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特表2024-503964ポリエステルマイクロカプセルの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-30
(54)【発明の名称】ポリエステルマイクロカプセルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 13/16 20060101AFI20240123BHJP
   C11D 3/50 20060101ALI20240123BHJP
   C08G 63/12 20060101ALI20240123BHJP
   A61K 8/11 20060101ALI20240123BHJP
   A61K 8/85 20060101ALI20240123BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20240123BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20240123BHJP
   A61Q 15/00 20060101ALI20240123BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20240123BHJP
   A61Q 13/00 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
B01J13/16
C11D3/50
C08G63/12
A61K8/11
A61K8/85
A61Q5/12
A61Q5/02
A61Q15/00
A61Q19/10
A61Q13/00 102
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519143
(86)(22)【出願日】2021-12-13
(85)【翻訳文提出日】2023-05-15
(86)【国際出願番号】 EP2021085534
(87)【国際公開番号】W WO2022136008
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】20216043.8
(32)【優先日】2020-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】390009287
【氏名又は名称】フイルメニツヒ ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】Firmenich SA
【住所又は居所原語表記】7,Rue de la Bergere,1242 Satigny,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ジェラルディーヌ レオン
(72)【発明者】
【氏名】ダミアン ベルティエ
(72)【発明者】
【氏名】ラウシーヌ ワリ
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ エルニ
(72)【発明者】
【氏名】アマル エラバディ
(72)【発明者】
【氏名】パスカル ボスブル
【テーマコード(参考)】
4C083
4G005
4H003
4J029
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AB222
4C083AB332
4C083AC072
4C083AC122
4C083AC182
4C083AC212
4C083AC302
4C083AC342
4C083AC392
4C083AC422
4C083AC482
4C083AC532
4C083AC642
4C083AC692
4C083AC712
4C083AC742
4C083AC782
4C083AC852
4C083AC862
4C083AD042
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD132
4C083AD162
4C083AD282
4C083CC17
4C083CC23
4C083CC33
4C083CC38
4C083DD27
4C083DD31
4C083DD41
4C083KK03
4G005AA01
4G005AB03
4G005AB14
4G005BA02
4G005BB06
4G005DC09Y
4G005DC18Y
4G005DC26Y
4G005DC32Y
4G005DC43Y
4G005DC64Y
4G005DD05Z
4G005DD15Z
4G005DD27Z
4G005DD53Z
4G005EA03
4G005EA05
4G005EA07
4H003AB03
4H003AB14
4H003AC08
4H003BA12
4H003CA18
4H003DA01
4H003DA02
4H003EA21
4H003EB04
4H003EB08
4H003EB14
4H003EB30
4H003EC02
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4H003FA26
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4J029AB04
4J029AB07
4J029AE11
4J029AE12
4J029AE18
4J029BA02
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4J029CA04
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4J029CB06
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4J029FC05
4J029FC12
4J029FC14
4J029HA01
4J029HB05
4J029JE163
4J029JE183
4J029KB17
4J029KB24
4J029KE10
4J029KE11
(57)【要約】
本発明は、ポリエステルマイクロカプセルの新規な製造方法に関する。マイクロカプセルも本発明の対象である。上記マイクロカプセルを含む消費者製品、特に賦香された消費者製品または着香された消費者製品も、本発明の一部である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステルマイクロカプセルスラリーの製造方法であって、
(i)疎水性材料H1を含む油相O1を、ポリオールを含む連続相に分散させて、二相分散液E1を得る工程であって、前記油相O1および/または前記連続相は、安定剤S1を含む工程、
(ii)前記二相分散液E1を、疎水性材料H2および安定剤S2を含む油相O2に分散させて、多重分散液E2を得る工程;
(iii)少なくとも1種のカルボン酸誘導体A3を前記多重分散液E2に添加する工程、および
(iv)界面重合を誘発させてスラリーの形のポリエステルマイクロカプセルを形成するのに十分な条件を適用する工程
を含む、方法。
【請求項2】
前記疎水性材料H1が、香油を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
疎水性材料H3、好ましくは香油を、前記スラリーに添加することからなる工程v)を含む、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記カルボン酸誘導体A3が、酸、アミド、エステル、無水物および酸塩化物ならびにそれらの混合物からなる群において選択される、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記カルボン酸誘導体A3が、アシルクロリドである、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記アシルクロリドが、以下の式(I)
【化1】
[式中、nは、1~8、好ましくは1~6、より好ましくは1~4の整数であり、
Xは、(i)~(vi)
【化2】
[式中、Rは、水素原子またはメチル基もしくはエチル基、好ましくは水素原子である]から選択される少なくとも1つの基を任意に含む(n+1)価のC~C45炭化水素基である]を有する、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記アシルクロリドが、ベンゼン-1,3,5-トリカルボニルトリクロリド(トリメソイルトリクロリド)、ベンゼン-1,2,4-トリカルボニルトリクロリド、ベンゼン-1,2,4,5-テトラカルボニルテトラクロリド、シクロヘキサン-1,3,5-トリカルボニルトリクロリド、イソフタロイルジクロリド、ジグリコリルジクロリド、テレフタロイルクロリド、フマリルジクロリド、アジポイルジクロリド、コハク酸ジクロリド、プロパン-1,2,3-トリカルボニルトリクロリド、シクロヘキサン-1,2,4,5-テトラカルボニルテトラクロリド、2,2’-ジスルファンジイルジスクシニルジクロリド、2-(2-クロロ-2-オキソ-エチル)スルファニルブタンジオイルジクロリド、(4-クロロ-4-オキソブタノイル)-L-グルタモイルジクロリド、(S)-4-((1,5-ジクロロ-1,5-ジオキソペンタン-2-イル)アミノ)-4-オキソブタン酸、2,2-ビス[(4-クロロ-4-オキソ-ブタノイル)オキシメチル]ブチル4-クロロ-4-オキソ-ブタノエート、[2-[2,2-ビス[(4-クロロ-4-オキソ-ブタノイル)オキシメチル]ブトキシメチル]-2-[(4-クロロ-4-オキソ-ブタノイル)オキシメチル]ブチル]4-クロロ-4-オキソ-ブタノエート、2,2-ビス[(2-クロロカルボニルベンゾイル)オキシメチル]ブチル2-クロロカルボニル-ベンゾエート、[2-[2,2-ビス[(2-クロロカルボニルベンゾイル)オキシメチル]ブトキシメチル]-2-[(2-クロロカルボニルベンゾイル)オキシメチル]ブチル]2-クロロカルボニルベンゾエート、4-(2,4,5-トリクロロカルボニルベンゾイル)オキシブチル2,4,5-トリクロロカルボニル-ベンゾエート、プロパン-1,2,3-トリイルトリス(4-クロロ-4-オキソブタノエート)、プロパン-1,2-ジイルビス(4-クロロ-4-オキソブタノエート)およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項6記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1種のカルボン酸誘導体A1を、E1に工程i)の後に添加し、かつ/または少なくとも1種のカルボン酸誘導体A2を前記油相O1に添加し、前記カルボン酸誘導体A1および/または前記カルボン酸誘導体A2が、好ましくは、酸、アミド、エステル、無水物および酸塩化物ならびにそれらの混合物からなる群において選択され、より好ましくは、酸塩化物であり、さらにより好ましくは、ベンゼン-1,3,5-トリカルボニルトリクロリド(トリメソイルトリクロリド)、ベンゼン-1,2,4-トリカルボニルトリクロリド、ベンゼン-1,2,4,5-テトラカルボニルテトラクロリド、シクロヘキサン-1,3,5-トリカルボニルトリクロリド、イソフタロイルジクロリド、ジグリコリルジクロリド、テレフタロイルクロリド、フマリルジクロリド、アジポイルジクロリド、コハク酸ジクロリド、プロパン-1,2,3-トリカルボニルトリクロリド、シクロヘキサン-1,2,4,5-テトラカルボニルテトラクロリド、2,2’-ジスルファンジイルジスクシニルジクロリド、2-(2-クロロ-2-オキソ-エチル)スルファニルブタンジオイルジクロリド、(4-クロロ-4-オキソブタノイル)-L-グルタモイルジクロリド、(S)-4-((1,5-ジクロロ-1,5-ジオキソペンタン-2-イル)アミノ)-4-オキソブタン酸、2,2-ビス[(4-クロロ-4-オキソ-ブタノイル)オキシメチル]ブチル4-クロロ-4-オキソ-ブタノエート、[2-[2,2-ビス[(4-クロロ-4-オキソ-ブタノイル)オキシメチル]ブトキシメチル]-2-[(4-クロロ-4-オキソ-ブタノイル)オキシメチル]ブチル]4-クロロ-4-オキソ-ブタノエート、2,2-ビス[(2-クロロカルボニルベンゾイル)オキシメチル]ブチル2-クロロカルボニル-ベンゾエート、[2-[2,2-ビス[(2-クロロカルボニルベンゾイル)オキシメチル]ブトキシメチル]-2-[(2-クロロカルボニルベンゾイル)オキシメチル]ブチル]2-クロロカルボニルベンゾエート、4-(2,4,5-トリクロロカルボニルベンゾイル)オキシブチル2,4,5-トリクロロカルボニル-ベンゾエート、プロパン-1,2,3-トリイルトリス(4-クロロ-4-オキソブタノエート)、プロパン-1,2-ジイルビス(4-クロロ-4-オキソブタノエート)およびそれらの混合物からなる群において選択される、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記連続相が水を含まない、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記ポリオールが、グリセロール、1,4-ブタンジオール、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、トリエタノールアミン、ジ(トリメチロールプロパン)、エチレングリコール、グリセロール、1,4-ブタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2-エチル-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-1,3-ジオール(トリメチロールプロパン、TMP)、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)プロパン-1,3-ジオール(ペンタエリスリトール)、2-アミノ-2-エチルプロパン-1,3-ジオール、2-アミノ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-1,3-ジオール、2,2’-アザンジイルビス(エタン-1-オール)、2-アミノプロパン-1,3-ジオール、2-アミノ-2-メチルプロパン-1,3-ジオール、ポリフェノールおよびそれらの混合物からなる群において選択される、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記疎水性材料H2が、トリグリセリド、ミリスチン酸イソプロピル、およびそれらの混合物からなる群において選択される、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記安定剤S1および/またはS2が、第二級アルコールエトキシレート、ポリエチレングリコールソルビタンモノオレエート、疎水化シリカ粒子;絹タンパク質;ステアリン酸ソルビタン、ヒドロキシアパタイト粒子、ポリグリセロールポリリシノレート、ソルビタントリオレエート、ポリグリセリル-3ジイソステアレート、セルロース誘導体、例えばヒドロキシプロピルセルロースおよびそれらの混合物からなる群において選択される、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
少なくとも、
- 油相を含むコアであって、前記油相は疎水性材料H1を含むコア、および
- 少なくとも1種のカルボン酸誘導体A3とポリオールとの反応生成物を含む担体
を含み、
前記コアが、前記担体に捕捉されている、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法によって得られるポリエステルマイクロカプセルスラリー。
【請求項14】
- パーソナルケア活性ベース、および
- 請求項13で規定されたマイクロカプセル
を含み、
パーソナルケア組成物の形である、消費者製品。
【請求項15】
- ホームケアまたはファブリックケア活性ベース、および
- 請求項13で規定されたマイクロカプセル
を含み、
ホームケアまたはファブリックケア組成物の形である、消費者製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、ポリエステルマイクロカプセルの新規な製造方法に関する。マイクロカプセルも本発明の対象である。上記マイクロカプセルを含む消費者製品、特に賦香された消費者製品または着香された消費者製品も、本発明の一部である。
【0002】
発明の背景
香料およびフレーバー産業が直面する問題の1つは、それらの揮発性のために、活性化合物によってもたらされる嗅覚上の利益が比較的急速に失われることにある。これらの活性物質のカプセル化は、同時に、酸化または湿気などの「攻撃」に対してそこでカプセル化された成分を保護し、他方で、フレーバーまたはフレグランスの放出速度の一定の制御を可能にして、連続的な放出を通して官能効果を誘発する。
【0003】
ポリ尿素およびポリウレタンベースのマイクロカプセルスラリーは、例えば香料産業において広く使用されており、例えば、それらは、異なる基材に適用した後に長時間持続する心地よい嗅覚効果をもたらす。これらのマイクロカプセルは、従来技術において広く開示されている(例えば、本出願人による国際公開第2007/004166号または欧州特許第2300146号明細書を参照のこと)。
【0004】
安定性および嗅覚的性能に関する性能に加え、環境に優しい送達システムに対する消費者の需要はますます重要であり、新しい送達システムの開発を推進している。
【0005】
