(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-30
(54)【発明の名称】カートリッジから材料を送達するためのディスペンシングガン
(51)【国際特許分類】
A61C 5/62 20170101AFI20240123BHJP
A61C 5/66 20170101ALI20240123BHJP
【FI】
A61C5/62
A61C5/66
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544054
(86)(22)【出願日】2022-01-21
(85)【翻訳文提出日】2023-09-12
(86)【国際出願番号】 EP2022051393
(87)【国際公開番号】W WO2022157333
(87)【国際公開日】2022-07-28
(32)【優先日】2021-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512080963
【氏名又は名称】セプトドント ウ セプトドント サ ウ スペシャリテ セプトドント
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】マリー,オリヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】コ,クレメンス
(72)【発明者】
【氏名】リチャード,ギルズ
(72)【発明者】
【氏名】デスケパー,ミカエル
【テーマコード(参考)】
4C052
【Fターム(参考)】
4C052AA17
4C052HH08
4C052HH10
(57)【要約】
ハンドル(21)と、カートリッジ、好ましくは歯科用カートリッジを接続するための射出ゲート(22)とを有するフレーム(2)、少なくとも2つの歯(31)を有するレバー(3)、及び少なくとも2つのノッチ(41)を有するピストン(4)を備える、カートリッジから材料を送達することを意図しているディスペンシングガン(1)であって、前記射出ゲート(22)はフレーム(2)の遠位部に配置され、
- ディスペンシングガン(1)は、カートリッジを射出ゲート(22)に直接ロックするための手段を備える、
- ディスペンシングガン(1)は、カートリッジに収容された材料が単一のピストン行程で押し出されるようにカートリッジ内でピストン(4)を押すための手段を備える、
- ディスペンシングガン(1)は、カートリッジを接続する前にレバー(3)とハンドル(21)がほぼ90°の角度をなすようにピストン(4)の第1のノッチ(41)とレバー(3)の第1の歯(31)が互いに係合する始動状態をレバー(3)がとるように構成される、
ことを特徴とするディスペンシングガン(1)。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドル(21)と、カートリッジを接続するための射出ゲート(22)とを有するフレーム(2)、少なくとも2つの歯(31)を有するレバー(3)、及び少なくとも2つのノッチ(41)を有するピストン(4)を備えるカートリッジのためのディスペンシングガン(1)であって、好ましくは、前記カートリッジは少なくとも2つの対向するロックウィング付きのベース区域を有し、前記射出ゲート(22)は前記フレーム(2)の遠位部に配置され、
前記ディスペンシングガン(1)は、前記カートリッジを射出ゲート(22)に直接ロックするための手段を備え、
前記ディスペンシングガン(1)は、前記カートリッジに収容された材料が単一のピストン行程で押し出されるように前記カートリッジ内で前記ピストン(4)を押すための手段を備え、
前記ディスペンシングガン(1)は、前記カートリッジを接続する前に前記レバー(3)と前記ハンドル(21)が80°~120°の範囲、好ましくは90°の角度をなすように前記ピストン(4)の第1のノッチ(41)と前記レバー(3)の第1の歯(31)が互いに係合する始動状態を前記レバー(3)がとるように構成される、ディスペンシングガン(1)。
【請求項2】
前記レバー(3)は、前記レバー(3)が引かれ、前記ディスペンシングガンのピストン(4)が前記カートリッジに係合して、最初に前記カートリッジに収容された材料がすべて押し出される最終状態をさらに有するように構成される、請求項1に記載のディスペンシングガン。
【請求項3】
前記レバー(3)は、前記レバー(3)が前記始動状態と最終状態との間の位置に維持され、前記ピストン(4)が前記カートリッジのピストンの近くに接触し、前記カートリッジに収容された材料を押し出すために前記ディスペンシングガンを使用する準備ができた中間状態をさらにとるように構成される、請求項1及び請求項2に記載のディスペンシングガン。
【請求項4】
前記射出ゲート(22)は、2つの対向するロックウィング付きのベース区域を有するカートリッジをロックするように構成され、好ましくは、前記射出ゲート(22)は、前記射出ゲートの2つのロックウィング(77)を介して前記カートリッジ(6)の外スリーブ(7)を直接ロックするための手段を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の分注器具。
【請求項5】
前記ピストン(4)は、前記射出ゲート(22)の遠位部にロックされたときに前記カートリッジの内部容積内に入るように構成されたロッドを備える、請求項1~4のいずれか一項に記載のディスペンシングガン。
【請求項6】
前記レバー(3)の始動状態から最終状態への枢動により、前記ピストン(4)が10mm~20mm、好ましくは14mm~16mm、より好ましくは15mm~18mmの範囲内で変位する、請求項1~5のいずれか一項に記載のディスペンシングガン。
