(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-29
(54)【発明の名称】インピーダンス装置、及び振動ユニットの振動に対する頭部の影響をシミュレートするシステム
(51)【国際特許分類】
H04R 1/00 20060101AFI20240122BHJP
H04R 1/02 20060101ALI20240122BHJP
【FI】
H04R1/00 317
H04R1/02 101B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023543180
(86)(22)【出願日】2022-10-28
(85)【翻訳文提出日】2023-07-18
(86)【国際出願番号】 CN2022128431
(87)【国際公開番号】W WO2023116200
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/141078
(32)【優先日】2021-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521080118
【氏名又は名称】シェンツェン・ショックス・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】王 真
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ 志青
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 磊
【テーマコード(参考)】
5D017
【Fターム(参考)】
5D017AB13
5D017AD12
(57)【要約】
本明細書の実施例は、インピーダンス装置、及び振動ユニットの振動に対する頭部の影響をシミュレートするシステムを提供し、該インピーダンス装置は、質量部、弾性部及び固定部を含んでもよく、前記質量部は、前記弾性部により前記固定部に接続され、前記固定部は、内部が中空の構造体であり、開口を含み、前記弾性部は、前記開口に位置し、かつ前記固定部に接続され、前記弾性部及び前記固定部は、キャビティを形成し、前記質量部が前記固定部に対して振動する方向における前記弾性部の弾性係数範囲は、600N/m~5000N/mである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量部、弾性部及び固定部を含み、前記質量部は、前記弾性部により前記固定部に接続され、前記固定部は、内部が中空の構造体であり、開口を含み、前記弾性部は、前記開口に位置し、かつ前記固定部に接続され、前記弾性部及び前記固定部は、キャビティを形成し、前記質量部が前記固定部に対して振動する方向における前記弾性部の弾性係数範囲は、600N/m~5000N/mである、インピーダンス装置。
【請求項2】
前記固定部には、少なくとも1つの穴がさらに形成され、前記少なくとも1つの穴には、前記キャビティの内部の空気と前記キャビティの外部の空気との連通を許容し、かつ減衰を提供する音響メッシュが被覆される、請求項1に記載のインピーダンス装置。
【請求項3】
前記弾性部に減衰構造が設置され、前記減衰構造は、前記弾性部の振動に減衰を提供し、前記減衰構造により提供された減衰は、1~4の範囲内にある、請求項1に記載のインピーダンス装置。
【請求項4】
前記弾性部は、リード構造を含み、前記リード構造は、前記キャビティの内部の空気と前記キャビティの外部の空気との連通を許容する透かし彫り領域を含む、請求項1に記載のインピーダンス装置。
【請求項5】
前記透かし彫り領域には、前記キャビティの内部の空気と前記キャビティの外部の空気との連通を許容し、かつ減衰を提供する音響メッシュが被覆される、請求項4に記載のインピーダンス装置。
【請求項6】
前記弾性部は、外周側により前記固定部に接続された膜状構造を含む、請求項1に記載のインピーダンス装置。
【請求項7】
前記弾性部と前記固定部との間には、磁気ギャップを有する磁気回路構造が設置され、前記質量部又は前記弾性部から金属シートが延出し、前記金属シートは、前記磁気ギャップに挿入される、請求項1に記載のインピーダンス装置。
【請求項8】
前記質量部の前記固定部に対する振動方向に沿って、前記金属シートの前記磁気回路構造への投影面積は、25mm
2~400mm
2の範囲内にある、請求項7に記載のインピーダンス装置。
【請求項9】
前記金属シートの電気抵抗率は、0.8×10
-8Ω・m~2.0×10
-8Ω・mの範囲内にある、請求項7に記載のインピーダンス装置。
【請求項10】
前記磁気回路構造の磁束は、0.2T~1.8Tの範囲内にある、請求項7に記載のインピーダンス装置。
【請求項11】
前記キャビティ内には、前記弾性部と前記固定部にそれぞれ接触する可撓性構造が充填される、請求項1に記載のインピーダンス装置。
【請求項12】
前記可撓性構造は、多孔質の空隙を有する、請求項11に記載のインピーダンス装置。
【請求項13】
前記質量部の前記弾性部から離れた側に位置し、かつ前記質量部と間隔をあけて設置された減衰構造を含む、請求項1に記載のインピーダンス装置。
【請求項14】
前記弾性部に外部作用力が作用する場合、前記インピーダンス装置は、6dB~50dBの範囲内の機械インピーダンスを提供し、前記外部作用力は、前記質量部の前記固定部に対する振動方向と同方向であり、0.05N~3.5Nの範囲内にある、請求項1~13のいずれか一項に記載のインピーダンス装置。
【請求項15】
振動信号を提供するように構成された振動ユニットと、
前記振動ユニットに接触し、かつ前記振動ユニットに機械インピーダンスを提供するインピーダンス装置と、
前記振動ユニットと前記インピーダンス装置とを結合するように構成された接続部材と、
前記振動ユニットの振動過程におけるパラメータ情報を収集するように構成されたセンサと、
を含み、
前記インピーダンス装置は、質量部、弾性部及び固定部を含み、前記質量部は、前記弾性部により前記固定部に接続され、前記固定部は、内部が中空の構造体であり、開口を含み、前記弾性部は、前記開口に位置し、かつ前記固定部に接続され、前記弾性部及び前記固定部は、キャビティを形成し、前記質量部が前記固定部に対して振動する方向における前記弾性部の弾性係数範囲は、600N/m~5000N/mである、振動ユニットの振動に対する頭部の影響をシミュレートするシステム。
【請求項16】
前記接続部材は、前記振動ユニット及び前記インピーダンス装置に0.05N~3.5Nの圧力を提供する、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記インピーダンス装置と前記振動ユニットとの結合領域の面積範囲は、0.25cm
2~4cm
2である、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記インピーダンス装置は、前記固定部に接続された減衰構造を含み、前記振動ユニットは、前記質量部と前記減衰構造との間に位置する、請求項15に記載のシステム。
【請求項19】
前記センサは、前記質量部又は前記振動ユニットに位置する、請求項15に記載のシステム。
【請求項20】
前記センサは、変位計、速度計、加速度計、気導マイク、レーザーセンサのうちの1種以上を含む、請求項15に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権情報)
本願は、2021年12月24日に出願された国際出願番号PCT/CN2021/141078の優先権を主張し、そのすべての内容が参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0002】
本明細書は、振動シミュレーションの分野に関し、特に、インピーダンス装置、振動ユニットの振動に対する頭部の影響をシミュレートするシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
振動ユニットは、振動信号を生成して、人体頭部(例えば、頭部骨格)に振動信号を伝達することができる。振動ユニットの振動に対する人体頭部の影響をシミュレートして、振動ユニットの振動特性を知るために、一般的には、振動ユニットと人体頭部構造をシミュレートする装置とを結合する必要がある。いくつかの応用シーンでは、振動ユニットは、骨伝導イヤホン又は補聴器として使用される場合、ユーザの耳介の前側の顔領域に密着するが、人体頭部における該領域の骨格の硬度は頭蓋骨、乳様突起骨などの硬度よりも低く、すなわち、ユーザの耳介の前側の顔領域の機械インピーダンスは人体頭部の他の部位の機械インピーダンスとは明らかに異なり、現在の人体頭部をシミュレートする装置は、一般的にはユーザの耳の後ろの乳様突起の機械インピーダンスをシミュレートし、明らかに、振動ユニットが人体の耳介の前側の顔領域に密着するシーンのシミュレーションを満たすことができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、人体の耳介の前側の顔領域をシミュレートするためのインピーダンス装置、及び振動ユニットの振動に対するインピーダンス装置の影響をシミュレートするシステムを提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書の一実施例に係るインピーダンス装置は、質量部、弾性部及び固定部を含み、前記質量部は、前記弾性部により前記固定部に接続され、前記固定部は、内部が中空の構造体であり、開口を含み、前記弾性部は、前記開口に位置し、かつ前記固定部に接続され、前記弾性部及び前記固定部は、キャビティを形成し、前記質量部が前記固定部に対して振動する方向における前記弾性部の弾性係数範囲は、600N/m~5000N/mである。
【0006】
本明細書の一実施例に係る、振動ユニットの振動に対する頭部の影響をシミュレートするシステムは、振動信号を提供するように構成された振動ユニットと、前記振動ユニットに接触し、かつ前記振動ユニットに機械インピーダンスを提供するインピーダンス装置と、前記振動ユニットと前記インピーダンス装置とを結合するように構成された接続部材と、前記振動ユニットの振動過程におけるパラメータ情報を収集するように構成されたセンサと、を含み、前記インピーダンス装置は、質量部、弾性部及び固定部を含み、前記質量部は、前記弾性部により前記固定部に接続され、前記固定部は、内部が中空の構造体であり、開口を含み、前記弾性部は、前記開口に位置し、かつ前記固定部に接続され、前記弾性部及び前記固定部は、キャビティを形成し、前記質量部が前記固定部に対して振動する方向における前記弾性部の弾性係数範囲は、600N/m~5000N/mである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本明細書のいくつかの実施例に係るインピーダンス装置のブロック図である。
