(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-29
(54)【発明の名称】外科用コンポーネント、キットおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/32 20060101AFI20240122BHJP
A61F 2/38 20060101ALI20240122BHJP
A61F 2/40 20060101ALI20240122BHJP
【FI】
A61F2/32
A61F2/38
A61F2/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023542723
(86)(22)【出願日】2022-01-13
(85)【翻訳文提出日】2023-08-25
(86)【国際出願番号】 EP2022050673
(87)【国際公開番号】W WO2022152807
(87)【国際公開日】2022-07-21
(32)【優先日】2021-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516312682
【氏名又は名称】デピュイ・アイルランド・アンリミテッド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】DEPUY IRELAND UNLIMITED COMPANY
【住所又は居所原語表記】Loughbeg Industrial Estate, Ringaskiddy, County Cork, Ireland
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】アンダーソン・ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】アヴァディ・マーサ
(72)【発明者】
【氏名】ビーデール・ダンカン
(72)【発明者】
【氏名】ボード・ティモシー
(72)【発明者】
【氏名】コールトラップ・オリバー
(72)【発明者】
【氏名】メイソン・ジョン・ボハノン
(72)【発明者】
【氏名】パトネッリ・リチャード
(72)【発明者】
【氏名】リーブ・マイケル
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA05
4C097AA07
4C097AA11
4C097BB01
4C097CC01
4C097CC05
4C097CC16
4C097SC01
4C097SC09
(57)【要約】
外科用コンポーネント、外科用コンポーネントを含むキット、および外科的方法が開示される。外科用コンポーネントは、本体部(50)を含む。外科用コンポーネントはまた、患者の髄内管に挿入するための細長いステム(2)を含む。細長いステムは、本体部から遠位に延在する。細長いステムは、長手方向軸(4)と、近位端(8)と、遠位端(6)と、ステムの外側表面に配置された複数のスプライン(20、30)と、を有する。スプラインは、ステムの周りに円周方向に配置される。スプラインのうちの少なくともいくつかは先細にされており、各先細スプラインが、そのスプラインの遠位部分において、遠位部分に対して近位であるそのスプラインの部分よりも狭くなっている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用コンポーネントであって、
本体部と、
患者の髄内管に挿入するための細長いステムであって、前記本体部から遠位に延在し、
長手方向軸と、
近位端と、
遠位端と、
前記ステムの外側表面上に位置する複数のスプラインであって、前記ステムの周りに円周方向に配置され、前記スプラインのうちの少なくともいくつかは先細にされており、各先細のスプラインが、そのスプラインの遠位部分において、そのスプラインのうちの前記遠位部分に対して近位の部分よりも狭くなっている、複数のスプラインと、を有する、細長いステムと、を有する、外科用コンポーネント。
【請求項2】
各スプラインは、遠位端および近位端を有し、前記先細のスプラインのうちの少なくともいくつかは、それぞれ、その前記近位端から前記遠位端へとそれらの全長に沿って先細となっている、請求項1に記載の外科用コンポーネント。
【請求項3】
前記先細のスプラインのうちの少なくともいくつかは、それぞれ、遠位領域および近位領域を有し、
これらのスプラインは、それらの遠位領域において先細にされ、それらの近位領域において一定の幅を有するか、あるいは、
これらのスプラインは、それらの近位領域において先細にされ、それらの遠位領域において一定の幅を有する、請求項1または2に記載の外科用コンポーネント。
【請求項4】
先細の部分と一定の幅を有する部分とを有する各スプラインにおいて、そのスプラインの前記遠位領域と前記近位領域との間の境界面が、前記ステムの固定領域に対して近位に位置する、請求項3に記載の外科用コンポーネント。
【請求項5】
前記ステムの周りに円周方向に配置された複数のさらなるスプラインを備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の外科用コンポーネント。
【請求項6】
前記スプラインは、前記スプラインの長さの大部分にわたって前記さらなるスプラインよりも幅広である、請求項5に記載の外科用コンポーネント。
【請求項7】
前記スプラインは、前記スプラインの長さの大部分にわたって前記さらなるスプラインよりも幅狭である、請求項5に記載の外科用コンポーネント。
【請求項8】
前記スプラインおよび前記さらなるスプラインは、前記ステムの周囲に交互に配置されている、請求項5~7のいずれか一項に記載の外科用コンポーネント。
【請求項9】
前記さらなるスプラインのうちの少なくともいくつかは、それらの全長に沿って一定の幅を有する、請求項5~8のいずれか一項に記載の外科用コンポーネント。
【請求項10】
前記さらなるスプラインのうちの少なくともいくつかは先細にされており、各先細のさらなるスプラインが、そのさらなるスプラインの遠位部分において、そのさらなるスプラインのうちの前記遠位部分に対して近位である部分よりも狭くなっている、請求項5~9のいずれか一項に記載の外科用コンポーネント。
【請求項11】
前記さらなるスプラインは、前記長手方向軸から測定して、前記スプラインよりも高い、請求項5~10のいずれか一項に記載の外科用コンポーネント。
【請求項12】
前記さらなるスプラインは、前記長手方向軸から測定して、前記スプラインよりも低い、請求項5~10のいずれか一項に記載の外科用コンポーネント。
【請求項13】
前記スプラインおよび/または前記さらなるスプラインのうちの少なくともいくつかは、前記長手方向軸に垂直な平面において、台形であるか、長方形であるか、または丸みを帯びた断面形状を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の外科用コンポーネント。
【請求項14】
