(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-30
(54)【発明の名称】ベース上に関節式に連結されたキャップを備えるキャッピング装置
(51)【国際特許分類】
B65D 41/34 20060101AFI20240123BHJP
【FI】
B65D41/34 100
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023542534
(86)(22)【出願日】2022-01-10
(85)【翻訳文提出日】2023-08-07
(86)【国際出願番号】 EP2022050318
(87)【国際公開番号】W WO2022152645
(87)【国際公開日】2022-07-21
(32)【優先日】2021-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522294660
【氏名又は名称】ベタパック、エス・エー・ユー
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベロア・ガルシア、フランシスコ・ジャビエル
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA02
3E084AA12
3E084AB01
3E084BA01
3E084CA01
3E084CC04
3E084DA01
3E084DB12
3E084DC04
3E084FA03
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084GB08
3E084GB13
3E084JA15
3E084JA16
3E084KA12
3E084KA16
3E084KB01
3E084LD01
(57)【要約】
ベース上に関節式に連結されたキャップを備えるキャッピング装置は、
容器(2)に固定するためのベース(9)と、
上壁及び外部スカート(11)を有するキャップ(8)と、
前記キャップ(8)の前記外部スカート(11)を前記ベース(9)に連結する少なくとも1つの第1の薄板(19)を有る関節装置と、を具備し、前記外部スカート(11)には、その上縁(23)に取り付けられた前記第1の薄板(19)を有する第1の凹部(21)が設けられ、前記キャップ(8、108)には、少なくとも1つの第1の侵入防止ベール(29、129)が付加されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器(2)に固定するためのベース(9、109)と、
上壁及び外部スカート(11、111)を有し、前記上壁を開口部(4、138)を覆う閉鎖位置に配置させるために適用されるキャップ(8、108)と、
キャップ(8、108)をベース(9、109)に連結する関節装置と、を具備し、
前記関節装置は、前記キャップ(8、108)の前記外部スカート(11、111)を前記ベース(9、109)に連結する少なくとも1つの第1の薄板(19、119)を有し、外部スカート(11、111)には、その下縁(24、124)上に延在し、上縁(23、123)を有する第1の凹部(21、121)が設けられ、前記第1の凹部(21、121)の前記上縁(23、123)と前記外部スカート(11、111)の前記下縁(24、124)とは、第1の側縁(25、125)で繋がれ、前記第1の薄板(19、119)は、前記第1の凹部(21、121)の前記上縁(23、123)に取り付けられ、前記キャップ(8、108)には、前記外部スカート(11、111)の厚さよりも薄い厚さを有する少なくとも1つの第1の侵入防止ベール(29、129)が付加され、前記第1の侵入防止ベール(29、129)は、前記第1の凹部(21、121)の内部において、前記第1の凹部(21、121)の前記上縁(23、123)並びに前記第1の凹部(21、121)の前記第1の側縁(25、125)から延在しているキャッピング装置(1、101)。
【請求項2】
前記第1の侵入防止ベール(29、129)は、0.05~0.5mmの厚さを有している請求項1に記載のキャッピング装置(1、101)。
【請求項3】
