(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-30
(54)【発明の名称】蒸気生成物を凝縮するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
B01D 5/00 20060101AFI20240123BHJP
【FI】
B01D5/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540807
(86)(22)【出願日】2021-12-30
(85)【翻訳文提出日】2023-08-07
(86)【国際出願番号】 US2021065745
(87)【国際公開番号】W WO2022147295
(87)【国際公開日】2022-07-07
(32)【優先日】2020-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】517396098
【氏名又は名称】ブレイクスルー・テクノロジーズ・エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Breakthrough Technologies, LLC
(71)【出願人】
【識別番号】523250212
【氏名又は名称】ジャフリー・カマル
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ジャフリー・カマル
【テーマコード(参考)】
4D076
【Fターム(参考)】
4D076AA22
4D076BC01
4D076FA20
4D076HA01
4D076HA10
4D076JA03
(57)【要約】
蒸気生成物を凝縮するためのシステムが提供される。このシステムは、第1の湿度レベルを有する蒸気生成物を受容するように構成された第1のダクトを含み、第1のダクトは、蒸気生成物を電離するように第1のダクトへの第1の電圧の印加に応答して第1の電荷を有する。第2のダクトが、電離された蒸気生成物を通過させるように構成され、また、第2の電圧の印加に応答して第2の電荷を帯び、それにより、電離された蒸気生成物中に存在する液体粒子の少なくとも一部の収集を可能にし、第1の修正蒸気生成物を形成するように構成される。チャンバが、第1の修正蒸気生成物を受容するように構成されており、第1の修正蒸気生成物の温度を下げるように構成された少なくとも1つの冷却プレートと、液体粒子の少なくとも一部を収集するように構成された少なくとも1つの第1のメッシュプレートと、を含む。蒸気を凝縮するための方法も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
第1の湿度レベルを有する蒸気生成物を受容するように構成された第1のダクトであって、前記蒸気生成物を電離するように前記第1のダクトへの第1の電圧の印加に応答して第1の電荷を有する、第1のダクトと、
前記第1のダクトと流体連通しており、前記第1のダクトの下流に配置され、前記電離された蒸気生成物を通過させるように構成された、第2のダクトであって、前記第1の電圧とは異なる第2の電圧の印加に応答して第2の電荷を帯び、それにより、前記電離された蒸気生成物中に存在する液体粒子の少なくとも一部の収集を可能にし、前記第1の湿度レベルよりも高い第1の修正湿度レベルを有する第1の修正蒸気生成物を形成するように構成されている、第2のダクトと、
前記第1の修正蒸気生成物を受容するように構成されたチャンバであって、
前記第1の修正蒸気生成物の温度を下げて、前記第1の修正湿度レベルよりも低い第2の修正湿度レベルを有する第2の修正蒸気生成物を形成するように構成された、少なくとも1つの冷却プレートと、
前記少なくとも1つの冷却プレートの下流に配置され、前記第2の修正蒸気生成物または第3の修正蒸気生成物内に存在する液体粒子の少なくとも一部を収集して、少なくとも前記第2の修正湿度レベルよりも低い第4の修正湿度レベルを有する第4の修正蒸気生成物を形成するように構成された、少なくとも1つの第1のメッシュプレートであって、前記第2の電圧とは異なる第3の電圧の印加に応答して第3の電荷を有する、少なくとも1つの第1のメッシュプレートと、
を含む、チャンバと、
を含む、システム。
【請求項2】
前記チャンバは、液体粒子を少なくとも前記第1の修正蒸気生成物からリザーバ内に導くように構成された分離器をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記分離器は、前記チャンバ内に配置された円錐形プレートを含み、間隙が、前記円錐形プレートと前記チャンバの側壁との間に形成され、前記間隙は、前記液体粒子を受容して前記リザーバ内に導くように構成されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記チャンバは、前記第3の電圧とは異なる第4の電圧の印加に応答して第4の電荷を有する点電極をさらに含み、前記点電極は、前記点電極を横切ってまたは前記点電極に近接して通過する前記第2の修正蒸気生成物を電離して、前記第2の修正蒸気生成物の電荷を修正するように構成されている、請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記第2のダクトは、前記第2のダクトのチャネルを通って少なくとも部分的に延びるスパイラル電極を含み、前記スパイラル電極は、前記第2の電圧で帯電されている、請求項1から4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記スパイラル電極は、前記スパイラル電極の長さに沿って配置された複数の点電極を含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記少なくとも1つの冷却プレートは、熱電冷却器を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記チャンバは、前記点電極と前記少なくとも1つの第1のメッシュプレートとの間に位置付けられた少なくとも1つの第2のメッシュプレートをさらに含み、前記少なくとも1つの第2のメッシュプレートは、前記第2の修正蒸気生成物内に存在する液体粒子の少なくとも一部を収集して、少なくとも前記第2の修正湿度レベルよりも低い第3の修正湿度レベルを有する第3の修正蒸気生成物を形成するように構成されている、請求項1から7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの第1のメッシュプレートは、前記液体粒子の集まりが、少なくとも重力によって前記少なくとも1つの第1のメッシュプレートから選択的に分離することを可能にするようにさらに構成されている、請求項1から8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記チャンバは、少なくとも前記第1の修正蒸気生成物および前記第2の修正蒸気生成物から選択的に分離された液体粒子を受容するように構成されたリザーバをさらに含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記蒸気生成物を、前記第1のダクトおよび前記第2のダクトを通して前記チャンバまで押し進めるように構成された送風機をさらに含む、請求項1から10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
レデューサをさらに含み、前記レデューサは、前記第1のダクトと前記第2のダクトとの間に位置付けられ、前記電離された蒸気生成物が前記レデューサを通過して前記第2のダクトに向かうにつれて、前記電離された蒸気生成物の流量を増加させるように構成されている、請求項1から11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
方法であって、
第1の電圧で帯電した第1のダクトに蒸気生成物を通して、前記蒸気生成物を電離することと、
前記第1のダクトの下流に位置付けられ、前記第1のダクトと流体連通している第2のダクトに、前記電離された蒸気生成物を通して、第1の修正蒸気生成物を形成することであって、前記第2のダクトは、前記第1の電圧とは異なる第2の電圧で帯電される、ことと、
前記第1の修正蒸気生成物をチャンバの中に入れることであって、前記チャンバは、少なくとも1つの冷却プレートと、前記少なくとも1つの冷却プレートの下流に位置付けられた少なくとも1つの第1のメッシュプレートと、を有し、前記少なくとも1つの第1のメッシュプレートは、少なくとも前記第2の電圧とは異なる第3の電圧で帯電される、ことと、
前記少なくとも1つの冷却プレートによって、前記第1の修正蒸気生成物を冷却して第2の修正蒸気生成物を形成することと、
前記少なくとも1つの第1のメッシュプレートによって、前記第2の修正蒸気生成物または第3の修正蒸気生成物内に存在する液体粒子の少なくとも一部を除去し、第4の修正蒸気生成物を形成することと、
を含む、方法。
【請求項14】
前記蒸気生成物は、第1の湿度レベルを有し、前記第1の修正蒸気生成物は、前記第1の湿度レベルよりも高い第1の修正湿度レベルを有し、前記第2の修正蒸気生成物は、前記第1の湿度レベルよりも低い第2の修正湿度レベルを有し、前記第4の修正蒸気生成物は、前記第2の修正湿度レベルよりも低い第3の湿度レベルを有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記チャンバは、前記チャンバの入口と前記少なくとも1つの冷却プレートとの間に位置付けられた分離器を含み、前記方法は、前記除去するステップの前に、前記分離器によって、前記第1の修正蒸気生成物内に存在する液体粒子の少なくとも一部を分離することをさらに含む、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
少なくとも前記第3の電圧とは異なる第4の電圧で帯電される点電極をさらに含み、前記方法は、
前記点電極を横切ってまたは前記点電極に近接して通過する前記第2の修正蒸気生成物を、前記点電極によって電離して、前記第2の修正蒸気生成物の電荷を修正することをさらに含む、請求項13から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記チャンバは、少なくとも1つの第2のメッシュプレートを含み、前記方法は、
前記第2の修正蒸気生成物内に存在する液体粒子の少なくとも一部を、前記少なくとも1つの第2のメッシュプレートによって除去して、少なくとも前記第2の修正湿度レベルよりも低い第3の修正湿度レベルを有する第3の修正蒸気生成物を形成することをさらに含む、請求項13から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
レデューサが、前記第1のダクトと前記第2のダクトとの間に位置付けられ、前記方法は、
前記電離された蒸気生成物が前記レデューサを通過して前記第2のダクトに向かうときに、前記電離された蒸気生成物の流量を、前記レデューサによって増加させることをさらに含む、請求項13から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記第2のダクトは、前記第2のダクト内に配置されたスパイラル電極を含み、前記スパイラル電極は、前記第2の電圧で帯電され、
前記電離された蒸気生成物を第2のダクトに通すことは、
前記電離された蒸気生成物を、前記スパイラル電極を横切って通過させて、前記電離された蒸気生成物内に存在する液体粒子の少なくとも一部が前記スパイラル電極上に集まることを可能にすることを含み、
前記液体粒子の集まりは、前記スパイラル電極から選択的に分離し、前記液体粒子の集まりと残りの前記電離された蒸気生成物との組み合わせは、前記第1の修正蒸気生成物を形成する、請求項13から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
少なくとも前記第1の修正蒸気生成物および前記第2の修正蒸気生成物から選択的に分離された前記液体粒子を収集し、収集された前記液体粒子をリザーバに移送することをさらに含む、請求項13から19のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願の相互参照〕
本出願は、2020年12月30日に出願された米国仮出願第63/132,037号および2021年6月11日に出願された米国仮出願第63/209,630号の優先権を主張するものであり、これらすべての開示は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0002】
〔技術分野〕
本主題は、概して、蒸気生成物(vapor product)を凝縮するためのシステムおよび方法、例えば水蒸気凝縮システム、に関する。
【背景技術】
【0003】
