(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-30
(54)【発明の名称】自己寛容を破壊するためのワクチン組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 39/00 20060101AFI20240123BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20240123BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20240123BHJP
C07K 14/54 20060101ALI20240123BHJP
C07K 14/525 20060101ALI20240123BHJP
C07K 14/33 20060101ALI20240123BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240123BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20240123BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20240123BHJP
A61K 39/39 20060101ALI20240123BHJP
A61K 31/7088 20060101ALI20240123BHJP
A61K 31/7125 20060101ALI20240123BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20240123BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240123BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20240123BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240123BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20240123BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240123BHJP
A61P 17/04 20060101ALI20240123BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20240123BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20240123BHJP
G01N 33/543 20060101ALI20240123BHJP
C12N 15/117 20100101ALN20240123BHJP
C12N 15/24 20060101ALN20240123BHJP
C12N 15/28 20060101ALN20240123BHJP
C12N 15/31 20060101ALN20240123BHJP
【FI】
A61K39/00 H
C12N15/62 Z
C07K19/00
C07K14/54
C07K14/525
C07K14/33
A61P43/00 121
A61P37/04
A61K48/00
A61K39/39
A61K31/7088
A61K31/7125
A61P37/02
A61P35/00
A61P37/08
A61P29/00
A61P11/00
A61P17/00
A61P17/04
A61P17/06
G01N33/53 N
G01N33/543 545A
C12N15/117 Z ZNA
C12N15/24
C12N15/28
C12N15/31
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023545831
(86)(22)【出願日】2022-01-29
(85)【翻訳文提出日】2023-09-25
(86)【国際出願番号】 EP2022052153
(87)【国際公開番号】W WO2022162204
(87)【国際公開日】2022-08-04
(32)【優先日】2021-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】508270727
【氏名又は名称】エランコ アニマル ヘルス ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Elanco Animal Health GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】イルグ,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ワイス,クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】フォイト,サブリナ
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA13
4C084MA02
4C084NA05
4C084ZA591
4C084ZA592
4C084ZA891
4C084ZA892
4C084ZB071
4C084ZB072
4C084ZB091
4C084ZB092
4C084ZB111
4C084ZB112
4C084ZB131
4C084ZB132
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZC551
4C084ZC552
4C084ZC611
4C084ZC612
4C084ZC751
4C085AA03
4C085AA38
4C085BB11
4C085BB17
4C085EE01
4C085EE03
4C085EE06
4C085FF14
4C085FF17
4C085FF24
4C085GG02
4C085GG03
4C085GG04
4C085GG05
4C085GG06
4C085GG08
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086NA05
4C086ZA59
4C086ZA89
4C086ZB07
4C086ZB09
4C086ZB11
4C086ZB13
4C086ZB26
4C086ZC55
4C086ZC61
4C086ZC75
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA41
4H045CA11
4H045CA40
4H045DA02
4H045DA83
4H045DA86
4H045EA31
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
本発明は、宿主の自己タンパク質に対する自己寛容を破壊するための、特に動物宿主における内因性サイトカインに対する自己寛容を破壊するためのワクチン組成物に関する。本発明のワクチン組成物は、ポリタンパク質、ポリタンパク質をコードするDNA及び/又はポリタンパク質をコードするRNA、並びに1又は複数の免疫賦活性オリゴヌクレオチドを含有する。ポリタンパク質は、宿主の少なくとも2つの自己タンパク質セグメントと、少なくとも2つの自己タンパク質セグメントの間及び/又はそれに隣接する非宿主起源の1又は複数のT細胞エピトープと、を含む。本発明は更に、掻痒状態及び/又はアレルギー状態の予防及び/又は治療を含む疾患の予防及び/又は治療のためのワクチン組成物の使用に関する。別の態様では、本発明は、本発明のワクチン組成物で生成され得る自己タンパク質に対する自己抗体の存在を検出する方法を提供する。
【選択図】
図39
【特許請求の範囲】
【請求項1】
宿主の自己タンパク質に対する自己寛容を破壊するためのワクチン組成物であって、前記ワクチン組成物は、前記ワクチン組成物が前記宿主に投与された場合、前記自己タンパク質に対する自己抗体を生じさせることができ、前記ワクチン組成物は、
a)ポリタンパク質、前記ポリタンパク質をコードするDNA及び/又は前記ポリタンパク質をコードするRNAであって、前記ポリタンパク質が、
-前記宿主の少なくとも2つの自己タンパク質セグメント;及び
-前記少なくとも2つの自己タンパク質セグメントの間及び/又はそれに隣接する非宿主起源の1又は複数のT細胞エピトープ
を含む、ポリタンパク質、前記ポリタンパク質をコードするDNA及び/又は前記ポリタンパク質をコードするRNAと、
b)1又は複数の免疫賦活性オリゴヌクレオチドと、
を含む、宿主の自己タンパク質に対する自己寛容を破壊するためのワクチン組成物。
【請求項2】
前記1又は複数のT細胞エピトープが、人工T細胞エピトープペプチド配列及び非自己タンパク質、特に病原性タンパク質に由来するT細胞エピトープペプチド配列からなる群から選択される、請求項1に記載のワクチン組成物。
【請求項3】
前記1又は複数のT細胞エピトープが、破傷風毒素T細胞エピトープ、特に、
(i)配列番号1、配列番号39又は配列番号2と少なくとも95%の配列同一性を含むか、
又は
(ii)配列番号1、配列番号39及び配列番号2からなる群から選択される、
破傷風毒素T細胞エピトープである、請求項1又は2に記載のワクチン組成物。
【請求項4】
前記ポリタンパク質が、少なくとも3つ、特に3つの自己タンパク質セグメントを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のワクチン組成物。
【請求項5】
前記自己タンパク質セグメントが、
(i)完全長自己タンパク質;又は
(ii)B細胞エピトープを含有する切断型自己タンパク質;又は
(iii)全長自己タンパク質に対して少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくとも90%の配列同一性、最も好ましくは少なくとも95%の配列同一性を有する自己タンパク質の誘導体
である、請求項1~4のいずれか一項に記載のワクチン組成物。
【請求項6】
前記少なくとも2つの自己タンパク質セグメントが、サイトカイン、特に、IL-31、IL-4、IL-5、IL-13、IL-33及びTNF-αタンパク質からなる群から選択されるサイトカインに由来する、請求項1~5のいずれか一項に記載のワクチン組成物。
【請求項7】
前記少なくとも2つの自己タンパク質セグメントが、IL-31タンパク質、特にイヌIL-31(配列番号3)、ネコIL-31(配列番号60)、ブタIL-31(配列番号68)、ニワトリIL-31、ウシIL-31、又はヒトIL-31(配列番号69)に由来する、請求項1~6のいずれか一項に記載のワクチン組成物。
【請求項8】
前記少なくとも2つの自己タンパク質セグメントが、IL-5タンパク質、特にイヌIL-5(配列番号41)、ネコIL-5(配列番号76)、ブタIL-5(配列番号77)、ニワトリIL-5(配列番号78又は79)、ウシIL-5(配列番号80)又はヒトIL-5(配列番号81)に由来する、請求項1~6のいずれか一項に記載のワクチン組成物。
【請求項9】
前記少なくとも2つの自己タンパク質セグメントが、IL-4タンパク質、特にイヌIL-4(配列番号56)、ネコIL-4(配列番号70)、ブタIL-4(配列番号71)、ニワトリIL-4(配列番号72)、ウシIL-4(配列番号73)又はヒトIL-4(配列番号74又は75)に由来する、請求項1~6のいずれか一項に記載のワクチン組成物。
【請求項10】
前記少なくとも2つの自己タンパク質セグメントが、IL-13タンパク質、特にイヌIL-13(配列番号46)、ネコIL-13(配列番号82)、ブタIL-13(配列番号83)、ニワトリIL-13(配列番号84)、ウシIL-13(配列番号85)又はヒトIL-13(配列番号86)に由来する、請求項1~6のいずれか一項に記載のワクチン組成物。
【請求項11】
前記少なくとも2つの自己タンパク質セグメントが、IL-33タンパク質、特にイヌIL-33(配列番号50又は51)、ネコIL-33(配列番号87、88、89又は90)、ブタIL-33(配列番号91、92、93又は94)、ウシIL-33(配列番号95又は96)又はヒトIL-33(配列番号97、98、99又は100)に由来する、請求項1~6のいずれか一項に記載のワクチン組成物。
【請求項12】
前記ポリタンパク質が、
(i)配列番号4、40、42、43、47、54、57、61又は65との少なくとも85%の配列同一性;
あるいは
(ii)配列番号4、40、42、43、47、54、57、61又は65の配列
を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載のワクチン組成物。
【請求項13】
前記ポリタンパク質が、
(i)配列番号4又は配列番号40との少なくとも85%の配列同一性;
あるいは
(ii)配列番号4又は配列番号40の配列
を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載のワクチン組成物。
【請求項14】
前記1又は複数の免疫賦活性オリゴヌクレオチドが、Aクラス、Bクラス及びCクラスの免疫賦活性オリゴヌクレオチド並びにそれらの混合物からなる群から選択され、
好ましくは、前記1又は複数の免疫賦活性オリゴヌクレオチドが、Bクラスの免疫賦活性オリゴヌクレオチドからなる群から選択される、請求項1~12のいずれか一項に記載のワクチン組成物。
【請求項15】
前記1又は複数の免疫賦活性オリゴヌクレオチドの少なくとも1つ又はそれぞれが、
(i)配列番号5又は配列番号6と少なくとも75%の配列同一性を含むか、又は
(ii)配列番号5及び配列番号6からなる群から選択される、請求項1~13のいずれか一項に記載のワクチン組成物。
【請求項16】
前記1又は複数の免疫賦活性オリゴヌクレオチド中の少なくともいくつかのホスホジエステル部分が、ヌクレアーゼ耐性を増大させるために化学修飾されており、特にホスホロチオエート部分によって置き換えられている、請求項1~14のいずれか一項に記載のワクチン組成物。
【請求項17】
デポー効果を付与するアジュバントを更に含む、請求項1~15のいずれか一項に記載のワクチン組成物。
【請求項18】
宿主の自己タンパク質に対する自己寛容を破壊するためにワクチン組成物において使用するための、ポリタンパク質、前記ポリタンパク質をコードするDNA及び/又は前記ポリタンパク質をコードするRNAであって、
前記ポリタンパク質が、前記宿主の少なくとも2つの自己タンパク質セグメントと、前記少なくとも2つの自己タンパク質セグメントの間及び/又は前記少なくとも2つの自己タンパク質セグメントに隣接する非宿主起源の1つ又は複数のT細胞エピトープとを含む、ポリタンパク質、前記ポリタンパク質をコードするDNA及び/又は前記ポリタンパク質をコードするRNA。
【請求項19】
宿主の自己タンパク質に対する自己寛容を破壊するためのポリタンパク質の使用であって、
前記自己寛容は、前記ポリタンパク質が前記宿主に投与されたときに自己抗体の産生によって破壊され、
前記ポリタンパク質は、少なくとも2つの自己タンパク質セグメントと、前記少なくとも2つの自己タンパク質セグメントの間及び/又はそれに隣接する非宿主起源の1つ又は複数のT細胞エピトープと、を含む、宿主の自己タンパク質に対する自己寛容を破壊するためのポリタンパク質の使用。
【請求項20】
対象の疾患を予防又は治療する方法に使用するための、請求項1~17のいずれか一項に記載のワクチン組成物又は請求項18に記載のポリタンパク質であって、
前記方法が、前記ワクチン組成物又は前記ポリタンパク質を前記対象に投与する工程を含む、対象の疾患を予防又は治療する方法に使用するための、請求項1~17のいずれか一項に記載のワクチン組成物又は請求項18に記載のポリタンパク質。
【請求項21】
前記対象が、ヒト及び非ヒト動物を含む哺乳動物である、請求項20に記載の使用のためのワクチン組成物又はポリタンパク質。
【請求項22】
前記対象が、ウシ、家禽、ブタ、並びにネコ及びイヌ等のコンパニオンアニマルからなる群から選択される動物である、請求項21に記載の使用のためのワクチン組成物又はポリタンパク質。
【請求項23】
前記疾患が、
-自己免疫疾患、AIDS及び癌からなる群から選択される慢性疾患;又は
-特にアトピー性皮膚炎、湿疹、乾癬、強皮症及び掻痒症からなる群から選択される掻痒状態;又は
-特にアレルギー性皮膚炎、夏季湿疹、蕁麻疹、ウマの肺気腫、炎症性気道疾患、再発性気道閉塞、気道過敏反応、慢性閉塞性肺疾患及び自己免疫に起因する炎症過程からなる群から選択されるアレルギー状態
であり、
好ましくは、前記疾患が掻痒状態又はアレルギー状態、特にアトピー性皮膚炎である、請求項20~22のいずれか一項に記載の使用のためのワクチン組成物又はポリタンパク質。
【請求項24】
自己抗体、特に請求項1~17のいずれか一項に記載のワクチン組成物に含まれるポリタンパク質に対して得られた自己抗体を検出するための酵素結合免疫吸着測定方法であって、前記方法が、
a)試験表面に抗原を吸着させる工程と、
b)前記試験表面上の遊離結合部位をブロックする工程と、
c)前記抗原でコーティングされ、ブロックされた試験表面を、前記抗原に対する標識抗体及び前記抗原に対する試験対象の自己抗体を含む混合物とインキュベートする工程と、
d)前記標識抗体の結合を検出する工程と、
を含む、酵素結合免疫吸着測定方法。
【請求項25】
前記抗原が、請求項18に記載のポリタンパク質若しくは請求項1~13のいずれか一項に記載のポリタンパク質、又はそれらの単一タンパク質セグメント若しくはエピトープ担持ペプチドを含むか、又はそれらである、請求項24に記載の酵素結合免疫吸着測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、哺乳動物宿主において、宿主の自己タンパク質に対する自己寛容を破壊するための、特に、IL-4、IL-5、IL-13、IL-31、IL-33及びTNF-αタンパク質に由来するサイトカインを含む内因性サイトカイン、特に内因性IL-31タンパク質に対する自己寛容を破壊するためのワクチン組成物に関する。本発明は更に、掻痒状態及び/又はアレルギー状態の予防及び/又は治療を含む疾患の予防及び/又は治療のためのワクチン組成物の使用に関する。本発明は更に、自己タンパク質に由来し、ワクチン組成物中の免疫原として使用されるポリタンパク質に関する。別の態様では、本発明は、本発明のワクチン組成物で生成され得る自己タンパク質に対する自己抗体の存在を検出する方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
ワクチンは、感染症の予防及び/又は治療にとって最も重要である。しかしながら、ワクチン技術はまた、アレルギー、自己免疫疾患及び癌等の非感染性、しばしば慢性疾患の予防及び/又は治療のためにますます重要になっている。これらの疾患の標的は、一般に外来分子ではなく、自己タンパク質又は他の自己抗原である。免疫系は全ての自己タンパク質及び自己抗原に対する耐性を保証するように進化しているため、自己タンパク質に対してワクチン接種することは非常に困難である。本発明の基礎となる研究は、自己寛容を回避又は破壊する方法を見出すことを目的とした。
【0003】
自己反応性B細胞は、循環中に低レベルで存在し得るが、主にT細胞の助けがないため、増殖しないか、又はいかなる害も引き起こさない。対照的に、発生する自己反応性T細胞はいずれも、胸腺においてクローン欠失又は末梢においてアネルギー化される。しかしながら、自己抗原が外来(非自己)タンパク質又はその一部に共有結合している場合、すなわち自己及び非自己タンパク質又はタンパク質部分を含む融合タンパク質が提供される場合、非自己タンパク質(部分)に特異的なT細胞が動員され、活性化されることが知られている。
【0004】
並行して、自己反応性B細胞は、自己及び非自己のタンパク質/タンパク質部分を含有する融合タンパク質を選択的に取り込み、したがってMHCクラスII分子上に自己及び外来ペプチドの両方を提示し得る。次いで、自己反応性B細胞によって提示された非自己ペプチドは、自己反応性B細胞を刺激して自己タンパク質/自己抗原に対する免疫応答を拡大及び開始させる活性化T細胞によって認識される。免疫応答が十分に強い場合、これらの自己産生抗体は標的自己タンパク質のレベルを低下させる能力を有する。疾患の原因であるか又は疾患に寄与する自己タンパク質が標的として選択される場合、インビボで生成された自己抗体は、標的自己タンパク質を中和することによって治療用抗体として作用することができる。しかしながら、このような強固な免疫応答を得ることは困難である。
【0005】
アレルギー、自己免疫、癌及びAIDSを含む様々な病状において、サイトカインの異常な放出が病因及び/又は疾患進行に寄与する。
【0006】
例えば、アトピー性皮膚炎は、インターロイキン(IL)-4、IL-5、IL-13及びIL-31を含む2型サイトカインの強い発現、並びに他のサイトカイン、特にIL-22及びIL-33だけでなくIL-17、IL-9及びIFN-γの可変的な活性化を伴う、異常且つ過剰なTh2細胞及びILC2活性化を特徴とする頻繁なアレルギー性皮膚障害である(Moyle et al.(2019)Experimental Dermatology,28:756-768;Renert-Yuval&Guttman-Yassky(2019)Dermatol Clin 37:205-213)。アトピー性皮膚炎は、ヒトだけでなく、動物、特にイヌにおいても頻繁な障害である。実際、アトピー性皮膚炎はイヌにおいて最も一般的なアレルギーであり、イヌ集団の約10%が罹患しており、欧州及び米国だけで1500万~2000万匹のイヌがこの疾患に罹患している(Griffin,et al.(2001),”The ACVD task force on canine atopic dermatitis(XIV):clinical manifestations of canine atopic dermatitis”,Veterinary immunology and immunopathology,81(3-4),255-269)。このアレルギー性皮膚疾患によって引き起こされるかゆみ又は掻痒は、通常、再発性又は慢性である。それは、イヌ及びその所有者の両方の生活の質に深く影響する。
【0007】
特に、内因性起痒物質であるインターロイキン-31(IL-31)は、アトピー性かゆみにおいて重要な役割を果たすようである。IL-31は、ヒト及びイヌのアトピー性皮膚炎における掻痒症の重要な調節因子であると思われるので(Sonkoly et al.,“IL-31:a new link between T cells and pruritus in atopic skin inflammation”,Journal of Allergy and Clinical Immunology 117.2(2006):411-417;Furue et al.,“Emerging role of interleukin-31 and interleukin-31 receptor in pruritus in atopic dermatitis”,Allergy 73.1(2018):29-36;Gonzales et al.,“Interleukin-31:its role in canine pruritus and naturally occurring canine atopic dermatitis.”Veterinary dermatology 24.1(2013):48-e12)、IL-31自体及びその受容体結合は、アトピー性皮膚炎の状況においてかゆみを薬理学的に介入するための主要な焦点であった。
【0008】
喘息は、2型だけでなく1型の両方のサイトカインの異常な放出に関連する病態生理を伴う別の非常に広まっている状態である。喘息関連治療研究の主な標的には、IL-4、IL-5、及びIL-13、並びにIL-33が含まれる。
【0009】
異常なサイトカイン産生に関連する状態を治療するために、様々な戦略が追求されてきた。例えば、アトピー性皮膚炎では、戦略の1つは、例えばキナーゼ阻害剤を使用して下流シグナル伝達を阻害することに焦点を当てている。しかしながら、この戦略は、阻害剤をヒト又は動物の患者に短い時間間隔で繰り返し与えなければならないという欠点を有する。広く使用されている別の戦略は、循環リガンドレベルを低下させるために、及び/又はそうでなければそれらの受容体結合、したがって生物学的活性を阻害するために、目的の特定のサイトカインに対する中和モノクローナル抗体を開発することである。アトピー性皮膚炎では、例えば、抗4、抗5、抗13、抗17A、抗17C、抗22、抗31、及び抗33抗体が、この状態を予防及び/又は治療するために開発されている(Moyle et al.(2019)Experimental Dermatology,28:756-768;Renert-Yuval&Guttman-Yassky(2019)Dermatol Clin 37:205-213)。しかしながら、この戦略は、細胞培養における高価な抗体産生手順及び短い間隔で抗体処理を繰り返す必要性に起因して、高い産生コストという欠点を有する。この戦略の別の欠点は、典型的にはモノクローナル治療用抗体に対する進行性免疫が患者において起こり、その結果、長期的には治療用抗体治療がもはや有効ではないことである。
【0010】
Bachmann et al.2018は、キュウリモザイクウイルスに由来し、ユニバーサルT細胞エピトープを含有するウイルス様粒子(VLP)に化学的に結合した天然の完全長IL-31を含有するワクチンを投与することによって、サイトカインIL-31に対するワクチン接種を試みた(Bachmann et al.,”Vaccination against IL-31 for the treatment of atopic dermatitis in dogs”,Journal of Allergy and Clinical Immunology 142.1(2018):279-281)。天然IL-31のVLPへの化学的カップリングは、IL-31及びVLPコートタンパク質を誘導体化することによって達成された。IL-31をN-スクシンイミジルS-アセチルチオアセテートで誘導体化した後、脱アセチル化して反応性SH基をIL-31に導入した。SH反応性化学部分を導入するために、VLPコートタンパク質をスクシンイミジル-6-((ベータ-マレイミドプロピオンアミド)ヘキサノエート)で誘導体化した。IL-31及びVLPの誘導体化調製物を互いに反応させ、精製した。しかしながら、この戦略は、IL-31-VLPコンジュゲートの産生が非常に複雑且つ高価であり、精製されたVLP及びIL-31、誘導体化及び化学的カップリングのための複数の化学的工程及びその後の精製を必要とするという欠点を有する。更に、この製造方法では、明確な化学的生成物が得られない。得られたIL-31-VLPコンジュゲートはまた、生分解性が問題となり得る非天然成分及び化学結合を含有する。
【0011】
本発明の基礎となる研究の目的は、免疫応答、特に有害なサイトカインに対する免疫応答を刺激することができる治療ワクチンの形態のヒト及び獣医学医薬品を提供することであった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Moyle et al.(2019)Experimental Dermatology,28:756-768;Renert-Yuval & Guttman-Yassky(2019)Dermatol Clin 37:205-213
【非特許文献2】Griffin,et al.(2001),“The ACVD task force on canine atopic dermatitis(XIV):clinical manifestations of canine atopic dermatitis”,Veterinary immunology and immunopathology,81(3-4),255-269
【非特許文献3】Sonkoly et al.,“IL-31:a new link between T cells and pruritus in atopic skin inflammation”,Journal of Allergy and Clinical Immunology 117.2(2006):411-417
【非特許文献4】Furue et al.,“Emerging role of interleukin‐31 and interleukin-31 receptor in pruritus in atopic dermatitis”,Allergy 73.1(2018):29-36
【非特許文献5】Gonzales et al.,“Interleukin-31:its role in canine pruritus and naturally occurring canine atopic dermatitis.”Veterinary dermatology 24.1(2013):48-e12
【非特許文献6】Bachmann et al.,“Vaccination against IL-31 for the treatment of atopic dermatitis in dogs”,Journal of Allergy and Clinical Immunology 142.1(2018):279-281
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
前述の背景に対して、本発明の目的は、当技術分野で公知の手段と比較して、疾患を引き起こす又は疾患に寄与する標的自己タンパク質の機能を阻害又は摂動するための有効な薬理学的手段を提供することである。本発明の目的はまた、宿主において標的自己タンパク質に対する長期持続効果を誘導する薬理学的手段を提供することであり、その結果、薬理学的手段は、長い時間間隔、好ましくは週の範囲、最も好ましくは月の範囲の後にのみ再投与される必要がある。本発明の更なる目的は、経済的に製造することができ、それらの成分において化学的に十分に定義される薬理学的手段を提供することである。
【0014】
上記の目的に関連して、本発明の別の目的は、疾患に関与するか又は疾患を引き起こす標的自己タンパク質の機能を阻害又は摂動する本発明の薬理学的手段の効果を調査するための単純で効果的な方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
これらの目的は、請求項1に記載のワクチン組成物、請求項18に記載のポリタンパク質、請求項19及び20に記載の使用、並びに請求項24に記載の方法によって達成される。
【0016】
本発明は、宿主の自己タンパク質に対する自己寛容を破壊するためのワクチン組成物における使用のための、ポリタンパク質、このポリタンパク質をコードするDNA及び/又はこのポリタンパク質をコードするRNAを提供し、ここで、ポリタンパク質は、少なくとも2つの自己タンパク質セグメントと、少なくとも2つの自己タンパク質セグメントの間及び/又は少なくとも2つの自己タンパク質セグメントに隣接する非宿主起源の1又は複数のT細胞エピトープと、を含む。
【0017】
本発明の基礎となる研究は、驚くべきことに、自己タンパク質セグメントと、これらの自己タンパク質セグメントの間及び/又はそれと隣接する非宿主T細胞エピトープとを含むポリタンパク質が、ポリタンパク質の自己タンパク質セグメントに対する宿主の自己寛容を破壊又は回避することができることを見出した。本発明のポリタンパク質の設計は、免疫学的利点を有するだけでなく、ポリタンパク質中の自己タンパク質セグメントがそれらの正常な生物学的機能及び/又は疾患を引き起こす機能を発揮することによって引き起こされる有意な悪影響を生じることなく、本発明のポリタンパク質の大量の投与、特に皮下投与も可能にする。これにより、本発明によるポリタンパク質は、ワクチン組成物に特に適した抗原となる。
【0018】
本発明のワクチン組成物は、本発明によるポリタンパク質、ポリタンパク質をコードするDNA及び/又はポリタンパク質をコードするRNAを含む。より正確には、本発明は、宿主の自己タンパク質に対する自己寛容を破壊するためのワクチン組成物であって、ワクチン組成物が宿主に投与された場合に当該自己タンパク質に対する自己抗体を生じさせることができるワクチン組成物を提供する。本発明のワクチン組成物は、
a)ポリタンパク質、ポリタンパク質をコードするDNA及び/又はポリタンパク質をコードするRNAであって、ポリタンパク質が、
-宿主の少なくとも2つの自己タンパク質セグメント;及び
-少なくとも2つの自己タンパク質セグメントの間及び/又はそれに隣接する非宿主起源の1つ又は複数のT細胞エピトープ
を含む、ポリタンパク質、ポリタンパク質をコードするDNA及び/又はポリタンパク質をコードするRNAと、
b)1つ以上の免疫賦活性オリゴヌクレオチドと、
を含む。
【0019】
本発明者らは、驚くべきことに、アジュバントとしての1又は複数の免疫賦活性オリゴヌクレオチドと組み合わせて、自己タンパク質セグメントと、自己タンパク質セグメントの間及び/又は自己タンパク質セグメントに隣接する非宿主T細胞エピトープとを含有するポリタンパク質を含むワクチンが、ワクチン組成物が投与される宿主中のポリタンパク質の自己タンパク質セグメントに対する強力な免疫応答を誘導することができることを見出した。宿主におけるこの強力な免疫応答には、ポリタンパク質の自己タンパク質セグメントに対する自己抗体の産生が含まれる。本発明者らの実験は、本発明によるワクチン組成物によるワクチン接種後に産生された自己抗体が、自己タンパク質セグメントが由来する天然自己タンパク質にも結合することを示した。本発明者らは更に、産生された自己抗体が数週間にわたって宿主の循環系に存在し、結合した自己タンパク質の機能を乱すか又は中和することさえできることを観察した。したがって、本発明によるワクチン組成物は、インビボでの長期持続性の治療的自己抗体応答の誘導を可能にする。
【0020】
本発明はまた、宿主の自己タンパク質に対する自己寛容を破壊するためのポリタンパク質の使用に関し、自己寛容は、ポリタンパク質が宿主に投与されたときに自己抗体の産生によって破壊され、ポリタンパク質は、少なくとも2つの自己タンパク質セグメントと、少なくとも2つの自己タンパク質セグメントの間及び/又はそれに隣接する非宿主起源の1つ又は複数のT細胞エピトープとを含む。この使用は、予防的及び治療的な医療用途に特に関連する。
【0021】
更に、本発明は、対象の疾患を予防又は治療する方法に使用するための本発明によるワクチン組成物に関し、方法は、ワクチンを対象に投与する工程を含む。
【0022】
最後に、本発明は、中和自己抗体を検出するための酵素結合免疫吸着測定であって、
a)試験表面への抗原の吸着の工程と、
b)試験表面上の遊離結合部位の遮断の工程と、
c)抗原でコーティングされ、ブロックされた試験表面を、抗原に対する標識中和抗体及び抗原に対する試験される中和自己抗体を含む混合物のインキュベートの工程と、
d)標識中和抗体の結合の検出の工程と、
を含む、中和自己抗体を検出するための酵素結合免疫吸着測定に関する。
【0023】
本発明によるアッセイは、特に本発明によるワクチン組成物による宿主のワクチン接種後に、目的の抗原に対する中和自己抗体の存在を堅牢で明確な様式で決定することを可能にする。
【発明を実施するための形態】
【0024】
ポリタンパク質
