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特表2024-503945有機発光ダイオード表示パネル及び表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-30
(54)【発明の名称】有機発光ダイオード表示パネル及び表示装置
(51)【国際特許分類】
   H10K 50/824 20230101AFI20240123BHJP
   H10K 59/124 20230101ALI20240123BHJP
   H10K 59/122 20230101ALI20240123BHJP
   H10K 50/844 20230101ALI20240123BHJP
   H10K 50/828 20230101ALI20240123BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20240123BHJP
   H10K 102/10 20230101ALN20240123BHJP
【FI】
H10K50/824
H10K59/124
H10K59/122
H10K50/844
H10K50/828
G09F9/30 365
G09F9/30 338
G09F9/30 348A
G09F9/30 349C
H10K102:10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021577102
(86)(22)【出願日】2021-12-21
(85)【翻訳文提出日】2022-02-15
(86)【国際出願番号】 CN2021140166
(87)【国際公開番号】W WO2023108728
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】202111544842.X
(32)【優先日】2021-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519182202
【氏名又は名称】深▲セン▼市▲華▼星光▲電▼半▲導▼体▲顕▼示技▲術▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100204386
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 啓
(72)【発明者】
【氏名】李 ▲凱▼▲凱▼
(72)【発明者】
【氏名】唐 甲
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC23
3K107CC33
3K107CC45
3K107DD23
3K107DD27
3K107DD37
3K107DD89
3K107DD90
3K107EE27
3K107EE48
3K107FF15
5C094BA03
5C094BA27
5C094DA15
5C094DB01
5C094EA04
5C094EA07
5C094ED15
(57)【要約】
本願は、有機発光ダイオード表示パネル及び表示装置を開示する。有機発光ダイオード表示パネルは、基板と、薄膜トランジスタ素子層と、発光素子と、パッシベーション層と、平坦層と、嵩上げ層と、ボス部と、補助電極と、アンダーカット通路とを含む。ボス部は、嵩上げ層の真上に設けられる。補助電極は、接触部及び段差部を含み、かつ段差部が存在する水平面の高さは接触部が存在する水平面の高さより高い。アンダーカット通路の基板への正射影と嵩上げ層の基板への正射影とは互いに離間している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機発光ダイオード表示パネルであって、
基板と、
薄膜トランジスタ素子層であって、前記基板に設けられ、嵩上げ層及びボス部を含む機能膜層並びに薄膜トランジスタを含み、前記ボス部が、前記嵩上げ層の真上に設けられ、第1の頂面と、前記第1の頂面の一側に位置する第1の側壁とを含む、薄膜トランジスタ素子層と、
前記薄膜トランジスタ素子層の上方に設けられた発光素子と、
前記薄膜トランジスタ素子層に設けられたパッシベーション層と、
前記パッシベーション層に設けられた平坦層と、