水の捕集(Scavenging)は、世界中の多くの地域における水不足問題に対する持続可能な解決策となり得る。淡水化は、液体、特に水を浄化する一形態であり、塩水から塩および他のミネラルをある程度除去するプロセスを指す。淡水化を介して、塩水は、人間の消費、灌漑、または他の用途に適した淡水に変換され得る。比較的高いエネルギー消費により、海水淡水化のコストは、一般的に代替案(例えば、河川または地下水からの淡水、水のリサイクル、水の保全など)よりも高いが、代替案が常に利用できるわけではない。逆浸透は水を浄化するもう1つのプロセスである。しかしながら、逆浸透は高価な膜および高い圧力を使用し、かなりのエネルギーを必要とする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の一実施形態は、蒸気生成物を凝縮するためのシステムを提供する。このシステムは、第1の湿度レベルを有する蒸気生成物を受容するように構成された第1のダクトを含み、第1のダクトは、蒸気生成物を電離するように第1のダクトへの第1の電圧の印加に応答して第1の電荷を有する。第2のダクトが、第1のダクトと流体連通しており、第1のダクトの下流に配置され、電離された蒸気生成物を通過させるように構成されている。第2のダクトは、第1の電圧とは異なる第2の電圧の印加に応答して第2の電荷を帯び、それにより、電離された蒸気生成物中に存在する液体粒子の少なくとも一部の収集を可能にし、第1の湿度レベルよりも高い第1の修正湿度レベル(first modified humidity level)を有する第1の修正蒸気生成物(first modified vapor product)を形成するように構成される。チャンバが、第1の修正蒸気生成物を受容するように構成され、少なくとも1つの冷却プレートと、少なくとも1つの第1のメッシュプレートと、を含む。少なくとも1つの冷却プレートは、第1の修正蒸気生成物の温度を下げて、第1の修正湿度レベルよりも低い第2の修正湿度レベルを有する第2の修正蒸気生成物を形成するように構成される。少なくとも1つの第1のメッシュプレートは、少なくとも1つの冷却プレートの下流に配置され、第2の修正蒸気生成物または第3の修正蒸気生成物内に存在する液体粒子の少なくとも一部を収集して、少なくとも第2の修正湿度レベルよりも低い第4の修正湿度レベルを有する第4の修正蒸気生成物を形成するように構成される。少なくとも1つの第1のメッシュプレートは、第2の電圧とは異なる第3の電圧の印加に応答して第3の電荷を有する。
【0005】
いくつかの実施形態では、システムは、分離器をさらに含むことができる。分離器は、液体粒子を少なくとも第1の修正蒸気生成物からリザーバ内に導くように構成され得る。他の実施形態では、分離器は、チャンバ内に配置された円錐形プレートを含むことができ、間隙が円錐形プレートとチャンバの側壁との間に形成され、この間隙は、液体粒子を受容してリザーバ内に導くように構成される。
【0006】
チャンバは、さまざまな構成を有することができる。いくつかの実施形態では、チャンバは、第3の電圧とは異なる第4の電圧の印加に応答して第4の電荷を有する点電極をさらに含み得る。他の実施形態では、点電極は、点電極を横切ってまたは点電極に近接して通過する第2の修正蒸気生成物を電離して、第2の修正蒸気生成物の電荷を修正するように構成され得る。
【0007】
第2のダクトは、さまざまな構成を有することができる。いくつかの実施形態では、第2のダクトは、第2のダクトのチャネルを通って少なくとも部分的に延びるスパイラル電極を含むことができ、スパイラル電極は、第2の電圧で帯電される。他の実施形態では、スパイラル電極は、スパイラル電極の長さに沿って配置された複数の点電極を含むことができる。
【0008】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの冷却プレートは、熱電冷却器を含むことができる。
【0009】
いくつかの実施形態では、チャンバは、点電極と少なくとも1つの第1のメッシュプレートとの間に位置付けられた少なくとも1つの第2のメッシュプレートをさらに含むことができ、少なくとも1つの第2のメッシュプレートは、第2の修正蒸気生成物内に存在する液体粒子の少なくとも一部を収集して、少なくとも第2の修正湿度レベルよりも低い第3の修正湿度レベルを有する第3の修正蒸気生成物を形成するように構成される。
【0010】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第1のメッシュプレートは、液体粒子の集まりが、少なくとも重力によって少なくとも1つの第1のメッシュプレートから選択的に分離することを可能にするようにさらに構成され得る。
【0011】
いくつかの実施形態では、チャンバは、少なくとも第1の修正蒸気生成物および第2の修正蒸気生成物から選択的に分離された液体粒子を受容するように構成されたリザーバをさらに含み得る。
【0012】
いくつかの実施形態では、システムは、蒸気生成物を、第1のダクトおよび第2のダクトを通してチャンバまで押し進めるように構成された送風機をさらに含み得る。他の実施形態では、システムは、レデューサをさらに含み得、レデューサは、第1のダクトと第2のダクトとの間に位置付けられ、電離された蒸気生成物がレデューサを通過して第2のダクトに向かうにつれて、電離された蒸気生成物の流量を増加させるように構成されている。
【0013】
別の実施形態では、蒸気生成物を凝縮する方法が提供される。この方法は、第1の電圧で帯電した第1のダクトに蒸気生成物を通して、蒸気生成物を電離することを含む。電離された蒸気生成物は、第1のダクトの下流に位置付けられ、第1のダクトと流体連通している第2のダクトを通過して、第1の修正蒸気生成物を形成し、第2のダクトは、第1の電圧とは異なる第2の電圧で帯電される。第1の修正蒸気生成物は、チャンバの中に入り、チャンバは、少なくとも1つの冷却プレートと、少なくとも1つの冷却プレートの下流に位置付けられた少なくとも1つの第1のメッシュプレートと、を有し、少なくとも1つの第1のメッシュプレートは、少なくとも第2の電圧とは異なる第3の電圧で帯電される。少なくとも1つの冷却プレートは、第1の修正蒸気生成物を冷却して第2の修正蒸気生成物を形成する。少なくとも1つの第1のメッシュプレートは、第2の修正蒸気生成物または第3の修正蒸気生成物内に存在する液体粒子の少なくとも一部を除去し、第4の修正蒸気生成物を形成する。
【0014】
いくつかの実施形態では、蒸気生成物は、第1の湿度レベルを有し得、第1の修正蒸気生成物は、第1の湿度レベルよりも高い第1の修正湿度レベルを有し、第2の修正蒸気生成物は、第1の湿度レベルよりも低い第2の修正湿度レベルを有し得、第4の修正蒸気生成物は、第2の修正湿度レベルよりも低い第3の湿度レベルを有し得る。
【0015】
いくつかの実施形態では、チャンバは、チャンバの入口と少なくとも1つの冷却プレートとの間に位置付けられた分離器を含み得る。他の実施形態では、本方法は、除去するステップの前に、分離器によって、第1の修正蒸気生成物内に存在する液体粒子の少なくとも一部を分離することをさらに含み得る。
【0016】
いくつかの実施形態では、点電極が、少なくとも第3の電圧とは異なる第4の電圧で帯電される。他の実施形態では、本方法は、点電極を横切ってまたは点電極に近接して通過する第2の修正蒸気生成物を、点電極によって電離して、第2の修正蒸気生成物の電荷を修正することをさらに含み得る。
【0017】
いくつかの実施形態では、チャンバは、少なくとも1つの第2のメッシュプレートを含むことができる。他の実施形態では、本方法は、第2の修正蒸気生成物内に存在する液体粒子の少なくとも一部を、少なくとも1つの第2のメッシュプレートによって除去して、少なくとも第2の修正湿度レベルよりも低い第3の修正湿度レベルを有する第3の修正蒸気生成物を形成することをさらに含み得る。
【0018】
いくつかの実施形態では、レデューサが、第1のダクトと第2のダクトとの間に位置付けられ得る。他の実施形態では、本方法は、電離された蒸気生成物がレデューサを通過して第2のダクトに向かうときに、電離された蒸気生成物の流量を、レデューサによって増加させることをさらに含み得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、第2のダクトは、第2のダクト内に配置されたスパイラル電極を含むことができ、スパイラル電極は、第2の電圧で帯電される。いくつかの実施形態では、電離された蒸気を第2のダクトに通すことは、電離された蒸気生成物を、スパイラル電極を横切って通過させて、電離された蒸気生成物内に存在する液体粒子の少なくとも一部がスパイラル電極上に集まることを可能にすることを含み得、液体粒子の集まりは、スパイラル電極から選択的に分離し、液体粒子の集まりと残りの電離された蒸気生成物との組み合わせは、第1の修正蒸気生成物を形成する。
【0020】
いくつかの実施形態では、本方法は、少なくとも第1の修正蒸気生成物および第2の修正蒸気生成物から選択的に分離された液体粒子を収集し、収集された液体粒子をリザーバに移送することをさらに含み得る。
【0021】
本明細書に記載される主題の1つ以上の変形例の詳細は、添付の図面および以下の説明に記載される。本明細書に記載される主題の他の特徴および利点は、説明および図面、ならびに特許請求の範囲から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本開示の例示的な実施形態による、蒸気を凝縮するためのシステムの概略図である。
【
図2】本開示の例示的な実施形態による、冷却塔内のエアロゾルを凝縮するためのシステムの概略図である。
【
図3】本開示の例示的な実施形態によるソースメッシュおよび凝縮メッシュを示す。
【
図4】本開示の例示的な実施形態による、エアロゾルを凝縮するためのシステムにおいて使用される凝縮器の概略図である。
【
図5A】本開示の例示的な実施形態による、エアロゾルを凝縮する方法のフローチャートである。
【
図5B】本開示の別の例示的な実施形態による、エアロゾルを凝縮する方法のフローチャートである。
【
図6】本開示の例示的な実施形態による、湿度制御のためのシステムの概略図である。
【
図7】本開示の別の例示的な実施形態による、湿度制御のためのシステムの概略図である。
【
図8A】本開示の例示的な実施形態によるソース電極およびシンク電極の配置を示す。
【
図8B】本開示の別の例示的な実施形態によるソース電極およびシンク電極の配置を示す。
【
図9A】本開示の例示的な実施形態による、冷却塔内のエアロゾルを凝縮するためのシステムの概略図である。
【
図9B】本開示の例示的な実施形態による、収束-発散部分と、収束-発散部分内に配置された風力タービンと、を有するダクトの概略図である。
【
図9C】本開示の例示的な実施形態による、収束部分と、収束部分内に配置された風力タービンと、を有するダクトの概略図である。
【
図9D】本開示の例示的な実施形態による、発散-収束部分と、発散-収束部分内に配置された風力タービンと、を有するダクトの概略図である。
【
図10】本開示の例示的な実施形態による冷却塔監視システム(CTMS)の概略図である。
【
図11】本開示の例示的な実施形態によるCTMSの要素を列挙したものである。
【
図12】本開示の例示的な実施形態によるCTMSのセンサおよび制御要素を示す。
【
図13】本開示の例示的な実施形態による、熱的、化学的、および生物学的汚染を低減するためのシステムを示す図である。
【
図14A】本主題のいくつかの態様による凝縮システムの、別の例としての実施形態の側面図である。
【
図17】本主題のいくつかの態様による凝縮システムの、例としての実施形態の側面図である。
【
図19】
図17の凝縮システム内の速度場を示す矢印ボリュームプロット(arrow volume plot)である。
【
図20】
図17の凝縮システム内の速度の大きさを示す等値線プロットである。
【
図21】
図17の凝縮システム内の圧力を示す等値線プロットである。
【
図22】
図17の凝縮システム内の速度場を示す流線プロットである。
【
図23】
図17の凝縮システム内の速度の大きさを示すスライスプロットである。
【
図24】
図17の凝縮システム内の粘性単位での壁分解能(wall resolution in viscous units)を示す表面プロットである。
【
図25】
図17の凝縮システム内の粒子軌道を示すプロットである。
【
図26】本開示の例示的な実施形態による、蒸発廃棄物および汚染を低減するためのシステムの斜視図である。
【
図28】
図26のシステムの冷却塔の、例としての実施形態の斜視図である。
【
図30】上部ダクト内の凝縮プロセスを示す、
図26のシステムの概略図である。
【
図31】凝縮チャンバ内の凝縮プロセスを示す、
図26のシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本主題は、ソース電極とシンク電極との間に電界を印加して、1つ以上のエアロゾル(例えば、空気または何らかの他のガスキャリアの静止または移動する塊中に懸濁された物質(例えば、水)の蒸気相および/または凝縮相)を電界に沿って駆動することにより、その1つ以上のエアロゾルから(例えば、液相の)水を凝縮および収集するための、安全でエネルギー効率の高い技術を提供することができる。電界を形成し、1つ以上のエアロゾルを駆動することにより、1つ以上のエアロゾルを高電圧電源で電離することなく、システムは、いくつかの従来のアプローチと比較して、より安全で、より高い効率を有し、不純物の少ない水を生成するように実施することができる。例示的な用途は、タービン冷却塔および燃焼煙突を含む。既存のインフラストラクチャは、本主題を使用して後付けおよび統合され得る。
【0024】
空気(例えば、周囲空気)から水滴(例えば、水の液体粒子)を捕集する技術は、ワイヤメッシュの形態の収集器を含むことができ、凝縮は、水の捕獲のための収集器メッシュへの水滴の慣性衝突に依存する。ワイヤメッシュのみの使用は、水滴がワイヤメッシュに衝突することが必要とされ得るため、空気力学的抗力により制限され得る。
【0025】
水を凝縮して収集する以前のアプローチに関連する問題は、電気力を利用することによって解決することができる。キャリアガス(例えば、空気)中の水(例えば、水の蒸気相および/または液相)は、課された電界によって帯電され収集器に向けて導かれ得る。水が帯電されると、反対の電荷を帯びた収集器に引き寄せられ得る。そのため、帯電した水が、高い確率で収集器メッシュの表面に衝突し得る。衝突すると、水滴は、メッシュに付着し、入ってくる他の水滴と凝集する。その結果、凝集した水滴が収集器メッシュ上で十分に大きく重くなると、水滴は重力により沈殿する(例えば、収集器メッシュから分離する)ことができ、沈殿した水滴はリザーバ内に収集され得る。
