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特表2024-504173同心入出力ケーブルを利用する目標体温管理療法の適用のためのシステム、方法、及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-30
(54)【発明の名称】同心入出力ケーブルを利用する目標体温管理療法の適用のためのシステム、方法、及び装置
(51)【国際特許分類】
   A61F 7/00 20060101AFI20240123BHJP
   A61F 7/02 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
A61F7/00 310F
A61F7/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544720
(86)(22)【出願日】2022-01-26
(85)【翻訳文提出日】2023-09-20
(86)【国際出願番号】 US2022013904
(87)【国際公開番号】W WO2022164906
(87)【国際公開日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】63/141,695
(32)【優先日】2021-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591018693
【氏名又は名称】シー・アール・バード・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】C R BARD INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】1 Becton Drive Franklin Lakes NEW JERSEY 07417 UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】100116322
【弁理士】
【氏名又は名称】桑垣 衛
(72)【発明者】
【氏名】ジョンストン、ガブリエル エイ.
(72)【発明者】
【氏名】スミス、ジェシー
(72)【発明者】
【氏名】イー、メンジア
(72)【発明者】
【氏名】パセア、ニハリカ
(72)【発明者】
【氏名】ウォーカー、ショーン イー.
【テーマコード(参考)】
4C099
【Fターム(参考)】
4C099AA04
4C099CA02
4C099EA05
4C099JA01
4C099PA04
(57)【要約】
目標体温管理(TTM)療法を患者に提供するためのシステム及び方法が開示される。例えば、TTMシステムは、流体送達ラインを熱接触パッドに結合するための接続システムを含む。接続システムは、流体送達ラインが熱接触パッドに完全に接続されている旨の指標をユーザに提供するように構成される。更に、接続システムは、接続ロックを作動させるとともにTTMシステムモジュールと信号を共有するためのコントローラも含む。流体送達ラインは、同心円状に配置された一対の導管を含み、熱パッドは、流体含有層内に配置されたTTM流体フィルタを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
目標体温管理(TTM)システムであって、
TTM流体を提供するように構成されるTTMモジュールと、
前記TTM流体と患者との間の熱エネルギー伝達を促進するために前記TTMモジュールから前記TTM流体を受容するように構成される熱パッドと、
前記TTMモジュールと前記熱パッドとの間に延在し、前記TTMモジュールから前記熱パッドへのTTM流体の流れを提供するように構成されるマルチ導管流体送達ラインと、
接続状態指標をユーザに提供するように構成される接続システムと、を備え、
前記接続システムは、
前記流体送達ラインに取り付けられた第1のコネクタと、
前記熱パッドに取り付けられた対応する第2のコネクタと、
前記第1のコネクタが前記第2のコネクタに接続されているかどうかを判定するように構成される接続状態センサと、を備える、目標体温管理システム。
【請求項2】
前記接続状態指標は、前記第1のコネクタが前記第2のコネクタに完全に接続されていることの確認指標である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記接続状態指標は、照明標識を含む、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記接続システムは、前記第2のコネクタに対する前記第1のコネクタの適切な配向を示す1つ以上の表示要素を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記接続システムは、前記接続状態センサに結合された接続コントローラを更に備え、前記接続コントローラはコントローラロジックを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1のコネクタが前記接続コントローラを備える、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記接続システムは、前記接続コントローラに結合されたディスプレイを含み、前記コントローラロジックは、前記接続状態指標をディスプレイ上に表示させるように構成される、請求項5又は6に記載のシステム。
【請求項8】
前記接続コントローラ及び前記ディスプレイは、コントローラハウジング内に配置される、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記接続システムは、前記第2のコネクタからの前記第1のコネクタの分離を選択的に許容及び阻止するように構成されるコネクタロックを更に含む、請求項5~8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記接続システムは、前記接続コントローラ及び前記コネクタロックに結合されたアクチュエータを更に含み、前記コントローラロジックは、選択的に、1)前記第2のコネクタからの前記第1のコネクタの分離を阻止するように前記コネクタロックをアクティブ化し、2)前記第2のコネクタからの前記第1のコネクタの分離を許容するように前記コネクタロックを非アクティブ化する、ように構成される、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記接続システムは、TTM流体流量を測定するように構成される流量センサを更に含み、
前記流量センサは、前記接続コントローラに結合され、
前記コントローラロジックは、TTM流体流量をディスプレイ上に表示させるように構成される、請求項7~10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記コントローラロジックは、前記流量センサからの信号に従って前記ロックをアクティブ化及び/又は非アクティブ化するように構成される、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記接続システムは、TTM流体温度を測定するように構成される温度センサを更に含み、
前記温度センサは、前記接続コントローラに結合され、
前記コントローラロジックは、TTM流体温度をディスプレイ上に表示させるように構成される、請求項7~12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記接続コントローラは、前記TTMモジュールに結合され、
前記コントローラロジックは、前記接続状態指標を前記TTMモジュールに提供し、
前記TTMモジュールは、TTMモジュールロジックを含むTTMモジュールコンソールを備え、
前記TTMモジュールロジックは、前記接続状態指標に従って、前記パッドへの前記TTM流体の流れを選択的に許容及び阻止するように構成される、請求項5~13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記コントローラロジックは、前記接続システム、前記温度センサ、及び/又は前記流量センサから受信された信号に従って、1つ以上の信号を前記TTMモジュールに提供するように構成される、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記コントローラロジックは、前記TTMモジュールコントローラから受信される信号に従って、前記第2のコネクタからの前記第1のコネクタの分離が可能であることを示す視覚的表示をディスプレイ上に提供するように構成される、請求項14又は15に記載のシステム。
【請求項17】
前記コントローラロジックは、前記TTMモジュールからの信号に従って前記ロックをアクティブ化及び/又は非アクティブ化するように構成される、請求項14~16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
