(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-31
(54)【発明の名称】動力電池用保温・断熱・防火布及び製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/474 20210101AFI20240124BHJP
H01M 50/483 20210101ALI20240124BHJP
H01M 10/058 20100101ALI20240124BHJP
H01M 10/04 20060101ALI20240124BHJP
H01M 50/486 20210101ALI20240124BHJP
【FI】
H01M50/474
H01M50/483
H01M10/058
H01M10/04 Z
H01M50/486
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022513115
(86)(22)【出願日】2022-01-07
(85)【翻訳文提出日】2022-02-22
(86)【国際出願番号】 CN2022070735
(87)【国際公開番号】W WO2023284272
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】202110791581.5
(32)【優先日】2021-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522072138
【氏名又は名称】上海国玻新能源科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI GUOBO NEW ENERGY TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.5, Lane 689, Zhangjing Road, Songjiang District, Shanghai 201601, China.
(71)【出願人】
【識別番号】592249496
【氏名又は名称】オーウエル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】陸旗▲ウェイ▼
(72)【発明者】
【氏名】劉華珊
(72)【発明者】
【氏名】郁文静
(72)【発明者】
【氏名】馮稚越
(72)【発明者】
【氏名】張杰
(72)【発明者】
【氏名】劉向東
【テーマコード(参考)】
5H021
5H028
5H029
【Fターム(参考)】
5H021BB12
5H021CC02
5H021CC04
5H021EE10
5H021EE22
5H021HH03
5H028AA08
5H028CC08
5H028EE05
5H028EE06
5H028HH05
5H029AJ12
5H029CJ22
5H029DJ04
5H029DJ15
5H029EJ05
5H029EJ12
5H029HJ04
(57)【要約】
本願は、動力電池用保温・断熱・防火布及び製造方法に関し、新エネルギー自動車動力電池の保温・断熱・防火技術の分野に関し、それは、防火繊維を紡織してなる防火布層を含み、前記防火布層は、一層又は多層複合に設けられることができ、前記防火布層の炎に面する面に耐高温の防火無機コーティング層が塗布され、前記防火布層の炎に背向く面に構造補強コーティング層が塗布され、前記防火布層は、電池パックに適合する箱型形状に製造され、電池セルと電池ケースとの間に取り付けられ、前記防火布層は、ハイシリカ繊維織物又はアルミナ繊維織物であり、前記防火無機コーティング層は、SiO2及びAl2O3を含む無機材料コーティング層であり、前記構造補強コーティング層は、PTFE、シラン、リン酸塩及びアルミナを含むコーティング層である。本願は、電池を保護する防火機能を有して、安全に使用でき、電池を効果的に保温し、電気自動車の安全性を向上させ、電池を保護する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
防火繊維を紡織してなる防火布層を含み、前記防火布層は、一層又は多層複合に設けられることができ、前記防火布層の炎に面する面には耐高温の防火無機コーティング層が塗布され、前記防火布層の炎に背向く面には構造補強コーティング層が塗布され、前記防火布層は、電池パックに適合する箱型形状に製造され、電池セルと電池ケースとの間に取り付けられる、
