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特表2024-504116周術期神経認知障害及び/又はウイルス感染後認知障害の個人を特定する方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-30
(54)【発明の名称】周術期神経認知障害及び/又はウイルス感染後認知障害の個人を特定する方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 10/00 20060101AFI20240123BHJP
   G16H 50/00 20180101ALI20240123BHJP
【FI】
A61B10/00 H
G16H50/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023542795
(86)(22)【出願日】2022-01-17
(85)【翻訳文提出日】2023-08-29
(86)【国際出願番号】 EP2022050916
(87)【国際公開番号】W WO2022152912
(87)【国際公開日】2022-07-21
(31)【優先権主張番号】63/137,802
(32)【優先日】2021-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520143786
【氏名又は名称】ケンブリッジ コグニション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【弁理士】
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100203208
【弁理士】
【氏名又は名称】小笠原 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】グレンジャー,キリ
(72)【発明者】
【氏名】バーネット,ジェニファー
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA04
(57)【要約】
本明細書は、周術期神経認知障害のリスクがある個人を特定するか、又はウイルス感染後認知障害の診断を特定又は確認するためのシステム、方法、及び使用を開示する。開示されたシステム、方法、及び使用は、PNDリスクスコア又はPVCI診断スコアを把握するために、個人のエピソード記憶スコア、作業記憶スコア、又はその両方を、任意選択的に、個人からの1つ以上の追加のリスク関連因子と併せて採用する。態様では、周術期神経認知障害に対する個人のリスク状態感受性は、PNDリスクスコアを事前に定義された閾値基準と比較することによって、把握される。他の態様では、ウイルス感染後認知障害の個人における診断の特定又は確認は、PVCI診断スコアを事前に定義された閾値基準と比較することによって、把握される。開示されたシステム、方法、及び使用は、1つ以上のリスク関連因子の各々の値に対する加重スコアを判定すること、並びに個人のリスク状態感受性に基づいて治療推奨を更に提供すること、を更に含むことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周術期神経認知障害のリスクがある個人を特定する方法であって、
a)前記個人に対する、エピソード記憶基準値、作業記憶基準値、又はエピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値を判定することと、
b)前記エピソード記憶基準値、前記作業記憶基準値、又は前記エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値を規範平均と比較することによって、PNDリスクスコアを判定することと、
c)前記PNDリスクスコアを、事前に定義された閾値基準と比較することによって、前記個人の周術期神経認知障害に対するリスク状態感受性を判定することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記エピソード記憶基準値が、エピソード記憶試験を使用して、個人の前記エピソード記憶を測定することによって取得される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記作業記憶基準値が、作業記憶試験を使用して、前記個人の前記作業記憶を測定することによって取得される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値が、エピソード記憶試験を使用した前記個人の前記エピソード記憶と、作業記憶試験を使用した前記個人の前記作業記憶との両方を測定することによって取得される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
エピソード記憶試験が、リスト学習試験、認識記憶試験、又は対連合学習試験を含む、請求項2又は4に記載の方法。
【請求項6】
作業記憶試験が、空間作業記憶試験、空間スパン試験、数字順列試験、又はNバック試験を含む、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(b)の前に、前記エピソード記憶基準値、前記作業記憶基準値、又は前記エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値に対する加重スコアを判定することを更に含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記個人の前記リスク状態感受性が、
a)前記エピソード記憶基準値が、規範平均を下回る標準偏差1個分以上であるとき、又は
b)前記作業記憶基準値が、規範平均を下回る標準偏差1個分以上であるとき、又は
c)前記エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値が、規範平均を下回る標準偏差1個分以上であるとき、PNDについて高リスクにあるものとして特定される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記個人の前記リスク状態感受性が、
a)前記エピソード記憶基準値が、前記規範平均を下回るが、前記規範平均を下回る標準偏差1個分未満であるとき、又は
b)前記作業記憶基準値が、前記規範平均を下回るが、前記規範平均を下回る標準偏差1個分未満であるとき、又は
c)前記エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値が、前記規範平均を下回るが、前記規範平均を下回る標準偏差1個分未満であるとき、PNDについて中程度のリスクにあるものとして特定される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ステップ(b)の前に、前記個人における前記周術期神経認知障害に対する1つ以上のリスク関連因子の基準値を判定することを更に含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
PNDリスクスコアを決定することが、前記1つ以上のリスク関連因子の各々の前記基準値と規範平均とを比較することと併せて行われる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記1つ以上のリスク関連因子が、炎症基準値、年齢基準値、体格指数(BMI)基準値、教育基準値、薬物使用基準値、疾患診断又は病歴基準値、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記1つ以上のリスク関連因子の各々の前記基準値に対する加重スコアを判定することを更に含む、請求項10~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記PNDリスクスコアが、表1の所定の閾値基準を使用して判定される、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記個人の前記リスク状態感受性が、
a)前記エピソード記憶基準値が、規範平均を下回る標準偏差1個分以上であり、1つ以上のリスク関連因子の前記基準値が、高炎症を示す炎症基準値、60歳以上の年齢基準値、30以上のBMI基準値、正式な教育の12年以下の教育基準値、過去8週間における抗ヒスタミン剤、消化器系抗痙攣薬、抗めまい薬/制吐薬、抗うつ剤、膀胱抗ムスカリン剤、骨格筋弛緩剤、抗精神病薬、抗不整脈薬、抗パーキンソン病薬、又は抗コリン性ベースの薬剤の使用の薬物使用基準値、及び精神障害、神経疾患、糖尿病、メタボリックシンドローム、自己免疫疾患、心臓病、血管疾患、脳卒中、感染、負傷、喘息、又はアルコールの乱用の存在の疾患診断又は病歴の基準値を含むとき、又は
b)前記作業記憶基準値が、規範平均を下回る標準偏差1個分以上であり、1つ以上のリスク関連因子の前記基準値が、高炎症を示す炎症基準値、60歳以上の年齢基準値、30以上のBMI基準値、正式な教育の12年以下の教育基準値、過去8週間における抗ヒスタミン剤、消化器系抗痙攣薬、抗めまい薬/制吐薬、抗うつ剤、膀胱抗ムスカリン剤、骨格筋弛緩剤、抗精神病薬、抗不整脈薬、抗パーキンソン病薬、又は抗コリン性ベースの薬剤の使用の薬物使用基準値、及び精神障害、神経疾患、糖尿病、メタボリックシンドローム、自己免疫疾患、心臓病、血管疾患、脳卒中、感染、負傷、喘息、又はアルコールの乱用の存在の疾患診断又は病歴の基準値を含むとき、又は
c)前記エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値が、規範平均を下回る標準偏差1個分以上であり、1つ以上のリスク関連因子の前記基準値が、高炎症を示す炎症基準値、60歳以上の年齢基準値、30以上のBMI基準値、正式な教育の12年以下の教育基準値、過去8週間における抗ヒスタミン剤、消化器系抗痙攣薬、抗めまい薬/制吐薬、抗うつ剤、膀胱抗ムスカリン剤、骨格筋弛緩剤、抗精神病薬、抗不整脈薬、抗パーキンソン病薬、又は抗コリン性ベースの薬剤の使用の薬物使用基準値、及び精神障害、神経疾患、糖尿病、メタボリックシンドローム、自己免疫疾患、心臓病、血管疾患、脳卒中、感染、負傷、喘息、又はアルコールの乱用の存在の疾患診断又は病歴の基準値を含むとき、PNDについて非常に高いリスクにあるものとして特定される、請求項10~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記個人の前記リスク状態感受性が、
a)前記エピソード記憶基準値が、規範平均及びCRPの10mg/L以上の血液レベルの炎症基準値を下回る標準偏差1個分以上であるとき、又は
b)前記作業記憶基準値が、規範平均及びCRPの10mg/L以上の血液レベルの炎症基準値を下回る標準偏差1個分以上であるとき、又は
c)前記エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値が、規範平均及びCRPの10mg/L以上の血液レベルの炎症基準値を下回る標準偏差1個分以上であるとき、又は
d)前記エピソード記憶基準値が、規範平均及び60歳以上の年齢基準値を下回る標準偏差1個分以上であるとき、又は
e)前記作業記憶基準値が、規範平均及び60歳以上の年齢基準値を下回る標準偏差1個分以上であるとき、又は
f)前記エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値が、規範平均び60歳以上の年齢基準値を下回る標準偏差1個分以上であるとき、PNDについて高リスクにあるものとして特定される、請求項10~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記個人の前記リスク状態感受性が、
a)前記エピソード記憶基準値が、前記規範平均を下回るが、前記規範平均及びCRPの10mg/L以上の血液レベルの炎症基準値を下回る標準偏差1個分未満であるとき、又は
b)前記作業記憶基準値が、前記規範平均を下回るが、前記規範平均及びCRPの10mg/L以上の血液レベルの炎症基準値を下回る標準偏差1個分未満であるとき、又は
c)前記エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値が、前記規範平均を下回るが、前記規範平均及びCRPの10mg/L以上の血液レベルの炎症基準値を下回る標準偏差1個分未満であるとき、又は
d)前記エピソード記憶基準値が、前記規範平均を下回るが、前記規範平均及び60歳以上の年齢基準値を下回る標準偏差1個分未満であるとき、又は
e)前記作業記憶基準値が、前記規範平均を下回るが、前記規範平均及び60歳以上の年齢基準値を下回る標準偏差1個分未満であるとき、又は
f)前記エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値が、前記規範平均を下回るが、前記規範平均及び60歳以上の年齢基準値を下回る標準偏差1個分未満であるとき、PNDについて中程度のリスクにあるものとして特定される、請求項10~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記個人の前記リスク状態感受性が、
a)前記エピソード記憶基準値が、前記規範平均を超え、1つ以上のリスク関連因子の前記基準値が、CRPの10mg/L未満の血液レベルの炎症基準値、60歳未満の年齢基準値、30未満のBMI基準値、正式な教育の12年以上の教育基準値、リスク状態の薬物使用なしという薬物使用基準値、及びリスク状態の疾患診断又は病歴がないという疾患診断又は病歴基準値を含むとき、又は
b)前記作業記憶基準値が、前記規範平均を超え、1つ以上のリスク関連因子の前記基準値が、CRPの10mg/L未満の血液レベルの炎症基準値、60歳未満の年齢基準値、30未満のBMI基準値、正式な教育の12年以上の教育基準値、リスク状態の薬物使用なしという薬物使用基準値、及びリスク状態の疾患診断又は病歴がないという疾患診断又は病歴基準値を含むとき、又は
c)前記エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値が、前記規範平均を超え、1つ以上のリスク関連因子の前記基準値が、CRPの10mg/L未満の血液レベルの炎症基準値、60歳未満の年齢基準値、30未満のBMI基準値、正式な教育の12年以上の教育基準値、リスク状態の薬物使用なしという薬物使用基準値、及びリスク状態の疾患診断又は病歴がないという疾患診断又は病歴基準値を含むとき、PNDについて低リスクにあるものとして特定される、請求項10~14の一項に記載の方法。
【請求項19】
前記個人のリスク状態感受性が、前記個人を、追加の監視を推奨し、手術前に前記PNDの治療を推奨し、かつ/又は手術後に前記PNDの治療を推奨するものとして分類する、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
リスク状態重症度が、前記個人を、術前神経認知障害、術後せん妄、術後神経認知回復の遅延、軽度術後神経認知障害、重度術後神経認知障害、軽度神経認知障害、又は重度神経認知障害を有するものとして分類する、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記個人の前記リスク状態感受性に基づいて、治療推奨を更に提供する、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法
【請求項22】
前記治療推奨が、治療推奨なし、又は1つ以上のフィブラートを使用する治療を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記個人の前記リスク状態感受性が、PNDについて非常に高いリスクにある、PNDについて高リスクにある、又はPNDについて中程度のリスクにあるものとして特定されるとき、治療推奨が、1つ以上のフィブラートを用いた治療を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
a)前記個人の前記リスク状態感受性が、前記個人に術前神経認知障害があることを示すとき、治療推奨が、1つ以上のフィブラートを用いた治療を含む、又は
b)前記個人の前記リスク状態感受性が、前記個人に術後神経認知回復の遅延があることを示すとき、治療推奨が、1つ以上のフィブラートを用いた治療を含む、又は
c)前記個人の前記リスク状態感受性が、前記個人に軽度術後神経認知障害があることを示すとき、治療推奨が、1つ以上のフィブラートを用いた治療を含む、又は
d)前記個人の前記リスク状態感受性が、前記個人に重度術後神経認知障害があることを示すとき、治療推奨が、1つ以上のフィブラートを用いた治療を含む、又は
e)前記個人の前記リスク状態感受性が、前記個人に軽度術後神経認知障害があることを示すとき、治療推奨が、1つ以上のフィブラートを用いた治療を含む、又は
f)前記個人の前記リスク状態感受性が、前記個人に重度術後神経認知障害があることを示すとき、治療推奨が、1つ以上のフィブラートを用いた治療を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記1つ以上のフィブラートが、ベザフィブラート、シプロフィブラート、クリノフィブラート、クロフィブラート、クロフィブリド、フェノフィブラート、フェノフィブリン酸、ゲムフィブロジル、ロニフィブラート、シンフィブラート、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項22~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
ウイルス感染後認知障害(PVCI)のリスクがある個人を特定及び/又は確認する方法であって、
a)前記個人に対する、エピソード記憶基準値、作業記憶基準値、又はエピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値を判定することと、
b)前記エピソード記憶スコア、前記作業記憶スコア、又は前記エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値を規範平均と比較することによって、PVCI診断スコアを判定することと、
c)前記PVCI診断スコアを、事前に定義された閾値基準と比較することによって、前記PVCIの前記個人における診断を特定又は確認することと、を含む、方法。
【請求項27】
前記エピソード記憶基準値が、エピソード記憶試験を使用して、個人の前記エピソード記憶を測定することによって取得される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記作業記憶基準値が、作業記憶試験を使用して、前記個人の前記作業記憶を測定することによって取得される、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値が、エピソード記憶試験を使用した前記個人の前記エピソード記憶と、作業記憶試験を使用した前記個人の前記作業記憶の両方を測定することによって取得される、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
エピソード記憶試験が、リスト学習試験、認識記憶試験、又は対連合学習試験を含む、請求項27又は29に記載の方法。
【請求項31】
作業記憶試験が、空間作業記憶試験、空間スパン試験、数字順列試験、又はNバック試験を含む、請求項28又は29に記載の方法。
【請求項32】
ステップ(b)の前に、前記エピソード記憶基準値、前記作業記憶基準値、又は前記エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値に対する加重スコアを判定することを更に含む、請求項26~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記PVCI診断が、
a)前記エピソード記憶基準値が、規範平均を下回る標準偏差1個分以上であるとき、又は
b)前記作業記憶基準値が、規範平均を下回る標準偏差1個分以上であるとき、又は
c)前記エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値が、規範平均を下回る標準偏差1個分以上であるとき、特定又は確認される、請求項26~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
ステップ(b)の前に、前記個人における前記PVCIについての1つ以上のリスク関連因子の基準値を判定することを更に含む、請求項26~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記PVCI診断スコアを判定することが、前記1つ以上のリスク関連因子の各々の前記基準値と規範平均とを比較することと併せて行われる、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記1つ以上のリスク関連因子が、炎症基準値、抗ウイルス薬使用基準値、ウイルス感染診断又は病歴基準値、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項34又は35に記載の方法。
【請求項37】
前記1つ以上のリスク関連因子の各々の前記基準値に対する加重スコアを判定することを更に含む、請求項34~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記PVCI診断スコアが、表2の所定の閾値基準を使用して判定される、請求項26~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記PVCI診断が、
a)前記エピソード記憶基準値が、規範平均を下回る標準偏差1個分以上であり、かつ1つ以上のリスク状態因子が存在するとき、又は
b)前記作業記憶基準値が、規範平均を下回る標準偏差1個分以上であり、かつ1つ以上のリスク状態因子が存在するとき、又は
c)前記エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値が、規範平均を下回る標準偏差1個分以上であり、かつ1つ以上のリスク状態因子が存在するとき、又は
d)前記エピソード記憶基準値が、前記規範平均を下回るが、前記規範平均を下回る標準偏差1個分未満であり、かつ1つ以上のリスク状態因子が存在するとき、又は
e)前記作業記憶基準値が、前記規範平均を下回るが、前記規範平均を下回る標準偏差1個分未満であり、かつ1つ以上のリスク状態因子が存在するとき、又は
f)前記エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値が、前記規範平均を下回るが、前記規範平均を下回る標準偏差1個分未満であり、かつ1つ以上のリスク状態因子が存在するとき、特定又は確認される、請求項20~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記PVCI診断スコアが、前記個人を、追加の監視を推奨し、かつ/又は感染後の前記PVCIの治療を推奨するものとして分類する、請求項26~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記個人の前記リスク状態感受性に基づいて、治療推奨を更に提供する、請求項26~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記治療推奨が、治療推奨なし、又は1つ以上のフィブラートを使用する治療を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記1つ以上のフィブラートが、ベザフィブラート、シプロフィブラート、クリノフィブラート、クロフィブラート、クロフィブリド、フェノフィブラート、フェノフィブリン酸、ゲムフィブロジル、ロニフィブラート、シンフィブラート、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
1つ以上のフィブラートを含む組成物を投与することによって、周術期神経認知障害又はウイルス感染後認知障害を治療する方法。
【請求項45】
前記1つ以上のフィブラートが、ベザフィブラート、シプロフィブラート、クリノフィブラート、クロフィブラート、クロフィブリド、フェノフィブラート、フェノフィブリン酸、ゲムフィブロジル、ロニフィブラート、シンフィブラート、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記周術期神経認知障害が、術後神経認知回復の遅延(又は早期術後認知機能障害)、軽度術後神経認知障害(又は長期術後認知機能障害)、重度術後神経認知障害(又は長期術後認知機能障害)、軽度神経認知障害(又は長期術後認知機能障害)、又は重度神経認知障害(又は長期術後認知機能障害)である、請求項44又は45に記載の方法。
