(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-30
(54)【発明の名称】非侵襲性医療装置の効率および障害検出システムならびに使用方法
(51)【国際特許分類】
G16H 10/60 20180101AFI20240123BHJP
A61M 5/142 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
G16H10/60
A61M5/142 530
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023543171
(86)(22)【出願日】2022-01-18
(85)【翻訳文提出日】2023-07-18
(86)【国際出願番号】 US2022012708
(87)【国際公開番号】W WO2022159362
(87)【国際公開日】2022-07-28
(32)【優先日】2021-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】501205108
【氏名又は名称】エフ ホフマン-ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エイクロイド、ティモシー エヌ
(72)【発明者】
【氏名】リヒト、アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ウーテン、ステファニー アン
【テーマコード(参考)】
4C066
5L099
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD11
4C066QQ46
4C066QQ77
5L099AA21
(57)【要約】
光電式容積脈波記録法(PPG)センサ装置、プロセッサ、メモリ、および治療処置の送達時にシステムに医療装置からPPG装置において通知を受信させ、PPG装置を使用して、所定期間内の通知に基づいてユーザの信号応答を検索して、治療処置の送達を示す応答信号を生成させ、十分な治療処置の送達を検出できなかったことを示す応答信号が所定期間内に生成されなかった場合、警告を送信させ得る機械可読命令を含む医療装置効率検出方法およびシステム。命令は、注入部位のPPG装置からの信号測定値が、注入部位が医療装置による治療処置の送達に不十分であることを示すのに十分な信号範囲内にない場合に、システムに警告を送信させ得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療装置効率検出システムであって、
光電式容積脈波記録法(PPG)センサ装置と、
治療処置を施すように構成された医療装置と、
前記PPGセンサ装置および前記医療装置に通信可能に結合されたプロセッサと、
前記プロセッサに通信可能に結合されたメモリと、
前記メモリに記憶された機械可読命令であって、前記プロセッサによって実行されると、前記医療装置効率検出システムに、少なくとも
前記PPGセンサ装置と前記医療装置とを通信可能に接続すること、
前記医療装置を介して注入部位においてユーザに前記治療処置を送達すること、
前記治療処置の送達時に前記医療装置から前記PPGセンサ装置において通知を受信すること、
前記PPGセンサ装置を使用して、期間内の前記通知に基づいて前記ユーザの信号応答を検索し、治療処置送達を示す応答信号を生成すること、および
十分な治療処置送達を検出できなかったことを示す前記応答信号が前記期間内に生成されなかった場合に警告を送信すること、を実行させる、機械可読命令と、を備える、医療装置効率検出システム。
【請求項2】
前記機械可読命令が、前記応答信号が前記期間内の遅延期間の後に生成されたときに前記警告を送信する命令をさらに含む、請求項1に記載の医療装置効率検出システム。
【請求項3】
前記機械可読命令が、前記期間内に生成された前記応答信号が閾値未満である場合に前記警告を送信する命令をさらに含む、請求項1に記載の医療装置効率検出システム。
【請求項4】
生成された前記応答信号が前記閾値未満である場合、前記警告が、前記注入部位を前記ユーザ上の別の位置に移動させるための指示を含む、請求項3に記載の医療装置効率検出システム。
【請求項5】
前記医療装置がインスリン送達装置を備え、前記治療処置がインスリンボーラスを含む、請求項1に記載の医療装置効率検出システム。
【請求項6】
前記インスリン送達装置が、インスリンポンプ、インスリン注射ペン、インスリン吸入器、またはインスリンショットのうちの1つを備える、請求項5に記載の医療装置効率検出システム。
【請求項7】
前記機械可読命令が、適用されたフィルタによって前記信号応答をフィルタリングする命令をさらに含む、請求項1に記載の医療装置効率検出システム。
【請求項8】
前記適用されたフィルタが、ノイズを低減するための帯域通過フィルタおよびノッチフィルタのうちの1つを備える、請求項7に記載の医療装置効率検出システム。
【請求項9】
前記信号応答が正規化され、前記適用されたフィルタが対応するDC部分を除去する、請求項7に記載の医療装置効率検出システム。
【請求項10】
前記PPGセンサ装置が、前記注入部位から離れた前記ユーザの領域に配置されるように構成された別個のウェアラブル装置を備える、請求項1に記載の医療装置効率検出システム。
【請求項11】
前記PPGセンサ装置が、リストバンド、リング、指クリップ、接着パッチ、つま先クリップ、イヤホン型装置、イヤリング、または額バンドを備える、請求項10に記載の医療装置効率検出システム。
【請求項12】
前記PPGセンサ装置がモバイルスマート装置を備え、前記モバイルスマート装置のカメラおよびフラッシュが、前記PPGセンサ装置のフォトダイオードおよび光源としてそれぞれ機能するように構成されている、請求項10に記載の医療装置効率検出システム。
【請求項13】
前記PPGセンサ装置が前記医療装置と一体化されている、請求項1に記載の医療装置効率検出システム。
【請求項14】
医療装置効率検出システムであって、
光電式容積脈波記録法(PPG)センサ装置と、
治療処置を施すように構成された医療装置と、
前記PPGセンサ装置および前記医療装置に通信可能に結合されたプロセッサと、
前記プロセッサに通信可能に結合されたメモリと、
前記メモリに記憶された機械可読命令であって、前記プロセッサによって実行されると、前記医療装置効率検出システムに、少なくとも
前記PPGセンサ装置と前記医療装置とを通信可能に接続すること、
前記医療装置が接続されている注入部位においてユーザに前記治療処置を送達すること、
前記治療処置の送達時に前記医療装置から前記PPGセンサ装置において通知を受信すること、
前記PPGセンサ装置を使用して、期間内の前記通知に基づいて前記ユーザの信号応答を検索し、治療処置送達を示す応答信号を生成すること、および
十分な治療処置送達を検出できないことを示す前記応答信号が前記期間内に生成されない場合、前記期間内の遅延期間後に前記応答信号が生成される場合、前記期間内に生成された前記応答信号が閾値未満である場合、またはそれらの組み合わせの場合、警告を送信すること、を実行させる、機械可読命令と、を備える、医療装置効率検出システム。
【請求項15】
生成された前記応答信号が前記閾値未満である場合、前記警告が、前記注入部位を前記ユーザ上の別の位置に移動させるための指示を含む、請求項14に記載の医療装置効率検出システム。
【請求項16】
前記PPGセンサ装置が、前記注入部位から離れた前記ユーザの領域に配置されるように構成された別個のウェアラブル装置を備える、請求項14に記載の医療装置効率検出システム。
【請求項17】
前記PPGセンサ装置が前記医療装置と一体化されている、請求項14に記載の医療装置効率検出システム。
【請求項18】
医療装置効率検出システムであって、
光電式容積脈波記録法(PPG)センサ装置と、
前記PPGセンサ装置に通信可能に結合されたプロセッサと、
前記プロセッサに通信可能に結合されたメモリと、
前記メモリに記憶された機械可読命令であって、前記プロセッサによって実行されると、前記医療装置効率検出システムに、少なくとも
医療装置が治療処置を施すことになるユーザの注入部位の上方に前記PPGセンサ装置を配置すること、
前記注入部位の下方にある組織および血管系に関して前記PPGセンサ装置から信号測定値を生成すること、
前記注入部位が前記医療装置による前記治療処置の送達に十分であるように、前記信号測定値が十分な信号範囲内にあるかどうかを決定すること、
前記信号測定値が、前記注入部位が前記医療装置による前記治療処置の送達に不十分であることを示すのに十分な信号範囲内にない場合、警告を送信すること、を実行させる、機械可読命令と、を備える、医療装置効率検出システム。
【請求項19】
前記機械可読命令が、前記注入部位の前記信号測定値が前記十分な信号範囲内にない場合、前記PPGセンサ装置を1つまたは複数の他の注入部位の上方に配置して、前記1つまたは複数の他の注入部位の前記信号測定値のうちの1つが前記十分な信号範囲内に入るまで、それぞれの信号測定値を分析する命令をさらに含む、請求項18に記載の医療装置効率検出システム。
【請求項20】
前記治療処置を施すように構成された前記医療装置をさらに備え、前記プロセッサが、前記PPGセンサ装置および前記医療装置に通信可能に結合され、前記機械可読命令が、
