(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-29
(54)【発明の名称】臨床判断支援のための腫瘍学ワークフロー
(51)【国際特許分類】
G16H 10/00 20180101AFI20240122BHJP
G16H 10/60 20180101ALI20240122BHJP
【FI】
G16H10/00
G16H10/60
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023542972
(86)(22)【出願日】2022-01-18
(85)【翻訳文提出日】2023-07-14
(86)【国際出願番号】 US2022012814
(87)【国際公開番号】W WO2022155607
(87)【国際公開日】2022-07-21
(32)【優先日】2021-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ. ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100138759
【氏名又は名称】大房 直樹
(72)【発明者】
【氏名】バーナード,シンディ・ケイ
(72)【発明者】
【氏名】バイラプネニ、サンバシバラオ
(72)【発明者】
【氏名】チャパガイン,ディワカール
(72)【発明者】
【氏名】ドージ,アーチャナ・ピー
(72)【発明者】
【氏名】ジュー,キャサリン・エム
(72)【発明者】
【氏名】ケサバン,レンガラジャ
(72)【発明者】
【氏名】パレク,コーシャル・ディー
(72)【発明者】
【氏名】ラーマナータン,ラマン
(72)【発明者】
【氏名】シュロスマン,デビッド・エム
(72)【発明者】
【氏名】シャーマ,ビシャカ
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA01
5L099AA21
(57)【要約】
患者データを管理するためのシステムおよび方法が提供される。システムは、複数のソースからの医療データを統合患者データベースに統合する。構造化および非構造化医療データが取得され、(例えば、データフィールドタイプの指定、データタイプまたは用語の標準化などによって)強化され、統合患者データベースに記憶される。異なるソースから読み出されたデータは、腫瘍塊、処置、レポート、病歴、および診断に関するデータを含む接続されたオブジェクトのネットワークにおける統合患者データベース内のデータ要素に記憶される。統合患者データベース内のデータは、データタイプによって編成された時系列形式で患者データを表示する患者行程ビューを含む、ユーザフレンドリなインターフェースビューにおいて患者データを表示するために使用される。臨床的意思決定プロセスを改善するために、異なるソースに由来する患者データを容易に表示するように異なるインターフェースビューがトラバースされることができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療データを管理するための方法であって、サーバコンピュータによって、
統合患者データベースに患者についての患者レコードを作成することであって、前記患者レコードが、前記患者の識別子と、前記患者に関連付けられた医療データに関連する1つまたは複数のデータオブジェクトとを含み、前記統合患者データベースが、複数のソースからのデータを含む、患者レコードを作成することと、
外部データベースから、前記患者についての医療レコードを読み出すことと、
グラフィカルユーザインターフェース(GUI)を介して前記医療レコードに関連付けられた原発性がんの識別を受信することと、
前記原発性がんの前記識別の受信に応答して、前記患者レコード内に原発性がんオブジェクトを作成することであって、前記原発性がんオブジェクトが、前記原発性がんを含むフィールドを有する、原発性がんオブジェクトを作成することと、
前記統合患者データベース内の前記患者レコード内の前記原発性がんオブジェクトにリンクされた前記医療レコードを記憶することと、
前記GUIへのユーザ入力を介して、前記患者の医療データを受信することと、
前記患者の前記医療データが前記原発性がんに関連付けられていると決定することと、
前記統合患者データベース内の前記患者レコード内の前記原発性がんオブジェクトにリンクされた前記患者の前記医療データを記憶することと、を実行することを含む、方法。
【請求項2】
前記患者についての前記医療レコードが、対応するデータタイプに関連付けられたデータ要素のセットを含む第1のフォーマットであり、
前記原発性がんの前記識別を受信することが、
前記データ要素および前記データタイプを分析することによって前記原発性がんを識別することと、
ユーザが前記原発性がんの識別を確認するためのプロンプトを含む前記GUIを表示することと、
前記GUIを介して前記原発性がんの識別のユーザ確認を受信することと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記医療レコードが第1の医療レコードであり、前記方法が、さらに、
前記患者についての第2の医療レコードを受信することであって、前記第2の医療レコードが、非構造化データを含む第2のフォーマットである、第2の医療レコードを受信することと、
前記非構造化データから、前記原発性がんに関連付けられたデータ要素を識別することと、
前記データ要素をデータタイプに割り当てるために前記非構造化データを分析することと、
前記割り当てられたデータタイプと、前記データ要素が前記原発性がんに関連付けられている前記識別とに基づいて、前記原発性がんオブジェクトにリンクされた前記データ要素を前記統合患者データベース内の前記患者レコードに記憶することと、を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記医療レコードに関連付けられた前記原発性がんの前記識別を受信することが、
前記GUIを介して、前記医療レコード、および1つまたは複数の原発性がんを選択するユーザ入力を受信するように構成されたメニューを表示することと、
前記GUIを介して、前記原発性がんを選択するユーザ入力を受信することと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記患者レコードに前記医療レコードを記憶することと、
前記医療レコードをパースして前記患者レコードが特定の原発性がんに関連付けられていないと決定することと、をさらに含み、
前記医療レコードおよび前記メニューを表示することが、前記患者レコードが特定の原発性がんに関連付けられていないと決定することに応答する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記医療レコードが、非構造化データを含み、
前記方法が、
前記医療レコード内のテキストを識別するために第1の機械学習モデルを適用することと、
前記識別されたテキストの一部を対応するフィールドと相関させるために第2の機械学習モデルを適用することと、をさらに含み、
前記医療レコードを記憶することが、前記識別されたテキストを前記フィールドに関連付けて前記統合患者データベースに記憶することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の機械学習モデルが、光学式文字認識(OCR)モデルを含み、
前記第2の機械学習モデルが、自然言語処理(NLP)モデルを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記統合患者データベースから、前記患者の前記医療データの少なくともサブセットを読み出すことと、
臨床的意思決定を実行するために、ユーザインターフェースを介して、前記患者の前記医療データの前記少なくともサブセットを表示させることと、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記外部データベースが、EMR(電子医療レコード)システム、PACS(画像保管通信システム)、デジタル病理(DP)システム、LIS(検査情報システム)、およびRIS(放射線情報システム)のうちの少なくとも1つに対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記医療レコードが、前記患者の前記識別子に基づいて読み出される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
統合患者データベースを管理するための方法であって、サーバコンピュータによって、
前記統合患者データベースに、相互接続されたデータオブジェクトのネットワークを含む患者レコードを記憶することであって、前記統合患者データベースが複数のソースからのデータを含む、患者レコードを記憶することと、
前記統合患者データベース内の前記患者レコードに、原発性がんの腫瘍塊のデータ要素に対応する第1のデータオブジェクトを記憶することであって、前記第1のデータオブジェクトが、前記腫瘍塊の部位を指定する属性を含む、第1のデータオブジェクトを記憶することと、
診断コンピュータから、前記原発性がんに対応する診断情報を受信することと、
前記診断情報と前記腫瘍塊との間の相関を識別するために前記診断情報を分析することと、
前記診断情報と前記腫瘍塊との間の前記相関を識別することに基づいて、前記統合患者データベースに、前記診断情報に対応する第2のデータオブジェクトを記憶することであって、前記第2のデータオブジェクトが、相互接続されたデータオブジェクトの前記ネットワークを介して前記第1のデータオブジェクトに接続されている、第2のデータオブジェクトを記憶することと、
前記診断コンピュータから、前記原発性がんに対応する処置情報を受信することと、
前記処置情報と前記腫瘍塊との間の相関を識別するために前記処置情報を分析することと、
前記処置情報と前記腫瘍塊との間の前記相関を識別することに基づいて、前記統合患者データベースに、前記処置情報に対応する第3のデータオブジェクトを記憶することであって、前記第3のデータオブジェクトが、相互接続されたデータオブジェクトの前記ネットワークを介して前記第1のデータオブジェクトに接続されている、第3のデータオブジェクトを記憶することと、を実行することを含む、方法。
【請求項12】
前記統合患者データベースから、前記腫瘍塊の前記部位を指定する前記属性、前記診断情報、および/または前記処置情報のうちの1つまたは複数を読み出すことと、
臨床的意思決定のために、ユーザインターフェースを介して、前記腫瘍塊の前記部位を指定する前記属性、前記診断情報、および/または前記処置情報のうちの1つまたは複数を表示させることと、をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記診断コンピュータから患者履歴データを受信することと、
前記患者履歴データと前記腫瘍塊との間の相関を識別するために前記患者履歴データを分析することと、
前記患者履歴データと前記腫瘍塊との間の前記相関を識別することに基づいて、前記統合患者データベースに、前記患者履歴データに対応する第4のデータオブジェクトを記憶することであって、前記第4のデータオブジェクトが、相互接続されたデータオブジェクトの前記ネットワークを介して前記第1のデータオブジェクトに接続されている、第4のデータオブジェクトを記憶することと、をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記診断コンピュータから、前記原発性がんの転移部位における腫瘍塊に対応する腫瘍塊情報を受信することと、
前記診断情報と前記腫瘍塊との間の相関を識別するために前記腫瘍塊情報を分析することと、
前記腫瘍塊情報を受信し、前記第1のデータオブジェクトを識別することに基づいて、前記統合患者データベースに、相互接続されたデータオブジェクトの前記ネットワークを介して前記第1のデータオブジェクトに接続されている前記腫瘍塊情報に対応する第5のデータオブジェクトを記憶することと、をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記第2のデータオブジェクトが、前記原発性がんのステージ、バイオマーカー、および腫瘍サイズから選択される1つまたは複数の属性を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記統合患者データベースから、前記患者に関連付けられたデータ要素およびデータタイプを識別することと、
前記データ要素および前記データタイプを構造化形式で外部システムに送信することと、をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記第1のデータオブジェクトおよび前記第2のデータオブジェクトのそれぞれを生成すると、前記第1のデータオブジェクトの作成時刻を示す前記第1のデータオブジェクトに関連付けて記憶された第1のタイムスタンプと、前記第2のデータオブジェクトの作成時刻を示す前記第2のデータオブジェクトに関連付けて記憶された第2のタイムスタンプとを生成することをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
外部データベースから医療データをインポートすることと、
前記インポートされた医療データをパースして、前記患者および前記原発性がんに関連付けられた特定のデータ要素を識別することと、
前記第1のデータオブジェクトに関連付けられた第6のデータオブジェクトに前記特定のデータ要素を記憶することと、によって前記統合患者データベースを更新することをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記外部データベースが、EMR(電子医療レコード)システム、PACS(画像保管通信システム)、デジタル病理(DP)システム、LIS(検査情報システム)、およびRIS(放射線情報システム)のうちの少なくとも1つに対応する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
臨床判断を容易にするために医療データを処理する方法であって、サーバコンピュータによって、
グラフィカルユーザインターフェースを介して、患者を識別する識別データを受信することと、
前記グラフィカルユーザインターフェースの選択可能なモードのセットのうちの1つのモードを選択するユーザ入力を受信することと、
前記識別データおよび前記ユーザ入力に基づいて、統合患者データベースから前記患者に関連付けられた医療データのセットを読み出すことであって、前記医療データのセットが前記選択されたモードに対応する、医療データのセットを読み出すことと、
前記グラフィカルユーザインターフェースを介して、タイムライン内にユーザ選択可能なオブジェクトのセットを表示することであって、前記オブジェクトが行に編成され、各行が複数のカテゴリのうちの異なるカテゴリに対応し、前記複数のカテゴリが、病理、診断、および処置を含む、ユーザ選択可能なオブジェクトのセットを表示することと、を実行することを含む、方法。
【請求項21】
前記医療データのセットを読み出すことが、
統合患者データベースに問い合わせて、前記統合患者データベースから前記患者についての患者レコードを識別することであって、前記患者レコードが、患者オブジェクトを含む、患者レコードを識別することと、
前記患者オブジェクトに接続されたオブジェクトのセットのそれぞれを識別することと、
表示のために、前記識別されたオブジェクトのセットのうちの所定のサブセットを読み出すことと、含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記医療データのセットが、
統合患者データベース内の処置オブジェクトであって、処置タイプ、日付、および処置に対する反応を記憶する処置オブジェクトと、
前記統合患者データベース内の診断所見オブジェクトであって、バイオマーカーデータ、病期分類データ、および/または腫瘍サイズデータを記憶する、診断所見オブジェクトと、
前記統合患者データベース内の履歴オブジェクトであって、手術歴、アレルギー、および/または家族病歴を記憶する履歴オブジェクトと、のうちの1つまたは複数に対応する、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記オブジェクトのセットのうちのオブジェクトとのユーザ相互作用を検出することと、
前記統合患者データベースから対応するレポートを識別して読み出すことと、
前記グラフィカルユーザインターフェースを介して前記レポートを表示することと、をさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記グラフィカルユーザインターフェースが、
タイムラインの上に表示されたリボンであって、有意としてフラグが立てられたオブジェクトのサブセットを表示するリボンをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記グラフィカルユーザインターフェースが、第2のインターフェースビューにナビゲートするための要素をさらに備え、前記方法が、
前記第2のインターフェースビューにナビゲートするための前記要素とのユーザ相互作用を検出することと、
腫瘍学的要約データを表示する前記第2のインターフェースビューに遷移することと、を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
患者データを管理するための方法であって、
統合患者データベースに、患者レコードを記憶することであって、前記統合患者データベースが、複数のソースからのデータを含み、前記患者レコードが、患者の第1の腫瘍塊に対応するデータ要素を記憶する第1の原発性がんデータオブジェクトと、前記患者の第2の腫瘍塊に対応するデータ要素を記憶する第2の原発性がんデータオブジェクトとを含む複数のデータオブジェクトを含む、患者レコードを記憶することと、
前記統合患者データベース内の前記患者レコード内の患者データを要約する情報を含む患者要約を含むグラフィカルユーザインターフェースをレンダリングして表示させることと、
前記グラフィカルユーザインターフェースの要素とのユーザ相互作用を検出することと、
前記ユーザ相互作用の検出に応答して、前記統合患者データベースから、前記患者レコードの前記第1の原発性がんデータオブジェクトおよび前記第2の原発性がんデータオブジェクトからの前記データ要素を読み出すことと、
レンダリングすることであって、
患者の第1の原発性がんに対応する第1のモーダルと、
前記患者の第2の原発性がんに対応する第2のモーダルと、をレンダリングすることと、
前記第1のモーダルおよび前記第2のモーダルを前記グラフィカルユーザインターフェースに並べて表示させることと、を含む、方法。
【請求項27】
前記モーダルのそれぞれが、タイムスタンプ、病期分類情報、および転移部位情報を有するバイオマーカーのセットを表示する、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記複数のソースが、EMR(電子医療レコード)システム、PACS(画像保管通信システム)、デジタル病理(DP)システム、LIS(検査情報システム)、RIS(放射線情報システム)、患者レポート転帰、ウェアラブルデバイス、またはソーシャルメディアウェブサイトのうちの2つ以上を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
臨床判断を容易にするために医療データを処理する方法であって、
ポータルを介して、複数のデータカテゴリに関連付けられた患者の入力医療データを受信することであって、前記複数のデータカテゴリが、腫瘍学ワークフロー動作に関連付けられている、入力医療データを受信することと、
前記入力医療データに基づいて前記患者の構造化医療データを生成することであって、前記構造化医療データが、前記腫瘍学ワークフロー動作を支援して診断結果を生成するために生成され、前記診断結果が、前記患者ががんを有しないこと、前記患者が原発性がんを有すること、前記患者が複数の原発性がんを有すること、または前記患者が未知の原発部位のがん腫を有することのうちの1つを含む、構造化医療データを生成することと、
前記診断結果の履歴に基づいて臨床判断を行うことを可能にするために、前記ポータルを介して、前記構造化医療データと、前記ポータルにおける時間に対する前記患者の前記診断結果の履歴とを表示することと、を含む、方法。
【請求項30】
前記ポータルが、前記入力医療データを受信し、前記入力医療データをフィールドにマッピングして前記構造化医療データを生成するためのデータ入力インターフェースを備え、
前記データ入力インターフェースが、前記構造化医療データを1つまたは複数のページに編成し、前記1つまたは複数のページのそれぞれが、特定の原発腫瘍部位に関連付けられている、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記データ入力インターフェースを介して、第1の原発腫瘍部位と関連付けられた前記データ入力インターフェースの第1のページに入力された前記医療データの第1のサブセットが第2の原発腫瘍部位に属するという第1の指示を受信することと、
前記第1の指示に基づいて、
前記第2の原発腫瘍部位の第2のページを作成することと、
前記第2のページに前記医療データの前記第1のサブセットを取り込むことと、をさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記データ入力インターフェースを介して、前記第1のページに入力された前記医療データの第2のサブセットが前記第2の原発腫瘍部位の転移に関連しているという第2の指示を受信することと、
前記第2の指示に基づいて、前記第2のページに前記医療データの前記第2のサブセットを取り込むことと、をさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
統合患者データベースから文書ファイルをインポートすることと、
前記文書ファイルに含まれるテキストに対する自然言語処理(NLP)操作またはルールベースの抽出操作のうちの少なくとも1つに基づいて、前記文書ファイルから前記入力医療データを抽出することと、をさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
前記文書ファイルを前記ポータルの文書ブラウザに表示することと、
前記入力医療データが抽出された前記文書ファイルの1つまたは複数の部分を強調表示することと、をさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記文書ブラウザの隣に1つまたは複数のデータフィールドを表示することと、
前記1つまたは複数のデータフィールドのサブセットと前記文書ファイルの前記強調表示された1つまたは複数の部分との間の対応関係を示すために、前記1つまたは複数のデータフィールドのサブセットに、前記文書ファイルの前記強調表示された1つまたは複数の部分から抽出される前記入力医療データが取り込まれるべきであるという指示を表示することと、をさらに含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記指示が、前記1つまたは複数のデータフィールドの前記サブセットを強調することと、前記文書ファイルの前記強調表示された1つまたは複数の部分の上のハイライトマーキングを囲むことと、を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記指示が、前記ポータルを介したユーザからの入力の受信に基づいて表示される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記強調表示された1つまたは複数の部分が、前記ポータルを介したユーザからの入力の検出に基づいて決定される、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記強調表示された1つまたは複数の部分が、前記自然言語処理(NLP)操作または前記ルールベースの抽出操作のうちの少なくとも一方に基づいて決定される、請求項35に記載の方法。
【請求項40】
前記抽出された入力医療データの1つまたは複数の医療データカテゴリを決定することと、
構造化データリスト(SDL)に基づいて、前記構造化医療データ内の1つまたは複数のフィールドと前記1つまたは複数の医療データカテゴリとの間のマッピングを決定することと、
前記マッピングに基づいて、前記1つまたは複数のフィールドに前記抽出された入力医療データを取り込むことと、をさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項41】
前記マッピングが、前記入力医療データを標準化された値にマッピングすることを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記入力医療データが、EMR(電子医療レコード)システム、PACS(画像保管通信システム)、デジタル病理(DP)システム、LIS(検査情報システム)、RIS(放射線情報システム)、患者レポート転帰、ウェアラブルデバイス、またはソーシャルメディアウェブサイトのうちの少なくとも1つを含む1つまたは複数のソースから受信される、請求項29に記載の方法。
【請求項43】
上記の方法のいずれかの動作を実行するようにコンピュータシステムを制御するための複数の命令を記憶するコンピュータ可読媒体を備える、コンピュータ製品。
【請求項44】
システムであって、
請求項43に記載のコンピュータ製品と、
前記コンピュータ可読媒体に記憶された命令を実行するための1つまたは複数のプロセッサと、を備える、システム。
【請求項45】
上記の方法のいずれかを実行するための手段を備える、システム。
【請求項46】
上記の方法のいずれかを実行するように構成された、システム。
【請求項47】
上記の方法のいずれかのステップをそれぞれ実行するモジュールを備える、システム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年1月15日に出願された米国特許出願第63/138,275号および2021年10月15日に出願された米国特許出願第63/256,476号に対する優先権の利益を主張し、これらのそれぞれは、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
毎日、病院は世界中で膨大な量の臨床データを作成している。このデータの分析は、医療の提供およびケアの質における詳細な洞察を理解し、個人化された医療を改善するための基礎を提供するために重要である。残念ながら、記録されたデータの大部分は、ほとんどのデータが非構造化形式で取り込まれるため、アクセスおよび分析が困難である。非構造化データは、例えば、医療提供者のメモ、撮像または病理レポート、または構造化データモデルに関連付けられておらず、データの文脈および/または意味を定義するために予め定義された方法で編成されていない任意の他のデータを含み得る。データは、通常、複数のデータソースに記憶される。判断を下すために患者のデータを分析しようとする臨床医は、複数のデータソースからデータを取得し、次いでデータを手動でパースして臨床判断を下すのに必要な情報を抽出する必要があり得る。しかし、臨床判断を行うためにデータを取得するそのような方法は、手間がかかり、遅く、費用がかかり、間違いやすい。
【発明の概要】
【0003】
本明細書では、臨床医の患者データへのアクセスを改善して、腫瘍学に関連する臨床判断などの臨床判断を実行するための技術が開示される。いくつかの例では、医療データ処理システムが提供される。医療データ処理システムは、複数のデータソースから患者の医療データを収集し、医療データを構造化データに変換し、構造化データを、要約形式、および長期的ビューレポート形式などの様々な形式で提示することができる。医療データ処理システムはまた、収集された医療データに対して診断動作を支援または実行し、診断の結果を臨床医に提示することができる腫瘍学ワークフローソリューションを支援することができる。腫瘍学ワークフローソリューションは、腫瘍専門医またはその代表者などの臨床医が、処置および経過観察を通じてがんの疑いからがん患者を長期的に管理することを可能にすることができる。腫瘍学ワークフローソリューションはまた、患者に施されたケアの質を評価するためのケアの質評価ツール、患者の様々な情報(例えば、人口統計情報)と患者の腫瘍情報(例えば、予後または予想される生存)との間の相関関係を決定するための医療研究ツールなどの他の医療用途を支援することもできる。本技術は、腫瘍学に限定されず、他のタイプの疾患領域にも適用され得る。
【0004】
いくつかの実施形態では、医療データを管理するための方法は、サーバコンピュータによって、統合患者データベース内に患者についての患者レコードを作成することであって、患者レコードが、患者の識別子と、患者に関連付けられた医療データに関連する1つまたは複数のデータオブジェクトとを含み、統合患者データベースが、複数のソースからのデータを含む、患者レコードを作成することと、外部データベースから、患者についての医療レコードを読み出すことと、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)を介して医療レコードに関連付けられた原発性がんの識別を受信することと、原発性がんの識別の受信に応答して、患者レコード内に原発性がんオブジェクトを作成することであって、原発性がんオブジェクトが、原発性がんを含むフィールドを有する、原発性がんオブジェクトを作成することと、統合患者データベース内の患者レコード内の原発性がんオブジェクトにリンクされた医療レコードを記憶することと、GUIへのユーザ入力を介して、患者の医療データを受信することと、患者の医療データが原発性がんに関連付けられていると決定することと、統合患者データベース内の患者レコード内の原発性がんオブジェクトにリンクされた患者の医療データを記憶することと、を実行することを含む。
【0005】
いくつかの態様では、患者についての医療レコードは、対応するデータタイプに関連付けられたデータ要素のセットを含む第1のフォーマットであり、原発性がんの識別を受信することは、データ要素およびデータタイプを分析することによって原発性がんを識別することと、ユーザが原発性がんの識別を確認するためのプロンプトを含むGUIを表示することと、GUIを介して原発性がん識別のユーザ確認を受信することと、を含む。
【0006】
いくつかの態様では、医療レコードは、第1の医療レコードであり、本方法は、患者についての第2の医療レコードを受信することであって、第2の医療レコードが、非構造化データを含む第2のフォーマットである、第2の医療レコードを受信することと、非構造化データから、原発性がんに関連付けられたデータ要素を識別することと、データ要素をデータタイプに割り当てるために非構造化データを分析することと、割り当てられたデータタイプと、データ要素が原発性がんに関連付けられていることの識別とに基づいて、原発性がんオブジェクトにリンクされたデータ要素を統合患者データベース内の患者レコードに記憶することと、をさらに含む。
