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特表2024-503990粒子センサを較正する方法、粒子センサ及び粒子センサを有する装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-30
(54)【発明の名称】粒子センサを較正する方法、粒子センサ及び粒子センサを有する装置
(51)【国際特許分類】
   G01P 21/00 20060101AFI20240123BHJP
   G01N 15/10 20240101ALI20240123BHJP
   G01B 11/08 20060101ALI20240123BHJP
   G01B 11/02 20060101ALI20240123BHJP
   G01P 3/36 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
G01P21/00
G01N15/10 Z
G01N15/10 B
G01B11/08 Z
G01B11/02 G
G01P3/36 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537055
(86)(22)【出願日】2021-12-15
(85)【翻訳文提出日】2023-06-16
(86)【国際出願番号】 EP2021085868
(87)【国際公開番号】W WO2022129158
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】102020216258.1
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521038809
【氏名又は名称】クー.アント ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Q.ant GmbH
【住所又は居所原語表記】Handwerkstrasse 29, 70565 Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル フェルチュ
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ヘンゲスバッハ
(72)【発明者】
【氏名】イェンス グリンメル
(72)【発明者】
【氏名】ヘルゲ ハッターマン
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065BB07
2F065FF01
2F065FF41
2F065FF61
2F065GG06
2F065GG07
2F065JJ03
2F065JJ18
2F065JJ26
2F065LL04
(57)【要約】
本発明は、粒子センサ(2)を較正する方法であって、較正平面(KE)内に較正強度分布(10)、特に較正焦点を生成することを目的として、較正平面(KE)上で光ビーム、特にレーザービーム(8)を合焦するステップであって、較正プレート(1)は、較正平面(KE)に配置され、且つ光ビーム、特にレーザービーム(8)の強度(I)を変調するためのコントラスト領域(2)をその上に形成している、ステップと、較正平面(KE)内で較正プレート(1)及び/又は較正焦点(10)を移動させるステップと、較正平面(KE)の通過後、光ビーム、特にレーザービーム(8)の少なくとも1つの強度信号(I;I)を記録するステップと、少なくとも1つの強度信号(I;I)を評価することにより、粒子センサ(2)を較正するステップとを含む方法に関する。本発明は、この方法を実行するための粒子センサ(2)及び少なくとも1つのこのような粒子センサ(2)を有する装置にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子センサ(2)を較正する方法であって、
較正平面(KE)内に較正強度分布(10)、特に較正焦点を生成することを目的として、前記較正平面(KE)上で光ビーム、特にレーザービーム(8)を方向付ける、特に合焦するステップであって、較正プレート(1)は、前記較正平面(KE)に配置され、且つ前記光ビーム、特に前記レーザービーム(8)の強度(I)を変調するためのコントラスト領域(2)をその上に形成している、ステップと、
前記較正平面(KE)内で前記較正プレート(1)及び/又は前記較正強度分布(10)を移動させるステップと、
前記較正平面(KE)の通過後、前記光ビーム、特に前記レーザービーム(8)の少なくとも1つの強度信号(I;I)を記録するステップと、
前記少なくとも1つの強度信号(I;I)を評価することにより、前記粒子センサ(2)を較正するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記較正プレート(1)は、粒子(P)が前記粒子センサ(2)の計測動作中に通過する計測容積(11)内の較正平面(KE)に配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記較正平面(KE)内の前記較正強度分布(10)及び計測平面(ME)内の計測強度分布(16)、特に計測焦点は、互いの上に結像され、前記計測平面(ME)は、粒子(P)が前記粒子センサ(2)の計測動作中に通過する計測容積(11)内に配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記較正プレート(1)は、前記計測容積(11)から分離されているハウジング(23)内に配置される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記較正プレート(1)上の前記コントラスト領域(4)は、異なる表面積を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記コントラスト領域は、基材(3)、特にウエハの表面上の微細構造(4)によって形成される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記コントラスト領域は、較正粒子(4)によって形成され、前記較正粒子(4)は、好ましくは、特に異なる材料から形成される、異なる光学特性を有する較正粒子(4)の少なくとも2つのグループ(4a~c)を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記較正粒子(4)は、統計的分布で基材(3)、特にウエハの表面に適用され、及び/又は前記較正粒子(4)は、自己構造化によって前記基材(3)の前記表面上に形成される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記較正プレート(1)は、前記較正平面(KE)での前記移動の範囲内において、自動化された方式で回転され、且つ/又は自動化された方式で変位される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
