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特表2024-504240安定した細胞株を用いた生物製剤製造のための厳密に制御された誘導性発現系
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-31
(54)【発明の名称】安定した細胞株を用いた生物製剤製造のための厳密に制御された誘導性発現系
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/63 20060101AFI20240124BHJP
   C12N 15/867 20060101ALI20240124BHJP
   C12N 15/864 20060101ALI20240124BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240124BHJP
   A61K 31/7048 20060101ALI20240124BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20240124BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240124BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20240124BHJP
   A61K 35/12 20150101ALI20240124BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20240124BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240124BHJP
   A61K 39/00 20060101ALI20240124BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240124BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20240124BHJP
   C07K 14/00 20060101ALN20240124BHJP
   C07H 17/075 20060101ALN20240124BHJP
【FI】
C12N15/63 100Z
C12N15/867 Z ZNA
C12N15/864 100Z
C12N5/10
A61K31/7048
A61K31/7088
A61K48/00
A61K35/76
A61K35/12
A61K47/68
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61K39/00 H
A61P43/00 111
A61P31/00
C07K14/00
C07H17/075
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023534145
(86)(22)【出願日】2022-01-06
(85)【翻訳文提出日】2023-07-27
(86)【国際出願番号】 CA2022050010
(87)【国際公開番号】W WO2022147617
(87)【国際公開日】2022-07-14
(31)【優先権主張番号】63/134,816
(32)【優先日】2021-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595006223
【氏名又は名称】ナショナル リサーチ カウンシル オブ カナダ
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ギルバート, レナルド
(72)【発明者】
【氏名】ブルソー, ソフィー
(72)【発明者】
【氏名】ギルボー, クレア
(72)【発明者】
【氏名】ルクレール, メラニー
(72)【発明者】
【氏名】リトヴィン, ヴィクトリア
(72)【発明者】
【氏名】シモノー, メラニー
【テーマコード(参考)】
4B065
4C057
4C076
4C084
4C085
4C086
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AB01
4B065BA02
4B065CA43
4B065CA44
4B065CA45
4C057BB02
4C057DD03
4C057KK09
4C076AA94
4C076CC29
4C076CC41
4C076EE41
4C076EE59
4C076FF34
4C084AA13
4C084NA14
4C084ZB32
4C084ZC41
4C085AA03
4C085AA13
4C085AA14
4C085DD62
4C085EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA11
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA13
4C086NA14
4C086ZB32
4C086ZC41
4C087AA01
4C087AA02
4C087CA12
4C087CA20
4C087NA13
4C087NA14
4C087ZB32
4C087ZC41
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045DA86
4H045EA20
4H045FA74
4H045GA21
(57)【要約】
本開示は、組換えタンパク質、ワクチン又はウイルスベクター等の生物製剤の産生を含む、1つ又は複数の目的のRNA又はタンパク質の誘導性産生に有用な、厳密に制御された誘導性発現系に関する。また、前記RNA又はタンパク質の産生に有用な細胞株及びキット、並びに前記細胞株の作製方法及び前記RNA又はタンパク質の産生を誘導する方法も提供する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)構成的プロモーター及びポリアデニル化シグナルに作動可能に連結されたクメートリプレッサータンパク質をコードする核酸分子を含む第1の発現カセット;
b)クメート誘導性プロモーター及びポリアデニル化シグナルに作動可能に連結されたクメルマイシンキメラトランスアクチベータータンパク質をコードする核酸分子を含む第2の発現カセット;並びに
c)
i)クメルマイシン誘導性プロモーター、クローニング部位、及びポリアデニル化シグナルを含み、前記クローニング部位が、前記クメルマイシン誘導性プロモーター及び前記ポリアデニル化シグナルと作動可能に連結された第1の目的のRNA若しくはタンパク質をコードする核酸分子を挿入するためのものである、核酸分子、又は
ii)クメルマイシン誘導性プロモーター及びポリアデニル化シグナルと作動可能に連結された、第1の目的のRNA若しくはタンパク質をコードする核酸分子
を含む第3の発現カセット
を含む、誘導性発現系。
【請求項2】
前記構成的プロモーターが、ヒトユビキチンC(UBC)プロモーター、ヒト伸長因子1α(EF1A)プロモーター、ヒトホスホグリセレートキナーゼ1(PGK)プロモーター、シミアンウイルス40初期プロモーター(SV40)、β-アクチンプロモーター、サイトメガロウイルス即時初期プロモーター(CMV)、ハイブリッドCMVエンハンサー/β-アクチンプロモーター(CAG)、及びそれらのバリアントからなる群から選択される、請求項1に記載の発現系。
【請求項3】
前記クメートリプレッサータンパク質が、配列番号2に記載のアミノ酸配列若しくはその機能性バリアントを含むか、又は配列番号1に記載のヌクレオチド配列若しくはその機能性バリアントを含む核酸分子によってコードされる、請求項1又は請求項2に記載の発現系。
【請求項4】
前記クメート誘導性プロモーターが、配列番号5に記載のヌクレオチド配列又はその機能性バリアントを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の発現系。
【請求項5】
前記クメルマイシンキメラトランスアクチベータータンパク質が、配列番号14に記載のアミノ酸配列若しくはその機能性バリアントを含むか、又は配列番号13に記載のヌクレオチド配列若しくはその機能性バリアントを有する核酸分子によってコードされる、請求項1~4のいずれか一項に記載の発現系。
【請求項6】
前記クメルマイシン誘導性プロモーターが、配列番号9に記載のヌクレオチド配列若しくはその機能性バリアントを含むか、又は配列番号10に記載のヌクレオチド配列若しくはその機能性バリアントを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の発現系。
【請求項7】
前記クメルマイシン誘導性プロモーターが、三分割リーダー(TPL)及び/又は主要後期プロモーター(MLP)エンハンサーをさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の発現系。
【請求項8】
前記クメルマイシン誘導性プロモーターが、配列番号11に記載のヌクレオチド配列又はその機能性バリアントを含む、請求項7に記載の発現系。
【請求項9】
前記クメルマイシン誘導性プロモーターがヒトβグロビンイントロンをさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の発現系。
【請求項10】
前記クメルマイシン誘導性プロモーターが、配列番号12に記載のヌクレオチド配列又はその機能性バリアントを含む、請求項9に記載の発現系。
【請求項11】
前記第3の発現カセットが、クメルマイシン誘導性プロモーター及びポリアデニル化シグナルに作動可能に連結された、第1の目的のRNA又はタンパク質をコードする核酸分子を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の発現系。
【請求項12】
前記第3の発現カセットが組換えタンパク質をコードする、請求項11に記載の発現系。
【請求項13】
プロモーター及びポリアデニル化シグナルに作動可能に連結された、第2の目的のRNA又はタンパク質をコードする核酸分子を含む、第4の発現カセットをさらに含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の発現系。
【請求項14】
プロモーター及びポリアデニル化シグナルに作動可能に連結された、第3の目的のRNA又はタンパク質をコードする核酸分子を含む、第5の発現カセットをさらに含む、請求項13に記載の発現系。
【請求項15】
前記第4及び/又は第5の発現カセットのプロモーターがクメルマイシン誘導性プロモーターである、請求項13又は14に記載の発現系。
【請求項16】
前記第4及び/又は第5発現カセットのプロモーターが構成的プロモーターである、請求項15に記載の発現系。
【請求項17】
ウイルスベクターの1つ又は複数の構成要素をコードする、請求項11~14のいずれか一項に記載の発現系。
【請求項18】
前記第3の発現カセットがレンチウイルスREVタンパク質をコードし、前記第4の発現カセットのプロモーターがクメルマイシン誘導性プロモーターであり、前記第4の発現カセットがウイルスエンベロープタンパク質をコードし、前記第5の発現カセットがレンチウイルスGag/polをコードする、請求項14~17のいずれか一項に記載の発現系。
【請求項19】
前記第3の発現カセットがウイルスエンベロープタンパク質をコードし、前記第4の発現カセットのプロモーターがクメルマイシン誘導性プロモーターであり、前記第4の発現カセットがレンチウイルスGag/polをコードし、前記第5の発現カセットがレンチウイルスREVタンパク質をコードする、請求項14~17のいずれか一項に記載の発現系。
【請求項20】
前記ウイルスエンベロープタンパク質がVSVgであり、任意選択でVSVg-Q96H-I57Lである、請求項18又は19に記載の発現系。
【請求項21】
