(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-30
(54)【発明の名称】細胞培養物を評価するシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G02B 21/00 20060101AFI20240123BHJP
G02B 21/36 20060101ALI20240123BHJP
G01N 21/01 20060101ALI20240123BHJP
G01N 21/59 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
G02B21/00
G02B21/36
G01N21/01 D
G01N21/59 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565126
(86)(22)【出願日】2022-01-05
(85)【翻訳文提出日】2023-08-02
(86)【国際出願番号】 US2022011267
(87)【国際公開番号】W WO2022150351
(87)【国際公開日】2022-07-14
(32)【優先日】2021-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】509031062
【氏名又は名称】エマウス メディカル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】オリバ ビラナ, ジョアン
(72)【発明者】
【氏名】落合 潤
【テーマコード(参考)】
2G059
2H052
【Fターム(参考)】
2G059AA03
2G059AA05
2G059BB12
2G059EE01
2G059FF04
2G059GG02
2G059HH02
2G059JJ11
2G059KK01
2G059MM01
2G059PP06
2H052AC33
2H052AD02
2H052AD16
2H052AD29
2H052AD33
2H052AD37
2H052AF02
2H052AF14
(57)【要約】
生物学的細胞培養物を評価するための装置が、本明細書において説明される。装置は、筐体と、データバスによって筐体に結合されたコントローラとを備えている。筐体は、光を発生させるための光源と、光源によって発生させられた光をコリメートするためのコリメータと、生物学的細胞培養物を含む細胞培養皿を直交方向に作動させるための線形ステージと、細胞培養皿および生物学的細胞培養物を通してコリメートされた光を受け取るための光検出器とを備えている。コントローラは、光源、線形ステージ、および光検出器を動作させるための命令をデータバスによって提供するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的細胞培養物を評価するための装置であって、前記装置は、
筐体であって、前記筐体は、
光を発生させるための光源であって、前記光源は、前記筐体の上部に配置されている、光源と、
光検出器であって、前記光検出器は、前記筐体上の基部に配置されている、光検出器と、
前記光をコリメートするためのコリメータであって、前記コリメータは、前記光源の下方に配置され、前記光検出器は、前記コリメートされた光を受け取るためである、コリメータと、
生物学的細胞培養物を含む細胞培養皿を直交方向に作動させるための線形ステージと
を備え、
前記線形ステージは、前記光源と前記光検出器との間に配置され、前記細胞培養皿を固定するための表面を提供する、筐体と、
データバスによって前記筐体に結合されたコントローラと
を備え、
前記コントローラは、前記光源、前記線形ステージ、および前記光検出器を動作させるための命令を前記データバスによって提供するように構成されている、装置。
【請求項2】
前記筐体は、
前記筐体の前記基部から垂直に延びているロッドと、
前記ロッドに機械的に結合された第1のブリッジであって、前記第1のブリッジは、前記筐体の前記上部に配置され、前記光源を含む第1のブリッジと、
前記ロッドに機械的に結合された第2のブリッジと
をさらに備え、
前記第2のブリッジは、前記第1のブリッジと前記コリメータとの間に配置され、前記光源の見通し線に対して整列させられた開口を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記コリメータは、少なくとも1つのレンズを備え、前記レンズは、アームおよびアーム関節部を経由して、ロッドに機械的に結合されている、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記レンズは、25.4mmのレンズ直径および25.4mmの焦点距離を有する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記レンズは、前記アームに結合されたブラケット内に収容されている、請求項3に記載装置。
【請求項6】
前記線形ステージは、サンプルステージと、Xステージと、Yステージとを備え、前記サンプルステージは、前記細胞培養皿を固定するための前記表面を提供し、前記Xステージは、前記線形ステージを第1の方向に作動させ、前記Yステージは、前記線形ステージを前記第1の方向に直交する第2の方向に作動させる、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記Xステージおよび前記Yステージは、前記Xステージおよび前記Yステージにそれらのそれぞれの方向に移動させるタイミングベルトに結合されたステッピングモータを含む、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記サンプルステージ、前記Xステージ、前記Yステージの各々は、前記コリメートされた光が通過することを可能にする開口部を含む、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記コントローラは、少なくとも2つのモータ駆動モジュールに結合されたコンピューティングユニットを備えている、請求項6に記載の装置。
【請求項10】
前記少なくとも2つのモータ駆動モジュールは、前記Xステージおよび前記Yステージの前記ステッピングモータを作動させるための信号を発生させる、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記コンピューティングユニットは、前記データバスによって前記光検出器からアナログ信号を受信し、前記アナログ信号をデジタル化する、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記コンピューティングユニットは、前記光検出器をオンまたはオフにするためのデジタル信号を発生させる、請求項9に記載の装置。
【請求項13】
前記光源によって発生させられる前記光は、450~475nmにおける鋭いピークと、560~60nmにおける平坦なピークとを備えている、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記データバスは、有線データ接続である、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記有線データ接続は、イーサネット(登録商標)、シリアル、または汎用インターフェースバスベースのデータ接続のうちの少なくとも1つである、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記データバスは、無線データ接続である、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記無線データ接続は、セルラー、Wi-Fi、Bluetooth(登録商標)、または近距離無線通信ベースのデータ接続のうちの少なくとも1つである、請求項14に記載の装置。
【請求項18】
請求項1に記載の装置を動作させる方法であって、前記方法は、
