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特表2024-503809曝気を用いて出力試料を準備する装置、システム、及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-29
(54)【発明の名称】曝気を用いて出力試料を準備する装置、システム、及び方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 1/20 20060101AFI20240122BHJP
   G01N 27/416 20060101ALI20240122BHJP
   C12M 1/04 20060101ALI20240122BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20240122BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20240122BHJP
   C12Q 1/24 20060101ALI20240122BHJP
【FI】
C12N1/20 A
G01N27/416 341M
C12M1/04
C12M1/00 D
C12M1/34 D
C12Q1/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540492
(86)(22)【出願日】2022-01-25
(85)【翻訳文提出日】2023-08-23
(86)【国際出願番号】 US2022070339
(87)【国際公開番号】W WO2022159989
(87)【国際公開日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】63/141,057
(32)【優先日】2021-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/212,600
(32)【優先日】2021-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518038526
【氏名又は名称】アベイルズ メディカル,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ラジャン,ニティン ケー.
(72)【発明者】
【氏名】タイス,アンドリュー エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】クノップマッハー,オレン エス.
(72)【発明者】
【氏名】ヘルゲット,メイケ
(72)【発明者】
【氏名】ラウファー,マイケル ディー.
(72)【発明者】
【氏名】パットニー,スザンヌ
(72)【発明者】
【氏名】ディーク,エステル
【テーマコード(参考)】
4B029
4B063
4B065
【Fターム(参考)】
4B029AA02
4B029AA08
4B029BB02
4B029CC01
4B029DB19
4B029DF06
4B029FA11
4B063QA18
4B063QQ06
4B065AA01X
(57)【要約】
細菌の出力試料を準備する方法、デバイス、及びシステムが開示される。一態様では、細菌を含む試料のアリコートを試料容器内に導入することであって、試料容器内の試料のアリコートは、基準センサ及び能動センサと流体連通する含有試料である、導入することを含む方法が開示される。方法は、含有試料をインキュベートし、含有試料の7.0μL/秒/mL~含有試料の10.0μL/秒/mLの流量で含有試料を曝気することも含む。方法は、基準センサ及び能動センサに電気的に結合されたリーダを使用して、含有試料のORPの変化をモニタすることと、含有試料内の細菌の濃度が所望若しくは標的濃度に又は許容可能な誤差マージン内で所望若しくは標的濃度に達したと判断された場合、含有試料を冷却することとを更に含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所望若しくは標的濃度又は前記所望若しくは標的濃度の許容可能な誤差マージン内の細菌の試料を準備する方法であって、
前記細菌を含む試料のアリコートを試料容器内に導入することであって、前記試料容器内の前記試料の前記アリコートは、基準センサ及び能動センサと流体連通する含有試料である、導入することと、
前記含有試料をインキュベート及び曝気することであって、前記含有試料は、前記含有試料の7.0マイクロリットル(μL)/秒/ミリメートル(mL)~前記含有試料の10.0μL/秒/mLの流量で曝気される、インキュベート及び曝気することと、
前記基準センサ及び前記能動センサに電気的に結合されたリーダを使用して前記含有試料の酸化還元電位(ORP)の変化をモニタすることと、
前記含有試料内の前記細菌の濃度が前記所望若しくは標的濃度に又は許容可能な誤差マージン内で前記所望若しくは標的濃度に達したと判断された場合、前記含有試料を冷却することと、
を含む方法。
【請求項2】
データベースから種非依存ルックアップテーブル(LUT)を検索することを更に含み、前記種非依存LUTは、種非依存細菌濃度と関連付けられた種非依存ORP変化量を含み、前記種非依存LUTは、基準細菌試料の各々の7.0μL/秒/mL~前記基準細菌試料の各々の10.0μL/秒/mLの流量でインキュベート及び曝気された複数の前記基準細菌試料を使用して測定されたORP変化量及び細菌濃度を含む複数の成分LUTから生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記種非依存ORP変化量の1つが、前記所望若しくは標的濃度に等しい前記種非依存細菌濃度の1つと関連付けられる場合、前記所望若しくは標的濃度に等しい前記種非依存細菌濃度の1つと関連付けられた前記種非依存ORP変化量の1つを閾値ORP変化量として選択することと、
前記リーダによりモニタされる前記含有試料の前記ORPの前記変化が前記閾値ORP変化量に達した場合、前記含有試料内の前記細菌の前記濃度が前記所望若しくは標的濃度に又は許容可能な誤差マージン内で前記所望若しくは標的濃度に達したと判断することと、
を更に含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記種非依存LUTは、第1のLUT、第2のLUT、及び第3のLUTを含む少なくとも3つの成分LUTから生成され、前記第1のLUT、前記第2のLUT、及び前記第3のLUTの各々は種固有LUTであるか又は系統固有LUTであり、前記第1のLUT、前記第2のLUT、及び前記第3のLUTは、第1の基準細菌試料、第2の基準細菌試料、及び第3の基準細菌試料で行われたORP測定値及び細菌濃度測定値をそれぞれ使用して生成され、前記第1の基準細菌試料は第1の種の細菌を含み、前記第2の基準細菌試料は前記第1の種と異なる第2の種の細菌を含み、前記第3の基準細菌試料は、前記第2の種及び前記第1の種と異なる第3の種の細菌を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記系統固有LUTの各々は、
ある期間にわたり少なくとも1つの基準細菌試料の前記ORPの変化をモニタすることと、
前記同じ期間にわたり前記少なくとも1つの基準細菌試料の光学密度(OD)測定を定期的に行うことと、
変換係数を使用して前記OD測定の結果を基準試料細菌濃度に変換することと、
前記基準試料細菌濃度を前記少なくとも1つの基準細菌試料の前記ORPの前記変化と関連付けることと、
を行うことにより生成される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
以下の式:
【数1】
を使用して、前記含有試料が前記所望若しくは標的濃度(Ntarget)の細菌に達するために必要な時間量を表す標的濃度までの時間(ttarget)を計算することであって、式中、Ntargetは前記種非依存LUTに含まれず、Nは前記種非依存LUTに含まれる種非依存細菌濃度であり、tは、前記含有試料の前記ORPが、前記種非依存LUTからのNと関連付けられた種非依存ORP変化量(ΔORP)だけ変化するために必要な時間を表し、tは前記含有試料に対して前記リーダにより行われるリアルタイムORPモニタリングから特定され、tdoubling_averageは平均細菌倍増時間である、計算することと、
経過時間が前記標的濃度までの時間に等しい場合、前記含有試料内の前記細菌の前記濃度が前記所望若しくは標的濃度に又は許容可能な誤差マージン内で前記所望若しくは標的濃度に達したと判断することと、
を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
以下の式:
【数2】
を使用して、前記含有試料が前記所望若しくは標的濃度(Ntarget)の細菌に達するために必要な時間量を表す標的濃度までの時間(ttarget)を計算することであって、式中、Ntarget及びNは両方とも前記種非依存LUTに含まれ、NtargetはNよりも大きく(Ntarget>N)、tは、前記含有試料の前記ORPが、前記種非依存LUTからのNと関連付けられた種非依存ORP変化量(ΔORP)だけ変化するために必要な時間を表し、tは前記含有試料に対して前記リーダにより行われるリアルタイムORPモニタリングから特定され、tdoubling_averageは平均細菌倍増時間である、計算することと、
経過時間が前記標的濃度までの時間に等しい場合、前記含有試料内の前記細菌の前記濃度が前記所望若しくは標的濃度に又は許容可能な誤差マージン内で前記所望若しくは標的濃度に達したと判断することと、
を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記基準センサは基準電極材料及びウィックを含み、前記基準電極材料及び前記ウィックは、前記試料容器のチャンバキャビティ内の前記含有試料の少なくとも幾らかが前記ウィックにより前記基準電極材料の方向に引き込まれ、前記含有試料が前記基準電極材料と流体的に接触するように前記含有試料と流体連通し、前記能動センサは前記試料容器のチャンバ側壁の少なくとも一部分に結合され、前記能動センサの能動電極材料は、前記含有試料が前記チャンバキャビティを充填した場合、前記含有試料が前記能動電極材料と流体的に接触するように前記チャンバキャビティに面し、前記含有試料の前記ORPは、前記基準センサ及び前記能動センサが前記リーダに電気的に結合されている場合、前記能動電極材料と前記基準電極材料との間で測定される電位差に基づいて、前記リーダにより特定される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記細菌は、通性嫌気性菌又は偏性好気性菌である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記細菌はグラム陰性細菌である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記所望若しくは標的濃度の細菌の前記試料は、前記含有試料内の前記細菌の種のいかなる事前知識もなく又は前記含有試料内の前記細菌の種を前に突き止めたことがない状態で準備される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記試料は、体液及び体液から導出される細菌培養液の少なくとも一方を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記所望若しくは標的濃度は1.4×10CFU/mL~1.6×10CFU/mLである、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記含有試料は、概ね33℃~37℃のインキュベーション温度でインキュベートされる、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記許容可能な誤差マージンは±0.5log10である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記細菌を含むソース試料を希釈係数1:10~1:100で希釈して、希釈試料を生成することを更に含み、前記試料容器に導入される前記試料の前記アリコートは、前記希釈試料のアリコートである、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記含有試料は曝気サイクルに従って曝気され、前記曝気サイクルは、曝気期間の後に続く非曝気期間を含み、前記曝気期間は前記非曝気期間よりも長い、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記曝気期間は約7分~約10分であり、前記非曝気期間は約3秒~約10秒である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記含有試料は、電動ピストンポンプを使用して曝気され、前記電動ピストンポンプは前記リーダ内に収容される、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記含有試料を曝気することは、前記試料容器のベースに沿って画定される開口部を通して周囲空気を前記試料容器内に送り込むことを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
所望若しくは標的濃度又は前記所望若しくは標的濃度の許容可能な誤差マージン内の細菌の試料を準備するシステムであって、
前記細菌を含む試料のアリコートを保持するように構成された容器チャンバを含むセンサ装置であって、前記容器チャンバ内の前記試料の前記アリコートは、基準センサ及び能動センサと流体連通する含有試料である、センサ装置と、
前記センサ装置を受けるように構成されたリーダであって、前記リーダは、前記センサ装置が前記リーダ内に位置するとき、前記含有試料をインキュベート及び曝気するようにも構成され、前記含有試料は前記含有試料の7.0マイクロリットル(μL)/秒/ミリメートル(mL)~前記含有試料の10.0μL/秒/mLの流量で曝気され、前記リーダの1つ又は複数のプロセッサは、
前記リーダが前記センサ装置の前記基準センサ及び前記能動センサに電気的に結合されているとき、前記含有試料の酸化還元電位(ORP)の変化をモニタすることと、
前記含有試料内の前記細菌の濃度が前記所望若しくは標的濃度に又は許容可能な誤差マージン内で前記所望若しくは標的濃度に達したと判断された場合、前記含有試料を冷却することと、
を行うように構成される、リーダと、
を備えるシステム。
【請求項22】
前記リーダの前記1つ又は複数プロセッサは、データベースから種非依存ルックアップテーブル(LUT)を検索するように更にプログラムされ、前記種非依存LUTは、種非依存細菌濃度と関連付けられた種非依存ORP変化量を含み、前記種非依存LUTは、基準細菌試料の各々の7.0μL/秒/mL~前記基準細菌試料の各々の10.0μL/秒/mLの流量でインキュベート及び曝気された複数の前記基準細菌試料を使用して測定されたORP変化量及び細菌濃度を含む複数の成分LUTから生成される、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記リーダの前記1つ又は複数プロセッサは、
前記種非依存ORP変化量の1つが、前記所望若しくは標的濃度に等しい前記種非依存細菌濃度の1つと関連付けられる場合、前記所望若しくは標的濃度に等しい前記種非依存細菌濃度の1つと関連付けられた前記種非依存ORP変化量の1つを閾値ORP変化量として選択することと、
前記リーダによりモニタされる前記含有試料の前記ORPの前記変化が前記閾値ORP変化量に達した場合、前記含有試料内の前記細菌の前記濃度が前記所望若しくは標的濃度に又は許容可能な誤差マージン内で前記所望若しくは標的濃度に達したと判断することと、
を行うように更にプログラムされる、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記種非依存LUTは、第1のLUT、第2のLUT、及び第3のLUTを含む少なくとも3つの成分LUTから生成され、前記第1のLUT、前記第2のLUT、及び前記第3のLUTの各々は種固有LUTであるか又は系統固有LUTであり、前記第1のLUT、前記第2のLUT、及び前記第3のLUTは、第1の基準細菌試料、第2の基準細菌試料、及び第3の基準細菌試料で行われたORP測定値及び細菌濃度測定値を使用してそれぞれ生成され、前記第1の基準細菌試料は第1の種の細菌を含み、前記第2の基準細菌試料は前記第1の種と異なる第2の種の細菌を含み、前記第3の基準細菌試料は、前記第2の種及び前記第1の種と異なる第3の種の細菌を含む、請求項22に記載のシステム。
【請求項25】
前記リーダの前記1つ又は複数のプロセッサは、
ある期間にわたり少なくとも1つの基準細菌試料の前記ORPの変化をモニタすることと、
前記同じ期間にわたり前記少なくとも1つの基準細菌試料の光学密度(OD)測定を定期的に行うことと、
変換係数を使用して前記OD測定の結果を基準試料細菌濃度に変換することと、
前記基準試料細菌濃度を前記少なくとも1つの基準細菌試料の前記ORPの前記変化と関連付けることと、
を行うことにより、前記系統固有LUTの各々を生成するように更にプログラムされる、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記リーダの前記1つ又は複数のプロセッサは、
以下の式:
【数3】
を使用して、前記含有試料が前記所望若しくは標的濃度(Ntarget)の細菌に達するために必要な時間量を表す標的濃度までの時間(ttarget)を計算することであって、式中、Ntargetは前記種非依存LUTに含まれず、Nは前記種非依存LUTに含まれる種非依存細菌濃度であり、tは、前記含有試料の前記ORPが、前記種非依存LUTからのNと関連付けられた種非依存ORP変化量(ΔORP)だけ変化するために必要な時間を表し、tは前記含有試料に対して前記リーダにより行われるリアルタイムORPモニタリングから特定され、tdoubling_averageは平均細菌倍増時間である、計算することと、
経過時間が前記標的濃度までの時間に等しい場合、前記含有試料内の前記細菌の前記濃度が前記所望若しくは標的濃度に又は許容可能な誤差マージン内で前記所望若しくは標的濃度に達したと判断することと、
を行うように更にプログラムされる、請求項22に記載のシステム。
【請求項27】
前記リーダの前記1つ又は複数のプロセッサは、
以下の式:
【数4】
を使用して、前記含有試料が前記所望若しくは標的濃度(Ntarget)の細菌に達するために必要な時間量を表す標的濃度までの時間(ttarget)を計算することであって、式中、Ntarget及びNは両方とも前記種非依存LUTに含まれ、NtargetはNよりも大きく(Ntarget>N)、tは、前記含有試料の前記ORPが、前記種非依存LUTからのNと関連付けられた種非依存ORP変化量(ΔORP)だけ変化するために必要な時間を表し、tは前記含有試料に対して前記リーダにより行われるリアルタイムORPモニタリングから特定され、tdoubling_averageは平均細菌倍増時間である、計算することと、
経過時間が前記標的濃度までの時間に等しい場合、前記含有試料内の前記細菌の前記濃度が前記所望若しくは標的濃度に又は許容可能な誤差マージン内で前記所望若しくは標的濃度に達したと判断することと、
を行うように更にプログラムされる、請求項22に記載のシステム。
【請求項28】
前記基準センサは基準電極材料及び前記ウィックを含み、前記基準電極材料及び前記ウィックは、前記容器チャンバのチャンバキャビティ内の前記含有試料の少なくとも幾らかが前記ウィックにより前記基準電極材料の方向に引き込まれ、前記含有試料が前記基準電極材料と流体的に接触するように前記含有試料と流体連通し、前記能動センサは前記容器チャンバのチャンバ側壁の少なくとも一部分に結合され、前記能動センサの能動電極材料は、前記含有試料が前記チャンバキャビティを充填した場合、前記含有試料が前記能動電極材料と流体的に接触するように前記チャンバキャビティに面し、前記含有試料の前記ORPは、前記基準センサ及び前記能動センサが前記リーダに電気的に結合されている場合、前記能動電極材料と前記基準電極材料との間で測定される電位差に基づいて、前記リーダにより特定される、請求項21に記載のシステム。
【請求項29】
前記細菌は、通性嫌気性菌又は偏性好気性菌である、請求項21に記載のシステム。
【請求項30】
前記細菌はグラム陰性細菌である、請求項21に記載のシステム。
【請求項31】
前記所望若しくは標的濃度の細菌の前記試料は、前記含有試料内の前記細菌の種のいかなる事前知識もなく又は前記含有試料内の前記細菌の種を前に突き止めたことがない状態で準備される、請求項21に記載のシステム。
【請求項32】
前記試料は、体液及び体液から導出される細菌培養液の少なくとも一方を含む、請求項21に記載のシステム。
【請求項33】
前記所望若しくは標的濃度は1.4×10CFU/mL~1.6×10CFU/mLである、請求項21に記載のシステム。
【請求項34】
前記含有試料は、概ね33℃~37℃のインキュベーション温度でインキュベートされる、請求項21に記載のシステム。
【請求項35】
前記許容可能な誤差マージンは±0.5log10である、請求項21に記載のシステム。
【請求項36】
前記容器チャンバに導入される前記試料の前記アリコートは希釈試料のアリコートであり、前記希釈試料は、前記細菌を含むソース試料を希釈係数1:10~1:100で希釈して、希釈試料を生成することにより準備される、請求項21に記載のシステム。
【請求項37】
前記含有試料は曝気サイクルに従って曝気され、前記曝気サイクルは、曝気期間の後に続く非曝気期間を含み、前記曝気期間は前記非曝気期間よりも長い、請求項21に記載のシステム。
【請求項38】
前記曝気期間は約7分~約10分であり、前記非曝気期間は約3秒~約10秒である、請求項37に記載のシステム。
【請求項39】
前記含有試料は、電動ピストンポンプを使用して曝気され、前記電動ピストンポンプは前記リーダ内に収容される、請求項21に記載のシステム。
【請求項40】
前記リーダは、前記容器チャンバのベースに沿って画定された開口部を通して周囲空気を前記容器チャンバ内に送り込むことにより前記含有試料を曝気するように構成される、請求項21に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本願は、2021年1月25日付けで出願された米国特許出願第63/141,057号及び2021年6月18日付けで出願された米国特許出願第63/212,600号の優先権を主張するものであり、これらの内容は、参照により全体的に本明細書に援用される。本願は、2019年9月26日付けで公開された米国特許出願公開第2019/0293529A1号及び2021年5月6日付けで公開された米国特許出願公開第2021/0131993A1号も参照により援用する。
【0002】
技術分野
[0002] 本開示は、一般的には診断試料の準備に関し、より具体的には、ORPモニタリング及び曝気を使用して標的若しくは所望濃度(又は許容可能な誤差マージン内)の細菌の出力試料を準備する装置、システム、及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
[0003] 抗感染薬耐性細菌により生じる感染は、病院、介護施設、及び他のヘルスケア環境において医療従事者にとって大きな問題である。抗生物質に対するそのような細菌の感受性の迅速な検出は、耐性プロファイルの拡散を防ぐために極めて重要である。新たな技術(例えばマトリックス支援レーザ脱離イオン化飛行時間質量分析(MALDI-TOF MS)、高速ポリメラーゼ連鎖反応(高速PCR)等)が、陽性血液培養液等の試料中の細菌を同定するために開発されたが、大半の抗生物質感受性試験(AST)プロトコールの第1段階はなお、マクファーランド標準に合った濃度を有する出力試料又は種菌の準備が関わる。
【0004】
