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特表2024-504082低温応用のためのクライオクーリングシステムの非同期駆動
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-30
(54)【発明の名称】低温応用のためのクライオクーリングシステムの非同期駆動
(51)【国際特許分類】
   F25B 9/02 20060101AFI20240123BHJP
【FI】
F25B9/02 J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541602
(86)(22)【出願日】2022-01-05
(85)【翻訳文提出日】2023-07-07
(86)【国際出願番号】 EP2022050162
(87)【国際公開番号】W WO2022148787
(87)【国際公開日】2022-07-14
(31)【優先権主張番号】17/145,010
(32)【優先日】2021-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【弁理士】
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(74)【復代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョウ、ジェリー
(72)【発明者】
【氏名】グマン、パトリック
(57)【要約】
極低温環境のための機械的振動管理を容易にする技法が提供される。1つの例では、システムは、メモリに記憶されたコンピュータ実行可能コンポーネントを実行するプロセッサを備えることができる。コンピュータ実行可能コンポーネントは、線形化コンポーネント及び駆動コンポーネントを含むことができる。線形化コンポーネントは、非線形駆動信号を示すデータを線形駆動信号に変換することができる。駆動コンポーネントは、線形駆動信号を使用してクライオクーラのコンプレッサの動作を動的に制御することができる。クライオクーラは、極低温環境のための冷却能力を提供することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリに記憶された以下のコンピュータ実行可能コンポーネント:
非線形駆動信号を示すデータを線形駆動信号に変換する線形化コンポーネント;及び
前記線形駆動信号を使用してクライオクーラのコンプレッサの動作を動的に制御する駆動コンポーネント
を実行するプロセッサ
を備え、前記クライオクーラは、極低温環境のための冷却能力を提供する、システム。
【請求項2】
前記極低温環境に関連付けられた機械的振動を示すセンサデータを使用して生成されたフィードバック信号に基づいて、追加のクライオクーラに関連付けられた駆動信号の対応する位相に対して前記線形駆動信号の位相を修正する非同期コンポーネントを更に備え、ここで、前記駆動信号は、前記極低温環境のための冷却能力を提供する前記追加のクライオクーラの対応するコンプレッサの動作を制御する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記非同期コンポーネントは、前記コンプレッサ及び前記対応するコンプレッサの非同期動作を容易にするように前記線形駆動信号の前記位相を修正する、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記極低温環境に関連付けられた機械的振動を示すセンサデータを使用してフィードバック信号を生成する監視コンポーネント
を更に備える、先行する請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記監視コンポーネントは、前記クライオクーラの動作パラメータを評価することによって前記クライオクーラの動作状態を識別する、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記動作パラメータは:冷媒の低圧レベル、前記冷媒の高圧レベル、圧力差、コンプレッサ温度、コールドヘッド温度、コールドヘッド振動レベル、又はこれらの組み合わせを含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記駆動コンポーネントは、前記クライオクーラの動作状態が健全動作状態から故障動作状態に遷移すると、前記コンプレッサの動作を終了するように前記線形駆動信号を修正する、先行する請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
プロセッサに動作可能に結合されたシステムによって、非線形駆動信号を示すデータを線形駆動信号に変換する段階;及び
前記システムによって、前記線形駆動信号を使用してクライオクーラのコンプレッサの動作を動的に制御する段階
を備え、前記クライオクーラは、極低温環境のための冷却能力を提供する、コンピュータ実装方法。
【請求項9】
前記クライオクーラは、前記極低温環境のための冷却能力を提供する複数のクライオクーラの中のものであり、前記システムは、前記極低温環境に関連付けられた機械的振動を削減することを容易にするために、前記複数のクライオクーラのそれぞれのコンプレッサの動作を一元的に調整する、請求項8に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項10】
前記システムによって、前記極低温環境に関連付けられた機械的振動を示すセンサデータを使用して生成されたフィードバック信号に基づいて、追加のクライオクーラに関連付けられた駆動信号の対応する位相に対して前記線形駆動信号の位相を修正する段階
を更に備え、ここで、前記駆動信号は、前記極低温環境のための冷却能力を提供する前記追加のクライオクーラの対応するコンプレッサの動作を制御する、請求項8~9のいずれか1項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項11】
前記線形駆動信号の前記位相を修正する段階は、前記コンプレッサ及び前記対応するコンプレッサの非同期動作を容易にする、請求項10に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項12】
前記線形駆動信号の前記位相を修正する段階は、前記クライオクーラによって生成される機械的振動の管理を容易にする、請求項10~11のいずれか1項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項13】
前記システムによって、前記極低温環境に関連付けられた機械的振動を示すセンサデータを使用してフィードバック信号を生成する段階
を更に備える、請求項8~12のいずれか1項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項14】
前記システムによって、前記クライオクーラの動作パラメータを評価することによって前記クライオクーラの動作状態を識別する段階
を更に備える、請求項8~13のいずれか1項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項15】
前記動作パラメータは:冷媒の低圧レベル、前記冷媒の高圧レベル、圧力差、コンプレッサ温度、コールドヘッド温度、コールドヘッド振動レベル、又はこれらの組み合わせを含む、請求項14に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項16】
前記システムによって、前記クライオクーラの動作状態が健全動作状態から故障動作状態に遷移すると、前記コンプレッサの動作を終了するように前記線形駆動信号を修正する段階
を更に備える、請求項8~15のいずれか1項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項17】
プログラム命令が具現化されたコンピュータ可読記憶媒体を備えるコンピュータプログラム製品であって、前記プログラム命令は、プロセッサに:
前記プロセッサによって、非線形駆動信号を示すデータを線形駆動信号に変換する手順;及び
前記プロセッサによって、前記線形駆動信号を使用してクライオクーラのコンプレッサの動作を動的に制御する手順
を行わせるために前記プロセッサによって実行可能であり、前記クライオクーラは、極低温環境のための冷却能力を提供する、コンピュータプログラム製品。
【請求項18】
前記プログラム命令は、前記プロセッサに:
前記プロセッサによって、前記極低温環境に関連付けられた機械的振動を示すセンサデータを使用して生成されたフィードバック信号に基づいて、追加のクライオクーラに関連付けられた駆動信号の対応する位相に対して前記線形駆動信号の位相を修正する手順
を更に行わせるために前記プロセッサによって実行可能であり、前記駆動信号は、前記極低温環境のための冷却能力を提供する前記追加のクライオクーラの対応するコンプレッサの動作を制御する、請求項17に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項19】
前記線形駆動信号の前記位相を修正する手順は、前記コンプレッサ及び前記対応するコンプレッサの非同期動作を容易にする、請求項18に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項20】
前記プログラム命令は、前記プロセッサに:
前記プロセッサによって、前記クライオクーラの動作状態が健全動作状態から故障動作状態に遷移すると、前記コンプレッサの動作を終了するように前記線形駆動信号を修正する手順
を更に行わせるために前記プロセッサによって実行可能である、請求項17~19のいずれか1項に記載のコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、極低温環境に関し、より具体的には、極低温環境のための機械的振動管理を容易にする技法に関する。