前記第3の発現カセットがRep40又はRep52をコードし、前記第4の発現カセットがRep68又はRep78をコードし、前記第4の発現カセットがクメルマイシン誘導性プロモーターの制御下にある、請求項13~17のいずれか一項に記載の発現系。
【請求項22】
前記第3の発現カセットがRep52をコードし、前記第4の発現カセットがRep68をコードし、前記第5の発現カセットがRep78をコードし、前記第4及び第5の発現カセットがクメルマイシン誘導性プロモーターの制御下にある、請求項14~17のいずれか一項に記載の発現系。
【請求項23】
前記第3の発現カセットが抗体重鎖又はその一部をコードし、前記第4の発現カセットが抗体軽鎖又はその一部をコードする、請求項13~16のいずれか一項に記載の発現系。
【請求項24】
目的のRNA又はタンパク質を産生するための哺乳動物細胞を作製する方法であって、
a)哺乳動物細胞に、請求項11~23のいずれか一項に記載の発現系及び選択可能マーカーを導入するステップ;並びに
b)前記選択可能マーカーを保有する細胞を選択するために細胞に選択圧をかけることにより、前記発現系を保持する細胞を選択し、目的のウイルスベクター、RNA又はタンパク質を産生するための哺乳動物細胞を作製するステップ
を含む、方法。
【請求項25】
c)前記発現系を含む個々の細胞を単離するステップ;及び
d)前記個々の細胞を培養して、前記発現系を含む細胞集団を作製するステップ
をさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
目的のRNA又はタンパク質を産生するための哺乳動物細胞を作製する方法であって、
a)哺乳動物細胞に、請求項1~23のいずれか一項に記載の発現系の第1の発現カセットと、第1の選択可能マーカーとを導入するステップ;
b)第1の選択可能マーカーを保有する細胞を選択するために細胞に選択圧をかけることにより、前記第1の発現カセットを保有する細胞を選択するステップ;
c)前記第1の発現カセットを含む第1の個々の細胞を単離するステップ;
d)前記第1の個々の細胞を培養して、前記第1の発現カセットを含む第1の細胞集団を得るステップ;
e)前記第1の細胞集団の細胞に、請求項1~23のいずれか一項に記載の発現系の第2の発現カセット及び第2の選択可能マーカーを導入するステップ;
f)第2の選択可能マーカーを保有する細胞を選択するために細胞に選択圧をかけることにより、第2の発現カセットを保有する細胞を選択するステップ;
g)前記第2の発現カセットを含む第2の個々の細胞を単離するステップ;
h)前記第2の個々の細胞を培養して、前記第2の発現カセットを含む第2の細胞集団を得るステップ;
i)前記第2の細胞集団の細胞に、請求項11~23のいずれか一項に記載の発現系の第3の発現カセット及び第3の選択可能マーカーを導入するステップ;
j)第3の選択可能マーカーを保持する細胞を選択するために細胞に選択圧をかけることにより、前記第3の発現カセットを保有する細胞を選択するステップ;
k)前記第3の発現カセットを含む第3の個々の細胞を単離するステップ;
l)前記第3の個々の細胞を培養して、前記第3の発現カセットを含む第3の細胞集団を得ることによって、目的のRNA又はタンパク質を産生するための哺乳動物細胞を作製するステップ
を含む、方法。
【請求項27】
請求項13~23のいずれか一項に記載の発現系の第4の発現カセット、及び任意選択で請求項14~23のいずれか一項に記載の発現系の第5の発現カセットが、ステップi)において、又はステップl)の後に細胞に導入される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
目的のRNA又はタンパク質を産生するための哺乳動物細胞を作製する方法であって、
a)哺乳動物細胞に、請求項1~23のいずれか一項に記載の発現系の第1の発現カセット、請求項1~23のいずれか一項に記載の発現系の第2の発現カセット、及び第1の選択可能マーカーを導入するステップ;
b)前記第1の選択可能マーカーを保有する細胞を選択するために細胞に選択圧をかけるステップ;
c)前記第1の発現カセット及び第2の発現カセットを含む第1の個々の細胞を単離するステップ;
d)前記第1の個々の細胞を培養して、前記第1の発現カセット及び前記第2の発現カセットを含む細胞の第1の集団を得るステップ;
e)前記第1の細胞集団の細胞に、請求項11~23のいずれか一項に記載の発現系の第3の発現カセット及び第2の選択可能マーカーを導入するステップ;
f)前記第2の選択可能マーカーを保有する細胞を選択するために細胞に選択圧をかけるステップ;
g)前記第3の発現カセットを含む第2の個々の細胞を単離するステップ;
h)前記第2の個々の細胞を培養して、前記第3の発現カセットを含む第2の細胞集団を得ることによって、目的のRNA又はタンパク質の産生のための哺乳動物を作製するステップ
を含む、方法。
【請求項29】
請求項13~23のいずれか一項に記載の発現系の第4の発現カセット、及び任意選択で請求項14~23のいずれか一項に記載の発現系の第5の発現カセットが、ステップe)において、又はステップh)の後に細胞に導入される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記発現系又は発現系の1つ若しくは複数の発現カセットが、トランスフェクション、形質導入、感染、エレクトロポレーション、ソノポレーション、ヌクレオフェクション、又はマイクロインジェクションによって細胞に導入される、請求項24~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
請求項24~30のいずれか一項に記載の方法により作製された細胞。
【請求項32】
請求項11~23のいずれか一項に記載の発現系を含む細胞。
【請求項33】
ヒト細胞であり、任意選択で、DEヒト胚性腎臓(HEK)-293細胞又はその誘導体である、請求項31又は32に記載の細胞。
【請求項34】
チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞若しくはその誘導体、VERO細胞若しくはその誘導体、HeLa細胞若しくはその誘導体、A549細胞若しくはその誘導体、幹細胞若しくはその誘導体、又はニューロン若しくはその誘導体である、請求項31又は32に記載の細胞。
【請求項35】
目的のRNA又はタンパク質を産生する方法であって、クメートエフェクター分子及びクメルマイシンエフェクター分子の存在下で、請求項31~34のいずれか一項に記載の細胞を培養するステップを含み、請求項31~34のいずれか一項に記載の細胞の発現系の第3の発現カセットが目的のRNA又はタンパク質をコードし、目的のRNA又はタンパク質が産生される、方法。
【請求項36】
前記クメートエフェクター分子がクメートであり、任意選択で、クメートが約1~約200μg/ml、約50~約150μg/ml、又は約100μg/mlの濃度で存在する、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記クメルマイシンエフェクター分子がクメルマイシンであり、任意選択で、クメルマイシンが約1~約30nM、約5~約20nM、又は約10nMの濃度で存在する、請求項35又は36に記載の方法。
【請求項38】
前記細胞が、懸濁液中及び/又は血清非存在下で増殖される、請求項35~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
請求項17~22のいずれか一項に記載の発現系を含むウイルスパッケージング細胞。
【請求項40】
請求項18~20のいずれか一項に記載の発現系を含むレンチウイルスパッケージング細胞である、請求項39に記載のウイルスパッケージング細胞。
【請求項41】
請求項21又は22に記載の発現系を含むアデノ随伴ウイルス(AAV)パッケージング細胞である、請求項39に記載のウイルスパッケージング細胞。
【請求項42】
目的の遺伝子を有するウイルス構築物をさらに含む、請求項39~41のいずれか一項に記載のウイルスパッケージング細胞。
【請求項43】
ウイルスベクターを製造する方法であって、
a)請求項39~41のいずれか一項に記載のウイルスパッケージング細胞に、目的の遺伝子を保有するウイルス構築物を導入するか、又は請求項42に記載のウイルスパッケージング細胞を得るステップ;並びに
b)クメートエフェクター分子及びクメルマイシンエフェクター分子の存在下で前記細胞を培養することによりウイルスベクターを産生するステップ
を含む、方法。
【請求項44】
前記クメートエフェクター分子がクメートである、及び/又は前記クメルマイシンエフェクター分子がクメルマイシンである、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記ウイルスパッケージング細胞が、懸濁液中及び/又は血清非存在下で増殖される、請求項43又は44に記載の方法。
【請求項46】
選択可能マーカーがウイルス構築物を有する細胞に導入され、前記方法が、前記選択可能マーカーを保有する細胞を選択するために選択圧をかけるステップ、及び任意選択で、前記ウイルス構築物を含む個々の細胞を単離し、前記ウイルス構築物を含む前記個々の細胞を培養して、前記ウイルス構築物を含む細胞集団を得るステップをさらに含む、請求項43~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記細胞が請求項40に記載のレンチウイルスパッケージング細胞であり、前記ウイルス構築物がレンチウイルス構築物である、請求項43~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記細胞が請求項41に記載のAAVパッケージング細胞であり、前記ウイルス構築物がAAV構築物である、請求項43~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
発現可能な哺乳動物細胞株を作製する方法であって、
a)哺乳動物細胞に、請求項1~23のいずれか一項に記載の発現系の第1の発現カセット、請求項1~23のいずれか一項に記載の発現系の第2の発現カセット、及び第1の選択可能マーカーを導入するステップ;
b)第1の選択可能マーカーを保有する細胞を選択するために細胞に選択圧をかけることにより、前記発現系の前記第1及び第2の発現カセットを保有する細胞を選択するステップ;
c)個々の細胞を単離するステップ;並びに
d)前記個々の細胞を培養して細胞株を作製することによって、発現可能な哺乳動物細胞株を作製するステップ
を含む、方法。
【請求項50】
発現可能な哺乳動物細胞株を作製する方法であって、
a)哺乳動物細胞に、請求項1~23のいずれか一項に記載の発現系の第1の発現カセット及び第1の選択可能マーカーを導入するステップ;
b)前記第1の選択可能マーカーを保有する細胞を選択するために細胞に選択圧をかけることにより、前記第1の発現カセットを保有する細胞を選択するステップ;
c)前記第1の発現カセットを含む第1の個々の細胞を単離するステップ;
d)前記第1の細胞を培養して、前記第1の発現カセットを含む第1の細胞集団を得るステップ;
e)前記第1の細胞集団の細胞に、請求項1~23のいずれか一項に記載の発現系の第2の発現カセット及び第2の選択可能マーカーを導入するステップ;
f)前記第2の選択可能マーカーを保有する細胞を選択するために細胞に選択圧をかけることによって、第2の発現カセットを有する細胞を選択するステップ;
g)前記第2の発現カセットを含む第2の個々の細胞を単離するステップ;並びに
h)前記第2の個々の細胞を培養し、前記第2の発現カセットを含む細胞の第2の集団を得ることによって、発現可能な哺乳動物細胞株を作製するステップ
を含む、方法。
【請求項51】
請求項1~23のいずれか一項に記載の発現系の第1の発現カセット及び請求項1~23のいずれか一項に記載の発現系の第2の発現カセットを含む、哺乳動物細胞。
【請求項52】