粒子センサ(2)であって、
光ビーム、特にレーザービーム(8)を生成するための光源、特にレーザー源(7)を有するエミッタ(5)と、
較正平面(KE)内に較正強度分布(10)、特に較正焦点を生成することを目的として、前記較正平面(KE)上で前記光ビーム、特に前記レーザービーム(8)を方向付ける、特に合焦するための光学ユニット(9;9、17)であって、較正プレート(1)は、前記較正平面(KE)に配置され、且つ前記光ビーム、特に前記レーザービーム(8)の強度(I)を変調するためのコントラスト領域(4)をその上に形成している、光学ユニット(9;9、17)と、
前記較正平面(KE)内で前記較正プレート(1)及び/又は前記較正強度分布(10)を移動させるための移動装置(14a;14b)と、
前記較正平面(KE)の通過後、前記光ビーム、特に前記レーザービーム(8)の少なくとも1つの強度信号(I、I)を記録するための検出器(12)を有するレシーバ(6)と、
前記粒子センサ(2)の較正動作中、前記粒子センサ(2)を較正することを目的として前記少なくとも1つの強度信号(I、I)を評価するための評価装置(13)と
を含む粒子センサ(2)。
【請求項11】
前記較正プレート(1)は、粒子(P)が前記粒子センサ(2)の計測動作中に通過する計測容積(11)内に位置する較正平面(KE)に配置される、請求項10に記載の粒子センサ。
【請求項12】
前記光学ユニット(9、17)は、前記較正平面(KE)内の前記較正強度分布(10)及び計測平面(ME)内の計測強度分布(16)、特に計測焦点を互いの上に結像させるための結像光学ユニット(17)を含み、前記計測平面(ME)は、粒子(P)が前記粒子センサ(2)の計測動作中に通過する計測容積(11)内に形成される、請求項10に記載の粒子センサ。
【請求項13】
前記エミッタ(5)は、出口窓(21a)を有するハウジング(23)を有し、前記レシーバ(6)は、入口窓(21b)を有するハウジング(24)を有し、前記出口窓(21a)と前記入口窓(21b)との間に計測容積(11)が形成される、請求項10~12のいずれか一項に記載の粒子センサ。
【請求項14】
前記移動装置(14a)は、前記較正平面(KE)内で前記較正プレート(1)を回転させるように設計される、請求項10~13のいずれか一項に記載の粒子センサ。
【請求項15】
前記移動装置(14b)は、前記較正平面(KE)内で前記較正プレート(1)を変位させるように設計される、請求項10~14のいずれか一項に記載の粒子センサ。
【請求項16】
装置、特にEUV放射生成装置(30)であって、
計測チャンバ(38)であって、それに粒子(P)が供給可能である、計測チャンバ(38)と、
前記計測チャンバ(38)内の前記粒子(P)を特徴付けるための、請求項10~15のいずれか一項に記載の粒子センサ(2)と
を含む装置、特にEUV放射生成装置(30)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子センサを較正する方法、粒子センサ及び少なくとも1つのこのような粒子センサを有する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
粒子センサは、例えば、粒子位置、粒子速度、粒子加速度、粒子軌跡及び/又は粒子サイズを判定するために粒子を特徴付ける役割を果たす。粒子の特徴付けは、例えば、化学産業、製薬産業又は半導体産業などの多くの分野において非常に関連性がある。
【0003】
特にレーザー放射を使用する、光学計測方法に基づく粒子センサは、空気及び液体の純度の監視で広範な使用を見出している。しかし、このような粒子センサの精度は、レーザービームの光学経路内の表面に汚染が蓄積した場合又は光ビームのパラメータ若しくはレーザーパラメータの変化が存在する場合、即座に劣化する。これは、システムの複雑な再較正を必要とし、これは、現場での使用中に常に実行可能であるわけではない。
【0004】
(特許文献1)は、粒子速度を計測するための分析システムを自動的に較正するための較正装置を記載している。較正装置は、光強度を変調することを目的としてコントラスト領域をその表面上に有するプレートを含む。コントラスト領域は、分析システムの計測動作中に計測セルに導入される粒子の移動をシミュレートするために移動される。プレート又はコントラスト領域は、分析システムを較正することを目的として分析システムの観察ビーム経路に導入され得る。プレートは、粒子の画像が生成される表面の近傍に配置された較正平面を画定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第3,885,415号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102019209213.6号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、粒子センサの非常に正確な較正を可能にする方法、粒子センサ及び粒子センサを有する装置を提供するという目的に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、粒子センサを較正する方法によって実現され、方法は、較正平面内に較正強度分布、特に較正焦点を生成することを目的として、較正平面上で光ビーム、特にレーザービームを方向付ける、特に合焦するステップであって、較正プレートは、較正平面に配置され、且つ光ビーム、特にレーザービームの強度を変調するためのコントラスト領域をその上に形成している、ステップと、較正平面内で較正プレート及び/又は較正強度部分布を移動させるステップと、較正平面の通過後、光ビーム、特にレーザービームの少なくとも1つの強度信号を記録するステップと、通常、コントラスト領域の(既知の)特性が考慮された状態で少なくとも1つの強度信号を評価することにより、粒子センサを較正するステップとを含む。
【0008】
本発明による方法では、較正プレート上のコントラスト領域は、コントラスト領域が例えば既知の寸法又は既知の直径などの既知の特性を有する状態で粒子センサを較正することを目的として使用される。コントラスト領域は、較正動作中に粒子センサによって検出され、且つ少なくとも1つの(光学)特性に関して較正プレート上のコントラスト領域の周囲と異なる粒子をシミュレートするか又は較正粒子を形成する役割を果たす。例として、コントラスト領域の周囲は、較正プレートの基材によって形成され得る。光ビーム又はレーザービームは、例えば、コントラスト領域によって少なくとも部分的に散乱、吸収、回折又は反射され得る。例えば、基材の形態のコントラスト領域の周囲は、コントラスト領域の光学特性と可能な限り実質的に異なり、且つ例えば光ビーム又はレーザービームを(実質的に完全に)透過し得る。コントラスト領域と周囲との間の大きい差は、例えば、コントラスト領域の周囲が光ビーム又はレーザービームを吸収する間、コントラスト領域が光ビーム又はレーザービームを反射する場合に生じる。
