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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-30
(54)【発明の名称】シラン末端ポリマー
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/71 20060101AFI20240123BHJP
   C08G 18/42 20060101ALI20240123BHJP
   C08G 18/44 20060101ALI20240123BHJP
   C08G 18/28 20060101ALI20240123BHJP
   C08G 18/22 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
C08G18/71 080
C08G18/42
C08G18/44
C08G18/28 090
C08G18/22
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023545844
(86)(22)【出願日】2022-01-28
(85)【翻訳文提出日】2023-08-24
(86)【国際出願番号】 EP2022051972
(87)【国際公開番号】W WO2022162106
(87)【国際公開日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】21154466.3
(32)【優先日】2021-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519073092
【氏名又は名称】メルツ+ベンテリ アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智史
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン フーバー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ツーバー
(72)【発明者】
【氏名】フリッツ ブルクハルト
(72)【発明者】
【氏名】クラウデ レルフ
【テーマコード(参考)】
4J034
【Fターム(参考)】
4J034CA13
4J034CA32
4J034CB01
4J034CD15
4J034DF01
4J034DF02
4J034DF03
4J034DF16
4J034DF20
4J034HA01
4J034HA04
4J034HA07
4J034HA08
4J034HB16
4J034HC03
4J034HC12
4J034HC13
4J034HC17
4J034HC22
4J034HC46
4J034HC52
4J034HC61
4J034HC64
4J034HC71
4J034HC73
4J034KA01
4J034KB02
4J034KC02
4J034KC04
4J034KC07
4J034KC13
4J034KC16
4J034KC18
4J034KC23
4J034KC32
4J034KC35
4J034KD02
4J034KD03
4J034KD04
4J034KD11
4J034KD12
4J034KD15
4J034KE01
4J034KE02
4J034LA08
4J034QA02
4J034QA05
4J034QB14
4J034RA07
4J034RA08
4J034RA12
4J034RA14
(57)【要約】
本発明は、式(I)又は(II)の保存安定性シラン末端ポリマーを生成するための方法に関し、ここで、Dは、1~20個の炭化水素原子を有する直鎖状又は分枝状の炭化水素基であり、随意に、酸素、窒素及び硫黄から成る群から選択されるヘテロ原子によって割り込まれていてよく、Aは、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエステル及び/又はポリカーボネートから成るコポリマー、並びに少なくとも1つのエステル基及び/又はカーボネート基を有するコポリマー、から成る群から選択されるポリマー骨格であり、R、R’、R及びR’は、互いに独立して、それぞれ1~10個の炭素原子を有する直鎖状、分枝状又は環状の炭化水素ラジカルであり、随意に、酸素、硫黄及び窒素から成る群から選択される1個又は複数のヘテロ原子を有していてよく、nは、1、2又は3であり、x及びyは、1~10の自然数であり、Gは、1~20個の炭化水素原子を有する直鎖状又は分枝状の炭化水素基であり、随意に、酸素、窒素及び硫黄から成る群から選択されるヘテロ原子によって割り込まれていてよく、Fは、イソシアネート反応性基を含まない直鎖状、分枝状又は環状の有機ラジカルである、mは、1より大きい自然数であり、Eは、イソシアネート基と反応する反応基であり、NH、NHR及びSHから成る群から選択され、ここで、Rは、1~10個の炭素原子を有する直鎖状、分枝状又は環状の炭化水素ラジカルであり、随意に、酸素、硫黄及び窒素から成る群から選択される1つ又は複数のヘテロ原子を有していてよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)又は下記式(II)のシラン末端ポリマーを生成する方法であって、
【化1】
【化2】
触媒の存在下で、下記式(III)のヒドロキシ末端有機ポリマーを、
【化3】
a)下記式(IV)のイソシアネートと反応させることによって、又は
【化4】
b)下記式(V)の多官能イソシアネートと反応させ、
【化5】
次いで下記式(VI)のアルコキシシランと反応させることによって、
【化6】
式(I)又は式(II)のシラン末端ポリマーを生成し、
Dは、1~20個の炭化水素原子を有する直鎖状又は分枝状の炭化水素基であり、これは、随意に、酸素、窒素及び硫黄から成る群から選択されるヘテロ原子によって割り込まれていてよく、
Aは、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエステル及び/又はポリカーボネートを有するコポリマー、並びに少なくとも1つのエステル基及び/又はカーボネート基を有するポリマー、から成る群から選択されるポリマー骨格であり、
、R’、R及びR’は、それぞれ独立して、1~10個の炭素原子を有する直鎖状、分枝状又は環状の炭化水素ラジカルであり、これは、随意に、酸素、硫黄及び窒素から成る群から選択される1個又は複数のヘテロ原子を有していてよく、
nは、1、2又は3であり、
x及びyは、1~10の自然数であり、
Gは、1~20個の炭化水素原子を有する直鎖状又は分枝状の炭化水素基であり、これは、随意に、酸素、窒素及び硫黄から成る群から選択されるヘテロ原子によって、割り込まれていてよく、
Fは、イソシアネート反応性基を含んでいない、直鎖状、分枝状又は環状の有機ラジカルであり、
mは、1より大きい自然数であり、
Eは、イソシアネート基と反応する反応性基であり、NH、NHR及びSHから成る群から選択され、ここで、
は、1~10個の炭素原子を有する直鎖状、分枝状又は環状の炭化水素ラジカルであり、これは、随意に、酸素、硫黄及び窒素から成る群から選択される1個又は複数のヘテロ原子を有していてよく、
用いられる反応物及び反応のいずれもが、スズ触媒を含まないことを、特徴とする、方法。
【請求項2】
