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特表2024-503831活物質、導電性材料、及び電解質溶媒の混合物への電解質の添加を介した半固体電極の製作
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-29
(54)【発明の名称】活物質、導電性材料、及び電解質溶媒の混合物への電解質の添加を介した半固体電極の製作
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/139 20100101AFI20240122BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20240122BHJP
   H01M 10/058 20100101ALI20240122BHJP
【FI】
H01M4/139
H01M4/62 Z
H01M10/058
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541023
(86)(22)【出願日】2022-01-21
(85)【翻訳文提出日】2023-07-27
(86)【国際出願番号】 US2022013357
(87)【国際公開番号】W WO2022159733
(87)【国際公開日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】63/140,595
(32)【優先日】2021-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511242269
【氏名又は名称】24エム・テクノロジーズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】24M Technologies, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ジュンジェン
(72)【発明者】
【氏名】オークス,ランドン
(72)【発明者】
【氏名】太田 直樹
(72)【発明者】
【氏名】リム,マシュー ボンジュ
【テーマコード(参考)】
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H029AJ14
5H029AL02
5H029AL06
5H029AL11
5H029AL12
5H029CJ13
5H029CJ22
5H050AA19
5H050CB02
5H050CB07
5H050CB11
5H050CB12
5H050DA10
5H050DA13
5H050EA01
5H050EA22
5H050GA10
5H050GA22
5H050HA02
(57)【要約】
本明細書において説明される実施形態は、概して、半固体電極、及びそれを製作する方法に関する。いくつかの実施形態では、半固体電極を形成する方法は、活物質と、導電性材料と、電解質溶媒とを混合して、半固体材料を製作することを含むことができる。電解質溶媒は、電解質塩を含まない。方法は、半固体材料を集電体上に分配することと、半固体材料を電解質溶液で湿潤して、半固体電極を形成することとを更に含む。いくつかの実施形態では、湿潤は、噴霧を介するものとすることができる。いくつかの実施形態では、電解質塩は、少なくとも約1M、少なくとも約2M、又は少なくとも約3Mの電解質溶液中濃度を有することができる。いくつかの実施形態では、溶媒は、エチルメチルカーボネート(EMC)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ガンマ-ブチロラクトン(GBL)、又はこれらの任意の組み合わせを含むことができる。
【選択図】図2D
【特許請求の範囲】
【請求項1】
活物質と、導電性材料と、電解質溶媒とを混合して、半固体材料を製作することであって、前記電解質溶媒が電解質塩を含まない、製作することと、
前記半固体材料を集電体上に分配することと、
電解質塩を前記半固体材料に組み込んで、半固体電極を形成することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記電解質塩が、粉末として前記半固体材料に直接添加される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記電解質塩が、溶液の噴霧を介して添加される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記電解質塩が、少なくとも約1Mの電解質溶液中濃度を有する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記電解質塩が、少なくとも約2Mの前記電解質溶液中濃度を有する、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記電解質塩が、少なくとも約3Mの前記電解質溶液中濃度を有する、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記電解質溶媒が、エチルメチルカーボネート(EMC)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ガンマ-ブチロラクトン(GBL)、又はジメトキシエタン(DME)のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記電解質塩が、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)、及びリチウムヘキサフルオロホスフェート(LiPF)のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記半固体材料のエネルギー密度を増加させるために、前記半固体材料から前記電解質溶媒の少なくとも一部分を除去することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記半固体電極が、第1の電極であり、前記方法が、
セパレータがそれらの間に配設された状態で、前記第1の電極と第2の電極とを組み合わせて、電気化学セルを形成することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記セパレータを、前記電気化学セルを形成する前に、電解質溶液中に浸漬することを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
活物質粒子と、導電性材料粒子と、電解質溶媒とを組み合わせて、半固体材料を形成することであって、前記半固体材料が電解質塩を含まない、形成することと、
前記半固体材料を集電体上にコーティングすることと、
電解質溶液を前記半固体材料に添加して、半固体電極を形成することと、を含む、方法。
【請求項13】
前記電解質塩が、少なくとも約1Mの前記電解質溶液中濃度を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記電解質塩が、少なくとも約2Mの前記電解質溶液中濃度を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記電解質塩が、少なくとも約3Mの前記電解質溶液中濃度を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記電解質溶媒が、エチルメチルカーボネート(EMC)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ガンマ-ブチロラクトン(GBL)、又はジメトキシエタン(DME)のうちの少なくとも1つを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記電解質塩が、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)、及びリチウムヘキサフルオロホスフェート(LiPF)のうちの少なくとも1つを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