[0004] そのような出力試料の準備に使用される既存の方法及び器具は、コストがかかり、時間集約的であり(例えば24時間まで)、且つ労働集約的な微生物培養技法を含む。しかしながら、それらの方法は多くの場合、熟練した人員による手動解釈を必要とし、技術的又は臨床医によるエラーを受けやすい。加えて、動物又はヒトの血液を含む特定の試料は、試料の不透明度を原因として、普及している光学技法を使用して査定することが難しいことが多い。さらに、そのような光学技法は多くの場合、高価な機器を必要とする。さらに、幾つかの方法は、普遍的ルックアップテーブル(LUT)を使用して出力試料を準備することを考察しているが、普遍的LUTのみに依存する方法の一欠点は、標的濃度に達するまでの時間が、ソース試料内の細菌の増殖速度によって大きく影響を受けることである。これは、出力試料の準備にかかる時間が、ソース試料内の細菌に基づいて大きく変わり得ることを意味する。これにより、忙しい研究所設定ではそのような方法への依拠は非現実的になり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[0005] 上記制限及び制約の結果として、下流の試験への所望若しくは標的濃度の細菌の出力試料を素早く効率的に準備する改良された装置、システム、及び方法が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
概要
[0006] 開示されるのは、所望若しくは標的濃度の細菌の出力試料を準備する種々の方法、デバイス、及びシステムである。一実施形態では、所望若しくは標的濃度又は所望若しくは標的濃度の許容可能な誤差マージン(±0.5log10)内の細菌の試料を準備する方法は、細菌を含む試料のアリコートを試料容器内に導入することであって、試料容器内の試料のアリコートは、基準センサ及び能動センサと流体連通する包含試料である、導入することと、包含試料をインキュベート及び曝気することであって、包含試料は、包含試料の7.0マイクロリットル(μL)/秒/ミリメートル(mL)~包含試料の10.0μL/秒/mLの流量で曝気される、インキュベート及び曝気することと、基準センサ及び能動センサに電気的に結合されたリーダを使用して包含試料の酸化還元電位(ORP)の変化をモニタすることと、包含試料内の細菌の濃度が所望若しくは標的濃度に又は許容可能な誤差マージン内で所望若しくは標的濃度に達したと判断された場合、包含試料を冷却することとを含むことができる。
【0007】
[0007] 本方法は、データベースから種非依存ルックアップテーブル(LUT)を検索することを含むことができ、種非依存LUTは、種非依存細菌濃度と関連付けられた種非依存ORP変化量を含み、種非依存LUTは、基準細菌試料の各々の7.0μL/秒/mL~基準細菌試料の各々の10.0μL/秒/mLの流量でインキュベート及び曝気された複数の基準細菌試料を使用して測定されたORP変化量及び細菌濃度を含む複数の成分LUTから生成される。
【0008】
[0008] 本方法は、種非依存ORP変化量の1つが、所望若しくは標的濃度に等しい種非依存細菌濃度の1つと関連付けられる場合、上記所望若しくは標的濃度に等しい種非依存細菌濃度の1つと関連付けられた種非依存ORP変化量の1つを閾値ORP変化量として選択することと、リーダによりモニタされる包含試料のORPの変化が閾値ORP変化量に達した場合、包含試料内の細菌の濃度が所望若しくは標的濃度に又は許容可能な誤差マージン内で所望若しくは標的濃度に達したと判断することとを更に含むことができる。
【0009】
[0009] 種非依存LUTは、第1のLUT、第2のLUT、及び第3のLUTを含む少なくとも3つの成分LUTから生成することができ、第1のLUT、第2のLUT、及び第3のLUTの各々は種固有LUTであるか又は系統固有LUTである。第1のLUT、第2のLUT、及び第3のLUTは、第1の基準細菌試料、第2の基準細菌試料、及び第3の基準細菌試料で行われたORP測定値及び細菌濃度測定値を使用してそれぞれ生成することができる。第1の基準細菌試料は第1の種の細菌を含むことができ、第2の基準細菌試料は第1の種と異なる第2の種の細菌を含むことができ、第3の基準細菌試料は、第2の種及び第1の種と異なる第3の種の細菌を含むことができる。
【0010】
[0010] 系統固有LUTの各々は、ある期間にわたり少なくとも1つの基準細菌試料のORPの変化をモニタすることと、同じ期間にわたり少なくとも1つの基準細菌試料の光学密度(OD)測定を定期的に行うことと、変換係数を使用してOD測定の結果を基準試料細菌濃度に変換することと、基準試料細菌濃度を少なくとも1つの基準細菌試料のORPの変化と関連付けることとを行うことにより生成することができる。
【0011】
[0011] 本方法は、以下の式:
【数1】
を使用して、包含試料が所望若しくは標的濃度(Ntarget)の細菌に達するために必要な時間量を表す標的濃度までの時間(ttarget)を計算することを更に含むことができ、式中、Ntargetは種非依存LUTに含まれず、Nは種非依存LUTに含まれる種非依存細菌濃度であり、tは、包含試料のORPが、種非依存LUTからのNと関連付けられた種非依存ORP変化量(ΔORP)だけ変化するために必要な時間を表し、tは包含試料に対してリーダにより行われるリアルタイムORPモニタリングから特定され、tdoubling_averageは平均細菌倍増時間である。本方法は、経過時間が標的濃度までの時間に等しい場合、包含試料内の細菌の濃度が所望若しくは標的濃度に又は許容可能な誤差マージン内で所望若しくは標的濃度に達したと判断することを含むこともできる。
【0012】
[0012] 本方法は、以下の式:
【数2】
を使用して、包含試料が所望若しくは標的濃度(Ntarget)の細菌に達するために必要な時間量を表す標的濃度までの時間(ttarget)を計算することを更に含むことができ、式中、Ntarget及びNは両方とも種非依存LUTに含まれ、NtargetはNよりも大きく(Ntarget>N)、tは、包含試料のORPが、種非依存LUTからのNと関連付けられた種非依存ORP変化量(ΔORP)だけ変化するために必要な時間を表し、tは包含試料に対してリーダにより行われるリアルタイムORPモニタリングから特定され、tdoubling_averageは平均細菌倍増時間である。本方法は、経過時間が標的濃度までの時間に等しい場合、包含試料内の細菌の濃度が所望若しくは標的濃度に又は許容可能な誤差マージン内で所望若しくは標的濃度に達したと判断することとを含むこともできる。
【0013】
[0013] 試料は、体液及び体液から導出される細菌培養液の少なくとも一方を含むことができる。出力試料は、包含試料内の細菌の種のいかなる事前知識もなく又は包含試料内の細菌の種を前に突き止めたことがない状態で準備することができる。含有試料内の細菌は、通性嫌気性菌又は偏性好気性菌であることができる。さらに、含有試料内の細菌はグラム陰性細菌であることができる。所望若しくは標的濃度は1.4×10CFU/mL~1.6×10CFU/mLであることができる。
【0014】
[0014] 本方法は、細菌を含むソース試料を希釈係数1:10~1:100で希釈して、希釈試料を生成することを更に含むことができる。試料容器に導入される試料のアリコートは、希釈試料のアリコートであることができる。
【0015】
[0015] 基準センサは基準電極材料及びウィックを含むことができ、基準電極材料及びウィックは、試料容器のチャンバキャビティ内の包含試料の少なくとも幾らかがウィックにより基準電極材料の方向に引き込まれ、包含試料が基準電極材料と流体的に接触するように、包含試料と流体連通する。能動センサは試料容器のチャンバ側壁の少なくとも一部分に結合することができる。能動センサの能動電極材料は、包含試料がチャンバキャビティを充填した場合、包含試料が能動電極材料と流体的に接触するようにチャンバキャビティに面することができる。包含試料のORPは、基準センサ及び能動センサがリーダに電気的に結合されている場合、能動電極材料と基準電極材料との間で測定される電位差に基づいて、リーダにより特定することができる。
【0016】
[0016] 包含試料は、概ね33℃~37℃のインキュベーション温度でインキュベートすることができる。包含試料は曝気サイクルに従って曝気され得る。曝気サイクルは、曝気期間の後に続く非曝気期間を含むことができる。曝気期間は非曝気期間よりも長い期間であることができる。例えば、曝気期間は約7分~約10分であることができ、非曝気期間は約3秒~約10秒であることができる。
【0017】
[0017] 包含試料は、電動ピストンポンプを使用して曝気され得る。電動ピストンポンプはリーダ内に収容することができる。包含試料を曝気することは、試料容器のベースに沿って画定される開口部を通して周囲空気を試料容器内に送り込むことを更に含むことができる。
【0018】
[0018] 所望若しくは標的濃度又は所望若しくは標的濃度の許容可能な誤差マージン(±0.5log10)内の細菌の出力試料を準備するシステムも開示される。本システムは、細菌を含む試料のアリコートを保持するように構成された容器チャンバを含むセンサ装置であって、容器チャンバ内の試料のアリコートは、基準センサ及び能動センサと流体連通する包含試料である、センサ装置と、センサ装置を受けるように構成されたリーダであって、リーダは、センサ装置がリーダ内に位置するとき、包含試料をインキュベート及び曝気するようにも構成され、包含試料は包含試料の7.0マイクロリットル(μL)/秒/ミリメートル(mL)~包含試料の10.0μL/秒/mLの流量で曝気される、リーダとを備えることができる。リーダの1つ又は複数のプロセッサは、リーダがセンサ装置の基準センサ及び能動センサに電気的に結合されているとき、包含試料の酸化還元電位(ORP)の変化をモニタすることと、包含試料内の細菌の濃度が所望若しくは標的濃度に又は許容可能な誤差マージン内で所望若しくは標的濃度に達したと判断された場合、包含試料を冷却することとを行うように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図面の簡単な説明
図1A】[0019]ORPモニタリング及び曝気を使用して所望若しくは標的濃度(又は許容可能な誤差マージン内)の細菌の出力試料を準備するセンサ装置の一実施形態の正面図を示す。
図1B】[0020]センサ装置の一部分の断面側面図を示す。
図1C】[0021]センサ装置のチャンバ側壁に接着された能動センサの斜視拡大図を示す。
図1D】[0022]試料が充填されたセンサ装置の断面図を示す。
図2A】[0023]センサ装置内に含まれた試料のORPをモニタするのに使用することができるリーダの一実施形態を示す。
図2B】[0024]閲覧に使用するためにリーダ筐体が取り外された状態のリーダの特定の機能構成要素を示す。
図2C】[0025]リーダ内に位置するセンサ装置の部分側面断面図を示す。
図3】[0026]所望若しくは標的濃度(又は所望若しくは標的濃度の許容可能な誤差マージン内)の細菌の出力試料を準備する方法の一実施形態を示す。
図4】[0027]複数の種非依存ルックアップテーブル(LUT)から生成された種非依存LUTの一実施形態を示す。
図5】[0028]6つの系統固有LUTから生成された種非依存LUTの一実施形態を示す。
図6A】[0029]所望若しくは標的濃度(又は所望若しくは標的濃度の許容可能な誤差マージン内)の細菌の出力試料を準備する本明細書に開示される方法及びシステムの有効性を評価するために実行された41回のトライアルランからの結果を示す。
図6B】[0029]所望若しくは標的濃度(又は所望若しくは標的濃度の許容可能な誤差マージン内)の細菌の出力試料を準備する本明細書に開示される方法及びシステムの有効性を評価するために実行された41回のトライアルランからの結果を示す。
図7A】[0030]通性嫌気性菌の細菌増殖速度に対する曝気の影響を示すグラフである。
図7B】[0030]偏性好気性菌の細菌増殖速度に対する曝気の影響を示すグラフである。
図8A】[0031]曝気により、異なる種の細菌の増殖速度のばらつきを低減することができることを示す表である。
図8B】[0032]平均細菌倍増時間を複数の種固有細菌倍増時間から計算することができることを示す表である。
図9A】[0033]ある期間にわたりリーダにより測定された包含試料のORP変化を示すORP増殖曲線である。
図9B】[0034]ある期間にわたる包含試料の細菌濃度変化を示す細菌増殖曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
詳細な説明
[0035] 本明細書に開示される装置、デバイス、システム、及び方法の変形は、添付図面と併せて読まれた場合、詳細な説明から最良に理解される。一般的な実施により、図面の種々の特徴が一定の縮尺ではないことがあり得ることが強調される。逆に、明確にするために、種々の特徴の寸法は任意に拡大又は縮小され得、全ての特徴があらゆる図面で見えている又は記されているわけではない。図面は、例示目的のみで解釈され、特許請求の範囲を規定又は示されているものに限定する意図はない。
【0021】
[0036] 図1A図1Dは、酸化還元電位(ORP)モニタリング及び曝気を使用して所望若しくは標的濃度(又は許容可能な誤差マージン内)の細菌の出力試料を準備するセンサ装置100の一実施形態を示す。
【0022】
[0037] 幾つかの実施形態では、ソース試料は患者又は被験者から取得することができる。例えば、ソース試料はヒトである患者又は被験者から取得することができる。他の実施形態では、ソース試料は、ヒトではない動物の患畜又は被験物から取得することができる。
【0023】
[0038] 特定の実施形態では、ソース試料は、患者若しくは被験者から収集、抽出、若しくは他の方法で取得された体液又はそこから導出された細菌培養液を含むことができる。より具体的には、体液は血液、尿、血清、血漿、唾液、痰、精液、母乳、関節液、脳脊髄液等の脊髄液、創傷材料(wound material)、粘液、流体を伴う大便、膣分泌物、滑液、胸水、腹水、心膜液、及び羊水の少なくとも1つであることができる。
【0024】
[0039] 追加の実施形態では、ソース試料は、患者又は被験者から取得されたスワブであることができ、その場合、スワブ又はその一部分は液体細菌培養培地又は栄養培地に再懸濁する。より具体的には、スワブは創傷スワブ、直腸スワブ、又は膣スワブであることができる。
【0025】
[0040] 他の実施形態では、ソース試料は環境試料又は食品/飲料試料であることができる。例えば、ソース試料は、小川、川、湖、海、汚染現場、検疫ゾーン、緊急エリア、又はそれらの組合せから取得された環境試料を含むことができる。他の実施形態では、ソース試料は、食品調理施設、食堂、又は廃棄施設から取得された食品試料を含むことができる。
【0026】
[0041] 全てのそのような実施形態では、ソース試料は細菌を含む又は包含する可能性がある。特定の実施形態では、ソース試料は、患者試料、生体試料、環境試料、及び食品試料の少なくとも1つから導出された細菌培養液であることができる。例えば、ソース試料は、患者又は被験者から取得された体液(又はスワブ)から導出された細菌培養液又は再懸濁された細菌培養液であることができる。
【0027】
[0042] より具体的な例として、ソース試料は、細菌増殖について試験で陽性であった患者又は被験者の血液から導出された細菌培養液又は再懸濁された細菌培養液であり得る。そのようなソース試料は陽性血液培養液と呼ぶこともできる。本開示では、陽性血液培養液(又はPBC)は、細菌増殖について試験で陽性であった患者又は被験者から採取された血液から導出された細菌培養液である。例えば、患者は敗血症の症状(例えば高熱、悪寒等)を示し得、血液(例えば5mLから10mL)を患者から採取し、細菌増殖培地(例えば30mLから40mLの増殖培地)を含む商用血液培養容器又は容れ物に移すことができる。次いで、血液培養容器又は容れ物を35℃±2℃でインキュベートし、細菌を増殖させることができる。患者の血液が細菌で汚染されている場合、細菌は容器又は容れ物内で増殖する。次いで、血液培養システム又は装置を使用して、細菌増殖をモニタすることができ(容器又は容れ物内の細菌CO産生をモニタする等により)、システム及び装置は、臨界CO閾値が満たされた場合、試料が細菌増殖について「陽性」と試験されたと判断することができる。細菌のタイプ及び細菌の増殖速度に応じて、血液培養液は7時間~3日間で陽性になることができる。そのような「陽性血液培養液」は次いで、ソース試料として機能することができる。
【0028】
[0043] 以下のセクションでより詳細に開示されるように、本明細書に開示される装置、デバイス、システム、及び方法の変形は、ORPモニタリング及び曝気を使用して、ソース試料から所望若しくは標的濃度(又は許容可能な誤差マージン内)の細菌の出力試料又は標準化された種菌を準備するのに使用することができる。
【0029】
[0044] 図1Aは、センサ装置100の一実施形態の正面図を示す。センサ装置100は、容器チャンバ102と、容器チャンバ102に着脱可能に取り付け又は固定(例えばねじ留め又は圧入)された容器キャップ104とを備えた試料容器として設計又は構成することができる。
【0030】
[0045] センサ装置100は、容器チャンバ102の少なくとも一部分に固定、接着、又は他の方法で結合された能動センサ106と、容器キャップ104に一体化するか、又は容器キャップ104の一部として作製された基準センサ108とを更に備えることができる。
【0031】
[0046] 容器チャンバ102は部分的に、不活性又は非導電材料で作ることができる。幾つかの実施形態では、容器チャンバ102は、ポリマー材料、セラミック材料若しくはガラス、又はそれらの組合せを含むことができ、又は部分的にそれ(ら)で作ることができる。より具体的な例として、容器チャンバ102は、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、又はそれらの組合せを含むことができ、又は部分的にそれ(ら)で作ることができる。
【0032】
[0047] 図1Bは、センサ装置100の一部分の断面側面図を示す。見やすくするために、基準センサ108の基準電極材料132及びウィック構成要素134(例えば図1D参照)は図1Bに示されていない。
【0033】
[0048] 図1Bは、含有試料113(例えば図1D参照)を受けて保持するように構成されたチャンバキャビティ112を囲むチャンバ側壁110を備えることができる。含有試料113は、濾過及び/又は希釈され、容器チャンバ102(例えば図3参照)のチャンバキャビティ112内に導入されたソース試料のアリコートを指すことができる。
【0034】
[0049] 図1Bに示されるように、能動センサ106は、容器チャンバ102のチャンバ側壁110に固定、接着、又は他の方法で結合することができる。図示されていない他の実施形態では、能動センサ106は、容器チャンバ102の下部に結合又は下部に沿って他の方法で位置することができる。
【0035】
[0050] 能動センサ106は、チャンバ側壁110に沿って画定される窓開口部114においてチャンバ側壁110の少なくとも一部分に結合することができる。チャンバ側壁110は、窓開口部114を囲む溝部116を備えることができる。溝部116は、チャンバ側壁110の外側に沿って画定することができる。
【0036】
[0051] 能動センサ106の配置に関して、能動センサ106は、図1B及び図1Cに見られるように、能動センサ106の部分がチャンバキャビティ112内に延在しないように構成することができる。能動センサ106は、能動電極層118又は能動電極材料で部分的に覆われる導電性基板で作ることができる。能動センサ106の能動電極層118はチャンバキャビティ112に面して、窓開口部114を囲むチャンバ側壁110の少なくとも一部分を通してチャンバキャビティ112内の含有試料113を能動電極層118と流体的に接触させることができる。
【0037】
[0052] 図1Cは、チャンバ側壁110に接着された能動センサ106の斜視拡大図を示す。図1Cに示される実施形態では、能動センサ106はチャンバ側壁110の溝部116に接着される。能動センサ106の能動電極層118の少なくとも一部分は、窓開口部114を覆う能動電極層118のこの部分が、容器チャンバ102のチャンバキャビティ112と流体連通するように位置するよう、チャンバ側壁110に沿って画定された窓開口部114を覆うことができる。容器チャンバ102が含有試料113で充填されると(例えば図1D参照)、含有試料113は、窓開口部114を覆う能動電極層118の部分と流体的に接触することができる。
【0038】
[0053] 幾つかの実施形態では、チャンバキャビティ112のキャビティ容積は約0.8mL~約1.2mLであることができる。より具体的な例として、チャンバキャビティ112は約1.0mLであることができる。他の実施形態では、チャンバキャビティ112のキャビティ容積は1.2mL超であることができる。
【0039】
[0054] 図1Cは、能動センサ106が接着剤120により覆われた側部を有することができることも示す。能動センサ106は複数の層を含むことができるため、接着剤120は、能動センサ106の特定の層を含有試料113との望ましくない接触から保護することができる。接着剤120は、含有試料113が能動センサ106の側部122に接触しないようにするバリアとして作用することができる。図示されていないが、本開示により企図される他の実施形態では、チャンバ側壁110の溝部116は、能動センサ106が溝部116内に密に嵌まり、溝部116の壁が能動センサ106の側部122に隣接又は側部122と境を接するようなサイズであることができる。これは、能動電極層118の露出部分のみが含有試料113に接触し、含有試料113の溶液特性(例えばORP及びpH)のより正確な測定に繋がることを保証することができる。
【0040】
[0055] 能動センサ106を容器チャンバ102に接着させるために、接着剤120のビードを溝部116の内側レッジ124及び/又はサイドボーダー126に適用することができ、次いで、ピックアンドプレース機のエンドエフェクタを用いて能動センサ106を溝部116内に圧入することができる。能動センサ106は、能動センサ106の外向き面がチャンバ側壁110の外面と同じ平面になるまで、溝部116内に圧入又は他の方法で促されることができる。
【0041】
[0056] 次いで接着剤120が硬化して、能動センサ106を定位置に固定することができる。幾つかの実施形態では、接着剤120は医療等級UV硬化接着剤であることができる。例えば、接着剤120はDymax(登録商標)1405M-T-UR-SC接着剤(概ね405nmの波長のLED光を使用して硬化可能)であることができる。他の実施形態では、接着剤120は任意の低アウトガス医療等級接着剤であることができる。
【0042】
[0057] 上述したように、能動センサ106は、能動電極層118又は能動電極材料で部分的に覆われる導電性基板で作ることができる。能動センサ106は、能動電極層118がチャンバキャビティ112に面して、窓開口部114を囲むチャンバ側壁110の少なくとも一部分を通してチャンバキャビティ112内の試料を能動電極層118と流体的に接触させるように位置することができる。この実施形態では、能動センサ106(能動電極層118を含む)は、チャンバ側壁110の内部に面した又はキャビティに面した側から径方向外側に位置し、能動センサ106の側部122は含有試料113に露出されない。
【0043】
[0058] 容器チャンバ102が含有試料113で充填されると、センサ装置100に通信可能に結合されたリーダ200(例えば図2A図2C参照)により、含有試料113の酸化還元電位(ORP)を測定又はモニタすることができる。これらの実施形態では、能動電極層118はレドックス感受性材料であることができる。例えば、レドックス感受性材料は、白金(Pt)、金(Au)、レドックス感受性金属酸化物のいずれか、又はそれらの組合せであるか、又はそれ(ら)を含むことができる。より具体的には、レドックス感受性材料は、二酸化ケイ素(SiO)、酸化アルミニウム(Al)、二酸化チタン(TiO)、五酸化タンタル(Ta)、二酸化ハフニウム(HfO)、二酸化イリジウム(IrO)、二酸化ルテニウム(RuO)、二酸化ジルコニウム(ZrO)、又はそれらの組合せであることができ、又はそれ(ら)を含むことができる。
