(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-30
(54)【発明の名称】埋め込み可能な皮膚穿刺装置
(51)【国際特許分類】
A61M 37/00 20060101AFI20240123BHJP
A61M 39/02 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
A61M37/00 550
A61M39/02 112
A61M39/02 100
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541559
(86)(22)【出願日】2021-01-06
(85)【翻訳文提出日】2023-08-28
(86)【国際出願番号】 EP2021050144
(87)【国際公開番号】W WO2022148537
(87)【国際公開日】2022-07-14
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523258104
【氏名又は名称】セキュアセル アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SECURECELL AG
(74)【代理人】
【識別番号】100207837
【氏名又は名称】小松原 寿美
(72)【発明者】
【氏名】シュッツ、ダニエル
【テーマコード(参考)】
4C066
4C267
【Fターム(参考)】
4C066AA10
4C066BB01
4C066CC01
4C066FF01
4C267AA02
4C267AA04
4C267AA28
4C267AA75
4C267BB20
4C267BB26
4C267CC05
4C267CC08
(57)【要約】
皮膚穿刺装置は、ヒト又は動物の身体内に配置することができるカテーテルチューブ4に外部チューブを接続するために埋め込み可能であり、上側領域8と下側領域10とを有する円筒形のベース本体6を備え、ベース本体が皮下アンカー12を備え、外部チューブを接続するための上側接続手段16と、カテーテルチューブを接続するための下側接続手段18とが利用可能である。皮下アンカーが、ベース本体に関節接合された複数の固定タブ14から形成され、固定タブが、径方向下向きに折り畳まれた挿入位置Eから径方向外向きに折り畳まれた保持位置Hへと枢動可能である。下側接続手段はカテーテルチューブのためのアダプタピース20を備え、アダプタピース20はベース本体内に挿入することができ、挿入された下側停止位置において、アダプタピース20が固定タブを径方向外向きに折り畳まれた保持位置Hに固定するように、固定タブと協働する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト又は動物の身体内に配置することができるカテーテルチューブ(4)に外部チューブ(2)を接続するための埋め込み可能な皮膚穿刺装置であって、
埋め込み状態で前記身体から離れるように向いた上側領域(8)と、前記埋め込み状態で前記身体に向いた下側領域(10)と、を有する実質的に円筒形のベース本体(6)を備え、
前記ベース本体が、その下側領域に皮下挿入を意図した皮下アンカー(12)を備え、前記外部チューブを接続するための上側接続手段(16)と、前記カテーテルチューブを接続するための下側接続手段(18)とが利用可能であり、
前記皮下アンカーが、前記ベース本体に関節接合された複数の固定タブ(14)から形成され、前記固定タブが、径方向下向きに折り畳まれた挿入位置(E)から径方向外向きに折り畳まれた保持位置(H)へと枢動可能であり、
前記下側接続手段が、前記カテーテルチューブのためのアダプタピース(20)を備え、前記アダプタピース(20)は、前記ベース本体内に挿入することができ、挿入された下側停止位置において、前記アダプタピース(20)が前記固定タブを前記径方向外向きに折り畳まれた保持位置(H)に固定するように、前記固定タブと協働する、
ことを特徴とする、皮膚穿刺装置。
【請求項2】
前記固定タブ(14)が、実質的にO形状に形成され、丸みを帯びた縁部を有し、前記挿入位置(E)では、前記ベース本体によって画定される輪郭内に位置する、
請求項1に記載の皮膚穿刺装置。
【請求項3】
前記ベース本体が、その下側領域に雌ねじ(38)を備え、前記アダプタピースをその下側停止位置に保持するために、前記雌ねじに下側ねじ山付きリング(40)をねじ込むことができる、
請求項1又は2に記載の皮膚穿刺装置。
【請求項4】
前記下側ねじ山付きリングには、対応する形状のねじ留め具(70)のための複数の内側係合溝(72)が設けられている、
請求項3に記載の皮膚穿刺装置。
【請求項5】
