(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-30
(54)【発明の名称】1,1-二置換アルケン組成物を貯蔵するシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
B65D 65/40 20060101AFI20240123BHJP
B01D 53/26 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
B65D65/40 D
B01D53/26
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540097
(86)(22)【出願日】2022-02-02
(85)【翻訳文提出日】2023-06-29
(86)【国際出願番号】 JP2022004075
(87)【国際公開番号】W WO2022168880
(87)【国際公開日】2022-08-11
(32)【優先日】2021-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000004628
【氏名又は名称】株式会社日本触媒
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】レッシュ ブラッドリー
(72)【発明者】
【氏名】バウチャー-ジェイコブズ カミール
(72)【発明者】
【氏名】ランリー ミーナ
(72)【発明者】
【氏名】大嶌 和幸
(72)【発明者】
【氏名】ジェイコックス ロニー
(72)【発明者】
【氏名】池元 亘
(72)【発明者】
【氏名】長野 英明
【テーマコード(参考)】
3E086
4D052
【Fターム(参考)】
3E086AA21
3E086AD30
3E086BA04
3E086BA24
3E086BB02
3E086CA40
3E086DA08
4D052EA01
4D052GA04
4D052GB00
4D052HB02
4D052HB05
(57)【要約】
貯蔵容器を使用して1,1-二置換アルケン組成物を貯蔵するための方法およびシステムが開示される。貯蔵容器は、1,1-二置換アルケン組成物が長い貯蔵寿命を示し、反応性を維持することを可能にする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バリア層を備える貯蔵容器を準備するステップであって、前記バリア層が、前記貯蔵容器の水蒸気透過率を低下させるステップと、
前記貯蔵容器に1,1-二置換アルケン組成物を充填するステップと、
を含む、1,1-二置換アルケン組成物の取り扱い方法。
【請求項2】
前記1,1-二置換アルケン組成物が、メチレンマロネート、メチレンβ-ケトエステル、メチレンβ-ジケトン、単官能性、二官能性または多官能性のそれらのモノマー、オリゴマーまたはポリマー、およびそれらの組合せのうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1,1-二置換アルケン組成物が、ジアルキルメチレンマロネートまたはメチレンマロネートポリエステルを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ジアルキルメチレンマロネートが、ジヘキシルメチレンマロネートを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記バリア層が、1,1-二置換アルケン組成物と適合性がある材料から形成される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
1,1-二置換アルケン組成物と適合性がある前記材料が、高密度ポリエチレン、ニトリル、ポリアミド、またはポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレンもしくは金属の複合体のうちの1つ以上を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記材料が、高密度ポリエチレンを含む、請求項5または請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記材料が、ハロゲン化プロセスによって改質された、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ハロゲン化プロセスが、フッ素化プロセスを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記材料が、ステンレス鋼またはアルミニウムを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項11】
前記バリア層が内層である、請求項5~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記バリア層が表面層である、請求項5~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記バリア層に、二酸化硫黄(SO
2)、メタンスルホン酸(「MSA」)、トリフルオロメタンスルホン酸(「TSA」)、塩酸(HCl)およびリン酸(H
3PO
4)のうちの1つ以上が適用された、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記貯蔵容器が、約50℃の温度、および約75%の相対湿度で、約0.0054g/cm
2/mm/日以下の水蒸気透過率を示す、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記貯蔵容器が、約50℃の温度、および約75%の相対湿度で、約0.00057g/cm
2/mm/日以下の水蒸気透過率を示す、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記貯蔵容器を約50℃の温度、および約75%の相対湿度に維持した場合に、前記1,1-二置換アルケン組成物が、約3ヶ月以上の貯蔵寿命を示す、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記1,1-二置換アルケン組成物が、前記貯蔵寿命の間、粘度および反応性のうちの1つ以上を実質的に維持する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記1,1-二置換アルケン組成物が、約50%以下の相対湿度で充填される、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記1,1-二置換アルケン組成物が、約10%以下の相対湿度で充填される、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記1,1-二置換アルケン組成物が、1つ以上の酸化防止剤および酸をさらに含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記1つ以上の酸化防止剤が、一次酸化防止剤を含み、前記1,1-二置換アルケン組成物が、約10ppm以上から1重量%未満の間の前記一次酸化防止剤を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記一次酸化防止剤が、ヒンダードフェノール誘導体を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記1つ以上の酸化防止剤が、二次酸化防止剤をさらに含み、前記1,1-二置換アルケン組成物が、約10ppm以上から1重量%未満の間の前記二次酸化防止剤を含む、請求項20~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記二次酸化防止剤が、チオールを含み、且つ窒素を実質的に含まない、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記1,1-二置換アルケン組成物が、約5ppm以上から1重量%未満の間の前記酸を含む、請求項20~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記酸が、約3以下のH
0を有する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記1,1-二置換アルケン組成物が、メタンスルホン酸(「MSA」)、ヒドロキノンのモノメチルエーテル(「MeHQ」)、およびジブチルヒドロキシトルエン(「BHT」)のうちの1つ以上を含む、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記取り扱いが、貯蔵および出荷を含む、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記取り扱いが、約50℃以下の温度で行われる、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記貯蔵容器が、紫外線に対して実質的に不透明である、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