【0007】
いくつかの態様では、医療レコードに関連付けられた原発性がんの識別を受信することは、GUIを介して、医療レコードと、1つまたは複数の原発性がんを選択するユーザ入力を受信するように構成されたメニューとを表示することと、GUIを介して、原発性がんを選択するユーザ入力を受信することと、を含む。
【0008】
いくつかの態様では、本方法は、患者レコードに医療レコードを記憶することと、医療レコードをパースして患者レコードが特定の原発性がんに関連付けられていないと決定することであって、医療レコードおよびメニューを表示することが、患者レコードが特定の原発性がんに関連付けられていないという決定に応答する、患者レコードが特定の原発性がんに関連付けられていないと決定することと、をさらに含む。
【0009】
いくつかの態様では、医療レコードは、非構造化データを含み、本方法は、医療レコード内のテキストを識別するために第1の機械学習モデルを適用することと、識別されたテキストの一部を対応するフィールドと相関させるために第2の機械学習モデルを適用することと、をさらに含み、医療レコードを記憶することは、識別されたテキストをフィールドと関連付けて統合患者データベースに記憶することをさらに含む。いくつかの態様では、第1の機械学習モデルは、光学式文字認識(OCR)モデルを含み、第2の機械学習モデルは、自然言語処理(NLP)モデルを含む。
【0010】
いくつかの態様では、本方法は、統合患者データベースから、患者の医療データの少なくともサブセットを読み出すことと、臨床的意思決定を実行するために、ユーザインターフェースを介して、患者の医療データの少なくともサブセットを表示させることと、をさらに含む。いくつかの態様では、外部データベースは、EMR(電子医療レコード)システム、PACS(画像保管通信システム)、デジタル病理(DP)システム、LIS(検査室情報システム)、およびRIS(放射線情報システム)のうちの少なくとも1つに対応する。いくつかの態様では、医療レコードは、患者の識別子に基づいて読み出される。
【0011】
いくつかの実施形態では、統合患者データベースを管理するための方法は、サーバコンピュータによって、統合患者データベースに、相互接続されたデータオブジェクトのネットワークを含む患者レコードを記憶することであって、統合患者データベースが、複数のソースからのデータを含む、患者レコードを記憶することと、統合患者データベース内の患者レコードに、原発性がんの腫瘍塊のデータ要素に対応する第1のデータオブジェクトを記憶することであって、第1のデータオブジェクトが、腫瘍塊の部位を指定する属性を含む、第1のデータオブジェクトを記憶することと、診断コンピュータから、原発性がんに対応する診断情報を受信することと、診断情報と腫瘍塊との間の相関を識別するために診断情報を分析することと、診断情報と腫瘍塊との間の相関を識別することに基づいて、統合患者データベースに、診断情報に対応する第2のデータオブジェクトを記憶することであって、第2のデータオブジェクトが、相互接続されたデータオブジェクトのネットワークを介して第1のデータオブジェクトに接続されている、第2のデータオブジェクトを記憶することと、診断コンピュータから、原発性がんに対応する処置情報を受信することと、処置情報と腫瘍塊との間の相関を識別するために処置情報を分析することと、処置情報と腫瘍塊との間の相関を識別することに基づいて、統合患者データベースに、処置情報に対応する第3のデータオブジェクトを記憶することであって、第3のデータオブジェクトが、相互接続されたデータオブジェクトのネットワークを介して第1のデータオブジェクトに接続されている、第3のデータオブジェクトを記憶することと、を実行することを含む。
【0012】
いくつかの態様では、本方法は、統合患者データベースから、腫瘍塊の部位を指定する属性、診断情報、および/または処置情報のうちの1つまたは複数を読み出すことと、ユーザインターフェースを介して、臨床的意思決定のために、腫瘍塊の部位を指定する属性、診断情報、および/または処置情報のうちの1つまたは複数を表示させることと、をさらに含む。
【0013】
いくつかの態様では、本方法は、診断コンピュータから患者履歴データを受信することと、患者履歴データと腫瘍塊との間の相関を識別するために患者履歴データを分析することと、患者履歴データと腫瘍塊との間の相関を識別することに基づいて、統合患者データベースに、患者履歴データに対応する第4のデータオブジェクトを記憶することであって、第4のデータオブジェクトが、相互接続されたデータオブジェクトのネットワークを介して第1のデータオブジェクトに接続されている、第4のデータオブジェクトを記憶することと、をさらに含む。
【0014】
いくつかの態様では、本方法は、診断コンピュータから、原発性がんの転移部位における腫瘍塊に対応する腫瘍塊情報を受信することと、診断情報と腫瘍塊との間の相関を識別するために腫瘍塊情報を分析することと、腫瘍塊情報を受信し、第1のデータオブジェクトを識別することに基づいて、統合患者データベースに、相互接続されたデータオブジェクトのネットワークを介して第1のデータオブジェクトに接続されている腫瘍塊情報に対応する第5のデータオブジェクトを記憶することと、をさらに含む。いくつかの態様では、第2のデータオブジェクトは、原発性がんのステージ、バイオマーカー、および腫瘍サイズから選択される1つまたは複数の属性を含む。
【0015】
いくつかの態様では、本方法は、統合患者データベースから、患者に関連付けられたデータ要素およびデータタイプを識別することと、データ要素およびデータタイプを構造化形式で外部システムに送信することと、をさらに含む。いくつかの態様では、本方法は、第1のデータオブジェクトおよび第2のデータオブジェクトのそれぞれを生成すると、第1のデータオブジェクトの作成時刻を示す第1のデータオブジェクトに関連付けられて記憶された第1のタイムスタンプと、第2のデータオブジェクトの作成時刻を示す第2のデータオブジェクトに関連付けられて記憶された第2のタイムスタンプとを生成することをさらに含む。
【0016】
いくつかの態様では、本方法は、外部データベースから医療データをインポートすることによって統合患者データベースを更新することと、インポートされた医療データをパースして、患者および原発性がんに関連付けられた特定のデータ要素を識別することと、特定のデータ要素を第1のデータオブジェクトに関連付けて第6のデータオブジェクトに記憶することと、をさらに含む。
【0017】
いくつかの態様では、外部データベースは、EMR(電子医療レコード)システム、PACS(画像保管通信システム)、デジタル病理(DP)システム、LIS(検査室情報システム)、およびRIS(放射線情報システム)のうちの少なくとも1つに対応する。
【0018】
いくつかの実施形態では、臨床判断を容易にするために医療データを処理する方法は、サーバコンピュータによって、グラフィカルユーザインターフェースを介して、患者を識別する識別データを受信することと、グラフィカルユーザインターフェースの選択可能なモードのセットのうちの1つのモードを選択するユーザ入力を受信することと、識別データおよびユーザ入力に基づいて、統合患者データベースから患者に関連付けられた医療データのセットを読み出すことであって、医療データのセットが選択されたモードに対応する、医療データのセットを読み出すことと、グラフィカルユーザインターフェースを介して、タイムライン内にユーザ選択可能なオブジェクトのセットを表示することであって、オブジェクトが行に編成され、各行が複数のカテゴリのうちの異なるカテゴリに対応し、複数のカテゴリが、病変、診断、および、処置を含む、オブジェクトのセットを表示することと、を実行することを含む。
【0019】
いくつかの態様では、医療データのセットを読み出すことは、統合患者データベースに問い合わせて、統合患者データベースから患者についての患者レコードを識別することであって、患者レコードが、患者オブジェクトを含む、患者レコードを識別することと、患者オブジェクトに接続されたオブジェクトのセットのそれぞれを識別することと、表示のために、識別されたオブジェクトのセットのうちの所定のサブセットを読み出すことと、を含む。
【0020】
いくつかの態様では、医療データのセットは、統合患者データベース内の処置オブジェクトであって、処置オブジェクトが、処置タイプ、日付、および処置に対する反応を記憶する、処置オブジェクトと、統合患者データベース内の診断所見オブジェクトであって、診断所見オブジェクトが、バイオマーカーデータ、病期分類データ、および/または腫瘍サイズデータを記憶する、診断所見オブジェクトと、統合患者データベース内の履歴オブジェクトであって、履歴オブジェクトが、手術歴、アレルギー、および/または家族病歴を記憶する、履歴オブジェクトと、のうちの1つまたは複数に対応する。
【0021】
いくつかの態様では、本方法は、オブジェクトのセットのうちのオブジェクトとのユーザ相互作用を検出することと、統合患者データベースから対応するレポートを識別して読み出すことと、グラフィカルユーザインターフェースを介してレポートを表示することと、をさらに含む。いくつかの態様では、グラフィカルユーザインターフェースは、タイムラインの上に表示されるリボンをさらに備え、リボンは、有意としてフラグが立てられたオブジェクトのサブセットを表示する。
【0022】
いくつかの態様では、グラフィカルユーザインターフェースは、第2のインターフェースビューにナビゲートするための要素をさらに含み、本方法は、第2のインターフェースビューにナビゲートするための要素とのユーザ相互作用を検出することと、腫瘍学的要約データを表示する第2のインターフェースビューに遷移することと、をさらに含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、患者データを管理するための方法は、統合患者データベースに患者レコードを記憶することであって、統合患者データベースが、複数のソースからのデータを含み、患者レコードが、患者の第1の腫瘍塊に対応するデータ要素を記憶する第1の原発性がんデータオブジェクトと、患者の第2の腫瘍塊に対応するデータ要素を記憶する第2の原発性がんデータオブジェクトとを含む複数のデータオブジェクトを含む、患者レコードを記憶することと、統合患者データベース内の前記患者レコード内の患者データを要約する情報を含む患者要約を含むグラフィカルユーザインターフェースをレンダリングして表示させることと、グラフィカルユーザインターフェースの要素とのユーザ相互作用を検出することと、ユーザ相互作用の検出に応答して、統合患者データベースから、患者レコードの第1の原発性がんデータオブジェクトおよび第2の原発性がんデータオブジェクトからデータ要素を読み出すことと、患者の第1の原発性がんに対応する第1のモーダルと、患者の第2の原発性がんに対応する第2のモーダルとをレンダリングすることと、第1のモーダルおよび第2のモーダルをグラフィカルユーザインターフェースに並べて表示させることと、を含む。
【0024】
いくつかの態様では、各モーダルは、タイムスタンプ、病期分類情報、および転移部位情報を有するバイオマーカーのセットを表示する。いくつかの態様では、複数のソースは、EMR(電子医療レコード)システム、PACS(画像保管通信システム)、デジタル病理(DP)システム、LIS(検査室情報システム)、RIS(放射線情報システム)、患者レポート転帰、ウェアラブルデバイス、またはソーシャルメディアウェブサイトのうちの2つ以上を含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、臨床判断を容易にするために医療データを処理する方法は、ポータルを介して、複数のデータカテゴリに関連付けられた患者の入力医療データを受信することであって、複数のデータカテゴリが、腫瘍学ワークフロー動作に関連付けられている、入力医療データを受信することと、入力された医療データに基づいて患者の構造化医療データを生成することであって、構造化医療データが、腫瘍学ワークフロー動作を支援して診断結果を生成するために生成され、診断結果が、患者ががんを有しないこと、患者が原発性がんを有すること、患者が複数の原発性がんを有すること、または患者が未知の原発部位のがんを有することのうちの1つを含む、構造化医療データを生成することと、診断結果の履歴に基づいて臨床判断を行うことを可能にするために、ポータルを介して、構造化医療データと、ポータルにおける時間に対する患者の診断結果の履歴とを表示することと、を含む。
【0026】
いくつかの態様では、ポータルは、入力医療データを受信し、入力医療データをフィールドにマッピングして構造化医療データを生成するためのデータ入力インターフェースを備え、データ入力インターフェースは、構造化医療データを1つまたは複数のページに編成し、1つまたは複数のページのそれぞれは、特定の原発腫瘍部位に関連付けられている。いくつかの態様では、本方法は、データ入力インターフェースを介して、第1の原発腫瘍部位に関連付けられたデータ入力インターフェースの第1のページに入力された医療データの第1のサブセットが第2の原発腫瘍部位に属するという第1の指示を受信することと、第1の指示に基づいて、第2の原発腫瘍部位の第2のページを作成することと、第2のページに医療データの第1のサブセットを入力することと、をさらに含む。
【0027】
いくつかの態様では、本方法は、データ入力インターフェースを介して、第1のページに入力された医療データの第2のサブセットが第2の原発腫瘍部位の転移に関連するという第2の指示を受信することと、第2の指示に基づいて、第2のページに医療データの第2のサブセットを入力することと、をさらに含む。いくつかの態様では、本方法は、統合患者データベースから文書ファイルをインポートすることと、文書ファイルに含まれるテキストに対する自然言語処理(NLP)操作またはルールベースの抽出操作のうちの少なくとも1つに基づいて、文書ファイルから入力医療データを抽出することと、をさらに含む。
【0028】
いくつかの態様では、本方法は、ポータルの文書ブラウザに文書ファイルを表示することと、入力された医療データが抽出された文書ファイルの1つまたは複数の部分を強調表示することと、をさらに含む。いくつかの態様では、本方法は、文書ブラウザの隣に1つまたは複数のデータフィールドを表示することと、1つまたは複数のデータフィールドのサブセットと文書ファイルの強調表示された1つまたは複数の部分との間の対応関係を示すために、1つまたは複数のデータフィールドのサブセットに、文書ファイルの強調表示された1つまたは複数の部分から抽出される入力医療データが入力されるべきであるという指示を表示することと、をさらに含む。
【0029】
いくつかの態様では、指示は、1つまたは複数のデータフィールドのサブセットを強調することと、文書ファイルの強調表示された1つまたは複数の部分の上のハイライトマーキングを囲むこととを含む。いくつかの態様では、指示は、ポータルを介したユーザからの入力の受信に基づいて表示される。いくつかの態様では、強調表示された1つまたは複数の部分は、ポータルを介したユーザからの入力の検出に基づいて決定される。いくつかの態様では、強調表示された1つまたは複数の部分は、自然言語処理(NLP)操作またはルールベース抽出操作のうちの少なくとも1つに基づいて決定される。
【0030】
いくつかの態様では、本方法は、抽出された入力医療データの1つまたは複数の医療データカテゴリを決定することと、構造化データリスト(SDL)に基づいて、構造化医療データ内の1つまたは複数のフィールドと1つまたは複数の医療データカテゴリとの間のマッピングを決定することと、マッピングに基づいて、1つまたは複数のフィールドに抽出された入力医療データを入力することと、をさらに含む。
【0031】
いくつかの態様では、マッピングは、入力医療データを標準化された値にマッピングすることを含む。いくつかの態様では、入力医療データは、EMR(電子医療レコード)システム、PACS(画像保管通信システム)、デジタル病理(DP)システム、LIS(検査情報システム)、RIS(放射線情報システム)、患者レポート転帰、ウェアラブルデバイス、またはソーシャルメディアウェブサイトのうちの少なくとも1つを含む1つまたは複数のソースから受信される。
【0032】
本発明のこれらおよび他の実施形態は、以下に詳細に記載される。例えば、他の実施形態は、本明細書に記載の方法に関連付けられたシステム、デバイス、コンピュータ製品、およびコンピュータ可読媒体に関する。
【0033】
本発明の実施形態の特性および利点の良好な理解は、以下の詳細な説明および添付の図面を参照して得られ得る。
【図面の簡単な説明】
【0034】
詳細な説明は、添付の図面を参照して説明される。
【0035】
【
図1】本開示の例によって改善されるべき従来の臨床的意思決定プロセスを示している。
【
図2】本開示の特定の態様にかかる、臨床判断を容易にするための医療データ処理システムを示している。
【
図3A】本開示の特定の態様にかかる、
図2の医療データ処理システムのデータ入力インターフェースの例を示している。
【
図3B】本開示の特定の態様にかかる、
図2の医療データ処理システムのデータ入力インターフェースの例を示している。
【
図3C】本開示の特定の態様にかかる、
図2の医療データ処理システムのデータ入力インターフェースの例を示している。
【
図3D】本開示の特定の態様にかかる、
図2の医療データ処理システムのデータ入力インターフェースの例を示している。
【
図3E】本開示の特定の態様にかかる、
図2の医療データ処理システムのデータ入力インターフェースの例を示している。
【
図3F】本開示の特定の態様にかかる、
図2の医療データ処理システムのデータ入力インターフェースの例を示している。
【
図3G-1】本開示の特定の態様にかかる、
図2の医療データ処理システムのデータ入力インターフェースの例を示している。
【
図3G-2】本開示の特定の態様にかかる、
図2の医療データ処理システムのデータ入力インターフェースの例を示している。
【
図3H-1】本開示の特定の態様にかかる、
図2の医療データ処理システムのデータ入力インターフェースの例を示している。
【
図3H-2】本開示の特定の態様にかかる、
図2の医療データ処理システムのデータ入力インターフェースの例を示している。
【
図4A】本開示の特定の態様にかかる、
図2の医療データ処理システムのデータ要約インターフェースの例を示している。
【
図4B】本開示の特定の態様にかかる、
図2の医療データ処理システムのデータ要約インターフェースの例を示している。
【
図4C】本開示の特定の態様にかかる、
図2の医療データ処理システムのデータ要約インターフェースの例を示している。
【
図6A】本開示の特定の態様にかかる、
図2の医療データ処理システムのデータ抽出インターフェースおよび動作の追加の例を示している。
【
図6B】本開示の特定の態様にかかる、
図2の医療データ処理システムのデータ抽出インターフェースおよび動作の追加の例を示している。
【
図6C】本開示の特定の態様にかかる、
図2の医療データ処理システムのデータ抽出インターフェースおよび動作の追加の例を示している。
【
図6D-1】本開示の特定の態様にかかる、
図2の医療データ処理システムのデータ抽出インターフェースおよび動作の追加の例を示している。
【
図6D-2】本開示の特定の態様にかかる、
図2の医療データ処理システムのデータ抽出インターフェースおよび動作の追加の例を示している。
【
図7A】本開示の特定の態様にかかる、
図2の医療データ処理システムのデータ調整インターフェースおよび動作の例を示している。
【
図7B】本開示の特定の態様にかかる、
図2の医療データ処理システムのデータ調整インターフェースおよび動作の例を示している。
【
図8A】本開示の特定の態様にかかる、患者の医療データへのアクセスを改善するポータル要約ビューの例を示している。
【
図8B】本開示の特定の態様にかかる、患者の医療データへのアクセスを改善するポータル要約ビューの例を示している。
【
図8C】本開示の特定の態様にかかる、患者の医療データへのアクセスを改善するポータル要約ビューの例を示している。
【
図9A】本開示の特定の態様にかかる、患者の医療データへのアクセスを改善するポータル患者行程ビューの例を示している。
【
図9B】本開示の特定の態様にかかる、患者の医療データへのアクセスを改善するポータル患者行程ビューの例を示している。
【
図9C】本開示の特定の態様にかかる、患者の医療データへのアクセスを改善するポータル患者行程ビューの例を示している。
【
図9D】本開示の特定の態様にかかる、患者の医療データへのアクセスを改善するポータル患者行程ビューの例を示している。
【
図9E】本開示の特定の態様にかかる、患者の医療データへのアクセスを改善するポータル患者行程ビューの例を示している。
【
図10-1】本開示の特定の態様にかかる、患者の医療データへのアクセスを改善するポータルレポートビューの例を示している。
【
図10-2】本開示の特定の態様にかかる、患者の医療データへのアクセスを改善するポータルレポートビューの例を示している。
【
図11】本開示の特定の態様にかかる、患者の医療データへのアクセスを改善するポータルパフォーマンスメトリックビューの例を示している。
【
図12-1】本開示の特定の態様にかかる、患者データについてのデータスキーマの例を示している。
【
図12-2】本開示の特定の態様にかかる、患者データについてのデータスキーマの例を示している。
【
図13-1】本開示の特定の態様にかかる、患者データについてのデータスキーマの別の例を示している。
【
図13-2】本開示の特定の態様にかかる、患者データについてのデータスキーマの別の例を示している。
【
図14A】本開示の特定の態様にかかる、患者データ管理のための例示的な要約ワークフローを示している。
【
図14B】本開示の特定の態様にかかる、患者データ管理のための例示的な要約ワークフローを示している。
【
図14C-1】本開示の特定の態様にかかる、患者データ管理のための例示的な要約ワークフローを示している。
【
図14C-2】本開示の特定の態様にかかる、患者データ管理のための例示的な要約ワークフローを示している。
【
図14D】本開示の特定の態様にかかる、患者データ管理のための例示的な要約ワークフローを示している。
【
図15】本開示の特定の態様にかかる、統合された方式で、異なるソースからの患者データを管理する方法を示している。
【
図16】本開示の特定の態様にかかる、患者データへのアクセスを改善するために患者データを管理する別の方法を示している。
【
図17】本開示の特定の態様にかかる、患者データへのアクセスを改善するためのグラフィカルユーザインターフェースを介して患者データを表示する方法を示している。
【
図18】本開示の特定の態様にかかる、患者データを管理および表示する方法を示している。
【
図19A】本開示の特定の態様にかかる、
図2の医療データ処理システムによって可能にされる腫瘍学ワークフローの例を示している。
【
図19B】本開示の特定の態様にかかる、
図2の医療データ処理システムによって可能にされる腫瘍学ワークフローの例を示している。
【
図20A】本開示の特定の態様にかかる、
図2の医療データ処理システムによって可能にされる腫瘍学ワークフローの別の例を示している。
【
図20B】本開示の特定の態様にかかる、
図2の医療データ処理システムによって可能にされる腫瘍学ワークフローの別の例を示している。
【
図21】本開示の特定の態様にかかる、臨床判断を容易にするために医療データを処理する方法を示している。
【
図22】本明細書に開示された技術を実装するために利用され得る例示的なコンピュータシステムを示している。
【発明を実施するための形態】
【0036】
腫瘍学に関連する臨床判断などの臨床判断を実行するための患者データへの臨床医のアクセスを改善するための技術が記載される。医療データ処理システムは、複数のデータソースから患者の医療データを収集し、医療データを構造化データに変換し、構造化データを、要約形式、長期的ビューレポート形式などの様々な形式で提示することができる。医療データ処理システムはまた、収集された医療データに対して診断動作を支援/実行し、診断の結果を臨床医に提示することができる腫瘍学ワークフローソリューションを支援することができる。腫瘍学ワークフローソリューションは、腫瘍専門医またはその代表者などの臨床医が、処置および経過観察を通じてがんの疑いからがん患者を長期的に管理することを可能にすることができる。例えば、診断および/または処置のための患者行程を表す、腫瘍学における患者データを更新および閲覧するために、データベースおよびデータベースにアクセスするためのグラフィカルユーザインターフェースが提供される。グラフィカルユーザインターフェースは、例えば、腫瘍専門医によって使用されて、患者データを管理し、経時的ながんの進行および処置に対する反応性の明確なビューを得ることができる。
【0037】
いくつかの例では、医療データ処理システムは、データ収集モジュール、データ要約モジュール、強化モジュール、データアクセスモジュール、およびデータ調整モジュールを含む。医療データ収集モジュールは、患者の医療データを受信または読み出すことができる。患者データは、例えば、EMR(電子医療レコード)システム、PACS(画像保管通信システム)、デジタル病理(DP)システム、ゲノムデータを含むLIS(検査情報システム)、RIS(放射線情報システム)、患者レポート転帰、ウェアラブルおよび/またはデジタル技術、ソーシャルメディアなどを含む様々なデータソース(1つまたは複数の医療機関)に由来することができる。
【0038】
データベースシステムは、複数のソースからデータを取り込むことができる。例えば、上述したように、電子医療レコード(EMR)リポジトリ、画像保管通信システム(PACS)などの1つまたは複数の外部データベースからデータが取り込まれ得る。データは、ユーザインターフェース内のフィールドを介して手動で入力されることもできる。取り込まれたデータは、構造化データおよび非構造化データを含むことができる。非構造化データは、PDFファイルなどの非構造化レポートに由来してもよい。非構造化レポートの場合、機械学習(例えば、光学式文字認識(OCR)および/または自然言語処理(NLP))が使用されてフィールドを識別および入力する。複数のソースからデータを取り込み、新たなスキーマ内にデータを記憶するデータベースシステムなどは、統合患者データベースと呼ぶことができる。
【0039】
統合患者データベース内で、データは、グラフ構造に記憶され得、データ要素は、異なる処置、観察などで患者の異なるがんまたは他の症状を接続するようにリンクされる。グラフ構造はまた、異なるがん(例えば、原発および転移)を互いにリンクするために使用され得る。
【0040】
データは、ユーザインターフェースを介して取り込まれ、強化され得る。特に、データ要約のためのインターフェースが提供される。データ要約プロセスでは、情報は、レポートから抽出され、ユーザが確認または編集することができるインターフェースのフィールドを入力して、構造化医療データを生成するために使用され得る。データ強化プロセスでは、抽出された医療データの品質を改善するために強化動作が実行される。強化動作の例は、様々な数値(例えば、体重、腫瘍サイズなど)を正規化すること、患者によって提供された非標準用語を標準化された用語によって置き換えること、データを特徴付けるまたは補足する欠落フィールドを埋めることを含み、これは、カテゴリ、データ標準化フォーマットなどを含むプルダウンメニューを表示することを含み得る。自動的におよび/またはユーザ入力を介して、フィールドが入力または更新される。例えば、ユーザは、インターフェース要素と相互作用して、腫瘍を原発性がん(原発腫瘍とも呼ばれる)または転移として分類することができ、または日付、時間、医師のメモなどの他のフィールドに記入することができる。
【0041】
別のインターフェースビューは、調整プロセスに使用され得る。調整インターフェースビューは、データがデータベースにアップロードされたが、原発性がん、ステージ、または手術のタイプとの関連などの情報がレコードから欠落している場合にトリガされ得る。例えば、調整プロセスでは、腫瘍が1つまたは複数の原発性がんに関連付けられ得、これは、統合患者データベースに更新されたマッピングによって記憶されている腫瘍のデータレコードをトリガし得る。
【0042】
データ取り込み、要約、および調整プロセスの任意の時点で、患者行程を見ることができる。患者行程は、患者の腫瘍学行程および病歴の様々なマルチモーダル要素を時系列で示すタイムラインである。これは、(例えば、転移する、再発する、または繰り返されるにつれて)患者のがんのマイルストンおよびがんの進行を視覚化することを容易にする。患者行程は、タイムライン内のオブジェクトのセットを含む。オブジェクトは、病変、診断、および処置などのカテゴリに対応することができる。各カテゴリは、タイムライン内に行を有することができ、そのカテゴリ内のオブジェクトは、時系列に表示される。各オブジェクトは、ユーザ選択可能とすることができる。オブジェクトとのユーザ相互作用を検出すると、システムは、グラフィカルユーザインターフェースを介して補足情報、レポートなどを読み出しおよび表示し得る。
【0043】
さらに、技術は、臨床医の患者データへのアクセスを改善して、腫瘍学に関連する臨床判断などの臨床判断を実行することができる。いくつかの例では、医療データ処理システムは、複数のデータソースから患者の医療データを収集し、医療データを構造化データに変換し、構造化データを、要約形式、長期的ビューレポート形式などの様々な形式で提示することができる。医療データ処理システムは、臨床医がワークフローの異なる段階で様々な診断を実行することができる腫瘍学ワークフローを支援することができる。医療データ処理システムは、臨床医によるワークフローの異なる段階での診断結果の入力を容易にし、データの後処理を実行することができ、双方とも、臨床医が処置および経過観察を通じてがんの疑いからがん患者を長期的に管理することを可能にする。医療データ処理システムはまた、患者に施されたケアの質を評価するためのケアの質評価ツール、患者の様々な情報(例えば、人口統計情報)と患者の腫瘍情報(例えば、予後または予想される生存)との間の相関関係を決定するための医療研究ツールなどの他の医療用途を支援することができる。本技術は、腫瘍学に限定されず、他のタイプの疾患領域にも適用され得る。
【0044】