前記ベース本体には、その上側領域に、支持リング(76)又は保持具(74)を取り付けるための周縁凹部(66)が設けられている、
請求項1~4のいずれか一項に記載の皮膚穿刺装置。
【請求項6】
前記上側接続手段が、張力付与要素(42)を備え、前記張力付与要素(42)は、前記ベース本体内にねじ込むことができ、中隔本体(44)を充填方式で受け入れるように形成された空洞を備え、前記空洞が、少なくとも1つの通路開口部(48)を有する下側底面(46)によって画定されている、
請求項1~5のいずれか一項に記載の皮膚穿刺装置。
【請求項7】
前記上側接続手段が接続ヘッド(50)を更に備え、
前記接続ヘッド(50)は、前記外部チューブに接続可能であって、かつ、上側で前記張力付与要素(42)に接続可能であり、
前記接続ヘッド及び前記張力付与要素には、協働結合要素(52,54)が設けられている、
請求項6に記載の皮膚穿刺装置。
【請求項8】
前記協働結合要素が、前記張力付与要素内の上側凹部(52)と、前記接続ヘッド内の対応する突出部(54)と、を含む、
請求項7に記載の皮膚穿刺装置。
【請求項9】
前記下側接続手段の前記アダプタピース(20)がアダプタヘッド(28)を備え、
前記アダプタヘッド(28)がベース面(32)と前記カテーテルチューブの密閉挿入のための凹部(34)とを有し、
少なくとも1つの横断チャネル(36)が、前記凹部と上方の前記ベース面との間に形成される、
請求項1~8のいずれか一項に記載の皮膚穿刺装置。
【請求項10】
前記アダプタピースが前記下側停止位置まで前記ベース本体内に挿入されると、前記アダプタヘッドの表面領域(26)が、前記固定タブの対応する形状の端部領域(24)と協働し、前記固定タブを前記径方向外向きに折り畳まれた保持位置へと枢動させるように、前記アダプタヘッド(28)がドームの形状に形成されている、
請求項9に記載の皮膚穿刺装置。
【請求項11】
前記カテーテルチューブ(4)の密閉挿入のための前記凹部(34)が、前記アダプタヘッド(28)の側方に配置される、請求項10に記載の皮膚穿刺装置。
【請求項12】
前記アダプタヘッド(28)内の前記横断チャネルが、少なくとも1つの、好ましくは3つのカニューレによって形成され、各カニューレが、
下側カニューレ端部(56)が、側方の前記凹部(34)から突出するように構成され、かつ、
隣接する中央カニューレ領域(58)が、前記アダプタヘッドを通って円弧状に案内されるように構成され、かつ、
隣接する上側カニューレ端部(60)が、前記ベース面から突出するように構成されている、
請求項11に記載の皮膚穿刺装置。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の皮膚穿刺装置と、
前記皮膚穿刺装置に接続されたカテーテルチューブ(4)と、
前記皮膚穿刺装置に接続され、対応するプロセスユニットに接続可能な外部チューブ(2)と、
を備える、
患者への流体の供給と患者からの流体の抜き取りとの少なくとも一方を行うための装置。
【請求項14】
前記上側接続手段が、前記ベース本体内にねじ込まれる張力付与要素(42)を備え、
前記ベース本体の空洞には、中隔本体(44)が充填方式で挿入されており、
前記中隔本体が、少なくとも1つの連続した中隔チャネル(62)を備え、
前記中隔チャネル(62)の一方には前記アダプタピースの上側カニューレ端部(60)が挿入されており、他方には前記外部チューブ(2)と連通する前記接続ヘッド(50)の下側チューブ端部(64)が挿入されている、
請求項13に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、埋め込み可能な皮膚穿刺装置、及びそれを備えた患者に流体を供給する及び/又は患者から流体を抜き取るための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
薬剤の供給及び/又は体液の除去を繰り返し又は更には連続的に必要とする患者には、「ポート」とも呼ばれる適切なアクセス手段が挿入される。そのような皮膚穿刺装置は、外部からアクセス可能なポートチャンバを有するポート本体を備え、ポートチャンバは、通常、体内に置かれるカテーテルチューブに接続される。ポートチャンバには、様々な方法でアクセスすることができ、特に穿孔によってアクセスすることができる。特許文献1に記載されているような皮下埋め込み式ポートは、非常に一般的である。対応するポート本体は、完全に皮膚の下に位置しており、穿刺膜によって又は特別に構成された穿刺ユニットによって皮膚表面の方向において密閉されている。
【0003】
経皮埋め込み式ポートでは、ポートチャンバも皮膚の下に挿入されるが、皮膚を貫通して外向きに延びている進入セグメントが残る。このような経皮皮膚穿刺装置は、特許文献2に記載されている。皮下装置と比較して、局所的な皮膚領域を繰り返し穿刺する必要がなく、安全かつ確実にアクセスできるという利点がある。
