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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-31
(54)【発明の名称】多機能眼科装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/10 20060101AFI20240124BHJP
   A61B 3/18 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
A61B3/10
A61B3/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023533227
(86)(22)【出願日】2021-12-01
(85)【翻訳文提出日】2023-07-10
(86)【国際出願番号】 IB2021061163
(87)【国際公開番号】W WO2022118206
(87)【国際公開日】2022-06-09
(31)【優先権主張番号】102020000029393
(32)【優先日】2020-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507002181
【氏名又は名称】コストルツィオーニ ストルメンチ オフタルミチ シー.エス.オー. エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】マルカッチ,マッテオ
【テーマコード(参考)】
4C316
【Fターム(参考)】
4C316AA03
4C316AA04
4C316AA09
4C316AA11
4C316AA13
4C316AA20
4C316AA24
4C316AA27
4C316AB09
4C316AB16
4C316AB19
4C316FA06
4C316FA12
4C316FC01
4C316FC02
(57)【要約】
本発明は、眼科分野における診断設備の分野に関し、より正確には、その目的として、患者の眼に対して様々な種類の測定、検査及び更に手術を実行することができる多機能装置を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の眼(E1、E2)の少なくとも1つの特性を測定又は評価するための、複数の光学機器又は光学ヘッド(5n)を含む眼科装置であって、各機器又はヘッド(5n)は、各々のそれ自体の光軸(Ln)を有し、前記機器又はヘッド(5n)は、フレームであって、水平な表面上に載置するための載置面(1a)を画定するベース(1)と、前記載置面(1a)に平行な回転軸(X’)の周りで前記フレームに対して回転可能なカルーセル(4)とを含むフレームに装着され、前記機器又はヘッド(5n)は、それらのそれぞれの光軸(Ln)が前記回転軸(X’)に平行であるように配置され、前記装置は、駆動及び制御手段を含み、前記カルーセル(4)は、前記回転軸(X’)が、少なくとも前記載置面(1a)と直交する高さ方向(Z)に対して移動可能であるように前記フレーム(10)によって支持され、前記制御手段は、前記回転軸(X’)の周りの前記カルーセルの回転と、前記高さ方向(Z)に沿った前記軸の変位とを組み合わせる前記ヘッド又は機器の位置調整により、前記載置面(1a)に平行であり、及び前記回転軸(X’)と直交する横方向(Y)に従い、前記ヘッド又は機器と患者の眼との選択的な光学的整列を実行するように構成される、眼科装置。
【請求項2】
前記カルーセル(4)は、前記回転軸(X’)が前記横方向(Y)に対して固定されるように前記フレーム(10)によって支持される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記高さ方向(Z)に移動可能であり、及び前記制御手段によって制御される、前記患者の頭部を支持するための顎載置手段(6、7)を含み、前記機器又はヘッド(5n)の少なくとも1つは、画像キャプチャ及び顔認識手段(8)を含み、前記制御手段は、キャプチャされた画像を処理して、前記高さ方向(Z)及び前記横方向(Y)に従って前記患者の両眼の座標を記録するのに適している、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記制御手段は、瞳孔間距離(PD)と、前記顎載置手段(6、7)に設けられた基準マーク(7a)に対する