(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-29
(54)【発明の名称】高温性能を有する、具体的にはガスタービンブレード用研磨コーティングとしての予備焼結プリフォーム
(51)【国際特許分類】
F01D 5/20 20060101AFI20240122BHJP
F01D 11/12 20060101ALI20240122BHJP
F02C 7/28 20060101ALI20240122BHJP
F01D 25/00 20060101ALI20240122BHJP
F02C 7/00 20060101ALI20240122BHJP
【FI】
F01D5/20
F01D11/12
F02C7/28 A
F01D25/00 L
F02C7/00 C
F02C7/00 D
F01D25/00 X
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540558
(86)(22)【出願日】2022-01-10
(85)【翻訳文提出日】2023-06-30
(86)【国際出願番号】 EP2022025007
(87)【国際公開番号】W WO2022152579
(87)【国際公開日】2022-07-21
(31)【優先権主張番号】102021000000626
(32)【優先日】2021-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517029381
【氏名又は名称】ヌオーヴォ・ピニォーネ・テクノロジー・ソチエタ・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】Nuovo Pignone Tecnologie S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ストラマーレ,ステファニア
(72)【発明者】
【氏名】トグナレッリ,レオナルド
(72)【発明者】
【氏名】ミケラッシ,ヴィットーリオ
(72)【発明者】
【氏名】バルディ,ギノ
(72)【発明者】
【氏名】マシ,ガブリエレ
【テーマコード(参考)】
3G202
【Fターム(参考)】
3G202KK04
3G202KK25
(57)【要約】
【解決手段】 本開示は、ブレード先端に接合して、研磨ブレード先端キャップを形成するための研磨ガスタービンブレード先端キャッププリフォーム(11)に関し、研磨ガスタービンブレード先端キャッププリフォーム(11)は、接合層(12)及び研磨層(13)で形成され、接合層(12)は、ニッケルろう付け合金及びニッケル基超合金の粉末サイズ粒子を含む金属層であり、研磨層(13)は、接合層(12)と同じ組成の金属マトリックス中に立方晶窒化ホウ素(cBN)及び酸化アルミニウム(Al
2O
3)の粉末サイズ粒子を含む金属マトリックス中のセラミック層である。本開示はまた、研磨ガスタービンブレード先端キャッププリフォーム(11)を製造する方法、及び研磨ガスタービンブレード先端キャッププリフォーム(11)をブレード先端に接合して研磨ブレード先端キャップを形成する方法に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンブレード先端に接合して、研磨ガスタービンブレード先端キャップを形成するように構成された研磨ガスタービンブレード先端キャッププリフォーム(11)であって、前記研磨ガスタービンブレード先端キャッププリフォーム(11)は、接合層(12)及び研磨層(13)で形成され、前記接合層(12)は、ニッケルろう付け合金及びニッケル基超合金の粉末サイズ粒子を含む金属層であり、前記研磨層(13)は、前記接合層(12)と同じ組成の金属マトリックス中に立方晶窒化ホウ素(cBN)及び酸化アルミニウム(Al
2O
3)の粉末サイズ粒子を含む金属マトリックス中のセラミック層である、研磨ガスタービンブレード先端キャッププリフォーム(11)。
【請求項2】
前記接合層(12)の厚さは、前記研磨ガスタービンブレード先端キャッププリフォーム(11)の全厚の50%±15%である、請求項1に記載の研磨ガスタービンブレード先端キャッププリフォーム(11)。
【請求項3】
前記接合層(12)は、50%±15重量%のNi基超合金の粉末サイズ粒子及び50%±15重量%のNi基ろう付け合金の粉末サイズ粒子からなる、請求項1に記載の研磨ガスタービンブレード先端キャッププリフォーム(11)。
【請求項4】
前記研磨層(13)は、50%±15重量%の金属マトリックス中の25%±7.5重量%の立方晶窒化ホウ素(cBN)の粉末サイズ粒子及び25%±7.5重量%の酸化アルミニウム(Al