前記第1の侵入防止ベール(29、129)は、前記外部スカート(11、111)の前記下縁(24、124)の延長線上に延びる下方自由端(32、132)を有している請求項1又は2に記載のキャッピング装置(1、101)。
【請求項4】
前記第1の侵入防止ベール(29、129)は、前記第1の薄板(19、119)の側縁と平行に延びる側方自由端(31)を有している請求項1~3のいずれか1項に記載のキャッピング装置(1、101)。
【請求項5】
前記第1の侵入防止ベール(29、129)の前記側方自由端(31)は、0.01~0.4mmの間の幅を有する隙間によって前記第1の薄板(19、119)から分離されている請求項4に記載のキャッピング装置(1、101)。
【請求項6】
前記第1の侵入防止ベール(29、129)は、前記第1の薄板(19、119)の側縁からさらに延びている請求項1~3のいずれか1項に記載のキャッピング装置(1、101)。
【請求項7】
前記第1の凹部(21)は、前記第1の凹部(21)の前記上縁(23)と前記外部スカート(11)の前記下縁(24)とを繋げる第2の側縁(26)を有し、前記第1の凹部(21)の前記第1の側縁(25)及び前記第2の側縁(26)は、前記第1の薄板(19)の両側に配置され、前記キャップ(8)には、前記外部スカート(11)の厚さよりも薄い厚さを有する第2の侵入防止ベール(30)が付加され、前記第2の侵入防止ベール(30)は、前記第1の凹部(21、121)の内部において、前記第1の凹部(21、121)の前記上縁(23、123)並びに前記第1の凹部(21、121)の前記第2の側縁(26)から延在している請求項1~6のいずれか1項に記載のキャッピング装置(1、101)。
【請求項8】
前記関節装置は、前記キャップ(8、108)の前記外部スカート(11、111)を前記ベース(9、109)に連結する第2の薄板(20、120)を有し、前記外部スカート(11、111)には、その前記下縁(24、124)上に延在し、前記上縁(23、123)を有する第2の凹部(22、122)が設けられ、前記第2の凹部(22、122)の前記上縁(23、123)と前記外部スカート(11、111)の前記下縁(24、124)とは、第1の側縁(25、125)で繋がれ、前記第2の薄板(20、120)は、前記第2の凹部(22、122)の前記上縁(23、123)に取り付けられ、前記キャップ(8、108)には、前記第1の凹部及び前記第2の凹部のそれぞれについて、前記外部スカート(11、111)の厚さよりも薄い厚さを有すると共に、前記第1の凹部又は前記第2の凹部の内部において、前記上縁(23、123)及び前記第1の側縁(25、125)から延在する少なくとも1つの第1の侵入防止ベール(29、129)が付加されている請求項1~7のいずれか1項に記載のキャッピング装置(1、101)。
【請求項9】
前記ベース(9)は、前記容器(2)のネック(3)に保持されるように構成された下部リング(15)を備えている請求項1~8のいずれか1項に記載のキャッピング装置(1、101)。
【請求項10】
前記ベース(109)は、前記容器(2)のネック(3)と一体化されるように構成された注ぎ要素(134)を備えている請求項1~9のいずれか1項に記載のキャッピング装置(1、101)。
【請求項11】
ネック(3)が取り付けられた容器(2)を有するアセンブリであって、開口部と、請求項1~10のいずれか1項に記載のキャッピング装置(1、101)と、を具備し、前記キャッピング装置(1101)の前記ベース(9、109)は、前記容器に固定されているアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に取り付けるためのベースと、キャップと、キャップをベースに連結する関節装置とを備えたキャッピング装置に関する。
【0002】
特に、本発明は、容器のネック上に保持されるように意図された下部リングがベースであるキャッピング装置、並びに、容器のネックに固定するための注ぎ要素がベースに含まれているキャッピング装置に関する。
【背景技術】
【0003】
最新技術では、容器のネックに固定されるベースと、関節装置によってそのベース上に関節式に連結されるキャップとを含むいくつかのキャッピング装置が知られている。キャップは、上壁と、上壁の外周から下方に延びる外部スカートとを備えている。