活物質と、導電性材料と、電解質溶媒とを混合して、半固体材料を製作することであって、前記、電解質溶媒が電解質塩を含まない、製作することと、
前記半固体材料を集電体上に分配することと、
電解質溶液を前記半固体材料に添加して、半固体電極を形成することと、を含み、前記電解質溶液が、少なくとも約1.5Mの電解質塩濃度を有する、方法。
【請求項19】
前記電解質塩が、少なくとも約2Mの前記電解質溶液中濃度を有する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記電解質塩が、少なくとも約3Mの前記電解質溶液中濃度を有する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記電解質溶媒が、エチルメチルカーボネート(EMC)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ガンマ-ブチロラクトン(GBL)、又はジメトキシエタン(DME)のうちの少なくとも1つを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記電解質塩が、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)、及びリチウムヘキサフルオロホスフェート(LiPF)のうちの少なくとも1つを含む、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年1月22日に出願された、米国特許仮出願第63/140,595号、表題「PRODUCTION OF SEMI-SOLID ELECTRODES VIA ADDITION OF ELECTROLYTE TO MIXTURE OF ACTIVE MATERIAL,CONDUCTIVE MATERIAL,AND ELECTROLYTE SOLVENT」の利益を主張し、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書において説明される実施形態は、概して、半固体電極、及びそれを製作する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
電池製造方法は、典型的には、溶媒中に溶解又は分散された活物質、導電性添加剤、及び結合剤を含むスラリーで導電性基体(すなわち、集電体)をコーティングすることを含む。スラリーを金属基体上にコーティングした後、スラリーを乾燥させ(例えば、溶媒を蒸発させることによって)、特定の厚さにカレンダー加工する。電池電極の製造はまた、一般に、構築されている電池アーキテクチャに従って、材料混合、キャスティング、カレンダー加工、乾燥、スリッティング、及び加工(例えば、曲げ、圧延など)も含むことができる。電極は組み立て中に操作されるので、また導電性ネットワークが所定の位置にあることを確実にするために、全ての構成要素は、例えば、結合剤を使用することによって、凝集アセンブリに圧縮される。
【発明の概要】
【0004】
本明細書において説明される実施形態は、概して、半固体電極、及びそれを製作する方法に関する。いくつかの実施形態では、半固体電極を形成する方法は、活物質と、導電性材料と、電解質溶媒とを混合して、半固体材料を形成することを含むことができる。電解質溶媒は、電解質塩を含まない。方法は、半固体材料を集電体上に分配し、半固体材料を電解質溶液で湿潤して、半固体電極を形成することを更に含む。いくつかの実施形態では、電解質溶液は、濃縮電解質溶液である。いくつかの実施形態では、湿潤は、噴霧を介するものとすることができる。いくつかの実施形態では、電解質塩は、少なくとも約1M、少なくとも約2M、又は少なくとも約3Mの電解質溶液中濃度を有することができる。いくつかの実施形態では、溶媒は、エチルメチルカーボネート(EMC)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ガンマ-ブチロラクトン(GBL)、又はこれらの任意の組み合わせを含むことができる。いくつかの実施形態では、電解質塩は、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)及びリチウムヘキサフルオロホスフェート(LiPF)のうちの少なくとも1つを含む。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】一実施形態による、半固体電極を製作するための方法のブロック図である。
図2A-2E】一実施形態による、半固体電極を製作するための方法の例解である。
図3】製作プロセスの異なる時点で添加された電解質塩を有する電気化学セルに関する容量保持データのプロットである。
図4A-4E】電解質溶媒で事前に浸漬された異なる電極で構築された電気化学セルの初期容量損失(ICL)、直流内部抵抗(DCIR)、放電容量、及び容量保持のプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本明細書において説明される実施形態は、概して、半固体電極、及びそれを製作する方法に関する。いくつかの実施形態では、本明細書において説明される半固体電極は、半固体カソードを含むことができる。いくつかの実施形態では、本明細書において説明される半固体電極は、アノードを含むことができる。いくつかの実施形態では、本明細書において説明される半固体電極は、電気化学セルの中に組み込むことができる。本明細書において説明される方法は、電解質溶媒中で活物質を導電性材料と混合して、半固体材料を製作することを含む。電解質溶媒は、電解質塩を含まないか、又は実質的に電解質塩を含まない。
【0007】
半固体材料の製作後に半固体材料を電解質溶液で湿潤させることによって、半固体電極の性能のいくつかの態様を改善することができる。まず、電極製作中に活物質を電解質塩に曝露すると、活物質の分解及び/又は電気活物質の品質の低下につながる可能性がある。これは、塩としてのLiPFで特に問題となる可能性がある。活物質が電解質塩と接触する時間を最小限に抑えることによって、活物質の分解を実質的に低減することができ、それによって、電気化学セルの容量低減及び一般的な性能低下を最小限に抑えることができる。電解質塩はまた、集電体又は電気化学セルの他の金属構成要素に見られるものなどの金属の腐食を引き起こす可能性がある。活物質と同様に、集電体及び電気化学セルの他の金属構成要素への電解質塩の曝露時間を最小限に抑えることによって、性能低下を緩和することができる。
【0008】
