(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-30
(54)【発明の名称】ポリウレタンのマテリアルリサイクル方法
(51)【国際特許分類】
B29B 17/00 20060101AFI20240123BHJP
D21G 9/00 20060101ALI20240123BHJP
D21F 3/02 20060101ALI20240123BHJP
B29B 17/02 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
B29B17/00 ZAB
D21G9/00
D21F3/02 Z
B29B17/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023542558
(86)(22)【出願日】2021-12-20
(85)【翻訳文提出日】2023-08-08
(86)【国際出願番号】 EP2021086731
(87)【国際公開番号】W WO2022152514
(87)【国際公開日】2022-07-21
(31)【優先権主張番号】102021100483.7
(32)【優先日】2021-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506408818
【氏名又は名称】フォイト パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】VOITH PATENT GmbH
【住所又は居所原語表記】St. Poeltener Str. 43, D-89522 Heidenheim, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】デルフィーヌ デルマ
【テーマコード(参考)】
4F401
4L055
【Fターム(参考)】
4F401AA26
4F401BA13
4F401CA22
4F401CA25
4F401CA48
4F401CA49
4F401CA58
4F401CA90
4F401CB01
4F401CB26
4F401FA01Z
4F401FA02Z
4F401FA07Z
4L055CE90
4L055CK10
4L055EA20
4L055EA23
4L055EA32
4L055FA20
4L055FA30
(57)【要約】
プレススリーブ(6)またはプレスロールまたはコンベアベルトからの、特に、紙、板紙などの繊維ウェブを製造もしくは処理する機械またはティシュマシンのプレススリーブ(6)またはプレスロールまたはコンベアベルトからの、ポリウレタンのマテリアルリサイクル方法であって、プレススリーブあるいはプレスロールあるいはコンベアベルトは、架橋ポリウレタンを含む少なくとも1つの層(11)を含み、ポリウレタンを、150℃を超える温度に加熱することにより溶融させる方法において、ポリウレタンが、アミン架橋剤を含む、方法。さらに、本発明は、架橋ポリウレタンを含む少なくとも1つの層を含む、プレススリーブ(6)またはプレスロールまたはコンベアベルトであって、特に、紙、板紙などの繊維ウェブを製造もしくは処理する機械またはティシュマシンのプレススリーブ(6)またはプレスロールまたはコンベアベルトにおいて、ポリウレタンは、前記方法に従って製造されたものである、プレススリーブ(6)またはプレスロールまたはコンベアベルトに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレススリーブ(6)またはプレスロールまたはコンベアベルトからの、特に、紙、板紙などの繊維ウェブを製造もしくは処理する機械またはティシュマシンのプレススリーブ(6)またはプレスロールまたはコンベアベルトからの、ポリウレタンのマテリアルリサイクル方法であって、前記プレススリーブあるいは前記プレスロールあるいは前記コンベアベルトは、架橋ポリウレタンを含む少なくとも1つの層(11)を含み、前記ポリウレタンを、150℃を超える温度に加熱することにより溶融させる方法において、前記ポリウレタンが、アミン架橋剤を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記アミン架橋剤の割合が、少なくとも2重量%でかつ/または多くとも15重量%である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記アミン架橋剤の割合が、少なくとも3重量%でかつ/または多くとも10重量%である、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記アミン架橋剤の割合が、少なくとも4重量%でかつ/または多くとも9重量%である、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