前記コントローラによって、前記細胞培養皿の第1の所定の場所に対応する第1の場所まで、前記線形ステージを作動させることと、
前記コリメータを通した前記光源によって、前記第1の場所における前記細胞培養皿および前記生物学的細胞培養物を通過するためのコリメートされた光を発生させることと、
前記光検出器によって、前記細胞培養皿および前記生物学的細胞培養物を通過した前記コリメートされた光を受け取ることと、
前記コントローラによって、前記第1の場所における前記コリメートされた光の強度を決定することと
を含む、方法。
【請求項19】
前記方法は、
前記コントローラによって、前記細胞培養皿の第2の所定の場所に対応する第2の場所まで、前記線形ステージを作動させることと、
前記コリメータを通した前記光源によって、前記第2の場所における前記細胞培養皿および前記生物学的細胞培養物を通過するためのコリメートされた光を発生させることと、
前記光検出器によって、前記細胞培養皿および前記生物学的細胞培養物を通過した前記コリメートされた光を受け取ることと、
前記コントローラによって、前記第2の場所における前記コリメートされた光の強度を決定することと
をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の場所における前記コリメートされた光の前記強度および前記第2の場所における前記コリメートされた光の前記強度は、
前記生物学的細胞培養物の厚さと、
前記生物学的細胞培養物を採集するための前記生物学的細胞培養物の成熟度と、
前記生物学的細胞培養物の1枚以上の細胞シート内に存在する細胞の数と、
生物学的細胞培養物の透明度と
を決定するために使用される、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる2021年1月6日に出願された米国仮特許出願第63/205,757号の35U.S.C.§119(e)(米国特許法第119条(e))下の優先権を主張する。
【0002】
(技術分野)
本発明は、概して、生物学的物質を評価することに関する。より具体的に、本発明は、生物学的細胞培養物の厚さ、成熟度、および透明度を決定するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
細胞シート技術は、損傷した器官または組織を治癒するための再生医療において、関心を集めている。細胞シートは、単層または多層であることができる。再生医療では、実験室内増殖幹細胞のシートが、損傷した器官または組織の上に移植され得、それによって、移植された幹細胞は、下層の器官または組織の細胞として再生されることができる。そのような技法は、例えば、皮膚移植術において成功裏に使用されている。別の例として、角膜細胞等の透明な細胞培養物のシートが、増殖させられ、損傷した眼の上に移植されることができる。加えて、ドナーの角膜透過率が、移植前、精密に測定されることができる。そのような幹細胞または角膜細胞シートを増殖させるための従来の方法のもと、羊膜、フィブリンゲル、ヒアルロン酸ヒドロゲル、コラーゲン等の種々の足場が、薄い幹細胞または角膜細胞シートを増殖させるために使用される。幹細胞または角膜細胞シートは、次いで、採集され、他の幹細胞または角膜細胞シートの上に積み重ねられ、多層化された幹細胞または角膜細胞シートを形成し、それは、次いで、再生のために、損傷した器官または組織の上に移植されることができる。これらの従来の方法は、多くの欠点を有し得る。例えば、新しく増殖させられた幹細胞または角膜細胞シートは、機械的に取り除かれ、または細胞培養皿から分離され、次いで、別の幹細胞または角膜細胞シートの上に設置される必要がある。幹細胞または角膜細胞シートが、取り除かれる力に耐えるために、幹細胞または角膜細胞シートは、胞培養皿から持ち上げられたとき、幹細胞または角膜細胞シートがシート構造を保持するために十分に強い物理的完全性を保有するように、十分に長い間、増殖させられなければならない。幹細胞または角膜細胞シートが、早期に採集された場合、幹細胞または角膜細胞は、裂け得、交換用の幹細胞または角膜細胞シートを増殖させるプロセスが、繰り返される必要がある。したがって、多層化された幹細胞または角膜細胞シートを増殖させるプロセスは、面倒であり、時間を消費し、複雑であり、かつ費用がかかり得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
生物学的細胞培養物の厚さ、成熟度、透明度、および細胞シート内の細胞の数を決定するための装置が、本明細書において説明される。装置は、筐体と、データバスによって筐体に結合されたコントローラとを備えていることができる。筐体は、光を発生させるための光源と、光源によって発生させられた光をコリメートするためのコリメータと、生物学的細胞培養物を含む細胞培養皿を直交方向に作動させるための線形ステージと、細胞培養皿および生物学的細胞培養物を通してコリメートされた光を受け取るための光検出器とを備えていることができる。光源は、筐体の上部に配置されることができる。コリメータは、光源の下方に配置されることができる。線形ステージは、コリメータの下方に配置されることができ、細胞培養皿を固定するための表面を提供することができる。光検出器は、線形ステージの下方に、かつ筐体上の基部に配置されることができる。コントローラは、光源、線形ステージ、および光検出器を動作させるための命令をデータバスによって提供するように構成されることができる。
【0005】
いくつかの実施形態において、筐体は、筐体の基部から垂直に延びているロッドと、ロッドに機械的に結合された第1のブリッジと、ロッドに機械的に結合された第2のブリッジとをさらに備えていることができる。第1のブリッジは、筐体の上部に配置されることができ、光源を含むことができる。第2のブリッジは、第1のブリッジとコリメータとの間に配置されることができ、光源の見通し線に対して整列させられた開口を含むことができる。
【0006】
いくつかの実施形態において、コリメータは、少なくとも1つのレンズを備えていることができる。レンズは、アームおよびアーム関節部を経由して、ロッドに機械的に結合されることができる。
【0007】
いくつかの実施形態において、レンズは、25.4mmのレンズ直径および25.4mmの焦点距離を有することができる。
【0008】
いくつかの実施形態において、レンズは、アームに結合されたブラケット内に収容されることができる。
【0009】
いくつかの実施形態において、線形ステージは、サンプルステージと、Xステージと、Yステージとを備えていることができる。サンプルステージは、細胞培養皿を固定するための表面を提供することができる。Xステージは、線形ステージを第1の方向に作動させることができる。Yステージは、線形ステージを第1の方向に直交する第2の方向に作動させることができる。
【0010】
いくつかの実施形態において、XステージおよびYステージは、XステージおよびYステージをそれらのそれぞれの方向に移動させるタイミングベルトに結合されたステッピングモータを含むことができる。
【0011】
いくつかの実施形態において、サンプルステージ、Xステージ、Yステージの各々は、コリメートされた光が通過することを可能にする開口部を含むことができる。
【0012】
いくつかの実施形態において、コントローラは、少なくとも2つのモータ駆動モジュールに結合されたコンピューティングユニットを備えていることができる。
【0013】
いくつかの実施形態において、少なくとも2つのモータ駆動モジュールは、XステージおよびYステージのステッピングモータを作動させるための信号を発生させることができる。
【0014】
いくつかの実施形態において、コンピューティングユニットは、データバスによって光検出器からアナログ信号を受信し、アナログ信号をデジタル化することができる。
【0015】
いくつかの実施形態において、コンピューティングユニットは、光検出器をオンまたはオフにするためのデジタル信号を発生させることができる。
【0016】
いくつかの実施形態において、光源によって発生させられる光は、450~475nmにおける鋭いピークと、560~60nmにおける平坦なピークとを備えていることができる。
