(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-29
(54)【発明の名称】肝線維症をモニタリングする磁気共鳴及び超音波せん断波エラストグラフィの解釈の向上のための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 8/08 20060101AFI20240122BHJP
A61B 5/055 20060101ALI20240122BHJP
【FI】
A61B8/08
A61B5/055 382
A61B5/055 390
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023545256
(86)(22)【出願日】2022-01-25
(85)【翻訳文提出日】2023-07-26
(86)【国際出願番号】 EP2022051522
(87)【国際公開番号】W WO2022161915
(87)【国際公開日】2022-08-04
(32)【優先日】2021-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】サデギ セイェダリ
(72)【発明者】
【氏名】エリコ クラウディア
(72)【発明者】
【氏名】クルエッカー ヨヘン
(72)【発明者】
【氏名】シエ フア
【テーマコード(参考)】
4C096
4C601
【Fターム(参考)】
4C096AA18
4C096AC05
4C096AD06
4C096BA18
4C096FC20
4C601DD19
4C601DD23
4C601EE09
4C601LL33
(57)【要約】
第1のイメージングモダリティと第2のイメージングモダリティとの間でのせん断波エラストグラフィの解釈の向上のための方法及びシステム100は、関心領域33の少なくとも1つの第2のイメージングモダリティエラストグラフィ値32、60を取得するために、第1のイメージングモダリティ10とは異なる第2のイメージングモダリティ20によりエラストグラフィ測定を行うことを有する。少なくとも1つの対応する第1のイメージングモダリティエラストグラフィ値36、38、62は、取得された第2のイメージングモダリティエラストグラフィ値に基づいて予測される。(i)関心領域の線維症レベル521を示す、グラフィカルユーザインタフェース又はスマートレポートダッシュボード50が生成され、線維症レベルは、(i)(a)少なくとも1つの第2のイメージングモダリティエラストグラフィ値32及び/又は(i)(b)予測された少なくとも1つの対応する第1のイメージングモダリティエラストグラフィ値36、38に応じて決定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のイメージングモダリティと第2のイメージングモダリティとの間でのせん断波エラストグラフィの解釈の向上のための方法であって、前記方法は、
関心領域の少なくとも1つの第2のイメージングモダリティエラストグラフィ値を取得するために、前記第1のイメージングモダリティとは異なる前記第2のイメージングモダリティによりエラストグラフィ測定を行うステップと、
プロセッサにより、取得された前記第2のイメージングモダリティエラストグラフィ値に基づいて少なくとも1つの対応する第1のイメージングモダリティエラストグラフィ値を予測するステップと、
前記プロセッサ及びディスプレイにより、(i)前記関心領域の線維症レベルを含むスマートレポートダッシュボードを生成するステップであって、前記線維症レベルは、(i)(a)前記少なくとも1つの第2のイメージングモダリティエラストグラフィ値及び/又は(i)(b)予測された前記少なくとも1つの対応する第1のイメージングモダリティエラストグラフィ値に応じて決定される、スマートレポートダッシュボードを生成するステップと、
を有する、方法。
【請求項2】
前記第2のイメージングモダリティは、(i)磁気共鳴せん断波エラストグラフィ(MRE)と(ii)超音波せん断波エラストグラフィ(UE)との間で選択され、前記第1のイメージングモダリティは、前記第2のイメージングモダリティの選択されていない方のイメージングモダリティを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2のイメージングモダリティにより取得されたエラストグラフィ値は、前記第1のイメージングモダリティにより取得されたエラストグラフィ値と同等ではない、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの第2のイメージングモダリティエラストグラフィ値及び予測された前記少なくとも1つの対応する第1のイメージングモダリティエラストグラフィ値はそれぞれ、(i)剛性マップ及び(ii)kPa単位の剛性値のうちの1つ又は複数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記プロセッサにより、前記少なくとも1つの第2のイメージングモダリティエラストグラフィ値に関連する信頼スコアを予測するステップであって、予測された前記信頼スコアは、前記第2のイメージングモダリティエラストグラフィ測定に基づいて複数の線維症レベルF0~F4のそれぞれにおける信頼パーセンテージの中で最も高い信頼パーセンテージを含む、信頼スコアを予測するステップと、
前記プロセッサにより、前記最も高い信頼パーセンテージを有する前記線維症レベルに基づいて予測された線維症レベルを選択するステップと、
をさらに有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記スマートレポートダッシュボードは、(ii)前記関心領域のベースライン線維症レベルをさらに含み、前記ベースライン線維症レベルは、前記関心領域の少なくとも1つのベースライン第1のイメージングモダリティエラストグラフィ値を取得するように前記第1のイメージングモダリティにより行われたベースラインエラストグラフィ測定に基づいて決定されており、前記ベースラインエラストグラフィ測定は、前記第2のイメージングモダリティによる前記エラストグラフィ測定前に行われている、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記スマートレポートダッシュボードは、(iii)(a)取得された前記少なくとも1つの第2のイメージングモダリティエラストグラフィ値に基づいて予測された前記少なくとも1つの第1のイメージングモダリティエラストグラフィ値と、(iii)(b)前記少なくとも1つのベースライン第1のイメージングモダリティエラストグラフィ値との間での(iii)エラストグラフィ値のパーセンテージ変化をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記スマートレポートダッシュボードは、(iv)前記関心領域の前記少なくとも1つの第2のイメージングモダリティエラストグラフィ値、(v)前記関心領域の予測された前記少なくとも1つの対応する第1のイメージングモダリティエラストグラフィ値、及び(vi)前記少なくとも1つの第2のイメージングモダリティエラストグラフィ値に関連する信頼スコアをさらに含み、前記信頼スコアは、0~100パーセントの間のパーセンテージであり、前記少なくとも1つの第2のイメージングモダリティエラストグラフィ値に基づく前記線維症レベルにおける信頼レベルを表す、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの対応する第1のイメージングモダリティエラストグラフィ値を予測するステップは、前記少なくとも1つの対応する第1のイメージングモダリティエラストグラフィ値を予測するために深層学習ベースのアルゴリズムを開始するステップを有し、前記深層学習ベースのアルゴリズムは、敵対的生成ネットワーク(GAN)及び畳み込みニューラルネットワーク(CNN)からなる群から選択されるアルゴリズムを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記プロセッサ及び第2の深層学習ベースのアルゴリズムにより、前記少なくとも1つの第2のイメージングモダリティエラストグラフィ値に関連する信頼スコアを決定するステップであって、前記信頼スコアを決定するステップは、前記深層学習ベースのアルゴリズムを開始するステップと同時に自動的に起動され、前記信頼スコアは、前記少なくとも1つの第2のイメージングモダリティエラストグラフィ値に基づく前記線維症レベルのリアルタイム分類又は前記線維症レベルの信頼レベルをさらに提供する、信頼スコアを決定するステップをさらに有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
