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特表2024-504115ローカルダイナミックマップデータモデルを使用したビークルツーエブリシング(V2X)不正行為検出
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-30
(54)【発明の名称】ローカルダイナミックマップデータモデルを使用したビークルツーエブリシング(V2X)不正行為検出
(51)【国際特許分類】
   G06F 21/55 20130101AFI20240123BHJP
【FI】
G06F21/55
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023542759
(86)(22)【出願日】2021-11-29
(85)【翻訳文提出日】2023-07-13
(86)【国際出願番号】 US2021060919
(87)【国際公開番号】W WO2022159173
(87)【国際公開日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】63/138,909
(32)【優先日】2021-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/483,593
(32)【優先日】2021-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Linux
2.OS X
3.ZIGBEE
4.FIREWIRE
5.THUNDERBOLT
(71)【出願人】
【識別番号】507364838
【氏名又は名称】クアルコム,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 晋平
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム・ホワイト
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン・プティ
(72)【発明者】
【氏名】コン・チェン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-フィリップ・モンテウイス
(57)【要約】
実施形態は、V2Xメッセージ内で受信された情報をローカルダイナミックマップデータと比較することによって、不正行為状態を検出するための、車両内のビークルツーエブリシング(V2X)システムのプロセッサによって実行される方法を含む。様々な実施形態は、他のV2Xシステム参加者からV2Xメッセージを受信するステップと、受信されたV2Xメッセージ中に含まれているデータを、ローカルに維持または記憶されたローカルダイナミックマップデータモデル内の情報と比較することによって、不正行為状態が検出されるかどうかを決定するステップと、受信されたV2Xメッセージ内の何らかのデータとローカルダイナミックマップとの間の矛盾または不整合に応答して、不正行為状態を検出し、不正行為状態を識別する不正行為報告を生成するステップとを含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のプロセッサによって実行されるビークルツーエブリシング(V2X)システム内の不正行為状態を検出する方法であって、
別のV2Xシステム参加者からV2Xメッセージを受信するステップであって、前記V2Xメッセージが、前記車両を取り巻く環境に関するデータを含んでいる、ステップと、
不正行為状態を検出するために、前記受信されたV2Xメッセージ中に含まれているデータを、ローカルに維持または記憶されたローカルダイナミックマップ(LDM)データモデルと比較するステップと、
前記比較に基づいて、前記不正行為状態の検出に応答して、不正行為状態を識別する不正行為報告を生成するステップと、
不正行為管理機関に前記生成された不正行為報告を送信するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記車両を取り巻く環境に関する追加のデータを収集するために、前記車両内の複数のセンサーを監視するステップと、
前記複数のセンサーから収集された前記追加のデータの集約に少なくとも部分的に基づいて、前記車両を取り巻く前記環境を表す前記LDMデータモデルを生成するステップと、
メモリ内に前記LDMデータモデルを記憶するステップと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
不正行為状態が検出されないとの決定に応答して、
前記LDMデータモデル内の物体の観測されたダイナミクス、または前記V2Xメッセージから受信された新しいデータ入力のうちの少なくとも1つに基づいて、計算を実行するステップと、
前記計算と、前記受信されたV2Xメッセージ中に含まれたデータとを組み込むために、前記LDMデータモデルを修正するステップと、
メモリ内で維持または記憶された前記LDMデータモデルを、前記修正されたLDMデータモデルに置き換えるステップと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
不正行為管理機関に前記生成された不正行為報告を送信するステップが、前記LDMデータモデルの表現を送信するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記LDMデータモデルの前記表現が、前記LDMデータモデルのための不完全なデータセットを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記不正行為管理機関からフィードバックを受信するステップであって、前記フィードバックが、前記不正行為状態を軽減するための是正措置を含む、ステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記受信されたV2Xメッセージ中に含まれた前記車両を取り巻く前記環境に関する前記データが、交通情報を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記受信されたV2Xメッセージ中に含まれた前記車両を取り巻く前記環境に関する前記データが、グローバルナビゲーション衛星システムデータに基づく隣接する車両のロケーション情報を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記受信されたV2Xメッセージ中に含まれた前記車両を取り巻く前記環境に関する前記データが、道路ジオメトリおよび街路備品を指定するマップデータを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
不正行為状態を検出するために、前記受信されたV2Xメッセージ中に含まれたデータを、前記ローカルに維持または記憶されたLDMデータモデルと比較するステップが、前記受信されたV2Xメッセージ中に含まれたいずれかのデータが、前記ローカルに維持または記憶されたLDMデータモデル内の情報と矛盾するかどうかを決定するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
不正行為状態を検出するために、前記受信されたV2Xメッセージ中に含まれたデータを、前記ローカルに維持または記憶されたLDMデータモデルと比較するステップが、
前記受信されたV2Xメッセージ中に含まれたデータとの比較のために、前記ローカルに維持または記憶されたLDMデータモデル内のデータ要素のサブセットを選択するステップと、
前記受信されたV2Xメッセージ中に含まれたいずれかのデータが、前記ローカルに維持または記憶されたLDMデータモデル内のデータ要素の前記選択されたサブセットと矛盾するかどうかを決定するステップと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
不正行為状態を検出するために、前記受信されたV2Xメッセージ中に含まれたデータを、前記ローカルに維持または記憶されたLDMデータモデルと比較するステップが、前記受信されたV2Xメッセージを送信した隣接する車両のステータスまたはロケーション情報が、前記ローカルに維持または記憶されたLDMデータモデル内の前記隣接する車両のステータスまたはロケーション情報と矛盾するかどうかを決定するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
ビークルツーエブリシング(V2X)処理デバイスであって、
プロセッサを備え、前記プロセッサが、
別のV2Xシステム参加者からV2Xメッセージを受信することであって、前記V2Xメッセージが、前記V2X処理デバイスがインストールされる車両を取り巻く環境に関するデータを含んでいる、受信すること、
不正行為状態を検出するために、前記受信されたV2Xメッセージ中に含まれているデータを、ローカルに維持または記憶されたローカルダイナミックマップ(LDM)データモデルと比較すること、
前記比較に基づいて、前記不正行為状態の検出に応答して、不正行為状態を識別する不正行為報告を生成すること、および
不正行為管理機関に前記生成された不正行為報告を送信すること
を行うためのプロセッサ実行可能命令で構成される、V2X処理デバイス。
【請求項14】
前記プロセッサが、
前記車両を取り巻く環境に関する追加のデータを収集するために、前記車両内の複数のセンサーを監視すること、
前記複数のセンサーから収集された前記追加のデータの集約に少なくとも部分的に基づいて、前記車両を取り巻く前記環境を表す前記LDMデータモデルを生成すること、および
メモリ内に前記LDMデータモデルを記憶すること
を行うためのプロセッサ実行可能命令でさらに構成される、請求項13に記載のV2X処理デバイス。
【請求項15】
前記プロセッサが、
不正行為状態が検出されないとの決定に応答して、前記LDMデータモデル内の物体の観測されたダイナミクス、または前記V2Xメッセージから受信された新しいデータ入力のうちの少なくとも1つに基づいて、計算を実行すること、
前記計算と、前記受信されたV2Xメッセージ中に含まれたデータとを組み込むために、前記LDMデータモデルを修正すること、および
メモリ内で維持または記憶された前記LDMデータモデルを、前記修正されたLDMデータモデルに置き換えること
を行うためのプロセッサ実行可能命令でさらに構成される、請求項13に記載のV2X処理デバイス。
【請求項16】
前記プロセッサが、
前記不正行為管理機関に送信される前記生成された不正行為報告中に、前記LDMデータモデルの表現を含めるためのプロセッサ実行可能命令でさらに構成される、請求項13に記載のV2X処理デバイス。
【請求項17】
前記LDMデータモデルの前記表現が、前記LDMデータモデルのための不完全なデータセットを含む、請求項16に記載のV2X処理デバイス。
【請求項18】
前記プロセッサが、
前記不正行為管理機関からフィードバックを受信することであって、前記フィードバックが、前記不正行為状態を軽減するための是正措置を含む、受信することを行うためのプロセッサ実行可能命令でさらに構成される、請求項13に記載のV2X処理デバイス。
【請求項19】
前記受信されたV2Xメッセージ中に含まれた前記車両を取り巻く前記環境に関する前記データが、交通情報を含む、請求項13に記載のV2X処理デバイス。
【請求項20】
前記受信されたV2Xメッセージ中に含まれた前記車両を取り巻く前記環境に関する前記データが、グローバルナビゲーション衛星システムデータに基づく隣接する車両のロケーション情報を含む、請求項13に記載のV2X処理デバイス。
【請求項21】
前記受信されたV2Xメッセージ中に含まれた前記車両を取り巻く前記環境に関する前記データが、道路ジオメトリおよび街路備品を指定するマップデータを含む、請求項13に記載のV2X処理デバイス。
【請求項22】
前記プロセッサが、
前記受信されたV2Xメッセージ中に含まれたいずれかのデータが、前記ローカルに維持または記憶されたLDMデータモデル内の情報と矛盾するかどうかを決定することによって、不正行為状態を検出するために、前記受信されたV2Xメッセージ中に含まれたデータを、前記ローカルに維持または記憶されたLDMデータモデルと比較するためのプロセッサ実行可能命令でさらに構成される、請求項13に記載のV2X処理デバイス。
【請求項23】
前記プロセッサが、
前記受信されたV2Xメッセージ中に含まれたデータとの比較のために、前記ローカルに維持または記憶されたLDMデータモデル内のデータ要素のサブセットを選択すること、および
前記受信されたV2Xメッセージ中に含まれたいずれかのデータが、前記ローカルに維持または記憶されたLDMデータモデル内のデータ要素の前記選択されたサブセットと矛盾するかどうかを決定すること
によって、不正行為状態を検出するために、前記受信されたV2Xメッセージ中に含まれたデータを、前記ローカルに維持または記憶されたLDMデータモデルと比較するためのプロセッサ実行可能命令でさらに構成される、請求項13に記載のV2X処理デバイス。
【請求項24】
前記プロセッサが、
前記受信されたV2Xメッセージを送信した隣接する車両のステータスまたはロケーション情報が、前記ローカルに維持または記憶されたLDMデータモデル内の前記隣接する車両のステータスまたはロケーション情報と矛盾するかどうかを決定することによって、不正行為状態を検出するために、前記受信されたV2Xメッセージ中に含まれたデータを、前記ローカルに維持または記憶されたLDMデータモデルと比較するためのプロセッサ実行可能命令でさらに構成される、請求項13に記載のV2X処理デバイス。
【請求項25】
ビークルツーエブリシング(V2X)処理デバイスであって、
別のV2Xシステム参加者からV2Xメッセージを受信するための手段であって、前記V2Xメッセージが、前記V2X処理デバイスがインストールされる車両を取り巻く環境に関するデータを含んでいる、手段と、
不正行為状態を検出するために、前記受信されたV2Xメッセージ中に含まれているデータを、ローカルに維持または記憶されたローカルダイナミックマップ(LDM)データモデルと比較するための手段と、
前記比較に基づいて、前記不正行為状態の検出に応答して、不正行為状態を識別する不正行為報告を生成するための手段と、
不正行為管理機関に前記生成された不正行為報告を送信するための手段と
を備えるV2X処理デバイス。
【請求項26】
前記車両を取り巻く環境に関する追加のデータを収集するために、前記車両内の複数のセンサーを監視するための手段と、
前記複数のセンサーから収集された前記追加のデータの集約に少なくとも部分的に基づいて、前記車両を取り巻く前記環境を表す前記LDMデータモデルを生成するための手段と、
前記LDMデータモデルを記憶するための手段と
をさらに備える、請求項25に記載のV2X処理デバイス。
【請求項27】
不正行為状態が検出されないとの決定に応答して、前記LDMデータモデル内の物体の観測されたダイナミクス、または前記V2Xメッセージから受信された新しいデータ入力のうちの少なくとも1つに基づいて、計算を実行するための手段と、
前記計算と、前記受信されたV2Xメッセージ中に含まれたデータとを組み込むために、前記LDMデータモデルを修正するための手段と、
メモリ内で維持または記憶された前記LDMデータモデルを、前記修正されたLDMデータモデルに置き換えるための手段と
をさらに備える、請求項25に記載のV2X処理デバイス。
【請求項28】
不正行為管理機関に前記生成された不正行為報告を送信するための手段が、前記LDMデータモデルの表現を送信するための手段を備える、請求項25に記載のV2X処理デバイス。
【請求項29】
前記不正行為管理機関からフィードバックを受信するための手段であって、前記フィードバックが、前記不正行為状態を軽減するための是正措置を含む、手段をさらに備える、請求項25に記載のV2X処理デバイス。
【請求項30】
不正行為状態を検出するために、前記受信されたV2Xメッセージ中に含まれたデータを、前記ローカルに維持または記憶されたLDMデータモデルと比較するための手段が、前記受信されたV2Xメッセージ中に含まれたいずれかのデータが、前記ローカルに維持または記憶されたLDMデータモデル内の情報と矛盾するかどうかを決定するための手段を備える、請求項25に記載のV2X処理デバイス。
【請求項31】
不正行為状態を検出するために、前記受信されたV2Xメッセージ中に含まれたデータを、前記ローカルに維持または記憶されたLDMデータモデルと比較するための手段が、
前記受信されたV2Xメッセージ中に含まれたデータとの比較のために、前記ローカルに維持または記憶されたLDMデータモデル内のデータ要素のサブセットを選択するための手段と、
前記受信されたV2Xメッセージ中に含まれたいずれかのデータが、前記ローカルに維持または記憶されたLDMデータモデル内のデータ要素の前記選択されたサブセットと矛盾するかどうかを決定するための手段と
を備える、請求項25に記載のV2X処理デバイス。
【請求項32】