【0017】
いくつかの実施形態において、データバスは、有線データ接続であることができる。
【0018】
いくつかの実施形態において、有線データ接続は、イーサネット(登録商標)、シリアル、または汎用インターフェースバスベースのデータ接続のうちの少なくとも1つであることができる。
【0019】
いくつかの実施形態において、データバスは、無線データ接続であることができる。
【0020】
いくつかの実施形態において、無線データ接続は、セルラー、Wi-Fi、Bluetooth(登録商標)、または近距離無線通信ベースのデータ接続のうちの少なくとも1つであることができる。
【0021】
装置を動作させる方法が、本明細書において説明される。コントローラは、細胞培養皿の第1の所定の場所に対応する第1の場所まで、線形ステージを作動させることができる。コリメータを通した光源は、第1の場所における細胞培養皿および生物学的細胞培養物を通過するためのコリメートされた光を発生させることができる。光検出器は、細胞培養皿および生物学的細胞培養物を通過したコリメートされた光を受け取ることができる。コントローラは、第1の場所におけるコリメートされた光の強度を決定することができる。
【0022】
いくつかの実施形態において、コリメートされた光の強度は、少なくとも10回の強度測定の平均であることができる。
【0023】
いくつかの実施形態において、コントローラは、細胞培養皿の第2の所定の場所に対応する第2の場所まで、線形ステージを作動させることができる。コリメータを通した光源は、第2の場所における細胞培養皿および生物学的細胞培養物を通過するためのコリメートされた光を発生させることができる。光検出器は、細胞培養皿および生物学的細胞培養物を通過したコリメートされた光を受け取ることができる。コントローラは、第2の場所におけるコリメートされた光の強度を決定することができる。
【0024】
本明細書に開示される、装置、システム、方法、および非一過性コンピュータ読み取り可能な媒体のこれらの特徴および他の特徴、および動作の方法、および構造の関連する要素の機能、および部品の組み合わせ、および製造の経済性が、付随の図面を参照して、以下の説明および添付の請求項の検討に応じて、より明白になり、これらの全てが、本明細書の一部を形成し、同様の参照番号は、種々の図において、対応する部品を指定する。しかしながら、図面は、例証および説明のみの目的のためにあり、本発明の限界の定義として意図されないことが、明示的に理解されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本技術の種々の実施形態のある特徴が、添付の請求項において、特定性を伴って記述される。本技術の特徴および利点のより深い理解が、本発明の原理が利用される例証的実施形態を記述する以下の詳細な説明を参照することによって取得され、付随の図面は、以下の通りである。
【0026】
【
図1A】
図1A-1Dは、本開示の種々の実施形態による生物学的細胞培養物の厚さ、成熟度、および透明度を決定するための装置を図示する。
【
図1B】
図1A-1Dは、本開示の種々の実施形態による生物学的細胞培養物の厚さ、成熟度、および透明度を決定するための装置を図示する。
【
図1C】
図1A-1Dは、本開示の種々の実施形態による生物学的細胞培養物の厚さ、成熟度、および透明度を決定するための装置を図示する。
【
図1D】
図1A-1Dは、本開示の種々の実施形態による生物学的細胞培養物の厚さ、成熟度、および透明度を決定するための装置を図示する。
【0027】
【
図2】
図2は、本開示の種々の実施形態によるコントローラの電気的概略図を図示する。
【0028】
【
図3A】
図3Aは、本開示の種々の実施形態による光強度を測定するためにコントローラの上にロードされ得る構成設定の視覚的表現を図示する。
【0029】
【
図3B】
図3Bは、本開示の種々の実施形態による装置を動作させる方法を図示する。
【0030】
【
図3C】
図3Cは、本開示の種々の実施形態による装置を使用して、生物学的細胞培養物の透過率を決定する方法を図示する。
【0031】
【
図4A】
図4Aは、本開示の種々の実施形態による生物学的細胞培養物の透過率(光強度)と厚さまたは採集時間(成熟度とも命名される)との関係を示す図を図示する。
【0032】
【
図4B】
図4B-4Cは、本開示の種々の実施形態による多層化された幹細胞または角膜細胞シート等の生物学的細胞培養物の透過率と、生物学的細胞培養物が実験室環境内で増殖させられた日数との間の関係を描写するグラフを図示する。
【
図4C】
図4B-4Cは、本開示の種々の実施形態による多層化された幹細胞または角膜細胞シート等の生物学的細胞培養物の透過率と、生物学的細胞培養物が実験室環境内で増殖させられた日数との間の関係を描写するグラフを図示する。
【0033】
【
図4D】
図4Dは、本開示の種々の実施形態による多層化された幹細胞または角膜細胞シート等の生物学的細胞培養物の厚さおよび/または成熟度を決定する方法を図示する。
【0034】
【
図4E】
図4Eは、本開示の種々の実施形態による細胞シート内の細胞の数を決定するために使用され得る基準グラフを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図は、例証のみの目的のために、開示される技術の種々の実施形態を描写し、図は、同様の要素を識別するために、同様の参照番号を使用する。当業者は、以下の議論から、図に図示される構造および方法の代替実施形態が、本明細書に説明される開示される技術の原理から逸脱することなく、採用され得ることを容易に認識するであろう。
【0036】
再生医療では、実験室内増殖幹細胞のシートが、損傷した器官または組織の上に移植され得、それによって、移植された幹細胞は、下層の器官または組織の細胞として再生することができる。そのような技法は、例えば、皮膚移植術において成功裏に使用されている。別の例として、角膜細胞等の透明な細胞培養物のシートが、増殖させられ、損傷した眼の上に移植されることができる、またはドナーの角膜透過率が、移植前、精密に測定されることができる。そのような幹細胞または角膜細胞シートを増殖させるための従来の方法のもと、羊膜、フィブリンゲル、ヒアルロン酸ヒドロゲル、コラーゲン等の種々の足場が、薄い幹細胞または角膜細胞シートを増殖させるために使用される。幹細胞または角膜細胞シートは、次いで、採集され、他の幹細胞シートの上に積み重ねられ、多層化された幹細胞または角膜細胞シートを形成し、それは、次いで、再生のために、損傷した器官または組織の上に移植されることができる。これらの従来の方法は、多くの欠点を有し得る。例えば、新しく増殖させられた幹細胞または角膜細胞シートは、機械的に取り除かれ、または細胞培養皿から分離され、次いで、別の幹細胞または角膜細胞シートの上に設置される必要がある。幹細胞または角膜細胞シートが、取り除かれる力に耐えるために、幹細胞または角膜細胞シートは、細胞培養皿から持ち上げられたとき、幹細胞または角膜細胞シートがシート構造を保持するために十分に強い物理的完全性を保有するように、十分に長い間、増殖させられなければならない。幹細胞または角膜細胞シートが、早期に採集された場合、幹細胞または角膜細胞は、裂け得、交換用の幹細胞または角膜細胞シートを増殖させるプロセスが、繰り返される必要がある。したがって、多層化された幹細胞または角膜細胞シートを増殖させるプロセスは、面倒であり、時間を消費し、複雑であり、かつ費用がかかり得る。より良好な解決策が、多層化された幹細胞または角膜細胞シートの増殖を監視するためのみならず、細胞シートの採集時間、および細胞シート薬量学の一部である細胞の数を決定するためにも必要とされる。
【0037】