前記眼の差分高さ(ΔZ)とを前記眼座標から取得するのに適しており、及び前記機器又はヘッド(5n)の前記光軸(Ln)を前記患者の眼と整列させるために、前記顎載置手段(6、7)の微調整変位、前記カルーセルの回転及び前記高さ方向(Z)におけるその変位を前記瞳孔間距離(PD)及び前記差分高さ(ΔZ)に基づいて判定するように構成される、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記機器又はヘッド(5n)の少なくとも1つは、それ自体の機器光軸(Ln)の周りで前記カルーセル(4)に対して回転可能であるように前記カルーセル(4)に装着され、前記機器又はヘッドは、前記機器光軸(Ln)の周りの逆回転(-β)により、前記カルーセルの対応する回転に起因して取られる傾斜角(β)を回復するように適合される、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記カルーセル(4)は、前記回転軸(X’)が、前記載置面(1a)及び前記カルーセルの前記回転軸(X’)に平行な深さ方向(X)に対しても移動可能であるように前記フレーム(10)によって支持される、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記フレームは、前記ベース(1)の足部(2)から立ち上がる柱(3)であって、前記カルーセル(4)が枢動可能に接続される柱(3)を含み、前記柱(3)は、前記高さ調整方向(Z)及び深さ調整方向(X)に従って前記足部(2)に対して移動可能である、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記機器又はヘッド(5n)は、前記カルーセル(4)の周囲に沿って不等角度間隔で配置される、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記機器又はヘッド(5n)は、前記カルーセル(4)の前記周囲に沿って等角度間隔で配置される、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記カルーセル(4)は、円形の周囲を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記機器又はヘッド(5n)は、前記回転軸(X’)と直交する前記カルーセル(4)の平面(4a)の上に配置される、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記機器又はヘッド(5n)は、例えば、角膜トポグラファー、トポグラフィー収差計、断層撮影トポグラファー、断層撮影装置、収差計、空気噴出眼圧計、眼底カメラ、自動屈折計、内皮顕微鏡から選択される、請求項1~11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記機器又はヘッド(5n)は、互いに機能的に独立しているように構成される、請求項1~12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
複数の光学機器又は光学ヘッド(5n)を含む眼科装置の光学機器又は光学ヘッド(5n)を患者の眼と光学的に整列させる方法であって、各機器又はヘッド(5n)は、各々のそれ自体の光軸(Ln)を有し、前記機器又はヘッド(5n)は、フレームであって、水平な表面上の載置面(1a)を画定するベース(1)と、前記載置面(1a)に平行な回転軸(X’)の周りで前記フレームに対して回転可能なカルーセル(4)とを含むフレームに装着され、前記機器又はヘッド(5n)は、それらのそれぞれの光軸(Ln)が前記回転軸(X’)に平行であるように配置され、前記装置は、駆動及び制御手段を含み、前記カルーセル(4)は、前記回転軸(X’)が、少なくとも前記載置面(1a)と直交する高さ方向(Z)に対して移動可能であるように前記フレーム(10)によって支持され、前記方法は、前記回転軸(X’)の周りの前記カルーセルの回転と、前記高さ方向(Z)に沿った前記軸の変位とを組み合わせる前記ヘッド又は機器の位置調整により、前記載置面(1a)に平行であり、及び前記回転軸(X’)と直交する横方向(Y)に従い、前記ヘッド又は機器と患者の眼との選択的な光学的整列を実行することを提供する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