前記細長いステムは、その近位端において、その遠位端よりも幅広となるように先細にされている、請求項1~13のいずれか一項に記載の外科用コンポーネント。
【請求項15】
前記コンポーネントは、大腿骨インプラント、上腕骨インプラント、脛骨インプラント、トライアルコンポーネント、またはブローチである、請求項1~14のいずれか一項に記載の外科用コンポーネント。
【請求項16】
前記外科用コンポーネントは、前記ステムの前記長手方向軸に対して非ゼロの角度で前記本体部から延在する細長いネック部をさらに備える、請求項1~15のいずれか一項に記載の外科用コンポーネント。
【請求項17】
前記外科用コンポーネントは、大腿骨インプラントを含み、前記本体部は遠位大腿骨コンポーネントを含み、
前記遠位大腿骨コンポーネントは、少なくとも1つの人工顆を含むか、あるいは、
前記遠位大腿骨コンポーネントは、前記遠位大腿骨コンポーネントを、少なくとも1つの人工顆を含むさらなる遠位大腿骨コンポーネントの対応する接続機構に接続するための接続機構を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の外科用コンポーネント。
【請求項18】
前記外科用コンポーネントは、脛骨インプラントを含み、前記本体部は脛骨基部を含み、
前記脛骨基部は脛骨トレーを含むか、あるいは、
前記脛骨基部は、前記脛骨基部を脛骨トレーの対応する接続機構に接続するための接続機構を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の外科用コンポーネント。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか一項に記載の外科用コンポーネントを含む外科用キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、外科用コンポーネントおよび外科用コンポーネントを含んだキットに関する。本発明は、外科用ステープラにさらに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のワグナー型股関節ステムは、その長さに沿って2.5°のテーパを有し、スプライン付き断面を有する。大腿管はリーマを使用して調製され、次にステムが所定位置に嵌入される。スプラインは、軸方向と回転方向の両方の安定性を提供するために骨に切り込むように意図されている。
【0003】
干渉の程度は、リーマとインプラントの相対的なサイズおよび挿入深さの関数である。これは、十分に証明された技術であるが、現在の設計の1つの欠点は、各嵌入による進行速度が比較的一定であり、手術後の移動を防止するための正しいレベルの抵抗を外科医がいつ達成したかを外科医が知ることが困難となっていることである。これは、理論的には、四肢の短縮につながる「着座過剰」または手術後に不十分な抵抗を与える「着座不足」につながる可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の態様は、添付の独立請求項および従属請求項に記載される。従属請求項からの特徴の組み合わせは、独立請求項の特徴と適宜組み合わせることができ、請求項に明示的に記載されるものだけに限定されない。
【0005】
本開示の一態様によれば、外科用コンポーネントが提供され、外科用コンポーネントは、
本体部と、
患者の髄内管に挿入するための細長いステムであって、本体部から遠位に延在し、
長手方向軸と、
近位端と、
遠位端と、
ステムの外側表面上に位置する複数のスプラインであって、ステムの周りに円周方向に配置され、スプラインのうちの少なくともいくつかは先細にされており、各先細のスプラインが、そのスプラインの遠位部分において、そのスプラインのうちの遠位部分に対して近位の部分よりも幅狭となっている、複数のスプラインと、を有する、細長いステムと、を含む。
【0006】
本開示の別の態様によれば、外科用コンポーネントを使用することを含む外科的方法が提供され、外科用コンポーネントは、
本体部と、
患者の髄内管に挿入するための細長いステムであって、本体部から遠位に延在し、
長手方向軸と、
近位端と、
遠位端と、
ステムの外側表面上に位置する複数のスプラインであって、ステムの周りに円周方向に配置され、スプラインのうちの少なくともいくつかは先細にされており、各先細のスプラインが、そのスプラインの遠位部分において、そのスプラインのうちの遠位部分に対して近位の部分よりも幅狭となっている、複数のスプラインと、を有する、細長いステムと、を有し、方法は、
細長いステムを患者の髄内管に挿入することを含む。
【0007】
この先細のスプラインの配置により、ステムが髄内管に挿入されるときに、変化する挿入抵抗が提供され得る。これにより、ステムが挿入されるときに外科医(または、外科用自動システム(KINCISE(商標)等)が使用される場合、嵌入システム)に触覚フィードバックが提供され得る。触覚フィードバックは、例えば、外科用コンポーネントの所望の着座深さにいつ到達したかに関して、外科医または嵌入システムを案内するために使用されてもよい。
【0008】
ステムおよび/または細長いネック部は、本体部と一体的に形成されてもよい。代替として、他の実施形態では、ステムおよび/または細長いネック部は、本体部から取り外し可能であってもよい。これにより、外科用コンポーネントのモジュール構造を達成することを可能にすることができ、異なるサイズのモジュール(例えば、より大きいまたはより小さいステムおよび/または細長いネック)が、行われる処置に従って選択され、本体部に取り付けられ得る。
【0009】
各スプラインは、遠位端と、近位端と、を有する。先細のスプラインの少なくともいくつかは、その近位端から遠位端までの全長に沿って先細であってもよい。
【0010】
先細のスプラインのうちの少なくともいくつかのスプラインはそれぞれ、遠位領域および近位領域を有してもよい。これらのスプラインは、その遠位領域において先細にされてもよく、またその近位領域において一定の幅を有してもよい。これらのスプラインは、代替的に、それらの近位領域において先細にされてもよく、またそれらの遠位領域において一定の幅を有してもよいことも想定される。遠位(または近位)領域に先細の部分を有し、近位(または遠位)領域に一定幅を有する部分を有する各スプラインにおいて、そのスプラインの遠位領域と近位領域近位領域との間の境界面は、ステムの固定領域に対して近位に位置してもよい。スプラインの近位(または遠位)領域におけるスプラインの非先細りは、ステムの近位端におけるスプラインの過密化を防止し得る。これにより、例えば、スプラインの遠位(または近位)領域において先細りをより積極的にすることができる。
【0011】
外科用コンポーネントは、ステムの周りに円周方向に配置された複数のさらなるスプラインを含み得る。
【0012】
スプラインは、スプラインの長さの大部分にわたってさらなるスプラインよりも幅広であってもよい。スプラインは、挿入抵抗の全てまたは大部分を提供する一次スプラインとして作用してもよく、さらなるスプラインは、外科用コンポーネントの所望の着座深さに到達すると、髄内管の側壁と接触する二次スプラインとして作用してもよい。