前記流体送達ラインは、第1の導管及び第2の導管を備え、前記第1の導管は、前記流体送達ラインの長さに沿って前記第2の導管内に配置される、請求項1~17のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
使用時において、前記第1の導管を通る流体の流れ方向は、前記TTMモジュールから前記熱パッドに向かう方向である、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記第1の導管は、前記第2の導管内に同心円状に配置されている、請求項18又は19に記載のシステム。
【請求項21】
前記第1の導管は、前記流体送達ラインの長さに沿って前記第2の導管に取り付けられる、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
TTM流体流路に沿って配置されたフィルタを更に備える、請求項1~21のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項23】
前記フィルタは、前記TTM流体流路に沿ってTTM流体の流れ方向に平行に配置された多孔質壁を含む、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記フィルタは、前記熱パッドに取り付けられる、請求項22又は23に記載のシステム。
【請求項25】
前記フィルタは、前記熱パッドの流体含有層内に配置される、請求項22~24のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項26】
目標体温管理(TTM)流体と患者との間の熱エネルギー伝達を促進するための医療用パッドであって、
流体含有層と、
前記流体含有層と流体連通する流体コネクタであって、TTM流体送達ラインに取り付けられた対応する流体ラインコネクタと結合するように構成される流体コネクタと、を備え、
前記流体コネクタは、接続状態システムのパッド構成要素を備え、
前記パッド構成要素は、前記流体コネクタが対応する前記流体ラインコネクタと結合されたときに、前記接続状態システムの対応する流体ライン構成要素と相互作用するように構成され、
前記接続状態システムは、前記流体コネクタが対応する前記流体ラインコネクタと結合されている旨の指標をユーザに提供するように構成される、医療用パッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同心入出力ケーブルを利用する目標体温管理療法の適用のためのシステム、方法、及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人体に対する温度の影響は十分に実証されており、身体組織を選択的に冷却及び/又は加熱するために目標体温管理(TTM:targeted temperature management)システムを使用することが知られている。高温、すなわち高体温は、通常の状況下において、更により重要には、疾患又は手術などの身体的ストレスの期間中には脳に有害な場合がある。その反面、より低い体温、すなわち軽度低体温は、ある程度の神経保護を提供し得る。中程度から重度の低体温は、身体、特に心血管系により有害な傾向がある。
【0003】
目標体温管理は、2つの異なる側面において見ることができる。体温管理の第1の側面は、異常体温を治療すること、すなわち、高体温の状態の身体を冷却すること、又は低体温の状態の身体を加温することを含む。体温調節の第2の側面は、ある程度の神経保護を得るために卒中の患者を冷却することなど、生理学的利益を提供するために患者の体温を物理的に制御する技術を用いる発展的な治療である。例として、TTMシステムは、卒中及び頭部外傷患者が受ける神経損傷を低減するために、卒中の早期治療で利用されることがある。更なる用途としては、心肺バイパス手術などの外科的処置中の選択的な患者の加熱/冷却が挙げられる。
【0004】
TTMシステムは、患者に結合された1つ以上の熱接触パッドを通して流体(例えば、水)を循環させ、患者との表面間熱エネルギー交換に影響を及ぼす。一般に、TTMシステムは、流体送達ラインを介して少なくとも1つの接触パッドに結合されたTTM流体制御モジュールを含む。そのようなTTMシステムの1つは、2001年10月11日に出願された「流体圧力維持を伴う患者体温制御システム(Patient Temperature Control System with Fluid Pressure Maintenance)」という発明の名称の特許文献1に開示されており、そのような熱接触パッド及び関連システムの1つは、1999年1月4日に出願された「冷却/加熱パッド及びシステム(Cooling/heating Pad and System)」という発明の名称の特許文献2に開示されている。これらの両方は、内容全体が参照によって本明細書に組み込まれる。特許文献2に示されるように、パッドと患者との密接な接触を確立し、維持する能力は、TTMシステムによる医療の有効性を完全に実現するために重要なものである。
【0005】
これら及び他の医療用途が進化するにつれて、TTMシステムの予測可能性、応答性、柔軟性、及び可搬性がより重要になってきている。場合によっては、患者は、医療処置のためにTTMシステムから切断され、次いで医療処置後に再接続される必要があり得る。場合によっては、緊急の切断が必要とされることがある。したがって、TTMモジュールとパッドとの間の接続の信頼性及び使いやすさがより重要になってきている。例えば、臨床医は、TTM流体の流れが開始される前に、流体送達ライン(FDL)と熱接触パッドとの間の確実な接続を確認することができる必要がある。場合によっては、臨床医が、患者におけるTTM流体の温度等のTTM流体の1つ以上のパラメータを観察することが有利であり得る。
【0006】
場合によっては、TTM制御モジュールは、比較的長いFDL(例えば、数フィートの長さ)を必要とする、患者から離れた距離に配置される必要があり得る。そのような場合、TTM流体への又はTTM流体からの熱伝達は、TTM療法において識別及び/又は考慮される必要があり得る。したがって、TTM流体への熱伝達及びTTM流体からの熱伝達を最小限に抑えるFDLが有利であり得る。
【0007】
本明細書では、患者に結合された熱接触パッドにTTM流体を輸送するためのデバイス及び方法の実施形態が開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6645232号明細書
【特許文献2】米国特許第6197045号明細書
【発明の概要】
【0009】
簡潔に要約すると、本明細書で開示されるのは、目標体温管理(TTM)システムである。TTMシステムは、TTM流体を提供するように構成されるTTMモジュールと、前記TTM流体と患者との間の熱エネルギー伝達を促進するために前記TTMモジュールから前記TTM流体を受容するように構成される熱パッドと、前記TTMモジュールと前記熱パッドとの間の流体連通を提供するマルチ導管流体送達ラインと、を備え得る。
【0010】
前記TTMシステムはまた、接続状態指標(connectivity indication)をユーザに提供するように構成される接続システムを備えてもよい。前記接続システムは、前記流体送達ラインに取り付けられた第1のコネクタと、前記熱パッドに取り付けられた対応する第2のコネクタと、前記第1のコネクタが前記第2のコネクタに接続されているかどうかを判定するように構成される接続状態センサと、を備えることができる。いくつかの実施形態では、前記接続状態指標は、前記第1のコネクタが前記第2のコネクタに完全に接続されていることの確認指標(confirming indication)であってもよく、前記接続状態指標は照明標識( illuminating indicium)を含んでもよい。前記接続システムはまた、前記第2のコネクタに対する前記第1のコネクタの適切な配向を示す1つ以上の表示要素(indicia)を備えてもよい。
【0011】
いくつかの実施形態において、前記接続システムは、前記接続状態センサに結合された、コントローラロジックを含む接続コントローラを備えてもよい。いくつかの実施形態では、前記第1のコネクタが前記接続コントローラを備える。前記接続システムは、前記接続コントローラに結合されたディスプレイを含んでもよく、前記コントローラロジックは、前記接続状態指標をディスプレイ上に表示するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、前記接続コントローラ及び前記ディスプレイは、コントローラハウジング内に配置されてもよい。
【0012】
いくつかの実施形態では、前記接続システムは、前記第2のコネクタからの前記第1のコネクタの分離を選択的に許容及び阻止するように構成されるコネクタロックを含む。前記接続システムは、前記接続コントローラ及び前記コネクタロックに結合されたアクチュエータを更に含むことができ、前記コントローラロジックは、選択的に、1)前記第2のコネクタからの前記第1のコネクタの分離を阻止するように前記コネクタロックをアクティブ化し、2)前記第2のコネクタからの前記第1のコネクタの分離を許容するように前記コネクタロックを非アクティブ化する、ように構成され得る。
