(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-30
(54)【発明の名称】原子力発電所の除染による廃液分解処理監視装置およびその運用方法
(51)【国際特許分類】
G21F 9/06 20060101AFI20240123BHJP
【FI】
G21F9/06 501B
G21F9/06 501
G21F9/06 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023536903
(86)(22)【出願日】2022-03-04
(85)【翻訳文提出日】2023-06-16
(86)【国際出願番号】 KR2022003097
(87)【国際公開番号】W WO2022220405
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】10-2021-0048959
(32)【優先日】2021-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512089461
【氏名又は名称】韓国水力原子力株式会社
【氏名又は名称原語表記】KOREA HYDRO & NUCLEAR POWER CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110002343
【氏名又は名称】弁理士法人 東和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、 ハクス
(72)【発明者】
【氏名】キム、 チョロン
(72)【発明者】
【氏名】キム、 チョンジュ
(72)【発明者】
【氏名】チェ、 チンス
(72)【発明者】
【氏名】イ、 キョンヒ
(57)【要約】
原子力発電所の除染による廃液分解処理監視装置を提供する。原子力発電所の除染による廃液分解処理装置は、第1流路と連結され、投入される廃液をUV処理するUV反応槽と、前記UV反応槽から排出される廃液を第1流路に供給する廃液分解流路と、この廃液分解流路から供給される廃液の成分を分析して設定条件を満たしているか否かを感知する廃液分解感知部と、前記設定条件が満たされると前記UV反応槽から供給される廃液を浄化処理して前記第1流路に供給する浄化流路とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子力発電所の除染による廃液分解処理監視装置であって、
第1流路と連結されて投入される廃液をUV処理するUV反応槽と、
前記UV反応槽から排出される廃液を前記第1流路に供給する廃液分解流路と、
前記廃液分解流路から供給される廃液の成分を分析して設定条件を満たしているか否かを感知する廃液分解感知部と、
前記設定条件が満たされると前記UV反応槽から供給される廃液を浄化処理して前記第1流路に供給する浄化流路とを含む、原子力発電所の除染による廃液分解処理監視装置。
【請求項2】
前記UV反応槽に投入される廃液の成分を感知する投入側感知部と、
前記UV反応槽に排出されて前記廃液分解流路に供給される廃液の成分を感知する排出側感知部とを含む、請求項1に記載の原子力発電所の除染による廃液分解処理監視装置。
【請求項3】
前記UV反応槽から廃液の供給を受けるバッファタンクと、前記バッファタンクでの二酸化炭素が検出されたか否かを感知する二酸化炭素感知部をさらに含み、
前記二酸化炭素は、前記廃液内の有機酸に対するUV処理により発生し、
前記二酸化炭素感知部で前記二酸化炭素が非検出されると判断されれば、前記バッファタンクでの廃液は、予め設定された適正水素イオン濃度の範囲の値で存在し、
前記適正水素イオン濃度の範囲の値に対応して前記バッファタンクの廃液内の有機酸は、基準値に分解されたものである、請求項2に記載の原子力発電所の除染による廃液分解処理監視装置。
【請求項4】
前記適正水素イオン濃度の範囲の値は、少なくとも2.7~3.0の範囲の値に該当する、請求項3に記載の原子力発電所の除染による廃液分解処理監視装置。
【請求項5】
前記有機酸は、前記廃液内で90%以上分解されるものである、請求項4に記載の原子力発電所の除染による廃液分解処理監視装置。
【請求項6】
前記第1流路から供給される廃液を前記UV反応槽に供給する初期供給流路と、
前記初期供給流路上で前記第1流路から供給される廃液をフィルタリングするフィルタリング部と、
前記初期供給流路上で前記第1流路から供給される廃液を減圧させて前記フィルタリング部に供給する減圧部とを含む、請求項5に記載の原子力発電所の除染による廃液分解処理監視装置。
【請求項7】
原子力発電所の除染による廃液分解処理監視装置の運用方法であって、