ことを特徴とする動力電池用保温・断熱・防火布。
【請求項2】
前記防火繊維として、ハイシリカ繊維又はアルミナ繊維が採用される、
ことを特徴とする請求項1に記載の動力電池用保温・断熱・防火布。
【請求項3】
前記防火無機コーティング層は、SiO
2及びAl
2O
3を含む無機材料コーティング層である、
ことを特徴とする請求項1に記載の動力電池用保温・断熱・防火布。
【請求項4】
前記構造補強コーティング層は、PTFE、シラン、リン酸塩及びアルミナを含むコーティング層である、
ことを特徴とする請求項1に記載の動力電池用保温・断熱・防火布。
【請求項5】
前記構造補強コーティング層の厚さは、0.5~2mmである、
ことを特徴とする請求項4に記載の動力電池用保温・断熱・防火布。
【請求項6】
前記防火布層の炎に面する面に対して、さらに、裏糊処理を行う、
ことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の動力電池用保温・断熱・防火布。
【請求項7】
防火繊維を選択するステップS1と、
防火繊維を防火布層に紡織するステップS2と、
防火布層の炎に面する面に、SiO
2及びAl
2O
3を含む防火無機コーティング層が塗布され、防火布層の炎に背向く面に、PTFE、シラン、リン酸塩及びアルミナを含む構造補強コーティング層が塗布されるステップS3と、
異なるサイズ要求に応じて、防火布層を裁断して、完成品を形成するステップS4と、を含む、
ことを特徴とする動力電池用保温・断熱・防火布の製造方法。
【請求項8】
前記防火繊維として、ハイシリカ繊維又はアルミナ繊維が採用される、
ことを特徴とする請求項7に記載の動力電池用保温・断熱・防火布の製造方法。
【請求項9】
前記構造補強コーティング層の厚さは、0.5~2mmである、
ことを特徴とする請求項8に記載の動力電池用保温・断熱・防火布の製造方法。
【請求項10】
前記防火布層は、一層であるか、複数層が複合したものである、
ことを特徴とする請求項7~請求項9のいずれか1項に記載の動力電池用保温・断熱・防火布の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、新エネルギー自動車の動力電池の保温・断熱・防火技術の分野に関し、特に、動力電池用保温・断熱・防火布及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車(BEV)とは、車載電源を動力とし、モータで車輪を駆動して走行し、道路交通、安全法規等の諸要求に対応している車両である。電気自動車は、従来の自動車と比べ、環境への影響が小さいため、その見通しは有望で、将来の自動車産業の発展トレンドである。電気自動車の動作原理は、バッテリ-電流-電力調整器-モータ-動力伝達システム-自動車が走行するように駆動することである。
【0003】
現在、電気自動車技術は、次第に成熟しつつある。電気自動車にとって、電池パックは、電気自動車の安全性に影響を与える最も重要な要因であり、電気自動車の自然発火事故の問題は、基本的に電池パックにあり、電池パックが損傷すると、車両全体が損傷するか、直接廃車になる可能性がある。
【0004】
したがって、電気自動車の電池パックを効果的に保護する必要があり、電池パックに問題が発生して車両全体の安全性に影響を与えるか、又は車両全体に安全問題が発生した後、逆に電池パックを損傷することを回避する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願は、電気自動車の安全性を向上させ、電池を効果的に保護するために、動力電池用保温・断熱・防火布及び製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様では、本願は、動力電池用保温・断熱・防火布を提供し、次のような技術案を採用する。
【0007】
動力電池用保温・断熱・防火布であって、防火繊維を紡織してなる防火布層を含み、前記防火布層は、一層又は多層複合に設けられることができ、前記防火布層の炎に面する面には耐高温の防火無機コーティング層が塗布され、前記防火布層の炎に背向く面には構造補強コーティング層が塗布され、前記防火布層は、電池パックに適合する箱型形状に製造され、電池セルと電池ケースとの間に取り付けられる。
