(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-29
(54)【発明の名称】成形品を成形するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
D21J 7/00 20060101AFI20240122BHJP
D21J 3/00 20060101ALI20240122BHJP
【FI】
D21J7/00
D21J3/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023524979
(86)(22)【出願日】2021-11-04
(85)【翻訳文提出日】2023-06-15
(86)【国際出願番号】 GB2021052863
(87)【国際公開番号】W WO2022096887
(87)【国際公開日】2022-05-12
(32)【優先日】2020-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511306099
【氏名又は名称】ディアジオ グレート ブリテン リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ターナー,アダム リチャード
(72)【発明者】
【氏名】モリス,ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】ウィルソン,ナターシャ
(72)【発明者】
【氏名】ランゾン-ミラー,ジョシュア
(72)【発明者】
【氏名】バーネス,アントニー ロビン
(72)【発明者】
【氏名】ノーフォーク,アンドリュー ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム,ベンジャミン リス
(72)【発明者】
【氏名】キング,アミー ジョアン
(72)【発明者】
【氏名】バートン,ルパート アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】スミス,ポール クリフォード
【テーマコード(参考)】
4L055
【Fターム(参考)】
4L055BE08
4L055BF06
4L055CB12
4L055CF01
4L055CJ06
4L055EA03
4L055EA13
4L055FA30
4L055GA30
4L055GA50
(57)【要約】
成形品、例えば一体型の容器を製造するシステム及び方法は、繊維懸濁液を多孔性型に送達し、多孔性型の孔を介して懸濁化液(例えば、水)を取り除くことを含む。膨張式ブラダーが折り畳まれた状態で型に挿入され、その後、膨らまされて成形品の内壁に圧力を加えて、水分を取り除く。その後、濡れた初期段階の容器が非多孔性型に移され、そこで膨張式ブラダーが内圧をかけて壁を圧縮し、水分をさらに取り除く。容器はマイクロ波及び/又は空気乾燥によってさらに乾燥され、保護層でコーティングされ得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形品を成形するための方法であって、
懸濁化液に懸濁された繊維の繊維懸濁液を調製することと
前記繊維懸濁液を多孔性型に送出することと、
前記成形品を成形するために、前記多孔性型の孔を介して前記懸濁化液を取り除くことと、
前記成形品を非多孔性型に移すことと、
前記成形品の外壁を前記非多孔性型に押し付けるために、前記成形品の内壁に圧力を加えることと、
前記成形品を前記非多孔性型から取り除くことと、
を含む方法。
【請求項2】
前記多孔性型の孔を介して前記懸濁化液を取り除くことは、不透過性表面を介して前記成形品の内壁に圧力を加えることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記非多孔性型で前記成形品の内壁に圧力を加えることは、前記非多孔性型の形状を前記成形品の外壁に与えるために、不透過性表面を介して実現される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記成形品は前記非多孔性型で加熱を受ける、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記多孔性型及び前記非多孔性型で用いられる前記不透過性表面は同じである、請求項2乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記成形品を取り除いた後に前記多孔性型の壁を洗浄することを含む、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
洗浄は、排出された懸濁化液を前記型を介して戻すこと及び/又は前記型の壁に対して水ジェットを用いることを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
