IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 深▲セン▼市▲華▼星光▲電▼半▲導▼体▲顕▼示技▲術▼有限公司の特許一覧

<>
  • 特表-表示パネル及びその製造方法 図1
  • 特表-表示パネル及びその製造方法 図2
  • 特表-表示パネル及びその製造方法 図3
  • 特表-表示パネル及びその製造方法 図4
  • 特表-表示パネル及びその製造方法 図5
  • 特表-表示パネル及びその製造方法 図6
  • 特表-表示パネル及びその製造方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-31
(54)【発明の名称】表示パネル及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H10K 59/123 20230101AFI20240124BHJP
   H10K 59/131 20230101ALI20240124BHJP
   H10K 50/816 20230101ALI20240124BHJP
   H10K 59/124 20230101ALI20240124BHJP
   H10K 71/60 20230101ALI20240124BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
H10K59/123
H10K59/131
H10K50/816
H10K59/124
H10K71/60
G09F9/30 330
G09F9/30 348A
G09F9/30 365
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021577110
(86)(22)【出願日】2021-12-21
(85)【翻訳文提出日】2022-02-10
(86)【国際出願番号】 CN2021139916
(87)【国際公開番号】W WO2023103079
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】202111505619.4
(32)【優先日】2021-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519182202
【氏名又は名称】深▲セン▼市▲華▼星光▲電▼半▲導▼体▲顕▼示技▲術▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100204386
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 啓
(72)【発明者】
【氏名】胡 靖源
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ ▲曉▼星
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC29
3K107CC45
3K107DD24
3K107DD39
3K107DD44X
3K107DD44Z
3K107DD46X
3K107DD90
3K107EE04
3K107GG11
5C094BA03
5C094BA27
5C094CA19
5C094DA15
5C094DB02
5C094EA04
5C094EA05
5C094EA10
5C094FB02
5C094FB12
(57)【要約】
表示パネルは、薄膜トランジスタと、陽極と、ボンディングパッドと、を含む。前記薄膜トランジスタは、ソースと、ドレインと、ゲートとを含む。前記陽極は、前記薄膜トランジスタに電気的に接続される。前記陽極の材料は、銀-パラジウム-銅合金を含む。前記ボンディングパッドは、前記薄膜トランジスタに電気的に接続される。前記ボンディングパッドの材料は、前記陽極の前記材料と同じである。前記陽極の前記材料は、適切な割合の銀、パラジウム及び銅金属元素を添加することにより形成された合金材料であるため、材料全体の耐水蒸気、耐高温、耐硫化及び耐酸化などの他の元素の侵食に耐える能力を向上させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルであって、
ソースと、ドレインと、ゲートとを含む薄膜トランジスタと、
前記薄膜トランジスタに電気的に接続され、材料が銀-パラジウム-銅合金を含む陽極と、
前記薄膜トランジスタに電気的に接続されるボンディングパッドであって、前記ボンディングパッドの材料が前記陽極の前記材料と同じであるボンディングパッドと、を含む表示パネル。
【請求項2】
前記陽極は、前記銀-パラジウム-銅合金の2つの対向面に設けられた透明導電性酸化物をさらに含む、請求項1に記載の表示パネル。
【請求項3】
前記透明導電性酸化物は、インジウム酸化物、アンチモン酸化物又はカドミウム酸化物を含む、請求項2に記載の表示パネル。