不正行為状態を検出するために、前記受信されたV2Xメッセージ中に含まれたデータを、前記ローカルに維持または記憶されたLDMデータモデルと比較するための手段が、前記受信されたV2Xメッセージを送信した隣接する車両のステータスまたはロケーション情報が、前記ローカルに維持または記憶されたLDMデータモデル内の前記隣接する車両のステータスまたはロケーション情報と矛盾するかどうかを決定するための手段を備える、請求項25に記載のV2X処理デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、その内容全体がすべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる、2021年1月19日に出願された「Vehicle-to-Everything (V2X) Misbehavior Detection Using an LDM Data Model」と題する米国仮出願第63/138,909号の優先権の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
セルラービークルツーエブリシング(C-V2X)プロトコルは、車両ベースワイヤレス通信のための基礎の働きをするものであり、インテリジェントハイウェイ、自律走行車両、および半自律走行車両をサポートするために、ならびにハイウェイ交通システムの総合効率および安全性を向上させるために使用され得る。C-V2Xは、強化された道路安全性および自律運転のための360°見通し外の認識およびより高レベルの予測可能性を一緒に提供する2つの送信モードを規定する。第1の送信モードは、ダイレクトC-V2Xを含み、ダイレクトC-V2Xは、車車間(V2V)、路車間(V2I)、および歩車間(V2P)を含み、セルラーネットワークから独立している専用インテリジェントトランスポートシステム(ITS)5.9ギガヘルツ(GHz)スペクトルの中で、拡張された通信範囲および信頼性をもたらす。第2の送信モードは、第3世代ワイヤレスモバイル通信技術(3G)(たとえば、モバイル通信用グローバルシステム(GSM)エボリューション(EDGE)システム、符号分割多元接続(CDMA)2000システムなど)、第4世代ワイヤレスモバイル通信技術(4G)(たとえば、ロングタームエボリューション(LTE)システム、LTEアドバンストシステム、モバイルワールドワイドインターオペラビリティフォーマイクロウェーブアクセス(モバイルWiMAX)システムなど)、第5世代ワイヤレスモバイル通信技術(5G NRシステムなど)などの、モバイルブロードバンドシステムおよび技術における車ネットワーク間通信(V2N)を含む。他のV2Xワイヤレス技術もまた、世界の異なる地域において検討中である。本特許で説明する技法は、任意のV2Xワイヤレス技術に適用可能である。
【0003】
世界の複数の地域が、車両ベース通信システムおよび機能のための規格を開発中であり、たとえば、北米において使用するために開発された米国電気電子技術者協会(IEEE)規格1609および米国自動車技術者協会(SAE)規格、または欧州において使用するために開発された欧州通信規格協会(ETSI)および欧州標準化委員会(CEN)規格である。そのシステムの一部は、交通安全を向上させるために、他の車両が受信および処理することができる、北米における基本安全メッセージ(BSM:Basic Safety Message)、または欧州における協調認識メッセージ(CAM:Cooperative Awareness Message)を、車両がブロードキャストするための能力である。送信する車両および受信する車両におけるそのようなメッセージの処理は、V2X機能を提供する車載機器(本明細書では「V2X車載機器」と呼ばれる)において行われる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
様々な態様は、受信されたV2Xメッセージ内のデータを、ローカルに維持または記憶されたローカルダイナミックマップ(LDM)データモデル中に含まれているデータと比較することによって、受信されたV2Xメッセージ内の不正行為状態を検出するための、V2X機器プロセッサ上で動作している不正行為管理システムによって実行される方法を含む。このLDMは、すべての関連する入力(限定はしないが、V2Xメッセージおよびローカルセンサー入力を含む)からV2Xシステム参加者によって受信された情報を集約および合成して、V2Xシステム参加者の周囲のローカル環境のモデルを作成する。LDMは、LDM内で追跡された物体の観測されたダイナミクスに基づいて、ならびに新しい入力に基づいて更新され得る。
【0005】
様々な態様は、別のV2Xシステム参加者からV2Xメッセージを受信するステップであって、V2Xメッセージが、車両を取り巻く環境に関するデータを含んでいる、ステップと、不正行為状態を検出するために、受信されたV2Xメッセージ中に含まれているデータを、ローカルに維持または記憶されたローカルダイナミックマップ(LDM)データモデル内のデータと比較するステップと、比較に基づいて、不正行為状態の検出に応答して、不正行為状態を識別する不正行為報告を生成するステップと、不正行為管理機関に生成された不正行為報告を送信するステップとを含み得る。
【0006】
いくつかの態様は、車両を取り巻く環境に関する追加のデータを収集するために、車両内の複数のセンサーを監視するステップと、複数のセンサーから収集された追加のデータの集約に少なくとも部分的に基づいて、車両を取り巻く環境を表すLDMデータモデルを生成するステップと、ローカルメモリ内でLDMデータモデルを維持または記憶するステップとを含み得る。
【0007】
いくつかの態様は、不正行為状態が検出されないとの決定に応答して、LDMデータモデル内の物体の観測されたダイナミクス、またはV2Xメッセージから受信された新しいデータ入力のうちの少なくとも1つに基づいて、計算を実行するステップと、計算と、受信されたV2Xメッセージ中に含まれたデータとを組み込むために、LDMデータモデルを修正するステップと、メモリ内で維持または記憶されたLDMデータモデルを、修正されたLDMモデルに置き換えるステップとをさらに含み得る。
【0008】
いくつかの態様では、不正行為管理機関に生成された不正行為報告を送信するステップが、LDMデータモデルの表現を送信するステップを含み得る。
【0009】
いくつかの態様では、LDMデータモデルの表現が、LDMデータモデルのための不完全なデータセットを含み得る。
【0010】
いくつかの態様は、不正行為管理機関からフィードバックを受信するステップであって、フィードバックが、不正行為状態を軽減するための是正措置を含む、ステップをさらに含み得る。
【0011】
いくつかの態様では、受信されたV2Xメッセージ中に含まれた車両を取り巻く環境に関するデータが、交通情報を含み得る。いくつかの態様では、受信されたV2Xメッセージ中に含まれた車両を取り巻く環境に関するデータが、グローバルナビゲーション衛星システム(GNSS)(たとえば、全地球測位システム(GPS))データに基づく隣接する車両のロケーション情報を含む。いくつかの態様では、受信されたV2Xメッセージ中に含まれた車両を取り巻く環境に関するデータが、道路ジオメトリおよび街路備品を指定するマップデータを含む。
【0012】
いくつかの態様では、不正行為状態を検出するために、受信されたV2Xメッセージ中に含まれたデータを、ローカルに維持または記憶されたLDMデータモデルと比較するステップが、受信されたV2Xメッセージ中に含まれたいずれかのデータが、ローカルに維持または記憶されたLDMデータモデル内の情報と矛盾するかどうかを決定するステップを含み得る。
【0013】
いくつかの態様では、不正行為状態を検出するために、受信されたV2Xメッセージ中に含まれたデータを、ローカルに維持または記憶されたLDMデータモデルと比較するステップが、受信されたV2Xメッセージ中に含まれたデータとの比較のために、ローカルに維持または記憶されたLDMデータモデル内のデータ要素のサブセットを選択するステップと、受信されたV2Xメッセージ中に含まれたいずれかのデータが、ローカルに維持または記憶されたLDMデータモデル内のデータ要素の選択されたサブセットと矛盾するかどうかを決定するステップとを含み得る。
【0014】
いくつかの態様では、不正行為状態を検出するために、受信されたV2Xメッセージ中に含まれたデータを、ローカルに維持または記憶されたLDMデータモデルと比較するステップが、受信されたV2Xメッセージを送信した隣接する車両のステータスまたはロケーション情報が、ローカルに維持または記憶されたLDMデータモデル内の隣接する車両のステータスまたはロケーション情報と矛盾するかどうかを決定するステップを含み得る。
【0015】
さらなる態様は、上記で要約した方法の1つまたは複数の動作を実行するように構成されたプロセッサを有するV2X機器を含み得る。さらなる態様は、上記で要約した方法の動作をV2X機器のプロセッサに実行させるように構成されたプロセッサ実行可能命令を記憶した、非一時的プロセッサ可読記憶媒体を含み得る。さらなる態様は、上記で要約した方法の機能を実行するための手段を有するV2X機器を含む。
【0016】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、特許請求の範囲の例示的な実施形態を示し、上で与えられた一般的な説明および下記の発明を実施するための形態とともに、特許請求の範囲の特徴を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1A】様々な実施形態を実施するのに適した車両を示す構成要素ブロック図である。
図1B】様々な実施形態を実施するのに適した車両を示す構成要素ブロック図である。
図1C】様々な実施形態を実施するのに適した車両の構成要素を示す構成要素ブロック図である。
図1D】様々な実施形態を実施するのに適したV2X通信システムのサブセットを示す概略ブロック図である。
図2A】様々な実施形態による、例示的な車両管理システムの構成要素を示す構成要素ブロック図である。
図2B】様々な実施形態による、別の例示的な車両管理システムの構成要素を示す構成要素ブロック図である
図3】様々な実施形態による、車両における使用のためのシステムオンチップの構成要素を示すブロック図である。
図4】様々な実施形態による、ローカルダイナミックマップデータを生成するように構成されたシステムを示す構成要素ブロック図である。
図5】様々な実施形態による、受信されたV2Xメッセージ内のデータをLDMデータモデル内のデータと比較することによって、V2Xメッセージ内の不正行為状態を検出するための、V2X機器のプロセッサによって実行される方法の動作を示すプロセスフロー図である。
図6】様々な実施形態による、受信されたV2Xメッセージ内のデータをLDMデータモデル内のデータと比較するための方法の動作を示すプロセスフロー図である。
図7】様々な実施形態とともに使用するのに適した例示的なモバイルコンピューティングデバイスを示す構成要素ブロック図である。
図8】様々な実施形態とともに使用するのに適した例示的なモバイルコンピューティングデバイスを示す構成要素ブロック図である。
図9】様々な実施形態とともに使用するのに適した例示的なサーバを示す構成要素ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
添付の図面を参照しながら、様々な実施形態について詳細に説明する。可能な場合はいつでも、同じまたは同様の部分を指すために、図面全体にわたって同じ参照番号が使用される。特定の例および実装形態に対してなされる言及は、例示を目的としており、特許請求の範囲を限定するものではない。
【0019】
V2X通信では、不正確な、破損した、またはハッキングされた(すなわち、不良)データがさらに広まることを防止するために、そのような不正確なデータが検出されることが重要である。V2X機器が、不正確な、破損した、またはハッキングされた(すなわち、不良)データを送っている場合、結果は、単に軽い不都合および交通渋滞であり得るが、生命にかかわることにもなり得る。したがって、いかなるそのような不正行為状態も確実に検出されることを保証するために、不正行為状態の検出を、情報の包括的なセットに対する厳密な分析にかけることが望ましい。
【0020】
「モバイルデバイス」という用語は、ワイヤレスルータデバイス、ワイヤレスアプライアンス、セルラー電話、スマートフォン、ポータブルコンピューティングデバイス、パーソナルまたはモバイルマルチメディアプレーヤ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートブック、ウルトラブック、パームトップコンピュータ、ワイヤレス電子メール受信機、マルチメディアインターネット対応セルラー電話、医療デバイスおよび機器、生体センサー/デバイス、スマートウオッチと、スマートクロージングと、スマートグラスと、スマートリストバンドと、スマートジュエリー(たとえば、スマートリング、スマートブレスレットなど)とを含むウェアラブルデバイス、エンターテインメントデバイス(たとえば、ワイヤレスゲームコントローラ、音楽およびビデオプレーヤ、衛星ラジオなど)、スマートメーター/センサーと、産業用製造機器と、家庭または企業使用のための大型および小型機械およびアプライアンスとを含むワイヤレスネットワーク対応モノのインターネット(IoT)デバイス、自律走行および半自律走行車両内のワイヤレス通信要素、様々なモバイルプラットフォームに固定されるかまたは組み込まれたモバイルデバイス、全地球測位システムデバイス、ならびにメモリと、ワイヤレス通信構成要素と、プログラマブルプロセッサとを含む、同様の電子デバイスのいずれか1つまたはすべてを指すために、本明細書で使用される。
【0021】
「システムオンチップ」(SOC)という用語は、単一の基板上に統合された複数のリソースおよび/またはプロセッサを含んでいる、単一の集積回路(IC)チップを指すために、本明細書で使用される。単一のSOCは、デジタル、アナログ、混合信号、および無線周波数機能のための回路構成を含み得る。単一のSOCはまた、任意の数の汎用および/または専用プロセッサ(デジタル信号プロセッサ、モデムプロセッサ、ビデオプロセッサなど)、メモリブロック(たとえば、ROM、RAM、フラッシュなど)、ならびにリソース(たとえば、タイマー、電圧調整器、発振器など)を含み得る。SOCはまた、統合されたリソースおよびプロセッサを制御するため、ならびに周辺デバイスを制御するためのソフトウェアを含み得る。
【0022】
「システムインパッケージ」(SIP)という用語は、2つ以上のICチップ、基板、またはSOC上で複数のリソース、計算ユニット、コア、および/またはプロセッサを含んでいる、単一のモジュールまたはパッケージを指すために、本明細書で使用され得る。たとえば、SIPは、その上で複数のICチップまたは半導体ダイが垂直構成で積層される、単一の基板を含み得る。同様に、SIPは、その上で複数のICまたは半導体ダイが単一化基板(unifying substrate)にパッケージングされる、1つまたは複数のマルチチップモジュール(MCM)を含み得る。SIPはまた、単一のマザーボード上、または単一のモバイルデバイス内などで、高速通信回路構成を介して互いに結合され、極めて近接してパッケージングされた、複数の独立したSOCを含み得る。SOCの近接性によって、高速通信、ならびにメモリおよびリソースの共有が容易になる。
【0023】
本出願で使用する「構成要素」、「システム」、「ユニット」、「モジュール」などの用語は、限定はしないが、特定の動作または機能を実行するように構成される、ハードウェア、ファームウェア、ハードウェアとソフトウェアとの組合せ、ソフトウェア、または実行中のソフトウェアなどの、コンピュータ関連エンティティを含む。たとえば、構成要素は、限定はしないが、プロセッサ上で実行中のプロセス、プロセッサ、オブジェクト、実行ファイル、実行スレッド、プログラム、および/またはコンピュータであってよい。例として、通信デバイス上で実行中のアプリケーションと通信デバイスの両方が、構成要素と呼ばれることがある。1つまたは複数の構成要素は、プロセスおよび/または実行スレッド内に存在してよく、構成要素は、1つのプロセッサもしくはコア上で局所化されてよく、かつ/または2つ以上のプロセッサもしくはコアの間で分散されてよい。加えて、これらの構成要素は、その上に記憶された様々な命令および/またはデータ構造を有する様々な非一時的コンピュータ可読媒体から実行してよい。構成要素は、ローカルプロセスおよび/またはリモートプロセス、関数またはプロシージャ呼出し、電子信号、データパケット、メモリ読取り/書込み、ならびに知られている他のコンピュータ、プロセッサ、および/またはプロセス関連通信方法によって、通信してよい。
【0024】
概して、様々な実施形態は、受信されたV2Xメッセージを車両のローカルダイナミックマップ(LDM)データモデルと比較すること、およびV2Xメッセージ内で受信されたデータと、ローカルに維持または記憶されたLDMデータモデルとの間に不整合が存在するかどうかを決定することによって、V2Xシステム参加者によって不正行為状態を検出するための方法および機構を含む。
【0025】
