(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-30
(54)【発明の名称】化粧用組成物のためのアルカリ土類金属炭酸塩
(51)【国際特許分類】
A61K 8/19 20060101AFI20240123BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20240123BHJP
C01F 11/18 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
A61K8/19
A61Q1/00
C01F11/18 D
C01F11/18 J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023542518
(86)(22)【出願日】2022-01-12
(85)【翻訳文提出日】2023-09-06
(86)【国際出願番号】 EP2022050568
(87)【国際公開番号】W WO2022152764
(87)【国際公開日】2022-07-21
(32)【優先日】2021-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】319006807
【氏名又は名称】イメルテック ソシエテ パル アクシオン サンプリフィエ
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】エスポジト アナエル
(72)【発明者】
【氏名】レミア エロディ
(72)【発明者】
【氏名】ヤコブ アレクサンドラ
(72)【発明者】
【氏名】ラボトー セドリック
【テーマコード(参考)】
4C083
4G076
【Fターム(参考)】
4C083AB321
4C083AB322
4C083BB25
4C083BB26
4C083CC02
4C083CC12
4C083DD21
4C083DD22
4C083EE06
4C083EE07
4G076AA16
4G076AB06
4G076AB12
4G076BA30
4G076BA46
4G076BA47
4G076BB08
4G076BC02
4G076BF06
4G076CA03
4G076CA26
4G076CA28
4G076DA16
(57)【要約】
化粧用組成物に使用するためのアルカリ土類金属炭酸塩のBET比表面積は、少なくとも約60m2/gである。アルカリ土類金属炭酸塩の粒子は、実質的に球状である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧用組成物に使用するためのアルカリ土類金属炭酸塩であって、アルカリ土類金属炭酸塩のBET比表面積が少なくとも約60m
2/gであり、アルカリ土類金属炭酸塩の粒子が実質的に球状である、アルカリ土類金属炭酸塩。
【請求項2】
アルカリ土類金属炭酸塩が炭酸カルシウム、例えば、沈降炭酸カルシウムである、請求項1に記載のアルカリ土類金属炭酸塩。
【請求項3】
アルカリ土類金属炭酸塩が、
(a)BET比表面積が約60m
2/g~約200m
2/g、例えば、約64m
2/g~約140m
2/gであり、
(b)D
50@T
90が少なくとも約6μm、例えば、約6μm~約20μmであり、及び/又は
(c)凝集率が少なくとも約85%、例えば、少なくとも約90%、又は少なくとも約92%であり、前記凝集率Aが、
【数1】
により規定される、請求項1又は2に記載のアルカリ土類金属炭酸塩。
【請求項4】
アルカリ土類金属炭酸塩の粒子のHS真円度が少なくとも約0.8であり、及び/又は伸長度が約0.2以下である、請求項1~3のいずれかに記載のアルカリ土類金属炭酸塩。
【請求項5】
アルカリ土類金属炭酸塩の粒子が、複数の凝集したアルカリ土類金属炭酸塩の一次結晶子をそれぞれ含む凝集物である、請求項1~4のいずれかに記載のアルカリ土類金属炭酸塩。
【請求項6】
アルカリ土類金属炭酸塩が、例えば、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアレート又はパルメート等の脂肪酸若しくはそれらの塩、又はそれらの任意の混合物を含む被覆で被覆されている、請求項1~5のいずれかに記載のアルカリ土類金属炭酸塩。
【請求項7】
アルカリ土類金属炭酸塩が、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアレート又はパルメート等の脂肪酸若しくはそれらの塩、又はそれらの任意の混合物を約1質量%~約20質量%、例えば、約2質量%~約15質量%、又は約3.5質量%~約15質量%含む、請求項6に記載のアルカリ土類金属炭酸塩。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載のアルカリ土類金属炭酸塩、及び少なくとも1種の他の成分を含む、化粧用組成物。
【請求項9】
化粧用組成物のソフトフォーカス効果を改良するための、BET比表面積が少なくとも約60m
2/gであるアルカリ土類金属炭酸塩の化粧用組成物における使用であって、
アルカリ土類金属炭酸塩の粒子が実質的に球状である、前記使用。
【請求項10】
アルカリ土類金属炭酸塩が、
(a)炭酸カルシウム、例えば、沈降炭酸カルシウムであり、
(b)BET比表面積が約60m
2/g~約200m
2/g、例えば、約64m
2/g~約140m
2/gであり、
(c)D
50@T
90が少なくとも約6μm、例えば、約6μm~約20μmであり、及び/又は
(d)凝集率が少なくとも約85%、例えば、少なくとも約90%、又は少なくとも約92%であり、前記凝集率Aが、
【数2】
により規定される、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
アルカリ土類金属炭酸塩の粒子のHS真円度が少なくとも約0.8であり、及び/又は伸長度が約0.2以下である、請求項9又は請求項10に記載の使用。
【請求項12】
アルカリ土類金属炭酸塩の粒子が、複数の凝集したアルカリ土類金属炭酸塩の一次結晶子をそれぞれ含む凝集物である、請求項9~11のいずれか1項に記載の使用。
【請求項13】
アルカリ土類金属炭酸塩が、例えば、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアレート、又はパルメート等の脂肪酸若しくはそれらの塩、又はそれらの任意の混合物を含む被覆で被覆されている、請求項9~12のいずれか1項に記載の使用。
【請求項14】
アルカリ土類金属炭酸塩が、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアレート又はパルメート等の脂肪酸若しくはそれらの塩、又はそれらの任意の混合物を約1質量%~約10質量%、例えば、約2質量%~約5質量%、又は約3.5質量%~約4.5質量%含む、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
シワ等の皮膚欠陥の外観を軽減するための方法であって、
(a)請求項1~7のいずれか1項に記載のアルカリ土類金属炭酸塩、又は
(b)請求項8に記載の化粧用組成物
を皮膚に適用する工程を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩を含む化粧用組成物、アルカリ土類金属炭酸塩の使用、及び皮膚欠陥の外観を軽減する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品等の化粧用組成物は、例えば、シワ等の皮膚欠陥の外観を軽減することにより皮膚の外観を改善するために使用することができる。ソフトフォーカス効果として知られる、皮膚欠陥の外観を軽減する一つの手段には、皮膚上の入射光の乱反射が関与する。化粧用組成物のソフトフォーカス効果は凹凸、シワ及び他の皮膚欠陥をぼかすことで、それらを見えにくくすることができる。化粧用組成物は典型的には、ソフトフォーカス効果を達成するために、ポリ(メチルメタクリレート)、ナイロン又は合成シリカ等の合成ソフトフォーカス剤を含む。
【発明の概要】
【0003】
第1の態様によれば、化粧用組成物に使用するためのアルカリ土類金属炭酸塩であって、上記アルカリ土類金属炭酸塩のBET比表面積が少なくとも約60m2/gであり、上記アルカリ土類金属炭酸塩の粒子が実質的に球状である、アルカリ土類金属炭酸塩を提供する。
第2の態様によれば、第1の態様によるアルカリ土類金属炭酸塩、及び少なくとも1種の他の成分を含む化粧用組成物を提供する。
第3の態様によれば、化粧用組成物のソフトフォーカス効果を改良するための、BET比表面積が少なくとも約60m2/gであるアルカリ土類金属炭酸塩の化粧用組成物における使用であって、アルカリ土類金属炭酸塩の粒子が実質的に球状である、使用を提供する。