いくつかの例では、医療データ収集モジュールはまた、システムへの構造化医療データの入力および表示を可能にするポータルを提供する。構造化医療データは、腫瘍部位、病期分類、病理情報(例えば、生検結果)、診断手順、および原発腫瘍と(例えば、原発腫瘍からの転移に起因する)追加の腫瘍部位の双方のバイオマーカーなど、腫瘍の診断に関連する様々な情報を含むことができる。ポータルは、患者要約の形式で構造化データを表示することができる。ポータルはまた、構造化データの表示をページに編成することができ、各ページは、特定の原発腫瘍部位に関連付けられ、関連付けられた原発腫瘍部位の情報のフィールドを含み、タブによってアクセスされ得る。データ入力インターフェースは、ユーザが手動で医療データを入力することを可能にすることができる。第1の原発腫瘍のページ内の特定のフィールドのユーザ入力(例えば、追加の腫瘍部位の新たな原発腫瘍としての指定)の検出に基づいて、医療データ収集モジュールは、第2の原発腫瘍の追加ページを作成し、第1の原発腫瘍についてのページに入力された追加腫瘍部位情報に基づいて、第2の原発腫瘍についての新たに作成されたページのフィールドを入力することができる。いくつかの例では、医療データ収集モジュールはまた、ユーザが原発腫瘍の診断手順中に見つかった追加の腫瘍塊を選択し、その腫瘤を第2の原発腫瘍と関連付けて転移症例を表すことを可能にする。関連付けの検出に基づいて、医療データ収集モジュールは、追加の腫瘍の全ての診断結果を第1の原発腫瘍ページから第2の原発腫瘍の新たに作成されたページに転送することができる。
【0045】
さらに、ポータルはまた、ユーザが前述のデータソースから文書ファイル(例えば、病理レポート、医師のメモなど)をインポートすることを可能にする。次いで、医療データ要約モジュールは、様々な医療データが文書ファイルから抽出され、患者要約のフィールドを入力して構造化医療データを生成するために使用されるデータ要約動作を実行することができる。いくつかの例では、医療データは、例えば、文書ファイルに含まれるテキストに対して自然言語処理(NLP)操作、ルールベースの抽出操作などを実行することに基づいて抽出され得る。いくつかの例では、医療データはまた、ファイルの日付、文書ファイルのカテゴリ(例えば、臨床医のメモに対する病理レポート)、文書ファイルをオーサリング/サインオフした臨床医、および文書ファイルの内容に関連付けられた処置タイプ(例えば、生検、撮像、または他の診断ステップ)などの文書ファイルのメタデータから抽出されることもできる。次いで、抽出された医療データが使用されて、患者要約の様々なフィールドを自動的に入力することができる。医療データ要約モジュールはまた、ユーザがデータ要約動作の結果を追跡/検証することを可能にするために、構造化医療データが抽出される文書ファイルの部分、ならびに構造化医療データによって入力されるフィールドを強調表示することができる。いくつかの例では、医療データ要約モジュールはまた、ポータルを介して文書ファイルからの構造化医療データの手動抽出を支援することもできる。
【0046】
さらに、強化モジュールは、抽出された医療データの品質を改善するために様々な強化動作を実行することができる。1つの強化動作は、抽出された医療データに含まれる様々な数値(例えば、体重、腫瘍サイズなど)を標準化された単位に正規化するため、データエラーを修正するため、または患者によって提供される非標準用語を、国際疾病分類(ICD)および体系化された医学命名法(SNOMED)などの様々な医療規格/プロトコルに基づく標準化された用語によって置き換えるための正規化動作を含むことができる。次いで、強化された抽出医療データは、患者の構造化医療データ(例えば、構造化腫瘍学データ)の一部として統合患者データベースに記憶され得る。さらに、ポータルがユーザによって手動で入力された医療データを受信する場合、強化モジュールは、ユーザが標準化された医療データを医療データ処理システムに入力することを確実にするために、ユーザによって入力として選択され得る標準化されたデータ(例えば、SNOMED用語)の代替物を含むプルダウンメニューを表示するようにポータルを制御することもできる。
【0047】
医療データ要約モジュールおよび強化モジュールは、抽出および正規化プロセスを改善するように連続的に適合され得る。例えば、データソースからの元の非構造化患者データのいくつかは、特定のデータ要素のマッピングをグラウンドトゥルースとして示すために手動でタグ付けされ得る。例えば、医師のメモ内の一連のテキストは、処置の有害作用のグラウンドトゥルース指示としてタグ付けされ得る。タグ付けされた医師のメモは、例えば、データ要約モジュールのNLPを訓練して、NLPが他のタグ付けされていない医師のメモからの悪影響を示すテキストを抽出することができるようにするために使用され得る。NLPはまた、抽出されたデータの意味的およびコンテキスト的理解に基づいてデータ要素を抽出するために、例えば、共通データモデル、データ辞書、階層データ(すなわち、テキスト間の依存関係)を含む他の訓練データセットによって訓練されることもできる。例えば、自然言語プロセッサが訓練されて、がんレジストリのデータ要素に対する標準化されたデータ候補のセットから、最も近い意味を有する候補を抽出データとして選択することができる。さらに、数値データなどの抽出されたデータのいくつかは、処理の一部として1つまたは複数のデータ正規化規則との整合性のために更新または検証されることもできる。
【0048】
さらに、腫瘍学ワークフローモジュールは、医療データ収集モジュールによって提供された構造化医療データに基づいて診断動作を実行/支援することができる。一例では、診断動作が実行されて、生検結果が同じ原発腫瘍に対するものであるか、または異なる腫瘍に対するものであることを確認し、特定の処置に対する腫瘍の反応を評価するために原発腫瘍のサイズを追跡することができる。別の例では、診断動作が実行されて、患者が単一の原発腫瘍部位、複数の原発腫瘍部位、または未知の原発部位を有するかどうかを決定することができる。次いで、診断動作の結果は、患者の医療行程の一部としてポータル内で時間に関して記録および/または表示されて、腫瘍専門医またはその代表者が処置および経過観察を通じてがんの疑いからがん患者を長期的に管理することを可能にすることができる。診断結果はまた、患者に施されたケアの質を評価するためのケアの質評価ツール、患者の様々な情報(例えば、人口統計情報)と患者の腫瘍情報(例えば、予後または予想される生存)との間の相関関係を決定するための医療研究ツールなどの他の医療用途を支援するために使用されることもできる。
【0049】
開示された技術は、患者要約を生成し、データをポータルに表示するために医療データの集約および抽出を可能にする。関連する全ての医療データをポータルに提供し、腫瘍部位にしたがってデータを編成することにより、臨床医による医療データへのアクセスが大幅に改善され得、臨床医の意思決定および患者へのケアの管理を容易にすることができる。さらに、腫瘍学ワークフローの一部として、臨床医の診断の一部を模倣する自動診断動作を実行することができ、これは、臨床医の作業負荷を低減することができる。さらに、生の医療データではなく診断結果を患者行程の一部としてポータルに表示することは、臨床医が患者の医療状態をより良好に視覚化することができる。これは、腫瘍専門医またはその代表者が、処置および経過観察を通じてがんの疑いからがん患者を長期的に管理することを可能にする。これらの全ての態様は、患者に提供されるケアの質を改善することができる。
I.臨床的意思決定
【0050】
図1は、従来の臨床医師決定プロセスを示すチャート100である。
図1に示すように、臨床医102は、臨床判断110を生成するために、構造化医療データ106および非構造化医療データ108を含むことができる患者の医療データ104を取得することができる。構造化医療データ106は、例えば、患者の人口統計情報(年齢、性別など)、様々な標準化コードである国際疾患分類(ICD)、診断関連グループ(DRG)、現在の処置用語(CPT)およびSNOMEDコードに関して記載された診断結果、投薬歴(例えば、解剖治療用化学物質(ATC))、臨床化学および免疫化学の結果などを含む様々なカテゴリのデータを含むことができる。さらに、非構造化医療データ108は、例えば、病理レポート、放射線レポート、シーケンシング検査室レポート、手術レポート、入院レポート、退院レポート、医師のメモなどの様々な医療レポートを含む様々なカテゴリのデータを含むことができる。臨床判断110は、例えば、投薬、理学療法(例えば、放射線)、および患者に投与される手術を含み得る。医療データ104は、典型的には、EMR(電子医療レコード)システム、PACS(画像保管通信システム)、デジタル病理(DP)システム、およびLIS(検査室情報システム)などの異なるデータソースに記憶される。
【0051】
臨床医102は、決定を下すために医療データ104に列挙されたデータのありとあらゆるカテゴリにアクセスする必要があり得る。例えば、臨床医102は、腫瘍に関する情報を取得するために病理レポートおよび手術レポートにアクセスする必要があり得る。臨床医102はまた、腫瘍が限局性であるかまたはキャンセル細胞が広がっているかを決定するために放射線医学レポートにアクセスし、バイオマーカー情報を取得するためにシーケンシング検査室レポートにアクセスする必要があり得る。臨床医102はまた、例えば、別の臨床医による患者の処置歴に関する情報を取得するために、医師のメモにアクセスする必要があり得る。これらのデータは、全て、患者の処置を決定する上で重要である。例えば、放射線医学のレポートに基づいて、臨床医は、腫瘍が限局性であると決定することができ、特定の理学療法(例えば、放射線療法)が投与されて限局性腫瘍を標的とすることができる。さらに、特定のバイオマーカーの存在に基づいて、特定の薬剤が投与されて部位を標的化することができる。
【0052】
臨床医102は、臨床判断を行うために大規模で多様な医療データのセットにアクセスすることができるが、異なるデータソースからの医療データの調達は、非常に手間がかかる可能性がある。構造化されて標準化された医療データの欠如はまた、調達を困難にする。例えば、臨床医102は、探している情報を取得するために、多数の医療レポートを読み、解釈する必要がある。臨床医102はまた、レポートを適切に解釈するために、レポートを書く際に医師の習慣を考慮する必要があり得る。これらは、全て、面倒であるだけでなく、間違いを起こしやすく、臨床医が患者に高品質のケアを決定および投与する能力に影響を及ぼす。
II.医療データ処理システム
【0053】
図2は、上記の問題の少なくともいくつかに対処することができる医療データ処理システム200の例を示している。医療データ処理システム200は、患者の医療データ242を収集し、医療データ242を構造化患者データ202に変換することができる。医療データ処理システム200はまた、構造化患者データ202を統合患者データベース204に記憶することもできる。統合患者データベース204は、様々なソースから読み出されたデータを統合的に記憶することができる。データは、1つまたは複数の患者データソース240に由来し得る。患者データソース240は、電子医療レコード(EMR)リポジトリ、画像保管通信システム(PACS)、デジタル病理(DP)システム、ゲノムデータを含むLIS(検査情報システム)、RIS(放射線情報システム)、患者レポート転帰、ウェアラブルおよび/またはデジタル技術、ソーシャルメディアなどの、1つまたは複数の外部データベースまたは他のソースを含み得る。統合患者データベース204に記憶されたデータは、PDFまたはスキャンされた文書の画像などの非構造化データ、ならびにポータル220を介して医療データ処理システム200に直接入力された情報を含み得る。統合患者データベース204は、それぞれが特定の患者に対応する複数のレコードを記憶することができる。各患者レコードは、相互接続されたデータオブジェクトのネットワークを含むことができる。統合患者データベース204において使用するためのデータスキーマは、
図12および
図13に関して以下にさらに詳細に説明される。
【0054】
医療データが腫瘍学を対象とする場合、構造化患者データ202は、患者経歴情報212、腫瘍診断情報214、処置歴216、およびバイオマーカー218などの様々なデータカテゴリを含むことができる。腫瘍診断情報214は、腫瘍部位214a、病期分類214b、病理情報214c(例えば、生検結果)、および診断手順214dなどの特定のデータカテゴリ内の様々なデータサブカテゴリまたはデータタイプをさらに含むことができる。医療データ処理システム200は、ポータル220をさらに含み、ポータルは、
図3A~
図11に示すように、要約形式、長期的ビューレポート形式などの様々な形式で構造化データを提示することができる。いくつかの実装では、ポータル220は、医療データ処理システム200とは別個のコンピューティングデバイスの表示構成要素に表示される。例えば、診断コンピュータ(図示せず)は、ポータル220を表示し、医療データ242などのユーザ入力を受信する。
【0055】
さらに、医療データ処理システム200は、腫瘍学ワークフローアプリケーション222を支援することができる。腫瘍学ワークフローアプリケーション222は、腫瘍学ワークフローを支援するために医療データ処理システム200によって収集されるべきデータを決定することができる。さらに、後述するように、腫瘍学ワークフローアプリケーション222は、収集された医療データに対して分析を実行(または支援)し、分析結果224を生成することができる。分析は、構造化患者データ202に基づいて、例えば、患者が単一の腫瘍を有するかまたは複数の腫瘍を有するかどうか、患者が転移を有するかどうかなど、患者の腫瘍状態を決定することを含むことができる。分析結果は、患者について新たなデータ(例えば、新たな診断結果、新たな生検結果など)が追加されるたびに更新され得る。いくつかの実装では、腫瘍学ワークフローアプリケーション222は、診断コンピュータ上で実行される。
【0056】
ポータル220に提示される分析結果は、腫瘍専門医またはその代表者などの臨床医が、処置および経過観察を通じてがんの疑いからがん患者を長期的に管理することを可能にすることができる。次いで、診断動作の結果は、患者の医療行程の一部としてポータル内で時間に関して記録および/または表示され得る。ポータル220は、腫瘍専門医またはその代表者が、処置および経過観察を通じてがんの疑いからがん患者を長期的に管理することを可能にすることができる。分析結果はまた、患者に施されたケアの質を評価するためのケアの質評価ツール、患者の様々な情報(例えば、人口統計情報)と患者の腫瘍情報(例えば、予後または予想される生存)との間の相関を決定するための医療研究ツールなどの他の医療用途を支援するために使用されることもできる。医療データ処理システム200は、構造化患者データ202、ならびに分析結果224を統合患者データベース204に記憶することができ、そこから構造化データおよび分析結果は、他の医療用途によってアクセスされ得る。
【0057】
示されるように、医療データ処理システム200は、ポータル220、データ収集モジュール230、データ要約モジュール232、強化モジュール234、およびデータアクセスモジュール236を含む。データ収集モジュール230は、ポータル220のデータ入力インターフェースを介してユーザから医療データ242を受信することができ、ユーザは、データを様々なフィールドに入力することができ、構造化患者データ202は、フィールドと入力されたデータとの間のマッピングを介して作成され得る。
【0058】
さらに、データ収集モジュール230は、ポータル220から直接医療データ242を受信することもでき、これは、ユーザが患者データソース240から文書ファイル244(例えば、病理レポート、医師のメモなど)をインポートすることを可能にする文書要約インターフェースを提供することができる。文書ファイル244から、データ要約モジュール232は、要約動作を実行することができ、データ要約モジュール232は、文書ファイルから医療データを抽出し、抽出されたデータを様々なデータカテゴリにマッピングする。マッピングは、腫瘍学ワークフローアプリケーション222を支援するための文書ファイル244の文書タイプについてのデータカテゴリのリストを定義するマスタ構造化データリスト(SDL)246に基づくことができる。(1つまたは複数の医療機関における)患者データソース240は、例えば、EMR(電子医療レコード)システム、PACS(画像保管通信システム)、デジタル病理(DP)システム、ゲノムデータを含むLIS(検査情報システム)、RIS(放射線情報システム)、患者レポートの結果、ウェアラブルおよび/またはデジタル技術、ソーシャルメディアなどを含むことができる。要約動作の後、ユーザは、文書から抽出されたデータを編集および/または確認することができる。
【0059】
さらに、強化モジュール234は、正規化動作を実行するなど、抽出された医療データの品質を改善するために様々な強化動作を実行することができる。正規化動作は、例えば、抽出された医療データに含まれる様々な数値(例えば、体重、腫瘍サイズなど)を標準化された単位に正規化し、データエラーを補正し、または患者によって提供される非標準的な用語を、国際疾病分類(ICD)および体系化された医学命名法(SNOMED)などの様々な医療規格/プロトコルに基づく標準化された用語によって置き換えるために実行され得る。以下に記載されるように、強化モジュール234は、データ収集モジュール230および/またはデータ要約モジュール232から受信したデータに対して正規化動作を実行することができる。次いで、強化された抽出医療データは、患者の構造化患者データ202(例えば、構造化腫瘍学データ)の一部として統合患者データベース204に記憶され得る。強化モジュール234はまた、ポータル220とともに動作して、ユーザが標準化医療データを医療データ処理システムに入力することを確実にするために、ユーザによって入力として選択され得る標準化データの代替物を含むプルダウンメニューなどのインターフェース要素を提供することができる。
【0060】
データアクセスモジュール236は、データ収集モジュール230およびデータ要約モジュール232から受信したデータの一時記憶装置を提供し、ポータル220を介してユーザによってデータに対して行われた編集に基づいて一時記憶装置内のデータを更新することができる。データアクセスモジュール236は、データが最終決定され、統合患者データベース204に解放されて戻され得ることの確認をユーザからポータル220を介して受信した後、データを構造化患者データ202として統合患者データベース204に解放することができる。さらに、データアクセスモジュール236は、一時記憶装置内のデータへのアクセスを腫瘍学ワークフローアプリケーション222などの様々なアプリケーションに提供することができる。これは、ワークフローアプリケーションを支援するデータ収集モジュール230およびデータ要約モジュール232において、データ入力およびデータ要約動作を追跡および管理するための情報をユーザに提供することができる。
【0061】
データ調整モジュール238は、患者データを適切に記憶および表示するために必要な情報が欠落している統合患者データベース204内のデータ要素を識別することができる。例えば、特定のがん腫瘤のデータレコードが原発性がん部位に関連付けられていない場合、このがん腫瘤に調整のためのフラグが立てられ得る。データ調整モジュール238は、ユーザに必要な情報(例えば、がん腫瘤を原発性がんと関連付けるために、例えば、新たな原発性がんとして、または別の原発性がんの転移として)の入力を促すUI要素を提供することができる。データ調整モジュール238は、ユーザ入力を読み出し、がん腫瘤のデータレコードを修正して、がん腫瘤をUIへのユーザ入力を介して識別された原発性がんと関連付けることができる。
III.例示的なインターフェース
【0062】
図3A~
図11は、患者データを表示し、臨床的意思決定のための患者データの取り込みおよび編成を容易にするために使用され得る様々なインターフェースを示している。
図3A~
図7Bのデータ入力インターフェースは、統合患者データベースに記憶されるデータをインポートおよび編成するために使用され得る。
図8A~
図11のビューインターフェースは、臨床的意思決定に使用するために統合患者データベースからデータを読出しおよび表示するために使用され得る。
A.データ入力インターフェース
【0063】
【0064】
図3Aに示すように、ポータル220は、腫瘍学ワークフローアプリケーション222を支援するためにデータを入力するためのデータ入力インターフェース300を提供することができる。データ入力インターフェース300は、手動でデータを入力し、および/または自動的に抽出されたデータを承認または編集するようにユーザを案内することができる。ポータル220のデータ入力インターフェース300を介して受信したデータは、
図12および
図13に関して以下に記載されるようなデータスキーマを使用して、統合患者データベース204に適切な方法でデータ入力インターフェース300のフィールド308に基づいて記憶され得る。次いで、統合患者データベース204からのデータは、
図9A~
図9Eに示すように、経時的な患者データの長期的ビューレポートを示す患者行程ビューなどのさらなるインターフェースビューを表示するために読み出され得る。
【0065】
データ入力インターフェース300は、腫瘍部位についてのフィールド302、病期分類についてのフィールド304、病理情報(例えば、生検結果)についてのフィールド306、診断手順についてのフィールド308、およびバイオマーカーについてのフィールド310など、腫瘍の診断に関連する様々な情報のための様々なフィールドを含む。フィールド302~310は、特定の腫瘍部位についての患者要約ページ311を形成することができる。患者要約ページ311に加えて、データ入力インターフェース300は、患者レポート312、患者が受けた一連の腫瘍学的処置に関する腫瘍学的処置情報314、患者が受けた現在の投薬に関する現在の投薬情報316、および患者の様々な履歴(例えば、病歴、手術歴、家族歴、社会歴、および物質使用歴)に関する患者履歴情報318などの他の情報のためのフィールドを含むことができる。データ入力インターフェース300は、患者データの異なるモダリティを集約し、次いでデータを構造化患者データ202に変換するためのインターフェースを提供する。データ入力インターフェース300に提供されるフィールドおよび様々なオプションは、腫瘍学ワークフローアプリケーション222に基づいて定義され得る。
【0066】
患者要約ページ311、患者レポート312、腫瘍学的処置情報314、現在の投薬情報316、および患者履歴情報318のそれぞれは、公開ボタンをさらに含む。例えば、患者要約ページ311は、公開ボタン319を含む。上述したように、データ入力インターフェース300が様々なフィールドに入力されたデータを受信すると、データアクセスモジュール236は、データを一時記憶装置に記憶し、統合患者データベース204からデータを保留することができる。公開ボタン319の起動は、データを構造化患者データ202として統合患者データベース204に送信するようにデータアクセスモジュール236に促すことができる。
【0067】
データ入力インターフェース300は、データの手動入力、および文書ファイルからの要約を含む、ほとんどのフィールドのデータを入力するための様々な方法を提供することができる。例えば、腫瘍学的処置情報314の分野では、リンク315aおよびリンク315bが設けられ得る。リンク315aの起動は、(例えば、
図4A~
図6Dに関して以下に記載されるように)データ要約ポータルの表示をもたらし、文書フィールドから腫瘍学的処置情報のデータを抽出することができ、リンク315bの起動は、テキストボックスおよび/またはプルダウンメニューの表示をもたらし、
図3B~
図3Fを参照して記載されたように、ユーザが手動で腫瘍学的処置情報のデータを入力することを可能にすることができる。
2.要約ページの動作
【0068】
図3B~
図3Fは、ユーザによって手動で入力されたデータを受信する際の患者要約ページ311の動作の例を示している。
図3Bの動作320を参照すると、原発腫瘍領域302は、入力テキスト「肺の右上葉」(例えば、位置)を受信することができるが、診断はまだ確認されておらず、まだ保留中であり、「診断保留中」フラグ321がアサートされる。患者要約ページ311のタイトルは、「無名原発」のままである。さらに、診断手順フィールド308は、陽電子放出断層撮影-コンピュータ断層撮影(PET-CT)が診断手順の一部として実行され、肺新生物および肝転移と一致する腫瘤が見出されることを示す入力テキストを受信することができる。入力テキストは、肺および肝臓に見られる腫瘤のサイズをさらに示す。動作322において、原発腫瘍領域302において、「診断保留中」フラグ321がアサート停止されて、肺の右上葉の腫瘤が原発腫瘍であることを確認する。さらに、病変フィールド306には、付加情報が入力される。そのような指定は、医療データ処理システム200によってインポートされ、インターフェースを介して確立された構造化フィールドにしたがって統合患者データベース204に記憶され得る。
【0069】
図3Cの動作324を参照すると、「診断保留中」フラグがアサート停止されていることを検出した後、データ入力インターフェース300は、患者要約ページ311のタイトルを「無名原発」から「肺の右上葉」に変更して、フィールド302~310内の情報が肺の右上葉の腫瘍に属することを反映することができる。さらに、
図3Cの動作326を参照すると、追加アイコン325が起動されたことを検出すると、データ入力インターフェース300は、ユーザが新たな診断手順に関する情報を入力するための追加のフィールドセットを表示することができる。情報は、例えば、新たな診断処置の日付、処置の名称、および所見を含み得る。さらに、プルダウンメニュー332が提供されて、フィールド334の新たな診断手順で見つかった腫瘍塊の部位を選択する。プルダウンメニュー332に列挙された候補は、標準化された用語のみがフィールド334に入力されるように、強化モジュール234によって標準化された用語として提供され得る。
図3Cに示すように、動作326において、新たな診断手順の結果として追加の腫瘍塊(上行結腸腫瘤)が追加される。
【0070】
図3D、
図3Eおよび
図3Fは、ページ311(肺の右上葉の原発腫瘍について)にデータが入力された後に第2の原発腫瘍の新たなページを作成するための動作の例を示している。
図3Dを参照すると、動作340において、データ入力インターフェース300は、新たな診断手順に列挙された追加の腫瘍塊が選択されたことを検出すると、プルダウンメニュー342を提供することができる。プルダウンメニュー342は、ユーザが新たに追加された腫瘍塊(上行結腸塊)を新たな原発腫瘍として指定することを可能にするオプション344を含む。
図3Eを参照すると、動作350において、結腸内の新たに追加された腫瘍部位を新たな原発腫瘍として指定する選択を検出すると、データ入力インターフェース300は、肺の右上葉の原発腫瘍のページ311に加えて、上行結腸の原発腫瘍の新たなページ352を作成することができる。強化モジュール234はまた、上行結腸に対する補足として、ページ352の原発腫瘍部位情報に標準化された用語「腺がん」を追加することもできる。さらに、ページ352のフィールド302~310には、
図3Cの動作326において再度追加された新たな診断手順など、ページ311からの情報が入力される。動作340の結果として、データ収集モジュール230は、患者の構造化患者データ202の一部として、肺の右上葉の原発腫瘍部位の第1のデータ構造および上行結腸の原発腫瘍部位の第2のデータ構造を作成することができ、各データ構造は、腫瘍診断情報、処置歴、およびバイオマーカーのセットを含む。
【0071】
第2の原発腫瘍部位(上行結腸)のページ352を作成した後、ページ311(肺の右上葉の原発腫瘍)の特定の診断結果が第2の原発腫瘍部位とリンクされ得る。例えば、
図3Fを参照すると、ページ311の診断結果は、肺の右上葉におけるさらなる腫瘍塊の情報360を含む。動作362において、データ入力インターフェース300は、情報360の選択を検出し、追加の腫瘍塊を第2の原発腫瘍部位の上行結腸と関連付けるオプション366を含むメニュー364を出力することができる。オプション366の選択を検出すると、データ収集モジュール230は、肺の右上葉の追加の腫瘍塊が上行結腸の第2の原発腫瘍部位での転移の結果であることを示すために、情報360を第2の原発腫瘍部位の352ページに移動させることができる。
3.医療データの様々なカテゴリの追加
【0072】
図3Gは、ポータル220の患者要約ビュー370を示している。患者要約ビュー370は、患者のデータを表示および変更するためのグラフィカルユーザインターフェースのビューである。患者要約ビュー370は、追加ボタン372を含む。追加ボタン372とのユーザ相互作用の検出に応答して、データ追加モーダル374が表示される。追加データモーダル374は、他のページコンテンツの前に表示するウェブページ要素とすることができる。追加データモーダル374は、表示されている間、追加データモーダル374の外側のページコンテンツを非アクティブ化し得る。追加データモーダル374は、データが入力および記憶され得るデータタイプおよびデータカテゴリのリストを含む。
図3Gに示されるデータタイプおよびデータカテゴリは、アレルゲン、バイオマーカー、環境リスク、家族歴、現在の病気の履歴、病歴、投薬、転移部位、腫瘍学的処置、放射線、手術、全身性抗新生物375、腫瘍学的要約、パフォーマンスステータス、原発性がん、社会歴、病期分類、物質使用歴、および手術歴を含む。データカテゴリは、そのデータカテゴリ内のデータタイプを含み得る。例えば、放射線、手術、および全身性抗新生物374は、この例では腫瘍学的処置のデータカテゴリ内のデータタイプである。追加データモーダル374に示されるデータタイプおよびデータカテゴリは、統合患者データベース内のマップ構造に記憶されたデータオブジェクトに対応し得て、データタイプおよびデータカテゴリは、対応するデータ要素をラベル付けして編成する。例えば、データオブジェクトは、
図12に示すように、腫瘍塊データオブジェクト1202、診断所見データオブジェクト1205、処置データオブジェクト1208、および履歴データオブジェクト1210を含む関連データオブジェクトにマッピングされた患者ルートデータオブジェクト1201を含むことができる。このデータスキーマは、患者要約ビューの表示を容易にし、以下のセクションIVにおいてさらに記載されるように、患者要約ビューを介して入力された情報が使用されて、統合患者データベース内のデータを変更することができる。
【0073】
これらのデータタイプおよびデータカテゴリのそれぞれは、構成されたデータフィールドの異なるセットに対応することができる。表示されたデータタイプまたはデータカテゴリのいずれかとのユーザ相互作用に応答して、ポータル220は、
