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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-30
(54)【発明の名称】ディスプレイパネル
(51)【国際特許分類】
   H10K 50/858 20230101AFI20240123BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20240123BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20240123BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20240123BHJP
   H10K 50/842 20230101ALI20240123BHJP
【FI】
H10K50/858
H10K59/10
G09F9/30 365
G09F9/30 349Z
G09F9/00 313
G09F9/30 309
H10K50/842 428
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021576742
(86)(22)【出願日】2021-12-21
(85)【翻訳文提出日】2022-01-26
(86)【国際出願番号】 CN2021140157
(87)【国際公開番号】W WO2023108727
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】202111552715.4
(32)【優先日】2021-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519182202
【氏名又は名称】深▲セン▼市▲華▼星光▲電▼半▲導▼体▲顕▼示技▲術▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】殷 志遠
(72)【発明者】
【氏名】史 ▲テイ▼
(72)【発明者】
【氏名】呉 倩
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC04
3K107CC37
3K107EE30
3K107EE42
3K107FF15
5C094AA03
5C094AA12
5C094BA27
5C094DA07
5C094ED01
5C094JA08
5G435AA01
5G435BB05
5G435DD11
5G435GG03
(57)【要約】
発光基板及び光学層を含むディスプレイパネルを提供する。前記発光基板は発光面を有する。前記光学層は、前記発光基板の前記発光面上に設けられ、且つ前記発光基板から発せられる光線を屈折させるプリズムを有する。前記光学層における前記プリズムは、底面、上面、及び前記底面と前記上面とを接続する複数の側面を有する。前記底面及び前記上面は、前記発光基板に対して平行である。前記底面は前記発光基板に近接している。前記上面は前記発光基板から離れている。前記上面の面積は前記底面の面積よりも小さい。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイパネルであって、前記ディスプレイパネルは、
発光面を有する発光基板と、
前記発光基板の前記発光面上に設けられ、且つ前記発光基板から発せられる光線を屈折させるプリズムを有する光学層と、を含み、
前記光学層の前記プリズムは、底面、上面、及び前記底面と前記上面とを接続する複数の側面を有し、
前記底面及び前記上面は前記発光基板に対して平行であり、
前記底面は前記発光基板に近接し、前記上面は前記発光基板から離れており、
前記上面の面積は前記底面の面積よりも小さいことを特徴とするディスプレイパネル。
【請求項2】
前記プリズムの前記底面は長方形であり、且つ前記底面と前記上面とを接続する、1組の対向辺における2つの前記側面は互いに対称であることを特徴とする請求項1に記載のディスプレイパネル。
【請求項3】
前記プリズムの前記各側面が平面を含むことを特徴とする請求項1に記載のディスプレイパネル。
【請求項4】
前記プリズムの前記各側面がさらに複数のサブ平面を含むことを特徴とする請求項3に記載のディスプレイパネル。
【請求項5】
前記プリズムの前記各側面の隣接する2つの前記サブ平面の法線方向が異なることを特徴とする請求項4に記載のディスプレイパネル。
【請求項6】