第1のイメージングモダリティと第2のイメージングモダリティとの間でのせん断波エラストグラフィの解釈の向上のためのシステムであって、
前記第2のイメージングモダリティから取得されたエラストグラフィ測定に関係するイメージングデータを受信する入力部と、
関心領域の少なくとも1つの第2のイメージングモダリティエラストグラフィ値を取得するために、前記第1のイメージングモダリティとは異なる前記第2のイメージングモダリティによりエラストグラフィ測定を行い、
取得された前記第2のイメージングモダリティエラストグラフィ値に基づいて少なくとも1つの対応する第1のイメージングモダリティエラストグラフィ値を予測し、かつ
(i)前記関心領域の線維症レベルを含むスマートレポートダッシュボードを生成することであって、前記線維症レベルは、(i)(a)前記少なくとも1つの第2のイメージングモダリティエラストグラフィ値及び/又は(i)(b)予測された前記少なくとも1つの対応する第1のイメージングモダリティエラストグラフィ値に応じて決定される、スマートレポートダッシュボードを生成する、コントローラと、
前記スマートレポートダッシュボードを表示するために前記コントローラと通信するディスプレイと、
を備える、システム。
【請求項12】
前記第2のイメージングモダリティは、(i)磁気共鳴せん断波エラストグラフィ(MRE)と(ii)超音波せん断波エラストグラフィ(UE)との間で選択され、前記第1のイメージングモダリティは、前記第2のイメージングモダリティの選択されていない方のイメージングモダリティを含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記第2のイメージングモダリティにより取得されたエラストグラフィ値は、前記第1のイメージングモダリティにより取得されたエラストグラフィ値と同等ではない、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記少なくとも1つの第2のイメージングモダリティエラストグラフィ値及び予測された前記少なくとも1つの対応する第1のイメージングモダリティエラストグラフィ値はそれぞれ、(i)剛性マップ及び(ii)kPa単位の剛性値のうちの1つ又は複数を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記コントローラは、さらに、
前記少なくとも1つの第2のイメージングモダリティエラストグラフィ値に関連する信頼スコアを予測することであって、予測された前記信頼スコアは、前記第2のイメージングモダリティエラストグラフィ測定に基づいて複数の線維症レベルF0~F4のそれぞれにおける信頼パーセンテージの中で最も高い信頼パーセンテージを含む、信頼スコアを予測し、かつ
前記最も高い信頼パーセンテージを有する前記線維症レベルに基づいて予測された線維症レベルを選択する、請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
前記スマートレポートダッシュボードは、前記関心領域の(ii)ベースライン線維症レベルをさらに含み、前記ベースライン線維症レベルは、前記関心領域の少なくとも1つのベースライン第1のイメージングモダリティエラストグラフィ値を取得するように前記第1のイメージングモダリティにより行われたベースラインエラストグラフィ測定に基づいて決定されており、前記ベースラインエラストグラフィ測定は、前記第2のイメージングモダリティによる前記エラストグラフィ測定前に行われている、請求項11に記載のシステム。
【請求項17】
前記スマートレポートダッシュボードは、(iii)(a)取得された前記少なくとも1つの第2のイメージングモダリティエラストグラフィ値に基づいて予測された前記少なくとも1つの第1のイメージングモダリティエラストグラフィ値と、(iii)(b)前記少なくとも1つのベースライン第1のイメージングモダリティエラストグラフィ値との間での(iii)エラストグラフィ値のパーセンテージ変化をさらに含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記スマートレポートダッシュボードは、(iv)前記関心領域の前記少なくとも1つの第2のイメージングモダリティエラストグラフィ値、(v)前記関心領域の予測された前記少なくとも1つの対応する第1のイメージングモダリティエラストグラフィ値、及び(vi)前記少なくとも1つの第2のイメージングモダリティエラストグラフィ値に関連する信頼スコアをさらに含み、前記信頼スコアは、0~100パーセントの間のパーセンテージであり、前記少なくとも1つの第2のイメージングモダリティエラストグラフィ値に基づく前記線維症レベルにおける信頼レベルを表す、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記少なくとも1つの対応する第1のイメージングモダリティエラストグラフィ値を予測することは、前記少なくとも1つの対応する第1のイメージングモダリティエラストグラフィ値を予測するために深層学習ベースのアルゴリズムを開始することを有し、前記深層学習ベースのアルゴリズムは、敵対的生成ネットワーク(GAN)及び畳み込みニューラルネットワーク(CNN)からなる群から選択されるアルゴリズムを含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項20】
前記プロセッサは、さらに、
前記少なくとも1つの第2のイメージングモダリティエラストグラフィ値に関連する信頼スコアを決定することであって、前記信頼スコアを決定することは、前記深層学習ベースのアルゴリズムを開始することと同時に自動的に起動され、前記信頼スコアは、前記少なくとも1つの第2のイメージングモダリティエラストグラフィ値に基づく前記線維症レベルのリアルタイム分類又は前記線維症レベルの信頼レベルをさらに提供する、信頼スコアを決定する、請求項18に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本実施形態は一般に、エラストグラフィに関し、より詳細には、肝線維症をモニタリングする磁気共鳴及び超音波せん断波エラストグラフィの解釈の向上のための装置並びにその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 肝疾患は米国において12番目の主な死亡原因である。B型肝炎、C型肝炎、及び非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)などの肝疾患の様々な原因は、肝臓に瘢痕化を引き起こす。瘢痕化は、治療せずに放置すると、肝疾患の進んだ状態である肝線維症につながる可能性がある。肝線維症は、細胞外マトリックスタンパク質の蓄積と併せた、肝臓への慢性損傷に起因する。線維症は、治療せずに放置すると、肝硬変、肝臓がん、肝不全、及び死へとさらに進行する可能性がある。したがって、肝線維症を正確に診断及びモニタリングすることが極めて重要である。
【0003】
[0003] 肝線維症診断のための現在のゴールドスタンダードは肝生検であるが、生検に関連付けられるいくつかの限界がある。肝生検は侵襲性であり、不安を生じさせる。いくつかの極端な場合では、併存症を有する患者にとって生検後の出血及び肝破裂などの合併症は死につながりかねない。したがって、より良好な患者管理のために肝線維症評価及び治療モニタリングのための非侵襲性で正確な測定ツールを開発することが望ましい。
【0004】
[0004] せん断波エラストグラフィが軟組織の硬さを非侵襲的に測定するめの有望なツールであることが示されている。超音波せん断波エラストグラフィ(UE)及び磁気共鳴せん断波エラストグラフィ(MRE)は両方とも、肝線維症を診断及びモニタリングする定量的イメージング技術である。ここで