【請求項7】
前記レバー(3)が始動状態にあるとき、前記内部ピストン(4)の遠位端は、前記射出ゲート(22)の近位端に配置される、請求項1~6のいずれか一項に記載のディスペンシングガン。
【請求項8】
前記フレーム(2)は、1つ以上のリブを備え、好ましくは1つのリブを備える、請求項1~7のいずれか一項に記載のディスペンシングガン。
【請求項9】
前記ディスペンシングガンは、前記フレームのリブの後ろに位置する座金を備える、請求項8に記載のディスペンシングガン。
【請求項10】
前記レバー(3)が前記中間状態にあるとき、前記レバー(3)は、スプリングプランジャによって前記始動状態と最終状態との間の位置に維持される、請求項3~9のいずれか一項に記載のディスペンシングガン。
【請求項11】
前記射出ゲート(22)は、前記フレーム(2)の遠位端に接続するように構成された近位部と、前記カートリッジのベース区域の2つの対向するロックウィングを接続及びロックするように構成された遠位部とを備える、請求項4に記載のディスペンシングガン。
【請求項12】
前記フレーム(2)は射出成形ポリマーで作製され、前記射出ゲート(22)は金属で作製される、請求項1~11のいずれか一項に記載のディスペンシングガン。
【請求項13】
前記ディスペンシングガンは、オートクレーブ可能及び/又は汚染除去可能である、請求項1~12のいずれか一項に記載のディスペンシングガン。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載のディスペンシングガン(1)と、2つの対向するロックウィング(77)付きのベース区域を有するカートリッジ(6)とを備えるシステム。
【請求項15】
少なくとも2つの対向するロックウィング(77)付きのベース区域を有するカートリッジ(6)と、請求項1~3のいずれか一項に記載のディスペンシングガン(1)とを含み、前記射出ゲート(22)が、前記カートリッジ(6)のベース区域の形状に対応する形状の開口部(222)を有する遠位プレート(221)を備える、請求項14に記載のシステムによって材料を分注する方法であって、
前記カートリッジ(6)を接続する前に、前記レバー(3)に加えられた推力の作用の下で前記レバー(3)と前記ハンドル(21)が80°~120°の範囲、好ましくはほぼ90°の角度をなし、且つ、前記フレーム(2)内のピストン(4)が前記射出ゲート(22)の遠位端からゼロでない距離e
xになるように前記ピストン(4)の第1のノッチ(41)と前記レバー(3)の第1の歯(31)が互いに係合する始動状態にレバーを配置する、前記ディスペンシングガン(1)を始動する第1のステップと、
送達する材料を収容している前記カートリッジのベース区域を前記射出ゲート(22)の遠位部にロックする第2のステップと、
前記カートリッジ(6)に収容された材料の押出しに使用する準備ができた位置に前記ディスペンシングガン(1)のピストン(4)を移動する第3のステップと、
前記レバーが引かれる(最終状態)まで前記レバー(3)に加えられた推力の作用の下で、全材料が押し出されるように前記ピストン(4)が前記カートリッジ内で変位する、前記カートリッジ(6)に収容された材料を分注する第4のステップと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カートリッジのためのディスペンシングガン(又はディスペンサ)に関する。特に、本発明のディスペンシングガンは、有利なことに、カートリッジに収容されたペースト状の材料を送達するのに適している。本発明はまた、医療分野、特に、歯科分野又は整形外科分野でのディスペンシングガンの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
多成分の歯科修復材料を混合し、患者の歯に詰めるために、材料を混合及び分注するのに適したカートリッジに、歯科修復用途で特に関心がもたれている。歯科修復材料は、典型的には粉末成分と液体成分で構成され、これらを混合することで歯科用セメントが生成される。特に、特定の量の粉末成分と液体成分が予め計量され、二成分の偶発的な混合を防ぐために個別のチャンバに格納された、歯科修復用途のカートリッジが開発されている。このようなカートリッジでは、成分を所望の時点で個別のチャンバから放出し、機械的に互いに混合することで、カートリッジから分注される歯科用セメントを生成することができる。
【0003】
カートリッジに収容された材料を分注するには、一般に分注器具が必要とされる。特に、歯科分野では、カートリッジに収容された歯科材料を分注するためのいくつかのディスペンシングガンが開発されている。
【0004】
例えば、WO95/00078は、カートリッジを入れるためのカートリッジホルダを有するディスペンシングガンを開示している。WO95/00078では、カートリッジをディスペンシングガンにロックする手段が存在していないため、WO95/00078のディスペンシングガンは、医師が操作するときの安全な取り扱いを保証できない。
【0005】
US2018/0185117で開示されているような他の分注器具は、カートリッジに収容された材料を送達するために医師が器具のレバーを数回操作する必要がある。これらの分注器具は、人間工学的なものではなく、材料の全量を分注できないことが多い。
【0006】
より具体的には、本発明は、特に材料の一部をロスするリスクを抑制することで材料の分注をより確実にしながら操作が容易な、カートリッジから材料を分注するためのディスペンシングガンを提案することによって、これらの欠点に対処することを意図している。このディスペンシングガンはまた、有利なことに、ディスペンシングガンのピストンの一行程で、カートリッジ内に収容された全材料の押出しを可能にする。