【0013】
代替的に、スプラインは、スプラインの長さの大部分にわたってさらなるスプラインよりも幅狭であってもよい。
【0014】
スプラインおよびさらなるスプラインは、ステムの円周の周りに交互に配置されてもよい。これにより、ステムの周囲でバランスのとれたステムを有する外科用コンポーネントを提供することができる。例えば、これによって、ステムが挿入されるときの外科用コンポーネントの傾きが防止され得るが、この傾きは、ステムの周囲の周りの挿入抵抗の変化に関連付けられるものである。
【0015】
さらなるスプラインの少なくともいくつかは、それらの全長に沿って一定の幅を有してもよい。
【0016】
さらなるスプラインのうちの少なくともいくつかは、各先細のさらなるスプラインが、そのさらなるスプラインの遠位部分において、そのさらなるスプラインのうちの遠位部分に対して近位である部分よりも幅狭となるように先細にされてもよい。
【0017】
さらなるスプラインは、長手方向軸から測定して、スプラインより高くてもよい。
【0018】
代替的に、さらなるスプラインは、長手方向軸から測定してスプラインよりも低くてもよい。
【0019】
スプラインおよび/またはさらなるスプラインのうちの少なくともいくつかは、長手方向軸に垂直な平面において、台形であるか、長方形であるか、または丸みを帯びた断面形状を有してもよい。
【0020】
細長いステムは、その遠位端よりもその近位端で幅広となるように先細にされてもよい。ステムの先細りとスプラインの先細りは、ステムが髄内管の中に挿入されるにつれて変化する挿入抵抗を生成して、前述の触覚フィードバックを外科医(またはSurgical Automated System(KINCISE(商標)等)が使用される場合、嵌入システム)に提供するように組み合わされてもよい。
【0021】
外科用コンポーネントは、大腿骨インプラント、脛骨インプラントまたは上腕骨インプラントの設置前に試行するためのトライアルコンポーネントなどのトライアルコンポーネントであってもよい。
【0022】
外科用コンポーネントは、ブローチであってもよい。ブローチは、大腿骨インプラント、脛骨インプラントまたは上腕骨インプラントの設置前に使用されてもよい。
【0023】
外科用コンポーネントは、大腿骨インプラントであってもよい。したがって、本方法は、ステムを大腿骨の髄内管に挿入することを含んでもよい。例えば、股関節手術では、ステムは近位大腿骨の髄内管に挿入されてもよく、膝関節手術では、ステムは遠位大腿骨の髄内管に挿入されてもよい。
【0024】
外科用コンポーネントは、上腕骨(肩)インプラントであってもよい。したがって、本方法は、ステムを上腕骨の髄内管に挿入することを含んでもよい。
【0025】
外科用コンポーネントは、ステムの長手方向軸に対して非ゼロの角度で本体部から延びる細長いネック部をさらに含み得る。そのような外科用コンポーネントは、股関節手術または肩関節手術において使用され得る。
【0026】
外科用コンポーネントは、大腿骨インプラントを含んでもよい。
【0027】
本体部は、遠位大腿骨コンポーネントを含んでもよい。いくつかの実施形態では、遠位大腿骨コンポーネントは、少なくとも1つの人工顆を備えてもよい。いくつかの実施形態において、遠位大腿骨コンポーネントは、遠位大腿骨コンポーネントを、少なくとも1つの人工顆を含むさらなる遠位大腿骨コンポーネントの対応する接続機構に接続するための接続機構を含んでもよい。このような外科用コンポーネントは、膝関節手術において使用され得る。
【0028】
外科用コンポーネントは、脛骨インプラントを含んでもよい。
【0029】
本体部は、脛骨基部を含んでもよい。いくつかの実施形態では、脛骨基部は、脛骨トレーを含んでもよい。いくつかの実施形態では、脛骨基部は、脛骨基部を脛骨トレーの対応する接続機構に接続するための接続機構を備えてもよい。このような外科用コンポーネントは、膝関節手術において使用され得る。したがって、本方法は、ステムを脛骨の髄内管に挿入することを含んでもよい。
【0030】
本開示のさらなる態様によれば、上述された種類の外科用コンポーネントを含んだ外科用キットが提供される。
【0031】
本方法は、ステムを髄内管に挿入する間に触覚フィードバックを受け取ることを含んでもよい。触覚フィードバックは、ステムが挿入されるにつれて、先細のスプラインによって提供される挿入に対する抵抗が増加することと関連付けられてもよい。
【0032】
髄内管へのステムの挿入中、さらなるスプラインは、外科用コンポーネントの所望の着座深さを達成する直前に、髄内管の側壁を画定する骨と接触してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
本開示の実施形態を、あくまで実施例として、添付図面に関して以下に説明するが、図中、同様の参照符合は同様の要素を示す。
【
図1A】本開示の一実施形態による外科用インプラントを含む外科用コンポーネントを示す。
【
図1B】本開示の一実施形態による外科用インプラントを含む外科用コンポーネントを示す。
【
図1C】本開示の一実施形態による外科用インプラントを含む外科用コンポーネントを示す。
【
図2】本開示の一実施形態による外科用インプラントのステムを示す。
【
図3】ステムの長手方向軸に垂直な平面に沿った、
図2の外科用インプラントの断面を示す。
【
図4】本開示の一実施形態による大腿骨インプラントおよび脛骨インプラントを含む外科用インプラントを示す。
【
図5】
図4の脛骨インプラントをさらに詳細に示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本開示の実施形態を、添付図面に関して以下に説明する。
【0035】
図1A、
図1B、および
図1Cはそれぞれ、本開示の実施形態による外科用コンポーネントを示す。
図1A~
図1Cに示される外科用コンポーネントは、外科用インプラント10である。
図1A~
図1Cに示される実施形態における各インプラント10は、股関節手術中に患者の大腿に設置されるように設計されている。しかしながら、本開示の実施形態は、代わりに、肩関節手術のための上腕骨インプラントにも適用され得ることが想定される。そのような実施形態におけるインプラントの構成は、実質的に(特にスプラインおよび/またはさらなるスプラインに関して)以下に説明されるようなものであってもよいが、外科用インプラントの全体的なサイズおよび形状は、大腿骨の代わりに上腕骨に設置されることを可能にするように構成されることになる。また、本発明の実施形態は、代わりに、膝関節手術のための(遠位)大腿骨インプラントまたは脛骨インプラントにも適用され得ることが想定される。再び、そのような実施形態におけるインプラントの構成は、実質的に以下に説明されるようなものであってもよいが(特に、スプラインおよび/またはさらなるスプラインに関連して)、外科用インプラントの全体的なサイズおよび形状は、近位大腿骨の代わりに脛骨または遠位大腿骨に設置されることを可能にするように構成されることになる。