図1を参照すると、磁気共鳴せん断波エラストグラフィ10のためのシステムの上位システム設定の概観が示されている。MREのため、患者がMRIスキャナ12の台に載せられている。パッシブドライバ/トランスデューサ14が、患者に関心領域16に関して位置決めされている。患者は次いで、エラストグラフィ測定を行う間、MRIスキャナ内に拘束される。さらに、MREに関して、パッシブドライバを使用して、低周波数(肝臓の場合は~60Hz)での連続的な音響振動が対象者の関心領域(例えば、腹部)に伝達され、狭い周波数帯域を有する高周波を生成し、これは、波動エネルギーが所望の周波数で集中されることを意味する。線維症ステージの対応する指定とともに、MREにより取得された6つの異なる剛性マップ(参照符号18によってまとめて示されている)の例が、
図1の下部に示されている。MRE剛性マップを
図1において左から右に(すなわち、線維症の増加レベルで)見ると、それぞれの線維症ステージ指定は、F0:正常(線維症なし)、F1:隔壁のない門脈線維症、F2:僅かな隔壁のある門脈線維症、F3:硬変のない多数の隔壁、F4:硬変を含む。
【0005】
[0005] ここで
図2を参照すると、超音波せん断エラストグラフィ20のためのシステムのシステム設定の概観が示されている。MRE法とは異なるUE法は、高強度短持続時間超音波「プッシュ」パルスを使用して、広い周波数スペクトルを有するせん断波を生成する。UE法の励起ステップにおいて、その広い周波数スペクトル内に波動のエネルギーを分布させる程度を正確に制御することは困難である。UEにより取得された剛性マップ(参照符号22によって示されている)の一例も、剛性マップの上部右側部分にある対応する色分けされた剛性スケール24とともに
図2に示されている。
【0006】
[0006] 超音波イメージングベンダーは、広い帯域幅から群速度と同様のせん断波速度を再構成するためにタイム・オブ・フライト法を使用し、これはベンダー依存でもある。せん断波周波数の違いのため、選択された組織粘弾性機械モデル及び時間遅延推定法、超音波システムによって報告された、群速度のようなせん断波速度(m/s)及び後続の剛性値(kPa)は、MREによって測定された速度又は剛性値(kPa)と一致しない。これらの違いは、MRE剛性測定及びUE剛性測定を置き換え不可能にさせ、その結果、UE及びMREにより取得された測定値を直接比較することが困難である。
【0007】
[0007] 肝線維症の診断及びモニタリングのためにどのエラストグラフィ法(UE又はMRE)を選択するかに関して国際的な臨床機関によって提供されたガイドラインは知られていない。MREは、健康者及び肝線維症患者において高い再現性がある。さらに、MREは、肝線維症を診断することにUEよりも高い成功率を有する(MREの場合93%vs.UEの場合82%)。さらに、MREは、その高いせん断波SNR、3Dボリュームイメージングのため、及びサンプリング変動を低減することになる肝臓の大きな割合を評価することにより、よりロバストな定量化性能を有し得る。しかしながら、MREはいくつかの限界を有する。パッシブドライバを位置決めするためにさらなる時間が必要とされ、患者によってはトランスデューサが不快の原因となる。
【0008】
[0008] MREに比べ、UEは安価であり、より速く、携帯性が高く、広く入手可能であり、世界中で多くの臨床センターにおいて独立して承認されてきた。MRIスキャナを利用できない臨床現場もあり、患者によっては再度MRスキャナ内に拘束されることに起因してMREを受けたがらない。これらの場合、より高い臨床値のため、肝線維症についてのモニタリング段階時に、UEがMREよりも優先される。したがって、臨床機関におけるシステムの利用可能性、患者の快適レベル、及びケアコストに応じて、MRE又はUEが、肝線維症の診断及びモニタリングに優先される。
【0009】
[0009] MRE及びUEは両方とも肝線維症診断に使用されるが、MREとUEとの前述した技術的相違により、所与の患者について経時的なモニタリング及び測定一貫性のために同じ画像モダリティの使用が好ましい。同じ画像モダリティを使用することにより、経時的な剛性変化がもっぱら病理的であり、MREとUEとの技術的な相違(励起周波数、機器関連依存性、及び後処理アルゴリズム)にではなく患者関連因子によるものであることが確実となる。しかしながら、MREは高価であり、複数の時点においてMRE測定を行うこと又は肝臓モニタリングのためのフォローアップ検査は、患者にかなりの経済的負担をかける。MREに比べ、UEのより低いコスト及びより広い利用可能性を考慮すると、フォローアップ肝線維症モニタリングにUEを使用することが望ましい。また、小児患者及び高齢患者によってはMRIスキャン内で不快を感じかねず、このため、MRE検査をより労力のかかる手間取るもの(すなわち、多くの動き及び測定の繰り返し)にするであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
[0010] したがって、当該技術分野における課題を克服する改善された方法及び装置が望まれている。より良好な患者管理のために肝線維症評価及び治療モニタリングのための非侵襲性で正確な測定ツールを提供すること、及び一方のイメージングモダリティへの依存性を取り除くことがさらに望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
[0011] 一態様によれば、本開示の実施形態は、1)UE測定を行うことによってのみ、対応するMRE剛性値及び信頼レベル(又はスコア)を予測すること、及び2)最初の及び予測された肝線維症の剛性マップに加え、プロット及びテーブルにおいて、線維症ステージ、信頼スコア、剛性値の変化を示すスマートダッシュボードを提供することによって、肝線維症をモニタリングするMREとUEとの開きを埋める。
【0012】
[0012] 一実施形態によれば、第1のイメージングモダリティと第2のイメージングモダリティとの間でのせん断波エラストグラフィの解釈の向上のための方法は、関心領域の少なくとも1つの第2のイメージングモダリティエラストグラフィ値を取得するために、第1のイメージングモダリティとは異なる第2のイメージングモダリティによりエラストグラフィ測定を行うことを有する。方法は、プロセッサにより、取得された第2のイメージングモダリティエラストグラフィ値にのみ基づいて少なくとも1つの対応する第1のイメージングモダリティエラストグラフィ値を予測することをさらに有する。予測することの後、方法は、プロセッサ及びディスプレイにより、(i)関心領域の線維症レベルを含むか又は示すグラフィカルユーザインタフェース又はスマートレポートダッシュボードを生成することであって、線維症レベルは、(i)(a)少なくとも1つの第2のイメージングモダリティエラストグラフィ値及び/又は(i)(b)予測された少なくとも1つの対応する第1のイメージングモダリティエラストグラフィ値に応じて決定される、スマートレポートダッシュボードを生成することを有する。
【0013】
[0013] 一実施形態では、第2のイメージングモダリティは、(i)磁気共鳴せん断波エラストグラフィ(MRE)と(ii)超音波せん断波エラストグラフィ(UE)との間で選択される。第1のイメージングモダリティは、第2のイメージングモダリティの選択されていない方のイメージングモダリティを含む。第2のイメージングモダリティにより取得されたエラストグラフィ値は、各それぞれのイメージングモダリティの励起周波数及び後処理アルゴリズムの技術的相違に起因して、第1のイメージングモダリティにより取得されたエラストグラフィ値と同等でない。
【0014】
[0014] 一実施形態によれば、少なくとも1つの第2のイメージングモダリティエラストグラフィ値及び予測された少なくとも1つの対応する第1のイメージングモダリティエラストグラフィ値はそれぞれ、(i)剛性マップ及び(ii)kPa単位の剛性値のうちの1つ又は複数を含む。例えば、剛性値は、それぞれの剛性マップの平均値を含む。別の実施形態では、方法は、少なくとも1つの第2のイメージングモダリティエラストグラフィ値に関連する信頼スコアを予測することであって、予測された信頼スコアは、第2のイメージングモダリティエラストグラフィ測定に基づいて複数の線維症レベルF0~F4のそれぞれにおける信頼パーセンテージの中で最も高い信頼パーセンテージを含む、信頼スコアを予測することと、プロセッサにより、最も高い信頼パーセンテージを有する線維症レベルに基づいて、予測された線維症レベルを選択することと、を有する。