【0004】
関節装置は、キャップの上壁が容器或いは注ぎ要素の開口部を閉じる閉鎖位置と、キャップが開口部から取り外される開放傾斜位置との間でキャップを移動できるようにする。関節装置は、キャップをベースに連結する1つ又は複数のヒンジ形成薄板を備えている。閉鎖位置と開放傾斜位置との間でキャップが移動できるように薄板を十分な長さにするために、キャップの外部スカートには、いくつかの凹部が含まれている。そして、薄板はそれぞれ、これら凹部の1つの上端のレベルでキャップの外部スカートと収束し、その結果、薄板は、キャップの外部スカートの下端を越えて延びている。
【0005】
このようなキャッピング装置は、例えば、EP1406820、US2018086510、WO20193821或いはEP3722223に記載されている。
【0006】
このタイプのキャッピング装置は、通常、成形手順によってポリマー材料で作られている。薄板を受け入れる凹部の実現を目的とした各部分において、金型には、薄板と外部スカートとの間に、成形される各薄板の側面に達する2枚のシートが含まれている。各シートは、一般に、十分な強度を与えるのに比較的十分な厚さを有し、通常、0.3mmから1.5mm程度である。
【0007】
このようにして、凹部は、各薄板の両側に、重要な幅、典型的には0.5mmより大きい隙間を形成する。ただし、これらの隙間には、望ましくない粒子、塵、生物が侵入しやすい。よって、このタイプのキャッピング装置は完全に満足できるものではない。
【発明の概要】
【0008】
本発明の基礎となる一つの着想は、衛生性と安全性が改善された上述のタイプのキャッピング装置を提案することである。
【0009】
一実施形態によれば、本発明は、以下を含むキャッピング装置を提供する。
容器に固定するためのベースと、
上壁及び外部スカートを有し、上壁を開口部を覆う閉鎖位置に配置させるために適用されるキャップと、
キャップをベースに連結する関節装置と、を具備し、
関節装置は、キャップの外部スカートをベースに連結する少なくとも1つの第1の薄板を有し、外部スカートには、その下縁上に延在し、上縁を有する第1の凹部が設けられ、第1の凹部の上縁と外部スカートの下縁とは、第1の側縁で繋がれ、第1の薄板は、第1の凹部の上縁に取り付けられ、キャップには、外部スカートの厚さよりも薄い厚さを有する少なくとも1つの第1の侵入防止ベールが付加され、第1の侵入防止ベールは、第1の凹部の内部において、第1の凹部の上縁並びに第1の凹部の第1の側縁から延在している。
【0010】
このようにして、侵入防止ベールによって外装体が凹部の少なくとも1つの領域に収容されるのを防止することができ、キャッピング装置の衛生性および安全性が向上する。
【0011】
また、侵入防止ベールは外部スカートに比べて厚みが薄いため、ヒンジとしての機能がほとんど損なわれない。
【0012】
他の有利な実施形態によれば、このタイプのキャッピング装置は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を有することができる。
【0013】
一実施形態によれば、第1の侵入防止ベールの厚さは0.05~0.5mmである。
【0014】
一実施形態によれば、第1の侵入防止ベールは、外部スカートの下縁の延長線上に延びる下方自由端を有している。
【0015】
一実施形態によれば、第1の侵入防止ベールは、第1の薄板の側縁と平行に延びる側方自由端を有している。
【0016】
一実施形態によれば、第1の侵入防止ベールの側方自由端は、0.01~0.4mmの間の幅を有する隙間によって第1の薄板から分離されている。これにより、隙間は十分に狭くなり、外部物体のほとんどがそこに留まることを防ぐと同時に、薄板の機能を妨げる危険を冒さないこと、および成形手順の制限に適合することが十分重要である。
【0017】
別の実施形態によれば、第1の侵入防止ベールは第1の薄板の側縁から延びる。したがって、第1の侵入防止ベールと隣接する薄板との間に隙間は存在しない。
【0018】
