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特表2024-504073第1および第2の通信デバイスならびに通信方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-30
(54)【発明の名称】第1および第2の通信デバイスならびに通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04J 13/12 20110101AFI20240123BHJP
   H04B 7/06 20060101ALI20240123BHJP
   H04L 27/26 20060101ALI20240123BHJP
   H04W 16/28 20090101ALI20240123BHJP
【FI】
H04J13/12
H04B7/06 984
H04L27/26 114
H04W16/28 130
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541575
(86)(22)【出願日】2021-12-17
(85)【翻訳文提出日】2023-08-30
(86)【国際出願番号】 EP2021086468
(87)【国際公開番号】W WO2022152502
(87)【国際公開日】2022-07-21
(31)【優先権主張番号】21151633.1
(32)【優先日】2021-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベレンスエラ ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ハンデ トーマス
(72)【発明者】
【氏名】チオキナ-カー ダナ
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA03
5K067AA23
5K067CC02
5K067CC04
5K067DD03
5K067KK03
(57)【要約】
【課題】受信機における検出、チャネル推定、および干渉の抑制を改善し、対応する通信デバイスおよび通信方法を提供することを目的とする。また、上記通信方法を実施するための、対応するコンピュータプログラムおよび非一時的コンピュータ可読記録媒体を提供することを目的とする。
【解決手段】
第2の通信デバイスにデータを送信するように構成された第1の通信デバイスであって、第2の数の相互直交シーケンスを生成し、各々がペイロードデータを伝送する1つ以上の第3の数の空間ストリームを生成し、各々が複数のトーンにまたがる第1の数のトレーニングシンボルのそれぞれを第4の数のトーンセットに分割し、各直交シーケンスを第4の数の部分に分割し、上記直交シーケンスの対応する部分の要素を上記トレーニングシンボルの上記トーンセットにマッピングすることによって、トレーニングフィールドを生成し、上記トレーニングフィールドを上記空間ストリームの上記ペイロードデータの前および/または上記ペイロードデータ間に配置して、上記第2の通信デバイスによるチャネル推定を可能にするように構成された回路を具備する第1の通信デバイス。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第2の通信デバイスにデータを送信するように構成された第1の通信デバイスであって、
第2の数の相互直交シーケンスを生成し、
各々がペイロードデータを伝送する1つ以上の第3の数の空間ストリームを生成し、
各々が複数のトーンにまたがる第1の数のトレーニングシンボルのそれぞれを第4の数のトーンセットに分割し、
各直交シーケンスを第4の数の部分に分割し、
前記直交シーケンスの対応する部分の要素を前記トレーニングシンボルの前記トーンセットにマッピングすることによって、トレーニングフィールドを生成し、
前記トレーニングフィールドを前記空間ストリームの前記ペイロードデータの前および/または前記ペイロードデータ間に配置して、前記第2の通信デバイスによるチャネル推定を可能にする
ように構成された回路を具備する
第1の通信デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の第1の通信デバイスであって、
前記第1の数と前記第4の数との積が、前記第3の数以上である
第1の通信デバイス。
【請求項3】
請求項1に記載の第1の通信デバイスであって、
各直交シーケンスの要素の数は、前記第1の数と前記第4の数との積に等しい
第1の通信デバイス。
【請求項4】
請求項1に記載の第1の通信デバイスであって、
前記回路は、各直交シーケンスの第1の部分を前記トレーニングシンボルの第1のトーンセットにマッピングし、各直交シーケンスの第2の部分を前記トレーニングシンボルの第2のトーンセットにマッピングするように構成される
第1の通信デバイス。
【請求項5】
請求項1に記載の第1の通信デバイスであって、
前記回路は、各直交シーケンスの第1の部分を前記トレーニングシンボルの奇数番号のトーンを含む第1のトーンセットにマッピングし、各直交シーケンスの第2の部分を前記トレーニングシンボルの偶数番号のトーンを含む第2のトーンセットにマッピングするように構成される
第1の通信デバイス。
【請求項6】
請求項1に記載の第1の通信デバイスであって、
前記回路は、直交シーケンスの第1の部分の要素および同じ直交シーケンスの第2の部分の要素を前記トレーニングシンボルの隣接トーンにマッピングするように構成される
第1の通信デバイス。
【請求項7】
請求項1に記載の第1の通信デバイスであって、
前記回路は、トーン間のチャネル相関を測定することによって直交シーケンスの部分をマッピングできる隣接トーンのグループを形成する第5の数の隣接トーンを決定するように構成される
第1の通信デバイス。
【請求項8】
請求項1に記載の第1の通信デバイスであって、
前記回路は、前記第2の通信デバイスからシグナリング情報を取得するように構成され、前記シグナリング情報は、直交シーケンスの部分をマッピングできる隣接トーンの第5の数のグループを増加させるべきか減少すべきかを示し、かつ/あるいは、前記第1の数および/または前記第4の数を示す情報を含む
第1の通信デバイス。
【請求項9】
請求項1に記載の第1の通信デバイスであって、
前記回路は、特定の直交シーケンスによって空間ストリームを識別するように構成され、前記トレーニングフィールドは、特定の直交シーケンスでマッピングされたトレーニングシンボルの第3の数の特定のセットを含む
第1の通信デバイス。
【請求項10】
請求項9に記載の第1の通信デバイスであって、
前記回路は、トレーニングシンボルおよび各空間ストリームのペイロードデータの対応するセットを多入力多出力(MIMO)技術を使用して直接または間接的に送信アンテナにマッピングするように構成される
第1の通信デバイス。
【請求項11】
第1の通信デバイスからデータを受信するように構成された第2の通信デバイスであって、
トレーニングフィールドの少なくとも一部に基づいて、前記第1の通信デバイスおよび前記第2の通信デバイス間の1つ以上のチャネルの1つ以上の所期のチャネル観測値を取得し、前記トレーニングフィールドは、前記第1の通信デバイスから受信した1つ以上の第3の数の空間ストリームのペイロードデータの前および/または前記ペイロードデータ間に配置され、各空間ストリームは、ペイロードデータを伝送し、第1の数のトレーニングシンボルのそれぞれは、第4の数のトーンセットに分割され、複数のトーンにまたがり、第2の数の相互直交シーケンスは、それぞれ、第4の数の部分に分割され、直交シーケンスの対応する部分の要素は、トレーニングシンボルのトーンセットにマッピングされ、トレーニングフィールドを生成し、
前記トレーニングフィールドの他の部分に基づいて前記1つ以上の潜在干渉チャネルの干渉チャネル推定を行い、
前記干渉チャネル推定から得られる干渉チャネル推定情報に基づいて、干渉抑制を行う
ように構成された回路を具備する
第2の通信デバイス。
【請求項12】
請求項11に記載の第2の通信デバイスであって、
前記回路は、前記トレーニングシンボルの第1のトーンセットから前記直交シーケンスの第1の部分をデマッピングし、前記トレーニングシンボルの第2のトーンセットから前記直交シーケンスの第2の部分をデマッピングして、前記所期のチャネル観測値および任意選択で干渉チャネル観測値を取得するように構成される
第2の通信デバイス。
【請求項13】
請求項11に記載の第2の通信デバイスであって、
前記回路は、前記第2の通信デバイスからシグナリング情報を送信するように構成され、前記シグナリング情報は、直交シーケンスの部分をマッピングできる隣接トーンの第5の数のグループを増加させるべきか減少すべきかを示し、かつ/あるいは、前記第1の数および/または前記第4の数を示す情報を含む
第2の通信デバイス。
【請求項14】
請求項11に記載の第2の通信デバイスであって、
前記回路は、前記トレーニングフィールドの他の部分に基づいて、1つ以上の潜在干渉チャネルの1つ以上の干渉チャネル観測値を取得するように構成される
第2の通信デバイス。
【請求項15】
請求項11に記載の第2の通信デバイスであって、