2O
3)の粉末サイズ粒子からなり、前記金属マトリックスは、50%±15重量%のNi基超合金及び50%±15重量%のNi基ろう付け合金からなる、請求項1に記載の研磨ガスタービンブレード先端キャッププリフォーム(11)。
【請求項5】
立方晶窒化ホウ素(cBN)の粒径は最小93重量%で181~277メッシュの範囲であり、酸化アルミニウムの粒径は最小40重量%で100メッシュであり、Ni基超合の粒径は最小95重量%で395メッシュであり、Ni基ろう付け合金の粒径は最小95重量%で395メッシュである、請求項1に記載の研磨ガスタービンブレード先端キャッププリフォーム(11)。
【請求項6】
前記ニッケルろう付け合金は、コバルト13.5~16.5重量%、クロム18.5~21.5重量%、アルミニウム4.2~5.8重量%、ケイ素7.5~8.4重量%、ニッケル46.71~55.21重量%、他の元素1.1重量%未満からなる、請求項1に記載の研磨ガスタービンブレード先端キャッププリフォーム(11)。
【請求項7】
前記ニッケル基超合金は、コバルト11.35~12.1重量%、クロム6.5~7.2重量%、アルミニウム5.9~6.6重量%、タンタル6.1~6.7重量%、タングステン4.5~5.3重量%、ハフニウム1.2~1.8重量%、レニウム2.5~3.1重量%、ニッケル55.61~60.36重量%、他の元素1.6重量%未満からなる、請求項1に記載の研磨ガスタービンブレード先端キャッププリフォーム(11)。
【請求項8】
請求項1~7に記載の研磨ガスタービンブレード先端キャッププリフォーム(11)の製造方法であって、
-接合層(12)及び研磨層(13)で形成されたシート又はテープを形成する(20)ステップであって、前記接合層(12)は、ニッケルろう付け合金及びニッケル基超合金の粉末サイズ粒子を含み、前記研磨層(13)は、前記接合層(12)と同じ組成のマトリックス中に立方晶窒化ホウ素(cBN)及び酸化アルミニウム(Al
2O
3)の粉末サイズ粒子を含み、前記ニッケルろう付け合金はろう付け温度を有する、ステップと、
-前記ろう付け温度の80~90%で前記シート又はテープを真空熱処理する(30)ステップと、
-前記シート又はテープを前記研磨ガスタービンブレード先端キャッププリフォーム(11)の最終形状に切断する(40)ステップと、を含む、方法。
【請求項9】
前記2層シート又はテープを形成する(20)ステップは、代替的に、
-ニッケルろう付け合金及びニッケル基超合金の粉末サイズ粒子を含む接合層(12)を形成する(201)ステップ、
-前記ろう付け温度の80~90%で前記接合層(12)を真空熱処理することによって前記接合層(12)を焼結させる(203)ステップ、
-研磨層(13)を形成する(202)ステップであって、前記研磨層(13)は、前記接合層(12)と同じ組成の金属マトリックス中に立方晶窒化ホウ素(cBN)及び酸化アルミニウム(Al
2O
3)の粉末サイズ粒子を含む、ステップ、
-前記ろう付け温度の80~90%で前記研磨層(13)を真空熱処理することによって前記研磨層(13)を焼結させる(204)ステップ、並びに
-前記接合層(12)の上に前記研磨層(13)を配置する(205)ステップ、
又は
-ニッケルろう付け合金及びニッケル基超合金の粉末サイズ粒子を含む接合層(12)を形成する(206)ステップ、
-上記第1の層の上に研磨層(13)を形成する(207)ステップであって、前記研磨層(13)は、前記接合層(12)と同じ組成の金属マトリックス中に立方晶窒化ホウ素(cBN)及び酸化アルミニウム(Al
2O
3)の粉末サイズ粒子を含む、ステップを含み、
-金属シートを形成するために前記ろう付け温度の80~90%で前記層を真空熱処理する(30)、ステップ、及び
-前記金属シートを所望の形状に切断する(40)ステップを更に含む、請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
請求項1に記載の研磨ガスタービンブレード先端キャッププリフォーム(11)をブレード先端に接合して研磨ブレード先端キャップを形成する方法であって、
-前記研磨ガスタービンブレード先端キャッププリフォーム(11)をガスタービンブレード(10)の前記先端に仮付け溶接する(50)ステップと、
-前記研磨ガスタービンブレード先端キャッププリフォーム(11)と前記ガスタービンブレード先端とを真空ろう付けによって互いに接合するために真空熱処理する(60)ステップと、を含む、方法。
【請求項11】