【
図2】本明細書のいくつかの実施例に係るインピーダンス装置の概略構成図である。
【
図3A】本明細書のいくつかの実施例に係るインピーダンス装置の概略構成図である。
【
図3B】本明細書の他のいくつかの実施例に係るインピーダンス装置の概略構成図である。
【
図3C】本明細書の他のいくつかの実施例に係るインピーダンス装置の概略構成図である。
【
図3D】本明細書の他のいくつかの実施例に係るインピーダンス装置の概略構成図である。
【
図4】本願のいくつかの実施例に係るインピーダンス装置の概略構成図である。
【
図5】本願のいくつかの実施例に係るインピーダンス装置の概略構成図である。
【
図6】本願のいくつかの実施例に係るインピーダンス装置の概略構成図である。
【
図7】本願のいくつかの実施例に係るインピーダンス装置の概略構成図である。
【
図8】本願のいくつかの実施例に係る振動ユニットの振動の周波数応答曲線図である。
【
図9】本明細書のいくつかの実施例に係る、振動ユニットの振動に対する頭部の影響をシミュレートするシステムの例示的なブロック図である。
【
図10】本明細書のいくつかの実施例に係る、インピーダンス装置によりシミュレートされた頭部結合領域の位置図である。
【
図11】本願のいくつかの実施例に係る、振動ユニットの振動に対する頭部の影響をシミュレートするシステムの概略構成図である。
【
図12】本願のいくつかの実施例に係る、振動ユニットの振動に対する頭部の影響をシミュレートするシステムの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本願の実施例の技術手段をより明確に説明するために、以下、実施例の記述に必要な図面を簡単に説明する。明らかに、以下に記述される図面は、本願の例又は実施例の一部に過ぎず、当業者であれば、創造的な労力を要することなく、これらの図面に基づいて本願を他の類似するシナリオに応用することができる。言語環境から明らかではないか又は明記しない限り、図面において、同じ符号は同じ構造又は操作を表す。
【0009】
本明細書で使用される「システム」、「装置」、「ユニット」及び/又は「モジュール」は、レベルの異なる様々なアセンブリ、素子、部品、部分又は組立体を区別するための方法であることが理解されよう。しかしながら、他の用語が同じ目的を達成することができれば、上記用語の代わりに他の表現を用いることができる。
【0010】
本願及び特許請求の範囲に示すように、文脈が明確に別段の指示をしない限り、「一」、「1つ」、「1種」及び/又は「該」などの用語は、特に単数形を意味するものではなく、複数形を含んでもよい。一般的には、用語「含む」及び「含有」は、明確に特定されたステップ及び要素のみを含むように提示し、これらのステップ及び要素は、排他的な羅列ではなく、方法又は設備は、他のステップ又は要素も含む可能性がある。
【0011】
本明細書の実施例では、インピーダンス装置が記述される。いくつかの実施例では、インピーダンス装置は、質量部、弾性部及び固定部を含んでもよく、質量部は、弾性部により固定部に接続される。いくつかの実施例では、固定部は、内部が中空の構造体であり、開口を含み、弾性部は、開口に位置し、かつ固定部に接続され、弾性部及び固定部は、キャビティを形成する。また、質量部は、弾性部に接続され、外部作用力の作用で、固定部に対して振動することができる。インピーダンス装置が人体の耳介の前側領域をより正確にシミュレートできるように、いくつかの実施例では、質量部が固定部に対して振動する方向における弾性部の弾性係数範囲は、600N/m~5000N/mである。いくつかの実施例では、質量部の固定部に対する振動は、20Hz~300Hzの周波数範囲内に共振ピークを有する。いくつかの実施例では、質量部の質量及び弾性部の弾性係数を調整することにより、振動ユニット(例えば、骨伝導スピーカ、補聴器など)とインピーダンス装置の質量部が結合される場合の周波数応答曲線と、振動ユニットが人体の耳珠近傍領域(例えば、耳介の前側の顔領域)に装着される場合の周波数応答曲線とがほぼ一致することができ、さらにインピーダンス装置を利用して耳珠近傍領域の振動ユニットに対する影響をシミュレートすることができる。いくつかの実施例では、インピーダンス装置は、減衰構造をさらに含んでもよく、減衰構造は、インピーダンス装置に減衰を提供することができ、減衰構造の減衰を調整することにより、実際に使用される場合に耳珠近傍領域から振動ユニットにフィードバックされる実際のインピーダンスをシミュレートして、振動ユニットとインピーダンス装置とが結合される場合の周波数応答曲線と、振動ユニットが人体の耳珠領域のアタッチメントに装着される場合の周波数応答曲線とが一致するか又はほぼ一致することができる。
【0012】
図1は、本明細書のいくつかの実施例に係るインピーダンス装置のブロック図である。
図1に示すように、いくつかの実施例では、インピーダンス装置100は、質量部101、弾性部102及び固定部103を含んでもよい。質量部101は、弾性部102により固定部103に接続され、質量部101は、固定部103に対して振動してもよい。いくつかの実施例では、質量部101は、弾性部102により固定部103に物理的に接続されてもよく、本明細書で記述される物理的な接続は、溶接、係止、接着又は一体成形など、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例では、質量部101は、外部の振動ユニット(例えば、骨伝導イヤホン、空気伝導イヤホン、補聴器など)に接触するか又は結合される場合、振動ユニットの振動を受けて固定部103に対して移動する。いくつかの実施例では、質量部101は、振動ユニットに直接接触しても結合されてもよく、振動ユニットは、振動する場合に、質量部101を移動するように直接駆動する。いくつかの実施例では、質量部101は、他の構造又は部品(例えば、保護フィルムなど)を介して振動ユニットに接触しても結合されてもよく、振動ユニットの振動を受けて移動する。
【0013】
質量部101は、所定の重量を有する物体を意味する。インピーダンス装置100において、質量部101は、頭部の耳珠近傍領域(例えば、耳介の前側の顔領域)から振動ユニットにフィードバックされる質量負荷を特徴付けてもよく、質量部101は、慣性部とも呼ばれる。振動ユニットが質量部101に接続される場合、振動ユニットは、振動過程において、質量部101を共に移動するように駆動し、この場合、質量部101と振動ユニットは、同位相を維持し、かつ同じ又はほぼ同じ振動加速度を有する。いくつかの実施例では、質量部101の形状は、円筒体、直方体、円錐、円錐台、球体などの規則的な構造体又は不規則な構造体を含んでもよいが、これらに限定されない。いくつかの実施例では、質量部101の材質は、プラスチック、シリコーンゴム、木材、金属、発泡体などの任意の材質を含んでもよいが、これらに限定されない。
【0014】
弾性部102は、質量部101の移動に所定の弾性を提供する。弾性部102の弾性力の大きさは、質量部101の移動変位又は移動幅に比例する。例えば、質量部の移動過程において弾性部102を変形させ、弾性部102の弾性力が弾性部102の変形量に関連し、変形量が大きいほど、弾性部102により提供された弾性力が大きくなる。弾性部102の弾性係数は、人体頭部の耳珠近傍領域の等価弾性係数を特徴付けてもよい。いくつかの実施例では、弾性部102の弾性係数を、人体頭部の耳珠近傍領域(耳介の前側の顔領域)の等価弾性係数にほぼ等しくするように調整してもよい。いくつかの実施例では、人体頭部の耳珠近傍領域の硬度、装着者の様々な年齢層、振動ユニットを装着するときの圧力及び該位置の細胞の種類に応じて弾性部102の弾性係数を調整してもよい。具体的な原因は、人体頭部の異なる部位の硬度が異なり、等価弾性係数も異なることである。例えば、人体頭部の額部位、耳の後ろの乳様突起部位は、硬度が大きく、その等価弾性係数が相対的に大きい。また例えば、人体頭部の耳の前の側頭骨部位(すなわち、耳珠近傍領域)は、額部位、耳の後ろの乳様突起部位よりも柔らかく、その等価弾性係数が比較的小さい。また、人体頭部の異なる細胞中のエラスチン及びコラーゲンのヤング率が異なる(例えば、エラスチンのヤング率E≒0.3MPaであり、コラーゲンのヤング率E=100~1000MPaである)ため、人体頭部の異なる領域の等価弾性係数に対する異なる細胞の影響が大きい。さらに、同じ人の同じ部位であっても、等価弾性係数は、年齢層によって異なる。例えば、人体が老化した後、皮下液の量が減少するため、等価弾性係数はそれに応じて大きくなる。いくつかの実施例では、人体頭部の皮膚の等価弾性係数は、ユーザが振動ユニットを装着する場合の振動ユニットと頭部の皮膚との間の圧力にも関連する。例えば、ユーザが振動ユニットを含む設備(例えば、聴覚設備、オーディオ設備など)を装着する場合、設備と人体頭部の皮膚との間に圧力が発生すると、設備が人体の皮下細胞を押圧して、設備に対応する皮下液の量に影響を及ぼし、圧力が大きいほど、設備に対応する皮下液の量が少なくなり、対応する等価弾性係数が大きくなる。人体頭部の皮膚の等価弾性係数が圧力に伴って変化する特性をシミュレートするために、いくつかの実施例では、弾性部102の弾性係数は、質量部101の移動変位又は移動幅に伴って変化するように設定されてもよく、例えば、質量部101の移動幅の増大に伴って、弾性部102の弾性係数も対応して大きくなる。いくつかの実施例では、弾性部102は、ばね、弾性軟質ゴム又はシリコーンゴム、弾性構造を有するプラスチック、弾性構造を有する金属など又は他の弾性を有する形態(例えば、エアクッション、膜状構造など)を含んでもよいが、これらに限定されない。いくつかの実施例では、ばねは、圧縮ばね、引張ばね、ねじりばね、コイルばね及び板ばねのうちの1種以上を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例では、弾性部102は、流体(例えば、気体、液体又は気体と液体の混合物など)であってもよく、流体の形状に外部作用力(例えば、質量部101が振動する場合の流体への圧力)が作用する場合、流体が質量部101の移動に対して所定の抵抗(すなわち、粘性)を生成することにより、質量部101の移動に所定の弾性を提供する。