【0036】
同様に、本開示のいくつかの実施形態において、外科用コンポーネントはブローチであってもよいことが想定される。ブローチは、股関節手術、膝関節手術、または肩関節手術のいずれかで使用するためのサイズおよび形状をなし得る。
【0037】
同様に、本開示のいくつかの実施形態では、外科用コンポーネントはトライアルコンポーネントであり得ることが想定される。トライアルコンポーネントは、近位または遠位大腿骨インプラント、脛骨インプラント、または上腕骨インプラントの設置前のトライアル処置において使用されてもよい。
【0038】
各外科用インプラント10は、本体部50と、細長いステム2と、細長いネック部40と、を有する。
【0039】
図1A~
図1Cに示される実施形態では、ステム2および細長いネック部40は、本体部50と一体的に形成される。代替として、他の実施形態では、ステム2および/または細長いネック部40は、本体部50から取り外し可能であってもよい。これにより、外科用コンポーネントのモジュール構造を達成することを可能にすることができ、異なるサイズのモジュール(例えば、より大きいまたはより小さいステム2および/または細長いネック部40)が、行われる処置に従って選択され、本体部50に取り付けられ得る。
【0040】
図1A~
図1Cのステム2は、それらが使用され得る外科的処置の要件に従って、異なる長さのものであることに留意されたい。したがって、
図1Bのステム2は、
図1Aのステム2よりも長く、
図1Cのステム2は、
図1Bのステム2よりも長い。
【0041】
インプラント10を設置するために、近位大腿骨は、最初に、大腿骨頸部を切除し、髄内管にアクセスし、次いで、ステム2を受容するように適切に成形されるまで、髄内管をリーマ加工することによって、調製されてもよい。肩関節手術の場合、上腕骨の髄内管にアクセスしてリーマ加工するために、類似の調製が上腕骨に対して行われてもよく、膝関節手術の場合、遠位大腿骨または脛骨の髄内管にアクセスしてリーマ加工するために、類似の調製が遠位大腿骨および/または脛骨に対して行われてもよい。
【0042】
次いで、ステム2は、髄内管の中に挿入され得る。
【0043】
各実施形態におけるステム2は、遠位端6と、近位端8と、を有する。ステム2の遠位端6は、外科用インプラント10の先端を形成してもよい。ステム2の近位端8は、本体部50に接合する。
図1A~
図1Cに示されるように、ステム2は、その近位端8がその遠位端6よりも広くなるように先細にされてもよい。ステム2のテーパ角は、例えば、約2.5°であってもよい。
【0044】
ステム2は、それに沿ってステム2が延在する長手方向軸4を有する。外科用インプラント10が設置されるとき、長手方向軸4は、概して、大腿骨(あるいは肩関節手術の場合は上腕骨、あるいは膝関節手術の場合は大腿骨または脛骨)の長手方向軸と整列し得る。
【0045】
細長いネック部40は、外科用インプラント10のネック軸42に沿って本体部50から延在する。
図1A~
図1Cで確認され得るように、ネック軸42は、ステム2の長手方向軸4に対して非ゼロに設定され、外科用インプラント10が設置されるときに細長いネック部40が大腿骨(または肩関節手術の場合は上腕骨)のネックを模倣することを可能にする。
【0046】
膝手術の場合、外科用インプラント10は、細長いネック部40を含まなくてもよいが、代わりに、遠位大腿骨プロテーゼまたは脛骨プロテーゼに関連する機構を含んでもよいことが理解されるであろう。
【0047】
例えば、一実施形態では、外科用インプラント10は脛骨インプラントを含むことができ、この場合、本体部分50は脛骨基部を含むことができる。脛骨基部は、脛骨トレーを備えてもよい。しかしながら、脛骨基部は、脛骨トレーを脛骨基部上に装着するための表面を提供し得ることも想定される。したがって、いくつかの実施形態では、脛骨基部は、脛骨基部を脛骨トレーの対応する接続機構に接続するための接続機構を備えてもよい。そのような実施形態のさらなる詳細は、
図4および
図5に関連して以下で説明される。
【0048】
別の実施形態では、外科用インプラント10は、(遠位)大腿骨インプラントを含み得るが、その場合、本体部50は、遠位大腿骨コンポーネントを含んでもよい。いくつかの実施形態では、遠位大腿骨コンポーネントは、少なくとも1つの人工顆を備えてもよい。しかしながら、遠位大腿骨コンポーネントが、少なくとも1つの人工顆を含むさらなる遠位大腿骨コンポーネントを装着するための表面を提供し得ることも想定される。したがって、いくつかの実施形態では、遠位大腿骨コンポーネントは、そのようなさらなる遠位大腿骨コンポーネントの対応する接続機構に遠位大腿骨コンポーネントを接続するための接続機構を備えてもよい。そのような実施形態のさらなる詳細は、
図4に関連して以下で説明される。
【0049】
細長いネック部40は、近位端44と、遠位端と、を有してもよい。細長いネック部40の遠位端は、本体部50と接合してもよい。細長いネック部40の近位端44は、大腿骨頭インプラント(または肩手術の場合は上腕骨頭インプラント)を外科用インプラント10に取り付けるための1つまたは複数の接続機構を含んでもよい。近位端44が大腿骨頭部と一体的に形成されてもよいことも想定される。
【0050】
ステム2は、複数のスプライン20/30を有する。
図2に関連して以下でより詳細に説明されるように、スプライン20/30は、ステム2の外側表面上に位置する。
【0051】
図2は、本開示の一実施形態による、
図1A~
図1Cに示される種類の外科用インプラント10のステム2を示す。
【0052】
この実施形態において、ステム2は、複数のスプライン20を含む。スプライン20は、ステム2の周りに円周方向に配置される。各スプライン20は、遠位端26と、近位端28と、を有する。
図2で確認され得るように、スプライン20は、先細にされている。特に、各スプライン20は先細にされており、そのスプライン20の遠位部分において、スプライン20のうちの遠位部に対して近位の部分よりも幅狭となっている。例えば、
図2において、各スプライン20の幅は、位置24と比べて位置22においてより狭いことに留意されたい。
【0053】
この実施形態では、ステム2はまた、いくつかの任意選択のさらなるスプライン30を含む。さらなるスプライン30もまた、ステム2の周りに円周方向に配置される。さらなるスプライン30は、遠位端36と、近位端38と、を有する。
【0054】
一般に、さらなるスプライン30は、それらの長さ、高さ、幅、断面形状および/または先細り(または先細りの欠如)に関してスプライン20とは異なるように構成(付形)されてもよい。
【0055】
図2において、スプライン20とさらなるスプライン30は、ステム2の周囲に交互に配置されてもよいが、これは必須ではない。各スプライン20および/または30は、介在トラフ12によって、その最も近い隣接スプライン20および/または30から分離されてもよい。