【0013】
いくつかの実施形態では、前記接続システムは、TTM流体流量を測定するように構成される流量センサを含んでもよい。前記流量センサは、前記接続コントローラに結合されてもよく、前記コントローラロジックは、前記TTM流体流量を前記ディスプレイ上に表示するように構成されてもよい。前記コントローラロジックはまた、前記流量センサからの信号に従って前記ロックをアクティブ化及び/又は非アクティブ化するように構成されてもよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、前記接続システムは、TTM流体温度を測定するように構成される温度センサを更に備えてもよい。前記温度センサは、前記接続コントローラに結合されてもよく、前記コントローラロジックは、前記TTM流体温度を前記ディスプレイ上に表示させるように構成されてもよい。
【0015】
いくつかの実施形態では、前記接続コントローラは、前記TTMモジュールに結合されてもよく、前記コントローラロジックは、前記接続状態指標を前記TTMモジュールに提供してもよい。前記TTMモジュールは、TTMモジュールロジックを含むTTMモジュールコンソールを備えてもよく、前記TTMモジュールロジックは、前記接続状態指標に従って、前記熱パッドへの前記TTM流体の流れを選択的に許容及び阻止するように構成されてもよい。前記コントローラロジックはまた、前記接続システム、前記温度センサ、及び/又は前記流量センサから受信された信号に従って、1つ以上の信号を前記TTMモジュールに提供するように構成されてもよい。
【0016】
いくつかの実施形態では、前記コントローラロジックは、前記TTMモジュールコントローラから受信される信号に従って、前記第2のコネクタからの前記第1のコネクタの分離が可能であることを示す視覚的表示を前記ディスプレイ上に提供するように構成されてもよい。前記コントローラロジックはまた、前記TTMモジュールからの信号に従って前記ロックをアクティブ化及び/又は非アクティブ化するように構成されてもよい。
【0017】
いくつかの実施形態では、前記流体送達ラインは、第1の導管及び第2の導管を備え、前記第1の導管は、前記流体送達ラインの長さに沿って前記第2の導管内に配置されてもよい。前記第1の導管を通る流体の流れ方向は、前記TTMモジュールから前記熱パッドに向かう方向であってもよい。前記第1の導管は、前記第2の導管内に同心円状に配置されてもよく、前記第1の導管は、前記流体送達ラインの長さに沿って前記第2の導管に取り付けられてもよい。
【0018】
いくつかの実施形態では、前記TTMシステムは、TTM流体流路に沿って配置されたフィルタを更に含む。前記フィルタは、前記TTM流体流路に沿ってTTM流体の流れ方向に平行に配置された多孔質壁を含み得る。いくつかの実施形態では、前記フィルタは、前記熱パッドに取り付けられてもよく、さらなる実施形態では、前記フィルタは、前記熱パッドの流体含有層内に配置されてもよい。
【0019】
本明細書では、TTMシステムを使用する方法も開示される。前記TTMシステムは、TTM流体を提供するように構成されるTTMモジュールと、前記TTM流体と患者との間の熱エネルギー伝達を促進するために前記TTMモジュールから前記TTM流体を受容するように構成される熱パッドと、前記TTMモジュールと前記熱パッドとの間の流体連通を提供する流体送達ライン(FDL)と、を含み得る。前記TTMシステムはまた、接続システムを含んでもよく、前記接続システムは、前記FDLに取り付けられたFDLコネクタと、前記熱パッドに取り付けられたパッドコネクタと、を含んでもよい。前記FDLコネクタは、前記FDLと前記熱パッドとの間の流体連通を確立するために前記パッドコネクタと接続するように構成されてもよい。前記接続システムは、前記FDLコネクタが前記パッドコネクタに接続されたときにユーザに視覚的表示を提供するように構成されてもよい。
【0020】
本方法は更に、前記FDLコネクタを前記パッドコネクタに接続することと、前記FDLコネクタが前記パッドコネクタに接続されている旨の視覚的表示を監視することと、TTM流体を前記TTMモジュールから前記熱パッドに送達することと、を含んでもよい。
【0021】
前記接続システムは、前記パッドコネクタからの前記FDLコネクタの分離を阻止するように構成されるラッチシステムを更に含むことができ、前記方法は、前記FDLコネクタを前記パッドコネクタにラッチすることを更に含むことができる。
【0022】
前記接続システムは、ユーザによる前記パッドコネクタからの前記FDLコネクタの分離を防止するように構成されるロックシステムを更に含むことができ、前記方法は、前記FDLコネクタを前記パッドコネクタにロックすることを更に含むことができる。
【0023】
いくつかの実施形態では、前記接続システムは、接続コントローラを備えてもよく、前記視覚的表示を監視することは、前記コントローラのディスプレイ上の前記視覚的表示を監視することを含んでもよい。いくつかの実施形態では、前記接続コントローラは、前記TTMモジュールに結合され、前記視覚的表示を観察することは、前記TTMモジュールのディスプレイ上の前記視覚的表示を監視することを含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、前記ロックシステムは、前記接続コントローラに結合されるロックアクチュエータを含んでもよく、前記FDLコネクタを前記パッドコネクタにロックすることは、前記接続コントローラにより前記ロックアクチュエータを作動させることを含んでもよい。いくつかの実施形態では、前記接続コントローラは、前記TTMモジュールに結合され、前記FDLコネクタを前記パッドコネクタにロックすることは、前記TTMモジュールからの信号に応答して前記ロックアクチュエータを作動させることを含む。いくつかの実施形態では、TTM流体の送達は、前記ロックアクチュエータを作動させた後に行われる。
【0025】
本明細書では、TTM流体と患者との間の熱エネルギー伝達を促進するための医療用パッドも開示される。前記パッドは、流体含有層と、前記流体含有層と流体連通する流体コネクタと、を含み得る。前記流体コネクタは、TTM流体送達ラインに取り付けられた対応する流体ラインコネクタと結合するように構成される。前記流体コネクタは、接続状態システムのパッド構成要素を備えてもよく、前記パッド構成要素は、前記流体コネクタが対応する前記流体ラインコネクタと結合されたときに、前記接続状態システムの対応する流体ライン構成要素と相互作用するように構成されてもよい。前記接続状態システムは、前記流体コネクタが対応する前記流体ラインコネクタと結合されている旨の指標をユーザに提供するように構成され得る。
【0026】
本明細書で提供される概念のこれら及び他の特徴は、そのような概念の特定の実施形態をより詳細に説明する添付の図面及び以下の説明を考慮すれば、当業者にはより明らかになるであろう。
【0027】
本開示のより具体的な説明は、添付の図面に示されるその特定の実施形態を参照することにより行われる。これらの図面は、本発明の典型的な実施形態のみを示し、したがって、その範囲を限定するものとみなされないことを理解されたい。本発明の例示的な実施形態は、添付の図面の使用を通じて更に具体的且つ詳細に記載及び説明される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】いくつかの実施形態による、患者及び患者を冷却又は加温するための目標体温管理(TTM)システムを示す。
図2】いくつかの実施形態による、図1のTTMシステムの油圧回路図を示す。
図3】いくつかの実施形態による、図1のTTMモジュールのコンソールの様々な要素を示すブロック図を示す。
図4】いくつかの実施形態による、図1の熱接触パッドの側断面図である。
図5A】いくつかの実施形態による、図1の流体送達ラインの一部の側断面図である。
図5B-5F】いくつかの実施形態による、図5Aに示される流体送達ラインの様々な端部断面図を提供する。
図6】いくつかの実施形態による、図1の接続システムの図である。
図7】いくつかの実施形態による、図6の接続システムの接続コントローラのブロック図を示す。
図8A】いくつかの実施形態による、TTM流体フィルタの分解斜視図を提供する。
図8B】いくつかの実施形態による、図8Aのフィルタの側断面図を提供する。
図8C】いくつかの実施形態による、図8Aのフィルタを組み込んだ図1の熱接触パッドの側断面図を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0029】