【発明の概要】
【0007】
この目的のために、本発明の主題は、ハンドルと、カートリッジを接続するための射出ゲートとを有するフレーム、少なくとも2つの歯を有するレバー、及び少なくとも2つのノッチを有するピストン(ガンピストンとも呼ばれる)を備える、カートリッジのためのディスペンシングガンであって、好ましくは、前記カートリッジは少なくとも2つの対向するロックウィング付きのベース区域を有し、前記射出ゲートはフレームの遠位部に配置され、
- ディスペンシングガンは、カートリッジを射出ゲートに直接ロックするための手段を備え、
- ディスペンシングガンは、カートリッジに収容された材料が単一のピストン行程で押し出されるようにカートリッジ内でガンピストンを押すための手段を備え、
- ディスペンシングガンは、カートリッジを接続する前にレバーとハンドルが80°~120°の範囲、好ましくは90°の角度をなすようにガンピストンの第1のノッチとレバーの第1の歯が互いに係合する始動状態をレバーがとるように構成される、ディスペンシングガンである。
【0008】
従来の様態で、本発明の枠組み内で、「近位」及び「遠位」という用語は、オペレータ(例えば歯科医)に対するディスペンシングガンの一部の位置を指す、すなわち、「近位」という用語は、カートリッジのオペレータにより近い位置を指し、一方、「遠位」という用語は、オペレータからより遠い位置を指す。
【0009】
一実施形態によれば、ディスペンシングガンは、レバーが引かれ、ディスペンシングガンのピストンがカートリッジに係合して、最初にカートリッジに収容されている材料がすべて押し出される最終状態をレバーがさらに有するように構成される。このようにして、材料のロスを抑制しながら材料が分注される。
【0010】
一実施形態によれば、ディスペンシングガンは、レバーが始動状態と最終状態との間の位置に維持され、ガンに接続されたカートリッジに収容された材料を押し出すためにディスペンシングガンを使用する準備ができた中間状態をレバーがさらにとるように構成される。好ましくは、中間状態では、ガンに接続されたカートリッジがピストンを備えているとき、ガンピストンはカートリッジピストンの近くに配置される。本発明における、「の近く」という用語は、10mm未満、好ましくは、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1mm未満の距離だけ互いに離れている2つの要素の相対位置(例えば、ガンピストンとカートリッジピストンの相対位置)を指す。一実施形態によれば、「の近く」という用語は、互いに直接接触している(つまり、それらの間の距離はゼロである)2つの要素の相対位置(例えば、ガンピストンとカートリッジピストンの相対位置)を指す。一実施形態によれば、「ガンピストンの遠位端は、カートリッジピストンの近位端に近い」という表現は、ガンピストンの遠位端の表面が、カートリッジピストンの近位端の表面に少なくとも部分的に又は完全に接触している及び覆っていることを意味する。このようにして、カートリッジから材料を押し出すための最終状態で医師がレバーに加える推力が最小にされる。有利なことに、医師にとって、このディスペンシングガンの取り扱いはより人間工学的であり、このディスペンシングガンの使用は既存のガンよりも簡単である。
【0011】
一実施形態によれば、射出ゲートは、2つの対向するロックウィング付きのベース区域を有するカートリッジをロックするように構成され、好ましくは、射出ゲートは、その2つのロックウィングを介してカートリッジの外スリーブを直接ロックするための手段を備える。このようにして、この特定の構成により、ディスペンシングガンでのカートリッジの適正な位置決めが保証され、カートリッジとディスペンシングガンとの間の安全な接続が提供される。その結果、本発明のシステム(ディスペンシングガンとカートリッジ)が使用され、材料を送達するために推力が加えられるとき、カートリッジが定位置に保持される。
【0012】
一実施形態によれば、ガンピストンは、射出ゲートの遠位部にロックされたときにカートリッジの内部容積内に入るように構成されたロッドを備える。このようにして、材料の押出し中に、ガンピストンは、材料をカートリッジの出口ノズルへ効率よく押し、カートリッジに収容されたすべての材料が押し出される。
【0013】
一実施形態によれば、レバーを始動状態から最終状態に枢動すると、ガンピストンが10mm~20mm、好ましくは14mm~16mm、より好ましくは15mm~18mmの範囲の距離だけ変位する。このようにして、レバーの枢動によりディスペンシングガンのピストンが変位し、したがって、カートリッジがガンに接続されているときに、ガンピストンがカートリッジピストンを押し、前記カートリッジに収容された全材料が押し出される。本発明における、「の範囲」という用語は、範囲の端を含むことを意味する。
【0014】
一実施形態によれば、レバーが始動状態にあるとき、ガンピストンの遠位端は、射出ゲートの近位端に配置される。
【0015】
一実施形態によれば、フレームは、1つ以上のリブを備え、好ましくは1つのみのリブを備える。
【0016】
一実施形態によれば、ディスペンシングガンは、フレームのリブの後ろに位置する座金を備える。
【0017】
一実施形態によれば、レバーが中間状態にあるとき、レバーは、スプリングプランジャによって始動状態と最終状態との間の位置に維持される。
【0018】
一実施形態によれば、射出ゲートは、フレームの遠位端に接続するように構成された近位部と、カートリッジのベース区域の2つの対向するロックウィングを接続及びロックするように構成された遠位部とを備える。