膨張式加圧部材は、折り畳まれた状態で前記型内に挿入され、その後、前記成形品の内壁に圧力を加えるために膨らまされる前記不透過性表面を含む、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記膨張式部材は水又は油によって膨らまされる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記繊維懸濁液の調製にはバレービーターの使用を含む、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記多孔性型に供給される前記繊維懸濁液は0.5~3%の固形分を含む、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記繊維懸濁液は、前記多孔性型に供給するため希釈される前に、濃縮された形態で保存される、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記成形品を乾燥するステップを含む、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記成形品を乾燥するステップは、前記非多孔性型の前又は後のいずれか又はその両方でマイクロ波エネルギーを利用する、請求項2乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記成形品を乾燥するステップは熱風を利用する、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記成形品の表面をコーティングするステップを含む、請求項1乃至15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記コーティングするステップは、前記成形品の内部ベース及び側面をスプレーすることを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記成形品を乾燥するステップは冷気を利用する、請求項1乃至17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記成形品の開口に閉塞要素を適用することを含む、請求項1乃至18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記閉鎖要素は、前記開口に対して封止する環状の特徴を有するリング又はネック取り付け部材材を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記リング又はネック取り付け部材材はパルプ繊維で構成されている、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記型は、実質的に閉じられた三次元の単一形状を形成するための二部構成の型である、請求項1乃至21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記成形品は、本体部がネック部よりも広いボトル形状である、請求項1乃至22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
成形品を成形するためのシステムであって、
懸濁化液中に懸濁された繊維の繊維懸濁液のソースと、
前記繊維懸濁液を第1の多孔性型に送出ための送出手段と、
前記成形品を成形するために前記多孔性型の孔を介して前記懸濁化液を取り除くための吸引ポンプと、
前記成形品を非多孔性型に移すための搬送手段と、
前記非多孔性型に対して前記成形品の内壁に圧力を加えるための手段と、
を含むシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形品を形システム及び方法に関する。とりわけ、本発明は、繊維懸濁液、例えば、紙パルプから容器を成形することに関する。物品/容器は、液体を保持するのに有用な消費者包装であり得る。
【背景技術】
【0002】
消耗品、とりわけ包装におけるプラスチックの使用を減らすことが望ましい。トレイや単純な形状は一般的に紙パルプから作られるが、より複雑な物体及び液体を保持するために必要なものは作成がより困難である。
【0003】