【請求項47】
周術期神経認知障害又はウイルス感染後認知障害の治療に使用するための1つ以上のフィブラートを含む組成物。
【請求項48】
前記1つ以上のフィブラートが、ベザフィブラート、シプロフィブラート、クリノフィブラート、クロフィブラート、クロフィブリド、フェノフィブラート、フェノフィブリン酸、ゲムフィブロジル、ロニフィブラート、シンフィブラート、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項47に記載の組成物。
【請求項49】
前記周術期神経認知障害が、術後神経認知回復の遅延(又は早期術後認知機能障害)、軽度術後神経認知障害(又は長期術後認知機能障害)、重度術後神経認知障害(又は長期術後認知機能障害)、軽度神経認知障害(又は長期術後認知機能障害)、又は重度神経認知障害(又は長期術後認知機能障害)である、請求項47又は48に記載の組成物。
【請求項50】
周術期神経認知障害又はウイルス感染後認知障害の治療のための医薬品の製造における1つ以上のフィブラートの使用。
【請求項51】
前記1つ以上のフィブラートが、ベザフィブラート、シプロフィブラート、クリノフィブラート、クロフィブラート、クロフィブリド、フェノフィブラート、フェノフィブラート酸、ゲムフィブロジル、ロニフィブラート、シンフィブラート、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項50に記載の使用。
【請求項52】
前記周術期神経認知障害が、術後神経認知回復の遅延(又は早期術後認知機能障害)、軽度術後神経認知障害(又は長期術後認知機能障害)、重度術後神経認知障害(又は長期術後認知機能障害)、軽度神経認知障害(又は長期術後認知機能障害)、又は重度神経認知障害(又は長期術後認知機能障害)である、請求項50又は51に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年1月15日に出願された、米国仮特許出願第63/137,802号の35U.S.C.§119(e)に従い優先権の利益を主張し、出願日の権利を有するものであり、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
近代代医学の進歩に伴い、疾患や障害の治療のために医療処置を受ける高齢者が増えており、その主な目的は、機能と生活の質の改善である。これらの処置の多くは、手術及び麻酔を伴う。例えば、西洋諸国では、65歳以上の患者に全ての外科処置の約37%が実施される。残念なことに、認知能力の障害は、そのような外科処置を受ける高齢者が経験する最も一般的な合併症である。
【0003】
1980年代以降の臨床試験は、たとえ症状が認められない場合でも、麻酔及び手術後の高齢者の認知機能の低下を一貫して証明してきた。この研究では、年齢が高くなること、病前の知能指数が低くなること、教育年数が短くなることが危険因子であり、術後のせん妄が最も一般的な合併症であることが特定されている。しかし、麻酔や手術後に観察された認知機能障害は、急性のせん妄から慢性的な術後認知機能障害まで、多岐にわたり複雑であるため、そのような認知機能の変化を周術期神経認知障害として分類するに至った。
【0004】
周術期神経認知障害に罹患している個人は、認知症及び死亡を含む重大な合併症のリスクがある。悲しいことに、周術期神経認知障害の病態生理、及び外科処置とこの障害の発症との間の因果関係は、いまだ不明である。更に、危険因子は認識されているが、周術期神経認知障害のリスクがある個人を特定する正確な方法も標準化された手段もいまだ存在しない。結果として、周術期神経認知障害を有する個人は、日常的にはアセスメント又は治療されない。このように、周術期神経認知障害は、急速に成長する高齢化集団にとって、術後の記憶力、注意力、及び集中力などの認知領域にマイナスの影響を与える大きな課題を提示する。
【0005】
最近、ウイルス感染に罹患している個人は、ウイルス感染後認知障害の重大性のリスクがあることが観察された。様々な年齢の個人における研究は、認知機能の低下と、単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)、単純ヘルペスウイルス2型(HSV-2)、サイトメガロウイルス(CMV)、及びトキソプラズマゴンディ(TOX)を含む向神経性感染因子への曝露との間の関連性を指摘している。Sars-CoV-2に感染すると、罹患患者のかなりの割合で神経異常を引き起こすことを示す証拠が現在が増えている。ウイルス感染が脳に直接影響を及ぼし、気分障害だけでなく認知障害をもたらす病原メカニズムとして、1)直接的なウイルス性脳炎、2)全身性の炎症、3)末梢臓器の機能障害(肝臓、腎臓、肺)、及び4)脳血管の変化という、少なくとも4つの可能性がある。ほとんどの場合、ウイルス感染による認知障害は、上記のうちの1つ又は組み合わせから生じる可能性がある。
【0006】
本明細書は、この必要性を認識し、周術期神経認知障害のリスクがある個人を特定し、ウイルス感染後認知障害に罹患している個人を診断するための方法及びシステム、並びにこれらの障害に罹患している個人を治療するための方法及び用途を提供する。
【発明の概要】
【0007】
本明細書の態様は、手術前に周術期神経認知障害(PND)のリスクがある個人を特定するシステム、方法、及び使用を開示する。一部の態様では、開示されるシステム、方法、及び使用は、周術期神経認知障害に対する個人のリスク状態感受性を把握するPNDリスクスコアを判定するために、リスク層別化マトリクスを使用して、個人のエピソード記憶スコア、作業記憶スコア、又はその両方を比較することを含む。一部の態様では、開示されたシステム、方法、及び使用は、個人のエピソード記憶基準値、作業記憶基準値、又はエピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値を把握するために、規範平均と比較することによって、標準偏差欠損を判定することと、エピソード記憶スコア、作業記憶スコア、又はエピソード記憶及び作業記憶組み合わせスコアの標準偏差欠損に基づいて、PNDリスクスコアを判定することと、PNDリスクスコアを事前に定義された閾値基準と比較することにより、周術期神経認知障害に対する個人のリスク状態感受性を判定することと、を含む。一部の態様では、開示されるシステム、方法、及び使用は、周術期神経認知障害に対する個人のリスク状態感受性を把握するPNDリスクスコアを判定するために、リスク層別化マトリクスを使用して、個人からの1つ以上の追加のリスク関連因子と併せて、個人のエピソード記憶スコア、作業記憶メモリスコア、又はその両方を比較することを含む。一部の態様では、開示されたシステム、方法、及び使用は、個人のエピソード記憶基準値、作業記憶基準値、又はその両方を把握するために、規範平均と比較することによって、標準偏差欠損を判定することと、個人における周術期神経認知障害に対する1つ以上のリスク関連因子の基準値を判定することと、1つ以上のリスク関連因子の各々に対する基準値と併せて、エピソード記憶スコア、作業記憶スコア、又はその両方に対する標準偏差欠損に基づいて、PNDリスクスコアを判定することと、PNDリスクスコアを事前に定義された閾値基準と比較することによって、周術期神経認知障害に対する個人のリスク状態感受性を判定することと、を含む。開示されたシステム、方法、及び使用は、エピソード記憶スコア、作業記憶スコア、又はエピソード記憶及び作業記憶組み合わせスコアの値に対する加重スコア、並びに1つ以上のリスク関連因子の各々を判定すること、並びに個人のリスク状態感受性に基づいて治療推奨を更に提供すること、を更に含むことができる。
【0008】
本開示の他の態様は、ウイルス感染、すなわち、ウイルス感染後認知障害(PVCI)に続いて、認知障害に罹患している個人を診断するシステム、方法、及び使用を開示する。一部の態様では、本開示のシステム、方法、及び使用は、個人におけるPVCIの診断を特定又は確認するために、リスク層別化マトリクスを使用することと併せて、個人に対するエピソード記憶スコア、作業記憶スコア、又は両方を比較することを含む。一部の態様では、開示されたシステム、方法、及び使用は、個人のエピソード記憶基準値、作業記憶基準値、又はエピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値を把握するために、規範平均と比較することによって、標準偏差欠損を判定することと、エピソード記憶スコア、作業記憶スコア、又はエピソード記憶及び作業記憶組み合わせスコアの標準偏差欠損に基づいて、PVCI診断スコアを判定することと、PVCI診断スコアを事前に定義された閾値基準と比較することにより、周術期神経認知障害に対する個人のリスク状態感受性を判定することと、を含む。一部の態様では、本開示のシステム、方法、及び使用は、個人におけるPVCIの診断を特定又は確認するために、リスク層別化マトリクスを使用して、個人からの1つ以上の追加のリスク関連因子と併せて、個人に対するエピソード記憶スコア、作業記憶スコア、又は両方を比較することを含む。一部の態様では、開示されたシステム、方法、及び使用は、個人のエピソード記憶基準値、作業記憶基準値、又はその両方を把握するために、規範平均と比較することによって、標準偏差欠損を判定することと、個人におけるウイルス感染後認知障害に対する1つ以上のリスク関連因子の基準値を判定することと、1つ以上のリスク関連因子の各々に対する基準値と併せて、エピソード記憶スコア、作業記憶スコア、又は両方に対する標準偏差欠損に基づいて、PVCI診断スコアを判定することと、PVCI診断スコアを事前に定義された閾値基準と比較することによって、周術期神経認知障害に対する個人のリスク状態感受性を判定することと、を含む。開示されたシステム、方法、及び使用は、エピソード記憶スコア、作業記憶スコア、又はエピソード記憶及び作業記憶組み合わせスコアの値に対する加重スコア、並びに1つ以上のリスク関連因子の各々を判定すること、並びに個人の診断に基づいて治療推奨を更に提供すること、を更に含むことができる。
【0009】
本明細書の他の態様は、1つ以上のフィブラートを含む組成物を投与することによって、周術期神経認知障害又はウイルス感染後認知障害を治療する方法を開示する。本明細書の他の態様は、周術期神経認知障害又はウイルス感染後認知障害の治療に使用するための1つ以上のフィブラートを含む組成物を開示する。本明細書の他の態様は、周術期神経認知障害又はウイルス感染後認知障害の治療における、1つ以上のフィブラートを含む組成物の使用を開示する。本明細書の他の態様は、周術期神経認知障害又はウイルス感染後認知障害の治療のための医薬品の製造における1つ以上のフィブラートの使用を開示する。フィブラートの非限定的な実施例には、ベザフィブラート、シプロフィブラート、クリノフィブラート、クロフィブラート、クロフィブリド、フェノフィブラート、フェノフィブリン酸、ゲムフィブロジル、ロニフィブラート、シンフィブラート、又はそれらの任意の組み合わせが含まれる。周術期神経認知障害には、限定されるものではないが、術後神経認知回復の遅延(又は早期術後認知機能障害)、軽度術後神経認知障害(又は長期術後認知機能障害)、重度術後神経認知障害(又は長期術後認知機能障害)、軽度神経認知障害(又は長期術後認知機能障害)、又は重度神経認知障害(又は長期術後認知機能障害)が含まれる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書の態様は、周術期神経認知障害(PND)のリスクがある個人を将来を見越して特定するシステム、方法、及び使用を開示する。一部の実施形態では、開示された方法及びシステムは、手術又は他の手術の前に、PNDのリスクがある個人を将来を見越して特定する。一部の実施形態では、開示されるシステム、方法及び使用は、個人に対してエピソード記憶スコアを採用して、周術期神経認知障害に対する個人のリスク状態感受性を把握するPNDリスクスコアを判定する。一部の実施形態では、開示されるシステム、方法及び使用は、個人に対してエピソード記憶スコアを採用して、個人からの1つ以上の追加のリスク関連因子と併せて、周術期神経認知障害に対する個人のリスク状態感受性を把握するPNDリスクスコアを判定する。一部の実施形態では、開示されるシステム、方法及び使用は、個人に対して作業記憶スコアを採用して、周術期神経認知障害に対する個人のリスク状態感受性を把握するPNDリスクスコアを判定する。一部の実施形態では、開示されるシステム、方法及び使用は、個人に対して作業記憶スコアを採用して、個人からの1つ以上の追加のリスク関連因子と併せて、周術期神経認知障害に対する個人のリスク状態感受性を把握するPNDリスクスコアを判定する。一部の実施形態では、開示されるシステム、方法及び使用は、個人に対してエピソード記憶スコアと作業記憶スコアの両方を採用して、個人からの1つ以上の追加のリスク関連因子と併せて、周術期神経認知障害に対する個人のリスク状態感受性を把握するPNDリスクスコアを判定する。一部の実施形態では、開示されるシステム、方法及び使用は、個人に対してエピソード記憶スコアと作業記憶スコアの両方を採用して、周術期神経認知障害に対する個人のリスク状態感受性を把握するPNDリスクスコアを判定する。開示されたシステム、方法、及び使用は、エピソード記憶スコア、作業記憶スコア、又はエピソード記憶及び作業記憶組み合わせスコアの値に対する加重スコア、並びに1つ以上のリスク関連因子の各々を判定すること、並びに個人のリスク状態感受性に基づいて治療推奨を更に提供すること、を更に含むことができる。
【0011】
本明細書の態様は、周術期神経認知障害(PND)を開示する。PNDは、術前又は術後の外科手術期間中の感覚及び認知機能の進行性の悪化によって特徴付けられる症候群を定義する。20~80%の罹患率が報告されており、有病率は高いが、PNDは高齢者だけに観察されるものではない。PNDは、急性のせん妄期、及び/又は経時的に持続する傾向にある、より慢性の認知障害期を有し得る。PNDの分類に関する現在の推奨は、対照又は規範データと比較した1つ以上の領域における障害又は低下の客観的アセスメント、自覚症状(患者又は情報提供者)、及びDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fifth Edition(DSM-5)を使用した日常生活動作(ADL)のアセスメントに基づく。各々が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Everedら、Br. J.Anaesth.121(5)、1005-1012(2018、及びMahanna-Gabrielliら、Br. J.Anaesth.123(4)、464-478(2019)を参照のこと。
【0012】
概して、PNDは、7つの広範なカテゴリーである、1)術前神経認知障害、2)術後せん妄、3)術後神経認知回復の遅延、4)軽度術後神経認知障害、5)重度術後神経認知障害、6)軽度神経認知障害、及び7)重度神経認知障害を定義する。術前神経認知障害は、個人において術前に診断された認知障害又は低下を含む。術後せん妄には、術後1日目から最長7日間、又は退院(いずれか早い方)までに診断された、任意の急性認知障害又は低下が含まれ、個人は注意と意識において急性かつ変動性の障害を呈する。神経学的回復の遅延には、術後1日目から最長30日までに診断された任意の認知障害又は低下が含まれ、個人は、対照/基準を下回る1~2つの標準偏差の客観的障害、自覚症状に基づいて軽度認知障害(MCI)を呈し、かつADLは損なわれないか、又は、対照/基準を下回る3つ以上の標準偏差の客観的障害、自覚症状に基づいて認知症を呈し、かつADLは損なわれる。神経学的回復の遅延は、古い文献では、早期術後認知機能障害と呼ばれている。
【0013】
軽度術後神経認知障害には、術後30日から最長12ヵ月までに診断された任意の認知障害又は低下が含まれ、個人は、対照/基準を下回る1~2つの標準偏差の客観的障害、自覚症状に基づく軽度認知障害(MCI)を呈し、ADLは損なわれていない。重度術後神経認知障害には、術後30日から最長12ヵ月までに診断された任意の認知障害又は低下が含まれ、個人は、対照/基準を下回る3つ以上の標準偏差の客観的障害、自覚症状に基づく認知症を呈し、ADLは損なわれている。軽度神経認知障害には、術後12ヵ月以上で診断され、対照/基準を下回る1~2つの標準偏差の客観的障害、自覚症状に基づく軽度認知障害(MCI)を呈する、任意の認知障害又は低下を含み、ADLは損なわれていない。重度神経認知障害には、術後12ヵ月以上で診断され、対照/基準を下回る3つ以上の標準偏差の客観的障害、自覚症状に基づいて認知症を呈する、任意の認知障害又は低下が含まれ、ADLは損なわれている。軽度術後神経認知障害、重度術後神経認知障害、軽度神経認知障害、重度神経認知障害は、古い文献では概ねグループ化されており、長期術の認知機能障害と呼ばれる。
【0014】
本明細書の態様は、個人におけるウイルス感染後認知障害(PVCI)の診断を特定又は確認するシステム、方法及び使用を開示する。一部の実施形態では、本開示のシステム、方法、及び使用は、個人におけるPVCIの診断を特定又は確認するために、任意選択的に、個人からの1つ以上の追加のリスク関連因子と併せて、個人に対するエピソード記憶スコアを採用する。一部の実施形態では、本開示のシステム、方法、及び使用は、個人におけるPVCIの診断を特定又は確認するために、任意選択的に、個人からの1つ以上の追加のリスク関連因子と併せて、個人に対する作業記憶スコアを採用する。更に他の実施形態では、本開示のシステム、方法、及び使用は、個人におけるPVCIの診断を特定又は確認するために、任意選択的に、個人からの1つ以上の追加のリスク関連因子と併せて、個人に対するエピソード記憶スコアと作業記憶スコアの両方を採用する。開示されたシステム、方法、及び使用は、エピソード記憶スコア、作業記憶スコア、又はエピソード記憶及び作業記憶組み合わせスコアの値に対する加重スコア、並びに1つ以上のリスク関連因子の各々を判定すること、並びに個人の診断に基づいて治療推奨を更に提供すること、を更に含むことができる。
【0015】
本明細書の態様は、ウイルス感染後認知障害(PVCI)を開示する。PVCIは、ウイルス感染中又はウイルス感染回復後の認知機能の悪化を特徴とする症候群を定義する。20~80%の罹患率が報告されており、有病率は高いが、PCVIは高齢者だけに観察されるものではない。ほとんどの場合、PVCIは、経時的に持続又は悪化する傾向にある、機能障害の慢性期を表す。PVCIを診断又は特定する手段に関する現在の推奨はなく、したがって、本明細書は、規範データと比較した1つ以上の認知領域における障害又は低下の客観的アセスメントに基づき、したがって、軽度神経認知障害のDSM-5診断に従う。
【0016】
人間が行動中に見せる柔軟性の一部は、多様な情報を提供する複数の記憶システムへのアクセスから生じる。2つのよく研究される記憶システムは、エピソード記憶及び作業記憶である。エピソード記憶は、個人的な出来事を思い出したり、再体験したりすることを許容する、より長く持続する記憶であるのに対し、作業記憶は、短期間のみ活発で、関連する記憶と定義されている。脳の海馬領域は、記憶機能におけるその役割が確立されており、手術又はウイルス感染によって引き起こされる炎症の有害な影響を特に受けやすいため、海馬機能と密接に関連付けられた領域のそのような認知障害は、PND及び/又はPVCIと関連付けられる可能性が高い。エピソード記憶と作業記憶の両方は、各々海馬機能であるため、本発明の方法及びシステムは、術前のエピソード記憶及び/又は作業記憶の不良がPNDの危険因子となり、ウイルス感染後のエピソード記憶及び/又は作業記憶の不良がPVCIの決定因子となるという事実を利用している。
【0017】
本明細書の態様は、個人のエピソード記憶を解析して、エピソード記憶スコアを生成するステップを開示する。一部の実施形態では、個人のエピソード記憶スコアは、エピソード記憶試験(EMT)の成績を対照のエピソード記憶スコアと比較することによって判定される。これらの実施形態の態様では、対照エピソード記憶スコアは、一般集団からコンパイルされた規範データから取得される。スコアがマイナスの値となる場合は、個人の成績が規範平均より悪かったことを示し得、スコアがプラスの値となる場合は、個人の成績が規範平均より良かったことを示し得る。これらの実施形態の態様では、エピソード記憶スコアは、以下の式によって判定される。ZEMT=-(EMT個人スコア-EMT規範平均)/EMT規範SD
【0018】
一部の実施形態では、個人中のエピソード記憶は、エピソード記憶試験を使用して判定される。エピソード記憶試験の非限定的な実施例には、リスト学習試験、認識記憶試験及び対連合学習試験が含まれる。
【0019】
一部の実施形態では、エピソード記憶を判定することは、リスト学習試験を使用して達成される。リスト学習は、短期聴覚言語記憶、学習速度、学習戦略、遡及的、及び順行干渉、記憶プロセスにおける混乱の作話の存在、情報の保持、及び学習と想起との間の差異を含む、広範な多様な機能を評価する。リスト学習を把握するために設計された試験は、通常、各試行で、個人に無関係な単語のリストを1つずつ提示し、可能な限り多くの単語を想起するよう求める(自由想起)、複数の試行を含む事前試験段階と、個人に無関係な単語の異なるリストを1つずつ提示し、可能な限り多くの単語を想起するよう求め(干渉リスト)、次に事前試験段階で提示された元の単語のリストを繰り返すようその後の時間において求める(遅延想起)、試験段階と、を含む。リスト学習試験の特定の一実施例は、Rey Auditory Verbal Learning Test(RAVLT)である。RAVLTは、事前試験段階が含まれ、個人に15個の無関係な単語の単語リストAを1つずつ提示し、できるだけ多くの単語を想起するよう求め(自由想起)、このプロセスを5回繰り返す、事前試験段階と、個人に15個の無関係な単語の異なるリスト(単語リストB)を1つずつ提示し、単語リストBからできるだけ多くの単語を想起するよう求め(干渉リスト)、次に20~30分後に単語リストAから15個の単語をできるだけ多く想起するよう求める(遅延想起)、次の試験段階と、を含む。リスト学習試験の2つの他の実施例は、Consortium to Establish a Registry for Alzheimer’s disease Neuropsychological Assessment Battery (CERAD-NAB)及びCalifornia Verbal Learning Test (CVLT)からの単語リストタスクである。
【0020】
一部の実施形態では、エピソード記憶を判定することは、認識記憶試験(RMT)を使用して達成される。認識記憶は、言語情報を符号化し、その後検索する能力をアセスメントすることで、言語記憶と新しい学習を評価するものであり、想起は前頭側頭ネットワークを利用し、認識は海馬領域をアセスメントする。認識記憶を把握するために設計された試験は、通常、個人に一連の単語を1つずつ見せ、次にできるだけ多くの単語を想起するように求め、個人がどの単語を覚えているかを採点する事前試験段階と、個人に、元のリストからの単語及び不正解選択肢の単語である、2つの単語を提示し、次に強制2択パラダイムで、どちらの単語を前に見たかを即座に選択させ、その後の時間において一度選択させる試験段階と、を含む。認識記憶試験の特定の一実施例は、Cambridge Neuropsychological Test Automated Battery (CANTAB) Verbal Recognition Memory (CANTAB VRM)である。CANTAB VRMは、個人に画面に表示された18個の単語を提示し、できるだけ多くの単語を想起するよう求める(自由想起)事前試験段階と、個人に36個の単語(事前試験リストからの18個の単語及び18個の不正解選択肢の単語を含む)を提示し、その単語を個人が以前に見たかどうかを「はい」又は「いいえ」で答えるよう求める試験段階と、を含む。20分の遅延期間の後、別の認識試験が次に実施されるが、今回は、事前試験リストからの同じ18個の単語を使用するが、18個の不正解選択肢の単語の新しいセットを使用する。
【0021】