前記発光素子と前記基板との間に設けられ、接触部及び段差部を含む補助電極であって、前記段差部が前記第1の頂面に位置し、前記接触部が前記第1の側壁に隣接し、かつ前記段差部が存在する水平面の高さは前記接触部が存在する水平面の高さより高い、補助電極と、
アンダーカット通路であって、前記補助電極の接触部に設けられ、かつ前記アンダーカット通路の上方に、前記平坦層を貫通する第1の貫通孔を有し、前記アンダーカット通路の前記基板への正射影と前記嵩上げ層の前記基板への正射影とが互いに離間している、アンダーカット通路と、を含む、有機発光ダイオード表示パネル。
【請求項2】
前記平坦層は、溝を含む第1の支持部を含み、前記パッシベーション層は第2の支持部を含み、前記第2の支持部は前記溝内を被覆しており、前記第1の支持部と前記第2の支持部はそれぞれ前記補助電極の段差部に設けられ、かつ前記第1の支持部及び前記第2の支持部の一部は前記第1の側壁から延出し、前記アンダーカット通路の上方に浮いている、請求項1に記載の有機発光ダイオード表示パネル。
【請求項3】
前記第1の支持部の前記アンダーカット通路に隣接する底面の正射影は、全て前記アンダーカット通路に位置する、請求項2に記載の有機発光ダイオード表示パネル。
【請求項4】
前記薄膜トランジスタ素子層は、さらに遮光層を含み、前記遮光層は、前記薄膜トランジスタの下方に設けられ、前記嵩上げ層と前記遮光層とは同層に設けられる、ことを特徴とする請求項1に記載の有機発光ダイオード表示パネル。
【請求項5】
前記機能膜層は、緩衝層と、前記緩衝層に設けられた層間誘電体層とをさらに含み、前記ボス部は、第1のボスと、第2のボスとを含み、前記第1のボスは、前記緩衝層に設けられ、かつ前記嵩上げ層の真上に位置し、前記第2のボスは、前記層間誘電体層に設けられ、前記補助電極の段差部は、前記第2のボスに位置し、かつ前記嵩上げ層、前記第1のボス、前記第2のボス及び前記段差部は互いに整列している、請求項4に記載の有機発光ダイオード表示パネル。
【請求項6】
前記薄膜トランジスタは、活性層と、ゲート絶縁層と、ゲートと、ソースと、ドレインとを含み、前記補助電極は、前記ソース及びドレインと同層に設けられる、請求項1に記載の有機発光ダイオード表示パネル。
【請求項7】
前記嵩上げ層は、互いに重ねて設けられた第1の膜層及び第2の膜層を含み、前記第1の膜層はパターン化された前記ゲート絶縁層の一部分であり、前記第2の膜層はパターン化された前記ゲートの一部分である、請求項6に記載の有機発光ダイオード表示パネル。
【請求項8】
前記機能膜層は、緩衝層と、前記緩衝層に設けられた層間誘電体層とをさらに含み、前記ボス部は、前記層間誘電体層に設けられ、かつ前記嵩上げ層の真上に位置し、前記嵩上げ層は、前記緩衝層に設けられる、請求項7に記載の有機発光ダイオード表示パネル。
【請求項9】
前記発光素子は順に設けられた陽極と、有機発光層と、陰極とを含み、前記有機発光層及び前記陰極は、前記第1の貫通孔及び前記アンダーカット通路を介して前記補助電極に接触し、かつ前記有機発光層の前記陰極への正射影は前記アンダーカット通路内の前記陰極の境界内に位置する、請求項1に記載の有機発光ダイオード表示パネル。
【請求項10】
有機発光ダイオード表示パネルを含む表示装置であって、前記有機発光ダイオード表示パネルは、
基板と、
薄膜トランジスタ素子層であって、前記基板に設けられ、嵩上げ層及びボス部を含む機能膜層並びに薄膜トランジスタを含み、前記ボス部が、前記嵩上げ層の真上に設けられ、第1の頂面と、前記第1の頂面の一側に位置する第1の側壁とを含む、薄膜トランジスタ素子層と、
前記薄膜トランジスタ素子層の上方に設けられた発光素子と、
前記薄膜トランジスタ素子層に設けられたパッシベーション層と、
前記パッシベーション層に設けられた平坦層と、
前記発光素子と前記基板との間に設けられ、接触部及び段差部を含む補助電極であって、前記段差部が前記第1の頂面に位置し、前記接触部が前記第1の側壁に隣接し、かつ前記段差部が存在する水平面の高さは前記接触部が存在する水平面の高さより高い、補助電極と、
アンダーカット通路であって、前記補助電極の接触部に設けられ、かつ前記アンダーカット通路の上方に、前記平坦層を貫通する第1の貫通孔を有し、前記アンダーカット通路の前記基板への正射影と前記嵩上げ層の前記基板への正射影とが互いに離間している、アンダーカット通路と、を含む、表示装置。
【請求項11】