第4の態様によれば、シワ等の皮膚欠陥の外観を軽減するための方法であって、
(a)第1の態様によるアルカリ土類金属炭酸塩、又は
(b)第2の態様による化粧用組成物
を皮膚に適用する工程を含む方法を提供する。
第5の態様によれば、化粧用組成物に使用するためのアルカリ土類金属炭酸塩であって、上記アルカリ土類金属炭酸塩のBET比表面積が少なくとも約60m2/gであり、かつ凝集率が少なくとも約85%、例えば、少なくとも約90%、又は少なくとも約92%であり、上記凝集率Aは
【0004】
【数1】
により定義される、アルカリ土類金属炭酸塩を提供する。
第6の態様によれば、第5の態様によるアルカリ土類金属炭酸塩、及び少なくとも1種の他の成分を含む化粧用組成物を提供する。
第7の態様によれば、化粧用組成物のソフトフォーカス効果を改良するための、化粧用組成物における、BET比表面積が少なくとも約60m
2/gであるアルカリ土類金属炭酸塩の使用であって、上記アルカリ土類金属炭酸塩の凝集率が少なくとも約85%、例えば、少なくとも約90%、又は少なくとも約92%であり、上記凝集率Aは
【数2】
により定義される使用を提供する。
【0005】
第8の態様によれば、シワ等の皮膚欠陥の外観を軽減するための方法であって、
(a)第5の態様によるアルカリ土類金属炭酸塩、又は
(b)第6の態様による化粧用組成物
を皮膚に適用する工程を含む方法を提供する。
当業者は、互いに排他的である場合を除き、上記の態様のいずれか一つに関連して記載された特徴が、他の態様に準用され得ることを理解する。さらに、互いに排他的である場合を除き、本明細書に記載されるあらゆる特徴は、任意の態様に適用され、及び/又は本明細書に記載されるあらゆる他の特徴と組み合わされてもよい。
それぞれの態様において、下記パラメーターは、好ましくは下記のとおりに測定される。
BET粒子表面積は、ISO 9277のとおりに、BET法に従って測定することができる。
D50@T45及びD50@T90は、以降でより詳細に記載されているとおりに、Malvern Mastersizer 2000(Malvern instrumentsにより供給されている)を用いたレーザー粒度分布計を使用して「レーザー法による分散性の評価」(DELM)として知られる方法により測定することができる。
下記において、下記図を参照しながら、例のみにより実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】例PCC1の粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す図である。
【
図2】例PCC9の粒子のSEM画像を示す図である。
【
図3】例PCC13の粒子のSEM画像を示す図である。
【
図4】例PCC4の粒子のSEM画像を示す図である。
【
図5】例PCC6の粒子のSEM画像を示す図である。
【
図6】例PCC7の粒子のSEM画像を示す図である。
【
図7】各PCCのソフトフォーカス効果スコアの関数としてのBET表面積のプロットを示すグラフである。
【
図8】各PCCのソフトフォーカス効果スコアの関数としてのD
50@T
90のプロットを示すグラフである。
【
図9】各PCCのソフトフォーカス効果スコアの関数としての凝集率のプロットを示すグラフである。
【
図10】例PCC21のヘーズの結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
驚くべきことに、高いBET比表面積(典型的には、少なくとも約60m2/g)を有するアルカリ土類金属炭酸塩は、化粧用組成物のソフトフォーカス効果を改良し得ることが見出された。
【0008】
アルカリ土類金属炭酸塩
上記アルカリ土類金属炭酸塩は、単一のアルカリ土類金属の炭酸塩であってもよい。或いは、上記アルカリ土類金属炭酸塩は、2つ以上の異なるアルカリ土類金属の炭酸塩を含んでいてもよい。上記アルカリ土類金属炭酸塩(例えば、各アルカリ土類金属炭酸塩)は、1つ又は複数の下記:ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウムの炭酸塩を含んでいてもよい。
上記アルカリ土類金属炭酸塩は、炭酸カルシウムであってもよい。上記アルカリ土類金属炭酸塩は、沈降炭酸カルシウム(PCC)であってもよい。沈降炭酸カルシウム(PCC)は、技術的に公知のどの方法によっても作製することができる。
TAPPI Monograph Series No 30, “Paper Coating Pigments”, pages 34~35は、その内容が本明細書において参照により組み込まれるが、沈降炭酸カルシウムを調製するための3つの主要工業プロセスを説明している。3つのプロセスでは、全てにおいて、まず、石灰石を焼結して生石灰を生成後、上記生石灰を水中で消和することで水酸化カルシウム又は石灰乳が得られる。第1のプロセスでは、上記石灰乳を二酸化炭素ガスで直接的に炭酸化させる。このプロセスは、副生成物がほとんど又は全く形成されず、炭酸カルシウム生成物の物性及び純度を制御することが比較的容易であることの利点がある。第2のプロセスでは、上記石灰乳をソーダ灰と接触させることで、複分解により、炭酸カルシウムの沈降物及び水酸化ナトリウム溶液が生成する。典型的には、上記水酸化ナトリウムは、実質的に、完全に炭酸カルシウムから分離される。第3の主要工業プロセスでは、まず上記石灰乳を塩化アンモニウムと接触させることで、塩化カルシウム溶液及びアンモニアガスが得られる。その後、上記塩化カルシウム溶液をソーダ灰と接触させることで、複分解により、沈降炭酸カルシウム及び塩化ナトリウム溶液が生成する。
【0009】
或いは、PCCは、石膏(硫酸カルシウム)を炭酸アンモニウム又は炭酸水素アンモニウムと反応させることにより作製することができる。
或いは、PCCは、塩化カルシウムを炭酸ナトリウム又は炭酸アンモニウムと反応させることにより作製することができる。
【0010】
或いは、PCCは、ポリアクリル酸、エチレンジアミンテトラ酢酸(例えばEDTA)、クエン酸、及びそれらの塩;硫酸アルミニウム;サッカロース(例えばスクロース);及びそれらの任意の混合物から選択される結晶化調整剤の存在下で石灰乳を炭酸化させることにより得ることができる。例えば、PCCは、WO03/004414、その内容が本明細書において参照により組み込まれるが、その特に2頁の11行目~3頁の38行目;4頁の29行目~5頁の6行目;及び5頁の36行目~6頁の28行目並びに実施例4及び5に記載されている1つ又は複数の方法により調製することができる。
【0011】
上記調製プロセスにおいて、石灰乳中の水酸化カルシウムの濃度の値は、石灰乳の質量に基づき、約0.3質量%~約30.0質量%、例えば、少なくとも約1.0質量%、又は少なくとも約2.0質量%、又は少なくとも約2.5質量%、又は少なくとも約4.0質量%、又は少なくとも約5.0質量%、又は少なくとも約6.0質量%、又は少なくとも約7.0質量%、又は少なくとも約8.0質量%であってもよい。石灰乳中の水酸化カルシウムの濃度が約25.0質量%を超えないこと、例えば、約20.0質量%、又は約16.0質量%、又は約10質量%、又は約9質量%であることが推奨される。例えば、石灰乳中の水酸化カルシウムの濃度は、約0.3質量%~約30.0質量%、例えば、約1.0質量%~約30.0質量%、又は約2.0質量%~約30.0質量%、又は約2.5質量%~約30.0質量%、又は約4.0質量%~約30.0質量%、又は約5.0質量%~約30.0質量%、又は約6.0質量%~約30.0質量%、又は約7.0質量%~約30.0質量%、又は約8.0質量%~約30.0質量%、又は約0.3質量%~約20.0質量%、又は約1.0質量%~約20.0質量%、又は約2.0質量%~約20.0質量%、又は約2.5質量%~約20.0質量%、又は約4.0質量%~約20.0質量%、又は約5.0質量%~約20.0質量%、又は約6.0質量%~約20.0質量%、又は約7.0質量%~約20.0質量%、又は約8.0質量%~約20.0質量%、又は約0.3質量%~約16.0質量%、又は約1.0質量%~約16.0質量%、又は約2.0質量%~約16.0質量%、又は約2.5質量%~約16.0質量%、又は約4.0質量%~約16.0質量%、又は約5.0質量%~約16.0質量%、又は約6.0質量%~約16.0質量%、又は約7.0質量%~約16.0質量%、又は約8.0質量%~約16.0質量%、又は約0.3質量%~約10.0質量%、又は約1.0質量%~約10.0質量%、又は約2.0質量%~約10.0質量%、又は約2.5質量%~約10.0質量%、又は約4.0質量%~約10.0質量%、又は約5.0質量%~約10.0質量%、又は約6.0質量%~約10.0質量%、又は約7.0質量%~約10.0質量%、又は約8.0質量%~約10.0質量%、又は約0.3質量%~約9.0質量%、又は約1.0質量%~約9.0質量%、又は約2.0質量%~約9.0質量%、又は約2.5質量%~約9.0質量%、又は約4.0質量%~約9.0質量%、又は約5.0質量%~約9.0質量%、又は約6.0質量%~約9.0質量%、又は約7.0質量%~約9.0質量%、又は約8.0質量%~約9.0質量%、又は約8.0質量%であってもよい。