ヒト細胞であり、任意選択で、ヒト胚性腎臓(HEK)-293細胞又はその誘導体である、請求項51に記載の哺乳動物細胞。
【請求項53】
目的のRNA又はタンパク質を産生する方法であって、
a)請求項1~23のいずれか一項に記載の発現系の第1の発現カセットと請求項1~23のいずれか一項に記載の発現系の第2の発現カセットとを含む細胞に、請求項11~23のいずれか一項に記載の発現系の第3の発現カセットと選択可能マーカーとを導入するステップ;
b)前記選択可能マーカーを保有する細胞を選択するために細胞に選択圧をかけることにより、前記発現系の第1、第2及び第3の発現カセットを保有する細胞を選択するステップ;並びに
c)任意選択で、第1、第2及び第3の発現カセットを含む個々の細胞を単離し;前記個々の細胞を培養して、第1、第2及び第3の発現カセットを含む細胞集団を生成するステップ;
d)クメートエフェクター分子及びクメルマイシンエフェクター分子の存在下で、第1、第2及び第3の発現カセットを含む細胞を培養し、ここで目的のRNA又はタンパク質が産生される、ステップ
を含む、方法。
【請求項54】
前記クメートエフェクター分子がクメートであり、及び/又は前記クメルマイシンエフェクター分子がクメルマイシンである、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記細胞が、懸濁液中及び/又は血清非存在下で増殖される、請求項53又は54に記載の方法。
【請求項56】
a)請求項1~23のいずれか一項に記載の発現系の第1の発現カセットを含む第1のプラスミド;
b)請求項1~23のいずれか一項に記載の発現系の第2の発現カセットを含む第2のプラスミド;及び
c)請求項1~23のいずれか一項に記載の発現系の第3の発現カセットを含む第3のプラスミド
を含む、キット。
【請求項57】
請求項51又は52に記載の細胞、及び請求項1~23のいずれか一項に記載の発現系の第3の発現カセットを含むプラスミドを含む、キット。
【請求項58】
前記第3の発現カセットが、クメルマイシン誘導性プロモーター、クローニング部位、及びポリアデニル化シグナルを含み、前記クローニング部位が、クメルマイシン誘導性プロモーター及びポリアデニル化シグナルと作動可能に連結された第1の目的のRNA又はタンパク質をコードする核酸分子を挿入するためのものである、請求項56又は57に記載のキット。
【請求項59】
前記第3の発現カセットが、クメルマイシン誘導性プロモーター及びポリアデニル化シグナルと作動可能に連結された、第1の目的のRNA又はタンパク質をコードする核酸分子を含む、請求項56又は57に記載のキット。
【請求項60】
請求項39~41のいずれか一項に記載の細胞、及びウイルス構築物を含むキット。
【請求項61】
前記クメートエフェクター分子、任意選択でクメート、及び/又はクメルマイシンエフェクター分子、任意選択でクメルマイシンをさらに含む、請求項56~60のいずれか一項に記載のキット。
【請求項62】
請求項31~34及び39~42のいずれか一項に記載の細胞、並びにクメートエフェクター分子、任意選択でクメート、及び/又はクメルマイシンエフェクター分子、任意選択でクメルマイシンを含む、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0003]本開示は、哺乳動物細胞における1つ又は複数の目的のRNA又はタンパク質の誘導性発現のための遺伝子発現系に関する。また、哺乳動物細胞における組換えタンパク質、ワクチン、又はウイルスベクターのような生物製剤の誘導性の産生のための細胞株及び方法も開示する。
【背景技術】
【0002】
[0004]組換えタンパク質、ワクチン、ウイルスベクター等の様々な生物学的産物は、培養哺乳動物細胞を用いて臨床応用のために産生されることが多い。トランスフェクション又は感染を必要とすることなく、このような生物学的産物を効率的に産生する能力を有する細胞株が利用可能であることによって、製造プロセスを非常に容易にする。しかしながら、これらの生物学的製剤を構成する構成要素の中には細胞毒性を持つものがあるため、そのような細胞株を作製することは困難であることがしばしばである。その結果、これらの構成要素が構成的に合成されることで、細胞の適切な増殖が妨げられる。このような細胞は不安定であるか、又は生成物の産生量が少ない。したがって製造には適さない。
【0003】
[0005]安定な細胞株を用いて細胞毒性を有する生物学的製剤を産生するためには、テトラサイクリン遺伝子スイッチ(Gossen and Bujard、1992)、クメート(cumate)遺伝子スイッチ(Mullick et al.,2006)又はクメルマイシン遺伝子スイッチ(Zhao et al.、2003)等の誘導性発現系を用いて、その遺伝子の転写を制御する必要がある。このような誘導性発現系では、細胞の単離と増殖の間、生物学的生成物をコードする遺伝子の転写は不活性である(発現系はオフになっている)。生物学的産物の合成が必要になると、インデューサー(例えばドキシサイクリン又はクメート)を添加することにより転写が活性化される(発現系がオンになる)。誘導性発現系を使用するためには、細胞は遺伝子スイッチの調節エレメントをコードする遺伝子(複数可)、例えばトランスアクチベーター又はリプレッサーを染色体に組み込まなければならない。
【0004】
[0006]いくつかの誘導性発現系が開発されている(例えば、クメート、テトラサイクリン及びクメルマイシン遺伝子スイッチ)。いくつかの誘導性発現系の主な欠点は、その漏出性(目的の遺伝子が誘導なしでも低レベルで転写される)、及び/又は有効性が軽度であること(誘導された場合、発現系が弱い遺伝子発現しか与えない)である。
【発明の概要】
【0005】
[0007]本開示は、クメルマイシン遺伝子スイッチ(Zhao et al.,2003)とクメート遺伝子スイッチ(Mullick et al.,2006)とを組み合わせて、標的遺伝子発現の二重調節及び漏出性の低減を提供することにより、1つ又は複数の目的のRNA又はタンパク質の誘導性発現のための発現系を提供する。本発明者らは、構成的プロモーターによって制御されるCymR遺伝子、及びクメート誘導性プロモーターの制御下にあるλR-GyrB遺伝子を用いて、この二重スイッチ発現系を実証した。したがって、λR-GyrBの転写はクメート遺伝子スイッチによって制御された。クメート非存在下では、CymRリプレッサーはクメート誘導性プロモーターCMV5CuOに結合し、λR-GyrBの転写を阻害した。λR-GyrB遺伝子の転写(したがってλR-GyrBトランスアクチベーターの産生)は、クメートの添加によって誘導され、CymRはCMV5CuOプロモーターから放出された。この遺伝子発現系では、産生される生物学的産物(複数可)をコードする遺伝子(複数可)の転写は、クメルマイシン誘導性プロモーター12xlambda-CMVmin(又は12xlambda-TPL、或いはこれらのプロモーターの変異体)によって制御された。このプロモーターはλR-GyrBの二量体の結合によって活性化された。λR-GyrBはクメルマイシンの存在下で二量体を形成した。クメルマイシンの非存在下では、λR-GyrBは単量体のままで、12xlambda-CMVminに結合せず、その結果12xlambda-CMVminからの転写を活性化しなかった。まとめると、クメート/クメルマイシン二重遺伝子スイッチでは、誘導は2つのインデューサー:クメート(CymRによる阻害を解除し、λR-GyrBの合成を可能にする)、及びλR-GyrBの二量体化及び12xlambda-CMVminからの転写を可能にするクメルマイシンを添加することによって達成された。
【0006】
[0008]本開示の一態様は、以下を含む誘導性発現系を含む:構成的プロモーター及びポリアデニル化シグナルに作動可能に連結されたクメートリプレッサータンパク質をコードする核酸分子を含む第1の発現カセット;クメート誘導性プロモーター及びポリアデニル化シグナルに作動可能に連結されたクメルマイシンキメラトランスアクチベータータンパク質をコードする核酸分子を含む第2の発現カセット;並びに(i)クメルマイシン誘導性プロモーター、クローニング部位、及びポリアデニル化シグナルを含み、クローニング部位が、クメルマイシン誘導性プロモーター及びポリアデニル化シグナルと作動可能に連結された目的の第1のRNA若しくはタンパク質をコードする核酸分子を挿入するためのものである、核酸分子、又は(ii)クメルマイシン誘導性プロモーター及びポリアデニル化シグナルと作動可能に連結された、目的の第1のRNA若しくはタンパク質をコードする核酸分子、を含む第3の発現カセット。
【0007】
[0009]一実施形態において、構成的プロモーターは、ヒトユビキチンC(UBC)プロモーター、ヒト伸長因子1α(EF1A)プロモーター、ヒトホスホグリセレートキナーゼ1(PGK)プロモーター、シミアンウイルス40初期プロモーター(SV40)、β-アクチンプロモーター、サイトメガロウイルス即時初期プロモーター(CMV)、ハイブリッドCMVエンハンサー/β-アクチンプロモーター(CAG)、及びそれらのバリアントからなる群から選択される。
【0008】
[0010]一実施形態において、クメートリプレッサータンパク質は、配列番号2に記載のアミノ酸配列若しくはその機能的バリアントを含むか、又は配列番号1に記載のヌクレオチド配列若しくはその機能的バリアントを含む核酸分子によってコードされる。
【0009】
[0011]一実施形態において、クメート誘導性プロモーターは、配列番号5に記載のヌクレオチド配列又はその機能的バリアントを含む。
【0010】
[0012]一実施形態において、クメルマイシンキメラトランスアクチベータータンパク質は、配列番号14に記載のアミノ酸配列若しくはその機能的バリアントを含むか、又は配列番号13に記載のヌクレオチド配列若しくはその機能的バリアントを含む核酸分子によってコードされる。
【0011】
[0013]一実施形態において、クメルマイシン誘導性プロモーターは、配列番号9に記載のヌクレオチド配列若しくはその機能的バリアントを含むか、又は配列番号10に記載のヌクレオチド配列若しくはその機能的バリアントを含む。
【0012】
[0014]一実施形態において、クメルマイシン誘導性プロモーターは、三分割リーダー(TPL)及び/又は主要後期プロモーター(MLP)エンハンサーをさらに含む。一実施形態において、クメルマイシン誘導性プロモーターは、配列番号11に記載のヌクレオチド配列又はその機能的バリアントを含む。
【0013】
[0015]一実施形態において、クメルマイシン誘導性プロモーターは、ヒトβグロビンイントロンをさらに含む。一実施形態において、クメルマイシン誘導性プロモーターは、配列番号12に記載のヌクレオチド配列又はその機能的バリアントを含む。
【0014】
[0016]一実施形態において、第3の発現カセットは、クメルマイシン誘導性プロモーター及びポリアデニル化シグナルに作動可能に連結された、目的の第1のRNA又はタンパク質をコードする核酸分子を含む。一実施形態において、第3の発現カセットは組換えタンパク質をコードする。
【0015】
[0017]一実施形態において、発現系は、プロモーター及びポリアデニル化シグナルに作動可能に連結された、第2の目的のRNA又はタンパク質をコードする核酸分子を含む、第4の発現カセットをさらに含む。
【0016】
[0018]一実施形態において、発現系は、プロモーター及びポリアデニル化シグナルに作動可能に連結された、第3のRNA又は目的のタンパク質をコードする核酸分子を含む、第5の発現カセットをさらに含む。
【0017】
[0019]一実施形態において、第4及び/又は第5の発現カセットのプロモーターは、クメルマイシン誘導性プロモーターである。
【0018】
[0020]一実施形態において、第4及び/又は第5発現カセットのプロモーターは、構成的プロモーターである。
【0019】
[0021]一実施形態において、発現系は、ウイルスベクターの1つ又は複数の構成要素をコードする。