前記平坦層は、溝を含む第1の支持部を含み、前記パッシベーション層は第2の支持部を含み、前記第2の支持部は前記溝内を被覆しており、前記第1の支持部と前記第2の支持部はそれぞれ前記補助電極の段差部に設けられ、前記第1の支持部及び前記第2の支持部の一部は前記第1の側壁から延出し、かつ前記アンダーカット通路の上方に浮いている、請求項10に記載の表示装置。
【請求項12】
前記第1の支持部の前記アンダーカット通路に隣接する底面の正射影は、全て前記アンダーカット通路に位置する、請求項11に記載の表示装置。
【請求項13】
前記薄膜トランジスタ素子層は、さらに遮光層を含み、前記遮光層は、前記薄膜トランジスタの下方に設けられ、前記嵩上げ層と前記遮光層とは同層に設けられる、請求項12に記載の表示装置。
【請求項14】
前記機能膜層は、緩衝層と、前記緩衝層に設けられた層間誘電体層とをさらに含み、前記ボス部は、第1のボスと、第2のボスとを含み、前記第1のボスは、前記緩衝層に設けられ、かつ前記嵩上げ層の真上に位置し、前記第2のボスは、前記層間誘電体層に設けられ、前記補助電極の段差部は、前記第2のボスに位置し、かつ前記嵩上げ層、前記第1のボス、前記第2のボス及び前記段差部は互いに整列している、請求項13に記載の表示装置。
【請求項15】
前記薄膜トランジスタは活性層と、ゲート絶縁層と、ゲートと、ソースと、ドレインとを含み、前記補助電極は、前記ソース及びドレインと同層に設けられる、請求項10に記載の表示装置。
【請求項16】
前記嵩上げ層は、互いに重ねて設けられた第1の膜層及び第2の膜層を含み、前記第1の膜層はパターン化された前記ゲート絶縁層の一部分であり、前記第2の膜層はパターン化された前記ゲートの一部分である、請求項15に記載の表示装置。
【請求項17】
前記機能膜層は、緩衝層と、前記緩衝層に設けられた層間誘電体層とをさらに含み、前記ボス部は、前記層間誘電体層に設けられ、かつ前記嵩上げ層の真上に位置し、前記嵩上げ層は、前記緩衝層に設けられる、請求項16に記載の表示装置。
【請求項18】
前記発光素子は順に設けられた陽極と、有機発光層と、陰極とを含み、前記有機発光層及び前記陰極は、前記第1の貫通孔及び前記アンダーカット通路を介して前記補助電極に接触し、かつ前記有機発光層の前記陰極への正射影は前記アンダーカット通路内の前記陰極の境界内に位置する、請求項10に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、表示技術の分野に関し、特に有機発光ダイオード表示パネル及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示科学技術の発展に伴い、様々な表示技術は絶えず新しく発展している。ここで、有機発光ダイオード(organic light emitting diode、OLED)は厚さが薄く、自発光性、高彩度、折曲可能性などの利点があり、有機発光ダイオードは表示技術における明日の主役として高く評価されている。
【0003】
OLEDパネルが動作するときには、表示の中心と中心以外の周縁とに電圧減衰(IR drop)の問題(すなわち、電圧降下による最終的な輝度ムラ)があり、そのため、補助電極を作製し、電圧降下が大きい領域に補助を施すことにより、パネル全体の動作時の画面表示を均一にする必要がある。現在、補助電極を作成する主な手段は、背板にアンダーカット(undercut)構造を作製することにより、陰極と補助源とを接続して、補助電極の作用を実現することである。伝統的なアンダーカット構造は、新たに1層増加されたパッド層を支持層として採用するが、新たに増加されたパッドマスクはコストを増加させるだけでなく、製造プロセス時間の短縮にも不利である。具体的には、伝統的なアンダーカット構造は、フッ化水素により支持層の下方のパッシベーション層をエッチングする。湿式サイドエッチングにより、支持層に合わせて形成されたアンダーカット支持層とパッシベーション層との間の界面の緻密度は、アンダーカットの深さ及び形状に重要な影響を与える。また、平坦層を支持層として採用すれば、平坦層は、有機材料であるため、硬度が無機材料より低く、かつパッシベーション層との界面密着度が低い。