【0009】
較正は、コントラスト領域が、例えば、既知のサイズ/面積又は形状などの既知の特性と、吸収、反射率、散乱挙動などに関する既知の光学特性とを有することを活用する。較正平面内の較正プレート又は較正強度分布の移動も較正中に規定され、従って既知である。従って、較正プレート又は較正強度分布を移動させることにより、既知の特性を有する較正粒子を既知の軌跡に沿って移動させることが可能である。従って、例えば、粒子サイズ、粒子材料、粒子軌跡、粒子速度、粒子加速度などの計測変数に関して粒子センサを較正することができる。
【0010】
この用途の意味では、粒子センサの較正は、粒子センサの既存の較正のチェックを意味することも理解される。既存の較正が、例えば、光ビーム若しくはレーザービームのビーム経路内の表面の汚染又は光ビーム若しくはレーザービームのパラメータの変化に起因し得る場合のように、チェック中に不正確であることが判明した場合(上記を参照されたい)、粒子センサの再較正を実行することができる。
【0011】
粒子センサは、粒子センサの計測容積を通過する粒子と同一の方式で較正粒子を特徴付け、即ち、較正プレートは、粒子センサを通した粒子の通過をシミュレートする。光ビーム又はレーザービームが較正プレート又は較正強度分布の移動中に較正粒子又はコントラスト領域上に入射した場合、通常、記録される強度信号の減衰をもたらす。通常、強度信号の減衰は、較正粒子の面積の増大に伴って増大する。具体的には、強度信号の減衰は、較正粒子の面積に比例し得る。
【0012】
光ビーム又はレーザービームは、較正平面上で方向付けられる。較正平面内に較正強度分布を生成する光ビーム又はレーザービームは、例えば、コリメートされた光ビーム又はコリメートされたレーザービームであり得る。より小さい粒子直径を有する粒子を特徴付けるべきである場合、光ビーム又はレーザービームを較正平面内に合焦することが有利である。この場合、較正強度分布は、較正平面内に較正焦点を形成する。
【0013】
上述の較正方法は、光学放射、特にレーザー放射に基づいて動作する複数の粒子センサで使用することができる。例として、較正方法は、(特許文献2)に記載のセンサ構成又は粒子センサについて使用することが可能であり、この文献は、参照により全体として本出願の内容に組み込まれる。この文献に記載されている粒子センサの場合、界分布のそれぞれの位置でレーザービームの局所的強度と局所的偏光方向との異なる組合せを有するレーザービームの界分布を生成するために、モード変換装置が使用される。アナライザ光学ユニットは、計測領域を通過したレーザービームの界分布の偏光依存性強度信号を特定する役割を果たす。粒子は、偏光依存性強度信号に基づいて特徴付けられ、界分布又は界分布の光学モードは、局所的強度分布と局所的偏光方向との間の固有の相関を有するという事実が活用される。しかし、計測容積を通過する際の例えばレーザー放射などの光学放射又は例えばレーザー放射などの光学放射の減衰に基づく他のタイプの粒子センサも、本明細書に記載の較正方法を用いて較正され得ることが理解される。
【0014】
変形形態では、較正プレートは、粒子が粒子センサの計測動作中に通過する計測容積内の較正平面に配置される。この変形形態では、較正プレートは、粒子が計測動作中に流れる計測容積内に外側から導入される。この場合、動作される前又は稼働中に粒子センサを較正するために、較正は、計測動作の外側に実装される。この変形形態は、計測容積が較正プレートを位置決めすることを目的として外側からアクセス可能であることを必要とし、これは、すべての場合に可能であるわけではない。
【0015】
代替的な変形形態では、較正平面内の較正強度分布、特に較正焦点及び計測平面内の計測強度分布、特に計測焦点は、互いの上に結像される。計測平面は、粒子が粒子センサの計測動作中に通過する計測容積内に形成される。この場合、較正プレートは、計測容積内に導入されず、光ビーム又はレーザービームのビーム経路内で計測容積から所定の距離に配置される。光ビーム又はレーザービームは、計測強度分布が計測焦点を形成するように計測平面内に合焦することが可能であるが、これは、必須ではない。較正強度分布又は較正焦点及び計測強度分布又は計測焦点を互いの上に結像させることは、結像光学ユニットの形態のビーム成形装置を用いて実装され得る。結像光学ユニットは、同等のビームパラメータ(ビーム半径など)を有する強度分布又は二重焦点を生成する。例として、較正プレートは、第2の焦点(計測焦点)が、特徴付けられる粒子が流れる計測容積内に位置する状態で、2つの焦点の他方(較正焦点)で導入することができる。較正強度分布又は較正焦点及び計測強度分布又は計測焦点のビーム半径の知識により、較正プレートの較正粒子又はコントラスト領域を用いて、較正後の計測容積内の粒子のサイズを算出することが可能になる。粒子の粒子サイズは、計測平面内の粒子の断面積を意味することが理解される。
【0016】
この変形形態では、較正プレートは、粒子センサに統合され得、従って、較正は、現場での粒子センサの使用中にチェック及び反復され得る。較正プレートは、粒子センサの計測動作中に移動せず、且つ光ビーム若しくはレーザービームのビーム経路から除去されるか、又は光ビーム若しくはレーザービームの減衰があまり顕著にならないような方式で位置決めされる。例として、較正プレートは、光ビーム又はレーザービームが、コントラスト領域が形成されない基材の透明領域内で較正プレートを通過するように位置決めすることができる。
【0017】
この変形形態では、計測平面内の計測強度分布又は計測焦点は、粒子の場所でセンサを位置決めする必要なしに、粒子の遠隔特徴付けを可能にする所定のタイプの「仮想センサ表面」を形成するのみならず、較正平面内の較正強度分布又は較正焦点は、較正粒子が計測平面内又は計測容積内に導入されることを伴わずに較正を可能にする。この結果、この変形形態では、粒子センサの遠隔診断又は遠隔較正が可能になる。
【0018】
この変形形態の発展形態では、較正プレートは、計測容積から分離されているハウジング内に配置される。計測容積を通して流れる粒子による汚染から較正プレートを保護するために、計測容積から密封状態で分離されている容積内に較正プレートを配置することが有利である。
【0019】
更なる変形形態では、較正プレート上のコントラスト領域は、異なる表面積を有する。コントラスト領域の異なる表面積又はサイズは、予め既知である異なる粒子サイズ及び粒子直径を有する較正粒子をシミュレートする。コントラスト領域のサイズは、特徴付けられる粒子のタイプ又は粒子センサのタイプに合致するように適合される。較正プレート上の異なるサイズのコントラスト領域又は較正粒子を伴う較正は、サイズの大きい範囲にわたる後続の粒子計測中の高い正確性を可能にする。