前記真空熱処理する(60)ステップは、繰り返される、加熱する(601)サブステップ及び拡散する(602)サブステップ、続いて、前記温度を室温に下げることによって急冷する(603)最終サブステップを含む、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、高温構成要素を備えるターボ機械の分野、並びにこのような構成要素に塗布される高抵抗材料、例えば研磨コーティング、及びそれを塗布する方法に関する。
【0002】
一実施形態によると、本開示は、軸流、径流、及び混合ターボ機械、例えばコンプレッサ及びタービンに関し、より具体的には、固定構成要素と回転構成要素との間での漏れ制御に関し、タービンロータバケット又はコンプレッサロータブレードに塗布される研磨材を含む。
【0003】
一実施形態によると、本開示は、ロータバケット先端に塗布されて、シュラウドと呼ばれる固定子部品と動的シールを形成し、高温性能を有する先端材料及びコーティングの使用によってガス流漏れを低減し、ガスタービンエンジンの効率を高める研磨コーティングに関する。
【背景技術】
【0004】
ガスタービンは、概して、少なくとも1つのロータアセンブリの上方に延在する、少なくとも1つの固定アセンブリを含むことが既知である。ロータアセンブリは、少なくとも1列の円周方向に離間配置された回転可能な金属タービンブレードを含む。ブレードは、回転可能なハブから金属先端まで半径方向外向きに延在する金属翼を含む。ロータブレードのこのような金属翼の多くは、ニッケル(Ni)基超合金などの材料から製造される。
【0005】
ターボ機械の固定アセンブリは、高温ガス流束に日常的に曝され得る金属シュラウドを形成する表面を含む。このような金属表面の一部は、固定アセンブリの上方にシュラウドを形成する、塗布された金属系MCrAlY(M=Co、Ni、又はCo/Ni、Cr=クロム、Al=アルミニウム、及びY=イットリウム)コーティング、及び/又は塗布されたセラミック遮熱コーティングを含む。あるいは、いくつかのこのような金属表面は、保護遮熱コーティングを有するか又は有さない、塗布されたセラミックマトリックス複合材料を含む。
【0006】
金属先端及び金属シュラウドは、それらの間の先端クリアランスを画定する。しかしながら、このような先端クリアランスは、高い効率を必要とする高温ユニットには適していない。このような先端クリアランスを低減するために、ガスタービンは、固定アセンブリの上方に形成された摩耗性シュラウドを含み、ブレード先端は、ブレード材料及び摩耗性コーティングよりも大きい硬度値を有する、その上に形成された研磨材を含む。研磨材は、ロータアセンブリが固定アセンブリ内で回転するときにシュラウドコーティングを研磨する。摩耗性シュラウドコーティング及び研磨先端は、それらの間の先端クリアランスを画定する。先端クリアランスは、ブレードを迂回する、ガスタービンを通る軸流の低減を促進するのに十分に小さく、したがって、ガスタービンの効率及び性能の向上を促進する。先端クリアランスはまた、利用可能なガスタービン運転条件の範囲にわたって摩擦のないガスタービン運転を促進するのに十分な大きさである。
【0007】
タービン固定子及びロータブレード上に適切な研磨先端キャップを設けるために、様々な材料及びプロセスが提案されている。使用される典型的な研磨材としては、炭化ケイ素、酸化アルミニウム、炭化タンタル、及び立方晶窒化ホウ素が挙げられる。研磨材の粒子は、通常、例えばニッケル又はコバルト基合金を含む金属マトリックスに組み込まれて、ブレード先端に接合され得る、十分に強い構造を提供する。しかしながら、このような金属マトリックスの厚さは、研磨組成物の構造的な弱点のために制限されることが多い。
【0008】
更に、一部の研磨材は、高温によって損傷する。一例として、約927℃(1700°F)超の温度では、立方晶窒化ホウ素は不安定になり、酸化しやすい。また、炭化ケイ素は、約927℃(1700°F)超の温度に耐えるのにより適しているが、炭化ケイ素研磨材は、Ni/Co(ニッケル/コバルト)合金基材を攻撃し得る遊離ケイ素を含む。
【0009】