Aが、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエステル及び/又はポリカーボネートを有するコポリマー、並びに少なくとも3つのエステル基及び/又はカーボネート基を有するポリマー、から成る群から選択されるポリマー骨格であり、好ましくは、ポリカーボネート、ポリエステル、並びにポリエステル及び/又はポリカーボネートを有するコポリマー、から選択されるポリマー骨格であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ポリマー骨格が、分枝ジオール成分を有し、
好ましくは、これが、3-メチルペンタン-1,5-ジオール、2-メチルプロパン-1,3-ジオール、3-エチルペンタン-1,5-ジオール、及び2,4-ジエチルペンタン-1,5-ジオールから成る群から選択され、
特に好ましくは、前記分枝ジオール成分が、3-メチルペンタン-1,5-ジオール、2-メチルプロパン-1,3-ジオール、3-エチルペンタン-1,5-ジオール、プロパン-1,2-ジオール、及び2,4-ジエチルペンタン-1,5-ジオールから成る群から選択され、これらは、前記ポリエステル又はポリカーボネートのヒドロキシ基含有成分の10モル%超を占める、
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記反応が、前記式(IV)のイソシアネートを用いて実施されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【化7】
【請求項5】
前記シラン末端ポリマーが、下記一般式(IA)の直鎖状ポリマーであることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【化8】
【請求項6】
前記シラン末端ポリマーが、下記一般式(IB)の分枝ポリマーであることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【化9】
ここで、x及びyは、それぞれ2~10の自然数に対応する。
【請求項7】
前記式(IB)の前記シラン末端ポリマーが、遊離ヒドロキシ基を実質的に含まないことを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記反応物の生成及び前記一般式(I)又は(II)の前記シラン末端ポリマーの生成のいずれもが、同一の触媒を用いて行われることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記反応が、チタン含有有機金属化合物の存在下で実施されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記チタン含有有機金属化合物が、ビス(エチルアセトアセタト)ジイソブトキシチタン(IV)、ビス(エチルアセトアセタト)ジイソプロポキシチタン(IV)、ビス(アセチルアセトナト)ジイソプロポキシチタン(IV)、ビス(アセチルアセトナト)ジイソブトキシチタン(IV)、トリス(オキシエチル)アミンイソプロポキシチタン(IV)、ビス[トリス(オキシエチル)アミン]ジイソプロポキシチタン(IV)、ビス(2-エチルヘキサン-1,3-ジオキシ)チタン(IV)、トリス[2-((2-アミノエチル)アミノ)エトキシ]エトキシチタン(IV)、ビス(ネオペンチル(ジアリル)オキシジエトキシチタン(IV)、チタン(IV)テトラブトキシド、テトラ(2-エチルヘキシルオキシ)チタネート、テトラ(イソプロポキシ)チタネート、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ-2-エチルヘキシルチタネート及びチタンアセチルアセトナート、並びにポリブチルチタネート、特に好ましくはテトラブチルチタネート及びテトライソプロピルチタネート、から成る群から選択されることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記反応が、追加の触媒、好ましくは、アルカリ金属カルボン酸塩、アルカリ土類金属カルボン酸塩、遷移族元素のカルボン酸塩、第13族のカルボン酸塩、鉛塩、リン塩、リン酸エステル、アンチモン塩、第三級アミン、イオン液体、1~10個の炭素原子を有する有機酸、及び無機酸から成る群から選択される、追加の触媒の存在下で、実施されることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記触媒が、前記反応終了後に除去されないことを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記ポリマー骨格が、ポリエステルであることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記式(IV)のイソシアネートが、(イソシアナトプロピル)トリメトキシシラン、(イソシアナトプロピル)メチルジメトキシシラン、(イソシアナトプロピル)トリエトキシシラン、(イソシアナトメチル)メチルジメトキシシラン及び(イソシアナトメチル)トリエトキシシランから成る群から選択されることを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
接着剤、シーラント又はコーティング材料として用いるための、請求項1~14のいずれか一項に記載のシラン末端ポリマーを有する組成物であって、前記組成物が、スズ触媒を含まないことを特徴とする、組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シラン末端ポリマーの生成する方法に関し、これは、シーラント、接着剤、及びコーティング材料において用いてよく、長期間の保存安定性がある。
【背景技術】
【0002】
シラン末端ポリマーは、公知の方法によって生成される。公知の方法は、例えば、ポリオール、特にはヒドロキシ末端ポリエーテル、ポリウレタン又はポリエステル、及び、また、ヒドロキシ官能性ポリアクリレートと、(イソシアナトアルキル)アルコキシシランとの反応を含む。
【0003】
別の方法は、前述のポリオールと、ジイソシアネート又はポリイソシアネートとの反応を考慮し、後者は、過剰に用いられ、それによって、イソシアネート官能性ポリマーを、この第一反応工程で生成し、これは、その後、アルキル結合したイソシアネート反応基を有するアルコキシシランと、第二反応工程で反応する。
【0004】
ヒドロキシ官能性ポリマーとイソシアネートとの反応は、追加の触媒の存在下で行われる;なぜなら、このようにしてのみ、関連する反応工程でアルコキシシラン末端ポリマーを経済的に製造するために、十分に高い反応速度を達成することが、可能になるからである。
【0005】
欧州特許出願公開第1 995 261号明細書は、特に高い強度を有する特定の低粘度ポリエステルポリオールに基づくアルコキシシラン基を含有するプレポリマー、その生成方法、及び接着剤、プライマー又はコーティング用のバインダーとしてのその使用を、開示している。例えば、国際公開第2005090428号に記載されているように、有機スズ化合物は、OH官能性プレポリマーを生成するために、かつその反応を促進するべく上記プレポリマー又はポリエステルポリオールをキャッピングするために、用いられる。有機スズ化合物は、それらが、ポリエステル骨格のトランスエステル化によって、接着剤の保存安定性に悪影響を及ぼす、という欠点を有する。スズ触媒に伴うもう一つの問題は、それらは、反応後に完全に除去することが困難であり、毒性かつ環境上のいずれにおいても懸念されることである。
