(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-29
(54)【発明の名称】反射型ビームステアリングメタ表面
(51)【国際特許分類】
H01Q 15/14 20060101AFI20240122BHJP
H01Q 3/44 20060101ALI20240122BHJP
【FI】
H01Q15/14 Z
H01Q3/44
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023542747
(86)(22)【出願日】2022-01-12
(85)【翻訳文提出日】2023-09-07
(86)【国際出願番号】 CA2022050045
(87)【国際公開番号】W WO2022150916
(87)【国際公開日】2022-07-21
(32)【優先日】2021-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523171582
【氏名又は名称】ラティス・インテリジェンス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】LATYS INTELLIGENCE INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】タラバティ,サジャド
(72)【発明者】
【氏名】エレフテリアデス,ジョージ・ブイ
【テーマコード(参考)】
5J020
5J021
【Fターム(参考)】
5J020AA03
5J020BA06
5J020BA16
5J020DA09
5J020DA10
5J021AA09
5J021AB06
5J021BA02
5J021DB01
5J021FA08
5J021GA02
(57)【要約】
本発明の実施形態は、全二重非相反ビームステアリング伝送型位相勾配メタ表面を提示し得る。メタ表面は、2つの誘電体層の間に介在する導体層を備えてもよい。誘電体層の各々は、その中に埋め込まれた複数のユニットセルを備えてもよい。ユニットセルの各々は、位相シフタおよびアンテナ素子を備えてもよい。電磁波がメタ表面の表面で受信されると、受信波の周波数と類似または同一の周波数を有する波を空間内の異なる方向にメタ表面が送信することができるように、メタ表面は機能してもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反射型ビームステアリング用のメタ表面であって、
2つの導体層の間に挟まれた誘電体層と、
前記誘電体層に電気的に接続された少なくとも1つのユニットセルと、
を備え、
前記少なくとも1つのユニットセルは、少なくとも1つのアンテナ素子および少なくとも1つの非相反可変位相シフタを備え、
前記メタ表面は、周波数を有する入射電磁波が前記メタ表面に衝突したときに、前記入射波の前記周波数と同一の周波数を有する波の増幅バージョンを前記空間内の所望の方向に反射する、メタ表面。
【請求項2】
前記少なくとも1つのアンテナ素子は、少なくとも1つのパッチ放射器を備える、請求項1に記載のメタ表面。
【請求項3】
DCバイアス給電が前記下部導体層内に埋め込まれている、請求項1に記載のメタ表面。
【請求項4】
前記少なくとも1つのユニットセルが、前記反射波の少なくとも1つの特性を制御するためにDC信号により調整される、請求項1に記載のメタ表面。
【請求項5】
前記少なくとも1つの特性は、反射角を含む、請求項4に記載のメタ表面。
【請求項6】
前記少なくとも1つの特性は、前記反射波の振幅を含む、請求項5に記載のメタ表面。
【請求項7】
周辺回路が、少なくとも1つの相反位相シフタと、少なくとも1つのトランジスタベース増幅器と、少なくとも1つのチョークインダクタンスと、少なくとも2つのデカップリングキャパシタンスと、少なくとも1つのバイパスコンデンサとを備える、請求項6に記載のメタ表面。
【請求項8】
前記少なくとも1つのチョークインダクタンスは、前記DCバイアス経路への前記入射電磁波の漏洩を防止し、
少なくとも1つのデカップリングキャパシタンスは、前記次のユニットセルの前記RF経路への前記DCバイアスの漏洩を防止する、請求項7に記載のメタ表面。
【請求項9】
反射型ビームステアリング用のメタ表面システムであって、
2つの導体層の間に介在する複数の誘電体層と、
前記複数の導体層の各々に電気的に接続されたユニットセルのアレイと、
を備え、
前記ユニットセルのアレイは、少なくとも1つの非相反可変位相シフタおよび少なくとも1つのアンテナ素子を備え、前記誘電体層およびアレイは、組み合わされてメタ表面を生成し、
前記メタ表面は、周波数を有する入射電磁波が前記メタ表面に衝突したときに、前記入射波の前記周波数と同一の周波数を有する波の増幅バージョンを前記空間内の所望の方向に反射する、メタ表面システム。