前記プリズムの前記底面と前記上面との間の距離が5~50μmの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載のディスプレイパネル。
【請求項7】
前記プリズムの前記底面と前記上面との間の前記距離が20μmであることを特徴とする請求項6に記載のディスプレイパネル。
【請求項8】
前記プリズムの前記底面の幅が5~50μmの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載のディスプレイパネル。
【請求項9】
前記プリズムの前記底面の前記幅が15μmであることを特徴とする請求項8に記載のディスプレイパネル。
【請求項10】
前記プリズムの前記各側面の平均法線方向と、前記底面の法線方向との間の挟角が50~85度の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載のディスプレイパネル。
【請求項11】
前記光学層は複数のプリズムを有し、且つ前記複数のプリズムは、前記発光基板の前記発光面上の第1方向に沿って間隔を空けて配列されていることを特徴とする請求項1に記載のディスプレイパネル。
【請求項12】
隣接する2つの前記プリズム間の距離が5~50μmの範囲内であることを特徴とする請求項11に記載のディスプレイパネル。
【請求項13】
隣接する2つの前記プリズム間の前記距離が10μmであることを特徴とする請求項12に記載のディスプレイパネル。
【請求項14】
前記光学層は複数のプリズムを有し、前記複数のプリズムは、前記発光基板の前記発光面上の第1方向及び第2方向に沿ってアレイ状に配列されており、且つ前記第2方向と前記第1方向は互いに垂直であることを特徴とする請求項1に記載のディスプレイパネル。
【請求項15】
隣接する2つの前記プリズム間の距離が5~50μmの範囲内であることを特徴とする請求項14に記載のディスプレイパネル。
【請求項16】
隣接する2つの前記プリズム間の前記距離が10μmであることを特徴とする請求項15に記載のディスプレイパネル。
【請求項17】
前記プリズムの材料が樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載のディスプレイパネル。
【請求項18】
前記プリズムはエンボス工程又はフォトリソグラフィ工程により形成されることを特徴とする請求項1に記載のディスプレイパネル。
【請求項19】
前記ディスプレイパネルはさらに封止カバーを含み、前記封止カバーは前記光学層上に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のディスプレイパネル。
【請求項20】
前記ディスプレイパネルはさらに封止カバーを含み、前記封止カバーは前記発光基板と前記光学層との間に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のディスプレイパネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はディスプレイ技術の分野に関するものであり、特に異なる視角の下で観測する輝度の変化曲線が滑らかであるディスプレイパネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機発光ダイオード(organic light-emitting diode、OLED)ディスプレイパネルは、広い視角や広い色域等の利点を有し、主流のディスプレイパネルとして、各大手ディスプレイ装置メーカーから注目され、開発されている。前記OLEDディスプレイパネルの色点発光効率をさらに高めるために、前記OLEDディスプレイパネル内のOLED装置の構造と製造工程が改善されている。
【0003】
様々な製造方法に基づいて、前記OLED装置は、主に蒸着によるOLED装置と、プリントによるOLED装置とに分けられ、いずれも技術的な利点が異なる。しかしながら、製造時の寸法公差又は生産歩留まりの影響により、前記蒸着によるOLED装置及び前記プリントによるOLED装置のいずれの場合においても、その発光層内の電子及び正孔によって形成される励起子の再結合位置を設計時の要求に完全に合致させることは不可能である。このため、前記励起子の再結合位置が所定の位置に対して偏移した場合、前記励起子の発する光の最大輝度は0度の視角では(観測者がOLEDディスプレイパネルを直視した場合では)観察されず、側面視角で(観測者がOLEDディスプレイパネルを横から見た場合に)観測される場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図1を参照されたい。