(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-29
(54)【発明の名称】組換えポリペプチド及びウイルスの生成の改善
(51)【国際特許分類】
C12N 15/864 20060101AFI20240122BHJP
C12N 15/87 20060101ALI20240122BHJP
C12N 15/88 20060101ALI20240122BHJP
C12P 21/02 20060101ALI20240122BHJP
C12N 7/01 20060101ALI20240122BHJP
C12N 5/10 20060101ALN20240122BHJP
A61K 35/76 20150101ALN20240122BHJP
【FI】
C12N15/864 100Z
C12N15/87 Z
C12N15/88 Z
C12P21/02 C
C12N7/01
C12N5/10
A61K35/76
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544056
(86)(22)【出願日】2022-01-21
(85)【翻訳文提出日】2023-08-22
(86)【国際出願番号】 US2022013250
(87)【国際公開番号】W WO2022159662
(87)【国際公開日】2022-07-28
(32)【優先日】2021-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518278029
【氏名又は名称】リジェネクスバイオ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(74)【代理人】
【識別番号】100221741
【氏名又は名称】酒井 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100114926
【氏名又は名称】枝松 義恵
(72)【発明者】
【氏名】ギルマイスター マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ボーン スティーブン
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C087
【Fターム(参考)】
4B064AG01
4B064CA10
4B064DA01
4B065AA90X
4B065AA95X
4B065AB01
4B065BA02
4B065CA44
4C087AA03
4C087BC83
4C087CA12
4C087NA13
(57)【要約】
本明細書では、組換えポリペプチドまたはウイルス粒子を生成するための改善された方法が提供される。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される組換えポリペプチドまたはウイルス粒子を生成する方法は、組換えポリペプチドまたはウイルス粒子を生成可能な細胞及び硫酸デキストランを含む細胞培養物を準備することと、当該培養物に、1つ以上のポリヌクレオチド及び形質移入試薬を含む組成物を添加することにより、当該細胞に形質移入することとを含む。いくつかの実施形態において、組換えウイルス粒子は組換えAAV(rAAV)粒子である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞に形質移入する方法であって、
a)前記細胞を含む細胞培養物を準備することであって、前記培養物が、約0.1mg/Lから約10mg/Lの間の硫酸デキストランを含む、前記準備することと、
b)(a)の前記培養物に、1つ以上のポリヌクレオチド及び形質移入試薬を含む組成物を添加することにより、前記細胞に形質移入することと
を含む、前記方法。
【請求項2】
組換えポリペプチドを生成する方法であって、
a)前記組換えポリペプチドの生成に適した細胞を含む細胞培養物を準備することであって、前記培養物が、約0.1mg/Lから約10mg/Lの間の硫酸デキストランを含む、前記準備することと、
b)a)の前記培養物に、前記ポリペプチドをコードする1つ以上のポリヌクレオチド及び形質移入試薬を含む組成物を添加することにより、前記細胞に形質移入することと、
c)前記形質移入された細胞を含む前記細胞培養物を、前記組換えポリペプチドの生成を可能にする条件下で維持することと
を含む、前記方法。
【請求項3】
前記ポリペプチドが、抗体もしくはその抗原結合フラグメント、二重特異性抗体、酵素、融合タンパク質、またはFc融合タンパク質である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
組換えウイルス粒子を生成する方法であって、
a)前記組換えウイルス粒子の生成に適した細胞を含む細胞培養物を準備することであって、前記培養物が、約0.1mg/Lから約10mg/Lの間の硫酸デキストランを含む、前記準備することと、
b)a)の前記培養物に、前記組換えウイルス粒子を生成するのに必要な遺伝子を含む1つ以上のポリヌクレオチド及び形質移入試薬を含む組成物を添加することにより、前記細胞に形質移入することと、
c)前記形質移入された細胞を含む前記細胞培養物を、前記組換えウイルス粒子の生成を可能にする条件下で維持することと
を含む、前記方法。
【請求項5】
a)の前記培養物が、約0.5mg/Lから約10mg/Lの間、約0.5mg/Lから約5mg/Lの間、約0.5mg/Lから約3mg/Lの間、約1mg/Lから約10mg/Lの間、約1mg/Lから約5mg/Lの間、約1mg/Lから約4mg/Lの間、または約1mg/Lから約3mg/Lの間の硫酸デキストランを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
a)の前記培養物が、約0.5mg/L、約1mg/L、約1.5mg/L、約2mg/L、約2.5mg/L、約3mg/L、約4mg/L、または約5mg/Lの硫酸デキストランを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
a)の前記培養物が、約2mg/Lの硫酸デキストランを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
細胞に形質移入する方法であって、
a)細胞培養物中で前記細胞を培養することであって、前記培養物が、約1mg/Lから約20mg/Lの間の開始硫酸デキストラン濃度及び約0.1mg/Lから約10mg/Lの間の最終硫酸デキストラン濃度を含む、前記培養することと、
b)a)の前記培養物に、1つ以上のポリヌクレオチド及び形質移入試薬を含む組成物を添加することにより、前記細胞に形質移入することと
を含む、前記方法。
【請求項9】
組換えポリペプチドを生成する方法であって、
a)前記組換えポリペプチドの生成に適した細胞を細胞培養物中で培養することであって、前記培養物が、約1mg/Lから約20mg/Lの間の開始硫酸デキストラン濃度及び約0.1mg/Lから約10mg/Lの間の最終硫酸デキストラン濃度を含む、前記培養することと、
b)a)の前記培養物に、前記ポリペプチドをコードする1つ以上のポリヌクレオチド及び形質移入試薬を含む組成物を添加することにより、前記細胞に形質移入することと、
c)前記形質移入された細胞を含む前記細胞培養物を、前記組換えポリペプチドの生成を可能にする条件下で維持することと
を含む、前記方法。
【請求項10】
前記ポリペプチドが、抗体もしくはその抗原結合フラグメント、二重特異性抗体、酵素、融合タンパク質、またはFc融合タンパク質である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
組換えウイルス粒子を生成する方法であって、
a)前記組換えウイルス粒子の生成に適した細胞を細胞培養物中で約1日から約5日の間培養することであって、前記培養物が、約1mg/Lから約20mg/Lの間の開始硫酸デキストラン濃度及び約0.1mg/Lから約10mg/Lの間の最終硫酸デキストラン濃度を含む、前記培養することと、
b)a)の前記培養物に、前記組換えウイルス粒子を生成するのに必要な遺伝子を含む1つ以上のポリヌクレオチド及び形質移入試薬を含む組成物を添加することにより、前記細胞に形質移入することと、
c)前記形質移入された細胞を含む前記細胞培養物を、前記組換えウイルス粒子の生成を可能にする条件下で維持することと
を含む、前記方法。
【請求項12】
前記開始硫酸デキストラン濃度が、約1mg/Lから約10mg/Lの間、約1mg/Lから約5mg/Lの間、約2mg/Lから約10mg/Lの間、約3mg/Lから約10mg/Lの間、または約3mg/Lから約5mg/Lの間である、請求項8~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記開始硫酸デキストラン濃度が、約2mg/L、約3mg/L、約4mg/L、約5mg/L、約6mg/L、約7mg/L、約8mg/L、約9mg/L、または約10mg/Lである、請求項8~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記開始硫酸デキストラン濃度が約4mg/Lである、請求項8~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記最終硫酸デキストラン濃度が、約0.5mg/Lから約10mg/Lの間、約0.5mg/Lから約5mg/Lの間、約0.5mg/Lから約5mg/Lの間、約0.5mg/Lから約3mg/Lの間、約1mg/Lから約10mg/Lの間、約1mg/Lから約5mg/Lの間、約1mg/Lから約4mg/Lの間、または約1mg/Lから約3mg/Lの間である、請求項8~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記最終硫酸デキストラン濃度が、約0.5mg/L、約1mg/L、約1.5mg/L、約2mg/L、約2.5mg/L、約3mg/L、約4mg/L、または約5mg/Lである、請求項8~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記最終硫酸デキストラン濃度が約2mg/Lである、請求項8~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記開始硫酸デキストラン濃度が約4mg/Lであり、かつ前記最終硫酸デキストラン濃度が約2mg/Lである、請求項8~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記組換えウイルス粒子が、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)粒子または組換えレンチウイルス粒子である、請求項4~7及び11~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記組換えウイルス粒子がrAAV粒子である、請求項4~7及び11~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記rAAV粒子が、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV14、AAV15、AAV16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、AAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、またはAAV.HSC16血清型のカプシドタンパク質を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記rAAV粒子が、AAV8、AAV9、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、またはAAV.hu37血清型のカプシドタンパク質を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記rAAV粒子が、AAV8またはAAV9血清型のカプシドタンパク質を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記rAAV粒子が、導入遺伝子を含むゲノムを含む、請求項20~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記導入遺伝子が、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと作用可能に接続した調節エレメントを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記調節エレメントが、エンハンサー、プロモーター、及びポリA領域のうちの1つ以上を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記調節エレメント及びポリペプチドをコードする前記ポリヌクレオチドが異種である、請求項24または請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記導入遺伝子が、抗VEGF Fab、イズロニダーゼ(IDUA)、イズロン酸2-スルファターゼ(IDS)、低密度リポタンパク質受容体(LDLR)、トリペプチジルペプチダーゼ1(TPP1)、またはVEGF受容体1の非膜結合型スプライスバリアント(sFlt-1)をコードする、請求項24~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記導入遺伝子が、ガンマ-サルコグリカン、Rabエスコートタンパク質1(REP1/CHM)、レチノイドイソメロヒドロラーゼ(RPE65)、環状ヌクレオチドゲートチャネルアルファ3(CNGA3)、環状ヌクレオチドゲートチャネルベータ3(CNGB3)、芳香族L-アミノ酸デカルボキシラーゼ(AADC)、リソソーム関連膜タンパク質2アイソフォームB(LAMP2B)、第VIII因子、第IX因子、網膜色素変性症GTPアーゼ制御因子(RPGR)、レチノスキシン(RS1)、筋小胞体カルシウムATPアーゼ(SERCA2a)、アフリベルセプト、バッテニン(CLN3)、膜貫通ERタンパク質(CLN6)、グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)、グリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)、アクアポリン1(AQP1)、ジストロフィン、ミニジストロフィン、マイクロジストロフィン、ミオチューブラリン1(MTM1)、フォリスタチン(FST)、グルコース-6-ホスファターゼ(G6Pアーゼ)、アポリポタンパク質A2(APOA2)、ウリジン二リン酸グルクロノシルトランスフェラーゼ1A1(UGT1A1)、アリールスルファターゼB(ARSB)、N-アセチル-アルファ-グルコサミニダーゼ(NAGLU)、アルファ-グルコシダーゼ(GAA)、アルファ-ガラクトシダーゼ(GLA)、ベータ-ガラクトシダーゼ(GLB1)、リポタンパク質リパーゼ(LPL)、アルファ1-アンチトリプシン(AAT)、ホスホジエステラーゼ6B(PDE6B)、オルニチンカルバモイルトランスフェラーゼ9OTC)、生存運動ニューロン(SMN1)、生存運動ニューロン(SMN2)、ニュールツリン(NRTN)、ニューロトロフィン-3(NT-3/NTF3)、ポルホビリノーゲンデアミナーゼ(PBGD)、神経成長因子(NGF)、ミトコンドリアコードNADH:ユビキノンオキシドレダクターゼコアサブユニット4(MT-ND4)、保護タンパク質カテプシンA(PPCA)、ジスフェリン、MERがん原遺伝子チロシンキナーゼ(MERTK)、嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR)、または腫瘍壊死因子受容体(TNFR)-免疫グロブリン(IgG1)Fc融合体をコードする、請求項24~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記1つ以上のポリヌクレオチドが、
a)パッケージング対象のrAAVゲノム、
b)パッケージングするのに必要なアデノウイルスヘルパー機能、
c)パッケージングするのに十分なAAV repタンパク質、及び
d)パッケージングするのに十分なAAV capタンパク質
をコードする、請求項20~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記1つ以上のポリヌクレオチドが、前記rAAVゲノムをコードするポリヌクレオチドと、前記AAV repタンパク質及び前記AAV capタンパク質をコードするポリヌクレオチドと、前記アデノウイルスヘルパー機能をコードするポリヌクレオチドとを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記アデノウイルスヘルパー機能が、アデノウイルスE1a遺伝子、E1b遺伝子、E4遺伝子、E2a遺伝子、及びVA遺伝子のうちの少なくとも1つを含む、請求項30または請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記rAAV粒子を回収することをさらに含む、請求項20~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記細胞培養物が、約5×10e+10GC/mlから約1×10e+12GC/mlの間のrAAV粒子を生成する、請求項20~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記細胞培養物が、a)の前記培養物が硫酸デキストランを含まない参照方法よりも、少なくとも約1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、または2倍多くのGC/mlとして測定されたrAAV粒子を生成する、請求項20~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記細胞培養物が浮遊細胞培養物である、請求項1~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記細胞培養物が浮遊適応性細胞を含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記細胞が、HEK293細胞、HEK由来細胞、CHO細胞、CHO由来細胞、HeLa細胞、SF-9細胞、BHK細胞、ベロ細胞、及び/またはPerC6細胞、あるいはこれらの組合せを含む、請求項36または請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記細胞がHEK293細胞を含む、請求項36または請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記細胞がCHO細胞またはCHO-K1細胞を含む、請求項36または請求項37に記載の方法。
【請求項41】
前記形質移入試薬が、脂質、ポリマー、ペプチド、またはこれらの組合せを含む、請求項1~40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記形質移入試薬が脂質を含み、前記脂質が、DOTMA、DOTAP、DOSPA、DOGS、またはこれらの組合せを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記形質移入試薬がポリマーを含み、前記ポリマーが、ポリ(L-リジン)(PLL)、ポリエチレンイミン(PEI)、多糖、ポリ[2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート](PDMAEMA)、デンドリマー、またはこれらの組合せを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記形質移入試薬がポリエチレンイミン(PEI)を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
前記細胞培養物が、約50リットルから約20,000リットルの間の体積を有する、請求項1~44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
前記細胞培養物が、約50リットルから約5,000リットルの間の体積を有する、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記細胞培養物が、約50リットルから約2,000リットルの間の体積を有する、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記細胞培養物が、約50リットルから約1,000リットルの間の体積を有する、請求項45に記載の方法。
【請求項49】
前記細胞培養物が、約50リットルから約500リットルの間の体積を有する、請求項41に記載の方法。
【請求項50】
請求項20~49のいずれか1項に記載の方法によって生成された単離されたrAAV粒子を含む、組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、硫酸デキストランを含む培養基中で宿主細胞に形質移入することを含む方法に関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年1月21日に出願された米国特許出願第63/139,992号による利益を主張し、当該出願は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0003】
背景
組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベースベクターは、現在最も広く使用されている開発中の遺伝子療法製品である。rAAVベクター系の使用が好まれる理由は、部分的には、野生型ウイルスに関連する疾患がないこと、AAVの形質導入が非分裂細胞にも分裂細胞にも可能であること、及び臨床試験で結果的に長期のロバストな導入遺伝子発現が観察されていることによるものであり、このことは、遺伝子療法の適応症における送達の大きな可能性を示している。加えて、種々の天然及び組換えrAAVベクター血清型は、種々の組織、器官、及び細胞を特異的に標的化し、ベクターに対する任意の既存の免疫を回避するのに役立ち、そのためAAVベース遺伝子療法の治療応用を拡大する。複製欠損型ウイルス(例えば、AAV)ベースの遺伝子療法をより広く後期臨床段階及び商業的使用に採用できるようになる前に、組換えウイルス粒子を大規模生産するための新たな方法を開発する必要がある。
【0004】
したがって、当技術分野では、rAAV粒子を大規模に生成するための方法の生産性及び収率の改善が必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
概要
1つの態様において、本開示は、細胞に形質移入する方法であって、(a)細胞を含む細胞培養物を準備することであって、当該培養物が、約0.1mg/Lから約10mg/Lの間の硫酸デキストランを含む、準備することと、(b)当該培養物に、1つ以上のポリヌクレオチド及び形質移入試薬を含む組成物を添加することにより、細胞に形質移入することとを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、細胞培養物は浮遊培養物である。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、浮遊適応性HEK細胞を含む浮遊培養物である。いくつかの実施形態において、形質移入試薬はポリエチレンイミン(PEI)を含む。
【0006】
さらなる態様において、本開示は、組換えポリペプチドを生成する方法であって、(a)組換えポリペプチドの生成に適した細胞を含む細胞培養物を準備することであって、当該培養物が、約0.1mg/Lから約10mg/Lの間の硫酸デキストランを含む、準備することと、(b)(a)の培養物に、ポリペプチドをコードする1つ以上のポリヌクレオチド及び形質移入試薬を含む組成物を添加することにより、細胞に形質移入することと、(c)形質移入された細胞を含む細胞培養物を、組換えポリペプチドの生成を可能にする条件下で維持することとを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、組換えポリペプチドは、抗体もしくはその抗原結合フラグメント、二重特異性抗体、酵素、融合タンパク質、またはFc融合タンパク質である。
【0007】
さらなる態様において、本開示は、組換えウイルス粒子を生成する方法であって、(a)組換えウイルス粒子の生成に適した細胞を含む細胞培養物を準備することであって、当該培養物が、約0.1mg/Lから約10mg/Lの間の硫酸デキストランを含む、準備することと、(b)(a)の培養物に、組換えウイルス粒子の生成に必要な遺伝子を含む1つ以上のポリヌクレオチド及び形質移入試薬を含む組成物を添加することにより、細胞に形質移入することと、(c)形質移入された細胞を含む細胞培養物を、組換えウイルス粒子の生成を可能にする条件下で維持することとを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、組換えウイルスは組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)である。いくつかの実施形態において、rAAVは、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV14、AAV15、AAV16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、AAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、またはAAV.HSC16血清型のカプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、rAAVは、AAV8またはAAV9血清型のカプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、浮遊適応性HEK細胞を含む浮遊培養物である。いくつかの実施形態において、形質移入試薬はポリエチレンイミン(PEI)を含む。
【0008】
1つの態様において、本開示は、細胞に形質移入する方法であって、(a)細胞を細胞培養物中で培養することであって、当該培養物が、約1mg/Lから約20mg/Lの間の開始硫酸デキストラン濃度及び約0.1mg/Lから約10mg/Lの間の最終硫酸デキストラン濃度を含む、培養することと、(b)(a)の培養物に、1つ以上のポリヌクレオチド及び形質移入試薬を含む組成物を添加することにより、細胞に形質移入することとを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、細胞培養物は浮遊培養物である。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、浮遊適応性HEK細胞を含む浮遊培養物である。いくつかの実施形態において、形質移入試薬はポリエチレンイミン(PEI)を含む。
【0009】
さらなる態様において、本開示は、組換えポリペプチドを生成する方法であって、(a)組換えポリペプチドの生成に適した細胞を細胞培養物中で培養することであって、当該培養物が、約1mg/Lから約20mg/Lの間の開始硫酸デキストラン濃度及び約0.1mg/Lから約10mg/Lの間の最終硫酸デキストラン濃度を含む、培養することと、(b)(a)の培養物に、ポリペプチドをコードする1つ以上のポリヌクレオチド及び形質移入試薬を含む組成物を添加することにより、細胞に形質移入することと、(c)形質移入された細胞を含む細胞培養物を、組換えポリペプチドの生成を可能にする条件下で維持することとを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、組換えポリペプチドは、抗体もしくはその抗原結合フラグメント、二重特異性抗体、酵素、融合タンパク質、またはFc融合タンパク質である。
【0010】
さらなる態様において、本開示は、組換えウイルス粒子を生成する方法であって、(a)組換えウイルス粒子の生成に適した細胞を細胞培養物中で約1日から約5日の間培養することであって、当該培養物が、約1mg/Lから約20mg/Lの間の開始硫酸デキストラン濃度及び約0.1mg/Lから約10mg/Lの間の最終硫酸デキストラン濃度を含む、培養することと、(b)(a)の培養物に、組換えウイルス粒子の生成に必要な遺伝子を含む1つ以上のポリヌクレオチド及び形質移入試薬を含む組成物を添加することにより、細胞に形質移入することと、(c)形質移入された細胞を含む細胞培養物を、組換えウイルス粒子の生成を可能にする条件下で維持することとを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、組換えウイルスは組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)である。いくつかの実施形態において、rAAVは、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV14、AAV15、AAV16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、AAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、またはAAV.HSC16血清型のカプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、rAAVは、AAV8またはAAV9血清型のカプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、浮遊適応性HEK細胞を含む浮遊培養物である。いくつかの実施形態において、形質移入試薬はポリエチレンイミン(PEI)を含む。
【0011】
さらなる態様において、本開示は、組換えポリペプチドの生成を改善する方法であって、(a)組換えポリペプチドの生成に適した細胞を含む細胞培養物を準備することであって、当該培養物が、約0.1mg/Lから約10mg/Lの間の硫酸デキストランを含む、準備することと、(b)(a)の培養物に、ポリペプチドをコードする1つ以上のポリヌクレオチド及び形質移入試薬を含む組成物を添加することにより、細胞に形質移入することと、(c)形質移入された細胞を含む細胞培養物を、組換えポリペプチドの生成を可能にする条件下で維持することとを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、硫酸デキストランを含まない培養物中で細胞に形質移入することを含む方法よりも多くのポリペプチドを生成する。いくつかの実施形態において、組換えポリペプチドは、抗体もしくはその抗原結合フラグメント、二重特異性抗体、酵素、融合タンパク質、またはFc融合タンパク質である。
【0012】
さらなる態様において、本開示は、組換えウイルス粒子の生成を改善する方法であって、(a)組換えウイルス粒子の生成に適した細胞を含む細胞培養物を準備することであって、当該培養物が、約0.1mg/Lから約10mg/Lの間の硫酸デキストランを含む、準備することと、(b)(a)の培養物に、組換えウイルス粒子の生成に必要な遺伝子を含む1つ以上のポリヌクレオチド及び形質移入試薬を含む組成物を添加することにより、細胞に形質移入することと、(c)形質移入された細胞を含む細胞培養物を、組換えウイルス粒子の生成を可能にする条件下で維持することとを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、硫酸デキストランを含まない培養物中で細胞に形質移入することを含む方法よりも多くの組換えウイルス粒子を生成する。いくつかの実施形態において、組換えウイルスは組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)である。いくつかの実施形態において、rAAVは、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV14、AAV15、AAV16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、AAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、またはAAV.HSC16血清型のカプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、rAAVは、AAV8またはAAV9血清型のカプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、浮遊適応性HEK細胞を含む浮遊培養物である。いくつかの実施形態において、形質移入試薬はポリエチレンイミン(PEI)を含む。
【0013】
いくつかの実施形態において、本開示は以下を提供する。
【0014】
[1.]細胞に形質移入する方法であって、
a)前記細胞を含む細胞培養物を準備することであって、前記培養物が、約0.1mg/Lから約10mg/Lの間の硫酸デキストランを含む、前記準備することと、
b)(a)の前記培養物に、1つ以上のポリヌクレオチド及び形質移入試薬を含む組成物を添加することにより、前記細胞に形質移入することと
を含む、前記方法。
【0015】