【0004】
一般的な皮膚穿刺装置は、特許文献3に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5306255号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第0867197号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2013/072847号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上記タイプの皮膚穿刺装置を改良し、その欠点を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1に規定される皮膚穿刺装置によって、ならびに請求項13に規定される供給及び/又は除去装置によって達成される。
ヒト又は動物の身体内に配置することができるカテーテルチューブに外部チューブを接続するための、埋め込み可能な本発明による皮膚穿刺装置は、埋め込み状態で身体から離れるように向いた上側領域と、埋め込み状態で身体に向いた下側領域と、を有する実質的に円筒形のベース本体を備え、ベース本体が、その下側領域に皮下挿入を意図した皮下アンカーを備え、外部チューブを接続するための上側接続手段と、カテーテルチューブを接続するための下側接続手段とが利用可能である。
【0008】
皮下アンカーがベース本体に関節接合された複数の固定タブから形成され、固定タブが径方向下向きに折り畳まれた挿入位置から径方向外向きに折り畳まれた保持位置に枢動可能であり、下側接続手段がカテーテルチューブのためのアダプタピースを備え、このアダプタピースは、ベース本体内に挿入することができ、挿入された下側停止位置において、アダプタピースが固定タブを径方向外向きに折り畳まれた保持位置にロックするように、固定タブと協働するという事実に起因して、様々な利点がもたらされる。
【0009】
特に、下向きに折り畳まれた挿入位置における最初の細い形状に起因して、埋め込みが容易になり、それによって、特に比較的小さい皮膚切開で十分となる。それでも、固定タブが、ロックされた径方向外向きに折り畳まれた保持位置において最適に作用することができるため、優れた固定効果がその後に保証される。更に、アダプタピースと固定タブとの相互作用に起因して、埋め込みプロセスの過程における装置の特に簡単な組み立てが達成される。
【0010】
コンパクトな組立体であることと、経皮装置としての作用モードとに起因して、外部注射針のための穿孔カップを必要とする従来の皮下装置と比較して、流体送達の間のデッドボリュームが大幅に低減する。デッドボリュームと関連する混合効果若しくは希釈効果との低減又は排除により、最小体積を用いた時間変動する流体処理を新しいやり方で再現することが可能になる。
【0011】
本文脈において、方向の表示は、装置の埋め込み状態に関して理解されるべきである。したがって、「身体から離れるように向いた(facing away from the body)」は、「皮膚表面に対して外向きに向いた(facing outwards with respect to the skin surface)」という意味で理解されるべきであり、「身体に向かって向いた(facing towards the body)」は、対応して「皮膚表面に対して内向き向いた(acing inwards with respect to the skin surface)」という意味で理解されるべきである。簡略化のために、時折、「上方(above)」という用語が、「身体から離れるように向いた」と同等に使用され、「下方(above)」という用語が、「身体に向かって向いた」と同等に使用される。これが、この分野で一般的に使用される形状表現(graphical representations)に相当するためである。したがって、患者の特定の設置位置及び向きでは、装置の「上側領域」は、実際には、下に向いている、すなわち床の方に向いている可能性がある。
【0012】
更に、幾何学的仕様は、厳密に数学的な意味で理解されるべきではなく、むしろ適切に適用可能な公差の観点から理解されるべきである。
更に、寸法決め、材料選択、及び材料加工は、ヒト又は動物の身体内への埋め込みという意図された目的に従って行われることが理解される。ベース本体及び固定タブなどの構造構成要素の材料に関しては、具体的には、チタン、代替的に、ステンレス鋼(医療用鋼)、又は特定のプラスチックが考慮される。寸法は、通常の範囲内で変動し得る。例えば、カテーテルチューブの直径は、用途に応じて2~5mmの範囲となる。
【0013】
有利な実施形態は、従属請求項に規定される。
