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特表2024-504018解剖学的部位のための積極的な温度制御システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-30
(54)【発明の名称】解剖学的部位のための積極的な温度制御システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/00 20060101AFI20240123BHJP
   A61B 1/015 20060101ALI20240123BHJP
   A61B 1/018 20060101ALI20240123BHJP
   A61B 1/12 20060101ALI20240123BHJP
   A61B 18/24 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
A61B18/00
A61B1/015
A61B1/018 515
A61B1/12 521
A61B18/24
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023539345
(86)(22)【出願日】2021-12-28
(85)【翻訳文提出日】2023-08-24
(86)【国際出願番号】 US2021065345
(87)【国際公開番号】W WO2022147010
(87)【国際公開日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】63/131,221
(32)【優先日】2020-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】500498763
【氏名又は名称】ジャイラス エーシーエムアイ インク ディー/ビー/エー オリンパス サージカル テクノロジーズ アメリカ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】セルゲイ・エー・ブケソフ
(72)【発明者】
【氏名】カート・ジー・シェルトン
(72)【発明者】
【氏名】マリア・ラオ
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・ブルーム
【テーマコード(参考)】
4C026
4C160
4C161
【Fターム(参考)】
4C026BB10
4C026GG07
4C160JJ17
4C160KK64
4C161GG15
4C161HH08
(57)【要約】
解剖学的部位の温度と圧力を管理するためのシステム、装置、および方法が提供される。システムは、解剖学的部位のビューを提供するように構成されたスコープと、解剖学的部位に治療エネルギーを送達するように構成されたエネルギー送達装置と、解剖学的部位に流体を移送するように構成された第1の灌注導管と、解剖学的部位に関連する第1の温度データを提供するために配置された第1の温度センサと、第1の温度データを受信するために電気的に結合された制御回路であって、制御回路は、第1の温度データに少なくとも部分的に基づいて、(i)流体の第1の温度、(ii)流体の流量パラメータ、または(iii)解剖学的部位の第2の温度を管理するための前記エネルギー送達装置の設定、のうちの少なくとも1つを調整するように構成されている、制御回路と、を備え得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療送達システムであって、
解剖学的部位のビューを提供するように構成されたスコープと、
前記解剖学的部位に治療エネルギーを送達するように構成されたエネルギー送達装置と、
前記解剖学的部位に流体を移送するように構成された第1の灌注導管と、
前記解剖学的部位に関連する第1の温度データを提供するために配置された第1の温度センサと、
前記第1の温度データを受信するために電気的に結合された制御回路であって、前記制御回路は、前記第1の温度データに少なくとも部分的に基づいて、(i)前記流体の第1の温度、(ii)前記流体の流量パラメータ、または(iii)前記解剖学的部位の第2の温度を管理するための前記エネルギー送達装置の設定、のうちの少なくとも1つを調整するように構成されている、制御回路と、
を備える、
治療送達システム。
【請求項2】
前記解剖学的部位から流体を除去し、除去された流体をもたらすように構成された吸引装置と、
前記吸引装置と流体連通して前記除去された流体を受け取り、前記解剖学的部位から前記除去された流体を移送するように構成された第2の灌注導管と、
をさらに備え、
前記第1の温度データが、前記除去された流体の第3の温度である、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1の温度データが、前記第2の温度を含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記流体と流体連通する流体冷却器であって、前記流体の第1の部分を受け入れて冷却し、冷却された流体をもたらすように構成された、流体冷却器をさらに備え、
前記制御回路は、前記第1の温度データに基づいて、前記流体冷却器が前記冷却された流体を冷却する第4の温度を調整する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記流体と流体連通する第3の灌注導管であって、前記流体の第2の部分を受け入れるように構成された第3の灌注導管をさらに備え、
前記第1の灌注導管は、前記流体の前記第2の部分と前記冷却された流体との両方の混合物を受け入れるように構成されている、
請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記流体と流体連通する流体加熱器であって、前記流体の第3の部分を受け入れて加熱し、加熱された流体をもたらすように配置された、流体加熱器をさらに備え、
前記第1の灌注導管は、前記加熱された流体と前記冷却された流体との両方の混合物を受け入れるように構成されている、
請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1の灌注導管と流体連通し、前記制御回路に電気的に結合された少なくとも1つの作動弁であって、前記少なくとも1つの作動弁は、前記流体冷却器と前記第1の灌注導管との間に配置され、および/または前記流体加熱器と前記第1の灌注導管との間に配置される、少なくとも1つの作動弁、をさらに備え、
前記制御回路は、前記第1の温度データに基づいて前記作動弁の物理的状態を変更するように構成されている、
請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記作動弁からの流体の第5の温度を決定するために配置された第2の温度センサをさらに備え、
前記制御回路はさらに、前記第5の温度に基づいて前記流体加熱器および前記流体冷却器のそれぞれの温度設定を調整するように構成されている、
請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1の灌注導管と流体連通しており、前記制御回路に電気的に結合されたポンプをさらに備え、
前記制御回路は、前記第1の温度データに基づいて前記ポンプのポンプ速度を調整するように構成されている、
請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記制御回路に電気的に結合され、前記解剖学的部位の周囲の圧力を表す圧力データを生成するように配置された圧力センサをさらに備え、
前記制御回路は、前記圧力データに基づいて前記ポンプのポンプ速度を調整するようにさらに構成されている、
請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記ポンプからの流体の流量を決定するために配置され、前記制御回路に電気的に結合された流量センサをさらに備え、
前記制御回路は前記流量に基づいて前記ポンプの前記速度を調整するようにさらに構成されている、
請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記制御回路が、前記第1の温度データに基づいて、前記解剖学的部位の温度を管理するために前記エネルギー送達装置の設定を調整するように構成されている、
請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記制御回路に電気的に結合された表示装置であって、ユーザに前記第1の温度のビューを提供するように構成された、表示装置、をさらに備える、
請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1の温度が閾値温度を超えたか、または超えようとしていることを示す音声、視覚、または触覚フィードバックを生成するように構成された警報装置をさらに備える、
請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記表示装置は、それを上回って前記解剖学的部位を維持するための第1の温度設定点と、それを下回って前記解剖学的部位を維持するための第2の温度設定点とを示すデータを受信するように構成されたユーザインターフェースを提供し、前記制御回路は自動的に動作して、前記解剖学的部位の温度を前記第1の温度設定点と前記第2の温度設定点との間で管理する、
請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
解剖学的部位に光または電気エネルギーを提供するステップと、
第1の灌注導管を介して前記解剖学的部位に流体を提供するステップと、
制御回路において、前記解剖学的部位に関連する第1の温度を受信するステップと、
前記制御回路によって、前記第1の温度に基づいて、前記解剖学的部位への前記流体の第2の温度または流量パラメータのうちの少なくとも1つを滴定する制御信号を提供して、前記解剖学的部位の温度を所望の目標温度に向けて管理するステップと、
を含む、
方法。
【請求項17】
吸引装置によって前記解剖学的部位から流体を除去し、除去された流体をもたらすステップと、
前記吸引装置と流体連通する第2の灌注導管によって、前記除去された流体を廃棄物容器に移送するステップと、
をさらに含み、
前記第1の温度は、前記除去された流体の温度である、
請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の温度は、前記解剖学的部位における前記流体の温度である、
請求項17に記載の方法。
【請求項19】
流体冷却器によって前記流体の第1の部分を冷却し、冷却された流体をもたらすステップと、
第2の灌注導管によって、前記冷却された流体を提供するステップと、
をさらに含み、
前記制御回路は、前記第1の温度に基づいて、前記流体冷却器が前記冷却された流体を冷却する第2の温度を調整する、
請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記制御回路に電気的に結合されたディスプレイによって、前記第1の温度のビューを提供するステップをさらに含む、
請求項17に記載の方法。
【請求項21】
治療送達システムであって、
解剖学的部位のビューを提供するように構成されたスコープと、
前記解剖学的部位に電気エネルギーまたは光エネルギーを提供するように構成されたエネルギー送達装置と、
少なくとも1つの作動弁と、
流体の第1の部分および前記少なくとも1つの作動弁と流体連通する第1の灌注導管であって、前記第1の部分を前記作動弁に直接提供し、直接流体をもたらすように構成された、第1の灌注導管と、
流体の第2の部分および前記少なくとも1つの作動弁と流体連通する流体冷却器であって、前記流体冷却器の温度設定に基づいて前記流体の第2の部分を冷却し、冷却された流体をもたらすように構成された、流体冷却器と、
前記冷却された流体と前記直接流体との混合物と流体連通する第2の灌注導管と、
前記解剖学的部位に関連する第1の温度データを提供するために配置された第1の温度センサと、
前記第1の温度センサに電気的に結合された制御回路であって、前記第1の温度データを受信し、前記解剖学的部位の温度を管理するために、前記少なくとも1つの作動弁の状態、前記温度設定、またはそれらの組み合わせを調整する制御信号を提供するように構成された、制御回路と、