一部の実施形態では、エピソード記憶を判定することは、対連合学習(PAL)試験を使用して達成される。対連合学習は、ある刺激と別の刺激との関連性を記憶する能力である。対連合学習を把握するために設計された試験は、通常、個人を任意に割り当てられた刺激の対、例えば、言語刺激又は視覚刺激のリストに曝露する事前試験段階と、個人が第2の関連付けられた刺激を想起しなければならない対の刺激のうちの1つが提示される試験段階と、を含む。対連合学習試験の特定の一実施例は、Cambridge Neuropsychological Test Automated Battery (CANTAB) Paired Associates Learning Task (CANTAB PAL)である。CANTAB PALは、画面上にボックスを表示し、ランダムに1つずつ開いて、内部に隠されたパターンを見せる。次に、パターンは画面の真ん中に一度に1つずつ表示され、参加者は、パターンが元々位置していた箱に触らなければならない。参加者が間違いを犯した場合、パターンが再現され、その場所を参加者に思い出させる。試験が進行するにつれて、記憶されるパターンの数が増加するにつれて、段階はより困難になる。別の実施例は、Weschler Memory Scaleであり、Verbal Paired Associatesでは、4回の学習試験の試行にわたって無関係な単語の8個の対を学習し、30分後に遅延想起試験と認識試験を行う。
【0022】
本明細書の態様は、個人の作業記憶を分析するステップを開示して、作業記憶スコアを生成する。一部の実施形態では、個人の作業記憶スコアは、作業記憶試験(WMT)の成績を対照の作業記憶スコアと比較することによって判定される。これらの実施形態の態様では、対照作業記憶スコアは、一般集団からコンパイルされた規範データから取得される。スコアがマイナスの値となる場合は、個人の成績が規範平均より悪かったことを示し得、スコアがプラスの値となる場合は、個人の成績が規範平均より良かったことを示し得る。これらの実施形態の態様では、作業記憶スコアは、以下の式によって判定される。ZWMT=-(WMT個人スコア-WMT規範平均)/WMT規範SD
【0023】
一部の実施形態では、個人における作業記憶は、作業記憶試験を使用して判定される。作業記憶試験の非限定的な実施例としては、空間作業記憶試験、空間スパン試験、数字順列試験、及びNバック試験が挙げられる。
【0024】
一部の実施形態では、作業記憶を判定することは、空間作業記憶(SWM)試験を使用して達成される。動作記憶を把握するように設計された空間作業記憶試験は、通常、視空間情報の保持及び操作を必要とする。この試験は、実行機能に対する要求が顕著であり、戦略の使用とエラーを測定する。空間作業記憶試験の特定の一実施例では、参加者がボックスの中に隠されたトークンを探さなければならない。参加者は、ボックスに触ってボックスを開け、黄色のトークン又は空のボックスを見せなければならない。参加者が黄色いトークンを見つけたら、画面の右側の輪郭をタッチして、それをコンピュータデバイスに「保存」する。その後、参加者は、全てのトークンが見つかるまでボックス内を検索し続ける必要がある。重要なテストの指示は、コンピュータが同じボックス内にトークンを決して隠さないため、一度トークンをボックスの中から見つけると、参加者は、別のトークンを探すためにそのボックスに戻るべきではない。使用するボックスの色と位置は、固定観念的な探索戦略の使用を阻止するために、試行ごとに変更される。試験が進行するにつれて、検索するトークンの数が増加する。
【0025】
一部の実施形態では、作業記憶を判定することは、空間スパン試験を使用して達成される。空間スパン試験は、通常、作業記憶を把握するために、作業記憶の能力をアセスメントすることによって設計され、これは、場所についての情報を一時的に保持し、操作することを許容する作業記憶の構成要素である。空間スパン試験は、通常、一連の点滅刺激を1つずつ個人に提示することと、次に、提示終了後に、提示されたのと同じ順序で刺激を想起するよう個人に求めることと、を含む。空間スパン試験の非限定的な実施例としては、Cambridge Neuropsychological Test Automated Battery (CANTAB) Spatial Span (CANTAB SSP) 試験、及びWechsler Memory Scale、Spatial Span試験が挙げられる。
【0026】
一部の実施形態では、作業記憶を判定することは、数字順列試験を使用して達成される。数字順列試験は、通常、言語作業記憶能力をアセスメントすることによって、作業記憶を把握するために設計されている。数字順列試験は、通常、複雑さを増す一連の数字を個人に提示し、提示直後に各数字を繰り返すよう個人に求めることを含む。試験は、個人が番号の完全な順列を覚えなくなるまで、又は番号が誤って繰り返されるまで続けられる。
【0027】
一部の実施形態では、作業記憶を判定することは、Nバック試験を使用して達成される。作業記憶を把握するために設計されたNバック試験は、通常、一連の刺激を1つずつ個人に提示することを含み、次に各刺激について、個人は、N回前に提示された刺激を想起するよう求められ、ここで、Nは1、2、3、などであることができ、Nがより高いほど、タスクはより困難になる。一実施例では、個人は、一連の数字を一つずつ提示され、次に2つ前に提示された数字を想起するように求められる。
【0028】
本明細書の態様は、個人のエピソード記憶と作業記憶の両方を解析して、エピソード記憶及び作業記憶組み合わせスコアを生成するステップを開示する。一部の実施形態では、個人のエピソード記憶及び作業記憶組み合わせスコアは、本明細書に開示されるように、エピソード記憶試験と作業記憶試験の両方の成績を、対照のエピソード記憶及び作業記憶スコアと比較することによって判定される。これらの実施形態の態様では、対照のエピソード記憶及び作業記憶組み合わせスコアは、一般集団からコンパイルされた規範データから取得される。スコアがマイナスの値となる場合は、個人の成績が規範平均より悪かったことを示し得、スコアがプラスの値となる場合は、個人の成績が規範平均より良かったことを示し得る。
【0029】
一部の実施形態では、一部の実施形態では、エピソード記憶及び作業記憶組み合わせスコアは、まず、本明細書に開示されるように、エピソード記憶スコアを生成するために個人のエピソード記憶を、かつ本明細書に開示されるように、作業記憶スコアを生成するために個人の作業記憶を別々に判定することによって生成される。判定されると、これらの2つのスコアが次に一緒に追加されて、エピソード記憶及び作業記憶組み合わせスコアを生成する。これらの実施形態の態様では、エピソード記憶及び作業記憶組み合わせスコアは、以下の式によって決定される。i)以下の式を使用して、エピソード記憶スコアを判定する。ZEMT=-(EMT個人スコア-EMT規範平均)/EMT規範SD。2)以下の式を使用して、作業記憶スコアを判定する。ZWMT=-(WMT個人スコア-WMT規範平均)/WMT規範SD。加えて3)2つのスコアを加算し、以下の式を使用して平均を取ることによって、エピソード記憶及び作業記憶組み合わせスコアを判定する。組み合わせリスクスコアZCMT=(ZEMT+ZWMT)/2。
【0030】
認知と呼ばれる能力の範囲は多様であり、これには、学習及び記憶、言語能力、知覚、注意、実行機能、及び抽象的思考が含まれる。認知アセスメントの評価は、特定の認知領域を客観的にアセスメントすべきである。一部の実施形態では、認知アセスメント評価を実施して、個人に対する術前の認知基準と、術後の認知判定の両方を取得する。
【0031】
本明細書の態様は、個人のリスク関連因子を判定するステップを開示する。通常、このリスク関連因子には、個人の個人歴及び病歴についての情報、並びに認知アセスメント評価が含まれる。個人の状態及び病歴からの情報には、限定されるものではないが、年齢、性別、身長、体重、体格指数(BMI)、教育レベル、知能指数、感情指数、及び他の生体情報、身体検査結果、過去のウイルス感染に関する情報、個人及び家族からの認知に関する懸念情報、例えば、幻覚、妄想、人格変化、無気力、抑うつ、不安、見当識障害、及び錯乱などの行動、気分又は思考の変化に関する情報、例えば、歩行、平衡感覚、発話、及び協調性の困難、震え及びこわばりなど、身体的健康の変化に関する情報、薬物乱用及び離脱症状に関する情報、これが個人の初回アセスメント又はその後のアセスメントかどうか、個人に現在認知障害の症状があるかどうか、個人に認知障害の病歴があるかどうか、個人が過去に認知障害と診断されたかどうか、個人に現在炎症性関連の疾患、感染症又は身体的疾病の症状があるかどうか、個人に炎症性関連の疾患、感染症又は身体的疾病の病歴があるかどうか、個人が過去に炎症性関連の疾患、感染症又は身体的疾病と診断されたことがあるかどうか、個人が現在抗コリン薬を服用しているかどうかが含まれる。更に、手術時間、手術タイプ、麻酔管理、及び術中生理学などの周術期情報も収集され得る。また、任意の又は追加の因子は、認知予備力を低下させ、術後の認知変化のリスクとなり得る。
【0032】
本明細書の態様は、1つ以上のリスク関連因子を判定して、1つ以上のリスク関連因子の各々の基準値を生成するステップを開示する。一部の実施形態では、個人のリスク関連因子スコアは、リスク関連因子の値を対照のリスク関連因子スコアと比較することによって判定される。これらの実施形態の態様では、リスク関連因子の基準値は、リスク関連因子の値を一般集団からコンパイルされた規範データと比較し、個人のリスク関連スコアが、個人にリスクがないことを示す許容可能な値の範囲内にあるかどうか、又は個人のリスク関連スコアが、個人にリスクがあることを示す許容可能な値の範囲外にあるかどうかを判定することによって取得される。これらの実施形態の態様では、炎症基準値を判定するとき、10mg/L未満のC反応性タンパク質(CRP)血液レベルは、非リスク状態炎症基準値を示し、10mg/L以上のCRP血液レベルは、リスク状態炎症基準値を示す。これらの実施形態の態様では、年齢基準値を判定するとき、60歳未満は、非リスク状態年齢基準値を示し、60歳以上は、リスク状態年齢基準値を示す。これらの実施形態の態様では、BMI基準値を判定するとき、30未満の値は、非リスク状態BMI基準値を示し、30以上の値は、リスク状態BMI基準値を示す。これらの実施形態の態様では、教育基準値を判定するとき、正式な教育の12年を超える値は、非リスク状態教育基準値を示し、正式な教育の12年以下の値は、リスク状態教育基準値を示す。これらの実施形態の態様では、薬物基準値を判定するとき、リスク状態薬物を使用しないことは、非リスク状態薬物基準値を示す一方で、過去8週間における抗ヒスタミン剤、消化器系抗痙攣薬、抗めまい薬/制吐薬、抗うつ薬、膀胱抗ムスカリン薬、骨格筋弛緩剤、抗精神病薬、抗不整脈薬、抗パーキンソン病薬、又は抗コリン性ベースの薬物を使用することは、リスク状態薬物基準値を示す。これらの実施形態の態様では、疾患診断又は病歴基準値を判定するとき、リスク状態疾患の任意の診断又は病歴がないことは、非リスク状態疾患診断又は病歴基準値を示す一方、精神疾患、神経疾患、糖尿病、メタボリックシンドローム、自己免疫疾患、心臓疾患、血管疾患、脳卒中、感染症、負傷、喘息、又はアルコール乱用の存在は、リスク状態疾患診断又は病歴基準値を示す。
【0033】
本明細書の態様は、PNDに対する個人のリスク状態感受性を把握するPNDリスクスコアを判定するステップを開示する。一部の実施形態では、PNDリスクスコアは、規範平均からの個人のエピソード記憶スコアの標準偏差欠損に基づく。一部の実施形態では、PNDリスクスコアは、基準値1つ以上のリスク関連因子と併せた、規範平均からの個人のエピソード記憶スコアの標準偏差欠損に基づく。一部の実施形態では、PNDリスクスコアは、規範平均からの個人の作業記憶スコアの標準偏差欠損に基づく。一部の実施形態では、PNDリスクスコアは、基準値1つ以上のリスク関連因子と併せた、規範平均からの個人の作業記憶スコアの標準偏差欠損に基づく。一部の実施形態では、PNDリスクスコアは、規範平均からの個人のエピソード記憶及び作業記憶組み合わせスコアの標準偏差欠損に基づく。一部の実施形態では、PNDリスクスコアは、基準値1つ以上のリスク関連因子と併せた、規範平均からの個人のエピソード記憶及び作業記憶組み合わせスコアの標準偏差欠損に基づく。
【0034】
一部の実施形態では、PNDに対する個人のリスク状態感受性は、エピソード記憶スコア、作業記憶スコア、及び個人のPNDリスクスコアが判定され、リスク状態感受性がアセスメントされる各追加のリスク関連因子に対して、事前に定義された閾値基準値を採用するリスク層別化マトリクスを使用する。一部の実施形態では、エピソード記憶スコア、作業記憶スコア、及び本明細書に開示された各追加のリスク関連因子に対する事前に定義された各閾値基準値は、規範平均値を使用して判定される。規範平均は、特定の集団に対する結果のベースライン分布を確立する、対象集団から取られたデータ又は他の情報(規範)の平均値であり、限定されるものではないが、健康な集団コホートから取られた、エピソード記憶スコア、作業記憶スコア、並びに本明細書に開示されるその他のリスク関連因子の平均値、又は以前のエピソード記憶スコア、作業記憶スコア、及び/又は本明細書に開示される方法又は使用を受ける個人から取得された、本明細書に開示されるその他のリスク関連因子の平均値を含む。
【0035】
一部の実施形態では、PNDのリスクがある個人を特定する事前に定義された閾値基準値は、エピソード記憶基準値によって判定される。これらの実施形態の態様では、エピソード記憶基準値は、規範平均を下回る(Zスコア変換が-1以下)標準偏差1個分以上のスコアを含む。一部の実施形態では、PNDのリスクがある個人を特定する事前に定義された閾値基準値は、作業記憶基準値によって判定される。これらの実施形態の態様では、作業記憶基準値は、規範平均を下回る(Zスコア変換が-1以下)標準偏差1個分以上のスコアを含む。一部の実施形態では、PNDのリスクがある個人を特定する事前に定義された閾値基準値は、エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値によって判定される。これらの実施形態の態様では、エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値は、規範平均を下回る(Zスコア変換が-1以下)標準偏差1個分以上のスコアを含む。
【0036】
一部の実施形態では、PNDのリスクがある個人を特定する事前に定義された閾値基準値は、エピソード記憶基準値及び炎症基準値の存在によって判定される。これらの実施形態の態様では、エピソード記憶基準値は、規範平均を下回る(Zスコア変換が-1以下)の標準偏差1個分以上のスコアを含み、炎症基準値は、10mg/L以上のCRP血液レベルの存在を含む。一部の実施形態では、PNDのリスクがある個人を特定する事前に定義された閾値基準値は、作業記憶基準値及び炎症基準値の存在によって判定される。これらの実施形態の態様では、作業記憶基準値は、規範平均を下回る(Zスコア変換が-1以下)標準偏差1個分以上のスコアを含み、炎症基準値は、10mg/L以上のCRP血液レベルの存在を含む。一部の実施形態では、PNDのリスクがある個人を特定する事前に定義された閾値基準値は、エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値、並びに炎症基準値の存在によって判定される。これらの実施形態の態様では、エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値は、規範平均を下回る(Zスコア変換が-1以下)標準偏差1個分以上のスコアを含み、炎症基準値は、10mg/L以上のCRP血液レベルの存在を含む。
【0037】
一部の実施形態では、PNDのリスクがある個人を特定する事前に定義された閾値基準値は、エピソード記憶基準値、及び2つ以上の因子の存在によって判定され、1つの因子は年齢基準値、教育基準値、又はBMI基準値であり、他の因子は診断又は病歴基準値、若しくは薬物使用基準値のうちの少なくとも1つである。これらの実施形態の態様では、エピソード記憶基準値には、規範平均を下回る(Zスコア変換が-1以下)標準偏差1個分以上のスコアが含まれ、年齢基準値には、60歳以上が含まれ、教育基準値には、正式な教育の12年以下が含まれ、BMI基準値には、30以上のスコアが含まれ、疾患診断又は病歴基準値には、精神疾患、神経疾患、糖尿病、メタボリックシンドローム、自己免疫疾患、心臓疾患、血管疾患、脳卒中、感染症、負傷、喘息、又はアルコール乱用の存在が含まれ、薬物使用基準値には、過去8週間における抗ヒスタミン剤、消化器系抗痙攣薬、抗めまい薬/制吐薬、抗うつ薬、膀胱抗ムスカリン薬、骨格筋弛緩剤、抗精神病薬、抗不整脈薬、抗パーキンソン病薬、抗コリン性ベースの薬物の使用が含まれる。
【0038】
一部の実施形態では、PNDのリスクがある個人を特定する事前に定義された閾値基準値は、作業記憶基準値、及び2つ以上の因子の存在によって判定され、1つの因子は年齢基準値、教育基準値、又はBMI基準値であり、他の因子は診断又は病歴基準値、若しくは薬物使用基準値のうちの少なくとも1つである。これらの実施形態の態様では、作業記憶基準値には、規範平均を下回る(Zスコア変換が-1以下)標準偏差1個分以上のスコアが含まれ、年齢基準値には、60歳以上が含まれ、教育基準値には、正式な教育の12年以下が含まれ、BMI基準値には、30以上のスコアが含まれ、疾患診断又は病歴基準値には、精神疾患、神経疾患、糖尿病、メタボリックシンドローム、自己免疫疾患、心臓疾患、血管疾患、脳卒中、感染症、負傷、喘息、又はアルコール乱用の存在が含まれ、薬物使用基準値には、過去8週間における抗ヒスタミン剤、消化器系抗痙攣薬、抗めまい薬/制吐薬、抗うつ薬、膀胱抗ムスカリン薬、骨格筋弛緩剤、抗精神病薬、抗不整脈薬、抗パーキンソン病薬、抗コリン性ベースの薬物の使用が含まれる。
【0039】
一部の実施形態では、PNDのリスクがある個人を特定する事前に定義された閾値基準値は、エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値、及び2つ以上の因子の存在によって判定され、1つの因子は年齢基準値、教育基準値、又はBMI基準値であり、他の因子は診断又は病歴基準値、若しくは薬物使用基準値のうちの少なくとも1つである。これらの実施形態の態様では、エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値には、規範平均を下回る(Zスコア変換が-1以下)標準偏差1個分以上のスコアが含まれ、年齢基準値には、60歳以上が含まれ、教育基準値には、正式な教育の12年以下が含まれ、BMI基準値には、30以上のスコアが含まれ、疾患診断又は病歴基準値には、精神疾患、神経疾患、糖尿病、メタボリックシンドローム、自己免疫疾患、心臓疾患、血管疾患、脳卒中、感染症、負傷、喘息、又はアルコール乱用の存在が含まれ、薬物使用基準値には、過去8週間における抗ヒスタミン剤、消化器系抗痙攣薬、抗めまい薬/制吐薬、抗うつ薬、膀胱抗ムスカリン薬、骨格筋弛緩剤、抗精神病薬、抗不整脈薬、抗パーキンソン病薬、抗コリン性ベースの薬物の使用が含まれる。
【0040】
一部の実施形態では、PNDのリスクがある個人を特定する事前に定義された閾値基準値は、エピソード記憶基準値、及び2つ以上の因子の存在によって判定され、1つの因子は年齢基準値、教育基準値、又はBMI基準値であり、他の因子は薬物使用基準値である。これらの実施形態の態様では、エピソード記憶基準値には、規範平均を下回る(Zスコア変換が-1以下)標準偏差1個分以上のスコアが含まれ、年齢基準値には、60歳以上が含まれ、教育基準値には、正式な教育の12年以下が含まれ、BMI基準値には、30以上のスコアが含まれ、薬物使用基準値には、過去8週間における抗ヒスタミン剤、消化器系抗痙攣薬、抗めまい薬/制吐薬、抗うつ薬、膀胱抗ムスカリン薬、骨格筋弛緩剤、抗精神病薬、抗不整脈薬、抗パーキンソン病薬、又は抗コリン性ベースの薬物の使用が含まれる。
【0041】
一部の実施形態では、PNDのリスクがある個人を特定する事前に定義された閾値基準値は、作業記憶基準値、及び2つ以上の因子の存在によって判定され、1つの因子は年齢基準値、教育基準値、又はBMI基準値であり、他の因子は薬物使用基準値である。これらの実施形態の態様では、作業記憶基準値には、規範平均を下回る(Zスコア変換が-1以下)標準偏差1個分以上のスコアが含まれ、年齢基準値には、60歳以上が含まれ、教育基準値には、正式な教育の12年以下が含まれ、BMI基準値には、30以上のスコアが含まれ、薬物使用基準値には、過去8週間における抗ヒスタミン剤、消化器系抗痙攣薬、抗めまい薬/制吐薬、抗うつ薬、膀胱抗ムスカリン薬、骨格筋弛緩剤、抗精神病薬、抗不整脈薬、抗パーキンソン病薬、又は抗コリン性ベースの薬物の使用が含まれる。
【0042】
一部の実施形態では、PNDのリスクがある個人を特定する事前に定義された閾値基準値は、エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値、及び2つ以上の因子の存在によって判定され、1つの因子は年齢基準値、教育基準値、又はBMI基準値であり、他の因子は薬物使用基準値である。これらの実施形態の態様では、エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値には、規範平均を下回る(Zスコア変換が-1以下)標準偏差1個分以上のスコアが含まれ、年齢基準値には、60歳以上が含まれ、教育基準値には、正式な教育の12年以下が含まれ、BMI基準値には、30以上のスコアが含まれ、薬物使用基準値には、過去8週間における抗ヒスタミン剤、消化器系抗痙攣薬、抗めまい薬/制吐薬、抗うつ薬、膀胱抗ムスカリン薬、骨格筋弛緩剤、抗精神病薬、抗不整脈薬、抗パーキンソン病薬、又は抗コリン性ベースの薬物の使用が含まれる。
【0043】
一部の実施形態では、PNDのリスクがある個人を特定する事前に定義された閾値基準値は、エピソード記憶基準値、及び2つ以上の因子の存在によって判定され、1つの因子は年齢基準値であり、他の因子は疾患診断又は病歴基準値のうちの少なくとも1つである。これらの実施形態の態様では、エピソード記憶基準値には、規範平均を下回る(Zスコア変換が-1以下)標準偏差1個分以上のスコアが含まれ、年齢基準値には、60歳以上が含まれ、疾患診断又は病歴基準値には、精神疾患、神経疾患、糖尿病、メタボリックシンドローム、自己免疫疾患、心臓疾患、血管疾患、脳卒中、感染症、負傷、喘息、又はアルコール乱用の存在が含まれる。
【0044】
一部の実施形態では、PNDのリスクがある個人を特定する事前に定義された閾値基準値は、作業記憶基準値、及び2つ以上の因子の存在によって判定され、1つの因子は年齢基準値であり、他の因子は疾患診断又は病歴基準値のうちの少なくとも1つである。これらの実施形態の態様では、作業記憶基準値には、規範平均を下回る(Zスコア変換が-1以下)標準偏差1個分以上のスコアが含まれ、年齢基準値には、60歳以上が含まれ、疾患診断又は病歴基準値には、精神疾患、神経疾患、糖尿病、メタボリックシンドローム、自己免疫疾患、心臓疾患、血管疾患、脳卒中、感染症、負傷、喘息、又はアルコール乱用の存在が含まれる。
【0045】
一部の実施形態では、PNDのリスクを有する個人を特定する予め定義された閾値基準値は、エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値、並びに2つ以上の因子の存在によって判定され、1つの因子は年齢基準値であり、他の因子は疾患診断又は病歴基準値のうちの少なくとも1つである。これらの実施形態の態様では、エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値には、規範平均を下回る(Zスコア変換が-1以下)標準偏差1個分以上のスコアが含まれ、年齢基準値には、60歳以上が含まれ、疾患診断又は病歴基準値には、精神疾患、神経疾患、糖尿病、メタボリックシンドローム、自己免疫疾患、心臓疾患、血管疾患、脳卒中、感染症、負傷、喘息、又はアルコール乱用の存在が含まれる。
【0046】
一部の実施形態では、PNDのリスクがある個人を特定する事前に定義された閾値基準値は、エピソード記憶基準値、及び2つ以上の因子の存在によって判定され、1つの因子は年齢基準値であり、他の因子は薬物使用基準値である。これらの実施形態の態様では、エピソード記憶基準値には、規範平均を下回る(Zスコア変換が-1以下)標準偏差1個分以上のスコアが含まれ、年齢基準値には、60歳以上が含まれ、薬物使用基準値には、過去8週間における抗ヒスタミン剤、消化器系抗痙攣薬、抗めまい薬/制吐薬、抗うつ薬、膀胱抗ムスカリン薬、骨格筋弛緩剤、抗精神病薬、抗不整脈薬、抗パーキンソン病薬、又は抗コリン性ベースの薬物の使用が含まれる。
【0047】