[2.]組換えポリペプチドを生成する方法であって、
a)前記組換えポリペプチドの生成に適した細胞を含む細胞培養物を準備することであって、前記培養物が、約0.1mg/Lから約10mg/Lの間の硫酸デキストランを含む、前記準備することと、
b)a)の前記培養物に、前記ポリペプチドをコードする1つ以上のポリヌクレオチド及び形質移入試薬を含む組成物を添加することにより、前記細胞に形質移入することと、
c)前記形質移入された細胞を含む前記細胞培養物を、前記組換えポリペプチドの生成を可能にする条件下で維持することと
を含む、前記方法。
【0016】
[3.]前記ポリペプチドが、抗体もしくはその抗原結合フラグメント、二重特異性抗体、酵素、融合タンパク質、またはFc融合タンパク質である、請求項[2]に記載の方法。
【0017】
[4.]組換えウイルス粒子を生成する方法であって、
a)前記組換えウイルス粒子の生成に適した細胞を含む細胞培養物を準備することであって、前記培養物が、約0.1mg/Lから約10mg/Lの間の硫酸デキストランを含む、前記準備することと、
b)a)の前記培養物に、前記組換えウイルス粒子を生成するのに必要な遺伝子を含む1つ以上のポリヌクレオチド及び形質移入試薬を含む組成物を添加することにより、前記細胞に形質移入することと、
c)前記形質移入された細胞を含む前記細胞培養物を、前記組換えウイルス粒子の生成を可能にする条件下で維持することと
を含む、前記方法。
【0018】
[5.]a)の前記培養物が、約0.5mg/Lから約10mg/Lの間、約0.5mg/Lから約5mg/Lの間、約0.5mg/Lから約3mg/Lの間、約1mg/Lから約10mg/Lの間、約1mg/Lから約5mg/Lの間、約1mg/Lから約4mg/Lの間、または約1mg/Lから約3mg/Lの間の硫酸デキストランを含む、請求項[1]~[4]のいずれか1項に記載の方法。
【0019】
[6.]a)の前記培養物が、約0.5mg/L、約1mg/L、約1.5mg/L、約2mg/L、約2.5mg/L、約3mg/L、約4mg/L、または約5mg/Lの硫酸デキストランを含む、請求項[1]~[4]のいずれか1項に記載の方法。
【0020】
[7.]a)の前記培養物が、約2mg/Lの硫酸デキストランを含む、請求項[1]~[4]のいずれか1項に記載の方法。
【0021】
[8.]細胞を形質移入する方法であって、
a)細胞培養物中で前記細胞を培養することであって、前記培養物が、約1mg/Lから約20mg/Lの間の開始硫酸デキストラン濃度及び約0.1mg/Lから約10mg/Lの間の最終硫酸デキストラン濃度を含む、前記培養することと、
b)a)の前記培養物に、1つ以上のポリヌクレオチド及び形質移入試薬を含む組成物を添加することにより、前記細胞に形質移入することと
を含む、前記方法。
【0022】
[9.]組換えポリペプチドを生成する方法であって、
a)前記組換えポリペプチドの生成に適した細胞を細胞培養物中で培養することであって、前記培養物が、約1mg/Lから約20mg/Lの間の開始硫酸デキストラン濃度及び約0.1mg/Lから約10mg/Lの間の最終硫酸デキストラン濃度を含む、前記培養することと、
b)a)の前記培養物に、前記ポリペプチドをコードする1つ以上のポリヌクレオチド及び形質移入試薬を含む組成物を添加することにより、前記細胞に形質移入することと、
c)前記形質移入された細胞を含む前記細胞培養物を、前記組換えポリペプチドの生成を可能にする条件下で維持することと
を含む、前記方法。
【0023】
[10.]前記ポリペプチドが、抗体もしくはその抗原結合フラグメント、二重特異性抗体、酵素、融合タンパク質、またはFc融合タンパク質である、請求項[9]に記載の方法。
【0024】
[11.]組換えウイルス粒子を生成する方法であって、
a)前記組換えウイルス粒子の生成に適した細胞を細胞培養物中で約1日から約5日の間培養することであって、前記培養物が、約1mg/Lから約20mg/Lの間の開始硫酸デキストラン濃度及び約0.1mg/Lから約10mg/Lの間の最終硫酸デキストラン濃度を含む、前記培養することと、
b)a)の前記培養物に、前記組換えウイルス粒子を生成するのに必要な遺伝子を含む1つ以上のポリヌクレオチド及び形質移入試薬を含む組成物を添加することにより、前記細胞に形質移入することと、
c)前記形質移入された細胞を含む前記細胞培養物を、前記組換えウイルス粒子の生成を可能にする条件下で維持することと
を含む、前記方法。
【0025】
[12.]前記開始硫酸デキストラン濃度が、約1mg/Lから約10mg/Lの間、約1mg/Lから約5mg/Lの間、約2mg/Lから約10mg/Lの間、約3mg/Lから約10mg/Lの間、または約3mg/Lから約5mg/Lの間である、請求項[8]~[11]のいずれか1項に記載の方法。
【0026】
[13.]前記開始硫酸デキストラン濃度が、約2mg/L、約3mg/L、約4mg/L、約5mg/L、約6mg/L、約7mg/L、約8mg/L、約9mg/L、または約10mg/Lである、請求項[8]~[11]のいずれか1項に記載の方法。
【0027】
[14.]前記開始硫酸デキストラン濃度が約4mg/Lである、請求項[8]~[11]のいずれか1項に記載の方法。
【0028】
[15.]前記最終硫酸デキストラン濃度が、約0.5mg/Lから約10mg/Lの間、約0.5mg/Lから約5mg/Lの間、約0.5mg/Lから約5mg/Lの間、約0.5mg/Lから約3mg/Lの間、約1mg/Lから約10mg/Lの間、約1mg/Lから約5mg/Lの間、約1mg/Lから約4mg/Lの間、または約1mg/Lから約3mg/Lの間である、請求項[8]~[14]のいずれか1項に記載の方法。
【0029】
[16.]前記最終硫酸デキストラン濃度が、約0.5mg/L、約1mg/L、約1.5mg/L、約2mg/L、約2.5mg/L、約3mg/L、約4mg/L、または約5mg/Lである、請求項[8]~[14]のいずれか1項に記載の方法。
【0030】
[17.]前記最終硫酸デキストラン濃度が約2mg/Lである、請求項[8]~[14]のいずれか1項に記載の方法。
【0031】
[18.]前記開始硫酸デキストラン濃度が約4mg/Lであり、かつ前記最終硫酸デキストラン濃度が約2mg/Lである、請求項[8]~[11]のいずれか1項に記載の方法。
【0032】
[19.]前記組換えウイルス粒子が、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)粒子または組換えレンチウイルス粒子である、請求項[4]~[7]及び[11]~[18]のいずれか1項に記載の方法。
【0033】
[20.]前記組換えウイルス粒子がrAAV粒子である、請求項[4]~[7]及び[11]~[18]のいずれか1項に記載の方法。
【0034】
[21.]前記rAAV粒子が、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV14、AAV15、AAV16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、AAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、またはAAV.HSC16血清型のカプシドタンパク質を含む、請求項[20]に記載の方法。
【0035】
[22.]前記rAAV粒子が、AAV8、AAV9、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、またはAAV.hu37血清型のカプシドタンパク質を含む、請求項[20]に記載の方法。
【0036】
[23.]前記rAAV粒子が、AAV8またはAAV9血清型のカプシドタンパク質を含む、請求項[20]に記載の方法。
【0037】
[24.]前記rAAV粒子が、導入遺伝子を含むゲノムを含む、請求項[20]~[23]のいずれか1項に記載の方法。
【0038】
[25.]前記導入遺伝子が、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと作用可能に接続した調節エレメントを含む、請求項[24]に記載の方法。
【0039】
[26.]前記調節エレメントが、エンハンサー、プロモーター、及びポリA領域のうちの1つ以上を含む、請求項[25]に記載の方法。
【0040】
[27.]前記調節エレメント及びポリペプチドをコードする前記ポリヌクレオチドが異種である、請求項[24]または請求項[25]に記載の方法。
【0041】
[28.]前記導入遺伝子が、抗VEGF Fab、イズロニダーゼ(IDUA)、イズロン酸2-スルファターゼ(IDS)、低密度リポタンパク質受容体(LDLR)、トリペプチジルペプチダーゼ1(TPP1)、またはVEGF受容体1の非膜結合型スプライスバリアント(sFlt-1)をコードする、請求項[24]~[27]のいずれか1項に記載の方法。
【0042】
[29.]前記導入遺伝子が、ガンマ-サルコグリカン、Rabエスコートタンパク質1(REP1/CHM)、レチノイドイソメロヒドロラーゼ(RPE65)、環状ヌクレオチドゲートチャネルアルファ3(CNGA3)、環状ヌクレオチドゲートチャネルベータ3(CNGB3)、芳香族L-アミノ酸デカルボキシラーゼ(AADC)、リソソーム関連膜タンパク質2アイソフォームB(LAMP2B)、第VIII因子、第IX因子、網膜色素変性症GTPアーゼ制御因子(RPGR)、レチノスキシン(RS1)、筋小胞体カルシウムATPアーゼ(SERCA2a)、アフリベルセプト、バッテニン(CLN3)、膜貫通ERタンパク質(CLN6)、グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)、グリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)、アクアポリン1(AQP1)、ジストロフィン、ミニジストロフィン、マイクロジストロフィン、ミオチューブラリン1(MTM1)、フォリスタチン(FST)、グルコース-6-ホスファターゼ(G6Pアーゼ)、アポリポタンパク質A2(APOA2)、ウリジン二リン酸グルクロノシルトランスフェラーゼ1A1(UGT1A1)、アリールスルファターゼB(ARSB)、N-アセチル-アルファ-グルコサミニダーゼ(NAGLU)、アルファ-グルコシダーゼ(GAA)、アルファ-ガラクトシダーゼ(GLA)、ベータ-ガラクトシダーゼ(GLB1)、リポタンパク質リパーゼ(LPL)、アルファ1-アンチトリプシン(AAT)、ホスホジエステラーゼ6B(PDE6B)、オルニチンカルバモイルトランスフェラーゼ9OTC)、生存運動ニューロン(SMN1)、生存運動ニューロン(SMN2)、ニュールツリン(NRTN)、ニューロトロフィン-3(NT-3/NTF3)、ポルホビリノーゲンデアミナーゼ(PBGD)、神経成長因子(NGF)、ミトコンドリアコードNADH:ユビキノンオキシドレダクターゼコアサブユニット4(MT-ND4)、保護タンパク質カテプシンA(PPCA)、ジスフェリン、MERがん原遺伝子チロシンキナーゼ(MERTK)、嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR)、または腫瘍壊死因子受容体(TNFR)-免疫グロブリン(IgG1)Fc融合体をコードする、請求項[24]~[27]のいずれか1項に記載の方法。
【0043】
[30.]前記1つ以上のポリヌクレオチドが、
a)パッケージング対象のrAAVゲノム、
b)パッケージングするのに必要なアデノウイルスヘルパー機能、
c)パッケージングするのに十分なAAV repタンパク質、及び
d)パッケージングするのに十分なAAV capタンパク質
をコードする、請求項[20]~[29]のいずれか1項に記載の方法。
【0044】
[31.]前記1つ以上のポリヌクレオチドが、前記rAAVゲノムをコードするポリヌクレオチドと、前記AAV repタンパク質及び前記AAV capタンパク質をコードするポリヌクレオチドと、前記アデノウイルスヘルパー機能をコードするポリヌクレオチドとを含む、請求項[30]に記載の方法。
【0045】
[32.]前記アデノウイルスヘルパー機能が、アデノウイルスE1a遺伝子、E1b遺伝子、E4遺伝子、E2a遺伝子、及びVA遺伝子のうちの少なくとも1つを含む、請求項[30]または請求項[31]に記載の方法。
【0046】
[33.]前記rAAV粒子を回収することをさらに含む、請求項[20]~[28]のいずれか1項に記載の方法。
【0047】
[34.]前記細胞培養物が、約5×10e+10GC/mlから約1×10e+12GC/mlの間のrAAV粒子を生成する、請求項[20]~[33]のいずれか1項に記載の方法。
【0048】
[35.]前記細胞培養物が、a)の前記培養物が硫酸デキストランを含まない参照方法よりも、少なくとも約1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、または2倍多くのGC/mlとして測定されたrAAV粒子を生成する、請求項[20]~[33]のいずれか1項に記載の方法。
【0049】
[36.]前記細胞培養物が浮遊細胞培養物である、請求項[1]~[35]のいずれか1項に記載の方法。
【0050】
[37.]前記細胞培養物が浮遊適応性細胞を含む、請求項[36]に記載の方法。
【0051】
[38.]前記細胞が、HEK293細胞、HEK由来細胞、CHO細胞、CHO由来細胞、HeLa細胞、SF-9細胞、BHK細胞、ベロ細胞、及び/またはPerC6細胞、あるいはこれらの組合せを含む、請求項[36]または請求項[37]に記載の方法。
【0052】
[39.]前記細胞がHEK293細胞を含む、請求項[36]または請求項[37]に記載の方法。
【0053】
[40.]前記細胞がCHO細胞またはCHO-K1細胞を含む、請求項[36]または請求項[37]に記載の方法。
【0054】
[41.]前記形質移入試薬が、脂質、ポリマー、ペプチド、またはこれらの組合せを含む、請求項[1]~[40]のいずれか1項に記載の方法。
【0055】
[42.]前記形質移入試薬が脂質を含み、前記脂質が、DOTMA、DOTAP、DOSPA、DOGS、またはこれらの組合せを含む、請求項[41]に記載の方法。
【0056】
[43.]前記形質移入試薬がポリマーを含み、前記ポリマーが、ポリ(L-リジン)(PLL)、ポリエチレンイミン(PEI)、多糖、ポリ[2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート](PDMAEMA)、デンドリマー、またはこれらの組合せを含む、請求項[41]に記載の方法。
【0057】
[44.]前記形質移入試薬がポリエチレンイミン(PEI)を含む、請求項41に記載の方法。
【0058】
[45.]前記細胞培養物が、約50リットルから約20,000リットルの間の体積を有する、請求項[1]~[44]のいずれか1項に記載の方法。
【0059】
[46.]前記細胞培養物が、約50リットルから約5,000リットルの間の体積を有する、請求項[45]に記載の方法。
【0060】
[47.]前記細胞培養物が、約50リットルから約2,000リットルの間の体積を有する、請求項[45]に記載の方法。
【0061】
[48.]前記細胞培養物が、約50リットルから約1,000リットルの間の体積を有する、請求項[45]に記載の方法。
【0062】
[49.]前記細胞培養物が、約50リットルから約500リットルの間の体積を有する、請求項[41]に記載の方法。
【0063】
[50.]請求項[20]~[49]のいずれか1項に記載の方法によって生成された単離されたrAAV粒子を含む、組成物。
【0064】
本明細書で説明される組成物及び方法のさらなる他の特徴及び利点は、添付の図面と共に読めば、以下の詳細な説明からさらに明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【
図1】形質移入前及び形質移入中に使用するための硫酸デキストランの初期振とうフラスコスクリーニング。1:2,500、1:500、1:10,000、1:20,000、1:40,000、及び1:80,000は、形質移入時に存在する25g/L硫酸デキストランストック溶液の希釈倍率を示し、それぞれ10mg/L、5mg/L、2.5mg/L、1.25mg/L、625□g/L、及び313□g/Lの濃度に相当する。
【
図2】形質移入前及び形質移入中に使用するための硫酸デキストランの初期振とうフラスコスクリーニング。6K、7K、8K、9K、10K、12K、及び15Kは、形質移入時に存在する25g/L硫酸デキストランストック溶液の希釈倍率を示し、それぞれ4.2mg/L、3.6mg/L、3.1mg/L、2.8mg/L、2.5mg/L、2.1mg/L、及び1.7mg/Lの濃度に相当する。
【
図3】形質移入のためのベンチスケール2L硫酸デキストラン滴定:ゲノム力価。6K、7K、8K、9K、及び10Kは、形質移入時に存在する25g/L硫酸デキストランストック溶液の希釈倍率を示し、それぞれ4.2mg/L、3.6mg/L、3.1mg/L、2.8mg/L、及び2.5mg/Lの濃度に相当する。
【
図4】形質移入のためのベンチスケール2L硫酸デキストラン滴定:細胞イメージング。1:6,000、1:7,000、1:8,000、1:9,000、及び1:10,000は、形質移入時に存在する25g/L硫酸デキストランストック溶液の希釈倍率を示し、それぞれ4.2mg/L、3.6mg/L、3.1mg/L、2.8mg/L、及び2.5mg/Lの濃度に相当する。
【
図5】形質移入のためのベンチスケール2L硫酸デキストラン滴定:生細胞密度。1:6,000、1:7,000、1:8,000、1:9,000、及び1:10,000は、形質移入時に存在する25g/L硫酸デキストランストック溶液の希釈倍率を示し、それぞれ4.2mg/L、3.6mg/L、3.1mg/L、2.8mg/L、及び2.5mg/Lの濃度に相当する。
【
図6】形質移入のためのベンチスケール2L硫酸デキストラン滴定:細胞生存率。1:6,000、1:7,000、1:8,000、1:9,000、及び1:10,000は、形質移入時に存在する25g/L硫酸デキストランストック溶液の希釈倍率を示し、それぞれ4.2mg/L、3.6mg/L、3.1mg/L、2.8mg/L、及び2.5mg/Lの濃度に相当する。
【
図7】形質移入中に2mg/Lの濃度で硫酸デキストランを用いたベンチスケール5LリアクターでのAAV8生成。
【
図8】異なる市販培地を用いた2LベンチスケールリアクターでのAAV8生成。硫酸デキストランは、形質移入中、2mg/Lで存在した。
【
図9】異なる宿主細胞クローンを用いた振とうフラスコでのAAV8生成。硫酸デキストランは、形質移入中、2mg/Lで存在した。
【
図10】形質移入中に硫酸デキストランを用いたベンチスケール5LリアクターでのAAV9生成。
【
図11】形質移入の前に硫酸デキストランを高密度シードトレインに含めると、AAV力価が増加する。
【
図12】形質移入の前に硫酸デキストランをシードトレインに含めると、AAV力価が増加する。
【発明を実施するための形態】
【0066】
詳細な説明
驚くべきことに、硫酸デキストランが、一過性形質移入に基づく生成方法でrAAV力価を増加可能であることが見出された。硫酸デキストランは一過性形質移入を阻害することが知られているため、この発見は予想外であった。例えば、Gengら(2007)は55ページにおいて、硫酸デキストランがPEI媒介性形質移入を完全に阻害すると結論付けている。同様に、最近発表されたPALL(登録商標)Biotechによる“Guide for DNA Transfection in iCELLis(登録商標)500 and iCELLis 500+ Bioreactors for Large Scale Gene Therapy Vector Manufacturing”(“2020 Guide”)では、9ページにおいて、硫酸デキストランがPEI媒介性形質移入を阻害することを教示している。例えばGengら(2007)及び2020 Guideの教示を考慮する当業者であれば、一過性形質移入に基づく方法によるrAAV生成は、形質移入中に硫酸デキストランが細胞培養物中に存在することによって阻害されるか、または少なくとも生産性が低くなることを合理的に予想したことであろう。これに対し、実施例で論じているように、硫酸デキストランの存在に対する硫酸デキストランが形質移入培地中に存在すると、驚くほどrAAV生成が増加した。異なる細胞培養基、宿主細胞クローン、及び生成体積を用いて異なるカプシド血清型または導入遺伝子を含むrAAV粒子を生成するプロセスにおいて、rAAV生成の増加が観察された。
【0067】
これらの驚くべき発見を、本明細書に記載の細胞に形質移入する方法、組換えポリペプチドを生成する方法、組換えウイルス粒子(例えば、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)粒子)を生成する方法、組換えポリペプチドの生成を改善する方法、及び組換えウイルス粒子(例えば、rAAV粒子)の生成を改善する方法を開発するために使用した。いくつかの実施形態において、当該方法は、細胞及び硫酸デキストランを含む培養物に、1つ以上のポリヌクレオチド及び形質移入試薬を含む組成物を添加することにより、細胞に形質移入することを含む。いくつかの実施形態において、細胞培養物は浮遊細胞培養物である。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、撹拌バイオリアクター内でマイクロキャリアまたはマクロキャリアに付着して成長する接着性細胞を含む。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、浮遊適応性HEK293細胞を含む浮遊細胞培養物である。いくつかの実施形態において、組換えウイルス粒子は組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)粒子である。いくつかの実施形態において、rAAVは、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV14、AAV15、AAV16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、AAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、またはAAV.HSC16血清型のカプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、rAAVは、AAV8またはAAV9血清型のカプシドタンパク質を含む。
【0068】
1つの治療単位用量を調製するのに極めて多数のrAAV粒子が必要であることを考えると、rAAV収量の任意の増加により、単位用量当たりの製品コストが低減する。ウイルス収量が増加すれば、それに応じて、rAAV粒子の生成に必要な消耗品のコストだけでなく、工業用ウイルス精製施設の建設に関連する設備投資のコストも低減することができる。
【0069】
定義
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的用語及び科学的用語は、本開示が関連する技術分野の当業者によって一般的に理解されている意味と同じ意味を有する。本開示の方法の理解を容易にするため、以下に複数の用語及び表現を定義する。
【0070】
例えば、組成物中の成分の量、組成物中の成分の濃度、流量、rAAV粒子収量、フィード体積、塩濃度、類似の値、及びこれらの範囲を修飾し、本明細書で提供される方法で用いられる「約」とは、例えば、濃縮物もしくは使用溶液を作製するために使用される典型的な測定及び取扱い手順によって;これらの手順における偶発性のエラーによって;組成物の作製もしくは方法の実行に用いられる製造、供給源、もしくは成分の純度の違いによって;及び類似の考慮事項によって生じ得る、数値的量のバリエーションを意味する。「約」という用語は、特定の初期濃度を有する組成物または混合物が老化することによって相違する量も包含する。「約」という用語は、特定の初期濃度を有する組成物または混合物を混合または処理することによって相違する量も包含する。「約」という用語で修飾されているかどうかにかかわらず、請求項は、その量の等価物を含む。いくつかの実施形態において、「約」という用語は、示された数または範囲よりも約10~20%多いまたは少ない範囲を意味する。さらなる実施形態において、「約」とは、示された数または範囲のプラスマイナス10%を意味する。例えば、「約10%」は9%~11%の範囲を示す。
【0071】
「硫酸デキストラン」という用語は、グルコースモノマー間のα-1,6グリコシド結合のポリマー主鎖と、α-1,3結合からの分岐とを含む硫酸化多糖を意味する。硫酸デキストランは、例えば、MilliporeSigma(Saint Louis,Mo.)から商業的に入手することができる。「硫酸デキストラン」は、遊離酸及びその塩の両方を包含するものと理解されたい。いくつかの実施形態において、硫酸デキストランは塩である。いくつかの実施形態において、硫酸デキストランは遊離酸である。いくつかの実施形態において、硫酸デキストランは、一価カチオンを含む塩である。いくつかの実施形態において、硫酸デキストランは、Li、Na、K、Rb、またはCs塩である。いくつかの実施形態において、硫酸デキストランはNa塩である。いくつかの実施形態において、硫酸デキストランは、約10%~約25%の硫黄を含む。いくつかの実施形態において、硫酸デキストランは、約15%~約20%の硫黄を含む。いくつかの実施形態において、硫酸デキストランの各グルコシル残基は、平均1~3個の硫酸基を含む。いくつかの実施形態において、硫酸デキストランの各グルコシル残基は、平均2~3個の硫酸基を含む。いくつかの実施形態において、硫酸デキストランは約17%の硫黄を含み、これはグルコシル残基当たりおよそ2.3個の硫酸基に相当する。いくつかの実施形態において、硫酸デキストランの平均分子量は、約3kDa~約500kDa、約3kDa~約250kDa、約3kDa~約100kDa、約3kDa~約50kDa、約3kDa~約25kDa、または約3kDa~約10kDaである。いくつかの実施形態において、硫酸デキストランの平均分子量は、約5kDa~約500kDa、約5kDa~約250kDa、約5kDa~約100kDa、約5kDa~約50kDa、約5kDa~約25kDa、または約5kDa~約10kDaである。いくつかの実施形態において、硫酸デキストランの平均分子量は約3kDa~約25kDaである。いくつかの実施形態において、硫酸デキストランの平均分子量は約3kDa~約10kDaである。いくつかの実施形態において、硫酸デキストランの平均分子量は約4kDa~約25kDaである。いくつかの実施形態において、硫酸デキストランの平均分子量は約4kDa~約10kDaである。いくつかの実施形態において、硫酸デキストランの平均分子量は約5kDa~約25kDaである。いくつかの実施形態において、硫酸デキストランの平均分子量は約5kDa~約10kDaである。いくつかの実施形態において、硫酸デキストランの平均分子量は約5kDaである。いくつかの実施形態において、硫酸デキストランは、約3kDaから10kDaの間の平均分子量を有するナトリウム塩である。いくつかの実施形態において、硫酸デキストランは、約5kDaの平均分子量を有するナトリウム塩である。いくつかの実施形態において、硫酸デキストランはナトリウム塩であり、約15%~20%の硫黄を含み、約3kDaから10kDaの間の平均分子量を有する。いくつかの実施形態において、硫酸デキストランはナトリウム塩であり、約17%の硫黄を含み、約5kDaの平均分子量を有する。
【0072】
「AAV」とはアデノ随伴ウイルス(adeno-associated virus)の省略形であり、このウイルス自体またはその修飾物、派生物、もしくはシュードタイプを意味するように使用することができる。当該用語は、別段に要求される場合を除いて、全てのサブタイプ、ならびに天然の形態及び組換え形態両方を包含する。省略形「rAAV」とは、組換えアデノ随伴ウイルスを意味する。「AAV」という用語は、1型AAV(AAV1)、2型AAV(AAV2)、3型AAV(AAV3)、4型AAV(AAV4)、5型AAV(AAV5)、6型AAV(AAV6)、7型AAV(AAV7)、8型AAV(AAV8)、9型AAV(AAV9)、トリAAV、ウシAAV、イヌAAV、ウマAAV、霊長類AAV、非霊長類AAV、及びヒツジAAV、ならびにこれらの修飾物、派生物、またはシュードタイプを含む。「霊長類AAV」とは霊長類に感染するAAVを意味し、「非霊長類AAV」とは非霊長類哺乳類に感染するAAVを意味し、「ウシAAV」とはウシ哺乳類に感染するAAVを意味する、などとなる。
【0073】
AAV粒子に適用される「組換え」とは、AAV粒子が、本質的にAAV粒子とは異なるAAV粒子コンストラクトをもたらす1つ以上の手順の生成物であることを意味する。
【0074】
組換えアデノ随伴ウイルス粒子「rAAV粒子」とは、少なくとも1つのAAVカプシドタンパク質と、異種ポリヌクレオチド(すなわち、野生型AAVゲノム以外のポリヌクレオチド、例えば、哺乳類細胞に送達させる導入遺伝子)を含むカプシド化ポリヌクレオチドrAAVベクターゲノムとから構成されるウイルス粒子を意味する。rAAV粒子は、任意の修飾物、派生物、またはシュードタイプを含めた任意のAAV血清型(例えば、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、もしくはAAV10、またはこれらの派生体/修飾物/シュードタイプ)とすることができる。このようなAAV血清型及び派生物/修飾物/シュードタイプ、ならびにこのような血清型/派生物/修飾物/シュードタイプを生成する方法は、当技術分野で知られている(例えば、Asokan et al.,Mol.Ther.20(4):699-708(2012)を参照)。
【0075】
本開示のrAAV粒子は、任意の血清型、または血清型の任意の組合せ(例えば、2つ以上の血清型を含む(例えば、rAAV2、rAAV8、及びrAAV9粒子のうちの2つ以上を含む)rAAV粒子集団)とすることができる。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、rAAV1、rAAV2、rAAV3、rAAV4、rAAV5、rAAV6、rAAV7、rAAV8、rAAV9、rAAV10、もしくはその他のrAAV粒子、またはこれらの2つ以上の組合せである。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、rAAV8またはrAAV9粒子である。
【0076】
いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV14、AAV15、AAV16、またはこれらの派生物、修飾物、もしくはシュードタイプからなる群より選択される血清型のAAVカプシドタンパク質を有する。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8、AAV9、またはこれらの派生物、修飾物、もしくはシュードタイプの血清型のAAVカプシドタンパク質を有する。
【0077】
「細胞培養物」という用語は、接着してまたは浮遊液中で成長させる細胞、バイオリアクター、ローラーボトル、ハイパースタック、ミクロスフェア、マクロスフェア、フラスコなどに加えて、上清または浮遊液自体の構成成分を意味し、このような構成成分としては、限定されるものではないが、rAAV粒子、細胞、細胞デブリ、細胞混入物、コロイド粒子、生体分子、宿主細胞タンパク質、核酸、脂質、及び凝集剤が挙げられる。また、バイオリアクターなどの大規模アプローチ(浮遊培養物、及び撹拌バイオリアクター内のマイクロキャリアまたはマクロキャリアに付着して成長させる付着細胞が含まれる)も「細胞培養物」という用語に包含される。タンパク質の大規模生産及び小規模生産いずれのための細胞培養手順も、本開示に包含される。いくつかの実施形態において、「細胞培養物」という用語は、浮遊状態で成長した細胞を意味する。いくつかの実施形態において、「細胞培養物」という用語は、撹拌バイオリアクター内でマイクロキャリアまたはマクロキャリアに付着して成長した接着性細胞を意味する。いくつかの実施形態において、「細胞培養物」という用語は、灌流培養物中で成長した細胞を意味する。いくつかの実施形態において、「細胞培養物」という用語は、交互タンジェンシャルフロー(ATF)支持高密度灌流培養物中で成長した細胞を意味する。
【0078】
本明細書で使用する場合、「精製すること」、「精製」、「分離」、「分離すること」、「分離」、「単離する」、「単離すること」、または「単離」という用語は、ターゲット生成物と1つ以上の不純物とを含む試料からのターゲット生成物(例えば、rAAV粒子及びrAAVゲノム)の純度の程度を高めることを意味する。典型的には、ターゲット生成物の純度の程度は、試料から少なくとも1つの不純物を(完全にまたは不完全に)除去することによって高められる。いくつかの実施形態において、試料中のrAAVの純度の程度は、本明細書で説明される方法を使用することにより、試料から1つ以上の不純物を(完全にまたは不完全に)除去することによって増加する。
【0079】
本開示及び請求項で使用する場合、単数形「a」「an」及び「the」は、文脈による明確な別段の定めがない限り、複数形を含む。
【0080】