を備える、
治療送達システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年12月28日に出願された「Active Cooling Irrigation System for Anatomic Sites」という名称の米国仮特許出願第63/131,221号に対する優先権の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
これらの教示は、解剖学的部位の洗浄のための流体の温度制御に関するものである。
【背景技術】
【0003】
内視鏡、関節鏡、結石破砕術、およびその他のスコープを使用した処置には、通常、スコープの視野を鮮明にするために体液から流体を取り除くための洗浄が含まれる。体液の例には尿や血液が含まれる。流体は光を散乱させ、スコープによって提供される画像を不明瞭にする可能性がある。散乱光により、医師が目標の解剖学的構造(「解剖学的部位」と呼ばれることもある)を明確に見ることがさらに困難になる。洗浄流体の流量は、内視鏡の視野に体液が入らないように十分に高く設定できる。これには、解剖学的部位のスコープに加圧流体を供給することが含まれる。このような治療法には、レーザー、電力などが含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許公開第2018/0055568号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書の教示は、解剖学的部位の温度制御を提供する。教示は、医師が自動的に管理される目標の解剖学的温度を設定できるようにし得る灌注システム、装置、方法、制御システムなどを提供する。システムは、1つまたは複数の温度センサ測定値、および/または1つまたは複数の流量測定値、および/または治療送達出力設定を監視することによって温度を維持できる。本システムは、特定の設定、特定の灌注温度および流量での治療実施中の温度の上昇と降下を観察または測定できる。本システムは、観察または測定を使用して、解剖学的部位の冷却力、つまり、望ましい解剖学的温度を維持するために必要な流体の流量と温度とを計算できる。冷凍された流体と室温流体またはそれどころか加熱された流体を混合することで、様々な流体温度を実現できる。
【0006】
治療送達装置は、解剖学的部位のビューを提供するように構成されたスコープを含んでいてもよいし、スコープと結合されてもよい。本システムは、解剖学的部位に光エネルギーまたは電気エネルギーを送達するように構成されたエネルギー送達装置を含んでもよい。流体リザーバから解剖学的部位に流体を移送するために第1の灌注導管が配置されてもよい。解剖学的部位に関連する第1の温度データを提供するために第1の温度センサが配置されてもよい。第1の温度データを受信するために制御回路を電気的に結合してもよい。制御回路は、第1の温度データに基づいて、(i)流体の第1の温度、(ii)流体の流量パラメータ、または(iii)解剖学的部位の第2の温度を管理するためのエネルギー送達装置の設定、のうちの少なくとも1つを調整するように構成され得る。
【0007】
本システムは、解剖学的部位から流体を除去し、除去された流体をもたらすように構成された吸引装置を含むことができる。除去された流体を受け取るために、第2の導管が吸引装置と流体連通し、除去された流体を解剖学的部位から移送するように構成されてもよい。第1の温度データは、除去された流体の第3の温度を含み得る。第1の温度データは第2の温度を含んでいてもよい。
【0008】
本システムは、流体と流体連通する流体冷却器を含んでいてもよい。流体冷却器は、流体の第1の部分を受け取って冷却し、冷却された流体をもたらすように構成することができる。制御回路は、第1の温度データに基づいて、流体冷却器が冷却された流体を冷却する第4の温度を調整してもよい。第3の導管が流体と流体連通していてもよい。第3の導管は、流体の第2の部分を受け入れるように構成され得る。第1の導管は、流体の第2の部分と冷却された流体の両方の混合物を受け入れるように構成されていてもよい。
【0009】
本システムは、流体と流体連通する流体加熱器を含んでいてもよい。流体加熱器は、流体の第3の部分を受け取って加熱し、加熱された流体をもたらすように配置することができる。第1の導管は、加熱された流体と冷却された流体の両方の混合物を受け入れるように構成されていてもよい。
【0010】
作動弁が、第1の導管と流体連通し、制御回路に電気的に結合されていてもよい。作動弁は、流体冷却器と第1の導管との間に配置されていていてもよいし、流体加熱器と第1の導管との間に配置されていてもよい。制御回路は、第1の温度データに基づいて作動弁の物理的状態を変更するように構成されていてもよい。
【0011】
作動弁からの流体の第5の温度を決定するために、第2の温度センサを配置してもよい。制御回路はさらに、第5の温度に基づいて流体加熱器および流体冷却器のそれぞれの温度設定を調整するように構成されていてもよい。本システムは、第1の導管と流体連通するポンプを含んでいてもよい。ポンプは制御回路に電気的に結合されていてもよい。制御回路は、第1の温度データに基づいてポンプのポンプ速度を調整するように構成されていてもよい。
【0012】
解剖学的部位の周囲の圧力を表す圧力データを生成するように、圧力センサを制御回路に電気的に結合し、配置することができる。制御回路は、圧力データに基づいてポンプのポンプ速度を調整するようにさらに構成されてもよい。ポンプからの流体の流量を決定するために流量センサを配置してもよい。流量センサは制御回路に電気的に結合されていてもよい。制御回路は、流量に基づいてポンプの速度を調整するようにさらに構成されていてもよい。
【0013】
制御回路は、第1の温度データに基づいて、解剖学的部位の温度を管理するためにエネルギー送達装置の設定を調整するように構成されていてもよい。制御回路に表示装置が電気的に結合されていてもよい。表示装置は、ユーザに第1の温度のビューを提供するように構成されていてもよい。ユーザインターフェースは、それを上回って解剖学的部位を維持するための第1の温度設定点と、それを下回って解剖学的部位を維持するための第2の温度設定点とを示すデータを受信するように構成されていてもよい。制御回路は、第1の温度設定点と第2の温度設定点との間で解剖学的部位の温度を管理するように動作し得る。
【0014】
図面では、必ずしも一定の縮尺で描かれていないため、異なる図において同様の符号は同様の構成要素を表すことができる。異なる文字の接尾辞を持つ同様の数字は、同様の構成要素の異なる例を表し得る。図面は、本文書で論じられる様々な実施形態を、例として一般的に示すが、限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1A】一例として、解剖学的部位に提供される流体の流体温度を管理するためのシステムを示す図である。
図1B】一例として、解剖学的部位に提供される流体の流体温度を管理するための別のシステムを示す図である。
図2】一例として、解剖学的部位に提供される流体の流体温度を管理するための別のシステムを示すブロック図である。
図3】一例として、解剖学的部位に提供される流体の流体温度を管理するための別のシステムを示すブロック図である。
図4】一例として、解剖学的部位に提供される混合流体の流体温度を管理するためのシステムを示すブロック図である。
図5】一例として、解剖学的部位に提供される混合流体の流体温度を管理するためのシステムを示すブロック図である。
図6】一例として、解剖学的部位の温度管理のための方法の一実施形態を示す図である。
図7】一例として、解剖学的部位における温度、圧力、またはそれらの組み合わせを決定するための方法を示す流れ図である。
図8】一例として、解剖学的部位の温度を調節するために図1A図1B図2図3図4、または図5のシステムの1つまたは複数の構成要素を調整するための方法を示す図である。
図9】一例として、図1A図1B図2図3図4、または図5のシステムの1つまたは複数の構成要素を調整して解剖学的部位の圧力を調節するための方法を示す図である。
図10】一例として、1つまたは複数の実施形態を実装するための機械(例えば、コンピュータシステム)の一実施形態を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
内視鏡、関節鏡、結石破砕術、およびその他のスコープを使用した処置には、スコープの視野を鮮明にするために体液から流体を取り除くための洗浄が含まれ得る。このような限定された手順では、この洗浄流体は室温または加熱された生理食塩水である。視野を鮮明に保つことに加えて、流体は解剖学的部位を冷却するためにも使用され得る。この冷却は、実施中の治療により解剖学的部位(および周囲の解剖学的構造および流体)が加熱される場合に、解剖学的部位の温度を制御するのに役立つ。このような治療法は、レーザー、電力などを含み得る。解剖学的部位にあまりにも多くの流体を急速に送達すると、腎臓のような血管の多い臓器などにおいて、極端な場合には低体温症を引き起こす可能性がある。解剖学的部位への流体の供給が少なすぎると、組織の過熱や組織の損傷につながる可能性がある。さらに、流体の供給が遅すぎると、流体の温度が長期間にわたって高すぎるリスクが生じる可能性がある。したがって、流体の流量と開始温度、処置の持続時間、またはそれらの組み合わせを処置中に注意深く考慮し、それによって低体温症や健康な組織の過熱のリスクを回避、または少なくとも軽減する必要がある。
【0017】
温度の問題を軽減するために、医師は流体を積極的に加熱または冷却する灌注システムを使用できる。体温の流体は、より冷たい、積極的に冷却された流体よりも冷却効果が低くなる。レーザー結石破砕術などの治療により温度が上昇している解剖学的部位は、体温よりも冷たい流体の恩恵を受けることができる。
【0018】
タンパク質は約42℃で変性し始める可能性がある。治療介入の対象ではない解剖学的構造の温度がこの温度に達することは望ましくないと考えられ得る。体温で流体を使用する場合、治療介入によって局所の解剖学的温度はこの限界に達するまで約5℃しか上昇しない。
【0019】
室温の洗浄流体(通常は18℃~25℃)を使用する場合、治療的介入では、同じ温度限界である42℃に達する前に、局所の解剖学的温度を17℃~24℃しか上昇させることができない。治療エネルギー源(例えば、1つまたは複数のレーザーまたは電極に電力を供給するレーザー制御システム、電源、発電機など)の平均出力が同じであるとすると、「室温の流体」を使用すると、体温の流体と比較して3~5倍長く治療を進めることができる(体温の洗浄の代わりに室温の洗浄を使用した場合に線形関係があると仮定する)。治療がレーザーや電気外科システムなどのエネルギー装置である介入の場合、積極的に冷却された洗浄により、より低い解剖学的温度での長時間の治療に適切に対応できる。
【0020】
レーザー結石破砕術の場合、治療の加熱出力により解剖学的温度の上昇が大きくなる。治療の出力により、常温の流体を使用してもすぐにオーバーヒートが発生する。レーザー結石破砕術を使用して連続治療時間を延長するには、冷却された流体源が使用され得る。連続治療時間が増加すると、目標部位が冷えるまでの待ち時間が減り、全体的な処置時間を短縮できる。治療時間が長くなったことで、医師は患者の組織を損傷することを心配することなく、レーザー結石破砕術を使用して、例えば腎臓結石を十分に小さな部分に砕くことができるようになり得る。治療時間が増加することで、医師は単極または双極電極を使用して不良組織を除去し続けることができるようになり得る。本明細書で使用される冷却された流体とは、流体が周囲の冷却を超えて積極的に冷却されるのに対し、室温の流体(「直接流体」と呼ばれることもある)は積極的に冷却されず、周囲温度によってのみ冷却されることを意味する。積極的な冷却とは、電気、ガス、または任意の適切な冷却技術を使用して、流体を室内に置いて温度が下がるのを待つよりも早く流体の温度を下げることを意味する。冷却流体源からの冷却された流体は、治療領域付近の解剖学的流体の平均温度を42℃未満および低体温レベル以上に保ちながら、直接流体を使用して現在可能な時間を超えて治療持続時間を延長することができる。
【0021】