【0019】
一実施形態によれば、フレームは射出成形ポリマーで作製され、射出ゲートは金属で作製される。
【0020】
一実施形態によれば、射出ゲートは、オートクレーブ可能及び/又は汚染除去可能である。このようにして、射出ゲートは、使用後に容易に洗浄され、再使用され得る。本発明における、「オートクレーブ可能」という用語は、オートクレーブで滅菌され得る物体を指す。本発明における、「汚染除去可能」という用語は、物体に存在する微生物を減少又は除去するべく滅菌又は洗浄され得る物体を指す。
【0021】
本発明の別の目的は、上で定義したディスペンサと、2つの対向するロックウィング付きのベース区域を有するカートリッジとを含むシステムを指す。一実施形態によれば、本発明のディスペンシングガン又は本発明のシステムは、歯科分野又は整形外科分野で、好ましくは骨又は歯の修復に有用である。
【0022】
本発明の別の主題は、少なくとも2つの対向するロックウィング付きのベース区域を有するカートリッジと、本発明に係るディスペンシングガンとを含み、射出ゲートがカートリッジのベース区域の形状に対応する形状の開口部を有する遠位プレートを備える、システムによって材料を分注する方法であって、
- カートリッジを接続する前に、レバーに加えられた推力の作用の下で、レバーとハンドルが80°~120°の範囲、好ましくはほぼ90°の角度をなし、且つ、フレーム内のピストンが射出ゲートの遠位端からゼロでない距離exになるように、ピストンの第1のノッチとレバーの第1の歯が互いに係合する始動状態にレバーを配置する、ディスペンシングガンを始動する第1のステップと、
- 送達する材料を収容しているカートリッジのベース区域を射出ゲートの遠位部にロックする第2のステップと、
- カートリッジに収容された材料の押出しに使用する準備ができた位置にディスペンシングガンのピストンを移動させる第3のステップと、
- レバーが引かれる(最終状態)までレバーに加えられた推力の作用の下で、全材料が押し出されるようにピストンがカートリッジ内で変位する、カートリッジに収容された材料を分注する第4のステップと、
を含む方法である。
【0023】
本発明の別の主題は、前述のディスペンシングガンによってカートリッジに収容された材料を分注する方法であって、
- カートリッジを接続する前に、レバーに加えられた推力の作用の下でレバーとハンドルが80°~120°の範囲、好ましくはほぼ90°又は90°の角度をなすようにガンピストンの第1のノッチとレバーの第1の歯が互いに係合する始動状態にレバーを配置する、本発明のディスペンシングガンを始動する第1のステップと、
- 送達する材料を収容しているカートリッジのベース区域を射出ゲートの遠位部にロックする第2のステップと、
- カートリッジに収容された材料の押出しに使用する準備ができた位置にディスペンシングガンのピストンを移動させる第3のステップと、
- レバーが引かれる(最終状態)までレバーに加えられた推力の作用の下で、好ましくはガンピストンの一行程で全材料が押し出されるようにガンピストンがカートリッジ内で変位する、カートリッジに収容された材料を分注する第4のステップと、
を含む方法である。
【0024】
本発明の特徴及び利点は、単なる例として添付の図面を参照して行われる、本発明に係るディスペンシングガンのいくつかの実施形態の以下の説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係るディスペンシングガンの分解斜視図である。
【
図2】レバーが始動状態にあるときの、
図1のカートリッジのディスペンシングガンの縦断面図である。
【
図3】ディスペンシングガンのピストンがカートリッジのピストンと接触し、材料を押し出す準備ができた構成に対応する中間状態にレバーがあるとき(
図3A)、及び、材料の送出の終了に対応する最終状態にレバーがあるとき(
図3B)の、本発明のディスペンシングガンの側面図である。
【
図4】2つのロックウィングを有するカートリッジのベース区域を安全に接続及びロックするための手段を備える射出ゲートの斜視図である。
【
図5】粉末成分と液体成分を含む二成分系材料を混合及び分注するのに適している、本発明の第1の実施形態に係るディスペンシングガンでの使用に適したカートリッジの分解斜視図である。
【
図6】カートリッジの最初の保管構成での、
図5のカートリッジの縦断面図である。
【
図7】カートリッジの第1の動作構成での、
図6と同様の縦断面図である。
【
図8】カートリッジの第2の動作構成での、
図6と同様の縦断面図である。
【
図9】本発明のディスペンシングガンによって実施される材料の送出の終了に対応するカートリッジの分注構成での、
図6と同様の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明のディスペンシングガン
図1は、カートリッジのベース区域をロックすることと、次いで、カートリッジに収容された材料を分注することとの両方に適した、本発明の第1の実施形態に係るディスペンシングガン1の分解図を示している。
【0027】
図1に示すように、ディスペンシングガン1は、ハンドル21付きのフレーム2と、フレーム2の遠位端に配置される射出ゲート22とを備える。この第1の実施形態では、ディスペンシングガン1は、レバー3、ピストン4、座金51、ばね52、保持リング53、スプリングプランジャ54、及び枢動ピン23を含む。
【0028】
図1で見られるように、フレーム2はガンの形状を有し、医師が左手又は右手のいずれか一方の手でディスペンシングガンを取り扱うことを可能にするハンドル21を有する。