【請求項10】
前記少なくとも1つのアンテナ素子は、少なくとも1つのパッチ放射器を備える、請求項9に記載のメタ表面システム。
【請求項11】
DCバイアス給電が前記下部導体層内に埋め込まれている、請求項9に記載のメタ表面システム。
【請求項12】
前記ユニットセルのアレイは、前記反射波の少なくとも1つの特性を制御するためにDC信号によりバイアスされる、請求項9に記載のメタ表面システム。
【請求項13】
前記少なくとも1つの特性は、反射角を含む、請求項12に記載のメタ表面システム。
【請求項14】
前記少なくとも1つの特性は、前記反射波の振幅を含む、請求項13に記載のメタ表面システム。
【請求項15】
周辺回路が、少なくとも1つの相反位相シフタと、少なくとも1つの単方向トランジスタベース増幅器と、少なくとも1つのチョークインダクタンスと、少なくとも1つのバイパスコンデンサと、少なくとも2つのデカップリングキャパシタンスとを備える、請求項14に記載のメタ表面システム。
【請求項16】
前記少なくとも1つのチョークインダクタンスおよび少なくとも1つのデカップリングキャパシタンスが、前記DCバイアス経路を前記メタ表面のRF信号経路から分離する、請求項15に記載のメタ表面システム。
【請求項17】
ユニットセルをDC信号によりバイアスすることと、
前記DC信号が少なくとも1組の勾配位相シフトを受けることと、
次いで、前記DC信号が少なくとも1つの単方向トランジスタベース増幅器をバイアスして非相反位相シフトを生成することと、
を含む、メタ表面を使用する反射型ビームステアリングの方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
以下は、非相反波工学および電磁波放射制御のためのメタ表面の分野に関する。具体的には、反射型表面による全二重および非相反ビームステアリングのための電磁波の汎用的な制御方法が提示される。
【背景技術】
【0002】
背景
現代の無線電気通信システムは、特に反射状態において、非相反波処理が可能な汎用装置を必要とする場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
非相反放射とは、入射場の方向の変化下で構造体が異なる応答をもたらす電磁波放射を意味する。フェライト系磁性材料は、非相反性の実装に使用されてきた。しかしながら、フェライト系磁性材料は、重く、高価である可能性があり、プリント回路基板技術と互換性がない可能性があり、5G、6Gおよび将来世代の電気通信システムを含み得る高周波用途には適さない可能性がある。
【0004】
改善された電気通信システムが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
概要
一実施形態において、反射型メタ表面が提供される。メタ表面は、2つの導体層の間に挟まれた誘電体層を備える。下部導体層は、パッチアンテナ素子の接地面として機能することができ、また、単方向回路の直流(DC)信号パッチを含んでもよい。上部導体層は、パッチアンテナ素子、トランジスタ、および位相シフタを含んでもよい。誘電体層は、2つの導体層を互いに分離し得る。
【0006】
ユニットセルの各々は、パッチアンテナ素子、位相シフタおよび単方向回路によって形成されてもよい。
【0007】
電磁波がメタ表面の表面で受信されると、メタ表面は、受信波の周波数と同一の周波数を有する波を空間内の所望の方向に向けて反射する。
【0008】
別の実施形態において、メタ表面システムが提供される。メタ表面システムは、2つの導体層の間に介在する誘電体層を備える。導体層の各々は、その中に埋め込まれた複数のユニットセルを備える。複数のユニットセル内の各ユニットセルは、周辺回路を備える。周辺回路は、単方向回路、たとえばトランジスタと電気的に接続された1つの位相シフタと電気的に接続された少なくとも1つのマイクロストリップパッチ放射器から構成されてもよい。トランジスタ高周波数(RF)回路は2つのデカップリングコンデンサを含み、トランジスタのDCバイアス回路はインダクタ、2つのコンデンサ、および1つの抵抗を含む。
【0009】
さらに別の実施形態において、反射型メタ表面を使用するビームステアリングの方法が提供される。本方法は、ユニットセルをDC信号でバイアスすることと、DC信号が少なくとも1組の勾配位相シフトを受けることと、次いで、DC信号が少なくとも1つのトランジスタをバイアスして非相反位相シフトを生成することとを含む。
【0010】
図面の簡単な説明
次に、添付の図面を参照して実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】メタ表面システムおよび非相反ビームステアリング動作の概略図を提供する。