残留架橋剤の少なくとも一部、有利には残留架橋剤全体が、短鎖ジアルコールの群からなり、前記群は、特に1,2-エチレングリコールおよび/または1,4-ブタンジオールおよび/または1,6-ヘキサンジオールからなる、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記ポリウレタンの溶融温度が、150℃~260℃である、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記ポリウレタンの溶融を、10barA以上の圧力で行う、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記プレススリーブあるいは前記プレスロールあるいは前記コンベアベルトが、例えば有利には完全にポリウレタンで囲まれた支持織物のような補強構造体をさらに備えている、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記ポリウレタン層が、補強構造体を備えておらず、前記ポリウレタン層のポリウレタンを溶解させる、請求項8記載の方法。
【請求項10】
非溶融分、特に異物、または支持織物のような補強構造体の一部を、特にふるい分け、掻き取り、デカンテーションまたはスキミングによって溶融ポリウレタンから除去する、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
非溶融分、特に異物、または支持織物のような補強構造体の一部を、溶融工程の前に、前記ポリウレタン層(11)から機械的に、特に機械的な除去加工によって分離する、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記ポリウレタンの前記溶融を、密閉式搬送ユニット(12)、特にスクリュプレス(13)内で、有利には酸素排除下で行う、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記搬送ユニット(12)が、搬送領域(15)、圧縮領域(16)、均質化領域(17)、加熱領域(19)および/または1つ以上の脱気ユニット(14)を備えている、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記溶融ポリウレタンから、例えば射出成形法および/または押出成形法のようなさらなるプロセスステップにおける使用に、新品の製造に、特にプレススリーブ(6)またはプレスロールまたはコンベアベルトの製造に、特に、紙、板紙などの繊維ウェブを製造もしくは処理する機械またはティシュマシンのプレススリーブ(6)またはプレスロールまたはコンベアベルトの製造に適したビーズ状の粒状物(20)を製造する、請求項1から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
架橋ポリウレタンを含む少なくとも1つの層を含む、プレススリーブ(6)またはプレスロールまたはコンベアベルトであって、特に、紙、板紙などの繊維ウェブを製造もしくは処理する機械またはティシュマシンのプレススリーブ(6)またはプレスロールまたはコンベアベルトにおいて、前記ポリウレタンは、請求項1から14までのいずれか1項記載のポリウレタンのマテリアルリサイクル方法に従って製造されたものである、プレススリーブ(6)またはプレスロールまたはコンベアベルト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレススリーブまたはプレスロールまたはコンベアベルトからの、特に、紙、板紙などの繊維ウェブを製造もしくは処理する機械またはティシュマシンのプレススリーブまたはプレスロールまたはコンベアベルトからの、ポリウレタンのマテリアルリサイクル方法であって、プレススリーブあるいはプレスロールあるいはコンベアベルトは、架橋ポリウレタンを含む少なくとも1つの層を含み、ポリウレタンを、150℃を超える温度に加熱することにより溶融させる方法に関する。