【請求項4】
前記ボンディングパッドは、前記銀-パラジウム-銅合金の2つの対向面に設けられた透明導電性酸化物をさらに含む、請求項1に記載の表示パネル。
【請求項5】
前記透明導電性酸化物は、インジウム酸化物、アンチモン酸化物又はカドミウム酸化物を含む、請求項4に記載の表示パネル。
【請求項6】
前記表示パネルは、パッシベーション層をさらに含み、前記パッシベーション層は、前記薄膜トランジスタに設けられて前記薄膜トランジスタを覆い、前記パッシベーション層は、前記薄膜トランジスタに開設された第1の貫通孔を含む、請求項1に記載の表示パネル。
【請求項7】
前記表示パネルは、平坦化層をさらに含み、前記平坦化層は、前記パッシベーション層に設けられ、前記平坦化層は、前記第1の貫通孔に対応する第2の貫通孔を含み、さらに、
前記陽極は、前記第1の貫通孔及び前記第2の貫通孔を通過して前記薄膜トランジスタに電気的に接続される、請求項6に記載の表示パネル。
【請求項8】
前記第1の貫通孔と前記第2の貫通孔は、それぞれ2つの製造プロセスにより開設される、請求項7に記載の表示パネル。
【請求項9】
前記表示パネルは、金属配線をさらに含み、前記金属配線は、前記薄膜トランジスタの前記ソース及び前記ドレインと同層に設けられ、前記ボンディングパッドは、前記金属配線を介して前記薄膜トランジスタに電気的に接続される、請求項7に記載の表示パネル。
【請求項10】
前記パッシベーション層は、前記金属配線に開設された第3の貫通孔をさらに含み、前記ボンディングパッドは、前記第3の貫通孔を通過して前記金属配線に電気的に接続される、請求項9に記載の表示パネル。
【請求項11】
前記第1の貫通孔及び前記第3の貫通孔は、同一の製造プロセスにより開設される、請求項10に記載の表示パネル。
【請求項12】
前記薄膜トランジスタは、トップゲート型薄膜トランジスタを含む、請求項1に記載の表示パネル。
【請求項13】
前記表示パネルは、有機発光ダイオード表示パネルであり、前記陽極は、有機発光ダイオードの陽極である、請求項1に記載の表示パネル。
【請求項14】
表示パネルの製造方法であって、
薄膜トランジスタ及び金属配線を形成するステップであって、前記薄膜トランジスタがソースと、ドレインと、ゲートとを含み、前記金属配線が前記薄膜トランジスタの前記ソース及び前記ドレインと同層に形成される、ステップと、
前記薄膜トランジスタに電気的に接続された陽極及びボンディングパッドを同時に形成するステップであって、前記陽極の材料が銀-パラジウム-銅合金を含み、前記ボンディングパッドの材料が前記陽極の前記材料と同じである、ステップと、を含む、表示パネルの製造方法。
【請求項15】
前記薄膜トランジスタに電気的に接続された陽極及びボンディングパッドを形成するステップは、
透明導電性酸化物、前記銀-パラジウム-銅合金及び透明導電性酸化物を順に積層して前記陽極及び前記ボンディングパッドを形成するステップをさらに含む、請求項14に記載の表示パネルの製造方法。
【請求項16】
前記透明導電性酸化物は、インジウム酸化物、アンチモン酸化物又はカドミウム酸化物を含む、請求項15に記載の表示パネルの製造方法。
【請求項17】
薄膜トランジスタを形成するステップの後に、
前記薄膜トランジスタにパッシベーション層を形成するステップと、
前記パッシベーション層に平坦化層を形成するステップと、
前記平坦化層に第2の貫通孔を開設するステップと、
前記第2の貫通孔の位置に対応する第1の貫通孔を前記パッシベーション層に開設するステップと、をさらに含み、
前記陽極は、前記第1の貫通孔及び前記第2の貫通孔を通過して前記薄膜トランジスタに電気的に接続される、請求項14に記載の表示パネルの製造方法。
【請求項18】
前記第2の貫通孔の位置に対応する第1の貫通孔を前記パッシベーション層に開設するステップは、
前記パッシベーション層に前記第1の貫通孔と同時に第3の貫通孔を開設するステップ、をさらに含み、
前記ボンディングパッドは、前記第3の貫通孔を通過して前記金属配線に電気的に接続される、請求項17に記載の表示パネルの製造方法。
【請求項19】
前記薄膜トランジスタは、トップゲート型薄膜トランジスタを含む、請求項14に記載の表示パネルの製造方法。
【請求項20】