V2Xシステムおよび技術は、車両のロケーション、速度、進行方向、制動、ならびに衝突防止および他の安全機能のために他の車両にとって有用であり得る他のファクタに関する情報を、車両が共有することを可能にすることによって、交通流および車両安全性を改善するためにかなり有望である。V2X/V2V車載機器を搭載した車両は、基本安全メッセージ(BSM)またはCAMと呼ばれるパケット内でそれらの車両情報を頻繁に(たとえば、毎秒20回まで)送信することになる。すべてのV2X搭載車両がそのようなBSM/CAMメッセージを送信する場合、すべての受信車両は、衝突を回避し、互いに対して車両を効率的かつ安全に位置決めするために、それ自体の速度および方向を制御するために必要とされる情報を有する。V2X搭載車両は、分離距離を安全に低減すること、いくつかの車両を一緒に隊列走行させること、および故障を経験している車両を回避することによって、交通流を改善することが可能であり得ることが想定される。
【0026】
参照しやすいように、実施形態のいくつかについて、V2X用語内で動作する不正行為管理システムを使用して、本出願で説明する。しかしながら、様々な実施形態は、V2X/V2Vまたは車両ベースの通信規格、メッセージ、または技術のいずれかまたはすべてを包含することを理解されたい。したがって、本出願におけるいかなるものも、特許請求の範囲においてそのようなものとして明確に記載されていない限り、特許請求の範囲をV2X/V2Vシステムに限定するように解釈されるべきではない。加えて、本明細書で説明する実施形態は、V2X/V2V通信を実行するための車載機器について説明する。V2X/V2Vシステムでは、システム参加者機器は、限定はしないが、車両車載機器、モバイルデバイス、および路側ユニット(RSU)を含み得る。RSUは、交通信号、路側ビーコン、交通カメラなどの固定デバイスを含み得る。システム参加者機器の各々は、他のシステム参加者機器に情報をブロードキャストし得る。システム参加者機器の間のV2X通信は、各システム参加者機器上で実行しているアプリケーションが、安全アプリケーション(たとえば、車両が急ブレーキをかけること、またはブラインドの交差道路から高速で出てくることなど、差し迫った危険を決定し得るアプリケーション)もしくはモビリティ(交通信号変化のためのプランニング)を車両に提供すること、または全体として車両交通システム内の他の有用な機能を提供することを可能にし得る。
【0027】
ローカルダイナミックマップ(LDM)は、典型的には、モバイルデバイスによってその環境内のナビゲーションをサポートするために構築されるデータモデルである。モバイルデバイスは、1つまたは複数のセンサーからその環境についての情報を取得し、(たとえば、V2X通信システムを介して)他のモバイルデバイスから、またはクラウドベースサーバなどのネットワーク要素から、他のLDMデータを受信することがあり、そのようなデータを使用して、そのLDMを構築する。LDMは、他のV2Xシステム参加者からのメッセージによってではなく、デッドレコニングを介して、それらの他のV2Xシステム参加者の位置を更新する新しいデータが受信されない場合でも、経時的に発生する動的データモデルであり得る。このLDMデータモデルは、すべての関連する入力(限定はしないが、V2Xメッセージおよびセンサー入力を含む)からV2Xシステム参加者によって受信された情報を集約および合成して、V2Xシステム参加者の周囲のローカル環境のモデルを作成し得る。LDMは、LDM内で追跡された物体の観測されたダイナミクスに基づいて更新され、ならびに新しい入力に基づいて更新されていることがある。
【0028】
V2X参加者の機器上で動作している不正行為管理システムは、ホスト車両の1つもしくは複数のセンサー(たとえば、カメラ、レーダー、LIDARなど)から、V2Xメッセージを介して受信された1つもしくは複数の他のモバイルデバイスもしくは車両から、ならびに/または路側ユニットを介してなど、遠隔のデータソース、およびクラウドベースサーバなどのネットワーク要素から、取得された情報を集約することによって、LDMを構築し得る。車両V2Xシステムは、デジタルマップなど、使用可能または提示可能な形態において、ローカルに維持または記憶されたLDMデータを生成および更新するために、この情報を処理し得る。LDMマップの部分はまた、集中的な処理動作を実行することが可能なコンピューティングデバイスなどの外部ソースから受信され得る。そのようなLDMデータモデルは、いくつかのレイヤまたはデータ要素において構造化または編成され得る、多くのタイプの情報を含み得る。たとえば、LDMデータモデルは、マップデータベースからダウンロードされたものなど、道路の物理的マップ、観測された道路状態(たとえば、粗いもしくは平滑、濡れている、乾いている、または凍っているなど)のデータレイヤ、観測された他の車両位置および速度のデータレイヤ、ネットワーク報告された道路改変(たとえば、工事、閉鎖された車線)のデータレイヤ、近傍における交通信号に関するデータレイヤ(たとえば、自己の車両の前方の交通信号灯における信号サイクルの時間)、ならびに自律運転、衝突回避、および一般的な安全機能(たとえば、運転者アラート)のために有用である他の情報を含み得る。
【0029】
不正行為管理システムによって使用される情報は、典型的には、メモリ内で維持または記憶され得るデータ(たとえば、静的なマップ)、および車載センサーからのデータに制限される。車載センサーから、および他のモバイルデバイスから受信されるLDMデータは、各センサーの感度、視野、および知覚的限界によって制限され得る。遠くのネットワーク要素から受信されるLDMデータは、典型的には、モバイルデバイスの車両に近い環境内の極めて最近の変化を含まず、そのため、極めて動的な環境条件(たとえば、道路閉鎖、工事、事故など)を反映しないことがある。車両ならびに近傍における他の車両の前方の道路に関する情報のすべてのソースを組み合わせることによって、車両システム(たとえば、不正行為管理システム)は、自律運転および半自律運転者支援機能などの複雑なプロセスのために有用である、より包括的なLDMデータモデルを生成し得る。
【0030】
LDMデータモデルは、そのような情報が動的に変化し得る程度を反映する様々なタイプにおいて構造化され得る。たとえば、LDMデータは、(たとえば、関連するETSI規格において)次のように分類されることがあり、すなわち、道路のロケーションおよび地理的特徴などの永続的な静的情報のためのタイプ1であり、これはマップデータと見なされることがあり、過渡的な静的情報のためのタイプ2であり、これは、速度制限などのマップデータ中に含まれない信号を含むことがあり、天候および交通渋滞および他の交通状態情報などの過渡的な動的情報のためのタイプ3、ならびに自動車センサーデータ、動いている他の車両、歩行者、駐車された車両のロケーション、交通信号の状態、および他の極めて過渡的な状態など、極めて動的な情報のためのタイプ4である。Bosch(登録商標)およびTele Atlas(登録商標)によるPG-LDM、ならびにNAVTEQ(登録商標)によるNAVTEQ-LDMを含む、LDM実装形態の例が報告されている。PG-LDM実装形態は、PostgreSQLをそのデータベースエンジンとして採用し、PostGISストアドプロシージャおよび空間演算を提供する。一方、NAVTEQ-LDM実装形態は、SQLiteをそのデータベースエンジンとして採用する。
【0031】
様々な実施形態では、V2X機器プロセッサ上で動作している不正行為管理システムは、隣接する車両、モバイルデバイスおよびRSU、CAMメッセージまたは分散型環境通知メッセージ(DENM:Decentralized Environmental Notification Message)メッセージを送信し得るデータソース、ならびに様々なインターネットまたはクラウドベースリソースを含み得る、V2Xシステム参加者以外の1つまたは複数のデータソースから、最初のLDMデータを受信し得る。いくつかの実施形態では、受信された最初のLDMデータは、タイプ4情報、すなわち、極めて過渡的な状態を反映する「極めて動的な」情報であり得る。いくつかの実施形態では、受信されたLDMデータは、2秒、1秒、250ミリ秒、または別の好適なしきい値もしくは時間ウィンドウなど、しきい値時間量内にセンサーまたは別の情報ソースから取得され得る。いくつかの実施形態では、最初のLDMデータは、車両およびモバイルデバイス上に搭載された複数のセンサーによって収集されたデータを含み得る。そのようなセンサーデータは、速度、温度、毎分回転数、GPSロケーション、画像データ、オーディオデータ、または車両/デバイス動作状態データなどのデータを含み得る。不正行為管理システムは、受信されたV2Xメッセージデータとともに、収集されたセンサーデータのすべてを集約して、V2X参加者を取り巻く環境を表すLDMデータモデルを生成し得る。参照しやすいように、様々な実施形態について、車両を取り巻く環境として、V2X参加者を取り巻く環境を参照して説明するが、V2X参加者は、RSUおよび他の固定の機器など、車両の外部の他の機器であり得る。
【0032】
このようにして生成されたLDMデータモデルは、受信されたV2Xメッセージ中に含まれた情報の精度または正確さを評価するために有用であり得る。LDMデータモデルは、様々な情報ソースから受信されたデータから構成され得るので、V2Xメッセージ内で提供された情報に関連する1つまたは複数のデータ要素を含み得る。ただし、LDMデータモデル中に含まれたすべての情報が、検証または確認されることになるV2Xメッセージ内の情報に関連するとは限らないことがある。
【0033】
様々な実施形態が様々な車両内で実施されてよく、様々な車両の例示的な車両101が図1Aおよび図1Bに示される。図1Aおよび図1Bを参照すると、車両101は、制御ユニット140、ならびに衛星地理測位システム受信機142、占有センサー144、146、148、150、152、タイヤ空気圧センサー154、156、カメラ158、160、マイクロフォン162、164、衝撃センサー166、レーダー168、およびライダー170を含む、複数のセンサー144~170を含み得る。車両の中または上に配設される複数のセンサー144~170は、自律および半自律ナビゲーションおよび制御、クラッシュ回避、位置決定などの様々な目的のために、ならびに車両101の中または上の物体および人々に関するセンサーデータを提供するために使用され得る。センサー144~170は、ナビゲーションおよび衝突回避にとって有用な様々な情報を検出することが可能な多種多様なセンサーのうちの1つまたは複数を含んでよい。センサー144~170の各々は、制御ユニット140と、ならびに互いに、ワイヤード通信またはワイヤレス通信中であり得る。詳細には、センサーは、1つまたは複数のカメラ158、160、または他の光センサーもしくはフォトオプティックセンサーを含んでよい。センサーは、レーダー168、ライダー170、IRセンサー、および超音波センサーなどの、他のタイプの物体検出および測距センサーをさらに含んでよい。センサーは、タイヤ空気圧センサー154、156、湿度センサー、温度センサー、衛星地理測位センサー142、制御入力センサー145、加速度計、振動センサー、ジャイロスコープ、重力計、衝撃センサー166、強度計、応力計、ひずみセンサー、流体センサー、化学センサー、ガス含有量分析器、pHセンサー、放射線センサー、ガイガーカウンター、中性子検出器、生体物質センサー、マイクロフォン162、164、占有センサー144、146、148、150、152、近接センサー、および他のセンサーをさらに含んでよい。
【0034】
車両制御ユニット140は、様々なセンサー、特にカメラ158、160から受信された情報を使用して、ナビゲーションおよび衝突回避動作を実行するためのプロセッサ実行可能命令で構成され得る。いくつかの実施形態では、制御ユニット140は、レーダー168および/またはライダー170のセンサーから取得されてよい距離および相対位置(たとえば、相対的な方位角)を使用して、カメラ画像の処理を補ってよい。制御ユニット140は、様々な実施形態を使用して決定される他の車両に関する情報を使用して、自律モードまたは半自律モードで動作するとき、車両101のステアリング、制動、および速度を制御するようにさらに構成され得る。
【0035】
図1Cは、様々な実施形態を実施するのに適した構成要素およびサポートシステムの通信システム100を示す構成要素ブロック図である。図1A図1Cを参照すると、車両101は制御ユニット140を含んでよく、制御ユニット140は、車両101の動作を制御するために使用される様々な回路およびデバイスを含んでよい。図1Cに示す例では、制御ユニット140は、プロセッサ140a、メモリ140b、入力モジュール140c、出力モジュール140d、および無線モジュール140eを含む。制御ユニット140は、車両101の運転制御構成要素172a、ナビゲーション構成要素172b、および1つまたは複数のセンサー172cに結合されてよく、それらを制御するように構成されてよい。プロセッサ140aは、様々な実施形態の動作を含む、車両101の操縦、ナビゲーション、および/または他の動作を制御するためのプロセッサ実行可能命令で構成されてよい。プロセッサ140aは、メモリ140bに結合されてよい。
【0036】
無線モジュール140eは、ワイヤレス通信のために構成されてよい。無線モジュール140eは、通信リンク122を介して、信号(たとえば、操縦を制御するためのコマンド信号、ナビゲーション機構からの信号など)をネットワークトランシーバ(たとえば、基地局110)と交換してよく、プロセッサ140aおよび/またはナビゲーションユニット172bに信号を提供してよい。いくつかの実施形態では、無線モジュール140eは、車両101がワイヤレス通信リンク124を通じてワイヤレス通信デバイス120と通信することを可能にしてよい。ワイヤレス通信リンク124は、双方向または単方向の通信リンクであってよく、説明したように、1つまたは複数の通信プロトコルを使用してよい。
【0037】
入力モジュール140cは、1つまたは複数の車両センサー172cからセンサーデータ、ならびに電子信号を、運転制御構成要素172aおよびナビゲーション構成要素172bを含む他の構成要素から受信してよい。出力モジュール140dは、運転制御構成要素172a、ナビゲーション構成要素172b、およびセンサー172cを含む、車両101の様々な構成要素と通信するか、またはそれらをアクティブ化してよい。
【0038】
制御ユニット140は、エンジン、モーター、スロットル、ステアリング要素、操縦装置要素、制動または減速要素などの、車両の操縦およびナビゲーションに関係する、車両101の物理要素を制御するために、運転制御構成要素172aに結合されてよい。運転制御構成要素172aはまた、環境制御(たとえば、空調および暖房)、外部照明および/または内部照明、(情報を表示するためのディスプレイ画面または他のデバイスを含んでよい)内部情報ディスプレイおよび/または外部情報ディスプレイ、安全性デバイス(たとえば、触覚デバイス、可聴警報など)、ならびに他の類似のデバイスを含む、車両の他のデバイスを制御する構成要素を含んでよい。
【0039】
制御ユニット140は、ナビゲーション構成要素172bに結合されてよく、ナビゲーション構成要素172bからデータを受信してよく、車両101の現在の位置および向き、ならびに目的地に向かう適切なコースを決定するために、そのようなデータを使用するように構成されてよい。ナビゲーション構成要素172bは、車両101がGNSS信号を使用してその現在位置を決定することを可能にするGNSS受信機システム(たとえば、1つまたは複数のGPS受信機)を含んでよく、またはそれに結合されてよい。代替的に、または追加として、ナビゲーション構成要素172bは、Wi-Fiアクセスポイント、セルラーネットワークサイト、無線局、リモートコンピューティングデバイス、他の車両などの無線ノードから、ナビゲーションビーコンまたは他の信号を受信するための、無線ナビゲーション受信機を含んでよい。運転制御要素172aの制御を通して、プロセッサ140aは、ナビゲートおよび操縦するために、車両101を制御し得る。プロセッサ140aおよび/またはナビゲーション構成要素172bは、操縦を制御するためのコマンドを受信し、ナビゲーションにおいて有用なデータを受信し、リアルタイム位置報告を提供し、かつ他のデータを査定するために、ワイヤレス通信リンク122、126を介して、通信ネットワーク(たとえば、コアネットワーク132)内でサーバなどのネットワーク要素と通信するように構成され得る。
【0040】
制御ユニット140は、1つまたは複数のセンサー172cに結合されてよい。センサー172cは、説明したようなセンサー144~170を含んでよく、様々なデータをプロセッサ140aに提供するように構成されてよい。
【0041】
別個の構成要素を含むものとして制御ユニット140が説明されるが、いくつかの実施形態では、構成要素の一部または全部(たとえば、プロセッサ140a、メモリ140b、入力モジュール140c、出力モジュール140d、および無線モジュール140e)は、システムオンチップ(SOC)処理デバイスなどの単一のデバイスまたはモジュールの中で統合されてよい。そのようなSOC処理デバイスは、車両における使用のために構成されてよく、車両の中にインストールされると、LDMデータを使用して、ナビゲーションおよび衝突回避の動作を実行するように、プロセッサ140a内で実行するプロセッサ実行可能命令などで構成されてよい。