【0012】
上記調製プロセスにおいて、上記温度は、約0℃~約80℃、例えば、約10℃~約60℃で変動してもよい。通常、炭酸化の開始時の温度は約10℃以上、例えば、約12℃以上である。上記炭酸化の開始時の温度は典型的には、約30℃以下、例えば、約25℃以下、又は約20℃以下である。上記炭酸化の開始時の温度は、例えば約12℃、又は約15℃、又は約18℃であってもよい。上記炭酸化の終点の温度は、例えば、約10℃~約80℃、又は約15℃~約65℃、又は約35℃~約65℃でさらに高くてもよい。
上記調製プロセスにおいて、石灰乳は、二酸化炭素ガスを用いた後者の反応により炭酸化される。二酸化炭素の濃度が約3.0%~約100%で変動する二酸化炭素ガスを使用すると良好に進行し得る。しかし、濃度が約10%~60%、例えば、約15%~約40%、又は約20%~約30%である二酸化炭素ガスである、空気で希釈された二酸化炭素ガスを使用することが通常である。
【0013】
得られる炭酸カルシウム粒子の明度(例えば、黄色度を軽減する)を上昇させるために、炭酸化工程の間、イソアスコルビン酸等のいくつかの添加物もさらに追加してもよい。上記調製プロセスは典型的には、スラリーの質量に基づき、例えば約3.0質量%~約25.0質量%のPCCを含む沈降炭酸カルシウムスラリーをもたらす。
沈降炭酸カルシウム粒子は、例えば平面フィルターを通してろ過し、そして例えばオーブン中で、熱い空気流(噴霧乾燥)中に噴霧することにより、又は赤外線等の輻射作用により(エピラジエーター)、典型的には、オーブン中若しくは赤外線等の輻射作用により乾燥させてもよい。得られた粒子は、その後、例えばピンミル装置(pin mill apparatus)内でさらに粉砕してもよい。
【0014】
PCCを作製する上記プロセスは典型的には、「基本(elementary)」若しくは「一次」粒子又は結晶子(crystallite)とも称される非常に純度の高い炭酸カルシウム結晶をもたらす。この文脈において、上記用語「基本粒子」、「基本結晶子」、「一次粒子」又は「一次結晶子」は、物理的に及び化学的に独立した構成要素を指す。基本粒子若しくは一次粒子、又は基本結晶子又は一次結晶子は、使用される特定の反応プロセスに応じて、多種多様の形状及び径を有していてもよい。形態学上異なるものの混合物も使用することができる。
PCC結晶の主な多形体はアラゴナイト及びカルサイトである。アラゴナイト結晶は針状であり、ランダムに集塊していることもある。カルサイト結晶は、形態学上の擬球体、立方体、又は偏三角面体であってもよい。例えば、カルサイト結晶は、形態学上の菱面体であってもよい。
【0015】
上記アルカリ土類金属炭酸塩、例えば、炭酸カルシウム(例えば、PCC)は、通常、BET比表面積が少なくとも約60m2/gである。上記アルカリ土類金属炭酸塩は、化粧用組成物において使用された場合に、BET比表面積が約60m2/g未満である同様のアルカリ土類金属炭酸塩と比較して、改良されたソフトフォーカス効果を示す。上記アルカリ土類金属炭酸塩のBET比表面積は、少なくとも約64m2/g、例えば、少なくとも約65m2/g、又は少なくとも約70m2/g、又は少なくとも約75m2/g、又は少なくとも約80m2/gであってもよい。上記アルカリ土類金属炭酸塩、例えば、炭酸カルシウム(例えば、PCC)のBET比表面積は、約200m2/g以下、例えば、約150m2/g以下、又は約140m2/g以下、又は約120m2/g以下、又は約100m2/g以下であってもよい。上記アルカリ土類金属炭酸塩、例えば、炭酸カルシウム(例えば、PCC)のBET比表面積は、約60m2/g~約200m2/g、例えば、約64m2/g~約200m2/g、又は約65m2/g~約200m2/g、又は約70m2/g~約200m2/g、又は約75m2/g~約200m2/g、又は約80m2/g~約200m2/g、又は約60m2/g~約150m2/g、又は約64m2/g~約150m2/g、又は約65m2/g~約150m2/g、又は約70m2/g~約150m2/g、又は約75m2/g~約150m2/g、又は約80m2/g~約150m2/g、又は約60m2/g~約140m2/g、又は約64m2/g~約140m2/g、又は約65m2/g~約140m2/g、又は約70m2/g~約140m2/g、又は約75m2/g~約140m2/g、又は約80m2/g~約140m2/g、又は約60m2/g~約120m2/g、又は約64m2/g~約120m2/g、又は約65m2/g~約120m2/g、又は約70m2/g~約120m2/g、又は約75m2/g~約120m2/g、又は約80m2/g~約120m2/g、又は約60m2/g~約100m2/g、又は約64m2/g~約100m2/g、又は約65m2/g~約100m2/g、又は約70m2/g~約100m2/g、又は約75m2/g~約100m2/g、又は約80m2/g~約100m2/gであってもよい。
【0016】
粒子径特性は、アメリカ合衆国のMicromeritics Instruments Corporation,Norcross,Georgia(ウェブサイト:www.micromeritics.com)により供給されているSedigraph 5100装置、本明細書中では「Micromeritics Sedigraph 5100 unit」とも称される装置を使用し、水性媒体中で完全に分散された状態の粒子状の充填剤又は材料を沈殿させることにより、公知の手法で測定することができる。上記装置は、当技術において「球相当直径」(e.s.d)と称される径を有する粒子の累積質量パーセンテージの測定及びプロットを供するが、それは与えられたe.s.d値よりも小さい。平均粒子径D50は、このように測定された粒子のe.s.dであって、D50値よりも小さい球相当直径を有する粒子が50質量%存在する場合の値である。D98、D90及びD10は、このように測定された粒子のe.s.dであって、D98、D90及びD10の値よりも小さい球相当直径を有する粒子がそれぞれ98質量%、90質量%及び10質量%存在する場合の値である。粒子径特性は、さらに湿式Malvernレーザー散乱法(規格ISO 13320-1)により測定してもよい。この手法では、粉末、懸濁液及び乳濁液中の粒子の径は、Mie理論の適用に基づき、レーザービームの回折を使用して測定することができる。上記装置、例えばMalvern Mastersizer S又はMalvern Mastersizer 2000(Malvern instrumentsにより供給されている)は、当技術において「球相当直径」(e.s.d)と称される径を有する粒子の累積体積パーセンテージの測定及びプロットを供するが、それは与えられたe.s.d値よりも小さい。平均粒子径D50は、このように測定された粒子のe.s.dであって、D50値よりも小さい球相当直径を有する粒子が50体積%存在する場合の値である。疑念を避けるために、レーザー光散乱法を使用した粒子径の測定は、上記で参照した沈殿方法と同等の方法ではない。
【0017】
粒子状の材料(凝集した粒子状の材料等)の分散挙動は、パラメーターD50@T45及び/又はD50@T90により特徴づけることができる。D50@T45及びD50@T90は、レーザー粒度分布計を使用して、例えば、Malvern Mastersizer 2000(Malvern instrumentsにより供給されている)を使用して「レーザー法による分散性の評価」(DELM)として知られる方法により測定することができる。アルカリ土類金属炭酸塩のためのDELM法は、Michelinによる米国特許第No.6,610,261号に記載された沈降シリカのためのレーザー粒度分布法に基づいている。DELM法では、湿式Malvernレーザー散乱法デバイス(例えばMalvern Mastersizer 2000)の測定セルをイソプロパノール及び少量のアルカリ土類金属炭酸塩の混合物で充填する。その後、オブスキュレーション(obscuration)を測定するが、信頼性のある測定のため、1~3%の間であるべきである。その後、上記混合物を、約4分30秒の間、約1500rpmで機械撹拌させる。この時間の間、上記粒度分布(PSD)を45回測定する。45回目のPSD、又は最も近い代表のPSDを記録する。PSDは、気泡に起因した可能性のある500μm超の凝集物を含まない場合の代表とみなされる。混合物を撹拌後に記録されたPSDから得られたD50値は、D50@T45として知られる。