【0002】
プレスロールは、様々なプレス機で使用され、例えば、特に紙ウェブのような繊維ウェブの脱水に用いられるシュープレスのシューロールの形態で使用されている。この種のシュープレスは、シューロールおよびカウンターロールから構成され、これらの間にプレスニップが形成されている。ここで、シューロールは、固定の、すなわち回転しないプレスエレメント、すなわちシューと、シューを取り囲む可撓性のプレススリーブとからなる。通常、シューは、シューを支えるヨークによって支持され、油圧式プレスエレメントによって、シューを取り囲むプレススリーブに押圧される。ここで、通常は、潤滑のためにシューとプレススリーブとの間に油膜が形成される。シューは、カウンターロールに対向する側で凹型に設計されているため、プレスニップは比較的長くなり、2つの回転ロールからなる従来のプレスの約20倍の長さである。シュープレスの運転中、繊維ウェブは、1枚または2枚のプレスフェルトまたは/または別のコンベアベルトとともにプレスニップを通って案内され、その際、プレスニップ内で繊維ウェブに作用する圧力により繊維ウェブから出る液体は、水に加えて、例えば繊維、繊維片、フィラーおよび/または添加剤などの溶解および未溶解の化合物を含んでおり、この液体は、プレスフェルト、およびプレススリーブ表面に設けられた凹部に一時的に吸収される。プレスニップから出た後、プレススリーブに吸収された液体はプレススリーブから放出され、その後、プレススリーブは再びプレスニップに入る。また、プレスフェルトに吸収された水分は、プレスニップから出た後に吸引エレメントにより除去される。シューの凹型設計によりプレスニップが比較的長いため、このようなシュープレスにより、2つの回転ロールからなるプレスと比較して、繊維ウェブのはるかにより良好な脱水が達成され、その結果、それに応じてその後の熱乾燥が短くなり得る。このようにして、繊維ウェブの特に穏やかでエネルギー効率の高い脱水が達成される。
【0003】
水、フィラーおよび/または添加剤による高い負荷、ならびにプレスインパルスおよび製造速度による機械的応力のため、プレススリーブおよびコンベアベルトの耐用年数は限られている。使用後、磨耗したプレススリーブやコンベアベルトは、通常は廃棄処理され、これは、地域に応じた廃棄物処理場への集積または焼却処分により行われる。
【0004】
欧州特許出願公開第3744812号明細書からポリウレタンのリサイクル方法が知られているが、この方法は、熱分解を伴うものであり、またポリウレタンの熱可塑性が利用されていない。
【0005】
欧州特許出願公開第3689935号明細書からは、熱可塑性ゴム-ポリウレタン複合構造体の製造が知られており、この製造では、確かにこのポリウレタン化合物の熱可塑性が利用されているが、この製造は、プレススリーブへの使用には適していない。なぜならば、このような複合構造体は、プレススリーブやコンベアベルトの高い機械的・化学的負荷に適さないためである。特に、シュープレスのプレススリーブは、殺生物剤や化学洗浄剤で定期的に処理されるため、ゴム成分は使用することができない。
【0006】
欧州特許出願公開第0607735号明細書には、ポリウレタンの回収方法が記載されている。この方法では、工場で靴底を製造する際に生じる廃熱可塑性ポリウレタンを収集し、洗浄し、粉砕し、次いで140℃~160℃の温度でスクリュ押出機にて再度溶解させる。この刊行物には、使用されるポリウレタンの化学組成に関して何ら記載されていない。しかし、このようなポリウレタンが、プレススリーブまたはプレスロールまたはコンベアベルトにおいて、特に、紙、板紙などの繊維ウェブを製造もしくは処理する機械またはティシュマシンのプレススリーブまたはプレスロールまたはコンベアベルトにおいて使用するのに適したポリウレタンであるとは予想できない。
【0007】
独国特許出願公開第102013200482号明細書には、繊維複合部品の再加工方法が記載されている。しかし、この方法は、マトリックス材料の再利用ではなく、マトリックス材料中の価値の高い強化繊維、例えば自動車産業用部品の炭素繊維の回収に主眼を置くものである。プラスチックの分解生成物を含む水相を、必要に応じて後処理により新たな化学原料とすることが可能であることが述べられているに過ぎない。したがって、例えばポリウレタンのようなプラスチックマトリックス材料を、まずその個々の成分に分解する必要がある。