【0042】
図1Dは、3つの車両12、14、16を含む、V2Xシステム103の一部分を示す。図示の例では、各車両12、14、16は、それぞれ、他の車両の車載機器(たとえば、102、104、106)による受信および処理のために、基本安全メッセージ30、40、50を周期的にブロードキャストするように構成される、V2X車載機器102、104、106を含む。車両ロケーション、速度、方向、制動、および他の情報を共有することによって、車両は、安全な分離を維持し、潜在的な衝突を識別および回避することができる。たとえば、先行車両16から基本安全メッセージ40を受信する後続車両12は、車両16の速度およびロケーションを決定することができ、それによって、次に車両12が速度を一致させ、安全な分離距離20を維持することが可能になる。先行車両16がブレーキをかけるとき、基本安全メッセージ40を通して通知されることによって、後続車両12内のV2X機器102は、先行車両16が突然停止するときでも、同時にブレーキをかけて、安全な分離距離20を維持することができる。別の例として、トラック車両14内のV2X機器104は、2つの車両12、16から基本安全メッセージ30、50を受信し、したがって、衝突を回避するために、トラック車両14が交差点において停止するべきであることを通知され得る。車両V2X車載機器102、104、106の各々は、様々な極近接通信プロトコルのいずれかを使用して互いに通信し得る。加えて、車両は、検出された基本安全メッセージならびに検出された不正行為報告に関するデータおよび情報を、通信ネットワーク18(たとえば、セルラー、WiFiなど)を通して、通信リンク60、62を介して、相手先商標製造会社(OEM)(70、72)および/または遠隔の不正行為管理機関74に送信することが可能であり得る。MBRは、(たとえば、通信リンク64、66を通して)不正行為管理機関74に直接送信され得る。他の実施形態では、MBRは、通信リンク64、66を通して、前処理のために、OEMサーバ70、72などのMBR前処理ユニットに最初に送信され得る。次いで、前処理されたMBRは、MBR前処理サーバ70、72から、通信リンク64、66を通して、不正行為管理機関74に送信され得る。
【0043】
図2Aは、例示的な不正行為管理システム200の構成要素を示す構成要素ブロック図である。車両管理システム200は、車両101内で利用され得る様々なサブシステム、通信要素、計算要素、コンピューティングデバイス、またはコンピューティングユニットを含み得る。図1A図2Aを参照すると、不正行為管理システム200内の様々な計算要素、コンピューティングデバイス、またはコンピューティングユニットは、データおよびコマンドを互いに通信する(たとえば、図2Aの中の矢印によって示される)相互接続されたコンピューティングデバイスのシステム(すなわち、サブシステム)内に実装されてよい。いくつかの実装形態では、不正行為管理システム200内の様々な計算要素、コンピューティングデバイス、またはコンピューティングユニットは、別個のスレッド、プロセス、アルゴリズム、または計算要素などの単一のコンピューティングデバイス内に実装されてよい。したがって、図2Aに示す各サブシステム/計算要素はまた、一般に、本明細書では不正行為管理システム200を構成する計算「スタック」内の「レイヤ」と呼ばれる。しかしながら、様々な実施形態について説明する際のレイヤおよびスタックという用語の使用は、対応する機能が単一の自律(または、半自律)車両管理システムコンピューティングデバイス内に実装されることを暗示または必要とするものではないが、そのことは可能な実装実施形態である。むしろ、「レイヤ」という用語の使用は、1つまたは複数のコンピューティングデバイスおよびサブシステムと計算要素との組合せの中で実行する、独立したプロセッサ、計算要素(たとえば、スレッド、アルゴリズム、サブルーチンなど)を有するサブシステムを包含することを意図する。
【0044】
不正行為管理システムスタックは、レーダー知覚レイヤ202、カメラ知覚レイヤ204、測位エンジンレイヤ206、マップ融合および調停レイヤ208、ルートプランニングレイヤ210、センサー融合および道路ワールドモデル(RWM:road world model)管理レイヤ212、運行プランニングおよび制御レイヤ214、ならびに挙動プランニングおよび予測レイヤ216を含んでよい。レイヤ202~216は、不正行為管理システムスタック200の1つの例示的な構成におけるいくつかのレイヤの例にすぎない。他の構成では、他の知覚センサーのための追加のレイヤ(たとえば、LIDAR知覚レイヤなど)、プランニングおよび/もしくは制御のための追加のレイヤ、モデリングのための追加のレイヤなどの、他のレイヤが含まれてよく、かつ/またはレイヤ202~216のうちのいくつかが不正行為管理システムスタック200から除外されてよい。レイヤ202~216の各々は、図2Aの中の矢印によって図示したように、データ、計算結果、およびコマンドを交換してよい。さらに、不正行為管理システムスタック200は、センサー(たとえば、レーダー、ライダー、カメラ、慣性測定ユニット(IMU:inertial measurement unit)など)、ナビゲーションシステム(たとえば、GPS受信機、IMUなど)、車両ネットワーク(たとえば、コントローラエリアネットワーク(CAN)バス)、およびメモリの中のデータベース(たとえば、デジタルマップデータ)からのデータを受信および処理してよい。不正行為管理システムスタック200は、車両ステアリング、スロットル、およびブレーキ制御と直接インターフェースするシステム、サブシステム、またはコンピューティングデバイスであるドライブバイワイヤ(DBW:drive by wire)システム/制御ユニット220に、車両制御コマンドまたは信号を出力してよい。図2Aに示す不正行為管理システムスタック200およびDBWシステム/制御ユニット220の構成は、例示的な構成にすぎず、車両管理システムおよび他の車両構成要素の他の構成が使用されてよい。一例として、図2Aに示す不正行為管理システムスタック200およびDBWシステム/制御ユニット220の構成は、自律動作または半自律動作のために構成された車両の中で使用されてよいが、非自律走行車両では異なる構成が使用されてよい。
【0045】
レーダー知覚レイヤ202は、レーダー(たとえば、168)および/またはライダー(たとえば、170)などの1つまたは複数の検出および測距センサーからデータを受信してよく、そのデータを処理して車両101の近傍内の他の車両および物体のロケーションを認識および決定してよい。レーダー知覚レイヤ202は、物体および車両を認識するためのニューラルネットワーク処理および人工知能方法の使用を含んでよく、そのような情報をセンサー融合およびRWM管理レイヤ212に伝えてよい。
【0046】
カメラ知覚レイヤ204は、カメラ(たとえば、158、160)などの1つまたは複数のカメラからデータを受信してよく、そのデータを処理して車両100の近傍内の他の車両および物体のロケーションを認識および決定してよい。カメラ知覚レイヤ204は、物体および車両を認識するためのニューラルネットワーク処理および人工知能方法の使用を含んでよく、そのような情報をセンサー融合およびRWM管理レイヤ212に伝えてよい。
【0047】
測位エンジンレイヤ206は、様々なセンサーからデータを受信してよく、そのデータを処理して車両100の位置を決定してよい。様々なセンサーは、限定はしないが、GPSセンサー、IMU、および/またはCANバスを介して接続された他のセンサーを含み得る。測位エンジンレイヤ206はまた、カメラ(たとえば、158、160)などの1つもしくは複数のカメラ、および/またはレーダー、LIDARなどの任意の他の利用可能なセンサーからの入力も利用し得る。
【0048】
不正行為管理システム200は、車両ワイヤレス通信サブシステム230を含み得るか、またはそれに結合され得る。ワイヤレス通信サブシステム230は、車車間(V2V)通信リンクなどを介して、他の車両コンピューティングデバイスおよびハイウェイ通信システムと、ならびに/または5Gネットワークなどのセルラーワイヤレス通信システムを介して、クラウドベースリソースなどの遠隔の情報ソースに通信するように構成され得る。様々な実施形態では、ワイヤレス通信サブシステム230は、LDMデータを受信するために、ワイヤレス通信リンクを介して、他のV2Xシステム参加者と通信し得る。
【0049】
マップ融合および調停レイヤ208は、他のV2Xシステム参加者から受信されたLDMデータにアクセスし、測位エンジンレイヤ206から受信された出力を受信し、そのデータを処理して、通行車線内でのロケーション、街路マップ内での位置などの、マップ内の車両101の位置をさらに決定してよい。LDMデータは、車両のメモリ(たとえば、メモリ432)内で維持または記憶され得る。たとえば、マップ融合および調停レイヤ208は、GPSからの緯度情報および経度情報を、LDMデータ内の道路の地上マップ内のロケーションに変換してよい。GPS位置決定は誤差を含み、そのため、マップ融合および調停レイヤ208は、GPS座標とLDMデータとの間の調停に基づいて、道路内での車両の最良の推測ロケーションを決定するように機能してよい。たとえば、GPS座標は、LDMデータの中の2車線道路の中央の近くに車両の場所を特定する場合があるが、マップ融合および調停レイヤ208は、進行方向から、進行方向に一致する進行車線に車両が位置合わせされる可能性が最も高いことを決定する場合がある。マップ融合および調停レイヤ208は、マップベースのロケーション情報をセンサー融合およびRWM管理レイヤ212に渡してよい。
【0050】
ルートプランニングレイヤ210は、特定の目的地まで車両101によって追従されるべきルートを計画するために、LDMデータ、ならびに操作者または配車係からの入力を利用してよい。ルートプランニングレイヤ210は、マップベースのロケーション情報をセンサー融合およびRWM管理レイヤ212に渡してよい。しかしながら、センサー融合およびRWM管理レイヤ212などの他のレイヤによる従来のマップの使用は必要とされない。たとえば、知覚データが受信されるとき、他のスタックは、ローカルマップの車線、境界、および概念を構築して、提供されたマップを用いずに知覚データのみに基づいて、車両を動作させ、かつ/または制御してよい。
【0051】
センサー融合およびRWM管理レイヤ212は、レーダー知覚レイヤ202、カメラ知覚レイヤ204、マップ融合および調停レイヤ208、ならびにルートプランニングレイヤ210によって生み出されるデータおよび出力を受信してよく、そのような入力の一部または全部を使用して、道路、道路上の他の車両、および車両100の近傍内の他の物体に対して、車両101のロケーションおよび状態を推定または改善してよい。たとえば、センサー融合およびRWM管理レイヤ212は、カメラ知覚レイヤ204からの画像データをマップ融合および調停レイヤ208からの調停されたマップロケーション情報と組み合わせて、通行車線内での車両の決定された位置を改善してよい。別の例として、センサー融合およびRWM管理レイヤ212は、カメラ知覚レイヤ204からの物体認識および画像データをレーダー知覚レイヤ202からの物体検出および測距データと組み合わせて、車両の近傍にある他の車両および物体の相対位置を決定および改善してよい。別の例として、センサー融合およびRWM管理レイヤ212は、他の車両位置および進行方向に関する情報を(CANバスなどを介して)車車間(V2V)通信から受信してよく、その情報をレーダー知覚レイヤ202およびカメラ知覚レイヤ204からの情報と組み合わせて、他の車両のロケーションおよび運行を改善してよい。センサー融合およびRWM管理レイヤ212は、車両100の改善されたロケーションおよび状態情報、ならびに車両の近傍にある他の車両および物体の改善されたロケーションおよび状態情報を、運行プランニングおよび制御レイヤ214ならびに/または挙動プランニングおよび予測レイヤ216に出力してよい。
【0052】
さらなる例として、センサー融合およびRWM管理レイヤ212は、速度、車線、進行方向、または他のナビゲーション要素を変更するように車両101に指示する動的交通制御命令を使用してよく、その情報を他の受信情報と組み合わせて、改善されたロケーションおよび状態情報を決定してよい。センサー融合およびRWM管理レイヤ212は、車両101の改善されたロケーションおよび状態情報、ならびに車両101の近傍にある他の車両および物体の改善されたロケーションおよび状態情報を、運行プランニングおよび制御レイヤ214、挙動プランニングおよび予測レイヤ216に、ならびに/またはデータサーバ、他の車両などの、車両101から遠隔のデバイスに、C-V2X接続、他のワイヤレス接続などを通して、ワイヤレス通信を介して出力してよい。
【0053】
またさらなる例として、センサー融合およびRWM管理レイヤ212は、レーダー知覚レイヤ202、カメラ知覚レイヤ204、他の知覚レイヤなどからの知覚データなどの、様々なセンサーからの知覚データ、および/または1つもしくは複数のセンサー自体からのデータを監視して、車両センサーデータの中の条件を分析してよい。センサー融合およびRWM管理レイヤ212は、センサー測定値がしきい値にあるのか、しきい値を超えるのか、またはしきい値未満であるのか、いくつかのタイプのセンサー測定が行われることなどの、センサーデータの中の条件を検出するように構成されてよく、挙動プランニングおよび予測レイヤ216に、ならびに/またはC-V2X接続、他のワイヤレス接続などを通して、ワイヤレス通信を介して、データサーバ、他の車両などの、車両100から遠隔のデバイスに提供される、車両101の改善されたロケーションおよび状態情報の一部として、センサーデータを出力してよい。
【0054】
改善されたロケーションおよび状態情報は、 車両仕様(たとえば、サイズ、重量、色、車載センサータイプなど)、車両位置、速度、加速度、進行方向、姿勢、向き、目的地、燃料/電力レベル、および他の状態情報、車両緊急ステータス(たとえば、車両が緊急車両であるか、または緊急時に私的な個人であるか)、車両制約(たとえば、重い/広い荷重、転回制約、高占有車両(HOV:high occupancy vehicle)認可など)、車両の能力(たとえば、全輪駆動、4輪駆動、スノータイヤ、チェーン、サポートされる接続タイプ、車載センサー動作ステータス、車載センサー分解能レベルなど)、機器問題(たとえば、低タイヤ空気圧、弱いブレーキ、センサー機能停止など)、所有者/操作者の進行選好(たとえば、好ましい車線、道路、ルート、および/または目的地、通行料またはハイウェイを回避すべき選好、最速ルートを求める選好など)、センサーデータをデータ機関サーバ(たとえば、184)に提供するための許可、ならびに/または所有者/操作者の識別情報などの、車両ならびに車両所有者および/または車両操作者に関連する車両記述子を含んでよい。
【0055】
自律走行車両システムスタック200の挙動プランニングおよび予測レイヤ216は、センサー融合およびRWM管理レイヤ212から出力された、車両101の改善されたロケーションおよび状態情報、ならびに他の車両および物体のロケーションおよび状態情報を使用して、他の車両および/または物体の将来の挙動を予測してよい。たとえば、挙動プランニングおよび予測レイヤ216は、そのような情報を使用して、それ自体の車両位置および速度ならびに他の車両の位置および速度に基づいて、車両の近傍にある他の車両の将来の相対位置を予測してよい。そのような予測は、ホストおよび他の車両が道路を進むにつれて、相対的な車両位置の変化を予期するために、LDMデータおよびルートプランニングからの情報を考慮に入れてよい。挙動プランニングおよび予測レイヤ216は、他の車両および物体の挙動およびロケーション予測を、運行プランニングおよび制御レイヤ214に出力してよい。追加として、挙動プランニングおよび予測レイヤ216は、ロケーション予測と組み合わせて物体挙動を使用して計画してよく、車両101の運行を制御するための制御信号を生成してよい。たとえば、ルートプランニング情報、道路情報の中の改善されたロケーション、ならびに他の車両の相対ロケーションおよび運行に基づいて、挙動プランニングおよび予測レイヤ216は、他の車両からの最小間隔を維持もしくは達成すること、および/または転回もしくは出口に対して準備することなどのために、車両101が車線を変更し加速する必要があることを決定してよい。その結果、挙動プランニングおよび予測レイヤ216は、そのような車線変更および加速を実現するために必要なそのような様々なパラメータと一緒に、運行プランニングおよび制御レイヤ214ならびにDBWシステム/制御ユニット220に指令されるべき、ホイールに対するステアリング角度、およびスロットル設定の変更を、計算するかまたは別のやり方で決定してよい。1つのそのようなパラメータは、算出されたステアリングホイール指令角であってよい。
【0056】