【0018】
D50@T45の測定に続いて、撹拌された混合物を、総強度約1000J~1500Jのパルス超音波に約4分30秒の間曝露する。この時間の間、PSDを45回、再度測定する。45回目のPSD、又は最も近い代表のPSDを記録する。PSDは、気泡に起因した可能性のある500μm超の凝集物を含まない場合の代表とみなされる。パルス超音波の印加後に記録されたPSDから得られたD50値は、D50@T90として知られる。上記パルス超音波は、ソニケーター、例えば、3mmの段付き先端を備えるプローブを有し、電力130W及び周波数20kHzで稼動する、Vibracell 75186ソニケーター(Thermo Fisher Scientific,Inc.,USAから入手可能)を使用して印加することができる。パルス超音波の強度は、PCC基準サンプルを測定することにより選択され、D50@T90が既に得られた値の+/-10%であることを確実とする。
【0019】
上記アルカリ土類金属炭酸塩、例えば、炭酸カルシウム(例えば、PCC)のD50@T90は、約6μm以上、例えば、約7μm以上、又は約8μm以上、又は約9μm以上、又は約10μm以上であってもよい。上記アルカリ土類金属炭酸塩、例えば、炭酸カルシウム(例えば、PCC)のD50@T90は、約20μm以下、例えば、約19μm以下、又は約18μm以下、又は約17μm以下、又は約16μm以下、又は約15μm以下であってもよい。上記アルカリ土類金属炭酸塩、例えば、炭酸カルシウム(例えば、PCC)のD50@T90は、約6μm~約20μm、例えば、約7μm~約20μm、又は約8μm~約20μm、又は約9μm~約20μm、又は約10μm~約20μm、又は約6μm~約19μm、又は約7μm~約19μm、又は約8μm~約19μm、又は約9μm~約19μm、又は約10μm~約19μm、又は約6μm~約18μm、又は約7μm~約18μm、又は約8μm~約18μm、又は約9μm~約18μm、又は約10μm~約18μm、又は約6μm~約17μm、又は約7μm~約17μm、又は約8μm~約17μm、又は約9μm~約17μm、又は約10μm~約17μm、又は約6μm~約16μm、又は約7μm~約16μm、又は約8μm~約16μm、又は約9μm~約16μm、又は約10μm~約16μm、又は約6μm~約15μm、又は約7μm~約15μm、又は約8μm~約15μm、又は約9μm~約15μm、又は約10μm~約15μmであってもよい。
【0020】
上記アルカリ土類金属炭酸塩、例えば、炭酸カルシウム(例えば、PCC)のD50@T45は、約5μm以上、例えば、約7μm以上、又は約10μm以上であってもよい。上記アルカリ土類金属炭酸塩、例えば、炭酸カルシウム(例えば、PCC)のD50@T45は、約40μm以下、例えば、約30μm以下、又は約20μm以下、又は約15μm以下であってもよい。上記アルカリ土類金属炭酸塩、例えば、炭酸カルシウム(例えば、PCC)のD50@T45は、約5μm~約40μm、例えば、約7μm~約40μm、又は約10μm~約40μm、又は約5μm~約30μm、又は約7μm~約30μm、又は約10μm~約30μm、又は約5μm~約20μm、又は約7μm~約20μm、又は約10μm~約20μm、又は約5μm~約15μm、又は約7μm~約15μm、又は約10μm~約15μmであってもよい。
【0021】
上記アルカリ土類金属炭酸塩、例えば、炭酸カルシウム(例えば、PCC)の凝集率は、少なくとも約85%、例えば、少なくとも約90%、又は少なくとも約92%、又は少なくとも約95%、又は少なくとも約99%であってもよく、上記凝集率Aは下記により定義される。
【0022】
【数3】
凝集率が少なくとも約85%であるアルカリ土類金属炭酸塩は、化粧用組成物中で使用された場合に、凝集率が約85%未満である同様のアルカリ土類金属炭酸塩と比較して、改良されたソフトフォーカス効果を示す。
【0023】
アルカリ土類金属炭酸塩、例えば、炭酸カルシウム(例えば、PCC)の凝集率は、約102%以下、例えば、約100%以下、又は約99%以下、又は約95%以下であってもよい。アルカリ土類金属炭酸塩、例えば、炭酸カルシウム(例えば、PCC)の凝集率は、約85%~約102%、例えば、約90%~約102%、又は約92%~約102%、又は約95%~約102%、又は約99%~約102%、又は約85%~約100%、又は約90%~約100%、又は約92%~約100%、又は約95%~約100%、又は約99%~約100%、又は約85%~約99%、又は約90%~約99%、又は約92%~約99%、又は約85%~約95%、又は約90%~約95%、又は約92%~約95%であってもよい。
【0024】
アルカリ土類金属炭酸塩、例えば、炭酸カルシウム(例えば、PCC)は、BET比表面積が約60m2/g~約200m2/g、例えば、約64m2/g~約200m2/g、又は約65m2/g~約200m2/g、又は約70m2/g~約200m2/g、又は約75m2/g~約200m2/g、又は約80m2/g~約200m2/g、又は約60m2/g~約150m2/g、又は約64m2/g~約150m2/g、又は約65m2/g~約150m2/g、又は約70m2/g~約150m2/g、又は約75m2/g~約150m2/g、又は約80m2/g~約150m2/g、又は約60m2/g~約140m2/g、又は約64m2/g~約140m2/g、又は約65m2/g~約140m2/g、又は約70m2/g~約140m2/g、又は約75m2/g~約140m2/g、又は約80m2/g~約140m2/g、又は約60m2/g~約120m2/g、又は約64m2/g~約120m2/g、又は約65m2/g~約120m2/g、又は約70m2/g~約120m2/g、又は約75m2/g~約120m2/g、又は約80m2/g~約120m2/g、又は約60m2/g~約100m2/g、又は約64m2/g~約100m2/g、又は約65m2/g~約100m2/g、又は約70m2/g~約100m2/g、又は約75m2/g~約100m2/g、又は約80m2/g~約100m2/gであり;D50@T90が約6μm~約20μm、例えば、約7μm~約20μm、又は約8μm~約20μm、又は約9μm~約20μm、又は約10μm~約20μm、又は約6μm~約19μm、又は約7μm~約19μm、又は約8μm~約19μm、又は約9μm~約19μm、又は約10μm~約19μm、又は約6μm~約18μm、又は約7μm~約18μm、又は約8μm~約18μm、又は約9μm~約18μm、又は約10μm~約18μm、又は約6μm~約17μm、又は約7μm~約17μm、又は約8μm~約17μm、又は約9μm~約17μm、又は約10μm~約17μm、又は約6μm~約16μm、又は約7μm~約16μm、又は約8μm~約16μm、又は約9μm~約16μm、又は約10μm~約16μm、又は約6μm~約15μm、又は約7μm~約15μm、又は約8μm~約15μm、又は約9μm~約15μm、又は約10μm~約15μmであり、及び上記で規定されたとおりの凝集率が、約85%~約102%、例えば、約90%~約102%、又は約92%~約102%、又は約95%~約102%、又は約99%~約102%、又は約85%~約100%、又は約90%~約100%、又は約92%~約100%、又は約95%~約100%、又は約99%~約100%、又は約85%~約99%、又は約90%~約99%、又は約92%~約99%、又は約85%~約95%、又は約90%~約95%、又は約92%~約95%であるものであってもよい。
【0025】
アルカリ土類金属炭酸塩、例えば、炭酸カルシウム(例えば、PCC)は、(a)BET比表面積が約60m2/g~約200m2/g、例えば、約64m2/g~約140m2/gであり、(b)D50@T90が少なくとも約6μm、例えば、約6μm~約20μmであり、及び/又は(c)上記で規定されたとおりの凝集率が少なくとも約85%、例えば、少なくとも約90%、又は少なくとも約92%であるものであってもよい。
アルカリ土類金属炭酸塩、例えば、炭酸カルシウム(例えば、PCC)は、(a)BET比表面積が約60m2/g~約100m2/g、例えば、約70m2/g~約80m2/gであり、(b)D50@T90が少なくとも約10μm、例えば、約10μm~約20μm、又は約13μm~約17μmであり、及び/又は(c)上記で規定されたとおりの凝集率が少なくとも約95%、例えば、少なくとも約99%であるものであってもよい。