【0044】
[0059] 他の実施形態では、含有試料113のpHもリーダ200により測定又はモニタすることができる。含有試料113の測定又はモニタされる溶液特性がpHである場合、能動電極層118はpH感受性材料であることができる。例えば、pH感受性材料は、二酸化ケイ素(SiO)、酸化アルミニウム(Al)、二酸化チタン(TiO)、酸化/五酸化タンタル(Ta)、二酸化ハフニウム(HfO)、二酸化イリジウム(IrO)、二酸化ルテニウム(RuO)、二酸化ジルコニウム(ZrO)、又はそれらの組合せであることができ、又はそれ(ら)を含むことができる。
【0045】
[0060] 図示されていないが、センサ装置100が、含有試料113のpH及びORPの両方が同時に測定されるように設計することができることが本開示により企図される。例えば、センサ装置100の容器チャンバ102は、容器チャンバ102のチャンバ側壁110に沿って画定された複数の窓開口部114を備えることができる。これらの窓開口部114の各々は次いで、異なる能動センサ106で覆うことができる(例えば、ある窓開口部114は、レドックス感受性材料で作られた能動電極層118を有する能動センサ106で覆うことができ、別の窓開口部114は、pH感受性材料で作られた能動電極層118を有する能動センサ106で覆うことができる)。
【0046】
[0061] センサ装置100は装置高さを有することができる。幾つかの実施形態では、装置高さは約20.0mmから約50.0mmであることができる。他の実施形態では、装置高さは約25.0mmから約35.0mmであることができる。例えば、装置高さは約31.3mmであることができる。
【0047】
[0062] 図1Dは、基準センサ108が容器キャップ104として作製されてもよく又は容器キャップ104の一部に一体化されてもよいことを示す。基準センサ108は、基準導管キャビティ130(図1B参照)を含む基準導管128を含むことができる。基準導管キャビティ130は、基準導管キャビティ130の両端部に第1及び第2の開口部を有することができる。基準導管128は、容器チャンバ102のチャンバキャビティ112内に延在するように構成された長尺状チャネル又は通路であることができる。
【0048】
[0063] 基準センサ108は、チャンバキャビティ112と流体連通する基準電極材料132及びウィック又はウィック構成要素134を備えることもできる。基準導管キャビティ130はウィック構成要素134を収容することができる。含有試料113の少なくとも幾らかは、ウィック構成要素134により基準電極材料132の方向に引き上げることができる。
【0049】
[0064] 基準導管128は、基準導管キャビティ130の容積が基準導管基端部136から基準導管先端部138に向かってテーパするか、又は狭まるようにテーパすることができる(図1B参照)。ウィック構成要素134の形状は、基準導管キャビティ130の形状に合致又は適合することができる。ウィック構成要素134は、ウィック構成要素134の形状がウィック基端部140からウィック先端部142に向かってテーパするか、又は狭まるように構成することができる。
【0050】
[0065] ウィック構成要素134は、基準導管キャビティ130の長さを通して延在することができる。幾つかの実施形態では、ウィック構成要素134は基準導管キャビティ130内の空間の全てを充填又は占有することができる。他の実施形態では、ウィック構成要素134は、基準導管キャビティ130内の空間の一部を充填又は占有することができる。
【0051】
[0066] ウィック構成要素134の少なくとも一部分は、容器チャンバ102が含有試料113で充填されると、容器チャンバ102内の含有試料113の少なくとも幾らかがウィック先端部142の少なくとも一部分により、ウィック基端部140の方向に引き上げられ、吸収され、又は他の方法で吸い出されるように、容器チャンバ102のチャンバキャビティ112と流体連通することができる。ウィック構成要素134は、含有試料113を毛細管現象により基準電極材料132に向けて引き上げるポリマー材料で作ることができる。
【0052】
[0067] 幾つかの実施形態では、ウィック先端部142の少なくとも一部分は、ウィック先端部142が容器チャンバ102のチャンバキャビティ112内に突出又は延出するように、基準導管先端部138を越えて延出することができる。これらの実施形態では、ウィック先端部142は、容器チャンバ102が含有試料113で充填されたとき、含有試料113内に延出又は突出することができる。
【0053】
[0068] 他の実施形態では、ウィック先端部142は、ウィック先端部142が容器チャンバ102のチャンバキャビティ112内に突出又は延出しないように、基準導管先端部138の近傍又は上方に位置する。これらの実施形態では、ウィック先端部142はなお、容器チャンバ102と流体連通することができ、含有試料113はなお、毛管作用により又は容器チャンバ102を摂動若しくは振ることにより基準導管128内に引き上げられることで、ウィック先端部142に達するか、又は接触することができる。
【0054】
[0069] 上述したように、ウィック構成要素134は部分的に多孔性材料で作ることができる。ウィック構成要素134は部分的に、15μmから約150μmのサイズ(例えば約50μmのサイズ)の孔を有する材料で作ることができる。幾つかの実施形態では、ウィック構成要素134は部分的にポリマー材料で作ることができる。より具体的な例として、ウィック構成要素134は部分的に、15μmから約150μmのサイズの孔を有する多孔性ポリマー材料で作ることができる。一実施形態では、ウィック構成要素134は部分的に、高密度ポリエチレン(HDPE)で作ることができる。例えば、ウィック構成要素134は部分的に、約50μmのサイズの孔を有するHDPEで作ることができる。他の実施形態では、ウィック構成要素134は部分的に天然繊維で作ることができる。例えば、ウィック構成要素134は部分的に、セルロース繊維、パルプ、紙、綿、又はそれらの組合せで作ることができる。
【0055】
[0070] ウィック構成要素134は、ウィック構成要素134の少なくとも表面が界面活性剤によって覆われるように、界面活性剤によって処理することもできる。幾つかの実施形態では、ウィック構成要素134は、基準導管キャビティ130に導入される前、界面活性剤で飽和又は界面活性剤を含む溶液に浸漬することができる。界面活性剤は、ウィック構成要素134の親水性を上げる(即ち、ウィック構成要素134の実質的に疎水性表面をより親水性にするために)ように構成することができる。幾つかの実施形態では、界面活性剤はフッ素系界面活性剤であることができる。他の実施形態では、界面活性剤は、1つ又は複数のポロクサマー等の非イオン系界面活性剤であることができる。より具体的な例として、界面活性剤はPluronic(登録商標)F-68を含むことができる。
【0056】
[0071] 一実施形態では、基準導管128は実質的に、基準導管キャビティ130を有する円錐形又は円錐台形としての形状を有することができ、基準導管キャビティ130も実質的に円錐形又は円錐台形としての形状を有する。他の実施形態では、基準導管128は実質的に、多角形ベースを有する長尺状ピラミッドとしての形状を有することができる。例えば、基準導管128は実質的に、長尺状三角形ピラミッド、正方形ピラミッド、又は五角形ピラミッドとしての形状を有することができる。追加の実施形態では、基準導管128は実質的に、実質的に円筒形の基準導管キャビティ130を有する円筒形としての形状を有することができる。これらの実施形態では、基準導管128はテーパ形基準導管先端部138(例えば図1B参照)を有することができる。
【0057】
[0072] 図1Dに示されるように、ウィック構成要素134の少なくとも一部分は、容器チャンバ102内の含有試料113と流体的に接触することができる。含有試料113の少なくとも幾らかは、ウィック基端部140の方向にウィック構成要素134により吸い上げることができる。基準電極材料132はウィック基端部140に配設することができる。
【0058】
[0073] 図1Dは、能動電極層118の少なくとも一部分が容器チャンバ102内の含有試料113と流体的に接触することができることも示す。ウィック構成要素134が含有試料113を引き上げるか、又は吸い上げると、含有試料113は基準電極材料132に達することができ、含有試料113内の電荷キャリアは、基準センサ108の基準電極材料132と能動センサ106の能動電極層118との間に電気接続を確立することができる。基準センサ108及び能動センサ106が両方ともリーダ200(例えば図2A図2C参照)に電気的に結合されると、リーダ200を使用して、含有試料113の溶液特性(例えばORP又はpH)を測定することができる。
【0059】
[0074] 含有試料113の溶液特性(例えばORP又はpH)は、基準センサ108及び能動センサ106がリーダ200に電気的に接続されているとき、能動センサ106と基準センサ108との間で測定される電位差に基づいて特定することができる。例えば、基準センサ108は、基準電極材料132及び能動電極層118が両方とも容器チャンバ102内の含有試料113と流体的に接触しているとき、能動センサ106と比べて安定したhalf-cell電位を提供することができる。
【0060】
[0075] 幾つかの実施形態では、基準電極材料132は、ウィック基端部140に塗布又は分注された導電性インクであることができる。ウィック基端部140に塗布又は分注された導電性インクは、硬化により固化することができる。より具体的には、導電性インクは銀-塩化銀(Ag-AgCl)インクであることができる。
【0061】
[0076] 基準電極材料132の少なくとも一部分は、ウィック構成要素134に結合することができる。例えば、基準電極材料132は、ウィック基端部140に位置する硬化され固化された塊であることができる。特定の実施形態では、基準電極材料132は容器キャップ104の中央に位置することができる。幾つかの実施形態では、基準電極材料132の少なくとも一部分は、容器キャップ104を越えて突出又は延出することができる。
【0062】
[0077] 本明細書に開示されるウィック構成要素134の一利点は、ウィック構成要素134が試料を引き上げることができ、含有試料113が毛細管現象によりウィック構成要素134の孔を通って基準電極材料132に向かって進むことができることである。例えば、含有試料113はウィック基端部140に吸い上げられることができ、ウィック基端部140において基準電極材料132と流体的に接触する。基準電極材料132が銀-塩化銀(Ag-AgCl)等の材料で作られる場合、ウィック構成要素134は、ウィック構成要素134がなければ容器チャンバ102内の含有試料113内に自由に拡散してしまう銀イオン(Ag)に対するバリア又は妨害物として作用することができる。そのような銀イオンは、含有試料113内の細菌にとって有害であり得、又は細菌の増殖に他の方法で影響を及ぼし得る。ウィック構成要素134は、含有試料113への有害な銀イオンの拡散を遅くするか又は失速させることにより、そのようなイオンへのバリア又は妨害物として作用することができる。本明細書に開示される寸法及び形状を有するウィック構成要素134は、そのような有害なイオンの拡散を遅くするか又は失速させることにおいて有効であることができる。
【0063】
[0078] 基準センサ108が容器キャップ104として実施される場合、容器キャップ104は、キャップ幅(又は直径)及びキャップ高さにより画定される寸法を有することができる。幾つかの実施形態では、ギャップ幅は約10.0mmから約20.0mmであることができる。例えば、キャップ幅は約15.7mmであることができる。幾つかの実施形態では、キャップ高さは約5.0mmから約20.0mmであることができる。例えば、キャップ高さは約10.5mmであることができる。容器キャップ104が容器チャンバ102に締め付けられ、固定され、又は他の方法で結合された場合、センサ装置100は、容器チャンバ102の下部から容器キャップ104のキャップ上部144まで測定される装置高さを有することができる。
【0064】
[0079] ウィック構成要素134は、ウィック基端部140からウィック先端部まで測定されるウィック高さを有することができる。幾つかの実施形態では、ウィック高さは約10.0mmから約20.0mmであることができる。より具体的には、ウィック高さは約14.0mmから約15.0mmであることができる。例えば、ウィック高さは約14.8mmであることができる。
【0065】
[0080] 図1Dに示されるように、基準電極材料132は少なくとも部分的に、ウィック構成要素134の上方で容器キャップ104の中央の窪み、降下、又は凹領域内に位置又は配設することができる。基準センサ108が硬化又は固化した導電性インク又は溶液(例えばAg-AgClインク)である場合、窪み、降下、又は凹領域は、硬化する液体インク又は溶液を受ける空間として作用することができる。
【0066】
[0081] 幾つかの実施形態では、基準電極材料132は基準電極高さ及び基準電極幅を有することができる。基準電極高さは約0.2mm~1.0mmであることができる。例えば、基準電極高さは約0.4mmであることができる。基準電極幅は約2.0mmから約5.0mmであることができる。例えば、基準電極幅は約3.0mmであることができる。本明細書に開示される基準センサ108の一利点は、基準センサ108が10時間の試験又は動作まで、安定した基準電極として作用することができ、又は安定した基準電位を提供することができることである。
【0067】
[0082] 図1Dは、センサ装置100が容器チャンバ102の下側に沿って画定される曝気口146又は開口部を備えることができることも示す。図示されていない他の実施形態では、曝気口146は容器チャンバ102のチャンバ側壁110に沿って画定することができる。
【0068】
[0083] 曝気口146は第1のガス透過性膜148により覆うことができる。曝気口146及び第1のガス透過性膜は、ガス150が容器チャンバ102に入ることができるよう構成することができる。
【0069】
[0084] 幾つかの実施形態では、ガス150は周囲空気(例えば、研究所、臨床設定、又は試験施設内の空気)であることができる。他の実施形態では、ガス150は、加圧酸素、二酸化炭素、窒素、及びアルゴンの組合せを含むことができる。試料の曝気は、酸素が豊富な環境を容器チャンバ102内に提供することにより、含有試料113内の細菌集団の増殖を加速させることができる。
【0070】
[0085] 図示されていない代替の実施形態では、曝気口146は、容器キャップ104のキャップ上部144に沿って画定することができ、ガス150は、容器チャンバ102の上部から容器チャンバ102内に送り込むことができる。
【0071】
[0086] ガス150(例えば周囲空気)は、電動ピストンポンプ、シリンジポンプ、又はリーダ200内に一体化された別のタイプのポンプ/マイクロポンプデバイスにより、容器チャンバ102に送り込むすることができる。ガス150(例えば周囲空気)は、含有試料113の7.0マイクロリットル(μL)/秒/ミリリットル(mL)~含有試料113の10.0μL/秒/mLの流量で曝気口146及び第1のガス透過性膜148を通して容器チャンバ102内に送り込む又は他の方法で向けられることができる。より具体的な例として、ガス150(例えば周囲空気)は、含有試料113の8.8μL/秒/mLの流量で曝気口146及び第1のガス透過性膜148を通して容器チャンバ102内に送り込む又は他の方法で向けられることができる。幾つかの実施形態では、ガス150(例えば周囲空気)は、特定のデューティサイクル又は間隔で曝気口146及び第1のガス透過性膜148を通して容器チャンバ102内に送り込む又は他の方法で向けられることができる。
【0072】
[0087] 特定の実施形態では、第2のガス透過性膜152が、容器キャップ104の下側の少なくとも一部分を覆うことができる。第2のガス透過性膜152は、容器チャンバ102内の任意の液体が容器チャンバ102からこぼれないようにもしながら、容器チャンバ102内に送り込む又は他の方法で導入された任意のガス150を容器チャンバ102から出せるようにすることができる。
【0073】
[0088] 幾つかの実施形態では、第1のガス透過性膜148及び第2のガス透過性膜152は同じ材料で作ることができる。第1のガス透過性膜148及び第2のガス透過性膜152は、疎水性ガス透過性膜又は薄いシートで作ることができる。例えば、第1のガス透過性膜148及び第2のガス透過性膜152は両方とも、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)で作ることができ、又はPTFEを含むことができる。
【0074】
[0089] 図1Dに示されるように、容器キャップ104は、ねじ接続部154を介して容器チャンバ102の近傍部分にねじ留めることにより、容器チャンバ102に着脱可能又は取り外し可能に結合又は締め付けられることができる。容器キャップ104(基準センサ108の一部として機能する)は、ねじ接続部154により容器チャンバ102に締め付けられるか、又は結合され、ガス150(例えば周囲空気)が第1のガス透過性膜148を通って容器チャンバ102内に入る際、気流経路156を作成することができる。次いで、空気は第2のガス透過性膜152及び容器キャップ104のねじと容器チャンバ102との間に画定される空気ギャップ158を通って容器チャンバ102から出る。
【0075】
[0090] 容器キャップ104は部分的に、透明若しくはクリアな材料又は透明若しくはクリアな非導電材料で作ることができる。他の実施形態では、容器キャップ104は部分的に、半透明又はシースルー材料で作ることができる。例えば、ウィック構成要素134の少なくとも一部分は、容器キャップ104の側を通して可視であることができる。これにより、センサ装置100のユーザ又は操作者は、容器キャップ104が容器チャンバ102に締め付けられるとき、ウィック先端部142からウィック基端部140への含有試料113の吸い上げを観測し、含有試料113の少なくとも幾らかがウィック基端部140にある基準電極材料132に到達可能なことを保証することができる。幾つかの実施形態では、容器キャップ104は部分的に、クリア又は透明なポリマー材料、ガラス、又はそれらの組合せで作ることができる。
【0076】
[0091] 幾つかの実施形態では、容器チャンバ102、容器キャップ104、又はそれらの組合せは部分的に、不活性ポリマー材料で作ることができる。例えば、容器チャンバ102、容器キャップ104、又はそれらの組合せは部分的に、ポリオキシメチレン、ポリアミド、ポリエチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリカーボネート、又はそれらのコポリマー若しくは複合体の少なくとも1つで作ることができる。他の実施形態では、容器チャンバ102、容器キャップ104、又はそれらの組合せは部分的に、ホウケイ酸ガラス等のガラス材料又はセラミック材料で作ることができる。
【0077】
[0092] 幾つかの実施形態では、能動センサ106は、容器チャンバ102がポリマー材料で作られる場合、チャンバ側壁110の一部分にインサート成形することもできる。例えば、能動センサ106は、容器チャンバ102が射出成形により形成されている間、チャンバ側壁110にインサート成形することができる。
【0078】
[0093] 能動センサ106が容器チャンバ102のチャンバ側壁110の一部分にインサート成形される場合、能動センサ106は、チャンバ側壁110を作るために使用されるポリマー材料により封入された側部122を有することができる。
【0079】
[0094] 例えば、能動センサ106は、能動電極層118がチャンバキャビティ112に面して、窓開口部114を囲むチャンバ側壁110の少なくとも一部分を通して、チャンバキャビティ112内の含有試料113を能動電極層118と流体的に接触させるようにインサート成形することができる。
【0080】
[0095] 図1Dは、能動電極層118とは逆の能動センサ106の側が、リーダ200(例えば図2A図2C参照)の導電接点又は導電接続部に接触するのに使用することができることも示す。以下のセクションでより詳細に考察するように、能動センサ106のこの側は導電層160と呼ぶことができる。
【0081】
[0096] 幾つかの実施形態では、導電層160は金の層であることができる。他の実施形態では、導電層160は、白金、ニッケル、銅、合金、又はそれらの組合せ等の別のタイプの導電性金属で作ることができる。
【0082】
[0097] 図示されていないが、本開示により、窓開口部114(例えば、窓開口部114の場所については図1B図1D参照)を囲むチャンバ側壁110の一部分を焦点溶融(focally melting)(例えば超音波溶接)し、能動センサ106をチャンバ側壁110の溶融部分にプレスすることにより、能動センサ106をチャンバ側壁110に固定又は他の方法で結合することができることが企図される。チャンバ側壁110の溶融部分が冷めると、能動センサ106はチャンバ側壁110に固定又は結合される。
【0083】
[0098] 幾つかの実施形態では、能動センサ106は実質的に、平坦化又は切り詰められた矩形プリズムとしての形状であることができる。他の実施形態では、能動センサ106は実質的に、円盤形又は平坦化若しくは切り詰められた多角形プリズム(例えば平坦化若しくは切り詰められた五角形プリズム若しくは六角形プリズム)としての形状であることができる。
【0084】
[0099] 能動センサ106は、実質的に矩形プリズムとしての形状である場合、センサ長寸法、センサ幅寸法、及びセンサ高さ寸法を有することができる。幾つかの実施形態では、センサ長寸法は約100μm~6.0mmであることができ、センサ幅寸法は約100μm~6.0mmであることができ、センサ高さ寸法は約10μm~0.70mmであることができる。例えば、能動センサ106は、実質的に矩形プリズムとしての形状である場合、センサ長寸法約6.0mm、センサ幅寸法約6.0mm、及びセンサ高さ寸法約0.61mmを有することができる。
【0085】
[0100] 幾つかの実施形態では、能動センサ106は貴金属で作られた能動電極層118を有することができる。例えば、能動電極層118は白金、金、又はそれらの組合せ若しくは複合体で作ることができる。
【0086】
[0101] 能動電極層118は、接着層を介して導電精基板の一面に接着することができる。導電性基板はステンレス鋼(SS)等の導電材料で作ることができる。例えば、導電性基板はSS316であることができる。他の実施形態では、導電性基板はアルミニウム、銅、又はアルミニウム、銅、若しくはステンレス鋼の任意の組合せ若しくは複合体で作ることができる。
【0087】
[0102] 幾つかの実施形態では、接着層はクロム(Cr)の薄層であることができる。代替的には、接着層は金、ニッケル、チタン、又はタンタルの薄層であることができる。接着層は、導電性基板と能動電極層118との間に配設することができる。
【0088】
[0103] 代替の実施形態では、能動電極層118は、接着層なしで導電性基板の一面上に直接配設することができる。
【0089】
[0104] 能動電極層118は能動電極層厚約50nm~約500nm(例えば約400nm)を有することができる。接着層は接着層厚約5nm~約50nm(例えば約20nm)を有することができる。接着層厚と能動電極層厚との比率は約1:10~約1:20であることができる。
【0090】
[0105] 導電性基板は基板層厚を有することができる。基板層厚は約10μm~約0.70mm(例えば約0.61mm)であることができる。
【0091】