明細書
発明の技術分野
本発明は、眼科診断設備の分野に関し、より詳細には、患者の眼に対して様々な種類の測定、検査及び手術を実行するための多機能装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
単一眼科設備に関連して、異なるデバイスを通して実質的に同時に(即ち単一検査セッションの連続ステップで)眼の異なる特性に関する測定又は検査を実行することができる解決策が知られている。このために、眼圧を測定するデバイス(眼圧計)及び患者の眼に各連続ステップで措置を講じるように設計される異なる検査デバイス(角膜トポグラファー、断層撮影装置など)を装置に装備し、相互に協調/相関した方法で又は互いに独立して測定又は検出を実行することができる。
【0003】
患者が検査位置に静止した状態で同じセッション内において測定を実行する際、場合により及び有利には整列手順を繰り返すことなく、従って測定の精度及び一貫性を潜在的に落とすことなく、又は患者に対する間接的な不快感を伴って検査セッションを延長することなく、検査中に眼の光軸にデバイスを配置するようにデバイスを移動させる問題が明らかに存在する。
【0004】
幾つかの既知の解決策、例えば文献米国特許第3201795号及び英国特許第862730号に示される解決策では、機器を自律的に独立して支持する構造に比べて個々の機器の調整ステップを単純化及び迅速化することを目的として、カルーセルの回転の結果として機器が次々に作動し始めることができる、単一の回転可能カルーセルシステムに複数の眼科機器又はデバイスを装着することが提供されている。しかし、調整の可能性は、減少したままであり、精度の明確な限界を有する。
【発明の概要】
【0005】
発明の概要
これらの問題を考慮して、しかし、より一般的に既知の解決策の明らかな代替形態を提供することを目的として、本出願人は、デバイス間の移行段階及びデバイスの整列に関する必要性を完全に効果的に満たすことに加えて、様々な機能の組み合わせ、関連する光学経路の適合性、空間の様々な方向に応じた取り扱い制約に関して、これまで提案されており、及び市場で入手可能な装置の幾つかの制限を克服する多機能装置の新しい構成を想到した。
【0006】
本発明によるこのような多機能眼科装置は、添付の請求項の第1のものに記載の重要な特徴を有する。他の任意選択的な特徴は、従属請求項の主題である。
【0007】
図面の簡単な説明
本発明による多機能眼科装置の特徴及び利点は、添付図面を参照して、一例として限定されずに行われる本発明の実施形態の下記の説明からより明確にもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】装置のアーキテクチャを大まかに強調する概略的及び概念的形態で表された装置の側面図である。
図2】検査セッションの2つの異なる動作位置における、依然として概略的であるが、より現実的な形態での設備の不等角投影図であり、検査中の患者の頭部も表されている。
図3】検査セッションの2つの異なる動作位置における、依然として概略的であるが、より現実的な形態での設備の不等角投影図であり、検査中の患者の頭部も表されている。
図4】装置の幾つかの動作及び調整パラメータをよりよく強調するために、患者の頭部に対する検査配置で追加の機器類を用いて、それほど概略的でない方法で構造的に表される、前述のものと同様の装置を再び不等角投影的に示す。
図5】再び、異なる角度から図4のものと同じ意図で設けられた設備の不等角投影図である。
図6】患者の眼に対する位置決め段階における設備の移動の細分を例示する図である。
図7】設備自体の光学ヘッド又は光学機器によって患者の(第1の)眼を検査する状態を示す設備の略略正面図である。
図8図4及び図5の変形形態における設備を側面図で示す。
図9】同じ患者の第1の眼の検査状態から第2の眼の検査状態への機器又はヘッドの移行を例示する、図7のものと同様の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
発明の詳細な説明
上述の図を参照すると、本発明による装置は、実施形態において、足部2と、足部2から立ち上がる支柱3とを支持する水平な表面、例えば机又は更に床によって提供される水平な表面上において、載置面1aを画定する面を介して直接又は間接的に載置するのに適したベース1を含む。これらの構成要素の組立体は、装置のフレーム10を形成する。