運行プランニングおよび制御レイヤ214は、センサー融合およびRWM管理レイヤ212ならびに他の車両および物体の挙動からのデータおよび情報出力、ならびに挙動プランニングおよび予測レイヤ216からのロケーション予測を受信してよく、この情報を使用して、計画してよく、車両101の運行を制御するための制御信号を生成してよく、そのような制御信号が車両100に対する安全性要件を満たすことを検証してよい。たとえば、ルートプランニング情報、道路情報の中の改善されたロケーション、ならびに他の車両の相対ロケーションおよび運行に基づいて、運行プランニングおよび制御レイヤ214は、様々な制御コマンドまたは命令を検証してよく、それをDBWシステム/制御ユニット220に渡してよい。
【0057】
DBWシステム/制御ユニット220は、運行プランニングおよび制御レイヤ214からコマンドまたは命令を受信してよく、そのような情報を、車両100のホイール角度、ブレーキ、およびスロットルを制御するための機械的な制御信号に変換してよい。たとえば、DBWシステム/制御ユニット220は、対応する制御信号をステアリングホイールコントローラへ送信することによって、算出されたステアリングホイール指令角に応答してよい。
【0058】
様々な実施形態では、ワイヤレス通信サブシステム230は、ワイヤレス通信リンクを介して、他のV2Xシステム参加者と通信して、センサーデータ、位置データ、車両データ、および車載センサーによって車両の周囲の環境について収集されたデータを送信し得る。そのような情報は、他のV2Xシステム参加者への中継のためにLDMデータを更新するために、他のV2Xシステム参加者によって使用され得る。
【0059】
様々な実施形態では、不正行為管理システムスタック200は、車両および乗員の安全性に影響を及ぼすことがある、様々なコマンド、様々なレイヤのプランニングまたは他の決定の、安全性検査または監督を実行する機能を含んでよい。そのような安全性検査または監督機能は、専用のレイヤ内に実装されてよく、または様々なレイヤの間で分散されるとともに機能の一部として含められてもよい。いくつかの実施形態では、様々な安全性パラメータは、メモリの中に記憶されてよく、安全性検査または監督機能は、決定された値(たとえば、近くの車両までの相対間隔、道路中心線からの距離など)を、対応する安全性パラメータと比較してよく、安全性パラメータが違反されるかまたは違反されることになる場合、警告またはコマンドを発行してよい。たとえば、挙動プランニングおよび予測レイヤ216の中の(または、別個のレイヤの中の)安全性または監督機能は、(センサー融合およびRWM管理レイヤ212によって規定されるような)別の車両とその車両との間の現在または将来の分離距離を(たとえば、センサー融合およびRWM管理レイヤ212によって改善されたワールドモデルに基づいて)決定してよく、その分離距離を、メモリの中に記憶された安全分離距離パラメータと比較してよく、現在のまたは予測される分離距離が安全分離距離パラメータに違反する場合、加速、減速、または転回するための命令を運行プランニングおよび制御レイヤ214に発行してよい。別の例として、運行プランニングおよび制御レイヤ214(または、別個のレイヤ)の中の安全性または監督機能は、決定または指令されたステアリングホイール指令角を、安全ホイール角度限度またはパラメータと比較してよく、安全ホイール角度限度を上回る指令された角度に応答して、オーバーライドコマンドおよび/または警報を発行してよい。
【0060】
メモリの中に記憶されるいくつかの安全性パラメータは、最大車両速度のような静的(すなわち、経時的に不変)であってよい。メモリの中に記憶される他の安全性パラメータは、車両状態情報および/または環境条件に基づいて、パラメータが継続的または周期的に決定または更新され得るという点で、動的であってよい。安全性パラメータの非限定的な例は、最大安全速度、最大ブレーキ圧力、最大加速度、および安全ホイール角度限度を含み、それらのすべては、道路および天候状態の関数であってよい。
【0061】
図2Bは、車両101内で利用されてよい、車両管理システム250内のサブシステム、計算要素、コンピューティングデバイス、またはコンピューティングユニットの一例を示す。図1A図2Bを参照すると、いくつかの実施形態では、不正行為管理システムスタック250のレイヤ202、204、206、208、210、212、および216は、図2Aを参照しながら説明したものと同様であってよく、不正行為管理システムスタック250は、不正行為管理システムスタック250が様々なデータまたは命令をDBWシステム/制御ユニット220ではなく車両安全性およびクラッシュ回避システム252に渡してよいことを除いて、不正行為管理システムスタック200と同様に動作してよい。たとえば、図2Bに示す不正行為管理システムスタック250ならびに車両安全性およびクラッシュ回避システム252の構成は、非自律走行車両内で使用されてよい。
【0062】
様々な実施形態では、挙動プランニングおよび予測レイヤ216ならびに/またはセンサー融合およびRWM管理レイヤ212は、車両安全性およびクラッシュ回避システム252にデータを出力してよい。たとえば、センサー融合およびRWM管理レイヤ212は、車両安全性およびクラッシュ回避システム252に提供される、車両101の改善されたロケーションおよび状態情報の一部として、センサーデータを出力してよい。車両安全性およびクラッシュ回避システム252は、車両101の改善されたロケーションおよび状態情報を使用して、車両101および/または車両100の乗員に関する安全性決定を行ってよい。別の例として、挙動プランニングおよび予測レイヤ216は、他の車両の運行に関係する挙動モデルおよび/または予測を車両安全性およびクラッシュ回避システム252に出力してよい。車両安全性およびクラッシュ回避システム252は、他の車両の運行に関係する挙動モデルおよび/または予測を使用して、車両101および/または車両101の乗員に関する安全性決定を行ってよい。
【0063】
様々な実施形態では、車両安全性およびクラッシュ回避システム252は、車両および乗員の安全性に影響を及ぼすことがある、様々なコマンド、様々なレイヤのプランニングまたは他の決定、ならびに人間の運転者アクションの、安全性検査または監督を実行する機能を含んでよい。いくつかの実施形態では、様々な安全性パラメータは、メモリの中に記憶されてよく、車両安全性およびクラッシュ回避システム252は、決定された値(たとえば、近くの車両までの相対間隔、道路中心線からの距離など)を、対応する安全性パラメータと比較してよく、安全性パラメータが違反されるかまたは違反されることになる場合、警告またはコマンドを発行してよい。たとえば、車両安全性およびクラッシュ回避システム252は、(センサー融合およびRWM管理レイヤ212によって規定されるような)別の車両とその車両との間の現在または将来の分離距離を(たとえば、センサー融合およびRWM管理レイヤ212によって改善されたワールドモデルに基づいて)決定してよく、その分離距離を、メモリの中に記憶された安全分離距離パラメータと比較してよく、現在のまたは予測される分離距離が安全分離距離パラメータに違反する場合、加速、減速、または転回するための命令を運転者に発行してよい。別の例として、車両安全性およびクラッシュ回避システム252は、ステアリングホイール角における人間の運転者の変更を、安全ホイール角度限度またはパラメータと比較してよく、安全ホイール角度限度を上回るステアリングホイール角に応答して、オーバーライドコマンドおよび/または警報を発行してよい。
【0064】
図3は、車両において様々な実施形態を実施するのに適した処理デバイスシステムオンチップ(SOC)300の例示的なSOCアーキテクチャを示す。図1A図3を参照すると、処理デバイスSOC300は、デジタル信号プロセッサ(DSP)303、モデムプロセッサ304、画像および物体認識プロセッサ306、モバイルディスプレイプロセッサ307、アプリケーションプロセッサ308、ならびにリソースおよび電力管理(RPM:resource and power management)プロセッサ317などの、いくつかの異種プロセッサを含んでよい。処理デバイスSOC300はまた、異種プロセッサ303、304、306、307、308、317のうちの1つまたは複数に接続された1つまたは複数のコプロセッサ310(たとえば、ベクトルコプロセッサ)を含んでよい。プロセッサの各々は、1つまたは複数のコア、および独立/内部クロックを含んでよい。各プロセッサ/コアは、他のプロセッサ/コアから独立した動作を実行してよい。たとえば、処理デバイスSOC300は、第1のタイプのオペレーティングシステム(たとえば、FreeBSD、LINUX、OS Xなど)を実行するプロセッサ、および第2のタイプのオペレーティングシステム(たとえば、Microsoft Windows)を実行するプロセッサを含んでよい。いくつかの実施形態では、アプリケーションプロセッサ308は、SOC300のメインプロセッサ、中央処理ユニット(CPU)、マイクロプロセッサユニット(MPU)、算術論理ユニット(ALU)などであってよい。グラフィックスプロセッサ306は、グラフィックス処理ユニット(GPU)であってよい。
【0065】
処理デバイスSOC300は、センサーデータ、アナログデジタル変換、ワイヤレスデータ送信を管理するための、かつウェブブラウザにおけるレンダリングのために符号化オーディオおよびビデオ信号を処理することなどの他の特殊な動作を実行するための、アナログ回路構成およびカスタム回路構成314を含んでよい。処理デバイスSOC300は、プロセッサ、およびコンピューティングデバイス上で実行中のソフトウェアクライアント(たとえば、ウェブブラウザ)をサポートするために使用される、電圧調整器、発振器、位相ロックループ、周辺ブリッジ、データコントローラ、メモリコントローラ、システムコントローラ、アクセスポート、タイマー、および他の類似の構成要素などの、システム構成要素およびリソース316をさらに含んでよい。
【0066】
処理デバイスSOC300はまた、1つまたは複数のカメラ158、160(たとえば、プライマリカメラ、ウェブカム、3Dカメラなど)、カメラファームウェアからのビデオディスプレイデータ、画像処理、ビデオ前処理、ビデオフロントエンド(VFE:video front-end)、インラインJPEG、高精細ビデオコーデックなどの動作を含み、提供し、制御し、かつ/または管理する、カメラ作動および管理プロセッサ305のための専用回路構成を含む。カメラ作動および管理プロセッサ305は、独立処理ユニットであってよく、かつ/または独立もしくは内部クロックを含んでよい。
【0067】
いくつかの実施形態では、画像および物体認識プロセッサ306は、様々な実施形態に関与する画像処理および物体認識分析を実行するように構成された、プロセッサ実行可能命令および/または専用ハードウェアを用いて構成されてよい。たとえば、画像および物体認識プロセッサ306は、他の車両を認識および/または識別し、かつ説明するようなカメラ知覚レイヤ204の機能を別のやり方で実行するために、カメラ(たとえば、158、160)からカメラ作動および管理プロセッサ305を介して受信された画像を処理する動作を実行するように構成されてよい。いくつかの実施形態では、プロセッサ306は、レーダーデータまたはライダーデータを処理し、説明するようなレーダー知覚レイヤ202の機能を実行するように構成されてよい。
【0068】
システム構成要素およびリソース316、アナログおよびカスタム回路構成314、ならびに/またはカメラ作動および管理プロセッサ305は、カメラ158、160、レーダー168、ライダー170、電子ディスプレイ、ワイヤレス通信デバイス、外部メモリチップなどの周辺デバイスとインターフェースするための回路構成を含み得る。プロセッサ303、304、306、307、308は、再構成可能論理ゲートのアレイを含み、かつ/またはバスアーキテクチャ(たとえば、CoreConnect、AMBAなど)を実装し得る、相互接続/バスモジュール324を介して、1つまたは複数のメモリ要素312、システム構成要素およびリソース316、アナログおよびカスタム回路構成314、カメラ作動および管理プロセッサ305、ならびにRPMプロセッサ317に相互接続され得る。通信は、高性能ネットワークオンチップ(NoC)など、高度な相互接続によって提供され得る。
【0069】
処理デバイスSOC300は、クロック318および電圧調整器320などの、SOCの外部のリソースと通信するための入力/出力モジュール(図示せず)をさらに含んでよい。SOCの外部のリソース(たとえば、クロック318、電圧調整器320)は、内部SOCプロセッサ/コア(たとえば、DSP303、モデムプロセッサ304、グラフィックスプロセッサ306、アプリケーションプロセッサ308など)のうちの2つ以上によって共有されてよい。
【0070】
いくつかの実施形態では、処理デバイスSOC300は、車両(たとえば、101)における使用のために制御ユニット(たとえば、140)の中に含まれてよい。制御ユニットは、説明するような電話ネットワーク(たとえば、180)、インターネット、および/またはネットワークサーバ(たとえば、184)との通信のための通信リンクを含んでよい。
【0071】
処理デバイスSOC300はまた、動きセンサー(たとえば、IMUの加速度計およびジャイロスコープ)を含むセンサーからセンサーデータを収集するのに適している追加のハードウェアおよび/またはソフトウェア構成要素、ユーザインターフェース要素(たとえば、入力ボタン、タッチスクリーンディスプレイなど)、マイクロフォンアレイ、物理条件(たとえば、ロケーション、方向、運行、向き、振動、圧力など)を監視するためのセンサー、カメラ、コンパス、GPS受信機、通信回路構成(たとえば、Bluetooth(登録商標)、WLAN、WiFiなど)、ならびに現代の電子デバイスのよく知られている他の構成要素を含んでよい。
【0072】
図4は、様々な実施形態による、ローカルダイナミックマップデータモデルを生成するように構成されたシステム400を示す構成要素ブロック図である。いくつかの実施形態では、システム400は、V2X機器の1つもしくは複数のコンピューティングプラットフォーム402、および/または1つもしくは複数の他のV2Xシステム参加者404を含み得る。図1A図4および図7図9を参照すると、V2X機器402は、プロセッサ(たとえば、434、702、802)を含み得る。V2X機器402は、機械実行可能命令406によって構成され得る。機械実行可能命令406は、1つまたは複数の命令モジュールを含み得る。命令モジュールは、コンピュータプログラムモジュールを含み得る。命令モジュールは、LDMデータ受信モジュール408、LDMデータ統合モジュール410、LDMデータ決定モジュール412、LDMデータ提供モジュール414、マップ生成モジュール416、マップ送信モジュール418、および/または他の命令モジュールのうちの1つまたは複数を含み得る。
【0073】
LDMデータ受信モジュール408は、V2X機器プロセッサ上で動作している不正行為管理システムのためのフレッシュなLDMデータを受信するように構成され得る。いくつかの実施形態では、LDMデータ受信モジュール408は、他のV2Xシステム参加者404から登録メッセージを受信するように構成され得る。いくつかの実施形態では、LDMデータ受信モジュール408は、他のV2Xシステム参加者404から、計画されたルート情報を受信するように構成され得る。いくつかの実施形態では、LDMデータ受信モジュール408は、他のV2Xシステム参加者404からモバイルデバイス運動学情報を受信するように構成され得る。いくつかの実施形態では、LDMデータ受信モジュール408は、たとえば、他のV2Xシステム参加者404によって取得されたセンサーデータ、画像データ、オーディオデータ、または動作状態データなど、他のV2Xシステム参加者404からのデータを受信するように構成され得る。
【0074】
LDMデータ統合モジュール410は、フレッシュなLDMデータをLDMデータモデルに統合するように構成され得る。
【0075】
LDMデータ決定モジュール412は、他の特定のV2Xシステム参加者404に関連するLDMデータモデルのLDMデータを決定するように構成され得る。いくつかの実施形態では、LDMデータ決定モジュール412は、登録メッセージに含まれる情報に基づいて、別の特定のV2Xシステム参加者404に関連するLDMデータを決定するように構成され得る。いくつかの実施形態では、LDMデータ決定モジュール412は、計画されたルート情報に基づいて、別の特定のV2Xシステム参加者に関連するLDMデータを決定するように構成され得る。いくつかの実施形態では、LDMデータ決定モジュール412は、運動学情報に基づいて、別の特定のV2Xシステム参加者404に関連するLDMデータを決定するように構成され得る。いくつかの実施形態では、LDMデータ決定モジュール412は、受信されたデータから、LDMデータに関連する情報を決定するように構成され得る。
【0076】
LDMデータ提供モジュール414は、他のV2Xシステム参加者404に、決定された関連LDMデータを提供するように構成され得る。いくつかの実施形態では、決定された関連LDMデータは、極めて動的なLDM情報を含み得る。
【0077】