【0008】
国際公開第2016055414号には、軌道車両用の軌条建設において、道路建設において、または採石場、砂利採取場もしくは鉱山における鉱物運搬用のコンベアベルトとして使用されるマットまたはストリップが記載されている。このマットまたはストリップは、撒散工程で加硫することなく製造されたものであり、ゴム粉と主要な熱可塑性樹脂とのゴム粉変性ポリマーアロイの形態の熱可塑性エラストマーコンパウンドの少なくとも2つの撒散層と、少なくとも1つの織物層とからなる。
【0009】
2021年4月21日まで未公開であった欧州特許出願公開第3808532号明細書には、冒頭で述べた概念のポリウレタンのマテリアルリサイクル方法が記載されている。例えばタイミングベルトに使用されるような熱可塑性ポリウレタンが、50℃~300℃の温度での再溶解によってリサイクルされる。しかし、この刊行物には、リサイクルされるポリウレタンの架橋剤が、ジオールやトリオールといったポリオールのみから形成されていなくてはならず、アミンから形成されていてはならないことが教示されている。
【0010】
実際には、現在、紙、板紙などの繊維ウェブを製造もしくは処理する機械またはティシュマシンにおいて、架橋剤の一部がアミンからなるポリウレタンを含むプレススリーブ、特にシュープレススリーブが使用されている。このようなプレススリーブの場合、その中のアミン架橋ポリウレタンを再度溶解させることはできないとこれまで考えられてきた。なぜならば、アミン架橋ポリウレタンが、それに必要な熱可塑性を有していないためである。
【0011】
本発明の課題は、繊維ウェブを製造または処理する機械の使用済みのプレススリーブ、特にシュープレススリーブ、プレスロール、特にそれらのカバーまたはコンベアベルトに関するCO2収支を改善することである。
【0012】
この課題は、独立請求項に記載の方法あるいは装置によって解決される。従属請求項は、本発明の有利な実施形態を対象とする。
【0013】
したがって、本発明の第一の態様によれば、この課題は、冒頭に記載した概念の方法であって、ポリウレタンがアミン架橋剤を含む、方法によって解決される。
【0014】
当該技術分野における長年の先入観に反して、プレススリーブもしくはプレスロールまたはコンベアベルトから入手した、架橋剤中に例えばジアミンなどのアミンを含むポリウレタンを溶解させ、このようにして比較的容易にリサイクルすることが実際には可能であることが認識されたことは、本発明者の功績である。特にシュープレスベルトの場合には使用期間が比較的短いことを考慮して、大量のポリウレタンの焼却処分を避けることができる。このことは、紙ウェブのような繊維ウェブの製造におけるCO2収支にプラスの効果をもたらす。実際に、架橋剤にアミンが含まれているにもかかわらず、ポリウレタンが、特に繊維ウェブを製造または処理する機械の新しいプレススリーブ、もしくは新しいプレスロールあるいはプレスロールカバー、または新しいコンベアベルトを該ポリウレタンから製造するために質的に十分に価値の高い様式で再利用できるほどに十分な熱可塑性を有していることは、予見できるものではなかった。
【0015】
しかしここで、ポリウレタンがその熱可塑性を失わないようにするため、リサイクルされるポリウレタンの架橋剤中のアミン成分は、多すぎてはならない。有利には、アミン架橋剤の割合は、少なくとも2重量%でかつ/または多くとも15重量%であり、さらに好ましくは、アミン架橋剤の割合は、少なくとも3重量%でかつ/または多くとも10重量%であり、なおもさらに好ましくは、アミン架橋剤の割合は、少なくとも4重量%でかつ/または多くとも9重量%である。アミンのこのような割合は、実際に特に良好な結果をもたらした。
【0016】
ここで、重量%データは、架橋剤の総重量に対するものである。架橋剤は、ポリオールとイソシアネートとを互いに架橋させるために使用される。このようなプレススリーブまたはプレスロールあるいはプレスロールカバーまたはコンベアベルトの初回の製造では、ポリウレタンは通常、いわゆる「キャストポリウレタン」として使用される。これは、ポリオール、イソシアネートおよび架橋剤などのポリウレタンの各成分が、最終製品が製造されるまで組み合わされず、また互いに反応もしないことを意味する。しかしその後、同一のポリウレタンをリサイクルする場合には、いわゆる「モールドポリウレタン」のように使用することができる。つまり、このポリウレタンを粉砕し、適切な温度で再度溶解させることができる。ここで、このポリウレタンは、繊維ウェブの製造機械のプレススリーブ、プレスロールあるいはプレスロールカバーまたはコンベアベルトへの再利用が可能となるのに十分な物理的特性を保持する。必要であれば、当然のことながら、これを他の製品にも使用することができる。