【0010】
デカルト系XYZは、前記載置面1a(深さ方向X及び前記面に平行な横方向Y)及び柱3が延びて上昇する第3の高さ方向Zによって画定される。
【0011】
柱3による本例において、フレーム10は、例えば、実質的に円形の機器支持カルーセル4を深さ方向Xに平行な回転軸X’の周りで回転可能に支持し、機器支持カルーセル4は、検査下の患者の頭部Cに面するように意図されるその前方表面4aにおいて及び方向YZに平行に、複数、例えば51、52、53に示す図示の例のように3つの測定又は検査デバイス又は機器を支持し、各測定又は検査デバイス又は機器は、回転軸X’に平行であり、場合により(必ずしもそうでないが)回転軸X’から同じ半径方向距離における光軸L1、L2、L3を画定する。従って、各機器の光軸Lnは、カルーセル4の離散的なステップでの調整移動及び回転後、検査される患者の眼Eの光軸と整列して配置されるのに適している。
【0012】
図4図5及び図8に示すように、但し図1図3では省略されるが、患者の頭部Cの載置及び基準のために、ベース1から立ち上がる顎載置レール7によって高さ方向Zに沿って(電動で)移動可能に順に支持される顎載置台6が設けられる。レールは、患者の眼の高さにおける整列のための基準マーク7aを有する。
【0013】
従って、本発明によれば、カルーセルの回転軸X’は、装置がその動作位置にあるときに水平である。加えて、カルーセル4の回転軸は、高さ方向Zに沿った調整を可能にするために、少なくともこの方向に対してフレーム10によって移動可能に支持される。調整動作は、図示の例では、足部2に対して柱3を変位させることによって得られるが、他の均等な解決策も提供され得る。
【0014】
同様に本例に関連して、それ自体明らかな性質のものであり、詳細に表現又は記載されない電動作動手段であって、横方向Yに従い、好ましくは回転軸が固定されている間、高さ方向Zだけでなく、深さ方向Xの調整にも従って柱(又は均等にカルーセルの回転軸)を移動させることができる電動作動手段が足部2に配置される。
【0015】
機器又はデバイス5nの数nは、一般的に、3と異なり、従って利用可能な空間及び相対的な障害物に応じて加減され得る。デバイス又は少なくともその組立体(必ずしも全てが占有されるわけではない)のためのカルーセルに設けられたスロットは、360°/nに等しい、回転軸の中心における角距離でカルーセル自体の周囲に沿って等間隔に離間され得る。しかし、より一般的に及び場合により、有利には使用される機器のタイプによる全体的な寸法及び重量のバランスの必要性によって要求される場合、対象の角度は、セット内で変動し得、従って連続する機器の異なる対間で異なる値を有することができる。
【0016】
いずれの場合にも、この角度は、異なるデバイスを、随時、患者の眼との整列の位置、従って随時関連するデバイスの役割である検査の位置にするために、カルーセル4の回転の角度ステップ(一定であるか又は一定でない)に対応する。
【0017】
調整方向のための既述のもの及び回転をカルーセル4に与えるために柱3の内部に明らかに配置されたもの並びに命令及び制御システムを含む全ての駆動システムは、詳細な説明の必要なく、この分野の一般的な知識に基づいて直接実施され得る。同じことは、任意の付属の構成要素にも当てはまり、用いられるデバイス又は機器に応じて、付属の構成要素は、単一の機器の機能を保証するために必要になるべきであり、そのうち、カルーセルに装着された構成要素は、その特定の機器のための既知の参照技術に再び全て基づく測定又はキャプチャヘッドであるにすぎない場合がある。
【0018】
装置の原理的な動作挙動は、まず、図2及び図3を参照して推測され得る。カルーセル4を回転させることにより、検査セッションの第1の段階で使用される第1のデバイス又は機器51は、最初に、患者の頭部Cが検査配置に置かれた状態で、12時の位置である傾向がある検査位置に配置される。
【0019】
少なくともZ高さ方向に沿ったカルーセルの動作を用いて(よりよく後述されるように)、第1の機器又は測定ヘッド51の光軸L1を眼の軸と整列させる(図2)。
【0020】
検査が第1の機器51で実行されると、回転軸X’の周りのカルーセル4の回転は、第2の機器52を検査位置にするために必要な角度ステップによって命令され、これは、回転軸に対する第2の機器の光軸L2の等距離配置の場合、患者を静止した状態に維持して、新しい更なる整列調整の対象となる必要がない(図3)。