一部の実施形態では、PNDのリスクがある個人を特定する事前に定義された閾値基準値は、作業記憶基準値、及び2つ以上の因子の存在によって判定され、1つの因子は年齢基準値であり、他の因子は薬物使用基準値である。これらの実施形態の態様では、作業記憶基準値には、規範平均を下回る(Zスコア変換が-1以下)標準偏差1個分以上のスコアが含まれ、年齢基準値には、60歳以上が含まれ、薬物使用基準値には、過去8週間における抗ヒスタミン剤、消化器系抗痙攣薬、抗めまい薬/制吐薬、抗うつ薬、膀胱抗ムスカリン薬、骨格筋弛緩剤、抗精神病薬、抗不整脈薬、抗パーキンソン病薬、又は抗コリン性ベースの薬物の使用が含まれる。
【0048】
一部の実施形態では、PNDのリスクがある個人を特定する事前に定義された閾値基準値は、エピソード記憶及び作業記憶基準値、及び2つ以上の因子の存在によって判定され、1つの因子は年齢基準値であり、他の因子は薬物使用基準値である。これらの実施形態の態様では、エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値には、規範平均を下回る(Zスコア変換が-1以下)標準偏差1個分以上のスコアが含まれ、年齢基準値には、60歳以上が含まれ、薬物使用基準値には、過去8週間における抗ヒスタミン剤、消化器系抗痙攣薬、抗めまい薬/制吐薬、抗うつ薬、膀胱抗ムスカリン薬、骨格筋弛緩剤、抗精神病薬、抗不整脈薬、抗パーキンソン病薬、又は抗コリン性ベースの薬物の使用が含まれる。
【0049】
一部の実施形態では、PNDのリスクが非常に高い人を特定する事前に定義された閾値基準値は、炎症、年齢、BMI、教育レベル、薬物使用、及び疾患診断又は病歴に対するリスク関連因子のエピソード記憶基準値及び不良基準値によって判定される。これらの実施形態の態様では、PNDのリスクが非常に高い人を特定する事前に定義された閾値基準値は、規範平均を下回る(Zスコア変換が-1以下)標準偏差1個分以上であるエピソード記憶基準値、高炎症を示す炎症基準値(例えば、CRPの10mg/L以上の血液レベル)、60歳以上の年齢基準値、30以上のBMI基準値、正式な教育の12年以下の教育基準値、過去8週間における抗ヒスタミン剤、消化器系抗痙攣薬、抗めまい薬/制吐薬、抗うつ薬、膀胱抗ムスカリン薬、骨格筋弛緩剤、抗精神病薬、抗不整脈薬、抗パーキンソン病薬、又は抗コリン性ベースの薬物の使用の薬物使用基準値、及び精神疾患、神経疾患、糖尿病、メタボリックシンドローム、自己免疫疾患、心臓疾患、血管疾患、脳卒中、感染症、負傷、喘息、又はアルコール乱用の存在の疾患診断又は病歴基準値によって判定される。
【0050】
一部の実施形態では、PNDのリスクが非常に高い人を特定する事前に定義された閾値基準値は、炎症、年齢、BMI、教育レベル、薬物使用、及び疾患診断又は病歴に対するリスク関連因子の作業記憶基準値及び不良基準値によって判定される。これらの実施形態の態様では、PNDのリスクが非常に高い人を特定する事前に定義された閾値基準値は、規範平均を下回る(Zスコア変換が-1以下)標準偏差1個分以上である作業記憶基準値、高炎症を示す炎症基準値(例えば、CRPの10mg/L以上の血液レベル)、60歳以上の年齢基準値、30以上のBMI基準値、正式な教育の12年以下の教育基準値、過去8週間における抗ヒスタミン剤、消化器系抗痙攣薬、抗めまい薬/制吐薬、抗うつ薬、膀胱抗ムスカリン薬、骨格筋弛緩剤、抗精神病薬、抗不整脈薬、抗パーキンソン病薬、又は抗コリン性ベースの薬物の使用の薬物使用基準値、及び精神疾患、神経疾患、糖尿病、メタボリックシンドローム、自己免疫疾患、心臓疾患、血管疾患、脳卒中、感染症、負傷、喘息、又はアルコール乱用の存在の疾患診断又は病歴基準値によって判定される。
【0051】
一部の実施形態では、PNDのリスクが非常に高い人を特定する事前に定義された閾値基準値は、炎症、年齢、BMI、教育レベル、薬物使用、及び疾患診断又は病歴に対するリスク関連因子のエピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値及び不良基準値によって判定される。これらの実施形態の態様では、PNDのリスクが非常に高い人を特定する事前に定義された閾値基準値は、規範平均を下回る(Zスコア変換が-1以下)標準偏差1個分以上であるエピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値によって判定され、高炎症を示す炎症基準値(例えば、CRPの10mg/L以上の血液レベル)、60歳以上の年齢基準値、30以上のBMI基準値、正式な教育の12年以下の教育基準値、過去8週間における抗ヒスタミン剤、消化器系抗痙攣薬、抗めまい薬/制吐薬、抗うつ薬、膀胱抗ムスカリン薬、骨格筋弛緩剤、抗精神病薬、抗不整脈薬、抗パーキンソン病薬、又は抗コリン性ベースの薬物の使用の薬物使用基準値、及び精神疾患、神経疾患、糖尿病、メタボリックシンドローム、自己免疫疾患、心臓疾患、血管疾患、脳卒中、感染症、負傷、喘息、又はアルコール乱用の存在の疾患診断又は病歴基準値を含む。
【0052】
一部の実施形態では、PNDのリスクが高い人を特定する事前に定義された閾値基準値は、エピソード記憶基準値によって判定される。これらの実施形態の態様では、PNDのリスクが高い人を特定する事前に定義された閾値標準値は、規範平均を下回る(Zスコア変換が-1以下)標準偏差1個分以上のエピソード記憶基準値によって判定される。
【0053】
一部の実施形態では、PNDのリスクが高い人を特定する事前に定義された閾値基準値は、作業記憶基準値によって判定される。これらの実施形態の態様では、PNDのリスクが高い人を特定する事前に定義された閾値標準値は、規範平均を下回る(Zスコア変換が-1以下)標準偏差1個分以上の作業記憶基準値によって判定される。
【0054】
一部の実施形態では、PNDのリスクが高い人を特定する事前に定義された閾値基準値は、エピソード記憶基準値及び作業記憶基準値によって判定される。これらの実施形態の態様では、PNDのリスクが高い人を特定する事前に定義された閾値標準値は、エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値によって判定され、規範平均を下回る(Zスコア変換が-1以下)標準偏差1個分以上のスコアを含む。
【0055】
一部の実施形態では、PNDのリスクが高い人を特定する事前に定義された閾値基準値は、エピソード記憶基準値及び炎症基準値によって判定される。年齢、BMI、教育レベル、薬物使用、及び疾患診断又は病歴のリスク関連因子の基準値は、全て非指標である。これらの実施形態の態様では、PNDのリスクが高い人を特定する事前に定義された閾値標準値は、規範平均を下回る(Zスコア変換が-1以下)標準偏差1個分以上のエピソード記憶基準値、及びCRPの10mg/L以上の血液レベルの炎症基準値によって判定される。これらの実施形態の他の態様では、PNDのリスクが高い人を特定する事前に定義された閾値値には、60歳未満の年齢基準値、30未満のBMI基準値、正式な教育の12年を超える教育の教育基準値、非リスク状態薬物使用の薬物使用基準値、及び非リスク状態疾患診断又は病歴の疾患診断又は病歴基準値が含まれる。
【0056】
一部の実施形態では、PNDのリスクが高い人を特定する事前に定義された閾値基準値は、作業記憶基準値及び炎症基準値によって判定される。年齢、BMI、教育レベル、薬物使用、及び疾患診断又は病歴のリスク関連因子の基準値は、全て非指標である。これらの実施形態の態様では、PNDのリスクが高い人を特定する事前に定義された閾値標準値は、規範平均を下回る(Zスコア変換が-1以下)標準偏差1個分以上の作業記憶基準値、及びCRPの10mg/L以上の血液レベルの炎症基準値によって判定される。これらの実施形態の他の態様では、PNDのリスクが高い人を特定する事前に定義された閾値値には、60歳未満の年齢基準値、30未満のBMI基準値、正式な教育の12年を超える教育の教育基準値、非リスク状態薬物使用の薬物使用基準値、及び非リスク状態疾患診断又は病歴の疾患診断又は病歴基準値が含まれる。
【0057】
一部の実施形態では、PNDのリスクが高い人を特定する事前に定義された閾値基準値は、エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値及び炎症基準値によって判定される。年齢、BMI、教育レベル、薬物使用、及び疾患診断又は病歴のリスク関連因子の基準値は、全て非指標である。これらの実施形態の態様では、PNDのリスクが高い人を特定する事前に定義された閾値標準値は、エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値によって判定され、規範平均を下回る(Zスコア変換が-1以下)標準偏差1個分以上のスコア、及びCRPの10mg/L以上の血液レベルの炎症基準値を含む。これらの実施形態の他の態様では、PNDのリスクが高い人を特定する事前に定義された閾値値には、60歳未満の年齢基準値、30未満のBMI基準値、正式な教育の12年を超える教育の教育基準値、非リスク状態薬物使用の薬物使用基準値、及び非リスク状態疾患診断又は病歴の疾患診断又は病歴基準値が含まれる。
【0058】
一部の実施形態では、PNDのリスクが高い人を特定する事前に定義された閾値基準値は、エピソード記憶基準値及び年齢基準値によって判定される。炎症、BMI、教育レベル、薬物使用、及び疾患診断又は病歴のリスク関連因子の基準値は、全て非指標である。これらの実施形態の態様では、PNDのリスクが高い人を特定する事前に定義された閾値標準値は、規範平均を下回る(Zスコア変換が-1以下)標準偏差1個分以上のエピソード記憶基準値、及び60歳以上の年齢基準値によって判定される。これらの実施形態の他の態様では、PNDのリスクが高い人を特定する事前に定義された閾値基準値には、CRPの10mg/L未満の血液レベルの炎症基準値、30未満のBMI基準値、正式な教育の12年を超える教育基準値、非リスク状態薬物使用の薬物使用基準値、及び非リスク状態疾患診断又は病歴の疾患診断又は病歴基準値が含まれる。
【0059】
一部の実施形態では、PNDのリスクが高い人を特定する事前に定義された閾値基準値は、作業記憶基準値及び年齢基準値によって判定される。炎症、BMI、教育レベル、薬物使用、及び疾患診断又は病歴のリスク関連因子の基準値は、全て非指標である。これらの実施形態の態様では、PNDのリスクが高い人を特定する事前に定義された閾値標準値は、規範平均を下回る(Zスコア変換が-1以下)標準偏差1個分以上の作業記憶基準値、及び60歳以上の年齢基準値によって判定される。これらの実施形態の他の態様では、PNDのリスクが高い人を特定する事前に定義された閾値基準値には、CRPの10mg/L未満の血液レベルの炎症基準値、30未満のBMI基準値、正式な教育の12年を超える教育基準値、非リスク状態薬物使用の薬物使用基準値、及び非リスク状態疾患診断又は病歴の疾患診断又は病歴基準値が含まれる。
【0060】
一部の実施形態では、PNDのリスクが高い人を特定する事前に定義された閾値基準値は、エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値及び年齢基準値によって判定される。炎症、BMI、教育レベル、薬物使用、及び疾患診断又は病歴のリスク関連因子の基準値は、全て非指標である。これらの実施形態の態様では、PNDのリスクが高い人を特定する事前に定義された閾値標準値は、エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値によって判定され、規範平均を下回る(Zスコア変換が-1以下)標準偏差1個分以上のスコア、及び60歳以上の年齢基準値を含む。これらの実施形態の他の態様では、PNDのリスクが高い人を特定する事前に定義された閾値基準値には、CRPの10mg/L未満の血液レベルの炎症基準値、30未満のBMI基準値、正式な教育の12年を超える教育基準値、非リスク状態薬物使用の薬物使用基準値、及び非リスク状態疾患診断又は病歴の疾患診断又は病歴基準値が含まれる。
【0061】
一部の実施形態では、PNDのリスクが中程度の人を特定する事前に定義された閾値基準値は、エピソード記憶基準値によって判定される。これらの実施形態の態様では、PNDのリスクが中程度の人を特定する事前に定義された閾値標準値は、規範平均を下回るが、規範平均を下回る(Zスコア変換が0未満であるが-1超)標準偏差1個分未満であるエピソード記憶基準値によって判定される。
【0062】
一部の実施形態では、PNDのリスクが中程度の人を特定する事前に定義された閾値基準値は、作業記憶基準値によって判定される。これらの実施形態の態様では、PNDのリスクが中程度の人を特定する事前に定義された閾値標準値は、規範平均を下回るが、規範平均を下回る(Zスコア変換が0未満であるが-1超)標準偏差1個分未満である作業記憶基準値によって判定される。
【0063】
一部の実施形態では、PNDのリスクが中程度の人を特定する事前に定義された閾値基準値は、エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値によって判定される。これらの実施形態の態様では、PNDのリスクが中程度の人を特定する事前に定義された閾値標準値は、規範平均を下回るが、規範平均を下回る(Zスコア変換が0未満であるが-1超)標準偏差1個分未満であるエピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値によって判定される。
【0064】
一部の実施形態では、PNDのリスクが中程度の人を特定する事前に定義された閾値基準値は、エピソード記憶基準値及び炎症基準値によって判定される。年齢、BMI、教育レベル、薬物使用、及び疾患診断又は病歴のリスク関連因子の基準値は、全て非指標である。これらの実施形態の態様では、PNDのリスクが中程度の人を特定する事前に定義された閾値標準値は、規範平均を下回るが、規範平均を下回る(Zスコア変換が0未満であるが-1超)標準偏差1個分未満であるエピソード記憶基準値、及びCRPの10mg/L以上の血液レベルの炎症基準値によって判定される。これらの実施形態の他の態様では、PNDのリスクが中程度の人を特定する事前に定義された閾値値には、60歳未満の年齢基準値、30未満のBMI基準値、正式な教育の12年を超える教育の教育基準値、非リスク状態薬物使用の薬物使用基準値、及び非リスク状態疾患診断又は病歴の疾患診断又は病歴基準値が含まれる。
【0065】
一部の実施形態では、PNDのリスクが中程度の人を特定する予め定義された閾値値は、作業記憶基準値及び炎症基準値によって決定される。年齢、BMI、教育レベル、薬物使用、及び疾患診断又は病歴のリスク関連因子の基準値は、全て非指標である。これらの実施形態の態様では、PNDのリスクが中程度の人を特定する事前に定義された閾値標準値は、規範平均を下回るが、規範平均を下回る(Zスコア変換が0未満であるが-1超)標準偏差1個分未満である作業記憶基準値、及びCRPの10mg/L以上の血液レベルの炎症基準値によって判定される。これらの実施形態の他の態様では、PNDのリスクが中程度の人を特定する事前に定義された閾値値には、60歳未満の年齢基準値、30未満のBMI基準値、正式な教育の12年を超える教育の教育基準値、非リスク状態薬物使用の薬物使用基準値、及び非リスク状態疾患診断又は病歴の疾患診断又は病歴基準値が含まれる。
【0066】
一部の実施形態では、PNDのリスクが中程度の人を特定する事前に定義された閾値値は、エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値、及び炎症基準値によって判定される。年齢、BMI、教育レベル、薬物使用、及び疾患診断又は病歴のリスク関連因子の基準値は、全て非指標である。これらの実施形態の態様では、PNDのリスクが中程度の人を特定する事前に定義された閾値標準値は、規範平均を下回るが、規範平均を下回る(Zスコア変換0未満であるが-1超)標準偏差1個分未満であるエピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値、及びCRPの10mg/L以上の血液レベルの炎症基準値によって判定される。これらの実施形態の他の態様では、PNDのリスクが中程度の人を特定する事前に定義された閾値値には、60歳未満の年齢基準値、30未満のBMI基準値、正式な教育の12年を超える教育の教育基準値、非リスク状態薬物使用の薬物使用基準値、及び非リスク状態疾患診断又は病歴の疾患診断又は病歴基準値が含まれる。
【0067】
一部の実施形態では、PNDのリスクが中程度の人を特定する事前に定義された閾値基準値は、エピソード記憶基準値及び年齢基準値によって判定される。炎症、BMI、教育レベル、薬物使用、及び疾患診断又は病歴のリスク関連因子の基準値は、全て非指標である。これらの実施形態の態様では、PNDのリスクが中程度の人を特定する事前に定義された閾値標準値は、規範平均を下回るが、規範平均を下回る(Zスコア変換が0未満であるが-1超)標準偏差1個分未満であるエピソード記憶基準値、及び60歳以上の年齢基準値によって判定される。これらの実施形態の他の態様では、PNDのリスクが中程度の人を特定する事前に定義された閾値基準値には、CRPの10mg/L未満の血液レベルの炎症基準値、30未満のBMI基準値、正式な教育の12年を超える教育基準値、非リスク状態薬物使用の薬物使用基準値、及び非リスク状態疾患診断又は病歴の疾患診断又は病歴基準値が含まれる。
【0068】
一部の実施形態では、PNDのリスクが中程度の人を特定する予め定義された閾値値は、作業記憶基準値及び年齢基準値によって判定される。炎症、BMI、教育レベル、薬物使用、及び疾患診断又は病歴のリスク関連因子の基準値は、全て非指標である。これらの実施形態の態様では、PNDのリスクが中程度の人を特定する事前に定義された閾値標準値は、規範平均を下回るが、規範平均を下回る(Zスコア変換が0未満であるが-1超)標準偏差1個分未満である作業記憶基準値、及び60歳以上の年齢基準値によって判定される。これらの実施形態の他の態様では、PNDのリスクが中程度の人を特定する事前に定義された閾値基準値には、CRPの10mg/L未満の血液レベルの炎症基準値、30未満のBMI基準値、正式な教育の12年を超える教育基準値、非リスク状態薬物使用の薬物使用基準値、及び非リスク状態疾患診断又は病歴の疾患診断又は病歴基準値が含まれる。
【0069】
一部の実施形態では、PNDのリスクが中程度の人を特定する事前に定義された閾値値は、エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値、及び年齢基準値によって判定される。炎症、BMI、教育レベル、薬物使用、及び疾患診断又は病歴のリスク関連因子の基準値は、全て非指標である。これらの実施形態の態様では、PNDのリスクが中程度の人を特定する事前に定義された閾値標準値は、規範平均を下回るが、規範平均を下回る(Zスコア変換が0未満であるが-1超)標準偏差1個分未満であるエピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値、及び60歳以上の年齢基準値によって判定される。これらの実施形態の他の態様では、PNDのリスクが中程度の人を特定する事前に定義された閾値基準値には、CRPの10mg/L未満の血液レベルの炎症基準値、30未満のBMI基準値、正式な教育の12年を超える教育基準値、非リスク状態薬物使用の薬物使用基準値、及び非リスク状態疾患診断又は病歴の疾患診断又は病歴基準値が含まれる。
【0070】
一部の実施形態では、PNDのリスクが低い人を特定する事前に定義された閾値基準値は、エピソード記憶基準値によって判定される。炎症、年齢、BMI、教育レベル、薬物使用、及び疾患診断又は病歴のリスク関連因子の基準値は、全て非指標である。これらの実施形態の態様では、PNDのリスクが低い人を特定する事前に定義された閾値標準値は、規範平均を上回る(Zスコア変換が0以上)エピソード記憶基準値によって判定される。これらの実施形態の他の態様では、PNDのリスクが低い人を特定する事前に定義された閾値基準値には、CRPの10mg/L未満の血液レベルの炎症基準値、60歳未満の年齢基準値、30未満のBMI基準値、正式な教育の12年を超える教育基準値、非リスク状態薬物使用の薬物使用基準値、及び非リスク状態疾患診断又は病歴の疾患診断又は病歴基準値が含まれる。
【0071】
一部の実施形態では、PNDのリスクが低い人を特定する事前に定義された閾値基準値は、作業記憶基準値によって判定される。炎症、年齢、BMI、教育レベル、薬物使用、及び疾患診断又は病歴のリスク関連因子の基準値は、全て非指標である。これらの実施形態の態様では、PNDのリスクが低い人を特定する事前に定義された閾値標準値は、規範平均を上回る(Zスコア変換が0以上)作業記憶基準値によって判定される。これらの実施形態の他の態様では、PNDのリスクが低い人を特定する事前に定義された閾値基準値には、CRPの10mg/L未満の血液レベルの炎症基準値、60歳未満の年齢基準値、30未満のBMI基準値、正式な教育の12年を超える教育基準値、非リスク状態薬物使用の薬物使用基準値、及び非リスク状態疾患診断又は病歴の疾患診断又は病歴基準値が含まれる。
【0072】
一部の実施形態では、PNDのリスクが低い人を特定する事前に定義された閾値基準値は、エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値によって判定される。炎症、年齢、BMI、教育レベル、薬物使用、及び疾患診断又は病歴のリスク関連因子の基準値は、全て非指標である。これらの実施形態の態様では、PNDのリスクが低い人を特定する事前に定義された閾値標準値は、規範平均を上回る(Zスコア変換が0以上)エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値によって判定される。これらの実施形態の他の態様では、PNDのリスクが低い人を特定する事前に定義された閾値基準値には、CRPの10mg/L未満の血液レベルの炎症基準値、60歳未満の年齢基準値、30未満のBMI基準値、正式な教育の12年を超える教育基準値、非リスク状態薬物使用の薬物使用基準値、及び非リスク状態疾患診断又は病歴の疾患診断又は病歴基準値が含まれる。
【0073】
更に、リスク層別化マトリクスは、個人のPNDリスクスコアを更に層別化して、個人のリスク状態重症度をアセスメントすることができる。一部の実施形態では、本明細書に開示されるリスク層別化マトリクスは、エピソード記憶スコア、作業記憶スコア、エピソード及び作業記憶組み合わせスコア、各追加のリスク関連因子、又はそれらの任意の組み合わせに割り当てられた各閾値基準値に加重スコアを適用することができる。一部の実施形態では、リスク層別化マトリクスによって各閾値基準値に割り当てられた加重スコアは、例えば、観察研究、介入研究、及び臨床研究から取得された情報など、PND上にコンパイルされた情報から取得されたデータから開発される。
【0074】
一部の実施形態では、個人のPNDリスクスコアの層別化は、個人が手術の前及び/又は後にPNDに対する追加の監視又は治療を受けることを推奨する結果となる。一部の実施形態では、個人のPNDリスクスコアの層別化は、PNDを、術前神経認知障害、術後せん妄、術後神経認知回復遅延(又は早期術後認知機能障害)、軽度術後神経認知障害(又は長期術後認知機能障害)、重度術後神経認知障害(又は長期術後認知機能障害)、軽度神経認知障害(又は長期術後認知機能障害)又は重度神経認知障害(又は長期術後認知機能障害)として分類する結果となる。
【0075】
個人のPNDリスクスコアが、特定の事前に定義された閾値基準値を満たす場合、本明細書に開示されるリスク層別化マトリクスは、個人がPNDのリスクにあることを示す。加えて、どの事前に定義された閾値基準値を満たすかに応じて、本明細書に開示されるリスク層別化マトリクスは、リスク状態感受性の程度並びに認知障害の程度を認定することができる。一部の実施形態では、本明細書に開示されるリスク層別化マトリクスは、リスク状態感受性の程度を、PNDに対する非常に高いリスク、PNDに対する高いリスク、PNDに対する中程度のリスク、PNDに対する低いリスク、又はPNDに対するリスクなしとして認定することができる。一部の実施形態では、本明細書に開示されるリスク層別化マトリクスは、リスク状態感受性の程度を、PNDに対する非常に高いリスク、PNDに対する高いリスク、PNDに対する中程度のリスク、PNDに対する低いリスクとして認定することができる。一部の実施形態では、本明細書に開示されるリスク層別化マトリクスは、リスク状態感受性の程度を、PNDに対する高いリスク、PNDに対する中程度のリスク、PNDに対する低いリスクとして認定することができる。
【0076】