【0026】
上記アルカリ土類金属炭酸塩、例えば、炭酸カルシウム(例えば、PCC)は通常、複数の粒子を含む。アルカリ土類金属炭酸塩、例えば、炭酸カルシウム(例えば、PCC)の粒子は、実質的に球状(すなわち形状において)であるものであってもよい。そのような実質的に球状のアルカリ土類金属炭酸塩(すなわち実質的に球状の粒子を有するアルカリ土類金属炭酸塩)は、化粧用組成物において使用される場合、同様の非球状のアルカリ土類金属炭酸塩(すなわち実質的に非球状である粒子を有する同様のアルカリ土類金属炭酸塩)と比較して、改良されたソフトフォーカス効果を示す。例えば、アルカリ土類金属炭酸塩、例えば、炭酸カルシウム(例えば、PCC)の粒子の約50質量%以上、例えば、約60質量%以上、又は約70質量%以上、又は約80質量%以上、又は約90質量%以上、又は約95質量%以上、又は約99質量%以上が実質的に球状であるものであってもよい。実質的に全て(すなわち約100質量%)のアルカリ土類金属炭酸塩、例えば、炭酸カルシウム(例えば、PCC)の粒子は、実質的に球状であり、すなわちアルカリ土類金属炭酸塩、例えば、炭酸カルシウム(例えば、PCC)は、実質的に、実質的に球状の粒子からなるものであってもよい。
実質的に球状の粒子は、必ずしも全体的に、又は厳密に球状である必要はないことは理解され得る。例えば、実質的に球状の粒子としては、擬球状の粒子が挙げられる(例えば、擬球状の粒子であってもよい)。
【0027】
粒子の球形度は、粒子真円度及び/又は伸長度(elongation)の観点で定量化することができる。上記アルカリ土類金属炭酸塩、例えば、炭酸カルシウム(例えば、PCC)の粒子の真円度(例えば高感度(HS)真円度)は、約0.8以上(例えば約0.80以上)、例えば、約0.81以上、又は約0.82以上、又は約0.83以上、又は約0.84以上、又は約0.85以上、又は約0.86以上、又は約0.87以上、又は約0.88以上、又は約0.89以上、又は約0.9以上(例えば約0.90以上)、又は約0.91以上、又は約0.92以上、又は約0.93以上、又は約0.94以上、又は約0.95以上であってもよい。上記アルカリ土類金属炭酸塩、例えば、炭酸カルシウム(例えば、PCC)の粒子の伸長度は、約0.2以下(例えば約0.20以下)、例えば、約0.19以下、又は約0.18以下、又は約0.17以下、又は約0.16以下、又は約0.15以下、又は約0.14以下、又は約0.13以下、又は約0.12以下、又は約0.11以下、又は約0.1以下(例えば約0.10以下)、又は約0.09以下、又は約0.08以下、又は約0.07以下、又は約0.06以下、又は約0.05以下であってもよい。
【0028】
アルカリ土類金属炭酸塩、例えば、炭酸カルシウム(例えば、PCC)の粒子は、真円度(例えば高感度(HS)真円度)が約0.8以上(例えば約0.80以上)かつ伸長度が約0.2以下(例えば約0.20以下)、例えば真円度(例えば高感度(HS)真円度)が約0.9以上(例えば約0.90以上)かつ伸長度が約0.1以下(例えば約0.10以下)であってもよい。
(HS)真円度及び上記伸長度は、例えば、Malvernモルフォグラニュロメーター(Malvern instrumentsにより供給されている)を使用して測定することができる。
(HS)真円度であるCは、形状が真円にどの程度近いかの基準であり、粒子相当円の面積と、粒子の実際の面積との間の関係性を定義する。
【0029】
【数4】
(式中、Aは粒子の面積であり、Pは粒子の周長である。Cは、0(一様でない粒子)~1(真円)の値をとる)
伸長度であるEは、粒子形状の非対称性の基準である。
【0030】
【数5】
(式中、Wは粒子の幅であり、Lは粒子の長さである。Eは、0(円又は完全平方)~1(針状であり、長くかつ微細な粒子)の値をとる)
【0031】
上記アルカリ土類金属炭酸塩、例えば、炭酸カルシウム(例えば、PCC)は、噴霧乾燥されたアルカリ土類金属炭酸塩、例えば、噴霧乾燥された炭酸カルシウム(例えば、噴霧乾燥されたPCC)であってもよい。上記アルカリ土類金属炭酸塩、例えば、炭酸カルシウム(例えば、PCC)は、ロータリーディスクを使用して、又はノズルを通して噴霧乾燥されたものであってもよい。アルカリ土類金属炭酸塩、例えば、炭酸カルシウム(例えば、PCC)の噴霧乾燥は通常、実質的に球状の粒子を生成する。
アルカリ土類金属炭酸塩、例えば、炭酸カルシウム(例えば、PCC)の粒子は、凝集物(例えば実質的に球状の凝集物)であってもよく、各凝集体は複数の凝集したアルカリ土類金属炭酸塩の一次結晶子(例えば、凝集した炭酸カルシウム(例えば、PCC)の一次結晶子)を含むものであってもよい。
上記アルカリ土類金属炭酸塩、例えば、炭酸カルシウム(例えば、PCC)は、多孔性であってもよい。炭酸カルシウム(そして特にPCC)等のアルカリ土類金属炭酸塩と関連させて使用されている用語「多孔性(porous)」は、ガス及び/又は液体が、アルカリ土類金属炭酸塩の凝集物又は集塊物、例えば、炭酸カルシウム(例えば、PCC)を通り抜けることを可能とする空隙の存在を指す。特に、用語「多孔性(porous)」は、アルカリ土類金属(例えば、炭酸カルシウム(例えば、PCC))集塊物を形成するために凝集した一次結晶子間の空隙の存在を指す。
【0032】
上記アルカリ土類金属炭酸塩、例えば、炭酸カルシウム(例えば、PCC)は、表面が改質されたものであってもよい。例えば、上記アルカリ土類金属炭酸塩、例えば、炭酸カルシウム(例えば、PCC)は、被覆されていてもよい。上記被覆は、シラン又はそれらの塩、例えば、有機シランを含んでいてもよい(例えば(例えば実質的に)それらからなるものであってもよい)。さらに、又は或いは、上記被覆は、脂肪酸又はそれらの塩を含んでいてもよい(例えば(例えば実質的に)それらからなるものであってもよい)。上記脂肪酸又はそれらの塩は、炭素原子を8~24個含有していてもよい。例えば、上記被覆は、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデシル酸、アラキジン酸、ヘネイコシル酸、ベヘン酸、トリコシル酸、リグノセリン酸、若しくはそれらの塩、又はそれらの任意の混合物を含んでいてもよい(例えば(例えば実質的に)それらからなるものであってもよい)。例えば、上記被覆は、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアレート、パルメート、又はそれらの任意の混合物を含んでいてもよい(例えば(例えば実質的に)それらからなるものであってもよい)。上記被覆のレベルは、被覆されたアルカリ土類金属炭酸塩の合計質量に基づき、約1質量%~約20質量%であってもよく、例えば、約1質量%~約15質量%、又は約1質量%~約10質量%、又は約1質量%~約5質量%、又は約2質量%~約20質量%、又は約2質量%~約15質量%、又は約2質量%~約10質量%、又は約2質量%~約5質量%、又は約3質量%~約20質量%、又は約3質量%~約15質量%、又は約3質量%~約10質量%、又は約3質量%~約5質量%、又は約3.5質量%~約20質量%、又は約3.5質量%~約15質量%、又は約3.5質量%~約10質量%、又は約3.5質量%~約5質量%、又は約4質量%~約20質量%、又は約4質量%~約15質量%、又は約4質量%~約10質量%、又は約4質量%~約5質量%、又は約5質量%~約20質量%、又は約5質量%~約15質量%、又は約5質量%~約10質量%であってもよい。
【0033】
アルカリ土類金属炭酸塩、例えば、炭酸カルシウム(例えば、PCC)の被覆は、上記アルカリ土類金属炭酸塩、例えば、炭酸カルシウム(例えば、PCC)を含む化粧用組成物を皮膚に適用した際の適用容易性及び/又はソフト性を改良し得る。ステアリン酸、パルミチン酸及び/又はそれらの塩、例えば、ステアリン酸及びパルミチン酸を主に含む(例えば(例えば実質的に)それらからなる)脂肪酸混合物を含むアルカリ土類金属炭酸塩、例えば、炭酸カルシウム(例えば、PCC)の被覆は、上記アルカリ土類金属炭酸塩、例えば、炭酸カルシウム(例えば、PCC)を含む化粧用組成物を皮膚に適用した際の適用容易性及び/又はソフト性を特に向上させ得る。上記アルカリ土類金属炭酸塩、例えば、炭酸カルシウム(例えば、PCC)は、約1質量%~約20質量%、例えば、約2質量%~約10質量%、又は約2質量%~約6質量%、又は約3質量%~約6質量%、又は約3質量%~約5質量%、例えば、約4質量%のステアリン酸、パルミチン酸及び/又はそれらの塩、例えば、ステアリン酸及びパルミチン酸を主に含む(例えば(例えば実質的に)それらからなる)脂肪酸混合物で被覆されたものであってもよい。