[0106] 他の実施形態では、能動電極層118は金属酸化物で作ることができる。例えば、能動電極層118は五酸化タンタル(Ta)で作ることができる。他の実施形態では、能動電極層118は二酸化ケイ素(SiO)、窒化ケイ素(Si)、酸化アルミニウムAl)、二酸化チタン(TiO)、二酸化ハフニウム(HfO)、二酸化イリジウム(IrO)、二酸化ルテニウム(RuO)、二酸化ジルコニウム(ZrO)、又はそれらの組合せ若しくは複合体で作ることができる。これらの実施形態では、導電性基板はステンレス鋼(SS)等の導電材料で作ることができる。例えば、導電材料はSS316であることができる。導電材料は、アルミニウム、銅、又はアルミニウム、銅、若しくはステンレス鋼の任意の組合せ若しくは複合体で作ることもできる。
【0092】
[0107] 堆積層は、特定の検体に向けて特定の所望の感受性又は特異性を達成するように選択することができる。堆積層の表面性質ひいてはそれらの特異性及び感受性を改変するために、自己組織化単分子膜(SAM)、抗体、結合抗体断片、結合アプタマー、結合DNA、及び血漿処理を用いたバイオ機能化(bio-functionalization)等の他の表面修飾技法を採用することも可能である。
【0093】
[0108] 特定の実施形態では、能動センサ106は、プリント回路基板(PCB)製造技法の微細化及び効率を利用することができる。例えば、能動センサ106は、部分的に能動電極層118で覆われた非導電性PCB基板で作ることができる。幾つかの実施形態では、非導電性PCB基板はポリイミドで作ることができる。他の実施形態では、非導電性PCB基板はFR4複合材料等のガラス繊維強化エポキシラミネート材料で作ることができる。特定の実施形態では、PCB基板は可撓性PCB材料であることができる。
【0094】
[0109] 幾つかの実施形態では、能動電極層118は貴金属で作ることができる。例えば、能動電極層118は白金、金、又はそれらの組合せ若しくは複合体で作ることができる。白金又は金はPCB基板上に電着又はスパッター堆積することができる。
【0095】
[0110] 能動電極層118は、少なくとも50nmの能動電極層厚を有することができる。特定の実施形態では、能動電極層118は少なくとも400nmの能動電極層厚を有することができる。能動電極層118が白金で作られる場合、能動センサ106は、試料のORPの測定又はモニタリングに使用することができる。
【0096】
[0111] 代替の実施形態では、非導電性PCB基板上に堆積した白金層は、白金層をpH感受性層に変えるように、表面修飾技法を用いて修飾することができる。例えば、酸素プラズマ処理を使用して白金層を酸化させ、酸化白金(PtO)層を作成することができる。そうして形成された酸化白金層は、水素イオンに応答することができ、pH感受性層として使用することができる。この実施形態では、能動センサ106は試料のpHの測定又はモニタリングに使用することができる。
【0097】
[0112] PCB基板は、能動電極層118とは逆の基板の面上に導電接点又は導電層160をパターニングすることができる。幾つかの実施形態では、導電層160は金の層であることができる。他の実施形態では、導電層160は白金、ニッケル、銅、又はそれらの合金若しくは複合体等の別のタイプの導電性金属で作ることができる。
【0098】
[0113] 幾つかの実施形態では、能動電極層118は、1つ又は複数の導電性バイアにより導電層160に電気的に結合することができる。一実施形態では、導電性バイアは部分的に銅又は銅合金で作ることができる。他の実施形態では、導電性バイアは金等の別のタイプの導電性金属で作ることができる。
【0099】
[0114] 幾つかの実施形態では、各能動センサ106は、センサパッケージの中央に位置する少なくとも1つの導電性バイアを有することができる。他の実施形態では、導電性バイアはセンサパッケージの周縁部又は縁部付近に位置することができる。
【0100】
[0115] 導電性バイアは、電気めっき、堆積、又はそれらの組合せにより形成することができる。さらに、標準PCBエッチングプロセスを使用して、追加のフィーチャ又はパターンをPCB基板に形成してもよい。
【0101】
[0116] 図2Aは、センサ装置100の容器チャンバ102内の含有試料113の溶液特性(例えばORP又はpH)をモニタ又は測定するように構成されたリーダ200の一実施形態を示す。リーダ200及びセンサ装置100は、所望若しくは標的濃度(又は許容可能な誤差マージン内)の細菌の出力試料を準備するシステム301(例えば図3参照)の一部であることができる。
【0102】
[0117] リーダ200は、メインコントローラ208(例えば図2B参照)、信号読み出し制御ユニット210(例えば図2B参照)、熱制御モジュール212(例えば図2B及び図2C参照)、並びに曝気制御モジュール214(例えば図2B及び図2C参照)を含むリーダ200の特定の機能構成要素を収容するように構成されたリーダ筐体202を備えることができる。リーダ筐体202は、特定の情報をユーザに表示し、ユーザがコマンドを入力し、所望若しくは標的濃度308(例えば図3参照)をリーダ200に入力できるようにするよう構成されたタッチスクリーンディスプレイ204を露出させることもできる。例えば、リーダ200のディスプレイ204は、所望若しくは標的濃度(又は許容可能な誤差マージン内)の出力試料が首尾良く準備できた(即ち、含有試料113内の細菌が、所望若しくは標的濃度レベルに達したか、又は許容可能な誤差マージン内で所望若しくは標的濃度レベルに達した)旨のメッセージ又はテキスト指示をユーザに表示することができる。また例えば、ディスプレイ204は、出力試料が準備されるまでの残り時間量(即ち、含有試料113内の細菌が所望若しくは標的濃度308に達するか、又は許容可能な誤差マージン内で濃度レベルに達するまでにかかる残り時間量)をユーザに示すカウントダウンタイマを表示することができる。
【0103】
[0118] リーダ200の蓋206又はカバーを開くか、又は持ち上げて、センサ装置100に適合又はセンサ装置100を受けるように構成された容器受領空間を露出することができる(容器受領空間は、図2Cにおいてセンサ装置100により占有される空間である)。
【0104】
[0119] 図2Bは、見やすいようにリーダ筐体202が取り外された状態のリーダ200の特定の機能構成要素を示す。図2Bに示されるように、リーダ200は熱制御モジュール212及び曝気制御モジュール214を備えることができる。熱制御モジュール212は、試料が充填されたセンサ装置100をインキュベートするように構成することができる。熱制御モジュール212は、加熱ブロック220(例えば図2C参照)を介してセンサ装置100の少なくとも一部分を加熱することにより、センサ装置100をインキュベートすることができる。幾つかの実施形態では、加熱ブロック220は、能動センサ106とは逆の容器チャンバ102の側面を加熱することができる。特定の実施形態では、加熱ブロック220は容器チャンバ102を部分的に囲むか、又は抱いてセンサ装置100を加熱することができる。
【0105】
[0120] 幾つかの実施形態では、加熱ブロック220は部分的にアルミニウムで作ることができる。他の実施形態では、加熱ブロック220は部分的に、別のタイプの熱伝導性金属材料で作ることができる。
【0106】
[0121] センサ装置100は、約30℃~約40℃(例えば、約35℃±2℃)のインキュベーション温度に加熱することができる。センサ装置100はインキュベーション期間にわたりインキュベートすることができる。インキュベーション期間は15分から2時間超の範囲であることができる。インキュベーション期間は、ソース試料に懸濁した細菌のタイプに基づいて調整することができる。
【0107】
[0122] 熱制御モジュール212は、含有試料113の溶液特性(例えばORP又はpH)が、含有試料113内の細菌が所望若しくは標的濃度に達したこと、又は許容可能な誤差マージン内で所望若しくは標的濃度レベルに達したことを示す閾値量だけ変化する場合、冷却温度に含有試料113を冷却するために使用することもできる。他の実施形態では、熱制御モジュール212は、経過時間が特定の時間限度又は時間閾値に達した場合、含有試料113を冷却温度に冷却するのに使用することができる。幾つかの実施形態では、熱制御モジュール212は、センサ装置100内の含有試料113を約4℃~約25℃の冷却温度に冷却することができる。
【0108】
[0123] 含有試料113内の細菌が所望若しくは標的濃度に(又は許容可能な誤差マージン内で)達した場合、センサ装置100内の含有試料113は、更なる下流の試験(例えば、抗生物質感受性試験)に使用可能な状態の出力試料であると見なすことができる。特定の実施形態では、リーダ200は聴覚構成要素(例えばスピーカ)を備えることができ、聴覚構成要素は聴覚信号を生成し(即ちアラームを鳴らし)、出力試料の準備が完了し、更なる下流の試験に使用可能な状態になったことをユーザ又は研究所の技師に通知することができる。
【0109】
[0124] 幾つかの実施形態では、熱制御モジュール212はリーダ200のメインコントローラ208により制御することができる。他の実施形態では、熱制御モジュール212は、リーダ200内の別のコントローラ若しくはモジュールにより又は信号読み出し制御ユニット210により制御することができる。
【0110】
[0125] 幾つかの実施形態では、センサ装置100がインキュベートされる前、栄養液又は刺激液を容器チャンバ102に導入することができる。例えば、栄養液は、bacto-トリプトン、酵母エキス、牛肉エキス、カチオン調整ミュラーヒントンブロス(CAMHB)、デンプン、カゼイン酸加水分解物、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、ウマ溶血液(LHB)を含む血液又は溶血液、CAMHB-LHB混合物、グルコース、又はそれらの組合せを含む溶液であることができる。栄養液は、試料が体液で構成される場合、試料中に存在するイオン又は物質のバッファー効果を相殺するために使用することができる。
【0111】
[0126] 曝気制御モジュール214は、ガス150(例えば周囲空気、図1D参照)をチャンバキャビティ112内に送り込むことにより、容器チャンバ102内の含有試料113を曝気するように構成することができる。ガス150は、容器チャンバ102(図1B及び図1Dも参照)の下部又はベースに沿って画定された曝気口146を通して容器チャンバ102内に送り込むことができる。
【0112】
[0127] 上述したように、センサ装置100の容器キャップ104(基準センサ108の一部として機能する)は、容器キャップ104と容器チャンバ102のねじとの間に気流経路156の一部分を作成できるようにするねじ接続部154により容器チャンバ102に固定又は結合することができる。ガス150(例えば周囲空気)は、第1のガス透過性膜148を通って曝気口146、そして容器チャンバ102に入った後、まず含有試料113を曝気し、次いで第2のガス透過性膜152及び容器キャップ104のねじと容器チャンバ102との間に画定された空気ギャップ158を通って容器チャンバ102から出る。
【0113】
[0128] 図2Cは、リーダ200が、センサ装置100の下部に接続されて容器チャンバ102内の含有試料113を曝気することができるガスノズル222を備えることができることを示す。ガスノズル222は、ガス輸送導管224の末端部又は先端部に配設することができる。ガス輸送導管224は、ガスノズル222を曝気制御モジュール214に接続することができる。幾つかの実施形態では、ガス輸送導管224の少なくとも一部は、リーダ200のベース又は下部の周囲に沿って位置してもよく、又は周囲に巻かれてもよい。
【0114】
[0129] 幾つかの実施形態では、曝気制御モジュール214は、曝気制御モジュール214内に引き込まれた周囲空気を濾過するための1つ又は複数のフィルタ(例えばインラインフィルタ、導管フィルタ、パイプフィルタ、及び/又はホースフィルタ)を備えることができる。追加の実施形態では、ガス輸送導管224は、周囲空気がセンサ装置100及び/又はガスノズル222に達する前に、周囲空気を濾過し、周囲空気から微粒子を除去するように構成されたインラインフィルタを備えることができる。
【0115】
[0130] 図2Cに示されるように、ガスノズル222は、ノズル境界面226を介して容器チャンバ102の下部において曝気口146に接続することができる。幾つかの実施形態では、ノズル境界面226はOリングであることができる。他の実施形態では、ノズル境界面226は別のタイプのガスケット又は流体封止境界面であることができる。
【0116】
[0131] 幾つかの実施形態では、ガス150は周囲空気(例えば、研究所、臨床設定、又は試験施設内の空気)であることができる。他の実施形態では、ガス150は、加圧酸素、二酸化炭素、窒素、及びアルゴンの組合せを含むことができる。試料の曝気は、酸素が豊富な環境を容器チャンバ102内に提供することにより、試料内の細菌集団の増殖を加速させることができる。
【0117】
[0132] 含有試料113の曝気は、細菌への酸素供給を増加させることにより、センサ装置100内の含有試料113内のそのような細菌の増殖速度を速めることができる。さらに、含有試料113の曝気は、容器チャンバ102の内壁から細菌を離せるようにし、それにより、バイオフィルムの形成を阻止することもできる。
【0118】
[0133] 曝気はセンサ装置100内の細菌の増殖速度を速めるために重要であるが、多すぎる曝気又は高流量での含有試料113の曝気が、リーダ200によりモニタされるORP信号に対して特定の有害な影響を及ぼし得る用途も発見されている。例えば、含有試料113の曝気は、大半の場合、含有試料113内の細菌(特に好気性細菌)の増殖速度を速めることができるが、多すぎる曝気はORP信号を抑制し、ORP測定に誤差を導入する恐れがある。さらに、多すぎる曝気は、ORP値の任意の変化(ΔORP)を、小さすぎて異なる細菌濃度レベルを区別するに当たりいかなる価値もないようにする恐れがある。
【0119】
[0134] さらに、少なすぎる曝気又は低流量での含有試料113の曝気は、含有試料113を淀ませる恐れがあるとともに、試料準備時間を最適未満即ちより遅くする恐れがある。
【0120】
[0135] したがって、センサ装置100内の含有試料113は、上記欠点を回避する最適範囲内の流量で曝気されるべきである。用途により見出される1つのそのような範囲は、含有試料113の7.0マイクロリットル(μL)/秒/ミリリットル(mL)~含有試料113の10.0μL/秒/mLの流量である。より具体的には、含有試料113は、含有試料113の約8.8(±0.9)μL/秒/mLの流量で曝気することができる。
【0121】
[0136] 幾つかの実施形態では、含有試料113は電動ピストンポンプを使用して曝気することができる。電動ピストンポンプは、リーダ200内に収容又は含むことができる。特定の実施形態では、電動ピストンポンプはリーダ200内に完全に収容又は含むことができる。例えば、電動ピストンポンプは曝気制御モジュール214内に収容又は含むことができる。
【0122】
[0137] 電動ピストンポンプは、1つ又は複数のステッパモータ及びリードスクリュー駆動装置により作動することができる。電動ピストンポンプは、専用コントローラ、メインコントローラ208、又はそれらの組合せにより制御することができる。より具体的な例として、電動ピストンポンプはCavro(登録商標)Pulssarピストンポンプを改変したものであることができる。他の実施形態では、含有試料113はシリンジポンプ又は電動シリンジポンプを使用して曝気することができる。
【0123】
[0138] 幾つかの実施形態では、センサ装置100内の含有試料113は曝気サイクルに従って曝気することができる。曝気サイクルは、曝気期間の後に、ガス又は周囲空気が容器チャンバ102に送り込まれない非曝気期間を含むことができる。特定の実施形態では、曝気期間は非曝気期間よりも長い期間であることができる。例えば、曝気期間は約7分~約10分であることができ、非曝気期間は約3秒~約10秒であることができる。
【0124】
[0139] 本願が直面する1つの技術的問題は、電動ピストンポンプでは多くの場合、ポンプピストンがポンプチャンバ又はバレルの先端部に達すると、ポンプピストンが引き戻されるか又は再びホーム位置に戻る必要があることである。この技術的問題に対処するために、本出願人らにより発見され開発された1つの技術的解決策は、非曝気期間を使用して、ポンプピストンを引き戻すか又は再びホーム位置に戻すことである。
【0125】
[0140] 幾つかの実施形態では、曝気制御モジュール214はメインコントローラ208(例えば図2B参照)により制御することができる。他の実施形態では、曝気制御モジュール214は、リーダ200内の別のコントローラ若しくはモジュールにより又は信号読み出し制御ユニット210により制御することができる。例えば、容器チャンバ102内に送り込まれる又は他の方法で向けられるガス150(例えば周囲空気)の量は、リーダ200により検出される含有試料113の溶液特性(例えばORP若しくはpH)の変化により又はそのようないかなる変化もないことにより決まる。
【0126】
[0141] 図2Cは、センサ装置100が容器受領空間内に位置しているとき、リーダ200の基準電極接点216は、センサ装置100の容器キャップ104(例えば図1D参照)に位置する基準電極材料132と接触するように置かれるか、又は接触するように移動させることができることも示す。さらに、センサ装置100が容器受領空間内に位置しているとき、リーダ200の能動電極接点218を能動センサ106の導電層160(例えば図1C及び図1D参照)又は導電接点と接触するように置かれるか、又は接触するように移動させることができる。
【0127】
[0142] 幾つかの実施形態では、基準電極接点216及び能動電極接点218は、1つ又は複数の導電性ポゴ若しくはバネ付勢ピン、導電性リーフ接点、又はそれらの組合せを含むことができる。より具体的には、導電性ポゴピン又はリーフ接点は銅、ニッケル、ステンレス鋼、又はそれらの合金で作ることができる。
【0128】
[0143] 基準電極接点216及び能動電極接点218は、信号読み出し制御ユニット210に電気的に結合することができる。信号読み出し制御ユニット210は、センサ装置100の能動センサ106及び基準センサ108から得られた信号を変換し読み取るようにプログラムされた1つ又は複数のプロセッサ、チップセット、又はチップモジュールを含むことができる。例えば、信号読み出し制御ユニット210は、能動電極層118と基準電極材料132との間で測定される電位差に基づいて、センサ装置100内の含有試料113のORPを特定することができる。
【0129】
[0144] 能動電極層118は、含有試料113内の酸化した/還元された分子と容易に相互作用する(即ち活性化障壁又は追加のエネルギーを提供する必要がない)ように選ばれる。能動電極層118は、いかなるレドックス反応にも参加しないという点で不活性であり(例えば白金又は金の層/材料)、電子のソース及びシンクの両方として機能する(含有試料113のレドックス状態に応答して)という点でレドックス感受性又はレドックス活性である。電子移動プロセスが電極の材料又はその酸化状態を変えないため、能動電極層118は不活性と見なされる。電子は自発的に含有試料113から能動電極層118に及び能動電極層118から含有試料113に移動する。酸化分子の濃度が高い(正のORP値)ほど、これらの分子が能動電極層118から電子を受け入れる傾向が高いことを暗示し、一方、還元分子の濃度が高い(負のORP値)ほど、分子が電子を能動電極層118に差し出す傾向が高いことを暗示する。したがって結局、正のORP値に繋がる、能動電極層118で電子が失われることになるか、又は負のORP値に繋がる、能動電極層118で電子が過剰になることになる。
【0130】
[0145] 細菌の代謝及び増殖中、異なるレドックス活性種が生成される。即ち、細菌の増殖及び/又は代謝プロセスは、酸化した分子を還元する変換を含む。含有試料113内の細菌量が増えるにつれて、還元された分子/化合物の濃度が高くなる。そしてこれは、含有試料113のORPを下げる。
【0131】
[0146] より具体的な例として、含有試料113中の以下の表1からの電子供与体量(例えば、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)及びフラビンアデニンジヌクレオチド(FADH)等のエネルギーキャリアの量)は、含有試料113中の細菌の増殖に起因して変わり得る。
【0132】
【表1】
【0133】
[0147] 基準電極材料132は、測定/モニタリングを通して一定の電位を維持し、含有試料113で生じているレドックス変化のいずれによっても影響を受けず、又はいずれにも参加しないように選ばれる。
【0134】
[0148] 能動電極層118と基準電極材料132との間で測定される電位差は、開回路構成で測定される。即ち、電流はシステムを流れず、電位差は、リーダ200に一体化(例えば信号読み出し制御ユニット210に一体化)された非常に高インピーダンスの電圧測定回路又は高インピーダンス電圧計を使用して測定される。
【0135】
[0149] 含有試料113のORPは、いかなるレポーター分子も追加せずに又はいかなるレドックス媒介物質も追加せずに測定される。
【0136】
[0150] 図3は、所望若しくは標的濃度308(又は許容可能な誤差マージン内)の細菌302の出力試料を準備する方法300の一実施形態を示す。
【0137】
[0151] 細菌302は以下からなる群から選択された属であることができる:アシネトバクター属(Acinetobacter)、アセトバクター属(Acetobacter)、アクチノミセス属(Actinomyces)、アエロコッカス属(Aerococcus)、アエロモナス属(Aeromonas)、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)、アナプラズマ属(Anaplasma)、アゾリゾビウム属(Azorhizobium)、アゾトバクター属(Azotobacter)、バチルス属(Bacillus)、バクテリオデス属(Bacteriodes)、バルトネラ属(Bartonella)、ボルデテラ属(Bordetella)、ボレリア属(Borrelia)、ブルセラ属(Brucella)、バークホルデリア属(Burkholderia)、カリマトバクテリウム属(Calymmatobacterium)、カンピロバクター属(Campylobacter)、クラミジア属(Chlamydia)、クラミドフィラ属(Chlamydophila)、シトロバクター属(Citrobacter)、クロストリジウム属(Clostridium)、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)、コクシエラ属(Coxiella)、エーリキア属(Ehrlichia)、エンテロバクター属(Enterobacter)、エンテロコッカス属(Enterococcus)、エシェリキア属(Escherichia)、フランシセラ属(Francisella)、フソバクテリウム属(Fusobacterium)、ガードネレラ属(Gardnerella)、ヘモフィルス属(Haemophilus)、ヘリコバクター属(Helicobacter)、クレブシエラ属(Klebsiella)、ラクトバチルス属(Lactobacillus)、レジオネラ属(Legionella)、リステリア属(Listeria)、メタノバクテリウム属(Methanobacterium)、マイクロバクテリウム属(Microbacterium)、マイクロコッカス属(Micrococcus)、モルガネラ属(Morganella)、モラクセラ属(Moraxella)、マイコバクテリウム属(Mycobacterium)、マイコプラズマ属(Mycoplasma)、ナイセリア属(Neisseria)、パンドラエア属(Pandoraea)、パスツレラ属(Pasteurella)、プトストレプトコッカス属(Peptostreptococcus)、ポルフィロモナス属(Porphyromonas)、プレボテラ属(Prevotella)、プロテウス属(Proteus)、プロビデンシア属(Providencia)、シュードモナス属(Pseudomonas)、ラルストニア属(Ralstonia)、ラオウルテラ属(Raoultella)、リゾビウム属(Rhizobium)、リケッチア属(Rickettsia)、ロシャリメア属(Rochalimaea)、ロチア属(Rothia)、サルモネラ属(Salmonella)、セラチア属(Serratia)、シュワネラ属(Shewanella)、シゲラ属(Shigella)、スピリルム属(Spirillum)、ブドウ球菌属(Staphylococcus)、ストレノトロホモナス属(Strenotrophomonas)、連鎖状球菌属(Streptococcus)、ストレプトマイセス属(Streptomyces)、トレポネーマ属(Treponema)、ビブリオ属(Vibrio)、ボルバキア属(Wolbachia)、及びエルシニア属(Yersinia)。