【発明の概要】
【0002】
以下は、本発明の1つ又は複数の実施形態の基本的理解を提供するための概要を提示する。本概要は、主要な要素又は重要な要素を識別すること、又は特定の実施形態の任意の範囲又は特許請求の範囲の任意の範囲を示すことを意図するものではない。その唯一の目的は、後で提示されるより詳細な説明の前置きとして、概念を簡略化された形式で提示することである。本明細書において説明される1つ又は複数の実施形態では、極低温環境のための機械的振動管理を容易にするシステム、デバイス、コンピュータ実装方法、及び/又はコンピュータプログラム製品が説明される。
【0003】
一実施形態によれば、システムは、メモリに記憶されたコンピュータ実行可能コンポーネントを実行するプロセッサを備えることができる。コンピュータ実行可能コンポーネントは、線形化コンポーネント及び駆動コンポーネントを含むことができる。線形化コンポーネントは、非線形駆動信号を示すデータを線形駆動信号に変換することができる。駆動コンポーネントは、線形駆動信号を使用してクライオクーラのコンプレッサの動作を動的に制御することができる。クライオクーラは、極低温環境のための冷却能力を提供することができる。
【0004】
別の実施形態によれば、コンピュータ実装方法は、プロセッサに動作可能に結合されたシステムによって、非線形駆動信号を示すデータを線形駆動信号に変換する段階を備えることができる。コンピュータ実装方法は、システムによって、線形駆動信号を使用してクライオクーラのコンプレッサの動作を動的に制御する段階を更に備えることができる。クライオクーラは、極低温環境のための冷却能力を提供することができる。
【0005】
別の実施形態によれば、コンピュータプログラム製品は、プログラム命令が具現化されたコンピュータ可読記憶媒体を備えることができる。プログラム命令は、プロセッサに動作を実行させるためにプロセッサによって実行可能である。動作は、プロセッサによって、非線形駆動信号を示すデータを線形駆動信号に変換することを含むことができる。動作は、プロセッサによって、線形駆動信号を使用してクライオクーラのコンプレッサの動作を動的に制御することを更に含むことができる。クライオクーラは、極低温環境のための冷却能力を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本明細書において説明される1つ又は複数の実施形態に係る、極低温環境のための機械的振動管理を容易にすることができる例示の非限定的なシステムのブロック図である。
【0007】
図2】本明細書において説明される1つ又は複数の実施形態に係る、例示の非限定的なクライオスタットを示す図である。
【0008】
図3】本明細書において説明される1つ又は複数の実施形態に係る、図2のクライオスタットに結合された複数のパルスチューブシステムを示す例示の非限定的な等角図である。
【0009】
図4】本明細書において説明される1つ又は複数の実施形態に係る例示の非限定的なパルスチューブシステムを示す図である。
【0010】
図5】非線形駆動信号を示す例示の非限定的なグラフである。
【0011】
図6】非線形駆動信号によって駆動されるクライオクーラによって生成される機械的振動を示す例示の非限定的なグラフである。
【0012】
図7】振幅スペクトル密度対周波数を示す例示の非限定的なグラフである。
【0013】
図8】本明細書において説明される1つ又は複数の実施形態に係る、線形駆動信号を示す例示の非限定的なグラフである。
【0014】
図9】本明細書において説明される1つ又は複数の実施形態に係る、同位相の線形駆動信号を示す例示の非限定的なグラフである。
【0015】
図10】本明細書において説明される1つ又は複数の実施形態に係る、逆位相の線形駆動信号を示す例示の非限定的なグラフである。
【0016】
図11】本明細書において説明される1つ又は複数の実施形態に係る、複数の線形駆動信号間の相対的な位相シフトを示す例示の非限定的なグラフである。
【0017】
図12】本明細書において説明される1つ又は複数の実施形態に係る、混合チャンバステージの温度対時間を示す例示の非限定的なグラフである。
【0018】
図13】本明細書において説明される1つ又は複数の実施形態に係る、極低温環境のための機械的振動管理を容易にすることができる例示の非限定的なシステムのブロック図である。
【0019】
図14】本明細書において説明される1つ又は複数の実施形態に係る、極低温環境のための機械的振動管理を容易にする例示の非限定的なコンピュータ実装方法のフロー図である。
【0020】
図15】本明細書において説明される1つ又は複数の実施形態が容易にされ得る例示の非限定的な動作環境のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の詳細な説明は単に例示であり、実施形態、及び/又は実施形態の応用又は使用を制限することを意図するものではない。さらに、前述の背景技術又は発明の概要セクション、又は発明を実施するための形態セクションに提示されている任意の明示的又は黙示的な情報に拘束されることを意図するものではない。
【0022】
ここで、図面を参照して1つ又は複数の実施形態が説明され、全体を通して、同様の参照番号は、同様の要素を指すために使用される。以下の説明では、説明の目的で、多くの特定の詳細が、1つ又は複数の実施形態のより完全な理解を提供するために記載される。しかしながら、様々な場合において、これら特定の詳細なしで、1つ又は複数の実施形態を実施し得ることは明白である。
【0023】
図1は、本明細書において説明される1つ又は複数の実施形態に係る、極低温環境のための機械的振動管理を容易にすることができる例示の非限定的なシステム100のブロック図を示している。システム100は、コンピュータ実行可能コンポーネントを記憶するメモリ110、及び1つ又は複数の通信バス130を介してメモリ110に動作可能に結合された、メモリ110に記憶されたコンピュータ実行可能コンポーネントを実行する1つ又は複数のプロセッサ120を備える。図1において示されているように、コンピュータ実行可能コンポーネントは、線形化コンポーネント140及び駆動コンポーネント150を含むことができる。
【0024】
線形化コンポーネント140は、非線形駆動信号を示すデータを線形駆動信号に変換することができる。例えば、線形化コンポーネント140は、非線形駆動信号を受信し、当該非線形駆動信号を線形駆動信号に変換することができる。駆動コンポーネント150は、線形駆動信号を使用してクライオクーラのコンプレッサの動作を動的に制御することができる。クライオクーラは、極低温環境のための冷却能力を提供することができる。一実施形態では、クライオクーラは、再生クライオクーラとすることができる。一実施形態では、クライオクーラは、スターリングクライオクーラ、パルスチューブクライオクーラ、及び/又はギフォードマクマホンクライオクーラとすることができる。一実施形態では、駆動コンポーネント150は、クライオクーラの動作状態が健全動作状態から故障動作状態に遷移すると、コンプレッサの動作を終了するように線形駆動信号を修正することができる。
【0025】
一実施形態では、メモリ110に記憶されたコンピュータ実行可能コンポーネントは、非同期コンポーネント160及び監視コンポーネント170を更に含むことができる。非同期コンポーネント160は、フィードバック信号に基づいて追加のクライオクーラに関連付けられた駆動信号の対応する位相に対して線形駆動信号の位相を修正することができる。フィードバック信号は、極低温環境に関連付けられた機械的振動を示すセンサデータを使用して生成することができる。駆動信号は、極低温環境のための冷却能力を提供する追加のクライオクーラの対応するコンプレッサの動作を制御することができる。一実施形態では、非同期コンポーネント160は、コンプレッサ及び対応するコンプレッサの非同期動作を容易にするように線形駆動信号の位相を修正することができる。
【0026】
監視コンポーネント170は、極低温環境に関連付けられた機械的振動を示すセンサデータを使用してフィードバック信号を生成することができる。一実施形態では、監視コンポーネント170は、クライオクーラの動作パラメータを評価することによってクライオクーラの動作状態を識別することができる。一実施形態では、動作パラメータは:冷媒の低圧レベル、冷媒の高圧レベル、圧力差、コンプレッサ温度、コールドヘッド温度、コールドヘッド振動レベル、又はこれらの組み合わせを含むことができる。実施形態によって利用されるコンピュータ実行可能コンポーネントの機能は、以下でより詳細にカバーされる。
【0027】
図2は、本明細書において説明される1つ又は複数の実施形態に係る、例示の非限定的なクライオスタット200を示している。図2において示されているように、クライオスタット200は、上板230及び底板240の間に介在する側壁220によって形式された外側真空チャンバ210を含む。動作中、外側真空チャンバ210は、外側真空チャンバ210の雰囲気環境250及び外側真空チャンバ210の内部260の間の圧力差を維持することができる。クライオスタット200は、上板230に各々が機械的に結合されている、内部260内に配置された複数の熱ステージ(又はステージ)270を更に含む。複数のステージ270は:ステージ271、ステージ273、ステージ275、ステージ277、及びステージ279を含む。複数のステージ270の中の各ステージは、異なる温度に関連付けることができる。例えば、ステージ271は、50ケルビン(K)の温度に関連付けられている50ケルビン(50-K)ステージとすることができ、ステージ273は、4Kの温度に関連付けられている4ケルビン(4-K)ステージとすることができ、ステージ275は、700ミリケルビン(mK)の温度に関連付けることができ、ステージ277は、100mKの温度に関連付けることができ、ステージ279は、10mKの温度に関連付けることができる。複数のステージ270の中の各ステージは、複数の支持ロッド(例えば、支持ロッド272及び274)によって複数のステージ270のうちの他のステージから空間的に隔離されている。一実施形態では、ステージ275は、スティルステージとすることができ、ステージ277は、コールドプレートステージとすることができ、ステージ279は、混合チャンバステージとすることができる。