【0026】
1つ以上のエアロゾルから(例えば、液相の)水を捕集するためのいくつかの異なる手段があり得る。水を収集するために電気力を利用する、いくつかの従来のアプローチでは、コロナ放電が使用されて、水に空間電荷を導入し、入ってくる水滴に正味の電荷を与えることができる。コロナ放電は、高電圧発生器に接続された鋭い金属針を使用することによって生成され得る。典型的には、安定したコロナ放電を生成する電圧は、-10kV~-24kVの範囲である。
【0027】
しかし、コロナ放電を使用して水に電荷を与えることは、問題を呈し得る。例えば、コロナ放電は、周囲空気を電離し、オゾン(O3)および一酸化窒素(NO)などのガスを生成することができる。一酸化窒素は、光化学反応を通じて、さらに酸化されて、二酸化窒素(NO2)、続いて硝酸(HNO3)を形成し得る。これらのガスおよび液体は、有毒で、腐食性があり、環境に有害である。水蒸気凝縮システムがコロナ放電システムを含む場合、収集器で収集されるのは、腐食性で有毒な酸である。その結果、収集された液体は、有用な目的のために使用されることが望ましい場合は、さらなる処理を必要とする。さらに、コロナ放電システムは、水蒸気凝縮システムのために実施される場合、それに伴う高い電圧のために危険となり得、大量のエネルギーを浪費し得、かつ/または、高電圧放電のために隣接する電子機器に干渉し得る。さらに、コロナ放電システムは、システムが高い表面積を有するデブリ(例えば、塵粒子)および/または遊離物(loose articles)によって囲まれている場合、爆発の懸念をもたらす。
【0028】
いくつかの実施態様では、電界が、予め定められた空間内に印加されて、1つ以上のエアロゾルから水(例えば、水の液体粒子)を導き、収集することができる。1つ以上のエアロゾルから水(例えば、水の液体粒子)を捕集するために電界を使用するシステムでは、システムは高電圧発生器を必要としない場合があり、したがって、周囲の空気は、電離されない場合がある。空気の絶縁破壊電圧は約3kV/mmと比較的高いので、実質的な電界が、予め定められた空間内に印加されて、1つ以上のエアロゾルを特定の場所(例えば、シンク電極)に駆動することができ、そこで、1つ以上のエアロゾル内に存在する水が凝集され、収集され得る。その結果、有毒で腐食性のガスおよび液体は生成されない。このシステムは、コロナ放電システムよりも安全になるように実施され得、エネルギー利用効率が良く、さらに、不純物の少ない水を生成して、収集された水が(例えば、さらなる処理または浄化なしで)直接使用されることを可能にする。このシステムは水分子の極性特性に依存しているので、このシステムは、極性エアロゾル(例えば、水)を非極性エアロゾル(例えば、塵)から識別し、それによって、不純物の少ない凝縮された水を生成することができる。
【0029】
いくつかの実施態様では、本主題のさらなる利点は、汚染低減を含み得る。化学的および/または生物学的汚染物質を含有するエアロゾル化蒸気を放出し得る工業用冷却装置。例えば、冷却塔は、冷却塔循環水中の溶解固形物の結果として、粒子状物質、揮発性有機化合物、および他の有毒な大気汚染物質を放出し得る。これらの汚染物質は、冷却塔から排出される空気および/または水(例えば、気相もしくは液相の水)に巻き込まれ得る。いくつかの実施形態では、冷却塔から放出される空気および/または水は、熱的汚染物質も含み得る。例えば、冷却塔から放出される空気および/または水は、冷却塔が位置する環境の温度と比較して、より高い温度で放出され得る。高温の放出物は、環境の熱力学的条件を変化させることにより、局所的な環境に悪影響を与え得る。例えば、高温の放出物は、やはり環境中に存在し得るか、または以前は環境中に存在していた化学的および生物学的汚染物質の触媒として作用することができ、化学的および生物学的汚染物質の濃度、反応速度、分散の可能性などを増加させ得る。
【0030】
本明細書に記載のシステムのいくつかの実施態様は、冷却塔からの放出された1つ以上のエアロゾルから水を捕集し、捕集された水をエアロゾル放出源に結合された閉ループシステム内に維持することによって、熱的、化学的、および/または生物学的汚染を軽減することができる。化学的および生物学的汚染物質は、本明細書に記載のシステムを使用して、放出されたエアロゾルから除去され、これらのタイプの汚染物質を冷却塔循環システム内に保持し、周囲環境中に放出しないようにすることができる。さらに、本明細書に記載のシステムのいくつかの実施態様は、高温のエアロゾル放出物を冷却塔循環中に導くことによって熱汚染を低減することができ、それにより、冷却塔システム内を循環する水または冷却媒体の熱質量を利用して、放出されるエアロゾルの高温を低減する。
【0031】
世界の人口が増え続け、気候変動によって水の利用可能性が低減されるにつれて、水不足は現代における最も重大な問題の1つとなっている。世界中で、製造プロセス中に発生する熱を取り出すために水を使用する工業用冷却塔は、かなりの量の水を必要とする。米国だけでも、200万もの冷却塔があると推定されている。中規模の冷却塔では、最大で1億ガロンの水が毎年失われ得る。従来の冷却塔は、水を用いて廃熱を取り出し、これを大気中に排出する。これらの塔では、湿度の高い空気が温かい水蒸気を塔の外に運び、これをプルームと呼ぶ。多くの冷却塔は、水溜めまたはベースンも利用し、これは、時間とともに腐食および細菌の増殖につながる不純物および水を収集する。これらの問題は、水および高価な化学物質を添加することによりしばしば制御される。
【0032】
冷却塔運転中の水損失の最大約90%を回復できるシステムを持つことは有益であり、これは、運転状態を改善し、処理標識を最適化し、機器の腐食を低減し、機器寿命を延ばし、有益な物質の処理および回収の量を増加させ、環境を保護し、大気汚染を低減することができる。
【0033】
図1は、本開示の例示的な実施形態による、蒸気を凝縮するためのシステム100の概略図である。
図1を参照すると、蒸気を凝縮するためのシステム100は、ソース電極110と、凝縮器120と、ダクト140と、を含み得る。いくつかの実施態様では、ダクト140は、複数のダクト(例えば、2、3、4、5個、またはそれより多いダクト)を含み得る。
【0034】
ソース電極110は、ソース電極110に電圧を印加することができる電源130に電気的に接続され得る。ソース電極110は、ダクト140内に電界を印加して、入ってくる空気流に含まれる大気エアロゾルを駆動することができる。ソース電極110は、ソースメッシュを含み得る。ソースメッシュの一例を
図3に示す。
図3を参照すると、ソースメッシュは、複数の層111、112、および113を含むことができる。
【0035】
複数の層111、112、および113はそれぞれ、複数の開口部を有し得る。複数の層111、112、および113のそれぞれに形成された各開口部114は、用途、流量要件、印加電圧などに応じて、1mm~15mmの特徴的な寸法を有することができる。いくつかの実施態様では、各開口部114の特徴的な寸法は、複数の開口部間で同じであってもよく、異なっていてもよい。さらに、複数の層111、112、および113の開口部114は、互いに整列されていてもよく、または、千鳥状であってもよい。ソース電極110のソースメッシュは、導電性材料で作られ得る。ソースメッシュに使用できる材料の例としては、ステンレス鋼、ニッケル、導電性ポリマー、および導電性シリコーンが挙げられる。さらに、ソースメッシュは、水蒸気の取り込みを防止するために、疎水性材料で作られ、かつ/またはコーティングされてもよい。また、ソース電極110は、用途および使用環境に応じて、液体またはガスで実現されてもよい。
【0036】
ソースメッシュは、ワイヤのネットワークを含み得る。ワイヤのネットワークは、織り交ぜられるかまたは織り合わせられた複数のワイヤを含むことができる。ソースメッシュの各層は、実質的に規則的な間隔で所定のパターンで延びる、織り交ぜられるかまたは織り合わせられた複数のワイヤを含むことができる。ソースメッシュのこの例示的な実施態様では、開口部114の特徴的な寸法は、パターンの規則的な間隔によって定められ得る。代替的または追加的に、ソースメッシュは、ランダムに織られたワイヤを含むように形成され得る。この例示的な実施態様では、開口部114の特徴的な寸法は、ある特定の閾値伝達効率を超えて濾過されることなく通過し得る粒子の最大直径によって定められ得る。例えば、開口部114の特徴的な寸法は、1mmの粒子のうち、ある特定のパーセンテージを超えるものがソースメッシュを通って伝達され得る場合、1mmと称され得る。閾値伝達効率は90%に設定してもよいが、本開示はこれに限定されるものではない。ソースメッシュを形成するワイヤは、用途、流量要件、印加電圧などに応じて、0.5mm~5mmの直径を有することができる。水平ワイヤおよび垂直ワイヤを含むワイヤメッシュの例を説明したが、本開示はこれに限定されない。ソースメッシュは、単に水平ワイヤまたは垂直ワイヤのみからなることができる。
【0037】
水蒸気は、凝縮器120に引き寄せられ、凝縮器120において収集され得る。
図4に示すように、凝縮器120は、入口121、出口122、およびリザーバ123を含むことができる。動作中、入口121は、第1の相対湿度値を有する、入ってくる空気流を受容することができる。出口122は、第2の相対湿度値を有する、出て行く空気流を排出することができる。水蒸気の正味の凝縮を達成するために、第2の相対湿度は、第1の相対湿度より低くてよい。凝縮器120における凝縮された水は、リザーバ123内に収集され得る。本明細書で使用される場合、相対湿度値は、所与の温度での水の飽和蒸気圧に対する水蒸気の分圧の比率を指す。
【0038】
凝縮器120は、シンク電極125を含むことができる。シンク電極125は、電気的に接地されてもよく、かつ/またはソース電極110に与えられる電荷と反対の電荷を与える電源130に接続されてもよい。
図1は、共通の電源130がソース電極110およびシンク電極125の両方に電荷を供給する例示的な実施形態を示しているが、本開示はこれに限定されない。ソース電極110およびシンク電極125は、別々の電源に接続されてもよい。
【0039】
シンク電極125は、凝縮メッシュを含むことができる。
図3に示すように、凝縮メッシュは、水蒸気が凝縮メッシュの表面に付着し、凝縮メッシュの表面上で凝縮することを可能にするのに十分な表面積を提供するために、複数の層126、127、および128を含むことができる。動作中、凝縮された水蒸気は、凝縮メッシュの表面上で他の凝縮された水蒸気と凝集して水滴を形成することができ、この水滴は、大きくかつ重く成長するまで、互いにさらに凝集することができる。これらが十分に大きくかつ重くなると、水滴は、重力により沈殿し得る。リザーバ123は、沈殿する水滴を収集するためにシンク電極125の下に配置され得る。
【0040】
凝縮メッシュでは、
図3に示すように、複数の層126、127、および128はそれぞれ、複数の開口部を有し得る。各開口部129は、用途、流量要件、中和効率などに応じて、1mm~15mmの特徴的な寸法を有することができる。各開口部129の特徴的な寸法は、複数の開口部間で同じであってもよいし、異なっていてもよい。複数の層126、127、および128の開口部129は、互いと整列されてもよく、または、エアロゾルがソースメッシュの表面と衝突する機会を増加させるために千鳥状になってもよい。シンク電極125の凝縮メッシュは、導電性材料で作られ得る。凝縮メッシュに使用される材料の例は、ステンレス鋼、ニッケル、導電性ポリマー、および導電性シリコーンを含み得る。さらに、凝縮メッシュは、メッシュ表面上での水蒸気の凝縮をより容易に促進するために、親水性材料で作られ、かつ/またはコーティングされてもよい。シンク電極125はまた、用途および使用環境に応じて、液体またはガスで実現されてもよい。
【0041】
ソースメッシュと同様に、凝縮メッシュはワイヤのネットワークを含むことができる。ワイヤのネットワークは、織り交ぜられるかまたは織り合わせられた複数のワイヤを含むことができる。凝縮メッシュの各層は、実質的に規則的な間隔で所定のパターンで延びる、織り交ぜられるかまたは織り合わせられた複数のワイヤを含むことができる。凝縮メッシュのこの例示的な実施態様では、開口部129の特徴的な寸法は、パターンの規則的な間隔によって定められ得る。あるいは、凝縮メッシュは、ランダムに織られたワイヤとして形成されてもよい。この例示的な実施態様では、開口部129の特徴的な寸法は、ある特定の閾値伝達効率を超えて濾過されることなく通過し得る粒子の最大直径によって定められ得る。例えば、開口部129の特徴的な寸法は、1mmの粒子のうち、ある特定のパーセンテージを超えるものが凝縮メッシュを通って伝達され得る場合、1mmと称され得る。閾値伝達効率は90%であってもよいが、本開示はこれに限定されるものではない。凝縮メッシュを形成するワイヤは、用途、流量要件、印加電圧などに応じて、0.5mm~5mmの直径を有することができる。水平ワイヤおよび垂直ワイヤを含むワイヤメッシュの例を説明したが、本開示はこれに限定されない。凝縮メッシュは、単に水平ワイヤまたは垂直ワイヤのみからなることができる。いくつかの実施態様では、ソースメッシュおよび/または凝縮メッシュは、螺旋形状とすることができる。
【0042】
一般に、ソースメッシュおよび凝縮メッシュは、より微細に分散された電界を提供するために、最小の特徴的な寸法を有することが望ましい。ただし、システムを通る十分な空気の流れを確保するために、メッシュにわたる圧力低下を、特定の値以内にすることが必要となり得る。したがって、圧力低下要件によって、メッシュの特徴的な寸法の下限が決定される場合がある。
【0043】