【0138】
[0152] より具体的には、細菌302は以下の群からなる種であることができる:アシネトバクター・バウマンニ(Acinetobacter baumannii)、アクチノバチルス種(Actinobacillus spp.)、放線菌(Actinomycetes)、アクチノミセス種(Actinomyces spp.)(限定ではなくアクチノマイセス・イスラエリー(Actinomyces israelii)及びアクチノミセス・ネスルンディ(Actinomyces naeslundii)を含む)、アエロモナス種(Aeromonas spp.)(限定ではなくアエロモナス・ハイドロフィラ(Aeromonas hydrophila)、アエロモナス・ベロニ・ビオバル・ソブリア(Aeromonas veronii biovar sobria)(アエロモナス・ソブリア(Aeromonas sobria))、及びアエロモナス・キャビエ(Aeromonas caviae)を含む)、アナプラズマ・ファゴサイトフィルム(Anaplasma phagocytophilum)、アルカリゲネス・キシロスオキシダンス(Alcaligenes xylosoxidans)、アクチノバチルス・アクチノミセタムコミタンス(Actinobacillus actinomycetemcomitans)、バチルス種(Bacillus spp.)(限定ではなくバチルス・アントラシス(Bacillus anthracis)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)、バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)、及びバチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)を含む)、バクテリオデス種(Bacteroides spp.)(限定ではなくバクテリオデス・フラジリス(Bacteroides fragilis)を含む)、バルトネラ種(Bartonella spp.)(限定ではなくバルトネラ・バシリホルミス(Bartonella bacilliformis)及びバルトネラ・ヘンセラ(Bartonella henselae)を含む)、ビフィドバクテリウム種(Bifidobacterium spp.)、ボルデテラ種(Bordetella spp.)(限定ではなくボルデテラ・パータシス(Bordetella pertussis)、ボルデテラ・パラパータシス(Bordetella parapertussis)、及びボルデテラ・ブロンキセプチカ(Bordetella bronchiseptica)を含む)、ボレリア種(Borrelia spp.)(限定ではなくボレリア・レカレンチス(Borrelia recurrentis)及びボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)を含む)、ブルセラ種(Brucella spp.)(限定ではなくブルセラ・アボルタス(Brucella abortus)、ブルセラ・カニス(Brucella canis)、ブルセラ・メリンテンシス(Brucella melintensis、及びブルセラ・スイス(Brucella suis)を含む)、バークホルデリア種(Burkholderia spp.)(限定ではなくバークホルデリア・シュードマレイ(Burkholderia pseudomallei)及びバークホルデリア・セパシア(Burkholderia cepacia)を含む)、カンピロバクター種(Campylobacter spp.)(限定ではなくカンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、カンピロバクター・コリ(Campylobacter coli)、カンピロバクター・ラリ(Campylobacter lari)、及びカンピロバクター・フィタス(Campylobacter fetus)を含む)、キャプノサイトファーガ種(Capnocytophaga spp.)、カルジオバクテリウム・ホミニス(Cardiobacterium hominis)、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)、クラミドフィラ・ニューモニエ(Chlamydophila pneumoniae)、クラミドフィラ・シタッシ(Chlamydophila psittaci)、シトロバクター種(Citrobacter spp.)、コクシエラ・ブルネッティ(Coxiella burnetii)、コリネバクテリウム種(Corynebacterium spp.)(限定ではなくコリネバクテリウム・ジフテリエ(Corynebacterium diphtheriae)、コリネバクテリウム・ジェイケウム(Corynebacterium jeikeum)、及びコリネバクテリウム(Corynebacterium)を含む)、クロストリジウム種(Clostridium spp.)(限定ではなくクロストリジウム・デフィシレパーフリンジェンス(Clostridium perfringens)、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)、クロストリジウム・ボツリヌム(Clostridium botulinum)、及びクロストリジウム・テタニ(Clostridium tetani)を含む)、エイケネラ・コローデンス(Eikenella corrodens)、エンテロバクター種(Enterobacter spp.)(限定ではなくエンテロバクター・エロゲネス(Enterobacter aerogenes)、エンテロバクター・アグロメランス(Enterobacter agglomerans)、エンテロバクター・クロアカ(Enterobacter cloacae)、及び日和見性大腸菌(opportunistic Escherichia coli)を含む大腸菌(Escherichia coli)を含み、日和見性大腸菌(opportunistic Escherichia coli)は、限定ではなく毒素原性大腸菌(enterotoxigenic E. coli)、腸管侵入性大腸菌(enteroinvasive E. coli)、腸管病原性大腸菌(enteropathogenic E. coli)、腸管出血性大腸菌(enterohemorrhagic E. coli)、腸管凝集性大腸菌(enteroaggregative E. coli)、及び尿路病原性大腸菌(uropathogenic E. coli)を含む)、エンテロコッカス種(Enterococcus spp.)(限定ではなくエンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)及びエンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)を含む)、エーリキア種(Ehrlichia spp)(限定ではなくエーリキア・シャフェンシア(Ehrlichia chafeensia)及びエーリキア・カニス(Ehrlichia canis)を含む)、ブタ丹毒菌(Erysipelothrix rhusiopathiae)、ユーバクテリウム種(Eubacterium spp.)、野兎病菌(Francisella tularensis)、フソバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)、ガードネレラ・バギナリス(Gardnerella vaginalis)、ゲメラ・モルビロルム(Gemella morbillorum)、ヘモフィルス種(Haemophilus spp.)(限定ではなくヘモフィルス・インフルエンザ(Haemophilus influenzae)、ヘモフィルス・デュクレイ(Haemophilus ducreyi)、ヘモフィルス・エジプチウス(Haemophilus aegyptius)、ヘモフィルス・パラインフルエンザ(Haemophilus parainfluenzae)、ヘモフィルス・ヘモリチカス(Haemophilus haemolyticus)、及びヘモフィルス・パラヘモリティクス(Haemophilus parahaemolyticus)を含む)、ヘリコバクター種(Helicobacter spp.)(限定ではなくヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)、ヘリコバクター・シネディ(Helicobacter cinaedi)、及びヘリコバクター・フェネリアエ(Helicobacter fennelliae)を含む)、キンゲラ・キンギイ(Kingella kingii)、クレブシエラ種(Klebsiella spp.)(限定ではなくクレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、クレブシエラ・グラヌロマティス(Klebsiella granulomatis)、及びクレブシエラ・オキシトカ(Klebsiella oxytoca)を含む)、ラクトバチルス種(Lactobacillus spp.)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、レプトスピラ・インテロガンス(Leptospira interrogans)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)、レプトスピラ・インテロガンス(Leptospira interrogans)、ペプトストレプトコッカス種(Peptostreptococcus spp.)、モラクセラ・カタラーリス(Moraxella catarrhalis)、モルガネラ種(Morganella spp.)、モビルンカス種(Mobiluncus spp.)、ミクロコッカス種(Micrococcus spp.)、マイコバクテリウム種(Mycobacterium spp.)(限定ではなくらい菌(Mycobacterium leprae)、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、マイコバクテリウム・イントラセルラーレ(Mycobacterium intracellulare)、マイコバクテリウム・アビウム(Mycobacterium avium)、マイコバクテリウム・ボビス(Mycobacterium bovis)、及びマイコバクテリウム・マリヌム(Mycobacterium marinum)を含む)、マイコプラズマ種(Mycoplasm spp.)(限定ではなく肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)、マイコプラズマ・ホミニス(Mycoplasma hominis)、及びマイコプラズマ・ゲニタリウム(Mycoplasma genitalium)を含む)、ノカルジア種(Nocardia spp.)(限定ではなくノカルジア・アステロイデス(Nocardia asteroides)、ノカルジア・シリアシゲオルジカ(Nocardia cyriacigeorgica)、及びノカルジア・ブラジリエンシス(Nocardia brasiliensis)を含む)、ナイセリア種(Neisseria spp.)(限定ではなく淋菌(Neisseria gonorrhoeae)及び髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)を含む)、パスツレラ・マルトシダ(Pasteurella multocida)、プレジオモナス・シゲロイデス(Plesiomonas shigelloides)、プレボテラ種(Prevotella spp.)、ポルフィロモナス種(Porphyromonas spp.)、プレボテラ・メラニノゲニカ(Prevotella melaninogenica)、プロテウス種(Proteus spp.)(限定ではなくプロテウス・ブルガリス(Proteus vulgaris)及びプロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)を含む)、プロビデンシア種(Providencia spp.)(限定ではなくプロビデンシア・アルカリファシエンス(Providencia alcalifaciens)、プロビデンシア・レットゲリ(Providencia rettgeri)、及びプロビデンシア・スチュアルティイ(Providencia stuartii)を含む)、シュードモナス・エルジノーサ(Pseudomonas aeruginosa)、プロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes)、ロドコッカス・エクイ(Rhodococcus equi)、リケッチア種(Rickettsia spp.)(限定ではなくリケッチア・リケッチイ(Rickettsia rickettsii)、リケッチア・アカリ(Rickettsia akari)、及びリケッチア・プロワツェキイ(Rickettsia prowazekii)、オリエンティア・ツツガムシ(Orientia tsutsugamushi)(旧:リケッチア・ツツガムシ(Rickettsia tsutsugamushi))、及びリケッチア・チフィ(Rickettsia typhi)を含む)、ロドコッカス種(Rhodococcus spp.)、ステノトロフォモナス・マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)、サルモネラ種(Salmonella spp.)(限定ではなくサルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)、サルモネラ・チフィ(Salmonella typhi)、サルモネラ・パラチフィ(Salmonella paratyphi)、サルモネラ・エンテリティディス(Salmonella enteritidis)、サルモネラ・コレラスイス(Salmonella cholerasuis)、及びサルモネラ・チフィリウム(Salmonella typhimurium)を含む)、セラチア種(Serratia spp.)(限定ではなくセラチア・マルセサンス(Serratia marcesans)及びセラチア・リクファシエンス(Serratia liquifaciens)を含む)、シゲラ種(Shigella spp.)(限定ではなく志賀赤痢菌(Shigella dysenteriae)、シゲラ・フレックスネリ(Shigella flexneri)、シゲラ・ボイディ(Shigella boydii)、及びシゲラ・ソネイ(Shigella sonnei)を含む)、スタフィロコッカス種(Staphylococcus spp.)(限定ではなく黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、スタフィロコッカス・ヘモリチカス(Staphylococcus hemolyticus)、スタフィロコッカス・サプロフィチカス(Staphylococcus saprophyticus)を含む)、連鎖球菌種(Streptococcus spp.)(限定ではなく、肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)(例えばクロラムフェニコール耐性セロタイプ4肺炎球菌(chloramphenicol-resistant serotype 4 Streptococcus pneumoniae)、スペクチノマイシン耐性セロタイプ6B肺炎球菌(spectinomycin-resistant serotype 6B Streptococcus pneumoniae)、ストレプトマイシン耐性セロタイプ9V肺炎球菌(streptomycin-resistant serotype 9V Streptococcus pneumoniae)、エリスロマイシン耐性セロタイプ14肺炎球菌(erythromycin-resistant serotype 14 Streptococcus pneumoniae)、オプトヒン耐性セロタイプ14肺炎球菌(optochin-resistant serotype 14 Streptococcus pneumoniae)、リファンピシン耐性セロタイプ18C肺炎球菌(rifampicin-resistant serotype 18C Streptococcus pneumoniae)、テトラサイクリン耐性セロタイプ19F肺炎球菌(tetracycline-resistant serotype 19F Streptococcus pneumoniae)、ペニシリン耐性セロタイプ19F肺炎球菌(penicillin-resistant serotype 19F Streptococcus pneumoniae)及びトリメトプリム耐性セロタイプ23F肺炎球菌(trimethoprim-resistant serotype 23F Streptococcus p
neumoniae)、クロラムフェニコール耐性セロタイプ4肺炎球菌(chloramphenicol-resistant serotype 4 Streptococcus pneumoniae)、スペクチノマイシン耐性セロタイプ6B肺炎球菌(spectinomycin-resistant serotype 6B Streptococcus pneumoniae)、ストレプトマイシン耐性セロタイプ9V肺炎球菌(streptomycin-resistant serotype 9V Streptococcus pneumoniae)、オプトヒン耐性セロタイプ14肺炎球菌(optochin-resistant serotype 14 Streptococcus pneumoniae)、リファンピシン耐性セロタイプ18C肺炎球菌(rifampicin-resistant serotype 18C Streptococcus pneumoniae)、ペニシリン耐性セロタイプ19F肺炎球菌(penicillin-resistant serotype 19F Streptococcus pneumoniae)又はトリメトプリム耐性セロタイプ23F肺炎球菌(trimethoprim-resistant serotype 23F Streptococcus pneumoniae))、ストレプトコッカス・アガラクチア(Streptococcus agalactiae)、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)、A群溶血性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes, Group A streptococci)、B群溶血性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes, Group B Streptococci)、C群溶血性連鎖球菌(Streptococcus agalactiae, Group C Streptococci)、ストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)、D群溶血性連鎖球菌(Streptococcus equismilis, Group D Streptococci)、ストレプトコッカス・ボビス(Streptococcus bovis)、F群溶血性連鎖球菌(Group F Streptococci)、及びG群溶血性連鎖球菌(Streptococcus anginosus, Group G Streptococci)を含む)、スピリルム・ミヌス(Spirillum minus)、ストレプトバチルス・モニリフォルミ(Streptobacillus moniliformi)、トレポネーマ種(Treponema spp.)(限定ではなくトレポネーマ・カラテウム(Treponema carateum)、トレポネーマ・ペテヌエ(Treponema petenue)、トレポネーマ・パリダム(Treponema pallidum)、及びトレポネーマ・エンデミカム(Treponema endemicum)を含む、トロフェリマ・ウィッペリ(Tropheryma whippelii)、ウレアプラズマ・ウレアリチカム(Ureaplasma urealyticum)、ベイロネラ種(Veillonella spp.)、ビブリオ種(Vibrio spp.)(限定ではなくビブリオ・コレラエ(Vibrio cholerae)、ビブリオ・パラヘモリチカス(Vibrio parahemolyticus)、ビブリオ・バルニフィカス(Vibrio vulnificus)、ブリオ・パラヘモリチカス(Vibrio parahaemolyticus)、ビブリオ・バルニフィカス(Vibrio vulnificus)、ビブリオ・アルギノリチカス(Vibrio alginolyticus)、ビブリオ・ミミカス(Vibrio mimicus)、ビブリオ・ホリセ(Vibrio hollisae)、ビブリオ・フルビアリス(Vibrio fluvialis)、ビブリオ・メチニコフィイ(Vibrio metchnikovii)、ビブリオ・ダムセラ(Vibrio damsela)、及びビブリオ・ファーニシイ(Vibrio furnisii)を含む)、ザントモナス・マルトフィリア(Xanthomonas maltophilia)、並びにエルシニア種(Yersinia spp.)(限定ではなくエルシニア・エンテロコリチカ(Yersinia enterocolitica)、エルシニア・ペスチス(Yersinia pestis)、及びエルシニア・シュードツベルクロシス(Yersinia pseudotuberculosis)を含む)。
【0139】
[0153] 方法300は、細菌302が絶対好気性菌又は偏性好気性菌である場合、所望若しくは標的濃度(又は許容可能な誤差マージン内)の細菌302の出力試料を準備するために使用することができる。方法300は、細菌302が通性嫌気性菌である場合、所望若しくは標的濃度(又は許容可能な誤差マージン内)の細菌302の出力試料を準備するために使用することもできる。方法300は、細菌302がグラム陰性細菌である場合、所望若しくは標的濃度(又は許容可能な誤差マージン内)の細菌302の出力試料を準備するために更に使用することができる。
【0140】
[0154] 本出願人らによる1つの意外な発見は、本明細書に開示される方法及びシステムが、絶対好気性菌又は偏性好気性菌と分類されるか、又は見なされる細菌を含むソース試料から所望若しくは標的(又は許容可能な誤差マージン内)の出力試料を準備するために特によく機能することである。例えば、アシネトバクター・バウマンニ(Acinetobacter baumannii)(ABa)及びシュードモナス・エルジノーサ(Pseudomonas aeruginosa)(PAe)等の特定の種の絶対好気性菌又は偏性好気性菌では、本明細書に開示される方法は、曝気を使用しない方法と比較して、そのような絶対好気性菌又は偏性好気性菌で試料準備時間の有意な短縮を示した。
【0141】