【0028】
図3は、本明細書において説明される1つ又は複数の実施形態に係る、図2のクライオスタット200に結合された複数のパルスチューブシステム310を示す例示の非限定的な等角図300を示している。図3によって示されているように、各パルスチューブシステム310は、クライオスタット200に機械的支持を提供するフレーム構造320上に位置決めされた一対のバッファ容積体312及びモータヘッド314を含む。各パルスチューブシステム310は、クライオスタット200の上板230上に位置決めされたパルスチューブヘッド316を更に含む。当業者であれば、各パルスチューブシステム310を、クライオスタット200のための冷却能力を提供するクライオクーラを形成するためにコンプレッサ(図示せず)に結合することができることを認識するであろう。一実施形態では、クライオクーラは、再生クライオクーラとすることができる。一実施形態では、クライオクーラは、スターリングクライオクーラ、パルスチューブクライオクーラ、及び/又はギフォードマクマホンクライオクーラとすることができる。
【0029】
図4は、本明細書において説明される1つ又は複数の実施形態に係る例示の非限定的なパルスチューブシステム400を示している。図4によって示されているように、パルスチューブシステム400は、高圧流入口412、低圧流入口414、モータヘッド420、モータライン430、上板フランジ440、50-Kステージフランジ450、4-Kステージフランジ460、及びバッファ容積体470を備える。高圧流入口412及び低圧流入口414は、パルスチューブシステム400をそれぞれコンプレッサの流出口ポート及び流入口ポートに結合することができる。高圧流入口412及び低圧流入口414は、モータヘッド420の回転バルブをそれぞれコンプレッサの流出口ポート及び流入口ポートに結合することができる。上板フランジ440は、室温において外側真空チャンバの上板に結合することができる。例えば、上板フランジ440は、外側真空チャンバ210の上板230に結合することができる。50-Kステージフランジ450及び4-Kステージフランジ460は、各々外側真空チャンバ内に包囲されたクライオスタットの熱ステージに結合することができる。例えば、50-Kステージフランジ450及び4-Kステージフランジ460は、それぞれ、クライオスタット200のステージ271及び273に結合することができる。
【0030】
動作中、高圧冷媒は、高圧流入口412に供給することができ、低圧冷媒は、コンプレッサが当該コンプレッサの動作を制御するために入力において受信する駆動信号に応答して低圧流入口414から圧送することができる。例示の冷媒は、ヘリウム、水素、窒素等を含むことができる。モータヘッド420の回転バルブは、代替的には、上板フランジ440(及びバッファ容積体470)からの低圧冷媒を低圧流入口414を介してコンプレッサの流入口ポートに接続するとともに、コンプレッサの流出口ポートからの高圧冷媒を高圧流入口412を介して上板フランジ440に接続する。したがって、回転バルブは、50-Kステージ450及び4-Kステージフランジ460の温度を低下させることを容易にする冷媒の周期振動する圧縮/膨張サイクルを生成することができる。
【0031】
そのために、モータヘッド420の回転バルブからの高圧冷媒は、50-Kステージフランジ450及び4-Kステージフランジ460に向かって流れる。50-Kステージフランジ450及び4-Kステージフランジ460は、高圧冷媒及びそれぞれの熱ステージの間の熱交換を容易にする。高圧冷媒は、膨張を介して低圧冷媒に遷移する。それぞれの熱ステージからの熱は、低圧冷媒がバッファ容積体470に向かって流れるにつれてその冷媒を用いて伝達することができる。熱をそれぞれの熱ステージから遠ざけるように伝達させることによって、各熱ステージにおいて温度の低下を生じさせることができる。バッファ容積体470において収集された低圧冷媒は、モータヘッド420の回転バルブ及び低圧流入口414を介してコンプレッサの流入口ポートに向かって流れて、パルスチューブシステム400及びコンプレッサの間の冷媒のサイクルを閉じる。
【0032】
幾つかのコンプレッサの動作は、入力として非線形駆動信号によって制御することができる。図5は、非線形駆動信号510を示す例示の非限定的なグラフ500を示している。図5によって示されているように、非線形駆動信号510は、各遷移時点において第1の振幅レベル520及び第2の振幅レベル530の間で遷移することができる。第1の振幅レベル520における駆動信号510を受信することに応答して、コンプレッサは、高圧冷媒を、パルスチューブシステムの高圧流入口(例えば、高圧流入口412)に供給することができる。第2の振幅レベル530における駆動信号510を受信することに応答して、コンプレッサは、低圧冷媒を、パルスチューブシステムの低圧流入口(例えば、低圧流入口414)から圧送することができる。
【0033】
図4に関して上記で論述されたように、冷媒は、代替的には、モータヘッド内の回転バルブの動作によって、モータヘッド及び上板フランジを結合するモータラインを介して、パルスチューブシステムのモータヘッド及び上板フランジの間で伝達される。特に、回転バルブは、代替的には、それぞれ、上板フランジに向かう(高圧における)冷媒の流れ及び当該上板フランジからの(低圧における)冷媒の流れを容易にするために、上板フランジ及び/又は関連付けられたバッファ容積体を高圧及び低圧流入口に接続する。モータラインを介してモータヘッド及び上板フランジの間で伝達される冷媒における圧力を周期振動させることは、モータライン内で低周波数圧力波を生成し得る。モータライン内のそのような低周波数圧力波は、熱交換を容易にするために熱ステージに結合する、パルスチューブシステムのフランジ(例えば、50-Kステージフランジ450及び4-Kステージフランジ460)を介してクライオスタットの熱ステージに伝達することができる上板フランジ上に低周波数機械的振動を与えることができる。
【0034】
図6は、非線形駆動信号(例えば、図5の非線形駆動信号510)によって駆動されるクライオクーラによって生成される機械的振動を示す例示の非限定的なグラフ600を示している。グラフ600によって示されているように、そのような機械的振動は、およそ1ヘルツ(Hz)を中心とした基本周波数成分610及び様々な高調波成分(例えば、高調波成分620及び630)を含むことができる。
【0035】
図7は、振幅スペクトル密度対周波数を示す例示の非限定的なグラフ700を示している。グラフ700によって示されているように、そのような機械的振動は、パルスチューブシステムが動作状態であるか否かにかかわりなく持続し得る。例えば、波形710は、非動作状態パルスチューブシステムに関連付けられた機械的振動に対応し、波形720は、動作状態パルスチューブシステムに対応する。
【0036】
本明細書において開示される様々な実施形態によれば、クライオクーラに関連付けられたコンプレッサの動作は、入力として線形駆動信号を使用して制御することができる。図8は、線形駆動信号810を示す例示の非限定的なグラフ800を示している。図8によって示されているように、線形駆動信号810は、各遷移時点において第1の振幅レベル820及び第2の振幅レベル830の間で遷移することができる。第1の振幅レベル820における駆動信号810を受信することに応答して、コンプレッサは、高圧冷媒を、パルスチューブシステムの高圧流入口(例えば、高圧流入口412)に供給することができる。第2の振幅レベル830における駆動信号810を受信することに応答して、コンプレッサは、低圧冷媒を、パルスチューブシステムの低圧流入口(例えば、低圧流入口414)から圧送することができる。
【0037】
図5及び図8の間の比較は、線形駆動信号がパルスチューブシステムのモータライン内の圧力波の周波数を低下させることによって、クライオクーラによって生成された機械的振動を軽減することをどのように容易にすることができるかの態様を示している。例えば、図5は、非線形駆動信号500が、遷移時点tにおいて第2の振幅レベル530から第1の振幅レベル520に急峻に遷移することができることを示している。この例では、入力として非線形駆動信号500を受信するコンプレッサは、パルスチューブシステムの低圧流入口から低圧冷媒を圧送することから、高圧冷媒をパルスチューブシステムの高圧流入口に供給することに急峻に遷移することができる。したがって、モータラインを介してパルスチューブシステムのモータヘッド及び上板フランジの間で伝達される冷媒における圧力を周期振動させることは、モータライン内で圧力波を生成し得る。モータライン内のそれらの圧力波は、コンプレッサが低圧流入口から低圧冷媒を圧送することから、高圧冷媒を高圧流入口に供給することに切り替えるレートに関連付けられた周波数を有することができる。モータライン内の圧力波は、クライオスタットの熱ステージに伝達することができる上板フランジ上に機械的振動を与えることができる。そのような機械的振動は、圧力波の周波数に対応する周波数を有することができる。
【0038】
対照的に、入力として線形駆動信号800を受信するコンプレッサは、低圧流入口から低圧冷媒を圧送することから、高圧冷媒を高圧流入口に供給することに漸進的に切り替えることができる。例えば、図8は、線形駆動信号800が、遷移時点t及び遷移時点tによって定義された持続時間にわたって第2の振幅レベル830から第1の振幅レベル820に定常的に遷移することができることを示している。この例では、入力として線形駆動信号800を受信するコンプレッサは、遷移時点t及び遷移時点tによって定義された持続時間にわたって、パルスチューブシステムの低圧流入口から低圧冷媒を圧送することから、高圧冷媒をパルスチューブシステムの高圧流入口に供給することに漸進的に遷移することができる。その漸進的な遷移は、モータライン内の圧力波を減衰させることを容易にすることができる。したがって、その漸進的な遷移は、そのような圧力波が、クライオスタットの熱ステージに伝達することができる上板フランジ上に与える機械的振動を軽減することを容易にすることができる。