図1~
図3に示す分注器具の第1の実施形態では、医師の手のひらをハンドル21にかけ、医師の手の指をレバー3にかける必要がある。
【0029】
レバー3は、レバー3が枢動ピン23の軸を中心として半円運動することを可能にしながら、レバー3をフレーム2に接続することを可能にする枢動ピン23によってフレーム2に取り付けられる。特に、枢動ピン23とレバー3が両方とも金属のとき、枢動ピン23とレバー3との摩擦を回避するために、枢動ピンは保護スリーブ24で囲まれていてもよい。好ましくは、保護スリーブは、プラスチック材料から作製され、開放端円筒形状を有する。レバー3は、グリップ部とヘッドを備える。レバー3のヘッドは1つ以上の歯31を備える。一実施形態によれば、レバー3のヘッドは、1、2、3、4、5、6、又は7つの歯を備える。一実施形態によれば、レバー3のヘッドの歯は、ガンピストン4と協働するように構成される。一実施形態によれば、ガンピストン4はロッドである。一実施形態によれば、ガンピストン4は、1つ以上のノッチ41を備える。一実施形態によれば、歯31の数はノッチ41の数と同じである。一実施形態によれば、ガンピストン4は、少なくとも2つのノッチ、好ましくは3~8つのノッチ、より好ましくは7つのノッチを備えるロッドであり、前記ノッチはガンピストン4の中央部に存在する。
【0030】
図2及び
図3に示すように、ディスペンシングガンを使用するとき、レバー3は、始動状態(
図2)、中間状態(
図3A)、及び最終状態(
図3B)の、3つの別個の位置を連続的にとる。
【0031】
本発明における「始動状態」は、カートリッジを接続する前にレバー(3)とハンドル(21)が80°~120°の範囲、好ましくはほぼ90°の角度をなすようにガンピストン(4)の第1のノッチ(41)とレバー(3)の第1の歯(31)が互いに係合するレバー3の位置を指す。一実施形態によれば、始動状態では、レバー(3)とハンドル(21)は、約80°、81°、82°、83°、84°、85°、86°、87°、88°、89°、90°、91°、92°、93°、94°、95°、96°、97°、98°、99°、100°、101°、102°、103°、104°、105°、106°、107°、108°、109°、110°、111°、112°、113°、114°、115°、116°、117°、118°、119°、又は120°の角度をなす。一実施形態によれば、数字の前にある「約」という用語は、前記数字の値の+又は-10%、好ましくはこの値の+又は-5%、より好ましくは、この値の+又は-1%を意味する。
図2で見られるように、始動状態では、ガンピストン4の遠位端は、射出ゲート22の近位端に配置される。一実施形態によれば、始動状態では、ガンピストン4の遠位端は射出ゲート22の内部容積内にはない。一実施形態によれば、始動状態では、ガンピストン4のロッドは射出ゲートの内部容積内にはない。一実施形態によれば、始動状態では、カートリッジは、ディスペンシングガン1に接続、保持、及び/又はロックされていない。一実施形態によれば、始動状態は、ガンピストン4をフレーム2内で射出ゲート22の遠位端からゼロでない距離e
xに保つことを可能にする。一実施形態によれば、距離e
xは、1mm~17mmの範囲、好ましくは7mm~17mm、より好ましくは14mm~16mmの範囲である。一実施形態によれば、距離e
xは、1mm、2mm、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm、11mm、12mm、13mm、14mm、15mm、16mm、17mmである。
【0032】
本発明における「最終状態」は、レバー3が完全に引かれた状態のレバー3の位置を指す。
図3Bで見られるように、最終状態では、レバー3の縦軸は、ディスペンシングガンのハンドル21の縦軸と平行である。一実施形態によれば、最終状態では、レバーの始動状態から最終状態への枢動により、ディスペンシングガン内のガンピストン4の最大変位がもたらされる、及び/又は、ディスペンシングガンにロックされたカートリッジのピストンの最大変位がもたらされる。一実施形態によれば、最終状態では、レバーの始動状態から最終状態への枢動により、好ましくは、ディスペンシングガン内のガンピストン4の一行程で、及び/又はディスペンシングガンにロックされたカートリッジのピストンの一行程で、カートリッジに収容された全材料が押し出される。
【0033】
図3Aに示すように、「中間状態」は、上で定義した始動状態と最終状態との間のレバー3の位置を指す。一実施形態によれば、中間状態では、ガンピストン4が射出ゲート22に係合し、ガンピストン4の遠位端は、射出ゲート22の遠位端の外に配置される。一実施形態によれば、中間状態では、カートリッジが射出ゲートの遠位端にロックされ、ガンピストン4の遠位端は、カートリッジのピストンの近くに配置され、好ましくは接触し、したがって、システムは、材料を押し出すことなく、材料を押し出す準備ができた状態になる。
【0034】
図4に示すように、射出ゲート22は、開口部222を有する遠位プレート221を備える。開口部222の形状は、カートリッジのベース区域の形状に対応する。このようにして、カートリッジは、ディスペンシングガンの射出ゲート22に係合することができる。一実施形態によれば、開口部222の形状は、2つの対向するロックウィングを有するカートリッジのベース区域の形状に対応する。
【0035】