【
図2】相互接続された反射型非相反位相シフトユニットセルの連鎖と、順方向および逆方向の入射電磁場下でのそれらの動作との概略図を提供する。
【
図3】非相反位相シフト放射ユニットセルによって形成されたメタ表面システムの図を提供する。
【
図4】より少ない単方向トランジスタを使用した、
図3に示すメタ表面の環境発電バージョンを提供する。
【
図5】高度な非相反ビームステアリングのためのメタ表面動作の更なる改善に使用することができる非相反位相シフトユニットセルの回路を提供する。
【
図6】製造されたメタ表面の2つの層の概略を提供する。
【
図8】非相反放射ビーム反射型メタ表面の実験装置の概略図を提供する。
【
図9a】80度の入射角からの波入射に対する非相反全二重ビームステアリング機能を実証する実験結果を提供する。
【
図9b】80度の入射角からの波入射に対する非相反全二重ビームステアリング機能の周波数応答を実証する実験結果を提供する。
【
図10a】70度の入射角からの波入射に対する非相反全二重ビームステアリング機能を実証する実験結果を提供する。
【
図10b】70度の入射角からの波入射に対する非相反全二重ビームステアリング機能の周波数応答を実証する実験結果を提供する。
【
図11a】60度の入射角からの波入射に対する非相反全二重ビームステアリング機能を実証する実験結果を提供する。
【
図11b】60度の入射角からの波入射に対する非相反全二重ビームステアリング機能の周波数応答を実証する実験結果を提供する。
【
図12a】50度の入射角からの波入射に対する非相反全二重ビームステアリング機能を実証する実験結果を提供する。
【
図12b】50度の入射角からの波入射に対する非相反全二重ビームステアリング機能の周波数応答を実証する実験結果を提供する。
【
図13a】45度の入射角からの波入射に対する非相反全二重ビームステアリング機能を実証する実験結果を提供する。
【
図13b】40度の入射角からの波入射に対する非相反全二重ビームステアリング機能を実証する実験結果を提供する。
【
図14a】60度の入射角からの波入射に対する非相反位相シフタの位相シフトを変化させることによるビームステアリング機能を実証する実験結果を提供する。
【
図14b】30度の入射角からの波入射に対する非相反位相シフタの位相シフトを変化させることによるビームステアリング機能を実証する実験結果を提供する。
【
図15a】非相反放射ビーム反射型メタ表面の近接場実験装置の概略図を提供する。
【
図15b】40度の入射角からの波入射に対するメタ表面の近接場性能を実証する実験結果を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
詳細な説明
本発明の実施形態は、効率的な全二重通信を支援することができる非相反ビームステアリング位相勾配反射型メタ表面を提示することができる。メタ表面は、壁またはアンテナの前に配置して、波を増幅する、および/またはビームを所望の方向に操作する、すなわち、放射パターンを変換し、その左側および右側からの波入射に対して異なる放射パターンを導入することができる。メタ表面は、指向性があり、多様で非対称な送信および受信放射ビームを備え、調整可能なビーム形状を有している。さらに、これらのビームは、非相反位相シフタのDCバイアスを変更することによって操作することができる。望ましくない高調波はなく、ポイントツーポイント全二重通信等の実際の用途にとって最も重要な、顕著な波増幅を伴う高い変換効率をもたらす。
【0013】
ここで図面を参照すると、
図1は、反射型メタ表面112の構造と、メタ表面の非相反ビーム機能の動作原理とを示す。メタ表面の厚さはサブ波長である。「F」で示される順方向問題において、入射角108の下での右上側104からの入射波100は、メタ表面112の上部に衝突し、所望の送信角109でメタ表面の左上側102に増幅および反射されている。送信波109の増幅105および送信角は、非相反位相シフタに供給するDCバイアスによって調整することができる。
【0014】
「B」で示される逆方向問題において、入射角110の下での左上側からの入射波101は、メタ表面112の上部に衝突し、順方向問題の送信角109と異なる所望の送信角111でメタ表面103の右上側107に反射される。順方向問題および逆方向問題の増幅レベルおよび送信角は完全に異なり、非相反位相シフタに供給するDCバイアスによって調整することができる。
【0015】
