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特表2024-504070β-置換β-アミノ酸誘導体に基づく化学療法剤の薬学的組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-30
(54)【発明の名称】β-置換β-アミノ酸誘導体に基づく化学療法剤の薬学的組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/197 20060101AFI20240123BHJP
   A61K 47/61 20170101ALI20240123BHJP
   A61K 9/19 20060101ALI20240123BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20240123BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20240123BHJP
   A61K 31/198 20060101ALI20240123BHJP
   A61K 31/4184 20060101ALI20240123BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
A61K31/197
A61K47/61
A61K9/19
A61K9/08
A61K47/02
A61K31/198
A61K31/4184
A61P35/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541560
(86)(22)【出願日】2022-01-10
(85)【翻訳文提出日】2023-07-06
(86)【国際出願番号】 CN2022070958
(87)【国際公開番号】W WO2022148456
(87)【国際公開日】2022-07-14
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/070782
(32)【優先日】2021-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523258148
【氏名又は名称】クアドリガ バイオサイエンシズ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャンデレイト、ベルンド
(72)【発明者】
【氏名】タム、ピーター
(72)【発明者】
【氏名】リウ、ルイファン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、シーシァン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076AA30
4C076AA95
4C076BB13
4C076CC27
4C076CC47
4C076DD23Z
4C076EE39
4C076EE59
4C076FF61
4C076FF65
4C076GG07
4C086AA01
4C086AA10
4C086BC39
4C086GA13
4C086MA02
4C086MA05
4C086MA17
4C086MA44
4C086MA66
4C086NA03
4C086ZB26
4C206AA01
4C206AA03
4C206AA10
4C206FA44
4C206FA53
4C206KA01
4C206KA14
4C206KA17
4C206MA02
4C206MA05
4C206MA37
4C206MA64
4C206MA86
4C206NA03
4C206ZB26
(57)【要約】
β-置換β-アミノ酸誘導体に基づく化学療法剤を含む薬学的組成物が開示される。薬学的組成物は、β-置換β-アミノ酸誘導体及びシクロデキストリン誘導体を含む。薬学的組成物は、がんの治療に有用である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲスト-ホスト包接複合体であって、
式(I)の化合物:
【化1】

又はその薬学的に許容される両性イオン、内塩、若しくは塩であって、式中、Rが、C1-6アルキル及びC1-6アルコキシから選択される、式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される両性イオン、内塩、若しくは塩と、
式(2)のシクロデキストリン誘導体:
【化2】

又はその薬学的に許容される両性イオン、内塩、若しくは塩であって、式中、
nが、4、5、及び6から選択され、
~Rの各々が、独立して、水素、C1-8アルカンジイルスルホン酸塩、C1-6アルキル、及び置換C1-6アルキルから選択され、
~Rのうちの少なくとも1つが、C1-8アルカンジイルスルホン酸塩である、式(2)のシクロデキストリン誘導体、又はその薬学的に許容される両性イオン、内塩、若しくは塩と、を含む、ゲスト-ホスト包接複合体。
【請求項2】
前記式(1)の化合物が、3-アミノ-4-(5-(ビス(2-クロロエチル)アミノ)-2-メチルフェニル)ブタン酸(1a)、又はその薬学的に許容される両性イオン、内塩、若しくは両性イオン、内塩、若しくは塩である、請求項1に記載のゲスト-ホスト包接複合体。
【化3】
【請求項3】
前記式(1)の化合物が、(R)-3-アミノ-4-(5-(ビス(2-クロロエチル)アミノ)-2-メチルフェニル)ブタン酸(1b)、又はその薬学的に許容される両性イオン、内塩、若しくは塩である、請求項1に記載のゲスト-ホスト包接複合体。
【化4】
【請求項4】
前記式(1)の化合物が、(S)-3-アミノ-4-(5-(ビス(2-クロロエチル)アミノ)-2-メチルフェニル)ブタン酸(1c)、又はその薬学的に許容される両性イオン、内塩、若しくは塩である、請求項1に記載のゲスト-ホスト包接複合体。
【化5】
【請求項5】
前記式(2)のシクロデキストリン誘導体が、6~8の平均置換度を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のゲスト-ホスト包接複合体。
【請求項6】
前記式(2)のシクロデキストリン誘導体が、6.5~7の平均置換度を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のゲスト-ホスト包接複合体。
【請求項7】
前記式(2)のシクロデキストリン誘導体が、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン(SBE-β-CD)である、請求項1~6のいずれか一項に記載のゲスト-ホスト包接複合体。
【請求項8】
前記シクロデキストリン誘導体が、ポリナトリウム塩である、請求項1~7のいずれか一項に記載のゲスト-ホスト包接複合体。
【請求項9】
前記ゲスト-ホスト包接複合体が、1:50~1:60の前記式(1)の化合物と前記シクロデキストリン誘導体との質量比を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のゲスト-ホスト包接複合体。
【請求項10】
前記ゲスト-ホスト包接複合体が、1:7~1:10の前記式(1)の化合物と前記シクロデキストリン誘導体とのモル比を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のゲスト-ホスト包接複合体。
【請求項11】
前記ゲスト-ホスト包接複合体が、凍結乾燥物を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のゲスト-ホスト包接複合体。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載のゲスト-ホスト包接複合体を含む、薬学的組成物。
【請求項13】
薬学的組成物であって、
式(I)の化合物:
【化6】

又はその薬学的に許容される両性イオン、内塩、若しくは塩であって、式中、Rが、C1-6アルキル及びC1-6アルコキシから選択される、式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される両性イオン、内塩、若しくは塩と、
式(2)のシクロデキストリン誘導体:
【化7】

又はその薬学的に許容される両性イオン、内塩、若しくは塩であって、式中、
nが、4、5、及び6から選択され、
~Rの各々が、独立して、水素、C1-8アルカンジイルスルホン酸塩、C1-6アルキル、及び置換C1-6アルキルから選択され、
~Rのうちの少なくとも1つが、C1-8アルカンジイルスルホン酸塩である、式(2)のシクロデキストリン誘導体、又はその薬学的に許容される両性イオン、内塩、若しくは塩と、を含む、薬学的組成物。
【請求項14】
前記式(1)の化合物が、3-アミノ-4-(5-(ビス(2-クロロエチル)アミノ)-2-メチルフェニル)ブタン酸(1a)、又はその薬学的に許容される両性イオン、内塩、若しくは塩である、請求項13に記載の薬学的組成物。
【化8】
【請求項15】
前記式(1)の化合物が、(R)-3-アミノ-4-(5-(ビス(2-クロロエチル)アミノ)-2-メチルフェニル)ブタン酸(1b)、又はその薬学的に許容される両性イオン、内塩、若しくはその塩である、請求項13に記載の薬学的組成物。
【化9】
【請求項16】
前記式(1)の化合物が、(S)-3-アミノ-4-(5-(ビス(2-クロロエチル)アミノ)-2-メチルフェニル)ブタン酸(1c)、又はその薬学的に許容される両性イオン、内塩、若しくはその塩である、請求項13に記載の薬学的組成物。
【化10】
【請求項17】
前記式(2)のシクロデキストリン誘導体が、6~8の平均置換度を有する、請求項12~16のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項18】
前記式(2)のシクロデキストリン誘導体が、6.5~7の平均置換度を有する、請求項12~16のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項19】
前記式(2)のシクロデキストリン誘導体が、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン(SBE-β-CD)である、請求項12~18のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項20】
前記シクロデキストリン誘導体が、前記ポリナトリウム塩である、請求項12~19のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項21】
前記薬学的組成物が、1:50~1:60の前記式(1)の化合物と前記シクロデキストリン誘導体との質量比を含む、請求項12~20のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項22】
前記薬学的組成物が、1:7~1:10の前記式(1)の化合物と前記シクロデキストリン誘導体とのモル比を含む、請求項12~21のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項23】
前記薬学的組成物が、前記式(1)の化合物と、前記式(2)のシクロデキストリン誘導体と、を含む、ゲスト-ホスト包接複合体を含む、請求項12~22のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項24】
前記薬学的組成物が、水性希釈液に溶解した1mg/mL~10mg/mLの前記式(1)の化合物を含む、請求項12~23のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項25】
前記水性希釈液が、塩化ナトリウム溶液を含む、請求項24に記載の薬学的組成物。
【請求項26】
前記薬学的組成物が、水性希釈液に溶解した0.1mg/mL~1mg/mLの前記式(1)の化合物を含む、請求項12~23のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項27】
前記水性希釈液が、塩化ナトリウム溶液を含む、請求項26に記載の薬学的組成物。
【請求項28】
前記薬学的組成物が、水性希釈液を含む水性製剤である、請求項12~23のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項29】
前記水性希釈液が、塩化ナトリウム溶液を含む、請求項28に記載の薬学的組成物。
【請求項30】
前記水性希釈液が、生理食塩水溶液を含む、請求項28又は29に記載の薬学的組成物。
【請求項31】
前記水性製剤が、1mg/mL~10mg/mLの濃度の前記式(1)の化合物を有する、請求項28~30のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項32】
前記水性製剤が、0.1mg/mL~1.0mg/mLの濃度の前記式(1)の化合物を有する、請求項28~30のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項33】
前記水性製剤が、pH3~7を有する、請求項28~32のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項34】
前記水性製剤が、注射用製剤である、請求項28~33のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項35】
前記薬学的組成物が、0.125mg/mL~2mg/mLの濃度の前記式(1)の化合物HCl塩を有する水溶液を含み、25℃で2時間後、元の量の90%超の前記式(1)の化合物が、前記水性製剤中に存在する、請求項28~34のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項36】
前記薬学的組成物、0.125mg/mL~2mg/mLの濃度の前記式(1)の化合物HCL塩を有する水溶液は、0℃で10時間後、元の量の90%超の前記式(1)の化合物が、前記薬学的組成物中に存在する、請求項28~35のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項37】
請求項1~11のいずれか一項に記載のゲスト-ホスト包接複合体と、水溶液と、を含む、薬学的キット。
【請求項38】
前記水溶液が、塩化ナトリウム溶液である、請求項37に記載のキット。
【請求項39】
患者におけるがんを治療する方法であって、かかる治療を必要とする患者に治療有効量の請求項12~36のいずれか一項に記載の薬学的組成物を投与することを含む、方法。
【請求項40】
前記方法が、請求項1~11のいずれか一項に記載のゲスト-ホスト包接複合体を水性希釈液と組み合わせて、水性薬学的組成物を提供することと、前記水性薬学的組成物を投与することを含む投与することと、を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
投与することが、静脈内投与することを含む、請求項39又は40に記載の方法。
【請求項42】
前記がんが、中枢神経系のがんを含む、請求項39~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記がんが、脳がんを含む、請求項39~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記がんが、転移性がんを含む、請求項39~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記がんが、中枢神経系における転移性がんを含む、請求項39~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記がんが、脳における転移性がんを含む、請求項39~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
がんを治療するための医薬品の製造における、請求項12~36のいずれか一項に記載の薬学的組成物の使用。
【請求項48】
請求項1~11のいずれか一項に記載のゲスト-ホスト包接複合体を水性希釈液と組み合わせて、水性薬学的組成物を提供することと、前記水性薬学的組成物を投与することを含む投与することと、を更に含む、請求項47に記載の使用。
【請求項49】
前記医薬品が、静脈内製剤である、請求項47又は48に記載の使用。
【請求項50】
前記がんが、中枢神経系のがんを含む、請求項47~49のいずれか一項に記載の使用。
【請求項51】
前記がんが、脳がんを含む、請求項47~49のいずれか一項に記載の使用。
【請求項52】
前記がんが、転移性がんを含む、請求項47~49のいずれか一項に記載の使用。
【請求項53】
前記がんが、中枢神経系における転移性がんを含む、請求項47~49のいずれか一項に記載の使用。
【請求項54】
前記がんが、脳における転移性がんを含む、請求項47~49のいずれか一項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年1月8日に出願されたPCT国際出願第PCT/CN2021/070782号の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、β-置換β-アミノ酸誘導体に基づく化学療法剤の薬学的組成物に関する。薬学的組成物は、β-置換β-アミノ酸誘導体及びシクロデキストリン誘導体を含む。薬学的組成物は、がんの治療に有用である。
【背景技術】
【0003】
化学療法を選択的に標的とする能力は、臨床診療において大きな価値を有する。がんは先進国の主な死因であり、生涯で3人に1人ががんを発症している。がんには、手術、化学療法、放射線療法、免疫療法、モノクローナル抗体治療を含む、多くの治療選択肢がある。残念ながら、多くの患者にとって、がん治療の選択肢は限られており、奏効率は低いままである。
【0004】
β-置換β-アミノ酸誘導体は、LAT1輸送化学療法剤として使用され得る。特定のβ-置換β-アミノ酸誘導体は、静脈内投与に好適な水性緩衝溶液中で不安定である。
【発明の概要】
【0005】
本発明によれば、ゲスト-ホスト包接複合体は、
式(I)の化合物:
【化1】

又はその薬学的に許容される両性イオン、内塩、若しくは塩であって、式中、Rが、C1-6アルキル及びC1-6アルコキシから選択される、式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される両性イオン、内塩、若しくは塩と、
式(2)のシクロデキストリン誘導体:
【化2】