いくつかの用途では、プラズマ溶射又はデトネーションガン溶射など溶射技術を使用して、研磨組成物をロータブレード先端に塗布することが従来の方法である。通常、研磨組成物がガスタービンの過酷な環境に耐えるために必要な接着性及び構造的完全性を提供するために、後続のプロセスが必要である。そのようなステップは、多くの場合、第1の加熱冷却サイクル中に研磨組成物をブレード先端に付着させるステップと、その後に、熱間等静圧圧縮成形中など第2の加熱冷却サイクルを通して研磨組成物上に追加量の金属マトリックスを堆積させるステップと、を含む。代替案として、ブレードの先端をレーザなどで溶融させ、ブレード先端に研磨材を導入し、次いでブレード先端を再凝固させることも提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記のプロセスは一部のタービンブレード構造に適し得るが、最新のガスタービンエンジンで使用されるタービンブレードは、単結晶微細構造を有する鋳造高温ニッケル基超合金から製造されることが多い。単結晶ブレードは、最新のガスタービンの性能要件に必要な高温での極めて高い耐酸化性及び機械的強度を特徴とする。しかしながら、単結晶微細構造は、ロータブレード研磨先端キャップがロータブレードに固定されるプロセスの影響を受けてはならない。具体的には、このプロセスにより、ロータブレードの単結晶微細構造が再結晶し、その結果として、ロータブレードの高温特性が失われるか、又は低下してはならない。その結果、ロータブレード先端を単結晶ロータブレードに溶融させることを伴うプロセスは、絶対に許容できない。加えて、ロータブレードの繰り返される熱サイクルには、ロータブレードの単結晶微細構造を劣化させるリスクがある。
【0011】
したがって、研磨ブレード先端キャップに容易に形成可能であり、単結晶タービンロータブレードの微細構造の劣化を最小限に抑えるように制御された温度下の単一の加熱冷却サイクルで、タービンロータブレードに付着可能である研磨組成物を提供することが望ましい。
【0012】
一態様では、本明細書に開示される主題は、制御された温度下での単一の加熱冷却サイクルを通してガスタービンロータブレードに固定的に結合されるように構成された、研磨材プリフォームに関する。
【0013】
別の態様では、本明細書に開示される主題は、そのような研磨材プリフォームを製造するための方法に関する。
【0014】
更に別の態様では、本明細書に開示される主題は、そのような研磨材プリフォームを単一の加熱冷却サイクルでガスタービンブレードに付着させて、単結晶ロータブレードの微細構造及び研磨材の安定性を維持するための方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明の開示される実施形態とそれに付随する利点の多くについての完全な理解は、添付図面に関連して考えながら以下の発明を実施するための形態を参照することによって、より容易に得られるであろう。
【
図1】
図1は、研磨材プリフォームでコーティングされたガスタービンブレードの断面を示す。
【
図3】
図3は、ブレード先端に接合して、ガスタービンブレードの先端に研磨ブレード先端キャップを形成するための研磨ガスタービンブレード先端キャッププリフォームを製造する、新規で改良された方法のフローチャートを示す。
【
図4】
図4は、ガスタービンブレードの先端に研磨材プリフォームを塗布する、新規で改良された方法のフローチャートを示す。
【
図5】
図5は、
図3の研磨ガスタービンブレード先端キャッププリフォームを製造する方法の第1の例示的な実施形態のフローチャートを示す。
【
図6】
図6は、
図3の研磨ガスタービンブレード先端キャッププリフォームを製造する方法の第2の例示的な実施形態のフローチャートを示す。
【
図7】
図7は、
図4のガスタービンブレードの先端に研磨材プリフォームを塗布する方法の例示的な実施形態のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
一態様では、本明細書に開示される主題は、制御された温度下での単一の加熱冷却サイクルを通してガスタービンロータブレード10に固定的に結合されて、
図1に示されるように研磨材プリフォーム11でコーティングされたガスタービンブレード10を実現するように構成された、研磨材プリフォーム11に関する。
【0017】
一態様によると、本明細書に開示される主題は、より具体的には、ブレード先端に仮付け溶接され、次いで真空ろう付けされて、
図1に示されるように研磨材プリフォーム11でコーティングされたガスタービンブレード10を実現するように構成された、超合金基材とろう付け合金粉末との均質混合物からなる、予備焼結された研磨材プリフォーム11に関する。
【0018】
本開示では、粉末という用語は、数ミクロンから数千ミクロンのメッシュサイズを有する微細な乾燥固体粒子を特定するために、その一般的に知られている意味に従って使用される。
【0019】
加えて、本開示では、焼結という用語はまた、材料の固体塊を液化点まで溶融させることなく熱又は圧力によって圧縮し、形成するプロセスを特定するために、その一般的に知られている意味に従って使用される。