【0020】
更なる変形形態では、コントラスト領域は、基材、特にウエハの表面上の微細構造によって形成される。この場合、較正プレートは、例えば、ガラス又は結晶から製造された基材を有し得、その上に既知の構造寸法を有する微細構造の形態のコントラスト領域が形成され、これらのコントラスト領域は、較正粒子のように機能する。微細構造は、例えば、マイクロリソグラフィにより、例えばガラスウエハの形態の透明基材の表面に適用することができる。コントラスト領域は、光ビーム又はレーザービームを少なくとも部分的に吸収、又は反射、又は散乱する構造を形成し得る。コントラスト領域の形状及びサイズ又は表面積の両方は、微細構造化の結果として大きい精度を伴って既知であり、従って、これらのコントラスト領域は、較正標準として使用することができる。微細構造化は、例えば、基材に適用された金属層などの層上に実装され得るが、基材自体を微細構造化することも可能である。微細構造化によって生成されるコントラスト領域のサイズを比較することを目的として、任意選択により、例えば既知のサイズのポリスチレン球体など、規定されたサイズの標準粒子を用いて、較正プレートを用いて実行された較正を検証することができる。
【0021】
代替的な変形形態では、コントラスト領域は、特に規定された粒子サイズを有する較正粒子によって形成され、較正粒子は、好ましくは、特に異なる材料から形成される、異なる光学特性を有する較正粒子の少なくとも2つのグループを含む。例として、異なる光学特性は、較正粒子が光又はレーザー放射を異なる方式で吸収、反射、散乱及び/又は回折することをもたらす、異なる(複素)屈折率であり得る。異なる材料から形成される較正粒子の使用は、異なる較正プレートがこれを目的として必要とされることなく、粒子センサの較正が異なる材料又は材料クラスの粒子の検出のために実行されることを可能にする。
【0022】
個々のグループの較正粒子が形成される材料は、例えば、金属(例えば、鋼)、砂(例えば、SiO)、プラスチック(例えば、ポリスチレン又はラテックス)、セラミックなどであり得、なぜなら、これらの材料は、通常、その光学特性に関して大幅に異なるためである。金属、砂及びプラスチックの3つの材料クラスは、塵埃の一般的な構成要素である。
【0023】
この場合、較正粒子は、例えば、規定された分布又は規定されたパターンによって(又は規定された表面領域若しくはフィールド内で)較正プレートに適用され得るが、異なるグループの較正粒子は、任意選択により、統計的分布で適用され得る(以下を参照されたい)。当然のことながら、任意選択により、異なる規定された粒子サイズを有する1つのタイプの較正粒子のみを較正プレートに適用することも可能である。
【0024】
この変形形態の発展形態では、較正粒子は、統計的分布で基材の表面に適用され、及び/又は較正粒子は、自己構造化によって基材の表面上に形成される。
【0025】
較正粒子のサイズは、第1の場合、既知であるが、表面上の正確な分布は、予め既知ではなく、むしろ、較正粒子は、表面に対する適用中に統計的に分散される。この場合、較正粒子、即ち既知のサイズの粒子は、例えば、液体の透明接着剤中に低濃度で懸濁させることが可能であり、且つ薄い層として較正プレート又は基材に適用することができる。接着剤が乾燥すると、較正粒子は、較正プレート上で統計的に分散される。具体的には、粒子サイズ計測のための標準として確立された状態であり、且つ狭いサイズ分布によって入手可能なポリスチレンラテックスボールなどの既知のサイズの球状の単分散粒子がこの変形形態のための適切な較正粒子である。例として、このような較正粒子は、ISO21501規格に準拠した粒子カウンタを較正するために使用され、「de.wikipedia.org/wiki/ISO_21501」というリンクを参照されたい。
【0026】
第2の場合、接着剤又はフォトレジストは、ディスペンサを利用してプレート形状の基材に適用される。(具体的にはUV光を使用した又はオーブン内での)硬化前に、このフォトレジスト又は接着剤は、前記フォトレジスト又は接着剤の粘度に応じて、表面張力の結果として最大で半球である球状セグメントを成形する。このように、即ち自己構造化により、生成された較正粒子の3次元構造は、球状表面を有する粒子の散乱挙動の近似を可能にし、従って特に散乱光計測の原理に基づく粒子センサの場合に適している。このように生成された較正粒子の構造サイズは、とりわけ、フォトレジスト又は接着剤を硬化させる際のプロセスパラメータに依存し、所与のプロセスパラメータについて既知であるものとして仮定することができる。加えて、プレート形状の基材は、接着剤の適用前にクリーニング、被覆又はレーザー構造化され得、従って疎水性又は親水性表面が液滴の適合された成形のために生じる。
【0027】
更なる変形形態では、較正プレートは、較正平面内での移動の範囲内において、自動化された方式で回転され、且つ/又は自動化された方式で変位される。
【0028】
較正プレートは、較正平面内で移動することを目的して、且つ粒子の移動をシミュレートすることを目的として、所与の回転軸を中心として回動又は回転され得る。例として、較正プレートの自動化された回転は、電気モータを用いて実装され得る。その直径に関して適切に寸法設定された較正プレートの場合、較正粒子は、ここでは粒子センサの光ビーム又はレーザービームを通してほぼ直線に移動し、且つコントラスト領域又は較正粒子の面積に一般的に比例する光ビーム又はレーザービームの強度の減衰をもたらす。この場合、較正プレートは、通常、円形になるように設計され、且つ例えば10mm~100mmの直径を有し得る。例として、較正プレートは、0.1Hz~200Hzの周波数で回転することができる。例として、1~400個の較正粒子/回転を較正プレートに対して適用することができる。例として、較正粒子は、丸くてもよく、且つリソグラフィ法によって適用することができる。光ビーム又はレーザービームは、較正強度分布又は較正焦点で例えば20μm~200μmの直径を有し得る。較正粒子の直径は、通常、焦点直径又はビーム直径の0.05%~100%である。
【0029】
較正プレートは、較正平面内で直線に変位させることもできる。この場合、自動化された変位のために、例えば圧電駆動若しくは圧電結晶又は線形駆動を使用することができる。較正プレートを変位させるための圧電駆動の使用は、有利であることが見出されており、なぜなら、これは、損耗を伴うことなく動作し、従って製品の摩耗の結果として較正プレート上にさもなければ蓄積し得る任意の計測誤差を生成しないからである。例として、較正プレートの変位の周波数は、1Hz~100Hzのレベルであり得る。この場合、較正プレートは、例えば、矩形の形状を有し得る。
【0030】