フッ化水素でパッシベーション層をエッチングする場合、サイドエッチング速度が非常に速いため、界面でのパッシベーション層の頂部へのサイドエッチングが速くなりすぎ、底部へのサイドエッチングが遅くなり、最終的にアンダーカットの実際の深さが不十分であり、パッシベーション層のエッチング側の傾斜角(taper)が比較的に緩やかになるか、又は深さが満たされるが平坦層の支持安定性が不良となるために後続の製造プロセスにおいては陥没リスクがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願は、伝統的なアンダーカットの構造の実際の深さが不十分であり、パッシベーション層のエッチング側の傾斜角(taper)が比較的に緩やかになるか、又は深さが満たされるが平坦層の支持安定性が不良となるために後続の製造プロセスにおいて陥没リスクがあるという技術的課題を解決するために、有機発光ダイオード表示パネル及び表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本願に係る技術的手段は、以下のとおりである。
【0006】
本願の実施例に係る有機発光ダイオード表示パネルは、基板と、薄膜トランジスタ素子層であって、前記基板に設けられ、機能膜層及び薄膜トランジスタを含む、薄膜トランジスタ素子層と、前記薄膜トランジスタ素子層の上方に設けられた発光素子と、前記薄膜トランジスタ素子層に設けられたパッシベーション層と、前記パッシベーション層に設けられた平坦層と、前記機能膜層は、嵩上げ層及びボス部を含み、前記ボス部が、前記嵩上げ層の真上に設けられ、第1の頂面と、前記第1の頂面の一側に位置する第1の側壁とを含み、前記発光素子と前記基板との間に設けられ、接触部及び段差部を含む補助電極であって、前記段差部が前記第1の頂面に位置し、前記接触部が前記第1の側壁に隣接し、かつ前記段差部が存在する水平面の高さは前記接触部が存在する水平面の高さより高い、補助電極と、アンダーカット通路であって、前記補助電極の接触部に設けられ、かつ前記アンダーカット通路の上方に、前記平坦層を貫通する第1の貫通孔を有するアンダーカット通路と、を含む。前記アンダーカット通路の前記基板への正射影と前記嵩上げ層の前記基板への正射影とは互いに離間している。
【0007】
選択的に、前記平坦層は、溝を含む第1の支持部を含み、前記パッシベーション層は第2の支持部を含み、前記第2の支持部は前記溝内を被覆しており、前記第1の支持部と前記第2の支持部はそれぞれ前記補助電極の段差部に設けられ、前記第1の支持部及び前記第2の支持部の一部は前記第1の側壁から延出し、かつ前記アンダーカット通路の上方に浮いている。
【0008】
選択的に、前記第1の支持部の前記アンダーカット通路に隣接する底面の正射影は、全て前記アンダーカット通路に位置する。
【0009】
選択的に、前記薄膜トランジスタ素子層は、さらに遮光層を含み、前記遮光層は、前記薄膜トランジスタの下方に設けられ、前記嵩上げ層と前記遮光層とは同層に設けられる。
【0010】
選択的に、前記機能膜層は、緩衝層と、前記緩衝層に設けられた層間誘電体層とをさらに含み、前記ボス部は、第1のボスと、第2のボスとを含み、前記第1のボスは、前記緩衝層に設けられ、かつ前記嵩上げ層の真上に位置し、前記第2のボスは、前記層間誘電体層に設けられ、前記補助電極の段差部は、前記第2のボスに位置し、かつ前記嵩上げ層、前記第1のボス、前記第2のボス及び前記段差部は互いに整列している。
【0011】
選択的に、前記薄膜トランジスタは活性層と、ゲート絶縁層と、ゲートと、ソースと、ドレインとを含み、前記補助電極は、前記ソース及びドレインと同層に設けられる。
【0012】
選択的に、前記嵩上げ層は、互いに重ねて設けられた第1の膜層及び第2の膜層を含み、前記第1の膜層はパターン化された前記ゲート絶縁層の一部分であり、前記第2の膜層はパターン化された前記ゲートの一部分である。
【0013】
選択的に、前記機能膜層は、緩衝層と、前記緩衝層に設けられた層間誘電体層とをさらに含み、前記ボス部は、前記層間誘電体層に設けられ、かつ前記嵩上げ層の真上に位置し、前記嵩上げ層は、前記緩衝層に設けられる。
【0014】
選択的に、前記発光素子は順に設けられた陽極と、有機発光層と、陰極とを含み、前記有機発光層及び前記陰極は、前記第1の貫通孔及び前記アンダーカット通路を介して前記補助電極に接触し、かつ前記有機発光層の前記陰極層への正射影は前記アンダーカット通路内の前記陰極層の境界内に位置する。
【0015】
さらに、本願の実施例に係る表示装置は、上記実施例に記載の有機発光ダイオード表示パネルを含む。
