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特表2024-503786縮毛矯正および毛髪整形のための組成物および使用の方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-29
(54)【発明の名称】縮毛矯正および毛髪整形のための組成物および使用の方法
(51)【国際特許分類】
   C07K 14/00 20060101AFI20240122BHJP
   A61K 8/64 20060101ALI20240122BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20240122BHJP
【FI】
C07K14/00 ZNA
A61K8/64
A61Q5/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023536934
(86)(22)【出願日】2021-12-18
(85)【翻訳文提出日】2023-08-08
(86)【国際出願番号】 US2021064245
(87)【国際公開番号】W WO2022133333
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】63/205,666
(32)【優先日】2020-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520188318
【氏名又は名称】オラプレックス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】パロニ, ジャスティン
【テーマコード(参考)】
4C083
4H045
【Fターム(参考)】
4C083AD411
4C083AD412
4C083CC31
4C083DD23
4C083DD27
4C083EE29
4C083FF01
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA17
4H045EA15
(57)【要約】
配列番号1に対して1またはそれを超えるアミノ酸配列の相違を有し、前記アミノ酸配列の相違が少なくとも1つのシステインの置換を含むペプチドが本明細書において提供される。第1の局面において、ペプチドは、配列番号1の少なくとも1つのアミノ酸の、システインによる置換を含み、前記ペプチドは、配列番号1と少なくとも50%の配列同一性を含む。ペプチドは、グルタミンアミノ酸位置、バリンアミノ酸位置、アラニンアミノ酸位置およびセリンアミノ酸位置の任意の1またはそれより多くにおいて起こる少なくとも1つのシステイン置換を有する。ペプチドはアルファヘリックスを形成し、システイン置換の少なくとも1つはアルファヘリックスの外側領域に位置する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1の少なくとも1つのアミノ酸の、システインによる置換を含むペプチドであって、前記ペプチドは、配列番号1と少なくとも50%の配列同一性を含む、ペプチド。
【請求項2】
少なくとも1つのシステイン置換が、グルタミンアミノ酸位置、バリンアミノ酸位置、アラニンアミノ酸位置およびセリンアミノ酸位置の任意の1またはそれより多くにおいて起こる、請求項2に記載のペプチド。
【請求項3】
前記ペプチドが、アルファヘリックスを形成し、少なくとも1つのシステイン置換が前記アルファヘリックスの外側領域に位置する、請求項1または請求項2に記載のペプチド。
【請求項4】
1つのシステイン置換が、配列番号2からなる配列番号1の領域に位置する、請求項1~3のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項5】
配列番号2からなる配列番号1の領域に位置する前記1つのシステイン置換が、配列番号1のアミノ酸配列に対してV17C置換である、請求項4に記載のペプチド。
【請求項6】
配列番号1のアミノ酸配列に対するQ13C置換を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項7】
配列番号1のアミノ酸配列に対するH6C置換を含む、請求項6に記載のペプチド。
【請求項8】
配列番号1のアミノ酸配列に対するH6C置換を含む、請求項1または3~5のいずれかに記載のペプチド。
【請求項9】
任意のアミノ酸位置に少なくとも1つの追加のシステイン置換を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項10】
前記少なくとも1つの追加のシステイン置換が、配列番号1に対して1以上および11以下のアミノ酸である、請求項9に記載のペプチド。
【請求項11】
配列番号1の少なくとも3つのアミノ酸の、システインによる置換を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項12】
前記少なくとも1つのシステイン置換が、配列番号1に対して3以上および11以下のアミノ酸である、請求項11に記載のペプチド。
【請求項13】
配列番号1に対して、少なくとも3つのアミノ酸の、システインによる置換を含み、必要に応じて、前記システイン置換は、配列番号1のQ13CまたはH6C位置においてではない、請求項12に記載のペプチド。
【請求項14】
配列番号1に対してC末端に付加された1もしくはそれを超える追加のシステイン、配列番号1に対してN末端に付加された1もしくはそれを超える追加のシステイン、またはこれらの組み合わせをさらに含む、請求項1~13のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項15】
配列番号8、配列番号3~7または配列番号9~109の任意の1つのアミノ酸配列またはこれと少なくとも70%の配列同一性を有するその変異型を含む、請求項1に記載のペプチド。
【請求項16】
配列番号8、配列番号3~7または配列番号9~109の任意の1つのアミノ酸配列からなる、請求項1に記載のペプチド。
【請求項17】
前記ペプチドが、配列番号8またはこれと少なくとも70%の配列同一性を有するその変異型である、請求項1~6または9~14のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項18】
配列番号8からなる、請求項1に記載のペプチド。
【請求項19】
毛髪、必要に応じて、損傷を受けた毛髪と接触された複数の前記ペプチドが、同一の条件下で毛髪と接触された同じ数の配列番号1のペプチドより毛髪強度をより大きく増加させる、請求項1~18のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項20】
前記ペプチドがケラチンを結合する、請求項1~19のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項21】
ケラチンが結合したペプチドが、配列番号1からなるケラチンが結合したペプチドより洗浄に対してより耐性である、請求項19に記載のペプチド。
【請求項22】
請求項1~21のいずれか一項に記載のペプチドの複数を含む組成物。
【請求項23】
前記組成物が液体である、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
前記毛髪の強度、視覚的特性、触覚特性またはこれらの組み合わせからなる群から選択される1またはそれを超える特性を改善するために有効量の前記ペプチドを含む、請求項22または23に記載の組成物。
【請求項25】
約0.01%~約0.1%w/wのペプチドを含む、請求項22~24のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項26】
前記組成物が、シャンプー、コンディショナー、オイルまたはマスクからなる群から選択される、請求項22~25のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項27】
毛髪を処理する方法であって、請求項22~26のいずれか一項に記載の組成物を毛髪に付与することを含む、方法。
【請求項28】
前記付与する工程が、毛髪ウェービング配合物、縮毛矯正配合物、毛髪着色配合物または毛髪脱色配合物の、前記毛髪への付与後に行われる、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記毛髪が、毛髪ウェービング配合物、縮毛矯正配合物、毛髪着色配合物または毛髪脱色配合物の前記毛髪への付与後に前記組成物で処理されない場合と比較して、毛髪の切断が、少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%または50%減少する、請求項27~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
請求項22~29のいずれか一項に記載の組成物を含むキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年12月19日に出願された非仮出願第17/128,036号から、2021年8月4日に仮出願に変更された同時係属中の仮出願第63/205,666号に基づく優先権を主張し、その開示全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
背景
ケラチンは、特定の生理化学的特性を示すフィラメント形成タンパク質を指し、表皮の角化層から抽出することができる。ケラチンは、皮膚における主要なタンパク質であり、毛髪、爪および皮膚の表層を構成する。刺激の強い化学物質ならびにUVおよび熱放射などの環境的影響は、皮膚、毛髪および爪への持続的なケラチン損傷をもたらす。
ケラチンタンパク質は、アミノ酸鎖に基づく一次構造によって定義される。鎖は、アミノ酸の数および配列、極性、電荷ならびにサイズが様々である。ケラチンのアミノ酸配列は分子構造全体および結合の性質を決定するので、ケラチンのアミノ酸配列中の小さな修飾は著しい特性修飾を引き起こす。含硫アミノ酸であるメチオニンおよびシステインは、分子内または分子間ジスルフィド結合を確立する。ジスルフィド結合の役割は、ケラチンの構造的完全性において重要である。ジスルフィド結合は、毛髪の化学的処理によって破壊され得、時間が経過するにつれて、ケラチンに対して深刻な長期にわたる損傷をもたらし得る。
【0003】
ケラチン鎖内ジスルフィド結合は、特徴的なウェーブ、カールおよび毛髪の全体的なハリまたは外観をもたらす。毛髪のこれらの特徴は、望ましいものまたは望ましくないものであり得、自己の毛髪の自然なハリまたは形状を変化させるためにヘアトリートメントを求める個人をもたらす。縮毛を矯正するためにまたは毛髪を所望の形状に整形するために使用される刺激の強い化学物質の付与を制限しまたは最小限に抑えるために、より安全でより効率的な代替の生物学ベースの組成物を開発することが必要とされている。
本開示の目的は、消費者製品、化粧品組成物、ヘアトリートメントおよび/またはヘアカラーで使用するためのペプチドを提供することである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
簡単な要旨
本開示は、ケラチン繊維を処理するために、例えば切断を強化するためおよび/または低減もしくは防止するために使用され得る化合物に関する情報を提供する。本目的は、システイン反応性ペプチドを提供することによって達成される。
【0005】
第1の局面において、ペプチドは、配列番号1の少なくとも1つのアミノ酸の、システインによる置換を含み、前記ペプチドは、配列番号1と少なくとも50%の配列同一性を含む。ペプチドは、グルタミンアミノ酸位置、バリンアミノ酸位置、アラニンアミノ酸位置およびセリンアミノ酸位置の任意の1またはそれより多くにおいて起こる少なくとも1つのシステイン置換を有する。ペプチドはアルファヘリックスを形成し、システイン置換の少なくとも1つはアルファヘリックスの外側領域に位置する。
【0006】
一態様において、システイン置換は、配列番号2として特定される配列番号1の領域に位置する。配列番号2内のシステイン置換は、例えば、配列番号1に対するV17C置換であり得る。
【0007】
別の態様において、ペプチドは、配列番号1のアミノ酸の、H6CまたはQ13Cにおけるシステインによる置換、および必要に応じて、別の位置の少なくとも1つのさらなるアミノ酸上の追加のシステイン置換を有する。追加のシステイン置換は、配列番号1に対して1以上~11以下のアミノ酸であり得る。
【0008】
別の局面において、ペプチドは、配列番号1の少なくとも3つのアミノ酸の置換を有し、必要に応じて、これらのシステイン置換は、Q13CまたはH6C位置以外のアミノ酸上にある。この局面において、システイン置換は、配列番号1に対して3以上かつ11以下のアミノ酸である。
【0009】
一態様において、システインは、配列番号1と比較してペプチドC末端、N末端、またはN末端とC末端の両方に付加される。
【0010】
第2の局面において、ペプチドは、配列番号3~109の任意の1つまたはこれと少なくとも70%の配列同一性を有するその変異型である。
【0011】
一態様において、ある濃度の、複数の、本明細書に開示されるペプチドを含有する組成物は、同じ濃度の、複数の、配列番号1のペプチドを含有する組成物と比較して、毛髪強度を増加させる。これは、配列番号1の保持についての同一条件下での同一の試験と比較して、1回の洗浄における本明細書に開示されるペプチドの保持と比べて、反復洗浄後の同ペプチドの毛髪での保持がより多いことによって実証することができる。複数のペプチドは、1またはそれを超える特性、例えば毛髪の強度、視覚的特性、触覚特性またはこれらの組み合わせを改善するために液体組成物において使用することができる。ケラチンが結合したペプチドは、特に1またはそれを超える回数の脱色などによる損傷後に、配列番号1からなるケラチンが結合したペプチドより洗浄に対してより耐性であり得る。液体組成物は、シャンプー、コンディショナー、オイルまたはマスクであり得る。ペプチドは、液体組成物の約0.01%~約0.1%w/wの濃度で見出され得る。