【0039】
図3に関して上記で論述されたように、複数のパルスチューブシステムをクライオスタットに結合することができる。各パルスチューブシステムを、クライオスタットのための冷却能力を提供するクライオクーラを形成するためにコンプレッサに結合することができる。各クライオクーラの動作は、所与のパルスチューブシステムのモータライン内の圧力波を生成する、冷媒における圧力を周期振動させることを伴うことができる。したがって、各クライオクーラは、クライオスタットの熱ステージ上に与えられた機械的振動の別個の源を表すことができる。本明細書において開示される様々な実施形態は、線形駆動信号の相対位相を修正することによって、クライオスタットに冷却能力を提供する複数のクライオクーラによって生成された機械的振動の管理を容易にすることができる。そのために、複数のクライオクーラのそれぞれのコンプレッサを制御する線形駆動信号の相対位相は、それらのコンプレッサの非同期動作を容易するために修正することができる。
【0040】
図9は、本明細書において説明される1つ又は複数の実施形態に係る、同位相の線形駆動信号を示す例示の非限定的なグラフ900を示している。図9では、線形駆動信号910は、クライオクーラに関連付けられた第1のコンプレッサの動作を制御することができ、線形駆動信号920は、クライオスタットに関連付けられた第2のコンプレッサの動作を制御することができる。図9によって示されているように、線形駆動信号910及び920は、同位相である。したがって、線形駆動信号910及び920は、第1及び第2のコンプレッサの同期動作を容易にすることができる。同期的に動作することによって、第1及び第2のコンプレッサは、クライオスタットの熱ステージ上に機械的振動を同期的に与えることができる。
【0041】
同期的に与えられた機械的振動の大きさは、第1及び第2のコンプレッサによって与えられた機械的振動のそれぞれの大きさの総和よりも大きいものとすることができる。第1及び第2のコンプレッサを同期的に動作させることによって実現されるその追加の機械的振動の大きさの1つの態様は、強め合う干渉に関連する。例えば、第1及び第2のコンプレッサは、クライオスタットの観点からの共通の振動源として解釈することができる。その共通の振動源は、組み合わされた線形駆動信号910及び920のそれぞれの振幅よりも大きい振幅を有する線形駆動信号930によって駆動されることになる。線形駆動信号930のそのより大きい振幅は、同位相である線形駆動信号910及び920によって生み出された強め合う干渉から得られる。共通の振動源を駆動する線形駆動信号930のより大きい振幅は、クライオスタット上に与えられる機械的振動のより高い大きさに対応することができる。
【0042】
図10は、本明細書において説明される1つ又は複数の実施形態に係る、逆位相の線形駆動信号を示す例示の非限定的なグラフ1000を示している。図10では、線形駆動信号1010は、クライオクーラに関連付けられた第1のコンプレッサの動作を制御することができ、線形駆動信号1020は、クライオスタットに関連付けられた第2のコンプレッサの動作を制御することができる。図10によって示されているように、線形駆動信号1010及び1020は、180度だけ逆位相である。したがって、線形駆動信号1010及び1020は、第1及び第2のコンプレッサの非同期動作を容易にすることができる。非同期的に動作することによって、第1及び第2のコンプレッサは、クライオスタットの熱ステージ上に機械的振動を非同期的に与えることができる。
【0043】
非同期的に与えられた機械的振動の大きさは、第1及び第2のコンプレッサによって与えられた機械的振動のそれぞれの大きさの総和よりも小さいものとすることができる。第1及び第2のコンプレッサを非同期的に動作させることによって実現されるその低下した機械的振動の大きさの1つの態様は、弱め合う干渉に関連する。例えば、第1及び第2のコンプレッサは、クライオスタットの観点からの共通の振動源として解釈することができる。その共通の振動源は、組み合わされた線形駆動信号1010及び1020のそれぞれの振幅よりも小さい振幅を有する線形駆動信号1030によって駆動されることになる。線形駆動信号1030のそのより低い振幅は、180度だけ逆位相である線形駆動信号1010及び1020によって生み出された弱め合う干渉から得られる。共通の振動源を駆動する線形駆動信号1030のより低い振幅は、クライオスタット上に与えられる機械的振動のより低い大きさに対応することができる。
【0044】
図11は、本明細書において説明される1つ又は複数の実施形態に係る、複数の線形駆動信号間の相対的な位相シフトを示す例示の非限定的なグラフ1100を示している。特に、ライン1110は、第1の線形駆動信号の位相に対応し、ライン1120は、第2の線形駆動信号の位相に対応し、ライン1130は、第3の線形駆動信号の位相に対応する。
【0045】
図12は、本明細書において説明される1つ又は複数の実施形態に係る、混合チャンバステージの温度対時間を示す例示の非限定的なグラフ1200を示している。グラフ1200は、線形駆動信号を使用してコンプレッサ動作を制御することが、非線形駆動信号を使用して達成することができる混合チャンバステージの温度の安定性を改善することを容易にすることができることを示している。
【0046】
図13は、本明細書において説明される1つ又は複数の実施形態に係る、極低温環境のための機械的振動管理を容易にすることができる例示の非限定的なシステム1300のブロック図を示している。システム1300は、コントローラ1310、クライオクーラ1330、クライオクーラ1340、及びクライオクーラ1350を備える。クライオクーラ1330、1340、及び1350は、各々極低温環境(例えば、図2図3のクライオスタット200)のための冷却能力を提供することができる。そのために、各再生クライオクーラのパルスチューブシステムは、極低温環境に結合することができる。例えば、パルスチューブシステム1334、1344、及び/又は1354は、各々図3において示されているように極低温環境に結合することができる。一実施形態では、パルスチューブシステム1334、1344、及び/又は1354は、図4のパルスチューブシステム400を使用して実装することができる。一実施形態では、クライオクーラ1330、1340、及び/又は1350は、再生クライオクーラとすることができる。一実施形態では、クライオクーラ1330、1340、及び/又は1350は、スターリングクライオクーラ、パルスチューブクライオクーラ、及び/又はギフォードマクマホンクライオクーラとすることができる。
【0047】
各クライオクーラは、駆動信号に応答して、高圧冷媒を、対応するパルスチューブシステムの高圧流入口(例えば、図4の高圧流入口412)に供給するとともに、低圧流入口(例えば、低圧流入口414)から低圧冷媒を圧送するコンプレッサを含むことができる。例えば、コンプレッサ1332は、パルスチューブシステム1334と冷媒を交換することができ、コンプレッサ1342は、パルスチューブシステム1344と冷媒を交換することができ、コンプレッサ1352は、パルスチューブシステム1354と冷媒を交換することができる。各コンプレッサは、コントローラ1310を各コンプレッサに通信可能に結合するネットワーク1320を介してコントローラ1310から対応する駆動信号を受信することができる。
【0048】
動作中、コントローラ1310は、各それぞれのコンプレッサの動作を動的に制御する線形駆動信号を使用してクライオクーラ1330、1340、及び1350の動作を一元的に調整(又は管理)することができる。各クライオクーラの動作を一元的に調整することによって、コントローラ1310は、極低温環境に関連付けられた機械的振動を削減することを容易にすることができる。各クライオクーラの動作を一元的に調整することは、各クライオクーラの動作状態を(例えば、監視コンポーネント170を用いて)識別するコントローラ1310を含むことができる。
【0049】
コントローラ1310は、各クライオクーラの1つ又は複数の動作パラメータを評価することによって、各クライオクーラの動作状態を識別することができる。例示の動作パラメータは、冷媒の低圧レベル、冷媒の高圧レベル、圧力差、コンプレッサ温度、コールドヘッド温度、コールドヘッド振動レベル、又はこれらの組み合わせを含むことができる。一実施形態では、コントローラ1310は、ネットワーク1320を介して各クライオクーラの1つ又は複数の動作パラメータを示すデータを受信することができる。コントローラ1310は、各動作パラメータについての事前定義された閾値及び/又はその閾値についての事前定義された公差範囲を使用して1つ又は複数の動作パラメータを評価することができる。
【0050】
そのような評価が、所与のクライオクーラについての1つ又は複数の動作パラメータが各々対応する事前定義された閾値及び/又はその閾値についての対応する事前定義された公差範囲を満たすと判断した場合、コントローラ1310は、所与のクライオクーラの動作状態を健全動作状態であるものとして識別することができる。コントローラ1310が所与のクライオクーラを健全動作状態にあるものとして識別すると、コントローラ1310は、所与のクライオクーラのそれぞれのコンプレッサが動作を継続することを許可することができる。
【0051】