諸実施形態が「~を含む」という語を用いて本明細書で説明されている場合は常に、「~からなる」及び/または「本質的に~からなる」という観点から説明されている別の類似の実施形態も提供されるものと理解されたい。また、諸実施形態が「本質的に~からなる」という語を用いて本明細書で説明されている場合は常に、「~からなる」という観点から説明されている別の類似の実施形態も提供されるものと理解されたい。
【0081】
「及び/または」という用語は、本明細書で「A及び/またはB」などの表現で使用される場合、A及びBの両方、AまたはB、A(単独)、ならびにB(単独)を含むように意図されている。同様に、「及び/または」という用語は、「A、B、及び/またはC」のような表現で使用される場合、以下の実施形態の各々を包含するように意図されている:A、B、及びC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;A及びC;A及びB;B及びC;A(単独);B(単独);ならびにC(単独)。
【0082】
本開示の実施形態がマルクーシュグループまたはその他の代替のグループに関して説明される場合、本開示の方法は、全体として挙げられたグループ全体を包含するだけでなく、グループの各メンバーも個別に包含し、メイングループの全ての可能なサブグループも包含し、さらにグループメンバーの1つ以上不在のメイングループも包含する。また、本開示の方法は、本開示の方法におけるグループメンバーのいずれかの1つ以上が明示的に除外されることも想定している。
【0083】
細胞に形質移入する方法
1つの態様において、本開示は、細胞に形質移入する方法であって、(a)細胞を含む細胞培養物を準備することであって、当該培養物が、約0.1mg/Lから約10mg/Lの間の硫酸デキストランを含む、準備することと、(b)(a)の当該培養物に、1つ以上のポリヌクレオチド及び形質移入試薬を含む組成物を添加することにより、細胞に形質移入することとを含む、方法を提供する。
【0084】
いくつかの実施形態において、a)の培養物は、約0.5mg/Lから約10mg/Lの間、約0.5mg/Lから約5mg/Lの間、約0.5mg/Lから約3mg/Lの間、約1mg/Lから約10mg/Lの間、約1mg/Lから約5mg/Lの間、約1mg/Lから約4mg/Lの間、または約1mg/Lから約3mg/Lの間の硫酸デキストランを含む。いくつかの実施形態において、a)の培養物は、約0.5mg/Lから約5mg/Lの間の硫酸デキストランを含む。いくつかの実施形態において、a)の培養物は、約1mg/Lから約5mg/Lの間の硫酸デキストランを含む。いくつかの実施形態において、a)の培養物は、約1mg/Lから約3mg/Lの間の硫酸デキストランを含む。
【0085】
いくつかの実施形態において、a)の培養物は、約0.5mg/L、約1mg/L、約1.5mg/L、約2mg/L、約2.5mg/L、約3mg/L、約4mg/L、または約5mg/Lの硫酸デキストランを含む。いくつかの実施形態において、a)の培養物は、約1mg/Lの硫酸デキストランを含む。いくつかの実施形態において、a)の培養物は、約1.5mg/Lの硫酸デキストランを含む。いくつかの実施形態において、a)の培養物は、約2mg/Lの硫酸デキストランを含む。いくつかの実施形態において、a)の培養物は、約2.5mg/Lの硫酸デキストランを含む。いくつかの実施形態において、a)の培養物は、約3mg/Lの硫酸デキストランを含む。いくつかの実施形態において、a)の培養物は、約3.5mg/Lの硫酸デキストランを含む。いくつかの実施形態において、a)の培養物は、約4mg/Lの硫酸デキストランを含む。
【0086】
いくつかの実施形態において、a)の培養物は、約2mg/Lの硫酸デキストランを含む。
【0087】
いくつかの実施形態において、本開示は、細胞に形質移入する方法であって、(a)細胞を細胞培養物中で培養することであって、当該培養物が、約1mg/Lから約20mg/Lの間の開始硫酸デキストラン濃度及び約0.1mg/Lから約10mg/Lの間の最終硫酸デキストラン濃度を含む、培養することと、(b)(a)の培養物に、1つ以上のポリヌクレオチド及び形質移入試薬を含む組成物を添加することにより、細胞に形質移入することとを含む、方法を提供する。
【0088】
いくつかの実施形態において、開始硫酸デキストラン濃度は、約1mg/Lから約10mg/Lの間、約1mg/Lから約5mg/Lの間、約2mg/Lから約10mg/Lの間、約3mg/Lから約10mg/Lの間、または約3mg/Lから約5mg/Lの硫酸デキストランである。いくつかの実施形態において、開始硫酸デキストラン濃度は、約1mg/Lから約10mg/Lの間の硫酸デキストランである。いくつかの実施形態において、開始硫酸デキストラン濃度は、約2mg/Lから約10mg/Lの間の硫酸デキストランである。いくつかの実施形態において、開始硫酸デキストラン濃度は、約3mg/Lから約6mg/Lの間の硫酸デキストランである。
【0089】
いくつかの実施形態において、開始硫酸デキストラン濃度は、約2mg/L、約3mg/L、約4mg/L、約5mg/L、約6mg/L、約7mg/L、約8mg/L、約9mg/L、または約10mg/Lの硫酸デキストランである。いくつかの実施形態において、開始硫酸デキストラン濃度は、約2mg/Lの硫酸デキストランである。いくつかの実施形態において、開始硫酸デキストラン濃度は、約3mg/Lの硫酸デキストランである。いくつかの実施形態において、開始硫酸デキストラン濃度は、約4mg/Lの硫酸デキストランである。いくつかの実施形態において、開始硫酸デキストラン濃度は、約5mg/Lの硫酸デキストランである。いくつかの実施形態において、開始硫酸デキストラン濃度は、約6mg/Lの硫酸デキストランである。いくつかの実施形態において、開始硫酸デキストラン濃度は、約7mg/Lの硫酸デキストランである。いくつかの実施形態において、開始硫酸デキストラン濃度は、約8mg/Lの硫酸デキストランである。
【0090】
いくつかの実施形態において、開始硫酸デキストラン濃度は、約4mg/Lの硫酸デキストランである。
【0091】
いくつかの実施形態において、最終硫酸デキストラン濃度は、約0.5mg/Lから約10mg/Lの間、約0.5mg/Lから約5mg/Lの間、約0.5mg/Lから約3mg/Lの間、約1mg/Lから約10mg/Lの間、約1mg/Lから約5mg/Lの間、約1mg/Lから約4mg/Lの間、または約1mg/Lから約3mg/Lの間の硫酸デキストランである。いくつかの実施形態において、最終硫酸デキストラン濃度は、約0.5mg/Lから約5mg/Lの間の硫酸デキストランである。いくつかの実施形態において、最終硫酸デキストラン濃度は、約1mg/Lから約5mg/Lの間の硫酸デキストランである。いくつかの実施形態において、最終硫酸デキストラン濃度は、約1mg/Lから約3mg/Lの間の硫酸デキストランである。
【0092】
いくつかの実施形態において、最終硫酸デキストラン濃度は、約0.5mg/L、約1mg/L、約1.5mg/L、約2mg/L、約2.5mg/L、約3mg/L、約4mg/L、または約5mg/Lの硫酸デキストランである。いくつかの実施形態において、最終硫酸デキストラン濃度は、約1mg/Lの硫酸デキストランである。いくつかの実施形態において、最終硫酸デキストラン濃度は、約1.5mg/Lの硫酸デキストランである。いくつかの実施形態において、最終硫酸デキストラン濃度は、約2mg/Lの硫酸デキストランである。いくつかの実施形態において、最終硫酸デキストラン濃度は、約2.5mg/Lの硫酸デキストランである。いくつかの実施形態において、最終硫酸デキストラン濃度は、約3mg/Lの硫酸デキストランである。いくつかの実施形態において、最終硫酸デキストラン濃度は、約3.5mg/Lの硫酸デキストランである。いくつかの実施形態において、最終硫酸デキストラン濃度は、約4mg/Lの硫酸デキストランである。
【0093】
いくつかの実施形態において、最終硫酸デキストラン濃度は、約2mg/Lの硫酸デキストランである。
【0094】
いくつかの実施形態において、開始硫酸デキストラン濃度は、約1mg/Lから約10mg/Lの間、約1mg/Lから約5mg/Lの間、約2mg/Lから約10mg/Lの間、約3mg/Lから約10mg/Lの間、または約3mg/Lから約5mg/Lの間の硫酸デキストランであり、最終硫酸デキストラン濃度は、約0.5mg/Lから約10mg/Lの間、約0.5mg/Lから約5mg/Lの間、約0.5mg/Lから約3mg/Lの間、約1mg/Lから約10mg/Lの間、約1mg/Lから約5mg/Lの間、約1mg/Lから約4mg/Lの間、または約1mg/Lから約3mg/Lの間の硫酸デキストランである。いくつかの実施形態において、開始硫酸デキストラン濃度は、約3mg/Lから約6mg/Lの間の硫酸デキストランであり、最終硫酸デキストラン濃度は、約1mg/Lから約3mg/Lの間の硫酸デキストランである。
【0095】
いくつかの実施形態において、開始硫酸デキストラン濃度は、約2mg/L、約3mg/L、約4mg/L、約5mg/L、約6mg/L、約7mg/L、約8mg/L、約9mg/L、または約10mg/Lの硫酸デキストランであり、最終硫酸デキストラン濃度は、約0.5mg/L、約1mg/L、約1.5mg/L、約2mg/L、約2.5mg/L、約3mg/L、約4mg/L、または約5mg/Lの硫酸デキストランである。
【0096】
いくつかの実施形態において、開始硫酸デキストラン濃度は、約4mg/Lの硫酸デキストランであり、最終硫酸デキストラン濃度は、約2mg/Lの硫酸デキストランである。
【0097】
いくつかの実施形態において、1つ以上のポリヌクレオチドは導入遺伝子を含む。いくつかの実施形態において、導入遺伝子は、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに作用可能に結合した調節エレメントを含む。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、抗体もしくはその抗原結合フラグメント、二重特異性抗体、酵素、融合タンパク質、またはFc融合タンパク質を含む。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、抗体またはその抗原結合フラグメントを含む。
【0098】
いくつかの実施形態において、1つ以上のポリヌクレオチドは、組換えウイルス粒子の生成に必要な遺伝子を含む。いくつかの実施形態において、組換えウイルス粒子は組換えアデノウイルス粒子である。いくつかの実施形態において、組換えウイルス粒子は組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)粒子である。
【0099】
細胞に形質移入するために、当技術分野で知られている任意の好適な形質移入試薬を使用することができる。いくつかの実施形態において、形質移入試薬はカチオン性有機キャリアを含む。例えば、Gigante et al.,Medchemcomm 10(10):1692-1718(2019);Damen et al.Medchemcomm 9(9):1404-1425(2018)(これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に援用される)を参照。いくつかの実施形態において、カチオン性有機キャリアは、脂質、例えば、DOTMA、DOTAP、ヘルパー脂質(Dope、コレステロール)、及びこれらの組合せを含む。いくつかの実施形態において、カチオン性有機キャリアは、多価カチオン性脂質、例えば、DOSPA、DOGS、及びこれらの混合物を含む。いくつかの実施形態において、カチオン性有機キャリアは、双極性脂質、またはボラ両親媒性物質(bolaamphiphile)(ボラ)を含む。いくつかの実施形態において、カチオン性有機キャリアは、生物学的還元性及び/または二量体化可能な脂質を含む。いくつかの実施形態において、カチオン性有機キャリアは、ジェミニ界面活性剤を含む。いくつかの実施形態において、カチオン性有機キャリアは、Lipofectin(商標)、Transfectam(商標)、Lipofectamine(商標)、Lipofectamine 2000(商標)、またはLipofectamin PLUS 2000(商標)を含む。いくつかの実施形態において、カチオン性有機キャリアは、ポリマー、例えば、ポリ(L-リジン)(PLL)、ポリエチレンイミン(PEI)、多糖(キトサン、デキストラン、シクロデキストリン(CD))、ポリ[2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート](PDMAEMA)、及びデンドリマー(ポリアミドアミン(PAMAM)、ポリ(プロピレンイミン)(PPI))を含む。いくつかの実施形態において、カチオン性有機キャリアは、ペプチド、例えば、塩基性アミノ酸に富むペプチド(CWL18)、細胞透過性ペプチド(CPP)(Argに富むペプチド(オクタアルギニン、TAT))、核局在化シグナル(NLS)(SV40)、及びターゲティング(RGD)を含む。いくつかの実施形態において、カチオン性有機キャリアは、カチオン性リポソームと組み合わせたポリマー(例えば、PEI)を含む。Paris et al.,Molecules 25(14):3277(2020)(参照によりその全体が本明細書に援用される)。 いくつかの実施形態において、形質移入試薬は、リン酸カルシウム、高度に分岐した有機化合物(デンドリマー)、カチオン性ポリマー(例えば、DEAEデキストランまたはポリエチレンイミン(PEI))、リポフェクションを含む。
【0100】
いくつかの実施形態において、形質移入試薬は、ポリ(L-リジン)(PLL)、ポリエチレンイミン(PEI)、直鎖状PEI、分枝状PEI、デキストラン、シクロデキストリン(CD)、ポリ[2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート](PDMAEMA)、ポリアミドアミン(PAMAM)、ポリ(プロピレンイミン)(PPI)、またはこれらの混合物を含む。いくつかの実施形態において、形質移入試薬は、ポリエチレンイミン(PEI)、直鎖状PEI、分枝状PEI、またはこれらの混合物を含む。いくつかの実施形態において、形質移入試薬はポリエチレンイミン(PEI)を含む。いくつかの実施形態において、形質移入試薬は直鎖状PEIを含む。いくつかの実施形態において、形質移入試薬は分枝状PEIを含む。いくつかの実施形態において、形質移入試薬は、約5から約25kDaの間の分子量を有するポリエチレンイミン(PEI)を含む。いくつかの実施形態において、形質移入試薬はPEG化ポリエチレンイミン(PEI)を含む。いくつかの実施形態において、形質移入試薬は、疎水性部位(例えば、コレステロール、コリン、アルキル基、及びいくつかのアミノ酸)が付着した修飾ポリエチレンイミン(PEI)を含む。
【0101】
当技術分野で知られている任意の細胞培養系を使用することができる。いくつかの実施形態において、細胞培養物は浮遊細胞培養物である。いくつかの実施形態において、細胞培養物は接着細胞培養物である。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、撹拌バイオリアクター内でマイクロキャリアまたはマクロキャリアに付着して成長した接着性細胞を含む。いくつかの実施形態において、細胞培養物は灌流培養物である。いくつかの実施形態において、細胞培養物は交互タンジェンシャルフロー(ATF)支持高密度灌流培養物である。
【0102】
いくつかの実施形態において、細胞は、哺乳類細胞または昆虫細胞を含む。いくつかの実施形態において、細胞は、哺乳類細胞を含む。いくつかの実施形態において、細胞は、HEK293細胞、HEK由来細胞、CHO細胞、CHO由来細胞、HeLa細胞、SF-9細胞、BHK細胞、ベロ細胞、及び/またはPerC6細胞を含む。いくつかの実施形態において、細胞は、HEK293細胞を含む。
【0103】
いくつかの実施形態において、細胞は、浮遊適応性細胞を含む。いくつかの実施形態において、細胞は、浮遊適応性のHeLa細胞、HEK293細胞、HEK293由来細胞(例えば、HEK293T細胞、HEK293F細胞)、ベロ細胞、CHO細胞、CHO-K1細胞、CHO由来細胞、EB66細胞、BSC細胞、HepG2細胞、LLC-MK細胞、CV-1細胞、COS細胞、MDBK細胞、MDCK細胞、CRFK細胞、RAF細胞、RK細胞、TCMK-1細胞、LLCPK細胞、PK15細胞、LLC-RK細胞、MDOK細胞、BHK細胞、BHK-21細胞、NS-1細胞、MRC-5細胞、WI-38細胞、BHK細胞、3T3細胞、293細胞、RK細胞、Per.C6細胞、ニワトリ胚細胞、またはSF-9細胞を含む。いくつかの実施形態において、細胞は、浮遊適応性のHEK293細胞、HEK293由来細胞(例えば、HEK293T細胞、HEK293F細胞)、CHO細胞、CHO-K1細胞、またはCHO由来細胞を含む。いくつかの実施形態において、細胞は、浮遊適応性HEK293細胞を含む。いくつかの実施形態において、細胞は、浮遊適応性CHO細胞を含む。
【0104】
いくつかの実施形態において、細胞培養物は、約50リットルから約20,000リットルの間の体積を有する。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、約50リットルから約5,000リットルの間の体積を有する。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、約50リットルから約2,000リットルの間の体積を有する。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、約50リットルから約1,000リットルの間の体積を有する。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、約50リットルから約500リットルの間の体積を有する。
【0105】
いかなる特定の理論にも束縛されるものではないが、本明細書で開示される方法は、形質移入の効率を増加させ、その結果、本明細書で開示される方法に従って形質移入された細胞は、硫酸デキストランを含まない細胞培養物中で形質移入された対照細胞よりも、1つ以上のポリヌクレオチドを含む可能性が高くなる。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、硫酸デキストランを含まない細胞培養物を用いた対照方法と比較して、形質移入の効率を少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、または少なくとも約50%増加させる。形質移入効率を測定する方法は当技術分野でよく知られている。いくつかの実施形態において、形質移入効率は、レポーター導入遺伝子コンストラクト(例えば、蛍光タンパク質(例えば、GFP)をコードするレポーター導入遺伝子)を用いて測定される。
【0106】
組換えウイルス粒子を生成する方法
1つの態様において、本開示は、組換えウイルス粒子を生成する方法であって、(a)組換えウイルス粒子の生成に適した細胞を含む細胞培養物を準備することであって、当該培養物が、約0.1mg/Lから約10mg/Lの間の硫酸デキストランを含む、準備することと、(b)(a)の培養物に、組換えウイルス粒子の生成に必要な遺伝子を含む1つ以上のポリヌクレオチド及び形質移入試薬を含む組成物を添加することにより、細胞に形質移入することと、(c)形質移入された細胞を含む細胞培養物を、組換えウイルス粒子の生成を可能にする条件下で維持することとを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、a)の培養物は、約1mg/Lから約3mg/Lの間の硫酸デキストランを含む。いくつかの実施形態において、組換えウイルス粒子は組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)粒子である。いくつかの実施形態において、1つ以上のポリヌクレオチドは、1つ以上のヘルパー遺伝子、rep遺伝子、キャップ遺伝子、及び導入遺伝子(例えば、目的遺伝子またはパッケージング対象のrAAVゲノム)を含む。いくつかの実施形態において、1つ以上のポリヌクレオチドは、3つのポリヌクレオチド(1つはcap及びrep遺伝子をコードし、1つはパッケージングするのに必要なアデノウイルスヘルパー機能(例えば、アデノウイルスE1a遺伝子、E1b遺伝子、E4遺伝子、E2a遺伝子、及びVA遺伝子)をコードし、1つはパッケージング対象のrAAVゲノムをコードする)の混合物を含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8またはAAV9粒子である。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.PHB、及びAAV.7m8からなる群より選択される血清型のAAVカプシドタンパク質を有する。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8またはAAV9に対し高い配列相同性を備えたAAVカプシドタンパク質、例えば、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、及びAAV.hu37を有する。いくつかの実施形態において、細胞培養物は浮遊培養物である。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、浮遊培養での成長に適応したHEK293細胞を含む。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、約400リットルから約5,000リットルの間の体積を有する。いくつかの実施形態において、形質移入試薬はカチオン性ポリマーを含む。いくつかの実施形態において、形質移入試薬はPEIを含む。
【0107】
いくつかの実施形態において、本開示は、組換えウイルス粒子の生成を増加させる方法であって、(a)組換えウイルス粒子の生成に適した細胞を含む細胞培養物を準備することであって、当該培養物が、約0.1mg/Lから約10mg/Lの間の硫酸デキストランを含む、準備することと、(b)(a)の培養物に、組換えウイルス粒子の生成に必要な遺伝子を含む1つ以上のポリヌクレオチド及び形質移入試薬を含む組成物を添加することにより、細胞に形質移入することと、(c)形質移入された細胞を含む細胞培養物を、組換えウイルス粒子の生成を可能にする条件下で維持することとを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、a)の培養物は、約1mg/Lから約3mg/Lの間の硫酸デキストランを含む。いくつかの実施形態において、a)の培養物は、約2mg/Lの硫酸デキストランを含む。いくつかの実施形態において、組換えウイルス粒子は組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)粒子である。いくつかの実施形態において、1つ以上のポリヌクレオチドは、1つ以上のヘルパー遺伝子、rep遺伝子、キャップ遺伝子、及び導入遺伝子(例えば、目的遺伝子またはパッケージング対象のrAAVゲノム)を含む。いくつかの実施形態において、1つ以上のポリヌクレオチドは、3つのポリヌクレオチド(1つはcap及びrep遺伝子をコードし、1つはパッケージングするのに必要なアデノウイルスヘルパー機能(例えば、アデノウイルスE1a遺伝子、E1b遺伝子、E4遺伝子、E2a遺伝子、及びVA遺伝子)をコードし、1つはパッケージング対象のrAAVゲノムをコードする)の混合物を含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8またはAAV9粒子である。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.PHB、及びAAV.7m8からなる群より選択される血清型のAAVカプシドタンパク質を有する。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8またはAAV9に対し高い配列相同性を備えたAAVカプシドタンパク質、例えば、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、及びAAV.hu37を有する。いくつかの実施形態において、細胞培養物は浮遊培養物である。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、浮遊培養での成長に適応したHEK293細胞を含む。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、約400リットルから約5,000リットルの間の体積を有する。いくつかの実施形態において、形質移入試薬はカチオン性ポリマーを含む。いくつかの実施形態において、形質移入試薬はPEIを含む。
【0108】
いくつかの実施形態において、a)の培養物は、約0.5mg/Lから約10mg/Lの間、約0.5mg/Lから約5mg/Lの間、約0.5mg/Lから約3mg/Lの間、約1mg/Lから約10mg/Lの間、約1mg/Lから約5mg/Lの間、約1mg/Lから約4mg/Lの間、または約1mg/Lから約3mg/Lの間の硫酸デキストランを含む。いくつかの実施形態において、a)の培養物は、約0.5mg/Lから約5mg/Lの間の硫酸デキストランを含む。いくつかの実施形態において、a)の培養物は、約1mg/Lから約5mg/Lの間の硫酸デキストランを含む。いくつかの実施形態において、a)の培養物は、約1mg/Lから約3mg/Lの間の硫酸デキストランを含む。いくつかの実施形態において、a)の培養物は、約2mg/Lの硫酸デキストランを含む。
【0109】
いくつかの実施形態において、a)の培養物は、約0.5mg/L、約1mg/L、約1.5mg/L、約2mg/L、約2.5mg/L、約3mg/L、約4mg/L、または約5mg/Lの硫酸デキストランを含む。いくつかの実施形態において、a)の培養物は、約1mg/Lの硫酸デキストランを含む。いくつかの実施形態において、a)の培養物は、約1.5mg/Lの硫酸デキストランを含む。いくつかの実施形態において、a)の培養物は、約2mg/Lの硫酸デキストランを含む。いくつかの実施形態において、a)の培養物は、約2.5mg/Lの硫酸デキストランを含む。いくつかの実施形態において、a)の培養物は、約3mg/Lの硫酸デキストランを含む。いくつかの実施形態において、a)の培養物は、約3.5mg/Lの硫酸デキストランを含む。いくつかの実施形態において、a)の培養物は、約4mg/Lの硫酸デキストランを含む。
【0110】
いくつかの実施形態において、a)の培養物は、約2mg/Lの硫酸デキストランを含む。
【0111】
いくつかの実施形態において、本開示は、組換えウイルス粒子を生成する方法であって、(a)組換えウイルス粒子の生成に適した細胞を細胞培養物中で約1日から約5日の間培養することであって、当該培養物が、約1mg/Lから約20mg/Lの間の開始硫酸デキストラン濃度及び約0.1mg/Lから約10mg/Lの間の最終硫酸デキストラン濃度を含む、培養することと、(b)(a)の培養物に、組換えウイルス粒子の生成に必要な遺伝子を含む1つ以上のポリヌクレオチド及び形質移入試薬を含む組成物を添加することにより、細胞に形質移入することと、(c)形質移入された細胞を含む細胞培養物を、組換えウイルス粒子の生成を可能にする条件下で維持することとを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、開始硫酸デキストラン濃度は、約3mg/Lから約6mg/Lの間の硫酸デキストランであり、最終硫酸デキストラン濃度は、約1mg/Lから約3mg/Lの間の硫酸デキストランである。いくつかの実施形態において、開始硫酸デキストラン濃度は、約4mg/Lの硫酸デキストランであり、最終硫酸デキストラン濃度は、約2mg/Lの硫酸デキストランである。いくつかの実施形態において、組換えウイルス粒子は組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)粒子である。いくつかの実施形態において、1つ以上のポリヌクレオチドは、1つ以上のヘルパー遺伝子、rep遺伝子、キャップ遺伝子、及び導入遺伝子(例えば、目的遺伝子またはパッケージング対象のrAAVゲノム)を含む。いくつかの実施形態において、1つ以上のポリヌクレオチドは、3つのポリヌクレオチド(1つはcap及びrep遺伝子をコードし、1つはパッケージングするのに必要なアデノウイルスヘルパー機能(例えば、アデノウイルスE1a遺伝子、E1b遺伝子、E4遺伝子、E2a遺伝子、及びVA遺伝子)をコードし、1つはパッケージング対象のrAAVゲノムをコードする)の混合物を含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8またはAAV9粒子である。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.PHB、及びAAV.7m8からなる群より選択される血清型のAAVカプシドタンパク質を有する。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8またはAAV9に対し高い配列相同性を備えたAAVカプシドタンパク質、例えば、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、及びAAV.hu37を有する。いくつかの実施形態において、細胞培養物は浮遊培養物である。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、浮遊培養での成長に適応したHEK293細胞を含む。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、約400リットルから約5,000リットルの間の体積を有する。いくつかの実施形態において、形質移入試薬はカチオン性ポリマーを含む。いくつかの実施形態において、形質移入試薬はPEIを含む。
【0112】
いくつかの実施形態において、本開示は、組換えウイルス粒子の生成を増加させる方法であって、(a)組換えウイルス粒子の生成に適した細胞を細胞培養物中で約1日から約5日の間培養することであって、当該培養物が、約1mg/Lから約20mg/Lの間の開始硫酸デキストラン濃度及び約0.1mg/Lから約10mg/Lの間の最終硫酸デキストラン濃度を含む、培養することと、(b)(a)の培養物に、組換えウイルス粒子の生成に必要な遺伝子を含む1つ以上のポリヌクレオチド及び形質移入試薬を含む組成物を添加することにより、細胞に形質移入することと、(c)形質移入された細胞を含む細胞培養物を、組換えウイルス粒子の生成を可能にする条件下で維持することとを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、開始硫酸デキストラン濃度は、約3mg/Lから約6mg/Lの間の硫酸デキストランであり、最終硫酸デキストラン濃度は、約1mg/Lから約3mg/Lの間の硫酸デキストランである。いくつかの実施形態において、開始硫酸デキストラン濃度は、約4mg/Lの硫酸デキストランであり、最終硫酸デキストラン濃度は、約2mg/Lの硫酸デキストランである。いくつかの実施形態において、組換えウイルス粒子は組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)粒子である。いくつかの実施形態において、1つ以上のポリヌクレオチドは、1つ以上のヘルパー遺伝子、rep遺伝子、キャップ遺伝子、及び導入遺伝子(例えば、目的遺伝子またはパッケージング対象のrAAVゲノム)を含む。いくつかの実施形態において、1つ以上のポリヌクレオチドは、3つのポリヌクレオチド(1つはcap及びrep遺伝子をコードし、1つはパッケージングするのに必要なアデノウイルスヘルパー機能(例えば、アデノウイルスE1a遺伝子、E1b遺伝子、E4遺伝子、E2a遺伝子、及びVA遺伝子)をコードし、1つはパッケージング対象のrAAVゲノムをコードする)の混合物を含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8またはAAV9粒子である。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.PHB、及びAAV.7m8からなる群より選択される血清型のAAVカプシドタンパク質を有する。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8またはAAV9に対し高い配列相同性を備えたAAVカプシドタンパク質、例えば、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、及びAAV.hu37を有する。いくつかの実施形態において、細胞培養物は浮遊培養物である。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、浮遊培養での成長に適応したHEK293細胞を含む。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、約400リットルから約5,000リットルの間の体積を有する。いくつかの実施形態において、形質移入試薬はカチオン性ポリマーを含む。いくつかの実施形態において、形質移入試薬はPEIを含む。
【0113】