したがって、マイクロカプセルの性能、特に消費者製品ベースなどの困難を伴う媒体における安定性に関して、ならびに活性成分の送達に関する良好な性能、例えば賦香成分の場合には良好な嗅覚性能を送達する上で妥協しない、より環境に優しい材料を使用する新規なマイクロカプセルを提供する必要性が依然として存在する。
【0006】
本発明は、ポリオールベースの多重エマルションから得られたポリエステルマイクロカプセルに基づいて、上記の問題に対する解決策を提案する。
【0007】
発明の詳細な説明
特に明記しない限り、パーセンテージ(%)は、組成物の重量パーセンテージを示すことを意味する。
【0008】
「疎水性材料」とは、水と混合されると二相分散液を形成する任意の疎水性材料(単一の材料または材料の混合物)を意味する。
【0009】
「成分」とは、単一の化合物または成分の組み合わせを意味する。
【0010】
「香油またはフレーバー油」とは、単一の賦香もしくは着香化合物または複数の賦香もしくは着香化合物の混合物を意味する。
【0011】
「消費者製品」または「最終製品」とは、流通、販売および消費者による使用の準備が整った製造された製品を意味する。
【0012】
「ポリエステルマイクロカプセル」とは、マイクロカプセルが、カルボン酸誘導体、例えばアシルクロリドとさらに反応することが可能なポリオールによるエステル結合を有するポリマーを含むことを意味する。
【0013】
「ポリオール」とは、少なくとも2個のヒドロキシル官能基を有する化合物を意味する。
【0014】
「カルボン酸誘導体」とは、置換反応において脱離基として作用し得る、電気陰性原子または置換基-Xに結合したアシル基を有する化合物を意味する。
【0015】
電気陰性原子は、アルキルアミン、アルキルアルコール、アミンまたはヒドロキシル基であってよく、-Xは、塩化物、臭化物、トシル酸塩、メシル酸塩、カルボン酸(無水物として)であってよい。
【0016】
明確にするために、本発明における「分散液」という表現は、粒子および/または油滴が、異なる組成物の連続相に分散されている系を意味し、具体的には、懸濁液またはエマルションを含む。
【0017】
「多重分散液」とは、油中ポリオール中油型の多重エマルションを意味する。
【0018】
「担体」または「担体材料」とは、本明細書では、担体(すなわちポリエステル担体)の材料が、特定量の疎水性材料を捕捉、封入または保持するのに適していることが理解される。
【0019】
典型的には、マイクロカプセルがマトリックスの形である場合、担体材料は、マトリックス材料であり、マイクロカプセルは、マイクロカプセルの総重量を基準として、好ましくは少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも30重量%、さらにより好ましくは少なくとも35重量%の疎水性材料を捕捉しなければならない。
【0020】
典型的には、マイクロカプセルがコアシェル型マイクロカプセルの形である場合、担体は、シェルであり、マイクロカプセルは、マイクロカプセルの総重量を基準として、好ましくは少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも90重量%の疎水性材料を捕捉しなければならない。
【0021】
特定の実施形態では、担体または担体材料は、固体の担体材料であり、すなわち、エマルションまたは溶媒は、担体または担体材料ではない。
【0022】
本発明における「マイクロカプセル」またはその同義語は、カプセルが、好ましくは約1~3000ミクロンの間、好ましくは1~500ミクロンの間に含まれるミクロン範囲(例えば、平均直径(d(v、0.5))の粒度分布を有することを意味する。本発明によれば、「平均直径」または「平均径」という用語は、互換的に使用される。
【0023】
「マイクロカプセルスラリー」とは、液体に分散したマイクロカプセルを意味する。一実施形態によれば、マイクロカプセルは、親水性相に分散されている。
【0024】
「カルボン酸誘導体」とは、単一のカルボン酸誘導体またはカルボン酸誘導体の混合物と理解されるべきである。
【0025】
油中ポリオール中疎水性材料型の多重エマルションの調製およびカルボン酸誘導体とポリオールとの反応に基づいて、ポリエステルマイクロカプセルを得ることができることが見出された。
【0026】
したがって、本発明の第1の対象は、ポリエステルマイクロカプセルスラリーの製造方法であって、
(i)疎水性材料H1を含む油相O1を、ポリオールを含む連続相に分散させて、二相分散液E1を得る工程であって、油相O1および/または連続相は、安定剤S1を含む工程、
(ii)二相分散液E1を、疎水性材料H2および安定剤S2を含む油相O2に分散させて、多重分散液E2を得る工程;
(iii)少なくとも1種のカルボン酸誘導体A3を多重分散液E2に添加する工程、および
(iv)界面重合を誘発させてスラリーの形のポリエステルマイクロカプセルを形成するのに十分な条件を適用する工程
を含む、方法である。
【0027】
本発明の方法の工程において、疎水性材料H1を含む油相O1は、ポリオールを含む連続相に分散されて、二相分散液E1が得られ、ここで油相O1および/または連続相は、安定剤S1を含む。
【0028】
[油相O1]
本発明によれば、油相O1は、疎水性材料H1を含む。
【0029】
特定の実施形態によれば、油相O1は、疎水性材料H1からなる。
【0030】
本発明による疎水性材料は、溶媒または活性成分のような「不活性」材料であり得る。単一の疎水性材料を使用してもよく、疎水性材料の混合物を使用してもよい。
【0031】
疎水性材料が活性成分である場合、好ましくは、フレーバー、フレーバー成分、香料、香料成分、栄養補助食品、化粧品、害虫防除剤、殺生物活性剤、悪臭中和成分、殺菌剤成分、防カビ剤成分、医薬もしくは農薬成分、除菌成分、防虫剤もしくは誘引剤、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0032】
特定の実施形態によれば、疎水性材料は、相変化材料(PCM)を含む。
【0033】
特定の実施形態によれば、疎水性材料は、香料と、栄養補助食品、化粧品、害虫防除剤および殺生物活性剤からなる群から選択される別の成分との混合物を含む。
【0034】
特定の実施形態によれば、疎水性材料は、殺生物活性剤と、香料、栄養補助食品、化粧品、害虫防除剤からなる群から選択される別の成分との混合物を含む。
【0035】
特定の実施形態によれば、疎水性材料は、害虫防除剤と、香料、栄養補助食品、化粧品、殺生物活性剤からなる群から選択される別の成分との混合物を含む。
【0036】
特定の実施形態によれば、疎水性材料は、香料を含む。
【0037】
特定の実施形態によれば、疎水性材料は、香料からなる。
【0038】
特定の実施形態によれば、疎水性材料は、殺生物活性剤からなる。
【0039】
特定の実施形態によれば、疎水性材料は、害虫防除剤からなる。
【0040】
本明細書において「香料」(または「香油」とも称する)が意味するのは、約20℃で液体である成分または組成物である。上記の実施形態のいずれか1つによれば、上記香油は、賦香成分単独または賦香組成物の形の成分の混合物であり得る。本明細書では「賦香成分」とは、匂いを付与または調節するという主な目的のために使用される化合物を意味する。換言すれば、賦香成分であると考えられるべきこのような成分は、単に匂いを有しているものとしてではなく、少なくとも組成物の匂いをポジティブにまたは心地よいように付与または変更できるものとして、当業者に認識されなければならない。本発明の目的のために、香油はまた、賦香成分と、香料前駆体、調節剤、エマルションまたは分散液などの、賦香成分の送達を一緒に改善、増強または改変する物質と、の組み合わせだけでなく、長期持続性、ブルーミング、悪臭中和、抗菌効果、微生物安定性、害虫防除などの、匂いを改変または付与すること以上の追加の利益を付与する組み合わせも含む。
【0041】
油相中に存在する賦香成分の性質および種類については、本明細書ではより詳細な説明を保証せず、いずれにせよ網羅しきれないだろうが、当業者であれば自らの一般的知識に基づき、使用目的または用途、および所望の感覚刺激効果に従ってそれらを選択することができる。一般論として、これらの賦香成分は、アルコール、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、アセテート、ニトリル、テルペノイド、含窒素または含硫黄複素環式化合物および精油(例えばタイム油)などの様々な化学クラスに属し、上記賦香補助成分は、天然または合成由来であり得る。これらの補助成分の多くは、いずれの場合も、S. Arctanderによる書籍、Perfume and Flavor Chemicals, 1969, Montclair, New Jersey, USAもしくはその最新版、または同様の性質の他の論文などの参考テキスト、ならびに香料分野の豊富な特許文献に列記されている。
【0042】
特に、香料配合物に一般的に使用される賦香成分、例えば:
- アルデヒド成分:デカナール、ドデカナール、2-メチル-ウンデカナール、10-ウンデセナール、オクタナール、ノナナールおよび/またはノネナール;
- アロマティック-ハーバル成分:ユーカリ油、カンファー、ユーカリプトール、5-メチルトリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカン-4-オン、1-メトキシ-3-ヘキサンチオール、2-エチル-4,4-ジメチル-1,3-オキサチアン、2,2,7/8,9/10-テトラメチルスピロ[5.5]ウンデカ-8-エン-1-オン、メントールおよび/またはアルファ-ピネン;
- バルサミコ成分:クマリン、エチルバニリンおよび/またはバニリン;
- シトラス成分:ジヒドロミルセノール、シトラール、オレンジ油、リナリルアセテート、シトロネリルニトリル、オレンジテルペン、リモネン、1-p-メンテン-8-イルアセテートおよび/または1,4(8)-p-メンタジエン;
- フローラル成分:メチルジヒドロジャスモネート、リナロール、シトロネロール、フェニルエタノール、3-(4-tert-ブチルフェニル)-2-メチルプロパナール、ヘキシルシンナムアルデヒド、酢酸ベンジル、サリチル酸ベンジル、テトラヒドロ-2-イソブチル-4-メチル-4(2H)-ピラノール、βイオノン、メチル2-(メチルアミノ)ベンゾエート、(E)-3-メチル-4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-3-ブテン-2-オン、(1E)-1-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-1-ペンテン-3-オン、1-(2,6,6-トリメチル-1,3-シクロヘキサジエン-1-イル)-2-ブテン-1-オン、(2E)-1-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテン-1-オン、(2E)-1-[2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-イル]-2-ブテン-1-オン、(2E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテン-1-オン、3-(3,3/1,1-ジメチル-5-インダニル)プロパナール、2,5-ジメチル-2-インダンメタノール、2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-カルボキシレート、3-(4,4-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)プロパナール、サリチル酸ヘキシル、3,7-ジメチル-1,6-ノナジエン-3-オール、3-(4-イソプロピルフェニル)-2-メチルプロパナール、酢酸ベルジル、ゲラニオール、p-メンタ-1-エン-8-オール、4-(1,1-ジメチルエチル)-1-シクロヘキシルアセテート、1,1-ジメチル-2-フェニルエチルアセテート、4-シクロヘキシル-2-メチル-2-ブタノール、サリチル酸アミル、高シスメチルジヒドロジャスモネート、3-メチル-5-フェニル-1-ペンタノール、プロピオン酸ベルジル、酢酸ゲラニル、テトラヒドロリナロール、シス-7-p-メンタノール、プロピル(S)-2-(1,1-ジメチルプロポキシ)プロパノエート、2-メトキシナフタレン、2,2,2-トリクロロ-1-フェニルエチルアセテート、4/3-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド、アミルシンナムアルデヒド、8-デセン-5-オリド、4-フェニル-2-ブタノン、イソノニルアセテート、4-(1,1-ジメチルエチル)-1-シクロヘキシルアセテート、ベルジルイソブチレートおよび/またはメチルイオノン異性体の混合物;
- フルーツ成分:γ-ウンデカラクトン、2,2,5-トリメチル-5-ペンチルシクロペンタノン、2-メチル-4-プロピル-1,3-オキサチアン、4-デカノリド、エチル2-メチル-ペンタノエート、酢酸ヘキシル、エチル2-メチルブタノエート、γ-ノナラクトン、ヘプタン酸アリル、2-フェノキシエチルイソブチレート、エチル2-メチル-1,3-ジオキソラン-2-アセテート、ジエチル1,4-シクロヘキサンジカルボキシレート、3-メチル-2-ヘキセン-1-イルアセテート、1-[3,3-ジメチルシクロヘキシル]エチル[3-エチル-2-オキシラニル]アセテートおよび/またはジエチル1,4-シクロヘキサンジカルボキシレート;
- グリーン成分:2-メチル-3-ヘキサノン(E)-オキシム、2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド、2-tert-ブチル-1-シクロヘキシルアセテート、スチラリルアセテート、アリル(2-メチルブトキシ)アセテート、4-メチル-3-デセン-5-オール、ジフェニルエーテル、(Z)-3-ヘキセン-1-オールおよび/または1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン;
- ムスク成分:1,4-ジオキサ-5,17-シクロヘプタデカンジオン、(Z)-4-シクロペンタデセン-1-オン、3-メチルシクロペンタデカノン、1-オキサ-12-シクロヘキサデセン-2-オン、1-オキサ-13-シクロヘキサデセン-2-オン、(9Z)-9-シクロヘプタデセン-1-オン、2-{(1S)-1-[(1R)-3,3-ジメチルシクロヘキシル]エトキシ}-2-オキソエチルプロピオネート、3-メチル-5-シクロペンタデセン-1-オン、4,6,6,7,8,8-ヘキサメチル-1,3,4,6,7,8-ヘキサヒドロシクロペンタ[g]イソクロメン、(1S,1’R)-2-[1-(3’,3’-ジメチル-1’-シクロヘキシル)エトキシ]-2-メチルプロピルプロパノエート、オキサシクロヘキサデカン-2-オン、および/または(1S,1’R)-[1-(3’,3’-ジメチル-1’-シクロヘキシル)エトキシカルボニル]メチルプロパノエート;
- ウッディ成分:1-[(1RS,6SR)-2,2,6-トリメチルシクロヘキシル]-3-ヘキサノール、3,3-ジメチル-5-[(1R)-2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル]-4-ペンテン-2-オール、3,4’-ジメチルスピロ[オキシラン-2,9’-トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ[4]エン、(1-エトキシエトキシ)シクロドデカン、2,2,9,11-テトラメチルスピロ[5.5]ウンデカ-8-エン-1-イルアセテート、1-(オクタヒドロ-2,3,8,8-テトラメチル-2-ナフタレニル)-1-エタノン、パチョリ油、パチョリ油のテルペン画分、Clearwood(登録商標)、(1’R,E)-2-エチル-4-(2’,2’,3’-トリメチル-3’-シクロペンテン-1’-イル)-2-ブテン-1-オール、2-エチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-2-ブテン-1-オール、メチルセドリルケトン、5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテニル)-3-メチルペンタン-2-オール、1-(2,3,8,8-テトラメチル-1,2,3,4,6,7,8,8a-オクタヒドロナフタレン-2-イル)エタン-1-オンおよび/またはイソボルニルアセテート;
- 他の成分(例えば、アンバー、パウダリースパイシーまたはウォータリー):ドデカヒドロ-3a,6,6,9a-テトラメチル-ナフト[2,1-b]フランおよびその立体異性体のいずれか、ヘリオトロピン、アニシックアルデヒド、オイゲノール、シンナミックアルデヒド、クローブ油、3-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-2-メチルプロパナール、7-メチル-2H-1,5-ベンゾジオキセピン-3(4H)-オン、2,5,5-トリメチル-1,2,3,4,4a,5,6,7-オクタヒドロ-2-ナフタレノール、1-フェニルビニルアセテート、6-メチル-7-オキサ-1-チア-4-アザスピロ[4.4]ノナンおよび/または3-(3-イソプロピル-1-フェニル)ブタナール
を挙げることができる。
【0043】