前記表示パネルは、有機発光ダイオード表示パネルであり、前記陽極は、有機発光ダイオードの陽極である、請求項14に記載の表示パネルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示技術の分野に関し、特に表示パネル及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術の表示パネルにおいては、銅(Cu)又は銅合金の導電性能が良好であるため、上記表示パネルは、それらを金属配線として採用する。上記金属配線は、上記表示パネルの薄膜トランジスタの回路配線であることに加えて、上記表示パネルの外部のフレキシブル回路基板を電気的に接続して、外部信号のアクセスを実現するために用いられる。しかしながら、上記金属配線の材料は、銅又は銅合金のような空気における酸素及び水蒸気と反応しやすい材料を採用するため、上記フレキシブル回路基板に電気的に接続するために上記表示パネルの外部に露出する一部の上記金属配線が酸化されやすく、さらに上記表示パネルと上記フレキシブル回路基板とのボンディング効果に影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来技術では、上記技術的課題を解決するために、モリブデン(Mo)又はモリブデン合金のような活性が比較的に低くかつ耐食性がある材料をボンディングパッドとして採用して露出した上記一部の上記金属配線を覆うことにより、上記金属配線と空気における酸素及び水蒸気との反応を遮断する。しかしながら、この構造設計は上記表示パネルの製造工程を増加させ、かつ上記表示パネルの製造時間及び製造コストを増加させる。
【0004】
なお、上記表示パネルの陽極は、銀(Ag)又は銀を含む複合積層などの高い反射性を有する材料を採用する。しかしながら、同様に、上記表示パネルの製造過程において、このような材料は空気における酸素、水蒸気、又は上記製造過程で使用された化合物と反応しやすいため、上記製造過程において一時的に露出した上記陽極は、酸(O)化又は硫(S)化しやすい。上記陽極が劣化した後には、断線が発生する、又は上記表示パネルの陰極と短絡し、上記表示パネルの画素が無効になり、さらに上記表示パネルの上記画素の表示効果に影響を与える可能性がある。
【0005】
従来技術の上記表示パネルは、上記金属配線が酸化しやすく、上記陽極が酸化しやすいか又は硫化しやすく、かつ製造工程が比較的に多いという技術的課題を有するため、上記技術的課題を解決するために耐食金属を陽極及びボンディングパッドとする材料を有する表示パネルを必要とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、耐食金属を陽極及びボンディングパッドとする材料を有する表示パネルを提供する。前記表示パネルは、薄膜トランジスタと、陽極と、ボンディングパッドと、を含む。前記薄膜トランジスタは、ソースと、ドレインと、ゲートとを含む。前記陽極は、前記薄膜トランジスタに電気的に接続される。前記陽極の材料は、銀-パラジウム-銅合金を含む。前記ボンディングパッドは、前記薄膜トランジスタに電気的に接続される。前記ボンディングパッドの材料は、前記陽極の前記材料と同じである。
【0007】
1つの実施例において、前記陽極は、前記銀-パラジウム-銅合金の2つの対向面に設けられた透明導電性酸化物をさらに含む。
【0008】
1つの実施例において、前記ボンディングパッドは、前記銀-パラジウム-銅合金の2つの対向面に設けられた透明導電性酸化物をさらに含む。
【0009】
1つの実施例において、前記透明導電性酸化物は、インジウム酸化物、アンチモン酸化物又はカドミウム酸化物を含む。
【0010】
本実施例において、前記表示パネルは、パッシベーション層をさらに含む。前記パッシベーション層は、前記薄膜トランジスタに設けられて前記薄膜トランジスタを覆う。前記パッシベーション層は、前記薄膜トランジスタに開設された第1の貫通孔を含む。
【0011】
本実施例において、前記表示パネルは、平坦化層をさらに含む。前記平坦化層は、前記パッシベーション層に設けられる。前記平坦化層は、前記第1の貫通孔に対応する第2の貫通孔を含む。前記陽極は、前記第1の貫通孔及び前記第2の貫通孔を通過して前記薄膜トランジスタに電気的に接続される。
【0012】
本実施例において、前記第1の貫通孔と前記第2の貫通孔は、それぞれ2つの製造プロセスにより開設される。
【0013】
本実施例において、前記表示パネルは、金属配線をさらに含み、前記金属配線は、前記薄膜トランジスタの前記ソース及び前記ドレインと同層に設けられ、前記ボンディングパッドは、前記金属配線を介して前記薄膜トランジスタに電気的に接続される。
【0014】
本実施例において、前記パッシベーション層は、前記金属配線に開設された第3の貫通孔をさらに含む。前記ボンディングパッドは、前記第3の貫通孔を通過して前記金属配線に電気的に接続される。
【0015】
本実施例において、前記第1の貫通孔及び前記第3の貫通孔は、同一の製造プロセスにより開設される。
【0016】
1つの実施例において、前記薄膜トランジスタは、トップゲート型薄膜トランジスタを含む。
【0017】
1つの実施例において、前記表示パネルは、有機発光ダイオード表示パネルであり、前記陽極は、有機発光ダイオードの陽極である。
【0018】
本発明は、耐食金属を陽極及びボンディングパッドとする材料を有する表示パネルの製造方法をさらに提供する。前記表示パネルの製造方法は、