【0015】
[0015] さらに別の実施形態では、スマートレポートダッシュボードは、(ii)関心領域のベースライン線維症レベルをさらに含む(又は示す)。ベースライン線維症レベルは、関心領域の少なくとも1つのベースライン第1のイメージングモダリティエラストグラフィ値を取得するように第1のイメージングモダリティにより行われた初期のベースラインエラストグラフィ測定に基づいて決定される。一実施形態では、ベースラインエラストグラフィ測定は、第2のイメージングモダリティによるエラストグラフィ測定前に行われる。さらに別の実施形態では、スマートレポートダッシュボードは、(iii)(a)取得された少なくとも1つの第2のイメージングモダリティエラストグラフィ値に基づいて予測された少なくとも1つの第1のイメージングモダリティエラストグラフィ値と、(iii)(b)少なくとも1つのベースライン第1のイメージングモダリティエラストグラフィ値との間での(iii)エラストグラフィ値のパーセンテージ変化をさらに含む(又は示す)。さらに、スマートレポートダッシュボードは、(iv)関心領域の少なくとも1つの第2のイメージングモダリティエラストグラフィ値、(v)関心領域の予測された少なくとも1つの対応する第1のイメージングモダリティエラストグラフィ値、及び(vi)少なくとも1つの第2のイメージングモダリティエラストグラフィ値に関連する信頼スコアをさらに含む(又は示す)。信頼スコアは、0~100パーセントの間のパーセンテージであり、少なくとも1つの第2のイメージングモダリティエラストグラフィ値に基づく線維症レベルにおける信頼レベルを表す。
【0016】
[0016] 一実施形態では、少なくとも1つの対応する第1のイメージングモダリティエラストグラフィ値を予測することは、少なくとも1つの対応する第1のイメージングモダリティエラストグラフィ値を予測するために深層学習ベースのアルゴリズムを開始することを有する。深層学習ベースのアルゴリズムは、敵対的生成ネットワーク(GAN)及び/又は畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を含む。別の実施形態では、方法は、プロセッサ及び第2の深層学習ベースのアルゴリズムにより、少なくとも1つの第2のイメージングモダリティエラストグラフィ値に関連する信頼スコアを決定することをさらに有する。信頼スコアを決定することは、深層学習ベースのアルゴリズムを開始することと同時に自動的に起動される。信頼スコアは、少なくとも1つの第2のイメージングモダリティエラストグラフィ値に基づく線維症レベルのリアルタイム分類又は線維症レベルの信頼レベルをさらに提供する。
【0017】
[0017] 別の実施形態によれば、第1のイメージングモダリティと第2のイメージングモダリティとの間でのせん断波エラストグラフィの解釈の向上のためのシステムは、第2のイメージングモダリティから取得されたエラストグラフィ測定に関係するイメージングデータを受信する入力部と、関心領域の少なくとも1つの第2のイメージングモダリティエラストグラフィ値を取得するために、第1のイメージングモダリティとは異なる第2のイメージングモダリティによりエラストグラフィ測定を行うように構成されたコントローラと、を備える。コントローラは、取得された第2のイメージングモダリティエラストグラフィ値にのみ基づいて少なくとも1つの対応する第1のイメージングモダリティエラストグラフィ値を予測するようにさらに構成される。予測することの後、コントローラは、(i)関心領域の線維症レベルを含む(又は示す)グラフィカルユーザインタフェース又はスマートレポートダッシュボードを生成することであって、線維症レベルは、(i)(a)少なくとも1つの第2のイメージングモダリティエラストグラフィ値及び/又は(i)(b)予測された少なくとも1つの対応する第1のイメージングモダリティエラストグラフィ値に応じて決定される、スマートレポートダッシュボードを生成するようにさらに構成される。システムは、スマートレポートダッシュボードを表示するためにコントローラと通信するディスプレイをさらに備える。
【0018】
[0018] なおもさらなる好都合点及び利点は、以下の詳細な説明を読み理解すれば、当業者に明らかとなるであろう。
【0019】
[0019] 本開示の実施形態は、様々な構成要素及び構成要素の配置、並びに様々なステップ及びステップの構成の形態をとることができる。したがって、図面は、様々な実施形態を例示するためのものであり、実施形態を限定するものとして解釈されるべきではない。図面では、同様の参照符号は、同様の要素を指す。さらに、図は、縮尺通りに描かれていない場合があることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】[0020] 磁気共鳴せん断波エラストグラフィ(MRE)のための方法の例示的なフローダイヤグラム図である。
【
図2】[0021] 超音波せん断波エラストグラフィ(UE)のための方法の例示的なフローダイヤグラム図である。
【
図3】[0022] MREが取得したせん断弾性率(又は剛性)を示すグラフ例である。
【
図4】[0023] UEが取得したせん断弾性率を示すグラフ図である。
【
図5】[0024] 本開示の一実施形態による、取得又は測定された第2のイメージングモダリティエラストグラフィ値にのみ基づいて対応する第1のイメージングモダリティエラストグラフィ値を予測するステップの例示的なフローダイヤグラム図である。
【
図5A】明瞭にするため、
図5のフローダイヤグラム図の一部が再現されている図である。
【
図5B】明瞭にするため、
図5のフローダイヤグラム図の一部が再現されている図である。
【
図5C】明瞭にするため、
図5のフローダイヤグラム図の一部が再現されている図である。
【
図6】[0025] 本開示の一実施形態による信頼スコアを予測するステップの例示的なフローダイヤグラム図であり、予測された信頼スコアは、第2のイメージングモダリティにより取得又は測定されたエラストグラフィ値に関連する。
【
図6A】明瞭にするため、
図6のフローダイヤグラム図の一部が再現されている図である。
【
図6B】明瞭にするため、
図6のフローダイヤグラム図の一部が再現されている図である。
【
図6C】明瞭にするため、
図6のフローダイヤグラム図の一部が再現されている図である。
【
図7-1】[0026] 本開示の一実施形態による、スマートレポートダッシュボードの例示的なグラフィカルユーザインタフェースの図である。
【
図7-2】明瞭にするため、
図7の続きの図である。
【
図7A】明瞭にするため、
図7のフローダイヤグラム図の一部が再現されている図である。
【
図7B】明瞭にするため、
図7のフローダイヤグラム図の一部が再現されている図である。
【
図7C】明瞭にするため、
図7のフローダイヤグラム図の一部が再現されている図である。
【
図8】[0027] 本開示の一実施形態による、第1のイメージングモダリティと第2のイメージングモダリティとの間のせん断波エラストグラフィの解釈の向上のためのシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[0028] 本開示の実施形態並びにその様々な特徴及び有利な詳細が、図面において記載及び/又は例示されるとともに以下の説明において詳述される非限定的な例を参照しながら、より完全に説明される。図面において例示される特徴は必ずしも縮尺通りに描かれているわけではなく、一実施形態の特徴は、本明細書において明示的に記載されていなくても、当業者が認識するように、他の実施形態とともに利用することができることに留意するべきである。よく知られた構成要素及び処理技法の説明は、本開示の実施形態を不必要に不明瞭にしないように省かれる場合がある。本明細書において使用される例は単に、本発明の実施形態が実施されるやり方の理解を容易にすること、及び当業者が同じことを実施するのをさらに可能にすることを意図しているにすぎない。したがって、本明細書における例は、添付の特許請求の範囲及び適用法によってのみ定められる、本開示の実施形態の範囲を、限定するものとして解釈されるべきではない。
【0022】