又はその薬学的に許容される両性イオン、内塩、若しくは塩であって、式中、
nが、4、5、及び6から選択され、
~Rの各々が、独立して、水素、C1-8アルカンジイルスルホン酸塩、C1-6アルキル、及び置換C1-6アルキルから選択され、
~Rのうちの少なくとも1つが、C1-8アルカンジイルスルホン酸塩である、式(2)のシクロデキストリン誘導体、又はその薬学的に許容される両性イオン、内塩、若しくは塩と、を含む。
【0006】
本発明によれば、薬学的組成物は、
式(I)の化合物:
【化3】

又はその薬学的に許容される両性イオン、内塩、若しくは塩であって、式中、Rが、C1-6アルキル及びC1-6アルコキシから選択される、式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される両性イオン、内塩、若しくは塩と、
式(2)のシクロデキストリン誘導体:
【化4】

又はその薬学的に許容される両性イオン、内塩、若しくは塩であって、式中、
nが、4、5、及び6から選択され、
~Rの各々が、独立して、水素、C1-8アルカンジイルスルホン酸塩、C1-6アルキル、及び置換C1-6アルキルから選択され、
~Rのうちの少なくとも1つが、C1-8アルカンジイルスルホン酸塩である、式(2)のシクロデキストリン誘導体、又はその薬学的に許容される両性イオン、内塩、若しくは塩と、を含む。
【0007】
本発明によれば、薬学的キットは、本発明によるゲスト-ホスト包接複合体と、水溶液と、を含む。
【0008】
本発明によれば、患者におけるがんを治療する方法は、かかる治療を必要とする患者に治療有効量の本発明による薬学的組成物を投与することを含む。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の詳細な説明の目的のために、本開示によって提供される実施形態は、相反することが明示的に指定されている場合を除いて、様々な代替的な変形及びステップシーケンスを想定し得ることを理解されたい。更に、任意の動作の実施例以外、又は別様に示される場合、例えば、明細書及び特許請求の範囲で使用される成分の量を表す全ての数は、全ての例において用語「約」によって修飾されているものとして理解されるべきである。したがって、相反することが示されない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本発明によって得られる所望の特性に応じて変化し得る近似値である。少なくとも、均等論の適用を特許請求の範囲に限定しようとするものではなく、各数値パラメータは、少なくとも報告された有効桁数に照らして、かつ通常の四捨五入技法を適用することによって解釈されるべきである。
【0010】
本発明の広い範囲を記載する数値範囲及びパラメータは、近似値であるにもかかわらず、特定の例において記載される数値は、できる限り正確に報告される。しかしながら、任意の数値は、それらのそれぞれの試験測定値に見られる標準偏差から必然的に得られる特定の誤差を本質的に含有する。
【0011】
また、本明細書に列挙される任意の数値範囲は、その中に包含される全ての部分範囲を含むことを意図していることを理解されたい。例えば、「1~10」の範囲は、記載された最小値1と記載された最大値10との間の(及びそれらを含む)全ての部分的な範囲、すなわち、1以上の最小値と、10以下の最大値と、を有することが意図される。
【0012】
「アルコキシ」は、Rがアルキルであるラジカル-ORを指す。アルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、及びブトキシが挙げられる。アルコキシ基は、例えば、C1-6アルコキシ、C1-5アルコキシ、C1-4アルコキシ、C1-3アルコキシ、エトキシ、又はメトキシであり得る。
【0013】
「アルキル」は、親アルカンの単一の炭素原子から1個の水素原子を除去することによって誘導される、飽和、分枝、又は直鎖一価の炭化水素ラジカルを指す。アルキル基は、C1-6アルキル、C1-5アルキル、C1-4アルキル、又はC1-3アルキルであり得る。アルキル基は、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、又はtert-ブチルであり得る。
【0014】
「アルカンジイル」とは、親アルカンの1つ又は2つの炭素原子から2つの水素原子を除去することによって誘導される、飽和、分枝鎖、又は直鎖二価の炭化水素ラジカルを指す。アルカンジイル基は、例えば、C1-8アルカンジイル、C1-6アルカンジイル、C1-5アルカンジイル、C1-4アルカンジイル、又はC1-3アルカンジイルであり得る。アルカンジイルは、例えば、メタン-ジイル、エタン-ジイル、n-プロパン-ジイル、イソ-プロパン-ジイル、又はブタン-ジイルであり得る。
【0015】
「アルカンジイルスルホン酸塩」は、炭素原子のうちの1つがスルホン酸塩、-SO 基(式中、Xがカウンターカチオンである)に結合しているアルカンジイル基を指す。アルカンジイルスルホン酸塩では、スルホン酸塩は、アルカンジイル基の末端炭素と会合することができる。アルカンジイルスルホン酸塩は、例えば、C1-8アルカンジイルスルホン酸塩、C1-6アルカンジイルスルホン酸塩、C1-5アルカンジイルスルホン酸塩、C1-4アルカンジイルスルホン酸塩、又はC1-3アルカンジイルスルホン酸塩であり得る。アルカンジイルスルホン酸塩では、末端炭素原子は、スルホン酸塩で置換され得る。例えば、C1-4アルカンジイルスルホン酸塩は、構造-CH-SO 、-CH-CH-SO 、又は-CH-CH-CH-SO 、又は-CH-CH-CH-CH-SO を有し得る。カウンターカチオンは、例えば、Na及びC1-8アルカンジイルスルホン酸塩であり得る。
【0016】
「置換された」とは、1つ以上の水素原子が、独立して、同じ又は異なる置換基で置換されている基を指す。各置換基は、独立して、ハロゲン、-OH、-CN、-CF、-OCF、=O(オキソ)、-NO、C1-6アルコキシ、C1-6アルキル、-COOR、-NR、及び-CONRから選択され得、各Rは、独立して、水素及びC1-6アルキルから選択される。各置換基は、独立して、ハロゲン、-NH、-OH、C1-3アルコキシ、及びC1-3アルキル、トリフルオロメトキシ、及びトリフルオロメチルから選択され得る。各置換基は、独立して、-OH、メチル、エチル、トリフルオロメチル、メトキシ、エトキシ、及びトリフルオロメトキシから選択され得る。各置換基は、C1-3アルキル、=O(オキソ)、C1-3アルキル、C1-3アルコキシ、及びフェニルから選択され得る。各置換基は、-OH、-NH、C1-3アルキル、及びC1-3アルコキシから選択され得る。
【0017】
「平均置換度」(ADS)は、シクロデキストリン分子当たりの置換基の平均数を指す。シクロデキストリン誘導体の平均置換度の概念は、PCT国際公開第WO2009/018069号に記載されている。例として、以下の表記は、シクロデキストリン誘導体を記載するために使用され得る。置換基は、置換基のADSを示す下付き文字で略される。例えば、6.5のADSを有するスルホブチルエーテル誘導体化β-シクロデキストリンは、SBE6.5-β-CD(式中、SBEは、スルホブチルエーテル基の略称である)と表記される。別の例として、スルホブチルエーテル基及びヒドロキシプロピル基の両方で誘導体化されたβ-シクロデキストリンは、SBE4.2-HP2.5-β-CD(式中、スルホブチルエーテル(SBE)基のADSが4.2であり、ヒドロキシプロピル(HP)基のADSが2.5である)と表記される。
【0018】
本明細書に開示される「化合物」は、開示される式内の任意の特定の化合物を含む。化合物は、それらの化学構造及び/又は化学名のいずれかによって特定され得る。化合物は、ChemBioDraw Ultra14.0.0.117(CambridgeSoft,Cambridge,MA)命名プログラムを使用して命名される。化学構造と化学名が矛盾する場合、化学構造は化合物の同一性を決定する。本明細書に記載の化合物は、1つ以上の不斉中心及び/又は二重結合を含み得、したがって、二重結合異性体(すなわち、幾何異性体)、鏡像異性体、ジアステレオマー、互変異性体、又はアトロプ異性体などの立体異性体として存在し得る。したがって、示された本明細書の範囲内の相対配置を有する任意の化学構造は、全体的に又は部分的に、立体異性体的に純粋な形態(例えば、幾何学的に純粋な、鏡像異性体的に純粋な、又はジアステレオマー的に純粋な)、並びに鏡像異性体及び(ジアステレオマー)立体異性体の混合物を含む、例示された化合物の全ての可能な鏡像異性体及び立体異性体を包含する。鏡像異性体混合物及び(ジアステレオマー)立体異性体の混合物は、当業者に周知の分離技術又はキラル合成技術を使用して、それらの成分の鏡像異性体又は(ジアステレオマー)立体異性体に分離され得る。
【0019】
式(1)の化合物は、式(1a)の化合物、式(1b)の化合物、式(1c)の化合物、及び上記のいずれかの組み合わせを包含する。
【0020】
「シクロデキストリン誘導体」とは、環状配置で連結された5つ以上のα-D-グルコピラノシド単位を含む環状オリゴ糖を指し、γ-1,4-グリコシド結合を介して、2、3、及び/又は6位の1つ以上のグルコピラノシド単位に結合した置換基を含む。
【0021】
式(1)の化合物の「公称濃度」は、組成物又は溶液中の式(1)の複合化合物及び式(1)の非複合化合物の濃度を指す。
【0022】
「患者」は、哺乳動物、例えば、ヒトを指す。
【0023】
「薬学的に許容される」とは、連邦政府若しくは州政府の規制機関によって、又は米国薬局方若しくは動物、より具体的にはヒトにおいて使用するための他の一般的に認められている薬局方に記載されている、承認された又は承認可能なものを指す。
【0024】
「薬学的に許容される塩」は、親化合物の所望の薬理活性を有する化合物の塩を指す。かかる塩には、無機酸、並びに親化合物内の一級、二級、又は三級アミン等の1つ以上のプロトン化可能な官能基で形成される酸付加塩が含まれる。好適な無機酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等が挙げられる。塩は、有機酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2-エタン-ジスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、4-トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、4-メチルビシクロ[2.2.2]-オクト-2-エン-1-カルボン酸、グルコヘプトン酸、3-フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、三級ブチル酢酸、ラウリルスルホン酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸等により形成され得る。塩は、親化合物中に存在する1つ以上の酸性プロトンが、金属イオン、例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン、若しくはアルミニウムイオン、又はそれらの組み合わせ、あるいはエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルグルカミン等の有機塩基との配位によって置き換えられる場合に形成され得る。薬学的に許容される塩は、塩酸塩であり得る。薬学的に許容される塩は、ナトリウム塩であり得る。2つ以上のイオン化可能な基を有する化合物では、薬学的に許容される塩は、二塩、例えば、二塩酸塩等の1つ以上の対イオンを含むことができる。薬学的に許容される塩の例は、例えば、Stahl and Wermuth(Eds),Handbook of Pharmaceutical Salts,Properties,Selection and Use,First Edition,Wiley-VCH,2008に開示されている。
【0025】
「薬学的に許容される塩」とは、水和物及び他の溶媒和物、並びに結晶形態又は非結晶形態の塩を含む。特定の薬学的に許容される塩が開示される場合、特定の塩(例えば、塩酸塩)は塩の一例であり、当業者に知られている技法を用いて他の塩が形成され得ることを理解されたい。加えて、当該技術分野で一般に既知の技法を使用して、当業者は、薬学的に許容される塩を対応する化合物、遊離塩基、及び/又は遊離酸に変換することができるであろう。
【0026】
「薬学的に許容されるビヒクル」とは、薬学的に許容される希釈剤、薬学的に許容されるアジュバント、薬学的に許容される賦形剤、薬学的に許容される担体、又は前述のうちのいずれかの組み合わせを指し、それらとともに、本開示によって提供される化合物を患者に投与することができ、その薬理活性を破壊せず、治療有効量の化合物を提供するのに十分な用量で投与される場合に無毒である。
【0027】
「薬学的組成物」とは、本開示によって提供されるβ-置換β-アミノ酸誘導体若しくはその薬学的に許容される塩、及びβ-置換β-アミノ酸誘導体若しくはその薬学的に許容される塩とともに患者に投与される少なくとも1つの薬学的に許容されるビヒクルを指す。薬学的に許容されるビヒクルは、当該技術分野で既知である。
【0028】
疾患を「治癒する」とは、疾患若しくは障害を排除すること、又は疾患若しくは障害の症状を排除することを指す。
【0029】
「疾患」は、前述のうちのいずれかの疾患、障害、状態又は症状を指す。
【0030】
疾患又は障害の「治療すること」又は「治療」とは、疾患若しくは障害の1つ以上の臨床症状の重症度を低減すること、疾患若しくは障害の1つ以上の臨床症状の発症を遅らせること、及び/又は疾患若しくは障害の1つ以上の臨床症状を軽減することを指す。
【0031】
疾患又は障害の「治療すること」又は「治療」は、疾患若しくは障害又は疾患若しくは障害の1つ以上の臨床症状を阻害すること、疾患若しくは障害又は疾患若しくは障害の1つ以上の臨床症状の発症を阻止すること、疾患若しくは障害又は疾患若しくは障害の1つ以上の臨床症状を緩和すること、疾患若しくは障害又は疾患若しくは障害の1つ以上の臨床症状の退縮を引き起こすこと、及び/又は疾患若しくは障害又は疾患若しくは障害の1つ以上の臨床症状の安定化することを指し、「治療すること」又は「治療」とは、基礎となる疾患若しくは障害を治癒することなく、臨床的に有益な効果を生み出すことを指す。
【0032】
「治療有効量」は、疾患又は疾患の臨床症状のうちの少なくとも1つを治療するために患者に投与された場合、かかる疾患又はその症状の治療に影響を与えるのに十分な、薬学的活性成分などの化合物の量を指す。「治療有効量」は、例えば、化合物、疾患及び/若しくは疾患の症状、疾患の重症度、並びに/又は疾患若しくは障害の症状、治療される患者の年齢、体重、及び/若しくは健康、並びに処方医師の判断に応じて変化し得る。任意の所与の事例における治療有効量は、当業者によって確認され得るか、又は日常的な実験によって決定することができる。
【0033】
「治療的有効用量」は、患者における疾患又は障害の有効な治療を提供する用量を指す。治療有効用量は、化合物によって、及び患者間で異なり得、患者の状態及び送達経路などの要因に依存し得る。治療有効用量は、当業者に既知の日常的な薬理学的手順に従って決定され得る。
【0034】
「ビヒクル」とは、化合物とともに患者に投与される希釈剤、賦形剤、又は担体を指す。ビヒクルは、薬学的に許容されるビヒクルであり得る。薬学的に許容されるビヒクルは、当該技術分野で既知である。
【0035】
「約」は、特定の値の5%以内、例えば、記載された濃度範囲の5%以内又は記載された時間枠の5%以内を指す。
【0036】
ここで、薬学的組成物及び薬学的組成物の使用方法について言及する。開示される薬学的組成物及び薬学的組成物の使用方法は、特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。それとは反対に、特許請求の範囲は、全ての代替物、修正物、及び均等物を包含することが意図されている。
【0037】
本開示によって提供されるゲスト-ホスト包接複合体は、β-置換β-アミノ酸誘導体及びシクロデキストリン誘導体を含むことができる。ゲスト-ホスト包接複合体は、凍結乾燥物の形態であり得る。
【0038】
本開示によって提供される薬学的組成物は、β-置換β-アミノ酸誘導体及びシクロデキストリン誘導体を含むことができる。薬学的組成物は、水性製剤中で再構成された、本開示によって提供されるゲスト-ホスト包接複合体を含むことができる。本開示によって提供される薬学的組成物は、静脈内注射用の水溶液であり得る。本開示によって提供される薬学的組成物は、がんの治療において有用であり得る。
【0039】
シクロデキストリンは、メルファランなどの化学療法剤の溶解性及び安定性を改善するために使用されている。シクロデキストリンは、α-1,4グリコシド結合によって連結されたグルコースサブユニットの大環状環からなる環状オリゴ糖のファミリーである。シクロデキストリンは、酵素変換によってデンプンから生成される。これらは、食品、医薬品、薬物送達、化学産業、農業、及び環境工学に使用されている。シクロデキストリンは、デンプンの断片であるアミロースのように、5つ以上のα-D-グルコピラノシド単位を含む。典型的なシクロデキストリンは、環内に6~8単位の範囲の多数のグルコースモノマーを含有し、トロイダル形状を形成する。例えば、α-シクロデキストリンは、6つのグルコースサブユニットを含有し、β-シクロデキストリンは、7つのグルコースサブユニットを含有し、γ-シクロデキストリンは、8つのグルコースサブユニットを含有する。
【0040】
スルホアルキル置換シクロデキストリンは、水溶性であり、内部親油性空洞(internal lipophilic cavity)を取り囲む親水性外面を特徴とする。シクロデキストリン及び親油性治療剤は、ゲスト-ホスト包接複合体を形成することができ、薬物の物理化学的特性を高めることができる。
【0041】
本開示によって提供されるゲスト-ホスト包接複合体又は薬学的組成物は、β-置換β-アミノ酸誘導体又はβ-置換β-アミノ酸誘導体の組み合わせを含むことができる。
【0042】
β-置換β-アミノ酸誘導体は、式(1)の構造又は式(1)のβ-置換β-アミノ酸誘導体の組み合わせ
【化5】