図1は、従来技術におけるOLEDディスプレイパネルの輝度-視角関係図である。理論上、前記従来のOLEDディスプレイパネルの輝度は0度の視角でその最大値が観測され、即ち0度の視角における輝度値は100%であり、視角の傾斜に伴い前記輝度は徐々に低下するものであると想定される。図1より、異なる視角での輝度観測結果が示すように、実際、前記従来のOLEDディスプレイパネルの正負30度程度の視角で観測される輝度は、0度の視角で観測される輝度よりも高い。
【0005】
前記従来のOLED装置における前記発光層内の前記励起子の再結合位置が確定しないため、前記輝度-視角関係図に見られる輝度の起伏(bright wave)現象が生じ、その結果、前記OLEDディスプレイパネルにおいて、異なる視角の下で観測する輝度の変化曲線が滑らかでなくなる。さらに、水平方向の視角又は垂直方向の視角に関係なく、いずれの場合も前記輝度の起伏の問題が観測され、使用者の鑑賞体験に影響を及ぼすこととなる。
【0006】
従来技術では、前記OLED装置の前記発光層内の前記励起子の再結合位置が確定しないという問題を解決するために、一般的に、前記発光層を構成する材料を交換するか、或いは新たな輸送層を追加することで、前記励起子の再結合位置をさらに限定していた。しかしながら、従来技術では、前記励起子の再結合位置の正確性を改善する一方で、前記OLEDディスプレイ装置の製造工程を増加させてしまい、前記OLED装置の発光効率を低下させる場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、異なる視角の下で観測する輝度の変化曲線が滑らかであるディスプレイパネルを提供し、従来技術の有機発光ダイオード(organic light-emitting diode、OLED)ディスプレイパネルにおいて、そのOLED装置の前記発光層中の前記励起子の再結合位置が不確定であるが故にもたらされる問題を改善することができ、使用者の鑑賞体験を最適化することができる。
【0008】
本発明の前記ディスプレイパネルは、発光基板及び光学層を含む。前記発光基板は発光面を有する。前記光学層は、前記発光基板の前記発光面上に設けられ、且つ前記発光基板から発せられる光線を屈折させるプリズムを有する。前記光学層における前記プリズムは、底面、上面、及び前記底面と前記上面とを接続する複数の側面を有する。前記底面及び前記上面は、前記発光基板に対して平行である。前記底面は前記発光基板に近接している。前記上面は前記発光基板から離れている。前記上面の面積は前記底面の面積よりも小さい。
【0009】
一実施形態において、前記プリズムの前記底面は長方形である。前記底面と前記上面とを接続する、1組の対向辺における2つの前記側面は互いに対称である。
【0010】
一実施形態において、前記プリズムの前記各側面は平面を含む。
【0011】
本実施形態において、前記プリズムの前記各側面はさらに複数のサブ平面を含む。
【0012】
本実施形態において、隣接する2つの前記サブ平面の法線方向は異なる。
【0013】
一実施形態において、前記プリズムの前記底面と前記上面との間の距離は5~50μmの範囲内である。
【0014】
本実施形態において、前記プリズムの前記底面と前記上面との間の前記距離は20μmである。
【0015】
一実施形態において、前記プリズムの前記底面の幅は5~50μmの範囲内である。
【0016】
本実施形態において、前記プリズムの前記底面の前記幅は15μmである。
【0017】
一実施形態において、前記プリズムの前記各側面の平均法線方向と、前記底面の法線方向との間の挟角は50~85度の範囲内である。
【0018】
一実施形態において、前記光学層は複数のプリズムを有し、且つ前記複数のプリズムは、前記発光基板の前記発光面上の第1方向に沿って間隔を空けて配列されている。
【0019】
本実施形態において、隣接する2つの前記プリズム間の距離は5~50μmの範囲内である。
【0020】
本実施形態において、隣接する2つの前記プリズム間の前記距離は10μmである。
【0021】
一実施形態において、前記光学層は複数のプリズムを有し、前記複数のプリズムは、前記発光基板の前記発光面上の第1方向及び第2方向に沿ってアレイ状に配列されており、且つ前記第2方向と前記第1方向は互いに垂直である。