本発明のポリタンパク質、ポリタンパク質をコードするDNA又はポリタンパク質をコードするRNAは、例えば本発明のワクチン組成物において、宿主に投与された場合に当該宿主の自己タンパク質に対する自己寛容を破壊するように設計される。ポリタンパク質は、宿主の少なくとも2つの自己タンパク質セグメントと、宿主の少なくとも2つの自己タンパク質セグメントの間及び/又はそれに隣接する非宿主起源の1又は複数のT細胞エピトープと、を含む。
【0025】
宿主の自己タンパク質に対する自己寛容の遮断は、宿主の自己タンパク質に対する自己抗体、好ましくは中和自己抗体の産生を含む免疫応答を宿主において誘発することを意味する。したがって、「宿主の自己タンパク質に対する自己寛容を破壊すること」は、「宿主の自己タンパク質に対する自己抗体、好ましくは中和自己抗体の産生を誘発すること」を意味する。本明細書で使用される「自己抗体」という用語は、この宿主の自己タンパク質に結合する宿主によって産生される抗体を指す。「中和自己抗体」は、それが結合する宿主の自己タンパク質の生物学的機能を乱し、好ましくは完全に阻害する。一例として、IL-31に対する中和自己抗体は、宿主におけるIL-31の生物学的機能を乱し、好ましくは実質的に完全に阻害する。特に、IL-31に対する中和自己抗体は、掻痒の誘発及び発症におけるIL-31の役割を乱し、好ましくは完全に阻害する。
【0026】
本発明のポリタンパク質は、2つの重要な構造要素:宿主の自己タンパク質セグメント及び非宿主起源のT細胞エピトープを含む。
【0027】
本発明のポリタンパク質は、少なくとも2つの自己タンパク質セグメント、好ましくは少なくとも3つの自己タンパク質セグメントを含む。最も好ましくは、本発明によるポリタンパク質は、3つの自己タンパク質セグメントを含む。本発明者らの実験は、宿主に投与した場合、少なくとも3つの自己タンパク質セグメントを含有するポリタンパク質が、ポリタンパク質の自己タンパク質セグメントに対する、したがってまたポリタンパク質の自己タンパク質セグメントが由来する宿主の天然自己タンパク質に対する自己抗体の産生を宿主において誘発することにおいて非常に強力であることを示した。
【0028】
本発明のポリタンパク質に含まれる自己タンパク質セグメントは、同じであっても異なっていてもよい。特に、自己タンパク質セグメントは、長さ及び/又はアミノ酸配列が異なり得る。少なくとも2つの自己タンパク質セグメントは、同じ自己タンパク質に由来する。ポリタンパク質の少なくとも2つの自己タンパク質セグメントを構成するために同じ自己タンパク質セグメントを使用した場合、良好な結果が達成された。これらの場合、ポリタンパク質は、宿主に投与されると、1つのタイプの自己タンパク質又は更には1つのタイプの自己タンパク質セグメントに対する自己抗体の産生に焦点を合わせた宿主における免疫応答を誘導し、その両方が、タンパク質セグメントが由来する宿主の天然自己タンパク質に対する自己免疫応答をもたらす。
【0029】
本発明によるポリタンパク質の自己タンパク質セグメントは、少なくとも1つのB細胞エピトープを含む。本明細書で使用されるB細胞エピトープという用語は、自己抗体が結合する自己タンパク質セグメントの線状又は立体配座の割合を意味する。
【0030】
本明細書で使用される「セグメント」は、区別可能で別個のタンパク質実体又はドメインを意味する。したがって、宿主の単一の連続した自己タンパク質配列は、自己タンパク質配列内で、セグメントが介在配列(例えば、T細胞エピトープ)によって分離されている場合にのみ、本発明による少なくとも2つの自己タンパク質セグメントを構成するとみなすことができる。複数の同じタンパク質セグメント又は異なるタンパク質セグメントを、介在配列が存在することなく互いに直接融合することもできる。好ましくは、介在配列は、非宿主起源の1又は複数のT細胞エピトープを含むか、又はそれからなる。
【0031】
宿主の自己タンパク質セグメントは、
(i)完全長自己タンパク質;又は
(ii)B細胞エピトープを含有する切断型自己タンパク質;又は
(iii)全長自己タンパク質に対して少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくとも90%の配列同一性、最も好ましくは少なくとも95%の配列同一性を有する自己タンパク質の誘導体
であり得る。
【0032】
本発明によるポリタンパク質に含まれる自己タンパク質セグメントは全て、同じ自己タンパク質セグメントタイプ又は異なる自己タンパク質セグメントタイプであってもよく、自己タンパク質セグメントタイプは、
(i)完全長自己タンパク質;又は
(ii)B細胞エピトープを含有する切断型自己タンパク質;又は
(iii)自己タンパク質に対して少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくとも90%の配列同一性、最も好ましくは少なくとも95%の配列同一性を有する自己タンパク質の誘導体
を含む。
【0033】
好ましくは、本発明によるポリタンパク質の自己タンパク質セグメントは、完全長自己タンパク質、好ましくは同じ完全長自己タンパク質、例えばIL-4、IL-5、IL-13、IL-31、IL-33又はTNF-αの複数コピーである。完全長形態が成熟形態とは異なる自己タンパク質の場合、本発明の目的のための「完全長」という用語は、当該自己タンパク質の完全長成熟形態を指す。
【0034】
より好ましくは、本発明によるポリタンパク質は、3つの自己タンパク質セグメントを含み、自己タンパク質セグメントは全て完全長自己タンパク質である。本発明によるポリタンパク質における完全長自己タンパク質の使用(選択肢(i))は、個々の自己タンパク質セグメントが原則としてそれらの天然の折畳みを適合させることができるという利点を有する。このため、自己タンパク質セグメントは、宿主の自己タンパク質セグメントが由来する天然自己タンパク質と同じ線状エピトープだけでなく、同じコンフォメーションB細胞エピトープも提供する。これにより、本発明によるポリタンパク質中のこのタイプの自己タンパク質セグメントは、標的自己タンパク質に対する宿主の自己寛容を破壊するのに特に有効になる。
【0035】
本発明によるポリタンパク質に含まれる(1又は複数の)自己タンパク質セグメントは、切断型自己タンパク質であってもよい。この場合、切断は、残りのタンパク質セグメントが依然として少なくとも1つの機能性B細胞エピトープを含有するように行われなければならない。本発明によるポリタンパク質におけるB細胞エピトープを含有する切断型自己タンパク質の使用(選択肢(ii))は、自己タンパク質セグメントのサイズを縮小して、(1又は複数の)関連するB細胞エピトープを主に含有することができるという利点を有する。このようにして、本発明によるポリタンパク質はサイズを小さくすることができ、これはクローン性及び送達を助けることができ、及び/又はポリタンパク質の特定のサイズ制限を超えずに、本発明によるポリタンパク質に更に多くの自己タンパク質セグメントを付加することが可能になる。
【0036】
本発明によるポリタンパク質に含まれる(1又は複数の)自己タンパク質セグメントは、全長自己タンパク質に対して少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくとも90%の配列同一性、最も好ましくは少なくとも95%の配列同一性を有する自己タンパク質の誘導体であり得る。更により好ましくは、自己タンパク質の誘導体は、全長自己タンパク質に対して96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有する。本発明による自己タンパク質セグメントは、同時に、本発明による切断型自己タンパク質及び自己タンパク質の誘導体の定義を満たすことができる。
【0037】
好ましくは、本発明によるポリタンパク質は、全長自己タンパク質に対して少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくとも90%の配列同一性、最も好ましくは少なくとも95%、97%、98%又は99%の配列同一性を有する自己タンパク質及び/又は自己タンパク質の誘導体のみを含有する。より好ましくは、本発明によるポリタンパク質は、3つの自己タンパク質セグメントを含有し、自己タンパク質セグメントは、全長自己タンパク質及び/又は全長自己タンパク質に対して少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくとも90%の配列同一性、最も好ましくは少なくとも95%、97%、98%又は99%の配列同一性を有する自己タンパク質の誘導体である。本発明によるポリタンパク質における誘導体自己タンパク質の使用(選択肢(iii))は、複数の理由で有利であり得、例えば、本発明によるより安定な又はより可溶性のポリタンパク質の発現を可能にし得る。これらの誘導体自己タンパク質の損なわれた又は完全に阻害された生物学的機能をもたらす突然変異を有する、本発明によるポリタンパク質中の誘導体自己タンパク質を使用することも有利である。これに関して、受容体関与及び/又はシグナル伝達能の喪失につながる突然変異を有する自己タンパク質を使用することが特に考えられる。そのような誘導体自己タンパク質は、例えば、受容体結合に重要な残基の部位特異的突然変異誘発によって得ることができる。
【0038】
一実施形態では、本発明によるポリタンパク質の少なくとも2つの自己タンパク質セグメントは、サイトカインに由来する。本明細書で定義されるサイトカインは、当技術分野におけるその通常の意味を有する。サイトカインは、例えば、構造によってファミリー、例えば、IL-1ファミリー、造血因子スーパーファミリー、インターフェロン及び腫瘍壊死因子ファミリーに分類することができる。IL-1ファミリーの場合、このファミリーのほとんどのメンバーは、切断されて(アミノ末端ペプチドを除去して)成熟サイトカインを産生する不活性プロタンパク質として産生されることが知られている。そのような場合、全長タンパク質は、当該自己タンパク質の成熟形態を指す。この規則の例外はIL-1-アルファであり、プロタンパク質とその切断型の両方が生物学的に活性である。サイトカインの造血系スーパーファミリーには、エリスロポエチン及び成長ホルモン等の非免疫系成長及び分化因子、並びに先天性免疫及び適応免疫における役割を有するインターロイキンが含まれる。活性化T細胞によって作られる可溶性サイトカインの多くは、造血因子ファミリーのメンバーである。TNF-αがプロトタイプであるTNFファミリーは、適応免疫及び自然免疫において重要な機能を有する17を超えるサイトカインを含む。サイトカインには、コロニー刺激因子も含まれる。
【0039】
一実施形態では、本発明によるポリタンパク質の少なくとも2つの自己タンパク質セグメントは、インターロイキンファミリーメンバー、腫瘍壊死因子ファミリーメンバー、インターフェロンファミリーメンバー及び/又はコロニー刺激因子ファミリーメンバーからなる群から選択されるサイトカインに由来する。インターロイキンファミリーメンバーの例は、IL-1-alpha、IL-1-beta、IL-1RA、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-13、IL-14、IL-15、IL-16、IL-17A-F、IL-18、IL-19、IL-20、IL-21、IL-22、IL-23、IL-24、IL-25、IL-26、IL-27、IL-28A,B、IL-29、IL-30、IL-31、IL-32、IL-33、IL-34、IL-35、IL-36-alpha、beta、若しくはgamma、IL-36Ra、IL-37、IL-38、IL-39、IL-40、IL-41、及びIL-42、TSLP、白血病抑制因子及びオンコスタチンからなる群から選択されるインターロイキン、又はそのファミリーメンバーである。TNFファミリーメンバー自己タンパク質の例は、TNF-α、リンホトキシン(LT)-α、LT-β、CD40リガンド、Fasリガンド、APRIL、LIGHT、TWEAK及びBAFFからなる群から選択されるタンパク質である。IFNファミリーメンバー自己タンパク質の例は、IFN-α、IFN-β及びIFN-γからなる群から選択されるタンパク質である。コロニー刺激因子サイトカインの例は、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)及び顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)である。好ましくは、自己タンパク質セグメントは、単量体、ホモ二量体、ホモ三量体又はホモ四量体である自己タンパク質、特にサイトカインに由来する。好ましい実施形態では、本発明によるポリタンパク質は、少なくとも2つ、特に2つ又は3つの自己タンパク質セグメントを含み、ここで自己タンパク質セグメントは、IL-1-alpha、IL-1-beta、IL-1RA、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-13、IL-14、IL-15、IL-16、IL-17A-F、IL-18、IL-19、IL-20、IL-21、IL-22、IL-24、IL-25、IL-26、IL-28A,B、IL-29、IL-30、IL-31、IL-32、IL-33、IL-34、IL-36-alpha、beta、若しくはgamma、IL-36Ra、IL-37、IL-38、IL-40、IL-41及びIL-42、TSLP、白血病阻害因子、オノコスタチン、TNF-α、IFN-α、IFN-β、及びIFN-γ、G-CSF及びGM-CSFからなる群から選択されるサイトカインに由来する。
【0040】
特に好ましい実施形態では、本発明によるポリタンパク質の少なくとも2つ、より好ましくは少なくとも3つの自己タンパク質セグメントは、IL-4、IL-5、IL-13、IL-31、IL-33又はTNF-α、特にイヌIL-4、イヌIL-5、イヌIL-13、イヌIL-31、イヌIL-33又はイヌTNF-αに由来する。好ましくは、本発明によるポリタンパク質は、3つの同じ自己タンパク質セグメントを含み、これらは全て、IL-4、IL-5、IL-13、IL-31、IL-33及びTNF-αからなる群から、特にイヌIL-4、IL-5、IL-13、IL-31、IL-33及びTNF-α(この場合、宿主はイヌ種である)からなる群から選択される同じ自己タンパク質に由来する。
【0041】
別の特に好ましい実施形態では、本発明によるポリタンパク質の少なくとも2つの自己タンパク質セグメントは、IL-31、特にイヌIL-31に由来する。したがって、好ましくは、自己タンパク質はIL-31、特にイヌIL-31であり、この場合、宿主はイヌ種である。
【0042】
(イヌ)自己タンパク質(例えば、IL-4、IL-5、IL-13、IL-31、IL-33又はTNF-α)に関連する「由来する」という用語は、自己タンパク質セグメントが、(i)それぞれの全長(イヌ)タンパク質、(ii)B細胞エピトープを含有する切断型(イヌ)形態のタンパク質、又は(iii)それぞれの全長(イヌ)自己タンパク質と少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性を有する(イヌ)タンパク質の誘導体から選択されることを意味する。
【0043】
本発明者らの実験は、IL-31に由来する自己タンパク質セグメント、特にイヌIL-31に由来するタンパク質セグメントを有する本発明によるポリタンパク質をイヌ宿主に投与することによって、(イヌ)IL-31タンパク質に対する自己抗体を効率的に生じさせることができることを示した。本発明によるこのポリタンパク質は、(イヌ)IL-31に対する自己寛容を特に効率的に破壊することができることが実証された。
【0044】
これは、特に、イヌIL-4、イヌIL-5、イヌIL-13、及びイヌIL-33に由来し、イヌ宿主に投与される自己タンパク質セグメント、並びにネコIL-31に由来し、ネコ宿主に投与される自己タンパク質セグメント、並びにウシTNF-α-ポリタンパク質に由来し、ウサギ宿主に投与される自己タンパク質セグメントと共に、本発明によるポリタンパク質を投与することによって、多数の他の自己タンパク質に由来する自己タンパク質セグメントで示された。それぞれの(イヌ/ネコ/ウシ)ILタンパク質に対する抗体が効率的に産生され、それに対する自己寛容が中和抗体産生の形態で効率的に破壊された。したがって、本発明は、本明細書に提示される例に決して限定されないが、種内及び種間の両方で他の自己タンパク質を容易に包含する。
【0045】
アミノ酸配列に関連して本明細書で使用される場合、「パーセント配列同一性」等の用語は、2つ以上のアミノ酸配列間の配列関係を説明するために使用され、a)参照配列、b)比較ウィンドウ、c)配列同一性及びd)配列同一性のパーセンテージを含む用語の文脈で、及びそれと組み合わせて理解される。
【0046】
d)「パーセント同一性」は、2つの最適にアラインメントされた配列を比較ウィンドウにわたって比較することによって決定される値を意味し、比較ウィンドウ内のアミノ酸配列の部分は、2つの配列の最適なアラインメントのために、参照配列(付加、置換又は欠失を含まない)と比較して付加、置換又は欠失(すなわち、ギャップ)を含み得る。パーセンテージは、両方の配列において同一のアミノ酸が生じる位置の数を決定してマッチした位置の数を得、マッチした位置の数を比較ウィンドウ内の位置の総数で除算し、結果に100を掛けて配列同一性のパーセンテージを得ることによって計算される。
【0047】
本発明によるポリタンパク質は、第2の構造成分として、非宿主起源の1又は複数のT細胞エピトープを含む。本明細書で使用される「T細胞エピトープ」という用語は、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子に結合し、したがってそれによって提示され得る短いペプチドを指す。MHCクラスI分子は、8~10アミノ酸長の短いペプチド及び13~17アミノ酸長のMHCクラスIIペプチドに結合することができる。T細胞は、抗原の細胞内プロセシングに由来するペプチドエピトープが結合したMHC分子を認識することがよく知られている。所与のエピトープの免疫原性は、3つの因子:抗原からの適切なペプチド断片の生成、この断片に結合するMHC分子の存在、及び複合体を認識することができるT細胞の存在に依存する。
【0048】
T細胞エピトープに関連する「1又は複数」という用語は、同じ又は異なるT細胞エピトープが本発明によるポリタンパク質中に存在し得ることを意味する。したがって、本発明のポリタンパク質に含まれるT細胞エピトープは、長さ及び/又は配列が互いに異なり得る。
【0049】
1又は複数のT細胞エピトープは、人工T細胞エピトープペプチド配列及び非自己タンパク質、特に、しばしば特に強力なT細胞エピトープを有する病原性タンパク質に由来するT細胞エピトープペプチド配列からなる群から選択することができる。T細胞エピトープが由来し得る適切な人工T細胞エピトープ又は適切な病原性タンパク質は、当業者に公知である。そのようなT細胞エピトープは、宿主への投与時に特に免疫原性である。
【0050】
好ましくは、本発明によるポリタンパク質は、非宿主起源の1又は複数のユニバーサルT細胞エピトープを含む。最も好ましくは、本発明によるポリタンパク質は、全てのT細胞エピトープがユニバーサルである1又は複数のT細胞エピトープを含む。本明細書で使用される「ユニバーサルT細胞エピトープ」という用語は、普遍的に免疫原性であり、多数のクラスII MHC分子に関連して認識され得るT細胞エピトープを指す。本発明によるポリタンパク質においてユニバーサルT細胞エピトープを使用することは、T細胞エピトープが選択された宿主から独立して特に免疫原性であるという利点を有する。
【0051】
最も好ましくは、本発明によるポリタンパク質に含まれる1又は複数のT細胞エピトープは、破傷風毒素T細胞エピトープ、特に(i)配列番号1、配列番号2若しくは配列番号39と少なくとも95%の配列同一性を含む、又は(ii)配列番号1、配列番号2及び配列番号39からなる群から選択される破傷風毒素T細胞エピトープである。更により好ましくは、1又は複数のT細胞エピトープは、配列番号1又は配列番号2に由来するか、又はそれと同一である。これらのT細胞エピトープは、特に免疫原性のユニバーサルT細胞エピトープである(Panina-Bordignon et al.,”Universally immunogenic T cell epitopes:promiscuous binding to human MHC class II and promiscuous recognition by T cells”,European journal of immunology 19.12(1989):2237-2242)。
【0052】
更により好ましくは、本発明によるポリタンパク質に含まれるT細胞エピトープは、破傷風毒素T細胞エピトープ、特に
(i)配列番号1、配列番号39若しくは配列番号2と少なくとも96、より好ましくは97、最も好ましくは98若しくは99%の配列同一性を含むか、又は(ii)配列番号1、配列番号39及び配列番号2からなる群から選択される破傷風毒素T細胞エピトープである。
【0053】
本発明によるポリタンパク質では、非宿主起源の1又は複数のT細胞エピトープは、少なくとも2つの自己タンパク質セグメントの間に及び/又はそれに隣接して位置する。好ましくは、非宿主起源の1又は複数のT細胞エピトープは、少なくとも2つの自己タンパク質セグメントの間に位置し、更には隣接されていてもよい。この文脈における「隣接する」という用語は、「最もN末端のタンパク質セグメントの上流及び/又は最もC末端のタンパク質セグメントの下流」を意味する。
【0054】
本発明によるポリタンパク質は、更なる成分を更に含むことができる。そのような更なる成分の一例は、少なくとも2つの自己タンパク質セグメントと非宿主起源の1又は複数のT細胞エピトープとの間の1又は複数のリンカーである。これらのリンカーは、特に、4~50アミノ酸長、好ましくは4~30アミノ酸長、最も好ましくは4~20アミノ酸長であり得る。柔軟なリンカーは、本発明によるポリタンパク質中の個々の自己タンパク質セグメントの独立した折畳みを促進することができるので、リンカーの使用は有利である。
【0055】
ポリタンパク質自体の代わりに、ポリタンパク質をコードするDNA及び/又はRNAを使用する場合、DNA及び/又はRNAは、1又は複数のER導入シグナルを更にコードすることもできる。人工ERシグナルのアミノ酸配列の例は、配列番号67である。これにより、宿主においてDNA又はRNAからポリタンパク質が発現されると、ポリタンパク質がERに導入され、その後分泌されることが保証される。
【0056】
好ましくは、宿主の自己タンパク質に対する自己寛容を破壊するためのワクチン組成物に使用するためのポリタンパク質は、サイトカインに由来する、好ましくは配列番号3、41、46、50、51、56、60、64、又は配列番号68~201のいずれかのアミノ酸配列を有する自己タンパク質からなる群から選択される自己タンパク質に由来する宿主の少なくとも2つの自己タンパク質セグメントと、少なくとも2つの自己タンパク質セグメントの間及び/又はそれに隣接する1つ又は複数のT細胞エピトープと、を含み、1つ以上のT細胞エピトープは、(i)配列番号1、配列番号39若しくは配列番号2と少なくとも95%の配列同一性を含むか、又は(ii)配列番号1、配列番号39及び配列番号2からなる群から選択される、破傷風毒素T細胞エピトープである。最も好ましくは、1又は複数のT細胞エピトープは、(i)配列番号1若しくは配列番号2と少なくとも95%の配列同一性を含むか、又は(ii)配列番号1及び配列番号2からなる群から選択される破傷風毒素T細胞エピトープである。
【0057】
より好ましくは、宿主の自己タンパク質に対する自己寛容を破るためにワクチン組成物において使用するためのポリタンパク質は、IL-4、IL-5、IL-13、IL-31、IL-33又はTNF-α、最も好ましくはIL-31に由来する宿主の少なくとも2つの自己タンパク質セグメントと、少なくとも2つの自己タンパク質セグメントの間及び/又はそれに隣接する1つ又は複数のT細胞エピトープと、を含み、1つ又は複数のT細胞エピトープは、(i)配列番号1、配列番号39又は配列番号2と少なくとも95%の配列同一性を含むか、又は(ii)配列番号1、配列番号39及び配列番号2からなる群から選択される、破傷風毒素T細胞エピトープである。最も好ましくは、1又は複数のT細胞エピトープは、(i)配列番号1若しくは配列番号2と少なくとも95%の配列同一性を含むか、又は(ii)配列番号1及び配列番号2からなる群から選択される破傷風毒素T細胞エピトープである。
【0058】
より好ましくは、イヌ宿主の自己タンパク質に対する自己寛容を破壊するためにワクチン組成物において使用するためのポリタンパク質は、イヌインターロイキンに由来する、特にイヌIL-4、イヌIL-5、イヌIL-13、イヌIL-31又はイヌIL-33に由来する、最も好ましくはイヌIL-31に由来する少なくとも2つの自己タンパク質セグメントと、少なくとも2つの自己タンパク質セグメントの間及び/又はそれに隣接する1つ又は複数のT細胞エピトープと、を含み、1つ又は複数のT細胞エピトープは、(i)配列番号1、配列番号39又は配列番号2と少なくとも95%の配列同一性を含むか、又は(ii)配列番号1、配列番号39及び配列番号2からなる群から選択される、破傷風毒素T細胞エピトープである。最も好ましくは、1又は複数のT細胞エピトープは、(i)配列番号1若しくは配列番号2と少なくとも95%の配列同一性を含むか、又は(ii)配列番号1及び配列番号2からなる群から選択される破傷風毒素T細胞エピトープである。
【0059】
本発明者らの実験は、そのようなポリタンパク質をイヌ宿主に投与することによって、イヌIL-4、IL-5、IL-13、IL-31又はIL-33タンパク質に対する自己抗体、特に中和自己抗体を、特にBクラス効率的な様式で生じさせることができることを示している。本発明者らの同様の実験はまた、そのようなポリタンパク質をネコ宿主に投与することによって、ネコIL-31に対する自己抗体、特に中和自己抗体も、特にBクラス効率的な様式で産生され得ることを示した。同様に、本発明によるポリタンパク質形態のTNF-αをウサギに投与すると、TNF-α抗原に応答する効率的な抗体産生が誘導された。したがって、本発明によるそのようなポリタンパク質は、イヌ、ネコ、並びにウシ自己タンパク質を含むがこれらに限定されない自己タンパク質に対する自己寛容を破壊するのに非常に効率的である。
【0060】
更により好ましくは、宿主の自己タンパク質に対する自己寛容を破壊するためのワクチン組成物に使用するためのポリタンパク質は、(i)配列番号4若しくは配列番号40と少なくとも85%の配列同一性を有するか、又は(ii)配列番号4若しくは配列番号40の配列を有する。より好ましくは、本発明によるポリタンパク質は、(i)配列番号4若しくは配列番号40と少なくとも90%、より好ましくは95%、最も好ましくは97%、98%若しくは99%の配列同一性を有するか、又は(ii)配列番号4若しくは配列番号40の配列を有する。配列番号4及び配列番号40は、それらのN末端のみが異なる。配列番号4と比較して、配列番号40は、N末端に3つの更なるアミノ酸(「SHM」)を有する。配列番号4及び配列番号40によってコードされるポリタンパク質の異なるN末端は、N末端ERシグナル配列の異なる切断事象に起因する。本発明者らの実験は、配列番号4若しくは配列番号40又は前述の配列同一性を有するその誘導体をコードするポリタンパク質を使用して、イヌ宿主に投与すると、サイトカインIL-31に対する自己抗体、特に中和抗体の産生を含む非常に効率的な免疫応答を誘導することができることを示した。
【0061】
別の好ましい実施形態では、宿主の自己タンパク質に対する自己寛容を破壊するためのワクチン組成物において使用するためのポリタンパク質は、(i)配列番号61と少なくとも85%の配列同一性を有するか、又は(ii)配列番号61の配列を有する。より好ましくは、本発明によるポリタンパク質は、(i)配列番号61と少なくとも90%、より好ましくは95%、最も好ましくは97%、98%若しくは99%の配列同一性を有するか、又は(ii)配列番号61の配列を有する。本発明者らの実験は、配列番号61又は前述の配列同一性を有するその誘導体をコードするポリタンパク質を使用して、ネコ宿主に投与すると、サイトカインIL-31に対する自己抗体、特に中和抗体の産生を含む非常に効率的な免疫応答を誘導することができることを示した。
【0062】
別の好ましい実施形態では、宿主の自己タンパク質に対する自己寛容を破壊するためのワクチン組成物において使用するためのポリタンパク質は、(i)配列番号42又は43と少なくとも85%の配列同一性を有するか、又は(ii)配列番号42又は43の配列を有する。より好ましくは、本発明によるポリタンパク質は、(i)配列番号42と少なくとも90%、より好ましくは95%、最も好ましくは97%、98%若しくは99%の配列同一性を有するか、又は(ii)配列番号42又は43の配列を有する。本発明者らの実験は、配列番号42若しくは43又は前述の配列同一性を有するその誘導体をコードするポリタンパク質を使用して、イヌ宿主に投与すると、サイトカインIL-5に対する自己抗体、特に中和抗体の産生を含む非常に効率的な免疫応答を誘導することができることを示した。
【0063】
別の好ましい実施形態では、宿主の自己タンパク質に対する自己寛容を破壊するためのワクチン組成物において使用するためのポリタンパク質は、(i)配列番号57と少なくとも85%の配列同一性を有するか、又は(ii)配列番号57の配列を有する。より好ましくは、本発明によるポリタンパク質は、(i)配列番号57と少なくとも90%、より好ましくは95%、最も好ましくは97%、98%若しくは99%の配列同一性を有するか、又は(ii)配列番号57の配列を有する。本発明者らの実験は、配列番号57又は前述の配列同一性を有するその誘導体をコードするポリタンパク質を使用して、イヌ宿主に投与すると、IL-4に対する自己抗体、特に中和抗体の産生を含む非常に効率的な免疫応答を誘導することができることを示した。
【0064】
別の好ましい実施形態では、宿主の自己タンパク質に対する自己寛容を破壊するためのワクチン組成物において使用するためのポリタンパク質は、(i)配列番号47と少なくとも85%の配列同一性を有するか、又は(ii)配列番号47の配列を有する。より好ましくは、本発明によるポリタンパク質は、(i)配列番号47と少なくとも90%、より好ましくは95%、最も好ましくは97%、98%若しくは99%の配列同一性を有するか、又は(ii)配列番号47の配列を有する。本発明者らの実験は、配列番号47又は前述の配列同一性を有するその誘導体をコードするポリタンパク質を使用して、イヌ宿主に投与すると、IL-13に対する自己抗体、特に中和抗体の産生を含む非常に効率的な免疫応答を誘導することができることを示した。
【0065】
別の好ましい実施形態では、宿主の自己タンパク質に対する自己寛容を破壊するためのワクチン組成物において使用するためのポリタンパク質は、(i)配列番号54と少なくとも85%の配列同一性を有するか、又は(ii)配列番号54の配列を有する。より好ましくは、本発明によるポリタンパク質は、(i)配列番号54と少なくとも90%、より好ましくは95%、最も好ましくは97%、98%若しくは99%の配列同一性を有するか、又は(ii)配列番号54の配列を有する。本発明者らの実験は、配列番号54又は前述の配列同一性を有するその誘導体をコードするポリタンパク質を使用して、イヌ宿主に投与すると、サイトカインIL-33に対する自己抗体、特に中和抗体の産生を含む非常に効率的な免疫応答を誘導することができることを示した。
【0066】
別の好ましい実施形態では、宿主の自己タンパク質に対する自己寛容を破壊するためのワクチン組成物において使用するためのポリタンパク質は、(i)配列番号65と少なくとも85%の配列同一性を有するか、又は(ii)配列番号65の配列を有する。より好ましくは、本発明によるポリタンパク質は、(i)配列番号65と少なくとも90%、より好ましくは95%、最も好ましくは97%、98%若しくは99%の配列同一性を有するか、又は(ii)配列番号65の配列を有する。本発明者らの実験は、配列番号65又は前述の配列同一性を有するその誘導体をコードするポリタンパク質を使用して、ウサギ宿主に投与すると、サイトカインTNF-αに対する効率的な免疫応答を誘導することができることを示した。
【0067】
当業者は、本発明のポリタンパク質をコードするDNA又はRNA配列を適切な発現ベクターにクローニングする方法及び本発明のポリタンパク質を産生する方法を知っている。
【0068】
いくつかの実施形態では、本発明のポリタンパク質は、培養細胞、例えばHEK293細胞、特にHEK293細胞株(HEK293-F)の急速増殖変異体、例えばExpi293F細胞での発現によって産生される。真核細胞における発現は、発現されたポリタンパク質が宿主のものと類似又は同一のグリコシル化パターンを備えるという利点を有する。好ましくは、(イヌ)IL-4、(イヌ)IL-5、(イヌ)IL-13及び/又は(イヌ又はネコ)IL-31を含むポリタンパク質は、哺乳動物発現を用いて産生される。
【0069】
いくつかの実施形態では、本発明のポリタンパク質は、原核細胞、例えばエシェリキア(E.)コリ(Escherichia(E.)coli)等の細菌細胞での発現によって産生される。任意の適切な細菌株を使用することができる。適切な細菌株は当技術分野で周知であり、当業者はそれらの系に適合するものを選択することができる。適切な株には、BL21(DE3)、BL21(DE3)-pLysS、BL21-AI、Tuner、Origami、Rosetta、BL21 CodonPlus、BL21trxB、C41(DE3)、JM109、XL1-Blue、NEBexpress及びM15が含まれるが、これらに限定されない。本発明のポリタンパク質、特に本発明の(イヌ)IL-33及びウシTNF-αポリタンパク質の発現に特に適した株は、BL21(DE3)及びその変異体である。細菌細胞における発現は、細菌の生理学がより複雑でなく、コストが比較的低く、生成時間が短く、生成物の収率が高いため、簡単な手順という利点を有する。
【0070】
本発明のポリタンパク質は、核酸によってコードされ得る。核酸は、RNA又はDNAであり得る。核酸はまた、修飾核酸塩基を有する1又は複数のヌクレオチドを含むことができる。これにより、例えば、使用される核酸をヌクレアーゼの攻撃に対して特に安定にすることができる。特に適切なベクターに包含される場合、ポリタンパク質をコードするDNA又はRNAは、本発明のワクチン組成物に直接使用することができる。次いで、ポリタンパク質は、他のDNA及びRNAワクチンについて周知であるように、宿主の内部で発現される。
【0071】
本発明のポリタンパク質をコードする核酸は、真核細胞又は目的の宿主におけるポリタンパク質の効率的な翻訳のためにコドン最適化することができる。例えば、コドンを、ヒト、ウシ、ブタ、ネコ、イヌ、細菌等における発現のために最適化することができる(www.kazusa.or.jp/codon/のCodon Usage Databaseを参照のこと)。コドン最適化のためのプログラムはフリーウェア(例えば、genomes.urv.es/OPTIMIZERのOPTIMIZER;www.genscript.com/codon_opt.htmlのGenScriptからのOptimumGene(商標))として入手可能である。市販のコドン最適化プログラムも入手可能である。