【0015】
固定部103は、インピーダンス装置100の支持体を意味し、インピーダンス装置100の他の部品(例えば、質量部101、弾性部102、減衰構造104)を支持してもよい。いくつかの実施例では、固定部103の構造は、板状構造、ケース構造、ブロック状構造、台形構造などを含んでもよいが、これらに限定されない。なお、固定部103は、上記構造に限定されず、任意の形状の構造体であってもよく、インピーダンス装置100の他の部品(例えば、質量部101、弾性部102、減衰構造104)を支持できる構造であればよく、本明細書においてさらに限定しない。
【0016】
いくつかの実施例では、インピーダンス装置100は、質量部101の移動に減衰を提供してもよい減衰構造104をさらに含んでもよい。該減衰構造104は、人体の等価減衰を特徴付けてもよい。いくつかの実施例では、減衰構造104は、ばねダンパ、油圧ダンパ、摩擦ダンパ、パルスダンパ、回転ダンパ、粘性ダンパ、空気流ダンパ、減衰ヒンジ、減衰スライドレール及び電磁ダンパなどのうちの1つ又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよいが、これらに限定されない。いくつかの実施例では、減衰構造104は、ある媒体(例えば、流体、空隙を有する可撓性材質)の特性を利用して実現される形態(例えば、磁性流体などの所定の粘性力を有する液体)であってもよい。
【0017】
質量部101の質量又は弾性部102の弾性係数を調整することにより、インピーダンス装置100の特性が人体頭部の耳珠近傍領域の特性と近似して、インピーダンス装置100が人体頭部の耳珠近傍領域の機械インピーダンスに近いものを提供して、さらに振動ユニットとインピーダンス装置とが結合される場合の周波数応答曲線と、振動ユニットが人体の耳珠領域のアタッチメントに装着される場合の周波数応答曲線とが一致するか又はほぼ一致することができる。いくつかの実施例では、質量部101の質量範囲は、0.5g~5gであってもよい。好ましくは、質量部101の質量範囲は、0.6g~4.5gであってもよい。より好ましくは、質量部101の質量範囲は、0.8g~4gであってもよい。より好ましくは、質量部101の質量範囲は、1g~3.6gであってもよい。より好ましくは、質量部101の質量範囲は、1.5g~3gであってもよい。より好ましくは、質量部101の質量範囲は、2g~2.5gであってもよい。いくつかの実施例では、質量部101が固定部103に対して振動する方向における弾性部102の弾性係数範囲は、600N/m~5000N/mであってもよい。好ましくは、弾性部102の弾性係数範囲は、700N/m~4500N/mであってもよい。より好ましくは、弾性部102の弾性係数範囲は、800N/m~4000N/mであってもよい。好ましくは、弾性部102の弾性係数範囲は、850N/m~3500N/mであってもよい。好ましくは、弾性部102の弾性係数範囲は、900N/m~1700N/mであってもよい。好ましくは、弾性部102の弾性係数範囲は、1000N/m~1500N/mであってもよい。好ましくは、弾性部102の弾性係数範囲は、1100N/m~1400N/mであってもよい。
【0018】
インピーダンス装置100の特性が人体頭部の耳珠近傍領域の特性と近似するように、質量部101の質量、弾性部102の弾性係数を調整する上記方法以外に、いくつかの実施例では、減衰構造104の減衰を調整してもよい。いくつかの実施例では、減衰構造104の減衰範囲は、1~4であってもよい。より好ましくは、減衰構造104の減衰範囲は、1~3であってもよい。より好ましくは、減衰構造104の減衰範囲は、1~2であってもよい。なお、いくつかの実施例では、質量部101又は弾性部102は、減衰を提供する役割を果たしてもよく、ここで、質量部101、弾性部102又は減衰構造104が共に提供する減衰を等価減衰と見なし、該等価減衰は、同様に上記範囲を満たす。
【0019】
いくつかの実施例では、質量部101、弾性部102及び減衰構造104のうちの1つの部品は、質量作用、弾性作用又は減衰作用のうちの2種又は3種を同時に提供してもよい。いくつかの実施例では、質量部101及び弾性部102は、同一の部品により実現されてもよい。例えば、弾性シリコーンゴムブロックは、質量部101及び弾性部102を兼ねてもよい。いくつかの実施例では、質量部101及び減衰構造104は、同一の部品により実現されてもよい。例えば、固定部103は、質量部101と同じ形状のオリフィスを有し、質量部101の側壁が固定部103の内壁に接触して接続される場合、質量部101と固定部103との間の摩擦力を、インピーダンス装置100の減衰としてもよい。いくつかの実施例では、弾性部102及び減衰構造104は、同一の部品により実現されてもよい。例えば、発泡体で充填されたか又は包まれたばねは、弾性部102及び減衰構造104を兼ねる。
【0020】
なお、インピーダンス装置100についての上記記述は、例示及び説明のためのものに過ぎず、本明細書の適用範囲を限定するものではない。当業者であれば、本明細書を参照してインピーダンス装置100に対して様々な修正及び変更を行うことができ、例えば、弾性部102又は減衰構造104を省略し、また例えば、減衰構造104の数は、1つに限定されず、2つ、3つ以上であってもよい。これらの修正及び変更は、依然として本明細書の範囲内にある。
【0021】
図2は、本願のいくつかの実施例に係るインピーダンス装置の概略構成図である。
図2に示すように、いくつかの実施例では、インピーダンス装置200は、質量部201、弾性部202及び固定部203を含んでもよい。質量部201は、弾性部202により固定部203に接続され、質量部201は、固定部203に対して振動してもよい。いくつかの実施例では、固定部203は、直方体、円筒体、台状構造、三角柱構造、球状又は半球状構造などの他の規則的又は不規則な構造であってもよい。いくつかの実施例では、固定部203は、内部が中空で開放口(開口とも呼ばれる)を有する構造体であってもよく、弾性部202は、固定部203と共にキャビティ205を形成するように、固定部203の開口に位置する。いくつかの実施例では、キャビティ205は、密閉キャビティであってもよい。例えば、いくつかの実施例では、弾性部202は、膜状構造であってもよく、膜状構造の形状、寸法は、固定部203における開放口の形状、寸法とほぼ同じであり、弾性部202は、その外周側が固定部203の側壁に接続されることで、密閉されたキャビティ205を形成することができる。また例えば、いくつかの実施例では、膜状構造の寸法は、固定部203における開口の寸法以上であり、膜状構造は、固定部203の開口を有する端部に位置して、該開口を被覆する。いくつかの実施例では、膜状構造の材質は、弾性を有するシリコーンゴム、ゴムなどであってもよい。いくつかの実施例では、キャビティ205は、外部と連通してもよい。例えば、膜状構造は、穴(
図2に図示せず)を含み、キャビティ205は、穴を介して外部と連通する。また例えば、膜状構造の形状、寸法は、固定部203における開口の形状、大きさと一致せず、膜状構造の外周側の部分は、固定部203の側壁に接続される。いくつかの実施例では、弾性部202は、リード構造であってもよく、リード構造は、その外周側により固定部203の側壁に接続され、開口を完全に被覆してもよく、一部の開口領域を被覆してもよい。いくつかの実施例では、リード構造の材質は、金属(例えば、ステンレス鋼、ベリリウム銅など)、プラスチックなどを含んでもよい。
【0022】
いくつかの実施例では、キャビティ205内の気体も弾性及び減衰を提供する役割を果たしてもよい。例えば、弾性部202及び固定部203により形成された密閉キャビティであるキャビティ205内の気体は、圧縮可能で膨張可能な特性を有し、質量部201が固定部203に向かって移動する場合、弾性部202が変形して、キャビティ205の体積が小さくなり、この場合、キャビティ205の内部の圧力が大きくなり、キャビティ205の内部の気体は、弾性部202及び質量部201に対して質量部201の移動方向と逆方向の作用力を発生させる。質量部201が固定部203から離れて移動する場合、上記状況とは逆になる。これにより、キャビティ205内の気体は、弾性を提供する役割を果たすことができる。いくつかの実施例では、キャビティ205には、所定の粘性力を有する液体、例えば磁性流体、水、油状有機物などのうちの1種以上が充填されてもよく、液体及び気体が同時に充填されてもよい。
【0023】
質量部201に外部作用力F(例えば、振動ユニットが振動する場合に発生した作用力)が作用する場合、質量部201は、弾性部202の弾性作用で固定部203に対して振動し、該振動は、異なる周波数において異なる周波数応答を有し、第1の特定の周波数範囲内に1つの共振ピークを発生させる。いくつかの実施例では、第1の特定の周波数範囲は、20Hz~300Hzであってもよい。いくつかの実施例では、第1の特定周波数範囲は、40Hz~60Hzであってもよい。
【0024】
図3Aは、本願のいくつかの実施例に係るインピーダンス装置の概略構成図である。
図3Aに示すように、いくつかの実施例では、インピーダンス装置300Aは、質量部301、弾性部302及び固定部303を含んでもよい。質量部301は、弾性部302により固定部303に接続され、質量部301は、固定部303に対して振動してもよい。いくつかの実施例では、固定部303は、内部が中空で開放口を有する構造体であってもよく、弾性部302は、固定部303と共にキャビティ305を形成するように、固定部303の開放口に位置する。いくつかの実施例では、キャビティ305の内部の空気とキャビティ305の外部の空気とを連通させるように、固定部303の質量部301に対向する側壁には、1つ以上の穴3031が設置される。いくつかの実施例では、インピーダンス装置300Aは、穴3031を被覆し、キャビティ305の内部の空気とキャビティ305の外部の空気との連通を許容する音響メッシュ304をさらに含んでもよい。質量部301は、外部作用力(