特許文献1、2、3及び4のそれぞれには型で紙パルプから成形品を成形することが記載されている。型は開口を有するか又は多孔性であるため、型に導入されるパルプが混合された懸濁液を吸引を加えることにより取り除くことができる。液体が取り除かれた後に残るパルプは型の形状に合う。第2のステップでは、折り畳まれた状態の膨張可能な部材が型を導入し、成形されている物品の内壁に圧力を加えるために膨張させることにより、より均一な肉厚にパルプを分配し、物品及び型から懸濁液をさらに排出する。成形された物品は型から出され、残りの液体を取り除くために乾燥される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1081285号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1195466号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第2198088号明細書
【特許文献4】国際公開第2018/020219号公報
【発明の概要】
【0005】
本発明は、結果として得られる成形される物品の仕様を改善するか又は少なくとも公衆に代替品を提供するために、上記の技術を進化させることに関する。本発明は、洗浄剤及び飲料等の液体を保持するための閉鎖可能なボトルを製造することにとりわけ適している。
【0006】
本発明を実施する広い観点において、方法は請求項1に従って定義される。本発明に係る装置及びシステムは請求項24で定義されている。他の有用な方法ステップ及び特徴は従属請求項で概説されている。
【0007】
本発明は、一体構造で作られた改善されたパルプボトル構造を最終的に生成することが想定されている。したがって、本プロセスによって得られる新規なボトルは本発明の範囲内にある。本プロセスによって製造される物品は、プレート等の主に浅い形状のものとは対照的に、カップ、ボトル又は瓶等の3Dの空洞化された形態である。
【0008】
特定の形態では、本発明の方法は懸濁化液(suspending liquid)に懸濁された繊維の繊維懸濁液(fibre suspension)を調製することを含む。調製には、バレービーター(valley beater)等のパルプ特性の精製器と、シアー又はパドルミキサーで水和するためのタンクとを伴い得る。このステップは、プロセスと共に連続的に行われ得るか又はバッチで行われ得る。濃縮された形態の懸濁液は、成形の直前に希釈するために調整され得る。型への送出に最も効果的な濃度は、繊維が約0.5~1%である。
【0009】
閉じた二部構成の多孔性型(例えば、ボトル等の所望の成形品のネガ3Dイメージで構成された)に所定の体積まで連続的に供給されている間に、懸濁化液は、例えば真空圧/ポンプにより多孔性型の孔を介して取り除かれる。所定の体積は、型から取り除かれた懸濁化液を計量することにより監視され得る。一例として、10リットルのプロセス水が多孔性型の外側のタンクに集められ、型の表面にパルプ繊維を残し得る。
【0010】
システムの1つの形態では、実質的に全ての懸濁化液を取り除いた後に、濡れた成形品内に不透過性表面(例えば、折り畳まれた状態の膨張式ブラダー)を挿入して、成形品の内壁に圧力を加えることにより(例えば、空気圧又は油圧による膨張により、空気、水又は油)、多孔性型の孔を通して懸濁化液をさらに排出する。その後、成形品はさらなる乾燥ステップのために取り除かれ得る。
【0011】
本発明によれば、成形品は非多孔性型にも供され、例えば、非多孔性である第2又はさらなる型に移される。したがって、非多孔性型の形状を成形品の外壁に与えるために、不透過性表面(例えば、厳密に「不透過性」であるかどうかに関わらず、同じ膨張式ブラダー、第2のブラダー又は他の形態の圧迫手段のいずれか)等を介して、成形品の内壁に圧力がさらに加えられ得る。このようなステップは、「熱成形」するために好ましくは加熱され、残った懸濁化液を追い出し、圧縮及び乾燥によって成形品の壁を強化する。
【0012】
多孔性型の壁は、物品を取り除いた後に、例えば、排出された懸濁化液を型を通して戻すこと及び/又は型の壁に対して水ジェットを用いることにより洗浄されることが好ましい。洗浄は、多孔性表面から残留繊維を取り除き、繰り返しの使用のために型を再調整する。
【0013】
方法/システムの乾燥ステップは、例えば、連続又はバッチ送達システムでマイクロ波エネルギーを利用し得る。物品は、非多孔性型の前又は後のいずれか又はその両方のステージで乾燥され得る。
【0014】
コーティングステージは、成形品の表面に保護層を適用し得る。例えば、コーティングステップは、成形品のベース及び側面に対して内部から及び/又は外部からスプレーすることを含む。コーティングは、非ヒートシール可能な水性バリアであってもよく、使用後にボトルと共にリサイクルできる。
【0015】
閉鎖要素は(例えば、コーティング/乾燥の後に)成形品の開口に適用することができる。閉鎖要素は、開口に対して封止するための環状特徴を備えたネック取り付け部材材(neck fitment)を含み得る。ネック取り付け部材材の1つの形態は、ホイルシール、コルク及び/又はキャップを含む。
【0016】
