過性の帯など)が、本体12の1つ又はそれ以上のストラット36及び/又は一方又は両方の端16、17へ捲縮されてもよい。
【0052】
幾つかの実施形態では、閉塞デバイス10はセンサを含んでいてもよい。センサは、受動センサを備えていてもよいし、又は能動センサを備えていてもよい。センサは、閉塞デバイス10の本体12内に配置されるか又は本体12へ固定されていてもよい。幾つかの実施形態では、センサは、無線周波数識別センサ又はチップを備えていてもよい。
【0053】
閉塞デバイス10を製造する方法は、ハイポチューブ(例えば、0.035インチ(0.89mm)OD及び~0.030インチ(~0.76mm)IDのニチノールハイポチューブなど)を採用してもよい。ハイポチューブにはスリット32(
図5B-
図5D)が、任意の適したプロセスによって(例えば、レーザーカッティング、機械的に(例えば、コンピュータ数値制御(CNC)加工などによって)、放電加工(EDM)によって、化学的エッチングなどによって)切り込まれてもよい。スリット32は、ハイポチューブの外側直径がハイポチューブの全長さに沿って一貫して展開するように、ハイポチューブの端から端まで切り込まれてもよい。代替的には、スリット32は、閉塞デバイス10が配備されたときに展開することを意図されていない又は拘束されたままとなるハイポチューブの場所(例えば、その一方又は両方の端、1つ又はそれ以上の中間場所)へは延びていなくてもよい。拘束された場所は様々な目的に有用であり、例えば、閉塞デバイス10の内部に材料を保持する、閉塞デバイス10の配備及び/又は位置決めを容易にする配備機構のための接続点を提供する、又は閉塞デバイス10を別の閉塞デバイスへ連結するという様な目的に有用であるだろう。
【0054】
ハイポチューブにスリット32を切り込む工程は、鈍く切れ味の悪い刃であるエッジを有するストラット36又は鋭いエッジを有するストラット36をもたらすことができる。加えて、スリットを切り込む工程は、ストラット36のエッジに沿った特徴、例えば歯、鋸歯、エッジ粗さ、又同様物を画定する工程を含んでいてもよい。その様な特徴は、結果として得られる閉塞デバイス10が被術者の身体内の目標場所の所定位置に固定されるのを可能にし、それにより血管内皮応答及び/又は血栓性応答が促進され、及び/又は、それ以外に目標場所に位置決めされた後の閉塞デバイス10の移動が防止され得る。
【0055】
スリット32によって画定されるストラット36のエッジは、スリット32が切り込まれた後に修正されてもよい。幾つかの実施形態では、エッジはバニシ仕上げされてもよい。他の実施形態では、エッジは先鋭化されてもよい。
【0056】
更に、他の特徴がハイポチューブへ切り込まれてもよい。例えば、スロット、穴、チャネル、又は他の特徴が、ハイポチューブの一方又は両方の端16、17及び/又は1つ又はそれ以上のストラット36へ切り込まれてもよい。これらの特徴は、配備機構(例えば、脱着可能な押し出し器)と係合するようになっていてもよい。或る特定の実施形態では、1つ又はそれ以上の丸い(例えば、0.003インチ又は0.076mm直径などの)雌型陥凹又はチャネルがハイポチューブの端16に形成されてもよく、つまり、これらの雌型陥凹又はチャネルは、配備機構の伸長可能/後退可能な丸い(例えば、0.003インチ(0.076mm)又はより小さい直径の)雄型特徴を受け入れるようになっていてもよい。接続は、ユーザが閉塞デバイス10を、カテーテル、シース、カニューレ、ニードル、又は同様物の様な、送達デバイス200(
図14)を通して押す又は引くうえで十分に堅固であるものとする。
【0057】
次に、切り込まれたハイポチューブが、所望形状(例えば、テーパ型直線状、螺旋状、漏斗状など)のマンドレル(例えば、硬鋼マンドレル)上へ装填されてもよい。切り込まれたハイポチューブがマンドレル上へ装填されると、ハイポチューブは展開し、そのID及びODを(例えば、約0.075インチ又は約1.9mmへ)増加させることができる。切り込まれたハイポチューブの展開が、ハイポチューブのスリット32を開口させ、ハイポチューブのストラット36(
図5B-
図5D)を露出させることになる。展開された切り込みハイポチューブは、次いで、ニチノールをその展開状態に固化させるのに十分な持続時間(例えば、最大で1時間など)に亘って十分な温度(例えば、約400°C~約600°Cなど)へ加熱されてもよい。ハイポチューブは、次いで、冷却されるが、ハイポチューブはマンドレル上に留まっていてもよいし、又はハイポチューブはマンドレルから取り外されてもよい。冷却されたハイポチューブは、ODを物理的に絞ることによって、及び/又は展開されたハイポチューブを~0.080インチ(約2.0mm)IDから約0.035インチ(約0.89mm)以下へ漏斗状に狭まっていく漏斗型ハイポチューブ固定具の中へ押し入れることによって、その元のODへ再び拘束されることになる。拘束されたハイポチューブは、次いで、ハイポチューブを配備まで拘束された状態に保つ出荷用又は貯蔵用の管の中へ装填されることができる(例えば、押し込まれるなど)。この製造方法は、限定するわけではないが、0.014インチ(0.36mm)OD、0.018インチ(0.46mm)OD、0.025インチ(0.64mm)OD、0.027インチ(0.69mm)OD、及び他のOD、ID、及び長さを含むすべてのサイズのハイポチューブへ適用される。
【0058】
次に