前記注入部位の前記信号測定値または前記1つもしくは複数の他の注入部位の前記信号測定値のうちの1つが十分な注入部位を示すのに十分な信号範囲内にある場合、前記医療装置を前記十分な注入部位に配置し、
前記医療装置を使用して前記十分な注入部位において前記治療処置を前記ユーザに送達する命令をさらに含む、請求項19に記載の医療装置効率検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、一般に、非侵襲性医療装置の効率検出システムおよび使用方法に関し、より具体的には、非侵襲性医療装置の効率および障害検出システム、ならびに閉ループ接続装置を使用してインスリン障害検出、インスリン部位十分性、またはそれらの組み合わせを決定するための使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療装置が使用されて、糖尿病ユーザへのインスリン投与によるインスリンの送達など、疾患を処置するための治療を投与し得る。時には、医療装置は、インスリンの送達を妨げる閉塞などの障害を含むことがあるが、検出されないことがある。医療装置は、最適量のインスリンが投与されない部位において治療をさらに送達し得る。
【0003】
したがって、医療装置システムおよびそのようなシステムの使用方法を介してユーザを処置するための治療を効率的に送達する代替システムが必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
一実施形態では、医療装置効率検出システムは、光電式容積脈波記録法(PPG)センサ装置と、治療処置を施すように構成された医療装置と、PPGセンサ装置および医療装置に通信可能に結合されたプロセッサと、プロセッサに通信可能に結合されたメモリと、メモリに記憶された機械可読命令とを含み得る。機械可読命令は、プロセッサによって実行されると、医療装置効率検出システムに、少なくとも、PPGセンサ装置と医療装置とを通信可能に接続すること、医療装置を介して注入部位においてユーザに治療処置を送達すること、治療処置の送達時に医療装置からPPGセンサ装置において通知を受信すること、PPGセンサ装置を使用して、所定期間内の通知に基づいてユーザの信号応答を検索して、治療処置送達を示す応答信号を生成すること、および十分な治療処置送達を検出できなかったことを示す応答信号が所定期間内に生成されなかった場合、警告を送信すること、を実行させ得る。
【0005】
他の一実施形態では、医療装置効率検出システムは、光電式容積脈波記録法(PPG)センサ装置と、治療処置を施すように構成された医療装置と、PPGセンサ装置および医療装置に通信可能に結合されたプロセッサと、プロセッサに通信可能に結合されたメモリと、メモリに記憶された機械可読命令と、を含み得る。機械可読命令は、プロセッサによって実行されると、医療装置効率検出システムに、少なくとも、PPGセンサ装置と医療装置とを通信可能に接続すること、医療装置を介して注入部位においてユーザに治療処置を送達すること、治療処置の送達時に医療装置からPPGセンサ装置において通知を受信すること、PPGセンサ装置を使用して、治療処置の送達を示す応答信号を生成するために所定期間内の通知に基づいてユーザの信号応答を検索すること、および十分な治療処置の送達を検出できなかったことを示す所定期間内に応答信号が生成されなかった場合、所定期間内の遅延期間後に応答信号が生成された場合、所定期間内に生成された応答信号が閾値未満である場合、またはそれらの組み合わせの場合、警告を送信すること、を実行させ得る。
【0006】
さらに1つの他の実施形態では、医療装置効率検出システムは、光電式容積脈波記録法(PPG)センサ装置と、PPGセンサ装置に通信可能に結合されたプロセッサと、プロセッサに通信可能に結合されたメモリと、メモリに記憶された機械可読命令と、を含み得る。機械可読命令は、プロセッサによって実行されると、医療装置効率検出システムに、少なくとも、医療装置が治療処置を施すユーザの注入部位の上にPPGセンサ装置を配置すること、注入部位の下方にある組織および血管系に関してPPGセンサ装置から信号測定値を生成すること、注入部位が医療装置による治療処置の送達に十分であるように、信号測定値が十分な信号範囲内にあるかどうかを決定すること、および注入部位が医療装置による治療処置の送達に不十分であることを示すために信号測定値が十分な信号範囲内にない場合、警告を送信すること、を実行させ得る。
【0007】
本明細書に記載の実施形態によって提供されるこれらおよび追加の特徴は、図面と併せて、以下の詳細な説明を考慮してより完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図面に示される実施形態は、本質的に説明的且つ例示的であり、特許請求の範囲によって定義される主題を限定することを意図するものではない。例示の実施形態の以下の詳細な説明は、以下の図面と併せて読むことで理解されることができ、図面において、同様の構造は、同様の参照符号によって示されている。
【0009】
【
図1】本明細書に図示および説明される1つまたは複数の実施形態にかかる、注入部位においてユーザにインスリンを送達するための光電式容積脈波記録法(PPG)センサ装置およびインスリン送達装置を含む医療装置効率検出システムを概略的に示している。
【
図2】異なる波長でPPGセンサ装置によって検出される、
図1のインスリン送達装置によって送達されるインスリンの存在に対する測定された生理学的応答を概略的に示している。
【
図3】インスリンが送達されていないときの異なる波長で
図1のPPGセンサ装置によって検出される測定された生理学的応答を概略的に示している。
【
図4】本明細書に図示および説明される1つまたは複数の実施形態にかかる、下方にある組織および血管系に対応するPPGセンサ装置信号を表す概略図である。
【
図5】本明細書に図示および説明される1つまたは複数の実施形態にかかる、
図1の医療装置効率検出システムを利用するためのコンピュータおよびソフトウェアベースの方法を実装するためのシステムを概略的に示している。
【
図6】本明細書に図示および説明される1つまたは複数の実施形態にかかる、
図1および
図5のシステムを使用するためのプロセスのフローチャートである。
【
図7】本明細書に図示および説明される1つまたは複数の実施形態にかかる、
図1および
図5のシステムを使用するための別のプロセスのフローチャートである。
【
図8】本明細書に図示および説明される1つまたは複数の実施形態にかかる、
図1および
図5のシステムを使用するためのさらに別のプロセスのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図を全体的に参照すると、本開示の実施形態は、障害(送達装置の閉塞など)または不十分なもしくは無効な処置送達を検出するための医療装置効率検出システム、および例えば糖尿病ユーザの潜在的な高血糖状態を予防するためのそのような閉ループシステムの使用方法に関する。閉ループシステムは、人工膵臓として機能するために最小限のユーザ相互作用によってユーザのインスリンを自動的に調節するために、連続血糖モニタおよびインスリンポンプなどのインスリン送達装置を含むシステムを指し得る。開ループシステムは、血糖読み取り値を外部インスリンポンプに伝達する皮下センサを介して、外部インスリンポンプとリアルタイム連続血糖監視とを組み合わせたシステムを指し得る。本明細書に記載のシステムが、糖尿病管理のために閉ループおよび/または開ループシステムとともに利用され得ることは、本開示の範囲内である。ここで、医療装置効率検出システムの実施形態を詳細に参照し、そのようなシステムの例を添付の図面に示す。可能な限り、同じまたは同様の部分を指すために図面全体を通して同じ参照符号が使用される。医療装置効率検出システムの様々な実施形態は、添付の図面を特に参照して本明細書においてさらに詳細に説明される。
【0011】
図1を参照すると、注入部位108における処置治療をユーザ110に送達するための光電式容積脈波記録法(PPG)センサ装置102および医療装置104を含む医療装置効率検出システム100が示されている。一実施形態では、医療装置104は、インスリン送達装置であってもよく、処置治療は、インスリンの投与であってもよい。インスリン送達装置は、注入部位108においてユーザ110に取り付けられたクレードル106を含み、それに結合されてもよい。PPGセンサ装置102は、医療装置104とは別個のウェアラブル装置であってもよく、注入部位108および医療装置104から取り外されたユーザ110上の領域に配置されるように構成されてもよい。PPGセンサ装置102は、リストバンド、リング、指クリップ、接着パッチ、つま先クリップ、イヤホン型装置、イヤリング、または額バンド、または他の適切なウェアラブル装置であってもよい。あるいは、PPGセンサ装置102は、モバイルスマート装置であってもよい。モバイルスマート装置のカメラおよびフラッシュは、PPGセンサ装置102のフォトダイオードおよび光源としてそれぞれ機能するように構成されてもよい。
【0012】