また、上記成分は、制御された方法で、プロ香料またはプロフレグランスとしても知られている様々な種類の賦香化合物を放出することが知られている化合物であってもよいことも理解されている。好適なプロ香料の非限定的な例としては、4-(ドデシルチオ)-4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブタノン、4-(ドデシルチオ)-4-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブタノン、3-(ドデシルチオ)-1-(2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)-1-ブタノン、2-(ドデシルチオ)オクタン-4-オン、2-フェニルエチルオキソ(フェニル)アセテート、3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イルオキソ(フェニル)アセテート、(Z)-ヘキサ-3-エン-1-イルオキソ(フェニル)アセテート、3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン-1-イルヘキサデカノエート、ビス(3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イル)スクシネート、(2-((2-メチルウンデカ-1-エン-1-イル)オキシ)エチル)ベンゼン、1-メトキシ-4-(3-メチル-4-フェネトキシブタ-3-エン-1-イル)ベンゼン、(3-メチル-4-フェネトキシブタ-3-エン-1-イル)ベンゼン、1-(((Z)-ヘキサ-3-エン-1-イル)オキシ)-2-メチルウンデカ-1-エン、(2-((2-メチルウンデカ-1-エン-1-イル)オキシ)エトキシ)ベンゼン、2-メチル-1-(オクタン-3-イルオキシ)ウンデカ-1-エン、1-メトキシ-4-(1-フェノキシプロパ-1-エン-2-イル)ベンゼン、1-メチル-4-(1-フェノキシプロパ-1-エン-2-イル)ベンゼン、2-(1-フェネトキシプロパ-1-エン-2-イル)ナフタレン、(2-フェネトキシビニル)ベンゼン、2-(1-((3,7-ジメチルオクタ-6-エン-1-イル)オキシ)プロパ-1-エン-2-イル)ナフタレン、(2-((2-ペンチルシクロペンチリデン)メトキシ)エチル)ベンゼン、4-アリル-2-メトキシ-1-((2-メトキシ-2-フェニルビニル)オキシ)ベンゼン、(2-((2-ヘプチルシクロペンチリデン)メトキシ)エチル)ベンゼン、1-イソプロピル-4-メチル-2-((2-ペンチルシクロペンチリデン)メトキシ)ベンゼン、2-メトキシ-1-((2-ペンチルシクロペンチリデン)メトキシ)-4-プロピルベンゼン、3-メトキシ-4-((2-メトキシ-2-フェニルビニル)オキシ)ベンズアルデヒド、4-((2-(ヘキシルオキシ)-2-フェニルビニル)オキシ)-3-メトキシベンズアルデヒドまたはそれらの混合物を挙げることができる。
【0044】
賦香成分は、香料産業で現在使用されている溶媒に溶解し得る。溶媒は、好ましくはアルコールではない。このような溶媒の例は、フタル酸ジエチル、ミリスチン酸イソプロピル、Abalyn(登録商標)(ロジン樹脂、Eastmanから入手可能)、安息香酸ベンジル、クエン酸エチル、クエン酸トリエチル、リモネンもしくは他のテルペン、またはイソパラフィンである。好ましくは、溶媒は、例えばAbalyn(登録商標)または安息香酸ベンジルのように、非常に疎水性が高くかつ高立体障害性である。好ましくは、香料は、溶媒の含有量が30%未満である。より好ましくは、香料は、溶媒の含有量が20%未満、さらにより好ましくは10%未満であり、これらのパーセンテージはすべて、香料の総重量に対する重量により規定されている。最も好ましくは、香料は、本質的に溶媒を含まない。
【0045】
好ましい賦香成分は、高い立体障害を有するもの(嵩高い材料)であり、特に以下の群のうちの1つからのものである:
- 群1:少なくとも1つの直鎖状または分枝鎖状のC~Cアルキルまたはアルケニル置換基で置換されたシクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロヘキサノンまたはシクロヘキセノン環を含む賦香成分;
- 群2:少なくとも1つの直鎖状または分枝鎖状のC~Cアルキルまたはアルケニル置換基で置換されたシクロペンタン、シクロペンテン、シクロペンタノンまたはシクロペンテノン環を含む賦香成分;
- 群3:フェニル環を含む賦香成分、または少なくとも1つの直鎖状もしくは分枝鎖状のC~Cアルキルもしくはアルケニル置換基または少なくとも1つのフェニル置換基および任意に1つ以上の直鎖状もしくは分枝鎖状のC~Cアルキルもしくはアルケニル置換基で置換されたシクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロヘキサノンまたはシクロヘキセノン環を含む賦香成分;
- 群4:少なくとも2つの縮合または結合したCおよび/またはC環を含む賦香成分;
- 群5:カンフル様環構造を含む賦香成分;
- 群6:少なくとも1つのC~C20環構造を含む賦香成分;
- 群7:logP値が3.5を上回り、かつ少なくとも1つのtert-ブチルまたは少なくとも1つのトリクロロメチル置換基を含む賦香成分。
【0046】
これらの群のそれぞれにおける成分の例は、以下のものである:
- 群1:2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド(製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)、イソシクロシトラール、メントン、イソメントン、メチル2,2-ジメチル-6-メチレン-1-シクロヘキサンカルボキシレート(製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)、ネロン、テルピネオール、ジヒドロテルピネオール、テルペニルアセテート、ジヒドロテルペニルアセテート、ジペンテン、ユーカリプトール、ヘキシレート、ローズオキシド、(S)-1,8-p-メンタジエン-7-オール(製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)、1-p-メンテン-4-オール、(1RS,3RS,4SR)-3-p-メンタニルアセテート、(1R,2S,4R)-4,6,6-トリメチル-ビシクロ[3,1,1]ヘプタン-2-オール、テトラヒドロ-4-メチル-2-フェニル-2H-ピラン(製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)、シクロヘキシルアセテート、シクラノールアセテート、1,4-シクロヘキサンジエチルジカルボキシレート(製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)、(3RS,3aRS,6SR,7ASR)-ペルヒドロ-3,6-ジメチル-ベンゾ[B]フラン-2-オン(製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)、((6R)-ペルヒドロ-3,6-ジメチル-ベンゾ[B]フラン-2-オン(製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)、2,4,6-トリメチル-4-フェニル-1,3-ジオキサン、2,4,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド;
- 群2:(E)-3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-4-ペンテン-2-オール(製造元:Givaudan SA、ベルニエ、スイス)、(1’R,E)-2-エチル-4-(2’,2’,3’-トリメチル-3’-シクロペンテン-1’-イル)-2-ブテン-1-オール(製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)、(1’R,E)-3,3-ジメチル-5-(2’,2’,3’-トリメチル-3’-シクロペンテン-1’-イル)-4-ペンテン-2-オール(製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)、2-ヘプチルシクロペンタノン、メチル-シス-3-オキソ-2-ペンチル-1-シクロペンタンアセテート(製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)、2,2,5-トリメチル-5-ペンチル-1-シクロペンタノン(製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)、3,3-ジメチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-4-ペンテン-2-オール(製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)、3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-2-ペンタノール(製造元、Givaudan SA、ベルニエ、スイス);
- 群3:ダマスコン、1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン(製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)、(1’R)-2-[2-(4’-メチル-3’-シクロヘキセン-1’-イル)プロピル]シクロペンタノン、α-イオノン、β-イオノン、ダマセノン、1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オンと1-(3,3-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オンとの混合物(製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)、1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテン-1-オン(製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)、(1S,1’R)-[1-(3’,3’-ジメチル-1’-シクロヘキシル)エトキシカルボニル]メチルプロパノエート(製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)、2-tert-ブチル-1-シクロヘキシルアセテート(製造元:International Flavors and Fragrances、米国)、1-(2,2,3,6-テトラメチル-シクロヘキシル)-3-ヘキサノール(製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)、トランス-1-(2,2,6-トリメチル-1-シクロヘキシル)-3-ヘキサノール(製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)、(E)-3-メチル-4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-3-ブテン-2-オン、テルペニルイソブチレート、4-(1,1-ジメチルエチル)-1-シクロヘキシルアセテート(製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)、8-メトキシ-1-p-メンテン、(1S,1’R)-2-[1-(3’,3’-ジメチル-1’-シクロヘキシル)エトキシ]-2-メチルプロピルプロパノエート(製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)、パラtert-ブチルシクロヘキサノン、メンテンチオール、1-メチル-4-(4-メチル-3-ペンテニル)-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド、アリルシクロヘキシルプロピオネート、シクロヘキシルサリチレート、2-メトキシ-4-メチルフェニルメチルカーボネート、エチル2-メトキシ-4-メチルフェニルカーボネート、4-エチル-2-メトキシフェニルメチルカーボネート;
- 群4:メチルセドリルケトン(製造元:International Flavors and Fragrances、米国)、(1RS,2SR,6RS,7RS,8SR)-トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ-3-エン-8-イル2-メチルプロパノエートと(1RS,2SR,6RS,7RS,8SR)-トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ-4-エン-8-イル2-メチルプロパノエートとの混合物、ベチベロール(vetyverol)、ベチベロン(vetyverone)、1-(オクタヒドロ-2,3,8,8-テトラメチル-2-ナフタレニル)-1-エタノン(製造元:International Flavors and Fragrances、米国)、(5RS,9RS,10SR)-2,6,9,10-テトラメチル-1-オキサスピロ[4.5]デカ-3,6-ジエンおよび(5RS,9SR,10RS)異性体、6-エチル-2,10,10-トリメチル-1-オキサスピロ[4.5]デカ-3,6-ジエン、1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-1,1,2,3,3-ペンタメチル-4-インデノン(製造元:International Flavors and Fragrances、米国)、3-(3,3-ジメチル-5-インダニル)プロパナールと3-(1,1-ジメチル-5-インダニル)プロパナールとの混合物(製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)、3’,4-ジメチル-トリシクロ[6.2.1.0(2,7)]ウンデカ-4-エン-9-スピロ-2’-オキシラン(製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)、9/10-エチルジエン-3-オキサトリシクロ[6.2.1.0(2,7)]ウンデカン、(ペルヒドロ-5,5,8A-トリメチル-2-ナフタレニルアセテート(製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)、オクタリノール(ドデカヒドロ-3a,6,6,9a-テトラメチル-ナフト[2,1-b]フラン(製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)、トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカ-3-エン-8-イルアセテートおよびトリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカ-4-エン-8-イルアセテートならびにトリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカ-3-エン-8-イルプロパノエートおよびトリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカ-4-エン-8-イルプロパノエート、(+)-(1S,2S,3S)-2,6,6-トリメチル-ビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-スピロ-2’-シクロヘキセン-4’-オン;
- 群5:カンファー、ボルネオール、イソボルニルアセテート、8-イソプロピル-6-メチル-ビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2-カルバルデヒド、ピネン、カンフェン、8-メトキシセドラン、(8-メトキシ-2,6,6,8-テトラメチル-トリシクロ[5.3.1.0(1,5)]ウンデカン(製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)、セドレン、セドレノール、セドロール、9-エチリデン-3-オキサトリシクロ[6.2.1.0(2,7)]ウンデカン-4-オンと10-エチリデン-3-オキサトリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカン-4-オンとの混合物(製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)、3-メトキシ-7,7-ジメチル-10-メチレン-ビシクロ[4.3.1]デカン(製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス);