材料の分解を直接引き起こすことに加えて、電解質塩はまた、周囲の空気から水の形で水分を捕捉する可能性がある。水は、非水性電解質を組み込む電極及び電気化学セルにおいて特に問題となる。水は、リチウム含有電極材料との副反応に関与する可能性があり、それによって、電気化学セルの容量及び全体的な品質を低下させる。加えて、プロセスの後半に電解質溶媒を添加することにより、セパレータ表面における過電位損失を低減させる可能性がある。いかなる特定の理論にも束縛されることを望まないが、これは、集電体と半固体電極との間の界面より高い、湿潤表面(すなわち、半固体電極とセパレータとの間の界面)におけるリチウム塩濃度に起因する可能性がある。半固体材料の製作後に電解質塩を添加することもまた、安全上の利点を有することができる。電解質溶液の引火点は、塩分含有量の増加に伴って増加する。したがって、電解質溶液を半固体材料上に湿潤させるか又は噴霧するとき、湿潤又は噴霧液中のより高い塩濃度は、湿潤又は噴霧液の引火点を増加させることができる。引火点におけるこの増加は、噴霧又は湿潤中の電解質溶液の自然発生する点火の可能性を低減することができる。いくつかの実施形態では、湿潤又は噴霧液体の引火点は、少なくとも約80℃、少なくとも約85℃、少なくとも約90℃、少なくとも約95℃、少なくとも約100℃、少なくとも約110℃、少なくとも約120℃、少なくとも約130℃、少なくとも約140℃、少なくとも約150℃、少なくとも約160℃、少なくとも約170℃、少なくとも約180℃、少なくとも約190℃、少なくとも約200℃、少なくとも約210℃、少なくとも約220℃、少なくとも約230℃、少なくとも約240℃、少なくとも約250℃、少なくとも約260℃、少なくとも約270℃、少なくとも約280℃、少なくとも約290℃、又は少なくとも約300℃とすることができる。
【0009】
加えて、製作プロセスの後半に電解質塩を添加することで、活物質及び電解質溶媒のリサイクルプロセスを容易にすることができる。半固体電極材料に塩を添加することは、半固体電極材料をより有害なものにし、集電体から除去することを困難にする可能性がある。塩の添加を遅らせることによって、塩を有しない半固体材料は、製作プロセスのより長い部分の間リサイクル可能である。
【0010】
本明細書において説明される半固体電極は:(i)半固体電極の低減されたねじれ及びより高い電子伝導率に起因して、より厚く(例えば、100μm超~最大2,000μm、又はそれより厚く)、(ii)活物質のより高い充填量で、かつ(iii)より少ない機器を利用する単純化された製造プロセスで作製することができる。これらの相対的に厚い半固体電極は、活性成分に対する不活性成分の体積、質量、及びコストの寄与を減少させ、それによって、この半固体電極を有して作製された電池の商業的訴求力を高める。いくつかの実施形態では、本明細書において説明される半固体電極は、結合剤がなく、かつ/又は従来の電池製造において使用される結合剤を使用しない。代わりに、従来の電極中の結合剤によって通常占有される電極の体積は、ここでは以下:1)ねじれを減少させ、かつイオン拡散に利用できる総塩を増加させる効果があり、それによって、従来の厚い電極を高速で使用した場合に典型的な塩の枯渇効果に対抗する電解質、2)電池の充電容量を増加させる効果を有する活物質、又は3)電極の電子伝導率を増加させる効果を有し、それによって、従来の厚い電極の高い内部インピーダンスに対抗する導電性添加剤によって占有される。本明細書に記載の半固体電極の減少したねじれ及びより高い電子伝導率は、半固体電極から形成された電気化学セルの優れた速度能力及び電荷容量をもたらす。本明細書において説明される半固体電極は、従来の電極よりも実質的に厚くすることができるので、活物質(すなわち、半固体カソード及び/又はアノード)対不活物質(すなわち、集電体及びセパレータ)の比を、従来の電極を含む類似の電池形成型の電気化学セルスタックに対して、半固体電極を含む電気化学セルスタックから形成される電池においてはるかに高くすることができる。これは、本明細書において説明される半固体電極を含む、電池の全体的な充電容量及びエネルギー密度を実質的に増加させる。
【0011】
いくつかの実施形態では、本明細書において説明される電極材料は、流動性半固体又は濃縮液体組成物とすることができる。流動性半固体電極は、非水性液体電解質中の電気化学的に活性な材料(アノード若しくはカソード粒子又は微粒子)、及び任意選択で、電子導電性材料(例えば、炭素)の懸濁液を含むことができる。別の言い方をすれば、活性電極粒子及び導電性粒子は、電解質中に共懸濁されて、半固体電極を製作する。半固体懸濁液を利用する電池アーキテクチャの例は、国際特許公報、国際公開第2012/024499号、表題「Stationary,Fluid Redox Electrode」、及び国際特許公報、国際公開第2012/088442号、表題「Semi-Solid Filled Battery and Method of Manufacture」において説明され、その開示全体が、参照により、本明細書に組み込まれる。
【0012】
いくつかの実施形態では、本明細書において説明される半固体電極組成物(本明細書では、「半固体懸濁液」及び/又は「スラリー」とも称される)は、例えば、本明細書でより詳細に説明されるように、成分添加の特定の空間的及び/又は時間的順序付けを伴う、バッチプロセスで、例えば、高せん断混合物、遊星混合物、遠心遊星混合物、シグマ混合物、CAM混合物、及び/又はローラー混合物を含むことができる、バッチ混合器を用いて、混合することができる。いくつかの実施形態では、スラリー成分は、成分添加の特定の空間的及び/又は時間的順序付けを伴う、連続プロセスで(例えば、押出機で)、混合することができる。
【0013】
半固体電極の混合及び形成は、概して、(i)原料搬送及び/又は供給と、(ii)混合と、(iii)混合スラリー搬送と、(iv)分配及び/又は押出と、(v)形成と、を含む。いくつかの実施形態では、プロセス内の複数のステップは、同時に、かつ/又は同一の機器で実施することができる。例えば、スラリーの混合及び搬送は、押出機を用いて同時に実施することができる。プロセスにおける各ステップは、1つ以上の可能な実施形態を含むことができる。例えば、プロセス内の各ステップは、手動で、又は様々なプロセス機器のうちのいずれかによって実施することができる。各ステップはまた、1つ以上のサブプロセスも含むことができ、任意選択で、プロセス品質を監視するための検査ステップを含むことができる。半固体電極組成物及び化学物質は、2013年4月29日に出願された米国特許第8,993,159号、表題「Semi-Solid Electrodes Having High Rate Capability」(‘159号特許)により詳細に説明されており、その開示全体が、参照により本明細書に組み込まれる。半固体電極の組成物の追加の例は、2014年3月10日に出願された、米国特許第9,437,864号表題「Asymmetric Battery Having a Semi-Solid Cathode and High Energy Density Anode」(‘864号特許)に説明されており、その開示全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0014】
結合剤自体が、空間を占有し、処理の複雑さが増す可能性があり、イオン及び電子伝導性を妨げる可能性がある。結合剤をほとんど又は全く有さない半固体電極の製作により、これらの問題のいくつかに対処することができる。また、活物質、導電性材料、及び電解質を有する半固体電極を製作することで、電極及び電気化学セルの製作プロセスを簡素化することができる。しかしながら、半固体電極の製作中に、いくつかの問題が発生する可能性がある。例えば、長期間にわたる電解質塩への曝露は、電極の劣化につながる可能性がある。電解質塩はまた、周囲の水分を捕捉し、電極の品質及びエネルギー密度を劣化させる可能性がある。電解質塩はまた、電気化学セルの異なる部分(例えば、集電体、活物質)を腐食させる可能性がある。これらの問題は、半固体電極を製作する際に、電解質塩の他の電極材料への総曝露時間を低減させることによって対処することができる。
【0015】