マップ生成モジュール416は、他のV2Xシステム参加者の所定の距離内のエリアを包含するデジタルマップを生成するように構成され得る。いくつかの実施形態では、マップ送信モジュール418は、他のV2Xシステム参加者404にデジタルマップを送信するように構成され得る。デジタルマップは、他のV2Xシステム参加者404の自律ナビゲーションにおいて使用するのに好適なフォーマットにおいて生成および送信され得る。
【0078】
いくつかの実装形態では、V2X機器402、他のV2Xシステム参加者デバイス404、および/または外部リソース430は、1つまたは複数の電子通信リンクを介して動作可能にリンクされ得る。たとえば、そのような電子通信リンクは、インターネットおよび/または他のネットワークなどのネットワークを介して少なくとも部分的に確立され得る。このことが限定的であることを意図しないこと、および本開示の範囲が、V2X機器402、他のV2Xシステム参加者404、および/または外部リソース430がいくつかの他の通信媒体を介して動作可能にリンクされ得る実装形態を含むことが諒解されよう。
【0079】
他のV2Xシステム参加者404の各々は、コンピュータプログラムモジュールを実行するように構成された1つまたは複数のプロセッサを含み得る。コンピュータプログラムモジュールは、所与のV2Xシステム参加者404に関連付けられた専門家またはユーザが、システム400および/もしくは外部リソース430とインターフェースすること、ならびに/または本明細書で他のV2Xシステム参加者404に起因する他の機能を提供することを可能にするように構成され得る。
【0080】
外部リソース430は、V2Xシステム400、V2Xシステム400に参加する外部エンティティ、および/または他のリソースの外側の、情報のソースを含んでよい。いくつかの実装形態では、本明細書で外部リソース430に起因する機能の一部または全部は、システム400の中に含まれるリソースによって提供されてよい。
【0081】
V2X機器402は、電子記憶装置432、1つもしくは複数のプロセッサ434、および/または他の構成要素を含んでよい。V2X機器402は、ネットワークおよび/または他のコンピューティングプラットフォームとの情報の交換を可能にするための通信回線またはポートを含んでよい。図4におけるV2X機器402の例示は、限定的であることを意図しない。V2X機器402は、本明細書でV2X機器402に起因する機能を提供するために一緒に動作する、複数のハードウェア、ソフトウェア、および/またはファームウェア構成要素を含んでよい。たとえば、V2X機器402は、V2X機器402を一緒に動作させるコンピューティングプラットフォームのクラウドによって実装され得る。
【0082】
電子記憶装置432は、情報を電子的に記憶する非一時的記憶媒体を備えてよい。電子記憶装置432の電子記憶媒体は、V2X機器402と一体に設けられる(すなわち、実質的に取外し不可能な)システムストレージ、および/または、たとえば、ポート(たとえば、ユニバーサルシリアルバス(USB)ポート、ファイアワイヤポートなど)もしくはドライブ(たとえば、ディスクドライブなど)を介して、V2X機器402に取外し可能に接続可能なリムーバブルストレージのうちの、一方または両方を含んでよい。電子記憶装置432は、光学的に読取り可能な記憶媒体(たとえば、光ディスクなど)、磁気的に読取り可能な記憶媒体(たとえば、磁気テープ、磁気ハードドライブ、フロッピードライブなど)、電荷ベースの記憶媒体(たとえば、EEPROM、RAMなど)、ソリッドステート記憶媒体(たとえば、フラッシュドライブなど)、および/または電子的に読取り可能な他の記憶媒体のうちの1つまたは複数を含んでもよい。電子記憶装置432は、1つまたは複数の仮想記憶リソース(たとえば、クラウドストレージ、仮想プライベートネットワーク、および/または他の仮想記憶リソース)を含んでよい。電子記憶装置432は、ソフトウェアアルゴリズム、プロセッサ434によって決定される情報、V2X機器402から受信される情報、他のV2Xシステム参加者404から受信される情報、および/またはV2X機器402が本明細書で説明するように機能することを可能にする他の情報を記憶してよい。
【0083】
プロセッサ434は、V2X機器402内の情報処理能力を提供するように構成され得る。したがって、プロセッサ434は、デジタルプロセッサ、アナログプロセッサ、情報を処理するように設計されたデジタル回路、情報を処理するように設計されたアナログ回路、ステートマシン、および/または情報を電子的に処理するための他の機構のうちの1つまたは複数を含んでよい。プロセッサ434は単一のエンティティとして図4に示されるが、このことは例示のためにすぎない。いくつかの実装形態では、プロセッサ434は、複数の処理ユニットを含んでよい。これらの処理ユニットは、同じデバイス内に物理的に位置してよく、またはプロセッサ434は、協調して動作する複数のデバイスの処理機能を表してよい。プロセッサ434は、モジュール408、410、412、414、416、418、および/または他のモジュールを実行するように構成されてよい。プロセッサ434は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、またソフトウェア、ハードウェア、および/もしくはファームウェアのいくつかの組合せ、ならびに/またはプロセッサ434上の処理能力を構成するための他の機構によって、モジュール408、410、412、414、416、418、および/または他のモジュールを実行するように構成されてよい。本明細書で使用する「モジュール」という用語は、モジュールに起因する機能を実行する任意の構成要素または構成要素のセットを指す場合がある。これは、プロセッサ可読命令の実行中の1つまたは複数の物理プロセッサ、プロセッサ可読命令、回路構成、ハードウェア、記憶媒体、または任意の他の構成要素を含んでよい。
【0084】
モジュール408~418が、単一の処理ユニット内に実装されるものとして図4に示されるが、プロセッサ434が複数の処理ユニットを含む実装形態では、モジュール408~418のうちの1つまたは複数が、他のモジュールから遠隔に実装されてよいことを諒解されたい。以下で説明する、様々なモジュール408~418によって提供される機能の説明は例示のためであり、モジュール408~418のうちのいずれかが、説明するよりも多くのまたは少ない機能を提供し得るので、限定的であることを意図しない。たとえば、モジュール408~418のうちの1つまたは複数が除外される場合があり、その機能のうちの一部または全部が、モジュール408~418のうちの他のものによって提供されてよい。別の例として、プロセッサ434は、以下のモジュール408~418のうちの1つに起因する機能の一部または全部を実行し得る、1つまたは複数の追加のモジュールを実行するように構成され得る。
【0085】
図5は、受信されたV2Xメッセージを車両のローカルダイナミックマップ(LDM)データモデルと比較すること、およびV2Xメッセージ内で受信されたデータと、ローカルに維持または記憶されたLDMデータモデルとの間に不整合が存在するかどうかを決定することによって、不正行為状態を検出するための、観測車両のV2X機器のプロセッサによって実行される方法500の動作を示すプロセスフロー図である。図1図5を参照すると、方法500の動作は、観測車両V2X機器(たとえば、図1Dにおける車両12)のプロセッサによって実行され得る。
【0086】
ブロック502において、プロセッサは、観測車両(たとえば、車両12)の操縦、ナビゲーション、および/または他の動作の制御に関係する複数の、車両のセンサーを監視し得る。車両自体のセンサーからのデータを監視することによって、観測車両のV2X機器402上で動作している不正行為管理システムは、観測車両を取り巻く環境を表すLDMデータモデルを生成するために使用され得るデータを収集することを開始し得る。これは、不正行為状態を示すデータを伴うV2Xメッセージを送る疑わしい車両に関する情報を含み得る。加えて、LDMデータモデルは、隣接する車両に関する情報を含み得る。
【0087】
ブロック504において、観測車両を取り巻く環境を表すLDMデータモデルが、図2A図4に関して上記で説明したように、複数のセンサーから収集された追加のデータの集約に少なくとも部分的に基づいて、V2X機器402によって生成され得る。LDMデータモデルは、タイプ1~4データを含み得る。ブロック506において、生成されたLDMデータモデルが、メモリ(たとえば、電子記憶装置432)内でローカルに維持または記憶され得る。
【0088】
ブロック508において、V2X機器プロセッサ上で動作している不正行為管理システムは、別のV2Xシステム参加者404からV2Xメッセージを受信し得る。V2Xメッセージは、交通情報、報告車両の車載機器から計算された、かつ/もしくは隣接する車両自体によって提供された、報告車両および他の隣接する車両のGPS情報、ならびに/または道路ジオメトリおよび街路備品を指定するマップデータを含み得る。
【0089】
決定ブロック510、V2Xメッセージにおいて、V2X機器プロセッサ上で動作している不正行為管理システムは、不正行為状態を検出するために、受信されたV2Xメッセージ中に含まれているデータを、ローカルに維持または記憶されたLDMデータモデルと比較することによって、受信されたV2Xメッセージが、不正行為状態を示すデータを含むかどうかを決定し得る。たとえば、本車両(観測車両と呼ばれる)は、別の車両(報告車両と呼ばれる)が2つの隣接する車両の間を通過中であり得ることを示すデータを含む、V2Xメッセージを受信し得る。いくつかの実施形態では、報告車両および2つの隣接する車両は、すべてV2Xシステム参加者であり得る。しかしながら、いくつかの状況では、報告車両および2つの隣接する車両のいずれも、V2Xシステム参加者ではない。他の状況では、報告車両および2つの隣接する車両のうちのいくつかは、V2Xシステム参加者であり得るが、他の車両はそうではない。
【0090】
本例では、観測車両は、観測車両自体のセンサー、たとえば、カメラ、および観測車両の車載でインストールされるLIDARを通して、報告車両の、ならびに2つの隣接する車両のロケーション/位置、進行方向、速度、動作などについての情報を取得し得る。加えて、観測車両は、報告車両および2つの隣接する車両のいずれかおよび/またはすべてから、V2Xメッセージを受信し得る。そのような受信されたV2Xメッセージは、報告車両の、ならびに2つの隣接する車両のロケーション/位置、進行方向、速度、動作などに関する、観測車両の観測結果を確証する、カメラおよび/またはLIDAR情報を含み得る。加えて、報告車両または2つの隣接する車両のいずれかからのV2Xメッセージは、GPSロケーション/位置情報、速度計データなどを含み得る。報告車両または2つの隣接する車両のいずれかについての、またさらなるカメラおよびLIDAR情報が、RSU V2Xシステム参加者から受信され得る。
【0091】
様々なV2Xメッセージ内で受信されるこのデータのいずれかおよびすべては、観測車両を取り巻く環境を表すために、観測車両が作成した、ローカルに維持されたLDMデータモデルを増補し得る。したがって、観測車両のLDMデータモデルは、報告車両および2つの隣接する車両のロケーション/位置、進行方向、および速度に関するデータを含み得る。観測車両は、受信されたV2Xメッセージ中に含まれているデータを、観測車両のLDMデータモデル内のデータと比較することによって、不正行為状態を検出し得る。たとえば、報告車両から受信されるV2Xメッセージは、報告車両が2つの隣接する車両の間を通過中であることを示し得る。しかしながら、観測車両によって収集された他の情報のすべてに基づいて、観測車両のLDMデータモデルは、報告車両が2つの隣接する車両を通過するための空間が不十分であることを示し得る。したがって、観測車両のV2X機器プロセッサ上で動作している不正行為管理システムは、報告車両から受信されるV2Xメッセージを、不正行為状態を含むかまたは証明するものとして識別し得る。V2Xメッセージ内で報告車両から受信されるロケーション/位置、速度、進行方向などを示すデータのいずれかが、不正確であるか、破損しているか、または故意に改変されたものであり得る。
【0092】
ブロック510における比較に基づいて、報告車両から受信されるV2Xメッセージが、不正行為状態を示すデータを含むとの決定(すなわち、決定510=Yes)に応答して、観測車両のV2X機器402内で動作している不正行為管理システムは、ブロック512において、不正行為状態と、V2Xメッセージを送った疑わしい車両とを識別する、不正行為報告(MBR:misbehavior report)を生成し得る。
【0093】
ブロック514において、観測車両のV2X機器402内で動作している不正行為管理システムは、さらなる分析、報告、および是正措置のために、不正行為管理機関(MA:misbehavior managing authority)にMBRを送信し得る。たとえば、MAは、そのセンサーのサービスまたは交換が必要とされるというメッセージを、疑わしい車両に送り得る。不正行為状態の正確で包括的な分析を実行するために、MAは、不正行為状態を生じる状況の全体論的分析が決定され得るように、LDMデータモデル内のデータを利用し得る。加えて、LDMデータモデル内のデータを分析することによって、不正行為状態を軽減するために、より適切で効率的な是正措置が出され得る。これを可能にするために、いくつかの実施形態は、より良い品質の不正行為検出を提供し(より少ないフォールスネガティブ検出を提供するなど)、V2Xシステム103のロバストネスおよび耐性を向上させる、不正行為管理システムを含む。
【0094】
しかしながら、ますます多くの車両がV2X機器を搭載するにつれて、検出される可能性がある不正行為の量は、指数関数的な速度で増大している。加えて、多数のMBRを送信するために、帯域幅の制限を考慮すれば、MBRに含まれ得るデータ量は、極めて大量であり得る。これに対処するために、およびMBRとともに送信され得るデータ量を低減するために、いくつかの実施形態では、不正行為管理システムは、MAにLDMデータモデルの表現のみを送信し得る。いくつかの実施形態では、不正行為管理システムは、検出された不正行為状態に最も関連するデータのみを含む、かつ/または不正行為状態に無関係のデータを除くなど、MAにMBRを送信するとき、LDMデータモデルのための不完全なデータセットを送信し得る。
【0095】
ブロック514において、MAにMBRを送信した後、観測車両のV2X機器402内で動作している不正行為管理システムは、ブロック502における動作を再度実行して、観測車両を取り巻く環境に関するデータを収集するために、観測車両のセンサーを監視することを継続し得る。
【0096】
受信されたV2Xメッセージ中に含まれたデータが不正行為状態を示さないとの決定(すなわち、決定510=No)に応答して、不正行為管理システムは、LDMデータモデル内の物体の観測されたダイナミクス、またはV2Xメッセージから受信された新しいデータ入力のうちの少なくとも1つに基づいて、計算を実行し、次いで、ブロック516において、観測車両のLDMデータモデルを増補するか、向上させるか、またはさもなければ更新するために、計算と、受信されたV2Xメッセージに基づく、かつその中に含まれたデータとを組み込むために、LDMデータモデルを修正し、次いで、ブロック506において、更新されたLDMデータを記憶し得る。したがって、観測車両のV2X機器402内で動作している不正行為管理システムは、LDMデータモデルを継続的に改善し得る。更新されたLDMデータモデルは、観測車両を取り巻く環境を表すLDMデータモデルを向上させ、かつ/または改善する、V2Xメッセージからの追加のデータを含み得る。更新されたLDMデータモデルは、ブロック506において、メモリ内でローカルに維持または記憶され得る。
【0097】
ブロック514におけるMAへのMBRの送信、またはブロック506における更新されたLDMデータモデルの記憶に続いて、観測車両のV2X機器402内で動作している不正行為管理システムは、説明したように、ブロック508において、他のV2Xメッセージを受信することを継続し得る。
【0098】
いくつかの実施形態では、観測車両のV2X機器402内で動作している不正行為管理システムはまた、ブロック502における動作を周期的に実行して、観測車両を取り巻く環境に関するデータを収集するために、観測車両のセンサーを監視することを継続し得る。このようにして、不正行為状態がより正確に検出され得るように、LDMを向上させ、更新するために、観測車両を取り巻く環境を表すデータのユニバースが継続的に拡大され得る。
【0099】
図6は、受信されたV2Xメッセージ内で不正行為状態が検出されるかどうかを決定する、方法500のブロック510の一部として実行され得る、例示的な動作を示すプロセスフロー図である。図1A図6を参照すると、ブロック510の動作は、観測車両のV2X機器402内で動作している不正行為管理システムによって実行され得る。
【0100】
方法500のブロック508においてV2Xメッセージを受信した後、不正行為管理システムは、ブロック518において、受信されたV2Xメッセージから、選択されたデータ(たとえば、ロケーション/位置、速度、進行方向、温度など)を取得し得る。ブロック518における動作の一部として、受信されたV2Xメッセージの発信送信機の識別子が取得され得る。