【0022】
本実施形態において、隣接する2つの前記プリズム間の距離は5~50μmの範囲内である。
【0023】
本実施形態において、隣接する2つの前記プリズム間の前記距離は10μmである。
【0024】
一実施形態において、前記プリズムの材料は樹脂を含む。
【0025】
一実施形態において、前記プリズムはエンボス工程又はフォトリソグラフィ工程により形成される。
【0026】
一実施形態において、前記ディスプレイパネルはさらに封止カバーを含み、前記封止カバーは前記光学層上に設けられている。
【0027】
一実施形態において、前記ディスプレイパネルはさらに封止カバーを含み、前記封止カバーは前記発光基板と前記光学層との間に設けられている。
【発明の効果】
【0028】
本発明は、異なる視角下で観測される輝度の変化曲線が滑らかである前記ディスプレイパネルを提供するものである。前記ディスプレイパネル内の前記光学層は、前記発光基板の前記発光面上に設けられ、且つ前記光学層の前記プリズムは、前記発光基板から発せられた前記光線を屈折させることができる傾斜した複数の前記側面を有する。さらに、前記プリズムの前記各側面は、1つの平面又は異なる角度を有する前記複数のサブ平面を含むことができるため、本発明に係るディスプレイパネルの前記輝度-視角曲線を最適化することができ、従来技術における前記輝度の起伏の問題を解消し得る。また、前記光学層の水平視角又は垂直視角における技術的効果を高めるために、前記光学層においてはさらに、複数の前記プリズムが前記発光基板の前記発光面上の前記第1方向に沿って間隔を空けて配列されるか、又は互いに垂直である前記第1方向及び前記第2方向に沿ってアレイ状に配置される。前記光学層の技術的効果及び製造における融通性のおかげで、前記光学シミュレーション試験によって設計された前記光学層は如何なる種類のディスプレイパネルにも適用することができ、且つ使用者の鑑賞体験を最適化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】従来技術における有機発光ダイオード(organic light-emitting diode、OLED)ディスプレイパネルの輝度-視角関係図である。
【0030】
図2】本発明に係るディスプレイパネルの積層構造の概略図である。
【0031】
図3】本発明に係る光学層におけるプリズムの立体構造を示す概略図である。
【0032】
図4】本発明に係る前記光学層における他のプリズムの立体構造を示す概略図である。
【0033】
図5】本発明に係る前記光学層における他のプリズムの立体構造を示す概略図である。
【0034】
図6図4に示す前記プリズムの側面図である。
【0035】
図7図4における前記プリズムの光学原理を示す概略図である。
【0036】
図8】本発明に係る前記ディスプレイパネルにおける輝度-視角関係図である。
【0037】
図9】本発明に係る前記光学層において、複数の前記プリズムを配置した態様を示す概略図である。
【0038】
図10】本発明に係る前記光学層において、複数の前記プリズムを配置した他の態様を示す概略図である。
【0039】
図11】本発明に係る前記ディスプレイパネルの他の積層構造を示す概略図である。
【0040】
図12】本発明に係る前記ディスプレイパネルの他の積層構造を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明に係る上記の及びその他の目的、特徴及び利点をより明確に理解するために、以下において特に本発明の好ましい実施形態を挙げ、添付の図面と併せて詳細な説明を行なう。
【0042】
図2を参照されたい。図2は、本発明に係るディスプレイパネルの積層構造の概略図である。本発明のディスプレイパネルは発光基板100と光学層200とを含む。前記発光基板100は発光面110を有する。前記光学層200は、前記発光基板100の前記発光面110上に設けられ、且つ前記発光基板から発せられる光線を屈折させるプリズム210を有する。
【0043】
本実施形態において、前記発光基板100は有機発光ダイオード(organic light-emitting diode、 OLED)ディスプレイ基板である。ここで、本発明に係る前記ディスプレイパネルの前記発光基板100は、これに限定されるものではなく、液晶(liquid crystal)ディスプレイ基板、量子ドット(quantum dot)ディスプレイ基板、ミニ発光ダイオード(mini-LED)基板、又はマイクロ発光ダイオード(micro-LED)基板等を含むことができる。