本発明は、成形品を成形するためのシステムによって具現化され、該システムは懸濁化液中に懸濁された繊維の繊維懸濁液のソースと、前記繊維懸濁液を第1の多孔性型に送出ための送出手段と、前記成形品を成形するために前記多孔性型の孔を介して前記懸濁化液を取り除くための吸引ポンプとを含み、任意で、膨張式加圧部材が折り畳まれた状態で型内に挿入され、その後、物品の内壁に圧力を加えるために膨らまされる。成形品を非多孔性型に供するための手段が設けられる。非多孔性型は第2の又はさらなる型である可能性が高いが、原理的には第2の非多孔性の状態に変換された第1の型であってもよい。例えば、膨張式加圧部材又は第2の膨張式加圧部材を介して、非多孔性型で物品の内壁に圧力が加えられる。成形品を型から取り除くために搬送手段が設けられる。
【0017】
本発明に係る容器は繊維懸濁液から成形され、実質的に一体/単一の構造と、ネックの口にあるネック取り付け部材材又は成形されたネジ山とを含む。
【0018】
1つの形態では、繊維懸濁液から作られた容器用のネック取り付け部材材が提供され、ネック取り付け部材材は管状の本体と、繊維懸濁液から作られた容器の開口に結合および/又は当接するための管状の本体の表面の周囲にある実質的に連続したフランジとを含む。管状の本体は円筒形で、フランジは環状であり得る。本体の表面にはネジ山又は雌ネジが形成され得る。管状の本体の開口の閉塞体としての役割を果たすキャップ又はプラグが設けられていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明に係る方法を実施するシステム/プロセスを示す。
【
図2】
図2は、本発明に係る3D多孔モールドを示す。
【
図3】
図3は、3D多孔性型から取り外された成形品を示す。
【
図4】
図4は、ボトルの開口及び取り付け部材材の断面図を示す。
【
図6】
図6は、ボトル開口取り付け部材の別の図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の説明は例示な実施形態を提示し、図面とともに、本発明の原理を説明するのに役立つ。しかしながら、当業者には変更が明らかになり、係る変更は本説明によってカバーされると見なされるため、本発明の範囲は実施形態の正確な詳細又は全てのステップの正確な遵守に限定されることを意図していない。本願で用いられる構成要素のための用語は、同等の機能及び特徴も含む広い解釈が与えられるべきである。場合によっては、構造的特徴のためのいくつかの代替的な用語(同義語)が提供されているが、そのような用語は網羅的であることを意図していない。
【0021】
記述用語にも可能な限り広範な解釈を与えるべきである。例えば、本明細書で用いられている「含む」という用語は、「含む」という用語を含む本明細書の各記載を解釈する場合、係る用語の前にある特徴以外の特徴も存在し得るように、「少なくとも部分的に構成される」ことを意味する。「含み」、「含んだ」等の関連用語も同様に解釈される。「垂直」、「水平」、「上」、「下」、「上側」及び「下側」等の方向を示す用語は、図が通常参照される説明の利便性ために用いられ、代替的な寸法及び/又は方向により同等の機能が得られる場合は最終的に限定することを意図したものではない。
【0022】
本願での説明は、ステップ又は特徴の特定の組み合わせを有する実施形態に言及するが、実施形態間で互換性のあるステップ又は特徴のさらなる組み合わせ及び交差組み合わせが可能であることを想定している。実際に、分離された特徴は、他の特徴から独立して発明として機能する可能性があり、完全な組み合わせとしての実施は必ずしも必要ない。
【0023】
図1は、本発明を組み込んだ、つまり、パルプ懸濁液を調製するステップと、これを多孔性型に導入するステップと、型から懸濁液を排出して未完成の成形品を作るステップと、未完成品を非多孔性型にさらすステップを含むプロセスの例を概説する。物品は、その後、又は中間段階で、内部保護コーティングの有無にかかわらず乾燥され得る。実施形態のさらなる詳細を以下で説明する。
【0024】
パルプ処理及び貯蔵の第1の段階では、未処理のパルプ繊維がシート状で納入業者から直接供給され、再水和され、互いに相対的な動作のバレービーター11のプレート間を通される。繊維の精製の間に起こることの1つはフィブリル化、すなわち細胞壁の部分的な剥離であり、濡れた繊維表面の毛羽だった外観がもたらされる。小繊維とも呼ばれる結果として得られた「毛」は、乾燥された製品内の繊維間の結合の相対的な強さを高める。
【0025】
このプロセスの間、ボトルの構造、強度及び成形特性を変え、潜在的にコストを削減するために所望の添加物が用いられる。必要に応じて、サイジング、充填剤及び緩衝剤を評価できる。
【0026】
濃縮された形態の処理されたパルプは、必要になるまでバット12に保管することができ、保管スペースの総量が削減される。
【0027】