一部の実施形態では、PNDに対する個人のリスク状態感受性を判定するPNDリスクスコアを把握するために、エピソード記憶スコア、作業記憶スコア、エピソード及び作業記憶組み合わせスコア、及び各追加のリスク関連因子のリスク層別化マトリクスによって各閾値基準値に割り当てられる加重スコアは、表1に基づく。
【0077】
【表1】
【0078】
本明細書の態様は、個人に対するPVCIの診断を特定するか、又は確認するPVCI診断スコアを判定するステップを開示する。一部の実施形態では、PVCI診断スコアは、規範平均からの個人のエピソード記憶スコアの標準偏差欠損に基づく。一部の実施形態では、PVCI診断スコアは、基準値1つ以上のリスク関連因子と併せた、規範平均からの個人のエピソード記憶スコアの標準偏差欠損に基づく。一部の実施形態では、PVCI診断スコアは、規範平均からの個人の作業記憶スコアの標準偏差欠損に基づく。一部の実施形態では、PVCI診断スコアは、基準値1つ以上のリスク関連因子と併せた、規範平均からの個人の作業記憶スコアの標準偏差欠損に基づく。一部の実施形態では、PVCI診断スコアは、規範平均からの個人のエピソード記憶及び作業記憶組み合わせスコアの標準偏差欠損に基づく。一部の実施形態では、PVCI診断スコアは、基準値1つ以上のリスク関連因子と併せた、規範平均からの個人のエピソード記憶及び作業記憶組み合わせスコアの標準偏差欠損に基づく。
【0079】
一部の実施形態では、PVCIに対する個人の診断の特定又は確認は、エピソード記憶スコア、作業記憶スコア、及び個人のPVCI診断スコアが判定され、PVCIの特定又は確認がアセスメントされる各追加のリスク関連情報に対して、事前に定義された閾値基準値を採用するリスク層別化マトリクスを使用する。一部の実施形態では、個人にPVCIがあることを特定又は確認する事前に定義された閾値基準値は、エピソード記憶基準値及び炎症基準値によって判定される。これらの実施形態の態様では、エピソード記憶基準値は、規範平均を下回る(Zスコア変換が-1以下)標準偏差1個分以上のスコアを含み、炎症基準値は、10mg/L以上のCRP血液レベルの存在を含む。一部の実施形態では、個人にPVCIがあることを特定又は確認する事前に定義された閾値基準値は、作業記憶基準値及び炎症基準値によって判定される。これらの実施形態の態様では、作業記憶基準値は、規範平均を下回る(Zスコア変換が-1以下)標準偏差1個分以上のスコアを含み、炎症基準値は、10mg/L以上のCRP血液レベルの存在を含む。一部の実施形態では、個人にPVCIがあることを特定又は確認する事前に定義された閾値基準値は、エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値及び炎症基準値によって判定される。これらの実施形態の態様では、エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値は、規範平均を下回る(Zスコア変換が-1以下)標準偏差1個分以上のスコアを含み、炎症基準値は、10mg/L以上のCRP血液レベルの存在を含む。
【0080】
一部の実施形態では、個人にPVCIがあることを特定又は確認する事前に定義された閾値基準値は、エピソード記憶基準値、及び2つ以上の因子の存在によって判定され、1つの因子はウイルス感染基準値であり、他の因子は炎症基準値である。これらの実施形態の態様では、エピソード記憶基準値は、規範平均を下回る(Zスコア変換が-1以下)標準偏差1個分以上のスコアを含み、ウイルス感染基準値は、過去10年間における少なくとも1回のウイルス感染であり、炎症基準値は、10mg/L以上のCRP血液レベルの存在を含む。
【0081】
一部の実施形態では、個人にPVCIがあることを特定又は確認する事前に定義された閾値基準値は、作業記憶基準値、及び2つ以上の因子の存在によって判定され、1つの因子はウイルス感染基準値であり、他の因子は炎症基準値である。これらの実施形態の態様では、作業記憶基準値は、規範平均を下回る(Zスコア変換が-1以下)標準偏差1個分以上のスコアを含み、ウイルス感染基準値は、過去10年間における少なくとも1回のウイルス感染であり、炎症基準値は、10mg/L以上のCRP血液レベルの存在を含む。
【0082】
一部の実施形態では、個人にPVCIがあることを特定又は確認する事前に定義された閾値基準値は、エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値、及び2つ以上の因子の存在によって判定され、1つの因子はウイルス感染基準値であり、他の因子は炎症基準値である。これらの実施形態の態様では、エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値は、規範平均を下回る(Zスコア変換が-1以下)標準偏差1個分以上のスコアを含み、ウイルス感染基準値は、過去10年間における少なくとも1回のウイルス感染であり、炎症基準値は、10mg/L以上のCRP血液レベルの存在を含む。
【0083】
一部の実施形態では、個人にPVCIがあることを特定又は確認する事前に定義された閾値基準値は、エピソード記憶基準値、及び2つ以上の因子の存在によって判定され、1つの因子はウイルス感染基準値であり、他の因子は抗ウイルス薬物使用基準値である。これらの実施形態の態様では、エピソード記憶基準値は、規範平均を下回る(Zスコア変換が-1以下)標準偏差1個分以上のスコアを含み、ウイルス感染基準値は、過去10年間における少なくとも1回のウイルス感染であり、抗ウイルス薬物使用基準値は、抗ウイルス薬物の過去8週間における使用を含む。
【0084】
一部の実施形態では、個人にPVCIがあることを特定又は確認する事前に定義された閾値基準値は、作業記憶基準値、及び2つ以上の因子の存在によって判定され、1つの因子はウイルス感染基準値であり、他の因子は抗ウイルス薬物使用基準値である。これらの実施形態の態様では、作業記憶基準値は、規範平均を下回る(Zスコア変換が-1以下)標準偏差1個分以上のスコアを含み、ウイルス感染基準値は、過去10年間における少なくとも1回のウイルス感染であり、抗ウイルス薬物使用基準値は、抗ウイルス薬物の過去8週間における使用を含む。
【0085】
一部の実施形態では、個人にPVCIがあることを特定又は確認する事前に定義された閾値基準値は、エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値、及び2つ以上の因子の存在によって判定され、1つの因子はウイルス感染基準値であり、他の因子は抗ウイルス薬物使用基準値である。これらの実施形態の態様では、エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値は、規範平均を下回る(Zスコア変換が-1以下)標準偏差1個分以上のスコアを含み、ウイルス感染基準値は、過去10年間における少なくとも1回のウイルス感染であり、抗ウイルス薬物使用基準値は、抗ウイルス薬物の過去8週間における使用を含む。
【0086】
一部の実施形態では、個人にPVCIがあることを特定又は確認する事前に定義された閾値基準値は、エピソード記憶基準値、及び3つ以上の因子の存在によって判定され、1つの因子は炎症基準値であり、別の因子はウイルス感染基準値であり、第3の因子は抗ウイルス薬物使用基準値である。これらの実施形態の態様では、エピソード記憶基準値は、規範平均を下回る(Zスコア変換が-1以下)標準偏差1個分以上のスコアを含み、ウイルス感染基準値は、過去10年間における少なくとも1回のウイルス感染であり、抗ウイルス薬物使用基準値は、抗ウイルス薬物の過去8週間における使用を含み、炎症基準値は、10mg/L以上のCRP血液レベルの存在を含む。
【0087】
一部の実施形態では、個人にPVCIがあることを特定又は確認する事前に定義された閾値基準値は、作業記憶基準値、及び3つ以上の因子の存在によって判定され、1つの因子は炎症基準値であり、別の因子はウイルス感染基準値であり、第3の因子は抗ウイルス薬物使用基準値である。これらの実施形態の態様では、作業記憶基準値は、規範平均を下回る(Zスコア変換が-1以下)標準偏差1個分以上のスコアを含み、ウイルス感染基準値は、過去10年間における少なくとも1回のウイルス感染であり、抗ウイルス薬物使用基準値は、抗ウイルス薬物の過去8週間における使用を含み、炎症基準値は、10mg/L以上のCRP血液レベルの存在を含む。
【0088】
一部の実施形態では、個人にPVCIがあることを特定又は確認する事前に定義された閾値基準値は、エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値、及び3つ以上の因子の存在によって判定され、1つの因子は炎症基準値であり、別の因子はウイルス感染基準値であり、第3の因子は抗ウイルス薬物使用基準値である。これらの実施形態の態様では、エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値は、規範平均を下回る(Zスコア変換が-1以下)標準偏差1個分以上のスコアを含み、ウイルス感染基準値は、過去10年間における少なくとも1回のウイルス感染であり、抗ウイルス薬物使用基準値は、抗ウイルス薬物の過去8週間における使用を含み、炎症基準値は、10mg/L以上のCRP血液レベルの存在を含む。
【0089】
加えて、リスク層別化マトリクスは、個人のPVCI診断スコアを更に層別化して、PVCIの存在を特定又は確認することができる。一部の実施形態では、本明細書に開示されるリスク層別化マトリクスは、エピソード記憶スコア、作業記憶スコア、エピソード及び作業記憶組み合わせスコア、各追加のリスク関連因子、又はそれらの任意の組み合わせに割り当てられた各閾値基準値に加重スコアを適用することができる。一部の実施形態では、リスク層別化マトリクスによって各閾値基準値に割り当てられた加重スコアは、例えば、観察研究、介入研究、及び臨床研究から取得された情報など、PVCI上にコンパイルされた情報から取得されたデータから開発される。
【0090】
個人のPVCI診断スコアが、特定の事前に定義された閾値基準値を満たす場合、本明細書に開示されるリスク層別化マトリクスは、個人にPVCIがあることを示す。加えて、どの事前に定義された閾値基準値を満たすかに応じて、本明細書に開示されるリスク層別化マトリクスは、認知障害の程度を認定することができる。
【0091】
一部の実施形態では、個人のPVCIの存在を特定又は確認するPVCI診断スコアを把握するために、エピソード記憶スコア、作業記憶スコア、エピソード及び作業記憶組み合わせスコア、及び各追加のリスク関連因子のリスク層別化マトリクスによって各閾値基準値に割り当てられる加重スコアは、表2に基づく。
【0092】
【表2】
【0093】
表1及び表2に記載されるように、開示されたシステム、方法、及び使用は、従って、リスク層別化マトリクスの基準値に基づいて、重み又は加重スコアを適用し得る。これは、エピソード記憶スコア及び作業記憶スコアの一方又は両方と関連して実行され、エピソード記憶スコア及び/又は作業記憶スコアに対して評価されるマトリクスを含み、これにより、PNDに対する個人のリスク状態感受性を判定するためのPNDリスクスコアを把握し、PVCIに対する個人の診断を判定又は確認するためのPVCI診断スコアを把握する。PNDの場合、炎症レベル、年齢、BMI、教育、薬物使用、及び疾患診断などの基準は、PNDリスクスコアを把握するために臨床又は患者ベースのアプローチを含む変数である。PVCIの場合、炎症レベル、抗ウイルス薬物の使用、及びウイルス感染の診断又は病歴などの基準は、PVCI診断スコアを把握するために臨床又は患者ベースのアプローチを含む変数である。いずれの場合も、これらの変数は予測因子であり、基準値に基づいて重み又は加重スコアが割り当てられると、リスク層別化を含む数学関数が各患者のリスクスコアをモデル化できる指標となる。
【0094】
本明細書に列挙した変数の代わりに、又はこれに加えて、他の予測変数を利用することも可能であり、したがって、本発明は、本明細書で言及した任意の特定の予測変数又は予測変数のセットに限定されるものではないことを理解されたい。例えば、他の薬物及び他の疾患診断は、PNDリスクスコア又はPVCI診断スコアに関連し得るものであり、リスク層別化マトリクスでモデル化され得、それ自体、その特定の特性に基づいて異なる加重スコアが割り当てられ得る。非限定的な予測変数としては、記憶、精神運動速度、注意、実行機能、社会的及び感情的認知、術前せん妄、抑うつスケール、不安スケール、疼痛スケール、鎮静スケール、一般健康スケール、手術の種類、手術の長さ、麻酔の種類、麻酔の長さ、薬物スケール、薬剤スケール、1つ以上の神経画像パラメータ、1つ以上の炎症性サイトカイン、生活の質アセスメント、障害(ADL/IADL)、人口統計学的情報、社会経済的情報、1つ以上の併存疾患、1つ以上の生活習慣リスク、虚弱、低血圧、呼吸器合併症、及びIQのサブドメインを含む、追加的又は代替的な認知領域を含む。いずれにせよ、エピソード記憶スコア及び作業記憶スコアに対するマトリクスは、他の変数を含み得、他の関連付けられた加重スコアを有し得る。
【0095】
リスク層別化マトリクスとは、例えば、エピソード記憶スコア、作業記憶スコア、エピソード記憶及び作業記憶組み合わせスコア、1つ以上のリスク関連因子、又はそれらの組み合わせなど、PNDとPCVIに関連する臨床特性の重要性をアセスメントする数学的関数の応用である、そのような変数をモデリングするためのアプローチである。これらの数学的関数を使用して、各変数の関連付けられた加重スコアを判定する。しかし、そのような加重スコアは、異なる基準値に従って調整され得、したがって、数学的関数は、各変数内の分散に基づいて関連付けられた加重スコアを評価する1つ以上の技法を含み得ることを理解されたい。他の数学的関数はまた、例えば、患者のBMI又は薬物量のばらつきなど、PND又はPVCIの全体的なアセスメントに関連し得る変数の時間的変化を考慮した関数など、そのような関連付けられた加重スコアを評価するために使用され得る。更にまた、変数間の関係を推定するための回帰モデル、より多くの臨床データがより多くの患者から入手可能になるにつれ重み又は加重スコアを更新するためのベイズモデル、及びより正確なリスクスコアを達成するために変数の関連性とその重要性を重み付けするプロセスを判定する能力を向上させる任意の他のアプローチ、並びにエピソード及び/又は作業記憶スコアをそのような変数のマトリクスに対して評価する能力を向上させる他の任意のアプローチなど、他の数学的アプローチを利用し得る。
【0096】
回帰やベイズ解析などの数学的関数は、変数の関連性の判定、及びそれらの重要性を重み付けするプロセスを改善するために、コンピュータシステムを適用することができる機械学習の技法である。したがって、本発明は、PND及びPVCIのリスクスコアをアセスメントするための機械学習と人工知能の適用を含み得る。機械学習及び人工知能のそのような適用は、リスク層別化マトリクスと併せて、機械学習モデリング層で表され得る。
【0097】
機械学習モデリング層は、リスク層別化マトリクス及びPND又はPVCIリスクスコアを把握するための他の特定のアルゴリズムを実行するための変数を更に評価する、1つ以上のニューラルネットワークで構成され得る。ニューラルネットワークは、入力を何らかの方法で組み合わせる伝達(又は活性化)関数である、1つ以上のバイアス入出力接続と、出力接続を有する計算ユニットであるノードで構成され、変数が割り当てられ得る。次に、ノードは、ニューラルネットワークを形成する層に編成される。ニューラルネットワークには、多くのタイプがあり、これらは、実施例に基づいて、タスクに特有のルールをプログラムすることなく、タスクを実行するように「学習」する計算システムである。ニューラルネットワークは、接続を介して複数層で互いに信号を送信する、接続された集約ノード(又は「ニューロン」)のアレイに基づく。上述のように、接続は、これらのノードを「発射」し、数式又は公式に従って入力を組み合わせる活性化又は伝達関数である。異なるタイプのニューラルネットワークは、概して、接続され、集約されたノードのこれらの層の異なる構成を有するが、それらは概して、入力層、中間層又は「隠れ層」、及び出力層として記述され得る。これらの層は、異なる数学的計算又は関数を使用して、それらの様々な入力に対して異なる変換を実行し得る。信号は、これらの層の間、入力層から中間層を介して出力層へと移動し、層及びノードを複数回横断し得る。信号は、接続を介してノード間で送信され、各ノードの出力は、そのノードへの全ての入力を合計する非線形関数で計算される。重み行列及びバイアスは、通常、各ノード及び各接続に適用され、ニューラルネットワークが入力を処理し、ノード及び接続にわたってそれらを送信する際に、これらの重み及びバイアスが調整される。これらの重みは、特定の接続における信号の強度の増加又は減少を表す。更に、ノードは閾値を有し得るため、そのノードで集約された出力がその閾値を超えた場合にのみ信号が送信される。重みは、活性化関数にかかる時間を表し、バイアスは、そのような関数が時間的にいつ始まるかを表し、これらの関数は、共に、経時的に勾配を最小化するのに役立つ。少なくとも重みの場合、システムが、例えば変数の特定の値に基づいて、どのような重みがあるべきか、どのように調整されるべきかを学習するにつれて、重みを初期化し、経時的に変化(すなわち、減衰)させることができる。言い換えれば、ニューラルネットワークは学習するにつれて進化し、ニューラルネットワーク設計を含む数式及び関数は、システム自体が改善するにつれて、経時的に変化することができる。
【0098】
本明細書の態様は、個人のPNDに対するリスク状態感受性に基づいて、治療推奨を提供するステップを開示する。前臨床研究と臨床研究との両方において、PNDの病因には免疫活性化と神経炎症が根本的な役割を果たしていることが示唆されている。例えば、これらの研究では、手術後の炎症反応と認知機能との間に直接的な相関があり、術後に炎症性サイトカインが高い人はPNDのリスクが高いことが繰り返し証明されている。機構的に、結果として生じる組織損傷が炎症過程を誘発し、内皮細胞及び食細胞からのIL-1及びTNF-aの放出を誘発し、下流の信号伝達事象のカスケードをトリガするので、手術自体が、PNDのトリガとなる可能性がある。血液脳関門(BBB)は、CNS内への炎症性因子の通過を厳密に調整しているが、末梢の炎症状態は、BBBの完全性を損なう可能性がある。このような妥協により、CNSが末梢炎症因子に侵入することが可能になり、神経炎症を引き起こし、ひいてはCNSの炎症性サイトカインの発現をトリガし、CNS内の更なる神経炎症を引き起こす。海馬は、サイトカイン(炎症)受容体の最大密度を含有し、特に炎症の有害な影響に対して脆弱である。この脳領域は、学習及び記憶形成におけるその役割について、十分に確立されている。したがって、脳の炎症レベルの上昇は、海馬に悪影響を及ぼし、これらの認知プロセスの機能低下を引き起こす可能性がある。
【0099】
外科処置の結果としての神経炎症に加え、術前の麻酔薬の使用も、麻酔薬がCNSに浸透し、ニューロンの信号伝達及び活動に直接作用するため、PND発症の一因になると考えられている。麻酔は、神経に対して時間及び用量に依存した毒性を呈し、臨床的に重大な神経損傷を引き起こす。更に、麻酔の周術期の免疫抑制は、麻酔と、自律神経系及び視床下部-下垂体-副腎(HPA)軸の活性化を通じて発揮される神経内分泌ストレスに起因する。したがって、手術中の麻酔薬の使用も、神経炎症を引き起こすように思われる。
【0100】
PNDは、既存の神経変性疾患の発症を促進する可能性はあるが、それ自体はアルツハイマー病やパーキンソン病のような神経変性疾患ではない。上述したように、PNDは、海馬の学習及び記憶機能に影響を及ぼす脳内の神経炎症反応をトリガする、外科手術又は麻酔薬で誘発される傷害を介して引き起こされるように思われる。PNDに関連付けられた認知障害は、一過性又は慢性のいずれかである。一方、神経変性疾患は一時的なものではなく、一部のPND個人に見られる慢性的認知障害は、本質的に変性的な障害のプロセスとは一致しない。したがって、PNDは神経変性疾患ではない。
【0101】
フィブラートは、両親媒性カルボン酸の一種であり、脂質レベルを改変する性質を有する。フィブラートの非限定的な実施例には、ベザフィブラート、シプロフィブラート、クリノフィブラート、クロフィブラート、クロフィブリド、フェノフィブラート、フェノフィブリン酸、ゲムフィブロジル、ロニフィブラート、及びシンフィブラートが含まれる。これらの薬剤は、代謝障害の範囲、主に高コレステロール血症(高コレステロール)に使用されるため、低脂質血症薬とみなされる。フィブラートは、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPARs)、特にPPARαを活性化する。PPARは、糖質代謝及び脂肪代謝、並びに脂肪組織の分化を調節する細胞内受容体の一種である。
【0102】
PPARアゴニズムの他に、フィブラートの抗炎症作用は、選択的シクロオキシゲナーゼ2(COX2)活性を阻害する能力、並びにカンナビノイド受容体2型(CB2)アゴニズムによる非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)効果に影響される。CB2は、単球、マクロファージ、B細胞、T細胞などの末梢免疫細胞、並びに脳内のミクログリアに発現する。これら3つの補完的な薬理作用の組み合わせは、胃粘膜びらんの可能性及び心臓の障害のない、炎症の完全に解消するために提案されている。
【0103】
フィブラートの2つの実施例には、フェノフィブラート及びフェノフィブリン酸が含まれる。フェノフィブラートは、イソプロピルエステルに結合したフェノフィブリン酸を含むフィブリン酸誘導体である。そのため、フェノフィブラートはフェノフィブリン酸のプロドラッグと考えることができる。フェノフィブラートのlogPは5.2であるのに対し、フェノフィブリン酸のlogPは3.9である。これら2つの化合物の化学構造を以下に示す。市販の化合物であるTricorは、異常な血中脂質レベルの治療に承認されているフェノフィブラートであり、心筋梗塞患者の余命延長での使用を支援する販売許可を得ている。
【化1】
【0104】
一部の実施形態では、個人のPNDに対するリスク状態感受性に基づく治療推奨を提供することは、i)治療推奨なし、又はii)フィブラートを使用した治療を含む。これらの実施形態の態様では、個人が表1の閾値基準マトリクスを満たすことを示すリスク状態PNDアセスメントにおいて、治療推奨は、フィブラートを用いた治療を含む。これらの実施形態の他の態様では、個人が表2の閾値基準マトリクスを満たすことを示すリスク状態PNDアセスメントにおいて、治療推奨は、フィブラートを用いた治療を含む。
【0105】
これらの実施形態の他の態様では、個人が術前神経認知障害を有していると分類されることを示す、リスク状態PNDアセスメントにおいて、治療推奨は、フィブラートを用いた治療を含む。これらの実施形態の更に他の態様では、個人が術後神経認知回復の遅延(又は早期術後認知機能障害)を有していると分類されることを示す、リスク状態PNDアセスメントにおいて、治療推奨は、フィブラートを用いた治療を含む。これらの実施形態の更に他の態様では、個人が軽度術後神経認知障害(又は長期術後認知機能障害)を有していると分類されることを示す、リスク状態PNDアセスメントにおいて、治療推奨は、フィブラートを用いた治療を含む。これらの実施形態の他の態様では、個人が重度術後神経認知障害(又は長期術後認知機能障害)を有していると分類されることを示す、リスク状態PNDアセスメントにおいて、治療推奨は、フィブラートを用いた治療を含む。これらの実施形態の更に他の態様では、個人が軽度神経認知障害(又は長期術後認知機能障害)を有していると分類されることを示す、リスク状態PNDアセスメントにおいて、治療推奨は、フィブラートを用いた治療を含む。これらの実施形態の更に他の態様では、個人が重度神経認知障害(又は長期術後認知機能障害)を有していると分類されることを示す、リスク状態PNDアセスメントにおいて、治療推奨は、フィブラートを用いた治療を含む。
【0106】
本明細書の態様は、PND又はPVCIのリスクがある、又はPND又はPVCIを患う個人を治療する方法を開示する。一部の実施形態では、本開示の方法は、有効量のフィブラートを含む組成物を、PND又はPVCIのリスクがある、又はPND又はPVCIを患う個人に投与することを含む、本質的に投与することからなる、又は投与することからなる。一部の実施形態では、本明細書に開示される組成物は、ベザフィブラート、シプロフィブラート、クリノフィブラート、クロフィブラート、クロフィブリド、フェノフィブラート、フェノフィブラート酸、ゲムフィブロジル、ロニフィブラート、又はシンフィブラートを含む、本質的にからなる、又はからなる。好ましい実施形態において、本明細書に開示される組成物は、フェノフィブラート、又はフェノフィブリン酸である。