前記回路は、前記取得した所期のチャネル観測値に基づいて、前記1つ以上のチャネルの所期のチャネル推定を行い、かつ/あるいは、前記受信した空間ストリームからデータを復号するように構成される
第2の通信デバイス。
【請求項16】
請求項11に記載の第2の通信デバイスであって、
前記回路は、干渉チャネル推定値を使用して、干渉が発生する空間方向を記述する干渉チャネルの共分散行列の推定値を計算し、空間フィルタを生成して、前記干渉の共分散行列が及ぼす前記空間方向が抑制されるように受信アンテナからの信号を結合するように構成される
第2の通信デバイス。
【請求項17】
請求項11に記載の第2の通信デバイスであって、
前記回路は、各空間ストリームによって送信された直交シーケンスでチャネル観測値を投影することによって、所期のチャネル推定に使用される前記トレーニングフィールドの前記第1の部分を抽出し、かつ/あるいは、送信されなかった前記直交シーケンスで前記チャネル観測値を投影することによって、干渉チャネル推定に使用される前記トレーニングフィールドの前記他の部分を抽出するように構成される
第2の通信デバイス。
【請求項18】
第2の通信デバイスにデータを送信する第1の通信方法であって、
第2の数の相互直交シーケンスを生成し、
各々がペイロードデータを伝送する1つ以上の第3の数の空間ストリームを生成し、
各々が複数のトーンにまたがる第1の数のトレーニングシンボルのそれぞれを第4の数のトーンセットに分割し、
各直交シーケンスを第4の数の部分に分割し、
前記直交シーケンスの対応する部分の要素を前記トレーニングシンボルの前記トーンセットにマッピングすることによって、トレーニングフィールドを生成し、
前記トレーニングフィールドを前記空間ストリームの前記ペイロードデータの前および/または前記ペイロードデータ間に配置して、前記第2の通信デバイスによるチャネル推定を可能にする
第1の通信方法。
【請求項19】
第1の通信デバイスからデータを受信する第2の通信方法であって、
前記第1の通信デバイスおよび前記第2の通信デバイス間の1つ以上のチャネルの1つ以上の所期のチャネル観測値を取得し、前記トレーニングフィールドは、トレーニングフィールドの少なくとも一部に基づいて、前記第1の通信デバイスから受信した1つ以上の第3の数の空間ストリームのペイロードデータの前および/または前記ペイロードデータ間に配置され、各空間ストリームは、ペイロードデータを伝送し、第1の数のトレーニングシンボルのそれぞれは、第4の数のトーンセットに分割され、複数のトーンにまたがり、第2の数の相互直交シーケンスは、それぞれ、第4の数の部分に分割され、直交シーケンスの対応する部分の要素は、トレーニングシンボルのトーンセットにマッピングされ、トレーニングフィールドを生成し、
前記トレーニングフィールドの他の部分に基づいて前記1つ以上の潜在干渉チャネルの干渉チャネル推定を行い、
前記干渉チャネル推定から得られる干渉チャネル推定情報に基づいて、干渉抑制を行う
第2の通信方法。
【請求項20】
プロセッサによって実行されるときに、請求項18または19に記載の第2の通信方法を実行させるコンピュータプログラム製品を記憶する非一時的コンピュータ可読記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、相互に通信するように構成された第1および第2の通信デバイスならびに通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の送信機が同時に同じ周波数でチャネルにアクセスすると、無線通信は干渉を受ける。WLANなどの分散アクセス技術では、送信機がチャネルをめぐって競合し、衝突が起こる可能性がある。さらに、高密度のステーション(STA)およびアクセスポイント(AP)が存在するシナリオでは、基本サービスセット(BSS)が重複し、不要な干渉が起こる可能性がある。また、WLANは無認可スペクトルで動作し、これは他の技術の他の送信機が同じ無線チャネルを使用できることを意味する。これらの理由により、STAとAPとの間、またはAPとSTAとの間の通信中に干渉が起こり、通信の中断につながる可能性がある。すなわち、受信機は情報をデコードできず、送信機はメッセージを再送信する必要があるため、信頼性が低下するだけでなく、スループットが低下し、レイテンシが増加する。
【0003】
本明細書で提供する「背景」の説明は、本開示の文脈を概略的に提示することを目的とする。本発明者らの研究は、この背景の欄に記載されている限りにおいて、出願時に先行技術として認められない説明の態様と同様に、本開示に対する先行技術として明示的にも暗示的にも認められない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
受信機における検出、チャネル推定、および干渉の抑制を改善し、対応する通信デバイスおよび通信方法を提供することを目的とする。また、上記通信方法を実施するための、対応するコンピュータプログラムおよび非一時的コンピュータ可読記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様によれば、第2の通信デバイスにデータを送信するように構成された第1の通信デバイスであって、第2の数の相互直交シーケンスを生成し、各々がペイロードデータを伝送する1つ以上の第3の数の空間ストリームを生成し、各々が複数のトーンにまたがる第1の数のトレーニングシンボルのそれぞれを第4の数のトーンセットに分割し、各直交シーケンスを第4の数の部分に分割し、上記直交シーケンスの対応する部分の要素を上記トレーニングシンボルの上記トーンセットにマッピングすることによって、トレーニングフィールドを生成し、上記トレーニングフィールドを上記空間ストリームの上記ペイロードデータの前および/または上記ペイロードデータ間に配置して、上記第2の通信デバイスによるチャネル推定を可能にするように構成された回路を具備する第1の通信デバイスが提供される。
【0006】
別の態様によれば、第1の通信デバイスからデータを受信するように構成された第2の通信デバイスであって、トレーニングフィールドの少なくとも一部に基づいて、上記第1の通信デバイスおよび上記第2の通信デバイス間の1つ以上のチャネルの1つ以上の所期のチャネル観測値を取得し、上記トレーニングフィールドは、上記第1の通信デバイスから受信した1つ以上の第3の数の空間ストリームのペイロードデータの前および/または上記ペイロードデータ間に配置され、各空間ストリームは、ペイロードデータを伝送し、第1の数のトレーニングシンボルのそれぞれは、第4の数のトーンセットに分割され、複数のトーンにまたがり、第2の数の相互直交シーケンスは、それぞれ、第4の数の部分に分割され、直交シーケンスの対応する部分の要素は、トレーニングシンボルのトーンセットにマッピングされ、トレーニングフィールドを生成し、上記トレーニングフィールドの他の部分に基づいて上記1つ以上の潜在干渉チャネルの干渉チャネル推定を行い、上記干渉チャネル推定から得られる干渉チャネル推定情報に基づいて、干渉抑制を行うように構成された回路を具備する第2の通信デバイスが提供される。
【0007】
さらに別の態様によれば、コンピュータ上で実行されるときに、本明細書に開示する方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラム手段を含むコンピュータプログラム、およびプロセッサによって実行されるときに、本明細書に開示する方法を実行させるコンピュータプログラム製品を記憶する非一時的コンピュータ可読記録媒体が提供される。
【0008】
諸実施形態は、従属請求項で定義される。開示される通信方法、開示されるコンピュータプログラム、および開示されるコンピュータ可読記録媒体は、特許請求の範囲に記載された通信デバイスならびに従属請求項において定義され、かつ/あるいは、本明細書に開示されたものと同様および/または同一のさらなる実施形態を有することが理解されよう。
【0009】
本開示の態様の1つは、受信機(すなわち、第2の通信デバイス)が干渉チャネルの観測値を取得できるようにすることである。その結果、本開示により、所期の送信機の低いシグナリングオーバーヘッドおよび高いチャネル推定品質が維持される。
【0010】
この文脈において、「所期の送信機」および「所期のSTA」という用語は、受信機(例えば、他のステーションまたはAP;本開示において「第2の通信デバイス」と呼ばれる)がデコードしたい信号を送信するデバイス(本開示において「第1の通信デバイス」とも呼ばれる)を指す。これは、データユニット、例えば、所期の送信機から送信されたPHYプロトコルデータユニット(PPDU;本開示において、一般に、「データユニット」とも呼ばれる)について、受信機が同期を達成し、トレーニングフィールドに先行する可能性のあるシグナリングフィールドをデコードできることを意味する。「干渉送信機」または「干渉機」(本開示において、「第3の通信デバイス」とも呼ばれる)は、所期の送信機と受信機との間の通信を妨害する信号を送信している他のデバイス(例えば、STAまたはAP)を指す。
【0011】