上述のように、電源130は、ソース電極110、シンク電極125、またはその両方に電気的に接続され得る。いくつかの実施形態では、電源130は、20V~10kVの定格電圧を有する直流(DC)電源として実施されてもよい。例えば、印加電圧は7kVであってよい。電力または電圧は、システムのサイズ、システムの処理能力などに基づいて決定され得る。いくつかの実施形態では、電源130は、20V~9kV;20V~8kV;20V~7kV;20V~6kV;20V~5kV;20V~4kV;20V~3kV;20V~2kV;20V~1kV;1kV~9kV;2kV~8kV;3kV~7kV;または4kV~6kVの定格電圧を有する直流(DC)電源として実施されてもよい。
【0044】
図1に示すように、ダクト140は、水蒸気をソース電極110側からシンク電極125側に向かって案内して導くことができる。いくつかの実施形態では、帯電した蒸気がダクト140の表面に引き寄せられると望ましくない場合がある。この問題に対処するために、ダクト140の表面を導電性にすることができる。ダクト140の表面が導電性である場合、帯電したいくつかの粒子は、最初にダクト140の表面によって取り込まれ得、水蒸気と同じ電荷でダクト140の表面全体を帯電させることができる。いったんダクト140の表面が水蒸気と同じ電荷で帯電されると、その後に到着する他の帯電した蒸気は、ダクト140の表面からはね返され得、それによって、帯電した蒸気が、ダクト140の表面に奪われることなく、高い伝達効率でダクト140を通って伝達されることを可能にする。
【0045】
したがって、ダクト140は導電性材料を含むことができる。いくつかの実施態様では、ダクト140は、プラスチックなどの電気絶縁材料を含む(例えば、そのような材料で作られる)ことができ、その内側表面は、導電性材料でコーティングまたは塗装されてもよい。用途に応じて、ダクト140は、ソース電極110と凝縮器120を別々の場所に配置するための長い流路を含むことができる。このような場合、ダクト140は、可撓性のプラスチックまたはポリマー材料を含んでもよく、その内側表面は、導電性材料でコーティングされ得る。
【0046】
一方、用途によっては、全体的な蒸気除去効率を高めるために、帯電した水蒸気がダクト140の表面に付着することが望ましい場合がある。このような場合、ダクト140は電気絶縁材料を含むことができる。いくつかの実施態様では、ダクト140は、導電性材料を含む(例えば、導電性材料で作られる)ことができ、その内側表面は、プラスチックまたはセラミック材料のような電気絶縁材料でコーティングまたは塗装され得る。いくつかの実施態様では、ダクト140は、ダクト140の表面上で凝縮された水滴が流れ、近位端部または遠位端部のいずれかで収集されることを可能にするために、近位端部から遠位端部に向かって所定の角度で傾斜して設置されてもよい。
【0047】
ダクト140が導電性材料を含む場合、ソース電極110およびシンク電極125に近い特定の部分は、電極とダクト140との間の放電を防止するために電気絶縁材料を含むことができる。さらに、ダクト140は、1つ以上の整流装置を含むこともできる。
【0048】
空気流は、ダクト140を通してソース電極110側からシンク電極125側に向かって押し進められ(例えば、駆動され)得る。ダクト140を通して空気流を吹き付け、案内するために、システム100は送風機150を含むことができる。送風機150は、電動ファン、エダクターポンプなどとして実施することができる。システム100は、エアロゾル監視装置(不図示)、例えば、エレクトロメータベースの粒子計数器、凝縮粒子計数器(CPC)、走査型移動度粒径測定器(SMPS)などをさらに含み得る。システム100は、ソース電極110とシンク電極125との間を流れる電流を監視することもできる。
【0049】
図5Aおよび
図5Bは、本開示の例示的な実施形態によるエアロゾルを凝縮するための方法のプロセスフローチャートを示す。
図5Aを参照すると、本方法は、電界を印加するステップS110と、エアロゾルを凝縮するステップS120と、凝縮された液滴を収集するステップS130と、を含むことができる。電界を印加するステップS110は、ソース電極110によって実行することができ、ソース電極は、ソース電極110に電圧を供給することができる電源130に電気的に接続され得る。エアロゾルを凝縮するステップS120は、シンク電極125によって実行され得、シンク電極は、電気的に接地されるか、またはソース電極に与えられる電荷と反対の電荷を与える電源130に接続され得る。ソース電極110およびシンク電極125は、共通の電源130に接続されていてもよいし、別々の電源に接続されていてもよい。凝縮された液滴を収集するステップS130は、凝縮器120およびリザーバ123によって行うことができる。
【0050】
図5Bを参照すると、本方法は、電界を印加するステップS210、エアロゾルを凝縮するステップS220、および凝縮された液滴を収集するステップS230に加えて、送風機150によって送風するステップS205を含むことができる。いくつかの実施形態では、電界を印加するステップS110およびS210は、20V~10kVの定格電圧を生成する直流(DC)電源を用いて実行されてもよい。
【0051】
図2は、本開示の例示的な実施形態による、冷却塔内の水を凝縮するためのシステムの概略図である。システム300を適用することができる冷却塔は、スチームタービン排気装置の冷却塔を含むことができる。
図2を参照すると、システム300は、ダクト340内に配置されたソース電極310および凝縮器320を含むことができる。
【0052】
ソース電極310は、ソース電極310に電圧を供給することができる電源330に電気的に接続され得る。したがって、ソース電極310は、ダクト340内に電界を生成することができる。ソース電極310は、ソースメッシュを含むことができる。
【0053】
水蒸気は、凝縮器320に引き寄せられ、凝縮器320において収集され得る。凝縮器320は、
図4に示す例示的な実施態様と実質的に同様に実施することができる。例えば、凝縮器320は、シンク電極325を含むことができる。シンク電極325は、電気的に接地されてもよく、かつ/またはソース電極310に与えられる電荷と反対の電荷を与える電源330に接続されてもよい。ソース電極310およびシンク電極325は、共通の電源330に接続されていてもよいし、別々の電源に接続されていてもよい。シンク電極325は、凝縮メッシュをさらに含んでもよい。
【0054】
凝縮メッシュは、水蒸気をその表面に付着させ、凝縮メッシュの表面上で凝縮させることができる。動作中、凝縮された水蒸気は、凝縮メッシュの表面上で他の凝縮された水蒸気と凝集して水滴を形成し得る。この水滴は、大きくかつ重く成長するまで、互いにさらに凝集することができる。これらが十分に大きくかつ重くなると、水滴は、重力により沈殿し得る。リザーバが、沈殿する水滴を収集するためにシンク電極325の下に配置されてもよい。
【0055】
図2に示すように、ダクト340は、水蒸気をソース電極310側からシンク電極325側に向かって案内して導くことができる。一般に、スチームタービン冷却塔は、押し進められるかまたは自然にドラフトされる排気流を既に含んでいる。したがって、システム300は、例えば電力を生成するために、排気流の残りのエンタルピーを捕集して利用することができる。スチームタービン排気装置から電力を抽出する例は、凝縮器320の下流に風力タービン350を含むことである。排気流から捕集される電力は、システム300の動作のために電源330に直接供給されてもよく、あるいは、後で使用されるようにバッテリ(不図示)に格納されてもよい。冷却塔の排気中の廃エンタルピーを捕集することによってその場で電気を発生させ、現地でその電気を使用すると、システム300の全体的な効率を向上させることができる。本開示の例示的な実施形態では、風力タービン350は、凝縮器320の下流に配置され得るが、本開示は、そのような構成に限定されない。風力タービン350はまた、凝縮器320の上流に配置されてもよい。
【0056】
図9Aは、風力タービンが凝縮器の上流に配置される例示的な実施態様を示す。
図9Aおよび
図9Bを参照すると、冷却塔910からの排気流は、ダクト920によって凝縮器930に向かって案内され得る。ダクト920は、収束-発散部分925を含むことができる。風力タービン940は、ダクト920内部の収束-発散部分925に配置することができる。排気流の残りのエンタルピーは、風力タービン940を動作させて電力を生成することができ、生成された電力は、凝縮器930を動作させるために使用することができる。収束-発散部分は、排気の流れを加速させて、風力タービン940による排気流中の運動エネルギーのより効果的な捕集を促進することができる。さらに、排気流からエネルギーを抽出することによって、排気流の温度を低下させることができ、それによって、排気流中の水蒸気を凝縮器930内でより容易に凝縮させることができる。
【0057】
いくつかの実施態様では、
図9Cに示すように、ダクト920は、発散部分のない収束部分925’を含むことができる。例えば、冷却塔の直径は約9.144m(約30フィート)とすることができ、ダクトは、風力タービンおよび凝縮器の前に直径を約1.524m(約5フィート)まで徐々に減少させることができる。この構成は、排気の流れを加速させて、風力タービン940がより大きな電力出力を生成することを可能にし、かつ/または凝縮器システムの全体のサイズをより小さくすることを可能にすることができる。風力タービンからの理論上の最大電力出力は、一般に、ブレードディスクの面積および風速の三乗に比例するので、収束部分925’または収束-発散部分925は、風速を増加させることによって風力タービン940の電力出力を増加させることができる。
【0058】
いくつかの実施態様では、ダクト920は、
図9Dに示すように、発散-収束部分925”を含むことができる。この構成では、排気の流れは、発散-収束部分925”において減速することができ、より大きな直径の風力タービン940をダクト内に設置することができる。より大きな直径を有する風力タービン940をより遅い速度で回転させることができ、これにより、騒音、摩擦損失、システム摩耗などを低減することができる。いくつかの実施態様では、複数の風力タービンをダクト内に配置することができる。
【0059】
いくつかの実施態様では、サイクロン特徴部がダクト内部に含まれ得、これにより、蒸気の流れが渦(例えば、螺旋状の渦)を形成することができ、これにより圧力の上昇を引き起こし、それによって凝縮を改善することができる。サイクロン特徴部は、ダクト内部で凝縮器より前の任意の場所に位置することができる。いくつかの実施態様では、ダクト自体が、サイクロン形状へと形成されて渦を誘発することができる。いくつかの実施態様では、別個のサイクロン(例えば、サイクロンリアクタ)が含まれ得る。いくつかの実施態様では、ファンが含まれて、螺旋状の空気の流れをさらに誘発することができる。
【0060】
このシステムは燃焼排気装置にも適用できる。燃焼排気装置は、例えば石炭火力発電プラントおよび天然ガス発電プラントのような燃焼ベースの発電ステーションと、例えばディーゼルエンジンおよびガソリンエンジンのような内燃機関と、を含むことができる。典型的な燃焼排気装置では、不揮発性粒子(例えば、固相すす粒子)と凝縮性ガス(例えば、水蒸気)が燃焼生成物として存在する。不揮発性エアロゾルおよび揮発性エアロゾルの両方を高効率で除去するために、このシステムを静電集塵器(ESP)の上流に配置して、排気流がESPに入る前に水を捕集することができる。ESPより前に燃焼排気装置から水および他の凝縮性物質を除去することによって、水または他の酸性液体による腐食からESPを保護することができる。燃焼排気装置の実施態様では、システムは、例えば高効率粒子空気(HEPA)フィルタのようなフィルタ、またはサイクロン型粒子除去器の上流に配置することもできる。さらに、システムは、燃焼排気装置からの廃熱を再利用するために、システムの上流に配置された熱交換器を用いて実施され得る。
【0061】
本開示の別の態様は、湿度制御のためのシステムを提供する。
図6は、本開示の例示的な実施形態による湿度制御のためのシステムを示す。
図6を参照すると、システム500は、ダクト540内に配置されたソース電極510および湿度コントローラ520を含むことができる。ソース電極510は、ソース電極510に電圧を印加することができる電源530に電気的に接続することができる。ソース電極510は、ダクト540内に電界を生成することができる。ソース電極510はソースメッシュをさらに含むことができる。
【0062】
水蒸気は、電界によって湿度コントローラ520に引き寄せられ得る。湿度コントローラ520は、シンク電極525を含むことができ、シンク電極525は、電気的に接地されてもよく、かつ/またはソース電極510に与えられる電荷と反対の電荷を与える電源530に接続されてもよい。ソース電極510およびシンク電極525は、共通の電源530に接続されていてもよいし、別々の電源に接続されていてもよい。シンク電極525は、加湿メッシュを含むことができる。
【0063】
加湿メッシュは水で湿らせることができる。動作中、水蒸気は、シンク電極525の加湿メッシュに引き寄せられ得る。加湿メッシュの表面では、加湿メッシュに供給された液体水が、引き寄せられた蒸気に移送されて加湿メッシュの表面から離れることができる。このプロセスを通して、システム500を通過する空気流の相対湿度を増加させることができる。システム500は、液体水を湿度コントローラ520に供給するための貯水器550を含むことができる。いくつかの実施態様では、液体水は、重力を介して貯水器550から湿度コントローラ520に供給され得る。重力により液体水を供給するために、貯水器550を湿度コントローラ520よりも高い位置に配置することができる。いくつかの実施態様では、液体水は、ポンプ560によって貯水器550から湿度コントローラ520に供給され得る。