図3Aに示す矢印F)の作用で、固定部303に対して振動し、質量部301が固定部303に対して移動変位して弾性部302に作用する場合、弾性部302が弾性変形することで、キャビティ305の内部の圧力が大きくなって、キャビティ305の内部の空気が穴3031を通って外部環境に漏れ、空気が音響メッシュ304を通過する場合、気流が粘性作用を受けることにより、質量部301の移動に減衰を提供する。なお、ここでのキャビティ305及びその内部の空気、音響メッシュ304は、質量部301の移動に減衰を提供するインピーダンス装置300Aの減衰構造と見なしてもよい。いくつかの実施例では、穴3031の寸法、キャビティの体積又は音響メッシュ304の音響範囲を調整することにより、インピーダンス装置300Aの減衰を調整してもよい。インピーダンス装置300Aにより提供された減衰が人体の耳介の前側の顔領域の減衰にほぼ等しくなるように(例えば、減衰が1~4の範囲内にある)、いくつかの実施例では、穴3031の総面積は、その位置する固定部303の側壁の面積の10%~90%を占め、キャビティの体積は、1000cm
3以下であり、音響メッシュ304の音響抵抗は、500Rayl~1600Raylの範囲内にある。好ましくは、穴3031の総面積は、その位置する固定部303の側壁の面積の20%~80%を占め、キャビティの体積は、800cm
3以下であり、音響メッシュ304の音響抵抗は、600Rayl~1400Raylの範囲内にある。さらに好ましくは、穴3031の総面積は、その位置する固定部303の側壁の面積の30%~60%を占め、キャビティの体積は、600cm
3以下であり、音響メッシュ304の音響抵抗は、800Rayl~1200Raylの範囲内にある。
【0025】
いくつかの実施例では、弾性部302は、弾性支持及び減衰を提供する役割を同時に果たしてもよい。例えば、いくつかの実施例では、弾性部302は、可撓性材質で製造された膜状構造、棒状構造又はブロック状構造などの、質量部301を支持し固定部303に接続することができる任意の形状の構造体であってもよい。いくつかの実施例では、可撓性材質は、シリコーンゴム、ゴム、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエステル(PET)、ポリイミド(PI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、繊維材料などのうちのいずれか1種以上を含んでもよいが、これらに限定されない。質量部301は、外部作用力(
図3Aに示す矢印F)の作用で、固定部303に対して振動し、質量部301が固定部303に対して移動変位して弾性部302に作用する場合、弾性部302が弾性変形して、弾性部302の内部摩擦により熱エネルギーを発生させることにより、質量部301の移動に減衰を提供する。
【0026】
インピーダンス装置300Aにより提供された弾性が人体の耳珠近傍領域の弾性と一致するか又はほぼ一致するために、いくつかの実施例では、質量部301が固定部303に対して振動する方向における弾性部302の弾性係数は、600N/m~5000N/mの範囲内にあってもよい。好ましくは、質量部301が固定部303に対して振動する方向における弾性部302の弾性係数は、700N/m~3500N/mの範囲内にあってもよい。さらに好ましくは、質量部301が固定部303に対して振動する方向における弾性部302の弾性係数は、900N/m~1700N/mであってもよい。
【0027】
なお、弾性部302が可撓性材質で製造された構造体である場合、弾性部302自体は、弾性及び減衰を提供するという効果を同時に奏し、固定部303の質量部301に対向する側壁には、減衰構造(例えば、穴3031及び音響メッシュ304)を別途設置しなくてもよく、減衰構造を同時に設置してもよく、この場合、弾性部302及び減衰構造は共に、質量部301の移動に対して減衰を提供する。また、可撓性材質で製造された弾性部302は、
図3Bに示すインピーダンス装置300B、
図3Cに示すインピーダンス装置300C、
図3Dに示すインピーダンス装置300D、
図4に示すインピーダンス装置400及び
図5に示すインピーダンス装置500などの本願の他の実施例に係るインピーダンス装置に適用されてもよい。
【0028】
なお、インピーダンス装置300Aについての上記記述は、例示及び説明のためのものに過ぎず、本明細書の適用範囲を限定するものではない。当業者であれば、本明細書を参照してインピーダンス装置300Aに対して様々な修正及び変更を行うことができ、例えば、穴3031及び音響メッシュ304は、固定部303の弾性部302に接続された側壁に位置してもよく、
図3Bに示すインピーダンス装置300Bにおいて、穴3031及び音響メッシュ304は、固定部303の弾性部302に接続された側壁と、固定部303の質量部301に対向する側壁に同時に設置されてもよく、これらの修正及び変更は、依然として本明細書の範囲内にある。
【0029】
図3Cは、本願のいくつかの実施例に係るインピーダンス装置の概略構成図である。
図3Cに示すインピーダンス装置300Cと
図3Aに示すインピーダンス装置300Aとは、ほぼ同じであるが、インピーダンス装置300Cのキャビティ305が弾性部302により外部と連通するという点で主に相違する。いくつかの実施例では、弾性部302は、固定部303の開放口を被覆してキャビティ305を形成するリード構造であってもよい。いくつかの実施例では、リード構造は、キャビティ305の内部の空気とキャビティ305の外部の空気との連通を許容する透かし彫り領域(
図3Cに図示せず)を含んでもよい。いくつかの実施例では、透かし彫り領域には、キャビティ305の内部の空気とキャビティ305の外部の空気との連通を許容し、かつ減衰を提供する音響メッシュ304が被覆されてもよい。いくつかの実施例では、弾性部302は、キャビティ305の内部の空気とキャビティ305の外部の空気との連通を許容する1つ以上の穴が形成された膜状構造であってもよい。いくつかの実施例では、穴には、キャビティ305の内部の空気とキャビティ305の外部の空気との連通を許容し、かつ減衰を提供する音響メッシュ304が被覆されてもよい。
【0030】
図3Dは、本願のいくつかの実施例に係るインピーダンス装置の概略構成図である。
図3Dに示すインピーダンス装置300Dと、
図3Aに示すインピーダンス装置300A、
図3Bに示すインピーダンス装置300B及び
図3Cに示すインピーダンス装置300Cとは、構造が類似するが、
図3Dに示すインピーダンス装置300Dにおける固定部303及び弾性部302にいずれも減衰構造が設置されるという点で相違する。
図3Dに示すように、いくつかの実施例では、キャビティ305の内部の空気とキャビティ305の外部の空気とを連通させるように、固定部303の質量部301に対向する側壁には、1つ以上の穴3031が設置される。いくつかの実施例では、Aは、穴3031を被覆し、キャビティ305の内部の空気とキャビティ305の外部の空気との連通を許容する音響メッシュ304をさらに含んでもよい。いくつかの実施例では、弾性部302は、透かし彫り領域又は穴を有し、透かし彫り領域又は穴には、キャビティ305の内部の空気とキャビティ305の外部の空気との連通を許容し、かつ減衰を提供する音響メッシュ304が被覆される。
【0031】
図4は、本願のいくつかの実施例に係るインピーダンス装置の概略構成図である。
図4に示すように、インピーダンス装置400は、質量部401、弾性部402及び固定部403を含んでもよい。質量部401は、弾性部402により固定部403に接続され、質量部401は、固定部403に対して振動してもよい。いくつかの実施例では、固定部403は、溝405を有する構造体であってもよく、弾性部402は、固定部403の溝405に位置し、弾性部402により固定部403に接続される。いくつかの実施例では、弾性部402は、膜状構造、棒状構造、シート状構造などであってもよい。いくつかの実施例では、インピーダンス装置400は、磁気回路構造をさらに含んでもよく、磁気回路構造は、弾性部402と固定部403との間に位置してもよい。いくつかの実施例では、磁気回路構造は、第1の磁石4041及び第2の磁石4042を含んでもよく、第1の磁石4041と第2の磁石4042は、凹溝405において間隔をあけて設置され、第1の磁石4041の一方の極と第2の磁石4042の一方の極が対向し、第1の磁石4041と第2の磁石4042との対向する両極の極性が反対であり、磁気ギャップ4043が形成され、また、第1の磁石4041の他方の極及び第2の磁石4042の他方の極が固定部403に接続される。いくつかの実施例では、インピーダンス装置400は、金属シート4044をさらに含んでもよく、金属シート4044は、一端が質量部401又は弾性部402に接続され、他端が質量部401又は弾性部402から離れた側へ延伸して、磁気ギャップ4043内に挿入される。質量部401は、外部作用力(
図4に示す矢印F)の作用で、固定部403に対して振動し、質量部401が固定部403に対して移動変位して、磁気ギャップ4043において磁力線を切るように金属シート4044を駆動する場合、金属シート4044に渦電流を発生させ、レンツの法則に従って、金属シート4044が磁力線を切る場合に質量部401の変位方向と逆方向の作用力を発生させ、該作用力は、質量部401に作用して、質量部401の移動に減衰を提供する。なお、ここでの磁気回路構造及び金属シート4044は、質量部401の移動に減衰を提供するインピーダンス装置400の減衰構造404である。
【0032】
いくつかの実施例では、金属シート4044の導電率、金属シート4044の磁気回路構造への投影面積、磁気回路構造の磁束範囲などの要素を調整することにより、減衰構造404により提供された減衰値を特定の範囲(例えば、1~4)にすることができる。いくつかの実施例では、金属シート4044は、高導電率の金属製品であってもよく、例えば、金属シート4044の材質は、銅、アルミニウム、銀、金、白金などを含んでもよいが、これらに限定されない。なお、いくつかの実施例では、金属シート4044は、導電線を有する非金属材質で製造された他の構造体、例えば、グラファイト、半導体材料(例えば、セレン、シリコン、ゲルマニウム、炭化ケイ素、ガリウムヒ素など)などのうちの1種以上に置き換えられてもよい。いくつかの実施例では、金属シート4044は、非金属材質と金属材質の混合物で製造された構造体に置き換えられてもよい。減衰構造404により提供された減衰値を特定の範囲(例えば、1~4)にするために、いくつかの実施例では、質量部401の固定部403に対する振動方向に沿って、金属シート4044の磁気回路構造(例えば、第1の磁石4041と第2の磁石4042との対向する極)への投影面積が25mm2~400mm2の範囲内にあり、磁気回路構造の磁束が0.2T~1.8Tの範囲内にあり、金属シート1044の電気抵抗率が0.8×10-8Ω・m~2.0×10-8Ω・mである。好ましくは、質量部401の固定部403に対する振動方向に沿って、金属シート4044の磁気回路構造への投影面積が50mm2~200mm2の範囲内にあり、磁気回路構造の磁束が0.8T~1.5Tの範囲内にあり、金属シート1044の電気抵抗率が1.2×10-8Ω・m~2.0×10-8Ω・mである。