【0012】
一態様において、毛髪は、毛髪ウェービング配合物、縮毛矯正配合物、毛髪着色配合物または毛髪脱色配合物の付与後に、ペプチドを含有する液体組成物を毛髪に付与することによって処理され、毛髪が、毛髪ウェービング配合物、縮毛矯正配合物、毛髪着色配合物または毛髪脱色配合物の付与後に組成物で処理しない場合と比較して、少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%または50%、切れ毛の減少をもたらす。記載されるように、組成物はキットの一部として見出され得る。
定義
【0013】
本明細書で使用される用語は、一般に、本発明の文脈内、および各用語が使用される具体的文脈内で、当技術分野における通常の意味を有する。化合物、組成物および方法、ならびにそれらを作製および使用する方法を説明する上で実施者に追加の指針を提供するために、以下でまたは本明細書の他の箇所で特定の用語を論述する。さらに、同じ事柄を2通り以上に表現できることが理解されるであろう。したがって、代替の用語および同義語が、本明細書で論述されている用語の任意の1またはそれより多くに対して使用され得、用語が本明細書において詳述または論述されているか否かに重要性を持たせるべきではない。本明細書で論述されている任意の用語の例を含む、本明細書のいずれの箇所における例の使用も例示にすぎず、任意の例示された用語の範囲および意味を決して限定するものではない。同様に、提示された例は非限定的であると考えられる。
【0014】
本明細書で使用される場合、「一態様(one embodiment)」、「態様(an embodiment)」、「局面(an aspect)」、「一局面(one aspect)」は、特定の特徴、構造または特性の包含を示す。これは、全ての可能な特徴、構造または特性の包含ではない。さらに、このような語句は、必ずしも同じ局面または態様を指すものではない。さらに、特定の特徴、構造または特性が1つの局面または態様に関連して記載されている場合、明示的に記載されているか否かにかかわらず、他の局面または態様に関連してそのような特徴、構造または特性に影響を及ぼすことは当業者の知識の範囲内であると考えられる。さらに、「少なくとも1つのA、BおよびC」という形式のリストに含まれる項目は、(A);(B);(C);(AおよびB);(AおよびC);(BおよびC);または(A、BおよびC)を意味することができることを理解すべきである。同様に、「A、BまたはCの少なくとも1つ」という形式で列挙された項目は、(A);(B);(C);(AおよびB);(AおよびC);(BおよびC);または(A、BおよびC)を意味することができる。
【0015】
本明細書で使用される場合、「約」または「およそ」は、一般に、所与の値または範囲の20%以内、好ましくは10%以内、より好ましくは5%以内を意味するものとする。操作実施例においてまたは別段の指示がある場合以外は、成分または反応条件の量を表す全ての数字は、全ての事例において「約」という用語によって修飾されていると理解すべきである。
【0016】
終点による数値範囲の記述には、その範囲内の全ての数値が含まれる。非限定的な例として、範囲「1~5」は、値1、1.5、2、2.75、3、3.8、4、5も含む。
【0017】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明確に反対の意味を指示しなければ、複数表記を含む。
【0018】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、「または」という用語は、文脈が明らかに反対の意味を示さない限り、「および/または」を含むその意味で一般的に使用される。
【0019】
本明細書で使用される場合、「毛髪ケラチンジスルフィド」は、ジスルフィド結合を形成する、毛髪ケラチン中に天然に存在するチオール残基を指す。チオール残基とペプチドの間での新たなジスルフィド結合の形成は、縮毛矯正された毛髪、整形された毛髪、または所望の流れおよびハリを有する毛髪をもたらすことができる。
【0020】
本明細書で使用される場合、「結合効率」は、2つのシステイン残基中の硫黄原子間などで、化学結合を形成する能力を指す。
【0021】
本明細書で使用される場合、「置換」は、タンパク質配列中の1つのアミノ酸の、別のアミノ酸による置換を指す。
【0022】
本明細書で使用される場合、「付加」とは、タンパク質配列中の2つの他のアミノ酸の間へのアミノ酸の挿入を指す。
【0023】
本明細書で使用される場合、「残基」はアミノ酸を指す。
【0024】
本明細書で使用される場合、「生体共役反応部位」は、別の分子への付着を可能にする化学的に反応性の部分を指す。
【0025】
本明細書で使用される場合、「ベクター」は、コードされた遺伝情報の転写を可能にするDNA分子を指す。
図面の説明
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1:実施例1の結果、左から右に、毛髪を以下で処理した:(1)非処理、(2)配列番号3、(3)配列番号4、(4)配列番号5、(5)配列番号6、(6)配列番号7、(7)配列番号8。
【0027】
図2図2:実施例2の結果、左から右に、毛髪を以下で処理した:(1)非処理、(2)配列番号3、(3)配列番号4、(4)配列番号5、(5)配列番号6、(6)配列番号7、(7)配列番号8。
【0028】
図3図3:実施例3の結果、毛髪は、非処理(左)であるか、または実施例3に記載される完全な手順を使用して処理した(右)。
【0029】
図4図4:実施例4の結果、毛髪は、非処理(左)であるか、または実施例4に記載される完全な手順を使用して処理した(右)。
【0030】
図5図5:実施例5の結果、毛髪は、非処理(左)であるか、または実施例5に記載される完全な手順を使用して処理した(右)。
【0031】
図6-1】図6(a):実施例6の結果、左から右に、毛髪を以下で処理した:(1)非処理、(2)配列番号8なしの完全な処理、(3)配列番号8ありの完全な処理。
【0032】
図6-2】図6(b):実施例6の結果、図6aからの毛髪試料(2)および(3)の切断力の比較。
【0033】
図7-1】図7(a):ペプチド濃度を変化させることの効果を実証する実施例7の結果。
【0034】
図7-2】図7(b):ペプチド結合時間を変化させることの効果を実証する実施例7の結果。
【0035】
図7-3】図7(c):ペプチド付与の回数を変えることの効果を実証する実施例7の結果。
【0036】
図7-4】図7(d):処理の終了時にシャンプーの回数を変えることの効果を実証する実施例7の結果。
【0037】
図8-1】図8(a):異なるペプチドで処理されたおよび処理されていないバージンヘアの切断力の比較を実証する実施例8の結果。点状のバーは1回のシャンプー後の結果を表し、斜線のバーは10回のシャンプー後の結果を表す。
【0038】
図8-2】図8(b):異なるペプチドで処理されたおよび処理されていない脱色されたバージンヘアの切断力の比較を実証する実施例8の結果。点状のバーは1回のシャンプー後の結果を表し、斜線のバーは10回のシャンプー後の結果を表す。
【0039】
図9-1】図9(a):実施例9に記載されているような、蛍光ペプチドの付与および1~10回のシャンプー後のバージンヘアの結果。点状のバーは1回のシャンプー後の結果を表し、横線のバーは10回のシャンプー後の結果を表す。
【0040】
図9-2】図9(b):実施例9に記載されているような、蛍光ペプチドの付与および1~10回のシャンプー後の脱色された毛髪の結果。点状のバーは1回のシャンプー後の結果を表し、横線のバーは10回のシャンプー後の結果を表す。
【0041】
図9-3】図9(c):実施例9に記載されているような、Q13C置換ありおよびなしのペプチドについての、1回のシャンプーと10回のシャンプーの間での蛍光強度のパーセント減少の比較。点状のバーはQ13C置換ありの結果を表し、斜線のバーはQ13C置換なしの結果を表す。
【0042】
図10-1】図10(a):指定されたアミノ酸位置にシステイン置換を含有するペプチド(横線のバー)およびこの位置にシステイン置換を含有しないペプチド(斜線のバー)について、1回のシャンプーと10回のシャンプーの間での蛍光強度のパーセント減少を実証する実施例10の結果。エラーバーは95%信頼区間を表す。
【0043】
図10-2】図10(b):Q13C置換および1より多いシステイン置換の総数を含有するペプチド(横線)ならびにQ13C置換を含有しないかまたは1以下の置換を有するペプチド(斜線のバー)について、1回のシャンプーと10回のシャンプーの間での蛍光強度のパーセント減少を実証する実施例10の結果。エラーバーは95%信頼区間を表す。
【0044】
図10-3】図10(c):H6C置換および1より多いシステイン置換の総数を含有するペプチド(横線)ならびにH6C置換を含有しないかまたは1以下の置換を有するペプチド(斜線のバー)について、1回のシャンプーと10回のシャンプーの間での蛍光強度のパーセント減少を実証する実施例10の結果。エラーバーは95%信頼区間を表す。
【0045】
図10-4】図10(d):Q13CまたはH6C置換および指定された数の置換より多いシステイン置換の総数を含有しないペプチド(横線のバー)ならびに実施例10からの全ての他のペプチド(斜線のバー)について、1回のシャンプーと10回のシャンプーの間での蛍光強度のパーセント減少を実証する実施例10の結果。エラーバーは95%信頼区間を表す。
【0046】
図11-1】図11(a)~(d):試験され、図1~10に記載された配列。
図11-2】同上。
図11-3】同上。
図11-4】同上。
【発明を実施するための形態】
【0047】
詳細な説明
本開示の概念は、様々な修正および代替形態を受け入れる余地を有するが、その具体的な局面および態様が、例として図面に示されており、ここで詳細に説明される。しかしながら、本開示の概念を開示された特定の形態に限定する意図は存在せず、逆に、その意図は、本開示および添付の特許請求の範囲と調和する全ての修正、等価物および代替物を包含することであることを理解されたい。本明細書の範囲から逸脱することなく、様々な変更または等価物が作製され得ることは当業者には明らかであろう。
【0048】
本明細書では、ペプチドおよびこのようなペプチドの組み合わせが提供される。このようなペプチドおよびペプチドを含有する組成物は、典型的には、毛髪ケラチン中に天然に存在する1またはそれを超えるチオール残基に結合することができ、それにより、毛髪ケラチンと設計されたケラチン結合ペプチドとの間での新しいジスルフィド結合の形成を可能にする。例えば、1.所望の形状(すなわち、パーマネントウェーブ)にまたは縮毛矯正された形態に毛髪ケラチンを機械的に構造化すること、2.毛髪ケラチン天然ジスルフィド結合を切断すること、3.ペプチドを毛髪ケラチンに付与し、毛髪ケラチンとペプチドの間に新たなジスルフィド結合を形成させることによって達成される長時間持続する形状フローおよびハリを毛髪に提供する方法が本明細書において提供される。いくつかの他の例では、毛髪を処理する方法は、着色または脱色処理の前および/または後にペプチドを毛髪に付与することを含み、処理された毛髪中のケラチンは、毛髪のケラチンと付与されたペプチドとの間で新しいジスルフィド結合を形成する。いくつかの例では、毛髪を処理する方法は、毛髪を強化するためおよび/または毛髪中の切断を低減もしくは防止するなどのために、ペプチドを毛髪に付与することを含むことができ、ペプチドは、シャンプー、コンディショナー、オイルまたはマスクなどの形態などの化粧品組成物の一部を形成することができる。毛髪へのペプチドの付与は、毛髪ケラチンと、化粧品組成物の一部であり得るペプチドとの間に新しいジスルフィド結合を生成することができ、ペプチドによる処理前の毛髪と比較して、限定されないが、毛髪強度、切断に対する抵抗性、触感(すなわち、柔らかさ)、視覚的特性(すなわち、光沢)を増大させるなど、毛髪の1またはそれを超える特性を改善すると考えられる。
【0049】
毛髪は、加齢、洗浄、着色およびスタイリングなどの環境要因からの損傷を受けることがあり得る。反復洗浄は、めくれたキューティクルをもたらすのに対して、乾燥による熱損傷、および毛髪の着色、脱色、縮毛矯正またはカールによる化学的損傷は、しばしば、脱水した毛髪、切れやすい毛髪、損傷した毛髪および縮れた毛髪をもたらす。毛髪の縮れは、対象の毛髪中に自然に存在するか、環境的損傷の結果であるかにかかわらず、一般に、全ての房が均一に整列しているわけではない毛髪を指す。毛髪の縮れの程度(または縮れ度合)は、周囲の毛髪の房に対する各毛髪の房の整列によって定義される。本開示はまた、縮れた毛髪の房を、個々の(またはバルクの)毛髪の房の集団の真直度またはうねりを規定する所望の絶対的な方向性に整形および縮毛矯正するのに有用である。本開示はまた、縮れた毛髪の房を、個々の(またはバルクの)毛髪の房の集団の真直度またはうねりを規定する所望の絶対的な方向性に整形および縮毛矯正するのに有用である。
【0050】
ペプチド配列は、配列番号1と少なくとも1つのアミノ酸の相違を有し、通例ケラチンに結合することができる。アミノ酸配列KKVELFPK(配列番号2)は、配列番号1の毛髪ケラチンへの結合に関与していると考えられる。開示されるペプチドでは、配列番号1および配列番号2のアミノ酸配列中のアミノ酸の任意の1つまたはそれより多くは、システインで置き換えまたは置換することができる。