図3Hに示すように、選択されたデータタイプに対応するデータフィールドを含むデータ入力ビュー380に遷移することができる。
図3Gに示すように、カーソル376は、表示されたデータタイプ全身性抗新生物375とのユーザ相互作用を示す。ホバリングすると、全身性抗新生物375が強調表示される。全身性抗新生物375のクリックは、インターフェースを、全身性抗新生物375に対応するデータフィールドを含むデータ入力ビュー380に遷移させる。
【0074】
図3Hは、いくつかの実施形態にかかるポータル220のデータ入力ビュー380を示している。データ入力ビュー380は、ポータル220を介して患者の医療データを受信するために使用され得る。データは、
図12に示すように、(例えば、インターフェースに入力されると)構成されたデータタイプに基づいてデータ要素を互いにマッピングするデータグラフに編成され得る患者レコード内の統合患者データベースに記憶される。メニュー382は、各フィールドに対応する情報を手動で提供するためにユーザ入力を受け入れることができるフィールドのセットを含む。これらのフィールドは、処置のタイプ、原発性がん、状態、または転帰が選択され得るドロップダウンメニューと、サイクル数、開始日、終了日、責任者、および追加のメモなどの入力されたユーザ入力を受け入れるように構成されたフィールドとの双方を含むことができる。保存ボタン384とのユーザ相互作用の検出に応答して、システムは、フィールドに入力されたデータを保存する。例えば、各フィールドに入力されたデータ要素は、そのフィールドに対応するデータタイプに基づいて編成された統合患者データベース204に保存され得る。
B.非構造化レポートからのデータ取り込みを管理するためのインターフェース
【0075】
図4A~
図6Dは、非構造化レポートからのデータを管理するためのインターフェースの例を示している。
図4A~
図4Cは、レポートファイルから情報をインポートするための文書要約インターフェースの例を示している。
図5A~
図5Dは、要約インターフェースを使用してレポートからデータを抽出するための動作の例を示している。
図6A~
図6Dは、レポートからフィールドを抽出するためのインターフェースの異なる例を示している。
1.レポートファイルからのデータの抽出
【0076】
データの手動入力に加えて、ポータル220はまた、ユーザが患者データソース240から文書ファイル244(例えば、病理レポート、医師のメモなど)をインポートすることを可能にし、データ要約モジュール232は、文書ファイルから様々な構造化医療データを抽出することができる。
図4A、
図4B、
図4Cは、ポータル220の一部とすることができる文書要約インターフェース400の例を示している。
【0077】
図4Aは、文書から抽出されたデータを確認または更新するようにユーザを案内するために使用され得る文書要約インターフェース400を示している。
図4Aに示すように、文書要約インターフェース400は、文書ディレクトリ402、文書ブラウザ404、および抽出された医療データセクション406を含む。文書ディレクトリ402は、医療データ抽出および要約動作を実行するために選択されるべき文書(または選択された文書)を表すアイコン407を含む、選択可能なアイコンのリストを示すことができる。さらに、文書ブラウザ404は、選択された文書を表示することができる。後述するように、文書要約インターフェース400は、文書ブラウザ404から医療データが抽出された文書の部分を強調表示することができ、これは、ユーザが、抽出された医療データのソースを追跡することを可能にする。抽出された医療データセクション406は、レポートページ408および結果ページ410を含むことができる。レポートページ408は、例えば、文書名408a、レポートの日付408b、および文書タイプ408cを含む、選択された文書から抽出されたメタデータのリストを含むことができる。結果ページ410は、選択された文書から抽出されるか、またはユーザによって入力されるデータのカテゴリのセットに対応するフィールドのセットを含む。いくつかの例では、結果ページ410は、
図3A~
図3Hに記載された患者要約の一部とすることができる。
【0078】
上述したように、結果ページ410に含まれるフィールドのセットは、マスタ構造化データリスト(SDL)246に基づいて定義され得、データ要約モジュール232は、文書タイプ408cに基づいて選択することができる。
図4Bおよび
図4Cは、異なる文書カテゴリに対して抽出されるデータのカテゴリの例を示している。
図4Bは、がんの診断に関する情報を提供する病理レポートの例示的な結果ページ411を示している。
図4Bに示すように、診断情報412、病期分類情報414、および追加のメモ416を含む病理レポートから様々なカテゴリのデータが抽出され得る。さらに、診断情報412は、例えば、腫瘍部位情報412a、組織学的タイプ412b、組織学的悪性度412c、バイオマーカー情報412dなどの様々なフィールドを含むことができるが、病期分類情報414は、腫瘍のステージを記述する様々なフィールドを含むことができる。さらに、
図4Cは、患者の身体からの細胞の検査に関する情報を提供する細胞学レポートの例示的な結果ページ420を示している。
図4Cに示すように、腫瘍部位情報420aおよびバイオマーカー情報420bなどの細胞学レポートから様々なカテゴリのデータが抽出され得る。
図4Bに示すデータのカテゴリは、文書が病理レポートであることを示す選択された文書の文書タイプ408cに基づいてデータ要約モジュール232によって選択されたSDL246に基づいて定義され得るが、
図4Bに示すデータのカテゴリは、文書が細胞学レポートであることを示す選択された文書の文書タイプ408cに基づいてデータ要約モジュール232によって選択されたSDL246に基づいて定義され得る。
2.結果の抽出
【0079】
図5A、
図5B、
図5Cおよび
図5Dは、病理レポートに対する文書要約インターフェース400の例示的な動作を示している。文書要約インターフェース400は、機械学習を使用して自動的に入力されたフィールドなどにおいて、統合患者データベースに統合されるデータのデータタイプを確認するようにユーザを案内するために使用され得る。
図5Aを参照すると、データ要約モジュール232は、選択された文書のテキスト文字列(例えば、文書の光学文字認識(OCR)処理から得られる)をパースし、メタデータ、データ、および様々なカテゴリの医療データを含む、抽出されるデータを含むテキスト文字列を検出することができる。次いで、データ要約モジュール232は、レポートページ408および結果ページ410内の対応するフィールドに抽出されたデータを入力することができる。データ要約モジュール232はまた、文書ブラウザ404に、ハイライトマーキング502、504、506、508、510および512などのハイライトマーキングを表示させることができる。ハイライトマーキング502は、文書タイプ408c(例えば、病理レポート)を示すテキストに対応することができ、一方、ハイライトマーキング504は、病理レポートの日付を示すテキストに対応することができ、その双方が病理レポートのメタデータから抽出され得る。結果ページ420のフィールド520(レポート日)および522(文書タイプ)には、それぞれレポート日および抽出された文書タイプ408cが入力される。
【0080】
さらに、ハイライトマーキング506は、関与する処置を説明するテキスト(例えば、右乳房の腫瘤切除術)に対応することができ、ハイライトマーキング508は、臨床データを説明するテキスト(例えば、2.5cmの右乳房腫瘤が診断用マンモグラムによって認められ、右乳房腫瘤の穿刺吸引(FNA)が行われる)に対応することができ、ハイライトマーキング510は、右乳房量を説明するテキスト(例えば、ホルマリン中で受けた軟組織の単一断片)に対応することができ、一方、ハイライトマーキング512は、右乳房量の顕微鏡検査の詳細(例えば、1.9×1.6×1.4cmの腫瘍サイズ)に対応することができる。次に、結果ページ420のフィールド524(例えば、手順ラベル)、526(例えば、臨床データラベル)、および528(腫瘍サイズラベル)に、それぞれ、ハイライトマーキング506、508および510によって強調表示されたテキストが入力される。フィールドと文書のハイライト部分との間のリンクを示すために、追加の表示効果が提供されることもできる。例えば、
図5Aでは、フィールド524のユーザ選択に基づいて、ハイライトマーキング506が線境界によって囲まれ得るが、フィールド524の線も強調されて、フィールド524とハイライトマーキング506によってカバーされるデータとの間の対応関係を示す。ユーザが入力されたデータを確認し、公開ボタン529を起動した後、データアクセスモジュール236は、統合患者データベース204にデータを解放することができる。
【0081】
データ要約モジュール232は、医療データを含むテキストを検出し、様々な技術に基づいてテキストから医療データを抽出することができる。例えば、検出は、文書ファイルに含まれるテキストに対する自然言語処理(NLP)操作、規則ベースの抽出操作などに基づくことができる。別の例として、データ要約モジュール232は、文書ブラウザ404を介して文書上の選択およびドラッグ動作を検出することができ、検出は、ユーザによって選択されたテキストに基づくことができる。医療データを含むテキスト文字列を検出した後、データ要約モジュール232は、医療データのデータカテゴリおよびそれらの関連付けられたデータ値を決定することができるが、強化モジュール234は、データ値を標準化および/または正規化された値に変換するか、またはユーザによって選択される正規化/標準化された値を含むオプションを提供することができる。NLPおよび規則は、グラウンドトゥルースとしてデータカテゴリのタグを含む他の医療文書に基づく訓練動作から取得され得る。例えば、訓練に使用される文書は、手順としてタグ付けされた一連のテキスト「乳房、右、腫瘤切除」を含んでもよく、これは、データ要約モジュール232が、それらのテキストが
図5Aに示す文書内の手順も参照していると決定することを可能にする。別の例として、訓練に使用される文書は、「腫瘍の総サイズ」というテキストのシーケンスと、それに続く腫瘍のサイズを示す別のテキストのシーケンスとを含み得る。これは、データ要約モジュール232が、ハイライトマーキング512を有するテキスト「1.9×1.6×1.4cm」のシーケンスが腫瘍のサイズを表すと決定することを可能にする。次いで、強化モジュール234は、必要に応じて、データ値を標準化された値および/または正規化された値に変換することができる。例えば、ハイライトマーキング512の下のテキストのシーケンスが「1.9×1.6×1.4m」である場合、強化モジュール234は、単位(メートル)が標準単位ではないと決定し、単位を標準単位として確立された別の単位(例えば、センチメートル(cm)、ミリメートル(mm)など)によって置き換え得る。
【0082】
次いで、データ収集モジュール230は、結果ページ410内のフィールドに、対応するデータカテゴリの抽出された値および/または正規化された値を入力することができる。いくつかの例では、フィールドの入力は、データカテゴリとSDL246において定義されたフィールドとの間のマッピングに基づいて自動化することができる。いくつかの例では、フィールドの入力は、ユーザの選択に基づくことができる。
【0083】
図5Bは、文書ブラウザ404からテキストを選択するための文書要約インターフェース400上の例示的な一連の動作を示している。
図5Bを参照すると、動作530は、文書ブラウザ404に文書を表示することから始まる。動作532において、文書ブラウザ404は、データ要約動作を実行するために文書の一部を選択するための選択およびドラッグ動作を受信することができ、選択およびドラッグ動作の範囲および所与のポイントで選択されている文書の一部を示すためにハイライト533が表示される。動作534において、文書ブラウザ404は、選択およびドラッグ動作が完了し、選択された文書の一部が確定されたことを示すクリック動作をユーザから受信することができる。そして、文書ブラウザ404は、ハイライト533の周りに境界535を表示して、選択されたテキストが医療データを抽出するためにデータ要約モジュール232によって処理されることを示すことができる。動作536において、結果ページ410のフィールド526は、ハイライト533がフィールド526にマッピングされ、ハイライト533の下方の文書の部分から抽出された医療データがフィールド526に入力されることを示す、ユーザからのクリック動作を受信することができる。文書要約インターフェース400はまた、フィールド526がハイライトにマッピングするように選択されていることを示すために、フィールド533にライン537を表示することができる。動作538において、入力が完了した後、文書ブラウザ404は、ハイライト533から境界535を除去し、フィールド526からライン537を除去することができる。境界535およびライン537の表示は、ユーザがマッピングを決定したときに、ユーザが結果ページ410のどの強調表示された部分がどのフィールドにマッピングされているかを容易に視覚化することを可能にし、これは、特に
図5Aに示すように文書の複数の部分が複数のフィールドにマッピングされている場合に、ユーザがマッピング決定を追跡し、マッピングの誤りを低減するのに役立つことができる。
【0084】
図5Cは、ユーザがフィールド内のデータのソースを追跡するのを助けるために、文書の強調表示された部分のテキストが結果ページ410のフィールドにマッピングされた後の文書要約インターフェース400上の動作の例を示している。
図5Cに示すように、動作540において、文書要約インターフェース400は、フィールド526上のクリック動作を検出する。文書要約インターフェース400は、クリック動作を検出すると、フィールド526にライン537を表示することができる。さらに、文書ブラウザ404は、フィールド526内のテキストがハイライト533に由来することを示すために、ハイライト533まで自動的にスクロールしてハイライト533の周りに境界535を表示することもできる。さらに、動作542において、文書要約インターフェース400は、ハイライト533上のクリック動作を検出する。文書要約インターフェース400は、クリック動作を検出すると、ハイライト533の周りに境界535を表示することができる。さらに、抽出された医療データセクション406はまた、フィールド526内のテキストがハイライト533に由来することを示すために、結果ページ410をフィールド526まで自動的にスクロールすることもできる。
【0085】
いくつかの例では、データ要約モジュール232は、
図15に関して以下にさらに記載されるように、医療データを含み得るテキストを自動的に検出し、テキストから医療データを抽出することができる。強化モジュール234は、SDL246に基づいて、特定のフィールドの抽出された医療データのための1つまたは複数の候補データ値を決定することができる。そして、文書要約インターフェース400は、候補データ値を、フィールドについてユーザによって選択されるオプションとして提供することができる。
【0086】
図5Dは、テキストの自動検出を含む文書要約インターフェース400上の一連の動作を示している。文書要約インターフェース400は、統合患者データベースに構造化データを入力する際に使用するための情報を提供または確認するようにユーザを案内することができる。
図5Dに示すように、動作550において、データ要約モジュール232は、テキスト「cm」(センチメートル)を検出し、文書ブラウザ404に、データ要約モジュール232がテキストを処理したことを示すために、テキスト「cm」の上にハイライト552および境界554を表示させる。処理の結果、結果ページ410のフィールド556は、ユーザによって選択されるべき2つの候補値「cm」および「mm」(ミリメートル)を含むドロップダウンメニュー558を示すことができる。文書要約インターフェース400は、フィールドがハイライト552の下方でテキストにマッピングされていることを示すために、フィールド556にライン560を表示することができる。動作570において、文書要約インターフェース400は、フィールド556を入力するための候補値「cm」の選択を受信することができる。
【0087】
さらに、
図2に戻って参照すると、医療データ処理システム200は、腫瘍学ワークフローアプリケーション222を支援することができる。腫瘍学ワークフローアプリケーション222は、腫瘍学ワークフローを支援するために医療データ処理システム200によって収集されるべきデータを決定することができ、次に、結果ページ410に表示されるフィールドおよび受信されるべきデータのカテゴリを決定することができる。さらに、後述するように、腫瘍学ワークフローアプリケーション222は、収集された医療データに対して分析を実行し、分析結果224を生成することができる。
3.レポートからのデータの抽出
【0088】
図6A~
図6Dは、いくつかの実施形態にかかる、非構造化レポートからのデータの抽出および取り込みのためのインターフェースビューの追加の例を示している。
図6Aおよび
図6Bに示すように、異なるタイプのレポートは、異なるフィールドに関連付けられ、異なるフィールドは、機械学習を使用してシステムによって自動的に入力され、フィールドとレポートの双方、またはその2つの組み合わせを示す並列ビューを介してユーザによって入力され得る。
【0089】
これらのレポートは、EMRなどの外部システムに由来することができる。
図9A~
図9Eの患者行程インターフェースおよび
図8A~
図8Bの患者要約インターフェースを最終的に生成するために使用される情報のいくつかは、構造化形式でEMRに由来し得る。他の場合には、情報は、レポートに埋め込まれる。これらのレポートに埋め込まれた情報は、構造化フィールドにはないため、視覚化または分析に利用できない場合がある。
図6A~
図6Dのインターフェースを使用して、ユーザには、データフィールドのリストが示され、ユーザがこの構造化データセットに情報を入力することを可能にする。ユーザは、レポートを見ながら情報の一部を手動で入力することができ、情報は、構造化形式で取り込まれたときにフィールドを入力するために自動的に使用され得、および/または機械学習は、文書をスキャンして情報を対応するフィールドと照合するために使用される。
【0090】
これらの異なるソースに由来する全ての情報は、単一の場所、すなわち統合患者データベースに集約され得る。データは、EMRなどの外部ソースに由来することができ、データは、手動で入力され得、および/または確認のためにユーザに提示され得る値を提案するためにNLPなどの機械学習が使用される。この全てのデータは、医療データ処理システム200内で集約および強化される。
【0091】
図6Aは、レポート602をデータ入力パネル603と並べて含むインターフェースビュー600を示している。データ入力パネル603は、レポート自体に記憶され得るレポートの識別されたタイプ、例えば文書タイプ606に基づいてシステムによって識別されるフィールド604~620のセットを含む。
図6Aに示すように、レポート602は、外科的病変に対応する特定のフィールドセットに関連付けられた外科的病変レポートである。
図6Aの例に示すように、これらのフィールドは、レポート情報とラベル付けされたドロップダウン604を介してアクセス可能である。ドロップダウンリスト以外にも、他の選択メカニズムが使用され得る。フィールドは、文書タイプ606、文書タイトル608、レポートID 610、レポート日6012、サンプル収集日614、サンプル収集方法616、著者618、および解剖学的部位620を含む。
図3Gおよび
図3Hに関して上述したように、これらのフィールドのそれぞれは、患者データを編成および管理するために使用されるデータカテゴリまたはデータタイプに対応することができる。フィールドに基づいて、提供されたデータは、データグラフ内の対応するデータオブジェクトに記憶され得る。これはまた、レポート自体のデータオブジェクトを含むことができる。そのようなデータオブジェクトの例は、
図12および
図13に示され、それに関して以下に説明される。
【0092】
図6Aに示す例示的なインターフェースビュー600では、フィールドは、ドロップダウンメニュー606~616、テキスト入力フィールド618、およびラジオボタン620を含むインターフェース要素を介してユーザ入力を受け入れるように構成されている。インターフェースビュー600は、レポート602をデータ入力パネル603と並べて表示し、その結果、ユーザは、レポートを見ながらフィールドを埋めるための情報を容易に入力することができる。例えば、ドロップダウン606には、システムに対して以前に構成された各可能なタイプのレポート(例えば、放射線レポート、病理レポートなど)が入力されてもよい。ユーザは、ドロップダウン606をクリックし、可能なタイプのレポートを表示し、外科病理レポートを選択することができ、外科病理レポートは、その後、バックエンド上の対応するオブジェクトを入力するために使用される。
【0093】
ユーザが情報を入力すると、保存ボタン622が起動され得て、保存ボタン622とのユーザ相互作用の検出に応答して、入力されたデータが統合患者データベース204に保存される。
【0094】
図6Bは、レポート626をデータ入力パネル627と並べて含むインターフェースビュー625を示している。データ入力パネル627は、フィールド628~644のセットを含む。フィールドは、レポートの識別されたタイプに基づいてシステムによって識別され得る。例えば、MRIのためのレポートは、特定のフィールドを有することが期待されてもよく、マンモグラムのためのレポートは、他のフィールドを有することが期待されてもよい。上述したように、所与のレポートのフィールドは、文書ファイル244の文書タイプのデータカテゴリのリストを定義するマスタ構造化データリスト(SDL)246に基づいて識別され得る。
【0095】
図6Bに示す例では、構造化データを含むEMRなどの外部システムから情報が読み出されている。一部の情報は、既に構造化された形式でEMRまたは他の外部システムにおいて利用可能である。この情報は、分析され、レポートと関連付けられ得る(例えば、EMRからデータを読み出すときに、レポートメタデータを構造化データと照合することによって)。インターフェースは、特定のフィールドに対応するデータがEMRから受信され、所与のレポートがこれらのフィールドに関連付けられているという指示を含むことができる。いくつかの実装では、EMRなどの信頼できるソースから読み出された情報を介してレポートに結び付けられたデータは、編集のためにロックされ得るが、ユーザは、欠落した情報片を埋めることができる。
図6Bに示すUIは、ユーザが欠落情報を追加して医療データ処理システム200に組み込まれることを可能にすることによって、外部システムから読み出されたデータセットを増強または強化することを容易にする。
【0096】
図6Bに示すように、レポート626は、放射線医学に対応する特定のフィールドセットに関連付けられた放射線医学レポートである。
図6Bに示すように、これらのフィールドは、レポート情報とラベル付けされたドロップダウン629を介して閲覧するためにアクセス可能である。フィールドは、レポートタイプ628、レポートタイトル630、レポートID 632、レポート日634、サンプル収集日636、サンプル収集方法638、著者640、および解剖学的部位644を含む。
【0097】
図6Bに示す例では、フィールド628~640が強調表示されている。特定の色が使用されてフィールドを強調表示し、システムがEMRまたは別の外部データベースからこれらのフィールドに入力するデータを読み出したことを示し得る。そのようなフィールドは、ユーザ編集のためにロックされてもよい。フィールド644は、白色で示されており、これは、ユーザが手動で入力する必要があることを意味する。部位の割り当ては、医師などのユーザに最も適し得る診断タスクである。ユーザは、既存の選択または新規作成のいずれかのためのラジオボタン642を選択することができる。
図6Bに示す例では、既存の選択が選択されており、ユーザが既存の解剖学的部位を選択するために相互作用することができる解剖学的部位ドロップダウンメニューが表示されている。あるいは、ユーザは、新規作成ボタンを選択することができ、新たな解剖学的部位の名称を入力するためのテキスト入力フィールドが表示される。
【0098】
図6Cは、レポート646をデータ入力パネル647と並べて含むインターフェースビュー645を示している。データ入力パネル647は、レポート646に基づいてシステムによって識別されるフィールドを含む。
図6Cに示すように、これらのフィールドは、レポート情報とラベル付けされたドロップダウン604を介してアクセス可能である。第1のフィールドセット650、654、656、および658は、(例えば、
図6Aおよび
図6Bに関して上述したように)ユーザ入力を介して入力されるように構成されている。ユーザが情報を入力すると、保存ボタン659が起動され得て、保存ボタン659とのユーザ相互作用の検出に応答して、入力されたデータが統合患者データベース204に保存される。
【0099】
図6Cに示す例では、フィールド652の第2のセットが強調表示されて示されている。強調表示は、これらのフィールドに入力するデータの異なる状態を示すために、
図6Cに示すフィールドを強調表示するために使用されるものとは異なる色であってもよい。強調表示されたフィールド652は、レポート646において強調表示されたフィールド648に対応する。これらは、機械学習を使用して提案されるフィールドであり、ユーザは、レビューおよび確認または変更することができる。いくつかの実装では、フィールドは、レポート646から自動的に抽出されるデータを表示するように構成されている。光学文字認識(OCR)および自然言語処理(NLP)モデルを含む1つまたは複数の機械学習モデルが使用されて、レポートからテキストデータを識別し、レポートを分析し、特定のフィールドに対応するデータを識別することができる。医療データ処理システム200は、所与の所定の分野に関連付けられた異なる用語を識別するラベル付きデータについて訓練されたモデルを利用し得る。
図6Cに示す例では、バイオマーカーは、システムによって自動的に検出されている。医療データ処理システム200は、機械学習を使用して検出されたデータ要素を入力することができる。ユーザは、インターフェースを介して確認するように促されることがあり、ユーザは、場合によっては、所与のフィールドに入力するデータ要素を修正し得る。経時的に、医療データ処理システム200は、データを検出するために使用される機械学習モデルを学習および更新することができる。これらの技術を使用して、システムは、ユーザのデータ入力負担を軽減するために推奨を提供することができる。医療データを抽出および分類するために機械学習を適用する技術は、参照により本明細書に組み込まれる、2020年9月8日に出願された「Automated Information Extraction And Enrichment In Pathology Report Using Natural Language Processing」と題する国際公開第2021/046536号パンフレットにさらに詳細に記載されている。
【0100】
図6Dは、
図6A~
図6Cに示すようなインターフェースを使用して実行され得るデータ入力ワークフロー660を示すインターフェース要素のセットを示している。
図6Dに示すインターフェース要素は、原発腫瘍情報を入力するためのインターフェース要素662と、原発腫瘍情報を読み取るためのインターフェース要素666、668および669と、原発腫瘍情報を編集するためのインターフェース要素670および674とを含む。
【0101】
図6Dでは、原発腫瘍情報を入力するためのインターフェース要素662は、原発腫瘍に関連する情報のユーザ入力を受け入れるためのフィールドのセットを含む。フィールドは、解剖学的部位に関する情報(例えば、肺の右上葉であり、「既存を選択する」ラジオボタンが選択されたときにドロップダウンメニューから選択される)を追加するためのインターフェース要素を含む。フィールドは、組織学的タイプおよび組織学的悪性度をさらに含む。ユーザは、診断情報を記入することができる。インターフェース要素662は、診断された原発腫瘍を患者の症状として議論のために設定するためにチェックされ得るユーザ選択可能なチェックボックス663をさらに含む。カーソルによって示され、保存ボタン664上で強調表示されるように、ユーザは、保存ボタン664をクリックして、入力された情報を統合患者データベース204に保存することができる。
【0102】
図6Dでは、原発腫瘍情報を読み取るためのインターフェース要素666、668および669は、インターフェース要素662を介して入力された情報を表示する。インターフェース要素666では、最近入力された情報が一時的に強調表示される。インターフェース要素668では、5秒(または別の適切な時間枠)後、入力された情報は、もはや強調表示されない。インターフェース要素666および668では、診断には、保留診断としてフラグが立てられる。インターフェース要素669では、原発腫瘍は、保留診断としてマークされず、保留診断フラグは存在しない。
【0103】
図6Dでは、インターフェース要素670および674は、原発腫瘍情報を編集するためのものである。ユーザは、インターフェース要素666などの原発性腫瘍情報を読み取るためのインターフェース要素と相互作用し得る。インターフェース要素670に示すように、カーソルは、強調表示された原発腫瘍診断をクリックしている。編集が完了するまで強調表示が維持される。クリックすると、色が合焦状態になり、編集ドロア674が開かれる。編集ドロア674は、クリックなどのユーザ相互作用を検出すると開くモーダルなどのインターフェース要素である。編集ドロア674は、以前に入力された情報(例えば、インターフェース要素662を介して)を編集するためのユーザ入力を受け入れるためのフィールドを含む。ドロア674の構成要素は、日付、診断、保留診断676、解剖学的部位680、および組織学的タイプ682などのフィールドを編集するために使用され得るデータ入力フィールドを含む。編集ドロア674は、既存の解剖学的部位を選択するかまたは新たな解剖学的部位を作成するためのラジオボタン678をさらに含む。これらのインターフェース要素は、統合患者データベース204に記憶されたデータを更新するためにデータを読み出すために使用され得る。読み出されたデータは、追加的または代替的に、文書からの自動データ抽出に使用される機械学習モデルを訓練するために使用され得る(例えば、医療データ処理システムが、ユーザの修正に基づいてフィールドがモデルによって誤って入力されたことを識別した場合、これを使用してモデルの訓練データを更新することができる)。