[0155] 本出願人らによる別の意外な発見は、本明細書に開示される方法及びシステムが、大腸菌(Escherichia coli)(ECo)、セラチア・マルセセンス(Serratia marcescens)(SMa)、及びプロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)(PMi)等の通性嫌気性菌と分類されるか、又は見なされる細菌を含むソース試料から所望若しくは標的(又は許容可能な誤差マージン内)の出力試料を準備するために特によく機能することである。例えば、特定の種の通性嫌気性菌では、本明細書に開示される方法は、曝気を使用しない方法と比較して、そのような通性嫌気性菌で試料準備時間の有意な短縮を示した。
【0142】
[0156] 本出願人らによる更に別の意外な発見は、本明細書に開示される方法及びシステムが、通性嫌気性菌又は絶対/偏性好気性菌と分類されるか、又は見なされる細菌を含むソース試料から所望若しくは標的(又は許容可能な誤差マージン内)の出力試料を準備するために特によく機能することである。例えば、本出願人らは、本明細書に開示される方法が、以下の種のグラム陰性細菌を含むソース試料から所望若しくは標的又は許容可能な誤差マージン内の出力試料を準備するために特によく機能することを発見した:ECo、SMa、PMi、プロテオウス・ブルガリス(Proteous vulgaris)(PVu)、ABa、PAe、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)(KPn)、エンテロバクター・クロアカ(Enterobacter cloacae)(ECl)、クレブシエラ・オキシトカ(Klebsiella oxytoca)(KOx)、クレブシエラ・エロゲネス(Klebsiella aerogenes)(KAe)、(シトロバクター・ブラキCitrobacter braakii)(CBr)、シトロバクター・フロインデイ(Citrobacter freundii)(CFr)、及びシトロバクター・コセリ(Citrobacter koseri)(CKo)。
【0143】
[0157] 代替の実施形態では、本明細書に開示される方法300、デバイス、及びシステム301は、所望若しくは標的濃度(又は許容可能な誤差マージン内)のカビ又は菌類の出力試料を準備するために使用することもできる。菌類は以下からなる群から選択された属であることができる:カンジダ(Candida)及びクリプトコッカス(cryptococcus)。より具体的には、菌類は以下からなる群から選択される種であることができる:カンジダ属(Candida spp.)(限定ではなく、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・グラブラタ(Candida glabrata)、カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、カンジダ・パラプローシス(Candida parapsilosis)、及びカンジダ・クルセイ(Candida krusei)を含む)、アスペルギルス属(Aspergillus spp.)(限定ではなく、アスペルギルス・フミガートウス(Aspergillus fumigatous)、アスペルギルス・フラバス(Aspergillus flavus)、アスペルギルス・クラバタス(Aspergillus clavatus)を含む)、クリプトコッカオス属(Cryptococcous spp.)(限定ではなく、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、クリプトコッカス・ガッティ(Cryptococcus gattii)、クリプトコッカス・ローレンティ(Cryptococcus laurentii)、及びクリプトコッカス・アルビダス(Cryptococcus albidus)を含む)、フザリウム属(Fusarium spp.)(限定ではなく、フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)、フザリウム・ソラニ(Fusarium solani)、フザリウム・ベルチシリオイデス(Fusarium verticillioides)、及びフザリウム・プロリフェラタム(Fusarium proliferatum)を含む)、リゾプス・オリーゼ(Rhizopus oryzae)、ペニシリウム・マルネッフェイ(Penicillium marneffei)、コクシジオデス・イミチス(Coccidiodes immitis)、並びにブラストミセス・デルマチチジス(Blastomyces dermatitidis)。
【0144】
[0158] 方法300は、ステップ300Aにおいて、細菌302を含むソース試料のアリコートを希釈係数により希釈することを含むことができる。上述したように、ソース試料は患者又は被験者から取得することができる。幾つかの実施形態では、ソース試料はヒトである患者又は被験者から取得することができる。他の実施形態では、ソース試料は、ヒトではない動物の患畜又は被験物から取得することができる。特定の実施形態では、ソース試料は、患者若しくは被験者から収集、抽出、若しくは他の方法で取得された体液又はそこから導出された細菌培養液を含むことができる。体液は血液、尿、血清、血漿、唾液、痰、精液、母乳、関節液、脳脊髄液等の脊髄液、創傷材料、粘液、流体を伴う大便、膣分泌物、滑液、胸水、腹水、心膜液、及び羊水の少なくとも1つであることができる。例えば、ソース試料は、細菌増殖について陽性と試験された患者又は被験者から取得された体液(又はスワブ)から導出された細菌培養液又は再懸濁された細菌培養液であり得る。より具体的には、ソース試料は陽性血液培養液(PBC)であることができる。
【0145】
[0159] 図3に示されていない追加の実施形態では、ソース試料はステップ300A前に濾過することができる。この濾過ステップは、研究所フィルタ、ベンチトップフィルタ、医療フィルタ、マイクロ流体フィルタ、シリンジフィルタ、血液フィルタ、尿フィルタ、又はそれらの組合せを使用してソース試料を濾過し、デブリ、無機材料、及び血液細胞又は上皮細胞を含むより大きな細胞成分を濾過してソース試料から除外することを含むことができる。
【0146】
[0160] ソース試料のアリコートは希釈液306を使用して希釈することができる。希釈液306は増殖培地(例えば細菌増殖培地)又は増殖誘導剤を含むことができる。幾つかの実施形態では、希釈液306は、カチオン調整ミュラーヒントンブロス(CAMHB)、グルコース補充ミュラーヒントンブロス(MHG)、CAMHB-LHB混合物、bacto-トリプトン、トリプシン大豆消化物、酵母エキス、牛肉エキス、デンプン、カゼイン酸加水分解物、カゼイン酸加水分解物、グルコース若しくは他の炭水化物、又はそれらの組合せを含む溶液であることができる。増殖誘導剤は、炭素系誘導剤、窒素系誘導剤、鉱物、微量元素、生物学的増殖因子、又はこれらの任意の組合わせを含むことができる。例えば、増殖誘導剤は、限定ではなく、グルコース若しくはデンプン等の炭水化物、アンモニア、マグネシウム、アミノ酸、カザミノ酸、ビタミン、ペプチド、血液、又はそれらの組合せを含むことができる。例示的な一実施形態では、希釈液306は、トリプトン、酵母エキス、塩化ナトリウム、デンプン、水、及びグルコースを含むことができる。
【0147】
[0161] 希釈係数は約1:1から約1:100又は約1:1から約1:1000であることができる。幾つかの実施形態では、希釈係数は約1:10から約1:100であることができる。より具体的には、希釈係数は約1:10~約1:50であることができる。例えば、ソース試料が陽性血液培養液である場合、希釈係数は約1:30であることができる。より具体的な例として、30μLのソース試料を1mLの希釈液306中に希釈することができる。
【0148】
[0162] 図3はステップ300Aにおいてソース試料の1つのみのアリコートが希釈されていることを示すが、ソース試料の追加のアリコートを同じ希釈比率又は異なる希釈比率で希釈して、追加の希釈試料304(例えば、第2の希釈試料、第3の希釈試料、第4の希釈試料等)を生成することができることが本開示により企図される。追加の希釈試料304は、内部コントロール又は冗長試料の生成に使用することができる。
【0149】
[0163] 方法300は、ステップ300Bにおいて、細菌302を含む希釈試料304のアリコートをセンサ装置100の容器チャンバ102に導入することを含むこともできる。導入される希釈試料304の量は、容器チャンバ102(例えば図1参照)のチャンバキャビティ112の容積に依存することができる。例えば、希釈試料304の1mLアリコートをセンサ装置100の容器チャンバ102に導入することができる。
【0150】
[0164] 容器チャンバ102内の希釈試料304のアリコートは、センサ装置100の能動センサ106及び基準センサ108の両方と流体連通することができる。本開示では、容器チャンバ102内の希釈試料304のアリコートは含有試料113と呼ばれる。
【0151】
[0165] 上述したように、能動センサ106は、容器チャンバ102のチャンバ側壁110の少なくとも一部分に結合することができる。能動センサ106は、含有試料113が容器チャンバ102のチャンバキャビティ112を充填したとき、含有試料113が能動電極材料又は能動電極層118と流体的に接触するようにキャビティ112に面する能動電極材料又は能動電極層118を含むこともできる。
【0152】
[0166] また、上述したように、基準センサ108は、容器チャンバ102のチャンバキャビティ112と流体連通する基準電極材料132及びウィック又はウィック構成要素134を備えることができる。容器チャンバ102が含有試料113で充填されると、容器チャンバ102内の含有試料113の少なくとも幾らかは、ウィック基端部140の方向にウィック構成要素134の少なくとも一部分により引き上げ、吸収し、又は他の方法で吸い上げることができる。基準電極材料132はウィック基端部140(例えば図1D参照)に配設されるため、含有試料113は、ウィック構成要素134を介して基準電極材料132と流体的に接触することができる。
【0153】
[0167] 方法300は、ステップ300Cにおいて、組み立てられたセンサ装置100(センサ装置100は、試料が充填した容器チャンバ102に容器キャップ104が締め付けられたとき、組み立てられる)をリーダ200の容器受領空間に配置することを更に含むことができる。例えば、ユーザは、リーダ200の蓋206を持ち上げ、組み立てられたセンサ装置100をリーダ200の容器受領空間に挿入することができる。
【0154】
[0168] 上述したように、センサ装置100が容器受領空間内に位置しているとき、リーダ200の基準電極接点216(例えば図2C参照)は、センサ装置100の容器キャップ104(例えば図1D参照)に位置する基準電極材料132と電気的に接触することができ、又は電気的に接触するように移動することができる。さらに、センサ装置100が容器受領空間内に位置しているとき、リーダ200の能動電極接点218は、能動センサ106の導電層160(例えば図1C図1D、及び図2C参照)又は導電接点と電気的に接触することができ、又は電気的に接触するように移動することができる。このようにして、能動センサ106及び基準センサ108は両方とも、リーダ200に電気的に結合することができる。
【0155】
[0169] 基準電極接点216及び能動電極接点218は、信号読み出し制御ユニット210(例えば図2B参照)に電気的に結合することができる。信号読み出し制御ユニット210は、センサ装置100の能動センサ106及び基準センサ108から得られた信号を変換し読み取るようにプログラムされた1つ又は複数のプロセッサ、チップセット、又はチップモジュールを含むことができる。例えば、信号読み出し制御ユニット210は、能動電極層118と基準電極材料132との間で測定される電位差に基づいて、センサ装置100内の含有試料113のORPを特定することができる。
【0156】
[0170] この時点で、リーダ200のユーザ(例えば、研究所の技師又は臨床医)は、所望若しくは標的濃度308をリーダ200に入力することができる。例えば、ユーザは特定のタッチ入力をリーダ200のディスプレイ204に適用して、予め設定された細菌濃度レベルを選択し、又は所望若しくは標的濃度308を入力することができる。また例えば、ユーザは、リーダ200に通信可能に結合されたキーボード又は他のタイプの入力デバイスを介して所望若しくは標的濃度308を入力することができる。代替的には、ユーザは、リーダ200に通信可能に結合されたコンピューティングデバイス310(例えばタブレット又はラップトップ)に所望若しくは標的濃度308を入力することもできる。コンピューティングデバイス310は、無線通信プロトコール又は有線接続を介して所望若しくは標的濃度308をリーダ200に送信することができる。
【0157】
[0171] 所望若しくは標的濃度308は、抗菌剤又は抗生物質感受性試験(AST)等の下流の試験プロトコールの一環として求められる細菌濃度レベルであることができる。特定の実施形態では、所望若しくは標的濃度308は1mL当たりのコロニー形成単位(CFU)として表現又は表示することができる。他の実施形態では、所望若しくは標的濃度308はマクファーランド標準に関して表現又は表示することができる(例えば、0.5マクファーランド、1.0マクファーランド、2.0マクファーランド等)。
【0158】
[0172] 幾つかの実施形態では、所望若しくは標的濃度308は約1.4×10CFU/mL~1.6×10CFU/mLであることができる。例えば、所望若しくは標的濃度308は約1.5×10CFU/mLであることができる(0.5マクファーランド標準とも呼ばれる)。他の実施形態では、所望若しくは標的濃度308は1.6×10CFU/mL超又は1.4×10CFU/mL未満であることができる。
【0159】
[0173] 幾つかの実施形態では、ユーザは、細菌302の分類(例えば、属、科、若しくは目)又は細菌302の特性に関する特定の情報を入力することもできる。例えば、ユーザは、希釈試料304をセンサ装置100に導入する前、細菌302のグラム染色試験を実行することができる。次いで、ユーザは、グラム染色試験に基づいて細菌302がグラム陽性であるかそれともグラム陰性であるかをリーダ200に入力することができる。幾つかの場合、リーダ200は、ユーザにより提供された細菌302の分類又は特性に合わせられた1つ又は複数のルックアップテーブル(LUT)を検索することができる。
【0160】
[0174] 方法300は、ステップ300Dにおいて、含有試料113をインキュベートし曝気することを含むこともできる。幾つかの実施形態では、センサ装置100内の含有試料113は、インキュベート及び曝気を同時に受けることができる。他の実施形態では、センサ装置100内の含有試料113は、最初に曝気せずにインキュベーション期間を開始し、又は最初にインキュベートせずに曝気期間を開始することができる。全てのそのような実施形態では、センサ装置100内の含有試料113がインキュベート及び曝気の両方を受ける期間が存在し得る。
【0161】
[0175] センサ装置100内の含有試料113は、インキュベーション温度でインキュベートすることができる。幾つかの実施形態では、インキュベーション温度は約30℃~約40℃(例えば約35℃±2℃)であることができる。他の実施形態では、インキュベーション温度は約25℃~約30℃であることができる。上述したように、含有試料113を含むセンサ装置100は、リーダ200内に収容されている間にインキュベートすることができる。例えば、リーダ200の熱制御モジュール212は、試料が充填されたセンサ装置100のインキュベーションを制御することができる。リーダ200は、加熱ブロック220(例えば図2C参照)を介してセンサ装置100の少なくとも一部分を加熱することによりセンサ装置100をインキュベートすることができる。幾つかの実施形態では、加熱ブロック220は、能動センサ106とは逆の容器チャンバ102の側方を加熱することができる。特定の実施形態は、加熱ブロック220は、容器チャンバ102の下部若しくはベースの一部分を加熱することができ、又は容器チャンバ102を部分的に囲むか、若しくは抱いてセンサ装置100を加熱することができる。
【0162】
[0176] センサ装置100内の含有試料113は、曝気流量又はガス分注速度(gas dispense rate)で曝気することができる。曝気流量は、含有試料113の7.0マイクロリットル(μL)/秒/ミリリットル(mL)~含有試料113の10.0μL/秒/mLであることができる。より具体的には、センサ装置100内の含有試料113は、含有試料113の約8.8(±0.9)μL/秒/mLの流量で曝気することができる。上述したように、含有試料113は電動ピストンポンプを使用して曝気することができる。電動ピストンポンプは、リーダ200内に収容又は含むことができる。含有試料113の曝気は、リーダ200の曝気制御モジュール214により制御することができる。
【0163】
[0177] 幾つかの実施形態では、センサ装置100内の含有試料113は曝気サイクルに従って曝気することができる。曝気サイクルは、曝気期間の後に、ガス又は周囲空気が容器チャンバ102(例えば図2B参照)に送り込まれない非曝気期間を含むことができる。
【0164】
[0178] 特定の実施形態では、曝気期間は非曝気期間よりも長い期間であることができる。例えば、曝気期間は約7分~約10分であることができ、非曝気期間は約3秒~約10秒であることができる。より具体的な例として、容器チャンバ102内の含有試料113は繰り返し、含有試料113の約10.0μL/秒/mLの流量又は分注速度で約8分間曝気し、その後に約5秒間の非曝気期間が続くことができる。
【0165】
[0179] 方法300は、ステップ300Eにおいて、センサ装置100内の含有試料113のORP変化をモニタすることを含むこともできる。含有試料113のORPは、センサ装置100がリーダ200内に位置決めされ、ユーザが所望若しくは標的濃度308を入力するとすぐにモニタ又は測定することができる。含有試料113のORPは、インキュベーション期間及び/又は曝気期間中、モニタ又は測定することができる。
【0166】
[0180] 上述したように、幾つかの実施形態では、リーダ200の信号読み出し制御ユニット210は、センサ装置100の容器チャンバ102内の含有試料113のORPをモニタすることができる。例えば、ORPモニタリングプロセスの一環として、含有試料113のORPを毎秒当たり複数回サンプリング又は特定することができ、そのようなORP値は、経過時間313と併せて記録することができる。リーダ200は、ORP増殖曲線311として、経過時間313の関数としてORP変化を表示することができる。より具体的な例として、ORP増殖曲線311は、リーダ200のディスプレイ204を介して又はリーダ200に通信可能に結合されたコンピューティングデバイス310のディスプレイを介してユーザにレンダリングし表示することができる。含有試料113中の細菌量が増える(細菌濃度が上がる)につれて、含有試料113中の還元分子/化合物量も増大する。そしてこれにより、含有試料113のORPは下がるか、又はORP値はより負になる。
【0167】
[0181] 方法300は、ステップ300Fにおいて、種非依存ルックアップテーブル(LUT)312をデータベースから検索することを更に含むことができる。種非依存LUT312は、ユーザが所望若しくは標的濃度308を入力したことに応答して検索されることができる。他の実施形態では、種非依存LUT312は、含有試料113のORPがリーダ200によりモニタ開始されると、検索することができる。例えば、リーダ200の1つ又は複数のプロセッサは、リーダ200のメモリ又は記憶ユニットから種非依存LUT312を検索するようにプログラムすることができる。他の実施形態では、リーダ200の1つ又は複数のプロセッサは、コンピューティングデバイス310に記憶されたデータベース又はクラウドのデータベースから種非依存LUT312を検索するようにプログラムすることができる。
【0168】
[0182] 種非依存LUT312は、複数の種非依存ORP変化量314及び種非依存細菌濃度316を含むことができる。各種非依存細菌濃度316は、種非依存細菌濃度316と関連付けられた種非依存ORP変化量314を有することができる。
【0169】
[0183] 種非依存LUT312は、複数の種固有LUT406及び/又は系統固有LUT(例えば図4参照)から構築又は生成することができる。例えば、各種非依存ORP変化量314及び各種非依存細菌濃度316はそれぞれ、複数のLUTにわたる、複数のORP変化量又は細菌濃度からの平均であることができる。種固有LUT406及び/又は系統固有LUT404から種非依存LUT312を構築又は生成することについて後のセクションでより詳細に考察する。
【0170】
[0184] 方法300は、ステップ300Gにおいて、所望若しくは標的濃度308が種非依存LUT312に含まれているか否かを判断することを更に含むことができる。例えば、リーダ200の1つ又は複数のプロセッサは、ユーザから入力した所望若しくは標的濃度308を使用して、種非依存LUT312内の細菌濃度フィールド(即ち種非依存細菌濃度316)を照会することができる。所望若しくは標的濃度308が種非依存LUT312に含まれているとリーダ200の1つ又は複数のプロセッサが判断する場合、リーダ200の1つ又は複数のプロセッサは、ステップ300Hにおいて、種非依存ORP変化量314の1つが、所望若しくは標的濃度308に等しいか、又は実質的に等しい種非依存細菌濃度316の1つと関連付けられたとき、種非依存ORP変化量314の1つを閾値ORP変化量318として選択することができる。このようにして、リーダ200は、閾値ORP変化量318を設定するために主に種非依存LUT312に依存する。
【0171】
[0185] しかしながら、所望若しくは標的濃度308が種非依存LUT312に含まれていないとリーダ200の1つ又は複数のプロセッサが判断する場合、リーダ200の1つ又は複数のプロセッサは、ステップ300Iにおいて、標的濃度までの時間(ttarget)320を計算することができる。標的濃度までの時間320の計算について後のセクションでより詳細に考察する。
【0172】
[0186] 特定の実施形態では、リーダ200の1つ又は複数のプロセッサは、所望若しくは標的濃度308が種非依存LUT312に含まれている場合であっても、標的濃度までの時間320を計算することを選ぶことができる。例えば、リーダ200の1つ又は複数のプロセッサは、種非依存LUT312からの閾値ORP変化量318が高すぎる/大きすぎると見なされ得るか又はエラーを受けやすい可能性がある場合を決める特定のヒューリスティック又は予め設定されたルールに基づいてこの計算を選ぶことができる。この場合、リーダ200の1つ又は複数のプロセッサは、種非依存LUT312からの特定のORP値(即ち種非依存ORP変化量314)に依存するのではなく、標的濃度までの時間320を計算すると判断することができる。例えば、リーダ200の1つ又は複数のプロセッサは、ORP増殖曲線311の挙動のリアルタイム又は準リアルタイム解析(例えば、モニタされているORP信号が平らになり始めているか否か)に基づいて、特定のより小さな種非依存ORP変化量314のほうがより正確であるか又はエラーをより受けにくいと判断することができる。この場合、リーダ200の1つ又は複数のプロセッサは、種非依存LUT312からの特定のより小さな種非依存ORP変化量314がより妥当又はエラーをより受けにくいと判断し、標的濃度までの時間320を計算するに当たりそのようなORP変化量を使用することができる。
【0173】