本明細書の教示は、解剖学的部位への冷蔵(「冷却」と呼ばれることもある)、加熱、直接(積極的な加熱または冷却を受けない流体)、またはそれらの組み合わせの洗浄流体の選択的送達を提供する。例えば、ユーザがプログラム可能な閾値(例えば、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45℃、またはそれより高いまたは低い温度)を超えて解剖学的温度が上昇している場合、冷却された流体が、スコープ、またはスコープに結合されたまたはスコープと共に使用される導管などを通じて、解剖学的部位に提供され得る。冷却された流体は4℃まで冷たくなるが、それより高い温度になる場合もある。一部の構成では、冷却された流体の冷却速度が、室温またはより温かい流体の対応する加温速度よりも大きくなり、解剖学的部位の温度上昇が遅くなるか逆転する可能性がある。解剖学的部位で測定された温度が安定し始めるか、閾値(例えば、32、31、30、29、28℃、またはそれより高いまたは低い温度)未満に低下し始めると、灌注システムは、直接流体、加熱された流体、またはそれらの組み合わせを(例えば、より多く)送達するように(例えば、自動的に)構成することができる。直接流体または加熱された流体の増加により、解剖学的部位が温まり、それに対応する解剖学的部位の温度が上昇する可能性がある。低体温症では深部体温が35℃未満に下がる必要がある。この温度差は体温よりわずか2℃低いため、これは治療部位で35℃を測定することと同じではない。低体温症のリスクは、温度閾値を下回る指定された時間によって示される。指定された温度での時間を使用して、体の中心部の温度を推定できる。
【0022】
教示は、医師が自動的に管理される目標の解剖学的温度を設定できるようにし得る灌注システム、装置、方法、制御システムなどを提供する。システムは、温度センサ測定値、圧力センサ測定値、流量測定値、および/または治療提供装置の設定を監視することによって温度を維持できる。本システムは、特定の設定、特定の灌注温度および流量での一定の持続時間の治療の実施に起因する温度の上昇および下降を測定および/または計算でき、測定/計算を使用して、解剖学的部位の冷却速度(例えば、単位時間当たりの度)を決定し、したがって、所望の解剖学的温度を達成または維持するために必要な流体の流量および温度を決定する。冷却速度とは、単位時間当たりの温度の低下量である。温暖化速度とは、単位時間当たりの温度の上昇量である。冷却速度と温暖化速度はどちらも、より一般的な温度変化率の例である。冷蔵された流体と室温流体または加熱された流体を混合することで、様々な流体温度を実現できる。
【0023】
図1Aは、例として、解剖学的部位114に提供される流体の流体温度を管理するためのシステム100Aの図を示す。図示のシステム100Aは、解剖学的部位114と流体連通する流体リザーバ102を含む。導管134は、リザーバ102および解剖学的部位114と流体連通している。導管134は、リザーバ102から流体を受け取り、その流体を解剖学的部位114に輸送する。エネルギー送達スコープ(例えば、内視鏡)120は、治療のために解剖学的部位114に近接しているか、または解剖学的部位114に接触している。スコープ120は、通信媒体(例えば、光ファイバ、導電体、または無線通信媒体)136を介して、エネルギー送達装置(例えば、レーザー装置、超音波装置、または電気装置)118からエネルギーを受け取る。エネルギー送達装置118によって提供されるエネルギーは、エネルギー制御システム(例えば、レーザーエネルギー発生器、電気エネルギー発生器、超音波エネルギー発生器など)116によって制御される。一実施形態では、解剖学的部位114内またはその周囲に温度センサ138が配置される。追加的にまたは代替的に、温度センサ138は解剖学的部位114に流入する流体、または解剖学的部位114から出てくる流体を測定するように配置できる。温度センサ138は、電気通信媒体140を介して制御回路142に温度データを提供する。制御回路142は、流体の送達に関連する1つまたは複数のパラメータ(例えば、温度および/または流量)、エネルギー制御システム116の動作パラメータ(例えば、電力、大きさ、周波数、電圧、電流、デューティサイクル、エネルギーレベルなど)などを調整することによって、解剖学的部位114の温度を管理する。
【0024】
流体リザーバ102は、蛇口、バッグ、タンク、バケツなどを含んでいてもよい。流体リザーバ102(または別のリザーバ)からの流体は、生理食塩水または別の流体が含まれていてもよい。流体は、重力によって供給されるか、弁によって滴定されるか、またはそれらの組み合わせによって、流体リザーバ102から導管134に流入し得る。
【0025】
導管134は中空管である。導管134の第1の端部は、リザーバ102に機械的に結合され、リザーバ102から流体を受け取ることができる。導管134の反対側の第2の端部は、解剖学的部位114の近くに位置することができる。導管134は、スコープ120を通って移動することができ、またはスコープ120に永久的に取り付けられるか、または取り外し可能に結合され得る。導管134は、導管134の周囲の環境から流体を保護しながら、流体を解剖学的部位114に輸送する。
【0026】
スコープ120は、解剖学的部位114の画像を提供するように構成された光学部品(例えば、レンズ、ミラー、コリメータ、フィルタ、プリズム、偏光子、ビームスプリッタ、波長板、光ファイバ、カメラなど)を含む。スコープ120は、それに恒久的にまたは取り外し可能に取り付けられた通信媒体(例えば、光ファイバ、導電体、または無線通信媒体)136を含んでいてもよい。医師または他のユーザは、スコープ120上の光学系を通じてまたはディスプレイ224を通じて解剖学的部位114を観察することができる(図2を参照)。医師または他のユーザは、制御ノブ、ボタン、または例えば足で作動する制御ペダルおよび/またはスコープ120上の、またはそれらに結合された他の作動機構を使用して、エネルギー送達装置118によって提供される治療を有効化、無効化、または調整することができる。追加的にまたは代替的に、医師は、別個の制御システム(例えば、レーザーコンソールタッチスクリーンディスプレイ)を介してエネルギー送達装置118を制御することができる。患者の体内を観察する処置を内視鏡検査という。スコープ120は、喉、副鼻腔、尿管、腎臓、食道のような内臓を検査するために使用され得る。内視鏡は、目標臓器を観察することなどに特化していてもよい。このような特殊な内視鏡は、対象臓器にちなんで名付けられることがある。例えば、副鼻腔鏡は副鼻腔のビューを提供することに特化しており、耳鏡は内耳のビューを提供することに特化しており、尿管鏡は尿管のビューを提供することに特化しており、喉頭鏡は喉頭のビューを提供することに特化しており、膀胱鏡は膀胱のビューを提供するように特化しており、腎鏡は腎臓を観察することに特化しており、気管支鏡は気管支を観察することに特化しており、関節鏡は関節を観察することに特化しており、結腸鏡は結腸を観察することに特化しており、腹腔鏡は腹部または骨盤を観察することに特化している。
【0027】
エネルギー送達装置118は、レーザー、電源などを含み得る。通信媒体136は、光ファイバ(治療装置118がレーザーを含む場合)、単極電極または双極電極に結合できるような導電体(治療装置118が電源を含む場合)などを含み得る。治療装置118は、通信媒体136によって解剖学的部位114に伝達されるエネルギーを生成することができる。エネルギー制御システム116は、エネルギー送達装置118および通信媒体136によって解剖学的部位114に提供されるエネルギーを調整するために、エネルギー送達装置118を調整することができる。エネルギー制御システム116は、エネルギー送達装置118の動作パラメータを調整することができる。動作パラメータの例には、レーザー治療の強度、周波数、持続時間、またはその他のパラメータが含まれる。他の動作パラメータの例としては、電気治療の大きさ、振幅、周波数、形状、または他のパラメータが挙げられる。エネルギー制御システム116の例には、レーザー発生器、電力発生器、超音波発生器などが含まれる。これらの発生器には通常、ユーザが操作できるノブ、タッチスクリーン、ボタンなどが付属している。ユーザは、タッチスクリーンを介して入力を行う、ボタンを押す、ノブを回すなどして、発生器の出力パラメータを調整できる。エネルギー制御システム116は、動作パラメータを調整できる入力インターフェースを含む。入力インターフェースは、エネルギー生成回路(またはエネルギー生成回路のコントローラ)と電気的に結合されている。入力インターフェースは、コントローラが入力に応じてエネルギー生成回路を調整できるように、入力インターフェースで受信した入力に応じてエネルギー生成回路を調整するか、または入力を(受信したものと同じ形式または異なる形式で)コントローラに提供する。入力はユーザ(ノブを回す、タッチスクリーンに触れるなど)、制御回路142、ユーザによって制御される装置(例えば、スコープ120、スコープ120に結合されたフットペダルなど)、またはそれらの組み合わせによって提供され得る。
【0028】
温度センサ138は、温度を決定するか、またはさもなければ解剖学的部位114の温度を決定するために使用できるデータを提供する。温度センサ138は、赤外線(IR)センサ、熱電対、測温抵抗体(RTD)、サーミスタ、半導体ベースの集積回路(IC)などを含み得る。温度センサ138は、スコープ120と一体的に形成することもできるし、スコープ120から物理的に分離することもできるし、スコープ120に取り付けることも、スコープ120に着脱可能に結合することなどを行うこともできる。エネルギー送達装置118がレーザーである場合、レーザーエネルギーが解剖学的部位114に供給されている間、IRベースの温度センサをオフにすることができる。温度センサ138からの温度データは、通信媒体140によって制御回路142に提供され得る。温度データは、解剖学的部位114に関連する温度を示すことができる。例えば、スコープ120は、温度データを測定するためにIR温度計に光を戻すことができるIR感受性光ファイバチャネルを含むか、またはこれに結合され得る。レーザー出力放射との衝突を避けるため、レーザーまたは他のエネルギー放射がオフのときに熱測定がオンにされていてもよい。
【0029】
制御回路142は、通信媒体146を介してエネルギー制御システムに、または通信媒体144を介して流体供給システムに制御信号を提供するように構成された電気または電子構成要素を含む。電気または電子構成要素は、1つまたは複数のトランジスタ、抵抗器、コンデンサ、ダイオード、インダクタ、発振器、メモリ装置、増幅器、アナログデジタルコンバータ、デジタルアナログコンバータ、マルチプレクサ、スイッチ、論理ゲート(例えば、AND、OR、XOR、ネゲート、バッファなど)、電源、処理装置(例えば、中央処理装置(CPU)、グラフィックス処理装置(GPU)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)など)などを含み得る。
【0030】
制御回路142は、温度データが第1の基準を満たしている場合、エネルギー制御システム116によって提供される電力を低減することができる。制御回路142は、通信媒体146(例えば、有線または無線通信媒体)を介してエネルギー制御システム116と通信することができる。制御回路142は、エネルギー制御システム116によって生成されるエネルギーのエネルギー送達パラメータを調整する制御信号をエネルギー制御システム116に提供することができる。
【0031】
制御回路142は、温度データが第1の基準または第2の異なる基準を満たしている場合、流体リザーバ102からの流体の流量を増加させることができる。第1の基準には、温度データによって示される温度が閾値温度(例えば、ユーザ指定の温度またはデフォルトの温度)以上であることが含まれる。第2の基準は、同じまたは異なる温度閾値を含んでいてもよい。
【0032】