希釈、例えば水性懸濁液の0.5~5%の固形繊維は、成形の直前に混合ステーション13で行われる。このステップでの混合は、パルプの特性を変えることなくスラリーの均質化を確かなものにする。図示のように、気泡が上部に上昇し、その上のスラリーを変位させ、底部レベルの液体を上に引き上げる。
【0028】
初期成形ステップ14は多孔性型、例えば、油圧ラムを用いて2等分が互いにクランプされている3Dプリントされたツール15を取り上げる。本発明の図示の形態では、型をスラリーに浸す成形プロセスとは対照的に、ツール15の上からスラリーが充填される。その後、パルプスラリーは、射出成形機と同様に、多孔ツール15を介して真空下で管16を介して引き込まれる。ショット質量は、タンク17に引き込まれる水の質量/体積を測定(例えば計量)することによって制御され得る。必要な質量に達すると、ツールは周囲の空気に開放される。タンク17を支持する重量計プラットフォームを
図1に示す。
【0029】
管16で繊維懸濁液と共に引き込まれた懸濁化液は水である。真空下で管18を介してタンク17に引き込まれた水は実質的に繊維を有さない。何故なら、繊維は多孔ツール15の壁に付着して残っているためである。一例として、型15を介した懸濁液18の吸引は、タンク17に所定量(例えば10リットル)の水が収集されるまで続けられる。
【0030】
この段階でのツール15内の「物品」は形成されているが、型の内壁に対して保持された湿った形状である。
【0031】
一形態では、さらに懸濁化液(水)をさらに取り除き、3D物品の形状を強化するために、不透過性の膨張要素、例えば折り畳み式(collapsible)ブラダーを型15に挿入して、ツールのための内部高圧コア構造として作用させる。上述したように、このプロセスは濡れた「初期段階」のボトルを乾燥する前に扱う(又は機械化された手段で輸送する)ことができるように強化し、セルロース繊維の間の水を移動させることにより乾燥プロセスの効率を高める。ブラダー19は、ブラダー19を径方向に膨らませてツールの空洞に一致させるために管21内の流体をブラダー内に移すシリンダーを備えた油圧ポンプ20を用いて作動/調整される。管21内の流体は水等の非圧縮性であることが望ましい。水には、ブラダーのいかなる漏れ又は破裂が起きても新たな物質がシステムに導入されないという利点もある(懸濁化液は既に水であるため)。
【0032】
一形態では、成形が行われた後に内部のブラダーからの力に対抗するためにタンク17からの正の油圧を用いることができる。
【0033】
図2及び
図3は、多孔性型15を収容する2つの部分からなるブロック14の外観を図示する(非多孔性型25は、後述するように同様の外観を有し得る)。ブロック14を通るチャネルは、多孔性型15と連通して、型を通して引き込まれた懸濁化液及び(下記の)洗浄ステップの間に逆流ための経路をする。
【0034】
離型は、独立した物品22を取り出すために型ツール15が開かれる(
図4に図示する)ステップで起こる。その後に、小さな繊維を取り除き、ツールの気孔を維持するためにクリーニングステップ23が行われることが好ましい。図示の形式では、ツールが開かれた間に、径方向に噴射される高圧ジェットが成形チャンバー内に挿入される。これにより、表面の繊維が取り除かれる。あるいは又はそれに加えて、タンク17からの水がツール15の背面を通して加圧され、閉じ込められた繊維が取り除かれる。水は排出されて、システムの上流ステップのためにリサイクルされる。洗浄は、再利用のためにツールを調整するための重要なステップであることは注目に値する。物品を取り外した後、ツールは見た目上きれいに見えるが、クリーニングステップなしではその性能が低下する。
【0035】
図1によれば、形成されたが未完成の物品22は、その後、第2の又はさらなる成形ステップ24に運ばれ、ステップ24では、所望のネック及び表面仕上げを熱成形するために、非多孔質の、例えばアルミニウムのツール25内で圧力及び/又は熱を加えられる。ツール25の2等分(デボス加工/エンボス加工、等のための負の表面特徴を任意で含む)が物品22の周りを閉じた後、加圧手段、例えば、物品22に挿入された第2のブラダー26(又は先のプロセスと同じブラダー19)が用いられる。ブラダー26は、管27を介して、加圧流体、例えば水又は油を供給するヒーター付きのポンプ28によって膨らまされる。外部型24のブロック及びツール25も又は代替的に加熱され得る。
【0036】
熱成形後の成形品22の状態は、多孔性型15からの離型時の状態と比較して大幅に剛性が高く、側壁がより圧縮されている。
【0037】