【0006】
国際公開第2010/136511号は、シラン官能性ポリエステルを開示しており、これは、シラン末端ポリマーに基づく、湿気硬化性組成物、例えば接着剤、シーラント、コーティングなどの、構成成分として用いられる。
【0007】
シラン末端ポリマーを生成するための様々な方法が、文献に記載されている。欧州特許出願公開第3 744 748号明細書は、シラン末端ポリマーを生成する方法を開示しており、この方法では、ウレタン化反応が、有機的に結合したスズを含まない少なくとも1つの触媒の存在下で、実施される。米国特許出願公開第2019/0031812号明細書は、シラン末端ポリマーを生成する方法を開示している。この反応は、ネオデカン酸ビスマスの存在下で、実施される。米国特許第9321878号明細書は、スズフリー触媒の存在下でシラン末端ポリマーを生成する方法を開示している。欧州特許出願公開第2 930 197号明細書は、海洋用途における注入目地(グラウチングジョイント)用のシラン末端接着剤を、開示している。ここに記載されているのは、ポリプロピレンエーテルポリオールと、IPDI及びジエチルN-(2-トリエトキシシリルプロピル)アミノコハク酸との、チタン触媒の存在下での反応である。米国特許出願公開第2017/0240689号明細書は、ポリプロピレングリコールと、IPDI、(イソシアナトプロピル)トリエトキシシラン及び/又はN-(2-トリエトキシシリルプロピル)-2-ヒドロキシプロパンアミドを、ネオデカン酸ビスマスの存在下で反応させることによって、シラン末端ポリマーを生成する方法を開示している。米国特許出願公開第2020/0339729号明細書は、ポリプロピレングリコールと、IPDI、(3-イソシアナトプロピル)トリメトキシシラン及びジエチルN-(2-トリエトキシシリルプロピル)アミノスクシネートとを反応させることによって、シラン末端ポリマーを生成する方法を開示している。
【0008】
ビスマス触媒の使用、例えば欧州特許出願公開第1 535 940号明細書に記載されているような使用によって、高い触媒活性が得られ、このようにして、イソシアナトシランとヒドロキシ末端ポリオールとの反応が促進される。しかしながら、イソシアネート官能性化合物と反応させられるポリオールは、ビスマス触媒を用いる前に乾燥させなければならず、これは、イソシアネート官能基と、乾燥させなければ存在するであろう水との副反応を避けるためになされ、これは、ビスマス触媒の活性を損なう。この手間は、提案されている反応の大きな欠点である。さらに、ビスマス触媒は、ヒドロキシ末端ポリオール、特にはヒドロキシ末端ポリエステル及びヒドロキシ末端ポリカーボネートの生成には用いることができない。
【0009】
国際公開第2020/035154号は、250ppm未満の含水量を有するビスマス触媒を用いた反応が、活性を大きく制限することなく可能であることを、開示している。この方法では、乾燥の労力を、限定することはできるが、回避することはできない。さらに、ビスマス触媒を用いて生成されたポリマーを含む接着剤、シーラント及びコーティング材料は、保存中に粘度の著しい増加を示し、したがって乏しい保存安定性を示す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、優れた保存安定性を有するシラン末端ポリマーを生成するための、効率的な方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、本発明による方法によって達成される。好ましい実施形態は、従属請求項の内容である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
驚くべきことに、式(I)又は(II)のシラン末端ポリマーを、
【化1】
【化2】
本発明による方法によって生成することができ、これは、接着剤、シーラント及びコーティング材料において顕著に高い保存安定性を示すことが見出された。
【0013】
本発明による方法によって、下記から成る群から選択されるポリマー骨格の劣化を回避しうる:ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエステル及び/又はポリカーボネートを有するコポリマー、並びに少なくとも1つのエステル基及び/又はカーボネート基を有するポリマー。これらのポリマー骨格は、スズ触媒の存在によって劣化しうるが、これは本発明による方法によって回避されうる。ポリマー鎖の劣化-又はシラン末端ポリマーのポリマー鎖での切断でさえも-は、組成物の保存後の機械的特性における著しい低下をもたらす。本発明では、反応物の生成に用いられるスズ触媒の痕跡でさえも、このような劣化につながりうることが見出された。したがって、用いられる反応物が、スズ触媒を含まないことも、非常に重要である。
【0014】
本発明によれば、式(I)のシラン末端ポリマーは、式(III)のヒドロキシ末端有機ポリマーを、
【化3】
式(IV)のイソシアネートと反応させることによって生成され、
【化4】
式(II)のシラン末端ポリマーは、式(III)のヒドロキシ末端有機ポリマーを、
【化5】
式(V)の多官能イソシアネートと反応させ、
【化6】
次いで式(VI)のアルコキシシランと反応させることによって得られる。
【化7】
【0015】
この反応は、触媒の存在下で行われる。一般式I及びIIの化合物では:
- Dは、1~20個の炭化水素原子を有する直鎖状又は分枝状の炭化水素基であり、これは、随意に、酸素、窒素及び硫黄から成る群より選択されるヘテロ原子によって、割り込まれていてよく、
- Aは、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエステル及び/又はポリカーボネートを有するコポリマー、並びに少なくとも1つのエステル基及び/又はカーボネート基を有するポリマー、から成る群から選択されるポリマー骨格であり、
- R、R’、R及びR’は、それぞれ独立して、1~10個の炭素原子を有する直鎖状、分枝状又は環状の炭化水素ラジカルであり、これは、随意に、酸素、硫黄及び窒素から成る群から選択される1個又は複数のヘテロ原子を有していてよく、
- nは、1、2又は3であり、
- x及びyは、1~10の自然数であり、
- Fは、イソシアネート反応性基を有しない、すなわち、特には第一級アミン基及び第二級アミン基のいずれも有しない、直鎖状、分枝状又は環状の有機ラジカルであり、
- Gは、1~20個の炭化水素原子を有する直鎖状又は分枝状の炭化水素基であり、これは、随意に、酸素、窒素及び硫黄から成る群から選択されるヘテロ原子によって割り込まれていてよく、
- mは、1より大きい自然数であり、
- Eは、イソシアネート基と反応する反応基であり、NH、NHR及びSHからなる群から選択され、ここで、Rは、1~10個の炭素原子を有する直鎖状、分枝状又は環状の炭化水素ラジカルであり、これは、随意に、酸素、硫黄及び窒素から成る群から選択される1個又は複数のヘテロ原子を有していてよい。
【0016】
