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特表2024-503855アミノピリミジン系FAK阻害剤化合物を合成する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-29
(54)【発明の名称】アミノピリミジン系FAK阻害剤化合物を合成する方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 403/12 20060101AFI20240122BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20240122BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240122BHJP
【FI】
C07D403/12
A61K31/506
A61P43/00 111
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023542733
(86)(22)【出願日】2022-01-18
(85)【翻訳文提出日】2023-08-07
(86)【国際出願番号】 CN2022072552
(87)【国際公開番号】W WO2022152315
(87)【国際公開日】2022-07-21
(31)【優先権主張番号】202110063534.9
(32)【優先日】2021-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515329931
【氏名又は名称】ヒノバ ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドゥー ウー
(72)【発明者】
【氏名】リュー ハイビン
(72)【発明者】
【氏名】リー ユー
(72)【発明者】
【氏名】クウァン トンタオ
(72)【発明者】
【氏名】ゲン シー
【テーマコード(参考)】
4C063
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063BB09
4C063CC34
4C063DD29
4C063EE01
4C086AA01
4C086AA04
4C086BC48
4C086GA07
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZC41
(57)【要約】
アミノピリミジン系FAK阻害剤化合物を合成する方法であり、薬物合成の分野に関する。合成方法は、下記のステップを含み、ここで、Rは水素またはカルボン酸保護基であり、RはC~Cアルキル基またはC~C重水素化アルキル基から選択され、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択され、RはC~Cアルキル基またはC~C重水素化アルキル基から選択される。合成方法は取り扱いが簡単で、低コストでありながら、製造された製品の総収率(≧66%)および純度(≧99%)が高く、製品の収率および純度は従来技術よりも優れている(従来技術の総収率は11%程度、純度は99%である)。合成方法は優れた効果をもたらし、また、キログラム規模の最終製品の製造に成功しており、プロセス生産に適するものであって、応用の将来性は明るい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミノピリミジン系FAK阻害剤化合物を合成する方法であって、
化合物(I)を原料とし、塩基の作用により、溶媒中において2,4-ジクロロ-5-(トリフルオロメチル)ピリミジンと反応させ、化合物(II)を得る(ここでRは水素またはカルボン酸保護基である)ステップ(1)と、
溶媒中で、化合物(II)と化合物(III)とを塩基の作用により反応させ、化合物(IV)を得る(ここで、RはC~Cアルキル基またはC~C重水素化アルキル基から選択され、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択される)ステップ(2)と、
化合物(IV)を脱保護反応させてカルボン酸化合物(V)を得るステップ(3)と、
化合物(V)と化合物(VI)とをアミド縮合反応させ、化合物(VII)を得る(ここでRはC~Cアルキル基またはC~C重水素化アルキル基から選択される)ステップ(4)と、を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
ステップ(1)において、前記化合物(I)、2,4-ジクロロ-5-(トリフルオロメチル)ピリミジンおよび塩基のモル比が(1~3):(1~3):(1~7)であり、
および/または、ステップ(2)において、前記化合物(II)、化合物(III)および塩基のモル比が(1~5):(0.1~1):(1~5)であり、
および/または、ステップ(4)において、前記化合物(V)と化合物(VI)とのモル比が(1~5):(1~5)であり、
好ましくは、
ステップ(1)において、前記化合物(I)、2,4-ジクロロ-5-(トリフルオロメチル)ピリミジンおよび塩基のモル比が2.0:2.1:6.4であり、
および/または、ステップ(2)において、前記化合物(II)、化合物(III)および塩基のモル比が1:0.5:1.5であり、
および/または、ステップ(4)において、前記化合物(V)と化合物(VI)とのモル比が1:1.1であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(1)において、前記反応の温度が-20℃~150℃であり、および/または、ステップ(2)において、前記反応の温度が-20℃~150℃であり、および/または、ステップ(3)において、前記反応の温度が-20℃~150℃であり、および/または、ステップ(4)において、前記反応の温度が-20℃~150℃であり、
好ましくは、ステップ(1)において、前記反応の温度が20℃~30℃であり、および/または、ステップ(2)において、前記反応の温度が60℃~80℃であり、および/または、ステップ(3)において、前記反応の温度が20℃~30℃であり、および/または、ステップ(4)において、前記反応の温度が20℃~30℃であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(1)において、Rが水素、エステル基、シリコンエステル基、チオールエステル基、スズエステル基、アミド基、ヒドラジンアミド基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、不飽和脂環、芳香環、ヘテロ環または芳香族ヘテロ環であり、
好ましくは、ステップ(1)において、Rが水素、エステル基、シリコンエステル基、チオールエステル基、スズエステル基、アミド基、ヒドラジンアミド基、C~Cアルキル基、C~Cアルケニル基、C~Cアルキニル基、不飽和脂環、芳香環、ヘテロ環または芳香族ヘテロ環であり、
より好ましくは、ステップ(1)において、Rが水素、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、N,N-ジエチルアミノエチル基、アリル基、プロピニル基、不飽和脂環、芳香環、ヘテロ環または芳香族ヘテロ環であり、
さらに好ましくは、ステップ(1)において、Rが水素、メチル基、エチル基、tert-ブチル基であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ステップ(1)において、前記塩基がトリエチルアミン、ジエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、トリエチレンジアミン、4-ジメチルアミノピリジン、N,N-ジメチルアニリン、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン-7、ピリジン、N-メチルモルホリン、テトラメチルエチレンジアミン、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、カリウムtert-ブトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド、ナトリウムメトキシドまたはナトリウムエトキシドであり、