又は薬学的に許容される両性イオン、内塩、若しくはその塩(式中、Rは、C1-6アルキル及びC1-6アルコキシから選択される)を有することができる。
【0043】
式(1)の化合物において、Rは、C1-6アルキルであり得る。
【0044】
式(1)の化合物において、Rは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、及びtert-ブチルから選択され得る。
【0045】
式(1)の化合物において、Rは、C1-6アルコキシであり得る
【0046】
式(1)の化合物において、Rは、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソ-ブトキシ、sec-ブトキシ、及びtert-ブトキシから選択され得る。
【0047】
式(1)の化合物において、アミノ基が結合している炭素原子は、(S)絶対配置であり得る
【0048】
式(1)の化合物において、アミノ基が結合している炭素原子は、(R)絶対配置であり得る
【0049】
式(1)の化合物は、1:1の比率の(S)及び(R)鏡像異性体を有するラセミ混合物などの(S)及び(R)の両方の鏡像異性体を有する混合物、又は約75%の(S)鏡像異性体及び約25%の(R)鏡像異性体を有する混合物などの非ラセミ混合物であり得る。式(1)の化合物は、例えば、X%の(S)鏡像異性体及び100%-X%の(R)鏡像異性体(式中、Xは、0~100である)を含むことができる。
【0050】
式(1)の化合物は、3-アミノ-4-(5-(ビス(2-クロロエチル)アミノ)-2-メチルフェニル)ブタン酸(1a)、又はその薬学的に許容される両性イオン、内塩、若しくは塩であり得る。
【化6】
【0051】
式(1)の化合物は、(R)-3-アミノ-4-(5-(ビス(2-クロロエチル)アミノ)-2-メチルフェニル)ブタン酸(1b)、又はその薬学的に許容される両性イオン、内塩、若しくは塩であり得る。
【化7】
【0052】
式(1)の化合物は、(S)-3-アミノ-4-(5-(ビス(2-クロロエチル)アミノ)-2-メチルフェニル)ブタン酸(1c)、又はその薬学的に許容される両性イオン、内塩、若しくは塩であり得る。
【化8】
【0053】
式(1)の化合物において、薬学的に許容される塩は、一塩酸塩であり得る。
【0054】
式(1)の化合物において、薬学的に許容される塩は、ビス(塩酸塩)塩であり得る。
【0055】
式(1)の化合物の塩形態は、式(1)の化合物を含有する水溶液のpHに依存し得る。
【0056】
式(1)の化合物は、遊離塩基、両性イオン、又は内塩であり得る。
【0057】
式(1)の化合物は、鏡像異性体純度、例えば、約90%超、約95%超、約98%超、約99%超、約99.5%超、又は約99.9%超を有することができる。
【0058】
式(1)の化合物は、LAT1/4F2hc(大型アミノ酸1トランスポーター)の基質である。
【0059】
式(1)の化合物の合成方法は、米国特許第9,394,237号及び米国特許第9,783,487号に開示されており、それらの各々は、その全体が参照により援用される。
【0060】
本開示によって提供されるゲスト-ホスト包接複合体又は薬学的組成物は、シクロデキストリン誘導体又はシクロデキストリン誘導体の組み合わせを含むことができる。
【0061】
シクロデキストリン誘導体は、式(2)の構造:
【化9】

又はその薬学的に許容される両性イオン、内塩、若しくは塩を有することができ、式中、
nが、4、5、及び6から選択される整数であり、
~Rの各々が、独立して、水素、C1-8アルカンジイルスルホン酸塩、C1-6アルキル、及び置換C1-6アルキルから選択することができ、
~Rのうちの少なくとも1つが、C1-8アルカンジイルスルホン酸塩であり得る。
【0062】
式(2)のシクロデキストリン誘導体において、nは、4、5、又は6であり得る。
【0063】
式(2)のシクロデキストリン誘導体において、C1-8アルカンジイルスルホン酸塩は、例えば、スルホエチル、スルホプロピル、1-メチル-スルホプロピル、スルホブチル、1-メチル-スルホブチル、2-メチル-スルホブチル、1-メチル-スルホブチル-3-イル、2-エチル-スルホブチル、3-エチル-スルホブチル、スルホペンチル、1-スルホペント-3-イル、スルホヘキシル、スルホヘプチル、及びスルホクチルのスルホン酸塩から選択され得る。
【0064】
式(2)のシクロデキストリン誘導体において、C1-8アルカンジイルスルホン酸塩は、例えば、-(CH-SO 、-(CH-SO 、-(CH-SO 、-(CH-SO 、-(CH-SO 、-(CH-SO 、-(CH-SO 、及び-(CH-SO (式中、Xは、例えば、Li、Na、K、Mg2+、及びCa2+から選択され得る)から選択され得る。
【0065】
1-6アルキル基は、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、及びn-ヘキシルから選択され得る。
【0066】
置換C1-6アルキル基は、例えば、置換メチル、置換エチル、置換n-プロピル、置換イソプロピル、置換n-ブチル、置換イソ-ブチル、置換tert-ブチル、置換n-ペンチル、及び置換n-ヘキシルから選択され得る。
【0067】
置換C1-6アルキル基は、ヒドロキシル置換C1-6アルキル基(例えば、2-ヒドロキシプロピル、3-ヒドロキシプロピル、2,3-ジヒドロキシプロピル、3-オキソブチル、又は2-エトキシ-エチル)であり得る。
【0068】
式(2)のシクロデキストリン誘導体は、例えば、約4~約8、約5~約8、約5.5~約7.5、約6~約7.5、約6~約7、又は約6.5~約7の平均置換度(ADS)を有することができる。
【0069】
式(2)のシクロデキストリン誘導体において、各R~Rは、独立して、水素及びC1-8アルカンジイルスルホン酸塩から選択され得、例えば、約4~約8、約5~約8、約5.5~約7.5、約6~約7.5、約6~約7、又は約6.5~約7のADSを有することができる。
【0070】
式(2)のシクロデキストリン誘導体において、R~Rのうちの少なくとも1つは、ヒドロキシ置換Cアルキルなどのヒドロキシ置換C1-6アルキル基であり得、例えば、約1~約8、約2~約8、約3~約7、又は約4~約7のADSを有することができる。
【0071】
式(2)のシクロデキストリン誘導体において、(カウンター)カチオンは、例えば、Li、Na、K、Mg2+、Ca2+、四級アンモニウムカチオン(例えば、C1-8テトラアルキルアンモニウム)、並びにアミンカチオン(例えば、C1-6アルキルアミン、C4-8シクロアルキルアミン、C1-6アルカノールアミン、及びC4-8シクロアルキルアミン)から選択され得る。
【0072】
式(2)のシクロデキストリン誘導体において、カチオンは、Naであり得る。式(2)のシクロデキストリン誘導体は、ポリナトリウム塩又は塩の混合物であり得る。
【0073】
式(2)のシクロデキストリン誘導体において、(カウンター)カチオンの各々は、例えば、ナトリウムであり得、ナトリウムカチオンの数は、スルホン酸基の数に等しい。
【0074】
式(2)のシクロデキストリン誘導体は、式(2a)の構造を有することができ、
【化10】