他の実施形態では、PPGセンサ装置102は、医療装置と一体化されてもよい。非限定的な例として、PPGセンサ装置102は、ユーザ110の皮膚に接着されたインスリンポンプであってもよい医療装置104に組み込まれてもよい。パッチポンプの場合、PPGセンサ装置102は、注入部位108においてユーザ110の身体に対して設定されたクレードル106内に一体化されてもよい。あるいは、PPGセンサ装置102は、輸液セットなどの医療装置104内に配置されてもよい。実施形態では、PPGセンサ装置102は、インスリンポンプ、インスリンペン、インスリン吸入器、またはインスリン送達装置用の専用コントローラなどのインスリン送達装置に関連する医療装置104との通信可能な結合を介して通信し得る。血糖情報が血糖監視装置として医療装置104によってインスリン障害検出のために監視されるとき、PPGセンサ装置102はまた、血糖監視装置に直接的または間接的に接続され、通信可能に結合されてもよい。
【0013】
様々な実施形態では、医療装置効率検出システム100は、糖尿病患者のための効率的なインスリン投与を支援するためにPPG信号を使用するようにPPGセンサ装置102を動作させ得る。医療装置効率検出システム100は、医療装置104を介して(インスリンポンプ、インスリンペン、またはインスリン吸入器を介してなど)インスリンがいつ送達されるかを決定し得て、医療装置104による送達の通知時に、送達されたインスリンの存在に対するユーザの生理学的応答を検出するためにPPGセンサ装置102を使用し得る。PPGセンサ装置102は、生理学的応答に起因してインスリンが身体によって吸収されているか否か、および、いつ吸収されているかを決定するために使用されてもよい。ユーザがインスリンを投与するとき、生理学的応答が測定されない場合、潜在的に危険な状況が発生する前にユーザに警告されて、潜在的な高血糖状態を防止することができる。
【0014】
医療装置104は、ユーザ110のインスリン投与によるインスリン送達などの治療処置を施すように構成されてもよい。そのようなインスリン投与は、糖尿病患者のために血糖を管理するためのユーザ110のための処方された方法であり得る。インスリンは、インスリンポンプ、インスリンペン、吸入インスリン、および/または従来のショットなどのいくつかのタイプの医療装置104の形態を介してユーザに投与され得る。そのような医療装置104の形態は、医療装置104によるユーザ110へのインスリン送達の効率を低下させ得る閉塞/障害の問題を有し得る。例えば、ユーザ110にインスリンを送達するための医療装置104に関連付けられたカニューレは、医療装置104によって発せられたインスリンが下流の閉塞に起因してユーザ110に送達されないように閉塞されることがある。上流閉塞はまた、例えば、リザーバが低く作動している場合、インスリンリザーバとインスリンポンプとの間で起こり得る。インスリンポンプ内または注入部位108付近の漏れも発生し、ユーザ110へのインスリン送達の中断および医療装置104を介したそのようなインスリン送達の有効性の低下をもたらし得る。
【0015】
実施形態の構成では、PPGセンサ装置102は、既に内部障害検出センサを含むインスリンポンプであり得る医療装置104のための二次インスリン障害検出機構であり得る。そのような内部障害検出センサは、例えば、リザーバ、ポンプモータの近く、またはチューブおよびカニューレの下流のいずれかのインスリンポンプ装置内に統合されたセンサを含み、閉塞を示し得るインスリンポンプ装置システム内の様々な力、容積、圧力、および光学的変化を測定し得る。しかしながら、そのような内部障害検出センサは、閉塞が発生した数時間後まで閉塞を検出せず、警報を発しないことがあり、これは、介入に対する警告がほとんどない危険な高血糖状態にユーザ110が移行することをもたらすことがある。本明細書に記載のPPGセンサ装置102は、インスリンポンプ内で内部的に検出された障害を検証または確認するため、または内部障害検出センサによってインスリンポンプ内で障害が検出される前に異常を識別するため、およびポンプ機能をチェックし、インスリンポンプからの起こり得る差し迫った閉塞警報についてユーザの血糖(bg)レベルを綿密に監視するために、ポンプコントローラインターフェースを介してユーザ110に通知するために使用され得る。
【0016】
PPGセンサ装置102は、送達されたインスリンに対するユーザ110の結果として生じる生理学的反応を検知することによって、医療装置104を介してユーザ110へのインスリン吸収を検知するように動作する。例えば、インスリンが身体に送達されると、ユーザの身体は、血管収縮または血管拡張の血管系の生理学的応答と反応し、これは、身体を通る容積血流を変化させる。特に、インスリンが体内に放出されると、その後、身体は、一酸化窒素(NO)および/またはエンドテリン(ET-1)化合物を産生する。これらの化合物は、血管系の動脈を拡張または収縮させ、それぞれより高いまたはより低い容積血流を可能にする。PPGは、心拍数および心拍数変動を監視するために使用される光検知技術であり、容積血流の変化を測定することができる。PPGプロセスは、1つまたは複数の異なる波長のLEDなどからの光を照らすことを使用して、次にフォトダイオードに反射または透過される光の量を測定することを含む。血流の容積変化は、フォトダイオードによって測定される光量の変化を引き起こす。このような容積血流の変化は、375nmから550nmの波長の特定の周波数の光などのPPG信号で表されるが、他の周波数での測定も可能である。
【0017】
医療装置104がインスリンポンプである実施形態では、ユーザ110のインスリン吸収は経時的に変化してもよく、注入部位108における注入セット装着時間は、カニューレの種類および他の局所的要因に応じて注入部位108を変更しなければならない前の1~3日に制限されてもよい。医療装置効率検出システム100は、注入部位108を変更する必要があるかどうか、およびいつ変更する必要があるかを決定するように動作し得る。したがって、医療装置効率検出システム100は、注入部位108を最も効率的に使用するために、注入部位108に関連付けられた注入セット装着時間についてユーザ110に通知するように動作し得る。注入セット装着時間をユーザに助言することによって、良好に機能するセットが時期尚早に処分されることが防止され、さらに、セットがもはや関連するインスリン送達機能を最適に実行していない可能性がある場合に過度に長く装着されない。
【0018】
さらに、組織損傷、打撲傷、局所感染、および/または脂肪肥大(局所脂肪細胞の増加)は、部位回転が悪いインスリンポンプ/注入セットの繰り返しの長期使用の結果として発症する可能性がある。これらの「過剰に使用された」部位に存在する解剖学的および生理学的変化は、インスリン吸収の減少および有効性の低下、ならびに最終的に予想外の異常な血糖結果をもたらし得る。さらに、注入配置に最適ではないいくつかの部位は、既知の瘢痕組織が存在する領域、以前の外科的瘢痕、伸展線、脂肪組織の過剰増殖、以前に感染した領域、打撲領域、または以前に脂肪吸引を受けた領域、およびインスリン吸収の効率を低下させる特性を有する他の同様の部位を含み得る。
【0019】
ユーザは、注入セットを1~3日ごとに変更し得るが、注入部位108が完全に治癒するまで少なくとも2週間以内は同じ注入部位108を使用しないように命令されてもよい。さらに、医療装置104のカニューレが1つの注入部位108に注入セットとして挿入されると、ユーザ110は、通常、感染のリスクのために、それを取り外さず、別の注入部位108の同じ注入セットを交換しないように助言される。ユーザ110は、注入部位回転パターンを使用して、部位が治癒する前に同じ部位を再使用することを回避し得て、その結果、ユーザ110は、注入部位108を特定の経路(例えば、水平、ジグザグ、曲線、十字)に沿って徐々に移動させ得る。しかしながら、そのような動きは、パターンに沿った次の部位がインスリン送達に最適であることを保証せず、ユーザ110は、使用されるべき信頼できないまたは他の非効率的な部位を引き起こす可能性がある追跡エラーを作ることがある。医療装置効率検出システム100は、ユーザ110の過去の注入部位108がどこにあったかを管理し、インスリンを最適に吸収しない可能性がある新たな領域を回避するように動作し得る。本明細書に記載の医療装置効率検出システム100は、最適な糖尿病管理のために一貫した予測可能なインスリン送達を維持し、局所部位の問題のために時期尚早に廃棄されなければならない可能性がある配置不良および無駄な注入セットに関連するコストを削減するために、注入セット配置のための効率的且つ適切な位置を効果的に識別するようにさらに動作し得る。
【0020】
したがって、PPGセンサ装置102は、以下により詳細に説明するようにさらに使用されて、インスリン吸収の減少に起因して注入部位108を変更し、新たな注入部位108においてユーザにインスリンをより効果的に送達するときを決定し得る。さらに、以下にさらに詳細に説明するように、医療装置効率検出システム100が使用されて、潜在的なインスリン注入部位108をスキャンし、医療装置104などのインスリン注入セットを配置する適合性を決定し得る。医療装置効率検出システム100は、本明細書に記載のPPGセンサ装置102を使用して、インスリンが糖尿病を処置するためにユーザ110に首尾よく且つ効率的に送達されるかどうかを決定し、医療装置104によるインスリン送達の通知に応答して、インスリンの存在に対する生理学的応答の検出時にインスリンがいつ送達されるかを決定し得る。ユーザ110が医療装置104を介してインスリンを投与すると、送達の通知時および通知および送達後の所定期間内にPPGセンサ装置102によって生理学的反応が測定されない場合、潜在的に危険な状況が発生する前にユーザ110に警告されることができ、それによって潜在的な高血糖状態を防止し得る。医療装置効率検出システム100は、