【0107】
本明細書の態様は、PND又はPVCIのリスクがある、又はPND又はPVCIを患う個人を治療する際に使用するためのフィブラートの有効量を開示する。一部の実施形態では、本明細書に開示される組成物は、ベザフィブラート、シプロフィブラート、クリノフィブラート、クロフィブラート、クロフィブリド、フェノフィブラート、フェノフィブラート酸、ゲムフィブロジル、ロニフィブラート、又はシンフィブラートを含む、本質的にからなる、又はからなる。好ましい実施形態において、本明細書に開示される組成物は、フェノフィブラート、又はフェノフィブリン酸である。
【0108】
本明細書の態様は、PND又はPVCIのリスクがある、又はPND又はPVCIを患う個人を治療するための医薬品の製造でのフィブラートの使用を開示する。一部の実施形態では、本明細書に開示される組成物は、ベザフィブラート、シプロフィブラート、クリノフィブラート、クロフィブラート、クロフィブリド、フェノフィブラート、フェノフィブラート酸、ゲムフィブロジル、ロニフィブラート、又はシンフィブラートを含む、本質的にからなる、又はからなる。好ましい実施形態において、本明細書に開示される組成物は、フェノフィブラート、又はフェノフィブリン酸である。
【0109】
本明細書に開示される組成物又は医薬品は、本明細書に開示されるフィブラートの有効濃度を含む組成物又は医薬品を指す。好ましくは、本明細書に開示される組成物又は医薬品は、個人に投与されたときに有害反応、アレルギー性反応、又は他の予期しない反応、又は望ましくない反応を生じさせない。本明細書に開示される組成物又は薬剤は、医療用途及び獣医学用途に有用である。本明細書に開示される組成物又は医薬品は、所望の有益な効果を達成する方法で本明細書に開示される組成物又は医薬品の投与を可能にする任意の形態に製剤化することができる。一実施形態では、本明細書に開示される組成物又は医薬品は、例えば、単相製剤、中相と分散相を含む二相製剤、又は多相製剤に製剤化することができる。別の実施形態では、本明細書に開示される組成物又は医薬品は、例えば、液体組成物若しくは医薬品、コロイド組成物若しくは医薬品、半固体組成物若しくは医薬品、又は固体組成物若しくは医薬品に製剤化することができる。別の実施形態では、本明細書に開示される組成物又は医薬品は、例えば、液体エアロゾル、泡、エマルジョン、ゲル、ゾル、又は固体ゾルに製剤化することができる。本明細書に開示される組成物又は医薬品は、即時放出製剤又は放出制御製剤として製剤化され得る。本明細書に開示される組成物又は医薬品は、単独で、又は他の補助的活性化合物、薬品、薬剤又はホルモンと組み合わせて、個人に投与され得る。
【0110】
本明細書は、有効量を部分的に開示する。本明細書に開示される方法又は使用に関して、本明細書に開示されるフィブラートが、有効量で使用又は投与される。本明細書に開示される有効量のフィブラートは、PND若しくは病理、又はPVCI若しくは病理を治療するのに十分な量である。本実施形態の態様では、本明細書に開示されるフィブラートの有効量は、PND若しくは病理、又はPVCI若しくは病理に関連付けられた1つ以上の生理学的状態若しくは症状を軽減するのに十分な量、又はPND若しくは病理、又はPVCI若しくは病理に関連付けられた1つ以上の生理学的状態若しくは症状から個人を保護するのに十分な量である。本明細書で使用される場合、「有効量」という用語は、「十分な量」、「治療上十分な量」、「治療上有効な量」、「有効量」、又は「治療上有効な用量」という用語を含み、所望の治療効果を達成するのに必要な本明細書に開示されるフィブラートの最小量を指し、PND若しくは病理、又はPVCI若しくは病理に関連付けられた1つ以上の生理学的状態又は症状を低減又は阻害するのに十分な量を含む。
【0111】
この実施形態の態様では、本明細書に開示される有効量のフィブラートは、PND若しくは病理、又はPVCI若しくは病理に関連付けられた1つ以上の生理学的状態又は症状を、例えば、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%又は少なくとも100%低減又は阻害する。この実施形態の他の態様では、本明細書に開示される有効量のフィブラートは、PND若しくは病理、又はPVCI若しくは病理に関連付けられた1つ以上の生理学的状態又は症状を、例えば、最大10%、最大20%、最大30%、最大40%、最大50%、最大60%、最大70%、最大80%、最大90%又は最大100%低減又は阻害する。この実施形態の更に他の態様では、本明細書に開示される有効量のフィブラートは、PND若しくは病理、又はPVCI若しくは病理に関連付けられた1つ以上の生理学的状態又は症状を、例えば、約10%~約100%、約10%~約90%、約10%~約80%、約10%~約70%、約10%~約60%、約10%~約50%、約10%~約40%、約20%~約100%、約20%~約90%、約20%~約80%、約20%~約20%、約20%~約60%、約20%~約50%、約20%~約40%、約30%~約100%、約30%~約90%、約30%~約80%、約30%~約70%、約30%~約60%、又は約30%~約50%低減又は阻害する。この実施形態の更に他の態様では、本明細書に開示される有効量のフィブラートは、PND若しくは病理、又はPVCI若しくは病理に関連付けられた1つ以上の生理学的状態又は症状を、例えば、少なくとも1週間、少なくとも1ヵ月、少なくとも2ヵ月、少なくとも3ヵ月、少なくとも4ヵ月、少なくとも5ヵ月、少なくとも6ヵ月、少なくとも7ヵ月、少なくとも8ヵ月、少なくとも9ヵ月、少なくとも10ヵ月、少なくとも11ヵ月、又は少なくとも12ヵ月低減又は阻害する。
【0112】
個人に使用又は投与される本明細書に開示されるフィブラートの実際の有効量は、限定されるものではないが、当業者によって、PND若しくは病理又はPVCI若しくは病理のタイプ、PND若しくは病理又はPVCI若しくは病理に関連付けられた特定の生理学的状態又は症状、PND若しくは病理又はPVCI若しくは病理の原因、PND若しくは病理又はPVCI若しくは病理の重症度、PND若しく病理又はPVCI若しくは病理に望まれる緩和の程度、PND若しくは病理又はPVCI若しくは病理に望まれる緩和の期間、開示された方法又は使用において使用される特定のフィブラート、開示された方法又は使用において使用される特定のフィブラートの排泄速度、開示された方法又は使用される特定のフィブラートの薬効、開示された方法又は使用に含まれる他の化合物の性質、開示された方法又は使用において使用される特定の投与経路、個人の特定の特性、病歴及びリスク因子、例えば、年齢、体重、一般的な健康状態及び同様のもの、又はそれらの組み合わせを含む因子を考慮することによって判定することができる。更に、開示された方法又は使用の反復投与が採用される場合、実際の有効量は、限定されるものではないが、投与頻度、開示された方法又は使用において使用される本明細書に開示されたフィブラートの半減期、又はそれらの任意の組み合わせを含む因子に更に依存する。
【0113】
本明細書に開示されるフィブラートの実際の有効量は、本明細書に開示されるフィブラートの活性及び有効性を評価するために用いられる日常的なスクリーニング手順によって決定される。そのようなスクリーニング手順は、当業者に周知である。例えば、本明細書に開示されたフィブラートの有効量は、ヒトに投与する前に、インビトロアッセイ及び動物モデルを使用したインビボ投与研究から推定できることが当業者に知られている。様々な投与経路の効率の違いから、必要な有効量には大きなばらつきがあることが予想されるべきである。例えば、経口での使用又は投与は、概して、静脈内又は硝子体内注射による使用又は投与よりも高い用量レベルを必要とすると予想される。これらの用量レベルの変動は、当業者に周知である、標準的な経験的最適化ルーチンを使用して調整することができる。加えて、用量レベルの変動は、当業者に周知である、標準的な経験的最適化ルーチンを使用して調整することができる。より高いレベルの活性及び/又は有効性を有する、本明細書に開示されるフィブラートは、より小さな有効量で使用することができる一方、より低いレベルの活性及び/又は有効性を有するフィブラートは、同じ制御効果を達成するためにより大きな有効量を必要とし得る。そのような有効量は、本明細書に開示されるフィブラートの活性及び/又は有効性の日常的なアッセイ/測定によって判定することができる。治療上有効な正確な用量レベル及びパターンは、上記に特定された因子を考慮して、担当の医療専門家が判定することが好ましい。
【0114】
投薬は、単回投薬又は累積(連続投薬)の可能性があり、当業者であれば容易に判定できる。例えば、PND若しくは病理、又はPVCI若しくは病理の治療は、開示された方法又は使用において使用されるフィブラートの1回限りの投与を含み得る。非限定的な実施例として、開示された方法又は使用において使用されるフィブラートは、例えば、単回の注射又は沈着として、個人に1回投与することができる。あるいは、PND若しくは病理又はPVCI若しくは病理の治療は、開示された方法又は使用において使用されるフィブラートを、例えば、毎日、隔日、3日ごと、週に1回、週に複数回、月に1回、月に複数回、年に1回又は年に複数回など、広範な期間にわたって実施される複数回の投与を含み得る。非限定的な実施例として、開示された方法又は使用において使用されるフィブラートは、個人に1回投与することができる。投与のタイミングは、個人の症状の重症度などの因子に応じて、個人によって異なる可能性がある。例えば、開示された方法又は使用において使用されるフィブラートは、個人に毎日、隔日、3日ごと、週に1回、週に複数回、月に1回、月に複数回、年に1回又は年に複数回、不特定期間、又は個人がPND若しくは病理、又はPVCI若しくは病理の治療を必要としなくなるまで投与することができる。当業者であれば、個人の状態を治療過程全体を通して監視することができ、開示された方法又は使用において使用されるフィブラートの使用又は投与がそれに応じて調整できることを認識するであろう。
【0115】
本明細書の態様は、以下の実施形態によっても説明できる
1.周術期神経認知障害のリスクがある個人を特定する方法であって、a)個人に対してエピソード記憶基準値、作業記憶基準値、又はエピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値を判定することと、b)エピソード記憶基準値、作業記憶基準値、又はエピソード記憶作業記憶組み合わせ基準値を規範平均と比較することにより、PNDリスクスコアを判定することと、c)PNDリスクスコアを事前に定義された閾値基準と比較することにより、周術期神経認知障害に対する個人のリスク状態感受性を判定することと、を含む、方法。あるいは、ステップb)及びステップc)は、個人に対してすでに判定されたエピソード記憶基準値、作業記憶基準値、又はエピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値を使用して実施される。したがって、周術期神経認知障害のリスクがある個人を特定する方法は、a)個人に対してすでに判定されたエピソード記憶基準値、作業記憶基準値、又はエピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値を提供することと、b)エピソード記憶基準値、作業記憶基準値、又はエピソード記憶作業記憶組み合わせ基準値を規範平均と比較することにより、PNDリスクスコアを判定することと、c)PNDリスクスコアを事前に定義された閾値基準と比較することにより、周術期神経認知障害に対する個人のリスク状態感受性を判定することと、を含むことができる。
2.エピソード記憶基準値が、エピソード記憶試験を使用して、個人のエピソード記憶を測定することによって取得される、実施形態1の方法。
3.作業記憶基準値が、作業記憶試験を使用して、個人の作業記憶を測定することによって取得される、実施形態1の方法。
4.エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値が、エピソード記憶試験を使用した個人のエピソード記憶と、作業記憶試験を使用した個人の記作業記憶との両方を測定することによって取得される、実施形態1の方法。
5.エピソード記憶試験が、リスト学習試験、認識記憶試験、又は対連合学習試験を含む、実施形態2又は4の方法。
6.作業記憶試験が、空間作業記憶試験、空間スパン試験、数字順列試験、又はNバック試験を含む、実施形態3又は4の方法。
7.ステップ(b)の前に、エピソード記憶基準値、作業記憶基準値、又はエピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値に対する加重スコアを判定することを更に含む、実施形態1~6のいずれか1つの方法。
8.個人のリスク状態感受性が、a)エピソード記憶基準値が、規範平均を下回る標準偏差1個分以上であるとき、又はb)作業記憶基準値が、規範平均を下回る標準偏差1個分以上であるとき、又はc)エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値が、規範平均を下回る標準偏差1個分以上であるとき、PNDについて高リスクにあるものとして特定される、実施形態1~7のいずれか1つの方法。
9.個人のリスク状態感受性が、a)エピソード記憶基準値が、規範平均を下回るが、規範平均を下回る標準偏差1個分未満であるとき、又はb)作業記憶基準値が、規範平均を下回るが、規範平均を下回る標準偏差1個分未満であるとき、又はc)エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値が、規範平均を下回るが、規範平均を下回る標準偏差1個分未満であるとき、PNDについて中程度のリスクにあるものとして特定される、実施形態1~7のいずれか1つの方法。
10.ステップ(b)の前に、個人における周術期神経認知障害に対する1つ以上のリスク関連因子の基準値を判定することを更に含む、実施形態1~9のいずれか1つの方法。
11.PNDリスクスコアを判定することが、1つ以上のリスク関連因子の各々の基準値と規範平均とを比較することと併せて行われる、実施形態10の方法。
12.1つ以上のリスク関連因子が、炎症基準値、年齢基準値、体格指数(BMI)基準値、教育基準値、薬物使用基準値、疾患診断又は病歴基準値、又はそれらの任意の組み合わせを含む、実施形態10又は11の方法。
13.1つ以上のリスク関連因子の各々の基準値に対する加重スコアを判定することを更に含む、実施形態10~12のいずれか1つの方法。
14.PNDリスクスコアが、表1の所定の閾値基準を使用して判定される、実施形態1~13のいずれか1つの方法。
15.個人のリスク状態感受性が、a)エピソード記憶基準値が、規範平均を下回る標準偏差1個分以上であり、1つ以上のリスク関連因子の基準値が、高炎症を示す炎症基準値、60歳以上の年齢基準値、30以上のBMI基準値、正式な教育の12年以下の教育基準値、過去8週間における抗ヒスタミン剤、消化器系抗痙攣薬、抗めまい薬/制吐薬、抗うつ剤、膀胱抗ムスカリン剤、骨格筋弛緩剤、抗精神病薬、抗不整脈薬、抗パーキンソン病薬、又は抗コリン性ベースの薬剤の使用の薬物使用基準値、及び精神障害、神経疾患、糖尿病、メタボリックシンドローム、自己免疫疾患、心臓病、血管疾患、脳卒中、感染、負傷、喘息、又はアルコールの乱用の存在の疾患診断又は病歴の基準値を含むとき、又はb)作業記憶基準値が、規範平均を下回る標準偏差1個分以上であり、1つ以上のリスク関連因子の基準値が、高炎症を示す炎症基準値、60歳以上の年齢基準値、30以上のBMI基準値、正式な教育の12年以下の教育基準値、過去8週間における抗ヒスタミン剤、消化器系抗痙攣薬、抗めまい薬/制吐薬、抗うつ剤、膀胱抗ムスカリン剤、骨格筋弛緩剤、抗精神病薬、抗不整脈薬、抗パーキンソン病薬、又は抗コリン性ベースの薬剤の使用の薬物使用基準値、及び精神障害、神経疾患、糖尿病、メタボリックシンドローム、自己免疫疾患、心臓病、血管疾患、脳卒中、感染、負傷、喘息、又はアルコールの乱用の存在の疾患診断又は病歴の基準値を含むとき、又はc)エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値が、規範平均を下回る標準偏差1個分以上であり、1つ以上のリスク関連因子の基準値が、高炎症を示す炎症基準値、60歳以上の年齢基準値、30以上のBMI基準値、正式な教育の12年以下の教育基準値、過去8週間における抗ヒスタミン剤、消化器系抗痙攣薬、抗めまい薬/制吐薬、抗うつ剤、膀胱抗ムスカリン剤、骨格筋弛緩剤、抗精神病薬、抗不整脈薬、抗パーキンソン病薬、又は抗コリン性ベースの薬剤の使用の薬物使用基準値、及び精神障害、神経疾患、糖尿病、メタボリックシンドローム、自己免疫疾患、心臓病、血管疾患、脳卒中、感染、負傷、喘息、又はアルコールの乱用の存在の疾患診断又は病歴の基準値を含むとき、PNDについて非常に高いリスクにあるものとして特定される、実施形態10~14のいずれか1つの方法。
16.個人のリスク状態感受性が、a)エピソード記憶基準値が、規範平均及びCRPの10mg/L以上の血液レベルの炎症基準値を下回る標準偏差1個分以上であるとき、又はb)作業記憶基準値が、規範平均及びCRPの10mg/L以上の血液レベルの炎症基準値を下回る標準偏差1個分以上であるとき、又はc)エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値が、規範平均及びCRPの10mg/L以上の血液レベルの炎症基準値を下回る標準偏差1個分以上であるとき、又はd)エピソード記憶基準値が、規範平均及び60歳以上の年齢基準値を下回る標準偏差1個分以上であるとき、又はe)作業記憶基準値が、規範平均及び60歳以上の年齢基準値を下回る標準偏差1個分以上であるとき、又はf)エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値が、規範平均及び60歳以上の年齢基準値を下回る標準偏差1個分以上であるとき、PNDについて高リスクにあるものとして特定される、実施形態10~14のいずれか1つの方法。
17.個人のリスク状態感受性が、a)エピソード記憶基準値が、規範平均を下回るが、規範平均及びCRPの10mg/L以上の血液レベルの炎症基準値を下回る標準偏差1個分未満であるとき、又はb)作業記憶基準値が、規範平均を下回るが、記規範平均及びCRPの10mg/L以上の血液レベルの炎症基準値を下回る標準偏差1個分未満であるとき、又はc)エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値が、規範平均を下回るが、規範平均及びCRPの10mg/L以上の血液レベルの炎症基準値を下回る標準偏差1個分未満であるとき、又はd)エピソード記憶基準値が、規範平均を下回るが、規範平均及び60歳以上の年齢基準値を下回る標準偏差1個分未満であるとき、又はe)作業記憶基準値が、規範平均を下回るが、規範平均及び60歳以上の年齢基準値を下回る標準偏差1個分未満であるとき、又はf)エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値が、規範平均を下回るが、規範平均及び60歳以上の年齢基準値を下回る標準偏差1個分未満であるとき、PNDについて中程度のリスクにあるものとして特定される、実施形態10~14のいずれか1つの方法。
18.個人のリスク状態感受性が、a)エピソード記憶基準値が、規範平均を超え、1つ以上のリスク関連因子の基準値が、CRPの10mg/L未満の血液レベルの炎症基準値、60歳未満の年齢基準値、30未満のBMI基準値、正式な教育の12年以上の教育基準値、リスク状態の薬物使用なしという薬物使用基準値、及びリスク状態の疾患診断又は病歴がないという疾患診断又は病歴基準値を含むとき、又はb)作業記憶基準値が、規範平均を超え、1つ以上のリスク関連因子の基準値が、CRPの10mg/L未満の血液レベルの炎症基準値、60歳未満の年齢基準値、30未満のBMI基準値、正式な教育の12年以上の教育基準値、リスク状態の薬物使用なしという薬物使用基準値、及びリスク状態の疾患診断又は病歴がないという疾患診断又は病歴基準値を含むとき、又はc)エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値が、規範平均を超え、1つ以上のリスク関連因子の基準値が、CRPの10mg/L未満の血液レベルの炎症基準値、60歳未満の年齢基準値、30未満のBMI基準値、正式な教育の12年以上の教育基準値、リスク状態の薬物使用なしという薬物使用基準値、及びリスク状態の疾患診断又は病歴がないという疾患診断又は病歴基準値を含むとき、PNDについて低リスクにあるものとして特定される、実施形態10~14のいずれか1つの方法。
19.個人のリスク状態感受性が、個人を、追加の監視を推奨し、手術前にPNDの治療を推奨し、かつ/又は手術後にPNDの治療を推奨するものとして分類する、実施形態1~18のいずれか1つの方法。
20.リスク状態重症度が、個人を、術前神経認知障害、術後せん妄、術後神経認知回復の遅延、軽度術後神経認知障害、重度術後神経認知障害、軽度神経認知障害、又は重度神経認知障害を有するものとして分類する、実施形態1~19のいずれか1つの方法。
21.個人のリスク状態感受性に基づいて、治療推奨を更に提供する、実施形態1~20のいずれか1つの方法。
22.治療推奨が、治療推奨なし、又はフィブラートを使用する治療を含む、実施形態21の方法。
23.個人のリスク状態感受性が、PNDについて非常に高いリスクにある、PNDについて高リスクにある、又はPNDについて中程度のリスクにあるものとして特定されるとき、治療推奨は、1つ以上のフィブラートを用いた治療を含む、実施形態21の方法。
24.a)個人のリスク状態感受性が、個人に術前神経認知障害があることを示すとき、治療推奨が、1つ以上のフィブラートを用いた治療を含む、又はb)個人のリスク状態感受性が、個人に術後神経認知回復の遅延があることを示すとき、治療推奨が、1つ以上のフィブラートを用いた治療を含む、又はc)個人のリスク状態感受性が、個人に軽度術後神経認知障害があることを示すとき、治療推奨が、1つ以上のフィブラートを用いた治療を含む、又はd)個人のリスク状態感受性が、個人に重度術後神経認知障害があることを示すとき、治療推奨が、1つ以上のフィブラートを用いた治療を含む、又はe)個人の記リスク状態感受性が、記個人に軽度術後神経認知障害があることを示すとき、治療推奨が、1つ以上のフィブラートを用いた治療を含む、又はf)個人のリスク状態感受性が、個人に重度術後神経認知障害があることを示すとき、治療推奨が、1つ以上のフィブラートを用いた治療を含む、実施形態19の方法。
25.1つ以上のフィブラートが、ベザフィブラート、シプロフィブラート、クリノフィブラート、クロフィブラート、クロフィブリド、フェノフィブラート、フェノフィブリン酸、ゲムフィブロジル、ロニフィブラート、シンフィブラート、又はそれらの任意の組み合わせを含む、実施形態19の方法。
26.ウイルス感染後認知障害(PVCI)のリスクがある個人を特定及び/又は確認する方法であって、a)個人に対する、エピソード記憶基準値、作業記憶基準値、又はエピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値を判定することと、b)エピソード記憶スコア、作業記憶スコア、又はエピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値を規範平均と比較することによって、PVCI診断スコアを判定することと、c)PVCI診断スコアを、事前に定義された閾値基準と比較することによって、PVCIの個人における診断を特定又は確認することと、を含む、方法。あるいは、ステップb)及びステップc)は、個人に対してすでに判定されたエピソード記憶基準値、作業記憶基準値、又はエピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値を使用して実施される。したがって、ウイルス感染後認知障害(PVCI)のリスクがある個人を特定及び/又は確認する方法は、a)個人に対してすでに判定されたエピソード記憶基準値、作業記憶基準値、又はエピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値を判定することと、b)エピソード記憶スコア、作業記憶スコア、又はエピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値を規範平均と比較することによって、PVCI診断スコアを判定することと、c)PVCI診断スコアを、事前に定義された閾値基準と比較することによって、PVCIの個人における診断を特定又は確認することと、を含むことができる。