【0044】
図3を参照されたい。図3は、本発明に係る前記光学層200におけるプリズム210の立体構造を示す概略図である。前記光学層200における前記プリズムは、底面211、上面212、及び前記底面211と前記上面212とを接続する複数の側面213を有する。前記底面211及び前記上面212は、図2に示す前記発光基板100に対して平行である。前記底面211は前記発光基板100に近接している。前記上面212は前記発光基板100から離れている。
【0045】
本発明では、図1に示す、従来技術である有機発光ダイオード(organic light-emitting diode、OLED)ディスプレイパネルにおける輝度-視角関係図に従って、前記光学層200の前記プリズム210の光学シミュレーション試験を実施することで、図1で観測されるような輝度の起伏(bright wave)現象を解消し得るプリズム構造を設計する。
【0046】
前記光学シミュレーション試験を通じて、本発明では、前記プリズム210の前記上面212の面積を前記底面211の面積よりも小さくすることで、前記プリズム210の前記側面213のいずれもが前記プリズム210の内側に向かって傾斜するようになり、以って下部が広く、上部が狭いプリズム構造を形成する。
【0047】
図3に示すように、一実施形態では、前記プリズム210の前記底面211を長方形とし、且つ前記プリズム210の前記上面212もそれに応じて長方形とすることができる。長方形である前記底面211は、各々のペアで対向する四辺A、B、C、及びDを含む。前記プリズム210における複数の前記側面213のうち、前記底面211と前記上面212とを接続する、1組の対向辺A/C又は他の1組の対向辺B/Dにおける2つの前記側面213は互いに対称である。言い換えれば、辺Aに位置する前記側面213の形状は辺Cに位置する前記側面213の形状と対称であり、又は、辺Bに位置する前記側面213の形状は辺Dに位置する前記側面213の形状と対称である。
【0048】
本実施形態では、前記プリズム210を、図3に示すような台形柱状のプリズム210とすることができる。前記プリズム210の前記各側面213は平面を含むが、これに限定されない。本発明では、各々が他の形状を有する前記側面213を含む前記プリズム210を例示的に提供しており、図4及び図5を参照されたい。図4及び図5は、本発明に係る前記光学層200における他の2種のプリズム210の立体構造を示す概略図である。前記プリズム210の前記各側面213はさらに複数のサブ平面213’を含んでおり、即ち、前記各側面213は複数の平面を有する複合面である。
【0049】
図4に示すように、前記プリズム210の前記各側面213はさらに2つのサブ平面213’を含んでおり、即ち、前記各側面213は1度折り曲げられることで2つの傾斜角度をなす前記サブ平面213'を形成している。図5に示すように、前記プリズム210の前記各側面213はさらに5つのサブ平面213’を含んでおり、即ち、前記各側面213は4度折り曲げられることで5つの傾斜角度をなす前記サブ平面213'を形成している。
【0050】
前記光学シミュレーション試験を通じて、本発明では、図1で観測されるような輝度の起伏現象を解消し得るプリズム構造を得ることができる。以下、図4に示す前記プリズム210の構造を例に挙げて説明する。図6を参照されたい。図6は、図4に示す前記プリズム210の側面図である。前記光学シミュレーション試験で得られた最適化された数値において、前記プリズム210の前記底面211と前記上面212との間の距離D1は、5~50μm(micrometer、μm)の範囲内であり、好ましくは20μmである。同時に、前記プリズム210の前記底面211の最適化された幅Wは、5~50μmの範囲内であり、好ましくは15μmである。このような構成において、前記プリズム210は、前記ディスプレイパネルの厚さ又は重量を過度に増加させることなく、限られた空間で前記光学シミュレーション試験の設計に従って効果的に作業を実行することができる。
【0051】
さらに、前記光学シミュレーション試験は、本発明における前記プリズム210の前記各側面213の形状に対しても最適化を行なっている。前記プリズム210における前記各側面213の複数のサブ平面213'のうち、隣接する2つの前記サブ平面213'の法線方向は異なる。また、前記プリズム213の前記各側面213の平均法線方向と、前記底面211の法線方向N1との間の挟角θは、50~85度の範囲内である。