いくつかの実施形態では、半固体電極を、高密度化することができる。高密度化された半固体電極及びその製造方法の例は、2021年1月20日に出願された米国特許公開第2021/0226192号、表題「Apparatuses and Processes for Forming a Semi-Solid Electrode Having High Active Solids Loading and Electrochemical Cells Including The Same」(‘192号公開物)に説明されており、その開示全体が、参照により、本明細書に組み込まれる。他の可能な処理ステップは、2021年10月12日に出願された米国特許出願第17/498,996号、表題「Methods of Continuous and Semi-Continuous Production of Electrochemical Cells」(‘996号出願)に記載されており、その開示全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0016】
本明細書において使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈上明白に別途指示されない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「1つの部材」という用語は、単一の部材又は部材の組み合わせを意味することが意図され、「1つの材料」は、1つ以上の材料、又はそれらの組み合わせを意味することが意図される。
【0017】
「実質的に」という用語は、「円筒形」、「線形」、及び/又は他の幾何学的関係に関連して使用される場合、そのように定義された構造が、名目上円筒形、線形などであることを伝えることを意図している。一例として、「実質的に線形」であると説明される支持部材の一部分は、その部分の線形性が望ましいが、「実質的に線形」である部分においていくらかの非線形性が生じることが可能であることを伝えることが意図される。そのような非線形性は、製造公差、又は他の実際的な考慮事項(例えば、支持部材に加えられる圧力又は力など)からもたらされる可能性がある。したがって、「実質的に」という用語によって修飾される幾何学的構成は、述べられた幾何学的構成の±5%の公差内のそのような幾何学的特性を含む。例えば、「実質的に線形」である部分は、線形であることの±5%以内にある軸又は中心線を画定する部分である。
【0018】
本明細書で使用される場合、「セット」及び「複数」という用語は、複数の特徴、又は複数の部分を有する単一の特徴を指すことができる。例えば、電極のセットに言及する場合、電極のセットは、複数の部分を有する1つの電極とみなすことができ、又は電極のセットは、複数の別個の電極とみなすことができる。加えて、例えば、複数の電気化学セルに言及する場合、複数の電気化学セルは、複数の別個の電気化学セル、又は複数の部分を有する1つの電気化学セルとみなすことができる。したがって、部分のセット又は複数の部分は、互いに連続又は不連続のいずれかである複数の部分を含む場合がある。複数の粒子又は複数の材料はまた、別々に製作され、そして後で一緒に接合される(例えば、混合、接着剤、又は任意の好適な方法を介して)複数の品目から作製することもできる。
【0019】
本明細書で使用される場合、「約」及び「およそ」という用語は、概して、記載された値の±10%を意味し、例えば、約250μmは、225μm~275μmを含み、約1,000μmは、900μm~1,100μmを含む。
【0020】
本明細書で使用される場合、「半固体」という用語は、例えば、粒子懸濁液、コロイド懸濁液、乳濁液、ゲル、又はミセルなどの液相及び固相の混合物である材料を指す。
【0021】
本明細書で使用される場合、「活性炭ネットワーク」及び「ネットワーク化された炭素」という用語は、電極の一般的な定性的状態に関する。例えば、活性炭ネットワーク(又はネットワーク化された炭素)を有する電極は、電極内の炭素粒子が、粒子間の電気的接触及び導電性を促進する個々の粒子形態及び互いに対する配置をとるようなものである。逆に、「非活性炭素ネットワーク」及び「ネットワーク化されていない炭素」という用語は、炭素粒子が、電極を通して適切な電気伝導を提供するのに十分なだけ接続されていない場合がある、個々の粒子島又は多重粒子凝集島として存在する電極に関する。
【0022】
図1は、一実施形態による、半固体電極を製作するための方法10のブロック図である。方法10は、ステップ11において、活物質と、導電性材料と、電解質溶媒とを混合して、半固体材料を製作することと、ステップ12において、半固体材料を集電体上に分配することとを含む。いくつかの実施形態では、活物質としては、ケイ素、スズ、ケイ素合金、スズ合金、アルミニウム、酸化チタン、リチウム金属、炭素、リチウム挿入炭素、窒化リチウム、リチウム合金、及びケイ素の化合物を形成するリチウム合金、ビスマス、ホウ素、ガリウム、インジウム、亜鉛、スズ、アンチモン、アルミニウム、酸化チタン、モリブデン、ゲルマニウム、マンガン、ニオブ、バナジウム、タンタル、金、白金、鉄、銅、クロム、ニッケル、コバルト、ジルコニウム、イットリウム、酸化モリブデン、酸化ゲルマニウム、酸化ケイ素、炭化ケイ素を挙げることができる。いくつかの実施形態では、導電性材料としては、黒鉛、活性炭、導電性炭素、Ketjen炭素、硬質炭素、軟質炭素、カーボンナノチューブ、炭素ナノ繊維、水素化ニッケル金属(NiMH)、ニッケルカドミウム(NiCd)、リチウムコバルト酸化物、リン酸鉄リチウム(LFP)、又はこれらの任意の組み合わせを挙げることができる。方法10は、任意選択で、ステップ13において、半固体材料から電解質溶媒の少なくとも一部分を除去することを含む。方法10は、ステップ14において、半固体材料を電解質溶液で湿潤して、半固体電極を形成することと、任意選択で、ステップ15において、半固体電極と、追加の電極と、セパレータとを有する電気化学セルを形成することとを含む。
【0023】
ステップ11は、活物質と、導電性材料と、電解質溶媒とを混合して、半固体材料を製作することを含む。いくつかの実施形態では、電解質溶媒は、電解質塩を含まないか、又は実質的に含まない可能性がある。いくつかの実施形態では、電解質溶媒としては、エチルメチルカーボネート(EMC)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ブチレンカーボネート、及びこれらの塩素化若しくはフッ素化誘導体、ビニル誘導体、ビニレンカーボネート(VC)、並びに/又はジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、ブチルメチルカーボネート、ブチルエチルカーボネート、及びブチルプロピルカーボネートなどの非環状ジアルキルカーボネートエステル族を挙げることができる。いくつかの実施形態では、電解質溶媒としては、ガンマ-ブチロラクトン(GBL)、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、1,3-ジオキソラン、1,4-ジオキサン、4-メチル-1,3-ジオキソラン、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、プロピオノニトリル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、ジメチルカーボネート、テトラグライム、モノグライム、ジオキサン、又は任意の他の好適な電解質溶媒を挙げることができる。いくつかの実施形態では、活物質は、アノード活物質を含むことができる。いくつかの実施形態では、活物質は、カソード活物質を含むことができる。いくつかの実施形態では、活物質は、‘864号特許内に説明される活物質のうちのいずれかを含むことができる。いくつかの実施形態では、導電性材料は、‘864号特許内に説明される導電性材料のうちのいずれかを含むことができる。