【0020】
[0022]一実施形態において、第3の発現カセットはレンチウイルスREVタンパク質をコードし、第4の発現カセットのプロモーターはクメルマイシン誘導性プロモーターであり、第4の発現カセットはウイルスエンベロープタンパク質をコードし、第5の発現カセットはレンチウイルスGag/polをコードする。一実施形態において、ウイルスエンベロープタンパク質はVSVgであり、任意選択でVSVg-Q96H-I57Lである。
【0021】
[0023]一実施形態において、第3の発現カセットはウイルスエンベロープタンパク質をコードし、第4の発現カセットのプロモーターはクメルマイシン誘導性プロモーターであり、第4の発現カセットはレンチウイルスGag/polをコードし、第5の発現カセットはレンチウイルスREVタンパク質をコードする。一実施形態において、ウイルスエンベロープタンパク質はVSVgであり、任意選択でVSVg-Q96H-I57Lである。
【0022】
[0024]一実施形態において、第3の発現カセットはRep40又はRep52をコードし、第4の発現カセットはRep68又はRep78をコードし、第4の発現カセットはクメルマイシン誘導性プロモーターの制御下にある。
【0023】
[0025]一実施形態において、第3の発現カセットはRep52をコードし、第4の発現カセットはRep68をコードし、第5の発現カセットはRep78をコードし、第4及び第5の発現カセットはクメルマイシン誘導性プロモーターの制御下にある。
【0024】
[0026]一実施形態において、第3の発現カセットは抗体重鎖又はその一部をコードし、第4の発現カセットは抗体軽鎖又はその一部をコードする。
【0025】
[0027]本開示の別の態様は、目的のRNA又はタンパク質を産生するための哺乳動物細胞を作製する方法を含む。一実施形態において、本方法は、哺乳動物細胞に本明細書に記載の発現系及び選択可能マーカーを導入するステップ、選択可能マーカーを保有する細胞を選択するために細胞に選択圧をかけることにより、発現系を保有する細胞を選択し、目的のRNA又はタンパク質の産生のための哺乳動物細胞を作製するステップを含む。
【0026】
[0028]一実施形態において、本方法は、選択可能マーカー及び発現系を保有する個々の細胞を単離するステップ;並びに個々の細胞を培養して、選択可能マーカー及び発現系を有する細胞集団を作成するステップをさらに含む。
【0027】
[0029]一実施形態において、本方法は以下を含む:a)哺乳動物細胞に、本明細書に記載の発現系の第1の発現カセット及び第1の選択可能マーカーを導入するステップ;b)第1の選択可能マーカーを保有する細胞を選択するために細胞に選択圧をかけることにより、第1の発現カセットを保有する細胞を選択するステップ;c)第1の発現カセットを含む第1の個々の集団を単離するステップ;d)第1の細胞を培養して第1の発現カセットを含む第1の細胞集団を得るステップ;e)第1の細胞集団の細胞に、本明細書に記載の発現系の第2の発現カセットと第2の選択可能マーカーを導入するステップ;f)第2の選択可能マーカーを保持する細胞を選択するために、細胞に選択圧をかけ、それによって第2の発現カセットを保持する細胞を選択するステップ;g)第2の発現カセットを含む第2の個々の細胞を単離するステップ;h)第2の個体細胞を培養して、第2の発現カセットを含む第2の細胞集団を得るステップ;i)第2の細胞集団の細胞に、本明細書に記載の発現系の第3の発現カセット及び第3の選択可能マーカーを導入するステップ;j)第3の選択可能マーカーを有する細胞を選択するために細胞に選択圧をかけることにより、第3の発現カセットを保有する細胞を選択するステップ;k)第3の発現カセットを含む第3の個々の細胞を単離するステップ;l)第3の個体細胞を培養して、第3の発現カセットを含む細胞の第3の集団を得ることによって、目的のRNA又はタンパク質の産生のための哺乳動物細胞を生成するステップ。
【0028】
[0030]一実施形態において、本明細書に記載の発現系の第4の発現カセット、及び任意選択で第5の発現カセットを、ステップi)又はステップl)の後に細胞に導入する。
【0029】
[0031]一実施形態において、目的のRNA又はタンパク質を産生するための哺乳動物細胞を作製する方法は、以下を含む:a)哺乳動物細胞に、本明細書に記載の発現系の第1の発現カセット、本明細書に記載の発現系の第2の発現カセット、及び第1の選択可能マーカーを導入するステップ;b)第1の選択可能マーカーを保有する細胞を選択するために細胞に選択圧をかけ、それにより第1及び第2の発現カセットを保有する細胞を選択するステップ;c)第1の発現カセット及び第2の発現カセットを含む第1の個々の細胞を単離するステップ;d)第1の発現カセット及び第2の発現カセットを含む第1の細胞集団を得るために個々の細胞を培養すること;e)第1の細胞集団の細胞に、本明細書に記載の発現系の第3の発現カセット及び第2の選択可能マーカーを導入するステップ;f)第2の選択可能マーカーを保有する細胞を選択するために細胞に選択圧を加えて、それにより第3の発現カセットを有する細胞を選択するステップ;g)第3の発現カセットを含む第2の個々の細胞を単離するステップ;h)第2の個々の細胞を培養して、第3の発現カセットを含む第2の細胞集団を得ることによって、目的のRNA又はタンパク質の産生のための哺乳動物細胞を作製するステップ。
【0030】
[0032]一実施形態において、本明細書に記載の発現系の第4の発現カセット、及び任意選択で本明細書に記載の発現系の第5の発現カセットを、ステップe)又はステップh)の後に細胞に導入する。
【0031】
[0033]一実施形態において、本明細書に記載の発現系又は発現系の1つ若しくは複数の発現カセットは、トランスフェクション、形質導入、感染、エレクトロポレーション、ソノポレーション、ヌクレオフェクション、又はマイクロインジェクションによって細胞に導入される。
【0032】
[0034]他の態様は、本明細書に記載の発現系を含む細胞、又は本明細書に記載の方法によって作製された細胞を含む。
【0033】
[0035]一実施形態において、細胞は、ヒト細胞、任意選択でヒト胚性腎臓(HEK)-293細胞若しくはその誘導体、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞若しくはその誘導体、VERO細胞若しくはその誘導体、HeLa細胞若しくはその誘導体、A549細胞若しくはその誘導体、幹細胞若しくはその誘導体、又はニューロン若しくはその誘導体である。
【0034】
[0036]他の態様は、目的のRNA又はタンパク質を産生する方法を含む。一実施形態において、本方法は、クメートエフェクター分子及びクメルマイシンエフェクター分子の存在下で、本明細書に記載の発現系を含む細胞を培養するステップを含み、ここで、細胞の発現系の第3の発現カセットが目的のRNA又はタンパク質をコードし、目的のRNA又はタンパク質が産生される。
【0035】
[0037]一実施形態において、クメートエフェクター分子はクメートであり、任意選択でクメートは約1~約200μg/ml、約50~約150μg/ml、又は約100μg/mlの濃度で存在する。
【0036】
[0038]一実施形態において、クメルマイシンエフェクター分子はクメルマイシンであり、任意選択で、クメルマイシンは約1~約30nM、約5~約20nM、又は約10nmの濃度で存在する。
【0037】
[0039]一実施形態において、細胞は懸濁液中及び/又は血清非存在下で増殖する。
【0038】
[0040]一態様は、本明細書に記載の発現系を含むウイルスパッケージング細胞を含む。一実施形態では、ウイルスパッケージング細胞はレンチウイルスパッケージング細胞である。他の実施形態では、ウイルスパッケージング細胞はアデノ随伴ウイルス(AAV)パッケージング細胞である。
【0039】
[0041]一実施形態において、ウイルスパッケージング細胞は、目的の遺伝子を保有するウイルス構築物をさらに含む。
【0040】
[0042]他の態様は、ウイルスベクターを産生する方法を含み、本方法は、本明細書に記載のウイルスパッケージング細胞に、目的の遺伝子を有するウイルス構築物を導入するステップ;並びにクメートエフェクター分子及びクメルマイシンエフェクター分子の存在下で細胞を培養することによりウイルスベクターを産生するステップを含む。
【0041】
[0043]一実施形態において、クメートエフェクター分子はクメートであり、及び/又はクメルマイシンエフェクター分子はクメルマイシンである。
【0042】
[0044]一実施形態において、ウイルスパッケージング細胞は、懸濁液中及び/又は血清の非存在下で増殖する。
【0043】
[0045]一実施形態において、選択可能マーカーは、ウイルス構築物と共にウイルスパッケージング細胞に導入され、本方法は、選択可能マーカーを保有する細胞を選択するために選択圧をかけ、それによってウイルス構築物を保有する細胞を選択するステップ、及び任意選択で、ウイルス構築物を含む個々の細胞を単離し、ウイルス構築物を含む個々の細胞を培養して、ウイルス構築物を含む細胞集団を得るステップをさらに含む。
【0044】
[0046]一実施形態において、ウイルスパッケージング細胞はレンチウイルスパッケージング細胞であり、ウイルス構築物はレンチウイルス構築物である。
【0045】
[0047]一実施形態において、ウイルスパッケージング細胞はAAVパッケージング細胞であり、ウイルス構築物はAAV構築物である。
【0046】
[0048]さらなる態様は、発現可能な哺乳動物細胞株を作製する方法を含む。一実施形態において、本方法は以下を含む:哺乳動物細胞に、本明細書に記載の発現系の第1の発現カセット、本明細書に記載の発現系の第2の発現カセット、及び第1の選択可能マーカーを導入するステップ;第1の選択可能マーカーを担持する細胞を選択するために細胞に選択圧をかけることにより、第1及び第2の発現カセットを保有する細胞を選択するステップ;第1及び第2の発現カセットを含む個々の細胞を単離するステップ;並びに個々の細胞を培養して第1及び第2の発現カセットを含む細胞株を作製することによって発現可能な哺乳動物細胞株を作製するステップ。
【0047】
[0049]一実施形態において、発現可能な哺乳動物細胞株を作製する方法は、以下を含む:哺乳動物細胞に、本明細書に記載の発現系の第1の発現カセット及び第1の選択可能マーカーを導入するステップ;第1の選択可能マーカーを保有する細胞を選択するために細胞に選択圧をかけることにより、第1の発現カセットを保有する細胞を選択するステップ;第1の発現カセットを含む第1の個々の細胞を単離するステップ;第1の個々の細胞を培養して、第1の発現カセットを含む第1の細胞集団を得るステップ;第1の細胞集団の細胞に、本明細書に記載の発現系の第2の発現カセット及び第2の選択可能マーカーを導入するステップ;細胞に選択圧をかけて、第2の選択可能マーカーを保有する細胞を選択するステップ;第2の発現カセットを含む第2の個々の細胞を単離するステップ;並びに第2の個々の細胞を培養して、第2の発現カセットを含む第2の細胞集団を得ることによって、発現可能な哺乳動物細胞株を得ること。
【0048】
[0050]他の態様は、本明細書に記載の発現系の第1の発現カセット及び本明細書に記載の発現系の第2の発現カセットを含む哺乳動物細胞を含む。
【0049】
[0051]一実施形態において、細胞はヒト細胞、任意選択でヒト胚性腎臓(HEK)-293細胞又はその誘導体である。
【0050】