図2は、相互接続されたユニットセルの連鎖の概略を示す。各ユニットセルは、パッチアンテナ素子107と、非相反位相シフタ113とから構成される。非相反位相シフタ113は、一方向または双方向のいずれかであり得る。一方向非相反位相シフタは、固定位相シフタ106を組み込んだ単方向装置、たとえばトランジスタベース増幅器で構成される。パッチアンテナ素子107は、メタ表面内の所望の方向への電力の送信の流れを可能にするために、二重給電マイクロストリップパッチアンテナとすることができる。しかしながら、最初のパッチアンテナ素子107aおよび最後のパッチアンテナ素子107nは、単一給電パッチであってもよい。相互接続されたパッチ107および非相反位相シフタ113の連鎖は、右側100および102からの入射波に対して、左側101および103とは異なる挙動をする。
【0016】
図3は、反射型ビームステアリングメタ表面112の概略を提供する。メタ表面(metasurafce)は、勾配非相反位相シフタ113、106を介して相互接続されたパッチ107の一連の連鎖(a、b、c、...n)によって形成されている。
【0017】
提案した概念および非相反性技術は、音響およびマイクロ波からテラヘルツおよび光学までの範囲の種々の周波数帯で利用することができる。たとえば、パッチアンテナ素子の寸法を調整し、トランジスタベース非相反位相シフタを使用することによって、ミリ波およびテラヘルツ周波数で同様のメタ表面を製造することができる。一実施形態において、ミリ波用のパッチアンテナ素子は、より小さく、単方向電力増幅することができる。ミリ波は、光学および光学用途に有用であり得る。
【0018】
帯域幅を増加させるために、ヴィヴァルディ(Vivaldi)アンテナ等の他のマイクロストリップパッチアンテナを使用することが可能である。これは、テラヘルツ周波数(10~12Hz)に変換することができ、6G、7G、8G等の高周波数に使用することができる。
【0019】
アレイのサイズは、必要に応じて変更することができる。たとえば、角度選択性を高めるために、より大きなアレイを使用することができる。典型的には、少なくとも2つのユニットセルが必要とされ得る。
【0020】
図4は、反射型メタ表面112bの環境発電バージョンおよび低コストバージョンの概略図を提供する。この実施形態において、メタ表面112bは、より少ない数または非相反位相シフタ106、113を備え、したがって、より低い電力を必要とする。この実施形態において、パッチ107の列当たり1組の勾配非相反位相シフタのみが使用される。この実施形態は、並列または直列回路構成で実施され得る。
【0021】
図5は、双方向非相反位相シフタ113の構造体を示す。非相反位相シフタは、2つの電力分配器115a、115bと、2つの単方向トランジスタベース増幅器116aおよび116bと、2つの固定位相シフタ114aおよび114bと、4つのデカップリングコンデンサ104、105、106および107とによって形成されている。上部位相シフタおよび下部位相シフタは、異なる位相シフトを提供する。上部増幅器および下部増幅器は、それぞれ順方向および逆方向において等しい増幅および分離を提供することができる。左側118から構造体に入る信号は、上アームを通り、上部増幅器による増幅を受け、次いで上部位相シフタを通過する。しかしながら、右側119から構造体に入る信号は、下アームを通り、下部増幅器による増幅を受け、次いで下部位相シフタを通過する。
【0022】
図6は、製造された反射型ビームステアリングメタ表面のレイアウトを示す。上層は、一方向トランジスタベース勾配非相反位相シフタ113を介して相互接続されたパッチ107の一連の連鎖を含む。下部導体層は2つの金属を含み、第1の金属118はパッチアンテナ107のバックグラウンド接地として機能し、第2の金属119はトランジスタ118のDCバイアスを提供する。トランジスタのDCバイアスは、上層120の右下側に供給され、ビアホールを介して下層に転送され、次いでビアホールを介して各トランジスタに供給される。いくつかの実施形態において、2つの金属は接続されていない。
【0023】
図7は、製造された反射型メタ表面の写真を提供する。この実施形態において、メタ表面は、30個のパッチアンテナ素子107(すなわち、20個の二重給電パッチアンテナ素子および10個の単一給電パッチアンテナ素子)と、25個の非相反位相シフタ113とによって形成されている。各非相反位相シフタ113は、相互伝送線路ベース位相シフタ、Gali-2+トランジスタベース増幅器、2つのデカップリングコンデンサ、インダクタおよびバイパスコンデンサを含む。
【0024】
一実施形態において、総数25個のGali-2+増幅器、25個のLchk=15nHのインダクタ、25個の100pFのバイパスコンデンサ、および50個のCcpl=3pFのデカップリングキャパシタンスが使用される。メタ表面は、二層回路、すなわち、二層の導体層および一層の誘電体層として製造され、30ミルの高さを有するRogers RO 4350から作製される。各ユニットセルは、ユニットセル当たり、1つの増幅器、1つのインダクタ、1つのバイパスコンデンサ、および2つのデカップリングコンデンサを備える。任意の厚さの層を使用することができる。