バリア層を備える貯蔵容器であって、前記バリア層が、前記貯蔵容器の水蒸気透過率を低下させる貯蔵容器と、
前記貯蔵容器に貯蔵された1,1-二置換アルケン組成物と、
を含む容器。
【請求項32】
前記バリア層が、1,1-二置換アルケン組成物と適合性がある材料から形成される、請求項31に記載の容器。
【請求項33】
1,1-二置換アルケン組成物と適合性がある前記材料が、高密度ポリエチレン、ニトリル、ポリアミド、またはポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレンもしくは金属の複合体のうちの1つ以上を含む、請求項32に記載の容器。
【請求項34】
前記材料が、高密度ポリエチレンを含む、請求項32または33に記載の容器。
【請求項35】
前記材料の表面が、ハロゲン化プロセスによって改質された、請求項34に記載の容器。
【請求項36】
前記ハロゲン化プロセスが、フッ素化プロセスを含む、請求項35に記載の容器。
【請求項37】
前記材料が、ステンレス鋼またはアルミニウムを含む、請求項32に記載の容器。
【請求項38】
前記貯蔵容器が、前記材料から全体的に形成される、請求項32~37のいずれか一項に記載の容器。
【請求項39】
前記1,1-二置換アルケン組成物が、約50%以下の相対湿度で前記貯蔵容器に充填される、請求項31~38のいずれか一項に記載の容器。
【請求項40】
前記1,1-二置換アルケン組成物が、約10%以下の相対湿度で前記貯蔵容器に充填される、請求項31~38のいずれか一項に記載の容器。
【請求項41】
前記貯蔵容器が、紫外線に対して実質的に不透明である、請求項31~40のいずれか一項に記載の容器。
【請求項42】
前記貯蔵容器が、使い捨てシールによって密封される、請求項31~41のいずれか一項に記載の容器。
【請求項43】
前記貯蔵容器が、ねじ蓋によって密封される、請求項31~41のいずれか一項に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[技術分野]
本開示は、概して、1,1-二置換アルケン組成物を貯蔵および輸送するためのシステムおよび方法に関する。
【0002】
[背景技術]
いくつかの用途および製品では、重合性モノマーは有用な成分である。例えば、重合性モノマーは、接着剤、コーティング、シーラント、成形品、フィルム、物品、複合結合剤、および多数の他の用途に使用され得る。1,1-二置換アルケンモノマーは、そのような用途に特に適した重合性モノマーであり、優れた機械的、物理的および化学的特性を示す。さらに、1,1-二置換アルケンモノマーは、様々な開始剤と接触すると容易に重合可能であり得、好ましい接着特性および硬化時間を示し得る。
【0003】
[発明の概要]
一実施形態によれば、1,1-二置換アルケン組成物の取り扱い方法は、貯蔵容器を準備するステップと、貯蔵容器に1,1-二置換アルケン組成物を充填するステップとを含む。貯蔵容器は、バリア層を含む。バリア層は、貯蔵容器の水蒸気透過率を低下させる。
【0004】
別の実施形態によれば、1,1-二置換アルケン組成物の取り扱い方法は、貯蔵容器を準備するステップと、貯蔵容器に1,1-二置換アルケン組成物を充填するステップとを含む。貯蔵容器は、フッ素、ニトリル、ポリアミド、もしくはポリアミドの複合体を含有するプラスチックから実質的、全体的に形成されるか、または高密度ポリエチレンもしくはフッ素化高密度ポリエチレンから全体的に形成される。
【0005】
別の実施形態によれば、容器は、貯蔵容器と、貯蔵容器に貯蔵された1,1-二置換アルケン組成物とを含む。貯蔵容器は、バリア層を含む。バリア層は、貯蔵容器の水蒸気透過率を低下させる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、様々な材料から形成された貯蔵容器に吸収された水の量を経時的に示すグラフを示す。
【
図2】
図2は、様々な材料から形成された貯蔵容器内で、吸収された水の量に応じたDHMMおよびメチレンマロネートポリエステルの反応性(それぞれ)を示すグラフを示す。
【
図3】
図3は、様々な材料から形成された貯蔵容器内で、吸収された水の量に応じたDHMMおよびメチレンマロネートポリエステルの反応性(それぞれ)を示すグラフを示す。
【実施形態の説明】
【0007】
本明細書で使用される場合、1,1-二置換アルケンモノマーとは、アルケニル基上の炭素に結合した2つのカルボニル基と、カルボニル基の各々に結合したヒドロカルビル基とを有するモノマーを指す。そのような1,1-二置換アルケンモノマーでは、ヒドロカルビル基は、ケトンを形成するカルボニル基に、直接、またはエステルを形成する酸素原子を介して結合することができる。
【0008】
理解され得るように、1,1-二置換アルケンモノマーは、モノマー形態および重合形態の両方で、いくつかの望ましい特性を示す。モノマーとして、1,1-二置換アルケンモノマーは、容易に重合可能であり、光学的に透明な無溶媒組成物で提供され得る。モノマーは、モノマーのサイズおよび構造の改変によって(例えば、ヒドロカルビル基の修飾によって)、官能基の改変によって、ならびに単官能性、二官能性または多官能性のモノマーを形成することによって、特定の用途に合わせて調整され得る。
【0009】
重合形態では、1,1-二置換アルケンモノマーは、他の多くの調整可能な特性の中でも、耐溶媒性および耐水性を含む優れた物理的および化学的特性と、優れた強度および接着特性と、優れた光学特性とを示す。
【0010】
概して、1,1-二置換アルケンモノマーは、モノマーを好適な開始剤またはエネルギー源に曝露することによって重合し得る。例えば、1,1-二置換アルケンモノマーは、好適なアニオン重合開始剤と接触するとアニオン重合され得るか、または好適なフリーラジカル源(例えば、活性化熱開始剤または光開始剤)を使用してフリーラジカル重合され得る。
【0011】
1,1-二置換アルケンモノマーを含有する組成物の有用性を改善するために、モノマーを貯蔵し、輸送し、モノマーの貯蔵寿命を延ばすことができるシステムおよび方法を提供することが有用であろう。理解され得るように、これにより、使用中または使用直前にモノマーを合成する必要がなくなり、1,1-二置換アルケンモノマーの用途およびユーザの数が増加する。
【0012】
特定の実施形態では、本明細書に記載のシステムおよび方法は、貯蔵容器の使用によって、1,1-二置換アルケン組成物の貯蔵寿命および貯蔵を改善することができる。本明細書に記載の貯蔵容器は、1,1-二置換アルケンモノマー、または1,1-二置換アルケンモノマーを単独でもしくは他の成分とともに含有する任意の組成物(ともに本明細書では「1,1-二置換アルケン組成物」として使用される)を概して貯蔵することができる。例えば、本明細書に記載の貯蔵容器は、実質的に純粋な1,1-二置換アルケンモノマーを貯蔵および輸送するのに、または1つ以上の追加の成分、例えば、不活性化開始剤、安定剤、充填剤などをさらに含有する組成物を貯蔵するのに好適であり得る。本明細書で使用される場合、実質的に純粋とは、約85%以上、約90%以上、約95%以上、または約99%以上の純度を意味する。
【0013】
理解され得るように、1,1-二置換アルケンモノマーは、構造が大きく変動し得る。例えば、1,1-二置換アルケンモノマーは、様々なヒドロカルビル基、様々な置換基または官能基を有することができ、単官能性、二官能性または多官能性であり得る。
【0014】
特定の実施形態によれば、好適なヒドロカルビル基には、少なくとも直鎖または分岐鎖アルキル基、直鎖または分岐鎖アルキルアルケニル基、直鎖または分岐鎖アルキニル基、シクロアルキル基、アルキル置換シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基およびアルカリール基が含まれ得る。さらに、好適なヒドロカルビル基は、ヒドロカルビル基の主鎖に1個以上のヘテロ原子を含有することもできる。
【0015】
特定の実施形態では、好適なヒドロカルビル基はまた、または代替的に、置換基によって官能化され得る。置換基の非限定的な例には、1つ以上のハロ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基、アジド基、カルボキシ基、アシルオキシ基およびスルホニル基が挙げられ得る。特定の実施形態では、置換基は、1つ以上のハロ基、アルコキシ基、アルキルチオ基およびヒドロキシル基から選択され得る。特定の実施形態では、置換基は、1つ以上のハロ基およびアルコキシ基から選択され得る。
【0016】
特定の実施形態では、好適なヒドロカルビル基は、C1~20ヒドロカルビル基であり得る。例えば、ヒドロカルビル基は、エーテル基によって官能化され得る。好適なエーテル基には、限定されることなく、エトキシ基、プロポキシ基およびブトキシ基が含まれ得る。