【発明の効果】
【0016】
本願の有益な効果は以下のとおりである。本願の実施例は、有機発光ダイオード表示パネル及び表示装置を提供する。嵩上げ層を設けることにより上方の膜層のレベルを増加させ、パッシベーション層と平坦層とのエッチング界面のサイドエッチングの課題を解決して、平坦層の形状の安定性を改善する。同時に、レベルの影響はパッシベーション層の傾斜角を補正し、これにより、平坦層がアンダーカット構造の実際の深さにおいて支持性の要件を満たし、平坦層をアンダーカット支持層とする量産信頼性を改善し、かつ作製プロセスにおけるマスクの使用数量を減少させることができる。これにより、本願の有機発光ダイオード表示パネル及び表示装置は、伝統的なアンダーカット構造の実際の深さが不十分となり、パッシベーション層のエッチング側の傾斜角が比較的に緩やかになるか、又は深さが満たされるが平坦層の支持安定性が不良となるために後続の製造プロセスにおいて陥没リスクがあるという技術的課題を効果的に解決する。
【0017】
実施例又は従来技術における技術的手段をより明確に説明するために、以下、実施例又は従来技術の記述に必要な図面を簡単に説明する。明らかなように、以下に記載される図面は、出願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的な労働をしない前提で、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本願の実施例に係る有機発光ダイオード表示パネルの断面構造概略図である。
図2】本願の実施例に係るアンダーカット通路の構造概略図である。
図3】本願の実施例に係る嵩上げ層と上方の膜層とのレベル増加についての構造概略図である。
図4】本願の実施例に係るパッシベーション層及び平坦層の上記アンダーカット通路での光学シミュレーション概略図である。
図5】本願の別の実施例に係る有機発光ダイオード表示パネルの断面構造概略図である。
図6】本願の実施例の表示装置の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下の各実施例の説明は、添付図面を参照し、本願の実施され得る実施例を例示するために用いられる。本願に言及される方向に関する用語、例えば、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「内」、「外」、「側面」などは、単に添付図面の方向を参照する。したがって、使用される方向に関する用語は、本願を説明し理解するためのものであり、本願を限定するものではない。図において、構造が類似するユニットは同じ参照番号で示される。図面において、明確な理解と記載の便宜のため、いくつかの層及び領域の厚さを誇張する。すなわち、図面に示される各コンポーネントの寸法及び厚さは、任意に示されるが、本願はこれらに限定されない。
【0020】
本願の実施例に係る有機発光ダイオード(organic light emitting diodes、OLED)表示パネル及び表示装置は、伝統的なアンダーカット構造の支持性が不十分であり、陥没リスクを引き起こしやすいという課題を改善することができる。以下、それぞれ詳細に説明する。説明すべきこととして、以下の実施例の記述順序は、実施例の好ましい順序を限定するものではない。
【0021】
図1を参照する。図1は本願の実施例に係る有機発光ダイオード表示パネル100の断面構造概略図である。図1に示すように、本願の有機発光ダイオード表示パネル100は、基板11と、上記基板11に設けられた薄膜トランジスタ素子層1と、発光素子2とを含み、ここで、上記薄膜トランジスタ素子層1は、機能膜層及び薄膜トランジスタ3を含む。
【0022】
本実施例において、上記基板11は、ガラスなどの硬質材料で作製されてもよく、ポリイミドなどの可撓性材料で作製されてもよい。図1に示すように、上記有機発光ダイオード表示パネル100の機能膜層は、上記基板11に設けられた緩衝層12と、上記緩衝層12に設けられた層間誘電体層13とを含む。上記緩衝層12は、酸化ケイ素又は窒化ケイ素で作製することができる。上記層間誘電体層13にパッシベーション層14が設けられる。上記パッシベーション層14の材料は、酸化ケイ素又は窒化ケイ素の無機絶縁膜であってよく、かつ上記薄膜トランジスタ3の上記基板11から離れる側をカバーする。上記パッシベーション層14に平坦層15が設けられる。具体的には、上記平坦層15の材料は、有機フォトレジスト、例えば可溶性ポリテトラフルオロエチレン(PFA)又はポリイミド接着剤であってよいが、本願はこれに限定されない。上記平坦層15の上記パッシベーション層14から離れる側に上記発光素子2が設けられる。