好ましくは、ステップ(1)において、前記塩基がトリエチルアミンであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ステップ(1)において、前記溶媒がジクロロメタン、トリクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、アセトニトリル、メタノール、エタノール、イソプロパノールまたはtert-ブタノールのうちの任意の一種または任意の複数種で構成された混合溶媒であり、
好ましくは、ステップ(1)において、前記溶媒がジクロロエタンとtert-ブタノールの混合溶媒であり、
より好ましくは、ステップ(1)において、前記ジクロロエタンとtert-ブタノールとの体積比が1:1であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(2)において、Rがメチル基または重水素化メチル基から選択され、および/または、ステップ(2)において、前記塩基がトリエチルアミン、ジエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、トリエチレンジアミン、4-ジメチルアミノピリジン、N,N-ジメチルアニリン、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン-7、ピリジン、N-メチルモルホリン、テトラメチルエチレンジアミン、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、カリウムtert-ブトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド、ナトリウムメトキシドまたはナトリウムエトキシドであり、
好ましくは、ステップ(2)において、前記塩基がN,N-ジイソプロピルエチルアミンであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ステップ(2)において、前記溶媒がメタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドンまたはジメチルスルホキシドのうちの任意の一種または任意の複数種で構成された混合溶媒であり、
好ましくは、ステップ(2)において、前記溶媒がN-メチルピロリドンであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
ステップ(3)において、前記脱保護反応に使用する溶媒が、水、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、イソプロパノールまたはジクロロメタンのうちの任意の一種または任意の複数種で構成される混合溶媒であり、
好ましくは、ステップ(3)において、前記脱保護反応に使用する溶媒がジオキサンであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ステップ(3)において、前記脱保護反応に使用する脱保護試薬が酸または塩基であり、
好ましくは、ステップ(3)において、前記脱保護反応に使用する脱保護試薬が塩酸、トリフルオロ酢酸、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムであり、
より好ましくは、ステップ(3)において、Rがtert-ブチル基である場合、脱保護反応に使用する脱保護試薬が塩酸であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
ステップ(4)において、Rがメチル基または重水素化メチル基から選択され、および/または、ステップ(4)において、前記アミド縮合反応は縮合剤の存在下で行うものであり、前記縮合剤はクロロギ酸イソプロピル、N,N’-カルボニルジイミダゾール、p-トルエンスルホニルクロリド、(Boc)O、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-ビス(ジメチルアミノ)カルベニウムヘキサフルオロリン酸塩、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-ビス(ジメチルアミノ)カルベニウムヘキサフルオロリン酸塩、O-(5-クロロベンゾトリアゾール-1-イル)-ビス(ジメチルアミノ)カルベニウムヘキサフルオロリン酸塩、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-ビス(ジメチルアミノ)カルベニウムテトラフルオロホウ酸塩、O-(N-スクシンイミド)-ビス(ジメチルアミノ)カルベニウムテトラフルオロホウ酸塩、O-(N-endo-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボジイミド)-ビス(ジメチルアミノ)カルベニウムテトラフルオロホウ酸塩、ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ-トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロリン酸塩、ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ-トリス(テトラヒドロピロリル)ホスホニウムヘキサフルオロリン酸塩、ジフェニルホスフィン酸クロリド、シアノホスホン酸ジエチル、アジドリン酸ジフェニル、ジメチルホスフィノチオイルアジドまたはビス(2-オキソ-3-オキサゾリジニル)ホスフィン酸クロリドから選択され、
好ましくは、ステップ(4)において、前記縮合剤がN,N’-カルボニルジイミダゾールから選択され、
より好ましくは、前記化合物(V)と縮合剤とのモル比が(1~5):(1~5)であり、
さらに好ましくは、前記化合物(V)と縮合剤とのモル比が1:1.1であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
ステップ(4)において、前記アミド縮合反応に使用する溶媒が非プロトン性溶媒であり、
好ましくは、ステップ(4)において、前記アミド縮合反応に使用する溶媒がジクロロメタン、ジクロロエタン、アセトン、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドまたはジメチルスルホキシドであり、
より好ましくは、ステップ(4)において、前記アミド縮合反応に使用する溶媒がジクロロメタンであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記化合物(III)が、
溶媒中で、化合物(A)を原料とし、塩基の作用により、メタンスルホンアミドと置換反応を発生させて化合物(B)を得るステップAと、
溶媒中で、化合物(B)を塩基の作用によりメチル化試薬と反応させ、化合物(C)を得て、RがC~Cアルキル基またはC~C重水素化アルキル基から選択されるステップBと、
化合物(C)を還元試薬と反応させ、化合物(III)を得て、RおよびRが、それぞれ独立して水素または重水素から選択されるステップCと、によって調製されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