【0024】
いくつかの実施形態では、半固体材料は、約25体積%~約70体積%の電解質溶媒を含むことができる。いくつかの実施形態では、半固体カソードは、約30体積%~約50体積%、又は約20体積%~約40体積%の電解質溶媒を含むことができ、それらの間の全ての範囲を含む。いくつかの実施形態では、半固体材料は、少なくとも約25体積%、少なくとも約30体積%、少なくとも約35体積%、少なくとも約40体積%、少なくとも約45体積%、少なくとも約50体積%、少なくとも約55体積%、少なくとも約60体積%、又は少なくとも約65体積%の電解質溶媒を含むことができる。いくつかの実施形態では、半固体材料は、約70体積%以下、約65体積%以下、約60体積%以下、約55体積%以下、約50体積%以下、約45体積%以下、約40体積%以下、約35体積%以下、又は約30体積%以下の電解質溶媒を含むことができる。半固体材料において上記で参照された体積パーセンテージの電解質溶媒の組み合わせもまた、可能であり(例えば、少なくとも約25%で、かつ約70%以下、又は少なくとも約40%で、かつ約60%以下)、これらの間の全ての値及び範囲を含む。いくつかの実施形態では、半固体材料は、約25体積%、約30体積%、約35体積%、約40体積%、約45体積%、約50体積%、約55体積%、約60体積%、約65体積%、又は約70体積%の電解質溶媒を含むことができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、半固体材料は、少なくとも約20体積%、少なくとも約25体積%、少なくとも約30体積%、少なくとも約35体積%、少なくとも約40体積%、少なくとも約45体積%、少なくとも約50体積%、少なくとも約55体積%、少なくとも約60体積%、少なくとも約65体積%、少なくとも約70体積%、又は少なくとも約75体積%の活物質を含むことができる。いくつかの実施形態では、半固体材料は、約80体積%以下、約75体積%以下、約70体積%以下、約65体積%以下、約60体積%以下、約55体積%以下、約50体積%以下、約45体積%以下、約40体積%以下、約35体積%以下、約30体積%以下、又は約25体積%以下の活物質を含むことができる。半固体材料において上記で参照された活物質パーセンテージの組み合わせもまた、可能である(例えば、少なくとも約20%で、かつ約80%以下、又は少なくとも約40%で、かつ約60%以下)。いくつかの実施形態では、半固体材料は、約20体積%、約25体積%、約30体積%、約35体積%、約40体積%、約45体積%、約50体積%、約55体積%、約60体積%、約65体積%、約70体積%、約75体積%、又は約80体積%の活物質を含むことができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、半固体材料は、少なくとも約1Pa・s、少なくとも約2Pa・s、少なくとも約3Pa・s、少なくとも約4Pa・s、少なくとも約5Pa・s、少なくとも約6Pa・s、少なくとも約7Pa・s、少なくとも約8Pa・s、少なくとも約9Pa・s、少なくとも約10Pa・s、少なくとも約20Pa・s、少なくとも約30Pa・s、少なくとも約40Pa・s、少なくとも約50Pa・s、少なくとも約60Pa・s、少なくとも約70Pa・s、少なくとも約80Pa・s、少なくとも約90Pa・s、少なくとも約100Pa・s、少なくとも約200Pa・s、少なくとも約300Pa・s、少なくとも約400Pa・s、少なくとも約500Pa・s、少なくとも約600Pa・s、少なくとも約700Pa・s、少なくとも約800Pa・s、又は少なくとも約900Pa・sの室温粘度を有することができる。いくつかの実施形態では、半固体材料は、約1,000Pa・s以下、約900Pa・s以下、約800Pa・s以下、約700Pa・s以下、約600Pa・s以下、約500Pa・s以下、約400Pa・s以下、約300Pa・s以下、約200Pa・s以下、約100Pa・s以下、約90Pa・s以下、約80Pa・s以下、約70Pa・s以下、約60Pa・s以下、約50Pa・s以下、約40Pa・s以下、約30Pa・s以下、約20Pa・s以下、約10Pa・s以下、約9Pa・s以下、約8Pa・s以下、約7Pa・s以下、約6Pa・s以下、約5Pa・s以下、約4Pa・s以下、約3Pa・s以下、又は約2Pa・s以下の室温粘度を有することができる。
【0027】
上記で参照された室温粘度値の組み合わせがまた可能であり(例えば、少なくとも約1Pa・sで、かつ約1,000Pa・s以下、又は少なくとも約200Pa・sで、かつ約500Pa・s以下)、これらの間の全ての値及び範囲を含む。いくつかの実施形態では、半固体材料は、約1Pa・s、約2Pa・s、約3Pa・s、約4Pa・s、約5Pa・s、約6Pa・s、約7Pa・s、約8Pa・s、約9Pa・s、約10Pa・s、約20Pa・s、約30Pa・s、約40Pa・s、約50Pa・s、約60Pa・s、約70Pa・s、約80Pa・s、約90Pa・s、約100Pa・s、約200Pa・s、約300Pa・s、約400Pa・s、約500Pa・s、約600Pa・s、約700Pa・s、約800Pa・s、約900Pa・s、又は約1,000Pa・sの室温粘度を有することができる。
【0028】
ステップ12は、半固体材料を集電体上に分配することを含む。いくつかの実施形態では、分配することは、分配機構を介するものとすることができる。いくつかの実施形態では、分配することは、カートリッジからとすることができる。いくつかの実施形態では、分配することは、ノズルを通るものとすることができる。いくつかの実施形態では、分配することは、半固体材料を所望の形状に形成し、半固体材料の縁部を制御するために形成器を通るものとすることができる。いくつかの実施形態では、分配することは、‘996号出願に記載されている分配パラメータのいずれかを含むことができる。
【0029】
方法10は、任意選択で、電解質溶媒の少なくとも一部分が、半固体材料から除去される、ステップ13を含む。いくつかの実施形態では、電解質溶媒の少なくとも一部分の除去は、半固体材料のエネルギー密度を増加させることができる。換言すれば、半固体材料は、高密度化プロセスを受けることができる。いくつかの実施形態では、電解質溶媒の除去は、吸収性材料を介するものとすることができる。いくつかの実施形態では、高密度化プロセスは、‘192号公報に記載されている処理パラメータのうちのいずれかを含むことができる。いくつかの実施形態では、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、又は少なくとも約55%の電解質溶媒を、半固体材料から除去することができる。いくつかの実施形態では、約60%以下、約55%以下、約50%以下、約45%以下、約40%以下、約35%以下、約30%以下、約25%以下、約20%以下、約15%以下、又は約10%以下の電解質溶媒を、半固体材料から除去することができる。上記で参照された電解質溶媒のパーセンテージの値の組み合わせもまた可能であり(例えば、少なくとも約5%でかつ約60%以下、又は少なくとも約20%でかつ約40%以下)、これらの間の全ての値及び範囲を含む。いくつかの実施形態では、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、又は約60%の電解質溶を、半固体材料から除去することができる。
【0030】