【0017】
ポリウレタンの熱可塑性を提供するために、残留架橋剤の少なくとも一部、有利には残留架橋剤全体が、短鎖ジアルコールの群からなり、この群は、特に1,2-エチレングリコールおよび/または1,4-ブタンジオールおよび/または1,6-ヘキサンジオールからなる。
【0018】
有利には、ポリウレタンの溶融温度は、150℃~260℃である。これは、アミンと短鎖ジアルコール、特に式(I)
HO-(CH2)x-OH (I)
[式(I)中、xは、2~14、有利には2~6の整数である]によるジオールとの特定の混合物によって達成することができる。
【0019】
リサイクルプロセスを支援するためには、ポリウレタンの溶融が10barA以上の圧力で行われると有利である。ここで、単位「barA」は、「bar absolut」を表し、すなわち周囲気圧を考慮しない。
【0020】
製品に必要な安定性を付与するためには、プレススリーブあるいはプレスロールあるいはコンベアベルトが、例えば有利には完全にポリウレタンで囲まれた支持織物のような補強構造体をさらに備えていると有利である。適切な補強構造体として、例えばヤーンレイドウェブや編物も該当する。
【0021】
本発明による方法の一実施形態では、ポリウレタン層が補強構造体を備えておらず、このポリウレタン層のポリウレタンを溶解させることが提供される。換言すれば、補強構造体が埋め込まれていないポリウレタンのみがリサイクルされる。例えば、補強構造体がシュープレススリーブの中間層のみに設けられている場合、半径方向内側のおよび/または半径方向外側の層のポリウレタンのみを分離して再度溶解させることができる。これにより、非溶融性の補強構造体を、そのすぐ周囲のポリウレタンから分離する手間が省ける。
【0022】
しかし、非溶融分、特に異物、または支持織物のような補強構造体の一部が、特にふるい分け、掻き取り、デカンテーションまたはスキミングによって溶融ポリウレタンから除去されることが提供されていてよい。
【0023】
ここで、ポリウレタンのマテリアルリサイクル方法が連続的に行われるか、または独立したプロセスステップ、いわゆるバッチ法で行われるかは、重要でない。連続プロセスが存在する場合には、非溶融分を連続的に排出し、溶融ポリウレタンをそのようにして各品質に分けることも有利であり得る。
【0024】
代替的または付加的に、非溶融分、特に異物、または支持織物のような補強構造体の一部を、溶融工程の前に、ポリウレタン層から機械的に、特に機械的な除去加工によって分離することも可能である。
【0025】
ポリウレタンのリサイクルは、ポリウレタンの溶融が、密閉式搬送ユニット、特にスクリュプレス内で、有利には、酸素排除下で行われる場合に特に良好に可能である。ここで、搬送ユニットは、搬送領域、圧縮領域、均質化領域、加熱領域および/または1つ以上の脱気ユニットを備えることができる。
【0026】
搬送ユニットは、10barAを超える動作圧および150℃を超える熱可塑性ポリウレタンの溶融温度を達成できるように選択することができる。ここで、脱気ユニットによって、酸素を、特に接続された真空によって確実に除去することができる。さらに、粉砕ポリウレタンの水分から生じる水蒸気や、吸湿により結合した水から生じる水蒸気も、脱気ユニットにより除去することができる。
【0027】
リサイクルされるポリウレタンを再度溶融させた後に、溶融ポリウレタンから、例えば射出成形法および/または押出成形法のようなさらなるプロセスステップにおける使用に、新品の製造に、特にプレススリーブまたはプレスロールまたはコンベアベルトの製造に、特に、紙、板紙などの繊維ウェブを製造もしくは処理する機械またはティシュマシンのプレススリーブまたはプレスロールまたはコンベアベルトの製造に適したビーズ状の粒状物を製造することができる。
【0028】