【0033】
なお、インピーダンス装置400についての上記記述は、例示及び説明のためのものに過ぎず、本明細書の適用範囲を限定するものではない。当業者であれば、本明細書を参照してインピーダンス装置400に対して様々な修正及び変更を行うことができ、例えば、磁気回路構造の磁石は、上記第1の磁石4041及び第2の磁石4042に限定されず、他の磁石をさらに含んでもよく、これらの修正及び変更は依然として本明細書の範囲内にある。なお、インピーダンス装置400には、
図3A~
図3Dに示す減衰構造が同時に設置されてもよい。
【0034】
図5は、本願のいくつかの実施例に係るインピーダンス装置の概略構成図である。
図5に示すように、
図5に示すインピーダンス装置500は、
図2に示すインピーダンス装置200と全体構造においてほぼ同じであり、
図5における質量部501、弾性部502、固定部503及びキャビティ505は、それぞれ
図2における質量部201、弾性部202、固定部203及びキャビティ205と構造において類似するため、ここでは説明を省略する。
【0035】
図5に示すように、いくつかの実施例では、キャビティ505内には、弾性部502と固定部503にそれぞれ接触する可撓性構造504が充填される。可撓性構造504が弾性を有し、質量部501が移動変位する場合、弾性部502が弾性変形するとともに、可撓性構造504に作用し、可撓性構造504は、所定の弾性を有し、質量部501の一部の振動を吸収して、減衰を提供するという効果を奏することができる。いくつかの実施例では、可撓性構造の材質は、シリコーンゴム、ゴム、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエステル(PET)、ポリイミド(PI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、繊維材料を含んでもよいが、これらに限定されない。いくつかの実施例では、可撓性構造504は、多孔質の空隙を有し、例えば、圧縮発泡体である。弾性部502が弾性変形して可撓性構造504に作用し、キャビティ505内の空気流が可撓性構造504の多孔質の空隙を通過して粘性作用を受けることにより、質量部501の移動に減衰を提供する。なお、ここでの可撓性構造は、インピーダンス装置500の減衰構造である。インピーダンス装置500により提供された減衰が人体の耳介の前側の近傍の顔領域の減衰と近似するために、いくつかの実施例では、可撓性構造504の硬度は、5度~45度の範囲内にあり、可撓性構造504の密度は、40kg/m
3~120kg/m
3の範囲内にあってもよい。好ましくは、可撓性構造504の硬度は、12度~35度の範囲内にあり、可撓性構造504の密度は、60kg/m
3~100kg/m
3の範囲内にあってもよい。さらに好ましくは、可撓性構造504の硬度は、12度~35度の範囲内にあり、可撓性構造504の密度は、60kg/m
3~100kg/m
3の範囲内にあってもよい。
【0036】
図6は、本願のいくつかの実施例に係るインピーダンス装置の概略構成図である。
図6に示すように、
図6に示すインピーダンス装置600は、
図5に示すインピーダンス装置500と全体構造においてほぼ同じであり、
図6における質量部601、弾性部602及び固定部603は、それぞれ
図5における質量部501、弾性部502及び固定部503と構造において類似するが、可撓性構造604が一部のキャビティ605に充填され、キャビティ605の可撓性構造604が充填されていない領域の内部が空気であるという点で相違する。なお、
図3A~
図3Dに示す減衰構造は、
図6に示すインピーダンス装置600に適用されてもよい。インピーダンス装置600は、減衰を提供する複数の減衰構造を有する場合、総減衰が等価減衰である。いくつかの実施例では、等価減衰の範囲は、1~4であってもよい。より好ましくは、等価減衰の減衰範囲は、1~3であってもよい。より好ましくは、等価減衰の減衰範囲は、1~2であってもよい。
【0037】
図7は、本願のいくつかの実施例に係るインピーダンス装置の概略構成図である。
図7に示すインピーダンス装置700は、
図2に示すインピーダンス装置200と全体構造においてほぼ同じであり、
図7に示す質量部701、弾性部702、固定部703及びキャビティ705は、それぞれ
図2に示す質量部201、弾性部202、固定部203及びキャビティ205と構造において類似するため、ここでは説明を省略する。インピーダンス装置700とインピーダンス装置200とは、
図7に示すインピーダンス装置700が、質量部701の弾性部702から離れた側に位置し、かつ質量部701と間隔をあけて設置された減衰構造704を含んでもよいという点で相違する。いくつかの実施例では、減衰構造704は、可撓性材質で製造されてもよく、例示的に、可撓性材質は、シリコーンゴム、ゴム、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエステル(PET)、ポリイミド(PI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、繊維材料などのうちのいずれか1種以上を含んでもよいが、これらに限定されない。いくつかの実施では、減衰構造704は、多孔質の空隙を有し、例えば、圧縮発泡体である。いくつかの応用シーンでは、振動ユニット706は、減衰構造704と質量部701との間に位置してもよく、減衰構造704は、固定部703に直接固定接続されてもよく、振動ユニット706を減衰構造704と質量部701との間に固定するように固定部材(例えば、支持棒)により固定されてもよい。減衰構造704が質量部701の一側に固定され振動ユニット706に直接接触するため、振動ユニット706が振動する場合、減衰構造704は、振動ユニット706の振動エネルギーを吸収して、減衰を提供するという効果を奏すことができる。
【0038】
なお、上記インピーダンス装置(例えば、インピーダンス装置300A、300B、300C、300D、400、500、600、700)において、単一の部品は、異なる部品の役割を同時に果たすことができる。例示的な説明として、いくつかの実施例では、単一の部品は、質量部及び弾性部の効果を同時に奏してもよい。例えば、弾性部がリード構造である場合、リード構造の質量が大きく、この場合、リード構造は、弾性部として弾性を提供する役割を果たすとともに、質量を提供する役割を果たし、質量値を決定する場合、リード構造の一部の質量(例えば、リード構造の質量の1/3)と質量部の質量との和を計算することにより、インピーダンス装置における部品により提供された質量値を決定して、インピーダンス装置における部品により提供された質量値をより正確に決定することができる。いくつかの実施例では、インピーダンス装置における単一の部品は、弾性部及び減衰構造の効果を同時に奏してもよい。例えば、音響メッシュにより空気減衰を提供する場合、キャビティの内部の空気も弾性を提供するという効果を奏し、インピーダンス装置により提供された弾性係数を決定する場合、弾性部の弾性係数とキャビティの内部の空気の弾性係数とを直列に計算する必要がある。なお、本明細書の実施例に係る弾性係数は、いずれも外部作用力の方向に沿った弾性係数を意味する。
【0039】
いくつかの実施例では、インピーダンス装置における単一の部品は、質量部及び減衰構造の効果を同時に奏してもよい。例えば、発泡体を質量部として使用する場合、振動ユニットは、質量部を移動変位するように駆動するとともに、質量部が押圧され、内部の多孔質の空隙も減衰効果を奏することができる。いくつかの実施例では、インピーダンス装置における単一の部品は、質量部、弾性部及び減衰構造の効果を同時に奏してもよい。例えば、シリコーンゴム製ダイヤフラムを弾性部として使用する場合、シリコーンゴム製ダイヤフラムは、弾性力を提供する一方で、移動時の内部摩擦も同様に減衰効果を奏するとともに、ダイヤフラムの一部の質量も質量部の付加的な質量に含める必要がある。
【0040】
図8は、本願のいくつかの実施例に係る振動ユニットの振動の周波数応答曲線図である。
図8に示すように、横軸は周波数(Hz)を表し、縦軸は振動ユニットの周波数応答(dB)を表す。周波数応答曲線810(
図8に示す「実際の人間の頭部が振動ユニットを装着する」ことに対応する曲線)は、実測された振動ユニットと実際の顔の耳珠近傍領域とが結合された後の振動周波数応答曲線を表し、周波数応答曲線820(
図8に示す「インピーダンス装置なし」に対応する曲線)は、実測された振動ユニットの宙吊り状態での振動の周波数応答曲線を表し、周波数応答曲線830(
図8に示す「インピーダンス装置の質量部及び弾性部を有する」ことに対応する曲線)は、減衰を設定していないインピーダンス装置と振動ユニットとが結合された後の周波数応答曲線を表し、周波数応答曲線840(
図8に示す「インピーダンス装置の質量部、弾性部及び減衰構造を有する」ことに対応する曲線)は、減衰を有するインピーダンス装置と振動ユニットとが結合された後の周波数応答曲線を表す。
図8に示すように、周波数応答曲線810と周波数応答曲線820から分かるように、振動ユニットの宙吊り状態での振動の周波数応答曲線と、振動ユニットと実際の顔の耳珠領域とが結合された後の周波数応答曲線とには確かに明らかな差異がある。周波数応答曲線810、820及び830を参照して、25Hz~100Hzにおいて、減衰構造を有するインピーダンス装置及び減衰構造が設置されていないインピーダンス装置と振動ユニットとが結合された後の周波数応答は、振動ユニットと実際の顔の耳珠近傍領域とが結合された後の周波数応答とほぼ一致し、200Hz~1000Hzにおいて、減衰構造を有するインピーダンス装置と振動ユニットとが結合された後の周波数応答と、振動ユニットと実際の顔の耳珠近傍領域とが結合された後の周波数応答との差が小さいことから、周波数応答曲線820と周波数応答曲線840とがほぼ一致することが分かる。以上より分かるように、本明細書に係るインピーダンス装置は、実際の顔の機械インピーダンスとほぼ一致し、実際の顔の機械的特徴を反映することができる。