【0034】
本明細書で使用される用語「被覆(coating)」は、均一な被覆、又は、粒子の全体の表面積を覆う被覆等、広く解釈され、限定されない。表面の不連続領域が被覆で改質された粒子は、本発明の一定の実施形態の条件の範囲内で被覆されていると解釈され得る。
【0035】
上記アルカリ土類金属炭酸塩、例えば、炭酸カルシウム(例えば、PCC)は、任意で1種又は複数種の結晶化調整剤をさらに含んでいてもよい。上記結晶化調整剤は、例えば、ポリアクリル酸、それらの塩及びそれらの混合物、クエン酸、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、ポリアスパラギン酸及びエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)からなる群より選択されるものであってもよい。上記結晶化調整剤は、例えば、アルカリ土類金属炭酸塩、例えば、炭酸カルシウム(例えば、PCC)中に、約0.1質量%以上の量で(アルカリ土類金属炭酸塩の質量で)存在していてもよい。例えば、上記結晶化調整剤は、アルカリ土類金属炭酸塩、例えば、炭酸カルシウム(例えば、PCC)中に、約0.2質量%以上、又は約0.25質量%以上、又は約0.5質量%以上の量で存在していてもよい。例えば、上記結晶化調整剤は、アルカリ土類金属炭酸塩、例えば、炭酸カルシウム(例えば、PCC)中に、約4質量%以下、又は約3質量%以下、又は約2.5質量%以下、又は約2質量%以下、又は約1質量%以下の量で存在していてもよい。したがって、上記結晶化調整剤は、アルカリ土類金属炭酸塩、例えば、炭酸カルシウム(例えば、PCC)中に、約0.2質量%~約4質量%、例えば、約0.25質量%~約4質量%、又は約0.5質量%~約4質量%、又は約0.2質量%~約3質量%、又は約0.25質量%~約3質量%、又は約0.5質量%~約3質量%、又は約0.2質量%~約2.5質量%、又は約0.25質量%~約2.5質量%、又は約0.5質量%~約2.5質量%、又は約0.2質量%~約2質量%、又は約0.25質量%~約2質量%、又は約0.5質量%~約2質量%の量で存在していてもよい。
【0036】
アルカリ土類金属炭酸塩、例えば、炭酸カルシウム(例えば、PCC)粒子中にポリアクリル酸性、それらの塩及びそれらの混合物が存在する場合、通常、ポリアクリル酸又はその塩、特にナトリウム塩の分子量は、約500~最大約15,000g/モルである。上記分子量は、例えば、約500g/モル以上又は約700g/モル以上又は約1000g/モル以上であってもよい。通常、上記分子量は約15,000g/モル以下、又は約10,000g/モル以下又は約5000g/モル以下である。例えば、上記分子量は約1000~約3500g/モルであってもよい。仮にポリアクリル酸がナトリウム塩等の塩として存在する場合、そのカチオン、特にナトリウムによる酸性度の中和の度合いは、0~100%であってもよい。例えば、酸基のおよそ70%が中和されていてもよい。そのため、調整された結晶化のpHは約5~約6に及び得る。例えば、酸基のおよそ100%が中和されることができ、上記結晶化調整剤のpHは、約6.5~約10に及び得る。
【0037】
化粧用組成物
上記化粧用組成物は、通常、アルカリ土類金属炭酸塩、例えば、炭酸カルシウム(例えば、PCC)、及び少なくとも1種の他の成分を含む。
【0038】
上記化粧用組成物は、約0.5質量%以上、例えば、約1質量%以上、又は約2質量%以上、又は約5質量%以上、又は約10質量%以上、又は約20質量%以上のアルカリ土類金属炭酸塩、例えば、炭酸カルシウム(例えば、PCC)を含んでいてもよい。上記化粧用組成物は、約90質量%以下、例えば、約80質量%以下、又は約70質量%以下、又は約60質量%以下、又は約50質量%以下、又は約40質量%以下、又は約30質量%以下、又は約20質量%、以下又は約10質量%以下、又は約5質量%以下のアルカリ土類金属炭酸塩、例えば、炭酸カルシウム(例えば、PCC)を含んでいてもよい。上記化粧用組成物は、約0.5質量%~約90質量%、例えば、約1質量%~約90質量%、又は約2質量%~約90質量%、又は約5質量%~約90質量%、又は約10質量%~約90質量%、又は約20質量%~約90質量%、又は約0.5質量%~約80質量%、又は約1質量%~約80質量%、又は約2質量%~約80質量%、又は約5質量%~約80質量%、又は約10質量%~約80質量%、又は約20質量%~約80質量%、又は約0.5質量%~約70質量%、又は約1質量%~約70質量%、又は約2質量%~約70質量%、又は約5質量%~約70質量%、又は約10質量%~約70質量%、又は約20質量%~約70質量%、又は約0.5質量%~約60質量%、又は約1質量%~約60質量%、又は約2質量%~約60質量%、又は約5質量%~約60質量%、又は約10質量%~約60質量%、又は約20質量%~約60質量%、又は約0.5質量%~約50質量%、又は約1質量%~約50質量%、又は約2質量%~約50質量%、又は約5質量%~約50質量%、又は約10質量%~約50質量%、又は約20質量%~約50質量%、又は約0.5質量%~約40質量%、又は約1質量%~約40質量%、又は約2質量%~約40質量%、又は約5質量%~約40質量%、又は約10質量%~約40質量%、又は約20質量%~約40質量%、又は約0.5質量%~約30質量%、又は約1質量%~約30質量%、又は約2質量%~約30質量%、又は約5質量%~約30質量%、又は約10質量%~約30質量%、又は約20質量%~約30質量%、又は約0.5質量%~約20質量%、又は約1質量%~約20質量%、又は約2質量%~約20質量%、又は約5質量%~約20質量%、又は約10質量%~約20質量%、又は約0.5質量%~約10質量%、又は約1質量%~約10質量%、又は約2質量%~約10質量%、又は約5質量%~約10質量%、又は約0.5質量%~約5質量%、又は約1質量%~約5質量%、又は約2質量%~約5質量%のアルカリ土類金属炭酸塩、例えば、炭酸カルシウム(例えば、PCC)を含んでいてもよい。
【0039】
上記少なくとも1種の他の成分は、水又は水溶液;ポリマー;植物源、動物源又は鉱物(例えば石油化学)源由来のオイル等のオイル、植物源、動物源又は鉱物(例えば石油化学)源由来のワックス等のワックス;脂肪酸又はそれらの塩;タンパク質等のアミノ酸又はポリペプチド、糖類又は炭水化物;アルカリ土類金属炭酸塩を除く鉱物、例えば、酸化鉄、酸化亜鉛、タルク、マイカ、ワラストナイト、珪藻土又は粘土鉱物(例えばカオリナイト、モンモリロナイト又はイライト);顔料;香料から選択してもよい。上記化粧用組成物は、アルカリ土類金属炭酸塩を除く2種以上(すなわち異なる成分)を含有していてもよい。
【0040】
上記化粧用組成物は、無水化粧用組成物、すなわち実質的に(例えば全体的に)水を含まない化粧用組成物であってもよい。例えば、上記化粧用組成物は、約1質量%以下、例えば、約0.1質量%以下、又は約0.01質量%以下の水を含んでいてもよい。或いは、上記化粧用組成物は、非無水(すなわち水和した、又は含水の)化粧用組成物であってもよい。例えば、上記化粧用組成物は、約1質量%以上、例えば、約1質量%超、又は約5質量%超の水を含んでいてもよい。
上記化粧用組成物は、水ベースの化粧用組成物であってもよい。或いは、上記化粧用組成物は、オイルベースの化粧用組成物であってもよい。さらに或いは、上記化粧用組成物は、水及びオイルの両方を、例えば、乳液の形態で含有していてもよい。
【0041】
上記化粧用組成物は、乾燥した化粧用組成物であってもよい。例えば、上記化粧用組成物は、ルースパウダー又はプレストパウダー等の粉末であってもよい。
上記化粧用組成物は、湿潤した化粧用組成物であってもよい。例えば、上記化粧用組成物は、クリーム、ジェル、ジェルクリーム、乳液、ローション、フリュイド、ミルク又はセラムであってもよい。
上記化粧用組成物は、固形の化粧用組成物であってもよい。例えば、上記化粧用組成物は、固形スティックであってもよい。
上記化粧用組成物は、液体の化粧用組成物であってもよい。例えば、上記化粧用組成物は、クリーム、ローション、フリュイド、ミルク又はセラムであってもよい。
上記化粧用組成物は、半固形の化粧用組成物であってもよい。例えば、上記化粧用組成物は、ジェルであってもよい。
上記化粧用組成物は、1種又は複数種の液体成分及び1種又は複数種の固形成分の混合物を含んでいてもよい。例えば、上記化粧用組成物は、ペースト又はスラリーであってもよい。
【0042】