式中、各Rは、独立して、水素及び-(CH-SO Naから選択され得る。
【0075】
式(2a)のシクロデキストリン誘導体は、ペプチドは、約6~約7.5、約6.2~約7.3、又は約6.5~約7.1のADSを有することができる。
【0076】
式(2a)のシクロデキストリン誘導体は、例えば、約6~約7.5、約6.2~約7.3、又は約6.5~約7.1のADSを有するSBE-β-CD(スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン)誘導体であり得る。
【0077】
式(2a)のシクロデキストリン誘導体は、例えば、約6.0、約6.1、約6.2、約6.3、約6.4、約6.5、約6.6、約6.7、約6.8、約6.9、又は約7.0のADSを有するSBE-β-CD誘導体であり得る。
【0078】
約6~約7のADSを有する式(2a)の好適なスルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン誘導体の例は、例えば、Captisol(登録商標)として入手可能である。Captisol(登録商標)シクロデキストリンは、親油性シクロデキストリン空洞からブチルエーテルスペーサー基によって分離されたスルホン酸ナトリウム塩を有するポリアニオン性β-シクロデキストリン誘導体である。Captisol(登録商標)シクロデキストリン誘導体は、CyDex Pharmaceuticals,Inc及びLigand Pharmaceuticalsから入手可能である。Dexolve(登録商標)シクロデキストリン誘導体は、CycloLab Cyclodextrin Research及びDevelopment Laboratory Ltd.からも入手可能である。
【0079】
式(2)のシクロデキストリン誘導体は、SBE6.5-β-CDを含むことができる。
【0080】
本開示によって提供されるゲスト-ホスト包接複合体は、式(1)のβ-置換β-アミノ酸誘導体及び式(2)のシクロデキストリン誘導体を含むことができる。
【0081】
ゲスト-ホスト包接複合体は、式(1)の化合物と式(2)のシクロデキストリンとの重量比、例えば、約1:1~約1:100、約1:10~約1:90、約1:20~約1:80、約1:30~約1:70、又は約1:40~約1:60を含むことができる。ゲスト-ホスト包接複合体は、式(1)の化合物と式(2)のシクロデキストリンとの重量比、例えば、約1:48~約1:60、約1:50~約1:58、又は約1:52~約1:56を含むことができる。
【0082】
ゲスト-ホスト包接複合体は、式(1)の化合物と式(2)のシクロデキストリン誘導体とのモル比、例えば、約1:6~約1:11、約1:7~約1:10、約1:7.5~約1:9.5、約1:8~約1:9、又は約1:8.2~約1.8.8を含むことができる。
【0083】
ゲスト-ホスト包接複合体は、式(1)の化合物と式(2)のシクロデキストリン誘導体とのモル比、例えば、約1:7.4~約1:9.25を含むことができる。
【0084】
ゲスト-ホスト包接複合体は、凍結乾燥物であり得る。凍結乾燥物は、式(1)のβ-置換β-アミノ酸誘導体及び式(2)のシクロデキストリン誘導体を、好適なpHに調節された水に溶解させ、溶液を凍結乾燥させて、対応する凍結乾燥ゲスト-ホスト包接複合体を提供することによって調製することができる。
【0085】
本開示によって提供される薬学的組成物は、式(1)のβ-置換β-アミノ酸誘導体と式(2)のシクロデキストリン誘導体とのゲスト-ホスト包接複合体を含むことができる。
【0086】
本開示によって提供される薬学的組成物は、式(1)のβ-置換β-アミノ酸誘導体及び式(2)のシクロデキストリン誘導体を含むことができる。
【0087】
本開示によって提供される薬学的組成物は、式(1)の化合物と式(2)との質量比、例えば、約1:1~約1:100、約1:10~約1:90、約1:20~約1:80、約1:30~約1:70、又は約1:40~約1:60を含むことができる。薬学的組成物は、式(1)の化合物と式(2)との重量比、例えば、約1:48~約1:60、約1:50~約1:58、又は約1:52~約1:56を含むことができる。1:1の質量比は、50mgの化合物(1):50mgのシクロデキストリン誘導体を意味する。SBE6.5-β-CDの平均MWが2,163g/molである場合、これは、150μmolの化合物(1):23.1μmolのSBE6.5-β-CDのモル比に相当する。1:1モル比は、50mgの化合物(1):324.5mgのSBE6.5-β-CDの質量比又は1:6.49の質量比に相当する。
【0088】
本開示によって提供される薬学的組成物は、式(1)と式(2)の化合物とのモル比、例えば、約1:6~約1:11、約1:7~約1:10、約1:7.5~約1:9.5、約1:8~約1:9、又は約1:8.2~約1:8.8を含むことができる。
【0089】
薬学的組成物は、式(1)の化合物と式(2)のシクロデキストリン誘導体とのモル比、例えば、約1:7.4~約1:9.25を含むことができる。
【0090】
薬学的組成物は、水性製剤を含むことができる。
【0091】
再構成された水性製剤は、式(1)のβ-置換β-アミノ酸誘導体の公称濃度、例えば、約1mg/mL~約9mg/mL、約2mg/mL~約8mg/mL、約3mg/mL~約7mg/mL、約4mg/mL~約6mg/mL、又は約4.5mg/mL~約5.5mg/mLを有することができる。
【0092】
水性投薬製剤は、式(1)のβ-置換β-アミノ酸誘導体の公称濃度、例えば、約0.1mg/mL~約2.0mg/mL、約0.2mg/mL~約1mg/mL、約0.2mg/mL~約0.8mg/mL、約0.3mg/mL~約0.7mg/mL、又は約0.4mg/mL~約0.6mg/mLを有することができる。
【0093】
水性製剤は、約0.4%w/v~約1.5%w/vの塩化ナトリウム溶液、約0.6%w/v~約1.3%w/vの塩化ナトリウム溶液、又は約0.8%w/v~約1.1%w/vの塩化ナトリウム溶液などの塩化ナトリウム溶液に懸濁された、式(1)のβ-置換β-アミノ酸誘導体と式(2)のシクロデキストリン誘導体との組み合わせを含むことができる。水溶液は、約0.9%w/vの生理食塩水溶液などの塩化ナトリウム溶液であり得る。
【0094】
本開示によって提供される薬学的組成物は、式(1)の化合物の公称濃度、例えば、約3.0mg/mL~約7.0mg/mL、例えば、約4.0mg/mL~約6.0mg/mL、又は約4.5mg/mL~約5.5mg/mLを有する水溶液を含むことができる。薬学的組成物は、約5.0mg/mLの式(1)の化合物の公称濃度を有する水溶液を含むことができる。水溶液は、塩化ナトリウム溶液、例えば、約0.9%w/vの生理食塩水溶液、例えば、約154mMの塩化ナトリウム溶液であり得る。
【0095】
静脈内投与の場合、薬学的組成物は、例えば、約0.3mg/mL~約0.7mg/mL、例えば約0.4mg/mL~約0.6mg/mL、又は約0.45mg/mL~約0.55mg/mLの式(1)の化合物の公称濃度を有する水溶液を含むことができる。薬学的組成物は、約0.5mg/mLの式(1)の化合物の公称濃度を有する水溶液を含むことができる。水溶液は、塩化ナトリウム溶液、例えば約0.9%の生理食塩水溶液であり得る。
【0096】
水性製剤は、pH、例えば、約3~約7、約3.5~約6.5、約4~約6、又は約4~約5を有することができる。
【0097】
薬学的組成物は、凍結乾燥物を含むことができる。凍結乾燥物は、例えば、本開示によって提供される水性製剤の凍結乾燥物を含むことができる。凍結乾燥物は、保存安定であり得、例えば、凍結乾燥物が水性希釈液中で再構成されて、水性製剤(例えば、注射用水性製剤)を提供することができるように、水性希釈液を含むキットに含まれ得る。例えば、本開示によって提供される凍結乾燥物は、5℃で、6ヶ月間、12ヶ月間、又は18ヶ月間安定であり得る。例えば、本開示によって提供される凍結乾燥物は、25℃/60% RHで、6ヶ月間、3ヶ月間、又は形態6ヶ月間安定であり得る。例えば、本開示によって提供される凍結乾燥物は、ICH光安定性試験方法を使用して決定されるように光安定性であり得る。
【0098】
本開示によって提供される薬学的組成物は、式(1)のβ-置換β-アミノ酸誘導体と式(2)のシクロデキストリン誘導体との質量比、例えば、約1:1~約1:100、約1:10~約1:90、約1:20~約1:80、約1:30~約1:70、又は約1:40~約1:60を含むことができる。本開示によって提供される薬学的組成物は、式(1)のβ-置換β-アミノ酸誘導体と式(2)のシクロデキストリン誘導体との質量比、例えば、約1:48~約1:60、約1:50~約1:58、又は約1:52~約1:56を含むことができる。
【0099】
本開示によって提供される薬学的組成物は、式(1)のβ-置換β-アミノ酸誘導体と、式(2)のシクロデキストリン誘導体との質量比、約1.54、例えば、約1:50~約1:58、約1:51~約1:57、約1:52~約1:56、又は約1:53~約1:55を含むことができる。
【0100】
本開示によって提供される薬学的組成物は、式(1)のβ-置換β-アミノ酸誘導体と式(2)のシクロデキストリン誘導体とのモル比、例えば、約1:6~約1:11、約1:7~約1:10、約1:7.5~約1:9.5、約1:8~約1:9、又は約1:8.2~約1.8.8を含むことができる。
【0101】
本開示によって提供される薬学的組成物は、例えば、約0.25mg/mL~約2.0mg/mL、例えば、約0.25mg/mL、約0.5mg/mL、約1.0mg/mL、約1.5mg/mL、又は約2.0mg/mLの式(1)の化合物の公称濃度を含むことができる。
【0102】
本開示によって提供される薬学的組成物は、例えば、塩化ナトリウム溶液、例えば、約0.9%w/vの生理食塩水溶液を含むことができる。
【0103】
薬学的組成物は、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含むことができる。薬学的組成物は、薬学的に許容される緩衝液及び/又はpH調整剤(例えば、酸性化剤若しくはアルカリ化剤)を含むことができる。薬学的組成物は、水性希釈液で希釈した後、例えば、約3~約6、例えば、約4~約6、又は約4.5~約5.5のpHを有することができる。
【0104】
薬学的組成物は、約4~約6のpHを有する希釈組成物を提供するのに十分な量のpH調整剤を含むことができる。薬学的組成物は、pH調整剤として、NaHCO水溶液又はNaOH水溶液を含むことができる。薬学的組成物は、pH調整剤としてHCl水溶液を含むことができる。
【0105】
塩化ナトリウム水溶液などの本開示によって提供される薬学的組成物は、例えば、約25℃の温度で、約2時間、約4時間、又は約8時間安定であり得る。
【0106】
塩化ナトリウム水溶液などの本開示によって提供される薬学的組成物は、例えば、約0℃の温度で、約12時間、約24時間、又は約36時間安定であり得る。
【0107】
安定した薬学的組成物は、例えば、示された時間及び示された温度を含む、記載された保存条件での保存後に、式(1)の化合物、又はその薬学的に許容される両性イオン、内塩、若しくは塩の初期量の約80%超、約85%超、約90%超、約95%超、又は約98%超が残存する組成物を指す。
【0108】
例えば、約0.125mg/mL~約2mg/mLの濃度の式(1)の化合物/シクロデキストリンゲスト-ホスト包接複合体(例えば、式(1c)の化合物HCl塩/SBE6.5-β-CDゲスト-ホスト包接複合体)の濃度を含む約0.9%生理食塩水溶液は、約25℃で約2~約12時間、及び約0℃で約12時間~約48時間、保存安定であり得る。例えば、約0.125mg/mL~約2mg/mLの濃度の式(1)の化合物/シクロデキストリンゲスト-ホスト包接複合体(例えば、式(1c)の化合物HCl塩/SBE6.5-β-CDゲスト-ホスト包接複合体)の濃度を含む約0.9%生理食塩水溶液は、約25℃で約2時間、及び約0℃で約12時間~約48時間、保存安定であり得る。
【0109】
例えば、約0.5mg/mL~約2mg/mLの濃度の式(1)の化合物/シクロデキストリンゲスト-ホスト包接複合体(例えば、式(1c)の化合物(化合物(1c))遊離塩基/SBE6.5-β-CDゲスト-ホスト包接複合体)の濃度を含む約0.9%生理食塩水溶液は、約25℃で約5~約19時間、及び約0℃で約31時間~約46時間、保存安定であり得る。
【0110】
式(1)の化合物及び式(2)のシクロデキストリン誘導体を含む凍結乾燥物を、水溶液(例えば、約0.9%の生理食塩水溶液などの水溶液)中で再構成することができた後、薬学的水溶液(aqueous pharmaceutical solution)は、静脈内投与に、例えば、約60分間、約90分間、約120分間、約180分間、又は約240分間好適であり得る。
【0111】
本開示によって提供される薬学的キットは、本開示によって提供される薬学的組成物の凍結乾燥物と、凍結乾燥物を再構成して静脈内投与に好適な製剤を提供するための水溶液と、を含むことができる。キットは、患者におけるがん(例えば、中枢神経系のがん、脳がん、転移性がん、中枢神経系の転移性がん、又は脳の転移性がん)を治療するために使用され得る。
【0112】
式(1)のβ-置換β-アミノ酸誘導体及び式(2)のシクロデキストリン誘導体を含有する凍結乾燥物は、ブチルゴム栓を備えたガラスバイアル中に提供され得る。例えば、凍結乾燥物は、約50mgの式(1)のβ-置換β-アミノ酸誘導体及び約2,700mgの式(2)のシクロデキストリン誘導体を含有し得る。
【0113】
キットは、任意選択的に、約0.9%生理食塩水溶液などの水溶液(例えば、約8.0mL~約9.0mL、約8.2mL~約8.6mL、又は約8.3mL~約8.5mLの0.9%の生理食塩水)を含むことができる。約0.9%生理食塩水溶液などの水溶液を、式(1)の化合物/シクロデキストリンゲスト-ホスト包接錯体の凍結乾燥物を含むバイアルに添加することができる凍結乾燥物と生理食塩水溶液を混合した後、バイアルは、例えば、約3mg/mL~約7mg/mL、約3.5mg/mL~約6.5mg/mL、約4mg/mL~約6mg/mL、又は約4.5mg/mL~約5.5mg/mLなどの約5mg/mLの式(1)の化合物の公称濃度を有する水溶液を約10mL含むことができる。
【0114】
キットは、例えば、約1mg~約100mgの凍結乾燥ゲスト-ホスト包接複合体、約5mg~約80mg、約10mg~約70mg、又は約20mg~約60mgの凍結乾燥ゲスト-ホスト包接複合体を含むことができる。
【0115】
任意の好適なバイアルサイズ、例えば、約10mL~約50mL、約10mL~約40mL、又は約20mL~約30mLを使用することができる。バイアルサイズは、例えば、約10mL、約20mL、約30mL、約40mL、又は約50mLであり得る。
【0116】
この溶液は、追加の0.9%生理食塩水溶液を添加することによって、又は別のバイアル又はバッグなどの好適な容器にアリコートを適切な量の約0.9%生理食塩水溶液で希釈して、式(1)の化合物の最終的な理論濃度若しくは公称濃度を約0.2mg/mL~約1.0mg/mL、約0.2mg/mL~約0.8mg/mL、約0.4mg/mL~約0.6mg/mL、若しくは約0.5mg/mLにすること、のいずれかによって更に希釈することができる。
【0117】
再構成された凍結乾燥物の溶液のpHは、例えば、約4~約6、約3~約5、約3.5~約4.5の範囲であり得るか、又はpHは、約4.0であり得る。
【0118】
再構成された凍結乾燥物の溶液は、遊離塩基、HCl塩、又はそれらの組み合わせとしての式(1)の化合物を含有することができる。例えば、式(1)の再構成された凍結乾燥物の溶液は、式(1)の化合物のHCl塩の約0%超、約20%超、約40%超、約60%超、又は約80%超、又は約100%を含有することができる(ここで、パーセントは、式(1)の化合物の相対モル量に基づく)。例えば、約50mgの式(1c)の化合物は、0.150038mmolに対応する。例えば、式(1)の再構成された溶液は、式(1)の化合物のHCl塩の約0%~約100%、式(1)の化合物のHCl塩の約10%~約90%、約20%~約80%、約40%~約60%、又は約30%~約70%を含有することができる(ここで、パーセントは、式(1)の化合物の相対モル量に基づく)。
【0119】
本開示によって提供される方法は、本開示によって提供される薬学的組成物を患者に投与する方法を含む。
【0120】
薬学的組成物は、例えば、ボーラス注射、静脈内注入、四肢灌流(limb perfusion)、常温単離灌流(normothermic isolated limb perfusion)、経皮肝灌流(percutaneous hepatic perfusion)などによって静脈内投与され得る。静脈内投与には、カニューレ、中心ライン、末梢挿入式中心カテーテルラインを使用した注射による、及び/又はドリップラインによる投与が含まれる。
【0121】
薬学的組成物は、適切な期間、注入として投与され得る。
【0122】
本開示によって提供される薬学的組成物は、固形腫瘍及び転移の治療を含むがんの治療に有用である。
【0123】
がんの治療に有効である式(1)の化合物の量は、少なくとも部分的に、疾患の性質に依存し、当該技術分野で既知の標準的な臨床技術によって決定され得る。加えて、最適な投与範囲を特定するのに役立つように、in vitroアッセイ又はin vivoアッセイを用いてもよい。投与レジメン及び投与間隔はまた、当業者に既知の方法によって判定され得る。投与されるβ-置換β-アミノ酸誘導体/シクロデキストリン誘導体の量は、とりわけ、治療される患者、患者の体重、潜在的な併存疾患、患者の臨床状態、疾患の重症度、投与経路、及び処方医の判断に依存し得る。
【0124】
全身投与のために、治療有効量は、最初にin vitroアッセイから推定され得る。初期用量はまた、当該技術分野で既知の技法を使用して、in vivoデータ、例えば、動物モデルから推定され得る。かかる情報は、ヒトにおける有用な投与量をより正確に決定するために使用できる。当業者であれば、動物データに基づいてヒトへの投与を最適化してもよい。
【0125】
本開示によって提供される薬学的組成物は、例えば、1日に1回、1日に2回、及びある特定の実施形態では、1日に1回を超える間隔で投与され得る。投薬は、単独で又は他の薬物と組み合わせて提供されてもよく、疾患の有効な治療に必要な限り継続してもよい。投薬はまた、一定の期間にわたって連続的又は半連続的な投与を使用して行われ得る。投薬には、哺乳動物、例えばヒトに、給餌状態又は絶食状態で薬学的組成物を投与することが含まれる。
【0126】
患者の血液中の式(1)の化合物の持続的な治療有効濃度を維持するために、式(1)の化合物の用量及び適切な投薬間隔を選択することができる。
【0127】
本開示によって提供される薬学的組成物は、好適な投薬レジメンを使用して投与することができる。投与レジメンは、治療目的を達成するために適宜、調整、中止、又は延長することができる。
【0128】
式(1)の化合物を含む薬学的組成物は、患者の血漿中に式(1)の化合物の治療有効濃度を提供するように、患者におけるがんを治療するために投与され得る。患者の血漿中の式(1)の化合物の治療有効濃度は、恒常性に対する有害作用を含む許容されない有害作用を引き起こす量未満であり得る。患者の血漿中の式(1)の化合物の治療有効濃度は、患者におけるがんを治療するのに十分な量である。
【0129】
本開示によって提供される薬学的組成物は、患者におけるがんを治療するために投与されて、患者の血液又は血漿において、式(1)の化合物の治療有効濃度を、長期間、例えば、少なくとも約0.5時間、少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約3時間、少なくとも約4時間、少なくとも約6時間、少なくとも約8時間、少なくとも約10時間、又は少なくとも約12時間提供することができる。
【0130】
投与される式(1)の化合物の量は、治療レジメン中に変化し得る。
【0131】
本開示によって提供される方法は、患者のがんを治療する方法を含み、かかる治療を必要とする患者に、本開示によって提供される治療有効量の薬学的組成物を患者に投与することを含む。
【0132】
がんは、がんの起源とは無関係に、脳内のがん又は中枢神経系のがんであり得る。がんは、脳又は中枢神経系における転移性がんであり得る。がんは、脳又は中枢神経系に由来する固形腫瘍であり得る。
【0133】
薬学的組成物は、乳がん及び転移性乳がんを治療するために使用され得る。
【0134】
本開示によって提供される薬学的組成物は、中枢神経系がんを治療するために使用され得る。
【0135】
本開示によって提供される薬学的組成物は、脳腫瘍を治療するために使用され得る。
【0136】
がんは、中枢神経系のがん又は中枢神経系以外の組織に由来するがんの転移であり得る。
【0137】
がんは、原発性脳がん又は転移性脳がんであり得る。がんは、中枢神経系の原発性がん又は転移性中枢神経系がんであり得る。
【0138】
本開示によって提供される薬学的組成物は、転移性がん(例えば、LAT1/4F2hcを高度に発現する任意の起源の転移性がん)を治療するために使用され得る。
【0139】
本開示によって提供される薬学的組成物は、式(1)の化合物によって治療されるがん及び/又は式(1)~(1c)の化合物を投与することによって引き起こされる副作用を治療するのに有効な1つ以上の化合物とともに投与され得る。
【0140】
本開示によって提供される薬学的組成物は、式(1)の化合物を含む薬学的組成物と同じ薬学的組成物又は異なる薬学的組成物の一部であり得る別の治療剤の投与とともに、同時に投与され得る。式(1)の化合物は、別の治療剤の投与前又は投与後に投与され得る。併用療法は、例えば特定の薬物に関連する薬物有害作用を最小化するために、式(1)の化合物と別の治療剤を含む組成物とを交互に投与することを含むことができる。式(1)の化合物が、例えば、毒性を含む有害な薬物効果を潜在的に生じ得る別の治療剤と同時に投与される場合、他の治療剤は、有害な薬物反応が誘発される閾値を下回る用量で投与され得る。
【0141】
本開示によって提供される薬学的組成物は、患者におけるがんを治療するのに有効であることが知られている又はそうであると考えられる薬剤と併せて投与され得る。
【実施例
【0142】
本開示によって提供される実施形態は、以下の実施例を参照することによって更に例示され、これらは、本開示によって提供される薬学的組成物及び薬学的組成物の特性を説明する。本開示の範囲から逸脱することなく、材料及び方法の両方に対する多くの変更が実施され得ることは、当業者には明らかであろう。
【0143】
実施例1
化合物(1c)遊離塩基の溶解度
マンニトール(500mg;MW182.17g/mol;2.744mmol)を、10mg(0.030mmol)の(S)-3-アミノ-4-(5-(ビス(2-クロロエチル)アミノ)-2-メチルフェニル)ブタン酸(化合物(1c))(遊離塩基;MW333.25g/mol)に添加し、5mL、10mL、又は15mLの蒸留水に、約30秒間ボルテックスすることによって溶解させて、pH3.8~4.2を有する溶液を得た。
【0144】
化合物(1c)は、5mL又は10mLのマンニトール溶液に完全に溶解しなかった。化合物(1c)は、15mLのマンニトール溶液に完全に溶解した。
【0145】
実施例2
化合物(1c)遊離塩基の溶解度
ラクトース(500mg;MW342.30g/mol;1.461mmol)を、10mg(0.030mmol)の(S)-3-アミノ-4-(5-(ビス(2-クロロエチル)アミノ)-2-メチルフェニル)ブタン酸(化合物(1c))(遊離塩基)に添加し、5mL、10mL、又は15mLの蒸留水中に、約30秒間ボルテックスすることによって溶解させて、pH3.8~4.2を有する溶液を得た。
【0146】
化合物(1c)は、5mL又は10mLのラクトース溶液に完全に溶解しなかった。化合物(1c)は、15mLのラクトース溶液に完全に溶解した。
【0147】
実施例3
化合物(1c)遊離塩基の安定性
安定性アッセイを、96ウェルマイクロタイタープレートで行った。(S)-3-アミノ-4-(5-(ビス(2-クロロエチル)アミノ)-2-メチルフェニル)ブタン酸(化合物(1c)遊離塩基)を、pH7.4のリン酸緩衝生理食塩水(PBS緩衝液)中、37℃でインキュベートした。反応混合物(30μL)は、最終濃度が1μMの化合物(1c)を含有した。混合物中に残留している化合物(1c)の割合(%)を、LC/MS/MSを使用して決定した。
【0148】
サンプリング時点の各々で、内部標準(陽性ESIモードの場合はブセチン、陰性ESIモードの場合はワルファリン)を有する300μLのクエンチ溶液(50体積%のアセトニトリル、1.3%(v/v)の6N HClを含む50体積%のメタノール)を各ウェルに移した。プレートを密封し、4℃で、4,000rpmで15分間遠心分離した。上清を、LC/MS/MS分析のために新しいプレートに移した。
【0149】
全ての試料を、島津LC-20AD LCポンプ系統に結合されたAB Sciex API4000(登録商標)器具を使用して、LC/MS/MSで分析した。分析試料を、Waters Atlantis T3 dC18逆相HPLCカラム(20mm×2.1mm)を使用して、0.4mL/分の流量で分離した。移動相は、水中0.1%ギ酸(溶媒A)及び100%アセトニトリル中0.1%ギ酸(溶媒B)からなった。表1に、使用した溶出液の勾配に関する詳細を示す。表2に、PBS緩衝液中の試験化合物の安定性の結果を示す。
【表1】