ステップAにおいて、前記化合物(A)、メタンスルホンアミドおよび塩基のモル比が(1~5):(1~5):(1~5)であり、
および/または、ステップBにおいて、前記化合物(B)、塩基およびメチル化試薬のモル比が(1~2):(1~5):(1~3)であり、
好ましくは、
ステップAにおいて、前記化合物(A)、メタンスルホンアミドおよび塩基のモル比が2:3:4であり、
および/または、ステップBにおいて、前記化合物(B)、塩基およびメチル化試薬のモル比が1.5:4.5:2.3であることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ステップAにおいて、前記反応の温度が-20℃~150℃であり、および/または、ステップBにおいて、前記反応の温度が-20℃~150℃であり、および/または、ステップCにおいて、前記反応の温度が-20℃~150℃であり、
好ましくは、ステップAにおいて、前記反応の温度が80℃~100℃であり、および/または、ステップBにおいて、前記反応の温度が60℃~80℃であり、および/または、ステップCにおいて、前記反応の温度が20℃~30℃であることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
ステップAにおいて、前記塩基が炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、カリウムtert-ブトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、トリエチルアミン、ジエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、トリエチレンジアミン、4-ジメチルアミノピリジン、N,N-ジメチルアニリン、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン-7、ピリジン、N-メチルモルホリンまたはテトラメチルエチレンジアミンであり、
好ましくは、前記塩基が炭酸セシウムであることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
ステップAにおいて、前記溶媒がメタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、ジクロロメタン、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、トルエン、ジクロロメタン、ジオキサンまたは水であり、
好ましくは、ステップAにおいて、前記溶媒がアセトニトリルであることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
ステップBにおいて、Rがメチル基または重水素化メチル基から選択され、および/または、ステップBにおいて、使用する塩基が炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、カリウムtert-ブトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、トリエチルアミン、ジエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、トリエチレンジアミン、4-ジメチルアミノピリジン、N,N-ジメチルアニリン、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン-7、ピリジン、N-メチルモルホリンまたはテトラメチルエチレンジアミンであり、
好ましくは、前記塩基が炭酸カリウムであることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
ステップBにおいて、前記メチル化試薬が非重水素化または重水素化のメタノール、ヨードメタン、硫酸ジメチル、p-トルエンスルホン酸メチル、p-ニトロベンゼンスルホン酸メチル、トリフルオロメタンスルホン酸メチル、炭酸ジメチル、亜リン酸トリメチル、亜リン酸ジメチル、リン酸トリメチル、亜リン酸ジメチル、オルトギ酸トリメチル、オルト酢酸トリメチル、N-メチルメタンスルホン酸アミド、ジアゾメタンであり、
好ましくは、ステップBにおいて、前記メチル化試薬がヨードメタンおよび重水素化ヨードメタンであることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
ステップBにおいて、使用する溶媒がメタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、ジクロロメタン、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、トルエン、ジクロロメタン、ジオキサンまたは水であり、
好ましくは、使用する溶媒がアセトニトリルまたはN,N-ジメチルホルムアミドであることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項21】
ステップCにおいて、使用する還元試薬が水素化アルミニウムリチウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素亜鉛、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、水素化トリエチルホウ素リチウム、水素化トリイソブチルホウ素リチウム、N,N-ジメチルアミノ水素化ホウ素リチウム、水素化ビスメトキシエトキシアルミニウム、ビスシクロペンタジエニルジカルボニルチタン、ジボラン、ジメチルスルフィドボラン、トリエチルシラン、亜鉛-酢酸、水素ガスまたは重水素ガスであり、
好ましくは、ステップCにおいて、使用する還元試薬が水素ガスまたは重水素ガスであることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項22】
ステップCにおいて、前記反応時に触媒を使用し、前記触媒は遷移金属触媒であり、
好ましくは、ステップCにおいて、前記触媒がラネーニッケル、パラジウム炭素または白金炭素であり、
より好ましくは、ステップCにおいて、前記触媒がラネーニッケルであることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項23】
ステップCにおいて、前記反応時に使用する溶媒がメタノール、エタノール、イソプロパノール、tert-ブタノール、エーテル、テトラヒドロフラン、トルエン、ジクロロメタン、ジオキサンまたは水のうちの任意の一種または任意の複数種で構成される混合溶媒であり、
好ましくは、ステップCにおいて、前記反応時に使用する溶媒がメタノールであることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薬物合成の分野に関し、具体的にはアミノピリミジン系FAK阻害剤化合物を合成する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ベラステム社によって開発されたデファクチニブ(defactinib)(VS-6063)は、選択的で、且つ経口により効果を発揮するFAK阻害剤であり、構造式は
であって、現在臨床試験が行われている。
【0003】
同時に、デファクチニブに関する研究が進むにつれて、さらに、デファクチニブをベースにした、より優れた効果、あるいはより優れた代謝安定性や薬物動態特性を持つ化合物が出現している。特許CN110452229Aによって重水素化デファクチニブ化合物が開示されており、特許CN111377871AによってFAK阻害剤およびその併用薬物が開示されている。これらの特許の出現により、FAK阻害剤の研究の選択肢が広がった。
【0004】