C.マッピングされていないデータを調整するためのインターフェース
【0104】
図7Aおよび
図7Bは、いくつかの実施形態にかかる、マッピングされていないデータを調整するためのインターフェースビューの例を示している。がん腫瘤と原発性がん(例えば、新たな原発性がんとして、または別の原発性がんの転移として)との関連付けなど、データが必要と考えられるデータフィールドにマッピングされていない場合、調整が開始され得る。
図7Aおよび
図7Bに示すインターフェースが使用されて、問題のがん腫瘤についてレコードが保存された後であっても、必要な情報をユーザに促すそのような調整プロセスを管理することができる。例えば、欠落情報は、調整のために統合患者データベース204内でフラグが立てられ、後述するワークフローを促し得る。
【0105】
EMRなどのソースシステムからのデータの場合、いくつかのデータ要素では、データ要素間の関係が欠落している可能性がある。一例では、患者は、2つの原発性がんおよび転移部位を有する。原発性がんおよび転移部位は、EMRによるレポートから読み出されているが、その転移部位に関連する原発は不明である。臨床医は、EMRから読み出されていない情報を知り得る。そのようなユースケースでは、システムは、マッピングされていないデータ機能の調整を有する。
【0106】
調整では、特定のデータが要約されているが、システムは、例えば、データがどの一次条件にマッピングされるべきかなど、データがUIのどこに属するかを決定する必要がある。調整UIは、例えば、その特定の解剖学的部位を正しい原発性がんと関連付けるための入力を提供するようにユーザに促すことができる。所与の原発性がんについて、特定のフィールドは、原発性がんと関連付けられ得る。調整UIは、原発部位などの異なるタイプの情報を、組織学、バイオマーカー、ステージ、および転移部位などの関連する所見と、原発性がんまたは他のデータ要素に対して一意に関連付けるようにユーザに促す。調整UIはまた、例えば、腫瘍学的処置もしくは非腫瘍学的手術歴などの特定の医学的介入、または抗新生物もしくは非がんとしての特定の薬物をマッピングするために使用されてもよい。
【0107】
場合によっては、EMRなどの外部システムは、原発性がんおよびこの原発性がんがどこに転移したかを示す情報を提供する。この場合、関連付けは既知であり、追加の作業は必要ない場合がある。調整が必要な他の場合では、外部システムは、関連付けを取り込んでいないか、またはその情報を医療データ処理システム200に送信していない。そのような関連付けが必要な場合、医療データ処理システム200は、調整プロセスを使用して、転移(例えば、右乳房または左乳房に対して)を示すために患者要約または患者行程ビューなどのインターフェース内のどこかを決定し得る。臨床的に正確な方法で情報を提示することを可能にするために、調整プロセスは、ユーザがこの関連付けを示す場所に関するガイダンスを提供することを可能にし、これは、統合患者データベース204に適用されるデータマッピングに影響を与える。
【0108】
場合によっては、EMRなどの外部データベースが特定の部位に関連するデータを送信するが、その部位を関連付ける他の部位を示す情報が欠落している場合に、調整がトリガされ得る。調整インターフェースを使用して、ユーザは、部位を特定のがんに関連付けるための情報を提供することができ、更新後、部位は、インターフェースビューおよび統合患者データベースにおいて正しい原発性がんに関連付けて表示され始める。他の例では、構造化された情報なしで外部データベースからレポートが受信されてもよく、その場合、複数の詳細な詳細が欠落している可能性がある。そのような詳細は、
図7Aに示すようなインターフェースを介してユーザによって提供され得る。
【0109】
図7Aは、データ調整要素702、704および706を含むインターフェース要約ビュー700を示している。いくつかの実装では、インターフェース要約ビュー700において、調整のためにマッピングされていないデータと相互作用するために、ボタンまたはドロップダウンメニューなどのデータ調整要素702が提供される。画面の右上で、このデータ調整要素702、「未マッピング」ボタンは、ユーザが、いかなるがんにも関連しない、またはマッピング情報を欠いている未調整項目を開くことを可能にする。ユーザは、欠落した関係を指定するデータを提供し、更新されたデータを保存することができる。ユーザがこのデータを調整すると、このデータは、ポータル220に表示され始める。
【0110】
調整要素702とのユーザ相互作用は、データ調整要素704および706の表示をトリガし得る。データ調整要素704は、目立つように表示される通知を含む(例えば、警告標識で強調表示される)。
図7Aに示す例では、データ調整要素704に表示される通知は、「これらの項目を患者の要約および行程のビューに配置するのに十分な情報がありません」と述べる。データ調整要素706には、調整が必要な項目の情報が表示される。この例では、がん腫瘤、腸骨稜構造は、それを患者の要約および行程ビューに追加するのに必要な情報を欠いている。データ調整要素706は、さらに、がん腫瘤に関する追加情報、すなわち「右」および「2020年11月27日に統合からフェッチされた」を提供する。そのような情報は、その中のマッピングのデータタイプ(例えば、統合日付からフェッチされたものはタイムスタンプに基づく場合があり、右側は位置データタイプに基づく場合がある)にしたがって統合患者データベースから読み出されてもよい。データ調整要素706とのユーザ相互作用時に、インターフェースは、調整のために7Bに示すインターフェースビューに遷移することができる。
【0111】
図7Bは、データ調整のためのインターフェースビュー720を示している。いくつかの実装では、インターフェース要約ビュー720は、調整のためのデータを受け入れるためのレポート721およびドロア723(例えば、ユーザ入力を受け付けるための要素を有するモーダル)を含む。ドロア723内には、「解剖学的部位をマッピングする」とラベル付けされた見出し722が含まれている。ドロア723は、調整されるべき欠落情報が、腸骨稜構造726を原発性がんまたは転移と関連付けること、またはそれを良性としてマークすることであることを示している。ドロア723はまた、
図7Aに関して上述したデータ調整要素704と同様の警告724を含む。インターフェースビュー720のドロア723は、ユーザが腸骨稜構造726を特に原発性のがんまたは転移と関連付けるために、または腸骨稜構造726を良性としてマークするために使用することができるチェックボックスのセットをさらに含む。いくつかの実装では、統合患者データベースは、異なるがん部位に対応するオブジェクトを有する患者レコードを記憶する。インターフェースビュー720を使用して確立された解剖学的部位マッピングに基づいて、腸骨稜構造726のためのオブジェクトは、それに応じて他のオブジェクトにリンクされ得る。例えば、腸骨稜構造726が右乳がんの転移としてユーザによってマークされている場合、腸骨稜構造オブジェクトは、右乳がんオブジェクトにリンクされる。腸骨稜構造の原発性、転移性、または良性としての受信された指定は、
図12に関して以下にさらに記載されるように、腫瘍塊のデータオブジェクト内の「性状」データタイプに関連して統合患者データベースに記憶されてもよい。
【0112】
示されるように、可能な選択肢は、新たな原発性がんを確立するための追加のインターフェース要素の表示をトリガし得る、新たな原発性がんの原発または転移として設定することを含む。可能な選択肢は、腸骨稜構造を主要部位として設定することをさらに含む。これは、腸骨稜構造を、
図12に示すようにそれ自体のリンクされたオブジェクトのセットを有する原発性がんオブジェクトとして統合患者データベースに記憶させる。あるいは、腸骨稜構造は、予め確立されたがん、すなわち右乳がんまたは左乳がんの転移に設定される。これは、腸骨稜構造を、タイプ転移オブジェクトにリンクされ、選択された原発性がんに対応する別のデータオブジェクトにリンクされたオブジェクトとして統合患者データベースに記憶させる。腸骨稜構造726を良性としてマークするために別のチェックボックスが設けられ、これは、腸骨稜構造を要約から隠させる。そのような場合、腸骨稜構造726は、良性タイプのオブジェクトにリンクされ、原発性がんに対応するいかなるオブジェクトにもリンクされないオブジェクトとして統合患者データベースに記憶されてもよい。ユーザががんの関連付けを選択すると、更新ボタン730が起動される。ユーザは、提供された調整データを統合患者データベース204に記憶するようにシステムをトリガするために更新ボタンと相互作用することができる。選択された解剖学的部位マッピングに応答するデータオブジェクトを記憶するためのデータスキーマは、
図12および
図13に関してセクションIVにおいてさらに詳細に後述される。
D.患者ポータルインターフェース
【0113】
図8A、
図8B、
図8C、
図9A、
図9B、
図9C、
図9D、
図9E、
図10、および
図11は、患者データの集中ビューを提供するポータル220の例を示している。ポータル220は、
図8A~
図8Cに示すような患者要約インターフェースビュー、
図9A~
図9Eに示すような患者行程インターフェースビュー、
図10に示すようなレポートインターフェースビュー、および
図11に示すようなケア品質メトリックインターフェースビューを含む様々なインターフェースビューを表示することができる。
1.患者要約インターフェース
【0114】
図8A~
図8Cは、いくつかの実施形態にかかる、患者要約インターフェースビューの例を示している。患者要約インターフェースは、患者の要約データを表示する。患者要約インターフェースビューは、ユーザが様々な原発性がん部位に関する詳細な情報および腫瘍学的要約情報を閲覧することを可能にするデータを表示するために、ならびにポータル220を介してデータ入力および調整を実行するための立ち上げパッドを提供するために使用され得る。
【0115】
図8Aを参照すると、ポータル220は、患者の現在の診断結果(肺の腺がん)、診断日、最後の来院からのメモ、来るべき来院、および現在の処置を示すことができる。ポータル220は、データ入力インターフェース300を介して手動で入力されるか、またはデータ要約モジュール232によって医療レポートから自動的にソースおよび要約される統合患者データベース204から構造化患者データ202を受信することができる。
【0116】
図8Bは、ポータル220の患者要約インターフェース800の別の実装を示している。患者要約インターフェース800は、表示のために統合患者データベース204からフェッチされ得る特定の患者に関する要約情報を示す。上部リボン801は、患者の氏名、年齢、生年月日、性別、および患者の識別子などの患者情報を表示することができる。
【0117】
患者要約インターフェース800は、原発性がん要素802を含む。原発性がん要素802は、異なる原発性がん、乳がん(タブ803A内)および肺がん(タブ803B内)に対応するタブ803Aおよび803Bを含む。原発性がん要素802には、事象、関連バイオマーカー、病期分類、および転移部位を含む各原発性がんに関する情報が記載される。
【0118】
図8Bでは、患者要約インターフェース800は、腫瘍学的要約要素804、腫瘍学的処置要素806、および投薬要素808をさらに含み、それぞれに関する情報を表示する。患者要約インターフェースは、病歴、手術歴、家族歴、および社会歴を含む患者履歴情報を示す患者履歴要素810を含む。
【0119】
患者要約インターフェース800はまた、他のインターフェースビューにナビゲートするために使用され得るユーザ選択可能な要素を含む。患者行程要素811は、
図9A~
図9Eに示すように、患者行程ビューに遷移するように選択され得る。レポート要素812は、
図10に示すように、レポートビュー1000に遷移するように選択され得る。マッピングされていないデータ要素813は、
図7Bに示す調整ビューに遷移するように選択され得る。追加要素814は、(例えば、ポータル220に直接、またはレポートをアップロードすることによって)データを追加するためのビューに遷移するように選択され得る。要約要素815も含まれ、他のビューから患者要約ビューに遷移するために使用され得る。したがって、患者要約ビューは、ポータル220の様々なビューに遷移するために使用され得る。原発情報要素805は、
図8Cに示すように、モーダルを表示させ、患者要約ビュー800に重ね合わせ、1つまたは複数の原発性がんに関する追加情報を含むように選択され得る。選択されたビューまたはモードに基づいて、データは、その中のデータ接続およびタイプのマッピングにしたがって統合患者データベース204から読み出される。
【0120】
図8Cを参照すると、2つの原発性がんに対応する2つのモーダル822および824を有する患者要約ビュー820の例が示されている。原発情報要素805とのユーザ相互作用の検出に応答して、この例では、患者に関連付けられた双方の原発性がんについてのモーダルが表示される。モーダル822(例えば、第1のモーダル)は、右乳がんに関するものであり、タイムスタンプを有する関連バイオマーカーのセットを含む右乳がんに関する情報を含む。モーダル824(例えば、第2のモーダル)は、左乳がんに関するものであり、タイムスタンプを有する関連バイオマーカーのセットを含む左乳がん原発性がんに関する情報を含む。
【0121】
第1のモーダルおよび第2のモーダルは、グラフィカルユーザインターフェースに並べて表示される。有利には、並べて表示することは、ユーザが、要約インターフェース画面から離れることなく、一度に複数の原発性がんに関するより詳細な情報を見ることを可能にする。さらに、各モーダルが異なる原発部位に対応するため、部位ごとにデータが効率的に読み出され得、その結果、並列分析が提供され得る。データベースのこの編成(例えば、セクションIVに記載されているデータスキーマ)は、グラフィカルインターフェースを介したデータの読出しおよび視覚化を可能にする。
【0122】
いくつかの実装では、統合患者データベースは、右乳がん原発性がんに対応するデータオブジェクトおよび左乳がん原発性がんに対応するデータオブジェクトを記憶する。これらのデータオブジェクトは、タイムスタンプが付けられ、原発性がんに関連付けられた異なる事象を記述する様々な他のデータオブジェクトにリンクされる。例えば、右乳がん原発性がんオブジェクトは、1つまたは複数のバイオマーカーデータオブジェクトにリンクされ、左乳がん原発性がんオブジェクトは、1つまたは複数のバイオマーカーデータオブジェクトにリンクされる。原発情報要素805とのユーザ相互作用の検出に応答して、システムは、統合患者データベースに問い合わせて、右乳がん原発性がんデータオブジェクトおよび左乳がん原発性がんオブジェクトを識別する。各原発性がんデータオブジェクトにリンクされたオブジェクトは、識別された原発性がんデータオブジェクトとそれぞれの子データオブジェクトとの間の統合患者データベース内のマッピングに基づいて識別される。情報は、識別されたリンクオブジェクトに関連付けて読み出される。識別されたリンクされたオブジェクトは、
図18の方法1800に関して以下にさらに記載されるように、読み出された情報をモーダル822および824に入力するために使用される。
【0123】
右乳がんおよび左乳がんは、無関係な身体の異なる部分に位置する異なるがんであり得る。患者要約ビュー820は、各原発性がんに関連する情報を示すために使用され得、各原発について異なる情報を並べて示す。インターフェースビュー820を使用して、臨床医は、複数の原発性がんに関する情報を観察し、診断、発症日、各原発部位の位置、この患者の重要なバイオマーカー、病期分類、および任意の転移などの情報を比較することができる。これは、本明細書に記載の特殊化されたデータスキーマを使用して、原発性がん指定にしたがってデータを編成することによって達成され得、これが、原発を並べて表示するインターフェースビュー820を表示するためにフェッチされ得る。
2.患者行程インターフェース
【0124】
図9A~
図9Eは、いくつかの実施形態にかかる、患者ジャーナルインターフェースビューの例を示している。患者行程インターフェースは、患者と関連付けられたデータを時系列に表示する。
図9A~
図9Eに示される患者行程インターフェースを使用して、がんの進行およびがんに関する利用可能な情報を、編成された時系列の様式で閲覧することができる。ユーザは、タイムライン内のオブジェクトをクリックし、がんがどのように進行したかを見ることができる。
【0125】
患者行程インターフェースビューは、がんの疑いの点から診断、処置計画、監視、生存などまでの患者情報を示すことができる。がんケアは、本質的に双方とも多くの専門分野にわたる複数機関である。一般に、患者情報は、異なるシステムにわたって散在し得る。異なるソースから読み出されたレポートおよび他のデータから情報を抽出して統合することにより、医療データ処理システムは、機関間の患者行程を構築することができ、ユーザが異なるサービス提供者およびサービスタイプにわたって収集されたデータポイントにわたる総合的な患者行程を見ることを可能にする。
【0126】
この情報が患者行程に入ると、患者行程をたどっている任意の他のユーザは、全く同じ方法で図示かれた情報を見ることができる。これは、ケア協調の観点から有利である。従来の技術を使用すると、医療メモに過度に依存することは、異なる提供者が、異なるメモ取りスタイルに基づいて、患者に何が起こっているかに関する異なる情報を持ち去ることが多いことをもたらす。したがって、従来のシステムを使用して、患者に本当に何が起こっているかについて共通の理解を得ることは困難である。
図9A~
図9Eに示す患者行程インターフェースは、任意のユーザが患者の処置歴の統合されたビューを見ることを可能にすることによって、これらの問題および他の問題を解決する。患者行程は、放射線腫瘍医、腫瘍内科医、腫瘍外科医、および/または主治医などの交差機能チームによって閲覧および入力され得る。これらのユーザは、患者要約UIと相互作用することができ、がんなどの患者症状の進展を観察および理解するために、ユーザフレンドリに統合された方法で患者データを見ることができる。
【0127】
患者行程ビューを表示するために、システムは、グラフィカルユーザインターフェースを介して、患者を識別するデータ(例えば、患者ID、氏名など)を受信し得る。患者を識別するデータに基づいて、システムは、統合患者データベースから、患者に関連付けられた医療データを読出し、グラフィカルユーザインターフェースを介して、タイムラインにユーザ選択可能なオブジェクトのセットを表示し得て、オブジェクトは、行に編成された複数のカテゴリを含み、カテゴリは、
図9A~
図9Eに示すように、病変、診断、および処置を含む。患者行程ビューを入力するための技術は、
図17の方法1700に関して以下にさらに記載される。
【0128】
図9Aを参照すると、ポータル220は、患者行程のタイムラインビューを示すことができる。タイムラインビューは、時間に関して、様々な検査および撮像結果、ならびに腫瘍学ワークフローモジュール222によって提供される診断結果を示すことができる。
【0129】
図9Bは、患者行程インターフェースビュー900の別の実装である。ポータル220の患者行程インターフェースビュー900は、要約リボン902および調整可能なタイムライン908を含む。
【0130】
要約リボン902は、タイムラインの上に表示されるリボンとすることができる。要約リボン902は、重要な関連情報としてフラグが立てられたオブジェクトのサブセットを表示することができる。ユーザは、要約リボン902に表示されるオブジェクトにブックマークを付けることができる。患者行程が長く、多くのオブジェクトを含む可能性があることを考慮すると、要約リボン902は、重要なオブジェクトを最前面に持ってくるのに有用である。ユーザはまた、オブジェクトがもはや重要ではないときにオブジェクトをブックマークから除去することができ、オブジェクトは、除去されてこのリボンから消える。この要約リボン902は、それ自体で、この患者で起こった重要なオブジェクトを示す小行程として機能することができる。
【0131】
調整可能なタイムライン908は、患者の腫瘍学履歴に関する情報を含む。調整可能なタイムライン908は、古いオブジェクトを左に、新たなオブジェクトを右にして、時系列順に情報を表示する。表示される期間は、開始日要素904および終了日要素905、ならびにタイムライン908にオブジェクトが表示される時間ウィンドウを選択するように調整可能なスクロールバー906を用いて制御され得る。
【0132】
タイムライン908内の情報は、事象910、病理912、画像診断および手順914、処置916、バイオマーカー918、および反応評価920を含む異なるデータカテゴリに対応する行のセットで表示される。カテゴリごとに、関連情報は色分けされてもよい(例えば、オレンジ色の事象、赤色の病変など)。各行は、対応するデータカテゴリ内の患者について収集された情報を表示し得る。所与の行は、
図9Bに示すように、所与の時間に複数のエントリを含み得る。例えば、事象910では、1月の複数の事象が2つの異なるがんに対応する。
【0133】
事象910データカテゴリは、がん自体の進行に関する情報に対応する事象(例えば、表示されたオブジェクトのカテゴリ)を含む。例えば、事象910は、2020年1月付けの浸潤性乳がん922を含む。これは、この原発性がんが診断され、患者レコードに追加された日付に対応し得る。ユーザが事象922をクリックすると、システムは、
図9Cおよび
図9Dに示すように、事象922に関する追加情報を表示する。事象910の行は、患者が有する各異なるがんについてのがん診断ならびにがんの進行を示すことができる。例えば、
図9Cに示すように、事象922は、6時の位置の部位の右乳房浸潤性乳管がんである。ユーザがインターフェースビュー900内のこれらの異なる項目をクリックすると、ユーザは、がんがどのように進化したかを見ることができる。例えば、がんが最初に開始したとき、転移はなかった。ユーザは、タイムラインをスクロールして、1年後または2年後に、がんが他のどこかに転移した場合、それが特定のボックスに見えることを確認することができる。したがって、患者行程インターフェースビュー900は、ユーザが経時的ながんの進行を見ることを可能にする。この情報は、
図12に示すデータスキーマにしたがって、統合患者データベース内の腫瘍塊データオブジェクト1202および/またはがん症状データオブジェクトから読み出され得る。
【0134】
病理912のデータカテゴリは、時系列で表示される、病理レポートに対応するオブジェクトを含む。日付に関連付けられた複数のレポートがある場合、複数の病理レポートが積み重ねられて表示され得る。病理レポートは、例えば、特定のがん腫瘤を診断するために使用される事象910と関連付けられ得る。病理レポートの例は、生検レポート、細胞学レポート、ゲノムレポート、外科的切除レポートなどを含む。患者行程インターフェースビュー900を介して、ユーザは、特定の病理レポートにドリルダウンして、がんがどの程度広がっているか、サイズが何であるか、ステージが何であるか、取得したそのサンプルから検査する重要なバイオマーカーなどの情報を識別することができる。この情報は、
図12に示すデータスキーマにしたがって、統合患者データベース内の診断所見データオブジェクト1205から読み出され得る。
【0135】
画像診断および処置914のデータカテゴリは、MRI、CTスキャンなどの画像診断に対応するオブジェクトを含む。例えば、診断および撮像手順914は、
図9Bに示すように、2020年1月14日からのMRI924などを含む。これらのオブジェクトは、オブジェクトの時系列順に表示される。オブジェクトは、MRIレポートまたはいくつかの病変などの診断撮像レポートにリンクすることができる。この情報を見る臨床医は、タイムラインの所与の日付に、この患者に対してMRIが行われたことを確認し、レポートを開くことによってそのMRIの結果を見るためにドリルダウンすることができるはずである。例えば、ユーザが2020年1月14日のMRI(924)をクリックすると、レポートが患者行程インターフェースビュー900から直接開かれ得る。有利には、ユーザは、本開示の技術がなければ必要とされるであろうレポートを探すために別のシステムにナビゲートする必要はない。この情報は、
図12に示すデータスキーマにしたがって、統合患者データベース内の診断所見データオブジェクト1205から読み出され得る。
【0136】
処置916のデータカテゴリは、患者に与えられた処置に対応するオブジェクトを含む。
図9Bに見られるように、処置は、数ヶ月に及ぶことがある。この情報は、
図12に示すデータスキーマにしたがって統合患者データベース内の処置データオブジェクト1208から読み出され得る。
【0137】
バイオマーカー918のデータカテゴリは、患者に関連付けられたバイオマーカーに対応するオブジェクトを含む。これには、ゲノムマーカー、診断マーカー、予後マーカー、治療マーカーなどを含むことができる。これらのバイオマーカーは、様々なタイプのレポートに由来し得るが、システムにおいて同様に取り扱われる。例えば、バイオマーカーは、細胞学レポート、ゲノムレポートなどに由来することができる。これらの様々なタイプのバイオマーカーオブジェクトは、全てバイオマーカー918の行に示されている。この情報は、
図12に示すデータスキーマにしたがって、統合患者データベース内の診断所見データオブジェクト1205(例えば、分子/バイオマーカーオブジェクト)から読み出され得る。
【0138】
反応評価920のデータカテゴリは、患者反応の臨床医評価に対応するオブジェクトを含む。疾患管理の各ステップにおいて、臨床医は、患者の腫瘍状態および臨床症状を評価して処置の効果を決定し、現在の処置計画を継続するかどうかおよびどのように継続するかを決定する。そして、処置有効性の決定は、臨床的反応、放射線学的反応、分子的反応、および血清学的反応の要素に基づく複雑な判断である。患者行程インターフェースビュー900は、臨床医が処置、スキャン、および他のデータに沿って時系列でそれを見ることができるように、タイムライン上の非常にテレグラフィックな単一のアイコンビューにこれをまとめる。例えば、医師は、患者に放射線療法とともに特定の薬物の特定のサイクル数が与えられ、患者が部分的に反応したことに留意し得る。患者行程ビューを使用して、任意の時点で臨床医がこの特定のがんがどのように進行しているかを記録したい場合、ユーザは、部分反応であるかどうか、がんが安定しているかどうか、患者がどのように感じているか、有害事象があるかどうか、がんの進行が問題ない場合などの反応の評価を入力することができる。いくつかの実装では、この1つの反応フィールドを除いて、患者行程は、完全に読み取り専用である。腫瘍専門医の重要な仕事は、処置中に毒性を管理し、患者の反応を監視することができることであり、したがって、臨床医による反応評価は、多くの状況において重要である。
【0139】
図9Cでは、カーソル923は、乳がんの侵襲性要素922上にホバリングしている。これは、システムに、乳がん、浸潤要素922-乳管がん、右乳房(6:00)において追加のテキストが見えるように視野を拡大させる。
【0140】
図9Dでは、ユーザが次に乳がん、浸潤要素922をクリックすると、ポップアップ927が表示され、
図9Dに示すように、日付、場所などのさらなる情報を示す。
【0141】
図9Eでは、調整可能なタイムライン908は、異なる時間ウィンドウを示すように調整されている(例えば、スライダを介して)。
図9Eには、2020年10月1日から2021年1月1日までの時間ウィンドウが示されている。したがって、GUIとのユーザ相互作用を介して、ユーザは、スライダ906を移動させてより長い期間にわたってタイムラインを見るか、または関心のある期間に焦点を絞ってタイムラインを見ることによって、タイムラインに異なるオブジェクトを表示するためにスクロールすることができる。
【0142】
いくつかの実装では、患者要約ビューからレポートがプレビューされ得る。システムは、患者要約ビューに表示されたオブジェクトとのユーザ相互作用を検出し、次いで、統合患者データベースから対応するレポートを識別および読み出し、(例えば、患者要約ビュー上のポップアップとして)グラフィカルユーザインターフェースを介してレポートを表示することができる。ユーザは、レポートのより詳細なビューのためにレポートビューにナビゲートすることができる。
【0143】
患者行程ビューは、患者のがんが経時的にどのように進化したかを見るために使用され得る。例えば、第1の時点では、患者は、(例えば、
図9Aに示す例では)1つの原発性がん部位を有する。第2の時点では、1つの原発が依然として患者行程ビューに見える。第3の時点では、(例えば、
図9Bに示す例では)2つの異なる原発を見ることができる。したがって、
図9B~
図9Eに示すこの特定の例では、2つの原発性がん、左右の乳がんが患者行程に表示される。
3.レポートビューインターフェース
【0144】
図10は、いくつかの実施形態にかかるレポートインターフェースビュー1000の例を示している。レポートインターフェースビュー1000は、患者に関連付けられたレポートのリスト1001を含む。リスト化されたレポート1002のうちの1つが選択され、そのレポート1003が右側に表示される。ユーザがクリックしてフルレポートを開かせることができるインターフェース要素も提供される。
【0145】
いくつかの実装では、上部の患者行程、要約、およびレポートタブ(1005)が使用されて、それぞれのインターフェースビュー間をナビゲートすることができる。例えば、患者行程ビューにおいて、システムは、要約タブとのユーザ相互作用を検出し、要約ビューに遷移して、腫瘍学的要約データを表示する。
4.品質ケアメトリックインターフェース
【0146】
図11は、品質ケアメトリックを表示するための別のインターフェースビューを示している。
図11に示されるように、ポータル220は、異なる患者についての時間に関する品質腫瘍学診療イニシアチブ(QOPI)などのケア品質メトリックを示すことができる。メトリックは、異なる時点における構造化患者データ202に基づいて計算され得る。
IV.統合患者データベースについての例示的なスキーマ
【0147】
図12および
図13は、統合患者データベースに記憶されたデータを構築する際に使用するための例示的なデータスキーマを示している。上述した患者要約および患者行程インターフェースは、タイムスタンプが付けられて階層的に結び付けられた、患者に関連付けられた相互接続されたデータ要素を読み出すことによって有効にされる。これらのデータ要素は、動的に更新され、強化される。これは、統合患者データベースのための専用のデータスキーマを使用して可能にされる。
図12は、患者データマップ内で互いに接続された異なるタイプのデータオブジェクトの例を示している。