【0051】
いくつかの例では、開示されるペプチドの総システイン含有量は、配列番号1の50%未満、配列番号1の45%未満、配列番号1の40%未満、配列番号1の35%未満、配列番号1の30%未満、配列番号1の25%未満、配列番号1の20%未満、配列番号1の15%未満、配列番号1の10%未満、配列番号1の9%未満、配列番号1の8%未満、配列番号1の7%未満、配列番号1の6%未満または配列番号1の5%未満である。
【0052】
配列番号3~配列番号17、配列番号18~配列番号109の任意の1つのアミノ酸配列を有するペプチド、配列番号1および配列番号3~配列番号17、配列番号18~配列番号109の任意の1つの断片および変異型が提供され、本明細書に開示されたもの、本技術分野で公知のもの、または当業者によって設計されたものなどの毛髪組成物中で個別にまたは組み合わせて使用することができる。断片および変異型は、例えば、配列番号1および配列番号3~配列番号17、配列番号18~配列番号109の任意の1つまたはそれより多くと少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%の配列同一性を有することができる。変異型は、参照ペプチドに対して1またはそれを超えるアミノ酸置換、付加、欠失またはこれらの組み合わせを含むことができる。ペプチドは、典型的には、少なくとも1つ、好ましくは2つ、3つ、またはそれを超えるシステインを含む。
【0053】
いくつかの態様において、ペプチドは、10~50アミノ酸長、または両端を含むその間の任意の部分範囲、または両端を含むその間の任意の特定の整数であり、両端を含む、10~45、10~40、10~35、10~30、10~29、10~28、10~27、10~26、10~25、10~24、10~23、10~22、10~21、10~20、10~19、10~18、10~17、10~16、10~15、15~20、15~21、15~22、15~23、15~24、15~25、15~26、15~27、15~28、15~29、15~30、18~27、19~26、20~25もしくは21~24アミノ酸、または10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29もしくは30アミノ酸を含むがこれらに限定されない。
【0054】
典型的には、ペプチドは、毛髪および/またはそのケラチンタンパク質に結合することができる。好ましくは、ペプチドは、配列番号1などの対照ペプチドと比較して、毛髪への改善された結合および/または保持を示す。毛髪への結合および/または保持は、洗浄に対する抵抗性を測定することによって実証することができる。ペプチドの保持は、例えば、ペプチドを蛍光標識し、ペプチドを毛髪またはそのケラチンタンパク質に付与し、ペプチドを毛髪および/またはそのケラチンタンパク質に結合させ、その後、毛髪を反復洗浄(すなわち、シャンプー)に供することによって測定することができる。洗浄前および少なくとも1回、5回、10回、15回、20回、25回または30回の洗浄後の毛髪上の標識されたペプチドの蛍光画像化の比較および統計解析は、毛髪へのペプチドの保持の程度の決定を可能にする。いくつかの態様において、毛髪は損傷を受けた毛髪である。例えば、いくつかの態様において、毛髪への結合および/または保持を試験する前に、毛髪は、実施例8および9に記載されるように毛髪を反復脱色処理に供することなどによって損傷される。
【0055】
いくつかの例では、毛髪への結合および/または保持は、ペプチドを蛍光標識し、標識されたペプチドを毛髪に付与することによって実証される。次に、毛髪を1またはそれを超える回数洗浄し、蛍光画像化などによって、洗浄に対する標識されたペプチドの保持を測定し、1回の洗浄および10回の洗浄、必要に応じて15回の洗浄、20回の洗浄またはそれを超える洗浄で比較する。いくつかの例では、10回の洗浄後の保持と比較して、1回の洗浄後の保持(毛髪中に保持されたペプチドの量)に有意な差が存在しない(蛍光の5%未満の低下)。いくつかの他の例では、保持のパーセント低下は、1回の洗浄後に検出された蛍光を10回の洗浄後に検出された蛍光と比較した場合に、約10%未満、約20%未満、約30%未満、約40%未満または約50%未満である。毛髪中でのペプチドの保持の程度およびペプチドの保持能力を決定するために、本明細書に記載されるペプチドのいずれに対しても同じ洗浄試験を実施することができる。いくつかの態様において、毛髪への結合および/または保持を試験する前に、毛髪は、実施例8および9に記載されるように毛髪を反復脱色処理に供することなどによって損傷される。
【0056】
いくつかの態様において、ペプチドは、配列番号1などの対照と比較して、同一のまたは改善された結果を達成するために低下した濃度で使用することができる。例えば、いくつかの態様において、ペプチドの濃度は、縮毛矯正もしくは整形のために使用される、または他の一般的なヘアトリートメントならびに/もしくはケラチンもしくは毛髪への結合および/もしくは毛髪の強度、見た目もしくは感触を改善するために使用される配列番号1に対応するペプチドの有効濃度の約95%重量未満、約90%重量未満、約85%重量未満、約80%重量未満、約75%重量未満、約70%重量未満、約65%重量未満、約60%重量未満、約55%重量未満、約50%重量未満、約45%重量未満、約40%重量未満、約35%重量未満、約30%重量未満、約25%重量未満、約20%重量未満、約15%重量未満、約10%重量未満、約5%重量未満、約0.01~約0.1%重量である。
【0057】
いくつかの態様において、ペプチドは、システインアミノ酸残基で置換された、配列番号1の配列番号2に対応するアミノ酸残基の1つまたはそれより多くを有する。ペプチドを誘導するために、配列番号1の1もしくはそれを超えるグルタミン(Q)アミノ酸残基が、任意の組み合わせで、システインで置き換えられもしくは置換され、配列番号1の1もしくはそれを超えるバリン(V)アミノ酸残基が、任意の組み合わせで、システインで置き換えられもしくは置換され、配列番号1の1もしくはそれを超えるアラニン(A)アミノ酸残基が、任意の組み合わせで、システインで置き換えられもしくは置換され、および/または配列番号1の1もしくはそれを超えるセリン(S)アミノ酸残基が、任意の組み合わせで、システインで置き換えられもしくは置換される。いくつかの態様において、配列番号1のグルタミン、バリン、アラニンおよびセリンアミノ酸残基の1つまたはそれより多くは、任意の組み合わせで、それぞれシステインで置き換えられまたは置換される。
【0058】
いくつかの態様において、ペプチドは、配列番号1または3~109のいずれかのN末端もしくはC末端のいずれかまたは両方にシステイン残基の付加を含む。いくつかの態様において、配列番号1もしくは3~17および18~109のいずれかもしくはこれらの変異型のN末端に付加された10個のシステインアミノ酸残基、配列番号1もしくは3~17および18~109のいずれかもしくはこれらの変異型のN末端に付加された9個のシステインアミノ酸残基、配列番号1もしくは3~17および18~109のいずれかもしくはこれらの変異型のN末端に付加された8個のシステインアミノ酸残基、配列番号1もしくは3~17および18~109のいずれかもしくはこれらの変異型のN末端に付加された7個のシステインアミノ酸残基、配列番号1もしくは3~17および18~109のいずれかもしくはこれらの変異型のN末端に付加された6個のシステインアミノ酸残基、配列番号1もしくは3~17および18~109のいずれかもしくはこれらの変異型のN末端に付加された5個のシステインアミノ酸残基、配列番号1もしくは3~17および18~109のいずれかもしくはこれらの変異型のN末端に付加された4個のシステインアミノ酸残基、配列番号1もしくは3~17のいずれかもしくはこれらの変異型のN末端に付加された3個のシステインアミノ残基、配列番号1もしくは3~17および18~109のいずれかもしくはこれらの変異型のN末端に付加された2個のシステインアミノ酸残基が存在し、または1個のシステインアミノ酸残基が配列番号1もしくは3~17および18~109のいずれかもしくはこれらの変異型のN末端に付加されている。いくつかの態様において、配列番号1もしくは3~17および18~109のいずれかもしくはこれらの変異型のC末端に付加された10個のシステインアミノ酸残基、配列番号1もしくは3~17および18~109のいずれかもしくはこれらの変異型のC末端に付加された9個のシステインアミノ酸残基、配列番号1もしくは3~17および18~109のいずれかもしくはこれらの変異型のC末端に付加された8個のシステインアミノ酸残基、配列番号1もしくは3~17および18~109のいずれかもしくはこれらの変異型のC末端に付加された7個のシステインアミノ酸残基、配列番号1もしくは3~17および18~109のいずれかもしくはこれらの変異型のC末端に付加された6個のシステインアミノ酸残基、配列番号1もしくは3~17および18~109のいずれかもしくはこれらの変異型のC末端に付加された5個のシステインアミノ酸残基、配列番号1もしくは3~17および18~109のいずれかもしくはこれらの変異型のC末端に付加された4個のシステインアミノ酸残基、配列番号1もしくは3~17および18~109のいずれかもしくはこれらの変異型のC末端に付加された3個のシステインアミノ残基、配列番号1もしくは3~17および18~109のいずれかもしくはこれらの変異型のC末端に付加された2個のシステインアミノ酸残基が存在し、または1個のシステインアミノ酸残基が配列番号1もしくは3~17および18~109のいずれかもしくはこれらの変異型のC末端に付加されている。配列番号1のC末端に付加されたシステインアミノ酸残基の任意の10個またはそれ未満は、配列番号1のN末端に付加されたシステインアミノ酸残基の任意の10個またはそれ未満との任意の組み合わせであり得る。
【0059】
配列番号3~配列番号17および18~109のペプチドまたはその変異型は、配列番号1に対する様々な位置においてシステイン置換で修飾された。Q13CまたはH6Cおよび少なくとも1つの追加のシステイン置換を有するペプチドは、少なくともQ13CまたはH6C置換を有さないペプチドと比較した場合、10回のシャンプーの後に毛髪への増加した保持を示した。Q13CおよびH6C位置と同様の位置において、ペプチドアルファヘリックスの外側領域上にアミノ酸システイン置換が位置することは、複数回のシャンプー後における毛髪への増加した保持において役割を果たし得る。
【0060】
開示されるペプチドは、ヒトの毛髪および/またはヒトの頭皮に対して安全かつ有効であると考えられる1もしくはそれを超える化粧品として許容され得る担体(すなわち、水または水溶液)および/または化粧品として許容され得る賦形剤と組み合わせることができ、火傷、かゆみおよび/もしくは赤み、または同様の有害反応などの望ましくない生物学的副作用を引き起こすことなく個体の毛髪に投与され得る。組成物は、配合物を中性pH、または約5~約8のpHにする賦形剤をさらに含有し得る。組成物は、任意の適切な形態の毛髪組成物であってもよい。非限定的な例は、低粘度から中粘度の液体、ローション、ミルク、オイル、マスク、ムース、スプレー、ゲル、クリーム、シャンプー、コンディショナーなどの形態であり得る。以下に列挙される賦形剤などの適切な賦形剤は、組成物の使用の形態(例えば、ヘアスプレー、クリーム、コンディショナーまたはシャンプー)に応じて、ヘアケア組成物に含まれ得、またはヘアケア組成物から除外され得る。
【0061】
開示されるペプチドは、1またはそれを超える化粧品として許容され得る成分と組み合わせることができる。当業者は、界面活性剤、防腐剤、キレート剤(エチレンジアミン四酢酸;エチレンジアミンジコハク酸三ナトリウムなど)、ビタミン類(ビタミンEまたはCなど)、タンパク質、塗膜形成要素、洗剤、樹脂、毛髪固定剤、乳白剤、揮発性物質、噴霧剤、酸性化剤(acidifying agent)(アスコルビン酸、クエン酸など)、アルカリ化剤(水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムなど)、pH調整剤(クエン酸、水酸化ナトリウム、リン酸など)、中和剤、加水分解剤、液体ビヒクル、担体、縮れ防止剤、吸収剤、乳化剤、軟化剤、可溶化剤、保湿剤(moisturizer)、保湿剤(humectant)、加水分解されたタンパク質、再生剤、酸性化剤(acidifier)、酸性調整剤、もつれ解きほぐし剤、ポリマー、光沢剤、潤滑剤、金属イオン封鎖剤、帯電防止剤、日焼け止め剤、熱保護剤、コンディショナー、緩衝剤、安定剤、増粘剤、塩、皮膚軟化剤、酸化防止剤、アルコール、ポリソルベート、PEG、ポリクオタニウムポリマー(ポリクオタニウム-7、ポリクオタニウム-11、ポリクオタニウム-113など)、四級アンモニウム化合物、芳香剤、染料または着色剤、油、エステル、脂肪酸、生物活性添加剤、シリコーンおよび水性担体を含むがこれらに限定されない成分の適切な比率および組み合わせを決定するであろう。いくつかの例では、ペプチドは、水、ヘアコンディショニング剤、pH調整剤および/または緩衝剤、キレート剤、防腐剤、界面活性剤、保湿剤または潤滑剤および皮膚軟化剤を含有する組成物中に存在する。存在してもよい、化粧品として許容され得る賦形剤は、典型的には、組成物の約10重量%~約99.99重量%、約40重量%~約99重量%または約80重量%~約99重量%の範囲の量で存在することができる。
【0062】
いくつかの態様において、組成物は、例えば、処理されていない毛髪または等しい量の配列番号1などの対照ペプチドで処理された毛髪と比較して、毛髪の強度、視覚的外観(すなわち、光沢)、または触覚特性(すなわち、感触)の1もしくはそれを超える局面を改善するために、または毛髪の形状もしくはハリを変化させるために有効量のペプチドを含む。
