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特表2024-504174ケトンセンサに関連するシステム、デバイス、および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-30
(54)【発明の名称】ケトンセンサに関連するシステム、デバイス、および方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/1473 20060101AFI20240123BHJP
【FI】
A61B5/1473
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544725
(86)(22)【出願日】2022-01-26
(85)【翻訳文提出日】2023-08-24
(86)【国際出願番号】 US2022013952
(87)【国際公開番号】W WO2022164940
(87)【国際公開日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】63/141,890
(32)【優先日】2021-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500211047
【氏名又は名称】アボット ダイアベティス ケア インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ABBOTT DIABETES CARE INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100152489
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 美樹
(72)【発明者】
【氏名】カリンカ、シュリダラ エイ.
(72)【発明者】
【氏名】オージャ、スティーブン
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038KK10
4C038KL01
4C038KY04
(57)【要約】
ユーザの間質液と接触して配置されるように構成された遠位部分と、近位部分とを有するインビボケトンセンサのためのシステムが提供され、センサは、作用電極と、β-ヒドロキシ酪酸デヒドロゲナーゼを有する感知層と、1つまたは複数の生体分子の輸送を制限するように構成された膜層とを含む。インビボケトンセンサは、間質液中のケトンの量に対応する信号を作用電極において生成するように構成されている。さらに、システムは、センサの近位部分と電気的に通信する少なくとも1つのコンタクトを有するセンサ制御ユニットを含み、センサ制御ユニットは、生成された信号を受信し、インビボケトンセンサに関連付けられた感度を使用して、生成された信号をケトン濃度データに変換するように構成されている。また、ケトン濃度データを遠隔デバイスに通信するように構成された送信機も含まれる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
ユーザの間質液と接触して配置されるように構成された遠位部分と、近位部分とを有するインビボケトンセンサと、
センサ制御ユニットと
を備え、
前記インビボケトンセンサは、
作用電極と、
β-ヒドロキシ酪酸デヒドロゲナーゼを含む感知層と、
1つまたは複数の生体分子の輸送を制限するように構成された膜層と
を含み、前記インビボケトンセンサは、前記間質液中のケトンの量に対応する信号を前記作用電極において生成するように構成されており、
前記センサ制御ユニットは、
前記センサの前記近位部分と電気的に通信する少なくとも1つのコンタクトと、
遠隔デバイスと通信するように構成された送信機と
を含み、前記センサ制御ユニットは、生成された前記信号を受信し、前記インビボケトンセンサに関連付けられた感度を使用して前記生成された信号をケトン濃度データに変換するように構成され、
前記送信機は、前記ケトン濃度データを前記遠隔デバイスに通信するように構成されている、システム。
【請求項2】
前記膜層は、前記作用電極の周囲の領域への1つまたは複数の干渉物質の浸透を妨げるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記遠隔デバイスは、ある期間にわたるインビボケトン濃度のグラフを表示するように構成された表示ユニットを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記インビボケトンセンサは、前記間質液と接触するセンサ配置の後に、前記センサ制御ユニットに動作可能に結合されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記インビボケトンセンサは、前記間質液と接触するセンサ配置の前に、前記センサ制御ユニットに動作可能に結合されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記センサ制御ユニットは、開口部を含む接着パッチをさらに含み、前記センサは、前記開口部を通して配置されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記β-ヒドロキシ酪酸デヒドロゲナーゼは、β-ヒドロキシブチレートの反応を触媒してアセトアセテートを形成するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記インビボケトンセンサは、銀/塩化銀を含む参照電極をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記センサ制御ユニットは、再使用可能である、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で説明される主題は、概して、生理学的センサなどの個々の医療デバイスに固有の較正情報を決定または利用するためのシステム、デバイス、および方法、および/または生理学的センサの製造に関する。
【背景技術】
【0002】
人間および他の生きている動物の健康および状態をモニタリングするための広大で成長中の市場が存在する。人間の身体的または生理学的状態を記述する情報は、生活の質の助けとなるとともに改善し、望ましくない人間の状態を診断および治療するために無数の方法で使用することができる。
【0003】
そのような情報を収集するために使用される一般的なデバイスは、生化学センサなどの生理学的センサ、または生物学的実体の化学的属性を感知することができるデバイスである。生化学センサには多くの形態があり、人間などの生物学的実体の一部を形成するか、または生物学的実体によって生成される流体、組織、またはガスの属性を感知するために使用することができる。これらの生化学センサは、身体自体の上または中で使用することができ、または身体からすでに除去された生物学的物質に対して使用することができる。
【0004】
生化学センサの性能は、複数の方法で特徴付けることができ、特に重要な特性は、生化学センサの正確度、または測定される化学物質の濃度または含有量を生化学センサが正確に測定する程度であり得る。生化学センサの精度、または測定値が正確であるかまたは精密である程度も重要であり得る。
【0005】
生化学センサは、複雑で十分に研究された設計を有することが多いが、依然としてある程度の性能変動を受ける可能性がある。これは、製造プロセスにおける変動およびセンサを製作するために使用される構成材料における変動を含む、複数の要因によって引き起こされ得る。これらの変動は、同じ設計および製造プロセスのセンサが、それらの性能において測定可能な差異を有する原因となり得る。これらおよび他の理由から、製造された生化学センサの性能を改善する必要性が存在する。
【0006】
さらに、細胞がエネルギー生産のために十分なグルコースを受け取らない場合、身体は脂肪を燃焼し始めて、代替エネルギー源であるケトン体(ケトン)を生成する。エネルギー源としてのケトンの産生は、絶食または低炭水化物食の場合のように生理的なものである場合もあれば、糖尿病性ケトアシドーシスの場合のように有害な場合もある。炭水化物の摂取量を大幅に減らして脂肪に置き換える低炭水化物(ケトジェニック)ダイエットをしている人では、身体はエネルギーとしてグルコースの代わりにケトンを使用する。炭水化物の著しい減少は、身体をケトーシスと呼ばれる代謝状態にし得る。ケトジェニックダイエットは、小児てんかんの管理ならびに減量を含む、医学におけるさまざまな理由のために使用されている。2型糖尿病患者において、栄養学的ケトーシスは、アテローム生成脂質およびリポタンパク質プロファイルの持続的改善に関連している。
【0007】
同様に、身体のインスリンが不十分な場合、結果として生じるグルコースの細胞内不足は、身体に燃料のためのケトンを産生させる。しかしながら、ケトンが代謝され得るよりも速く血液中に蓄積する場合、身体は酸性になる。ケトアシドーシスは2型糖尿病患者で起こり得るが、1型糖尿病を抱える人々にとって依然として重大なリスクである。例えば、インスリンポンプで管理されている糖尿病の人々の場合、13歳から49歳の間の人々の約3%が、過去3ヶ月に1回を超えて糖尿病性ケトアシドーシスを経験した。
【0008】
現在、ケトンレベルの測定は、尿または血中ケトンテストストリップを用いて最も頻繁に行われている。しかしながら、ストリップベースの技術を使用する尿または血中ケトンレベルは、すでに進行中のケトーシスまたはDKA事象を確認する一時的な情報しか提供しないので、限界がある。ケトンの産生の早期の同定は、差し迫ったケトアシドーシスを警告できる可能性があり、DKAの合併症を減少させ、場合によっては予防することもできる。リアルタイムの継続的なケトンモニタリングは、臨床医がケトアシドーシスを管理するのを助けることもできる。低炭水化物ダイエットをしている個人にとって、センサは、食事の有効性をモニタリングし、ケトンレベルに対する食事または運動の効果を示すツールとして機能し得る。これらおよび他の理由のために、ケトンレベルの測定を改善する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0009】
生化学センサなどの医療デバイス、ならびにこれらのセンサを利用するデバイスおよびシステムの性能を向上させるために使用することができるいくつかの例示的な実施形態が本明細書で提供される。これらの例示的な実施形態は、患者、医療専門家(HCP)、または他のユーザによって使用される場合の生化学センサの性能を評価および予測するための改善された技術に関する。これらの例示的な実施形態の多くは、製造プロセス中に測定され、記録され、または他の方法で得られたパラメータに基づく較正情報の決定に関する。これらのパラメータは、個別化されていてもよく、または別個のセンサに固有のものであってもよく、そこから決定される較正情報も同様に、個別化されていてもよく、またはその別個のセンサに固有のものであってもよい。
【0010】
多くの例示的な実施形態では、較正情報は、あるセンサの感知能力または特性の実際の試験を参照することによっても判定される。これらの試験から得られたデータを、製造プロセス中に得られた1つまたは複数のパラメータと共に使用して、ユーザに配布されたセンサの性能を決定、推定、外挿、または他の方法で予測することができる。感知特性を評価するために使用される試験、例えば、インビトロ試験は、多くの場合、破壊的、汚染的、または、試験されたセンサをユーザへの配布に適さなくする性質のものである。いくつかの実施形態では、試験は、1つまたは複数のセンサに対して行われ、そこから得られた結果は、異なる未試験のセンサの製造パラメータとともに使用されて、その未試験のセンサの性能を予測する。このようにして、センサをインビトロ試験にかけることなく、特定のセンサの性能を予測することができる。
【0011】
センサの予測される性能を表す情報は、較正情報として具現化することができ、この較正情報は、生化学センサによって生成される感知信号またはデータを使用して、測定の最終結果、例えば、感知されている物質の濃度または含有量を決定しようとする任意のデバイスで利用可能にすることができる。本明細書で説明される実施形態は、より小規模なスケールに適用可能であるが、大量生産プロセスに適用される場合に特に有用である。例えば、本明細書で説明される実施形態は、一緒に製造されるセンサのグループまたはバッチに適用することができる。例えば、特定の実施形態では、そのグループまたはバッチからの1つまたは複数のセンサのサブセットは、インビトロ試験を受け、結果として生じる試験データは、同じグループまたはバッチのセンサの異なるサブセットから取得される1つまたは複数の製造パラメータとともに使用されて、ユーザに分配される場合にセンサのその異なるサブセットの性能を予測する。本明細書で説明される態様のうちの1つまたは複数を組み込む他の例示的な実施形態、ならびにここで説明されたものとは異なる他の例示的な実施形態も説明される。
【0012】
また、センサ素子の配置および/またはサイジングを支援するためにセンサ基板の表面を改質するためのシステム、デバイス、および方法のいくつかの例示的な実施形態が本明細書で提供される。これらの実施形態のうちのいくつかにおいて、センサ基板の表面の領域は、電磁放射で改質されて、改質領域を生成することができる。改質領域は、基板表面に塗布された液体の移動度が改質領域によって増加または減少するように変化する表面特性を有することができる。センサ基板の表面への液体の塗布は、液体が表面上のターゲット領域に留まるように実行することができ、ターゲット領域は、改質領域の位置によって少なくとも部分的に決定される。電磁放射は、レーザ放射などの様々な形態をとることができる。これらおよび他の実施形態では、表面改質は、感知素子を配置することができるウェルの作成であり得る。ウェルは、機械的な力の適用など、様々な方法で作成することができる。改質領域および/またはウェルを用いて製造されたセンサの例示的な実施形態は、デバイス、システム、およびそれらを組み込んだキットと同様に、本開示の範囲内である。
【0013】
これらおよび他の利点を達成するために、および具現化され広く説明される開示される主題の目的に従って、開示される主題は、ユーザの間質液と接触して配置されるように構成された遠位部分と、近位部分とを有するインビボケトンセンサを有するシステムを対象とする。センサは、作用電極と、β-ヒドロキシ酪酸デヒドロゲナーゼを有する感知層と、1つまたは複数の生体分子の輸送を制限するように構成された膜層とを含むことができる。インビボケトンセンサは、間質液中のケトンの量に対応する信号を作用電極において生成するようにさらに構成されていてよい。センサは、センサの近位部分と電気的に通信する少なくとも1つのコンタクトと、遠隔デバイスと通信するように構成された送信機とを有するセンサ制御ユニットをさらに含むことができる。本明細書で具体化されるように、センサ制御ユニットは、生成された信号を受信し、インビボケトンセンサに関連付けられた感度を使用して生成された信号をケトン濃度データに変換するように構成されていてよい。本明細書で具体化されるように、送信機は、ケトン濃度データを遠隔デバイスに通信するように構成されていてよい。
【0014】
本明細書で具体化されるように、膜層は、作用電極の周囲の領域への1つまたは複数の干渉物質の浸透を妨げるように構成されていてよい。
本明細書で具体化されるように、遠隔デバイスは、ある期間にわたるインビボケトン濃度のグラフを表示するように構成された表示ユニットを含むことができる。
【0015】
本明細書において具体化されるように、インビボケトンセンサは、センサが本明細書において具体化される間質液と接触して配置された後にセンサ制御ユニットに動作可能に結合されてよく、インビボケトンセンサは、間質液と接触するセンサ配置の前にセンサ制御ユニットに動作可能に結合されてよい。
【0016】
本明細書で具体化されるように、インビボケトンセンサは、間質液にセンサを配置する前に、センサ制御ユニットに動作可能に結合されてよい。いくつかの実施形態では、センサ制御ユニットは、開口部を有する接着パッチをさらに含むことができ、センサは、開口部を通して配置されている。
【0017】
本明細書において具体化されるように、β-ヒドロキシ酪酸デヒドロゲナーゼは、β-ヒドロキシブチレートの反応を触媒してアセトアセテートを形成するように構成されていてよい。
【0018】
本明細書において具体化されるように、インビボケトンセンサは、銀/塩化銀を含む参照電極をさらに含むことができる。
本明細書で具体化されるように、センサ制御ユニットは、再使用可能であってよい。
【0019】
本明細書に説明される主題の他のシステム、デバイス、方法、特徴、および利点は、以下の図および詳細な説明を検討することで当業者に明らかであるか、または明らかになるであろう。すべてのそのような追加のシステム、方法、特徴、および利点は、この説明内に含まれ、本明細書で説明される主題の範囲内にあり、添付の特許請求の範囲によって保護されることが意図されている。例示的な実施形態の特徴は、特許請求の範囲におけるそれらの特徴の明示的な記載がない限り、添付の特許請求の範囲を限定するものとして決して解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本明細書で説明される主題の詳細は、その構造および動作の両方に関して、同様の参照番号が同様の部分を指す添付の図面を検討することによって明らかになるであろう。図中の構成要素は、必ずしも縮尺通りではなく、代わりに主題の原理を示すことに重点が置かれている。さらに、すべての図は、概念を伝えることを意図しており、相対的なサイズ、形状、および他の詳細な属性は、文字通りまたは正確にではなく概略的に示され得る。
図1図1は、インビボ検体モニタリングシステムの例示的な実施形態を示すブロック図である。
図2図2は、データ処理ユニットの例示的な実施形態を示すブロック図である。
図3図3は、表示デバイスの例示的な実施形態を示すブロック図である。
図4図4は、検体センサの例示的な実施形態を示す概略図である。
図5A図5Aは、皮膚を貫通する検体センサの例示的な実施形態を示す斜視図である。
図5B図5Bは、図5Aの検体センサの一部を示す断面図である。
図6図6図9は、検体センサの例示的な実施形態を示す断面図である。
図7図6図9は、検体センサの例示的な実施形態を示す断面図である。
図8図6図9は、検体センサの例示的な実施形態を示す断面図である。
図9図6図9は、検体センサの例示的な実施形態を示す断面図である。
図10A図10Aは、検体センサの例示的な実施形態を示す断面図である。
図10B図10B図10Cは、図10Aの線A-Aから視た検体センサの例示的な実施形態を示す断面図である。
図10C図10B図10Cは、図10Aの線A-Aから視た検体センサの例示的な実施形態を示す断面図である。
図11図11は、検体モニタリングシステムの例示的な実施形態を示す概念図である。
図12図12は、オンボディ電子機器の例示的な実施形態を示すブロック図である。
図13図13は、表示デバイスの例示的な実施形態を示すブロック図である。
図14図14は、検体モニタリングシステム内の情報交換の例示的な実施形態を示すフロー図である。
図15図15は、検体センサのインビトロ感度の一例を示すグラフである。
図16図16は、特定の実施形態による、様々な濃度のD-3-ヒドロキシ酪酸での2.3時間にわたるD-3-ヒドロキシ酪酸デヒドロゲナーゼセンサの信号出力を示す図である。
図17図17は、D-3-ヒドロキシブチレート濃度の関数としてのD-3-ヒドロキシ酪酸デヒドロゲナーゼセンサのセンサ信号の線形性を示す図である。
図18図18は、特定の実施形態による、様々な濃度のD-3-ヒドロキシブチレートでの3.6時間にわたる遊離NADを使用するD-3-ヒドロキシ酪酸デヒドロゲナーゼセンサの信号出力を示す図である。
図19図19は、D-3-ヒドロキシ酪酸濃度(ケトン)の関数としてのD-3-ヒドロキシ酪酸デヒドロゲナーゼセンサのセンサ信号の線形性を示す図である。
図20図20は、D-3-ヒドロキシ酪酸デヒドロゲナーゼセンサのセンサ信号の安定性を示す図である。
図21図21は、遊離NADおよび固定化NADセンサのセンサ信号の安定性を示す図である。
図22図22は、ケトンのアリコートの連続添加によるセンサ応答の変化の例示的プロットである。
図23図23は、ケトン濃度の関数としての較正されたセンサ応答の例示的プロットである。
図24図24は、センサ応答の変化の例示的プロットである。
図25図25は、体内のケトン濃度を変化させた場合の1人の被験者が同時に装着した3つのケトンセンサの応答の例示的なプロットである。
図26A図26A図26Gは、キャピラリーケトンストリップ基準測定値に対する、例示的センサによって測定された間質液中のケトン値の例示的プロットである。
図26B図26A図26Gは、キャピラリーケトンストリップ基準測定値に対する、例示的センサによって測定された間質液中のケトン値の例示的プロットである。
図26C図26A図26Gは、キャピラリーケトンストリップ基準測定値に対する、例示的センサによって測定された間質液中のケトン値の例示的プロットである。
図26D図26A図26Gは、キャピラリーケトンストリップ基準測定値に対する、例示的センサによって測定された間質液中のケトン値の例示的プロットである。
図26E図26A図26Gは、キャピラリーケトンストリップ基準測定値に対する、例示的センサによって測定された間質液中のケトン値の例示的プロットである。
図26F図26A図26Gは、キャピラリーケトンストリップ基準測定値に対する、例示的センサによって測定された間質液中のケトン値の例示的プロットである。
図26G図26A図26Gは、キャピラリーケトンストリップ基準測定値に対する、例示的センサによって測定された間質液中のケトン値の例示的プロットである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本主題は、例示的な実施形態を参照して詳細に説明される。これらの例示的な実施形態は、当業者が本主題の全範囲を理解および認識するのを助けるために例示目的で記載されている。明示的に記載された例示的な実施形態に照らして、網羅的な説明は負担であり不必要であるため、これらの例示的な実施形態は、本主題を実施することができるすべての方法の網羅的な説明を構成するものではない。したがって、本発明の主題は、本明細書に明示的に記載される特定の実施形態を越える範囲に及ぶ。
【0022】
本明細書で説明される主題は、概して、1つまたは複数の生化学的属性を感知することが可能な医療デバイスを較正するための技法、ならびにこれらの較正技法を実施するためのシステムおよびデバイスの進歩に関する。多くの実施形態では、本技法は、医療デバイスのグループ全体に対して決定される単一の較正値とは対照的に、個々の医療デバイス間で変動し、個々の医療デバイスに特有である、個別化された較正情報の決定を可能にする。生化学的属性を感知する多くのクラスの医療デバイスが存在し、したがって、本主題が利用され得る多くの用途が存在する。これらのクラスの医療デバイスのうちのいくつかが、本明細書で説明されるが、これらは、単なる例であり、本主題が有用性を見出す医療デバイスのすべてのクラスの網羅的記載を構成するものではない。
【0023】
体液中の化学物質レベルを感知またはモニタリングすることができる医療デバイスは、多くの場合、インビボシステムまたはインビトロシステムのいずれかの一部として分類することができる。インビボシステムは、多くの場合、人体内に医療デバイス(例えば、センサ)を部分的または全体的に埋め込むことによって、人体内にある体液の1つまたは複数の生化学的属性を感知する、1つまたは複数の医療デバイスを含む。一般的な例は、人体内の検体レベルをモニタリングするのに有用なインビボ検体センサである。これらの検体センサは、糖尿病状態のモニタリングに特に関連するグルコースまたは他の検体を検出するように設計することができる。
【0024】
インビトロシステムは、人体から取り出された血液、血漿、尿などの体液、または均質化された生検サンプルなどの他の物質の1つまたは複数の生化学的属性を感知する1つまたは複数の医療デバイスを含む。インビトロシステムは、エクスビボシステムと呼ぶこともできる。一般的な例は、テストストリップなどのインビトロ検体センサである。インビトロテストストリップは、糖尿病状態のモニタリングに特に関連するグルコースまたは他の検体を検出および測定するように設計されていてもよい。
【0025】
インビボまたはインビトロ医療デバイスのいずれかからのデータを組み込むかまたは利用するシステムおよびデバイスは、本明細書では、それぞれ、生化学的モニタリングシステムおよび生化学的モニタリングデバイスと広く呼ばれる。検体(例えば、グルコース)のレベルを感知するように設計された医療デバイスからのデータを組み込むかまたは利用するシステムおよびデバイスは、本明細書では、それぞれ、検体モニタリングシステムおよび検体モニタリングデバイスと呼ばれる。
【0026】
これらの較正技術に関する例示的実施形態は、インビボ医療デバイスおよびインビトロ医療デバイスへのそれらの適用を参照することによって提示されるであろう。実施形態の大部分は、インビボ医療デバイス、特にインビボ検体センサに関して説明される。これは、単にこれらの例示的な実施形態の特徴および態様の提示を容易にするためのものであり、これらの較正技術をインビボ検体センサのみで使用することに限定することを意図するものではない。実際、既に述べたように、本主題は、他のタイプの医療デバイスに広く適用可能であり、そのいくつかの実施形態も明示的に説明される。
【0027】
これらの較正技術に関する特定の例示的な実施形態は、個々のセンサに固有の個別化された較正情報の決定を可能にし、所望であれば、その個別化された較正情報を後で使用して個々のセンサの出力を較正することを可能にする。多くの実施形態では、個別化された較正情報は、共通の製造グループまたはロット内の各個別の医療デバイスに固有であり、共通のグループの各個別の医療デバイス間で変動し得る。これらの実施形態は、共通の製造グループ内のすべての医療デバイスが同じ較正値を有するように、医療デバイスのグループまたはロット全体に対して単一の較正値が決定される手法とは対照的である。
【0028】
いくつかの例示的な実施形態では、医療デバイスの第1のサブセット(例えば、サンプルまたはベースラインサブセット)の感知特性が決定される。検体センサの場合、この感知特性は、例えば、検体に対するセンサの感度であり得る。感知特性は、医療デバイスの第1のサブセットのインビトロ(またはインビボ使用)試験を用いて決定できる。そのような試験の例は、本明細書でより詳細に説明される。1つまたは複数の個別化された製造パラメータは、医療デバイスの異なる第2のサブセット(例えば、製造業者から第三者ユーザへの配布を意図した配布サブセット)の各医療デバイスから測定され得る。いくつかの例示的な実施形態では、ベースラインサブセットおよび配布サブセットは、同じ生産ロットから取られる。個別化された製造パラメータの測定は、例えば、製造プロセス中または製造プロセス後に製造業者によって実行され得る。個別化された製造パラメータは、医療デバイスの感知特性に直接的または間接的に相関することができ、そのような個別化された製造パラメータの多数の例が本明細書で説明される。
【0029】
次いで、個別化された較正情報は、少なくとも配布サブセット内の各デバイスの個別化された製造パラメータおよびベースラインサブセットの感知特性を使用して、医療デバイスの配布サブセット内の各医療デバイスについて独立して決定され得る。これは、配布サブセット内の各医療デバイスに固有であるとともに、個別化された製造パラメータの変動から医療デバイス間で変動し得る較正情報をもたらすことができる。いくつかの実施形態では、2つ以上の個別化された製造パラメータが、較正情報を決定するために使用される。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の定性的な製造パラメータが、単独で、または定量的な個別化された製造パラメータと併せて使用される。
【0030】
本明細書でさらに詳細に説明するように、研究により、本主題の実施形態が、医療デバイスによって行われる生化学的センシング測定の正確性における明確な改善をもたらすことが確認されている。これは、較正された医療デバイス自体の動作の改善を表し、ひいては、これらの医療デバイスを組み込むモニタリングシステムおよび/またはモニタリングデバイスの動作の改善、ならびに較正された医療デバイスによって生成された改善された正確度データを処理または別の方法で利用するコンピューティングデバイスの動作の改善をもたらす。医療デバイス間のばらつきを小さくすることによる改善も確認され、医療デバイスの製造歩留まりの改善も確認された。
【0031】
個別化された較正技術に関する実施形態を詳細に説明する前に、まず、インビボ検体モニタリングシステムおよびインビトロ検体モニタリングシステムの例示的な実施形態、ならびにそれらの動作の例を説明することが望ましく、それらのすべては、これらの較正技術の実施形態とともに使用することができる。
【0032】
インビボ検体モニタリングシステムの例示的な実施形態
インビボセンサと共に使用される様々なタイプの検体モニタリングシステムがある。例えば、「連続的検体モニタリング」システム(例えば、「連続的グルコースモニタリングシステム」システム)は、センサ制御デバイスからリーダデバイスに、指示することなく繰り返しまたは連続的に、例えば、スケジュールに従って自動的にデータを送信することができるインビボシステムである。別の例として、「フラッシュ検体モニタリング」システム(例えば、「フラッシュグルコースモニタリング」システムまたは単に「フラッシュ」システム)は、近距離無線通信(NFC)または無線周波数識別(RFID)プロトコルなどを用いて、リーダデバイスによるスキャンまたはデータ要求に応答して、センサ制御デバイスからデータを転送することができるインビボシステムである。
【0033】
インビボ検体センサは、ユーザ内の体液と接触し、その中の検体レベルを感知するように、人体内に部分的または全体的に埋め込まれ得る。インビボセンサは、ユーザの身体上に存在し、検体感知を可能にするとともに制御する電子機器および電源を含むセンサ制御デバイスの一部であり得る。センサ制御デバイスおよびその変形は、いくつか例を挙げると、「センサ制御ユニット」、「オンボディ電子機器」デバイスもしくはユニット、「オンボディ」デバイスもしくはユニット、「センサデータ通信」デバイスもしくはユニット、または送信機デバイスもしくはユニットとも称され得る。「オンボディ(on bodyまたはon-body)」という用語は、ウェアラブルデバイス(例えば、眼鏡、アームバンド、リストバンドもしくはブレスレット、ネックバンド、またはネックレスなど)のような、身体上に直接、または身体に近接して存在する任意のデバイスを指す。