しかし、現在のアミノピリミジン系FAK阻害剤化合物の合成には、高コスト、低収率、低純度という問題が存在する。例えば、デファクチニブ重水素化物の調製に関する特許CN110452229Aでは、開示された経路において、高価な試薬である重水素化メチルアミン塩酸塩を第1工程で使用しており、コストがかかるだけでなく、重水素源の導入が早すぎるため、複数の合成工程を経た後は収率が著しく損なわれる。下記合成経路の総収率はわずか11%であり、スケールアップが困難であった。
したがって、製造方法が簡単で、収率および純度の高い、アミノピリミジン系FAK阻害剤化合物の合成方法が待ち望まれている。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、アミノピリミジン系FAK阻害剤化合物を合成するより優れた方法を提供することである。
【0006】
本発明は、アミノピリミジン系FAK阻害剤化合物を合成する方法を提供し、該方法は、
化合物(I)を原料とし、塩基の作用により、溶媒中において2,4-ジクロロ-5-(トリフルオロメチル)ピリミジンと反応させ、化合物(II)を得る(ここでRは水素またはカルボン酸保護基である)ステップ(1)と、
溶媒中で、化合物(II)と化合物(III)とを塩基の作用により反応させ、化合物(IV)を得る(ここで、RはC~Cアルキル基またはC~C重水素化アルキル基から選択され、RおよびRはそれぞれ独立して水素または重水素から選択される)ステップ(2)と、
化合物(IV)を脱保護反応させてカルボン酸化合物(V)を得るステップ(3)と、
化合物(V)と化合物(VI)とをアミド縮合反応させ、化合物(VII)を得る(ここでRはC~Cアルキル基またはC~C重水素化アルキル基から選択される)ステップ(4)と、を含む。
【0007】
さらに、ステップ(1)において、前記化合物(I)、2,4-ジクロロ-5-(トリフルオロメチル)ピリミジンおよび塩基のモル比が(1~3):(1~3):(1~7)であり、
および/または、ステップ(2)において、前記化合物(II)、化合物(III)および塩基のモル比が(1~5):(0.1~1):(1~5)であり、
および/または、ステップ(4)において、前記化合物(V)と化合物(VI)とのモル比が(1~5):(1~5)であり、
好ましくは、
ステップ(1)において、前記化合物(I)、2,4-ジクロロ-5-(トリフルオロメチル)ピリミジンおよび塩基のモル比が2.0:2.1:6.4であり、
および/または、ステップ(2)において、前記化合物(II)、化合物(III)および塩基のモル比が1:0.5:1.5であり、
および/または、ステップ(4)において、前記化合物(V)と化合物(VI)とのモル比が1:1.1である。
【0008】
さらに、ステップ(1)において、前記反応の温度が-20℃~150℃であり、および/または、ステップ(2)において、前記反応の温度が-20℃~150℃であり、および/または、ステップ(3)において、前記反応の温度が-20℃~150℃であり、および/または、ステップ(4)において、前記反応の温度が-20℃~150℃であり、
好ましくは、ステップ(1)において、前記反応の温度が20℃~30℃であり、および/または、ステップ(2)において、前記反応の温度が60℃~80℃であり、および/または、ステップ(3)において、前記反応の温度が20℃~30℃であり、および/または、ステップ(4)において、前記反応の温度が20℃~30℃である。
【0009】
さらに、ステップ(1)において、Rが水素、エステル基、シリコンエステル基、チオールエステル基、スズエステル基、アミド基、ヒドラジンアミド基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、不飽和脂環、芳香環、ヘテロ環または芳香族ヘテロ環であり、
好ましくは、ステップ(1)において、Rが水素、エステル基、シリコンエステル基、チオールエステル基、スズエステル基、アミド基、ヒドラジンアミド基、C~Cアルキル基、C~Cアルケニル基、C~Cアルキニル基、不飽和脂環、芳香環、ヘテロ環または芳香族ヘテロ環であり、
より好ましくは、ステップ(1)において、Rが水素、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、N,N-ジエチルアミノエチル基、アリル基、プロピニル基、不飽和脂環、芳香環、ヘテロ環または芳香族ヘテロ環であり、
さらに好ましくは、ステップ(1)において、Rが水素、メチル基、エチル基、tert-ブチル基である。
【0010】
さらに、ステップ(1)において、前記塩基がトリエチルアミン、ジエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、トリエチレンジアミン、4-ジメチルアミノピリジン、N,N-ジメチルアニリン、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン-7、ピリジン、N-メチルモルホリン、テトラメチルエチレンジアミン、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、カリウムtert-ブトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド、ナトリウムメトキシドまたはナトリウムエトキシドであり、
好ましくは、ステップ(1)において、前記塩基がトリエチルアミンである。
【0011】
さらに、ステップ(1)において、前記溶媒がジクロロメタン、トリクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、アセトニトリル、メタノール、エタノール、イソプロパノールまたはtert-ブタノールのうちの任意の一種または任意の複数種で構成された混合溶媒であり、
好ましくは、ステップ(1)において、前記溶媒がジクロロエタンとtert-ブタノールの混合溶媒であり、
より好ましくは、ステップ(1)において、前記ジクロロエタンとtert-ブタノールとの体積比が1:1である。
【0012】
さらに、ステップ(2)において、Rがメチル基または重水素化メチル基から選択され、および/または、ステップ(2)において、前記塩基がトリエチルアミン、ジエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、トリエチレンジアミン、4-ジメチルアミノピリジン、N,N-ジメチルアニリン、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン-7、ピリジン、N-メチルモルホリン、テトラメチルエチレンジアミン、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、カリウムtert-ブトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド、ナトリウムメトキシドまたはナトリウムエトキシドであり、
好ましくは、ステップ(2)において、前記塩基がN,N-ジイソプロピルエチルアミンである。
【0013】
さらに、ステップ(2)において、前記溶媒がメタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドンまたはジメチルスルホキシドのうちの任意の一種または任意の複数種で構成された混合溶媒であり、
好ましくは、ステップ(2)において、前記溶媒がN-メチルピロリドンである。
【0014】
さらに、ステップ(3)において、前記脱保護反応に使用する溶媒が、水、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、イソプロパノールまたはジクロロメタンのうちの任意の一種または任意の複数種で構成される混合溶媒であり、
好ましくは、ステップ(3)において、前記脱保護反応に使用する溶媒がジオキサンである。