【0017】
さらに具体的なヒドロカルビル基の好適な例には、特定の実施形態では、C1~15直鎖または分岐鎖アルキル基、C1~15直鎖または分岐鎖アルケニル基、C5~18シクロアルキル基、C6~24アルキル置換シクロアルキル基、C4~18アリール基、C4~20アラルキル基およびC4~20アルカリール基が挙げられ得る。特定の実施形態では、ヒドロカルビル基は、さらに好ましくは、C1~8直鎖もしくは分岐鎖アルキル基、C5~12シクロアルキル基、C6~12アルキル置換シクロアルキル基、C4~18アリール基、C4~20アラルキル基またはC4~20アルカリール基であり得る。
【0018】
本明細書で使用される場合、アルカリールには、アリール基に結合したアルキル基が含まれ得る。アラルキルには、アルキル基に結合したアリール基が含まれ得る。アラルキルにはまた、アルキレン架橋アリール基、例えば、ジフェニルメチル基またはプロピル基が含まれ得る。本明細書で使用される場合、アリールには、複数の芳香環を含有する基が含まれ得る。シクロアルキルには、架橋環または縮合環を含む1つ以上の環を含有する基が含まれ得る。アルキル置換シクロアルキルには、シクロアルキル環に結合した1つ以上のアルキル基を有するシクロアルキル基が含まれ得る。
【0019】
特定の実施形態では、好適なアルキル基には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ターシャリーブチル、ペンチル、ヘキシルおよびエチルヘキシルが含まれ得る。同様に、好適なシクロアルキル基の例には、シクロヘキシルおよびフェンチルが挙げられ得、好適なアルキル置換基の例には、メンチルおよびイソボルニルが挙げられ得る。
【0020】
特定の実施形態によれば、好適なヒドロカルビル基には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ターシャリーブチル基、エチルペンチル基、ヘキシル基、エチルヘキシル基、フェンチル基、メンチル基およびイソボルニル基が含まれ得る。
【0021】
特定の実施形態では、1,1-二置換アルケン化合物の例示的な例には、メチレンマロネート化合物、メチレンβ-ケトエステル化合物、メチレンβ-ジケトン化合物、および任意の単官能性、二官能性または多官能性のそれらのモノマー、オリゴマーまたはポリマーが含まれ得る。そのような例示的な例の化合物のうちの1つ以上を有する組成物は、特定の実施形態による好適な組成物として使用され得る。
【0022】
理解され得るように、1,1-二置換アルケン化合物は、単官能性、二官能性または多官能性であり得る。本明細書で使用される場合、単官能性モノマーとは、単一の付加重合性基を有するモノマーを指すことができる。二官能性モノマーとは、2つの付加重合性基を含有するモノマー、オリゴマー、樹脂またはポリマーを指すことができる。多官能性化合物とは、3つ以上の付加重合性基を含有する任意のモノマー、オリゴマー、樹脂またはポリマーを指すことができる。単官能性化合物とは対照的に、二官能性化合物および多官能性化合物は、重合されると、追加の架橋、鎖延長またはその両方を起こし得る。理解され得るように、鎖延長および架橋は、単官能性モノマーと比較して、向上した機能性、ならびに改善された耐久性、強度および寿命を提供することができる。
【0023】
単官能性1,1-二置換アルケン化合物の例示的な例は、一般式I:
【化1】
によって示され、式中、各Xは、独立して、Oまたは直接結合であり得、R
1およびR
2は、同じであっても異なっていてもよく、ヒドロカルビル基をそれぞれ表すことができる。
【0024】
多官能化ヒドロカルビル基によって連結された複数のメチレン基を有する多官能性モノマーの例示的な例は、一般式II:
【化2】
によって示され得、式中、各Xは、独立して、Oまたは直接結合であり得;R
3およびR
5は、同じであっても異なっていてもよく、ヒドロカルビル基をそれぞれ表すことができ;R
4は、n+1個の官能価を有するヒドロカルビル基であり得;nは、1以上の整数である。特定の実施形態では、nは3以下であり得;特定の実施形態では、nは2以下であり得るか、またはnは、2~20、もしくは4~7であり得る。
【0025】
二官能化ヒドロカルビル基によって連結された複数のメチレン基を有する多官能性モノマー(メチレンマロネートポリエステル)の追加の例は、一般式III:
【化3】
によって示され得、式中、各XはO結合であり;R
6およびR
8は、同じであっても異なっていてもよく、ヒドロカルビル基をそれぞれ表すことができ;R
7はジオールであり、nは、1以上の整数である。特定の実施形態では、nは1以上であり得;特定の実施形態では、nは2以上であり得るか、またはnは1~100であり得る。
【0026】
特定の実施形態によれば、1,1-二置換アルケン化合物のさらに具体的な例には、一般式IV:
【化4】
を有するメチレンマロネート化合物が挙げられ得、式中、R
9およびR
10は、同じであっても異なっていてもよく、ヒドロカルビル基をそれぞれ表すことができる。例えば、メチレンマロネート化合物には、ジエチルメチレンマロネート(「DEMM」)、ジメチルメチレンマロネート(「DMMM」または「D3M」)、ヘキシルメチルメチレンマロネート(「HMMM」)、エチルエトキシエチルメチレンマロネート(「EEOEMM」)、フェンチルメチルメチレンマロネート(「FMMM」)、ジブチルメチレンマロネート(「DBMM」)、ジヘキシルメチレンマロネート(「DHMM」)、ジシクロヘキシルメチレンマロネート(「DCHMM」)、ジ-n-プロピルメチレンマロネート、ジ-イソプロピルメチレンマロネートおよびジベンジルメチレンマロネートが含まれ得る。さらに、特定の実施形態では、メチレンマロネート化合物とアセテート、ジアセテート、アルコール、ジオールおよびポリオールとの反応から形成される特定のエステル交換反応生成物を使用して、1,1-二置換アルケンマクロマーを形成することもできる。
【0027】
特定の実施形態によれば、メチレンベータケトエステルの例は、一般式V:
【化5】
によって表され得、式中、R
11およびR
12は、同じであっても異なっていてもよく、ヒドロカルビル基をそれぞれ表すことができる。
【0028】
特定の実施形態によれば、メチレンベータジケトンの例は、一般式VI:
【化6】
によって表され得、式中、R
13およびR
14は、同じであっても異なっていてもよく、ヒドロカルビル基をそれぞれ表すことができる。
【0029】
好適な1,1-二置換アルケン化合物および他の好適な組成物の追加の詳細および調製方法は、各々参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,609,885号明細書、米国特許第8,884,051号明細書、米国特許第9,221,739号明細書、米国特許第9,512,058号明細書、米国特許第9,527,795号明細書、国際公開第2013/059473号、国際公開第2013/066629号および国際公開第2014/110388号に開示されている。
【0030】
特定の実施形態では、1,1-二置換アルケン化合物にはまた、または追加的に、ポリエステルマクロマーが含まれ得る。理解され得るように、ポリエステルマクロマーを含有する組成物は、塩基性開始剤に曝露されると重合を起こし得る。ポリエステルマクロマーは、各々参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,617,377号明細書および米国特許第9,745,413号明細書に開示されている。好適なメチレンマロネートポリエステルの例には、ジエチルメチレンマロネートと1,4-ブタンジオールとの反応から形成されるエステル交換反応および部分マイケル付加生成物(以下、「メチレンマロネートポリエステル」)が挙げられる。
【0031】
理解されるように、本明細書に記載のシステムおよび方法は、例えば、モノマーの早期重合、または1,1-二置換アルケンモノマーと貯蔵容器もしくは周囲環境との間の他の化学反応によるモノマーの早期分解を伴うことなく、1,1-二置換アルケンモノマーの長期貯蔵および輸送を容易にすることができる。
【0032】
概して、本明細書に記載の貯蔵容器は、1,1-二置換アルケンモノマーに対して非反応性である材料から形成され得る。本明細書で使用される場合、非反応性とは、貯蔵容器材料または1,1-二置換アルケン組成物が互いに接触して配置された際に、外観または重量のいずれも実質的に変化しないことを意味する。
【0033】