【0101】
任意のブロック519において、不正行為管理システムは、V2Xメッセージ内で報告された情報が不正行為を示すか、または不正行為の生成物であるかどうかを決定する際に使用するために、データ要素、またはLDMデータモデル内のデータ要素を選択し得る。説明したように、LDMデータモデルは、車両および近傍における他の車両を取り巻く環境を定義する多数のデータ要素を含むことになり、その多数の要素は、V2Xメッセージ内で受信された情報の精度または信頼性を査定するために有用であり得る。したがって、いくつかの実施形態では、不正行為管理システムは、受信されたV2Xメッセージを検証または確認するために使用されることになる、LDMデータモデル内のいくつかのデータ要素(たとえば、情報のサブセット)を選択し得る。いくつかの実施形態では、不正行為管理システムは、受信されたV2Xメッセージ内の情報のタイプに基づいて、またはそれに応答して、LDMデータモデル内の情報または要素を選択し得る。たとえば、V2Xメッセージが、自己の車両の前方の、別の車両の、または道路の危険のロケーションを含む場合、不正行為管理システムは、V2Xメッセージを確認する際に使用するために、LDMデータモデル内のロケーション関係データ要素を選択し、自己の車両の後ろの速度、天候状態、道路状態、またはロケーションに関係するデータ要素にアクセスすることを回避し得る。別の例として、V2Xメッセージが、別の車両についての動的情報(たとえば、転回角、速度、制動ステータスなど)を含む場合、静的であるかまたは古い、LDMデータモデル内のデータ要素は、V2Xメッセージを評価する際に役に立たないことになる。受信されたV2Xメッセージ内の情報を確認または検証することに関連する、LDMデータモデル内の情報のサブセットを選択し、それにアクセスすることによって、不正行為管理システムは、処理リソースおよびメモリ利用率を節約し、LDMデータモデル内のすべてのデータがメッセージ評価プロセスにおいて使用される場合よりも高速にメッセージを評価することを可能にし得る。
【0102】
ブロック520において、観測車両のV2X機器内で動作している不正行為管理システムは、受信されたV2Xメッセージ中に含まれているパースされたデータを、観測車両のメモリ(たとえば、記憶装置432)内で維持または記憶されるLDMデータモデル内のデータに対して比較し得る。
【0103】
決定ブロック522において、不正行為管理システムは、受信されたV2Xメッセージ中に含まれているパースされたデータのいずれかが、観測車両のメモリ(たとえば、記憶装置432)内で維持または記憶されるLDMデータモデル内のデータと矛盾するか、または整合しないかどうかを決定し得る。
【0104】
たとえば、決定ブロック522において、不正行為管理システムは、V2Xメッセージ内で報告された情報が(たとえば、LDM内の別の車両のロケーションに対応するロケーションを示す)LDMデータモデル内のロケーション情報と整合しないか、または矛盾するかどうかを決定するために、受信されたV2Xメッセージを発行する車両のロケーション情報を分析し得る。
【0105】
決定ブロック522においてLDMデータを使用して検出され得る、可能性がある不正行為状態の別の例として、観測車両は、観測車両のセンサーを通して、隣接する車両を追跡中であり得る。隣接する車両は、V2Xシステム参加者でないことがある。疑わしい車両は、観測車両のセンサーによって観測および決定される、追跡された隣接する車両の位置に重複する位置に、疑わしい車両が位置することを暗示するV2Xメッセージを、観測車両に送り得る。言い換えれば、疑わしい車両は、観測車両のセンサー(たとえば、カメラ)によって観測および決定される、追跡された隣接する車両の位置と、疑わしい車両ロケーションが一致することを暗示するV2Xメッセージを、観測車両に送り得る。そのような事例では、疑わしい車両から観測車両によって受信されるV2Xメッセージは、観測車両のLDMデータモデル内のデータと矛盾するか、または整合しないデータを含んでいる。したがって、観測車両は、疑わしい車両の不正行為状態を示すMBRを生成し得る。
【0106】
決定ブロック522においてLDMデータを使用して検出され得る、可能性がある不正行為状態の別の例として、道路内の障害物があり得る。たとえば、運送されていたソファが、フラットベッドトラックから落ちていることがある。観測車両は、観測車両のセンサーを通して、障害物を検出し得る。観測車両は、疑わしい車両が減速せずに障害物を通過して運転したように、疑わしい車両がその進行方向および速度を維持したことを暗示するデータを含む、疑わしい車両からのV2Xメッセージを受信し得る。そのような事例では、疑わしい車両から観測車両によって受信されるV2Xメッセージは、観測車両のLDMデータモデル内のデータと矛盾するか、または整合しないデータを含んでいる。したがって、観測車両は、疑わしい車両の不正行為状態を示すMBRを生成し得る。
【0107】
決定ブロック522においてLDMデータを使用して検出され得る、可能性がある不正行為状態の別の例として、観測車両は、観測車両のセンサーを通して、隣接する車両を追跡中であり得る。隣接する車両は、V2Xシステム参加者でないことがある。隣接する車両のビューは、観測側から一時的に遮られる(すなわち、観測車両がAVを直接見ることができないように、何かが短時間の間に妨げになる)ことがあり、次いで、再度追跡可能になる。妨害の時間の間、疑わしい車両は、疑わしい車両の進行方向(すなわち、トラック)について、観測車両にV2Xメッセージを送り得る。観測車両は、隣接する車両が視界の外にあった間に、隣接する車両が取っていた可能性があるルートを、再構成し得る。この情報に基づいて、観測車両は、すべての可能なルートが疑わしい車両と隣接する車両との間の衝突を暗示することに気づき得る。衝突が観測車両によって記録されなかったので、疑わしい車両から観測車両によって受信されるV2Xメッセージは、観測車両のLDMデータモデル内のデータと矛盾するか、または整合しないデータを含んでいる。したがって、観測車両は、疑わしい車両の不正行為状態を示すMBRを生成し得る。
【0108】
決定ブロック522においてLDMデータを使用して検出され得る、可能性がある不正行為状態の別の例として、観測車両は、交通信号灯が赤であることを示す、RSUからのV2X交通信号メッセージを受信し得る。観測車両は、疑わしい車両が交差点を通って移動することを含んでいることを示す、疑わしい車両からのV2Xメッセージを受信し得る。疑わしい車両が赤信号を実際に走行中であり得る間、疑わしい車両から観測車両によって受信されるV2Xメッセージは、一見したところ、観測車両のLDMデータモデル内のデータと矛盾するか、または整合しないデータを含んでいる。したがって、観測車両は、疑わしい車両の不正行為状態を示すMBRを生成し得る。
【0109】
決定ブロック522においてLDMデータを使用して検出され得る、可能性がある不正行為状態の別の例として、観測車両は、道路工事が車線変更を引き起こしていることを示す、RSUからのV2Xメッセージを受信し得る。車線変更は、観測車両にとって利用可能な静的マップ内に示されていない。しかしながら、着信V2Xメッセージに基づいて、観測車両は、車線変更が所定の位置にあるかのように、すべての隣接する車両が挙動すること、すなわち、隣接する車両がすべて、特定のロケーションにおいて1車線分、左側に変更することに気づく。疑わしい車両は、疑わしい車両が車線変更を観測しないこと、すなわち、他の隣接する車両が車線変更を実行することが運転者に見えるはずであるにもかかわらず、疑わしい車両が直進して運転するように見えることを暗示する、V2Xメッセージを送り得る。この暗示は、疑わしい車両が、車線変更について知らない攻撃者によって実際のロケーションから遠隔で生成された、そのメッセージを有しているということである。そのような事例では、疑わしい車両から観測車両によって受信されるV2Xメッセージは、観測車両のLDMデータモデル内のデータと矛盾するか、または整合しないデータを含んでいる。したがって、観測車両は、疑わしい車両の不正行為状態を示すMBRを生成し得る。
【0110】
受信されたV2Xメッセージ中に含まれているパースされたデータが、観測車両のメモリ(たとえば、記憶装置432)内で維持または記憶されるLDMデータモデル内のデータと矛盾するか、または整合しないとの決定(すなわち、決定522=Yes)に応答して、観測車両のV2X機器402内で動作している不正行為管理システムは、説明したように、MBRを生成するために、方法500のブロック512における動作を実行し得る。
【0111】
受信されたV2Xメッセージ中に含まれているパースされたデータが、観測車両のメモリ(たとえば、記憶装置432)内で維持または記憶されるLDMデータモデル内のデータと矛盾しないか、または整合するとの決定(すなわち、決定522=No)に応答して、観測車両のV2X機器402内で動作している不正行為管理システムは、説明したように、LDMデータモデルを修正または更新するために、ブロック516における動作を実行し得る。
【0112】
(限定はしないが、図1A図6を参照しながら上記で説明した実施形態を含む)様々な実施形態は、車載機器ならびにモバイルコンピューティングデバイスを含む多種多様なコンピューティングシステムにおいて実装されてよく、様々な実施形態とともに使用するのに適したモバイルコンピューティングデバイスの一例が図7に示されている。モバイルコンピューティングデバイス700は、タッチスクリーンコントローラ704と内部メモリ706とに結合されたプロセッサ702を含み得る。プロセッサ702は、汎用または特定の処理タスクに指定された1つまたは複数のマルチコア集積回路であり得る。内部メモリ706は、揮発性メモリまたは不揮発性メモリであってよく、また、セキュアメモリおよび/もしくは暗号化メモリまたは非セキュアメモリおよび/もしくは非暗号化メモリ、あるいはそれらの任意の組合せであってもよい。活用されてもよいメモリタイプの例には、限定はしないが、DDR、LPDDR、GDDR、WIDEIO、RAM、SRAM、DRAM、P-RAM、R-RAM、M-RAM、STT-RAM、および埋込みDRAMが含まれる。タッチスクリーンコントローラ704およびプロセッサ702はまた、抵抗感知タッチスクリーン、容量性感知タッチスクリーン、赤外線感知タッチスクリーンなど、タッチスクリーンパネル712に結合され得る。追加として、モバイルコンピューティングデバイス700のディスプレイは、タッチスクリーン機能を有する必要はない。
【0113】
モバイルコンピューティングデバイス700は、互いに結合されたおよび/またはプロセッサ702に結合された、通信を送受信するための1つまたは複数の無線信号トランシーバ708(たとえば、Peanut、Bluetooth、ZigBee、Wi-Fi、RF無線)と、アンテナ710とを有し得る。トランシーバ708およびアンテナ710は、様々なワイヤレス送信プロトコルスタックおよびインターフェースを実装するために、上述の回路構成とともに使用され得る。モバイルコンピューティングデバイス700は、セルラーネットワークを経由した通信を可能にするとともにプロセッサに結合されているセルラーネットワークワイヤレスモデムチップ716を含み得る。
【0114】
モバイルコンピューティングデバイス700は、プロセッサ702に結合された周辺デバイス接続インターフェース718を含み得る。周辺デバイス接続インターフェース718は、1つのタイプの接続を受け入れるように単独で構成されてよく、またはユニバーサルシリアルバス(USB)、FireWire、Thunderbolt、もしくはPCIeなどの、一般的もしくはプロプライエタリな様々なタイプの物理接続および通信接続を受け入れるように構成されてもよい。周辺デバイス接続インターフェース718はまた、同様に構成された周辺デバイス接続ポート(図示せず)に結合され得る。
【0115】
モバイルコンピューティングデバイス700はまた、オーディオ出力を提供するためのスピーカー714を含み得る。モバイルコンピューティングデバイス700はまた、本明細書で説明する構成要素の全部または一部を収容するための、プラスチック、金属、または材料の組合せから構成されたハウジング720を含み得る。ハウジング720が、車載実施形態における車両のダッシュボードコンソールであり得ることを、当業者は認識されよう。モバイルコンピューティングデバイス700は、使い捨てバッテリーまたは充電式バッテリーなどの、プロセッサ702に結合された電源722を含み得る。充電式バッテリーはまた、モバイルコンピューティングデバイス700の外部のソースから充電電流を受けるために、周辺デバイス接続ポートに結合され得る。モバイルコンピューティングデバイス700はまた、ユーザ入力を受け取るための物理ボタン724を含み得る。モバイルコンピューティングデバイス700はまた、モバイルコンピューティングデバイス700をオンオフするための電源ボタン726を含み得る。
【0116】
(限定はしないが、図1A図6を参照しながら上記で説明した実施形態を含む)様々な実施形態は、ラップトップコンピュータ800を含む多種多様なコンピューティングシステムにおいて実装されてよく、ラップトップコンピュータ800の一例が図8に示されている。多くのラップトップコンピュータは、コンピュータのポインティングデバイスとして働くタッチパッドのタッチ面817を含み、したがって、タッチスクリーンディスプレイを装備した上述のコンピューティングデバイス上で実装されるものと同様のドラッグジェスチャー、スクロールジェスチャー、およびフリックジェスチャーを受信し得る。ラップトップコンピュータ800は通常、揮発性メモリ812と、フラッシュメモリのディスクドライブ813などの大容量不揮発性メモリとに結合されたプロセッサ802を含む。加えて、コンピュータ800は、プロセッサ802に結合されたワイヤレスデータリンクおよび/またはセルラー電話トランシーバ816に接続され得る、電磁放射を送受信するための1つまたは複数のアンテナ808を有し得る。コンピュータ800はまた、プロセッサ802に結合されたフロッピーディスクドライブ814およびコンパクトディスク(CD)ドライブ815を含み得る。ノートブック構成では、コンピュータハウジングは、すべてがプロセッサ802に結合されたタッチパッド817、キーボード818、およびディスプレイ819を含む。コンピューティングデバイスの他の構成はよく知られているように、(たとえば、USB入力を介して)プロセッサに結合されたコンピュータマウスまたはトラックボールを含んでよく、それらはまた、様々な実施形態とともに使用されてもよい。
【0117】
(限定はしないが、図1A図6を参照しながら上記で説明した実施形態を含む)様々な実施形態はまた、様々な市販のサーバのうちのいずれかなどの固定コンピューティングシステムを利用する、不正行為管理機関を含み得る。例示的なサーバ900が、図9に示されている。そのようなサーバ900は、通常、揮発性メモリ902と、ディスクドライブ904などの大容量不揮発性メモリとに結合された、1つまたは複数のマルチコアプロセッサアセンブリ901を含む。図9に示すように、マルチコアプロセッサアセンブリ901は、それらをアセンブリのラックに挿入することによって、サーバ900に追加され得る。サーバ900はまた、他のブロードキャストシステムコンピュータおよびサーバに結合されたローカルエリアネットワーク、インターネット、公衆交換電話網、ならびに/またはセルラーデータネットワーク(たとえば、CDMA、TDMA、GSM、PCS、3G、4G、5G、LTE、または任意の他のタイプのセルラーデータネットワーク)など、ネットワーク908とのネットワークインターフェース接続を確立するための、マルチコアプロセッサアセンブリ901に結合されたネットワークアクセスポート907を含み得る。
【0118】
いくつかの異なるセルラー通信およびモバイル通信のサービスおよび規格が利用可能であるか、または将来において企図され、それらのすべてが様々な実施形態を実装し、様々な実施形態から利益を得ることができる。そのようなサービスおよび規格は、第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP(登録商標))、ロングタームエボリューション(LTE)システム、第3世代ワイヤレスモバイル通信技術(3G)、第4世代ワイヤレスモバイル通信技術(4G)、第5世代ワイヤレスモバイル通信技術(5G)、モバイル通信用グローバルシステム(GSM)、ユニバーサルモバイルテレコミュニケーションズシステム(UMTS)、3GSM、汎用パケット無線サービス(GPRS)、符号分割多元接続(CDMA)システム(cdmaOne、CDMA1020(登録商標)など)、GSM進化型高速データレート(EDGE)、高度モバイルフォンシステム(AMPS)、デジタルAMPS(IS-136/TDMA)、エボリューションデータオプティマイズド(EV-DO)、デジタル強化コードレス電気通信(DECT:digital enhanced cordless telecommunications)、ワールドワイドインターオペラビリティフォーマイクロウェーブアクセス(WiMAX)、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)、Wi-Fi保護アクセスI&II(WPA、WPA2)、および統合デジタル拡張ネットワーク(iDEN)などを含む。これらの技術の各々は、たとえば、音声、データ、シグナリング、および/またはコンテンツメッセージの送信および受信を伴う。個々の電気通信の規格または技術に関係する用語および/または技術的詳細に対するいかなる言及も例示目的にすぎず、請求項の文言に具体的に記載されない限り、特許請求の範囲を特定の通信システムまたは通信技術に限定するものではないことを理解されたい。