一実施形態によれば、第1の凹部は、第1の凹部の上縁と外部スカートの下縁とを繋げる第2の側縁を有し、第1の凹部の第1の側縁及び第2の側縁は、第1の薄板の両側に配置され、キャップには、外部スカートの厚さよりも薄い厚さを有する第2の侵入防止ベールが付加され、第2の侵入防止ベールは、第1の凹部の内部において、第1の凹部の上縁並びに第1の凹部の第2の側縁から延在している。
【0019】
一実施形態によれば、関節装置は、キャップの外部スカートをベースに連結する第2の薄板を有し、外部スカートには、その下縁上に延在し、上縁を有する第2の凹部が設けられ、第2の凹部の上縁と外部スカートの下縁とは、第1の側縁で繋がれ、第2の薄板は、第2の凹部の上縁に取り付けられ、キャップには、第1の凹部及び第2の凹部のそれぞれについて、外部スカートの厚さよりも薄い厚さを有すると共に、第1の凹部又は第2の凹部の内部において、上縁及び第1の側縁から延在する少なくとも1つの第1の侵入防止ベールが付加されている。
【0020】
一実施形態によれば、ベースは、容器のネックに保持されるように構成された下部リングを備えている。
【0021】
一実施形態によれば、ベースは、容器のネックと一体化されるように構成された注ぎ要素を備えている。
【0022】
一実施形態によれば、キャッピング装置は、成形手順によってポリマー材料で作られている。
【0023】
一実施形態によれば、キャッピング装置は一体成形される。
【0024】
一実施形態によれば、本発明は、開口部を有するネックと、キャッピング装置とを備えた容器を提供し、キャッピング装置のベースは容器に固定されている。
【0025】
本発明は、特に、ポリマー材料で作られ、射出成形手順によって得られるキャッピング装置に関する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本発明の様々な特定の実施形態についての以下の説明の過程で、本発明はよりよく理解され、本発明の他の目的、詳細、特徴および利点がより明確になるであろう。これらは、添付の図面を参照して、例示のみを目的としており、限定するものではない。
【0027】
【
図1】第1実施形態に係るキャッピング装置の斜視図。
【0028】
【
図2】
図1のキャッピング装置を受け入れるための容器ネックの断面図。
【0029】
【
図3】容器ネックに取り付けられた
図1のキャッピング装置の側面図であって、容器ネックと係合していない開放位置にあるキャップを示す図。
【0030】
【
図4】
図4は、容器のネックに取り付けられた
図1のキャッピング装置の斜視図であって、容器ネックの開口部から取り外された状態で開放傾斜位置にあるキャップを示す図。
【0031】
【
図5】
図1、3、4のキャッピング装置の関節装置の詳細図。
【0032】
【
図6】第2実施形態に係るキャッピング装置を示す図。
【0033】
【発明を実施するための形態】
【0034】
本願明細書及び図面において、X軸は、キャッピング装置が閉鎖位置にあるときにシールされる開口部の平面に直交して配置されるように意図されたキャッピング装置の中心軸に対応している。従って、X軸は、キャッピング装置が容器のネックにねじ込まれている状態において、キャッピング装置のキャップの回転軸に対応している。通常、「半径方向」の向きはX軸に直交する方向に向けられ、軸方向の向きはX軸に平行な方向に向けられている。「外部」と「内部」という用語は、ある要素の別の要素に対する相対的な位置を定義するために使用される。従って、X軸を参照すると、X軸に近い要素は、周囲に放射状に位置する外部要素とは対照的に、内部要素として記述される。「上部」及び「下部」という用語は、ネックの開口部が上を向き、キャップが閉鎖位置にある配置を基準として、ある要素の別の要素に対する相対位置を定義するために使用される。
【0035】
以下、
図1、
図3~
図5を参照して、第1実施形態に係るキャッピング装置1について説明する。特に
図2に示すように、キャッピング装置1は、ネック3を備えた容器2に固定されるようになっている。
【0036】
キャッピング装置1は、ポリエチレン、好適には高密度ポリエチレンなどの合成材料の単一片で成形されている。好適には、キャッピング装置1は、
図1の構成すなわち閉鎖位置、つまり容器2のネック3に直接取り付けることができる位置に成形されている。
【0037】