- 群6:(トリメチル-13-オキサビシクロ-[10.1.0]-トリデカ-4,8-ジエン(製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)、9-ヘキサデセン-16-オリド(製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)、ペンタデセノリド(製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)、3-メチル-(4/5)-シクロペンタデセノン(製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)、3-メチルシクロペンタデカノン(製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)、ペンタデカノリド(製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)、シクロペンタデカノン(製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)、1-エトキシエトキシ)シクロドデカン(製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)、1,4-ジオキサシクロヘプタデカン-5,17-ジオン、4,8-シクロドデカジエン-1-オン;
- 群7:(+-)-2-メチル-3-[4-(2-メチル-2-プロパニル)フェニル]プロパナール(製造元:Givaudan SA、ベルニエ、スイス)、2,2,2-トリクロロ-1-フェニルエチルアセテート。
【0047】
好ましくは、香料は、上記で定義された群1~7から選択される成分を少なくとも30%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%含む。より好ましくは、上記香料は、上記で定義された群3~7からの成分を少なくとも30%、好ましくは少なくとも50%含む。最も好ましくは、上記香料は、上記で定義された群3、4、6または7からの成分を少なくとも30%、好ましくは少なくとも50%含む。
【0048】
別の好ましい実施形態によれば、香料は、logPが3を上回る、好ましくは3.5を上回る、さらにより好ましくは3.75を上回る成分を少なくとも30%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%含む。
【0049】
特定の実施形態によれば、本発明で使用される香料は、第1級アルコールの含有量が自重の10%未満であり、第2級アルコールの含有量が自重の15%未満であり、第3級アルコールの含有量が自重の20%未満である。有利には、本発明で使用される香料は、第1級アルコールを含有せず、第2級および第3級アルコールの含有量が15%未満である。
【0050】
一実施形態によれば、油相(または油ベースのコア)は、
- 25~100重量%の、Log T<-4を有する少なくとも15重量%の高インパクト香料原料を含む香油、および
- 0~75重量%の、1.07g/cm超の密度を有する密度調整材料
を含む。
【0051】
「高インパクト香料原料」は、LogT<-4である香料原料と理解されるべきである。化学物質の臭気閾値濃度は、その形状、極性、部分電荷および分子量によって部分的に決定される。便宜上、臭気閾値濃度は、閾値濃度の常用対数、すなわちLog[閾値](「LogT」)として提示される。
【0052】
「密度調整材料」とは、1.07g/cm超の密度を有し、かつ好ましくは低臭気または無臭気の材料と理解されるべきである。
【0053】
賦香化合物の匂い閾値濃度は、ガスクロマトグラフ(「GC」)を使用して決定される。具体的には、濃度や鎖長分布が既知の炭化水素標準物質を用いて、シリンジから注入される香油成分の正確な体積、正確な分割比、および炭化水素応答を決定するためにガスクロマトグラフを較正する。空気流量が正確に測定され、人間の吸入が12秒間続くと仮定して、サンプリングされた体積が計算される。任意の時点における検出器での正確な濃度が知られているので、吸入される体積あたりの質量は知られており、したがって賦香化合物の濃度が知られている。閾値濃度を決定するために、逆算した濃度で溶液をスニフポートに送る。パネリストがGC放出物を嗅ぎ分け、匂いに気づいた際の滞留時間を特定する。すべてのパネリストにわたる平均により、賦香化合物の匂い閾値濃度が決定される。匂い閾値の決定は、C. VuilleumierらのMultidimensional Visualization of Physical and Perceptual Data Leading to a Creative Approach in Fragrance Development, Perfume & Flavorist(第33巻, 2008年9月, 54~61頁)により詳細に記載されている。
【0054】
Log T<-4を有する高インパクト香料原料および1.07g/cm超の密度を有する密度調整材料の性質は、国際公開第2018115250号に記載されており、その内容は参照により含まれる。
【0055】
一実施形態によれば、Log T<-4を有する高インパクト香料原料は、(+-)-1-メトキシ-3-ヘキサンチオール、4-(4-ヒドロキシ-1-フェニル)-2-ブタノン、2-メトキシ-4-(1-プロペニル)-1-フェニルアセテート、ピラゾブチル(pyrazobutyle)、3-プロピルフェノール、1-(3-メチル-1-ベンゾフラン-2-イル)エタノン、2-(3-フェニルプロピル)ピリジン、1-(3,3/5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン、1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン;(3RS,3aRS,6SR,7ASR)-ペルヒドロ-3,6-ジメチル-ベンゾ[b]フラン-2-オンと(3SR,3aRS,6SR,7ASR)-ペルヒドロ-3,6-ジメチル-ベンゾ[b]フラン-2-オンとを含む混合物;(+-)-1-(5-エチル-5-メチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン、(1’S,3’R)-1-メチル-2-[(1’,2’,2’-トリメチルビシクロ[3.1.0]ヘキサ-3’-イル)メチル]シクロプロピル}メタノール、(+-)-3-メルカプトヘキシルアセテート、(2E)-1-(2,6,6-トリメチル-1,3-シクロヘキサジエン-1-イル)-2-ブテン-1-オン、H-メチル-2h-1,5-ベンゾジオキセピン-3(4H)-オン、(2E,6Z)-2,6-ノナジエン-1-オール、(4Z)-4-ドデセナール、(+-)-4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3(2H)-フラノン、メチル2,4-ジヒドロキシ-3,6-ジメチルベンゾエート、3-メチルインドール、(+-)-ペルヒドロ-4α,8β-ジメチル-4a-ナフタレノール、パチュロール、2-メトキシ-4-(1-プロペニル)フェノール;(+)-5,6-ジヒドロ-4-メチル-2-フェニル-2H-ピランおよびテトラヒドロ-4-メチレン-2-フェニル-2H-ピランを含む混合物;4-メチレン-2-フェニルテトラヒドロ-2H-ピランおよび(+-)-4-メチル-2-フェニル-3,6-ジヒドロ-2H-ピランを含む混合物;4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド、ノニレンアルデヒド、2-メトキシ-4-プロピルフェノール、3-メチル-5-フェニル-2-ペンテンニトリル、1-(スピロ[4.5]デカ-6/7-エン-7-イル)-4-ペンテン-1-オン、2-メトキシナフタレン、(-)-(3aR,5AS,9AS,9BR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン、5-ノナノリド、(3aR,5AS,9AS,9BR)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン、7-イソプロピル-2H,4H-1,5-ベンゾジオキセピン-3-オン、クマリン、4-メチルフェニルイソブチレート、(2E)-1-(2,6,6-トリメチル-1,3-シクロヘキサジエン-1-イル)-2-ブテン-1-オン、ベータ,2,2,3-テトラメチル-デルタ-メチレン-3-シクロペンテン-1-ブタノール、デルタダマスコン((2E)-1-[(1RS,2SR)-2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-イル]-2-ブテン-1-オン)、(+-)-3,6-ジヒドロ-4,6-ジメチル-2-フェニル-2h-ピラン、アニスアルデヒド、パラクレゾール、3-エトキシ-4-ヒドロキシベンズアルデヒド、メチル2-アミノベンゾエート、エチルメチルフェニルグリシデート、オクタラクトンガンマ、エチル3-フェニル-2-プロペノエート、(-)-(2E)-2-エチル-4-[(1R)-2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル]-2-ブテン-1-オール、パラクレシルアセテート、ドデカラクトン、トリシクロン、(+)-(3R,5Z)-3-メチル-5-シクロペンタデセン-1-オン、ウンデカラクトン、(1R,4R)-8-メルカプト-3-p-メンタノン、(3S,3AS,6R,7AR)-3,6-ジメチルヘキサヒドロ-1-ベンゾフラン-2(3H)-オン、βイオノン、(+-)-6-ペンチルテトラヒドロ-2H-ピラン-2-オン、(3E,5Z)-1,3,5-ウンデカトリエン、10-ウンデセナール、(9E)-9-ウンデセナール(9Z)-9-ウンデセナール、(Z)-4-デセナール、(+-)-エチル2-メチルペンタノエート、1,2-ジアリルジスルファン、2-トリデセンニトリル、3-トリデセンニトリル、(+-)-2-エチル-4,4-ジメチル-1,3-オキサチアン、(+)-(3R,5Z)-3-メチル-5-シクロペンタデセン-1-オン、3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナール、アリル(シクロヘキシルオキシ)アセテート、メチルナフチルケトン、(+-)-(4E)-3-メチル-4-シクロペンタデセン-1-オン、(+-)-5E3-メチル-5-シクロペンタデセン-1-オン、シクロプロピルメチル3-ヘキセノエート、(4E)-4-メチル-5-(4-メチルフェニル)-4-ペンテナール、(+-)-1-(5-プロピル-1,3-ベンゾジオキソール-2-イル)エタノン、4-メチル-2-ペンチルピリジン、(+-)-(E)-3-メチル-4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-3-ブテン-2-オン、(3aRS,5aSR,9aSR,9bRS)-3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン、(2S,5R)-5-メチル-2-(2-プロパニル)シクロヘキサノンオキシム、6-ヘキシルテトラヒドロ-2H-ピラン-2-オン、(+-)-3-(3-イソプロピル-1-フェニル)ブタナール、メチル2-(3-オキソ-2-ペンチルシクロペンチル)アセテート、1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキサ-2-エニル)ペンタ-1-エン-3-オン、インドール、7-プロピル-2H,4H-1,5-ベンゾジオキセピン-3-オン、エチルプラリン、(4-メチルフェノキシ)アセトアルデヒド、エチルトリシクロ[5.2.1.0.2,6]デカン-2-カルボキシレート、(+)-(1’S,2S,E)-3,3-ジメチル-5-(2’,2’,3’-トリメチル-3’-シクロペンテン-1’-イル)-4-ペンテン-2-オール、(4E)-3,3-ジメチル-5-[(1R)-2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル]-4-ペンテン-2-オール、8-イソプロピル-6-メチル-ビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2-カルバルデヒド、メチルノニルアセトアルデヒド、4-ホルミル-2-メトキシフェニル2-メチルプロパノエート、(E)-4-デセナール、(+-)-2-エチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-2-ブテン-1-オール、(1R,5R)-4,7,7-トリメチル-6-チアビシクロ[3.2.1]オクタ-3-エン、(1R,4R,5R)-4,7,7-トリメチル-6-チアビシクロ[3.2.1]オクタン、(-)-(3R)-3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン-3-オール、(E)-3-フェニル-2-プロペンニトリル、4-メトキシベンジルアセテート、(E)-3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-4-ペンテン-2-オール、アリル(2/3-メチルブトキシ)アセテート、(+-)-(2E)-1-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテン-1-オン、(1E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-1-ペンテン-3-オン、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0056】
一実施形態によれば、Log T<-4である香料原料は、アルデヒド、ケトン、アルコール、フェノール、エステルラクトン、エーテル、エポキシド、ニトリル、およびそれらの混合物からなる群において選択される。
【0057】
一実施形態によれば、Log T<-4である香料原料は、アルコール、フェノール、エステルラクトン、エーテル、エポキシド、ニトリルおよびそれらの混合物からなる群において選択される少なくとも1種の化合物を、好ましくはLog T<-4を有する香料原料の総重量を基準として20~70重量%の間に含まれる量で含む。
【0058】
一実施形態によれば、Log T<-4である香料原料は、Log T<-4を有する香料原料の総重量を基準として、20~70重量%の間のアルデヒド、ケトン、およびそれらの混合物を含む。
【0059】
したがって、油ベースのコアに含まれる残りの香料原料は、Log T>-4であり得る。
【0060】
一実施形態によれば、Log T>-4である香料原料は、エチル2-メチルブチレート、(E)-3-フェニル-2-プロペニルアセテート、(+-)-6/8-sec-ブチルキノリン、(+-)-3-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-2-メチルプロパナール、ベルジルプロピオネート、1-(オクタヒドロ-2,3,8,8-テトラメチル-2-ナフタレニル)-1-エタノン、メチル2-((1RS,2RS)-3-オキソ-2-ペンチルシクロペンチル)アセテート、(+-)-(E)-4-メチル-3-デセン-5-オール、2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド、1,3,3-トリメチル-2-オキサビシクロ[2.2.2]オクタン、テトラヒドロ-4-メチル-2-(2-メチル-1-プロペニル)-2H-ピラン、ドデカナール、1-オキサ-12/13-シクロヘキサデセン-2-オン、(+-)-3-(4-イソプロピルフェニル)-2-メチルプロパナール、アルデヒドC11、(+-)-2,6-ジメチル-7-オクテン-2-オール、アリル3-シクロヘキシルプロパノエート、(Z)-3-ヘキセニルアセテート、5-メチル-2-(2-プロパニル)シクロヘキサノン、アリルヘプタノエート、2-(2-メチル-2-プロパニル)シクロヘキシルアセテート、1,1-ジメチル-2-フェニルエチルブチレート、ゲラニルアセテート、ネリルアセテート、(+-)-1-フェニルエチルアセテート、1,1-ジメチル-2-フェニルエチルアセテート、3-メチル-2-ブテニルアセテート、エチル3-オキソブタノエート、(2Z)-エチル3-ヒドロキシ-2-ブテノエート、8-p-メンタノール、8-p-メンタニルアセテート、1-p-メンタニルアセテート、(+-)-2-(4-メチル-3-シクロヘキセン-1-イル)-2-プロパニルアセテート、(+-)-2-メチルブチルブタノエート、2-{(1S)-1-[(1R)-3,3-ジメチルシクロヘキシル]エトキシ}-2-オキソエチルプロピオネート、3,5,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド、2,4,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド、2-シクロヘキシルエチルアセテート、オクタナール、エチルブタノエート、(+-)-(3E)-4-(2,6,6-トリメチル-1/2-シクロヘキセン-1-イル)-3-ブテン-2-オン、1-[(1RS,6SR)-2,2,6-トリメチルシクロヘキシル]-3-ヘキサノール、1,3,3-トリメチル-2-オキサビシクロ[2.2.2]オクタン、1,3,3-トリメチル-2-オキサビシクロ[2.2.2]オクタン、エチルヘキサノエート、ウンデカナール、デカナール、2-フェニルエチルアセテート、(1S,2S,4S)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オール、(1S,2R,4S)-1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オール)、(+-)-3,7-ジメチル-3-オクタノール、1-メチル-4-(2-プロパニリデン)シクロヘキセン、(+)-(R)-4-(2-メトキシプロパン-2-イル)-1-メチルシクロヘキサ-1-エン、ベルジルアセテート、(3R)-1-[(1R,6S)-2,2,6-トリメチルシクロヘキシル]-3-ヘキサノール、(3S)-1-[(1R,6S)-2,2,6-トリメチルシクロヘキシル]-3-ヘキサノール、(3R)-1-[(1S,6S)-2,2,6-トリメチルシクロヘキシル]-3-ヘキサノール、(+)-(1S,1’R)-2-[1-(3’,3’-ジメチル-1’-シクロヘキシル)エトキシ]-2-メチルプロピルプロパノエート、およびそれらの混合物からなる群において選択される。