【0064】
図7は、本開示の別の例示的な実施形態による湿度制御のためのシステムを示す。
図7を参照すると、システム700は、ダクト740内に配置されたソース電極710および湿度コントローラ720を含むことができる。湿度制御のためのシステム700は、一定の湿度が要求されるさまざまな環境で実施することができる。ソース電極710は、ソース電極710に電圧を印加することができる電源730に電気的に接続することができる。したがって、ソース電極710は、ダクト740内に電界を生成することができる。ソース電極710はソースメッシュをさらに含むことができる。
【0065】
水蒸気は、電界によって湿度コントローラ720に引き寄せられ得る。湿度コントローラ720は、シンク電極725をさらに含むことができる。シンク電極725は、電気的に接地されてもよく、かつ/またはソース電極710に与えられる電荷と反対の電荷を与える電源730に接続されてもよい。ソース電極710およびシンク電極725は、共通の電源730に接続されていてもよいし、別々の電源に接続されていてもよい。シンク電極725は、湿度制御メッシュをさらに含むことができる。
【0066】
動作中、水蒸気は、シンク電極725の湿度制御メッシュに引き寄せられ得る。湿度制御メッシュの表面上では、湿度制御メッシュ上に存在する液体水は、引き寄せられた蒸気に移送され、湿度制御メッシュの表面を離れることができる。あるいは、引き寄せられた水蒸気は、湿度制御メッシュの表面に付着し得る。湿度制御メッシュの表面に付着するよりも、湿度制御メッシュの表面を離れる水の方が多い場合、システム700を通過した後の空気流の相対湿度を増加させることができる。逆に、湿度制御メッシュの表面を離れるよりも、湿度制御メッシュの表面に付着する水が多い場合、空気流の相対湿度が低下し得る。このプロセスを通して、空気流の相対湿度を特定のレベルに制御することができる。
【0067】
システム700は、システム700を通過する空気流の相対湿度を予め設定された目標湿度に維持するように動作することができる。予め設定された目標湿度は、印加される電圧を調節することによって調節され得る。システム700は、湿度制御メッシュからの凝縮された水を貯蔵するため、および/または湿度コントローラ720に液体水を供給するための貯水器750を含むことができる。液体水は、ポンプ760によって貯水器750から湿度コントローラ720に供給され得る。湿度をより正確に制御するために、システム700は、湿度センサ、温度センサ、電源730の電圧に対する制御信号を生成し出力するための比例積分微分(PID)コントローラを含むフィードバック制御システムをさらに含み得る。
【0068】
図8Aおよび
図8Bは、本開示の例示的な実施形態による、電界を生成するためのソース電極およびシンク電極の配置を比較している。
図8Aおよび
図8Bでは、ダクトは、空気の流れを妨げる(例えば、減速させる)ための発散ダクトであってよい。発散ダクトは、圧力を増加させ、水の凝縮を促進し得る。
図8Aは、空気の流れの下流方向に向かって凸状となるように構成されたシンク電極の例であり、
図8Bは、空気の流れの下流方向に向かって凹状となるように構成されたシンク電極の例である。シンク電極が空気の流れの下流方向に向かって凸状となるように構成される場合、より滑らかに変化する電界が生成され得ることが分かる。さらに、印加電圧は、
図8A(凸状構成)のほうが、
図8B(凹状構成)よりも一桁大きい。したがって、シンク電極が空気の流れの下流方向に向かって凸状となるように構成されている場合には、より効果的に水蒸気をシンク電極に向けて導くことができる。しかしながら、上記構成は一例にすぎず、電極は、動作要件に基づいて特定の構成の電界が形成され得るように構成することができる。
【0069】
本明細書に記載される主題は、多くの技術的利点を提供する。例えば、本主題を使用して、周囲空気は電離されなくてもよく、それによって、オゾン(O3)、一酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO2)、および硝酸(HNO3)などのガスの生成を制限または防止する。これらの毒性で腐食性があり環境的に危険な化合物に対処するための、収集された液体のさらなる処理加工または処理は、最小限にするか、または省略することができる。さらに、本主題は、いくつかの従来のシステムと比較して、より低い電圧を利用することができるので、本主題は、より安全となり得、大量のエネルギーを浪費することがなく、隣接する電子機器に干渉することがない。さらに、いくつかの従来のアプローチとは異なり、本主題は、システムが高い表面積を有するデブリ(例えば、塵粒子)および/または浮遊物によって囲まれている場合に、爆発の懸念をもたらさない。
【0070】
いくつかの変形例を詳細に前述してきたが、他の修正または追加が可能である。例えば、蒸気の流れは2つ以上のダクト内に分割され得、これらのダクトは、別々のソース電極および/またはシンク電極を有し、液体を収集する(liquid collection)ことができる。
【0071】
いくつかの実施態様では、液滴の形成と重力による液滴の引き寄せを促進するために、凝縮器電極(例えば、凝縮器メッシュ)に噴霧するスプリンクラーまたは噴霧器を凝縮器に含めることができる。凝縮器メッシュが水分子を引き寄せる能力は、メッシュ上に蓄積した水が少ないほど大きくなり得る。定期的に凝縮器メッシュ上に追加の水を噴霧するために噴霧器またはスプリンクラーを含めることによって、噴霧器またはスプリンクラーは、実質的に、凝縮器メッシュ上の現在蓄積している水を、通常発生するよりも早く重力によって引き離し、それによって凝縮器メッシュが極性水分子を引き寄せる能力を向上させることができる。いくつかの実施態様では、凝縮器メッシュから水が分離するように(例えば、凝縮器メッシュから「滴り落ちる」ように)凝縮器メッシュを振動させるために、バイブレーターを含めることができる。バイブレーターは、機械式(例えば、モーター)、超音波式(例えば、超音波発生器)、および/または同様のものとすることができる。
【0072】
本開示の別の態様は、冷却塔システムを監視および制御するシステムおよび方法を提供する。冷却塔は、水流(高温流)を低温流(冷却流)に冷却することを通じて熱を放散させる熱交換システムである。工業用冷却塔は、典型的には、発電プラント、石油製油所、石油化学プラント、天然ガス処理プラント、食品加工プラント、半導体プラント、セメント製造プラントで使用される。本開示の例示的な実施形態による冷却塔監視システム(CTMS)は、冷却塔のさまざまなパラメータを測定および分析し、測定されたパラメータと冷却塔の仕様パラメータとの比較に基づいて、冷却塔の性能の詳細な監視を提供することができる。本開示のCTMSは、全体的な冷却効率を改善し、冷却水の酸度を制御することによってシステムの寿命を延長し、冷却塔からの汚染物質の放出を低減するために、冷却塔の動作を監視および制御するための単一パッケージソリューションを提供することができる。本開示のCTMSは、新しい冷却塔が建設されるときに設置されてもよく、または既存の冷却塔に最小限の変更を加えて既存の冷却塔に後付けされてもよい。
【0073】
湿式冷却塔(または開回路冷却塔)では、空気が比較的乾燥していれば、温水を周囲空気乾球温度よりも低い温度に冷却することができる。周囲空気が水の流れを通り過ぎて引き寄せられると、水のほんの一部が蒸発し、水のその部分を蒸発させるのに必要なエネルギーが残りの水塊から得られるため、その温度が低下する。蒸発は、飽和空気状態をもたらし、冷却塔によって処理される水の温度を、周囲乾球温度よりも低い湿球温度に近い値まで低下させ、その差は、周囲空気の初期湿度によって決定される。
【0074】
図10は、本開示の例示的な実施形態によるCTMSの概略図を示す。
図10を参照すると、温水流1020が、冷却塔1010に供給され得る。温水は、スプレーヘッド1021によって噴霧され得る。ファン1011は、水を冷却するための新鮮な空気の上昇気流を提供する。冷却塔1010内で冷却された水は、冷却水流1030を通して戻すことができる。
図11は、本開示の例示的な実施形態によるCTMSのさまざまな要素を列挙している。ハードウェア要素およびソフトウェア要素があってよく、ハードウェア要素は、センサ、処理ユニット、および通信コンポーネントを含み得る。
【0075】
以下では、CTMSのセンサおよびコントローラ要素について説明する。本開示の例示的な実施形態によるCTMSは、冷却塔の健全性を監視するための一組のセンサを含むことができる。一組のセンサは、温度センサ、湿度センサ、水位センサ、タコメーター、電圧センサ、電流センサ、圧力センサ、風速計、水流計などを含むことができる。CTMSはプロセッサをさらに含むことができる。有線および/または無線通信システムをCTMSに含めることもできる。
【0076】
温度センサは、抵抗温度検出器(RTD)、例えばPt-100、または熱電対を含むことができる。温度センサから温度データを読み取るために、冷接点補償熱電対リーダを使用することができる。例えば、K-MAX6675は、K型熱電対の信号から温度データを提供することができる。温度センサは、SHT-20のような湿度センサと組み合わせられるか、またはそれと共にパッケージされてもよい。HC-SR04などの超音波式センサを、水位センサとして用いることができる。冷却塔システムのファンの回転速度(rpm)を測定するために、タコメーターを使用することができる。接触式および非接触式を含むさまざまなタイプのタコメーターを使用することができる。CTMSを既存の冷却塔に後付けする場合、非接触式タコメーターは、接触式タコメーターよりも利便性を提供し得る。したがって、赤外線ベースのタコメーターを使用することができる。冷却塔システムの電力消費を測定するために、電圧計および/または電流計をCTMSのセンサ一式に含めることができる。BMP-180などの気圧センサを圧力センサとして使用して冷却塔システム内の圧力を測定することができる。
【0077】
センサからのデータを収集し、センサデータを処理し、CTMSを動作させるための制御信号を生成するために、プロセッサまたはマイクロコントローラをCTMSに含めることができる。CTMSは、センサデータおよび/または制御パラメータを表示し、ユーザインターフェースを提供するための表示装置を含むことができる。さらに、CTMSは、モノのインターネット(IoT)プラットフォームを通じてセンサの一部または全部と無線通信することができる。センサデータおよび/または制御パラメータは、ソフトウェアインターフェースを通じて、表示、計算、および入力され得る。ソフトウェアインターフェースは、ネイティブ・ソフトウェア・パッケージとして、またはMatlabもしくはLabviewなどの市販の制御ソフトウェアを使用して実装することができる。ソフトウェアインターフェースは、冷却塔の性能を最適化するアルゴリズムに基づいて制御パラメータを決定することができる。センサ測定データから制御パラメータを決定する際に、パラメータ不確定性解析を使用することができる。
【0078】
動作中、
図12に示すように、CTMSは、冷却流1110の第1の温度と、高温流1120の第2の温度とを測定することができ、第1の温度と第2の温度との温度差を計算することができる。第1の温度センサ1111が、第1の温度を測定することができ、第2の温度センサ1121が、第2の温度を測定することができる。続いて、CTMSは、冷却流1110の第1の流量および/または高温流1120の第2の流量を調節して、冷却流1110と高温流1120との温度差が第1の温度と第2の温度との目標温度差に対応するようにしてもよい。冷却流1110および高温流1120の流量を調節するために、第1の弁1112および第2の弁1122をそれぞれ使用することができる。第1の弁1112および第2の弁1122は、玉形弁として構成することができる。自動化操作およびコンピュータ制御の場合、玉形弁は、ソレノイドアクチュエータを装着され、コントローラによって動作され得る。
【0079】
冷却流の第1の温度を調節するために、CTMSは補給流1130を冷却流1110に加えることができる。補給流1130と冷却流1110との混合比は、第1の温度と第2の温度との温度差に基づいて決定することができる。本明細書では、補給流1130とは、蒸発して冷却塔から離れる水を補給するための水の供給を指し、補給流1130は、任意の淡水源から供給されてよい。第3の温度センサ1131が、補給流1130の温度データを提供することができ、第3の弁1132が、補給流1130の流量を調節することができる。CTMSをより正確に制御するために、第4の温度センサ1136を熱交換器1140の下流に含めることができる。
図12では、第2の温度センサ1121および第4の温度センサ1136はいずれも、熱交換器1140の下流に配置されたところが示されている。ただし、温度センサの位置はこれに限定されるものではなく、第2の温度センサ1121および第4の温度センサ1136の一方または両方を熱交換器1140の上流に配置してもよい。同様に、第2の弁1122を熱交換器1140の上流に配置してもよい。いくつかの実施態様では、熱交換器1140を省略することができる。
【0080】
さらに、冷却流温度を調節するために、冷却塔のファン1150の回転速度を監視し、調節することができる。ファン1150の回転速度を測定するために、タコメーター1190、例えば赤外線ベースのタコメーターを使用することができる。ファン速度の変化で、冷却空気の流量を調節し、それによって冷却流1110の第1の温度を調節することができる。加えて、入ってくる空気の相対湿度を湿度センサ1180で測定することができる。