【表2】
【0150】
実施例4
化合物(1c)遊離塩基の安定性
シクロデキストリン誘導体(270mg、SBE6.5-β-CD、Captisol(登録商標)、平均MW 2,163g/mol)を、12mLガラスバイアル中の5.5mg(0.0165mmol)の(S)-3-アミノ-4-(5-(ビス(2-クロロエチル)アミノ)-2-メチルフェニル)ブタン酸(化合物(1c))(遊離塩基)に添加し、3mL~4mLの再蒸留水に、約30秒間ボルテックスすることによって溶解させて、透明な無色の溶液を得た。溶液を、0.45μmのナイロンシリンジフィルターを通して、12mLガラスバイアルに濾過した。フィルターを再蒸留水(各々約0.5mL)で2回洗浄し、透明な無色の溶液を得た。濾過した溶液を-78℃で凍結し(ドライアイス/アセトン浴)、溶媒を約100mTorrで約16時間凍結乾燥して、5.5mg(0.0165mmol)の化合物(1c)遊離塩基及び270mgのSBE6.5-β-CD、Captisol(登録商標)からなる無色の粉末状固体を得た。この方法に従って、シクロデキストリン誘導体/化合物(1c)ゲスト-ホスト包接複合体を有するいくつかのバイアルを調製した。
【0151】
シクロデキストリン誘導体/化合物(1c)ゲスト-ホスト包接複合体を、0.86mLの0.9%生理食塩水にゲスト-ホスト包接複合体を溶解させることによって再構成して、5.5mg/mLの公称濃度のシクロデキストリン誘導体/化合物(1c)ゲスト-ホスト包接複合体を有する1.0mLの溶液を得た。
【0152】
再構成された溶液の1.0mLアリコートを、10.0mLの0.9%生理食塩水で希釈し、pHを、約5μLの飽和NaHCO水溶液で調整して、pHが5.8~6.1、0.5mg/mLの公称濃度の化合物(1c)を有する11.0mLの透明な無色の溶液を得た。
【0153】
再構成された溶液の1.0mLアリコートを、4.5mLの0.9%生理食塩水で希釈し、pHを、約5μLの飽和NaHCO水溶液で調整して、1.0mg/mLの公称濃度の化合物(1c)及び6.1のpHを有する5.5mLの透明な無色の溶液を得た。
【0154】
再構成された溶液の1.0mLのアリコートを、1.75mLの0.9%生理食塩水で希釈し、pHを、約10μLの飽和NaHCO水溶液で調整して、2.0mg/mLの公称濃度の化合物(1c)及び6.1のpHを有する2.75mLの透明な無色の溶液を得た。
【0155】
溶液を、ガラスバイアルに入れ、室温(約25℃)又は冷蔵(約0℃)のいずれかで保存し、UV検出器に連結された分析用高圧液体クロマトグラフィー(HPLC/UV)を使用して、化合物(1c)の量を一定間隔で測定した。
【0156】
分析用HPLC/UVは、G1379Bデガッサー、G1312Aバイナリポンプ、G1367B Hip-ALs、G1316A TCC、G1315B DAD、Phenomenex(登録商標)、Kinetex5μmカラム、C18(4.6×150mm)、及びZorbax(登録商標)Eclipse XDB C18カラム(2.1×150mm)、並びにデータ計算用のパーソナルコンピュータを備えたAgilent1200HPLCシステムを使用して行った。分析HPLC/UV分析には、各々0.1体積%のトリフルオロ酢酸(TFA)(Oakwood Chemical,001271)を含む水(溶媒A)(Arrowhead,Nestle North America,Inc.)及びアセトニトリル(MeCN;溶媒B)(EMD AX0145-1又はAldrich Chromasolv(登録商標)439134)の勾配を使用した。HPLC/UV法は、1.0mL/分の流量で、15分間のランタイムで、5体積%の溶媒Bから100体積%の溶媒Bへの勾配、並びにλ=220nm及びλ=254nmでのUV検出を用いた。表3に、溶出液の勾配の詳細を示す。残留している化合物(1c)の割合(%)は、時間ゼロ(100% AUCとして設定)への線形外挿を用いて、吸収波長λ=254nmで決定されたAUCに基づいた。表4に、結果を示す。
【表3】