ステップ14は、半固体材料を電解質溶液で湿潤して、半固体電極を形成することを含む。電解質溶液は、電解質溶媒中に溶解された電解質塩を含む。いくつかの実施形態では、電解質溶媒は、ステップ11を参照して上で説明された電解質溶媒のうちのいずれかを含むことができる。いくつかの実施形態では、ステップ14において適用される電解質溶媒は、混合中にステップ11において適用される電解質溶媒と同じか、又は実質的に同様とすることができる。いくつかの実施形態では、電解質塩は、LiClO、LiPF、LiBF、LiTFSI、LiBETI、LiBOB、リチウムジフルオロ(オキサラート)ボレート(LIODFB)、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)、又は任意の他の適切な電解質塩を含むことができる。いくつかの実施形態では、電解質溶液は、噴霧を介して半固体材料に適用することができる。いくつかの実施形態では、電解質溶液は、注入(例えば、シリンジを用いる)、ブラッシング、インクジェット印刷、スロットダイドリッピング、若しくは希釈された低充填量半固体電極材料(すなわち、電解質塩を含む)を用いるコーティング、又は任意の他の好適な適用手段を介して、半固体材料に適用することができる。いくつかの実施形態では、電解質溶液は、電解質溶液を含有する電気化学セル内の別の構成要素(例えば、セパレータ及び/又は追加の電極)との接触を介して、半固体材料に適用することができる。一例として、半固体材料は、内部に組み込まれた電解質溶液を有する電極と接触することができ、電解質溶液を、半固体材料に拡散及び/又は吸収されることができる。いくつかの実施形態では、電解質溶液は、トンネル内で半固体材料に適用することができる。トンネルは、半固体材料が湿潤される空間を閉じることができ、これにより電解質溶媒の蒸発が防止される。いくつかの実施形態では、電解質塩は、完成した半固体電極中の電解質塩の濃度よりも高い濃度を、電解質溶液中に有することができる。いくつかの実施形態では、電解質溶液のより高い塩濃度は、電解質溶液が半固体材料の中へと浸透するにつれて希釈される。
【0031】
いくつかの実施形態では、電解質塩は、少なくとも約0.5M、少なくとも約1M、少なくとも約1.5M、少なくとも約2M、少なくとも約2.5M、少なくとも約3M、少なくとも約3.5M、少なくとも約4M、少なくとも約4.5M、少なくとも約5M、少なくとも約5.5M、少なくとも約6M、少なくとも約6.5M、少なくとも約7M、少なくとも約7.5M、少なくとも約8M、少なくとも約8.5M、少なくとも約9M、又は少なくとも約9.5Mの電解質溶液中濃度を有することができる。いくつかの実施形態では、電解質塩は、約10M以下、約9.5M以下、約9M以下、約8.5M以下、約8M以下、約7.5M以下、約7M以下、約6.5M以下、約6M以下、約5.5M以下、約5M以下、約4.5M以下、約4M以下、約3.5M以下、約3M以下、約2.5M以下、約2M以下、約1.5M以下、約1M以下、又は約0.5M以下の電解質溶液中濃度を有することができる。上記で参照された電解質塩の電解質溶液中濃度の組み合わせもまた可能であり(例えば、少なくとも約0.5Mでかつ約10M以下、又は少なくとも約2Mでかつ約5M以下)、それらの間の全ての値及び範囲を含む。いくつかの実施形態では、電解質塩は、約0.5M、約1M、約1.5M、約2M、約2.5M、約3M、約3.5M、約4M、約4.5M、約5M、約5.5M、約6M、約6.5M、約7M、約7.5M、約8M、約8.5M、約9M、約9.5M、又は約10Mの電解質溶液中濃度を有することができる。いくつかの実施形態では、純粋な電解質塩を、ステップ14で半固体材料に添加することができる。いくつかの実施形態では、ステップ14において、純粋な電解質塩を、粉末として半固体材料に添加することができる。いくつかの実施形態では、方法10は、電解質溶液の添加後に、半固体材料を電解質溶液と混合することを含むことができる。換言すると、半固体電極は、半固体材料と電解質溶液とをともに混合することから形成することができる。
【0032】
方法10は、任意選択で、ステップ15において、半固体電極と、追加の電極と、セパレータとを有する電気化学セルを形成することを含む。いくつかの実施形態では、半固体電極は、半固体カソードとすることができる。いくつかの実施形態では、半固体電極は、半固体アノードとすることができる。いくつかの実施形態では、追加の電極は、従来の(すなわち、固体)電極を含むことができる。いくつかの実施形態では、追加の電極は、追加の半固体電極を含むことができる。セパレータは、半固体電極と、追加の電極との間に設置されて、電気化学セルを形成することができる。いくつかの実施形態では、セパレータは、ステップ15において電気化学セルを形成する前に、電解質溶液中に浸漬することができる。いくつかの実施形態では、電極及び追加の電極の両方は、ステップ11~14に従って形成された半固体電極を含むことができる。いくつかの実施形態では、カソードは、ステップ11~14に従って形成された半固体カソードを含むことができ、一方でアノードは、電解質溶液(すなわち、電解質溶媒及び電解質塩を含む)を活物質及び導電性材料と混合することから形成された半固体アノードを含むことができる。いくつかの実施形態では、アノードは、ステップ11~14に従って形成された半固体カソードを含むことができ、一方でカソードは、電解質溶液を活物質及び導電性材料と混合することから形成された半固体カソードを含むことができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、セパレータは、少なくとも約0.5M、少なくとも約1M、少なくとも約1.5M、少なくとも約2M、少なくとも約2.5M、少なくとも約3M、少なくとも約3.5M、少なくとも約4M、少なくとも約4.5M、少なくとも約5M、少なくとも約5.5M、少なくとも約6M、少なくとも約6.5M、少なくとも約7M、少なくとも約7.5M、少なくとも約8M、少なくとも約8.5M、少なくとも約9M、又は少なくとも約9.5Mの電解質塩濃度を有する電解質溶液中に浸漬することができる。いくつかの実施形態では、セパレータは、約10M以下、約9.5M以下、約9M以下、約8.5M以下、約8M以下、約7.5M以下、約7M以下、以下約6.5M、約6M以下、約5.5M以下、約5M以下、約4.5M以下、約4M以下、約3.5M以下、約3M以下、約2.5M以下、約2M以下、約1.5M以下、約1M以下、又は約0.5M以下の電解質塩濃度を有する電解質溶液中に浸漬することができる。セパレータが浸漬される上記で参照された電解質溶液中電解質塩濃度の組み合わせもまた可能であり(例えば、少なくとも約0.5Mでかつ約10M以下、又は少なくとも約2Mでかつ約5M以下)、それらの間の全ての値及び範囲を含む。いくつかの実施形態では、セパレータは、約0.5M、約1M、約1.5M、約2M、約2.5M、約3M、約3.5M、約4M、約4.5M、約5M、約5.5M、約6M、約6.5M、約7M、約7.5M、約8M、約8.5M、約9M、約9.5M、又は約10Mの電解質塩濃度を有する電解質溶液に浸漬することができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、電気化学セルは、C/10のCレートにおいて、10サイクル後に、その初期容量の少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%を保持することができる。いくつかの実施形態では、電気化学セルは、C/4のCレートにおいて、10サイクル後に、その初期容量の少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%を保持することができる。いくつかの実施形態では、電気化学セルは、C/2のCレートにおいて、10サイクル後に、その初期容量の少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%を保持することができる。いくつかの実施形態では、電気化学セルは、1CのCレートにおいて、10サイクル後に、その初期容量の少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%を保持することができる。いくつかの実施形態では、電気化学セルは、2CのCレートにおいて、10サイクル後に、その初期容量の少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%を保持することができる。