【0081】
炭酸カルシウムなどのミネラルの蓄積により、冷却塔の冷却水流がアルカリ性になり得る。いくつかの実施態様では、冷却水の酸度/アルカリ度(pH)は、pHメータ1160を用いて監視および制御することができる。冷却水の酸度(またはアルカリ度)は、冷却塔システムの全体的な性能、寿命、および/または環境影響に作用する重要な要因である。したがって、CTMSは、冷却流1110の酸度を測定し、補給流1130と冷却流1110との混合比を制御することによって酸度を調節することができる。pH測定に加えて、水の硬度もCTMSによって測定および制御することができる。いくつかの実施態様では、CTMSは、水位センサ1170を含んでもよい。
【0082】
いくつかの実施形態では、上述したもののような風力タービンをファン1150の下流に追加することができる。風力タービンは、冷却塔を離れる排気流の一部のエンタルピーを抽出し、これを電力に変換することができる。捕集された電力は、CTMSシステムに回復され、それによってシステムの全体的な電力効率を高めることができる。
【0083】
いくつかの実施態様では、CTMSは、ソース電極および/または凝縮器に印加される電力を制御することができる。この制御は、リアルタイム(例えば、ほぼリアルタイム)で行うことができ、1つ以上のセンサに基づくことができる。
【0084】
図13は、本開示の例示的な実施形態による、熱的、化学的、および生物学的汚染を低減するためのシステムを示す図である。
図13に示すシステム1300は、冷却塔から収集されたエアロゾルから化学的および生物学的汚染物質を除去するように構成され得る。システム1300は、冷却塔から収集されたエアロゾルから、熱汚染、または過剰熱を除去するようにさらに構成され得る。
【0085】
図13に示すように、システム1300は冷却塔1305を含む。冷却塔1305は、供給源1310から加熱流体または温水流の入力を受け取ることができる。冷却塔1305は、
図1~
図2、
図4、
図6~
図7、および
図9に関連して示され説明された凝縮器120、320、520、720、および930などの凝縮器と結合され得る。システム1300は、凝縮器120に結合された熱交換器1315も含む。熱交換器1315は、凝縮器120を介して凝縮された加熱流体1335が受容される第1の領域1320を含む。熱交換器1315はまた、冷却流体1345が供給源1330から受容される第2の領域1325を含む。領域1320を通って搬送された加熱流体1335内に巻き込まれた熱は、領域1325内の冷却流体1345に伝達され得る。いくつかの実施形態では、供給源1330は、貯水池、川、湖、小川などといった、冷却流体の、自然に存在する供給源を含み得る。いくつかの実施形態では、供給源1330は、熱交換器で使用するための冷却流体を提供するのに適した、流体を貯蔵するように構成されたコンテナ、容器、またはシステムなどの、冷却流体の人工供給源を含むことができる。システム1300は、熱交換器1315から出力される低温流体1340を、冷却塔1305への入力として提供するように構成される。このようにして、システム1300は、供給源1310から受け取られる加熱流体もしくは温水流から導入されるかまたはその中に存在する可能性のある化学的、生物学的、および熱的汚染物質を除去または低減する閉ループシステムとして動作することができる。このようにして、システム1300は、汚染物質が冷却塔1305を出る排気から大気中に放出されるのを有利に防止することができる。
【0086】
動作中、システム1300は、冷却塔1305に結合された熱交換器1315によって提供される閉ループ構成内で、供給源1310から受け取った加熱流体中に存在し得るあらゆる化学的および生物学的汚染物質を維持することができる。凝縮器120は、冷却塔1305を介して排気されたエアロゾルから凝縮した流体を捕集することができ、その流体を加熱流体1335として熱交換器1315の領域1320に供給することができる。熱交換器1315は、冷却塔1305および凝縮器120と共に密封された閉ループ構成を形成することができ、これは、化学的または生物学的汚染物質が環境に放出されるのを防止することができる。
【0087】
システム1300はまた、供給源1310から受け取った加熱流体中に存在し得る熱的汚染物質を低減または除去することができる。例えば、熱交換器1315を凝縮器120に結合することによって、加熱流体1335内の熱は、冷却塔1305に戻される低温流体1340がより少ない熱的汚染物質を含み得るように、冷却流体1345に伝達され得る。このようにして、システム1300は、加熱流体1335および/または供給源1310から受け取られる加熱流体中に存在し得る過剰な熱または熱的汚染物質を除去するように動作することができる。いくつかの実施形態では、熱交換器1305は、供給源1330に近接して構成され得る。例えば、いくつかの実施形態では、冷却流体1345の供給源1330は、湖または川とすることができる。熱交換器1315は、供給源1330の近傍またはすぐ隣に位置し得る。
【0088】
シナリオによっては、特定の環境条件下でシステムの効率を高めるために、冷却塔から水を再び収集することが有益な場合がある。これらの条件は、冷却水の調達が困難である、より乾燥した気候を含み得る。さらに、閉システムである冷却塔を有することの利点により、システムから排出されている汚染を制御することが可能になる。
【0089】
図14A~
図16は、冷却塔1402からの蒸気生成物を凝縮するためのシステム1400の一実施形態を示す。蒸気生成物は、冷却剤温度を低下させるために冷却塔1402内の熱交換器に冷却剤が通されて、冷却塔1402内で、または冷却塔1402の外部のある場所で行われるプロセスに起因して生成される。この熱交換プロセスの副生成物として、水などの液体から形成された蒸気生成物が生成され、冷却塔1402の上方および外部に排出される。蒸気生成物。いくつかの実施態様では、蒸気生成物は水蒸気(例えば、気相分子)の形態であり得る。蒸気は、典型的には無色(例えば、不可視)であり、非濡れ性であるが、液体および/もしくは固体と接触すると凝縮ならびに/または反応し得る。いくつかの実施態様では、蒸気生成物は、エアロゾル(例えば、約1nm~10μmまたはそれを超えるサイズを有する水滴(例えば、液体粒子)を含有する可視エアロゾル(例えば、空気などのキャリアガス中に懸濁された液体水粒子)の形態であり得る。
【0090】
冷却塔1402は、熱交換プロセスが行われる反応チャンバと、冷却塔1402の上部内に配置された開口部1404と、開口部1404内に配置された送風機1406と、を含む。熱交換プロセスは、蒸気生成物を生成する、既知の任意の適切な熱交換プロセスによって実施され得る。送風機1406は、蒸気生成物を冷却塔1402の外へ導くのを助ける真空力を発生させるために、開口部内に配置される。送風機1404は、電気モーターなどの動力源に接続されたファンまたはタービンなど、任意の形態の空気移動装置とすることができる。
【0091】
送風機1406の反対側に配置され、蒸気生成物を受容するように構成されているのは、ダクトシステム1408である。ダクトシステム1408は、冷却塔1402の上方に配置された第1のダクト1410aおよび第2のダクト1410bを含む。第1のダクト1410aおよび第2のダクト1410bはそれぞれ、冷却塔1402から放出されている蒸気生成物のそれぞれの部分を収集するように構成されている。蒸気生成物は第1の湿度レベルを有する。湿度レベルは、蒸気生成物内に存在する、ガス状または粒子状いずれかの形態の水の量である。いくつかの実施形態では、第1のダクト1410aは、第1のダクト1410aの下流に配置されたチャンバ1412と流体連通している。システムを通して蒸気生成物を引き込むために、第1のダクト1410aは、蒸気生成物を電離するように、第1のダクト1410aへの第1の電圧の印加に応答して第1の電荷を有する。いくつかの実施形態では、第1のダクト1410aは、蒸気生成物をチャンバ1412に向かって方向転換させるように湾曲している。
【0092】
代替的に、または加えて、ダクトシステム1408は、少なくとも1つのチャンバ1414と流体連通している追加のダクト1410bを含むことができる。代替的に、または加えて、ダクトシステム1408は、少なくとも1つのチャンバ1416と流体連通している、さらに別の追加のダクト(遮られている)を含むことができる。少なくとも1つのチャンバ1414、1416は、チャンバ1412と実質的に同様であってよく、したがって、共通の特徴は、本明細書では詳細に説明しない。当業者であれば、第1のダクト1410aに関する上記の説明は、追加のダクト1410bにも適用可能であることを理解するであろう。
【0093】
プロセスのこの段階では、蒸気生成物は水の液体粒子を含み、これは、以下で詳細に説明するように、プロセスの後続の段階で蒸気生成物から少なくとも部分的に除去される。第1のダクト1410aの出口端部に配置されるのは、中を通過する蒸気生成物の流量を増加させるように構成されたレデューサ1418aである。レデューサ1418aは、電離された蒸気生成物VP1内の液体粒子の速度を上げるために、第1のダクト1410aに比べて断面積が減少した円錐形状の管である。電離された蒸気生成物VP1の速度を上げることによって、電離された蒸気生成物VP1内の液体粒子は、電離された蒸気生成物VP1内で互いに分離される。
【0094】
代替的に、または加えて、レデューサ1418bが、追加のダクト1410bの出口端部に配置され、そこを通過する蒸気生成物の流量を増加させるように構成され得る。レデューサ1418bは、レデューサ1418aと実質的に同様であってよく、したがって、共通の特徴は、本明細書では詳細に説明しない。当業者であれば、レデューサ1418aに関する上記の説明は、レデューサ1418bにも適用可能であることを理解するであろう。
【0095】
レデューサ1418aを通過した後、電離された蒸気生成物VP1は、第2のダクト1420に入る。ダクト1420の概略図が
図14Bに示されている。第2のダクト1420は、第1のダクト1410aの下流に配置されており、電離された蒸気生成物が通過するための通路1422を含む。いくつかの実施形態では、第2のダクト1420は、通路1422内にスパイラル電極1424を含み得る。スパイラル電極1424は、ダクト1420を通して、電離された蒸気生成物VP1を移動させるのを助けるために、電離された蒸気生成物VP1が流れ方向FDに順に螺旋を描くのと同じ方向に螺旋が形成されるように成形されている。スパイラル電極1424は、スパイラル電極1424の長さに沿って配置された複数の点電極を含み得る。点電極1426は、液体粒子に第2の電荷を付与するために、ダクト1420を通過する電離された蒸気生成物VP1の流路内に配置される。スパイラル電極1424は、第2のダクト1420を通過する電離された蒸気生成物中に存在する液体粒子の収集を可能にするために、第1の電圧とは異なる第2の電圧の印加に応答して第2の電荷を有する。電離された蒸気生成物VP1を第2のダクト1420に通すことによって、第2のダクト1420は、第1の湿度レベルよりも高い第1の修正湿度レベルを有する第1の修正蒸気生成物VP2を形成する。第2の電圧は、第1の修正蒸気生成物VP1の液体粒子がダクト1410aからダクト1420に引き寄せられるように、第1の電圧と反対である。いくつかの実施形態では、蒸気生成物VPがシステムの各連続する段階を通過するとき、蒸気生成物VPに付与される電荷は、蒸気生成物VPがシステム全体を通過するのを助けるように交互になる。
【0096】
ダクト1420を通過した後、第1の修正蒸気生成物VP2は、第1の修正蒸気生成物VP2から液体が除去されるようにプライミングされる。チャンバ1412は、第1のダクト1410aおよび第2のダクト1420の下流に配置され、第2のダクト1420から第1の修正蒸気生成物を受容するように構成される。チャンバ1412は、垂直または水平構成で配置され得、第1の修正蒸気生成物VP2から液体を除去するために、第1の修正蒸気生成物VP2をさまざまな構成要素に通すように構成される。チャンバ1412は、第1の修正蒸気生成物VP2を受容するように構成され、チャンバ1412は、分離器1428、TECユニット1430、点電極1432、およびデミスタ1434を含む。入口1436が、第1の修正蒸気生成物VP2を有する第2のダクト1420から第1の修正蒸気生成物VP2を受容するように構成され得る。チャンバ1412の反対側の端部に配置された出口1438は、第1の修正蒸気生成物が、分離器1428を通過して第2の修正蒸気生成物を形成し、TECユニット1430を通過して第3の修正蒸気生成物を形成し、点電極1432を通過して、電離された第3の修正蒸気生成物を形成し、デミスタ1434を通過して第4の修正蒸気生成物を形成した後に、蒸気生成物(例えば、第4の修正蒸気生成物)を排出するように構成され得る。第2の修正蒸気生成物VP3は、第1の修正蒸気生成物VP2の第1の修正湿度レベルよりも低い第2の修正湿度レベルを有する。出口1438において、第4の蒸気生成物は、蒸気生成物からの液体の除去により、少なくとも第1の湿度レベルおよび第1の修正湿度レベルよりも低い湿度レベルを有する。いくつかの実施形態では、システムは、修正蒸気生成物のそれぞれから、分離された液体を収集するように構成されたリザーバ1440を含むことができる。いくつかの実施形態では、
図14Cに示されるように、リザーバ1440は、分離器1428の下に位置付けられ得る。
【0097】
送風機1406により、蒸気生成物は加速された流量でシステム1400を通って移動している。この流量は、チャンバ1412内で適切に分離されていない場合に、リザーバ1440内の既に除去された液体にさらなる蒸発を引き起こす可能性がある。分離器1428は、液体粒子を少なくとも第1の修正蒸気生成物VP2からチャンバ1412内のリザーバ1440に導くように構成される。分離器はさまざまな構成を有し得るが、いくつかの実施形態では、