[0052]さらなる態様は、目的のRNA又はタンパク質を産生する方法を含み、本方法は以下を含む:本明細書に記載される発現系の第1の発現カセットと本明細書に記載される発現系の第2の発現カセットと含む細胞に、本明細書に記載される発現系の第3の発現カセットと選択可能マーカーとを導入するステップ;選択可能マーカーを保有する細胞を選択するために細胞に選択圧をかけることにより、発現系の第1、第2及び第3の発現カセットを保有する細胞を選択するステップ;任意選択で、第1、第2及び第3の発現カセットを含む個々の細胞を単離し、個々の細胞を培養して、第1、第2及び第3の発現カセットを含む細胞集団を作製するステップ;並びに、クメートエフェクター分子及びクメルマイシンエフェクター分子の存在下で、第1、第2及び第3の発現カセットを含む細胞を培養し、ここで目的のRNA又はタンパク質が産生されること。一実施形態において、クメートエフェクター分子はクメートであり、及び/又はクメルマイシンエフェクター分子はクメルマイシンである。一実施形態において、細胞は、懸濁液中及び/又は血清非存在下で増殖する。
【0051】
[0053]本開示のさらに他の態様は、本明細書に記載される発現系を含むキットを含む。一実施形態において、キットは:本明細書に記載される発現系の第1の発現カセットを含む第1のプラスミド;本明細書に記載される発現系の第2の発現カセットを含む第2のプラスミド;及び本明細書に記載される発現系の第3の発現カセットを含む第3のプラスミドを含む。一実施形態において、キットは、本明細書に記載される発現系の第1の発現カセット及び第2の発現カセットを含む細胞、並びに本明細書に記載される発現系の第3の発現カセットを含むプラスミドを含む。
【0052】
[0054]一実施形態において、第3の発現カセットは、クメルマイシン誘導性プロモーター、クローニング部位、及びポリアデニル化シグナルを含み、ここで、クローニング部位は、クメルマイシン誘導性プロモーター及びポリアデニル化シグナルと作動可能に連結されて目的の第1のRNA又はタンパク質をコードする核酸分子を挿入するためのものである。一実施形態において、第3の発現カセットは、クメルマイシン誘導性プロモーター及びポリアデニル化シグナルと作動可能に連結された、目的の第1のRNA又はタンパク質をコードする核酸分子を含む。
【0053】
[0055]一実施形態において、本明細書に記載される発現系の第1の発現カセット及び第2の発現カセットを含む細胞は、本明細書に記載される発現系の第3、第4及び/又は第5の発現カセットをさらに含み、ここで、第3、第4及び/又は第5の発現カセットは、目的のRNA又はタンパク質をコードする。
【0054】
[0056]一実施形態において、キットは、本明細書に記載される発現系を含むウイルスパッケージング細胞、及びウイルス構築物を含む。
【0055】
[0057]一実施形態において、キットは、クメートエフェクター分子、任意選択でクメート、及び/又はクメルマイシンエフェクター分子、任意選択でクメルマイシンをさらに含む。
【0056】
[0058]前のセクションは、例示としてのみ提供され、本開示及び添付の特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。本開示の組成物及び方法に関連する追加の目的及び利点は、本特許請求の範囲、説明、及び実施例に照らして、当業者によって理解される。例えば、本開示の様々な態様及び実施形態は、多数の組合せで利用され得、その全ては、本明細書によって明示的に企図される。これらの追加の利点対象及び実施形態は、本開示の範囲内に明示的に含まれる。本開示の背景を明らかにするために、また、特定の場合には、実施に関する追加の詳細を提供するために、本明細書で使用される刊行物及び他の資料は、参照により組み込まれ、便宜上、添付の参考文献のセクションに列挙される。
【図面の簡単な説明】
【0057】
[0059]本開示のさらなる目的、特徴及び利点は、本開示の例示的な実施形態を示す添付の図と併せてとられる以下の詳細な説明から明らかになる:
図1図1は、クメート/クメルマイシン遺伝子スイッチの実施形態の遺伝子調節機構の概略図である。A)293SF-CymR/λR-GyrB細胞を、クメート遺伝子スイッチのリプレッサー(CymR)を構成的に産生するように操作した。この細胞はまた、CMV5CuOプロモーターの制御下のクメルマイシンキメラトランスアクチベーターの遺伝子(λR-GyrB)を含む。クメート非存在下では、CymRはCMV5CuOプロモーターに結合し、λR-GyrBの転写を阻害する。クメートを添加することによってCymRがプロモーターから遊離し、λR-GyrBが転写される。B)クメルマイシン存在下では、λR-GyrBは二量体を形成し、12xlambdaオペレーター(12xλOp)に結合し、目的の導入遺伝子の転写を活性化する。ノボビオシンを細胞に添加して、λR-GyrB二量体を解離させることにより、転写を防ぐことができる。
図2図2は、293SF-CymR、293SF-CymR/λR-GyrB及び293SF-CymR/rcTA細胞の作製に使用した構築物の図を示す。A)293SF-CymR、293SF-CymR/λR-GyrB及び293SF-CymR/rcTA細胞の作製に用いたCymR構築物。CymRリプレッサーのコード配列は強力な構成的プロモーター(CMV5)によって制御されている。B)293SF-CymR/λR-GyrB細胞の作製に用いたλR-GyrB構築物。λR-GyrBのコード配列はCMV5CuOプロモーターによって制御されている。C)293SF-CymR/rcTA細胞の作製に使用されるrcTA構築物。pA:ポリアデニル化シグナル。
図3図3は、本研究で使用したLVをコードする移入ベクターの図を示す。A)LV-CMV5CuO-GFPの移入ベクター。B)LV-12xlambda-TPL-GFP用の移入ベクター。C)LV-CR5-GFP用の移入ベクター。D)LV-CMV-GFP用の移入ベクター。注:A)、B)及びC)に示す移入ベクターは、条件付き自己不活性化レンチウイルス(cSIN)を産生する。5’LTR及び3’LTR:それぞれレンチウイルスの5’又は3’末端に位置するロングターミナルリピート;CMV:CMVプロモーター;R:LTRのR領域;U5:LTRのU5領域:Tet:テトラサイクリンプロモーター;ψ:キャプシド形成シグナル;RRE:Rev応答配列;cPPT:中央ポリプリントラック;GFP:緑色蛍光タンパク質;WPRE:ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント;SD及びSA:それぞれスプライスドナー及びアクセプター;CMV5CuO及びCR5クメート制御プロモーター;12xλ-TPL:12xLambda-TPLクメルマイシミン制御プロモーター
図4図4は、293SF-CymR/rcTA細胞における遺伝子調節の機構の概略図を示す。A)293SF-CymR/rcTA細胞は、クメート遺伝子スイッチのリプレッサー(CymR)を構成的に産生するように操作された。細胞はまた、CMV5CuOプロモーターの制御下にある逆トランスアクチベーター(rcTA)の遺伝子も含む。クメート非存在下では、CymRはCMV5CuOプロモーターに結合し、rcTA遺伝子の転写を阻害する。クメートの添加によりCymRはプロモーターから放出され、rcTAの転写が可能になる。B)クメートの存在下では、rcTAはCR5プロモーターに結合し、目的の導入遺伝子(レポーター)の転写を活性化する。
図5A図5は、二重クメルマイシン/クメート遺伝子スイッチが、クメート遺伝子スイッチと比較して、より良好な誘導レベルを提供することを示す。A)293SF-CymRのクローン(198-2、198-10、169-4、169-C1、CA7)、B)293SF-CymR/rcTAのクローン(G3及びG11)及びC)293SF-CymR/λR-GyrBのクローン(7-2、7-3、7-10)に、それぞれLV-CMV5CuO-GFP、LV-CR5-GFP及びLV-12xlambda-TPL-GFPで形質導入した。形質導入後、GFP発現レベルをフローサイトメトリーによって解析した。誘導剤非存在下(Off)及び存在下(On)の細胞集団の蛍光指数を比較した。各クローンのOn/Off比は、バーの上の数字(B,C)として、又は線(A)によって示されている。293SF-CymR、293SF-CymR/rcTA、及び29SF-CymR/λR-GyrBクローンのOn/Off比は、それぞれ15~30、60~100、2621~3877の間で変動した。293SFは、LVを形質導入した293SF細胞(スイッチなし)であり;T0及びT2は、それぞれ培養で1週間及び8週間維持された細胞である。
図5B図5は、二重クメルマイシン/クメート遺伝子スイッチが、クメート遺伝子スイッチと比較して、より良好な誘導レベルを提供することを示す。A)293SF-CymRのクローン(198-2、198-10、169-4、169-C1、CA7)、B)293SF-CymR/rcTAのクローン(G3及びG11)及びC)293SF-CymR/λR-GyrBのクローン(7-2、7-3、7-10)に、それぞれLV-CMV5CuO-GFP、LV-CR5-GFP及びLV-12xlambda-TPL-GFPで形質導入した。形質導入後、GFP発現レベルをフローサイトメトリーによって解析した。誘導剤非存在下(Off)及び存在下(On)の細胞集団の蛍光指数を比較した。各クローンのOn/Off比は、バーの上の数字(B,C)として、又は線(A)によって示されている。293SF-CymR、293SF-CymR/rcTA、及び29SF-CymR/λR-GyrBクローンのOn/Off比は、それぞれ15~30、60~100、2621~3877の間で変動した。293SFは、LVを形質導入した293SF細胞(スイッチなし)であり;T0及びT2は、それぞれ培養で1週間及び8週間維持された細胞である。
図5C図5は、二重クメルマイシン/クメート遺伝子スイッチが、クメート遺伝子スイッチと比較して、より良好な誘導レベルを提供することを示す。A)293SF-CymRのクローン(198-2、198-10、169-4、169-C1、CA7)、B)293SF-CymR/rcTAのクローン(G3及びG11)及びC)293SF-CymR/λR-GyrBのクローン(7-2、7-3、7-10)に、それぞれLV-CMV5CuO-GFP、LV-CR5-GFP及びLV-12xlambda-TPL-GFPで形質導入した。形質導入後、GFP発現レベルをフローサイトメトリーによって解析した。誘導剤非存在下(Off)及び存在下(On)の細胞集団の蛍光指数を比較した。各クローンのOn/Off比は、バーの上の数字(B,C)として、又は線(A)によって示されている。293SF-CymR、293SF-CymR/rcTA、及び29SF-CymR/λR-GyrBクローンのOn/Off比は、それぞれ15~30、60~100、2621~3877の間で変動した。293SFは、LVを形質導入した293SF細胞(スイッチなし)であり;T0及びT2は、それぞれ培養で1週間及び8週間維持された細胞である。
図6図6は、LVのパッケージング細胞株を構築するのに使用される発現カセットの図を示す。LVのパッケージング細胞株を構築するために、以下の構成要素を293SF-CymR/λR-GyrBの染色体に組み込んだ:i)クメルマイシン誘導性プロモーター13xlambda-TPLの制御下にあるHIV Rev遺伝子;ii)構成的ハイブリッドCMVエンハンサー/β-アクチンプロモーター(CAG)又は11xlambda-hbgminプロモーターによって制御されるHIV Gag/pol遺伝子;及びiii)13xlambda-TPLによって制御される水疱性口内炎ウイルス糖タンパク質遺伝子(VSVg)。クメート及びクメルマイシンの添加は、Rev、VSVg及びGag/pol(11xlambda-hgbminで制御されている場合)の転写を誘導する。注:Revの存在は、未処理のGag/pol RNAの核外輸送に必要である。したがって、Gag/polポリペプチドの効率的な合成はRevの発現に依存する。