【0063】
切れ毛は、着色、脱色およびその他のヘアトリートメント中に遭遇する重大な問題である。いくつかの例では、本明細書に記載される組成物は、毛髪が着色、脱色、縮毛矯正またはパーマネントウェービングなどの処理を受けた場合に、切れ毛を減少させることによって毛髪の質を改善することができる。いくつかの例では、開示されるペプチドおよびその組成物の使用は、同じ個体からの処理されていない毛髪と比較して、ペプチドでの処理後に少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45または50%またはそれより高く、切れ毛を低減させることができる。切れ毛を測定する標準的な方法は公知であり、反復毛髪グルーミング実験の使用を含み、切断された毛髪繊維の数が、反復した櫛/ブラシかけの関数として記録される。例えば、T.A.Evans&K.Park,A statistical analysis of hair breakage.II.Repeated grooming experiments.J.Cosmet.Sci.,61,439-455,2010を参照されたい。
【0064】
本明細書に開示されるペプチドは、生体共役反応のための部位にコンジュゲートされた脂質を含み得る。例えば、生体共役反応のための部位はアミノ酸配列AKTであり得、脂質はアミノ酸配列AKTのリジンにコンジュゲートされる。任意の適切な脂質を、本明細書に開示されるペプチドにコンジュゲートさせることができる。例としては、ミリストレイン酸/アルコール/アミン、パルミトレイン酸/アルコール/アミン、サピエン酸/アルコール/アミン、オレイン酸/アルコール/アミン、エライジン酸/アルコール/アミン、バクセン酸/アルコール/アミン、リノール酸/アルコール/アミン、リノエライジン酸/アルコール/アミン、αリノレン酸/アルコール/アミン、アラキドン酸/アルコール/アミン、エイコサペンタエン酸/アルコール/アミン、エルカ酸/アルコール/アミン、カプリル酸/アルコール/アミン(オクタン酸/アルコール/アミン)、ラウリン酸/アルコール/アミン、ミリスチン酸/アルコール/アミン、パルミチン酸/アルコール/アミン、リグノセリン酸/アルコール/アミン、アラキジン酸/アルコール/アミン、ステアリン酸/アルコール/アミン、ならびにセラミド、スフィンゴシン、スフィンゴミエリン、アルファセレブロシド、ガングリオシド、スルファチドおよびフィトスフィンゴシンを含むスフィンゴ脂質が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に開示されるペプチド組成物は、洗浄、コンディショニング、染色、乾燥およびスタイリングを含む慣用的なヘアケア手順の一部として毛髪に付与され得るシャンプー、コンディショナー、ゲル、ムース、ポマード、縮れ防止剤、スプレーまたは毛染め製品を含むがこれらに限定されない日常的または頻繁に使用される製品として有用であり得る。これらの組成物は、美容院で使用するためのものであり得る。いくつかの態様において、ペプチド組成物は、家庭での使用に適し得る。
【0065】
ペプチド組成物は、液体、固体またはゲルであり得、ボトル、カートン、チューブおよびキャニスタを含む任意の適切な容器中に充填し、保存することができる。ペプチド組成物はまた、キットの一部として提供または使用され得る。いくつかの態様において、キットは、縮毛矯正キット、毛髪着色キット、毛髪脱色キット、または毛髪整形キットである。キットは、デベロッパー(過酸化水素水)、ボトル、手袋、シャンプー、コンディショナーおよび/または消臭器をさらに含み得る。キットの使用説明書も、通例提供される。着色または脱色キットの場合には、典型的には、キットは、美白剤(例えば、過酸化物、脱色粉末)または着色剤がペプチド含有組成物とは別個に保存されるようにするために、1より多い容器(または所与の容器内の1より多い区画)を含有する。キットは、必要に応じて、シャンプーおよびコンディショナーを含有することができる。
【0066】
本明細書で開示されるペプチドは、細胞中での発現によって作られ得る。ペプチドは、細菌または酵母細胞などの細胞中で産生され得る。例としては、限定されないが、大腸菌(E.coli)およびサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)が挙げられ、細胞産生の標準的な方法は、当業者に周知である。工程は、
1.ペプチドをコードする配列を発現プラスミド中にクローニングする工程;
2.組換え発現プラスミドを細胞中に導入する工程;
3.ペプチドを細胞中で発現させる工程;および
4.細胞からペプチドを単離する工程
を含む。
【0067】
あるいは、ペプチドは、標準的な合成プロトコルに従って化学合成を用いて合成することができる。
【0068】
本明細書に開示されるペプチドは、毛髪組成物の一部として対象の毛髪を縮毛矯正または整形するために使用することができる。本明細書に開示されるペプチドは、手、アプリケータボトル、アプリケータブラシ、スポイト、スプレーボトルによって、または任意の他の適切な方法および/もしくはアプリケータによって、典型的には組成物の一部として、付与され得る。
【0069】
対象は、任意の哺乳動物、好ましくはヒトであり得る。
【0070】
典型的な毛髪の縮毛矯正または整形処理は、一般的には、(例えば、「カーラー」など、および当技術分野で公知の他の形状形成ツールを使用した)所望の最終形態への毛髪の手作業での固定と併せて行われる2つまたは3つの主要な工程:
1.対象の毛髪に毛髪ケラチン弛緩組成物が付与され、毛髪中に存在するジスルフィド結合が切断される毛髪ケラチン弛緩;
2.本開示のペプチドまたはその毛髪組成物が毛髪に付与される適用、および
3.毛髪中で新しいジスルフィド結合が再形成される固定、
を含む。
【0071】
いくつかの事例では、工程2および工程3は、単一の工程に組み合わされ得、または工程2と工程3は同時に行われ得る。いくつかの他の例では、固定(工程3)は弛緩(工程1)の後に行われ得、次いで、ペプチドの付与(工程2)が行われる。各工程は、約5、10、15、20、25または30分間毛髪に溶液を付与することを含むことができるが、この時間は、約5分~1時間の範囲にわたり得る。いくつかの例では、毛髪弛緩組成物は、約10~15分、35~45分、45~60分または25~35分の範囲の処理期間にわたって、毛髪に付与される。いくつかの事例では、毛髪が以前に脱色された場合など、毛髪に対する既存の損傷に応じて、約10~15分などのより短い処理時間が使用され得る。いくつかの事例では、ペプチドまたはその毛髪組成物(工程2)は、約5分間の処理期間にわたって毛髪に付与される。任意の工程は、必要に応じて、1回より多く繰り返されることも可能である。毛髪は、必要に応じて、任意の工程の前または後に洗浄および乾燥され得る。
【0072】
(工程1の)毛髪ケラチン弛緩組成物または(工程2の)ペプチドもしくはその毛髪組成物は、ブラシおよび/または櫛を使用して付与され得る。必要に応じて、縮毛矯正または整形されている全ての毛髪繊維は、毛髪繊維を確実に濡らすために使用される組成物によって湿潤される。必要に応じて、工程1、2および3の後に、リーブインコンディショナーなどのリーブイントリートメントが少なくとも約5分間の処理期間にわたって毛髪に付与され得、その後、必要に応じて毛髪を乾燥させ得る。
【0073】
弛緩(工程1)および固定(工程3)のために様々な異なる方法が使用され得る。工程1では、ジスルフィド結合を切断するために、以下のいずれもが使用され得る。(1)熱;(2)あく取り材(lye)縮毛矯正剤(例えば、pH12~14の水酸化ナトリウム溶液)を付与すること;(3)あく取り材を含まない縮毛矯正剤(例えば、pH9~11の水酸化カルシウムまたは炭酸グアニジン)を付与すること;(4)「チオ」縮毛矯正剤(例えば、チオグリコール酸ナトリウム、チオグリコール酸アンモニウム、ジチオスレイトール、チオグリコール酸、チオ乳酸、ジヒドロリポアート、チオグリセロール、メルカプトプロピオン酸、ペグ化チオール)を付与すること;(5)必要に応じてアスコルビン酸もしくはその誘導体とともに、好ましくは弱塩基性溶液(例えば、pH9~10)中で、天然のチオール含有化合物(例えば、グルタチオン、システイン、システイニル-グリシン)を付与すること;または(6)ケラチンジスルフィド結合をその必要な基質で還元する上で役割を果たすことが知られている酵素(例えば、グルタチオンレダクターゼ、システインジオキシゲナーゼ、アルキルヒドロペルオキシドレダクターゼ、チオレドキシンレダクターゼ、ジヒドロリポイルデヒドロゲナーゼ、ペプチドメチオニンスルホキシドレダクターゼ、ホスホ-アデノシンホスホサルフェートレダクターゼ、リボヌクレオシド-二リン酸レダクターゼ)を付与すること。非チオ縮毛矯正剤も公知であり、「チオ」縮毛矯正剤の代わりに使用され得、アルカリ水酸化物(すなわち、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム)、重亜硫酸ナトリウム、二硫化アンモニウム、亜鉛ホルムアルデヒドスルホキシラート、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシラート、メタ重亜硫酸ナトリウム、水素化ホウ素カリウムおよびヒドロキノンを含むがこれらに限定されない。
【0074】
工程3で行われる固定については、ジスルフィド結合を形成または再形成するために、(1)十分な熱を加えること;(2)酸もしくは酸性溶液の付与;(3)過酸化水素の付与;(4)その必要な基質を用いて過酸化水素を生成する任意のオキシダーゼ酵素(例えば、グルコースオキシダーゼなど)の付与;および/または(5)工程2の後少なくとも24時間毛髪を洗浄せず、必要に応じて、コンディショニング剤も毛髪に添加すること、が使用され得る。いくつかの例では、固定中に毛髪に十分な熱を加えることは、約5~8のパスなどの適切な数のパスを使用して、約375~約410°Fまたは約350~約375°Fの範囲の温度で、毛髪をドライヤーで乾燥させることおよび/または毛髪にストレートアイロンをかけることを含むことができる。いくつかの事例では、毛髪が以前に脱色された場合など、毛髪に対する既存の損傷に応じて、より低い加熱温度が使用され得る。
【0075】
パーソナルケアおよび毛髪組成物は、通常、例えば、組成物の様々な特性を修正し、審美性を改善するために使用され得る、従来の、化粧品として許容され得る賦形剤を含有する。このような化粧品として許容され得る賦形剤は、上に記載されている。一般的に使用される天然および合成の賦形剤は、例えば、International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,Twelfth Edition 2008,ISBN-10:1882621433(以下、「Cosmetic Handbook」)およびCTFA成分情報(http://www.ctfa-online.org/pls/ctfa_online.home)に記載されており、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0076】
乳化剤は、乳化剤がなければ不混和性である成分の混和を助けるために、通例使用される。乳化剤は、合成または天然であり得る。天然乳化剤としては、単独または組み合わせでの、オリーブ油、オリーブ油/小麦タンパク質、オリーブ油/オーツ麦タンパク質、スクロースエステル、米ぬか乳化剤ならびに/または様々な他の食品および医薬品グレードの乳化剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0077】
合成乳化剤としては、ジメチコンコポリオールなどのシリコーン乳化剤;スルホナートおよびスルホン酸誘導体;リン有機誘導体;糖エステル;ソルビタンモノラウラート、ソルビタンステアラート、ソルビタンラウラート、ソルビタンパルミタート、ソルビタンオレアートなどの脂肪エステル;ポリソルベート20(ポリエチレングリコール20ソルビタンモノラウラート)などのポリエステル/PEG(ポリエチレングリコール)誘導体;ステアリン酸グリセリル、ステアリン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシルなどの、脂肪アルコールの脂肪酸エステル;脂肪酸アミド;アシルラクチラート;アルコキシル化された、ブロックポリマー、アルコール、アルキルフェノール、アミン、アミド、脂肪エステル、脂肪酸、油、糖エステルおよびポリエステル、脂肪アルコールの脂肪酸エステル、および脂肪アルコールのエーテルなどのアルコキシル化された化合物;カルボキシル化された、アルコールエトキシラートおよびアルキルフェノールエトキシラート;カルボン酸/脂肪酸、ならびにこれらの混合物が挙げられ得るが、これらに限定されない。他の適切な乳化剤としては、不飽和エステルとスチレンスルホナートモノマーのコポリマー、リン酸ジセチル、セテアリルアルコール、グリセリルエステル、セテアリルアルコールのポリオキシエチレングリコールエーテル、ステアリン酸、ポリソルベート-20、セテアレス-20、レシチン、ステアリン酸グリコール、ポリソルベート-60、ポリソルベート-80、またはこれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。1つより多くの乳化剤が配合物中に含まれ得る。さらに他の天然および合成乳化剤は、Cosmetic Handbookに見出され得る。
【0078】