図14Cに示されるように、分離器1428は、リザーバ1440の上方でリザーバ1440に近接して配置されたプレート1429である。いくつかの実施形態では、分離器1428は、チャンバ1412内に配置された円錐形状のプレート1429を含み得る。分離された液体がリザーバ1440に流入するのを可能にするために、分離器1428は、チャンバ1412の内部側壁と分離器1428のエッジとの間に隙間1442が形成されるように配置される。いくつかの実施形態では、分離器1428のプレートと内部側壁との間の隙間1442は、1~5ミリメートル、好ましくは2ミリメートルである。
【0098】
第1の修正蒸気生成物VP2から液体を効率的に除去するために、第1の修正蒸気生成物VP2は、チャンバ1412内で冷却される。チャンバ1412の入口に対して近位に配置されるのは、プレートなどの複数のバッフル1444a、1444bと、第1の修正蒸気生成物VP2を冷却するように構成された複数の冷却プレート1446a、1446bと、から形成される熱電冷却(TEC)ユニット1430である。いくつかの実施形態では、冷却プレート1446a、1446bは、熱電冷却器(TEC)である。チャンバ1412を通過する第1の修正蒸気生成物VP2を冷却するために、任意の一般的に知られているTECが使用され得る。一般的なTECは、2つの固有の半導体を含み、これらは異なる電子密度を有する必要があるため、1つはn型のもの、1つはp型のものが、使用される。交互に配置されたp型およびn型半導体ピラーは、熱的に互いに並列に、電気的に直列に配置され、それから、通常は別個の絶縁体の必要性を取り除くセラミックの、熱伝導性プレートでそれぞれの側が接合される。2つの半導体の自由端部に電圧が印加されると、半導体の接合部を横切ってDC電流が流れ、温度差が生じる。冷却プレート1446a、1446bのある側は熱を吸収し、その熱は次に半導体によって装置の反対側に運ばれる。
【0099】
各バッフル1444a、1444bは、鋼などの導電性金属から形成され得る、バッフル1444a、1444bに熱的に結合された冷却プレート1446a、1446bを含み得る。
図14Dに示されるように、蒸気生成物VPは、第1の修正蒸気生成物VP2がチャンバ1412内で渦を巻くにつれて、バッフル1444a、1444bおよび冷却プレート1446a、1446bの上を通過するように、入口を通ってチャンバ1412に供給され得る。第1の修正蒸気生成物VP2が冷却プレート1446a、1446bを通って渦を巻くにつれて、冷却プレート1446a、1446bは、第1の修正蒸気生成物VP2の温度を低下させ、第1の修正湿度レベルよりも低い第2の修正湿度レベルを有する第2の修正蒸気VP3生成物を形成する。この温度の低下により、液体粒子は、第2の修正蒸気生成物VP3から分離され、バッフル1444a、1444b上で凝縮する。
【0100】
第2の修正蒸気生成物VP3を、チャンバ1412を通して引き上げるために、点電極1432がTECユニット1430の上方に垂直に配置される。点電極1432は、第3の電圧で帯電される。第3の電圧は、第2の修正蒸気生成物VP3を点電極1432に引き寄せるために、第2の電圧と反対であり、第1の電圧と同一であり得る。さらに、いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第2のメッシュプレート1450または一連のメッシュプレート1448が、点電極1432と、以下で詳細に説明される少なくとも1つの第1のメッシュプレート1452との間に位置付けられる。少なくとも1つの第2のメッシュプレート1450は、第2の修正蒸気生成物VP3内に存在する液体粒子の少なくとも一部を収集して、少なくとも第2の修正湿度レベルよりも低い第3の修正湿度レベルを有する第3の修正蒸気生成物VP4を形成するように構成される。一連のメッシュプレート1448は、点電極1432の上方に垂直に配置され得る。第2のメッシュプレート1450を含む、一連のメッシュプレート1448内のメッシュプレートはそれぞれ、点電極1432と同様であり、一連のメッシュプレート1448内の各プレートは、チャンバ1412を通して第2の修正蒸気生成物VP3を移動させるために交番電圧で帯電される。他の実施形態では、第2のメッシュプレート1450は複数の層を含むことができ、そのそれぞれが、ワイヤのネットワークを含む。いくつかの実施形態では、一連のメッシュプレート1448の中のメッシュプレートによって形成される層は、各層の間が2.54~10.16cm(1~4インチ)離間される。第2の修正蒸気生成物VP3が第2のメッシュプレート1450を通過すると、液体粒子が第2の修正蒸気生成物VP3から分離され、第2のメッシュプレート1450のワイヤ上で合体して、少なくとも第2の修正湿度レベルよりも低い第3の修正湿度レベルを有する第3の修正蒸気生成物VP4を形成することができる。水滴が第2のメッシュプレート1450上で合体するにつれて、水滴は、ワイヤから分離してチャンバ1412の底部に配置されたリザーバ1440に落下するまで、サイズが大きくなる。
【0101】
チャンバ1412の出口1438に近接して配置されているのは、デミスタ1434を形成する少なくとも1つのメッシュプレート1452である。デミスタ1434は、ミストを集めて、第3の修正蒸気生成物VP4から分離するのに十分重い液滴にすることを意図した、メッシュ型、ベーンパック、または他の構造であってよい。いくつかの実施形態では、デミスタ1434の少なくとも1つのメッシュプレート1452は、合体メッシュを含むことができ、合体メッシュはワイヤのネットワークを含む。他の実施形態では、少なくとも1つのメッシュプレート1452は、第3の修正蒸気生成物VP4を合体させて液滴を形成するように構成され得、この液滴は、少なくとも重力によって沈殿する。いくつかの実施形態では、デミスタ1434は、複数のメッシュ層を含むことができ、液体粒子をメッシュ層に引き寄せるために、各メッシュ層を交番電圧で帯電させるように構成され得る。少なくとも1つのメッシュプレート1452は、第2の電圧とは異なる第3の電圧の印加に応答して第3の電荷を有する。デミスタ1434を通過した後、第3の修正蒸気生成物VP4は、実質的にほとんどからすべての液体粒子が除去されて、少なくとも第2の修正湿度レベルよりも低い第4の修正湿度レベルを有する第4の修正蒸気VP5生成物を形成する。
【0102】
ミストを伴う第3の修正蒸気生成物VP4が一定速度で上昇し、デミスタ1434のワイヤメッシュ層を通過するとき、上昇する第3の修正蒸気生成物VP4は、メッシュプレート1452のフィラメントに衝突し、慣性効果により表面のフィラメントに付着する。第3の修正蒸気生成物VP4はフィラメント表面上で拡散し、水滴はフィラメントに沿ってあとに続く。水滴は、デミスタ1434を通過するガスがほとんどない間に、水滴の重力が第3の修正蒸気生成物VP4の上昇力と液体の表面張力とを上回るまで、大きくなり、フィラメントから分離する。
【0103】
使用時には、蒸気生成物を凝縮する方法が、システム1400を用いて利用され得る。蒸気生成物は、蒸気生成物を電離するために、第1の電圧で帯電している第1のダクト1410aに通される。これにより、電離された蒸気生成物VP1が生成される。電離された蒸気生成物VP1は、第1のダクト1410aの下流に位置付けられ、第1のダクト1410aと流体連通している第2のダクト1420を通過して、第1の修正蒸気生成物VP2を形成する。第2のダクト1420は、第1の電圧とは異なる第2の電圧で帯電される。第1の修正蒸気生成物VP2は、チャンバ1412に入り、第1の修正蒸気生成物VP2から液体をさらに除去する。チャンバ1412は、少なくとも1つの冷却プレート1446aと、少なくとも1つの冷却プレート1446aの下流に位置付けられた少なくとも1つの第1のメッシュプレート1452と、を有する。第1のメッシュプレート1452は、少なくとも第2の電圧とは異なる第3の電圧で帯電される。第1の修正蒸気生成物VP2は、少なくとも1つの冷却プレート1446aによって冷却され、第2の修正蒸気生成物VP3を形成する。第2の修正蒸気生成物VP3がチャンバ1412を通って移動すると、第1のメッシュプレート1452が、第2の修正蒸気生成物VP3または第3の修正蒸気生成物VP4内に存在する液体粒子の少なくとも一部を除去して、第4の修正蒸気生成物VP5を形成し、この第4の修正蒸気生成物VP5は、出口1438を通ってチャンバ1412から排出され得る。
【0104】
蒸気生成物は第1の湿度レベルを有し、第1の修正蒸気生成物VP2は、第1の湿度レベルより高い第1の修正湿度レベルを有し、第2の修正蒸気生成物VP3は、第1の湿度レベルより低い第2の修正湿度レベルを有し、第4の修正蒸気生成物VP5は、第2の修正湿度レベルより低い第3の湿度レベルを有する。
【0105】
チャンバ1412は、チャンバ1412の入口1436と冷却プレート1446aとの間に位置付けられた分離器1428を含む。使用中、第1の修正蒸気生成物VP2から液体を除去する前に、分離器1428は、第1の修正蒸気生成物VP2内に存在する液体粒子の少なくとも一部を分離することができる。
【0106】
点電極1432は、少なくとも第3の電圧とは異なる第4の電圧で帯電される。使用中、点電極1432は、点電極1432を横切ってまたは点電極1432に近接して通過する第2の修正蒸気生成物VP3を電離して、第2の修正蒸気生成物VP3の電荷を修正する。
【0107】
チャンバ1412は、第2のメッシュプレート1450を含む。使用中、第2のメッシュプレート1450は、第2の修正蒸気生成物VP3内に存在する液体粒子の少なくとも一部を除去して、少なくとも第2の修正湿度レベルよりも低い第3の修正湿度レベルを有する第3の修正蒸気生成物VP4を形成する。
【0108】
レデューサ1418aは、第1のダクト1410aと第2のダクト1420との間に位置付けられる。使用中、レデューサ1418aは、電離された蒸気生成物VP1がそこを通過して第2のダクト1420に向かうにつれて、電離された蒸気生成物VP1の流量を増加させる。
【0109】
第2のダクト1420は、第2のダクト1420内に配置されたスパイラル電極1424を含む。スパイラル電極1424は、第2の電圧で帯電される。使用中、電離された蒸気生成物VP1を第2のダクト1420に通すことは、電離された蒸気生成物VP1を、スパイラル電極1424を横切って通過させて、電離された蒸気生成物VP1内に存在する液体粒子の少なくとも一部がスパイラル電極1424上に集まることを可能にすることを含む。液体粒子の集まりは、スパイラル電極1424から選択的に分離し、液体粒子の集まりと残りの電離された蒸気生成物VP1との組み合わせが、第1の修正蒸気生成物VP2を形成する。使用中、少なくとも第1の修正蒸気生成物VP2および第2の修正蒸気生成物VP3から選択的に分離された液体粒子が収集され、リザーバ1440に移送される。
【0110】
図17~
図18Bは、凝縮システム1700の別の例としての実施形態を示す。システム1700は、システム1400と実質的に同様であるが、その他のチャンバと直列に、蒸気生成物を冷却および凝縮するための追加のチャンバ1412、1702を含む。
図19~
図25は、
図17~
図18Bに示す例としての実施態様のさまざまな動作特性を示す。
図17~
図18Bに示されるように、蒸気を凝縮するための例としてのシステムは、水蒸気をソース電極から凝縮器電極(例えば、シンク電極)に向けて導くかまたは案内するための4つのダクトを含む。4つのダクトは導電性材料で作られている。
【0111】
図19は、例としての実施態様内の速度場を示す矢印ボリュームプロットである。
図20は、例としての実施態様内の速度の大きさを示す等値線プロットである。
図21は、例としての実施態様内の圧力を示す等値線プロットである。
図22は、例としての実施態様内の速度場を示す流線プロットである。
図23は、例としての実施態様内の速度の大きさを示すスライスプロットである。
図24は、例としての実施態様について粘性単位での壁分解能を示す表面プロットである。
図25は、例としての実施態様内の粒子軌道を示すプロットである。
【0112】
図26~
図33は、蒸気生成物を凝縮するための別の例としての実施形態を示している。
図26~
図33に示される本システム2400は、既存の冷却塔2402およびタービン2404の上方に配置されたダクトシステム2406であり、蒸発する水を凝縮して回収する。湿り空気線図(psychrometrics)を用いて、ダクトシステム2406は、空気流を分割し直線化して、背圧を防止し、乱流を減少させる。この空気流はその後、電離および霧箱(ionization and cloud chamber)内に導かれ、そこで、制御された電界によって水分子が合体し、凝縮して、より大きな液滴になる。凝縮されたきれいな水は回収され、リサイクルされてベースンに戻され、水冷却システムでの再利用のために利用可能となる。
【0113】
例示的な実施形態では、システム2400は、蒸発による水損失の90%を回収することができ、これにより、冷却塔の効率を高めることができる。ダクトシステム2406は、きれいな蒸発した水をリサイクルすることによって、ブローダウンおよび汚水を低減し、汚水の排出および廃水処分を低減することができる。ダクトシステム2406は、水を回収してリサイクルすることにより、化学処理を減らすことができる。ダクトシステム2406は、細菌および化学物質を大気中にしばしば拡散させる、プルーム上昇をなくすことができる。ダクトシステム2406は、冷却塔システムファン2404の効率を高め、運転コストを削減し、各ファンがより少ないエネルギーで吸引できるようにすることができる。ダクトシステム2406は、既存の冷却塔システム2402に接続することができ、これは、容易な設置および保守を可能にする。