【0008】
上記の技術案を採用することにより、防火繊維で製造された防火布は、高温条件下で使用することができ、優れた防火・保温・断熱の効果を有し、熱伝導率が低く、熱暴走時に、火炎がアルミニウム製又は複合材料製の電池ケース本体を破壊することを効果的に防止することができ、乗客の安全を保護し、極端に劣悪な環境で、電池の性能を保証し、それにより、電池の減衰を低減して、電池の持続距離を保証し、使用時、全体の体積が小さく、重量が軽く、取り外しが容易で、置き換えやすく、電池の防火と使用安全性を保証する。
【0009】
好ましくは、前記防火布層にハイシリカ繊維織物又はアルミナ繊維織物を採用できる。
【0010】
上記の技術案を採用することにより、ハイシリカ繊維又はアルミナ繊維を採用して製造した防火布層は、1500℃の条件で長期使用でき、優れた防火・保温・断熱の効果を有し、熱伝導率が低い。
【0011】
好ましくは、前記防火無機コーティング層は、SiO2及びAl2O3を含む無機材料コーティング層である。
【0012】
上記の技術案を採用することにより、防火無機コーティング層は、高温条件下で膨張し、膨張率は、最大300%まで達することができ、膨張後に空気を遮断することにより、電池を空気から遮断して、電池を保護するとともに、電池放射の遮断及び耐高温の役割を果たすことができる。
【0013】
好ましくは、前記構造補強コーティング層は、PTFE、シラン、リン酸塩及びアルミナを含むコーティング層である。
【0014】
上記の技術案を採用することにより、構造補強コーティング層が高温条件下でガラス釉薬化され、製品の強度が大幅に向上し、高温火炎の衝撃を耐えることができ、最大7Barに達することができる。
【0015】
好ましくは、前記構造補強コーティング層の厚さは、0.5~2mmである。
【0016】
上記の技術案を採用することにより、防火布の構造強度を保証するとともに、防火布に対して軽量化処理を行い、防火布への火炎の侵入を効果的に防止する。
【0017】
好ましくは、前記防火布層の炎に面する面に対して、さらに、裏糊処理を行う。
【0018】
上記の技術案を採用することにより、防火布を電池ケース本体の内部に取り付けやすい。
【0019】
第2態様では、本願は、動力電池用保温・断熱・防火布の製造方法を提供し、以下の技術案を採用する。
【0020】
動力電池用保温・断熱・防火布の製造方法であって、
防火繊維を選択するステップS1と、
防火繊維を防火布層に紡織するステップS2と、
防火布層の炎に面する面にSiO2及びAl2O3を含む耐高温の防火無機コーティング層が塗布され、防火布層の炎に背向く面に、PTFE、シラン、リン酸塩及びアルミナを含む構造補強コーティング層が塗布されるステップS3と、
異なるサイズ要求に応じて、防火布層を裁断して完成品を形成するステップS4と、を含む。
【0021】
上記の技術案を採用することにより、防火布は、1500℃の高温条件下で長期使用でき、優れた防火・保温・断熱の効果を有し、熱伝導率が低く、熱暴走時に、火炎がアルミニウム製又は複合材料製の電池ケース本体を破壊することを効果的に防止することができ、乗客の安全を保護し、極端に劣悪な環境で、電池の性能を保証し、それにより、電池の減衰を低減して、電池の持続距離を保証し、使用時、全体の体積が小さく、重量が軽く、取り外しが容易で、置き換えやすく、電池の防火と使用安全性を保証する。
【0022】
好ましくは、前記防火繊維として、ハイシリカ繊維又はアルミナ繊維が採用される。
【0023】
上記の技術案を採用することにより、防火布は、1500℃の高温条件下で長期使用でき、優れた防火・保温・断熱の効果を有し、熱伝導率が低い。
【0024】
好ましくは、前記構造補強コーティング層の厚さは、0.5~2mmである。
【0025】
上記の技術案を採用することにより、防火布の構造強度を保証するとともに、防火布に対して軽量化処理を行い、防火布への火炎の侵入を効果的に防止する。
【0026】
好ましくは、前記防火布層は、一層であるか、又は複数層が複合したものである。
【0027】