本開示により、現在の標準実装と比較して受信機におけるチャネル観測値の数を増加させるサウンディング法を設計することで、受信機における干渉検出、干渉チャネル推定、および干渉抑制が可能となる。チャネル観測値の数を増加させるための実施形態では、いくつかの周波数トーンの周囲に直交(トレーニング)シーケンスがマッピングされる。これにより、受信機は、干渉存在下におけるデコーディング性能を高めることが可能となり、信頼性を高め、データ再送信の数を減らすことができる。データ再送信の数が減ると、レイテンシが短縮され、スループットが向上する。
【0012】
上述の段落は、概略紹介として提供されたものであり、特許請求の範囲を限定することを意図したものではない。記載された諸実施形態は、さらなる利点とともに、添付の図面と併せて以下の詳細な説明を参酌することにより、最もよく理解されるであろう。
【0013】
本開示のより完全な理解とそれに付随する利点の多くは、添付の図面と併せて考慮すると、以下の詳細な説明を参酌することによってよりよく理解されるので、容易に得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、WLAN 802.11 ax修正で定義される異なる3つのHE-LTFタイプを示す図である。
図2図2は、4つの空間ストリームによる直交シーケンスマッピングの例を示す図である。
図3図3は、WLAN 802.11 axに記載されているサウンディングフィールドを生成するための生成器の概略図である。
図4図4は、通信デバイス間におけるデータ交換ごとにトレーニングシンボルの数を動的に調整する方法のフローチャートである。
図5図5は、本開示に係る第1の通信デバイスと第2の通信デバイスとを含む通信システムを示す図である。
図6図6は、本開示の一実施形態に係る第1の通信デバイスの第1の通信方法のフローチャートである。
図7図7は、本開示の一実施形態に係る第2の通信デバイスの第2の通信方法のフローチャートである。
図8図8は、本開示に係る3つの空間ストリームによる直交シーケンスマッピングの一例を示す図である。
図9図9は、本開示に係る2つのトレーニングシンボルによるトレーニングフィールドの一例を示す図である。
図10図10は、典型的なWLANチャネルモデルのトーン間の自己相関関数の大きさおよび位相の一例を示す図である。
図11図11は、マッピングされた隣接する空でないトーンの数を選択する方法のフローチャートである。
図12図12は、本開示の他の実施形態に係る第1の通信デバイスの第1の通信方法のフローチャートである。
図13図13は、本開示の他の実施形態に係る第2の通信デバイスの第2の通信方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
WLAN 802.11規格によれば、送信機は、送信された情報の冗長性のレベルを制御するために、変調符号化方式(MOS)をチャネル状態に適応させることができる。これにより、スループットの低下およびレイテンシの増加と引き換えに、干渉に対する堅牢性を確保することができる。
【0016】
MIMO技術は、数十年前からWLANに組み込まれており、大きなオーバーヘッドを追加することなく信号処理を通じて干渉に対処する可能性をもたらす。受信機が複数のアンテナを備えている場合、送信機から送信されたサウンディング信号を使用してチャネルを推定し、1つまたは複数の他の(すなわち、サードパーティの)送信機から送信された異なる空間ストリーム間の干渉を抑制することができる。
【0017】
WLANにおける主な制限は、所期の送信機のみがサウンディング信号を送信することである。衝突や外部ソースにより意図しない送信機から干渉が発生した場合、進行中の送信における干渉の存在を検出したり、干渉チャネルを推定したりするためのサウンディング信号や手順は確立されていない。
【0018】
最新のWLAN 802.11 ax修正におけるサウンディング信号は、高効率ロングトレーニングフィールド(HE-LTF)と呼ばれる。これらの信号は、PHYプロトコルデータユニット(PPDU)のプリアンブル内に追加されるか、あるいは、高速チャネル変動に対処するために所与の周期で挿入されるミッドアンブルとしてPPDU間に追加される。
【0019】
ここで図面を参照すると、いくつかの図を通して同様の参照番号は同一または対応する部分を指し、図1は、WLAN 802.11ax修正で定義される3つの異なるHE-LTFタイプ1、2、および3を示す図である。各HE-LTFは、使用するチャネルの帯域幅にわたる多くのトーンから構成される1つのOFDMシンボル(本明細書において、「トレーニングシンボル」または「HE-LTFシンボル」とも呼ばれる)に対応する。HE-LTFシンボルには、持続時間および満たされたトーンの数が異なる3つのタイプ1、2、および3、すなわち、各トレーニングシンボルの3.2μsの持続時間を有する第1のタイプ1(図1Aに示す1xHE-LTFと呼ばれる)、各トレーニングシンボルの6.4μsの持続時間を有する第2のタイプ2(図1Bに示す2xHE-LTFと呼ばれる)、および各トレーニングシンボルの12.8μsの持続時間を有する第3のタイプ3(図1Cに示す3xHE-LTFと呼ばれる)がある。より多くのトーンが満たされるほど、各HE-LTFシンボルは長くなる。HE-LTFシンボルの数はNHE-LTFで示され、以下の式1を満たすようにNstsで示される空間ストリームの総数に基づいて選択される。
【0020】
【数1】
【0021】
図1にも示すように、トレーニングシンボル1、2、および3のそれぞれは、「0」に設定された予約トーン、「0」に設定された空のLTFトーン、および「+1」または「-1」に設定された空でないLTFトーンを多数有する。
【0022】
HE-LTF信号のこれらの設計に基づいて、受信機は、空でない各トーンで、当該受信機と送信機間のMIMOチャネルを推定することができる。空のトーンに対応するチャネル推定値は、本開示の範囲外で実装依存であるが、当業者には一般的に知られている補間技術を通じて計算される。空でないデータトーンごとに、NHE-LTF個のシンボルの間に送信機によって送信された長さNHE-LTFの直交シーケンスに基づいて、受信機でMIMOチャネル推定値が計算される。これらの直交シーケンスは、PHE-LTF(本明細書において、直交シーケンスマッピング行列またはHE-LTFマッピング行列とも呼ばれる)で示される正方行列(すなわち、行と列の数が等しい行列)に格納され、各空間ストリームには、NHE-LTF=4の場合について図2および図3に示すように、送信対象のこの行列の行が割り当てられる。
【0023】
図2は、4つの空間ストリーム(SS)による直交シーケンスマッピングの例を示す図である。この文脈において、「直交」という用語は、PHE-LTFの異なる行の行列乗算がゼロであることを意味する。したがって、受信機は、空間ストリーム間の干渉を生じることなく、当該受信機と送信機によって送信された各空間ストリームとの間のチャネルの観測値を取得することができる。
【0024】
【数2】
【0025】
より詳細には、この場合、トレーニングシンボルはHE-LTFと呼ばれる。最初に、以下のパラメータ、すなわち、HE-LTFトーンシーケンス(HELTF)、HE-LTFシンボルの数(NHE-LTF)、および空間ストリームの数(Nsts)が選択される。直交シーケンスは、相互に直交する行から構成される正方PHE-LTF行列(すなわち、行と列の数が等しい行列)の行として取得される。各直交シーケンスにおける要素の数は、NHE-LTFに等しい。各空間ストリームには、直交シーケンスが割り当てられる。各トーン(kでインデックスされ、すべてのトーンについて同じ手順である)について、各直交シーケンスは、乗算モジュール41において対応するHE-LTFトーンシーケンスと乗算される。これにより、空間ストリームごとにNHE-LTF個のHE-LTFシンボルが生成される。例えば、Nsts=2、NHE-LTF=2の場合、以下の式3が成り立つ。
【0026】
【数3】
【0027】
複数の空間ストリームを送信するときの意図しないビームフォーミング効果を回避するために各空間ストリームの信号に巡回時間シフトを導入する巡回シフトダイバーシティ(CSD)モジュール42における巡回シフトの後、 すべての空間ストリームからのシンボルは、結合モジュール43において行列乗算によってQ行列と結合され、各送信アンテナによって送信されるシンボルを生成する。Q行列は、送信アンテナ(NTX)45の数と同じ数の行と、空間ストリーム(Nsts)と同じ数の列とを有する。トーンのサブセットごとに異なるQ行列を選択できるが、マッピング手順は変わらないことに留意されたい。トーンごとに、空間ストリーム(Nsts)と同じ数の行とHE-LTFシンボルの数(NHE-LTF)と同じ数の列とを有する行列Aでトレーニングシンボルを表すことができることが分かる。
【0028】
各逆離散フーリエ変換(IDFT)モジュール44および各送信アンテナ45の送信シンボルは、行列乗算QAの結果の行から読みだされる。上述の例に従い、NTX=2であり、各空間ストリームが1つのアンテナに割り当てられる直接空間マッピング、すなわち、Qが単位行列であると仮定すると、以下の式が成立する。