着色剤は、典型的には、最終的な化粧品組成物に比較的均一な色を提供するために使用される。着色剤は、合成または天然であり得る。天然着色剤は、顔料または植物由来の染料を含み得る。天然顔料は、無機(鉱物)または有機の、白色または非白色の、および被覆されたまたは被覆されていない粒子であり得る。天然着色剤としては、例えば、酸化セリウム、酸化クロム、酸化鉄、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、カーボンブラック、クロム、水酸化クロムグリーン、紺青、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、D&CおよびFD&C染料、アゾ、インジゴイド、レーキと呼ばれる認証された着色添加剤の不溶性金属塩など、ならびにこれらの混合物が挙げられ得る。
【0079】
合成着色剤としては、例えば、トリフェニルメタン、アントラキノンおよびキサンチン染料ならびにこれらの混合物が挙げられ得る。他の天然および合成着色剤は、Cosmetic HandbookおよびCTFA成分情報に見出され得る。
【0080】
組成物は、ワックスを含み得る。ワックスは、合成または天然であり得る。天然ワックスとしては、例えば、蜜蝋、カルナウバワックス、および/またはキャンデリラワックス、水添ホホバ油、水添ホホバワックス、水添マイクロクリスタリンワックス、水添米ぬかワックスが挙げられ得る。合成ワックスとしては、例えば、セチルエステル、モンタン酸ワックス、パラフィン、PEG-6蜜蝋、PEG-8蜜蝋、硫化ホホバ油、合成蜜蝋、合成キャンデリラワックス、合成カルナウバワックス、合成ジャパンワックス、合成ホホバ油、合成ワックス、ステアロキシジメチコン、ジメチコンベヘナート、ステアリルジメチコン、ならびにエチレン系列からの合成ホモおよびコポリマーワックスまたはこれらの混合物が挙げられ得る。他の天然および合成ワックスおよび油は、Cosmetic HandbookおよびCTFA成分情報に見出され得る。
【0081】
組成物はまた、防腐剤を含み得る。防腐剤は、合成または天然のいずれかであり得、望ましくない微生物の増殖を阻害するために使用され得る。天然防腐剤としては、単独または組み合わせでの、ブラックカラント果実抽出物、アスペン樹皮、ダイコン根およびソルビン酸が挙げられ得る。
【0082】
合成防腐剤としては、例えば、単独または組み合わせでの、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、イミダゾリジニル尿素、ジアゾリジニル尿素、DMDMヒダントイン、イソチアゾリノン、塩素化された芳香族化合物、パラヒドロキシ安息香酸/パラベンが挙げられ得る。他の適切な防腐剤としては、グリセリン含有化合物(例えば、グリセリンまたはエチルヘキシルグリセリンまたはフェノキシエタノール)、ベンジルアルコール、パラベン(メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、イソブチルパラベンなど)、プロパンジオール、安息香酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、塩化ベヘントリモニウム、ソルビン酸カリウムおよび/もしくはグレープフルーツ種子抽出物、またはこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。1つより多くの防腐剤が組成物中に含まれ得る。他の防腐剤が、化粧品産業において公知であり、サリチル酸、DMDMヒダントイン、ホルムアルデヒド、クロルフェネシン、トリクロサン、イミダゾリジニル尿素、ジアゾリジニル尿素、ソルビン酸、メチルイソチアゾリノン、デヒドロ酢酸ナトリウム、デヒドロ酢酸、クオタニウム-15、ステアラルコニウムクロリド、亜鉛ピリチオン、メタ重亜硫酸ナトリウム、2-ブロモ-2-ニトロプロパン、ジグルコン酸クロルヘキシジン、ポリアミノプロピルビグアニド、ベンザルコニウムクロリド、亜硫酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、クエン酸、ニームオイル、精油(各種)、乳酸およびビタミンE(トコフェロール)が挙げられる。さらに他の天然および合成防腐剤は、Cosmetic HandbookおよびCTFA成分情報に見出され得る。いくつかの例では、防腐剤は、必要に応じて、組成物の約0.1重量%~約5重量%または組成物の約0.3重量%~約3重量%の範囲の量で含まれる。好ましくは、開示される組成物はパラベンを含まない。
【0083】
組成物はまた、増粘剤またはゲル化剤を含み得る。増粘剤は、合成または天然のいずれでもあり得る。化粧品組成物をゲル化または増粘させて、例えば、より良好な堆積特性を提供するために、増粘剤が使用され得る。天然増粘剤としては、ワックス、ガムおよび粉末ならびにこれらの混合物が挙げられ得る。天然ワックスとしては、蜜蝋、カルナウバおよび/またはキャンデリラ、ならびにこれらの混合物が挙げられ得る。天然ガムとしては、アカシア、キサンタン、スクレロチウム(アミゲル)および/またはセルロースならびにこれらの混合物が挙げられ得る。天然粉末としては、粘土、珪藻土、フラー土、シリカ、シリカシェルもしくは球状シリカ、フュームドシリカ、球状シリカ、水和シリカ、シリル化シリカ、雲母、雲母チタン、タルク、セルロースもしくは球状セルロースビーズ、微結晶セルロース、トウモロコシデンプン、米デンプン、グリセリルデンプン、大豆粉、クルミ殻粉末、寒天、絹雲母、デキストラン、ナイロン、絹粉末、胡粉、炭酸カルシウム、オキシ塩化ビスマス、酸化鉄、二酸化チタン、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、三ケイ酸マグネシウム、オクテニルコハク酸デンプンアルミニウム、ベントナイト、ヘクトライト、カオリン、マルトデキストリン、モンモリロナイト、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、ロジン酸亜鉛、アルミナ、アタパルジャイト、酸化スズ、水酸化チタン、リン酸三マグネシウムまたはこれらの混合物が挙げられ得る。
【0084】
合成増粘剤としては、例えば、AMPイソステアロイル加水分解コラーゲン、AMPイソステアロイル加水分解小麦タンパク質、セチルヒドロキシエチルセルロース、コンドロイチンサルフェート、ココアミドプロピルジメチルアミンC8-16イソアルキスクシニルラクトグロブリンスルホナート、ココジモニウムヒドロキシプロピル加水分解コラーゲン、ジスターチホスファート、加水分解動物タンパク質のエチルエステル、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、加水分解動物または植物タンパク質、ヒドロキシプロピルグアー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、イソステアロイル加水分解コラーゲン、メチルセルロース、ニトロセルロース、ノノキシニルヒドロキシエチルセルロース、アクリラートポリマー、アクリルアミンポリマー、アクリル酸ポリマー(カルボマー)、PVM/MAデカジエンクロスポリマー、ポリビニルピロリドンポリマー、シリコーン油、ポリエチレン増粘剤、オクテニルコハク酸デンプンアルミニウム、トリヒドロキシステアリンおよびこれらの混合物が挙げられ得る。他の天然および合成増粘剤は、Cosmetic HandbookおよびCTFA成分情報に見出され得る。
【0085】
組成物は、コンディショニング剤またはトリートメント剤を含み得る。コンディショニングまたはトリートメント剤は、合成または天然のいずれでもあり得る。天然のコンディショニングまたはトリートメント剤としては、パンテノール、ビタミン、ラウロイルリジン、イソステアリン酸、レシチン、軟質皮膚軟化剤ワックス、果実/植物複合体、スイートアーモンド油、ヤシ油、ホホバブレンド、ハチミツ、海藻/藻類、アロエ、アサイー抽出物、野生パンジー抽出物、ハス抽出物、パパイヤ抽出物、ズズ抽出物および/またはラン抽出物が挙げられ得る。他の適切なコンディショニング剤としては、シリコーン系作用物質(例えば、シリコーンクオタニウム-8)、加水分解小麦および/または大豆タンパク質、アミノ酸(例えば、小麦アミノ酸、アルギニン)、米ぬかワックス、メドウフォーム種子油、マンゴー種子油、ブドウ種子油、ホホバ種子油、スイートアーモンド油、ヒドロキシエチルベヘナミドプロピルジモニウムクロリド、アロエ葉抽出物、アロエベラ葉汁、フィタントリオール、パルミチン酸レチニル、ベヘントリモニウムメトサルファート、シクロペンタシロキサン、クオタニウム-91、ステアラミドプロピルジメチルアミン、ならびにこれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。いくつかの例では、コンディショニング剤は、必要に応じて、組成物の約0.1重量%~約5重量%または組成物の約0.3重量%~約3重量%の範囲の量で含まれる。
【0086】
合成コンディショニングおよびトリートメント剤としては、例えば、メルカプト含有四級窒素化合物などのメルカプチル含有化合物;ベタイン/脂肪族有機酸;シリコーン油、シリコーンガム、シリコーンポリマー、脂肪酸、脂肪酸のエステル、脂肪アルコール、エトキシラート、ポリオールポリエステル、グリセリン、グリセリンモノエステル、グリセリンポリエステル、コレステロールエステル、ポリオレフィン系グリコール、ポリオレフィン系モノエステル、ポリオレフィン系ポリエステルが挙げられ得る。他の天然および合成コンディショニングおよびトリートメント剤は、Cosmetic HandbookおよびCTFA成分情報に見出され得る。
【0087】
組成物はまた、1またはそれを超える精油および天然油を含み得る。精油は、合成または天然であり得る。天然精油としては、ベルガモット、カモミールゲルマン、カモミールマロック、カモミールローマン、シナモンゼイラニカム、チョウジの芽、ユーカリプタス・グロブルス(eucalyptus globulus)、フランキンセンス、ウイキョウ、ヒソップ、ジュニパー、レモングラス、マウンテンセイボリー、ニアウリ、レッドタイム、ローズマリー、ローズゼラニウム、タゲステスおよびイランイランが挙げられ得る。天然油としては、例えば、ホホバ油、スイートアーモンド油、ココナツ油、シアバター、マンゴーバターおよび/もしくはアロエベラバターまたはこれらの混合物が挙げられ得る。
【0088】
合成精油としては、例えば、アセチル化ヒマシ油、ステアリン酸グリセリル、ジオレイン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、リノール酸グリセリル、ミリスチン酸グリセリル、イソステアリン酸グリセリル、PEGヒマシ油、オレイン酸PEGグリセリル、ステアリン酸PEGグリセリル、牛脂脂肪酸PEGグリセリル、ジヘプタン酸PEG-4、硬化ヒマシ油、イソノナン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソステアリル、ネオペンタン酸トリデシル、オクタン酸セチル、パルミチン酸セチル、リシノール酸セチル、ステアリン酸セチル、ミリスチン酸セチル、(ジカプリル酸/カプリン酸)ヤシアルキル、イソステアリン酸デシル、オレイン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソヘキシル、オクタン酸トリデシル、パルミチン酸オクチル、リンゴ酸ジオクチル、オクタン酸トリデシル、ミリスチン酸ミリスチル、オクトドデカノールなどのエステル;オレイルアルコール、イソセチルアルコールなどの脂肪アルコール;シリコーン油、イソパラフィン、水添ポリイソブテン、ペトロラタム、ラノリン誘導体およびソルビタン誘導体が挙げられ得る。他の天然および合成油は、Cosmetic HandbookおよびCTFA成分情報に見出され得る。
【0089】
組成物はまた、例えば、アカシア・カテチュ(Acacia Catechu)、アカントパナクス・グラシリスチラス(Acanthopanax Gracilistylus)、カクサルピニア・サッパン(Cacsalpinia Sappan)、エピメディウム・スピノサ(Epimedium Spinosa)、ペオニア・ラクチフローラ(Paeonia lactiflora)、ペオニア・オボバータ(Paeonia obovata)、アトラクチロデス・マクロセファラ(Atractylodes macrocephala)、グリシリザ・ウラレキシス(Glycyrrhiza uralexisis)、グリシリザ・グラブラ(Glycyrrhiza glabra)、リシウム・チネンス(Lycium chinense)、ナウクレア・リンコルフィラ(Nauclea rhyncholphylla)、シンナイノマム・カッシア(Cinnainomum cassia)、アストラガルス・メンブラナセウス(Astragalus membranaceus)、スクテラリア・バイカレンシス(Scutellaria baicalensis)、シゾネペタ・テヌイフォリア(Schizonepeta tenuifolia)、エフェドラ・シニカ(Ephedra sinica)、オフィオポゴン・ジャポニカス(Ophiopogon japonicus)、ペオニア・スッフルティコサ(Paeonia suffruticosa)、アルテミシア・アンヌア(Artemisia annua)、アレテミシア・アピアセア(Aretemisia apiacea)、パナックス・ノトジンセン(Panax notoginseng)、コルヌス・オフィシナリス(Cornus officinalis)、アコリウス・グラミネウス(Acorius gramineus)、レルハニア・グルチノーサ(Reluhania glutinosa)、ガストロディア・エラータ(Gastrodia elata)、アスパラガス・コチイキネンシス(Asparagus cochiichinensis)、クスクタ・キネンシス(Cuscuta chinensis)、シザンドラ・キネンシス(Schizandra chinensis)、シザンドラ・スペナンセラ(Schizandra spenanthera)、マグノリア・リリフローラ(Magnolia liliflora)、エピメディウム・ブレビコマム(Epimedium brevicomum)、エピメディウム・グランディフロラン(Epimedium grandiflorun)、エピメディウム・サギッタタム(Epimedium sagittatum)、ホーチュニア・コダータ(Houttuynia cordata)、ポリガラ・テヌイフォリア(Polygala tenuifolia);およびペリラ・フルテスケンス(Perilla frutescens)、およびアロエベラ抽出物(Aloe Vera extract)などの、1またはそれを超えるハーブならびに/またはハーブの抽出物および/もしくはろ液を単独でまたは任意の組み合わせで含み得る。