【0035】
図2A図2Eは、一実施形態による、半固体電極を製作するための方法の例解である。示されるように、方法は、(図2Aに図示されるように)ステップ211において、活物質と、導電性材料と、電解質溶媒とを混合して、半固体材料を製作することと、(図2Bに図示されるように)ステップ212において、半固体材料を集電体上に分配することとを含む。方法は、任意選択で、(図2Cに図示されるように)ステップ213において、半固体材料から電解質溶媒の少なくとも一部分を除去することを含む。方法は、(図2Dに図示されるように)ステップ214において、半固体材料を電解質溶液で湿潤して、半固体電極を形成することと、任意選択で、(図2Eに図示されるように)ステップ215において、半固体電極と、追加の電極と、セパレータとを有する電気化学セルを形成することとを含む。いくつかの実施形態では、図2A図2Eで図示された方法は、図1を参照して上で説明されたような方法10と同じか、又は実質的に同様とすることができる。それゆえ、図2A図2Eに図示された方法の特定の態様は、本明細書では詳細に説明しない。
【0036】
図2Aに示されるように、方法は、ステップ211において、活物質と、導電性材料と、電解質溶媒とを混合して、半固体材料を製作することを含む。混合アームMAを有するミキサーMが、図2Aに図示される。いくつかの実施形態では、活物質、導電性材料、及び電解質溶媒は、ほぼ同時に、ミキサーに添加することができる。いくつかの実施形態では、活物質、導電性材料、及び電解質溶媒は、異なる時間においてミキサーに添加することができる。
【0037】
図2Bに示されるように、方法は、ステップ212において、半固体材料SSMを集電体CC上に分配することを含む。示されるように、半固体材料SSMは、カートリッジCAから分配される。いくつかの実施形態では、集電体CCは、コンベヤに沿って移動することができ、カートリッジCAは、集電体CCがカートリッジCAの下を移動する際に、固定量の半固体材料SSMを集電体CC上に分配することができる。
【0038】
図2Cに示されるように、方法は、ステップ213において、半固体材料から電解質溶媒の少なくとも一部分を除去することを含む。示されるように、電解質溶媒の除去は、フレームFの中へと半固体材料SSMを配置し、半固体材料SSMと接触して吸収性材料AMを配置することによって達成することができる。いくつかの実施形態では、電解質溶媒の少なくとも一部分の除去は、‘192公報に説明されている高密度化方法のいずれかを介することができる。
【0039】
図2Dに示されるように、方法は、ステップ214において、半固体材料を電解質溶液で湿潤して、半固体電極を形成することを含む。示されるように、噴霧器Sは、電解質溶液を半固体材料SSM上に噴霧して、半固体電極を形成する。半固体電極は、電解質溶媒の蒸発を制限するために、トンネルTを通って流れる。図2Eに示されるように、方法は、ステップ215において、セパレータがそれらの間に配設された状態で、半固体電極を追加の電極上に設置して、電気化学セルを形成することを含む。
【0040】
図3は、製作プロセスの異なる時点において添加された電解質塩を有する電気化学セルに対する容量保持データのプロットである。示されるように、電気化学セルは、50μmのリチウムアノード及び50体積%のNMC811半固体カソードを用いて製作された。カソードは、1.2重量%~1.35重量%のKetjenブラックを含んだ。電解質は、DME溶媒中の4MのLiFSIであった。「溶媒を事前に添加」とラベル付けされたデータについては、電解質溶媒を、活物質及びKetjenと混合して、半固体カソードを形成した。次いで、電解質塩を混合物に添加し、スラリーを再度混合した。「塩を事前に添加」とラベル付けされたデータについては、電解質塩を、活物質及びKetjenに添加した。次いで、電解質溶媒を混合物に添加し、スラリーを再度混合した。「通常の混合条件」とラベル付けされたデータについては、電解質塩を電解質溶媒に添加して、電解質溶液を製作し、電解質溶液を活物質及びKetjenと混合して、半固体カソードを形成した。データに示されるように、電解質溶媒を事前に添加し、電解質塩を後で添加したセルは、5サイクルにわたって0.5Cで放電した後、通常の混合条件下でのセル、又は事前に添加した電解質塩を有するセルよりもより良好な容量保持を有する。
【0041】
図4A図4Eは、電解質溶媒で事前に浸漬された異なる電極を用いて構築された電気化学セルのICL、DCIR、放電容量、及び容量保持のプロットである。図4A及び図4Bの各データポイントは、個々のセルを表し、一方で図4C図4Eの各データポイントは、3つの個々のセルの平均を表す。形成手順は、25℃において、充電時の電圧制限が3.6V、放電時の電圧制限が2.0Vの状態で、C/10の充電/放電速度における単一サイクルを含む。ICLは、形成サイクルの充電容量と放電容量との間のパーセント損失である。図4A及び図4Bの最左端のデータポイント(データセット1)は、電解質溶媒をそのそれぞれの活物質及び導電性材料と混合することによって形成されたカソード及びアノードの両方から形成されたセルを含む。セパレータは、セル組み立て前に電解質溶液中に浸漬された。図4A及び図4Bの中央のデータポイント(データセット2)は、電解質溶媒を活物質及び導電性材料と混合することを介して形成されたカソードから形成されたセルを含み、一方でアノードは、電解質溶液を活物質及び導電性材料と混合することによって形成された。セパレータは、セル組み立て前に電解質溶液中に浸漬された。図4A及び図4Bの最右端のデータポイント(データセット3)は、電解質溶液を活物質及び導電性材料と混合することを介して形成されたカソードから形成されたセルを含み、一方でアノードは、電解質溶液を活物質及び導電性材料と混合することによって形成された。これらのセルの各々に関して、「電解質溶媒」とは、1:1(重量:重量)の比であるEC/PCを指し、「電解質溶液」とは、2重量%のビニレンカーボネート(VC)を有する、3:7(重量:重量)の比であるEC/DMC溶媒中の3MのLiFSIを指す。全てのセルは、カソード及びアノードスラリー中に同じ体積パーセンテージの固体(活物質及び炭素添加剤)を有した。カソードは、49.0体積%のLFP及び1体積%のKetjenブラックを含んだ。アノードは、60.1体積%の黒鉛及び2.9体積%のC45カーボンブラックを含んだ。
【0042】
図4C図4Eは、上で説明したように、データセット2からのセルとデータセット3からのセルとの間の性能比較を示す。各タイプの型に関するデータポイントは、3つのセルの平均を表す。第1のデータポイントは、C/10の充電/放電レートで実施された、形成サイクルからである。所与のサイクルの容量保持は、形成サイクルの放電容量に正規化された放電容量である。形成サイクルの後、セルは、各々、C/4、C/2、1C、及び2Cの放電レートで3サイクルを経た。各サイクルに対して、充電レートは、3.6Vの充電時の電圧制限および2.0Vの放電時の電圧制限で、C/4であった。サイクルは、25℃で実施された。溶媒系カソードスラリー及び電解質系アノードスラリー(データセット2)を有するセルは、カソード及びアノード中に電解質系スラリーを有するセルより高い放電レートでより良好な容量保持を示す。図4Eは、上で説明したように、データセット2とデータセット3との間の平均放電電圧を示す。溶媒系カソードスラリー及び電解質系アノードスラリーを有するセルは、より高い比エネルギーを含む、全ての試験レートでより高い平均放電電圧を示す。