薄膜トランジスタ及び金属配線を形成するステップであって、前記薄膜トランジスタがソースと、ドレインと、ゲートとを含み、前記金属配線が前記薄膜トランジスタの前記ソース及び前記ドレインと同層に形成される、ステップと、
前記薄膜トランジスタに電気的に接続された陽極及びボンディングパッドを同時に形成するステップであって、前記陽極の材料が銀-パラジウム-銅合金を含み、前記ボンディングパッドの材料が前記陽極の前記材料と同じである、ステップと、を含む。
【0019】
1つの実施例において、前記薄膜トランジスタに電気的に接続された陽極及びボンディングパッドを形成するステップは、
透明導電性酸化物、前記銀-パラジウム-銅合金及び透明導電性酸化物を順に積層して前記陽極及び前記ボンディングパッドを形成するステップをさらに含む。
【0020】
本実施例において、前記透明導電性酸化物は、インジウム酸化物、アンチモン酸化物又はカドミウム酸化物を含む。
【0021】
1つの実施例において、薄膜トランジスタを形成するステップの後に、
前記薄膜トランジスタにパッシベーション層を形成するステップと、
前記パッシベーション層に平坦化層を形成するステップと、
前記平坦化層に第2の貫通孔を開設するステップと、
前記第2の貫通孔の位置に対応する第1の貫通孔を前記パッシベーション層に開設するステップと、さらに含む。
【0022】
前記陽極は、前記第1の貫通孔及び前記第2の貫通孔を通過して前記薄膜トランジスタに電気的に接続される。
【0023】
本実施例において、前記第2の貫通孔の位置に対応する第1の貫通孔を前記パッシベーション層に開設するステップは、
前記パッシベーション層に前記第1の貫通孔と同時に第3の貫通孔を開設するステップ、をさらに含む。
【0024】
前記ボンディングパッドは、前記第3の貫通孔を通過して前記金属配線に電気的に接続される。
【0025】
1つの実施例において、前記薄膜トランジスタは、トップゲート型薄膜トランジスタを含む。
【0026】
1つの実施例において、前記表示パネルは、有機発光ダイオード表示パネルであり、前記陽極は、有機発光ダイオードの陽極である。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る上記表示パネルは、上記薄膜トランジスタと、上記陽極と、上記ボンディングパッドと、を含む。上記薄膜トランジスタは、上記ソースと、上記ドレインと、上記ゲートとを含む。上記陽極は、上記薄膜トランジスタに電気的に接続される。上記ボンディングパッドは、上記薄膜トランジスタに電気的に接続される。上記陽極の上記材料は、上記透明導電性酸化物/銀-パラジウム-銅合金/透明導電性酸化物の積層を含む。上記ボンディングパッドの上記材料は、上記陽極の上記材料と同じである。本発明は上記透明導電性酸化物/銀-パラジウム-銅合金/透明導電性酸化物の積層を上記陽極及び上記ボンディングパッドとして採用するため、本発明は上記陽極及び上記ボンディングパッドが酸(O)化又は硫(S)化して無効になるという問題を回避することができ、さらに上記陽極の劣化による断線又は上記表示パネルの上記陰極との短絡の可能性があるという問題を回避することができる。同時に、本発明は、従来技術の上記表示パネルの製造工程を減少させ、さらに上記表示パネルの製造時間及び製造コストを低減することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の表示パネルの構造概略図である。
図2】本発明の上記表示パネルの製造過程の構造概略図である。
図3】本発明の上記表示パネルの製造過程の構造概略図である。
図4】本発明の上記表示パネルの製造過程の構造概略図である。
図5】本発明の上記表示パネルの製造過程の構造概略図である。
図6】本発明の上記表示パネルの製造過程の構造概略図である。
図7】本発明の上記表示パネルの製造過程の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の上記及び他の目的、特徴、利点をより明らかにするために、以下に本発明の好ましい実施例を挙げて、図面を参照しながら、以下のように詳細に説明する。
【0030】
図1に参照されるように、本発明の表示パネル100の構造概略図である。上記表示パネル100は、薄膜トランジスタ200を含み、上記薄膜トランジスタ200は、上記表示パネル100の画素を発光させる駆動スイッチとして、ソース210と、ドレイン220と、ゲート230と、チャネル240と、ゲート絶縁層250とを含む。ゲート230の入力電圧を制御することにより、上記薄膜トランジスタ200は、上記ソース210及び上記ドレイン220の両端の電流のオンオフを制御することができる。
【0031】
