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特表2024-503857保護されたHDAC(ヒストン脱アセチル化酵素)阻害剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-29
(54)【発明の名称】保護されたHDAC(ヒストン脱アセチル化酵素)阻害剤
(51)【国際特許分類】
   C07D 307/54 20060101AFI20240122BHJP
   C07D 417/06 20060101ALI20240122BHJP
   A61K 31/496 20060101ALI20240122BHJP
   C07D 333/24 20060101ALI20240122BHJP
   A61K 31/381 20060101ALI20240122BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240122BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240122BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240122BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20240122BHJP
   A61K 41/00 20200101ALI20240122BHJP
【FI】
C07D307/54
C07D417/06 CSP
A61K31/496
C07D333/24
A61K31/381
A61P35/00
A61P25/00
A61P29/00
A61P25/28
A61K41/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023542741
(86)(22)【出願日】2022-01-20
(85)【翻訳文提出日】2023-09-11
(86)【国際出願番号】 GB2022050157
(87)【国際公開番号】W WO2022157499
(87)【国際公開日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】2100778.6
(32)【優先日】2021-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2100776.0
(32)【優先日】2021-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
2.TWEEN
3.Alexa Fluor
(71)【出願人】
【識別番号】522017173
【氏名又は名称】ライトックス リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LIGHTOX LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100179866
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 正樹
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー ホワイティング
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド チザム
(72)【発明者】
【氏名】アルバ プジョル
【テーマコード(参考)】
4C063
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063BB03
4C063CC62
4C063DD12
4C063EE01
4C084AA11
4C084NA05
4C084ZA01
4C084ZA15
4C084ZB11
4C084ZB26
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BB02
4C086BC50
4C086BC82
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA15
4C086ZB11
4C086ZB26
(57)【要約】
本発明は、式Iの保護されたHDAC阻害剤化合物に関し、Y、Ar、Ar、X、RおよびRは本明細書で定義される通りである。態様では、本発明は、その化合物の使用およびその化合物を脱保護する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物。
【化1】

(式中、
は、Hまたは炭素数1~10のアルキル基であり;
は、P-Zであり、Pは、炭素数1~15のアルキル基であり、任意に1つ以上のN原子、-C=Oおよび-NHC=Oで置換されており;
Zは、以下のとおりであり、
【化2】

式中、Rは、H、C~Cアルキル、-CHOH、-CHOCH、-Ph、-COH、-CH(CH)OH、-C(CHCOOH)OH、-C(=O)CH、-CHNH、-CHNH(C=O)CHNHまたは-CHNH(C=O)CHNH(C=O)CHNHであり;
または
およびRは、5員または6員を有し、P-Zで置換されている複素環基Yの一部を形成し、Pは、上で定義したとおりであり、Zは、上で定義したとおりであり;
ArおよびArは、それぞれ独立して、フェニル、ピリジン、ピリミジン、チオフェン、フラン、ベンゾフランまたはチアゾール基から選択され;
Xは、-C=C-C(=O)ORであり、Rは、任意に1つ以上のO原子で置換されている、炭素数1~10のアルキル基である。)
【請求項2】
が、C~Cアルキルである、請求項1に記載の式Iの化合物。
【請求項3】
が、-CHである、請求項2に記載の式Iの化合物。
【請求項4】
Arが、チアゾールまたはフェニルである、いずれかの先行請求項に記載の式Iの化合物。
【請求項5】
Arが、ピリジン、チオフェンまたはフランである、いずれかの先行請求項に記載の式Iの化合物。
【請求項6】
およびRが複素環基Yの一部を形成し、任意に、Yがピペラジンである、いずれかの先行請求項に記載の式Iの化合物。
【請求項7】
Pが、-C(=O)で置換されたC~C15アルキル基である、請求項6に記載の式Iの化合物。
【請求項8】
-C(=O)(CH、請求項7に記載の式Iの化合物。
【請求項9】
が、アルキル基である、いずれかの先行請求項に記載の式Iの化合物。
【請求項10】
が、-CH、-C(CHまたは-CHCH(CHである、請求項9に記載の式Iの化合物。
【請求項11】
が、C~Cアルキルであり、任意にRが-CHである、請求項1~5のいずれかに記載の式Iの化合物。
【請求項12】
が、P-Zであり、Pが-NHC(=O)で置換されたC~C15アルキルである、請求項1~5のいずれかまたは請求項11に記載の式Iの化合物。
【請求項13】
Pが、-(CHNHC(=O)(CHである、請求項12に記載の式Iの化合物。
【請求項14】
が、-(CHCHO)CHであり、式中、nが、1~8の整数であり、任意に、Rが、-(CHCHO)CHである、請求項1~5または11~13のいずれかに記載の式Iの化合物。
【請求項15】
前記化合物が、以下の化合物92、化合物93、化合物101および化合物102から選択される、いずれかの先行請求項に記載の式Iの化合物。
【化3-1】

【化3-2】
【請求項16】
光線力学的療法における、いずれかの先行請求項に記載の式Iの化合物の使用。
【請求項17】
請求項1~15のいずれかに記載の式Iの化合物を、任意に、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤、希釈剤または担体と組み合わせて含む、医薬組成物。
【請求項18】
式Iの化合物を脱保護する方法であって、前記式Iの化合物を酵素と接触させることを含む、式Iの化合物を脱保護する方法。
【請求項19】
前記酵素が、内因性酵素である、請求項18に記載の式Iの化合物を脱保護する方法。
【請求項20】
式Iの化合物を脱保護する方法であって、溶媒の存在下で式Iの化合物を塩基と反応させることを含む、式Iの化合物を脱保護する方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ヒストンのアセチル化/脱アセチル化は、真核細胞の転写制御において重要な役割を果たす。ヒストンおよび非ヒストンタンパク質のアセチル化状態は、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)およびヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)によって決定される。ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)は、ヒストンおよび非ヒストンタンパク質のリジン基のε-アミノ部分からアセチル基を除去する酵素のファミリーに属する。HDAC阻害剤(HDACi)は、HDAC酵素の活性を阻害する。HDACの生物学的重要性により、その阻害は臨床的に重要な意味を持ち、HDAC阻害はとりわけ、癌、神経変性疾患、炎症性疾患、および神経障害の治療における重要な治療戦略として浮上している。
【0002】
HDAC酵素は、酵母ヒストン脱アセチル化酵素に対するアクセサリードメインの相同性に基づいて分類されており、現在4つの主要なグループに分類されている。
・クラスI HDAC1、-2、-3、および-8を含むクラスIは、酵母RPD3脱アセチル化酵素に関連している;