固定タブの主な目的は、埋め込み式皮膚穿刺装置の望ましくない変位を防止することである。有利には(請求項2)、固定タブ14は、実質的にO形状に形成され、丸みを帯びた縁部を有し、挿入位置では、ベース本体によって画定される輪郭内に位置する。中央の開口部に起因して、皮膚は固定タブ内へと急速に成長し、所望の機能を発揮することができる。鋭利な縁部及び突出構造がない実施形態により、比較的小さな皮膚切開による皮膚穿刺装置の挿入が容易になる。
【0014】
原理的には、アダプタピースは、様々な方法でその下側停止位置に保持することができる。この目的のために、ベース本体は、好ましくはその下側領域に雌ねじを備え、この雌ねじに下側ねじ山付きリングをねじ込むことができる(請求項3)。下側ねじ山付きリングに、対応する形状のねじ留め具のための複数の内側係合溝が設けられている場合(請求項4)、取り扱いに特に有利である。
【0015】
一実施形態(請求項5)では、ベース本体には、その上側領域に、支持リングを取り付けるための周縁凹部が設けられている。これにより、具体的には外部チューブの接続など、必要な取り扱いの際に、機械的安定性を有利にもたらすことが可能になる。したがって、望ましくない引張力及び押圧力ならびに傾斜モーメントが回避される。
【0016】
有利な実施形態(請求項6)では、上側接続手段は、張力付与要素を備え、この張力付与要素は、ベース本体内にねじ込むことができ、中隔本体を充填方式で受け入れるように形成された空洞を備え、この空洞は、下側底面によって画定されており、下側底面は、少なくとも1つの通路開口部を備える。
【0017】
上側接続手段に関して、これらが接続ヘッドを備え、接続ヘッドが外部チューブに接続可能であって、かつ、張力付与要素に接続可能である場合、有利である(請求項7)。必要な位置合わせ及び固定のために、接続ヘッド及び張力付与要素には、協働結合要素が設けられている。好ましくは(請求項8)、協働結合要素は、張力付与要素内の上側凹部と、接続ヘッド内の対応する突出部と、を含むプラグ原理に従って構成される。
【0018】
有利な実施形態(請求項9)によれば、下側接続手段のアダプタピースは、ベース面と、カテーテルチューブの密閉挿入のための凹部とを有するアダプタヘッドを備え、少なくとも1つの横断チャネルが、凹部と上方のベース面との間に形成される。皮膚穿刺装置の組み立て状態において、ベース面は、身体から離れるように向いた上側に向けられ、その上方内に張力付与要素をねじ込むための接触面を形成する。好ましくは(請求項10)、アダプタピースが下側停止位置までベース本体内に挿入されると、アダプタヘッドの表面領域が固定タブの対応する形状の端部領域と協働し、固定タブを径方向外向きに折り畳まれた保持位置へと枢動させるように、アダプタヘッドはドームの形状に形成されている。したがって、これは、皮膚穿刺装置が組み立て状態では、身体に向かって向いた下側に向けられたドーム形状の構造である。更に、カテーテルチューブの密閉挿入のための凹部がアダプタヘッドの側方に配置されることが特に好ましい(請求項11)。換言すれば、カテーテルチューブは、その下方の皮膚表面に対して実質的に平行に案内される。
【0019】
特に好ましい実施形態(請求項12)によれば、アダプタヘッド内の横断チャネルは、少なくとも1つの、好ましくは3つのカニューレによって形成され、各カニューレは、
下側カニューレ端部(56)が、側方の前記凹部(34)から突出するように構成され、かつ、
隣接する中央カニューレ領域(58)が、前記アダプタヘッドを通って円弧状に案内されるように構成され、かつ、
隣接する上側カニューレ端部(60)が、前記ベース面から突出するように構成されている。
【0020】
側方に突出している、カニューレの各下側端部は、本装置に取り付けられることになるカテーテルチューブの関連する内部チャネルのための接続部を形成する。身体から離れるように向いた方向に突出している、カニューレの各上側端部は、その上方に取り付けられた中隔本体の関連する中隔チャネル内に達するように意図されている。
【0021】
基本的な実施形態では、皮膚穿刺装置は、1つの流体チャネルを備える。用途によっては、3つの内部チャネルを有することが有利であり、それによって、流体を供給する又は抜き取るために1つのチャネルが各々使用されるが、第3のチャネルは、ガイドワイヤを受け入れるために設けられる。
【0022】
本発明の更なる態様(請求項13)によれば、患者に流体を供給する及び/又は患者から流体を抜き取るための装置は、本発明による皮膚穿刺装置と、皮膚穿刺装置に接続されたカテーテルチューブと、皮膚穿刺装置に接続され、対応するプロセスユニットに接続可能な外部チューブと、を備える。流体は、具体的には、患者から抜き取られた体液、すなわち血液、又は供給された活性物質溶液であり得る。更に、手順によっては、少なくとも特定の時点で、液体チャネルのうちの一方を通して、又は場合によっては両方の液体チャネルを通して、リンス溶液を搬送する必要がある場合がある。