[0029] 本開示の実施形態は、様々であるため、本明細書において記載される特定の方法論、プロトコル、デバイス、装置、材料、用途などに限定されないことを理解されたい。本明細書において使用される術語は、特定の実施形態のみを説明するために使用され、特許請求の範囲に記載される実施形態の範囲において限定的であることを意図していないことも理解されたい。本明細書において及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形は、コンテキストが明らかに別段に指示していない限り、複数形を含むことに留意せねばならない。
【0023】
[0030] 別段に定義されない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本開示の実施形態が属する、当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。好ましい方法、装置、及び材料が記載されているが、本明細書において記載されるものと類似又は同等の任意の方法及び材料を、実施形態の実施又は試験において使用することができる。
【0024】
[0031] 本開示の実施形態をより完全に理解するために、最初に、本明細書において以下で論じるように、実施形態によって克服される、当該技術分野において知られた少なくとも2つの課題/限界を検討する。第1の課題に関して、グラウンドトゥルースとして肝生検から得られる肝線維症ステージ分類についてUE及びMREにおいて剛性カットオフ値が存在する一方、同じ患者でのMRE及びUEにおける剛性値は同等ではない。例えば、
図3は、磁気共鳴せん断波エラストグラフィすなわちMREについて肝線維症レベル(F0、F1、F2、F3、及びF4)に対する剛性(kPa)のプロット110を示す。プロット110に関して、左側の縦軸112は、第1のイメージングモダリティについてkPa単位の剛性スケールを含み、横軸114は、第1のイメージングモダリティについてF0~F4の線維症レベルスケールを含む。
図4は、超音波せん断波エラストグラフィすなわちUEについて肝線維症レベル(F0、F1、F2、F3、及びF4)に対する剛性(kPa)のプロット130を示す。プロット130に関して、左側の縦軸132は、第2のイメージングモダリティについてkPa単位の剛性スケールを含み、横軸134は、第2のイメージングモダリティについてのF0~F4の線維症レベルスケールを含む。MREとUEとの剛性値の差の根本的な理由は、(i)それぞれの励起周波数の技術的相違、及び(ii)イメージングモダリティの剛性マップ再構成についてのそれぞれの後処理アルゴリズムの技術的相違を含む。
【0025】
[0032] 励起周波数の技術的相違に関して、以下を考慮されたい。MREにおいて使用される外部ドライバが、狭い周波数帯域幅を有する高調波を生じ、このことは、波動エネルギーが所望の周波数(例えば、肝臓について~60Hz)で集中され得ることを意味する。他方、UE法は、高強度短持続時間超音波「プッシュ」パルスを使用して、広い周波数スペクトルを有するせん断波を生成する。UEにおける所望のせん断波周波数をフィルタリング除去して後処理段階でMREにおけるせん断波周波数と比較可能にすることが可能であるが、励起ステップにおいてそのスペクトル内に波動の周波数を分布させる程度を制御することは困難である。これらの方法における生じた波動の周波数成分の違い(単一周波数vs.多周波数励起)が、UEにおけるせん断群速度をMREのせん断波群速度と異ならせ、したがって、適合させない。
【0026】
[0033] 剛性マップ再構成のための後処理アルゴリズムの技術的相違に関して、以下をさらに考慮されたい。MREでは、通常、ローカル周波数推定(LFE)アルゴリズムが剛性マップ再構成に使用される。LFEは、数スケールにわたる瞬時周波数の局所推定を組み合わせるアルゴリズムによりせん断波伝播パターンの局所空間周波数を推定することによってせん断波速度を計算する。しかしながら、UEでは、逆波動方程式又は2D相互相関アルゴリズムが使用される。さらに、UEでは、再構成された剛性マップは2Dであるのに対し、MREでは、再構成された剛性マップは3Dである。
【0027】
[0034] 再び
図3及び
図4を参照すると、図はさらに、それぞれMRE及びUEが取得したせん断弾性率を示す。図から見てとることができるように、UEが取得したせん断弾性率(又は剛性)(
図4)は、すべての肝線維症レベル(F0~F4)についてのMREが取得したせん断弾性率(
図3)よりも高い。さらに比較すると、MREは、肝線維症を診断するにあたりUEよりも高い成功率(93%vs.82%)を有する。MREは、その高いせん断波SNR、3Dボリュームイメージングのため、及び、サンプリング変動が低減することになる肝臓の大きな割合を評価することにより、ロバストな定量化性能を有し得る。
【0028】
[0035] しかしながら、MREに比べ、UEは安価であり、より速く、携帯性が高く、広く入手可能であり、UEは世界中で多くの臨床機関/設備において独立して承認されてきた。MRIスキャナを利用できない臨床ケア現場もあり、患者によっては再度MRスキャナ内に拘束されることに起因してMREを受けたがらない。これらの場合、UEがMREよりも優先される。したがって、臨床機関におけるシステムの利用可能性、患者の快適レベル、及びケアコストに応じて、MRE又はUEが、肝線維症の診断及びモニタリングに優先される。
【0029】
[0036] これまでのように、患者がMRE/UE検査を受けることになれば、フォローアップ測定における肝線維症のモニタリングは、一貫性のため、変わらずにMRE/UE(すなわち同じ画像モダリティ)のままである必要があるであろう。しかしながら、MREは高価であり、複数の時点においてMRE測定を行うことは、患者にかなりの経済的負担をかけ、困らせることになりかねない。適切な知識なくUE測定とMRE測定とを直接比較することは不都合にも、誤った解釈をもたらす可能性がある。モダリティ依存の剛性カットオフ値の別の欠点は、それら剛性カットオフ値がもっぱら、別々のステージ分類結果又はグレード分類結果(例えば、グレード2又は3)を示すことである。しかしながら、治療中、場合によっては、同じステージ内においてさえ治療が引きこす連続的な剛性値変化を定量化することも重要である。本開示の実施形態は好都合には、臨床医が肝線維症の進行/退行をより良く定量化及びモニタリングするのに役立つために種々の時点で交換可能にUE及びMREを使用することを可能にすることによる解決策を提供する。
【0030】
[0037] 本開示の実施形態によって克服される第2の課題は、フォローアップ線維症モニタリングのために、また、1つの画像モダリティへの依存性を取り除くために、MREとUEとの開きを埋めることである。本開示の実施形態は、両方の画像モダリティにわたるスマート報告システムを提供する。これに反して、現在の臨床実施に関して、行われるエラストグラフィ検査のタイプ(MRE又はUE)に応じて、測定される肝硬度に対応する線維症レベルを見つけるために異なるルックアップテーブルが使用される。超音波及びMRIの技術者又はユーザの訓練レベルの違いを考慮すると、技術者又はユーザが種々の時点において様々なイメージングモダリティを使用して種々の剛性レベルを相関させることは不都合である。この課題に対処するために、本開示の実施形態は好都合には、すべての時点における線維症ステージとベースラインから現在の検査までの傾向を示す剛性値の変化とを表す、画像モダリティにわたる適用可能性を有するスマートレポート/ダッシュボードを提供する。本開示の実施形態によって提示されるダッシュボードもまた好都合には、1つの画像モダリティへの依存性を取り除き、ユーザが自身の専門知識とは関係なく肝線維症の変化をより容易に解釈するのに役立つ。
【0031】
[0038] 特に、本開示の実施形態は、MRE検査を行う必要なく、UEをよりMREに近いものにすることによって、MRE剛性結果とUE剛性結果との開きを埋めるための解決策を提供する。一実施形態によれば、せん断波エラストグラフィシステム及び方法が、UE測定を行うことによってのみ、対応するMRE剛性マップ(及び/又は剛性値)並びに信頼レベルを予測し、逆の場合も同様である。特に、せん断波エラストグラフィシステム及び方法は、UE測定された剛性マップを入力として用い、アルゴリズムに基づいて人工知能(AI)を適用して、1)対応するMRE剛性マップを予測し、また、2)取得された剛性マップに関する信頼レベル(又は取得された剛性値に関する信頼スコア)を予測する。最後に、システム及び方法は、測定及び予測された剛性マップに加え、プロット及びテーブルにおいて、所与の患者についての複数の時点での線維症ステージ、剛性値の変化を示す、画像モダリティ(UE/MRE)にわたるスマートレポート/ダッシュボードを提供する。