・クラスIIA HDAC4、-5、-7、および-9が含まれ;クラスIIB-6および-10は、酵母Hda1(ヒストン脱アセチル化酵素1)遺伝子に関連している;
・クラスIII(サーチュインとしても知られる)は、Sir2遺伝子に関連しており、SIRT1~7が含まれる;
・クラスIV HDAC11のみを含むクラスIVには、クラスIとクラスIIの両方の機能を有する。
【0003】
典型的なHDAC阻害剤は、HDACの亜鉛含有触媒ドメインに結合することにより、クラスI、II、およびIVのHDACにのみ作用する。これらのHDAC阻害剤は、亜鉛イオンに結合する化学部位に基づいてさらに分類できる(チオール基で亜鉛イオンに結合する環状テトラペプチドを除く)。例えば、トリコスタチンAなどのヒドロキサム酸(またはヒドロキサム酸塩);環状テトラペプチド(トラポキシンBなど)およびデプシペプチド;ベンズアミド;求電子性ケトン、フェニル酪酸およびバルプロ酸などの脂肪酸化合物が挙げられる。
【0004】
ヒドロキサム酸は、HDAC阻害剤の最大のクラスを構成する。
【0005】
ヒドロキサム酸系のHDAC阻害剤の例としては、ボリノスタット(スベロイルアニリドヒドロキサム酸、SAHA)、ベリノスタット、パノビノスタット、ジビノスタット、プラシノスタット、キシノスタットおよびアベキシノスタットが挙げられる。
【0006】
HDAC阻害剤は重要な治療的役割を果たすが、ヒドロキサム酸などのHDAC阻害剤の不安定性は、保存安定性、溶解性、製剤および製造などの点で困難を生じる。
【0007】
本発明の一つの目的は、これらの課題の1つ以上に対処または軽減することである。本発明の一つの目的は、保護されたHDAC阻害剤、特に保護されたヒドロキサム酸を提供することである。本発明の一つの目的は、改善された安定性を示し得る保護されたHDAC阻害剤を提供することである。本発明の一つの目的は、改善された溶解性を示し得る保護されたHDAC阻害剤を提供することである。本発明の実施形態は、ヒドロキサム酸系のHDAC阻害剤などのHDAC阻害剤を保護および/または脱保護する方法に関する。実施形態において、脱保護ステップは、細胞および組織内でin situで、すなわち内因性酵素によって実行され得る。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、保護基としてのエステルの使用に関する。本発明は、HDAC阻害剤の保護基としてのエステルの使用に関する。このプロセスでは、HDAC阻害剤のヒドロキサム基などの官能基がエステルとして保護される。次いで、そのエステルは、酵素の存在下で除去することができる。酵素は、内因性酵素であってもよい。エステルを除去すると、官能基が脱保護される。この脱保護はin situで起こる可能性があり、つまり、酵素は内因性酵素であり得、HDAC阻害剤が細胞に入ると脱保護が起こり得る。細胞は哺乳類細胞であってもよい。実施形態では、脱保護は、HDAC阻害剤が標的細胞に侵入するときに、保護エステル基に対する内因性酵素の作用を経て起こる。これにより、in situでのHDAC阻害の「きれいな」活性化になり得る。
【0009】
したがって、本発明は、保護されたHDAC阻害剤を包含する。保護されたHDAC阻害剤は、エステル基によって保護され得る。これはプロドラッグとして機能し得る。それは、in situで脱保護可能なHDAC阻害剤として機能し得る。この実施形態では、保護されたHDAC阻害剤は、投与後にその活性形態に代謝される。これは、保存、製剤および製造などの点で大きな利点を有する。本明細書で使用する場合、用語「プロドラッグ」は、不活性形態で投与され、化学的、生化学的または生理学的プロセスを経て生体内でその活性形態に変換される化合物を意味する。
【0010】
有利には、エステルは、酵素による除去を通じて標的組織においてのみHDAC阻害の活性化を可能にするように選択することができる。すなわち、酵素による除去が対象の身体の細胞、組織または領域においてのみ、すなわち、相補的な酵素を含む身体の細胞、組織または領域において起こるように保護基を選択することができる。当業者には理解されるように、保護基をさらに調整して、半減期、溶解性、標的化などの特性を調整して標的組織の特性に合わせることができる。
【0011】
適切な保護基としては、これらに限定されないが、アセテート(C1~C9)エステル、ヒドロキシアセテート(C1~C9)エステル、メトキシアセテート(C1~C9)エステル、フェニルアセテート、プロピオネート、ブチレート、サリチレート、ピルベート、ラクテートエステル、シトレートエステル、PEGエステル、グリセロールエステル、ペプチドエステル、例えば、モノ-、ジ-およびトリグリシンエステル、ホスフェートエステル、スルホネートエステル、カーボネート、例えば、テトラエチレングリコール、O-グリコシルエーテル、O-グリコシルエステルが挙げられる。
【0012】
一実施形態では、保護基は、アセテート(C1~C9)エステルである。一実施形態では、保護基は、アセテートC1エステルである。
【0013】
脱保護に適した酵素としては、これらに限定されないが、リパーゼ、ラクターゼ、エステラーゼ、アミラーゼ、シトクロムP450、グリコシダーゼ、例えば、β-グルクロニダーゼ、スクラーゼおよびヒアルロニダーゼ、ペプチダーゼ、ホスファターゼ、スルファターゼが挙げられる。
【0014】
一実施形態では、酵素は、リパーゼまたはラクターゼである。
【0015】
一実施形態では、HDAC阻害剤は光活性HDAC阻害剤であり、本発明はこれに限定されず、本発明がより広範にHDAC阻害剤およびHDAC阻害薬に適用可能であることが理解されるであろう。
【0016】
一実施形態では、HDAC阻害剤は、光活性HDAC阻害剤である。「光活性HDAC阻害剤」とは、二重の細胞調節活性、すなわち、生化学的影響および/または標的化などのHDAC阻害活性と並行して、光活性化細胞殺傷を有するHDAC阻害剤を意味する。
【0017】
このような化合物の例示的な形態を以下に示す。
【化1】
【0018】
このようなHDAC阻害剤の例は、本明細書に開示される化合物である。本発明者らは、そのような光活性HDAC阻害剤が本発明に従って保護されると、細胞殺傷機能が維持されることを実証した。脱保護が行われる間、生物活性が遅れることが観察されている。
【0019】
本発明の一態様では、式Iの化合物が提供される。
【化2】

式中、
は、Hまたは炭素数1~10のアルキル基であり;
は、P-Zであり、Pは炭素数1~15のアルキル基であり、任意に1つ以上のN原子、-C=Oおよび-NHC=Oで置換されており;
Zは、以下のとおりであり、
【化3】

式中、Rは、H、C~Cアルキル、-CHOH、-CHOCH、-Ph、-COH、-CH(CH)OH、-C(CHCOOH)OH、-C(=O)CH、-CHNH、CHNH(C=O)CHNHまたは-CHNH(C=O)CHNH(C=O)CHNHであり;
または
およびRは、5員または6員を有し、P-Zで置換されている複素環基Yの一部を形成し、Pは、上で定義したとおりであり、Zは、上で定義したとおりであり;
ArおよびArは、それぞれ独立して、フェニル、ピリジン、ピリミジン、チオフェン、フラン、ベンゾフランまたはチアゾール基から選択され;
Xは、-C=C-C(=O)ORであり、Rは、任意に1つ以上のO原子で置換されていてもよい、炭素数1~10のアルキル基である。
【0020】
本発明の化合物は、上記の式Iに示される一般構造を有する。
【0021】
5員または6員を有する複素環基という用語は、5環員または6環員を含み、式I窒素原子に加えて、N、S、SO、SO、OおよびOからなる群より選択される1つ以上のヘテロ原子を任意に含む、単環式環基を意味する。用語「複素環基」は、芳香族、部分的に不飽和および飽和の環系を含む。非芳香族基の例としては、これらに限定されないが、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジオキシドチオモルホリニル、ピロリジン-1-イルおよびピロリジン-3-イル基が挙げられる。芳香族(ヘテロアリール)基の例としては、これらに限定されないが、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、インドリルおよびベンゾチアジアゾリル基が挙げられる。一実施形態では、複素環基は、飽和環系である。式Iによれば、環系は、P-Zで置換されている。一実施形態では、P-Zは、式I窒素原子に対して4位にある。
【0022】
本明細書で使用される場合、用語「アルキル」は、完全飽和、分岐、非分岐、または環状炭化水素部分、すなわち、第一級、第二級または第三級アルキル、または適切な場合には、シクロアルキルもしくはシクロアルキルで置換されたアルキルを指す。別段の記載がない限り、アルキル基は、1~10個の炭素原子、好ましくは1~6個の炭素原子、より好ましくは1~4個の炭素原子を含む。代表的なアルキル基としては、これらに限定されないが、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、3-メチルヘキシル;2,2-ジメチルペンチル;2,3-ジメチルペンチル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシルが挙げられる。
【0023】
一実施形態では、Rは、C~Cアルキルである。
【0024】
一実施形態では、Rは、C~Cアルキルである。一実施形態では、Rは、-CHである。
【0025】
一実施形態では、Arは、チアゾールまたはフェニル基である。
【0026】