【0023】
この文脈において、上側接続手段が、ベース本体内にねじ込まれる張力付与要素を備え、ベース本体の空洞には、中隔本体が充填方式で挿入されており、中隔本体が、少なくとも1つの連続した中隔チャネルを備え、中隔チャネルの一方にはアダプタピースの上側カニューレ端部が挿入されており、他方には外部チューブと連通する接続ヘッドの下側チューブ端部が挿入されている場合、特に有利である(請求項14)。
【0024】
本発明の例示的な実施形態は、図面を参照して以下により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図3】接続ヘッド及び外部チューブが取り付けられた、
図1の皮膚穿刺装置の垂直断面図である。
【
図5】固定タブが径方向下向きに折り畳まれた挿入位置にある、
図1の皮膚穿刺装置のベース本体の垂直断面図である。
【
図7】固定タブが径方向下向きに折り畳まれた挿入位置にある、ベース本体の斜視図である。
【
図8】皮膚の下に挿入され、固定タブが径方向外向きに折り畳まれた保持位置にある、
図7のベース本体の垂直断面図である。
【
図9】突出しているカテーテルチューブを有する
図8のベース本体の垂直断面図である。
【
図10】アダプタピースがカテーテルチューブに取り付けられた、
図9のベース本体の垂直断面図である。
【
図11】アダプタピースが部分的にベース本体内に挿入された、
図10のベース本体の垂直断面図である。
【
図12】アダプタピースが完全にベース本体内に挿入され、その上方内にねじ山付きリングがねじ込まれた、
図11のベース本体の斜視図である。
【
図13】アダプタピースが完全にベース本体内に挿入され、その上方内に張力付与要素がねじ込まれた、
図12のベース本体の斜視図である。
【
図15】支持リングが挿入された、
図14の埋め込み式皮膚穿刺装置の斜視図である。
【
図16】接続ヘッド及び外部チューブが取り付けられた、
図15の埋め込み式皮膚穿刺装置の斜視図である。
【
図17】支持リングを取り外した後の、
図16の埋め込み式皮膚穿刺装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1~
図5は、ヒト又は動物の身体内に配置することができるカテーテルチューブ4に外部チューブ2を接続するための埋め込み可能な皮膚穿刺装置を示す。本装置は、埋め込み状態で身体から離れるように向いた上側領域8と、埋め込み状態で身体に向かって向いた下側領域10と、を有する実質的に円筒形のベース本体6を備える。隣接する皮膚層Sに対する設置位置を示すために、小さな皮膚セグメントが
図1に示されている。ベース本体は、その下側領域に皮下挿入を意図した皮下アンカー12を備えており、この皮下アンカー12は、ベース本体に関節接合された複数の固定タブ14から形成されている。固定タブは、ここでは
図5に示す径方向下向きに折り畳まれた挿入位置Eから、
図1~
図4に示す径方向外向きに折り畳まれた保持位置Hへと枢動可能である。
【0027】
更に、皮膚穿刺装置は、外部チューブを接続するための上側接続手段16と、カテーテルチューブを接続するための下側接続手段18とを備える。
下側接続手段は、カテーテルチューブのためのアダプタピース20を備え、このアダプタピース20は、ベース本体内に挿入することができ、
図1及び
図3に示す挿入された下側停止位置において、アダプタピース20が固定タブを径方向外向きに折り畳まれた保持位置Hに固定するように、固定タブと協働する。この目的のために、図示の例では、各固定タブ14は、関連する枢動軸22に取り付けられ、タブの主セグメントから離れるように向いたカム状端部領域24を有する。カム状端部領域24は、ドーム形状のアダプタヘッド28の対応する形状の外側表面領域26に当接する。したがって、アダプタ20を下げることによって、端部領域24も下がり、それに対応して固定タブの主セグメントが持ち上げられてロックされる。
図1及び
図3からも分かるように、アダプタヘッドには、ベース面32と、カテーテルチューブの密閉挿入のための側方に配置された凹部34とを有するフランジ状部分30が設けられ、少なくとも1つの横断チャネルが、凹部と上方のベース面との間に形成される。
【0028】
図示の例では、ベース本体6は、その下側領域に雌ねじ38を備えており、アダプタピースをその下側停止位置に保持するために、この雌ねじ38に下側ねじ山付きリング40をねじ込むことができる。
【0029】
上側接続手段は、張力付与要素42を備え、この張力付与要素42は、ベース本体内にねじ込むことができ、中隔本体44を充填方式で受け入れるように形成された空洞を備え、この空洞は、少なくとも1つの通路開口部48を有する下側底面46によって画定されている。特に