【0029】
【数4】
【0030】
アンテナごとのトレーニングシンボルの送信は、以下のとおりである。
【0031】
【数5】
【0032】
【数6】
【0033】
受信機で推定できるチャネルの最大数は、PHE-LTFの行数、すなわち、WLAN 802.11 ax修正におけるHE-LTFシンボルの数NHE-LTFによって制限される。これは、干渉チャネルなど、空間ストリームの数Nstsよりも多くのチャネルを検出および推定するには、PHE-LTFのサイズを大きくする必要があることを意味する。
【0034】
MIMO処理で干渉信号を抑制するには、受信機が干渉チャネルの推定値を取得する必要がある。これは、所期のSTAが存在しない状態で干渉を観測することを意味する。しかしながら、これはWLAN 802.11 axの現在の実装では不可能である。HE-LTFシンボルの数が、ほとんどの場合、空間ストリームの数と一致するように設計されているからである。さらに、干渉チャネルの良好な推定値を取得するには、いくつかの観測値が必要であり、未使用のHE-LTFシンボルの最大数は1である。
【0035】
本開示は、現在の標準実装と比較してチャネル観測値の数を増加させる新しいサウンディング法を設計することによって、受信機における干渉検出、干渉チャネル推定、および干渉抑制を可能にすることを目的とする。したがって、この目的のために、修正されたHE-LTF信号に基づいて構築される拡張ロングトレーニングフィールド(E-LTF)が想定される。このような修正のためのいくつかの実施形態を以下に説明する。
【0036】
【数7】
【0037】
E-LTF信号を生成するために、いくつのE-LTFシンボルを送信するかが定義されている。WLAN 802.11ax修正では、HE-LTFシンボルの数は、空間ストリームの数にのみ基づいて選択される。一方、本開示によれば、E-LTFシンボルの数は、時間オーバーヘッドとMIMO干渉抑制のパフォーマンスとのバランスを取るために選択される。したがって、提案されたサウンディング法の異なる実施形態に加えて、E-LTFシンボルの数を選択する方法を以下に説明するように開示する。
【0038】
まず、最小数のE-LTFシンボルから始めて、送信できるE-LTFシンボルの境界を評価する。上述のように、Nstsで示される空間ストリームの数と少なくとも同じ数の直交シーケンス(すなわち、図2に示すPHE-LTFに置き換わるPE-LTF行列の行)を使用する。したがって、E-LTFシンボルの最小数は、Nsts×Nstsの最小数のPE-LTF行列の使用をサポートする。また、干渉の推定値を取得するには、空間ストリームの数Nstsよりも少なくとも1つ多いチャネル観測値を受信機で利用可能である必要がある。これらの条件に基づいて、NminE-LTFで示されるE-LTFシンボルの最小数を設定することができる。
【0039】
E-LTFシンボルの最大数について、以下の検討事項が当てはまる。E-LTFシンボルはチャネル推定に使用されるため、コヒーレンス時間と呼ばれる、PPDUの継続時間中、または、ミッドアンブルが送信されるまで、チャネルがほぼ静的である必要がある。これは、信号の統計的測定に基づいて、任意のデバイスで推定できる(例えば、デバイスのBSSへの関連付けプロセスの間に)。したがって、E-LTFシンボルの数は、E-LTFの継続時間がコヒーレンス時間よりも少なくとも1つのOFDMシンボルだけ短くなるような数である。
【0040】
しかしながら、実際には、時間オーバーヘッドを短くし、高スループットおよび/または低レイテンシを達成するために、データシンボルと比較して少数のトレーニングシンボルを有することが望ましい。したがって、NmaxE-LTFで示されるE-LTFの最大数は、時間オーバーヘッドを制限し、スループットおよびレイテンシの所望のパフォーマンスを達成するために、特定の受信機の実装およびチャネル条件に依存する。
【0041】
受信機におけるMIMO抑制技術のパフォーマンスは、特定の実装およびチャネル条件に依存する。したがって、それぞれの特定の状況に応じて、E-LTFシンボルの数を適応させることが望ましい。図4は、通信デバイス間におけるデータ交換ごとにE-LTFシンボルの数を動的に調整する方法100のフローチャートである。ここで、Nmarginは、各データ交換において加算または減算されるE-LTFシンボルの数であり、Δmarginは、干渉指標マージンである。
【0042】
第1のステップ101において、最初のPPDU交換の前に、送信機は、E-LTFシンボルの数を最小値NminE-LTFに設定する。そして、E-LTFシンボルの数は、過去のPPDUにおけるMIMO干渉抑制のパフォーマンスを評価した後、受信機によってなされる通知に基づいて増減することができる。受信機がE-LTFシンボルの数を増やすか減らすかを送信機に提示して、ステップ102において送信機が確認および決定できるように、応答メッセージ(例えば、AckまたはMCSフィードバック)のシグナリングフィールドにおけるインジケータを想定することができる。
【0043】
通知がない場合、時間の経過とともに平均化された干渉インジケータが、設定された最小値にマージンΔmarginを加えた値を上回っていれば(これは、ステップ103で確認される)、ステップ105において、送信機は、E-LTFの数を増やすことができる。このインジケータは、信号対干渉雑音比(SINR)、受信電力レベル、アクティブなBSSの数、および過去の衝突数等のうちの1つ以上に基づいて生成することができる。時間の経過とともに平均化された干渉インジケータが上述の値を超える場合、潜在的な干渉デバイスが多数存在することを意味し、受信機は、干渉抑制のためのE-LTFシンボルをより多く有することで利益を得るであろう。反対に、時間の経過とともに平均化された干渉インジケータが、設定された最小値からマージンΔmarginを引いた値を下回っていれば(これは、ステップ104で確認される)、潜在的な干渉の数が少ないことを意味し、したがって、E-LTFシンボルの数は、時間オーバーヘッドを減らすために、ステップ106において減らされる。
【0044】
上記の条件のいずれも満たされない場合、E-LTFシンボルの数は次の送信まで変更されないままとなる。ステップ102において確認されるように、通知がある場合、E-LTFシンボルの数は、当該通知に従って、ステップ105で増やされるか、ステップ106で減らされる。図4に示す方法をサポートするために、送信機は、例えば、PHYプリアンブルのシグナリングフィールドにインジケータを追加して、PPUDで送信されるE-LTFシンボルの数を受信機に示すことができる。NmaxE-LTF、Δmargin、およびNmarginの値および最小干渉インジケータは、受信機の実装、チャネル条件、目標とするスループット、および/またはレイテンシ制約に依存する。
【0045】
maxE-LTFについて、通常、チャネル推定を含むMIMO通信の経験則では、コヒーレンス時間の50%をトレーニングシンボルに使用する必要があると示唆されていることに留意されたい。したがって、NmaxE-LTFは、コヒーレンス時間の70%を超えてはならず、NmaxE-LTFをコヒーレンス時間の50%に設定すると、良好な結果を得られる。
【0046】
Δmarginについて、このパラメータは、通知がない場合にE-LTFの数が変更される頻度を制御することに留意されたい。ショッピングモールや空港などの非常に動的な環境では、E-LTFの数がより速いペースで適応されるように、この値を小さくすることが望ましい場合がある。反対に、民間のアパートなどのより静的な環境では、E-LTFへの不必要な変更を避けるために、Δmarginを大きな値に設定することが望ましい場合がある。正確な値に関しては、干渉インジケータがSINRまたは電力レベルに基づいている場合、Δmarginの小さな値は約3dB(係数×2を意味する)である一方、大きな値は、10から20dB(すなわち、係数×10から×100)となる。1dB未満の値は(変化を頻繁に起こしすぎるため)実現不可能であり、30dBを越えるとE-LTFはほとんど変化しないと言える。しかしながら、インジケータがBSSの数または過去の再送信の数に基づいて生成されている場合、マージンは異なる値となる。例えば、高い信頼性が望ましい場合、1回の再送信後、または近くにBSSがもう1つあるときは、E-LTFの数を変更する必要がある。一般的な範囲は、干渉インジケータを基準にして与えられる。例えば、マージンの値の範囲は、平均干渉インジケータ値の0.5倍から100倍となる。
【0047】
Δmarginについて、この数は、正の整数である必要があることに留意されたい。整数個のシンボルのみ追加できるからである。値の範囲は、1からNmaxE-LTF-1とすることができ、E-LTFの数を一度に1つ変更することも大きく変更することもできる。予備的な結果から、E-LTFの数を2倍にすると、かなりのゲインが得られることが分かった。したがって、典型的な動作は、Nmarginを以前のE-LTFの数の係数(例えば、0.5倍から2倍)に等しく設定することである。あるいは、IEEE 802.11 axで許容される空間ストリームの最大数は8であるので、典型的な動作を1から16に設定することができる。