【0056】
この実施形態では、各さらなるスプライン30は、その長さに沿って実質的に一定の幅を有する。しかしながら、さらなるスプライン30が先細にされてもよいことも想定される。したがって、各さらなるスプライン30は、そのさらなるスプライン30の遠位部分において、そのさらなるスプライン30のうちの遠位部分に対して近位の部分よりも幅狭となるように、先細にされてもよい。したがって、スプライン20に関連して本明細書で説明される先細の構成のいずれもが、さらなるスプライン30にも適用され得ることが想定される。
【0057】
スプライン20および/またはさらなるスプライン30は、ステム2に沿って実質的に長手方向に延在してもよい。スプライン20および/またはさらなるスプライン30は、ステム2の実質的に全長に沿って延在してもよい。しかしながら、
図2に示されるように、スプライン20および/またはさらなるスプライン30は、ステム2の遠位端6によって形成される先端のすぐ手前で遠位に終端してもよい。スプライン20および/またはさらなるスプライン30は、ステム2の近位端8において近位に終端してもよいが、スプライン20および/またはさらなるスプライン30は、ステム2の近位端8に対して遠位にある位置において近位に終端してもよいことも想定される。
図1A~
図1Cに見られるように、スプライン20および/またはさらなるスプライン30のうちの少なくともいくつかは、それらが外科用インプラント10の本体部50上で近位に終端するように、ステム2の近位端8を越えて近位に延在し得ることがさらに想定される。さらなるスプライン30がスプライン20とは異なる長さを有し得ることも想定される。例えば、さらなるスプライン30は、スプライン20に対して近位もしくは遠位のいずれかで近位に終端してもよく、かつ/またはさらなるスプライン30は、スプライン20に対して近位もしくは遠位のいずれかで遠位に終端してもよい。
【0058】
図2において、スプライン20は、その長さに沿って一貫して先細になっている。しかしながら、スプライン20の先細りは、それらの長さに沿った特定の点で変化してもよく、あるいは停止してもよいことが想定される。
【0059】
例えば、いくつかの実施形態では、各スプライン20の先細の部分に沿った先細りの程度は変化してもよい。1つのそのような例では、各スプライン20の先細りは、遠位端26において、あるいは遠位端26の近くで漸進的であってもよく、またそのスプライン20に沿った1つまたは複数の位置において増加してもよい。この配置は、各スプライン20の先細りが遠位端26またはその近くで比較的急速であり、スプライン20に沿った1つまたは複数の位置で減少するように、逆にされてもよい。これらの変化は、ステム2が髄内管に挿入されるときに、外科医(または、外科用自動システム(KINCISE(商標)など)が使用される場合は嵌入システム)に提供される触覚フィードバック(スプライン20および/またはさらなるスプライン30によって提供される触覚フィードバックは、以下で詳細に説明される)の変化を提供し得る。
【0060】
1つ以上の実施形態において、スプライン20のうちの少なくともいくつかは、非先細の領域を含んでもよい。例えば、一実施形態では、スプライン20のうちの少なくともいくつかは、それぞれ、遠位領域および近位領域を有し、それらのスプライン20は、それらの遠位領域において先細にされ、それらの近位領域において一定幅を有してもよい。代替的に、これらのスプライン20は、それらの近位領域において先細にされ、それらの遠位領域において一定の幅を有してもよい。
【0061】
しばらく
図1A~
図1Cに戻ると、各図において、各インプラント10のステム2の固定領域は、Aとラベル付けされた矢印によって示されていることに留意されたい。また、
図1B~
図1Cにおいて、スプライン20の先細の領域は、概して、Bとラベル付けされた矢印によって示され、スプライン20の非先細の領域は、概して、Cとラベル付けされた矢印によって示されている。いずれの場合も、先細の領域Bから非先細の領域Cへの遷移は、Aとラベル付けされたステム2の固定領域の最近位部分に対して近位に位置することに留意されたい(これは、スプライン20がそれらの近位領域において先細にされ、それらの遠位領域において一定の幅を有する実施形態においても当てはまり得る)。
図1Aの実施形態では、スプラインは、それらの全長に沿って先細になっている(したがって、
図1Aは、Bとラベル付けされた領域を含むが、Cとラベル付けされた領域を含まない)。
【0062】
先細の領域から一定幅の領域への遷移により、以下に説明されるように、外科医(または、外科用自動システム(KINCISE(商標)等)が使用される場合、嵌入システム)に触覚フィードバックが提供され得る。さらに、スプライン20の近位端28に向かって非先細の領域を提供することにより、ステム2の近位端8に向かうスプラインの過密化を防止することができ(特に、
図1Bおよび
図1Cに示される種類のより長いステム2において)、かつ/またはスプライン20の遠位領域(または近位領域)における先細りをより迅速にすることができる。
【0063】
本開示の実施形態によれば、スプライン20は、スプライン20の長さの大部分(全長を含む)にわたってさらなるスプライン30よりも幅広であってもよい。そのような構成の例が
図2および
図3に示されている。しかしながら、スプライン20の長さの大部分(全長を含む)にわたってスプライン20がさらなるスプライン30よりも狭くなるように、この構成が逆にされ得ることも想定される。
【0064】
図3は、長手方向軸4に垂直な平面に沿った、
図2のステム2の断面を示す。この実施形態では、さらなるスプライン30は、長手方向軸4から半径方向外向きに測定して、スプライン20よりも低いことが分かる。スプライン20とさらなるスプライン30との間の高さの差(
図3において参照番号32を使用してラベル付けされる)は、0.2~0.5mmの範囲内であり得る。本実施形態では、高さの差32は約0.25mmである。
【0065】
この構成により、さらなるスプライン30をスプライン20よりも後に髄内管の側壁と接触させることができる。これにより、以下で説明されるように、外科医(または、外科用自動システム(KINCISE(商標)等)が使用される場合、嵌入システム)にさらなる触覚フィードバックが提供され得る。長手方向軸4から半径方向外側に測定して、さらなるスプライン30がスプライン20よりも高くなるように、この構成が逆にされ得ることが想定される。
【0066】
本開示の実施形態によれば、スプライン20および/またはさらなるスプライン30は、台形であるか、長方形(例えば、
図3参照)であるか、または丸みを帯びた断面形状(すなわち、長手方向軸に垂直な平面において)を有してもよい。
【0067】
本開示の実施形態によれば、スプライン20および/またはさらなるスプライン30の最大幅は、約2.8mm、またはより好ましくは2mm以下であってもよい。スプライン20および/またはさらなるスプライン30(の一部分)のテーパ角度は、約1°であってもよい。