図3及び
図4から分かるように、上側接続手段は、外部チューブに接続可能であり、上側で張力付与要素に接続可能である接続ヘッド50を備え、接続ヘッド及び張力付与要素には、協働結合要素が設けられている。図示の例では、これらはいずれの場合も、張力付与要素内の上側凹部52及び対応する突出部54である。
【0030】
特に
図1~
図3に示されるように、アダプタヘッド28内の横断チャネルは、3つのカニューレによって形成され、各カニューレは以下のように構成される。
下側カニューレ端部56が、側方の凹部34から突出しており、
隣接する中央カニューレ領域58が、アダプタヘッドを通って円弧状に案内されており、
隣接する上側カニューレ端部60が、ベース面から突出しており、好ましくは突端が設けられている。カニューレのこの上側端部は、その上方に取り付けられた中隔本体44の横断チャネル62内へと通じている。
【0031】
図3及び
図4では、皮膚穿刺装置が使用準備完了状態で示されており、外部チューブ2と連通した接続ヘッド50の下側チューブ端部64が、中隔本体44の横断チャネル62内に挿入されている。
【0032】
図1及び
図3の概要から、中隔44が内部孔62を備え、この内部孔62が、カニューレ64によって穿刺されて拡張されることが明らかである。
図2及び
図4から分かるように、固定タブは、実質的にO形状に形成され、丸みを帯びた縁部を有する。更に、ベース本体には、その上側領域に、支持リングを取り付けるための周縁凹部が設けられている。
【0033】
皮膚穿刺装置の操作原理及び取り扱いは、
図6~
図17において更に説明される。上記の図を用いて既に紹介した特徴には、対応する参照番号を付し、必要な場合にのみ再度言及する。
【0034】
図6が、まず、皮膚穿刺装置の重要な構成要素を分解図で示す。既に説明した構成要素に加えて、カテーテルチューブのためのクランプリング68が示されている。
図7は、概略的に示された皮膚領域Hの上方の、固定タブ14が径方向下向きに折り畳まれた挿入位置にある、ベース本体6を示す。固定タブは、挿入位置では、ベース本体によって画定された輪郭内に位置していることが分かる。したがって、比較的小さいセグメントを皮膚に切開する必要があり、それは剛性の皮下アンカーを備えた従来の皮膚穿刺装置では不十分である。次に、
図8は、固定タブが径方向外向きに折り畳まれた保持位置にある状況を示す。
【0035】
実際の外科的処置では、皮膚穿刺装置を挿入する前に、基本的に既知の方法でカテーテルチューブ4を挿入し、所望の位置、例えば血管内に挿入する。これは、通常、ガイドワイヤFを用いて行われる。これは
図9に示されており、この図では、カテーテルチューブ上に配置されたクランプリング68もまた見ることができる。
【0036】
図10は、アダプタピース20が、カテーテルチューブに取り付けられ、クランプリング28をクランプすることによって固定された後の状況を示す。続いて、カテーテルチューブ4が体内に引き込まれる。これは、第2の皮膚切開部までループガイドを介して既知の方法で行った。これは、
図11に示される状況をもたらし、この図では、アダプタピースがベース本体内に引き込まれている。
【0037】
次に、
図12は、アダプタピース20が完全に挿入され、その上方内にねじ山付きリング40がねじ込まれた、
図11のベース本体を示している。ねじ留め具70も示されており、このねじ留め具70は、第1の端部が、ねじ山付きリングに対応して構成された係合溝72内に挿入されている。更に、保持具74が示されており、この保持具74は、既に言及した周縁凹部66においてベース本体6を把持する。
【0038】
図13は、アダプタピース20がベース本体内に完全に挿入され、その上方内に張力付与要素42がねじ込まれた状況を示す。この目的のために、ねじ留め具70が再び有利に使用され、ねじ留め具70は、その第2の端部がリングレンチのように構成されており、したがって、クランプ要素の対応する形状の上縁部ゾーンを把持する。ねじ留め具及び保持具を取り外した後、最終的に
図14に示される状況が生じる。
【0039】
図15~
図17は、外部チューブ2に接続される接続ヘッド50の取り付けを示す。最初に、特別に構成された支持リング76が、ベース本体6の前述の周縁凹部66に取り付けられる。続いて、接続ヘッド50が装着され、最後に支持リング76が再び取り外される。このようにして、皮膚穿刺装置は基本的に処置の準備が完了される。
【0040】
例として上述した皮膚穿刺装置は、基本的に既知の方法で、患者に流体を供給する及び/又は患者から流体を抜き取るための対応するプロセスユニット(図示せず)に接続することができる。
【国際調査報告】