いくつかの実施形態において、開始硫酸デキストラン濃度は、約1mg/Lから約10mg/Lの間、約1mg/Lから約5mg/Lの間、約2mg/Lから約10mg/Lの間、約3mg/Lから約10mg/Lの間、または約3mg/Lから約5mg/Lの硫酸デキストランである。いくつかの実施形態において、開始硫酸デキストラン濃度は、約1mg/Lから約10mg/Lの間の硫酸デキストランである。いくつかの実施形態において、開始硫酸デキストラン濃度は、約2mg/Lから約10mg/Lの間の硫酸デキストランである。いくつかの実施形態において、開始硫酸デキストラン濃度は、約3mg/Lから約6mg/Lの間の硫酸デキストランである。
【0114】
いくつかの実施形態において、開始硫酸デキストラン濃度は、約2mg/L、約3mg/L、約4mg/L、約5mg/L、約6mg/L、約7mg/L、約8mg/L、約9mg/L、または約10mg/Lの硫酸デキストランである。いくつかの実施形態において、開始硫酸デキストラン濃度は、約2mg/Lの硫酸デキストランである。いくつかの実施形態において、開始硫酸デキストラン濃度は、約3mg/Lの硫酸デキストランである。いくつかの実施形態において、開始硫酸デキストラン濃度は、約4mg/Lの硫酸デキストランである。いくつかの実施形態において、開始硫酸デキストラン濃度は、約5mg/Lの硫酸デキストランである。いくつかの実施形態において、開始硫酸デキストラン濃度は、約6mg/Lの硫酸デキストランである。いくつかの実施形態において、開始硫酸デキストラン濃度は、約7mg/Lの硫酸デキストランである。いくつかの実施形態において、開始硫酸デキストラン濃度は、約8mg/Lの硫酸デキストランである。
【0115】
いくつかの実施形態において、開始硫酸デキストラン濃度は、約4mg/Lの硫酸デキストランである。
【0116】
いくつかの実施形態において、最終硫酸デキストラン濃度は、約0.5mg/Lから約10mg/Lの間、約0.5mg/Lから約5mg/Lの間、約0.5mg/Lから約3mg/Lの間、約1mg/Lから約10mg/Lの間、約1mg/Lから約5mg/Lの間、約1mg/Lから約4mg/Lの間、または約1mg/Lから約3mg/Lの間の硫酸デキストランである。いくつかの実施形態において、最終硫酸デキストラン濃度は、約0.5mg/Lから約5mg/Lの間の硫酸デキストランである。いくつかの実施形態において、最終硫酸デキストラン濃度は、約1mg/Lから約5mg/Lの間の硫酸デキストランである。いくつかの実施形態において、最終硫酸デキストラン濃度は、約1mg/Lから約3mg/Lの間の硫酸デキストランである。
【0117】
いくつかの実施形態において、最終硫酸デキストラン濃度は、約0.5mg/L、約1mg/L、約1.5mg/L、約2mg/L、約2.5mg/L、約3mg/L、約4mg/L、または約5mg/Lの硫酸デキストランである。いくつかの実施形態において、最終硫酸デキストラン濃度は、約1mg/Lの硫酸デキストランである。いくつかの実施形態において、最終硫酸デキストラン濃度は、約1.5mg/Lの硫酸デキストランである。いくつかの実施形態において、最終硫酸デキストラン濃度は、約2mg/Lの硫酸デキストランである。いくつかの実施形態において、最終硫酸デキストラン濃度は、約2.5mg/Lの硫酸デキストランである。いくつかの実施形態において、最終硫酸デキストラン濃度は、約3mg/Lの硫酸デキストランである。いくつかの実施形態において、最終硫酸デキストラン濃度は、約3.5mg/Lの硫酸デキストランである。いくつかの実施形態において、最終硫酸デキストラン濃度は、約4mg/Lの硫酸デキストランである。
【0118】
いくつかの実施形態において、最終硫酸デキストラン濃度は、約2mg/Lの硫酸デキストランである。
【0119】
いくつかの実施形態において、開始硫酸デキストラン濃度は、約1mg/Lから約10mg/Lの間、約1mg/Lから約5mg/Lの間、約2mg/Lから約10mg/Lの間、約3mg/Lから約10mg/Lの間、または約3mg/Lから約5mg/Lの間の硫酸デキストランであり、最終硫酸デキストラン濃度は、約0.5mg/Lから約10mg/Lの間、約0.5mg/Lから約5mg/Lの間、約0.5mg/Lから約3mg/Lの間、約1mg/Lから約10mg/Lの間、約1mg/Lから約5mg/Lの間、約1mg/Lから約4mg/Lの間、または約1mg/Lから約3mg/Lの間の硫酸デキストランである。いくつかの実施形態において、開始硫酸デキストラン濃度は、約3mg/Lから約6mg/Lの間の硫酸デキストランであり、最終硫酸デキストラン濃度は、約1mg/Lから約3mg/Lの間の硫酸デキストランである。
【0120】
いくつかの実施形態において、開始硫酸デキストラン濃度は、約2mg/L、約3mg/L、約4mg/L、約5mg/L、約6mg/L、約7mg/L、約8mg/L、約9mg/L、または約10mg/Lの硫酸デキストランであり、最終硫酸デキストラン濃度は、約0.5mg/L、約1mg/L、約1.5mg/L、約2mg/L、約2.5mg/L、約3mg/L、約4mg/L、または約5mg/Lの硫酸デキストランである。
【0121】
いくつかの実施形態において、開始硫酸デキストラン濃度は、約4mg/Lの硫酸デキストランであり、最終硫酸デキストラン濃度は、約2mg/Lの硫酸デキストランである。
【0122】
いくつかの実施形態において、組換えウイルス粒子は組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)粒子である。いくつかの実施形態において、組換えウイルス粒子は、組換えアデノウイルス(例えば、ヒトアデノウイルスまたはチンパンジーアデノウイルス)粒子である。いくつかの実施形態において、組換えウイルス粒子は組換えレンチウイルス粒子である。
【0123】
いくつかの実施形態において、組換えウイルス粒子はrAAV粒子である。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV14、AAV15、AAV16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、AAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、またはAAV.HSC16血清型のカプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8、AAV9、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、またはAAV.hu37血清型のカプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8血清型のカプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV9血清型のカプシドタンパク質を含む。
【0124】
いくつかの実施形態において、組換えウイルス粒子は導入遺伝子を含む。特定の宿主細胞での使用に適した様々なウイルス導入遺伝子発現系が当業者に知られている。任意のウイルス導入遺伝子発現系を、本明細書で開示される方法に従って使用することができることを理解されたい。いくつかの実施形態において、導入遺伝子は、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに作用可能に結合した調節エレメントを含む。いくつかの実施形態において、調節エレメントは、エンハンサー、プロモーター、及びポリA領域のうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態において、調節エレメント及びポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは異種である。
【0125】
いくつかの実施形態において、導入遺伝子は、抗VEGF Fab、イズロニダーゼ(IDUA)、イズロン酸2-スルファターゼ(IDS)、低密度リポタンパク質受容体(LDLR)、トリペプチジルペプチダーゼ1(TPP1)、またはVEGF受容体1の非膜結合型スプライスバリアント(sFlt-1)をコードする。いくつかの実施形態において、導入遺伝子は、ガンマ-サルコグリカン、Rabエスコートタンパク質1(REP1/CHM)、レチノイドイソメロヒドロラーゼ(RPE65)、環状ヌクレオチドゲートチャネルアルファ3(CNGA3)、環状ヌクレオチドゲートチャネルベータ3(CNGB3)、芳香族L-アミノ酸デカルボキシラーゼ(AADC)、リソソーム関連膜タンパク質2アイソフォームB(LAMP2B)、第VIII因子、第IX因子、網膜色素変性症GTPアーゼ制御因子(RPGR)、レチノスキシン(RS1)、筋小胞体カルシウムATPアーゼ(SERCA2a)、アフリベルセプト、バッテニン(CLN3)、膜貫通ERタンパク質(CLN6)、グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)、グリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)、アクアポリン1(AQP1)、ジストロフィン、ミニジストロフィン、マイクロジストロフィン、ミオチューブラリン1(MTM1)、フォリスタチン(FST)、グルコース-6-ホスファターゼ(G6Pアーゼ)、アポリポタンパク質A2(APOA2)、ウリジン二リン酸グルクロノシルトランスフェラーゼ1A1(UGT1A1)、アリールスルファターゼB(ARSB)、N-アセチル-アルファ-グルコサミニダーゼ(NAGLU)、アルファ-グルコシダーゼ(GAA)、アルファ-ガラクトシダーゼ(GLA)、ベータ-ガラクトシダーゼ(GLB1)、リポタンパク質リパーゼ(LPL)、アルファ1-アンチトリプシン(AAT)、ホスホジエステラーゼ6B(PDE6B)、オルニチンカルバモイルトランスフェラーゼ9OTC)、生存運動ニューロン(SMN1)、生存運動ニューロン(SMN2)、ニュールツリン(NRTN)、ニューロトロフィン-3(NT-3/NTF3)、ポルホビリノーゲンデアミナーゼ(PBGD)、神経成長因子(NGF)、ミトコンドリアコードNADH:ユビキノンオキシドレダクターゼコアサブユニット4(MT-ND4)、保護タンパク質カテプシンA(PPCA)、ジスフェリン、MERがん原遺伝子チロシンキナーゼ(MERTK)、嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR)、または腫瘍壊死因子受容体(TNFR)-免疫グロブリン(IgG1)Fc融合体をコードする。いくつかの実施形態において、組換えウイルス粒子はrAAV粒子である。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8血清型のカプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV9血清型のカプシドタンパク質を含む。
【0126】
いくつかの実施形態において、導入遺伝子は異種ウイルスポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態において、ウイルスポリペプチドはコロナウイルスポリペプチドである。いくつかの実施形態において、コロナウイルスは、SARS-CoV1またはSARS-CoV2である。いくつかの実施形態において、導入遺伝子は、SARS-CoV1もしくはSARS-CoV2のスパイクタンパク質またはその免疫原性フラグメントをコードする。いくつかの実施形態において、導入遺伝子は、SARS-CoV2のスパイクタンパク質またはその免疫原性フラグメントをコードする。いくつかの実施形態において、導入遺伝子は、SARS-CoV2スパイクタンパク質の受容体結合ドメインをコードする。いくつかの実施形態において、組換えウイルス粒子はrAAV粒子である。いくつかの実施形態において、組換えウイルス粒子は組換えアデノウイルス粒子である。いくつかの実施形態において、組換えウイルス粒子は組換えチンパンジーアデノウイルス粒子である。
【0127】
形質移入に基づく組換えウイルス粒子生成系は、当業者に知られている。例えば、Reiser et al.,Gene Ther 7(11):910-3(2000);Dull et al.,J Virol.72(11):8463-8471(1998);Hoffmann et al.,PNAS 97(11)6108-6113(2000);Milian et al.,Vaccine 35(26):3423-3430 (2017)(これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に援用される)を参照。本明細書で開示される方法は、形質移入に基づく生成系で組換えウイルス粒子を生成するために使用することができる。いくつかの実施形態において、組換えウイルス粒子は、組換えデングウイルス、組換えエボラウイルス、組換えヒトパピローマウイルス(HPV)、組換えヒト免疫不全ウイルス(HIV)、組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)、組換えレンチウイルス、組換えインフルエンザウイルス、組換え水疱性口内炎ウイルス(VSV)、組換えポリオウイルス、組換えアデノウイルス、組換えレトロウイルス、組換えワクシニア、組換えレオウイルス、組換え麻疹、組換えニューキャッスル病ウイルス(NDV)、組換え帯状疱疹ウイルス(HZV)、組換え単純ヘルペスウイルス(HSV)、または組換えバキュロウイルスである。いくつかの実施形態において、組換えウイルス粒子は、組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)、組換えレンチウイルス、または組換えインフルエンザウイルスである。いくつかの実施形態において、組換えウイルス粒子は組換えレンチウイルスである。いくつかの実施形態において、組換えウイルス粒子は組換えインフルエンザウイルスである。いくつかの実施形態において、組換えウイルス粒子は組換えバキュロウイルスである。いくつかの実施形態において、組換えウイルス粒子は組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)である。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8またはAAV9粒子である。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.PHB、及びAAV.7m8からなる群より選択される血清型のAAVカプシドタンパク質を有する。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8またはAAV9に対し高い配列相同性を備えたAAVカプシドタンパク質、例えば、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、及びAAV.hu37を有する。
【0128】
当技術分野で知られている細胞に形質移入するための任意の好適な形質移入試薬を、本明細書で開示される方法に従って組換えウイルス粒子(例えば、rAAV粒子)の生成に使用することができる。いくつかの実施形態において、細胞はHEK293細胞(例えば、浮遊培養に適応したHEK293細胞)である。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、化学ベースの形質移入法を用いて細胞に形質移入することを含む。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、カチオン性有機キャリアを用いて細胞に形質移入することを含む。例えば、Gigante et al.,Medchemcomm 10(10):1692-1718(2019);Damen et al.Medchemcomm 9(9):1404-1425(2018)(これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に援用される)を参照。いくつかの実施形態において、カチオン性有機キャリアは、脂質、例えば、DOTMA、DOTAP、ヘルパー脂質(Dope、コレステロール)、及びこれらの組合せを含む。いくつかの実施形態において、カチオン性有機キャリアは、多価カチオン性脂質、例えば、DOSPA、DOGS、及びこれらの混合物を含む。いくつかの実施形態において、カチオン性有機キャリアは、双極性脂質、またはボラ両親媒性物質(bolaamphiphile)(ボラ)を含む。いくつかの実施形態において、カチオン性有機キャリアは、生物学的還元性及び/または二量体化可能な脂質を含む。いくつかの実施形態において、カチオン性有機キャリアは、ジェミニ界面活性剤を含む。いくつかの実施形態において、カチオン性有機キャリアは、Lipofectin(商標)、Transfectam(商標)、Lipofectamine(商標)、Lipofectamine 2000(商標)、またはLipofectamin PLUS 2000(商標)を含む。いくつかの実施形態において、カチオン性有機キャリアは、ポリマー、例えば、ポリ(L-リジン)(PLL)、ポリエチレンイミン(PEI)、多糖(キトサン、デキストラン、シクロデキストリン(CD))、ポリ[2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート](PDMAEMA)、及びデンドリマー(ポリアミドアミン(PAMAM)、ポリ(プロピレンイミン)(PPI))を含む。いくつかの実施形態において、カチオン性有機キャリアは、ペプチド、例えば、塩基性アミノ酸に富むペプチド(CWL18)、細胞透過性ペプチド(CPP)(Argに富むペプチド(オクタアルギニン、TAT))、核局在化シグナル(NLS)(SV40)、及びターゲティング(RGD)を含む。いくつかの実施形態において、カチオン性有機キャリアは、カチオン性リポソームと組み合わせたポリマー(例えば、PEI)を含む。Paris et al.,Molecules 25(14):3277(2020)(参照によりその全体が本明細書に援用される). いくつかの実施形態において、形質移入試薬は、リン酸カルシウム、高度に分岐した有機化合物(デンドリマー)、カチオン性ポリマー(例えば、DEAEデキストランまたはポリエチレンイミン(PEI))、リポフェクションを含む。
【0129】
いくつかの実施形態において、形質移入試薬は、ポリ(L-リジン)(PLL)、ポリエチレンイミン(PEI)、直鎖状PEI、分枝状PEI、デキストラン、シクロデキストリン(CD)、ポリ[2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート](PDMAEMA)、ポリアミドアミン(PAMAM)、ポリ(プロピレンイミン)(PPI)、またはこれらの混合物を含む。いくつかの実施形態において、形質移入試薬は、ポリエチレンイミン(PEI)、直鎖状PEI、分枝状PEI、またはこれらの混合物を含む。いくつかの実施形態において、形質移入試薬はポリエチレンイミン(PEI)を含む。いくつかの実施形態において、形質移入試薬は直鎖状PEIを含む。いくつかの実施形態において、形質移入試薬は分枝状PEIを含む。いくつかの実施形態において、形質移入試薬は、約5から約25kDaの間の分子量を有するポリエチレンイミン(PEI)を含む。いくつかの実施形態において、形質移入試薬はPEG化ポリエチレンイミン(PEI)を含む。いくつかの実施形態において、形質移入試薬は、疎水性部位(例えば、コレステロール、コリン、アルキル基、及びいくつかのアミノ酸)が付着した修飾ポリエチレンイミン(PEI)を含む。
【0130】
1つ以上のポリヌクレオチド及び形質移入試薬を含む組成物は、当業者に知られている任意の方法によって調製することができる。いくつかの実施形態において、組成物は、1つ以上のポリヌクレオチドを少なくとも1つの形質移入試薬と混和することによって調製され、これは、形質移入試薬及び1つ以上のポリヌクレオチドの各々を無菌液体(例えば、組織培養基)に希釈することと、希釈された形質移入試薬及び希釈された1つ以上のポリヌクレオチドを混和することとを含む。いくつかの実施形態において、形質移入試薬及び/または1つ以上のポリヌクレオチドの希釈に使用される組織培養基は、硫酸デキストランを含まない。当業者は、希釈及び混合が、形質移入試薬及びポリヌクレオチドを所望の比率及び濃度で含む組成物を生成するように行われることを理解する。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの形質移入試薬及び1つ以上のポリヌクレオチドの希釈及び混合は、形質移入試薬及びポリヌクレオチドを約1:5から5:1の間の重量比で含む組成物を生成する。いくつかの実施形態において、形質移入試薬及びポリヌクレオチドの重量比は約1:3から3:1の間である。いくつかの実施形態において、形質移入試薬及びポリヌクレオチドの重量比は約1:3から1:1の間である。いくつかの実施形態において、形質移入試薬及びポリヌクレオチドの重量比は約1:2から1:1.5の間である。いくつかの実施形態において、形質移入試薬及びポリヌクレオチドの重量比は、約1:5、1:4、1:3、1:2.5、1:2、1:1.75、1:1.5、1:1.25、1:1、1.25:1、1:5:1、1:75:1、2:1、2:5:1、3:1、4:1、または5:1である。いくつかの実施形態において、形質移入試薬及びポリヌクレオチドの重量比は約1:2である。いくつかの実施形態において、形質移入試薬及びポリヌクレオチドの重量比は約1:1.75である。いくつかの実施形態において、形質移入試薬及びポリヌクレオチドの重量比は約1:1.5である。いくつかの実施形態において、形質移入試薬及びポリヌクレオチドの重量比は約1:1.25である。いくつかの実施形態において、形質移入試薬とポリヌクレオチドとの重量比は約1:1である。いくつかの実施形態において、形質移入試薬とポリヌクレオチドとの重量比は約1.25:1である。いくつかの実施形態において、形質移入試薬とポリヌクレオチドとの重量比は約1.5:1である。いくつかの実施形態において、形質移入試薬とポリヌクレオチドとの重量比は約1.75:1である。いくつかの実施形態において、形質移入試薬とポリヌクレオチドとの重量比は約2:1である。いくつかの実施形態において、1つ以上のポリヌクレオチドは3つのプラスミドを含む。いくつかの実施形態において、1つ以上のポリヌクレオチドは2つのプラスミドを含む。いくつかの実施形態において、1つ以上のポリヌクレオチドは1つのプラスミドを含む。いくつかの実施形態において、組換えウイルスは組換えAAVであり、1つ以上のポリヌクレオチドは、3つのポリヌクレオチド(1つはcap及びrep遺伝子をコードし、1つはパッケージングするのに必要なアデノウイルスヘルパー機能(例えば、アデノウイルスE1a遺伝子、E1b遺伝子、E4遺伝子、E2a遺伝子、及びVA遺伝子)をコードし、1つはパッケージング対象のrAAVゲノムをコードする)の混合物を含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8またはAAV9粒子である。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.PHB、及びAAV.7m8からなる群より選択される血清型のAAVカプシドタンパク質を有する。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8またはAAV9に対し高い配列相同性を備えたAAVカプシドタンパク質、例えば、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、及びAAV.hu37を有する。いくつかの実施形態において、形質移入試薬はPEIである。
【0131】
いくつかの実施形態において、形質移入試薬及び1つ以上のポリヌクレオチドを含む組成物は、ポリヌクレオチド:形質移入試薬複合体の形成を可能にするために、培養物に添加する前にインキュベートされる。いくつかの実施形態において、インキュベートは室温で行われる。いくつかの実施形態において、インキュベートは組成物を、例えば、シェーカーにおいて約100rpmから約200rpmの間で振とうすることを含む。いくつかの実施形態において、インキュベートは、約5分から約20分の間に行われる。いくつかの実施形態において、インキュベートは、約10分~約15分間行われる。いくつかの実施形態において、インキュベートは、15分以下の間行われる。いくつかの実施形態において、インキュベートは、10分以下の間行われる。いくつかの実施形態において、インキュベートは、約5分間、約10分間、または約15分間行われる。いくつかの実施形態において、インキュベートは約10分間行われる。いくつかの実施形態において、形質移入試薬はPEIを含む。
【0132】
いくつかの実施形態において、培養物に添加される、組換えウイルス粒子の生成に必要な遺伝子を含む1つ以上のポリヌクレオチド及び形質移入試薬を含む組成物の体積は、培養物の体積の約5%から約20%の間である。いくつかの実施形態において、添加される組成物の体積は、培養物の体積の約7%から約15%の間である。いくつかの実施形態において、添加される組成物の体積は、培養物の体積の約10%である。いくつかの実施形態において、1つ以上のポリヌクレオチドは、組換えAAV粒子の生成に必要な遺伝子を含む。いくつかの実施形態において、形質移入試薬はPEIを含む。いくつかの実施形態において、培養物はHEK293細胞(例えば、浮遊培養に適応したHEK293細胞)を含む。
【0133】
いくつかの実施形態において、培養物は、約400リットルから約20,000リットルの間の体積を有する。いくつかの実施形態において、培養物は、約500リットルから約20,000リットルの間の体積を有する。いくつかの実施形態において、培養物は、約700リットルから約20,000リットルの間の体積を有する。いくつかの実施形態において、培養物は、約1,000リットルから約20,000リットルの間の体積を有する。いくつかの実施形態において、培養物は、約400リットルから約10,000リットルの間の体積を有する。いくつかの実施形態において、培養物は、約500リットルから約10,000リットルの間の体積を有する。いくつかの実施形態において、培養物は、約700リットルから約10,000リットルの間の体積を有する。いくつかの実施形態において、培養物は、約1,000リットルから約10,000リットルの間の体積を有する。いくつかの実施形態において、培養物は、約400リットルから約5,000リットルの間の体積を有する。いくつかの実施形態において、培養物は、約500リットルから約5,000リットルの間の体積を有する。いくつかの実施形態において、培養物は、約700リットルから約5,000リットルの間の体積を有する。いくつかの実施形態において、培養物は、約1,000リットルから約5,000リットルの間の体積を有する。いくつかの実施形態において、培養物はHEK293細胞(例えば、浮遊培養に適応したHEK293細胞)を含む。
【0134】
いくつかの実施形態において、培養物は、約200リットルから約5,000リットルの間の体積を有する。いくつかの実施形態において、培養物は、約200リットルから約2,000リットルの間の体積を有する。いくつかの実施形態において、培養物は、約200リットルから約1,000リットルの間の体積を有する。いくつかの実施形態において、培養物は、約200リットルから約500リットルの間の体積を有する。いくつかの実施形態において、培養物はHEK293細胞(例えば、浮遊培養に適応したHEK293細胞)を含む。
【0135】
いくつかの実施形態において、培養物は約200リットルの体積を有する。いくつかの実施形態において、培養物は約300リットルの体積を有する。いくつかの実施形態において、培養物は約400リットルの体積を有する。いくつかの実施形態において、培養物は約500リットルの体積を有する。いくつかの実施形態において、培養物は約750リットルの体積を有する。いくつかの実施形態において、培養物は約1,000リットルの体積を有する。いくつかの実施形態において、培養物は約2,000リットルの体積を有する。いくつかの実施形態において、培養物は約3,000リットルの体積を有する。いくつかの実施形態において、培養物は約5,000リットルの体積を有する。いくつかの実施形態において、培養物はHEK293細胞(例えば、浮遊培養に適応したHEK293細胞)を含む。
【0136】
いくつかの実施形態において、培養物は、約2x10E+6から約10E+7の生存細胞/mlの間を含む。いくつかの実施形態において、培養物は、約3x10E+6から約8x10E+6の生存細胞/mlの間を含む。いくつかの実施形態において、培養物は約3x10E+6生存細胞/mlを含む。いくつかの実施形態において、培養物は約4x10E+6生存細胞/mlを含む。いくつかの実施形態において、培養物は約5x10E+6生存細胞/mlを含む。いくつかの実施形態において、培養物は約6x10E+6生存細胞/mlを含む。いくつかの実施形態において、培養物は約7x10E+6生存細胞/mlを含む。いくつかの実施形態において、培養物は約8x10E+6生存細胞/mlを含む。いくつかの実施形態において、培養物はHEK293細胞(例えば、浮遊培養に適応したHEK293細胞)を含む。
【0137】
いくつかの実施形態において、細胞は、哺乳類細胞または昆虫細胞を含む。いくつかの実施形態において、細胞は、哺乳類細胞を含む。いくつかの実施形態において、細胞は、HEK293細胞、HEK由来細胞、CHO細胞、CHO由来細胞、HeLa細胞、SF-9細胞、BHK細胞、ベロ細胞、及び/またはPerC6細胞を含む。いくつかの実施形態において、細胞は、HEK293細胞を含む。
【0138】
いくつかの実施形態において、培養物は、組換えウイルス粒子の生成に必要な遺伝子を含む1つ以上のポリヌクレオチド及び形質移入試薬を含む組成物を添加してから約2日から約10日の間維持される。いくつかの実施形態において、培養物は、組成物を添加してから約5日から約14日またはそれ以上の間維持される。いくつかの実施形態において、培養物は、組成物を添加してから約2日から約7日の間維持される。いくつかの実施形態において、培養物は、組成物を添加してから約3日から約5日の間維持される。いくつかの実施形態において、培養物は、組成物を添加してから約2日間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、または約7日間維持される。いくつかの実施形態において、培養物は、組成物を添加してから約5日間維持される。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、組成物を添加してから約6日間維持される。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、継続的な収集のためのrAAV粒子の生成が可能な条件下で維持される。いくつかの実施形態において、培養物はHEK293細胞(例えば、浮遊培養に適応したHEK293細胞)を含む。
【0139】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、硫酸デキストランを含まない細胞培養物中で細胞に形質移入することを含む参照方法と比較して、組換えウイルス粒子(例えば、rAAV粒子)の生成を増加させる。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、硫酸デキストランを含まない細胞培養物中で細胞に形質移入することを含む参照方法よりも、少なくとも約1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1,9倍、または2倍多くのウイルス粒子を生成する。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、硫酸デキストランを含まない細胞培養物中で細胞に形質移入することを含む参照方法よりも、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%多くのウイルス粒子を生成する。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、硫酸デキストランを含まない細胞培養物中で細胞に形質移入することを含む参照方法よりも、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%多くのウイルス粒子を生成する。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、参照方法よりも少なくとも約10%多いウイルス粒子を生成する。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、参照方法よりも少なくとも約20パーセント多いウイルス粒子を生成する。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、参照方法よりも少なくとも約20パーセント多いウイルス粒子を生成する。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、参照方法よりも少なくとも約20パーセント多いウイルス粒子を生成する。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、参照方法よりも少なくとも約70パーセント多いウイルス粒子を生成する。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、参照方法よりも少なくとも約100パーセント多いウイルス粒子を生成する。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、組換えウイルスの生成を少なくとも約50%、少なくとも約75%、または少なくとも約100%増加させる。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、組換えウイルスの生成を少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、または少なくとも約5倍増加させる。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、rAAVの生成を少なくとも約2倍増加させる。いくつかの実施形態において、生成の増加は、生成培養物の組換えウイルス(例えば、rAAV)力価を比較することによって定量される。いくつかの実施形態において、組換えウイルス(例えば、rAAV)力価は、生成培養物のミリリットル当たりのゲノムコピー(GC)として測定される。いくつかの実施形態において、組換えウイルスはrAAVである。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8及びAAV9から選択されるAAVカプシド血清型からのカプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8のAAVカプシド血清型を有する。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV9のAAVカプシド血清型を有する。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.PHB、及びAAV.7m8からなる群より選択されるカプシド血清型を有する。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8またはAAV9に対し高い配列相同性を備えたカプシドタンパク質、例えば、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、及びAAV.hu37を有する。