図1に示すように、上記表示パネル100は、陽極300と、発光層130と、陰極600とをさらに含む。上記発光層130は、上記陽極300と上記陰極600との間に設けられる。上記陽極300は上記陰極600と対をなして設けられる。同時に、上記陽極300は、上記薄膜トランジスタ200の上記ソース210と上記ドレイン220とのうちの一方に電気的に接続される。したがって、上記薄膜トランジスタ200が上記ソース210及び上記ドレイン220の両端の電流のオンオフを制御する場合、上記陽極300と上記陰極600との間に電流又は電界が発生すると、上記発光層130は上記電流に基づいて動作する。
【0032】
1つの実施例において、上記表示パネル100は、平坦化層800と、パッシベーション層700とをさらに含む。上記平坦化層800は、上記パッシベーション層700に設けられる。上記パッシベーション層700は、上記薄膜トランジスタ200の上記ソース210と上記ドレイン220とのうちの一方に開設された第1の貫通孔710を含む。上記平坦化層800は、上記第1の貫通孔710に対応する第2の貫通孔810を含む。上記陽極300は、上記第1の貫通孔710及び上記第2の貫通孔810を通過して上記薄膜トランジスタ200の上記ソース210と上記ドレイン220とのうちの一方に電気的に接続される。
【0033】
1つの実施例において、本発明の上記表示パネル100は、有機発光ダイオード(organic light-emitting diode、OLED)表示パネルを含む。換言すれば、上記陽極300、上記発光層130及び上記陰極600は共に有機発光ダイオードを構成する。上記発光層130は、正孔注入層、正孔輸送層、発光材料層、電子輸送層及び電子注入層などをさらに含む。上記薄膜トランジスタ200により電流が上記陽極300に導通するように制御する場合、上記陽極300と上記陰極600との間に上記電流が発生する。上記電流の作用で、上記発光層130における電子と正孔は上記発光材料層で結合され、かつ光線を励起することにより、上記表示パネル100の上記画素の明暗表示を達成する。説明すべきこととして、本発明の上記陰極600は全面に設けられた電極材料を含むため、上記陰極600は蒸着プロセスを採用して上記発光層130に製造され、さらに上記表示パネル100の構造及び製造プロセスを簡略化することができる。
【0034】
本発明の上記発光層130は、上記実施例に限定されるものではない。他の実施例において、上記発光層130は、エレクトロルミネセンス量子ドット(electroluminescent quantum dots、ELQDs)、ミニ発光ダイオード(mini-light-emitting diode、LED-LED)又はマイクロ発光ダイオード(micro-light-emitting diode、micro-LED)等を含んでもよい。
【0035】
以下、上記表示パネル100が有機発光ダイオード表示パネルであることを例として、本発明の具体的な実施形態をさらに説明する。
【0036】
図1に示すように、上記薄膜トランジスタ200の上記チャネル240は、上記ソース210及び上記ドレイン220に電気的に接続される。1つの実施例において、上記チャネル240は、半導体材料、特にインジウムガリウム亜鉛酸化物(indium gallium zinc oxide、IGZO)で製造される。本実施例に採用される上記インジウムガリウム亜鉛酸化物の電子移動度は、従来の非晶質シリコン半導体の20~30倍であるため、上記薄膜トランジスタ200の充放電速度及び応答速度を顕著に向上させる。上記インジウムガリウム亜鉛酸化物を上記薄膜トランジスタ200の上記チャネルとすることにより、上記表示パネル100のより速いリフレッシュレートを実現することができる。同時に、上記インジウムガリウム亜鉛酸化物は、比較的に高い駆動能力を有するため、上記薄膜トランジスタ200の駆動消費電力が低くなることにより、上記表示パネルがより省エネルギー、省電力となり、上記表示パネルの耐用能力を大幅に増加させる。
【0037】
図1に示すように、1つの実施例において、上記薄膜トランジスタ200は、トップゲート型薄膜トランジスタを含む。換言すれば、上記薄膜トランジスタ200の構造設計において、上記チャネル240は最下層であり、かつ上記ゲートは最上層である。上記トップゲート型薄膜トランジスタは、上記表示パネル100の製造工程を減少させ、さらに製造コストを低減することができる。説明すべきこととして、本発明の上記薄膜トランジスタ200は、上記トップゲート型薄膜トランジスタに限定されず、ボトムゲート型薄膜トランジスタであってもよく、他の構造の薄膜トランジスタであってもよい。
【0038】
本発明において、上記陽極300の材料は、銀(Ag)-パラジウム(Pd)-銅(Cu)合金(APC合金)を含む。上記陽極300の上記材料は、適切な割合の銀、パラジウム及び銅金属元素を添加することにより形成された合金材料であるため、材料全体の耐水蒸気、耐高温、耐硫(S)化及び耐酸(O)化などの他の元素の侵食に耐える能力を向上させることができる。