【0041】
いくつかの実施例では、インピーダンス装置の質量、弾性部の弾性係数又は減衰構造の減衰を調整することでインピーダンス装置を調整することができるため、インピーダンス装置により提供された機械インピーダンスは、頭部の耳珠近傍領域の機械インピーダンスとほぼ一致する。振動ユニットが頭部の耳珠近傍領域に装着される場合の周波数応答曲線は、第1の特定の周波数帯域範囲(例えば、20Hz~300Hz)において共振ピーク811を有し、すなわち、振動ユニットが頭部の耳珠近傍領域に装着される場合の振動力レベルは、第1の特定の周波数帯域範囲内に最大値(ピーク値とも呼ばれる)を有する。周波数が第1の特定の周波数帯域範囲よりも大きい場合、振動ユニットが頭部の耳珠近傍領域に装着される場合の振動力レベルは、周波数の増大に伴って変化が小さくなる。いくつかの実施例では、共振ピーク811に対応する共振周波数よりも大きい範囲内において、振動ユニットの振動力レベルが-90dB~-70dBの範囲内にあり、振動ユニットの共振ピーク811と共振ピークに対応する共振周波数よりも大きい範囲内の振動力レベルとの差が10dB~20dBの範囲内にある。
【0042】
上記
図8は、振動ユニットの周波数応答曲線について記述した内容であり、ここで、人体頭部の耳珠近傍領域の機械インピーダンス周波数応答曲線(図示せず)から見て、頭部の耳珠近傍領域の機械インピーダンス周波数応答曲線は、第2の特定の周波数帯域範囲(例えば、50Hz~500Hz)においてボトムを有し、すなわち、頭部の耳珠近傍領域の機械インピーダンスは、特定の周波数帯域範囲内に最小値(ボトム値とも呼ばれる)を有する。ここで、ボトムに対応する周波数は、共振ピークに対応する周波数よりも小さい。また、周波数が第2の特定の周波数帯域範囲よりも小さい場合、頭部の耳珠近傍領域の機械インピーダンスは周波数の増加に伴って小さくなり、周波数が第2の特定の周波数帯域範囲よりも大きい場合、頭部の耳珠近傍領域の機械インピーダンスは周波数の増加に伴って大きくなる。いくつかの実施例では、第2の特定の周波数帯域範囲は、上記50Hz~500Hzに限定されない。いくつかの実施例では、第2の特定の周波数帯域範囲は、60Hz~400Hz、70Hz~300Hz又は80Hz~200Hzなどの他の周波数帯域範囲又は該範囲内の任意の周波数値であってもよい。
【0043】
いくつかの実施例では、インピーダンス装置の減衰を調整することにより、インピーダンス装置により提供された機械インピーダンスの特徴が頭部の耳珠近傍領域の機械インピーダンスの特徴と一致するか又はほぼ一致することができる。ここで、インピーダンス装置により提供された機械インピーダンスのボトム値を例として説明するが、いくつかの実施例では、減衰構造の減衰範囲を1~4に調整することにより、インピーダンス装置の機械インピーダンスのボトム値を0dB~15dBにすることができる。好ましくは、減衰構造の減衰を1.5~3.9に調整することにより、インピーダンス装置の機械インピーダンスのボトム値を2dB~13dBにすることができる。さらに好ましくは、減衰構造の減衰を2~3.7に調整することにより、インピーダンス装置の機械インピーダンスのボトム値を3dB~12dBにすることができる。より好ましくは、減衰構造の減衰を2.4~3.2に調整することにより、インピーダンス装置の機械インピーダンスのボトム値を6dB~10dBにすることができる。いくつかの実施例では、質量部の質量及び弾性部の弾性係数を調整することにより、ボトム値に対応する周波数を特定の周波数範囲内にすることができる。いくつかの実施例では、質量部の質量範囲を0.5g~5gに調整し、弾性部の弾性係数範囲を600N/m~5000N/mに調整することにより、インピーダンス装置のボトム値を50Hz~500Hzの範囲内にすることができる。好ましくは、質量部の質量範囲を0.8g~4.5gに調整し、弾性部の弾性係数範囲を700N/m~3500N/mに調整することにより、インピーダンス装置のボトム値を60Hz~320Hzの範囲内にすることができる。より好ましくは、質量部の質量範囲を1g~3.6gに調整し、弾性部の弾性係数範囲を900N/m~1700N/mに調整することにより、インピーダンス装置のボトム値を80Hz~200Hzの範囲内にすることができる。
【0044】
図9は、本明細書のいくつかの実施例に係る、振動ユニットの振動に対する頭部の影響をシミュレートするシステムの例示的なブロック図である。
図9に示すように、システム900は、振動ユニット910、インピーダンス装置920、接続部材930及びセンサ940を含む。
【0045】
いくつかの実施例では、振動ユニット910は、振動信号を提供するように構成されてもよい。いくつかの実施例では、振動ユニット910は、オーディオ情報を含む信号を振動信号に変換してもよい。いくつかの実施例では、オーディオ情報は、特定のデータフォーマットを有するビデオ、オーディオファイル、又は特定の方法でオーディオに変換できるデータ若しくはファイルを含んでもよく、オーディオ情報を含む信号は、振動ユニット910と通信するか又は接続される記憶アセンブリに由来してもよい。いくつかの実施例では、オーディオ情報を含む信号は、電気信号、光信号、磁気信号、機械的信号など又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例では、振動ユニット910は、様々な方法でオーディオ情報を含む信号を取得することができ、信号取得方法は、有線取得又は無線取得を含むが、これらに限定されず、リアルタイム取得又は遅延取得をさらに含んでもよく、例えば、振動ユニット910は、有線又は無線の方法でオーディオ情報を含む電気信号を受信してもよく、記憶媒体からデータを直接取得して信号を生成してもよい。いくつかの実施例では、振動ユニット910は、オーディオ情報を含む信号の機械的振動への変換を実現することができ、変換過程において、複数の異なるタイプのエネルギーの共存及び変換が発生する可能性があり、例えば、電気信号をエネルギー変換装置により機械的振動に直接変換して音声を生成してもよく、また例えば、オーディオ情報が光信号に含まれ、エネルギー変換装置により光信号から振動信号への変換過程を実現してもよく、エネルギー変換装置の動作過程において共存及び変換可能な他のエネルギータイプは、熱エネルギー、磁場エネルギーなどを含む。いくつかの実施例では、エネルギー変換装置のエネルギー変換方法は、可動コイル式、静電式、圧電式、可動鉄式、空気圧式、電磁式など又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0046】
いくつかの実施例では、インピーダンス装置920は、振動ユニット910に接触し、かつ振動ユニット910に機械インピーダンスを提供してもよい。いくつかの実施例では、インピーダンス装置920と振動ユニット910との間に所定の圧力を有し、インピーダンス装置920により提供された機械インピーダンスにより、実際に使用される場合の、振動ユニット910に対する頭部のインピーダンスをシミュレートすることができ、機械インピーダンスが提供された振動ユニット910の振動状態が、実際に頭部に密着して使用される場合の振動特性と一致するか又はほぼ一致することで、システムは、振動ユニット910が頭部に結合されて振動する場合の、振動ユニット910の振動状態に対する頭部の機械インピーダンスの影響をシミュレートすることができる。インピーダンス装置の具体的な内容については、
図1~
図7の関連記述及び説明を参照することができ、ここでは説明を省略する。
【0047】
いくつかの実施例では、接続部材930は、振動ユニット910とインピーダンス装置920とを結合するように構成されてもよい。いくつかの実施例では、接続部材930は、振動ユニット910及びインピーダンス装置920に0.05N~3.5Nの圧力を提供してもよい。好ましくは、接続部材930は、振動ユニット910及びインピーダンス装置920に0.1N~3Nの圧力を提供してもよい。好ましくは、接続部材930は、振動ユニット910及びインピーダンス装置920に0.3N~2.5Nの圧力を提供してもよい。好ましくは、接続部材930は、振動ユニット910及びインピーダンス装置920に0.5N~2Nの圧力を提供してもよい。好ましくは、接続部材930は、振動ユニット910及びインピーダンス装置920に0.8N~1.8Nの圧力を提供してもよい。好ましくは、接続部材930は、振動ユニット910及びインピーダンス装置920に1N~1.5Nの圧力を提供してもよい。いくつかの実施例では、振動ユニット910がインピーダンス装置920に結合できるように、接続部材930は、振動ユニット910に接続され、かつ振動ユニット910に圧力を印加してもよく、例えば、支持架台などである。いくつかの実施例では、接続部材930は、振動ユニット910に接続され、かつ他の固定構造に接触して固定されてもよく、例えば、振動ユニット910と他の固定構造をバインドできる接続部材930などであり、他の固定構造は、頭部モデル又は固定物などを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例では、接続部材930は、振動ユニット910と一体成形され、かつ他の固定構造に接触して固定されてもよく、例えば、イヤホンにおける一体成形された耳掛け構造、補聴器における一体成形された耳挟持構造、オーディオメガネにおける一体成形されたメガネフレーム構造などである。いくつかの実施例では、接続部材930の材質は、所定の硬度及び形状を有するプラスチック、金属であってもよい。いくつかの実施例では、接続部材930の材質は、所定の弾性を有するシリコーンゴム、ゴム、織物などであってもよい。いくつかの実施例では、接続部材930の材質は、振動ユニット910の移動に減衰を提供する発泡体であってもよい。
【0048】
いくつかの実施例では、接続部材930が振動ユニット910及びインピーダンス装置920に0.05N~3.5Nの圧力を提供する場合、インピーダンス装置920は、振動ユニット910に6dB~50dBの範囲内の機械インピーダンスを提供し、6dB~50dBの範囲内の機械インピーダンスにより、実際に使用される場合に耳珠近傍領域から振動ユニット910にフィードバックされる実際のインピーダンスをシミュレートすることで、振動ユニット910がインピーダンス装置920に結合されて振動する場合の、振動ユニット910の振動に対する機械インピーダンスの影響により、振動ユニット910が頭部に結合されて振動する場合の、振動ユニット910の振動に対する頭部の実際のインピーダンスの影響をシミュレートすることができ、関連製品の開発及び製造におけるテスト又は較正を容易にすることができる。