図7A図7は、パッケージング細胞のトランスフェクション後のレンチウイルスの産生を示す。無血清培地を用いて懸濁培養で増殖させたパッケージング細胞のクローンを、LV-CMV-GFP用の移入ベクター(プラスミド)でトランスフェクションした(図3D)。細胞をクメート及びクメルマイシンで誘導し、トランスフェクション後3日目に培養培地を採取した。HEK293細胞への形質導入後、培養培地中のLVをフローサイトメトリーによって定量化した。バーは培養培地中の感染力価(1mL当たりの形質導入単位[TU])である。トランスフェクション効率(GFP陽性細胞の%)は、薄白色の四角形でA)に示す。A)11xlambda-hbgmin-Gag/polをコードするプラスミドを用いて作製したパッケージング細胞のクローン。B)CAG-Gag/polをコードするプラスミドを用いて作製したパッケージング細胞のクローン。注:パッケージング細胞株(A及びB)はいずれも、1.0×10 TU/ml以上の力価でLVを産生できるクローンを生じた。
図7B図7は、パッケージング細胞のトランスフェクション後のレンチウイルスの産生を示す。無血清培地を用いて懸濁培養で増殖させたパッケージング細胞のクローンを、LV-CMV-GFP用の移入ベクター(プラスミド)でトランスフェクションした(図3D)。細胞をクメート及びクメルマイシンで誘導し、トランスフェクション後3日目に培養培地を採取した。HEK293細胞への形質導入後、培養培地中のLVをフローサイトメトリーによって定量化した。バーは培養培地中の感染力価(1mL当たりの形質導入単位[TU])である。トランスフェクション効率(GFP陽性細胞の%)は、薄白色の四角形でA)に示す。A)11xlambda-hbgmin-Gag/polをコードするプラスミドを用いて作製したパッケージング細胞のクローン。B)CAG-Gag/polをコードするプラスミドを用いて作製したパッケージング細胞のクローン。注:パッケージング細胞株(A及びB)はいずれも、1.0×10 TU/ml以上の力価でLVを産生できるクローンを生じた。
図8図8は、パッケージング細胞株由来の産生クローンによるレンチウイルス産生を示す。LV産生クローンは、パッケージング細胞(クローン3D4、図7B)に、LV-CMV-GFPをコードする移入ベクター(プラスミド)をトランスフェクションすることにより作製した(図3D)。得られたLV(LV-CMV-GFP)は、構成的CMVプロモーターの制御下でGFPを発現する。プラスミドを安定に組み込んだクローンを単離し、無血清培地を用いて懸濁培養で増殖させた。LV-CMV-GFPの産生は、培養培地へのクメート及びクメルマイシンの添加により誘導された。培養培地中のLV-CMV-GFPの力価は、HEK293細胞への導入後3日目に測定し、フローサイトメトリーでGFP陽性細胞を定量化した。力価は非濃縮培養培地1ml当たりの形質導入単位(TU)として表した。注:いくつかのクローン(1E9、3E9、2G11、1F3、2C8及び1E8)は、1.0X10TU/培養培地1ml以上の力価でLV-CMV-GFPを産生する。
図9図9は、パッケージング細胞におけるLV遺伝子発現の調節を示す。クメート及びクメルマイシンによる誘導後のパッケージング細胞(クローン3D4、図7)によるVSVg(A)、Rev(B)及びGag(C)の発現についてのウェスタンブロット解析。各サンプルについて同量の細胞溶解液を用いた。細胞は誘導前(0)、誘導の24、48、72時間後に酪酸ナトリウム(誘導後18時間後に添加)の非存在下又は存在下で採取した。293SF-CymR/λR-GyrB細胞を陰性対照(CT)として用いた。VSVg、Rev、Gagポリタンパク質(GAG PP)、及びp24の位置を矢印で示す。MW:kDa単位の分子量マーカー。VSVg抗体を使用した場合、陰性対照に非特異的なバンド(*)が存在することに注意されたい。
図10図10は、AAVを産生するために使用される構成要素の概略図を示す。A)293SF-Rep細胞の作製に使用したRep52、Rep68、及びRep78を発現する構築物。各Rep遺伝子は13xlambda-TPLプロモーター(13xλ-TPL)によって制御されている。B)293SF-Repの一過性トランスフェクションによりAAVを産生するために使用されたプラスミド。pCMV-CAPはCMVプロモーターにより制御されるAAVのCAP遺伝子をコードする。pAAV-GFPはCMVにより制御されるGFPを産生する発現ベクターである。pHelperはアデノウイルスのヘルパー遺伝子を保有する。
図11図11は、293SF-RepクローンによるREPタンパク質発現のウェスタンブロットを示す。安定的にトランスフェクションされた293SF-Repクローン(クローン13、18、35及び36)の細胞溶解液を、REPに対する抗体を用いたウェスタンブロットによって解析した。異なる濃度のクメート及びクメルマイシンを用いて発現を誘導した。誘導されていない細胞は陰性対照とした。Rep78、68、及び52の位置を矢印で示す。注:誘導なしではREPの有意な発現は観察されない。MW:分子量マーカー。
図12図12は、293SF-Rep細胞(クローン13)の一過性トランスフェクション後のAAV産生の最適化を示す。無血清培地中において懸濁培養で増殖させた293SF-Rep細胞を、異なる量(μg/mlで表す)のpCMV-CAP(pVR46-CAP)、pHelper及びpAAV-GFPでトランスフェクションした(図10参照)。トランスフェクション後、細胞をクメート及びクメルマイシンで3日間誘導した。産生されたAAVを含む細胞溶解液をHEK293細胞の形質導入に用い、その後フローサイトメトリーによって解析した。データは細胞培養物1ml当たりの感染性ウイルス粒子(IVP)として表した。最良の条件は、#5及び#16であり、これらにより2.5×10IVP/mlの力価が得られた。
図13図13は、プロモーター12xLambda-CMVmin(配列番号9)の配列(上鎖)及び相補配列(下鎖)を示す。12コピーのラムダオペレーター(12xlambdaOP)及びCMV最小プロモーターの位置は、12xLambda-CMVminのヌクレオチド配列に示される。
図14図14は、プロモーター13xLambda-CMVmin(配列番号10)の配列(上鎖)及び相補配列(下鎖)を示す。13コピーのラムダオペレーター(13xlambdaOP)及びCMV最小プロモーターの位置は、13xLambda-CMVminのヌクレオチド配列に示される。
図15図15は、プロモーター13xLambda-TPL(配列番号11)の配列(上鎖)及び相補配列(下鎖)を示す。13コピーのラムダオペレーター(13xlambdaOP)、CMV最小プロモーター、アデノウイルス三分割リーダー(TPL)及びアデノウイルス主要後期プロモーターのエンハンサー(MLPエンハンサー)の小イントロン内の位置を示す。
図16-1】図16は、プロモーター11xlambda-hbgmin(配列番号12)の配列(上鎖)及び相補配列(下鎖)を示す。11コピーのラムダオペレーター(11xlambdaOP)、CMV最小プロモーター、アデノウイルス三分割リーダー(TPL)、アデノウイルス主要後期プロモーターのエンハンサー(MLPエンハンサー)、ヒトβ-グロビンイントロン(hBglobin-デルタイントロン)、及びキメライントロンのスプライス部位ドナー及びアクセプターの位置を示す。
図16-2】図16は、プロモーター11xlambda-hbgmin(配列番号12)の配列(上鎖)及び相補配列(下鎖)を示す。11コピーのラムダオペレーター(11xlambdaOP)、CMV最小プロモーター、アデノウイルス三分割リーダー(TPL)、アデノウイルス主要後期プロモーターのエンハンサー(MLPエンハンサー)、ヒトβ-グロビンイントロン(hBglobin-デルタイントロン)、及びキメライントロンのスプライス部位ドナー及びアクセプターの位置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0058】
[種々の実施形態の説明]
[0076]以下は、本開示を実施する際に当技術分野の当業者を助けるために提供される詳細な説明である。特に定義しない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野における当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書において使用される用語は、特定の実施形態を説明するためのものであり、本開示を限定することを意図するものではない。本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、図及び他の参考文献は、参照によりその全体が明示的に組み込まれる。
【0059】
I.定義
[0077]本明細書で使用される場合、以下の用語は、別段の指定がない限り、それらに付与される意味を有し得る。しかしながら、当技術分野の当業者に公知の又は理解されている他の意味も可能であり、本開示の範囲内であることは理解されるべきである。矛盾が生じた場合は、定義を含む本明細書が優先する。さらに、材料、方法及び実施例は例示に過ぎず、限定を意図するものではない。
【0060】
[0078]値の範囲が提供される場合、文脈上明らかにそうでないことが指示されない限り、その範囲の上限と下限との間の、下限の単位の10分の1までの各介在値、及びその記載された範囲内の他の記載された値又は介在値は、本明細書内に包含されると理解される。任意の下限値から任意の上限値までの範囲が想定される。
【0061】
[0079]本明細書で使用される「約」という用語は、実験誤差及び当技術分野の当業者によって予想される変動を考慮するために使用される。例えば、「約」は、参照される指示値のプラスマイナス10%、又はプラスマイナス5%を意味し得る。
【0062】
[0080]本明細書で使用される単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上明らかにそうでないことが指示されない限り、複数形の参照を含む。
【0063】
[0081]本明細書で使用される「及び/又は」という語句は、そのように結合された要素の「いずれか、又は両方」、すなわち、ある場合には結合的に存在し、他の場合には分離的に存在する要素を意味すると理解されるべきである。「及び/又は」と共に列挙される複数の要素、すなわち、そのように結合された要素の「1つ又は複数」も同様に解釈されるべきである。他の要素は、「及び/又は」句によって具体的に特定された要素以外に、具体的に特定された要素に関連するか否かにかかわらず、任意選択で存在し得る。
【0064】
[0082]本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、「又は」は、上記で定義された「及び/又は」と同じ意味を有すると理解されるべきである。例えば、一覧中の項目を区切る場合、「又は」又は「及び/又は」は、包括的であること、すなわち、多数又は一覧の要素のうちの少なくとも1つを含むが、1つを超えて含むこと、及び任意選択で、さらに列挙されていない項目を含むことと解釈されるものとする。反対を明確に示す、単一的な用語、例えば「のうちの1つのみ」、「のうちの厳密に1つ」、又は、特許請求の範囲において使用される場合、「からなる」は、多数又は一覧の要素のうちの正確に1つの要素を含むことを指す。一般的に、本明細書で使用される用語「又は」は、「いずれか」、「のうちの1つ」、「のうちの1つのみ」、又は「のうちの厳密に1つ」等の排他性の用語が先行する場合にのみ、排他的な選択肢(すなわち、「一方又は他方であって両方ではない」)を示すと解釈されるものとする。
【0065】
[0083]本明細書で使用される場合、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「保有する(carrying)」、「有する(having)」、「含む(containing)」、「伴う(including)」、「保持する(holding)」、「から構成される(composed of)」等の全ての移行句は、オープンエンドである、すなわち、限定されないが含むことを意味すると理解される。「からなる」及び「から本質的になる」という移行句のみが、それぞれ、クローズ又は半クローズな移行句であるものとする。