図13は、記憶および変更され得る特定のデータオブジェクトの例を示している。
A.患者データ要素についてのデータスキーマ
【0148】
図12は、いくつかの実施形態にかかる患者データ要素についての例示的なデータスキーマ1200を示している。データスキーマ1200を使用して、医療データ処理システム200によって読み出された異なるデータ要素は分解され、個別のデータオブジェクト(データエンティティとも呼ばれる)を生成するために使用される。データオブジェクトは、患者データに関連付けられた様々なデータ要素を記憶する。これらのデータエンティティ間の関係が維持され、更新される。このデータスキーマは、システムが患者の最新の画像を継続的に維持することを可能にし、詳細なデータ要素は、構造化された方法で記憶される。いくつかの実装では、データスキーマは、「FHIRへようこそ」、https://www.hl7.org/fhir/(2019))に記載されているように、HL7 FHIR(Fast Healthcare Interoperability Resources)規格に基づいている。
【0149】
この例では、データスキーマ1200は、データオブジェクトのセット(例えば腫瘍塊データオブジェクト1202、診断所見データオブジェクト1205などのボックスに描かれている)を含む。統合患者データベースには、患者ごとに患者レコードが記憶され得る。患者レコードは、相互接続されたデータオブジェクトのネットワークを含み、そのそれぞれは、所与のデータオブジェクトに対応するデータタイプの構成されたデータ要素のセットを含むことができる。
図12に示す各ボックスは、データオブジェクトであり、HL7 FHIR規格を使用してリソースとして実装され得る。あるいは、データオブジェクトは、リレーショナルデータベースを使用してテーブルとして実装され得る。
【0150】
図12に示すように、各データオブジェクトは、そのタイプのデータオブジェクトに対応するデータタイプのセットの形態で関連付けられた属性を有する。例えば、データスキーマ1200は、
図12に示すように、履歴、解剖学的部位、部位記述、および性状などのデータタイプに対応するデータ要素を記憶し得る腫瘍塊データオブジェクト1202を含む。データタイプは、インターフェースビュー(例えば、
図6Aに示すフィールド606~620、
図6Bに示すフィールド628~644など)に示されるフィールドに対応し得る。
【0151】
腫瘍塊データオブジェクト1202、診断所見データオブジェクト1205、および患者ルートデータオブジェクト1201などの各データオブジェクトは、臨床データエンティティを表す。これらのデータオブジェクトは、互いに関連付けることができ、相互接続されたデータオブジェクトのネットワークである患者データのグラフの管理を容易にする。例えば、所与のデータオブジェクトは、「部位」などのデータ要素を特徴付ける、または分類する対応するデータタイプに関連して、「結腸」などのデータ要素を含む情報を含むことができる。
【0152】
図12において、データオブジェクトを結ぶライン1220は、要素間の関係を示す。例えば、がん症状データオブジェクトは、患者データオブジェクトおよび1つまたは複数の腫瘍塊データオブジェクトにリンクされなければならず、任意に1つまたは複数の腫瘍学的処置データオブジェクトにリンクされ得る。円1222は、任意とすることができるものを示し、単一の実線のバー1224は、一対一の関係を示し、v字形の記号は、一対多の関係を示し、v字形の記号を伴う円(例えば、レポート1204の中間コネクタ)は、ゼロまたは多の関係を示す。オブジェクト間のリンク(接続)は、統合患者データベース内で様々な方法で指定され得る。例えば、別のオブジェクトにリンクされている各オブジェクトを識別する患者レコードについてマスタリストが記憶され得る。リンクの方向、例えば腫瘍塊が形成されたレポートが指定され得る。
【0153】
ルートデータオブジェクト1201は、患者のデータオブジェクトであり、患者の氏名、生年月日、性別、および識別子などの情報を含むことができる。接続ライン1220によって示されるように、ルートデータオブジェクト1201は、その患者の腫瘍学データに対応する様々な他のデータオブジェクトに接続されている。データオブジェクトは、診断、処置、履歴、または他の適切なデータカテゴリに関して分類され得る。他のデータオブジェクトのそれぞれは、患者ルートデータオブジェクト1201に結び付けられ得る。患者ルートデータオブジェクト1201からの情報は、ポータル220のインターフェースビューの上部に沿って表示され得る(例えば、
図8Bの患者リボン801)。患者ルートデータオブジェクト1201は、ポータル220を介した表示および編集のための追加情報を識別するために患者データレコードを識別およびトラバースするために使用され得る。
【0154】
データタイプに対応する様々なデータオブジェクトが、患者のためのルートデータオブジェクト1201に接続される。全てのデータオブジェクトは、何らかの方法で患者ルートデータオブジェクトに関連している。例えば、診断関連データオブジェクト1203は、患者の診断情報を記述するために使用されるデータオブジェクトである。各診断関連データオブジェクト1203は、患者ルートデータオブジェクト1201に接続される。診断所見データオブジェクト1205は、腫瘍塊データオブジェクト1202に接続された診断に対応するデータオブジェクトである。これは、
図12の上部に示されるように、TNM病期分類データオブジェクト、分子/バイオマーカーデータオブジェクト、腫瘍サイズデータオブジェクト、および他の病理/画像所見データオブジェクトを含む様々なタイプの診断所見データオブジェクト1205を含む。
【0155】
これらのデータオブジェクトのそれぞれは、構成されたデータタイプの対応するデータ要素を記憶することができる。例えば、腫瘍サイズデータオブジェクトは、データタイプ最大寸法、追加寸法、単位、および日付に対応するデータ要素を記憶するように構成されている。他の病理/撮像所見データオブジェクトは、データタイプ、値、および日付に対応するデータ要素を記憶するように構成され得る。所見は、レポートに由来し得る、部位からの1つまたは複数のサンプルから得られた解剖学的部位に関する任意の種類の情報とすることができる。例えば、病理レポートから組織学的悪性度などの所見が抽出され得、撮像レポートから腫瘍サイズなどの所見が抽出され得る、などである。データスキーマ1200では、所見は、一般に特定の部位に関連付けられているが、一部の所見は、特定の部位ではなくがん症状自体に直接関連し得る。例えば、がんのステージは、個々の部位ではなくより高いレベルで定義され得る。
図9B~
図9Eに示す患者要約UIでは、これらの診断データオブジェクトは、最上段に表示されたデータカテゴリ事象910に対応し、その一例は、がん診断事象922である。
【0156】
診断1203カテゴリ内の別のデータオブジェクトは、腫瘍塊データオブジェクト12002である。腫瘍塊データオブジェクトは、組織学、解剖学的部位、部位記述、および性状のデータタイプにしたがって編成された、腫瘍を特徴付けるデータ要素を記憶する。例えば、腫瘍塊データオブジェクト1202は、腫瘍が原発腫瘍であるか、転移性腫瘍であるか、または良性であるかを示すデータタイプ「性状」のための構造化フィールドを含む。
【0157】
複数の腫瘍塊のために、ルートデータオブジェクト1201に接続された別個のデータオブジェクトが存在し得る。腫瘍塊オブジェクトの複数のインスタンスが存在する可能性があり、それぞれが患者の異なる位置において識別された異なる腫瘍塊に対応する。腫瘍塊は、他のオブジェクトへのネットワーク相互接続に影響を及ぼす原発性がんまたは転移として指定され得る。したがって、データオブジェクトは、原発性がんに対応するデータオブジェクト、その原発性がんの転移に対応する別のデータオブジェクトなどを含むことができる。
図12に示すように、各腫瘍塊について、データオブジェクトは、組織学、解剖学的部位、部位の説明、および性状などの情報を含むことができる。このデータオブジェクトは、がん症状、診断所見1205、およびレポート1204を含む様々な他の診断関連データオブジェクト1203にリンクされる。
【0158】
1つまたは複数の処置関連データオブジェクトは、処置に対応し、患者ルートデータオブジェクト1201および/または腫瘍塊データオブジェクト1202に接続される。処置関連データオブジェクトは、腫瘍学的処置データオブジェクト1208を含む。腫瘍学的処置データオブジェクト1208は、処置タイプ、日付、反応のデータ要素を記憶するように構成され、関連付けられたレポートにリンクされ得る。腫瘍学的処置データオブジェクト1208が使用されて、
図9B~
図9Eの患者行程インターフェースの処置916行を入力することができる。
【0159】
1つまたは複数のレポートデータオブジェクト1204は、患者ルートデータオブジェクト1201および/または診断所見データオブジェクト1205に接続され得る。EMRまたは他のソースからのレポートは、レポートデータオブジェクト1204として記憶されることもできる。
図12に示すように、レポートデータオブジェクト1204は、データタイプステータス、カテゴリ、タイトル、日付、添付ファイルを記憶するように構成されている。レポートデータオブジェクト1204は、PDFまたは画像の形式の添付物または補遺を含むことができる。補遺は、患者の臨床文書および医療レコードに変更が加えられた場合に発行される。それらは、元の入力時に利用できなかった情報を含むか、または以前に発行された医療情報に対する修正を含み得る。臨床医は、特定の患者レポートが更新または追加されたかどうかを知り、またレポート全体を見ることが重要である。レポートデータオブジェクト1204はまた、レポートから抽出されたテキストデータ(例えば、OCRを使用する)を含むことができる。
【0160】
1つまたは複数の履歴関連データオブジェクト1210が記憶され、患者ルートデータオブジェクト1201および/または腫瘍塊データオブジェクト1202に接続され得る。履歴関連データオブジェクト1210は、
図12に示すように、対応する属性を有する様々な異なるタイプのデータオブジェクトを含むことができる。例えば、データスキーマ1200は、
図12に示すように、医薬品データオブジェクト、併存症データオブジェクト、家族病歴データオブジェクト、手術歴データオブジェクト、アレルギーデータオブジェクト、物質乱用データオブジェクト、パフォーマンスステータスデータオブジェクト、環境リスクデータオブジェクト、社会歴データオブジェクト、および他の履歴所見データオブジェクトを含むことができる。履歴関連データオブジェクト1210には、
図12に示すような様々なデータタイプの履歴関連データ要素が記憶され得る。
図12に示すデータマッピングが使用されて、様々なインターフェースビューのどこに対応するデータ要素が表示されるかを確立することができる。
【0161】
データスキーマ1200では、各データオブジェクトは、1つまたは複数のタイムスタンプと関連付けて記憶され得る。タイムスタンプは、事象がいつ発生したかを追跡することができる。例えば、所与のデータオブジェクトは、診断、処置、サンプル収集、処置日、レポート発行、または他の事象の日および/または時間に対応するタイムスタンプを含むことができる。タイムスタンプは、データが統合患者データベースにいつ統合されたかをさらに追跡することができる。例えば、データが統合患者データベースに記憶されると、医療データ処理システム200は、データが統合患者データベースに組み込まれた時刻を示すタイムスタンプを生成して記憶する。
B.データスキーマの例
【0162】
図13は、いくつかの実施形態にかかる例示的なデータスキーマ1300を示している。データスキーマ1300は、異なるがん部位のデータオブジェクトを含む。がん1 1302およびがん2 1307は、原発性がんである。これらのそれぞれは、ステージ、診断などの関連情報とともにそれ自体のデータオブジェクトとして記憶され、そのデータオブジェクトに記憶される。
【0163】
第1の時間T1において、がん1は、腫瘍塊1202を含む、
図12に示す統合患者データベースのデータスキーマ1200内の複数のデータオブジェクトに関連付けられ得る。がん1に関連する所見のための他のオブジェクトは、TNM病期分類オブジェクト、バイオマーカーオブジェクト、腫瘍サイズオブジェクトなどを含む腫瘍塊にリンクされる。
【0164】
後に、他の部位が見出され、原発性がん、例えばがん1またはがん2に関連付けられ得る。新たな部位(腫瘍塊)が識別されると、新たな腫瘍塊オブジェクトは、データモデルにリンクされ得る。例えば、
図13に示すように、原発性がん1データオブジェクト1302に関連付けて、腫瘤1データオブジェクト1306が記憶される。腫瘤2データオブジェクト1308および腫瘤3データオブジェクト1310は、がん2データオブジェクト1304に関連付けて記憶された2つのデータオブジェクトとすることができる。腫瘤1データオブジェクト1306、腫瘤2データオブジェクト1308、および腫瘤3データオブジェクト1310は、
図12に示すように、同じ患者オブジェクト1201にリンクされた複数の腫瘍塊オブジェクト1202に対応することができる。
【0165】
図13に示す例は、
図12のデータスキーマが使用されて、がん患者が経験する可能性のある診断過程を処理する方法を示しており、これは、様々な検査、撮像、および他の診断を含み得て、新たな情報が経時的に入ってくる。このデータスキーマは、異なる時間に入ってくる異なるデータソースからの異なるデータタイプの複雑な関係を維持しながら更新され得るように設定される。
【0166】
右側に示すように、腫瘤1306、1308、および1310の各オブジェクトは、部位、サイズ、肝臓、部位などの情報を記憶するための関連付けられたデータ要素を有し、データがレポートに由来した場合、そのレポートはまた、そのデータオブジェクトに対するデータ要素(例えば、レポート1312、1214、1316、および1318、ならびにこれらのレポートから抽出され得る関連付けられたデータ属性)としても記憶される。例えば、
図3A~
図7Bに示され、これらに関して上述されたインターフェースを使用して、情報がレポートから抽出される。データ要素には、その後に適切なデータオブジェクトを入力するために使用されるNLPを使用してデータカテゴリが割り当てられ得る。
【0167】
データオブジェクト1306、1308、および1310のそれぞれは、3つの仮想時点に対応することができる。各時点は、対応するデータオブジェクトを入力するデータが取得された時間を表す。例えば、データオブジェクト1306には、所与の日付に取得された放射線レポートPDF1312に由来するデータが入力され、データオブジェクト1308には、より後の日付に取得された病理レポート1314に由来するデータが入力され、データオブジェクト1310には、所与の日付に取得された別の病理レポート1316に由来するデータが入力される。これらのそれぞれは、異なるそれぞれの時間に統合患者データベースに取り込まれ、それぞれのデータオブジェクトに記憶されたタイムスタンプによって追跡され得る。
【0168】
例えば、最初の時点で、放射線医学レポート1312に基づいて、肺腫瘤が患者の肺において発見される。この時点で、他の検査は保留中である。データスキーマ1300は、追加情報が利用可能になると更新され得る。初期データオブジェクトは、患者の診断に関する初期仮定に対応し得る。例えば、肺には2センチメートルの腫瘤があり、肝臓には別のセンチメートルの腫瘤がある。肝臓に転移した可能性がある原発性肺がんがあるとの一次診断が入力される。医師は、追加の検査を送り得る。この例では、レポート1312は、2つの腫瘤1306および1308に接続され、レポート1312が取得された時点で、腫瘤1306および1308の双方が放射線分析に含まれ、対応するデータが抽出されたことを示している。
【0169】
時間2において、追加の検査結果1314および1316が戻ってくると、さらに2つのレポートがデータスキーマ1300に追加される。レポート1314は、腫瘤1 1306に関する病理レポートである。時間2において、病理レポート1314がシステムに取り込まれ、NLPが使用されて、放射線医学レポート1314から抽出されたデータフィールドに対応するデータカテゴリを識別し、腫瘤1 1306に対応する腫瘍塊データオブジェクト1202および関連する所見に対応するリンクされたデータオブジェクトを含む対応するデータオブジェクトを入力する。レポート1316は、腫瘤1 1306に関する病理レポートである。時間2において、病理レポート1316もシステムに取り込まれ、NLPが使用されて、病理レポート1316から抽出されたデータフィールドに対応するデータカテゴリを識別し、腫瘤2 1308に対応する腫瘍塊データオブジェクト1202および関連する所見に対応するリンクされたデータオブジェクトを含む対応するデータオブジェクトを入力する。
【0170】
時間3において、大腸内視鏡検査レポート1318が医療データ処理システム200によって読み出されると、そのレポートから追加の大腸内視鏡検査所見が要約される。これは、ユーザが、大腸内視鏡検査から見つかった結腸腫瘤と肝臓腫瘤が一致していることを確認するなど、さらなる診断を行うのに役立つ。次いで、患者の診断の最終画像が作成され得る。この例では、診断は、肺がんならびに転移した結腸がんを含み、同時に2つの異なる原発疾患を伴う。
【0171】
図12および
図13に示すデータスキーマは、これらの3つの状態の全てをスナップショットとして時間内に表現することを容易にするが、新たなレポートからの新たな情報が利用可能になるにつれて、ユーザがエンティティ間の関係を変更することも可能にする。データスキーマは、レポート自体の表現、ならびにレポートから要約された個々の所見の表現を提供する。データスキーマはまた、各がんおよび解剖学的部位の表現、ならびにこれらの部位の属性を提供する。各データオブジェクトは、1つまたは複数のタイムスタンプに関連付けられているため、臨床的意思決定プロセスをより容易にするために、患者の行程が経時的に追跡され得る。データスキーマは、最新の情報に関連する部位を可能にしながら、部位、発見、およびレポートをリンクする。これらの関係のいくつかは、データ要素および属性のグラフの残りの部分に影響を与えることなく個別に修正され得る。これらの関連付けが作成されると、関連付けに関連付けられたタイムスタンプが存在する。したがって、データスキーマは、レポートが作成されたときだけでなく、新たな関連付け、古い関連付け、および経時的な関連付けの変更も可視性を提供するインターフェースビューを容易にする。データスキーマはまた、起源情報(例えば、誰が何かを編集し、どこで)を追跡することもできる。
V.方法
A.医療データワークフローの概要
【0172】
図14A~
図14Dは、患者データの取り込み、修正、および表示のための腫瘍学ワークフローの概要を示している。
図14A~
図14Dのワークフローは、データを収集して統合患者データベース1409(例えば、
図2に示す統合患者データベース204)に記憶することを含む。このデータは、1つまたは複数の原発腫瘍およびそれらに関連付けられた転移性病変に関連する関連X線写真、手順、および病理学的所見を含むことができ、これらは、がん処置の過程および患者行程の他の局面を通して更新され得る。データはまた、統合患者データベース204から読み出され、臨床患者の管理、ケア、および診断を容易にする一連のインターフェースビューに表示され得る。
図14A~
図14Dは、
図15~
図21の方法に関してさらに詳細に記載される動作の概要を提供する。
【0173】
図14Aでは、データが収集され、統合患者データベース1409に記憶される。最初に、患者レコードが作成され、これは、ユーザ1401および/またはEMR統合1401からの入力を介して開始することができる。ユーザは、1403において、新たな患者を手動で作成することができる。EMRは、1404において、選択した患者をシステムに送信することができる。このデータは、EMR、または検査室システム、または病院内の他のデータシステムなどの他の外部データベースに由来することができる。これは、
図12に示すように、患者ルートデータオブジェクト1201に記憶され得る患者識別子および他のデータタイプなどの患者データをもたらすことができる。1403および1404において収集されたデータは、患者を識別する患者データを含む。患者の既存のレコードがない場合、新たなレコードが作成される。
【0174】
次いで、例えば追加のデータが収集されるとき、および/または定期的に、追加のデータが統合患者データベースに記憶され得る。1408において、EMRは、システムにレポートを送信する。システムは、レポートから構造化データを生成し、患者レコードと関連付けて記憶するために、構造化データを統合患者データベース1409に送信する。これは、
図4A~
図7Bに示され、これらに関して上述されたインターフェースを使用して実行され得る。1406において、ユーザは、統合患者データベース1409に記憶される構造化データを手動で追加する。これは、
図3A~
図3Hに示され、これらに関して上述されたインターフェースを使用して実行され得る。データは、
図12および
図13を参照して上述したデータスキーマにしたがって記憶され得る。したがって、システムは、異なるソースから構造化データと非構造化データの双方を収集し、統合された方法で統合患者データベース1409に記憶することができる。
【0175】
統合患者データベース1409に記憶されるデータは、患者および患者人口統計に関する識別情報を含むことができる。統合患者データベースに記憶されるデータは、患者の診断、投薬、病歴などに関する構造化データを含むことができる。統合患者データベースに記憶されたデータはまた、病理レポート、撮像レポート、臨床メモなどの非構造化データを含むことができる。例えば、
図12に示すように、データは、互いにマッピングされ、経時的に更新および修正され得るデータオブジェクトに記憶され得る。
図13に示すように、これらのデータオブジェクトの特定のインスタンスは、これらのレポートから抽出されたデータに関連付けてレポート自体を記憶し得る。
【0176】
統合患者データベースに記憶された全てのデータが構造化形式である場合、そのデータが使用されて、セクションIIIに関して上述したような様々な分析または視覚化、例えば患者要約および患者行程ビューを生成することができる。これを達成する前に、EMRまたは他の外部データベース/システムからのデータに対してデータ強化動作が実行される。
【0177】
図14Bでは、レポート1412のデータ要約が実行される。レポート1412は、
図14Bに示すように、病理レポート、処置などを含むことができる。1414において、ユーザは、レポートを開く。レポートは、構造化データを含んでも含まなくてもよい。ユーザは、表示のためにレポートを開き得る。どのレポートが開かれるかに基づいて、このレポートに存在する情報を使用して入力され得るフィールドのリストは変化し得る。例えば、
図6Aに示すように、データ要約のためのインターフェース600は、外科病理レポートと、外科病理レポートに関連付けられた入力されるべきフィールドの対応するセットとを示す。
図6Bに示すように、データ要約のためのインターフェース625は、放射線レポートと、放射線レポートに関連付けられた入力されるべきフィールドの対応するセットとを示す。
【0178】
1416において、要約が実行される。特定の分野または医療概念は、ユーザが診断、メモなどの情報を提供するためにデータ要約UIにおいて強調表示され得る。1418において、ユーザは、欠落情報を記入する。構造化データは、可能な場合にはOCRおよびNLPによって支援される用語にマッピングされる。このプロセスは、非構造化レポートから構造化データを生成し、構造化データは、1419において持続される。ユーザがこの情報の全てを保存すると、それは、すぐに統合患者データベースに送信される。このデータは、このレポートから取り出されたより構造化された情報を追加し、それを統合患者データベースに送り返すことによって強化される。
【0179】
図14Cには、データ要約プロセスに関するさらなる詳細が示されている。1421において、ユーザは、レポートから解剖学的部位に関連する所見を要約する。1422において、システムは、その部位が既に何らかの原発性がんと関連付けられているかどうかを決定する。これは、例えば、関連付けを提供または確認するインターフェースへのユーザ入力を介して達成され得る。その部位が既に原発性がんに関連付けられている場合、1424において、システムは、保存時にその原発性がんに関連する解剖学的部位の所見を保存して、既存の関連を保持する。その部位がまだ原発性がんに関連付けられていない場合、1423において、システムは、調整領域に解剖学的部位を示し、ユーザが解剖学的部位を原発に関連付けることを可能にする。そして、
図14Dに対して後述する調整プロセスに遷移する。
【0180】
1425において、システムは、ユーザが関連付けを追加/更新したいかどうかを決定する。ユーザが関連付けを追加または更新したくない場合、追加/更新プロセスはスキップされる。ユーザが関連付けを追加または更新したい場合、1426において、解剖学的部位に関連する所見ごとに、システムは、関連付けメニューを表示する。関連付けメニューを介して、ユーザは、部位を任意の1つの原発性がんの原発部位として関連付けることができ、またはユーザが部位を1つまたは複数の原発性がんへの転移として関連付けることを可能にすることができる。いくつかの実施形態では、解剖学的部位は、所与の時点で1つの原発のみの原発性がん部位とすることができる。解剖学的部位は、診断または医学的判断が保留されている、または患者の処置過程にとって重要ではないなどの様々な理由で、任意の所与の時点で2つ以上の原発に関連付けられ得る。
【0181】
これらの関連付け更新にはいくつかのオプションがある。1428において、前に、その部位は、原発性がん部位とラベル付けされ、その後、その部位は、転移とラベル付けされる。次に、1432において、ユーザは、原発に関連付けられたステージがない場合にのみ進むことができる。1433において、システムは、所見を新たに関連付けられた原発への転移として示し、バイオマーカーおよび病理/放射線レポートを含む所見に関する最新情報によってデータオブジェクトを更新する。追跡されたバイオマーカーは、それに応じて現れる。このシステムはまた、ユーザが、多くのバイオマーカーのうちのどれががんの説明にとって重要であるかを選択し、追跡することを可能にする。バイオマーカー情報は、患者要約ビューの前に提示され得る。
図8A~
図8Cに示す患者要約インターフェースビューに加えて、患者要約インターフェースは、関連するバイオマーカーを表示し、より詳細なバイオマーカーデータを見るために追加、修正、またはドリルダウンするためのユーザ入力を受け入れるインターフェースビューをさらに含み得る。
【0182】
1429において、1427において記載されたように、部位にラベルが付けられ、関連付けは所見/部位ごとに更新される。例えば、以前には、ある部位が転移として指定されている。これは、部位が原発部位に関連付けられるように更新される。1434において、解剖学的部位は、新たに関連付けられた原発性がんの転移部分に現れる。システムは、解剖学的部位および対応するバイオマーカーおよび病理/放射線学レポート所見を正しい原発に移動させる。バイオマーカー、所見などの情報は、
図12および
図13に関して上述したデータオブジェクトの接続を使用して、異なる原発性がんオブジェクトに関連して記憶され得る。任意のバイオマーカーは、それに応じて、更新された原発性がんオブジェクトと関連付けて現れる。例えば、所見にステージが関連付けられている場合、新たな原発は、そのステージによって更新される。
【0183】
1430において、ユーザは、所見についての現在の関連付けを保持する。現在の関連付けを保持する場合、1435において、システムは、この新たなレポートから得られたその所見に関する任意の情報を更新する。原発性がんの関連付けが保持される。追跡されたバイオマーカーまたはステージは、それに応じて現れる。病理レポートが所見に関連付けられた任意のステージを有する場合、その部位が原発部位でない限り、ステージ情報は、患者要約に示されなくてもよい。
【0184】
1431において、ユーザは、解剖学的部位を良性としてマークする。ユーザが解剖学的部位を良性としてマークした場合、1436において、良性部位は、もはやがん診断に関連しないため、患者の要約および患者の経路の視覚化から脱落する。1437において、レポートが終了し、インターフェースが患者要約ビューに戻る。
【0185】
図14Dは、ワークフローのデータ視覚化1410部分を示している。これは、統合患者データベースから患者に関連付けられたデータを読み出すことと、患者行程インターフェースまたは患者要約インターフェースなどのユーザインターフェースを表示することとを含むことができる。
【0186】
1442において、データが統合患者データベース1409から読み出され、患者行程に表示される。患者の識別子に基づいて、統合患者データベース内の患者レコードが識別される。これは、統合患者データベースに問い合わせてその識別子に対応する患者オブジェクトを識別することによって識別され得る患者ルートデータオブジェクト1201を含むことができる。
図12に示すように、患者ルートデータオブジェクト1201は、タイムスタンプが付けられて経時的な患者行程を視覚化するために使用され得る様々な異なるデータオブジェクトにマッピングされる。患者走行インターフェースの例が
図9A~
図9Eに示されている。
【0187】
1440において、データが統合患者データベース1409から読み出され、患者要約に表示される。患者の識別子に基づいて、統合患者データベース内の患者レコードが識別される。これは、統合患者データベースに問い合わせてその識別子に対応する患者オブジェクトを識別することによって識別され得る患者ルートデータオブジェクト1201を含むことができる。
図12に示すように、患者ルートデータオブジェクト1201は、タイムスタンプが付けられて患者要約インターフェースを入力するために使用され得る様々な異なるデータオブジェクトにマッピングされる。患者要約インターフェースの例が
図8A~
図8Cに示されている。患者要約から、ユーザは、例えば、1444において、ユーザが患者要約の転移セクションからの関連付けを更新したい場合、更新を実行することができる。これは、1446において、修正されたUIの表示をトリガすることができる。部位が手動で作成された場合、レポートは表示されず、関連付けUIのみが表示される。部位がレポートから導出された場合、レポートも閲覧可能である。
【0188】