制御回路142は、温度データが第3の基準を満たしている場合、エネルギー制御システム116によって提供される電力を増加させることができる。制御回路142は、温度データが第3の基準または第4の異なる基準を満たす場合、流体リザーバ102からの流体の流量を減少させることができる。第3の基準は、温度データによって示される温度が閾値温度(例えば、ユーザ指定の温度またはデフォルトの温度)以下であることを含み得る。第4の基準は、同じまたは異なる温度閾値を含み得る。閾値温度のいずれも、エネルギー送達装置118の安全な動作温度に基づいて設定することができ、一実施形態では、ユーザによって設定することができる。解剖学的部位114の周囲の組織の温度が42℃に達しないことを保証するのに役立つようにするために、閾値温度のうちの1つまたは複数を設定することができる。このような閾値温度には、34℃、35℃、36℃、37、38、39、40、41、42、43、44、45℃、または42℃未満のそれより高いもしくは低い温度が含まれ得る。閾値温度のうちの1つまたは複数は、解剖学的部位114の周囲の組織の温度が低体温症に対応する温度よりも高く維持されることを保証するのに役立つように設定され得る。低体温症は体温が35℃未満になると起こる。エネルギー送達の持続時間中に低体温症が起こらないことを保証するのに役立つようにするためなどに、閾値下限温度は約32、31、30、29、28℃にすることができる。
【0033】
通信媒体136、140、144、146(または図2図3図4、および図5などの本明細書の他の通信媒体)は、有線、無線、または光通信機構を含むことができる。有線通信媒体には、トレース、ワイヤなどの導体が含まれる。無線通信媒体には、受信アンテナに電磁送信を行う送信アンテナが含まれる。電磁送信は、電磁送信上でデータをエンコードする方法を定義する通信プロトコルに準拠し得る。無線通信プロトコルの例には、Bluetooth、Zigbee、WiFi、無線周波数識別(RFID)、セルラー、近距離無線通信(NFC)などが含まれる。光通信媒体には、光が制限された方法で通過できる光ファイバ、屋外空間などが含まれる。
【0034】
図1Bは、例として、解剖学的部位での温度制御を提供する別のシステム100Bの図を示す。システム100Bはシステム100Aと同様であるが、システム100Bは追加の圧力センサ150および流量センサ148を含む。
【0035】
流量センサ150は、吸引装置330(図3を参照)、導管332、または導管134上に、または少なくとも部分的にその中にあり得る。流量センサ336は、通信媒体152を介して制御回路142に流量データを提供することができる。流量データは、流体および破片がどのくらいの速さで解剖学的部位114から除去されているか、または単位時間当たりどのくらいの量の流体が解剖学的部位114に提供されているかを示すことができる。
【0036】
圧力センサ150は、通信媒体154を介して制御回路142に圧力データを提供することができる。圧力データは、解剖学的部位114付近の流体圧力および/または解剖学的部位114の組織に対する圧力を示すことができる。圧力センサ150は、スコープ120と一体的に形成することもできるし、スコープ120に取り外し可能に結合することもできるし、スコープ120に取り付けることもできるし、またはスコープ120から物理的に分離することもできる。解剖学的部位114における圧力は、流体の蒸発によりどれだけのガスが保持されているか、解剖学的部位114内にどの程度の流体および破片が蓄積しているか、解剖学的部位114に関連する温度、またはそれらの組み合わせを示すことができる。解剖学的部位114における圧力は、解剖学的部位114に送達されるエネルギーの効率に影響を与える可能性がある。圧力を制御することにより、制御回路142は、エネルギー送達が効果的かつ安全であることを保証するのに役立ち得る。
【0037】
制御回路142は、温度センサ138からの温度データ、流量センサ150からの流量データ、圧力センサ150からの圧力データ、および/またはそれらの任意の組み合わせに基づいて、解剖学的部位114に関連する温度を決定することができる。制御回路142は、解剖学的部位114の温度を変更することなどのために、導管134内の流体の流量を増加させることができる。制御回路142は、温度センサ138からの温度データ、流量センサ148からの流量データ、圧力センサ150からの圧力データ、および/またはそれらの任意の組み合わせに基づいて、流体リザーバ102内の流体の温度設定点を変更することができる。
【0038】
図1Aおよび図1Bは温度センサ138を示しているが、流量センサ148および/または圧力センサ150が、目標の解剖学的部位で、またはその近くで使用されてもよいし、温度センサ138、流量センサ148および/または圧力センサ150が、目標の解剖学的部位に近接していない1つまたは複数の部位(例えば、スコープ120の近位端上)で使用されてもよい。
【0039】
システム100A、100Bは、スコープ120のユーザが解剖学的部位114(および解剖学的部位114の周囲の解剖学的構造)の温度を変性温度未満および/または低体温誘発温度より高く維持するのに役立つ。システム100A、100Bは、温度管理を知らせるための温度、圧力、または流量データのフィードバックを含まない従来の灌注システムを改良したものである。システム100A、100Bは、測定/計算された温度、流量、圧力、またはそれらの組み合わせに基づいて、目標部位の温度を選択的、適応的、かつスマートに調整することができる。
【0040】
図2は、例として、解剖学的部位114に提供される流体リザーバ102からの流体の流体温度を管理するための別のシステム200のブロック図を示す。システム200は、流体リザーバ102、導管134、内視鏡120、エネルギー制御システム116、エネルギー送達装置118、温度センサ138、制御回路142、および通信媒体136、140、および146を含む、システム100A、100Bのいくつかの構成要素を含む。システム200は、流体冷却器228、表示装置224、通信媒体220、222を含む追加の構成要素を含む。
【0041】
導管230は、流体が流体冷却器228に流れるための経路を提供する。流体冷却器228は流体の温度を下げる。流体冷却器228は、冷却剤を蒸発させる(例えば、冷却剤を液体状態から気体状態に変える)ことによって動作することができ、それにより、冷却剤の周囲の領域を冷却することができる。流体冷却器228はペルチェ効果に基づいて動作することができる。このような冷却器は、物体の第1の部分から第2の物体または同じ物体の第2の部分に熱を伝達し、それによって物体の第1の部分を冷却する。これにより、物体の第1の部分と接触している流体、およびその周囲の流体が冷却される。これらの教示で使用できる他のタイプの冷却があり、提供されている冷却タイプは単なる例である。
【0042】
導管134と流体冷却器228との間の機械的結合は、導管134の第1端を流体冷却器228のポートの周囲に保持することができる。機械的結合は、フォームフィット、圧縮リング、またはその他の機械的結合を含み得る。
【0043】
制御回路142は、通信媒体220上で制御信号を流体冷却器228に提供することができる。制御信号により、流体冷却器228は、流体冷却器228が流体を冷却する温度を調整することができる。通信媒体140上の温度データが、温度が第3または第4の基準を満たしたことを示している場合、制御信号は流体冷却器228の温度設定点の上昇を引き起こす(または流体冷却器228の冷却をオフにする)ことができる。通信媒体140上の温度データが温度が第1または第2の基準を満たしたことを示している場合、制御信号は流体冷却器228の温度設定点の低下を引き起こすことができる。
【0044】
制御回路142は、通信媒体222上に表示温度データを提供することができる。表示温度データは表示装置224に提供することができる。表示温度データは、温度センサ138を使用することなど、解剖学的部位114で測定または計算された温度を含み得る。表示温度データは、流体冷却器228の温度設定点、エネルギー制御システムの電力または他のエネルギー送達パラメータなど、解剖学的部位114の温度に関連する他のデータを含むことができる。
【0045】
表示装置224は、タッチスクリーン、発光ダイオードスクリーン、液晶表示スクリーン、または他の種類のディスプレイを含むことができる。表示装置224は、ユーザインターフェース226上に表示温度データを提供することができる。ユーザインターフェース226はユーザに表示温度データのリアルタイム(またはほぼリアルタイム)のビューを提供する。ユーザインターフェース226は、ユーザが制御回路142の動作を統御するシステム制御パラメータを提供できるようにするアプリケーションプログラミングインターフェース(API)を含むことができる。システム制御パラメータは、温度閾値(高温閾値、低温閾値、またはその両方)、エネルギー制御システム116を介してエネルギー送達装置118によって提供される最大電力量、エネルギー制御システム116によって提供されるエネルギーの電気的または光的エネルギーパラメータ、流体冷却器228の温度設定点、それらの組み合わせなどを含むことができる。ユーザインターフェース226を介して提供される制御パラメータは、制御回路142によって実装することができる。
【0046】
温度データ、圧力データ、流量データ、またはそれらの組み合わせが、解剖学的部位114における温度、圧力、またはそれらの組み合わせが基準に近づいているか、基準と等しくなっているか、または基準を満たしていることを示している場合、ユーザインターフェース226は、ユーザに警告を提供することができる。警告はインターフェース226を使用して視覚的に表示できる。例えば、視覚的な警告は、写真、ビデオ、テキスト、またはそれらの組み合わせなどを含み得る。一実施形態では、ユーザインターフェース226は、解剖学的部位114における測定/計算された温度が所定の閾値を下回る場合、温度読み取り値/推定値を何らかの中間色(例えば白)で継続的に表示する。解剖学的部位114における測定/計算された温度が閾値を超えると、数字の色が赤色および/または太字に変化することがある。追加的にまたは代替的に、音声、触覚フィードバック、またはその他の警告を使用して、温度データ、圧力データ、流量データ、またはそれらの組み合わせが、温度、圧力、またはそれらの組み合わせが指定された値に近づいている、等しい、またはその他の指定された基準が満たされていることを示していることを示し得る。温度データ、圧力データ、流量データ、またはそれらの組み合わせの表示により、ユーザは、流体冷却器228(例えば、流体の温度を調整するため)、流体リザーバ102(例えば、流体の流量を調整するため)、または、解剖学的部位114の温度を所定の制限内に良好に維持するエネルギー制御システム116(例えば、解剖学的部位114に提供されるエネルギーの温度変化率を調整するため)を手動で調整することができる。ユーザインターフェース226は、ユーザインターフェース226を介してユーザによって承認された場合、制御回路142によって自動的に実施される、提案された調整のビュー、音声、触覚フィードバックなどを提供することができる。いくつかの実施形態では、制御回路142は、指定された時間が経過した後、または遅延なく自動的に提案された調整を実行することができる。ユーザは、システム200(または他のシステム)がエネルギー制御システム116、流体リザーバ102、または流体冷却器228に対して自動調整を行うことができる許容範囲を定義することができる。例えば、ユーザは、解剖学的部位114の周囲の温度を42℃未満に維持しようとするなど、システム200が、最大20Wのエネルギー、20Hzのパルス周波数、および150mmの水圧を送達するようにエネルギー制御システム116を自動的に調整できるようにすることができる。これらの承認されたシステム動作範囲はユーザが設定できるため、ユーザは患者の治療中にシステムの警告や提案に応答する必要がある頻度を減らすことができる。
【0047】
システム200は、冷却されていない流体では管理できない温度変化を引き起こす速度でエネルギー送達装置118がエネルギーを供給する場合など、冷却制御を強化する。システム200は、ユーザが、流体を積極的に冷却しない場合に可能であるよりも長い持続期間、解剖学的部位114でエネルギー送達装置118を操作することを可能にすることができる。室温の流体、または温度が積極的に管理されていない他の流体を使用すると、解剖学的部位114の温度の制御精度が低下する。流体冷却器228を使用することにより、ユーザは、室温の流体が収容する温度よりも変性温度を超えて温度を上昇させることなく、エネルギー送達装置118を長時間動作させることができる。これにより、ユーザは、解剖学的部位114およびその周囲の温度が解剖学的部位114の周囲の組織を危険にさらさない温度に低下するのを一時停止して待つ必要がなく、より継続的に治療を提供することができる。