【0052】
図6に示すように、一実施形態では、隣接する2つの前記サブ平面213'は、角度の異なる2つの法線方向N2及び法線方向N3を有する。前記法線方向N2と前記法線方向N3の方向が異なるため、前記各側面213は、異なる傾斜角度を有する2つの前記サブ平面213'を有することとなる。同時に、いずれの前記サブ平面213'の前記法線方向N2又は前記法線方向N3と、前記底面211の前記法線方向N1との間の挟角θは、50~85度の範囲内であり;又は、前記サブ平面213'の前記法線方向N2及び前記法線方向N3の平均法線方向と、前記底面211の法線方向N1との間の挟角θは、50~85度の範囲内である。
【0053】
図7を参照されたい。図7は、図4における前記プリズム210の光学原理を示す概略図である。前記光学シミュレーション試験を経た本発明に係る前記プリズム210は、最適化された数値に基づいて、図2に示す前記発光基板100の前記発光面110から発せられる光線120の射出方向を改善することができる。図7は、前記光線120が、前記光学層200内の前記プリズム210の前記底面211に入射した際の状況を示している。前記プリズム210の前記底面211及び前記上面212が前記発光基板100に対して平行であるため、前記上面212から射出された前記光線120の一部は元の入射方向を維持する。さらに、前記複数の側面213の傾斜角度は既に、従来技術である前記OLEDディスプレイパネルにおける前記輝度-視角関係図に対して最適化されているため、前記複数の側面213から射出された前記光線120の一部は、光学シミュレーション試験で設計した特定の角度に屈折するようになる。従って、図1において前記輝度の起伏を呈する側面視角を有する前記光線120は、前記プリズム210によって他の側面視角に部分的に分散され、以って従来技術である前記OLEDディスプレイパネルにおける前記輝度-視角関係図に現れる輝度の起伏の現象を解消することができる。
【0054】
図8を参照されたい。図8は、本発明に係る前記ディスプレイパネルにおける輝度-視角関係図である。本発明の前記光学層200の前記プリズム210で前記発光基板100から発せられる前記光線120を最適化することにより、本発明の前記ディスプレイパネルは、図8に示すような輝度-視角関係図を得ることができる。前記発光基板100の輝度が視角0度で最大値が観測されるように設定し、即ち、視角0度の輝度値を100%とする。図中の曲線からわかるように、本発明の前記ディスプレイパネルの輝度は観測する視角の傾斜に伴い徐々に減少し、即ち、異なる視角の下で観測する輝度の変化曲線は滑らかである。
【0055】
本発明の前記光学層200は、前記発光基板100における正負30度程度の視角の前記光線120を屈折させ、且つ前記光線120をより大きな視角に屈折させる。従って、図1と比較して、図8の輝度-視角曲線は、前記ディスプレイパネルは0度の視角で最大の輝度が観測されることを示し、視角が大きくなるにつれて、前記ディスプレイパネルの観測される輝度は徐々に減少する。このため、本発明の前記ディスプレイパネルは、前記光学層200の前記プリズム210による作用の下、視角が増大するにつれて、前記ディスプレイパネルで観測される輝度を滑らかに減少させる。このように、異なる視角下で観測される輝度の変化曲線が滑らかである前記ディスプレイパネルが得られ、従来技術のOLEDディスプレイパネルにおいて、そのOLED装置の前記発光層中の前記励起子の再結合位置が不確定であるが故にもたらされる問題を改善することができ、使用者の鑑賞体験を最適化することができる。
【0056】
本発明において、前記光学層200はさらに、複数の図3~5に示すような前記プリズム210を前記発光基板100の前記発光面110上に配置することができる。以下において、各々の前記プリズム210の各々の前記側面213が2つの前記サブ平面213’を含む態様を例として説明する。
【0057】
図9を参照されたい。図9は、本発明に係る前記光学層200において、複数の前記プリズム210を配置した態様を示す概略図である。一実施形態では、前記光学層200の前記プリズム210はそれぞれ長いストリップ状を有し、且つ前記複数のプリズム210は、前記発光基板100の前記発光面110上の第1方向131に沿って間隔を空けて配列されている。なお、前記第1方向131は、前記発光面110の直交座標系の1つの座標軸であってもよいが、これに限定されるものではなく、任意の方向であってもよい。