そのような評価が、所与のクライオクーラについての1つ又は複数の動作パラメータの中の少なくとも1つの動作パラメータが対応する事前定義された閾値及び/又はその閾値についての対応する事前定義された公差範囲を満たなかったと判断した場合、コントローラ1310は、所与のクライオクーラの動作状態を故障動作状態であるものとして識別することができる。コントローラ1310が所与のクライオクーラを故障動作状態にあるものとして識別すると、コントローラ1310は、所与のクライオクーラのそれぞれのコンプレッサの動作を終了するようにそのコンプレッサの線形駆動信号を修正することができる。
【0052】
例示として、第1の時点において、コントローラ1310は、クライオクーラ1330、1340、及び1350のそれぞれの動作パラメータを評価することができる。第1の時点におけるそのような評価を通して、コントローラ1310は、クライオクーラ1330、1340、及び1350を、各々が健全動作状態にあるものとして識別することができる。したがって、第1の時点において、コントローラ1310は、クライオクーラ1330、1340、及び1350のそれぞれのコンプレッサが動作を継続することを許可することができる。第1の時点の後の第2の時点において、コントローラ1310は、クライオクーラ1330、1340、及び1350のそれぞれの動作パラメータを再び評価することができる。第2の時点におけるそのような評価を通して、コントローラ1310は、クライオクーラ1330及び1350を、各々が健全動作状態にあるものとして識別することができる。したがって、第2の時点において、コントローラ1310は、それぞれクライオクーラ1330及び1350のコンプレッサ1332及び1352が動作を継続することを許可することができる。しかしながら、コントローラ1310は、第2の時点におけるその評価から、クライオクーラ1340が健全動作状態から故障動作状態に遷移したと判断することができる。したがって、コントローラ1310は、第2の時点においてコンプレッサ1342の動作を終了するようにコンプレッサ1342の線形駆動信号を修正することができる。例えば、コントローラ1310は、コンプレッサ1342の線形駆動信号を、コンプレッサ1342に、パルスチューブシステム1344と冷媒を交換することを停止させる振幅値に修正することができる。
【0053】
図14は、本明細書において説明される1つ又は複数の実施形態に係る、極低温環境のための機械的振動管理を容易にする例示の非限定的なコンピュータ実装方法1400のフロー図を示している。本明細書において説明される他の実施形態において利用される同様の要素の繰り返しの説明は、簡潔さのために省略される。1410において、コンピュータ実装方法1400は、プロセッサに動作可能に結合されたシステムによって、非線形駆動信号を示すデータを線形駆動信号に(例えば、線形化コンポーネント140を用いて)変換することを含むことができる。1420において、コンピュータ実装方法1400は、システムによって(例えば、駆動コンポーネント150を用いて)、線形駆動信号を使用してクライオクーラのコンプレッサの動作を動的に制御することを含むことができる。クライオクーラは、極低温環境のための冷却能力を提供することができる。一実施形態では、クライオクーラは、再生クライオクーラとすることができる。一実施形態では、クライオクーラは、スターリングクライオクーラ、パルスチューブクライオクーラ、及び/又はギフォードマクマホンクライオクーラとすることができる。
【0054】
一実施形態では、コンピュータ実装方法1400は:システムによって(例えば、非同期コンポーネント160を用いて)、極低温環境に関連付けられた機械的振動を示すセンサデータを使用して生成されたフィードバック信号に基づいて、追加のクライオクーラに関連付けられた駆動信号の対応する位相に対して線形駆動信号の位相を修正することを更に含むことができる。駆動信号は、極低温環境のための冷却能力を提供する追加のクライオクーラの対応するコンプレッサの動作を制御することができる。一実施形態では、線形駆動信号の位相を修正することは、コンプレッサ及び対応するコンプレッサの非同期動作を容易にすることができる。一実施形態では、線形駆動信号の位相を修正することは、クライオクーラによって生成された機械的振動の管理を容易にすることができる。
【0055】
一実施形態では、コンピュータ実装方法1400は:システムによって(例えば、監視コンポーネント170を用いて)、極低温環境に関連付けられた機械的振動を示すセンサデータを使用してフィードバック信号を生成することを更に含むことができる。一実施形態では、コンピュータ実装方法1400は:システムによって(例えば、監視コンポーネント170を用いて)、クライオクーラの動作パラメータを評価することによってクライオクーラの動作状態を識別することを更に含むことができる。一実施形態では、動作パラメータは:冷媒の低圧レベル、冷媒の高圧レベル、圧力差、コンプレッサ温度、コールドヘッド温度、コールドヘッド振動レベル、又はこれらの組み合わせを含むことができる。
【0056】
一実施形態では、コンピュータ実装方法1400は:システムによって(例えば、駆動コンポーネント150を用いて)、クライオクーラの動作状態が健全動作状態から故障動作状態に遷移すると、コンプレッサの動作を終了するように線形駆動信号を修正することを更に含むことができる。
【0057】
開示された主題の様々な態様の文脈を提供するために、図15及び後続の論述は、開示された主題の様々な態様を実装することができる適した環境の一般的説明を提供することを意図される。図15は、本開示の様々な態様を実装する適した動作環境1500が、コンピュータ1512も含むことができることを示している。コンピュータ1512は、処理ユニット1514、システムメモリ1516、及びシステムバス1518も含むことができる。システムバス1518は、限定されないが、システムメモリ1516を含むシステムコンポーネントを処理ユニット1514に結合する。処理ユニット1514は、様々な利用可能なプロセッサのうちの任意のものとすることができる。デュアルマイクロプロセッサ及び他のマルチプロセッサアーキテクチャも、処理ユニット1514として利用することができる。システムバス1518は、限定されないが、業界標準アーキテクチャ(ISA)、マイクロチャネルアーキテクチャ(MSA)、拡張ISA(EISA)、インテリジェントドライブエレクトロニクス(IDE)、VESAローカルバス(VLB)、ペリフェラルコンポーネントインターコネクト(PCI)、カードバス、ユニバーサルシリアルバス(USB)、アドバンスドグラフィックスポート(AGP)、Firewire(登録商標)(IEEE1094)、及びスモールコンピュータシステムインターフェース(SCSI)を含む任意の多様な利用可能なバスアーキテクチャを使用するメモリバス又はメモリコントローラ、ペリフェラルバス又は外部バス、及び/又はローカルバスを含む幾つかのタイプのバス構造のうちの任意のものとすることができる。システムメモリ1516はまた、揮発性メモリ1520及び不揮発性メモリ1522を含むことができる。起動中等にコンピュータ1512内の要素間で情報を転送するための基本ルーチンを含む基本入力/出力システム(BIOS)が、不揮発性メモリ1522に記憶される。限定ではなく例示として、不揮発性メモリ1522は、リードオンリメモリ(ROM)、プログラマブルROM(PROM)、電気的プログラマブルROM(EPROM)、電気的消去可能プログラマブルROM(EEPROM)、フラッシュメモリ、又は不揮発性ランダムアクセスメモリ(RAM)(例えば、強誘電体RAM(FeRAM))を含むことができる。揮発性メモリ1520は、外部キャッシュメモリとして動作するランダムアクセスメモリ(RAM)も含むことができる。限定ではなく例示として、RAMは、スタティックRAM(SRAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、同期DRAM(SDRAM)、ダブルデータレートSDRAM(DDR SDRAM)、拡張SDRAM(ESDRAM)、Synchlink DRAM(SLDRAM)、ダイレクトRambusRAM(DRRAM)、ダイレクトRambusダイナミックRAM(DRDRAM)、及びラムバスダイナミックRAM等の多くの形式において利用可能である。
【0058】
コンピュータ1512は、取り外し可能/取り外し不能、揮発性/不揮発性コンピュータ記憶媒体も含むことができる。図15は、例えば、ディスクストレージ1524を示している。ディスクストレージ1524は、限定されないが、磁気ディスクドライブ、フロッピディスクドライブ、テープドライブ、Jazドライブ、Zipドライブ、LS-100ドライブ、フラッシュメモリカード、又はメモリスティックのようなデバイスを含むこともできる。ディスクストレージ1524は、別個に、又は他の記憶媒体との組み合わせで記憶媒体も含むことができ、当該他の記憶媒体は、限定されないが、コンパクトディスクROMデバイス(CD-ROM)、CD記録可能ドライブ(CD-Rドライブ)、CD書き換え可能ドライブ(CD-RWドライブ)又はデジタル多用途ディスクROMドライブ(DVD-ROM)等の光ディスクドライブを含む。システムバス1518へのディスクストレージ1524の接続を容易にするために、インターフェース1526等の取り外し可能又は取り外し不能インターフェースが典型的には使用される。図15は、適した動作環境1500において説明されるユーザ及び基本コンピュータリソースの間の仲介として動作するソフトウェアも示している。そのようなソフトウェアは、例えば、オペレーティングシステム1528も含むことができる。ディスクストレージ1524上に記憶することができるオペレーティングシステム1528は、コンピュータ1512のリソースを制御及び割り当てするように動作する。システムアプリケーション1530は、例えばシステムメモリ1516又はディスクストレージ1524のいずれかに記憶される、プログラムモジュール1532及びプログラムデータ1534を通してオペレーティングシステム1528によるリソースの管理を活用する。