【0090】
組成物はまた、例えば、ナタネ(アブラナ属種(Brassica spp.))、ダイズ(グリシン・マックス(Glycine max)、ヒマワリ(リアンサス・アンヌウス(Lianthus annuus))、アブラヤシ(エラエイス・グイネエイス(Elaeis guineeis))、綿実(ワタ属種(Gossypium spp.))、落花生(アラキス・ヒポゲア(Arachis hypogaea))、ココナツ(コカス・ヌシフェラ(Cocus nucifera))、トウゴマ(リシナス・コミュニス(Ricinus communis))、ベニバナ(カルタムス・チンクトリウス(Carthamus tinctorius))、カラシ(アブラナ属種(Brassica spp.)およびシナピス・アルバ(Sinapis alba))、コリアンダー、(コリアンドラム・サティバム(Coriandrum sativum))、カボチャ(ククルビタ・マキシマ(Cucurbita maxima))、亜麻仁/亜麻(リナム・ウシタチシマム(Linum usitatissimum))、ブラジルナッツ(ベルソレチア・エクセルサ(Bertholletia excelsa))、ホホバ(シモンドシア・キネンシス(Simmondsia chinensis))およびトウモロコシ(ゼア・メイス(Zea mays))などの植物から得られる、1またはそれを超える植物種子ならびに/または植物種子の抽出物および/もしくはろ液を、単独で、または組み合わせて含み得る。
【0091】
組成物はまた、水の表面張力を低下させ、皮膚もしくは毛髪を横切ってまたは皮膚もしくは毛髪の上に毛髪配合物を滑らせることができる1またはそれを超える界面活性剤を含むことができる。界面活性剤には、洗剤および石鹸も含まれる。界面活性剤は、両性、アニオン性またはカチオン性であり得る。配合物において使用され得る適切な界面活性剤としては、ヘプチルグルコシド、3-アミノプロパンスルホン酸、セテス-10ホスファート、ステアレス-21、ステアレス-2、アーモンドアミド、アーモンドアミドプロピルベタイン、アーモンドアミドプロピルアミンオキシド、水添獣脂グルタミン酸アルミニウム、ラノリン脂肪酸アルミニウム、硫酸アミノエチル、アミノプロピルラウリルグルタミン、C12-15アルキル硫酸アンモニウム、C12-15パレス硫酸アンモニウム、C12-16アルキル硫酸アンモニウム、C9-10ペルフルオロアルキルスルホン酸アンモニウム、カプリレス硫酸アンモニウム、カプリレス-3硫酸アンモニウム、モノグリセリド硫酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、イソチオン酸アンモニウム、ココイルサルコシン酸アンモニウム、クメンスルホン酸アンモニウム、ジメチコンコポリオール硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム、イソステアリン酸アンモニウム、ラウレス硫酸アンモニウム、、ラウレス-12硫酸アンモニウム、ラウレス-5硫酸アンモニウム、ラウレス-6カルボン酸アンモニウム、ラウレス-7硫酸アンモニウム、ラウレス-8カルボン酸アンモニウム、ラウレス-9硫酸アンモニウム、ラウロイルサルコシン酸アンモニウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリルスルホコハク酸アンモニウム、ミレス硫酸アンモニウム、ミリスチル硫酸アンモニウム、ノノキシノール-30硫酸アンモニウム、ノノキシノール-4硫酸アンモニウム、オレイン酸アンモニウム、パーム核硫酸アンモニウム、ポリアクリル酸アンモニウム、ステアリン酸アンモニウム、トール酸アンモニウム、キシレンスルホン酸アンモニウム、キシレンスルホン酸アンモニウム、amp-イソステアロイルゼラチン/ケラチンアミノ酸/リジンヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、amp-イソステアロイル加水分解コラーゲン、アンズ核油PEG-6エステル、アンズアミド、アンズアミドプロピルベタイン、アラキデス-20、アボカダミド、アボカダミドプロピルベタイン、ババスアミド、ババスアミドプロピルベタイン、ババスアミドプロピルアミンオキシド、ベヘンアルコニウムクロリド、ベヘンアミド、ベヘンアミド、ベヘンアミドプロピルベタイン、ベヘンアミンオキシド、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアルコールのポリオキシエーテルもしくはセテアレス-20、またはこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。1つより多くの界面活性剤が組成物中に含まれ得る。界面活性剤は、必要に応じて、配合物の約0.1重量%~約15重量%または組成物の約1重量%~約10重量%の範囲の量で含まれる。
【0092】
適切なアニオン性界面活性剤としては、カルボキシラートイオン、スルホナートイオンおよびサルファートイオンを含有するものが挙げられるが、これらに限定されない。アニオン性界面活性剤の例としては、長鎖アルキルスルホナートのナトリウム、カリウム、アンモニウムおよびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルアリールスルホナート;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのジアルキルスルホコハク酸ナトリウム;ビス-(2-エチルチオキシル)-スルホコハク酸ナトリウムなどのジアルキルスルホコハク酸ナトリウム;およびラウリル硫酸ナトリウムなどのアルキルサルファートが挙げられる。カチオン性界面活性剤としては、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、臭化セトリモニウム、ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ammonyx cetac、ポリオキシエチレンおよびココナッツアミンなどの第4級アンモニウム化合物が挙げられるが、これらに限定されない。非イオン性界面活性剤の例としては、エチレングリコールモノステアラート、プロピレングリコールミリスタート、グリセリルモノステアラート、グリセリルステアラート、ポリグリセリル-4-オレアート、ソルビタンアシラート、スクロースアシラート、PEG-150ラウラート、PEG-400モノラウラート、ポリオキシエチレンモノラウラート、ポリソルベート、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、PEG-1000セチルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリプロピレングリコールブチルエーテル、ポロキサマー(登録商標)401、ステアロイルモノイソプロパノールアミド、およびポリオキシエチレン硬化獣脂アミドが挙げられる。両性界面活性剤の例としては、N-ドデシル-β-アラニンナトリウム、N-ラウリル-β-イミノジプロピオン酸ナトリウム、ミリストアンホアセタート、ラウリルベタインおよびラウリルスルホベタインが挙げられる。
【0093】
組成物はまた、濡れもしくは刺激から保護し、軟化し、和らげ、コーティングし、潤滑し、保湿し、保護し、および/または洗浄することができる1またはそれを超える皮膚軟化剤を含むことができる。組成物において使用するための適切な皮膚軟化剤としては、ネオペンタン酸イソデシル、シリコーン化合物(例えば、ジメチコン、シクロメチコン、ジメチコンコポリオールまたはシクロペンタシロキサンとジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマーとの混合物、シクロペンタシロキサンポリシリコーン)、ポリオール、例えばソルビトール、グリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、カプリリルグリコール、ポリプロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、ヘキシレングリコール、イソプレングリコール、キシリトール;パルミチン酸エチルヘキシル;カプリル酸/カプリン酸トリグリセリドなどのトリグリセリド、およびイソノナン酸セテアリル、パルミチン酸セチルなどの脂肪酸エステルを挙げることができるが、これらに限定されない。特定の態様において、皮膚軟化剤は、ジメチコン、アミドジメチコン、ジメチコノール、シクロペンタシロキサン、カリウムジメチコンPEG-7パンテニルホスファート、セチルステアリルアルコール、セチルアルコール、セテアリルアルコール、またはこれらの組み合わせである。1つより多くの皮膚軟化剤が組成物中に含まれ得る。皮膚軟化剤は、必要に応じて、配合物の約0.5重量%~約15重量%または組成物の約1重量%~約10重量%の範囲の量で含まれ得る。
【0094】
組成物はまた、1またはそれを超える希釈剤を含むことができる。水は、好ましい希釈剤である。組成物は、典型的には、1(重量)パーセントを超える水、好ましくは5(重量)パーセントを超える水、より好ましくは50(重量)%を超える水、最も好ましくは80(重量)%を超える水を含有する。エチルアルコールおよびイソプロピルアルコールなどのアルコールは、毛髪浸透を増強し、および/または臭気を低減するために低濃度(配合物の約0.5重量%)で使用され得る。
【0095】
組成物はまた、増粘剤などの、1またはそれを超える粘度修正剤を含むことができる。このような作用物質のクラスとしては、粘性液体、例えばポリエチレングリコール、半合成ポリマー、例えば半合成セルロース誘導体、合成ポリマー、例えばカルボマー、ポロキサマー、およびポリエチレンイミン(例えば、PEI-10)、天然に存在するポリマー、例えばアカシア、トラガカント、アルギナート(例えば、アルギン酸ナトリウム)、カラギーナン、植物ガム、例えばキサンタンガム、ワセリン、ワックス、粒子状会合コロイド、例えばベントナイト、コロイド状二酸化ケイ素、および微結晶セルロース、界面活性剤、例えばPPG-2ヒドロキシエチルココ/イソステアラミド、乳化剤、例えばジステレス-75 IPDI、および塩、例えば塩化ナトリウム、ならびにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0096】
組成物はまた、1またはそれを超える酸化防止剤を含むことができる。トコフェリル類、BHT、カメリア・シネンシス(camellia sinensis)の葉抽出物、パルミチン酸アスコルビル、リン酸アスコルビルマグネシウム、カロテノイド、レスベラトロール、クエン酸トリエチル、アルブチン、コウジ酸、アスコルビン酸テトラヘキシデシル、スーパーオキシドジスムターゼ、亜鉛、メタ重亜硫酸ナトリウム、リコペン、ユビキノンおよびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0097】
組成物はまた、1またはそれを超える乳白剤を含むことができる。配合物を不透明にするために、配合物に乳白剤が添加される。適切な乳白剤としては、ジステアリン酸グリコールおよびエトキシル化脂肪アルコールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0098】
組成物は、スプレーの形態であり得る。スプレーは、典型的には、ペプチドおよび化粧品として許容され得る担体を含む。いくつかの態様において、担体は、水または水とアルコールの混合物である。スプレー配合物は、必要に応じて、抗酸化剤、日焼け止め剤、ビタミン、タンパク質、ペプチド、植物抽出物、保湿剤、油、皮膚軟化剤、潤滑剤、増粘剤、ヘアコンディショニング剤、ポリマーおよび/または界面活性剤を含む。スプレー配合物は、防腐剤を含むことができる。いくつかの例では、スプレーは芳香剤を含む。いくつかの態様において、スプレーは界面活性剤を含む。ヘアスプレー配合物は、エアロゾルディスペンサまたはポンプスプレーディスペンサを含む容器から分配され得る。このようなディスペンサは当技術分野で公知であり、様々な製造業者から市販されている。スプレー組成物が加圧エアロゾル容器から分配される場合、配合物を容器から押し出すために、噴霧剤が使用され得る。適切な噴霧剤には、液化可能ガスまたはハロゲン化噴霧剤が挙げられるが、これらに限定されない。適切な噴霧剤の例としては、ジメチルエーテルおよび炭化水素噴霧剤、例えばプロパン、n-ブタン、イソ-ブタン、CFC、およびCFC置換噴霧剤が挙げられる。噴霧剤は、単独でまたは混合して使用され得る。噴霧剤の量は、スプレー組成物の約10重量%~約60重量%の範囲であり得る。噴霧剤は、2コンパートメント容器におけるように、組成物から隔てられ得る。他の適切なエアロゾルディスペンサは、噴霧剤が圧縮空気であることによって特徴付けられるものであり、使用前にポンプまたは同等の装置を使用してディスペンサ中に充填することができる。従来の非エアロゾルポンプスプレーディスペンサ、すなわち噴霧器もまた、ペプチドを含有する組成物を毛髪に付与するために使用され得る。