1450において、データの調整が実行される。ユーザは、GUIと相互作用して、欠落した関係を確立することができる(例えば、識別されたがん腫瘤を特定の原発部位に関連付けるなど)。関連付けられない所見には、後に調整されるようにフラグが立てられる。調整では、マッピングされていないデータが識別される。一例では、がん腫瘤は、関連付けられた原発部位を指定しない。別の例では、手術歴レコードは、それが腫瘍学的手術歴であるか非腫瘍学的手術歴であるかを指定しない。別の例として、調整が使用されてがんのステージを識別することができる。調整は、欠落した関係を識別し、それらの欠落した関係を入力するため、ならびにUIのどこに特定の情報を表示することが適切であるかを決定するための双方に使用され得る。
図7A~
図7Bに示すインターフェースを使用して、調整が案内され得る。
B.データ管理技術
【0189】
図15は、統合された方法で異なるソースからの患者データを管理する方法1500を示している。方法1500は、例えば、
図2の医療データ処理システム200によって実行され得る。方法1500が使用されて、様々なソースからの構造化データと非構造化データの双方を統合されて編成された方法で統合患者データベースに統合することができ、その結果、データが使用されて本明細書に記載の有用な視覚化を生成することができる。
【0190】
ステップ1502において、医療データ処理システム200は、統合患者データベース内に患者についての患者レコードを作成する。患者レコードは、患者の識別子と、患者に関連付けられた医療データに関連する1つまたは複数のデータオブジェクトとを含む。患者の識別子は、例えば、患者の氏名、患者の英数字識別子などであってもよい。
図12に関して上述したように、統合患者データベースは、患者に関連付けられた異なるタイプの医療データを編成する異なるタイプの複数のデータオブジェクトを記憶することができる。例えば、患者レコードは、腫瘍塊に対応するデータオブジェクト、患者に与えられた処置に対応するデータオブジェクトなどを含むことができる。
【0191】
統合患者データベースは、複数のソースからのデータを含む(例えば、データは、EMR、RIS、ユーザエントリ、ウェアラブルデバイスなどから統合患者データベースに取り込まれ得る)。
図14Aに関して上述したように、患者レコードは、ユーザ入力を介して、またはEMRなどの外部データベースから読み出された情報から作成され得る。患者レコードを作成することは、その患者のデータオブジェクト、テーブル、または他のレコードを生成および記憶することを含むことができる。記憶されるデータは、患者識別子、人口統計情報、生年月日などの情報を含むことができる。
【0192】
ステップ1504において、医療データ処理システム200は、外部データベースから、患者についての医療レコードを読み出す。医療レコードは、PDF形式または画像形式のレポートなどの非構造化データを含むことができる。代替的または追加的に、医療レコードは、テーブルなどの構造化データを含むことができる。医療レコードは、例えば、EMR(電子医療レコード)システム、PACS(画像保管通信システム)、デジタル病理(DP)システム、ゲノムデータを含むLIS(検査情報システム)、RIS(放射線情報システム)、患者レポート転帰、ウェアラブルおよび/またはデジタル技術、ソーシャルメディアなどを含む1つまたは複数の外部データベースから読み出され得る。医療レコードは、本明細書に記載されるように、特定のがん腫瘤を識別する名称、レポートに関連付けられたタイムスタンプ、および他の情報などの情報を含むことができる。いくつかの実装では、医療データ処理システム200は、患者の識別子に基づいて医療レコードを読み出す。例えば、医療データ処理システム200は、統合患者データベースに問い合わせて、患者の識別子を含むか、またはそれによってインデックス付けされたレコードを識別する。代替的または追加的に、医療データ処理システム200は、定期的に(例えば、バッチで外部データベースからデータをダウンロードすることによって)医療レコードを読み出してもよい。
【0193】
医療レコードは、構造化データおよび/または非構造化データを含み得る。例えば、患者についての医療レコードが構造化される(例えば、第1のフォーマットである)。構造化データは、対応するデータタイプに関連付けられたデータ要素のセットを含むことができる。データ要素は、医療レコード内の要素に対応する語または語群を含むことができ、その例は、「2021年1月5日のMRI」などを含むことができる。各データ要素は、「原発腫瘍」、「処置」などのデータ要素を特徴付ける対応するデータタイプに関連付けてラベル付けおよび/または記憶され得る。代替的または追加的に、患者についての医療レコードは、非構造化される(例えば、第2のフォーマットである)。非構造化データは、データタイプを指定せずにデータ要素を含んでもよい。
【0194】
いくつかの実施形態では、医療レコードは、非構造化データを含む。医療データ処理システム200は、PDFまたは画像などの非構造化データからテキストを識別し得る。医療データ処理システム200は、医療レコード内のテキストを識別するために第1の機械学習モデルを適用し得る。例えば、第1の機械学習モデルは、光学式文字認識(OCR)モデルであるか、それを含み、テキストは、OCRを使用して識別される。
【0195】
医療データ処理システム200は、第2の機械学習モデルを適用して、識別されたテキストの一部を対応するフィールドと相関させ得る。医療データ処理システム200は、第2の機械学習モデルを使用して、語または語のセットなどのデータ要素を識別し、非構造化データを分析してデータ要素をデータタイプに割り当て得る。例えば、データ要素「結腸がん」を識別すると、周囲の語および句自体が分析され、データタイプ「診断」をデータ要素に割り当てる。
【0196】
いくつかの態様では、第2の機械学習モデルは、自然言語処理(NLP)モデルであるか、それを含む。訓練されたNLPモデルは、非構造化レポート内のテキストのデータタイプを識別する(例えば、NLPモデルは、テキスト「2020年1月10日」が「日付」データタイプ/フィールドに対応し、テキスト「放射線」が「処置タイプ」データタイプ/フィールドに対応すると決定する)。医療データ処理システム200は、例えば、NLPを使用して、入力テキスト文字列からエンティティを認識し得る。NLPモデルは、医学的診断、処置、投薬、患者の体内の特定の位置/器官など、予め定義された医療カテゴリおよび分類に対応するエンティティを識別し得る。これは、医療データについて訓練された名称付きエンティティ認識部を使用して、関心のあるデータタイプに対応するエンティティを認識するいくつかの実装において実行され得る。各エンティティは、カテゴリ/分類を示すデータタイプによってラベル付けされ得、分類されているデータに対応するデータ要素または値を指定する。次いで、医療データ処理システム200は、マッピングに基づいてデータタイプをデータ要素に関連付ける構造化医療データを生成することができる。機械学習を使用して非構造化医療データを処理するための技術は、上記の国際公開第2021/046536号パンフレットにさらに詳細に記載されている。
【0197】
いくつかの実装では、医療データ処理システム200は、EMR、PACS、DPなどを含む複数の外部データベース/システムに通信可能に結合される。これらのシステムが医療データ処理システム200によって管理される1人または複数の患者に関連付けられたデータに変更を加えると、データは、医療データ処理システム200に送信される。医療データ処理システム200は、統合患者データベースを定期的に更新するために、1つまたは複数の外部データベースから医療レコードを定期的に引き出すことができる。
【0198】
ステップ1506において、医療データ処理システム200は、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)を介して医療レコードに関連付けられた原発性がんの識別を受信する。例えば、
図7Bに示すような関連付けインターフェースを使用して要約処理が実行され得る。ユーザは、レポートにおいて識別されたがん腫瘤を特定の原発性がん部位と関連付けることができる。いくつかの実施形態では、医療レコードに関連付けられた原発性がんの識別を受信することは、GUIを介して、医療レコードと、1つまたは複数の原発性がんを選択するユーザ入力を受信するように構成されたメニューとを表示することと、グラフィカルユーザインターフェースを介して、原発性がんを選択するユーザ入力を受信することとを含む。
【0199】
場合によっては、そのようなユーザ選択は、
図7Aおよび
図7Bに関して上述したように、調整プロセスの過程で実行される。例えば、医療レコードは、患者レコードに記憶される。医療データ処理システム200は、患者レコードが特定の原発性がんに関連付けられていないことを決定するために医療レコードをパースする。医療データ処理システム200は、患者レコードが特定の原発性がんに関連付けられていないと決定したことに応答して医療レコードおよびメニューを表示し、
図7Aおよび
図7Bに示すようなインターフェースを介してデータを調整するようにユーザを促す。
【0200】
代替的または追加的に、医療データ処理システム200は、外部データベース(例えば、EMR)から医療レコードに関連付けられた潜在的な原発性がんの識別を受信する。リモートデータベースから受信したそのような識別は、場合によってはGUIへのユーザ入力を介して確認され得る。例えば、医療データ処理システム200は、データ要素およびデータタイプを分析することによって原発性がんを識別する。特定のデータ要素(例えば、「左乳がん」)は、例えば、データ要素が原発性がん(例えば、「原発性がん」)に対応することを示すデータタイプによってラベル付けされてもよい。いくつかの実装では、データ要約モジュール232は、文書ファイルから医療データを抽出し、抽出したデータを特定の原発性がんにマッピングする。マッピングは、文書の文書タイプに対するデータカテゴリのリストを定義するマスタ構造化データリスト(SDL)に基づくことができる。
【0201】
医療データ処理システム200は、ユーザが原発性がんの識別を確認するためのプロンプト(例えば、原発性がんの指定の確認または修正をユーザに促すテキストによって強調表示されるおよび/またフラグが立てられ得る予め記入されたフィールドを有する)とともにGUIを表示し得る。次いで、医療データ処理システム200は、GUIを介して原発性がん識別のユーザ確認を受信し得る。代替的または追加的に、医療データ処理システム200は、場合によっては、ユーザの介入なしに原発性がんを識別することができる。例えば、データ要素は、
図12に示すように、腫瘍が原発腫瘍、転移性腫瘍、または良性であるかどうかを示す、腫瘍の「性状」を示すデータタイプ(例えば、構造化フィールド)によってラベル付けされた統合患者データベースに記憶され得る。
【0202】
場合によっては、原発性がんを識別することは、医療データ処理システム200による非構造化データの分析を含むことができる。例えば、医療レコードは、非構造化データを含む非構造化フォーマットで受信される。医療データ処理システム200は、非構造化データから、原発性がんに関連付けられたデータ要素を識別し、非構造化データを分析してデータ要素をデータタイプに割り当てる。これは、ステップ1504に関して上述したように、1つまたは複数の機械学習モデルを使用して実行され得る。
【0203】
ステップ1508において、医療データ処理システム200は、統合患者データベース内の患者レコードに原発性がんオブジェクトにリンクされた医療レコードを記憶する。医療レコードを記憶することは、
図12および
図13に関して上述したデータスキーマを使用して、識別されたテキストを識別されたフィールドに関連して統合患者データベースに記憶することを含み得る。
【0204】
ステップ1510において、医療データ処理システム200は、GUIへのユーザ入力を介して、患者の医療データを受信する。これは、
図3A~
図3Hに関して上述したインターフェースを使用して直接入力される医療データであってもよい。例えば、ユーザは、処置情報、診断情報、原発性がんの転移に関する情報などをGUIの対応するフィールドに入力し得る。
【0205】
ステップ1512において、医療データ処理システム200は、患者の医療データが原発性がんに関連付けられていると決定する。例えば、ユーザによってGUIに入力されたデータは、原発性がんに指定されたフィールドに入力されてもよい。別の例として、外部データベースから読み出されたデータは、患者の医療データが原発性がんに関連付けられていることを示す。医療データ処理システム200は、1510において受信されたフィールドを、1504において読み出された医療レコードに対応する統合患者データベース内の対応する記憶されたデータ要素と比較し得る。
【0206】
ステップ1514において、医療データ処理システム200は、統合患者データベース内の患者レコードに原発性がんオブジェクトにリンクされた患者の医療データを記憶する。データ要素は、
図12および
図13に関して上述したデータスキーマを使用してリンクされ得る。
【0207】
統合患者データベースに記憶されたデータは、ユーザのために効率的に読出しおよび表示され得る。例えば、医療データ処理システム200は、統合患者データベースから、患者の医療データの少なくともサブセットを読み出す。医療データ処理システム200は、臨床的意思決定を実行するために、ユーザインターフェースを介して、患者の医療データの少なくともサブセットを表示させる。表示させることは、医療データ処理システム200自体のディスプレイ構成要素上にユーザインターフェースを表示すること、またはユーザインターフェースを表示するために外部コンピューティングデバイスによって使用可能な命令を送信することを含み得る。表示された情報は、
図7A~
図10に示すようなインターフェースを介して、臨床的意思決定を容易にするためにユーザフレンドリな方法で表示される。
C.データ管理のための技術
【0208】
図16は、
図12に示すようなデータスキーマを使用して統合患者データベースを管理する方法1600を示している。データスキーマが使用されて、患者データを管理して、臨床的意思決定を容易にするために本明細書に示すインターフェースビューの効率的な生成を容易にし、構造化医療データのエクスポートを容易にすることができる。方法1600は、例えば、
図2の医療データ処理システム200によって実行され得る。
【0209】
ステップ1602において、医療データ処理システム200は、相互接続されたデータオブジェクトのネットワークを含む患者レコードを統合患者データベースに記憶する。上述したように、統合患者データベースは、ユーザ入力を介してリモートコンピュータ上のインターフェースに提供されるEMRシステムから統合されたデータ、ウェアラブルデバイスから収集されたデータなどの複数のソースからのデータを含むことができる。
【0210】
ステップ1604において、医療データ処理システム200は、統合患者データベース内の患者レコードに、原発性がんの腫瘍塊のデータ要素に対応する第1のデータオブジェクトを記憶し、第1のデータオブジェクトは、腫瘍塊の部位を指定する属性を含む。いくつかの実装では、初期データは、複数のソースのうちの1つまたは複数から統合患者データベースにアップロードされる。所与のデータ要素(例えば、腫瘍塊を特徴付ける情報などの特定の分野に対応する情報)がシステムに取り込まれると、医療データ処理システム200は、この情報を記憶するデータオブジェクトを作成する。データオブジェクトは、異なるソースから取得されるデータに応答して作成され得る。例えば、ユーザは、ユーザインターフェースからデータを入力し得る。一部のデータは、EMRなどの外部システムから自動的に取り込まれてもよい。追加の構造化データは、文書(例えば、PDF)から自動的に要約され、ユーザによって検証され得る。データオブジェクトは、腫瘍塊(例えば、右肺、左乳房など)の部位を指定するものを含む、1つまたは複数のデータ属性をさらに含むことができる。
【0211】
ステップ1606において、医療データ処理システム200は、診断コンピュータから、原発性がんに対応する診断情報を受信する。医療データ処理システム200は、例えば、医師が医療データ処理システム200によって提供されるユーザインターフェースに入力した情報を、ネットワークを介して受信し得る。具体的な例として、医師は、
図4Bおよび
図4Cに示すようなGUIを使用して、所見やバイオマーカーなどの診断情報を入力することができる。そのような情報は、GUIの入力データフィールドに基づいて構造化された方法で収集され得る。
【0212】
ステップ1608において、医療データ処理システム200は、診断情報を分析して、診断情報と腫瘍塊との間の相関を識別する。これは、例えば、GUIから受信したデータをトラバースすることを含み得る。具体例として、
図4Cに示すように、GUIは、腫瘍部位情報420aおよびバイオマーカー情報420bについてのフィールドを含む。医療データ処理システム200がそのようなGUIからデータを受信すると、腫瘍部位(例えば、原発性腫瘍塊)がバイオマーカーと関連付けられていると決定することができる。代替的または追加的に、診断情報は、非構造化レポートに由来することができ、医療データ処理システム200は、
図15のステップ1504に関して上述したように、データタイプおよび相関を識別するために、1つまたは複数の機械学習モデルを適用することができる。
【0213】
ステップ1610において、診断情報と腫瘍塊との間の相関の識別に基づいて、医療データ処理システム200は、統合患者データベースに、診断情報に対応する第2のデータオブジェクトを記憶し、第2のデータオブジェクトは、相互接続されたデータオブジェクトのネットワークを介して第1のデータオブジェクトに接続されている。第2のデータオブジェクトは、原発性がんのステージ、バイオマーカー、および/または腫瘍サイズなどの1つまたは複数の属性を含み得る。医療データ処理システム200は、
図12および
図13に関して上述したデータスキーマを使用して、第1のデータオブジェクトに接続されているデータオブジェクトを記憶することができる。
【0214】
ステップ1612において、医療データ処理システム200は、診断コンピュータから、原発性がんに対応する処置情報を受信する。処置情報は、ステップ1606において上述したように、診断情報と同様の方法で診断コンピュータから受信され得る。例えば、処置情報は、GUIへの入力、非構造化レポートの分析、または他の適切な手段を介して診断コンピュータから読み出され得る。
【0215】
ステップ1614において、医療データ処理システム200は、処置情報を分析して、処置情報と腫瘍塊との間の相関を識別する。医療データ処理システム200は、例えば、ステップ1608に関して上述したのと同様の方法で、構造化フィールドを分析し、および/またはテキストデータに対してNLPを実行し得る。
【0216】
ステップ1616において、処置情報と腫瘍塊との間の相関の識別に基づいて、医療データ処理システム200は、処置情報に対応する第3のデータオブジェクトを統合患者データベースに記憶し、第3のデータオブジェクトは、相互接続されたデータオブジェクトのネットワークを介して第1のデータオブジェクトに接続されている。
【0217】
医療データ処理システム200はまた、
図12に関して上述したように、手術歴、併存症、投薬、および他の家族歴などの患者履歴データを受信および記憶し得る。例えば、医療データ処理システム200は、患者履歴データを受信する。患者履歴データは、(例えば、直接的なユーザ入力を介して)診断コンピュータから受信され得る。代替的または追加的に、患者履歴データは、EMRなどの外部コンピューティングシステムから受信されてもよい。医療データ処理システム200は、患者履歴データを分析して、(例えば、ステップ1608に関して上述したのと同様の方法で)患者履歴データと腫瘍塊との間の相関を識別する。患者履歴データと腫瘍塊との間の相関を識別することに基づいて、医療データ処理システム200は、患者履歴データに対応する第4のデータオブジェクトを統合患者データベースに記憶する。第4のデータオブジェクトは、相互接続されたデータオブジェクトのネットワークを介して第1のデータオブジェクトに接続されている。
【0218】
医療データ処理システム200はまた、原発性がんの転移部位における腫瘍塊、別の原発性がんに関連する腫瘍塊などの追加の腫瘍塊に関する情報を受信および記憶し得る。例えば、医療データ処理システム200は、診断コンピュータから、原発性がんの転移部位における腫瘍塊に対応する腫瘍塊情報を受信する。ユーザは、腫瘍塊情報をGUIに入力するかまたは文書をアップロードし得て、ステップ1606に関して上述したのと同様の方法でGUIを介して医療データプロセッサにデータが送信され得る。医療データ処理システム200は、腫瘍塊情報を分析して、(例えば、ステップ1608に関して上述したのと同様の方法で)診断情報と腫瘍塊との間の相関を識別する。腫瘍塊情報を受信し、第1のデータオブジェクトを識別することに基づいて、医療データ処理システム200は、相互接続されたデータオブジェクトのネットワークを介して第1のデータオブジェクトに接続されている腫瘍塊情報に対応する第5のデータオブジェクトを統合患者データベースに記憶する。
【0219】
医療データ処理システム200は、その後、統合患者データベースを更新し得る。例えば、医療データ処理システム200は、外部のデータベースから医療データをインポートする。外部データベースは、例えば、EMR(電子医療レコード)システム、PACS(画像保管通信システム)、デジタル病理(DP)システム、LIS(検査室情報システム)、および/またはRIS(放射線情報システム)のうちの1つまたは複数に対応し得る。いくつかの例では、医療データ処理システム200は、インポートされたデータをパースして、患者および原発性がんに関連付けられた特定のデータ要素を識別する。医療データ処理システム200は、例えば、EMRまたは他のソースから受信した構造化データをパースして、データ要素が処置、腫瘍塊、または他のタイプの医療データを記述することに留意するフィールドを識別することができる。構造化データは、第1のデータオブジェクトに対応する原発性がんをさらに記述し得る(例えば、取り込まれた構造化データのフィールドは、処置が原発性がんに適用されたことを示し得る)。次いで、医療データ処理システム200は、特定のデータ要素を第1のデータオブジェクト(例えば、第6のデータオブジェクト)に関連付けて記憶し得る。例えば、第6のデータオブジェクトは、
図12に描写されたものと同様のデータスキーマにおいて第1のデータオブジェクトにリンクされる。
【0220】
図12に関して上述したように、統合患者データベースに記憶されたデータは、タイムスタンプを使用してインデックス付けされ得る。タイムスタンプは、事象がいつ発生したか(例えば、MRIを受けた、処置を受けた、または診断を受けた日および/または時間)を追跡することができる。タイムスタンプは、データが統合患者データベースにいつ統合されたかをさらに追跡することができる。例えば、第1のデータオブジェクトおよび第2のデータオブジェクトのそれぞれを生成すると、医療データ処理システム200は、第1のデータオブジェクトの作成時刻を示す第1のデータオブジェクトに関連付けて記憶された第1のタイムスタンプを生成する。医療データ処理システム200は、第2のデータオブジェクトの作成時刻を示す第2のデータオブジェクトに関連付けて記憶された第2のタイムスタンプを生成する。これらのタイムスタンプは、その後、それぞれのデータオブジェクトに記憶され、データベースエントリの履歴を示すために使用され得る。各事象がいつ発生したかを追跡するタイムスタンプがさらに使用されて、
図9A~
図9Eに示す患者行程ビューなどの時系列視覚化を生成することができる。
【0221】
統合患者データベースに記憶されたデータは、ユーザのために効率的に読出しおよび表示され得る。例えば、医療データ処理システム200は、統合患者データベースから、腫瘍塊の部位を指定する属性、診断情報、および/または処置情報のうちの1つまたは複数を読み出す。属性を読み出すことは、統合患者データベースに問い合わせることを含み得る。いくつかの態様では、医療データ処理システム200は、データオブジェクト間の接続をトラバースして、関連付けられたデータオブジェクトを識別する。例えば、医療データ処理システム200は、腫瘍塊に対応するデータオブジェクトから腫瘍塊の処置に対応する別のデータオブジェクトへのポインタを識別し、そこから処置情報を読み出し得る。
【0222】
医療データ処理システム200は、臨床的意思決定のために、腫瘍塊の部位を指定する属性、診断情報、および/または処置情報のうちの1つまたは複数をユーザインターフェース(例えば、
図8A~
図9Eに示すようなGUI)を介して表示させ得る。例えば、
図8Bを参照すると、患者要約インターフェース800は、802において腫瘍塊の部位「右乳房2:00位置」を指定する属性を示す。GUI 800はまた、左側に、ステージおよび「浸潤性乳管がん」などの診断情報を表示する。患者要約インターフェース800はまた、806において腫瘍学的処置などの処置情報を示す。同様に、患者行程ビュー9A~9Eでは、腫瘍塊部位情報、診断情報、処置情報、および他の情報を含む情報がタイムラインビューで示され得る。表示させることは、医療データ処理システム200自体のディスプレイ構成要素にGUIを表示すること、またはGUIを表示するために外部コンピューティングデバイスによって使用可能な命令を送信することを含み得る。表示された情報は、医療専門家が経時的な患者の反応を示す編成された方法で情報を全て1つの場所で見ることができるように、臨床的意思決定を容易にするためにユーザフレンドリな方法で表示される。
【0223】
統合患者データベースに記憶されたデータは、構造化形式のEMRなどの外部システムに効率的に提供されることもできる。例えば、医療データ処理システム200は、統合患者データベースから、患者に関連付けられたデータ要素およびデータタイプを識別する。医療データ処理システム200は、データ要素およびデータタイプを構造化形式で外部システムに送信する。上述したように、いくつかのデータオブジェクトまたはデータフィールドは、統合によって入力され得るが、これらのデータは、非構造化または半構造化され得ることが多い。本明細書に記載の技術を使用して、ユーザおよび/または機械学習は、(例えば、調整または要約ツールを介して)データオブジェクト間のより多くの詳細または関係を追加することができる。これは、構造化情報を有する統合患者データベースにデータを記憶すること(例えば、異なるデータ要素を異なるデータタイプとして特徴付けること)を容易にする。そのような構造化データは、必要に応じてEMRなどの外部システムに構造化データを送信するために利用され得る。
D.患者行程インターフェースを介して患者データを表示するための技術
【0224】
図17は、
図9A~
図9Eに示すような患者行程インターフェースビューを介して、ナビゲーションおよび提示を容易にするために患者データを表示する方法1700を示している。患者行程ビューは、経時的に患者が処置にどのように反応したかのビューを提供することができ、その異なるタイプのデータは行によって編成され、それは、臨床医が患者の処置をよりよく理解して管理するのに役立つ。方法1700は、例えば、
図2の医療データ処理システム200によって実行され得る。
【0225】
ステップ1702において、医療データ処理システム200は、グラフィカルユーザインターフェースを介して、患者を識別するデータを受信する。例えば、ユーザは、患者の氏名または識別子をポータルに入力するか、または表示されたメニューから患者識別子を選択し得る。
【0226】
ステップ1704において、医療データ処理システム200は、グラフィカルユーザインターフェースの選択可能なモードのセットのうちの、モードを選択するユーザ入力を受信する。例えば、
図8A~
図10に示すように、患者行程モード、要約ビュー、およびレポートビューを含む様々なモードまたはインターフェースビューが利用可能である。例えば、ユーザは、患者行程ビューを選択する。医療データ処理システム200は、
図8Bに示すインターフェース800の上部付近に示される患者行程タブをユーザがクリックすることを検出し、ビューを患者行程ビューに遷移させる。
【0227】
ステップ1706において、識別データおよびユーザ入力に基づいて、医療データ処理システム200は、統合患者データベースから患者に関連付けられた医療データのセットを読み出す。医療データのセットは、選択されたモードに対応する。例えば、医療データのセットは、患者行程モードに対応する。医療データ処理システム200は、統合患者データベースに問い合わせて、(例えば、
図12に示すように患者データレコードを識別することによって)患者のレコードを識別し得る。
【0228】
医療データのセットを読み出すことは、統合患者データベースに問い合わせて、統合患者データベースから患者についての患者レコードを識別することを含み得る。患者レコードは、
図12に示す患者ルートデータオブジェクト1201などの患者オブジェクトを含むことができる。患者オブジェクトに基づいて、患者オブジェクトに接続されたオブジェクトが識別される。次いで、これらのオブジェクトの一部または全部が表示のために読み出され得る。例えば、
図12に示すように、患者ルートデータオブジェクト1201は、それぞれが様々なデータ要素を記憶することができる多くの異なるデータオブジェクトに接続されている。患者行程ビューは、この情報の一部を表示するように構成され得、システムは、事前構成されたデータオブジェクトタイプおよび/または要素に基づいて識別することができる。患者行程に表示されるデータオブジェクトタイプのリストは、構成ファイルに記憶され得る。リスト内のオブジェクトタイプに基づいて、例えば指定された時間ウィンドウ内にタイムスタンプを有する限り、これらのオブジェクトタイプのインスタンスが読み出され得る。例えば、
図9A~
図9Eに示すように、データの一部は、現在表示されている時間ウィンドウ内になく、所与の時間に表示のためにフェッチされない。良性腫瘍などの他のデータは、統合患者データベースに記憶され得るが、患者行程UIには表示されない。
【0229】
読み出されたデータは、例えば
図12に関して本明細書に記載された様々なデータオブジェクトおよび要素を含み得る。例えば、医療データのセットは、統合患者データベース内の処置オブジェクトに対応する(例えば、以下からまたはそれに関連付けて読み出される)ことができ、処置オブジェクトは、処置タイプ、日付、および反応を記憶する。医療データのセットは、代替的または追加的に、統合患者データベース内の診断所見オブジェクトに対応することができ、診断所見オブジェクトは、バイオマーカーデータ、病期分類データ、および/または腫瘍サイズデータを記憶する。医療データのセットは、代替的にまたは追加的に、統合患者データベース内の履歴オブジェクトに対応することができ、履歴オブジェクトは、手術履歴、アレルギー、および/または家族病歴を記憶する。