代わりに又は加えて、光ビーム又はレーザービームの較正強度分布又は較正焦点は、較正平面内で移動させることもできる。較正強度分布を移動させるために、光ビーム又はレーザービームは、焦点面内の較正強度分布の位置を変更することを目的として、例えば光ビーム又はレーザービームがミラースキャナ又はスキャナミラー、音響光変調器を用いることなどによって偏向されることにより、走査移動を実行することができる。この場合、較正プレートは、静止方式で配置され得るが、これは、必須ではなく、即ち較正プレート及び較正強度分布の重畳した移動が存在することも可能である。
【0031】
本発明の更なる態様は、粒子センサに関し、これは、光ビームを生成するための光源、特にレーザービームを生成するためのレーザー源を有するエミッタと、較正平面内に較正強度分布、特に較正焦点を生成することを目的として、較正平面上で光ビーム、特にレーザービームを方向付ける、特に合焦するための光学ユニットであって、較正プレートは、較正平面に配置される、光学ユニットと、較正平面内で較正プレート及び/又は較正強度分布を移動させるための移動装置と、較正平面の通過後、光ビーム、特にレーザービームの少なくとも1つの強度信号を記録するための検出器を含むレシーバと、粒子センサの較正動作中、粒子センサを較正することを目的として少なくとも1つの強度信号を評価するための評価装置とを含む。
【0032】
方法に関連して更に上述したように、粒子の移動は、粒子センサの較正動作中にコントラスト領域を用いてシミュレートされる。コントラスト領域又は較正粒子のサイズが既知である場合、粒子センサの較正は、記録された1つ又は複数の強度信号に基づいて実行することができる。較正中、個々の記録された強度信号は、特定の粒子サイズ又は特定の粒子速度及び/若しくは粒子軌跡における特性として保存され得、且つ較正標準としての役割を果たし得る。粒子センサの計測動作中に計測容積を通過する粒子を特徴付けるために、この較正標準を使用することができる。
【0033】
ここに記載される粒子センサの場合、粒子の特徴付けは、透過において実装することが可能であり、即ち、光ビーム又はレーザービームは、エミッタによって放出され、且つ透過において計測容積を通過する。しかし、粒子センサは、粒子上の光ビーム又はレーザービームの散乱及び/又は吸収の結果として粒子の特徴付けを実行することも可能である。最後に言及した2つの事例では、反射又は散乱された光ビーム又はレーザービームは、レシーバの検出器で検出される。
【0034】
一実施形態では、較正プレートは、粒子が粒子センサの計測動作中に通過する計測容積内に位置する較正平面に配置される。更に上述のように、この場合の較正プレートは、通常、較正動作中にのみ計測容積内に配置される。粒子センサの計測動作中、較正プレートは、自動化された又は手動の方式で計測容積から除去される。
【0035】
代替実施形態では、粒子センサの光学ユニットは、較正平面内の較正強度分布及び計測平面内の計測強度分布、特に計測焦点を互いの上に結像させるための結像光学ユニットを含み、計測平面は、粒子が粒子センサの計測動作中に通過する計測容積内に形成される。この実施形態では、較正プレートは、一般に、粒子センサ、通常、粒子センサのエミッタに恒久的に統合される。この場合、較正プレートは、任意選択により、較正動作が開始される前に自動的な方式で光ビーム又はレーザービームのビーム経路内に導入されるが、較正プレートは、レーザービームのビーム経路内に恒久的に配置され得る。この場合、較正プレートは、可能な限り少なく計測動作の実装と干渉する方式で位置決めされる。例として、この場合、光ビーム又はレーザービームが較正プレート上に入射する位置は、コントラスト領域が配置されない場所であり得る。
【0036】
更なる実施形態では、エミッタは、出口窓を有するハウジングを有し、レシーバは、入口窓を有するハウジングを有し、出口窓と入口窓との間に計測容積が形成される。この場合、較正プレートは、通常、エミッタ又はレシーバのハウジング内に配置され、且つ計測容積と密封状態で分離される。これは、計測容積を通過する粒子による較正プレートの汚染の防止のために有利である。レシーバ内における較正プレートの配置が好ましく、なぜなら、光ビーム又はレーザービームの出力は、入口窓又は出口窓の汚染に起因して低減され得るからである。この場合、較正は、既に低減された出力で、且つ入口窓又は出口窓上の塵埃の結果としての光ビーム又はレーザービームの可能な光学的干渉を伴って実装され得る。
【0037】
較正プレートは、方法に関連して上記で形成された方式により構成することができる。例として、コントラスト領域は、異なる表面積を有し得る。加えて、コントラスト領域は、光ビーム又はレーザービームを少なくとも部分的に散乱、吸収又は反射するように設計することもできる。較正プレート上のコントラスト領域は、微細構造化によって形成することができる。コントラスト領域は、任意選択により、較正プレートの基材の表面に統計的分布で適用された規定の粒子サイズを有する較正粒子によって形成されるか、又は異なる特性を有する較正粒子のグループが較正プレート上に提供され得る。
【0038】
更なる実施形態では、移動装置は、較正平面内で較正プレートを回転させるように設計される。この場合、移動装置は、例えば、較正プレートが固定される回転シャフトと係合する電気モータとして設計され得る。
【0039】
更なる実施形態では、移動装置は、較正平面内で較正プレートを変位させるように設計される。この場合、移動装置は、圧電アクチュエータとして設計され得、これは、例えば、較正平面内で較正プレートを変位させるために、例えば較正プレートの横方向エッジと係合する。圧電アクチュエータは、較正平面内での較正プレートの非摩耗性の移動を可能にする。
【0040】
本発明の更なる態様は、装置、特にEUV放射生成装置に関し、これは、計測チャンバであって、計測チャンバ、例えばターゲット領域に粒子が供給可能である、計測チャンバと、計測チャンバ内の粒子を特徴付けるための、上述のように設計された粒子センサとを含む。
【0041】
更に、上述のように、粒子センサは、固体、液体又はガス粒子又は粒子流れを特徴付けることを目的として複数の適用分野で使用され得る。例として、計測チャンバは、ガス若しくは液体を受け取るか、又は前記ガス若しくは液体が通過することを可能にするように設計され得る。第1の場合、装置は、例えば、煤粒子を特徴付けるために又は粒子状物質計測のために、例えば空気の純度を計測する役割を果たし得る。例えば、付加製造(3Dプリンティング)のために使用される粉末の場合又は例えばセメントなどの建築材料の場合、例えばその粉末又は粒のサイズ分布に鑑みて粉末の特徴付けも可能である。例えば、乳中の細菌の形態の粒子の特徴付けなど、液体中の粒子の特徴付けも可能である。粒子を特徴付けるか又は較正を実行することを目的として、すべてのこれらの用途及び装置で機械学習を使用することができる。機械学習の場合、試験データが生成され、例えばニューラルネットワーク又は同様のものの形態の適切なAIが訓練される。
【0042】