射出ゲート22はまた、射出ゲート22内に入ったカートリッジをロックするための手段を備える。一実施形態によれば、ディスペンシングガン1に(及び射出ゲート22に)カートリッジをロックするための手段は、射出ゲート22の遠位プレート221の少なくとも1つの側壁にある少なくとも1つの穴を含む又はからなる。一実施形態によれば、ディスペンシングガン1に(及び射出ゲート22に)カートリッジをロックするための手段は、射出ゲート22の遠位プレート221の各垂直側壁にある1つの穴223を含む又はからなる。このようにして、カートリッジが射出ゲート内で遠位プレート221の開口部へ押され、カートリッジがカートリッジの縦軸を中心として4分の1回転されると、カートリッジのロックウィングが射出ゲート22の2つの垂直側壁の穴内に嵌り、カートリッジがディスペンシングガン1に安全にロックされる。一実施形態によれば、射出ゲート22の側壁は、ベース区域及び/又はカートリッジのロックウィングの厚さよりも大きい厚さを有する。
【0036】
カートリッジ
本発明はまた、本発明のディスペンシングガン1とカートリッジ6とを含むシステムを指す。本発明において、カートリッジは、本発明のディスペンシングガン1に適した任意のカートリッジであり得る。特に、カートリッジは、本発明のディスペンシングガン1で送達できる任意の適切な材料を収容することができ、好ましくは、材料は、例えば骨充填材又は歯科材料などの医療用組成物である。一実施形態によれば、カートリッジは、歯科用カートリッジなどの医療用カートリッジであり得る。一実施形態によれば、WO2021/013752に記載のカートリッジは、本発明のディスペンシングガン1で使用するのに特に適している。一実施形態によれば、カートリッジは、少なくとも1つの突起付きのベース区域、分注する材料を収容するチャンバ、ピストン、及び分注ノズルを備える。一実施形態によれば、カートリッジは、本発明のディスペンシングガン1に、好ましくはディスペンシングガン1の射出ゲート22にロックする手段を有するベース区域を備える。一実施形態によれば、ディスペンシングガン1にカートリッジをロックする手段は、カートリッジのベース区域に存在する少なくとも2つのウィング、好ましくは、2つの対向するロックウィングを含む又はからなる。
【0037】
図5は、粉末成分と液体成分を含む二成分歯科修復材料の混合と分注の両方に適した、本発明に係る器具で使用するのに適したカートリッジ6の分解図を示している。
図5で見られるように、カートリッジ6は、円形の断面を有する連続した管状部材からなり、これらは縦軸X-X’に沿って位置合わせされた状態で入れ子式に挿入されるように構成される。この実施形態では、カートリッジ6の管状部材は、最も外側の要素から最も内側の要素の順に、外スリーブ7、バレル8、液体レセプタクル9、及びプランジャ10を含む。
【0038】
スリーブ7は、近位開放端711と、スリーブの遠位壁72によって画定される遠位端712とを含む、本体71を備える。遠位壁72に分注穴73が設けられ、そこからスリーブの本体71と一体に形成された管状分注ノズル70が延びている。分注ノズル70の周壁70aの厚さt70は、分注穴73から分注ノズルの自由端70bに向けて縮小する。この特定の幾何学的形状と、ポリマー、好ましくは、この例では透明アモルファスコポリエステルなどの透明ポリマーである分注ノズル70の構成材料との組み合わせにより、分注ノズル70は、屈曲しても一定の内径を保持できる状態で変形可能である。このようにして、分注ノズル70は、材料を分注するための一定の直径を有しながら操舵可能である。
【0039】
スリーブ7の遠位壁72は、分注穴73と位置合わせされている内部穿刺要素79を備え、これはバレル8の破壊可能な遠位壁89を破壊することを意図している。穿刺要素79は、分注穴73と流体連通するようにスリーブの遠位壁72から内部に突出する管状の要素である。この構成により、バレル8の遠位壁89が破壊されると、管状の穿刺要素79は、バレル8に収容された材料を分注穴73に直接案内する特化された通路を形成し、これにより、バレル8とスリーブ7との間の空間内の材料のロスが抑制される。
【0040】
穿刺要素79の内径d79は、分注穴73の直径d73よりも僅かに大きい。このようにして、穿刺要素79の作用の下でバレル8の遠位壁89にあけられた開口は、分注される材料の適正な流れを保証するのに適したサイズを有する。穿刺要素79の周りに、スリーブ7は環状(又はリング形)キャビティ74を備え、その底部は遠位壁72の内面によって形成され、一方、リングの中央壁は管状穿刺要素79の周壁によって形成され、リングの外壁は、バレル8の対応するベベル外面88と相補的なベベル内面によって形成される。これらの相補的なベベル面は、バレル8とスリーブ7との間の空間内の材料の通過を制限するべく、穿刺要素79及び分注穴73に隣接するスリーブ7とバレル8との間の境界面で効率的な密封を提供するように設計される。
【0041】
図5及び
図6に示すように、カートリッジ6のバレル8は、近位開放端81と、破壊可能な遠位壁89によって画定される遠位端82とを備える。バレル8は、二成分歯科修復材料の粉末成分を入れるように構成されたチャンバ85を画定する。バレル8の構成材料は、吸湿性の粉末成分を保護するのに適切なチャンバ85内の一定の湿度レベルを維持するべく、23℃及び85%RHで膜厚が100μmのとき0.5g/(m
2・日)未満の水蒸気透過度(WVTR)を有するように選択される。特に、この例では、バレル8は、23℃及び85%RHで膜厚が100μmのとき0.4g/(m
2・日)程度のWVTRを有する環状オレフィンコポリマー(COC)で作製される。別の実施形態によれば、バレル8の構成材料は、23℃及び85%RHで膜厚が100μmのとき0.5g/(m
2・日)よりも高い水蒸気透過度(WVTR)を有するように選択される。
【0042】