【0048】
図5は、第2の通信デバイス20(本明細書において受信機とも呼ばれ、例えば、アクセスポイントAPを表す)と通信するための、本開示の一形態に係る第1の通信デバイス10(本明細書において所期の送信機とも呼ばれ、例えば、ステーションSTAを表す)を示す図である。第1の通信デバイス10は、第2の通信デバイス20とデータを交換(受信および/または送信)することができ、第2の通信デバイス20は、任意選択で、別の通信デバイス(例えば、図5に示されていない別のステーション)とデータを交換してもよい。この通信、特に、この通信に使用される1つ以上のチャネルは、干渉、例えば、第3の通信デバイス30(本明細書において意図しない送信機または干渉送信機とも呼ばれ、例えば、他のステーションを表す)による干渉によって妨害される可能性がある。
【0049】
通信デバイス10、20、および30は、それぞれ、特定の動作を実行するように構成された回路11、21、および31を含む。これら回路は、それぞれのプロセッサもしくはコンピュータによって、すなわち、ハードウェアおよび/またはソフトウェアとして、または、専用のユニットもしくはコンポーネントによって実装されてもよい。例えば、それぞれプログラムされたプロセッサは、それぞれの回路11、21、および31を表してもよい。
【0050】
図6は、本開示の一実施形態に係る第1の通信デバイス10の第1の通信方法200のフローチャートである。第1の通信方法200は、回路11によって実行されてもよい。第1のステップ201において、第2の数の相互直交シーケンスが生成される。第2のステップ202では、各々がペイロードデータを伝送する1つ以上の第3の数の空間ストリームが生成される。第3のステップ203では、第1の数のトレーニングシンボルのそれぞれが、第4の数のトーンセットに分割され、各トレーニングシンボルは、複数のトーンにまたがる。第4のステップ204において、各直交シーケンスが第4の数の部分に分割される。第5のステップ205において、直交シーケンスの対応する部分の要素をトレーニングシンボルのトーンセットにマッピングすることによって、トレーニングフィールドが生成される。第6のステップ206において、空間ストリームのペイロードデータの前および/またはペイロードデータ間にトレーニングフィールドが配置され、第2の通信デバイスによるチャネル推定が可能となる。
【0051】
図7は、本開示の一実施形態に係る第2の通信デバイス20の第2の通信方法300のフローチャートである。第2の通信方法300は、回路21によって実行されてもよい。第1のステップ301において、第1の通信デバイスおよび第2の通信デバイス間の1つ以上のチャネルの1つ以上の所期のチャネル観測値がトレーニングフィールドの少なくとも一部に基づいて取得される。これにより、第1の通信デバイスから受信した1つ以上の第3の数の空間ストリームのペイロードデータの前および/またはペイロードデータ間にトレーニングフィールドが配置され、各空間ストリームは、ペイロードデータを伝送し、第1の数のトレーニングシンボルのそれぞれは、第4の数のトーンセットに分割され、複数のトーンにまたがり、第2の数の相互直交シーケンスは、それぞれ、第4の数の部分に分割され、直交シーケンスの対応する部分の要素は、トレーニングシンボルのトーンセットにマッピングされ、トレーニングフィールドを生成する。第2のステップ302において、上記トレーニングフィールドの他の部分に基づいて、1つ以上の潜在干渉チャネルの干渉チャネル推定を行う。第3のステップ303において、干渉チャネル推定から得られる干渉チャネル推定情報に基づいて、干渉抑制を行う。
【0052】
2xE-LTFおよび4xE-LTF信号の場合、E-LTFシンボルの持続時間が1xE-LTFと比較して、それぞれ、2倍および4倍であり、その結果、空でないトーンの数は、それぞれ、2倍および4倍になる。これは、空でないトーン間の周波数空間が、それぞれ、2および4で分割されることを意味する。無線チャネルは、伝播環境のマルチパス特性に応じて周波数とともに変化する。ただし、隣接トーンにおいて経験されるチャネルは、高度に相関する傾向がある。これは、隣接トーンから観測値を組み合わせてチャネル推定を実行できることを意味する。
【0053】
空間ストリームを推定するための直交シーケンスの数は、PE-LTF行列のサイズによって与えられる。WLANの標準動作では、PE-LTF行列のサイズは、E-LTFシンボルの数に等しい。一実施形態では、E-LTFシンボルの数よりも大きい次元を有するPE-LTF行列を有し、その行を空でない隣接トーンの周囲にマッピングすることが提案される。これにより、より多くの直交シーケンス(すなわち、PE-LTF行列の行)が生成され、所期のSTAおよび干渉機のチャネル推定のためのより多くの観測値が得られる。シーケンスは空でないトーンの周囲にマッピングされることが好ましいため、空でないトーンの数および位置は変化しない。マッピング技術を図8および図9に示す。図8は、4つの要素からなる(1行当たり1つの)4つの直交シーケンスを有する4×4のサイズを有するPE-LTF行列を示す。直交シーケンスは、2つのトレーニングシンボルを有するサウンディングフィールドを示す図9に示すように、2つのE-LTFシンボル(すなわち、NE-LTF=2)および2つの隣接する空でないデータトーン(Nwt=2として示す)にマッピングされる。この例では、送信持続時間は、2つのE-LTFシンボルに相当する。また、所期の送信機からの3つの空間ストリームは、3つの直交シーケンスに割り当てられる。したがって、干渉チャネルを推定するために使用できる未使用の直交シーケンスが1つある。
【0054】
【数8】
【0055】
【数9】
【0056】
【数10】
【0057】
マッピングする隣接する空でないデータトーンの数(Nwt)を決定するために、チャネル特性を考慮することが重要である。隣接トーンをマッピングする主な特徴は、直交シーケンスごとに1つのチャネル推定値しか取得できないことである。これは、いくつかの隣接する空でないトーンをマッピングする場合、そのチャネル推定値は、同じ観測値から得られることを意味する。したがって、チャネルがトーン間で大幅に変化する場合、マッピング技術は、不十分なチャネル推定値を与える可能性がある。
【0058】
送信機がどれだけ多くの隣接トーンを一緒にマッピングできるかを決定するために、トーン間のチャネルがどの程度相関しているかを推定してもよい。これは、応答PPDUメッセージ(例えば、送信可(CTS)、Ack、MCSフィードバック)内のLTFを調べることによって行うことができる。以前の送信から利用可能な応答メッセージがない場合、送信機は、干渉の初期測定値(例えば、平均受信電力のレベルおよび/またはデバイス付近のアクティブなBSSの数、および/またはSINR)に基づいて選択された第1のPPDUにおけるデフォルトマッピングを使用することができる。ただし、チャネル自体は急速に変化する一方、トーン間の相関は、より遅いペースで変化するため、送信機は、このトーン間の相関をより長期間にわたって追跡することができる。
【0059】
トーン間のチャネル相関の測定に基づいて、送信機は、どれだけ多くのトーンをマッピングできるかを決定することができる。図10は、典型的なWLANチャネルモデルのトーン間の自己相関関数の大きさおよび位相の一例を示す図である。図10Aおよび図10Bは、256個のトーンすべてを有する20MHzチャネルのランダムな実現に対するトーン自己相関の大きさおよび位相を示す図である。図10Cおよび図10Dは、最初の16個のトーンのみの大きさおよび位相を示す図である。
【0060】
【数11】
【0061】
マッピングされたトーンの正確な数は、PPDUのプリアンブル内のPHYシグナリングフィールドのうちの1つにおける受信機に示すことができる。送信機によって各PPDUが送信された後、受信機は、干渉抑制方法(例えば、SINRレベルおよび/または復号化されたシンボルごとの対数尤度比の値)の有効性を評価し、次のPPDUで使用される他の数のマッピングされたトーンを提示することができる。応答メッセージ(例えば、Ack、MCSフィードバック)のシグナリングフィールドにおけるインジケータは、受信機が他の数のマッピングされたトーンを送信機に提示できるように想定できる。マッピングされたトーンの数の選択は、受信機実装およびチャネル条件に依存する。したがって、E-LTFシンボルの数を選択する図4に示す処理は、図11に示すようにマッピングされたトーンの数を選択するように適合させることができる。
【0062】
図11は、マッピングされた隣接する空でないトーンの数を選択する方法600のフローチャートである。NT-marginは、各データ交換で加算または減算されるマッピングされたトーンの数である。最初のPPDU交換の前に、第1のステップ601において、送信機は、マッピングされた隣接トーンの数を「2」に設定する。これは、規格と比較してより長い直交シーケンスをサポートするトーンマッピングの最小値である。その後、ステップ602において、マッピングされた隣接トーンの数は、チャネルによって許容される最大値Nmax-Wtと比較される。