【0230】
ステップ1708において、医療データ処理システム200は、グラフィカルユーザインターフェースを介して、タイムラインにユーザ選択可能なオブジェクトのセットを表示し、オブジェクトは行に編成され、各行は、複数のカテゴリのうちの異なるカテゴリに対応し、カテゴリは、病変、診断、および処置を含む。これは、
図9A~
図9Eに示す患者行程ビューに対応し得る。医療データ処理システム200は、統合患者データベースからこの情報を読み出し、それを使用して患者行程ビューを表示し得る。例えば、
図12に関して上記で定義されたオブジェクトタイプに基づいて、患者行程インターフェース内の対応する行が特定のオブジェクトについて識別される。そのオブジェクトに関連付けられたタイムスタンプに基づいて、オブジェクトは、識別された行の患者行程ビューのタイムライン上の特定の時間に配置される。具体的な例として、バイオマーカーオブジェクトは、バイオマーカー行の特定の時間に配置される。これは、1606において読み出された医療データの各要素にわたって繰り返され、
図9A~
図9Eに示されるものなどのGUIビューをもたらすことができる。
【0231】
グラフィカルユーザインターフェースは、タイムラインの上に表示されるリボンをさらに含むことができ、リボンは、有意としてフラグが立てられたオブジェクトのサブセットを表示する。例えば、
図9Bに示すように、重要な事象を強調表示する要約リボン902がある。要約リボンは、見やすい場所で重要な事象を強調表示することができ、ユーザは、以下のタイムラインビューを使用して事象およびそれらが発生した順序を詳しく見るためにドリルダウンすることができる。これは、改善されたユーザ体験を提供し、ユーザに重要な事象および事象の時間的ビューを与えることによって臨床的意思決定を容易にするのを助けることができる。
【0232】
グラフィカルユーザインターフェースは、ユーザ相互作用を受信して、レポートを含む追加情報の表示を促すことができる。レポートは、詳細にまたは簡略化された形式で閲覧され得る。いくつかの実装では、ユーザは、タイムライン内のオブジェクトの上にホバリングすることができ(例えば、
図9Bに示すMRI924)、医療データ処理システム200は、レポートを読み出して表示する。医療データ処理システム200は、
図9Bに示すMRI924などのオブジェクトのセットのオブジェクトとのユーザ相互作用を検出し得る。医療データ処理システム200は、統合患者データベースから対応するレポートを識別および読み出す。例えば、
図12に示すように、データレコードは、患者についての患者ルートデータオブジェクト1201、診断所見のためのもの1205などの異なるデータオブジェクトにリンクされたレポート1204を含むことができる。医療データプロセッサは、統合患者データベース内のそのような接続をトラバースして、患者要約グラフィカルユーザインターフェース内のオブジェクトに関連付けられたレポートを識別することができる。次いで、医療データプロセッサは、グラフィカルユーザインターフェースを介してレポートを表示することができる。これは、患者要約ビューに表示された異なるオブジェクトにドリルダウンする便利な方法を提供する。
【0233】
患者行程ビューから、ユーザは、患者要約ビューまたは患者レポートビューなどの他の利用可能なビューに切り替えることができる。例えば、グラフィカルユーザインターフェースは、
図8Bに示す選択可能なレポート要素812および要約要素815などの、第2のインターフェースビューにナビゲートするための要素をさらに含む。医療データ処理システム200は、第2のインターフェースビューにナビゲートするための要素とのユーザ相互作用を検出する。例えば、第2のインターフェースビューは、
図7Aおよび
図8A~
図8Bに示すように、要約ビューであり、第2のインターフェースビューは、腫瘍学的要約データを表示する。別の例として、第2のインターフェースビューは、例えば
図10に示すように、特定のレポートまたはレポートのリストを表示するレポートビューである。
E.複数の腫瘍塊データを管理および表示するための技術
【0234】
図18は、
図8Cに示すものなどの並列腫瘍塊ビューを介して、ナビゲーションおよび提示を容易にするために患者データを表示する方法1800を示している。方法1800は、例えば、
図2の医療データ処理システム200によって実行され得る。
【0235】
ステップ1802において、医療データ処理システム200は、統合患者データベースに患者レコードを記憶する。患者レコードは、患者の第1の腫瘍塊に対応するデータ要素を記憶する第1の原発性がんデータオブジェクトと、患者の第2の腫瘍塊に対応するデータ要素を記憶する第2の原発性がんデータオブジェクトとを含む複数のデータオブジェクトを含む。例えば、1つのオブジェクトは、右乳房の原発性がんと関連付けて記憶され得、別のデータオブジェクトは、右肺の別の原発性がんと関連付けて記憶され得る。
図13に示すように、医療データ処理システム200によって使用されるデータスキーマは、それぞれががん1 1302およびがん2 1304などのそれぞれのデータオブジェクトを有する、複数の原発性がんの複数のオブジェクトを含むことができる。
【0236】
上述したように、統合患者データベースは、EMR(電子医療レコード)システム、PACS(画像保管通信システム)、デジタル病理(DP)システム、LIS(検査情報システム)、RIS(放射線情報システム)、患者レポート転帰、ウェアラブルデバイス、ソーシャルメディアウェブサイトなどを含むことができる複数のソースからのデータを含む。
【0237】
ステップ1804において、医療データ処理システム200は、グラフィカルユーザインターフェースをレンダリングして表示させる。グラフィカルユーザインターフェースは、患者要約を含む。
図8A~
図8Cに示すように、患者要約ビューは、統合患者データベース内の患者レコード内の患者データを要約する情報を含むことができる。患者要約ビューは、
図17に関して上述したように表示され得る。
【0238】
ステップ1806において、医療データ処理システム200は、グラフィカルユーザインターフェースの要素とのユーザ相互作用を検出する。例えば、患者要約ビューは、原発性がんに関する情報、および1つまたは複数の原発性がんに関するより多くの情報を表示するための要素を示す。具体例として、
図8Bに示す患者要約ビューは、ユーザがより多くの情報を表示するために相互作用することができる要素805とともに、「乳がん」および「肺がん」という2つの原発性がんに関する情報を有するボックス802を含む。いくつかの実装では、複数の原発性がんに関する情報の表示を開始するように構成された要素がある。あるいは、グラフィカルユーザインターフェースは、第1の原発性がん(例えば、乳がん)を見るときに第1の要素805を、第2の原発性がん(例えば、肺がん)を見るときに第2の要素805を表示することができる。この場合、ユーザは、2つのボタンのそれぞれを順番にクリックすることができる。
【0239】
いくつかの実装では、医療データ処理システム200は、いくつかの原発性がんを識別し、識別された各原発性がんに関する情報を表示する。例えば、医療データ処理システム200は、
図12および
図13に示すように、腫瘍塊の性状を示す構造化データフィールドを有する独立したデータオブジェクトとして表される各腫瘍塊を記憶する。このデータスキーマは、医療データ処理システム200が、必要に応じて原発性または転移性腫瘍の数をカウントすることを可能にする。
【0240】
ステップ1808において、ユーザ相互作用の検出に応答して、医療データ処理システム200は、統合患者データベースから、患者レコードの第1の原発性がんデータオブジェクトおよび第2の原発性がんデータオブジェクトからデータ要素を読み出す。医療データ処理システム200は、ステップ1806において相互作用された要素に基づいて1つまたは複数の原発性がんデータオブジェクトを識別し、統合患者データベースに問い合わせて対応する原発性がんデータオブジェクトに関連付けられたデータ要素を読み出し得る。いくつかの実装では、各腫瘍塊は、
図12に示すように、その性状(例えば、原発性、転移など)などの腫瘍塊に関する情報を示す構造化データフィールドを有する独立したデータオブジェクトとして表される。これは、医療データ処理システム200が、統合患者データベース内の原発性がんデータオブジェクトを識別することを可能にする。
【0241】
ステップ1810において、医療データ処理システム200は、患者の第1の原発性がんに対応する第1のモーダルおよび患者の第2の原発性がんに対応する第2のモーダルをレンダリングする。モーダルをレンダリングすることは、(例えば、患者要約ビュー上のポップアップとして)現在のGUI上にオーバーレイするためのグラフィックを生成することを含み得る。
【0242】
ステップ1812において、医療データ処理システム200は、グラフィカルユーザインターフェースに第1のモーダルおよび第2のモーダルを並べて表示させる。並べて配置されたモーダルは、
図8Cに示すように、患者要約ビューに重ねられた2つのポップアップウィンドウを含むことができる。
図8Cに示すように、第1のモーダルおよび第2のモーダルは、各原発性がんに関する重要な情報の要約を提供することができる。第1のモーダルおよび第2のモーダルに表示される情報は、
図8Cに示すように、タイムスタンプ、病期分類情報、および転移部位情報を有するバイオマーカーのセットを含むことができる。原発性がんを要約的に並べて示すことは、腫瘍専門医などの臨床医が、複数の原発性がんがどのように一度に進行しているかを確認するのを助けることができる。モーダルを表示させることは、医療データ処理システム200自体のディスプレイ構成要素にモーダルを表示すること、またはGUIを表示するために外部コンピューティングデバイスによって使用可能な命令を送信することを含み得る。
F.診断ワークフローの概要
【0243】
図19Aおよび
図19Bは、腫瘍学ワークフローアプリケーション222によって実装され得る腫瘍学ワークフローの例を示している。
図19Aおよび
図19Bのワークフローの目標は、がん処置の過程および患者行程の他の局面を通して更新される原発腫瘍およびその関連付けられた転移性病変に関連する関連する放射線、処置、および病理学的所見の詳細なキュレートされたテーブルを維持することである。原発腫瘍および転移性病変は、標的病変として処置される。測定値は構造化データとして取り込まれ得、腫瘍反応または進行に関する判断をより客観的にすることができ、患者の臨床状態に関する判断をよりよく知らせることができる。所見が変化すると、それらは反復的に記録される。
図19Aは、例示的なワークフローから取得され得る異なる標的病変について、時間に対する病変サイズの変化を示す例示的なチャート1900を示している。
【0244】
図19Bは、腫瘍専門医が監視および反応評価のために標的病変を選択することを可能にする腫瘍学ワークフローの例のフローチャート1901を示している。
図19Bを参照すると、ステップ1902において、診断処置所見、所見の特徴、および所見の処置者のコメント/診断解釈が、医療データ処理システム200から受信したデータに基づいて記録される。ステップ1904において、所見(例えば、病変など)が原発腫瘍を示すかどうかに関する決定が行われる。病変が原発腫瘍(ステップ1904)でも転移(ステップ1906)でもない場合、反復は終了することができ、その後、新たな診断手順所見、所見の特徴、および所見の処置者のコメント/診断解釈を記録するために、ステップ1902が後で繰り返される。病変が転移である場合(ステップ1906において)、ステップ1908において、所見には、データ入力インターフェース300における転移として割り当てられ得る。転移の割り当ては、
図3Fに示すように患者要約ページ311において実行され得、患者の腫瘍学データが更新され得、次いで反復を終了することができ、ステップ1902を繰り返すことができる。
【0245】
一方、病変が原発腫瘍である場合(ステップ1904)、ステップ1910において、
図3Dの動作340に示すように、病変には、データ入力インターフェース300を介して原発腫瘍として割り当てられる。診断が確認された場合(ステップ1912において)、患者の腫瘍学データは更新され得る。診断が確認されない場合(ステップ1912において)、ステップ1914において、
図3Bの「診断保留中」フラグ321は、アサートされたままとすることができる。双方の場合において、反復を終了することができ、ステップ1902を繰り返すことができる。さらに、ステップ1910から、ステップ1920において、生検が行われたかどうかに関する決定を行うことができる。所見が生検された場合(ステップ1920)、ステップ1922において、病理所見が患者の構造化データの一部として記録され得る。その後、ステップ1902が後で繰り返されて、新たな診断処置所見、所見の特徴、および所見の処置者のコメント/診断解釈が記録される。
【0246】
図20Aおよび
図20Bは、別の例示的な腫瘍学ワークフローのフローチャート2000を示している。フローチャート2000の腫瘍学ワークフローは、腫瘍学者(およびそれらの代表者)が、患者情報の完全なコンテキストを活用することによって、処置および経過観察を通じてがんの疑いからがん患者を長期的に管理することを可能にする。
図20Aを参照すると、データ収集モジュール230は、ステップ2002において、ポータル220を介して、がんを疑いのある患者の医療データを収集することができる。ステップ2004において、腫瘍専門医は、患者ががんを有するかどうかを確認するためにデータを分析することができる。がんが確認されなければ(ステップ2006および2008において)、腫瘍学ワークフローは終了することができる。しかしながら、がんが確認された場合、ステップ2010において、臨床所見が単一の原発性がんを示唆するかどうかについて決定が行われる。
【0247】
図20Bを参照すると、臨床所見が単一の原発性がんを示唆する場合(ステップ2010)、ステップ2012において、生検および後処理データが分析されて原発腫瘍を確認することができる。転移の証拠がない場合(ステップ2014)、ステップ2016において、患者は単一の原発性がんを有すると結論付けられ得る。一方、転移の証拠があり(ステップ2014において)、全ての転移が既知の原発性と関連付けられている(ステップ2018において)場合、ステップ2020において、単一の原発性がんからの転移があると結論付けられ得る。
【0248】
臨床所見が単一の原発性がんを示唆しない場合(ステップ2010)、または転移が既知の原発性と関連付けられていない場合(ステップ2018)、ステップ2022において、生検および精密検査データが分析されて、複数の原発部位があるかどうかを決定することができる。ステップ2022の生検および後処理データが単一の原発部位のみが存在することを確認した場合、ステップ2020において、転移が単一の原発性がんに由来すると決定され得る。しかしながら、ステップ2022の生検および後処理データが単一の原発部位しかないことを確認することができない場合、ワークフローは、異なる経路で進めることができる。例えば、臨床データが未知の原発部位のがん腫を示唆し(ステップ2026)、生検が類似の組織学を示す(ステップ2028)場合、ステップ2020において、転移が単一の原発性がんからのものであると決定され得る。しかしながら、臨床データが未知の原発部位のがん腫を示唆し(ステップ2026)、生検が異なる組織型を示す(ステップ2028)場合、ステップ2030において、患者が未知の原発部位のがん腫を有すると決定され得る。さらに、ステップ2024に戻って、生検が2つの異なる原発部位を示唆する2つの組織型を示し(ステップ2032)、ステップ2034において、(例えば、
図3Dおよび
図3Eのように、原発性がん部位に腫瘤を割り当てることによって)ユーザが2つの原発性がんにフラグを立てた場合、ステップ736において、患者が2つの原発性がんを有すると決定され得る。特定の診断結果(例えば、腫瘍塊の発見)は、
図3Fのように、第2の原発腫瘍と関連付けられ得る。
G.臨床判断を容易にするために医療データを処理する方法
【0249】
図21は、臨床判断を容易にするために医療データを処理する方法2100を示している。方法2100は、例えば、
図2の医療データ処理システム200によって実行され得る。
【0250】
ステップ2102において、医療データ処理システム200は、ポータル(例えば、ポータル220)を介して、患者の入力医療データを受信する。患者データは、例えば、EMR(電子医療レコード)システム、PACS(画像保管通信システム)、デジタル病理(DP)システム、ゲノムデータを含むLIS(検査情報システム)、RIS(放射線情報システム)、患者レポート転帰、ウェアラブルおよび/またはデジタル技術、ソーシャルメディアなどを含む様々なデータソース(1つまたは複数の医療機関)に由来することができる。
【0251】
いくつかの例では、ポータルは、入力医療データを受信するための様々なフィールドを含むデータ入力インターフェースを提供することができ、フィールドとデータとの間のマッピングに基づいて構造化医療データが生成され得る。構造化医療データは、腫瘍部位、病期分類、病理情報(例えば、生検結果)、診断手順、および原発腫瘍と(例えば、原発腫瘍からの転移に起因する)追加の腫瘍部位の双方のバイオマーカーなど、腫瘍の診断に関連する様々な情報を含むことができる。ポータルは、患者要約の形式で構造化データを表示することができる。ポータルはまた、構造化データの表示をページに編成することができ、各ページは、特定の原発腫瘍部位に関連付けられ、関連付けられた原発腫瘍部位の情報のフィールドを含み、タブによってアクセスされ得る。第1の原発腫瘍のページ内の特定のフィールドのユーザ入力(例えば、追加の腫瘍部位の新たな原発腫瘍としての指定)の検出に基づいて、ポータルは、第2の原発腫瘍の追加ページを作成し、第1の原発腫瘍のページに入力された追加腫瘍部位情報に基づいて、第2の原発腫瘍の新たに作成されたページのフィールドを入力することができる。いくつかの例では、ポータルプロセッサはまた、ユーザが原発腫瘍の診断手順中に見つかった追加の腫瘍塊を選択し、その塊を第2の原発腫瘍と関連付けて転移症例を表すことを可能にする。関連付けの検出に基づいて、医療データプロセッサは、追加の腫瘍の全ての診断結果を第1の原発腫瘍ページから第2の原発腫瘍の新たに作成されたページに転送することができる。
【0252】
いくつかの例では、ポータルはまた、ユーザが前述のデータソースから文書ファイル(例えば、病理レポート、医師のメモなど)をインポートすることを可能にする。次いで、医療データ要約モジュールは、文書ファイルから様々な構造化医療データを抽出することができる。構造化医療データは、例えば、文書ファイルに含まれるテキストに対して自然言語処理(NLP)操作、ルールベースの抽出操作などを実行することに基づいて抽出され得る。医療データ要約モジュールはまた、ポータルを介して文書ファイルからの構造化医療データの手動抽出を可能にする。そして、ポータルは、文書ファイルに加えて抽出された医療データを表示することができる。
【0253】
例えば、ポータルは、ファイルのテキストをハイライトマーキングによってオーバーレイすることができる。ポータルはまた、強調表示されたテキスト上のテキストから抽出された医療データを含むテキストボックスを表示することができる。さらに、構造化医療データはまた、ファイルの日付、文書ファイルのカテゴリ(例えば、臨床医のメモに対する病理レポート)、文書ファイルをオーサリング/サインオフした臨床医、および文書ファイルの内容に関連付けられた処置タイプ(例えば、生検、撮像、または他の診断ステップ)などの文書ファイルの様々なメタデータから抽出されることもできる。次いで、ポータルは、抽出されたデータに基づいてページの様々なフィールドを入力することができる。抽出された医療データの品質を改善するために、抽出されたデータに対して様々な強化動作が実行されることもできる。1つの強化動作は、抽出された医療データに含まれる様々な数値(例えば、体重、腫瘍サイズなど)を標準化された単位に正規化するため、データエラーを修正するため、または患者によって提供される非標準用語を、国際疾病分類(ICD)および体系化された医学命名法(SNOMED)などの様々な医療規格/プロトコルに基づく標準化された用語によって置き換えるための正規化動作を含むことができる。次いで、強化された抽出医療データは、患者の構造化医療データ(例えば、構造化腫瘍学データ)の一部として統合患者データベースに記憶され得る。
【0254】
ステップ2104において、構造化医療データが入力医療データに基づいて生成される。構造化医療データは、がんを有しない患者、原発性がんを有する患者、複数の原発性がんを有する患者、または未知の原発部位のがんを有する患者のうちの1つを含む診断結果を生成するための腫瘍学ワークフロー動作を支援するために生成される。腫瘍学ワークフローの例が
図19A~
図20Bに記載されている。腫瘍学ワークフローはまた、構造化医療データに基づいて診断動作を実行することができる。一例では、診断動作が実行されて、生検結果が同じ原発腫瘍に対するものであるか、または異なる腫瘍に対するものであるかを確認し、特定の処置に対する腫瘍の反応を評価するために原発腫瘍のサイズを追跡することができる。別の例では、診断動作が実行されて、患者が単一の原発腫瘍部位、複数の原発腫瘍部位、または未知の原発部位を有するかどうかを決定することができる。次いで、診断動作の結果は、患者の医療行程の一部としてポータル内で時間に関して記録および/または表示されて、腫瘍専門医またはその代表者が処置および経過観察を通じてがんの疑いからがん患者を長期的に管理することを可能にすることができる。診断結果はまた、患者に施されたケアの質を評価するためのケアの質評価ツール、患者の様々な情報(例えば、人口統計情報)と患者の腫瘍情報(例えば、予後または予想される生存)との間の相関関係を決定するための医療研究ツールなどの他の医療用途を支援するために使用されることもできる。
【0255】
ステップ2106において、ポータルは、診断の履歴に基づいて臨床判断を行うことを可能にするために、時間に対する患者の診断結果の履歴を表示することができる。例えば、ポータルは、
図9A~
図9Eに示すように、原発腫瘍サイズの履歴、他の診断結果の履歴などを含むことができる患者の医療行程を表すタイムラインを表示することができる。これは、臨床医が、例えば、患者に投与される処置について臨床判断を下すことを可能にする。
V.例示的なコンピュータシステム
【0256】
本明細書で言及されるコンピュータシステムのいずれも、任意の適切な数のサブシステムを利用し得る。そのようなサブシステムの例が、コンピュータシステム2200において
図22に示されている。いくつかの実施形態では、コンピュータシステムは、単一のコンピュータ装置を含み、ここでサブシステムは、コンピュータ装置の構成要素とすることができる。他の実施形態では、コンピュータシステムは、それぞれがサブシステムであり、内部構成要素を備えた複数のコンピュータ装置を含むことができる。コンピュータシステムは、デスクトップおよびラップトップコンピュータ、タブレット、携帯電話、ならびに他のモバイルデバイスを含むことができる。いくつかの実施形態では、クラウドインフラストラクチャ(例えば、アマゾン・ウェブ・サービス)、グラフィカル処理ユニット(GPU)などが使用されて、開示された技術を実装することができる。
【0257】
図22に示すサブシステムは、システムバス75を介して相互接続されている。プリンタ74、キーボード78、記憶デバイス79、ディスプレイアダプタ82に接続されたモニタ76などの追加のサブシステムが示されている。I/Oコントローラ71に結合された外付けおよび入出力(I/O)デバイスは、入出力(I/O)ポート77(例えば、USB、FireWire(登録商標))などの当該技術分野において知られている任意の数の手段によって、コンピュータシステムに接続され得る。例えば、I/Oポート77または外部インターフェース81(例えば、Ethernet、Wi-Fiなど)は、コンピュータシステム10を、インターネット等のワイドエリアネットワーク、マウス入力デバイス、またはスキャナに接続するために使用され得る。システムバス75を介した相互接続は、セントラルプロセッサ73が、サブシステムのそれぞれと通信し、システムメモリ72または記憶デバイス79(例えば、ハードドライブなどの固定ディスク、または、光ディスク)からの複数の命令の実行、ならびにサブシステム間の情報の交換の制御を可能にする。システムメモリ72および/または記憶デバイス79は、コンピュータ可読媒体を具体化し得る。別のサブシステムは、カメラ、マイクロフォン、加速度計、その他などのデータ収集デバイス85である。本明細書で説明したデータの任意のものは、ある構成要素から別の構成要素へ出力され得、ユーザに出力され得る。
【0258】
コンピュータシステムは、例えば、外部インターフェース81または内部インターフェースによって一体に接続された、複数の同じ構成要素またはサブシステムを含むことができる。いくつかの実施形態では、コンピュータシステム、サブシステム、または装置は、ネットワークを介して通信することができる。そのような例では、1つのコンピュータは、クライアントと見なすことができ、別のコンピュータは、サーバと見なすことができ、それらのそれぞれは、同じコンピュータシステムの一部とすることができる。クライアントおよびサーバは、それぞれ、複数のシステム、サブシステム、または構成要素を含むことができる。
【0259】
実施形態の態様は、ハードウェア(例えば、特定用途向け集積回路またはフィールドプログラマブルゲートアレイ)を使用して、および/またはモジュラー様式または統合された様式の一般にプログラム可能なプロセッサを伴う、コンピュータソフトウェアを使用して、制御ロジックの形態で実装され得る。本明細書で使用されるとき、プロセッサは、1つの集積チップ上のシングルコアプロセッサ、マルチコアプロセッサ、または1つの回路基板上の、もしくはネットワーク接続されたマルチプロセッシングユニットを含む。本明細書で提供される開示および教示に基づいて、当業者は、ハードウェアおよびハードウェアとソフトウェアとの組み合わせを使用して、本発明の実施形態を実施するための他の手段および/または方法を知り、理解するであろう。
【0260】
本出願で説明されるソフトウェアの構成要素または関数はいずれも、例えばJava、C、C++、C#、Objective-C、Swiftなどの任意の好適なコンピュータ言語、または例えば、従来のもしくはオブジェクト指向の技術を用いるPerlもしくはPythonなどのスクリプト言語を使用して、プロセッサによって実行されるソフトウェアコードとして実装され得る。ソフトウェアコードは、一連の命令またはコマンドとして、記憶および/または伝送のためにコンピュータ可読媒体上に記憶され得る。好適な非一時的コンピュータ可読媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、ハードドライブ、フロッピーディスクなどの磁気媒体、コンパクトディスク(CD)もしくはDVD(デジタル多用途ディスク)などの光学的媒体、またはフラッシュメモリ、などを含むことができる。コンピュータ可読媒体は、そのような記憶デバイスまたは送信デバイスの任意の組み合わせであり得る。
【0261】
そのようなプログラムはまた、インターネットを含む様々なプロトコルに準拠する有線、光、および/または無線ネットワークを介した送信に適合されたキャリア信号を使用して符号化および送信され得る。そのように、コンピュータ可読媒体は、そのようなプログラムを用いてエンコードされたデータ信号を使用して作成され得る。プログラムコードで符号化されたコンピュータ可読媒体は、互換性のあるデバイスと一緒にパッケージ化されるか、または(例えば、インターネットダウンロードを介して)他のデバイスとは別に提供され得る。任意のそのようなコンピュータ可読媒体は、個々のコンピュータ製品(例えば、ハードドライブ、CD、または完全なコンピュータシステム)上にまたは内部に備えられ得て、また、システムまたはネットワーク内部の異なるコンピュータ製品上にまたは内部に存在し得る。コンピュータシステムは、本明細書に記載の結果のいずれかをユーザに提供するためのモニタ、プリンタ、または他の適切なディスプレイを含み得る。
【0262】
ここに説明される方法のいずれも、上記のステップを実行するように構成され得る1つまたは複数のプロセッサを含むコンピュータシステムを用いて完全にまたは部分的に実行してよい。したがって、実施形態のそれぞれは、潜在的にステップのそれぞれまたはステップのグループのそれぞれを行う異なる構成要素を用いて、本明細書に記載される方法のいずれかのステップを行うように構成されているコンピュータシステムを対象とすることができる。符号付きのステップとして提示されているが、本明細書の方法のステップは、同時にまたは異なる順序で実行され得る。さらに、これらのステップの一部は、他の方法からの他のステップの一部とともに使用され得る。また、ステップの全てまたは一部は、任意であり得る。さらに、任意の方法の任意のステップは、モジュール、ユニット、回路、またはこれらのステップを実行するための他の手段を用いて実行され得る。
【0263】
特定の実施形態の固有の詳細は、本発明の実施形態の精神および範囲から逸脱することなく、任意の適切なやり方で組み合わせられてもよい。しかしながら、本発明の他の実施形態は、それぞれの個別の態様に関する特定の実施形態、またはこれらの個別の態様の特定の組み合わせを対象としてもよい。
【0264】
本発明の例示的な実施形態の上記説明は、図示および説明を目的として提示されている。網羅的であること、または本発明を、説明されたそのものの形式に限定することを意図するものではなく、多数の変更および変形が、上述した教示に照らして可能である。
【0265】
「a」、「an」、または「the」という記載は、そのようでないと具体的に示されない限り、「1つまたは複数」を意味するように意図される。「または」の使用は、そのようでないと具体的に示されない限り、「排他的論理和」でなく、「包含的論理和」を意味するように意図される。「第1の」構成要素への言及は、第2の構成要素がもたらされることを必ずしも必要としない。さらに、「第1の」または「第2の」構成要素への言及は、明示的に述べられない限り、言及された構成要素を特定の位置に限定しない。
【0266】
本明細書に説明される全ての特許、特許出願、出版物、および説明文は、あらゆる目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。いずれも先行技術であると認められるものではない。
【国際調査報告】