いくつかの特定の実施形態をより詳細に開示する前に、本明細書に開示される特定の実施形態は、本明細書に提供される概念の範囲を限定するものではないことを理解されたい。本明細書に開示される特定の実施形態は、特定の実施形態から容易に分離することができ、任意選択的に、本明細書に開示される他のいくつかの実施形態のいずれかの特徴と組み合わせる又は置換することができる特徴を有し得ることも理解されたい。
【0030】
本明細書で使用される用語に関して、これらの用語は、いくつかの特定の実施形態を説明するためのものであり、これらの用語は、本明細書で提供される概念の範囲を限定するものではないことも理解されたい。序数(例えば、第1、第2、第3など)は、全般的に、特徴又は工程の群内の異なる特徴若しくは工程を区別又は識別するために使用され、連続的又は数値的な限定を提供するものではない。例えば、「第1の」、「第2の」、及び「第3の」特徴又は工程は、その順序で必ずしも現れる必要はなく、そのような特徴又は工程を含む特定の実施形態は、3つの特徴又は工程に必ずしも限定される必要はない。例えば「左」、「右」、「上」、「下」、「前」、「後」などのラベルは、便宜的に使用されるものであり、例えば、任意の特定の固定された位置、向き、又は方向を示唆することを意図するものではない。その代わりに、そのようなラベルは、例えば、相対的な位置、向き、又は方向を反映するように使用される。単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈で別段の明確な指示のない限り、複数形の参照を含む。「含む(including)」、「有する(has)」、及び「有する(having)」という語は、特許請求の範囲を含む本明細書で使用する場合、「含む(comprising)」という語と同じ意味を有する。更に、「又は」及び「及び/又は」という用語は、本明細書で使用する場合、包括的又は任意の1つの若しくは任意の組み合わせを意味するものと解釈されるものとする。一例として、「A、B又はC」又は「A、B及び/又はC」は、「以下、すなわち、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A及びB、A及びC、B及びC、並びにA、B及びC、のいずれか」を意味する。この定義の例外は、要素、構成要素、機能、工程、又は行為の組み合わせが何らかの方法で本質的に相互に排他的である場合にのみ生じる。
【0031】
「に接続される」及び「に結合される」という語句は、機械的、電気的、磁気的、電磁的、流体的、信号的、通信的(無線を含む)、及び熱的相互作用を含む、2つ以上の実体間の任意の形態の相互作用を指す。2つの構成要素は、互いに直接接触していなくても、互いに接続又は結合され得る。例えば、2つの構成要素は、中間構成要素を介して互いに結合され得る。
【0032】
別段に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。
図1は、いくつかの実施形態による、患者50の冷却及び/又は加温を含み得る目標体温管理療法を患者50に施すために患者50に接続された目標体温管理(TTM)システム100を示す。TTMシステム100は、モジュールハウジング111内に収められたグラフィカルユーザインターフェース(GUI)115を含むTTMモジュール110を含む。TTMシステム100は、TTMモジュール110と熱接触パッド(パッド)120との間でTTM流体112の流れを提供するためにTTMモジュール110からパッド120まで延びる流体送達ライン(FDL)130を含む。TTMシステム100は、FDL130をパッド120に結合するための接続システム150を含むことができる。接続システム150のさらなる詳細は、少なくとも図6に示され、以下で説明される。
【0033】
TTMシステム100は、1つ、2つ、3つ、4つ、又はこれより多いパッド120を含んでもよく、TTMシステム100は、1つ、2つ、3つ、4つ、又はこれより多い流体送達ライン130を含んでもよい。使用中、TTMモジュール110は、TTM流体112を所定のTTM療法に応じた温度まで加熱又は冷却することによって、TTM流体112をパッド120への送達のために準備する。TTMモジュール110は、患者50との熱エネルギー交換を促進するために、パッド120内でTTM流体112を循環させる。TTM療法中、TTMモジュール110は、TTM流体112の温度を目標TTM温度に向けて継続的に制御し得る。場合によっては、目標TTM温度は、TTM療法中に変化してもよい。
【0034】
図2は、TTMシステム100の油圧回路図を示す。FDL130及びパッド120は、TTMモジュール110のハウジング111の外部に配置されている。TTMモジュールは、TTM流体112を準備し循環させるために様々な流体センサ及び流体制御デバイスを含む。TTMモジュールの流体サブシステムは、温度制御サブシステム210及び循環サブシステム230を含んでもよい。
【0035】
温度制御サブシステム210は、チラー213とチラータンク214とを含むチラー回路212を通してTTM流体112を圧送する(再循環させる)ためのチラーポンプ211を含み得る。チラータンク214内の温度センサ215は、チラータンク214内のTTM流体112の温度を測定するように構成されている。チラー213は、チラータンク214内のTTM流体112の所望の温度を確立するために、以下に詳細に記載する温度制御ロジック(図3を参照)によって制御され得る。場合によっては、チラータンク214内のTTM流体112の温度は、TTM療法の目標温度よりも低い場合がある。
【0036】
温度制御サブシステム210は、チラータンク214と、循環タンク224と、チラータンク214と循環タンク224との間に配置された堰228と、を含む混合回路222を通してTTM流体112を圧送するための混合ポンプ221を更に含み得る。TTM流体112は、混合ポンプ221によって圧送されると、チラータンク214に入り、チラータンク214内のTTM流体112と混合される。チラータンク214内の混合されたTTM流体112は、堰228を越えて、循環タンク224に流入する。換言すれば、混合回路222は、チラータンク214内のTTM流体112を循環タンク224内のTTM流体112と混合して、循環タンク224内のTTM流体112を冷却する。循環タンク224内の温度センサ225は、循環タンク224内のTTM流体112の温度を測定する。温度制御ロジックは、循環タンク224内の温度センサ225からの温度データに従って混合ポンプ221を制御し得る。
【0037】
循環タンク224は、循環タンク224内のTTM流体112の温度まで上昇させるためのヒータ227を含み、ヒータ227は、温度制御ロジックによって制御され得る。要約すると、温度制御ロジックは、プロセッサによって実行されると(図3を参照)、1)チラータンク内の温度センサ215及び循環タンク224内の温度センサ225から温度データを受け取ることができ、2)循環タンク224内のTTM流体112の温度をTTM療法の目標温度に確立し、維持するように、チラー213、チラーポンプ211、ヒータ227、及び混合ポンプ222の動作を制御することができる。
【0038】
循環サブシステム230は、循環タンク224から、循環ポンプ213の上流に位置する流体送達ライン130とパッド120とを含む循環回路232を通してTTM流体112を引き出すための循環ポンプ213を含む。循環回路232はまた、パッド120内のTTM流体112の圧力を示すための圧力センサ237を含む。循環回路232はまた、パッド120に入るTTM流体112の温度を示すための、循環タンク224内の温度センサ235と、パッド120を出るTTM流体の温度を示すための温度センサ236とを含む。流量計238が循環ポンプ213の下流に配置されており、TTM流体112がその循環タンク224に再び入る前に、循環回路232内のTTM流体112の流量を測定する。
【0039】
循環回路232を通る流体の流れが停止するとパッド120内の圧力が大気圧未満(すなわち、負圧)になるように、使用中、大気に通気され得る循環タンク224は、パッド120よりも下に(すなわち、パッド120よりも低い高さに)配置される。パッド120はまた、循環ポンプ213が動作しているときにパッド120内の負圧を更に確立するために、循環ポンプ231の上流に配置される。流体フロー制御ロジック(図3を参照)は、パッド120内の所望の負圧を確立し、維持するように、循環ポンプ213の動作を制御し得る。供給タンク240は、ポート241を介してTTM流体112を循環タンク224に提供し、循環タンク224内のTTM流体112の規定量を維持する。
【0040】
図3は、いくつかの実施形態による、図1のTTMモジュール110の様々な要素を示すブロック図を示す。TTMモジュール110は、プロセッサ310と非一時的なコンピュータ可読媒体を含むメモリ340とを含むコンソール300を含む。メモリ340に格納されたロジックモジュールは、患者治療ロジック341と、流体温度制御ロジック342と、流体フロー制御ロジック343とを含む。ロジックモジュールは、プロセッサ310によって実行されると、TTMモジュール110の動作及び機能を定義する。