一実施形態では、Arは、ピリジン、チオフェンまたはフラン基である。
【0027】
一実施形態では、Ar1は、チアゾールまたはフェニル基から選択され、Arは、ピリジン、チオフェンまたはフラン基から選択される。
【0028】
一実施形態では、RおよびRは、複素環基Yの一部を形成する。複素環基Yは、P-Zで置換されており、Pは、炭素数1~15のアルキル基であり、任意に、1つ以上のN原子、-C=Oおよび-NHC=Oで置換されており;
Zは、以下のとおりであり、
【化4】

式中、Rは、H、C~Cアルキル、-CHOH、-CHOCH、-Ph、-COH、-CH(CH)OH、-C(CHCOOH)OH、-C(=O)CH、-CHNH、-CHNH(C=O)CHNHまたは-CHNH(C=O)CHNH(C=O)CHNHである。
【0029】
一実施形態では、置換基P-Zは、式I窒素原子に対して4位にある。
【0030】
およびRが複素環基Yの一部を形成する実施形態では、Yは、ピペラジンである。
【0031】
Yは、以下のものでもよい。
【化5】
【0032】
Yがピペラジンである場合、Pは、-C(=O)で置換されたC~C15アルキル基であってもよい。一実施形態では、Pは、-C(=O)(CHである。
【0033】
式Iにおいて、Xは、-C=C-C(=O)ORであり、Rは、任意に1つ以上のO原子で置換されている、1~10個の炭素原子を含むアルキル基である。
【0034】
一実施形態では、Rは、C~Cアルキル基である。
【0035】
一実施形態では、Rは、-CH、-C(CHまたは-CHCH(CHである。
【0036】
任意に、RおよびRは、複素環基Yを形成しない。この実施形態では、Rは、Hまたは炭素数1~10のアルキル基であり;Rは、P-Zであり、Pは、任意に1つ以上のN原子、-C=Oおよび-NHC=Oで置換されている、1~15個の炭素原子を含むアルキル基であり;
Zは、以下のとおりであり、
【化6】

式中、Rは、H、C~Cアルキル、-CHOH、-CHOCH、-Ph、-COH、-CH(CH)OH、-C(CHCOOH)OH、-C(=O)CH、-CHNH、-CHNH(C=O)CHNHまたは-CHNH(C=O)CHNH(C=O)CHNHである。この実施形態では、Rは、C~Cアルキルであってもよい。一実施形態では、Rは、-CHである。
【0037】
がP-Zである場合、Pは、-NHC(=O)で置換されたC~C15アルキルであってもよい。
【0038】
一実施形態では、Pは、-(CHNHC(=O)(CHである。
【0039】
一実施形態では、Rは、-(CHCHO)CHであり、nは、1~8の整数である。一実施形態では、Rは、-(CHCHO)CHである。
【0040】
一実施形態では、Rは、-(CHCHO)CHであり、nは、1~8の整数であり、好ましくはRは、-(CHCHO)CHであり、RおよびRは、複素環基を形成しない。
【0041】
一実施形態では、式Iの化合物は、化合物92、93、101および102から選択される。
【化7-1】

【化7-2】
【0042】
本発明による化合物は、本質的に蛍光性である。本発明によれば、化合物は、蛍光イメージングに使用することができる。
【0043】
一態様では、本発明は、式Iの化合物が光により活性化された場合の活性酸素種(ROS)の生成における式Iの化合物の使用に関する。
【0044】
三重項状態光増感剤(PS)は、単一状態の電子が非放射的に三重項状態に移行する、集光と項間交差の二重機能を担う集光領域を通常、備えている。三重項励起状態が消失すると、活性酸素種(ROS)の形成、基底状態の分子酸素からのラジカルまたは周囲の分子との直接的な化学反応をもたらし得る。局所的なROS産生は、病原体の攻撃に応答して動物系と植物系の両方で採用される免疫防御戦略である。動物、植物、真菌および細菌の細胞内では、ROSは、その産生の速度と程度に応じてさまざまな調節効果を引き起こし;高濃度ではアポトーシスが観察されるが、低濃度では刺激応答がしばしば観察される(Guoら、Stem Cells Dev.2010,19,1321-1331)。
【0045】
光線力学的療法(PDT)は、光増感剤がROSを生成する能力を利用し、通常はアポトーシスによってがん細胞、病原性微生物および/または不要な組織を破壊する。通常、光増感化合物は、特定の標的組織または状態(例えば、微生物感染、新形成、腫瘍など)の近くまたは内部で励起され、大量のROSの生成とその後のその組織の破壊を引き起こす。低いROSレベルでは、細胞増殖が引き起こされ、創傷治癒またはより一般的な組織再生療法への応用につながる。
【0046】
したがって、PDTは、感光性化合物を標的にして患部組織の細胞などの所望の場所に蓄積し、局所的に光を送達してROS生成を活性化することに依存している。PDTに使用する化合物は公知であるが、それらは多くの場合、小さな吸収ピーク、これは特に、光の透過が難しい大きな腫瘍の場合、光活性化が困難になり;治療後の長期間の皮膚の光過敏症につながる、長い生物学的半減期;水溶解度が低いなどの低い薬理学的特性;および低い標的化能力(すなわち、重大なオフターゲット損傷を引き起こす、特定の組織または細胞を標的にして蓄積する能力の低さ)を含む様々な欠点がある。
【0047】
有利には、本発明の化合物は、非活性状態では生物学的に不活性であるが、低~中エネルギーの短波長可視光で照射されるとROSを生成する。
【0048】
したがって、式Iの化合物を使用して、活性酸素種(ROS)を生成し、それによって細胞の発達を制御する、すなわち、細胞の増殖、分化およびアポトーシスを制御することができ、様々な治療的および非治療的用途につながる。式Iの化合物は、それらが効率的なターゲティングを示し、オフターゲット効果を少なくすることができるため、ROSの制御によって影響される用途での使用に特に有利である。また、それらは異なる細胞タイプに合わせて調整することもできるため、選択的なターゲティング効果を実現できる。
【0049】
したがって、いくつかの態様では、本発明は、光線力学的療法(PDT)における本発明の化合物またはコンジュゲートの使用に関する。
【0050】
ROSの生成は、治療上の必要性、例えば、細胞の切除のためにアポトーシスを誘導するため、創傷治癒において増殖を引き起こすため、またはこれらの組み合わせ、に基づいて制御できる。例えば、創傷ケアでは、最初に高レベルのROSが誘発され、細菌および/または真菌細胞のアポトーシスにつながり、その後、皮膚の再生を助けるために低レベルのROSが引き起こされ得る。
【0051】
したがって、本発明は、HDAC阻害から恩恵を受ける疾患または症状を有する患者の治療方法に関し、その方法は、治療有効量の式Iの化合物またはそのコンジュゲートを患者に投与することを含み、式Iの化合物が、生体内で活性形態に代謝される。
【0052】
一態様では、本発明は、任意に1つ以上の薬学的に許容される賦形剤、希釈剤または担体と組み合わせた、式Iの化合物を含む医薬組成物に関する。
【0053】
有利には、式Iの化合物はエステルとして保護され、これによって化合物に安定性が与えられる。保護された化合物はより簡単に保存される。保護された化合物は改善された溶解性を示し得る。化合物の活性化は、保護基の除去を含む。
【0054】
本発明の一態様は、式Iの化合物を脱保護する方法に関し、その方法は、式Iの化合物を酵素と接触させることを含む。
【0055】
酵素は内因性酵素であってもよい。脱保護に適した酵素としては、これらに限定されないが、リパーゼ、ラクターゼ、エステラーゼ、アミラーゼ、シトクロムP450、グリコシダーゼ、例えば、β-グルクロニダーゼ、スクラーゼおよびヒアルロニダーゼ、ペプチダーゼ、ホスファターゼ、スルファターゼが挙げられる。
【0056】
一実施形態では、酵素は、リパーゼまたはラクターゼである。
【0057】
有利には、エステル保護基は、酵素による除去によって標的組織においてのみHDAC阻害の活性化を可能にするように選択することができ、すなわち、酵素による除去が対象の身体のそれらの細胞、組織または領域、すなわち、相補的な酵素を含む体の細胞、組織、または領域においてのみ起こるように保護基を選択することができる。当業者に理解されるように、保護基をさらに調整して、半減期、溶解性、標的化などの特性を調整して標的組織の特性に合わせることができる。
【0058】
適切な保護基としては、これらに限定されないが、アセテート(C1~C9)エステル、ヒドロキシアセテート(C1~C9)エステル、メトキシアセテート(C1~C9)エステル、フェニルアセテート、プロピオネート、ブチレート、サリチレート、ピルベート、ラクテートエステル、シトレートエステル、PEGエステル、グリセロールエステル、ペプチドエステル、例えば、モノ-、ジ-およびトリグリシンエステル、ホスフェートエステル、スルホネートエステル、カーボネート、例えば、テトラエチレングリコール、O-グリコシルエーテル、O-グリコシルエステルが挙げられる。
【0059】
一実施形態では、保護基は、アセテート(C1~C9)エステルである。エステル保護基がC1アセテートエステルである場合、式Iの化合物のRは、-CHである。
【0060】
本発明の一態様によれば、式Iの化合物を脱保護する方法が提供され、その方法は、溶媒の存在下で式Iの化合物を塩基と反応させることを含む。
【0061】
本発明の方法で使用するのに適した塩基としては、NaOH、LiOH、KOH、LiCO、NaCO、KCO、CsCO、LiOMe、NaOMe、KOMe、LiOEt、NaOEt、KOEt、LiOBuおよびKOBuが挙げられる。
【0062】