上記の技術案を採用することにより、防火布の防火性能を確保する。
【発明の効果】
【0028】
要約すると、本願は、以下の技術的効果のうちの少なくとも1つを含む。
【0029】
1.防火布は、1500℃の高温条件下で長期使用でき、優れた防火・保温・断熱の効果を有し、熱伝導率が低く、熱暴走時に、火炎がアルミニウム製又は複合材料製の電池ケース本体を破壊することを効果的に防止することができ、乗客の安全を保護し、極端に劣悪な環境で、電池の性能を保証し、それにより、電池の減衰を低減して、電池の持続距離を保証し、使用時、全体の体積が小さく、重量が軽く、取り外しが容易で、置き換えやすく、電池の防火と使用安全性を保証する。
【0030】
2.防火無機コーティング層は、膨張後に空気を遮断することにより、電池を空気から遮断して、電池を保護するとともに、放射を遮断する役割を果たす。
【0031】
3.構造補強コーティング層が高温条件下でガラス釉薬化され、製品の強度が大幅に向上し、高温火炎の衝撃を耐えることができ、最大7Barに達することができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本願をさらに詳細に説明する。
【0033】
本願の実施例には、動力電池用保温・断熱・防火布が開示されている。
【0034】
動力電池用保温・断熱・防火布は、防火繊維を紡織してなる防火布層を含み、ここで、防火布層の炎に面する面には耐高温の防火無機コーティング層が塗布され、防火布層の炎に背向く面には構造補強コーティング層が塗布され、防火布層は、電池パックに適合する箱型形状に製造され、電池セルと電池ケースとの間に取り付けられて、電池を保護する。
【0035】
必要に応じて、防火布層は、一層又は多層複合構造に設けられてもよく、本実施例では、防火布層は一層に設けられた。
【0036】
コスト上の制限または特定の使用環境の要求により、防火布層にハイシリカ繊維織物又はアルミナ繊維織物を採用できる。ハイシリカ繊維及びアルミナ繊維の特性は、防火布は、1500℃の高温条件下で長期使用でき、優れた防火・保温・断熱の効果を有し、熱伝導率が低いことであり、本実施例では、防火布層にハイシリカ繊維織物を採用した。
【0037】
ハイシリカ繊維は、適切な原料の伸線成型、紡織加工、酸浸出加工を経て製造される。ハイシリカ繊維中の二酸化ケイ素含有量96~98%であり、主に、1000度の超高温防火断熱に適用され、単繊維の直径は5ミクロンよりも大きく、いかなるアスベスト又はセラミックウールも含まず、健康に完全に無害である。
【0038】
アルミナ繊維は、現在の中国国内外で、最新の超軽量高温断熱材の1つであり、ハイテクの「ゾル-ゲル」法を採用して、可溶性アルミニウム、シリコン塩を一定の粘度を有するコロイド溶液に製造し、溶液は、高速遠心による繊維化を経て繊維素体になり、続いて、脱水、乾燥及び中・高温熱処理での晶析などの工程を経て、Al-Siアルミナ多結晶繊維に変態し、その主結晶相は、主にコランダム相及び少量のムライト相であり、化学成分は、Al2O3(95%)+SiO2(5%)であり、繊維の直径は3~7μmであり、1つの糸の長さは10~150mmであり、外観が白色を呈し、脱脂綿のように滑らかで、柔らかく、弾力性に富み、結晶性物質と繊維性物質とが一体的に集合したものであり、使用温度が1450℃~1600℃に達し、融点は1840℃に達し、よい耐熱安定性を有し、熱伝導率は一般の耐火煉瓦の1/6であり、容積重量は一般の耐火煉瓦の1/25しかなく、省エネルギー率は15~45%に達する。
【0039】
また、防火無機コーティング層は、SiO2及びAl2O3を含むコーティング層であり、防火無機コーティング層は、高温条件下で膨張し、膨張率は300%まで達することができ、膨張後に空気を遮断することにより、電池を空気から遮断して、電池を保護するとともに、電池放射遮断及び耐高温の役割を果たすことができる。本実施例では、防火無機コーティング層の膨張率を150%にした。
【0040】
また、構造補強コーティング層は、PTFE、シラン、リン酸塩、Al2O3を含むコーティング層であり、構造補強コーティング層が高温下でガラス釉薬化され、製品の強度が大幅に向上し、高温火炎の衝撃を耐えることができ、耐衝撃圧力は、7Barまで達することができる。
【0041】