バレル8の遠位壁89は、スリーブの遠位壁72の内面と協働するように構成された密封部によって囲まれる中央破壊可能部を備える。有利なことに、破壊可能部の表面積と密封部の表面積との比は、開口後に、開口した破壊可能部のバリがスリーブの分注穴73から完全に離れ、一方、密封部の支持面は接触面積を抑制するために十分に薄いリングになるような大きさにされる。このようにして、スリーブの遠位壁72で密封を達成するのがより容易になり、材料の分注中の密封を確実にするべく接触圧力が最大になる。この構成は、材料のロスを抑制しながら、分注する材料の適正な流れを保証する。
【0043】
破壊可能部の直径と穿刺要素79の直径はまた、穿刺要素79の破壊効率が最大になるように調整される。例えば、図示の例では、穿刺要素79の直径d79は、破壊可能部の直径dの半分程度である。破壊可能部は、遠位壁89の中央部から始まって星形に放射状に分布する6つの脆弱ラインを備える。各脆弱ラインは、遠位壁89の残りの部分の厚さt89よりも薄い厚さtを有する。星の中央部に応力が集中するため、星の中央から破壊が始まる。
【0044】
この脆弱ラインの配置は、穿刺要素79の作用を受けたときに、分注ノズル70から離れる方に向いた花冠形のバレルの遠位壁89の変形を誘導するように構成される。実際には、遠位壁89の破断は、バレルの遠位壁89がスリーブの遠位壁72から距離e
1にある
図6に示される第1の位置と、バレルの遠位壁89の密封部がスリーブの遠位壁72の内面と接触し、相補的なベベル面83、741が協働してスリーブ7とバレル8との間に密封を提供する第2の位置(
図9に示される)との間の縦軸X-X’に沿ったスリーブ7内でのバレル8の変位を通じて得られる。
図7及び
図8で見られるように、ディスペンシングガンのレバーが上で定義した始動状態及び/又は中間状態にあるときにカートリッジに収容された材料の意図せぬ分注を回避するために、バレルの遠位壁89とスリーブの遠位壁72との距離e
1は、0よりも大きい。一実施形態によれば、バレルの遠位壁89とスリーブの遠位壁72との距離e
1は1mm~5mm、好ましくは2mm~4mmの範囲であり、より好ましくは約3mmである。
【0045】
バレル8はまた、その近位端81の近くに2つの直径方向に対向するタブ88を備える。各タブ88は、近位端711の近くに配置されたスリーブ7のロックウィング77によって画定される対応するハウジング778内に入ることで、バレル8をスリーブ7に対して第1の位置にロックするように構成される。このカートリッジ6のロック構成により、バレル8の遠位壁89がスリーブの遠位壁72から距離e1に確実にとどまり、したがって、遠位壁89が穿刺要素79によって穿刺されるリスクなしにカートリッジ6を操作することができ、これは、分注ステップの前に混合ステップを実施することを可能にする。
【0046】
さらに、バレル8は、スリーブ7の本体71内に周方向に分布した6つのクリップ部材75によって形成される内側半径方向凹部756と協働するように構成された外側半径方向カラー86を備える。外側半径方向カラー86と内側半径方向凹部756との協働により、タブ88がハウジング778から係合解除されたときでも、バレル8をスリーブ7に対して第1の位置に維持することが可能になり、したがって、係止システム88/778が機能しないときでも、カートリッジ6を保管構成に固定することができる。
【0047】
特に
図8で見られるように、スリーブ7の本体71はまた、その近位端711の近くに2つの直径方向に対向する長手方向の溝78を備え、これらは、バレルが第1の位置から第2の位置に移動するときにバレル8のタブ88の変位を案内するように構成される。長手方向の溝78は、バレル8が穿刺要素79の方に移動する際に近位端711の近くにバレル8を確実に案内し、一方、スリーブの本体71内に周方向に分布した6つのガイドリブ76が、遠位端712の近くに確実に別の案内をする。ガイド手段76及び78は、カートリッジ6の分注構成に到達するためのバレル8の変位の安定性を向上させる。
【0048】
バレル8のチャンバ85は、液体レセプタクル9とプランジャ10の組み合わせによって形成されるピストンによって密封される。この例示的な例では、レセプタクル9は、低密度ポリエチレン(LDPE)で作製され、プランジャ10は、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)で作製される。レセプタクル9は、近位開放端91と、開口可能な遠位壁97によって画定される遠位端92を備える。レセプタクル9は、二成分歯科修復材料の液体成分を入れるように構成されたチャンバ95を画定する。レセプタクル9の遠位壁97は、環状接続部99によって遠位壁の残りの部分にくっついている脱着部98を備える。環状接続部99は、60°程度の角度αをなして延びる中実部と、ヒンジを形成するべく中実部の厚さtよりも小さい厚さtを有する脆弱部を備える。この構成は、脆弱部のみを破断することでレセプタクル9の遠位壁97を開口することを可能にし、したがって、脱着部98は、中実部によって形成されたヒンジを通じて、レセプタクル9の遠位壁97に接続されていながら、レセプタクル9からフリップする。
【0049】
レセプタクル9は、バレル8のチャンバ85内で密封係合した状態で移動するように構成される。この目的のために、レセプタクルの遠位壁97が開口し、レセプタクル9がバレルの遠位壁89の方に移動するときに、最初にレセプタクル9のチャンバ95に収容されている液体成分がバレル8とレセプタクル9との間の空間の方に出るのを防ぐように構成された周辺密封リブ93がレセプタクル9の外側に設けられる。
【0050】