【0099】
いくつかの例では、組成物はコンディショナーの形態であり得る。コンディショナーは、典型的には、適切な担体中にペプチドを含む。さらに、コンディショナーは、多糖類に由来するカチオン性ポリマー、例えばカチオン性セルロース誘導体、カチオン性デンプン誘導体、カチオン性グアー誘導体(グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドなど)、カチオン性ローカストビーンガム誘導体、合成カチオン性ポリマー、ポリクオタニウムポリマー(ポリクオタニウム-7、ポリクオタニウム-11、ポリクオタニウム-113など)、およびこれらの作用物質の混合物または組み合わせを含み得る。コンディショナーは、適切な場合には、例えばカチオン性または中性基で官能化された、他の合成または天然ポリマーまたは生物学的調製過程に由来するポリマーを含み得る。これらのポリマーは、毛髪に対する安定化もしくは強化作用および/またはコンディショニング作用(毛髪の表面への沈着)を有し得る。
【0100】
いくつかの例では、組成物はシャンプーの形態であり得る。シャンプーは、典型的には、適切な担体中にペプチドを含む。ペプチドは、任意の適切な濃度で含まれ得る。さらに、シャンプーは、約0.5重量%~約20重量%の界面活性剤を含み得る。シャンプー組成物において利用される界面活性剤は当技術分野で周知であり、例えば、Gallagherらの米国特許第6,706,258号およびGearyらの米国特許第7,598,213号に開示されている。
【0101】
いくつかの事例では、ペプチドは液体組成物の形態である。これらの例では、液体組成物は、適切な担体、典型的には上記のような希釈剤中に、上記のような任意の適切な濃度のペプチドを含有し得る。
【0102】
ペプチドは、典型的には組成物の一部として、毛髪着色、毛髪脱色、パーマネント毛髪ウェービング、縮毛矯正または他の一般的なヘアトリートメントなどのヘアトリートメントの後に毛髪に付与され得る(すなわち、トリートメント後付与)。いくつかの他の例では、ペプチドは、典型的には組成物の一部として、毛髪着色、毛髪脱色、パーマネント毛髪ウェービング、縮毛矯正または他の一般的なヘアトリートメントなどのヘアトリートメントの前に毛髪に付与され得る(すなわち、トリートメント前付与)。毛髪着色は、酸化染料およびその前駆体、または直接染料を使用するなど、毛髪の色を変える処理を指すと本技術分野で理解されている。毛髪脱色は、脱色剤の付与などによって毛髪から色を除去する処理を指すと本技術分野で理解されている。脱色方法において使用される脱色剤は、デベロッパー(過酸化水素水)と脱色粉末(少なくともパーサルフェートおよびアルカリ化剤を含有する粉末)の組み合わせを付与することを含む。前述の処理は当業者に周知である。処理後、任意の適切な形態のペプチド含有組成物を同じ日に付与することができ、または任意の適切な形態のペプチド含有組成物を処理後1~2週間以内など、後に付与され得る。付与されるペプチド含有組成物の量は、いくつかの例では、毛髪を濡らすのに十分であり得る。ペプチド含有組成物は、単一の付与として毛髪に付与され得、または付与は1もしくはそれを超える回数繰り返され得る。各付与において毛髪に付与されるペプチド含有組成物の体積は、毛髪の長さおよび体積に応じて、1人当たり約1~約100mLであり得る。いくつかの態様において、ペプチド含有組成物の付与は、第1の付与の後、直ちに(例えば、10~15秒以内)またはおよそ1~5分、5分、5~7.5分、10分、5~10分、12.5分、10~15分、10~17.5分、10~20分もしくは15~20分後に繰り返され得る。いくつかの例では、付与後に、例えば付与後10、15、25、30、45もしくは60秒以内にまたは2、3、4もしくは5分以内に、毛髪をすすぐことおよび/またはシャンプーすることなどによって、付与後に毛髪からペプチド含有組成物を除去することが必要であり得る。あるいは、ペプチド含有組成物は、毛髪の種類に応じて、付与後約30分以内に、ペプチド含有組成物の毛髪への付与後約5分~約20分に、または約10分後に毛髪からすすがれ得る。
【0103】
上記の説明は、当業者が開示されたペプチドを作製および使用することを可能にするために提示されており、特定の用途およびその要件の文脈で提供されている。態様および局面に対する様々な変更が、当業者には直ちに明らかであり、本明細書で定義される包括的な原理は、本明細書に開示されている情報の精神および範囲から逸脱することなく、他の局面、態様および用途に対して適用され得る。本明細書の実施例は、記載されている局面または態様に限定されることを意図するものではなく、本明細書に開示された原理および特徴と一致する最も広い範囲を与えられるべきである。ある特定の具体例を参照することにより、さらなる理解を得ることができる。
【0104】
以下のペプチドは、商業的供給業者(Genscript USA,Inc.,Piscataway,NJ)によって合成され、提供された:配列番号1および配列番号3-配列番号109。
[実施例1]
実施例1:熱のみによる処理
【0105】
巻き毛のブラジリアンヘアの編んだ房を1/2インチ幅の試料に切断した。次いで、編んだ房をシャンプーで洗浄し、風乾させた。フラットアイロンを使用して、460°Fで毛髪をまっすぐにした。毛髪が目に見えるほどまっすぐになったら、毛髪をアルミニウム箔でしっかりと包んだ。包まれた毛髪の切片にフラットアイロンを10秒間保持することによって、この切片にフラットアイロンを当てた。毛髪の全ての切片にフラットアイロンがかけられるまで、この過程を繰り返した。
【0106】
配列番号3~配列番号8に対応する各ペプチドの6つの個々の溶液を約1ミリグラム/ミリリットル(「mg/mL」)の濃度で脱イオン(「DI」)水中に溶解し、次いで毛髪試料が濡れるまで別々の毛髪試料に付与した。濡れた毛髪を37°Cで1時間静置した。次いで、毛髪を穏やかに直線形状に引っ張りながら、中程度の熱の下で毛髪をドライヤーで乾燥させた。次いで、400°Fで毛髪にフラットアイロンをかけた。
【0107】
まっすぐにされた毛髪をシャンプーで洗浄し、風乾させ、この洗浄/乾燥手順を合計10回繰り返した。この処理後に、各毛髪試料は非処理試料と比較して有意にまっすぐになり、処理された毛髪には小さなウェーブが残存した。6つの設計されたケラチン結合ペプチド間に有効性の特定可能な差はほとんど存在しなかったが、配列番号5、配列番号6、配列番号7および配列番号8に対応するペプチドは、配列番号3および配列番号4よりもわずかに高い縮毛矯正効率を示した。
[実施例2]
実施例2:あく取り材および過酸化水素による処理
【0108】
巻き毛のブラジリアンヘアの編んだ房を1/2インチ幅の試料に切断した。次いで、編んだ房をシャンプーで洗浄し、風乾させた。次いで、毛髪を室温で30分間、水酸化ナトリウムの溶液pH12に浸した。この時間の後、毛髪をDI水ですすいだ。次いで、毛髪を穏やかに直線形状に引っ張りながら、中程度の熱の下で毛髪をドライヤーで乾燥させた。次いで、400°Fで毛髪にフラットアイロンをかけた。
【0109】
配列番号3~配列番号8に対応する各設計されたケラチン結合ペプチドの6つの個別の溶液を1mg/mLの濃度でDI水中に溶解し、次いで、毛髪試料が濡れるまで個別の毛髪試料に付与し、室温で30分間、毛髪試料を静置した。次いで、毛髪を穏やかに直線形状に引っ張りながら、中程度の熱の下で毛髪試料をドライヤーで乾燥させた。次いで、400°Fで毛髪にフラットアイロンをかけた。
【0110】
次いで、毛髪試料が濡れるまで、L’Oreal(登録商標)Oreor Creme 40ボリュームデベロッパーを毛髪試料に付与し、次いで、室温で30分間静置した。次いで、毛髪試料をDI水ですすいだ。
【0111】
それぞれのまっすぐにされた毛髪試料をシャンプーで洗浄し、風乾させ、この洗浄/乾燥手順を合計10回繰り返した。この処理後に、各毛髪試料は非処理試料と比較して有意にまっすぐになり、処理された毛髪にはわずかなウェーブのみが残存した。6つのペプチド間に有効性の特定可能な差はほとんど存在しなかったが、配列番号5、配列番号6、配列番号7および配列番号8に対応するペプチドは、配列番号3および配列番号4よりもわずかに高い縮毛矯正効率を示した。
[実施例3]
実施例3:あく取り材およびグルコースオキシダーゼによる処理
【0112】
巻き毛のブラジリアンヘアの編んだ房を1/2インチ幅の試料に切断した。次いで、編んだ房をシャンプーで洗浄し、風乾させた。次いで、毛髪を室温で30分間、水酸化ナトリウムの溶液pH12に浸した。この時間の後、毛髪をDI水ですすいだ。次いで、毛髪を穏やかに直線形状に引っ張りながら、中程度の熱の下で毛髪をドライヤーで乾燥させた。次いで、400°Fで毛髪にフラットアイロンをかけた。
【0113】
次いで、毛髪試料が濡れるまで、1mg/mLの濃度の、DI水中の配列番号8に対応するペプチドの溶液を毛髪試料に付与し、毛髪を室温で30分間静置した。次いで、毛髪を穏やかに直線形状に引っ張りながら、中程度の熱の下で毛髪をドライヤーで乾燥させた。次いで、400°Fで毛髪にフラットアイロンをかけた。
【0114】
次いで、毛髪が濡れるまで、50mMリン酸ナトリウム緩衝液pH5.8中の、グルコースオキシダーゼ(2mg/mL)およびグルコース(18mg/mL)の溶液を毛髪に付与し、毛髪を室温で30分間静置した。次いで、毛髪をDI水ですすいだ。
【0115】
まっすぐにされた毛髪をシャンプーで洗浄し、風乾させ、この洗浄/乾燥手順を合計10回繰り返した。この処理後に、各毛髪試料は非処理試料と比較して有意にまっすぐになり、処理された毛髪にはわずかなウェーブのみが残存した。
[実施例4]
実施例4:グルタチオンレダクターゼおよび過酸化水素による処理
【0116】
巻き毛のブラジリアンヘアの編んだ房を1/2インチ幅の試料に切断した。次いで、編んだ房をシャンプーで洗浄し、風乾させた。次いで、室温で30分間、50mMリン酸ナトリウム緩衝液pH8中の、グルタチオンレダクターゼ(0.01mg/mL)、グルタチオン(100mg/mL)およびニコチンアミドアデニンジヌクレオチドホスファート(0.083mg/mL)の溶液中に毛髪を浸した。この時間の後、毛髪をDI水ですすいだ。次いで、毛髪を穏やかに直線形状に引っ張りながら、中程度の熱の下で毛髪をドライヤーで乾燥させた。次いで、400°Fで毛髪にフラットアイロンをかけた。
【0117】
次いで、毛髪が濡れるまで、1mg/mLの濃度の、DI水中の配列番号8に対応するペプチドの溶液を毛髪に付与し、毛髪を室温で30分間静置した。次いで、毛髪を穏やかに直線形状に引っ張りながら、中程度の熱の下で毛髪をドライヤーで乾燥させた。次いで、400°Fで毛髪にフラットアイロンをかけた。
【0118】
次いで、毛髪が濡れるまで、L’Oreal(登録商標)Oreor Creme 40ボリュームデベロッパーを毛髪に付与し、毛髪を室温で30分間静置した。次いで、毛髪をDI水ですすいだ。
【0119】
まっすぐにされた毛髪をシャンプーで洗浄し、風乾させ、この洗浄/乾燥手順を合計10回繰り返した。この処理後に、各毛髪試料は非処理試料と比較して有意にまっすぐになり、処理された毛髪にはわずかなウェーブのみが残存した。
[実施例5]
実施例5:グルタチオンおよびグルコースオキシダーゼによる処理
【0120】
巻き毛のブラジリアンヘアの編んだ房を1/2インチ幅の試料に切断した。次いで、編んだ房をシャンプーで洗浄し、風乾させた。次いで、室温で30分間、水酸化ナトリウムpH9中のグルタチオン(100mg/mL)の溶液中に毛髪を浸した。この時間の後、毛髪をDI水ですすいだ。次いで、毛髪を穏やかに直線形状に引っ張りながら、中程度の熱の下で毛髪をドライヤーで乾燥させた。次いで、400°Fで毛髪にフラットアイロンをかけた。
【0121】
次いで、毛髪が濡れるまで、1mg/mLの濃度の、DI水中の配列番号8に対応するペプチドの溶液を毛髪に付与し、毛髪を室温で30分間静置した。次いで、毛髪を穏やかに直線形状に引っ張りながら、中程度の熱の下で毛髪をドライヤーで乾燥させた。次いで、400°Fで毛髪にフラットアイロンをかけた。
【0122】
次いで、毛髪が濡れるまで、50mMリン酸ナトリウム緩衝液pH5.8中の、グルコースオキシダーゼ(2mg/mL)およびグルコース(18mg/mL)の溶液を毛髪に付与し、毛髪を室温で30分間静置した。次いで、毛髪をDI水ですすいだ。
【0123】
まっすぐにされた毛髪をシャンプーで洗浄し、風乾させ、この洗浄/乾燥手順を合計10回繰り返した。この処理後に、各毛髪試料は非処理試料と比較して有意にまっすぐになり、処理された毛髪にはわずかなウェーブのみが残存した。
[実施例6]
実施例6:チオグリコール酸アンモニウムおよび過酸化水素による処理
【0124】
巻き毛のブラジリアンヘアの編んだ房を1/2インチ幅の試料に切断した。次いで、編んだ房をシャンプーで洗浄し、風乾させた。次いで、室温で30分間、水酸化ナトリウムpH10中のチオグリコール酸アンモニウム(10%v/v)の溶液中に毛髪を浸した。この時間の後、毛髪をDI水ですすいだ。次いで、毛髪を穏やかに直線形状に引っ張りながら、中程度の熱の下で毛髪をドライヤーで乾燥させた。次いで、400°Fで毛髪にフラットアイロンをかけた。
【0125】
いくつかの試料では、次いで、毛髪が濡れるまで、1mg/mLの濃度の、DI水中の配列番号8に対応するペプチドの溶液を毛髪に付与し、毛髪を室温で30分間静置した。これらの試料では、次いで、毛髪を穏やかに直線形状に引っ張りながら、中程度の熱の下で毛髪をドライヤーで乾燥させた。次いで、400°Fで毛髪にフラットアイロンをかけた。