【0015】
さらに、ステップ(3)において、前記脱保護反応に使用する脱保護試薬が酸または塩基であり、
好ましくは、ステップ(3)において、前記脱保護反応に使用する脱保護試薬が塩酸、トリフルオロ酢酸、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムであり、
より好ましくは、ステップ(3)において、Rがtert-ブチル基である場合、脱保護反応に使用する脱保護試薬が塩酸である。
【0016】
さらに、ステップ(4)において、Rがメチル基または重水素化メチル基から選択され、および/または、ステップ(4)において、前記アミド縮合反応は縮合剤の存在下で行うものであり、前記縮合剤はクロロギ酸イソプロピル、N,N’-カルボニルジイミダゾール、p-トルエンスルホニルクロリド、(Boc)O、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-ビス(ジメチルアミノ)カルベニウムヘキサフルオロリン酸塩、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-ビス(ジメチルアミノ)カルベニウムヘキサフルオロリン酸塩、O-(5-クロロベンゾトリアゾール-1-イル)-ビス(ジメチルアミノ)カルベニウムヘキサフルオロリン酸塩、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-ビス(ジメチルアミノ)カルベニウムテトラフルオロホウ酸塩、O-(N-スクシンイミド)-ビス(ジメチルアミノ)カルベニウムテトラフルオロホウ酸塩、O-(N-endo-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボジイミド)-ビス(ジメチルアミノ)カルベニウムテトラフルオロホウ酸塩、ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ-トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロリン酸塩、ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ-トリス(テトラヒドロピロリル)ホスホニウムヘキサフルオロリン酸塩、ジフェニルホスフィン酸クロリド、シアノホスホン酸ジエチル、アジドリン酸ジフェニル、ジメチルホスフィノチオイルアジドまたはビス(2-オキソ-3-オキサゾリジニル)ホスフィン酸クロリドから選択され、
好ましくは、ステップ(4)において、前記縮合剤がN,N’-カルボニルジイミダゾールから選択され、
より好ましくは、前記化合物(V)と縮合剤とのモル比が(1~5):(1~5)であり、
さらに好ましくは、前記化合物(V)と縮合剤とのモル比が1:1.1である。
【0017】
さらに、ステップ(4)において、前記アミド縮合反応に使用する溶媒が非プロトン性溶媒であり、
好ましくは、ステップ(4)において、前記アミド縮合反応に使用する溶媒がジクロロメタン、ジクロロエタン、アセトン、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドまたはジメチルスルホキシドであり、
より好ましくは、ステップ(4)において、前記アミド縮合反応に使用する溶媒がジクロロメタンである。
【0018】
さらに、前記化合物(III)が、
溶媒中で、化合物(A)を原料とし、塩基の作用により、メタンスルホンアミドと置換反応を発生させて化合物(B)を得るステップAと、
溶媒中で、化合物(B)を塩基の作用によりメチル化試薬と反応させ、化合物(C)を得て、RがC~Cアルキル基またはC~C重水素化アルキル基から選択されるステップBと、
化合物(C)を還元試薬と反応させ、化合物(III)を得て、RおよびRが、それぞれ独立して水素または重水素から選択されるステップCと、によって調製される。
【0019】
さらに、ステップAにおいて、前記化合物(A)、メタンスルホンアミドおよび塩基のモル比が(1~5):(1~5):(1~5)であり、
および/または、ステップBにおいて、前記化合物(B)、塩基およびメチル化試薬のモル比が(1~2):(1~5):(1~3)であり、
好ましくは、
ステップAにおいて、前記化合物(A)、メタンスルホンアミドおよび塩基のモル比が2:3:4であり、
および/または、ステップBにおいて、前記化合物(B)、塩基およびメチル化試薬のモル比が1.5:4.5:2.3である。
【0020】
さらに、ステップAにおいて、前記反応の温度が-20℃~150℃であり、および/または、ステップBにおいて、前記反応の温度が-20℃~150℃であり、および/または、ステップCにおいて、前記反応の温度が-20℃~150℃であり、
好ましくは、ステップAにおいて、前記反応の温度が80℃~100℃であり、および/または、ステップBにおいて、前記反応の温度が60℃~80℃であり、および/または、ステップCにおいて、前記反応の温度が20℃~30℃である。
【0021】
さらに、ステップAにおいて、前記塩基が炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、カリウムtert-ブトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、トリエチルアミン、ジエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、トリエチレンジアミン、4-ジメチルアミノピリジン、N,N-ジメチルアニリン、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン-7、ピリジン、N-メチルモルホリンまたはテトラメチルエチレンジアミンであり、
好ましくは、前記塩基が炭酸セシウムである。
【0022】
さらに、ステップAにおいて、前記溶媒がメタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、ジクロロメタン、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、トルエン、ジクロロメタン、ジオキサンまたは水であり、
好ましくは、ステップAにおいて、前記溶媒がアセトニトリルである。
【0023】
さらに、ステップBにおいて、Rがメチル基または重水素化メチル基から選択され、および/または、ステップBにおいて、使用する塩基が炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、カリウムtert-ブトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、トリエチルアミン、ジエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、トリエチレンジアミン、4-ジメチルアミノピリジン、N,N-ジメチルアニリン、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン-7、ピリジン、N-メチルモルホリンまたはテトラメチルエチレンジアミンであり、
好ましくは、前記塩基が炭酸カリウムである。
【0024】
さらに、ステップBにおいて、前記メチル化試薬が非重水素化または重水素化のメタノール、ヨードメタン、硫酸ジメチル、p-トルエンスルホン酸メチル、p-ニトロベンゼンスルホン酸メチル、トリフルオロメタンスルホン酸メチル、炭酸ジメチル、亜リン酸トリメチル、亜リン酸ジメチル、リン酸トリメチル、亜リン酸ジメチル、オルトギ酸トリメチル、オルト酢酸トリメチル、N-メチルメタンスルホン酸アミド、ジアゾメタンであり、
好ましくは、ステップBにおいて、前記メチル化試薬がヨードメタンおよび重水素化ヨードメタンである。
【0025】