実際には、レセプタクル9の遠位壁97の開口は、プランジャ10の遠位壁102から遠位に延びるロッド109によって得られる。より正確には、レセプタクル9のチャンバ95は、チャンバ95内で移動可能なプランジャ10によって密封され、プランジャ10の遠位ロッド109は、レセプタクルの遠位壁97の脱着部98に圧力を加えるように構成される。遠位壁97を開口する前に、粉末成分がバレル8のチャンバ85内に密封して入れられ、液体成分がレセプタクル9のチャンバ95内に密封して入れられる。次いで、プランジャの遠位ロッド109で脱着部98に圧力を加えることでレセプタクルの開口可能な遠位壁97を開口し、手動で又は振動ミキサによってこの動作構成でカートリッジ6に振動を加えることによって、所望の時点で二成分を容易に混合して、分注する材料を生成することができる。
【0051】
レセプタクル9は、カートリッジ6の保管構成においてプランジャ10の2つの対応する外周リブ106、106’と協働してプランジャ10をレセプタクル9の開口可能な遠位壁97から距離e
2に保つように構成された2つの内周溝96、96’を備える。内周溝96、46’と外周リブ96、96’との協働は、
図7の動作構成に達するように例えば作動マシンによってプランジャ10の近位端101に加えられる推力F
0の作用の下で解除可能である。レセプタクル9とプランジャ10との間の協働する半径方向の機能部96、106、及び96’、106’は、粉末成分と液体成分が分離され、二成分の偶発的な混合のリスクなしに、第1の成分はバレルのチャンバ85に入っており、第2の成分はレセプタクルのチャンバ95に入っている保管構成にカートリッジ6を固定することを可能にする。
【0052】
バレル8はまた、その近位端81の近くに内周溝84を備え、内周溝84は、レセプタクル9とプランジャ10の組み合わせによって形成されるピストンが材料を分注するためにバレルの遠位壁89の方に移動されるときまで、レセプタクル9の外周リブ94と協働してレセプタクル9の遠位壁97をバレル8の遠位壁89から特定の距離に保つように構成される。バレル8とレセプタクル9との間の協働する半径方向の機能部84、94は、例えば本発明のディスペンシングガンによるプランジャ10の近位端101への推力F1の適用を通じて得られる分注構成へのカートリッジ6の2段階遷移を可能にする。
【0053】
方法
本発明はまた、上で定義した本発明に係るディスペンシングガン1によって、上で定義したカートリッジに収容された材料を分注する方法に関し、この方法は、後述するステップを含む。
【0054】
最初に、ディスペンシングガン1は、
図2に示すような始動状態にあり、このとき、レバー3は、ガンピストン4がフレーム2内で射出ゲート22の遠位端から距離e
xに保たれるようにガンピストン4と協働する。この始動構成では、カートリッジはまだディスペンシングガン1に接続されていない。
【0055】
次いで、カートリッジのベース区域を射出ゲート22の開口部222に押し込む。開口部222とカートリッジのベース区域は、互いに嵌合し、カートリッジが射出ゲートの内部容積内に入るように、同じ形状を有していなければならない。その後、カートリッジの外スリーブをカートリッジの縦軸に沿って4分の1回転させることで、各ロックウィング77が、射出ゲート22の遠位プレート221の各垂直側壁の穴にロックされる。このようにして、ディスペンシングガンをカートリッジと共に使用するとき、ロックウィング77が射出ゲート22のフレームに保持され、医師にとっての安全な取り扱いが保証される。
【0056】
カートリッジをディスペンシングガン1にロックした後で、レバー3を上で定義した始動状態から中間状態に枢動させるべくレバー3に推力Fを加える。このようにして、レバー3とガンピストン4との協働によりガンピストン4が変位することで、カートリッジがロックされている射出ゲート22の内部容積内にガンピストン4の遠位端が係合し、ガンピストン4の遠位端はカートリッジのピストンの近くに配置され、押出しを実行するのではなくカートリッジの材料を押し出す準備ができた状態になる。レバー3の中間状態は、スプリングプランジャ54の作用により達成される。この中間ステップの間、バレルの遠位壁89がスリーブの遠位壁72と接触して穿刺要素79によって破壊されるまで、バレル8はスリーブ7に対して第1の位置から第2の位置に変位する。このステップにおいて、バレル8とレセプタクル9との間の半径方向の機能部84、94が相互に係合して、バレル8、レセプタクル9、及びプランジャ10が一体になって移動する。
【0057】
最後に、レバー3に対する推力F’の作用の下で、ガンピストン4がカートリッジ内で前進し、ガンピストン4の遠位端が、レセプタクル9とプランジャ10の組み合わせによって形成されるカートリッジのピストンを押し、これはバレル8に対して変位し、このステップで、バレル8とレセプタクル9との間の半径方向の機能部84、94が相互に係合解除される。このようにして、分注する材料がカートリッジの分注ノズルの方に可能な限り押され、したがって、材料のロスが抑制される。
【0058】
有利なことに、医師がレバー3に加える推力F’は僅かであり、両手を使用する必要はない。有利なことに、ディスペンシングガンで材料を押し出すべく(すなわち、レバー3を中間状態から最終状態に動かすべく)レバー3を動かすための医師の指の動きの振幅が小さくてすむ。したがって、このディスペンシングガンは、従来の分注器具よりも人間工学的であり、使いやすい。
【0059】
本発明は、説明及び図示した例に限定されない。特に、本発明に係るディスペンシングガンで使用されるカートリッジの構成部材のために、前述した以外の他の材料及び形状を検討することができる。
【国際調査報告】