【表4】
【0157】
実施例5
化合物(1c)塩酸塩の安定性
ストック溶液は、68.8mg(0.206mmol)の化合物(1c)(遊離塩基)を、きれいなガラスメスシリンダー(25mL)中でボルテックスしながら、約20.0mLのアセトニトリル/水(1:1,v/v)の混合物に溶解させることによって調製した。0.407mLの0.5072Mの水溶液HCl(0.206mmol、1.0当量;Fluka、318957)を、穏やかにボルテックスしながら添加し、得られた透明な溶液を、穏やかにボルテックスしながらアセトニトリル/水(1:1,v/v)の混合物で25.0mLに更に希釈し、濃度2.75mg/mLのモノHCl塩として化合物(1c)のストック溶液を得た。この溶液を0.45μmのナイロンシリンジフィルターを通して、きれいな50mLエルレンマイヤーフラスコに濾過した。ストック溶液の2.0mLのアリコート(2×1.0mL;2×2.75mg)を、きれいな12mLシンチレーションバイアルに素早くピペッティングした。アリコートを、-78℃(ドライアイス/アセトン浴)で凍結し、約100mTorrで約16時間凍結乾燥させて、無色の粉末状固体としての6.1mg(0.0165mmol)の化合物(1c)一塩酸塩(モノHCl塩)(5.5mgの化合物(1c)に相当する)を各々含む試験バイアルを得た。
【0158】
シクロデキストリン誘導体(270mg、SBE6.5-β-CD、Captisol(登録商標)、平均MW2,163g/mol)を、12mLガラスバイアル中の6.1mg(0.0165mmol)の(S)-3-アミノ-4-(5-(ビス(2-クロロエチル)アミノ)-2-メチルフェニル)ブタン酸一塩酸塩(化合物(1c)モノHCl塩)に添加し、3mL~4mLの再蒸留水に、約30秒間ボルテックスすることによって溶解させて、透明で無色の溶液を得た。溶液を、0.45μmのナイロンシリンジフィルターを通して、12mLガラスバイアルに濾過した。フィルターを再蒸留水(各々約0.5mL)で2回洗浄して、pH4.4~4.7を有する透明な無色の溶液を得た。濾過した溶液を-78℃で凍結(ドライアイス/アセトン浴)し、溶媒を約100mTorrで約16時間凍結乾燥して、6.1mg(0.0165mmol)の化合物(1c)モノHCl塩(遊離塩基として5.5mgの化合物(1c)に相当する)及び270mgのSBE6.5-β-CD、Captisol(登録商標)からなる無色の粉末状固体を得た。この方法に従って、シクロデキストリン誘導体/化合物(1c)モノHCl塩ゲスト-ホスト包接複合体を有するいくつかのバイアルを調製した。
【0159】
シクロデキストリン誘導体/化合物(1c)モノHCl塩ゲスト-ホスト包接複合体を、ゲスト-ホスト包接複合体を0.86mLの0.9%生理食塩水に溶解させることによって再構成して、6.1mg/mLの公称濃度の化合物(1c)モノHCl塩ゲスト-ホスト包接複合体(これは、5.5mg/mLの公称濃度の化合物(1c)ゲスト-ホスト包接複合体に相当する)を有する1.0mLの溶液を得た。
【0160】
この溶液の0.5mLのアリコートを、5.0mLの0.9%生理食塩水で希釈し、pHを、5μLの飽和NaHCO水溶液で調整して、pHが5.3~5.5、0.5mg/mLの公称濃度の化合物(1c)化合物を有する5.5mLの透明な無色の溶液を得た。
【0161】
再構成された溶液の1.0mLアリコートを、4.5mLの0.9%生理食塩水で希釈し、pHを、約10μLの飽和NaHCO水溶液で調整して、1.0mg/mLの公称濃度の化合物(1c)及び5~6のpHを有する5.5mLの透明な無色の溶液を得た。
【0162】
再構成された溶液の1.0mLのアリコートを、1.75mLの0.9%生理食塩水で希釈し、pHを、約10μLの飽和NaHCO水溶液で調整して、2.0mg/mLの公称濃度の化合物(1c)及び5-6のpHを有する2.75mLの透明な無色の溶液を得た。
【0163】
再構成された溶液の0.25mLのアリコートを、11.75mLの0.9%生理食塩水で希釈し、pHを、約10μLの飽和NaHCO水溶液で調整して、0.125mg/mLの公称濃度の化合物(1c)及び6超のpHを有する11.0mLの透明な無色の溶液を得た。
【0164】
溶液を、ガラスバイアルに入れ、室温(約25℃)又は冷蔵(約0℃)のいずれかで保存し、実施例4に記載したように、UV検出器に連結された分析用高圧液体クロマトグラフィー(HPLC/UV)を使用して、化合物(1c)の量を一定間隔で測定した。表5に、結果を示す。
【表5】
【0165】
実施例6
異なるpH値での
化合物(1c):SBE6.5-β-CDゲスト-ホスト包接複合体を含有する製剤中の化合物(1c)の安定性
異なるpHで化合物(1c):SBE6.5-β-CDゲスト-ホスト包接複合体を含有する製剤中の化合物(1c)の安定性を、分析用HPLC/UVによって決定した。化合物(1c)とSBE6.5-β-CDの質量比は、1:54又は1:50のいずれかであった。
【0166】
製剤を調製するために、SBE6.5-β-CDを、透明な溶液が得られるまで連続撹拌することによって、注射用水(WFI)に溶解した。溶液を、1N HClの添加によって酸性化した。化合物(1c)を、酸性化SBE6.5-β-CD水溶液に溶解し、適量の水を最終容量まで添加して、5.0mg/mLの公称濃度の化合物(1c)を含む溶液を調製した。pHを、1N HClで表7に示される値に調整した。これは、0.9%生理食塩水による再構成後の最終製剤のpHに相当する。溶液を、0.22μmのシリンジフィルターを通して濾過し、その後、凍結乾燥させ、無色の粉末状固体を得た。凍結乾燥した凍結乾燥物を、0.9%生理食塩水で再構成し、5.0mg/mLの公称標的濃度の化合物(1c)にした。
【0167】
0.42及び1.27での相対保持時間(RRT)における不純物の総AUC及び不純物のAUCも、分析用HPLC/UVによって決定した。0.42でのRRTは、化合物(1c)のモノ加水分解生成物に対応する。1.27のRRTにおける不純物の同一性は決定されていない。
【0168】
分析用HPLC/UVを、UV検出器、30℃で動作するWaters Xbridge(登録商標)C18カラム(4.6×150mm;5μm)、及びデータ計算用のパソコンを備えたHPLCクロマトグラフ上で行った。分析用HPLC/UV分析には、リン酸(HPO):アセトニトリル=850:150(v/v)でpHを3.0に調整した0.01Mのリン酸二水素カリウム溶液(KHPO)溶液(溶媒A)及びアセトニトリル(MeCN;溶媒B)の勾配を使用した。50%アセトニトリル水溶液で針洗浄を行った。HPLC/UVシステム(10μL注射体積)に注射する前に、0.9Mの塩化ナトリウム(NaCl)及び0.1Nの塩酸(HCl)の希釈液を用いて、試料を0.5mg/mLの公称濃度の化合物(1c)に希釈した。希釈溶液は、5.26g(90.0mmol)の塩化ナトリウム及び850μLの濃塩酸(HCl)(36~38重量%、d1.184、1.00g、10.2mmol)から調製し、100mL溶液に希釈した。
【0169】
使用したHPLC/UV法は、1.5mL/分の流量で、36分のランタイムで、10体積%の溶媒Bから100体積%の溶媒Bへの勾配、及びλ=220nmでのUV検出を用いた。表6に、使用した溶出液の勾配の詳細を示す。表7に、HPLC/UV分析の結果を示す。
【表6】