【0058】
本実施形態では、複数の長いストリップ状の前記プリズム210が一次元である前記第1方向131に沿って配置される場合、各々の前記プリズム210は、前記発光基板100から発せられた前記光線120を前記第1方向131の正及び負の方向に向かって部分的に屈折させることができる。さらに、光学シミュレーション試験による最適化を通じて、本発明で配置する隣接する2つの前記プリズム210間の距離は、5~50μmの範囲内であり、好ましくは10μmである。隣接する2つの前記プリズム210間の距離を適宜調整することにより、ある1つの前記プリズム210の1つの前記側面213から射出された前記光線120が他の前記プリズム210に入射し、前記光線120が複数回屈折させられるか、或いは他の方向から射出された前記光線120と互い干渉し合うか等の不具合を回避することができる。同時に、隣接する2つの前記プリズム210間の距離を適宜調整することにより、前記光学層200は、前記ディスプレイパネルにおける異なる視角の下で観測する輝度の変化曲線を最大限に改善することができる。
【0059】
従って、前記第1方向131の前記正の方向及び前記負の方向において、前記視角が増大するにつれて、前記ディスプレイパネルで観測される輝度は滑らかに減少させることができる。このようにして、前記第1方向131の前記正の方向及び前記負の方向における異なる視角下で観測される輝度の変化曲線が滑らかである前記ディスプレイパネルが得られ、使用者の鑑賞体験を最適化することができる。
【0060】
また、本実施形態における1本の長いストリップ状の前記プリズム210は、前記発光基板100の1列の画素点に対応させて配置してもよく、又は複数列の画素点に対応させて配置してもよいため、複数の前記画素点の前記光線120に対して個別に最適化を行うことができる。なお、複数の前記プリズム210の配置方式はいずれも、前記光学シミュレーション試験による設計に基づいて上述の技術的効果をもたらすものであるため、複数の前記プリズム210の前記配置方式を前記発光基板100の複数の前記画素点に対応させる必要はない。言い換えれば、本発明の前記光学層200は如何なる種類の発光基板にも適用することができ、製造における相当程度の高い融通性を有する。
【0061】
図10を参照されたい。図10は、本発明に係る前記光学層200において、複数の前記プリズム210を配置した他の態様を示す概略図である。一実施形態では、前記光学層200の前記プリズム210はそれぞれタワー状を有し、且つ前記複数のプリズム210は、前記発光基板100の前記発光面110上の前記第1方向131及び第2方向132に沿ってアレイ状に配列されている。なお、前記第2方向132と前記第1方向131は互いに垂直であり、且つ前記第1方向131及び前記第2方向132は、前記発光面110の前記直交座標系の2つの互いに垂直である座標軸であってもよいが、これに限定されるものではなく、任意の2つの互いに垂直である方向であってもよい。
【0062】
本実施形態では、各タワー状の前記プリズム210の前記底面211及び前記上面212は正方形であり、且つ各タワー状の前記プリズム210の4つの前記側面213の形状はいずれも同一であり、各々のペアで互いに対称である。タワー状の複数の前記プリズム210が二次元である前記第1方向131及び前記第2方向132に沿ってアレイ状に配置される場合、各々の前記プリズム210は、前記発光基板100から発せられた前記光線120を前記第1方向131の正及び負の方向に向かって、及び前記第2方向132の正及び負の方向に向かって部分的に屈折させることができる。さらに、光学シミュレーション試験による最適化を通じて、本発明で配置する隣接する2つの前記プリズム210間の距離は、5~50μmの範囲内であり、好ましくは10μmである。隣接する2つの前記プリズム210間の距離を適宜調整することにより、ある1つの前記プリズム210の1つの前記側面213から射出された前記光線120が他の前記プリズム210に入射し、前記光線120が複数回屈折させられるか、或いは他の方向から射出された前記光線120と互い干渉し合うか等の不具合を回避することができる。同時に、隣接する2つの前記プリズム210間の距離を適宜調整することにより、前記光学層200は、前記ディスプレイパネルにおける異なる視角の下で観測する輝度の変化曲線を最大限に改善することができる。
【0063】