【0049】
振動ユニット910がインピーダンス装置920に十分に密着することを保証するために、いくつかの実施例では、インピーダンス装置920と振動ユニット910との結合領域の面積範囲は、0.25cm2~4cm2であってもよい。いくつかの実施例では、インピーダンス装置920と振動ユニット910との結合領域の面積範囲は、1cm2~3.6cm2である。いくつかの実施例では、インピーダンス装置920と振動ユニット910との結合領域の面積範囲は、1.5cm2~3.4cm2である。いくつかの実施例では、インピーダンス装置920と振動ユニット910との結合領域の面積範囲は、2cm2~3.2cm2である。なお、インピーダンス装置920と振動ユニット910との結合領域の面積は、上記範囲に限定されず、他の範囲であってもよい。例えば、結合領域の面積は、4cm2よりも大きいか又は0.25cm2よりも小さく、結合領域の具体的な面積は、振動ユニット910の寸法に応じて適宜調整することができる。
【0050】
いくつかの実施例では、センサ940は、振動ユニット910の振動過程におけるパラメータ情報を収集するように構成されてもよい。いくつかの実施例では、センサ940は、さらに、振動ユニット910がインピーダンス装置920に結合されて振動する過程におけるパラメータ情報を収集するように構成されてもよい。いくつかの実施例では、振動過程におけるパラメータ情報は、振動ユニット910の振動に対する影響を特徴付けてもよい。いくつかの実施例では、振動過程におけるパラメータ情報は、振動特徴データを含んでもよく、振動特徴データは、振動変位、振動速度、振動加速度などのうちの1種以上を含んでもよいが、これらに限定されない。いくつかの実施例では、振動過程におけるパラメータ情報は、振動による気導音響特徴データを含んでもよく、気導音響特徴データは、気導音声の音圧レベル、周波数応答などのうちの1種以上を含んでもよいが、これらに限定されない。いくつかの実施例では、センサ940は、振動ユニット910に位置してもよく、例えば、センサ940は、振動ユニット910の表面又は内部に直接的に取り付けられてもよい。いくつかの実施例では、センサ940は、振動ユニット910に間接的に接続されてもよく、例えば、センサ940は、インピーダンス装置920の表面又は内部に取り付けられてもよく、例えば、インピーダンス装置920の質量部に取り付けられてもよい。いくつかの実施例では、センサ940は、接続部材930に位置してもよい。いくつかの実施例では、センサ940の種類及び/又は形態を限定しなくてもよく、例えば、センサ940は、振動移動の加速度(速度又は変位)を取得できる非接触式レーザーセンサ(例えば、振動計、ドップラー計測器など)、気導スピーカであってもよく、様々な接触式加速度センサ、骨伝導センサ、圧電センサ、MEMSセンサなどであってもよい。
【0051】
いくつかの実施例では、システムは、テストシステムをさらに含んでもよく、テストシステムは、少なくとも1つのセンサ940に接続されて、少なくとも1つのセンサ940の検出信号を収集及び/又は処理してもよい。いくつかの実施例では、テストシステムは、振動ユニット910に接続されて、振動ユニット910に駆動信号を提供して、機械的振動信号を生成するように振動ユニット910を駆動してもよい。いくつかの実施例では、テストシステムは、少なくとも1つのセンサ940及び振動ユニット910に接続されて、機械的振動信号を生成するように振動ユニット910を駆動し、かつ少なくとも1つのセンサ940により収集された信号を収集し処理する。
【0052】
図9に示す、振動ユニット910の振動に対する頭部の影響をシミュレートするシステムは、例示及び説明のためのものに過ぎず、本明細書の適用範囲を限定するものではないことが理解されよう。当業者であれば、本明細書を参照して振動ユニット910の振動に対する頭部の影響をシミュレートするシステムに対して様々な修正及び変更を行うことができ、例えば、種類又は形態の異なるセンサ940を複数設置して、より多く、より完全なパラメータ情報を監視し、また例えば、接続部材930を省略し、振動ユニット910とインピーダンス装置920を磁気吸着又は接着の方法で直接結合し、これらの修正及び変更は依然として本明細書の範囲内にある。
【0053】
図10は、本明細書のいくつかの実施例に係る、インピーダンス装置によりシミュレートされた頭部結合領域の位置図である。
図10に示すように、振動ユニット910が頭部に結合される場合、頭部の頭頂から見下ろした断面において、振動ユニット910は、人体の耳珠の前側(耳珠近傍領域と呼ばれる)に結合される。いくつかの実施例では、振動ユニット910は、主に耳珠の前の側頭骨を振動させることにより、振動信号を鼓膜を介さずに中耳の耳小骨及び内耳の蝸牛に直接伝達する。場合によっては、振動ユニット910の振動により、周囲の空気を振動させて一部の気導音声を生成し、この気導音声は、外耳道を介して鼓膜に伝達される。本明細書のいくつかの実施例に係るインピーダンス装置は、振動ユニット910が耳珠近傍領域に結合される場合に耳珠近傍領域に発生する実際のインピーダンスをシミュレートし、振動ユニット910の振動に対する頭部の影響をシミュレートするシステムは、振動ユニット910が耳珠近傍領域に結合されて振動する場合の、振動ユニット910の振動に対する耳珠近傍領域の実際のインピーダンスの影響をシミュレートする。振動ユニット910と耳珠近傍領域との結合は、大部分の骨伝導イヤホンの応用シーンに適合でき、一部の補聴器の応用シーンにも適合できる。したがって、振動ユニット910の振動に対する頭部の影響をシミュレートするシステムは、振動ユニット910の振動に対する影響を客観的に測定することができ、シミュレーションにより、振動ユニット910が耳珠近傍領域に結合されて振動する場合の実際の周波数応答を特徴付け、開発及び製造用のテスト又は較正装置とすることもできる。
【0054】
図11は、本願のいくつかの実施例に係る、振動ユニットの振動に対する頭部の影響をシミュレートするシステムの概略構成図である。
図11における質量部1141、弾性部1142及び固定部1143などの構造は、それぞれ
図3Dにおける質量部301、弾性部302及び固定部303などの構造と類似するため、ここでは説明を省略する。
図11に示すように、システム1100は、振動ユニット1110、接続部材1120及びインピーダンス装置1140を含んでもよく、接続部材1120は、インピーダンス装置1140の固定部1143に固定設置されてもよく、接続部材1120の一端は、振動ユニット1110に接続され、接続部材1120は、振動ユニット1110とインピーダンス装置1140の質量部1141とを結合するとともに、接続部材1120の振動ユニット1110に対する作用力は、振動ユニット1110とインピーダンス装置1140とを結合する圧力を提供してもよい。いくつかの実施例では、接続部材1120は、インピーダンス装置から独立した構造であってもよく、接続部材1120は、質量部1141の弾性部1142から離れた側に位置し、かつ質量部1141と間隔をあけて設置されてもよく、振動ユニット1110は、接続部材1120と質量部1141との間に位置し、接続部材1120の位置を調整することにより、振動ユニット1110とインピーダンス装置1140とを結合する圧力を調整することができる。
【0055】
いくつかの実施例では、システム1100は、減衰構造1105をさらに含んでもよく、減衰構造1105は、質量部1141の弾性部1142から離れた側に位置し、かつ質量部1141と間隔をあけて設置され、振動ユニット1110は、減衰構造1105と質量部1141との間に位置する。いくつかの実施例では、振動ユニット1110の移動に減衰を提供することで、振動ユニット1110が人体の耳珠近傍領域に装着されるシーンをシミュレートするように、減衰構造1105の材質は、多孔質の空隙を有し、例えば、圧縮発泡体である。
【0056】
なお、
図11に示す減衰構造1105又はインピーダンス装置1140は、
図2に示すインピーダンス装置200、
図3Aに示すインピーダンス装置300A、
図3Bに示すインピーダンス装置300B、
図3Cに示すインピーダンス装置300C、
図4に示すインピーダンス装置400、
図5に示すインピーダンス装置500、
図6に示すインピーダンス装置600、及び
図7に示すインピーダンス装置700に置き換えられてもよい。
【0057】
図12は、本願のいくつかの実施例に係る、振動ユニットの振動に対する頭部の影響をシミュレートするシステムの概略構成図である。
図12に示すように、システム1200は、イヤホン及びインピーダンス装置を含んでもよく、イヤホンは、振動ユニット1210(例えば、骨伝導スピーカ)及び接続部材1220を含んでもよく、接続部材1220は、耳掛け構造であってもよく、耳掛け構造は、ユーザの頭部を取り囲み、かつ振動ユニット1210をユーザの耳珠近傍領域に固定することができる。いくつかの実施例では、インピーダンス装置は、質量部1241、弾性部1242及び固定部1243を含んでもよく、質量部1241は、弾性部1242により固定部1243に接続される。振動ユニット1210が動作状態にある場合、振動ユニット1210は、質量部1241を共に固定部1243に対して振動するように駆動する。なお、
図12におけるインピーダンス装置は、
図2に示すインピーダンス装置200、
図3Aに示すインピーダンス装置300A、
図3Bに示すインピーダンス装置300B、
図3Cに示すインピーダンス装置300C、
図3Dに示すインピーダンス装置300D、
図4に示すインピーダンス装置400、
図5に示すインピーダンス装置500、
図6に示すインピーダンス装置600、及び
図7に示すインピーダンス装置700に置き換えられてもよい。
【0058】
なお、
図1~
図12は、例示的な記述に過ぎず、それを限定するものではない。当業者であれば、本願の説明に基づいて様々な変更及び修正を行うことができる。実施例によって達成可能な有益な効果が異なるが、異なる実施例では、達成可能な有益な効果は、以上のいずれかの1つ又は複数の組み合わせであってもよく、他の任意の達成可能な有益な効果であってもよい。