【0041】
図3のブロック図に示されているのは、図2に関連して上述した流体センサ320である。TTMモジュールの動作の実施に流体センサ320からのデータを利用できるように、流体センサ320の各々は、コンソール300に結合されている。図3には、コンソール300に結合された流体制御デバイス330も示されている。したがって、ロジックモジュールは、以下に更に説明するように、流体制御デバイス330の動作を制御し得る。
【0042】
患者治療ロジック341は、臨床医からGUI115を介して入力を受け取り、所定のTTM療法に従って動作パラメータを確立し得る。動作パラメータは、時間ベースの目標温度プロファイルを含み得る、TTM流体112の目標温度を含むことができる。いくつかの実施形態では、流体温度制御ロジック342は、TTMモジュール110内のTTM流体112の他の流体温度を、例えば、チラータンク214内のTTM流体112の目標温度を定義し得る。
【0043】
流体温度制御ロジック342は、パッド120に送達されるTTM流体112の温度を予め定義された目標温度プロファイルに従って確立し、維持するための操作を実行し得る。1つの温度制御操作は、チラータンク214内のTTM流体112を冷やすことを含み得る。流体温度制御ロジック342は、チラータンク温度センサ215からの温度データを用いて、チラータンク214内のTTM流体112の温度を確立し、維持するように、チラー213の動作を制御し得る。
【0044】
別の温度制御操作は、循環タンク224内のTTM流体112を冷却することを含み得る。流体温度制御ロジック342は、循環タンク温度センサ225からの温度データを用いて、循環タンク224内のTTM流体112の温度を低下させるように、混合ポンプ221の動作を制御し得る。
【0045】
更に別の温度制御操作は、循環タンク224内のTTM流体112を加温することを含み得る。流体温度制御ロジック342は、循環タンク温度センサ225からの温度データを用いて、循環タンク224内のTTM流体112の温度を上昇させるように、ヒータ227の動作を制御し得る。
【0046】
流体フロー制御ロジック343は、循環ポンプ231の動作を制御し得る。熱エネルギー交換率は、パッド120を通るTTM流体112の流量によって少なくとも部分的に規定されるため、流体フロー制御ロジック343は、いくつかの実施形態では、TTM療法の規定された熱エネルギー交換率に従って循環ポンプ231の動作を制御し得る。
【0047】
コンソール300は、接続システム150及び/又は他の外部デバイスとの無線通信を容易にするために、無線通信機能350を備えてもよい。電源360は、コンソール300に電力を供給する。
【0048】
図4は、いくつかの実施形態による、患者50と接触している図1の熱接触パッド120の入口又は出口の側断面図を示す。パッド120は、パッド120の複数の機能を提供するために複数の層を含み得る。流体収容層420は、流体収容層420内のTTM流体112の循環を容易にするために、FDL130に流体接続されている。循環するTTM流体112をその内部に有する流体収容層420は、TTM流体112の温度に応じて、ヒートシンク又は患者50のための熱源を定義する。
【0049】
パッド120は、流体収容層420と患者50との間に配置された熱伝導層430を含み得る。熱伝導層430は、流体収容層420と患者50との間の熱エネルギー移動を促進するように構成されている。熱伝導層430は、流体伝導層430の底面421に沿って熱伝導層430に取り付けられ得る。熱伝導層430は、患者50との密接な接触を提供するように適合性があり得る。換言すれば、熱伝導層430は、熱伝導層430と患者50との間の空間又はエアポケットを抑制するために、患者50の輪郭に適合し得る。
【0050】
パッド120は、流体収容層420の上側に配置された絶縁層410を含み得る。絶縁層410は、流体収容層420と環境との間の熱エネルギー移動を阻止するように構成されている。絶縁層410は、流体収容層420の頂面422に沿って流体収容層420に取り付けられ得る。いくつかの実施形態では、絶縁層410は、FDL130と流体含有層420との結合を提供するために、絶縁層410を通って延在する1つ以上の開口部411を備え得る。
【0051】
いくつかの実施形態では、開口部411は、TTM流体112が流体収容層420に入り、循環ポンプ213の動作から生じるパッド120内の負圧によって決定される方向に自由に流れることができるように、FDL130が結合する入口ポートを示す。しかしながら、他の実施形態では、流体収容層420は、TTM流体112が、循環ポンプ213の動作から生じる負圧によって決定される、制御された状態で内部流路内を流れることができるように、1つ以上の内部流路(破線で示される)を含み得る。いくつかの実施形態では、例えば、図4は入口ポートを示し、TTM流体112は、図4に示す構成に類似し得る出口ポート(図示せず)を通ってパッド120、具体的には、流体収容層420を出る。
【0052】
図5Aは、FDL130の側断面図を示す。FDL130は、遠位端511と近位端512との間に延びる外側導管510を含む。FDL130はまた、遠位端551と近位端552との間に延びて内側流路555を画定する内側導管550を含む。外側流路515は、外側導管510の内面516と内側導管550の外面557との間の環状領域によって画定される。内側導管510と外側導管550は、同じ長さを有してもよい。いくつかの実施形態では、内側導管510又は外側導管550の一方は、他方よりも長くてもよい。
【0053】
外側導管510は、押出プロセスによりプラスチック材料で形成されてもよい。外側導管510は、外側導管510の長さに延びる1つ以上の補強材(図示せず)を含む。補強材は、使用中の外側導管510の圧縮破壊及び/又はキンクを抑制し得る。補強材はまた、導管510の負圧下での使用中の潰れを抑制し得る。外側導管510は、外面517上に表示要素(図示せず)を備えてもよく、外面は、平滑であってもテクスチャ加工されていてもよい。外側導管510は、x~Ymmの内径を有する円形断面を備えてもよい。いくつかの実施形態では、外側導管は、25.4~76.2mm(1~3インチ)の範囲内の直径を有してもよい。例示的な一実施形態では、外側導管は、直径が約50.8mm(2インチ)であってもよい。
【0054】
外側導管510は、TTM流体112と環境との間の熱伝達を最小限にするように構成され得る。いくつかの実施形態では、外側導管510の構造は、例えば発泡構造などの熱絶縁特性を含み得る。熱伝達を更に抑制するために、内面516は、層流領域における流体の流れを促進するように滑らかであってもよい。層流領域における流体の流れは、外側導管510の内面に対するTTM流体112の対流性熱伝達を最小限に抑えることができる。いくつかの実施形態では、内面516は、細菌の増殖を抑制するための抗菌コーティング(図示せず)を含み得る。
【0055】
外側導管510と同様に、内側導管550は、押出プロセスによりプラスチック材料で形成されてもよい。内側導管550は、負圧下での使用中に導管510の潰れを抑制するための構造を含み得る。内側導管550は、内側導管112内を流れるTTM流体112と外面557に沿って流れるTTM流体112との間の熱伝達を最小限にするように構成され得る。いくつかの実施形態では、内側導管550の構造は、例えば内側導管550の壁内の複数の長手方向の押出ルーメン(図示せず)などの熱絶縁特性を含み得る。熱伝達を更に抑制するために、内面556は、内側流路555内の層流領域における流体の流れを促進するように滑らかであってもよい。層流領域における流体の流れは、内側導管550の内面に対するTTM流体112の対流性熱伝達を最小限に抑えることができる。熱伝達を更に抑制するために、外面557は、外側流路515内の層流領域における流体の流れを促進するように滑らかであってもよい。外側流路に沿った層流領域内の流体の流れは、内側導管550の外面557に対するTTM流体112の対流性熱伝達を最小限に抑えることができる。いくつかの実施形態では、内面556及び外面557は、細菌の増殖を抑制するための抗菌コーティング(図示せず)を含み得る。
【0056】
図5B図5Fは、FDL130の異なる実施形態の端部断面図を示す。図5Bは、内側導管550が外側導管510に取り付けられていないFDL130の一実施形態を示す。内側導管550を外側導管510に対して浮かせることで、FDL130のより高い柔軟性を可能にすることができる。
【0057】
図5Cは、内側導管550が長手方向のリブ561を介して外側導管510に取り付けられたFDLの一実施形態を示す。図5Cの実施形態は、単一の押出成形品を含み得る。この実施形態では、内側導管550の長手方向軸線は、外側導管510の長手方向軸線からオフセットしている。図5Cの実施形態は、2つ以上のリブ561を含んでもよい。内側導管550を外側導管510に対してオフセットさせることによって、内側流路555内を流れるTTM流体112と外側流路515に沿って流れるTTM流体112との間の熱伝達がより少なくなり得る。