本発明による方法において、用いられる反応物及び反応自体のいずれもが、スズ触媒を含まないことが、本発明に対して不可欠である。スズ触媒という用語は、スズイオン及び/又は有機金属スズ化合物を含有する任意の化合物であって、用いられる反応物の生成又は反応を促進することができるもの、を意味すると理解される。典型的なスズ触媒は、例えば、トリブチルスズ、ジブチルスズオキシド、ジオクチルスズオキシド、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、及びスズの脂肪酸塩(スズ(II)ステアレート又はスズ(II)ラウレートなど)である。
【0017】
スズ触媒が用いられなくてよいのは、反応自体において、すなわち式(III)のヒドロキシ末端有機ポリマーと式(IV)のイソシアネートとの反応において、又は式(III)のヒドロキシ末端有機ポリマーと式(V)の多官能イソシアネートとの反応及びその後の式(VI)のアルコキシシランとの反応において、だけではなく、特には反応物も、すなわち式(III)のヒドロキシ末端有機ポリマー、式(IV)のイソシアネート、式(V)の多官能イソシアネート及び式(VI)のアルコキシシランも、スズ触媒を含まないことが必要であり、それによって、保存安定性のあるシーラントが得られる、ということが見出された。
【0018】
スズ触媒は、ヒドロキシ末端ポリエステル及びポリカーボネート、すなわちポリエステル又はポリカーボネート骨格を有する式(III)のヒドロキシ末端有機ポリマーの生成に広く用いられている。少なくともこれらの痕跡が、活性触媒としてプレポリマー中に残存し、そして、これは、シラン末端ポリマーの生成のための反応物として用いられる。ポリマーから生成されるシーラント、接着剤又はコーティング材料において、スズ触媒は、シラン末端ポリマーのポリマー鎖の劣化をもたらし、このようにして、組成物の保存後の機械的特性における著しい低下、特にはショアA硬度及び/又は引張強度における著しい低下をもたらす。本発明によるシラン末端ポリマーが用いられる、接着剤、シーラント及びコーティング組成物は、数ヶ月間の保存安定性がある。その機械的特性の低下は、特には、接着剤、シーラント又はコーティング組成物が比較的高温で、例えば50℃で保存される場合にも、観察されない。
【0019】
好ましくは、本方法は、式(I)のシラン末端ポリマーを生成することに関し、これは、式(III)のヒドロキシ末端有機ポリマーを、
【化8】
式(IV)のイソシアネートと反応させることによってなされる;
【化9】
なぜなら、この反応は、反応ステップを1つしか含まないため、それ故にコスト効率がより高いからである。
【0020】
一実施形態において、シラン末端ポリマーは、一般式(IA)の直鎖状ポリマーに関するものであり、
【化10】
ここで、R、R、D及びnは、上記と同じ定義を有する。直鎖状シラン末端ポリマーは、特に好ましくは、より大きな弾性を必要とするシーラント及びコーティング材料のため、例えば、ジョイントコンパウンド、弾性接着剤、表面シーラントのため、又は海洋分野において、例えばチーク材のグラウチングのため、などに用いられる。
【0021】
第2の実施形態において、シラン末端ポリマーは、一般式(IB)の分枝状ポリマーに関するものであり、
【化11】
ここで、R、R、D、n、x及びyは、上記と同じ定義を有する。好ましくは、式(IB)のシラン末端ポリマーは、遊離OH基を実質的に有さず、すなわち、y及びxは、本質的に同一であり、したがって、y-xの差は約0である。式(IB)の分枝状シラン末端ポリマーは、特に好ましくは、より高いショアA硬度及びより高い架橋密度を必要とする接着剤、シーラント、及びコーティング組成物、例えば、高弾性接着剤、表面シーラント、又はフロアコーティングの場合など、に用いられる。
【0022】
好ましくは、ビスマス及び/又は亜鉛触媒も、反応に用いられない;なぜなら、これらの触媒は、乏しい加水分解安定性を有し、副反応を引き起こす場合があり、かつ/又は取り扱いが複雑であるためである。特に、ビスマス及び/又は亜鉛触媒を、ヒドロキシ末端ポリマーの生成のため、とりわけポリエステル及びポリカーボネートのために、用いることができない。しかしながら、本発明によれば、ヒドロキシ末端ポリマーの生成で用いられるものと同じ触媒が、好ましくは、その反応で用いられ、これは、環境上かつ経済的な理由から有利である。さらに、ビスマス触媒を用いて生成されたポリマーを有する接着剤、シーラント及びコーティング材料は、保存中に著しい粘度上昇を示し、したがって乏しい保存安定性を示す。
【0023】
好ましくは、少なくとも1種の触媒が、本発明による方法に対して用いられ、この触媒は、ヒドロキシ末端プレポリマーの生成及びイソシアナトシランとヒドロキシ末端ポリマーとの反応の両方に用いてよく、この触媒は、そこから生成される接着剤、シーラント及びコーティング材料の保存安定性に悪影響を及ぼさない。少なくとも1種の触媒は、特に好ましくはチタン含有有機金属化合物であり、これは、随意に、他の触媒、例えばリチウム化合物など、と組み合わせてもよい。この追加の触媒は、随意に、ヒドロキシ末端プレポリマーとイソシアナトシランとの反応の際にのみ添加してもよい。これらの触媒は、それから生成される接着剤、シーラント及びコーティング材料の保存安定性に悪影響を及ぼさず、複雑な様式でポリマーから除去する必要もない。
【0024】
チタン含有有機金属化合物は、触媒として、本発明による方法において好ましく用いられ、好ましくは、下記から選択される配位子を有する:
-アルコキシ基、例えば、イソブトキシ、n-ブトキシ、イソプロポキシ、エトキシ、及び2-エチルヘキソキシなど;
-スルホネート基、例えば、芳香族基がアルキル基で置換された、芳香族スルホネートなど、及び、
-カルボキシレート基、例えば、脂肪酸のカルボキシレートなど;
-ケトエステル基、例えば、アセト酢酸エステル誘導体など;並びに、
-ジアルキルリン酸基、
ここで、全ての配位子は、互いに同一又は異なっていてよい。
【0025】
代替的又は付加的に、チタン含有有機金属化合物は、特に好ましくは、少なくとも1つの多座配位子を配位子として有し、これは、キレート化を可能にする。多座配位子は、好ましくは二座配位子である。
【0026】
チタン含有有機金属化合物は、特に好ましくは、下記から成る群から選択される:ビス(エチルアセトアセタト)ジイソブトキシチタン(IV)、ビス(エチルアセトアセタト)ジイソプロポキシチタン(IV)、ビス(アセチルアセトナト)ジイソプロポキシチタン(IV)、ビス(アセチルアセトナト)ジイソブトキシチタン(IV)、トリス(オキシエチル)アミンイソプロポキシチタン(IV)、ビス[トリス(オキシエチル)アミン]ジイソプロポキシチタン(IV)、ビス(2-エチルヘキサン-1,3-ジオキシ)チタン(IV)、トリス[2-((2-アミノエチル)アミノ)エトキシ]エトキシチタン(IV)、ビス(ネオペンチル(ジアリル)オキシジエトキシチタン(IV)、チタン(IV)テトラブトキシド、テトラ(2-エチルヘキシルオキシ)チタネート、テトラ(イソプロポキシ)チタネート、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ-2-エチルヘキシルチタネート及びチタンアセチルアセトナート、並びにポリブチルチタネート。テトラブチルチタネート及びテトライソプロピルチタネートは、良好な価格性能比のため、特に好ましい。
【0027】
式(III)のヒドロキシ末端有機ポリマーは、
【化12】