第1流路と連結されるUV反応槽で投入される廃液をUV処理する段階と、
廃液分解流路で前記UV反応槽から排出される廃液を前記第1流路に供給する分解処理する段階と、
廃液分解感知部で前記廃液分解流路から供給される廃液の成分を分析して設定条件を満たしているか否かを感知する段階と、
浄化流路で前記設定条件が満たされると前記UV反応槽から供給される廃液を浄化処理して前記第1流路に供給するようにする段階とを含む、原子力発電所の除染による廃液分解処理監視装置の運用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃液分解処理監視装置およびその運用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所の除染による廃液は、フィルタ、UV装置、イオン交換樹脂により廃液分解および浄化工程を行うことができる。
このような工程過程で廃液分解が完了したか否かを確認するために、UV装置の前段/後段でサンプリングにより試料を採取した後に、TOC(Total Organic Carbon)装備を用いて、有機炭素濃度を測定することができる。
試料測定は、現場で直接採取するため、作業者の被爆の懸念を引き起こし、リアルタイムで採取および測定できない問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする課題は、作業者の試料採取の回数を減少させて作業者の被爆を減少させる原子力発電所の除染による廃液分解処理監視装置を提供することにある。
【0004】
また、モニタリング装置によりリアルタイムで原子力発電所の除染による廃液が分解された否かを確認できる廃液分解処理監視装置を提供することにある。
【0005】
また、リアルタイムでpH測定を行うことによって鉄の沈殿を予防することができ、UV反応槽内のランプ洗浄の際のpH確認により、UV反応槽のメンテナンスにも活用可能な原子力発電所の除染による廃液分解処理監視装置を提供することにある。
【0006】
また、鉄の沈殿が発生する場合、配管およびUVランプの外壁に沈積されて廃液分解率を低下させる現象を解決できる原子力発電所の除染による廃液分解処理監視装置を提供することにある。
【0007】
また、二酸化炭素監視センサにより、分解の進行程度を肉眼で確認できる原子力発電所の除染による廃液分解処理監視装置を提供することにある。
【0008】
本発明の課題は、以上で言及した課題に制限されず、言及されていないまた他の課題は、以下の記載から当業者に明確に理解されるものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の課題を達成するための本発明の一態様に係る原子力発電所の除染による廃液分解処理監視装置は、第1流路と連結されて投入される廃液をUV処理するUV反応槽と、前記UV反応槽から排出される廃液を前記第1流路に供給する廃液分解流路と、前記廃液分解流路から供給される廃液の成分を分析して設定条件を満たしているか否かを感知する廃液分解感知部と、前記設定条件が満たされると前記UV反応槽から供給される廃液を浄化処理して前記第1流路に供給する浄化流路とを含む。
【0010】
また、前記UV反応槽に投入される廃液の成分を感知する投入側感知部と、前記UV反応槽に排出されて前記廃液分解流路に供給される廃液の成分を感知する排出側感知部とをさらに含む。
【0011】
また、前記UV反応槽から廃液の供給を受けるバッファタンクと、前記バッファタンクでの二酸化炭素が検出されたか否かを感知する二酸化炭素感知部とをさらに含み、前記二酸化炭素は、廃液内の有機酸に対する前記UV処理により発生し、前記二酸化炭素感知部で二酸化炭素が非検出されると判断されれば、前記バッファタンクでの廃液は、予め設定された適正水素イオン濃度(pH,potential of hydrogen)の範囲の値で存在し、前記適正水素イオン濃度の範囲の値に対応して前記バッファタンクの廃液内の有機酸は、基準値に分解されたものとなる。
【0012】
また、前記適正水素イオン濃度の範囲の値は、少なくとも2.7~3.0範囲の値に該当するものである。
【0013】
また、前記有機酸は、廃液内で90%以上分解されるものとする。
【0014】
また、前記第1流路から供給される廃液を前記UV反応槽に供給する初期供給流路と、前記初期供給流路上で第1流路から供給される廃液を減圧させて前記フィルタリング部に供給する減圧部と、初期供給流路上で第1流路から供給される廃液をフィルタリングするフィルタリング部とをさらに含む。
【0015】