使用環境の要求に応じて、構造補強コーティング層厚さを0.5~2mmに設定してもよく、こうすると、よりよく軽量化を図ることができ、1500℃の高温環境下で、防火布の背面の温度は最低150℃まで低下することができる。構造強度を保証するとともに、防火布への火炎の侵入を効果的に防止する。本実施例では、構造補強コーティング層の厚さを1mmに設定した。
【0042】
実際の使用中に、防火カバーは電池ケース上及びモジュールダクト内に取り付けられる。電池ケース上に取り付けられた場合、防火カバーを固定するために、防火カバーに対する裏糊処理が必要であり、モジュールダクト内に取り付けられた場合、防火カバーを処理必要はない。
【0043】
本願の動力電池用保温・断熱・防火布の実施原理は以下のとおりである。
【0044】
ハイシリカ繊維織物又はアルミナ繊維織物からなる防火布層は、1500℃の高温下で長期使用でき、優れた防火・保温・断熱の効果を有し、熱伝導率が低い。炎に面する面にSiO2及びAl2O3を含む防火無機コーティング層が塗布され、高温下で膨張することができ、膨張後に空気を遮断することにより、電池を空気から遮断して、電池を保護するとともに、電池放射遮断及び耐高温の役割を果たすことができ、炎に背向く面にPTFE+シラン+リン酸塩+Al2O3を含む構造補強コーティング層が塗布され、当該コーティング層が高温下でガラス釉薬化され、製品の強度が大幅に向上し、高温火炎の衝撃を耐えることができ、耐衝撃圧力が7Barまで達することができ、全体の厚さは0.5~2mmであり、よりよく軽量化することができ、背面の温度は最低150℃まで低下することができ、熱暴走時に、火炎がアルミニウム製又は複合材料製の電池ケース本体を破壊することを効果的に防止することができ、乗客の安全を保護し、極端に劣悪な環境で、電池の性能を保証し、それにより、電池の減衰を低減して、電池の持続距離を保証する。
【0045】
本願は、さらに、動力電池用保温・断熱・防火布の製造方法を開示した。
【0046】
動力電池用保温・断熱・防火布の製造方法は、以下のステップを含む。
【0047】
S1、防火繊維を選択し、防火繊維として、品質合格のハイシリカ繊維又はアルミナ繊維を使用する。
【0048】
S2、選択した防火繊維は、紡織機の紡織により防火布層になり、必要に応じて一層又は多層複合の構造であってもよい。
【0049】
S3、防火布層の炎に面する面には、SiO2及びAl2O3成分を含む耐高温の防火無機コーティング層が塗布され、防火無機コーティング層は、高温条件下で膨張し、膨張率が300%まで達することができ、膨張後に空気を遮断することにより、電池を空気から遮断して、電池を保護するとともに、電池放射遮断及び耐高温の役割を果たすことができる。本実施例では、防火無機コーティング層の膨張率を150%にした。
【0050】
防火布層の炎に背向く面には、PTFE、シラン、リン酸塩及びアルミナ成分を含む構造補強コーティング層が塗布され、構造補強層が高温下でガラス釉薬化され、製品の強度が大幅に向上し、高温火炎の衝撃を耐えることができ、耐衝撃圧力は7Barまで達することができる。
【0051】
構造補強コーティング層の厚さは、0.5~2mmであり、防火布の構造強度を保証するとともに、防火布に対して軽量化処理を行い、防火布への火炎の侵入を効果的に防止する。
【0052】
S4、異なるサイズ要求に応じて、防火布層を裁断して、防火カバーの製造が完了する。ここで、防火カバーを電池ケース上及びモジュールダクト内に取り付ける。防火カバーを電池ケース上に取り付ける場合、防火カバーを固定するために、防火カバーに対する裏糊処理が必要である。
【0053】
防火布は、1500℃の高温条件下で長期使用でき、優れた防火・保温・断熱の効果を有し、熱伝導率が低く、熱暴走時に、火炎がアルミニウム製又は複合材料製の電池ケース本体を破壊することを効果的に防止することができ、乗客の安全を保護し、極端に劣悪な環境で、電池の性能を保証し、それにより、電池の減衰を低減して、電池の持続距離を保証する。
【0054】
以上は、いずれも本願の好適な実施例であり、本願の保護範囲を制限するものではなく、そのため、本願の構造、形状、原理に従って行われた等価な変化は、いずれも本願の保護範囲内に含まれるべきである。
【国際調査報告】