上で説明される問題に対処する発明が、本明細書において説明される。上で説明される従来の方法と異なり、本明細書に説明される発明は、細胞培養皿上で、直接、多層化された幹細胞または角膜細胞シートの増殖を監視し、多層化された幹細胞または角膜細胞シートの採集時間を決定するために使用されることができ、多層化された幹細胞または角膜細胞シートは、損傷した器官または組織の上に、直接、移植されることができる。この方法は、薬量学のために使用されるであろう、非侵襲的アプローチを使用して、細胞シートあたりの細胞の数を決定することも可能にするであろう。このように、幹細胞または角膜細胞シートを1枚ずつ増殖し、幹細胞または角膜細胞シートを層状にする代わりに、多層化された幹細胞または角膜細胞シートが、直接、特定の厚さおよび/または成熟度まで増殖させられ、次いで、採集されることができる。種々の実施形態において、本発明は、多層化された幹細胞または角膜細胞シート等の生物学的細胞培養物の厚さ、成熟度、および透明度を決定するための装置を含むことができる。装置は、光源と、コリメータと、線形ステージと、光検出器と、コントローラとを含む筐体を備えていることができる。光源は、1つ以上の周波数において、光を発生させる(または放出する)ように構成されることができる。例えば、いくつかの実施形態において、光源は、赤色、白色、または青色の光に対応する周波数において、光を発生させるように構成されることができる。コリメータは、光源から放出される光を収集し、線形ステージの開口部(例えば、開口)の上にその光を集束させられ得るコリメートされた光(すなわち、平行光線)に変換することができる。生物学的細胞培養物を含む細胞培養皿は、コリメートされた光が開口部を通して生物学的細胞培養物を通過し得るように、線形ステージの上に固定されることができる。光検出器は、その強度を測定するために、生物学的細胞培養物を通過したコリメートされた光を受け取る(または、検出する)ように構成されることができる。コントローラは、種々の周波数において光を出力するように光源を制御するように構成されることができる。コントローラは、線形ステージを作動させるように構成されることができる。例えば、いくつかの実施形態において、コントローラは、線形ステージをxおよびy方向に作動させるための信号を発生させ得る駆動回路を含むことができる。コントローラは、強度に基づいて、生物学的細胞培養物の透過率を決定するようにさらに構成されることができる。装置は、本明細書内でさらに詳細に議論されるであろう。
【0038】
種々の実施形態において、本発明はさらに、生物学的細胞培養物の厚さ、成熟度、および透明度を決定するために装置を使用する方法を含むことができる。生物学的細胞培養物を含む細胞培養皿は、線形ステージ上に設置されることができる。光源から放出されるコリメートされた光は、コリメートされた光が所定の場所において細胞培養物および生物学的細胞培養物を通過し得るように、細胞培養皿のいくつかの所定の場所の上に照らされることができる。所定の場所におけるコリメートされた光の強度が、所定の場所における生物学的細胞培養物の透過率値を決定するために、測定されることができる。これらの透過率値に基づいて、生物学的細胞培養物の厚さおよび/または成熟度が、決定されることができる。本発明のこれらの特徴および他の特徴が、本明細書内でさらに詳細に説明される。
【0039】
図1A-1Dは、本開示の種々の実施形態による生物学的細胞培養物の厚さ、成熟度、および透明度を決定するための装置100を図示する。
図1Aは、装置100の等角図を描写する。
図1Bは、装置100の正面図を描写する。
図1Cは、装置100の側方図を描写する。
図1Dは、装置100の簡略化された正面図を描写する。
図1Aおよび1Bに示されるように、いくつかの実施形態において、装置100は、データバス130を経由してコントローラ120に結合された筐体102を備えていることができる。筐体102およびコントローラ120が、
図1Aおよび1Bでは、別個のエンティティとして示されるが、いくつかの実施形態において、コントローラ120は、筐体102の中に統合されるか、または、それの一部であることができる。いくつかの実施形態において、データバス130は、有線データ接続であることができる。例えば、データバス130は、イーサネット(登録商標)、シリアル、または汎用インターフェースバスベースのデータ接続であることができる。いくつかの実施形態において、データバス130は、無線データ接続であることができる。例えば、データバス130は、セルラー、Wi-Fi、Bluetooth(登録商標)、または近距離無線通信データ接続であることができる。
【0040】
筐体102は、光源104と、コリメータ106と、線形ステージ108と、光検出器110(
図1Bおよび1Dに示される)とを含むことができる。いくつかの実施形態において、筐体102はさらに、筐体102を表面の上に据え付けるために使用され得る搭載基部102aを含むことができる。例えば、筐体102は、実験室環境内で、搭載基部102aの据え付け孔を通して、固定具またはテーブル上に取り付けられることができる。搭載基部102aは、搭載基部102aの上部から垂直に延びている、光学系支持カラム102b、102cを含むことができる。光学系支持カラム102b、102cの各々は、コリメータ106の1つ以上のレンズを据え付けるために使用され得るコリメータアーム(すなわち、102dおよび102e)を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態において、コリメータ106は、光をコリメートされた光に変換する、少なくとも2つのレンズを備えている、光学系を備えていることができる。この例では、光学系の第1のレンズは、コリメータアーム102dを通して、筐体102に固定されることができ、光学系の第2のレンズは、コリメータアーム102eを通して、筐体102に固定されることができる。いくつかの実施形態において、コリメータアーム102d、102eの各々は、コリメータアーム関節部(すなわち、102fおよび102g)を含むことができ、コリメータアーム関節部102fおよび102gは、それぞれ、コリメータアーム102d、102eを光学系支持カラム102b、102cに機械的に結合するために使用され得る。コリメータアーム関節部102f、102gの各々は、コリメータアーム102d、102eの高さおよび長さを調節するために使用され得る少なくとも2つの開口部を含む。例えば、コリメータアーム関節部102fの第1の開口部は、光学系支持ロッド102bに沿ってコリメータアーム102dの高さを上昇または降下させるために使用されることができる。ある場合、第1の開口部は、コリメータアーム102dに取り付けられたレンズを光の見通し線の内外に回転移動させるために使用されることができる。コリメータアーム関節部102fの第2の開口部は、光学系支持ロッド102bに対して、コリメータアーム102dを長くまたは短くするために使用されることができる。コリメータアーム関節部102fが、正しい高さ、回転、および長さにあるように構成されると、コリメータアーム関節部102fは、第1の開口部および第2の開口部に関連付けられた固定ピンをしっかりと締めることによって、光学系支持ロッド102bに固定されることができる。コリメータアーム関節部102gは、同様に、コリメータアーム102eの高さを上昇または降下させるように、または光学系支持ロッド102cに対して、コリメータアーム102eを長くまたは短くするように構成されることができる。このように、コリメータ106の光学系は、多数の方法で調節されることができる。例えば、コリメータ106の焦点は、コリメータアーム102d、102eの一方または両方を上昇または降下させることによって調節されることができる。別の例として、コリメータ106は、コリメータアーム102d、102eの一方または両方を長くまたは短くすることによって、見通し線の内外に移動させられることができる。代替として、コリメータ106は、コリメータアーム102d、102eの一方または両方を見通し線から離れるように回転させることによって、見通し線の内外に移動させられることができる。
【0041】