図14を参照して、閉塞デバイス10を使用する或る方法が、描写されているカテーテル、シース、カニューレ、ニードル、又は同様物の様な送達デバイス200の遠位先端202を、被術者の身体内の目標場所Tまで前進させる工程を含んでいる。閉塞デバイス10は、装填装置(図示せず)から送達デバイス200の近位端204の中へ移されてもよい。閉塞デバイス10は、遠位先端202に達するまで送達デバイス200の長さに沿って前進させられてもよい。閉塞デバイス10が遠位先端202から姿を現す又は遠位先端202から配備されるにつれ、閉塞デバイス10は、少なくとも部分的に展開し、目標場所Tの表面に押し当てて(例えば、脈管内膜などに押し当てて)位置決めされることができる。配備は、拘束された閉塞デバイス10を(例えば、配備機構210などを用いて)遠位方向に遠位先端202の外へ押し出すことによって実現されてもよく、及び/又は、被術者の身体内の閉塞デバイス10の位置を(例えば、目標場所Tなどに)維持したまま送達デバイス200を近位方向に引くことによって実現されてもよい。
【0059】
ひとたび閉塞デバイス10が遠位先端202から一杯まで展開されたら、閉塞デバイス10はその最終形状を呈することができる。
【0060】
閉塞デバイス10が送達デバイス200を出た後、配備機構210は閉塞デバイス10へ接続されたままであってもよい。これは臨床医が設置精度を確証するのを可能にさせ得る。随意的に、臨床医は、(例えば、配備機構210などを用いて)閉塞デバイス10を目標場所Tに位置決めするやり方で、少なくとも部分的に展開された閉塞デバイス10を押す、引く、引きずる、又はそれ以外のやり方で動かしてもよい。その様な運動は、更に、目標場所Tの内膜を剥離し、撹拌し、又は機械的に刺激して炎症反応を引き出すことができ(任意の硬化剤注入の有無を問わず)、それによって目標場所Tでの閉塞デバイス10の一時的又は永久的な不動化、ひいては一時的又は永久的な塞栓が促進される。
【0061】
設置精度が受容可能であるなら、配備機構210は閉塞デバイス10から連結解除されてもよい(例えば、配備機構210の伸長可能/後退可能な丸い雄型特徴を後退させて配備機構210を閉塞デバイス10から脱着させることによる)。
【0062】
限定するわけではないが、本開示による閉塞デバイス10は、管腔充填を促進するため、流れを減少させるため、血栓症を改善するため、増殖を改善するため、X線密度を下げるため、又はそれ以外に閉塞を促進するために使用されることができる。その様な閉塞デバイス10は、限定するわけではないが、動静脈奇形、出血、穿孔、動脈瘤、筋腫、静脈瘤、鬱血、遠位塞栓、及び他の病態を含め、様々な病態と関連づけて使用されることができる。閉塞デバイス10は、Dダイマーレベル上昇(血液検査で見つけられるフィブリンタンパク質抗原フラグメントが凝固障害を示唆した)及び、心臓、肺、脳、及び末梢血管内の生命を脅かす血栓を発現させているCOVID-19患者を治療するのに使用されることもできる。出血は血栓の合併症であり、出血は塞栓デバイスを用いて治療することができる。例えば、以下の文献、即ち、
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7203058/
https://www.medicalnewstoday.com/articles/covid-19-ive-never-seen-such-sticky-blood-says-thrombosis-expert
https://www.sciencedaily.com/releases/2020/06/200630125129.htm
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32339221/
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7146714/
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32316063/
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7225095/
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7229939/
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7255402/
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7177070/
を参照されたく、これらの文献の開示はこれにより本明細書に援用される。
【0063】
以上の開示は多くの詳細事項を提供しているが、これらは、付随の特許請求の範囲の何れかの請求項の範囲を限定するものと解釈されるのではなく、開示されている主題の要素及び特徴の幾つかの実施形態の例示を提供しているに過ぎないと解釈されるべきである。開示されている主題の他の実施形態ならびにそれらの要素及び特徴の他の実施形態であって、特許請求の範囲の何れかの請求項の精神又は範囲から逸脱しない実施形態が考案される余地がある。異なる実施形態からの特徴同士が組み合わせて採用されることもあり得る。したがって、各請求項の範囲は、その平易な用語遣い及びその法的等価物によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0064】
10、10’、10’’、10’’’、10’’’’ 閉塞デバイス
12、12’、12’’、12’’’’ 本体
16、17 本体の端
30 展開可能区分
32、32’’ スリット
34a、34b、34c スリットのシリーズ
36、36’、36’’ ストラット
38 接合部
40 発泡可能なポリマーフォーム又はメッシュ
50 フィルム
110 従来式閉塞デバイス
112 コイル状ワイヤ
200 送達デバイス
202 遠位先端
204 近位端
210 配備機構
D1 ワイヤ直径
D2 コイル状ワイヤ直径
D3 展開可能直径
T 目標場所
【国際調査報告】