【0072】
本発明のポリタンパク質をコードするDNAは、少なくとも1つのプロモーター制御配列に作動可能に連結され得る。DNAコード配列は、目的の真核細胞又は宿主における発現のためのプロモーター制御配列に作動可能に連結され得る。プロモーター制御配列は、構成的プロモーター制御配列であり得る。
【0073】
真核細胞、例えばHEK293細胞における発現に適した構成的プロモーター制御配列としては、サイトメガロウイルス前初期プロモーター(CMV)、シミアンウイルス(SV40)プロモーター、アデノウイルス主要後期プロモーター、ラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーター、マウス乳腺腫瘍ウイルス(MMTV)プロモーター、ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)プロモーター、伸長因子(ED1)-αプロモーター、ユビキチンプロモーター、アクチンプロモーター、チューブリンプロモーター、免疫グロブリンプロモーター、それらの断片、又は前述のいずれかの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0074】
細菌細胞、例えばE.コリ(E.coli)細胞での発現に適したプロモーター制御配列には、lacプロモーター、trc及びtacプロモーター、T7 RNAポリメラーゼ、ファージプロモーターpL、tetAプロモーター/オペレーター、PPBADプロモーター、PBADプロモーター、それらの断片、又は前述のいずれかの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0075】
本発明のポリタンパク質をコードするDNAはまた、ポリアデニル化シグナル(例えば、SV40ポリAシグナル、ウシ成長ホルモン(BGH)ポリAシグナル等)及び/又は少なくとも1つの転写終結配列に連結することができる。これは、哺乳動物発現系を使用する場合に特に有利である。
【0076】
本発明のポリタンパク質をコードするDNAは、ベクター中に存在することができる。適切なベクターには、プラスミドベクターが含まれる。好適なプラスミドベクターの非限定的な例としては、pUC、pBR322、pET、pBluescript、pcDNA、pCI、pCMV及びそれらの変異体が挙げられ、pcDNA型ベクターが特に好適である。ベクターは、追加の発現制御配列(例えば、エンハンサー配列、コザック配列、ポリアデニル化配列、転写終結配列等)、選択マーカー配列(例えば、抗生物質耐性遺伝子)、複製起点等を含むことができる。更なる情報は、”Current Protocols in Molecular Biology” Ausubel et al.,John Wiley&Sons,New York,2003 or ”Molecular Cloning:A Laboratory Manual” Sambrook&Russell,Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,NY,3rd edition,2001に見出すことができる。
【0077】
本発明のポリタンパク質をコードする核酸は、RNA、特にmRNAであってもよい。mRNAは、5’キャップ及び/又は3’ポリアデニル化され得る。
【0078】
更に、本発明のポリタンパク質をコードする核酸は、自己複製RNAであり得る。免疫に適した自己複製RNAは、RNAワクチンの分野で周知である。自己複製RNA分子は、真核細胞に送達されると、それ自体の転写によって複数の娘RNAの産生をもたらし得る。自己複製RNA分子は、典型的には、細胞への送達後に直接翻訳され得る+鎖分子である。自己複製RNA分子の翻訳は、本発明のコードされたポリタンパク質に隣接して、最初に送達されたRNAからアンチセンス転写物及びセンス転写物の両方を産生するRNA依存性RNAポリメラーゼも提供する。この一連の転写の全体的な結果は、導入された自己複製RNAの数の増幅である。このようにして、コードされたポリタンパク質は、送達された自己複製RNAを有する細胞の主要なポリペプチド産物になる。適切なアルファウイルス自己複製RNAは、例えば、シンドビスウイルス、セムリキ森林ウイルス、東ウマ脳炎ウイルス又はベネズエランウマ脳炎ウイルス由来のレプリカーゼを使用することができる。
【0079】
したがって、好ましい自己複製RNA分子は、(i)自己複製RNA分子からRNAを転写することができるRNA依存性RNAポリメラーゼ、及び(ii)本発明のポリタンパク質をコードする。ポリメラーゼは、アルファウイルスRNA依存性RNAポリメラーゼであり得る。天然のアルファウイルスゲノムは、RNA依存性RNAポリメラーゼに加えて構造ビリオンタンパク質をコードするが、本発明では、自己複製RNA分子がアルファウイルス構造タンパク質をコードしないことが好ましい。したがって、本発明に使用される好ましい自己複製RNAは、それ自体のRNAコピーの細胞産生をもたらし得るが、RNA含有ビリオンの産生はもたらさない。RNAワクチンの分野から知られているように、感染性ビリオンを産生するのに必要なアルファウイルス構造タンパク質は、本発明で使用される自己複製RNAには存在せず、それらの場所は本発明のポリタンパク質をコードする構築物によって取られる。したがって、本発明に適した自己複製RNAは、2つのオープンリーディングフレームを有することができる。1つのオープンリーディングフレームはRNA依存性RNAポリメラーゼをコードし、他方のオープンリーディングフレームは本発明のポリタンパク質をコードする。自己複製RNAは、例えば、本発明の1又は複数の更なるポリタンパク質をコードするために、更なる(例えば下流)オープンリーディングフレームを有し得る。
【0080】
ワクチン組成物
本発明は更に、宿主の自己タンパク質に対する自己寛容を破壊するためのワクチン組成物を提供する。本発明によるワクチン組成物は、2つの必須成分:
a)ポリタンパク質、ポリタンパク質をコードするDNA及び/又はポリタンパク質をコードするRNAであって、ポリタンパク質が、
-宿主の少なくとも2つの自己タンパク質セグメント;及び
-少なくとも2つの自己タンパク質セグメントの間及び/又はそれに隣接する非宿主起源の1つ又は複数のT細胞エピトープ
を含む、ポリタンパク質、ポリタンパク質をコードするDNA及び/又はポリタンパク質をコードするRNAと、
b)1つ以上の免疫賦活性オリゴヌクレオチドと、
を含む。
【0081】
ワクチン組成物は、ワクチン組成物が宿主に投与された場合、自己タンパク質に対する自己抗体を産生することができる。
【0082】
ポリタンパク質は、上記の通りである。
【0083】
本発明のワクチン組成物は、アジュバントとして1又は複数の免疫賦活性オリゴヌクレオチドを含む。本発明の免疫賦活性オリゴヌクレオチドに関連して使用される用語「1又は複数」は、化学的に異なるオリゴヌクレオチドが本発明のワクチン組成物の一部であり得ることを意味する。例えば、異なる長さ、塩基配列又は糖リン酸骨格の相違のオリゴヌクレオチドを使用することができる。「1又は複数」の「1つ」は、単一のオリゴヌクレオチド分子を指すことを意味しない。
【0084】
本明細書で使用される「免疫賦活性オリゴヌクレオチド」は、脊椎動物の自然免疫系によって外来として検出され、それによって自然免疫応答経路を活性化することによって、脊椎動物において免疫応答を誘発するオリゴヌクレオチドである。
【0085】
典型的には、本発明の免疫賦活性オリゴヌクレオチドは合成起源のものである。したがって、それらは、任意の所望の配列及び/又は糖リン酸骨格の修飾を用いて合成することができる。
【0086】
1又は複数の免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、線状の少なくとも部分的に一本鎖のDNA分子である。しかしながら、一本鎖DNA免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、とりわけワトソン-クリック塩基対形成によってそれら自体又は互いに相互作用して、二次構造及び凝集体を形成し得る。しかしながら、一本鎖伸長は、免疫賦活性オリゴヌクレオチド中に常に存在するであろう。
【0087】
好ましくは、1又は複数の免疫賦活性オリゴヌクレオチドはCpGオリゴデスオキシヌクレオチド(CpG ODN)である。これらは、シトシン三リン酸デオキシヌクレオチド(「C」とそれに続くグアニン三リン酸デオキシヌクレオチド(「G」を含む短い一本鎖合成DNA分子である。「p」は、連続するヌクレオチド間のホスホジエステル結合を指すが、本発明によるODNは、代わりに修飾されたホスホロチオエート骨格を有し得る。免疫賦活性オリゴヌクレオチドとしてCpGODNを使用することは、CpGジヌクレオチドがToll様受容体(TLR)9によって感知される病原体関連分子パターン(PAMP)を表すという利点を有する。TLR9の活性化は、例えば、活性化B細胞の核因子「カッパ軽鎖エンハンサー」(NF-κB)に依存する異なる炎症促進性シグナル伝達経路の活性化をもたらす。NF-κBの活性化は、典型的には、炎症促進性サイトカインの発現をもたらす。したがって、CpG ODNは、本発明によるワクチン組成物中の特に強力なワクチンアジュバントである。
【0088】
好ましくは、免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、Aクラス、Bクラス及びCクラスの免疫賦活性オリゴヌクレオチドからなる群から選択される。免疫賦活性オリゴヌクレオチドの「A-クラス」、「B-クラス」及び「C-クラス」への分類は当業者に周知であり、例えばVollmer,Jorg.”CpG motifs to modulate innate and adaptive immune responses”,International reviews of immunology 25.3-4(2006):125-134に記載されている。
【0089】
Aクラスの免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、典型的には、中央ホスホジエステルCpG含有回文モチーフ及び部分的ホスホロチオエート修飾骨格、特にホスホロチオエート3’ポリGストレッチを特徴とする。
【0090】
Bクラス免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、典型的には、1又は複数のCpGジヌクレオチドを有する完全なホスホロチオエート骨格を特徴とする。
【0091】
Cクラスの免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、クラスA及びクラスBの免疫賦活性オリゴヌクレオチドの特性を示す。それらは、完全なホスホロチオエート骨格及び1又は複数の回文CpG含有モチーフを含有する。
【0092】
本発明による免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、典型的には、14ヌクレオチド~500ヌクレオチド、好ましくは14ヌクレオチド~400ヌクレオチド、より好ましくは14ヌクレオチド~300ヌクレオチド、更により好ましくは14ヌクレオチド~200ヌクレオチド、更により好ましくは16ヌクレオチド~40ヌクレオチド、最も好ましくは18ヌクレオチド~30ヌクレオチドの長さを有する。このサイズの免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、インビトロで容易に合成することができ、ワクチンアジュバントとして有効であることが分かった。
【0093】
好ましくは、1又は複数の免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、Bクラスの免疫賦活性オリゴヌクレオチドからなる群から選択される。本発明の基礎となる研究は、本発明によるワクチン組成物中のBクラス免疫賦活性オリゴヌクレオチドが、本発明によるワクチン組成物に使用されるポリタンパク質の免疫原性を増強するのに特に効率的であることを実証した。
【0094】
1又は複数の免疫賦活性オリゴヌクレオチドはまた、好ましくは、配列番号5又は配列番号6との少なくとも75%の配列同一性、より好ましくは少なくとも80%の配列同一性、更により好ましくは85%の配列同一性、更により好ましくは90%、95%又は97%の配列同一性を含むことができる。
【0095】
核酸配列に関連して本明細書で使用される場合、「パーセント配列同一性」等の用語は、2つ以上の核酸間の配列関係を説明するために使用され、a)参照配列、b)比較ウィンドウ、c)配列同一性及びd)配列同一性の割合を含む用語の文脈で、及びそれと組み合わせて理解される。
【0096】
a)「参照シーケンス」は、配列比較の基礎として使用される定義された配列である。参照配列は、指定された配列のサブセット又はその全体、例えば、完全長cDNA若しくは遺伝子配列のセグメント、又は完全cDNA若しくは遺伝子配列であり得る。この場合、参照配列は配列番号5又は配列番号6である。
【0097】
b)「比較ウィンドウ」は、ポリヌクレオチド配列の連続した特定のセグメントへの言及を含み、ポリヌクレオチド配列は参照配列と比較することができ、比較ウィンドウ内のポリヌクレオチド配列の部分は、2つの配列の最適なアラインメントのために、参照配列(付加、置換又は欠失を含まない)と比較して付加、置換、又は欠失(すなわち、ギャップ)を含み得る。当業者は、ポリヌクレオチド配列にギャップを含めることによる参照配列との誤解を招くほど高い類似性を回避するために、ギャップペナルティが典型的に導入され、マッチ数から減算されることを理解する。
【0098】
c)比較のための配列のアラインメント方法は、当技術分野で周知である。比較のための配列の最適なアラインメントは、Smith and Waterman,Adv.Appl.Math.,2:482,1981の局所相同性アラインメントアルゴリズムによって;NeedlemanandWunsch,J.Mol.Biol.,48:443,1970による相同性アライメントアルゴリズムによって;Pearson及びLipman,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,8:2444,1988による類似性検索方法によって;限定されるものではないが、Intelligenetics,Mountain View,Calif.によるPC/GeneプログラムのCLUSTAL、Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group(GCG),7 Science Dr.,Madison,Wis.,USAののGAP、BESTFIT、BLAST、FASTA、及びTFASTAによるPC/Geneプログラムを含む、これらのアルゴリズムのコンピュータ化された実装によって行われ得、CLUSTALプログラムは、Higgins and Sharp,Gene,73:237-244,1988;Corpet,et al.,Nucleic Acids Research,16:881-90,1988;Huang,et al.,Computer Applications in the Biosciences,8:1-6,1992;and Pearson,et al.,Methods in Molecular Biology,24:7-331,1994によって十分に説明されている。データベース類似性検索に使用され得るプログラムのBLASTファミリーには、以下が含まれる:ヌクレオチドデータベース配列に対するヌクレオチドクエリ配列についてのBLASTN;タンパク質データベース配列に対するヌクレオチドクエリ配列のためのBLASTX;ヌクレオチドデータベース配列に対するタンパク質クエリ配列のためのTBLASTN;及び、ヌクレオチドデータベース配列に対するヌクレオチドクエリ配列のためのTBLASTX。Current Protocols in Molecular Biology,Chapter 19,Ausubel,et al.,Eds.,Greene Publishing and Wiley-Interscience,New York,1995.を参照されたい。上記のプログラムの新しいバージョン又は新しいプログラムは、間違いなく将来的に利用可能になり、本開示と共に使用され得る。
【0099】
d)「パーセント同一性」は、2つの最適にアラインメントされた配列を比較ウィンドウにわたって比較することによって決定される値を意味し、比較ウィンドウ内のポリヌクレオチド配列の部分は、2つの配列の最適なアラインメントのために、参照配列(付加、置換又は欠失を含まない)と比較して付加、置換又は欠失(すなわち、ギャップ)を含み得る。パーセンテージは、両方の配列において同一の核酸塩基が生じる位置の数を決定してマッチした位置の数を得、マッチした位置の数を比較ウィンドウ内の位置の総数で除算し、結果に100を掛けて配列同一性のパーセンテージを得ることによって計算される。
【0100】
好ましくは、1又は複数の免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、配列番号5及び配列番号6からなる群から選択される。実験研究により、本発明によるワクチン組成物における配列番号5又は配列番号6をコードする免疫賦活性オリゴヌクレオチドの使用は、イヌ細胞におけるNF-κB炎症誘発性応答経路の活性化において特に効率的であり、したがって、本発明によるワクチン組成物におけるポリタンパク質の免疫原性を強く増強することが示された。
【0101】
好ましくは、1又は複数の免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、糖-リン酸骨格にホスホロチオエート、すなわち部分的にホスホロチオエート修飾された骨格を含む。より好ましくは、1又は複数の免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、完全なホスホロチオエート骨格を含む。ホスホロチオエート修飾は、免疫賦活性オリゴヌクレオチドがヌクレアーゼによる分解から保護されるという利点を有する。結果として、これらの免疫賦活性オリゴヌクレオチドの免疫賦活活性が増加する。
【0102】
本発明のワクチン組成物は、追加の成分を含むことができる。好ましくは、本発明のワクチン組成物は、本発明のワクチン組成物に含まれるポリタンパク質及び/又は免疫賦活性オリゴヌクレオチドにデポー効果を付与するアジュバントc)を更に含む。用語「デポー効果」は、注射部位からのポリタンパク質及び/又は免疫賦活性オリゴヌクレオチドの持続放出を指す。このようなアジュバントを本発明によるワクチン組成物に使用することは、ワクチン組成物中のポリタンパク質及び免疫賦活性オリゴヌクレオチドの免疫原性が更に増加し、その結果、ポリタンパク質中の自己タンパク質に対する自己寛容が特に効率的に破壊されるという利点を有する。
【0103】
最も好ましくは、デポー効果を付与するアジュバントは、溶液中で架橋された高分子量ゲルを形成することができるコポリマーアジュバントである。そのようなアジュバントの例は、Polygen(商標)である。デポー効果を付与する適切なアジュバントはまた、界面活性剤系と組み合わせたミネラル又は代謝可能な油であり得る。本発明者らの実験は、溶液中で架橋高分子量ゲルを形成することができるコポリマーアジュバントが、本発明によるワクチン組成物の他の成分と高度に適合性であり、それに適した担体であり、同時に、伴侶動物及び家畜において特に高度の安全性を提供することを示した。
【0104】
本発明によるワクチン組成物は、特にポリタンパク質をコードするDNA又はRNAを含有する場合、リポソーム、カチオン性タンパク質、カチオン性ポリマー又はカチオン性細胞透過性ペプチド及び/又は導入された核酸の半減期、細胞取込み及び翻訳能を増強する他の化学的手段を含有することができる。
【0105】
したがって、好ましくは、宿主の自己タンパク質に対する自己寛容を破壊するための本発明によるワクチン組成物は、ワクチン組成物が宿主に投与された場合、当該自己タンパク質に対する自己抗体を生じさせることができ、ワクチン組成物が、
a)ポリタンパク質、ポリタンパク質をコードするDNA及び/又はポリタンパク質をコードするRNAであって、ポリタンパク質が、
-宿主の少なくとも2つの自己タンパク質セグメント;及び
-少なくとも2つの自己タンパク質セグメントの間及び/又はそれに隣接する非宿主起源の1又は複数のT細胞エピトープ
を含む、ポリタンパク質、ポリタンパク質をコードするDNA及び/又はポリタンパク質をコードするRNAと、
b)1又は複数の免疫賦活性オリゴヌクレオチドと、
c)デポー効果を付与するアジュバントと、
を含む。
【0106】
更により好ましくは、宿主の自己タンパク質に対する自己寛容を破壊するための本発明によるワクチン組成物は、ワクチン組成物が宿主に投与された場合に当該自己タンパク質に対する自己抗体を生じさせることができ、ワクチン組成物は、
a)ポリタンパク質、ポリタンパク質をコードするDNA及び/又はポリタンパク質をコードするRNAであって、ポリタンパク質が、
-宿主のサイトカイン、好ましくは宿主のIL-4、IL-5、IL-13、IL-31、IL-33又はTNF-α、最も好ましくは宿主のIL-31に由来する少なくとも2つの自己タンパク質セグメント;及び
-少なくとも2つの自己タンパク質セグメントの間及び/又はそれに隣接する非宿主起源の1又は複数のT細胞エピトープであって、1又は複数のT細胞エピトープが、(i)配列番号1、配列番号39若しくは配列番号2と少なくとも95%の配列同一性を含むか、又は(ii)配列番号1、配列番号39及び配列番号2からなる群から選択される、破傷風毒素T細胞エピトープ、好ましくは、1又は複数のT細胞エピトープが、(i)配列番号1若しくは配列番号2と少なくとも95%の配列同一性を含むか、又は(ii)配列番号1及び配列番号2からなる群から選択される破傷風毒素T細胞エピトープである、少なくとも2つの自己タンパク質セグメントの間及び/又はそれに隣接する非宿主起源の1又は複数のT細胞エピトープと、
を含む、ポリタンパク質、ポリタンパク質をコードするDNA及び/又はポリタンパク質をコードするRNAと、
b)1又は複数の免疫賦活性オリゴヌクレオチドであって、1又は複数の免疫賦活性オリゴヌクレオチドが、配列番号5若しくは配列番号6との少なくとも75%の配列同一性、より好ましくは少なくとも80%の配列同一性、更により好ましくは85%の配列同一性、更により好ましくは90%、95%若しくは97%の配列同一性を含むか、又は配列番号5及び配列番号6からなる群から選択される、1又は複数の免疫賦活性オリゴヌクレオチドと、
c)デポー効果を付与するアジュバントであって、溶液中で架橋高分子量ゲルを形成することができるコポリマーアジュバントである、デポー効果を付与するアジュバントと、
を含む。
【0107】
本発明者らの実験は、そのようなワクチン組成物が、IL-4、IL-5、IL-13、IL-31、IL-33及びTNF-α、特にイヌIL-5、IL-13、IL-31及びIL-33、並びにネコIL-31及びウシTNF-αに対する自己寛容を破壊するのに特に有効であることを示した。これらの結果は、本発明が、多数の自己タンパク質を発現し、ワクチン接種するための柔軟なプラットフォームを提供し、本明細書に記載されたもののみに限定されないことを示す。
【0108】
当業者は、ワクチン組成物の個々の成分を同定及び分析する方法を知っている。特許請求されたワクチン組成物を分析するために、当業者は、典型的には、最初に、例えば液体クロマトグラフィー、特にHPLCを使用することによって、個々の成分を互いに分離するための抽出及び/又は分離手順を行う。特許請求されるワクチン組成物に使用される核酸は、例えば、質量分析及び/又は配列決定分析によって分析することができる。ワクチン組成物中のタンパク質は、例えば質量分析によって分析することもできる。本発明のワクチン組成物に含有されるオリゴヌクレオチドの免疫賦活性特性は、レポーター細胞株、例えばイヌ単球細胞株(DH82)を使用することによって評価することができ、これらのオリゴヌクレオチドのNFkB刺激能を評価することが可能になる。
【0109】
ポリタンパク質の使用
本発明はまた、宿主の自己タンパク質に対する自己寛容を破壊するためのワクチン組成物における、本明細書に記載の、ポリタンパク質、ポリタンパク質をコードするDNA及び/又はポリタンパク質をコードするRNAの使用に関し、ポリタンパク質は、宿主の少なくとも2つの自己タンパク質セグメントと、少なくとも2つの自己タンパク質セグメントの間及び/又はそれらに隣接する非宿主起源の1又は複数のT細胞エピトープとを含む。本発明に至った研究では、本発明によるポリタンパク質の使用により、ポリタンパク質の自己タンパク質セグメントに対する自己抗体、特に中和自己抗体、したがってポリタンパク質の自己タンパク質セグメントが由来する宿主の天然自己タンパク質の産生を効率的に誘導することが可能になることが見出された。
【0110】
本発明によるポリタンパク質中の非宿主起源のT細胞エピトープの存在、特に破傷風毒素T細胞エピトープの存在は、宿主の自己タンパク質セグメントに対する自己寛容を効率的に破壊することを可能にすると思われる。
【0111】
好ましい使用において、ポリタンパク質は、上記の本発明によるポリタンパク質について定義された特徴の1又は複数を有する。
【0112】
ワクチン組成物の使用
本明細書に記載のワクチン組成物は、対象の疾患を予防又は治療する方法での使用に適しており、方法は、ワクチン組成物を対象に投与する工程を含む。この方法は、対象において免疫応答を誘発するために有効量の免疫賦活性ワクチンを対象に投与することを含む。免疫応答は、対象の標的自己タンパク質に対する自己抗体、好ましくは中和抗体の誘導を含む。「対象」及び「宿主」という用語は、本明細書では互換的に使用される。
【0113】
本明細書に記載のワクチン組成物を、特に(イヌ)IL-4、L-5、IL-13、IL-31、IL-33又はTNF-αに由来する自己タンパク質セグメントを含有するポリタンパク質と共に使用すると、目的の対象において、それぞれの自己タンパク質に対する自己寛容を破壊することが可能である。
【0114】
自己抗体は自己タンパク質の機能を中和し、及び/又は対象における自己タンパク質の利用可能なレベルを低下させるのを助けるので、疾患を引き起こす自己タンパク質に対する対象の自己寛容の破壊は、この自己タンパク質によって引き起こされる又は影響される疾患を予防又は治療することを可能にすると考えられる。本発明のポリタンパク質中の自己タンパク質セグメントが由来する自己タンパク質は、本明細書では宿主中の標的自己タンパク質とも呼ばれる。
【0115】
本明細書で使用される対象は、特に、ヒト及び非ヒト動物等の哺乳動物種を意味し得る。したがって、対象は、ヒト及び非ヒト動物を含む哺乳動物である。好ましくは、対象は、非ヒト動物、特にウシ、家禽、ブタ、並びにネコ及びイヌ等のコンパニオンアニマルからなる群から選択される非ヒト動物である。最も好ましくは、対象は動物、特にウシ、家禽、ブタ、並びにネコ及びイヌ等のコンパニオンアニマルからなる群から選択される動物である。更により好ましくは、対象はイヌである。
【0116】
好ましくは、本明細書に記載のワクチン組成物は、
-自己免疫疾患、AIDS及び癌からなる群から選択される慢性疾患;又は
-特にアトピー性皮膚炎、湿疹、乾癬、強皮症及び掻痒症からなる群から選択される掻痒状態;又は
-特にアレルギー性皮膚炎、夏季湿疹、蕁麻疹、ウマの肺気腫、炎症性気道疾患、再発性気道閉塞、気道過敏反応、慢性閉塞性肺疾患及び自己免疫に起因する炎症過程からなる群から選択されるアレルギー状態
を予防又は治療するために使用される。
【0117】
「アレルギー状態」という用語は、本明細書では、免疫系と身体に外来の物質との間の相互作用によって引き起こされる疾患又は障害として定義される。
【0118】
「掻痒状態」という用語は、本明細書では、緩和を得るために皮膚を擦る又は引っ掻くという衝動を生じさせる強い掻痒感を特徴とする疾患又は障害として定義される。
【0119】
より好ましくは、本明細書に記載のワクチン組成物は、
-自己免疫疾患、AIDS及び癌からなる群から選択される慢性疾患;又は
-特にアトピー性皮膚炎、湿疹、乾癬、強皮症及び掻痒症からなる群から選択される掻痒状態;又は
-特にアレルギー性皮膚炎、夏季湿疹、蕁麻疹、ウマの肺気腫、炎症性気道疾患、再発性気道閉塞、気道過敏反応、慢性閉塞性肺疾患及び自己免疫に起因する炎症過程からなる群から選択されるアレルギー状態
を予防又は治療するために使用される。
【0120】
最も好ましくは、本明細書中に記載されるワクチン組成物は、アトピー性皮膚炎を予防又は治療するために使用される。
【0121】
好ましい実施形態では、本明細書に記載のワクチン組成物は、イヌIL-31に由来する自己タンパク質セグメントを含み、
-自己免疫疾患、AIDS及び癌からなる群から選択される慢性疾患;又は
-特にアトピー性皮膚炎、湿疹、乾癬、強皮症及び掻痒症からなる群から選択される掻痒状態;又は
-特にアレルギー性皮膚炎、夏季湿疹、蕁麻疹、ウマの肺気腫、炎症性気道疾患、再発性気道閉塞、気道過敏反応、慢性閉塞性肺疾患及び自己免疫に起因する炎症過程からなる群から選択されるアレルギー状態
を予防又は治療するために使用される。
【0122】
最も好ましくは、本明細書中に記載されるワクチン組成物は、イヌIL-31に由来する少なくとも2つの自己タンパク質セグメント、特に少なくとも3つの自己タンパク質セグメントを含み、アトピー性皮膚炎を予防又は処置するために使用される。
【0123】
別の実施形態では、本明細書に記載のワクチン組成物は、イヌIL-5に由来する自己タンパク質セグメントを含み、
-特にアトピー性皮膚炎、湿疹、乾癬、強皮症及び掻痒症からなる群から選択される掻痒状態;及び/又は
-好酸球性障害、特に好酸球性喘息、好酸球性食道炎、好酸球増加症候群、及び慢性副鼻腔炎、特に鼻ポリープを伴う慢性副鼻腔炎
を予防及び/又は治療するために使用される。
【0124】
より好ましくは、本明細書中に記載されるワクチン組成物は、イヌIL-5に由来する少なくとも2つの自己タンパク質セグメント、特に少なくとも3つの自己タンパク質セグメントを含み、
-アトピー性皮膚炎;又は
-好酸球性喘息又は鼻ポリープを伴う慢性副鼻腔炎
を予防及び/又は治療するために使用される。
【0125】
別の実施形態では、本明細書に記載のワクチン組成物は、イヌIL-4に由来する少なくとも2つの自己タンパク質セグメントを含み、
-自己免疫疾患、AIDS及び癌からなる群から選択される慢性疾患;又は
-特にアトピー性皮膚炎、湿疹、乾癬、強皮症及び掻痒症からなる群から選択される掻痒状態;又は
-特にアレルギー性皮膚炎、夏季湿疹、蕁麻疹、ウマの肺気腫、炎症性気道疾患、再発性気道閉塞、気道過敏反応、慢性閉塞性肺疾患及び自己免疫に起因する炎症過程からなる群から選択されるアレルギー状態
を予防又は治療するために使用される。
【0126】
より好ましくは、本明細書中に記載されるIL-4を含むワクチン組成物は、イヌIL-4に由来する少なくとも2つの自己タンパク質セグメント、特に少なくとも3つの自己タンパク質セグメントを含み、
-自己免疫疾患、AIDS及び癌からなる群から選択される慢性疾患;又は
-特にアトピー性皮膚炎、湿疹、乾癬、強皮症及び掻痒症からなる群から選択される掻痒状態;又は
-特にアレルギー性皮膚炎、夏季湿疹、蕁麻疹、ウマの肺気腫、炎症性気道疾患、再発性気道閉塞、気道過敏反応、慢性閉塞性肺疾患及び自己免疫に起因する炎症過程からなる群から選択されるアレルギー状態
を予防又は治療するために使用される。
【0127】
最も好ましくは、本明細書中に記載されるワクチン組成物は、イヌIL-4に由来する少なくとも2つの自己タンパク質セグメント、特に少なくとも3つの自己タンパク質セグメントを含み、アトピー性皮膚炎を予防又は処置するために使用される。
【0128】
更なる実施形態では、本明細書に記載のワクチン組成物は、イヌIL-13に由来する少なくとも2つの自己タンパク質セグメント、特に少なくとも3つの自己タンパク質セグメントを含み、
-自己免疫疾患、AIDS及び癌からなる群から選択される慢性疾患;又は
-特にアトピー性皮膚炎、湿疹、乾癬、強皮症及び掻痒症からなる群から選択される掻痒状態;又は
-特にアレルギー性皮膚炎、夏季湿疹、蕁麻疹、ウマの肺気腫、炎症性気道疾患、再発性気道閉塞、気道過敏反応、慢性閉塞性肺疾患及び自己免疫に起因する炎症過程からなる群から選択されるアレルギー状態
を予防又は治療するために使用される。
【0129】
より好ましくは、本明細書中に記載されるIL-13を含むワクチン組成物は、イヌIL-13に由来する少なくとも2つの自己タンパク質セグメント、特に少なくとも3つの自己タンパク質セグメントを含み、
-自己免疫疾患、AIDS及び癌からなる群から選択される慢性疾患;又は
-特にアトピー性皮膚炎、湿疹、乾癬、強皮症及び掻痒症からなる群から選択される掻痒状態;又は
-特にアレルギー性皮膚炎、夏季湿疹、蕁麻疹、ウマの肺気腫、炎症性気道疾患、再発性気道閉塞、気道過敏反応、慢性閉塞性肺疾患及び自己免疫に起因する炎症過程からなる群から選択されるアレルギー状態
を予防又は治療するために使用される。
【0130】
最も好ましくは、本明細書中に記載されるワクチン組成物は、イヌIL-13に由来する少なくとも2つの自己タンパク質セグメント、特に少なくとも3つの自己タンパク質セグメントを含み、アトピー性皮膚炎を予防又は処置するために使用される。
【0131】
別の実施形態では、本明細書に記載のワクチン組成物は、イヌIL-33に由来する少なくとも2つの自己タンパク質セグメント、特に少なくとも3つの自己タンパク質セグメントを含み、
-自己免疫疾患、AIDS及び癌からなる群から選択される慢性疾患;又は
-特にアトピー性皮膚炎、湿疹、乾癬、強皮症及び掻痒症からなる群から選択される掻痒状態;又は
-特にアレルギー性皮膚炎、夏季湿疹、蕁麻疹、ウマの肺気腫、炎症性気道疾患、再発性気道閉塞、気道過敏反応、慢性閉塞性肺疾患及び自己免疫に起因する炎症過程からなる群から選択されるアレルギー状態
を予防又は治療するために使用される。
【0132】
より好ましくは、本明細書中に記載されるIL-33を含むワクチン組成物は、イヌIL-33に由来する少なくとも2つの自己タンパク質セグメント、特に少なくとも3つの自己タンパク質セグメントを含み、
-自己免疫疾患、AIDS及び癌からなる群から選択される慢性疾患;又は
-特にアトピー性皮膚炎、湿疹、乾癬、強皮症及び掻痒症からなる群から選択される掻痒状態;又は
-特にアレルギー性皮膚炎、夏季湿疹、蕁麻疹、ウマの肺気腫、炎症性気道疾患、再発性気道閉塞、気道過敏反応、アレルギー性喘息、好酸球性喘息、及び好中球性喘息、鼻炎、慢性閉塞性肺疾患及び自己免疫に起因する炎症過程からなる群から選択されるアレルギー状態
を予防又は治療するために使用される。
【0133】
最も好ましくは、本明細書に記載のワクチン組成物は、イヌIL-33に由来する少なくとも2つの自己タンパク質セグメント、特に少なくとも3つの自己タンパク質セグメントを含み、アトピー性皮膚炎及び/又はアレルギー性鼻炎を予防又は治療するために使用される。
【0134】