【0034】
インビボモニタリングシステムは、センサ制御デバイスから感知された検体データを受信する1つまたは複数のリーダデバイスを含むこともできる。これらのリーダデバイスは、任意の数の形態で、感知された検体データを処理、再送信、および/または表示することができる。これらのデバイスおよびその変形は、いくつか例を挙げると、「ハンドヘルドリーダデバイス」、「リーダデバイス」(または単に「リーダ」)、「表示デバイス」、「ハンドヘルド電子機器」(またはハンドヘルド)、「ポータブルデータ処理」デバイスまたはユニット、「データ受信機」、「受信機」デバイスまたはユニット(または単に受信機)、「リレー」デバイスまたはユニット、「遠隔」デバイスまたはユニット、「コンパニオン」デバイスまたはユニット、「ヒューマンインタフェース」デバイスまたはユニットと呼ぶことができる。パーソナルコンピュータなどのコンピューティングデバイスをリーダデバイスとして使用することができる。
【0035】
インビボ検体モニタリングシステムは、インビトロ医療デバイスと共に使用することもできる。例えば、リーダデバイスは、ユーザの体液を運ぶインビトロテストストリップを受け入れるためのポートを組み込むか、またはそれと結合されていてよく、それを分析して、ユーザの検体レベルを決定することができる。
【0036】
インビボセンサ
インビボセンサは、基板、例えば、実質的に平面の基板、または非平面の円形もしくは円筒形の基板上に形成することができる。多くの実施形態では、センサは、少なくとも1つの導電性構造、例えば電極を備える。センサ実施形態は、単一電極実施形態(例えば、1つ以下の電極を有する)、または複数電極実施形態(例えば、正確に2つ、正確に3つ、またはそれを上回る電極を有する)であってよい。センサの実施形態は、多くの場合、作用電極を含み、少なくとも1つの対電極(または対/参照電極)、および/または少なくとも1つの参照電極(または参照/対電極)も含むことができる。電極は、絶縁領域によって電気的に絶縁された別個の領域として配置することができ、電極によって生成された電気信号を受信する(ならびに任意選択で調整および/または処理する)ための回路に電気的に接続することができる。電極は、平面の(例えば、比較的平坦な)表面または非平面(例えば、半半球形、円筒形、または不規則な表面、およびそれらの組み合わせなどの比較的湾曲した、または丸みを帯びた)表面を有することができる。電極は、層状に、または同心円状に、または他の方法で配置することができる。
【0037】
したがって、実施形態は、体液中のグルコース、ラクテートなどを含む検体のインビボ検出のために、少なくとも一部がユーザの皮膚表面の下に配置可能である検体センサを含む検体モニタリングデバイスおよびシステムを含む。実施形態は、完全埋め込み型検体センサと、例えば、センサ制御デバイス(送信機を含み得る)、受信機/表示ユニット、送受信機、プロセッサなどへの接触のために、センサの一部のみが皮膚の下に配置され、センサの一部が皮膚の上に存在する検体センサとを含む。センサは、例えば、ユーザの体液(例えば、間質液、皮下液、真皮液、血液、または他の関心のある体液)中の検体のレベルの連続的または周期的モニタリング(規則的間隔、不規則な間隔、スケジュール、頻繁な反復などに従って周期的な)のために、ユーザの外部皮膚表面を通して配置可能であって良い。この説明の目的のために、連続的なモニタリングおよび周期的なモニタリングは、別段の記載がない限り、交換可能に使用される。センサ応答は、血液または他の流体中の検体レベルに相関があってよく、および/または変換されてよい。特定の実施形態では、検体センサは、グルコースのレベルを検出するために間質液と接触して配置されてもよく、検出されたグルコースは、ユーザの血流中のグルコースレベルを推測するために使用されてよい。検体センサは、静脈、動脈、または体液を含む身体の他の部分に挿入可能であってよい。検体センサの実施形態は、数秒、数分、数時間、数日、数週間、数ヶ月、またはそれより長い範囲であってよい期間にわたって検体のレベルをモニタリングするように構成されていてよい。
【0038】
特定の実施形態では、グルコースセンサなどの検体センサは、1時間以上、例えば、数時間以上、例えば、数日以上、例えば、3日以上、例えば、5日以上、例えば、7日以上、例えば、数週間以上、または1ヶ月以上の間、検体のインビボ検出が可能である。将来の検体レベルは、得られた情報、例えば、時間t0における現在の検体レベル、検体の変化のレートなどに基づいて予測され得る。予測アラームは、ユーザの検体レベルが将来の予測検体レベルに達する前に、懸念され得る予測検体レベルをユーザに通知することができる。これは、ユーザに是正措置を取る機会を提供する。
【0039】
電気化学的実施形態では、センサは、例えば皮下部位に経皮的に配置され、その部位の皮下流体がセンサと接触するようになる。他のインビボ実施形態では、センサの少なくとも一部の配置は、血管内であってよい。センサは、電流が作用電極と対電極との間に生成されるように、皮下流体または血液中の対象検体を電気分解するように動作する。作用電極に関連付けられた電流の値が決定される。複数の作用電極が使用される場合、作用電極の各々からの電流値が決定され得る。マイクロプロセッサを使用して、これらの周期的に決定された電流値を収集するか、またはこれらの値をさらに処理することができる。
【0040】
検体濃度が首尾よく決定された場合、それは、有用な情報を提供するために、表示され、格納され、送信され、および/または他の方法で処理され得る。例として、生の信号または検体濃度は、検体濃度の変化のレートを決定するための基礎として使用されてよく、検体濃度は、所定の閾値量よりも大きいレートで変化すべきではない。検体濃度の変化のレートが所定の閾値を超える場合、この事実を示すために標示(indication)が表示されるか、または他の方法で送信されてよい。特定の実施形態では、検体濃度の変化のレートが所定の閾値を超える場合、アラームが起動されてユーザに警告する。
【0041】
本明細書で明らかにされるように、本実施形態は、本明細書で説明される任意のそのようなデバイスなどの、検体(例えば、グルコース)を測定またはモニタリングするために使用されるデバイスに関連して有用である。本明細書で説明される実施形態は、任意の数の1つまたは複数の異なる検体に関する情報をモニタリングおよび/または処理するために使用され得る。モニタリングされ得る検体は、アセチルコリン、アミラーゼ、ビリルビン、二酸化炭素、コレステロール、絨毛性ゴナドトロピン、グリコシル化ヘモグロビン(HbA1c)、クレアチンキナーゼ(例えば、CK-MB)、クレアチン、クレアチニン、DNA、フルクトサミン、グルコース、グルコース誘導体、グルタミン、成長ホルモン、ホルモン、ケトン、ケトン体、ラクテート、酸素、過酸化物、前立腺特異的抗原、タンパク質、プロトロンビン、RNA、甲状腺刺激ホルモン、トロポニン、およびこれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない。例えば、抗生物質(例えば、ゲンタマイシン、バンコマイシンなど)、ジギトキシン、ジゴキシン、乱用薬物、テオフィリン、およびワルファリンなどの薬物の濃度が、検体に加えて、または検体の代わりに、モニタリングされてもよい。2つ以上の検体をモニタリングする実施形態では、検体は、同時または異なる時間にモニタリングされてよい。これらの方法は、例えば、皮下液、皮膚液、間質液、もしくは他の対象体液、またはそれらの任意の組み合わせを含む体液中に見出される、例えば、酸素、二酸化炭素、タンパク質、薬物、もしくは別の対象部分、またはそれらの任意の組み合わせを含む、別の検体(例えば、ケトン、ケトン体、HbA1cなど)を測定またはモニタリングするために使用されるデバイスと関連して使用されてもよい。一般に、デバイスは、体液と完全かつ実質的に連続的に接触するなど、良好に接触している。
【0042】
実施形態によれば、検体センサは、間質液と接触してセンサを配置した後に、センサ制御デバイス/ユニットに動作可能に結合されてよい。いくつかの実施形態では、検体センサは、間質液と接触してセンサを配置する前に、センサ制御デバイス/ユニットに動作可能に結合されてよい。
【0043】
本開示の実施形態によれば、測定センサは、体液中の検体濃度、例えばケトン濃度の電気化学的測定に適したものである。これらの実施形態では、測定センサは、少なくとも作用電極および対電極を含む。他の実施形態は、参照電極をさらに含んでもよい。作用電極は、通常、β-ヒドロキシ酪酸(BHB)応答性酵素と関連付けられている。メディエーターも含まれ得る。いくつかの実施形態では、メディエーターは、製造者によってセンサに加えられ、例えば、使用前にセンサに含まれる。レドックスメディエーターは、作用電極に対して配置されてよく、化合物と作用電極との間で直接的または間接的に電子を移動させることができる。レドックスメディエーターは、例えば、作用電極上に固定化されていてもよく、例えば、表面上に捕捉されていてもよく、または表面に化学的に結合されていてもよい。
【0044】
本開示の実施形態は、インビボ検体モニタリングデバイス、システム、キット、ならびに検体モニタリングのプロセス、ならびに検体モニタリングデバイス、システム、およびキットを作製するプロセスを含む。1つまたは複数の所定のモニタリング期間などの1つまたは複数の所定の期間にわたるグルコースレベルなどの所望の検体レベルのリアルタイム測定/モニタリングのために構成されたオンボディ(例えば、デバイス、システム、またはその構成要素の少なくとも一部が、検体をモニタリングするためにユーザの身体上またはユーザに近接して維持される)生理学的モニタリングデバイスが含まれる。実施形態は、検体センサの使用寿命または所定のモニタリング期間の間、ユーザの身体、例えば、ユーザの皮膚表面に取り付けられるように設計されたハウジング内に提供される電子機器と電気的に結合される、経皮的に配置された検体センサを含む。例えば、オンボディ電子機器アセンブリは、検体センサに動作可能に結合され、ユーザの身体上に配置するためのハウジング内に提供される電子機器を含む。
【0045】
検体センサを有するそのようなデバイスおよびシステムは、モニタリングデバイスまたはシステムにおいてプログラムされた、またはプログラム可能な制御ロジックまたはルーチンによって自動的にまたは半自動的に実行される連続的または周期的な検体レベルモニタリングを提供する。本明細書で使用されるように、連続的、自動的、および/または周期的モニタリングは、経皮的に配置された検体センサによる検体レベルのインビボモニタリングまたは検出を指す。
【0046】
特定の実施形態では、インビボでモニタリングされた検体レベルの結果は、電子機器ユニットからシステムの別のデバイスまたは構成要素に自動的に通信される。すなわち、結果が利用可能である場合、結果は、例えば、システムによって実行される固定または動的データ通信スケジュールに従って、システムの表示デバイス(または他のユーザ対話デバイス)に自動的に送信される。他の実施形態では、インビボでモニタリングされた検体レベルの結果は、システムの1つまたは複数のデバイスまたは構成要素に自動的に通信、転送、または出力されない。そのような実施形態では、結果は、システムへのクエリに応答してのみ提供される。すなわち、結果は、そのような結果に対するクエリまたは要求に応答してのみ、システムの構成要素またはデバイスに通信される。特定の実施形態では、インビボモニタリングの結果は、システムのメモリに記録または格納され、1つまたは複数の所定のモニタリング期間後にのみ、システムの別のデバイスまたは構成要素に通信または転送されてもよい。
【0047】
実施形態は、デバイス、構成要素、またはシステムのうちの任意の1つを他のデバイス、構成要素、またはシステムのうちの任意の1つに変換するためのソフトウェアおよび/またはハードウェアを含み、そのような変換は、製造後にユーザが構成可能であり得る。そのような変換を達成するためのハードウェアおよび/またはソフトウェアを含む変換モジュールは、それを変換するために所与のシステムに結合可能であり得る。
【0048】
実施形態は、例えば、約30日(または特定の実施形態ではそれ以上)、約14日、約10日、約5日、約1日、約1日未満などの所定のモニタリング期間にわたって検体レベルをモニタリングするために検体センサを動作させる機能を提供する、検体センサに結合された電子機器を含む。特定の実施形態では、各検体センサの使用寿命は、所定のモニタリング期間と同じであっても異なっていてもよい。特定の実施形態において検体センサを動作させる機能を提供する電子機器の構成要素は、電池などの電源に結合された制御ロジックまたはマイクロプロセッサを含み、インビボ検体センサを駆動して電気化学反応を実行し、モニタリングされた検体レベルに対応する結果信号を生成する。
【0049】
電子機器は、1つまたは複数のデータストレージユニットまたはメモリ(揮発性および/または不揮発性)、情報が利用可能であるときに自動的に、またはモニタリングされた検体レベル情報の要求に応答して選択的に、インビボモニタリングされた検体レベルに対応する情報を表示デバイスに通信するための通信構成要素をなどの他の構成要素を含んでいてもよい。特定の実施形態では、表示デバイスとセンサに結合された電子機器との間のデータ通信は、シリアルに(例えば、それらの間のデータ転送は、同時に行われない)、またはパラレルに実行される。例えば、特定の実施形態における表示デバイスは、信号またはデータパケットをセンサに結合された電子機器に送信するように構成され、送信された信号またはデータパケットを受信すると、センサに結合された電子機器は、表示デバイスに通信を戻す。特定の実施形態では、表示デバイスは、RF電力およびデータ/信号を継続的に提供し、それが表示デバイスからの所定のRF電力範囲内にある場合、センサに結合された電子機器からの1つまたは複数の戻りデータパケットまたは信号を検出または受信するように構成されていてよい。特定の実施形態では、表示デバイスおよびセンサに結合された電子機器は、1つまたは複数のデータパケットを同時に送信するように構成されていてよい。
【0050】
実施形態は、センサ使用寿命にわたって、またはモニタリング期間中に、モニタリングされた検体レベルに関連付けられたデータを1つまたは複数のデータストレージユニットまたはメモリに格納または記録するようにプログラムされた電子機器も含む。モニタリング期間の間、モニタリングされた検体レベルに対応する情報が格納されてもよいが、センサ使用寿命の間は表示または出力されなくてもよく、格納されたデータは、例えば、臨床分析、治療管理などのために、センサ使用寿命の終わりに、または所定のモニタリング期間の満了後にメモリから後で取り出されてもよい。
【0051】
特定の実施形態では、所定のモニタリング期間はセンサ使用寿命期間と同じであり、検体センサ使用寿命が満了したとき(したがって、インビボ検体レベルモニタリングのためにもはや使用されないとき)、所定のモニタリング期間が終了する。特定の実施形態では、所定のモニタリング期間は、複数のセンサ使用寿命期間を含むことができ、検体センサ使用寿命が満了したとき、所定のモニタリング期間は終了せず、満了した検体センサは、同じ所定のモニタリング期間中に別の検体センサと交換される。特定の実施形態における所定のモニタリング期間は、使用のための複数の検体センサの交換を含む。
【0052】
特定の実施形態における検体レベル傾向情報は、ある期間(例えば、温度期間などに対応する)にわたる格納された検体レベル情報に基づいて生成または構築され、表示デバイスに通信される。特定の実施形態における傾向情報は、この期間中の検体レベル変動の標示を提供するために、グラフィカルにおよび/または聴覚的におよび/または触覚的におよび/または数値的に出力され、および/または他の方法で表示デバイスのユーザインタフェース上に提示される。
【0053】
実施形態は、オンボディ電子機器デバイスから表示デバイスなどの第2の装置に検体レベル情報を無線で通信することを含む。オンボディ電子機器と表示デバイスとの間の通信プロトコルの例は、無線周波数識別(RFID)プロトコルまたはRF通信プロトコルを含み得る。例示的なRFIDプロトコルは、オンボディ電子機器から表示デバイスに信号またはデータを提供するための、短い通信範囲(例えば、約12インチ(約304.8ミリメートル)以下、または約6インチ(約152.4ミリメートル)以下、または約3インチ(約76.2ミリメートル)以下、または約2インチ(約50.8ミリメートル)以下)を含む近距離無線通信(NFC)プロトコル、高周波無線通信プロトコル、遠距離通信プロトコル(例えば、極超短波(UHF)通信システムを使用する)を含むが、これらに限定されない。
【0054】
特定の実施形態における通信プロトコルは、433MHz周波数、13.56MHz周波数、2.45GHz周波数、または検体センサに結合された電子機器を含むオンボディ電子機器と、1つまたは複数の表示デバイスおよび/またはパーソナルコンピュータなどの他のデバイスとの間の無線通信のための他の好適な周波数を使用する。特定のデータ送信周波数および/またはデータ通信範囲が上述されているが、本開示の範囲内で、他のデータに適したデータ送信周波数および/またはデータ通信範囲が、検体モニタリングシステムの様々なデバイス間で使用され得る。
【0055】
実施形態は、例えば、データネットワークおよび/またはパーソナルコンピュータおよび/またはサーバ端末および/または1つまたは複数の遠隔コンピュータを含むデータ管理システムを含み、これらは、検体情報を提示するために、および/または健康管理のための生理学的モニタリングと併せてさらに処理するために、収集または格納されたデータを表示デバイスから受信するように構成されている。例えば、表示デバイスは、収集または格納された検体関連データを別のデバイスおよび/または場所に転送するために、データネットワークまたはコンピュータ端末に接続するための1つまたは複数の通信ポート(有線または無線)を含んでいてよい。特定の実施形態における検体関連データは、検体センサに結合された電子機器から、データネットワークを介してパーソナルコンピュータ、サーバ端末、および/または遠隔コンピュータに直接通信される。
【0056】
特定の実施形態では、インビボ検体センサがインビボで検体レベルを自動的におよび/または連続的にモニタリングする、例えば、センサがその使用寿命にわたって、事前に定義された時間間隔でケトンなどの検体を自動的にモニタリングするとしても、検体情報は、ユーザによって所望されるときにのみユーザに提供または明らかにされる(ユーザインタフェースデバイスにおいて提供される)。例えば、検体センサは、所与の感知期間、例えば、約14日、約21日、または約30日、またはそれ以上の間、生体内に配置され、オンボディ電子機器に結合されていてよい。特定の実施形態では、センサ導出検体情報は、オンボディ電子機器においてプログラムされたスケジュール(例えば、約1分毎、または約5分毎、または約10分毎など)に従って、14日間を通して、ユーザへの出力のために、センサ電子機器アセンブリから遠隔モニタリングデバイスまたは表示デバイスに自動的に通信される。特定の実施形態では、センサ導出検体情報は、ユーザが決定した時間にのみ、例えば、ユーザが検体情報をチェックすることを決定するときはいつでも、センサ電子機器アセンブリから遠隔モニタリングデバイスまたは表示デバイスに通信される。そのようなとき、通信システムが起動され、次いで、センサ導出情報が、オンボディ電子機器から遠隔デバイスまたは表示デバイスに送信される。例えば、RFID通信を使用して、一実施形態では、ユーザは、検体センサに結合されたオンボディ電子機器に近接して表示デバイスを配置し、オンボディ電子機器からリアルタイム(および/または履歴)検体レベル情報を受信する(本明細書では以降、「オンデマンド」読み取りと称される)。
【0057】
さらに他の実施形態では、情報は、検体情報が利用可能である場合に、第1のデバイスから第2のデバイスに自動的におよび/または連続的に通信されてもよく、第2のデバイスは、情報をユーザに提示または出力することなく、受信された情報を格納または記録する。そのような実施形態において、情報は、情報が利用可能になったとき(例えば、センサがタイムスケジュールに従って検体レベルを検出したとき)に、第1のデバイスから第2のデバイスによって受信される。しかしながら、受信された情報は、最初に第2のデバイスに格納され、第2のデバイス上の情報に対する要求の検出時にのみ、第2のデバイスのユーザインタフェースまたは出力構成要素(例えば、ディスプレイ)に出力される。
【0058】
したがって、特定の実施形態では、インビボセンサの少なくとも一部が体液と接触し、センサが電子機器ユニットに電気的に結合されるように、センサ電子機器アセンブリが身体上に配置されると、表示デバイスの電源をオンにし(または継続的に電力供給されてもよい)、表示デバイスのメモリ内に格納され、そこからアクセスされるソフトウェアアルゴリズムを実行することによって、センサ導出検体情報は、オンボディ電子機器から表示デバイスにオンデマンドで通信されて、オンボディ電子機器に送信する1つまたは複数の要求コマンド、制御信号、またはデータパケットを生成することができる。例えば、表示デバイスのマイクロプロセッサまたは特定用途向け集積回路(ASIC)の制御下で実行されるソフトウェアアルゴリズムは、生成された要求コマンド、制御信号、および/またはデータパケットの送信を開始するために、表示デバイスに対するオンボディ電子機器の位置を検出するルーチンを含んでいてよい。
【0059】
表示デバイスは、表示デバイス上のボタンを押下すること、データ通信機能に関連付けられたソフトボタンをトリガすることなどの表示デバイス上の入力機構のユーザ起動に応答して、オンボディ電子機器に送信するための1つまたは複数の要求コマンド、制御信号、またはデータパケットを生成および送信するために、1つまたは複数のマイクロプロセッサおよび/またはASICによる実行のためにメモリに格納されたプログラミングを含んでもよい。入力機構は、代替的にまたは追加的に、ユーザ起動のために構成され得るオンボディ電子機器上またはオンボディ電子機器内に設けられ得る。特定の実施形態では、音声コマンドまたは可聴信号を使用して、マイクロプロセッサまたはASICに、メモリに格納されたソフトウェアルーチンを実行して、1つまたは複数の要求コマンド、制御信号、またはデータパケットを生成してオンボディデバイスに送信するように促すか、または命令することができる。音声で起動されるか、または音声コマンドもしくは可聴信号に応答する実施形態では、オンボディ電子機器および/または表示デバイスは、マイクロフォンと、スピーカと、音声コマンドおよび/または可聴信号を処理するためにオンボディ電子機器および/または表示デバイスのそれぞれのメモリに格納された処理ルーチンとを含む。特定の実施形態では、オンボディデバイスと表示デバイスとを互いに対して所定の距離内に(例えば、近接して)配置することは、要求コマンド、制御信号、またはデータパケットを生成および送信するために、表示デバイスのメモリに格納された1つまたは複数のソフトウェアルーチンを開始させる。
【0060】
現在の検体レベル情報(例えば、読み取りが開始された時間に時間的に対応するリアルタイムまたは最も新しく取得された検体レベル情報)、所定の期間にわたる検体の変化のレート、検体の変化のレートのレート(変化率の加速度)、所与の読み取りの前に取得され、アセンブリのメモリに格納された検体情報に対応する履歴検体情報のうちの1つまたは複数を含むが、これらに限定されない、異なるタイプおよび/または形態および/または量の情報が、オンデマンド読み取りごとに送信され得る。リアルタイム、履歴、変化のレート、変化のレートのレート(加速度または減速度など)情報の一部または全部を、所与の読み取りのために表示デバイスに送信することができる。特定の実施形態では、表示デバイスに送信される情報のタイプおよび/または形式および/または量は、事前にプログラムされ、および/または変更不可能(例えば、製造時に事前設定される)であってもよく、または事前にプログラムされず、および/または変更不可能でなくてもよく、その結果、(例えば、システムのスイッチを起動することなどによって)1回または複数回、フィールドにおいて選択可能および/または変更可能であってもよい。
【0061】
したがって、特定の実施形態では、各オンデマンド読み取りに対して、表示デバイスは、現在の(リアルタイム)センサ導出検体値(例えば、数値形式の)、検体変化の現在のレート(例えば、現在のレートを示す方向を指す矢印などの検体レートインジケータの形態の)、およびオンボディ電子機器のメモリによって取得され、そこに格納されたセンサ読み取り値に基づく検体傾向履歴データ(例えば、グラフィカルトレースの形態の)を出力するであろう。加えて、各オンデマンド読み取りに関連付けられた皮膚またはセンサ温度読み取り値または測定値は、オンボディ電子機器から表示デバイスに通信されてもよい。しかしながら、温度読み取り値または測定値は、表示デバイス上に出力または表示されなくてもよく、むしろ、表示デバイス上でユーザに出力される検体測定値を補正または補償するために、表示デバイスによって実行されるソフトウェアルーチンと併せて使用されてもよい。
【0062】
説明されるように、実施形態は、インビボ検体センサおよびオンボディ電子機器を含み、これらは、身体装着可能なセンサ電子機器アセンブリをともに提供する。特定の実施形態では、インビボ検体センサは、オンボディ電子機器と完全に集積される(製造中に固定的に接続される)が、他の実施形態では、それらは、別個であるが、製造後(例えば、身体内へのセンサ挿入の前、間、または後)に接続可能である。オンボディ電子機器は、接着パッドを含むかまたは接着パッドに取り付け可能な防水ハウジング内に収容された(生体内に配置するためのセンサ部分を除く)インビボケトンセンサ、電子機器、バッテリ、およびアンテナを含むことができる。特定の実施形態において、ハウジングは、少なくとも30分までの間、約1メートルの水への浸漬に耐える。特定の実施形態では、ハウジングは、例えば、約30分より長い間、連続的な水中接触に耐え、例えば、ハウジングが水没に適している場合、ハウジングの電子機器に水による損傷を与えることなく、その意図された用途に従って適切に機能し続ける。
【0063】
実施形態は、本明細書においてセンサ送達ユニットなどとも称され得るセンサ挿入デバイスを含む。挿入デバイスは、オンボディ電子機器アセンブリを内部コンパートメント内に完全に保持してもよく、例えば、挿入デバイスには、製造プロセス中にオンボディ電子機器アセンブリが「事前装填」されていてよい(例えば、オンボディ電子機器は、挿入デバイスの滅菌内部コンパートメント内にパッケージ化されていてよい)。そのような実施形態では、挿入デバイスは、使用前または新しいオンボディ電子機器アセンブリのためのセンサアセンブリパッケージ(滅菌パッケージを含む)と、オンボディ電子機器アセンブリをレシピエントの身体に適用するように構成された挿入デバイスとを形成することができる。
【0064】
実施形態は、アセンブリから情報を収集し、センサ導出検体読取値をユーザに提供する、別個のデバイスとしての、オンボディ電子機器アセンブリから離隔されたポータブルハンドヘルド表示デバイスを含む。このようなデバイスは、既に説明した多くの方法で参照することができる。特定の実施形態は、一体化されたインビトロ検体メータを含んでいてよい。特定の実施形態では、表示デバイスは、表示デバイスと別のユニット(例えば、オンボディ電子機器、バッテリを再充電するための電源ユニット、PCなど)との間の通信を確立するように構成された、USB、シリアル、パラレルなどの1つまたは複数の有線または無線通信ポートを含む。例えば、表示デバイス通信ポートは、それぞれの充電ケーブルを用いて表示デバイスバッテリを充電すること、および/または表示デバイスとその互換性のあるインフォマティクスソフトウェアとの間のデータ交換を可能にすることができる。
【0065】
特定の実施形態における互換性のあるインフォマティクスソフトウェアは、例えば、データ分析、チャート化、データ格納、データアーカイブおよびデータ通信ならびにデータ同期を実行するために、例えば、表示デバイス、パーソナルコンピュータ、サーバ端末上に常駐または実行される、スタンドアロンまたはネットワーク接続対応データ管理ソフトウェアプログラムを含むが、これらに限定されない。特定の実施形態におけるインフォマティクスソフトウェアは、フィールドアップグレード可能機能を実行して、表示デバイスおよび/またはオンボディ電子機器ユニットのファームウェアをアップグレードして、表示デバイスおよび/またはオンボディ電子機器ユニット上の常駐ソフトウェアをアップグレードするためのソフトウェアも含むことができ、例えば、ファームウェアのバージョンは、追加の特徴を含み、および/または修正されたソフトウェアバグもしくはエラーなどを含む。
【0066】
実施形態は、コンピュータ可読媒体上に埋め込まれたプログラミング、例えば、システムおよび/またはユーザ自己報告データから得られた検体情報を処理するコンピュータベースのアプリケーションソフトウェア(本明細書ではインフォマティクスソフトウェアまたはプログラミングなどとも呼ばれ得る)を含む。アプリケーションソフトウェアは、表示デバイスまたはオンボディ電子機器ユニットによって、携帯電話、PC、インターネット対応電話などのインターネット対応ヒューマンインタフェースデバイス、携帯情報端末などのホストコンピュータにインストールされてよい。インフォマティクスプログラミングは、ユーザによる使用のために、取得され、表示デバイス上またはオンボディユニット上に格納されたデータを変換することができる。
【0067】
以下に詳細に説明されるように、実施形態は、例えば、検体レベル、温度レベル、心拍数、ユーザ活動レベルなどであるが、それらに限定されない1つまたは複数の生理学的パラメータを、所定のモニタリング期間にわたってモニタリングするためのデバイス、システム、キット、および/または方法を含む。製造方法も提供される。所定のモニタリング期間は、約1時間未満であってよく、または約1時間以上、例えば、約数時間以上、例えば、約数日以上、例えば、約3日以上、例えば、約5日以上、例えば、約7日以上、例えば、約10日以上、例えば、約14日以上、例えば、約数週間、例えば、約1ヶ月以上を含んでもよい。特定の実施形態では、所定のモニタリング期間の満了後、システムの1つまたは複数の特徴は、オンボディ電子機器アセンブリおよび/または表示デバイスにおいて自動的に非アクティブ化または無効化され得る。