【0058】
図5Dは、図5Cの実施形態に類似するFDL130の実施形態を示す。この実施形態では、内側導管550は、外側導管510内に同心円状に配置されている。内側導管550は、1つ以上の長手方向のリブ571を介して外側導管510に取り付けられている。図5Dの実施形態は、単一の押出成形品を含み得る。図示の実施形態では、外側流路515は、3つの流路572に分かれている。長手方向のリブ571の数は、1、2、3、4又はこれ以上であってもよい。
【0059】
図5Eは、(1)外側導管510が内面516から内向きに突出した1つ以上のリブ581を含む及び/又は(2)内側導管550が外面557から外向きに突出した1つ以上のリブ582を含む、一実施形態を示す。リブ581、582は、外側導管510と同心になるように内側導管550を拘束するように構成され得る。この実施形態では、内側導管550と外側導管510は、別個の押出成形品を含み得る。
【0060】
図5Fは、内側導管550及び外側導管510のそれぞれが別々に押し出し成形された管という点で、図5Bの実施形態に類似する一実施形態を示す。この実施形態では、分離構造591が、外側導管510と同心になるように内側導管550を拘束するために、内側導管550と外側導管510との間に配置されている。分離構造591は、複数の長手方向のリブ部593に結合されたフープ部592を含み得る。分離構造591は、押出成形品で形成されてもよい。
【0061】
図6は、流体ラインコネクタ651及び対応するパッドコネクタ652を含む、図1の接続システム150を図示する。図6は、ラッチシステム660、ロックシステム670、及び接続状態システム680を更に示す。いくつかの実施形態では、接続システム150は、接続コントローラ690を含み、それは、ディスプレイ691を含み得る。いくつかの実施形態では、ディスプレイ691は、接続コントローラハウジング692内に配置されてもよい。
【0062】
流体ラインコネクタ651は、FDL130に流体的に取り付けられ、パッドコネクタ652は、パッド120に取り付けられる。流体ラインコネクタ651及びパッドコネクタ652は、FDL130とパッド120との間の流体連通を確立する。いくつかの実施形態では、FDL130への流体ラインコネクタ651の取り付けは、FDL130に対して流体ラインコネクタ651を回転させることによってなされる。同様に、パッド120へのパッドコネクタ652の取り付けは、パッド120に対してパッドコネクタ652を回転させることによってなされる。
【0063】
コネクタ651、652は、流体ラインコネクタ651がパッドコネクタ652に結合されたとき、FDL130とパッド120との間のTTM流体112の通過を円滑にするように構成される。コネクタ651、652は、共に接続されたとき、FDL130からパッド120へのTTM流体112の通過を円滑にするためにFDL130とパッド120との間に延在する第1の管腔653を備える。いくつかの実施形態では、コネクタ651、652は、共に接続されたとき、パッド120からFDL130へのTTM流体112の通過を円滑にするためにFDL130とパッド120との間に延在する第2の管腔654を備えてもよい。管腔653、654は、並列構成又は同軸構成で配列され得る。コネクタ651、652はまた、管腔653、654からのTTM流体112の漏出を防止するために、密閉接続を提供するように構成される。いくつかの実施形態では、第2の管腔654は省略されてもよい。
【0064】
コネクタ651、652は、コネクタ651、652の互いに対する変位を通じて、選択的に接続及び分離されるように構成されてもよい。変位は、長手方向変位、横方向変位、又は回転変位であってもよい。
【0065】
接続システムは、コネクタ651、652の外面上に表示要素656を含んでもよい。表示要素656の相補的部分が、コネクタ651、652のそれぞれに含まれてもよい。表示要素656は、コネクタ651、652が、例えば、回転位置合わせ等の、接続のために適切に位置合わせされていることをユーザに示すための整合マーキングを含んでもよい。
【0066】
接続システム150は、通常の使用状態で、又はユーザによって加えられる意図的な分離力がない場合に、コネクタ651、652の分離を阻止する戻り止め(図示せず)を提供することができる。戻り止めは、コネクタ651、652が互いに完全に接続されているという可聴及び/又は触覚フィードバックをユーザに提供してもよい。
【0067】
いくつかの実施形態では、接続システム150は、図6に示す例示的なラッチシステム660などのラッチシステム660を含むことができる。図示された実施形態では、ラッチシステム660は、流体ラインコネクタ651に枢動可能に取り付けられた付勢レバー661を備える。レバー661は、パッドコネクタ652に結合された対応するレッジ663に係合するように構成されるフック662を含む。ばね664は、レバー661をラッチ位置に付勢する。レバー661を操作することは、レバー661を枢動させてフック664をレッジ663から係合解除することを含む。当業者によって理解され得るように、ラッチシステム660は、1)ユーザによる意図的な動作がない場合にはコネクタ651、652の分離を阻止し、2)ユーザによる意図的な動作に応答して、コネクタ651、652の分離を可能にする、任意のラッチ機構を備え得る。ユーザによる意図的な動作は、レバー(図6に示されるレバー661等)を操作すること、ボタンを押すこと、コネクタ651、652の一方を他方のコネクタに対して回転させること、コネクタ651、652を互いに向かって押すこと、カラーを長手方向に変位させること、カラーを回転させること、又は当業者によって理解され得るような任意の他の意図的な動作を含み得る。いくつかの実施形態では、ラッチシステム660は、コネクタ651、652が互いにラッチされているという可聴及び/又は触覚フィードバックをユーザに提供してもよい。
【0068】
いくつかの実施形態では、接続システム150は、ユーザがコネクタ651、652を分離することを選択的に防止及び可能にするためのロックシステム670を含んでもよい。ロックシステム670は、ラッチシステム660の動作を選択的に有効及び無効にすることができる任意の機構を備えてもよい。ロックシステム670は、アクチュエータ671を含んでもよい。アクチュエータ671は、例えばソレノイドなどの電気機械式アクチュエータであってもよい。例示的なロックシステム670では、アクチュエータ671は、プランジャ672を選択的に変位させて、ラッチシステム660のレバー661と係合させるとともに同レバー661から係合解除する。図示のように、プランジャ672が伸長されると、レバー661の動作が阻止される。対照的に、プランジャ672が後退させられると、ユーザがラッチシステム660を非アクティブ化することを可能にするように、レバー672の動作が有効にされる。アクチュエータ671は、以下で更に説明するように、接続コントローラ690からの信号に応答してラッチシステム660の非アクティブ化を有効及び/又は無効にするように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、ロックシステム670及びラッチシステム660は、アクチュエータ671が接続コントローラ690からの信号に応答してラッチシステム660を直接アクティブ化及び/又は非アクティブ化することができるように組み合わされてもよい。いくつかの実施形態では、ロックシステム670は、ラッチシステム660の動作が有効化される(すなわち、アンロックされる)デフォルト構成に向かって付勢されてもよい。
【0069】
いくつかの実施形態では、接続システム150は、接続状態システム680を含んでもよい。接続状態システム680は、コネクタ651、652が互いに完全に接続されているかどうかを判定するように構成され得る。いくつかの実施形態では、接続状態システム680は、コネクタ651、652の接続状態に関する信号を接続コントローラ690に提供するように構成されてもよい。
【0070】
接続状態システム680は、互いに相互作用する相補的なセンサ構成要素を備え得る。接続状態システム680は、流体ラインコネクタ651に取り付けられた第1のセンサ構成要素685と、パッドコネクタ652に取り付けられた相補的な第2のセンサ構成要素686とを備え得る。センサシステム680は、第1のセンサ構成要素685が第2のセンサ構成要素686に相互作用的に結合される場合にのみ、「接続」信号を提供するように構成され得る。例示的な図示された実施形態では、第1のセンサ構成要素685は、電源685及び照明装置686を含む開電気回路684を備える。第2のセンサ構成要素686は、導電体683を備える。第1のセンサ構成要素685及び第2のセンサ構成要素686は、流体ラインコネクタ651がパッドコネクタ652と完全に接続されると、第2のセンサ構成要素686の導電体が第1のセンサ構成要素685の回路を完成させ、次に照明装置686に電力を供給するなどの「接続」指標を生成するように配置される。