「治療」、「治療すること」等は、治療的処置を指す。「予防」及び「予防すること」という用語は、予防的又は防止的手段を指す。処置又は予防を必要とする動物には、既に障害又は疾患状態を有する動物、並びに障害又は疾患状態が予防されるべき動物が含まれる。疾患又は障害の「治療すること」又は「予防すること」という用語は、疾患又は障害を予防又は保護すること(すなわち、臨床症状を発現させない)、疾患又は障害を阻害すること(すなわち、臨床症状の発生の停止又は抑制)、及び/又は疾患又は障害を軽減すること(すなわち、臨床症状の退行を引き起こす)を含む。最終的な1又は複数の誘導事象が未知であるか潜在的であり得るので、疾患又は障害を「予防すること」と「抑制すること」とを区別することは必ずしも可能ではない。したがって、ある種の「治療」を構成すると理解することもできる「予防的」という用語は、「予防すること」及び「抑制すること」の両方を包含する。したがって、「治療」という用語は、「予防」を含むことができる。
【0135】
本発明のワクチン組成物を投与するための様々な投与経路が利用可能である。選択される特定のモードは、選択される特定の対象群、対象の年齢及び全般的健康状態、治療される特定の状態、並びに治療有効性及び/又は予防有効性に必要な投与量に依存する。本発明の方法は、臨床的に許容できない有害作用を引き起こすことなく有効レベルの免疫応答をもたらす任意の投与様式を使用して実施され得る。
【0136】
治療は、有効量の本明細書に記載のワクチン組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む。有効量は、レシピエント対象の標的自己タンパク質に対する自己抗体の産生を特徴とする免疫応答を誘発するのに十分である。そのような有効量は、レシピエント対象において自己抗体の産生を含む免疫応答を引き起こす任意の量である。自己抗体の産生を含む、本発明のワクチン組成物によって誘発される免疫応答の強度及び質を測定する方法も本発明の一部である(下記参照)。当業者は、有効量が、動物種、年齢、体重、疾患の病期、並びに当技術分野で公知の他の因子等の宿主因子に依存することを知っている。「ワクチン組成物の適切な有効量」という用語は、本発明のワクチン組成物に含まれる、タンパク質、DNA又はRNA、免疫賦活性オリゴヌクレオチドを指し、及び任意選択的にデポー効果を付与するアジュバントの形態のポリタンパク質のμg単位の合計を指す。
【0137】
適切な有効量は、対象当たり約0.1μg~5000μgの範囲であり得る。いくつかの実施形態において、有効量は、約0.5μg~約4500μg、約0.5μg~約4500μg、約0.5μg~約4500μg、約1μg~約4000μg、約1μg~約3500μg、約1μg~約3000μg、約1μg~約2500μg、約1μg~約2000μg、約1μg~約1500μg、約1μg~約1000μg、約1μg~約900μg、約1μg~約800μg、約1μg~約700μg、約1μg~約600μg、約1μg~約500μg、約1μg~約400μg、約1μg~約300μgの範囲であり得る。
【0138】
いくつかの実施形態では、有効量の本明細書に記載のワクチン組成物のいずれかをヒト対象に投与することによって、ヒトにおいて免疫応答を誘発することができる。有効量は、レシピエント対象において標的化自己タンパク質に対する自己抗体の産生を含む免疫応答を誘発するのに十分である。例えば、ヒト用ワクチン組成物の有効量は、約0.1μg~約5000μg/対象、約0.5μg~約5000μg/対象、約1μg~約4500μg/対象、約1μg~約4000μg/対象又は約1μg~約3500μg/対象であり得る。例として、ヒト対象に適した有効量は、約5000μg、約4750μg、約4500μg、約4250μg、約4000μg、約3750μg、約3500μg、約3250μg、約3000μg、約2750μg、約2500μg、約2250μg、約2000μg、約1750μg、約1500μg、1250μg、約1000μg、約500μg、約100μg、約75μg、約50μg、約25μg、約10μg、約1μg又は約0.1μgであり得る。
【0139】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のワクチン組成物のいずれかの有効量を非ヒト対象に投与することによって、非ヒト動物、特にイヌにおいて免疫応答を誘発することができる。有効量は、レシピエント対象、特にイヌにおける自己抗体の産生を含む免疫応答を誘発するのに十分である。例えば、非ヒト動物、特にイヌに対するワクチン組成物の有効量は、約0.1μg~約5000μg/対象、約0.5μg~約5000μg/対象、約1μg~約4500μg/対象、約1μg~約4000μg/対象又は約1μg~約3500μg/対象であり得る。例として、非ヒト対象に適した有効量は、約5000μg、約4750μg、約4500μg、約4250μg、約4000μg、約3750μg、約3500μg、約3250μg、約3000μg、約2750μg、約2500μg、約2250μg、約2000μg、約1750μg、約1500μg、1250μg、約1000μg、約500μg、約100μg、約75μg、約50μg、約25μg、約10μg、約1μg、0.5μg又は約0.1μgであり得る。
【0140】
本明細書における数値に関連する「約」という用語の使用は、典型的には±5%以下で数値を変化させる測定誤差の影響を数値が受け得ることを示す。本明細書で「約」という用語と共に開示される数値はまた、そのまま、すなわち「約」という用語なしで開示されることを意味する。更に、本明細書に記載の数値範囲は、その範囲内のありとあらゆる値を含み、開示することを意味する。本明細書に開示される同じパラメータの範囲の上側及び下側の端点は全て、互いに組み合わせることができる。本明細書に開示される異なるパラメータの全ての範囲は、互いに組み合わせることができる。特に、異なる又は同じ「嗜好レベル」の範囲は、互いに特に適合する。
【0141】
ワクチン組成物は、静脈内、筋肉内、皮内、腹腔内、皮下、スプレー、羽毛包法による卵内、経口、眼内、気管内、鼻腔内、又は当技術分野で公知の他の方法によって投与され得る。ワクチン組成物は皮下投与することができる。ワクチン組成物は、筋肉内投与することもできる。ワクチン組成物はまた、経口投与され得る。
【0142】
本発明の方法は、対象における疾患が予防又は治療されるように、対象において免疫応答を誘発する。
【0143】
投与は様々な方法で達成することができる。例えば、針(例えば皮下注射針)を介した注射は、特に筋肉内、皮下、眼内、腹腔内又は静脈内投与に使用することができる。代替として、無針注射を使用することができる。
【0144】
酵素結合免疫吸着測定
本発明のワクチン組成物、ポリタンパク質及び使用は、本発明者らが、本発明のポリタンパク質又はワクチン組成物を宿主において使用したときに産生される自己抗体を特異的に検出するために開発したアッセイによって補足される。このアッセイ法は、酵素結合免疫吸着測定(ELISA)であり、
a)試験表面に抗原を吸着させる工程と、
b)試験表面上の遊離結合部位をブロックする工程と、
c)抗原でコーティングされ、ブロックされた試験表面を、抗原に対する標識抗体及び抗原に対する試験対象の自己抗体を含む混合物とインキュベートする工程と、
d)標識抗体の結合を検出する工程と、
を含む。
【0145】
自己抗体、特にサイトカインに対する自己抗体の検出は、典型的には困難を伴うが、本発明のアッセイによって克服される。例えば、従来技術のアッセイは、インタクトIgG分子とプラスチック又はニトロセルロース膜に付着した(組換え)抗原との間に生じる非特異的且つ低親和性の結合のために、偽陽性の試験結果をもたらすことが多い。真核細胞で産生されたサイトカイン等のグリコシル化抗原を検出のために使用すると、試験した血清中の抗多糖抗体のために偽陽性の結果をもたらすこともある。驚くべきことに、本発明のアッセイは、目的の標的宿主タンパク質に対する標識された既知の抗体と試験されるべき自己抗体との競合に依存するため、これらの困難を克服するとみられる。このアッセイの競合原理は、偽陽性結果を最小限に抑える。
【0146】
本発明によるアッセイの工程a)において、抗原が試験表面に吸着される。本明細書で使用される「吸着する」という用語は、「抗原が試験表面に接着するように試験表面を抗原とインキュベートする」ことを意味する。この文脈における「接着される」は、「結合される」又は「付着される」の意味で意味される。試験表面は、ウェルプレートの表面、特にプラスチックウェルプレート、好ましくはポリスチレンウェルプレートの表面等、ELISAフォーマットに典型的に使用される任意の表面であり得る。
【0147】
本明細書で使用される「抗原」は、その抗原のエピトープに結合することができる抗体を産生するように宿主を誘導することが更に可能な、抗体が結合することができる分子又は分子の一部を指す。抗原は、1又は複数のエピトープを有し得る。好ましくは、工程a)で使用される抗原は、本発明のポリタンパク質、その単一タンパク質セグメント、又は本発明のポリタンパク質中のタンパク質セグメントが由来する標的自己タンパク質であるか、又はそれを含む。
【0148】
本発明によるアッセイの工程b)において、試験表面上の遊離結合部位がブロックされる。これにより、試験表面への標識抗体及び試験される自己抗体の非特異的結合が防止される。工程b)を達成するための適切な溶液、いわゆるブロッキング溶液は、他の典型的なELISAフォーマットから当業者に知られている。ブロッキング液は、常にブロッキング剤を含む。ブロッキング剤は、タンパク質又はタンパク質の混合物であり得る。特に、ブロッキング剤は、ウシ血清アルブミン(BSA)、新生仔ウシ血清(NBCS)、カゼイン、脱脂粉乳又はゼラチンであり得る。好ましくは、ブロッキング剤はゼラチンである。ブロッキング剤として本発明のアッセイにおいてゼラチンを使用する場合、本発明者らの実験は、バックグラウンドシグナルが特に低いことを示した。
【0149】
本発明によるアッセイの工程c)は、アッセイの競合原理を反映する。工程c)は、工程a)の試験表面吸着抗原への結合のための標識抗体と試験対象自己抗体との競合を含む。好ましくは、標識抗体は標識中和抗体である。アッセイのために、目的の抗原に対する標識抗体が使用されるので、この抗体は、試験される自己抗体が標識抗体として使用される抗原に対して少なくとも同様に高い結合親和性を有する場合にのみ置換又はより優れている可能性がある。標識抗体及び試験対象の自己抗体を含む工程c)で使用される混合物は、規定量の標識抗体を含む。この文脈における「定義された量」という用語は、当業者がアッセイに使用された標識抗体の量又は濃度を知っていることを意味する。好ましくは、25ng/ml~200ng/mlの標識抗体、より好ましくは50ng/ml~150ng/mlの標識抗体、最も好ましくは75ng/ml~125ng/mlの標識抗体が工程c)の混合物において使用される。本発明者らの実験は、本発明のアッセイにおいてそのような濃度の標識抗体を使用すると、試験される自己抗体との競合が特に良好に検出され得ることを示した。
【0150】
好ましくは、工程c)の2つの抗体間の競合は、一連の混合物を提供することによって試験され、一連の混合物は、試験される自己抗体の希釈度が異なる。試験対象の自己抗体は、1:1~1:20.000、好ましくは1:1~1:15.000、最も好ましくは1:1から1:10.000の希釈で使用することができる。
【0151】
「標識抗体」という用語は、インタクトな免疫グロブリン分子並びにその部分、断片、ペプチド及び誘導体、例えばFab、Fab’、F(ab’)2、Fv、Fse、CDR領域、パラトープ、又は工程a)の抗原に結合することができる抗体の任意の部分若しくはペプチド配列の両方を含むことを意味する。標識抗体は、抗原分子と特異的に反応し、それによって抗原分子を抗体に結合させることができる場合、工程a)の抗原と「結合することができる」と言われる。
【0152】
標識抗体には、キメラ抗体又はヘテロキメラ抗体、並びにその断片、部分、領域、ペプチド又は誘導体も含まれ、
任意の公知の技術、例えば、限定されないが、酵素的切断、ペプチド合成又は組換え技術によって提供される。
【0153】
本発明のアッセイの工程d)は、抗原結合標識抗体の検出に関する。標識された抗体の検出は、その標識に基づく。抗原に結合した標識抗体の量は、最終的に、試験対象の自己抗体が、試験表面に結合した抗原への結合において、標識抗体よりどれだけ効果的に優れていたかに依存する。
【0154】
抗体の適切な標識は当業者に公知である。例えば、当業者は、14C等の放射性同位体又はビオチン等のタグを標識として使用することができる。好ましくは、ビオチンが標識として使用される。標識としてのビオチンは、既存のタンパク質に直接結合することができるという利点を有する。
【0155】
放射標識された抗体は、放射活性を、例えば、放射測定検出器を用いて、又はシンチレーションカクテル及びシンチレーションカウンターを用いて測定することによって、直接検出することができる。
【0156】
タグの形態の抗体の標識は、レポーターにカップリングされた適切な標識結合部分を用いて検出することができる。ビオチンに適した標識結合部分は、例えばアビジン又はストレプトアビジンであり得る。ビオチン-ストレプトアビジン又はビオチン-アビジンのマッチング系は、2つのマッチングパートナーの結合が特に特異的且つ強力であるという利点を有する。
【0157】
標識結合部分にカップリングされた適切なレポーターは、アルカリホスファターゼ又は西洋ワサビペルオキシダーゼ等の酵素、又はGFP等の蛍光タグであり得る。蛍光タグは、それらの蛍光を測定することによって直接検出することができるが、レポーター酵素を使用して、測定可能な着色生成物をもたらす反応を触媒することができる。
【0158】
アルカリホスファターゼのための好適な比色基質は、例えば、4-ニトロフェニルリン酸二ナトリウム塩六水和物(pNPP)である。pNPPの脱リン酸化により、405nmで強い吸収を有する水溶性黄色生成物が得られる。405nmでの吸収は、ELISAリーダー、例えばEpoch Reader(150115E)又はSynergy H1Reder(180427C)で測定することができる。アルカリホスファターゼのための他の好適な比色基質は、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルホスフェート(BCIP)及びニトロブルーテトラゾリウム(NBT)であり、紫色の沈殿物を生じる。
【0159】
西洋ワサビペルオキシダーゼに適した比色基質は、例えば、3,3’,5,5’テトラメチルベンジジン(TMB)及び2,2’-アジノ-ジ[3-エチルベンズチアゾリン]スルホネート(ABTS)である。
【0160】
本発明のアッセイは、工程a)~d)の間に、試験表面に吸着した抗原に結合していない抗体材料を除去するための洗浄工程等の追加の工程を含むことができる。
【0161】
本発明者らの実験は、本発明のアッセイが、IL-31、特にイヌIL-31に対する自己抗体を検出するために特によく適していることを示した。この場合、(イヌ)IL-31又はこのポリタンパク質の(イヌ)IL-31タンパク質セグメントを含有する上記のようなポリタンパク質が抗原として使用され、標識抗体として、(イヌ)IL-31の機能を乱すか又は更には中和する標識抗体が使用される。
【0162】
好ましくは、
-アミノ酸配列YYDIN(配列番号8)、SYDMS(配列番号9)又はNYGMS(配列番号10)を有する可変重(VH)鎖相補性決定領域(CDR)1;
-アミノ酸配列WIFPGDGGTKYNETFKG(配列番号11)、TITSGGGYTYSADSVKG(配列番号12)、又はTISYGGSYTYYPDNIKG(配列番号13)を有する可変重鎖CDR2;及び
-アミノ酸配列ARGGTSVIRDAMDY(配列番号14)、ARQNWVVGLAY(配列番号15)、又はVRGYGYDTMDY(配列番号16)を有する可変重鎖CDR3
からなる群のうちの少なくとも1つを含む、イヌIL-31に対する標識抗体が、本発明のアッセイにおいて使用される。
【0163】
更に好ましくは、
-アミノ酸配列RASESVDNYGISFMH(配列番号17)を有する相補性決定領域(CDR)1を含む可変軽(VL)鎖;
-KSSQSLLNSGNQKNYLA(配列番号18)、又はKASQSVSFAGTGLMH(配列番号19);
-アミノ酸配列RASNLES(配列番号20)、GASTRES(配列番号21)、又はRASNLEA(配列番号22)を有する可変軽鎖CDR2;及び
-アミノ酸配列QQSNKDPLT(配列番号23)、QNDYSYPYT(配列番号24)、又はQQSREYPWT(配列番号25)を有する可変軽鎖CDR3
からなる群の少なくとも1つを含むイヌIL-31に対する標識抗体が、本発明のアッセイにおいて使用される。
【0164】
より好ましくは、
a)(配列番号26)、(配列番号27)、(配列番号28)、(配列番号29)、(配列番号30)、(配列番号31)又は(配列番号32)を含む可変軽鎖;
b)(配列番号33)、(配列番号34)、(配列番号35)、(配列番号36)、(配列番号37)又は(配列番号38)を含む可変重鎖
からなる群の少なくとも1つを含む、イヌIL-31に対する標識抗体が、本発明のアッセイにおいて使用される。
【0165】
このような標識中和抗体は、イヌIL-31に非常に効率的に結合する(国際公開第2013/011407を参照)。市販の抗体ロキベトマブは、イヌIL-31に対する中和自己抗体を検出するための本発明によるアッセイ方法における使用に特に適している。
【0166】
配列表
本出願は、電子的に提出された配列表を含み、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。当該配列表ファイルの名前は210741WO_ST25_Sequence listing_.txtであり、サイズは973KBである。
配列番号1は、破傷風毒素T細胞エピトープp2のアミノ酸配列である。
配列番号39は、破傷風毒素T細胞エピトープp4のアミノ酸配列である。
配列番号2は、破傷風毒素T細胞エピトープp30のアミノ酸配列である。
配列番号3は、イヌIL-31のアミノ酸配列である。
配列番号4は、実施例13aのワクチンに使用されるcIL-31ポリタンパク質のアミノ酸配列の一バージョンである。
配列番号40は、実施例13aのワクチンに使用されるcIL-31ポリタンパク質のアミノ酸配列の別のバージョンである。
配列番号40は、そのN末端のみが配列番号4と異なる。配列番号4と比較して、配列番号40は、N末端に3つの更なるアミノ酸(「SHM」)を有する。配列番号4及び配列番号40によってコードされるポリタンパク質の異なるN末端は、N末端ERシグナル配列の異なる切断事象に起因する。
配列番号5は、免疫賦活性オリゴヌクレオチド1668-PTOの核酸配列である。
配列番号6は、免疫賦活性オリゴヌクレオチド2006-PTOの核酸配列である。
配列番号7は、実施例1aのcIL-31ポリタンパク質構築物をコードするプラスミドpcDNA3.4-cIL31-ポリの核酸配列である。
以下の配列は、本発明によるアッセイ方法に適した抗イヌIL-31標識中和抗体に関連するアミノ酸配列:配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37及び配列番号38に関する。
配列番号41は、イヌIL-5のアミノ酸配列である。
配列番号42は、実施例13bのワクチン構築物に使用されるcIL-5ポリタンパク質のアミノ酸配列である。
配列番号43は、実施例13bのワクチン構築物に使用することができるcIL-5ポリタンパク質の代替アミノ酸配列である。
配列番号44は、実施例1bのcIL-5ポリタンパク質構築物をコードするプラスミドpcDNA3.4-cIL-5-ポリの核酸配列である。
配列番号45は、実施例3bのcIL-5タンパク質構築物をコードするプラスミドpcDNA3.4-cIL-5の核酸配列である。
配列番号46は、イヌIL-13のアミノ酸配列である。
配列番号47は、実施例13cのワクチン構築物に使用したcIL-13ポリタンパク質のアミノ酸配列である。
配列番号48は、実施例1cのcIL-13ポリタンパク質構築物をコードするプラスミドpcDNA3.4-cIL-13-ポリの核酸配列である。
配列番号49は、実施例3cのcIL-13タンパク質構築物をコードする細菌発現プラスミドpET30a-cIL-13の核酸配列である。
配列番号50は、完全長イヌIL-33タンパク質(Uniprot O97863)イヌIL-33-WTのアミノ酸110~263のアミノ酸配列である。
配列番号51は、イヌIL-33-CSの変更されたアミノ酸配列であり、これは完全長イヌIL-33タンパク質(Uniprot O97863)のアミノ酸110~263であり、遺伝子産物の安定性を改善するために3つのシステイン残基がセリン(IL-33-CS)で置き換えられている。
配列番号52は、実施例3dのcIL-33_WTタンパク質構築物をコードするプラスミドpET30a(+)-canIL33-WTの核酸配列である。
配列番号53は、実施例3eのcIL-33_CSタンパク質構築物をコードするプラスミドpET30a(+)-canIL33-CSの核酸配列である。
配列番号54は、実施例13dのワクチン構築物に使用されるcIL-33-CSポリタンパク質のアミノ酸配列である。
配列番号55は、実施例1dのcIL-33-CSポリタンパク質構築物をコードするプラスミドpET30a-cIL33-(CS-)ポリの核酸配列である。
配列番号56は、イヌIL-4のアミノ酸配列である。
配列番号57は、実施例13eのワクチン構築物に使用したcIL-4ポリタンパク質のアミノ酸配列である。
配列番号58は、実施例1eのcIL-4ポリタンパク質構築物をコードするプラスミドpcDNA3.4-cIL-5-ポリの核酸配列である。
配列番号59は、実施例3fのcIL-4タンパク質構築物をコードする細菌発現プラスミドpET30a-cIL-4の核酸配列である。
配列番号60は、ネコIL-31のアミノ酸配列である。
配列番号61は、実施例13fのワクチン構築物に使用したネコIL-31ポリタンパク質のアミノ酸配列である。
配列番号62は、実施例1gのネコIL-31ポリタンパク質構築物をコードするプラスミドpcDNA3.4-felIL31-ポリの核酸配列である。
配列番号63は、実施例3gのネコIL-31タンパク質構築物をコードするプラスミドpcDNA3.4-fel-IL31の核酸配列である。
配列番号64は、ウシTNF-αのアミノ酸配列である。
配列番号65は、実施例6fの免疫に使用したウシTNF-αポリタンパク質のアミノ酸配列である。
配列番号66は、実施例1hのウシTNF-αポリタンパク質構築物をコードする細菌発現プラスミドpET30a-bov-TNF-α-ポリの核酸配列である。
配列番号67は、所与の実施例において哺乳動物発現に使用される人工ER移入シグナルのアミノ酸配列である。
配列番号68~201は、配列表に記載のタンパク質のアミノ酸配列である。
配列番号202~329は、実施例13gのワクチン構築物において特に有用なポリタンパク質実施形態のアミノ酸配列である。
【0167】
[実施例]
[実施例1a]
本発明によるIL-31ポリタンパク質の設計
3コピーの成熟イヌIL-31タンパク質を含むポリタンパク質をコードするDNA構築物を設計し、ここで、成熟イヌIL-31(cIL-31)タンパク質は破傷風毒素T細胞エピトープによって互いに分離され、C末端成熟cIL-31には2つの追加の破傷風毒素T細胞エピトープが続く(
図1参照)。コードされたポリタンパク質は、N末端に人工ER導入シグナル及びC末端にHis
6タグを更に含む(
図1参照)。このDNA構築物は、哺乳動物細胞における発現を改善するためにポリタンパク質の開始コドンの上流にコザック配列を含有し、簡単なクローニングのために隣接する固有の制限酵素部位を含有するように更に設計された。このDNA構築物を合成した後、DNA構築物をpcDNA3.4哺乳動物発現ベクターにクローニングし、7637bpサイズのベクターpcDNA3.4-cIL31-ポリ(配列番号7及び
図2のプラスミドマップ)を得た。大量のトランスフェクショングレードプラスミドをExpi293F細胞発現のために調製した。
【0168】
[実施例1b]
本発明によるIL-5ポリタンパク質の設計
実施例1aのイヌIL-31ポリタンパク質の場合と同じ様式で、3コピーの成熟イヌIL-5タンパク質を含むポリタンパク質(
図39を参照のこと)をコードするDNA構築物を設計した。cIL-5-ポリタンパク質をコードするDNA構築物をpcDNA3.4哺乳動物発現ベクターにサブクローニングし、7430bpサイズのベクターpcDNA3.4-cIL-5-ポリを得た(配列番号44及び
図40のプラスミドマップ)。大量のトランスフェクショングレードプラスミドをExpi293F細胞発現のために調製した。
【0169】
[実施例1c]
本発明によるIL-13ポリタンパク質の設計
実施例1aのイヌIL-31ポリタンパク質の場合と同じ様式で、3コピーの成熟イヌIL-13タンパク質を含むポリタンパク質(
図47を参照のこと)をコードするDNA構築物を設計した。cIL-13ポリタンパク質をコードするDNA構築物をpcDNA3.4哺乳動物発現ベクターにサブクローニングし、7418bpサイズのベクターpcDNA3.4-cIL-13-ポリを得た(配列番号48及び
図48のプラスミドマップ)。大量のトランスフェクショングレードプラスミドをExpi293F細胞発現のために調製した。
【0170】
[実施例1d]
本発明によるIL-33-CSポリタンパク質の設計
3コピーの成熟イヌIL-33-CSタンパク質を含むcIL-33-CSポリタンパク質(ポリタンパク質-配列番号54)をコードするDNA構築物を設計し、ここで成熟イヌIL-33-CS(cIL-33)タンパク質は破傷風毒素T細胞エピトープによって互いに分離されており、C末端成熟cIL-33-CSの後に2つの追加の破傷風毒素T細胞エピトープが続く(
図63参照)。ポリタンパク質は、
図63に示すように、人工的な開始メチオニン及びHis
6タグを更に含む。
【0171】
このポリペプチド配列に基づいて、大腸菌における発現を改善するための開始ATGコドン、及び細菌発現ベクターpET30aへの簡単なサブクローニングのための隣接する固有の制限酵素部位(NdeI及びHindIII)を含む、Hi6-cIL33-CS-ポリ(配列番号55)をコードするDNAを設計及び合成した。
【0172】
DNA構築物をpET30細菌発現ベクターにサブクローニングし、6954bpサイズのベクターpET30a-cIL-33-ポリ(すなわち、pET30a-cIL-33-CSポリ)を得た(
図64のプラスミドマップ)。
【0173】
本発明者らは、cIL-33-WTの代わりにcIL-33-CSを塩基タンパク質として含むcIL-33ポリフォームを構築した。本発明者らは、ヒトIL-33-WTがHEK-Blue(商標)IL-33細胞によって感度よく認識されることが知られているが、イヌIL-33-WTは、cIL-33-CSの場合のように、遊離システインをセリンに変異させた後にのみ感度よく認識されることを見出した(下記の実施例12cを参照のこと)。理論に束縛されるものではないが、この突然変異は、cIL-33-ポリ構築物において不利であり得る遊離システインの潜在的な構造的責任を克服したと思われる。遊離システインのこの変異は、全てのIL-33構築物に必要ではないが、有利であり、本発明の好ましい実施形態である。
【0174】
[実施例1e]
本発明によるIL-4ポリタンパク質の設計
実施例1aのイヌIL-31ポリタンパク質の場合と同じ様式で、3コピーの成熟イヌIL-4タンパク質を含むポリタンパク質(
図68を参照のこと)をコードするDNA構築物を設計した。cIL-4ポリタンパク質をコードするDNA構築物をpcDNA3.4哺乳動物発現ベクターにサブクローニングし、7373bpサイズのベクターpcDNA3.4-cIL-4-ポリを得た(配列番号58及び
図69のプラスミドマップ)。大量のトランスフェクショングレードプラスミドをExpi293F細胞発現のために調製した。
【0175】
[実施例1f]
本発明によるネコIL-31ポリタンパク質の設計
3コピーの成熟ネコ(フェリス・カトゥス(Felis catus);フェリス・シルヴェストリス・カトゥス(Felis silvestris catus))IL-31タンパク質(配列番号60)を含むポリタンパク質(配列番号61)をコードするDNA構築物(配列番号62)を設計し、ここで、成熟ネコIL-31(fel-IL-31)タンパク質は破傷風毒素T細胞エピトープによって互いに分離されており、C末端成熟fel-IL-31には2つの追加の破傷風毒素T細胞エピトープが続く(
図74を参照)。コードされたポリタンパク質は、N末端に人工ER導入シグナル及びC末端にHis
6タグを更に含む(
図74参照)。このDNA構築物は、哺乳動物細胞における発現を改善するためにポリタンパク質の開始コドンの上流にコザック配列を含有し、簡単なクローニングのために隣接する固有の制限酵素部位を含有するように更に設計された。このDNA構築物を合成した後、DNA構築物をpcDNA3.4哺乳動物発現ベクターにサブクローニングして、発現プラスミドpcDNA3.4-felIL31-ポリ(7597bp)を得た。大量のトランスフェクショングレードプラスミドをExpi293F細胞発現のために調製した。
【0176】
[実施例1g]
本発明による更なるポリタンパク質実施形態の設計
DNA構築物は、他のポリタンパク質をコードするように設計することができる。これは、以下のように達成することができる。
【0177】
ポリタンパク質は、配列番号68~201の配列の1つを有する自己タンパク質の3つのコピーを含むように設計され、3つのコピーは破傷風毒素T細胞エピトープ(例えば、p2、p4、又はp30)によって互いに分離され、C末端成熟タンパク質には、
図1の例1a)の場合と同じ方法で2つの更なる破傷風毒素T細胞エピトープが続く。コードされるポリタンパク質は、N末端に人工ER導入シグナルを含み、C末端にHis
6タグを含むように設計することができる。
【0178】
このDNA構築物は、哺乳動物細胞における発現を改善するためにポリタンパク質の開始コドンの上流にコザック配列を含有し、簡単なクローニングのために隣接する固有の制限酵素部位を含有するように更に設計され得る。このDNA構築物を合成した後、DNA構築物をpcDNA3.4哺乳動物発現ベクターにサブクローニングして、Expi293F細胞発現のための大量のトランスフェクショングレードプラスミドを調製することができる。
【0179】
あるいは、DNA構築物は、例えば大腸菌における発現を改善するための開始ATGコドンを含み、細菌発現ベクターpET30aへの直接的なサブクローニングのための隣接する固有の制限酵素部位(NdeI及びHindIII)を含むことによって、細菌における発現を改善するように設計することができ、ベクターpET30a-[ポリ]-ポリが得られる。
【0180】
[実施例1h]
本発明によるウシTNF-αポリタンパク質の設計
TNF-α(配列番号65)タンパク質の3つのコピーを含むウシTNF-αポリタンパク質(ポリタンパク質-配列番号65)をコードするDNA構築物(配列番号66)を設計し、TNF-αタンパク質は破傷風毒素T細胞エピトープによって互いに分離されており、C末端のTNF-αには2つの更なる破傷風毒素T細胞エピトープが続く(
図77を参照)。ポリタンパク質は、
図77に示すように、人工的な開始メチオニン及びHis
6タグを更に含む。ヘキサ-G/S-リンカーをこの構造で使用した。
【0181】
このポリペプチド配列に基づいて、大腸菌における発現を改善するための開始ATGコドン、及び細菌発現ベクターpET30aへの簡単なサブクローニングのための隣接する固有の制限酵素部位(NdeI及びHindIII)を含む、Hi6-bov-TNF-α-ポリ(配列番号66)をコードするDNAを設計及び合成した。
【0182】
DNA構築物をpET30a細菌発現ベクターにサブクローニングし、7017bpサイズのベクターpET30a(+)-bov-TNF-α-ポリを得た(
図78のプラスミドマップ)。
【0183】
[実施例2a]
Expi293F細胞における本発明によるcIL-31ポリタンパク質の発現及び発現されたポリタンパク質の精製
Expi293F細胞を無血清Expi293(商標)発現培地(Thermo Fisher Scientific)中で増殖させた。Expi293F細胞を、オービタルシェーカー(VWR Scientific)上、37℃、8%CO
2でErlenmeyer Flasks(Corning Inc.)中で維持した。トランスフェクションの1日前に、細胞をCorning Erlenmeyer Flasksに適切な密度で播種した。トランスフェクションの当日に、プラスミドpcDNA3.4-cIL31-ポリ及びトランスフェクション試薬を最適な比率で混合し、次いでトランスフェクションの準備ができた細胞とともにフラスコに添加した。6日目に回収した細胞培養上清を、pcDNA3.4-cIL31-ポリ(配列番号7及び
図2のプラスミドマップ)から発現したポリタンパク質の精製に使用した。産生された成熟ポリタンパク質は、もはやN末端に人工ER導入シグナルを含まず、次いで配列番号4又は配列番号40の配列を有すると予想される。配列番号4及び配列番号40は、ER導入シグナルの開裂事象が異なるため、N末端が互いに異なる。
【0184】
発現したポリタンパク質の精製及び分析を以下のように行った:
細胞培養液を遠心分離した。その後、細胞培養上清を適切な流速でNi2+-NTAアフィニティー精製カラムにロードした。洗浄及び適切な緩衝液での溶出後、溶出画分をプールし、緩衝液をPBS(pH7.2)である最終製剤緩衝液に交換した。
【0185】
精製されたポリタンパク質をSDS-PAGE及びクーマシーブルー染色によって分析して、その分子量及び純度を決定した。そうするために、精製ポリタンパク質の濃度を、検量線の標準としてBSAを用いたBradfordアッセイによって決定した。以下の実施例においてcIL-31ポリタンパク質又はcIL-31ポリと呼ばれる、約16mg(リン酸緩衝生理食塩水、PBS中)の可溶性(cIL-31)-p4-(cIL-31)-p30-(cIL-31)-p30-p4-His6ポリタンパク質を、100mlの粗細胞培養上清から得た。
【0186】
SDS-PAGE分析のために、以下のローディング緩衝液を使用した:
-還元負荷緩衝液:300mM Tris-HCl、10%SDS、30%グリセロール、0.5%ブロモフェノールブルー、250mM DTT、pH6.8。
-非還元負荷緩衝液:300mM Tris-HCl、10%SDS、30%グリセロール、0.5%ブロモフェノールブルー、pH6.8。
【0187】
還元及び非還元負荷緩衝液をそれぞれポリタンパク質試料に添加した。還元又は非還元負荷緩衝液を含むポリタンパク質試料は、0.5mg/mlに近い濃度を有していた。
【0188】
ポリタンパク質試料を還元負荷緩衝液と混合した後、100℃で5~10分間加熱した。
【0189】
還元又は非還元負荷緩衝液を含むポリタンパク質試料を10000rpmで1分間遠心分離し、次いで、プレキャストゲル(Genscript、カタログ番号No.M42012)のゲルチャンバに負荷した。これらのゲルを用いたSDS-PAGEを、製造業者によって概説されるように行った(140V、約60分間)。その後、ゲルをクーマシーブルーで染色した。染色されたゲルを
図3に示す。
【0190】