【0140】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、rAAV粒子及びそれを含む組成物の品質属性を維持または改善しながら、rAAV粒子の生成を増加させる。いくつかの実施形態において、rAAV粒子及びそれを含む組成物の品質は、rAAV粒子の濃度(例えば、GC/ml)、rAAVゲノムのコピーを含む粒子のパーセンテージ、ゲノムを含まない粒子の比率、rAAV粒子の感染性、rAAV粒子の安定性、残留する宿主細胞タンパク質の濃度または残留する宿主細胞核酸の濃度(例えば、宿主細胞ゲノムDNA、rep及びcap遺伝子をコードするプラスミド、ヘルパー機能をコードするプラスミド、rAAVゲノムをコードするプラスミド)を定量することにより、評価される。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法によって生成されたrAAV粒子またはそれを含む組成物の品質は、同じ体積のポリヌクレオチド:形質移入試薬複合体を混和し、インキュベートし、移す単一ステップを含む参照方法によって生成されたrAAV粒子または組成物の品質と同じである。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法によって生成されたrAAV粒子またはそれを含む組成物の品質は、同じ体積のポリヌクレオチド:形質移入試薬複合体を混和し、インキュベートし、移す単一ステップを含む参照方法によって生成されたrAAV粒子または組成物の品質よりも良好である。
【0141】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、約1×10e+10GC/mlから約1×10e+13GC/mlの間のrAAV粒子を生成する。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、約1×10e+10GC/mlから約1×10e+11GC/mlの間のrAAV粒子を生成する。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、約5×10e+10GC/mlから約1×10e+12GC/mlの間のrAAV粒子を生成する。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、約5×10e+10GC/mlから約1×10e+13GC/mlの間のrAAV粒子を生成する。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、約1×10e+11GC/mlから約1×10e+13GC/mlの間のrAAV粒子を生成する。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、約5×10e+10GC/mlから約5×10e+12GC/mlの間のrAAV粒子を生成する。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、約1×10e+11GC/mlから約5×10e+12GC/mlの間のrAAV粒子を生成する。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、約1×10e+11GC/ml超のrAAV粒子を生成する。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、約5×10e+11GC/ml超のrAAV粒子を生成する。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、約1×10e+12GC/ml超のrAAV粒子を生成する。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8及びAAV9から選択されるAAVカプシド血清型からのカプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8のAAVカプシド血清型を有する。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV9のAAVカプシド血清型を有する。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.PHB、及びAAV.7m8からなる群より選択されるAAVカプシド血清型からのカプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8またはAAV9に対し高い配列相同性を備えたカプシドタンパク質、例えば、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、及びAAV.hu37を含む。
【0142】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、少なくとも約5×10e+10GC/mlのrAAV粒子を生成する。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、少なくとも約1×10e+11GC/mlのrAAV粒子を生成する。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、少なくとも約5×10e+11GC/mlのrAAV粒子を生成する。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、少なくとも約1×10e+12GC/mlのrAAV粒子を生成する。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、少なくとも約5×10e+12GC/mlのrAAV粒子を生成する。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、少なくとも約1×10e+13GC/mlのrAAV粒子を生成する。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、少なくとも約5×10e+13GC/mlのrAAV粒子を生成する。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8及びAAV9から選択されるAAVカプシド血清型からのカプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8のAAVカプシド血清型を有する。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV9のAAVカプシド血清型を有する。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.PHB、及びAAV.7m8からなる群より選択されるAAVカプシド血清型からのカプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8またはAAV9に対し高い配列相同性を備えたカプシドタンパク質、例えば、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、及びAAV.hu37を含む。
【0143】
当技術分野では、rAAV粒子の生成のための多数の細胞培養に基づく系が知られており、これらはいずれも、本明細書で開示される方法の実施に使用することができる。rAAVウイルス粒子を生成するためのrAAV生成培養物は、(1)好適な宿主細胞(例えば、ヒト由来細胞株(例えば、HeLa、A549、またはHEK293細胞及びその派生物(HEK293T細胞、HEK293F細胞))、哺乳類細胞株(例えば、ベロ)、CHO細胞もしくはCHO由来細胞を含む);(2)野生型もしくは変異型アデノウイルス(例えば、温度感受性アデノウイルス)、ヘルペスウイルス、バキュロウイルス、またはヘルパー機能を提供するプラスミドコンストラクトによって提供される、好適なヘルパーウイルス機能;(3)AAV rep及びcap遺伝子ならびに遺伝子産物;(4)AAV ITR配列に隣接する導入遺伝子(例えば、治療用導入遺伝子);ならびに(5)rAAV生成を支持するための好適な培地及び培地構成成分を必要とする。
【0144】
当業者は、AAV rep及びcap遺伝子、AAVヘルパー遺伝子(例えば、アデノウイルスE1a遺伝子、E1b遺伝子、E4遺伝子、E2a遺伝子、及びVA遺伝子)、ならびにrAAVゲノム(逆方向末端反復(ITR)に隣接する1つ以上の目的遺伝子を含む)を細胞に導入して、rAAVを生成またはパッケージングすることができる多数の方法を認識している。「アデノウイルスヘルパー機能」という表現は、AAVが細胞内で効率的に成長するように細胞内で(RNAまたはタンパク質として)発現する複数のウイルスヘルパー遺伝子を意味する。当業者は、アデノウイルス及び単純ヘルペスウイルス(HSV)を含めたヘルパーウイルスがAAV複製を促進すること、そして、必須機能を提供するある特定の遺伝子が同定されており、例えば、ヘルパーが、このようなAAV遺伝子発現及び複製を促進する細胞環境への変化を誘導し得ることを理解している。本明細書で開示される方法のいくつかの実施形態において、AAV rep及びcap遺伝子、ヘルパー遺伝子、ならびにrAAVゲノムは、AAV rep及びcap遺伝子、ヘルパー遺伝子、ならびにrAAVゲノムをコードする1つ以上のプラスミドベクターの形質移入により、細胞に導入される。
【0145】
AAV rep及びcap遺伝子、ヘルパー遺伝子、及び/またはrAAVゲノムをコードするプラスミドまたはウイルスベクターを開発する分子生物学技法は、当技術分野で一般的に知られている。いくつかの実施形態において、AAV rep及びcap遺伝子は、1つのプラスミドベクターによってコードされる。いくつかの実施形態において、AAVヘルパー遺伝子(例えば、アデノウイルスE1a遺伝子、E1b遺伝子、E4遺伝子、E2a遺伝子、及びVA遺伝子)は、1つのプラスミドベクターによってコードされる。いくつかの実施形態において、E1a遺伝子またはE1b遺伝子は、宿主細胞によって安定的に発現し、残りのAAVヘルパー遺伝子は、1つのウイルスベクターによる形質移入によって細胞に導入される。いくつかの実施形態において、E1a遺伝子及びE1b遺伝子は、宿主細胞によって安定的に発現し、E4遺伝子、E2a遺伝子、及びVA遺伝子は、1つのプラスミドベクターによる形質移入によって細胞に導入される。いくつかの実施形態において、1つ以上のヘルパー遺伝子は、宿主細胞によって安定的に発現し、1つ以上のヘルパー遺伝子は、1つのプラスミドベクターによる形質移入によって細胞に導入される。いくつかの実施形態において、ヘルパー遺伝子は、宿主細胞によって安定的に発現する。いくつかの実施形態において、AAV rep及びcap遺伝子は、1つのウイルスベクターによってコードされる。いくつかの実施形態において、AAVヘルパー遺伝子(例えば、アデノウイルスE1a遺伝子、E1b遺伝子、E4遺伝子、E2a遺伝子、及びVA遺伝子)は、1つのウイルスベクターによってコードされる。いくつかの実施形態において、E1a遺伝子またはE1b遺伝子は、宿主細胞によって安定的に発現し、残りのAAVヘルパー遺伝子は、1つのウイルスベクターによる形質移入によって細胞に導入される。いくつかの実施形態において、E1a遺伝子及びE1b遺伝子は、宿主細胞によって安定的に発現し、E4遺伝子、E2a遺伝子、及びVA遺伝子は、1つのウイルスベクターによる形質移入によって細胞に導入される。いくつかの実施形態において、1つ以上のヘルパー遺伝子は、宿主細胞によって安定的に発現し、1つ以上のヘルパー遺伝子は、1つのウイルスベクターによる形質移入によって細胞に導入される。いくつかの実施形態において、AAV rep及びcap遺伝子、パッケージングするのに必要なアデノウイルスヘルパー機能、及びパッケージング対象のrAAVゲノムは、1つ以上のポリヌクレオチド、例えばベクターを用いた形質移入によって細胞に導入される。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、3つのポリヌクレオチドの混合物(1つはcap及びrep遺伝子をコードし、1つはパッケージングするのに必要なアデノウイルスヘルパー機能(例えば、アデノウイルスE1a遺伝子、E1b遺伝子、E4遺伝子、E2a遺伝子、及びVA遺伝子)をコードし、1つはパッケージング対象のrAAVゲノムをコードする)を細胞に形質移入することを含む。いくつかの実施形態において、AAV cap遺伝子は、AAV8またはAAV9 cap遺伝子である。いくつかの実施形態において、AAV cap遺伝子は、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.PHB、またはAAV.7m8 cap遺伝子である。いくつかの実施形態において、AAV cap遺伝子は、AAV8またはAAV9に対し高い配列相同性を備えたカプシドタンパク質、例えば、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、及びAAV.hu37をコードする。いくつかの実施形態において、パッケージング対象のrAAVゲノムをコードするベクターは、AAV ITRに隣接する目的遺伝子を含む。いくつかの実施形態において、AAV ITRは、AAV1、AAV2、rAAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV14、AAV15、AAV16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、AAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、もしくはAAV.HSC16、またはその他のAAV血清型からのものである。
【0146】
任意のベクターの組合せを使用して、rAAV粒子が生成またはパッケージングされる細胞に、AAV rep及びcap遺伝子、AAVヘルパー遺伝子、ならびにrAAVゲノムを導入することができる。本明細書で開示される方法のいくつかの実施形態において、AAV逆方向末端反復(ITR)に隣接する対象遺伝子を含むrAAVゲノムをコードする第1のプラスミドベクターと、AAV rep及びcap遺伝子をコードする第2のベクターと、ヘルパー遺伝子をコードする第3のベクターとを使用することができる。いくつかの実施形態において、3つのベクターの混合物を細胞内に同時形質移入する。
【0147】
いくつかの実施形態において、プラスミドベクターに加えてウイルスベクターを共に使用することにより、形質移入及び感染の組合せが使用される。
【0148】
いくつかの実施形態において、rep及びcap遺伝子のうちの1つ以上ならびにAAVヘルパー遺伝子は、細胞によって構成的に発現し、細胞に形質移入または形質導入する必要がない。いくつかの実施形態において、細胞は、rep及び/またはcap遺伝子を構成的に発現する。いくつかの実施形態において、細胞は、1つ以上のAAVヘルパー遺伝子を構成的に発現する。いくつかの実施形態において、細胞は、E1aを構成的に発現する。いくつかの実施形態において、細胞は、rAAVゲノムをコードする安定的な導入遺伝子を含む。
【0149】
いくつかの実施形態において、AAV rep、cap、及びヘルパー遺伝子(例えば、Ela遺伝子、E1b遺伝子、E4遺伝子、E2a遺伝子、またはVA遺伝子)は、任意のAAV血清型とすることができる。同様に、AAV ITRも、任意のAAV血清型とすることができる。例えば、いくつかの実施形態において、AAV ITRは、AAV1、AAV2、rAAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV14、AAV15、AAV16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、AAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、もしくはAAV.HSC16、またはその他のAAV血清型(例えば、2つ以上の血清型からの配列を有するハイブリッド血清型)からのものである。いくつかの実施形態において、AAV cap遺伝子は、AAV9またはAAV8 cap遺伝子からのものである。いくつかの実施形態において、AAV cap遺伝子は、AAV1、AAV2、rAAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV14、AAV15、AAV16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、AAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、もしくはAAV.HSC16、またはその他のAAV血清型(例えば、2つ以上の血清型からの配列を有するハイブリッド血清型)からのものである。いくつかの実施形態において、rAAV粒子生成のためのAAV rep及びcap遺伝子は、異なる血清型からのものである。例えば、rep遺伝子はAAV2からのものであり、一方cap遺伝子はAAV9からのものである。
【0150】
当技術分野で知られている任意の好適な培地を、本明細書で開示される方法に従って組換えウイルス粒子(例えば、rAAV粒子)の生成に使用することができる。このような培地としては、限定されるものではないが、変法イーグル培地(MEM)、ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)、及び米国特許第6,723,551号(参照によりその全体が本明細書に援用される)で説明されているようなSf-900 II SFM培地を含めたHyclone Laboratories及びJRHが生産する培地が挙げられる。いくつかの実施形態において、培地は、Invitrogen/ThermoFisher製のDynamis(商標)培地、FreeStyle(商標)293発現培地、またはExpi293(商標)発現培地を含む。いくつかの実施形態において、培地は、Dynamis(商標)培地を含む。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、無血清培地、動物成分フリー培地、または化学的に定義された培地を含む細胞培養物を使用する。いくつかの実施形態において、培地は、動物成分フリー培地である。いくつかの実施形態において、培地は、血清を含む。いくつかの実施形態において、培地は、ウシ胎児血清を含む。いくつかの実施形態において、培地は、無グルタミン培地である。いくつかの実施形態において、培地は、グルタミンを含む。いくつかの実施形態において、培地には、栄養素、塩、緩衝剤、及び添加物(例えば、消泡剤)のうちの1つ以上が補充される。いくつかの実施形態において、培地には、グルタミンが補充される。いくつかの実施形態において、培地には、血清が補充される。いくつかの実施形態において、培地には、ウシ胎児血清が補充される。いくつかの実施形態において、培地には、ポロキサマー、例えば、Kolliphor(登録商標)P 188 Bioが補充される。いくつかの実施形態において、培地は、基本培地である。いくつかの実施形態において、培地は、フィード培地である。
【0151】
組換えウイルス(例えば、rAAV)生成培養物は、利用されている特定の宿主細胞に適した様々な条件下で(広い温度範囲にわたり、様々な長さの時間で、など)ルーチン的に成長させることができる。当技術分野で知られているように、rAAVウイルス生成培養物には、浮遊適応性の宿主細胞、例えば、HeLa細胞、HEK293細胞、HEK293由来細胞(例えば、HEK293T細胞、HEK293F細胞)、ベロ細胞、CHO細胞、CHO-K1細胞、CHO由来細胞、EB66細胞、BSC細胞、HepG2細胞、LLC-MK細胞、CV-1細胞、COS細胞、MDBK細胞、MDCK細胞、CRFK細胞、RAF細胞、RK細胞、TCMK-1細胞、LLCPK細胞、PK15細胞、LLC-RK細胞、MDOK細胞、BHK細胞、BHK-21細胞、NS-1細胞、MRC-5細胞、WI-38細胞、BHK細胞、3T3細胞、293細胞、RK細胞、Per.C6細胞、ニワトリ胚細胞、及びSF-9細胞が含まれ、これらは、例えば、スピナーフラスコ、撹拌タンクバイオリアクター、及びWaveバッグシステムなどの使い捨てシステムを含めた様々な方法で培養することができる。rAAV粒子を生成するための多数の浮遊培養物が当技術分野で知られており、これには例えば、米国特許第6,995,006号、第9,783,826号、及び米国特許出願公開第20120122155号(これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に援用される)で開示されている培養物が含まれる。いくつかの実施形態において、組換えウイルスは組換えAAVである。
【0152】
当技術分野で組換えウイルス粒子(例えば、rAAV粒子)を生成することが知られている任意の細胞または細胞株を、本明細書で開示される方法のいずれか1つで使用することができる。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される組換えウイルス粒子(例えば、rAAV粒子)を生成する、または組換えウイルス粒子(例えば、rAAV粒子)の生成を増加させる方法は、HeLa細胞、HEK293細胞、HEK293由来細胞(例えば、HEK293T細胞、HEK293F細胞)、ベロ細胞、CHO細胞、CHO-K1細胞、CHO由来細胞、EB66細胞、LLC-MK細胞、MDCK細胞、RAF細胞、RK細胞、TCMK-1細胞、PK15細胞、BHK細胞、BHK-21細胞、NS-1細胞、BHK細胞、293細胞、RK細胞、Per.C6細胞、ニワトリ胚細胞、またはSF-9細胞を使用する。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、哺乳類細胞を使用する。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、昆虫細胞、例えばSF-9細胞を使用する。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、浮遊培養での成長に適応した細胞を使用する。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、浮遊培養での成長に適応したHEK293細胞を使用する。いくつかの実施形態において、組換えウイルス粒子は組換えAAV粒子である。
【0153】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示される細胞培養物は、浮遊培養物である。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される大規模浮遊細胞培養物は、浮遊培養での成長に適応したHEK293細胞を含む。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される細胞培養物は、無血清培地、動物成分フリー培地、または化学的に定義された培地を含む。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される細胞培養物は、無血清培地を含む。いくつかの実施形態において、浮遊適応性細胞は、振とうフラスコ、スピナーフラスコ、細胞バッグ、またはバイオリアクター中で培養される。
【0154】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示される細胞培養物は、無血清培地、動物成分フリー培地、または化学的に定義された培地を含む。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される細胞培養物は、無血清培地を含む。
【0155】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示される大規模浮遊培養細胞培養物は、高密度細胞培養物を含む。いくつかの実施形態において、培養物は、約1×10E+06細胞/mlから約30×10E+06細胞/mlの間の総細胞密度を有する。いくつかの実施形態において、細胞の約50%超が生細胞である。いくつかの実施形態において、細胞は、HeLa細胞、HEK293細胞、HEK293由来細胞(例えば、HEK293T細胞、HEK293F細胞)、ベロ細胞、またはSF-9細胞である。さらなる実施形態において、細胞は、HEK293細胞である。
【0156】
本明細書で開示される方法は、任意のAAVカプシド血清型からのカプシドタンパク質を含むrAAV粒子の生成で使用することができる。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV1、AAV2、rAAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV14、AAV15、AAV16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、AAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、及びAAV.HSC16から選択されるAAVカプシド血清型からのカプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV1、AAV2、rAAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV14、AAV15、AAV16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、AAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、またはAAV.HSC16カプシドタンパク質の派生物、修飾物、またはシュードタイプであるカプシドタンパク質を含む。
【0157】
いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8及びAAV9から選択されるAAVカプシド血清型からのカプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8のAAVカプシド血清型を有する。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV9のAAVカプシド血清型を有する。
【0158】
いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.PHB、及びAAV.7m8からなる群より選択されるAAVカプシド血清型からのカプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8またはAAV9に対し高い配列相同性を備えたカプシドタンパク質、例えば、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、及びAAV.hu37を含む。
【0159】
いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8カプシドタンパク質またはAAV9カプシドタンパク質の派生物、修飾物、またはシュードタイプであるカプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8カプシドタンパク質のVP1、VP2、及び/またはVP3配列に対し少なくとも80%以上同一、例えば、85%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%など、すなわち、最大100%同一のAAV8カプシドタンパク質を有する、カプシドタンパク質を含む。
【0160】
いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV9カプシドタンパク質の派生物、修飾物、またはシュードタイプであるカプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV9カプシドタンパク質のVP1、VP2、及び/またはVP3配列に対し少なくとも80%以上同一、例えば、85%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%など、すなわち、最大100%同一のAAV9カプシドタンパク質を有する、カプシドタンパク質を含む。
【0161】
いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.PHB、またはAAV.7m8カプシドタンパク質のVP1、VP2、及び/またはVP3配列に対し少なくとも80%以上の同一性、例えば、85%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%など、すなわち、最大100%の同一性を有する、カプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8またはAAV9に対し高い配列相同性を備えたAAVカプシドタンパク質、例えば、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、及びAAV.hu37のVP1、VP2、及び/またはVP3配列に対し少なくとも80%以上の同一性、例えば、85%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%など、すなわち、最大100%の同一性を有する、カプシドタンパク質を含む。
【0162】
追加の実施形態において、rAAV粒子は、モザイクカプシドを含む。追加の実施形態において、rAAV粒子は、シュードタイプrAAV粒子を含む。追加の実施形態において、rAAV粒子は、2つ以上のAAVカプシド血清型のカプシドタンパク質キメラを含むカプシドを含む。
【0163】
rAAV粒子
提供される方法は、任意の単離された組換えAAV粒子の生成で使用するのに適している。そのため、rAAVは、当技術分野で知られている任意の血清型、修飾物、もしくは派生物、またはこれらの任意の組合せ(例えば、2つ以上の血清型を含む(例えば、rAAV2、rAAV8、及びrAAV9粒子のうちの2つ以上を含む)rAAV粒子の集団)とすることができる。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV1、AAV2、rAAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV14、AAV15、AAV16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、AAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、もしくはAAV.HSC16、または他のrAAV粒子、あるいはこれらの2つ以上の組合せである。
【0164】
いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV1、AAV1、AAV2、rAAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV14、AAV15、AAV16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、AAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、もしくはAAV.HSC16、またはこれらの派生物、修飾物、もしくはシュードタイプから選択されるAAV血清型からのカプシドタンパク質を有する。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、例えば、AAV1、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV14、AAV15、AAV16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、rAAV.Anc80L65、AAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、またはAAV.HSC16から選択されるAAVカプシド血清型のVP1、VP2、及び/またはVP3配列に対し少なくとも80%以上同一である、例えば、85%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%など、すなわち最大100%同一である、カプシドタンパク質を含む。
【0165】
いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV1、AAV1、AAV2、rAAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV14、AAV15、AAV16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、AAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、もしくはAAV.HSC16、またはこれらの派生物、修飾物、もしくはシュードタイプから選択されるAAVカプシド血清型からのカプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、例えば、AAV1、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV14、AAV15、AAV16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、AAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、またはAAV.HSC16から選択されるAAVカプシド血清型のVP1、VP2、及び/またはVP3配列に対し少なくとも80%以上同一である、例えば、85%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%など、すなわち最大100%同一である、カプシドタンパク質を含む。
【0166】
いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、Zinn et al.,2015,Cell Rep.12(6):1056-1068(参照によりその全体が援用される)で説明されているように、Anc80またはAnc80L65のカプシドを含む。ある特定の実施形態において、rAAV粒子は、米国特許第9,193,956号、第9458517号、及び第9,587,282号、ならびに米国特許出願公開第2016/0376323号(これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に援用される)で説明されているように、アミノ酸挿入物:LGETTRPまたはLALGETTRPのうちの1つを有するカプシドを含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、米国特許第9,193,956号、第9,458,517号、及び第9,587,282号、ならびに米国特許出願公開第2016/0376323号(これらの各々は、参照によりその全体が明細書に援用される)で説明されているように、AAV.7m8のカプシドを含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、米国特許第9,585,971号で開示されている任意のAAVカプシド、例えばAAV.PHP.Bを含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、米国特許第9,840,719号及びWO2015/013313(これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に援用される)で開示されている任意のAAVカプシド、例えば、AAV.Rh74及びRHM4-1を含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、WO2014/172669(参照によりその全体が本明細書に援用される)で開示されている任意のAAVカプシド、例えばAAV rh.74を含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、Georgiadis et al.,2016,Gene Therapy 23:857-862及びGeorgiadis et al.,2018,Gene Therapy 25:450(これらの各々は、参照によりその全体が援用される)で説明されているように、AAV2/5のカプシドを含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、WO2017/070491(参照によりその全体が本明細書に援用される)で開示されている任意のAAVカプシド、例えばAAV2tYFを含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、Puzzo et al.,2017,Sci.Transl. Med.29(9):418(参照によりその全体が援用される)で説明されているようなAAVLK03またはAAV3Bのカプシドを含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、米国特許第8,628,966号、第US8,927,514号、第US9,923,120号、及びWO2016/049230で開示されている任意のAAVカプシド、例えば、HSC1、HSC2、HSC3、HSC4、HSC5、HSC6、HSC7、HSC8、HSC9、HSC10、HSC11、HSC12、HSC13、HSC14、HSC15、またはHSC16を含む(これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に援用される)。
【0167】
いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、以下の特許及び特許出願(これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に援用される):米国特許第7,282,199号、第7,906,111号、第8,524,446号、第8,999,678号、第8,628,966号、第8,927,514号、第8,734,809号、第US9,284,357号、第9,409,953号、第9,169,299号、第9,193,956号、第9458517、及び第9,587,282号、米国特許出願公開第2015/0374803号、第2015/0126588号、第2017/0067908号、第2013/0224836号、第2016/0215024号、第2017/0051257号、ならびに国際特許出願第PCT/US2015/034799号、第PCT/EP2015/053335のいずれかで開示されているAAVカプシドを含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、以下の特許及び特許出願(これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に援用される)のいずれかで開示されているAAVカプシドのVP1、VP2、及び/またはVP3配列に対し少なくとも80%以上同一である、例えば、85%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%など、すなわち最大100%同一であるカプシドタンパク質を有する:米国特許第7,282,199号、第7,906,111号、第8,524,446号、第8,999,678号、第8,628,966号、第8,927,514号、第8,734,809号、第US9,284,357号、第9,409,953号、第9,169,299号、第9,193,956号、第9458517号、及び第9,587,282号、米国特許出願公開第US2015/0374803号、第2015/0126588号、第2017/0067908号、第2013/0224836号、第2016/0215024号、第2017/0051257、ならびに国際特許出願第PCT/US2015/034799号、第PCT/EP2015/053335号。
【0168】
いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、国際特許出願公開第WO2003/052051号(例えば、配列番号2を参照)、第WO2005/033321号(例えば、配列番号123及び88を参照)、第WO03/042397号(例えば、配列番号2、81、85、及び97を参照)、第WO2006/068888号(例えば、配列番号1及び3~6を参照)、第WO2006/110689号(例えば、配列番号5~38を参照)、第WO2009/104964号(例えば、配列番号1~5、7、9、20、22、24、及び31を参照)、第WO2010/127097号(例えば、配列番号5~38を参照)、ならびに第WO2015/191508号(例えば、配列番号80~294を参照)、ならびに米国特許出願公開第20150023924号(例えば、配列番号1、5~10を参照)(これらの各々の内容は、参照によりその全体が本明細書に援用される)で開示されているカプシドタンパク質を有する。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、以下で開示されているAAVカプシドのVP1、VP2及び/またはVP3配列に対し、少なくとも80%以上同一、例えば、85%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%など、すなわち、最大100%同一であるカプシドタンパク質を有する:国際特許出願公開第WO2003/052051号(例えば、配列番号2を参照)、第WO2005/033321号(例えば、配列番号123及び88を参照)、第WO03/042397号(例えば、配列番号2、81、85、及び97を参照)、第WO2006/068888号(例えば、配列番号1及び3~6を参照)、第WO2006/110689号(例えば、配列番号5~38を参照)、第WO2009/104964号(例えば、配列番号1~5、7、9、20、22、24、及び31を参照)、第WO2010/127097号(例えば、配列番号5~38を参照)、ならびに第WO2015/191508号(例えば、配列番号80~294を参照)、ならびに米国特許出願公開第20150023924号(例えば、配列番号1、5~10を参照)。
【0169】
AAVベースウイルスベクターの核酸配列、ならびに組換えAAV及びAAVカプシドを作製する方法は、例えば、以下で教示されている:米国特許第7,282,199号、第7,906,111号、第8,524,446号、第8,999,678号、第8,628,966号、第8,927,514号、第8,734,809号、第US9,284,357号、第9,409,953号、第9,169,299号、第9,193,956号、第9458517号、及び第9,587,282号、米国特許出願公開第2015/0374803号、第2015/0126588号、第2017/0067908号、第2013/0224836号、第2016/0215024号、第2017/0051257号、国際特許出願第PCT/US2015/034799号、第PCT/EP2015/053335号、第WO2003/052051号、第WO2005/033321号、第WO03/042397号、第WO2006/068888号、第WO2006/110689号、第WO2009/104964号、第WO2010/127097号、及び第WO2015/191508号、ならびに米国特許出願公開第20150023924号。
【0170】
提供される方法は、導入遺伝子をコードする組換えAAVの生成で使用するのに適している。ある特定の実施形態において、導入遺伝子は表1A~1Cからのものである。いくつかの実施形態において、rAAVゲノムは、以下の構成要素:(1)発現カセットに隣接するAAV逆方向末端反復と、(2)調節制御要素、例えば、a)プロモーター/エンハンサー、b)ポリAシグナル、及びc)任意選択でイントロンと、(3)導入遺伝子をコードする核酸配列とを含む、ベクターを含む。インタクトなまたは実質的にインタクトなモノクローナル抗体(mAb)を発現させるための他の実施形態において、rAAVゲノムは、以下の構成要素:(1)発現カセットに隣接するAAV逆方向末端反復と、(2)調節制御要素、例えば、a)プロモーター/エンハンサー、b)ポリAシグナル、及びc)任意選択でイントロンと、(3)抗体の軽鎖Fab及び重鎖Fab、または少なくとも重鎖または軽鎖Fab、ならびに任意選択で重鎖Fc領域をコードする核酸配列とを含む、ベクターを含む。インタクトまたは実質的にインタクトなmAbを発現させるためのさらに他の実施形態において、rAAVゲノムは、以下の構成要素を含むベクターを含む:(1)発現カセットに隣接するAAV逆方向末端反復;(2)調節制御エレメント、例えば、a)プロモーター/エンハンサー、b)ポリAシグナル、及びc)任意選択でイントロン;ならびに(3)以下のものの重鎖Fabをコードする核酸配列:抗VEGF(例えば、セバシズマブ、ラニビズマブ、ベバシズマブ、及びブロルシズマブ)、抗EpoR(例えば、LKA-651)、抗ALK1(例えば、アスクリンバクマブ)、抗C5(例えば、テシドルマブ及びエクリズマブ)、抗CD105(例えば、カロツキシマブ)、抗CC1Q(例えば、ANX-007)、抗TNFα(例えば、アダリムマブ、インフリキシマブ、及びゴリムマブ)、抗RGMa(例えば、エレザヌマブ)、抗TTR(例えば、NI-301及びPRX-004)、抗CTGF(例えば、パムレブルマブ)、抗IL6R(例えば、サトラリズマブ及びサリルマブ)、抗IL4R(例えば、デュピルマブ)、抗IL17A(例えば、イキセキズマブ及びセクキヌマブ)、抗IL-5(例えば、メポリズマブ)、抗IL12/IL23(例えば、ウステキヌマブ)、抗CD19(例えば、イネビリズマブ)、抗ITGF7 mAb(例えば、エトロリズマブ)、抗SOST mAb(例えば、ロモソズマブ)、抗pKal mAb(例えば、ラナデルマブ)、抗ITGA4(例えば、ナタリズマブ)、抗ITGA4B7(例えば、ベドリズマブ)、抗BLyS(例えば、ベリムマブ)、抗PD-1(例えば、ニボルマブ及びペムブロリズマブ)、抗RANKL(例えば、デンソマブ)、抗PCSK9(例えば、アリロクマブ及びエボロクマブ)、抗ANGPTL3(例えば、エビナクマブ*)、抗OxPL(例えば、E06)、抗fD(例えば、ラムパリズマブ)、または抗MMP9(例えば、アンデカリキシマブ);任意選択で、治療抗体のネイティブ形態と同じアイソタイプのFcポリペプチド、例えば、IgGアイソタイプアミノ酸配列IgG1、IgG2、もしくはIgG4、またはこれらの修飾Fc;ならびに以下のものの軽鎖をコードする核酸配列:抗VEGF(例えば、セバシズマブ、ラニビズマブ、ベバシズマブ、及びブロルシズマブ)、抗EpoR(例えば、LKA-651)、抗ALK1(例えば、アスクリンバクマブ)、抗C5(例えば、テシドルマブ及びエクリズマブ)、抗CD105もしくは抗ENG(例えば、カロツキシマブ)、抗CC1Q(例えば、ANX-007)、抗TNFα(例えば、アダリムマブ、インフリキシマブ、及びゴリムマブ)、抗RGMa(例えば、エレザヌマブ)、抗TTR(例えば、NI-301及びPRX-004)、抗CTGF(例えば、パムレブルマブ)、抗IL6R(例えば、サトラリズマブ及びサリルマブ)、抗IL4R(例えば、デュピルマブ)、抗IL17A(例えば、イキセキズマブ及びセクキヌマブ)、抗IL-5(例えば、メポリズマブ)、抗IL12/IL23(例えば、ウステキヌマブ)、抗CD19(例えば、イネビリズマブ)、抗ITGF7 mAb(例えば、エトロリズマブ)、抗SOST mAb(例えば、ロモソズマブ)、抗pKal mAb(例えば、ラナデルマブ)、抗ITGA4(例えば、ナタリズマブ)、抗ITGA4B7(例えば、ベドリズマブ)、抗BLyS(例えば、ベリムマブ)、抗PD-1(例えば、ニボルマブ及びペムブロリズマブ)、抗RANKL(例えば、デンソマブ)、抗PCSK9(例えば、アリロクマブ及びエボロクマブ)、抗ANGPTL3(例えば、エビナクマブ)、抗OxPL(例えば、E06)、抗fD(例えば、ラムパリズマブ)、または抗MMP9(例えば、アンデカリキシマブ)。このとき、重鎖(Fab及び任意選択でFc領域)ならびに軽鎖は、自己切断フリン(F)/F2Aまたはフレキシブルリンカーによって分離され、重鎖及び軽鎖ポリペプチドが等しい量で発現するのを確実にする。
【0171】
【0172】
【0173】
【0174】
いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、抗VEGF FabをコードするrAAVウイルスベクターである。特定の実施形態において、rAAV粒子は、抗VEGF FabをコードするrAAV8ベースのウイルスベクターである。より特定の実施形態において、rAAV粒子は、ラニビズマブをコードするrAAV8ベースのウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、イズロニダーゼ(IDUA)をコードするrAAVウイルスベクターである。特定の実施形態において、rAAV粒子は、IDUAをコードするrAAV9ベースのウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、イズロン酸2-スルファターゼ(IDS)をコードするrAAVウイルスベクターである。特定の実施形態において、rAAV粒子は、IDSをコードするrAAV9ベースのウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、低密度リポタンパク質受容体(LDLR)をコードするrAAVウイルスベクターである。特定の実施形態において、rAAV粒子は、LDLRをコードするrAAV8ベースのウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、トリペプチジルペプチダーゼ1(TPP1)タンパク質をコードするrAAVウイルスベクターである。特定の実施形態において、rAAV粒子は、TPP1をコードするrAAV9ベースのウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、VEGF受容体1の非膜結合型スプライスバリアント(sFlt-1)をコードするrAAVウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、ガンマ-サルコグリカン、Rabエスコートタンパク質1(REP1/CHM)、レチノイドイソメロヒドロラーゼ(RPE65)、環状ヌクレオチドゲートチャネルアルファ3(CNGA3)、環状ヌクレオチドゲートチャネルベータ3(CNGB3)、芳香族L-アミノ酸デカルボキシラーゼ(AADC)、リソソーム関連膜タンパク質2アイソフォームB(LAMP2B)、第VIII因子、第IX因子、網膜色素変性症GTPアーゼ制御因子(RPGR)、レチノスキシン(RS1)、筋小胞体カルシウムATPアーゼ(SERCA2a)、アフリベルセプト、バッテニン(CLN3)、膜貫通ERタンパク質(CLN6)、グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)、グリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)、アクアポリン1(AQP1)、ジストロフィン、マイクロジストロフィン、ミオチューブラリン1(MTM1)、フォリスタチン(FST)、グルコース-6-ホスファターゼ(G6Pアーゼ)、アポリポタンパク質A2(APOA2)、ウリジン二リン酸グルクロノシルトランスフェラーゼ1A1(UGT1A1)、アリールスルファターゼB(ARSB)、N-アセチル-アルファ-グルコサミニダーゼ(NAGLU)、アルファ-グルコシダーゼ(GAA)、アルファ-ガラクトシダーゼ(GLA)、ベータ-ガラクトシダーゼ(GLB1)、リポタンパク質リパーゼ(LPL)、アルファ1-アンチトリプシン(AAT)、ホスホジエステラーゼ6B(PDE6B)、オルニチンカルバモイルトランスフェラーゼ9OTC)、生存運動ニューロン(SMN1)、生存運動ニューロン(SMN2)、ニュールツリン(NRTN)、ニューロトロフィン-3(NT-3/NTF3)、ポルホビリノーゲンデアミナーゼ(PBGD)、神経成長因子(NGF)、ミトコンドリアコードNADH:ユビキノンオキシドレダクターゼコアサブユニット4(MT-ND4)、保護タンパク質カテプシンA(PPCA)、ジスフェリン、MERがん原遺伝子チロシンキナーゼ(MERTK)、嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR)、または腫瘍壊死因子受容体(TNFR)-免疫グロブリン(IgG1)Fc融合体をコードするrAAVウイルスベクターである。
【0175】
追加の実施形態において、rAAV粒子は、シュードタイプAAVカプシドを含む。いくつかの実施形態において、シュードタイプAAVカプシドは、rAAV2/8またはrAAV2/9シュードタイプAAVカプシドである。シュードタイプrAAV粒子を生成し使用するための方法は当技術分野で知られている(例えば、Duan et al.,J.Virol.,75:7662-7671(2001);Halbert et al.,J.Virol.,74:1524-1532(2000);Zolotukhin et al.,Methods 28:158-167(2002);及びAuricchio et al.,Hum.Molec. Genet.10:3075-3081,(2001)を参照)。
【0176】
追加の実施形態において、rAAV粒子は、2つ以上のAAVカプシド血清型のカプシドタンパク質キメラを含むカプシドを含む。いくつかの実施形態において、カプシドタンパク質は、AAV1、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV14、AAV15、AAV16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、AAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、またはAAV.HSC16から選択されるAAV血清型からの2つ以上のAAVカプシドタンパク質キメラである。
【0177】
ある特定の実施形態において、1本鎖AAV(ssAAV)を使用することができる。ある特定の実施形態において、自己相補的ベクター、例えばscAAVを使用することができる(例えば、Wu,2007,Human Gene Therapy,18(2):171-82;McCarty et al,2001,Gene Therapy,Vol.8,Number 16:1248-1254;ならびに米国特許第6,596,535号、第7,125,717号、及び第7,456,683号(これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に援用される)を参照)。
【0178】
いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8またはAAV9から選択されるAAVカプシド血清型からのカプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8のAAVカプシド血清型を有する。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV9のAAVカプシド血清型を有する。
【0179】
いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8カプシドタンパク質またはAAV9カプシドタンパク質の派生物、修飾物、またはシュードタイプであるカプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8カプシドタンパク質のVP1、VP2、及び/またはVP3配列に対し少なくとも80%以上同一、例えば、85%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%など、すなわち、最大100%同一のAAV8カプシドタンパク質を有する、カプシドタンパク質を含む。
【0180】
いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV9カプシドタンパク質の派生物、修飾物、またはシュードタイプであるカプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV9カプシドタンパク質のVP1、VP2、及び/またはVP3配列に対し少なくとも80%以上同一、例えば、85%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%など、すなわち、最大100%同一のAAV9カプシドタンパク質を有する、カプシドタンパク質を含む。
【0181】
追加の実施形態において、rAAV粒子は、モザイクカプシドを含む。モザイクAAV粒子は、AAVの異なる血清型からのウイルスカプシドタンパク質の混合物から構成される。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV14、AAV15、AAV16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、AAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、ならびにAAV.HSC16から選択される血清型のカプシドタンパク質を含むモザイクカプシドを含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV1、AAV2、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAVrh.8、AAVrh.10、AAVhu.37、AAVrh.20、及びAAVrh.74から選択される血清型のカプシドタンパク質を含むモザイクカプシドを含む。
【0182】
追加の実施形態において、rAAV粒子は、シュードタイプrAAV粒子を含む。いくつかの実施形態において、シュードタイプrAAV粒子は、(a)AAV ITRを含む核酸ベクター、ならびに(b)AAVx(例えば、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV14、AAV15、AAV16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、AAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、及びAAV.HSC16)に由来するカプシドタンパク質から構成されたカプシドを含む。追加の実施形態において、rAAV粒子は、AAV1、AAV2、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAVrh.8、及びAAVrh.10、AAVhu.37、AAVrh.20、及びAAVrh.74から選択されるAAV血清型のカプシドタンパク質から構成されたシュードタイプrAAV粒子を含む。追加の実施形態において、rAAV粒子は、AAV8カプシドタンパク質を含むシュードタイプrAAV粒子を含む。追加の実施形態において、rAAV粒子は、AAV9カプシドタンパク質から構成されるシュードタイプrAAV粒子を含む。いくつかの実施形態において、シュードタイプrAAV8またはrAAV9粒子は、rAAV2/8またはrAAV2/9シュードタイプ粒子である。シュードタイプrAAV粒子を生成し使用するための方法は当技術分野で知られている(例えば、Duan et al.,J.Virol.,75:7662-7671(2001);Halbert et al.,J.Virol.,74:1524-1532(2000);Zolotukhin et al.,Methods 28:158-167(2002);及びAuricchio et al.,Hum.Molec. Genet.10:3075-3081,(2001)を参照)。
【0183】
追加の実施形態において、rAAV粒子は、2つ以上のAAVカプシド血清型のカプシドタンパク質キメラを含むカプシドを含む。いくつかの実施形態において、カプシドタンパク質は、AAV8カプシドタンパク質と、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV14、AAV15、及びAAV16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、AAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、及びAAV.HSC16から選択されるAAV血清型からの1つ以上のAAVカプシドタンパク質との、AAVカプシドタンパク質キメラを含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8カプシドタンパク質と、AAV1、AAV2、AAV5、AAV6、AAV7、AAV9、AAV10、rAAVrh10、AAVrh.8、AAVrh.10、AAVhu.37、AAVrh.20、及びAAVrh.74から選択されるAAV血清型からの1つ以上のAAVカプシドタンパク質との、AAVカプシドタンパク質キメラを含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV9カプシドタンパク質と、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV14、AAV15、AAV16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、AAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、及びAAV.HSC16から選択される1つ以上のAAVカプシド血清型のカプシドタンパク質との、AAVカプシドタンパク質キメラを含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV9カプシドタンパク質と、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AA6、AAV7、AAV8、AAV9、AAVrh.8、AAVrh.10、AAVhu.37、AAVrh.20、及びAAVrh.74から選択される1つ以上のAAVカプシド血清型のカプシドタンパク質との、AAVカプシドタンパク質キメラを含む。
【0184】
rAAV粒子を単離するための方法
いくつかの実施形態において、本開示は、単離された組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)粒子を含む組成物を生成するための方法であって、不純物を含むフィード(例えば、rAAV生成培養物)からrAAV粒子を単離することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される単離された組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)粒子を含む製剤を製造する方法は、(a)不純物を含むフィード(例えば、rAAV生成培養物)からrAAV粒子を単離することと、及び(b)製剤を生成するために、単離されたrAAV粒子を製剤化することとを含む。
【0185】
いくつかの実施形態において、本開示はさらに、医薬単位薬用量の単離された組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)粒子を含む製剤を生成するための方法であって、不純物を含むフィード(例えば、rAAV生成培養物)からrAAV粒子を単離することと、単離されたrAAV粒子を製剤化することとを含む、方法を提供する。
【0186】