【0061】
一実施形態によれば、香料配合物は、
- (香料配合物の総重量を基準として)0~60重量%の疎水性溶媒、
- (香料配合物の総重量を基準として)40~100重量%の香油、
任意に、さらなる疎水性活性成分
を含み、
ここで、香油は、以下の特徴のうちの少なくとも2つ、好ましくはすべてを有する:
・少なくとも35%、好ましくは少なくとも40%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%の、3超、好ましくは3.5超のlogPを有する、賦香成分、
・少なくとも20%、好ましくは少なくとも25%、好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%の、先に定義された群1~6、好ましくは群3~6のバルク材料、および
・少なくとも15%、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも25%、さらにより好ましくは少なくとも30%の、Log T<-4を有する高インパクト香料材料。
【0062】
特定の実施形態によれば、香料は、0~60重量%の疎水性溶媒を含む。
【0063】
特定の実施形態によれば、疎水性溶媒は、好ましくは、サリチル酸ベンジル、安息香酸ベンジル、サリチル酸シクロヘキシル、フェニル酢酸ベンジル、フェニルエチルフェニルアセテート、トリアセチン、クエン酸エチル、サリチル酸メチルおよびエチル、ケイ皮酸ベンジル、およびそれらの混合物からなる群において選択される、密度調整材料である。
【0064】
特定の実施形態では、疎水性溶媒は、捕捉された香油と適合性のハンセン溶解度パラメータを有する。
【0065】
「ハンセン溶解度パラメータ」という用語は、ポリマーの溶解度を予測するために使用されるチャールズ・ハンセンによって提案された溶解度パラメータアプローチと理解されており、液体の気化の総エネルギーが複数の個々の部分からなることを基礎として開発された。「重み付けハンセン溶解度パラメータ」を計算するためには、(原子)分散力、(分子)恒久的な双極子間力、および(分子)水素結合(電子交換)の効果を組み合わせなければならない。「重み付きハンセン溶解度パラメータ」は、(δD+δΡ+δΗ0.5として計算され、ここで、δDは、ハンセン分散値(以下、原子分散力ともいう)、δΡは、ハンセン分極値(以下、双極子モーメントともいう)、δΗは、ハンセン水素結合(「h-bonding」)値(以下、水素結合ともいう)である。パラメータおよび値のより詳細な説明については、Charles Hansen, The Three Dimensional Solubility Parameter and Solvent Diffusion Coefficient, Danish Technical Press(コペンハーゲン、1967年)を参照されたい。
【0066】
フレグランスと溶媒との間の溶解度パラメータにおけるユークリッド差を、(4(δDsolvent-δDfragrance+(δΡsolvent-δΡfragrance+(δΗsolvent-δΗfragrance0.5として計算し、ここで、δDsolvent、δΡsolvent、δΗsolventは、それぞれ、溶媒のハンセン分散値、ハンセン分極値およびハンセンh結合値であり;δDfragrance、δΡfragranceおよびδΗfragranceは、それぞれ、フレグランスのハンセン分散値、ハンセン分極値、およびハンセンh結合値である。
【0067】
特定の実施形態では、香油および疎水性溶媒は、12~20の原子分散力(δD)、1~8の双極子モーメント(δP)、および2.5~11の水素結合(δH)からなる第1の群から選択される少なくとも2つのハンセン溶解度パラメータを有する。
【0068】
特定の実施形態では、香油および疎水性溶媒は、12~20、好ましくは14~20の原子分散力(δD)、1~8、好ましくは1~7の双極子モーメント(δΡ)、および2.5~11、好ましくは4~11の水素結合(δΗ)からなる第2の群から選択される少なくとも2つのハンセン溶解度パラメータを有する。
【0069】
特定の実施形態では、香油の少なくとも90%、好ましくは香油の少なくとも95%、最も好ましくは香油の少なくとも98%が、12~20の原子分散力(δD)、1~8の双極子モーメント(δΡ)、2.5~11の水素結合(δΗ)からなる第1の群から選択される少なくとも2つのハンセン溶解度パラメータを有する。
【0070】
特定の実施形態では、香油および疎水性溶媒は、12~20、好ましくは14~20の原子分散力(δD)、1~8、好ましくは1~7の双極子モーメント(δΡ)、および2.5~11、好ましくは4~11の水素結合(δΗ)からなる第2の群から選択される少なくとも2つのハンセン溶解度パラメータを有する。
【0071】
一実施形態によれば、賦香配合物は、フレグランス調節剤(存在する場合には疎水性溶媒に加えて、または疎水性溶媒が存在しない場合には疎水性溶媒の代わりに使用され得る)を含む。
【0072】
好ましくは、フレグランス調節剤は、
i.22℃で0.0008Torr未満の蒸気圧;
ii.3.5以上、好ましくは4.0以上、より好ましくは4.5のclogP
iii.12~20の原子分散力、1~7の双極子モーメント、および2.5~11の水素結合からなる第1の群から選択される、少なくとも2つのハンセン溶解度パラメータ、
iv.22℃で0.0008~0.08Torrの蒸気圧範囲を有する化合物に溶解した場合、14~20の原子分散力、1~8の双極子モーメント、および4~11の水素結合からなる第2の群から選択される少なくとも2つのハンセン溶解度パラメータ
を有するフレグランス材料として定義される。
【0073】
好ましくは、例として、以下の成分を調節剤として挙げることができるが、リストは、以下の材料に限定されない:アルコールC12、オキサシクロヘキサデカ-12/13-エン-2-オン、3-[(2’,2’,3’-トリメチル-3’-シクロペンテン-1’-イル)メトキシ]-2-ブタノール、シクロヘキサデカノン、(Z)-4-シクロペンタデセン-1-オン、シクロペンタデカノン、(8Z)-オキサシクロヘプタデカ-8-エン-2-オン、2-[5-(テトラヒドロ-5-メチル-5-ビニル-2-フリル)-テトラヒドロ-5-メチル-2-フリル]-2-プロパノール、ミュゲアルデヒド、1,5,8-トリメチル-13-オキサビシクロ[10.1.0]トリデカ-4,8-ジエン、(+-)-4,6,6,7,8,8-ヘキサメチル-1,3,4,6,7,8-ヘキサヒドロシクロペンタ[g]イソクロメン、(+)-(1S,2S,3S,5R)-2,6,6-トリメチルスピロ[ビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3,1’-シクロヘキサン]-2’-エン-4’-オン、オキサシクロヘキサデカン-2-オン、2-{(1S)-1-[(1R)-3,3-ジメチルシクロヘキシル]エトキシ}-2-オキソエチルプロピオネート、(+)-(4R,4aS,6R)-4,4a-ジメチル-6-(1-プロペン-2-イル)-4,4a,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-2(3H)-ナフタレノン、アミルシンナムアルデヒド、ヘキシルシンナムアルデヒド、ヘキシルサリチレート、(1E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-1,6-ヘプタジエン-3-オン、(9Z)-9-シクロヘプタデセン-1-オン、およびそれらの混合物。
【0074】
特定の実施形態によれば、疎水性材料は、活性成分(例えば、香料)を含まない。この特定の実施形態によれば、これは、疎水性溶媒、好ましくはミリスチン酸イソプロピル、トリグリセリド(例えば、Neobee(登録商標)MCT油、植物油)、D-リモネン、シリコーン油、鉱物油、およびそれらの混合物からなる群において選択される疎水性溶媒を含み、好ましくはそれらからなり、任意に、親水性溶媒、好ましくは1,4-ブタンジオール、ベンジルアルコール、クエン酸トリエチル、トリアセチン、酢酸ベンジル、酢酸エチル、プロピレングリコール(1,2-プロパンジオール)、1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、グリセロール、グリコールエーテルおよびそれらの混合物からなる群において選択される親水性溶媒を有する。
【0075】
「殺生物剤」という用語は、生物(例えば微生物)を殺すか、それらの増殖および/または蓄積を低減もしくは防止することができる化学物質を指す。殺生物剤は、医学、農業、林業で、また、例えば、水、種子を含む農産物、および石油パイプラインのファウリングを防止する産業でよく使用されている。殺生物剤は、殺真菌剤、除草剤、殺虫剤、殺藻剤、軟体動物駆除剤、殺ダニ剤および殺鼠剤を含む駆除剤;ならびに/または抗菌薬、例えば、殺菌剤、抗生物質、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤、抗原虫剤および/または抗寄生虫剤であり得る。
【0076】
本明細書で使用される「害虫防除剤」は、害虫を忌避または誘引し、その増殖、発達またはその活動を低減、抑制または促進する役割を果たす物質を示す。害虫とは、動物、植物または真菌を問わず、植物または動物に侵入するまたは害となるあらゆる生物を指し、害虫には、昆虫、特に節足動物、ダニ、クモ、菌類、雑草、細菌および他の微生物が含まれる。
【0077】
本発明の実施形態のいずれか1つによれば、疎水性材料H1は、工程i)の後に得られた二相分散液の総重量に対して、10重量%~60重量%の間、またはさらに15重量%~45重量%の間を示す。
【0078】
[連続相]
本発明によれば、工程a)における連続相は、ポリオールを含む。
【0079】
特定の実施形態によれば、連続相の含水率は、連続相の総重量を基準として10重量%以下である。
【0080】
特定の実施形態によれば、連続相は、水を含まない。
【0081】
特定の実施形態によれば、該方法のどの段階でも水は添加されない。
【0082】
疎水性材料H1に溶解しないあらゆるポリオールを、本発明において使用することができる。
【0083】
単一のポリオールまたはポリオールの混合物を使用することができる。
【0084】
ポリオールは、グリセロール、1,4-ブタンジオール、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、トリエタノールアミン、ジ(トリメチロールプロパン)、エチレングリコール、グリセロール、1,4-ブタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2-エチル-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-1,3-ジオール(トリメチロールプロパン、TMP)、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)プロパン-1,3-ジオール(ペンタエリスリトール)、2-アミノ-2-エチルプロパン-1,3-ジオール、2-アミノ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-1,3-ジオール、2,2’-アザンジイルビス(エタン-1-オール)、2-アミノプロパン-1,3-ジオール、2-アミノ-2-メチルプロパン-1,3-ジオール、ポリフェノールおよびそれらの混合物からなる群において選択され得る。
【0085】
一実施形態によれば、ポリオールは、二相分散液E1の総重量を基準として10重量%~90重量%の間、好ましくは25重量%~60重量%の間に含まれる量で添加される。
【0086】
特定の実施形態によれば、ポリオールは、グリセロールおよびプロピレングリコール、好ましくは1,2-プロピレングリコールの混合物である。
【0087】
特定の実施形態によれば、ポリオールは、グリセロールおよび1,4-ブタンジオールの混合物である。
【0088】
[安定剤S1]
本発明によれば、油相O1および/または連続相は、安定剤S1を含む。安定剤S1は、好ましくは連続相に添加される。
【0089】
単一の安定剤S1を用いてもよく、安定剤S1の混合物を用いてもよい。
【0090】
上記安定剤は、イオン性または非イオン性乳化剤またはコロイド安定剤であり得る。一実施形態によれば、安定剤は、コロイド安定剤である。
【0091】
安定剤は、分子乳化剤(標準エマルション)またはコロイド粒子安定剤(ピッカリングエマルション)であり得る。使用され得るコロイド粒子安定剤としては、例えばリン酸カルシウム、シリカ、ケイ酸塩、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化鉄、マイカ、カオリン、モンモリロナイト、ラポナイト、ベントナイト、パーライト、ドロマイト、珪藻土、バーミキュライト、ヘクトライト、ギブサイト、イライト、カオリナイト、アルミノケイ酸塩、石膏、ボーキサイト、マグネサイト、タルク、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、珪藻土およびそれらの混合物が挙げられる。
【0092】
「安定剤」および「乳化剤」は、本発明では区別なく使用される。
【0093】
本発明で使用され得る安定剤S1の中では、例えば、Tergitol 15-S-12(第二級アルコールエトキシレート)、Tween 80(ポリエチレングリコールソルビタンモノオレエート)、Tween 20(ポリエチレングリコールソルビタンモノオレエート)、Silica HKD H15(疎水化シリカ粒子);絹タンパク質;Span(登録商標)60(ステアリン酸ソルビタン)、ヒドロキシアパタイト粒子、セルロース誘導体、例えばヒドロキシプロピルセルロース、およびそれらの混合物が挙げられ得る。
【0094】
一実施形態によれば、安定剤S1および/またはS2は、第二級アルコールエトキシレート、ポリエチレングリコールソルビタンモノオレエート、疎水化シリカ粒子(疎水性シリカ粒子);絹タンパク質;ステアリン酸ソルビタン、ヒドロキシアパタイト粒子、ポリグリセロールポリリシノレート、ソルビタントリオレエート、ポリグリセリル-3ジイソステアレート、セルロース誘導体、例えばヒドロキシプロピルセルロースおよびそれらの混合物からなる群において選択される。
【0095】
安定剤S1は、典型的には、油相O1の総重量を基準として、0.1~50重量%、好ましくは0.2~30重量%、最も好ましくは0.5~20重量%、さらにより好ましくは1~10重量%の量で使用される。
【0096】
本方法の別の工程では、二相分散液E1が、疎水性材料H2および安定剤S2を含む油相O2に分散されて、多重分散液E2が得られる。
【0097】
疎水性材料H2は、先に定義された疎水性材料H1として定義され、好ましくは、ポリオールに溶解しない不活性溶媒、例えばトリグリセリド(例えば、Neobee(登録商標)MCT油、植物油)、ミリスチン酸イソプロピル、およびそれらの混合物である。
【0098】
単一の安定剤S2を用いてもよく、安定剤S2の混合物を用いてもよい。
【0099】
本発明において使用され得る安定剤S2の中では、例えばPGPR90(ポリグリセロールポリリシノレート)、silica HKD H15(疎水性シリカ粒子)、Span85(ソルビタントリオレエート)、Makibase SEB(ポリグリセリル-3ジイソステアレート)、およびそれらの混合物が挙げられ得る。
【0100】
安定剤S2は、典型的には、分散液E1の総重量を基準として、0.1~60重量%、好ましくは0.5~50重量%、最も好ましくは1~30重量%、さらにより好ましくは1~10重量%の量で使用される。
【0101】
本方法の別の工程では、少なくとも1つのカルボン酸誘導体A3が、多重分散液E2に添加される。
【0102】
一実施形態によれば、カルボン酸誘導体A3は、酸、アミド、エステル、無水物、酸塩化物、およびそれらの混合物からなる群において選択される。
【0103】
特定の実施形態によれば、カルボン酸誘導体A3は、アシルクロリドである。
【0104】
特定の実施形態によれば、アシルクロリドは、以下の式(I)
【化1】
[式中、nは、1~8、好ましくは1~6、より好ましくは1~4の整数であり、
Xは、(i)~(vi)
【化2】
[式中、Rは、水素原子またはメチル基もしくはエチル基、好ましくは水素原子である]から選択される少なくとも1つの基を任意に含む(n+1)価のC~C45炭化水素基である]を有する。
【0105】