図3のクーマシーブルー染色ゲルのレーン1の主なバンドは、タンパク質配列から予想されるよりもわずかに大きい(56865.04Da、https://web.expasy.org/cgi-bin/protparam/protparamを使用して成熟配列から計算)。cIL-31タンパク質配列は8つのN-グリコシル化部位を含み、そのうちの7つは、NetNGlyc分析に基づいて修飾されている可能性が高い(http://www.cbs.dtu.dk/services/NetNGlyc/)ので、この差異は広範囲のN-グリコシル化から生じる可能性が高い。
【0191】
非還元条件下(
図3のクーマシーブルー染色ゲルのレーン2)では、ロードされたタンパク質の約半分のみが、モノマーを示すバンド内を移動した。大きな割合は、二量体形態及び多量体形態であると思われる。
【0192】
[実施例2b]
Expi293F細胞における本発明によるcIL-5ポリタンパク質の発現及び発現されたポリタンパク質の精製
pcDNA3.4-cIL31-ポリ(配列番号7)の代わりにプラスミドpcDNA3.4-cIL-5-ポリ(配列番号44;
図40のプラスミドマップを参照)を用いた以外は、実施例2aのcIL-31ポリタンパク質の発現と同様にして、cIL-5のポリタンパク質の発現を行った。
【0193】
実施例2aと同様に、産生された成熟ポリタンパク質は、もはやN末端に人工ER導入シグナルを含まず、次いで配列番号42の配列を有すると予想される。
【0194】
以下の実施例においてcIL-5ポリタンパク質又はcIL-5ポリと呼ばれる、約0.23mg(リン酸緩衝生理食塩水、PBS中)の可溶性(cIL-5)-p2-(cIL-5)-p30-(cIL-5)-p30-p2-His6ポリタンパク質を、100mlの粗細胞培養上清から得た。
【0195】
【0196】
図41のSDS-PAGE/ウェスタンブロットのレーン1の主なバンドは、タンパク質配列から予想されるよりもはるかに大きい(50477.67Da、https://web.expasy.org/cgi-bin/protparam/protparamを使用して成熟配列から計算)。タンパク質配列は8つのN-グリコシル化部位を含み、そのうちの5つは、NetNGlyc分析に基づいて修飾されている可能性が高い(http://www.cbs.dtu.dk/services/NetNGlyc/)ので、この差異は広範囲のN-グリコシル化から生じる可能性が高い。
【0197】
非還元条件下(
図41のSDS-PAGEのレーン2)では、負荷タンパク質の外観は還元条件下と比較して変化し、これはジスルフィド結合オリゴマー又はポリマー形態を示す。
【0198】
[実施例2c]
Expi293F細胞における本発明によるcIL-13ポリタンパク質の発現及び発現されたポリタンパク質の精製
pcDNA3.4-cIL31-ポリ(配列番号7)の代わりにプラスミドpcDNA3.4-cIL-13-ポリ(配列番号48;
図48のプラスミドマップを参照)を用いた以外は、実施例2aのcIL-31ポリタンパク質の発現と同様にして、cIL-13のポリタンパク質の発現を行った。
【0199】
実施例2aと同様に、産生された成熟ポリタンパク質は、もはやN末端に人工ER導入シグナルを含まず、次いで配列番号47の配列を有すると予想される。
【0200】
以下の実施例においてcIL-13ポリタンパク質又はcIL-13ポリと呼ばれる、約0.6mg(リン酸緩衝生理食塩水、PBS中)の可溶性(cIL-13)-p2-(cIL-13)-p30-(cIL-13)-p30-p2-His6ポリタンパク質を、100mlの粗細胞培養上清から得た。
【0201】
【0202】
図49のSDS-PAGE/ウェスタンブロットのレーン1の主なバンドは、タンパク質配列から予想されるよりもはるかに大きい(47496.39Da、https://web.expasy.org/cgi-bin/protparam/protparamを使用して成熟配列から計算)。タンパク質配列は14つのN-グリコシル化部位を含み、そのうちの13つは、NetNGlyc分析に基づいて修飾されている可能性が高い(http://www.cbs.dtu.dk/services/NetNGlyc/)ので、この差異は広範囲のN-グリコシル化から生じる可能性が高い。
【0203】
非還元条件下(
図49のSDS-PAGEのレーン2)では、ロードされたタンパク質の外観は還元条件下のものと非常に類似しており、これは主にモノマー形態を示す。
【0204】
[実施例2d]
大腸菌細胞における本発明によるcIL-33ポリタンパク質の発現及び発現されたポリタンパク質の精製
E.コリBL21Star(商標)株(DE3)を組換えプラスミドで形質転換した。単一コロニーを、関連する抗生物質を含有するLysogeny Broth(LS)培地に接種した。培養物を37℃、200rpmでインキュベートし、次いで、イソプロピルβ-D-1-チオガラクトピラノシド(IPTG)で誘導した。発現をモニタリングするためにSDS-PAGEを使用した。
【0205】
発現を以下のようにスケールアップした:グリセロールに保存した組換えBL21(DE3)を、関連する抗生物質を含有するTerrific Broth(TB)培地に接種し、37℃で培養した。OD600が約1.2に達したら、細胞培養物をIPTGを用いて15℃で16時間誘導した。遠心分離により細菌を回収した。
【0206】
発現したタンパク質の精製を以下のように行った:細菌ペレットを溶解緩衝液で再懸濁し、続いて超音波処理した。遠心分離後の沈殿物を変性剤を用いて溶解させた。標的タンパク質を、Niカラムを使用する一段階精製によって得た。標的タンパク質を0.22μmフィルターで滅菌した後、一定分量で保存した。濃度は、標準としてBSAを用いたBradfordタンパク質アッセイによって決定した。タンパク質純度及び分子量は、標準SDS-PAGEによって決定した。
【0207】
発現タンパク質のSDS-PAGE分析は、実施例2aに記載のように行った。染色されたゲルを
図65に示す。
【0208】
およそ0.9mgの可溶性(リン酸緩衝生理食塩水、PBS中)cIL-13-His
6を1L培養物の細菌ペレットから得た。
図65に示されるSDS-PAGEのレーン2における主要なバンドのサイズは、タンパク質配列から予想される予測とよく一致している(63604.11Da、https://web.expasy.org/cgi-bin/protparam/protparamを使用して成熟配列から計算)。
【0209】
[実施例2e]
Expi293F細胞における本発明によるcIL-4ポリタンパク質の発現及び発現されたポリタンパク質の精製
pcDNA3.4-cIL31-ポリ(配列番号7)の代わりにプラスミドpcDNA3.4-cIL-4-ポリ(配列番号58;
図69のプラスミドマップを参照)を用いた以外は、実施例2aのcIL-31ポリタンパク質の発現と同様にして、cIL-4のポリタンパク質の発現を行った。
【0210】
ウェスタンブロット分析により、還元型試料では100kDa~120kDaの広いバンドとして組換え産物が明らかになったが、非還元型試料では100~120kDa及び>>120kDaの2つのファジーバンド領域が可視であった。
【0211】
実施例2aと同様に、産生された成熟ポリタンパク質は、もはやN末端に人工ER導入シグナルを含まず、次いで配列番号47の配列を有すると予想される。
【0212】
以下の実施例においてcIL-4ポリタンパク質又はcIL-4ポリと呼ばれる、約4.5mg(リン酸緩衝生理食塩水、PBS中)の可溶性(cIL-4)-p2-(cIL-4)-p30-(cIL-4)-p30-p2-His6ポリタンパク質を、100mlの粗細胞培養上清から得た。
【0213】
【0214】
還元条件下での主なバンドは、https://web.expasy.org/cgi-bin/protparam/protparamを使用して成熟配列から計算したタンパク質配列(51039.30Da)から予想されるよりもはるかに大きい。タンパク質配列は20つのN-グリコシル化部位を含み、そのうちの17は、NetNGlyc分析に基づいて修飾されている可能性が高い(http://www.cbs.dtu.dk/services/NetNGlyc/)ので、この差異は広範囲のN-グリコシル化から生じる可能性が高い。
【0215】
潜在的に不均一である可能性が高い大量のグリコシル化は、ウェスタンブロットにおけるタンパク質の広帯域出現、及びアミノ酸組成によって予測されるよりも大きなサイズを説明し得る。
【0216】
[実施例2f]
Expi293F細胞における本発明によるfel-IL-31ポリタンパク質の発現及び発現されたポリタンパク質の精製
Expi293F細胞を無血清Expi293(商標)発現培地(Thermo Fisher Scientific)中で増殖させた。Expi293F細胞を、オービタルシェーカー(VWR Scientific)上、37℃、8%CO2でErlenmeyer Flasks(Corning Inc.)中で維持した。トランスフェクションの1日前に、細胞をCorning Erlenmeyer Flasksに適切な密度で播種した。トランスフェクションの当日に、プラスミドpcDNA3.4-fel-IL31-ポリ及びトランスフェクション試薬を最適な比率で混合し、次いでトランスフェクションの準備ができた細胞とともにフラスコに添加した。6日目に回収した細胞培養上清を、pcDNA3.4-fel-IL31-ポリから発現したポリタンパク質の精製に使用した。産生された成熟ポリタンパク質は、もはやN末端に人工ER導入シグナルを含まず、次いで配列番号61の配列を有すると予想される。
【0217】
発現したポリタンパク質の精製及び分析を以下のように行った:
細胞培養液を遠心分離した。その後、細胞培養上清を適切な流速でNi2+-NTAアフィニティー精製カラムにロードした。洗浄及び適切な緩衝液での溶出後、溶出画分をプールし、緩衝液をPBS(pH7.2)である最終製剤緩衝液に交換した。
【0218】
精製されたポリタンパク質をSDS-PAGE及びクーマシーブルー染色によって分析して、その分子量及び純度を決定した。そうするために、精製ポリタンパク質の濃度を、検量線の標準としてBSAを用いたBradfordアッセイによって決定した。およそ7.29mg(リン酸緩衝生理食塩水、PBS中)の可溶性fel-IL-31-ポリ-His6を100mlの粗細胞培養上清から得た。
【0219】
SDS-PAGE分析のために、以下のローディング緩衝液を使用した:
-還元負荷緩衝液:300mM Tris-HCl、10%SDS、30%グリセロール、0.5%ブロモフェノールブルー、250mM DTT、pH6.8。
-非還元負荷緩衝液:300mM Tris-HCl、10%SDS、30%グリセロール、0.5%ブロモフェノールブルー、pH6.8。
【0220】
還元及び非還元負荷緩衝液をそれぞれポリタンパク質試料に添加した。還元又は非還元負荷緩衝液を含むポリタンパク質試料は、0.5mg/mlに近い濃度を有していた。ポリタンパク質試料を還元負荷緩衝液と混合した後、100℃で5~10分間加熱した。還元又は非還元負荷緩衝液を含むポリタンパク質試料を10000rpmで1分間遠心分離し、次いで、プレキャストゲル(Genscript、カタログ番号No.M42012)のゲルチャンバに負荷した。これらのゲルを用いたSDS-PAGEを、製造業者によって概説されるように行った(140V、約60分間)。その後、ゲルをクーマシーブルーで染色した。
【0221】
クーマシーブルー染色SDSゲルにおいて、fel-IL-31-ポリは、還元されたゲルにおいて約80kDaの主なバンドによって表される。これは予想よりも大きく(成熟ポリペプチドの計算分子量:55615.65Da)、これはN-グリコシル化によって引き起こされ得る。NetNGlyc分析に基づいて(http://www.cbs.dtu.dk/services/NetNGlyc/)、最大6つの位置が修正される可能性が高い。
【0222】
非還元ゲルレーンでは、fel-IL-31-ポリバンドの移動度は還元されたものよりもいくらか速く、これは鎖内ジスルフィド結合に典型的であり、よりコンパクトな構造をもたらす。主なバンドの上の一部のスメアは、凝集した材料を示す。しかし、全体的にSDS-PAGE分析は、fel-IL-31-ポリが主に単量体であることを示唆している。
【0223】
[実施例2g]
本発明による更なるポリタンパク質の発現及び精製
実施例1gで設計したポリタンパク質の発現は、実施例2a又は実施例2dのcIL-31ポリタンパク質の発現と同様に行うことができる。産生された成熟ポリタンパク質は、構築物に含まれる場合、N末端に人工ER導入シグナルをもはや含まないと予想され、配列番号202~329の対応するアミノ酸配列を有すると予想される。
【0224】
実施例2h:本発明によるウシTNF-αポリタンパク質の発現及び精製
大腸菌BL21株(DE3)におけるpET30a-bov-TNF-α-ポリの発現及び組換えタンパク質の精製は、他の大腸菌発現について記載されているように本質的に行った(例えば、cIL-33-CS、cIL-13、cIL-33-CS-ポリを参照のこと)。
【0225】
簡単に説明すると、封入体を変性溶液に溶解し、Ni2+-NTAアフィニティークロマトグラフィーに供した。次いで、このカラムからの溶出液をSuperdex G200サイズ排除クロマトグラフィーに供し、溶出液をPBS、10%グリセロール、1MのL-アルギニン、pH7.4に保存した。1Lの培養物は5.82mgの組換えタンパク質を生じ、SDS PAGE分析は、ウシTNF-αポリタンパク質の純度が90%を超えることを示した。
【0226】
[実施例3a]
哺乳動物細胞における適切に折り畳まれた天然cIL-31の発現
N末端に人工ER導入シグナル及びC末端にHis6タグを有するcIL-31をコードするDNA構築物を設計した。このcIL-31-DNA構築物は、哺乳動物細胞における発現を改善するためにタンパク質の開始コドンの上流にコザック配列を含有し、簡単なクローニングのために隣接する固有の制限酵素部位を含有するように更に設計された。このDNA構築物を合成した後、DNA構築物をpcDNA3.4哺乳動物発現ベクターにクローニングし、6521bpサイズのベクターpcDNA3.4-cIL31を得た。大量のトランスフェクショングレードプラスミドをExpi293F細胞発現のために調製した。
【0227】
pcDNA3.4-cIL31からのcIL-31構築物の発現を以下のように達成した:
Expi293F細胞を無血清Expi293(商標)発現培地(Thermo Fisher Scientific)中で増殖させた。細胞を、オービタルシェーカー(VWR Scientific)上、37℃、8%CO2でErlenmeyer Flasks(Corning Inc.)中で維持した。トランスフェクションの1日前に、細胞をCorning Erlenmeyer Flasksに適切な密度で播種した。トランスフェクションの当日に、プラスミドpcDNA3.4-cIL31及びトランスフェクション試薬を最適な比率で混合し、次いでトランスフェクションの準備ができた細胞とともにフラスコに添加した。6日目に回収した細胞培養上清を精製に使用した。
【0228】
発現したタンパク質の精製及び分析を以下のように行った:
細胞培養液を遠心分離した。細胞培養上清を適切な流速でNi2+-NTAアフィニティー精製カラムにロードした。洗浄及び適切な緩衝液での溶出後、溶出画分をプールし、緩衝液を最終製剤緩衝液(PBS pH7.2)に交換した。
【0229】
精製されたタンパク質をSDS-PAGE及びクーマシーブルー染色によって分析して、その分子量及び純度を決定した。そうするために、精製ポリタンパク質の濃度を、検量線の標準としてBSAを用いたBradfordアッセイによって決定した。以下の実施例ではcIL-31と呼ばれる約2.61mg(リン酸緩衝生理食塩水、PBS中)の可溶性cIL31-His6を、100mlの粗細胞培養上清から得た。
【0230】
SDS-PAGE分析のために、以下のローディング緩衝液を使用した:
-還元負荷緩衝液:300mM Tris-HCl、10%SDS、30%グリセロール、0.5%ブロモフェノールブルー、250mM DTT、pH6.8。
-非還元負荷緩衝液:300mM Tris-HCl、10%SDS、30%グリセロール、0.5%ブロモフェノールブルー、pH6.8。
【0231】
還元及び非還元負荷緩衝液をそれぞれタンパク質試料に添加した。還元又は非還元負荷緩衝液を含むタンパク質試料は、0.5mg/mlに近い濃度を有していた。
【0232】
タンパク質試料を還元負荷緩衝液と混合した後、100℃で5~10分間加熱した。
【0233】
還元又は非還元負荷緩衝液を含むタンパク質試料を10000rpmで1分間遠心分離し、次いで、プレキャストゲル(Genscript、カタログ番号No.M42012)のゲルチャンバに負荷した。これらのゲルを用いたSDS-PAGEを、製造業者によって概説されるように行った(140V、約60分間)。その後、ゲルをクーマシーブルーで染色した。染色されたゲルを
図4に示す。
【0234】
SDS-PAGEのレーン1の主なバンドは、タンパク質配列から予想されるよりもかなり大きい(16196.54Da、https://web.expasy.org/cgi-bin/protparam/protparamを使用して成熟配列から計算)。タンパク質配列は2つのN-グリコシル化部位を含み、両方ともNetNGlyc分析に基づいて(http://www.cbs.dtu.dk/services/NetNGlyc/)修飾されている可能性が高いため、この違いは広範囲のN-グリコシル化によって説明される可能性がある。
【0235】
非還元条件下(SDS-PAGEにおけるレーン2)では、ロードされたタンパク質の大部分が、モノマーを示すバンドで移動した。ごくわずかな割合が二量体形態及び多量体形態で存在するようである。
【0236】
[実施例3b]
哺乳動物細胞における適切に折り畳まれた天然cIL-5の発現
cIL-5をコードするDNA構築物の設計、合成及びサブクローニングを、実施例3aのcIL-31について記載されるように行った。6452bpのサイズを有するベクターpcDNA3.4-cIL-5(配列番号45)を
図42に示す。大量のトランスフェクショングレードプラスミドをExpi293F細胞発現のために調製した。
【0237】
実施例3aのcIL-31構築物と同様に、pcDNA3.4-cIL-5からのcIL-5構築物の発現、並びに発現したタンパク質の精製及び分析を達成した。
【0238】
以下の実施例ではcIL-5と呼ばれる約7.28mg(リン酸緩衝生理食塩水、PBS中)の可溶性cIL-5-His6を、100mlの粗細胞培養上清から得た。
【0239】
還元SDS-PAGEで観察された見かけの分子サイズ(
図43、レーン「1」)は、予測から予想されるよりもわずかに大きく(13921.91Da、https://web.expasy.org/cgi-bin/protparam/protparam)、を使用して成熟配列から計算)、1つの位置でのN-グリコシル化によって説明され得る。非還元SDS-PAGE(
図43のレーン「2」)は、タンパク質が二量体として発現されることを示唆しており、これは他の種からのIL-5に関する文献の知識と一致している。
【0240】
[実施例3c]
細菌(E.コリ)細胞における適切に折り畳まれた天然cIL-13の発現
N末端に開始メチオニン(M)、及びC末端にHis6タグを有する配列番号46のcIL-13をコードするDNA構築物を設計した。このcIL-13-DNA構築物を、人工開始コドンATG、単純なサブクローニングのための隣接する固有な制限酵素部位(NdeI及びHindIII)、及び終止コドンTGAを含有するように更に設計した。
【0241】
このDNA構築物を合成した後、DNA構築物を制限部位NdeI及びHindIIIを介してpET30(+)E.コリ発現ベクターにサブクローニングし、5619bpサイズのベクターpET30a-cIL-13を得た(配列番号49;
図50に示すプラスミドマップ)。トランスフェクショングレードプラスミドをE.コリ発現のために調製した。
【0242】
pET30a-cIL-13からのcIL-13構築物の発現を以下のように達成した:E.コリBL21Star(商標)(DE3)株を組換えプラスミドで形質転換した。単一コロニーを、関連する抗生物質を含有するLysogeny Broth(LS)培地に接種した。培養物を37℃、200rpmでインキュベートし、次いで、イソプロピルβ-D-1-チオガラクトピラノシド(IPTG)で誘導した。発現をモニタリングするためにSDS-PAGEを使用した。
【0243】
発現を以下のようにスケールアップした:グリセロールに保存した組換えBL21(DE3)を、関連する抗生物質を含有するTerrific Broth(TB)培地に接種し、37℃で培養した。OD600が約1.2に達したら、細胞培養物をIPTGを用いて15℃で16時間誘導した。遠心分離により細菌を回収した。
【0244】
発現したタンパク質の精製を以下のように行った:細菌ペレットを溶解緩衝液で再懸濁し、続いて超音波処理した。遠心分離後の沈殿物を変性剤を用いて溶解させた。標的タンパク質を、Niカラムを使用する一段階精製によって得た。標的タンパク質を0.22μmフィルターで滅菌した後、一定分量で保存した。
【0245】
濃度は、標準としてBSAを用いたBradfordタンパク質アッセイによって決定した。以下の実施例ではcIL-13と呼ばれる約10.5mg(リン酸緩衝生理食塩水、PBS中)の可溶性cIL-13-His6を、1LのE.コリ培養物の細菌ペレットから得た。
【0246】
発現したタンパク質のタンパク質純度及び分子量は、還元負荷緩衝液を使用して標準SDS-PAGEによって決定した。BSAを対照として使用した。タンパク質試料が0.5mg/mlに近い濃度を有するように、還元負荷緩衝液(300mM Tris-HCl、10%SDS、30%グリセロール、0.5%ブロモフェノールブルー、250mM DTT、pH6.8)をタンパク質試料に添加した。
【0247】
タンパク質試料を還元負荷緩衝液と混合した後、それらを100℃で5~10分間加熱し、10000rpmで1分間遠心分離し、次いで、プレキャストゲル(Genscript、カタログ番号M42012)のゲルチャンバに負荷した(BSA2μg;cIL-131.86μg)。これらのゲルを用いたSDS-PAGEを、製造業者によって概説されるように行った(140V、約60分間)。その後、ゲルをクーマシーブルーで染色した。
【0248】
染色されたゲルを
図51に示す。レーン1はBSAのサイズを示す。レーン2は、cIL-13タンパク質のサイズを示す。
【0249】
図51のSDS-PAGEのレーン1のバンドは、予想されるBSAの66kDa分子量とよく一致している。
図51のSDS-PAGEのレーン2における主要なバンドのサイズは、タンパク質配列から予想される予測とよく一致している(13394.39Da、https://web.expasy.org/cgi-bin/protparam/protparamを使用して成熟配列から計算)。
【0250】
[実施例3d]
細菌(E.コリ)細胞における適切に折り畳まれた天然cIL-33-WTの発現
cIL-33-WTタンパク質配列(配列番号50)は、十分に記載されているマウスIL-33のアミノ酸109~266形態(Uniprot Q8BVZ5)と同様に、完全長イヌIL-33タンパク質(Uniprot O97863)のアミノ酸110~263に対応する。
【0251】
cIL-33-WT(配列番号50)をコードするDNA構築物(配列番号52)を、開始メチオニン(M)及びN末端のHis6タグもコードするように設計した。この構築物を、人工開始コドンATG、単純なサブクローニングのための隣接する固有な制限酵素部位(NdeI及びHindIII)、及び終止コドンTGAを含有するように設計した。
【0252】
このDNA構築物を合成した後、制限部位NdeI及びHindIIIを介してpET30(+)E.コリ発現ベクターにサブクローニングし、5742bpサイズのベクターpET30a-canIL33-CSを得た(
図57に示すプラスミドマップ)。
【0253】
pET30a(+)-canIL33-WTからのHis6-cIL-33-WT構築物の発現は以下のように達成された:pET30a(+)-canIL-33-WT形質転換BL21(DE3)E.コリを、カナマイシンを含有するTerrific Broth(TB)培地に接種し、37℃で培養した。OD600が約1.2に達したら、細胞培養物をIPTGを用いて15℃で16時間誘導した。遠心分離により細菌を回収した。
【0254】
cIL-33-WTタンパク質の精製は、Ni2+カラムを使用した典型的なHisタグタンパク質精製スキームに従った。細胞ペレットを溶解緩衝液で再懸濁し、続いて超音波処理した。遠心分離後の上清(可溶性発現)をカラムクロマトグラフィーに用いた。標的タンパク質を透析し、0.22μmフィルターで滅菌した後、一定分量で保存した。濃度は、標準としてBSAを用いたBradfordタンパク質アッセイによって決定した。
【0255】
濃度は、標準としてBSAを用いたBradfordタンパク質アッセイによって決定した。以下の実施例ではcIL-33-WTと呼ばれる約10.01mgの可溶性(50mM Tris-HCl、10%グリセロール、150mM NaCl、pH8.0中)His6-cIL-33-WTを、1L培養物の細菌ペレットから得た。
【0256】
発現されたタンパク質のタンパク質純度及び分子量を、実施例3cのcIL-13について記載されるように(それぞれ2.00μgをゲルチャンバに負荷した)、還元負荷緩衝液及び対照としてのBSAを使用して標準SDS-PAGEによって決定した。染色されたゲルを
図58に示す。レーン1はBSAのサイズを示し、その予想される66kDaの分子量とよく一致している。レーン2は、cIL-33-WTタンパク質のサイズを示しており、タンパク質配列から予想される予測とよく一致している(18578.54Da、https://web.expasy.org/cgi-bin/protparam/protparamを使用して成熟配列から計算)。
【0257】
[実施例3e]
細菌(E.コリ)細胞における適切に折り畳まれた天然cIL-33-CSの発現
cIL-33-WTから出発して、cIL-33-CSをコードするDNA構築物を設計した。IL-33-WT(配列番号50)中に存在する3つのシステイン残基の各々をセリン残基で置換して、遺伝子産物の安定性を改善し、IL-33-CS(配列番号51)を得た。
【0258】
cIL-33-CSをコードするDNA構築物(配列番号53)を、開始メチオニン(M)及びN末端にHis6タグを有するように設計した。この構築物を、人工開始コドンATG、単純なサブクローニングのための隣接する固有な制限酵素部位(NdeI及びHindIII)、及び終止コドンTGAを含有するように設計した。
【0259】
このDNA構築物を合成した後、制限部位NdeI及びHindIIIを介してpET30(+)E.コリ発現ベクターにサブクローニングし、5742bpサイズのベクターpET30a-canIL33-CSを得た(
図60に示すプラスミドマップ)。
【0260】
pET30a-cIL33-CSからのcIL-33-CS構築物の発現を以下のように達成した:pET30a(+)-canIL-33-CS形質転換BL21(DE3)(E.コリ)を、カナマイシンを含有するTerrific Broth(TB)培地に接種し、37℃で培養した。OD600が約1.2に達したら、細胞培養物をIPTGを用いて15℃で16時間誘導した。遠心分離により細菌を回収した。His6-canIL33-CSタンパク質の精製は、Ni2+カラムを使用した典型的なHisタグタンパク質精製スキームに従った。細胞ペレットを溶解緩衝液で再懸濁し、続いて超音波処理した。遠心分離後の沈殿物(封入体)を変性剤を用いて溶解させた後、カラムクロマトグラフィーに供した。標的タンパク質を0.22μmフィルターで滅菌した後、一定分量で保存した。
【0261】
濃度は、標準としてBSAを用いたBradfordタンパク質アッセイによって決定した。上記の手順により、約10.4mgの可溶性(リン酸緩衝生理食塩水[PBS]、10%グリセロール、0.5ML-アルギニン、pH7.4中)His6-cIL-33-CSを1L培養物の細菌ペレットから得た。
【0262】
発現されたタンパク質のタンパク質純度及び分子量を、実施例3cのcIL-13について記載されるように(それぞれ2.00μgをゲルチャンバに負荷した)、還元負荷緩衝液及び対照としてのBSAを使用して標準SDS-PAGEによって決定した。染色されたゲルを
図61に示す。レーン1はBSAのサイズを示し、その予想される66kDaの分子量とよく一致している。レーン2は、cIL-33-CSタンパク質のサイズを示し、主要なバンドは、cIL-33-CSのタンパク質配列から予想される予測とよく一致している(18530.36Da、https://web.expasy.org/cgi-bin/protparam/protparamを使用して成熟配列から計算)。
【0263】
[実施例3f]
細菌(E.コリ)細胞における適切に折り畳まれた天然cIL-4の発現
cIL-4(配列番号56)をコードするDNA構築物(配列番号59)を、開始メチオニン(M)及びN末端のHis6タグもコードするように設計した。この構築物を、人工開始コドンATG、単純なサブクローニングのための隣接する固有な制限酵素部位(NdeI及びHindIII)、及び終止コドンTGAを含有するように設計した。
【0264】
このDNA構築物を合成した後、制限部位NdeI及びHindIIIを介してpET30(+)E.コリ発現ベクターにサブクローニングし、5601bpサイズのベクターpET30a-cIL-4を得た(
図70に示すプラスミドマップ)。
【0265】
pET30a-cIL-4からのcIL-4構築物の発現を以下のように達成した:E.コリBL21Star(商標)(DE3)株を組換えプラスミドで形質転換した。単一コロニーを、関連する抗生物質を含有するLysogeny Broth(LS)培地に接種した。培養物を37℃、200rpmでインキュベートし、次いで、イソプロピルβ-D-1-チオガラクトピラノシド(IPTG)で誘導した。発現をモニタリングするためにSDS-PAGEを使用した。
【0266】
発現を以下のようにスケールアップした:グリセロールに保存した組換えBL21(DE3)を、関連する抗生物質を含有するTerrific Broth(TB)培地に接種し、37℃で培養した。OD600が約1.2に達したら、細胞培養物をIPTGを用いて15℃で16時間誘導した。遠心分離により細菌を回収した。
【0267】
発現したタンパク質の精製を以下のように行った:細菌ペレットを溶解緩衝液で再懸濁し、続いて超音波処理した。遠心分離後の沈殿物を変性剤を用いて溶解させた。標的タンパク質を、Niカラムを使用する一段階精製によって得た。標的タンパク質を0.22μmフィルターで滅菌した後、一定分量で保存した。
【0268】
濃度は、標準としてBSAを用いたBradfordタンパク質アッセイによって決定した。以下の実施例ではcIL-4と呼ばれる約10.78mg(リン酸緩衝生理食塩水、PBS中)の可溶性cIL-4-His6を、1LのE.コリ培養物の細菌ペレットから得た。
【0269】
発現したタンパク質のタンパク質純度及び分子量は、還元負荷緩衝液を使用して標準SDS-PAGEによって決定した。BSAを対照として使用した。タンパク質試料が0.5mg/mlに近い濃度を有するように、還元負荷緩衝液(300mM Tris-HCl、10%SDS、30%グリセロール、0.5%ブロモフェノールブルー、250mM DTT、pH6.8)及び非還元負荷緩衝液(300mM Tris-HCl、10%SDS、30%グリセロール、0.5%ブロモフェノールブルー、pH6.8)をそれぞれタンパク質試料に添加した。
【0270】
混合後、還元負荷緩衝液を含むタンパク質試料を100℃で5~10分間加熱した。タンパク質試料を10000rpmで1分間遠心分離し、次いで、プレキャストゲル(Genscript、カタログ番号M42012)のゲルチャンバ及び適切なランニング緩衝液に負荷した(BSA2μg;cIL-42μg)。電気泳動を140Vで約60分間行った。クーマシーブルー染色ゲルは、予想されるBSAの66kDaの分子量とよく一致するレーン1のバンドを示した。SDS-PAGEのレーン2における主要なバンドのサイズは、cIL-4タンパク質配列から予想される予測とよく一致している(13585.88Da、https://web.expasy.org/cgi-bin/protparam/protparamを使用して成熟配列から計算)。
【0271】
[実施例3g]
哺乳動物細胞における適切に折り畳まれた天然fel-IL-31の発現
N末端に人工ER導入シグナル及びC末端にHis6タグを有するfel-IL-31をコードするDNA構築物(配列番号63)を設計した。このfel-IL-31-DNA構築物は、哺乳動物細胞における発現を改善するためにタンパク質の開始コドンの上流にコザック配列を含有し、簡単なクローニングのために隣接する固有の制限酵素部位を含有するように更に設計された。このDNA構築物を合成した後、DNA構築物をpcDNA3.4哺乳動物発現ベクターにクローニングし、ベクターpcDNA3.4-fel-IL31を得た。大量のトランスフェクショングレードプラスミドをExpi293F細胞発現のために調製した。
【0272】
pcDNA3.4-fel-IL31からのcIL-31構築物の発現を以下のように達成した:
Expi293F細胞を無血清Expi293(商標)発現培地(Thermo Fisher Scientific)中で増殖させた。細胞を、オービタルシェーカー(VWR Scientific)上、37℃、8%CO2でErlenmeyer Flasks(Corning Inc.)中で維持した。トランスフェクションの1日前に、細胞をCorning Erlenmeyer Flasksに適切な密度で播種した。トランスフェクションの当日に、プラスミドpcDNA3.4-fel-IL31及びトランスフェクション試薬を最適な比率で混合し、次いでトランスフェクションの準備ができた細胞とともにフラスコに添加した。6日目に回収した細胞培養上清を精製に使用した。
【0273】
発現したタンパク質の精製及び分析を以下のように行った:
細胞培養液を遠心分離した。細胞培養上清を適切な流速でNi2+-NTAアフィニティー精製カラムにロードした。洗浄及び適切な緩衝液での溶出後、溶出画分をプールし、緩衝液を最終製剤緩衝液(PBS pH7.2)に交換した。
【0274】
精製されたタンパク質をSDS-PAGE及びクーマシーブルー染色によって分析して、その分子量及び純度を決定した。そうするために、精製ポリタンパク質の濃度を、検量線の標準としてBSAを用いたBradfordアッセイによって決定した。以下の実施例ではfel-IL-31又はfIL-31と呼ばれる約7.29mg(リン酸緩衝生理食塩水、PBS中)の可溶性fel-IL31-His6を、100mlの粗細胞培養上清から得た。
【0275】
SDS-PAGE分析のために、以下のローディング緩衝液を使用した:
-還元負荷緩衝液:300mM Tris-HCl、10%SDS、30%グリセロール、0.5%ブロモフェノールブルー、250mM DTT、pH6.8。
-非還元負荷緩衝液:300mM Tris-HCl、10%SDS、30%グリセロール、0.5%ブロモフェノールブルー、pH6.8。