【0119】
実装例について、以下の段落において説明する。以下の実装例のうちのいくつかについて、例示的な方法に関して説明するが、さらなる例示的な実装形態は、以下の実装例の方法の動作を実行するためのプロセッサ実行可能命令で構成されたプロセッサを含む、車載ユニット、モバイルデバイスユニット、モバイルコンピューティングユニット、または固定の路側ユニットであり得る、V2X機器プロセッサ上で動作している不正行為管理システムによって実装される、以下の段落において説明する例示的な方法と、以下の実装例の方法の機能を実行するための手段を含むV2X機器によって実装される、以下の段落において説明する例示的な方法と、V2X機器のプロセッサに以下の実装例の方法の動作を実行させるように構成されたプロセッサ実行可能命令を記憶した、非一時的プロセッサ可読記憶媒体として実装される、以下の段落において説明する例示的な方法とを含み得る。
【0120】
例1.車両のプロセッサによって実行されるビークルツーエブリシング(V2X)システム内の不正行為状態を検出する方法であって、別のV2Xシステム参加者からV2Xメッセージを受信するステップであって、V2Xメッセージが、車両を取り巻く環境に関するデータを含んでいる、ステップと、不正行為状態を検出するために、受信されたV2Xメッセージ中に含まれているデータを、ローカルに維持または記憶されたローカルダイナミックマップ(LDM)データモデルと比較するステップと、比較に基づいて、不正行為状態の検出に応答して、不正行為状態を識別する不正行為報告を生成するステップと、不正行為管理機関に生成された不正行為報告を送信するステップとを含む方法。
【0121】
例2.車両を取り巻く環境に関する追加のデータを収集するために、車両内の複数のセンサーを監視するステップと、複数のセンサーから収集された追加のデータの集約に少なくとも部分的に基づいて、車両を取り巻く環境を表すLDMデータモデルを生成するステップと、メモリ内にLDMデータモデルを記憶するステップとをさらに含む、例1の方法。
【0122】
例3.不正行為状態が検出されないとの決定に応答して、LDMデータモデル内の物体の観測されたダイナミクス、またはV2Xメッセージから受信された新しいデータ入力のうちの少なくとも1つに基づいて、計算を実行するステップと、計算と、受信されたV2Xメッセージ中に含まれたデータとを組み込むために、LDMデータモデルを修正するステップと、メモリ内でローカルに維持または記憶されたLDMデータモデルを、修正されたLDMモデルに置き換えるステップとをさらに含む、例1または2のいずれかの方法。
【0123】
例4.不正行為管理機関に生成された不正行為報告を送信するステップが、LDMデータモデルの表現を送信するステップを含む、例1から3のいずれかの方法。
【0124】
例5.LDMデータモデルの表現が、LDMデータモデルのための不完全なデータセットを含む、例4の方法。
【0125】
例6.不正行為管理機関からフィードバックを受信するステップであって、フィードバックが、不正行為状態を軽減するための是正措置を含む、ステップをさらに含む、例1から5のいずれかの方法。
【0126】
例7.受信されたV2Xメッセージ中に含まれた車両を取り巻く環境に関するデータが、交通情報を含む、例1から6のいずれかの方法。
【0127】
例8.受信されたV2Xメッセージ中に含まれた車両を取り巻く環境に関するデータが、GNSS(たとえば、GPS)データに基づく隣接する車両のロケーション情報を含む、例1から7のいずれかの方法。
【0128】
例9.受信されたV2Xメッセージ中に含まれた車両を取り巻く環境に関するデータが、道路ジオメトリおよび街路備品を指定するマップデータを含む、例1から8のいずれかの方法。
【0129】
例10.不正行為状態を検出するために、受信されたV2Xメッセージ中に含まれたデータを、ローカルに維持または記憶されたLDMデータモデルと比較するステップが、受信されたV2Xメッセージ中に含まれたいずれかのデータが、ローカルに維持または記憶されたLDMデータモデル内の情報と矛盾するかどうかを決定するステップを含む、例1から9のいずれかの方法。
【0130】
例11.不正行為状態を検出するために、受信されたV2Xメッセージ中に含まれたデータを、ローカルに維持または記憶されたLDMデータモデルと比較するステップが、受信されたV2Xメッセージ中に含まれたデータとの比較のために、ローカルに維持または記憶されたLDMデータモデル内のデータ要素のサブセットを選択するステップと、受信されたV2Xメッセージ中に含まれたいずれかのデータが、ローカルに維持または記憶されたLDMデータモデル内のデータ要素の選択されたサブセットと矛盾するかどうかを決定するステップとを含む、例1から10のいずれかの方法。
【0131】
例12.不正行為状態を検出するために、受信されたV2Xメッセージ中に含まれたデータを、ローカルに維持または記憶されたLDMデータモデルと比較するステップが、受信されたV2Xメッセージ中に含まれた第1の隣接する車両のロケーションが、ローカルに維持または記憶されたLDMデータモデル内の第2の隣接する車両のロケーションと一致するかどうかを決定するステップを含む、例1から11のいずれかの方法。
【0132】
例13.不正行為状態を検出するために、前記受信されたV2Xメッセージ中に含まれたデータを、前記ローカルに維持または記憶されたLDMデータモデルと比較するステップが、前記受信されたV2Xメッセージを送信した隣接する車両のステータス情報が、前記ローカルに維持または記憶されたLDMデータモデル内の前記隣接する車両のステータス情報と矛盾するかどうかを決定するステップを含む、例1から12のいずれかの方法。
【0133】
図示および説明した様々な実施形態は、特許請求の範囲の様々な特徴を示すための例として提供されるにすぎない。しかしながら、任意の所与の実施形態に関して示し説明した特徴は、必ずしも関連する実施形態に限定されるとは限らず、示し説明した他の実施形態とともに使用されるか、またはそれらと組み合わされてもよい。さらに、特許請求の範囲は、いかなる例示的な一実施形態によっても限定されないものとする。
【0134】
上述の方法の説明およびプロセスフロー図は、例示的な例として提供されるにすぎず、様々な実施形態の動作が提示された順序で実行されなければならないことを必要とするまたは暗示するものではない。当業者によって諒解されるように、上述の実施形態における動作の順序は、任意の順序で実行され得る。「その後」、「次いで」、「次に」などの語は、動作の順序を限定するものではなく、これらの語は、方法の説明を通じて読者を導くために使用される。さらに、たとえば、冠詞「a」、「an」または「the」を使用する単数形での請求項要素へのいかなる言及も、要素を単数形に限定するものとして解釈されるべきではない。
【0135】
本明細書で開示する実施形態に関して説明する様々な例示的な論理ブロック、モジュール、構成要素、回路、およびアルゴリズム動作は、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、またはその両方の組合せとして実装され得る。ハードウェアとソフトウェアのこの互換性を明確に示すために、様々な例示的な構成要素、ブロック、モジュール、回路、および動作について、上記では概してそれらの機能に関して説明した。そのような機能がハードウェアとして実装されるかまたはソフトウェアとして実装されるかは、特定の適用例および全体的なシステムに課された設計制約に依存する。当業者は、説明した機能を特定の適用例ごとに様々な方法で実装し得るが、そのような実施形態の決定は、特許請求の範囲からの逸脱を引き起こすものとして解釈されるべきではない。
【0136】
本明細書で開示する実施形態に関して説明する様々な例示的な論理、論理ブロック、モジュール、および回路を実装するために使用されるハードウェアは、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)もしくは他のプログラマブル論理デバイス、個別ゲートもしくはトランジスタ論理、個別ハードウェア構成要素、または本明細書で説明する機能を実行するように設計されたそれらの任意の組合せを用いて実装または実行され得る。汎用プロセッサはマイクロプロセッサであり得るが、代替として、プロセッサは、任意の従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、またはステートマシンであり得る。プロセッサはまた、受信機スマートオブジェクトの組合せ、たとえば、DSPとマイクロプロセッサの組合せ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと連携する1つもしくは複数のマイクロプロセッサ、または任意の他のそのような構成として実装され得る。代替的に、いくつかの動作または方法は、所与の機能に固有の回路構成によって実行され得る。
【0137】
1つまたは複数の実施形態では、説明した機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組合せで実装され得る。ソフトウェアにおいて実装される場合、機能は、非一時的コンピュータ可読記憶媒体または非一時的プロセッサ可読記憶媒体上に1つまたは複数の命令またはコードとして記憶され得る。本明細書で開示する方法またはアルゴリズムの動作は、非一時的コンピュータ可読またはプロセッサ可読記憶媒体上に存在し得るプロセッサ実行可能ソフトウェアモジュールまたはプロセッサ実行可能命令において具現化され得る。非一時的コンピュータ可読またはプロセッサ可読記憶媒体は、コンピュータまたはプロセッサによってアクセスされ得る任意の記憶媒体であり得る。限定ではなく例として、そのような非一時的コンピュータ可読またはプロセッサ可読記憶媒体は、RAM、ROM、EEPROM、FLASHメモリ、CD-ROMもしくは他の光ディスクストレージ、磁気ディスクストレージもしくは他の磁気ストレージスマートオブジェクト、または命令もしくはデータ構造の形態で所望のプログラムコードを記憶するために使用される場合があり、コンピュータによってアクセスされる場合がある任意の他の媒体を含み得る。本明細書で使用するディスク(disk)およびディスク(disc)は、コンパクトディスク(disc)(CD)、レーザーディスク(disc)、光ディスク(disc)、デジタル多用途ディスク(disc)(DVD)、フロッピーディスク(disk)、およびBlu-ray(登録商標)ディスク(disc)を含み、ディスク(disk)は通常、データを磁気的に再生し、ディスク(disc)は、レーザーを用いてデータを光学的に再生する。上記の組合せも、非一時的コンピュータ可読媒体および非一時的プロセッサ可読媒体の範囲内に含まれる。さらに、方法またはアルゴリズムの動作は、コンピュータプログラム製品内に組み込まれ得る、非一時的プロセッサ可読記憶媒体および/または非一時的コンピュータ可読記憶媒体上のコードおよび/または命令の1つまたは任意の組合せもしくはセットとして存在し得る。
【0138】
開示する実施形態の前述の説明は、任意の当業者が特許請求の範囲を製作または使用することを可能にするために提供される。これらの実施形態への様々な修正が当業者には容易に明らかになり、本明細書で定義される一般原理は、特許請求の範囲から逸脱することなく他の実施形態に適用されてよい。したがって、本開示は、本明細書で示される実施形態に限定されるように意図されるものではなく、以下の特許請求の範囲ならびに本明細書において開示する原理および新規の特徴に一致する最も広い範囲を与えられるべきである。
【符号の説明】
【0139】
12 車両、後続車両
14 車両、トラック車両
16 車両、先行車両
18 通信ネットワーク
20 安全な分離距離
30、40、50 基本安全メッセージ
60、62、64、66 通信リンク
70、72 相手先商標製造会社(OEM)、OEMサーバ、MBR前処理サーバ
74 不正行為管理機関
100 通信システム
101 車両
102、104 V2X車載機器、V2X機器、車両V2X車載機器
103 V2Xシステム
106 V2X車載機器、車両V2X車載機器
110 基地局
120 ワイヤレス通信デバイス
122 通信リンク、ワイヤレス通信リンク
124、126 ワイヤレス通信リンク
132 コアネットワーク
140 制御ユニット、車両制御ユニット
140a、434、702、802 プロセッサ
140b メモリ
140c 入力モジュール
140d 出力モジュール
140e 無線モジュール
142 衛星地理測位システム受信機、衛星地理測位センサー
144、146、148、150、152 占有センサー
144~170 センサー
145 制御入力センサー
154、156 タイヤ空気圧センサー
158、160 カメラ
162、164 マイクロフォン
166 衝撃センサー
168 レーダー
170 ライダー
172a 運転制御構成要素、運転制御要素
172b ナビゲーション構成要素、ナビゲーションユニット
172c センサー、車両センサー
200 不正行為管理システム、車両管理システム、不正行為管理システムスタック、自律走行車両システムスタック
202 レーダー知覚レイヤ、レイヤ
204 カメラ知覚レイヤ、レイヤ
206 測位エンジンレイヤ、レイヤ
208 マップ融合および調停レイヤ、レイヤ
210 ルートプランニングレイヤ、レイヤ
212 センサー融合および道路ワールドモデル(RWM)管理レイヤ、レイヤ、センサー融合およびRWM管理レイヤ
214 運行プランニングおよび制御レイヤ、レイヤ
216 挙動プランニングおよび予測レイヤ、レイヤ
220 ドライブバイワイヤ(DBW)システム/制御ユニット、DBWシステム/制御ユニット
230 車両ワイヤレス通信サブシステム、ワイヤレス通信サブシステム
250 車両管理システム、不正行為管理システムスタック
252 車両安全性およびクラッシュ回避システム
300 処理デバイスシステムオンチップ(SOC)、処理デバイスSOC、SOC
303 デジタル信号プロセッサ(DSP)、異種プロセッサ、プロセッサ、DSP
304 モデムプロセッサ、異種プロセッサ、プロセッサ
305 カメラ作動および管理プロセッサ
306 画像および物体認識プロセッサ、異種プロセッサ、グラフィックスプロセッサ、プロセッサ
307 モバイルディスプレイプロセッサ、異種プロセッサ、プロセッサ
308 アプリケーションプロセッサ、異種プロセッサ、プロセッサ
310 コプロセッサ
312 メモリ要素
314 アナログ回路構成およびカスタム回路構成、アナログおよびカスタム回路構成
316 システム構成要素およびリソース
317 リソースおよび電力管理(RPM)プロセッサ、異種プロセッサ、RPMプロセッサ
318 クロック
320 電圧調整器
324 相互接続/バスモジュール
400 システム、V2Xシステム
402 コンピューティングプラットフォーム、V2X機器
404 他のV2Xシステム参加者、他の特定のV2Xシステム参加者、別の特定のV2Xシステム参加者、他のV2Xシステム参加者デバイス、所与のV2Xシステム参加者、別のV2Xシステム参加者
406 機械実行可能命令
408 LDMデータ受信モジュール、モジュール
410 LDMデータ統合モジュール、モジュール
412 LDMデータ決定モジュール、モジュール
414 LDMデータ提供モジュール、モジュール
416 マップ生成モジュール、モジュール
418 マップ送信モジュール、モジュール
430 外部リソース
432 メモリ、電子記憶装置、記憶装置
700 モバイルコンピューティングデバイス
704 タッチスクリーンコントローラ
706 内部メモリ
708 無線信号トランシーバ、トランシーバ
710、808 アンテナ
712 タッチスクリーンパネル
714 スピーカー
716 セルラーネットワークワイヤレスモデムチップ
718 周辺デバイス接続インターフェース
720 ハウジング
722 電源
724 物理ボタン
726 電源ボタン
800 ラップトップコンピュータ、コンピュータ
812、902 揮発性メモリ
813、904 ディスクドライブ
814 フロッピーディスクドライブ
815 コンパクトディスク(CD)ドライブ
816 ワイヤレスデータリンクおよび/またはセルラー電話トランシーバ
817 タッチパッドのタッチ面、タッチパッド
818 キーボード
819 ディスプレイ
900 サーバ
901 マルチコアプロセッサアセンブリ
907 ネットワークアクセスポート
908 ネットワーク
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】