上記化粧用組成物は典型的には、皮膚に局所的に適用するためのものである。例えば、上記化粧用組成物は、頭及び首の皮膚、例えば、顔の皮膚(唇を含んでいてもよい)に局所的に適用するためのものであってもよい。さらに、又は或いは、上記化粧用組成物は、身体の(例えば、腕又は脚等の関節、及び/又はデコルタージュの)皮膚に局所的に適用するためのものであってもよい。
上記化粧用組成物は、化粧品の形態であってもよく、又はその形態での使用に適し得る。例えば、上記化粧用組成物は、プライマー;コンシーラー;ファンデーション;ルージュ又は頬紅;ブロンザー;ハイライター;アイシャドー;眉ペンシル、クリーム、ワックス、ジェル又はパウダー;アイライナーペンシル、ジェル又はリキッド;マスカラ;リップスティック、リップグロス、リップバーム又はリップライナー;又はフェイスパウダー、セッティングパウダー又はセッティングスプレーであってもよく、又はそれらでの使用に適し得る。
或いは、上記化粧用組成物は、スキンケアの形態であってもよく、又はその形態での使用に適し得る。例えば、上記化粧用組成物は、保湿剤、セラム、化粧液(toner)、スキンオイル(例えば、フェイシャルオイル)、又は日焼け止め剤であってもよく、又はそれらでの使用に適し得る。
【0043】
ソフトフォーカス効果
化粧用組成物中にアルカリ土類金属炭酸塩を含有させると、化粧用組成物のソフトフォーカス効果、すなわち化粧用組成物を皮膚に適用した際に達成されるソフトフォーカス効果を改良し得ることが見出された。
化粧用組成物を皮膚上に適用した際のソフトフォーカス効果は、皮膚欠陥の外観を軽減する(すなわち見えにくくする又は気付きにくくする)ことができる。例えば、上記ソフトフォーカス効果は、リチド(rhytid)としても知られるシワ(wrinkle)、すなわち、皮膚の皺襞(fold)、隆起又はシワ(crease)の外観を軽減する(すなわち見えにくくする又は気付きにくくする)ことができる。さらに、又は或いは、上記ソフトフォーカス効果は、肝斑(老人斑としても知られる)、くすみ、そばかす、吹き出物、黒ずみ、白斑、毛穴の開き、肝斑、傷跡、色素過剰及び/又は変色等のシミの外観を軽減する(すなわち見えにくくする又は気付きにくくする)ことができる。
【0044】
アルカリ土類金属炭酸塩のソフトフォーカス効果は、熟練のパネリストにより評価され得る。例えば、屈折率が上記アルカリ土類金属炭酸塩は、アルカリ土類金属炭酸塩(例えば炭酸カルシウムの場合は1.5)の屈折率と実質的に合致する油相マトリックス中に導入することができる。炭酸ジカプリリルは、炭酸カルシウムを試験するのに適切な油である。アルカリ土類金属炭酸塩対油が50%-50質量%である混合物を使用することができる。計量された混合物は、パネリストの、例えば細かい線が視認可能である手首のくぼみの皮膚の一定のエリア上に適用し、広げることができる。パネリストは、例えば0(オイルを単独で使用して達成されるソフトフォーカス効果に相当)~5(シリカ SB700(三好化成株式会社,日本から入手可能)等の基準の合成ソフトフォーカス剤を使用して達成されるソフトフォーカス効果に相当)のスケールに基づきソフトフォーカス効果を評価することができる。
【0045】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本明細書に記載された概念から逸脱することなく、様々な変更及び改変を行うことができることが理解される。互いに排他的である場合を除き、特徴のいずれかを別個に、又は他の特徴と組み合わせて採用することができ、本開示は、本明細書に記載される1つ又は複数の特徴の全ての組み合わせおよび副次的な組み合わせに及び、そしてそれらを含む。
【0046】
疑念を避けるために、本出願は、下記の付番された項に記載された主題を対象とする。
1. 化粧用組成物に使用するためのアルカリ土類金属炭酸塩であって、上記アルカリ土類金属炭酸塩のBET比表面積が少なくとも約60m2/gであり、上記アルカリ土類金属炭酸塩の粒子が実質的に球状である、アルカリ土類金属炭酸塩。
2. アルカリ土類金属炭酸塩が炭酸カルシウム、例えば、沈降炭酸カルシウムである、項1に記載のアルカリ土類金属炭酸塩。
3. アルカリ土類金属炭酸塩が、
(a)BET比表面積が約60m2/g~約200m2/g、例えば、約64m2/g~約140m2/gであり、
(b)D50@T90が少なくとも約6μm、例えば、約6μm~約20μmであり、及び/又は
(c)凝集率が少なくとも約85%、例えば、少なくとも約90%、又は少なくとも約92%であり、上記凝集率Aが、
【0047】
【数6】
により規定される、項1又は2に記載のアルカリ土類金属炭酸塩。
4. アルカリ土類金属炭酸塩の粒子のHS真円度が少なくとも約0.8であり、及び/又は伸長度が約0.2以下である、項1~3のいずれかに記載のアルカリ土類金属炭酸塩。
5. アルカリ土類金属炭酸塩の粒子が、複数の凝集したアルカリ土類金属炭酸塩の一次結晶子をそれぞれ含む凝集物である、項1~4のいずれかに記載のアルカリ土類金属炭酸塩。
6. アルカリ土類金属炭酸塩が、例えば、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアレート又はパルメート等の脂肪酸若しくはそれらの塩、又はそれらの任意の混合物を含む被覆で被覆されている、項1~5のいずれかに記載のアルカリ土類金属炭酸塩。
7. アルカリ土類金属炭酸塩が、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアレート又はパルメート等の脂肪酸若しくはそれらの塩、又はそれらの任意の混合物を約1質量%~約20質量%、例えば、約2質量%~約15質量%、又は約3.5質量%~約15質量%含む、項6に記載のアルカリ土類金属炭酸塩。
【0048】
8. 項1~7のいずれかに記載のアルカリ土類金属炭酸塩、及び少なくとも一種の他の成分を含む、化粧用組成物。
9. 化粧用組成物のソフトフォーカス効果を改良するための、BET比表面積が少なくとも約60m2/gであるアルカリ土類金属炭酸塩の化粧用組成物における使用であって、アルカリ土類金属炭酸塩の粒子が実質的に球状である、使用。
10. アルカリ土類金属炭酸塩が、
(a)炭酸カルシウム、例えば、沈降炭酸カルシウムであり、
(b)BET比表面積が約60m2/g~約200m2/g、例えば、約64m2/g~約140m2/gであり、
(c)D50@T90が少なくとも約6μm、例えば、約6μm~約20μmであり、及び/又は
(d)凝集率が少なくとも約85%、例えば、少なくとも約90%、又は少なくとも約92%であり、上記凝集率Aが、
【0049】
【数7】
により規定される、項9に記載の使用。
11. アルカリ土類金属炭酸塩の粒子のHS真円度が少なくとも約0.8であり、及び/又は伸長度が約0.2以下である、項9又は項10に記載の使用。
12. アルカリ土類金属炭酸塩の粒子が、複数の凝集したアルカリ土類金属炭酸塩の一次結晶子をそれぞれ含む凝集物である、項9~11のいずれかに記載の使用。
13. アルカリ土類金属炭酸塩が、例えば、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアレート、又はパルメート等の脂肪酸若しくはそれらの塩、又はそれらの任意の混合物を含む被覆で被覆されている、項9~12のいずれかに記載の使用。
14. アルカリ土類金属炭酸塩が、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアレート又はパルメート等の脂肪酸若しくはそれらの塩、又はそれらの任意の混合物を約1質量%~約10質量%、例えば、約2質量%~約5質量%、又は約3.5質量%~約4.5質量%含む、項13に記載の使用。
15. シワ等の皮膚欠陥の外観を軽減するための方法であって、
(a)項1~7のいずれかに記載のアルカリ土類金属炭酸塩、又は
(b)項8に記載の化粧用組成物
を皮膚に適用する工程を含む、方法。
【実施例】
【0050】
(実施例1)
表1に示したとおりに、21の異なる例の沈降炭酸カルシウム(PCC1~PCC21)を取得又は調製した。
PCC1、PCC2及びPCC9~PCC21は、下記方法により調製した。80g/Lの濃度の水酸化カルシウム(Ca(OH)2)からなる石灰乳を350Lカーボネーター内に投入した。クエン酸をPCCに対して2質量%の濃度で追加した。炭酸化反応を15℃で実施した。CO2流量は90Nm3/時間であった。反応が完了し、pHが7に到達した際に、全てのCa(OH)2が炭酸化されたことを確実とするために、過炭酸化を26Nm3/時間で実施した。表1に示したとおりに、得られた生成物を任意でステアリン(大部分がパルミチン酸及びステアリン酸である脂肪酸の混合物)で官能化した。ステアリンで官能化された場合に、上記脂肪酸をNH4OH又はNaOH等のアルカリを有する乳濁液中に追加した。上記生成物を篩にかけることで、比較的大きい部分を除去した。最終的に、表1に示したとおりに、ロータリーディスク法又はノズルを通すかのいずれかを使用して上記生成物を噴霧乾燥させた。噴霧乾燥に関し、入口温度は300℃であり、他方、出口温度は105℃であった。