【0021】
次に、手順は、停止するか、又は検査セッションの一貫性及び速度に関して後述するように、n番目のデバイスのLn軸と患者の光軸との間の新しい整列に再度依存することなく、デバイス53又は5nに対して同様の方法で繰り返され得る。
【0022】
実質的に概略的及び概念的な観点でこれを述べているが、図4図9をより詳細に参照して、装置の使用方法を下記の観点で更に詳述することができる。
【0023】
有利には、正確及び適切な測定機器5nに加えて、本発明による装置は、本明細書に正確に示すように、カルーセル4の前方表面4aに再度装着され、機器の位置と半径方向及び円周方向に一致する位置にある、顔認識のための画像取得手段、例えばビデオカメラ8を含み得る(実際には、n個の実際の測定機器が提供される場合、カメラは、n+1個のステーションを有するカルーセルで(n+1)番目の場所を占める)。
【0024】
ビデオカメラ8により、特にそれによって取得された画像を処理することにより、設備の制御システムは、記号7aに対する眼の差分高さΔZ及び瞳孔間距離PDが取得される眼のZ及びY座標を記録することができる。
【0025】
まず、眼が、測定機器類によって確実に到達可能な位置にあり、患者が快適な位置にあるように、顎載置台6が使用され、患者の頭部の高さ位置決めの粗調整について確認される。この目的のために、患者の眼がトラック7上のマーク7aの近傍にあるように顎載置台の移動が制御される(図4)。値ΔZが既知であると、図4に示すように、顎載置台は、その後、対応する距離にわたって細かく移動されて、眼がマークと完璧に整列されることを保証する。
【0026】
既知のデバイスでの状況とは対照的に、顎載置台を通したこの調整は、単に最初の粗調整であり、高さ方向Zに沿った微調整は、後に更に理解されるように、装置(カルーセル及びそのフレーム)の主要部の移動を通して達成される。
【0027】
次に、図5図7を考慮すると、カメラ8から受信される情報(記載のΔZ及びPD)に基づいて、第1の測定ヘッド51を第1の眼E1に位置決めするために、カルーセル4は、角度αだけ回転軸X’の周りで回転し、同時に高さ方向Zに沿って移動する。実際に、第1の測定ヘッド51の機器軸L1を眼球軸と正確に一致して位置決めするために、ヘッド又は機器51は、(測定PD値に応じて対象によって異なる)矢状面からの眼の距離及びヘッドの高さの位置決めを考慮する合成変位、点N1から点N2への経路Qに応じて図6に示すように概略化され得る変位を実行する必要がある。この軌道は、理論上、横方向Y1の運動成分と高さZ1の運動成分との間の合成の結果であり得るが、本発明によれば、回転αに起因する角度成分Ω2を考慮して、高さZ2の成分を追加することで十分である。
【0028】
従って、本発明による配置を用いて、カルーセルの支持体の横方向Yの変位は、正確な位置決めを保証するのに必要ではなく、代わりに、回転と組み合わされた高さ調整が使用されることが明らかである。大幅な構造上の単純化の可能性が伴う。
【0029】
適切に機能するために、横方向Yに従った光学ヘッドの進行軸が水平であるように光学ヘッドを位置決めする必要があり得るため、有利には、反対符号の逆回転(-β)を通して、カルーセルの所与の回転に起因する傾斜角β及び第1の眼に対する位置決めを回復するために、図7の図に示すように、光学ヘッドのそれぞれの軸Lnの周りの回転システムを光学ヘッドに装備することができる。
【0030】
眼は、検査中に自然に運動し、デバイスは、これらの運動を追跡して、測定ヘッド又は機器が正確な動作位置を保つことを可能にし得る必要がある。視線追跡システムにより、眼の座標をリアルタイムで記録し、制御システムに送信し、次に、制御システムは、相対的なセンタリング補正値を駆動ユニットに伝送する。次に、回転の微小運動及び高さ補償を通して、測定ヘッドは、検査される眼と正確に整列されたままとなる。
【0031】
更に、適切に機能するために、測定ヘッドを焦点状態で正確な作動距離に位置決めする必要がある。これは、深さ方向Xに沿った変位を駆動するために命令データを送信する自動焦点システムによって達成される。この深さ方向Xに沿った位置決め時間を短縮するために、機器又はヘッドは、図8に示すように、その集束面が同じ平面にあるようにカルーセル4に組み付けられ得、この状態は、機器毎の最適装着、機器自体の焦点特性に応じて同じ機器と、顎載置台及びレール領域における前面との間の距離Xanを区別することで達成されることが分かる。