【0048】
図3は、例として、解剖学的部位114に提供される流体の流体温度を管理するための別のシステム300のブロック図を示す。システム300は、流体リザーバ102、導管134、スコープ120、エネルギー制御システム116、エネルギー送達装置118、温度センサ138、制御回路142、表示装置224、流体冷却器228、および通信媒体136、140、146、220、222を含む、システム100A、100B、または200のいくつかの構成要素を含む。システム300は、吸引装置330、流量センサ336、温度センサ338、廃棄物容器334、第2の導管332、通信媒体340および342を含む追加の構成要素を含む。
【0049】
吸引装置330は、解剖学的部位114から流体および破片を除去する。吸引装置330は、流体および破片を導管332を通って廃棄物容器334に流す負の空気圧を生成することができる。吸引装置330は、スコープ120と一体的に形成することもできるし、スコープ120から物理的に分離することもできるし、スコープ120に取り付けることも、スコープ120に取り外し可能に結合することなどもできる。吸引装置330は、解剖学的部位114から温かい流体および破片を除去するのに役立ち、したがって解剖学的部位114の周囲の温度を維持するのに役立つ。
【0050】
導管332は、吸引装置330と廃棄物容器との間に延在し得る。導管332は、流体および破片を解剖学的部位114から廃棄物容器334に輸送することができる。導管332および導管134は、同じ導管の異なる部分であってもよいし、または別個の導管であってもよい。
【0051】
温度センサ338は、吸引装置330もしくは導管332上に、または少なくとも部分的にその中にあってもよい。温度センサ338は、通信媒体340を介して制御回路142に温度データを提供することができる。制御回路142は、温度データに基づいて解剖学的部位114に関連する温度を決定することができる。吸引装置330によって除去される流体の温度は、解剖学的部位114の温度よりも低くなり得る。温度センサ338からの温度は、流体が解剖学的部位114から除去されるときの冷却を考慮して(例えば、定数によって、温度に比例して、または温度に基づいて)調整することができる。測定された温度データと解剖学的部位114の温度との差は、治療処置の前に経験的に決定され、および/または理論的に計算され得る。
【0052】
流量センサ336は、吸引装置330または導管332上に、あるいは少なくとも部分的にその中にあってもよい。流量センサ336は、通信媒体342を介して制御回路142に流量データを提供することができる。流量データは、流体や破片が解剖学的部位114からどのくらいの速さで除去されているかを示すことができる。ユーザまたは制御回路142は、吸引装置330の流量などの吸引装置330の設定を調整することができる。制御回路142は、通信媒体344上に制御信号を発行することによって、吸引装置330の流量を変更することができる。制御回路142は、温度センサ338からの温度データ、温度センサ138からの温度データ、流量センサ336からの流量データ、またはそれらの組み合わせに基づいて、解剖学的部位に関連する温度を決定することができる。制御回路142は、解剖学的部位114の温度を変更することなど、導管134および/または吸引装置330内の流体の流量を増加させることができる。制御回路142は、温度センサ338からの温度データ、流量センサ336からの流量データ、温度センサ138からの温度データ、またはそれらの組み合わせに基づいて、流体冷却器228の温度設定点を変更することができる。
【0053】
ユーザインターフェース226は、制御回路142に提供される流量データ、温度データ、または他のデータのビューを提供することができる。ユーザインターフェース226は、流量や、吸引装置330に関連するポンプのポンプ速度などの流量に関連する別のパラメータなど、吸引装置330の現在の設定のビューをユーザに提供することができる。
【0054】
図4は、一例として、解剖学的部位114に供給される混合流体の流体温度または解剖学的部位114における圧力を管理するためのシステム400のブロック図を示す。システム400は、システム100A、100B、および200のいくつかの構成要素を含み、いくつかの追加の構成要素を含む。システム400は、吸引装置330、温度センサ338、流量センサ336、導管332、1つまたは複数の通信媒体344、342、340、222、表示装置224、またはそれらの組み合わせを含むことができる。図4の追加の構成要素には、流体リザーバ440、導管442、作動弁444、温度センサ446、導管448、ポンプ450、流量センサ452、および通信媒体456、458、460、462が含まれる。
【0055】
流体リザーバ440は、流体リザーバ102と同じ供給源であっても、異なる供給源であってもよい。流体リザーバ440内の流体は、生理食塩水または別の流体であってもよい。流体リザーバ440からの流体は、導管442を通って作動弁444まで移動することができる。流体リザーバ440からの流体の温度は、解剖学的部位114に送達される前に加熱器または冷却器を通らないため、「直接流体」と呼ばれることがある。
【0056】
作動弁444は、流体リザーバ440からの流体と、流体冷却器228からの冷却された流体の両方を受け取ることができる。冷却された流体は、流体冷却器228と作動弁444との間に結合された導管466に供給され得る。作動弁444は、流体リザーバ440からの流体と冷却された流体とを混合させることができる。出力オリフィスの有効サイズは、通信媒体456上の制御回路142の制御信号によって調整することができる。例えば、制御信号により、出力オリフィスに結合されたモータがオリフィスによって提供される開口を増大または低減させることができる。したがって、制御回路142は、作動弁444の出力にどれだけの流体が提供され、最終的に解剖学的部位114に提供されるかを滴定することができる。作動弁は、弁を動作させるために機械的に結合された作動弁444のモータに結合された電源を使用する弁アクチュエータを含む。電源は電気、空気圧、または油圧であることができる。作動弁444は回転式または直線式であってもよい。
【0057】
制御回路142は、作動弁444の1つまたは複数のオリフィスを開くことによって、解剖学的部位114に提供される流体の量を増加させることができる。制御回路142は、作動弁444の1つまたは複数のオリフィスを閉じることによって、解剖学的部位114に提供される流体の量を減少させることができる。制御回路142は、通信媒体456上に制御信号を発行することによって、作動弁444のオリフィスの開口度を調整することができる。
【0058】
作動弁444の1つまたは複数のオリフィスの開口サイズを調整することによって、制御回路142は導管134内の流体の温度を調整し、したがって解剖学的部位114に提供される流体の温度を変更することができる。例えば、直接流体と冷却された流体にそれぞれ関連付けられた2つの別個のオリフィス(または弁)が存在してもよい。各オリフィス(または弁)の状態(例えば、開口のサイズや開度)を調整することにより、導管134内の混合流体の温度を制御することができる。混合流体の温度は、解剖学的部位114に関連する温度、弁444と解剖学的部位114との間の導管134の長さ、またはそれらの組み合わせに基づいて決定することができる。解剖学的部位114の温度は、エネルギー送達装置118によって送達されるエネルギー、吸引装置330によって提供される空気流、またはそれらの組み合わせなどによって、導管134の長さに沿って生じる加熱または冷却を考慮して補償することができる。混合流体の温度は、解剖学的部位114の温度がユーザ指定の(またはデフォルトの)許容温度範囲内に確実に維持されるように調節することができる。
【0059】
温度センサ446は、作動弁444上に、または少なくとも部分的に作動弁444内にあってもよい。温度センサ446は、作動弁444内の混合流体の温度を示す温度データを提供することができる。温度データは、通信媒体458を使用して制御回路142に提供することができる。
【0060】
導管448は、作動弁444からポンプ450に混合流体を提供することができる。ポンプ450は、蠕動ポンプまたは同様の流体ポンプを含むことができる。ポンプ450は、導管134内の混合流体の流量に影響を与える調整可能なポンプ速度を含むことができる。ポンプ450のポンプ速度は、制御回路142によって調整することができる。制御回路142は、ポンプ450のポンプ速度を調整する制御信号を通信媒体460上に発行することができる。
【0061】
流量センサ452は、通信媒体462上の制御回路142に流量データを提供することができる。流量データは、単位時間当たりどれだけの量の流体が導管134内を通過するかを示すことができる。制御回路142は、ポンプ速度(および混合流体の流量)を増加させて、解剖学的部位114の温度を下げることができる。
【0062】
圧力センサ150は、通信媒体154を介して制御回路142に圧力データを提供することができる。圧力データは、解剖学的部位付近の流体圧力および/または解剖学的部位114の組織に対する圧力を示すことができる。圧力センサ150は、スコープ120と一体的に形成することもできるし、スコープ120に取り外し可能に結合することもできるし、スコープ120に取り付けることもできるし、またはスコープ120から物理的に分離することもできる。解剖学的部位114における圧力は、流体の蒸発によりどれだけのガスが保持されているか、解剖学的部位114内にどの程度の流体および破片が蓄積しているか、解剖学的部位114に関連する温度、またはそれらの組み合わせを示すことができる。解剖学的部位114における圧力は、解剖学的部位114に送達されるエネルギーの効率に影響を与える可能性がある。圧力を制御することにより、制御回路142は、エネルギー送達が効果的かつ安全であることを保証するのに役立ち得る。
【0063】
ユーザインターフェース226(図2および図3を参照)は、温度センサ446からの温度データのビュー、作動弁444の状態(弁の開閉量)、ポンプ450のポンプ速度、導管134内の混合流体の流量、圧力センサ150からの圧力データ、またはそれらの組み合わせを提供することができる。ユーザは、ユーザインターフェース226上に提供されるデータにより、エネルギー送達の状態および有効性についてより適切な情報を知ることができる。
【0064】
図5は、一例として、解剖学的部位114に提供される混合流体の流体温度を管理するためのシステム500のブロック図を示す。システム500は、システム100A、100B、200、300、および400の構成要素を含む。システム500は、別の流体リザーバ550、導管552、流体加熱器554、導管556、通信媒体558、通信媒体562、および警報装置560を含む追加の構成要素を含む。システム500は、作動弁444で混合される3つの異なる温度の流体を含む。流体には、流体冷却器228からの冷却された流体、流体リザーバ440からの直接流体、および流体加熱器554からの加熱された流体が含まれる。3つの異なる温度の流体が示されているが、2つの異なる温度のみの流体、または4つ以上の温度の流体を使用することもできる。
【0065】
流体リザーバ550は、流体リザーバ440または流体リザーバ102と同じまたは異なる流体源とすることができる。流体加熱器554は、導管552によって流体リザーバ550から流体を受け取ることができる。流体加熱器554は、電気、電磁、セラミック、または他の加熱器を含むことができる。流体加熱器554は、流体リザーバ550からの流体の温度を上昇させることができる。加熱された流体は、導管556によって作動弁444に供給され得る。
【0066】
制御回路142は、流体加熱器554の温度設定点を調整することができる。制御回路142は、流体加熱器554の温度設定点の変更を引き起こす制御信号を通信媒体558上に提供することができる。制御回路142は、流体加熱器554の温度設定点を上昇させて、導管134を介して解剖学的部位114に提供される流体の温度を上昇させることができる。制御回路142は、流体加熱器554の温度設定点を下げて、導管134を通って解剖学的部位114に提供される流体の温度を下げることができる。