【0051】
PCC3~PCC8も、噴霧乾燥により調製された別の市販の沈降炭酸カルシウムであった。PCC2、PCC4、PCC6及びPCC8は、マルトデキストリンで被覆されていた。
【0052】
【表1】
白金(Pt)でスパッタリングした後に、PCC1、PCC4、PCC6、PCC7、PCC9及びPCC13のサンプルを走査型電子顕微鏡(二次電子及び後方散乱電子検出器を備えたHitachi S4800 Field Emission Scanning Electron Microscope、加速電圧は0.1kV~30kV、最大の拡大倍率は800000x、15kVでの解像度は1nm、そして30kVでの微細サンプルの観察には透過オプション)で観察した。
図1は、PCC1について得られたSEM画像を示す。
図2は、PCC9について得られたSEM画像を示す。
図3は、PCC13について得られたSEM画像を示す。
図4は、PCC4について得られたSEM画像を示す。
図5は、PCC6について得られたSEM画像を示す。
図6は、PCC7について得られたSEM画像を示す。
【0053】
サンプルPCC1~PCC21の(HS)真円度及び伸長度は、Malvernモルフォグラニュロメーター(Malvern instrumentsにより供給されている)を使用して測定した。サンプルPCC1、PCC2、及びPCC9~PCC21の真円度は0.80超であり、伸長度は0.20未満(例えば、PCC13の真円度は0.92であり、伸長度は0.05)である。サンプルPCC3~PCC8の真円度は0.80未満であり、及び/又は伸長度は0.20超(例えば、PCC7の真円度は0.78であり、伸長度は0.21)である。
【0054】
PCC1~PCC21のそれぞれについて、BET表面積、D50@T90及び凝集率を測定した。
BET表面積は、BET法、ISO 9277を使用して測定した。
【0055】
D50@T45、D50@T90及び上記凝集率は、Malvern Mastersizer 2000(Malvern instrumentsにより供給されている)を使用したレーザー粒度分布計を使用して「レーザー法による分散性の評価」(DELM)により測定された。今度は、イソプロパノール及び少量の各PCCの混合物でMalvern Mastersizer 2000の測定セルを充填した。その後、オブスキュレーションを測定し、オブスキュレーションが1~3%の間(信頼性のある測定のために)となるように混合物を調整した。その後、上記混合物を、約4分30秒の間、約1500rpmで機械撹拌させた。この時間の間、上記粒度分布(PSD)を45回測定した。45回目のPSD、又は最も近い代表のPSDを記録した。PSDは、気泡に起因した可能性のある500μm超の凝集物を含まなかった場合の代表とみなされた。混合物を撹拌後に記録されたPSDから得られたD50値は、D50@T45として記録された。
【0056】
D50@T45の測定に続いて、撹拌された混合物を、総強度約1000J~1500Jのパルス超音波に約4分30秒間曝露した。上記パルス超音波は、3mmの段付き先端を備えるプローブを有し、電力130W及び周波数20kHzで稼動する、Vibracell 75186ソニケーター(Thermo Fisher Scientific,Inc.,USAから入手可能)を使用して印加された。この時間の間、PSDを45回、再度測定した。45回目のPSD、又は最も近い代表のPSDを記録した。PSDは、気泡に起因した可能性のある500μm超の凝集物を含まなかった場合の代表とみなされた。パルス超音波の印加後に記録されたPSDから得られたD50値は、D50@T90として記録された。上記パルス超音波の強度は、PCC基準サンプルを測定することにより選択され、D50@T90が既に得られた値の+/-10%であったことを確実とした。
【0057】
凝集率Aは下記に従って算出した。
【数8】
結果は表2に示されている。
【0058】
【表2】
下記方法を用いて五人の熟練のパネリストの評価団により、PCC1~PCC21のそれぞれのソフトフォーカス効果及び適用容易性が評価された。各PCCの、炭酸ジカプリリル油との50%-50%混合物を作製した。計量された混合物は、パネリストの、細かい線が視認可能であった手首のくぼみの皮膚の一定のエリア上に適用し、広げられた。パネリストは、0(オイルを単独で使用して達成されるソフトフォーカス効果に相当)~5(基準の合成ソフトフォーカス剤、シリカ SB700(三好化成株式会社,日本から入手可能)を使用して達成されるソフトフォーカス効果に相当)のスケールに基づきソフトフォーカス効果(すなわち細かい線の外観を軽減する性能)を評価した。パネリストはまた、0(最も低い適用容易性に相当)~5(最も高い適用容易性に相当)のスケールに基づき適用容易性を評価した。結果は表3に表されている。
【0059】
【表3】
表3に示された結果に基づき、ソフトフォーカスの効果のスコアが全て5に達したPCC1、PCC2及びPCC9~PCC21は、許容できるソフトフォーカス効果を有すると考えられる。ソフトフォーカス効果のスコアが全て3以下に達したPCC3~PCC8は、許容できないソフトフォーカス効果を有すると考えられる。
【0060】
図7、8及び9は、ソフトフォーカス効果の機能としてのBET表面積、D
50@T
90及び凝集率のプロットを示す。これらのプロットから、改良されたソフトフォーカス効果は、より高い(例えば約60m
2/g以上の)BET表面積、より高い(例えば約6μm以上、又は約8μm以上の)D
50@T
90の値、及びより高い(例えば約85%以上、例えば、約90%以上の)凝集率と関連していることが分かり得る。
【0061】
また、表1及び表3の結果を比較することにより、改良された適用容易性はステアリン被覆の使用と関連しており、そして最も高い適用容易性は4質量%ステアリン被覆が使用された場合に達成されることも分かり得る。
【0062】
(実施例2)
パネリストの試験に加え、本発明の改良されたソフトフォーカス効果はさらに、後述のとおり、「ヘーズ」分光光度測定を用いて示されている。
【0063】
1.サンプル調製
分光光度測定について、サンプルの粒子は、支持体上に硬いフィルムを形成可能な樹脂中に導入される必要がある。
ここでは、乾燥時に硬いフィルムを形成可能である、使用された基本的な配合物が説明されている。それは、滑らかでかつ透明な硬いフィルムを形成するニトロセルロースラッカーで作製された。フィルムのあらゆる着色又は粗さが結果に影響を与え得るため、表面が滑らかでかつ透明なフィルムが必要である。硬いフィルムはまた、バニシング又は異物汚染によるフィルム表面の予期しない損傷から防護する。
表4に示されている配合を用いて、ソフトフォーカスサンプル粒子が2.5質量%で導入されている混合物を調製する。検討のための基準は100%マニキュア液である。
【表4】
ソフトフォーカス材料の良好な分散性が達成され、また、調製が均一であることを確実とするために、SpeedMixer DAC 150.1 FV(2000rpmで2分間稼動させ、2回繰り返した)を使用して配合物を調製する。
【0064】
2.フィルム適用
50μm厚さのフィルムを、ガラス板(BYK、すなわちドイツのBYK-Gardner GmbHのbyko-drive XL)及びBYKの50μm厚の牽引棒を備える自動アプリケーター(速度:10mm/秒;差:0;移動:170mm)を使用して透明なポリエステルフィルム基材(BYKのビコチャート)上に適用する。その後、(温度23℃、及び湿度~50%に)調整された室内で上記シートを少なくとも24時間乾燥させる。
【0065】
3.分光光度測定
フィルムのヘーズは、60mm積分球(メソッド:ヘーズASTMD-1003-00)を有するPerkinElmer Lambda 650S分光光度計(PerkinElmer Inc.,USAから入手可能)を使用して測定する。上記ヘーズ測定は、拡散透過率対合計透過率の比に相当する、光がサンプルを通り抜ける際に散乱する光量を表す。ヘーズ測定値が高いほど、ソフトフォーカス効果が高くなる。
各材料について、3種の異なるサンプルを測定し、標準偏差の平均値を得た。そのため、PCC21及び基準の合成ソフトフォーカス剤、シリカ SB700(三好化成株式会社,日本から入手可能)を分析した。結果は
図10に示されている。
【国際調査報告】