粒子センサは、半導体産業でも使用され得る。例として、粒子センサは、EUV放射生成装置の真空チャンバの形態の計測チャンバ内で粒子又は粒子流れを特徴付けるために使用され得る。一般的に、このようなEUV放射生成装置は、ドライバレーザービームを生成するドライバレーザー構成と、ドライバレーザービームを上述の真空チャンバに供給するビーム供給装置とを有する。ドライバレーザービームは、スズ粒子又はスズ液滴の形態のターゲット材料が既に導入又は供給されている真空チャンバのターゲット領域内に合焦される。個々の粒子は、ドライバレーザービームによる照射中にプラズマ状態に遷移し、この過程でEUV放射を放出する。ターゲット領域までガイドされたターゲット材料の粒子及び(ターゲット材料の蒸発の場合に)ターゲット材料上へのレーザービームの入射中に生成された粒子を、上述の粒子センサを用いて特徴付けることができる。
【0043】
本発明の更なる利点は、説明及び図面から明らかである。同様に、上述の特徴及び依然として提示されていない特徴は、それぞれの場合に単独で又は任意の望ましい組合せで複数として使用することができる。図示及び記載される実施形態は、すべてを網羅したリストとして理解されてはならず、むしろ本発明を概説するための例示的な特徴として理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1図1a及び図1bは、粒子センサを較正する役割を果たし、且つ較正平面内での回転又は変位のために設計された較正プレートの概略図を示す。
図2図2a及び図2bは、粒子センサの計測容積内の較正平面に配置された図1a、図1bの較正プレートの概略図を示す。
図3図3は、較正平面内で較正焦点及び計測平面内の計測焦点を互いの上に結像させる結像光学ユニットを有する粒子センサの概略図を示し、計測平面は、粒子センサの計測容積内に形成される。
図4図4は、真空チャンバ内の粒子を特徴付けるための粒子センサを有するEUV放射生成装置の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図面に関する以下の説明では、同一の参照符号が同一の又は機能的に同一の構成要素について使用される。
【0046】
図1a及び図1bは、それぞれ図2a、図2b及び図3に描かれる粒子センサ2を較正するための較正プレート1を示す。較正プレート1は、結晶ウエハ、ガラスウエハ又はプラスチックプレートの形態の透明基材3を有する。図示の例では、円形のコントラスト領域4は、基材3、より正確には基材3の平面表面上に形成される。コントラスト領域4は、予め既知であるサイズ及び形状を有し、且つ粒子センサ2を較正するための較正粒子としての役割を果たす。
【0047】
図2a、図2b又は図3に示される粒子センサ2は、エミッタ5と、レシーバ6とを有する。エミッタ5は、レーザービーム8を生成する役割を果たすレーザー源7を含む。光ビーム又はレーザー放射ではない光学放射を生成する異なるタイプの光源も、任意選択により、レーザー源7の代わりに使用することができる。例として、光源は、LED又は同様のものであり得る。
【0048】
図示の例では、レーザー源7は、用途に応じて、約250nm~約1600nmの波長範囲から選択されるレーザー波長を有するダイオードレーザーである。合焦光学ユニット9の形態の光学ユニットを用いて、レーザービーム8は、較正平面KE内の較正焦点10上に合焦され、その中に較正プレート1が配置される。較正焦点10は、較正平面KE内に較正強度分布を形成する。較正プレート1、より正確にはコントラスト領域4を通過する際、レーザービーム8は、コントラスト領域4上に入射し、その強度Iに関して変調される。強度Iの変調は、例えば、基材3に対して低減されるコントラスト領域の透明度、基材3に対して変更されるコントラスト領域4の屈折率などにより実現することができる。
【0049】
図1aに示される例では、コントラスト領域4は、レーザービーム8を吸収する材料から形成される一方、較正プレート1の基材3は、レーザービーム8の波長に対して透明である材料から形成される。レーザービーム8が個々のコントラスト領域4上に入射する場合、レーザービーム8の強度Iは、較正プレート1を通過する際に低減される。
【0050】
図1aに示される較正プレート1又は較正平面KEは、図2aに示される粒子センサ2の計測容積11内に配置される。図2aにおける粒子センサ2のレシーバ6は、レーザー源7又はレシーバ6に対する視準線に沿って伝播方向Z(XYZ座標系のZ方向)に沿って配置され、且つ較正プレート1によって透過されたレーザービーム8の強度信号Iを記録する役割を果たす検出器12を有する。評価装置13は、レーザービーム8の強度信号Iを評価する役割を果たす。
【0051】
図1a又は図1bに示される較正プレート1とは対照的に、コントラスト領域4は、レーザービーム8の波長を反射する材料から形成される。図1bに示される較正プレート1は、図2bに示される粒子センサ2の較正平面KEに配置され、これは、レシーバ6がレーザー源7によって生成されるレーザービーム8の伝播方向に対して所定の角度で配置される点において、図2aに示される粒子センサ2と実質的に異なり、これは、検出器12がコントラスト領域4で反射されたレーザービーム8の強度信号Iを検出するという結果を伴う。図2bの粒子センサ2の検出器12は、コントラスト領域4で散乱されたレーザービーム8の散乱放射を検出する役割を果たすことも可能である。
【0052】
図1a、図1bに示される較正平面KE内でのレーザービーム8の合焦は、較正平面KE内にレーザービーム8の小さいビーム直径を生成する役割を果たす。合焦は、任意選択により、より大きい粒子が粒子センサ2によって検出されることが意図される場合に省略することができる。この場合、レーザービーム8は、任意選択により、コリメートされ得るか、又は場合により較正平面KE上に発散した方式で放射され得る。この場合、合焦光学ユニット9の代わりに、例えばコリメーティング光学ユニットなどの異なるタイプの光学ユニットが使用される。
【0053】
コントラスト領域4は、粒子センサ2の較正のための可能な最も正確な較正標準を形成するために、図1aに示される例では微細構造として形成される。微細構造は、基材3の表面に適用され、且つ円形のコントラスト領域4を除いて微細構造化中に較正プレート1の表面から再度除去された金属層のマイクロリソグラフィ構造化によって形成される。微細構造化は、粒子センサ2を較正する際の精度を増大させるために、コントラスト領域4又は較正粒子のサイズ及びその間隔の正確な規定を可能にする。図示の例では、コントラスト領域4は、異なるサイズの粒子をシミュレートし、従って特に広いサイズ範囲にわたって異なる粒子サイズの粒子センサ2の正確性を可能にするために、異なるサイズ又は異なるサイズの直径の表面領域を有する。これらは、微細構造化によるコントラスト領域4の生成の代替として、較正プレート1上の超短パルス機械加工などによって形成することもできる。