溶媒は、極性溶媒であってもよい。適切な溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、n-アルコール、イソプロパノール、イソブタノール、sec-ブタノール、tert-ブタノール、水、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドおよびジメチルスルホキシドが挙げられる。
【0063】
方法は、5℃~100℃または15℃~30℃で実施することができる。有利には、この方法は室温で実施できる。
【0064】
反応は、30分間~48時間行うことができる。一実施形態では、反応は、1時間~12時間または2時間~7時間行われる。
【0065】
反応が起こったら、当業者に公知の技術を使用して反応混合物を後処理することができる。例えば、反応混合物を希釈し、その合わせた有機物を洗浄し、乾燥させ、蒸発させて、脱保護された化合物を粗固体として得ることができる。
【0066】
したがって、本発明は、保護されたHDAC阻害剤に関し、その例としては、以下の化合物が挙げられる。
【化8-1】

【化8-2】
【0067】
一実施形態では、保護されたHDAC阻害剤は、化合物92、化合物93、化合物101または化合物102である。
【0068】
一実施形態では、保護されたHDAC阻害剤は、化合物92、化合物93または化合物101である。
【0069】
対照化合物として有用な関連化合物としては、以下の化合物12、13および14が挙げられる。
【化9】
【0070】
本発明の一態様は、式Iの化合物を脱保護する方法に関し、この方法は、溶媒の存在下で式Iの化合物を塩基と反応させることを含む。この方法は、任意に、精製ステップを含む。
【0071】
本発明は、HDAC阻害剤をエステルとして保護し、エステラーゼでそのエステルを除去してHDAC阻害を活性化する方法に関する。エステラーゼは、内因性エステラーゼであってもよい。エステラーゼによるエステルの除去は、生体内で実施することができる。
【0072】
本発明は、HDAC阻害によって媒介される障害または状態の治療方法に関し、その方法は、本明細書に記載の保護されたHDAC阻害剤を投与することを含み、HDAC阻害剤は、その後、in situで脱保護される。
【0073】
式Iの化合物は、脱保護された対応物(図1)と比較して、増大した溶解性、向上した化学安定性および保存安定性ならびに製造の容易性を有利に示すことができる。
【0074】
次に、添付の図面を参照して、本発明を単なる例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0075】
図1図1は、本発明の概略図を示し、PGは保護基を表す。
図2図2は、アセテート保護されたヒドロキサム酸(88)の例示的な合成を示す。
図3図3は、本発明による、光活性化細胞殺傷活性を有する保護されたHDAC阻害剤(92)の例示的な合成を示す。
図4図4は、本発明による、光活性化細胞殺傷活性を有する代替の保護されたHDAC阻害剤(93)の例示的な合成を示す。
図5図5は、ビルディングブロック化合物(96)の合成を示す。
図6図6は、ビルディングブロック化合物(99)の合成を示す。
図7図7は、光活性化化合物(100)の合成を示す。
図8図8は、例示的化合物(101)の合成を示す。
図9図9は、照射ありおよびなしでの化合物92による処理に応答したHaCaTケラチノサイトの生存率を測定するフルオレセインジアセテート細胞生存率アッセイの結果を示す。
図10図10は、化合物92およびEtOHで処理し、アセチル化H3ヒストンの存在を検出する抗アセチルH3一次抗体で共処理したHaCaTケラチノサイトの免疫蛍光イメージングを示す。
図11図11は、本発明による化合物93および対照化合物による15分後および1時間後の処理に応答した、SCC-4細胞におけるアセチル-H3の存在量を示す。
図12図12は、本発明による化合物93および化合物101ならびに対照化合物による1時間後の処理に応答した、SCC-4細胞におけるアセチル-H3の存在量を示す。
図13図13は、本発明による化合物92および対照化合物による15分後の処理に応答した、SCC-4細胞におけるアセチル-H3の存在量を示す。
図14図14は、光活性化前後の50nM化合物93および100nM化合物93ならびに対照で処理した後のHaCaT細胞におけるカスパーゼ-3の発現レベルを示す。
図15図15は、化合物101の共局在を示す蛍光顕微鏡画像を示す。
図16図16は、化合物93の共局在を示す蛍光顕微鏡画像を示す。
図17図17は、化合物93の例示的な脱保護を示す。
【実施例
【0076】
一般的な方法論:
すべての光照射は、405nmで29mW/cmの出力で5分間発光する改良型PhotoReact 365(商標)を使用して実行した。すべての画像分析は、ImageJ ソフトウェアを使用して実行し、すべてのグラフは、Prismを使用して作成した。
【0077】
細胞生存率アッセイ:
不透明壁の96ウェルプレートに、ウェルあたり20,000個のSCC-4細胞を播種した。翌日、その「光」処理したプレートを照射する前に、プレートを対象の化合物で一定範囲の濃度(100pM~1μM)で1時間処理した。翌日、プレートを次のいずれかで処理した。
・ヨウ化プロピジウム(PI)および二酢酸フルオレセイン(FDA)で10分間、、その後PBSで洗浄した後、PIについては535/617nm、FDAについては485/520nmで蛍光を測定した。
・12mM MTT(3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド)溶液で2時間処理した後、オービタルシェーカーでDMSOに溶解し、540nmでの吸光度を測定する。
・XTT(2,3-ビス-(2-メトキシ-4-ニトロ-5-スルホフェニル)-2H-テトラゾリウム-5-カルボキサニリド)標識試薬および電子カップリング試薬で4時間処理した後、PBSで洗浄し、650nmで吸光度を測定。
・CellTitre-Glo(商標)試薬をオービタルシェーカー上で10分間細胞を溶解した後、発光を測定。
【0078】
顕微鏡検査の手順:
【0079】
共局在化
SCC-4細胞を8ウェルチャンバースライドにウェルあたり50,000細胞で播種し、翌日、1μMの対象化合物で1時間処理した後、4%パラホルムアルデヒド(PFA)で固定またはLive Cell Imaging溶液への培地交換した。共染色(例えば、MitoTracker、Bodipy ER Tracker、LipidSpot 610)を30分間適用した後、Zeiss LSCM 880でイメージングした。
【0080】
免疫蛍光
HaCaT細胞またはSCC-4細胞を、6ウェルプレートを含む滅菌カバースリップにウェルあたり50,000細胞で播種した。翌日、細胞を対象の化合物で30分間処理した後、「光」処理した細胞に照射した。翌日、4%PFAを使用して細胞を固定し、Triton X-100/Tween 20を使用して透過処理し、BSA/ヤギ血清(抗体に応じて)でブロックし、一次抗体、次に二次抗体で染色した後、カバーガラスをスライドにマウントしてZeiss LSCM 880でイメージングした。
【0081】
免疫沈降
SCC-4細胞を6ウェルプレートのウェルあたり350,000細胞で播種し、翌日、細胞を対象の化合物で処理した。必要なインキュベーションの後、「光」処理した細胞に照射し、RIPA バッファーを使用してすべての細胞を溶解した。SDS-PAGEを実行し、タンパク質をニトロセルロース/PVDF膜に転写した後、ブロッキングおよび一次抗体染色、次に二次抗体染色を行った。化学発光シグナルは、iBright Imaging Systemを使用してイメージングした。
【0082】
例1:アセテート保護されたヒドロキサム酸88の合成
例示的なアセテート保護ヒドロキサム酸88の合成を図2に示し、以下の例1.1~1.4でさらに説明する。
【0083】
例1.1
1-tert-ブチル 8-オクタン二酸メチル85の合成
化合物47(33.0g、175mmol)をtert-ブタノール(250mL)に溶解し、0℃に冷却し、その後、ジ-tert-ブチルジカーボネート(57.3g、262.5mmol)および4-ジメチルアミノピリジン(6.4g、52.5mmol)を加えた。得られた懸濁液を室温で2時間急速に撹拌した。その溶液を5%HClで希釈し、ジクロロメタン(DCM)で抽出した(3回)。その有機物を飽和NHClおよびHOで洗浄し、乾燥し(MgSO)、蒸発させて粗赤色油(58.9g)を得た。これをSiOクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル(EtOAc))、9:1)で精製して、化合物85を無色の油状物として得た(29.06g、68%):1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.28 - 1.35 (m, 4H), 1.43 (s, 9H), 1.54 - 1.65 (m, 4H), 2.19 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 2.29 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 3.65 (s, 3H); 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 24.7, 24.9, 28.1, 28.7, 28.8, 34.0, 35.5, 51.4, 79.9, 173.1, 174.2.