【0068】
例えば、所定のモニタリング期間は、センサを生体内に配置して間質液などの体液と接触させること、および/またはオンボディ電子機器の起動(または完全動作モードへの電源投入)から開始することができる。オンボディ電子機器の初期化は、スイッチの起動に応答して、および/または表示デバイスをオンボディ電子機器に対して所定の距離内(例えば、近接)に配置することによって、またはオンボディ電子機器ユニット上のスイッチのユーザ手動起動、例えば、ボタンを押下することによって、表示デバイスによって生成および伝送されるコマンドを用いて実行されてもよく、そのような起動は、例えば、米国特許出願公開第2011/0213225号明細書に説明されるように、挿入デバイスによって引き起こされてもよく、その開示は、参照することによってその全体として組み込まれる。
【0069】
表示デバイスから受信されたコマンドに応答して初期化されると、オンボディ電子機器は、そのメモリからソフトウェアルーチンを取り出して実行し、オンボディ電子機器の構成要素の電源を完全にオンにし、表示デバイスから起動コマンドを受信することに応答して、オンボディ電子機器を完全動作モードに効果的に置く。例えば、表示デバイスからのコマンドの受信に先立って、オンボディ電子機器内の構成要素の一部は、バッテリなどのその内部電源によって電力供給されてもよく、一方、オンボディ電子機器内の構成要素の別の部分は、電源がオフになっているか、または電力が供給されていない非アクティブモードを含む低電力であってもよく、またはすべての構成要素が、非アクティブモード、パワーダウンモードにあってもよい。コマンドを受信すると、オンボディ電子機器の構成要素の残りの部分(またはすべて)は、アクティブな完全動作モードに切り替えられる。
【0070】
オンボディ電子機器の実施形態は、ASIC、マイクロプロセッサ、メモリなどに実装された制御ロジックを含む電子機器を有する1つまたは複数のプリント回路基板と、単一のアセンブリを形成する経皮的に配置可能な検体センサとを含んでいてよい。オンボディ電子機器は、所定の近接範囲内にある検体モニタリングシステムの表示デバイスが、ある期間(例えば、約2分、例えば、1分以下、例えば、約30秒以下、例えば、約10秒以下、例えば、約5秒以下、例えば、約2秒以下)検出されると、および/または、オンボディ電子機器からの検体関連信号の取得成功を示す可聴および/または視覚および/または触覚(例えば、振動)通知などの確認が表示デバイスに出力されるまで、モニタリングされた検体レベルに関連する1つまたは複数の信号またはデータパケットを提供するように構成されてもよい。ある実施形態では、成功しなかった取得のために識別通知を出力することもできる。
【0071】
特定の実施形態では、モニタリングされた検体レベルは、血液または他の体液中のケトンレベルに相関があってよく、および/または変換されてよい。そのような変換は、オンボディ電子機器によって達成され得るが、他の実施形態では、表示デバイス電子機器を用いて達成されるであろう。
【0072】
ここで図1を参照すると、検体モニタリングシステム100は、検体センサ101と、センサ101に接続可能なデータ処理ユニット102と、プライマリ受信機ユニットまたは表示デバイス104とを含む。いくつかの例では、プライマリ表示デバイス104は、通信リンク103を介してデータ処理ユニット102と通信するように構成されている。特定の実施形態では、プライマリ表示デバイス104は、データ処理端末105にデータを送信して、プライマリ表示デバイス104によって受信されたデータを評価するか、あるいは処理またはフォーマットするようにさらに構成されていてよい。データ処理端末105は、双方向通信のために任意選択で構成され得る、通信リンク107を介してデータ処理ユニット102から直接データを受信するように構成されていてよい。さらに、データ処理ユニット102は、プライマリ表示デバイス104および/またはデータ処理端末105および/または任意選択でセカンダリ受信機ユニットまたは表示デバイス106にデータを送信、および/またはそれらからデータを受信するための電子機器および送信機または送受信機を含んでいてよい。
【0073】
図1には、通信リンク103に動作可能に結合されるとともに、データ処理ユニット102から送信されたデータを受信するように構成されたオプションのセカンダリ表示デバイス106も示されている。セカンダリ表示デバイス106は、プライマリ表示デバイス104およびデータ処理端末105と通信するように構成されていてよい。特定の実施形態では、セカンダリ表示デバイス106は、プライマリ表示デバイス104およびデータ処理端末105の各々との双方向無線通信のために構成されていてよい。以下でさらに詳細に説明されるように、いくつかの例では、セカンダリ表示デバイス106は、プライマリ表示デバイス104と比較して機能の少ない受信機であってよく、例えば、セカンダリ表示デバイス106は、プライマリ表示デバイス104と比較して、限られた数または最小限の数の機能および特徴を含み得る。したがって、セカンダリ表示デバイス106は、より小さい(すべての寸法を含む1つまたは複数の寸法において)コンパクトなハウジングを含むことができ、または、例えば、腕時計、アームバンド、PDA、mp3プレーヤ、携帯電話などを含むデバイスにおいて具現化され得る。代替的に、セカンダリ表示デバイス106は、プライマリ表示デバイス104と同じまたは実質的に同様の機能および特徴を有して構成され得る。セカンダリ表示デバイス106は、例えば、夜間モニタリングのためにベッドサイドに配置されるドッキングクレードルユニットと嵌合するように構成されたドッキング部分、および/または双方向通信デバイスを含んでいてよい。ドッキングクレードルは、電源を再充電することができる。
【0074】
図1に示す検体モニタリングシステム100の実施形態には、1つの検体センサ101、データ処理ユニット102、およびデータ処理端末105のみが示されている。しかしながら、検体モニタリングシステム100は、2つ以上のセンサ101、および/または2つ以上のデータ処理ユニット102、および/または2つ以上のデータ処理端末105を含んでもよいことが当業者には理解されよう。複数のセンサが、同時に、または異なる時間に検体モニタリングのためにユーザに配置されてよい。特定の実施形態では、ユーザに配置された第1のセンサによって得られた検体情報は、第2のセンサによって得られた検体情報との比較として使用されてもよい。これは、センサの一方または両方から得られる検体情報を確認または検証するのに有用であり得る。このような冗長性は、検体情報が、重要な治療関連の決定において考慮される場合に有用であり得る。特定の実施形態では、第1のセンサは、第2のセンサを較正するために使用されてもよい。
【0075】
複数構成要素環境では、各構成要素は、システム内の他の構成要素のうちの1つまたは複数によって一意に識別されるように構成されていてよく、その結果、通信競合は、検体モニタリングシステム100内の種々の構成要素間で容易に解決され得る。例えば、一意のIDおよび通信チャネルなどが使用され得る。
【0076】
特定の実施形態では、センサ101は、検体レベルがモニタリングされているユーザの身体内または身体上に物理的に配置されている。センサ101は、ユーザの検体レベルを少なくとも周期的にサンプリングし、サンプリングされた検体レベルをデータ処理ユニット102による送信のために対応する信号に変換するように構成されていてよい。データ処理ユニット102は、センサ101に結合可能であり、両方のデバイスがユーザの身体の中または上に配置され、検体センサ101の少なくとも一部分が経皮的に配置される。データ処理ユニット102は、ユーザの身体に固定するために、接着剤などの固定要素を含むことができる。ユーザに取り付け可能であるとともに、データ処理ユニット102と嵌合可能なマウント(図示せず)が使用されてもよい。例えば、マウントは、接着面を含んでいてよい。データ処理ユニット102は、データ処理機能を実行し、そのような機能は、通信リンク103を介してプライマリ表示デバイス104に送信するために、各々がユーザのサンプリングされた検体レベルに対応するデータ信号のフィルタリングおよび符号化を含むことができるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、センサ101またはデータ処理ユニット102または組み合わせられたセンサ/データ処理ユニットは、ユーザの皮膚表面下に完全に埋め込み可能であってもよい。
【0077】
特定の実施形態では、プライマリ表示デバイス104は、通信リンク103を介してデータ処理ユニット102と通信するように構成されたRF受信機およびアンテナを含むアナログインタフェースセクションと、データ復号化、誤り検出および訂正、データクロック生成、データビット回復など、またはそれらの任意の組み合わせを含む、データ処理ユニット102から受信したデータの処理のためのデータ処理セクションとを含むことができる。
【0078】
動作中、特定の実施形態におけるプライマリ表示デバイス104は、データ処理ユニット102と同期して、例えばデータ処理ユニット102の識別情報に基づいてデータ処理ユニット102を一意に識別し、その後、センサ101によってモニタリングされたモニタリング検体レベルに関連付けられたデータ処理ユニット102から送信された信号を周期的に受信するように構成されている。
【0079】
再び図1を参照すると、データ処理端末105は、パーソナルコンピュータ、ラップトップまたはハンドヘルドデバイスを含むポータブルコンピュータ(例えば、携帯情報端末(personal digital assistant,PDA)、携帯電話を含む電話(例えば、iPhone(登録商標)、Blackberry(登録商標)、Android(登録商標)電話、または同様の電話を含むマルチメディアおよびインターネット対応携帯電話)、mp3プレーヤ(例えば、iPod(登録商標)など)、ページャなど)、および/または薬物送達デバイス(例えば、注入デバイス)を含んでいてよく、これらの各々は、有線または無線接続を介して表示デバイスとデータ通信するように構成されていてよい。追加的に、データ処理端末105は、ユーザの検出された検体レベルに対応するデータを格納、検索、更新、および/または分析するために、データネットワーク(図示せず)に接続されてもよい。
【0080】
データ処理端末105は、インスリン注入ポンプなどの薬物送達デバイス(例えば、注入デバイス)を含んでいてよく、これは、薬物(例えば、インスリン)をユーザに投与するように構成されていてよく、特に、測定された検体レベルを受信するために、プライマリ表示デバイス104と通信するように構成されていてよい。代替的に、例えば、基礎プロファイルを管理および修正するために、ならびに、とりわけ、データ処理ユニット102から受信される検出された検体レベルに基づいて投与のための適切なボーラスを決定するために、プライマリ表示デバイス104がユーザに適切な薬物(例えば、インスリン)を投与するように構成されるように、プライマリ表示デバイス104は、その中に注入デバイスを統合するように構成されていてもよい。注入デバイスは、外部デバイスであってよく、またはユーザに完全に埋め込み可能なデバイスなどの内部デバイスであってもよい。
【0081】
特定の実施形態では、注入デバイス、例えばインスリンポンプを含み得るデータ処理端末105は、データ処理ユニット102から検体信号を受信し、したがって、ユーザのインスリン療法および検体モニタリングを管理するためのデータ処理を含むプライマリ表示デバイス104の機能を組み込むように構成され得る。特定の実施形態では、通信リンク103、ならびに図1に示される他の通信インタフェースのうちの1つまたは複数は、限定ではないが、RF通信プロトコル、赤外線通信プロトコル、Bluetooth(登録商標)対応通信プロトコル、802.11x無線通信プロトコル、または潜在的データ衝突および干渉を回避しながら、いくつかのユニットの安全な無線通信(例えば、医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律(Health Insurance Portability and Accountability Act,HIPAA)要件による)を可能にする同等の無線通信プロトコルなどの1つまたは複数の無線通信プロトコルを使用することができる。
【0082】
図2は、図1に示す検体モニタリングシステムのデータ処理ユニット102の一実施形態を示すブロック図である。ユーザ入力および/またはインタフェース構成要素が含まれてもよく、またはデータ処理ユニットが、ユーザ入力および/またはインタフェース構成要素を含まなくてもよい。特定の実施形態では、1つまたは複数の特定用途向け集積回路(ASIC)(例えば、処理回路と、処理回路による実行のためのソフトウェア命令を格納するための非一時的メモリとを有する)が、例えば、1つまたは複数の状態機械およびバッファを使用して、データ処理ユニット(および/または表示デバイス)の動作に関連付けられた1つまたは複数の機能またはルーチンを実装するために使用され得る。
【0083】
図2の実施形態に見られるように、検体センサ101(図1)は、4つのコンタクトを含み、そのうちの3つは、作用電極(W)210、参照電極(R)212、および対電極(C)213であり、各々、データ処理ユニット102のアナログインタフェース201に動作可能に結合されている。この実施形態は、オプションのガードコンタクト(G)211も示す。より少ないまたはより多い電極が使用されてもよい。例えば、対電極および参照電極の機能は、単一の対/参照電極によって提供され得る。いくつかの場合には、2つ以上の作用電極および/または参照電極および/または対電極などが存在してもよい。
【0084】
図3は、図1に示される検体モニタリングシステムのプライマリ表示デバイス104などの受信機/モニタユニットの一実施形態のブロック図である。プライマリ表示デバイス104は、テストストリップインタフェース301、RF受信機302、ユーザ入力303、オプションの温度検出セクション304、およびクロック305のうちの1つまたは複数を含み、これらの各々は、処理およびストレージセクション307(処理回路と、処理回路による実行のためのソフトウェア命令を格納する非一時的メモリとを含むことができる)に動作可能に結合されている。プライマリ表示デバイス104は、電力変換およびモニタリングセクション308に動作可能に結合された電源306も含む。さらに、電力変換およびモニタリングセクション308は、処理およびストレージセクション307にも結合されている。さらに、受信機シリアル通信セクション309および出力310も示されており、各々が処理およびストレージセクション307に動作可能に結合されている。プライマリ表示デバイス104は、ユーザ入力および/またはインタフェース構成要素を含んでいてよく、またはユーザ入力および/またはインタフェース構成要素を含まなくてもよい。
【0085】
特定の実施形態では、テストストリップインタフェース301は、血液(または他の体液サンプル)検体テストまたはそれに関連する情報を受け取るための検体テスト部分(例えば、ケトンレベルテスト部分)を含む。例えば、テストストリップインタフェース301は、テストストリップ(例えば、ケトンテストストリップ)を受け入れるためのテストストリップポートを含んでいてよい。デバイスは、テストストリップの検体レベルを判定し、任意選択で、プライマリ表示デバイス104の出力310上に検体レベルを表示する(または他の方法で通知する)ことができる。任意の好適なテストストリップ、例えば、正確なグルコース情報を得るために、非常に少量(例えば、3マイクロリットル以下、例えば、1マイクロリットル以下、例えば、0.5マイクロリットル以下、例えば、0.1マイクロリットル以下)の適用サンプルのみをストリップに必要とするテストストリップが使用され得る。インビトログルコーステストデバイスによって得られたケトン情報は、種々の目的、計算などのために使用され得る。例えば、情報は、センサ101(図1)を較正するため、センサ101の結果を確認してその信頼性を高めるため(例えば、センサ101によって取得された情報が治療関連の決定において使用される場合)などに使用され得る。
【0086】
さらなる実施形態では、データ処理ユニット102および/またはプライマリ表示デバイス104および/またはセカンダリ表示デバイス106および/またはデータ処理端末/注入デバイス105は、例えば血糖計から通信リンクを介して無線で検体値を受信するように構成されていてよい。さらなる実施形態では、検体モニタリングシステム100を操作または使用するユーザは、例えば、データ処理ユニット102、プライマリ表示デバイス104、セカンダリ表示デバイス106、またはデータ処理端末/注入デバイス105のうちの1つまたは複数に組み込まれたユーザインタフェース(例えば、キーボード、キーパッド、音声コマンドなど)を使用して、検体値を手動で入力してもよい。
【0087】
図4は、本開示の実施形態による検体センサ400の一実施形態を概略的に示す。このセンサの実施形態は、ベース404上に電極401,402,403を含む。電極(および/または他の特徴)は、任意の好適な技術、例えば、化学気相成長(CVD)、物理気相成長、スパッタリング、反応性スパッタリング、印刷、コーティング、アブレーション(例えば、レーザアブレーション)、塗装、浸漬コーティング、エッチングなどを用いて、適用または処理され得る。材料は、アルミニウム、炭素(グラファイトを含む)、コバルト、銅、ガリウム、金、インジウム、イリジウム、鉄、鉛、マグネシウム、水銀(アマルガムとして)、ニッケル、ニオブ、オスミウム、パラジウム、白金、レニウム、ロジウム、セレン、シリコン(例えば、ドープされたポリシリコン)、銀、タンタル、スズ、チタン、タングステン、ウラン、バナジウム、亜鉛、ジルコニウム、これらの混合物、およびこれらの元素の合金、酸化物、または金属化合物のうちの任意の1つまたは複数を含むが、これらに限定されない。
【0088】
検体センサ400は、ユーザに完全に埋め込み可能であってよく、または一部分のみがユーザ内(内部)に配置され、別の部分がユーザの外側(外部)に配置されるように構成されていてもよい。例えば、センサ400は、皮膚の表面410の上方に配置可能な第1の部分と、皮膚の表面の下方に配置された第2の部分とを含んでいてよい。そのような実施形態では、外部部分は、センサ制御デバイスなどの同様にユーザの外部にある別のデバイスに接続するためのコンタクト(トレースによって第2の部分のそれぞれの電極に接続される)を含んでいてよい。図4の実施形態は、ベース404の同じ表面上に並んだ3つの電極を示しているが、他の構成、例えば、より少ないまたはより多い電極、ベースの異なる表面上または別のベース上に存在するいくつかまたはすべての電極、一緒に積み重ねられたいくつかまたはすべての電極、異なる材料および寸法の電極などが企図される。
【0089】
図5Aは、皮膚の表面510の上方に配置可能な第1の部分(この実施形態では主要部分として特徴付けることができる)と、皮膚の表面の下方に配置可能な、例えば皮膚を貫通して例えば皮下空間520に入り、間質液などのユーザの生体液と接触する挿入先端部530を含む第2の部分(この実施形態ではマイナー部分として特徴付けることができる)とを有する検体センサ500の一実施形態の斜視図を示す。作用電極のコンタクト部分511、参照電極のコンタクト部分512、および対電極のコンタクト部分513は、皮膚表面510の上方に位置するセンサ500の第1の部分上に配置されている。作用電極501、参照電極502、および対電極503が、センサ500の第2の部分、特に挿入先端部530に示されている。トレースは、図5Aに示されるように、先端部530の電極からコンタクトまで提供されてよい。より多くの、またはより少ない電極がセンサ上に提供され得ることが理解されるべきである。例えば、センサは、2つ以上の作用電極を含んでいてよく、および/または対電極および参照電極は、単一の対/参照電極であってもよい、などである。
【0090】
図5Bは、図5Aのセンサ500の一部の断面図を示す。センサ500の電極501,509/502,503、ならびに基板および誘電体層は、層状構成または構造で提供される。例えば、図5Bに示すように、一実施形態では、センサ500(図1の検体センサ101など)は、基板層504と、基板層504の少なくとも一部の上に配置され、作用電極を提供することができる炭素、金などの第1の導電層501とを含む。また、第1の導電層501の少なくとも一部の上に配置されて示されているのは、感知領域508である。
【0091】
特定の実施形態における第1の誘電体層などの第1の絶縁層505は、第1の導電層501の少なくとも一部の上に配置または積層され、さらに、第2の導電層509は、第1の絶縁層(または誘電体層)505の少なくとも一部の上に配置または積層されていてよい。図5Bに示すように、第2の導電層509は、銀/塩化銀(Ag/AgCl)の層などの第2の導電材料502と共に、参照電極を提供することができる。
【0092】
特定の実施形態における第2の誘電体層などの第2の絶縁層506は、第2の導電層509の少なくとも一部の上に配置または積層されていてよい。さらに、第3の導電層503は、第2の絶縁層506の少なくとも一部の上に配置されていてよく、対電極503を提供することができる。最後に、第3の絶縁層507が、第3の導電層503の少なくとも一部の上に配置または積層されていてよい。このようにして、センサ500は、導電層の各々の少なくとも一部がそれぞれの絶縁層(例えば、誘電体層)によって分離されるように積層されていてよい。図5Aおよび図5Bの実施形態は、異なる長さを有する層を示す。特定の例において、層のいくつかまたはすべては、同じまたは異なる長さおよび/または幅を有し得る。
【0093】
特定の実施形態では、電極501,502,503のうちのいくつかまたは全部は、上述のような層状構造で基板504の同じ側に設けられてもよく、あるいは、2つ以上の電極が基板504上の同じ平面上に(例えば、並んで(例えば、平行に)または互いに対して角度をなして)配置されるように、同一平面上に設けられてもよい。例えば、同一平面上の電極は、それらの間に適切な間隔を含むことができ、および/または導電層/電極間に配置された誘電材料または絶縁材料を含むことができる。
【0094】
さらに、特定の実施形態では、電極501,502,503のうちの1つまたは複数は、基板504の両側に配置されてもよい。そのような実施形態では、コンタクトパッドは、基板の同じ側または異なる側にあってよい。例えば、電極は、第1の側にあってよく、そのそれぞれのコンタクトは、第2の側にあってよく、例えば、電極およびコンタクトを接続するトレースは、基板を横断してもよい。
【0095】
本開示に関連して利用され得る両面積層センサ構成の実施形態が、図6図8を参照して以下に説明される。図6は、両面検体センサ600の遠位部分の断面図を示す。検体センサ600は、少なくとも概ね平面の絶縁ベース基板601、例えば、少なくとも概ね平面の誘電体ベース基板を含み、絶縁ベース基板601は、絶縁ベース基板601の第1の表面領域、例えば、上面領域の全体を実質的に覆う第1の導電層602を有し、例えば、導電層は、実質的に、基板の全長にわたって遠位端まで、かつ基板の全幅にわたって側端から側端まで延在している。第2の導電層603は、絶縁ベース基板601の第2の表面、例えば底側の全体を実質的に覆っている。しかしながら、導電層の一方または両方は、遠位端の近位で終端していてもよく、および/または絶縁基板601の幅よりも小さい幅を有していてもよく、幅は、基板の側端から選択された距離で終端し、距離は、側端の各々から等距離であってもよく、または変動してもよい。
【0096】
第1または第2の導電層のうちの1つ、例えば、第1の導電層602は、センサの作用電極を含むように構成されていてよい。対向する導電層、ここでは第2の導電層603は、参照電極および/または対電極を含むように構成されていてよい。導電層603が参照電極または対電極のいずれかとして機能するが、両方としては機能しない場合、第3の電極が、センサ(図示せず)の近位部分の表面領域上、別個の基板上、または導電層602もしくは603の上方もしくは下方のいずれかに配置されるとともに、絶縁層(複数可)によってこれらの層から離隔された追加の導電層として、任意選択で提供されてもよい。例えば、検体センサ600が部分的に埋め込まれるように構成されるいくつかの実施形態では、導電層603は、参照電極を含むように構成されていてよく、センサの埋め込まれていない近位部分上にのみ存在する第3の電極(図示せず)は、センサの対電極を含むように構成されていてよい。
【0097】
第1の絶縁層604は、導電層602の少なくとも一部を覆い、第2の絶縁層605は、導電層603の少なくとも一部を覆う。一実施形態では、第1の絶縁層604および第2の絶縁層605のうちの少なくとも1つは、検体センサ600の遠位端まで延在せず、1つまたは複数の導電層の露出領域を残している。
【0098】
図7は、両面検体センサ700の遠位部分の断面図を示し、両面検体センサ700は、少なくとも概ね平面の絶縁ベース基板701、例えば、少なくとも概ね平面の誘電体ベース基板を含み、絶縁ベース基板701は、絶縁ベース基板701の第1の表面領域、例えば、上面領域の全体を実質的に覆う第1の導電層702を有し、例えば、導電層は、実質的に、基板の全長にわたって遠位端まで、かつ基板の全幅にわたって側端から側端まで延在している。第2の導電層703は、絶縁ベース基板701の第2の表面、例えば底側の全体を実質的に覆っている。しかしながら、導電層の一方または両方は、遠位端の近位で終端していてもよく、および/または絶縁基板701の幅よりも小さい幅を有していてもよく、幅は、基板の側端から選択された距離で終端し、距離は、側端の各々から等距離であってもよく、または変動してもよい。
【0099】
図7の実施形態では、導電層702は、図示され、以下でより詳細に説明されるように、第1の導電層702の少なくとも一部の上に配置された感知領域702Aを含む作用電極を含むように構成されている。単一の感知領域702Aが示されているが、他の実施形態では、複数の空間的に分離された感知素子が利用されてもよいことに留意されたい。
【0100】
図7の実施形態では、導電層703は、導電層703の遠位部分の上に配置された導電材料703A、例えばAg/AgClの二次層を含む参照電極を含むように構成されている。
【0101】
第1の絶縁層704は、導電層702の一部を覆い、第2の絶縁層705は、導電層703の一部を覆う。第1の絶縁層704は、検体センサ700の遠位端まで延在せず、感知領域702Aが配置される導電層の露出領域を残している。センサの底部/参照電極側上の絶縁層705は、センサの遠位部分の任意の好適な長さに延在していてよく、例えば、一次および二次導電層の両方の全長またはその一部に延在していてよい。例えば、図7に示されるように、底部絶縁層705は、二次導電性材料703Aの底部表面領域全体にわたって延在しているが、導電層703の長さの遠位端の近位で終端している。基板701の側端に沿って延在する二次導電性材料703Aの少なくとも端部は、絶縁層705によって覆われておらず、したがって、動作使用時に環境に露出されることに留意されたい。
【0102】
代替の実施形態において、図8に示されるように、検体センサ800は、絶縁ベース基板801の作用電極側に絶縁層804を有し、これは、感知領域802Aの前に提供されてよく、それによって、絶縁層804は、導電層802上に互いに間隔を空けて配置された少なくとも2つの部分を有する。次いで、感知領域802Aが、2つの部分の間の間隔に設けられる。例えば、複数の感知構成要素または層が所望される場合、3つ以上の離隔された部分が提供されてもよい。底部絶縁層805は、底部一次導電層803上の二次導電層803Aの近位で終端する長さを有している。上述したように、追加の導電層および誘電体層が、センサの片側または両側に設けられてよい。
【0103】
図6図8は、特定の層状構成で作用電極および参照電極を提供することができるものとして本明細書で図示または説明されているが、これらの層の相対的な配置は変更されてもよいことに留意されたい。例えば、対電極層は、絶縁ベース基板の一方の側に提供されてもよく、一方、作用電極層および参照電極層は、絶縁ベース基板の反対側に積層構成で提供される。加えて、導電層および絶縁層の数を調整することによって、図6図8に示されるものとは異なる数の電極が提供されてもよい。例えば、3つまたは4つの電極センサが設けられてもよい。
【0104】
以下により詳細に説明される、検体流動調節層および/または干渉物質除去層および/または生体適合性層のうちの1つまたは複数として機能し得る1つまたは複数の膜は、センサとともに、センサ上に、またはセンサの周囲に、例えば、最外層のうちの1つまたは複数として含まれていてよい。例えば、膜層は、作用電極の周囲の領域への1つまたは複数の干渉物質の浸透を妨げるように構成され得る。当業者は、膜が多くの形態をとり得ることを容易に認識するであろう。膜は、1つだけの構成要素、または複数の構成要素を含むことができる。膜は、センサの末端領域(例えば、側面および末端先端)を取り囲むような球状の形状を有することができる。膜は、概ね平坦な構造を有することができ、層として特徴付けることができる。平面膜は、平滑であってよく、または軽微な表面(位相)変動を有していてもよい。膜は、他の非平面構造として構成することもできる。例えば、膜は、円筒形状もしくは部分円筒形状、半球形状もしくは他の部分球形状、不規則形状、または他の丸みを帯びたもしくは湾曲した形状を有することができる。
【0105】