【0054】
図1bに示される例では、コントラスト領域は、(アレイとして)規定された分布で基材3の表面に適用された較正粒子4によって形成される。アレイタイプの構成の隣接した列の較正粒子4は、その光学特性、特に図示の例ではその(複素)屈折率に関して互いに異なり、即ち、これらは、較正粒子4の異なるグループを形成する。図1bでは、較正粒子4のグループは、異なる材料から形成される。例として、図1bは、金属性材料、より正確には鋼から形成された較正粒子4の第1のグループ4a、砂(SiO)から形成された較正粒子4の第2のグループ4b及びプラスチック(例えば、ポリスチレン又はラテックス)から形成された較正粒子4の第3のグループ4cを示す。較正粒子4の異なる材料の結果として、異なる粒子材料から製造された粒子の特徴付けのために、粒子センサ2を較正することができる。
【0055】
同様に、較正プレート1上のコントラスト領域4は、統計的分布で基材3の表面に適用された較正粒子によっても形成され得る。この場合、コントラスト領域4は、較正粒子、即ち既知のサイズを有する粒子である。較正粒子4を適用するために、これは、例えば、液体透明接着剤中に低濃度で懸濁させることが可能であり、且つ薄い層として較正プレート1又は基材3に適用することができる。接着剤が乾燥すると、較正粒子4は、較正プレート1上に統計的に分散される。具体的には、例えば、ポリスチレンラテックスボールなどの既知のサイズの球状の単分散粒子は、この場合、それ自体が較正粒子4となる。
【0056】
接着剤又はフォトレジストを、ディスペンサを利用してプレート形状の基材3に適用することもできる。(特にUV光を使用した又はオーブン内での)硬化前に、このフォトレジスト又は接着剤は、最大で半球の球状セグメントを成形し、これは、前記フォトレジスト又は接着剤の粘度に応じて、表面張力の結果として較正粒子4を形成する。このように生成された較正粒子4の3次元構造は、球状表面を有する粒子の散乱挙動の近似を可能にし、従って特に散乱光計測の原理に基づく粒子センサ2の場合に適している。このように生成された較正粒子4の構造サイズは、とりわけフォトレジスト又は接着剤を硬化させる際のプロセスパラメータに依存し、従って所与のプロセスパラメータで既知であるものと仮定することができる。加えて、接着剤の適用前に、プレート形状の基材3は、クリーニング、被覆又はレーザー構造化され得、従って疎水性又は親水性の表面が液滴の適合された成形のために生じる。
【0057】
図2a、図2b及び図3の粒子センサ2は、較正中に較正平面KE内で較正プレート1を移動させるための移動装置14a、14bも有する。図2aに示される粒子センサ2では、移動装置14aは、モータハブ15を有する電気モータであり、これは、図1aの較正プレート1のための回転シャフトとしての役割を果たす。図1aに示される円形の較正プレート1は、回転可能に取り付けられ、且つ中央ボアを有し、この中で電気モータ14aのモータハブ15が係合する。
【0058】
粒子センサ2の較正のために、図1aの較正プレート1は、電気モータ14aを用いて回転し、コントラスト領域4は、較正焦点10を通してほぼ直線に移動する。図1aの較正プレート1は、約10mm~約100mmの範囲であり得る直径を有する。較正プレート1の回転の場合、任意選択により、単一のコントラスト領域4の通過のみが可能である。しかし、一般に、複数のコントラスト領域4は、円周方向において較正プレート1上に分散した状態で配置され、具体的には、数百のコントラスト領域4は、較正プレート1に適用され、且つ較正プレート1の1回転中に較正焦点10を通過することが可能である。例として、較正プレート1は、0.1Hz~200Hzの周波数で回転させることができる。較正焦点10におけるレーザービーム8の直径の大きさの通常のレベルは、例えば、約40μm~約100μmなど、約10μm~約5mmである。
【0059】
図2bに示される例の場合、移動装置14bは、較正平面KE内で変位方向Yに沿って較正プレート1を変位させるために、図1bの較正プレート1の横方向エッジ上に係合した圧電アクチュエータである。較正平面KE内の変位を単純化するために、図2bの較正プレート1は、矩形の形状を有する。較正平面KE内での較正プレート1の変位中にコントラスト領域4又は較正粒子の粒子軌跡をシミュレートすることも可能である。圧電アクチュエータ14aは、例えば、(調節可能な)1Hz~100Hzの周波数において較正平面KE内で較正プレート1を変位させることが可能であり、この過程で較正粒子又はコントラスト領域4を偏向させることができる。移動は、特に較正粒子4の特定のグループ4a~c内において標的を定めた方式で又は較正プレート1上のアレイタイプのパターンの特定の列に沿って実装することができる。
【0060】
較正平面KE内の較正プレート1の移動の代替として又はそれに加えて、較正焦点10を較正平面KE内で移動させることもできる。この目的のために、エミッタ5は、較正平面KE内でレーザービーム8と、従って更に較正焦点10とを移動させるために、例えばスキャナ装置の形態の移動装置を有し得、これは、1つ又は複数のスキャナミラー、音響光変調器、ポリゴンミラーなどを含む。
【0061】
図2a、図2bに示される粒子センサ2の場合、較正プレートKEは、前記計測動作の外側において、粒子が計測動作中に通過する計測容積11内に配置される。この目的のために、較正プレートKEは、自動化された方式又は任意選択により手動で計測容積11内に導入することができる。
【0062】
図3に示される粒子センサ2の場合、較正は、稼働動作中に(計測動作で)実装され得る。図2a、図2bに示される粒子センサ2とは対照的に、図3に示される粒子センサ2の較正平面KEは、特徴付けられる粒子Pが計測動作中に通過する計測容積11内に配置されず、代わりに、図示の例では、前記平面は、計測容積11内に形成された計測平面MEからレーザービーム8のビーム方向に離間されている。較正平面KE内の較正焦点10及び計測平面ME内の計測焦点16の形態の計測強度分布を互いの上に結像させるために、粒子センサ2、より正確には粒子センサ2のレシーバ6は、結像光学ユニット17を有する。結像光学ユニット17は、それぞれ光学平面KE内及び計測平面ME内において、同等のビームパラメータ(ビーム半径など)を有する二重焦点を生成する役割を果たす。この目的のために、例えば、結像光学ユニット17は、コリメーション装置及び合焦装置を含み得、これらは、例えば、レンズ又は(湾曲した)ミラーの形態を有し得る。
【0063】
図3に示される粒子センサ2の場合、エミッタ5の合焦光学ユニット9は、計測平面ME内の計測焦点16上にレーザービーム8を合焦する役割を果たす。原則的に、図3に描かれる粒子センサ2の場合、較正平面KE及び計測平面MEの役割を相互交換することが可能である。この場合、合焦光学ユニット9は、較正平面KE内の較正焦点10上にレーザービーム8を合焦する役割を果たす。この場合、較正プレート1は、レシーバ6内ではなく、エミッタ5内に配置されるが、これは、粒子センサ2の較正のためにむしろ不利であることが見出された。