本開示は、様々なオペレーティングシステム又はオペレーティングシステムの組み合わせで実装され得ることを理解されたい。ユーザは、入力デバイス1536を通してコンピュータ1512にコマンド又は情報を入力する。入力デバイス1536は、マウス、トラックボール、スタイラス、タッチパッド、キーボード、マイクロフォン、ジョイスティック、ゲームパッド、サテライトディッシュ、スキャナ、TVチューナカード、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、ウェブカメラ等のようなポインティングデバイスを含むが、これらに限定されるものではない。これら及び他の入力デバイスは、インターフェースポート1538を介して、システムバス1518を通して処理ユニット1514に接続する。インターフェースポート1538は、例えば、シリアルポート、パラレルポート、ゲームポート、及びユニバーサルシリアルバス(USB)を含む。出力デバイス1540は、同じタイプのポートの幾つかを入力デバイス1536として使用する。それゆえ、例えば、USBポートは、入力をコンピュータ1512に提供するために、及び、コンピュータ1512からの情報を出力デバイス1540に出力するために使用され得る。特殊なアダプタを必要とする数ある他の出力デバイス1540の中でも、モニタ、スピーカ、及びプリンタのような幾つかの出力デバイス1540があることを示すために出力アダプタ1542が提供される。出力アダプタ1542は、限定ではなく例示として、出力デバイス1540及びシステムバス1518の間の接続の手段を提供するビデオ及びサウンドカードを含む。他のデバイス及び/又はデバイスのシステムは、リモートコンピュータ1544等の入力及び出力の両方の能力を提供することが留意され得る。
【0059】
コンピュータ1412は、リモートコンピュータ1544等の1つ又は複数のリモートコンピュータへの論理接続を使用してネットワーク化された環境において動作し得る。リモートコンピュータ1544は、コンピュータ、サーバ、ルータ、ネットワークPC、ワークステーション、マイクロプロセッサベース機器、ピアデバイス又は他の共通ネットワークノード等であり得、典型的には、コンピュータ1512に関して説明される要素の多く又は全ても含み得る。簡潔性のために、メモリ記憶デバイス1546のみがリモートコンピュータ1544とともに示されている。リモートコンピュータ1544は、ネットワークインターフェース1548を通して論理的にコンピュータ1512に接続され、次に、通信接続1550を介して物理的に接続される。ネットワークインターフェース1548は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、セルラネットワーク等のような有線及び/又は無線通信ネットワークを包含する。LAN技術は、ファイバ分散データインターフェース(FDDI)、銅分散データインターフェース(CDDI)、イーサネット(登録商標)、トークンリング等を含む。WAN技術は、ポイントツーポイントリンク、統合サービスデジタルネットワーク(ISDN(登録商標))及びその変形のような回路スイッチングネットワーク、パケットスイッチングネットワーク、及びデジタル加入者回線(DSL)を含むが、これらに限定されるものではない。通信接続1550は、ネットワークインターフェース1548をシステムバス1518に接続するために利用されるハードウェア/ソフトウェアを指す。例示の明確性のために通信接続1550がコンピュータ1512の内部に示されているが、コンピュータ1512の外部にもあり得る。ネットワークインターフェース1548に接続するためのハードウェア/ソフトウェアはまた、単に例示の目的で、通常の電話グレードモデム、ケーブルモデム及びDSLモデムを含むモデム、ISDNアダプタ、イーサネットカード等の内部及び外部技術を含み得る。
【0060】
本発明は、統合のあらゆる可能な技術詳細レベルにおけるシステム、方法、装置及び/又はコンピュータプログラム製品であってよい。コンピュータプログラム製品は、プロセッサに本発明の態様を実行させるためのコンピュータ可読プログラム命令を有するコンピュータ可読記憶媒体(又は複数の媒体)を含んでよい。コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行デバイスによって使用されるための命令を保持及び記憶することができる有形デバイスとすることができる。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、電子記憶デバイス、磁気記憶デバイス、光学記憶デバイス、電磁記憶デバイス、半導体記憶デバイス、又は前述したものの任意の適した組み合わせであってよいが、これらに限定されるものではない。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例の非網羅的なリストは、次のもの:ポータブルコンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、ポータブルコンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、メモリスティック、フロッピディスク、機械的にエンコードされたデバイス、例えば、パンチカード又は命令を記録した溝内の隆起構造、及び前述したものの任意の適した組み合わせを含む。コンピュータ可読記憶媒体は、本明細書において使用される場合、電波若しくは他の自由に伝搬する電磁波、導波路又は他の伝送媒体を通して伝搬する電磁波(例えば、光ファイバケーブルを通過する光パルス)、又はワイヤを通して伝送される電気信号等の一時的な信号それ自体とは解釈されるべきではない。
【0061】
本明細書において説明されるコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ可読記憶媒体から、それぞれのコンピューティング/処理デバイスに、又は、ネットワーク、例えば、インターネット、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク及び/又は無線ネットワークを介して、外部コンピュータ又は外部記憶デバイスに、ダウンロードすることができる。ネットワークは、銅伝送ケーブル、光伝送ファイバ、無線伝送、ルータ、ファイアウォール、スイッチ、ゲートウェイコンピュータ及び/又はエッジサーバを含んでよい。各コンピューティング/処理デバイス内のネットワークアダプタカード又はネットワークインターフェースは、ネットワークからコンピュータ可読プログラム命令を受信し、当該コンピュータ可読プログラム命令を、それぞれのコンピューティング/処理デバイス内のコンピュータ可読記憶媒体に記憶するために転送する。本発明の動作を実行するコンピュータ可読プログラム命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、機械命令、機械依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、集積回路のための構成データ、又は1つ又は複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコード又はオブジェクトコードのいずれかであってよく、1つ又は複数のプログラミング言語は、Smalltalk(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、及び「C」プログラミング言語又は同様のプログラミング言語等の手続き型プログラミング言語を含む。コンピュータ可読プログラム命令は、ユーザのコンピュータ上で完全に実行されてもよいし、スタンドアロンソフトウェアパッケージとしてユーザのコンピュータ上で部分的に実行されてもよいし、部分的にユーザのコンピュータ上で、かつ、部分的にリモートコンピュータ上で実行されてもよいし、又はリモートコンピュータ又はサーバ上で完全に実行されてもよい。後者のシナリオでは、リモートコンピュータが、ローカルエリアネットワーク(LAN)又はワイドエリアネットワーク(WAN)を含む任意のタイプのネットワークを介してユーザのコンピュータに接続されてもよいし、又はその接続が、(例えば、インターネットサービスプロバイダを使用してインターネットを介して)外部コンピュータに対して行われてもよい。幾つかの実施形態では、例えば、プログラマブルロジック回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又はプログラマブルロジックアレイ(PLA)を含む電子回路は、本発明の態様を実行するために、コンピュータ可読プログラム命令の状態情報を利用することによってコンピュータ可読プログラム命令を実行して、電子回路をパーソナライズすることができる。
【0062】
本発明の態様は、本明細書において、本発明の実施形態に係る方法、装置(システム)、及びコンピュータプログラム製品のフローチャート図及び/又はブロック図を参照して説明されている。フローチャート図及び/又はブロック図の各ブロック、及びフローチャート図及び/又はブロック図におけるブロックの組み合わせは、コンピュータ可読プログラム命令によって実装することができることが理解されよう。これらのコンピュータ可読プログラム命令を汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又は他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサに提供して機械を生成することができ、それにより、コンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサを介して実行される命令が、フローチャート及び/又はブロック図の単数又は複数のブロックで指定された機能/動作を実装する手段を作成するようになる。また、これらのコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ可読記憶媒体に記憶することができ、当該命令は、コンピュータ、プログラマブルデータ処理装置、及び/又は他のデバイスに対し、特定の方法で機能するよう命令することができ、それにより、命令を記憶したコンピュータ可読記憶媒体は、フローチャート及び/又はブロック図の単数又は複数のブロックで指定された機能/動作の態様を実装する命令を含む製品を含むようになる。また、コンピュータ可読プログラム命令を、コンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置、又は他のデバイスにロードして、一連の動作段階をコンピュータ、他のプログラマブル装置又は他のデバイス上で実行させ、コンピュータ実装プロセスを生成することができ、それにより、コンピュータ、他のプログラマブル装置、又は他のデバイス上で実行される命令は、フローチャート及び/又はブロック図の単数又は複数のブロックで指定された機能/動作を実装するようになる。