図2に示すように、容器2のネック3は、容器2の内容物を注ぐことを可能にする開口部4が構成された上端を有している。容器2のネック3は、半径方向外側に突出する支持カラー5と、同様に半径方向外側に突出すると共に支持カラー5と開口部4との軸方向相互間に配置される連結カラー6とを有している。本実施形態において、ネック3は、連結カラー6と開口部4との軸方向相互間に配置され、キャッピング装置1のキャップ8に形成された螺旋状ねじと協働するように構成された螺旋ネジ7を有している。
【0038】
キャッピング装置1は、容器2のネック3に固定されるベース9と、容器2のオリフィス4を密閉して覆うキャップ8と、キャップ8をベース9に連結する関節装置とを有している。
【0039】
具体的には、
図1に示すように、キャップ8は、当該キャップ8が閉鎖位置にあるとき、ネック3の開口部4の前面において、X軸に対して実質的に直交して配置されるように構成された上壁10を有している。更に、キャップ8は、上壁10の外周から当該上壁10に対して垂直下方に延びる外部スカート11を有している。
図1、
図2~
図5の実施形態において、外部スカート11は、キャップ8が閉鎖位置にあるとき、容器2のネック3を取り囲むようになっている。更に、外部スカート11は、その内面に構成される螺旋ネジ12を有している。
【0040】
具体的には
図4に示すように、キャップ8は内部スカート13を有し、内部スカート13は、キャップ8の上壁10から垂直下方に延在し、ネック3の開口部4の内側に挿入されるような大きさに構成されている。更に、キャップ8は、内部スカート13と外部スカート11との相互間において、上壁10から半径方向に延びる環状リップ14を有している。内側スカート13及び環状リップ14は、キャップ8が閉鎖位置にあるとき、容器2のネック3上において、内側スカート13がネック3の内面と接触し、環状リップ14がネック3の外面と接触するような大きさに設定されている。これにより、内側スカート13と環状リップ14によって気密性が確保されている。
【0041】
第1実施形態において、ベース9は、容器2のネック3に保持される下部リング15を備えて成る。下部リング15は、容器2のネック3上で軸方向に保持され、同時にX軸の周りをネック3に対して回転させることができる。
図3に示すように、下部リング15は、互いに関節運動する2つの部分、即ち、関節装置によって下部リング15がキャップ8に取り付けられる第1セクション16及び第2セクション17を有している。第2セクション17は、当該第2セクション17が連結カラー6の下に配置される下降位置と、当該第2セクション17が少なくとも部分的に連結カラー6の上に配置される上昇位置との間において、第1のセクション16に対して上方に旋回可能に構成されている。これにより、キャップ8の螺旋ネジ12が容器2のネック3に構成された螺旋ネジ7から外れるまで、キャップ8を容器2のネック3に対して上方に移動させることが可能になる。換言すれば、キャップ8を緩めると、下部リング15はX軸を中心に回転するように引きずられる一方、下部リング15の第2セクション17は第1セクション16に対して上昇位置まで旋回して、キャップ8の閉鎖位置から
図3に示す解放位置までの軸方向への移動を可能にする。
図4に示すように、キャップ8が解放位置から開放傾斜位置に向かって旋回されると、下部リング15の第2セクション17は、第1セクション16に対して逆に旋回して、再び下降位置に戻る。一方、キャップ8が開放傾斜位置から解放位置に向かって枢動されるとき、第2セクション17は、下降位置の第1セクション16に対して上昇位置に向かって回動する。
【0042】
下部リング15は、連結カラー6によって容器2のネック3上で軸方向に保持される。
図2に示すように、連結カラー6は、上方すなわち容器2の開口部4の方向に向かって狭くなる円錐台形の外面を有する。連結カラー6は、下方すなわち開口部4から離れる方向に肩部を画定する。
【0043】
図1に示すように、下部リング15の第1セクション16は、容器2のネック3において下部リング15を軸方向に保持するために、容器2上で使用可能にされる連結カラー6と協働するいくつかの係合要素18を有している。係合要素18は、下部リング15の第1セクション16から半径方向内側に突出する突起である。容器2のネック3上にキャッピング装置1を組み立てる際、係合要素18は、連結カラー6の円形表面に対してスライドし、その後、連結カラー6の弾性戻り力によってロックされる。