好ましくは、下記から成る群から選択されるポリマー骨格Aを有する:ポリエステル、ポリカーボネート、並びにポリエステル及び/又はポリカーボネートを有するコポリマー。「ポリエステル及び/又はポリカーボネートを有するコポリマー」という表現は、2つ以上のモノマー単位から構成されるポリマーを意味すると理解される。交互コポリマー及びグラフトコポリマーに加えて、この用語は、特に、ブロックポリマーも含み、これは、各モノマーの比較的長い配列又はブロックから成り、リンカー化合物を介して互いに連結しうる。ブロックの好ましい組み合わせは、下記のとおりである:
-ポリエステル及びポリカーボネート、
-様々なポリエステル、
-ポリエステル及びポリエーテル、又は、
-ポリカーボネート及びポリエーテル。
【0028】
ポリエステル及び/又はポリカーボネートを有するコポリマー」という表現は、ポリエステル及び/又はポリカーボネートから構成される少なくとも1つのブロックを有し、追加のブロックを含むコポリマー、を意味する。このようなコポリマーにおいて、ポリエステル含有量又はポリカーボネート含有量は、少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも25重量%、最も好ましくは少なくとも50重量%である。原則として、ポリエステル及び/又はポリカーボネート含有量が多いほど、ポリマー骨格の劣化リスクが高くなる。
【0029】
この例としては、上記の好ましい組み合わせが挙げられる。好ましいリンカー化合物は、ウレタン化合物、エステル化合物及びアミド化合物であり、特に好ましくはウレタン化合物である。
【0030】
ポリマー骨格Aは、1つ又は複数のエステル基及び/又はカーボネート基を有する。それらは、好ましくは2超、特に好ましくは10超の、エステル基及び/又はカーボネート基を有する。また、本発明内で、ポリマー骨格Aの定義はまた、下記も含む:リンカー化合物によって延長されたポリマー、例えば、ジオールによって末端に延長されたポリマーなど、ジイソシアネート又はジカルボン酸ジクロリドを用いて二量化又はオリゴマー化されているポリマー、及びジイソシアネート又はジカルボン酸ジクロリドを用いて共重合されているコポリマー。このようなポリマーは、ポリマー骨格内に1つ、2つ、又は好ましくは3つ以上のエステル基及び/又はカーボネート基を有していてよい。エステル基及び/又はカーボネート基の数が多いほど、ポリマー骨格の劣化リスクが高くなり、それに伴って、最終製品の安定性に影響を与える。
【0031】
ヒドロキシ末端という表現は、分子の末端部で遊離ヒドロキシ基を有するポリマーを意味する。yは、1~10の自然数である。好ましい実施形態では、yは、1であり、そして、α,ω-ジヒドロキシ末端有機ポリマー、すなわち2つの末端OH基を有するポリマーに対応する。yが1より大きい場合、ヒドロキシ末端ポリオールは、2つよりも多い末端OH基を有し、すなわち、それは、OH基が式(IV)のイソシアネートと反応することを意図されているポリオールである。分枝状ヒドロキシ末端ポリマーの場合、OH基は、好ましくはポリマー骨格に直接結合しておらず、むしろポリマー骨格の側鎖の末端部に結合している。これらは、例えば、ポリオール又はポリカルボン酸との反応によって得うる。直鎖状及び分枝状のヒドロキシ末端有機ポリマーはいずれも、当業者に知られており、市販もされている。
【0032】
ポリカーボネートは、例えば、ジオール(例えば、プロピレングリコール、ブタン-1,4-ジオール若しくはヘキサン-1,6-ジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール若しくはテトラエチレングリコール、又はそれらの2種以上の混合物など)を、ジアリールカーボネート(例えば、ジフェニルカーボネート又はホスゲンなど)と反応させることによって得うる。しかしながら、ポリエステルという用語はまた、ポリエステルポリオールを含み、これは、低分子量アルコール又はその混合物、特にエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロパンジオール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、プロピレングリコール、グリセロール又はトリメチロールプロパンを、カプロラクトンと反応させることによって形成され、そして、その末端ヒドロキシ基が、式(III)の有機ポリマーのヒドロキシ基である。特に好ましくは、ポリマー骨格は、分枝ジオール成分を有する。そのような低分子量アルコールの分枝ジオール成分は、ポリエステル又はポリカーボネートを生成するために用いられ、特に好ましくは、下記から成る群から選択される分枝ジオールである:3-メチルペンタン-1,5-ジオール、2-メチルプロパン-1,3-ジオール、3-エチルペンタン-1,5-ジオール、プロパン-1,2-ジオール及び2,4-ジエチルペンタン-1,5-ジオール;なぜなら、それらから生成されるポリマーは、特に良好な加工性かつ耐久性を有するからである。
【0033】
Aは、特に好ましくは、下記から成る群から選択されるポリカーボネートであり:ポリプロピレンカーボネート、ポリシクロヘキセンカーボネート、ポリ(4,4’-イソプロピリデンジフェニルカーボネート)、ポリ(4,4’-ジフェニル-1、1’-シクロヘキサンカーボネート)及びポリ(プロピレンシクロヘキセンカーボネート)など;
又は、下記から成る群から選択されるポリエステルであり:ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリ(エチレンナフタレート)、ポリ(プロピレンテレフタレート)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキシレンジメチレン-2、5-フランジカルボキシレート(PCF)、ポリブチレンアジペート-コ-テレフタレート(PBAT)、ポリブチレンセバケート-コ-テレフタレート(PBSeT)、ポリブチレンサクシネート-コ-テレフタレート(PBST)、ポリブチレン2,5-フランジカルボキシレート-コ-サクシネート(PBSF)、ポリブチレン2,5-フランジカルボキシレート-コ-アジペート)(PBAF)、ポリブチレン2,5-フランジカルボキシレート-コ-アゼレート)(PBAzF)、ポリブチレン2,5-フランジカルボキシレート-コ-セバケート)(PBSeF)、ポリブチレン2,5-フランジカルボキシレート-コ-ブラシレート)(PBBrF)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンアジペート(PBA)、ポリ(ブチレンサクシネート-コ-アジペート)(PBSA)、ポリ(ブチレンサクシネート-コ-セバケート)(PBSSe)、ポリブチレンセバケート(PBSe)、又は、少なくとも1種のヒドロキシ基含有成分及び少なくとも1種のカルボキシ基含有成分のポリエステルポリオールであり、この少なくとも1種のヒドロキシ基含有成分は、例えば:プロパン-1,2-ジオール、3-メチルペンタン-1,5-ジオール、2-メチルプロパン-1,3-ジオール、3-エチルペンタン-1,5-ジオール、2,4-ジエチルペンタン-1,5-ジオール、ネオペンチルグリコール及び1,1,1-トリメチロールプロパン並びにそれらの混合物、から選択され、この少なくとも1種のカルボキシ基含有成分は:2種のカルボキシ基を有する脂肪族酸(例