【0084】
例1.2
7-(ヒドロキシカルバモイル)ヘプタン酸tert-ブチル86の合成
化合物85(6.1g、25.0mmol)をメタノール(MeOH)(21mL)に溶解し、その後、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)(11.2mL、75.0mmol)およびヒドロキシルアミン(NHOH)(50%水溶液、15.3mL、250mmol)を加え、得られた溶液を室温(RT)で3時間撹拌した。その混合物をジクロロメタン(DCM)で希釈し、その有機物を5%HClおよびHOで洗浄し、乾燥(MgSO)し、蒸発させて、粗黄色油(3.23g)を得た。これをSiOクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール、9:1)で精製して、化合物86を無色の油状物として得た(2.34g、38%):1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.26 - 1.37 (m, 4H), 1.43 (s, 9H), 1.52 - 1.68 (m, 4H), 2.14 (s, 2H), 2.19 (t, J = 6.9 Hz, 2H)
【0085】
例1.3
7-[(アセチルオキシ)カルバモイル]ヘプタン酸tert-ブチル87の合成
化合物86(2.3g、9.37mmol)をジクロロメタン(40mL)に溶解し、その後、塩化アセチル(0.8mL、11.24mmol)およびトリエチルアミン(1.56mL、11.24mmol)を加え、得られた溶液を室温で3時間撹拌した。その溶液をジクロロメタンで希釈し、その有機物を飽和NHClおよびHOで洗浄し、乾燥し(MgSO)、蒸発させて、粗淡黄色油(2.75g)を得た。これをSiOクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール、99:1)で精製して、化合物87を無色の油状物として得た(1.65g、61%):1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.24 - 1.37 (m, 4H), 1.39 (s, 9H), 1.48 - 1.58 (m, 2H), 1.59 - 1.69 (m, 2H), 2.13 - 2.19 (m, 2H), 2.17 (s, 3H), 2.18 - 2.23 (m, 2H), 9.64 (s, 1H); 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 18.2, 24.7, 28.0, 28.4, 28.5, 32.6, 35.3, 80.1, 168.7, 173.3; MS(ES): m/z = 288.2 [M+H]+; HRMS (ES) 計算値 C14H26NO5 [M+H]+: 288.1805, 実測値 288.1801
【0086】
例1.4
7-[(アセチルオキシ)カルバモイル]ヘプタン酸88の合成
化合物87(1.65g、5.74mmol)をジクロロメタン(60mL)に溶解し、その後トリフルオロ酢酸(TFA)(5mL、65mmol)を加え、得られた溶液を室温で18時間撹拌した。その溶液を蒸発させ、粗残渣をSiOクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール、95:5)で精製して、化合物88を白色固体として得た(1.10g、83%):1H NMR (700 MHz, DMSO-d6) δ 1.23 - 1.28 (m, 4H), 1.45 - 1.52 (m, 4H), 2.09 (t, J = 7.4 Hz, 2H), 2.13 (s, 3H), 2.18 (t, J = 7.4 Hz, 2H), 11.53 (br, 1H), 11.95 (br, 1H); 13C NMR (176 MHz, DMSO-d6) δ 18.1, 24.3, 24.6, 28.1, 28.2, 31.8, 33.6, 168.5, 169.7, 174.4; MS(ES): m/z = 232.1 [M+H]+; HRMS (ES) 計算値 C10H18NO5 [M+H]+: 232.1179, 実測値 232.1167
【0087】
例2:保護されたHDAC阻害剤92の合成
光活性化細胞殺傷活性を有する例示的な保護されたHDAC阻害剤92の合成を図3に示し、以下の例2.1~2.4でさらに説明する。
【0088】
例2.1:
4-(5-ブロモ-1,3-チアゾール-2-イル)ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル89の合成
2,5-ジブロモ-1,3-チアゾール(10g、41.2mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)(100mL)に溶解し、1-Boc-ピペラジン(10g、53.5mmol)およびKCO(7.40g、53.5mmol)を加え、得られた混合物を70℃で72時間撹拌した。その混合物を冷却し、HOで希釈し、酢酸エチルで抽出した。その有機物をHOおよびブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、蒸発させて粗油を得た。これをSiOクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル、8:2)で精製して、化合物89を淡黄色固体として得た(10.5g、74%):1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.46 (s, 9H), 3.38 - 3.41 (m, 4H), 3.52 - 3.55 (m, 4H), 7.06 (s, 1H); 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 28.3, 48.0, 80.4, 95.2, 140.4, 154.5, 171.5
【0089】
例2.2:
1-(5-ブロモ-1,3-チアゾール-2-イル)ピペラジン90の合成
化合物89(10.45g、30.0mmol)をジクロロメタン(100mL)に溶解し、その後トリフルオロ酢酸(9.2mL、120.0mmol)を加え、得られた溶液を室温で一晩撹拌した。その溶液を蒸発させて、粗黄色油(23g)を得た。これをSiOクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール、95:5)で精製して、所望の化合物のトリフルオロ酢酸塩(10.7g)を得た。続いて、これをジクロロメタンに溶解し、飽和NaHCOで0.5時間急速に撹拌した。その有機物をHOで洗浄し、乾燥(MgSO)し、蒸発させて化合物90を白色固体として得た(6.15g、83%):1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 2.73 - 2.77 (m, 4H), 3.24 - 3.27 (m, 4H), 7.18 (s, 1H); MS(ES): m/z = 248.0, 250.0 [M + H]+; HRMS (ES) 計算値 C7H11N3SBr [M + H]+: 247.9852, 実測値 247.9850
【0090】
例2.3:
(2E)-3-(5-{2-[2-(ピペラジン-1-イル)-1,3-チアゾール-5-イル]エチニル}ピリジン-2-イル)プロパ-2-エン酸メチル91の合成
トリエチルアミン(EtN)(200mL)を、Arを1時間吹き込むことによって脱気した。次いで、化合物90(2.80g、11.3mmol)、化合物42(2.32g、12.41mmol)、Pd(PPhCl(390mg、0.18mmol)およびCuI(107mg、0.18mmol)をAr下で添加し、得られた懸濁液を60℃で72時間撹拌した。次いで、その溶媒を蒸発させて粗固体を得て、これをSiOクロマトグラフィー(95:5から9:1、ジクロロメタン/メタノール、1%トリエチルアミン)によって2回精製して、化合物91を明るいオレンジ色の固体として得た(2.28g、57%)。:1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 2.75 - 2.82 (m, 4H), 3.35 - 3.41 (m, 4H), 3.75 (s, 3H), 6.91 (d, J = 15.7 Hz, 1H), 7.58 (s, 1H), 7.69 (d, J = 15.7 Hz, 1H), 7.79 (dd, J = 8.1, 0.9 Hz, 1H), 7.96 (dd, J = 8.1, 2.2 Hz, 1H), 8.72 (dd, J = 2.2, 0.9 Hz, 1H); MS (ES) m/z = 355.1 [M+H]+; HRMS (ES) 計算値 C18H19N4O2S [M+H]+: 355.1223, 実測値 355.1223
【0091】
例2.4:
(2E)-3-(5-{2-[2-(4-{7-[(アセチルオキシ)カルバモイル]ヘプタノイル}ピペラジン-1-イル)-1,3-チアゾール-5-イル]エチニル}ピリジン-2-イル)プロパ-2-エン酸メチル92の合成
化合物88(0.39g、1.69mmol)および2-クロロ-4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン(0.32g、1.85mmol)を0℃でジクロロメタン(30mL)に溶解した。その後、4-メチルモルホリン(0.20mL、1.85mmol)を5分間かけて滴下した。得られた混合物を0℃で2時間撹拌し、その後、化合物91(0.5g、1.41mmol)および4-メチルモルホリン(0.19mL、1.68mmol)を加え、その混合物を室温で18時間撹拌した。その混合物をジクロロメタンで希釈し、HOで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、蒸発させて、粗黄色固体(1.7g)を得た。これをSiOクロマトグラフィー(99:1、ジクロロメタン/メタノール)で精製し、アセトニトリル(MeCN)からさらに再結晶して、化合物92を黄色固体として得た(0.53g、66%):1H NMR (700 MHz, CDCl3) δ 1.35 - 1.44 (m, 4H), 1.64 - 1.68 (m, 2H), 1.69 - 1.73 (m, 2H), 2.22 (s, 3H), 2.26 (t, J = 7.4 Hz, 2H), 2.39 (t, J = 7.4 Hz, 2H), 3.50 (t, J = 5.4 Hz, 2H), 3.58 - 3.65 (m, 4H), 3.78 (t, J = 5.4 Hz, 2H), 3.82 (s, 3H), 6.93 (d, J = 15.6 Hz, 1H), 7.38 (dd, J = 8.2, 0.9 Hz, 1H), 7.45 (s, 1H), 7.66 (d, J = 15.6 Hz, 1H), 7.74 (dd, J = 8.1, 2.1 Hz, 1H), 8.69 (dd, J = 2.1, 0.8 Hz, 1H), 9.32 (s, 1H); 13C NMR (176 MHz, CDCl3) δ 18.3, 24.7, 28.1, 28.3, 32.5, 32.8, 40.6, 44.7, 48.0, 48.4, 51.9, 85.4, 91.2, 106.6, 120.7, 122.5, 123.5, 138.3, 142.7, 146.0, 151.3, 151.9, 167.1, 171.5, 171.8; MS(ES): m/z = 568.2 [M+H]+; HRMS (ES) 計算値 C28H34N5O6S [M+H]+: 568.2224, 実測値568.2220