【0044】
好適には、容器2を最初に開ける前において、下部リング15は、キャップ8を開ける際に壊れるように意図された図示しない幾つかの脆弱なブリッジによって、キャップ8に連結されている。よって、これらのブリッジは、不可侵性の指標となる。
【0045】
関節装置は、
図3に示すキャップ8がネック3と係合していない解放位置と、
図4に示す開放傾斜位置との間でキャップ8を移動できるようにし、開放傾斜位置において、キャップ8は、容器2の内容物を注ぐのを妨げないように、ネック3の開口部4から取り外される。
【0046】
図5に関連して、関節装置について以下に説明する。関節装置は、キャップ8より具体的には外部スカート11を下部リング15、より具体的には、下部リング15の第2セクション17に連結する2つの薄板19、20を有している。
【0047】
外部スカート11は、2つの凹部21、22を備えている。各凹部21、22は、外部スカート11の下縁24から一定距離をおいてX軸の周りに円周方向に延びる上縁23と、2つの側縁25、26とによって画定されている。2つの側縁25、26は、上縁23の2つの端部の一方及び他方からそれぞれ延在し、外部スカート11の下縁24に合流して繋がっている。薄板19、20は、それぞれ、凹部21、22のうちの1つの上縁23と合流して繋がっている。同様に、下側リング15も2つの凹部27、28を有し、薄板19、20は、凹部27、28の内側で下側リング15と合流して繋がっている。従って、薄板19、20の上端は、外部スカート11の下端24よりも上に位置し、薄板19、20の下端は、下部リング15の上端よりも下に位置している。この配置によれば、薄板19、20は、キャップ8と下部リング15との間で可能となる円周方向の隙間のサイズを制限しながら、キャップ8を開放傾斜位置に向けて傾斜させるのに十分な長さを与えている。
【0048】
一方、キャップ8は、各凹部21、22の内部にそれぞれ延在する2つの侵入防止ベール29、30を有し、これらのベール29、30は、薄板19、20の一方の両側にあり、少なくとも部分的に凹部21、22を覆う。従って、このタイプの侵入防止ベール29、30では、例えば、粒子、塵または望ましくない生物、昆虫または幼虫などの外部物体が凹部21、22内に留まるのを防止することを可能にする。これにより、キャッピング装置1の衛生状態と安全状態が確保されている。
【0049】
各侵入防止ベール29、30は、凹部21、22のうちの1つの上縁23及び側縁25、26のうちの1つに取り付けられる。また、各侵入防止ベール29、30は、これに合流する側方自由端31及び下方自由端32を有している。下方自由端32は、外部スカート11の下縁24の延長線上において、側縁25、26の一方の下端から延びている。側方自由端31は、これに隣接する薄板19、20と平行に延びている。側方自由端31は、幅が0.01~0.4mmの間の隙間によって薄板19、20から分離されている。この場合、隙間は、外部の物体のほとんどがそこに収容されないようにするのに十分狭い幅を有し、同時に、薄板19、20の機能を妨げるリスクを負わないこと、並びに、成形手順の制約に適合することが十分重要である。
【0050】
侵入防止ベール29、30は、外部スカート11の厚さよりも薄いので、特に有利である。実際、侵入防止ベール29、30の厚さが薄ければ薄いほど、成形作業中に侵入防止ベール29、30のうちの1つと隣接する薄板19、20との間の隙間を可能にするように設計された金型の各シートに加えられる制限が少なくなる。これらのシートに課せられるわずかな制限を考慮すると、当該シートの厚さをより薄くできる可能性があり、これにより、侵入防止ベール29、30と薄板19、20との間で可能となる隙間の幅を減少させることができる。従って、侵入防止ベール29、30は、0.05~0.5mmの厚さを有するのが有利である。
【0051】
一方、一例として示された実施形態において、キャッピング装置は、特に