「・・・炭化水素基・・・」とは、上記基が、水素原子および炭素原子からなり、かつ脂肪族炭化水素、すなわち直鎖状または分枝鎖状の飽和炭化水素(例えばアルキル基)、直鎖状または分枝鎖状の不飽和炭化水素(例えばアルケニルまたはアルキニル基)、飽和環状炭化水素(例えばシクロアルキル)または不飽和環状炭化水素(例えばシクロアルケニルまたはシクロアルキニル)の形であり得るか、または芳香族炭化水素、すなわち、アリール基の形であり得るか、またはさらに上記種類の基の混合物の形であり得、例えば、特定の基は、直鎖状アルキル、分枝鎖状アルケニル(例えば、1つ以上の炭素-炭素二重結合を有する)、(ポリ)シクロアルキルおよびアリール部分を含み得るが、ただし、特に1種類のみに限定する旨の記載がある場合を除くことについて理解されたい。同様に、本発明のすべての実施形態において、基が2つ以上の種類のトポロジー(例えば、直鎖状、環状または分枝鎖状)の形であり、かつ/または飽和もしくは不飽和(例えばアルキル、芳香族またはアルケニル)であると言及される場合、前述のように、前述のトポロジーのいずれか1つを有する部分または飽和もしくは不飽和である部分を含み得る基も意味する。同様に、本発明のすべての実施形態において、ある基が1種類の飽和または不飽和(例えばアルキル)の形であると言及される場合、上記基は、任意の種類のトポロジー(例えば直鎖状、環状または分枝鎖状)であり得るか、または様々なトポロジーを有する複数の部分を有することを意味する。
【0106】
「・・・を任意に含む、・・・炭化水素基」という用語は、上記炭化水素基が、エーテル、チオエーテル、アミン、ニトリルまたはカルボン酸基を形成するためのヘテロ原子を任意に含むことを意味すると理解される。これらの基は、炭化水素基の水素原子を置換し、結果として上記炭化水素に横方向に結合し得るか、炭化水素基の炭素原子を(化学的に可能であれば)置換し、結果として炭化水素鎖または環に挿入され得る。
【0107】
特定の実施形態によれば、アシルクロリドは、ベンゼン-1,3,5-トリカルボニルトリクロリド(トリメソイルトリクロリド)、ベンゼン-1,2,4-トリカルボニルトリクロリド、ベンゼン-1,2,4,5-テトラカルボニルテトラクロリド、シクロヘキサン-1,3,5-トリカルボニルトリクロリド、イソフタロイルジクロリド、ジグリコリルジクロリド、テレフタロイルクロリド、フマリルジクロリド、アジポイルジクロリド、コハク酸ジクロリド(コハク酸ジクロリドまたはスクシニルクロリドまたはスクシニルジクロリド)、プロパン-1,2,3-トリカルボニルトリクロリド、シクロヘキサン-1,2,4,5-テトラカルボニルテトラクロリド、2,2’-ジスルファンジイルジスクシニルジクロリド、2-(2-クロロ-2-オキソ-エチル)スルファニルブタンジオイルジクロリド、(4-クロロ-4-オキソブタノイル)-L-グルタモイルジクロリド、(S)-4-((1,5-ジクロロ-1,5-ジオキソペンタン-2-イル)アミノ)-4-オキソブタン酸、2,2-ビス[(4-クロロ-4-オキソ-ブタノイル)オキシメチル]ブチル4-クロロ-4-オキソ-ブタノエート、[2-[2,2-ビス[(4-クロロ-4-オキソ-ブタノイル)オキシメチル]ブトキシメチル]-2-[(4-クロロ-4-オキソ-ブタノイル)オキシメチル]ブチル]4-クロロ-4-オキソ-ブタノエート、2,2-ビス[(2-クロロカルボニルベンゾイル)オキシメチル]ブチル2-クロロカルボニル-ベンゾエート、[2-[2,2-ビス[(2-クロロカルボニルベンゾイル)オキシメチル]ブトキシメチル]-2-[(2-クロロカルボニルベンゾイル)オキシメチル]ブチル]2-クロロカルボニルベンゾエート、4-(2,4,5-トリクロロカルボニルベンゾイル)オキシブチル2,4,5-トリクロロカルボニル-ベンゾエート、プロパン-1,2,3-トリイルトリス(4-クロロ-4-オキソブタノエート)、プロパン-1,2-ジイルビス(4-クロロ-4-オキソブタノエート)およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0108】
特定の実施形態によれば、アシルクロリドは、ベンゼン-1,2,4-トリカルボニルトリクロリド、ベンゼン-1,2,4,5-テトラカルボニルテトラクロリド、シクロヘキサン-1,3,5-トリカルボニルトリクロリド、イソフタロイルジクロリド、ジグリコリルジクロリド、テレフタロイルクロリド、フマリルジクロリド、アジポイルジクロリド、コハク酸ジクロリド、プロパン-1,2,3-トリカルボニルトリクロリド、シクロヘキサン-1,2,4,5-テトラカルボニルテトラクロリド、2,2’-ジスルファンジイルジスクシニルジクロリド、2-(2-クロロ-2-オキソ-エチル)スルファニルブタンジオイルジクロリド、(4-クロロ-4-オキソブタノイル)-L-グルタモイルジクロリド、(S)-4-((1,5-ジクロロ-1,5-ジオキソペンタン-2-イル)アミノ)-4-オキソブタン酸、2,2-ビス[(4-クロロ-4-オキソ-ブタノイル)オキシメチル]ブチル4-クロロ-4-オキソ-ブタノエート、[2-[2,2-ビス[(4-クロロ-4-オキソ-ブタノイル)オキシメチル]ブトキシメチル]-2-[(4-クロロ-4-オキソ-ブタノイル)オキシメチル]ブチル]4-クロロ-4-オキソ-ブタノエート、2,2-ビス[(2-クロロカルボニルベンゾイル)オキシメチル]ブチル2-クロロカルボニル-ベンゾエート、[2-[2,2-ビス[(2-クロロカルボニルベンゾイル)オキシメチル]ブトキシメチル]-2-[(2-クロロカルボニルベンゾイル)オキシメチル]ブチル]2-クロロカルボニルベンゾエート、4-(2,4,5-トリクロロカルボニルベンゾイル)オキシブチル2,4,5-トリクロロカルボニル-ベンゾエート、プロパン-1,2,3-トリイルトリス(4-クロロ-4-オキソブタノエート)、プロパン-1,2-ジイルビス(4-クロロ-4-オキソブタノエート)、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0109】
特定の実施形態によれば、アシルクロリドは、フマリルジクロリド、アジポイルジクロリド、コハク酸ジクロリド(スクシニルクロリド)、プロパン-1,2,3-トリイルトリス(4-クロロ-4-オキソブタノエート)、プロパン-1,2-ジイルビス(4-クロロ-4-オキソブタノエート)、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0110】
カルボン酸誘導体A3は、好ましくは、多重分散液E2の総重量を基準として、0.1~50重量%の量で使用される。
【0111】
一実施形態によれば、本方法は、工程i)の後にE1に少なくともカルボン酸誘導体A1を添加する工程および/または油相O1に少なくともカルボン酸誘導体A2を添加する工程を含む。
【0112】
カルボン酸誘導体A3について先に開示された定義および実施形態は、カルボン酸誘導体A1およびカルボン酸誘導体A2にも適用される。
【0113】
特定の実施形態によれば、カルボン酸誘導体A1および/またはカルボン酸誘導体A2および/またはカルボン酸誘導体A3は、アシルクロリドである。
【0114】
特定の実施形態によれば、カルボン酸誘導体A1および/またはカルボン酸誘導体A2および/またはカルボン酸誘導体A3は、同じであっても異なっていてもよい。
【0115】
特定の実施形態によれば、カルボン酸誘導体A3は、アジポイルクロリドである。
【0116】
特定の一実施形態によれば、カルボン酸誘導体A3は、スクシニルクロリドである。
【0117】
特定の実施形態によれば、カルボン酸誘導体A3は、アジポイルクロリドであり、カルボン酸誘導体A1は、トリメソイルトリクロリドである。
【0118】
特定の実施形態によれば、カルボン酸誘導体A3は、アジポイルクロリドであり、カルボン酸誘導体A1は、スクシニルクロリドである。
【0119】
特定の実施形態によれば、
- ポリオールは、グリセロールおよび1,4-ブタンジオールの混合物である。
- カルボン酸誘導体A3は、スクシニルクロリドまたはアジポイルクロリドであり、かつ
- 安定剤S1は、疎水化シリカ粒子である。
【0120】
本方法の別の工程では、界面重合を誘発させてスラリーの形のポリエステルマイクロカプセルを形成するのに十分な条件が適用される。
【0121】
この工程により、最終的にスラリーの形のマイクロカプセルにすることができる。好ましい実施形態によれば、速度を上げるために、上記工程は、5~90℃の間に含まれる温度で、場合により圧力下で1~30時間かけて行われる。より好ましくは、上記工程は、10~80℃の間で30分~5時間かけて行われる。しかしながら、この工程(硬化工程と呼ばれる)は、室温で行われ得る。
【0122】
本発明の特定の実施形態によれば、工程iv)の終了時にまたは工程iv)の間に、非イオン性多糖類、カチオン性ポリマー、ポリスクシンイミド誘導体(例えば国際公開第2021185724号に記載)およびそれらの混合物からなる群から選択されるポリマーを本発明のスラリーに添加して、マイクロカプセルに外側コーティングを形成してもよい。
【0123】
非イオン性多糖類ポリマーは、当業者によく知られており、例えば国際公開第2012/007438号の第29頁、1~25行目および国際公開第2013/026657号の第2頁、12~19行目および第4頁、3~12行目に記載されている。好ましい非イオン性多糖類は、ローカストビーンガム、キシログルカン、グアーガム、ヒドロキシプロピルグアー、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースからなる群から選択される。
【0124】
カチオン性ポリマーは、当業者によく知られている。好ましいカチオン性ポリマーは、少なくとも0.5meq/g、より好ましくは少なくとも約1.5meq/gであるが、好ましくは約7meq/g未満、より好ましくは約6.2meq/g未満のカチオン電荷密度を有する。カチオン性ポリマーのカチオン電荷密度は、米国薬局方に記載されているように、窒素測定のための化学試験の下でケルダール法によって測定され得る。好ましいカチオン性ポリマーは、ポリマー主鎖の一部を形成し得るか、またはそれに直接結合した側鎖置換基が有し得る第一級、第二級、第三級および/または第四級アミン基を含む単位を含有するものから選択される。カチオン性ポリマーの重量平均(Mw)分子量は、好ましくは10,000ダルトン~3.5Mダルトンの間、より好ましくは50,000ダルトン~1.5Mダルトンの間である。特定の実施形態によれば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N-ビニルピロリドン、四級化N,N-ジメチルアミノメタクリレート、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、四級化ビニルイミダゾール(3-メチル-1-ビニル-1H-イミダゾール-3-イウムクロリド)、ビニルピロリドン、アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド、カッシア・ヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、グアー・ヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドまたはポリガラクトマンナン2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドエーテル、デンプン・ヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドおよびセルロースヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドに基づくカチオン性ポリマーが使用されることになる。好ましいコポリマーは、ポリクオタニウム-5、ポリクオタニウム-6、ポリクオタニウム-7、ポリクオタニウム-10、ポリクオタニウム-11、ポリクオタニウム-16、ポリクオタニウム-22、ポリクオタニウム-28、ポリクオタニウム-43、ポリクオタニウム-44、ポリクオタニウム-46、カッシアヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドまたはポリガラクトマンナン2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドエーテル、デンプンヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドおよびセルロースヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドからなる群から選択されるものとする。市販製品の具体例として、Salcare(登録商標)SC60(アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリドとアクリルアミドとのカチオン性コポリマー、供給元:BASF)またはLuviquat(登録商標)、例えばPQ 11N、FC 550またはStyle(ポリクオタニウム-11~68またはビニルピロリドンの四級化コポリマー、供給元:BASF)、またはさらにJaguar(登録商標)(C13SまたはC17、供給元:Rhodia)が挙げられ得る。
【0125】
本発明の上記実施形態のいずれか1つによれば、上記のポリマーが、約0~5重量%の間、またはさらに約0.1~2重量%の間に含まれる量で添加され、ここで、パーセンテージは、工程iv)後に得られたスラリーの総重量に対する重量/重量基準で表される。当業者には、上記添加されるポリマーの一部のみがマイクロカプセルシェルに組み込まれる/マイクロカプセルシェル上に堆積されることになることが明確に理解されている。
【0126】
一実施形態によれば、アミンは、本方法のどの工程でも添加されず、好ましくは、第三級アミンは、本方法のどの工程でも添加されない。
【0127】
特定の実施形態によれば、本方法は、疎水性材料H3をスラリーに添加することからなる、さらなる工程を含む。疎水性材料H3は、好ましくは、工程iv)の後に得られたスラリーの総重量を基準として、20~80重量%の間、好ましくは30~75重量%の間に含まれる量で添加される。
【0128】
疎水性材料H3は、先に定義された疎水性材料H1と定義され、好ましくは香料である。
【0129】
特定の実施形態によれば、本方法は、スラリーから塩化水素(HCl)を除去することからなる追加の工程を含む。実際、HClは、本方法中に生成される場合があり、例えば、ガス流を使用するか、または塩基を使用することによって除去され得る。
【0130】
本発明の別の対象は、マイクロカプセル粉末の製造方法であって、上記で定義された工程と、工程iv)またはv)で得られたスラリーを噴霧乾燥のような乾燥に供して、マイクロカプセルをそのままで、すなわち粉末の形で供給することからなる追加の工程とを含む方法である。このような乾燥を実施するための当業者に知られている標準的ないずれの方法も適用可能であることが理解されている。特に、スラリーは、好ましくは、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、デキストリン、天然または加工デンプン、植物ガム、ペクチン、キサンタン、アルギン酸塩、カラゲナンまたはセルロース誘導体などのポリマー担体材料の存在下で噴霧乾燥されて、マイクロカプセルを粉末の形で供給し得る。
【0131】
しかしながら、国際公開第2017/134179号に開示されているような特定の基準を満たす材料(担体、乾燥剤)を使用して、押出、めっき、噴霧造粒、流動床、またはさらに室温での乾燥などの他の乾燥方法も挙げることができる。
【0132】
特定の実施形態によれば、担体材料は、マイクロカプセルのコアからの香料と同じまたは異なり得る遊離香油を含有する。
【0133】
多重カプセルシステム
一実施形態によれば、本発明のマイクロカプセル(第1の種類のマイクロカプセル)は、第2の種類のマイクロカプセルと組み合わせて使用され得る。
【0134】
本発明の別の対象は、
- 第1の種類のマイクロカプセルとしての本発明のマイクロカプセルと、
- 第2の種類のマイクロカプセル
を含み、第1の種類のマイクロカプセルと第2の種類のマイクロカプセルとは、疎水性材料および/またはそれらの担体材料および/またはそれらのコーティング材料において異なる、マイクロカプセル送達システムである。
【0135】
ポリエステルマイクロカプセル
本方法における成分を規定するために先に開示された実施形態は、マイクロカプセルにも適用される。
【0136】
本発明の第2の対象は、上記で定義された方法により得ることができるポリエステルマイクロカプセルスラリーである。
【0137】
本発明の第3の対象は、
- 油相を含むコアであって、該油相は疎水性材料H1を含むコア、および
- 少なくとも1種のカルボン酸誘導体A3とポリオールとの反応生成物を含む担体
を含み、
コアは、担体に捕捉されている、ポリエステルマイクロカプセルである。
【0138】
一実施形態によれば、コアは、ポリオールおよび疎水性材料H1で作られた二相分散液を含む。
【0139】
本発明のマイクロカプセルは、特にカルボン酸誘導体A3の性質に応じて、コアシェル型またはマトリックス型であり得る。
【0140】
一実施形態によれば、マイクロカプセルは、マトリックスの形である。
【0141】
この実施形態では、担体材料は、例えばポリ(グリセロール-co-スクシネート)、ポリ(プロピレングリコール-co-スクシネート)等のポリエステル、例えばポリ(グリセロール-co-プロピレングリコール-co-スクシネート)、ポリ(グリセロール-co-アジペート)、ポリ(プロピレングリコール-co-アジペート)等のポリエステル、例えばポリ(グリセロール-co-プロピレングリコール-co-アジペート)等のポリエステル、およびそれらの混合物で製造されている。
【0142】