【0064】
原則的に、較正プレート1は、稼働計測動作中に較正を可能にするために、レーザービーム8のビーム経路内に恒久的に留まることが可能である。これは、(例えば、流体中の凝集のための)計測が中断されてはならず、従って100%の試験が実行され得る場合に有利である。この場合、計測容積11を通過する粒子Pは、稼働計測中に較正粒子4から弁別されなければならない。例として、これは、較正粒子4が少なくとも1つの光学特性に関して計測容積11内の粒子と異なる場合に可能である。このような弁別は、計測容積11内の粒子Pが較正プレート1上の粒子と過剰に頻繁に一致しない場合及び較正プレート1上の較正粒子4の配置が既知である場合、同一の光学特性の場合でも可能である。較正粒子4が較正プレート1上に配置されるパターンは、具体的には、較正粒子4によって生成される時間に伴う強度信号のシーケンスが、計測される粒子Pの強度信号から評価装置13内の評価の範囲内で弁別され得るような方式で選択することができる。
【0065】
代わりに、較正プレート1は、較正を実行することを目的として自動化された方式でレーザービーム8のビーム経路に導入することが可能であり、及び較正プレートは、較正が完了すると直ちに再度レーザービームのビーム経路から除去することができる。移動装置14bは、それぞれビーム経路との間で較正プレート1を導入及び除去するために使用されるが、これを目的として更なる移動装置をエミッタ5内に提供することも可能である。
【0066】
計測容積11内の粒子Pのサイズは、較正強度分布又は較正焦点10及び計測強度分布又は計測焦点16のレーザービーム8のビーム半径の知識により、較正後に算出することができる。粒子Pのサイズに加えて、粒子Pの他の計測変数の較正も実行できることが理解される。例として、これらの計測変数は、粒子位置、粒子速度などであり得る。これらの計測変数の較正は、可能であり、なぜなら、較正プレート1が個々の移動装置14a、14bを用いて較正平面KE内で移動するためである。
【0067】
粒子P(及び較正粒子4)の特徴付けは、粒子センサ2のレシーバ6の評価装置13内で実行される。レーザービーム8の強度信号I、Iを記録する検出器12は、例えば、CCD検出器などの空間分解能を有する検出器であり得るが、これは、必須ではない。例として、検出器12は、空間分解能を伴うことなく、複数の偏光依存性強度信号を記録するように設計することが可能であり、この強度信号は、先に引用した(特許文献2)に記載されるように粒子Pの特徴付けを可能にする。この場合、検出器12は、例えば、複数のフォトダイオードを有し得る。
【0068】
図2a、図2b及び図3に関連して記載される粒子センサ2は、複数の異なる用途で粒子Pを特徴付けるために使用することができる。1つのこのような用途について、EUV放射生成装置30に基づいて以下で更に詳述するが、この説明は、図4に基づく例示を目的としたものである。EUV放射生成装置30は、ビーム源31、3つの光学増幅器又は増幅器ステージ33a~cを有する増幅器構成32、更に詳細に描かれていないビームガイド装置34及び合焦装置35を含む。合焦装置35は、ビーム源31によって生成され、且つ増幅器構成32によって増幅されたドライバレーザービーム31aを、粒子Pが導入された真空チャンバ38内のターゲット領域36上に合焦する役割を果たす。粒子P又は個々の1つ若しくは複数のスズ液滴は、ターゲット材料としての役割を果たし、且つドライバレーザービーム31aを利用して照射される。このプロセスでは、スズ液滴は、プラズマ状態に遷移し、且つEUV放射を放出し、これがコレクタミラー37を利用して合焦される。図4に示される例では、コレクタミラー37は、レーザービーム31aの通過のための開口部を有する。図示の例では、ビーム源31は、プレパルス及びメインパルスを生成する2つのCOレーザーを有し、これらのパルスは、一緒に増幅器構成32内で増幅され、且つターゲット領域36上で合焦される。ビーム源31は、増幅器構成32と共に、EUV放射生成装置30のドライバレーザー構成39を形成する。
【0069】
同様に、図4で観察され得るように、粒子センサ2のエミッタ5及びレシーバ6は、真空チャンバ38に装着され、この結果、真空チャンバ38が粒子センサ2のための計測チャンバを形成する。計測平面MEがその中に形成される計測容積11は、スズ液滴の形態の粒子Pを有するターゲット領域36を通過する。粒子センサ2を用いて、ターゲット領域36に向かう粒子P又はその移動を検査することが可能であり、且つその移動又は軌跡を判定することができる。ドライバレーザービーム31aによって個々のスズ液滴の蒸発中に生成される粒子Pのサイズ又はより小さい粒子のサイズは、粒子センサ2を用いて判定することもできる。蒸発中に生成される粒子Pの軌跡又は速度も粒子センサ2を利用して検出することができる。
【0070】
同様に、図4で観察され得るように、エミッタ5は、ハウジング23によって周囲から遮蔽される。従って、レシーバ6もハウジング24によって周囲から遮蔽される。出口窓21aは、エミッタ5のハウジング23内に形成され、且つレーザービーム8の出口としての役割を果たす。従って、計測容積11の通過後、レシーバ6内へのレーザービーム8の進入のための入口窓21bがレシーバ6のハウジング24内に形成される。窓21a、21bは、エミッタ5及びレシーバ6が周囲から遮蔽されることを可能にし、この結果、異なる液体、ガス又は固体媒体を検出するために粒子センサ2を使用することができる。この結果、図4に示される粒子センサ2の場合、較正プレート1も計測容積11からエミッタ5のハウジング23によって遮蔽され、この結果、計測容積11を通過する粒子Pから保護される。
【符号の説明】
【0071】
1 較正プレート
2 粒子センサ
3 基材
4 コントラスト領域
4a 第1のグループ
4b 第2のグループ
4c 第3のグループ
5 エミッタ
6 レシーバ
7 レーザー源
8 レーザービーム
9 合焦光学ユニット
10 較正焦点
11 計測容積
12 検出器
13 評価装置
14a 移動装置
14b 移動装置
15 モータハブ
16 計測焦点
17 結像光学ユニット
21a 出口窓
21b 入口窓
23 ハウジング
24 ハウジング
30 EUV放射生成装置
31 ビーム源
31a ドライバレーザービーム
32 増幅器構成
33 増幅器ステージ
34 ビームガイド装置
35 合焦装置
36 ターゲット領域
37 コレクタミラー
38 真空チャンバ
39 ドライバレーザー構成
I 強度
IR 強度信号
IT 強度信号
KE 較正平面
ME 計測平面
P 粒子
図1a
図1b
図2a
図2b
図3
図4
【国際調査報告】