【0020】
「プリフォーム」という用語は、本開示において、予備成形された構成要素を特定するために使用される。
【0021】
図2は、2つの層、すなわち、ブレード先端と結合するための接合層12及び最上層13又は研磨層13で形成された予備焼結プリフォーム11の断面図を示す。例示的な実施形態によると、各層の厚さは、用途に必要なプリフォームの全厚の50%±15%である。具体的には、例示的な実施形態によると、接合層12は、以下に記載のように、ニッケルろう付け合金粉末とニッケル基超合金粉末とのブレンドを焼結することによって得られる金属層であり得、最上層13は、立方晶窒化ホウ素(cBN)粉末と酸化アルミニウム(Al
2O
3)粉末とのブレンドを、接合層と同じ組成の金属マトリックス中で焼結させることによって生成される、金属マトリックス中のセラミック層であり得る。2つの層は、単一の焼結操作によって、又は別々に焼結された2つの層の接合を含む一連の焼結操作によって得ることができる。
【0022】
例示的な実施形態によると、予備焼結プリフォームは、超合金基材とろう付け合金粉末との均質な混合物からなる接合層12、及び表1の範囲内の組成を有する、研磨グリットとも呼ばれる研磨粉末からなる最上層13又は研磨層13からなる焼結粉末冶金製品であり得る。
【0023】
【0024】
金属粉末及び研磨粉末は、ガスタービンセクション内の高温に耐えるように選択される。特に、研磨グリットは、短期切削能力及び熱安定性の両方を保証し、経時的なクリアランスの維持を保証する。
【0025】
粉末の粒径は、以下の要件を満たすものとする。
-cBN粉末の粒径は、最小93重量%で181~277メッシュの範囲であるものとする。
-酸化Al粉末の粒径は、最小40重量%で100メッシュであるものとする。
-Ni基超合金粉末の粒径は、最小95重量%で395メッシュであるものとする。
-Ni基ろう付け合金粉末の粒径は、最小95重量%で395メッシュであるものとする。
【0026】
システムの例示的な実施形態では、ニッケルろう付け合金粉末の組成は、表2に示されている。
【0027】
【0028】
システムの例示的な実施形態では、ニッケル基超合金粉末の組成は、表3に示されている。
【0029】
【0030】
例示的な実施形態によると、予備焼結プリフォーム11は、テープ又はシートを形成する(20)ことによって、
図3に示されるプロセスを通して実現され、テープ又はシートは、2つの層、すなわち、接合層12、及び上で指定された組成を有する最上層13又は研磨層13で形成される。次いで、テープ又はシートを焼結し、すなわち、ろう付け温度の30%から80~90%で真空熱処理し、続いて所望の形状に切断する(40)。
【0031】
例示的な実施形態によると、予備焼結プリフォーム11は、予備焼結プリフォーム11をガスタービンブレード10の先端に仮付け溶接し(50)、予備焼結プリフォーム11を先端に接合するために真空ろう付けする(60)ことによって、
図4に示すプロセスを通してガスタービンブレード先端に接合される。
【0032】
具体的には、
図5に示すように、2つの層からなる予備焼結プリフォームは、一連の後続の焼結プロセスによって製造される。各層は、コンベヤベルトによって駆動される可撓性シートの形態で、すなわち、接合層製造プロセス201及び相対的な予備焼結203、並びに研磨層製造プロセス202及び相対的な予備焼結204によって、個別に製造することができる。接合層製造プロセス201によると、接合層12の形成に使用される2つの金属粉末を結合剤と一緒に混合して(2011)ペーストを生成し、このペーストを、対向するローラ間でプレスする(2012)。可撓性シートが適切な厚さに達したら、テープを形成するために切断し(2013)、秤量する(2014)。次いで、シート又はテープを予備焼結させる(203)。すなわち、高真空炉に入れ、1150~1180℃で真空熱処理して、予備焼結シート又はテープを得る。研磨層製造プロセス202に従って、立方晶窒化ホウ素(cBN)粉末、酸化アルミニウム(Al
2O
3)粉末、及び研磨層13の形成に使用される、接合層と同じ組成の2つの金属粉末を結合剤と一緒に混合して(2021)ペーストを生成し、このペーストを、対向するローラ間でプレスする(2022)。可撓性シートが適切な厚さに達したら、テープを形成するために切断し(2023)、秤量する(2024)。次いで、シート又はテープを予備焼結させる(204)。すなわち、高真空炉に入れ、1150~1180℃で真空熱処理して、予備焼結シート又はテープを得る。次に、2つの予備焼結シート又はテープを他方の上に配置して(205)、接合層12及び最上層13又は研磨層13からなるシート又はテープを形成する。次に、シート又はテープを焼結させて、5×10E-4トール未満の圧力において高真空炉内で2つの層を互いに結合し(30)、続いて切断して(40)、最終的な予備焼結プリフォーム11を形成する。