1,1-二置換アルケンモノマーに対するプラスチックの反応性は、1,1-二置換アルケンモノマーの特定の化学的性質によって部分的に変動することが発見されている。例えば、比較的大きなヒドロカルビル基を有するモノマー、例えば、嵩高い環構造を有するジシクロヘキシルメチレンマロネートは、比較的小さなヒドロカルビル基を有する同様のメチレンマロネート、例えば、ジエチルメチレンマロネートよりも特定のプラスチックに対する反応性が低い。特定の実施形態では、本明細書に記載の貯蔵容器は、特定の1,1-二置換アルケンモノマーのみを貯蔵および輸送するように設計され得る。例えば、ジシクロヘキシルメチレンマロネートの貯蔵および輸送のための貯蔵容器は、そのような貯蔵容器が必ずしもジエチルメチレンマロネートまたはジヘキシルメチレンマロネートなどの他の1,1-二置換アルケンモノマーと適合しなかったとしても、ポリプロピレンまたはポリメチルペンテンから形成され得る。
【0034】
ただし、理解され得るように、実質的にあらゆる1,1-二置換アルケンモノマーに対して非反応性である材料から、本明細書に記載の貯蔵容器を構築することが有用であり得る。1,1-二置換アルケンモノマーに対して実質的に非反応性であることが発見されている未改質プラスチック材料には、高密度ポリエチレン(「HDPE」)、ポリエチレンテレフタレート(「PET」)およびポリアクリロニトリル(「PAN」)が概して含まれる。
【0035】
特定の実施形態では、本明細書に記載の貯蔵容器は、1,1-二置換アルケンモノマーを反応性材料から分離することができる場合、反応性材料、例えば、反応性プラスチックから代替的に形成され得る。例えば、ポリプロピレンから形成された貯蔵容器は、1,1-二置換アルケンモノマーと接触する非反応性コーティングを収容する場合に好適であり得る。
【0036】
特定の実施形態では、本明細書に記載の貯蔵容器に適した非反応性コーティングの例には、非反応性プラスチック、表面改質特性を有するプラスチック、および特定の金属が含まれ得る。例えば、1,1-二置換アルケンモノマー、および強度のためのポリプロピレンなどの別のプラスチックと接触するPET層またはPAN層を有する積層プラスチックから作製された貯蔵容器が、好適な貯蔵容器であり得る。
【0037】
特定の実施形態では、ハロゲン化プロセスを使用して、プラスチックの表面を改質することができる。特定の実施形態では、プラスチックは、HDPEなどの実質的に非反応性のプラスチックであり得るが、他の実施形態では、反応性プラスチックを改質することができる。HDPEなどの非反応性プラスチックの改質は、1,1-二置換アルケンモノマーの貯蔵寿命をさらに改善するため、またはさらに厳しい環境、例えば、約70℃以上の温度、もしくは高い相対湿度(例えば、約75%以上の相対湿度)を有する環境に対する耐性を改善するために有用であり得る。
【0038】
理解され得るように、本明細書に記載の貯蔵容器に対しては、他の表面改質処理も可能である。例えば、アクリルアミドまたは金属コーティングが、公知のプロセスを使用して(例えば、表面活性化とそれに続く共有結合、スパッタリングまたは蒸着プロセス、iCVDプロセス、電気めっきプロセスなどによって)形成され得る。特定の実施形態では、二酸化硫黄(SO2)、メタンスルホン酸(「MSA」)、トリフルオロメタンスルホン酸(「TSA」)、塩酸(HCl)およびリン酸(H3PO4)のうちの1つ以上の適用を使用して、プラスチックを改質することができる。理解され得るように、そのような化合物は、望ましくない表面開始を抑制し、アニオン重合の量を減少させることができる。理解され得るように、非反応性層の形成は、その中に収容される1,1-二置換アルケンモノマー組成物の貯蔵寿命を改善することに加えて、貯蔵容器のコストを下げるのに有益であり得る。
【0039】
水分、例えば、大気湿度として存在する水分が、1,1-二置換アルケンモノマーの貯蔵寿命を損なう可能性があることがさらに発見されている。貯蔵寿命を改善するために、本明細書に記載の貯蔵容器は、貯蔵容器を通した水分移行を防止するバリア層を含むことができる。
【0040】
特定の実施形態では、バリア層は、貯蔵容器の1つ以上の表面上に形成され得る。あるいは、貯蔵容器は、水分移行を本質的に防止する材料から部分的にまたは全体的に形成され得る。例えば、HDPEから形成された貯蔵容器は、追加のバリア層を形成しなくても水分移行に耐えることができる。ただし、理解され得るように、貯蔵容器が貯蔵中の1,1-二置換モノマーの貯蔵寿命をさらに延ばすためにバリア層を含むことは、特定のそのような実施形態であっても有用であり得る。特定の実施形態では、バリア層は、非反応性コーティングと同様または実質的に同一であり得る。特定のそのような実施形態では、非反応性コーティングは水分バリア層としても機能することができ、貯蔵容器は、非反応性コーティングおよび水分バリア層の両方として作用する層のみを含むことができる。
【0041】
特定の実施形態では、本明細書に記載の貯蔵容器は、1,1-二置換アルケンモノマーが、過酷な条件(例えば、約50℃~70℃以上の温度、および約75%以上の相対湿度の湿度)にさらされた場合であっても、少なくとも約60日間、少なくとも約90日間、または少なくとも約120日間にわたって反応性を保持することを確実にするのに十分な水蒸気透過率を有することができる。特定の実施形態では、貯蔵容器は、約5.4×10-3(g-mm/cm2/日)またはそれ以下、例えば、約5.7×10-4(g-mm/cm2/日)、約1×10-4(g-mm/cm2/日)、約5×10-5(g-mm/cm2/日)またはそれ以下の水蒸気透過率を有することができる。特定の実施形態では、本明細書に記載の貯蔵容器は、そのような水蒸気透過率を示すか(例えば、HDPE)、またはそのような水蒸気透過率を達成するための1つ以上の非反応性層もしくは水分バリア層を含む単一の材料から略全体的に形成され得る。
【0042】
理解され得るように、複数の特性を示す貯蔵容器を形成することも有用であり得る。例えば、特に酸安定剤が1,1-二置換アルケンモノマーに含まれていない場合、特定の1,1-二置換アルケンモノマーによる膨潤を防止するためのハロゲン化層、ならびに/または望ましくない表面開始を抑制するため、および/もしくはアニオン重合の量を減少させるための酸処理も含みながら、1,1-二置換アルケンモノマーの反応性を維持するために特定の水蒸気透過率を示す貯蔵容器が有用であり得る。
【0043】
概して、本明細書に記載の貯蔵容器は、サイズおよび形状が大きく変動し得る。例えば、貯蔵容器は、小さな試料(例えば、約10mL~約50mL)を貯蔵するようなサイズであり得るか、または長期貯蔵および大量使用(例えば、約1L~約5Lまたはさらにはそれ以上、例えば、1立方メートル(1m3)以上)のためにさらに大きくされ得る。理解され得るように、貯蔵寿命は、貯蔵容器のサイズに応じて変動し得、サイズが大きくなれば、概して、体積対表面積比が大きくなる。
【0044】
理解され得るように、本明細書に記載の貯蔵容器は、1,1-二置換アルケン化合物を貯蔵することが知られている以前の貯蔵容器とは異なり得る。例えば、公知の貯蔵容器は、多くの場合、1,1-二置換アルケン化合物の生成中に使用することが意図されており、本明細書に記載の貯蔵容器によって企図されるような長期間にわたってモノマーを貯蔵することは意図されていなかった。さらに、そのような以前から知られている容器は、多くの場合、実験室用ガラス製品(例えば、ホウケイ酸ガラス)または処理された鋼から形成され、繰り返し密封されるようにも輸送されるようにも設計されていない。他の公知の貯蔵容器には、シアノアクリレート用の容器が含まれる。そのような容器は、1,1-二置換アルケン組成物では評価されておらず、好適ではない可能性があり、例えば、1,1-二置換アルケン組成物を充填した際に貯蔵容器の膨潤を示し得るか、または早期重合による組成物の粘度の変化、もしくはゲル化のために1,1-二置換アルケン組成物の品質を損なう可能性がある。
【0045】
本明細書に記載の貯蔵容器は、一般に、当技術分野で知られているように形成され得る。例えば、特定の実施形態では、好適な貯蔵容器は、射出成形プロセスによって形成され得る。非反応性層を含む実施形態では、非反応性層は、貯蔵容器の一般的な成形および形成後に形成され得る。
【0046】
特定の実施形態では、貯蔵容器は、1,1-二置換アルケン組成物を貯蔵容器にデカントし、次いで、貯蔵容器を密封することによって充填され得る。特定の実施形態では、貯蔵容器は、乾燥雰囲気、例えば、約50%以下、約20%以下、約10%以下、約5%以下、または約1%以下の相対湿度を有する雰囲気下で充填され得る。乾燥雰囲気下で貯蔵容器を充填することにより、1,1-二置換アルケンモノマーの加水分解を最小限に抑えることによって貯蔵寿命を改善することができる。
【0047】
概して、本明細書に記載の貯蔵容器は、任意の好適な方法で密封され得る。例えば、小さな試料バイアルは、熱および圧力によって、貯蔵容器を密封端部まで成形することによって密封され得る。このような小さな試料バイアルを開封するために、密封端部は、切断または穿刺され得る。
【0048】
特定の実施形態では、貯蔵容器は、使い捨てシールを含むことができる。使い捨てシールを含めることにより、エンドユーザは、1,1-二置換アルケンモノマーが大気または湿度に不必要に曝露されていないことを知ることができる。使い捨てシールの上にシーリングトップを配置することができる。理解され得るように、そのような実施形態では、使い捨てシールがバリアとして作用するため、シーリングトップは1,1-二置換アルケンモノマーに対して反応性であり得る。