【0032】
[0039] 本明細書における開示から理解されるように、本開示の実施形態による方法及びシステムは、3つの態様に分割することができる。第1の態様では、方法は、UE測定を行うことによってのみ、対応するMRE剛性値を予測することを有し、逆の場合も同様である。第2の態様では、方法は、取得された剛性値(例えば、取得された肝硬度値)に関する信頼スコアを予測することを有する。第3に、方法は、経時的に所与の患者についての線維症ステージ及び剛性値の変化を示すスマートレポートを提供することを有する。
【0033】
[0040] ここで
図5を参照すると、本開示の一実施形態による、参照符号30によって示された、取得された第2のイメージングモダリティエラストグラフィ値にのみ基づいて対応する第1のイメージングモダリティエラストグラフィ値を予測するステップの例示的なフローダイヤグラム図が示されている。明瞭にするため、
図5のフローダイヤグラム図の一部が
図5A、
図5B及び
図5Cに再現されている。対応するMRE剛性値を予測することに関して、一例として以下を考慮されたい。方法は、第1のイメージングモダリティとは異なる第2のイメージングモダリティによりエラストグラフィ測定を行って、関心領域の、参照符号32によって示された少なくとも1つの第2のイメージングモダリティエラストグラフィ値を得ることで開始する。本例では、第2のイメージングモダリティはUEであり、第1のイメージングモダリティはMREである。
図2を再び参照すると、UEデバイス20を使用して患者21の所与の関心領域(ROI)について超音波UE測定が行われる。UEデバイス20は例えば、超音波プローブ25、グラフィカルユーザインタフェース又は超音波スキャナタッチパネル26、及びディスプレイ27を備える。システムオペレータ又はユーザ23が、関心領域について超音波UE測定を行うことができ、剛性マップ22及び対応する色分けされた剛性スケール24などの、結果として得られる測定値が、
図2において参照符号29によって示されるようにディスプレイデバイス27上に表示される。UE測定がUEデバイス20により得られた後に続き、UEデバイスのグラフィカルユーザインタフェース又は超音波スキャナタッチパネル26上のソフトボタン20が行われる。ソフトボタン28は、「対応するMRE剛性マップ(又は剛性値)を取得」などとラベリングされる。
【0034】
[0041] ユーザがソフトボタン28を選択すると、超音波スキャナ20が、
図5において参照符号34によって示された対応する剛性値予測アプリケーションを起動する。剛性値予測アプリケーションは、プロセッサにより、取得された第2のイメージングモダリティエラストグラフィ値のみに基づいて少なくとも1つの対応する第1のイメージングモダリティエラストグラフィ値を予測する適切なプログラム命令を含む。一実施形態では、剛性値予測アプリケーションは、敵対的生成ネットワーク(GAN)又は畳み込みニューラルネットワーク(CNN)などの、深層学習ベースのアルゴリズムを実施するように構成される。
【0035】
[0042] 深層学習は、多層化した、人間の認知システムに似せようとする、人工ニューラルネットワークのタイプである。GAN及びCNNは、当該技術分野において知られている、本明細書において簡潔にしか説明されない、深層学習ベースのアルゴリズムの例である。ここで、
図5Bを参照すると、敵対的生成ネットワーク(GAN)34は、2つのネットワーク、すなわち、生成ネットワーク341及び識別ネットワーク342を含む深層学習アーキテクチャを含む。生成ネットワーク及び識別ネットワークは、コスト関数343により、逆伝播アルゴリズムと共同で訓練される。訓練により、生成ネットワーク341は、よりリアルなサンプル(例えば、リアル)を生成することがより良好になり、識別ネットワークは、人工的に生成されたサンプル(例えば、生成)を差異化することがより良好になる。本開示の実施形態によれば、深層学習ベースのアルゴリズムは、取得されたUE剛性マップ(又はエラストグラフィ値)32にのみ基づいて対応するMRE剛性マップ36を予測するように開始される。さらに、訓練セット344は、参照符号345により示された処理ブロック「x」を介して識別ネットワーク342に入力される。動作時、関心領域33を有する取得されたUE剛性マップ32(
図5A)は、参照符号346によって示された処理ブロック「z」を介して、GANネットワーク34の生成ネットワーク341に入力される。生成ネットワーク341の出力は、参照符号347によって示される処理ブロック「xハット」により、識別ネットワーク342に入力される。識別ネットワーク342は、
図5Cに示すように、予測されたMRE剛性マップ36及び/又はMRE剛性マップの対応する予測された平均値(すなわち、剛性値)38を出力する。さらに、生成ネットワーク及び識別ネットワークは、コスト関数343の逆伝播出力348により逆伝播アルゴリズムと共同で訓練される。次いで、予測されたMRE剛性マップ36及び剛性マップの対応する予測された平均値38は、超音波スキャナ20の適切なメモリ(図示せず)に記憶される。
【0036】
[0043] 訓練のため、UE測定及びMRE測定は、種々のレベルの肝線維症及び健康管理を有する患者の群において同じ日に行われてもよい。深層学習ベースのアルゴリズムでは、超音波UE及びMRE剛性マップは、(i)入力及び(ii)グラウンドトゥルースとしてそれぞれ用いられる。
【0037】
[0044] 訓練フェーズは、ベンダーに依存せず、1つのベンダーのスキャナに限定されないものとすることができる。さらに、MRE剛性マップは、(UEとは違い)3次元(3D)であるため、同じ平面内にあるUE剛性マップは、一貫性のため、GANネットワーク34に送り込まれるものとする。UE及びMRE平面を適合させるために、適切なナビゲーションシステムが好ましくは、同じMR平面がUE測定のために選択されることを確実にするための手引きに使用される。UE測定中、ユーザ又はUEシステムオペレータ23(
図2)は、適合するMR平面に達するまでUEシステム20(
図2)を使用して超音波プローブ25(
図2)を動かす。適合するMR平面に達すると、ユーザ23はその際、剛性測定値の取得を開始する。
【0038】
[0045] ここで
図6を参照すると、本開示の一実施形態による、参照符号40によってまとめて示される、信頼スコアを予測するステップの例示的なフローダイヤグラム図が示されており、予測される信頼スコアは、第2のイメージングモダリティにより取得されたエラストグラフィ値(すなわち、実際に測定されたエラストグラフィ値)に関連する。明瞭にするため、フローダイヤグラム図の一部が
図6.1、
図6B及び
図6Cに再現されている。取得された剛性値の自動信頼スコアは、以下で論じられるように決定される。参照符号42によって示された、取得された剛性値に関する信頼スコアを自動的に決定するアプリケーション又は機能は、
図5を参照しながら本明細書において論じたような前のステップにおいて、深層学習ベースのアプリケーション34(すなわち、深層学習ベースのアルゴリズム)と共に同時に起動される。取得された又は実際の測定された剛性マップの、参照符号44によって示された信頼スコアは、リアルタイム分類を行うために、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)などの、深層学習ベースのアルゴリズムを使用して得られる(
図6)。
【0039】
[0046] 畳み込みニューラルネットワーク(CNN)は、深層学習アーキテクチャを有し、入力画像をフィルタリングする場合に空間関係を保存する能力により医用イメージング研究において使用される。医用イメージングにおける空間関係は、筋肉と骨との間の組織界面、構造境界、又は関節を定める、したがって、CNNは、特別な注意を見い出した。畳み込みニューラルネットワーク42の概略図が
図6Bに示されている。
図6、
図6A及び