【0126】
全ての毛髪試料について、次いで、毛髪が濡れるまで、過酸化水素の溶液(2%v/v)を毛髪に付与し、毛髪を室温で30分間静置させた。次いで、毛髪をDI水ですすいだ。
【0127】
まっすぐにされた毛髪をシャンプーで洗浄し、風乾させ、この洗浄/乾燥手順を合計30回繰り返した。この処理後に、処理された毛髪試料は非処理試料と比較して有意にまっすぐになり、処理された毛髪にはわずかなウェーブのみが残存した。
【0128】
特別注文の装置を使用して、処理された毛髪試料の切断力を測定した。個々の毛髪を13センチメートル長の切片に切断した。各末端から1センチメートルで、毛髪の両端をテープで巻いた。次いで、グリップがテープで巻かれた毛髪の末端と揃うように、1センチメートル長のグリップで2つのクランプ(上=固定、下=可動)の間に毛髪を垂直位置に保持した。下部クランプに対して力を徐々に加え、切断時の力を記録した。各処理群に対して、10の複製物を収集した。
[実施例7]
実施例7:蛍光結合研究
【0129】
500μLのDI水の溶液に、1mgの配列番号8を添加した。次いで、1mLのDI水中の84mgの炭酸水素ナトリウムの溶液を調製し、12μLのこの溶液を配列番号8の溶液に添加した。コンジュゲーションの直前に、1mgのAlexa Fluor 647 NHSエステル(Thermo Fisher Scientific)色素分子を100μLのDMSOに溶解し、15μLのこの溶液を配列番号8の溶液に添加した。色素を添加した後、溶液を4°C、暗所で16時間インキュベートした。非結合色素分子の除去は、溶出剤としてDI水を使用するPD MiniTrap G-10カラム(Cytiva)を使用して行った。色素で標識された配列番号8を含有する画分をプールした。
【0130】
次いで、配列番号8での処理が、ペプチド濃度)結合時間、配列番号8付与の回数または処理の最後でのシャンプーの回数を変化させながら、色素で標識された配列番号8で置き換えられた以外は実施例6に従って毛髪試料を処理した。
【0131】
Cy5フィルターセットを使用してEVOS M7000 Imaging System(Thermo Fisher Scientific)で、蛍光画像を収集した。0.0023の光強度で0.1秒の露光時間を使用して、画像を収集した。
[実施例8]
実施例8:比較引張試験
【0132】
脱色混合物が滑らかで均一になるまで、1分間絶えず撹拌しながら1:2の比で混合されたBW 2毛髪粉末ライトナー(脱色粉末)(Clariol)およびoreor creme 40ボリュームデベロッパー(過酸化水素水)(L’Oreal)を使用して、ブラジリアンヘアの見本を脱色した。脱色混合物中で毛髪見本を濡らし、室温で45分間放置した。次いで、毛髪見本を脱イオン水(DI)で2分間すすぎ、十分にシャンプーし、風乾させた。脱色手順をさらに2回繰り返して、脱色されたブラジリアンヘアの見本を得た。
【0133】
バージンおよび脱色された巻き毛のブラジリアンヘアの両方の編んだ房を1/2インチ幅の試料に切断した。次いで、編んだ房をシャンプーで洗浄し、風乾させた。次いで、室温で30分間、水酸化ナトリウムpH10中の、システイン(100mg/mL)およびアスコルビン酸(10mg/mL)の溶液中に毛髪を浸した。この時間の後、毛髪をDI水ですすいだ。次いで、毛髪を穏やかに直線形状に引っ張りながら、中程度の熱の下で毛髪をドライヤーで乾燥させた。次いで、400°Fで毛髪にフラットアイロンをかけた。
【0134】
いくつかの試料では、次いで、毛髪が濡れるまで、1mg/mLの濃度の、DI水中の配列番号1、配列番号8、配列番号9または配列番号10に対応するペプチドの溶液を毛髪に付与し、毛髪を室温で30分間静置した。次いで、毛髪を穏やかに直線形状に引っ張りながら、中程度の熱の下で毛髪をドライヤーで乾燥させた。次いで、400°Fで毛髪にフラットアイロンをかけた。
【0135】
全ての毛髪試料について、次いで、毛髪が濡れるまで、過酸化水素の溶液(2%v/v)を毛髪に付与し、毛髪を室温で30分間静置させた。次いで、毛髪をDI水ですすいだ。
【0136】
まっすぐにされた毛髪をシャンプーで洗浄し、風乾させた。特別注文の装置を使用して、処理された毛髪試料の切断力を測定した。個々の毛髪を13センチメートル長の切片に切断した。各末端から1センチメートルで、毛髪の両端をテープで巻いた。次いで、グリップがテープで巻かれた毛髪の末端と揃うように、1センチメートル長のグリップで2つのクランプ(上=固定、下=可動)の間に毛髪を垂直位置に保持した。下部クランプに対して力を徐々に加え、切断時の力を記録した。各処理群に対して、10の複製物を収集した。
【0137】
次いで、各毛髪試料をシャンプーでさらに9回洗浄し、風乾させた。次いで、各試料に対して10の複製物を使用して、これらのさらなる洗浄後に各毛髪試料の切断力を再測定した。
[実施例9]
実施例9:シャンプー洗浄後の毛髪中のペプチド保持の測定
【0138】
500μLのDI水の別々の溶液に、1mgの配列番号1および2~17に対応するペプチドの1つを添加した。次いで、1mLのDI水中の84mgの重炭酸ナトリウムの溶液を調製し、12μLのこの溶液を各ペプチド溶液に添加した。コンジュゲーションの直前に、5mgのAlexa Fluor 647 NHSエステル(Thermo Fisher Scientific)色素分子を500μLのDMSOに溶解し、15μLのこの溶液を各ペプチド溶液に添加した。色素を添加した後、溶液を4°C、暗所で16時間インキュベートした。非結合色素分子の除去は、溶出剤としてDI水を使用するPD MiniTrap G-10カラム(Cytiva)を使用して行った。色素が標識されたペプチドを含有する画分をプールし、1mg/mLの最終ペプチド濃度に希釈した。
【0139】
次いで、ペプチドによる処理の間、毛髪が配列番号1および2~17に対応する単一の色素標識されたペプチドで処理されたことを除いて、実施例8に従って毛髪試料を処理した。条件の各セットについて、3つの別々の縮毛矯正プロトコルを実施した。
【0140】
Cy5フィルターセットを使用してEVOS M7000 Imaging System(Thermo Fisher Scientific)で、蛍光画像を収集した。0.0023の光強度で0.1秒の露光時間を使用して、画像を収集した。蛍光測定後、次いで、毛髪試料をシャンプーでさらに9回洗浄し、タオルで乾燥させ、再び蛍光画像化した。
【0141】
画像ファイルは、ImageJソフトウェアを使用して16ビットのグレースケール画像として処理された。毛髪の房を含まない領域からバックグラウンド強度を除去するために、まず、497強度単位のより低い閾値を各画像に適用した。次いで、(蛍光標識されたペプチドを含有する毛髪の房に対応する)残りの領域における蛍光強度の平均および標準偏差を直接計算した。
【0142】
バージンヘア(図9a)および脱色された毛髪(図9b)において1回のシャンプーと10回のシャンプーとの間で統計的に有意な蛍光強度の減少がないことによって示されるように、シャンプー洗浄に対する強い抵抗性を示したペプチドの分析により、これらのペプチドのほとんどすべてが配列番号1と比較してQ13C置換を有することが明らかにされた。実際、この置換を有するペプチドは、10回のシャンプー洗浄後に、毛髪からの有意により小さなパーセンテージ喪失を示した(図9c)。さらに、配列番号4、11、12および13はすべて、配列番号1と比較してQ13C置換を有し、共通の部位における他のシステイン置換の数(それぞれ、3、2、1および0個のさらなるシステイン置換)のみ配列が異なる。しかしながら、配列番号4および11で処理された毛髪のみが、1回のシャンプーと10回のシャンプーとの間で蛍光強度の統計学的に有意な減少を示さない。配列番号14、15および16は、前者の配列が後者のそれぞれの配列中に見られるQ13C置換を欠いている点で、それぞれ、配列番号6、7および8と異なる。後者のペプチドの全てで処理された毛髪は、1回のシャンプーと10回のシャンプーとの間で蛍光強度の統計学的に有意な減少を示さなかったが、配列番号14および16は有意な減少を示し、シャンプー洗浄中にペプチドが毛髪から除去されないように毛髪への強い結合を促進する上での配列番号1と比較したQ13C置換の役割の理論を一般的に裏付けている。それにもかかわらず、(配列番号1)と比較して10個のシステイン置換を含有する)配列番号15などの、Q13C置換を欠くいくつかのペプチドも、10回のシャンプーを通じて毛髪中に強い保持を示した。同様に、Q3Cおよび/またはQ8C置換を有するペプチドも、繰り返されたシャンプーに対する抵抗性、したがって毛髪への強い結合を示した。
[実施例10]
実施例10:シャンプー洗浄後のペプチドのライブラリーについての毛髪中の保持の測定
【0143】
ブラジリアンヘアの1gの試料を70%エタノールで洗浄し、20mLの2:1クロロホルム:メタノール(v/v)溶液中、室温で16時間インキュベートして、毛髪から脂質を除去した。次いで、毛髪をDI水で十分にすすいで、8M尿素および10%2-メルカプトエタノール(v/v)を含有する100mMTris緩衝液pH8.0の20mL溶液に添加した。この混合物中で毛髪を50°Cで5日間インキュベートし、その後、混合物をろ過した。各交換の間に少なくとも3時間を有する8回の交換を用いて、4°CでDI水に対してろ液を透析した。4°Cで30分間、10,000xgで、混合物を遠心分離し、上清を収集し、上清中のケラチンタンパク質の濃度をBCAタンパク質アッセイ(Thermo Fisher Scientific)を用いて測定した。
【0144】
ケラチン混合物を5mg/mLの濃度に希釈し、1mLのこの溶液に、1mLのDI水中の84mgの炭酸水素ナトリウムの60μLの溶液を添加した。コンジュゲーションの直前に、1mgのAlexa Fluor 647 NHSエステル(Thermo Fisher Scientific)色素分子を100μLのDMSOに溶解し、81μLのこの溶液をケラチン溶液に添加した。色素を添加した後、溶液を4°C、暗所で16時間インキュベートした。非結合色素分子の除去は、溶出剤としてDI水を使用するPD MiniTrap G-10カラム(Cytiva)を使用して行った。色素標識されたケラチンタンパク質を含有する画分をプールした。
【0145】
配列番号1に対して1~12のシステイン置換および0~4のアラニン置換を含有する、配列番号18~109に対応する92個のペプチドの各々の4mgの試料を1mLのDI水に溶解した。次いで、将来の実験で3つの複製物を得ることができるように、3つの別々のNunc Covalink NH96ウェルプレート(Thermo Fisher Scientific)中の単一ウェルに各溶液の50μLの試料が添加され、ウェルは遊離アミンで官能化されている。次いで、5.52mgのN-ヒドロキシスルホスクシンイミドを15mLのDI水に溶解し、50μLのこの溶液を各ウェルに添加した。次いで、18.45mgのN-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩を15mLのDI水に溶解し、50μLのこの溶液を各ウェルに添加した。ウェルプレートを室温で2時間インキュベートした。次いで、最終洗浄のために15分間のインキュベーション時間を使用して、各ウェルをDI水で5回洗浄した。
【0146】
AlexaFluor 647で標識されたケラチンタンパク質を水酸化ナトリウムpH10で0.2mg/mLの濃度に希釈し、80μLのこの溶液を各ウェルに添加した。ウェルプレートを37°Cで1時間インキュベートした。次いで、最終洗浄のために15分間のインキュベーション時間を使用して、各ウェルをDI水で5回洗浄した。次いで、シャンプーの10%溶液とともにウェルを室温で5分間インキュベートし、DI水で3回洗浄し、暗所で風乾させた。
【0147】
Cy5フィルターセットを使用してEVOS M7000 Imaging System(Thermo Fisher Scientific)で、3つの複製ウェルプレート中の各ウェルについて蛍光画像を収集した。0.15の光強度で0.1秒の露光時間を使用して、画像を収集した。蛍光測定後、10%シャンプー中、室温で5分間のインキュベーションの9回のさらなるサイクルにウェルを供した。次いで、ウェルをDI水で3回洗浄し、暗所で風乾し、再び蛍光画像化した。
結果の分析は、Q13CまたはH6C置換のいずれかを有するペプチドが、これらの置換を有さないペプチドよりも繰り返されたシャンプー洗浄に対して有意により強い結合を示すことを実証した(図10a)。Q13C置換と少なくとも1つのさらなるシステイン置換の両方を含有するペプチドは、シャンプー洗浄に対する抵抗性の統計的に有意な改善を示した(図10b)。同様に、H6C置換と少なくとも1つのさらなるシステイン置換を含有するペプチドは、シャンプー洗浄に対する抵抗性の統計的に有意な改善を示した(図10c)。しかしながら、Q13C置換もH6C置換も含まないが、3またはそれを超えるシステイン置換を含有するペプチドは、3つ未満のシステイン置換を有するペプチドまたはQ13Cおよび/もしくはH6C置換のみを有するペプチドよりも、繰り返されたシャンプー洗浄に対する有意に大きい抵抗性を示した(図10d)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6-1】
図6-2】
図7-1】
図7-2】
図7-3】
図7-4】
図8-1】
図8-2】
図9-1】
図9-2】
図9-3】
図10-1】
図10-2】
図10-3】
図10-4】
図11-1】
図11-2】
図11-3】
図11-4】
【配列表】
2024503786000001.app
【国際調査報告】