【0039】
1つの実施例において、上記陽極300の上記材料は、透明導電性酸化物(transparent conductive oxide、TCO)/銀-パラジウム-銅合金/透明導電性酸化物の積層をさらに含む。さらに、上記透明導電性酸化物/銀-パラジウム-銅合金/透明導電性酸化物の積層は、物理気相成長(physical vapor deposition、PVD)のマグネトロンスパッタプロセスにより材料を連続的に堆積して作製される。本発明の上記透明導電性酸化物/銀-パラジウム-銅合金/透明導電性酸化物の積層の作製方法はこれに限定されず、上記物理気相成長における他の方法であってもよく、ひいては化学気相成長(chemical vapor deposition、CVD)などであってもよい。本実施例において、上記透明導電性酸化物は、インジウム酸化物、アンチモン酸化物又はカドミウム酸化物などを含み、多価酸化物材料の特性に合致する薄膜材料である。
【0040】
図1に示すように、1つの実施例において、本発明の上記表示パネル100は、ボンディングパッド400と、金属配線500とをさらに含む。上記金属配線500は、上記薄膜トランジスタ200の上記ソース210及び上記ドレイン220と同層に設けられ、上記表示パネル100が動作する時の必要な電源及び信号、例えばVdd及びVssなどを伝送するために用いられる。上記表示パネル100は、狭額縁設計を達成するために、チップオンフィルム(chip on film、COF)技術を採用するため、上記金属配線500は、チップオンフィルムのフレキシブル回路基板が上記金属配線500とボンディングするように上記表示パネル100の側縁領域で上記ボンディングパッド400に電気的に接続される。
【0041】
本実施例において、上記パッシベーション層700は、上記金属配線500に開設された第3の貫通孔720をさらに含む。上記ボンディングパッド400は、上記第3の貫通孔720を通過して上記金属配線500に電気的に接続される。
【0042】
本実施例において、上記ボンディングパッド400は、上記金属配線500を介して上記薄膜トランジスタ200の上記ソース210、上記ドレイン220、上記ゲート230及び上記表示パネル100の上記陰極600のうちの一方に電気的に接続される。説明すべきこととして、実際の実施において、上記表示パネル100は、複数の上記薄膜トランジスタ200、複数の上記金属配線500及び複数の上記ボンディングパッド400を含む。上記表示パネル100が動作する時の必要な上記電源及び上記信号は、いずれも各上記ボンディングパッド400を介して上記表示パネル100外のチップオンフィルムのフレキシブル回路基板からアクセスされ、かつ上記表示パネル100の上記陰極600、各上記薄膜トランジスタ200の各上記ソース210、各上記ドレイン220及び各上記ゲート230に伝送される。
【0043】
本実施例において、上記ボンディングパッド400の材料は、上記陽極300の上記材料と同じである。換言すれば、上記ボンディングパッド400の上記材料は、同様に上記銀-パラジウム-銅合金を含む。上記ボンディングパッド400の上記材料は、適切な割合の銀、パラジウム及び銅金属元素を添加することにより形成された合金材料であるため、材料全体の耐水蒸気、耐高温、耐硫化及び耐酸化などの他の元素の侵食に耐える能力を向上させ、さらに銅又は銅合金を採用した上記金属配線500が空気と直接接触して酸化することを回避することができる。
【0044】
より重要なこととして、上記技術的利点に加えて、上記ボンディングパッド400と上記陽極300とが同じ材料で製造されるように構成されるため、ボンディングパッド400を上記陽極300と同一の製造プロセスで形成することができる。したがって、モリブデン(Mo)又はモリブデン合金を使用して上記ボンディングパッドを作製するように製造工程を1つ追加する従来技術の表示パネルと比較すると、本発明は、上記表示パネル100の1つの製造工程を減少させ、上記表示パネル100の製造時間及び製造コストを大幅に低減することができる。
【0045】
発明者らの実験により、上記透明導電性酸化物/銀-パラジウム-銅合金/透明導電性酸化物の積層を採用した上記陽極300及び上記ボンディングパッド400は、高温度(60℃)及び高湿度(90RH)の過酷な環境の信頼性試験(reliability analysis、RA)において、500時間の連続的な試験の後でも、依然として必要な動作性能及び材料特性を維持し、硫化及び酸化などの他の元素の侵食を回避している。
【0046】
なお、本発明は、上記表示パネル100の製造方法をさらに提供する。図2図7に参照されるように、それらは本発明の上記表示パネル100の製造過程の構造概略図である。
【0047】