また、前記投入側感知部、前記排出側感知部、前記廃液分解感知部は、廃液に対して適正水素イオン濃度を測定するが、酸化還元電位(ORP,Oxidation Reduction Potential)、電気伝導度(Electrical Conductivity)の少なくともいずれか一つをさらに測定することができる。
【0016】
また、前記投入側感知部、前記排出側感知部、前記廃液分解感知部、および、前記二酸化炭素感知部のそれぞれで感知された感知情報を集めてモニタリング分析するための統合工程モニタリング部をさらに含む。
【0017】
また、前記UV反応槽に洗浄溶液を循環供給させて洗浄作業を行うための洗浄タンクをさらに含み、前記洗浄作業は、UV反応槽でのUVランプ表面の酸化膜と油膜に対する洗浄を含む。
【0018】
また、前記UV反応槽は、前記洗浄作業によりUV反応槽内部の廃液を基準値に該当する適正水素イオン濃度に設定されるようにし、前記洗浄溶液は、リン酸または硝酸を含む無機酸を含む。
【発明の効果】
【0019】
前記のような本発明の廃液分解処理監視装置およびその運用方法によれば、次のような効果が、一つあるいはそれ以上ある。
【0020】
本発明によれば、作業者の試料採取回数を減少させて作業者の被爆を減少させる廃液分解処理監視装置を提供することができる。
【0021】
また、モニタリング装置によりリアルタイムで廃液が分解された否かを確認できる廃液分解処理監視装置を提供することができる。
【0022】
また、pH測定をリアルタイムで行うことにより鉄の沈殿を予防することができ、UV反応槽内のランプの洗浄の際のpH確認によりUV反応槽のメンテナンスにも活用可能な廃液分解処理監視装置を提供することができる。
【0023】
また、鉄の沈殿が発生する場合、配管およびUVランプの外壁に沈積されて廃液分解率を低下させる現象を解決できる廃液分解処理監視装置を提供することができる。
【0024】
また、二酸化炭素監視センサにより、分解の進行程度を肉眼で確認できる廃液分解処理監視装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一実施形態による廃液分解処理監視装置の構成を示す構成図である。
【0026】
【
図2】本発明の一実施形態による廃液分解処理監視装置の運用方法を順次に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付する図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明の利点および特徴、並びに、これらを達成する方法は、図面と後述する実施形態を参照すると明確になる。
しかし、本発明は、以下に開示する実施形態に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で実現することができ、本実施形態は、単に本発明の開示を完全にし、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に発明の範囲を完全に知らせるために提供するものであり、本発明は、請求項の範囲によってのみ定義される。
明細書全体にわたって同一の参照符号は、同一の構成要素を指すものとする。
【0028】
以下、添付する図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明し、添付図面を参照して説明するにあたり図面符号に関係なく同一であるかまたは対応する構成要素は、同じ参照番号を付与し、これに係る重複する説明は、省略する。
【0029】
図1を参照すると、本発明の一実施形態による廃液分解処理監視装置100は、UV反応槽120、洗浄タンク1252、初期供給流路130、減圧部131、フィルタリング部132、浄化流路135、廃液分解流路140、廃液分解感知部145、投入側感知部150、排出側感知部160、バッファタンク170、二酸化炭素感知部180、および、統合工程モニタリング部(図示せず)を含むことができる。
【0030】
ここで、前記UV反応槽120は、第1流路110と連結され、投入される廃液をUV処理する。
前記廃液分解流路140は、UV反応槽120から排出される廃液を第1流路110に供給する。
【0031】
前記廃液分解感知部145は、廃液分解流路140から供給される廃液の成分を分析して設定条件を満たしているか否かを感知する。
前記浄化流路135は、設定条件が満たされると、UV反応槽120から供給される廃液を浄化処理する。
【0032】
このような浄化流路135は、このように浄化処理された廃液を第1流路110に供給する。
前記投入側感知部150は、UV反応槽120に投入される廃液の成分を感知する。
【0033】
前記排出側感知部160は、UV反応槽120に排出され、前記廃液分解流路140に供給される廃液の成分を感知する。