図8のプロセス600に関して以下により詳細に説明するように、注入部位装着時間をさらに監視し、PPGセンサ装置102からのPPG信号を使用して新たな注入部位108を最適に識別し得る。
【0021】
図2を参照すると、異なる波長でPPGセンサ装置102によって検出される、
図1の医療装置104としてのインスリン送達装置によってユーザに送達されるインスリンの存在に対する測定された生理学的応答のプロファイル200が示されている。
図2に関して、医療装置104は、インスリンを1時間当たり1.15単位の基本速度で送達するユーザによって装着されるインスリンポンプであり、インスリンの1回のボーラスが10分間の試験時間にわたって投与される。適用される波長は、660nmの赤色202、470nmの青色204、940nmの赤外線(IR)206、530nmの緑色208、および黄褐色210である。波長は、異なる周波数を有する特定の波長で
図2に示されているが、本開示の範囲内で、
図2の波長とは異なる波長がPPGセンサ装置102によって利用され得ることが企図される。非限定的な例として、PPGセンサ装置102は、光スペクトルに沿った、380nmから1200nmの範囲内の波長を有する、1つまたは複数の異なる色の光をユーザ110に向けて透過させ、透過光および反射光に関連する吸収量を測定するために、フォトダイオードなどのPPGセンサ装置102のトランスデューサ構成要素に反射された対応する光を測定し得る。少なくとも1つの他の実施形態では、PPGセンサ装置は、光スペクトルに沿った、380nmから1200nmの範囲の波長を有する1つまたは複数の異なる色の光をユーザ110に向けて透過させ、身体の一部を透過してフォトダイオードなどのPPGセンサ装置102のトランスデューサ構成要素に伝送された対応する光を測定して、透過光に関連する吸収量を測定してもよい。この透過実施形態の例は、耳垂または指先などの部位で起こり得る。
図2のx軸は時間の単位を表し、y軸はPPGセンサ装置102によって検出されるようなユーザ血管系の適用波長の吸収を表す。
【0022】
PPGセンサ装置102は、血液の酸素飽和度および光吸収を測定するための非侵襲パルスオキシメータ装置として使用されるように構成されている。パルスオキシメータとして、PPGセンサ装置102は、分光光度法を使用して、光スペクトル上の異なる色に対応する異なる透過光波長のスペクトル吸収を決定し、そのような測定を通じて酸素濃度レベルを決定し、PPG法を利用して、光が透過される血管系の拍動性動脈血流における酸素飽和度を評価する。動脈血の酸素飽和度を測定するために、PPGセンサ装置102は、以下にさらに詳細に説明する
図4に示すように、DC H成分としての非拍動成分による血液の一定の吸光度から、AC成分としての動脈血による血液の拍動画分の吸光度をフィルタリングし得る。インスリンが脈管構造に送達されると、脈管構造の拡張が起こり、続いて血管収縮が起こり、より多くの光が吸収されて、より多くの光が反射される前の所定期間に脈管構造におけるインスリンの吸収を示す。より多くの光が吸収されると、反射されてPPGセンサ装置102に戻る光は少なくなる。PPGセンサ装置102は、この光吸収測定値を、ユーザ110についての血管系のベースライン血管収縮またはユーザ110についてのベースラインNO値などのインスリン送達を伴わないベースライン測定値と比較し得る。光吸収測定値がベースライン測定値を上回る場合、PPGセンサ装置102は、インスリンが測定された血管系によって吸収され、したがってユーザ110に送達されたと決定し得る。
【0023】
図2を参照すると、期間212は、インスリンポンプを使用する5分間にわたる11.2単位のインスリンのユーザへの送達を反映し、期間214は、その後、PPGセンサ装置102がインスリンの存在に対する1つまたは複数の測定された生理学的応答を1つまたは複数のそれぞれのピーク216として検出する期間を反映する。例えば、インスリン送達事象中、DCが除去されて正規化された、生のPPGデータのスパイクまたはPPGデータのネッキング特徴は、1つまたは複数のそれぞれのピーク216として見ることができる。対照的に、
図3を参照すると、インスリンが医療装置104によってユーザに送達されていないときに異なる波長で
図1のPPGセンサ装置102によって検出される10分間にわたる測定された生理学的応答のプロファイル250が示されている。少なくとも一実施形態におけるインスリン送達の検出は、検査される少なくとも1つの波長におけるピーク216の同定を含む。追加の実施形態では、ピークは、インスリン送達を示すために検査される少なくとも2つの波長で同定される。追加の実施形態では、ピークは、インスリン送達を示すために検査される少なくとも3つの波長で同定される。追加の実施形態では、ピークは、インスリン送達を示すために検査される少なくとも4つの波長で同定される。追加の実施形態では、ピークは、インスリン送達を示すために検査される少なくとも5つの波長で同定される。
【0024】
再び
図2を参照すると、各ピーク216は、インスリンの存在を示すために、閾値を超えるタイムフレーム内の2点間の差に基づいて決定され得る。非限定的な例として、15秒のタイムフレーム内の2点は、2%を超える増加である差を有し、インスリンの存在を示す正の2%変化の閾値を克服し得る。他の実施形態では、閾値は、3回を超える勾配変化である、2点間の正の勾配変化であってもよく、2点が配置される期間タイムフレームは、10秒から40秒の範囲内であってもよい。あるいは、他の実施形態では、閾値は、設定された閾値時間を超える曲線下面積などの計算値が存在する場合にもよい。さらに、信号のパルス幅が使用されて閾値を示してもよい。
【0025】
したがって、実施形態では、PPGセンサ装置102は、インスリン送達装置などの医療装置104と閉ループ通信するように配置されてもよい。装置間の通信が使用されて、基礎インスリンまたはボーラスインスリンが医療装置104によっていつ送達されるかを示す通知を提供し得る。送達通知を受信すると、接続されたPPGセンサ装置102が使用されて、インスリン送達に応答したユーザ110の体内のインスリン活性と相関する生のまたはフィルタリングされたスペクトルシグネチャを所定期間監視し得る。実施形態では、
図2に示すように、そのような特定のシグネチャは、DCシフトと同様の生のPPG信号の急激な上昇を含み得る。信号が正規化され、フィルタリングされてDC部分が除去されると、信号の狭窄またはネッキングが生じ得る。ユーザ110におけるインスリン吸収を示すためのそのような特定のシグネチャは、インスリン送達後、瞬間的に、または約5分まで起こり得る。送達通知後の特定の時間閾値内にそのようなシグネチャが見られない場合、危険な健康状態が経験される前に状況を警告する警告がユーザに送信され得る。さらに、ユーザ110は、自己監視血糖装置または連続血糖モニタを介して血糖値を監視して血糖値および傾向の増加を探すように通知されてもよい。
【0026】
例えば、
図2に示すように、インスリン投与の結果としての血管拡張剤および血管収縮剤の存在からの生理学的応答を説明するために、PPG鋸歯状波形には明確なパターンがある。帯域通過またはノッチフィルタがノイズを除去した後の生のPPG信号の場合、インスリンの投与量または放出は、DC信号の緩やかな増加を引き起こすことがあり、最終的には約10~40秒後に通常のDCベースラインに戻る。さらに、同じ心臓発作に対して鋸歯状波形の異なる波長の光のピークを比較すると、ピーク高さ間の時間差が影響を受けることがある。例えば、赤色光からのPPG信号をUV光のPPG信号と比較することによって、赤色光のピークは、T
redで到達することができ、UV光のピークは、T
UVで到達することができる。T
redとT
UVとの間の差またはデルタは、インスリンがユーザ110に投与される(例えば、放出される)結果として変化し得る。さらに、パルスオキシメトリの計算に使用されるようなR値も影響を受けることがあり、そのようなR値は、インスリン吸収を検出するために光の1つの波長のACおよびDC部分を別の波長と比較するために使用され得る。
【0027】
信号のDC部分が除去されたPPG信号の場合、PPG信号は、インスリンの投与/放出後約10~40秒の期間にわたってより低い振幅またはピーク高さを示し得る。さらに、異なる波長の光に対するピーク高さ間の時間差も影響を受ける可能性がある。
【0028】
PPG信号はノイズの影響を受けやすいため、PPG信号は、動きの結果としてDCシフトを受ける可能性がある。したがって、医療装置効率検出システム100は、閉ループ通信で動作し、DCシフトが動きではなくインスリン送達を示すことを確認するために、医療装置104によってボーラスがいつ送達されるか、および送達後の所定期間内にPPGセンサ装置102によってDCシフトがいつ検出されるかを示すように構成され得る。さらに、オンボード加速度計が使用されて、インスリン投与事象後のDCシフトに過度の動きが寄与しているかどうかを決定し得る。PPGセンサ装置102のPPG信号に対するノイズを引き起こす他の要因は、周囲光状態、温度、センサ表面に加えられる圧力の量、呼吸数、皮膚と装置との間の発汗レベル、または可変心拍数を含み得る。医療装置効率検出システム100は、そのようなノイズを低減するために、適用されたフィルタによってPPG信号をフィルタリングするように構成され得る。