【0067】
作動弁444の1つまたは複数のオリフィスの開口サイズを調整することによって、制御回路142は導管134内の流体の温度を調整し、したがって解剖学的部位114に提供される流体の温度を変更することができる。例えば、加熱された流体、直接流体、および冷却された流体にそれぞれ関連付けられた3つの別個のオリフィス(または弁)が存在してもよい。各オリフィス(または弁)の状態(例えば、開口のサイズや開度)を調整することにより、導管134内の混合流体の温度を制御することができる。混合流体の温度は、解剖学的部位114に関連する温度、弁444と解剖学的部位114との間の導管134の長さ、またはそれらの組み合わせに基づいて決定することができる。解剖学的部位114の温度は、エネルギー送達装置118によって送達されるエネルギー、吸引装置330によって提供される空気流、それらの組み合わせなどによって、導管134の長さに沿って生じる加熱または冷却を考慮して補償することができる。混合流体の温度は、解剖学的部位114の温度がユーザ指定の(またはデフォルトの)許容温度範囲内に確実に維持されるように調節することができる。
【0068】
ユーザインターフェース226は、流体加熱器554の温度設定点または別の温度設定点を示すデータを提供することができる。ユーザは、流体加熱器554の温度設定点または別の温度設定点を、ユーザインターフェース226を介して調整することができる。
【0069】
灌注の流入量と流出量を把握することで、灌注の流入および流出の温度、およびエネルギー制御システム116のエネルギー設定(例えば、パルス当たりのジュール、ワットなど)、制御回路142は、解剖学的部位114に出入りするエネルギーの量を監視することができる。式(1)はこの関係を示している。
【0070】
T=Tinflow+0.239ΔE/ΔV (1)
【0071】
ΔEは、ある瞬間におけるエネルギーの累積差(ジュールなど)であり、ΔVは、同じ瞬間に手術空間に出入りする洗浄流体の量の差(例えば、立方センチメートル単位)であり、Tinflowは、解剖学的部位114に流入する流体の温度であり、Tは、解剖学的部位114内の瞬間における洗浄流体の平均温度である。解剖学的部位の温度を決定する方法に関する詳細は、2018年8月25日に出願された「Automatic Irrigation-Coordinated Lithotripsy」と題する米国特許公開第2018/0055568号に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0072】
制御回路142は、式(1)を使用して、同じ持続時間にわたって、流入および流出灌注量、エネルギー送達装置118によって解剖学的部位114に加えられるエネルギー、および流入流体(生理食塩水など)の温度を監視することによって、解剖学的部位114の温度を推定することができる。
【0073】
通信媒体562は、警報データを警報装置560に提供することができる。警報装置560は、温度閾値が違反されたことを示すように構成されたディスプレイ、スピーカ、モータなどを含み得る。ディスプレイ224は、追加的にまたは代替的に、警告データを提供することができる。スピーカは、閾値に違反したこと、どの閾値に違反したか、またはその組み合わせを示す音声を提供できる。モータは、閾値が違反されたか、どの閾値が違反されたか、またはその組み合わせを示す振動(触覚フィードバック)を提供できる。ディスプレイは、閾値が違反されたこと、どの閾値が違反されたか、またはそれらの組み合わせを示す視覚的な警告を提供できる。
【0074】
図6は、例として、解剖学的部位の温度管理のための方法600の実施形態の図を示す。方法600は、システム100A、100B、200、300、400、500、またはそれらの組み合わせのうちの1つまたは複数の構成要素の1つまたは複数によって実行される動作を含むことができる。図示の方法600は、動作660において、解剖学的部位に光エネルギーまたは電気エネルギーを提供するステップと、動作662において、第1の導管を介して解剖学的部位に流体を提供するステップと、動作664において、制御回路において、解剖学的部位に関連する第1の温度を受信するステップと、動作666において、制御回路によって、第1の温度に基づいて、第2の温度または解剖学的部位への流体の流量パラメータのうちの少なくとも1つを滴定して、解剖学的部位の温度を所望の目標温度に向けて管理する制御信号を提供するステップと、を含む。
【0075】
方法600は、吸引装置によって解剖学的部位から流体を除去し、除去された流体をもたらすステップをさらに含むことができる。方法600は、吸引装置と流体連通する第2の導管によって、除去された流体を廃液ディスペンサに移送するステップをさらに含むことができる。第1の温度は、除去された流体の温度、または解剖学的部位の流体の温度であってもよい。
【0076】
方法600は、流体冷却器によって流体の第1の部分を冷却し、冷却された流体をもたらすステップをさらに含むことができる。方法600は、第2の導管によって冷却された流体を提供するステップをさらに含むことができる。方法600は、制御回路によって、第1の温度に基づいて、流体冷却器が冷却された流体を冷却する第2の温度を調整するステップをさらに含むことができる。
【0077】
方法600は、流体加熱器によって流体の第2の部分を加熱し、加熱された流体をもたらすステップをさらに含むことができる。方法600は、第3の導管によって加熱された流体を提供するステップをさらに含むことができる。方法600は、制御回路によって、第1の温度に基づいて、流体加熱器が冷却された流体を加熱する第3の温度を調整するステップをさらに含むことができる。
【0078】
方法600はさらに、制御回路に電気的に結合されたディスプレイによって、第1の温度のビュー、流体加熱器の温度設定点、流体冷却器の温度設定点、解剖学的部位への流体の流量、解剖学的部位から離れる流体の流量、混合水の温度、解剖学的部位の圧力、解剖学的部位から流出する流体の温度、ポンプのポンプ速度、またはそれらの組み合わせを提供するステップをさらに含んでいてもよい。
【0079】
図7は、一例として、解剖学的部位114における温度、圧力、またはそれらの組み合わせを決定するための方法700の流れ図を示す。方法700は、例えば、制御回路142によって実行するステップができる。図示の方法700は、エネルギーデータ770、温度データ772、圧力データ774、流量データ776、またはそれらの組み合わせを受信するステップを含む。図示の方法700はさらに、動作778において解剖学的部位114に関連する温度または圧力を決定するステップを含む。
【0080】
エネルギーデータ770は、エネルギー制御システム116の1つまたは複数の設定に関する。設定は、エネルギー制御システム116の動作パラメータを規定する。動作パラメータは、振幅、周波数、電圧、電流、位相、電力、またはそれらの組み合わせなどを含み得る。エネルギーデータ770は、通信媒体146を介してエネルギー制御システム116によって提供されるか、または(制御回路142が動作パラメータを設定できるため)制御回路142によって知られていてもよい。
【0081】
温度データ772は、システム100A、100B、200、300、400、または500のいずれかの温度センサのいずれかからのデータを含むことができる。温度データ772は、解剖学的部位114に流入する流体、解剖学的部位114から出てくる流体、またはシステム100A、100B、200、300、400、500が配置されている部屋の周囲温度に関連付けることができる。温度データは、流体冷却器228、流体加熱器554、またはそれらの組み合わせの温度設定点を含むことができる。
【0082】
圧力データ774は、解剖学的部位114における測定圧力を示すことができる。圧力データ774は、解剖学的部位114における流体圧力、ガス圧力、または全体の圧力を示すことができる。圧力データ774は、圧力センサ150または別の圧力センサからのものであってもよい。
【0083】
流量データ776は、特定の限定領域内を流体が流れる速度を示すことができる。流量データ776は、流量センサ148、336、452のいずれか、別の流量センサ、ポンプ450、吸引装置330、またはそれらの組み合わせからのものであってもよい。流量データ776は、流量またはポンプ速度を示すことができる。流量データ776は、ポンプ450によって移動される単位時間当たりの体積を示すことができる。
【0084】
動作778は、解剖学的部位114における温度、圧力、またはその両方を推定することを含むことができる。圧力は、圧力データ774、温度データ772、流量データ776、エネルギーデータ770、またはそれらの組み合わせに基づいて決定され得る。一般に温度の上昇は圧力の上昇を意味する。解剖学的部位114に流入する流量と解剖学的部位114から流出する流量との間のデルタが大きいほど、圧力は高くなる。解剖学的部位114に提供されるエネルギー量が多ければ多いほど、解剖学的部位の温度は高くなり、したがって圧力も高くなる。制御回路142は、動作778で圧力を決定する際に、これらの要素のすべて、または一部だけを重み付けすることができる。
【0085】
温度は、圧力データ774、温度データ772、流量データ776、エネルギーデータ770、またはそれらの組み合わせに基づいて決定され得る。圧力の上昇は一般に温度の上昇を意味する。解剖学的部位114への流体の流量が高くなるほど、解剖学的部位114の温度は解剖学的部位114への流体の温度とより近くなる。解剖学的部位114に提供されるエネルギー量が多ければ多いほど、解剖学的部位114の温度は高くなる。制御回路142は、動作778で温度を決定する際に、これらの要素のすべて、または一部だけを重み付けすることができる。
【0086】
図8は、一例として、システム100A、100B、200、300、400、または500の1つまたは複数の構成要素を調整して解剖学的部位114の温度を調節するための方法800の図を示す。方法800は、少なくとも部分的に、制御回路142によって実行することができる。図示の方法800は、動作880においてデータを受信するステップを含む。受信したデータは、圧力データ774、温度データ772、流量データ776、エネルギーデータ770、またはそれらの組み合わせのいずれかを含み得る(図7を参照)。動作880は、解剖学的部位に関連する温度を決定するステップを含むことができる(例えば、図7の動作778を実行することによって)。動作882において、温度を第1の基準と比較することができる。温度が第1の基準を満たしている場合(温度が高すぎるか、または高すぎる傾向にあることを示す)、動作884を実行することができる。温度が第1の基準を満たさない場合、動作886を実行できる。
【0087】
第1の基準には、指定された閾値温度よりも高い温度、例えば正で別の指定された閾値よりも大きい温度の変化率、それらの組み合わせなどが含まれ得る。動作884には、(例えば、温度が第1の基準を満たすとの判定に応答して)(i)流体加熱器554の温度設定点を下げる、流体冷却器228の温度設定点を下げる、加熱された流体を供給する作動弁のオリフィスの開口を低減させる、または冷却された流体、直接流体を提供する作動弁のオリフィスの開口を増大させるまたはそれらの組み合わせなどにより、解剖学的部位114への流体の温度を低下させるステップ、(ii)例えばポンプ450のポンプ速度を増加させる、冷却された流体、直接流体を提供する作動弁のオリフィスの開口を増大させる、またはそれらの組み合わせなどにより、解剖学的部位114に提供される流体の量を増加させるステップ、(iii)解剖学的部位114から除去される流体および破片の量を増加させる(例えば、吸引装置330のポンプ速度を増加させる)ステップ、または(iv)エネルギー送達装置118によって提供されるエネルギー量を減少させるステップ、それらの組み合わせなどが含まれ得る。
【0088】
動作886において、温度を第2の基準と比較することができる。温度が第2の基準を満たす場合(温度が低すぎるか、低すぎる傾向にあることを示す)、動作888を実行することができる。温度が第2の基準を満たさない場合、動作880が実行され得る。
【0089】