【0063】
その後、マッピングされた隣接トーンの数は、過去のPPDUにおけるMIMO干渉抑制の性能を評価した後に受信機によってなされた通知(ステップ603で確認)に基づいて増加(ステップ604)または減少(ステップ605)させることができる。応答メッセージ(例えば、Ack、MCSフィードバック)のシグナリングフィールドにおけるインジケータは、受信機がマッピングされた隣接トーンの数を増加させるか減少させるかを送信機に提示できるように想定できる。
【0064】
【数12】
【0065】
HE-LTF行列におけるHE-LTFシーケンスおよび直交シーケンスの設計は、個別に行われる。PHE-LTF行列は、行が直交している必要があり、その設計は、異なる空間ストリームからのチャネルの分離を容易にするために行われる。HE-LTFシーケンスは、PAPRを低減するように設計されており、標準実装では、空間ストリームに割り当てられた同じ直交シーケンス(すなわち、PHE-LTF行列の行)は、空でないトーンすべてに対して複製され、その後、HE-LTFシーケンスで乗算される(例えば、図3に示すように、k番目のトーンにおけるすべてのHE-LTFシンボルは、同じHELTF値が乗算される)。これにより、トーン値の変動がHE-LTFシーケンスによってのみ決定され、PAPRが許容レベル内に収まることが保証される。
【0066】
E-LTF行列の直交シーケンスを隣接する空でないトーン間でマッピングする場合、E-LTFシーケンスが変更され、PAPR性能が変化する場合がある。例えば、第2のE-LTFシンボルのE-LTFシーケンスが変更される。
【0067】
E-LTFシーケンスの構造の変更を回避したり、PAPRに対するこの影響を軽減したりするために、PE-LTF行列をアダマール法に基づいてブロックで形成することができる。PE-LTF行列の設計では、行と列にわたって複製されるブロックが作成される(場合によっては、マイナスの乗算が行われる)。これは、各ブロックの行にはNwt回繰り返される列値が含まれ、マッピングが行われてもE-LTFシーケンスは変更されないことを意味する。したがって、空間ストリームの数がE-LTFシンボルの数より少ない場合、PAPR性能は変化しない。
【0068】
【数13】
【0069】
したがって、上述の実施形態によれば、最初に、以下のパラメータが選択される。E-LTFトーンシーケンス(ELTF)、E-LTFシンボルの数(NE-LTF)(「第1の数」)、および空間ストリームの数(Nsts)(「第3の数」)。直交シーケンスは、相互に直交する行から構成される二乗PE-LTF行列(すなわち、行と列の数が等しい行列)の行として取得される。直交シーケンスは、いくつかの(「第4の数」の)部分に分割され、異なるトーンセットの異なる周波数トーンにマッピングされる。部分の数は、マッピングされたトーンの数Nwt(「第4の数」)によって与えられる。各部分における要素の数は、NE-LTFである。各直交シーケンスにおける要素の総数(「第2の数」)は、Ncol-PE-LTF=Nwt・NE-LTFに等しい。各空間ストリームには、直交シーケンスが割り当てられる。空間ストリームよりも多くの直交シーケンスが存在する。すなわち、Nsts+1≦Ncol-PE-LTFである。
【0070】
開示されたマッピング方法の例示的な実施では、直交シーケンスの各部分がトーンの各セットに割り当てられるように、Nwtセットのトーンが定義される。直交シーケンスの各部分には、NE-LTF個のE-LTFシンボルのトーンの対応するセットが乗算される。
【0071】
一例では、Nsts=2、NE-LTF=2、Nwt=2、Ncol-PE-LTF=Nwt・NE-LTF=4である。偶数トーンおよび奇数トーンとして定義されるNwt=2セットのトーンがある。奇数トーンの部分は、例えば、図8に示すPE-LTF行列の最初の2列であり、偶数トーンの部分は、例えば、図8に示すPE-LTF行列の最後の2列であってもよい。奇数トーン(kでインデックス付けされる)の場合、以下の式14が成り立つ。
【0072】
【数14】
【0073】
偶数トーン(k+1でインデックス付けされる)の場合、以下の式15が成り立つ。
【0074】
【数15】
【0075】
他の例では、Nsts=2、NE-LTF=1、Nwt=4、Ncol-PE-LTF=Nwt・NE-LTF=4である。モジュロ演算で定義されるNwt=4セットのトーンがある。
【0076】
【数16】
【0077】
トーンセット1の部分は、例えば、図8に示すPE-LTF行列の最初の列であってもよく、トーンセット1の部分は、例えば、PE-LTF行列の最初の列であってもよい。トーンセット1におけるkについて、以下の式17が成り立つ。
【0078】
【数17】
【0079】
トーンセット2におけるkについて、以下の式18が成り立つ。
【0080】
【数18】
【0081】
トーンセット3におけるkについて、以下の式19が成り立つ。
【0082】
【数19】
【0083】
トーンセット4におけるkについて、以下の式20が成り立つ。
【0084】
【数20】
【0085】
したがって、本開示によれば、各空間ストリームは、トレーニングシンボルにマッピングされた特定の直交シーケンスによって識別される。複数の空間ストリームが存在する可能性があるため、トレーニングシンボルで特定の直交シーケンスをマッピングした後、空間ストリームごとに1つずつトレーニングシンボルの特定のセットが存在する。トレーニングシンボルの既に特定されているセットは、その後、空間ストリームごとのペイロードデータとともに送信アンテナにマッピングされる。
【0086】
各直交シーケンスの異なる部分は、異なるトーンにマッピングされ、完全な直交シーケンスは、常に、隣接トーンにマッピングされる必要がある。例えば、直交シーケンスが4つの部分に分割されている場合、(予約されていない)4つの隣接トーンの任意のセットには、すべての部分がマッピングされている必要がある。
【0087】
直交シーケンスのすべての部分を含む隣接トーンの任意のグループは、同様のチャネル実現を経験する必要がある。したがって、部分の最大数(本明細書において、第5の数とも呼ばれる)を決定するには、隣接トーン間のチャネルがどの程度類似しているかをチェックしてもよく、これは、トーン間のチャネル相関を測定することによって行われてもよい。例えば、チャネル相関が測定され、4つの隣接トーン間においてチャネルがほとんど変化しない場合、直交シーケンスを4つの部分に分割してもよい。ただし、8つの隣接トーン間でチャネルが大幅に変化する場合、8つの部分を使用しないことが望ましい。
【0088】
トーン間のチャネル相関は、トーンが離れるについて徐々に変化する。したがって、上記の例のように、4つの隣接トーン間においてチャネルがほとんど変化しない場合、マッピングされたトーンの最適な数は、例えば、2、3、または4とすることができる。その後、おそらく、5または6トーンの後、相関が減少し始め、8トーンでは、チャネル創刊が低すぎる可能性がある。したがって、マッピングされたトーンの最大数(「第5の数」)は、例えば、4、5、または6トーンに設定されてもよい。
【0089】
第5の数は、直交シーケンスの異なる部分をマッピングできる隣接トーンの最大数を表す。すなわち、第5の数は、第4の数が取り得る最大値であってもよい。直交シーケンスが4つの部分に分割された場合、各トーンセットは、予約トーンを含まない場合、4つの部分すべてを含むことになる。
【0090】
隣接トーンは、周波数が互いに隣接するトーンを指す。OFDMシンボルは、多くのトーンで構成され、それぞれ周波数値を有する。トーンは、一連の整数によってインデックス付けされる場合が多い。例えば、256個のトーンは、-127から+128(0を含む)までインデックス付けされる。したがって、4つの隣接トーンのグループは、[9 10 11 12]、[-23 -22 -21 -20]、[31 32 33 34]等のセットを参照してもよい。
【0091】
図12は、本開示に係る送信機で行われる主な動作をまとめたフローチャート400を示す。第1のステップ401では、いくつかのタイプ、例えば、IEEE 802.11ax修正で定義される3つのタイプ(1xHE-LTF、2xHE-LTF、および4xHE-LTF)から、E-LTFシーケンスが定義される。第2のステップ402では、E-LTFシンボルの数(NE-LTF、第1の数を表す)が、空間ストリームの数および干渉条件に基づいて定義される。第3のステップ403では、送信する空間ストリームごとのNE-LTF個のトレーニングシンボル(それぞれ多くのトーンにまたがる)が生成される。第4のステップ404では、各空間ストリームのシンボルが、IEEE 802.11ax規格修正で定義されているQ行列によって定義される空間マッピングを介して送信アンテナにマッピングされる。第5のステップ405において、OFDM変調は、各E-LTFシンボルのすべての周波数トーンを組み合わせる時間領域信号を作成することを含む標準的な手順である。第6のステップ406では、各アンテナに割り当てられたデジタル信号がアナログ信号に変換され、最終的に無線周波数(RF)波を介して送信される波形にマッピングされる。