【0068】
本開示の実施形態によれば、外科用キットが提供され得る。外科用キットは、本明細書に記載された種類の1つ以上の外科用インプラント10を含んでもよい。外科用キットはまた、外科用インプラントまたは外科用ツール等の他のコンポーネントを含んでもよい。
【0069】
前述のように、本明細書に記載のスプライン20および/またはさらなるスプライン30の構成により、ステム2が近位大腿骨(または肩関節手術の場合は上腕骨、膝関節手術の場合は遠位大腿骨または頸骨)の髄内管に挿入されているときに、外科医(または外科用自動システム(KINCISE(商標)など)が使用される場合は嵌入システム)に触覚フィードバックを提供することができる。
【0070】
外科用インプラント10のステム2がスプライン20を含むがさらなるスプライン30を含まない実施形態では、スプライン20の先細りにより、以下のように外科医(または外科用自動システム(KINCISE(商標)など)が使用される場合は嵌入システム)に触覚フィードバックを提供することができる。外科医は、ステム2を事前に調製された髄内管の中に手動で挿入する間、外科用インプラントを(例えば、本体部50および/または細長いネック部40において)保持することができる。外科用自動システム(KINCISE(商標)等)が使用される場合、インプラント10は、代わりに、ステム2の挿入のための嵌入システムに取り付けられてもよい。ステム2が挿入されると、スプライン20は、最終的に髄内管の側壁に接触し、その中に食い込み始める。スプライン20と側壁との間の摩擦は、ステム2のさらなる挿入に抵抗する力を生じさせる。スプライン20の先細りのため、この抵抗力は、髄内管の内側のステム2の深さが増加するにつれて増大する。ステム2の挿入に対するこの増大する抵抗は、髄内管内のステム2の位置に関する触覚フィードバックを外科医(または外科用自動システム(KINCISE(商標)など)が使用される場合は嵌入システム)に提供し、例えば、外科医(または嵌入システム)が、近位大腿骨(または肩手術の場合は上腕骨、または膝手術の場合は遠位大腿骨もしくは頸骨)内の外科用インプラント10の所望の着座位置にいつ接近しているか、および/または到達したかを決定することを可能にし得る。
【0071】
外科用インプラント10のステム2がさらなるスプライン30を含む実施形態では、外科医(または、外科用自動化システム(KINCISE(商標)など)が使用される場合、嵌入システム)に提供される触覚フィードバックは、スプライン20およびさらなるスプライン30の形状および構成だけでなく、スプライン20およびさらなるスプライン30の形状および構成の違いにも依存する。
【0072】
スプライン20がさらなるスプライン30よりも高いと仮定すると、スプライン20によって提供される触覚フィードバックは、少なくともさらなるスプライン30が髄内管の側壁と接触するまで、さらなるスプライン30を含まない実施形態に関して実質的に上述された通りであってもよい。これは、さらなるスプライン30がスプライン20よりも低い場合(例えば、
図3に示されるように)、さらなるスプライン30は、スプライン20が側壁に接触した後しばらくして髄内管の側壁に接触するようになり、さらなるスプライン30は、側壁に接触するまでステム2のさらなる挿入に対する抵抗力に寄与しないからである。それにもかかわらず、ステム2の挿入中のある時点で、さらなるスプラインは側壁と接触する。この時点で、ステム2のさらなる挿入に対抗する抵抗力が段階的に変化する。この段階的変化により、髄内管内のステム2の位置に関するさらなる触覚フィードバックを外科医(または外科用自動システム(KINCISE(商標)など)が使用される場合は嵌入システム)に提供することができる。例えば、本開示の実施形態によれば、スプライン20とさらなるスプライン30との間の高さの差は、さらなるスプライン30が所望の着座位置に達する直前に髄内管の側壁に接触するように選択されてもよい。スプライン20とさらなるスプライン30との高さの典型的な差は、0.2~0.5mmの範囲にある。
【0073】
前述のように、さらなるスプライン30自体は、スプライン20に関連して本明細書で説明された方式のいずれかで先細にされてもよい。したがって、さらなるスプライン30が髄内管の側壁に接触すると、さらなるスプライン30によって提供される、ステム2のさらなる挿入に対抗する全体的な抵抗力への寄与は、それ自体、スプライン20に関して上述されたものとほぼ同じように、挿入深さとともに変化し得る。
【0074】
さらなるスプライン30は、いくつかの実施形態では、スプライン20より高くてもよい。そのような実施形態では、さらなるスプライン30は、スプライン20の前に髄内管の側壁に接触する。さらなるスプライン30が非先細であり、さらなるスプライン30がスプライン20よりも高い実施形態では、さらなるスプライン30は、スプライン20が側壁に接触するまでステム2のさらなる挿入に対して比較的一定の抵抗力を提供することができる。そのような実施形態では、スプライン20と側壁との最初の接触に関連する抵抗力の段階的変化は、ステム2の正しい着座位置に近づいているという触覚フィードバックを外科医(または、外科用自動システム(KINCISE(商標)など)が使用される場合は嵌入システム)に提供することができる。先細のさらなるスプラインによって提供される全体的な挿入抵抗への寄与もステム2の挿入深さとともに変化するが、さらなるスプライン30がスプライン20よりも高く、何らかの形で先細である場合にも、同様の考慮が適用される。
【0075】
さらなるスプライン30を含む実施形態では、所与の挿入深さにおけるステム2のさらなる挿入に対抗する全体的な抵抗力への相対的寄与はまた、スプライン20とさらなるスプライン30の高さ、幅、断面形状および/またはテーパ角の差を選択的に調整することによって決定されてもよい。
【0076】
上述のように、一実施形態では、外科用インプラント10は脛骨インプラントを含んでもよく、別の実施形態では、外科用インプラント10は、(遠位)大腿骨インプラントを含んでもよい。
図4は、本開示の実施形態による(遠位)大腿骨インプラント200および脛骨インプラント200を含む外科用インプラントを示す。
図5は、
図4の脛骨インプラント200をより詳細に示す。
【0077】
図4に示される大腿骨インプラント200の場合、本体部分は、遠位大腿骨コンポーネント204を含んでもよい。遠位大腿骨コンポーネント204は、関節運動表面を含む少なくとも1つの人工顆202を備えるさらなる遠位大腿骨コンポーネントと一体的に形成されてもよく、あるいはそれに接続可能であってもよい。したがって、遠位大腿骨コンポーネント204は、遠位大腿骨コンポーネント204をさらなる遠位大腿骨コンポーネントの対応する接続機構に接続するための接続機構を有し得る。
【0078】