いくつかの実施形態において、筐体102は、搭載基部102aに機械的に結合された少なくとも1つの搭載ブリッジ102hをさらに含むことができる。搭載ブリッジ102hは、搭載基部102a、したがって、筐体102に対して構造上の剛性を提供することができる。例えば、搭載ブリッジ102は、線形ステージ108の作動によって引き起こされる、搭載基部102aに対する捩れまたは変形を最小化することができる。ある場合、搭載基部102と共に搭載ブリッジ102hは、線形ステージ108を固定するための搭載箇所を提供することができる。例えば、いくつかの実施形態において、搭載ブリッジ102hおよび搭載基部102aは、線形ステージ108を筐体102に固定するための貫通孔を有することができる。
【0042】
いくつかの実施形態において、筐体102は、光学系支持カラム102b、102cに結合された光源搭載ブリッジ102iをさらに含むことができる。搭載ブリッジ102hと同様、光源搭載ブリッジ102iは、線形ステージ108が、作動させられているとき、筐体102に構造上の剛性を提供することができる。いくつかの実施形態において、光源搭載ブリッジ102iは、光源104を埋め込む(または統合する)ための孔を含むことができる。光源搭載ブリッジ102iの孔は、
図1A-1Cでは、中央に位置するように示されるが、いくつかの実施形態において、孔は、光源搭載ブリッジ102iの他の場所に配置されることができる。例えば、光源104は、中心から外れて、光源搭載ブリッジ102iの中に埋め込まれることができる。多くの変形例が、可能であり、想定される。
【0043】
いくつかの実施形態において、筐体102は、光学系支持カラム102b、102cに結合された開口ブリッジ102j(
図1Dに示される)をさらに含むことができる。搭載ブリッジ102hおよび光源搭載ブリッジ102iと同様、開口ブリッジ102jは、線形ステージ108が、作動させられているとき、筐体102に構造上の剛性を提供することができる。いくつかの実施形態において、開口ブリッジ102jは、光源104から放出される光が通過することを可能にし、見通し線を作成する開口(すなわち、開口部)をさらに含むことができる。一般に、開口ブリッジ102jおよび光源搭載ブリッジ102iは、開口ブリッジ102jの開口が、光源搭載ブリッジ102iの中に埋め込まれる光源104の真下にあるように、光学系支持カラム102b、102cに沿って配置される。このように、光源から放出される迷光は、コリメータ106に到達する前、最小化される。1つの特定の実施形態において、開口ブリッジ102jは、開口が、光源104から5mmの距離にあるように、光学系支持カラム102b、102cに沿って配置される。
【0044】
図1A-1Dに示されるような筐体102は、開放構造を有するものとして描写されるが、いくつかの実施形態において、筐体102は、エンクロージャの中に完全に封入されることができる。そのような実施形態において、エンクロージャの内側は、周囲光が貫通し、光検出器110に干渉することができないように、無光沢黒色箔を用いて裏打ちされることができる。例えば、エンクロージャの中に進入する周囲光は、光検出器110によって確認される光強度を増加させ得る。内側を無光沢黒色箔を用いて裏打ちすることによって、エンクロージャに進入する周囲光が、減らされ、または完全に排除され、それによって、強度決定の正確度を増加させることができる。いくつかの実施形態において、筐体102は、1つ以上のカメラをさらに含むことができる。カメラは、光を制御し、それを線形ステージ108上の種々の場所の上に集束させるようにさらに構成されることができる。例えば、カメラは、線形ステージ108にフィードバックを提供することができ、それによって、線形ステージ108上の種々の場所の上への光の集束が、改良され得る。
【0045】
光源104は、1つ以上の周波数において、光を発生させるように構成されることができる。一般に、任意のタイプの光源が、光源104として実装されることができ、光源104は、交換可能であり得る。例えば、いくつかの実施形態において、ハロゲン光源、蛍光性光源、または白熱性光源が、光源104として実装されることができる。他の実施形態において、紫外線光源または赤外線光源が、光源104として実装されることができる。多くの変形例が、可能であり、想定される。1つの特定の実施形態において、発光ダイオード(LED)光源が、光源104として実装されることができる。LEDを使用して光源104を実装することは、いくつかの利点を提供することができる。例えば、LED光源は、異なる周波数または波長において、光を発生させるように構成されること、または、プログラミングされることができる。例えば、LED光源は、コントローラ120からの制御信号を経由して、例えば、赤色、白色、または青色の光を(すなわち、異なる光の波長において)出力するように命令されることができる。さらに、LED光源は、それが光源搭載ブリッジ102iの中に容易に埋め込まれることができるように、小さな占有面積を有するように適応されることができる。いくつかの実施形態において、光源104は、蛍光体変換白色光を放出するように構成されることができる。蛍光体変換白色光は、青色に関して、450~475nmにおける鋭いピークを伴い、黄色光に関して、560~60nmにおける平坦なピークを伴う広域スペクトルパワー分布を有することができる。そのような光の特性は、細胞培養皿および生物学的細胞培養物を通した照明を促進することができる。いくつかの実施形態において、光源104は、生物学的細胞培養物によって発現される、タンパク質のタイプに基づいて、特定の光の波長を生成するようにさらに適応されることができる。例えば、生物学的細胞培養物が緑色蛍光性タンパク質を発現(または生成)する場合、光源104は、生物学的細胞培養物の厚さおよび/または成熟度を決定することに加えて、緑色蛍光性タンパク質の存在を検出し得る光を発生させるように適応されることができる。多くの変形例が、可能であり、想定される。
【0046】
コリメータ106は、光をコリメートされた光に変換するように構成されることができる。コリメートされた光(すなわち、平行光線)は、コリメートされた光線が、線形ステージ108の開口部を通して、かつ光検出器110まで通過することができるように、凝縮(または集束)させられることができる。
図1A-1Cに示されるように、いくつかの実施形態において、コリメータ106は、少なくとも2つのレンズ106a、106bを備えている光学系を備えていることができる。レンズ106a、106bは、それぞれ、コリメータアーム102d、102eに取り付けられることができる。例えば、レンズ106a、106bは、ブラケットの中に固定されることができる。ブラケットは、次いで、コリメータアーム102d、102eの上にねじで留められることができる。いくつかの実施形態において、レンズ106a、106bは、光が、コリメータ106を通過するにつれて、迷光を減らすために、平凸レンズであることができる。一般に、レンズ106a、106bは、光をコリメートするために、任意のレンズ直径および焦点距離を有することができる。レンズ106a、106bに関する特定のレンズ直径の選択は、例えば、レンズ材料およびレンズの曲率等の種々の因子に依存し得る。1つの特定の実施形態において、レンズ106a、106bのうちの少なくとも1つは、25.4mmのレンズ直径および25.4mmの焦点距離を有することができる。他の実施形態において、レンズ106a、106bは両方とも、25.4mmのレンズ直径および25.4mmの焦点距離を有することができる。
【0047】