【表7】
【0170】
実施例7
異なる化合物(1c):SBE6.5-β-CDのゲスト-ホスト包接複合体を含有する製剤中の化合物(1c)の安定性
pH4.5において様々な比率の化合物(1c):SBE6.5-β-CDゲスト-ホスト包接複合体を含有する製剤中の化合物(1c)の安定性を、分析用HPLC/UVによって決定した。化合物(1c)とSBE6.5-β-CDの質量比は、1:54又は1:70のいずれかであった。
【0171】
3.3mg/mLの公称濃度の化合物(1c)を含む溶液を調製し、かつ溶液のpHを1NのHClで4.5に調整したことを除いて、実施例6について記載したように、製剤を調製した。溶液を、0.22μmのシリンジフィルターを通して濾過し、その後、凍結乾燥させ、無色の粉末状固体を得た。凍結乾燥した凍結乾燥物を、0.9%生理食塩水で、0.5mg/mLの公称標的濃度の化合物(1c)及び4.6のpHに再構成し、直接HPLC/UV分析にかけた。0.5mg/mLの公称標的濃度の化合物(1c)及び4.6のpHの両方は、静脈内注入のための有用な濃度及びpHを表す。
【0172】
実施例6について記載したように、0.42及び1.27での相対保持時間(RRT)における不純物の総AUC及び不純物のAUCも、分析HPLCによって決定した。0.42でのRRTは、化合物(1c)のモノ加水分解生成物に対応する。1.27のRRTにおける不純物の同一性は決定されていない。
【0173】
使用した分析用HPLC/UV機器及び分析用HPLC/UV分析方法は、実施例6についてのものと同一であった。表8に、HPLC/UV分析の結果を示す。
【表8】
【0174】
実施例8
化合物(1c):SBE6.5-β-CD
及びマンニトールゲスト-ホスト包接複合体を含有する製剤中の化合物(1c)の安定性
1:50:30の重量比の化合物(1c):SBE6.5-β-CD:マンニトールゲスト-ホスト包接複合体を含有する製剤の安定性を、1:50の重量比の化合物(1c):SBE6.5-β-CDゲスト-ホスト包接複合体を含有する製剤の安定性と比較した。
【0175】
実施例6について記載したように、製剤を調製した。5.0mg/mLの公称濃度の化合物(1c)を含む溶液を調製し、溶液のpHを、1NのHClで5.5に調整した。溶液を、0.22μmのシリンジフィルターを通して濾過し、その後、凍結乾燥させ、無色の粉末状固体を得た。凍結乾燥した凍結乾燥物を、0.9%生理食塩水で、5.0mg/mLの公称標的濃度の化合物(1c)及び5.5のpHに再構成し、実施例6に記載したように、0.9MのNaCl/0.1NのHCl希釈液で0.5mg/mLの公称濃度に希釈した後、HPLC/UVを使用して直接分析した。
【0176】
実施例6及び実施例7について記載したように、0.42及び1.27での相対保持時間(RRT)における不純物の総AUC及び不純物のAUCも、25℃及び2℃~8℃の温度で、分析用HPLC/UVによって決定した。0.42でのRRTは、化合物(1c)のモノ加水分解生成物に対応する。1.27のRRTにおける不純物の同一性は決定されていない。
【0177】
使用した分析用HPLC/UV機器及び分析用HPLC/UV分析方法は、実施例6及び実施例7と同じであった。表9に、HPLC/UV分析の結果を示す。
【表9】
【0178】
実施例9
注射製剤中の化合物(1c)、メルファラン、及びベンダムスチンの比較安定性
HCl塩として又は遊離塩基としての化合物(1c)の安定性を、様々な薬学的製剤中で、異なる濃度で、及び0℃又は25℃の温度で、メルファランHCl及び/又はベンダムスチンHClの安定性と比較した。
【0179】
薬学的製剤中の化合物の安定性は、0.4mg/mL~0.5mg/mL、0.9mg/mL~1.1mg/mL、及び1.8mg/mL~2.1mg/mLの範囲内の濃度で決定した。
【0180】
保存中の異なる時間における薬学的製剤中の活性医薬成分(API)(化合物(1c)、メルファラン、又はベンダムスチン)の量は、実施例4及び実施例5について詳細に記載したように、HPLC/UVを使用して決定した。
【0181】
安定性の測定には、4つの薬学的組成物:Na-クエン酸緩衝製剤(製剤1)、Alkeran(登録商標)に基づく製剤(製剤2)、Evomela(登録商標)に基づく製剤(製剤3)、及びTreanda(登録商標)に基づく製剤(製剤4)が含まれた。
【0182】
製剤1.
第1の製剤は、57.5体積%の1,2-プロピレングリコール(1,2-PG)、30体積%のKolliphor(登録商標)HS15(Solutol(登録商標)、Macrogol(登録商標)、BASF AG/SigmaAldrich)、及び12.5体積%のエタノール(EtOH)の混合物を含み、得られた溶液を更に希釈し、pH8.1~8.3のNa-クエン酸緩衝液(51mMのNa-クエン酸塩・2HO及び73.6mMのNaCl)を使用して、pH6.8に調整した。
【0183】
pH8.1~8.3のNa-クエン酸緩衝液を、Na-クエン酸・2HO(Na・2HO;MW294.10g/mol;J.T.Baker、3650-01)及び0.43g(7.36mmol)の塩化ナトリウム(NaCl;MW58.44g/mol;SigmaAldrich,S9888)を再蒸留水(dd-HO)(Arrowhead)で100mLに溶解することにより調製した。溶液を、0.45μmのナイロンシリンジフィルターを通して濾過し、溶液のpHを、炭酸水素ナトリウム(NaHCO)の飽和水溶液で8.1~8.3に調整した。
【0184】
賦形剤混合物を、4.77g(62.7mmol;4.6mL)の1,2-プロピレングリコール(1,2-PG;MW76.09g/mol;d1.036;Acros Organics,220870010)、2.52g(2.40mL,d1.05)の融解(15秒間のマイクロ波処理)Kolliphor(登録商標)HS15(BASF AG/SigmaAldrich,42966)、及び0.798g(17.32mmol,1.0mL)のエタノール(EtOH,MW46.06g/mol,d0.798,KOPTEC,V1016)から調製した。透明な粘性混合物を、使用前に約40℃に温めた(水浴)。
【0185】
6.1mg(0.0318mmol)の化合物(1c)一塩酸塩(遊離塩基として5.5mgの化合物(1c)に相当する)を各々含有する一連の12mLガラスバイアルを、実施例5に記載したように、酸性化ストック溶液のアリコートを凍結乾燥することによって調製した。
【0186】
660μL(6体積%)の予温した賦形剤混合物を、バイアル中の化合物(1c)一塩酸塩に添加した。化合物(1c)一塩酸塩を穏やかに加熱し、ボルテックスしながら溶解した。粘性溶液を、10,340μL(94体積%)のpH8.1~8.3のNa-クエン酸緩衝液で更に希釈して、0.5mg/mLの濃度の化合物(1c)を含む11.0mLの透明な無色の製剤を、一塩酸塩及び6-7のpHとして得た。
【0187】
330μL(6体積%)の予温した賦形剤混合物を、バイアル中の化合物(1c)一塩酸塩に添加した。化合物(1c)一塩酸塩を穏やかに加熱し、ボルテックスしながら溶解した。粘性溶液を、5,170μL(94体積%)のpH8.1~8.3のNa-クエン酸緩衝液で更に希釈して、1.0mg/mLの濃度の化合物(1c)を含む5.5mLの透明な無色の製剤を、一塩酸塩及び6~7のpHとして得た。
【0188】
165μL(6体積%)の予温した賦形剤混合物を、バイアル中の化合物(1c)一塩酸塩に添加した。化合物(1c)一塩酸塩を穏やかに加熱し、ボルテックスしながら溶解した。粘性溶液を、2,585μL(94体積%)のpH8.1~8.3のNa-クエン酸緩衝液で更に希釈して、2.0mg/mLの濃度の化合物(1c)を含む2.75mLの透明な無色の製剤を、一塩酸塩及び6-7のpHとして得た。
【0189】
溶液を、ガラスバイアルに入れ、室温(約25℃)で保存し、実施例4に記載したように、UV検出器に連結された分析用高圧液体クロマトグラフィー(HPLC/UV)を使用して、式(1c)の化合物の一塩酸塩(モノHCl塩)に由来する化合物(1c)の量を一定間隔で測定した。表10に、結果を示す。
【0190】
製剤2.
Alkeran(登録商標)は、FDAによって承認されたメルファラン-HClの注射用製剤である。注射用のアルケラン(登録商標)は、滅菌、非発熱性、凍結乾燥粉末として供給される。各バイアルには、50mgのメルファランに相当するメルファラン塩酸塩及び20mgのポビドン(ポリビニルピロリジノン、PVP)が含まれている。固体粉末を、0.2gのクエン酸ナトリウム、6.0mLのプロピレングリコール、及び0.52mLのエタノール(96%)、並びに注射用水を含有する合計10mLの滅菌希釈液中で再構成する。これは、メルファラン(混合物)の公称5mg/mL溶液を提供する。投与される用量は、直ちに0.9%塩化ナトリウム注射液(USP)に、0.45mg/mL以下の濃度に希釈される。注射用のアルケラン(登録商標)を静脈内投与する。
【0191】
ストック溶液は、68.8mg(0.206mmol)の化合物(1c)(遊離塩基)及び25.0mgのプラスドンPlasdone(登録商標)C-12(Povidone;Ashland,830796)を、きれいなガラスメスシリンダー(25mL)中でボルテックスしながら、約20.0mLのアセトニトリル/水(1:1,v/v)の混合物に溶解させることによって調製した。0.407mLの0.5072M HClの溶液(0.206mmol、1.0当量;Fluka、318957)を、穏やかにボルテックスしながら添加し、得られた透明な溶液を、穏やかにボルテックスしながら、アセトニトリル/水(1:1,v/v)の混合物で25.0mLに更に希釈し、化合物(1c)のストック溶液を、濃度2.75mg/mLのモノHCl塩及び1.0mg/mLの濃度のPlasdone(登録商標)として得た。この溶液を0.45μmのナイロンシリンジフィルターを通して、きれいな50mLエルレンマイヤーフラスコに濾過した。このストック溶液の2.0mLのアリコート(2×1.0mL;2×2.75mg)を、きれいな12mLシンチレーションバイアルに素早くピペッティングした。アリコートを-78℃で凍結(ドライアイス/アセトン浴)し、約100mTorrで約16時間凍結乾燥して、無色の粉末状固体として6.1mg(0.0165mmol)の化合物(1c)一塩酸塩(モノHCl塩)(5.5mgの化合物(1c)に相当する、遊離塩基)を各々含む試験バイアルを得た。
【0192】
ストック溶液は、62.5mg(0.205mmol)のメルファラン(遊離塩基;SigmaAldrich,M2011)及び25.0mgのPlasdone(登録商標)C-12(Povidone;Ashland,830796)を、きれいなガラスメスシリンダー(25mL)中でボルテックスしながら、約20.0mLのアセトニトリル/水(1:1,v/v)の混合物に溶させることによって調製した。0.404mLの0.5072Mの水溶液HCl(0.205mmol,1.0当量;Fluka,318957)を、穏やかにボルテックスしながら添加し、得られた透明な溶液を、穏やかにボルテックスしながらアセトニトリル/水(1:1,v/v)の混合物で25.0mLに更に希釈し、濃度2.50mg/mLのモノHCl塩及び1.0mg/mLの濃度のPlasdone(登録商標)として、メルファランのストック溶液を得た。この溶液を0.45μmのナイロンシリンジフィルターを通して、きれいな50mLエルレンマイヤーフラスコに濾過した。このストック溶液の2.0mLのアリコート(2×1.0mL;2×2.50mg)を、きれいな12mLシンチレーションバイアルに素早くピペッティングした。アリコートを-78℃(ドライアイス/アセトン浴)で凍結し、約100mTorrで約16時間凍結乾燥して、無色の粉末状固体として5.6mg(0.0164mmol)のメルファラン一塩酸塩(モノHCl塩)(遊離塩基として5.0mgのメルファランに相当する)を各々含む試験バイアルを得た。
【0193】
12.43g(163.4mmol;12.0mL)の1,2-プロピレングリコール(1,2-PG;MW76.09g/mol;d1.036;Acros Orgaincs,220870010)、0.40g(1.36mmol)のNa-クエン酸塩・2HO(Na・2HO;MW294.0g/mol;J.T.Baker,3650-01)、及び0.821g(17.82mmol,1.04mL)のエタノール(EtOH,MW46.07g/mol,d0.798,KOPTEC,V1016)を、25.0mLメスフラスコ中で20.0mLに溶解した。溶液を、0.45μmのナイロンシリンジフィルターを通して、きれいな20mLガラスバイアルに濾過した。
【0194】
1.0mLのAlkeran(登録商標)型希釈液を、バイアル中の化合物(1c)一塩酸塩に添加した。化合物(1c)一塩酸塩を、穏やかに振盪し、ボルテックスしながら溶解させた。溶液を、9.0mLの0.9%生理食塩水で更に希釈して、0.55mg/mLの濃度の化合物(1c)を含む10.0mLの透明な無色の製剤を、5.3~5.7のpHで一塩酸塩として得た。
【0195】
0.5mLのAlkeran(登録商標)型希釈液を、バイアル中の化合物(1c)一塩酸塩に添加した。化合物(1c)一塩酸塩を、穏やかに振盪し、ボルテックスしながら溶解させた。溶液を、4.5mLの0.9%生理食塩水で更に希釈して、1.1mg/mLの濃度の化合物(1c)を含む5.0mLの透明な無色の製剤を、一塩酸塩及び5.3のpHとして得た。
【0196】
0.25mLのAlkeran(登録商標)型希釈液を、バイアル中の化合物(1c)一塩酸塩に添加した。化合物(1c)一塩酸塩を、穏やかに振盪し、ボルテックスしながら溶解させた。溶液を、2.25mLの0.9%生理食塩水で更に希釈し、2.2mg/mLの濃度の化合物(1c)を含む2.5mLの透明な無色の製剤を、5.3のpHで一塩酸塩として得た。
【0197】
1.0mLのAlkeran(登録商標)型希釈液を、バイアル中のメルファラン一塩酸塩に添加した。メルファラン一塩酸塩を、穏やかに振盪し、ボルテックスしながら溶解させた。溶液を、9.0mLの0.9%生理食塩水で更に希釈し、0.50mg/mLの濃度のメルファランを含む10.0mLの透明な無色の製剤を、5.5~5.8のpHで一塩酸塩として得た。
【0198】
0.5mLのAlkeran(登録商標)型希釈液を、バイアル中のメルファラン一塩酸塩に添加した。メルファラン一塩酸塩を、穏やかに振盪し、ボルテックスしながら溶解させた。溶液を、4.5mLの0.9%生理食塩水で更に希釈して、1.0mg/mLの濃度のメルファランを含む5.0mLの透明な無色の製剤を、5.3~5.5のpHで一塩酸塩として得た。
【0199】
0.25mLのAlkeran(登録商標)型希釈液を、バイアル中のメルファラン一塩酸塩に添加した。メルファラン一塩酸塩を、穏やかに振盪し、ボルテックスしながら溶解させた。溶液を、2.25mLの0.9%生理食塩水で更に希釈し、2.0mg/mLの濃度のメルファランを含む2.5mLの透明な無色の製剤を、5.0~5.3のpHで一塩酸塩として得た。
【0200】
溶液をガラスバイアルに入れ、室温(約25℃)で保存し、実施例4に記載したように、UV検出器(HPLC/UV)に結合された分析用高圧液体クロマトグラフィーを使用して、メルファランの一塩酸塩(1c)又は一塩酸塩(単HCl塩)に由来するメルファランの化合物の一塩酸塩(単-HCl塩)から誘導された化合物(1c)の量を間隔で測定した。表10に、結果を示す。
【0201】
製剤3.
Evomela(登録商標)は、メルファラン塩酸塩、4-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-L-フェニルアラニン塩酸塩の注射用製剤であり、FDAによって承認されている。Evomela(登録商標)は、静脈内使用のための単回用量バイアル中の滅菌された白色からオフホワイトの凍結乾燥粉末として供給されている。各バイアルは、50mgのメルファラン遊離塩基(56mgのメルファラン塩酸塩に相当する)及び2,700mgのベータデクススルホブチルエーテル(SBE6.5-β-CD;スルホブチルエーテルβ-シクロデキストリンナトリウム)ナトリウム、NFを含む。生理食塩水溶液(0.9%塩化ナトリウム注射液、USP)(指示に従って8.6mL)を使用して、5mg/mLの公称濃度のメルファランを有する合計10mLにEvomela(登録商標)を再構成する。患者の用量に必要なEvomela(登録商標)の必要量をバイアルから取り出し、適量の0.9%塩化ナトリウム注射液(USP)に添加して、0.45mg/mLの最終公称濃度のメルファランに添加する。次いで、この溶液を、注射ポート又は中央静脈カテーテルを介して注入する。
【0202】
5.5mg(0.0165mmolの化合物(1c)遊離塩基及び270mgのSBE6.5-β-CD、Captisol(登録商標))を各々含む一連の12mLガラスバイアルを、実施例4に記載したように調製した。
【0203】
シクロデキストリン誘導体/化合物(1c)遊離塩基ゲスト-ホスト包接複合体を、0.86mLの0.9%生理食塩水に溶解させることによって再構成して、5.5mg/mLの公称濃度の化合物(1c)遊離塩基を有する1.0mLの溶液を得た。
【0204】
この溶液の1.0mLのアリコートを、10.0mLの0.9%生理食塩水で希釈し、pHを、5μLの飽和NaHCO水溶液で調整して、0.50mg/mLの公称濃度の化合物(1c)遊離塩基からの化合物(1c)及び5.8~6.1のpHを有する11.0mLの透明な無色の溶液を得た。
【0205】
この溶液の1.0mLのアリコートを、4.5mLの0.9%生理食塩水で希釈し、pHを、5μLの飽和NaHCO水溶液で調整して、1.0mg/mLの公称濃度の化合物(1c)遊離塩基からの化合物(1c)及び約6.1のpHを有する5.5mLの透明な無色の溶液を得た。
【0206】
この溶液の1.0mLのアリコートを、1.75mLの0.9%生理食塩水で希釈し、pHを、5μLの飽和NaHCO水溶液で調整して、2.0mg/mLの公称濃度の化合物(1c)遊離塩基からの化合物(1c)及び約6.1のpHを有する2.75mLの透明な無色の溶液を得た。
【0207】
6.1mg(0.0165mmolの化合物(1c)一塩酸塩(5.5mgの化合物(1c)遊離塩基に相当する)及び270mgのSBE6.5-β-CD、Captisol(登録商標)を各々含む一連の12mLガラスバイアルを、実施例5に記載したように調製した。
【0208】
シクロデキストリン誘導体/化合物(1c)モノHCl塩ゲスト-ホスト包接複合体を、ゲスト-ホスト包接複合体を0.86mLの0.9%生理食塩水に溶解させることによって再構成して、6.1mg/mLの公称濃度の化合物(1c)モノHCl塩(5.5mg/mLの公称濃度の化合物(1c)遊離塩基に相当する)を有する1.0mLの溶液を得た。
【0209】
この溶液の0.5mLのアリコートを、5.0mLの0.9%生理食塩水で希釈し、pHを、5μLの飽和NaHCO水溶液で調整して、0.50mg/mLの公称濃度の化合物(1c)一塩酸塩からの化合物(1c)及び5.3~5.5のpHを有する5.5mLの透明な無色の溶液を得た。
【0210】
この溶液の1.0mLのアリコートを、4.5mLの0.9%生理食塩水で希釈し、pHを、10μLの飽和NaHCO水溶液で調整して、1.0mg/mLの公称濃度の化合物(1c)一塩酸塩からの化合物(1c)及び5~6のpHを有する5.5mLの透明な無色の溶液を得た。
【0211】
この溶液の0.5mLのアリコートを、0.875mLの0.9%生理食塩水で希釈し、pHを、10μLの飽和NaHCO水溶液で調整して、2.0mg/mLの公称濃度の化合物(1c)一塩酸塩からの化合物(1c)及び5~6のpHを有する1.375mLの透明な無色の溶液を得た。
【0212】
この溶液の0.25mLのアリコートを、10.75mLの0.9%生理食塩水で希釈し、pHを、10μLの飽和NaHCO水溶液で調整して、0.125mg/mLの公称濃度の化合物(1c)一塩酸塩からの化合物(1c)及び6超のpHを有する11.0mLの透明な無色の溶液を得た。
【0213】
5.0mg(0.0164mmolのメルファラン遊離塩基及び270mgのSBE6.5-β-CD、Captisol(登録商標))を各々含む一連の12mLガラスバイアルを、実施例4に記載したように調製した。
【0214】
シクロデキストリン誘導体/メルファラン遊離塩基ゲスト-ホスト包接複合体を、ゲスト-ホスト包接複合体を0.86mLの0.9%生理食塩水に溶解させることによって再構成して、5.0mg/mLの公称濃度のメルファラン遊離塩基を有する1.0mLの溶液を得た。
【0215】
この溶液の1.0mLのアリコートを、10.0mLの0.9%生理食塩水で希釈し、pHを、5μLの飽和NaHCO水溶液で調整して、0.45mg/mLの公称濃度のメルファラン遊離塩基からのメルファラン及び5.8~6.1のpHを有する11.0mLの透明な無色の溶液を得た。
【0216】
5.6mg(0.0164mmolのメルファラン一塩酸塩(5.0mgのメルファラン遊離塩基に相当する)及び270mgのSBE6.5-β-CD(Captisol(登録商標))を各々含む一連の12mLガラスバイアルを、実施例5に記載したように調製した。
【0217】
シクロデキストリン誘導体/メルファランモノHCl塩ゲスト-ホスト包接複合体を、ゲスト-ホスト包接複合体を0.86mLの0.9%生理食塩水に溶解させることによって再構成して、5.6mg/mLの公称濃度のメルファランモノHCl塩(5.0mg/mLの公称濃度のメルファラン遊離塩基に相当する)を有する1.0mLの溶液を得た。
【0218】
この溶液の0.5mLのアリコートを、5.0mLの0.9%生理食塩水で希釈し、pHを、7μLの飽和NaHCO水溶液で調整して、0.45mg/mLの公称濃度のメルファラン一塩酸塩からメルファラン及び5.8~6.1のpHを有する5.5mLの透明な無色の溶液を得た。
【0219】
溶液をガラスバイアルに入れ、室温(約25℃)で保存し、式(1c)の化合物の一塩酸塩(モノHCl塩)から得られた一定量の化合物(1c)又はメルファランの一塩酸塩(モノHCl塩)から得られたメルファランを、実施例4に記載したように、UV検出器に連結された分析用高圧液体クロマトグラフィー(HPLC/UV)を使用して、一定の間隔で測定した。表10に、結果を示す。
【0220】
製剤4.
Treanda(登録商標)は、FDAによって承認されているベンダムスチン塩酸塩、1H-ベンズイミダゾール-2-ブタン酸、5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチル-、4-(5-(ビス(2-クロロエチル)アミノ)-1-メチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)ブタン酸一塩酸塩の注射用製剤である。注射用のTreanda(登録商標)は、白色からオフホワイトの凍結乾燥粉末として、25又は100mgのいずれかのベンダムスチンHClを含むバイアル中に提供される。各バイアルは、25mg又は100mgのベンダムスチン塩酸塩及び42.5mg又は170mgのマンニトール、USPのいずれかを含み、これは、0.9%塩化ナトリウム注射用溶液、USP、又は2.5%デキストロース/0.45%塩化ナトリウム注射液、USPのいずれかで、0.2mg/mL~0.6mg/mLの最終濃度に再構成され、pHが2.5~3.5に調整された。
【0221】
12.5mg(0.0317mmol)のベンダムスチン一塩酸塩(C1621Cl・HCl,394.72g/mol;MedKoo,200470)(11.3mgの遊離塩基としてのベンダムスチンに対応する)を各々含む一連の12mLガラスバイアルを、市販の化合物をバイアルに量り分けることによって調製した。ベンダムスチン一塩酸塩のいずれかを含む各々のバイアルに、21.3mg(0.117mmol)のD-マンニトール(C14,MW182.17g/mol;SigmaAldrich,M1902)を添加した。混合物を、2.0mLの再蒸留水(dd-HO(Arrowhead)に溶解させ、透明な無色の溶液を、-78℃(ドライアイス/アセトン浴)で凍結し、溶媒を、約16時間以内に約100mTorrで凍結乾燥して、無色の固体を得た。
【0222】
85.0mg(0.255mmol)の化合物(1c)(遊離塩基)及び170.4mgのD-マンニトール(0.935mmol)(C14、MW182.17g/mol;SigmaAldrich、M1902)、並びに約16.0mLのアセトニトリル/水(1:1,v/v)の混合物中の0.503mLの0.5072M HCl水溶液(0.255mmol、1.0当量)(Fluka,318957)を、きれいなガラスメスシリンダー(25mL)中でボルテックスしながら溶解させることによって、5.313mg/mLの濃度のモノHCl塩としての化合物(1c)及び10.65mg/mLの濃度のD-マンニトールのストック溶液を得た。この溶液を、0.22μmのPTFEシリンジフィルターを通して、きれいな25mLエルレンマイヤーフラスコに濾過した。このストック溶液の2.0mLのアリコート(2×1.0mL;2×5.313mg)を、きれいな12mLシンチレーションバイアルに素早くピペッティングした。アリコートを-78℃(ドライアイス/アセトン浴)で凍結し、約100mTorrで約16時間凍結乾燥して、無色の粉末固体として11.8mg(0.0319mmol)の化合物(1c)一塩酸塩(モノHCl塩)(10.6mgの遊離塩基としての化合物(1c)に相当する)及び21.3mg(0.117mmol)のD-マンニトールを含む試験バイアルを得た。
【0223】
バイアル中の材料を、2.5mLの再蒸留水(dd-HO)(Arrowhead)に溶解させて、それぞれ、4.24mg/mLの濃度の一塩酸塩としての化合物(1c)又は4.54mg/mLの一塩酸塩としてのベンダムスチンを透明な無色の非粘性ストック溶液を得た。
【0224】
4.24mg/mLの一塩酸塩としての化合物(1c)を含む1.0mLのストック溶液を、9.0mLの0.9%生理食塩水で希釈して、0.424mg/mLの濃度の約4のpHを有する一塩酸塩としての化合物(1c)の10.0mLの試験溶液を得た。4.24mg/mLの一塩酸塩としての化合物(1c)を含む1.0mLのストック溶液を、4.0mLの0.9%生理食塩水で希釈して、1.06mg/mLの濃度の3~4のpHを有する一塩酸塩としての化合物(1c)の5.0mLの試験溶液を得た。4.24mg/mLの一塩酸塩としての化合物(1c)を含む1.0mLのストック溶液を、2.0mLの0.9%生理食塩水で希釈して、2.12mg/mLの濃度の約3のpHを有する一塩酸塩としての化合物(1c)の3.0mLの試験溶液を得た。
【0225】
4.54mg/mLの一塩酸塩としてのベンダムスチンを含む1.0mLのストック溶液を、9.0mLの0.9%生理食塩水で希釈して、0.454mg/mLの濃度の4~5のpHを有する一塩酸塩としてのベンダムスチンの10.0mLの試験溶液を得た。4.54mg/mLの一塩酸塩としてのベンダムスチンを含む1.0mLのストック溶液を、4.0mLの0.9%生理食塩水で希釈して、1.135mg/mLの濃度の約4~4.5のpHを有する一塩酸塩としてのベンダムスチンの5.0mLの試験溶液を得た。4.54mg/mLの一塩酸塩としてのベンダムスチンを含む1.0mLのストック溶液を、2.0mLの0.9%生理食塩水で希釈して、2.27mg/mLの濃度の約4のpHを有する一塩酸塩としてのベンダムスチンの3.0mLの試験溶液を得た。
【0226】
溶液をガラスバイアルに入れ、室温(約25℃)又は冷蔵(約0℃)で保存し、式(1c)の化合物の一塩酸塩(モノHCl塩)から得られた一定量の化合物(1c)又は一塩酸塩(モノHCl塩)から得られたベンダムスチンを、実施例4に記載したように、UV検出器に連結された分析用高圧液体クロマトグラフィー(HPLC/UV)を使用して、一定の間隔で測定した。表10に、結果を示す。
【表10】
【0227】
最後に、本明細書に開示される実施形態を実施する代替的な方法が存在することを理解されたい。したがって、本実施形態は、例示的なものであり、限定的なものではないとみなされるべきであり、特許請求の範囲は、本開示に提供される詳細に限定されるものではない。
【手続補正書】
【提出日】2023-09-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲスト-ホスト包接複合体であって、
式(I)の化合物:
【化1】