本発明のさらなる態様は、架橋ポリウレタンを含む少なくとも1つの層を含む、プレススリーブまたはプレスロールあるいはプレスロールカバーまたはコンベアベルトであって、特に、紙、板紙などの繊維ウェブを製造もしくは処理する機械またはティシュマシンのプレススリーブまたはプレスロールあるいはプレスロールカバーまたはコンベアベルトにおいて、ポリウレタンは、上述した本発明によるポリウレタンのマテリアルリサイクル方法に従って製造されたものである、プレススリーブまたはプレスロールあるいはプレスロールカバーまたはコンベアベルトに関する。
【0029】
以下、図を参照して本発明を説明する。各図には、個々に以下のものが示されている:
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の一実施例によるプレススリーブを備えたシュープレスの概略図である。
【
図2】本発明の一実施例によるプレススリーブのマテリアルリサイクル方法の概略図である。
【0031】
図1に、シュープレス1の概略断面を示し、ここで、シュープレス1は、シューロール2とカウンターロール3とを備えている。カウンターロール3が回転する円筒ロールからなるのに対し、シューロール2は、シュー4と、シュー4を支持する静止ヨーク5と、プレススリーブ6とで構成されている。ここで、シュー4は、ヨーク5によって支持され、油圧式プレスエレメント(図示せず)によって、シュー4を取り囲むプレススリーブ6に押圧される。シュー4は、カウンターロール3に対向する側で凹型に設計されているため、プレスニップ7は、比較的長くなる。
【0032】
シュープレス1は、特に紙ウェブのような繊維ウェブ8の脱水に適している。シュープレス1の運転中、繊維ウェブ8は、1枚または2枚のプレスフェルト9とともにプレスニップ7を通って案内され、その際、プレスニップ7内で繊維ウェブ8に作用する圧力により繊維ウェブ8から出る液体は、水に加えて、例えば繊維、繊維片、フィラーおよび/または添加剤などの溶解および未溶解の化合物を含んでおり、この液体は、プレスフェルト9や、プレススリーブ表面に設けられた例えば溝や止まり穴などの凹部(図示せず)に一時的に吸収される。プレスニップ7から出た後、プレススリーブ6に吸収された液体はプレススリーブ6から放出され、その後、プレススリーブ6は再びプレスニップ7に入る。また、プレスフェルト9に吸収された水分は、プレスニップ7から出た後に吸引エレメントにより除去される。
【0033】
シュー4のカウンターロール3に対向する側での凹型設計によりプレスニップ7が比較的長いため、このようなシュープレス1により、2つの回転ロールからなるプレスと比較して、繊維ウェブ8の著しくより良好な脱水が達成され、その結果、それに応じてその後の熱乾燥が短くなり得る。このようにして、繊維ウェブ8の特に穏やかな脱水が達成される。
【0034】
図2に、プレススリーブ6のマテリアルリサイクル方法用の装置10を示す。まず、ポリウレタン層11の一部がプレススリーブ6から機械的に除去され、これが、次いで搬送ユニット12で溶解され、粒状物に加工される。例示的な図示では、搬送ユニット12は、スクリュプレス13として設計されている。搬送ユニット12は、1つ以上の脱気ユニット14、搬送領域15、圧縮領域16、均質化領域17、および1つ以上の加熱エレメント18を備え、加熱エレメント18では、加熱領域19でポリウレタン層11の一部を溶融させる。非溶融性残渣21を除去するための任意の洗浄の後、次いで冷却および放圧によってポリウレタン粒状物20を製造することができ、これをマテリアルリサイクル10に利用することができる。
【0035】
総じて、本願において「アミン」架橋剤または「アミン」成分に言及する場合、これは「アミン系」架橋剤あるいは「アミン系」成分と同義であると理解されるべきであることにさらに留意されたい。「アミン」および「アミン系」の概念は、どちらも当技術分野で知られている。
【符号の説明】
【0036】
1 シュープレス
2 シュープレスロール
3 カウンターロール
4 シュー
5 静止ヨーク
6 プレススリーブ
7 プレスニップ
8 繊維ウェブ
9 プレスフェルト
10 ポリウレタンのマテリアルリサイクル装置
11 ポリウレタン層
12 搬送ユニット
13 スクリュプレス
14 脱気ユニット
15 搬送領域
16 圧縮領域
17 均質化領域
18 加熱エレメント
19 加熱領域
20 ポリウレタン粒状物
21 非溶融性残渣
【国際調査報告】