【0092】
本開示に従って提案されるように、より多くの直交シーケンスを追加することにより、より多くの空間ストリームを送信することも可能となり、例えば、IEEE802.11be用の16個の空間ストリームをサポートすることができる。さらに、オーバーラップBSSs(OBSS)の場合、同時にPPDUを開始するためにBSS間に整合性があると、相互干渉を軽減できるようにBSSが異なるシーケンスを使用するように直交シーケンスを割り当てることができる。
【0093】
以下では、干渉チャネル推定および干渉チャネル抑制に関する受信機の態様について説明する。
【0094】
PPDUのプリアンブルは、最新の規格修正に対応する対応するシグナリングフィールドに加えて、いくつかのレガシートレーニングおよびシグナリングフィールドを含む。これは、E-LTFシンボルを受信する前に、受信機が同期を確立し、E-LTFシンボルを復号化するために必要なすべてのパラメータの復号化に成功することを意味する。
【0095】
【数21】
【0096】
【数22】
【0097】
【数23】
【0098】
【数24】
【0099】
【数25】
【0100】
【数26】
【0101】
他の変形例では、所期の送信機のチャネル推定値を減算することで、所期のチャネルを削除する。この動作により、以下の式27が得られる。
【0102】
【数27】
【0103】
【数28】
【0104】
【数29】
【0105】
【数30】
【0106】
受信機によって適用されるデマッピング操作は、以下のように(一例として)機能することができる。-3から4(すなわち、[-3 -2 -1 0 1 2 3 4])までの番号が付けられた8つのトーンを想定する。ここで、最初、最後、および中間のトーンは予約されている。すなわち、-3、0、および4でインデックス付けされたトーンは使用されない。トーンセットの数(第4の数)は2であり、直交シーケンスの部分の数と等しい。送信機側でなされるマッピングは、奇数トーンが部分1であり、偶数トーンが部分2を有するためのものであった。
【0107】
直交シーケンスの部分を有するトーンインデックスを参照するためのテーブルは以下のとおりである。
トーンインデックス:[-3 -2 -1 0 1 2 3 4]
マッピングされた部分:[1 2 1 2 1 2 1 2]
予約トーンは送信されないため、これらのトーンのマッピングは重要でない。シンボルの数(第1の数)は2であるため、直交シーケンスの数(第2の数)は4(第1の数と第4の数の積)であり、各シーケンスも、4つの要素を有する。
【0108】
受信機でのデマッピングは、各トーンのチャネル観測値を取得するためにどのトーンおよびシンボルを使用するかを見つける必要がある。各トーンインデックスについてこのようなチャネル観測値を取得するためのデマッピングの詳細は、以下のとおりである(予約トーンは処理されない点に留意されたい)。トーンインデックス-2のチャネル観測値の場合、両方のシンボルのトーン-1から部分1を抽出し、両方のシンボルのトーン-2から部分2を抽出する。トーンインデックス-1のチャネル観測値の場合、両方のシンボルのトーン-1から部分1を抽出し、両方のシンボルのトーン-2から部分2を抽出する。トーンインデックス1のチャネル観測値の場合、両方のシンボルのトーン1から部分1を抽出し、両方のシンボルのトーン2から部分2を抽出する。トーンインデックス2のチャネル観測値の場合、両方のシンボルのトーン1から部分1を抽出し、両方のシンボルのトーン2から部分2を抽出する。トーンインデックス3のチャネル観測値の場合、両方のシンボルのトーン3から部分1を抽出し、両方のシンボルのトーン2から部分2を抽出する。各トーンのチャネル観測値は、トーンごとに2つのシンボルから取得された4つのサンプル(直交シーケンスの要素と同じサイズ)で構成される(2つのトーンを用いてデマッピングされ、この場合、第4の数は2である)。
【0109】
2つの部分(1つは所期のチャネル推定用、もう1つは干渉チャネル推定用)を抽出するために、以前にデマッピングされたトーンごとのチャネル観測値(この例では、4つのサンプル)を以下のように処理する。所期のチャネル推定用の部分は、各空間ストリームによって送信された直交シーケンスでチャネル観測値を投影することによって抽出される。干渉チャネル推定用の部分は、送信されなかった直交シーケンス(未使用のまま残された直交シーケンス)でチャネル観測値を投影することによって抽出される。変形例では、所期のチャネル推定値を使用して、チャネル観測値から所期の信号を差し引くことにより、干渉チャネル推定を改善する。
【0110】
本開示によれば、直交シーケンスの数(第2の数)は、空間ストリームの数(第3の数)よりも大きいことが想定される。これにより、干渉チャネル推定に使用できる未使用の直交シーケンスが提供される。
【0111】
したがって、本開示によれば、送信トレーニングシーケンスは、特定の直交シーケンスを含む。送信トレーニングシーケンスはトレーニングシンボルにマッピングされ、その結果、トレーニングフィールドが形成される。各空間ストリームは、トレーニングシンボルにマッピングされた特定の直交シーケンスにより識別される。複数の空間ストリームが存在する可能性があるため、トレーニングシンボルで特定の直交シーケンスをマッピングした後、空間ストリームごとに1つずつ、トレーニングシンボルの特定のセットが存在する。トレーニングシンボルの既に特定されているセットは、その後、空間ストリームごとのペイロードデータとともに送信アンテナにマッピングされる。
【0112】
本開示は、以下の利点のうち1つ以上を得ることができる。干渉に対するより多くのチャネル観測値を追加すると、受信機は干渉チャネルを推定することができ、MIMO干渉抑制を行うことができる。これにより、通信の堅牢性が向上し、再送信が回避され、レイテンシが短縮される。より多くの直交シーケンスを追加すると、さらに、同じ時間オーバーヘッドでより多くの空間ストリームのチャネルサウンディングが可能となり、BSS間の直交シーケンス割り当てを調整することにより、OBSS間の干渉を低減することができる。
【0113】
以上のように、上述の説明は、本開示の例示的な実施形態を開示し、かつ、説明するものである。当業者には理解されるように、本開示は、その精神または本質的な特徴から逸脱することなく、他の特定の形態で実施されてもよい。したがって、本開示は、例示を目的とするものであり、本開示の特許請求の範囲およびその他の請求項を限定するものではない。本開示は、本明細書の教示において容易に認識できる変形例を含めて、発明の主題が一般に提供されないように、上述の特許請求の範囲の用語の範囲を部分的に定義する。
【0114】
特許請求の範囲において、「含む(comprising)」という用語は、他の要素またはステップを排除するものではなく、不定冠詞「a」または「an」は、複数を排除するものではない。単一の要素または他のユニットが、特許請求の範囲に記載されているいくつかの項目の機能を果たしてもよい。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これら手段の組み合わせを有利に使用できないことを示すものではない。
【0115】
本開示の実施形態が、少なくとも部分的にソフトウェア制御のデータ処理装置によって実施されるものとして説明してきた限りにおいて、そのようなソフトウェアを保持する光ディスク、磁気ディスク、半導体メモリ等の非一時的な機械可読媒体も、本開示の実施形態を表すと考えられることが理解されよう。また、そのようなソフトウェアは、インターネットまたは他の有線もしくは無線電気通信システム等を介する等、他の形式で配布されてもよい。
【0116】
開示されたデバイス、装置、およびシステムの要素は、対応するハードウェアおよび/またはソフトウェア要素、例えば、適切な回路によって実装されてもよい。回路は、従来の回路要素、特定用途向け集積回路等の集積回路、標準集積回路、特定用途向け標準製品、フィールドプログラマブルゲートアレイ等の電子部品の構造的な集合体である。また、回路は、ソフトウェアコードに従ってプログラムされた、あるいは、構成された中央処理装置、グラフィックス処理装置、およびマイクロプロセッサを含む。回路は、ソフトウェアを実行する上記のハードウェアを含むが、純粋なソフトウェアを含まない。回路は、単一のデバイスもしくはユニット、複数のデバイスもしくはユニット、(複数の)チップセット、または(複数の)プロセッサによって実装されてもよい。
【0117】
以下に、開示された主題のさらなる実施形態のリストを示す。
1. 第2の通信デバイスにデータを送信するように構成された第1の通信デバイスであって、
第2の数の相互直交シーケンスを生成し、
各々がペイロードデータを伝送する1つ以上の第3の数の空間ストリームを生成し、
各々が複数のトーンにまたがる第1の数のトレーニングシンボルのそれぞれを第4の数のトーンセットに分割し、
各直交シーケンスを第4の数の部分に分割し、
上記直交シーケンスの対応する部分の要素を上記トレーニングシンボルの上記トーンセットにマッピングすることによって、トレーニングフィールドを生成し、