【0066】
[0084]本明細書で使用される場合、1つ又は複数の要素の一覧に関して「少なくとも1つ」という句は、要素の一覧内の任意の1つ又は複数の要素から選択される少なくとも1つの要素を意味すると理解されるべきであるが、必ずしも要素の一覧内に具体的に列挙された各要素及び全ての要素のうちの少なくとも1つを含む必要はなく、要素の一覧内の要素のいずれの組合せも除外するものではない。また、この定義は、「少なくとも1つ」という句が指す要素の一覧内で具体的に特定された要素以外の要素が、具体的に特定された要素に関連するか否かにかかわらず、任意選択で存在し得ることを許容するものである。
【0067】
[0085]また、1つを超えるステップ又は行為を含む本明細書に記載される特定の方法において、別段の指示がない限り、方法のステップ又は行為の順序は、方法のステップ又は行為が記載される順序に必ずしも限定されないことは理解されるべきである。
【0068】
II.発現系
[0086]二重クメルマイシン/クメート遺伝子スイッチの使用は、クメートスイッチ単独の使用と比較して、目的のタンパク質の厳密な制御された発現(より高いOn/Off比)を提供することが見出された。したがって、本明細書において提供されるのは、目的のRNA又はタンパク質の緊密に制御された誘導性の発現に有用な、二重クメルマイシン/クメート遺伝子スイッチを含む発現系である。したがって、本明細書において提供されるのは、a)構成的プロモーター及びポリアデニル化シグナルに作動可能に連結されたクメートリプレッサータンパク質をコードする核酸分子を含む第1の発現カセット;b)クメート誘導性プロモーター及びポリアデニル化シグナルに作動可能に連結されたクメルマイシンキメラトランスアクチベータータンパク質をコードする核酸分子を含む第2の発現カセット;並びにc)(i)クローニング部位が、クメルマイシン誘導性プロモーター及びポリアデニル化シグナルと作動可能に連結された目的の第1のRNA又はタンパク質をコードする核酸分子を挿入するためのものである、クメルマイシン誘導性プロモーター、クローニング部位及びポリアデニル化シグナル、又は(ii)クメルマイシン誘導性プロモーター及びポリアデニル化シグナルと作動可能に連結された、目的の少なくとも1つのRNA又はタンパク質をコードする核酸分子を含む、第3の発現カセットを含む発現系である。
【0069】
[0087]「発現カセット」という用語は、プロモーター及びポリアデニル化シグナルに作動可能に連結されたRNA又はタンパク質をコードするDNA分子を指し、発現カセットの特定の部分は、RNA(アンチセンスRNA、ロングノンコーディングRNA、又はレンチウイルス等のウイルスのゲノム等)及び/又は細胞機構によって続いてタンパク質に翻訳されるメッセンジャーRNAとして転写されることが可能であるようになっている。「発現カセット」という用語は、プロモーターと、ポリアデニル化シグナルと、目的のRNA又はタンパク質をコードする核酸分子をプロモーター及びポリアデニル化シグナルと作動可能に連結されて挿入するためのクローニング部位とを含む核酸分子を指すのにも使用される。
【0070】
[0088]本明細書で使用する「核酸分子」及びその誘導体という用語は、未修飾のDNA若しくはRNA、又は修飾されたDNA又はRNAを含むことを意図している。例えば、本開示の核酸分子又はポリヌクレオチドは、一本鎖及び二本鎖DNA、一本鎖領域と二本鎖領域との混合物であるDNA、一本鎖及び二本鎖RNA、並びに一本鎖領域と二本鎖領域との混合物であるRNA、一本鎖又はより典型的には二本鎖、又は一本鎖領域と二本鎖領域との混合物であり得るDNA及びRNAを含むハイブリッド分子から構成され得る。さらに、核酸分子は、RNA若しくはDNA、又はRNAとDNAの両方を含む三本鎖領域で構成され得る。本開示の核酸分子はまた、安定性又は他の理由のために修飾された、1つ又は複数の修飾塩基又はDNA若しくはRNA骨格を含み得る。「修飾」塩基としては、例えば、トリチウム化塩基、及びイノシン等の珍しい塩基が挙げられる。DNA及びRNAには様々な修飾が可能であり、したがって「核酸分子」は化学的、酵素的、代謝的に修飾された形態を含む。「ポリヌクレオチド」という用語は、対応する意味を有するものとする。
【0071】
[0089]本明細書で使用される、「クローニング部位」という用語は、組換えDNA技術(クローニング)を使用して、目的の核酸分子が挿入され得るか、又は目的の核酸分子が結合され得る核酸分子の部分を指す。発現カセットの場合、クローニング部位は、プロモーターとポリアデニル化シグナルの間に位置し、目的の核酸分子がプロモーターとポリアデニル化部位と作動可能に連結されて発現カセットにクローニングされ得るようになっていてもよい。いくつかのクローニング技術が当業者に公知であり、クローニング部位は、クローニング部位における目的の核酸分子の挿入を可能にするために必要な特性(制限エンドヌクレアーゼ部位(複数可)、リコンビナーゼ認識部位(複数可)、又は平滑若しくは突出末端(複数可)等)を含む。クローニング部位は、例えば、目的の核酸分子の挿入が可能になるために、複数の特有の制限酵素認識部位を含むマルチプルクローニング部位(MCS)又はポリリンカー領域であってもよい。それに代えて又はそれに加えて、クローニング部位は、DNA挿入を触媒するためにインテグラーゼ又はCreリコンビナーゼ等の部位特異的リコンビナーゼ(複数可)を用いる組換えクローニングによるDNA挿入を可能にするために、1つ又は複数のリコンビナーゼ認識部位を含むことができる。組換えクローニング系の例としては、ゲートウェイ(Gateway)(登録商標)(インテグラーゼ)、クリエーター(Creator)(商標)(Creリコンビナーゼ)、及びエコークローニング(Echo Cloning)(商標)(Creリコンビナーゼ)が挙げられる。いくつかのクローニング戦略では、発現カセット又はベクターは線状分子として提供され、目的の核酸分子の平滑又は突出末端を、例えばライゲーション又はポリメラーゼ活性によって発現カセット又はベクターの平滑又は突出末端に結合させ、環状分子を形成させることができる。この場合、発現カセット又はベクターの平滑又は突出末端を合わせてクローニング部位と考えることができる。このようなアプローチはPCR産物のクローニングに一般的に使用される。
【0072】
[0090]本明細書で使用される「作動可能に連結された」という用語は、2つの構成要素が意図された方法で機能することを可能にする2つの構成要素間の関係を指す。例えば、目的のRNAをコードするDNAがプロモーターに作動可能に連結されている場合、プロモーターはコードされるRNAの発現を作動させる。
【0073】
[0091]「プロモーター」又は「プロモーター配列」という用語は、一般に、RNAを生成するために下流(すなわち3’)配列の転写を開始するためにRNAポリメラーゼによって結合されることができる調節DNA配列を指す。適切なプロモーターは、任意の生物に由来してもよく、任意のRNAポリメラーゼによって結合又は認識されてもよい。適切なプロモーターは当業者に公知である。いくつかの発現カセットでは、プロモーターは構成的プロモーターである。構成的プロモーターの例としては、ヒトユビキチンC(UBC)、ヒト伸長因子1α(EF1A)、ヒトホスホグリセレートキナーゼ1(PGK)、血管活性腸管ペプチド(VIP)、チミジンキナーゼ(tk)、ヒートショックプロテイン(HSP)、アデノウイルスの主要後期プロモーター(MLP)、マウス乳腺腫瘍ウイルス(MMTV)、シミアンウイルス40初期プロモーター(SV40)、β-アクチン、サイトメガロウイルス即時初期プロモーター(CMV)、ハイブリッドCMVエンハンサー/β-アクチンプロモーター(CAG)、又はそれらの機能性バリアントが挙げられる。いくつかの発現カセットにおいて、プロモーターは誘導性プロモーターである、及び/又はそれぞれ転写を活性化若しくは阻害するトランスアクチベーター若しくはリプレッサーのための結合配列を含む。誘導性プロモーターの例としては、クメート誘導性プロモーター及びクメルマイシン誘導性プロモーターが挙げられる。
【0074】
[0092]「クメート誘導性プロモーター」という用語は、クメートエフェクター分子の非存在下で、クメートリプレッサータンパク質によって結合され得るプロモーター、例えばCymR(配列番号1及び2)又はその機能性バリアントを指す。クメートエフェクター分子の結合は、CymR等のクメートリプレッサータンパク質による転写抑制を緩和する。クメート誘導性プロモーターは、例えば米国特許第7,745,592号に記載されており、例えばCMV、VIP、tk、HSP、MLP及びMMTVプロモーターから選択される哺乳動物プロモーターからの最小プロモーター配列(例えばTATAボックス及び隣接配列)、並びに少なくとも1つのCymRオペレーター配列(CuO)を含む。CuO配列は、例えば、米国特許第7745592号に記載されるようなCuO P1(配列番号4)又はCuO P2を含む。いくつかの実施形態では、CuO P2(配列番号3)等のパリンドローム特徴を有するCuOが使用される。本開示のいくつかの実施形態では、CMV5-CuO(配列番号5)又はその機能的バリアントを使用し得る。
【0075】
[0093]本明細書で使用される場合、「クメートエフェクター分子」という用語は、クメートリプレッサータンパク質による転写抑制を緩和する分子を指す。クメートエフェクター分子としては、クメート、p-エチル安息香酸、p-プロピル安息香酸、クミン酸、p-イソブチル安息香酸、p-tert-ブチル安息香酸、p-N-ジメチルアミノ安息香酸、及びp-N-エチルアミノ安息香酸が挙げられる。一実施形態において、クメートエフェクター分子はクメートである。
【0076】
[0094]本明細書中で使用される「クメルマイシン誘導性プロモーター」という用語は、クメルマイシンキメラトランスアクチベータータンパク質によって結合され得るプロモーターを指す。クメルマイシン誘導性プロモーターは、例えば、米国特許第8,377,900号に記載されており、例えば、CMV、VIP、SV40、tk、HSP、PGK、MLP、EF1a及びMMTVプロモーター並びにそれらの機能性バリアントから選択される構成的哺乳動物プロモーターからの最小プロモーター配列(例えば、TATAボックス及び隣接配列)、並びに少なくとも1つのラムダオペレーター(λOP)配列(配列番号6)を含む。クメルマイシン誘導性プロモーターは、例えば1~13コピーのlambdaOp、任意選択で11、12(配列番号7)又は13(配列番号8)コピー又はそれ以上のlambdaOpを含み得る。一実施形態において、クメルマイシン誘導性プロモーターは、最小CMVプロモーター及び数コピー、例えば11、12又は13コピーのlambdaOP、例えばそれぞれ配列番号9及び10並びに図13及び14に記載されるような12xlambda-CMVmin若しくは13xlambda-CMVmin、又はそれらの機能性バリアントを含み得る。他の実施形態において、クメルマイシン誘導性プロモーターは、最小CMVプロモーター並びにアデノウイルスの三分割リーダー(TPL)及び主要後期プロモーター(MLP)エンハンサーと共に複数のコピーのlambdaOPを含んでいてもよく、例えば、配列番号11及び図15に記載されるようなプロモーター13xlambda-TPL、又はその機能性バリアントを含み得る。他の実施形態において、クメルマイシン誘導性プロモーターは、例えば、配列番号12及び図16に記載されるように、11コピーのlambdaOP、最小CMVプロモーター、アデノウイルスTPL及びMLPエンハンサー、並びにヒトβ-グロビンイントロンの一部を含むプロモーター11xlambda-hbgminのように、他の下流配列と関連するいくつかのコピーのlambdaOp、又はその機能性バリアントを含み得る。
【0077】