特定の実施形態では、図7に示されるように、第1の膜層706は、作用電極702上の感知領域702A上にのみ提供されて、感知領域への検体の拡散または流動の速度を調節することができる。膜層が単一の構成要素/材料の上に提供される実施形態では、他の材料/構成要素に使用されるものと同じストライピング構成および方法でそれを行うことが好適であり得る。ここで、膜材料706は、好ましくは、感知構成要素702Aの幅よりも大きい幅を有する。センサの活性領域への検体の流動を制限するように作用し、したがってセンサの感度に寄与するので、膜706の厚さを制御することが重要である。ストライプ/バンドの形態で膜706を提供することは、その厚さの制御を容易にする。センサテールの残りの表面領域を被覆する第2の膜層707も、生体適合性のコンフォーマルコーティングとして機能し、センサ全体にわたって滑らかなエッジを提供するために提供されてよい。他のセンサ実施形態では、図8に示されるように、単一の均質膜806が、センサ表面積全体にわたって、または少なくとも遠位テール部分の両側にわたってコーティングされてもよい。センサの遠位端および側端をコーティングするために、センサ前駆体の個片化(singulation)に続いて膜材料が塗布されなくてはならない場合があることに留意されたい。いくつかの実施形態では、検体センサは、1つまたは複数の膜を塗布するために、個片化後にディップコーティングされる。あるいは、検体センサは、スロットダイコーティングされてもよく、検体センサの各面は、別々にコーティングされる。
【0106】
図9は、本開示の一実施形態による例示的な両面検体センサ900の遠位部分の断面図を示し、両面検体センサは、第1の導電層902を有する少なくとも概ね平面の絶縁ベース基板901、例えば、少なくとも概ね平面の誘電性ベース基板を含む。第2の導電層903は、絶縁ベース基板901の第1の側、例えば底側に配置されている。センサの遠位端まで延在するように示されているが、導電層の一方または両方は、遠位端の近位で終端していてもよく、および/または絶縁基板901の幅よりも小さい幅を有していてもよく、幅は、基板の側端から選択された距離で終端し、距離は、側端の各々から等距離であってもよく、または変動してもよい。例えば、絶縁ベース基板の幅よりも小さい幅を有する、例えば電極トレースを含む電極を画定する第1および第2の導電層が設けられている、以下でより詳細に説明する検体センサアセンブリ900を参照されたい。
【0107】
図9の実施形態では、導電層903は、導電層903の少なくとも一部の上に配置された感知領域908を含む作用電極を含むように構成され、この感知領域については以下でより詳細に説明する。複数の空間的に離隔された感知構成要素または層が、作用電極を形成する際に利用されてよく、例えば、1つまたは複数の感知「ドット」または領域が、本明細書に示されるように、導電層903上に提供されてもよく、または単一感知構成要素が使用されてもよい(図示せず)ことに留意されたい。
【0108】
図9の実施形態では、導電層906は、導電層906の遠位部分の上に配置された導電材料906A、例えばAg/AgClの二次層を含む参照電極を含むように構成されている。導電層902および903と同様に、導電層906は、遠位端の近位で終端していてもよく、および/または絶縁基板901の幅よりも小さい幅を有していてもよく、幅は、基板の側端から選択された距離で終端し、距離は、図10A図10Cを参照して以下でより詳細に説明するように、側端の各々から等距離であってもよく、または変動してもよい。
【0109】
図9に示す実施形態では、導電層902は、対電極を含むように構成されている。第1の絶縁層904は、導電層902の一部を覆い、第2の絶縁層905は、導電層903の一部を覆う。第1の絶縁層904は、検体センサ900の遠位端まで延在せず、対電極として作用する導電層902の露出領域を残している。絶縁層905は、導電層903の一部を覆い、感知領域908が配置される導電層903の露出領域を残している。上述のように、いくつかの実施形態では、(図示されるように)複数の空間的に離隔された感知構成要素または層が提供されていてよく、他の実施形態では、単一の感知領域が提供されてもよい。第1の側、例えば、センサの底側(図9によって提供される図において)上の絶縁層907は、センサの遠位部分の任意の好適な長さに延在していてよく、例えば、導電層906および906Aの両方の全長またはその一部に延在していてよい。例えば、図9に示すように、底部絶縁層907は、二次導電性材料906Aの底部表面領域全体にわたって延在し、導電層906の長さの遠位端の遠位で終端している。基板901の側端に沿って延在する二次導電性材料906Aの少なくとも端部は、絶縁層907によって覆われておらず、したがって、動作使用時に環境に露出されることに留意されたい。
【0110】
図9に示されるように、均質膜909は、センサ表面領域全体にわたって、または少なくとも遠位テール部の両側にわたってコーティングされてもよい。センサの遠位端および側端をコーティングするために、センサ前駆体の個片化に続いて膜材料が塗布されなくてはならない場合があることに留意されたい。いくつかの実施形態では、検体センサは、1つまたは複数の膜を塗布するために(または様々な段階で1つの膜を塗布するために)個片化後にディップコーティングされる。あるいは、検体センサは、スロットダイコーティングされてもよく、検体センサの各面は、別々にコーティングされる。膜909は、図9では、下にある表面変化に一致する角状の形状を有するものとして示されているが、より球状または不定形の形状を有することもできる。
【0111】
層状センサを製造する場合、センサの総幅を低減するために、比較的薄い絶縁層を利用することが望ましい場合がある。例えば、図9を参照すると、絶縁層904,905,および907は、絶縁基板層901に対して相対的に薄くてよい。例えば、絶縁層904,905,および907は、20~25μmの範囲の厚さを有していてよく、一方、基板層901は、0.1~0.15mmの範囲の厚さを有する。しかしながら、このような薄い絶縁層によって離隔された2つ以上の導電層を切断することによってこのような個片化が達成されるセンサの個片化中に、2つの導電層間の短絡が生じる可能性がある。
【0112】
この潜在的な問題に対処する1つの方法は、導電層、例えば電極層のうちの1つを、少なくとも部分的に、例えば比較的狭い導電性トレースを含む比較的狭い電極として提供することであり、それにより、個片化プロセス中に、狭い電極を切断することなく1つの電極が切断されるように、センサが狭い電極の両側で切断される。
【0113】
例えば、図10A図10Cを参照すると、絶縁層1003および1005を含むセンサ1000が示されている。絶縁層1003および1005は、概ね平坦な絶縁ベース基板層1001に対して薄くてもよく、またはその逆であってもよい。例えば、絶縁層1003および1005は、15~30μmの範囲の厚さを有していてよく、一方、基板層1001は、0.1~0.15mmの範囲の厚さを有する。そのようなセンサは、複数のシートで製造されていてよく、単一のシートは、複数のセンサを含んでいる。しかしながら、そのようなプロセスは、一般に、使用前にセンサの個片化を必要とする。そのような個片化が、絶縁層によって離隔された2つ以上の導電層を通して切断することを必要とする場合、特にもし絶縁層が薄い場合には、2つの導電層間の短絡が生じ得る。そのような短絡を回避するために、導電層の全部よりも少ない導電層が、個片化プロセス中に切断されてもよい。例えば、導電層の少なくとも1つは、1つまたは複数の他の導電層に対して狭い幅を有する、例えば導電トレースを含む、電極として、少なくとも部分的に設けられていてよく、これにより、個片化プロセス中に、薄い絶縁層、例えば、15~30μmの範囲の厚さを有する絶縁層によってのみ第2の導電層から離隔された第1の導電層が切断される一方、第2の導電層は切断されない。
【0114】
例えば、図10Aおよび図10Cを参照すると、センサ1000は、少なくとも概ね平坦な絶縁ベース基板1001を含む。少なくとも概ね平坦な絶縁ベース基板1001上には、第1の導電層1002が配置されている。第1の比較的薄い絶縁層1003、例えば、15~30μmの範囲の厚さを有する絶縁層は、第1の導電層1002上に配置され、第2の導電層1004は、比較的薄い絶縁層1003上に配置される。最後に、第2の比較的薄い絶縁層1005、例えば、15~30μmの範囲の厚さを有する絶縁層が、第2の導電層1004上に配置される。
【0115】
図10Bに示すように、第1の導電層1002は、図10Bの線A-Aで切った断面に示すように、導電層1004に対して狭い幅を有する電極であってよい。あるいは、第2の導電層1004は、図1Cの線A-Aで切った断面図に示すように、導電層1002に対して狭い幅を有する導電性電極であってもよい。個片化の切断線1006が、図10Bおよび図10Cに示されている。センサは、図10Bおよび図10Cに示されるように、例えば、領域1007において、例えば、比較的狭い導電性電極の両側を切断することによって個片化され得る。図10Bを参照すると、個片化切断線1006に沿って切断することによる個片化の結果、導電層1004が切断されるが、導電層1002は切断されない。図10Cを参照すると、個片化切断線1006に沿って切断することによる個片化の結果、導電層1002が切断されるが、導電層1004は切断されない。
【0116】
感知領域の実施形態は、図5Bに508として、図9に908として概略的に示される領域として説明することができる。上述のように、感知領域は、図5Bに508として、図7に702Aとして、および図8に802Aとして示されるような単一の感知構成要素として提供されてもよく、または図9に908として示されるような複数の感知構成要素として提供されてもよい。複数の感知構成要素または感知「スポット」は、米国特許出願公開第2012/0150005号明細書に説明されており、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0117】
「感知領域」という用語は広義語であり、バイオセンサの活性化学領域として説明することができる。当業者は、感知領域が多くの形態をとり得ることを容易に認識するであろう。感知領域は、1つのみの構成要素、または複数の構成要素(例えば、図9の感知領域908など)を含むことができる。図5Bの実施形態では、例えば、感知領域は、概ね平坦な構造であり、層として特徴付けることができる。平面感知領域は、平滑であってもよく、または軽微な表面(位相)変動を有していてもよい。感知領域は、非平面構造であってもよい。例えば、感知領域は、円筒形状もしくは部分円筒形状、半球形状もしくは他の部分球形状、不規則形状、または他の丸みを帯びたもしくは湾曲した形状を有することができる。
【0118】
特定の例において、検体応答性酵素は、感知領域全体に分布している。例えば、検体応答性酵素は、検体応答性酵素の濃度が感知領域全体にわたって実質的に同じであるように、感知領域全体にわたって均一に分布していてよい。いくつかの場合において、感知領域は、検体応答性酵素の均質な分布を有していてよい。特定の実施形態では、レドックスメディエーターが感知領域全体に分布している。例えば、レドックスメディエーターは、レドックスメディエーターの濃度が感知領域全体にわたって実質的に同じであるように、感知領域全体にわたって均一に分布していてよい。いくつかの場合において、感知領域は、レドックスメディエーターの均質な分布を有していてよい。特定の実施形態では、検体応答性酵素およびレドックスメディエーターの両方が、上述のように、感知領域全体に均一に分布している。
【0119】
上述したように、検体センサは、感知成分または感知領域を提供するために検体応答性酵素を含んでいてよい。酸素などのいくつかの検体は、センサ上で、より具体的には少なくともセンサの作用電極上で、直接電気酸化または電気還元され得る。グルコースおよびラクテートなどの他の検体は、検体の電気酸化または電気還元を容易にするために、少なくとも1つの電子輸送剤および/または少なくとも1つの触媒の存在を必要とする。作用電極上で直接電気酸化または電気還元され得る酸素などの検体に対して、触媒も使用することができる。これらの検体に対して、各作用電極は、作用電極の表面に近接して、またはその上に感知領域(例えば、図5Bの感知領域508を参照)を含む。多くの実施形態では、感知領域は、少なくとも作用電極の小部分の近傍またはその上にのみ形成される。
【0120】
感知領域は、検体の電気化学的酸化または還元を容易にするように構成された1つまたは複数の構成要素を含むことができる。感知領域は、例えば、検体の反応を触媒し、作用電極において応答を生成する触媒、検体と作用電極(または他の構成要素)との間で電子を移動させる電子輸送剤、またはその両方を含んでいてよい。
【0121】
様々な異なる感知領域構成を使用することができる。感知領域は、多くの場合、作用電極などの電極と接触して、またはそれに近接して位置している。特定の実施形態では、感知領域は、作用電極の導電性材料上に堆積される。感知領域は、作用電極の導電性材料を越えて延在していてよい。いくつかの場合では、感知領域は、他の電極の上に、例えば、対電極および/または参照電極の上に延在していてもよい(または対/参照が提供される場合)。
【0122】
作用電極と直接接触している感知領域は、検体と作用電極との間で電子を直接的または間接的に移動させるための電子輸送剤、および/または検体の反応を促進するための触媒を含有していてよい。例えば、グルコース、ラクテート、または酸素電極は、それぞれグルコースオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、ラクテートオキシダーゼ、またはラッカーゼを含む触媒と、それぞれグルコース、ラクテート、または酸素の電気酸化を促進する電子輸送剤とを含有する感知領域を有して形成され得る。
【0123】
他の実施形態では、感知領域は、作用電極上に直接堆積されない。代わりに、感知領域508(図5)は、例えば、作用電極から離隔され、例えば、分離層によって、作用電極から分離されていてよい。分離層は、1つまたは複数の膜もしくはフィルムまたは物理的距離を含み得る。作用電極を感知領域から分離することに加えて、分離層は、物質輸送制限層および/または干渉物質除去層および/または生体適合性層としても機能し得る。
【0124】
2つ以上の作用電極を含む特定の実施形態では、作用電極のうちの1つまたは複数は、対応する感知領域を有していなくてもよく、または検体を電気分解するために必要とされる1つまたは複数の構成要素(例えば、電子輸送剤および/または触媒)を含有していない感知領域を有していてもよい。したがって、この作用電極における信号は、例えば、信号を減算することによって、完全に機能する感知領域と関連付けられた1つまたは複数の他の作用電極から得られる検体信号から除去され得るバックグラウンド信号に対応することができる。
【0125】
特定の実施形態において、感知領域は、1つまたは複数の電子輸送剤を含む。用いることができる電子輸送剤は、標準カロメル電極(SCE)の酸化還元電位よりも数百ミリボルト高いまたは低い酸化還元電位を有する電気還元性および電気酸化性のイオンまたは分子である。電子輸送剤は、有機、有機金属、または無機であってよい。有機レドックス種の例は、キノンおよび酸化状態でキノイド構造を有する種、例えば、ナイルブルーおよびインドフェノールである。有機レドックス種の例は、フェロセンを含むメタロセンである。無機レドックス種の例は、ヘキサシアノ鉄酸塩(III)、ルテニウムヘキサミンなどである。さらなる例は、米国特許第6,736,957号、第7,501,053号、および第7,754,093号明細書に記載されるものを含み、これらの各々の開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0126】
特定の実施形態では、電子輸送剤は、サンプルが分析されている期間中に電子輸送剤の拡散損失を妨げるまたは実質的に低減する構造または電荷を有している。例えば、電子輸送剤は、例えば、次いで作用電極上またはその近傍に配置され得るポリマーに結合するレドックス種を含むが、これらに限定されない。レドックス種とポリマーとの間の結合は、共有結合、配位結合、またはイオン結合であってよい。任意の有機、有機金属または無機レドックス種をポリマーに結合させ、電子輸送剤として使用することができるが、特定の実施形態では、レドックス種は、遷移金属化合物または錯体、例えば、オスミウム、ルテニウム、鉄およびコバルト化合物または錯体である。ポリマー成分と共に使用するために記載された多くのレドックス種が、ポリマー成分なしで使用されてもよいことが認識されるであろう。
【0127】
ポリマー電子輸送剤の実施形態は、ポリマー組成物に共有結合したレドックス種を含有していてよい。このタイプのメディエーターの例は、ポリ(ビニルフェロセン)である。別のタイプの電子輸送剤は、イオン結合レドックス種を含有する。このタイプのメディエーターは、反対に帯電したレドックス種に結合した帯電ポリマーを含み得る。このタイプのメディエーターの例は、オスミウムまたはルテニウムポリピリジルカチオンなどの正に帯電したレドックス種に結合した負に帯電したポリマーを含む。イオン結合メディエーターの別の例は、フェリシアン化物またはフェロシアン化物などの負に帯電したレドックス種に結合した四級化ポリ(4-ビニルピリジン)またはポリ(1-ビニルイミダゾール)を含む正に帯電したポリマーである。他の実施形態では、電子輸送剤は、ポリマーに配位結合したレドックス種を含む。例えば、メディエーターは、オスミウムまたはコバルト2,2’-ビピリジル錯体をポリ(1-ビニルイミダゾール)またはポリ(4-ビニルピリジン)に配位させることによって形成することができる。
【0128】
好適な電子輸送剤は、1つまたは複数の配位子を有するオスミウム遷移金属錯体であり、各配位子は、2,2’-ビピリジン、1,10-フェナントロリン、1-メチル,2-ピリジルビイミダゾール、またはそれらの誘導体などの窒素含有複素環を有する。電子輸送剤は、ポリマーに共有結合した1つまたは複数の配位子を有していてよく、各配位子は、ピリジン、イミダゾール、またはそれらの誘導体などの少なくとも1つの窒素含有複素環を有する。電子輸送剤の一例は、(a)ピリジンまたはイミダゾール官能基を有するポリマーまたはコポリマー、および(b)2つの配位子と錯体を形成したオスミウムカチオンを含み、各配位子は2,2’-ビピリジン、1,10-フェナントロリン、またはそれらの誘導体を含み、2つの配位子は必ずしも同じではない。オスミウムカチオンとの錯体形成のための2,2’-ビピリジンのいくつかの誘導体は、4,4’-ジメチル-2,2’-ビピリジン、ならびに4,4’-ジメトキシ-2,2’-ビピリジンを含む、モノ-、ジ-、およびポリアルコキシ-2,2’-ビピリジンを含むが、これらに限定されない。オスミウムカチオンとの錯体形成のための1,10-フェナントロリンの誘導体は、4,7-ジメチル-1,10-フェナントロリン、ならびに4,7-ジメトキシ-1,10-フェナントロリンなどのモノ-、ジ-、およびポリアルコキシ-1,10-フェナントロリンを含むが、これらに限定されない。オスミウムカチオンとの錯体形成のためのポリマーは、ポリ(1-ビニルイミダゾール)(「PVI」と称される)およびポリ(4-ビニルピリジン)(「PVP」と称される)のポリマーおよびコポリマーを含むが、これらに限定されない。ポリ(1-ビニルイミダゾール)の好適なコポリマー置換基は、アクリロニトリル、アクリルアミド、および置換または四級化N-ビニルイミダゾール、例えば、ポリ(1-ビニルイミダゾール)のポリマーまたはコポリマーに錯体化されたオスミウムを有する電子輸送剤を含む。
【0129】
実施形態は、標準カロメル電極(SCE)に対して約-200mV~約+200mVの範囲の酸化還元電位を有する電子輸送剤を使用することができる。感知領域は、検体の反応を触媒することができる触媒も含んでいてよい。触媒は、いくつかの実施形態において、電子輸送剤としても機能し得る。適切な触媒の一例は、検体の反応を触媒する酵素である。対象検体がグルコースである場合、例えば、グルコースオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ(例えば、ピロロキノリンキノン(PQQ)依存性グルコースデヒドロゲナーゼ、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)依存性グルコースデヒドロゲナーゼ、またはニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)依存性グルコースデヒドロゲナーゼ)を含む触媒を使用することができる。対象検体がラクテートである場合、ラクテートオキシダーゼまたはラクテートデヒドロゲナーゼを使用することができる。ラッカーゼは、対象の検体が酸素である場合、または検体の反応に応答して酸素が生成または消費される場合に使用することができる。
【0130】
特定の実施形態では、触媒をポリマーに結合させて、触媒を、上述したようにポリマーであり得る別の電子輸送剤と架橋結合させることができる。特定の実施形態では、第2の触媒を使用することもできる。この第2の触媒は、検体の触媒反応から生じる生成化合物の反応を触媒するために使用することができる。第2の触媒は、電子輸送剤と共に働いて、生成化合物を電気分解し、作用電極において信号を生成することができる。あるいは、干渉物質を除去する反応を触媒するために、第2の触媒が干渉物質除去層に提供されてもよい。
【0131】
特定の実施形態において、センサは、低い酸化電位、例えば、Ag/AgClに対して約+40mVの電位で動作する。この感知領域は、例えば、低電位動作のために構築されたオスミウム(Os)ベースのメディエーターを使用する。したがって、特定の実施形態において、感知要素は、(1)(二座)配位子を含むオスミウムベースのメディエーター分子、および(2)グルコースオキシダーゼ酵素分子を含むレドックス活性成分である。これらの2つの構成要素は、センサの感知領域において一緒に組み合わされる。
【0132】
物質輸送制限層(図示せず)、例えば、検体流動調節層は、センサに含められ、拡散制限バリアとして機能して、検体、例えば、グルコースまたはラクテートまたはケトンの、作用電極の周りの領域への物質輸送速度を低下させる。物質輸送制限層は、センサが広範囲の検体濃度にわたって線形に応答し、容易に較正されるように、電気化学センサ内の作用電極への検体の流動を制限するのに有用である。物質輸送制限層は、ポリマーを含んでいてよく、生体適合性であってもよい。物質輸送制限層は、多くの機能、例えば生体適合性および/または干渉物質除去機能などを提供することができる。
【0133】
特定の実施形態において、物質輸送制限層は、ポリビニルピリジンおよびポリビニルイミダゾールのポリマーなどの複素環式窒素基を含有する架橋ポリマーから構成される膜である。実施形態は、ポリウレタン、またはポリエーテルウレタン、または化学的に関連する材料で作られた膜、またはシリコーンなどで作られた膜を含む。
【0134】
膜は、双性イオン部分、非ピリジンコポリマー成分、および任意選択で親水性もしくは疎水性のいずれかであり、かつ/または他の望ましい特性を有する別の部分で修飾されたポリマーを、アルコール緩衝溶液中でその場で架橋することによって形成することができる。変性ポリマーは、複素環式窒素基を含有する前駆体ポリマーから作製することができる。例えば、前駆体ポリマーは、ポリビニルピリジンまたはポリビニルイミダゾールであってよい。任意選択的に、親水性または疎水性の修飾剤を使用して、結果として得られる膜の、目的の検体に対する透過性を「微調整」することができる。ポリ(エチレングリコール)、ヒドロキシルまたはポリヒドロキシル修飾剤などの任意選択の親水性修飾剤を使用して、ポリマーまたは得られる膜の生体適合性を高めることができる。
【0135】
膜は、架橋剤および修飾ポリマーのアルコール緩衝溶液を酵素含有感知領域上に塗布し、溶液を約1~2日または他の適切な期間硬化させることによって、その場で形成することができる。架橋剤-ポリマー溶液は、膜溶液の1つまたは複数の液滴をセンサ上に置くこと、センサを膜溶液に浸漬すること、膜溶液をセンサに噴霧することなどによって、感知領域に塗布することができる。一般に、膜の厚さは、膜溶液の濃度、塗布される膜溶液の液滴の数、センサが膜溶液に浸漬される回数、センサ上に噴霧される膜溶液の量、またはこれらのファクタの任意の組み合わせによって制御される。このようにして塗布された膜は、以下の機能の任意の組合せを有することができる。(1)物質輸送制限、例えば、感知領域に到達することができる検体の流動の低減、(2)生体適合性向上、または(3)干渉物質低減。
【0136】
いくつかの場合には、膜は、感知領域と1つまたは複数の結合を形成してもよい。結合とは、共有結合、イオン結合、双極子-双極子相互作用、水素結合、ロンドン分散力などであるがこれらに限定されない、化学的化合物が互いに会合を形成することを可能にする原子間または分子間の任意のタイプの相互作用を意味する。例えば、膜のその場重合は、膜のポリマーと感知領域のポリマーとの間に架橋を形成し得る。特定の実施形態において、感知領域への膜の架橋は、感知領域からの膜の層間剥離の発生の低減を促進する。
【0137】
基板は、例えば、ポリマーまたはプラスチック材料およびセラミック材料を含む様々な非導電性材料を使用して形成することができる。特定のセンサに適した材料は、少なくとも部分的に、センサの所望の用途および材料の特性に基づいて決定することができる。
【0138】
いくつかの実施形態において、基板は可撓性である。例えば、センサがユーザへの埋め込みのために構成される場合、センサは、センサの埋め込みおよび/または装着によって引き起こされるユーザへの痛みおよび組織への損傷を低減するために、可撓性にされてもよい(剛性センサが埋め込み可能なセンサに使用されてもよいが)。可撓性基板は、多くの場合、ユーザの快適性を増加させ、より広い範囲の活動を可能にする。可撓性基板に適した材料は、例えば、非導電性プラスチックまたはポリマー材料、および他の非導電性で可撓性の変形可能な材料を含む。有用なプラスチックまたはポリマー材料の例は、ポリカーボネート、ポリエステル(例えば、Mylar(商標)およびポリエチレンテレフタレート(PET))、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリアミド、ポリイミドなどの熱可塑性プラスチック、またはPETG(グリコール変性ポリエチレンテレフタレート)などのこれらの熱可塑性プラスチックのコポリマーを含む。
【0139】
他の実施形態では、センサは、例えば、屈曲または破壊に対する構造的支持を提供するために、比較的剛性の基板を使用して作製される。基板として使用することができる剛性材料の例は、酸化アルミニウムおよび二酸化ケイ素などの導電性の低いセラミックを含む。剛性基板を有する埋め込み可能なセンサは、追加の挿入デバイスなしでセンサの埋め込みを助けるために、鋭利な先端および/または鋭利なエッジを有し得る。
【0140】
多くのセンサおよびセンサ用途に対して、剛性および可撓性センサの両方が適切に動作することが理解されるであろう。センサの可撓性は、例えば、基板の組成および/または厚さを変化させることによって、連続体に沿って制御および変動されてもよい。
【0141】
可撓性に関する考慮に加えて、埋め込み可能なセンサは、生理学的に無害である基板、例えば、生体内での使用について規制当局または民間機関によって承認された基板を有することが望ましいことが多い。
【0142】
センサは、埋め込み型センサの挿入を容易にする任意選択の特徴を含むことができる。例えば、センサは、挿入を容易にするために先端が尖っていてもよい。加えて、センサは、センサの動作中にユーザの組織内にセンサを固定することを補助するバーブ(barb)を含んでいてよい。しかしながら、バーブは、典型的には、センサが交換のために取り外されるときに皮下組織にほとんど損傷が生じないように十分に小さい。
【0143】
埋め込み可能なセンサは、任意選択で、使用者に埋め込まれる基板の一部に配置された抗凝固剤も有し得る。この抗凝固剤は、特にセンサの挿入後に、センサの周囲の血液または他の体液の凝固を低減または排除することができる。血餅は、センサを詰まらせるか、またはセンサ内に拡散する検体の量を再現不可能に減少させる可能性がある。有用な抗凝固剤の例は、ヘパリンおよび組織プラスミノーゲン活性化因子(TPA)、ならびに他の公知の抗凝固剤を含む。
【0144】
抗凝固剤は、埋め込まれるセンサの部分の少なくとも一部に塗布されてよい。抗凝固剤は、例えば、浴、噴霧、ブラッシング、または浸漬などによって塗布され得る。抗凝固剤は、センサ上で乾燥される。抗凝固剤は、センサの表面上に固定化されてもよく、またはセンサ表面から拡散してもよい。センサ上に配置された抗凝固剤の量は、血餅を含む医学的状態の処置のために典型的に使用される量未満であってよく、従って、限定された局所的な効果のみを有し得る。
【0145】
図11は、本開示の特定の実施形態による、例示的インビボベースの検体モニタリングシステム1100を示す。示されるように、検体モニタリングシステム1100は、インビボ検体センサ1101(その近位部分が図11に示される)に電気的に結合されるとともに、ユーザの身体上の皮膚表面上への取り付けのために接着層1140に取り付けられた、オンボディ電子機器1110を含む。オンボディ電子機器1110は、内部コンパートメントを画定するオンボディハウジング1119を含む。また、図11には、操作時に検体センサ1101の一部を、皮膚表面を通して体液と流体接触させて経皮的に配置し、皮膚表面上のオンボディ電子機器1110および接着層1140上に配置する挿入デバイス1150が示されている。特定の実施形態では、オンボディ電子機器1110、検体センサ1101、および接着層1140は、使用前に挿入デバイス1150のハウジング内に密封され、特定の実施形態では、接着層1140もハウジング内に密封されるか、またはそれ自体が挿入デバイス1150の末端シールを提供する。
【0146】
図11に戻って参照すると、検体モニタリングシステム1100は、ユーザに情報を出力するためのディスプレイ1122を含む表示デバイス1120と、表示デバイス1120にデータまたはコマンドを入力するための、あるいは表示デバイス1120の動作を制御するための、ボタン、アクチュエータ、タッチ感知スイッチ、容量性スイッチ、感圧スイッチ、ジョグホイールなどの入力構成要素1121とを含む。いくつかの実施形態は、ディスプレイのないデバイスまたは任意のユーザインタフェース構成要素を伴わないデバイスを含み得ることに留意されたい。これらのデバイスは、データロガーとしてデータを格納するように、および/またはオンボディ電子機器および/またはディスプレイのないデバイスから別のデバイスおよび/または場所にデータを転送するための導管を提供するように、機能化され得る。実施形態は、本開示の実施形態を限定することを決して意図するものではない例示目的のための表示デバイスとして本明細書で説明される。特定の実施形態では、ディスプレイのないデバイスも使用できることは明らかであろう。
【0147】