【0092】
例3:保護されたHDAC阻害剤93の合成
Tert-ブチル(2E)-3-(5-{2-[4-(4-{7-[(アセチルオキシ)カルバモイル]ヘプタノイル}ピペラジン-1-イル)フェニル]エチニル}チオフェン-2-イル)プロパ-2-エノエート93の合成を図4に示し、以下で詳しく説明する。
【0093】
化合物88(2.89g、12.5mmol)および2-クロロ-4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン(2.39g、13.6mmol)を0℃でジクロロメタン(100mL)に溶解した後、4-メチルモルホリン(1.5mL、13.6mmol)を5分間かけて滴下した。得られた混合物を0℃で2時間撹拌し、その後、化合物27(4.11g、10.41mmol)および4-メチルモルホリン(1.36mL、12.4mmol)を加え、その混合物を室温で18時間撹拌した。その混合物をジクロロメタンで希釈し、HOで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、蒸発させて、粗黄色固体(1.7g)を得た。これをSiOクロマトグラフィー(97:3、ジクロロメタン/メタノール)で精製し、さらにアセトニトリルから再結晶して、化合物93を黄色固体として得た(2.51g、40%):1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 1.32 - 1.45 (m, 4H), 1.50 (s, 9H), 1.63 (p, J = 7.1 Hz, 2H), 1.69 (p, J = 7.1 Hz, 2H), 2.19 (s, 3H), 2.25 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 2.37 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 3.21 (t, J = 5.3 Hz, 2H), 3.24 (t, J = 5.3 Hz, 2H), 3.55 - 3.66 (m, 2H), 3.75 (t, J = 5.2 Hz, 2H), 6.11 (dd, J = 15.6, 1.1 Hz, 1H), 6.84 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 7.03 - 7.14 (m, 2H), 7.36 - 7.44 (m, 2H), 7.58 (d, J = 15.6 Hz, 1H), 9.91 (s, 1H); 13C NMR (176 MHz, CDCl3) δ 18.3, 24.8, 28.1, 28.2, 28.4, 32.4, 32.7, 41.1, 45.2, 48.1, 48.4, 53.4, 80.6, 81.3, 96.0, 112.9, 115.3, 119.2, 126.1, 130.6, 132.0, 132.7, 135.4, 140.2, 150.6, 165.9, 168.7, 171.8
【0094】
例4:ビルディングブロック化合物96の合成
N-(5-アミノペンチル)-4-ヨード-N-メチルアニリン96の合成を図5に示し、以下で詳しく説明する。
【0095】
例4.1:
5-クロロ-N-(4-ヨードフェニル)-N-メチルペンタンアミド94の合成
N-メチル-4-ヨードアニリン(24.04g、103mmol)をジクロロメタン(300mL)に溶解し、その溶液を0℃に冷却した。5-クロロバレリルクロリド(14.6mL、113.3mmol)、次いでピリジン(9.16mL、113.3mmol)を加え、得られた溶液を室温で16時間撹拌した。その溶液をジクロロメタンで希釈し、その有機物を飽和NHClおよびHOで洗浄し、乾燥(MgSO)し、蒸発させて、粗褐色油(40g)を得た。これをSiOクロマトグラフィー(7:3シクロヘキサン/酢酸エチル)で精製して、化合物94を黄色油状物として得た(35.16g、97%):
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.57 - 1.79 (m, 4H), 1.98 - 2.19 (m, 2H), 3.24 (s, 3H), 3.35 - 3.52 (m, 2H), 6.93 (d, J = 7.9 Hz, 2H), 7.75 (d, J = 8.0 Hz, 2H)
【0096】
例4.2:
5-アジド-N-(4-ヨードフェニル)-N-メチルペンタンアミド95の合成
化合物94(35.0g、99.5mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(200mL)に溶解し、アジ化ナトリウム(13.53g、208.95mmol)を加え、その溶液を80℃で18時間撹拌した。その懸濁液を冷却し、HOで希釈し、次いでEtOAcで抽出した。その有機物をHOおよびブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、蒸発させて、粗オレンジ色油(37.6g)を得た。これをSiOクロマトグラフィー(7:3シクロヘキサン/酢酸エチル)で精製して、化合物95をオレンジ色の油として得た(33.4g、94%):1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.45 - 1.59 (m, 2H), 1.61 - 1.69 (m, 2H), 1.91 - 2.20 (m, 2H), 3.10 - 3.36 (m, 5H), 6.85 - 7.02 (m, 2H), 7.67 - 7.84 (m, 2H)
【0097】
例4.3:
N-(5-アミノペンチル)-4-ヨード-N-メチルアニリン96の合成
化合物95(5.24g、14.6mmol)をトルエン(80mL)に溶解し、BH・MeS(トルエン中2.0M、16.8mL、33.6mmol)を加え、その溶液を還流しながら16時間撹拌した。その混合物を冷却し、次いで10%w/vのNaCO水溶液とともに0.5時間撹拌した。その混合物を酢酸エチルで希釈し、その有機物をHOおよびブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、蒸発させて、粗黄色油(4.21g)を得た。これをSiOクロマトグラフィー(9:1ジクロロメタン/メタノール、2%トリエチルアミン)で精製して、化合物96を透明な油状物(1.76g、38%)として得て、それを直ちに次のステップに用いた:1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.28 - 1.39 (m, 2H), 1.43 - 1.53 (m, 2H), 1.53 - 1.61 (m, 2H), 1.97 (s, 2H), 2.70 (t, J = 7.0 Hz, 2H), 2.88 (s, 3H), 3.21 -3.32 (m, 2H), 6.41 - 6.47 (m, 2H), 7.39 - 7.46 (m, 2H); 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 24.3, 26.4, 33.1, 38.2, 41.9, 52.5, 76.4, 114.3, 137.6, 148.7
【0098】
例5:ビルディングブロック化合物99の合成
2-[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]エチル(2E)-3-(5-エチニルチオフェン-2-イル)プロパ-2-エノエートの合成を図6に示し、以下で詳しく説明する。
【0099】
例5.1:
5-ヨードチオフェン-2-カルバルデヒド24の合成
2-チオフェンカルボキシアルデヒド(9.34mL、100.0mmol)のエタノール(50mL)溶液に50℃でN-ヨードスクシンイミド(24.75g、110.0mmol)およびパラトルエンスルホン酸一水和物(1.90g、10.0mmol)を加え、得られた溶液を50℃で1時間撹拌した。1.0M HCl(80mL)を加え、その混合物を酢酸エチルで抽出し、飽和Na、HOおよびブラインで洗浄し、乾燥(MgSO)し、蒸発させて、化合物24を黄色油状物(25.26g、>100%)として得て、これをゆっくりと結晶化させた:1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.39 (s, 2H), 9.77 (s, 1H)
【0100】
例5.2:
5-[2-(トリメチルシリル)エチニル]チオフェン-2-カルバルデヒド97の合成
トリエチルアミン(300mL)を、アルゴンを1時間吹き込むことによって脱気した。次いで、化合物24(25g、105mmol)、トリメチルシリルアセチレン(16.0mL、115.5mmol)、Pd(PPhCl(740mg、1.05mmol)およびCuI(200mg、1.05mmol)をアルゴン下で加え、得られた懸濁液を室温で18時間撹拌した。その混合物をジエチルエーテルで希釈し、セライト/SiOに通して、粗褐色油(17.7g)を得た。これをSiOクロマトグラフィーで精製して、化合物97をオレンジ色の油状物(12.79g、58%)として得て、ゆっくり結晶化した:1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 0.25 (s, 9H), 7.24 (d, J = 4.0 Hz, 1H), 7.60 (d, J = 4.0 Hz, 1H), 9.83 (s, 1H); 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ -0.5, 26.9, 96.3, 104.6, 132.5, 133.1, 135.7, 143.8, 182.4; IR (ATR) vmax/cm-1 2960w, 2899w, 2833w, 2148m, 1666s, 1438s, 1249s, 1223s, 1207s, 838s; MS (ES) m/z = 209.0 [M+H]+; HRMS (ES) 計算値 C10H13SOSi [M+H]+: 209.0451, 実測値 209.0454
【0101】
例5.3:
(2E)-3-{5-[2-(トリメチルシリル)エチニル]チオフェン-2-イル}プロパ-2-エン酸メチル98の合成