【0071】
いくつかの実施形態では、第1のセンサ構成要素685は、能動構成要素(すなわち、動作のために電力を必要とする構成要素)であってもよく、第2のセンサ構成要素686は、受動構成要素であってもよい。当業者によって理解され得るように、センサシステム680は、2つの物理的構成要素(すなわち、流体ラインコネクタ651及びパッドコネクタ652)が互いに隣接又は近接して配置されるとき、信号を提供することを可能にする任意の好適なセンサ技術を備えてもよい。例示的なセンサ技術は、電気的なコンダクタンス、キャパシタンス又はインダクタンスと、光学的な遮断又は反射と、ホール効果センサ及び磁気と、近接と、などを含む。
【0072】
いくつかの実施形態では、接続システム150は、第1の管腔653内のTTM流体112の温度を測定するように構成される、温度センサ693を含んでもよい。上述したように、第1の管腔内のTTM流体112は、パッド120に向かって流れる。TTM流体の温度はFDL130を通じた輸送中に影響を受け得るので、コネクタにおいてTTM流体112の温度を測定することにより、TTMモジュール110での温度測定よりもパッド120内のTTM流体112のより正確な温度測定が可能になる。温度センサ691は、接続コントローラ690に結合され、そこに信号を提供することができる。いくつかの実施形態では、接続システム150はまた、第2の管腔654内のTTM流体112の温度を測定するように構成される第2の温度センサ(図示せず)を備えてもよい。
【0073】
いくつかの実施形態では、接続システム150は、第1の管腔653を通過するTTM流体112の流量を測定するように構成される、流量センサ694を含んでもよい。上述したように、第1の管腔内のTTM流体112は、パッド120に向かって流れる。流体ラインコネクタ651においてTTM流体112の流量を測定することにより、TTMモジュール110からパッド120への流れの遮断及び/又は第1の管腔653への空気の漏れを示すことができる。流量センサ694は、接続コントローラ690に結合され、そこに信号を提供することができる。いくつかの実施形態では、接続システム150はまた、第2の管腔654内のTTM流体112の流量を測定するように構成される、第2の流量センサ(図示せず)を備えてもよい。
【0074】
図7は、接続コントローラ690のブロック図を示す。接続コントローラは、プロセッサ710と、非一時的コンピュータ可読媒体であり得るメモリ710とを含む。メモリ710は、その中に格納されたコントローラロジック721を含む。ディスプレイ691は、接続コントローラ690に結合され得る。接続コントローラ690は、電源740に結合されてもよく、又は接続コントローラ690は、バッテリによって内部的に給電されてもよい。いくつかの実施形態では、電源740は、TTM流体112が第1の管腔653を通って流れるときに電力がコントローラ690に提供されるように、TTM流体112に動作可能に結合された発電機を備えてもよい。接続コントローラ690は、TTMモジュール110及び/又は他の外部デバイスとの無線通信を容易にする無線通信機能730を備えてもよい。接続コントローラ690は、接続状態システム680、温度センサ693、及び流量センサ694に結合され得る。コントローラロジック721は、接続状態システム680、温度センサ693、及び流量センサ694からデータを受信するように構成されてもよい。接続コントローラ690はまた、アクチュエータ671に結合されてもよく、コントローラロジック721は、コントローラロジック721がプロセッサ710によって実行されるとき、アクチュエータ671をアクティブ化及び/又は非アクティブ化するように構成されてもよい。
【0075】
コントローラロジック721は、様々な信号を受信すると、アクチュエータを作動させ、それによってロックシステム670をロック構成に配置するように構成されてもよい。コントローラロジック721は、コネクタ651,652が互いに完全に結合されていることを接続システム680からの信号が示すときにアクチュエータ671を作動させるように構成されてもよい。コントローラロジック721は、流量センサ694からの信号がパッド120に向かうTTM流体112の流れを示すと、アクチュエータ671を作動させるように構成されてもよい。コントローラロジック721は、パッド120に向かうTTM流体112の流れが開始されたことをTTMモジュール110からの信号が示すと、アクチュエータ671を作動させるように構成されてもよい。コントローラロジック721は、ユーザ入力に対応するTTMモジュール110からの信号に応じて、アクチュエータ671を作動させるように構成されてもよい。
【0076】
同様に、コントローラロジック721は、様々な信号を受信すると、アクチュエータを停止し、それによってロックシステム670をアンロック構成に配置するように構成されてもよい。コントローラロジック721は、流量センサ694からの信号が、パッド120に向かうTTM流体112の流れがないことを示すと、アクチュエータ671を停止させるように構成されてもよい。コントローラロジック721は、TTMモジュール110からの信号が、パッド120に向かうTTM流体112の流れが停止されたことを示すと、アクチュエータ671を停止させるように構成されてもよい。コントローラロジック721は、ユーザ入力に対応するTTMモジュール110からの信号に応じて、アクチュエータ671を停止させるように構成されてもよい。コントローラロジック721は、TTMモジュール110からの信号がTTMモジュール110への電力の損失を示すと、アクチュエータ671を停止させるように構成されてもよい。コントローラロジック721は、TTMモジュール110が意図された動作パラメータ外で動作していることをTTMモジュール110からの信号が示すと、アクチュエータ671を停止させるように構成されてもよい。コントローラロジック721は、TTM流体112の温度が規定の温度範囲を超えたことを温度センサ693からの信号が示すと、アクチュエータ671を停止するように構成されてもよい。コントローラロジック721は、TTM療法が完了したことをTTMモジュール110からの信号が示すと、アクチュエータ671を停止させるように構成されてもよい。
【0077】
いくつかの実施形態において、コントローラロジック721は、表示要素95をディスプレイ691上に表示するように構成されてもよい。表示要素695は、接続システム150の接続状態に関する指標を含んでもよい。表示要素695は、コネクタ651、652が互いに完全に接続されていること、及び/又はコネクタ651、652が互いに完全に接続されていないことを示すことができる。表示要素695は、ロックシステムが作動されているかどうか、及び/又は作動されていないかどうかを示すことができる。表示要素695は、TTM流体112の温度及び/又はTTM流体112の温度が規定の範囲を超えたかどうかを示すことができる。表示要素695は、TTM流体112の流量及び/又はTTM流体112の流量が規定の範囲を超えたかどうかを示すことができる。表示要素695は、例えば、残りの治療時間等の、TTM療法に関連するTTMモジュール110からの情報を含んでもよい。表示要素695は、TTMモジュール110の動作パラメータに関するTTMモジュール110からの情報を含んでもよい。
【0078】
TTMシステム100は、図8A~8Bに示されるようなフィルタ800を含んでもよい。フィルタ800は、循環するTTM流体112がフィルタ800を通って流れるように、TTMシステム100のTTM流体流路に沿って配置され得る。フィルタ800は、TTM流体112の流量制限を生じさせることなく、0.2マイクロメートル以上のサイズを有する材料/粒子をTTM流体112から除去する(すなわち、ろ過する)ように構成され得る。
【0079】
フィルタ800は、第1の端部802から第2の端部803まで延びる流路801を有する長尺形状を含む。フィルタ800は、第1の端部802に隣接するディフューザ810と、第2の端部803に隣接するノズル820と、ディフューザ810とノズル820との間に延びる本体830とを含む。ディフューザ810に沿って、フィルタ800の流路断面積は、入口流領域811から本体流領域831まで拡大し、ノズル820に沿って、フィルタ800の流路断面積は、本体流領域831から出口流領域821まで縮小する。いくつかの実施形態では、入口流領域811と出口流領域821とは、実質的に等しくてもよい。
【0080】
いくつかの実施形態では、本体流領域831は、本体830に沿って一定であり得る。他の実施形態では、本体流領域831は、本体流領域831が本体830の端部よりも本体830の中間部分に沿って大きくなる又は小さくなるように、本体830の長さに沿って変化し得る。いくつかの実施形態では、本体流領域831は、円形であり得る。