【0029】
図4は、下方にある組織および血管系に対応し得るPPGセンサ装置102からの例示的なPPGセンサ装置信号の略
図270を示している。例えば、
図8に関して以下により詳細に説明するように、PPGセンサ装置102は、インスリンを効率的に送達するために使用するのに十分であるかどうかを決定するために注入部位をチェックするために使用され得る。略
図270において、組織、静脈血、および非拍動性動脈血は、PPGセンサ装置102によって受信されたそれぞれのPPG信号のDC成分を表し、拍動性動脈血は、下方にある血管の収縮および拡張を介した脈動を示すために受信されたPPG信号のAC成分を表す。したがって、試験された注入部位での拍動性動脈血のPPG信号が十分な振幅または適切なAC成分を提供しない場合、医療装置効率検出システム100は、試験された注入部位が、十分性について同様に試験され得る別の注入部位と比較して、インスリンを送達するために使用するのに十分ではない(例えば、インスリン吸収に十分な基礎となる脈管構造を含まない)と決定し得る。
【0030】
図5を参照すると、
図1に示すように、医療装置効率検出システムを利用するためのコンピュータおよびソフトウェアベースの方法を実装するためのシステム300が示されており、例えば、ユーザワークステーション(例えば、コンピュータ324)においてアクセス可能なグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を使用して実装され得る。システム300は、通信経路302と、1つまたは複数のプロセッサ304と、メモリ構成要素306(例えば、メモリ306)と、PPG検知構成要素312と、ストレージまたはデータベース314と、処置送達構成要素316と、ネットワークインターフェースハードウェア318と、サーバ320と、ネットワーク322と、少なくとも1つのコンピュータ324とを含む。システム300の様々な構成要素およびそれらの相互作用については、以下に詳細に説明する。
【0031】
ただ1つのアプリケーションサーバ320および1つのユーザワークステーションコンピュータ324が示されているが、システム300は、複数の産業現場にわたって地理的に多様な場所に配置されることができる1つまたは複数のアプリケーションを含む複数のワークステーションおよびアプリケーションサーバを含むことができる。いくつかの実施形態では、システム300は、イントラネットもしくはインターネットなどの広域ネットワーク(WAN)もしくはネットワーク322、またはクラウドコンピューティングベースのネットワーク構成(例えば、クラウド)を含み得る他の有線もしくは無線通信ネットワークを使用して実装される。ワークステーションコンピュータ324は、ネットワークへの接続およびネットワークのナビゲーションを可能にするデジタルシステムおよび他の装置を含み得る。様々な地理的に多様な構成要素間の通信を可能にする他のシステム300の変形形態も可能である。
図5に示す線は、様々な構成要素間の物理的接続ではなく通信を示している。
【0032】
上述したように、システム300は、通信経路302を含む。通信経路302は、例えば、導線、導電性トレース、光導波路などの信号を送信することができる任意の媒体から、または信号を送信することができる媒体の組み合わせから形成されてもよい。通信経路302は、システム300の様々な構成要素を通信可能に結合する。本明細書で使用される場合、「通信可能に結合された」という用語は、結合された構成要素が、例えば、導電性媒体を介した電気信号、空気を介した電磁信号、光導波路を介した光信号など、互いにデータ信号を交換することができることを意味する。
【0033】
上述したように、システム300は、プロセッサ304を含む。プロセッサ304は、機械可読命令を実行することができる任意の装置とすることができる。したがって、プロセッサ304は、コントローラ、集積回路、マイクロチップ、コンピュータ、または任意の他のコンピューティング装置であってもよい。プロセッサ304は、通信経路302によってシステム300の他の構成要素に通信可能に結合される。したがって、通信経路302は、任意の数のプロセッサを互いに通信可能に結合し得て、通信経路302に結合されたモジュールが分散コンピューティング環境において動作することを可能にする。具体的には、モジュールのそれぞれは、データを送信および/または受信し得るノードとして動作することができる。プロセッサ304は、システムモジュールから受信された入力信号を処理し、および/またはそのような信号から情報を抽出し得る。
【0034】
上述したように、システム300は、通信経路302に結合され、プロセッサ304に通信可能に結合されたメモリ構成要素306を含む。メモリ構成要素306は、非一時的コンピュータ可読媒体または非一時的コンピュータ可読メモリであってもよく、不揮発性コンピュータ可読媒体として構成されてもよい。メモリ構成要素306は、機械可読命令がプロセッサ304によってアクセスおよび実行され得るように、RAM、ROM、フラッシュメモリ、ハードドライブ、または機械可読命令を記憶することができる任意の装置を含み得る。機械可読命令は、例えば、プロセッサによって直接実行され得る機械言語、または機械可読命令にコンパイルまたはアセンブルされ、メモリ構成要素306に記憶され得るアセンブリ言語、オブジェクト指向プログラミング(OOP)、スクリプト言語、マイクロコードなどの任意のプログラミング言語で書かれた論理またはアルゴリズムを含み得る。あるいは、機械可読命令は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)構成または特定用途向け集積回路(ASIC)のいずれかを介して実装されたロジックなどのハードウェア記述言語(HDL)、またはそれらの均等物で書かれてもよい。したがって、本明細書に記載の方法は、予めプログラムされたハードウェア要素として、またはハードウェア構成要素とソフトウェア構成要素との組み合わせとして、任意の従来のコンピュータプログラミング言語で実装され得る。実施形態では、システム300は、プロセッサ304によって実行されると、プロセッサに本明細書に記載されるような1つまたは複数の機能を実行させる命令を記憶するメモリ構成要素306に通信可能に結合されたプロセッサ304を含み得る。
【0035】
さらに
図5を参照すると、上述したように、システム300は、例えば、情報、グラフィックレポート、メッセージ、またはそれらの組み合わせなどの視覚出力を提供するためのコンピュータ324の画面上のGUIなどのディスプレイを備える。コンピュータ324は、プラットフォームにわたって1つまたは複数のコンピューティング装置を含み得て、またはスマートフォン、タブレット、ラップトップなどを含むモバイルスマート装置、または血糖計、インスリンポンプ、連続血糖モニタなどの医療装置などのプラットフォームにわたって装置に通信可能に結合され得る。コンピュータ324の画面上のディスプレイは、通信経路302に結合され、プロセッサ304に通信可能に結合される。したがって、通信経路302は、ディスプレイをシステム300の他のモジュールに通信可能に結合する。ディスプレイは、例えば、陰極線管、発光ダイオード、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどの光出力を伝送することができる任意の媒体を含むことができる。さらに、ディスプレイまたはコンピュータ324は、プロセッサ304およびメモリ構成要素306のうちの少なくとも一方を含むことができることに留意されたい。システム300は、
図5では単一の統合システムとして示されているが、他の実施形態では、システムは、独立したシステムとすることができる。
【0036】
システム300は、本明細書に記載のPPGセンサ装置102などのPPG検知構成要素312と、本明細書に記載の処置治療を投与するように構成された医療装置104などの処置送達構成要素316とを含む。PPG検知構成要素312および処置送達構成要素316は、通信経路302に結合され、プロセッサ304に通信可能に結合される。以下にさらに詳細に説明するように、プロセッサ304は、システムモジュールから受信した入力信号を処理し、および/またはそのような信号から情報を抽出し得る。
【0037】
システム300は、システム300をネットワーク322などのコンピュータネットワークと通信可能に結合するためのネットワークインターフェースハードウェア318を含む。ネットワークインターフェースハードウェア318は、通信経路302がネットワークインターフェースハードウェア218をシステム300の他のモジュールに通信可能に結合するように、通信経路302に結合される。ネットワークインターフェースハードウェア318は、無線ネットワークを介してデータを送信および/または受信することができる任意の装置とすることができる。したがって、ネットワークインターフェースハードウェア318は、任意の無線通信規格にしたがってデータを送信および/または受信するための通信トランシーバを含むことができる。例えば、ネットワークインターフェースハードウェア318は、例えば、ワイヤレスフィデリティ(Wi-Fi)、WiMax、Bluetooth、IrDA、ワイヤレスUSB、Z-Wave、ZigBeeなどの有線および/または無線コンピュータネットワークを介して通信するためのチップセット(例えば、アンテナ、プロセッサ、機械可読命令など)を含むことができる。