【0025】
他の増幅器を使用してもよい。たとえば、高周波用途は、代替の増幅器を使用することを望む場合がある。
【0026】
図8は、非相反放射ビーム反射型メタ表面の実験証明を示す概略図を提供する。測定装置は、製造された反射型メタ表面112、メタ表面112を保持するための吸収器122、ベクトルネットワークアナライザ、DC電源および2つのホーンアンテナ121からなる。
【0027】
図9aは、80度の入射角からの波入射に対する非相反全二重ビームステアリング機能を実証する実験結果を提供する。入射波が右側からメタ表面に衝突する順方向問題の場合、すなわち、+80度の入射角では、波はメタ表面によって瞬時に約16.5dB増幅され、-5度の所望の反射角に反射される。しかしながら、入射波が左側からメタ表面に衝突する逆方向問題の場合、すなわち、-5度および-80度の入射角では、波は大幅には増幅されない。
【0028】
図9bは、80度の入射角からの波入射に対する非相反全二重ビームステアリング機能の周波数応答を実証する実験結果を提供する。異なる角度での波反射間の分離は、5.81GHzの周波数で適切な波の増幅および分離が達成されることを示している。
【0029】
図10aは、70度の入射角からの波入射に対する非相反全二重ビームステアリング機能を実証する実験結果を提供する。入射波が右側からメタ表面に衝突する順方向問題の場合、すなわち、+70度の入射角では、波はメタ表面によって瞬時に約19dB増幅され、-20度の所望の反射角に反射される。しかしながら、入射波が左側からメタ表面に衝突する逆方向問題の場合、すなわち、-20度および-70度の入射角では、波は13dB未満、入射角の反対に対応する反射角の下で増幅される。
【0030】
非相反全二重動作は以下の通りである。受信および送信のためのメインポートは-20度に配置される。その結果、-20から+20まで+12dBの送信利得が得られる。しかしながら、+70から-20まで18.5dBの受信利得が得られる。したがって、メタ表面は、同時の送信および受信が可能であるが、異なる送信角度および受信角度(transmission and reception angels)、すなわち、+20度の送信角度(transmission angel)および+70度の受信角度(reception angel)である。
【0031】
図10bは、70度の入射角からの波入射に対する非相反全二重ビームステアリング機能の周波数応答を実証する実験結果を提供する。異なる角度での波反射間の分離は、5.81GHzの周波数で適切な波の増幅および分離が達成されることを示している。
【0032】
図11aは、60度の入射角からの波入射に対する非相反全二重ビームステアリング機能を実証する実験結果を提供する。入射波が右側からメタ表面に衝突する順方向問題の場合、すなわち、+60度の入射角では、波はメタ表面によって瞬時に21.2dBを超えて増幅され、-28.5度の所望の反射角に反射される。しかしながら、入射波が左側からメタ表面に衝突する逆方向問題の場合、すなわち、-28.5度および-60度の入射角では、波は大幅には増幅されない。
【0033】
メタ表面の非相反動作は、順方向波入射および逆方向波入射に対する異なる波の増幅だけでなく、ビームステアリングにもある。メタ表面の非相反ビームステアリング動作は以下の通りである。+60度の入射角に対応する順方向問題の場合、通常の反射は-60度を読み取るが、波はメタ表面の位相勾配プロファイルに従って-28.5度に向けて操作される。しかしながら、-28.5度の入射角に対応する逆方向波入射の場合、波は通常の反射角、すなわち、+28度の下で反射される。これは、メタ表面の非相反位相勾配プロファイルが右側から到来する順方向波に主に影響を及ぼすという事実に起因する。
【0034】
図11bは、60度の入射角からの波入射に対する非相反全二重ビームステアリング機能の周波数応答を実証する実験結果を提供する。異なる角度での波反射間の分離は、5.81GHzの周波数で適切な波の増幅および分離が達成されることを示している。
【0035】
図12aは、50度の入射角からの波入射に対する非相反全二重ビームステアリング機能を実証する実験結果を提供する。入射波が右側からメタ表面に衝突する順方向問題の場合、すなわち、+50度の入射角では、波はメタ表面によって瞬時に21.7dBを超えて増幅され、-20度の所望の反射角に反射される。しかしながら、入射波が左側からメタ表面に衝突する逆方向問題の場合、すなわち、-20度および-50度の入射角では、波はほぼ通常の反射角の下で、はるかに少ない電力増幅で反射される。
【0036】