【0023】
続いて図1に参照されるように、上記発光素子2は、順に設けられた陽極21と、画素定義層22と、有機発光層23と、陰極24とを含む。上記画素定義層22に複数の凹孔が設けられ、上記陽極21、上記有機発光層23及び上記陰極24は上記凹孔内に直接積層される。この実施例において、上記有機発光層23及び上記陰極24は上記画素定義層22の表面に沿って設けられる。
【0024】
図1に示すように、上記薄膜トランジスタ素子層1は、上記基板11に設けられた遮光層31、上記緩衝層12に設けられた活性層32、上記活性層32に設けられたゲート絶縁層33、上記ゲート絶縁層33に設けられたゲート34と、上記層間誘電体層13に設けられたソース35及びドレイン36とを含む。上記ソース35及び上記ドレイン36は、上記層間誘電体層13に設けられたビアを介して上記活性層32に電気的に接続され、上記ソース35は、上記層間誘電体層13及び上記緩衝層12上のビアを介して上記遮光層31に電気的に接続され、かつ上記層間誘電体層13は、上記活性層32、上記ゲート絶縁層33及び上記ゲート34をカバーする。具体的には、上記活性層32、上記ゲート絶縁層33、上記ゲート34、上記ソース35及び上記ドレイン36は共に上記薄膜トランジスタ3を構成する。ここで、上記ゲート34は第1の金属層として定義され、上記ソース35及び上記ドレイン36は第2の金属層として定義され、上記遮光層31は基板11と緩衝層12との間に位置する。なお、本願の薄膜トランジスタは、トップゲート型薄膜トランジスタを実施例とするが、ボトムゲート型薄膜トランジスタを採用してもよい。また、本願の薄膜トランジスタは、低温ポリシリコン薄膜トランジスタ又は酸化物半導体薄膜トランジスタであってよく、上記薄膜トランジスタのタイプは、本願において限定されない。
【0025】
特に説明することとして、本願の実施例に係る有機発光ダイオード表示パネル100には、アンダーカットと補助電極とを組み合わせた構造が設けられており、表示パネルの周縁又は他の位置に電圧降下(IR drop)が起こり得るという課題を改善するために用いられる。図2とあわせて図1を参照する。図2は本願の実施例に係るアンダーカット通路の構造概略図であり、ここで、図2は、主にアンダーカット通路を示すために用いられるため、有機発光層及び陰極を表示しない。図1に示すように、本願の上記機能膜層は、嵩上げ層30と、ボス部10とをさらに含む。この実施例において、上記嵩上げ層30は上記遮光層31と同層に設けられる。具体的には、上記嵩上げ層30は、フォトリソグラフィプロセスによりパターン化された上記遮光層31の一部であり、すなわち、上記嵩上げ層30と上記遮光層31は同一のフォトリソグラフィプロセスにより形成される。上記嵩上げ層30を設けることにより上方の他の膜層のレベルを増加させるため、上記嵩上げ層30上の緩衝層12のレベルが対応して高くなり、第1のボス120を形成し、緩衝層12上の層間誘電体層13のレベルが対応して高くなり、第2のボス130を形成する。すなわち、上記嵩上げ層30の真上に第1のボス120と第2のボス130とを含むボス部10が形成される。具体的には、上記ボス部10は、第1の頂面101と、上記第1の頂面101の一側に位置する第1の側壁102とを含む。この実施例において、第1の頂面101及び第1の側壁102は第2のボス130に形成される。つまり、上記緩衝層12を作成する過程において、同時に上記第1のボス120を形成し、上記層間誘電体層13を作成する過程において、同時に上記第2のボス130を形成することができる。
【0026】