図示の形態では、ボトルを傷つけない高速且つ効率的な乾燥方法としてマイクロ波ステージ29が用いられている。一例として、200gの水で100gのボトルを処理する25kWのマイクロ波は年間1Mの乾燥が可能であり、740kJを用いて、1.8kWのマイクロ波電力がボトル1本あたりを7分間印加される。このシステムはマイクロ波電力及び水の質量に比例して縮小拡大される。本発明の方法に組み込むための代替的な乾燥システムが可能である。
【0038】
改良された抽出システムは乾燥速度をさらに改善し、異なるボトル形状のために最適化できる。
【0039】
乾燥ステージ29(マイクロ波又はその他)は、図示のように非多孔性成形の下流又は成形前ステップとしてその上流に適用できる。しかしながら、非多孔性型25での成形には、圧縮プロセスの間での結合を支援するために、ある程度の水分が必要になる。一部の形態では、マイクロ波又は他の乾燥オプションがプロセスの複数のステージで適用され得る。
【0040】
図1は、例えばボトル22に挿入されたスプレーランス31がボトルの内壁に表面コーティングを適用するコーティング段階の前に、ボトルに対して例えば「ホットボックス」内で循環する熱風を利用するさらなる乾燥ステージ30を示す。実際には、コーティングは、液体内容物がボトル壁に流出して、ボトル壁への浸透及び/又は弱体化し得る防止するのを防止する保護層を提供する。コーティングは、飲料、洗剤等のボトル22の意図された内容物に応じて選択される。
【0041】
ステップ34での硬化方法はコーティングに応じて、例えば、周囲条件で24時間乾燥すること又はフラッシュ乾燥法により最適化できる。
【0042】
生産の適切なステージ(例えば、熱成形の間、コーティング前又は後)で、物品に対して閉鎖又は口形成プロセスが行われ得る。
【0043】
図4及び
図5は、ネック取り付け部材35の第1の形態を示し、そこでは、管状体を紙製のボトル22に接着してシールが提供される。管状本の環状チャネル36は、ボトルの口の端を受容し且つ隠すための支台面を提供する。
【0044】
図5は、環状のネジ山により取り付け部材材35に連結するために設けられるキャップ37を示す。しかしながら、閉鎖の設計は、エンドユーザの要件の特定のニーズに合わせて調整できる。
【0045】
別の圧縮成形プロセスでパルプ繊維から形成され得るリング構造38によって具体的に例示される閉鎖/開放の代替的な実施形態を
図6及び7に示す。このリングは、ボトル22の口の仕上げステップとして機能し、熱シールされたフィルムを適用できる平坦な表面39を好ましくは提供する。
【0046】
図示の形態では、リング38は、ボトル22の未完成の開放端を受容するための環状チャネル40を含む。チャネル40は、平坦/シール面39により架橋された直立した外壁41及び直立した内壁42で構成される。製造を容易にするために(例えばパルプの圧縮成型により)引き抜き角を壁に組み込んでもよいが、操作に不可欠ではない。
【0047】
成形品全体としてプラスチックを概して用いずに作るのに合わせるために、リング38の製造に好ましい材料はパルプ繊維であるが、リングの製造に他の材料を用いることもできる。
【0048】
リング38は、液密且つ気密な接合部を形成するために、物品22に接着されるか又は他の方法で固定取り付けされることが好ましい。同様に、表面39に適用される円形の箔又はその他のシール構造は気密的に接着されるべきである。ガス不透過性の構造を得るためには、リング38の全体又は一部、例えば、別のシール材(図示せず)によるシールに影響を与える不完全さがあってはならない表面39上に少なくとも表面コーティングが必要な場合がある。
【0049】
リサイクル可能性のために、リサイクルプロセスの間にパルプが流体にアクセス可能となるように、例えば、繊維を分解できるようにリングの一部をコーティングせずに残すことが可能である。
【0050】
リング38は、物品22の開口のためのパルプベースの仕上げソリューションを表す。代替的な構造が可能である。
【0051】
物品の開口に適用されるガス不透過性シール/膜は、液体の一回の使用量(1回限りの飲料等)だけでなく、別の容器(例えば、詰め替え可能な洗剤のポンプ可能な容器又はガラススピリットデキャンタ)に移し替えるか又はディスペンサー手段(例えば、上向きのボトルに関連するポンプ又は光学機器)に直接取り付けることができるより大きな容量にも有利である。
【0052】
要約すると、1つの形態で、本発明は、繊維懸濁液を多孔性型に送達し、多孔性型の孔を介して懸濁化液(例えば水)を取り除くことを含む、成形品、例えば一体型容器を製造するためのシステム及び方法として説明できる。折り畳み式ブラダーを折り畳まれた状態で型に挿入し、その後膨らませて、成形品の内壁に圧力を加えて水分を取り除く。その後、濡れた初期段階の形態の容器を非多孔性型に移し、そこで折り畳み式ブラダーが内圧を加えて壁を圧縮し、さらなる水分を取り除く。容器はマイクロ波及び/又は空気乾燥によりさらに乾燥され、保護層でコーティングされ得る。
【国際調査報告】