図2に示すように、上記表示パネル100の製造過程において、まず、下部ガラス基板110に緩衝層120を形成する。次に、上記緩衝層120に上記チャネル240、上記ゲート絶縁層250、上記ゲート230、上記ソース210及び上記ドレイン220を順に設け、このように上記表示パネル100の上記薄膜トランジスタ200を形成する。
【0048】
1つの実施例において、上記金属配線500と上記薄膜トランジスタ200の上記ソース210及び上記ドレイン220とは、同一の製造工程で形成され、かつ互いに電気的に接続される。上記金属配線500は、上記表示パネル100の動作時の必要な電源及び信号を伝送するために用いられる。
【0049】
図2に示すように、上記ソース210、上記ドレイン220及び上記金属配線500が形成された後に、その上に上記パッシベーション層700が形成される。上記パッシベーション層700は、上記薄膜トランジスタ200の上記ソース210及び上記ドレイン220を覆う。上記パッシベーション層700は、絶縁の効果を有するだけでなく、同時に上記表示パネル100に撓み時の靭性を付与することにより、上記表示パネル100を保護する。
【0050】
図3に示すように、本発明は、次に、上記パッシベーション層700に上記平坦化層800を形成する。注意すべきこととして、上記平坦化層800の形成時に、上記表示パネル100の上記側縁領域は覆わない。上記表示パネル100は、狭額縁設計を達成するために、チップオンフィルム技術を採用するため、チップオンフィルムのフレキシブル回路基板が上記金属配線500とボンディングするように上記表示パネル100の上記側縁領域に空間を予め留保しなければならい。
【0051】
図4に示すように、上記平坦化層800は、次にパターン化される。本発明は、上記薄膜トランジスタ200の上記ソース210と上記ドレイン220とのうちの一方に対応する、上記平坦化層800の位置に上記第2の貫通孔810を開設することにより、上記第2の貫通孔810の下に位置する上記パッシベーション層700を露出させる。
【0052】
図5に示すように、上記パッシベーション層700が、次にパターン化される。本発明は、上記パッシベーション層700の上記第2の貫通孔810に対応する位置に上記第1の貫通孔710を開設することにより、上記薄膜トランジスタ200の上記ソース210と上記ドレイン220とのうちの一方を露出させる。それと同時に、本発明はまた、上記パッシベーション層700の上記金属配線500に対応する位置に上記第3の貫通孔720を開設することにより、上記パッシベーション層700の下に位置する上記金属配線500を露出させる。換言すれば、上記第1の貫通孔710と上記第3の貫通孔720は、同一の製造プロセスにより開設される。上記第3の貫通孔720は、上記表示パネル100の上記側縁領域に位置し、すなわち、上記チップオンフィルムの上記フレキシブル回路基板と上記金属配線500とをボンディングする領域を提供する。
【0053】
その後に形成された上記陽極300が上記平坦化層800及び上記パッシベーション層700を一度に通過して上記薄膜トランジスタ200の上記ソース210と上記ドレイン220とのうちの一方に電気的に接続される必要があるため、上記表示パネル100は、上記平坦化層800及び上記パッシベーション層700を貫挿する貫通孔を提供する必要がある。しかしながら、従来技術における上記貫通孔の形成方法は以下のとおりである。まず、上記パッシベーション層700を形成した後に、まず上記パッシベーション層700を貫挿する一時的な貫通孔を開設し、次に、上記パッシベーション層700に上記平坦化層800を形成し、上記一時的な貫通孔を満たし、最後に、上記平坦化層800を一度に露光し、現像して上記平坦化層800及び上記一時的な貫通孔を挿通する深孔を一度に開設する。理解できるように、上記深孔が開設される場合に製造プロセスの難易度が大きく、露光が不完全である場合には、上記平坦化層800の材料が上記深孔内に残留する可能性があり、これにより、上記深孔の開設が不完全になり、その後に形成された上記陽極300に電気信号の伝送不良が発生するという問題を引き起こしやすい。
【0054】
本実施例において、上記第1の貫通孔710と上記第2の貫通孔810はそれぞれ2つの製造プロセスにより開設される。まず、上記平坦化層800に上記第2の貫通孔810を開設し、次に、上記パッシベーション層700に上記第2の貫通孔810に対応して上記第1の貫通孔710を開設することにより、上記平坦化層800に上記深孔を開設する。そのため、上記平坦化層800の上記材料が上記第2の貫通孔810及び上記第1の貫通孔710に残留するという従来技術における問題を回避することができる。したがって、本発明は、上記陽極300を、上記薄膜トランジスタ200の上記ソース210と上記ドレイン220とのうちの一方に電気的に接続する歩留まりを向上させることができる。
【0055】