非相反全二重動作は以下の通りである。受信および送信のためのメインポートは-20度に配置される。その結果、-20から+24まで+12dBの送信利得が得られる。しかしながら、+50から-20まで21.6dBの受信利得が得られる。したがって、メタ表面は、同時の送信および受信が可能であるが、異なる送信角度および受信角度、すなわち、+24度の送信角度および+50度の受信角度である。
【0037】
図12bは、50度の入射角からの波入射に対する非相反全二重ビームステアリング機能の周波数応答を実証する実験結果を提供する。異なる角度での波反射間の分離は、5.81GHzの周波数で21.7dBを超える波の増幅および分離が達成されることを示している。
【0038】
図13aは、45度の入射角からの波入射に対する非相反全二重ビームステアリング機能を実証する実験結果を提供する。入射波が右側からメタ表面に衝突する順方向問題の場合、すなわち、+45度の入射角では、波はメタ表面によって瞬時に25dBを超えて増幅され、-18度の所望の反射角に反射される。しかしながら、入射波が左側からメタ表面に衝突する逆方向問題の場合、すなわち、-45度の入射角の下では、波は大幅には増幅されず、ビームステアリングされない。
【0039】
図13bは、40度の入射角からの波入射に対する非相反全二重ビームステアリング機能を実証する実験結果を提供する。入射波が右側からメタ表面に衝突する順方向問題の場合、すなわち、+40度の入射角では、波はメタ表面によって瞬時に約21.6dB増幅され、0度の所望の反射角に反射される。しかしながら、入射波が左側からメタ表面に衝突する逆方向問題の場合、すなわち、-40度の入射角の下では、波は大幅には増幅されない。
【0040】
図14aは、5.8GHzで+60度の入射角からの波入射に対して、DCバイアスによって非相反位相シフタの位相シフトを変化させることによるビームステアリング機能を実証する実験結果を提供する。入射波が右側からメタ表面に衝突する順方向問題の場合、すなわち、+60度の入射角では、波はメタ表面によって瞬時に10dBを超えて増幅され、3.6V、3.84Vおよび4VのDCバイアスに対して異なる所望の反射角に反射される。
【0041】
図14bは、周波数5.8GHzで+30度の入射角からの波入射に対する非相反位相シフタの位相シフトを変化させることによるビームステアリング機能を実証する実験結果を提供する。入射波が右側からメタ表面に衝突する順方向問題の場合、すなわち、+60度の入射角では、波はメタ表面によって瞬時に10dBを超えて増幅され、3.7Vおよび3.84VのDCバイアスに対して異なる所望の反射角に反射される。
【0042】
図15aは、非相反放射ビーム反射型メタ表面の近接場実験装置の概略図を提供する。この実験において、2つのソースホーンアンテナは、メタ表面の近接場ゾーン内に、メタ表面に非常に近接して配置される。
【0043】
図15bは、+40度の入射角からの波入射に対するメタ表面の近接場性能を実証する実験結果を提供する。この図は、メタ表面が、遠距離場実験および近接場実験の両方について非常に近い結果を提供することを示している。これは、近接場におけるメタ表面の優れた性能を示す。
【0044】
反射型メタ表面は、波増幅を伴う全二重反射ビームステアリングを実現する機会を提供する。反射状態において非相反ビーム動作を達成するための機構が提案されており、その結果、構造体はアンテナ用のレードームとして使用することができ、または壁に設置することができる。入射波および伝送波は同じ周波数を共有する。ユニットセルにおける非相反位相および振幅遷移は、放射非相反位相シフタを実現するために使用され、構造体は望ましくない周波数高調波の影響を受けない。
【0045】
提案されたメタ表面の帯域幅拡大に固有の制限はないことに留意されたい。提案されたユニットセルの周波数帯域幅は、マイクロストリップパッチ素子および非相反位相シフタの帯域幅拡大のための工学的手法を使用することによって拡大され得る。
【0046】
表1は、開示された非相反ビーム操作可能反射型メタ表面性能の一実施形態の概要を提供する。動作周波数の他の値の範囲は、5GHz~8GHzで使用することができる。必要に応じて、より高い周波数値およびより低い周波数値を使用することができる。
【0047】
【0048】
理解できるように、当業者は、特に電気通信技術が様々な周波数を使用するように発展するにつれて、より高い周波数値およびより低い周波数値を使用するように進歩性なしに技術を容易に適合させることができる。
【0049】
特定の具体的実施形態を参照して本発明の実施形態を説明したが、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、その様々な変形を採用することができる。
【国際調査報告】