さらに、ステップBにおいて、使用する溶媒がメタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、ジクロロメタン、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、トルエン、ジクロロメタン、ジオキサンまたは水であり、
好ましくは、使用する溶媒がアセトニトリルまたはN,N-ジメチルホルムアミドである。
【0026】
さらに、ステップCにおいて、使用する還元試薬が水素化アルミニウムリチウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素亜鉛、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、水素化トリエチルホウ素リチウム、水素化トリイソブチルホウ素リチウム、N,N-ジメチルアミノ水素化ホウ素リチウム、水素化ビスメトキシエトキシアルミニウム、ビスシクロペンタジエニルジカルボニルチタン、ジボラン、ジメチルスルフィドボラン、トリエチルシラン、亜鉛-酢酸、水素ガスまたは重水素ガスであり、
好ましくは、ステップCにおいて、使用する還元試薬が水素ガスまたは重水素ガスである。
【0027】
さらに、ステップCにおいて、前記反応時に触媒を使用し、前記触媒は遷移金属触媒であり、
好ましくは、ステップCにおいて、前記触媒がラネーニッケル、パラジウム炭素または白金炭素であり、
より好ましくは、ステップCにおいて、前記触媒がラネーニッケルである。
【0028】
さらに、ステップCにおいて、前記反応時に使用する溶媒がメタノール、エタノール、イソプロパノール、tert-ブタノール、エーテル、テトラヒドロフラン、トルエン、ジクロロメタン、ジオキサンまたは水のうちの任意の一種または任意の複数種で構成される混合溶媒であり、
好ましくは、ステップCにおいて、前記反応時に使用する溶媒がメタノールである。
【0029】
本発明において、室温は25±5℃であり、一晩は12±2hである。
【0030】
本発明において、不飽和脂環とは、1つまたは複数の二重結合または三重結合を有するヘテロ原子を含まない環状化合物を意味し、芳香環とは、芳香環構造を有する化合物を意味し、ヘテロ環とは、1つまたは複数のヘテロ原子を有する環状化合物を意味し、芳香族ヘテロ環とは、1つまたは複数のヘテロ原子を有し、かつ芳香環構造を有する化合物を意味する。
【0031】
本発明はアミノピリミジン系FAK阻害剤化合物を合成する方法を提供し、該方法は、取り扱いが簡単で、低コストでありながら、製造された製品の総収率(商品の原料からスタートした最短線形経路の総収率が66%)および純度(≧99%)が高く、製品の収率および純度は従来技術よりも優れている(従来技術の収率は常に11%程度、純度は99%である)。本発明の合成方法は優れた効果をもたらし、また、キログラム規模の最終製品の製造に成功しており、プロセス生産に適するものであって、応用の将来性は明るい。
【0032】
当然ながら、本発明の上記内容に基づき、当分野の一般的な技術的知識や慣用的手段に照らし、本発明の上記基本的な技術的思想を逸脱しないという前提において、他の様々な形態の修正、置換または変更を行うことができる。
【0033】
以下、実施例という形の具体的な実施形態によって、本発明の上記内容を更に詳細に説明する。但し、これをもって、本発明の上記主題の範囲が以下の実施例に限定されると理解してはならない。本発明の上記内容に基づいて実現される技術は、いずれも本発明の範囲に属する。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の「発明を実施するための形態」において使用する原料、機器はすべて既存の製品であり、市販の製品を購入したものである。本発明では、別途説明がない限り、以下のとおりである。(i)温度は摂氏度(℃)で表示し、操作は室温または温度環境下で行なった。(ii)有機溶媒は無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒の蒸発はロータリーエバポレーターを用いた減圧蒸留にて行い、浴温度は60℃以下であった。(iii)反応の過程は、薄層クロマトグラフィー(TLC)またはLCMSによって追跡した。
【0035】
実施例1、N-(メチル)-4-((4-((3-(N-(メチル)メチルスルホンアミド)ピラジン-2-イル)メチル)アミノ)-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)アミノ)ベンズアミド(デファクチニブ)の合成
【0036】
ステップA:N-(3-シアノピラジン-2-イル)メタンスルホンアミド(中間体B)の調製
原料2-クロロ-3-シアノピラジン(原料A)(4.19g,30mmol)、メタンスルホンアミド(4.28g,45mmol)および炭酸セシウム(19.5g,60mmol)を、順に100mLのアセトニトリルに加え、窒素ガスの保護下で80℃まで加熱し4時間撹拌して反応させ、TLCで反応の進行をモニタリングした(PE/EA=2/1,v/v)。原料が完全に消失した後、室温まで冷却し、アセトニトリルを減圧留去した。ジクロロメタン/メタノール(5/1,v/v)の混合溶媒を加えてスラリーにし、濾過し、溶出させ、濾液を乾燥させ、濃縮してN-(3-シアノピラジン-2-イル)メタンスルホンアミド(中間体B)5.9gを得た。収率:95%。LC/MS(ESI+)calcd for CS([M+H])m/z:198.0;found 199.1。
【0037】
ステップB:N-(3-シアノピラジン-2-イル)-N-(メチル)メタンスルホンアミド(中間体C-1)の調製
N-(3-シアノピラジン-2-イル)メタンスルホンアミド(中間体B)(2.98g,15mmol)、炭酸カリウム(6.3g,45mmol)およびヨードメタン(3.3g,23mmol)を、順に30mLのDMFに加え、窒素ガスの保護下で80℃まで加熱し一晩撹拌して反応させ、TLCで反応の進行をモニタリングした(PE/EA=2/1,v/v)。原料が完全に消失した後、室温まで冷却し、100mLの酢酸エチルで抽出し、飽和塩化ナトリウム溶液(100mL*3)で3回洗浄し、有機相を乾燥させ、濃縮してN-(3-シアノピラジン-2-イル)-N-(メチル)メタンスルホンアミド(中間体C-1)2.6gを得た。収率:80%。LC/MS(ESI+)m/z:213([M+H])。
【0038】
ステップC:N-(3-(アミノメチル)ピラジン-2-イル)-N-(メチル)メタンスルホンアミド(中間体III-1)の調製
N-(3-シアノピラジン-2-イル)-N-(メチル)メタンスルホンアミド(中間体C-1)(1.1g,5mmol)を20mLのメタノールに溶解させ、ラネーニッケル触媒約1gを加え、水素で3回置換し、室温で一晩撹拌して反応させ、TLCで反応の進行をモニタリングした(DCM/MeOH=5/1,v/v)。原料が消失した後、珪藻土で濾過し、濾液を濃縮してN-(3-(アミノメチル)ピラジン-2-イル)-N-(メチル)メタンスルホンアミド(中間体III-1)0.88gを得た。収率:83%。LC/MS(ESI+)m/z:217([M+H])。
【0039】
ステップ1:4-((4-クロロ-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)アミノ)安息香酸tert-ブチル(中間体II-1)の調製