又はその薬学的に許容される両性イオン、内塩、若しくは塩であって、式中、R が、C1-6アルキル及びC1-6アルコキシから選択される、式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される両性イオン、内塩、若しくは塩と、
式(2)のシクロデキストリン誘導体:
【化2】

又はその薬学的に許容される両性イオン、内塩、若しくは塩であって、式中、
nが、4、5、及び6から選択され、
~Rの各々が、独立して、水素、C1-8アルカンジイルスルホン酸塩、C1-6アルキル、及び置換C1-6アルキルから選択され、
~Rのうちの少なくとも1つが、C1-8アルカンジイルスルホン酸塩である、式(2)のシクロデキストリン誘導体、又はその薬学的に許容される両性イオン、内塩、若しくは塩と、を含む、ゲスト-ホスト包接複合体。
【請求項2】
前記式(1)の化合物が、3-アミノ-4-(5-(ビス(2-クロロエチル)アミノ)-2-メチルフェニル)ブタン酸(1a)、又はその薬学的に許容される両性イオン、内塩、若しくは塩である、請求項1に記載のゲスト-ホスト包接複合体。
【化3】
【請求項3】
前記式(1)の化合物が、(R)-3-アミノ-4-(5-(ビス(2-クロロエチル)アミノ)-2-メチルフェニル)ブタン酸(1b)、又はその薬学的に許容される両性イオン、内塩、若しくは塩である、請求項1に記載のゲスト-ホスト包接複合体。
【化4】
【請求項4】
前記式(1)の化合物が、(S)-3-アミノ-4-(5-(ビス(2-クロロエチル)アミノ)-2-メチルフェニル)ブタン酸(1c)、又はその薬学的に許容される両性イオン、内塩、若しくは塩である、請求項1に記載のゲスト-ホスト包接複合体。
【化5】
【請求項5】
前記式(2)のシクロデキストリン誘導体が、6~8の平均置換度を有する、請求項1に記載のゲスト-ホスト包接複合体。
【請求項6】
前記式(2)のシクロデキストリン誘導体が、6.5~7の平均置換度を有する、請求項1に記載のゲスト-ホスト包接複合体。
【請求項7】
前記式(2)のシクロデキストリン誘導体が、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン(SBE-β-CD)である、請求項1に記載のゲスト-ホスト包接複合体。
【請求項8】
前記シクロデキストリン誘導体が、ポリナトリウム塩である、請求項1に記載のゲスト-ホスト包接複合体。
【請求項9】
前記ゲスト-ホスト包接複合体が、1:50~1:60の前記式(1)の化合物と前記シクロデキストリン誘導体との質量比を含む、請求項1に記載のゲスト-ホスト包接複合体。
【請求項10】
前記ゲスト-ホスト包接複合体が、1:7~1:10の前記式(1)の化合物と前記シクロデキストリン誘導体とのモル比を含む、請求項1に記載のゲスト-ホスト包接複合体。
【請求項11】
前記ゲスト-ホスト包接複合体が、凍結乾燥物を含む、請求項1に記載のゲスト-ホスト包接複合体。
【請求項12】
請求項1に記載のゲスト-ホスト包接複合体を含む、薬学的組成物。
【請求項13】
前記薬学的組成物が、水性希釈液に溶解した1mg/mL~10mg/mLの前記式(1)の化合物を含む、請求項12に記載の薬学的組成物。
【請求項14】
前記水性希釈液が、塩化ナトリウム溶液を含む、請求項13に記載の薬学的組成物。
【請求項15】
請求項1に記載のゲスト-ホスト包接複合体と、水溶液と、を含む、薬学的キット。
【請求項16】
前記水溶液が、塩化ナトリウム溶液である、請求項15に記載のキット。
【請求項17】
んを治療するための、請求項12に記載の薬学的組成物
【国際調査報告】