【0032】
第1の測定ヘッド51を用いて検査を実行すると、様々なヘッド又は機器を分離する角度距離に応じて、場合により角度αと異なる(既知の)構成角度だけカルーセルが回転した状態で、上述のような他のヘッドを用いた測定に進む。
【0033】
上述の光学ヘッド5nの各々について、相対的なコードが、初期位置決め時に記録された瞳孔間距離に対応するように、カルーセルを角度δだけ回転させることにより、第1の眼から第2の眼への移行が生じる(図9)。また、この場合、回転運動及び高さ調整の組み合わせは、横方向Yのシフトを行うカルーセル支持体の必要なく、その方向に従う運動成分で軌道を判定する。図9に再度示すように、上述の実施形態によれば、ヘッド5nは、横方向Yにおけるそれ自体の水平の状態を維持することができる角度δだけヘッド自体の各光軸Lnの周りで回転され得る。
【0034】
本開示の有利な態様が、多数の異なる機器を使用し、様々な光学経路間並びに重量及び寸法の合理的配分に干渉することなく、様々な空間調整で高速検査セッションを保証することをどのように可能にするかは、容易に理解されるであろう。
【0035】
デバイス又は機器の数に加えて、デバイス又は機器は、そのタイプ及び性質において明らかに異なり得、特定の必要性及び目的の用途に応じて異なる組み合わせを有する異なるデバイスを形成することができる。
【0036】
特に、網羅的でない非限定的な例として、機器又は光学ヘッドは、以下のうちから選択され得る:
角膜トポグラファー、
トポグラフィー収差計(Topo-aberrometer)、
断層撮影トポグラファー(Tomo-topographer)(トポグラファーを有するシャインプルーフカメラ)、
断層撮影装置(シャインプルーフカメラのみ)、
収差計、
空気噴出眼圧計、
眼底カメラ、
自動屈折計、
内皮顕微鏡。
【0037】
ヘッド/機器は、有利には、機能的に独立したままにされ得るが、また適切な回路及び制御システムを通して協働するように統合されるか又は他にそのようにされ得る。
【0038】
これまで、好ましい実施形態を参照して本発明が説明された。添付の特許請求の範囲の保護の範囲内に入る、同じ発明上の核心に関連する他の形態の実施形態が存在し得ることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2022-10-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の眼(E1、E2)の少なくとも1つの特性を測定又は評価するための、複数の光学機器又は光学ヘッド(5n)を含む眼科装置であって、各機器又はヘッド(5n)は、各々のそれ自体の光軸(Ln)を有し、前記機器又はヘッド(5n)は、フレームであって、水平な表面上に載置するための載置面(1a)を画定するベース(1)と、前記載置面(1a)に平行な回転軸(X’)の周りで前記フレームに対して回転可能なカルーセル(4)とを含むフレームに装着され、前記機器又はヘッド(5n)は、それらのそれぞれの光軸(Ln)が前記回転軸(X’)に平行であるように前記カルーセル(4)に配置され、前記装置は、駆動及び制御手段を含み、前記カルーセル(4)は、前記回転軸(X’)が、少なくとも前記載置面(1a)と直交する高さ方向(Z)に対して移動可能であるように前記フレーム(10)によって支持され、前記制御手段は、前記回転軸(X’)の周りの前記カルーセルの回転と、前記高さ方向(Z)に沿った前記軸の変位とを組み合わせる前記ヘッド又は機器の位置調整により、前記載置面(1a)に平行であり、及び前記回転軸(X’)と直交する横方向(Y)に従い、前記ヘッド又は機器と患者の眼との選択的な光学的整列を実行するように構成され、前記カルーセル(4)は、前記回転軸(X’)が前記横方向(Y)に対して前記フレームに固定されるように前記フレーム(10)によって支持され、前記機器又はヘッド(5n)の少なくとも1つは、それ自体の機器光軸(Ln)の周りで前記カルーセル(4)に対して回転可能であるように前記カルーセル(4)に装着され、前記機器又はヘッドは、前記機器光軸(Ln)の周りの逆回転(-β)により、前記カルーセルの対応する回転に起因して取られる傾斜角(β)を回復するように適合される、眼科装置。
【請求項2】