従って、前記第1方向131の前記正の方向及び前記負の方向、及び前記第2方向132の前記正の方向及び前記負の方向において、前記視角が増大するにつれて、前記ディスプレイパネルで観測される輝度は滑らかに減少させることができる。このようにして、前記第1方向131の前記正の方向及び前記負の方向、及び前記第2方向132の前記正の方向及び前記負の方向における異なる視角下で観測される輝度の変化曲線が滑らかである前記ディスプレイパネルが得られ、使用者の鑑賞体験を最適化することができる。
【0064】
また、本実施形態における1つのタワー状の前記プリズム210は、一対一、又は一対多となるように前記発光基板100の前記画素点に対応させて配置してもよいため、複数の前記画素点の前記光線120に対して個別に最適化を行うことができる。なお、複数の前記プリズム210の配置方式はいずれも、前記光学シミュレーション試験による設計に基づいて上述の技術的効果をもたらすものであるため、複数の前記プリズム210の前記配置方式を前記発光基板100の複数の前記画素点に対応させる必要はない。言い換えれば、本発明の前記光学層200は如何なる種類の発光基板にも適用することができ、製造における相当程度の高い融通性を有する。
【0065】
本発明において、前記光学層200の前記プリズム210を形成する際、前記プリズム210の材料は樹脂を含み、且つ前記プリズム210はエンボス工程又はフォトリソグラフィ工程により形成される。本発明で前記光学シミュレーション試験により前記プリズムの構造を設計する際には、同時に前記プリズム210の前記材料の特性を考慮し、例えば、前記材料の屈折率又は光透過率が前記発光基板100から発せられた前記光線120の偏向角度に対する影響等が挙げられる。
【0066】
前記光学層200の前記複数のプリズム210を形成した後、封止用接着剤を前記複数のプリズム210の間に充填し、且つ平坦な前記光学層200を形成する。図11及び図12を参照されたい。図11及び図12は、本発明に係る前記ディスプレイパネルの他の2つの積層構造を示す概略図である。本発明の前記光学層200はまた、前記ディスプレイパネルの製造に用いられ得る。一実施形態では、図11に示すように、前記発光基板100を形成した後、前記光学層200の前記プリズム210を直接その上に形成することができ、前記封止用接着剤で前記プリズム210を平らに充填した後、例えば、前記光学層200上に封止カバー300を設ける等、ディスプレイパネルの製造工程を継続することができる。別の実施形態では、図12に示すように、従来技術の前記ディスプレイパネルの製造が完了した後、即ち、封止カバー300が既に前記発光基板100上に設けられているが、別途形成した前記光学層200を前記封止カバー300上に貼り付けることができ、前記ディスプレイパネルの製造における融通性がもたらされる。
【0067】
本発明は、異なる視角下で観測される輝度の変化曲線が滑らかである前記ディスプレイパネルを提供するものである。前記ディスプレイパネル内の前記光学層200は、前記発光基板100の前記発光面110上に設けられ、且つ前記光学層200の前記プリズム210は、前記発光基板100から発せられた前記光線120を屈折させることができる傾斜した複数の前記側面213を有する。さらに、前記プリズム210の前記各側面213は、1つの平面又は異なる角度を有する前記複数のサブ平面213’を含むことができるため、本発明に係るディスプレイパネルの前記輝度-視角曲線を最適化することができ、従来技術における前記輝度の起伏の問題を解消し得る。また、前記光学層200の水平視角又は垂直視角における技術的効果を高めるために、前記光学層200においてはさらに、複数の前記プリズム210が前記発光基板100の前記発光面110上の前記第1方向131に沿って間隔を空けて配列されるか、又は互いに垂直である前記第1方向131及び前記第2方向132に沿ってアレイ状に配置される。前記光学層200の技術的効果及び製造における融通性のおかげで、前記光学シミュレーション試験によって設計された前記光学層200は如何なる種類のディスプレイパネルにも適用することができ、且つ使用者の鑑賞体験を最適化することができる。
【0068】
上記は本発明の好ましい実施形態にすぎず、当業者であれば、本発明の原理から逸脱しないことを前提として、若干の改善や改変を行うことができ、これらの改善や改変もまた本発明の保護範囲に属するものとみなされるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】