特定の実施形態では、オンボディ電子機器1110は、モニタリング期間中に検体センサ1101から受信したモニタリングされた検体関連データの一部または全部をメモリに格納し、使用期間が終了するまでそれをメモリに維持するように構成され得る。そのような実施形態では、格納されたデータは、モニタリング期間の終わりに、例えば、オンボディ電子機器1110がモニタリング期間中に配置されていた皮膚表面からオンボディ電子機器1110を取り外すことによって検体センサ1101をユーザから取り外した後に、オンボディ電子機器1110から取り出される。そのようなデータロギング構成では、リアルタイムでモニタリングされた検体レベルは、モニタリング期間中に表示デバイス1120に通信されず、あるいはオンボディ電子機器1110から送信されず、むしろモニタリング期間後にオンボディ電子機器1110から取り出される。
【0148】
特定の実施形態では、表示デバイス1120の入力構成要素1121は、マイクロフォンを含んでいてよく、表示デバイス1120は、マイクロフォンから受信されたオーディオ入力を分析するように構成されたソフトウェアを含んでいてもよく、それにより、表示デバイス1120の機能および動作が音声コマンドによって制御され得る。特定の実施形態では、表示デバイス1120の出力構成要素は、可聴信号として情報を出力するためのスピーカを含む。スピーカ、マイクロフォン、および音声駆動信号を生成、処理、および格納するためのソフトウェアルーチンなどの同様の音声応答構成要素が、オンボディ電子機器1110に提供されてもよい。
【0149】
特定の実施形態では、ディスプレイ1122および入力コンポーネント1121は、単一のコンポーネント、例えば、タッチスクリーンユーザインタフェースなどのディスプレイ上の物理的な接触タッチの存在および位置を検出することができるディスプレイに統合されてもよい。そのような実施形態では、ユーザは、ディスプレイをシングルタップまたはダブルタップすること、ディスプレイを横切って指または器具をドラッグすること、複数の指または器具を互いに向かって動かすこと、複数の指または器具を互いから離れるように動かすことなどを含むがこれらに限定されない、事前にプログラムされた動きコマンドのセットを利用することによって、表示デバイス1120の動作を制御することができる。特定の実施形態において、ディスプレイは、LCD素子およびタッチセンサとして機能する単一または二重機能容量性素子を備えたピクセル領域を有するタッチスクリーンを含む。
【0150】
表示デバイス1120は、例えば、遠隔端末(パーソナルコンピュータ)1170などの外部デバイスとの有線データ通信のためのデータ通信ポート1123も含む。データ通信ポート1123の例示的な実施形態は、USBポート、ミニUSBポート、RS-232ポート、イーサネット(登録商標)ポート、ファイヤワイヤポート、または互換性のあるデータケーブルに接続するように構成された他の同様のデータ通信ポートを含む。表示デバイス1120は、インビトロ血糖測定を行うためのインビトログルコーステストストリップを受け入れるためのインビトロテストストリップポート1124を含む、統合されたインビトログルコースメータも含んでいてよい。
【0151】
依然として図11を参照すると、特定の実施形態におけるディスプレイ1122は、種々の情報を表示するように構成され、その一部または全部は、同時または異なる時間にディスプレイ1122上に表示され得る。特定の実施形態では、表示された情報は、ユーザが所与の表示画面上に示される情報をカスタマイズすることができるように、ユーザ選択可能である。ディスプレイ1122は、例えば、モニタリングされた期間にわたるケトン値のグラフィカル出力を提供するグラフィカルディスプレイ1138(食事、運動、睡眠、心拍数、血圧などの重要なマーカを示し得る)、例えば、モニタリングされたケトン値(情報の要求に応答して取得または受信される)を提供する数値ディスプレイ1132、および検体変化のレートおよび/または検体変化のレートのレートを示す傾向または方向矢印ディスプレイ1131を含んでいてよいが、それらに限定されない。
【0152】
図11にさらに示されるように、ディスプレイ1122は、例えば、ユーザのための日付情報を提供する日付ディスプレイ1135、ユーザに時刻情報を提供する時刻情報ディスプレイ1139、表示デバイス1120のバッテリ(充電式または使い捨て)の状態をグラフィカルに示すバッテリレベルインジケータディスプレイ1133、例えば、検体センサ較正が必要であることをユーザに通知する、周期的、ルーチン、または所定数のユーザ較正事象を必要とするモニタリングシステムにおけるセンサ較正状態アイコンディスプレイ1134、音声/振動出力の状態またはアラーム状態を表示するための音声/振動設定アイコンディスプレイ1136、ならびにオンボディ電子機器、データ処理モジュール1160、および/または遠隔端末1170などの他のデバイスとの無線通信接続の標示を提供する無線接続性状態アイコンディスプレイ1137も含んでいてよい。図11に追加的に示されるように、ディスプレイ1122は、メニューにアクセスするため、ディスプレイグラフ出力構成を変更するため、または他の方法で表示デバイス1120の動作を制御するために、シミュレートされたタッチスクリーンボタン1140,1141をさらに含み得る。
【0153】
図11に戻って参照すると、特定の実施形態では、表示デバイス1120のディスプレイ1122は、追加的に、または視覚的ディスプレイの代わりに、可聴、触覚、またはそれらの任意の組み合わせであり得る、アラームおよび/またはアラート通知、グルコース値などのアラーム通知を出力するように構成されていてもよい。一態様では、表示デバイス1120は、ディスプレイ1122上に提供される視覚出力標示に加えて、可聴および/または振動出力標示をユーザに提供するために、スピーカ、振動出力構成要素などの他の出力構成要素を含むことができる。
【0154】
間質液(または他の適切な体液)との流体接触を確立するためにオンボディ電子機器1110を皮膚表面上に配置し、インビボで検体センサ1101を配置した後、特定の実施形態におけるオンボディ電子機器1110は、オンボディ電子機器1110が表示デバイス1120からコマンドまたは要求信号を受信すると、検体関連データ(例えば、モニタリングされた検体レベルおよび/またはモニタリングされた温度データ、および/または格納された履歴検体関連データに対応するデータなど)を無線で通信するように構成されている。特定の実施形態では、オンボディ電子機器1110は、表示デバイス1120がオンボディ電子機器1110からブロードキャストされるデータの通信範囲内にあるとき、表示デバイス1120によって受信される、モニタリングされた検体レベルに関連付けられたリアルタイムデータを少なくとも周期的にブロードキャストするように構成されていてよく、例えば、情報を送信するために表示デバイスからのコマンドまたは要求を必要としない。
【0155】
例えば、表示デバイス1120は、1つまたは複数のコマンドをオンボディ電子機器1110に送信して、データ転送を開始するように構成されていてもよく、それに応答して、オンボディ電子機器1110は、モニタリング期間中に収集された格納された検体関連データを表示デバイス1120に無線送信するように構成されていてよい。表示デバイス1120は、パーソナルコンピュータなどの遠隔端末1170に接続されていてよく、オンボディ電子機器1110から遠隔端末1170に、格納された検体レベル情報を転送するためのデータコンジットとして機能する。特定の実施形態では、オンボディ電子機器1110から受信されたデータは、表示デバイス1120の1つまたは複数のメモリに(恒久的または一時的に)格納され得る。特定の他の実施形態では、表示デバイス1120は、オンボディ電子機器1110から受信されたデータを表示デバイス1120に接続された遠隔端末1170に渡すためのデータコンジットとして構成されている。
【0156】
さらに図11を参照すると、検体モニタリングシステム1100には、データ処理モジュール1160および遠隔端末1170も示されている。遠隔端末1170は、パーソナルコンピュータ、サーバ端末、ラップトップコンピュータ、またはデータ管理および分析ならびに検体モニタリングシステム1100内の構成要素との通信のためのソフトウェアを含む他の好適なデータ処理デバイスを含んでいてよい。例えば、遠隔端末1170は、遠隔端末1170と表示デバイス1120および/またはデータ処理モジュール1160との間の単方向または双方向データ通信のために、ローカルエリアネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、または他のデータネットワークに接続されていてよい。
【0157】
特定の実施形態における遠隔端末1170は、医師のオフィスまたは病院に位置する1つまたは複数のコンピュータ端末を含んでいてよい。例えば、遠隔端末1170は、表示デバイス1120の場所以外の場所に配置されていてもよい。遠隔端末1170および表示デバイス1120は、異なる部屋または異なる建物にあってもよい。遠隔端末1170と表示デバイス1120とは、少なくとも約1マイル(約1.609キロメートル)離れていてもよく、例えば少なくとも約10マイル(約16.09キロメートル)離れていてもよく、例えば少なくとも約1100マイル(約1770キロメートル)離れていてもよい。例えば、遠隔端末1170は、表示デバイス1120と同じ都市にあってもよく、遠隔端末1170は、表示デバイス1120とは異なる都市にあってもよく、遠隔端末1170は、表示デバイス1120と同じ州にあってもよく、遠隔端末1170は、表示デバイス1120とは異なる州にあってもよく、遠隔端末1170は、表示デバイス1120と同じ国にあってもよく、遠隔端末1170は、表示デバイス1120とは異なる国にあってもよい。
【0158】
特定の実施形態では、データ処理モジュール1160などの別個の任意選択のデータ通信/処理デバイスが、検体モニタリングシステム1100に設けられていてよい。データ処理モジュール1160は、例えば、赤外線(IR)プロトコル、Bluetoothプロトコル、Zigbee(登録商標)プロトコル、および802.11無線LANプロトコルなどであるがこれらに限定されない1つまたは複数の無線通信プロトコルを使用して通信するための構成要素を含んでいてよい。Bluetoothプロトコルおよび/またはZigbeeプロトコルに基づくものを含む通信プロトコルの追加の説明は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2006/0193375号明細書に見出すことができる。データ処理モジュール1160は、表示デバイス1120、オンボディ電子機器1110、または遠隔端末1170のうちの1つまたは複数との有線通信を確立するための通信ポート、ドライバ、またはコネクタをさらに含んでいてよく、例えば、USBコネクタおよび/またはUSBポート、イーサネット(登録商標)コネクタおよび/またはポート、FireWire(登録商標)コネクタおよび/またはポート、またはRS-232ポートおよび/またはコネクタを含むが、これらに限定されない。
【0159】
特定の実施形態では、データ処理モジュール1160は、所定の時間間隔(例えば、毎分1回、5分毎に1回など)でポーリングまたはクエリ信号をオンボディ電子機器1110に送信し、それに応答して、オンボディ電子機器1110からモニタリングされた検体レベル情報を受信するようにプログラムされている。データ処理モジュール1160は、受信された検体レベル情報をそのメモリに格納し、および/または受信された情報を表示デバイス1120などの別の装置に中継または再送信する。より具体的には、特定の実施形態では、データ処理モジュール1160は、オンボディ電子機器1110からの受信された検体レベルデータを表示デバイス1120または遠隔端末(例えば、セルラーまたはWiFiデータネットワークなどのデータネットワークを経由して)またはその両方に再送信または通過させるためのデータリレーデバイスとして構成されていてよい。
【0160】
特定の実施形態では、オンボディ電子機器1110およびデータ処理モジュール1160は、オンボディ電子機器1110とデータ処理モジュール1160との間の周期的通信が維持されるように、互いに所定の距離(例えば、約1~12インチ(約25.4~304.8ミリメートル)、または約1~10インチ(約25.4~254ミリメートル)、または約1~7インチ(約25.4~177.8ミリメートル)、または約1~5インチ(約25.4~127ミリメートル))内でユーザの皮膚表面上に配置され得る。代替的に、データ処理モジュール1160は、ユーザのベルトまたは衣料品に装着され、それにより、データ通信のためのオンボディ電子機器1110とデータ処理モジュール1160との間の通信の所望の距離が維持されてよい。さらなる態様では、データ処理モジュール1160のハウジングは、オンボディ電子機器1110に結合または係合するように構成され、それによりその2つのデバイスが単一のアセンブリとして組み合わせられるか、または一体化され、皮膚表面上に配置することができる。さらなる実施形態では、データ処理モジュール1160は、オンボディ電子機器1110に取り外し可能に係合または接続され、データ処理モジュール1160が所望に応じて任意選択で取り外しまたは再取り付けされ得るように、追加のモジュール性を提供する。
【0161】
再び図11を参照すると、特定の実施形態では、データ処理モジュール1160は、1分に1回、または5分に1回、または30分に1回、または任意の他の好適なもしくは所望のプログラム可能な時間間隔などの所定の時間間隔で、オンボディ電子機器1110にコマンドまたは信号を送信し、オンボディ電子機器1110から検体関連データを要求するようにプログラムされている。データ処理モジュール1160は、要求された検体関連データを受信すると、受信されたデータを格納する。このようにして、検体モニタリングシステム1100は、プログラムされた、またはプログラム可能な時間間隔で連続的にモニタリングされる検体関連情報を受信するように構成されていてよく、これは、格納され、および/またはユーザに表示される。データ処理モジュール1160に格納されたデータは、続いて、例えば、治療関連の決定を改善するために、モニタリングされた期間にわたる血糖レベル変動の期間の頻度、またはモニタリングされた期間中のアラーム事象発生の頻度を識別するなどの後続のデータ分析のために、表示デバイス1120、遠隔端末1170などに提供または送信され得る。この情報を使用して、医師、医療提供者、またはユーザは、食事、日常の習慣、および運動などのルーチンなどに対する修正を調整または推奨することができる。
【0162】
別の実施形態では、データ処理モジュール1160は、データ処理モジュール1160上に提供されるスイッチのユーザ起動、または表示デバイス1120から受信されるユーザ開始コマンドに応答して、検体関連データを受信するように、コマンドまたは信号をオンボディ電子機器1110に送信する。さらなる実施形態では、データ処理モジュール1160は、所定の時間間隔が経過した後にのみ、ユーザ開始コマンドを受信することに応答して、コマンドまたは信号をオンボディ電子機器1110に送信するように構成されている。例えば、特定の実施形態では、ユーザが、例えば、最後の通信から約5時間(または最後の通信から10時間、または最後の通信から24時間)などのプログラムされた時間内に通信を開始しない場合、データ処理モジュール1160は、要求コマンドまたは信号をオンボディ電子機器1110に自動的に送信するようにプログラムされていてもよい。代替的に、データ処理モジュール1160は、データ処理モジュール1160とオンボディ電子機器1110との間の最後の通信から所定の期間が経過したことをユーザに通知するためにアラームを作動させるようにプログラムされていてもよい。このようにして、ユーザまたは医療提供者は、検体モニタリング計画との特定のコンプライアンスを提供するように、データ処理モジュール1160をプログラムまたは構成し、その結果、検体レベルの頻繁な決定がユーザによって維持または実行される。
【0163】
特定の実施形態では、プログラムされた、またはプログラム可能なアラーム状態が検出されたとき(例えば、検体センサ1101によってモニタリングされた検出グルコースレベルが、注意または医療処置または分析のため介入を必要とする生理状態(例えば、ケトーシス、糖尿病性ケトアシドーシス、差し迫ったケトーシス、差し迫った糖尿病性ケトアシドーシス)を示す所定の許容範囲外であるとき)、1つまたは複数の出力標示が、オンボディ電子機器1110の制御ロジックまたはプロセッサによって生成され、オンボディ電子機器1110のユーザインタフェース上でユーザに出力されてもよく、それにより、是正措置が適時に取られ得る。加えて、または代替的に、表示デバイス1120が通信範囲内にある場合、出力標示またはアラームデータが、表示デバイス1120に通信されてもよく、表示デバイス1120のプロセッサは、アラームデータ受信の検出時に、1つまたは複数の通知を出力するようにディスプレイ1122を制御する。
【0164】
特定の実施形態では、オンボディ電子機器1110の制御ロジックまたはプロセッサは、メモリに格納されたソフトウェアプログラムを実行して、検体センサ1101から得られた情報、例えば、現在の検体レベル、検体レベルの変化のレート、検体レベル変化の加速度、および/またはモニタリング期間中の時間の関数としての検体レベル変動の履歴傾向または方向を提供する格納されたモニタリングされた検体データに基づいて決定された検体傾向情報に基づいて、将来の、または予想される検体レベルを決定することができる。予測アラームパラメータは、表示デバイス1120、またはオンボディ電子機器1110、またはその両方においてプログラムされるか、またはプログラム可能であり、ユーザの検体レベルが将来のレベルに到達することを予測する前に、ユーザに出力され得る。これは、適時に是正措置を取る機会をユーザに提供する。
【0165】
例えば、検体傾向情報を提供する、モニタリングされた期間にわたる時間の関数としてのモニタリングされた検体レベルの変化または変動などの情報は、表示デバイス1120、データ処理モジュール1160、および/または遠隔端末1170、および/またはオンボディ電子機器1110のうちの1つまたは複数の制御ロジックまたはプロセッサによって決定されてもよい。そのような情報は、例えば、グラフ(線グラフなど)として表示されて、検体モニタリングシステム1100によって測定および予測される現在および/または過去および/または予測される将来の検体レベルをユーザに示すことができる。そのような情報は、方向矢印(例えば、傾向または方向矢印ディスプレイ1131を参照)、または、例えば、基準点に対する画面上のその位置が、検体レベルが増加しているか、または減少しているか、ならびに検体レベルの増加または減少の加速または減速を示す他のアイコン(複数可)として表示されてもよい。この情報は、検体レベルが許容可能および/または臨床的に安全な範囲内に留まることを確実にするために、任意の必要な是正措置を決定するために、ユーザによって利用され得る。色、点滅、フェードなどを含む他の視覚インジケータ、ならびに音声出力のピッチ、ボリューム、またはトーンの変化を含む音声インジケータ、および/または振動または他の触覚インジケータも、現在のレベルおよび/またはモニタリングされた検体レベルの変化の方向および/またはレートをユーザに通知する手段として傾向データのディスプレイに組み込まれてよい。例えば、決定されたグルコース変化レート、プログラムされた臨床的に有意なグルコース閾値レベル(例えば、高血糖および/または低血糖レベル)、およびインビボ検体センサによって導出された現在の検体レベルに基づいて、システム1100は、臨床的に有意なレベルに到達するのにかかる時間を決定し、臨床的に有意なレベルに到達する前に、例えば、臨床的に有意なレベルが予測される30分前、および/または20分、および/または10分、および/または5分、および/または3分、および/または1分などに、出力の強度が増加するなど、通知を出力するためのコンピュータ可読媒体に格納されたアルゴリズムを含み得る。
【0166】
再び図11を参照すると、特定の実施形態では、データ処理モジュール1160によって実行されるソフトウェアアルゴリズム(複数可)は、SDカード、マイクロSDカード、コンパクトフラッシュ(登録商標)カード、XDカード、メモリスティックカード、メモリスティックデュオカード、またはUSBメモリスティック/デバイスなどの外部メモリデバイスに格納されていてよく、オンボディ電子機器1110、遠隔端末1170、または表示デバイス1120のうちのそれぞれ1つまたは複数への接続時に実行されるように、そのようなデバイスに格納された実行可能プログラムを含む。さらなる態様では、データ処理モジュール1160による実行のためのソフトウェアアルゴリズムは、ダウンロードする通信デバイスによる実行のためのダウンロード可能なアプリケーションとして、例えば、WiFiもしくはインターネット対応スマートフォンまたは携帯情報端末(PDA)を含むモバイル電話などの通信デバイスに提供され得る。
【0167】
スマートフォンの例は、インターネット接続および/またはローカルエリアネットワーク(LAN)を介したデータ通信のためのデータネットワーク接続機能を備えた、Windows(登録商標)、Android(商標)、iPhone(登録商標)オペレーティングシステム、Palm(登録商標)WebOSTM、Blackberry(登録商標)オペレーティングシステム、またはSymbian(登録商標)オペレーティングシステムベースのモバイル電話を含む。上述したようなPDAは、例えば、1つまたは複数のプロセッサと、ユーザインタフェース(例えば、表示/出力ユニットおよび/または入力ユニット)とのデータ通信能力とを含み、例えば、データ処理、インターネット上でのデータアップロード/ダウンロードを実行するように構成されたポータブル電子デバイスを含む。そのような実施形態では、遠隔端末1170は、遠隔端末1170とデバイスとの間の通信が確立されたときに、上述の通信デバイスのうちの1つまたは複数に実行可能アプリケーションソフトウェアを提供するように構成され得る。
【0168】
オンボディ電子機器
特定の実施形態では、オンボディ電子機器(またはセンサ制御デバイス)1110(図11)は、センサおよび表示デバイスを動作させる電子構成要素の少なくとも一部を含む。オンボディ電子機器の電子構成要素は、典型的には、オンボディ電子機器およびセンサを動作させるための電源と、センサから信号を取得し、センサを動作させるためのセンサ回路と、センサ信号を所望のフォーマットに変換する測定回路と、少なくとも、センサ回路および/または測定回路から信号を取得し、信号を任意選択のオンボディ電子機器に提供する処理回路(または処理電子回路)とを含む。いくつかの実施形態では、処理回路は、センサからの信号を部分的または完全に評価し、結果として得られたデータを任意選択のオンボディ電子機器に伝達し、および/または検体レベルが閾値を超える場合、任意選択の警報システムを作動させてもよい。処理回路は、多くの場合、デジタル論理回路を含む。
【0169】
オンボディ電子機器は、任意選択で、センサ信号または処理されたデータを処理回路から受信機/表示ユニットに送信するための電子機器、処理回路からのデータを一時的または恒久的に格納するためのデータストレージユニット、温度プローブから信号を受信して温度プローブを動作させるための温度プローブ回路、センサ生成信号と比較するための基準電圧を提供するための基準電圧生成器、および/またはオンボディ電子機器内の電子構成要素の動作をモニタリングするウォッチドッグ回路を含むことができる。
【0170】
さらに、オンボディ電子機器は、トランジスタを含む半導体デバイスを利用するデジタルおよび/またはアナログ構成要素も含んでいてよい。これらの半導体デバイスを動作させるために、オンボディ電子機器は、例えば、アナログおよびデジタル半導体デバイスを正確にバイアスするためのバイアス制御生成器、クロック信号を提供するための発振器、ならびに回路のデジタル構成要素のためのタイミング信号および論理動作を提供するためのデジタル論理およびタイミング構成要素を含む、他の構成要素を含んでいてよい。
【0171】
これらの構成要素の動作の一例として、センサ回路および任意選択の温度プローブ回路は、センサから測定回路に生信号を提供する。測定回路は、例えば、電流-電圧変換器、電流-周波数変換器、および/またはバイナリカウンタ、または生信号の絶対値に比例する信号を生成する他のインジケータを使用して、生信号を所望のフォーマットに変換する。これは、例えば、生の信号をデジタル論理回路によって使用され得るフォーマットに変換するために使用され得る。次いで、処理回路は、任意選択で、データを評価し、電子機器を動作させるためのコマンドを提供してもよい。
【0172】
図12は、特定の実施形態におけるオンボディ電子機器1110(図11)のブロック図である。図12を参照すると、特定の実施形態におけるオンボディ電子機器1110は、アナログフロントエンド回路1270に動作可能に結合されて、検体センサ1101から受信された生の電流信号などの信号を処理する制御ユニット1210(例えば、限定されないが、1つまたは複数のプロセッサ(または処理回路)および/または処理回路を備えるASICなど)を含む。また、図12には、制御ユニット1210による実行のためのデータおよび/またはソフトウェアルーチンを格納するために制御ユニット1210に動作可能に結合されたメモリ1220が示されている。特定の実施形態におけるメモリ1220は、電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EPROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、またはそれらの1つまたは複数の組み合わせを含んでいてよい。
【0173】
特定の実施形態では、制御ユニット1210は、実行のために1つまたは複数の格納されたソフトウェアルーチンを取り出すことに加えて、メモリ1220に格納されたデータまたはソフトウェアルーチンにアクセスして、メモリ1220内の格納されたデータまたは情報を更新、格納、または置換する。図12には、電源1260も示されており、これは、特定の実施形態では、オンボディ電子機器1110の構成要素の一部または全部に電力を供給する。例えば、特定の実施形態では、電源1260は、通信モジュール1240を除くオンボディ電子機器1110の構成要素に電力を供給するように構成されている。そのような実施形態では、オンボディ電子機器1110は、検体センサ1101を動作させて、所定の、またはプログラムされた(またはプログラム可能な)時間間隔で検体レベルを検出およびモニタリングし、例えば、検出された検体レベルに対応する信号またはデータを生成および格納するように構成されている。
【0174】
特定の実施形態では、オンボディ電子機器1110の電源1260は、その内部電源(例えば、バッテリ)と表示デバイス1120から受信されるRF電力との間で切り替えられてもよい。例えば、特定の実施形態では、オンボディ電子機器1110は、オンボディ電子機器1110内の内部電源接続経路に設けられたダイオードまたはスイッチを含んでいてよく、それにより、所定のレベルのRF電力がオンボディ電子機器1110によって検出されると、ダイオードまたはスイッチがトリガされて内部電源接続を無効にし(例えば、電源接続経路において開回路を形成し)、オンボディ電子機器の構成要素が、受信されたRF電力で電力供給される。電源接続経路における開回路は、オンボディ電子機器1110に電力を供給するために内部電源が使用される場合のように、内部電源が消耗または散逸することを防止する。
【0175】
表示デバイス1120からのRF電力が所定のレベルを下回ると、ダイオードまたはスイッチがトリガされて、内部電源とオンボディ電子機器1110の他の構成要素との間の接続を確立し、オンボディ電子機器1110に内部電源で電力供給する。このようにして、いくつかの実施形態では、内部電源と表示デバイス1120からのRF電力との間のトグルは、内部電源の有効寿命を長くする、または延長するように構成されてよい。
【0176】
しかしながら、格納された検体関連データは、通信モジュール1240が、例えば、オンボディ電子機器1110から所定の距離内に配置された表示デバイス1120からのRF電力で別個に電力供給されるまで、表示デバイス1120(図11)などの別のデバイスに送信または通信されない。そのような実施形態では、検体レベルは、上述のように所定の、またはプログラムされた時間間隔に基づいてサンプリングされ、メモリ1220に格納される。例えば、表示デバイスからのRF電力を使用して、表示デバイス1120(図11)などの別のデバイスから受信される要求または送信コマンドに基づいて、検体レベル情報が要求されると、オンボディ電子機器1110の通信モジュール1240は、表示デバイス1120へのデータ転送を開始する。
【0177】
図12に戻って参照すると、任意選択の出力ユニット1250が、オンボディ電子機器1110に提供されている。特定の実施形態では、出力ユニット1250は、例えば、オンボディ電子機器1110の動作および/または決定された検体レベルに関連する1つまたは複数の所定の条件をユーザに警告するための、LEDインジケータを含んでいてよい。非限定的な例として、検体センサ1101から受信された信号(1つのサンプリングされたセンサデータ点または複数のセンサデータ点に基づく)が、潜在的に、高血糖もしくは低血糖などの健康リスク状態、またはそのような状態の発症もしくは可能性を示す、プログラムされた許容範囲を超えていることを示されたときに、オンボディ電子機器1110は、LEDインジケータ、またはオンボディ電子機器1110上の他のインジケータを使用して通知をアサートするようにプログラムされていてよい。そのようなプロンプトまたは標示を用いて、ユーザは、そのような潜在的な状態を適時に知らされてもよく、表示デバイス1120を使用して、オンボディ電子機器1110からグルコースレベル情報を取得して、そのような状態の存在を確認し、それにより、適時の是正措置がとられてもよい。
【0178】