【0033】
あるいは、例示的な実施形態によると、
図6に示すように、2つの層からなる予備焼結プリフォームは、2つの層を同時に焼結させることによって製造される。接合層12の形成(206)に使用される2つの金属粉末を結合剤と一緒に混合して(2061)ペーストを生成し、このペーストを、対向するローラ間でプレスする(2062)。可撓性シートが適切な厚さに達すると、同じ混合ステップ(2071)及びプレスステップ(2072)を実行して、接合層12の上に配置された、セラミック粒子が埋め込まれた研磨層13を形成する(207)。次に、2枚のシートを同時に焼結させ(30)、5×10E-4トール未満の圧力で高真空炉内で互いに結合し、続いて切断して(40)、最終的な予備焼結プリフォーム11を形成する。
【0034】
例示的な実施形態によると、プリフォーム11を予め仮付け溶接した(50)ブレード10のろう付けステップ(60)は、5×10E-4トール未満の圧力において1200~1220℃で実行する。
図6にも示される例示的な実施形態によると、1178℃~1198℃の拡散サブステップ(602)の温度で、後続の繰り返される加熱(601)及び拡散(602)のサブステップを実行して、プリフォーム11とブレード10との間で適切な接合を実現する。次に、ろう付けステップは、急冷(603)によって終了し、温度を室温に下げる。
【0035】
例示的な実施形態によると、ブレード10のろう付けステップ(60)は、以下の熱サイクルに従わなければならない。
-150分で1038℃まで加熱
-1038℃で30分間保持
-20分で1177℃まで加熱
-1177℃で30分間保持
-5分間で1218℃まで加熱
-1218℃で20±5分間保持
-室温へのアルゴン急冷(1.2÷1.8バール)。
【0036】
ろう付けステップ(60)の熱処理の目的は、以下のように複数である。
-セラミック粒子を金属マトリックスと接合して、固定子シュラウドに対する運転中の過度の摩耗を防止するためにブレードが必要とする研磨特性を達成すること。
-ニッケル基超合金の劣化、例えば機械加工された根元の再結晶化を最小限に抑えること。
【0037】
アセンブリの単炉運転は、溶射又は電解研磨コーティングと比較して短時間でリーンプロセスを得ることを目的とする。
【0038】
予備焼結プリフォームの例示的な実施形態の重要な利点は、高温(最高980℃の金属温度で試験された)でそのようなプリフォームを使用可能なことである。予備焼結プリフォームは、廃棄物を削減し、軸方向、径方向、及び混合ターボ機械への塗布に柔軟であるために、ネットシェイププリフォームとして製造され得る。
【0039】
本明細書に開示される例示的な実施形態による予備焼結プリフォームの更なる用途は、互いを通過して摺動する燃焼ライナ及びトランジションピースのアセンブリであり得、トランジションピースは、高温ガスを燃焼ライナからガスタービンの第1の固定子ノズルへと導く。
【0040】
本明細書に開示される例示的な実施形態による予備焼結プリフォームのガスタービンブレードに対する別の用途は、タービン内のロータブレードとノズルとの間のエンジェルウィングシールであり得、これは、高温ガス流からタービンを通ってタービンホイール空間への高温ガスの吸込みを抑制する。
【0041】
本明細書に開示される例示的な実施形態による予備焼結プリフォームの更に別の用途は、回転タービン構成要素、固定ノズル、及びガスタービンのケーシングの間の、例えばJシール上でのシーリングを実現することである。Jシールは、効率的な蒸気タービン運転の不可欠な部分であることが既知である。Jシールの破損は、材料が下流に移動するときにタービンロータに重大な損傷を引き起こし得る。そのため、プラントスタッフは、シーリングの完全性をチェックするために、定期的に予定された停止期間中に潜在的な問題を特定するために蒸気経路システムの検査を実行する必要がある。蒸気タービン効率は、蒸気経路の段間シールの完全性及び性能に大きく依存する。本明細書に開示される例示的な実施形態による研磨予備焼結プリフォームを使用することは、シールの永続的な完全性を可能にすることによって、回転タービン構成要素、固定ノズル、及びケーシングの間でのシーリングにおいて著しい利点をもたらすことができる。
【0042】
Barzano & Zanardo Roma S.p.A.
【国際調査報告】