前記バッファタンク170は、UV反応槽120から廃液の供給を受ける。
【0034】
この時、前記二酸化炭素感知部180は、バッファタンク170での二酸化炭素(CO2)が検出されたか否かを感知する。
なお、前記二酸化炭素は、廃液内の有機酸に対するUV処理により有機酸が分解されることにより発生する。
【0035】
前記二酸化炭素感知部180により、二酸化炭素が非検出されると判断されれば、前記バッファタンク170での廃液は、予め設定された適正水素イオン濃度の範囲の値で存在すると仮定する。
【0036】
ここで、前記適正水素イオン濃度の範囲の値に対応して、前記バッファタンク170の廃液内の有機酸は、基準値に分解されたものであり得る。
前記適正水素イオン濃度の範囲の値は、少なくとも約2.7~約3.0の範囲の値に該当する。
前記有機酸は、廃液内で90%以上分解されるものである。
【0037】
前記初期供給流路130は、第1流路110から供給される廃液をUV反応槽120に供給する。
前記減圧部131は、初期供給流路130上で前記第1流路110から供給される廃液を減圧させる。
したがって、前記減圧部131は、フィルタリング部132に供給される廃液の圧力で前記フィルタリング部132に損傷、故障などの発生を防止することができる。
【0038】
前記フィルタリング部132は、初期供給流路130上で第1流路110から供給される前記廃液をフィルタリングする。
【0039】
なお、前記投入側感知部150、前記排出側感知部160、および、前記廃液分解感知部145は、廃液に対して適正水素イオン濃度、酸化還元電位、電気伝導度の少なくともいずれか一つを測定するが、適正水素イオン濃度は、必須として含んで測定することが好ましい。
【0040】
前記統合工程モニタリング部190は、前記投入側感知部150、前記排出側感知部160、前記廃液分解感知部145、および、前記二酸化炭素感知部180のそれぞれで感知された感知情報を集める。
このように集められた感知情報は、モニタリング分析のために自律的あるいは外部手段により活用されることができる。
【0041】
前記洗浄タンク1252は、UV反応槽120に洗浄溶液を循環供給させて洗浄作業を行う。
ここで、前記洗浄作業は、UV反応槽120のUVランプ121表面の酸化膜と油膜に対する洗浄を含むことができる。
【0042】
このような前記UV反応槽120は、前記洗浄作業によりUV反応槽120内部の廃液を予め設定された基準値に該当する適正水素イオン濃度に設定されるようにすることができる。
前記洗浄溶液は、リン酸または硝酸を含む無機酸を含んでもよい。
【0043】
前記浄化流路135には、廃液の1次イオン交換処理のための第1イオン交換部1351と、前記廃液の2次イオン交換処理のための第2イオン交換部1352が備えられる。
【0044】
ここで、前記第1イオン交換部1351は、陽イオン交換樹脂が備えられ、第2イオン交換部1352は、陰イオン交換樹脂が備えられる。
【0045】
第1イオン交換部1351と第2イオン交換部1352は、金属イオン、放射性物質、残留有機酸を除去するためのものであって、廃液分解処理が完了した後またはpH上昇により鉄の沈殿物が発生する場合、イオン交換樹脂により金属イオン(Fe、Cr、Niなど)、放射性物質、残留有機酸などを除去することができる。
【0046】
図2は、本発明の一実施形態による廃液分解処理監視装置の運用方法を順次に示すフローチャートである。
【0047】
図2を参照すると、廃液分解処理監視装置の運用方法は、S110で、第1流路110と連結されるUV反応槽120で投入される廃液をUV処理する。
【0048】
S120で、廃液分解流路140でUV反応槽120から排出される廃液を第1流路110側に供給する。
【0049】
S130で、廃液分解感知部145で廃液分解流路140から供給される廃液の成分を分析して設定条件を満たしているか否かを感知する。
【0050】
S140で、浄化流路135で前記設定条件が満たされると、UV反応槽120から供給される廃液を浄化処理して第1流路110に供給するようにする。
【0051】
以上のように、添付する図面を参照して、本発明の実施形態について説明したが、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者は、本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更せず、他の具体的な形態で実施できることを理解することができる。
したがって、上記一実施形態は、すべての面で例示的なものであり、限定的なものではないと理解しなければならない。
【国際調査報告】