一実施形態では、マイクロカプセルは、コアシェル型マイクロカプセルの形である。
【0143】
この実施形態では、担体材料は、例えばポリ(グリセロール-co-スクシネート)、ポリ(プロピレングリコール-co-スクシネート)等のポリエステル、例えばポリ(グリセロール-co-プロピレングリコール-co-スクシネート)、ポリ(グリセロール-co-アジペート)、ポリ(プロピレングリコール-co-アジペート)等のポリエステル、例えばポリ(グリセロール-co-プロピレングリコール-co-アジペート)等のポリエステル、およびそれらの混合物で作られている。
【0144】
特定の実施形態によれば、カルボン酸誘導体A1および/またはカルボン酸誘導体A2とポリオールとの反応から作られる追加のポリエステルシェルは、コアとポリエステルで作られた担体材料との間の界面に形成される。
【0145】
特定の実施形態によれば、安定剤S1およびS2は、コアとポリエステルで作られた担体材料との間の界面にある。
【0146】
第4の態様では、本発明は、
- 油相を含むコアであって、該油相は、疎水性材料H1を含むコア、および
- カルボン酸誘導体A3とポリオールとの反応生成物を含む担体
で作られ、
コアが担体に捕捉されている、少なくとも1つのポリエステルマイクロカプセルを含むポリエステルマイクロカプセルスラリーに関する。
【0147】
先にマイクロカプセルについて開示された実施形態は、マイクロカプセルスラリーについても適用される。
【0148】
この実施形態によれば、マイクロカプセルは、疎水性材料H2、好ましくはポリオールに溶解しない不活性溶媒、例えばトリグリセリド(例えば、Neobee(登録商標)MCT油、植物油)、ミリスチン酸イソプロピル、およびそれらの混合物に分散される。
【0149】
一実施形態によれば、マイクロカプセルスラリーは、疎水性材料H3、好ましくは該スラリー中に自由に分散された香料を含む。
【0150】
特定の実施形態では、シェル材料は、生分解性材料を含む。
【0151】
特定の実施形態では、シェルは、OECD301Fによれば60日以内に、少なくとも40%、好ましくは少なくとも45%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または98%の生分解性を有する。
【0152】
特定の実施形態では、コア-シェルマイクロカプセルは、OECD301Fによれば、60日以内に、少なくとも40%、好ましくは少なくとも60%、好ましくは少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または98%の生分解性を有する。
【0153】
これにより、コア、シェルおよび任意にコーティングなどのすべての成分を含むコア-シェルマイクロカプセルは、OECD301Fによれば、60日以内に、少なくとも40%、好ましくは少なくとも60%、好ましくは少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または98%の生分解性を有し得ることが理解されている。
【0154】
OECD 301Fは、経済協力開発機構(Organization of Economic Co-operation and Development)からの生分解性に関する標準試験法である。
【0155】
生分解性を測定するためのシェルの典型的な抽出方法は、Gasparini and all in Molecules 2020, 25,718に開示されている。
【0156】
賦香組成物/消費者製品
本発明のマイクロカプセルは、活性成分と組み合わせて使用され得る。したがって、本発明の対象は、
(i)上記で定義されたマイクロカプセルまたはマイクロカプセルスラリー;
(ii)好ましくは、化粧品成分、スキンケア成分、香料成分、フレーバー成分、悪臭中和成分、殺菌剤成分、防カビ剤成分、医薬もしくは農薬成分、除菌成分、防虫剤もしくは誘引剤、およびそれらの混合物からなる群において選択される、活性成分
を含む組成物である。
【0157】
本発明のマイクロカプセルは、本発明の対象でもある賦香または着香組成物の調製に使用され得る。
【0158】
本発明のカプセルは、困難を伴う媒体における安定性に関して非常に良好な性能を示す。
【0159】
本発明の別の対象は、
(i)油が香料を含む、上記で定義されたマイクロカプセルまたはマイクロカプセルスラリー;
(ii)香料担体、香料補助成分およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の成分;
(iii)任意に少なくとも1種の香料補助剤
を含む、賦香組成物である。
【0160】
液体香料担体としては、非限定的な例として、乳化系、すなわち溶媒および界面活性剤系、または香料で一般的に使用される溶媒を挙げることができる。香料で一般的に使用される溶媒の性質および種類の詳細な説明は、網羅することができない。しかしながら、非限定的な例として、ジプロピレングリコール、フタル酸ジエチル、ミリスチン酸イソプロピル、安息香酸ベンジル、2-(2-エトキシエトキシ)-1-エタノールまたはクエン酸エチルなどの溶媒を挙げることができ、これらが最も一般的に使用されている。香料担体と香料補助成分との両方を含む組成物の場合、先に特定したもの以外の適切な香料担体は、また、エタノール、水/エタノール混合物、リモネンまたは他のテルペン、イソパラフィン、例えばIsopar(登録商標)(製造元:Exxon Chemical)の商標で知られているものまたはグリコールエーテルおよびグリコールエーテルエステル、例えば、Dowanol(登録商標)(製造元:Dow Chemical Company)の商標で知られているものであり得る。「香料補助成分」とは、本明細書では、快楽効果を付与するために賦香調製物または組成物に使用される化合物であって、上記で定義されたマイクロカプセルではない化合物を意味する。換言すれば、賦香するものであると考えられる、このような補助成分は、単に匂いを有しているものとしてではなく、少なくとも組成物の匂いをポジティブにまたは心地よいように付与または変更できるものとして、当業者に認識されなければならない。
【0161】
賦香組成物中に存在する賦香補助成分の性質および種類については、本明細書ではより詳細な説明を保証せず、いずれにせよ網羅しきれないだろうが、当業者であれば自らの一般的知識に基づき、使用目的または用途、および所望の感覚刺激効果に従ってそれらを選択することができる。一般論として、これらの賦香補助成分は、アルコール、ラクトン、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、アセテート、ニトリル、テルペノイド、含窒素または含硫黄複素環式化合物および精油などの様々な化学クラスに属し、上記賦香補助成分は、天然または合成由来であり得る。これらの補助成分の多くは、いずれの場合も、参考文献、例えば、S. Arctanderによる書籍、Perfume and Flavor Chemicals, 1969, Montclair, New Jersey, USA、またはその最新版、または同様の性質の他の論文、ならびに香料分野の豊富な特許文献に列記されている。また、上記補助成分は、制御された方法で、プロパフュームまたはプロフレグランスとしても知られている様々な種類の賦香化合物を放出することが知られている化合物であってもよいことも理解されている。好適なプロパフュームの非限定的な例としては、
4-(ドデシルチオ)-4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブタノン、4-(ドデシルチオ)-4-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブタノン、トランス-3-(ドデシルチオ)-1-(2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)-1-ブタノン、2-(ドデシルチオ)オクタン-4-オン、2-フェニルエチルオキソ(フェニル)アセテート、3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イルオキソ(フェニル)アセテート、(Z)-ヘキサ-3-エン-1-イルオキソ(フェニル)アセテート、3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン-1-イルヘキサデカノエート、ビス(3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イル)スクシネート、(2-((2-メチルウンデカ-1-エン-1-イル)オキシ)エチル)ベンゼン、1-メトキシ-4-(3-メチル-4-フェネトキシブタ-3-エン-1-イル)ベンゼン、(3-メチル-4-フェネトキシブタ-3-エン-1-イル)ベンゼン、1-(((Z)-ヘキサ-3-エン-1-イル)オキシ)-2-メチルウンデカ-1-エン、(2-((2-メチルウンデカ-1-エン-1-イル)オキシ)エトキシ)ベンゼン、2-メチル-1-(オクタン-3-イルオキシ)ウンデカ-1-エン、1-メトキシ-4-(1-フェネトキシプロパ-1-エン-2-イル)ベンゼン、1-メチル-4-(1-フェネトキシプロパ-1-エン-2-イル)ベンゼン、2-(1-フェネトキシプロパ-1-エン-2-イル)ナフタレン、(2-フェネトキシビニル)ベンゼン、2-(1-((3,7-ジメチルオクタ-6-エン-1-イル)オキシ)プロパ-1-エン-2-イル)ナフタレン、(2-((2-ペンチルシクロペンチリデン)メトキシ)エチル)ベンゼン、4-アリル-2-メトキシ-1-((2-メトキシ-2-フェニルビニル)オキシ)ベンゼン、(2-((2-ヘプチルシクロペンチリデン)メトキシ)エチル)ベンゼン、1-イソプロピル-4-メチル-2-((2-ペンチルシクロペンチリデン)メトキシ)ベンゼン、2-メトキシ-1-((2-ペンチルシクロペンチリデン)メトキシ)-4-プロピルベンゼン、3-メトキシ-4-((2-メトキシ-2-フェニルビニル)オキシ)ベンズアルデヒド、4-((2-(ヘキシルオキシ)-2-フェニルビニル)オキシ)-3-メトキシベンズアルデヒドまたはそれらの混合物を挙げることができる。
【0162】
「香料補助剤」とは、本明細書では、色、特定の耐光性、化学的安定性等の付加的に追加される利点を付与することが可能な成分を意味する。賦香ベースにおいて一般的に使用されている補助剤の性質および種類の詳細な説明は、網羅できないが、上記成分が当業者によく知られていることは言及されなければならない。
【0163】
好ましくは、本発明による賦香組成物は、0.01~30重量%の間の上記で定義されたマイクロカプセルを含む。
【0164】
本発明のマイクロカプセルは、多くの適用分野で有利に使用することができ、かつ消費者製品に使用することができる。マイクロカプセルは、液体の消費者製品に適用可能な液体の形で使用することができ、また、粉末の消費者製品に適用可能な粉末の形で使用することもできる。
【0165】
特定の実施形態によれば、上記で定義された消費者製品は、液体であり、かつ
a)消費者製品の総重量に対して2~65重量%の、少なくとも1種の界面活性剤、
b)水または水混和性の親水性有機溶媒、および
c)上記で定義されたマイクロカプセルスラリーまたはマイクロカプセル、
d)任意に、非封入香料
を含む。
【0166】
特定の実施形態によれば、上記で定義された消費者製品は、粉末の形であり、かつ
a)消費者製品の総重量に対して2~65重量%の少なくとも1種の界面活性剤、
b)上記で定義されたマイクロカプセル粉末、
c)任意に、上記で定義されたマイクロカプセルとは異なる香料粉末
を含む。
【0167】
香油ベースのコアを含むマイクロカプセルの場合、本発明の製品は、特に、ファインフレグランスまたは「機能性」香料に属する製品などの賦香された消費者製品で使用され得る。機能性香料としては、特に、ヘアケア、ボディクレンジング、スキンケア、衛生ケアを含むパーソナルケア製品、ならびにランドリーケアおよび空気ケアを含むホームケア製品が挙げられる。その結果、本発明の別の対象は、賦香成分として、上記で定義されたマイクロカプセルまたは上記で定義された賦香組成物を含む、賦香された消費者製品からなる。上記消費者製品の香料要素は、上記で定義された香料マイクロカプセルおよび遊離または非封入香料、ならびに本明細書に開示されたもの以外の種類の香料マイクロカプセルの組み合わせであり得る。
【0168】
特に、
a)消費者製品の総重量に対して2~65重量%の少なくとも1種の界面活性剤、
b)水または水混和性の親水性有機溶媒、および
c)上記で定義された賦香組成物
を含む液体消費者製品が、本発明の別の対象である。
【0169】
また、
(a)消費者製品の総重量に対して2~65重量%の少なくとも1種の界面活性剤、および
(b)上記で定義された賦香組成物
を含む、粉末消費者製品も、本発明の一部である。
【0170】
したがって、本発明のマイクロカプセルは、賦香された消費者製品にそのままで、または本発明の賦香組成物の一部として添加され得る。
【0171】
明確にするために、「賦香された消費者製品」とは、適用される表面(例えば、皮膚、毛髪、テキスタイル、紙、または家の表面)または空気中(エアフレッシュナー、消臭剤等)に、様々な有益性の中でも賦香効果を送達することが期待される消費者製品を意味することが言及されなければならない。換言すれば、本発明による賦香された消費者製品は、「ベース」とも呼ばれる機能性配合物を、利益剤、とりわけ有効量の本発明によるマイクロカプセルと共に含む製造された製品である。
【0172】
賦香された消費者製品の他の成分の性質および種類については、本明細書ではより詳細な説明を保証せず、いずれにせよ網羅しきれないであろうが、当業者であれば自らの一般的知識に基づき、上記製品の性質および所望の効果に従ってそれらを選択することができる。本発明のマイクロカプセルが組み込まれ得る消費者製品のベース配合物は、かかる製品に関連する豊富な文献に見出され得る。これらの配合物については、本明細書では詳細な説明を保証せず、いずれにせよ網羅しきれないだろう。このような消費者製品を配合する当業者は、自身の一般的知識および利用可能な文献に基づいて、適切な成分を完全に選択することができる。
【0173】
適切な着香消費者製品の非限定的な例は、香料、例えば、ファインパフューム、コロン、アフターシェーブローション、ボディスプラッシュ;布地ケア製品、例えば、液体または固体洗剤、タブレットおよび単位用量(シングルチャンバまたはマルチチャンバ)、布地柔軟仕上げ剤、ドライヤーシート、布地リフレッシャー、アイロン水、または漂白剤;パーソナルケア製品、例えばヘアケア製品(例えばシャンプー、ヘアコンディショナー、着色調製物またはヘアスプレー)、化粧品調製物(例えばバニシングクリーム、ボディローションまたは脱臭剤または制汗剤)、またはスキンケア製品(例えば賦香された石鹸、シャワーまたはバスムース、ボディウォッシュ、オイルまたはジェル、バスソルト、または衛生製品);空気ケア製品、例えば、エアフレッシュナーまたは「すぐに使用できる(ready to use)」粉末エアフレッシュナー;またはホームケア製品、例えば、多目的洗浄剤、液体もしくは粉末もしくはタブレット食器洗浄製品、トイレクリーナーまたは様々な表面を洗浄するための製品、例えば、テキスタイルもしくは硬質表面(床、タイル、石床等)の処理/再生用のスプレー&ワイプ;衛生用品、例えば、生理用ナプキン、おむつ、トイレットペーパーであり得る。
【0174】
本発明では、布地柔軟剤または布地柔軟仕上げ剤は、区別なく使用される。
【0175】
本発明の別の対象は、
- パーソナルケア活性ベース、および
- 上記で定義されたマイクロカプセルもしくはマイクロカプセルスラリーまたは上記で定義された賦香組成物
を含み、
パーソナルケア組成物の形である、消費者製品である。
【0176】
本発明のマイクロカプセルが組み込まれ得るパーソナルケア活性ベースは、かかる製品に関連する豊富な文献に見出され得る。これらの配合物については、本明細書ではより詳細な説明を保証せず、いずれにせよ網羅しきれないだろう。このような消費者製品を配合する当業者は、自身の一般的知識および利用可能な文献に基づいて、適切な成分を完全に選択することができる。
【0177】
パーソナルケア組成物は、好ましくは、ヘアケア製品(例えば、シャンプー、ヘアコンディショナー、着色調製物またはヘアスプレー)、化粧品調製物(例えば、バニシングクリーム、ボディローションまたは脱臭剤または制汗剤)、またはスキンケア製品(例えば、賦香された石鹸、シャワーまたはバスムース、ボディウォッシュ、オイルまたはジェル、バスソルト、または衛生製品)からなる群において選択される。
【0178】
本発明の別の対象は、
- ホームケアまたはファブリックケア活性ベース、および
- 上記で定義されたマイクロカプセルもしくはマイクロカプセルスラリーまたは上記で定義された賦香組成物
を含み、
ホームケアまたはファブリックケア組成物の形である、消費者製品である。
【0179】
本発明のマイクロカプセルを組み込むことができるホームケアまたはファブリックケア活性ベースは、かかる製品に関連する豊富な文献に見出され得る。これらの配合物については、本明細書ではより詳細な説明を保証せず、いずれにせよ網羅しきれないだろう。このような消費者製品を配合する当業者は、自身の一般的知識および利用可能な文献に基づいて、適切な成分を完全に選択することができる。
【0180】