【0038】
さらに
図5を参照すると、コンピュータ324上で実行されている様々なアプリケーションからのデータは、ネットワークインターフェースハードウェア318を介してコンピュータ324からシステム300に提供されることができる。コンピュータ324は、ネットワークインターフェースハードウェア318およびネットワーク322と通信可能に結合するためのハードウェア(例えば、チップセット、プロセッサ、メモリなど)を有する任意の装置とすることができる。具体的には、コンピュータ324は、上述した無線コンピュータネットワークのうちの1つまたは複数を介して通信するためのアンテナを有する入力装置を含むことができる。
【0039】
ネットワーク322は、例えば、広域ネットワーク、メトロポリタンエリアネットワーク、インターネット、イントラネット、クラウド323、衛星ネットワークなどの任意の有線および/または無線ネットワークを含むことができる。したがって、ネットワーク322は、1つまたは複数のサーバ(例えば、サーバ320)にアクセスするために、コンピュータ324によって無線アクセスポイントとして利用されることができる。サーバ320およびクラウドサーバなどの任意の追加のサーバは、一般に、ネットワーク322を介してリソースを配信するためのプロセッサ、メモリ、およびチップセットを含む。リソースは、例えば、処理、記憶、ソフトウェア、および情報を、ネットワーク322を介してサーバ320からシステム300に提供することを含むことができる。さらに、サーバ320および任意の追加のサーバは、例えば、ネットワークの有線部分、ネットワークの無線部分、またはそれらの組み合わせを介してなど、ネットワーク322を介して互いにリソースを共有することができることに留意されたい。
【0040】
図6~
図7を参照すると、本明細書に記載のプロセス400、500を実装する、
図5のシステム300とともに
図1の医療装置効率検出システム100を使用するためのそれぞれのプロセス400、500が示されている。実施形態では、医療装置効率検出システム100は、PPGセンサ装置102と、治療処置を施すように構成された医療装置104と、PPGセンサ装置および医療装置に通信可能に結合されたプロセッサ304と、プロセッサ304に通信可能に結合されたメモリ306と、メモリ306に記憶された機械可読命令とを含む。機械可読命令は、プロセッサ304によって実行されると、医療装置効率検出システム100にプロセス400、500を実行させ得る。
【0041】
プロセス400に関して、ブロック402において、PPGセンサ装置102は、医療装置104に通信可能に結合される。ブロック404において、PPGセンサ装置102は、ユーザ110に接続され得る。
【0042】
ブロック406において、医療装置104は、ユーザ110に接続されたインスリン送達装置であってもよく、インスリンボーラスは、医療装置104を介して使用に送達されてもよい。インスリンボーラスの送達時に、医療装置104は、送達の通知をPPGセンサ装置102に送信してもよい。したがって、ブロック406において、システム300は、医療装置104を介して注入部位108においてユーザに治療処置を送達し、治療処置の送達時に医療装置104からPPGセンサ装置102において通知を受信するように構成され得る。
【0043】
ブロック408において、PPGセンサ装置102が使用されて、受信した通知に基づいて、所定期間内にユーザ110における信号応答を検索し、インスリン吸収を示す応答信号を生成し得る。したがって、ブロック406において、システム300は、PPGセンサ装置102を使用して、医療装置104によって送信された送達通知に基づいて、所定期間内に、医療装置104による治療処置送達を示す応答信号を生成するために、ユーザ110の信号応答を検索するように構成され得る。
【0044】
ブロック410において、インスリン吸収を示す応答信号が所定期間内に生成されないときにユーザ110に通知されてもよく、それにより、医療装置104によるユーザ110への十分なインスリン送達を検出するためのPPGセンサ装置102による失敗がユーザ110に通知される。実施形態では、システム300は、治療処置の送達を示す応答信号が、十分な治療処置の送達を検出できないことを示す所定期間内に生成されない場合に警告を送信するように構成され得る。
【0045】
実施形態では、システム300は、所定期間内の遅延期間後に応答信号が生成されたときに警告を送信するようにさらに構成されてもよい。追加的または代替的に、システム300は、所定期間内に生成された応答信号が閾値未満である場合に警告を送信するように構成されてもよい。生成された応答信号が閾値未満である場合、警告は、注入部位108をユーザ110上の別の位置に移動させる指示を含み得る。
【0046】
プロセス500に関して、プロセスステップ502~508は、プロセス400のプロセスステップ402~408に対応する。しかしながら、ブロック510において、プロセス500は、インスリン吸収を示す応答信号が所定期間内に生成されないときだけでなく、十分なインスリン送達を検出できないことを示す遅延応答信号または低減応答信号がPPGセンサ装置102によって生成されるときにもユーザ110に通知され得るという点でプロセス400とは異なる。したがって、医療装置104による検出なし、または低減された(例えば、十分なインスリン吸収を示す許容可能な閾値未満)もしくは遅延された検出のいずれかによって、ユーザ110への十分なインスリン送達を検出するためのPPGセンサ装置102による失敗がユーザ110に通知される。実施形態では、システム300は、十分な治療処置送達を検出できないことを示す応答信号がPPGセンサ装置102によって所定期間内に生成されない場合、所定期間内の遅延期間後に応答信号が生成される場合、所定期間内に生成された応答信号が閾値未満である場合、またはそれらの組み合わせの場合、警告を送信するように構成され得る。
【0047】
したがって、PPGセンサ装置102は、注入部位108を変更する時間になったときにユーザ110に警告する機構として機能し得る。したがって、注入部位108における関連付けられた注入セット装着時間は、PPGセンサ装置102によって監視されるように、経時的に吸収されるインスリンの有効性に基づいてユーザ110に個人化され得る。例えば、信号は、全装着時間中に監視されてもよく、PPGセンサ装置102は、応答が見られるタイミング、応答の振幅、曲線下面積、および/または指定された信号応答の欠如などの信号応答の変化を検索するように構成されてもよい。
【0048】
新たな注入セットが配置されると、PPGセンサ装置102は、接続された医療装置104から通信されるインスリン投与事象の後にどれくらい長くピーク216、ならびに関連付けられたピーク振幅および/またはピークの曲線下面積が検出されることができるかを生成、記憶、および監視し得る。そのようなパラメータは、その後のプログラムされたインスリン用量ごとに記録されてもよく、医療装置効率検出システム100は、ユーザ110へのインスリン送達の効率の低下を示すために変化を監視するように構成されてもよい。そのような変化は、インスリン用量ピークの遅延(例えば、ピークまでの時間の増加)、所与の投与量についての振幅の減少、または特定の閾値を下回る所与の投与量についての曲線下面積(例えば、元の投与事象からピークまでの5秒の遅延、元のピーク振幅/曲線下面積の80%)を含み得る。そのような変化の検出は、医療装置効率検出システム100による警報状態をトリガして、監視されている注入部位108に設定された注入が近付いているか、または関連付けられた動作装着時間を過ぎており、すぐに交換されるべきであることをユーザ110に通知するように動作し得る。適用および監視される閾値は、患者に必要な制御のレベル、注入セットの装着に対抗するために基礎量およびボーラス量を調整する患者の技能など、ユーザ110の患者要因に応じて患者によって異なり得ることを理解されたい。
【0049】
プロセス400、500の実施形態では、医療装置104は、インスリン送達装置であってもよく、治療処置は、インスリンボーラスを含んでもよい。インスリン送達装置は、インスリンポンプ、インスリン注射ペン、インスリン吸入器、またはインスリンショットのうちの1つであり得る。インスリン注射ペンからインスリンの投与が行われる場合、インスリン注射ペンは、他の疾患関連データが捕捉されている監視装置に投与量およびタイミングを送信するように構成された無線接続ペンであってもよい。インスリン事象は、インスリン注射ペンのカートリッジにおける注入動作またはインスリンレベル変化の機械的動きの一部を追跡するように構成されたインスリン注射ペン内のセンサから捕捉されてもよい。しかしながら、そのような機械的移動動作は、新たなカートリッジがインスリン注射ペンに挿入された後のインスリン注射ペンのプライミングと区別できない場合がある。PPGセンサ装置102は、このようなプライミング事象を区別し、インスリン事象の偽陽性を与えることを回避するためにプライミング動作ではなくインスリン注射ペンを介したインスリンの送達を確認するために使用されてもよく、したがって、データが監視装置と共有される前に医療装置104によるインスリンの実際の注入をより正確に検証し得る。