【0059】
以上は基本概念を記述したが、当業者にとって、上記詳細な開示は、例として提示されているものに過ぎず、本願を限定するものではないことは明らかである。本明細書において明確に記載されていないが、当業者は、本願に対して様々な変更、改良及び修正を行うことができる。これらの変更、改良及び修正は、本願によって示唆されることが意図されているため、依然として本願の例示的な実施例の精神及び範囲内にある。
【0060】
さらに、本願の実施例を記述するために、本願において特定の用語が使用されている。例えば、「1つの実施例」、「一実施例」、及び/又は「いくつかの実施例」は、本願の少なくとも1つの実施例に関連した特定の特徴、構造又は特徴を意味する。したがって、本明細書の様々な部分における「一実施例」又は「1つの実施例」又は「1つの代替的な実施例」の2回以上の言及は、必ずしもすべてが同一の実施例を指すとは限らないことを強調し、理解されよう。また、本願の1つ以上の実施例における特定の特徴、構造、又は特性は、適切に組み合わせられてもよい。
【0061】
また、特許請求の範囲に明確に記載されていない限り、本願の処理要素及びシーケンスの列挙した順序、英数字の使用、又は他の名称の使用は、本願の手順及び方法の順序を限定するものではない。上記開示において、発明の様々な有用な実施例であると現在考えられるものを様々な例を通して説明したが、そのような詳細は、説明のためのものに過ぎず、添付の請求項は、開示される実施例に限定されないが、逆に、本願の実施例の趣旨及び範囲内にあるすべての修正及び等価な組み合わせをカバーするように意図されることを理解されよう。例えば、上述したシステムアセンブリは、ハードウェア設備により実装されてもよいが、ソフトウェアのみのソリューション、例えば、既存のサーバ又はモバイルデバイスに記述されたシステムをインストールすることにより実装されてもよい。
【0062】
同様に、本願の実施例の前述の記述では、本開示を簡略化して、1つ以上の発明の実施例への理解を助ける目的で、様々な特徴が1つの実施例、図面又はその説明にまとめられることがあることが理解されよう。しかしながら、このような開示方法は、特許請求される主題が各請求項で列挙されるよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するものと解釈されるべきではない。むしろ、実施例の特徴は、上記開示された単一の実施例のすべての特徴よりも少ない場合がある。
【0063】
いくつかの実施例で成分及び属性の数を記述する数字が使用されており、このような実施例を記述するための数字は、いくつかの例において修飾語「約」、「ほぼ」又は「実質的」によって修飾されるものとして理解されよう。特に明記しない限り、「約」、「ほぼ」又は「実質的」は、数字が±20%の変動が許容されることを示す。よって、いくつかの実施例では、明細書及び特許請求の範囲において使用されている数値パラメータは、いずれも特定の実施例に必要な特性に応じて変化し得る近似値である。いくつかの実施例では、数値パラメータについては、規定された有効桁数を考慮すると共に、通常の丸め手法を適用するべきである。本願のいくつかの実施例におけるその範囲を決定するための数値範囲及びパラメータは近似値であるにもかかわらず、具体的な実施例では、このような数値は可能な限り正確に設定される。
【0064】
本願において参照されているすべての特許、特許出願、公開特許公報、及び、論文、書籍、仕様書、刊行物、文書などのような他の資料は、本願の内容と一致しないか又は矛盾する出願経過文書、及び(現在又は後に本願に関連する)本願の請求項の最も広い範囲に関して限定的な影響を有し得る文書を除いて、その全体が参照により本願に組み込まれる。なお、本願の添付資料における記述、定義、及び/又は用語の使用が本願に記載の内容と一致しないか又は矛盾する場合、本願における記述、定義、及び/又は用語の使用を優先するものとする。
【0065】
最後に、本願における実施例は、単に本願の実施例の原理を説明するためのものであることが理解されよう。他の変形例も本願の範囲内にある可能性がある。したがって、限定するものではなく、例として、本願の実施例の代替構成は、本願の教示と一致するように見なされてもよい。よって、本願の実施例は、本願において明確に紹介して記述された実施例に限定されない。
【符号の説明】
【0066】
100 インピーダンス装置
101 質量部
102 弾性部
103 固定部
104 減衰構造
200 インピーダンス装置
201 質量部
202 弾性部
203 固定部
205 キャビティ
300A インピーダンス装置
301 質量部
302 弾性部
303 固定部
304 音響メッシュ
305 キャビティ
3031 穴
300B インピーダンス装置
400 インピーダンス装置
401 質量部
402 弾性部
403 固定部
404 可撓性構造
4043 磁気ギャップ
4044 金属シート
500 インピーダンス装置
501 質量部
502 弾性部
503 固定部
504 可撓性構造
505 キャビティ
600 インピーダンス装置
601 質量部
602 弾性部
603 固定部
605 キャビティ
700 インピーダンス装置
701 質量部
702 弾性部
703 固定部
704 減衰構造
705 キャビティ
706 振動ユニット
900 システム
910 振動ユニット
920 インピーダンス装置
930 接続部材
940 センサ
1105 減衰構造
1100 システム
ト1110 振動ユニッ
1120 接続部材
1140 インピーダンス装置
1141 質量部
1142 弾性部
1143 固定部
1200 システム
1210 振動ユニット
1220 接続部材
1241 質量部
1242 弾性部
1243 固定部
【手続補正書】
【提出日】2023-07-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量部、弾性部及び固定部を含み、前記質量部は、前記弾性部により前記固定部に接続され、前記固定部は、内部が中空の構造体であり、開口を含み、前記弾性部は、前記開口に位置し、かつ前記固定部に接続され、前記弾性部及び前記固定部は、キャビティを形成し、前記質量部が前記固定部に対して振動する方向における前記弾性部の弾性係数範囲は、600N/m~5000N/mである、インピーダンス装置。
【請求項2】
前記固定部には、少なくとも1つの穴がさらに形成され、前記少なくとも1つの穴には、前記キャビティの内部の空気と前記キャビティの外部の空気との連通を許容し、かつ減衰を提供する音響メッシュが被覆される、請求項1に記載のインピーダンス装置。
【請求項3】
前記弾性部
は、減衰構造、
リード構造及び膜状構造のうちの少なくとも1つを含み、
前記減衰構造は、前記弾性部の振動に減衰を提供し、前記減衰構造により提供された減衰は、1~4の範囲内にあ
り、
前記リード構造は、前記キャビティの内部の空気と前記キャビティの外部の空気との連通を許容する透かし彫り領域を含み、
前記膜状構造は、その外周側により前記固定部に接続される、請求項1
又は2に記載のインピーダンス装置。
【請求項4】
前記透かし彫り領域には、前記キャビティの内部の空気と前記キャビティの外部の空気との連通を許容し、かつ減衰を提供する音響メッシュが被覆される、請求項
3に記載のインピーダンス装置。
【請求項5】
前記弾性部と前記固定部との間には、磁気ギャップを有する磁気回路構造が設置され、前記質量部又は前記弾性部から金属シートが延出し、前記金属シートは、前記磁気ギャップに挿入される、請求項
1~4のいずれか一項に記載のインピーダンス装置。
【請求項6】
前記質量部の前記固定部に対する振動方向に沿って、前記金属シートの前記磁気回路構造への投影面積は、25mm
2~400mm
2の範囲内にあ
り、或いは、
前記金属シートの電気抵抗率は、0.8×10
-8
Ω・m~2.0×10
-8
Ω・mの範囲内にある、請求項
5に記載のインピーダンス装置。
【請求項7】
前記磁気回路構造の磁束は、0.2T~1.8Tの範囲内にある、請求項
5又は6に記載のインピーダンス装置。
【請求項8】
前記キャビティ内には、前記弾性部と前記固定部にそれぞれ接触する可撓性構造が充填される、請求項
1~7のいずれか一項に記載のインピーダンス装置。
【請求項9】
前記質量部の前記弾性部から離れた側に位置し、かつ前記質量部と間隔をあけて設置された減衰構造を含む、請求項
1~8のいずれか一項に記載のインピーダンス装置。
【請求項10】
前記弾性部に外部作用力が作用する場合、前記インピーダンス装置は、6dB~50dBの範囲内の機械インピーダンスを提供し、前記外部作用力は、前記質量部の前記固定部に対する振動方向と同方向であり、0.05N~3.5Nの範囲内にある、請求項1~
9のいずれか一項に記載のインピーダンス装置。
【請求項11】
振動信号を提供するように構成された振動ユニットと、
前記振動ユニットに接触し、かつ前記振動ユニットに機械インピーダンスを提供するインピーダンス装置と、
前記振動ユニットと前記インピーダンス装置とを結合するように構成された接続部材と、
前記振動ユニットの振動過程におけるパラメータ情報を収集するように構成されたセンサと、を含み、
前記インピーダンス装置は、質量部、弾性部及び固定部を含み、前記質量部は、前記弾性部により前記固定部に接続され、前記固定部は、内部が中空の構造体であり、開口を含み、前記弾性部は、前記開口に位置し、かつ前記固定部に接続され、前記弾性部及び前記固定部は、キャビティを形成し、前記質量部が前記固定部に対して振動する方向における前記弾性部の弾性係数範囲は、600N/m~5000N/mである、振動ユニットの振動に対する頭部の影響をシミュレートするシステム。
【請求項12】
前記接続部材は、前記振動ユニット及び前記インピーダンス装置に0.05N~3.5Nの圧力を提供する、請求項
11に記載のシステム。
【請求項13】
前記インピーダンス装置と前記振動ユニットとの結合領域の面積範囲は、0.25cm
2~4cm
2である、請求項
11又は12に記載のシステム。
【請求項14】
前記インピーダンス装置は、前記固定部に接続された減衰構造を含み、前記振動ユニットは、前記質量部と前記減衰構造との間に位置する、請求項
11~13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記センサは、前記質量部又は前記振動ユニットに位置する、請求項
11~14のいずれか一項に記載のシステム。
【国際調査報告】