同時に、上記平坦化層800及び上記パッシベーション層700に孔位置が重なる上記第2の貫通孔810及び上記第1の貫通孔710を順に開設することにより、上記深孔を順次開設する。上記第2の貫通孔810が上記平坦化層800に開設された後、上記平坦化層800について、高温ベークの製造プロセスをさらに行う。上記第1の貫通孔710が上記パッシベーション層700に開設されていないため、上記薄膜トランジスタ200の上記ソース210及び上記ドレイン220を、酸化などの他の元素の侵食から保護することができる。
【0056】
図6に示すように、上記陽極300及び上記ボンディングパッド400は、次に上記平坦化層800及び上記パッシベーション層700に形成される。上記陽極300は、上記第1の貫通孔710及び上記第2の貫通孔810を通過して上記薄膜トランジスタの上記ソースと上記ドレインとのうちの一方に電気的に接続される。また、上記ボンディングパッド400は、上記第3の貫通孔720を通過して上記金属配線500に電気的に接続される。
【0057】
本実施例において、上記ボンディングパッド400の材料は、上記陽極300の上記材料と同じである。換言すれば、上記ボンディングパッド400の上記材料は、同様に上記銀-パラジウム-銅合金を含む。上記ボンディングパッド400の上記材料は、適切な割合の銀、パラジウム及び銅金属元素を添加することにより形成された合金材料であるため、材料全体の耐水蒸気、耐高温、耐硫化及び耐酸化などの他の元素の侵食に耐える能力を向上させ、さらに銅又は銅合金を採用した上記金属配線500が空気と直接接触して酸化することを回避することができる。
【0058】
より重要なこととして、上記技術的利点に加えて、上記ボンディングパッド400と上記陽極300が同じ材料で製造されるように構成されているため、ボンディングパッド400を上記陽極300と同一の製造プロセスで形成することができる。したがって、モリブデン又はモリブデン合金を使用して上記ボンディングパッドを作製するように製造工程を1つ追加する従来技術の表示パネルと比較すると、本発明は、上記表示パネル100の1つの製造工程を減少させ、上記表示パネル100の製造時間及び製造コストを大幅に低減することができる。
【0059】
図7に示すように、上記陽極300及び上記ボンディングパッド400が形成された後、本発明は、次に、上記表示パネル100の製造を完了するように上記発光層130、画素定義層140、上記陰極600及び上部ガラス基板150を順に形成する。
【0060】
本発明に係る上記表示パネル100は、上記薄膜トランジスタ200と、上記陽極300と、上記ボンディングパッド400とを含む。上記薄膜トランジスタは、上記ソース210と、上記ドレイン220と、上記ゲート230とを含む。上記陽極300は、上記薄膜トランジスタ200の上記ソース21と上記ドレイン220とのうちの一方に電気的に接続される。上記ボンディングパッド400は、上記薄膜トランジスタ200の上記ソース210、上記ドレイン220、上記ゲート230及び上記表示パネル100の上記陰極600のうちの1つに電気的に接続される。上記陽極300の上記材料は、上記透明導電性酸化物/銀-パラジウム-銅合金/透明導電性酸化物の積層を含む。上記ボンディングパッド400の上記材料は、上記陽極300の上記材料と同じである。本発明が上記透明導電性酸化物/銀-パラジウム-銅合金/透明導電性酸化物の積層を上記陽極300及び上記ボンディングパッド400として採用するため、本発明は上記陽極300及び上記ボンディングパッド400が酸(O)化又は硫(S)化して無効になるという問題を回避することができ、さらに上記陽極300の劣化による断線又は上記表示パネル100の上記陰極600との短絡の可能性があるという問題を回避することができる。同時に、本発明は、従来技術の上記表示パネルの製造工程を減少させ、そして上記陽極300を、上記薄膜トランジスタ200の上記ソース210と上記ドレイン220とのうちの一方に電気的に接続する歩留まりを増加させ、さらに上記表示パネルの製造時間及び製造コストを低減することもできる。
【0061】
以上の説明は、本発明の好ましい実施形態に過ぎない。説明すべきこととして、当業者にとって、本発明の原理から逸脱することなく、さらに複数の改善及び修正を行うことができ、これらの改善及び修正も本発明の保護範囲と見なされるべきである。
【符号の説明】
【0062】
100 表示パネル
110 下部ガラス基板
120 緩衝層
130 発光層
140 画素定義層
150 上部ガラス基板
200 薄膜トランジスタ
210 ソース
220 ドレイン
230 ゲート
240 チャネル
250 ゲート絶縁層
300 陽極
400 ボンディングパッド
500 金属配線
600 陰極
700 パッシベーション層
710 第1の貫通孔
720 第3の貫通孔
800 平坦化層
810 第2の貫通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】