続いて図1を参照する。本願の有機発光ダイオード表示パネル100は、上記発光素子2と上記基板11との間に設けられ、かつ接触部371及び段差部372を含む補助電極37を含む。上記段差部372は、上記第1の頂面101に位置し、すなわち、上記第2のボス130に位置する。上記接触部371は、上記第1の側壁102に隣接する。上記第2のボス130を設けるため、上記段差部372のレベルが高くなり、これにより、上記段部372が存在する水平面の高さは上記接触部371が存在する水平面の高さより高くなる。具体的には、上記嵩上げ層30、上記第1のボス120、上記第2のボス130及び上記段差部372は軸方向に互いに整列している。この実施例において、上記補助電極37は、上記ソース35及びドレイン36と同層に設けられる。すなわち、上記補助電極37とソース35及びドレイン36とは上記第2の金属層で1つのフォトリソグラフィプロセスにより形成される。
【0027】
図1に示すように、アンダーカット通路201は、上記補助電極37の接触部371に設けられ、かつ上記アンダーカット通路201の上方には、上記平坦層15を貫通する第1の貫通孔202を有する。この実施例において、アンダーカット通路201は、フッ化水素により補助電極37上のパッシベーション層14をエッチングすることにより形成される。具体的には、上記アンダーカット通路201の上記基板11への正射影と上記嵩上げ層30の上記基板11への正射影とは互いに離間している。
【0028】
続いて図1に参照されるように、上記平坦層15は、溝151を含む第1の支持部150を含む。上記パッシベーション層14は、第2の支持部140を含み、上記第2の支持部140は、上記溝151内を被覆している。嵩上げ層30がレベルを上昇させるため、上記第1の支持部150と上記第2の支持部140は、それぞれ上記補助電極37の段差部372に設けられ、上記第1の支持部150及び上記第2の支持部140の一部は上記第1の側壁102から延出し、かつ上記アンダーカット通路201の上方に浮いている(図2に示す)。
【0029】
図2図4とあわせて図1を参照する。図3は本願の実施例に係る嵩上げ層と上方の膜層とのレベル増加についての構造概略図である。ここで、図3には、嵩上げ層30とアンダーカット通路201との関係を概略的に説明するために緩衝層12は示されていない。図4は本願のパッシベーション層14及び平坦層15の上記アンダーカット通路201での光学シミュレーション概略図である。図1及び図2に示すように、上記アンダーカット通路201は、一端が上方の第1の貫通孔202に連通し、他端が上記補助電極37の段差部372において閉鎖される。上記アンダーカット通路201の構造により、上記第1の支持部150の上記アンダーカット通路201に隣接する底面の正射影は、全て上記アンダーカット通路201に位置する。つまり、上記パッシベーション層14の頂部のエッチング長さL1は、エッチング時間に伴って増加するときに、レベルの影響を受け、かつ上記補助電極37の段差部372に遮断されるため、上記サイドエッチング長さL1の深さが限られる。これにより、上記パッシベーション層14の底部のサイドエッチング長さL2の深さが増加し、かつ徐々にL1の深さに近接し、最終的に上記パッシベーション層14の傾斜角(taper)が30°以上になるように修正する。上記アンダーカット通路201の実際の深さ(すなわちL2)は1ミクロンに達し(図2に示す)、同時に平坦層15のアンダーカット形状(すなわち浮き部位)の安定性が向上する(図4に示す)。
【0030】
続いて図1に参照されるように、上記有機発光層23及び上記陰極24は、上記第1の貫通孔202及び上記アンダーカット通路201を介して上記補助電極37の接触部371に接触する。特に説明することとして、上記有機発光層23及び上記陰極24の蒸着角への制御により、上記有機発光層23の上記陰極24への正射影は上記アンダーカット通路201内の上記陰極24の境界内に位置するようになる。すなわち、上記有機発光層23は上記アンダーカット通路201の対応する領域において切断されて、上記陰極24と上記補助電極37との間の接触面積を増大させ、また上記陰極24を上記アンダーカット通路201に延伸させることができる点で有利である。これにより、上記陰極24と上記補助電極37との間の接触面積を増大させ、電気的接続をより良好に行うことにより、電圧降下を減少させる。
【0031】