【0276】
還元及び非還元負荷緩衝液をそれぞれタンパク質試料に添加した。還元又は非還元負荷緩衝液を含むタンパク質試料は、0.5mg/mlに近い濃度を有していた。タンパク質試料を還元負荷緩衝液と混合した後、100℃で5~10分間加熱した。還元又は非還元負荷緩衝液を含むタンパク質試料を10000rpmで1分間遠心分離し、次いで、プレキャストゲル(Genscript、カタログ番号No.M42012)のゲルチャンバに負荷した。これらのゲルを用いたSDS-PAGEを、製造業者によって概説されるように行った(140V、約60分間)。その後、ゲルをクーマシーブルーで染色した。
【0277】
クーマシーブルー染色のレーン1の主なバンドは、タンパク質配列から予想されるよりもかなり大きい(16196.54Da、https://web.expasy.org/cgi-bin/protparam/protparamを使用して成熟配列から計算)。fel-IL-31タンパク質配列は2つのN-グリコシル化部位を含み、その両方がNetNGlyc分析に基づいて(http://www.cbs.dtu.dk/services/NetNGlyc/)修飾される可能性が高いので、この違いは広範囲のN-グリコシル化から生じる可能性が高い。
【0278】
非還元条件下では、ロードされたタンパク質の大部分は、モノマーを示すバンドで移動した。ごくわずかな割合が、二量体及び多量体又は凝集形態であるようである。
【0279】
[実施例4]
インビボcIL-31活性試験(イヌの掻痒/かゆみ誘発)の実施
実施例3で上記のように精製したcIL-31を16匹のイヌに1.75μg/kg体重の単回用量で静脈内投与した。この目的のために、cIL-31を滅菌NaCl溶液中の液体製剤として調製した。投与用量体積はイヌ1匹当たり1mlであった。
【0280】
掻痒行動を、cIL-31液体製剤を120分間投与した約20~40分後にビデオ記録した。
【0281】
120分の全観察期間を1分間隔(120間隔)に分割した。カテゴリー的な、はい/いいえ(「1/0」)の決定は、観察者によって以下のように行われた:少なくとも1つの掻痒行動がイヌによって示された全ての間隔を「1」としてカウントした。掻痒行動のない全ての間隔を「0」としてカウントした。
【0282】
掻痒行動のタイプは、各間隔で生じる第1の行動によって定義した。120分の各観察期間内の累積カウントが掻痒スコアを提供した。イヌが60回を超える間隔の間に掻痒行動を示した場合、掻痒誘発は成功したとみなした。
【0283】
cIL-31液体製剤の投与後、全てのイヌにおいて掻痒症が観察された。上記の基準に従って、16匹のイヌのうち13匹において掻痒症の誘発に成功した。この試験中に有害事象は観察されなかった。したがって、要約すると、この試験は、発現されたcIL-31構築物が生物学的に活性であるという証拠を提供する。
【0284】
[実施例5]
cIL-31ポリタンパク質もイヌの掻痒症を誘発するかどうかの試験
実施例2で上記のように精製したcIL-31ポリタンパク質を3匹のイヌに200μgの単回用量で皮下投与した。この目的のために、cIL-31ポリタンパク質を、Polygenをアジュバントとして含むPBS中の液体製剤として調製した。用量体積はイヌ1匹当たり1mLであった。
【0285】
注射されたポリタンパク質に対するイヌの局所的及び全身的耐性を評価するために、直腸温度を測定し、腫脹、疼痛、発赤及び発熱の臨床徴候について注射部位の密接な観察及び触診を行った。臨床症状が発見された場合、臨床所見が消失するまで、又は試験が終了するまで、上記の局所及び全身耐性評価を週1回行った。
【0286】
いずれのイヌも掻痒症の徴候を示さなかった。注射部位で発赤及び剥離のような軽度の臨床徴候が観察され、体温の上昇が最初の投与後に全てのイヌ及び2回目の投与後に2匹のイヌで観察され、ポリタンパク質に対する誘導された免疫応答を示した。
【0287】
[実施例6a]
cIL-31に対するポリクローナルウサギ抗血清の作製及び特徴づけ
約500μgのcIL-31を、ニュージーランドホワイトウサギにおける以下の63日間の免疫レジメン(Davids Biotechnology,Regensburg/FRG)の抗原として使用した:
1日目:免疫前血清の採取、初回免疫
14日目:2回目の免疫
28日目:3回目の免疫
35日目:中間ELISA力価の試験血清
42日目:4回目の免疫
56日目:5回目の免疫
63日目:抗血清の採取
【0288】
[実施例6b]
cIL-5に対するポリクローナルウサギ抗血清の作製及び特徴づけ
約500μgのcIL-5を、実施例6aで上述した63日間の免疫レジメンにおける抗原として使用した。
【0289】
[実施例6c]
cIL-13に対するポリクローナルウサギ抗血清の作製及び特徴づけ
約500μgのcIL-13を、実施例6aで上述した63日間の免疫レジメンにおける抗原として使用した。
【0290】
[実施例6d]
cIL-33-WTに対するポリクローナルウサギ抗血清の作製及び特徴づけ
約500μgのcIL-13-WTを、実施例6aで上述した63日間の免疫レジメンにおける抗原として使用した。
【0291】
[実施例6e]
cIL-4に対するポリクローナルウサギ抗血清の作製及び特徴づけ
約500μgのcIL-4を、実施例6aで上述した63日間の免疫レジメンにおける抗原として使用した。
【0292】
[実施例6f]
bov-TNF-α-ポリに対するポリクローナルウサギ抗血清の作製及び特徴づけ
約500μgのbov-TNF-αポリタンパク質(配列番号65)を、実施例6aで上述した63日間の免疫レジメンにおける抗原として使用した。
【0293】
[実施例7]
卵黄からのcIL-31に対するニワトリIgYの産生
およそ500μgのcIL-31を、ニワトリにおける以下の63日間の免疫レジメン(Davids Biotechnology,Regensburg/FRG)のための抗原として使用した:
1日目:免疫前の卵黄IgG/IgYの回収、約90%純粋
1日目:第1の免疫
14日目:2回目の免疫
28日目:3回目の免疫
35日目:4回目の免疫
45~55日目:卵の回収
63日目:独自の(Davids Biotechnology,Regensburg;調製物I)による卵の調製、ウサギからの抗血清に匹敵する純度及び品質をもたらすIgY調製物
【0294】
[実施例8a]
抗cIL-31及び抗cIL-31ポリタンパク質のセットアップ、ウサギ血清抗体及びニワトリ卵黄IgY力価測定、天然cIL-31及びcIL-31ポリタンパク質への結合試験のためのELISAフォーマット
ポリスチレンELISAプレート(384ウェル:Thermo Maxisorp、カタログ番号464718)を、コーティング緩衝液(50mMNaHCO3 pH9.6)に溶解した1μg/mlのcIL-31又はcIL-31ポリタンパク質(cIL-31:0、29mg/ml、又はcIL-31ポリタンパク質:0、4mg/ml)でコーティングした。ウェルごとに、10μlの体積のコーティング溶液を使用した。次いで、ポリスチレンELISAプレートを、蓋を閉めて4℃で一晩(O/N)インキュベートした。コーティング溶液を除去した後、PBS(ThermoFisherリン酸緩衝生理食塩水、pH7.2、カタログ番号20012-019)、0.05%(v/v)Tween20(50μl/ウェル)による3回の洗浄を行った。続いて、非特異的結合部位のブロッキングを、50μl/ウェルのPBS、0.05%(v/v)Tween20、3%(v/v)ゼラチン(冷水魚の皮膚から、H2O中40~50%、Sigma C7765)を用いて行った。このブロッキング工程を室温(RT)で少なくとも1時間行った。ブロッキング溶液を除去した後、PBS、0.05%(v/v)Tween20、3%(v/v)ゼラチン中のウサギ抗血清又はニワトリ卵黄調製物の段階希釈物(非吸着レプリカプレートから)を添加した(ウェル当たり20μl)。連続希釈液とのインキュベーションを室温で少なくとも1時間行った。その後、ウサギ抗血清又はニワトリ卵黄調製物の段階希釈物を除去し、PBS、0.05%(v/v)Tween20(50μl/ウェル)で3回洗浄した。次に、PBS中の抗ウサギIgG(全分子)、ヤギで産生されたF(ab’)2断片-アルカリホスファターゼ(AP)抗体(SigmaA3937、又は同等品)の1:15,000希釈物、又はウサギで産生された抗ニワトリIgY(IgG)(全分子)-AP抗体(Sigma A9171、又は同等物)の1:5000希釈物、0.05%(v/v)Tween20、3%(v/v)ゼラチン(20μl/ウェル)を添加し、室温で少なくとも1時間インキュベートした。これらの抗体溶液を除去した後、再びPBS、0.05%(v/v)Tween20(50μl/ウェル)で3回洗浄した。続いて、ウェルをAP緩衝液(50mM NaHCO3/Na2CO3、2mM MgCl2、pH9.6、ウェル当たり50μl)で1回洗浄した。最後に、AP緩衝液(90μl/ウェル)中5mM4-ニトロフェニルリン酸二ナトリウム塩六水和物(pNPP、Applichem,viaSigma,A1442,0050、又は同等品)を添加した。405nm/分(mOD/分)での光学密度(OD)の増加を、RTでELISAリーダー、例えばEpoch Reader(150115E)又はSynergy H1 Reder(180427C)で記録し、曲線勾配を線形増加範囲から決定した。
【0295】
ウサギ免疫前血清及び抗血清の抗原としてcIL-31又はcIL-31ポリタンパク質を使用したELISAの結果を
図5に示す。この図は、ウサギ抗血清がcIL-31及びcIL-31ポリタンパク質構築物の両方を認識したが、免疫前血清は、適用されたELISAフォーマットにおいて無視できるシグナルしか生成しなかったことを示す。1:160の抗血清希釈までの両抗原について線形シグナル相が観察され、続いて典型的なELISA滴定曲線が観察された。エンドポイントの力価(バックグラウンドシグナルより高いシグナル+2標準偏差による最後の希釈)は、cIL-31については>1:40,000、及びcIL-31ポリタンパク質については>1:80,000であった。これらのデータは、この試験で生成されたウサギ抗cIL-31血清が良質であったことを示唆している。
【0296】
cIL-31ポリタンパク質が、後者のタンパク質に対して産生された抗血清によってcIL-31と同様に十分に認識されるという事実は、人工反復ドメイン構造及び破傷風毒素スペーサー配列にもかかわらず、ポリタンパク質中のcIL-31のコピーが部分的に折り畳まれていることを示唆している。この結果は驚くべき結果であり、予想できなかった。
【0297】
ニワトリ免疫前血清及び卵黄調製物の抗原としてcIL-31又はcIL-31ポリタンパク質を使用したELISAの結果を
図6に示す。この図から分かるように、ニワトリ卵黄調製物はcIL-31及びcIL-31ポリタンパク質を認識したが、ニワトリ免疫前血清は、1:250に希釈した場合、適用されたELISAフォーマットにおいて無視できるシグナルしかもたらさなかった(データは示さず)。62.5μg/mlの卵黄調製物希釈物までのcIL-31ポリタンパク質について、線形シグナル相を観察し、続いて典型的なELISA滴定曲線を観察した。cIL-31の場合、線状相は125μg/ml卵黄タンパク質で終了した。卵黄タンパク質調製物(バックグラウンドシグナル+2標準偏差より高いシグナルを有する最後の希釈)のエンドポイント力価は、cIL-31については122ng/ml及びcIL-31ポリタンパク質については61ng/mlであった。これらのデータは、この試験で生成されたニワトリ卵黄調製物が良質であったことを示唆している。
【0298】
cIL-31ポリタンパク質が、後者のタンパク質に対して産生されたニワトリ卵黄抗体によってcIL-31とほぼ等しく十分に認識されるという事実は、人工反復ドメイン構造及び破傷風毒素スペーサー配列にもかかわらず、ポリタンパク質中のcIL-31のコピーが部分的に折り畳まれていることを再度裏付けている。この結果は驚くべき結果であり、予想できなかった。
【0299】
[実施例8b]
ウサギ血清抗体力価測定、天然cIL-5及びcIL-5ポリタンパク質への結合試験のための抗cIL-5及び抗cIL-5ポリタンパク質ELISAフォーマットの設定
cIL-31について実施例8aと同じ方法でcIL-5に対して生成した抗血清を試験するためにELISAを設定した。しかし、384ウェルポリスチレンELISAプレートを、実施例8aに記載のようにコーティング緩衝液に溶解した1~5μg/mlのcIL-5又は0.5μg/mlのcIL-31-ポリでコーティングした。
【0300】
その対応する免疫前血清と比較したウサギ抗cIL-5抗血清の力価測定の結果を
図44に示す。ウサギ抗血清はcIL-5を認識するが、免疫前血清は、適用されたELISAフォーマットにおいて無視できるシグナルしか生成しない。線形シグナル相は、抗血清希釈度約1:500まで視認可能であり、典型的なELISA滴定曲線が続く。終点力価(バックグラウンド+2標準偏差を超えるシグナルによる最後の希釈)は1:200,000に近い。これらのデータは、この試験で生成されたウサギ抗cIL-5血清が良質であることを示唆している。
【0301】
ウサギ免疫前血清及び抗血清の抗原としてcIL-5又はcIL-5ポリタンパク質を使用したELISAの結果を
図45に示す。この図は、ウサギ抗血清がcIL-5及びcIL-5ポリタンパク質構築物の両方を認識したが、免疫前血清は、適用されたELISAフォーマットにおいて無視できるシグナルしか生成しなかったことを示す。cIL-5と比較してcIL-5-ポリの場合、絶対信号強度は低いが、曲線形状は
図45において非常に類似している。これは、人工反復ドメイン構造及び破傷風毒素スペーサー配列にもかかわらず、cIL-5-ポリ中のcIL-5ポリペプチドの少なくとも一部が天然様コンフォメーションであることを示唆している。この結果は驚くべき結果であり、予想できなかった。
【0302】
[実施例8c]
ウサギ血清抗体力価測定、天然cIL-13及びcIL-13ポリタンパク質への結合試験のための抗cIL-13及び抗cIL-13ポリタンパク質ELISAフォーマットの設定
cIL-31について実施例8aと同じ方法でcIL-13に対して生成した抗血清を試験するためにELISAを設定した。しかし、384ウェルポリスチレンELISAプレートを、実施例8aに記載のようにコーティング緩衝液に溶解した5μg/mlのcIL-13又は5μg/mlのcIL-13-ポリでコーティングした。
【0303】
その対応する免疫前血清と比較したウサギ抗cIL-13抗血清の力価決定の結果を
図53Aに示す。ウサギ抗血清はcIL-13を認識するが、免疫前血清は適用されたELISA形式では無視できるシグナルしか生成しない。線形シグナル相は、抗血清希釈度約1:5000まで視認可能であり、典型的なELISA滴定曲線が続く。エンドポイントの力価(バックグラウンド+2標準偏差を超えるシグナルによる最後の希釈)は1:500,000を超える。これらのデータは、この試験で生成されたウサギ抗cIL-13血清が良質であることを示唆している。
【0304】
コーティング抗原としてのcI1-13-ポリの場合、エンドポイント力価は1:100,000に近く(
図53B)、ワクチン抗原構築物上の抗cIL-13抗体結合部位の豊富な存在が確認された。
【0305】
[実施例8d]
ウサギ血清抗体力価測定、天然cIL-33及びcIL-33-CSポリタンパク質への結合試験のための抗cIL-33-WT及び抗cIL-33-CSポリタンパク質ELISAフォーマットのセットアップ
cIL-31について実施例8aと同じ方法でcIL-33-WTに対して生成した抗血清を試験するためにELISAを設定した。しかし、384ウェルポリスチレンELISAプレートを、実施例8aに記載されているように、コーティング緩衝液に溶解した5μg/mlのcIL-33-WT又はcIL-33-CS-ポリでコーティングした。
【0306】
その対応する免疫前血清と比較したウサギ抗cIL-13-WT抗血清の力価測定の結果を
図59に示す。ウサギ抗血清はcIL-33-WTを認識するが、免疫前血清は、適用されたELISAフォーマットにおいて無視できるシグナルしか生成しない。エンドポイントの力価(バックグラウンド+2標準偏差を超えるシグナルによる最後の希釈)は1:10,000を超える。これらのデータは、この試験で生成されたウサギ抗cIL-33-WT血清がかなりの品質であることを示唆している。
【0307】
その対応する免疫前血清と比較したウサギ抗cIL-13-CS-ポリ抗血清の力価測定の結果を
図66に示す。cIL-33-WTに対して惹起されたウサギ抗血清はcIL-33-CS-ポリを認識するが、免疫前血清は、適用されたELISAフォーマットにおいて無視できるシグナルしかもたらさない。線形シグナル相は、抗血清希釈度約1:320まで視認可能であり、典型的なELISA滴定曲線が続く。エンドポイントの力価(バックグラウンド+2標準偏差を超えるシグナルによる最後の希釈)は1:100,000を超える。これらのデータは、cIL-33-CS-ポリが実際には親抗原よりも良好な抗cIL-33-WT血清に対する結合パートナーであることを示唆している。cIL-33-CS-ポリのポリマー性がこの特性に寄与する可能性がある。また、C→S変異は、cIL-33-WTと比較して、cIL-33-CSの抗原性を大きく変化させていないことが示唆された。
【0308】
[実施例8e]
ウサギ血清抗体力価測定、天然cIL-4、cIL-4ポリタンパク質及びcIL-13への結合試験のための抗cIL-4及び抗cIL-4ポリタンパク質ELISAフォーマットの設定
cIL-31について実施例8aと同じ方法でcIL-4に対して生成した抗血清を試験するためにELISAを設定した。しかし、384ウェルポリスチレンELISAプレートを、実施例8aに記載のようにコーティング緩衝液に溶解した1μg/mlのcIL-4(
図71A)又は2.5μg/mlのcIL-4-ポリ(
図71B)でコーティングした。
【0309】
ウサギ免疫前血清及び抗血清の抗原としてcIL-4又はcIL-4ポリタンパク質を使用したELISAの結果を
図71Aに示す。
【0310】
ウサギ抗血清はcIL-4を認識するが、免疫前血清は、適用されたELISAフォーマットにおいて無視できるシグナルしか生成しない。線形シグナル相は、抗血清希釈度約1:80まで視認可能であり、典型的なELISA滴定曲線が続く。エンドポイントの力価(バックグラウンド+2標準偏差を超えるシグナルによる最後の希釈)は1:150,000を超える。これらのデータは、この試験で生成されたウサギ抗cIL-4血清が良質であることを示唆している。
【0311】
コーティング抗原としてのcIL-4-ポリの場合、エンドポイント力価は1:50,000に近く(
図71B)、ワクチン抗原構築物上の抗cIL-4抗体結合部位の豊富な存在が確認された。
【0312】
更に、cIL-13に対して産生されたウサギ血清を試験した。この血清は、特異的抗cIL-4抗血清よりも低い程度の低希釈度でわずかなシグナルしかもたらさなかった(
図71B)。これらのデータは、cIL-4-ポリ構築物がイヌIL-4の抗原決定基を含有することを実証している。
【0313】
[実施例8f]
ウサギ血清抗体力価測定のための抗bov-TNF-αポリタンパク質ELISAフォーマットの設定
cIL-31について実施例8aと同じ方法でウシTNF-α-ポリタンパク質に対して生成された抗血清を試験するためにELISAを設定した。しかし、384ウェルポリスチレンELISAプレートを、実施例8aに記載のようにコーティング緩衝液に溶解した1μg/mlのbov-TNF-α(R&DSystems)でコーティングした。
【0314】
その対応する免疫前血清と比較したウサギ抗bov-TNF-α-ポリ抗血清の力価測定の結果を
図79に示す。ウサギ抗血清はウシTNF-αを認識するが、免疫前血清は、適用されたELISAフォーマットにおいて無視できるシグナルしか生成しない。したがって、ウサギをbov-TNF-ポリで免疫すると、高力価抗ウシ-TNF-a抗血清が得られる。この抗血清のエンドポイントは1:40,000希釈を超えており、飽和は最大1:200希釈で見られる。これは、本発明のポリタンパク質構築物を使用して、bov-TNFa-ポリの意図された免疫原性が達成されたことを実証する。
【0315】
[実施例9]
cIL-31中和イヌモノクローナル抗体(mAb)ロキベトマブの天然cIL-31及びcIL-31ポリタンパク質への結合のためのELISAフォーマットの設定
ロキベトマブは、イヌIL-31に対するイヌ化モノクローナル抗体であり(Michels et al.,“A blinded,randomized,placebo-controlled,dose determination trial of lokivetmab(ZTS-00103289),a caninized,anti-canine IL-31 monoclonal antibody in client owned dogs with atopic dermatitis”,Veterinary dermatology 27.6(2016):478-e129)、獣医学薬物Cytopoint(登録商標)の活性物質を形成する。
【0316】
cIL-31又はcIL-31ポリタンパク質へのロキベトマブの結合を試験するための以下のELISAフォーマットを開発した:
ポリスチレンELISAプレート(384ウェル:Thermo Maxisorp、カタログ番号464718)を、コーティング緩衝液(50mMNaHCO3 pH9.6)に溶解した1μg/mlのcIL-31又はcIL-31ポリタンパク質(cIL-31:0、29mg/ml、又はcIL-31ポリタンパク質:0、4mg/ml)でコーティングした。ウェルごとに、10μlの体積のコーティング溶液を使用した。次いで、ポリスチレンELISAプレートを、蓋を閉めて4℃で一晩(O/N)インキュベートした。コーティング溶液を除去した後、PBS(ThermoFisherリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、pH7.2、カタログ番号20012-019)、0.05%(v/v)Tween20(50μl/ウェル)による3回の洗浄を行った。続いて、非特異的結合部位のブロッキングを、50μl/ウェルのPBS、0.05%(v/v)Tween20、3%(v/v)ゼラチン(冷水魚の皮膚から、H2O中40~50%、Sigma C7765)を用いて行った。このブロッキング工程を室温で少なくとも1時間行った。ブロッキング溶液を除去した後、PBS、0.05%(v/v)Tween20、3%(v/v)ゼラチン中のロキベトマブの段階希釈液(非吸着レプリカプレートから)を添加した(ウェル当たり20μl)。ロキベトマブの段階希釈液とのインキュベーションを室温で少なくとも1時間行った。その後、ロキベトマブの段階希釈液を除去し、PBSで3回洗浄し、0.05%(v/v)Tween20(50μl/ウェル)を行った。次に、PBS、0.05%(v/v)Tween20、3%(v/v)ゼラチン(20μl/ウェル)中のプロテインA-AP(P7488 Sigma)の1:5000希釈物又はanti-dog-IgG-AP(SigmaロットRI6082 0.61mg/ml)の1:2000希釈物を添加し、室温で少なくとも1時間インキュベートした。これらの溶液を除去した後、再びPBS、0.05%(v/v)Tween20(50μl/ウェル)で3回洗浄した。続いて、ウェルをAP緩衝液(50mM NaHCO3/Na2CO3、2mM MgCl2、pH9.6、ウェル当たり50μl)で1回洗浄した。最後に、AP緩衝液(90μl/ウェル)中5mM4-ニトロフェニルリン酸二ナトリウム塩六水和物(pNPP、Applichem,viaSigma,A1442,0050、又は同等品)を添加した。405nm/分(mOD/分)での光学密度(OD)の増加をELISAリーダーにおいてRTで記録し、曲線勾配を線形増加範囲から決定した。
【0317】
ロキベトマブの抗原としてcIL-31を使用したELISAの結果を
図7に示す。これらの結果は、ロキベトマブがcIL-31に結合すること、及びそれが抗イヌIgG試薬によって検出され得ることを示唆する。しかしながら、cIL-31に結合したロキベトマブは、プロテインAによってほとんど認識されない。
【0318】
ロキベトマブの抗原としてcIL-31及びcIL-31ポリタンパク質を使用したELISAの結果を
図8に示す。これらの結果は、ロキベトマブがcIL-31及びcIL-31ポリタンパク質に結合することを実証している。これは、ポリタンパク質中のcIL-31のコピーが天然折畳みを有することを示唆している。
【0319】
[実施例10]
ビオチン化ロキベトマブの作製及び特徴付け
ロキベトマブをビオチン化するために、Zebaの0.5mlスピン脱塩カラム(40K)を最初に50mM NaHCO3、150mM NaCl、pH8.5で平衡化した。次に、100μlのロキベトマブ(10mg/ml)を平衡化したカラムに2回通した。その後、20μlの10mMのEZ-Link(商標)スルホン-NHS-LC-LC-ビオチン(Thermo Scientific 21338)をロキベトマブ含有溶液に添加し、37℃で4時間インキュベートした。このインキュベーション後、1MのTris pH8.0 1μlを添加した。更なるZeba0.5mlのスピン脱塩カラムをPBS(pH7.2)で平衡化した後、ロキベトマブを含有する反応混合物をPBS平衡化カラムに通し、PBSで200μlの最終容量まで満たし、5mg/mlのビオチン化ロキベトマブの濃度が想定された。
【0320】
次に、ビオチン化ロキベトマブのcIL-31結合を試験するためのELISAフォーマットを開発した:
ポリスチレンELISAプレート(384ウェル:Thermo Maxisorp、カタログ番号464718)を、コーティング緩衝液(50mMNaHCO3 pH9.6)に溶解した1μg/mlのcIL-31又はcIL-31ポリタンパク質(cIL-31:0、29mg/ml、又はcIL-31ポリタンパク質:0、4mg/ml)でコーティングした。ウェルごとに、10μlの体積のコーティング溶液を使用した。次いで、ポリスチレンELISAプレートを、蓋を閉めて4℃で一晩(O/N)インキュベートした。コーティング溶液を除去した後、PBS(ThermoFisherリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、pH7.2、カタログ番号20012-019)、0.05%(v/v)Tween20(50μl/ウェル)による3回の洗浄を行った。続いて、非特異的結合部位のブロッキングを、50μl/ウェルのPBS、0.05%(v/v)Tween20、3%(v/v)ゼラチン(冷水魚の皮膚から、H2O中40~50%、Sigma C7765)を用いて行った。このブロッキング工程を室温で少なくとも1時間行った。ブロッキング溶液を除去した後、PBS、0.05%(v/v)Tween20、3%(v/v)ゼラチン中のロキベトマブの段階希釈液(非吸着レプリカプレートから)を添加した(ウェル当たり20μl)。ビオチン化ロキベトマブの段階希釈液とのインキュベーションを室温で少なくとも1時間行った。その後、ビオチン化ロキベトマブの段階希釈液を除去し、PBSで3回洗浄し、0.05%(v/v)Tween20(50μl/ウェル)を行った。次に、PBS、0.05%(v/v)Tween20、3%(v/v)ゼラチン(20μl/ウェル)中のExtrAvidin(登録商標)-AP(Sigma E2636)の1:17.000希釈物を添加し、室温で少なくとも1時間インキュベートした。この溶液を除去した後、再びPBS、0.05%(v/v)Tween20(50μl/ウェル)で3回洗浄した。続いて、ウェルをAP緩衝液(50mM NaHCO3/Na2CO3、2mM MgCl2、pH9.6、ウェル当たり50μl)で1回洗浄した。最後に、AP緩衝液(90μl/ウェル)中5mM4-ニトロフェニルリン酸二ナトリウム塩六水和物(pNPP、Applichem,viaSigma,A1442,0050、又は同等品)を添加した。405nm/分(mOD/分)での光学密度(OD)の増加をELISAリーダーにおいてRTで記録し、曲線勾配を線形増加範囲から決定した。
【0321】
ビオチン化ロキベトマブの抗原としてcIL-31を使用したELISAの結果を
図9に示す。これらの結果は、使用したELISA設定で強い滴定可能なシグナルが観察されたため、ロキベトマブのビオチン化が成功したことを示唆している。
【0322】
[実施例11]
ビオチン化ロキベトマブ競合アッセイフォーマットの設定
ウサギ免疫前血清、ウサギ抗cIL-31抗血清(実施例6参照)、cIL-31ポリタンパク質0、4mg/ml(Genscript)、cIL-31 0.29mg/ml(Genscript)及びロキベトマブ-ビオチン(実施例10参照)を使用して、ロキベトマブ競合アッセイを設定した。
【0323】
ビオチン化ロキベトマブ競合アッセイフォーマットを以下のように設計した:
ポリスチレンELISAプレート(384ウェル:Thermo Maxisorp、カタログ番号10192781)を、コーティング緩衝液(50mM NaHCO3 pH9.6)に溶解した1μg/mlのcIL-31又はcIL-31ポリタンパク質(PBS中のストック溶液:cIL-31:0、29mg/ml、又はcIL-31ポリタンパク質:0.4mg/ml)でコーティングした。ウェルごとに、10μlの体積のコーティング溶液を使用した。次いで、ポリスチレンELISAプレートを、蓋を閉めて4℃で一晩(O/N)インキュベートした。コーティング溶液を除去した後、PBS(ThermoFisherリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、pH7.2、カタログ番号20012-019)、0.05%(v/v)Tween20(35μl/ウェル)による3回の洗浄を行った。続いて、非特異的結合部位のブロッキングを、35μl/ウェルのPBS、0.05%(v/v)Tween20、3%(v/v)ゼラチン(冷水魚の皮膚から、H2O中40~50%、Sigma C7765)を用いて行った。このブロッキング工程は、蓋を閉じて室温で少なくとも1時間行った。PBS、0.05%(v/v)Tween20、3%(v/v)ゼラチン中の100ng/mlビオチン化ロキベトマブ中のウサギ免疫前、ウサギ抗cIL-31免疫血清又はニワトリ卵黄IgY調製物からの連続希釈液を別個の非吸収性ELISAプレート中で調製し、室温で約1時間インキュベートした。cIL-31又はcIL-31ポリタンパク質コーティングELISAプレートからブロッキング溶液を除去した後、プレインキュベートした連続抗体希釈液を添加した(20μl/ウェル)。連続抗体希釈物とのインキュベーションを室温で約1時間行った。その後、連続抗体希釈液を除去し、PBSで3回洗浄し、0.05%(v/v)Tween20(35μl/ウェル)を行った。次に、PBS、0.05%(v/v)Tween20、3%(v/v)ゼラチン(20μl/ウェル)中のExtrAvidin(登録商標)-AP(Sigma E2636)の1:17.000希釈物を添加し、蓋を閉じて室温で少なくとも1時間インキュベートした。この溶液を除去した後、PBS、0.05%(v/v)Tween20(35μl/ウェル)で再度2回洗浄した。続いて、ウェルをAP緩衝液(50mM NaHCO3/Na2CO3、2mM MgCl2、pH9.6、ウェル当たり50μl)で1回洗浄した。最後に、AP緩衝液(90μl/ウェル)中5mM4-ニトロフェニルリン酸二ナトリウム塩六水和物(pNPP、Applichem,viaSigma,A1442,0050、又は同等品)を添加した。405nm/分(mOD/分)での光学密度(OD)の増加をELISAリーダーにおいてRTで記録し、曲線勾配を線形増加範囲から決定した。
【0324】
cIL-31中和抗体としてのビオチン化ロキベトマブとELISAプレートに固定化されたcIL-31又はcIL-31ポリタンパク質との間の相互作用のために、ウサギ免疫前血清+ビオチン化ロキベトマブの混合物又はウサギ免疫血清+ビオチン化ロキベトマブのプローブの混合物を使用するELISA設定。
図10及び
図11の結果は、ウサギ免疫前血清がcIL-31又はcIL-31ポリタンパク質のいずれかへのロキベトマブの結合を妨害しないことを示す。しかしながら、抗cIL-31ウサギ免疫血清は、1:128~1:64の希釈からこの相互作用に対する阻害活性を示し、1:2の希釈でのロキベトマブ結合の完全阻害をもたらす。
【0325】
cIL-31中和抗体としてのビオチン化ロキベトマブとELISAプレートに固定化されたcIL-31との間の相互作用のためのニワトリ卵黄IgY調製物+ビオチン化ロキベトマブプローブの混合物を使用するELISA設定。
図12の結果は、抗cIL-31ニワトリ卵黄IgY調製物が、122μg/ml~244μg/mlで開始し、15.6mg/mlでのビオチン化ロキベトマブ結合の完全な阻害をもたらすこの相互作用に対する阻害活性を示したことを示す。
【0326】
[実施例12a]
オリゴデオキシヌクレオチド(CpG-ODN)のNFkB刺激能を評価することを可能にするイヌ単球細胞株(DH82)の作製
イヌ単球細胞株DH82(Wellman et al.1988)をpcDNA3.1(+)-bsd-NFkB-SEAPでトランスフェクトした(プラスミドマップは
図13として含まれる)。これにより、多数のNFkB経路活性化リガンド(LPS又はTNF-α等)によって分泌胚性アルカリホスファターゼ(SEAP)分泌を刺激することができるブラストサイジンS選択細胞株が得られた。クローン細胞株を得るために、単一細胞クローニングを行った。
【0327】
このクローン細胞株(DH82-bsd-NFSEAP)を異なるホスホロチオエートオリゴデオキシヌクレオチド(PTO-ODN)に曝露した。強力な濃度依存性SEAPシグナルが、効力の程度が1668-PTO>>2006-PTO>2007-PTOの3つの異なるPTO-ODNについて観察された(
図14を参照のこと)。
【0328】
図14の結果は、PTO-ODNを認識し、NFkBシグナル伝達をもたらす唯一の公知の受容体であるので、DH82が機能的Toll様受容体9(TLR9)を発現することを示唆する。更に、
図14の結果は、驚くべきことに、特に1668-PTO(配列番号A)がイヌTLR9の強力な活性化剤であることを示している。
【0329】
[実施例12b]
HEK-Blue(商標)IL-13細胞におけるcIL-13の刺激能
HEK-Blue(商標)IL-4/IL-13細胞(Invivogen,hkb-il413)をヒトSTAT6遺伝子で安定にトランスフェクトして、完全に活性なSTAT6経路を得る。更に、細胞をSTAT6誘導性SEAPレポーター遺伝子でトランスフェクトする。受容体サブユニットIL4Rα及びIL-13Rα1並びにシグナル伝達経路の他の遺伝子は、十分な量で天然に発現される。
【0330】
これらの細胞は、ヒトIL-4及びヒトIl-13に応答性である(https://www.invivogen.com/hek-blue-il4-il13、データは示さず)。
【0331】
これらの細胞をcIL-13で試験したところ、このサイトカインがHEK-Blue(商標)IL-4/IL-13細胞によって感受性的に認識され、約2ng/ml(2000pg/ml)のEC