図1、3、5に示されたヒール(heel)32を有し、これは、キャップ8の外部スカート11内に適用されている。ヒール32は、凹部21、22の相互間に配置されている。ヒールの下端は、外部スカート11の下端と同じ高さに位置することが好適である。ヒール32は、X軸の周りに円周方向に延在し、ヒール32から半径方向外側に突出する止め具(stop)33を有している。
【0052】
キャップ8が解放位置から開放傾斜位置に移動する際に、止め具33は、下部リング15の第2セクション17の上端に当接し、第2セクション17を下降位置に戻す傾向がある。加えて、下部リング15の第2セクション17が下降位置にあり、キャップ8が開放傾斜位置にあるとき、止め具33は、連結カラー6に対して支持される。このように、連結カラー6に対して留め具33が支持されることで、キャップ8は開放傾斜位置に留まり、このとき、下部リング15の第2セクション17が下降位置に留まる限り、キャップ8は、当該キャップ8が開口部4の前面にある解放位置まで枢動することはできない。
【0053】
上述のキャッピング装置1は一例としてのみ説明されており、別のタイプのロック装置(locking device)が装備されていてもよいし、特許請求の範囲によって定義される本発明の枠組みを逸脱することなく、ロック装置が装備されていない場合もあることに留意されたい。
【0054】
同様に、上述のキャッピング装置1が、容器2のネック3に通すのに適したキャップ8を含む場合、本発明は、例えば欧州特許第1406820号明細書及び米国特許第2018086510号明細書に記載されているような、容器2の首部3に押し付けられることを意図したキャップにも同様に適用される。
【0055】
図6及び
図7には、第2実施形態に係るキャッピング装置101が示されている。
図1~
図5の要素と同一或いは類似の要素すなわち同じ機能を果たす要素には、100を加えた同じ参照番号が付されている。
【0056】
キャッピング装置101は、
図7に示される注ぎ要素134を有し、これは容器2のネック3と一体化されるように構成されている。注ぎ要素134は、環状スカート135を有し、これは、容器2の首部3を囲み、そこに固定されるように構成されている。このため、環状スカート135は、容器2のネック3から半径方向に突出する連結カラー6と協働するように構成された幾つかの係合要素136を有している。注ぎ要素134は、ネック3の開口部4内に挿入されるような大きさに構成され、注ぎ要素134と容器2の開口部4との間のシールを確実にするための内部スカート136を有している。注ぎ要素134は、容器2の内容物を注ぐことを可能にする開口部138を備えた注ぎ口137を有している。
【0057】
また、注ぎ要素134は、環状スカート135の外側に設けられた環状溝139を有している。
図7に示すように、キャッピング装置101は下部リング115を有し、これは、スナップ留め手段(snap fastening means)140によって注ぎ要素134の環状溝139の内側に固定されるようになっている。注ぎ要素134と下部リング115は一緒になって、容器2のネック3に取り付けられることを意図したベース109を構成している。
【0058】
キャッピング装置101には、注ぎ要素134の開口部を覆って密閉することを目的としたキャップ108を含むと共に、キャップ108をベース9に、より具体的には下部リング115に連結する関節装置も含まれる。
【0059】
キャップ108は、X軸に対して実質的に直交して配置されるように構成された上壁110を有し、これは、キャップ108が閉鎖位置にあるときに、注ぎ要素134の開口部の前面に位置する。キャップ108は、上壁110の外周から下方に延びる外部スカート111を有している。外部スカート111は、キャップ108が閉鎖位置にあるときに注ぎ要素134を取り囲むように構成されている。
【0060】
図7に示すように、キャップ108は、当該キャップ108の上壁110から垂直下方に延びる内部環状リップ141を有し、これは、注ぎ要素134の開口部138の内部に挿入可能な大きさに構成されている。キャップ108は、上壁から下方に延びる外部環状リップ142を有し、これは、内部環状リップ141と外部スカート111との相互間において径方向に沿って配置されている。外部環状リップ142と内部環状リップ141とは、キャップ108が閉鎖位置にあるとき、内部環状リップ141が注ぎ口137の内面に接触すると共に、外部環状リップ142が注ぎ口137の外面に接触することで、キャップ108と注ぎ口137との間のシールを確実にすることができるような大きさに構成されている。