図5に参照されるように、本願の別の実施例に係る有機発光ダイオード表示パネル100’の断面構造概略図である。図5に示す実施例と上記実施例との相違点は、嵩上げ層30’が設けられた位置が異なることであり、上記実施例と同様の他の構造はこの実施例では説明を省略する。この実施例において、上記嵩上げ層30’は緩衝層12’に設けられ、かつ互いに重ねて設けられた第1の膜層330及び第2の膜層340を含む。上記第1の膜層330はパターン化された後の上記ゲート絶縁層33の一部分であり、すなわち、上記第1の膜層330と上記ゲート34は同一のフォトリソグラフィプロセスにより作製される。また、上記第2の膜層340は、パターン化された後の上記ゲート電極34の一部分であり、すなわち、上記第2の膜層340と上記ゲート34は上記第1の金属層で同一のフォトリソグラフィプロセスにより作製される。なお、上記第2の膜層340及び上記第1の膜層330は、自己整合のプロセスにより同一のフォトリソグラフィプロセスで作製することができる。本実施例において、第1の膜層330及び第2の膜層340で構成された嵩上げ層30’は、上方の膜層のレベルを高くするため、上記嵩上げ層30’の上方に位置する層間誘電体層13’のレベルを対応して増加させ、かつボス部10’を形成する。すなわち、本実施例のボス部10’は上記層間誘電体層13に形成され、かつ上記嵩上げ層30’の真上に位置する。図5に示すように、本実施例のボス部10’は、第1の頂面101’と、上記第1の頂面101’の一側に位置する第1の側壁102’とを含む。本実施例は、嵩上げ層30’を上記緩衝層12’に設けることにより、同様にレベルを増加させるという効果を達成することができ、上方の膜層のレベルを上昇させることにより、図1に示す実施例の嵩上げ層と同じ効果を達成する。
【0032】
図6に参照されるように、本願の実施例に係る表示装置の構造概略図である。さらに、本願の実施例に係る表示装置200は、上記いずれかの実施例の有機発光ダイオード表示パネル100を含み、上記表示装置200は、テレビ、ノートパソコン、タブレットコンピュータ又は携帯電話などの電子製品であってよい。
【0033】
以上のように、本願の実施例は、有機発光ダイオード表示パネル及び表示装置を提供する。嵩上げ層を設けることにより上方の膜層のレベルを増加させ、パッシベーション層と平坦層とのエッチング界面のサイドエッチングの課題を解決して、平坦層の形状の安定性を改善する。同時に、レベルの影響がパッシベーション層の傾斜角を修正することにより、平坦層がアンダーカット構造の実際の深さにおいて支持性の要件を満たすようになり、平坦層をアンダーカット支持層とした量産の信頼性を改善し、かつ作製プロセスにおけるマスクの使用数量を減少させることができる。これにより、本願の有機発光ダイオード表示パネル及び表示装置は、伝統的なアンダーカット構造の実際の深さが不十分であり、パッシベーション層のエッチング側の傾斜角が比較的に緩やかになるか、又は深さが満たされるが平坦層の支持安定性が不良となるために後続の製造プロセスにおいて陥没リスクがあるという技術的課題を効果的に解決する。
【0034】
上記実施例において、各実施例の記述についてはそれぞれに重点が置かれており、ある実施例で詳しく説明していない部分については、他の実施例の関連記載を参照されたい。
【0035】
以上、本願の実施例について詳細に説明し、本明細書において具体例を用いて本願の原理及び実施形態を解説したが、以上の実施例の説明は、本願の技術的手段及びその主旨の理解を助けるためのものに過ぎない。当業者であれば理解すべきこととして、上述の各実施例に記載の技術的手段を修正するか、又はその技術的特徴の一部に同等置換を行うことは依然として可能であり、これらの修正又は置換によっても、対応する技術的手段の本質は、本願の各実施例の技術的手段の範囲から逸脱することがない。
【符号の説明】
【0036】
1 薄膜トランジスタ素子層
2 発光素子
3 薄膜トランジスタ
10 ボス部
11 基板
12 緩衝層
13 層間誘電体層
14 パッシベーション層
15 平坦層
21 陽極
22 画素定義層
23 有機発光層
24 陰極
31 遮光層
32 活性層
33 ゲート絶縁層
34 ゲート
35 ソース
36 ドレイン
37 補助電極
100 有機発光ダイオード表示パネル
101 第1の頂面
102 第1の側壁
120 第1のボス
130 第2のボス
140 第2の支持部
150 第1の支持部
200 表示装置
201 アンダーカット通路
202 第1の貫通孔
330 第1の膜層
340 第2の膜層
371 接触部
372 段部
372 段差部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】