27.エピソード記憶基準値が、エピソード記憶試験を使用して、個人のエピソード記憶を測定することによって取得される、実施形態26の方法。
28.作業記憶基準値が、作業記憶試験を使用して、個人の作業記憶を測定することによって取得される、実施形態26の方法。
29.エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値が、エピソード記憶試験を使用した個人のエピソード記憶と、作業記憶試験を使用した個人の記作業記憶との両方を測定することによって取得される、実施形態26の方法。
30.エピソード記憶試験が、リスト学習試験、認識記憶試験、又は対連合学習試験を含む、実施形態27又は29の方法。
31.作業記憶試験が、空間作業記憶試験、空間スパン試験、数字順列試験、又はNバック試験を含む、実施形態28又は29の方法。
32.ステップ(b)の前に、エピソード記憶基準値、作業記憶基準値、又はエピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値に対する加重スコアを判定することを更に含む、実施形態26~31のいずれか1つの方法。
33.PVCI診断が、a)エピソード記憶基準値が、規範平均を下回る標準偏差1個分以上であるとき、又はb)作業記憶基準値が、規範平均を下回る標準偏差1個分以上であるとき、又はc)エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値が、規範平均を下回る標準偏差1個分以上であるとき、特定又は確認される、実施形態26~32のいずれか1つの方法。
34.ステップ(b)の前に、個人におけるPVCIについての1つ以上のリスク関連因子の基準値を判定することを更に含む、実施形態26~33のいずれか1つの方法。
35.PVCI診断スコアを判定することが、1つ以上のリスク関連因子の各々の基準値と規範平均とを比較することと併せて行われる、実施形態34の方法。
36.1つ以上のリスク関連因子が、炎症基準値、抗ウイルス薬使用基準値、ウイルス感染診断又は病歴基準値、又はそれらの任意の組み合わせを含む、実施形態34又は35の方法。
37.1つ以上のリスク関連因子の各々の基準値に対する加重スコアを判定することを更に含む、実施形態34~36のいずれか1つの方法。
38.PVCI診断スコアが、表2の所定の閾値基準を使用して判定される、実施形態26~37のいずれか1つの方法。
39.PVCI診断が、a)エピソード記憶基準値が、規範平均を下回る標準偏差1個分以上であり、かつ1つ以上のリスク状態因子が存在するとき、又はb)作業記憶基準値が、規範平均を下回る標準偏差1個分以上であり、かつ1つ以上のリスク状態因子が存在するとき、又はc)エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値が、規範平均を下回る標準偏差1個分以上であり、かつ1つ以上のリスク状態因子が存在するとき、又はd)エピソード記憶基準値が、規範平均を下回るが、規範平均を下回る標準偏差1個分未満であり、かつ1つ以上のリスク状態因子が存在するとき、又はe)作業記憶基準値が、規範平均を下回るが、規範平均を下回る標準偏差1個分未満であり、かつ1つ以上のリスク状態因子が存在するとき、又はf)エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値が、規範平均を下回るが、規範平均を下回る標準偏差1個分未満であり、かつ1つ以上のリスク状態因子が存在するとき、特定又は確認される、実施形態20~27のいずれか1つの方法。
40.PVCI診断スコアが、個人を、追加の監視を推奨し、かつ/又は感染後のPVCIの治療を推奨するものとして分類する、実施形態26~39のいずれか1つの方法。
41.個人のリスク状態感受性に基づいて、治療推奨を更に提供する、実施形態26~40のいずれか1つの方法。
42.治療推奨が、治療推奨なし、又はフィブラートを使用する治療を含む、実施形態41の方法。
43.1つ以上のフィブラートが、ベザフィブラート、シプロフィブラート、クリノフィブラート、クロフィブラート、クロフィブリド、フェノフィブラート、フェノフィブリン酸、ゲムフィブロジル、ロニフィブラート、シンフィブラート、又はそれらの任意の組み合わせを含む、実施形態42の方法。
【0116】
本明細書の態様は、以下の実施形態によっても説明できる。
1.周術期神経認知障害のリスクがある個人を特定する方法であって、a)個人に対してエピソード記憶基準値、作業記憶基準値、又はエピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値を判定することと、b)個人における周術期神経認知障害の1つ以上のリスク関連因子の基準値を判定することと、c)i)エピソード記憶基準値、作業記憶基準値、又はエピソード記憶作業記憶組み合わせ基準値を規範平均と比較すること、及びii)1つ以上のリスク関連因子の各々の基準値を規範平均値と比較することにより、PNDリスクスコアを判定することと、d)PNDリスクスコアを事前に定義された閾値基準と比較することにより、周術期神経認知障害に対する個人のリスク状態感受性を判定することと、を含む、方法。あるいは、ステップb)ステップc)及びステップd)は、個人に対してすでに判定されたエピソード記憶基準値、作業記憶基準値、又はエピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値を使用して実施される。したがって、周術期神経認知障害のリスクがある個人を特定する方法は、a)個人に対して判定したエピソード記憶基準値、作業記憶基準値、又はエピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値を提供することと、b)個人における周術期神経認知障害の1つ以上のリスク関連因子の基準値を判定することと、c)i)エピソード記憶基準値、作業記憶基準値、又はエピソード記憶作業記憶組み合わせ基準値を規範平均と比較すること、及びii)1つ以上のリスク関連因子の各々の基準値を規範平均値と比較することにより、PNDリスクスコアを判定することと、d)PNDリスクスコアを事前に定義された閾値基準と比較することにより、周術期神経認知障害に対する個人のリスク状態感受性を判定することと、を含むことができる。
2.エピソード記憶基準値が、エピソード記憶試験を使用して、個人のエピソード記憶を測定することによって取得される、実施形態1の方法。
3.作業記憶基準値が、作業記憶試験を使用して、個人の作業記憶を測定することによって取得される、実施形態1の方法。
4.エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値が、エピソード記憶試験を使用した個人のエピソード記憶と、作業記憶試験を使用した個人の記作業記憶との両方を測定することによって取得される、実施形態1の方法。
5.エピソード記憶試験が、リスト学習試験、認識記憶試験、又は対連合学習試験を含む、実施形態2又は4の方法。
6.作業記憶試験が、空間作業記憶試験、空間スパン試験、数字順列試験、又はNバック試験を含む、実施形態3又は4に記載の方法。
7.1つ以上のリスク関連因子が、炎症基準値、年齢基準値、体格指数(BMI)基準値、教育基準値、薬物使用基準値、疾患診断又は病歴基準値、又はそれらの任意の組み合わせを含む、実施形態1~6のいずれか1つの方法。
8.エピソード記憶基準値、作業記憶基準値、エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値、1つ以上のリスク関連因子の各々の基準値、又はそれらの任意の組み合わせに対する加重スコアを判定することを更に含む、実施形態1~7のいずれか1つの方法。
9.PNDリスクスコアが、表1の所定の閾値基準を使用して判定される、実施形態1~8のいずれか1つの方法。
10.個人のリスク状態感受性が、a)エピソード記憶基準値が、規範平均を下回る標準偏差1個分以上であり、1つ以上のリスク関連因子の基準値が、高炎症を示す炎症基準値、60歳以上の年齢基準値、30以上のBMI基準値、正式な教育の12年以下の教育基準値、過去8週間における抗ヒスタミン剤、消化器系抗痙攣薬、抗めまい薬/制吐薬、抗うつ剤、膀胱抗ムスカリン剤、骨格筋弛緩剤、抗精神病薬、抗不整脈薬、抗パーキンソン病薬、又は抗コリン性ベースの薬剤の使用の薬物使用基準値、及び精神障害、神経疾患、糖尿病、メタボリックシンドローム、自己免疫疾患、心臓病、血管疾患、脳卒中、感染、負傷、喘息、又はアルコールの乱用の存在の疾患診断又は病歴の基準値を含むとき、又はb)作業記憶基準値が、規範平均を下回る標準偏差1個分以上であり、1つ以上のリスク関連因子の基準値が、高炎症を示す炎症基準値、60歳以上の年齢基準値、30以上のBMI基準値、正式な教育の12年以下の教育基準値、過去8週間における抗ヒスタミン剤、消化器系抗痙攣薬、抗めまい薬/制吐薬、抗うつ剤、膀胱抗ムスカリン剤、骨格筋弛緩剤、抗精神病薬、抗不整脈薬、抗パーキンソン病薬、又は抗コリン性ベースの薬剤の使用の薬物使用基準値、及び精神障害、神経疾患、糖尿病、メタボリックシンドローム、自己免疫疾患、心臓病、血管疾患、脳卒中、感染、負傷、喘息、又はアルコールの乱用の存在の疾患診断又は病歴の基準値を含むとき、又はc)エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値が、規範平均を下回る標準偏差1個分以上であり、1つ以上のリスク関連因子の基準値が、高炎症を示す炎症基準値、60歳以上の年齢基準値、30以上のBMI基準値、正式な教育の12年以下の教育基準値、過去8週間における抗ヒスタミン剤、消化器系抗痙攣薬、抗めまい薬/制吐薬、抗うつ剤、膀胱抗ムスカリン剤、骨格筋弛緩剤、抗精神病薬、抗不整脈薬、抗パーキンソン病薬、又は抗コリン性ベースの薬剤の使用の薬物使用基準値、及び精神障害、神経疾患、糖尿病、メタボリックシンドローム、自己免疫疾患、心臓病、血管疾患、脳卒中、感染、負傷、喘息、又はアルコールの乱用の存在の疾患診断又は病歴の基準値を含むとき、PNDについて非常に高いリスクにあるものとして特定される、実施形態1~9のいずれか1つの方法。
11.個人のリスク状態感受性が、a)エピソード記憶基準値が、規範平均を下回る標準偏差1個分以上であるとき、又はb)作業記憶基準値が、規範平均を下回る標準偏差1個分以上であるとき、又はc)エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値が、規範平均を下回る標準偏差1個分以上であるとき、又はd)エピソード記憶基準値が、規範平均及びCRPの10mg/Lの血液レベルの炎症基準値を下回る標準偏差1個分以上であるとき、又はe)作業記憶基準値が、規範平均及びCRPの10mg/Lの血液レベルの炎症基準値を下回る標準偏差1個分以上であるとき、又はf)エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値が、規範平均及びCRPの10mg/Lの血液レベルの炎症基準値を下回る標準偏差1個分以上であるとき、又はg)エピソード記憶基準値が、規範平均及び60歳以上の年齢基準値を下回る標準偏差1個分以上であるとき、又はh)作業記憶基準値が、規範平均及び60歳以上の年齢基準値を下回る標準偏差1個分以上であるとき、又はi)エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値が、規範平均及び60歳以上の年齢基準値を下回る標準偏差1個分以上であるとき、PNDについて高リスクにあるものとして特定される、実施形態1~9のいずれか1つの方法。
12.個人のリスク状態感受性が、a)エピソード記憶基準値が、規範平均を下回るが、規範平均を下回る標準偏差1個分未満であるとき、又はb)作業記憶基準値が、規範平均を下回るが、規範平均を下回る標準偏差1個分未満であるとき、又はc)エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値が、規範平均を下回るが、規範平均を下回る標準偏差1個分未満であるとき、又はd)エピソード記憶基準値が、規範平均を下回るが、規範平均及びCRPの10mg/L以上の血液レベルの炎症基準値を下回る標準偏差1個分未満であるとき、又はe)作業記憶基準値が、規範平均を下回るが、記規範平均及びCRPの10mg/L以上の血液レベルの炎症基準値を下回る標準偏差1個分未満であるとき、又はf)エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値が、規範平均を下回るが、規範平均及びCRPの10mg/L以上の血液レベルの炎症基準値を下回る標準偏差1個分未満であるとき、又はg)エピソード記憶基準値が、規範平均を下回るが、規範平均及び60歳以上の年齢基準値を下回る標準偏差1個分未満であるとき、又はh)作業記憶基準値が、規範平均を下回るが、規範平均及び60歳以上の年齢基準値を下回る標準偏差1個分未満であるとき、又はi)エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値が、規範平均を下回るが、規範平均及び60歳以上の年齢基準値を下回る標準偏差1個分未満であるとき、PNDについて中程度のリスクにあるものとして特定される、実施形態1~9のいずれか1つの方法。
13.個人のリスク状態感受性が、a)エピソード記憶基準値が、規範平均を超え、1つ以上のリスク関連因子の基準値が、CRPの10mg/L未満の血液レベルの炎症基準値、60歳未満の年齢基準値、30未満のBMI基準値、正式な教育の12年以上の教育基準値、リスク状態の薬物使用なしという薬物使用基準値、及びリスク状態の疾患診断又は病歴がないという疾患診断又は病歴基準値を含むとき、又はb)作業記憶基準値が、規範平均を超え、1つ以上のリスク関連因子の基準値が、CRPの10mg/L未満の血液レベルの炎症基準値、60歳未満の年齢基準値、30未満のBMI基準値、正式な教育の12年以上の教育基準値、リスク状態の薬物使用なしという薬物使用基準値、及びリスク状態の疾患診断又は病歴がないという疾患診断又は病歴基準値を含むとき、又はc)エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値が、規範平均を超え、1つ以上のリスク関連因子の基準値が、CRPの10mg/L未満の血液レベルの炎症基準値、60歳未満の年齢基準値、30未満のBMI基準値、正式な教育の12年以上の教育基準値、リスク状態の薬物使用なしという薬物使用基準値、及びリスク状態の疾患診断又は病歴がないという疾患診断又は病歴基準値を含むとき、PNDについて低リスクにあるものとして特定される、実施形態1~9のいずれか1つの方法。
14.個人のリスク状態感受性が、個人を、追加の監視を推奨し、手術前にPNDの治療を推奨し、かつ/又は手術後にPNDの治療を推奨するものとして分類する、実施形態1~13のいずれか1つの方法。
15.リスク状態重症度が、個人を、術前神経認知障害、術後せん妄、術後神経認知回復の遅延、軽度術後神経認知障害、重度術後神経認知障害、軽度神経認知障害、又は重度神経認知障害を有するものとして分類する、実施形態1~14のいずれか1つの方法。
16.個人のリスク状態感受性に基づいて、治療推奨を更に提供する、実施形態1~15のいずれか1つの方法。
17.治療推奨が、治療推奨なし、又は1つ以上のフィブラートを使用する治療を含む、実施形態16の方法。
18.個人のリスク状態感受性が、PNDについて非常に高いリスクにある、PNDについて高リスクにある、又はPNDについて中程度のリスクにあるものとして特定されるとき、治療推奨は、1つ以上のフィブラートを用いた治療を含む、実施形態16の方法。
19.a)個人のリスク状態感受性が、個人に術前神経認知障害があることを示すとき、治療推奨が、1つ以上のフィブラートを用いた治療を含む、又はb)個人のリスク状態感受性が、個人に術後神経認知回復の遅延があることを示すとき、治療推奨が、1つ以上のフィブラートを用いた治療を含む、又はc)個人のリスク状態感受性が、個人に軽度術後神経認知障害があることを示すとき、治療推奨が、1つ以上のフィブラートを用いた治療を含む、又はd)個人のリスク状態感受性が、個人に重度術後神経認知障害があることを示すとき、治療推奨が、1つ以上のフィブラートを用いた治療を含む、又はe)個人の記リスク状態感受性が、記個人に軽度術後神経認知障害があることを示すとき、治療推奨が、1つ以上のフィブラートを用いた治療を含む、又はf)個人のリスク状態感受性が、個人に重度術後神経認知障害があることを示すとき、治療推奨が、1つ以上のフィブラートを用いた治療を含む、実施形態15の方法。
20.1つ以上のフィブラートが、ベザフィブラート、シプロフィブラート、クリノフィブラート、クロフィブラート、クロフィブリド、フェノフィブラート、フェノフィブリン酸、ゲムフィブロジル、ロニフィブラート、シンフィブラート、又はそれらの任意の組み合わせを含む、実施形態17~19のいずれか1つの方法。
21.ウイルス感染後認知障害(PVCI)のリスクがある個人を特定及び/又は確認する方法であって、a)個人に対する、エピソード記憶基準値、作業記憶基準値、又はエピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値を判定することと、b)個人におけるウイルス感染後認知障害に対する1つ以上のリスク関連因子の基準値を判定することと、c)i)エピソード記憶スコア、作業記憶スコア、又はエピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値を規範平均と比較すること、及びii)1つ以上のリスク関連因子の各々の基準値を規範平均と比較することによって、PVCI診断スコアを判定することと、d)PVCI診断スコアを、事前に定義された閾値基準と比較することによって、PVCIの個人における診断を特定又は確認することと、を含む、方法。あるいは、ステップb)ステップc)及びステップd)は、個人に対してすでに判定されたエピソード記憶基準値、作業記憶基準値、又はエピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値を使用して実施される。したがって、ウイルス感染後認知障害(PVCI)のリスクがある個人を特定及び/又は確認する方法は、a)個人に対して判定されたエピソード記憶基準値、作業記憶基準値、又はエピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値を提供することと、b)個人におけるウイルス感染後認知障害に対する1つ以上のリスク関連因子の基準値を判定することと、c)i)エピソード記憶スコア、作業記憶スコア、又はエピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値を規範平均と比較すること、及びii)1つ以上のリスク関連因子の各々の基準値を規範平均と比較することによって、PVCI診断スコアを判定することと、d)PVCI診断スコアを、事前に定義された閾値基準と比較することによって、PVCIの個人における診断を特定又は確認することと、を含むことができる。
22.エピソード記憶基準値が、エピソード記憶試験を使用して、個人のエピソード記憶を測定することによって取得される、実施形態21の方法。
23.作業記憶基準値が、作業記憶試験を使用して、個人の作業記憶を測定することによって取得される、実施形態21の方法。
24.エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値が、エピソード記憶試験を使用した個人のエピソード記憶と、作業記憶試験を使用した個人の記作業記憶との両方を測定することによって取得される、実施形態21の方法。
25.エピソード記憶試験が、リスト学習試験、認識記憶試験、又は対連合学習試験を含む、実施形態22又は24の方法。
26.作業記憶試験が、空間作業記憶試験、空間スパン試験、数字順列試験、又はNバック試験を含む、実施形態23又は24に記載の方法。
27.1つ以上のリスク関連因子が、炎症基準値、抗ウイルス薬使用基準値、ウイルス感染診断又は病歴基準値、又はそれらの任意の組み合わせを含む、実施形態21~26のいずれか1つの方法。
28.ステップ(b)の前に、エピソード記憶基準値、作業記憶基準値、エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値、1つ以上のリスク関連因子の各々の基準値、又はそれらの任意の組み合わせに対する加重スコアを判定することを更に含む、実施形態26~31のいずれか1つの方法。
29.PVCI診断スコアが、表2の所定の閾値基準を使用して判定される、実施形態21~28のいずれか1つの方法。
30.PVCI診断が、a)エピソード記憶基準値が、規範平均を下回る標準偏差1個分以上であるとき、又はb)作業記憶基準値が、規範平均を下回る標準偏差1個分以上であるとき、又はc)エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値が、規範平均を下回る標準偏差1個分以上であるとき、又はd)エピソード記憶基準値が、規範平均を下回る標準偏差1個分以上であり、かつ1つ以上のリスク状態因子が存在するとき、又はe)作業記憶基準値が、規範平均を下回る標準偏差1個分以上であり、かつ1つ以上のリスク状態因子が存在するとき、又はf)エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値が、規範平均を下回る標準偏差1個分以上であり、かつ1つ以上のリスク状態因子が存在するとき、又はg)エピソード記憶基準値が、規範平均を下回るが、規範平均を下回る標準偏差1個分未満であり、かつ1つ以上のリスク状態因子が存在するとき、又はh)作業記憶基準値が、規範平均を下回るが、規範平均を下回る標準偏差1個分未満であり、かつ1つ以上のリスク状態因子が存在するとき、又はi)エピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値が、規範平均を下回るが、規範平均を下回る標準偏差1個分未満であり、かつ1つ以上のリスク状態因子が存在するとき、特定又は確認される、実施形態20~27のいずれか1つの方法。
31.PVCI診断スコアが、個人を、追加の監視を推奨し、かつ/又は感染後のPVCIの治療を推奨するものとして分類する、実施形態21~30のいずれか1つの方法。
32.個人のリスク状態感受性に基づいて、治療推奨を更に提供する、実施形態21~31のいずれか1つの方法。
33.治療推奨が、治療推奨なし、又は1つ以上のフィブラートを使用する治療を含む、実施形態32の方法。
34.1つ以上のフィブラートが、ベザフィブラート、シプロフィブラート、クリノフィブラート、クロフィブラート、クロフィブリド、フェノフィブラート、フェノフィブリン酸、ゲムフィブロジル、ロニフィブラート、シンフィブラート、又はそれらの任意の組み合わせを含む、実施形態33の方法。
【0117】
本明細書の態様は、以下の実施形態によっても説明できる。
1.1つ以上のフィブラートを含む組成物を投与することによって、周術期神経認知障害又はウイルス感染後認知障害を治療する方法。
2.1つ以上のフィブラートが、ベザフィブラート、シプロフィブラート、クリノフィブラート、クロフィブラート、クロフィブリド、フェノフィブラート、フェノフィブリン酸、ゲムフィブロジル、ロニフィブラート、シンフィブラート、又はそれらの任意の組み合わせを含む、実施形態1の方法。
3.周術期神経認知障害が、術後神経認知回復の遅延(又は早期術後認知機能障害)、軽度術後神経認知障害(又は長期術後認知機能障害)、重度術後神経認知障害(又は長期術後認知機能障害)、軽度神経認知障害(又は長期術後認知機能障害)、又は重度神経認知障害(又は長期術後認知機能障害)である、実施形態1又は2の方法。
4.周術期神経認知障害又はウイルス感染後認知障害の治療に使用するための1つ以上のフィブラートを含む組成物。
5.1つ以上のフィブラートが、ベザフィブラート、シプロフィブラート、クリノフィブラート、クロフィブラート、クロフィブリド、フェノフィブラート、フェノフィブリン酸、ゲムフィブロジル、ロニフィブラート、シンフィブラート、又はそれらの任意の組み合わせを含む、実施形態4の組成物。
6.周術期神経認知障害が、術後神経認知回復の遅延(又は早期術後認知機能障害)、軽度術後神経認知障害(又は長期術後認知機能障害)、重度術後神経認知障害(又は長期術後認知機能障害)、軽度神経認知障害(又は長期術後認知機能障害)、又は重度神経認知障害(又は長期術後認知機能障害)である、実施形態4又は5の組成物。