【0050】
したがって、医療装置104がインスリン注射ペンである場合、ユーザ110上に配置された通信可能に接続されたPPGセンサ装置102は、検出されたペン注射動作後の所定の期間にわたってスペクトル信号を監視し得る。したがって、PPGセンサ装置102は、インスリンが実際にユーザに注射されたかどうか、または監視された動きがむしろプライミングエアショット注射の動きであったかどうかを決定するために使用されてもよく、この場合、システム300は、監視された動きを(インスリン送達の動きではなく)プライミングの動きとして監視装置に記録するように構成されてもよく、または決定プライミングの動きを全く記録しないように構成されてもよい。インスリン注射ペンがスマートペンまたは無線接続ペンではない実施形態では、通信可能に接続されたPPGセンサ装置102が使用されて、本明細書に記載のインスリン注射事象を識別し、識別されたインスリン注射事象の通知信号を監視装置に送信してもよい。監視装置において、通知信号を受信すると、ユーザ110は、注射を確認し、単位の数、インスリンの種類、注射時間、および同様の注射の詳細などの特定の情報を提供するなど、追加の入力を提供するように促され得る。
【0051】
さらに、上述したように、システム300は、適用されたフィルタによって信号応答をフィルタリングするように構成され得る。適用されるフィルタは、ノイズを低減するための帯域通過フィルタまたはノッチフィルタであってもよい。帯域通過フィルタは、決定された帯域内の周波数を許容し、それらの周波数を通過させ、それらの許容された周波数よりも下または上の他の周波数を拒否することを可能にするように構成され得る。ノッチフィルタは、決定された帯域内の周波数を代替的に拒否する一方で、拒否された周波数よりも下または上の他の周波数を許容する帯域阻止フィルタとして機能するように構成され得る。信号応答は、正規化およびスケーリングされ得て、適用されたフィルタは、対応するDC部分を除去し得る。
【0052】
実施形態では、PPGセンサ装置102は、医療装置効率検出システム100とともに使用されて、医療装置104の注入セットが注入部位108に挿入されて設定される前に、注入部位108の下方にある組織の適合性を決定し得る。PPGセンサ装置102を使用して、ユーザ110は、医療装置104が挿入される前に所望の注入部位108の血流を分析して、注入部位108が、瘢痕組織などの効率的な処置送達のための注入部位108としての十分性に影響を及ぼす望ましくない異常を含むかどうかを決定することができる。PPGセンサ装置102によって検出され、
図8において以下にさらに説明されるPPG特性および信号品質に基づいて、注入部位108が配置される前のインスリン注入に対する注入部位108の適合性、またはさらには他のより適切な注入部位108が利用可能であり得るかどうかの決定を行うことができる。
【0053】
図8を参照すると、注入部位108がインスリン送達に十分であるかどうかを試験するために本明細書に記載のプロセス600を実装する、
図5のシステム300とともに
図1の医療装置効率検出システム100を使用するためのプロセス600が示されている。実施形態では、医療装置効率検出システム100は、PPGセンサ装置102と、PPGセンサ装置102に通信可能に結合されたプロセッサ304と、プロセッサ304に通信可能に結合されたメモリ306と、メモリ306に記憶された機械可読命令と、を含み得る。機械可読命令は、プロセッサ304によって実行されると、医療装置効率検出システム100にプロセス600を実行させ得る。
【0054】
プロセス600に関して、ブロック602において、注入部位108は、注入部位108においてユーザ110にインスリン送達装置としてインスリンを送達するなどのために、医療装置104による使用のために決定される。注入部位108は、プロセス600を介してユーザ110にインスリンを送達する前に、インスリン送達の十分性について試験され得る。
【0055】
ブロック604において、PPGセンサ装置102は、検査のために決定された注入部位108の上方でユーザ110に接続される。実施形態では、システム300は、ユーザ110の検査される注入部位108の上方に配置されたPPGセンサ装置102を使用するように構成され、注入部位108は、医療装置104が治療処置を施すべきユーザ110の位置である。
【0056】
ブロック606において、試験された注入部位108における下方にある組織および血管系に関するPPGセンサ装置102からの測定値は、例えば
図4の略
図270に示される下方にある組織および血管系の信号を介して生成され得る。したがって、システム300は、十分性について試験されている注入部位108の下方にある組織および血管系に関してPPGセンサ装置102から信号測定値を生成するように構成され得る。
【0057】
ブロック608において、PPGセンサ装置102によって生成された応答信号が分析されて、インスリン送達について試験された注入部位108の十分性を決定し得る。したがって、システム300は、試験されている注入部位108が医療装置104による治療処置の送達に十分であるように、信号測定値が十分な信号範囲内にあるかどうかを決定するように構成され得る。
【0058】
ブロック610において、応答信号が、試験されている注入部位108がインスリン送達に十分ではないことを示すときにユーザ110に通知され得て、それにより、異なる注入部位108が、インスリン送達に十分な注入部位108が試験されるまでプロセス600を通じて十分であるかについて分析される。したがって、実施形態では、システム300は、信号測定値が、試験されている注入部位108が医療装置104による治療処置の送達に不十分であることを示すのに十分な信号範囲内にないときに警告を送信するように構成され得る。
【0059】
注入部位の信号測定値が十分な信号範囲内にない場合、PPGセンサ装置102は、1つまたは複数の他の注入部位の信号測定値のうちの1つが十分な信号範囲内に入るまで、それぞれの信号測定値を分析するために、1つまたは複数の他の注入部位108の上方に配置されてもよい。プロセス600を実装するための医療装置効率検出システム100は、治療処置を施すように構成された医療装置104をさらに含み得て、プロセッサ304は、PPGセンサ装置102および医療装置104に通信可能に結合され得る。
【0060】
システム300は、注入部位108の信号測定値または1つもしくは複数の他の注入部位108の信号測定値のうちの1つが十分な注入部位を示すのに十分な信号範囲内にあるとき、医療装置104を十分な注入部位に配置するように命令を送るように構成され得る。次いで、処置治療は、医療装置104を使用して十分な注入部位108においてユーザ110に送達され得る。例えば、ブロック612において、医療装置104は、注入部位108、または部位十分性のそのような決定時にプロセス600を介したインスリン送達に十分であると決定された別の試験された注入部位108に配置されたインスリン送達装置であり得る。
【0061】
実施形態では、ハンドヘルドPPGセンサ装置102は、輸液セットまたはポンプであり得る医療装置104に組み込まれてもよく、または別個の専用の輸液セット配置センサに組み込まれてもよい。注入部位108に新たな注入セットを配置する前に、ハンドヘルドPPGセンサ装置102は、最適な注入部位108を識別するために、腹部、後腕、胸部、大腿部、または他の適切な注入領域など、ユーザ110の潜在的な注入部位108を通過し得る。さらにまた、PPGセンサ装置102の較正は、少なくともユーザ110による最初の使用時に行われて、ユーザ110の特定の組織特性を決定し、最適部位が注入部位108として検出され得る前にスペクトルベースラインを確立し得る。限定ではなく、例として、ユーザ110は、PPGセンサ装置102によって、ユーザ110が予測可能で一貫したインスリン送達経験を有する腹部上の領域をスキャンし、次いで、PPGセンサ装置102を較正し、PPGセンサ装置102によって部位を十分または不十分な部位として識別するのを助けるために、より高い脂肪またはより高密度の組織を有する領域など、最適以下のインスリン吸収が予想される他の領域をスキャンするように命令されてもよい。
【0062】
PPGセンサ装置102は、ハンドヘルドPPGセンサ装置102または本明細書に記載されるような試験された注入部位108の適合性の別の接続された装置のいずれかに直接指示を与える前に、試験された注入部位108の局所的な下方の組織および血管系を表す信号を収集するために、数秒などの期間、試験された注入部位108上に配置されてもよい。指示は、テキスト信号もしくは他の視覚信号(例えば、良好または不良、緑色または赤色の光)としてのバイナリ、または部位が最適なインスリン送達に適している程度を示す高解像度指示(例えば、低、中、高、1~10、または同様のランクベースの表示の視覚的表示)であり得る。注入部位108を適切な注入部位として識別した後、ユーザは、新たな注入セットを医療装置104として注入部位108に配置し、医療装置104を介してユーザ110にインスリンを送達することに進み得る。