単離されたrAAV粒子は、当技術分野で知られている方法を用いて単離することができる。いくつかの実施形態において、rAAV粒子を単離する方法は、下流処理、例えば、細胞培養物の収集、(例えば、遠心分離または深層濾過による)収集した細胞培養物の清澄化、タンジェンシャルフロー濾過、アフィニティークロマトグラフィー、アニオン交換クロマトグラフィー、カチオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、疎水相互作用クロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、無菌濾過、またはこれらの任意の組合せ(複数可)を含む。いくつかの実施形態において、下流処理は、細胞培養物の収集、(例えば、遠心分離または深層濾過による)収集した細胞培養物の清澄化、タンジェンシャルフロー濾過、アフィニティークロマトグラフィー、アニオン交換クロマトグラフィー、カチオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、疎水相互作用クロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、及び無菌濾過のうちの少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、または少なくとも6つを含む。いくつかの実施形態において、下流処理は、細胞培養物の収集、(例えば、深層濾過による)収集した細胞培養物の清澄化、無菌濾過、タンジェンシャルフロー濾過、アフィニティークロマトグラフィー、及びアニオン交換クロマトグラフィーを含む。いくつかの実施形態において、下流処理は、収集した細胞培養物の清澄化、無菌濾過、タンジェンシャルフロー濾過、アフィニティークロマトグラフィー、及びアニオン交換クロマトグラフィーを含む。いくつかの実施形態において、下流処理は、深層濾過による収集した細胞培養物の清澄化、無菌濾過、タンジェンシャルフロー濾過、アフィニティークロマトグラフィー、及びアニオン交換クロマトグラフィーを含む。いくつかの実施形態において、収集した細胞培養物の清澄化は、無菌濾過を含む。いくつかの実施形態において、下流処理は、遠心分離を含まない。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8血清型のカプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV9血清型のカプシドタンパク質を含む。
【0187】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法に従って生成されたrAAV粒子を単離する方法は、細胞培養物の収集、(例えば、深層濾過による)収集した細胞培養物の清澄化、第1の無菌濾過、第1のタンジェンシャルフロー濾過、アフィニティークロマトグラフィー、アニオン交換クロマトグラフィー(例えば、4級アミンリガンドを用いたモノリスアニオン交換クロマトグラフィーまたはAEXクロマトグラフィー)、第2のタンジェンシャルフロー濾過、及び第2の無菌濾過を含む。いくつかの実施形態において、本明細書で開示されるrAAV粒子を単離する方法は、細胞培養物の収集、(例えば、深層濾過による)収集した細胞培養物の清澄化、第1の無菌濾過、アフィニティークロマトグラフィー、アニオン交換クロマトグラフィー(例えば、4級アミンリガンドを用いたモノリスアニオン交換クロマトグラフィーまたはAEXクロマトグラフィー)、タンジェンシャルフロー濾過、及び第2の無菌濾過を含む。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法に従って生成されたrAAV粒子を単離する方法は、収集した細胞培養物の清澄化、第1の無菌濾過、第1のタンジェンシャルフロー濾過、アフィニティークロマトグラフィー、アニオン交換クロマトグラフィー(例えば、4級アミンリガンドを用いたモノリスアニオン交換クロマトグラフィーまたはAEXクロマトグラフィー)、第2のタンジェンシャルフロー濾過、及び第2の無菌濾過を含む。いくつかの実施形態において、本明細書で開示されるrAAV粒子を単離する方法は、収集した細胞培養物の清澄化、第1の無菌濾過、アフィニティークロマトグラフィー、アニオン交換クロマトグラフィー(例えば、4級アミンリガンドを用いたモノリスアニオン交換クロマトグラフィーまたはAEXクロマトグラフィー)、タンジェンシャルフロー濾過、及び第2の無菌濾過を含む。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法にしたがって生成されたrAAV粒子を単離する方法は、深層濾過による収集した細胞培養物の清澄化、第1の無菌濾過、第1のタンジェンシャルフロー濾過、アフィニティークロマトグラフィー、アニオン交換クロマトグラフィー(例えば、4級アミンリガンドを用いたモノリスアニオン交換クロマトグラフィーまたはAEXクロマトグラフィー)、第2のタンジェンシャルフロー濾過、及び第2の無菌濾過を含む。いくつかの実施形態において、本明細書で開示されるrAAV粒子を単離する方法は、深層濾過による収集した細胞培養物の清澄化、第1の無菌濾過、アフィニティークロマトグラフィー、アニオン交換クロマトグラフィー(例えば、4級アミンリガンドを用いたモノリスアニオン交換クロマトグラフィーまたはAEXクロマトグラフィー)、タンジェンシャルフロー濾過、及び第2の無菌濾過を含む。いくつかの実施形態において、当該方法は、遠心分離を含まない。いくつかの実施形態において、収集した細胞培養物の清澄化は、無菌濾過を含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV8血清型のカプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、AAV9血清型のカプシドタンパク質を含む。
【0188】
当技術分野では、形質移入、安定細胞株生成、及び感染性ハイブリッドウイルス生成系(アデノウイルス-AAVハイブリッド、ヘルペスウイルス-AAVハイブリッド、及びバキュロウイルス-AAVハイブリッドを含む)を含むrAAV粒子の生成のための多数の細胞培養に基づく系が知られている。rAAVウイルス粒子を生成するためのrAAV生成培養物はいずれも、(1)好適な宿主細胞(例えば、ヒト由来細胞株(例えば、HeLa、A549、またはHEK293細胞及びその派生物(HEK293T細胞、HEK293F細胞))、哺乳類細胞株(例えば、ベロ)、またはバキュロウイルス生成系の場合は昆虫由来細胞株(例えば、SF-9)を含む);(2)野生型もしくは変異型アデノウイルス(例えば、温度感受性アデノウイルス)、ヘルペスウイルス、バキュロウイルス、またはヘルパー機能を提供するプラスミドコンストラクトによって提供される、好適なヘルパーウイルス機能;(3)AAV rep及びcap遺伝子ならびに遺伝子産物;(4)AAV ITR配列に隣接する導入遺伝子(例えば、治療用導入遺伝子);ならびに(5)rAAV生成を支持するための好適な培地及び培地構成成分を必要とする。当技術分野で知られている好適な培地をrAAVベクターの生成に使用することができる。このような培地としては、限定されるものではないが、変法イーグル培地(MEM)、ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)、及び米国特許第6,723,551号(参照によりその全体が本明細書に援用される)で説明されているようなSf-900 II SFM培地を含めた、Hyclone Laboratories及びJRHが生産する培地が挙げられる。
【0189】
rAAV生成培養物は、利用されている特定の宿主細胞に適した様々な条件下で(広い温度範囲にわたり、様々な長さの時間で、など)ルーチン的に成長させることができる。当技術分野で知られているように、rAAV生成培養物は、好適な付着依存性容器(例えば、ローラーボトル、中空繊維フィルター、マイクロキャリア、及び充填床または流動床バイオリアクター)中で培養することができる付着依存性の培養物を含む。また、rAAVベクター生成培養物は、浮遊適応性の宿主細胞、例えば、HeLa細胞、HEK293細胞、HEK293由来細胞(例えば、HEK293T細胞、HEK293F細胞)、ベロ細胞、CHO細胞、CHO-K1細胞、CHO由来細胞、EB66細胞、BSC細胞、HepG2細胞、LLC-MK細胞、CV-1細胞、COS細胞、MDBK細胞、MDCK細胞、CRFK細胞、RAF細胞、RK細胞、TCMK-1細胞、LLCPK細胞、PK15細胞、LLC-RK細胞、MDOK細胞、BHK細胞、BHK-21細胞、NS-1細胞、MRC-5細胞、WI-38細胞、BHK細胞、3T3細胞、293細胞、RK細胞、Per.C6細胞、ニワトリ胚細胞、またはSF-9細胞も含むことができ、これらは、例えば、スピナーフラスコ、撹拌タンクバイオリアクター、及びWaveバッグシステムなどの使い捨てシステムを含めた様々な方法で培養することができる。いくつかの実施形態において、細胞は、HEK293細胞である。いくつかの実施形態において、細胞は、浮遊培養での成長に適応したHEK293細胞である。rAAV粒子を生成するための多数の浮遊培養物が当技術分野で知られており、これには例えば、米国特許第6,995,006号、第9,783,826号、及び米国特許出願公開第20120122155号(これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に援用される)で開示されている培養物が含まれる。
【0190】
いくつかの実施形態において、rAAV生成培養物は、高密度細胞培養物を含む。いくつかの実施形態において、培養物は、約1×10E+06細胞/mlから約30×10E+06細胞/mlの間の総細胞密度を有する。いくつかの実施形態において、細胞の約50%超が生細胞である。いくつかの実施形態において、細胞は、HeLa細胞、HEK293細胞、HEK293由来細胞(例えば、HEK293T細胞、HEK293F細胞)、ベロ細胞、またはSF-9細胞である。さらなる実施形態において、細胞は、HEK293細胞である。さらなる実施形態において、細胞は、浮遊培養での成長に適応したHEK293細胞である。
【0191】
提供される方法の追加の実施形態において、rAAV生成培養物は、rAAV粒子を含む浮遊培養物を含む。rAAV粒子を生成するための多数の浮遊培養物が当技術分野で知られており、これには例えば、米国特許第6,995,006号、第9,783,826号、及び米国特許出願公開第20120122155号(これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に援用される)で開示されている培養物が含まれる。いくつかの実施形態において、浮遊培養物は、哺乳類細胞または昆虫細胞の培養物を含む。いくつかの実施形態において、浮遊培養物は、HeLa細胞、HEK293細胞、HEK293由来細胞(例えば、HEK293T細胞、HEK293F細胞)、ベロ細胞、CHO細胞、CHO-K1細胞、CHO由来細胞、EB66細胞、BSC細胞、HepG2細胞、LLC-MK細胞、CV-1細胞、COS細胞、MDBK細胞、MDCK細胞、CRFK細胞、RAF細胞、RK細胞、TCMK-1細胞、LLCPK細胞、PK15細胞、LLC-RK細胞、MDOK細胞、BHK細胞、BHK-21細胞、NS-1細胞、MRC-5細胞、WI-38細胞、BHK細胞、3T3細胞、293細胞、RK細胞、Per.C6細胞、ニワトリ胚細胞、またはSF-9細胞の培養物を含む。いくつかの実施形態において、浮遊培養物は、HEK293細胞の培養物を含む。
【0192】
いくつかの実施形態において、rAAV粒子の生成のための方法は、rAAVを生成可能な細胞を含む細胞培養物を準備することと、当該細胞培養物に、約0.1mMから約20mMの間の最終濃度までヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を添加することと、当該rAAV粒子の生成を可能にする条件下で当該細胞培養物を維持することとを包含する。いくつかの実施形態において、HDAC阻害剤は、短鎖脂肪酸またはその塩を含む。いくつかの実施形態において、HDAC阻害剤は、酪酸(例えば、酪酸ナトリウム)、バルプロ酸(例えば、バルプロ酸ナトリウム)、プロピオン酸(例えば、プロピオン酸ナトリウム)、またはこれらの組合せを含む。
【0193】
いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、WO2020/033842(参照によりその全体が本明細書に援用される)で開示されているように生成される。
【0194】
インタクトな宿主細胞から培地中へのrAAV粒子放出を引き起こすことが当技術分野で知られている条件下で細胞が培養されることを条件に、宿主細胞を含む生成培養物を収集することにより、または生成培養物から消費培地を収集することにより、組換えAAV粒子は、rAAV生成培養物から収集することができる。また、組換えAAV粒子は、生成培養物の宿主細胞を溶解することによってrAAV生成培養物から収集することもできる。細胞を溶解する好適な方法も当技術分野で知られており、例えば、複数の凍結/解凍サイクル、超音波処理、マイクロ流動化、ならびに化学物質(例えば、界面活性剤及び/またはプロテアーゼ)による処理が挙げられる。
【0195】
収集時に、rAAV生成培養物は、以下:(1)宿主細胞タンパク質;(2)宿主細胞DNA;(3)プラスミドDNA;(4)ヘルパーウイルス;(5)ヘルパーウイルスタンパク質;(6)ヘルパーウイルスDNA;ならびに(7)培地構成成分(例えば、血清タンパク質、アミノ酸、トランスフェリン、及び他の低分子量タンパク質を含む)のうちの1つ以上を含むことができる。rAAV生成培養物はさらに、生成物関連不純物、例えば、不活性なベクター形態、空のウイルスカプシド、凝集したウイルス粒子またはカプシド、ミスフォールドしたウイルスカプシド、分解されたウイルス粒子を含むことができる。
【0196】
いくつかの実施形態において、rAAV生成培養物収集物は、宿主細胞デブリを除去するように清澄化される。いくつかの実施形態において、生成培養物収集物は、一連の深層フィルターによる濾過によって清澄化される。また、清澄化は、当技術分野で知られている他の様々な標準的技法により、例えば、遠心分離、または当技術分野で知られている0.2mm以上の細孔サイズの任意の酢酸セルロースフィルターによる濾過により、達成することができる。いくつかの実施形態において、収集した細胞培養物の清澄化は、無菌濾過を含む。いくつかの実施形態において、生成培養物収集物は、遠心分離によって清澄化される。いくつかの実施形態において、生成培養物収集物の清澄化は、遠心分離を含まない。
【0197】
いくつかの実施形態において、収集した細胞培養物は、濾過を用いて清澄化される。いくつかの実施形態において、収集した細胞培養物の清澄化は、深層濾過を含む。いくつかの実施形態において、収集した細胞培養物の清澄化はさらに、深層濾過及び無菌濾過を含む。いくつかの実施形態において、収集した細胞培養物は、1つ以上の異なる濾過媒体を含むフィルタートレインを用いて清澄化される。いくつかの実施形態において、フィルタートレインは、1つの深層濾過媒体を含む。いくつかの実施形態において、フィルタートレインは、1つ以上の深層濾過媒体を含む。いくつかの実施形態において、フィルタートレインは、2つの深層濾過媒体を含む。いくつかの実施形態において、フィルタートレインは、1つの無菌濾過媒体を含む。いくつかの実施形態において、フィルタートレインは、2つの深層濾過媒体及び1つの無菌濾過媒体を含む。いくつかの実施形態において、深層フィルター媒体は、多孔質深層フィルターである。いくつかの実施形態において、フィルタートレインは、Clarisolve(登録商標)20MS、Millistak+(登録商標)C0HC、及び無菌グレード濾過媒体を含む。いくつかの実施形態において、フィルタートレインは、Clarisolve(登録商標)20MS、Millistak+(登録商標)C0HC、及びSartopore(登録商標)2 XLG 0.2μmを含む。いくつかの実施形態において、収集した細胞培養物は、深層フィルターに接触させる前に前処理される。いくつかの実施形態において、前処理は、収集した細胞培養物に塩を添加することを含む。いくつかの実施形態において、前処理は、収集した細胞培養物に化学凝集剤を添加することを含む。いくつかの実施形態において、収集した細胞培養物は、深層フィルターに接触させる前に前処理されない。
【0198】
いくつかの実施形態において、生成培養物収集物は濾過によって清澄化され、これはWO2019/212921(参照によりその全体が本明細書に援用される)で開示されている。
【0199】
いくつかの実施形態において、rAAV生成培養物収集物は、生成培養物中に存在する高分子量DNAを消化するようにヌクレアーゼ(例えば、Benzonase(登録商標))またはエンドヌクレアーゼ(例えば、霊菌(Serratia marcescens)由来のエンドヌクレアーゼ)で処理される。ヌクレアーゼまたはエンドヌクレアーゼ消化は、当技術分野で知られている標準的な条件下でルーチン的に実施することができる。例えば、ヌクレアーゼ消化は、周囲温度から37℃までの範囲の温度の最終濃度1~2.5単位/mLのベンゾナーゼ(登録商標)で、30分~数時間の間実施される。
【0200】
無菌濾過は、無菌グレードフィルター媒体を用いた濾過を包含する。いくつかの実施形態において、無菌グレード濾過媒体は、0.2または0.22μmの細孔フィルターである。いくつかの実施形態において、無菌グレード濾過媒体は、ポリエーテルスルホン(PES)を含む。いくつかの実施形態において、無菌グレード濾過媒体は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含む。いくつかの実施形態において、無菌グレード濾過媒体は、親水性の不均一な二重層設計を有する。いくつかの実施形態において、無菌グレード濾過媒体は、0.8μmのプレフィルター及び0.2μmの最終フィルター膜の親水性の不均一な二重層設計を有する。いくつかの実施形態において、無菌グレード濾過媒体は、1.2μmのプレフィルター及び0.2μmの最終フィルター膜の親水性の不均一な二重層設計を有する。いくつかの実施形態において、無菌グレード濾過媒体は、0.2または0.22μmの細孔フィルターである。さらなる実施形態において、無菌グレード濾過媒体は、0.2μmの細孔フィルターである。いくつかの実施形態において、無菌グレード濾過媒体は、Sartopore(登録商標)2 XLG 0.2μm、Durapore(商標)PVDF膜0.45μm、またはSartoguard(登録商標)PES 1.2μm+0.2μmの名目孔径の組合せである。いくつかの実施形態において、無菌グレード濾過媒体は、Sartopore(登録商標)2 XLG 0.2μmである。
【0201】
いくつかの実施形態において、清澄化されたフィードは、クロマトグラフィー媒体、例えば、アフィニティークロマトグラフィー媒体に適用される前に、タンジェンシャルフロー濾過(「TFF」)を介して濃縮される。TFF限外濾過を用いたウイルスの大規模用濃度は、Paul et al.,Human Gene Therapy 4:609-615(1993)で説明されている。清澄化フィードのTFF濃度により、技術的に管理可能な量の清澄化フィードをクロマトグラフィーにかけることが可能になり、また、長い再循環時間を必要とせずにカラムをより合理的にサイジングすることが可能になる。いくつかの実施形態において、清澄化されたフィードは、少なくとも2倍から少なくとも10倍の間で濃縮される。いくつかの実施形態において、清澄化されたフィードは、少なくとも10倍から少なくとも20倍の間で濃縮される。いくつかの実施形態において、清澄化されたフィードは、少なくとも20倍から少なくとも50倍の間で濃縮される。いくつかの実施形態において、清澄化されたフィードは、約20倍に濃縮される。また、当業者は、透析濾過を介して清澄化されたフィードから小分子不純物(例えば、培地成分、血清アルブミン、または他の血清タンパク質を含む細胞培養不純物)を除去するためにTFFが使用されてもよいことも認識するであろう。いくつかの実施形態において、清澄化されたフィードは、小分子不純物を除去するために透析濾過に供される。いくつかの実施形態において、透析濾過は、約3から約10の間の透析濾過体積の緩衝液を使用することを含む。いくつかの実施形態において、透析濾過は、約5透析濾過体積の緩衝液を使用することを含む。また、当業者は、精製処理における次のステップを実施する前に緩衝液の交換が望ましい場合における精製プロセスの任意のステップでTFFが使用されてもよいことも認識するであろう。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される清澄化されたフィードからrAAVを単離するための方法は、緩衝液を交換するためのTFFの使用を含む。
【0202】
アフィニティークロマトグラフィーを使用して、組成物からrAAV粒子を単離することができる。いくつかの実施形態において、アフィニティークロマトグラフィーを使用して、清澄化されたフィードからrAAV粒子を単離する。いくつかの実施形態において、アフィニティークロマトグラフィーを使用して、タンジェンシャルフロー濾過に供されて清澄化されたフィードからrAAV粒子を単離する。好適なアフィニティークロマトグラフィー媒体は当技術分野で知られており、限定されるものではないが、AVB Sepharose(商標)、POROS(商標)CaptureSelect(商標)AAVXアフィニティー樹脂、POROS(商標)CaptureSelect(商標)AAV9アフィニティー樹脂、及びPOROS(商標)CaptureSelect(商標)AAV8アフィニティー樹脂が挙げられる。いくつかの実施形態において、アフィニティークロマトグラフィー媒体は、POROS(商標)CaptureSelect(商標)AAV9アフィニティー樹脂である。いくつかの実施形態において、アフィニティークロマトグラフィー媒体は、POROS(商標)CaptureSelect(商標)AAV8アフィニティー樹脂である。いくつかの実施形態において、アフィニティークロマトグラフィー媒体は、POROS(商標)CaptureSelect(商標)AAVXアフィニティー樹脂である。
【0203】
アニオン交換クロマトグラフィーを使用して、組成物からrAAV粒子を単離することができる。いくつかの実施形態において、アニオン交換クロマトグラフィーは、最終濃縮及び研磨ステップとしてアフィニティークロマトグラフィーの後に使用される。好適なアニオン交換クロマトグラフィー媒体は当技術分野で知られており、限定されるものではないが、UNOsphere(商標)Q(Biorad,Hercules,Calif.)、及びN-荷電アミノもしくはイミノ樹脂、例えば、POROS(商標)50 PI、または任意のDEAE、TMAE、3級もしくは4級アミン、または当技術分野で知られているPEIベース樹脂が挙げられる(米国特許第6,989,264号;Brument et al.,Mol.Therapy 6(5):678-686(2002);Gao et al.,Hum.Gene Therapy 11:2079-2091(2000))。いくつかの実施形態において、アニオン交換クロマトグラフィー媒体は、4級アミンを含む。いくつかの実施形態において、アニオン交換媒体は、モノリスアニオン交換クロマトグラフィー樹脂である。いくつかの実施形態において、モノリスアニオン交換クロマトグラフィー媒体は、グリシジルメタクリレート-エチレンジメタクリレートポリマーまたはスチレン-ジビニルベンゼンポリマーを含む。いくつかの実施形態において、モノリスアニオン交換クロマトグラフィー媒体は、CIMmultus(商標)QA-1アドバンストコンポジットカラム(4級アミン)、CIMmultus(商標)DEAE-1アドバンストコンポジットカラム(ジエチルアミノ)、CIM(登録商標)QAディスク(4級アミン)、CIM(登録商標)DEAE、及びCIM(登録商標)EDAディスク(エチレンジアミノ)からなる群より選択される。いくつかの実施形態において、モノリスアニオン交換クロマトグラフィー媒体は、CIMmultus(商標)QA-1アドバンストコンポジットカラム(4級アミン)である。いくつかの実施形態において、モノリスアニオン交換クロマトグラフィー媒体は、CIM(登録商標)QAディスク(4級アミン)である。いくつかの実施形態において、アニオン交換クロマトグラフィー媒体は、CIM QA(BIA Separations,Slovenia)である。いくつかの実施形態において、アニオン交換クロマトグラフィー媒体は、BIA CIM(登録商標)QA-80(カラム体積80mL)である。当業者は、rAAVが樹脂との結合を保ちながら不純物(限定されるものではないが、上流精製ステップによって導入され得る不純物を含む)が除去されるように、好適なイオン強度の洗浄緩衝液が特定され得ることを理解することができる。
【0204】
いくつかの実施形態において、アニオン交換クロマトグラフィーは、WO2019/241535(参照によりその全体が本明細書に援用される)で開示される方法に従って実施される。
【0205】
いくつかの実施形態において、rAAV粒子を単離する方法は、単離されたrAAV粒子を含む組成物中のベクターゲノム力価、カプシド力価、及び/または完全なカプシド:空のカプシドの比を定量することを含む。いくつかの実施形態において、ベクターゲノム力価は、定量的PCR(qPCR)またはデジタルPCR(dPCR)またはドロップレットデジタルPCR(ddPCR)によって定量される。いくつかの実施形態において、カプシド力価は、血清型特異的ELISAによって定量される。いくつかの実施形態において、完全なカプシド:空のカプシドの比は、分析用超遠心分離(AUC)または透過電子顕微鏡(TEM)によって定量される。
【0206】
いくつかの実施形態において、ベクターゲノム力価、カプシド力価、及び/または完全なカプシド:空のカプシドの比は、分光測光法により、例えば、260nmにおける組成物の吸光度を測定することにより、及び280nmにおける組成物の吸光度を測定することにより、定量される。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、組成物の吸光度を測定する前に変性されない。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、組成物の吸光度を測定する前に変性される。いくつかの実施形態において、260nm及び280nmにおける組成物の吸光度は、分光光度計を用いて定量される。いくつかの実施形態において、260nm及び280nmにおける組成物の吸光度は、HPLCを用いて定量される。いくつかの実施形態において、吸光度はピーク吸光度である。260nm及び280nmにおける組成物の吸光度を測定するためのいくつかの方法が、当技術分野で知られている。単離された組換えrAAV粒子を含む組成物のベクターゲノム力価及びカプシド力価を定量する方法は、WO2019/212922(参照によりその全体が本明細書に援用される)で開示されている。
【0207】
追加の実施形態において、本開示は、本明細書で開示される方法に従って生成された、単離されたrAAV粒子を含む組成物を提供する。いくつかの実施形態において、組成物は、医薬的に許容される担体を含む医薬組成物である。
【0208】
本明細書で使用する場合、「医薬的に許容される」という用語は、1つ以上の投与経路、in vivo送達または接触に適した、生物学的に許容される製剤、気体、液体、もしくは固体、またはこれらの混合物を意味する。「医薬的に許容される」組成物は、生物学的または他の点で望ましくないものではない材料であり、例えば、この材料は、実質的な望ましくない生物学的効果を引き起こすことなく対象に投与することができる。したがって、このような医薬組成物は、例えば、本開示の方法に従って単離されたrAAVを対象に投与する際に使用することができる。このような組成物としては、医薬投与またはin vivoでの接触または送達と適合性である、溶媒(水性または非水性)、溶液(水性または非水性)、エマルジョン(例えば、水中油または油中水)、懸濁液、シロップ、エリキシル、分散及び懸濁媒体、コーティング、等張性及び吸収の促進剤または遅延剤が挙げられる。水性及び非水性の溶媒、溶液、及び懸濁液は、懸濁剤及び増粘剤を含むことができる。このような医薬的に許容される担体としては、錠剤(コーティングされたまたはコーティングされていない)、カプセル(ハードまたはソフト)、マイクロビーズ、粉末、顆粒、及び結晶が挙げられる。補足活性化合物(例えば、防腐剤、抗微生物剤、抗ウイルス剤、及び抗真菌剤)も、組成物に組み込むことができる。医薬組成物は、本明細書で記載のように、または当業者に知られているように、特定の投与経路または送達経路と適合性であるように製剤化することができる。したがって、医薬組成物には、様々な経路による投与に適した担体、希釈剤、または賦形剤が含まれる。本発明のrAAV粒子ならびに方法及び使用に適切な医薬組成物及び送達系は、当技術分野で知られている(例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(2003)20th ed.,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.;Remington’s Pharmaceutical Sciences(1990)18th ed.,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.;The Merck Index(1996)12th ed.,Merck Publishing Group,Whitehouse,N.J.;Pharmaceutical Principles of Solid Dosage Forms(1993),Technonic Publishing Co.,Inc.,Lancaster,Pa.;Ansel and Stoklosa,Pharmaceutical Calculations(2001)11th ed.,Lippincott Williams & Wilkins,Baltimore,Md.;及びPoznansky et al.,Drug Delivery Systems (1980),R.L.Juliano,ed.,Oxford,N.Y.,pp.253-315を参照)。
【0209】
いくつかの実施形態において、組成物は、医薬単位用量である。「単位用量」とは、治療される対象のための単位薬用量として適した物理的に別々の単位を意味する。各単位は、任意選択で医薬担体(賦形剤、希釈剤、ビヒクル、または充填剤)と共に所定の量を含み、1回以上の用量で投与されたときに所望の効果(例えば、予防または治療効果)をもたらすように計算される。単位剤形は、例えば、アンプル及びバイアル内にあってもよく、これらは液体組成物、またはフリーズドライもしくは凍結乾燥状態の組成物を含むことができ、例えば、無菌液体担体をin vivoでの投与または送達の前に添加してもよい。個々の単位剤形は、多回用量キットまたは容器に含めることができる。組換えベクター(例えば、AAV)配列、プラスミド、ベクターゲノム、及び組換えウイルス粒子、ならびにこれらの医薬組成物は、投与を容易にし、薬用量を均一にするために、単一または複数の単位用量形態でパッケージ化することができる。いくつかの実施形態において、組成物は、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV14、AAV15、AAV16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、AAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、及びAAV.HSC16から選択されるAAVカプシド血清型からのAAVカプシドタンパク質を含むrAAV粒子を含む。いくつかの実施形態において、AAVカプシド血清型は、AAV8である。いくつかの実施形態において、AAVカプシド血清型は、AAV9である。
【0210】
組換えポリペプチドを生成する方法
1つの態様において、本開示は、組換えポリペプチドを生成する方法であって、(a)組換えポリペプチドの生成に適した細胞を含む細胞培養物を準備することであって、当該培養物が、約0.1mg/Lから約10mg/Lの間の硫酸デキストランを含む、準備することと、(b)a)の培養物に、ポリペプチドをコードする1つ以上のポリヌクレオチド及び形質移入試薬を含む組成物を添加することにより、細胞に形質移入することと、(c)形質移入された細胞を含む細胞培養物を、組換えポリペプチドの生成を可能にする条件下で維持することとを含む、方法を提供する。
【0211】
いくつかの実施形態において、a)の培養物は、約0.5mg/Lから約10mg/Lの間、約0.5mg/Lから約5mg/Lの間、約0.5mg/Lから約3mg/Lの間、約1mg/Lから約10mg/Lの間、約1mg/Lから約5mg/Lの間、約1mg/Lから約4mg/Lの間、または約1mg/Lから約3mg/Lの間の硫酸デキストランを含む。いくつかの実施形態において、a)の培養物は、約0.5mg/Lから約5mg/Lの間の硫酸デキストランを含む。いくつかの実施形態において、a)の培養物は、約1mg/Lから約5mg/Lの間の硫酸デキストランを含む。いくつかの実施形態において、a)の培養物は、約1mg/Lから約3mg/Lの間の硫酸デキストランを含む。
【0212】
いくつかの実施形態において、a)の培養物は、約0.5mg/L、約1mg/L、約1.5mg/L、約2mg/L、約2.5mg/L、約3mg/L、約4mg/L、または約5mg/Lの硫酸デキストランを含む。いくつかの実施形態において、a)の培養物は、約1mg/Lの硫酸デキストランを含む。いくつかの実施形態において、a)の培養物は、約1.5mg/Lの硫酸デキストランを含む。いくつかの実施形態において、a)の培養物は、約2mg/Lの硫酸デキストランを含む。いくつかの実施形態において、a)の培養物は、約2.5mg/Lの硫酸デキストランを含む。いくつかの実施形態において、a)の培養物は、約3mg/Lの硫酸デキストランを含む。いくつかの実施形態において、a)の培養物は、約3.5mg/Lの硫酸デキストランを含む。いくつかの実施形態において、a)の培養物は、約4mg/Lの硫酸デキストランを含む。