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、及びダイマー酸など)、若しくは2種のカルボキシ基を有する酸のジアルキルエステル(例えば、ジメチルエステル、ジエチルエステル、ジプロピルエステル、及びジブチルエステルなど)、又は、カルボン酸クロリド(例えば、アクリル酸クロリド、若しくはメタクリル酸クロリドなど);脂環式ジカルボン酸(例えば、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸など)、又は、2種のカルボキシ基を有するジアルキルエステル酸(例えば、ジメチルエステル、ジエチルエステル、ジプロピルエステル、及びジブチルエステルなど);2種のカルボキシ基を有する芳香族酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、及びナフタレンジカルボン酸など)、又は、2種のカルボキシ基を有する酸のジアルキルエステル(例えば、ジメチルエステル、ジエチルエステル、ジプロピルエステル、及びジブチルエステルなど)などから選択される。これらの例のうち、下記を用いるのが好ましい:アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、及びナフタレンジカルボン酸。また、環状カルボン酸無水物(例えば、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水コハク酸など)、又は側基を有する環状カルボン酸無水物(例えば、3-メチルグルタル酸無水物など)を用いてよい。側基を有する脂肪族ジカルボン酸又はそのエステル、例えば2,4-ジエチルグルタル酸、2,4-メチルグルタル酸、3-メチルグルタル酸、メチルマロン酸などを、用いてもよい。特に好ましいのは、ポリエステルポリオール及びポリカーボネートであって、ヒドロキシ基含有成分として、分枝ジオール(例えば、3-メチルペンタン-1,5-ジオール、2-メチルプロパン-1,3-ジオール、3-エチルペンタン-1,5-ジオール、プロパン-1,2-ジオール、2,4-ジエチルペンタン-1,5-ジオールなど)を10モル%超の割合で有するポリエステルポリオール及びポリカーボネートである;なぜなら、これらは特に安定であることが証明されているためである。分枝ジオールの割合は、特に好ましくは、用いられるジオールの50モル%超である。好ましいジカルボン酸は、脂肪族ジカルボン酸である。ジオール及びジカルボン酸はまた、石油に基づいていてよく、又は再生可能な原料から生成されていてもよい。
【0034】
好ましくは、ヒドロキシ末端有機ポリマーは、室温において液体である。これは、20℃における粘度が1~10mPa・sであることを意味すると理解される。この粘度は、本発明による組成物の取り扱い、特にシーラント生成物の製造に最適である。これは特に、ポリマー骨格として、ポリカーボネートのホモポリマー又はポリエステルのホモポリマーを有する、ヒドロキシ末端ポリマーの場合に当てはまる。一般に、本発明によるポリエステルは、比較的低い粘度を有し、費用効果が高い。したがって、それらは、本発明によるポリカーボネートよりも、用途によっては適している。
【0035】
ヒドロキシ末端有機ポリマーは、好ましくは、1000~20000g/モル、特に2000~12000g/モルの平均分子量を有する;なぜなら、上記ポリマーのこの取り扱いが、最適であるためである。本明細書において、「分子量」とは、分子のモル質量(グラム/モル)であると理解される。「平均分子量」は、オリゴマー又はポリマー分子の多分散混合物の数平均分子量Mnであり、これは通常、酸価及びOH価を滴定することによって決定される。OH価(ヒドロキシ価)は、ポリマー中のヒドロキシ基含有量の尺度であり、当業者には公知の量である。酸価は、ポリマー中の酸基含有量の尺度であり、当業者には公知の量である。
【0036】
本発明に従って用いられる式(III)のヒドロキシ末端有機ポリマーは、市販の化合物であってよく、これを、より良好な取り扱いのために、随意に、可塑剤又は溶媒で希釈してよい。しかしながら、それらがスズフリーで(スズ無しで)生成されることが、重要である;なぜなら、式(III)のヒドロキシ末端有機ポリマー中のスズ触媒の痕跡でさえも、シラン末端ポリマー、特にそれから生成される接着剤、シーラント及びコーティング組成物の、保存安定性に悪影響を及ぼすためである。同じ触媒を、好ましくは、ヒドロキシ末端有機ポリマー及びシラン末端ポリマーの生成において用い、それによって、触媒をヒドロキシ末端有機ポリマーから除去する必要がなくなり、これは、プロセス工学的に理にかなっており、より環境にやさしい。
【0037】
触媒は、好ましくは、式(III)のヒドロキシ末端有機ポリマーの、0.5~500ppmの量で用いられる。
【0038】
本発明に従って用いられる式(IV)のイソシアネートは、
【化13】
市販品であり、又はケイ素化学における標準的な方法によって生成してよい。R及びRは、それぞれ独立して、1~10個の炭素原子を有する直鎖状、分枝状又は環状の炭化水素ラジカルであり、これらは、随意に、酸素、硫黄及び窒素から成る群から選択される1つ又は複数のヘテロ原子を有していてよい。nは、値1、2又は3を有していてよく、値2又は3が好ましい;なぜなら、それらから生成されるシラン末端ポリマーが、特にバランスのとれた反応性を有するためである。
【0039】
好ましくは、R及びRは、それぞれ独立して、アルキルラジカルであり、例えば、メチルラジカル、エチルラジカル、n-プロピルラジカル、イソプロピルラジカル、n-ブチルラジカル、イソブチルラジカル、tert-ブチルラジカル、n-ペンチルラジカル、イソペンチルラジカル、ネオペンチルラジカル、tert-ペンチルラジカル、n-ヘキシルラジカル、n-ヘプチルラジカル、オクチルラジカル、n-オクチルラジカル、イソオクチルラジカル、2,2,4-トリメチルペンチルラジカル、n-ノニルラジカル、デシルラジカル、n-デシルラジカル、ドデシルラジカル又はn-ドデシルラジカルなどである。
しかしながら、それらはまた、アルケニルラジカル、例えば、ビニルラジカル又はアリルラジカルなどであってもよく;シクロアルキルラジカル、例えば、シクロペンチルラジカル、シクロヘキシルラジカル、シクロヘプチルラジカル及びメチルシクロヘキシルラジカルなどであってもよく;アリルラジカル、例えばフェニルラジカル及びナフチルラジカルなどであってもよく;アルカリルラジカル、例えばo-、m-、p-トリルラジカル、キシリルラジカル及びエチルフェニルラジカルなどであってもよく;アラルキルラジカル、例えばベンジルラジカル、α-フェニルエチルラジカル及びβ-フェニルエチルラジカルなどであってもよい。置換ラジカルRの例は、アルコキシアルキルラジカル、例えばエトキシエチルラジカル及びメトキシエチルラジカルなどである。
【0040】
好ましくは、ラジカルR及びRは、それぞれ独立して、1~6個の炭素原子を有する炭化水素ラジカル、特に好ましくは1~4個の炭素原子を有するアルキルラジカル、とりわけメチルラジカル又はエチルラジカルである。
【0041】