50でSEAPレポーター酵素の読み出しをもたらすことが明らかになった(
図52参照)。
【0332】
[実施例12c]
HEK-Blue(商標)IL-33細胞におけるcIL-33-WT及びcIL-33-CSの刺激能
HEK-Blue(商標)IL-33細胞(Invivogen,hkb-hiL33)を使用して、cIL-33-WT及びcIL-33-CSタンパク質の刺激能を評価した。細胞は、ヒト胚腎臓HEK293由来細胞のヒトIL1RL1遺伝子による安定なトランスフェクションによって作製した。更に、TNF-α及びIL-1βの応答が遮断された。したがって、HEK-Blue(商標)IL-33細胞はIL-33に特異的に応答する。これらの細胞は、NF-κB/AP-1誘導性SEAPレポーター遺伝子を発現する。これらの細胞の表面上のヘテロ二量体IL-1RL1/IL-1RAcPへのヒトIL-33の結合は、NF-κBの活性化及びその後のSEAPの産生をもたらすシグナル伝達カスケードを引き起こすことが知られている。
【0333】
これらの細胞は、ヒトIL-33に応答性である(https://www.invivogen.com/hek-blue-il33)。これらの細胞をイヌIL-33で試験したところ、おそらくチオール含有システイン残基の酸化に起因して、異なる供給源由来のcIL-33-WTが様々に認識され(
図62、黒塗りの三角形を有する「cIL-33-WTバッチ1」及び黒塗りの四角を有する「cIL-33-WTバッチ2」)、経時的に刺激活性を失うようであることが明らかになった(発明者自身の観察、データは図示せず)。
【0334】
しかしながら、cIL-33-CSは、HEK-Blue(商標)IL-33細胞によって感受性的に認識され、cIL-33-WT中の3つのシステインがセリンに変異した後(cIL-33-CS)、約10ng/mlのEC
50によるSEAPレポーター酵素の読み出しをもたらす(
図62、黒塗りの丸)。
【0335】
[実施例13a]
cIL-31ポリタンパク質/PTO-ODN/Polygenワクチン製剤の設計及び免疫試験
cIL-31ポリタンパク質ワクチンは、以下を含有すると定義された:
200μgのcIL-31-ポリ(配列番号4及び/又は配列番号40)
50μgの1668-PTO(配列番号5)
50μgの2006-PTO(配列番号6)
900μlのPBS中
+100μlのPolygen
【0336】
イヌの免疫は、以下のように皮下注射によって行った:
0日目:上で定義されるようなcIL-31ポリタンパク質ワクチンによる一次免疫及び血液試料(免疫前試料)の採取
7日目:血液試料の採取
14日目:血液試料の採取
21日目:血液試料の採取
28日目:上で定義されるようなcIL-31ポリタンパク質ワクチンによる二次免疫及び血液試料の採取
35日目:血液試料の採取
42日目:血液試料の採取
49日目:血液試料の採取
56日目:血液試料の採取
63日目:血液試料の採取
70日目:血液試料の採取
【0337】
[実施例13b]
cIL-5-ポリタンパク質/PTO-ODN/Polygenワクチン製剤の設計及び免疫試験
cIL-5ポリタンパク質ワクチンは、以下を含有すると定義された:
23μgのcIL-5-ポリ(配列番号42)
50μgの1668-PTO(配列番号5)
50μgの2006-PTO(配列番号6)
1000μlのPBS中
+110μlのPolygen
試料採取が70日目を含まなかったことを除いて、3匹のイヌ(イヌ1(0368)、イヌ2(9641)、イヌ3(0852))の免疫及び採血スキームを実施例13aについて記載されるように実施した。
【0338】
[実施例13c]
cIL-13ポリタンパク質/PTO-ODN/Polygenワクチン製剤の設計及び免疫試験
cIL-5ポリタンパク質ワクチンの1回の注射用量は、以下を含有すると定義された:
50μgのcIL-13-ポリ(配列番号47)
50μgの1668-PTO(配列番号5)
50μgの2006-PTO(配列番号6)
900μlのPBS中
+100μlのPolygen
【0339】
試料採取が70日目を含まなかったことを除いて、3匹のイヌ(イヌcIL-13-1(0521)、イヌcIL-13-2(2579)、イヌcIL-13-3(6048))の免疫及び採血スキームを実施例13aについて記載されるように実施した。
【0340】
[実施例13d]
cIL-33ポリタンパク質/PTO-ODN/Polygenワクチン製剤の設計及び免疫試験
cIL-33-CSポリタンパク質ワクチンは、以下を含有すると定義された:
100μgのcIL-33-CS-ポリ(配列番号54)
50μgの1668-PTO(配列番号5)
50μgの2006-PTO(配列番号6)
900μlのPBS中
+100μlのPolygen
【0341】
試料採取が70日目を含まなかったことを除いて、一匹のイヌ(イヌ402)の免疫及び採血スキームを実施例13aについて記載されるように実施した。特異的な抗cIL-33抗体の存在を古典的なプレート結合抗原ELISA設定で評価した。野生型形態のcIL-33をこの分析で使用して、C→S変異に特異的なあらゆる効果を除外した。
【0342】
[実施例13e]
cIL-4ポリタンパク質/PTO-ODN/Polygenワクチン製剤の設計及び免疫試験
cIL-4ポリタンパク質ワクチンの1回の注射用量は、以下を含有すると定義された:
200μgのcIL-4-ポリ(配列番号57)
50μgの1668-PTO(配列番号5)
50μgの2006-PTO(配列番号6)
900μlのPBS中
+100μlのPolygen
【0343】
試料採取が70日目を含まなかったことを除いて、3匹のイヌ(イヌ5365、イヌ6523、イヌ7104)の免疫及び採血スキームを実施例13aについて記載されるように実施した。
【0344】
[実施例13f]
fel-IL-31-ポリタンパク質/PTO-ODN/Polygenワクチン製剤の設計及び免疫試験
100μgのfel-IL-31-ポリ(配列番号61)
25μgの1668-PTO(配列番号5)
25μgの2006-PTO(配列番号6)
900μlのPBS中
+100μlのPolygen
【0345】
二次免疫を35日目に行い、血液試料も77、84、91、98、105、112、119、及び126日目に採取したことを除いて、実施例13aについて記載したように、3匹のネコ(ネコ3132、ネコ0487、ネコ5674)の免疫及び採血スキームを行った。
【0346】
[実施例13g]
更なるポリタンパク質/PTO-ODN/Polygenワクチン製剤及び免疫の設計
更なるポリタンパク質ワクチンは、以下を含有すると定義することができる。
200μgの配列番号65又は配列番号202~329のいずれか1つ
50μgの1668-PTO(配列番号5)
50μgの2006-PTO(配列番号6)
900μlのPBS中
+100μlのPolygen
免疫及び血液試料採取は、実施例13aについて記載したように行うことができる。
【0347】
[実施例14a]
免疫イヌにおける抗cIL-31力価の測定
免疫イヌから得られたイヌ血清(実施例13a参照)を、以下のELISAフォーマットに基づいて抗cIL-31抗体の存在について試験した:
ポリスチレンELISAプレート(384ウェル:Thermo Maxisorp、カタログ番号464718)を、コーティング緩衝液(50mMNaHCO3 pH9.6)に溶解した1μg/mlのcIL-31又はcIL-31ポリタンパク質(cIL-31:0、29mg/ml、又はcIL-31ポリタンパク質:0、4mg/ml)でコーティングした。ウェルごとに、10μlの体積のコーティング溶液を使用した。次いで、ポリスチレンELISAプレートを、蓋を閉めて4℃で一晩(O/N)インキュベートした。コーティング溶液を除去した後、PBS(ThermoFisherリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、pH7.2、カタログ番号20012-019)、0.05%(v/v)Tween20(50μl/ウェル)による3回の洗浄を行った。続いて、非特異的結合部位のブロッキングを、50μl/ウェルのPBS、0.05%(v/v)Tween20、3%(v/v)ゼラチン(冷水魚の皮膚から、H2O中40~50%、Sigma C7765)を用いて行った。このブロッキング工程を室温で少なくとも1時間行った。ブロッキング溶液を除去した後、PBS、0.05%(v/v)Tween20、3%(v/v)ゼラチン中のイヌ血清の段階希釈液(非吸着レプリカプレートから)を添加した(ウェル当たり20μl)。イヌ血清の段階希釈液とのインキュベーションを室温で少なくとも1時間行った。その後、イヌ血清の段階希釈液を除去し、PBSで3回洗浄し、0.05%(v/v)Tween20(50μl/ウェル)を行った。
【0348】
次に、ウサギIgG抗イヌIgG(Fc)-Alkの1:2,000希釈PBS中MinX none(Dianova GmbH、SKU304-055-008、又は同等品)、0.05%(v/v)Tween20、3%(v/v)ゼラチン(20μl/ウェル)を添加し、室温で少なくとも1時間インキュベートした。この溶液を除去した後、再びPBS、0.05%(v/v)Tween20(50μl/ウェル)で3回洗浄した。続いて、ウェルをAP緩衝液(50mM NaHCO3/Na2CO3、2mM MgCl2、pH9.6、ウェル当たり50μl)で1回洗浄した。最後に、AP緩衝液(90μl/ウェル)中5mM4-ニトロフェニルリン酸二ナトリウム塩六水和物(pNPP、Applichem,viaSigma,A1442,0050、又は同等品)を添加した。405nm/分(mOD/分)での光学密度(OD)の増加をELISAリーダーにおいてRTで記録し、曲線勾配を線形増加範囲から決定した。
【0349】
図15a~
図15c~
図17a~
図17cは、免疫されたイヌが免疫の14日後に既に相当量の抗cIL-31抗体を産生したことを示すこれらのELISAの結果を示す。高い抗cIL-31力価もまた、三匹全てのイヌにおいて一次免疫後112日目に均一に観察することができた。
【0350】
[実施例14b]
免疫イヌにおける抗cIL-5力価の測定
免疫イヌから得られたイヌ血清(実施例13b参照)を、抗cIL-31抗体について実施例14aに記載したのと同じELISAフォーマットに基づいて抗cIL-5抗体の存在について試験した。384ウェルポリスチレンELISAプレートを、コーティング緩衝液に溶解した1~5μg/mlのcIL-5でコーティングした。
【0351】
図46(A~F)は、これらのELISAの結果を示し、これは、2匹のcIL-5-ポリ免疫イヌが、免疫の28日後に既に相当量の抗cIL-5抗体を産生したことを示す(
図46A及び
図46E)。28日目の追加免疫は、これらの二匹のイヌにおいて更なる大量の抗cIL-5抗体価上昇をもたらし、これは42日目にピークに達した(
図46B及び
図46F)。力価は、最後の試料採取点である63日目に高いままであり、おそらくそれを超えて広がる。一匹のイヌは、cIL-5-ポリワクチン接種に対して全体的に不良な応答を示した(
図46C~D)が、28日目の追加免疫の効果が明らかであった(
図46D)。
【0352】
[実施例14c]
免疫イヌにおける抗cIL-13力価の測定
免疫イヌから得られたイヌ血清(実施例13c参照)を、抗cIL-31抗体について実施例14aに記載したのと同じELISAフォーマットに基づいて抗cIL-13抗体の存在について試験した。384ウェルポリスチレンELISAプレートを、コーティング緩衝液に溶解した1~5μg/mlのcIL-13(ストック溶液:cIL-13:0,15mg/mL)でコーティングした。
【0353】
図54は、これらのELISAの結果を示す。cIL-13-ポリ免疫イヌは、28日目までの一次免疫においてわずかな抗cIL-13抗体の発達しか示さなかった(
図54A~C)。しかし、28日目の追加免疫は、3匹全てのイヌにおいて大規模な抗cIL-13抗体価の増加をもたらし、これは35日目42日目付近にピークに達し、63日目まで、おそらくそれを超えて続いた(
図54A~C)。
【0354】
[実施例14d]
免疫イヌにおける抗cIL-33-CS力価の測定
免疫イヌから得られたイヌ血清(実施例13d参照)を、抗cIL-33抗体について実施例14cに記載したのと同じELISAフォーマットに基づいて抗cIL-33抗体の存在について試験した。384ウェルポリスチレンELISAプレートを、コーティング緩衝液に溶解した1~5μg/mlのcIL-33-WT(C→S異常を排除するため)でコーティングした。
【0355】
図67は、これらのELISAの結果を示す。cIL-33-CS-ポリ免疫イヌは、28日目までの一次免疫において抗cIL-33-WT抗体の発生を示さなかった(
図67、白抜きの記号)。しかしながら、28日目の追加免疫は、抗cIL-33-WT抗体力価の増加をもたらし、これは42日目にピークに達し、63日目まで持続し、経時的な減少はほとんどなかった(
図67、黒塗りの記号)。
【0356】
これらの結果は、設計されたcIL-33-CS-ポリ抗原がcIL-33-WTに対する自己寛容の破壊をもたらすことを示している。
【0357】
[実施例14e]
免疫イヌにおける抗cIL-4力価の測定
免疫イヌから得られたイヌ血清(実施例13e参照)を、抗cIL-31抗体について実施例14aに記載したのと同じELISAフォーマットに基づいて抗cIL-4抗体の存在について試験した。唯一の例外は、384ウェルポリスチレンELISAプレートをコーティング緩衝液に溶解した1μg/mlのcIL-4(ex Genscript cIL-4、0.84mg/ml)でコーティングしたことであった。
【0358】
図72は、これらのELISAの結果を示す。cIL-4-ポリ免疫イヌは、35日目までの一次免疫においてわずかな抗cIL-4抗体の発達しか示さなかった(
図72A~C)。しかし、35日目の追加免疫は、一匹のイヌ(イヌ5365;
図72A)において大規模な抗cIL-4抗体力価の増加をもたらし、これは42日目頃にピークに達し、63日目まで、おそらくはそれを超えて持続した。二匹のイヌ(イヌ6523、
図72B及びイヌ7104、
図72C)は、本質的に同じ写真を示したが、追加免疫後の力価はイヌ5365よりも弱かった。この実験は、選択された製剤中の設計されたcIL-4-ポリ抗原がcIL-4に対する自己寛容の破壊をもたらすことを示す。
【0359】
[実施例14f]
免疫ネコにおける抗fel-IL-31力価の測定
免疫ネコから得られたネコ血清(実施例13f参照)を、イヌの抗cIL-31抗体について実施例14aに記載したのと同じELISAフォーマットに基づいて抗cIL-31抗体の存在について試験した。唯一の例外は、384ウェルポリスチレンELISAプレートを、コーティング緩衝液に溶解した1μg/mlのfel-IL-4(ex GenscriptU6344FL160-4、fel-IL-31、0.54mg/ml)でコーティングしたことであった。
【0360】
図75及び
図76は、これらのELISAの結果を示す。三匹のfel-IL-31-ポリ免疫ネコのうちの二匹(ネコ3132及びネコ5674)は、27日目までの一次免疫において、抗fel-IL-31抗体のわずかな発達しか示さなかったか、又は抗fel-IL-31抗体の発達を全く示さなかった(
図75A~C)。しかしながら、27日目の追加免疫は、3匹全てのネコにおいて、35日目から63日目まで高いままであった大規模な抗fel-IL-31抗体価の増加をもたらした(
図75A~C)。126日目までの血液試料の更なるELISA分析(
図76)は、特異的抗体力価が非常にゆっくりとしか低下せず、有意な力価が一次免疫後4ヶ月及び二次免疫後3ヶ月で依然として存在することを示した(
図76A~C)。
【0361】
この実験は、設計されたfel-IL-31-ポリ抗原がネコにおいてfel-IL-31に対する自己寛容の破壊をもたらし、抗fel-IL-31抗体力価が長く続くことを示す。
【0362】
[実施例15]
イヌ血清中のcIL-31中和抗体の存在を分析するための、ポリクローナルイヌ抗体とビオチン化ロキベトマブとの競合試験
ELISAアッセイは、実施例11に記載したように実施したが、PBS中の100ng/mlビオチン化ロキベトマブ中のイヌ血清の混合物を使用した。
【0363】
図18~
図23は、免疫後42日目のイヌ血清及び100ng/mlのビオチン化ロキベトマブを含む混合物の抗原としてcIL-31を使用したELISAの結果を示す。
図18、
図20及び
図22では、応答の単位は「mOD405/分」であり、したがってレポーター応答からの直接読み出しであるが、
図19、
図21及び
図23は、0日目の免疫前血清についての「mOD405/分」の最も高い読み出しに基づいて計算された応答「ロキベトマブ結合%」の単位として使用している。
【0364】
図24~
図29は、免疫後42日目のイヌ血清及び100ng/mlのビオチン化ロキベトマブを含む混合物の抗原としてcIL-31ポリタンパク質を使用したELISAの結果を示す。
図24、
図26及び
図28では、応答の単位は「mOD405/分」であり、したがってレポーター応答からの直接読み出しであるが、
図25、
図27及び
図29は、0日目の免疫前血清についての「mOD405/分」の最も高い読み出しに基づいて計算された応答「%ロキベトマブ結合」の単位として使用している。
【0365】
イヌの免疫前血清は、cIL-31に結合するロキベトマブに対していくらかの阻害活性を示したが、この効果は、免疫の42日後に得られたイヌ血清の阻害活性と比較してはるかに弱く、1:2希釈で40~70%に制限された。これは、インターフェロンアルファ及びガンマ、腫瘍壊死因子アルファ、インターロイキン1ベータ及び10等の様々なサイトカインについてヒトにおいて以前に記載されたように、イヌにおけるcIL-31サイトカイン自己抗体の存在を反映していると思われる(Bendtzen et al.,”High-avidity autoantibodies to cytokines”,Immunology today 19.5(1998):209-211)。
【0366】
しかしながら、中和活性は、cIL-31ポリタンパク質による免疫によって大幅に増加した。実施例13に記載のレジメンに従って免疫した3匹全てのイヌの42日目の血清試料は、1:2に希釈した場合にcIL-31へのロキベトマブの結合を95%抑制する抗体を含有していた(
図21~
図26参照)。この阻害は、血清試料を更に希釈した場合(滴定)にはあまり顕著にならなかったが、1:16希釈では、3匹全てのイヌにおいて部分的な効果が依然として見られた。
【0367】
cIL-31ポリをロキベトマブ結合剤として使用した場合にも同様の結果が得られた(
図24~
図29)。
【0368】
ロキベトマブはcIL-31中和抗体であるので、記載されたcIL-31ポリタンパク質免疫スキームによるロキベトマブ競合自己抗体の誘導の成功は、自己抗体がイヌにおいてcIL-31機能を中和することができるという明らかな可能性を示す。
【0369】
ロキベトマブの治療作用は十分に確立されているので、本発明による宿主において誘導されたロキベトマブ競合自己抗体は同様の治療有効性を示すことが期待され得る。
【0370】
[実施例16]
実施例13のワクチン製剤を使用した第2の免疫試験
第2の免疫試験では、掻痒症に罹患しているイヌを、以下のように実施例13によるワクチン製剤を用いた皮下注射によって免疫した:
-7日目:cIL-31によるチャレンジ(ベースライン評価のための1.75μg/kg bw静脈内注射)
0日目:実施例13で定義されているようなcIL-31ポリタンパク質ワクチンによる一次皮下免疫。一次免疫の前に、免疫前の血液試料を全ての試験イヌから採取した。
6日目:血液試料の採取
14日目:血液試料の採取
21日目:血液試料の採取及びcIL-31(1.75μg/kg静脈内注射cIL-31)によるチャレンジ
28日目:cIL-31ポリタンパク質ワクチンによる第1の皮下追加免疫及び血液試料の採取
35日目:血液試料の採取
42日目:cIL-31(1.75μg/kg静脈内注射cIL-31)によるチャレンジ及び血液試料の採取
49日目:血液試料の採取
56日目:血液試料の採取
63日目:cIL-31(0.85μg/kg静脈内注射cIL-31)によるチャレンジ及び血液試料の採取
70日目:血液試料の採取
77日目:血液試料の採取
84日目:cIL-31ポリタンパク質ワクチンによる2回目の皮下追加免疫及び血液試料の採取
91日目:血液試料の採取
98日目:cIL-31(0.85μg/kg静脈内注射cIL-31)によるチャレンジ及び血液試料の採取
105日目:血液試料の採取
112日目:血液試料の採取
119日目:血液試料の採取
126日目:血液試料の採取
【0371】
28及び84日目の追加免疫の間に、試験したイヌに実施例13によるワクチン製剤を再び投与した。
【0372】
血清試料を、cIL-31をコーティング抗原として使用して、実施例14に記載のELISAアッセイで分析した。1:20~1:20480のイヌ血清の段階希釈液を使用した。
図30a~
図30b~
図37a~
図37bは、これらのELISAの結果を示し、免疫イヌが相当量の抗cIL-31抗体を産生したことを示す。28日目の追加免疫は、試験したイヌにおいて抗cIL-31抗体価の増加をもたらした。高い抗cIL-31抗体力価が、42日目を超えて依然として観察された。試験したイヌでは、2回目の追加免疫までに抗cIL-31抗体力価の部分的喪失のみが起こった。まとめると、これらの結果は、試験したイヌにおけるcIL-31に対する自己寛容の破壊の成功を示す。
【0373】
上記の免疫スキームに供されたイヌを、免疫スキームの異なる時点:免疫試験の開始前(-7日目)、最初の免疫の3週間後(21日目)、最初の追加免疫の2週間後(42日目)、最初の追加免疫の5週間後(63日目)及び2回目の追加免疫の2週間後(98日目)で、実施例4に記載のようないかなる掻痒行動の存在についても分析した。3匹の試験イヌの掻痒行動分析の例示的な結果を
図38に示す。
図38の結果は、適用された免疫スキームによって掻痒スコアを減少させることができ、したがって本発明によるワクチン組成物を使用した予防的/治療的ワクチン治療の成功の概念実証を提供することを実証している。
【0374】
[実施例17]
本発明によるポリタンパク質をコードするmRNAを使用するワクチン製剤
近年、mRNAワクチンの製造がかなり単純であるという事実のために、mRNAによるワクチン接種がますます注目されている。そのようなワクチンの場合、ワクチン製造のコスト及び速度の点でしばしば障害となる、タンパク質抗原を発現及び精製する工程はもはや必要ではない(Zhang C,Maruggi G,Shan H,Li J.Advances in mRNA Vaccines for Infectious Diseases.Front Immunol.2019 Mar 27;10:594.doi:10.3389/fimmu.2019.00594.eCollection 2019.を参照されたい)。mRNAワクチンは、導入されたmRNAに基づく宿主自身の細胞による抗原の産生に依存する。
【0375】
本発明のポリタンパク質をコードするmRNAを含有するワクチンを用いて、それ自体のIL-31に対するイヌのワクチン接種を達成することもできると考えられる。これは、以下のように達成することができる。
【0376】
実施例1に記載されるcIL-31-ポリ構築物をインビトロ転写ベクターに移す。この目的のために、cIL-31-ポリをコードするインサートを、制限酵素EcoRI及びHindIIIを使用してpcDNA3.4からpcDNA3.1(+)にクローニングする。pcDNA3.1(+)は、EcoRIクローニング部位の上流にT7 RNAポリメラーゼプロモーターを有する。このベクターからのキャップされたランオフRNA転写物の産生を可能にするために、pcDNA3.1(+)-cIL-31-ポリベクターをインサートの3’に線状化する。次いで、転写特性を改変するために、キャップヌクレオチド、4つのカノニカルdNTP及び/又は非カノニカルdNTPの存在下でT7-RNAポリメラーゼを使用してインビトロ転写を行う。次の工程では、得られたランオフ転写物を、Poly-Aポリメラーゼを用いてポリアデニル化する。あるいは、終止コドンのcIL-31-ポリ構築物3’中にポリ-dTテールを含めることも可能である。
【0377】
次いで、キャップされポリアデニル化されたmRNAをワクチン接種に使用することができる。イヌは、例えば、裸のmRNAを特許請求されるワクチン組成物の残りの成分と一緒に筋肉内、皮下若しくは皮内に、又は遺伝子銃を用いて注射することによって、1μg~1mg、より好ましくは10μg~300μgのmRNA量を投与される。ポリタンパク質をコードするmRNAを、特許請求されるワクチン組成物の残りの成分と一緒に、リポソーム製剤の形態で、カチオン性タンパク質、カチオン性ポリマー若しくはカチオン性細胞透過性ペプチドとの複合体を含む製剤の形態で、又は導入されたmRNAの半減期、細胞取込み及び翻訳能を増強する他の形態で注射することも可能である。
【0378】
次いで、mRNA注射を2~6週間間隔で繰り返す。抗cIL-31抗体の存在は、実施例14に記載されているように評価することができる。
【0379】
一般に、cIL-31-ポリ構築物を自己複製mRNAによって、例えばアルファウイルス由来自己複製mRNAによってコードすることも可能である。自己複製mRNAの使用は、宿主への投与時にRNA構築物からより長いタンパク質産生が達成され、その結果、より高い抗cIL-31抗体力価も得られ得るという利点を有し得る。
【0380】
[実施例18]
本発明によるポリタンパク質をコードするDNAを使用するワクチン製剤
DNAワクチンは、DNA、通常はプラスミドDNAを含有する。プラスミドDNAは、注射又は遺伝子銃によって裸の形態で宿主に投与されることが多い。しかしながら、例えば、カチオン性脂質を有するリポプレックスとして、リポソーム製剤として、又はカチオン性ポリマーとの複合体として、プラスミドDNAを宿主に送達することも可能である。時折、DNAはまた、ウイルスに似たタンパク質シェルに封入され、細胞による効率的な取り込みを確実にする。(総説:Ghaffarifar F.Plasmid DNA vaccines:where are we now?Drugs Today(Barc).2018 May;54(5):315-333.doi:10.1358/dot.2018.54.5.2807864)。
【0381】
本発明のポリタンパク質をコードするDNAを含有するワクチンを用いて、それ自体の自己タンパク質の1つ、例えばサイトカイン、特に好ましくはIL-31に由来するインターロイキンに対するイヌのワクチン接種を達成することもできると考えられる。
【0382】
一例として、本発明のポリタンパク質をコードするDNAを含有するワクチンを用いて、それ自体のIL-31に対するイヌのワクチン接種を達成することもできると考えられる。これは、以下のように達成することができる。
【0383】
実施例1aに記載のcIL-31-ポリ構築物を哺乳動物発現ベクターに移入する。この目的のために、cIL-31-ポリをコードするインサートを、制限酵素EcoRI及びHindIIIを使用してpcDNA3.4からpcDNA3.1(+)にクローニングする。pcDNA3.1(+)は、宿主細胞におけるcIL-31-ポリの発現に必要な全ての要素、すなわち、ヒトサイトメガロウイルス前初期(CMV)プロモーターの形態の強力な哺乳動物プロモーター及びウシ成長ホルモンBGH遺伝子の形態の強力なポリアデニル化/終結シグナルを有する。
【0384】
イヌは、例えば、裸のプラスミドDNAを特許請求されるワクチン組成物の残りの成分と一緒に筋肉内、皮下若しくは皮間に、又は遺伝子銃で注射することによって、10μg~3mg、より好ましくは50μg~1000μgの量の高度に精製されたpcDNA3.1(+)-cIL-31-ポリ(LPS非含有)を受けることができた。ポリタンパク質をコードするプラスミドDNAを、特許請求されるワクチン組成物の残りの成分と一緒に、リポソーム製剤の形態で、カチオン性タンパク質、カチオン性ポリマー若しくはカチオン性細胞透過性ペプチドとの複合体を含む製剤の形態で、又は導入されたmRNAの半減期、細胞取込み及び翻訳能を増強する他の形態で注射することも可能である。
【0385】
次いで、プラスミドDNA注入を2~6週間間隔で繰り返す。抗cIL-31抗体の存在は、実施例14aに記載されているように評価することができる。
【0386】
他のインターロイキン、特に本明細書に例示されるインターロイキン(例えば、IL-4、IL-5、IL-13、IL-33-CS及びTNF-α)については、鎮痛プロトコルが想定される。
【0387】
[実施例19a]
特定のウサギ抗cIL-13血清を用いたcIL-13シグナル伝達の中和アッセイ
HEKBlue IL4/IL13(Invivogen,hek-il413)を、DMEM(Thermo Fisher,616965-026)、10%iFCS中、37℃、5%CO2で成長させた。選択目的のために、培養培地に10μg/mlのブラストサイジン(Invivogen,ant-bl-5b)及び100μg/mlのゼオシン(Invivogen,ant-zn-5)を補充した。
【0388】
ウサギ抗cIL-13血清(実施例6a)の希釈を、10ng/mlのcIL-13を補充した384ウェル細胞培養プレート中の40μlの完全増殖培地で行い、1時間インキュベートした。HEKBlue IL4/IL13細胞を採取し、完全増殖培地中で2.2x105細胞/mLに調整し、40μlの細胞懸濁液を各血清希釈液に添加した。細胞を37℃、5%(v/v)CO2で96時間インキュベートした。細胞培養上清試料を、384ウェルプレートについて90μl/ウェルのAP緩衝液(50mM NaHCO3/Na2CO3、2mM MgCl2、pH9.6)中5mMリン酸パラ-ニトロフェニル(pNPP)に添加することによって、アルカリホスファターゼ(SEAP)活性の測定に使用した。線形領域(=mOD405nm/分)で曲線勾配を決定することによる速度論モード(mOD/分)、又は固定時点での光学密度を決定することによる終点モード(OD)でのELISAリーダーにおけるRTでの405nmにおける光学密度(OD)の測定。
【0389】
HEKBlue IL4/IL13細胞に対するウサギcIL-13抗血清の中和効果のELISA結果を
図55に示す。ウサギcIL-13抗血清は、既に1:320の希釈から開始して、HEKBlue IL-4/IL-13細胞のcIL-13刺激を阻害した。1:20の希釈で完全阻害が達成された。この実験は、cIL-13の生物学的効果の抗体中和アッセイを確立した。
【0390】
[実施例19b]
免疫前及び抗cIL-13イヌ血清を使用したcIL-13シグナル伝達の中和アッセイ
実施例19aの同じ中和アッセイを、実施例14cのcIL-13-ポリワクチン接種試験の0日目(免疫前、SD-1)及び42日目に採取した3匹のイヌ(イヌ0521、2579及び6048)からの血清に対して行った。ELISAの結果を
図56A~Cに示す。
【0391】
免疫前血清の希釈(「SD-1」)は、HEKBlue IL-4/IL-13細胞におけるcIL-13シグナル強度の低下をもたらさなかったが、3匹全てのイヌからの42日目のcIL-13-ポリ抗血清は、それぞれ1:320、1:20及び1:40希釈でシグナルの完全な抑制をもたらし、これらの希釈後の阻害の滴定曲線をもたらした(
図56A~Cを参照のこと)。
【0392】
[実施例19c]
免疫前及び抗cIL-4イヌ血清を使用したcIL-4シグナル伝達の中和アッセイ
IL-4は、mRNA及びタンパク質レベルで胸腺及び活性化制御ケモカイン(TARC又はCCL17)の発現を誘導することが知られており、イヌでは、アトピー性皮膚炎におけるTARCの上方制御が実証されている。したがって、TARCを、IL-4に対するイヌ血液曝露の陽性マーカー(強いmRNAアップレギュレーション)として使用した。
【0393】
以下のように、cIL-4-ポリワクチン接種後に中和抗体の存在を調べるために、TARC mRNA上方制御の阻害を評価した:EDTA安定化血液試料を49日目(イヌ5365、イヌ6523及びイヌ7104)にIL-4-ポリ免疫動物から採取し(追加免疫に2週間)、対照動物から血液試料をプールした。500μlの血液に1ng/mlのcIL-4(R&D systems,754-CL-025/CF)を補充し、次いで、血液を35℃、5%CO2及び96%相対湿度で6時間インキュベートした。RNAprotect Animal Blood Tubes 500μl(Qiagen 76554)及び室温で2時間のインキュベーションを用いて、血液溶解及びRNA安定化を行った。
【0394】
次いで、RNeasy Protect Animal Blood Kit(Qiagen 73224)を使用してRNAを単離した。Implen NanoPhotometer(登録商標),type NP80を使用して、単離されたRNAを分析及び定量した。定量RT-PCR(qPCR)は、イヌCCL-17(TARC)用のプローブ及びプライマーを用いたTaqMan(登録商標)Assay Cf02622128_m1(Thermo)及びQuantiNova Probe RT-PCR Kit(Qiagen 208354)を用いて、プライマー、反応混合物及び製造業者によって概説された条件を用いて行った。家庭用イヌβ-アクチンTaqManプローブ及びPCRプライマーをハウスキーピング遺伝子対照として使用した。典型的には、25ngの総RNAを鋳型として使用した。qPCRは、CFX96 Real-TimeSystem(BioRad)を用いて行った。
【0395】
【0396】
対照イヌのプール血液は、TARC/CCL-17 mRNA誘導に関して1ng/ml cIL-4とのインキュベーションに対して高度に応答性であった(
図73AのΔΔCq参照)。対照的に、cIL-4-ポリをワクチン接種した3匹全てのイヌは、cIL-4インキュベーションにおいて強く抑制されたTARC/CCL-17 mRNA誘導を有し、線形スケールグラフにおいて3匹全てのイヌについて阻害が明らかに完了した(
図73A)。対数スケールのグラフにおいて、cIL-4誘導性TARC mRNA産生の阻害は、イヌ5365及び7104では99.99%を超え、イヌ6523では99%を超える(
図73B)。cIL-4刺激の非存在下でのTARCのいくらかの軽微なバックグラウンドmRNA発現が全てのイヌにおいて検出された(
図73B、条件「w/o」)。
【0397】
まとめると、データは、cIL-4に対する自己寛容が、cIL-4-ポリワクチンで免疫された3匹全てのイヌにおいて破壊され、天然のcIL-4に対する抗体力価が存在したことを実証している。これらの抗体は、cIL-4作用のための細胞培養アッセイ系において中和能を有し、免疫されたイヌのエクスビボ血液アッセイにおいて加えられるcIL-4に対して中和している。
【図面の簡単な説明】
【0398】
【
図1】本発明によるポリタンパク質の実施形態を示す図である。ポリタンパク質のN末端は、HEK293細胞における発現を可能にするためのER導入のための人工シグナル配列から始まる。その後、成熟イヌIL-31の第1のコピーが続く(配列番号3)。成熟イヌIL-31のこの第1のコピーの後、破傷風毒素p2T細胞エピトープ(破傷風毒素のアミノ酸1273~1284、配列番号1)が含まれ、続いて成熟イヌIL-31の第2のコピーが続く。成熟イヌIL-31のこの第2のコピーの後、破傷風毒素p30T細胞エピトープ(破傷風毒素のアミノ酸947~968、配列番号2)を結合し、続いて成熟イヌIL-31の第3のコピーが続く。その後、2つの破傷風毒素T細胞エピトープ(p30及びp2)が含まれる。これらの2つの破傷風毒素T細胞エピトープの後に、タンパク質精製のためのHisタグが続く。