【0114】
熱または化学物質を使用することなく、ダクトシステム2406は、蒸発する水の90%を凝縮および回収し、システム内での固体および液体の不純物の濃縮を排除する。ダクトシステム2406は、設置に1日しか必要とせず、可動部品を伴わず、これは、保守およびと運転費用が最小限であることを意味する。ダクトシステム2406は、冷却塔の運転を妨げず、既存のシステムから独立して動作する。ダクトシステム2406は、冷却塔の上部に、それ自体の鋼製支持構造体で取り付けられ、既存のアクセスポイントを維持する。ダクトシステムの設計は、湿気を除去し、空気の流れを直線化し、排気装置に向かって空気流を増加させるベンチュリー効果を生み出すことにより、空気流を改善する。ダクトシステム2406は蒸発した水を冷却塔2402に戻すので、ベースンまたは水溜めでの不純物の濃縮は減少する。使用する水の質によっては、これにより、ブローダウンを少なくしたり、固体および液体の不純物を除去したりすることができる。水を処理するための化学物質の組み合わせは、変わらない。
【0115】
図28~
図29は、水を用いて廃熱を取り出し、大気中に排出する冷却塔2402およびタービン2404を示している。これらの塔2402では、湿った空気が温かい水蒸気2408を各塔2402から運び出す。多くの冷却塔2402は、水溜めまたはベースン2410も利用し、これは、時間とともに腐食および細菌の繁殖につながる不純物および水2412を収集する。多くの冷却塔2402は、より多くの水および化学物質を加えることによって、これらの問題を制御する。
【0116】
図30は、蒸発する水2408を凝縮して回収する、既存の冷却塔2402およびタービン2404の上方のダクトシステム2406を示す。ダクトシステム2406は、湿り空気線図を用いて空気流を分割し直線化し、これにより、背圧を防止し、乱流を減少させる。ダクトシステム2406は、ダクト2414と、蒸発する水を凝縮するための霧箱2416と、を含む。
【0117】
図31~
図32は、ダクトシステム2406の霧箱2416を示している。ダクト2414は、空気流2408を、パイプ2418を通して電離および霧箱2416に導き、そこで、制御された電界によって水分子2420が合体し、凝縮して、より大きな液滴2422になる。
【0118】
図33は、凝縮したきれいな水2424がベースン2410に戻っている様子を示している。システム内の残りの空気は、排気装置を通って出る。回収されリサイクルされた水2424は今や、水冷却システム2400での再利用のために利用可能となっている。
【0119】
上記の説明および特許請求の範囲では、「~のうちの少なくとも1つ」または「~のうちの1つ以上」などの語句に、要素または特徴の連結的なリストが続く場合がある。「および/または」という用語も、2つ以上の要素または特徴のリスト中に出現し得る。そのような語句は、それが使用される文脈によって暗示的または明示的に矛盾しない限り、列挙された要素もしくは特徴のいずれかを個別に、または列挙された要素もしくは特徴のいずれかをその他の列挙された要素もしくは特徴のいずれかと組み合わせたものを、意味することが意図される。例えば、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」、「AおよびBのうちの1つ以上」、ならびに「Aおよび/またはB」という語句は、それぞれ、「A単独、B単独、またはAおよびBを共に」を意味することが意図される。同様の解釈は、3つ以上の項目を含むリストについても意図されている。例えば、「A、B、およびCのうちの少なくとも1つ」、「A、B、およびCのうちの1つ以上」、ならびに「A、B、および/またはC」という語句は、それぞれ、「A単独、B単独、C単独、AおよびBを共に、AおよびCを共に、BおよびCを共に、またはAおよびBおよびCを共に」を意味することを意図している。さらに、上記および特許請求の範囲における「に基づく」という用語の使用は、記載されていない特徴または要素も許容されるように、「少なくとも部分的に基づく」ことを意味することを意図している。
【0120】
本明細書で説明される主題は、所望の構成に応じて、システム、器具、方法、および/または物品において具現化することができる。前述の説明に記載された実施態様は、本明細書に記載された主題と一致するすべての実施態様を表すわけではない。代わりに、それらは、説明された主題に関連する態様と一致するいくつかの実施例にすぎない。いくつかの変形例を詳細に前述してきたが、他の修正または追加が可能である。特に、さらなる特徴および/または変形例が、本明細書中に記載されるものに加えて提供され得る。例えば、前述した実施態様は、開示された特徴のさまざまな組み合わせおよびサブコンビネーション、ならびに/または前記に開示したいくつかのさらなる特徴の組み合わせおよびサブコンビネーションに向けられることができる。さらに、添付の図面に描かれ、かつ/または本明細書で説明される論理フローは、望ましい結果を達成するために、必ずしも、示された特定の順序、または順番を必要としない。他の実施態様は、以下の特許請求の範囲内に含まれ得る。
【0121】
〔実施の態様〕
(1) システムであって、
第1の湿度レベルを有する蒸気生成物を受容するように構成された第1のダクトであって、前記蒸気生成物を電離するように前記第1のダクトへの第1の電圧の印加に応答して第1の電荷を有する、第1のダクトと、
前記第1のダクトと流体連通しており、前記第1のダクトの下流に配置され、前記電離された蒸気生成物を通過させるように構成された、第2のダクトであって、前記第1の電圧とは異なる第2の電圧の印加に応答して第2の電荷を帯び、それにより、前記電離された蒸気生成物中に存在する液体粒子の少なくとも一部の収集を可能にし、前記第1の湿度レベルよりも高い第1の修正湿度レベルを有する第1の修正蒸気生成物を形成するように構成されている、第2のダクトと、
前記第1の修正蒸気生成物を受容するように構成されたチャンバであって、
前記第1の修正蒸気生成物の温度を下げて、前記第1の修正湿度レベルよりも低い第2の修正湿度レベルを有する第2の修正蒸気生成物を形成するように構成された、少なくとも1つの冷却プレートと、
前記少なくとも1つの冷却プレートの下流に配置され、前記第2の修正蒸気生成物または第3の修正蒸気生成物内に存在する液体粒子の少なくとも一部を収集して、少なくとも前記第2の修正湿度レベルよりも低い第4の修正湿度レベルを有する第4の修正蒸気生成物を形成するように構成された、少なくとも1つの第1のメッシュプレートであって、前記第2の電圧とは異なる第3の電圧の印加に応答して第3の電荷を有する、少なくとも1つの第1のメッシュプレートと、
を含む、チャンバと、
を含む、システム。
(2) 前記チャンバは、液体粒子を少なくとも前記第1の修正蒸気生成物からリザーバ内に導くように構成された分離器をさらに含む、実施態様1に記載のシステム。
(3) 前記分離器は、前記チャンバ内に配置された円錐形プレートを含み、間隙が、前記円錐形プレートと前記チャンバの側壁との間に形成され、前記間隙は、前記液体粒子を受容して前記リザーバ内に導くように構成されている、実施態様2に記載のシステム。
(4) 前記チャンバは、前記第3の電圧とは異なる第4の電圧の印加に応答して第4の電荷を有する点電極をさらに含み、前記点電極は、前記点電極を横切ってまたは前記点電極に近接して通過する前記第2の修正蒸気生成物を電離して、前記第2の修正蒸気生成物の電荷を修正するように構成されている、実施態様1から3のいずれかに記載のシステム。
(5) 前記第2のダクトは、前記第2のダクトのチャネルを通って少なくとも部分的に延びるスパイラル電極を含み、前記スパイラル電極は、前記第2の電圧で帯電されている、実施態様1から4のいずれかに記載のシステム。
【0122】
(6) 前記スパイラル電極は、前記スパイラル電極の長さに沿って配置された複数の点電極を含む、実施態様5に記載のシステム。
(7) 前記少なくとも1つの冷却プレートは、熱電冷却器を含む、実施態様1から6のいずれかに記載のシステム。
(8) 前記チャンバは、前記点電極と前記少なくとも1つの第1のメッシュプレートとの間に位置付けられた少なくとも1つの第2のメッシュプレートをさらに含み、前記少なくとも1つの第2のメッシュプレートは、前記第2の修正蒸気生成物内に存在する液体粒子の少なくとも一部を収集して、少なくとも前記第2の修正湿度レベルよりも低い第3の修正湿度レベルを有する第3の修正蒸気生成物を形成するように構成されている、実施態様1から7のいずれかに記載のシステム。
(9) 前記少なくとも1つの第1のメッシュプレートは、前記液体粒子の集まりが、少なくとも重力によって前記少なくとも1つの第1のメッシュプレートから選択的に分離することを可能にするようにさらに構成されている、実施態様1から8のいずれかに記載のシステム。
(10) 前記チャンバは、少なくとも前記第1の修正蒸気生成物および前記第2の修正蒸気生成物から選択的に分離された液体粒子を受容するように構成されたリザーバをさらに含む、実施態様1から9のいずれかに記載のシステム。
【0123】
(11) 前記蒸気生成物を、前記第1のダクトおよび前記第2のダクトを通して前記チャンバまで押し進めるように構成された送風機をさらに含む、実施態様1から10のいずれかに記載のシステム。
(12) レデューサをさらに含み、前記レデューサは、前記第1のダクトと前記第2のダクトとの間に位置付けられ、前記電離された蒸気生成物が前記レデューサを通過して前記第2のダクトに向かうにつれて、前記電離された蒸気生成物の流量を増加させるように構成されている、実施態様1から11のいずれかに記載のシステム。
(13) 方法であって、
第1の電圧で帯電した第1のダクトに蒸気生成物を通して、前記蒸気生成物を電離することと、
前記第1のダクトの下流に位置付けられ、前記第1のダクトと流体連通している第2のダクトに、前記電離された蒸気生成物を通して、第1の修正蒸気生成物を形成することであって、前記第2のダクトは、前記第1の電圧とは異なる第2の電圧で帯電される、ことと、
前記第1の修正蒸気生成物をチャンバの中に入れることであって、前記チャンバは、少なくとも1つの冷却プレートと、前記少なくとも1つの冷却プレートの下流に位置付けられた少なくとも1つの第1のメッシュプレートと、を有し、前記少なくとも1つの第1のメッシュプレートは、少なくとも前記第2の電圧とは異なる第3の電圧で帯電される、ことと、
前記少なくとも1つの冷却プレートによって、前記第1の修正蒸気生成物を冷却して第2の修正蒸気生成物を形成することと、
前記少なくとも1つの第1のメッシュプレートによって、前記第2の修正蒸気生成物または第3の修正蒸気生成物内に存在する液体粒子の少なくとも一部を除去し、第4の修正蒸気生成物を形成することと、
を含む、方法。
(14) 前記蒸気生成物は、第1の湿度レベルを有し、前記第1の修正蒸気生成物は、前記第1の湿度レベルよりも高い第1の修正湿度レベルを有し、前記第2の修正蒸気生成物は、前記第1の湿度レベルよりも低い第2の修正湿度レベルを有し、前記第4の修正蒸気生成物は、前記第2の修正湿度レベルよりも低い第3の湿度レベルを有する、実施態様13に記載の方法。
(15) 前記チャンバは、前記チャンバの入口と前記少なくとも1つの冷却プレートとの間に位置付けられた分離器を含み、前記方法は、前記除去するステップの前に、前記分離器によって、前記第1の修正蒸気生成物内に存在する液体粒子の少なくとも一部を分離することをさらに含む、実施態様13または14に記載の方法。
【0124】
(16) 少なくとも前記第3の電圧とは異なる第4の電圧で帯電される点電極をさらに含み、前記方法は、
前記点電極を横切ってまたは前記点電極に近接して通過する前記第2の修正蒸気生成物を、前記点電極によって電離して、前記第2の修正蒸気生成物の電荷を修正することをさらに含む、実施態様13から15のいずれかに記載の方法。
(17) 前記チャンバは、少なくとも1つの第2のメッシュプレートを含み、前記方法は、
前記第2の修正蒸気生成物内に存在する液体粒子の少なくとも一部を、前記少なくとも1つの第2のメッシュプレートによって除去して、少なくとも前記第2の修正湿度レベルよりも低い第3の修正湿度レベルを有する第3の修正蒸気生成物を形成することをさらに含む、実施態様13から16のいずれかに記載の方法。
(18) レデューサが、前記第1のダクトと前記第2のダクトとの間に位置付けられ、前記方法は、
前記電離された蒸気生成物が前記レデューサを通過して前記第2のダクトに向かうときに、前記電離された蒸気生成物の流量を、前記レデューサによって増加させることをさらに含む、実施態様13から17のいずれかに記載の方法。
(19) 前記第2のダクトは、前記第2のダクト内に配置されたスパイラル電極を含み、前記スパイラル電極は、前記第2の電圧で帯電され、
前記電離された蒸気生成物を第2のダクトに通すことは、
前記電離された蒸気生成物を、前記スパイラル電極を横切って通過させて、前記電離された蒸気生成物内に存在する液体粒子の少なくとも一部が前記スパイラル電極上に集まることを可能にすることを含み、
前記液体粒子の集まりは、前記スパイラル電極から選択的に分離し、前記液体粒子の集まりと残りの前記電離された蒸気生成物との組み合わせは、前記第1の修正蒸気生成物を形成する、実施態様13から18のいずれかに記載の方法。
(20) 少なくとも前記第1の修正蒸気生成物および前記第2の修正蒸気生成物から選択的に分離された前記液体粒子を収集し、収集された前記液体粒子をリザーバに移送することをさらに含む、実施態様13から19のいずれかに記載の方法。
【国際調査報告】