【0081】
フィルタ800は、本体830内に配置された、本体830の長さに沿って延びる内部管840を含む。内部管840は、第1の端部802にてフィルタ800に入るTTM流体112が第1の内部管端部841にて内部管840にも入るように、第1の内部管端部841にてディフューザ810に結合され得る。内部管840は、第2の端部803にてフィルタ800を出るTTM流体112が第2の内部管端部842にて内部管840も出るように、第2の内部管端部842にてノズル820に結合され得る。
【0082】
内部管840は、内部管840の長さに延びる内部管流領域845を含む。内部管流領域845は、入口流領域811及び/又は出口流領域821よりも大きくてもよい。内部管流領域845は、内部管840の長さに沿って一定であり得る。いくつかの実施形態では、内部管流領域845は、内部管840の長さに沿って変化し得る。いくつかの実施形態では、内部管840は、円形断面を有し得る。内部管840及び本体830は、本体流領域831が内部管流領域845と環状流領域836との組み合わせを含むように構成され得る。
【0083】
内部管840は、多孔質の周壁847を含む。多孔質壁847は、TTM流体112が多孔質壁847を通って、すなわち、多孔質壁847の細孔848を通って流れ得るように構成され得る。その結果、TTM流体112は、多孔質壁847を通って、内部管流領域845から環状流領域836に、及び環状流領域836から内部管流領域845に流れ得る。
【0084】
種々の実施形態では、細孔848は、例えば、ルーバー、皿穴(counter sunk)、円形、楕円形等の様々な形状をとってもよい。更に、いくつかの実施形態では、細孔848は、特定のフィルタ800内で様々な形状を有してもよく、これは、沈殿物が落下し得る可変開口を提供することによって、濾過を改善し得る。
【0085】
使用中、TTM流体112の長手方向速度は、フィルタ800の長さに沿って変化し得る。フィルタを通るTTM流体112の体積流量は一定であるため、TTM流体112の長手方向速度は、以下に記載されるように、フィルタ800の流路面積によって少なくとも部分的に規定され得る。TTM流体112は、第1の長手方向速度851でフィルタ800に入り、ディフューザに沿って減少し得るため、TTM流体112は、第1の長手方向速度851よりも低い第2の速度852で内部管に入る。この時点で、TTM流体112の一部は、多孔質壁847を通って、内部管流領域845から環状流領域836に流れ、流体流を内部管流領域845内の第3の速度853と環状流領域836内の第4の速度854とに分割し得る。第4の速度854は、第3の速度853よりも低くてもよい。その後、TTM流体112の一部は、環状流領域836から内部管流領域845に逆流し、内部管流領域845に沿って、第2の速度852にほぼ等しくてもよい第5の速度855を規定し得る。その後、TTM流体112は、ノズル820に沿って進み、フィルタ800を出る第6の速度856を規定し得る。いくつかの実施形態では、第1の速度851と第6の速度856はほぼ等しくてもよい。
【0086】
フィルタ800は、沈降原理を使用して、有害な細菌及びウイルスをTTM流体112から除去するように構成され得る。使用中、フィルタ800は、フィルタ800を通る流体流の方向が重力865に対して垂直になるように、水平に向けられ得る。場合によっては、細菌、ウイルス、及びTTM流体112内の他の粒子は、TTM流体112よりも高い密度を有することがあるため、流体の流れの方向に対して垂直な方向に重力865によって引き寄せられ得る(すなわち、沈む)。場合によっては、内部管流領域845内の粒子は、多孔質壁847に向けて、多孔質壁847を通って、環状流領域836内に沈み得る。その後、環状流領域836内の粒子は、本体830の内面831に向けて沈み、内面831の近傍に捕捉され得る。フィルタ800の幾何学的形状は、0.2マイクロメートルの細菌/ウイルス粒子がTTM流体112の流れから落下し、内面831に沿って捕捉されることを可能にするように構成され得る。
【0087】
いくつかの実施形態では、フィルタ800は、内部管流領域845から環状流領域836へのTTM流体112の流れが、多孔質壁847を通して粒子を引き出し得るように構成され得る。いくつかの実施形態では、入口流領域811、内部管流領域845、及び環状流領域836は、第3の速度853が、第1の速度851の約50パーセント、25パーセント、又は10パーセント以下よりも低くなるような大きさであり得る。いくつかの実施形態では、本体830及び内部管840は、第4の速度854が第3の速度853よりも低くなるように構成され得る。いくつかの実施形態では、第4の速度854は、第3の速度853の約50パーセント、25パーセント、又は10パーセント以下よりも低くなり得る。
【0088】
いくつかの実施形態では、フィルタ800は、内部管流領域845内の流れが層流であるように、すなわち、多孔質壁847の内面841に隣接又は近接する流体流の速度が内面841から離隔した場所の速度よりも低くなるように構成され得る。そのような実施形態では、粒子は、多孔質壁847に向けて、及び多孔質壁847を通ってより容易に沈み得る。
【0089】
いくつかの実施形態では、フィルタ800は、環状流れ領域836内の流体流が層流であるように、すなわち、本体830の内面831に隣接又は近接する流体流の速度が内面831から離隔した場所の速度よりも低くなるように構成され得る。そのような実施形態では、粒子は、内面831に向けてより容易に沈み、内面831に沿って捕捉され得る。
【0090】
フィルタ800は、内部管840と、内側本体シェル838と、外側本体シェル839とを含む3つの構成要素を含み得る。3つの構成要素の各々は、プラスチック射出成形プロセスによって形成され得る。フィルタ800の組み立てには、内側本体シェル838及び外側本体シェル839内に内部管840を捕捉することと、内側本体シェル838を外側本体シェル839内に摺動させることとが含まれ得る。内側本体シェル838と外側本体シェル839との間の嵌合は締まり嵌めである。
【0091】
いくつかの実施形態では、フィルタ800は、パッド120内に配置され得る。図8Cは、流体収容層420内に配置されたフィルタ800を含むパッド120の詳細断面図を示す。フィルタ800は、パッド120内を循環するTTM流体12がフィルタ800を通過するように、流体収容層420内の内部流路860と直列に結合される。フィルタ800は、入口流領域811及び出口流領域821が流体収容層420内の内部流路860の流路断面積に類似するような大きさにされ得る。
【0092】
いくつかの実施形態では、流体収容層420の厚さは、フィルタ800の本体直径864に適応するために、フィルタ800の近傍で増大し得る。本体直径864に更に適応するために、絶縁層410及び/又は熱伝導層430は、それぞれ内部凹部862、863を含み得る。
【0093】
いくつかの実施形態では、1つ以上のフィルタ800が、TTMシステム100の他の場所に、TTM流体112の流れに沿って配置され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上のフィルタ800は、TTMモジュール110内に配置され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上のフィルタ800は、FDL130に沿って配置され得る。いくつかの実施形態では、フィルタ800は、パッドコネクタ652とパッド120との間に延びる導管などの、流体収容層420の外部にあるパッドの流体導管に沿って配置され得る。
【0094】
当業者であれば、これ以上の詳述がなくても、前述の説明を使用して、本発明をその最大限まで利用することができると考えられる。本明細書に開示される特許請求の範囲及び実施形態は、単なる説明及び例示であり、本開示の範囲を一切限定するものではないと解釈されるべきである。当業者であれば、本開示の助けを借りて、本明細書の開示の基本原則から逸脱することなく、上記の実施形態の細部に変更を施すことができることは明らかであろう。換言すれば、上記説明に具体的に開示された実施形態の様々な修正及び改良は、添付の特許請求の範囲の範囲内である。更に、本明細書に開示される方法の工程又は動作の順序は、本開示の範囲から逸脱することなく当業者によって変更され得る。換言すれば、工程又は動作の特定の順序が実施形態の適切な動作のために必要でない限り、特定の工程又は動作の順序又は使用は変更され得る。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲及びそれらの均等物によって定義される。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図6
図7
図8A
図8B
図8C
【国際調査報告】