線形ステージ108は、サンプルステージ108aを2つの直交方向に作動させるように構成されることができる。例えば、線形ステージ108は、コントローラ120によって発生させられる1つ以上の制御信号によって、例えば、サンプルステージ108aをx-y平面のx軸またはy軸に沿って移動させるように命令されることができる。いくつかの実施形態において、線形ステージ108は、Yステージ108cに結合されたXステージ108bをさらに含むことができる。いくつかの実施形態において、サンプルステージ108aは、細胞培養皿が、サンプルステージ108aの上に精密に設置されることを可能にする構造上のガイドを伴う開口部を含むことができる。このように、異なる生物学的細胞培養物を含む細胞培養皿は、サンプルステージ108aへの細胞培養皿の整列に影響を及ぼすことなく、サンプルステージ108aの上に設置されることができる。Xステージ108bおよびYステージ108cの各々は、光が通過することを可能にする開口部を含むことができる。Xステージ108bおよびYステージ108cの各々は、Xステージ108bおよびYステージ108cが、線形方向に作動させられることを可能にする電動式ベルト駆動アクチュエータをさらに含むことができる。例えば、Xステージ108bのアクチュエータは、Xステージ108bをx軸に沿って移動させることができ、Yステージ108cのアクチュエータは、Yステージ108bをy軸に沿って移動させることができる。このように、サンプルステージ108a上に設置された生物学的細胞培養物を含む細胞培養皿が、種々の場所まで移動させられ得、したがって、コリメータ106から出射するコリメートされた光が、それらの場所において、細胞培養皿および生物学的細胞培養物を通して照らす(または、光る)ことができる。いくつかの実施形態において、電動式ベルト駆動アクチュエータは、タイミングベルトと、ステッピングモータとを備えていることができる。そのような実施形態において、コントローラ120は、ステッピングモータを特定の回転位置まで回転させるステッピングモータに対するコマンド信号を発生させることができる。この回転は、タイミングベルトを通して特定の線形位置までステッピングモータが結合されたステージに作動させる。いくつかの実施形態において、Xステージ108bおよびYステージ108cの各々は、送りねじ制御アクチュエータを含むことができる。電動式ベルト駆動アクチュエータと異なり、送りねじ制御アクチュエータは、正確度および再現性を改良している。いくつかの実施形態において、
図1A-1Cに示されるように、サンプルステージ108aは、統合されるか、または、Xステージ108bの一部であることができる。他の実施形態において、サンプルステージ108aは、Xステージ108bの上に搭載されることができる。
【0048】
光検出器110は、線形ステージ108の上に固定される細胞培養皿および生物学的細胞培養物を通過した光の強度を測定するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、光検出器110は、モノリシックフォトダイオードであることができる。光検出器110は、光検出器110によって確認される光の強度をアナログ電圧信号に変換することができる。このアナログ電圧信号は、コントローラ120のアナログデジタル変換器によってデジタル化されることができる。一般に、アナログデジタル変換器は、任意の好適な分解能のものであることができる。例えば、いくつかの実施形態において、アナログデジタル変換器は、8ビットの分解能を有することができる。他の実施形態において、アナログデジタル変換器は、10ビットの分解能を有することができる。多くの変形例が、可能である。いくつかの実施形態において、光検出器110は、光の強度を連続的に測定するように構成されることができる。例えば、いくつかの実施形態において、光検出器110は、10Hzにおいて、光の強度を測定するように構成されることができる(すなわち、1秒あたり10回の強度測定)。別の例として、いくつかの実施形態において、光検出器110は、100Hzにおいて、光の強度を測定するように構成されることができる(すなわち、1秒あたり100回の強度測定)。このように、統計的に意味のある強度値が、決定されることができる。
【0049】
コントローラ120は、光源104、線形ステージ108、および光検出器110を制御するように構成されることができる。例えば、コントローラ120は、データバス130を経由して、光源104に制御信号を伝送し、光源104に特定の周波数または波長において光を出力するように命令することができる。例えば、コントローラ120は、青色に関して、450~475nmにおける鋭いピーク、および黄色光に関して、560~60nmにおける平坦なピークを有する白色光を出力するように光源104に命令することができる。別の例として、コントローラ120は、データバス130を経由して、線形ステージ108に制御信号を伝送し、x-y平面内の特定の位置に移動するように線形ステージ108に命令することができる。例えば、コントローラ120は、正のx方向に10mm移動し、負のy方向に5mm移動するように線形ステージ108に命令することができる。また別の例として、コントローラ120は、データバス130を経由して、光検出器110に制御信号を伝送し、特定の率において光強度を測定するように光検出器110に命令することができる。例えば、コントローラ120は、5Hz、10Hz等において、光強度を測定するように光検出器110に命令することができる。いくつかの実施形態において、コントローラ120は、細胞培養皿および生物学的細胞培養物を通した光強度の測定が自動化されるように、光源104、線形ステージ108、および光検出器110に関連付けられた動作を同期させることができる。例えば、1つの特定の実装では、コントローラ120は、生物学的細胞培養物を含む細胞培養皿の9つの所定の場所において、光強度を自動的に測定し、各場所において、10Hz(すなわち、10回)において、光強度を測定するように構成されることができる。この例では、コントローラ120は、光源104、線形ステージ108、および光検出器110の動作を同期させることができる。例えば、コントローラ120は、最初に、制御信号を線形ステージ108に伝送し、線形ステージ108を第1の所定の場所まで移動させる。移動が完了すると、コントローラ120は、白色光を出力するために、光源104に制御信号を伝送する。次いで、最終的に、コントローラ120は、制御信号を光検出器110に伝送し、光強度を10回測定する。多くの変形例が、可能であり、想定される。いくつかの実施形態において、コントローラ120は、Arduinoコンピューティングユニット等のコンピューティングユニットを使用して実装されることができる。コントローラ120は、本明細書の
図2を参照して、さらに詳細に議論されるであろう。
【0050】
図2は、本開示の種々の実施形態によるコントローラ120の電気的概略
図200を図示する。
図2に示されるように、いくつかの実施形態において、コントローラ120は、コンピューティングユニット202を含むことができる。コンピューティングユニット202は、少なくとも1つのプロセッサと、少なくとも1つのメモリと、データバスによって互いに結合された少なくとも1つの入/出力インターフェースとを含むことができる。いくつかの実施形態において、コンピューティングユニット202は、入/出力インターフェースを通して、光源104、線形ステージ108、および光検出器110の動作をサポートするために、種々の信号を発生させる(および/または、読み取る)ための1つ以上の回路をさらに含むことができる。例えば、コンピューティングユニット202は、光源104をオンまたはオフにするデジタル出力信号204aを発生させる回路を含むことができる。別の例として、コンピューティングユニット202は、光検出器110からアナログ入力信号204bを受信し、アナログ入力信号204bをデジタル化することができる回路をさらに含むことができる。いくつかの実施形態において、