【0063】
図におけるフローチャート及びブロック図は、本発明の様々な実施形態に係るシステム、方法、及びコンピュータプログラム製品の可能な実装のアーキテクチャ、機能、及び動作を示す。これに関して、フローチャート又はブロック図における各ブロックは、指定される論理機能を実装する1つ又は複数の実行可能命令を含む命令のモジュール、セグメント、又は部分を表し得る。幾つかの代替的な実装では、ブロックに記載される機能が、図に記載される順序とは異なる順序で行われ得る。例えば、連続して示されている2つのブロックは、実際には、実質的に同時に実行されてもよいし、又はブロックは、関与する機能に依存して逆の順序で実行される場合もあり得る。ブロック図及び/又はフローチャート図の各ブロック、及びブロック図及び/又はフローチャート図におけるブロックの組み合わせは、指定された機能又は動作を実行するか、又は専用ハードウェア及びコンピュータ命令の組み合わせを実行する専用ハードウェアベースシステムによって実装することができることにも留意されたい。
【0064】
本主題は、1つのコンピュータ及び/又は複数のコンピュータの上で実行されるコンピュータプログラム製品のコンピュータ実行可能命令の一般的な文脈で上記で説明されてきたが、当業者であれば、本開示が他のプログラムモジュールと組み合わせて実装することができることも認識するであろう。概して、プログラムモジュールは、特定のタスクを実行し、及び/又は特定の抽象データタイプを実装するルーチン、プログラム、コンポーネント、データ構造等を含む。その上、当業者であれば、本発明のコンピュータ実装方法は、シングルプロセッサ又はマルチプロセッサコンピュータシステム、ミニコンピューティングデバイス、メインフレームコンピュータ、並びにコンピュータ、ハンドヘルドコンピューティングデバイス(例えば、PDA(登録商標)、電話)、マイクロプロセッサベース又はプログラマブルコンシューマ又は産業エレクトロニクス等を含む他のコンピュータシステム構成を用いて実施され得ることを理解するであろう。示された態様は、タスクが通信ネットワークを通してリンクされたリモート処理デバイスによって実行される分散コンピューティング環境においても実施され得る。しかしながら、本開示の全てではないにしても、一部の態様はスタンドアロンコンピュータで実施することができる。分散コンピューティング環境では、プログラムモジュールは、ローカル及びリモートのメモリ記憶デバイスの両方に配置することができる。例えば、1つ又は複数の実施形態では、コンピュータ実行可能コンポーネントは、1つ又は複数の分散メモリユニットを含むことができるか、又は1つ又は複数の分散メモリユニットから構成されることができるメモリから実行することができる。本明細書において使用される場合、「メモリ」及び「メモリユニット」という用語は交換可能である。さらに、本明細書において説明される1つ又は複数の実施形態は、分散方法で、コンピュータ実行可能コンポーネントのコードを実行することができ、例えば、複数のプロセッサが組み合わせて又は共同で動作して、1つ又は複数の分散メモリユニットからコードを実行する。本明細書において使用される場合、「メモリ」という用語は、1つのロケーションにおける単一のメモリ又はメモリユニット又は1つ又は複数のロケーションにおける複数のメモリ又はメモリユニットを包含することができる。
【0065】
本願において使用される場合、「コンポーネント」、「システム」、「プラットフォーム」、「インターフェース」等の用語は、コンピュータ関連エンティティ、又は1つ又は複数の特定の機能を有する動作機械に関連するエンティティを指すことができ、及び/又は含むことができる。本明細書において開示されるエンティティは、ハードウェア、ハードウェア及びソフトウェアの組み合わせ、ソフトウェア、又は実行中のソフトウェアのいずれかであり得る。例えば、コンポーネントは、プロセッサ上で実行されるプロセス、プロセッサ、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、プログラム、及び/又はコンピュータであり得るが、これらに限定されるものではない。例示として、サーバ上で実行されているアプリケーション及びサーバの両方をコンポーネントとすることができる。1つ又は複数のコンポーネントは、プロセス及び/又は実行スレッド内に存在することができ、コンポーネントは、1つのコンピュータ上にローカライズし、及び/又は2つ又はそれよりも多くのコンピュータ間に分散することができる。別の例では、それぞれのコンポーネントは、その上に記憶された様々なデータ構造を有する様々なコンピュータ可読媒体から実行することができる。コンポーネントは、1つ又は複数のデータパケット(例えば、ローカルシステム、分散システム、及び/又はインターネット等のネットワークを介して他のシステムと信号を介して、別のコンポーネントと相互作用する1つのコンポーネントからのデータ)を有する信号等に従って、ローカル及び/又はリモートプロセスを介して通信することができる。別の例として、コンポーネントは、電気又は電子回路によって動作する機械部品によって提供される特定の機能を有する装置とすることができ、プロセッサによって実行されるソフトウェア又はファームウェアアプリケーションによって動作する。そのような場合、プロセッサは、装置の内部又は外部とすることができ、ソフトウェア又はファームウェアアプリケーションの少なくとも一部を実行することができる。更に別の例として、コンポーネントは、機械部品なしで電子コンポーネントを介して特定の機能を提供する装置とすることができ、電子コンポーネントは、電子コンポーネントの機能を少なくとも部分的に与えるソフトウェア又はファームウェアを実行するためのプロセッサ又は他の手段を含むことができる。一態様では、コンポーネントは、例えばクラウドコンピューティングシステム内の仮想機械を介して電子コンポーネントをエミュレートし得る。
【0066】
加えて、「又は」という用語は、排他的な「又は」ではなく、包括的な「又は」を意味することを意図している。すなわち、特に明記しない限り、又は文脈から明らかでない限り、「Xは、A又はBを利用する」は、自然な包括的順列のうちの任意のものを意味することを意図している。すなわち、XがAを利用する場合、XがBを利用する場合、又はXがA及びBの両方を利用する場合、前述のいずれの事例でも、「Xは、A又はBを利用する」が満たされる。その上、本主題の明細書及び添付の図面において使用される冠詞「a」及び「an」は、特に明記しない限り、又は文脈から単数形を指すことが明らかでない限り、一般に「1つ又は複数」を意味すると解釈されるべきである。本明細書において使用される場合、「例」及び/又は「例示的」という用語は、例、事例、又は例示として機能することを意味するために利用される。誤解を避けるために記すと、本明細書において開示される本主題は、そのような例によって限定されない。加えて、本明細書において「例」及び/又は「例示的」として説明される任意の態様又は設計は、必ずしも他の態様又は設計よりも好ましい又は有利であると解釈されるべきではなく、当業者に知られている同等の例示的な構造及び技法を排除することを意味するものでもない。
【0067】
本明細書において利用される場合、「プロセッサ」という用語は、限定されるものではないが、シングルコアプロセッサ;ソフトウェアマルチスレッド実行能力を有するシングルプロセッサ;マルチコアプロセッサ;ソフトウェアマルチスレッド実行能力を有するマルチコアプロセッサ;ハードウェアマルチスレッド技術を有するマルチコアプロセッサ;並列プラットフォーム;及び分散共有メモリを有する並列プラットフォームを含む実質的に任意のコンピューティング処理ユニット又はデバイスを指すことができる。加えて、プロセッサは、集積回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)、複合プログラマブルロジックデバイス(CPLD)、ディスクリートゲート又はトランジスタロジック、ディスクリートハードウェアコンポーネント、又は本明細書において説明される機能を実行するように設計されたこれらの任意の組み合わせを指すことができる。さらに、プロセッサは、空間使用量の最適化又はユーザ機器の性能の向上のために、限定されないが、分子及び量子ドットベーストランジスタ、スイッチ及びゲート等のナノスケールアーキテクチャを活用することができる。プロセッサは、コンピューティング処理ユニットの組み合わせとして実装することもできる。本開示では、「記憶」、「ストレージ」、「データストア」、「データストレージ」、「データベース」、及びコンポーネントの動作及び機能に関連する実質的に任意の他の情報記憶コンポーネント等の用語は、「メモリコンポーネント」、「メモリ」において具現化されたエンティティ、又はメモリを有するコンポーネントを指すために利用される。本明細書において説明されるメモリ及び/又はメモリコンポーネントは、揮発性メモリ又は不揮発性メモリのいずれかであり得るか、又は揮発性メモリ及び不揮発性メモリの両方を含み得ることを理解すべきである。限定ではなく例示として、不揮発性メモリは、リードオンリメモリ(ROM)、プログラマブルROM(PROM)、電気的プログラマブルROM(EPROM)、電気的消去可能ROM(EEPROM)、フラッシュメモリ、又は不揮発性ランダムアクセスメモリ(RAM)(例えば、強誘電体RAM(FeRAM))を含むことができる。揮発性メモリは、例えば、外部キャッシュメモリとして機能することができるRAMを含むことができる。限定ではなく例示として、RAMは、同期RAM(SRAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、同期DRAM(SDRAM)、ダブルデータレートSDRAM(DDR SDRAM)、拡張SDRAM(ESDRAM)、Synchlink DRAM(SLDRAM)、ダイレクトRambusRAM(DRRAM)、ダイレクトRambusダイナミックRAM(DRDRAM)、及びRambusダイナミックRAM(RDRAM)等の多くの形式において利用可能である。加えて、本明細書において開示されるシステム又はコンピュータ実装方法のメモリコンポーネントは、これら及び他の任意の適切なタイプのメモリを含むことに限定されず、これらを含むことを意図している。