7.周術期神経認知障害又はウイルス感染後認知障害の治療のための医薬品の製造における1つ以上のフィブラートの使用。
8.1つ以上のフィブラートが、ベザフィブラート、シプロフィブラート、クリノフィブラート、クロフィブラート、クロフィブリド、フェノフィブラート、フェノフィブリン酸、ゲムフィブロジル、ロニフィブラート、シンフィブラート、又はそれらの任意の組み合わせを含む、実施形態7の使用。
9.周術期神経認知障害が、術後神経認知回復の遅延(又は早期術後認知機能障害)、軽度術後神経認知障害(又は長期術後認知機能障害)、重度術後神経認知障害(又は長期術後認知機能障害)、軽度神経認知障害(又は長期術後認知機能障害)、又は重度神経認知障害(又は長期術後認知機能障害)である、実施形態7又は8の使用。
【実施例
【0118】
以下の非限定的な実施例は、現在企図されている代表的実施形態のより完全な理解を容易にするために、例解の目的でのみ提供される。これらの実施例は、本明細書に開示される化合物、医薬組成物、又は方法及び使用に関連するものを含む、本明細書に記述された実施形態のいずれかを制限するものと解釈されるべきではない。
【0119】
実施例1
待機的手術後の高齢者コホートにおけるPOCDのリスク予測因子の臨床研究
二次解析は、欧州で実施された予測多施設観察研究から収集されたデータセットに対して実施された。解析は、予想手術時間が60分以上の待機的手術を受けた患者933人において実施された。全ての患者は、少なくとも65歳で、ミニメンタルステート検査(MMSE)スコアが>23であった。認知評価は、手術前(ベースライン)、退院時(術後7日目)、術後3ヵ月の経過観察時に収集された。認知評価には、反応時間(RTI、単純な注意力の測定)、対連合学習(PAL、エピソード記憶の測定)、空間スパン(SSP、作業記憶の測定)、及び言語認識記憶(VRM、認識記憶の測定)を含む、Cambridge Neuropsychological Test Automated Battery (CANTAB)のテストが含まれる。これらの認知試験の各々は、複数の異なる結果測定(例えば、エラー、潜在、スパン長さ)を産出し、タスクの各々に対する参加者の成績の統計評価を許容する。
【0120】
術前の認知障害を判定するため(すなわち、術前に認知障害があることが、PNDに対する人のリスク感受性を高めるかどうかを判定するため)、術前のPALタスクとSSPタスクの成績をそれぞれ使用して、エピソード記憶基準値と作業記憶基準値から組み合わせ(すなわち、複合)リスクスコアを計算した。この組み合わせリスクスコアを生成するために使用された各タスクの結果測定は、PAL試験8形状の調整済み総エラー数(PALTEA8)、及びSSPテストの総エラー数(SSPTE)であった。各個人の参加者がPNDのリスクとなり得る術前認知障害を有していたかどうかを判定するため、これら2つの結果測定(PAL試験8形状の調整済み総エラー数、及びSSPテストの総エラー数)の術前(ベースライン)データを、手術グループ参加者と対照グループ参加者との両方にわたってプールし、各個人の参加者を比較できる規範データ比較としての役目を果たした。このエピソード記憶及び作業記憶組み合わせ基準値の計算は、以下の通りである。まず、各参加者について、各エピソード記憶及び作業記憶のZスコアを創出した。ZPALTEA8=-(PALTEA8個人の参加者スコア-PALTEA8規範平均)/PALTEA8規範SD、及びZSSPTE=-(SSPTE個人の参加者スコア-SSPTE規範平均)/SSPTE規範SD。次に、これらのスコアを一緒に計算し、記憶機能に関する組み合わせリスクスコアを創出した。組み合わせリスクスコア=(ZPALTEA8+ZSSPTE)/2。ここでは、マイナスリスクスコアとは、個人の参加者の成績が規範平均よりも悪いことを意味し得る。
【0121】
各参加者に対する全体的な術前認知障害は、規範比較の平均を下回る(すなわち、劣る)(PAL試験8形状の調整済み総エラー数、及びSSPテストの総エラー数での)認知試験成績として分類された。軽度から中等度の術前障害は、認知試験成績が規範比較の平均の1SD未満である(すなわち、1SD超悪い)として分類された。
【0122】
術前認知機能障害(術前の全体的な機能障害又は術前の軽度から中等度の機能障害のいずれか)がPNDのリスクにある個人にあるかどうかを評価するために、術後の認知能力の変化を統計的に評価した。認知能力における術後の変化を評価するために、最終的に、参加者がPNDを有していたかどうかを判定するために、欧州の研究で使用されたCANTABタスクの各々から1つの結果測定を使用して、信頼性の高い変化指数(RCI)スコアを計算した。RTIタスクについては、正しい潜在結果測定を使用した。PALタスクについては、調整済み総エラー数結果測定を使用した。SSPタスクについては、スパン長さ結果測定度を使用した。VRMタスクについては、単語の即時自由想起結果測定を使用した。記述された認知結果測定の各々について、対応するRCIを計算した。RCI=(ΔX-ΔXc)/SD(ΔXc)、式中、ΔXは、術前(ベースライン)と比較した術後の試験スコアの差を指し、ΔXcは、反復認知試験における学習効果と変動性を補正するために、非手術対照グループ(n=114)における対応する測定時点間の平均試験スコア差を指す。次に、RCIを、対照グループSD(ΔXc)の平均差の標準偏差(SD)に正規化した。各参加者の全体的なRCIスコアは、対照グループのRCIスコアの合計の標準偏差SD(Σ(RCIc)に対する、各認知結果測定の全てのRCIスコアの合計Σ(RCI)として、式、複合RCI:Σ(RCI)/SD(Σ(RCIc))を使用して定義された。1)総RCIスコアがマイナスの値であった場合(手術後に認知能力が低下したことを示す)、又は2)総RCIスコアが0.5SD超の低下を表していた場合(手術後に認知能力が少なくともSD半個分低下したことを示す)、その個人はPNDを有すると定義された。
【0123】
術前(ベースライン)と術後(3ヵ月の経過観察)の両時点におけるCANTABタスクでの認知能力の概要を生成するため、手術参加者と対照参加者の試験結果測定変数の各々の要約記述統計量を表3に示す。
【0124】
【表3】
PNDの異なる分類の各々に対する、エピソード記憶及び作業記憶の術前「リスク」組み合わせスコア(マイナスRCIスコア及びRCIスコア>0.5SD)に関する認知能力の概要を生成するために、以下の表4に要約記述統計量を提供する。組み合わせスコアに加えて、記述統計量はまた、エピソード記憶及び作業記憶の両方に対して独立して提供される。
【0125】
【表4】
【0126】
ピアソン相関係数を計算し、エピソード記憶及び作業記憶組み合わせリスクスコア(術前)と3ヵ月後のPND RCI結果スコアとの間の線形関係をアセスメントした:r=1.54、p<.001値。結果の方向性は、ベースラインにおけるエピソード及び作業記憶組み合わせリスクスコアの成績が悪いほど、術後3ヵ月におけるベースラインRCIスコアからのマイナスの変化と有意に関連付けられていることを示している。この結果の方向性は、エピソード及び作業記憶組み合わせリスクスコアの成績の悪化が、術後の認知能力の低下に関連付けられていることを示している。この関連を更に探索するため、バイナリロジスティック回帰を行い、ベースラインの成績が悪いこと(すなわち、規範平均に対して術前認知障害があること)が、PND発症リスクの有意な予測因子であることを確認した。
【0127】
バイナリロジスティック回帰は、エピソード+作業記憶組み合わせリスクスコアにおいて、全体的な術前認知障害(すなわち、規範比較の平均を下回る認知試験の成績)が、年齢をコントロールしているときに、PND(マイナスのRCIスコア)の有意な予測因子であることを示す。ワルド=11.472、P<.001。組み合わせリスクスコアのオッズ比は1.764(95%Cl1.270~2.450)であり、3ヵ月後にPNDを有するオッズは、組み合わせリスクスコアで、術前の成績が規範平均より悪い人の方が、術前の成績が標準平均より良い人よりも、=100(1.764-1)=76%高いことを示している。
【0128】
バイナリロジスティック回帰は、エピソード+作業記憶組み合わせリスクスコアにおける全体的な術前認知障害(すなわち、規範比較の平均を下回る認知試験の成績)が、年齢をコントロールしているときに、PND(RCIスコア>0.5SD)の趨勢的に有意な予測因子であることを示す。ワルド=3.114、P=.078。リスクスコアのオッズ比は1.379(95%Cl.965~1.971)であり、3ヵ月後にPNDを有するオッズは、組み合わせリスクスコアで、術前の成績が規範平均より悪い人の方が、術前の成績が標準平均より良い人よりも、=100(2.064-1)=38%高いことを示している。RCIスコアがベースラインから>0.5SD低下することで定義されるPNDを満たす参加者の割合は、30%である。
【0129】
検査した患者のうち、6%が、エピソード+作業記憶組み合わせリスクスコアの規範比較よりも>1SD低い成績によって定義される軽度から中等度の術前障害を有していた。バイナリロジスティック回帰は、エピソード記憶+作業記憶組み合わせリスクスコアにおいて、規範比較の平均を下回る>1SDの術前の欠損が、年齢をコントロールしているときに、PND(マイナスのRCIスコア)の有意な予測因子となる傾向があることを示す。ワルド=3.048、P=.081。リスクスコアのオッズ比は1.877(95%Cl.926~3.805)であり、3ヵ月後にPNDを有するオッズは、組み合わせリスクスコアにおいて、>1SDの術前の欠損のある人が、術前の欠損がない人に比べて=100(1.877-1)=88%高いことを示す。バイナリロジスティック回帰は、エピソード+作業記憶組み合わせリスクスコアにおいて、規範比較の平均を下回る>1SDの術前の欠損が、年齢をコントロールしているときに、PND(RCIスコア>0.5SD)の有意な予測因子となることを示す。ワルド=4.231、P=.040。リスクスコアのオッズ比は2.064(95%Cl1.035~4.118)であり、3ヵ月後にPNDを有するオッズは、組み合わせリスクスコアにおいて、>1SDの術前の欠損のある人が、術前の欠損がない人に比べて=100(2.064-1)=106%高いことを示す。RCIスコアがベースラインから>0.5SD低下することで定義されるPNDを満たす参加者の割合は、30%である。
【0130】
大規模な欧州データセットの二次解析により、年齢をコントロールしながら、PNDの結果を判定するための認知リスク因子(エピソード及び作業記憶)が問題なく特定された。この解析の結果は、PNDのリスクに関連付けられた主要な因子を測定するための標準化された予測ツールの開発をサポートし、この分野の大きな医学的進歩を提供する。
【0131】
最後に、本発明の実施形態の前述の説明は、例解及び説明の目的で提示されている。本発明の態様は、具体的な実施形態を参照することによって強調されるが、当業者であれば、これらの記載される実施形態が本発明を含む原理の例解に過ぎないことを容易に理解するであろう。そのため、具体的な実施形態は、網羅的であることを意図しておらず、又は本発明を開示される正確な形態に限定することを意図するものではない。したがって、当然のことながら、本開示の主題の実施形態は、本明細書に記述される特定の要素、化合物、組成物、構成要素、物品、装置、方法論、使用、プロトコル、ステップ、及び/又は限定に決して限定されないが、そのように明示的に記載されていない限り、決して限定されない。
【0132】
加えて、本発明の代替的な実施形態、要素、ステップ及び/又は限定のグループ分けは、限定として解釈されるべきではない。そのような各グループ分けは、個々に、又は本明細書に開示された他のグループ分けと任意に組み合わせて、参照及び請求され得る。グループ分けの1つ以上の代替的な実施形態、要素、ステップ及び/又は限定は、利便性及び/又は特許性を理由に、グループ分けに含まれ得、又はグループ分けから削除され得ることが予期される。そのような包含又は削除が行われた場合、本明細書は修正されたグループ分けを含むものとみなされ、添付の特許請求の範囲で使用される全てのマーカッシュ群の記述を満たすことになる。
【0133】
更に、当業者であれば、本発明の精神から逸脱することなく、本明細書の教示に従って、特定の変更、修正、並べ替え、改変、追加、減算、及びそれらの下位組み合わせを行うことができることを認識するであろう。更に、以下の添付の特許請求の範囲及び今後導入される特許請求の範囲は、その真の精神及び範囲内にある全てのかかる変更、修正、並べ替え、改変、追加、減算及び下位組み合わせを含むと解釈されることが意図される。従って、本発明の範囲は、本明細書によって示され記載されたものに正確に限定されるものではない。
【0134】
本発明を実施するための発明者に知られている最良のモードを含む、本発明の特定の実施形態が本明細書に記述される。当然のことながら、これらの記載された実施形態の変形は、前述の説明を読めば当業者には明らかになるであろう。本発明者は、当業者が適宜そのような変形を採用することを期待しており、本発明者らは、本明細書に具体的に記載した以外の方法で本発明を実施することを意図している。したがって、本発明は、適用法によって許可される通り、添付の特許請求の範囲に列挙された主題の全ての変更及び等価物を含む。その上、上述の実施形態のあらゆる可能な変形例における任意の組み合わせは、本明細書において別様に示されない限り、又は別様に文脈によって明らかに矛盾しない限り、本発明に包含される。
【0135】
本明細書で使用される語句、文言、及び用語は、特定の実施形態、要素、ステップ、及び/又は制限のみを記述する目的で使用され、特許請求の範囲によってのみ定義される本発明の範囲を限定することを意図するものではない。加えて、そのような語句、文言、用語は、一般的に定義された意味においてのみ理解されるのではなく、本明細書における特別な定義により、一般的に定義された意味の範囲を超えた構造、材料、行為も含まれるものとする。したがって、要素、ステップ又は制限が、複数の意味を含むものとして本明細書の文脈において理解できる場合、請求項におけるその使用は、本明細書によって、及び語句自体によってサポートされる全ての可能な意味に対して一般的であると理解されなければならない。
【0136】
したがって、本明細書では、以下に示す請求項に記載された要素、ステップ又は制限の定義及び意味は、文字通り記載された要素、ステップ又は制限の組み合わせだけでなく、実質的に同じ結果を得るために実質的に同じ方法で実質的に同じ機能を実行するための全ての等価な構造、材料又は行為を含むように定義される。したがって、この意味において、2つ以上の要素、ステップ、及び/又は制限の等価な置換が、以下に規定する特許請求の範囲における要素、ステップ又は制限のいずれか1つに等価に置き換えられ得、又は単一の要素、ステップ又は制限が、そのような特許請求の範囲における2つ以上の要素、ステップ及び/又は限定に置き換えられ得ることが企図される。要素、ステップ又は制限は、特定の組み合わせで作用するものとして上述され得、最初にそのように請求され得るが、請求された組み合わせからの1つ以上の要素、ステップ及び/又は制限は、場合により、組み合わせから削除され得、請求された組み合わせは、下位組み合わせ又は下位組み合わせの変形に向けられ得ることが明示的に理解されるべきである。したがって、請求項の要素、ステップ及び/又は制限が特定の組み合わせで以下に記載されるという事実にもかかわらず、本発明は、そのような組み合わせで最初に請求されない場合でも、上述の組み合わせで開示される、より少ない、より多い、又は異なる要素、ステップ及び/又は制限の他の組み合わせを含むことを明示的に理解しなければならない。更に、現在知られている、又は後に考案される、当業者から見て請求された主題からのごくわずかな変更は、等価的に特許請求の範囲内であることが明示的に企図されている。したがって、当業者にとって現在又は後に公知となった明白な代替案は、定義された要素の範囲内であると定義される。したがって、特許請求の範囲には、上記で具体的に例解及び説明したもの、概念的に同等なもの、明らかに代替可能なもの、更に本発明の本質的な思想を本質的に取り入れたものが含まれると理解される。
【0137】
別様に指示がない限り、本明細書及び特許請求の範囲において使用される特性、項目、数量、パラメータ、性質、用語などを表す全ての数字は、全ての場合で用語「約」によって修正されていると理解されるべきである。本明細書で使用される場合、「約」という用語は、特性、項目、数量、パラメータ、性質、又は用語が、記載された特性、項目、数量、パラメータ、性質、又は用語の値の上下にプラスマイナス10%の範囲を包含することを意味する。したがって、反対に示されない限り、本明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、変動し得る近似値である。例えば、質量分析装置は、与えられた分析物の質量を判定する際にわずかに異なる可能性があるため、イオンの質量又はイオンの質量/電荷比の文脈における「約」という用語は、+/-0.50原子質量単位を指す。少なくとも、特許請求の範囲に対する等価物の原則の適用を制限する試みとしてではなく、各数値表示は少なくとも、報告された有効数字の桁数を考慮し、通常の四捨五入技術を適用して解釈されるべきである。
【0138】
本発明の広範な範囲を示す数値範囲及び数値が近似値であるにもかかわらず、具体的な実施例に記載される数値範囲及び値は、可能な限り正確に報告されている。しかしながら、任意の数値範囲又は値は、それぞれの試験測定に見られる標準偏差から必然的にもたらされる特定の誤差を本質的に包含する。本明細書の値の数値範囲を列挙することは、単に、その範囲内にある各別個の数値を個々に参照する、簡易的な方法としての役割を果たすことを意図しているに過ぎない。本明細書において別様に記載がない限り、数値範囲の各個々の値は、本明細書に個別に列挙されているかのように本明細書に組み込まれる。
【0139】
実施形態又は実施形態の態様に関連して、用語「may(し得る)」又は「can(できる)」を使用することは、代替的な意味である「may not(できない場合がある)」又は「cannot(できない)」も伴う。したがって、本明細書が、実施形態又は実施形態の一態様が、発明の主題の一部として含まれ得るか、又は含まれる可能性があることを開示する場合、負の制限又は排他的なただし書きも明示的に意味され、すなわち、実施形態又は実施形態の一態様が、発明の主題の一部として含まれない場合があるか、又は含まれない可能性があることを意味する。同様に、実施形態又は実施形態の態様に関連して「optionally(任意選択的に)」という用語を使用することは、そのような実施形態又は実施形態の態様が、発明の主題の一部として含まれ得、又は発明の主題の一部として含まれない場合があることを意味する。そのような否定的な制限又は排他的なただし書きが適用されるかどうかは、否定的な制限又は排他的なただし書きが請求された主題に列挙されているかどうかに基づく。
【0140】
本発明を説明する文脈(特に以下の特許請求の範囲の文脈)で使用される用語「a」、「an」、「the」及び類似の参照は、本明細書に別様に示唆がない限り、又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数形及び複数形の両方を網羅するものとして解釈されるものとする。更に、特定された要素の序数指標、例えば、「第1」、「第2」、「第3」などは、要素を区別するために使用され、必須又は限定された数のそのような要素を示すものでも、暗示するものでもなく、特に別様に明記されない限り、そのような要素の特定の位置又は順序を示すものでもない。本明細書に記載される全ての方法は、本明細書で別様に指示がない限り、又は文脈上明らかに矛盾する場合を除き、任意の好適な順序で実施することができる。本明細書に提供される任意の、及び全ての実施例又は例示的な文言(例えば、「such as(など)」)の使用は、単に本発明をより良く啓発するためのものであり、別様に請求項に記載される発明の範囲を制限するものではない。本発明の実施に必須である任意の非請求要素を示すものとして、本明細書のいかなる文言も解釈してはならない。
【0141】
特許請求の範囲において使用される場合、出願時のものであろうと補正により追加されたものであろうと、「comprising(備える)」という制約のない移行句、例えば「comprise(備える)」及び「comprises(備える)」などのその変形、及び「including(含んでいる)」、「containing(包含する)」及び「having(有する)」のような同等の制約のない移行句は、明示的に列挙された全ての要素、制限、ステップ、整数、及び/又は特徴を単独で又は未記載の主題と組み合わせて包含し、命名された要素、制限、ステップ、整数、及び/又は特徴は必須であるが、他の命名されていない要素、制限、ステップ、整数、及び/又は特徴が追加され、特許請求の範囲内の構成を形成し得る。 本明細書で開示される具体的な実施形態は、「comprising(備える)」の代わりに、又は「comprising essentially of(本質的に備える)」の補正として、「consisting of(からなる)」又は「consisting essentially of(から本質的になる)」(又は、例えば、「consist of(からなる)」、「consists of(からなる)」、「consist essentially of(から本質的になる)」、及び「consists essentially of(から本質的になる)」などのその変形)という制限のない移行句を使用して、特許請求の範囲において更に限定され得る。特許請求の範囲において使用される場合、出願時のものであろうと補正により追加されたものであろうと、制限のない移行句の「consisting of(からなる)」は、特許請求の範囲において明示的に列挙されていない任意の要素、制限、ステップ、整数、又は特徴を除外する。制限のない移行句「consisting essentially of(から本質的になる)」は、特許請求の範囲を、明示的に列挙された要素、制限、ステップ、整数、及び/又は特徴、並びに請求される対象の基本的かつ新規な特性に実質的に影響を与えない任意の他の要素、制限、ステップ、整数、及び/又は特徴に限定する。したがって、制限のない移行句「comprising(備える)」の意味は、具体的に列挙された全ての要素、制限、ステップ及び/又は特徴、並びに任意の任意選択の、追加の不特定のものを包含するものとして定義される。制限のない移行句「consisting of(からなる)」の意味は、特許請求の範囲に具体的に列挙された要素、制限、ステップ、整数、及び/又は特徴のみを含むものとして定義されているのに対し、制限のない移行句「consisting essentially of(から本質的になる)」の意味は、特許請求の範囲に具体的に列挙された要素、制限、ステップ、整数、及び/又は特徴、並びに請求される主題の基本的かつ新規な特性に実質的に影響を与えない要素、制限、ステップ、整数、及び/又は特徴のみを含むものとして定義されている。 したがって、制限のない移行句「comprising(備える)」(及びその同等の制限のない移行句)は、限定例として、その意味の範囲内において、制限のなる移行句「consisting of(からなる)」又は「consisting essentially of(から本質的になる)」によって指定される、請求される主題を含む。このように、本明細書に記載された、又は「comprising(備える)」という表現で特許請求された実施形態は、明示的かつ一義的に、「consisting essentially of(から本質的になる)」及び「consisting of(からなる)」というフレーズに対する説明、有効性、及び裏付けを提供する。
【0142】
最後に、本明細書において引用及び特定される全ての特許、特許刊行物、及びその他の参考文献は、例えば、本発明に関連して使用され得るそのような刊行物に記載される組成物及び方法論を記述及び開示する目的で、参照によりその全体が個別にかつ明示的に本明細書に組み込まれる。これらの刊行物は、本願出願の出願日以前にその開示のためにのみ提供される。この点に関して、発明者らが先行発明やその他の理由によってそのような開示に先行する権利を有していないことを認めるものでも、また認めるべきものでもない。これらの書類の日付又は表明に関する全ての記述は、申請者が入手可能な情報に基づくものであり、これらの書類の日付又は表明が正しいことを認めるものではない。
【国際調査報告】