再び図12を参照すると、制御ユニット1210に動作可能に結合されたアンテナ1230および通信モジュール1240は、オンボディ電子機器1110が、RF電力を提供または放射している表示デバイス1120(図11)の所定の近傍内に配置される場合に、RF電力を検出および処理するように構成され得る。さらに、オンボディ電子機器1110は、格納された検体レベルデータに基づいて、検体レベル情報および任意選択で検体傾向または履歴情報を表示デバイス1120に提供することができる。特定の態様では、傾向情報は、オンボディ電子機器1110のメモリ1220に格納され、リアルタイム検体レベル情報と共に表示デバイス1120に提供される、所定の期間にわたる複数の検体レベル情報を含んでいてよい。例えば、傾向情報は、検体レベル情報が表示デバイス1120へ最後に送信されてからの期間における一連の時間間隔の検体レベルデータを含んでいてよい。代替的に、傾向情報は、メモリ1220に格納され、表示デバイス1120への送信のために制御ユニット1210の制御下で読み出される、過去30分または1時間の検体レベルデータを含んでいてよい。
【0179】
特定の実施形態において、オンボディ電子機器1110は、メモリ1220の一部である第1および第2のFIFOバッファに検体レベルデータを格納するように構成されている。第1のFIFOバッファは、1分間隔で最も新しい検体レベルデータのうちの16(または10または20)を格納する。第2のFIFOバッファは、10分(または15分または20分)間隔の検体レベルデータの直近の8時間(または10時間または3時間)を格納する。格納された検体レベルデータは、表示ユニット1120から受信された要求に応答して、オンボディ電子機器1110から表示ユニット1120に送信される。表示ユニット1120は、グルコース変化レートを推定するために第1のFIFOバッファからの検体レベルデータを使用し、履歴プロットまたは傾向情報を決定するために第2のFIFOバッファからの検体レベルデータを使用する。
【0180】
特定の実施形態では、電源を含むオンボディ電子機器の構成に関して、オンボディ電子機器は、表示デバイス1120からのRF制御コマンド(ピング信号)を検出するように構成され得る。より具体的には、オン/オフキー(OOK)検出器が、オンボディ電子機器内に設けられ、オンにされるとともに、オンボディ電子機器の電源によって電力供給されて、表示デバイス1120からのRF制御コマンドまたはピング信号を検出することができる。OOK検出器のさらなる詳細は、米国特許出願公開第2008/0278333号明細書に提供されており、その開示は、あらゆる目的のためにその全体が参照により組み込まれる。いくつかの態様では、RF制御コマンドが検出されると、オンボディ電子機器は、どの応答パケットが必要であるかを決定し、表示デバイス1120に返送するための応答パケットを生成する。この実施形態では、検体センサ1101は、オンボディ電子機器の電源またはバッテリから電力を連続的に受け取り、使用中に検体レベルを連続的にモニタリングするように動作する。しかしながら、検体センサ1101からのサンプリングされた信号は、オンボディ電子機器が(表示デバイス1120から)RF電力を受信して表示デバイス1120へのデータの送信を開始するまで、表示デバイス1120に提供されなくてもよい。一実施形態では、オンボディ電子機器の電源は、オンボディ電子機器が(例えば、表示デバイス1120から)RF電力を受信すると充電する再充電可能バッテリを含んでいてよい。
【0181】
図11に戻って参照すると、特定の実施形態では、オンボディ電子機器1110および表示デバイス1120は、RFID(無線周波数識別)プロトコルを使用して通信するように構成されていてよい。より具体的には、特定の実施形態では、表示デバイス1120は、RF通信リンクを介して(RFIDタグに関連付けられた)オンボディ電子機器1110に問い合わせを行うように構成され、表示デバイス1120からのRF問い合わせ信号に応答して、オンボディ電子機器1110は、例えば、センサ1101からのサンプリングされた検体レベルに関連付けられたデータを含むRF応答信号を提供する。RFID通信の動作に関するさらなる情報は、米国特許第7,545,272号、米国特許出願第12/698,624号、第12/699,653号、第12/761,387号、および米国特許出願公開第2009/0108992号明細書に見出すことができ、これらのすべての開示は、その全体があらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0182】
例えば、一実施形態では、表示デバイス1120は、RFフィールドを提供するように構成された後方散乱RFIDリーダを含んでいてよく、オンボディ電子機器1110がRFIDリーダの送信されたRFフィールド内にあるとき、オンボディ電子機器1110のアンテナが同調され、次いで、反射または応答信号(例えば、後方散乱信号)を表示デバイス1120に提供する。反射または応答信号は、検体センサ1101からのサンプリングされた検体レベルデータを含んでいてよい。
【0183】
特定の実施形態では、表示デバイス1120がオンボディ電子機器1110の所定の範囲内に配置され、オンボディ電子機器1110から応答信号を受信すると、表示デバイス1120は、検体レベル測定値取得を確認するための標示(聴覚的、視覚的、またはその他)を出力するように構成されている。すなわち、オンボディ電子機器1110を装着している5~10日の間、ユーザはいつでも、オンボディ電子機器1110から所定の距離(例えば、約1~5インチ(約25.4~127ミリメートル)、または約1~10インチ(約25.4~254ミリメートル)、または約1~12インチ(約25.4~304.8ミリメートル))内に表示デバイス1120を配置することができ、数秒のサンプル取得期間を待った後、リアルタイム検体レベル情報の受信を確認する可聴標示が出力される。受信された検体情報は、ユーザへの提示のために、表示デバイス1120のディスプレイ1122(図11)に出力されてもよい。
【0184】
表示デバイス
図13は、特定の実施形態における、図11に示されるような表示デバイス1120のブロック図である。表示デバイスという用語が使用されるが、デバイスは、データを表示することなく読み取るように構成されていてよく、同じまたは異なる送信プロトコル(例えば、NFC-to-Bluetooth(登録商標)またはBluetooth Low Energy)に従って受信された信号を中継するリレーデバイスまたは他のデバイスの場合などのように、ディスプレイなしで提供されてもよい。図13を参照すると、表示デバイス1120(図11)は、ディスプレイ1122に動作可能に結合された1つまたは複数のプロセッサ(または処理回路)などの制御ユニット1310と、入力構成要素(例えば、ユーザインタフェース)1121とを含む。表示デバイス1120は、データ処理モジュール1160(図11)、遠隔端末1170(図11)、またはパーソナルコンピュータ、サーバ、モバイルコンピューティングデバイス、携帯電話、ページャ、またはデータストレージおよび出力を含むデータ通信および処理能力を備えた、インターネット接続対応スマートフォンなどの携帯電話を含む他のハンドヘルドデータ処理デバイスなどの他のデバイスとのデータ通信のために、USBポート(またはコネクタ)1123またはRS-232ポート1330(または任意の他の有線通信ポート)などの1つまたは複数のデータ通信ポートを含んでいてもよい。
【0185】
再び図13を参照すると、表示デバイス1120は、インビトロテストストリップを受け入れるように構成されたストリップポート1124を含んでいてよく、ストリップポート1124は、制御ユニット1310に結合され、さらに、制御ユニット1310は、ストリップポート1124に受け入れられたインビトロテストストリップ上のサンプルを処理するためのプログラミングを含む。任意の適切なインビトロテストストリップ、例えば、正確なグルコース情報を得るために、非常に少量(例えば、1マイクロリットル以下、例えば、約0.5マイクロリットル以下、例えば、約0.1マイクロリットル以下)の適用サンプルのみをストリップに必要とするテストストリップが使用され得る。一体化されたインビトロモニタおよびテストストリップポートを備える表示デバイスは、インビトロテストストリップのユーザ較正なし(例えば、人間の介入較正なし)でインビトロ検体モニタリングを行うように構成されていてよい。
【0186】
特定の実施形態では、一体化されたインビトロメータは、様々な異なるタイプのテストストリップ(例えば、ユーザ較正を必要とするもの、および必要としないもの)を受け入れて処理することができ、そのうちのいくつかは、異なる技術(電流測定技術を使用して動作するもの、および電量分析技術を使用して動作するもの)などを使用することができる。インビトロ検体モニタリングを行うためのそのようなテストストリップおよびデバイスの詳細な説明は、米国特許第6,377,894号、第6,616,819号、第7,749,740号、第7,418,285号、米国特許出願公開第2004/0118704号、第2006/0096006号、第2008/0066305号、第2008/0267823号、第2010/0094610号、第2010/0094111号、および第2010/0094112号、および米国特許出願第12/695,947号明細書に提供されており、これらのすべての開示は、その全体があらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0187】
インビトログルコーステストデバイスによって得られたケトン情報は、種々の目的のために使用され得る。例えば、情報は、モニタリングされた検体レベルを示すセンサ1101からの結果の信頼性を高めるために、検体センサ1101の結果を確認するために使用されてもよい(例えば、センサ1101によって得られた情報が治療関連の決定に使用される場合)。特定の実施形態では、検体センサは、その使用寿命中に人間の介入による較正を必要としない。しかしながら、特定の実施形態では、システムは、問題を自己検出し、例えば、遮断する、および/またはユーザに通知するなどの措置を取るようにプログラムされていてよい。例えば、検体モニタリングシステムは、システム誤動作、またはセンサ安定性の潜在的な劣化、または検体センサの動作に関連する潜在的な悪条件を検出するように構成されていてよく、システムは、例えば、表示デバイス1120(図11)を使用して、検体センサ較正を行うか、またはモニタリングされた検体レベルに対応する検体センサから受信された結果を基準値(インビトロ血糖測定からの結果など)と比較するように、ユーザに通知してもよい。
【0188】
特定の実施形態では、センサの動作に関連する潜在的な悪条件、および/または潜在的なセンサ安定性低下条件が検出されると、システムは、オンボディ電子機器アセンブリが受信したモニタリングされた検体レベル情報の出力または表示を(ユーザへの通知なしに自動的に、またはユーザへの通知後に)シャットダウンするか、または無効化するように構成され得る。特定の実施形態では、検体モニタリングシステムは、一時的にシャットダウンまたは無効化され、ユーザに、任意の検出された悪条件またはセンサ不安定性を是正する機会を提供することができる。ある他の実施形態では、検体モニタリングシステムは、不利なセンサ動作状態またはセンサ不安定性が検出されたとき、恒久的に無効化されてもよい。
【0189】
さらに図13を参照すると、充電式または単回使用使い捨ての1つまたは複数のバッテリなどの電源1320も提供され、制御ユニット1310に動作可能に結合され、動作のために必要な電力を表示デバイス1120(図11)に提供するように構成されている。加えて、表示デバイス1120は、オンボディ電子機器1110(図11)との無線通信のための受信機プロセッサ1350(例えば、433MHz、13.56MHz、または2.45GHz送受信機チップを含み得る)に結合された、433MHz(または他の同等の)ループアンテナ、13.56MHzアンテナ、または2.45GHzアンテナなどのアンテナ1351を含んでいてよい。追加的に、誘導ループアンテナ1341が設けられ、制御ユニット1310に動作可能に結合された方形波ドライバ1340に結合されている。
【0190】
特定の実施形態では、オンボディ電子機器から受信され、表示デバイスからの要求に応答して受信されるデータパケットは、例えば、検体センサからの現在のグルコースレベル、血糖変化の現在の推定レート、および皮膚装着用電子機器のメモリに取得および格納された自動読み取り値に基づくグルコース傾向履歴のうちの1つまたは複数を含む。例えば、現在のグルコースレベルは、数値として表示デバイス1120のディスプレイ1122上に出力されていてよく、血糖変化の現在の推定範囲は、方向矢印1131(図11)としてディスプレイ1122上に出力されていてよく、格納されたモニタリング値に基づくグルコース傾向履歴は、グラフィカルトレース1138(図11)としてディスプレイ1122上に出力されていてよい。特定の実施形態では、表示デバイス1120のプロセッサ(または処理回路)は、ディスプレイ1122上に表示するためのより多くの、またはより少ない情報を出力するようにプログラムされていてよく、さらに、ディスプレイ1122上に出力される情報のタイプおよび量は、プログラムされるか、またはユーザによってプログラム可能であってよい。
【0191】
データ通信および処理ルーチン
ここで、初期化およびペアリングルーチン中のオンボディ電子機器1110と表示デバイス1120との間のデータおよび/またはコマンド交換を示す図14を参照すると、表示デバイス1120は、初期信号1421をオンボディ電子機器1110に提供する。受信された初期信号1421が所定の閾値レベルを超えるRFエネルギーを含む場合(1403)、オンボディ電子機器1110の包絡線検出器がトリガされ(1404)、オンボディ電子機器1110の1つまたは複数の発振器がオンになり、オンボディ電子機器1110の制御ロジックまたはプロセッサが一時的にラッチオンされて、1つまたは複数のソフトウェアルーチンを取り出して実行し、包絡線検出器からデータストリームを抽出する(1404)。包絡線検出器からのデータストリームが有効なクエリを返す場合(1405)、応答信号1422が表示デバイス1120に送信される。オンボディ電子機器1110からの応答信号1422は、オンボディ電子機器1110のシリアル番号などの識別コードを含む。その後、オンボディ電子機器1110は、非アクティブ状態のシェルフモードに戻る。
【0192】
一方、包絡線検出器からのデータストリームが表示デバイス1120からの有効な問い合わせを返さない場合、オンボディ電子機器1110は、表示デバイス1120に応答信号を送信せず、オンボディ電子機器1110のシリアル番号も表示デバイス1120に提供されない。その後、オンボディ電子機器1110は、シェルフモードに戻り(1403)、表示デバイス1120からの後続の初期信号1421を検出するまで、パワーダウン状態のままである。
【0193】
表示デバイス1120は、オンボディ電子機器1110から識別情報またはシリアル番号を含むデータパケットを受信すると、データパケットからその情報を抽出する(1412)。抽出されたオンボディ電子機器1110のシリアル番号を用いて、表示デバイス1120は、受信されたシリアル番号に関連付けられたオンボディ電子機器1110が設定されている(configured)かどうかを判定する。受信されたシリアル番号に関連付けられたオンボディ電子機器1110が、例えば、別の表示デバイスによって既に設定されている場合、表示デバイス1120は、まだ設定されていない別のオンボディ電子機器を初期化しようとして別の初期信号を送信する(1411)ためにルーチンの最初に戻る。このようにして、特定の実施形態では、表示デバイス1120は、別の表示デバイスとまだペアリングされていないか、または別の表示デバイスによって設定されていないオンボディ電子機器とペアリングするように構成されている。
【0194】
図14に戻って参照すると、抽出されたシリアル番号に関連付けられたオンボディ電子機器1110が設定されていない場合(1413)、表示デバイス1120は、設定コマンドを含むウェイクアップ信号をオンボディ電子機器1110に送信するように構成されている。特定の実施形態では、表示デバイス1120からのウェイクアップコマンドは、オンボディ電子機器1110のシリアル番号を含み、それにより、ウェイクアップコマンドに含まれる同じシリアル番号を有するオンボディ電子機器のみが、非アクティブシェルフモードを検出して終了し、アクティブモードに入る。より具体的には、シリアル番号を含むウェイクアップコマンドがオンボディ電子機器1110によって受信されると、オンボディ電子機器1110の制御ロジックまたは1つまたは複数のプロセッサ(または処理回路)は、ウェイクアップ信号(設定コマンドを含む)と共に受信されたRFエネルギーが閾値レベルを超えると、ルーチン1403,1404,1405を実行してシェルフモードを一時的に終了し、それが有効なクエリではないと判定する(その判定が以前に行われ、そのシリアル番号が表示デバイス1120に送信されているため)。その後、オンボディ電子機器1110は、受信されたシリアル番号(ウェイクアップコマンドとともに受信された)が、それ自体の格納されたシリアル番号1406と一致するかどうかを判定する。2つのシリアル番号が一致しない場合、ルーチンは最初に戻り、オンボディ電子機器1110は再び非アクティブシェルフモードに置かれる(1402)。一方、オンボディ電子機器1110が、受信されたシリアル番号がその格納されたシリアル番号と一致すると判定した場合(1406)、オンボディ電子機器1110の制御ロジックまたは1つまたは複数のプロセッサは、恒久的にラッチオンし(1407)、発振器は、オンボディ電子機器1110を起動するためにオンにされる。さらに、図14に戻って参照すると、オンボディ電子機器1110が、受信されたシリアル番号がそれ自体のシリアル番号と一致すると判定するとき(1406)、表示デバイス1120およびオンボディ電子機器1110は、成功裏にペアリングされる(1416)。
【0195】
このようにして、オンボディ電子機器1110をオンにして初期化するために無線信号を使用することにより、オンボディ電子機器1110が動作前に非アクティブなシェルフモードにある期間中にオンボディ電子機器1110の電源から非常にわずかな電流しか引き出されないか、または消費されないので、オンボディ電子機器1110のシェルフ寿命を延ばすことができる。特定の実施形態では、非アクティブシェルフモードの間、オンボディ電子機器1110は、あるとしても、極めて低い電流を要求する最小限の動作を行う。オンボディ電子機器1110のRF包絡線検出器は、約1インチ(約25.4ミリメートル)未満の受信された信号に応答する感度低下モードと、約3~12インチ(約76.2~304.8ミリメートル)の距離で信号を受信することに応答するような通常の信号感度を有する通常動作モードとの2つのモードで動作することができる。
【0196】
表示デバイス1120とオンボディ電子機器1110との間の初期ペアリングの間、特定の実施形態では、表示デバイス1120は、例えば、そのシリアル番号を含み得る4バイトの表示デバイスIDなどのその識別情報を送信する。オンボディ電子機器1110は、受信された表示デバイスIDを1つまたは複数のストレージユニットまたはメモリ構成要素に格納し、その後、格納された表示デバイスIDデータを、表示デバイス1120に提供される応答パケットまたはデータに含める。このようにして、表示デバイス1120は、オンボディ電子機器1110からの検出されたデータパケットを区別して、受信または検出されたデータパケットが、ペアリングされた、または正しいオンボディ電子機器1110から生じたものであることを判定することができる。特定の実施形態における表示デバイスIDに基づくペアリングルーチンは、特に、オンボディ電子機器1110が検体関連データを特定の表示デバイスに選択的に提供せず、むしろ、範囲内の任意の表示デバイスに提供し、および/または通信範囲内の任意の表示デバイスにデータパケットをブロードキャストする場合に、複数のデバイス間の潜在的な衝突を回避する。
【0197】
特定の実施形態では、表示デバイス1120からオンボディ電子機器1110へのペイロードサイズは、12バイトであり、これは、4バイトの表示デバイスID、4バイトのオンボディデバイスID、1バイトのコマンドデータ、1バイトの予備データ空間、および誤り検出のためのCRC(巡回冗長検査)のための2バイトを含む。
【0198】
ペアリングが完了した後、表示デバイス1120が、リアルタイムモニタリングされた検体情報および/またはログもしくは格納された検体データについてオンボディ電子機器1110に問い合わせる場合、特定の実施形態では、表示デバイス1120に送信される応答データパケットは、34バイトのステータス情報、時間情報、および較正データ、96バイトの最近の16個の1分グルコースデータ点、および288バイトの12時間の期間にわたる最近の15分間隔グルコースデータを含む、合計418バイトを含む。オンボディ電子機器1110のメモリまたはストレージユニットのサイズまたは容量に応じて、格納され、その後、表示デバイス1120に提供されるデータは、異なる時間分解能を有し、および/または、より長い、またはより短い期間に及び得る。例えば、より大きなデータバッファを用いる場合、表示デバイス1120に提供されるグルコース関連データは、15分のサンプリング間隔、10分のサンプリング間隔、5分のサンプリング間隔、または1分のサンプリング間隔で、24時間にわたるグルコースデータを含み得る。さらに、モニタリングされた検体レベルの履歴傾向を示すモニタリングされた検体レベルの決定された変動は、オンボディ電子機器1110によって処理および/または決定されてもよく、あるいは、またはそれに加えて、格納されたデータは、次いで、受信されたデータパケットに基づいてモニタリングされた検体レベルの傾向情報を決定することができる表示デバイス1120に提供されてよい。
【0199】
オンボディ電子機器1110から表示デバイス1120に提供されるデータパケットのサイズは、例えば、ASIC状態機械のほかにオンボディ電子機器1110のプロセッサまたは処理回路(例えば、中央処理装置CPU)などのデータ処理デバイスの存在、データバッファおよび/またはメモリのサイズなどの他のパラメータに加えて、通信プロトコルおよび/または基礎となるデータ伝送周波数、すなわち、433MHz、13.56MHz、または2.45GHzを使用するかどうかに応じても変動し得る。
【0200】
特定の実施形態では、オンボディ電子機器1110の起動および表示デバイス1120とのペアリングが成功すると、表示デバイス1120の制御ユニットは、ディスプレイ1122上または表示デバイス1120のユーザインタフェース上でユーザに出力するための1つまたは複数の視覚、聴覚および/または触覚通知を生成して出力するようにプログラムされていてよい。特定の実施形態では、1つの表示デバイスのみが、一度に1つのオンボディ電子機器とペアリングすることができる。代替的に、特定の実施形態では、1つの表示デバイスが、複数のオンボディ電子機器と同時にペアリングするように構成されていてもよい。
【0201】
ペアリングされると、表示デバイス1120のディスプレイ1122は、例えば、表示デバイス1120のプロセッサの制御下で、ユーザの検体センサ1101の残りの動作寿命を出力する。さらに、センサ寿命の終わりが近づくと、表示デバイスは、センサ寿命の終わりが近づいていることをユーザに警告するための通知を出力するように構成されていてよい。そのような通知のためのスケジュールは、ユーザによってプログラムされるか、またはプログラム可能であってよく、表示デバイスのプロセッサによって実行されてよい。
【0202】
図11に戻って参照すると、特定の実施形態では、検体モニタリングシステム1100は、履歴検体データを、日付および/またはタイムスタンプおよび/または同時の温度測定値とともに、上述のようなデータロガーとして構成されたメモリなどのメモリに格納することができる。特定の実施形態では、検体データは、約1分に1回、または約10分毎に1回、または約1時間に1回などの頻度で格納される。データロガーの実施形態は、所定の期間、例えば、医師によって指定された期間、例えば、約1日~約1ヶ月以上、例えば、約3日以上、例えば、約5日以上、例えば、約7日以上、例えば、約2週間以上、例えば、約1ヶ月以上の履歴検体データを格納することができる。
【0203】
観察されているデータの臨床的重要性に依存して、他の持続時間が適切であり得る。検体モニタリングシステム1100は、モニタリング期間中に検体測定値を被験者に表示することができる。いくつかの実施形態では、データは、被験者に表示されない。任意選択で、データロガーは、履歴検体データを、データロガーに隣接して、例えば非常に近接して配置された受信デバイスに送信することができる。例えば、受信デバイスは、数分の1インチ(1インチ≒25.4ミリメートル)から約数フィート(1フィート≒304.8ミリメートル)の距離にわたって低電力で動作する送信プロトコルを使用してデータロガーと通信するように構成されていてよい。例えば、限定はしないが、そのような近接プロトコルは、Certified Wireless USB(商標)、TransferJet(商標)、Bluetooth(登録商標)(IEEE802.15.1)、WiFi(商標)(IEEE802.11)、ZigBee(登録商標)(IEEE802.15.4-2006)、Wibree(商標)などを含む。
【0204】
検体データパラメータは、メモリに格納されたプログラムを実行するプロセッサまたは処理回路によって計算されてよい。特定の実施形態では、メモリに格納されたプログラムを実行するプロセッサは、データ処理モジュール1160(図11)内に提供される。特定の実施形態では、メモリに格納されたプログラムを実行するプロセッサは、表示デバイス1120内に提供される。データを分析するための例示的な技術は、適用される自由行動下グルコースプロファイル(AGP)分析技術である。さらなる詳細な説明は、米国特許第5,262,035号、第5,264,104号、第5,262,305号、第5,320,715号、第5,593,852号、第6,175,752号、第6,650,471号、第6,746,582号、第6,284,478号、第7,299,082号、および米国特許出願第10/745,878号、第11/060,365号明細書に提供されており、これらのすべての開示は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0205】
上述したように、本開示の特定の態様では、個別のケトン測定データは、オンデマンドで、または表示デバイスからの要求に応じて取得されてよく、ケトン測定値は、ユーザの皮膚層の下に経皮的に配置され、さらに、皮膚層の下で体液と流体接触して維持されているセンサの一部を有するインビボケトンセンサから得られる。したがって、本開示の態様では、検体モニタリングシステムのユーザは、上述のようなRFID通信プロトコルを使用して、リアルタイムグルコース情報をいつでも都合よく決定することができる。
【0206】
一態様では、オンボディ電子機器および挿入デバイスを含む一体化されたアセンブリは、滅菌され、単一のデバイスとしてパッケージ化され、ユーザに提供され得る。さらに、製造中、挿入デバイスアセンブリは、端子パッケージ化されて、コストを節約し、例えば高価な熱成形トレイやホイルシールの使用を回避することができる。加えて、挿入デバイスは、挿入デバイス本体に回転可能に結合され、一体化されたアセンブリとともに挿入デバイス内に提供されるセンサのための安全かつ滅菌環境を提供する(およびセンサのための乾燥剤の使用を回避する)、エンドキャップを含んでもよい。また、エンドキャップで封止された挿入デバイスは、出荷中の著しい動きからハウジング内にセンサを保持するように構成されていてよく、それにより、一体化されたアセンブリおよび挿入デバイスに対するセンサ位置は、製造、組立、および出荷から、デバイスがユーザによって使用される準備ができるまで維持される。
【0207】
ケトンセンサの例示的な実施形態
本開示は、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NAD(P)+)またはその誘導体と、遷移金属錯体を有する電子輸送剤とを含む酵素組成物を開示する。いくつかの態様において、対象の酵素組成物は、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NAD(P)+)またはその誘導体、NAD(P)+依存性デヒドロゲナーゼ、NAD(P)Hオキシドレダクターゼ、および遷移金属錯体を有する電子輸送剤を含み、固定化されたNAD(P)+またはその誘導体および遷移金属錯体を含む電子輸送剤を含む酵素層を有する検体センサを含む。本開示の実施形態は、対象の組成物が長期間にわたってインビボで検体のモニタリングを提供する場合を含む、検体感知のための酵素組成物に関する。対象の酵素組成物がNAD(P)+依存性デヒドロゲナーゼを含む場合、本明細書に記載される検体センサは、NAD(P)+依存性デヒドロゲナーゼによって触媒される検体の臨床的に正確な電気化学的測定を提供する。以下により詳細に記載されるように、対象の酵素組成物は、クラークエラーグリッド分析および/またはMARD分析および/またはMAD分析によって測定される検体の臨床的に正確な電気化学的測定を提供する。特に、対象の酵素組成物は、検体濃度の関数として直線的に増加する信号を生成する対象の組成物を組み込んだ検体センサによる測定を提供する。加えて、対象の酵素組成物は、流体サンプル(例えば、センサが対象の皮膚の表面の下に配置される場合の間質液)をセンサに接触させてから30秒以内に、NAD(P)+依存性デヒドロゲナーゼによって触媒される検体の臨床的に正確な電気化学的測定を提供する。特定の例において、対象の酵素組成物は、流体サンプルをセンサと接触させた直後に、NAD(P)+依存性デヒドロゲナーゼによって触媒される検体の臨床的に正確な電気化学的測定を提供する。
【0208】
対象の酵素組成物は、グルコースデヒドロゲナーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼまたはD-3-ヒドロキシ酪酸デヒドロゲナーゼなどのNAD(P)+依存性デヒドロゲナーゼを含む。いくつかの実施形態では、対象となるNAD(P)+依存性デヒドロゲナーゼは、酵素クラス1.1.1-に属する酸化還元酵素である。
【0209】
NAD(P)+依存性デヒドロゲナーゼは、0.05μg~5μg、0.1μg~4μg、0.2μg~3μg、および0.5μg~2μgなどを含む様々な量で対象の組成物中に存在し得る。したがって、NAD(P)+依存性デヒドロゲナーゼの量は、総酵素組成物の0.01重量%~10重量%であり、例えば0.05重量%~9.5重量%、例えば0.1重量%~9重量%、例えば0.5重量%~8.5重量%、例えば1重量%~8重量%、および総酵素組成物の2重量%~7重量%を含む。