(遠位)大腿骨インプラント200は、遠位大腿骨コンポーネント204から離れて延在するステム202を有してもよい。ステム202は、
図1~
図3に関連して上述された種類のスプラインおよび/またはさらなるスプライン(
図4において220で示される)を有してもよい。使用時に、ステム202は大腿骨80の髄内管に挿入され得る。
【0079】
図4および
図5に示される脛骨インプラント100の場合、本体部は、脛骨基部104を含んでもよい。脛骨基部104は、脛骨トレー106と一体的に形成されてもよく、あるいは脛骨トレー106に接続可能であってもよい。したがって、脛骨基部104は、脛骨基部104を脛骨トレー106の対応する接続機構に接続するための接続機構を有してもよい。
【0080】
脛骨インプラント100は、脛骨基部104から離れて延在するステム102を有してもよい。ステム102は、
図1~
図3に関連して上述された種類のスプラインおよび/またはさらなるスプライン(
図4および
図5において120で示される)を有してもよい。使用時に、ステム102は、脛骨70の髄内管に挿入され得る。
図5において、脛骨インプラント100および脛骨70は、脛骨70への脛骨インプラント100の設置に備えて、セメント72でコーティングされて示されていることに留意されたい。
図5はまた、脛骨基部カバー108を示す。脛骨基部カバー108は、例えば、外科処置中に脛骨基部104の表面を保護するために、脛骨トレー106の接続前に脛骨基部104に取り付けられてもよい。脛骨基部104およびステム102が脛骨70に設置されると、脛骨基部カバー108が取り外されてもよく、脛骨トレー106が脛骨基部104に接続されてもよい。
【0081】
本開示の実施形態によれば、外科的方法が提供され得る。本方法は、例えば、股関節(または肩、または膝)置換または修正処置の一部を形成し得る。概して、本方法は、本明細書に記載される種類の外科用コンポーネントの設置を含み得る。
【0082】
コンポーネントを使用するために、ステム2/102/202(例えば、上述の種類のインプラント10のステム2)は、患者の近位大腿骨(または肩関節手術の場合は上腕骨、または膝関節手術の場合は遠位大腿骨もしくは脛骨)の髄内管に挿入され得る。前述のように、ステム2/102/202の挿入に先立って、大腿骨(または肩関節手術の場合は上腕骨、または膝関節手術の場合は遠位大腿骨または脛骨の類似の準備)の頸部および頭部を除去し、ステム2/102/202を受容するサイズに髄内管をリーマ加工するなどの準備ステップが行われてもよい。
【0083】
ステム2/102/202が挿入されているとき、外科医(または、外科用自動システム(KINCISE(商標)など)が使用される場合、嵌入システム)は、上述の種類の触覚フィードバックを受け取ることができる。したがって、触覚フィードバックは、例えば、ステム2/102/202が挿入されるときにスプライン20(また場合によってはさらなるスプライン30)によって提供される挿入に対する抵抗が増加することと関連付けられてもよく、かつ/または、さらなるスプライン30がインプラントの所望の着座深さを達成する直前に髄内管の側壁を画定する骨と接触することと関連付けられてもよい。
【0084】
したがって、外科用インプラント、外科用インプラントを含むキット、および外科的方法について説明してきた。外科用インプラントは、本体部を含む。外科用インプラントはまた、患者の髄内管に挿入するための細長いステムを含む。細長いステムは、本体部から遠位に延在する。細長いステムは、長手方向軸と、近位端と、遠位端と、ステムの外側表面に位置する複数のスプラインと、を有する。スプラインは、ステムの周りに円周方向に配置される。スプラインのうちの少なくともいくつかは先細にされており、各先細スプラインが、そのスプラインの遠位部分において、遠位部分に対して近位であるそのスプラインの部分よりも狭くなっている。外科用インプラントは、ステムの長手方向軸に対して非ゼロの角度で本体部から延びる細長いネック部をさらに含み得る。
【0085】
本開示の特定の実施形態について説明してきたが、特許請求の範囲内で多くの変更/追加、および/または置換を行い得ることが、理解されよう。
【0086】
〔実施の態様〕
(1) 外科用コンポーネントであって、
本体部と、
患者の髄内管に挿入するための細長いステムであって、前記本体部から遠位に延在し、
長手方向軸と、
近位端と、
遠位端と、
前記ステムの外側表面上に位置する複数のスプラインであって、前記ステムの周りに円周方向に配置され、前記スプラインのうちの少なくともいくつかは先細にされており、各先細のスプラインが、そのスプラインの遠位部分において、そのスプラインのうちの前記遠位部分に対して近位の部分よりも狭くなっている、複数のスプラインと、を有する、細長いステムと、を有する、外科用コンポーネント。
(2) 各スプラインは、遠位端および近位端を有し、前記先細のスプラインのうちの少なくともいくつかは、それぞれ、その前記近位端から前記遠位端へとそれらの全長に沿って先細となっている、実施態様1に記載の外科用コンポーネント。
(3) 前記先細のスプラインのうちの少なくともいくつかは、それぞれ、遠位領域および近位領域を有し、
これらのスプラインは、それらの遠位領域において先細にされ、それらの近位領域において一定の幅を有するか、あるいは、
これらのスプラインは、それらの近位領域において先細にされ、それらの遠位領域において一定の幅を有する、実施態様1または2に記載の外科用コンポーネント。
(4) 先細の部分と一定の幅を有する部分とを有する各スプラインにおいて、そのスプラインの前記遠位領域と前記近位領域との間の境界面が、前記ステムの固定領域に対して近位に位置する、実施態様3に記載の外科用コンポーネント。
(5) 前記ステムの周りに円周方向に配置された複数のさらなるスプラインを備える、実施態様1~4のいずれかに記載の外科用コンポーネント。
【0087】
(6) 前記スプラインは、前記スプラインの長さの大部分にわたって前記さらなるスプラインよりも幅広である、実施態様5に記載の外科用コンポーネント。
(7) 前記スプラインは、前記スプラインの長さの大部分にわたって前記さらなるスプラインよりも幅狭である、実施態様5に記載の外科用コンポーネント。
(8) 前記スプラインおよび前記さらなるスプラインは、前記ステムの周囲に交互に配置されている、実施態様5~7のいずれかに記載の外科用コンポーネント。
(9) 前記さらなるスプラインのうちの少なくともいくつかは、それらの全長に沿って一定の幅を有する、実施態様5~8のいずれかに記載の外科用コンポーネント。
(10) 前記さらなるスプラインのうちの少なくともいくつかは先細にされており、各先細のさらなるスプラインが、そのさらなるスプラインの遠位部分において、そのさらなるスプラインのうちの前記遠位部分に対して近位である部分よりも狭くなっている、実施態様5~9のいずれかに記載の外科用コンポーネント。
【0088】
(11) 前記さらなるスプラインは、前記長手方向軸から測定して、前記スプラインよりも高い、実施態様5~10のいずれかに記載の外科用コンポーネント。