トリメチルホスホノアセテート(14.0mL、86.4mmol)およびLiCl(3.66g、86.4mmol)を無水テトラヒドロフラン(250mL)に0℃で加え、得られた溶液を15分間撹拌した後、化合物97(15.0g、72mmol)を追加した。この溶液に、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(12.9mL、86.4mmol)をゆっくりと加え、得られたスラリーを室温で16時間撹拌した。これを砕いた氷に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。その有機物をHOおよびブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、蒸発させて、粗褐色油(21g)を得た。これをSiOクロマトグラフィー(9:1シクロヘキサン/酢酸エチル)で精製して、化合物98を淡黄色固体(17.23g、91%)として得た:1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 0.24 (s, 9H), 3.78 (s, 3H), 6.19 (d, J = 15.7 Hz, 1H), 7.05 - 7.14 (m, 2H), 7.67 (d, J = 15.7 Hz, 1H); 13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ -0.3, 51.7, 97.0, 101.9, 117.3, 125.8, 130.6, 133.3, 136.5, 140.4, 166.9; IR (ATR) vmax/cm-1 2953w, 2899w, 2144m, 1715s, 1621s, 1516w, 1432m, 1391w, 1301s, 1269s, 1202s, 1161s, 838s; MS(ES): m/z = 265.1 [M+H]+; HRMS (ES) 計算値 C13H17O2SSi [M+H]+: 265.0713, 実測値 265.0713
【0102】
例5.4:
2-[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]エチル(2E)-3-(5-エチニルチオフェン-2-イル)プロパ-2-エノエート99の合成
化合物98(13.03g、49.3mmol)をトリエチレングリコールモノメチルエーテル(50mL)に溶解し、20%w/vNaOH水溶液(1.3mL)を加えた。得られた混合物を室温で16時間撹拌した後、その溶液を酢酸エチルで希釈した。その有機物をHOおよびブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、蒸発させて、粗暗色油(16g)を得た。これをSiOクロマトグラフィー(1:1シクロヘキサン/酢酸エチル)で精製して、化合物99を黄色油状物(8.18g、51%)として得て、これは急速に暗色化した:1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 3.36 (s, 3H), 3.46 (s, 1H), 3.50 - 3.56 (m, 2H), 3.61 - 3.69 (m, 6H), 3.72 - 3.79 (m, 2H), 4.26 - 4.38 (m, 2H), 6.24 (d, J = 15.7 Hz, 1H), 7.09 (d, J = 3.8 Hz, 1H), 7.17 (d, J = 3.8 Hz, 1H), 7.68 (dd, J = 15.7, 0.6 Hz, 1H); 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 59.0, 63.8, 69.1, 70.5, 70.6, 71.9, 83.7, 117.7, 124.6, 130.5, 133.8, 136.5, 140.8, 166.3; IR (ATR) vmax/cm-13241br, 3089w, 2874br, 2098w, 1705s, 1622s, 1516m, 1445m, 1342m, 1301m, 1264s, 1165s, 1100s, 807s; MS(ES): m/z = 325.1 [M+H]+; HRMS (ES) 計算値 C16H21O5S [M+H]+: 325.1104, 実測値325.1100
【0103】
例6:光活性化化合物100の合成
光活性化化合物100の合成を図7に示し、以下で詳しく説明する。
【0104】
2-[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]エチル(2E)-3-[5-(2-{4-[(5-アミノペンチル)(メチル)アミノ]フェニル}エチニル)チオフェン-2-イル]プロパ-2-エノエート100の合成
化合物96(1.70g、5.34mmol)および化合物99(2.42g、7.48mmol)をトリエチルアミン(80mL)に溶解し、その溶液をアルゴンを1時間吹き込むことによって脱気した。次いで、Pd(PPhCl(372mg、0.53mmol)およびCuI(100mg、0.53mmol)をアルゴン下で加え、得られた懸濁液を60℃で72時間撹拌した。得られた懸濁液をジクロロメタンで希釈し、飽和NaHCOおよび水で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、蒸発させて、粗暗色油(3.75g)を得た。これをSiOクロマトグラフィー(95:5ジクロロメタン/メタノール、1%トリエチルアミン)で精製して、化合物100を明るいオレンジ色の固体として得た(0.47g、17%):1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.32 - 1.41 (m, 2H), 1.54 - 1.64 (m, 4H), 2.81 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 2.95 (s, 3H), 3.30 - 3.35 (m, 2H), 3.37 (s, 3H), 3.53 - 3.56 (m, 2H), 3.64 - 3.69 (m, 6H), 3.75 - 3.79 (m, 2H), 4.29 - 4.39 (m, 2H), 6.20 (d, J = 15.7 Hz, 1H), 6.56 - 6.65 (m, 2H), 7.07 - 7.14 (m, 2H), 7.31 - 7.40 (m, 2H), 7.70 (dd, J = 15.7, 0.6 Hz, 1H); 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 24.2, 26.5, 31.0, 38.3, 41.1, 52.2, 59.0, 63.7, 69.2, 70.6, 70.6, 71.9, 80.6, 97.7, 108.3, 111.4, 116.4, 127.6, 131.3, 131.5, 132.8, 137.0, 139.4, 149.2, 166.7; IR (ATR) vmax/cm-12925m, 2871m, 2189w, 1738m, 1712m, 1604s, 1530s, 1511m, 1376m, 1196m; MS(ASAP): m/z = 515.2 [M+H]+; HRMS (ASAP) 計算値 C28H39N2O5S [M+H]+: 515.2574, 実測値515.2569
【0105】
例7:保護されたHDAC阻害剤化合物101の合成
光活性化細胞殺傷活性を有する保護されたHDAC阻害剤化合物101の合成を図8に示し、以下に詳述する。
【0106】
2-[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]エチル(2E)-3-[5-(2-{4-[(5-{7-[(アセチルオキシ)カルバモイル]ヘプタンアミド}ペンチル)(メチル)アミノ]フェニル}エチニル)チオフェン-2-イル]プロパ-2-エノエート101の合成
化合物100(128mg、0.25mmol)をジクロロメタン(10mL)に溶解し、その溶液を0℃に冷却し、その後、4-メチルモルホリン(0.055mL、0.5mmol)、化合物88(76mg、0.33mmol)およびプロピルホスホン酸無水物(酢酸エチル中50重量%、0.32mL、0.5mmol)を加え、得られた混合物を室温で16時間撹拌した。その混合物をジクロロメタンで希釈し、HOで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、蒸発させて、粗黄色油を得た。これをSiOクロマトグラフィー(95:5、ジクロロメタン/メタノール)で精製して、化合物101を黄色油(141mg、77%)として得た:1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.30 - 1.42 (m, 6H), 1.46 - 1.55 (m, 2H), 1.55 - 1.63 (m, 4H), 1.64 - 1.72 (m, 2H), 2.11 - 2.17 (m, 2H), 2.20 (s, 3H), 2.23 (t, J = 7.3 Hz, 2H), 2.95 (s, 3H), 3.17 -3.26 (m, 2H), 3.33 (t, J = 7.3 Hz, 2H), 3.37 (s, 3H), 3.51 - 3.57 (m, 2H), 3.63 - 3.70 (m, 6H), 3.71 - 3.80 (m, 2H), 4.26 - 4.40 (m, 2H), 5.64 (s, 1H), 6.20 (d, J = 15.6 Hz, 1H), 6.61 (d, J = 5.4 Hz, 2H), 7.09 (d, J = 3.8 Hz, 1H), 7.11 (d, J = 3.9 Hz, 1H), 7.31 - 7.41 (m, 2H), 7.70 (dd, J = 15.7, 0.6 Hz, 1H), 9.55 (s, 1H);13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 18.3, 24.3, 24.7, 25.3, 26.5, 26.9, 28.0, 28.2, 29.5, 32.5, 36.2, 38.3, 39.3, 52.2, 53.4, 59.0, 63.7, 69.2, 70.5, 70.6, 70.6, 71.9, 77.0, 80.7, 97.6, 111.4, 116.4, 127.5, 131.3, 131.5, 132.8, 137.0, 139.4, 148.2, 166.7, 168.8, 173.3; IR (ATR) vmax/cm-1 3304br, 2927m, 2860m, 2189m, 1708m, 1645m, 1619s, 1603s, 1529s, 1512m, 1367m, 1242m, 1193s, 1137s, 1110m, 852m; MS(ES): m/z = 728.3 [M+H]+; HRMS (ES) 計算値 C38H54N3O9S [M+H]+: 728.3575, 実測値728.3578
【0107】
例8:フルオレセインジアセテート細胞生存率アッセイ
照射なし(光なし)および照射時(光)での化合物92による処理に応じたHaCaTケラチノサイトの生存率を測定するフルオレセインジアセテート細胞生存率アッセイを以下のように実施した。
【0108】