図2に示されるように、コンピューティングユニット202は、外部5V源206によって給電されることができる。この5V源206は、コンピューティングユニット202に関連付けられた種々の信号を発生させるために、および/または読み取るために、プロセッサ、メモリ、および1つ以上の回路に給電することができる。いくつかの実施形態において、コントローラ120は、少なくとも2つのモータドライバモジュール208a、208bをさらに含むことができる。そのような実施形態において、コントローラ120は、モータドライバモジュール208a、208bへの信号を発生させることができ、信号は、それぞれ、Xステージ108bおよびYステージ108cのステッピングモータ210a、210bに対するパルス幅変調信号をモータドライバモジュール208a、208bに発生させる。パルス幅変調信号は、ステッピングモータ210a、210bを回転させ、それは、次に、Xステージ108bおよびYステージ108cを線形に作動させることができる。いくつかの実施形態において、モータドライバモジュール208a、208bは、外部9V源212によって給電されることができる。他の実施形態において、モータドライバモジュール208a、208bは、コンピューティングユニット202に給電する5V源206によって給電されることができる。いくつかの実施形態において、コンピューティングユニット202は、Arduino Uno R3等のArduinoコンピューティングユニットを使用して実装されることができる。他の実施形態において、コンピューティングユニットは、他の好適な埋め込まれたコンピューティングシステムを使用して実装されることができる。
【0051】
いくつかの実施形態において、コンピューティングユニット202は、コンピューティングシステムに通信可能に結合されることができる。コンピューティングシステムは、ユーザ(例えば、プログラマ)が、自動化を実施するようにコンピューティングユニット202を構成することを可能にする統合型開発環境を起動するように構成されることができる。一般に、統合型開発環境は、自動化のための複数のプログラミング言語をサポートすることができる。例えば、1つの特定の実装では、ユーザは、PythonまたはVisual Basicsコードを使用して自動化を実施するように、コンピューティングユニット202をプログラミングすることができる。多くのプログラミング言語が、想定される。
【0052】
図3Aは、本開示の種々の実施形態による光強度を測定するために、コントローラ120にロードされ得る構成設定の視覚的表現300を図示する。上で議論されるように、種々の実施形態において、コントローラ120は、生物学的細胞培養物を含む細胞培養皿を通した光強度の測定を自動化するように構成されることができる。これは、例えば、コントローラ120に結合されたコンピューティングシステム上で起動する統合型開発環境を通して、コントローラ120に関する構成設定をプログラミングすることによって行われることができる。構成設定は、コントローラ120が、自動化のために、光源104、線形ステージ108、および光検出器110の動作を同期させることができるように、コントローラ120にロードされることができる。示されるように、
図3Aは、細胞培養皿302を描写する。細胞培養皿302は、実験室条件下で増殖させられた多層化された幹細胞または角膜細胞シート等の生物学的細胞培養物を含むことができる。細胞培養皿302は、線形ステージ108の上に固定されることができる。構成設定は、コントローラ120が、ある特定の順序またはシーケンスで、光源104、線形ステージ108、および光検出器110に送信するための命令を含むことができる。例えば、非限定的な例として、構成設定は、コントローラ120が、線形ステージ108をある場所まで移動させるための命令の第1の組を含み、それによって、光源104から放出される光の見通し線が、細胞培養皿302、したがって、生物学的細胞培養物の第1の点304aと交差することができる。線形ステージ108がその場所まで移動することを可能にするためのある程度の時間遅延の後、構成ファイルは、コントローラ120が光源104をオンにするための命令の第2の組を含むことができる。光源104がオンにされることを可能にするためのある程度のより多くの時間遅延の後、構成ファイルは、コントローラ120が光検出器に光強度を測定するように命令するための命令の第3の組を含むことができる。第1の点304aに対応する場所における、光強度の測定の完了時、構成ファイルは、線形ステージ108を細胞培養皿302の第2の点304bに対応する場所まで移動させ、その場所において、光強度の測定を繰り返すためのさらなる命令を含むことができる。これらの命令は、光強度の測定が、細胞培養皿302の点304a-304nの全てにおいて測定されるまで、継続する。いくつかの実施形態において、構成設定は、
図2に示される蛇行様ルート内で、細胞培養皿を移動させるための命令を含むことができる。
【0053】
図3Bは、本開示の種々の実施形態による装置100を動作させる方法330を例証する。ステップ332において、線形ステージ108は、線形ステージ108の上に固定された生物学的細胞培養物を含む細胞培養皿の第1の所定の場所に対応する場所まで作動させるように命令されることができる。ステップ334において、光源104は、第1の所定の場所に対応する場所において、細胞培養皿および生物学的細胞培養物を通過するための光を発生させるように命令されることができる。ステップ336において、光検出器110は、細胞培養皿および生物学的細胞培養物を通過した光を受け取り、光の強度を測定することができる。このプロセスは、細胞培養皿の全ての所定の場所における強度が測定されるまで、繰り返される。
【0054】
本明細書に説明される技法は、例えば、コントローラ120によって実装される。いくつかの実施形態において、本明細書に説明される技法は、1つ以上の特殊目的コンピューティングデバイスによって実装されることができる。特殊目的コンピューティングデバイスは、本技法を実施するために、配線で接続され得るか、または、本技法を実施するように永続的にプログラミングされた回路網またはデジタル電子デバイス(1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)等)を含み得るか、または、ファームウェア、メモリ、他の記憶装置、またはある組み合わせにおいてプログラム命令に従って本技法を実施するようにプログラミングされた1つ以上のハードウェアプロセッサを含み得る。
【0055】
図3Cは、本開示の種々の実施形態による装置100を使用して、生物学的細胞培養物の透過率を決定するための方法360を図示する。ステップ362において、生物学的細胞培養物を含む細胞培養皿を通して照らすコリメートされた光が、光検出器110によって受け取られる。光検出器110は、コリメートされた光の強度を電圧に変換する。ステップ364において、コントローラ120のアナログ/デジタル変換器は、電圧を第1のデジタル値に変換する。第1のデジタル値は、0~900の範囲であり得、0は、0%の透過率(すなわち、不透過性)と同等であり、900は、100%の透過率(すなわち、透過性)と同等である。ステップ366において、生物学的細胞培養物を増殖させるために使用された、2mLの培養媒質(例えば、骨芽細胞、軟骨細胞、または未分化培養媒質)を含む、空の細胞培養皿を通して照らすコリメートされた光が、光検出器110によって受け取られる。ステップ366において、コントローラ120のアナログ/デジタル変換器は、空の細胞培養皿を通して照らすコリメートされた光の強度に対応する電圧を第2のデジタル値に変換する。ステップ368において、生物学的細胞培養物の透過率が、以下の式に基づいて計算される。
(細胞シート測定値/空の測定値)×100=%透過率
式中、細胞シート測定値は、生物学的細胞培養物を含む細胞培養皿の透過率であり、空の測定値は、培養媒質を含む空の細胞培養皿の透過率である。
【0056】
いくつかの実施形態において、装置100は、移植の前、角膜または任意の他の生物学的細胞培養物の光学密度を測定するために使用されることができる。そのような実施形態において、細胞シート内の細胞の数は、装置100を使用して測定される細胞シートの透過率と、測定された透過率を細胞の数とともに透過率をプロットしている基準グラフと比較することとに基づいて、推定されることができる。このように、細胞シートが、採集されるとき、細胞シートの品質管理および解放制御、および細胞シート療法の薬量学が、厳密に制御されることができる。これは、採集する前の細胞シートの成熟度のより少ない変動性を結果としてもたらす。細胞の数とともに透過率をプロットしている基準グラフは、本明細書の