【0213】
いくつかの実施形態において、a)の培養物は、約2mg/Lの硫酸デキストランを含む。
【0214】
いくつかの実施形態において、本開示は、組換えポリペプチドを生成する方法であって、(a)組換えポリペプチドの生成に適した細胞を細胞培養物中で培養することであって、当該培養物が、約1mg/Lから約20mg/Lの間の開始硫酸デキストラン濃度及び約0.1mg/Lから約10mg/Lの間の最終硫酸デキストラン濃度を含む、培養することと、(b)a)の培養物に、ポリペプチドをコードする1つ以上のポリヌクレオチド及び形質移入試薬を含む組成物を添加することにより、細胞に形質移入することと、(c)形質移入された細胞を含む細胞培養物を、組換えポリペプチドの生成を可能にする条件下で維持することとを含む、方法を提供する。
【0215】
いくつかの実施形態において、開始硫酸デキストラン濃度は、約1mg/Lから約10mg/Lの間、約1mg/Lから約5mg/Lの間、約2mg/Lから約10mg/Lの間、約3mg/Lから約10mg/Lの間、または約3mg/Lから約5mg/Lの硫酸デキストランである。いくつかの実施形態において、開始硫酸デキストラン濃度は、約1mg/Lから約10mg/Lの間の硫酸デキストランである。いくつかの実施形態において、開始硫酸デキストラン濃度は、約2mg/Lから約10mg/Lの間の硫酸デキストランである。いくつかの実施形態において、開始硫酸デキストラン濃度は、約3mg/Lから約6mg/Lの間の硫酸デキストランである。
【0216】
いくつかの実施形態において、開始硫酸デキストラン濃度は、約2mg/L、約3mg/L、約4mg/L、約5mg/L、約6mg/L、約7mg/L、約8mg/L、約9mg/L、または約10mg/Lの硫酸デキストランである。いくつかの実施形態において、開始硫酸デキストラン濃度は、約2mg/Lの硫酸デキストランである。いくつかの実施形態において、開始硫酸デキストラン濃度は、約3mg/Lの硫酸デキストランである。いくつかの実施形態において、開始硫酸デキストラン濃度は、約4mg/Lの硫酸デキストランである。いくつかの実施形態において、開始硫酸デキストラン濃度は、約5mg/Lの硫酸デキストランである。いくつかの実施形態において、開始硫酸デキストラン濃度は、約6mg/Lの硫酸デキストランである。いくつかの実施形態において、開始硫酸デキストラン濃度は、約7mg/Lの硫酸デキストランである。いくつかの実施形態において、開始硫酸デキストラン濃度は、約8mg/Lの硫酸デキストランである。
【0217】
いくつかの実施形態において、開始硫酸デキストラン濃度は、約4mg/Lの硫酸デキストランである。
【0218】
いくつかの実施形態において、最終硫酸デキストラン濃度は、約0.5mg/Lから約10mg/Lの間、約0.5mg/Lから約5mg/Lの間、約0.5mg/Lから約3mg/Lの間、約1mg/Lから約10mg/Lの間、約1mg/Lから約5mg/Lの間、約1mg/Lから約4mg/Lの間、または約1mg/Lから約3mg/Lの間の硫酸デキストランである。いくつかの実施形態において、最終硫酸デキストラン濃度は、約0.5mg/Lから約5mg/Lの間の硫酸デキストランである。いくつかの実施形態において、最終硫酸デキストラン濃度は、約1mg/Lから約5mg/Lの間の硫酸デキストランである。いくつかの実施形態において、最終硫酸デキストラン濃度は、約1mg/Lから約3mg/Lの間の硫酸デキストランである。
【0219】
いくつかの実施形態において、最終硫酸デキストラン濃度は、約0.5mg/L、約1mg/L、約1.5mg/L、約2mg/L、約2.5mg/L、約3mg/L、約4mg/L、または約5mg/Lの硫酸デキストランである。いくつかの実施形態において、最終硫酸デキストラン濃度は、約1mg/Lの硫酸デキストランである。いくつかの実施形態において、最終硫酸デキストラン濃度は、約1.5mg/Lの硫酸デキストランである。いくつかの実施形態において、最終硫酸デキストラン濃度は、約2mg/Lの硫酸デキストランである。いくつかの実施形態において、最終硫酸デキストラン濃度は、約2.5mg/Lの硫酸デキストランである。いくつかの実施形態において、最終硫酸デキストラン濃度は、約3mg/Lの硫酸デキストランである。いくつかの実施形態において、最終硫酸デキストラン濃度は、約3.5mg/Lの硫酸デキストランである。いくつかの実施形態において、最終硫酸デキストラン濃度は、約4mg/Lの硫酸デキストランである。
【0220】
いくつかの実施形態において、最終硫酸デキストラン濃度は、約2mg/Lの硫酸デキストランである。
【0221】
いくつかの実施形態において、開始硫酸デキストラン濃度は、約1mg/Lから約10mg/Lの間、約1mg/Lから約5mg/Lの間、約2mg/Lから約10mg/Lの間、約3mg/Lから約10mg/Lの間、または約3mg/Lから約5mg/Lの間の硫酸デキストランであり、最終硫酸デキストラン濃度は、約0.5mg/Lから約10mg/Lの間、約0.5mg/Lから約5mg/Lの間、約0.5mg/Lから約3mg/Lの間、約1mg/Lから約10mg/Lの間、約1mg/Lから約5mg/Lの間、約1mg/Lから約4mg/Lの間、または約1mg/Lから約3mg/Lの間の硫酸デキストランである。いくつかの実施形態において、開始硫酸デキストラン濃度は、約3mg/Lから約6mg/Lの間の硫酸デキストランであり、最終硫酸デキストラン濃度は、約1mg/Lから約3mg/Lの間の硫酸デキストランである。
【0222】
いくつかの実施形態において、開始硫酸デキストラン濃度は、約2mg/L、約3mg/L、約4mg/L、約5mg/L、約6mg/L、約7mg/L、約8mg/L、約9mg/L、または約10mg/Lの硫酸デキストランであり、最終硫酸デキストラン濃度は、約0.5mg/L、約1mg/L、約1.5mg/L、約2mg/L、約2.5mg/L、約3mg/L、約4mg/L、または約5mg/Lの硫酸デキストランである。
【0223】
いくつかの実施形態において、開始硫酸デキストラン濃度は、約4mg/Lの硫酸デキストランであり、最終硫酸デキストラン濃度は、約2mg/Lの硫酸デキストランである。
【0224】
いくつかの実施形態において、1つ以上のポリヌクレオチドは導入遺伝子を含む。いくつかの実施形態において、導入遺伝子は、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに作用可能に結合した調節エレメントを含む。
【0225】
いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、抗体もしくはその抗原結合フラグメント、二重特異性抗体、酵素、融合タンパク質、またはFc融合タンパク質を含む。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、抗体またはその抗原結合フラグメントを含む。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、融合タンパク質(例えば、Fc融合タンパク質)を含む。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは酵素を含む。
【0226】
本明細書で使用する「抗体」という用語は、抗体全体及び抗体フラグメント(抗体の任意の機能的ドメイン、例えば、抗原結合フラグメントもしくはその一本鎖、エフェクタードメイン、サルベージ受容体結合エピトープ、またはこれらの一部を含む)を包含する。典型的な抗体は、少なくとも2本の重鎖(H鎖)及び2本の軽鎖(L鎖)がジスルフィド結合によって相互接続している。各重鎖は、重鎖可変領域(VH)及び重鎖定常領域から構成される。いくつかの実施形態において、重鎖定常領域は、3つのドメイン、CH1、CH2、及びCH3を含む。各軽鎖は、軽鎖可変領域(VL)及び軽鎖定常領域から構成される。いくつかの実施形態において、軽鎖定常領域は、1つのドメイン、C1を含む。VH及びVL領域は、相補性決定領域(CDR)と称される超可変性の領域にさらに細分することができ、この領域は、フレームワーク領域(FW)と称されるより保存的な領域と共に散在する。各VH及びVLは、3つのCDR及び4つのFWから構成されており、アミノ末端からカルボキシ末端にかけて以下の順:FW1、CDR1、FW2、CDR2、FW3、CDR3、FW4に並んでいる。重鎖及び軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含有する。抗体の定常領域は、免疫グロブリンが、宿主組織または因子(免疫システムの様々な細胞(例えば、エフェクター細胞)及び古典的相補システムの第1の構成要素(C1q)を含む)に結合するのを媒介し得る。本開示の抗体の非限定的なタイプとしては、典型的な抗体、scFv、及びこれらの組合せが挙げられる。
【0227】
「抗体フラグメント」という用語は、インタクトな抗体の一部を意味し、また抗体の任意の機能的ドメイン(例えば、抗原結合フラグメントまたはその一本鎖、エフェクタードメインまたはその一部)を意味する。抗体フラグメントの例としては、限定されるものではないが、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fvフラグメント、直鎖状抗体、一本鎖抗体、及び抗体フラグメントから形成される多重特異性抗体が挙げられる。本明細書で使用する場合、「抗体フラグメント」は、抗原結合部位またはエピトープ結合部位を含む。
【0228】
本明細書で使用する場合、「Fc領域」または単に「Fc」という用語は、免疫グロブリン鎖定常領域、好ましくは免疫グロブリン重鎖定常領域のカルボキシル末端部分、またはその一部を意味するものと理解されたい。例えば、免疫グロブリンFc領域は、(1)CH1ドメイン、CH2ドメイン、及びCH3ドメイン、(2)CH1ドメイン及びCH2ドメイン、(3)CH1ドメイン及びCH3ドメイン、(4)CH2ドメイン及びCH3ドメイン、または(5)2つ以上のドメイン及び免疫グロブリンヒンジ領域の組合せを含むことができる。いくつかの実施形態において、Fc領域は、少なくとも免疫グロブリンヒンジ領域、CH2ドメイン、及びCH3ドメインを含み、好ましくはCH1ドメインを欠く。いくつかの実施形態において、重鎖定常領域が由来する免疫グロブリンのクラスはIgG(Igγ)(γサブクラス1、2、3、または4)である。他のクラスの免疫グロブリン、IgA(Igα)、IgD(Igδ)、IgE(Igε)、及びIgM(Igμ)を使用することもできる。特定の結果を達成するために、特定の免疫グロブリンのクラス及びサブクラスから特定の免疫グロブリン重鎖定常領域配列を選択することは、当業者のレベルの範囲内であると考えられる。いくつかの実施形態において、免疫グロブリンFc領域をコードするDNAコンストラクトの一部は、好ましくは、ヒンジドメインの少なくとも一部を含み、好ましくは、FcガンマのCH3ドメインまたはIgA、IgD、IgE、もしくはIgMのいずれかの相同ドメインの少なくとも一部を含む。さらに、免疫グロブリン重鎖定常領域内のアミノ酸の置換または欠失が、本明細書で開示される方法及び組成物の実施に有用であることが企図されている。一例として、上方のCH2領域にアミノ酸置換を導入して、Fc受容体に対する親和性が低減したFcバリアントを作出することが考えられる(Cole,J.Immunol.159:3613(1997))。
【0229】
特定の宿主細胞内で組換えポリペプチドを生成するのに適した様々な組換え発現系が当業者に知られている。任意の組換え発現系を、本明細書で開示される方法に従った組換えポリペプチドの生成に使用することができることを理解されたい。
【0230】
当技術分野で知られている細胞に形質移入するための任意の好適な形質移入試薬を、本明細書で開示される方法に従った組換えポリペプチドの生成に使用することができる。いくつかの実施形態において、形質移入試薬はカチオン性有機キャリアを含む。例えば、Gigante et al.,Medchemcomm 10(10):1692-1718(2019);Damen et al.Medchemcomm 9(9):1404-1425(2018)(これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に援用される)を参照。いくつかの実施形態において、カチオン性有機キャリアは、脂質、例えば、DOTMA、DOTAP、ヘルパー脂質(Dope、コレステロール)、及びこれらの組合せを含む。いくつかの実施形態において、カチオン性有機キャリアは、多価カチオン性脂質、例えば、DOSPA、DOGS、及びこれらの混合物を含む。いくつかの実施形態において、カチオン性有機キャリアは、双極性脂質、またはボラ両親媒性物質(bolaamphiphile)(ボラ)を含む。いくつかの実施形態において、カチオン性有機キャリアは、生物学的還元性及び/または二量体化可能な脂質を含む。いくつかの実施形態において、カチオン性有機キャリアは、ジェミニ界面活性剤を含む。いくつかの実施形態において、カチオン性有機キャリアは、Lipofectin(商標)、Transfectam(商標)、Lipofectamine(商標)、Lipofectamine 2000(商標)、またはLipofectamin PLUS 2000(商標)を含む。いくつかの実施形態において、カチオン性有機キャリアは、ポリマー、例えば、ポリ(L-リジン)(PLL)、ポリエチレンイミン(PEI)、多糖(キトサン、デキストラン、シクロデキストリン(CD))、ポリ[2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート](PDMAEMA)、及びデンドリマー(ポリアミドアミン(PAMAM)、ポリ(プロピレンイミン)(PPI))を含む。いくつかの実施形態において、カチオン性有機キャリアは、ペプチド、例えば、塩基性アミノ酸に富むペプチド(CWL18)、細胞透過性ペプチド(CPP)(Argに富むペプチド(オクタアルギニン、TAT))、核局在化シグナル(NLS)(SV40)、及びターゲティング(RGD)を含む。いくつかの実施形態において、カチオン性有機キャリアは、カチオン性リポソームと組み合わせたポリマー(例えば、PEI)を含む。Paris et al.,Molecules 25(14):3277(2020)(参照によりその全体が本明細書に援用される). いくつかの実施形態において、形質移入試薬は、リン酸カルシウム、高度に分岐した有機化合物(デンドリマー)、カチオン性ポリマー(例えば、DEAEデキストランまたはポリエチレンイミン(PEI))、リポフェクションを含む。
【0231】
いくつかの実施形態において、形質移入試薬は、ポリ(L-リジン)(PLL)、ポリエチレンイミン(PEI)、直鎖状PEI、分枝状PEI、デキストラン、シクロデキストリン(CD)、ポリ[2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート](PDMAEMA)、ポリアミドアミン(PAMAM)、ポリ(プロピレンイミン)(PPI))、またはこれらの混合物を含む。いくつかの実施形態において、形質移入試薬は、ポリエチレンイミン(PEI)、直鎖状PEI、分枝状PEI、またはこれらの混合物を含む。いくつかの実施形態において、形質移入試薬はポリエチレンイミン(PEI)を含む。いくつかの実施形態において、形質移入試薬は直鎖状PEIを含む。いくつかの実施形態において、形質移入試薬は分枝状PEIを含む。いくつかの実施形態において、形質移入試薬は、約5から約25kDaの間の分子量を有するポリエチレンイミン(PEI)を含む。いくつかの実施形態において、形質移入試薬はPEG化ポリエチレンイミン(PEI)を含む。いくつかの実施形態において、形質移入試薬は、疎水性部位(例えば、コレステロール、コリン、アルキル基、及びいくつかのアミノ酸)が付着した修飾ポリエチレンイミン(PEI)を含む。
【0232】
当技術分野で知られている任意の細胞培養系を、本明細書で開示される方法に従った組換えポリペプチドの生成に使用することができる。いくつかの実施形態において、細胞培養物は浮遊細胞培養物である。いくつかの実施形態において、細胞培養物は接着細胞培養物である。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、撹拌バイオリアクター内でマイクロキャリアまたはマクロキャリアに付着して成長した接着性細胞を含む。いくつかの実施形態において、細胞培養物は灌流培養物である。いくつかの実施形態において、細胞培養物は交互タンジェンシャルフロー(ATF)支持高密度灌流培養物である。
【0233】
いくつかの実施形態において、細胞は、哺乳類細胞または昆虫細胞を含む。いくつかの実施形態において、細胞は、哺乳類細胞を含む。いくつかの実施形態において、細胞は、HEK293細胞、HEK由来細胞、CHO細胞、CHO由来細胞、HeLa細胞、SF-9細胞、BHK細胞、ベロ細胞、及び/またはPerC6細胞を含む。いくつかの実施形態において、細胞は、HEK293細胞を含む。
【0234】
いくつかの実施形態において、細胞は、浮遊適応性細胞を含む。いくつかの実施形態において、細胞は、浮遊適応性のHeLa細胞、HEK293細胞、HEK293由来細胞(例えば、HEK293T細胞、HEK293F細胞)、ベロ細胞、CHO細胞、CHO-K1細胞、CHO由来細胞、EB66細胞、BSC細胞、HepG2細胞、LLC-MK細胞、CV-1細胞、COS細胞、MDBK細胞、MDCK細胞、CRFK細胞、RAF細胞、RK細胞、TCMK-1細胞、LLCPK細胞、PK15細胞、LLC-RK細胞、MDOK細胞、BHK細胞、BHK-21細胞、NS-1細胞、MRC-5細胞、WI-38細胞、BHK細胞、3T3細胞、293細胞、RK細胞、Per.C6細胞、ニワトリ胚細胞、またはSF-9細胞を含む。いくつかの実施形態において、細胞は、浮遊適応性のHEK293細胞、HEK293由来細胞(例えば、HEK293T細胞、HEK293F細胞)、CHO細胞、CHO-K1細胞、またはCHO由来細胞を含む。いくつかの実施形態において、細胞は、浮遊適応性HEK293細胞を含む。いくつかの実施形態において、細胞は、浮遊適応性CHO細胞を含む。
【0235】
いくつかの実施形態において、細胞培養物は、約50リットルから約20,000リットルの間の体積を有する。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、約50リットルから約5,000リットルの間の体積を有する。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、約50リットルから約2,000リットルの間の体積を有する。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、約50リットルから約1,000リットルの間の体積を有する。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、約50リットルから約500リットルの間の体積を有する。
【0236】
いかなる特定の理論にも束縛されるものではないが、本明細書で開示される方法は、形質移入の効率を増加させ、その結果、本明細書で開示される方法に従って形質移入された細胞は、硫酸デキストランを含まない細胞培養物中で形質移入された対照細胞よりも、多くの組換えポリペプチドを生成する。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、硫酸デキストランを含まない細胞培養物を用いた対照方法よりも、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、または少なくとも約50%多くの組換えポリペプチドを生成する。組換えポリペプチド生成を測定する方法は、当技術分野でよく知られている。いくつかの実施形態において、組換えポリペプチド生成は、ウェスタンブロッティング、ELISアッセイ、または機能的アッセイ(例えば、組換え発現ポリペプチドの触媒活性を測定するためのアッセイ)を用いて測定される。
【0237】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示される組換えポリペプチドを生成する方法はさらに、ポリペプチドを単離することを含む。組換え発現ポリペプチドを単離するための様々な方法が当業者に知られている。組換え発現ポリペプチドを単離するための任意の知られている方法を、本明細書で開示される方法に従って使用することができることを理解されたい。いくつかの実施形態において、組換え発現ポリペプチドを単離する方法は、細胞培養物の収集、(例えば、遠心分離もしくは深層濾過による)収集した細胞培養物の清澄化、タンジェンシャルフロー濾過、アフィニティークロマトグラフィー、アニオン交換クロマトグラフィー、カチオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、疎水相互作用クロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、無菌濾過、またはこれらの任意の組合せ(複数可)を含む。いくつかの実施形態において、下流処理は、細胞培養物の収集、(例えば、遠心分離または深層濾過による)収集した細胞培養物の清澄化、タンジェンシャルフロー濾過、アフィニティークロマトグラフィー、アニオン交換クロマトグラフィー、カチオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、疎水相互作用クロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、及び無菌濾過のうちの少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、または少なくとも6つを含む。
【実施例】
【0238】
実施例1:硫酸デキストランは、一過性形質移入に基づく系で驚くほどAAV生成を増加させる。
本発明者らは、驚くべきことに、硫酸デキストランが、一過性形質移入に基づく生成方法でAAV力価を増加可能であることを見出した。交互タンジェンシャルフロー(ATF)支持高密度灌流培養技術について試験して、大規模な一過性形質移入に基づくAAV生成培養物のためのシード細胞を生成した。高密度灌流リアクターからの浮遊適応性HEK細胞を生成培養物の播種に使用した場合、組換えAAVの生成は5倍低減した。力価が低下した原因として考えられることは、高密度灌流培養物でもたらされたシード細胞の凝集の増加であり、これが、播種密度及び成長速度のばらつき、ならびに不正確な形質移入試薬濃度をもたらした可能性がある。硫酸デキストランのような細胞培養物添加剤は、凝集を低減することが知られていたものの、これらの薬剤は一過性形質移入を妨害することが知られているため、これらの薬剤の使用は、一過性形質移入のための細胞の生成においては有力な選択肢とみなされていなかった。例えば、Gengら(2007)は55ページにおいて、硫酸デキストランがPEI媒介性形質移入を完全に阻害すると結論付けている。同様に、最近発表されたPALL(登録商標)Biotechによる“Guide for DNA Transfection in iCELLis(登録商標)500 and iCELLis 500+ Bioreactors for Large Scale Gene Therapy Vector Manufacturing”では、9ページにおいて、硫酸デキストランがPEI媒介性形質移入を阻害することを教示している。
【0239】
硫酸デキストランが形質移入を阻害するという教示があるにもかかわらず、本発明者らは、一過性形質移入に基づくAAV生成系で硫酸デキストランがAAV力価に及ぼす影響について試験を行った。HEK293細胞の一過性形質移入により、組換えAAVを生成した。簡潔に説明すると、HEK293細胞を、250mlの振とうフラスコで48時間、0.3~10mg/Lの硫酸デキストランを含む培地中で増やした。ポリエチレンイミン(PEI)と、アデノウイルスヘルパー機能、導入遺伝子、及びAAV Cap/Repをコードする3つのプラスミドとの混合物を細胞に形質移入した。形質移入した培養物を、形質移入後の5日間維持してAAV生成を可能にした。PCRに基づく方法を用いて、培養物上清中のAAV力価を定量した。導入遺伝子1及び導入遺伝子2を含む組換えAAV8を用いて得られた力価を、それぞれ
図1及び2に示す。驚くべきことに、0.652mg/Lから2.5mg/Lの間の濃度(
図1)、及び1.7mg/Lから3.6mg/Lの間の濃度で硫酸デキストランが存在すると、AAV力価の増加がもたらされた。この知見は、硫酸デキストランが一過性形質移入を阻害するという先行技術の明確な教示を考慮すれば予想外であるが、この教示は、10mg/L以上の硫酸デキストラン(
図1)がAAV生成を阻害したという知見とは整合するものである。硫酸デキストランは、0.313mg/Lで使用した場合、AAV力価に及ぼす有意な効果を有しなかった(
図1)。
【0240】
実施例2:ベンチスケール2Lリアクターにおいて硫酸デキストランがAAV力価に及ぼす効果。
ベンチスケールリアクター内で、硫酸デキストランが形質移入に基づくAAV生成に及ぼす効果について調べた。HEK293細胞の一過性形質移入により、導入遺伝子2を含む組換えAAV8を生成した。簡潔に説明すると、HEK293細胞を、2Lリアクター内で3日間、様々な濃度の硫酸デキストランを含む培地中で増やした。ポリエチレンイミン(PEI)と、アデノウイルスヘルパー機能、導入遺伝子、及びAAV Cap/Repをコードする3つのプラスミドとの混合物を細胞に形質移入した。形質移入した培養物を、形質移入後の4日間維持してAAV生成を可能にした。AAV粒子を、培養物上清から、または細胞溶解後の培養物から回収した。
図3。細胞密度及び細胞生存率を毎日定量した。
図5及び
図6。細胞形態を4日目に評価した(
図4)。2.5~4.2mg/Lの硫酸デキストラン濃度範囲は、2Lリアクターでの形質移入を阻害せず、生存率及び生細胞密度の増加を含めて細胞形態に有益であった。
【0241】
実施例3:ベンチスケール5Lリアクターにおいて硫酸デキストランがAAV力価に及ぼす効果。
ベンチスケールリアクター内で、硫酸デキストランが形質移入に基づくAAV生成に及ぼす効果について調べた。HEK293細胞の一過性形質移入により、導入遺伝子2を含む組換えAAV8を生成した。簡潔に説明すると、HEK293細胞を、5Lリアクターで3日間、4mg/Lの硫酸デキストランを含む培地中で増やした。形質移入の前に、培養物を新鮮培地で1:1に希釈して2mg/Lの硫酸デキストラン濃度を得た。ポリエチレンイミン(PEI)と、アデノウイルスヘルパー機能、導入遺伝子、及びAAV Cap/Repをコードする3つのプラスミドとの混合物を用いて細胞に形質移入した。形質移入した培養物を、形質移入後の4日間維持してAAV生成を可能にした。AAV粒子を、培養物上清から、または細胞溶解後の培養物から回収した。AAV上清または溶解力価は、硫酸デキストランの添加により、それぞれ平均35~40%増加した。
図7。
【0242】
実施例4:異なる培養基中で硫酸デキストランがAAV力価に及ぼす効果。
市販の異なる培養基(
図8のM1、M2、及びM3)中で、硫酸デキストランが形質移入に基づくAAV生成に及ぼす効果について調べた。HEK293細胞の一過性形質移入により、導入遺伝子2を含む組換えAAV8を生成した。簡潔に説明すると、HEK293細胞を、2Lリアクターで3日間、4mg/Lの硫酸デキストランを含む異なる培養基中で増やした。形質移入の前に、培養物を新鮮培地で1:1に希釈して2mg/Lの硫酸デキストラン濃度を得た。ポリエチレンイミン(PEI)と、アデノウイルスヘルパー機能、導入遺伝子、及びAAV Cap/Repをコードする3つのプラスミドとの混合物を細胞に形質移入した。形質移入した培養物を、形質移入後の4日間維持してAAV生成を可能にした。AAV粒子を、培養物上清から、または細胞溶解後の培養物から回収した。
図8。M1、M2、及びM3培地において、硫酸デキストランを培養に含めると、細胞の溶解から回収される力価がそれぞれ25%、130%、及び10%増加した。
【0243】
実施例5:異なる宿主細胞クローンを用いた場合に硫酸デキストランがAAV力価に及ぼす効果。
異なるHEK293宿主細胞クローンを用いて、硫酸デキストランが形質移入に基づくAAV生成に及ぼす効果について調べた。異なるHEK293細胞クローンの一過性形質移入により、導入遺伝子2を含む組換えAAV8を生成した。簡潔に説明すると、HEK293細胞クローンを、振とうフラスコで3日間、4mg/Lの硫酸デキストランを含む培養基中で増やした。形質移入の前に、培養物を新鮮培地で1:1に希釈して2mg/Lの硫酸デキストラン濃度を得た。ポリエチレンイミン(PEI)と、アデノウイルスヘルパー機能、導入遺伝子、及びAAV Cap/Repをコードする3つのプラスミドとの混合物を細胞に形質移入した。形質移入した培養物を、形質移入後の4日間維持してAAV生成を可能にした。AAV粒子を培養物上清から回収した。
図9。AAV8力価は、調べた5つ全てのHEK細胞クローンにおいて、硫酸デキストランを含めることで増加した。AAV8力価は、5つの異なるHEK細胞クローンにおいて、硫酸デキストランを含めることで平均18%増加した。
【0244】
実施例6:ベンチスケール5Lリアクターにおいて硫酸デキストランがAAV9力価に及ぼす効果。
ベンチスケールリアクター内で、硫酸デキストランが形質移入に基づくAAV9生成に及ぼす効果について調べた。HEK293細胞の一過性形質移入により、導入遺伝子3を含む組換えAAV9を生成した。簡潔に説明すると、HEK293細胞を、5Lリアクターで3日間、硫酸デキストランを4mg/Lの濃度で含む培地中で増やした。形質移入の前に、培養物を新鮮培地で1:1に希釈して2mg/Lの硫酸デキストラン濃度を得た。ポリエチレンイミン(PEI)と、アデノウイルスヘルパー機能、導入遺伝子、及びAAV Cap/Repをコードする3つのプラスミドとの混合物を細胞に形質移入した。形質移入した培養物を、形質移入後の5日間維持してAAV生成を可能にした。
図10。AAV9上清の力価は、硫酸デキストランを含めることで平均30%増加した。
【0245】
実施例7:硫酸デキストランが、形質移入前のシード細胞トレイン中及び生成培養中の両方に使用した場合にAAV力価に及ぼす効果(導入遺伝子3)。
200L生成培養物中のHEK293細胞の一過性形質移入により、導入遺伝子3を含む組換えAAV9を生成した。4mg/L硫酸デキストランの存在下での高密度灌流培養ステップを含むシードトレインを用いて、HEK細胞を増やした。200Lの生成培養物にHEKシード細胞を接種し、形質移入の前に、硫酸デキストラン濃度を生成培養物中2mg/Lに調整した。ポリエチレンイミン(PEI)と、アデノウイルスヘルパー機能、導入遺伝子、及びAAV Cap/Repをコードする3つのプラスミドとの混合物を細胞に形質移入した。形質移入した培養物を、形質移入後の5日間維持してAAV生成を可能にした。培養物上清(
図11の黒色の棒)または細胞溶解後の培養物(
図11の灰色の棒)のいずれかからAAV粒子を回収した。対照生成培養物には、硫酸デキストラン非存在下で増やしたHEKシード細胞を接種した。
図11。シード細胞増殖中及び生成培養物の形質移入中の両方に硫酸デキストランを使用した場合、AAV9力価は30%増加した。
【0246】
実施例8:硫酸デキストランが、形質移入前のシードトレイン中及び生成培養中の両方に使用した場合にAAV力価に及ぼす効果(導入遺伝子1)。
ベンチスケールリアクター内で、シードトレイン中の硫酸デキストランが形質移入に基づくAAV生成に及ぼす効果について調べた。HEK293細胞の一過性形質移入により、導入遺伝子1を含む組換えAAV8を生成した。簡潔に説明すると、HEK293細胞を、硫酸デキストランを含むまたは含まない培地中で5継代(18日間)増やした。次いで細胞を、三重反復の2Lリアクターで3日間、4mg/Lの硫酸デキストランを含むまたは含まない(0)培地(シードトレイン)中で増やした。形質移入の前に、培養物を新鮮培地で1:1に希釈して、それぞれ2mg/Lまたは0の硫酸デキストラン濃度を得た。ポリエチレンイミン(PEI)と、アデノウイルスヘルパー機能、導入遺伝子、及びAAV Cap/Repをコードする3つのプラスミドとの混合物を細胞に形質移入した。形質移入した培養物を、形質移入後の4日間維持してAAV生成を可能にした。AAV粒子を、細胞の溶解後に培養物から回収した。AAV溶解力価は、硫酸デキストランをシードトレイン及び生成培養物に含めることで平均10~15%増加した(統計的有意差p<0.05)。
図12。
【0247】
本開示の方法は、現在最も実用的で好ましい実施形態であると考えられるものと共に説明してきたが、本開示に包含される方法は、開示された実施形態に限定されるべきではなく、逆に、添付の請求項の趣旨及び範囲に含まれる様々な変更及び同等のアレンジを網羅するように意図されていることを理解されたい。
【0248】
本明細書で引用された全ての刊行物、特許、特許出願、インターネットサイト、及びアクセッション番号/データベースの配列(ポリヌクレオチド配列及びポリペプチド配列の両方を含む)は、各々の個別の刊行物、特許、特許出願、インターネットサイト、またはアクセッション番号/データベースの配列が、具体的かつ個別に参照によって援用されるのと同程度に、あらゆる目的において、参照によりこれらの全体が本明細書に援用される。
【国際調査報告】