[0187] 方法300は、ステップ300Jにおいて、含有試料113中の細菌が所望若しくは標的濃度308に達した(又は許容可能な誤差マージン内で所望若しくは標的濃度308に達した)と判断することを含むこともできる。例えば、リーダ200の1つ又は複数のプロセッサは、リーダ200によりリアルタイム若しくは準リアルタイムでモニタされている含有試料113のORP変化が閾値ORP変化量318に達した(若しくはその許容可能な誤差マージン内で閾値ORP変化量318に達した)(ステップ300Hも参照)場合又は経過時間313が、計算された標的濃度までの時間320に達した(ステップ300Iも参照)場合、含有試料113中の細菌が所望若しくは標的濃度308に達した(又は許容可能な誤差マージン内で所望若しくは標的濃度308に達した)と判断することができる。
【0174】
[0188] 方法300は、ステップ300Kにおいて、含有試料113中の細菌の濃度が所望若しくは標的濃度308に達した(又は許容可能な誤差マージン内で所望若しくは標的濃度308に達した)と判断される場合、センサ装置100内の含有試料113を冷却することを更に含むことができる。含有試料113は、約4℃~約25℃の冷却温度に冷却することができる。センサ装置100はリーダ200内で冷却することができる。例えば、熱制御モジュール212は、含有試料113を約4℃~約25℃に冷却するために使用することもできる。含有試料113の冷却は、含有試料113内の細菌が増殖し続けないようにするため又は細菌濃度がそれ以上上がらないようにするために必要である。
【0175】
[0189] ステップ300Kは、含有試料113中の細菌が所望若しくは標的濃度308に達し(又は許容可能な誤差マージン内で所望若しくは標的濃度308に達し)、現時点で出力試料が下流の試験に使用可能な状態であることをリーダ200がユーザに注意喚起することを含むこともできる。例えば、リーダ200はスピーカを備えることができ、スピーカは、含有試料113中の細菌が所望若しくは標的濃度308に達した(又は許容可能な誤差マージン内で所望若しくは標的濃度308に達した)ことをユーザに通知するために可聴アラートを生成又はアラームを鳴らすことができる。追加の実施形態では、リーダ200は、ディスプレイ204を介して、含有試料113中の細菌が所望若しくは標的濃度308に達し(又は許容可能な誤差マージン内で所望若しくは標的濃度308に達し)、現時点で出力試料が下流の試験に使用可能な状態であることをユーザに通知する視覚的又はグラフィックアラートをレンダリングすることができる。
【0176】
[0190] 図3に示されるように、研究所の技師又は臨床医は方法300を使用して、含有試料113内の細菌の種のいかなる事前知識もなく又は含有試料113内の細菌の種を突き止める必要なく、所望若しくは標的濃度308(又は許容可能な誤差マージン内)の出力試料を準備することができる。研究所の技師又は臨床医はもはやソース試料又は含有試料113に別個の種識別プロトコールを受けさせる必要がないため、これは大幅に、試料準備時間を短縮し又は出力試料の準備に必要な人間の努力量を低減することができる。
【0177】
[0191] 図3に示される方法ステップは、所望の結果を達成するために、示されている特定の順序を必要としない。さらに、所望の結果を達成するために、特定のステップ又はプロセスは省かれてもよく又は並行して行われてもよい。くわえて、図3に示されるデバイス又は装置の代わりに他のデバイス又は装置を使用してもよい。
【0178】
[0192] 図4は、種非依存LUT312を複数の成分LUT402から生成することができることを示す。幾つかの実施形態では、種非依存LUT312は少なくとも3つの成分LUT402から生成することができる。例えば、種非依存LUT312は、5~8つの成分LUT402から生成することができる。他の実施形態では、種非依存LUT312は9つ以上の成分LUT402から生成することができる。
【0179】
[0193] 各成分LUT402は系統固有LUT404又は種固有LUT406のいずれかであることができる。種固有LUT406は、同じ種の細菌を含む複数の系統固有LUT404から生成することができる。各系統固有LUT404は、基準細菌試料408と同時に測定されたORP測定値及び細菌濃度測定値を使用して編纂することができる。
【0180】
[0194] 幾つかの実施形態では、種非依存LUT312は複数(少なくとも3つ)の系統固有LUT404から生成することができる。他の実施形態では、種非依存LUT312は複数(少なくとも3つ)の種固有LUT406から生成することができる。追加の実施形態では、種非依存LUT312は、系統固有LUT404と種固有LUT406との混合から生成することができる。
【0181】
[0195] 例えば、少なくとも3つの成分LUT402は、第1のLUT、第2のLUT、及び第3のLUTを含むことができる。第1のLUT、第2のLUT、及び第3のLUTの各々は系統固有LUT404又は種固有LUT406のいずれかであることができる。第1のLUT、第2のLUT、及び第3のLUTはそれぞれ、第1の基準細菌試料、第2の基準細菌試料、及び第3の基準細菌試料の行われた又は測定された同時ORP及び細菌濃度測定値を使用して生成することができる。第1の基準細菌試料は第1の種の細菌を含むことができ、第2の基準細菌試料は、第1の種と異なる第2の種の細菌を含むことができ、第3の基準細菌試料は、第1の種又は第2の種のいずれとも異なる第3の種の細菌を含むことができる。
【0182】
[0196] 各成分LUT402は、成分LUT ORP変化量410及び成分LUT細菌濃度412を含むことができる。幾つかの実施形態では、成分ORP変化量410は、種非依存ORP変化量314と同じであることができる。これらの実施形態では、各成分ORP変化量410と関連付けられた成分LUT細菌濃度412は、複数の成分LUT402にわたる平均を計算することができ、それにより、種非依存細菌濃度316を取得することができる。
【0183】
[0197] 例えば、図5は、6つの系統固有LUT404から生成された種非依存LUT312を示す。より具体的な例として、6つの系統固有LUT404は、ECoのPSC-91株、KPnのPSC-38株、ABaのUCLA-126株、PAeのPSC-30株、PVuのUCLA-32株、及びSMaのCDC-91株を表すLUTを含むことができる。6つのLUTにわたる系統細菌濃度(又は種々の成分LUT細菌濃度412)の平均を計算して、種非依存LUT312の一部として含まれる種非依存細菌濃度316の各々を取得する。
【0184】
[0198] 図5に示されていないが、種非依存LUT312が、複数の種固有LUT406又は種固有LUT406と系統固有LUT404との混合物から生成することもできることが本開示により企図される。例えば、SMaの種固有LUT406は、SMaのCDC-27株、SMaのCDC-91株、SMaのCDC-99株、SMaのCDC-121株、SMaのCDC-122株、SMaのCDC-130株、又はそれらの組合せを表すLUTを含むSMaの複数の系統固有LUT404から生成することができる。別の例として、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)(SAu)の種固有LUT406は、SAuの野生株、SAuのCDC-483株、SAuのCDC-475株、SAuのATCC43300株、又はそれらの組合せを含むLUTを含むSAuの複数の系統固有LUT404から生成することもできる。
【0185】
[0199] 再び図4を参照すると、種非依存LUT312を生成する方法400は、少なくとも3つの基準細菌試料408を準備することで開始することができる。次いで、少なくとも3つの基準細菌試料408を使用して、少なくとも3つの成分LUT402を準備することができる。
【0186】
[0200] 幾つかの実施形態では、6~8つの基準細菌試料408を準備することができる。他の実施形態では9つ以上の基準細菌試料408を準備することができる。LUT(種固有LUT406及び種非依存LUT312のいずれかを含む)の正確性は、より多くの基準細菌試料408がそのようなLUTの生成に使用される場合、改善又は強化することができる。
【0187】
[0201] 基準細菌試料408は、既知の種及び/又は株の細菌のプレーティングされたコロニーを希釈液306等の液体増殖培地中に再懸濁することにより準備することができる。再懸濁した細菌試料のアリコート(例えば1mL)は次いでセンサ装置100のインスタンスに導入することができる。図4に示されるように、各基準細菌試料408はそれ自体のセンサ装置100に導入することができる。基準細菌試料408は、各試料が同じ初期濃度の細菌を含むように準備することもできる。例えば、各基準細菌試料408中の細菌の初期濃度は概ね1×10(1e7)CFU/mL又は5×10(5e7)CFU/mLであることができる。
【0188】
[0202] 各基準細菌試料408のORPはリーダ200によりモニタすることができる。例えば、基準細菌試料408を含むセンサ装置100は、リーダ200の容器受領空間内に配置することができ、リーダ200は、ある期間中、基準細菌試料408のORP変化をモニタするようにプログラムすることができる。このモニタリングと同時に、基準細菌試料408の光学密度(O.D.)を特定の時間間隔414で測定することもできる。例えば、特定の時間間隔414は数分毎、例えば15分毎であることができる。他の実施形態では、特定の時間間隔414は5分毎、10分毎、20分毎、又は30分毎であることができる。例えば、基準細菌試料408のORPは180分の期間にわたりモニタすることができる。モニタリングと同時に、この基準細菌試料408のO.D.は、この180分期間中、15分毎に定期的に測定することができる。
【0189】
[0203] リーダ200は、含有試料113をインキュベートし曝気する仕方と同様に、基準細菌試料408をインキュベートし曝気することができる。リーダ200は、基準細菌試料408を約30℃~約40℃(例えば、約35℃±2℃)のインキュベーション温度でインキュベートすることができる。リーダ200は、基準細菌試料408の7.0μL/秒/mL~基準細菌試料408の10.0μL/秒/mLで基準細菌試料408を曝気することもできる。より具体的には、センサ装置100内の基準細菌試料408は、基準細菌試料408の約8.8(±0.9)μL/秒/mLの流量で曝気することができる。
【0190】
[0204] 幾つかの実施形態では、センサ装置100内の基準細菌試料408は曝気サイクルに従って曝気することができる。曝気サイクルは、曝気期間の後に、ガス又は周囲空気が容器チャンバ102に送り込まれない非曝気期間を含むことができる。特定の実施形態では、曝気期間は非曝気期間よりも長い期間であることができる。例えば、曝気期間は約7分~約10分であることができ、非曝気期間は約3秒~約10秒であることができる。より具体的な例として、センサ装置100の容器チャンバ102内の基準細菌試料408は繰り返し、基準細菌試料408の約10.0μL/秒/mLの流量又は分注速度で約8分間曝気し、その後に約5秒間の非曝気期間が続くことができる。
【0191】
[0205] 幾つかの実施形態では、O.D.測定417は、分光測定デバイス416又はシステム(例えばUV-可視分光測定デバイス)を使用して600nmの波長で行うことができる(OD600測定)。特定の実施形態では、センサ装置100は、特定の各時間間隔414の終わりにリーダ200から取り外すことができ、基準細菌試料408は分光測定デバイス416又はシステムに適合した別の容器又は管に移すことができる。他の実施形態では、センサ装置100は、基準細菌試料408がセンサ装置100の容器チャンバ102内にある場合であっても基準細菌試料408のO.D.を測定することができるように、特定のタイプの分光測定デバイス416又はシステムと共に直接機能するよう設計又は他の方法で構成することができる。
【0192】
[0206] 幾つかの実施形態では、分光測定デバイス416又はシステムはコンピューティングデバイスコス310に通信可能に結合することができ、コンピューティングデバイス310はリーダ200に通信可能に結合される。コンピューティングデバイス310は、O.D.測定417及びORPモニタリングの結果を記録し、コンピューティングデバイス310のメモリ又はコンピューティングデバイス310がアクセス可能なクラウドベースのデータベースに記憶することができる。
【0193】
[0207] 他の実施形態では、分光測定デバイス416又はシステムはリーダ200に通信可能に結合することができ、リーダ200は、O.D.測定417の結果をORP変化量と共に記憶することができる。
【0194】
[0208] O.D.測定417は、変換係数を使用して基準試料細菌濃度418(CFU/mL単位で表される)に変換することができる。例えば、コンピューティングデバイス310の1つ又は複数のプロセッサは、変換係数を使用してO.D.測定417の結果を基準試料細菌濃度418に変換するようにプログラムすることができる。例えば、O.D.測定417の結果は、O.D.測定417の結果を数値変換係数で乗じる(例えば、O.D.×(1.76×10))ことにより、基準試料細菌濃度418に変換することができる。変換係数は通常、機器依存であり、機器毎に異なる。
【0195】
[0209] 特定の実施形態では、O.D.測定417の代わり又は追加として、プレートカウントアッセイ又はフローサイトメトリアッセイを行い、基準試料細菌濃度418を特定することができる。
【0196】
[0210] コンピューティングデバイス310は次いで、各基準試料細菌濃度418(O.D.測定417から変換された)に基準細菌試料408の実測ORP変化を関連付けることにより系統固有LUT404を生成することができる。例えば、各基準試料細菌濃度418に、リーダ200により特定された基準細菌試料408の実測ORP変化を関連付けることができる。さらに、基準試料細菌濃度418は次いで、特定の系統固有LUT404の成分LUT細菌濃度412として含めることができ、基準細菌試料408のORP変化は、この特定の系統固有LUT404の成分LUTのORP変化量410として含めることができる。
【0197】
[0211] 次いで、少なくとも3つの系統固有LUT404がまとめられるまで、このプロセスをその他の基準細菌試料408の各々に対して繰り返すことができる。幾つかの実施形態では、多くの系統固有LUT404が作成され、次いでそれらを使用して、複数の種固有LUT406を作成する。そのような種固有LUT406又は種固有LUT406と系統固有LUT404との組合せを使用して、種非依存LUT312を作成することができる。
【0198】
[0212] 上述したように、LUT(種非依存LUT312、系統固有LUT404、及び種固有LUT406のいずれかを含む)は、データベースソフトウェアプログラムの一環として、リーダ200のメモリ、リーダ200に通信可能に結合されたコンピューティングデバイス310、又はそれらの組合せに記憶することができる。他の実施形態では、LUTは、データベースソフトウェアプログラムの一環として、ネットワークを経由して計算クラウド又はリーダ200がアクセス可能なリモートサーバ及び/又はコンピューティングデバイス310に記憶することができる。
【0199】
[0213] 幾つかの実施形態では、複数の種非依存LUT312を準備することができる。これらの実施形態では、種非依存LUT312は、属、科、目、網、門、界、又はドメインにより編成することができる。さらに、特定の種非依存LUT312は、グラムタイプ等の微生物特性により若しくは特定のタンパク質若しくは分子を加水分解する能力等の機能的能力により編成することもでき、又は選択若しくは検索することもできる。
【0200】
[0214] 図6A及び図6Bは、本明細書に開示される、所望若しくは標的濃度308(又は許容可能な誤差マージン内)の出力試料を準備する方法300及びシステム301(センサ装置100及びリーダ200)の有効性を評価するために実行した41回のトライアルランからの結果を示す。全ての出力試料は、所望若しくは標的濃度308として1.5×10CFU/mLを用いて準備された。図6Aに示されるように、41回のトライアルランは、10の異なる種のグラム陰性細菌を含むソース試料を含んだ。これらの種は、PAe、ABa、ECo、KPn、ECl、KOx、PMi、KAe、SMa、及びCFrを含んだ。そのようなソース試料内の細菌の種は、方法300が異なるタイプの細菌に対して等しく良好な性能を有することを保証するように決定された。ソース試料に伴う細菌の種は、方法300を使用して出力試料を準備する前、識別される必要はないことを当業者は理解されたい。
【0201】
[0215] 出力試料を準備するに当たり、所望若しくは標的濃度308(1.5×10CFU/mL)に基づいて、閾値ORP変化量318(ΔORPThreshold=-60mV)を図5に示される種非依存LUT312から選択した。図6Aの大きい方のグラフは、これらの結果を、種々の細菌種に対してプロットされた最終的な出力試料濃度と共に示している。最終出力試料濃度は、O.D.測定及び/又は従来の細菌培養プレーティング法を使用して特定した。図6Aの小さい方のグラフは、これらの結果の結合箱ひげ図である。
【0202】
[0216] 平均出力試料濃度は1.43×10(±0.15log10)CFU/mLであった。トライアルランの目標は、出力試料濃度の少なくとも95%が1.5×10CFU/mLという所望若しくは標的濃度308の±0.5log10内に入ることであった。
【0203】
[0217] 図6Bは、41個の出力試料濃度の100%が1.5×10CFU/mLという所望若しくは標的濃度308の±0.5log10内であり、41個の出力試料濃度の95.1%が1.5×10CFU/mLの±0.3log10内であり、41個の出力試料濃度の78.0%が1.5×10CFU/mLの±0.2log10内であったことを示す表である。大半の下流試験プロトコールは、0.5log10の細菌濃度誤差マージンを十分に許容可能な範囲内であると見なすため、これらの41回のトライアルランから生成された出力試料は全て、更なる下流の試験に使用することが可能である。
【0204】
[0218] これらの結果は、本明細書に開示される方法300及びシステム301(センサ装置100及びリーダ200)が、所望若しくは標的濃度308の許容可能な誤差マージン内の出力試料を準備することにおいて有効であることを示す。さらに、これらの結果は、本明細書に開示される方法300及びシステム301が、種非依存LUT312の作成に使用された基準細菌試料408に含まれていなかった種の細菌を含むソース試料から、所望若しくは標的濃度308の許容可能な誤差マージン内の出力試料を準備することにおいても有効であることができることを示す。即ち、出力試料を作成するために依拠した種非依存LUT312は真に「種非依存」であり、種非依存LUT312の作成に使用された種を越えて幅広い適用性を有する。
【0205】
[0219] 以下のセクションで考察するように、本明細書に開示される方法300及びシステム301の有効性の大部分は、本明細書に開示される曝気プロトコールに原因があり得る。
【0206】
[0220] 図7A及び図7Bはそれぞれ、大腸菌(Escherichia coli)(ECo)及びアシネトバクター・バウマンニ(Acinetobacter baumannii)(ABa)の細菌増殖速度に対する曝気の効果を示すグラフである。曝気された試料は、含有試料113の約8.8μL/秒/mLの流量で曝気され、一方、淀んだ試料は曝気されなかった。UV-可視光学密度測定を経時実行して、そのような試料の増殖挙動を追跡した。
【0207】
[0221] 図7Aは、ECo(通性嫌気性菌)の増殖に対する曝気の効果がわずかであることを示すが、図7Bに示されるように、曝気はABaのような偏性好気性菌の増殖に対してはるかに大きな効果を有する。したがって、曝気は、特定のタイプの細菌(即ち偏性又は絶対好気性菌)の増殖を加速させることにより、試料を準備するためにかかる時間、即ち準備時間を短縮するとともに、試料中の細菌のタイプを問わず細菌増殖速度をより均一にするという二重の利点を提供する。
【0208】
[0222] 上述したように、含有試料113の多すぎる曝気が、リーダ200によりモニタされるORP信号に対して悪影響を及ぼし得ることも強調されたい。したがって、センサ装置100内の含有試料113は最適範囲内の流量で曝気されるべきである。本出願人らにより発見された1つのそのような範囲は、含有試料113の7.0μL/秒/mL~含有試料113の10.0μL/秒/mLの流量である。より具体的には、含有試料113は、含有試料113の約8.8(±0.9)μL/秒/mLの流量で曝気することができる。
【0209】
[0223] 幾つかの実施形態では、センサ装置100内の含有試料113は曝気サイクルに従って曝気することができる。曝気サイクルは、曝気期間の後に、ガス又は周囲空気が容器チャンバ102に送り込まれない非曝気期間を含むことができる。特定の実施形態では、曝気期間は非曝気期間よりも長い期間であることができる。例えば、曝気期間は約7分~約10分であることができ、非曝気期間は約3秒~約10秒であることができる。
【0210】
[0224] 図8Aは、ここでも、曝気が異なる種の細菌間での増殖速度のばらつきを下げることを示す表である。より具体的には、図8Aの表は、曝気が種々の種にわたる細菌倍増時間の全体変動係数(CV)を下げることができることを示す。図8Aに示される全ての試料は、各試料の約8.8μL/秒/mLの曝気流量で曝気された。
【0211】
[0225] 通性嫌気性菌種の細菌(ECo、SMa、及びPVu)を含む3つの試料の場合、細菌倍増時間の割合変化は15%から21%の範囲である。しかしながら、偏性好気性菌種の細菌Aba及びPAeを含む2つの試料の場合、細菌倍増時間の割合変化はそれぞれ41%及び84%とはるかに高い。くわえて、全ての種の細菌の結果を調べる場合、そのような試料が曝気されない(又は淀んだままである)とき、細菌倍増時間のCVは109%と極めて高い。しかしながら、曝気を用いる場合、細菌倍増時間のCVは12%に低下し、細菌の増殖挙動(細菌倍増時間を通して明らかである)は非常に類似するようになる。これは、ソース試料中の細菌が通性嫌気性菌であるか、それとも偏性好気性菌であるかを問わず、全ての結果が同様の時間枠内で取得されることを保証するため、種非依存方法300の成功にとって重要である。
【0212】
[0226] 図8Bは、曝気を使用して細菌倍増時間の全体CVを低下させることができるため、平均倍増時間(tdoubling_average)を複数の細菌倍増時間(tdoubling)から計算することができることを示す。例えば、平均倍増時間(tdoubling_average)は、少なくとも3つの細菌倍増時間(tdoubling)の平均をとることにより計算することができる。より具体的な例として、図8Bの表は、5つの異なる種からの細菌の5つの細菌倍増時間(tdoubling)の平均をとることにより、平均倍増時間(tdoubling_average)を計算することができることを示す。
【0213】
[0227] 各細菌倍増時間(例えば、ECo、SMa、PVu、Aba、PAe等)は、種々の基準細菌試料408(例えば図4参照)の行われたO.D.測定を使用して計算することができる。上述したように、O.D.測定値は、変換係数を使用して細菌濃度(CFU/mL単位)に変換することができる。結果としての細菌濃度の変化は次いで、時間の関数としてプロットすることができ、プロットは以下の式1に提供される等の指数モデルにフィッティングすることができる:
【数3】
【0214】
[0228] 上記式1中、Nは変換された細菌濃度であり、tは分単位の時間であり、A及びkはフィッティングパラメータである。細菌倍増時間(tdoubling)を特定するために、Aは細菌の初期濃度(即ちt=0における)に対応し、細菌倍増時間の特定に関連しないため、問題ではない。
【0215】
[0229] 細菌倍増時間(tdoubling)とkとの間の関係は以下の式2に提供される:
【数4】
【0216】