【0210】
酵素組成物は、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NAD(P)+)またはその誘導体も含む。いくつかの実施形態において、目的の酵素組成物は、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NAD(P)+)を含む。他の実施形態では、酵素組成物は、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NAD(P)+)の誘導体を含む。ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NAD(P)+)の誘導体は、式Iの化合物:
【0211】
【化1】
【0212】
を含んでいてよく、Xはアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アシル、およびアミノアシルである。
いくつかの実施形態において、Xは、アミノアシル置換アルキルである。いくつかの実施形態では、Xは、CH2C(O)NH(CH2)NH2であり、yは1~10、例えば2~9、例えば3~8の整数であり、yが6である場合を含む。特定の例では、Xは、CH2C(O)NH(CH2)6NH2である。これらの実施形態では、対象の酵素組成物中のニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NAD(P))の誘導体は:
【0213】
【化2】
【0214】
である。
酵素組成物の実施形態は、NAD(P)Hオキシドレダクターゼも含む。特定の実施形態では、酵素組成物は、ジアホラーゼを含む。対象組成物中に存在するNAD(P)Hオキシドレダクターゼ(例えば、ジアホラーゼ)の量は、0.01μg~10μgの範囲であり、例えば0.02μg~9μg、例えば0.03μg~8μg、例えば0.04μg~7μg、例えば0.05μg~5μg、例えば0.1μg~4μg、例えば0.2μg~3μg、および0.5μg~2μgを含む範囲である。したがって、NAD(P)Hオキシドレダクターゼ(例えば、ジアホラーゼ)の量は、総酵素組成物の0.01重量%~10重量%であり、例えば0.05重量%~9.5重量%、例えば0.1重量%~9重量%、例えば0.5重量%~8.5重量%、例えば1重量%~8重量%、および総酵素組成物の2重量%~7重量%を含む。
【0215】
いくつかの実施形態において、NAD(P)+依存性デヒドロゲナーゼ対NAD(P)Hオキシドレダクターゼ(例えば、ジアホラーゼ)の重量比は、NAD(P)+依存性デヒドロゲナーゼ対NAD(P)Hオキシドレダクターゼ1対10の範囲であり、例えば1対8、例えば1対5、例えば1対2、およびNAD(P)+依存性デヒドロゲナーゼ対NAD(P)Hオキシドレダクターゼ1対1を含む。他の実施形態では、NAD(P)+依存性デヒドロゲナーゼ対NAD(P)Hオキシドレダクターゼの重量比は、NAD(P)+依存性デヒドロゲナーゼ対NAD(P)Hオキシドレダクターゼ10対1の範囲であり、例えば8対1、例えば5対1、およびNAD(P)+依存性デヒドロゲナーゼ対NAD(P)Hオキシドレダクターゼ2対1を含む。
【0216】
目的の酵素組成物は、遷移金属錯体を有する電子輸送剤も含む。それらは、標準カロメル電極(SCE)の酸化還元電位よりも数百ミリボルト高いまたは低い酸化還元電位を有する電気還元性および電気酸化性のイオンまたは分子であってよい。遷移金属錯体の例は、フェロセン、ヘキサシアノ鉄酸塩(III)、ルテニウムヘキサミンなどを含むメタロセンを含む。さらなる例は、米国特許第6,736,957号、第7,501,053号、および第7,754,093号明細書に記載されるものを含み、これらの各々の開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0217】
いくつかの実施形態において、電子輸送剤は、1つまたは複数の配位子を有するオスミウム遷移金属錯体であり、各配位子は、2,2’-ビピリジン、1,10-フェナントロリン、1-メチル,2-ピリジルビイミダゾール、またはそれらの誘導体などの窒素含有複素環を有する。電子輸送剤は、ポリマーに共有結合した1つまたは複数の配位子を有していてよく、各配位子は、ピリジン、イミダゾール、またはそれらの誘導体などの少なくとも1つの窒素含有複素環を有する。電子輸送剤の一例は、(a)ピリジンまたはイミダゾール官能基を有するポリマーまたはコポリマー、および(b)2つの配位子と錯体を形成したオスミウムカチオンを含み、各配位子は2,2’-ビピリジン、1,10-フェナントロリン、またはそれらの誘導体を含み、2つの配位子は必ずしも同じではない。オスミウムカチオンとの錯体形成のための2,2’-ビピリジンのいくつかの誘導体は、4,4’-ジメチル-2,2’-ビピリジン、ならびに4,4’-ジメトキシ-2,2’-ビピリジンを含む、モノ-、ジ-、およびポリアルコキシ-2,2’-ビピリジンを含むが、これらに限定されない。オスミウムカチオンとの錯体形成のための1,10-フェナントロリンの誘導体は、4,7-ジメチル-1,10-フェナントロリン、ならびに4,7-ジメトキシ-1,10-フェナントロリンなどのモノ-、ジ-、およびポリアルコキシ-1,10-フェナントロリンを含むが、これらに限定されない。オスミウムカチオンとの錯体形成のためのポリマーは、ポリ(1-ビニルイミダゾール)(「PVI」と称される)およびポリ(4-ビニルピリジン)(「PVP」と称される)のポリマーおよびコポリマーを含むが、これらに限定されない。ポリ(1-ビニルイミダゾール)の好適なコポリマー置換基は、アクリロニトリル、アクリルアミド、および置換または四級化N-ビニルイミダゾール、例えば、ポリ(1-ビニルイミダゾール)のポリマーまたはコポリマーに錯体化されたオスミウムを有する電子輸送剤を含む。
【0218】
対象の酵素組成物は、不均一であっても均一であってもよい。いくつかの実施形態において、各成分(すなわち、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NAD(P)+)またはその誘導体、NAD(P)+依存性デヒドロゲナーゼ、NAD(P)Hオキシドレダクターゼ、および遷移金属錯体を有する電子伝達剤)は、以下により詳細に記載されるように、例えば、電極に適用される場合、組成物全体に均一に分布する。例えば、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NAD(P)+)またはその誘導体、NAD(P)+依存性デヒドロゲナーゼ、NAD(P)Hオキシドレダクターゼ、および遷移金属錯体を有する電子伝達剤の各々は、各成分の濃度が全体にわたって同じであるように、組成物全体にわたって均一に分布し得る。
【0219】
特定の実施形態において、本明細書に記載される対象の酵素組成物は、ポリマーである。使用され得るポリマーは、分枝または非分枝であってよく、単一のタイプのモノマーの重合から形成されるホモポリマー、または2つ以上の異なるタイプのモノマーを含むヘテロポリマーであってもよい。ヘテロポリマーは、コポリマーが交互のモノマーサブユニットを有するコポリマーであってよく、または、いくつかの場合には、共有結合によって連結された2つ以上のホモポリマーサブユニットを含むブロックコポリマー(例えば、ジブロックまたはトリブロックコポリマー)であってもよい。いくつかの態様において、対象の酵素組成物は、複素環含有ポリマーを含む。複素環(「ヘテロシクリル」とも呼ばれる)という用語は、本明細書では、1つまたは複数のヘテロ原子(すなわち、炭素以外の原子)を含み、N、P、O、S、Siなどを含み得るがこれらに限定されない任意の環状部分を指すために、その従来の意味で使用される。複素環含有ポリマーは、ヘテロアルキル、ヘテロアルカニル、ヘテロアルケニルおよびヘテロアルキニル、ならびにヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルであってよい。
【0220】
「ヘテロアルキル、ヘテロアルカニル、ヘテロアルケニルおよびヘテロアルキニル」は、それ自体または別の置換基の一部として、それぞれ、アルキル、アルカニル、アルケニルおよびアルキニル基を指し、ここで、炭素原子(および任意の結合した水素原子)の1つまたは複数は、独立して、同じ、または異なるヘテロ原子基で置換されている。これらの基に含まれ得る代表的なヘテロ原子基は、-O-、-S-、-S-S-、-O-S-、-NR37R38-、.=N-N=、-N=N-、-N=N-NR39R40、-PR41-、-P(O)2-、-POR42-、-O-P(O)2-、-S-O-、-S-(O)-、-SO2-、-SnR43R44-を含むが、これらに限定されず、ここで、R37、R38、R39、R40、R41、R42、R43、およびR44は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルまたは置換ヘテロアリールアルキルである。
【0221】
「ヘテロアリール」は、それ自体または別の置換基の一部として、ヘテロ芳香族環系の単一原子から1個の水素原子を除去することによって誘導される一価のヘテロ芳香族ラジカルを指す。典型的なヘテロアリール基は、アクリジン、アルシンドール、カルバゾール、β-カルボリン、クロマン、クロメン、シンノリン、フラン、イミダゾール、インダゾール、インドール、インドリン、インドリジン、イソベンゾフラン、イソクロメン、イソインドール、イソインドリン、イソキノリン、イソチアゾール、イソオキサゾール、ナフチリジン、オキサジアゾール、オキサゾール、ペリミジン、フェナントリジン、フェナントロリン、フェナジン、フタラジン、プテリジン、プリン、ピラン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、ピロリジン、キナゾリン、キノリン、キノリジン、キノキサリン、テトラゾール、チアジアゾール、チアゾール、チオフェン、トリアゾール、キサンテン、ベンゾジオキソールなどから誘導される基を含むが、これらに限定されない。特定の実施形態において、ヘテロアリール基は、5~20員ヘテロアリールである。特定の実施形態において、ヘテロアリール基は、5~10員ヘテロアリールである。特定の実施形態において、ヘテロアリール基は、チオフェン、ピロール、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、インドール、ピリジン、キノリン、イミダゾール、オキサゾールおよびピラジンから誘導されるものである。
【0222】
「ヘテロアリールアルキル」は、それ自体または別の置換基の一部として、炭素原子、典型的には末端またはsp3炭素原子に結合した水素原子の1つがヘテロアリール基で置換された非環式アルキルラジカルを指す。特定のアルキル部分が意図されている場合、ヘテロアリールアルカニル、ヘテロアリールアルケニル、および/またはヘテロアリールアルキニルという名称が使用される。特定の実施形態において、ヘテロアリールアルキル基は、6~30員ヘテロアリールアルキルであり、例えば、ヘテロアリールアルキルのアルカニル、アルケニルまたはアルキニル部分は、1~10員であり、ヘテロアリール部分は、5~20員ヘテロアリールである。特定の実施形態において、ヘテロアリールアルキル基は、6~20員ヘテロアリールアルキルであり、例えば、ヘテロアリールアルキルのアルカニル、アルケニルまたはアルキニル部分は、1~8員であり、ヘテロアリール部分は、5~12員ヘテロアリールである。
【0223】
いくつかの実施形態において、複素環含有成分は、芳香族環系である。「芳香族環系」は、それ自体または別の置換基の一部として、共役π電子系を有する不飽和環式または多環式環系を指す。「芳香族環系」の定義に具体的に含まれるのは、環の1つまたは複数が芳香族であり、環の1つまたは複数が飽和または不飽和である縮合環系、例えば、フルオレン、インダン、インデン、フェナレンなどである。典型的な芳香族環系は、アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、コロネン、フルオランテン、フルオレン、ヘキサセン、ヘキサフェン、ヘキサレン、as-インダセン、s-インダセン、インダン、インデン、ナフタレン、オクタセン、オクタフェン、オクタレン、オバレン、ペンタ-2,4-ジエン、ペンタセン、ペンタレン、ペンタフェン、ペリレン、フェナレン、フェナントレン、ピセン、プレイアデン、ピレン、ピラントレン、ルビセン、トリフェニレン、トリナフタレンを含むが、これらに限定されない。
【0224】
「ヘテロ芳香族環系」は、それ自体または別の置換基の一部として、1つまたは複数の炭素原子(および任意の結合した水素原子)が独立して、同じ、または異なるヘテロ原子で置換されている芳香族環系を指す。炭素原子を置換する典型的なヘテロ原子は、N、P、O、S、Siなどを含むが、これらに限定されない。「ヘテロ芳香族環系」の定義に具体的に含まれるのは、環の1つまたは複数が芳香族であり、環の1つまたは複数が飽和または不飽和である縮合環系、例えば、アルシンドール、ベンゾジオキサン、ベンゾフラン、クロマン、クロメン、インドール、インドリン、キサンテンなどである。典型的なヘテロ芳香族環系は、アルシンドール、カルバゾール、β-カルボリン、クロマン、クロメン、シンノリン、フラン、イミダゾール、インダゾール、インドール、インドリン、インドリジン、イソベンゾフラン、イソクロメン、イソインドール、イソインドリン、イソキノリン、イソチアゾール、イソオキサゾール、ナフチリジン、オキサジアゾール、オキサゾール、ペリミジン、フェナントリジン、フェナントロリン、フェナジン、フタラジン、プテリジン、プリン、ピラン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、ピロリジン、キナゾリン、キノリン、キノリジン、キノキサリン、テトラゾール、チアジアゾール、チアゾール、チオフェン、トリアゾール、キサンテンなどを含むが、これらに限定されない。
【0225】
特定の実施形態において、目的の酵素組成物は、ポリビニルピリジン(PVP)およびポリビニルイミダゾールのポリマーなどの複素環式窒素含有成分を含む。
ポリマー酵素組成物は、ポリマー骨格酵素組成物が架橋されるように、1つまたは複数の架橋剤も含んでいてよい。本明細書に記載されるように、2つ以上の異なるポリマーを一緒に結合することへの言及は、分子間架橋であり、一方、同じポリマーの2つ以上の部分を結合することは、分子内架橋である。本開示の実施形態において、架橋剤は、分子間架橋および分子内架橋の両方を同時に行うことができる。
【0226】
好適な架橋剤は、二官能性、三官能性または四官能性であってよく、各々、直鎖または分岐構造を有する。分岐構造を有する架橋剤は、マルチアーム分岐成分、例えば、3アーム分岐成分、4アーム分岐成分、5アーム分岐成分、6アーム分岐成分、またはより多数のアーム分岐成分、例えば、7アーム以上、例えば、8アーム以上、例えば、9アーム以上、例えば、10アーム以上、および15アーム以上を有するものを含む。特定の例では、マルチアーム分岐成分は、3アームエポキシドまたは4アームエポキシドなどのマルチアームエポキシドである。マルチアーム分岐成分がマルチアームエポキシドである場合、マルチアーム分岐成分は、ポリエチレングリコール(PEG)マルチアームエポキシドまたは非ポリエチレングリコール(非PEG)マルチアームエポキシドであってよい。いくつかの実施形態において、マルチアーム分岐成分は、非PEGマルチアームエポキシドである。他の実施形態において、マルチアーム分岐成分は、PEGマルチアームエポキシドである。特定の実施形態では、マルチアーム分岐成分は、3アームPEGエポキシドまたは4アームPEGエポキシドである。
【0227】
架橋剤の例は、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、N,N-ジグリシジル-4-グリシジルオキシアニリン、ならびに以下の構造:
【0228】
【化3】
【0229】
を有する窒素含有多官能性架橋剤を含むが、これらに限定されない。
いくつかの例において、酵素組成物の1つまたは複数の成分との1つまたは複数の結合は、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NAD(P)+)またはその誘導体、NAD(P)+依存性デヒドロゲナーゼ、NAD(P)Hオキシドレダクターゼ、および電子輸送剤のうちの1つまたは複数の間などで形成され得る。結合とは、共有結合、イオン結合、双極子-双極子相互作用、水素結合、ロンドン分散力などであるがこれらに限定されない、化学的化合物が互いに会合を形成することを可能にする原子間または分子間の任意のタイプの相互作用を意味する。例えば、酵素組成物のその場重合は、組成物のポリマーと、NAD(P)+依存性デヒドロゲナーゼ、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NAD(P)+)またはその誘導体、NAD(P)Hオキシドレダクターゼおよび電子輸送剤との間に架橋を形成し得る。特定の実施形態では、NAD(P)+依存性デヒドロゲナーゼ、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NAD(P)+)またはその誘導体、NAD(P)Hオキシドレダクターゼ、および電子輸送剤のうちの1つまたは複数へのポリマーの架橋は、電極からの酵素組成物の剥離の発生の低減を促進する。
【0230】
本明細書に記載されるように、対象の酵素は、グルコース、アルコール、ケトン、ラクテート、またはβ-ヒドロキシブチレートなどのNAD(P)+依存性デヒドロゲナーゼ検体の濃度をモニタリングするために検体センサにおいて使用されてよく、センサは、酵素組成物を備えた1つまたは複数の電極を有していてよい。実施形態において、検体センサは、導電性材料を備えた作用電極を含み、対象の酵素組成物は、導電性材料に近接する(例えば、その上に配置される)とともに、導電性材料に接触している。1つまたは複数の対電極、1つまたは複数の参照電極、および/または1つまたは複数の対/参照電極などの1つまたは複数の他の電極が含まれていてもよい。
【0231】
電気化学センサの特定の構成は、検体センサが意図される用途および検体センサが動作する条件に依存し得る。本開示の特定の実施形態では、検体センサは、生体内に完全に配置された検体センサであるか、または被験者の生体内に配置するために構成された経皮的に配置された検体センサである。一例では、間質液中のラクテート濃度をテストするために、センサの少なくとも一部を皮下組織内に配置することができる。別の例では、センサの少なくとも一部は、皮膚体液中の検体濃度をテストするために皮膚組織内に配置されてもよい。
【0232】
実施形態において、対象の酵素組成物の1つまたは複数は、作用電極の表面に近接して配置される(例えば、その上に配置される)。いくつかの例では、複数の酵素組成物は、作用電極の表面に近接して(例えば、スポットの形態で)配置される。ある場合には、作用電極の表面に近接して配置された複数の酵素組成物の各々の周囲に、不連続または連続の外周が形成される。電極の表面に複数の試薬組成物を堆積させるとともに、各試薬組成物の周りに不連続または連続的な外周を形成することの例は、米国特許出願公開第2012/0150005号および同時係属中の米国特許出願第62/067,813号明細書に記載されており、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0233】
ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NAD(P)+)またはその誘導体、NAD(P)+依存性デヒドロゲナーゼ、NAD(P)Hオキシドレダクターゼおよび電子輸送剤を有する対象の酵素組成物は、作用電極の所望の部分を覆う1つの大きな塗布として、または例えば、互いに間隔を空けて配置された、複数の酵素組成物のアレイの形態で、作用電極の表面上に堆積され得る。用途に応じて、アレイ内の酵素組成物のいずれかまたはすべてが、互いに同じであっても異なっていてもよい。例えば、アレイは、100mm以下、例えば75mm以下、または50mm以下、例えば25mm以下、または10mm以下、または5mm以下、例えば2mm以下、または1mm以下、0.5mm以下、または0.1mm以下の面積において、10以上、25以上、50以上、100以上、またはさらに1000以上のニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NAD(P)+)またはその誘導体、NAD(P)+依存性デヒドロゲナーゼ、NAD(P)Hオキシドレダクターゼおよび電子輸送剤を含有する、2以上、5以上の酵素組成物アレイ特徴を含んでいてよい。
【0234】
堆積された酵素組成物の形状は、センサ内またはセンサ間で異なり得る。例えば、特定の実施形態では、堆積された膜は、円形である。他の実施形態では、形状は、三角形、正方形、長方形、円形、楕円形、または他の規則的もしくは不規則な多角形の形状(例えば、上から視た場合に)、ならびに円形、半円形、または三日月形などの他の二次元形状となるだろう。電極のすべてまたは一部、例えば5%以上、例えば25%以上、例えば50%以上、例えば75%以上、および90%以上が酵素組成物によって覆われていてよい。特定の例では、電極表面全体が、酵素組成物によって覆われている(すなわち、100%)。
【0235】
本開示の実施形態に従って電極および/またはセンサを作製すると、電極の表面に堆積された再現可能な酵素組成物が生成される。例えば、本明細書で提供される酵素組成物は、5%以下、例えば4%以下、例えば3%以下、例えば2%以下、例えば1%以下、および0.5%以下などだけ、互いからずれる可能性がある。いくつかの実施形態において、感知組成物は、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NAD(P)+)またはその誘導体および電子輸送剤を含む。特定の実施形態では、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NAD(P)+)またはその誘導体、NAD(P)+依存性デヒドロゲナーゼ、NAD(P)Hオキシドレダクターゼおよび電子伝達剤を含有する堆積された酵素組成物は、互いにずれることなく同一である。
【0236】
特定の実施形態において、方法は、電極上に堆積された酵素組成物を乾燥させることをさらに含む。乾燥は、室温で、所望に応じて高温で、例えば25℃~100℃、例えば30℃~80℃、例えば40℃~60℃を含む範囲の温度で実施され得る。
【0237】
主題の検体センサの構成およびそれらを製造する方法の例は、米国特許第6,175,752号、第6,134,461号、第6,579,690号、第6,605,200号、第6,605,201号、第6,654,625号、第6,746,582号、第6,932,894号、第7,090,756号、第5,356,786号、第6,560,471号、第5,262,035号、第6,881,551号、第6,121,009号、第6,071,391号、第6,377,894号、第6,600,997号、第6,514,460号、第5,820,551号、第6,736,957号、第6,503,381号、第6,676,816号、第6,514,718号、第5,593,852号、第6,284,478号、第7,299,082号、第7,811,231号、第7,822,557号、第8,106,780号、および第8,435,682号、米国特許出願公開第2010/0198034号、第2010/0324392号、第2010/0326842号、第2007/0095661号、第2010/0213057号、第2011/0120865号、第2011/0124994号、第2011/0124993号、第2010/0213057号、第2011/0213225号、第2011/0126188号、第2011/0256024号、第2011/0257495号、第2012/0157801号、第2012/0245447号、第2012/0157801号、第2012/0323098号、および第2013/0116524号明細書に記載されるものを含むが、これら限定されず、これらの各々の開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0238】
いくつかの実施形態では、インビボセンサは、皮膚の表面の下方に配置可能な挿入先端部を含んでいてよく、例えば、皮膚を貫通して、例えば皮下空間に入り、間質液などのユーザの生体液と接触する。作用電極のコンタクト部分、参照電極のコンタクト部分、および対電極のコンタクト部分は、皮膚表面の上方に位置するセンサの第1の部分上に配置されている。作用電極、参照電極、および対電極は、センサの挿入される部分に配置されている。トレースは、先端における電極から、センサ電子機器との接続のために構成されたコンタクトまで提供されてよい。
【0239】
特定の実施形態では、センサの作用電極および対電極、ならびに誘電体材料は、層状である。例えば、センサは、非導電性材料層と、(上述したように)非導電性材料層の少なくとも一部の上に配置された導電性ポリマー、炭素、白金-炭素、金などの第1の導電層とを含んでいてよい。酵素組成物は、作用電極の1つまたは複数の表面上に配置されるか、またはそうでなければ、作用電極に直接的もしくは間接的に接触されていてよい。第1の誘電体層などの第1の絶縁層は、第1の導電層の少なくとも一部の上に配置または積層されていてよく、第2の導電層は、第1の絶縁層(または誘電体層)の少なくとも一部の上部に配置または積層されていてよい。第2の導電層は、参照電極であってよい。第2の誘電体層などの第2の絶縁層が、第2の導電層の少なくとも一部の上に配置または積層され得る。さらに、第3の導電層が、第2の絶縁層の少なくとも一部の上に配置されていてよく、対電極であってよい。最後に、第3の絶縁層が、第3の導電層の少なくとも一部の上に配置または積層され得る。このようにして、センサは、導電層の各々の少なくとも一部がそれぞれの絶縁層(例えば、誘電体層)によって分離されるように積層され得る。
【0240】
他の実施形態では、電極の一部または全部は、2つ以上の電極が材料上の同じ平面上に(例えば、並んで(例えば、平行に)、または互いに対して角度をなして)配置され得るように、同一平面上に設けられ得る。例えば、同一平面上の電極は、それらの間に適切な間隔を含んでいてよく、および/または導電層/電極の間に配置された誘電材料または絶縁材料を含んでいてよい。さらに、特定の実施形態では、電極のうちの1つまたは複数は、非導電性材料の両側に配置されてもよい。そのような実施形態では、電気コンタクトは、非導電性材料の同じ側または異なる側にあってよい。例えば、電極は、第1の側にあってよく、そのそれぞれのコンタクトは、第2の側にあってよく、例えば、電極およびコンタクトを接続するトレースは、材料を横断してもよい。ビアは、電気トレースがセンサの反対側に導かれる通路を提供する。
【0241】
主題の検体センサは、数秒、数分、数時間、数日、数週間から数ヶ月、またはそれより長い範囲であってよい期間にわたって検体(例えば、グルコース、アルコール、ケトン、ラクテート、β-ヒドロキシブチレート)のレベルをモニタリングするように構成されていてよい。
【0242】
特定の実施形態では、検体センサは、センサが使用されているときに、検体、例えば、グルコース、アルコール、ケトン、ラクテート、β-ヒドロキシブチレートの物質輸送の速度を低減するための拡散制限バリアとして作用する、物質輸送制限層(または膜層)、例えば、検体流動調節層を含む。物質輸送制限層は、センサが広範囲の検体濃度にわたって線形に応答するように、電気化学センサ内の電極への検体の流動を制限する。物質輸送制限層は、ポリマーを含んでいてよく、生体適合性であってもよい。物質輸送制限層は、多くの機能、例えば、生体適合性および/または干渉物質排除機能などを提供してもよく、または機能は、様々な膜層によって提供されてもよい。
【0243】
特定の実施形態において、物質輸送制限層は、ポリビニルピリジンおよびポリビニルイミダゾールのポリマーなどの複素環式窒素基を含有する架橋ポリマーから構成される膜である。実施形態は、ポリウレタン、またはポリエーテルウレタン、または化学的に関連する材料で作られた膜、またはシリコーンなどで作られた膜を含む。
【0244】
膜は、双性イオン部分、非ピリジンコポリマー成分、および任意選択で親水性もしくは疎水性のいずれかであり、かつ/または他の望ましい特性を有する別の部分で修飾されたポリマーを、アルコール緩衝溶液中でその場で架橋することによって形成することができる。変性ポリマーは、複素環式窒素基を含有する前駆体ポリマーから作製することができる。例えば、前駆体ポリマーは、ポリビニルピリジンまたはポリビニルイミダゾールであってよい。任意選択的に、親水性または疎水性の修飾剤を使用して、結果として得られる膜の、目的の検体に対する透過性を「微調整」することができる。ポリ(エチレングリコール)、ヒドロキシルまたはポリヒドロキシル修飾剤などの任意選択の親水性修飾剤を使用して、ポリマーまたは得られる膜の生体適合性を高めることができる。
【0245】
主題の検体センサにおける好適な物質輸送制限膜は、米国特許第6,932,894号明細書に記載されているものを含むが、これらに限定されず、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。特定の実施形態において、物質輸送制限膜は、温度に依存しないSMART膜である。好適な温度非依存性膜は、米国特許出願公開第2012/0296186号および同時係属中の米国特許出願第14/737,082号明細書に記載されているものを含むが、これらに限定されず、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0246】
特定の実施形態による検体センサは、低酸素濃度で動作するように構成され得る。低酸素濃度とは、酸素濃度が1.5mg/L以下であることを意味し、例えば1.0mg/L以下、例えば0.75mg/L以下、例えば0.6mg/L以下、例えば0.3mg/L以下、例えば0.25mg/L以下、例えば0.15mg/L以下、例えば0.1mg/L以下、および0.05mg/L以下を含む。
【0247】