【0043】
様々な概念が、少なくとも1つの例が提供されている1つ以上の方法として具現化されてもよい。方法の一部として行われる行為は、任意の好適な方式で順序付けされてもよい。したがって、例示的な実施形態では連続的な行為として示されているにもかかわらず、いくつかの行為を同時に実行することを含んでもよい、例示的な実施形態とは異なる順序で行為が実行される実施形態が構築されてもよい。別の言い方をすると、そのような特徴は、特定の実行順序に必ずしも限定されなくてもよく、むしろ任意の数のスレッド、プロセス、サービス、サーバ、及び/またはこれに類するものを、順次に、非同期で、並行して、並列に、同時に、同期して、かつ/又はこれに類するように、本開示と一致する様式で実行してもよいことを理解されたい。そのため、これらの特徴のいくつかは、単一の実施形態において同時に存在することができないという点で、相互に矛盾する場合がある。同様に、いくつかの特徴は、イノベーションの一態様に適用可能であり、そして他の態様には適用不可である。
【0044】
加えて、本開示は、現在記載されていない他のイノベーションを含んでもよい。出願人は、そのようなイノベーションの具現化、追加の出願、継続、一部継続、分割、及び/又はそれらに類するものに対する権利を含む、そのようなイノベーションの全ての権利を留保する。そのため、当然のことながら、本開示の利点、実施形態、例、機能的、特徴、論理的、運用的、組織的、構造的、トポロジカル、及び/又は他の態様は、実施形態によって定義されるような開示への限定又は実施形態と同等のものへの限定とはみなされない。個人及び/又は企業ユーザ、データベース構成及び/又はリレーショナルモデル、データタイプ、データ伝送及び/又はネットワークフレームワーク、構文構造、及び/またはこれに類するものの特定の欲求及び/又は特性に応じて、本明細書に開示される技術の様々な実施形態は、本明細書に説明されるように、多くの柔軟性及びカスタマイズを可能にする様式で実装されてもよい。
【0045】
本明細書で定義及び使用される全ての定義は、辞書の定義、参照によって組み込まれた文書内の定義、及び/又は定義された用語の通常の意味を制御すると理解されたい。
【0046】
本明細書及び実施形態で使用される場合、「及び/又は」という語句は、そのように結合された要素、すなわち、いくつかの場合には結合的に存在し、他の場合には選言的に存在する要素の「一方又は両方」を意味すると理解されたい。「及び/又は」で列挙された複数の要素は、同じ様態で、すなわち、そのように結合された要素のうちの「1つ以上」と解釈されたい。他の要素が、任意選択で、「及び/又は」という語句によって具体的に特定された要素以外に、具体的に特定されたそれらの要素に関連しているか、又は特定されていないかにかかわらず、存在してもよい。したがって、非限定的な例として、「A及び/又はB」への言及は、「含む/備える(comprising)」などのオープンエンドの言葉と併せて使用される場合、一実施形態では、Aのみ(任意選択で、B以外の要素を含む)、別の実施形態では、Bのみ(任意選択で、A以外の要素を含む)、更に別の実施形態では、A及びBの両方(任意選択で、他の要素を含む)などを指すことができる。
【0047】
本明細書及び実施形態で使用される場合、「又は」は、上記で定義される「及び/又は」と同じ意味を有すると理解されたい。例えば、列挙内の項目を分離するとき、「又は」又は「及び/又は」は、包含的である、すなわち、要素の数又は列挙のうちの少なくとも1つの包含であるが、2つ以上も含み、任意選択で、追加の非列挙項目を含むと解釈されるものとする。「のうちの1つのみ」又は「のうちの他ならぬ1つ」、又は実施形態で使用される場合、「からなる」などの、対照的に明確に示されている用語のみが、数多くの要素又は要素の列挙のうちの他ならぬ1つの要素の包含を指す。概して、本明細書で使用される場合、「又は」という用語は、「のいずれか」、「のうちの1つ」、「のうちの1つのみ」、又は「のうちの他ならぬ1つ」などの排他性の用語が先行する場合にのみ、排他的選択肢(すなわち、「一方又は他方であるが、両方ではない」)を示すものとして解釈されるものとする。「本質的にからなる」は、実施形態で使用される場合、特許法の分野で使用されるその通常の意味を有するものとする。
【0048】
本明細書及び実施形態で使用される場合、1つ以上の要素の列挙に関して、「少なくとも1つ」という語句は、要素の列挙内の要素のうちのいずれか1つ以上から選択される少なくとも1つの要素であって、必ずしも要素の列挙内に具体的に列挙されているありとあらゆる要素のうちの少なくとも1つを含まず、要素の列挙内の要素のあらゆる組み合わせを除外しないことを意味すると理解されたい。この定義はまた、「少なくとも1つ」という語句が言及する要素の列挙内で具体的に識別される要素以外の要素が、任意選択で、具体的に識別される要素に関連しているか関連していないかにかかわらず存在してもよいことを可能にする。したがって、非限定的な例として、「A及びBのうちの少なくとも1つ」(又は同等に、「A又はBのうちの少なくとも1つ」、又は同等に、「A及び/又はBのうちの少なくとも1つ」)は、一実施形態では、Bが存在しない(及び任意選択でB以外の要素を含む)少なくとも1つの、任意選択で2つ以上を含む、Aを指すことができ、別の実施形態では、Aが存在しない(及び任意選択でA以外の要素を含む)少なくとも1つの、任意選択で2つ以上を含む、Bを指すことができ、更に別の実施形態では、少なくとも1つの、任意選択で2つ以上を含む、Aと、少なくとも1つの、任意選択で2つ以上を含む、Bと(及び任意選択で他の要素含む)、などを指すことができる。
【0049】
実施形態では、上記の明細書と同様に、「含む/備える(comprising)」、「含む(including)」、「担持する(carrying)」、「有する(having)」、「含む(containing)」、「伴う(involving)」、「保持する(holding)」、「で構成された(composed of)」、及びこれに類するものなどの全ての移行句は、オープンエンドである、すなわち、包含を意味するが、これらに限定されない、と理解されるべきである。「からなる」及び「本質的にからなる」という移行句のみが、それぞれ、米国特許庁特許審査手続マニュアル第2111.03節に記載されているように、クローズド又は半クローズドの移行句であるものとする。
【0050】
本開示の特定の実施形態が上記に概説されてきたが、多くの代替例、修正例、及び変形例が、当業者には明らかであろう。したがって、本明細書に記載される実施形態は、例示的であり、限定的ではないことが意図される。様々な変更が、開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく行われ得る。上記の方法及びステップが特定の順序で発生する特定の事象を示す場合、本開示の利益を有する当業者は、特定のステップの順序が変更されてもよく、そのような変更が本発明の変形に従うものであることを認識するであろう。加えて、特定のステップは、可能な場合は並行プロセスで同時に実行することもでき、同様に上述したように順次実行することもできる。実施形態を特に示し記載してきたが、形態及び詳細において様々な変更が行われ得ることが理解されるであろう。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
【国際調査報告】