【0049】
特定の実施形態では、貯蔵容器は、シーリングトップ、例えば、ねじ蓋を含むことができる。そのような実施形態では、貯蔵容器の蓋は、非反応性材料から形成され得るか、または本明細書で前述したように非反応性コーティングを含むことができる。理解され得るように、そのような貯蔵容器は、1,1-二置換アルケンモノマーの長期貯蔵を可能にし、モノマーまたは組成物の複数回の引出しを可能にすることができる。
【0050】
理解され得るように、本明細書に記載の貯蔵容器は、様々な方法で改変され得る。例えば、貯蔵容器は、特定の実施形態では、取り扱いおよび輸送を容易にするために、成形され得る、および/または追加の包装を含み得る。例えば、特定の実施形態では、貯蔵容器は、ハンドルを含むことができる。
【0051】
特定の実施形態では、貯蔵容器は、断熱材を含むことができる。断熱材は、高温または低温のいずれか、例えば、輸送中に見られる温度に曝露された際に貯蔵容器が安定した温度を維持することを可能にすることができる。特定の実施形態では、容器内に収容された特定の組成物、風袋重量を識別するため、または貯蔵容器の直接貯蔵もしくは出荷を可能にするために、印を含めることができる。例えば、特定の実施形態では、貯蔵容器は、郵便、宅配便および貨物サービスによって直接出荷および輸送されるように、商業的規制および政府規制に準拠することができる。
【0052】
特定の実施形態では、貯蔵容器は、ユーザがその中に収容された組成物の量を視覚的に評価することを可能にするために、光学的に透明であり得る。他の代替的な実施形態では、貯蔵容器は、光開始剤が存在する実施形態のように、貯蔵寿命を改善するために視覚的に不透明であり得る。
【0053】
概して、本明細書に記載の方法およびシステムを使用すると、1,1-二置換アルケン組成物の貯蔵寿命を改善することができる。例えば、特定の実施形態では、システムおよび方法は、1,1-二置換アルケン組成物が、周囲温度(例えば、約10℃~約35℃)で貯蔵された場合、約3ヶ月以上、約6ヶ月以上、約9ヶ月以上、またはさらには12ヶ月以上の貯蔵寿命を有することを可能にすることができる。
【0054】
理解され得るように、本明細書に記載のシステムおよび方法はまた、1,1-二置換アルケンモノマーおよび他の成分から形成された組成物を貯蔵するために使用され得る。例えば、特定の実施形態では、本明細書に記載のシステムおよび方法を使用して、1つ以上の添加剤をさらに含む組成物の貯蔵寿命を延ばすことができる。例えば、システムおよび方法は、例えば、1つ以上の染料、顔料、強化剤、耐衝撃性改良剤、レオロジー改質剤、可塑剤、天然ゴムもしくは合成ゴム、充填剤、補強剤、増粘剤、乳白剤、防止剤、蛍光マーカ、熱分解低減剤、耐熱性付与剤、界面活性剤、湿潤剤、導電相乗剤または安定剤をさらに含む組成物を貯蔵するために使用され得る。例えば、増粘剤および可塑剤、例えば、それぞれ塩化ビニルターポリマーおよびセバシン酸ジメチルを使用して、システムの粘度、弾性および堅牢性を改変することができる。添加剤は、追加的または代替的に、重合システムに機械的強化を提供することができる。このような添加剤を含めることは、エンドユーザにすぐに使用できる製品または中間体を提供するのに有用であり得る。
【0055】
特定の実施形態では、本明細書に記載のシステムおよび方法は、代替的にまたはさらに、複数の1,1-二置換アルケンモノマーを貯蔵することができる。例えば、システムおよび方法は、複数の1,1-二置換アルケンモノマーのブレンドを含む組成物に有用であり得る。1,1-二置換アルケンモノマーのブレンドの貯蔵は、例えば、単一の1,1-二置換アルケンモノマーのみが含まれる場合には不可能な特性のブレンドを必要とする用途などでの追加の使用を容易にすることができる。概して、そのような実施形態では、システムおよび方法(例えば、貯蔵容器)は、ブレンドに含まれる1,1-二置換アルケンモノマーの各々と適合性であり得る。例えば、DEMMおよびDCHMMを含むモノマーのブレンドを貯蔵するための貯蔵容器は、DEMMまたはDCHMMのいずれかを個別に貯蔵することができる貯蔵容器であり得る。ただし、理解され得るように、特定の組成物は、組合せ効果および/または相乗効果を示すことができ、成分の各々を個別に貯蔵することができない貯蔵容器に貯蔵され得る。例えば、多くの量のDCHMMと少ない量のDEMMとを含むブレンドは、DEMMだけで貯蔵することができない容器に貯蔵され得る。
【0056】
特定の実施形態によれば、本明細書に記載のシステム、方法および容器はまた、組成物の貯蔵寿命を延ばし、改善するための追加の安定剤を含むことができる。例えば、各々参照により組み込まれる米国特許第8,609,885号明細書および米国特許第8,884,051号明細書に開示されているような安定剤パッケージとして、1つ以上のアニオン重合防止剤、例えば、液相安定剤(例えば、メタンスルホン酸(「MSA」))、気相安定剤(例えば、トリフルオロ酢酸(「TFA」))、またはフリーラジカル安定剤(例えば、4-メトキシフェノール、またはヒドロキノンのモノメチルエーテル(「MeHQ」))、またはジブチルヒドロキシトルエン(「BHT」)を使用することができる。追加のフリーラジカル重合防止剤は、米国特許第6,458,956号明細書に開示されており、参照により本明細書に組み込まれる。アニオン重合安定剤は、概して、組成物、または成長するポリマー鎖から電子を捕捉する求電子性化合物である。アニオン重合安定剤を使用すると、追加のポリマー鎖が伝播するのを終結させることができる。概して、最小限の量の安定剤のみが必要とされ、特定の実施形態では、約1000百万分率(「ppm」)以下のみが含まれ得る。特定の実施形態では、複数の安定剤のブレンド、例えば、約10ppmのMSAと100ppmのMeHQとのブレンドなどが含まれ得る。
【0057】
特定の実施形態、実施形態では、追加の安定剤は、酸化防止剤および酸を含むことができる。例えば、1,1-二置換アルケン組成物の約10ppmから約1重量%の間の好適な酸化防止剤が、1,1-二置換アルケン組成物に含まれ得る。特定の実施形態では、好適な酸化防止剤には、ヒンダードフェノール誘導体、および窒素を含まないチオール化合物が含まれ得る。特定の実施形態では、ヒンダードフェノール誘導体は一次酸化防止剤であり得、チオール化合物は二次酸化防止剤であり得る。特定の実施形態では、好適な酸には、約3以下のH0を有する酸が含まれ得る。そのような実施形態では、酸は、1,1-二置換アルケン組成物の約5ppm以上から約1重量%以下の間の濃度で含まれ得る。
【0058】
[実施例]
表1は、メチレンマロネートモノマーに対する様々なプラスチック材料の適合性を評価した結果を示す。プラスチック試料容器から形成された実施例の試験片をメチレンマロネートモノマーに浸漬し、試料の重量変化を評価することによって、適合性を決定した。実施例の試験片の各々は、幅15mm×長さ60mmであった。ジエチルメチレンマロネート(「DEMM」)、ジヘキシルメチレンマロネート(「DHMM」)およびジシクロヘキシルメチレンマロネート(「DCHMM」)を含むガラススクリューバイアルに、各実施例の試験片を完全に浸漬した。メタンスルホン酸(「MSA」)のテトラヒドロフラン(「THF」)溶液によって、試料バイアルを不動態化した。メチレンマロネートモノマーには、2,000百万分率(「ppm」)のブチルヒドロキシトルエン(「BHT」)安定剤を含めた。70℃で4日間、5日間および8日間保持した後の実施例の試験片の安定性結果を表1に示す。評価したプラスチックには、高密度ポリエチレン(「HDPE」)、フッ素化高密度ポリエチレン(「F-HDPE」)、ポリプロピレン(「PP」)、ポリメチルペンテン(「PMP」)、ポリスチレン(「PS」)、ポリカーボネート(「PC」)、ポリアクリロニトリル(「PAN」)およびポリエチレンテレフタレート(「PET」)が含まれる。
【表1】
【0059】
表1に示すように、フッ素化高密度ポリエチレン、ポリアクリロニトリルおよびポリエチレンテレフタレートからそれぞれ形成された実施例2、7および8は、メチレンマロネートモノマーの各々との適合性を示した。実施例1、3および4(高密度ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリメチルペンテン)は、膨潤のためにジエチルメチレンマロネートまたはジヘキシルメチレンマロネートと適合しなかったが、ジシクロヘキシルメチレンマロネートとの適合性を示した。実施例5および6(ポリスチレンおよびポリカーボネート)は、試験片(ポリスチレン)を溶解するか、または試験片(ポリカーボネート)の表面を白色にしたため、メチレンマロネートモノマーのいずれとも適合しなかった。
【0060】