原料2,4-ジクロロ-5-トリフルオロメチルピリミジン(4.56g,21mmol)を100mLのジクロロエタン/tert-ブタノール(1/1,v/v)の混合溶媒に溶解させ、窒素ガスの保護下で氷水浴により降温させ、臭化亜鉛(13.5g,60mmol)を加え、30分間撹拌を続け、さらに4-アミノ安息香酸tert-ブチル(原料I-1)(3.86g,20mmol)およびトリエチルアミン(6.46g,64mmol)を順に加え、外側の浴を撤去し、自然に昇温させて一晩反応させた。TLCで反応の進行をモニタリングし(PE/EA=5/1,v/v)、完全に反応した後、そのまま濾過し、ジクロロエタンで溶出させ、濾過ケーキを乾燥させて、白色の固体である4-((4-クロロ-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)アミノ)安息香酸tert-ブチル(中間体II-1)7.35gを得た。収率:97%、純度:94.68%。LC/MS(ESI+)m/z:373([M+H])。
【0040】
ステップ2:4-((4-((3-(N-(メチル)メチルスルホンアミド)ピラジン-2-イル)メチル)アミノ)-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)アミノ)安息香酸tert-ブチル(中間体IV-1)の調製
4-((4-クロロ-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)アミノ)安息香酸tert-ブチル(中間体II-1)(374mg,1.0mmol)、N-(3-(アミノメチル)ピラジン-2-イル)-N-(メチル)メタンスルホンアミド(中間体III-1)(110mg,0.5mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(195mg,1.5mmol)を、順に25mLのN-メチルピロリドン溶液に加え、窒素ガスの保護下で60℃まで加熱し、6時間撹拌して反応させ、TLC(PE/EA=5/1,v/v)+LCMSで反応の進行をモニタリングした。中間体III-1が消失した後、室温まで冷却し、50mLの酢酸エチルで抽出し、飽和塩化ナトリウム溶液で3回洗浄し(40mL*3)、有機相を乾燥させ、濃縮し、prep-TLC精製(PE/EA=2/1,v/v)により4-((4-((3-(N-(メチル)メチルスルホンアミド)ピラジン-2-イル)メチル)アミノ)-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)アミノ)安息香酸tert-ブチル(中間体IV-1)210mgを得た。収率:76%(中間体III-1で計算)、純度:92.24%。LC/MS(ESI+)m/z:554([M+H])。
【0041】
ステップ3:4-((4-((3-(N-(メチル)メチルスルホンアミド)ピラジン-2-イル)メチル)アミノ)-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)アミノ)安息香酸(中間体V-1)の調製
4-((4-((3-(N-(メチル)メチルスルホンアミド)ピラジン-2-イル)メチル)アミノ)-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)アミノ)安息香酸tert-ブチル(中間体IV-1)(210mg,0.38mmol)を10mLのHCl/ジオキサン溶液(HCl濃度は4M)に溶解させ、室温で3時間撹拌して反応させて、大量の白色沈殿を析出させ、TLC(PE/EA=5/1,v/v)+LCMSで反応の進行をモニタリングし、反応が完了した後、そのまま減圧濃縮してジオキサンを除去し、石油エーテルを加えてスラリー化し、濾過し、溶出させて、白色の固体4-((4-((3-(N-(メチル-d3)メチルスルホンアミド)ピラジン-2-イル)メチル)アミノ)-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)アミノ)安息香酸(中間体V-1)195mgを得た。収率:93%、純度:93.7%。LC/MS(ESI+)m/z:498([M+H])。
【0042】
ステップ4:N-(メチル)-4-((4-((3-(N-(メチル)メチルスルホンアミド)ピラジン-2-イル)メチル)アミノ)-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)アミノ)ベンズアミド(目的化合物VII-1)の調製
4-((4-((3-(N-(メチル)メチルスルホンアミド)ピラジン-2-イル)メチル)アミノ)-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)アミノ)安息香酸(中間体V-1)(115mg,0.20mmol)およびN,N’-カルボニルジイミダゾール(36mg,0.22mmol)を20mLのジクロロメタンに溶解させ、窒素ガスの保護下で、溶解して透明になるまで室温で3時間程度撹拌し、TLC(DCM/MeOH=10/1,v/v)で原料の消失をモニタリングした。さらに、トリエチルアミン(202mg,2.0mmol)およびメチルアミン塩酸塩(原料VI-1)(16mg,0.22mmol)を順に加え、室温下で2時間撹拌して反応させ、TLC(DCM/MeOH=10/1,v/v)で反応の完了をモニタリングした。ジクロロメタンで抽出し、飽和塩化アンモニウム溶液で洗浄し、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、有機相を回転乾燥させ、prep-TLCで精製して(DCM/MeOH=10/1,v/v)、N-(メチル)-4-((4-((3-(N-(メチル)メチルスルホンアミド)ピラジン-2-イル)メチル)アミノ)-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)アミノ)ベンズアミド(目的化合物VII-1)94mgを得た。収率:94%、純度:100%。LC/MS(ESI+)m/z:511([M+H])。H NMR(400MHz,DMSO-d) δ 9.83(s,1H),8.69(d,J=2.5Hz,1H),8.58(d,J=2.3Hz,1H),8.31(s,1H),8.20(d,J=4.5Hz,1H),7.63(q,J=8.7Hz,4H),7.41(t,J=4.9Hz,1H),5.00(d,J=4.9Hz,2H),3.21(d,J=10.5Hz,6H),2.75(d,J=4.4Hz,3H)。
【0043】
実施例2、N-(メチル-d3)-4-((4-((3-(N-(メチル-d3)メチルスルホンアミド)ピラジン-2-イル)メチル)アミノ)-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)アミノ)ベンズアミド(VII-2)の合成
【0044】
ステップB:N-(3-シアノピラジン-2-イル)-N-(メチル-d3)メタンスルホンアミド(中間体C-2)の調製
中間体化合物Bおよび重水素化ヨードメタンを原料とし、実施例1のステップBと類似の反応条件を用いて、中間体C-2を調製した。収率は80%であった。LC/MS(ESI+)m/z:216([M+H])。
【0045】
ステップC:N-(3-(アミノメチル)ピラジン-2-イル)-N-(メチル-d3)メタンスルホンアミド(中間体III-2)の調製
中間体C-2を原料とし、実施例1のステップCと類似の反応条件を用いて、中間体III-2を調製した。収率は83%であった。LC/MS(ESI+)m/z:220([M+H])。
【0046】
ステップ2:4-((4-((3-(N-(メチル-d3)メチルスルホンアミド)ピラジン-2-イル)メチル)アミノ)-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)アミノ)安息香酸tert-ブチル(中間体IV-2)の調製
中間体II-1および中間体III-2を原料とし、実施例1のステップ2と類似の反応条件を用いて、中間体IV-2を得た。収率は76%であった。LC/MS(ESI+)m/z:557([M+H])。
【0047】