図4Eを参照して、さらなる詳細においてさらに議論される。
【0057】
図4Aは、本開示の種々の実施形態による生物学的細胞培養物の透過率(光強度)と、厚さおよび/または成熟度との関係を示す
図400を図示する。一般に、物質または材料を通した光の透過率は、物質または材料から出射する光の強度に直接関係する。例えば、材料は、材料から出射する光が、高い光強度を有するとき、高い光の透過率を有すると言える。同様に、材料は、材料から出射する光が、低い光強度を有するとき、低い光の透過率を有すると言える。さらに、一般に、生物学的細胞培養物の厚さおよび/または成熟度は、細胞シートの数に直接関係する。例えば、生物学的細胞培養物が、厚くなるほど、生物学的細胞培養物は、より多くの細胞シートを有する。
図4Aは、細胞培養皿が線形ステージ108上に固定された装置100の簡略化された図を示す。さらに、
図4Aは、光強度を測定する3つのシナリオ402-406を示す。シナリオ402では、生物学的細胞培養物を含む細胞培養皿は、細胞培養皿内で、第1の日数にわたって増殖させられている。
図4Aに使用される透過率のパーセンテージは、細胞シートが細胞培養皿上で増殖させられるときの透過率の変化を説明するための例として使用される。細胞培養皿および生物学的細胞培養物を通過するために光源104から発生させられた光は、約1%の光強度を喪失する。このシナリオでは、細胞培養皿および生物学的細胞培養物は、99%の透過率を有すると言える。この透過率は、第1の日数中に増殖させられた生物学的細胞培養物の厚さおよび/または成熟度に関係づけられることができる。シナリオ404では、生物学的細胞培養物は、第1の日数の後、第2の日数にわたって、細胞培養皿内でさらに増殖させられている。細胞培養皿および生物学的細胞培養物が、光強度を測定するために、再度、装置100の中に設置されると、この時、細胞培養皿および生物学的細胞培養物から出射する光は、約3%の光強度を喪失し、細胞培養皿および生物学的細胞培養物は、97%の透過率を有すると言える。シナリオ406では、生物学的細胞培養物は、第2の日数の後、第3の日数にわたって、細胞培養皿内でさらに増殖させられている。細胞培養皿および生物学的細胞培養物が、光強度を測定するために、再度、装置100の中に設置されると、この時、細胞培養皿および生物学的細胞培養物から出射される光は、約12%の光強度を喪失し、細胞培養皿および生物学的細胞培養物は、88%の透過率を有すると言える。したがって、この方法を使用して、生物学的細胞培養物の透過率が、生物学的細胞培養物の厚さおよび/または成熟度(すなわち、生物学的細胞培養物が有する細胞シートの数)に関係づけられることができる。さらに、ある場合、生物学的細胞培養物の透過率は、生物学的細胞培養物の成熟度に関係づけられることができる。例えば、生物学的細胞培養物が、より成熟するほど(すなわち、生物学的細胞培養物が、細胞培養皿内で、より長い間、増殖させられているほど)、生物学的細胞培養物は、より厚くなり、したがって、より良好に、細胞培養皿から取り除かれることに関連付けられた応力に耐えることを可能にする。本相関に基づいて、生物学的細胞培養物の透過率が、較正され、非侵襲的方法を用いて、生物学的細胞培養物の厚さおよび/または成熟度、および生物学的細胞培養物を採集するための時間を決定することができる。例えば、生物学的細胞培養物を採集するための時間は、生物学的細胞培養物の厚さおよび/または成熟度に基づいて決定されることができる。この例では、生物学的細胞培養物の厚さおよび/または成熟度は、生物学的細胞培養物の透過率を決定することによって決定されることができる。したがって、この例では、生物学的細胞培養物を採集するための時間は、生物学的細胞培養物の透過率に基づいて決定されることができる。このように、生物学的細胞培養物に関する採集時間が、非侵襲的な方法において、かつ生物学的細胞培養物を損傷させることなく決定されることができる。
【0058】
図4B-4Cは、本開示の種々の実施形態による多層化された幹細胞または角膜細胞シート等の生物学的細胞培養物の透過率と、生物学的細胞培養物が実験室環境内で増殖させられた日数との間の関係を描写するグラフ420および440を図示する。グラフ420は、x-yグラフである。x-yグラフのx軸は、生物学的細胞培養物が増殖した日数を表し、x-yグラフのy軸は、特定の日数において測定された生物学的細胞培養物の透過率を表す。グラフ420では、特定の日数における生物学的細胞培養物の種々の点において測定された透過率値の分散が、棒422によって表される。最大および最小透過率値が、棒422の縁422a、422bによって示される。平均透過率値が、棒422の円422cによって表される。平均透過率値に基づいて、透過率と増殖の日数との間の数学的関係が、決定されることができる。したがって、単に、生物学的細胞培養物の透過率値を測定することによって、生物学的細胞培養物が増殖させられた日数、したがって、厚さおよび/または成熟度が、決定されることができる。グラフ420は、脂肪間質細胞シートの透過率、および脂肪間質細胞シートが細胞培養皿内で増殖させられた日数を示すx-yグラフである。
【0059】
図4Dは、本開示の種々の実施形態による多層化された幹細胞または角膜細胞シート等の生物学的細胞培養物の厚さおよび/または成熟度を決定する方法460を図示する。ステップ462では、コリメートされた光が、細胞培養皿の所定の数の場所において、生物学的細胞培養物を含む細胞培養皿の上に照らされる。コリメートされた光は、装置100の光源104によって発生させられ、装置100のコリメータ106を通してコリメートされる。細胞培養皿上の所定の数の場所は、装置100のコントローラ120にロードされるべき構成設定に基づいて決定される。細胞培養皿は、装置100の線形ステージ108を使用して、所定の数の場所まで作動させられる。
【0060】
ステップ464では、生物学的細胞培養物を通過したコリメートされた光の強度が、所定の数の場所において測定される。強度は、装置100の光検出器110によって測定される。光検出器は、所定の数の場所の各々において、少なくとも10個の強度値を測定する。
【0061】
ステップ466では、生物学的細胞培養物に関する透過率の範囲が、強度に基づいて決定される。透過率の範囲は、少なくとも生物学的細胞培養物に関する最大透過率値と、最小透過率値と、平均透過率値とを含む。特定の日数において測定された生物学的細胞培養物に関する透過率の範囲が、グラフ上にプロットされる。特定の日数において測定された平均透過率値に基づいて、相関曲線が、生物学的細胞培養物の透過率値と生物学的細胞培養物の厚さ/成熟度および細胞シートあたりの細胞の数との間で決定されることができる。
【0062】
図4Eは、本開示の種々の実施形態による細胞シート内の細胞の数を決定するために使用され得る基準グラフ480を図示する。上で議論されるように、細胞シート内の細胞の数が、装置100を使用して測定された細胞シートの透過率と、測定された透過率を基準グラフ480と比較することとに基づいて推定されることができる。
図4Eに示されるように、基準グラフ480は、x-y散布図であることができる。x-y散布図は、y軸上に細胞シートのパーセント透過率と、x軸上に細胞シート内の細胞の数とを含み、細胞の数とともに透過率をプロットすることができる。さらに、x-y散布図は、異なる培養媒質からのデータ点のクラスタを含むことができる。例えば、未分化培養媒質が、三角形のデータ点として表され、骨芽細胞が、正方形のデータ点として表され、軟骨細胞が、円形のデータ点として表される。したがって、細胞シートの透過率、および細胞シートを増殖させるために使用された培養媒質を把握することによって、細胞シート内の細胞の数が、基準グラフ480に基づいて決定されることができる。このように、細胞シートが、採集されるとき、細胞シートの品質管理および解放制御、および細胞シート療法の薬量学が、厳密に制御されることができる。
【国際調査報告】