前記高さ方向(Z)に移動可能であり、及び前記制御手段によって制御される、前記患者の頭部を支持するための顎載置手段(6、7)を含み、前記機器又はヘッド(5n)の少なくとも1つは、画像キャプチャ及び顔認識手段(8)を含み、前記制御手段は、キャプチャされた画像を処理して、前記高さ方向(Z)及び前記横方向(Y)に従って前記患者の両眼の座標を記録するのに適している、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記制御手段は、瞳孔間距離(PD)と、前記顎載置手段(6、7)に設けられた基準マーク(7a)に対する前記眼の差分高さ(ΔZ)とを前記眼座標から取得するのに適しており、及び前記機器又はヘッド(5n)の前記光軸(Ln)を前記患者の眼と整列させるために、前記顎載置手段(6、7)の微調整変位、前記カルーセルの回転及び前記高さ方向(Z)におけるその変位を前記瞳孔間距離(PD)及び前記差分高さ(ΔZ)に基づいて判定するように構成される、請求項に記載の装置。
【請求項4】
前記カルーセル(4)は、前記回転軸(X’)が、前記載置面(1a)及び前記カルーセルの前記回転軸(X’)に平行な深さ方向(X)に対しても移動可能であるように前記フレーム(10)によって支持される、請求項1~のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記フレームは、前記ベース(1)の足部(2)から立ち上がる柱(3)であって、前記カルーセル(4)が枢動可能に接続される柱(3)を含み、前記柱(3)は、前記高さ調整方向(Z)及び深さ調整方向(X)に従って前記足部(2)に対して移動可能である、請求項に記載の装置。
【請求項6】
前記機器又はヘッド(5n)は、前記カルーセル(4)の周囲に沿って不等角度間隔で配置される、請求項1~のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記機器又はヘッド(5n)は、前記カルーセル(4)の前記周囲に沿って等角度間隔で配置される、請求項1~のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記カルーセル(4)は、円形の周囲を有する、請求項1~のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記機器又はヘッド(5n)は、前記回転軸(X’)と直交する前記カルーセル(4)の平面(4a)の上に配置される、請求項に記載の装置。
【請求項10】
前記機器又はヘッド(5n)は、例えば、角膜トポグラファー、トポグラフィー収差計、断層撮影トポグラファー、断層撮影装置、収差計、空気噴出眼圧計、眼底カメラ、自動屈折計、内皮顕微鏡から選択される、請求項1~のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記機器又はヘッド(5n)は、互いに機能的に独立しているように構成される、請求項1~10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
複数の光学機器又は光学ヘッド(5n)を含む眼科装置の光学機器又は光学ヘッド(5n)を患者の眼と光学的に整列させる方法であって、各機器又はヘッド(5n)は、各々のそれ自体の光軸(Ln)を有し、前記機器又はヘッド(5n)は、フレームであって、水平な表面上の載置面(1a)を画定するベース(1)と、前記載置面(1a)に平行な回転軸(X’)の周りで前記フレームに対して回転可能なカルーセル(4)とを含むフレームに装着され、前記機器又はヘッド(5n)は、それらのそれぞれの光軸(Ln)が前記回転軸(X’)に平行であるように配置され、前記装置は、駆動及び制御手段を含み、前記カルーセル(4)は、前記回転軸(X’)が、前記載置面(1a)と直交する高さ方向(Z)に対してのみ移動可能であるように前記フレーム(10)によって支持され、前記方法は、前記回転軸(X’)の周りの前記カルーセルの回転と、前記高さ方向(Z)に沿った前記軸の変位とを組み合わせる前記ヘッド又は機器の位置調整により、前記載置面(1a)に平行であり、及び前記回転軸(X’)と直交する横方向(Y)に従い、前記ヘッド又は機器と患者の眼との選択的な光学的整列を実行することを提供し、前記機器又はヘッド(5n)の少なくとも1つは、それ自体の機器光軸(Ln)の周りで前記カルーセル(4)に対して回転され、前記機器光軸(Ln)の周りの逆回転(-β)により、前記カルーセルの対応する回転に起因して取られる傾斜角(β)を回復する、方法。
【国際調査報告】