試験の限界を21日間に延長し、50℃および70℃で評価することによって、HDPE容器をさらに評価した。HDPE容器は、21日後に外観または重量の視覚的変化を示さず、これらの材料が非反応性であり、50℃以下の温度で1,1-二置換アルケンモノマーと適合性があることが示唆された。70℃の温度で、HDPEは膨潤を示したが、F-HDPEは1,1-二置換アルケン組成物とのより良好な適合性を示した。
【0061】
表1に示すF-HDPEの実施例に加えて、蒸着ポリアミドコーティングを用いてHDPE試料容器の内表面を改質することによって、高密度ポリエチレンの表面コーティングをさらに評価した。次いで、ポリアミドコーティング容器に、ジエチルメチレンマロネート(「DEMM」)、ジヘキシルメチレンマロネート(「DHMM」)およびジシクロヘキシルメチレンマロネート(「DCHMM」)の各々を充填した。
【0062】
表面コーティングを有する試料バイアルは、50℃および70℃での評価後に外観または重量の変化を示さず、フッ素化表面およびポリアミドコーティングの両方の非反応性コーティングとしての有効性が示唆された。
【0063】
表2は、貯蔵容器の貯蔵寿命を改善するためのいくつかの実施例の水分バリアを評価した結果を示す。具体的には、表2は、フッ素化高密度ポリエチレン(「F-HDPE」)およびUnified Numbering System(「UNS」)S30400オーステナイト系ステンレス鋼(日本ではSUS304)から形成された貯蔵容器にDHMMを50℃で充填する影響を評価する。様々な相対湿度(「RH」)条件下で、実施例の貯蔵容器を充填し、貯蔵し、開封および再閉した。ビス(2-エチルヘキシルアジペート)溶媒中の1重量%のエチル1-メチル-3-ピペリジンカルボキシレート50mgと混合した後に、1gのDHMMが硬化し非流動性になるまでの分数を数えることによって、アニオン重合の反応性を毎週測定した。
【表2】
【0064】
相対湿度1%未満の乾燥条件下でのDHMMの貯蔵は、実施例9および11によって示されるように、モノマーの反応性に実質的な影響を及ぼさなかった。高湿度条件下(実施例10および12)では、ステンレス鋼は、加水分解反応を防止する点でF-HDPEよりも良好に機能した。
【0065】
ASTM(D7709-12)に従って水蒸気透過率をさらによく把握するために、乾燥剤(無水塩化カルシウム)を用いて、HDPE、PET、Baritainer(登録商標)およびアルミニウムの貯蔵容器の追加試験を長期間にわたって行った。これらの容器を使用して、ジヘキシルメチレンマロネートおよびメチレンマロネートポリエステルの経時的な反応性変化を評価した。Baritainer(登録商標)は、優れた酸素バリア性のために知られている多層プラスチック材料であり、HDPEおよびナイロン層を含む。HDPEはNalgeneから購入した。貯蔵容器を、ASTM規格(D7709)に従ったトルクを用いて乾燥空気雰囲気中で密封し、50℃および75%相対湿度に設定したオーブン内で貯蔵した。表3は、評価した貯蔵容器の容積と、水蒸気透過率および反応性を評価するために使用した試料の容積とを示す。
【表3】
【0066】
水蒸気透過率を決定するために、1日目の後、およびその後7日ごとに30日間にわたって乾燥剤の重量を測定した。各貯蔵容器について3回の反復実験を行い、平均重量を計算してデータの統計学的有意性を確実にした。結果を表4に示し、
図1にプロットする。最小二乗法を使用して傾向線の勾配を計算することによって、1日当たりの水移動量(g/日)を決定した。計算値を表4に示す。
【表4】
【0067】
表4の結果に基づいて、評価した各貯蔵容器の表面積および厚さを使用して、以下の数1:
[数1]
WVTR(g-mm/cm2/日)=1日当たりの水移動量(g/日)×壁厚(mm)/表面積(cm2)
を使用して水蒸気透過率(「WVTR」)を生成した。
【0068】
計算されたWVTRを表5に示す。PETは、HDPEまたはBaritainer(登録商標)のいずれよりも高いWVTRを有した。アルミニウム容器ではWVTRは測定不能に小さいはずであるため、この容器によって吸収された少量の水は、プラスチックシーリングトップを通って移行したと理論付けられる。
【表5】
【0069】
アニオン性反応性に対する貯蔵容器の影響を決定するために、3回または4回の反復実験を行い、50℃および75%相対湿度で3または4日間、その後7日間にわたって評価のために貯蔵して、同じ容器を開封し、次いで再び密封する必要性をなくした。7日ごとに、分析および観察のために1つの容器を取り出した。各観察では、貯蔵容器を空にし、開始剤を使用してモノマーのアニオン性反応性を評価した。
【0070】
DHMMのアニオン性反応性試験は、4mLのPPバイアルに、評価した貯蔵容器からの1gのDHMM試料を充填し、バイアルに磁気撹拌棒を入れることによって行った。500毎分回転数(「rpm」)の速度で撹拌棒を用いて混合しながら、DEGDEE中の0.025%1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(「DABCO」)溶液0.5gが反応混合物に堆積した際に、反応混合物の温度を測定した。DABCO溶液を加えた瞬間にタイマを始動させ、混合物の観察された温度上昇が2秒間にわたって連続して0.1℃/秒を超えるまで継続した。DHMMの反応性の指標として、測定した時間を記録した。メチレンマロネートポリエステルのアニオン性反応性試験は、4mLのポリプロピレン(「PP」)バイアルに、評価した貯蔵容器からの1gのメチレンマロネートポリエステル試料と0.5gのジエチレングリコールジエチルエーテル(「DEGDEE」)とを充填し、バイアルに撹拌棒を入れることによって行った。500rpmの速度で撹拌棒を用いて混合しながら、DEGDEE中の1%ジメチルベンジルアミン(「DMBA」)溶液0.5gが反応混合物の中央に堆積した際に、反応混合物の温度を測定した。DMBA溶液を加えた瞬間にタイマを始動させ、混合物の観察された温度上昇が2秒間にわたって連続して0.1℃/秒を超えるまで継続した。メチレンマロネートポリエステルの反応性の指標として、測定した時間を記録した。各貯蔵容器内のDHMMの経時的な反応性を表6に示し、メチレンマロネートポリエステルの反応性変化を表7に示す。
【表6】
【表7】
【0071】
表6および表7に示すように、貯蔵容器に貯蔵した後の試料について、反応性変化の実質的な差が観察された。アルミニウム容器は、経時的な反応性の低下が最も少なく、HDPE、Baritainer(登録商標)およびPETの順に反応性の喪失が大きかった。PET容器に収容されたDHMM試料は、21日目まで反応せず、反応性試験によって硬化することができなかった。これらの結果は、WVTRが増加するにつれて、反応性の喪失が起こるという証拠を提供する。
【0072】
しかし、反応性の変化とは対照的に、PET容器内であってもDHMMの粘度は変化しなかった。DHMMの粘度は、試験初日(0日目)および試験終了日(21日目)に、それぞれ6.9cPおよび6.7cPであった。これは、メチレンマロネートなどの1,1-二置換アルケンの特徴的な結果であり、他の公知のアニオン重合性化合物とは異なる。理解され得るように、シアノアクリレートおよびイソシアネートなどのほとんどのアニオン重合性化合物は、米国特許第2003/0039781号明細書で説明されているように、水と接触すると、むしろ粘度の変化を示すか、または早期重合によるゲル化を示す。
【0073】
アニオン性反応性試験を行った際の容器内の吸水量(g)は、以下の式によって決定され得る:「表4の1日当たりの水移動量(g/日)」×「反応性試験を行った日数(日)」。吸収された水とメチレンマロネートとのモル比を使用して、加水分解によるアニオン重合の反応性の喪失の程度を決定した。吸水量/メチレンマロネートの量(g/g)とDHMMの反応性時間(秒)の増加との相関を
図2および表8に示し、メチレンマロネートポリエステルについては
図3および表9に示す。
【表8】
【表9】
【0074】
反応性時間の増加の許容限界を規定することによって、貯蔵中に容器に吸収される水の許容量/メチレンマロネートの量(g/g)を決定することができる。
図2によれば、反応性時間(y、秒)と容器内の吸水量/メチレンマロネートの量(x、g/g)との関係は、DHMMの場合、多項回帰を行うことにより、y=60000000x
2+397944x+220(式1)として決定された。メチレンマロネートポリエステルに関する同様の式は、
図3によれば、y=40000000x
2+17730x+109(式2)として表され得る。
【0075】
この許容可能な水量/メチレンマロネート(W g/g)、ならびに容器に充填されたメチレンマロネートの量(M g)、容器の壁厚(T mm)、容器の表面積(A cm2)、および必要な貯蔵期間(S日)に基づいて、数2:
[数2]
WVTR(g-mm/cm2/日)=W(g/g)×M(g)×T(mm)/A(cm2)/S(日)
を使用して、許容可能なWVTR(g-mm/cm2/日)を決定することができる。
【0076】