本開示の態様は、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NAD(P)+)またはその誘導体、NAD(P)+依存性デヒドロゲナーゼ、NAD(P)Hオキシドレダクターゼおよび電子輸送剤を含有する酵素組成物を組み込んだ検体センサを用いて、検体レベルを経時的にインビボでモニタリングするための方法も含む。概して、被験者の身体の流体中の検体の濃度をインビボでモニタリングすることは、本明細書に開示されるようなインビボ検体センサを皮膚表面の下に少なくとも部分的に挿入すること、モニタリングされる流体(間質、血液、真皮など)を挿入されたセンサと接触させること、作用電極においてセンサ信号を生成することを含む。検体センサによって検出された検体の存在および/または濃度は、表示され、格納され、転送され、および/または他の方法で処理され得る。主題のセンサを用いて検体(例えば、グルコース、アルコール、ケトン、乳酸塩、β-ヒドロキシ酪酸塩)の濃度を決定するために、様々な手法を使用することができる。特定の態様では、電気化学的検体濃度モニタリング手法が使用される。例えば、センサ信号を使用して検体の濃度をモニタリングすることは、電量分析、電流測定、ボルタンメトリー、電位差測定、または任意の他の好都合な電気化学検出技法によって行われ得る。
【0248】
これらの方法は、例えば、グルコース、酸素、二酸化炭素、電解質、もしくは他の対象部分、またはそれらの任意の組み合わせを含み、皮下、例えば、間質液、真皮液、血液、もしくは他の対象体液、またはそれらの任意の組み合わせを含む体液中に見出される、別の検体を検出および/または測定するために使用されるデバイスと関連して使用されてもよい。
【0249】
特定の実施形態では、方法は、電子機器ユニットを患者の皮膚に取り付けること、電子機器ユニットの導電性コンタクトをセンサのコンタクトに結合すること、センサによって生成された信号から検体のレベルに関するデータを、電子機器ユニットを使用して収集すること、収集されたデータを電子機器ユニットから受信機ユニットに、例えば、RFによって転送することをさらに含む。受信機ユニットは、携帯電話であってよい。携帯電話は、モニタリングされる検体に関連するアプリケーションを含んでいてよい。特定の実施形態では、検体情報は、RFIDプロトコル、Bluetooth(登録商標)などによって転送される。
【0250】
検体センサは、連続的または周期的のいずれかでの自動検体感知のためにユーザ内に配置可能であってよい。実施形態は、数秒、数分、数時間、数日、数週間、数ヶ月、またはそれよりも長い範囲であってよい期間にわたって検体のレベルをモニタリングすることを含んでいてよい。将来の検体レベルは、得られた情報、例えば、時間0における現在のラクテートレベル、ならびに検体変化レートに基づいて予測され得る。
【0251】
センサ電子機器ユニットは、センサ/電子機器ユニットから1つまたは複数の受信機ユニットにデータを自動的に転送し得る。センサデータは、データが取得されるときに特定の頻度で、またはメモリにセンサデータが格納された特定の期間の後などに、自動的かつ周期的に通信され得る。例えば、生体内に配置されたセンサに結合されたセンサ電子機器は、所定の期間にわたってセンサデータを収集し、収集されたデータを周期的に(例えば、1分ごと、5分ごと、または他の所定の期間ごとに)センサ電子機器からの範囲内に配置されたモニタリングデバイスに送信することができる。
【0252】
他の実施形態では、生体内に配置されたセンサに結合されたセンサ電子機器は、非自動的な方法で、特定のスケジュールに設定されずに受信デバイスと通信することができる。例えば、センサデータは、RFID技術を使用してセンサ電子機器から受信デバイスに通信されてよく、センサ電子機器が検体モニタリングデバイスの通信範囲内に持ち込まれるときはいつでも通信されてよい。例えば、生体内に配置されたセンサは、モニタリングデバイス(例えば、受信機ユニット)が、例えば、患者またはユーザによって、センサ電子機器ユニットの通信範囲内に運ばれるまで、メモリ内のセンサデータを収集し得る。生体内に配置されたセンサがモニタリングデバイスによって検出されると、デバイスは、検体センサ電子機器との通信を確立し、例えば、センサデータの最後の転送以降に収集されたセンサデータをアップロードする。このようにして、患者は、受信デバイスに常に近接した状態を維持する必要はなく、代わりに、受信デバイスを検体センサの範囲内に持ってくることによって、所望の場合にセンサデータをアップロードすることができる。さらに他の実施形態では、センサデータの自動転送および非自動転送の組み合わせが、特定の実施形態において実装されてもよい。例えば、センサデータの転送は、通信範囲内に持ち込まれたときに開始され、その後、通信範囲内に留まり続ける場合には自動的に継続されてもよい。
【0253】
較正の例示的な実施形態
生化学センサは、1つまたは複数の感知特性によって説明することができる。一般的な感知特性は、生化学センサの感度と呼ばれ、これは、検出するように設計された化学物質または組成物の濃度に対するセンサの応答性の尺度である。電気化学センサの場合、この応答は、電流(電流測定)または電荷(電量測定)の形態であり得る。他のタイプのセンサでは、応答は、光子強度(例えば、光学的な光)などの異なる形態であり得る。生化学検体センサの感度は、センサがインビトロ状態にあるかインビボ状態にあるかを含む、複数のファクタに応じて変化し得る。
【0254】
図15は、電流測定検体センサのインビトロ感度を示すグラフである。インビトロ感度は、種々の検体濃度でセンサをインビトロ試験し、次いで、得られたデータに対して回帰(例えば、線形または非線形)または他の曲線フィッティングを行うことによって得ることができる。この例では、検体センサの感度は、線形または実質的に線形であり、式y=mx+bに従ってモデル化することができ、式中、yはセンサの電気出力電流であり、xは検体レベル(または濃度)であり、mは感度の傾きであり、bは感度の切片であり、切片は一般にバックグラウンド信号(例えば、ノイズ)に対応する。線形または実質的に線形の応答を有するセンサの場合、所与の電流に対応する検体レベルは、感度の傾きおよび切片から決定することができる。非線形感度を有するセンサは、センサの出力電流から検体レベルを決定するために追加の情報を必要とし、当業者は、非線形感度をモデル化する方法に精通している。インビボセンサの特定の実施形態では、インビトロ感度は、インビボ感度と同じであってよいが、他の実施形態では、伝達(または変換)関数を使用して、インビトロ感度を、センサの意図されたインビボ使用に適用可能なインビボ感度に変換する。
【0255】
試験から導出される感知特性の例
説明されるように、ベースラインサブセット内の1つまたは複数の医療デバイスを試験して、そのベースラインサブセットについての感知特性を経験的に決定することができる。試験は、多くの実施形態において、生化学的属性を感知する医療デバイスの能力を検証可能に表すデータを生成することができる。多くのインビボ検体センサおよびインビトロ検体センサ(例えば、テストストリップ)の実施形態では、感知特性は、検体の存在に対する検体センサの感度であり得る。多くの場合、この試験はインビトロで実施され、インビトロ試験データが収集される。ベースラインサブセットについてのインビトロ試験データから導出されるか、または他の方法で得られる感知特性は、インビトロ感知特性(例えば、インビトロ感度)と呼ぶことができる。
【0256】
以下の例は、当業者に、本発明の実施形態を作製および使用する方法の完全な開示および説明を提供するために記載されており、本発明者らがその発明とみなすものの範囲を限定することを意図するものではなく、以下の実験が、行われたすべての実験または唯一の実験であることを示すことを意図するものでもない。使用される数(例えば、量、温度など)に関して正確性を確保するための努力がなされているが、いくつかの実験誤差および偏差が考慮されるべきである。別段の指示がない限り、部は重量部であり、分子量は重量平均分子量であり、温度は摂氏度であり、圧力は大気圧またはその付近である。
【0257】
例1
ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NAD(P))またはその誘導体、NAD(P)依存性デヒドロゲナーゼ、NAD(P)Hオキシドレダクターゼおよび電子輸送剤を含有する作用電極を有する検体センサの性能を実証するために実験を行った。センサは、電極の表面上に、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸、D-3-ヒドロキシ酪酸デヒドロゲナーゼ、ジアホラーゼ、およびポリマー結合オスミウム-遷移金属触媒、および二官能性架橋剤を含有する酵素組成物を、スキームによって示されるように堆積させることによって準備された(さらなる例では、ポリマーレドックスメディエーターとも呼ばれる):
【0258】
【化4】
【0259】
様々な濃度のD-3-ヒドロキシブチレートを含有するリン酸緩衝液中でセンサを試験した。表1は、ビーカー較正および準備されたセンサからのデータ信号の直線性をまとめている。
【0260】
【表1】
【0261】
図16は、様々な濃度のD-3-ヒドロキシブチレート(80μM、160μM、および240μM)での2.3時間にわたる信号出力を示す。図17は、D-3-ヒドロキシブチレート濃度の関数としてのセンサ信号の直線性を示す。図1および図2に示すように、センサは、D-3-ヒドロキシブチレートに対して線形かつ持続的な応答を与える。
【0262】
ケトンを検出するためのさらなる酵素は、PCT出願PCT/US21/62968、米国特許第11,091,788号、および米国特許出願第2020/0237275号明細書に記載されており、これらの開示は参照によりその全体が組み込まれる。
【0263】
例2
遊離NADを含有する作用電極を有する検体センサの性能を実証するために実験を行った。センサは、遊離NADを含有する酵素組成物を電極の表面上に堆積させることによって準備された。感知層の配合を表2に記載する。感知層溶液を炭素電極上に堆積させ、膜の追加前に25C/60Hで夜通し硬化させた。膜の配合を表3に示す。センサは、上記溶液から3×5mm/秒で浸漬され、センサは、25C/60Hで夜通し、56Cで2日間硬化された。
【0264】
【表2】
【0265】
【表3】
【0266】
図18は、様々な濃度のD-3-ヒドロキシブチレート(ケトン)での3.6時間にわたる信号出力を示す。図19は、D-3-ヒドロキシブチレート濃度の関数としてのセンサ信号の直線性を示す。図20は、10mMでのセンサ較正を示す。図17図19に示すように、センサは、D-3-ヒドロキシブチレート(ケトン)に対して線形かつ持続的な応答を与える。表4は、遊離NADケトンセンサビーカー較正および安定性概要も示す。
【0267】
【表4】
【0268】
例3
遊離NAD対固定化NADを含有する作用電極を有するケトンセンサの性能を実証するためにも実験が行われた。センサは、遊離NAD(A)または固定化NAD(B)を含有する酵素組成物を電極表面に堆積させることによって準備された。感知層の配合を表5に記載する。感知層溶液を炭素電極上に堆積させ、膜の追加前に25C/60Hで夜通し硬化させた。膜の配合を表6に示す。センサは、上記溶液から3×5mm/秒で浸漬され(表7)、センサは、25C/60Hで夜通し、56Cで2日間硬化された。図21は、ケトンセンサの遊離および固定化NADバージョンの両方が同様の安定性および信号を示すことを示している。
【0269】
【表5】
【0270】
【表6】
【0271】
【表7】
【0272】
例4
インビトロおよびインビボ実験は、インビトロ感度を使用して較正された連続ケトンモニタの性能を実証するために、3電極センサ(すなわち、作用電極、参照電極、および対電極)を使用して行われた。センサは、上記の例1に記載された化学物質を含む。センサは、作用電極上の感知層の面積を制御するとともに、膜層の厚さを制御する方法を使用して製造された。この実験で使用されたすべてのセンサは、同じロットで製造された。
【0273】
インビトロ試験は、例えば、図19および上記の表4に関連して示され、説明されるように、製造ロット(この場合、16個のセンサ)からのセンサのベースラインサブセットのインビトロ感度を決定するために行われた。ベースラインサブセットは、本主題の範囲から逸脱することなく、16以外の量を含んでいてよい。インビトロ試験感度は、種々のケトン溶液を各検体センサに塗布し、結果として生成される電流をモニタリングすることによって得られ、電流は、ナノアンペア、ピコアンペア、またはセンサ設計に応じて他のオーダーであり得る。インビトロ試験は、16個のセンサのベースラインサブセットを37℃の制御された温度で100mMリン酸緩衝液の溶液中に配置および浸漬すること、様々なケトン濃度(例えば、限定されないが、溶液中1、2、3、4、6、および8mmol/L)を達成するために溶液に1Mケトンのアリコートを注入して複数の既知のケトン濃度を連続的に形成すること、ケトン濃度(すなわち、溶液中1、2、3、4、6、および8mmol/Lのケトン濃度)における各センサからの電流をポテンショスタットで測定すること、各それぞれのインビトロ試験データセットに独立して回帰(例えば、線形または非線形)を行うことによって決定することを含む。本明細書で具体化されるように、複数の既知のケトン濃度は、1~8mmol/Lのケトン濃度の任意の範囲を含むことができる。
【0274】
図22に見られるように、時間0から0.2時間まで、溶液はセンサに塗布されない(またはケトン濃度を有しない溶液が塗布される)。時間0.2において、第1の比較的低い濃度(例えば、1ミリモル/リットル(mmol/L))を有する第1のケトン溶液がセンサに塗布され、結果として生じる応答が記録される。時間0.4において、第1の溶液よりも比較的高い濃度を有する第2のケトン溶液がセンサに塗布され、結果として生じる応答が再び記録される。プロセスは、広範囲のケトン濃度にわたってケトンセンサの感度を表す経験的データを得るために、ケトン溶液の濃度を絶えず増加させながら0.6およびその後も反復して進行することができる。見て分かるように、ケトンセンサのこれらの実施形態は、ケトン溶液の存在に対して異なる反応を示し、これらの差異は、ケトン溶液の濃度が増加するにつれてより顕著になる。x軸は時間を示し、ケトン濃度を示さないので、インビトロ試験データはわずかに非線形であるように見えるかもしれないが、インビトロ試験データから得られた感度は依然として線形であり得ることに留意されたい。
【0275】
いくつかの実施形態では、例えば、非線形感度に対して、インビトロデータセットは、別個の応答ゾーンに分割されることができ、各ゾーンは、非線形曲線を近似するために線形感度でモデル化され、その結果、得られる較正情報は、測定される応答(例えば、電流)の程度に応じて異なるであろう。図16に示し、上記の例1で説明したように、感度は、線形または実質的に線形である。ベースラインサブセットのインビトロ感度(または他の感知特性)は、任意の所望の様式で決定され得る。いくつかの実施形態では、製造ロットからの複数の異なるインビトロデータサブセットを使用して、複数の感度を決定することができ、ベースラインインビトロ感度は、感度の平均または中央値など、複数の決定された感度の中心的傾向であり得る。いくつかの実施形態では、ベースラインインビトロ感度は、感度の傾きの中心傾向または感度の切片の中心傾向など、感度の1つの態様または特性の中心傾向(例えば、平均または中央値)であり得る。感度の他の態様は、ベースラインサブセットについてのインビトロ感度として使用されてもよい。いくつかの実施形態では、インビトロ試験データセットのそれぞれから個々の感度を導出する代わりに、ベースラインサブセットからのインビトロ試験データの全体に対して単回帰を実行することができ、この単回帰またはその態様をベースラインインビトロ感度として使用することができる。これらの実施形態のすべてにおいて、インビトロ試験データセットまたはそれから決定されるインビトロ感知特性は、ベースラインインビトロ感度を決定する前に、1つまたは複数の値(例えば、最小閾値を下回る値、最大閾値を上回る値、閾値内の値、変則的な値など)を除去するためにフィルタリングされ得る。
【0276】
示された例において、インビトロセンサ感度は、例1に対して行われ、図19に示されるように、電流対ケトン濃度の最小二乗回帰の傾きによって定量化される。インビトロ感度を使用して、すべてのインビトロ研究について較正されたセンサ応答が生成された。ケトンアリコートを順次添加して37℃で16個のセンサによって生成された較正されたセンサ応答を図22に示す(実線は平均であり、影付き領域は16個のセンサからのデータの1標準偏差である)。ケトンレベル全体にわたるセンサ応答の平均変動係数は、5.0%である。図23に見られるように、較正されたセンサは、ケトン濃度に対してR2=0.9994の線形応答を示す。重要なことに、図23に見られるように、線形応答は1.0003の傾きを表し、決定されたインビトロ感度を使用して較正されたセンサ電流が溶液中のケトン濃度に密接に近似することを示す。
【0277】
さらに、センサの応答時間は、各アリコート添加について、センサ応答がベースラインの10%上から、プラトーの90%まで変化するのに必要な時間として計算された。センサは、試験溶液にケトンアリコートを添加して4分以内のケトン濃度の変化に応答した(平均応答時間は228秒である)。
【0278】
例示的な意図された着用期間(例えば、限定するものではないが、14日)にわたる16個のセンサの安定性が、シミュレートされた条件下で評価された。特に、16個のセンサが、8mMのケトンを含むリン酸緩衝液中に37℃で14日間浸漬された。センサの動作安定性を図24に示す(実線は平均であり、影付き領域は16個のセンサからのデータの1標準偏差である)。動作安定性は、ケトンセンサにとって重要であり、これは、具体的には、グルコースとは異なり、ベースラインケトンレベルが典型的には非常に低いので、センサはユーザによって較正され得ないからである。NAD+は遊離分子であり、感知化学物質中に保持されることが難しいため、NAD+依存性化学物質について14日間を超える動作安定性を達成することは、さらに困難である。加えて、センサ応答の安定性が、試験期間にわたるセンサ応答のドリフトを測定することによって測定された。図24に見られるように、8mMでのセンサ信号は14日間にわたって安定しており、平均1日シグナル損失は0.15%であった(14日間にわたる総シグナル損失は2.1%である)。したがって、センサは、少なくとも14日間の使用の間、単一の較正で使用されることができる。加えて、ドリフト補正ファクタは、インビトロで試験されているインビボセンサのサブセットのインビトロ試験中に測定されたドリフトに基づいて、製造ロット内のセンサのロット全体について決定され得る。
【0279】
最後に、37℃のリン酸緩衝液中のインビトロ条件下で10個のセンサを試験することによって、アスコルビン酸からの干渉を評価した。溶液中0.6mMおよび1.5mMのケトンでセンサが試験された。センサ信号が安定した後、アスコルビン酸を導入して、治療上の最高濃度よりも高いレベルに相当するアスコルビン酸濃度2mg/dLを達成した。アスコルビン酸の添加後のセンサ応答の変化が測定された。干渉は、センサ信号が0.2mmol/L相当以下だけ変化し得ることを示唆している。この干渉は、ケトンの濃度とは無関係である。
【0280】
さらに、センサのインビボ性能を評価するために臨床研究が実施された。12人の健康なボランティアが登録され、低糖質食を摂取することが要求され、研究を通してその食事を継続する意欲が求められた。ボランティアには、平均年齢32.3歳(範囲:20~51歳)の女性11人および男性1人の参加者が含まれていた。参加者の1人は、T1Dを患っていた。参加者の1人は、ヒスパニック人種であったが、他のすべての参加者は彼ら自身を白人であると認識していた。平均BMIは24.3(範囲:18.6~30)kg/m2であり、12人の参加者のうち7人が<25kg/m2のBMIを有していた。参加者全員が、低糖質食を実践していると自己申告した。
【0281】
2つのセンサが、それぞれ、各研究参加者の両上腕の後ろに配置された(すなわち、参加者当たり合計4つのセンサ)。これらのセンサのうちの3つは、機能性ケトンセンサであり、使用されたセンサのうちの1つは、機能性化学物質を含有していなかった(すなわち、合計36個のケトンセンサおよび機能性化学物質を含まない12個のセンサが使用された)。本研究で試験した36個のケトンセンサおよび12個のバックグラウンドセンサのうち、31個のケトンセンサおよび11個のバックグラウンドセンサが評価可能なデータを有していた。故障した5つのケトンセンサおよび1つのバックグラウンドセンサからのデータは、データ分析から除外された。
【0282】
参加者は、センサを最大14日間装着した。センサは、本明細書に説明されたものなどのリーダデバイスを使用して起動され、センサは、起動から60分後に信号の測定を開始した。すべてのセンサ結果は、研究参加者に対してマスクされた。研究参加者は、Precision Xtraケトンテストストリップを使用して、起床中、好ましくは起床時、各食事前、食事後1時間、および就寝時に、毎日8回の指先穿刺測定を行うことを要求された。
【0283】
研究参加者全員の機能していないセンサのデータを使用して、参加者に依存しない単一のバックグラウンド電流信号モデルを確立した。実施形態によれば、バックグラウンド電流信号は、本主題の範囲から逸脱することなく、各検体センサに様々なケトン溶液を塗布することを含むがこれに限定されない、本明細書に記載されるものなどのインビトロ方法によって得られてもよい。機能センサからの信号は、機能センサからのケトン結果を計算する前に、まずこのバックグラウンド電流信号で補正された。各センサの遡及的校正は、センサ電流を基準値と相関させることによって導出された。各キャピラリーケトン測定の感度値は、キャピラリーケトン値に対するセンサ電流(温度補正済み)の比として決定され、すなわち、感度=電流/キャピラリーケトン濃度である。ユーザによる較正が行われないことをシミュレートするために、14日間にわたって正確度を評価するためにさらなる調整は行わなかった。各センサに割り当てられた感度は、そのセンサの個々の感度測定値の中央値であった。研究参加者のうちの1人について、体内のケトンレベルに対する14日間にわたる3つの機能的センサの応答を図25に示す。図25に見られるように、3つのセンサはすべて、全14日間の装着を通して、キャピラリーケトン基準を正確に追跡する。
【0284】
合計すると、インビボセンサ測定値および基準ケトン測定値を含む、合計3128個のペアのデータポイントが臨床研究から収集された。基準測定値は、0~5.1mMの範囲であり、中央値は0.6mMであった。インビボケトンセンサによって測定された電流は、センサケトン測定値を決定するために、16個のインビボセンサのベースラインサブセットに基づいて以前に決定されたベースラインインビトロ感度を使用して較正された。図26Aは、本明細書に記載の方法を使用した遡及的センサ較正に基づいて較正されたセンサケトン測定値とケトン基準値との間の相関を示す。図26Aに見られるように、較正されたセンサケトン測定値は、0.908の傾きによって示されるように、間質ケトンレベルを正確に反映する。図26Aは、5.1mMのケトン値までの予測関係のみを示すが、予測関係は、約6mMのケトン値まで存在する。いくつかの実施形態では、予測関係は、図26B図26Gに見られるように、約8mMのケトン値まで存在する。実施形態によれば、インビボケトンセンサは、決定されたインビトロ感度に加えて、上述のように、決定されたドリフト補正ファクタを使用して較正され得る。
【0285】
さらに、較正されたセンサケトン結果の正確度を評価するために、センサケトン結果が、Precision Xtraケトンテストストリップによって得られたキャピラリーケトン基準結果と比較された。1.5mM未満の濃度では、基準に対する正確度は、mMとして計算され、1.5mM以上では、パーセンテージとして計算された。正確度の結果を以下の表8にまとめる。基準ケトン濃度<1.5mMについては、全体のMADは0.129mMであり、83.4%のポイントが+/-0.225mM内にあり、91.7%が+/-0.3mM内にある。基準ケトン濃度>=1.5mMについては、全体のMARDは14.4%であり、76.0%が20%内にあり、89.7%が30%内にある。全範囲の濃度について、値は0.225mM/20%内で82.4%であり、0.3mM/30%内で91.4%である。
【0286】
【表8】
【0287】
本明細書に開示される実施形態によれば、システムは、ユーザの間質液と接触して配置されるように構成された遠位部分および近位部分を有するインビボケトンセンサと、センサ制御ユニットとを備えることができ、センサ制御部は、センサの近位部分と電気的に通信する少なくとも1つのコンタクトと、遠隔デバイスと通信するように構成された送信機とを含み、センサ制御ユニットは、生成された信号を受信し、インビボケトンセンサに関連付けられた感度を使用して生成された信号をケトン濃度データに変換するように構成され、送信機は、ケトン濃度データを遠隔デバイスに通信するように構成されている。センサは、作用電極と、β-ヒドロキシ酪酸デヒドロゲナーゼを含む感知層と、1つまたは複数の生体分子の輸送を制限するように構成された膜層とを備えることができ、インビボケトンセンサは、間質液中のケトンの量に対応する信号を作用電極において生成するように構成されている。
【0288】
本明細書に提供される任意の実施形態に関して説明されるすべての特徴、要素、コンポーネント、機能、およびステップは、任意の他の実施形態からのものと自由に組み合わせ可能であり、置換可能であることが意図されている。ある特徴、要素、コンポーネント、機能、またはステップが、1つの実施形態のみに関して説明される場合、その特徴、要素、コンポーネント、機能、またはステップは、明示的に別段の記載がない限り、本明細書に説明される他のすべての実施形態とともに使用され得ることを理解されたい。したがって、たとえ以下の説明が、特定の例においてそのような組み合わせまたは置換が可能であると明示的に述べていないとしても、この段落は、異なる実施形態からの特徴、要素、コンポーネント、機能、およびステップを組み合わせるか、または1つの実施形態からの特徴、要素、コンポーネント、機能、およびステップを別の実施形態の特徴、要素、コンポーネント、機能、およびステップと置換する特許請求の範囲の導入のための先行する基礎および書面によるサポートとして常に機能する。特に、そのようなあらゆる組み合わせおよび置換の許容性が当業者によって容易に認識されることを考慮すると、あらゆる可能な組み合わせおよび置換を明示的に列挙することは過度に負担であることが明確に認められる。
【0289】
本明細書で説明される実施形態のすべてにおいて、データまたは情報を処理することが可能な電子デバイスは、非一時的メモリと通信可能に結合された処理回路を含むことができ、非一時的メモリは、処理回路によって実行されると、処理回路にアクションを実行させる1つまたは複数のコンピュータプログラムまたはソフトウェア命令を格納することができる。本明細書に開示される方法のあらゆる実施形態に関して、処理回路と、処理回路によって実行されると、その処理回路に方法の1つまたは複数のステップを実行させる(または情報の送信もしくは表示などの方法の1つまたは複数のステップを実行させる)1つまたは複数の命令が格納された非一時的メモリとを用いて、それらの方法またはその一部を実行することが可能なシステムおよびデバイスは、本開示の範囲内である。
【0290】
説明された主題に従って動作を実行するためのコンピュータプログラムまたはソフトウェア命令は、Java(登録商標)、JavaScript(登録商標)、Smalltalk、C++、C#、Transact-SQL、XML、PHPなどのオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語または同様のプログラミング言語などの従来の手続き型プログラミング言語を含む、1つまたは複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで書かれていてもよい。プログラム命令は、完全にコンピューティングデバイス上で、部分的にコンピューティングデバイス上で、スタンドアロンソフトウェアパッケージとして、部分的にローカルコンピューティングデバイス上および部分的に遠隔コンピューティングデバイス上で、または完全に遠隔コンピューティングデバイスもしくはサーバ上で実行され得る。後者のシナリオでは、遠隔コンピューティングデバイスは、ローカルエリアネットワーク(LAN)もしくは広域ネットワーク(WAN)を含む任意のタイプのネットワークを介してローカルコンピューティングデバイスに接続されてもよく、または接続は、(例えば、インターネットサービスプロバイダを使用してインターネットを介して)外部コンピュータに対して行われてもよい。
【0291】
本明細書に開示される実施形態が、メモリ、ストレージ、および/またはコンピュータ可読媒体を含むか、またはそれらと関連して動作する限り、そのメモリ、ストレージ、および/またはコンピュータ可読媒体は非一時的である。したがって、メモリ、ストレージ、および/またはコンピュータ可読媒体が1つまたは複数の請求項によってカバーされる範囲では、そのメモリ、ストレージ、および/またはコンピュータ可読媒体は非一時的なものにすぎない。
【0292】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上明らかに別段の指示がない限り、複数の指示対象を含む。
実施形態は、様々な修正および代替形態が可能であるが、その特定の例が図面に示されており、本明細書で詳細に説明されている。しかしながら、これらの実施形態は、開示された特定の形態に限定されるものではなく、逆に、これらの実施形態は、本開示の技術思想に含まれるすべての修正、均等物、および代替物を包含するものであることを理解されたい。さらに、実施形態の任意の特徴、機能、ステップ、または要素は、特許請求の範囲に記載または追加されてよく、その範囲内にない特徴、機能、ステップ、または要素によって特許請求の範囲の発明の範囲を定義する否定的な限定も同様である。
図1
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図5A
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【国際調査報告】