ステップ3:4-((4-((3-(N-(メチル-d3)メチルスルホンアミド)ピラジン-2-イル)メチル)アミノ)-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)アミノ)安息香酸(中間体V-2)の調製
中間体(IV-2)を原料とし、実施例1のステップ3と類似の反応条件を用いて、中間体V-2を得た。収率は93%であった。LC/MS(ESI+)m/z:501([M+H])。
【0048】
ステップ4:N-(メチル-d3)-4-((4-((3-(N-(メチル-d3)メチルスルホンアミド)ピラジン-2-イル)メチル)アミノ)-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)アミノ)ベンズアミド(VII-2)の調製
中間体V-2および重水素化メチルアミン塩酸塩VI-2を原料とし、実施例1のステップ4と類似の反応条件を用いて、化合物VII-2を得た。収率は94%、純度は100%であった。LC/MS(ESI+)m/z:517([M+H])。H NMR(400MHz,DMSO-d) δ 9.83(s,1H),8.69(d,J=2.8Hz,1H),8.58(d,J=2.4Hz,1H),8.31(s,1H),8.17(s,1H),7.67-7.60(dd,J=15.4,8.6Hz,4H),7.42-7.39(t,J=5.2Hz,1H),5.00(d,J=4.8Hz,2H),3.20(s,3H)。
【0049】
実施例3、N-(メチル-d3)-4-((4-((3-(N-(メチル)メチルスルホンアミド)ピラジン-2-イル)メチル)アミノ)-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)アミノ)ベンズアミド(VII-3)の合成
【0050】
中間体V-1および重水素化メチルアミン塩酸塩(VI-2)を原料とし、実施例1のステップ4と類似の反応条件を用いて、目的化合物であるVII-3を得た。収率は94%、純度は>97.57%であった。LC/MS(ESI+)m/z:514([M+H])。H NMR(400MHz,DMSO-d) δ 9.86(s,1H),8.69(d,J=2.4Hz,1H),8.58(d,J=2.8Hz,1H),8.32(s,1H),8.18(s,1H),7.67-7.59(dd,J=19.6,8.8Hz,4H),7.48-7.45(t,J=5.2Hz,1H),5.00(d,J=4.8Hz,2H),3.22(s,3H),3.20(s,3H)。
【0051】
実施例4、N-(メチル-d3)-4-((4-((3-(N-(メチル-d3)メチルスルホンアミド)ピラジン-2-イル)メチル)アミノ)-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)アミノ)ベンズアミド(VII-2)のキログラム規模の合成
【0052】
ステップA:4-((4-((3-(N-(メチル)メチルスルホンアミド)ピラジン-2-イル)メチル)アミノ)-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)アミノ)安息香酸tert-ブチル(中間体IV-2)の調製
4-((4-クロロ-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)アミノ)安息香酸tert-ブチル(中間体II-1)(4.0kg,10.7mol)、N-(3-(アミノ-メチル-d3)ピラジン-2-イル)-N-(メチル)メタンスルホンアミド(中間体III-2)(3.56kg,13.91mol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(4.15kg,32.11mol)を、40kgのN-メチルピロリドン溶液に順に加え、窒素ガス保護下で60℃まで加熱して2~3時間撹拌して反応させ、TLC(PE/EA=5/1,v/v)+LCMSで反応の進行をモニタリングした。中間体III-2が消失した後、室温まで冷却し、反応液を精製水(57kg)中にゆっくりと加え、大量の固体を析出させた。1~2時間撹拌した後に減圧濾過し、4-((4-((3-(N-(メチル-d3)メチルスルホンアミド)ピラジン-2-イル)メチル-d3)アミノ)-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)アミノ)安息香酸tert-ブチル(中間体IV-2)5.9kgを得た。収率:99%。LC/MS(ESI+)m/z:557([M+H])。
【0053】
ステップB:4-((4-((3-(N-(メチル-d3)メチルスルホンアミド)ピラジン-2-イル)メチル)アミノ)-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)アミノ)安息香酸(中間体V-2)の調製
5.8kgの4-((4-((3-(N-(メチル-d3)メチルスルホンアミド)ピラジン-2-イル)メチル-d3)アミノ)-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)アミノ)安息香酸tert-ブチル(中間体IV-2)を58Lのジクロロメタンに加え、さらに14.26kgのトリフルオロ酢酸を加えて30~40℃で2~3時間撹拌し、中間サンプリングして反応がほぼ終了した後に濃縮乾燥させ、29Lの酢酸エチルを加えて1~2時間撹拌し、濾過し、乾燥させて、4-((4-((3-(N-(メチル-d3)メチルスルホンアミド)ピラジン-2-イル)メチル)アミノ)-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)アミノ)安息香酸6.0kgを得た。収率は100%であった。LC/MS(ESI+)m/z:501([M+H])。
【0054】
ステップC:N-(メチル-d3)-4-((4-((3-(N-(メチル-d3)メチルスルホンアミド)ピラジン-2-イル)メチル)アミノ)-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)アミノ)ベンズアミド(VII-2)の調製
5.9kgの4-((4-((3-(N-(メチル-d3)メチルスルホンアミド)ピラジン-2-イル)メチル)アミノ)-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)アミノ)安息香酸(中間体V-2)を59LのNMPに加えて撹拌して溶解させ、6.9kgのDIPEAを加えて15分間撹拌した後、3.98kgのHOBt、5.65kgのEDCI、0.99kgの重水素化メチルアミン塩酸塩を順に加え、2~3時間反応させ、中間サンプリングして反応が終了した後に、反応液に精製水(30V)をゆっくりと加え、反応液の温度を20~30℃に制御し、大量の固体をさせ、20~30℃に保温して0.5~2h撹拌した後、濾過し、乾燥させて、N-(メチル-d3)-4-((4-((3-(N-(メチル-d3)メチルスルホンアミド)ピラジン-2-イル)メチル)アミノ)-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)アミノ)ベンズアミド4.18kgを得た。収率は69%、純度は99.25%であった。LC/MS(ESI+)m/z:517([M+H])。
【0055】
以上のように、本発明はアミノピリミジン系FAK阻害剤化合物を合成する方法を提供し、該方法は、取り扱いが簡単で、低コストでありながら、製造された製品の総収率(≧66%)および純度(≧99%)が高く、製品の収率および純度は従来技術よりも優れている(従来技術の収率は常に11%程度、純度は99%である)。本発明の合成方法は優れた効果をもたらし、また、キログラム規模の最終製品の製造に成功しており、プロセス生産に適するものであって、応用の将来性は明るい。
【国際調査報告】