Dは、1~20個の炭化水素原子を有する直鎖状又は分枝状の炭化水素基であり、これは、随意に、酸素、窒素及び硫黄から成る群から選択されるヘテロ原子によって割り込まれていてよい。好ましくは、Dは、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、メチレンオキシド、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドから成る群から選択され、特に好ましくは、プロピレン又はメチレンから選択される;なぜなら、これによって、特にバランスのとれた反応性を有するポリマーが得られるからである。
【0042】
式(IV)のイソシアネートの例は、イソシアナトメチルジメトキシシラン、イソシアナトプロピルジメチルメトキシシラン、イソシアナトメチルメチルジメトキシシラン、イソシアナトプロピルメチルジメトキシシラン、イソシアナトメチルトリメトキシシラン、イソシアナトメチルトリエトキシシラン、及びイソシアナトプロピルトリメトキシシラン、好ましくは、イソシアナトメチルメチルジメトキシシラン、イソシアナトプロピルメチルジメトキシシラン、イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、及びイソシアナトメチルトリエトキシシランである。
【0043】
式(II)のシラン末端ポリマーを生成する本発明による方法は、式(III)のヒドロキシ末端有機ポリマーを、
【化14】
式(V)の多官能イソシアネートと反応させ、
【化15】
次いで式(VI)のアルコキシシランと反応させることによって行われ、
【化16】
ここではまた、用いられる反応物及び反応のいずれもスズ触媒を含まない。
【0044】
式(V)の多官能イソシアネートとして特に適しているのは、分子中に2個以上、好ましくは2~10個のイソシアネート基を有するイソシアネートである。この目的に適しているのは、イソシアネート反応性基を有しない、すなわち特には遊離の第一級及び/又は第二級アミノ基を有しない、公知の脂肪族、シクロ脂肪族、芳香族、オリゴマー及びポリマーの多官能イソシアネートである。脂肪族多官能イソシアネートの代表は、例えばヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)である;シクロ脂肪族多官能イソシアネートの代表は、例えば1-イソシアナト-3-(イソシアナトメチル)-3,5,5-トリメチルシクロヘキサンである。芳香族多官能イソシアネートの代表として、下記のものを挙げてよい:2,4-及び2,6-ジイソシアナトトルエン及び対応する技術的異性体混合物(TDI);ジフェニルメタンジイソシアネート、例えばジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、ジフェニルメタン-2,4’-ジイソシアネート、ジフェニルメタン-2,2’-ジイソシアネート及び対応する技術的異性体混合物(MDI)。さらに、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート(NDI)及び4,4’,4’’-トリイソシアナトリフェニルメタンも挙げるべきである。
【0045】
式(VI)のアルコキシシランは、好ましくは、下記から成る群から選択される:3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルジメトキシメチルシラン、3-アミノ-2-メチルプロピルトリメトキシシラン、4-アミノブチルトリメトキシシラン、4-アミノブチルジメトキシメチルシラン、4-アミノ-3-メチルブチルトリメトキシシラン、4-アミノ-3,3-ジメチルブチルトリメトキシシラン、4-アミノ-3,3-ジメチルブチルジメトキシメチルシラン、2-アミノエチルトリメトキシシラン、2-アミノエチルジメトキシメチルシラン、アミノメチルトリメトキシシラン、アミノメチルジメトキシメチルシラン、アミノメチルメトキシジメチルシラン、及び7-アミノ-4-オキサヘプチルジメトキシメチルシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-[2-(2-アミノエチルアミノ)エチルアミノ]プロピルトリメトキシシラン、3-[2-(2-アミノエチルアミノ)エチルアミノ]プロピルトリエトキシシラン、3-[2-(2-アミノエチルアミノ)エチルアミノ]プロピルメチルジメトキシシラン、[3-(1-ピペラジニル)プロピル]トリエトキシシラン、[3-(1-ピペラジニル)プロピル]トリメトキシシラン、[3-(1-ピペラジニル)プロピル]メチルジメトキシシラン、N-(n-ブチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(n-ブチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(n-ブチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-エチルアミノイソブチルトリメトキシシラン、N-エチルアミノイソブチルメチルジメトキシシラン、N-シクロヘキシル-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-シクロヘキシル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-シクロヘキシルアミノメチルトリエトキシシラン、N-シクロヘキシルアミノメチルトリメトキシシラン、N-シクロヘキシルアミノメチルジメトキシメチルシラン、ビス(トリメトキシシリルプロピル)アミン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン。
【0046】
ウレタン結合又はウレア結合を促進するために、製品及びそれから生成される接着剤、シーラント又はコーティング材料の保存安定性に悪影響を及ぼさない、追加の触媒を、随意に用いてよい。
【0047】
好ましくは、この触媒は下記から成る:
- アルカリ金属カルボン酸塩、例えばネオデカン酸リチウム、エチルヘキサン酸リチウム、ラウリン酸リチウム、ステアリン酸リチウム、ネオデカン酸カリウム、エチルヘキサン酸カリウム、又はラウリン酸カリウムなど;
- アルカリ土類金属カルボン酸塩、例えばトリメチルヘキサン酸カルシウム、ネオデカン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、エチルヘキサン酸ストロンチウム、又はラウリン酸ストロンチウムなど;
- 遷移族元素のカルボン酸塩、例えばエチルヘキサン酸コバルト、ステアリン酸コバルト、ラウリン酸コバルト、ネオデカン酸コバルト、エチルヘキサン酸マンガン、ステアリン酸マンガン、ラウリン酸マンガン、ステアリン酸鉄、エチルヘキサン酸鉄、ラウリン酸鉄、ステアリン酸銅、ラウリン酸銅、ネオデカン酸銅、エチルヘキサン酸銅など、
- 第13族元素からのカルボン酸塩、例えばインジウム塩、及びアルミニウム塩など、
- 第14族元素からの塩、例えば鉛塩など、
- 第15族元素からの塩、例えばリン塩、及びリン酸エステル又はアンチモン塩など;
- 第3級アミン、例えばトリブチルアミン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク-7-エン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノン-5-エン、N,N-ビス(N,N-ジメチル-2-アミノエチル)メチルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N-ジメチルフェニルアミン、又はエチルモルホリニンなど;