【0061】
上記した第1実施形態と同様に、キャッピング装置101は、図示しない開放傾斜位置にキャップ108をロックするように構成されたロック装置を有している。本実施形態において、ロック装置は、キャップ108の外部スカート111上で使用可能となるヒール(heel)132を有している。ヒール132は、外部スカート111に設けられた2つの凹部121、122の相互間に配置されている。ヒール132の下端は、外部スカート111の下縁124よりも下に位置している。ヒール132は、X軸周りに周方向に沿って延在し、ヒール132から半径方向外側に突出する留め具133を有している。キャップ108が開放傾斜位置にあるとき、止め具133は、注ぎ要素134、より詳細には注ぎ要素134の連結カラー143に接してキャップ108をこの位置にロックするように構成されている。
【0062】
関節装置を
図6に示す。上記した第1実施形態と同様に、関節装置は、キャップ108の外部スカート111を下部リング115に連結する2つの薄板119、120を有している。外周スカート111は、2つの凹部121、122を有している。各凹部121、122は、上縁123と、上縁123の2つの端部の一方及び他方からそれぞれ延びる2つの側縁125、126とによって画定され、側縁125、126はそれぞれ、外部スカート111の下縁124とヒール132の下縁とに合流して繋がっている。本実施形態において、上縁123は、上記した第1実施形態のように水平に延びずに、水平に対して傾斜し、ヒール132と合流するように下降している。凹部121、122の上縁123のうちヒール132に合流する端部は、ヒール132の領域の外側において、外部スカート111の下縁124と実質的に同じ高さに位置付けられている。
【0063】
キャップ108は、各凹部121、122の領域を覆うように、各凹部121、122の内側に延びる侵入防止ベール129を有し、これにより、外部の物体がそこに滞留するのが防がれる。侵入防止ベール129は、薄板119、120に対してヒール132の反対側、即ち、ヒール132の外側で外部スカート111の下端124上に位置する凹部121の領域に配置される。本実施形態において、薄板119、120とヒール132との間に位置する各凹部121、122の領域は、外部スカート111の下縁124より上には延在しないので、この領域に侵入防止ベール129を配置させる必要はない。
【0064】
各侵入防止ベール129は、凹部121、122の上縁123、薄板119、120、及びヒール132の反対側の凹部121、122の側縁125に取り付けられる。侵入防止ベール129は、外部スカート111の下端124の延長上に延びる下方自由端132を有している。一方、上記した第1実施形態と同様に、本実施形態においても、侵入防止ベール129は、薄板119、120と侵入防止ベール129との間に隙間が生じないように、薄板119、120の1つに取り付けられる。また、侵入防止ベール129は、関節動作への影響を最小限に抑えるため、薄板119、120及び外部スカート111の厚さよりも薄い厚さを有している。例えば、侵入防止ベール129の厚さは、0.05~0.5mmである。
【0065】
本発明を様々な特定の実施形態に関連して説明してきたが、本発明がそれらに決して限定されるものではなく、説明した手段のすべての技術的等価物を含むことは明らかである。これらが特許請求の範囲によって定義される本発明の枠組み内にある場合には、それらの組み合わせも同様である。
【0066】
動詞「含む」、「含む」、又は「からなる」及び、それらの活用形の使用は、請求項に記載されているもの以外の他の要素または他の段階の存在を排除するものではない。
【0067】
特許請求の範囲において、括弧内の参照符号は、特許請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【国際調査報告】