(12) 前記さらなるスプラインは、前記長手方向軸から測定して、前記スプラインよりも低い、実施態様5~10のいずれかに記載の外科用コンポーネント。
(13) 前記スプラインおよび/または前記さらなるスプラインのうちの少なくともいくつかは、前記長手方向軸に垂直な平面において、台形であるか、長方形であるか、または丸みを帯びた断面形状を有する、実施態様1~12のいずれかに記載の外科用コンポーネント。
(14) 前記細長いステムは、その近位端において、その遠位端よりも幅広となるように先細にされている、実施態様1~13のいずれかに記載の外科用コンポーネント。
(15) 前記コンポーネントは、大腿骨インプラント、上腕骨インプラント、脛骨インプラント、トライアルコンポーネント、またはブローチである、実施態様1~14のいずれかに記載の外科用コンポーネント。
【0089】
(16) 前記外科用コンポーネントは、前記ステムの前記長手方向軸に対して非ゼロの角度で前記本体部から延在する細長いネック部をさらに備える、実施態様1~15のいずれかに記載の外科用コンポーネント。
(17) 前記外科用コンポーネントは、大腿骨インプラントを含み、前記本体部は遠位大腿骨コンポーネントを含み、
前記遠位大腿骨コンポーネントは、少なくとも1つの人工顆を含むか、あるいは、
前記遠位大腿骨コンポーネントは、前記遠位大腿骨コンポーネントを、少なくとも1つの人工顆を含むさらなる遠位大腿骨コンポーネントの対応する接続機構に接続するための接続機構を含む、実施態様1~15のいずれかに記載の外科用コンポーネント。
(18) 前記外科用コンポーネントは、脛骨インプラントを含み、前記本体部は脛骨基部を含み、
前記脛骨基部は脛骨トレーを含むか、あるいは、
前記脛骨基部は、前記脛骨基部を脛骨トレーの対応する接続機構に接続するための接続機構を含む、実施態様1~15のいずれかに記載の外科用コンポーネント。
(19) 実施態様1~18のいずれかに記載の外科用コンポーネントを含む外科用キット。
(20) 外科用コンポーネントを使用することを含む外科的方法であって、前記外科用コンポーネントは、
本体部と、
患者の髄内管に挿入するための細長いステムであって、前記本体部から遠位に延在し、
長手方向軸と、
近位端と、
遠位端と、
前記ステムの外側表面上に位置する複数のスプラインであって、前記ステムの周りに円周方向に配置され、前記スプラインのうちの少なくともいくつかは先細にされており、各先細のスプラインが、そのスプラインの遠位部分において、そのスプラインのうちの前記遠位部分に対して近位の部分よりも幅狭となっている、複数のスプラインと、を有する、細長いステムと、を含み、
前記方法は、
前記細長いステムを患者の髄内管に挿入することを含む、外科的方法。
【0090】
(21) 前記ステムを前記髄内管に挿入する間に触覚フィードバックを受け取ることをさらに含み、前記触覚フィードバックは、前記ステムが挿入されるにつれて、前記先細のスプラインによって提供される挿入に対する抵抗が増加することと関連付けられる、実施態様20に記載の外科的方法。
(22) 各スプラインは、遠位端および近位端を有し、前記先細のスプラインのうちの少なくともいくつかは、それぞれ、その前記近位端から前記遠位端へとそれらの全長に沿って先細となっている、実施態様20または21に記載の外科的方法。
(23) 前記先細のスプラインのうちの少なくともいくつかはそれぞれ、遠位領域および近位領域を有し、
これらのスプラインは、それらの遠位領域において先細にされ、それらの近位領域において一定の幅を有するか、あるいは、
これらのスプラインは、それらの近位領域において先細にされ、それらの遠位領域において一定の幅を有する、実施態様20~22のいずれかに記載の外科的方法。
(24) 先細の部分と一定の幅を有する部分とを有する各スプラインにおいて、そのスプラインの前記遠位領域と前記近位領域の近位領域との間の境界面が、前記ステムの固定領域に対して近位に位置する、実施態様23に記載の外科的方法。
(25) 前記ステムは、前記ステムの周りに円周方向に配置された複数のさらなるスプラインを備える、実施態様20~24のいずれかに記載の外科的方法。
【0091】
(26) 前記髄内管への前記ステムの前記挿入中に、前記さらなるスプラインは、前記コンポーネントの所望の着座深さを達成する直前に、前記髄内管の側壁を画定する骨と接触する、実施態様25に記載の外科的方法。
(27) 前記スプラインは、前記スプラインの長さの大部分にわたって前記さらなるスプラインよりも幅広である、実施態様25または26に記載の外科的方法。
(28) 前記スプラインは、前記スプラインの長さの大部分にわたって前記さらなるスプラインよりも幅狭である、実施態様25または26に記載の外科的方法。
(29) 前記スプラインおよび前記さらなるスプラインは、前記ステムの周囲に交互に配置されている、実施態様25~28のいずれかに記載の外科的方法。
(30) 前記さらなるスプラインのうちの少なくともいくつかは、それらの全長に沿って一定の幅を有する、実施態様25~29のいずれかに記載の外科的方法。
【0092】
(31) 前記さらなるスプラインのうちの少なくともいくつかは先細にされており、各先細のさらなるスプラインが、そのさらなるスプラインの遠位部分において、そのさらなるスプラインのうちの前記遠位部分に対して近位である部分よりも幅狭となっている、実施態様25~30のいずれかに記載の外科的方法。
(32) 前記さらなるスプラインは、前記長手方向軸から測定して、前記スプラインよりも高い、実施態様25~31のいずれかに記載の外科的方法。
(33) 前記さらなるスプラインは、前記長手方向軸から測定して、前記スプラインよりも低い、実施態様25~31のいずれかに記載の外科的方法。
(34) 前記スプラインおよび/または前記さらなるスプラインのうちの少なくともいくつかは、前記長手方向軸に垂直な平面において、台形であるか、長方形であるか、または丸みを帯びた断面形状を有する、実施態様20~33のいずれかに記載の外科的方法。
(35) 前記細長いステムは、その近位端において、その遠位端よりも幅広となるように先細にされている、実施態様20~34のいずれかに記載のサージカル。
【0093】
(36) 前記外科用コンポーネントはトライアルインプラントまたはブローチである、実施態様20~35のいずれかに記載の外科的方法。
(37) 前記外科用コンポーネントは大腿骨インプラントであり、前記方法は、前記ステムを大腿骨の髄内管に挿入することを含む、実施態様20~35のいずれかに記載の外科的方法。
(38) 前記外科用コンポーネントは上腕骨インプラントであり、前記方法は、前記ステムを上腕骨の髄内管に挿入することを含む、実施態様20~35のいずれかに記載の外科的方法。
(39) 前記外科用コンポーネントは脛骨インプラントであり、前記方法は、前記ステムを脛骨の髄内管に挿入することを含む、実施態様20~35のいずれかに記載の外科的方法。
【国際調査報告】