好ましくは、消費者製品は、0.1~15重量%、より好ましくは0.2~5重量%の間の本発明のマイクロカプセルを含み、これらのパーセンテージは、消費者製品の総重量に対する重量により定義されている。当然ながら、上記濃度は、各製品に望まれる有益性効果に従って適合され得る。
【0181】
下記で言及される液体の消費者製品の場合、「活性ベース」とは、活性ベースが、活性物質(典型的には界面活性剤を含む)および水を含むことが理解されるべきである。
【0182】
下記で言及される固体の消費者製品の場合、「活性ベース」とは、活性ベースが、活性物質(典型的には界面活性剤を含む)および補助剤(例えば漂白剤、緩衝剤;ビルダー;汚れ放出または汚れ懸濁ポリマー;造粒酵素粒子、腐食防止剤、消泡剤、泡抑制剤;染料、充填剤、およびそれらの混合物)を含むことが理解されるべきである。
【0183】
布地柔軟剤
本発明の対象は、
- 好ましくは、ジアルキル4級アンモニウム塩、ジアルキルエステル4級アンモニウム塩(エステルクワット)、ハンブルクエステルクワット(HEQ)、TEAQ(トリエタノールアミンクワット)、シリコーンおよびそれらの混合物からなる群において選択される少なくとも1種の活性物質を含む布地柔軟剤活性ベースであって、好ましくは、組成物の総重量を基準として85~99.95重量%の間に含まれる量で使用されている、布地柔軟剤活性ベース、
- 好ましくは組成物の総重量を基準として0.05~15重量%の間、より好ましくは0.1~5重量%の間に含まれる量の、上記で定義されたマイクロカプセルスラリー、
- 任意に遊離香油
を含む、布地柔軟剤組成物の形の消費者製品である。
【0184】
液体洗剤
本発明の対象は、
- 好ましくは、アニオン界面活性剤、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩(ABS)、第二級アルキルスルホン酸塩(SAS)、第一級アルコール硫酸塩(PAS)、ラウリルエーテル硫酸塩(LES)、メチルエステルスルホン酸塩(MES)、および非イオン性界面活性剤、例えば、アルキルアミン、アルカノールアミド、脂肪アルコールポリ(エチレングリコール)エーテル、脂肪アルコールエトキシレート(FAE)、エチレンオキシド(EO)およびプロピレンオキシド(PO)コポリマー、アミンオキシド、アルキルポリグルコシド、アルキルポリグルコサミドからなる群において選択される少なくとも1種の活性物質を含み、好ましくは、組成物の総重量を基準として85~99.95重量%の間に含まれる量で使用されている、液体洗剤活性ベース、
- 好ましくは組成物の総重量を基準として0.05~15重量%の間、より好ましくは0.1~5重量%の間に含まれる量の、上記で定義されたマイクロカプセルスラリー、
- 任意に遊離香油
を含む液体洗剤組成物の形の消費者製品である。
【0185】
固体洗剤
本発明の対象は、
- 好ましくは、アニオン性界面活性剤、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩(ABS)、第二級アルキルスルホン酸塩(SAS)、第一級アルコール硫酸塩(PAS)、ラウリルエーテル硫酸塩(LES)、メチルエステルスルホン酸塩(MES)、および非イオン性界面活性剤、例えば、アルキルアミン、アルカノールアミド、脂肪アルコールポリ(エチレングリコール)エーテル、脂肪アルコールエトキシレート(FAE)、エチレンオキシド(EO)およびプロピレンオキシド(PO)コポリマー、アミンオキシド、アルキルポリグルコシド、アルキルポリグルコサミドからなる群において選択される少なくとも1種の活性物質を含む固体洗剤活性ベースであって、好ましくは、組成物の総重量を基準として85~99.95重量%の間に含まれる量で使用されている固体洗剤活性ベース、
- 好ましくは、組成物の総重量を基準として0.05~15重量%の間、より好ましくは0.1~5重量%の間に含まれる量の、上記で定義されたマイクロカプセル粉末またはマイクロカプセルスラリー、
- 任意に遊離香油
を含む固体洗剤組成物の形の消費者製品である。
【0186】
シャンプー/シャワージェル
本発明の対象は、
- 好ましくは、アルキルエーテル硫酸ナトリウム、アルキルエーテル硫酸アンモニウム、アルキル両性アセテート、コカミドプロピルベタイン、コカミドMEA、アルキルグルコシドおよびアミノ酸系界面活性剤ならびにそれらの混合物からなる群において選択される少なくとも1種の活性物質を含み、好ましくは、組成物の総重量を基準として85~99.95重量%の間に含まれる量で使用されている、シャンプーまたはシャワージェル活性ベース、
- 上記で定義されたマイクロカプセルスラリーであって、好ましくは組成物の総重量を基準として0.05~15重量%の間、より好ましくは0.1~5重量%の間に含まれる量のマイクロカプセルスラリー、
- 任意に遊離香油
を含むシャンプーまたはシャワージェル組成物の形の消費者製品である。
【0187】
リンスオフコンディショナー
本発明の対象は、
- 好ましくは、セチルトリモニウムクロリド、ステアリルトリモニウムクロリド、ベンザルコニウムクロリド、ベヘントリモニウムクロリドおよびそれらの混合物からなる群において選択される少なくとも1種の活性物質を含み、好ましくは組成物の総重量を基準として85~99.95重量%の間に含まれる量で使用されている、リンスオフコンディショナー活性ベース、
- 好ましくは組成物の総重量を基準として0.05~15重量%の間、より好ましくは0.1~5重量%の間に含まれる量の、上記で定義されたマイクロカプセルスラリー、
- 任意に遊離香油
を含むリンスオフコンディショナー組成物の形の消費者製品である。
【0188】
固体香気増強剤
本発明の対象は、
- 好ましくは尿素、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、ゼオライト、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、クレイ、タルク、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム、石膏、硫酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、二酸化チタン、塩化カルシウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、多糖類、例えば、スクロース、単糖類、二糖類および多糖類および誘導体、例えば、デンプン、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、ポリオール/糖アルコール、例えば、ソルビトール、マルチトール、キシリトール、エリスリトール、およびイソマルト、PEG、PVP、クエン酸または任意の水溶性固体酸、脂肪アルコールまたは脂肪酸およびそれらの混合物からなる群において選択される、固体担体、
- 好ましくは組成物の総重量を基準として0.05~15重量%の間、より好ましくは0.1~5重量%の間に含まれる量の、粉末の形の、上記で定義されたマイクロカプセルスラリー、
- 任意に遊離香油
を含む固体香気増強剤組成物の形の消費者製品である。
【0189】
液体香気増強剤
本発明の対象は、
- 水相、
- 本質的に1種以上の非イオン性界面活性剤からなる界面活性剤系であって、10~14の間の平均HLBを有し、好ましくは、エトキシル化脂肪族アルコール、POE/PPG(ポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレン)エーテル、モノおよびポリグリセリルエステル、スクロースエステル化合物、ポリオキシエチレンヒドロキシルエステル、アルキルポリグルコシド、アミンオキシド、およびそれらの組み合わせからなる群において選択される界面活性剤系、
- アルコール、カルボン酸の塩およびエステル、ヒドロキシルカルボン酸の塩およびエステル、脂肪酸、脂肪酸塩、グリセリン脂肪酸、10未満のHLBを有する界面活性剤およびそれらの混合物からなる群において選択されるリンカー、および
- 好ましくは組成物の総重量を基準として0.05~15重量%の間、より好ましくは0.1~5重量%の間に含まれる量の、スラリーの形の、上記で定義されたマイクロカプセルスラリー、
- 任意に遊離香油
を含む液体香気増強剤組成物の形の消費者製品である。
【0190】
毛髪着色
本発明の対象は、
- 酸化剤を含む酸化相、ならびにアルカリ剤、染料前駆体およびカップリング化合物を含むアルカリ相であって、上記染料前駆体および上記カップリング化合物は、酸化剤の存在下で、好ましくは組成物の総重量を基準として85~99.95重量%の間に含まれる量で酸化染毛剤を形成するアルカリ相、
- 好ましくは組成物の総重量を基準として0.05~15重量%の間、より好ましくは0.1~5重量%の間に含まれる量の、上記で定義されたマイクロカプセルスラリー、
- 任意に遊離香油
を含む酸化的ヘアカラー組成物の形の消費者製品である。
【0191】
賦香組成物
特定の実施形態によれば、消費者製品は、
- 0.1~30%、好ましくは0.1~20%の、好ましくは先に定義されたスラリーの形のマイクロカプセル、
- 0~40%、好ましくは3~40%の香料、および
- 賦香組成物の総重量を基準として20~90重量%、好ましくは40~90重量%のエタノール
を含む賦香組成物の形である。
【0192】
ここで、本発明は、実施例によりさらに説明されることになる。特許請求される本発明は、これらの実施例によって決して限定されることを意図していないことが理解されることになる。
【実施例
【0193】
【表1】
【表2】
【0194】
実施例1
[本発明によるマイクロカプセルの製造(多重エマルションE2中のカルボン酸誘導体A3の添加)]
一般的なプロトコル:香油Aを、Tween 80(S1)のグリセロール溶液に、12,000rpmでultra turraxを用いて5分間かけて分散させた。得られたエマルションを、Neobee中のsilica HKD H15(S2)の分散液に、12,000rpmでultra turraxを用いて室温で5分間かけて分散させて、多重エマルションを得た。この多重エマルションにアジポイルクロリドを滴加し、反応混合物を、30℃で45時間撹拌した。
【表3】
【0195】
例1H~1Mのカプセルを、Tween 20(S1)およびMakibase SEB(S2)を用いて調製した。
【表4】
【0196】
例1Mのカプセルを、Tween 20(S1)およびポリグリセロールポリリシノレート(PGPR90)(S2)を用いて調製した。
【表5】
【0197】
実施例2
[本発明によるマイクロカプセルの調製(多重エマルションE2中のカルボン酸誘導体A3および油相O1中のカルボン酸誘導体A2の添加)]
一般的なプロトコル:香油Aおよびトリメソイルトリクロリドを、Tween 80(S1)のグリセロール溶液に、12,000rpmでultra turraxを用いて5分間かけて分散させた。得られたエマルションを、Neobee中のsilica HKD H15(S2)の分散液に、12,000rpmでultra turraxを用いて室温で5分間かけて分散させて、多重エマルションを得た。この多重エマルションにアジポイルクロリドを滴加し、反応混合物を、30℃で45時間撹拌した。
【表6】
【0198】
実施例3
[本発明によるマイクロカプセルの調製(多重エマルションE2中のカルボン酸誘導体A3およびエマルションE1中のカルボン酸誘導体A1の添加)]
一般的なプロトコル:Tween 20(S1)を、グリセロールと1,2-プロピレングリコールとの混合物に溶解させた。香油Aを、この溶液に、24,000rpmでultra turraxを用いて0℃で2分間かけて分散させた。スクシニルクロリドを、室温で第1のエマルションに添加した。反応混合物を、室温で種々の時間、撹拌した。得られたエマルションを、PGPR90(S2)のNeobee溶液に、550rpmで機械式撹拌機を用いて室温で10分間かけて分散させて、多重エマルションを得た。この多重エマルションにアジポイルクロリドを2時間かけて滴加し、反応混合物を、25℃で24時間撹拌した。
【表7】
【0199】
カプセル3E:Tween 20(S1)(0.20g)を、グリセロール(6.30g)および1,2-プロピレングリコール(10.00g)の混合物に、7,000rpmでultra turraxを用いて10秒間かけて溶解させた。香油A(10.00g)を、この溶液に7,000rpmでultra turraxを用いて0℃で2分間かけて分散させた。スクシニルクロリド(15.20g)を、1.25時間かけて室温で第1のエマルションに添加した。次に、このエマルションに、アジポイルクロリド(3.95g)を、1.25時間かけて室温で添加した。反応混合物を、室温で4時間撹拌した。得られたエマルションを、PGPR90(0.5g)(S2)のNeobee(25g)溶液に、550rpmで機械式撹拌機を用いて室温で10分間分散させて、多重エマルションを得た。アジポイルクロリド(2g)を、多重エマルションに2時間かけて滴加し、反応混合物を、25℃で24時間撹拌した。
【0200】
カプセル3F:ヒドロキシプロピルセルロース(S1)(0.20g)を1,2-プロピレングリコール(9.80g)に溶解させた。この溶液を、10,000rpmでultra turraxを用いて10秒間、グリセロール(6.30g)と混合した。香油A(10.00g)を、この溶液に、10,000rpmでultra turraxを用いて2分間かけて分散させた。スクシニルクロリド(15.15g)を、第1のエマルションに、室温で1.25時間かけて添加した。反応混合物を、室温で4時間撹拌した。得られたエマルションを、PGPR90(0.5g)(S2)のNeobee(25g)溶液に、550rpmで機械式撹拌機を用いて室温で10分間かけて分散させて、多重エマルションを得た。アジポイルクロリド(2g)を、多重エマルションに2時間かけて滴加し、反応混合物を25℃で24時間撹拌した。
【0201】
カプセル3G:カプセル3Gを、カプセル3Fのプロトコルに従って調製した。香油A(10.00g)を、アンカーを備えた機械式撹拌機を用いて、650rpmで10分間撹拌してポリオール溶液に分散させた。
【0202】
カプセル3H:ヒドロキシプロピルセルロース(S1)(0.20g)を、グリセロール(12.60g)および1,2-プロピレングリコール(20.00g)の混合物に、7,000rpmでultra turraxを用いて10秒間かけて溶解させた。香油A(20.00g)を、この溶液に、25,000rpmでultra turraxを用いて0℃で2分間かけて分散させた。スクシニルクロリド(30.00g)を、室温で1時間かけて第1のエマルションに添加した。反応混合物を、室温で24時間撹拌した。得られたエマルションを、PGPR90(S2)(1.00g)のNeobee(49.00g)溶液に、550rpmで機械式撹拌機を用いて、室温で10分間かけて分散させて、多重エマルションを得た。スクシニルクロリド(10.00g)を、1時間かけて多重エマルションに滴加し、反応混合物を25℃で12時間静置した。
【0203】
カプセル4A:Tween 20(0.67g)を、グリセロール(21.12g)および1,4-ブタンジオール(33.60g)の混合物に溶解させた。香油A(22.80g)を、この溶液に、24,000rpmでultra turraxを用いて2分間かけて分散させた。スクシニルクロリド(14.40g)を、室温で1時間かけて第1のエマルションに添加した。反応混合物を、40℃で4時間撹拌した。得られたエマルションを、PGPR90(1.00g)のNeobee(50.00g)溶液に、550rpmで機械式撹拌機を用いて分散させて、多重エマルションを得た。スクシニルクロリド(10.00g)を、1時間かけて多重エマルションに滴加し、反応混合物を、25℃で12時間静置した。
【0204】
実施例4
[布地柔軟仕上げ剤組成物]
マイクロカプセルスラリー(実施例1~3を参照のこと)を、以下の表に記載される布地柔軟仕上げ剤ベースに分散させて、0.22%の濃度で封入された香油を得る。
【表8】
【0205】
実施例5
[液体洗剤組成物]
マイクロカプセルスラリー(実施例1~3を参照のこと)を、第9表に記載の液体洗剤ベースに分散させて、0.22%の濃度で封入された香油を得る。
【表9】
【0206】
実施例6
[リンスオフコンディショナー]
マイクロカプセルスラリー(実施例1~3を参照のこと)を、第10表に記載のリンスオフコンディショナーベースに分散させて、0.5%の濃度で封入された香油を得る。
【表10】
【0207】
実施例7
[シャンプー組成物]
マイクロカプセルスラリー(実施例1~3を参照のこと)を秤量し、シャンプー組成物に混合して、0.2%の当量の香料を添加する。
【表11】
【0208】
実施例8
[制汗剤ロールオンエマルション組成物]
マイクロカプセルスラリー(実施例1~3を参照のこと)を秤量し、制汗剤ロールオンエマルション組成物に混合して、0.2%の当量の香料を添加する。
【表12】
【0209】
パートAとパートBとを別々に75℃に加熱し、パートAを、撹拌しながらパートBに添加し、混合物を、10分間均質化する。次に、混合物を、撹拌しながら冷却し、混合物が45℃に達したらパートCを、混合物が35℃に達したらパートDを、撹拌しながらゆっくりと添加する。次いで、混合物を室温に冷却する。
【0210】
実施例9
[シャワージェル組成物]
マイクロカプセルスラリー(実施例1~3を参照のこと)を秤量し、以下の組成物に混合して、0.2%の当量の香料を添加する。
【表13】
【国際調査報告】