【
図2】
図1によるcIL-31ポリタンパク質をコードするベクターpcDNA3.4-cIL31-ポリのプラスミドマップを示す図である。
【
図3】cIL-31-ポリのクーマシーブルー染色を用いたSDS-PAGE分析の結果を示す図であり、これは実施例2で更に説明される。レーンM1は、タンパク質マーカーを除去する(TaKaRa、カタログ番号。3452)。レーン1は還元条件下でのcIL-31ポリタンパク質のサイズを示し、レーン2は非還元条件下でのサイズを示す。
【
図4】実施例3で更に説明する、cIL-31のクーマシーブルー染色を用いたSDS-PAGE分析の結果を示す図である。レーンM1は、タンパク質マーカーを除去する(TaKaRa、カタログ番号。3452)。レーン1は還元条件下でのcIL-31タンパク質のサイズを示し、レーン2は非還元条件下でのサイズを示す。
【
図5】cIL-31に対して惹起されたウサギ免疫前血清及び抗血清のためのELISAプレートコーティング抗原としてcIL-31又はcIL-31ポリタンパク質を使用したELISAの結果を示す図である。これらの結果は、実施例8で更に説明される。
【
図6】cIL-31に対して産生されたニワトリ卵黄調製物のELISAプレートコーティング抗原としてcIL-31又はcIL-31ポリタンパク質を使用したELISAの結果を示す図である。これらの結果は、実施例8で更に説明される。
【
図7】実施例9で更に説明する、ロキベトマブのELISAプレートコーティング抗原としてcIL-31を使用したELISAの結果を示す図である。
【
図8】ロキベトマブに対するELISAプレートコーティング抗原としてcIL-31及びcIL-31ポリタンパク質を使用したELISAの結果を示す図である。これらの結果は、実施例9で更に説明される。
【
図9】ビオチン化ロキベトマブのELISAプレートコーティング抗原としてcIL-31を使用したELISAの結果を示す図である。これらの結果は、実施例10で更に説明される。
【
図10】ウサギ免疫前血清+ビオチン化ロキベトマブの混合物又はウサギ免疫血清+ビオチン化ロキベトマブの混合物のELISAプレートコーティング抗原としてcIL-31を使用して、cIL-31中和抗体としてのビオチン化ロキベトマブとELISAプレートに固定化されたcIL-31との間の相互作用をプローブするELISAの結果を示す図である。これらの結果は、実施例11で更に説明される。
【
図11】ウサギ免疫前血清+ビオチン化ロキベトマブの混合物又はウサギ免疫血清+ビオチン化ロキベトマブの混合物のELISAプレートコーティング抗原としてcIL-31ポリタンパク質を使用して、cIL-31中和抗体としてのビオチン化ロキベトマブとELISAプレートに固定化されたcIL-31ポリタンパク質との間の相互作用をプローブするELISAの結果を示す図である。これらの結果は、実施例11で更に説明される。
【
図12】ニワトリ卵黄IgY調製物+ビオチン化ロキベトマブの混合物に対するELISAプレートコーティング抗原としてcIL-31を使用して、cIL-31中和抗体としてのロキベトマブとELISAプレートに固定化されたcIL-31との間の相互作用をプローブするELISAの結果を示す図である。これらの結果は、実施例11で更に説明される。
【
図13】構築物pcDNA3.1(+)-bsd-NFkB-SEAPのプラスミドマップを示す図である。 -181bp-448bpは5つのNFkB結合部位をコードし、その後に最小ELAMプロモーター(NFkB-5-ELAM)が続く -454bp-2022bpは、NFkBレポーター遺伝子としてSEAP遺伝子をコードする -3214bp-3613bpはブラストサイジン耐性遺伝子(bsd-R)をコードして真核細胞選択を可能にする -5961bp~5100bpは、E.コリ選択を可能にするためのアンピシリン耐性遺伝子(amp-R)をコードする。
【
図14】クローン細胞株DH82-bsd-NFSEAPをPTO-ODNで処理した場合のNFkBシグナル活性化の結果を示す図である。これらの結果は、実施例12に更に記載されている。
【
図15a】異なる試料採取時点での動物4315のイヌ血清のELISAプレートコーティング抗原としてcIL-31を使用したELISAの結果を示す図である。
【
図15b】異なる試料採取時点での動物4315のイヌ血清のELISAプレートコーティング抗原としてcIL-31を使用したELISAの結果を示す図である。
【
図15c】異なる試料採取時点での動物4315のイヌ血清のELISAプレートコーティング抗原としてcIL-31を使用したELISAの結果を示す図である。これらの結果は、実施例14で更に説明される。
【
図16a】異なる試料採取時点での動物6962のイヌ血清のELISAプレートコーティング抗原としてcIL-31を使用したELISAの結果を示す図である。
【
図16b】異なる試料採取時点での動物6962のイヌ血清のELISAプレートコーティング抗原としてcIL-31を使用したELISAの結果を示す図である。
【
図16c】異なる試料採取時点での動物6962のイヌ血清のELISAプレートコーティング抗原としてcIL-31を使用したELISAの結果を示す図である。これらの結果は、実施例14で更に説明される。
【
図17a】異なる試料採取時点での動物8523のイヌ血清のELISAプレートコーティング抗原としてcIL-31を使用したELISAの結果を示す図である。
【
図17b】異なる試料採取時点での動物8523のイヌ血清のELISAプレートコーティング抗原としてcIL-31を使用したELISAの結果を示す図である。
【
図17c】異なる試料採取時点での動物8523のイヌ血清のELISAプレートコーティング抗原としてcIL-31を使用したELISAの結果を示す図である。これらの結果は、実施例14で更に説明される。
【
図18】イヌ4315及び100ng/mlのビオチン化ロキベトマブの免疫後42日目からの血清を含む混合物のELISAプレートコーティング抗原としてcIL-31を使用したELISAの結果を示す図である。応答の単位は「mOD405/分」として示され、したがってレポーター応答からの直接読み出しである。これらの結果は、実施例15で更に説明される。
【
図19】イヌ4315及び100ng/mlのビオチン化ロキベトマブの免疫後42日目からの血清を含む混合物のELISAプレートコーティング抗原としてcIL-31を使用したELISAの結果を示す図である。応答の単位は、0日目の免疫前血清についての「mOD405/分」の最も高い読み出しに基づいて計算された「ロキベトマブ結合%」として示される。これらの結果は、実施例15で更に説明される。
【
図20】イヌ6962及び100ng/mlのビオチン化ロキベトマブの免疫後42日目からの血清を含む混合物のELISAプレートコーティング抗原としてcIL-31を使用したELISAの結果を示す図である。応答の単位は「mOD405/分」として示され、したがってレポーター応答からの直接読み出しである。これらの結果は、実施例15で更に説明される。
【
図21】イヌ6962及び100ng/mlのビオチン化ロキベトマブの免疫後42日目からの血清を含む混合物のELISAプレートコーティング抗原としてcIL-31を使用したELISAの結果を示す図である。応答の単位は、0日目の免疫前血清についての「mOD405/分」の最も高い読み出しに基づいて計算された「ロキベトマブ結合%」として示される。これらの結果は、実施例15で更に説明される。
【
図22】イヌ8523及び100ng/mlのビオチン化ロキベトマブの免疫後42日目からの血清を含む混合物のELISAプレートコーティング抗原としてcIL-31を使用したELISAの結果を示す図である。応答の単位は「mOD405/分」として示され、したがってレポーター応答からの直接読み出しである。これらの結果は、実施例15で更に説明される。
【
図23】イヌ8523及び100ng/mlのビオチン化ロキベトマブの免疫後42日目からの血清を含む混合物のELISAプレートコーティング抗原としてcIL-31を使用したELISAの結果を示す図である。応答の単位は、0日目の免疫前血清についての「mOD405/分」の最も高い読み出しに基づいて計算された「ロキベトマブ結合%」として示される。これらの結果は、実施例15で更に説明される。
【
図24】イヌ4315及び100ng/mlのビオチン化ロキベトマブの免疫後42日目からの血清を含む混合物のELISAプレートコーティング抗原としてcIL-31ポリタンパク質を使用したELISAの結果を示す図である。応答の単位は「mOD405/分」として示され、したがってレポーター応答からの直接読み出しである。これらの結果は、実施例15で更に説明される。
【
図25】イヌ4315及び100ng/mlのビオチン化ロキベトマブの免疫後42日目からの血清を含む混合物のELISAプレートコーティング抗原としてcIL-31ポリタンパク質を使用したELISAの結果を示す図である。応答の単位は、0日目の免疫前血清についての「mOD405/分」の最も高い読み出しに基づいて計算された「ロキベトマブ結合%」として示される。これらの結果は、実施例15で更に説明される。
【
図26】イヌ6962及び100ng/mlのビオチン化ロキベトマブの免疫後42日目からの血清を含む混合物のELISAプレートコーティング抗原としてcIL-31ポリタンパク質を使用したELISAの結果を示す図である。応答の単位は「mOD405/分」として示され、したがってレポーター応答からの直接読み出しである。これらの結果は、実施例15で更に説明される。
【
図27】イヌ6962及び100ng/mlのビオチン化ロキベトマブの免疫後42日目からの血清を含む混合物のELISAプレートコーティング抗原としてcIL-31ポリタンパク質を使用したELISAの結果を示す図である。応答の単位は、0日目の免疫前血清についての「mOD405/分」の最も高い読み出しに基づいて計算された「ロキベトマブ結合%」として示される。これらの結果は、実施例15で更に説明される。
【
図28】イヌ8523及び100ng/mlのビオチン化ロキベトマブの免疫後42日目からの血清を含む混合物のELISAプレートコーティング抗原としてcIL-31ポリタンパク質を使用したELISAの結果を示す図である。応答の単位は「mOD405/分」として示され、したがってレポーター応答からの直接読み出しである。これらの結果は、実施例15で更に説明される。
【
図29】イヌ8523及び100ng/mlのビオチン化ロキベトマブの免疫後42日目からの血清を含む混合物のELISAプレートコーティング抗原としてcIL-31ポリタンパク質を使用したELISAの結果を示す図である。応答の単位は、0日目の免疫前血清についての「mOD405/分」の最も高い読み出しに基づいて計算された「ロキベトマブ結合%」として示される。これらの結果は、実施例15で更に説明される。
【
図30a】異なる試料採取時点での動物1672のイヌ血清のELISAプレートコーティング抗原としてcIL-31を使用したELISAの結果を示す図である。
【
図30b】異なる試料採取時点での動物1672のイヌ血清のELISAプレートコーティング抗原としてcIL-31を使用したELISAの結果を示す図である。これらの結果は、実施例16で更に説明される。
【
図31a】異なる試料採取時点での動物5096のイヌ血清のELISAプレートコーティング抗原としてcIL-31を使用したELISAの結果を示す図である。
【
図31b】異なる試料採取時点での動物5096のイヌ血清のELISAプレートコーティング抗原としてcIL-31を使用したELISAの結果を示す図である。これらの結果は、実施例16で更に説明される。
【
図32a】異なる試料採取時点での動物5583のイヌ血清のELISAプレートコーティング抗原としてcIL-31を使用したELISAの結果を示す図である。
【
図32b】異なる試料採取時点での動物5583のイヌ血清のELISAプレートコーティング抗原としてcIL-31を使用したELISAの結果を示す図である。これらの結果は、実施例16で更に説明される。
【
図33a】異なる試料採取時点での動物7918のイヌ血清のELISAプレートコーティング抗原としてcIL-31を使用したELISAの結果を示す図である。
【
図33b】異なる試料採取時点での動物7918のイヌ血清のELISAプレートコーティング抗原としてcIL-31を使用したELISAの結果を示す図である。これらの結果は、実施例16で更に説明される。
【
図34a】異なる試料採取時点での動物9351のイヌ血清のELISAプレートコーティング抗原としてcIL-31を使用したELISAの結果を示す図である。
【
図34b】異なる試料採取時点での動物9351のイヌ血清のELISAプレートコーティング抗原としてcIL-31を使用したELISAの結果を示す図である。これらの結果は、実施例16で更に説明される。
【
図35a】異なる試料採取時点での動物8779のイヌ血清のELISAプレートコーティング抗原としてcIL-31を使用したELISAの結果を示す図である。
【
図35b】異なる試料採取時点での動物8779のイヌ血清のELISAプレートコーティング抗原としてcIL-31を使用したELISAの結果を示す図である。これらの結果は、実施例16で更に説明される。
【
図36a】異なる試料採取時点での動物1368のイヌ血清のELISAプレートコーティング抗原としてcIL-31を使用したELISAの結果を示す図である。
【
図36b】異なる試料採取時点での動物1368のイヌ血清のELISAプレートコーティング抗原としてcIL-31を使用したELISAの結果を示す図である。これらの結果は、実施例16で更に説明される。
【
図37a】異なる試料採取時点での動物3432のイヌ血清のELISAプレートコーティング抗原としてcIL-31を使用したELISAの結果を示す図である。
【
図37b】異なる試料採取時点での動物3432のイヌ血清のELISAプレートコーティング抗原としてcIL-31を使用したELISAの結果を示す図である。これらの結果は、実施例16で更に説明される。
【
図38】実施例16に記載の免疫スキームに供した3匹の試験イヌの掻痒行動分析の例示的な結果を示す図である。結果は、実施例16で更に説明される。
【
図39】本発明によるポリタンパク質の実施形態を示す図である。ポリタンパク質のN末端は、HEK293細胞における発現を可能にするためのER導入のための人工シグナル配列から始まる。その後、成熟イヌIL-5の第1のコピーが続く(配列番号41)。成熟イヌIL-5のこの第1のコピーの後、破傷風毒素p2T細胞エピトープ(破傷風毒素のアミノ酸1273~1284、配列番号1)が含まれ、続いて成熟イヌIL-5の第2のコピーが続く。成熟イヌIL-5のこの第2のコピーの後、破傷風毒素p30T細胞エピトープ(破傷風毒素のアミノ酸947~968、配列番号2)を結合し、続いて成熟イヌIL-5の第3のコピーが続く。その後、2つの破傷風毒素T細胞エピトープ(p30及びp2)が含まれる。これらの2つの破傷風毒素T細胞エピトープの後に、タンパク質精製のためのHis
6タグが続く。
【
図40】
図39によるcIL-5ポリタンパク質をコードするベクターpcDNA3.4-cIL-5-ポリのプラスミドマップを示す図である。
【
図41】cIL-5-ポリのクーマシーブルー染色を用いたSDS-PAGE分析の結果を示す図であり、これは実施例2bで更に説明される。レーン「M
2」は、タンパク質マーカー(GenScript、カタログ番号M00521)を示す。レーン「R」は還元条件下でのcIL-5ポリタンパク質のサイズを示し、レーン「NR」は非還元条件下でのサイズを示す。レーン「P」は、陽性対照として多重タグタンパク質(GenScript、カタログ番号M0101)を示す。一次抗体はマウス抗His6 mAb(GenScript、カタログ番号A00186)であった。
【
図42】cIL-5タンパク質をコードするベクターpcDNA3.4-cIL-5のプラスミドマップを示す図である。
【
図43】実施例3bで更に説明する、cIL-5のクーマシーブルー染色を用いたSDS-PAGE分析の結果を示す図である。レーンM
1は、タンパク質マーカー(TaKaRa、カタログ番号3452)を示す。レーン1は還元条件下でのcIL-5タンパク質のサイズを示し、レーン2は非還元条件下でのサイズを示す。
【
図44】ウサギ免疫前血清及びcIL-5に対して産生された抗血清のELISAプレートコーティング抗原としてcIL-5を使用したELISAの力価決定結果を示す図である。これらの結果は、実施例8bで更に説明される。
【
図45】cIL-5に対して惹起されたウサギ免疫前血清及び抗血清のためのELISAプレートコーティング抗原としてcIL-5又はcIL-5ポリタンパク質を使用したELISAの結果を示す図である。これらの結果は、実施例8bで更に説明される。
【
図46A】動物「イヌ1」のイヌ血清のELISAプレートコーティング抗原としてcIL-5を使用した異なる試料採取時点でのELISAの結果を示す図である。
【
図46B】動物「イヌ1」のイヌ血清のELISAプレートコーティング抗原としてcIL-5を使用した異なる試料採取時点でのELISAの結果を示す図である。
【
図46C】動物「イヌ2」のイヌ血清のELISAプレートコーティング抗原としてcIL-5を使用した異なる試料採取時点でのELISAの結果を示す図である。
【
図46D】動物「イヌ2」のイヌ血清のELISAプレートコーティング抗原としてcIL-5を使用した異なる試料採取時点でのELISAの結果を示す図である。
【
図46E】動物「イヌ3」のイヌ血清のELISAプレートコーティング抗原としてcIL-5を使用した異なる試料採取時点でのELISAの結果を示す図である。
【
図46F】動物「イヌ3」のイヌ血清のELISAプレートコーティング抗原としてcIL-5を使用した異なる試料採取時点でのELISAの結果を示す図である。これらの結果は、実施例14bで更に説明される。
【
図47】本発明によるポリタンパク質の実施形態を示す図である。ポリタンパク質のN末端は、HEK293細胞における発現を可能にするためのER導入のための人工シグナル配列から始まる。その後、成熟イヌIL-13の第1のコピーが続く(配列番号46)。成熟イヌIL-13のこの第1のコピーの後、破傷風毒素p2T細胞エピトープ(破傷風毒素のアミノ酸1273~1284、配列番号1)が含まれ、続いて成熟イヌIL-13の第2のコピーが続く。成熟イヌIL-13のこの第2のコピーの後、破傷風毒素p30T細胞エピトープ(破傷風毒素のアミノ酸947~968、配列番号2)を結合し、続いて成熟イヌIL-13の第3のコピーが続く。その後、2つの破傷風毒素T細胞エピトープ(p30及びp2)が含まれる。これらの2つの破傷風毒素T細胞エピトープの後に、タンパク質精製のためのHis
6タグが続く。
【
図48】cIL-13タンパク質をコードするベクターpcDNA3.4-cIL-13のプラスミドマップを示す図である。
【
図49】cIL-13-ポリのクーマシーブルー染色を用いたSDS-PAGE分析の結果を示す図であり、これは実施例2bで更に説明される。レーンM
1は、タンパク質マーカー(TaKaRa、カタログ番号3452)を示す。レーン1は還元条件下でのcIL-13ポリタンパク質のサイズを示し、レーン2は非還元条件下でのサイズを示す。
【
図50】cIL-13タンパク質をコードするベクターpET30a-cIL-13のプラスミドマップを示す図である。
【
図51】実施例3cで更に説明する、cIL-13のクーマシーブルー染色を用いたSDS-PAGE分析の結果を示す図である。レーンM
1は、タンパク質マーカー(TaKaRa、カタログ番号3452)を示す。レーン1は、ウシ血清アルブミン(BSA、2μg)のサイズを示す。レーン2は、cIL-13タンパク質のサイズ(1.86μg)を示す。
【
図52】SEAPレポーター遺伝子読み出しに基づく、cIL-13によるHEKBlue IL-4/IL-13細胞刺激の結果を示す図である。これらの結果は、実施例12bに更に記載されている。
【
図53A】cIL-13に対して惹起されたウサギ免疫前血清(白抜きの記号)及び抗血清(黒塗りの記号)のためのELISAプレートコーティング抗原としてcIL-13タンパク質(A)又はcIL-13ポリタンパク質(B)を使用したELISAの結果を示す図である。これらの結果は、実施例8cで更に説明される。
【
図53B】cIL-13に対して惹起されたウサギ免疫前血清(白抜きの記号)及び抗血清(黒塗りの記号)のためのELISAプレートコーティング抗原としてcIL-13タンパク質(A)又はcIL-13ポリタンパク質(B)を使用したELISAの結果を示す図である。これらの結果は、実施例8cで更に説明される。
【
図54A】動物「イヌ0521」(A)、動物「イヌ2579」(B)及び動物「イヌ6048」(C)のイヌ血清のELISAプレートコーティング抗原としてcIL-13を使用した、異なる試料採取時点でのELISAの結果を示す図である。
【
図54B】動物「イヌ0521」(A)、動物「イヌ2579」(B)及び動物「イヌ6048」(C)のイヌ血清のELISAプレートコーティング抗原としてcIL-13を使用した、異なる試料採取時点でのELISAの結果を示す図である。
【
図54C】動物「イヌ0521」(A)、動物「イヌ2579」(B)及び動物「イヌ6048」(C)のイヌ血清のELISAプレートコーティング抗原としてcIL-13を使用した、異なる試料採取時点でのELISAの結果を示す図である。これらの結果は、実施例14cで更に説明される。
【
図55】ウサギ抗cIL-13血清で処理したHEKBlue IL-4/IL-13細胞のcIL-13刺激の結果を示す図である。これらの結果は、実施例19aに更に記載されている。
【
図56A】cIL-13-ポリによる免疫後の0日目(免疫前、白抜きの記号、「SD-1」)又は42日目(黒塗りの記号、「SD42」)のいずれかにおいて、イヌ0521から採取したイヌ血清で処理したHEKBlue IL-4/IL-13細胞のcIL-13刺激の結果を示す図である。
【
図56B】cIL-13-ポリによる免疫後の0日目(免疫前、白抜きの記号、「SD-1」)又は42日目(黒塗りの記号、「SD42」)のいずれかにおいて、イヌ3579から採取したイヌ血清で処理したHEKBlue IL-4/IL-13細胞のcIL-13刺激の結果を示す図である。
【
図56C】cIL-13-ポリによる免疫後の0日目(免疫前、白抜きの記号、「SD-1」)又は42日目(黒塗りの記号、「SD42」)のいずれかにおいて、イヌ6048から採取したイヌ血清で処理したHEKBlue IL-4/IL-13細胞のcIL-13刺激の結果を示す図である。これらの結果は、実施例19bに更に記載されている。
【
図57】cIL-33-WTタンパク質をコードするベクターpET30a(+)-canIL33-WTのプラスミドマップを示す。
【
図58】cIL-33-WTのクーマシーブルー染色を用いたSDS-PAGE分析の結果を示し、これは実施例3dで更に説明される。レーンM
1は、タンパク質マーカー(TaKaRa、カタログ番号3452)を示す。レーン1は、ウシ血清アルブミン(BSA)のサイズを示す。レーン2は、還元条件下でのcIL-33-WTタンパク質のサイズを示す。
【
図59】cIL-33-WTに対して惹起されたウサギ免疫前血清(白抜きの記号)及び抗血清(黒塗りの記号)のためのELISAプレートコーティング抗原としてcIL-33-WTタンパク質を使用したELISAの結果を示す図である。これらの結果は、実施例8dで更に説明される。
【
図60】cIL-33-CSタンパク質をコードするベクターpET30a-canIL33-CSのプラスミドマップを示す図である。
【
図61】cIL-33-CSのクーマシーブルー染色を用いたSDS-PAGE分析の結果を示す図であり、これは実施例3eで更に説明される。レーンM
1は、タンパク質マーカー(TaKaRa、カタログ番号3452)を示す。レーン1は、ウシ血清アルブミン(BSA)のサイズを示す。レーン2は、還元条件下でのcIL-33-CSタンパク質のサイズを示す図である。
【
図62】SEAPレポーター遺伝子読み出しに基づく、異なる形態のcIL-33によるHEKBlue IL-4/IL-13細胞刺激の結果を示す図である。使用される異なる形態は、IL-33-WT-NovoPro(https://novoprolabs.com/p/human-il33-c9orf26-il1f11-nfhev-519146.html;白抜きの丸)、cIL-33-WT Batch1(黒塗りの三角)、cIL-33-WT Batch2(黒塗りの四角)及びcIL-33-CS(閉じた丸)である。これらの結果は、実施例12cに更に記載されている。
【
図63】本発明によるポリタンパク質の実施形態を示す図である。ポリタンパク質のN末端は、E.コリ細胞における発現を可能にするための開始メチオニン及びHis
6タグから始まる。その後、成熟イヌIL-33の第1のコピーが続く(cIL-33-CSの意味;配列番号51)。成熟イヌIL-33-CSのこの第1のコピーの後、破傷風毒素p2T細胞エピトープ(破傷風毒素のアミノ酸1273~1284、配列番号1)が含まれ、続いて成熟イヌIL-33-CSの第2のコピーが続く。成熟イヌIL-33-CSのこの第2のコピーの後、破傷風毒素p30T細胞エピトープ(破傷風毒素のアミノ酸947~968、配列番号2)を結合し、続いて成熟イヌIL-33-CSの第3のコピーが続く。その後、2つの破傷風毒素T細胞エピトープ(p30及びp2)が含まれる。
【
図64】cIL-33-CSタンパク質をコードするベクターpET30a-cIL33-ポリのプラスミドマップを示す図である。
【
図65】cIL-33-CS-ポリ(ここではcIL-33-ポリとも呼ばれる)のクーマシーブルー染色を用いたSDS-PAGE分析の結果を示す図であり、これは実施例2dで更に説明される。レーンM
1は、タンパク質マーカー(TaKaRa、カタログ番号3452)を示す。レーン1は還元条件下でのcIL-33-CSポリタンパク質のサイズを示し、レーン2は非還元条件下でのサイズを示す。
【
図66】cIL-33-WTに対して惹起されたウサギ免疫前血清(白抜きの記号)及び抗血清(黒塗りの記号)のためのELISAプレートコーティング抗原としてcIL-33-CSポリタンパク質を使用したELISAの結果を示す図である。これらの結果は、実施例8dで更に説明される。
【
図67】cIL-33-CSポリタンパク質を使用して免疫した動物「イヌ402」のイヌ血清のELISAプレートコーティング抗原としてcIL-33-WTを使用した異なる試料採取時点でのELISAの結果を示す図である。時点は、免疫前血清(白抜きの丸)、免疫後28日目(白抜きの丸)、免疫後35日目(閉じた丸)、免疫後42日目(黒塗りの四角)、免疫後49日目(黒塗りの三角形)、免疫後56日目(黒塗りの菱形)、免疫後63日目(白抜きの三角)である。これらの結果は、実施例14dで更に説明される。
【
図68】本発明によるポリタンパク質(配列番号57)の実施形態を示す図である。ポリタンパク質のN末端は、HEK293細胞における発現を可能にするためのER導入のための人工シグナル配列から始まる。その後、成熟イヌIL-4の第1のコピーが続く(配列番号56)。成熟イヌIL-4のこの第1のコピーの後、破傷風毒素p2T細胞エピトープ(破傷風毒素のアミノ酸1273~1284、配列番号1)が含まれ、続いて成熟イヌIL-4の第2のコピーが続く。成熟イヌIL-4のこの第2のコピーの後、破傷風毒素p30T細胞エピトープ(破傷風毒素のアミノ酸947~968、配列番号2)を結合し、続いて成熟イヌIL-4の第3のコピーが続く。その後、2つの破傷風毒素T細胞エピトープ(p30及びp2)が含まれる。これらの2つの破傷風毒素T細胞エピトープの後に、タンパク質精製のためのHis
6タグが続く。
【
図69】cIL-4タンパク質をコードするベクターpcDNA3.4-cIL-4のプラスミドマップを示す図である。
【
図70】cIL-4タンパク質をコードするベクターpET30a-cIL-4のプラスミドマップを示す図である。
【
図71A】cIL-4に対して惹起されたウサギ免疫前血清(丸)及び抗血清(三角)のためのELISAプレートコーティング抗原としてcIL-4タンパク質(A)又はcIL-4ポリタンパク質(B)を使用したELISAの結果を示す図である。cIL-13に対して惹起したウサギ抗血清のコーティング抗原としてcIL-4-ポリタンパク質を用いた結果(四角)も示す。これらの結果は、実施例8eで更に説明される。
【
図71B】cIL-4に対して惹起されたウサギ免疫前血清(丸)及び抗血清(三角)のためのELISAプレートコーティング抗原としてcIL-4タンパク質(A)又はcIL-4ポリタンパク質(B)を使用したELISAの結果を示す図である。cIL-13に対して惹起したウサギ抗血清のコーティング抗原としてcIL-4-ポリタンパク質を用いた結果(四角)も示す。これらの結果は、実施例8eで更に説明される。
【
図72A】動物「イヌ5365」のイヌ血清のELISAプレートコーティング抗原としてcIL-4を使用した、異なる試料採取時点でのELISAの結果を示す図である。
【
図72B】動物「イヌ6523」のイヌ血清のELISAプレートコーティング抗原としてcIL-4を使用した、異なる試料採取時点でのELISAの結果を示す図である。
【
図72C】動物「イヌ7104」(C)のイヌ血清のELISAプレートコーティング抗原としてcIL-4を使用した、異なる試料採取時点でのELISAの結果を示す図である。これらの結果は、実施例14eで更に説明される。
【
図73A】49日目に3匹のIL-4ポリ免疫イヌ(
図72におけるようにイヌ5365、イヌ6523及びイヌ7104)から採取したEDTA安定化血液、又はワクチン曝露なしの対照イヌからのプール血液試料(「プールされたナイーブ血液」)のcIL-4刺激(「+IL4」)後のTARC mRNA発現のqPCR結果を示す図である。ΔΔCq値は、低値のより良好な視覚化のために線形(A)又はlog
10スケール(B)で与えられる。「w/o」は、同じ方法でインキュベート及び処理されたが、cIL-4を受けていない血液試料を示す。結果は、実施例19cに更に記載される。
【
図73B】49日目に3匹のIL-4ポリ免疫イヌ(
図72におけるようにイヌ5365、イヌ6523及びイヌ7104)から採取したEDTA安定化血液、又はワクチン曝露なしの対照イヌからのプール血液試料(「プールされたナイーブ血液」)のcIL-4刺激(「+IL4」)後のTARC mRNA発現のqPCR結果を示す図である。ΔΔCq値は、低値のより良好な視覚化のために線形(A)又はlog
10スケール(B)で与えられる。「w/o」は、同じ方法でインキュベート及び処理されたが、cIL-4を受けていない血液試料を示す。結果は、実施例19cに更に記載される。
【
図74】本発明によるポリタンパク質の実施形態を示す図である。ポリタンパク質のN末端は、HEK293細胞における発現を可能にするためのER導入のための人工シグナル配列から始まる。その後、成熟ネコIL-31の第1のコピーが続く(fel-IL-31を意味する;配列番号61)。成熟ネコIL-31のこの第1のコピー(配列番号60)の後、破傷風毒素p2T細胞エピトープ(破傷風毒素のアミノ酸1273~1284、配列番号1)が含まれ、続いて成熟ネコIL-31の第2のコピーが含まれる。成熟ネコIL-31のこの第2のコピーの後、破傷風毒素p30T細胞エピトープ(破傷風毒素のアミノ酸947~968、配列番号2)を結合させ、続いて成熟ネコIL-31の第3のコピーを結合させる。その後、2つの破傷風毒素T細胞エピトープ(p30及びp2)が含まれる。これらの2つの破傷風毒素T細胞エピトープの後に、タンパク質精製のためのHis
6タグが続く。
【
図75A】fel-IL-31ポリタンパク質を使用して免疫した動物「ネコ3132」のネコ血清のELISAプレートコーティング抗原としてfel-IL-31を使用した、異なる試料採取時点でのELISAの結果を示す図である。
【
図75B】fel-IL-31ポリタンパク質を使用して免疫した動物「ネコ0487」のネコ血清のELISAプレートコーティング抗原としてfel-IL-31を使用した、異なる試料採取時点でのELISAの結果を示す図である。
【
図75C】fel-IL-31ポリタンパク質を使用して免疫した動物「ネコ5674」のネコ血清のELISAプレートコーティング抗原としてfel-IL-31を使用した、異なる試料採取時点でのELISAの結果を示す図である。時点は、2日目の血清(白抜きの丸)、免疫後7日目(白抜きの菱形)、免疫後14日目(白抜きの三角)、免疫後21日目(「x」)、免疫後27日目(星印)、免疫後35日目(黒塗りの丸)である。免疫後42日目(黒塗りの菱形)、免疫後49日目(黒塗りの三角)、免疫後56日目(太字「x」)、及び免疫後63日目(黒塗りの四角)である。これらの結果は、実施例14fで更に説明される。
【
図76A】fel-IL-31ポリタンパク質を使用して免疫した動物「ネコ3132」のネコ血清のELISAプレートコーティング抗原としてfel-IL-31を使用した、異なる試料採取時点でのELISAの結果を示す図である。
【
図76B】fel-IL-31ポリタンパク質を使用して免疫した動物「ネコ0487」のネコ血清のELISAプレートコーティング抗原としてfel-IL-31を使用した、異なる試料採取時点でのELISAの結果を示す図である。
【
図76C】fel-IL-31ポリタンパク質を使用して免疫した動物「ネコ5674」のネコ血清のELISAプレートコーティング抗原としてfel-IL-31を使用した、異なる試料採取時点でのELISAの結果を示す図である。時点は、免疫後63、70、77、84、91、98、105、112、119及び126日目の血清である(記号については凡例を参照)。これらの結果は、実施例14fで更に説明される。
【
図77】本発明によるポリタンパク質の実施形態を示す図である。ポリタンパク質のN末端は、E.コリ細胞における発現を可能にするための開始メチオニン及びHis
6タグから始まる。これに続いて、成熟ウシTNF-αの第1のコピー(配列番号64の意味)を行う。成熟ウシTNF-αのこの第1のコピーの後、破傷風毒素p30 T細胞エピトープ(破傷風毒素のアミノ酸947~968、配列番号2)が含まれ、続いて成熟ウシTNF-αの第2のコピーが含まれる。成熟ウシTNF-αのこの第2のコピーの後、破傷風毒素p2 T細胞エピトープ(破傷風毒素のアミノ酸1273~1284、配列番号1)を結合し、続いて成熟ウシTNF-αの第3のコピーを結合する。その後、2つの破傷風毒素T細胞エピトープ(p30及びp2)が含まれる。
【
図78】ウシTNF-αポリタンパク質をコードするベクターpET30a-bov-TNF-α-ポリのプラスミドマップを示す図である。
【
図79】ウシTNF-αポリタンパク質に対して惹起されたウサギ免疫前血清(「x」)及び抗血清(丸)のためのELISAプレートコーティング抗原としてウシTNF-αを使用したELISAの結果を示す図である。
【配列表】
【国際調査報告】