理解され得るように、ほとんどの用途では、硬化時間を5倍超にすることは許容できない。例えば、1,1-二置換アルケンを使用して製造ラインで製造されたコーティング膜または成形品は、反応性の変化を補わずに硬化時間が増加した場合、様々な問題を抱えるであろう。硬化時間の小さな差は、ライン速度を変更することによって、または追加の開始剤を加えて、反応速度を増加させ、硬化時間を減少させることによって補うことができる。しかし、5倍になった反応速度を補うために過剰な開始剤が必要とされ、そのような量は、黄変、または耐候性の問題を引き起こすことによってコーティング膜または成形品の品質に悪影響を及ぼす。式1によれば、容器内のDHMMの量当たり0.00095(g/g)の水が吸収されると、DHMMの硬化時間は130秒から650秒に5倍になる。式2によれば、容器内のメチレンマロネートポリエステルの量当たり0.0025(g/g)の水が吸収されると、メチレンマロネートポリエステルの反応性は80秒から400秒に2倍になる。したがって、メチレンマロネートモノマーまたはポリエステルを硬化させる時間が5倍になることを回避するために、容器内の許容される吸水量/メチレンマロネートの量(W)を0.00095(g/g)に設定することができる。理解され得るように、いくつかの特殊な用途では、反応速度を2倍超にすることは許容することができない。式1によれば、容器内のDHMMの量当たり0.000099(g/g)の水が吸収されると、DHMMの反応性は130秒から260秒に2倍になる。式2によれば、容器内のメチレンマロネートポリエステルの量当たり0.00093(g/g)の水が吸収されると、メチレンマロネートポリエステルの反応性は80秒から160秒に2倍になる。したがって、反応速度が2倍になることを回避するために、容器内の許容される吸水量/メチレンマロネートの量(W)を0.000099(g/g)に設定することができる。
【0077】
メチレンマロネートのような反応性モノマーを出荷および貯蔵するための最も実用的な容器の1つが、プラスチックトートである。プラスチックトートの容積は1m3であり、プラスチックトートの全容積が材料によって通常充填される。DHMMの密度が1.03であることを考慮すると、トート容器に充填されたメチレンマロネートの量(M)は、1.03×106gであると仮定される。トート容器の壁厚(T)は通常約30mmであり、トート容器の表面積(A)は100×100×6=6×104cm2である。水移動量速度は、所与の雰囲気条件(温度および相対湿度)についてASTM(D7709-12)に従って測定することができる。例えば、50℃および75%RHは、1,1-二置換アルケンモノマーが貯蔵容器内で耐える必要があり得る高温多湿の気候領域を表す過酷な条件を表し得る。ほとんどの用途では必要な貯蔵期間(S)が90日間であると仮定すると、メチレンマロネートモノマーまたはポリエステルを硬化させる時間が5倍になることを回避するために、許容可能なWVTR(g-mm/cm2/日)は、0.00095(g/g)×1.03×106(g)×30(mm)/6×104(cm2)/90(日)=5.4×10-3(g-mm/cm2/日)として計算することができる。同様に、メチレンマロネートモノマーまたはポリエステルを硬化させる時間が2倍になることを回避するために、許容可能なWVTR(g-mm/cm2/日)は、0.000099(g/g)×1.03×106(g)×30(mm)/6×104(cm2)/90(日)=5.7×10-4(g-mm/cm2/日)として計算することができる。
【0078】
[例示的な実施形態]
A1. バリア層を備える貯蔵容器を準備するステップであって、バリア層が、貯蔵容器の水蒸気透過率を低下させるステップと、
貯蔵容器に1,1-二置換アルケン組成物を充填するステップと、
を含む、1,1-二置換アルケン組成物の取り扱い方法。
A2. 1,1-二置換アルケン組成物が、メチレンマロネート、メチレンβ-ケトエステル、メチレンβ-ジケトン、単官能性、二官能性または多官能性のそれらのモノマー、オリゴマーまたはポリマー、およびそれらの組合せのうちの1つ以上を含む、項A1による方法。
A3. 1,1-二置換アルケン組成物が、ジアルキルメチレンマロネートまたはメチレンマロネートポリエステルを含む、項A2による方法。
A4. ジアルキルメチレンマロネートが、ジヘキシルメチレンマロネートを含む、任意の前の項による方法。
A5. バリア層が、1,1-二置換アルケン組成物と適合性がある材料から形成される、任意の前の項による方法。
A6. 1,1-二置換アルケン組成物と適合性がある材料が、高密度ポリエチレン、ニトリル、ポリアミド、またはポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレンもしくは金属の複合体のうちの1つ以上を含む、項A5による方法。
A7. 材料が、高密度ポリエチレンを含む、項A5または項A6による方法。
A8. 材料が、ハロゲン化プロセスによって改質された、項A7による方法。
A9. ハロゲン化プロセスが、フッ素化プロセスを含む、項A8による方法。
A10. 材料が、ステンレス鋼またはアルミニウムを含む、項A5による方法。
A11. バリア層が内層である、項A5~A10のいずれかによる方法。
A12. バリア層が表面層である、項A5~A10のいずれかによる方法。
A13. バリア層が、二酸化硫黄(SO2)、メタンスルホン酸(「MSA」)、トリフルオロメタンスルホン酸(「TSA」)、塩酸(HCl)およびリン酸(H3PO4)のうちの1つ以上の適用によって形成される、任意の前の項による方法。
A14. 貯蔵容器が、約50℃の温度、および約75%の相対湿度で、約0.0054g/cm2/mm/日以下の水蒸気透過率を示す、任意の前の項による方法。
A15. 貯蔵容器が、約50℃の温度、および約75%の相対湿度で、約0.00057g/cm2/mm/日以下の水蒸気透過率を示す、任意の前の項による方法。
A16. 貯蔵容器を約50℃の温度、および約75%の相対湿度に維持した場合に、1,1-二置換アルケン組成物が、約3ヶ月以上の貯蔵寿命を示す、任意の前の項による方法。
A17. 1,1-二置換アルケン組成物が、貯蔵寿命の間、粘度および反応性のうちの1つ以上を実質的に維持する、項A16による方法。
A18. 1,1-二置換アルケン組成物が、約50%以下の相対湿度で充填される、任意の前の項による方法。
A19. 1,1-二置換アルケン組成物が、約10%以下の相対湿度で充填される、任意の前の項による方法。
A20. 1,1-二置換アルケン組成物が、1つ以上の酸化防止剤および酸をさらに含む、任意の前の項による方法。
A21. 1つ以上の酸化防止剤が、一次酸化防止剤を含み、1,1-二置換アルケン組成物が、約10ppm以上から1重量%未満の間の一次酸化防止剤を含む、項A20による方法。
A22. 一次酸化防止剤が、ヒンダードフェノール誘導体を含む、項A21による方法。
A23. 1つ以上の酸化防止剤が、二次酸化防止剤をさらに含み、1,1-二置換アルケン組成物が、約10ppm以上から1重量%未満の間の二次酸化防止剤を含む、項A20~A22のいずれかによる方法。
A24. 二次酸化防止剤が、チオールを含み、且つ窒素を実質的に含まない、項A23による方法。
A25. 1,1-二置換アルケン組成物が、約5ppm以上から1重量%未満の間の酸を含む、項A20~A24のいずれかによる方法。
A26. 酸が、約3以下のH0を有する、項A25による方法。
A27. 1,1-二置換アルケン組成物が、メタンスルホン酸(「MSA」)、ヒドロキノンのモノメチルエーテル(「MeHQ」)、およびジブチルヒドロキシトルエン(「BHT」)のうちの1つ以上を含む、任意の前の項による方法。
A28. 取り扱いが、貯蔵および出荷を含む、任意の前の項による方法。
A29. 取り扱いが、約50℃以下の温度で行われる、任意の前の項による方法。
A30. 貯蔵容器が、紫外線に対して実質的に不透明である、任意の前の項による方法。
A31. バリア層に、二酸化硫黄(SO2)、メタンスルホン酸(「MSA」)、トリフルオロメタンスルホン酸(「TSA」)、塩酸(HCl)およびリン酸(H3PO4)のうちの1つ以上が適用された、任意の前の項による方法。
【0079】
B1. バリア層を備える貯蔵容器であって、バリア層が、貯蔵容器の水蒸気透過率を低下させる貯蔵容器と、
貯蔵容器に貯蔵された1,1-二置換アルケン組成物と、
を含む容器。
B2. 1,1-二置換アルケン組成物が、メチレンマロネート、メチレンβ-ケトエステル、メチレンβ-ジケトン、単官能性、二官能性または多官能性のそれらのモノマー、オリゴマーまたはポリマー、およびそれらの組合せのうちの1つ以上を含む、項B1による容器。
B3. 1,1-二置換アルケン組成物が、ジアルキルメチレンマロネートまたはメチレンマロネートポリエステルを含む、項B2による容器。
B4. ジアルキルメチレンマロネートが、ジヘキシルメチレンマロネートを含む、任意の前の項による容器。
B5. バリア層が、1,1-二置換アルケン組成物と適合性がある材料から形成される、任意の前の項による容器。