第2の基準には、特定の閾値温度未満の温度、例えば別の特定の閾値よりも大きい大きさを有する負の温度の変化率、またはそれらの組み合わせなどが含まれ得る。動作888には、(例えば、温度が第2の基準を満たすとの判定に応答して)(i)例えば、流体加熱器554の温度設定点を増加させる、流体冷却器228の温度設定点を上昇させる、加熱された流体を提供する作動弁のオリフィスの開口を増大させる、または冷却された流体、直接流体、またはそれらの組み合わせを提供する作動弁のオリフィスの開口を低減させることによって、解剖学的部位114への流体の温度を上昇させるステップ、(ii)ポンプ450のポンプ速度を減少させる、冷却された流体、直接流体、またはそれらの組み合わせを提供する作動弁のオリフィスの開口を低減させるなどによって、解剖学的部位114に提供される流体の量を減少させるステップ、(iii)解剖学的部位114から除去される流体および破片の量を増加させる(例えば、吸引装置330のポンプ速度を増加させる)ステップ、または(iv)エネルギー送達装置118によって提供されるエネルギー量を増加させるステップ、それらの組み合わせなどが含まれ得る。
【0090】
例えば、解剖学的部位114における流体の温度が周囲温度より低く、解剖学的部位114における温度を下げる働きをすることができる場合、解剖学的部位114の流体の温度が周囲温度より高い場合など、解剖学的部位114から流体および破片を除去すると、解剖学的部位114の温度が上昇する可能性があることに留意されたい。
【0091】
流量、温度、時間、圧力、またはそれらの組み合わせの測定から導き出せる関係は数多くある。このような関係の1つは、温度変化率(単位時間あたりの温度変化)を決定することを含むことができ、これを時間内に予測して、ユーザ定義の温度閾値に到達するまでにどれくらいの時間がかかるかを推定することができる。例えば、解剖学的部位114の温度が閾値の1つに到達すると予測されるまでの残り時間を表示するカウントダウンがユーザインターフェース226上に表示されることもあり得る。ユーザインターフェース226は、ユーザが患者にとって何が最善であるかについて適切な決定を下せるように、変化率および閾値を超えるまでの時間に関する情報をユーザに提供するなど、測定値、予測などのビューをユーザに提供することができる。
【0092】
図9は、一例として、システム100A、100B、200、300、400、または500の1つまたは複数の構成要素を調整して解剖学的部位114の圧力を調節するための方法900の図を示す。方法900は、少なくとも部分的に、制御回路142によって実行され得る。図示の方法900は、動作990でデータを受信するステップを含む。受信したデータは、圧力データ774、温度データ772、流量データ776、エネルギーデータ770、またはそれらの組み合わせのいずれかを含み得る(図7を参照)。動作990は、解剖学的部位に関連する圧力を決定するステップを含み得る(例えば、図7の動作778を実行することによって)。図示の方法900は、動作992において圧力が第3の基準を満たすかどうかを判定するステップを含む。圧力が第3の基準を満たす場合(圧力が高すぎるか、高すぎる傾向にあることを示す)、動作994が実行され得る。圧力が第3の基準を満たさない場合、動作990が実行され得る。
【0093】
第3の基準には、指定された圧力閾値よりも大きい圧力、例えば正であり、別の指定された圧力閾値よりも大きい圧力の変化率、それらの組み合わせなどが含まれ得る。動作994は、(例えば、圧力が第3の基準を満たすとの判定に応答して)(i)流体加熱器554の温度設定点を下げる、流体冷却器228の温度設定点を下げる、加熱された流体を供給する作動弁444のオリフィスの開口を低減させる、または冷却された流体、直接流体、またはそれらの組み合わせを提供する作動弁444のオリフィスの開口を増大させる、などにより、解剖学的部位114への流体の温度を低下させるステップ、(ii)例えば、ポンプ450のポンプ速度を減少させること、冷却された流体、加熱された流体、直接流体、またはそれらの組み合わせを提供する作動弁444のオリフィスの開口を低減させることによって、解剖学的部位114に提供される流体の量を減少させるステップ、(iii)解剖学的部位114から除去される流体および破片の量を増加させる(例えば、吸引装置330のポンプ速度を増加させる)ステップ、または(iv)エネルギー送達装置118によって提供されるエネルギー量を減少させるステップ、それらの組み合わせなどを含み得る。
【0094】
システム100A、100B、200、300、400、500のうちの1つまたは複数は、方法600、700、800、または900の1つまたは複数を実施する間など、解剖学的部位114の温度を指定された温度(例えば、37℃/通常の体温)近くに維持することができ、これにより、医師はより高出力の治療システムを使用できるようになり、より効率的でより迅速な処置時間が得られる。高出力エネルギー治療システムによって余分な熱が生成されるため、教示では、冷蔵された(またはさもなければ冷却された)洗浄流体が提供される。この教示では、現場での流体温度を制御するためにフィードバック駆動システムを使用できる。
【0095】
冷却された洗浄流体を使用すると、必要に応じて適切な量の冷却された流体を追加したり、温度が下がりすぎた場合に熱を加えたりすることで、解剖学的部位/処置部位の温度を制御できる。このようなシステムは弁を含むことができ、室温の生理食塩水、冷却した生理食塩水、および/または加熱した生理食塩水を弁への1つまたは複数の入力として、洗浄流体の温度を正確に制御できるようにすることができる。解剖学的部位や過剰な流体などからのフィードバック温度は、ロジックに温度と流量の情報とを提供し、弁と洗浄ポンプとの制御方法を決定することができる。
【0096】
図10は、一例として、1つまたは複数の実施形態を実装するための機械1000(例えば、コンピュータシステム)の一実施形態のブロック図を示す。機械1000は、方法600、700、800、900、それらの一部、あるいは全体もしくは部分の組み合わせなどの、解剖学的部位の温度管理のための方法を実施することができる。制御回路142、エネルギー制御システム116、エネルギー送達装置118、スコープ120、温度センサ138、流体冷却器228、ディスプレイ224、流量センサ336、温度センサ338、作動弁444、ポンプ450、流量センサ452、温度センサ446、圧力センサ150、流体加熱器554、またはそれらの組み合わせは、機械1000の1つまたは複数の構成要素を含み得る。
【0097】
一例の機械1000(コンピュータの形態)は、処理装置1002、メモリ1003、リムーバブル記憶装置1010、および非リムーバブル記憶装置1012を含むことができる。例示的なコンピューティング装置は機械1000として図示および説明されているが、コンピューティング装置は、異なる実施形態では異なる形態であってもよい。例えば、コンピューティング装置は、代わりに、スマートフォン、タブレット、スマートウォッチ、または図10に関して図示および説明したのと同じまたは類似の要素を含む他のコンピューティング装置であってもよい。スマートフォン、タブレット、スマートウォッチなどの装置を総称してモバイル装置と呼ぶ。さらに、様々なデータ記憶要素が機械1000の一部として示されているが、記憶装置は、インターネットなどのネットワークを介してアクセス可能なクラウドベースの記憶装置も含むことができ、あるいはその代わりに、クラウドベースの記憶装置を含むこともできる。
【0098】
メモリ1003は、揮発性メモリ1014および不揮発性メモリ1008を含み得る。機械1000は、揮発性メモリ1014および不揮発性メモリ1008、リムーバブル記憶装置1010および非リムーバブル記憶装置1012などの様々なコンピュータ可読媒体を含む、またはそれらを含むコンピューティング環境にアクセスすることができる。コンピュータ記憶装置は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ、またはその他のメモリ技術、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD ROM)、デジタルバーサタイルディスク(DVD)またはその他の光ディスク記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置、または本明細書で説明されている機能を実行するためのコンピュータ可読命令を保存できるその他の磁気記憶装置を含み得る。
【0099】
機械1000は、入力1006、出力1004、および通信接続1016を含むコンピューティング環境を含むか、またはそれにアクセスすることができる。出力1004は、入力装置としても機能するタッチスクリーンなどの表示装置を含み得る。入力1006は、タッチスクリーン、タッチパッド、マウス、キーボード、カメラ、1つまたは複数の装置固有のボタン、機械1000内に統合されるか、または有線もしくは無線のデータ接続を介して機械1000に結合される1つまたは複数のセンサ、および他の入力装置のうちの1つまたは複数を含み得る。コンピュータは、通信接続を使用してネットワーク環境で動作し、クラウドベースのサーバーや記憶装置を含むデータベースサーバーなどの1つまたは複数のリモートコンピュータに接続できる。リモートコンピュータには、パーソナルコンピュータ(PC)、サーバー、ルータ、ネットワークPC、ピア装置または他の一般的なネットワークノードなどが含まれ得る。通信接続には、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、携帯電話、電気電子学会(IEEE)802.11(Wi-Fi)、Bluetooth、またはその他のネットワークが含まれ得る。
【0100】
コンピュータ可読記憶装置に保存されたコンピュータ可読命令は、機械1000の処理装置1002(処理回路と呼ばれることもある)によって実行可能である。ハードドライブ、CD-ROM、RAMは、記憶装置などの非一時的なコンピュータ可読媒体を含む物品のいくつかの例である。例えば、コンピュータプログラム1018を使用して、処理装置1002に本明細書に記載の1つまたは複数の方法またはアルゴリズムを実行させることができる。
【0101】
追加のメモおよび実施例
実施例1は、解剖学的部位のビューを提供するように構成されたスコープと、解剖学的部位に治療エネルギーを送達するように構成されたエネルギー送達装置と、流体を解剖学的部位に移送するように構成された第1の灌注導管と、解剖学的部位に関連する第1の温度データを提供するために配置された第1の温度センサと、第1の温度データを受信するために電気的に結合された制御回路であって、制御回路が、第1の温度データに少なくとも部分的に基づいて、(i)流体の第1の温度、(ii)流体の流量パラメータ、または(iii)解剖学的部位の第2の温度を管理するためのエネルギー送達装置の設定、の少なくとも1つを調整するように構成された、制御回路と、を備える治療送達システムを含む。
【0102】
実施例2では、実施例1にさらに、解剖学的部位から流体を除去し、除去された流体をもたらすように構成された吸引装置と、吸引装置と流体連通し、除去された流体を受け取り、除去された流体を解剖学的部位から移送するように構成された第2の灌注導管であって、第1の温度データは、除去された流体の第3の温度である、第2の灌注導管と、を含めることができる。
【0103】
実施例3では、実施例1~2の少なくとも1つはさらに、第1の温度データが第2の温度を含むことを含むことができる。
【0104】
実施例4では、実施例1~3のうちの少なくとも1つが、流体と流体連通する流体冷却器であって、流体の第1の部分を受け入れて冷却し、冷却された流体をもたらすように構成された、流体冷却器、をさらに含んでいてもよく、制御回路は、第1の温度データに基づいて、流体冷却器が冷却された流体を冷却する第4の温度を調整する。
【0105】
実施例5では、実施例4は、流体と流体連通する第3の灌注導管をさらに含むことができ、第3の灌注導管は流体の第2の部分を受け入れるように構成され、第1の灌注導管は、流体の第2の部分と冷却された流体の両方の混合物を受け入れるように構成されている。
【0106】
実施例6では、実施例4~5の少なくとも1つは、流体と流体連通する流体加熱器をさらに含むことができ、流体加熱器は、流体の第3の部分を受け取って加熱し、加熱された流体をもたらすように配置され、第1の灌注導管は、加熱された流体と冷却された流体の両方の混合物を受け入れるように構成されている。