【0063】
したがって、本明細書に記載の医療装置効率検出システム100およびシステム300は、糖尿病患者のために医療装置104によってインスリンがユーザ110に適切に送達されないときを非侵襲的に検出し、複数の入力からの応答を比較してインスリンが実際に送達されたかどうかを決定するためのアルゴリズムおよび制御ループを提供し、データを交換してインスリンが送達されたかどうかを決定するための機器間通信を提供するように構成され得る。さらに、医療装置効率検出システム100およびシステム300は、制御ループを実装して経時的にインスリン吸収効果を比較し、注入部位108をより効率的且つ効果的に使用してインスリンを送達するために、注入部位108の個別の注入部位装着時間を作成するように構成され得る。医療装置効率検出システム100およびシステム300は、医療装置効率検出システム100のPPGセンサ装置102によって本明細書に記載されるように分析される皮下特性および非可視特性に基づいてインスリン注入に適した注入部位108を決定するために、医療装置104の注入セットが注入部位108に挿入される前に組織領域をスキャンするために使用されるようにさらに構成され得る。
【0064】
項目列挙
【0065】
項目1.医療装置効率検出システムは、PPGセンサ装置と、治療処置を施すように構成された医療装置と、PPGセンサ装置および医療装置に通信可能に結合されたプロセッサと、プロセッサに通信可能に結合されたメモリと、メモリに記憶された機械可読命令と、を含み得る。機械可読命令は、プロセッサによって実行されると、医療装置効率検出システムに、少なくとも、PPGセンサ装置と医療装置とを通信可能に接続すること、医療装置を介して注入部位においてユーザに治療処置を送達すること、治療処置の送達時に医療装置からPPGセンサ装置において通知を受信すること、PPGセンサ装置を使用して、所定期間内の通知に基づいてユーザの信号応答を検索して、治療処置送達を示す応答信号を生成すること、および十分な治療処置送達を検出できなかったことを示す応答信号が所定期間内に生成されなかった場合、警告を送信すること、を実行させ得る。
【0066】
項目2.機械可読命令が、応答信号が所定期間内の遅延期間の後に生成された場合に警告を送信する命令をさらに含む、項目1に記載の医療装置効率検出システム。
【0067】
項目3.機械可読命令が、所定期間内に生成された応答信号が閾値未満である場合に警告を送信する命令をさらに含む、項目1または項目2に記載の医療装置効率検出システム。
【0068】
項目4.生成された応答信号が閾値未満である場合、警告が、注入部位をユーザの別の位置に移動させる指示を含む、項目3に記載の医療装置効率検出システム。
【0069】
項目5.医療装置がインスリン送達装置であり、治療処置がインスリンボーラスである、項目1から項目4のいずれか一項に記載の医療装置効率検出システム。
【0070】
項目6.インスリン送達装置が、インスリンポンプ、インスリン注射ペン、インスリン吸入器、またはインスリンショットのうちの1つである、項目5に記載の医療装置効率検出システム。
【0071】
項目7.機械可読命令が、適用されたフィルタによって信号応答をフィルタリングする命令をさらに含む、項目1から項目6のいずれか一項に記載の医療装置効率検出システム。
【0072】
項目8.適用されるフィルタが、ノイズを低減するための帯域通過フィルタおよびノッチフィルタのうちの1つを含む、項目7に記載の医療装置効率検出システム。
【0073】
項目9.信号応答が正規化され、適用されたフィルタが対応するDC部分を除去する、項目1から項目8のいずれか一項に記載の医療装置効率検出システム。
【0074】
項目10.PPGセンサ装置が、注入部位から離れたユーザの領域に配置されるように構成された別個のウェアラブル装置である、項目1から項目9のいずれか一項に記載の医療装置効率検出システム。
【0075】
項目11.PPGセンサ装置が、リストバンド、リング、指クリップ、接着パッチ、つま先クリップ、イヤホン型装置、イヤリング、または額バンドである、項目10に記載の医療装置効率検出システム。
【0076】
項目12.PPGセンサ装置がモバイルスマート装置であり、モバイルスマート装置のカメラおよびフラッシュが、PPGセンサ装置のフォトダイオードおよび光源としてそれぞれ機能するように構成されている、項目10に記載の医療装置効率検出システム。
【0077】
項目13.PPGセンサ装置が、医療装置と一体化されている、項目1から項目9のいずれか一項に記載の医療装置効率検出システム。
【0078】
項目14.医療装置効率検出システムは、PPGセンサ装置と、治療処置を施すように構成された医療装置と、PPGセンサ装置および医療装置に通信可能に結合されたプロセッサと、プロセッサに通信可能に結合されたメモリと、メモリに記憶された機械可読命令と、を含み得る。機械可読命令は、プロセッサによって実行されると、医療装置効率検出システムに、少なくとも、PPGセンサ装置と医療装置とを通信可能に接続すること、医療装置を介して注入部位においてユーザに治療処置を送達すること、治療処置の送達時に医療装置からPPGセンサ装置において通知を受信すること、PPGセンサ装置を使用して、治療処置の送達を示す応答信号を生成するために所定期間内の通知に基づいてユーザの信号応答を検索すること、および十分な治療処置の送達を検出できなかったことを示す所定期間内に応答信号が生成されなかった場合、所定期間内の遅延期間後に応答信号が生成された場合、所定期間内に生成された応答信号が閾値未満である場合、またはそれらの組み合わせの場合、警告を送信すること、を実行させ得る。
【0079】
項目15.生成された応答信号が閾値未満である場合、警告が、注入部位をユーザの別の位置に移動させる指示を含む、項目14に記載の医療装置効率検出システム。
【0080】
項目16.PPGセンサ装置が、注入部位から離れたユーザの領域に配置されるように構成された別個のウェアラブル装置である、項目14または項目15に記載の医療装置効率検出システム。
【0081】
項目17.PPGセンサ装置が、医療装置と一体化されている、項目14または項目15に記載の医療装置効率検出システム。
【0082】
項目18.医療装置効率検出システムは、PPGセンサ装置と、PPGセンサ装置に通信可能に結合されたプロセッサと、プロセッサに通信可能に結合されたメモリと、メモリに記憶された機械可読命令と、を含み得る。機械可読命令は、プロセッサによって実行されると、医療装置効率検出システムに、少なくとも、医療装置が治療処置を施すユーザの注入部位の上にPPGセンサ装置を配置すること、注入部位の下方にある組織および血管系に関してPPGセンサ装置から信号測定値を生成すること、注入部位が医療装置による治療処置の送達に十分であるように、信号測定値が十分な信号範囲内にあるかどうかを決定すること、および注入部位が医療装置による治療処置の送達に不十分であることを示すために信号測定値が十分な信号範囲内にない場合、警告を送信すること、を実行させ得る。
【0083】
項目19.機械可読命令が、注入部位の信号測定値が十分な信号範囲内にない場合、PPGセンサ装置を1つまたは複数の他の注入部位の上方に配置して、1つまたは複数の他の注入部位の信号測定値のうちの1つが十分な信号範囲内に入るまで、それぞれの信号測定値を分析する命令をさらに含む、項目18に記載の医療装置効率検出システム。
【0084】
項目20.治療処置を施すように構成された医療装置であって、PPGセンサ装置および医療装置に通信可能に結合されたプロセッサをさらに含む、項目19に記載の医療装置効率検出システム。機械可読命令は、注入部位の信号測定値または1つもしくは複数の他の注入部位の信号測定値の1つが十分な注入部位を示すのに十分な信号範囲内にあるとき、医療装置を十分な注入部位に配置し、医療装置を使用して十分な注入部位で処置治療をユーザに送達するための命令をさらに含む。
【0085】
特定の特性を具現化するため、または特定の方法で機能するために、特定の方法で「構成」または「プログラム」されている本開示の構成要素の本明細書における列挙は、意図された使用の列挙とは対照的に、構造的列挙であることに留意されたい。より具体的には、構成要素が「構成」または「プログラム」される方法への本明細書における言及は、構成要素の既存の物理的状態を示し、したがって、構成要素の構造特性の明確な列挙として解釈されるべきである。
【0086】
「実質的に」および「約」および「およそ」という用語は、本明細書では、任意の定量的比較、値、測定、または他の表現に起因し得る固有の不確実性の程度を表すために利用され得ることに留意されたい。「実質的に」および「約」という用語はまた、本明細書では、定量的表現が、問題の主題の基本機能の変化をもたらすことなく、記載された基準から変化することができる程度を表すために利用される。
【0087】
特定の実施形態を本明細書で例示および説明したが、特許請求される主題の精神および範囲から逸脱することなく、様々な他の変形および変更が行われ得ることを理解されたい。さらに、特許請求される主題の様々な態様が本明細書に記載されているが、そのような態様は、組み合わせて利用される必要はない。したがって、添付の特許請求の範囲は、特許請求される主題の範囲内にある全てのそのような変形および変更を包含することが意図されている。
【国際調査報告】