B6. 1,1-二置換アルケン組成物と適合性がある材料が、高密度ポリエチレン、ニトリル、ポリアミド、またはポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレンもしくは金属の複合体のうちの1つ以上を含む、項B5による容器。
B7. 材料が、高密度ポリエチレンを含む、項B5または項B6による容器。
B8. 材料の表面が、ハロゲン化プロセスによって改質された、項B7による容器。
B9. ハロゲン化プロセスが、フッ素化プロセスを含む、項B8による容器。
B10. 材料が、ステンレス鋼またはアルミニウムを含む、項B5による容器。
B11. バリア層が内層である、項B5~B10のいずれかによる容器。
B12. バリア層が表面層である、項B5~B10のいずれかによる容器。
B13. バリア層が、二酸化硫黄(SO2)、メタンスルホン酸(「MSA」)、トリフルオロメタンスルホン酸(「TSA」)、塩酸(HCl)およびリン酸(H3PO4)のうちの1つ以上の適用によって形成される、任意の前の項による容器。
B14. 貯蔵容器が、約50℃の温度、および約75%の相対湿度で、約0.0054g/cm2/mm/日以下の水蒸気透過率を示す、任意の前の項による容器。
B15. 貯蔵容器が、約50℃の温度、および約75%の相対湿度で、約0.00057g/cm2/mm/日以下の水蒸気透過率を示す、任意の前の項による容器。
B16. 貯蔵容器を約50℃の温度、および約75%の相対湿度に維持した場合に、1,1-二置換アルケン組成物が、約3ヶ月以上の貯蔵寿命を示す、任意の前の項による容器。
B17. 1,1-二置換アルケン組成物が、貯蔵寿命の間、粘度および反応性のうちの1つ以上を実質的に維持する、項B16による容器。
B18. 1,1-二置換アルケン組成物が、約50%以下の相対湿度で充填される、任意の前の項による容器。
B19. 1,1-二置換アルケン組成物が、約10%以下の相対湿度で充填される、任意の前の項による容器。
B20. 1,1-二置換アルケン組成物が、1つ以上の酸化防止剤および酸をさらに含む、任意の前の項による容器。
B21. 1つ以上の酸化防止剤が、一次酸化防止剤を含み、1,1-二置換アルケン組成物が、約10ppm以上から1重量%未満の間の一次酸化防止剤を含む、項B20による容器。
B22. 一次酸化防止剤が、ヒンダードフェノール誘導体を含む、項B21による容器。
B23. 1つ以上の酸化防止剤が、二次酸化防止剤をさらに含み、1,1-二置換アルケン組成物が、約10ppm以上から1重量%未満の間の二次酸化防止剤を含む、項B20~B22のいずれかによる容器。
B24. 二次酸化防止剤が、チオールを含み、且つ窒素を実質的に含まない、項B23による容器。
B25. 1,1-二置換アルケン組成物が、約5ppm以上から1重量%未満の間の酸を含む、項B20~B24のいずれかによる容器。
B26. 酸が、約3以下のH0を有する、項B25による容器。
B27. 1,1-二置換アルケン組成物が、メタンスルホン酸(「MSA」)、ヒドロキノンのモノメチルエーテル(「MeHQ」)、およびジブチルヒドロキシトルエン(「BHT」)のうちの1つ以上を含む、任意の前の項による容器。
B28. 取り扱いが、貯蔵および出荷を含む、任意の前の項による容器。
B29. 取り扱いが、約50℃以下の温度で行われる、任意の前の項による容器。
B30. 貯蔵容器が、紫外線に対して実質的に不透明である、任意の前の項による容器。
B31. 貯蔵容器が、該材料から全体的に形成される、任意の前の項による容器。
B32. 貯蔵容器が、使い捨てシールによって密封される、任意の前の項による容器。
B33. 貯蔵容器が、ねじ蓋によって密封される、任意の前の項による容器。
B34. 貯蔵容器が、約50%以下、約20%以下、約10%以下、約5%以下、または約1%以下の相対湿度を有する乾燥空気によって充填される、任意の前の項による容器。
B35. 窒素ガス、ヘリウムガスおよびアルゴンガスから選択される不活性ガスによって約50%以下、約20%以下、約10%以下、約5%以下、または約1%以下の相対湿度を有する乾燥空気を希釈することによって得られる、5~21%の酸素濃度を有するガスによって貯蔵容器が充填される、任意の前の項による容器。
B36. 貯蔵容器が、ガスまたは液体の入口と、ガスまたは液体の出口とを有する、任意の前の項による容器。
B37. 入口および/または出口が弁を含む、項B36による容器。
B38. 出口のうちの少なくとも1つが、ガスの挿入によって液体が排出され得るように、貯蔵容器の内部の下部に達するパイプを備える、項B36による容器。
B39. パイプが、1,1-二置換アルケン組成物と適合性がある材料から形成される、項B38による容器。
B40. 1,1-二置換アルケン組成物が、1,1-二置換アルケンの量に基づいて、好ましくは約1000ppm以下、さらに好ましくは約500ppm以下、なお好ましくは約100ppm以下のアニオン重合防止剤を含む、任意の前の項による容器。
B41. 1,1-二置換アルケン組成物が、1,1-二置換アルケンの量に基づいて、好ましくは約5000ppm以下、さらに好ましくは約2000ppm以下、なお好ましくは約1000ppm以下のラジカル重合防止剤を含む、任意の前の項による容器。
B42. バリア層に、二酸化硫黄(SO2)、メタンスルホン酸(「MSA」)、トリフルオロメタンスルホン酸(「TSA」)、塩酸(HCl)およびリン酸(H3PO4)のうちの1つ以上が適用された、任意の前の項による容器。
【0080】
本明細書に開示された寸法および値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されると理解されるべきではない。むしろ、特に指定されない限り、そのような各寸法は、列挙された値、およびその値を取り囲む機能的に等価な範囲の両方を意味することが意図されている。
【0081】
本明細書を通して与えられるあらゆる最大の数値限定は、あたかもそのようなさらに低い数値限定が本明細書に明示的に記載されているかのように、あらゆるさらに低い数値限定を含むことを理解されたい。本明細書を通して与えられるあらゆる最小の数値限定は、あたかもそのようなさらに高い数値限定が本明細書に明示的に記載されているかのように、あらゆるさらに高い数値限定を含む。本明細書を通して与えられるあらゆる数値範囲は、あたかもそのようなさらに狭い数値範囲が本明細書にいずれも明示的に記載されているかのように、そのようなさらに広い数値範囲内に入るあらゆるさらに狭い数値範囲を含む。
【0082】
任意の相互参照されるまたは関連する特許または出願を含む、本明細書で引用されるあらゆる文書は、明示的に除外されないかまたは他の方法で限定されない限り、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。任意の文書の引用は、それが本明細書に開示されるもしくは本明細書で特許請求される任意の発明に関して先行技術であること、またはそれが単独で、もしくは任意の他の単数もしくは複数の参考文献と任意に組み合わせて、任意のそのような発明を教示、示唆もしくは開示することを認めるものではない。さらに、本文書中の用語の任意の意味または定義が、参照により組み込まれる文書中の同じ用語の任意の意味または定義と矛盾する限り、本文書中のその用語に割り当てられた意味または定義が優先されるものとする。
【0083】
実施形態および例の前述の説明は、説明を目的として提示されている。網羅的であること、または記載された形態に限定することを意図するものではない。上記の教示に照らして、多数の修正が可能である。これらの修正のいくつかは説明されており、他の修正は当業者によって理解されるであろう。様々な実施形態を例示するために実施形態を選択し、説明した。当然のことながら、範囲は、本明細書に記載の例または実施形態に限定されず、当業者によって任意の数の用途および同等の物品に採用され得る。むしろ、本明細書は、添付の特許請求の範囲によって範囲が定義されることを意図している。
【0084】
様々な実施形態の特定の実施形態、特徴、構造または特性は、全体的または部分的に交換され得ることを理解されたい。特定の実施形態への言及は、特定の実施形態に関連して説明される特定の態様、特徴、構造または特性が少なくとも1つの態様に含まれ得、特定の他の実施形態と交換され得ることを意味する。本明細書の様々な箇所における「特定の実施形態では」という句の出現は、必ずしもすべてが同じ態様を指しているわけでもなく、特定の実施形態が、他の特定の実施形態と必ずしも相互排他的であるわけでもない。また、本明細書に記載の方法のステップは、必ずしも記載された順序で行われる必要はないと理解されるべきであり、そのような方法のステップの順序は、単なる例示であると理解されるべきである。同様に、特定の実施形態と一致する方法では、そのような方法に追加のステップを含めることができ、特定のステップが省略され得るかまたは組み合わされ得る。
【国際調査報告】