[0230] 上述したように、次いで、複数の細菌倍増時間(tdoubling)の平均をとることから平均倍増時間(tdoubling_average)を計算することができる。平均倍増時間(tdoubling_average)は、所望若しくは標的濃度308が種非依存LUT312に含まれない場合、標的濃度までの時間(ttarget)320(例えば図3のステップ300I参照)を計算するために必要である。例えば、ユーザは3.0×10CFU/mLを所望若しくは標的濃度308として入力することができ、これは、リーダ200が依拠する種非依存LUT312内のいずれの種非依存細菌濃度316も越えている(例えば、図5に示される種非依存LUT312は1.8×10CFU/mLまでしか上がらない)。
【0217】
[0231] 上述したように、特定の実施形態では、リーダ200の1つ又は複数のプロセッサは、所望若しくは標的濃度308が種非依存LUT312に含まれている場合であっても、標的濃度までの時間320を計算することを選ぶことができる。例えば、リーダ200の1つ又は複数のプロセッサは、種非依存LUT312からの閾値ORP変化量318が高すぎる/大きすぎると見なされ得るか又はエラーを受けやすい可能性がある場合を決める特定のヒューリスティック又は予め設定されたルールに基づいてこの計算を選ぶことができる。この場合、リーダの1つ又は複数のプロセッサは、種非依存LUT312からの特定の種非依存ORP変化量314に依存するのではなく、標的濃度までの時間320を計算すると決定することができる。例えば、リーダ200の1つ又は複数のプロセッサは、ORPモニタリングで初期に特定された特定のより小さな種非依存ORP変化量314のほうが、ORPモニタリングの一環として後に取得されたより大きなORP変化量314よりも正確又はエラーを受けにくいと判断することができる。リーダ200の1つ又は複数のプロセッサは、ORP増殖曲線311の挙動のリアルタイム又は準リアルタイム解析(例えば、モニタされているORP信号が平らになり始めているか否か)に基づいてこの判断を行うことができる。この場合、リーダ200の1つ又は複数のプロセッサは、種非依存LUT312からの特定のより小さな種非依存ORP変化量314がより妥当又はエラーをより受けにくいと判断し、標的濃度までの時間320を計算するに当たりそのようなORP変化量の使用を選ぶことができる。
【0218】
[0232] リーダ200の1つ又は複数のプロセッサは、以下の式3を使用して標的濃度までの時間(ttarget)320を計算するようにプログラムすることができる:
【数5】
【0219】
[0233] 上記式3中、ttarget(又は標的濃度までの時間320)は、含有試料113が所望若しくは標的濃度308(Ntarget)に達するまでに必要な時間量を表し、Nは種非依存LUTに含まれている種非依存細菌濃度であり、tは含有試料113のORPが、種非依存LUT312からのNと関連付けられた種非依存ORP変化量(ΔORP)だけ変化するために必要な時間量を表し、tdoubling_averageは平均細菌倍増時間である。tは、含有試料113に対してリーダ200が行うリアルタイムORPモニタリングから特定することができる。
【0220】
[0234] 例えば、図9Aは、約60分の期間にわたりリーダ200により測定された含有試料113のORP変化を示すORP増殖曲線である。この特定の含有試料113では、ユーザは3.0×10CFU/mLを所望若しくは標的濃度308として入力し、これは、リーダ200が依拠する種非依存LUT312(例えば、図5に示される種非依存LUT312)内のいずれの種非依存細菌濃度316も越えている。所望若しくは標的濃度308が種非依存LUT312に含まれていないとリーダ200が判断すると、リーダ200の1つ又は複数のプロセッサは、標的濃度までの時間(ttarget)320を計算することを選ぶことができる。リーダ200の1つ又は複数のプロセッサは、種非依存LUT312からの単一対のエントリ(即ち、単一の種非依存細菌濃度316及びそれと関連付けられた種非依存ORP変化量314)及び上記式3を使用して、標的濃度までの時間(ttarget)320を計算するようにプログラムすることができる。
【0221】
[0235] 例えば、図5に示される種非依存LUT312からNとして1×10CFU/mL(又は1.0E+8)を選択することができる。次いで、リーダ200の1つ又は複数のプロセッサは、含有試料113のORPをリアルタイムでモニタし(図9A参照)、含有試料113のORPが-30mV(Nと関連付けられた種非依存ORP変化量(ΔORP)、図5参照)だけ変化するために必要な時間量に基づいてtを決定することができる。図9Aに示されるように、tはリアルタイムORPモニタリングに基づいて32分と決定することができる。これらの値を平均倍増時間(tdoubling_average)28.4分(図8B参照)と共に式3に代入すると、標的濃度までの時間(ttarget)320は76.4分と計算することができる。
【0222】
[0236] この例では、リーダ200は、所望若しくは標的濃度308の出力試料又は所望若しくは標的濃度308の許容可能な誤差マージン内の出力試料の準備が完了したことをユーザ(例えば、研究所の技師又は臨床医)にアラートすることができる。
【0223】
[0237] 図9Bは、時間の関数として上記含有試料113内の細菌濃度変化を示す細菌増殖曲線である。細菌濃度量は、上記含有試料113の経時O.D.測定値を変換することにより取得することができる。
【0224】
[0238] 図9Bに示されるように、76.4分の時点において、上記含有試料113内の細菌濃度は約2.4×10CFU/mLである。細菌濃度2.4×10CFU/mL(又は2.4E+8)は所望若しくは標的濃度である3×10CFU/mL(又は3.0E+8)の0.1log10内であるため、そのような最終細菌濃度は十分に、所望若しくは標的濃度308の許容可能な誤差マージン(例えば±0.5log10)内にあると見なされる。
【0225】
[0239] この例は、所望若しくは標的濃度308が種非依存LUT312の一部として含まれる任意の細菌濃度を超える場合、方法300及びシステム301の有用性を示す。しかしながら、上述したように、Ntargetが種非依存LUT312の一部として含まれている場合であっても、標的濃度までの時間(ttarget)320を計算することもできる。例えば、NtargetがNよりも大きい(Ntarget>N)限り、標的濃度までの時間(ttarget)320は計算することができる。
【0226】
[0240] 実際に、Ntargetに等しいNが選択される場合、標的濃度までの時間(ttarget)320は単にtに等しい。即ち、標的濃度までの時間(ttarget)320は単に、含有試料113のORPが、種非依存LUT312からのNと関連付けられた種非依存ORP変化量(ΔORP)だけ変化するために必要な時間である。
【0227】
[0241] 上述した標的濃度までの時間(ttarget)の計算は、全ての試料(含有試料113と、種非依存LUT312の作成に使用される全ての基準細菌試料408とを含む)内の細菌の増殖速度が本明細書に開示される特定の曝気プロトコールを介してより均一になって初めて有効であることを指摘することが重要である。即ち、上述した標的濃度までの時間(ttarget)の計算は、正確な最終結果に辿り着くに当たり曝気の利点を大幅に利用している。
【0228】
[0242] 幾つかの実施形態について説明した。それにもかかわらず、実施形態の趣旨及び範囲から逸脱せずに、種々の変更及び修正を本開示に行い得ることが当業者には理解されよう。任意の実施形態と共に示されるシステム、デバイス、装置、及び方法の要素は、その特定の実施形態に関して例示的であり、本開示内の他の実施形態で組み合わせて又は他の方法で使用することができる。例えば、図示され又は本開示に記載された任意の方法のステップは、所望の結果を達成するために、図示又は記載の特定の順序又は順番を必要としない。くわえて、所望の結果を達成するために、他のステップ動作を提供してもよく、又はステップ若しくは動作を記載の方法若しくはプロセスからなくす又は省いてもよい。さらに、本開示に記載され又は図示される任意の装置又はシステムの任意の構成要素又は部品は、所望の結果を達成するために、取り外してもよく、なくしてもよく、又は省いてもよい。くわえて、本明細書に図示又は記載のシステム、デバイス、又は装置の特定の構成要素又は部品は、簡潔性及び明確性を目的として省かれている。
【0229】
[0243] したがって、他の実施形態も以下の特許請求の範囲内であり、本明細書及び/又は図面は、限定ではなく例示の意味で見なすことができる。
【0230】
[0244] 本明細書に記載、図示される個々の変形又は実施形態の各々は、他の変形又は実施形態のいずれかの特徴から容易に分離又は結合することができる離散した構成要素及び特徴を有する。特定の状況、材料、物質の組成、プロセス、プロセスの動作又はステップを本発明の目的、趣旨、又は範囲に適合させるために、修正を行うことが可能である。
【0231】
[0245] 本明細書に記載の方法は、論理的に可能な、記載された次章の任意の順序で及び事象の記載された順序で実行し得る。さらに、所望の結果を達成するために、追加のステップ若しくは動作を提供してもよく、又はステップ若しくは動作をなくしてもよい。
【0232】
[0246] さらに、値の範囲が提供される場合、その範囲の上限と下限との間のあらゆる介在値並びにその記載された範囲内の任意の他の記載値及び介在値が本発明内に包含される。また、記載された本発明の変形の任意の選択的な特徴は、独立して、又は本明細書に記載の特徴の任意の1つ若しくは複数と組み合わせて述べられ請求されてよい。例えば、1から5の範囲の記載は、1から3、1から4、2から4、2から5、3から5等の部分範囲、加えて例えば1.5、2.5等のその範囲内の個々の数及びその間の任意の全体的又は部分的な増分を開示したと見なされるべきである。
【0233】
[0247] 本明細書に引用された存在する全ての対象物(例えば公報、特許、特許出願)は、本発明の趣旨と矛盾し得る場合を除き、参照により全体的に本明細書に援用される(矛盾する場合、本明細書の内容が優先される)。引用文献は単に、本願の出願日よりも前に開示されたというだけで提供されている。本明細書のいずれも、本発明が先行発明によりそのような資料に先行する権利を持たないことを認めるものと解釈されるべきではない。
【0234】
[0248] 単数の項目の言及は、同項目が複数存在する可能性を含む。より具体的には、本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形の「a」、「an」、及び「前記」は、文脈にて別段のことが明記されない限り、複数への言及も含む。特許請求の範囲は任意の選択的な要素を除外するように書かれ得ることに更に留意する。したがって、この記述は、請求項の要素の記載に関連して「だけ」、「のみ」等のような排他的な用語を使用すること又は「否定的な」限定を使用することの前提としての役割を果たすことが意図される。別に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する分野の当業者により一般に理解される意味と同じ意味を有する。
【0235】
[0249] 「少なくとも1つの」という句の言及は、そのような句が複数の項目又は構成要素(又は項目若しくは構成要素の列記リスト)を修飾する場合、それらの項目又は構成要素のうちの1つ又は複数の任意の組合わせを意味する。例えば、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つ」は(i)A;(ii)B;(iii)C;(iv)A、B、及びC;(v)A及びB;(vi)B及びC;又は(vii)A及びCを意味する。
【0236】
[0250] 本開示の範囲を理解するに当たり、「備える」という用語及びその派生語は、本明細書で使用される場合、述べられた特徴、要素、構成要素、グループ、整数、及び/又はステップの存在を指定するが、その他の述べられていない特徴、要素、構成要素、グループ、整数、及び/又はステップを除外しないオープンエンド形式の用語であることが意図される。上記は「含む」、「有する」という用語及びそれらの派生語等の同様の意味を持つ用語にも当てはまる。また、「部分」、「セクション」、「一部」、「部材」、「要素」、又は「構成要素」という用語は、単数形で使用される場合、1つの部分及び複数の部分という二重の意味を持つことができる。本明細書で使用される場合、「前方、後方、上方、下方、垂直、水平、下、横切って、横、及び縦」という方向用語並びに任意の他の同様の方向用語は、装置若しくは機器の位置又は並進若しくは移動中の装置若しくは機器の方向を指す。
【0237】
[0251] 最後に、本明細書で使用される「実質的に」、「約」、及び「概ね」等の程度の用語は、指定値又は指定値及び最終結果が著しく又は大きく変わらないような指定値からの妥当なずれの量(例えば適宜±0.1%、±1%、±5%、又は±10%までのずれ)を意味する。例えば、「約1.0cm」は「1.0cm」又は「0.9cmと1.1cmとの間」を意味すると解釈することができる。「約」又は「概ね」等の程度の用語は、範囲の一部である数字又は値を参照するように使用される場合、最小及び最大の数又は値の両方を修飾するように使用することができる。
【0238】
[0252] 本開示は記載された特定の形態の範囲に限定されることは意図せず、
本明細書に記載の変形又は実施形態の代替、修正、及び均等物の包含を意図する。さらに、本開示の範囲は、本開示に鑑みて当業者に明らかになり得る他の変形又は実施形態を完全に包含する。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
【手続補正書】
【提出日】2023-09-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所望若しくは標的濃度又は前記所望若しくは標的濃度の許容可能な誤差マージン内の細菌の試料を準備する方法であって、
前記細菌を含む試料のアリコートを試料容器内に導入することであって、前記試料容器内の前記試料の前記アリコートは、基準センサ及び能動センサと流体連通する含有試料である、導入することと、
前記含有試料をインキュベート及び曝気することであって、前記含有試料は、前記含有試料の7.0マイクロリットル(μL)/秒/ミリメートル(mL)~前記含有試料の10.0μL/秒/mLの流量で曝気される、インキュベート及び曝気することと、
前記基準センサ及び前記能動センサに電気的に結合されたリーダを使用して前記含有試料の酸化還元電位(ORP)の変化をモニタすることと、
前記含有試料内の前記細菌の濃度が前記所望若しくは標的濃度に又は許容可能な誤差マージン内で前記所望若しくは標的濃度に達したと判断された場合、前記含有試料を冷却することと、
を含む方法。
【請求項2】
データベースから種非依存ルックアップテーブル(LUT)を検索することを更に含み、前記種非依存LUTは、種非依存細菌濃度と関連付けられた種非依存ORP変化量を含み、前記種非依存LUTは、基準細菌試料の各々の7.0μL/秒/mL~前記基準細菌試料の各々の10.0μL/秒/mLの流量でインキュベート及び曝気された複数の前記基準細菌試料を使用して測定されたORP変化量及び細菌濃度を含む複数の成分LUTから生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記種非依存ORP変化量の1つが、前記所望若しくは標的濃度に等しい前記種非依存細菌濃度の1つと関連付けられる場合、前記所望若しくは標的濃度に等しい前記種非依存細菌濃度の1つと関連付けられた前記種非依存ORP変化量の1つを閾値ORP変化量として選択することと、
前記リーダによりモニタされる前記含有試料の前記ORPの前記変化が前記閾値ORP変化量に達した場合、前記含有試料内の前記細菌の前記濃度が前記所望若しくは標的濃度に又は許容可能な誤差マージン内で前記所望若しくは標的濃度に達したと判断することと、
を更に含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記種非依存LUTは、第1のLUT、第2のLUT、及び第3のLUTを含む少なくとも3つの成分LUTから生成され、前記第1のLUT、前記第2のLUT、及び前記第3のLUTの各々は種固有LUTであるか又は系統固有LUTであり、前記第1のLUT、前記第2のLUT、及び前記第3のLUTは、第1の基準細菌試料、第2の基準細菌試料、及び第3の基準細菌試料で行われたORP測定値及び細菌濃度測定値をそれぞれ使用して生成され、前記第1の基準細菌試料は第1の種の細菌を含み、前記第2の基準細菌試料は前記第1の種と異なる第2の種の細菌を含み、前記第3の基準細菌試料は、前記第2の種及び前記第1の種と異なる第3の種の細菌を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記系統固有LUTの各々は、
ある期間にわたり少なくとも1つの基準細菌試料の前記ORPの変化をモニタすることと、
前記同じ期間にわたり前記少なくとも1つの基準細菌試料の光学密度(OD)測定を定期的に行うことと、
変換係数を使用して前記OD測定の結果を基準試料細菌濃度に変換することと、
前記基準試料細菌濃度を前記少なくとも1つの基準細菌試料の前記ORPの前記変化と関連付けることと、
を行うことにより生成される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
以下の式:
【数1】
を使用して、前記含有試料が前記所望若しくは標的濃度(Ntarget)の細菌に達するために必要な時間量を表す標的濃度までの時間(ttarget)を計算することであって、式中、Ntargetは前記種非依存LUTに含まれず、Nは前記種非依存LUTに含まれる種非依存細菌濃度であり、tは、前記含有試料の前記ORPが、前記種非依存LUTからのNと関連付けられた種非依存ORP変化量(ΔORP)だけ変化するために必要な時間を表し、tは前記含有試料に対して前記リーダにより行われるリアルタイムORPモニタリングから特定され、tdoubling_averageは平均細菌倍増時間である、計算することと、
経過時間が前記標的濃度までの時間に等しい場合、前記含有試料内の前記細菌の前記濃度が前記所望若しくは標的濃度に又は許容可能な誤差マージン内で前記所望若しくは標的濃度に達したと判断することと、
を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
以下の式:
【数2】
を使用して、前記含有試料が前記所望若しくは標的濃度(Ntarget)の細菌に達するために必要な時間量を表す標的濃度までの時間(ttarget)を計算することであって、式中、Ntarget及びNは両方とも前記種非依存LUTに含まれ、NtargetはNよりも大きく(Ntarget>N)、tは、前記含有試料の前記ORPが、前記種非依存LUTからのNと関連付けられた種非依存ORP変化量(ΔORP)だけ変化するために必要な時間を表し、tは前記含有試料に対して前記リーダにより行われるリアルタイムORPモニタリングから特定され、tdoubling_averageは平均細菌倍増時間である、計算することと、
経過時間が前記標的濃度までの時間に等しい場合、前記含有試料内の前記細菌の前記濃度が前記所望若しくは標的濃度に又は許容可能な誤差マージン内で前記所望若しくは標的濃度に達したと判断することと、
を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記基準センサは基準電極材料及びウィックを含み、前記基準電極材料及び前記ウィックは、前記試料容器のチャンバキャビティ内の前記含有試料の少なくとも幾らかが前記ウィックにより前記基準電極材料の方向に引き込まれ、前記含有試料が前記基準電極材料と流体的に接触するように、前記含有試料と流体連通し、前記能動センサは前記試料容器のチャンバ側壁の少なくとも一部分に結合され、前記能動センサの能動電極材料は、前記含有試料が前記チャンバキャビティを充填した場合、前記含有試料が前記能動電極材料と流体的に接触するように前記チャンバキャビティに面し、前記含有試料の前記ORPは、前記基準センサ及び前記能動センサが前記リーダに電気的に結合されている場合、前記能動電極材料と前記基準電極材料との間で測定される電位差に基づいて、前記リーダにより特定される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記細菌は、通性嫌気性菌又は偏性好気性菌である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記細菌はグラム陰性細菌である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記所望若しくは標的濃度の細菌の前記試料は、前記含有試料内の前記細菌の種のいかなる事前知識もなく又は前記含有試料内の前記細菌の種を前に突き止めたことがない状態で準備される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記試料は、体液及び体液から導出される細菌培養液の少なくとも一方を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記所望若しくは標的濃度は1.4×10CFU/mL~1.6×10CFU/mLである、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記含有試料は、概ね33℃~37℃のインキュベーション温度でインキュベートされる、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記許容可能な誤差マージンは±0.5log10である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記細菌を含むソース試料を希釈係数1:10~1:100で希釈して、希釈試料を生成することを更に含み、前記試料容器に導入される前記試料の前記アリコートは、前記希釈試料のアリコートである、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記含有試料は曝気サイクルに従って曝気され、前記曝気サイクルは、曝気期間の後に続く非曝気期間を含み、前記曝気期間は前記非曝気期間よりも長い、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記曝気期間は約7分~約10分であり、前記非曝気期間は約3秒~約10秒である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記含有試料は、電動ピストンポンプを使用して曝気され、前記電動ピストンポンプは前記リーダ内に収容される、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記含有試料を曝気することは、前記試料容器のベースに沿って画定される開口部を通して周囲空気を前記試料容器内に送り込むことを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
所望若しくは標的濃度又は前記所望若しくは標的濃度の許容可能な誤差マージン内の細菌の試料を準備するシステムであって、
前記細菌を含む試料のアリコートを保持するように構成された容器チャンバを含むセンサ装置であって、前記容器チャンバ内の前記試料の前記アリコートは、基準センサ及び能動センサと流体連通する含有試料である、センサ装置と、
前記センサ装置を受けるように構成されたリーダであって、前記リーダは、前記センサ装置が前記リーダ内に位置するとき、前記含有試料をインキュベート及び曝気するようにも構成され、前記含有試料は前記含有試料の7.0マイクロリットル(μL)/秒/ミリメートル(mL)~前記含有試料の10.0μL/秒/mLの流量で曝気され、前記リーダの1つ又は複数のプロセッサは、
前記リーダが前記センサ装置の前記基準センサ及び前記能動センサに電気的に結合されているとき、前記含有試料の酸化還元電位(ORP)の変化をモニタすることと、
前記含有試料内の前記細菌の濃度が前記所望若しくは標的濃度に又は許容可能な誤差マージン内で前記所望若しくは標的濃度に達したと判断された場合、前記含有試料を冷却することと、
を行うように構成される、リーダと、
を備えるシステム。
【国際調査報告】