図6Bを参照すると、CNN42は、生のピクセルの入力画像(例えば、UE剛性マップ32)を取得し、それを畳み込み層(Conv)421及び423、正規化線形層(Flatten:平坦化)425、及びプーリング層(Pool)422及び424を介して変換する。これが次いで、全結合層(FC)426及び427に送り込まれ、確率又はクラススコアを割り当てて、入力(すなわち、UE剛性マップ32)を、最も高い確率(Softmax:ソフトマックス)428を有するクラスに分類する。全結合層における異なる重みによって画像におけるピクセルを処理することができるか、又は代替的に、画像全体にわたる様々な繰り返しパターンを抽出するために重みの同じセットを使用してすべての位置を処理することができる。これらの訓練可能な重みは、カーネル又はフィルタと呼ばれ、ドット積又は畳み込みを用いて適用され、次いで、非線形関数によって処理される。各畳み込み層は、各層におけるパターンの複数のセットを抽出するためにいくつかのフィルタを有する。多くの場合、各畳み込み層(Conv)421及び423の後にプーリング層(Pool)422及び424がそれぞれ続き、これにより、次元が低減し、並進不変性が課される。これらの畳み込み層及びプーリング層はともに積み重ねられて多層ネットワークを形成することができ、この多層ネットワークは多くの場合、1つ又は複数の全結合層426及び427に終わる。
【0040】
[0047] 関心領域33(
図6.1)が患者の肝臓を含む場合、深層学習ベースのアルゴリズムの出力は、最も高い信頼スコアを有する肝線維症レベル44である(
図6C)。換言すると、各クラスについての確率又はクラススコアが割り当てられて、入力(例えば、エラストグラフィ値32)をそれぞれの線維症レベル(それぞれ参照符号441、442、443、444及び445によって示された、レベル1、レベル2、レベル3、レベル4及び線維症なし)に分類する。その後、肝線維症レベルを表す、最も高い確率を有するクラスが出力される。例えば、AIモデル(すなわち、
図6の畳み込みニューラルネットワーク(CNN))によって予測された最も高い信頼スコアが線維症レベル2に属する場合(例えば、信頼スコアがレベル2について=0.82、レベル1について=0.05、レベル3について=0A0、レベル4について=0.02、及び線維症なしについて0.01)、信頼スコアは82%に等しく、これは、第2のイメージングモダリティ(例えば、UEモダリティ)によって測定された剛性値がレベル2の線維症を表すことを82%確信していることを意味する。最も高い確率及び対応する線維症レベルは、
図7に関して本明細書においてさらに論じるように、適切なメモリ(図示せず)に保存され、GUI26を介して又はスマートレポートダッシュボード50上に出力されるか又は示される。例えば、信頼スコア(例えば、
図6における44)及び剛性マップ(例えば、
図5における36)が予測されると、「スマートレポート」ソフトボタン28は、システムユーザ23がスマートレポートダッシュボード50(
図7)を介して最終結果を観察するためにソフトボタン28をクリックすることができるように超音波スキャナタッチパネル26上に出現させられるか又は出現するように作製される。本明細書において使用される場合、線維症ステージとは、線維症レベルと同じであるものと理解される。さらに、予測された信頼レベル及び予測された信頼スコアは、本明細書において置き換え可能に使用され、さらには、実際の測定されたエラストグラフィ値、例えば、測定されたUE剛性マップに基づくものである。
【0041】
[0048] 一実施形態では、予測された信頼スコアは、第2のイメージングモダリティにおける測定された剛性値に関連する。特に、第2のイメージングモダリティにおける測定された剛性値の予測された信頼スコアは、第2のイメージングモダリティによって測定された報告された線維症レベルの信頼レベルを示す。線維症レベルの信頼スコアを予測するAIモデルは、訓練フェーズにおいてグラウンドトゥルースとして肝生検を用いて較正/評価される。換言すると、訓練フェーズにおける深層学習ベースのアルゴリズムに関して、UE剛性マップ及び肝生検は、(i)入力及び(ii)グラウンドトゥルースとしてそれぞれ用いられる。訓練のため、UE及び肝生検は、種々のレベルの肝線維症を有する患者の群において同じ日に行われてもよい。この訓練は、「信頼スコア」の決定に当てはまる。
【0042】
[0049] ここで
図7を参照すると、本開示の一実施形態による、参照符号50によって示された、スマートレポートダッシュボードの例示的なグラフィカルユーザインタフェースの図が示されている。明瞭にするため、フローダイヤグラム図の一部が
図7A及び
図7Bに再現されている。スマートレポートダッシュボード50は、マルチメディアの1つ又は複数の形態を含むグラフィカルユーザインタフェースを有する。超音波及びMRIユーザの訓練レベルの違いを考慮すると、ユーザが種々の時点において様々なイメージングモダリティを使用して種々の剛性レベルを相関させることは不都合である。スマートレポート又はスマートレポートダッシュボード50は、ユーザが線維症変化をより良好にモニタリングするのに役立つ。
【0043】
[0050] ユーザが超音波スキャナタッチパネル26上で「スマートレポート」ソフトボタン28をクリックすると、スマートダッシュボード50が自動的に生成され(
図7)、スマートダッシュボード50は以下のうちの1つ又は複数を示すことを有する。参照符号52によって示された現在の線維症ステージ又はレベル、及び、
図6を参照しながら本明細書において論じたような前のステップにおいて取得された、参照符号54によって示された対応する予測された信頼スコアが提供される。一実施形態では、現在の線維症ステージ52は、線維症レベル521、第2のイメージングモダリティエラストグラフィ測定により取得されたエラストグラフィ値522(例えば、測定されたUE剛性値)、及び、取得された第2のイメージングモダリティエラストグラフィ測定に基づいた第1のイメージングモダリティエラストグラフィ測定に対応する予測されたエラストグラフィ値523(例えば、予測されたMRE剛性値)の表示を含む。第2のイメージングモダリティエラストグラフィ測定によるエラストグラフィ値522の取得、及び第1のイメージングモダリティ測定に対応するエラストグラフィ値523の予測は、少なくとも
図5、UE剛性マップ32、予測されたMRE剛性マップ36、及び予測されたMRE剛性値38を参照しながら本明細書において論じたように達成される。一実施形態では、新たな剛性値(すなわち、測定されたUE値522及び/又は対応する予測されたMRE値523)は、参照符号56によって示されたプロットと、これまでの検査中に測定された既存の剛性値の参照符号58によって示されたテーブルとに自動的に加えられる。プロット56及び/又はテーブル58は好都合には、経時的な肝硬度の変化の有意義な例示を提供する。ここで
図7.1を参照すると、プロット56は、1つ又は複数のこれまでの検査における取得された線維症レベルを示す。プロット56に関して、左側の縦軸561は、第2のイメージングモダリティについてkPa単位の剛性スケールを含み、横軸562は、第1のイメージングモダリティについてkPa単位の剛性スケールを含み、右側の縦軸563は、レベル0~レベル4の線維症レベルのスケールを含む。プロット56の例において示すように、第1のイメージングモダリティにより取得されたベースライン(2019年3月10日)測定値から、第2のイメージングモダリティにより取得された後続の測定(2020年2月4日)へ、線維症レベルの低下が観察され、レベル3からレベル2への線維症レベルの変化に対応する。
図7Bをさらに参照すると、テーブル58は、線維症レベル511と、第1のイメージングモダリティエラストグラフィ測定(例えば、測定されたMRE剛性値)とともにベースライン(2019年3月10日)により取得されたエラストグラフィ値512との表示を含む線維症ステージ51をさらに有する。
図7A及び
図7Bにおいて、スマートダッシュボード50は、参照符号64によって示されたベースライン剛性マップに加え、
図5を参照しながら本明細書において論じたように取得された、参照符号60及び62によってそれぞれ示された、測定された剛性マップ及び予測された剛性マップをさらに示す。ベースライン剛性マップ64は、MRE又はUEイメージングモダリティのうちの1つ又は複数により取得された、初期の線維症検査におけるなど、前に取得された剛性マップであることに留意されたい。MRE/UEカットオフ値についてのより多くの情報、例えば、MRE/UE間の相違に関するガイドライン資料(参照論文など)にユーザの目を向けさせる、参照符号66によって示されたハイパーリンクが、スマートダッシュボード50内に含まれる。さらに、スマートダッシュボード50は、参照符号68によって示された、結果フィールドとして、及び/又は、参照符号70によって示された、適切な象徴的な表示(例えば、パーセンテージ数字、及び、増加には上向き又は減少には下向きを示すグラフィック)により表現することができる、線維症硬度の増減などの、結果を提供する。