【0107】
実施例7では、実施例6は、第1の灌注導管と流体連通し、制御回路に電気的に結合された少なくとも1つの作動弁をさらに含むことができ、少なくとも1つの作動弁は、流体冷却器と第1の灌注導管との間に配置し、および/または流体加熱器と第1の灌注導管との間に配置し、制御回路は、第1の温度データに基づいて作動弁の物理的状態を変更するように構成されている。
【0108】
実施例8では、実施例7は、作動弁からの流体の第5の温度を決定するために配置された第2の温度センサをさらに含むことができ、制御回路はさらに、第5の温度に基づいて流体加熱器および流体冷却器のそれぞれの温度設定を調整するように構成されている。
【0109】
実施例9では、実施例1~8のうちの少なくとも1つは、第1の灌注導管と流体連通し、制御回路に電気的に結合されたポンプをさらに含むことができ、制御回路は、第1の温度データに基づいてポンプのポンプ速度を調整するように構成されている。
【0110】
実施例10では、実施例9は、制御回路に電気的に結合され、解剖学的部位の周囲の圧力を表す圧力データを生成するように配置された圧力センサをさらに含むことができ、制御回路は、圧力データに基づいてポンプのポンプ速度を調整するようにさらに構成されている。
【0111】
実施例11では、実施例9~10の少なくとも1つは、ポンプからの流体の流量を決定するために配置された流量センサをさらに含むことができ、流量センサは制御回路に電気的に結合され、制御回路は流量に基づいてポンプの速度を調整するようにさらに構成されている。
【0112】
実施例12では、実施例1~11のうちの少なくとも1つはさらに、制御回路が、第1の温度データに基づいて、解剖学的部位の温度を管理するためにエネルギー送達装置の設定を調整するように構成されることを含むことができる。
【0113】
実施例13では、実施例1~12のうちの少なくとも1つは、制御回路に電気的に結合された表示装置をさらに含むことができ、表示装置は、ユーザに第1の温度のビューを提供するように構成されている。
【0114】
実施例14では、実施例13は、第1の温度が閾値温度を超えたか、または超えようとしていることを示す音声、視覚、または触覚フィードバックを生成するように構成された警報装置をさらに含むことができる。
【0115】
実施例15では、実施例13~14の少なくとも1つは、ディスプレイが、それを上回って解剖学的部位を維持するための第1の温度設定点と、それを下回って解剖学的部位を維持するための第2の温度設定点とを示すデータを受信するように構成されたユーザインターフェースを提供し、制御回路は自動的に動作して、解剖学的部位の温度を第1の温度設定点と第2の温度設定点との間で管理することをさらに含む。
【0116】
実施例16は、解剖学的部位に光または電気エネルギーを提供するステップと、第1の灌注導管を介して解剖学的部位に流体を提供するステップと、制御回路において、解剖学的部位に関連する第1の温度を受信するステップと、制御回路によって、第1の温度に基づいて、解剖学的部位への流体の第2の温度または流量パラメータのうちの少なくとも1つを滴定する制御信号を提供し、解剖学的部位の温度を所望の目標温度に向けて管理するステップと、を含む方法を含む。
【0117】
実施例17では、実施例16は、吸引装置によって解剖学的部位から流体を除去し、除去された流体をもたらすステップと、吸引装置と流体連通する第2の灌注導管によって、除去された流体を廃棄物容器に移送するステップであって、第1の温度は除去された流体の温度である、ステップと、をさらに含むことができる。
【0118】
実施例18では、実施例17はさらに、第1の温度が解剖学的部位における流体の温度であることを含むことができる。
【0119】
実施例19では、実施例17~18の少なくとも1つが、流体冷却器によって流体の第1の部分を冷却し、冷却された流体をもたらすステップと、第2の灌注導管によって冷却された流体を提供するステップであって、制御回路は、第1の温度に基づいて、流体冷却器が冷却された流体を冷却する第2の温度を調整する、ステップと、をさらに含むことができる。
【0120】
実施例20では、実施例17~19のうちの少なくとも1つは、制御回路に電気的に結合されたディスプレイによって、第1の温度のビューを提供するステップをさらに含むことができる。
【0121】
実施例21は、解剖学的部位のビューを提供するように構成されたスコープと、解剖学的部位に電気または光エネルギーを提供するように構成されたエネルギー送達装置と、少なくとも1つの作動弁と、流体の第1の部分および少なくとも1つの作動弁と流体連通する第1の灌注導管であって、第1の部分を作動弁に直接提供し、直接流体をもたらすように構成された、第1の灌注導管と、流体の第2の部分および少なくとも1つの作動弁と流体連通する流体冷却器であって、流体冷却器の温度設定に基づいて流体の第2の部分を冷却し、冷却された流体をもたらすように構成された、流体冷却器と、冷却された流体と直接流体の混合物と流体連通する第2の灌注導管と、解剖学的部位に関連する第1の温度データを提供するために配置された第1の温度センサと、第1の温度センサに電気的に結合された制御回路であって、第1の温度データを受信し、少なくとも1つの作動弁の状態、温度設定、またはそれらの組み合わせを調整して、解剖学的部位の温度を管理する制御信号を提供するように構成された、制御回路と、を備える治療送達システムを含む。
【0122】
前述の説明および図面は、当業者が実施できるように特定の実施形態を十分に示している。他の実施形態は、構造的、論理的、電気的、プロセス、およびその他の変更を組み込むことができる。いくつかの実施形態の部分および特徴は、他の実施形態の部分および特徴に含めることができ、または他の実施形態の部分および特徴と置き換えることができる。特許請求の範囲に記載された実施形態は、それらの特許請求の範囲の利用可能なすべての均等物を包含する。
【0123】
本明細書全体を通じて、単一の例として記述された構成要素、動作、または構造を複数の例で実装できる。1つまたは複数の方法の個々の動作が別個の動作として図示および説明されているが、個別の動作の1つまたは複数は同時に実行でき、動作が図示された順序で実行される必要はない。構成例では別個の構成要素として示されている構造および機能は、結合された構造または構成要素として実装できる。同様に、単一の構成要素として表示される構造および機能は、別個の構成要素として実装できる。これらおよびその他の変更、修正、追加、および改良は、本明細書の主題の範囲内に含まれる。
【0124】
特定の例示的な実施形態を参照して本発明の主題の概要を説明したが、本開示の実施形態のより広い範囲から逸脱することなく、これらの実施形態に様々な修正および変更を加えることができる。本発明の主題のそのような実施形態は、本明細書では、単に便宜上、本願の範囲を、実際に2つ以上が開示された場合に任意の単一の開示または発明の概念に自発的に限定することを意図することなく、個別にまたは集合的に「発明」という用語で参照される場合がある。
【0125】
本明細書に示される実施形態は、当業者が開示された教示を実践できるように十分に詳細に説明されている。本開示の範囲から逸脱することなく、構造的および論理的な置換および変更を行うことができるように、他の実施形態を使用し、そこから派生させることができる。したがって、詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきではなく、様々な実施形態の範囲は、添付の特許請求の範囲と、そのような特許請求の範囲が権利を有する均等物の全範囲によってのみ定義される。
【0126】
本明細書で使用される「または」という用語は、包括的または排他的といういずれかの意味で解釈できる。さらに、本明細書で説明されるリソース、動作、または構造に対して複数の例を単一の例として提供することができる。さらに、様々なリソース、動作、モジュール、エンジン、データストア間の境界はある程度任意であり、特定の動作は特定の例示的な構成の文脈で示されている。機能の他の割り当ても想定されており、本開示の様々な実施形態の範囲内に含まれる可能性がある。一般に、構成例では別個のリソースとして示されている構造と機能とは、結合された構造またはリソースとして実装できる。同様に、単一のリソースとして表示される構造と機能は、別個のリソースとして実装できる。これらおよび他の変形、修正、追加および改良は、添付の特許請求の範囲によって表される本開示の実施形態の範囲内に含まれる。したがって、明細書および図面は、限定的な意味ではなく例示としてみなされるべきである。
【0127】
上記の説明は、説明を目的として、特定の例示的な実施形態を参照して説明されたものである。しかしながら、上記の例示的な議論は、網羅的であること、または可能な例示的な実施形態を開示された正確な形態に限定することを意図したものではない。上記の教示を考慮して、多くの修正および変形が可能である。例示的な実施形態は、関係する原理およびその実際の応用を最もよく説明するために選択され、説明されており、それによって、他の当業者が、企図される特定の用途に適するように、様々な修正を加えた様々な例示的な実施形態を最大限に利用できるようにする。
【0128】
本明細書の例示的な実施形態の説明で使用される用語は、特定の例示的な実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図したものではない。例示的な実施形態および添付の実施例の説明で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上明らかに別段の指示がない限り、複数形も含むものとする。また、本明細書で使用される「および/または」という用語は、関連する列挙された項目の1つまたは複数のあらゆる可能な組み合わせを指し、包含することも理解されるであろう。さらに、本明細書で使用される「含む(comprises)」および/または「含む(comprising)」という用語は、記載された特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を特定するが、その存在または1つもしくは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループの追加を排除するものではないことも理解されるであろう。
【0129】
本明細書で使用される「場合」という用語は、文脈に応じて、「いつ」、「その際に」、「判定に応答して」、または「検出に応答して」を意味すると解釈され得る。同様に、「判断された場合」または「[記載された状態またはイベント]が検出された場合」という表現は、文脈に応じて、「判断したとき」または「判断に応答して」または「[記載された状態またはイベントを]検出したとき」または、「[記載された状態またはイベント]の検出に応答して」を意味すると解釈できる。
【符号の説明】
【0130】
100A、100B、200、300、400、500 システム
102、440、550 流体リザーバ
114 解剖学的部位
116 エネルギー制御システム
118 エネルギー送達装置、治療装置
120 エネルギー送達スコープ(内視鏡)
134、230、442、448、466、552、556 導管
136、146、154、220、222、340、342、456、458、460、462、558、562 通信媒体
138、338、446 温度センサ
140 電気通信媒体
142 制御回路
148、336、452 流量センサ
150 圧力センサ
224 ディスプレイ、表示装置
228 流体冷却器
330 吸引装置
332 第2の導管
334 廃棄物容器
336 流量センサ
444 作動弁
450 ポンプ
554 流体加熱器
560 警報装置
600、700、800、900 方法
770 エネルギーデータ
772 温度データ
774 圧力データ
776 流量データ
1000 機械
1002 処理装置
1003 メモリ
1004 出力
1006 入力
1008 不揮発性メモリ
1010 リムーバブル記憶装置
1012 非リムーバブル記憶装置
1014 揮発性メモリ
1016 通信接続
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】