- イオン液体、例えばアンモニウム、イミダゾリウム、ホスホニウム、ピリジニウム、ピロリジニウム、又はスルホニウムに基づくイオン液体など;
- 1~10個の炭素原子を有する短鎖有機酸、例えば酢酸など、並びに、
- リン酸及びそのモノエステルなどの無機酸、例えばリン酸ブチル、リン酸ジブチル、及びリン酸プロピルなど。
【0048】
これらの追加の触媒は、単独で用いてよいし、又は組み合わせて用いてもよい。
【0049】
非常に特に好ましくは、追加の触媒は、下記から成る群から選択される:ネオデカン酸リチウム、エチルヘキサン酸リチウム、ラウリン酸リチウム、ステアリン酸リチウム、エチルヘキサン酸マンガン、ネオデカン酸マンガン、ラウリン酸マンガン、ステアリン酸マンガン、エチルヘキサン酸コバルト、ラウリン酸コバルト、ステアリン酸コバルト、及びネオデカン酸コバルト。特に好ましくは、追加の触媒は、チタン含有有機金属化合物と共に配合される。
【0050】
触媒は、好ましくは1~1000ppm、特に好ましくは5~500ppm、非常に特に好ましくは5~200ppmの量で添加される。
【0051】
特に好ましくは、直鎖状シラン末端ポリマーは、下記の式から成る群から選択される。ここで、Aは上記で定義したポリマー骨格である。
【化17】
【0052】
反応は、好ましくは50℃~150℃、特に好ましくは60℃~120℃の温度で、かつ好ましくは標準圧力で行われる。
【0053】
本発明に従って生成された架橋性組成物は、例えば建物、陸上の乗り物、水上の乗り物及び空中の乗り物の、ジョイント(垂直ジョイントを含む)及び同様の空所のためのシーリングコンパウンドとして、又は、例えば窓の構造若しくはショーケースの製造における、接着剤若しくはセメント化合物として、並びにまた、保護コーティング又はゴム弾性成形品の製造、及び電気又は電子装置の絶縁に、顕著に適している。本発明による組成物は、できる限り高い耐移動性を有するジョイント用のシーラントコンパウンドとして、特に適している。本発明による接着剤、シーラント及びコーティング材料は、標準的な製品と比較して著しく優れた耐候安定性を有する。著しく良好な耐候安定性の結果として、本発明によるコーティング材料は、屋根防水及び表面防水に、又は厳しい気候に曝される他の表面のコーティングに、特に適している。
【0054】
空気中の通常の含水量は、本発明による組成物の架橋に十分である。架橋は、室温で実施してよく、又は、望ましい場合、比較的高温又は比較的低温でも、例えば-5℃~10℃若しくは30℃~50℃で、実施してよい。架橋は、好ましくは標準圧力で行われる。
【0055】
本発明によるシラン末端ポリマーは、2成分系として調合してもよい。助剤に加えて、第2成分はまた、水も含み、これは、第1成分との混合後の深部の貫通硬化を大幅に促進する。対応する2成分系は、当業者に知られており、例えば欧州特許出願公開第2009063号明細書又は欧州特許出願公開第2535376号明細書に記載されており、その内容は、参照により組み込まれる。
【0056】
本発明による生成はまた、追加の助剤及び添加剤を含んでもよく、これらも同様に、任意のスズ触媒を含んではならない。このような助剤及び添加剤として、例えば、追加のシラン末端ポリマー、可塑剤、安定剤、酸化防止剤、充填剤、反応性希釈剤、乾燥剤、接着促進剤及びUV安定剤、レオロジー助剤、着色顔料若しくは着色ペースト、並びに/又は場合によってまた、少量の溶媒、が挙げられる。このような助剤及び添加剤は、当業者に知られている。
【0057】
実施例
【実施例1】
【0058】
実施例1(本発明に従っている)
有機チタネート触媒(チタン(IV)イソプロポキシド)を用いて合成され、28.7mgKOH/gのヒドロキシ価を有する、234gのポリエステルポリオールP-4010(株式会社クラレ)を、撹拌しながら90℃に加熱した。22.4gの(トリメトキシシリル)プロピルイソシアネートを添加し、90℃で撹拌した。90分後、遊離イソシアネートは、FT-IRによって検出されなくなった。得られたトリメトキシシラン末端ポリエステルを用いて、接着剤を調合した。
【実施例2】
【0059】
実施例2(本発明に従っている)
有機チタネート触媒を用いて合成され、29.4mgKOH/gのヒドロキシ価を有する、229gのポリエステルポリオールSS 4080(Songstar)を、攪拌しながら90℃に加熱した。22.4gの(トリメトキシシリル)プロピルイソシアネートを添加し、90℃で撹拌した。90分後、遊離イソシアネートは、FT-IRによって検出されなくなった。得られたトリメトキシシラン末端ポリエステルを用いて、接着剤を調合した。
【0060】
比較例3(本発明に従っていない)
有機スズ触媒を用いて合成され、28.0mgKOH/gのヒドロキシ価を有する、240gのポリエステルポリオールSS 4080S(Songstar)を、撹拌しながら90℃に加熱した。22.4gの(トリメトキシシリル)プロピルイソシアネートを添加し、90℃で撹拌した。600分後、遊離イソシアネートは、FT-IRによって検出されなくなった。得られたトリメトキシシラン末端ポリエステルを用いて、接着剤を調合した。
【0061】
比較例4(本発明に従っていない)
有機チタネート触媒を用いて合成され、29.4mgKOH/gのヒドロキシ価を有する、229gのポリエステルポリオールSS 4080(Songstar)を、攪拌しながら90℃に加熱した。63mgのスズ触媒としてのジブチルスズジラウレート、及び22.4gの(トリメトキシシリル)プロピルイソシアネートを添加し、この混合物を90℃で撹拌した。90分後、遊離イソシアネートは、FT-IRによって検出されなくなった。得られたトリメトキシシラン末端ポリエステルを用いて、接着剤を調合した。
【0062】
比較例5(本発明に従っていない)
有機スズ触媒を用いて合成され、28.0mgKOH/gのヒドロキシ価を有する、240gのポリエステルポリオールSS 4080S(Songstar)を、撹拌しながら90℃に加熱した。75mgのスズ触媒としてのジブチルスズジラウレート、及び22.4gの(トリメトキシシリル)プロピルイソシアネートを添加し、この混合物を90℃で撹拌した。90分後、遊離イソシアネートは、FT-IRによって検出されなくなった。得られたトリメトキシシラン末端ポリエステルを用いて、接着剤を調合した。これらの結果を図1(表1)に示す。
【0063】
最終的な接着剤は、スズ触媒が、ヒドロキシ末端ポリエステルの生成、イソシアネートシランとの反応、及び接着剤、シーラント又はコーティング材料としての調合の際に、存在しない場合にのみ、安定である。そうでない場合、ショアA硬度(DIN 53505に従って測定)及び引張強度(DIN 53504に従って測定)は、このシーラントがカートリッジ内に室温で4~8週間にわたって保存された後、すでに著しく低下する。保存温度が高くなると、機械的特性は、スズ触媒の存在下でさらにより急速に低下する。
【0064】
以下の表は、8週間後かつ32週間後の組成物の安定性を示している:
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】
【表3】
【0068】
n.c.は通常気候、23℃、相対湿度50%を表し、*は、指定された硬化時間内に架橋しないことを意味する。
【国際調査報告】