図7に示すように、スマートレポートダッシュボード50は、プロット及びテーブルにおいて、剛性値、線維症レベルの変化、測定及び予測された剛性マップ、並びに信頼スコアを示す。
【0044】
[0051] 本明細書において理解すべきように、剛性マップは、いずれの方向にしても予測することができる。MRIスキャナを利用できない臨床現場があるか、又は、患者によってはMRスキャナ内に拘束されることに起因してMREを受けたがらない。これらの場合、線維症診断段階時にUEがMREよりも優先される。しかしながら、治療段階時、肝線維症をより正確にモニタリングするために、MREが推奨される場合があるが、その理由は、そのより高いせん断波SNR、3Dボリュームイメージング及び肝臓のより大きな割合を評価することのため、UEに比してより高い成功率及びよりロバストな定量化性能を有するからである。そのため、患者が線維症診断検査においてUE検査及び長期フォローアップ測定においてMRE検査を受けるケースがある。このシナリオでは、本開示の一実施形態によるMRE剛性マップを予測するステップの代わりに、測定されたMRE剛性マップに基づいてUE剛性マップ及び剛性値を予測することを用いることができる。この事例では、(i)入力及び(ii)グラウンドトゥルースがそれぞれMRE剛性マップ及びUE剛性マップとなることを除き、同じ深層学習ベースのアルゴリズム及び訓練プロセスを使用することができる。
【0045】
[0052] ここで
図8を参照すると、本開示の一実施形態による、第1のイメージングモダリティと第2のイメージングモダリティとの間のせん断波エラストグラフィの解釈の向上のためのシステム100のブロックダイヤグラム図が示されている。この実施形態では、システム100は、少なくともコントローラ102、ディスプレイ104、及び入力/出力デバイス106を備える。コントローラ102は、1つ又は複数のせん断波イメージングモダリティシステム又は装置、例えば、所与のせん断波エラストグラフィ実施の要件に応じて、MREシステム/装置10及び/又はUEシステム/装置20に動作可能に接続される。一実施形態では、コントローラ102は、所与のせん断波エラストグラフィ実施及び/又は適用の要件にさらに応じて、本明細書において論じるような様々な機能を行うために、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、集積回路、離散アナログ又はデジタル回路構成要素、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はそれらの任意の組み合わせのうちの1つ又は複数を含む。コントローラ102は、様々なモジュール、ユニット、又はサブシステムのうちの1つ又は複数をさらに含むことができる。一実施形態では、コントローラ102は、所与のせん断波エラストグラフィシステム実施及び/又は適用の要件に応じて適切に、様々なモジュール、ユニット、又はサブシステムのうちの1つ又は複数を含むシステム電子機器、電源、及びメモリを有することができる。一実施形態では、所与のせん断波エラストグラフィシステム実施の要件に応じて、1つ又は複数のソフトボタン(例えば、本明細書において論じたようなソフトボタン28)、及びスマートレポートダッシュボード50或いはその1つ又は複数の部分(例えば、現在の線維症ステージ、信頼スコア、剛性値のプロット、経時的な剛性の変化、取得及び予測された剛性マップ、剛性値、線維症硬度の増減を示すテーブルなど)を表示するためのディスプレイ104がコントローラ102に動作可能に接続される。入力/出力デバイス106は、所与のせん断波エラストグラフィシステム実施の要件に応じて、入力/出力デバイス、ユーザインタフェース、触覚出力デバイス、タッチスクリーン、光学ディスプレイ、マイクロフォン、キーパッド、キーボード、ポインティングデバイス、画像キャプチャデバイス、ビデオカメラ、自動出力デバイス、及びそれらの任意の組み合わせのうちの1つ又は複数を含むことができる。
【0046】
[0053] 本明細書において論じるように、本開示の実施形態の様々な態様は、例えば、UEを使用して対応するMRE剛性マップを予測する(又はその逆、すなわち、MREを使用してUE剛性マップを予測する)エラストグラフィ特徴を有する、ユーザインタフェース構成要素を伴う。本開示の実施形態は、超音波/MRスキャナの新たな特徴に組み込むことができる、すなわち、超音波(US)又は磁気共鳴イメージング(MRI)スキャナ装置に含めることができる。さらに、本明細書において提示されるスマート報告システム/ダッシュボード又はグラフィカルユーザインタフェース及びその特徴は、超音波/MRスキャナに組み込むことができる。
【0047】
[0054] したがって、本開示の実施形態は、肝線維症の進行をモニタリングするためのフォローアップ剛性測定のために同じ画像モダリティを保つ必要性を取り除く。フォローアップ剛性測定のためにMREの代わりにUEを可能にすることは好都合には、患者にとってより低コストのケアに寄与する。さらに、本開示の実施形態によるスマートダッシュボード/レポートは好都合には、報告システムにおいて1つの画像モダリティへの依存性を取り除く。本開示の方法及びシステム装置はさらに好都合には、種々のレベルの訓練/経歴を有するユーザが肝線維症の変化をモニタリングすることをできることを可能にする。
【0048】
[0055] ほんのわずかの例示的な実施形態を上記で詳細に説明してきたが、当業者は、本開示の実施形態の新規な教示及び利点から実質的に逸脱することなく、例示的な実施形態において多くの変更が可能であることを容易に理解するであろう。例えば、本開示の実施形態は好都合には、MREイメージングモダリティ及びUEイメージングモダリティの両方においてベースラインせん断波エラストグラフィ測定を行うことによって、その後、(i)後続の時点における所与のせん断波エラストグラフィイメージングモダリティの利用可能性及び(ii)信頼スコアに基づいて、MRE又はUEの一方又は他方を行うことによって用いることができる。本明細書において論じたように、それぞれの予測されたイメージングモダリティエラストグラフィ値のために、後続の時点において、MRE又はUEのいずれかを信頼スコアの受容性に基づいて選択することができる。信頼スコアが、1つのイメージングモダリティについて容認できないものと判断されたか又は所与の容認できる範囲内にないと判断された場合、他方のイメージングモダリティを選択することができる、すなわち、信頼スコアに基づいて、MREとUEとの間で選択することに役立つために測定基準として用いられる。したがって、そのような変更はすべて、添付の特許請求の範囲内において定義される本開示の実施形態の範囲内に含まれることが意図される。特許請求の範囲において、ミーンズプラスファンクション節は、記載された機能を行うものとして本明細書において説明された構造をカバーし、構造的な均等物だけでなく均等な構造もカバーするものとして意図される。
【0049】
[0056] さらに、1つ又は複数の請求項において丸括弧内に置かれた参照符号はいずれも、請求項を限定するものと解釈されるものではない。「有する、含む」などの語は、任意の請求項又は明細書全体において記載された要素又はステップ以外の要素又はステップの存在を排除するものではない。ある要素の単数形の参照は、そのような要素の複数形の参照を排除するものではなく、その逆も同じである。実施形態のうちの1つ又は複数は、複数の異なる要素を有するハードウェアによって、及び/又は適切にプログラムされたコンピュータによって実現されてもよい。複数の手段を列挙した装置クレームにおいて、これらの手段のうちのいくつかは、ハードウェアの1つの同じアイテムによって具現化されてもよい。ある手段が相互に異なる従属項に記載されるという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示すものではない。
【国際調査報告】