HaCaTケラチノサイト細胞を2枚の96ウェルプレートに播種し、37℃、5%COで24時間インキュベートした。そのインキュベート培地を除去し、化合物92をジメチルスルホキシド(DMSO)コントロールとともにさまざまな濃度で添加した後、その細胞を37℃、5%COで1時間インキュベートし、その後、1枚のプレートを405nmで5分間照射した(72mW/cm)。次に、両方のプレートを37℃、5%COで24時間インキュベートした。その培地を除去し、細胞を1Xリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄し、次いでフルオレセイン二酢酸(FDA)を添加し、その細胞を室温、暗所で10分間インキュベートした。次いで、そのフルオレセインジアセテート染色を除去し、細胞を1Xリン酸緩衝生理食塩水で洗浄した。そのプレートを485/520nmで読み取り、光曝露の有りおよび無しで、化合物92の異なる処理濃度での細胞生存率を測定した。その結果を図9に示す。これは、光活性化が低濃度で細胞死を引き起こすことを示している(IC50=0.69μM)。光活性化がなければ、酵素代謝に応答したHDAC阻害活性によって高濃度(IC50=5.50μM)では、細胞生存率が低下する。
【0109】
例9:免疫蛍光イメージング
化合物92(5μM)およびエタノール(EtOH)で処理し、アセチル化H3ヒストンの存在を検出する抗アセチルH3一次抗体で共処理したHaCaTケラチノサイトの免疫蛍光イメージングを次のように実行した。
【0110】
50,000個のHaCaT細胞をカバースリップ上にプレーティングし、2日間増殖させた後、化合物92(5μM)を添加し、室温で30分間インキュベートした。細胞をリン酸緩衝生理食塩水で洗浄し、その後、4%PFAで固定した。細胞をリン酸緩衝生理食塩水で再度洗浄した後、ブロッキングし、リン酸緩衝生理食塩水中の0.3%トリトン100-X/5%ヤギ血清で60分間透過処理した。次に細胞をリン酸緩衝生理食塩水で洗浄し、抗アセチルヒストン3抗体を添加し、4℃で一晩インキュベートした。二次抗体(Alexa-594抗ウサギ)を45分間添加した後、細胞を再度洗浄し、イメージングのためにマウントした。
【0111】
その結果を図10に示す。このことから、化合物92は10分後には限られた活性を示すが、1時間後には、細胞は、HDAC酵素の阻害に応じてアセチル化H3の蓄積を示す特徴的な核環表現型を示すことがわかる。この遅れた挙動は、化合物92が活性形態に酵素的に代謝されるときの初期の遅滞期の指標である。エタノール処理した細胞は、いずれの時点でもこの核環表現型を示さない。
【0112】
例10:処理したSCC-4細胞におけるアセチルH3の存在量
SCC-4細胞におけるアセチルH3タンパク質の存在量を測定するために、6ウェルプレートのウェルあたり350,000細胞で細胞を播種した。翌日、細胞を化合物または対照で処理した。15分および/または1時間の処理後、その細胞をRIPAバッファーで溶解した。Any kD(商標)Mini-PROTEAN(登録商標)TGX(商標)Precast Protein Gelsを使用して細胞溶解物に対してSDS-PAGEを実行し、タンパク質を分離した。続いてタンパク質をPVDF膜(Macherey-Nagel)に転写した後、5%牛乳および2.5%魚皮ゼラチンを含むTBSTでブロッキングした。一次抗体(アセチル-H3、9677S、CSTおよびα-チューブリン、T5168、Sigma)および二次抗体(ヤギ抗ウサギIgG、A6154、Sigmaおよびヤギ抗マウス、SA00001-1、Proteintech)をブロッキングバッファーで希釈し、ステップ間にTBST洗浄を行いながら室温でそれぞれ1時間染色した。化学発光シグナルは、iBright imager(Invitrogen)を使用して測定した。アセチル-H3レベルを正規化し、得られた濃度測定値(ImageJ ソフトウェアを使用して測定)を図11~13に示す。画像分析はImageJ ソフトウェアを使用して実行した。
【0113】
図11は、培地、DMSO(ジメチルスルホキシド)、SAHA(スベロイルアニリドヒドロキサム酸)、化合物27および化合物93での15分および1時間の処理後のアセチル-H3の濃度測定を示している。アセチル-H3レベルは、α-チューブリン(15分)およびAC-40(1時間)に対して正規化した。
【0114】
図12は、培地、DMSO(ジメチルスルホキシド)、SAHA(スベロイルアニリドヒドロキサム酸)、化合物27、化合物93および化合物101で1時間処理した後のアセチル-H3の濃度測定を示す。アセチル-H3レベルは、α-チューブリンに対して正規化した。
【0115】
図13は、培地、DMSO(ジメチルスルホキシド)、SAHA(スベロイルアニリドヒドロキサム酸)、化合物27および化合物92で15分間処理した後のアセチル-H3の濃度測定を示す。アセチル-H3レベルは、α-チューブリンに対して正規化した。
【0116】
例11:処理されたHaCaT細胞におけるカスパーゼ-3の発現
HaCaT細胞を6ウェルプレートのカバースリップ上に1ウェルあたり50,000細胞で播種した。翌日、細胞を50nMおよび100nMの化合物93で30分間処理した。DMSOを対照として使用した。光活性化は、405nm、29mW/cmで5分間発光するように改造されたPhotoReact 365を用いた照射によって実行した。翌日、細胞を4%PFAを使用して固定し、Triton X-100/Tween20を使用して透過処理し、ブロッキングバッファー(PBS中5%BSAおよび0.1%Tween20)でブロックした。一次抗体(カスパーゼ-3、ab13847、Abcam)および二次抗体(ヤギ抗ウサギIgG Alexa Fluor 594)を、5%ヤギ血清および0.1%Tween20を含むPBSで希釈した。スライドにカバースリップを追加し、Zeiss LSCM 880でイメージングした。画像分析は、ImageJ ソフトウェアを使用して実行した。図14は、DMSO、50nMの化合物93および100nMの化合物93で処理したHaCaT細胞におけるカスパーゼ-3の発現と、発現レベルの定量を示す。
【0117】
例12:SCC-4細胞における化合物の共局在化
SCC-4細胞を8ウェルチャンバースライド上に50,000細胞/ウェルで播種した。翌日、細胞を1μMの化合物101および1μMの化合物93で1時間処理した。細胞を生細胞イメージング溶液培地に交換した。共染色(MitoTracker、Bodipy ER Tracker、LipidSpot 610、またはLysoTracker)をイメージングの30分前に細胞に添加した。Zeiss LSCM 880でイメージングし、画像分析は、ImageJ ソフトウェアを使用して実行した。
【0118】
図15は、化合物101とSCC-4細胞のミトコンドリア(MitoTracker)、脂肪滴(LipidSpot610)および酸性細胞小器官(LysoTracker)との共局在を示す。ピアソン係数を計算して、化合物の局在化と共染色の局在化の間の相関関係を実証した。結果を表1に示す。
【0119】
【表1】
【0120】
図16は、化合物93と、SCC-4細胞のミトコンドリア(MitoTracker)、小胞体(Bodipy ER Tracker)、脂肪滴(LipidSpot610)および酸性細胞小器官(LysoTracker)との共局在を示す。ピアソン係数を計算して、化合物の局在化と共染色の局在化の間の相関関係を実証した。結果を表2に示す。
【0121】
【表2】
【0122】
例13:化合物93の脱保護
図17に示すように、化合物93の脱保護により、Tert-ブチル(2E)-3-{5-[2-(4-{4-[7-(ヒドロキシカルバモイル)ヘプタノイル]ピペラジン-1-イル}フェニル)エチニル]チオフェン-2-イル}プロパ-2-エノエート103を生じた。以下に説明する。
【0123】
化合物93(500mg、0.82mmol)をメタノール(30mL)に溶解し、その後、NaOH(32mg、0.82mmol、HO中の溶液として、1mL)を加え、得られた溶液を室温で5時間撹拌した。その混合物をジクロロメタンで希釈し、その有機物をHOで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、蒸発させて、粗黄色固体を得た。これをアセトニトリルからの再結晶によって精製し、化合物103を黄色固体(170mg、36%)として得た:1H NMR (700 MHz, ジメチルスルホキシド-d6) δ 1.22 - 1.29 (m, 4H), 1.47 (s, 9H), 1.47 - 1.52 (m, 4H), 1.94 (t, J = 7.4 Hz, 2H), 2.32 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 3.20 - 3.25 (m, 2H), 3.25 - 3.29 (m, 2H), 3.55 - 3.60 (m, 4H), 6.18 (d, J = 15.7 Hz, 1H), 6.91 - 7.00 (m, 2H), 7.31 (d, J = 3.8 Hz, 1H), 7.37 - 7.44 (m, 2H), 7.48 (d, J = 3.8 Hz, 1H), 7.66 (d, J = 15.8 Hz, 1H), 8.64 (s, 1H), 10.32 (s, 1H); 13C NMR (176 MHz, ジメチルスルホキシド-d6) δ 24.6, 25.0, 27.8, 28.4, 28.5, 32.1, 32.2, 40.5, 44.4, 46.8, 47.2, 80.1, 80.9, 96.6, 110.2, 114.7, 118.9, 125.3, 132.1, 132.4, 132.7, 135.5, 139.6, 150.7, 165.0, 169.1, 170.7; IR (ATR) vmax/cm-1 3207br, 2977w, 2930w, 2858w, 2194w, 1698m, 1619s, 1603s, 1526m, 1508m, 1231s, 1145s, 754m; MS (ASAP) m/z = 566.2 [M+H]+; HRMS (ASAP) 計算値 C31H40N3O5S [M+H]+: 566.2683, 実測値566.2683
【0124】
本明細書(添付の特許請求の範囲、要約書および図面を含む)で開示されるすべての特徴、および/または開示される方法またはプロセスのすべてのステップは、そのような特徴および/またはステップの少なくとも一部が相互に排他的である組み合わせを除いて、任意の組み合わせで組み合わせることができる。本明細書(添付の特許請求の範囲、要約書および図面を含む)に開示される各特徴は、別段の記載のない限り、同じ、同等、または同様の目的を果たす代替の特徴によって置き換えら得る。したがって、別段の記載のない限り、開示される各特徴は、一連の同等または類似の特徴の一般的な一例にすぎない。本発明は、前述の実施形態の詳細に限定されない。本発明は、本明細書(添付の特許請求の範囲、要約書および図面を含む)に開示される特徴の新規なもの、または新規な組み合わせ、または本明細書に開示される方法またはプロセスのステップの新規なもの、または新規な組み合わせにまで及ぶ。
図1
図2
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【国際調査報告】