上記トレーニングフィールドを上記空間ストリームの上記ペイロードデータの前および/または上記ペイロードデータ間に配置して、上記第2の通信デバイスによるチャネル推定を可能にする
ように構成された回路を具備する
第1の通信デバイス。
2. 上述のいずれかの実施形態において定義された第1の通信デバイスであって、
上記第1の数と上記第4の数との積が、 上記第3の数以上である
第1の通信デバイス。
3. 上述のいずれかの実施形態において定義された第1の通信デバイスであって、
各直交シーケンスの要素の数は、上記第1の数と上記第4の数との積に等しい
第1の通信デバイス。
4. 上述のいずれかの実施形態において定義された第1の通信デバイスであって、
上記回路は、各直交シーケンスの第1の部分を上記トレーニングシンボルの第1のトーンセットにマッピングし、各直交シーケンスの第2の部分を上記トレーニングシンボルの第2のトーンセットにマッピングするように構成される
第1の通信デバイス。
5. 上述のいずれかの実施形態において定義された第1の通信デバイスであって、
上記回路は、各直交シーケンスの第1の部分を上記トレーニングシンボルの奇数番号のトーンを含む第1のトーンセットにマッピングし、各直交シーケンスの第2の部分を上記トレーニングシンボルの偶数番号のトーンを含む第2のトーンセットにマッピングするように構成される
第1の通信デバイス。
6. 上述のいずれかの実施形態において定義された第1の通信デバイスであって、
上記回路は、直交シーケンスの第1の部分の要素および同じ直交シーケンスの第2の部分の要素を上記トレーニングシンボルの隣接トーンにマッピングするように構成される
第1の通信デバイス。
7. 上述のいずれかの実施形態において定義された第1の通信デバイスであって、
上記回路は、トーン間のチャネル相関を測定することによって直交シーケンスの部分をマッピングできる隣接トーンのグループを形成する第5の数の隣接トーンを決定するように構成される
第1の通信デバイス。
8. 上述のいずれかの実施形態において定義された第1の通信デバイスであって、
上記回路は、上記第2の通信デバイスからシグナリング情報を取得するように構成され、上記シグナリング情報は、直交シーケンスの部分をマッピングできる隣接トーンの第5の数のグループを増加させるべきか減少すべきかを示し、かつ/あるいは、上記第1の数および/または上記第4の数を示す情報を含む
第1の通信デバイス。
9. 上述のいずれかの実施形態において定義された第1の通信デバイスであって、
上記回路は、特定の直交シーケンスによって空間ストリームを識別するように構成され、上記トレーニングフィールドは、特定の直交シーケンスでマッピングされたトレーニングシンボルの第3の数の特定のセットを含む
第1の通信デバイス。
10. 実施形態9において定義された第1の通信デバイスであって、
上記回路は、トレーニングシンボルおよび各空間ストリームのペイロードデータの対応するセットを多入力多出力(MIMO)技術を使用して直接または間接的に送信アンテナにマッピングするように構成される
第1の通信デバイス。
11. 第1の通信デバイスからデータを受信するように構成された第2の通信デバイスであって、
トレーニングフィールドの少なくとも一部に基づいて、上記第1の通信デバイスおよび上記第2の通信デバイス間の1つ以上のチャネルの1つ以上の所期のチャネル観測値を取得し、上記トレーニングフィールドは、上記第1の通信デバイスから受信した1つ以上の第3の数の空間ストリームのペイロードデータの前および/または上記ペイロードデータ間に配置され、各空間ストリームは、ペイロードデータを伝送し、第1の数のトレーニングシンボルのそれぞれは、第4の数のトーンセットに分割され、複数のトーンにまたがり、第2の数の相互直交シーケンスは、それぞれ、第4の数の部分に分割され、直交シーケンスの対応する部分の要素は、トレーニングシンボルのトーンセットにマッピングされ、トレーニングフィールドを生成し、
上記トレーニングフィールドの他の部分に基づいて上記1つ以上の潜在干渉チャネルの干渉チャネル推定を行い、
上記干渉チャネル推定から得られる干渉チャネル推定情報に基づいて、干渉抑制を行う
ように構成された回路を具備する
第2の通信デバイス。
12. 実施形態11において定義された第2の通信デバイスであって、
上記回路は、上記トレーニングシンボルの第1のトーンセットから上記直交シーケンスの第1の部分をデマッピングし、上記トレーニングシンボルの第2のトーンセットから上記直交シーケンスの第2の部分をデマッピングして、上記所期のチャネル観測値および任意選択で干渉チャネル観測値を取得するように構成される
第2の通信デバイス。
13. 実施形態11または12において定義された第2の通信デバイスであって、
上記回路は、上記第2の通信デバイスからシグナリング情報を送信するように構成され、上記シグナリング情報は、直交シーケンスの部分をマッピングできる隣接トーンの第5の数のグループを増加させるべきか減少すべきかを示し、かつ/あるいは、上記第1の数および/または上記第4の数を示す情報を含む
第2の通信デバイス。
14. 実施形態11から13のいずれか1つにおいて定義された第2の通信デバイスであって、
上記回路は、上記トレーニングフィールドの他の部分に基づいて、1つ以上の潜在干渉チャネルの1つ以上の干渉チャネル観測値を取得するように構成される
第2の通信デバイス。
15. 実施形態11から14のいずれか1つにおいて定義された第2の通信デバイスであって、
上記回路は、上記取得した所期のチャネル観測値に基づいて、上記1つ以上のチャネルの所期のチャネル推定を行い、かつ/あるいは、上記受信した空間ストリームからデータを復号するように構成される
第2の通信デバイス。
16. 実施形態11から15のいずれか1つにおいて定義された第2の通信デバイスであって、
上記回路は、干渉チャネル推定値を使用して、干渉が発生する空間方向を記述する干渉チャネルの共分散行列の推定値を計算し、空間フィルタを生成して、上記干渉の共分散行列が及ぼす上記空間方向が抑制されるように受信アンテナからの信号を結合するように構成される
第2の通信デバイス。
17. 実施形態11から16のいずれか1つにおいて定義された第2の通信デバイスであって、
上記回路は、各空間ストリームによって送信された直交シーケンスでチャネル観測値を投影することによって、所期のチャネル推定に使用される上記トレーニングフィールドの上記第1の部分を抽出し、かつ/あるいは、送信されなかった上記直交シーケンスで上記チャネル観測値を投影することによって、干渉チャネル推定に使用される上記トレーニングフィールドの上記他の部分を抽出するように構成される
第2の通信デバイス。
18. 第2の通信デバイスにデータを送信する第1の通信方法であって、
第2の数の相互直交シーケンスを生成し、
各々がペイロードデータを伝送する1つ以上の第3の数の空間ストリームを生成し、
各々が複数のトーンにまたがる第1の数のトレーニングシンボルのそれぞれを第4の数のトーンセットに分割し、
各直交シーケンスを第4の数の部分に分割し、
上記直交シーケンスの対応する部分の要素を上記トレーニングシンボルの上記トーンセットにマッピングすることによって、トレーニングフィールドを生成し、
上記トレーニングフィールドを上記空間ストリームの上記ペイロードデータの前および/または上記ペイロードデータ間に配置して、上記第2の通信デバイスによるチャネル推定を可能にする
第1の通信方法。
19. 第1の通信デバイスからデータを受信する第2の通信方法であって、
上記第1の通信デバイスおよび上記第2の通信デバイス間の1つ以上のチャネルの1つ以上の所期のチャネル観測値を取得し、上記トレーニングフィールドは、トレーニングフィールドの少なくとも一部に基づいて、上記第1の通信デバイスから受信した1つ以上の第3の数の空間ストリームのペイロードデータの前および/または上記ペイロードデータ間に配置され、各空間ストリームは、ペイロードデータを伝送し、第1の数のトレーニングシンボルのそれぞれは、第4の数のトーンセットに分割され、複数のトーンにまたがり、第2の数の相互直交シーケンスは、それぞれ、第4の数の部分に分割され、直交シーケンスの対応する部分の要素は、トレーニングシンボルのトーンセットにマッピングされ、トレーニングフィールドを生成し、
上記トレーニングフィールドの他の部分に基づいて上記1つ以上の潜在干渉チャネルの干渉チャネル推定を行い、
上記干渉チャネル推定から得られる干渉チャネル推定情報に基づいて、干渉抑制を行う
第2の通信方法。
20. プロセッサによって実行されるときに、請求項18または19に記載の第2の通信方法を実行させるコンピュータプログラム製品を記憶する非一時的コンピュータ可読記録媒体。
21. コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行されるときに、実施形態18または19に記載の第2の通信方法のステップを上記コンピュータに実行させるためのプログラムコード手段を含むコンピュータプログラム。
図1
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【国際調査報告】