【0068】
上記で説明されてきたものは、システム及びコンピュータ実装方法の単なる例を含む。当然ながら、本開示を説明する目的で、コンポーネント、製品及び/又はコンピュータ実装方法のあらゆる考えられる組み合わせを説明することは可能ではなく、当業者であれば、本開示の更なる組み合わせ及び置換が可能であることを認識し得る。さらに、詳細な説明、特許請求の範囲、付録及び図面において、「含む(includes)」、「有する(has)」、「所有する(possesse)」等の用語が使用される範囲で、そのような用語は、「備える(comprising)」が特許請求の範囲の移行語として利用されるときに解釈されるのと同様に、「備える(comprising)」という用語と同様の方法で包括的であることを意図している。
【0069】
様々な実施形態の説明は、例示のために提示されてきたが、網羅的であることも、又は開示された実施形態に限定されることも意図するものではない。説明された実施形態の範囲及び趣旨から逸脱することなく、多くの修正及び変形が、当業者には明らかであろう。本明細書において使用される専門用語は、実施形態の原理、実用的な適用、又は市場で見られる技術に対する技術的改善を最も良好に説明するように、又は、本明細書において開示された実施形態を他の当業者が理解することを可能にするように選択された。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【手続補正書】
【提出日】2023-07-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリに記憶された以下のコンピュータ実行可能コンポーネント:
非線形駆動信号を示すデータを線形駆動信号に変換する線形化コンポーネント;及び
前記線形駆動信号を使用してクライオクーラのコンプレッサの動作を動的に制御する駆動コンポーネント
を実行するプロセッサ
を備え、前記クライオクーラは、極低温環境のための冷却能力を提供する、システム。
【請求項2】
前記極低温環境に関連付けられた機械的振動を示すセンサデータを使用して生成されたフィードバック信号に基づいて、追加のクライオクーラに関連付けられた駆動信号の対応する位相に対して前記線形駆動信号の位相を修正する非同期コンポーネントを更に備え、ここで、前記駆動信号は、前記極低温環境のための冷却能力を提供する前記追加のクライオクーラの対応するコンプレッサの動作を制御する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記非同期コンポーネントは、前記コンプレッサ及び前記対応するコンプレッサの非同期動作を容易にするように前記線形駆動信号の前記位相を修正する、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記極低温環境に関連付けられた機械的振動を示すセンサデータを使用してフィードバック信号を生成する監視コンポーネント
を更に備える、請項1から3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記監視コンポーネントは、前記クライオクーラの動作パラメータを評価することによって前記クライオクーラの動作状態を識別する、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記動作パラメータは:冷媒の低圧レベル、前記冷媒の高圧レベル、圧力差、コンプレッサ温度、コールドヘッド温度、コールドヘッド振動レベル、又はこれらの組み合わせを含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記駆動コンポーネントは、前記クライオクーラの動作状態が健全動作状態から故障動作状態に遷移すると、前記コンプレッサの動作を終了するように前記線形駆動信号を修正する、請項1から6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
プロセッサに動作可能に結合されたシステムによって、非線形駆動信号を示すデータを線形駆動信号に変換する段階;及び
前記システムによって、前記線形駆動信号を使用してクライオクーラのコンプレッサの動作を動的に制御する段階
を備え、前記クライオクーラは、極低温環境のための冷却能力を提供する、コンピュータ実装方法。
【請求項9】
前記クライオクーラは、前記極低温環境のための冷却能力を提供する複数のクライオクーラの中のものであり、前記システムは、前記極低温環境に関連付けられた機械的振動を削減することを容易にするために、前記複数のクライオクーラのそれぞれのコンプレッサの動作を一元的に調整する、請求項8に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項10】
前記システムによって、前記極低温環境に関連付けられた機械的振動を示すセンサデータを使用して生成されたフィードバック信号に基づいて、追加のクライオクーラに関連付けられた駆動信号の対応する位相に対して前記線形駆動信号の位相を修正する段階
を更に備え、ここで、前記駆動信号は、前記極低温環境のための冷却能力を提供する前記追加のクライオクーラの対応するコンプレッサの動作を制御する、請求項8~9のいずれか1項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項11】
前記線形駆動信号の前記位相を修正する段階は、前記コンプレッサ及び前記対応するコンプレッサの非同期動作を容易にする、請求項10に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項12】
前記線形駆動信号の前記位相を修正する段階は、前記クライオクーラによって生成される機械的振動の管理を容易にする、請求項10~11のいずれか1項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項13】
前記システムによって、前記極低温環境に関連付けられた機械的振動を示すセンサデータを使用してフィードバック信号を生成する段階
を更に備える、請求項8~12のいずれか1項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項14】
前記システムによって、前記クライオクーラの動作パラメータを評価することによって前記クライオクーラの動作状態を識別する段階
を更に備える、請求項8~13のいずれか1項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項15】
前記動作パラメータは:冷媒の低圧レベル、前記冷媒の高圧レベル、圧力差、コンプレッサ温度、コールドヘッド温度、コールドヘッド振動レベル、又はこれらの組み合わせを含む、請求項14に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項16】
前記システムによって、前記クライオクーラの動作状態が健全動作状態から故障動作状態に遷移すると、前記コンプレッサの動作を終了するように前記線形駆動信号を修正する段階
を更に備える、請求項8~15のいずれか1項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項17】
ロセッサに
線形駆動信号を示すデータを線形駆動信号に変換する手順;及
記線形駆動信号を使用してクライオクーラのコンプレッサの動作を動的に制御する手順であって、前記クライオクーラは、極低温環境のための冷却能力を提供する、手順
を実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項18】
記プロセッサに
記極低温環境に関連付けられた機械的振動を示すセンサデータを使用して生成されたフィードバック信号に基づいて、追加のクライオクーラに関連付けられた駆動信号の対応する位相に対して前記線形駆動信号の位相を修正する手順であって、前記駆動信号は、前記極低温環境のための冷却能力を提供する前記追加のクライオクーラの対応するコンプレッサの動作を制御する、手順を更に実行させる、請求項17に記載のコンピュータプログラム。
【請求項19】
前記線形駆動信号の前記位相を修正する手順は、前記コンプレッサ及び前記対応するコンプレッサの非同期動作を容易にする、請求項18に記載のコンピュータプログラム。
【請求項20】
記プロセッサに
記クライオクーラの動作状態が健全動作状態から故障動作状態に遷移すると、前記コンプレッサの動作を終了するように前記線形駆動信号を修正する手を更に実行させるための、請求項17~19のいずれか1項に記載のコンピュータプログラム。
【国際調査報告】