[0095]本明細書で使用される「クメルマイシンキメラトランスアクチベータータンパク質」という用語は、クメルマイシンエフェクター分子の存在下でクメルマイシン誘導性プロモーターに結合することができるタンパク質を指す。クメルマイシンエフェクター分子の結合は、λR-GyrB等のキメラトランスアクチベータータンパク質の二量体化、及びクメルマイシン誘導性プロモーターからの転写活性化をもたらす。クメルマイシンキメラトランスアクチベータータンパク質は、例えば米国特許第8,377,900号に記載されており、λリプレッサー(λR)のN末端ドメインとDNAジャイレースBサブ単位(GyrB)を融合させ、その後にトランスアクティベーションドメインとも呼ばれる転写活性化ドメインを融合させることによって構築することができる。λRのN末端ドメインは二量体としてlambdaOPに結合する。GyrBドメインはクメルマイシンと結合した後に二量体を形成するため、λRのN末端ドメインの二量体化を促進し、その後lambdaOPに結合し、活性化ドメインを介して転写を活性化することができる。簡潔性のために、クメルマイシンキメラトランスアクチベータータンパク質を本明細書では単に「λR-GyrB」と称することがある。適切な転写活性化ドメインとしては、転写因子NFκB p65、VP16、B42及びGa14由来のものが挙げられる。一実施形態において、トランス活性化ドメインは、配列番号15に記載されるようなNFkB p65由来のものである。一実施形態において、クメルマイシンキメラトランスアクチベータータンパク質は、配列番号13若しくは14に記載されるような配列、又はその機能性バリアントを有する。適切なクメルマイシンエフェクター分子としては、クメルマイシンが挙げられる。タンパク質発現のさらなる抑制を提供するか、又は漏出発現を防止するために、クメルマイシンキメラトランスアクチベータータンパク質の二量体化及び活性化は、ノボビオシン等の阻害剤の添加によって阻害され得る。
【0078】
[0096]本明細書で使用する「ポリアデニル化シグナル」又は「pA」という用語は、一般的にポリアデニル化シグナル(pA)を指し、これは転写されたRNAが切断され、ポリアデニル化テールが付加される部位であり、メッセンジャーRNA(mRNA)等のRNAの転写を終結させる効果を有する。適切なpAは、任意の生物由来であってもよく、当業者には公知である。pAシグナルの例としては、ウサギβグロビンpA(配列番号16)、強力ウシ成長ホルモンpA(BGHpA;配列番号17)及びSV40ポリAシグナル(配列番号18)が挙げられる。
【0079】
[0097]本明細書で使用する「機能性バリアント」という用語は、本明細書で開示する核酸分子又はポリペプチドと実質的に同じ機能を実質的に同じ方法で果たす、本明細書で開示する核酸配列又はタンパク質の修飾又は化学的均等物を含む。例えば、本明細書に開示されるポリペプチドの機能性バリアントには、限定されないが、保存的アミノ酸置換が含まれる。
【0080】
[0098]本明細書で使用される「保存的アミノ酸置換」は、1つのアミノ酸残基が、同様の生化学的特性(例えば、電荷、疎水性及びサイズ)を有する別のアミノ酸残基で置換されるものである。ポリペプチドのバリアントには、本明細書で開示されるポリペプチド配列に対する付加及び欠失も含まれる。さらに、バリアントヌクレオチド配列には、そのアナログ及び誘導体が含まれる。
【0081】
[0099]一実施形態において、本開示は、本明細書中に開示される核酸配列に対する機能性バリアントを含む。機能性バリアンとは、少なくとも中程度にストリンジェントなハイブリダイズ条件下で、上記の核酸配列にハイブリダイズするヌクレオチド配列を含む。
【0082】
[00100]「少なくとも中程度にストリンジェントなハイブリダイズ条件」とは、溶液中で2つの相補的核酸分子間の選択的ハイブリダイズを促進する条件が選択されることを意味する。「少なくとも中程度にストリンジェントなハイブリダイズ条件」という用語は、ストリンジェントなハイブリダイズ条件及び中程度にストリンジェントなハイブリダイズ条件を包含する。ハイブリダイズは、核酸配列分子の全部又は一部に対して起こり得る。ハイブリダイズ部分は、典型的には少なくとも15(例えば、20、25、30、40又は50)ヌクレオチドの長さである。当技術分野の当業者であれば、核酸二重鎖又はハイブリッドの安定性がTmによって決定され、Tmはナトリウム含有緩衝液中ではナトリウムイオン濃度と温度の関数である(Tm=81.5℃-16.6(Log10[Na+])+0.41(%(G+C)-600/l)、又は類似の式)ことを認識する。したがって、ハイブリッドの安定性を決定する洗浄条件のパラメータは、ナトリウムイオン濃度及び温度である。公知の核酸分子と類似しているが同一ではない分子を同定するために、1%のミスマッチはTmが約1℃低下すると仮定することができ、例えば、95%超の同一性を有する核酸分子を求める場合、最終洗浄温度は約5℃低下する。これらの考察に基づいて、当技術分野の当業者は適切なハイブリダイズ条件を容易に選択できる。いくつかの実施形態では、ストリンジェントなハイブリダイズ条件が選択される。例として、ストリンジェントなハイブリダイズを達成するために以下の条件を使用することができる:5x塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)/5xデンハルト溶液/1.0% SDSで上記の式に基づきTm-5℃でハイブリダイゼーションを行い、その後0.2xSSC/0.1% SDSで60℃で洗浄する。中程度にストリンジェントなハイブリダイズ条件は、42℃の3xSSCでの洗浄ステップを含む。しかしながら、同等のストリンジェンシーは別の緩衝剤、塩、温度を使用しても達成できることは理解される。ハイブリダイズの条件に関する追加ガイダンスは:Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,N.Y.,2002、及びSambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press、2001に見ることができる。
【0083】
[00101]他の実施形態において、機能性バリアント核酸配列は、縮退コドン置換又はコドン最適化核酸配列を含む。本明細書で使用する「縮退コドン置換」という用語は、コドンの第2及び/又は第3の塩基が、そこにコードされるアミノ酸配列に変化をもたらさない異なる塩基で置換されたバリアント核酸配列を指す。本明細書で使用する「コドン最適化」という用語は、特定の生物のコドン使用バイアスを反映する1つ又は複数の縮退コドン置換を含むバリアント核酸分子を指す。
【0084】
[00102]他の実施形態において、機能性バリアント核酸又はタンパク質配列は、本明細書に開示される配列に対して少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%の配列同一性を有する配列を含む。
【0085】
[00103]本明細書で使用する「配列同一性」という用語は、2つのアミノ酸配列又は2つの核酸配列間の配列同一性のパーセンテージを指す。2つのアミノ酸配列又は2つの核酸配列間の同一性パーセントを決定するために、配列は最適な比較目的のために整列される(例えば、第2のアミノ酸配列又は核酸配列との最適な整列のために、第1のアミノ酸配列又は核酸配列の配列にギャップが導入され得る)。次に、対応するアミノ酸位置又はヌクレオチド位置のアミノ酸残基又はヌクレオチドが比較される。第1の配列のある位置が、第2の配列の対応する位置と同じアミノ酸残基又はヌクレオチドで占められている場合、分子はその位置で同一である。2つの配列間の同一性パーセントは、配列が共有する同一位置の数の関数である(すなわち、同一性%=重複する同一位置の数/位置の総数X100%)。一実施形態では、2つの配列は同じ長さである。2つの配列間の同一性パーセントの決定はまた、数学的アルゴリズムを使用しても達成し得る。2つの配列の比較に利用される数学的アルゴリズムの1つの非限定的な例は、Karlin and Altschul、1990、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.87:2264-2268の、Karlin and Altschul,1993,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.90:5873-5877で修正されているアルゴリズムである。このようなアルゴリズムは、Altschul et al.,1990のNBLAST及びXBLASTプログラムに組み込まれている。BLASTヌクレオチド検索は、本開示の核酸分子に相同なヌクレオチド配列を得るために、例えば、score=100、wordlength=12に設定されたNBLASTヌクレオチドプログラムパラメータを用いて実施することができる。BLASTタンパク質検索は、本発明のタンパク質分子に相同なアミノ酸配列を得るために、例えばscore-50、wordlength=3に設定されたXBLASTプログラムパラメータで実行し得る。比較目的のためのギャップ整列を得るために、Altschul et al.,1997、Nucleic Acids Res.25:3389-3402に記載されるように、Gapped BLASTを利用し得る。或いは、PSI-BLASTを使用して、分子間の遠い関係を検出する反復検索を行うことができる。BLAST、Gapped BLAST、及びPSI-BLASTプログラムを利用する場合、それぞれのプログラム(例えば、XBLAST及びNBLAST)のデフォルトパラメータを使用することができる(例えば、NCBIのウェブサイトを参照のこと)。配列の比較のために利用される数学的アルゴリズムの別の非限定的な例は、Myers and Miller,1988,CABIOS 4:11-17のアルゴリズムである。このようなアルゴリズムは、GCG配列整列ソフトウェアパッケージの一部であるALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれている。アミノ酸配列の比較にALIGNプログラムを利用する場合、PAM120重量残基表、ギャップ長ペナルティ12、ギャップペナルティ4を使用することができる。2つの配列間の同一性パーセントは、ギャップを許容してもしなくても、上記のものと同様の技術を用いて決定することができる。パーセント同一性の計算では、通常、完全一致のみがカウントされる。
【0086】
[00104]本明細書に記載の発現系は、任意の目的のRNA又はタンパク質を発現するために使用することができる。したがって、一実施形態において、発現系は、目的のRNA又はタンパク質をコードする。目的のRNA又はタンパク質は、細胞毒性を有しても、又は細胞増殖及び/若しくは生存能の低下をもたらしてもよい。一実施形態において、目的のタンパク質は組換えタンパク質である。
【0087】
[00105]本明細書に記載の発現系は、例えば抗体又はウイルスベクター等の複雑な生物学的製剤の発現のために、2つ以上の目的のRNA又はタンパク質を発現させるために使用することができる。したがって、一実施形態では、発現系は、さらなる目的のRNA又はタンパク質の発現を可能にするために、1つ又は複数のさらなる発現カセットを含む。さらなる目的のRNA又はタンパク質は、同じ制御エレメント又は異なる制御エレメントの制御下にあり得る。さらなる発現カセット(複数可)は、同一若しくは異なるプロモーター及び/又は同一若しくは異なるpAシグナルを含んでいてもよい。
【0088】
[00106]いくつかの実施形態において、本開示の発現系は、ウイルスベクターの産生に関与する1つ又は複数の核酸又はタンパク質をコードする。本明細書で使用される「ウイルスベクター」という用語は、標的細胞を形質導入することができるウイルス粒子又はウイルス様粒子を含むことが意図される。一般的なウイルスベクターとしては、HIV由来のレンチウイルスベクター、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターが挙げられるが、これらに限定されない。他のウイルスベクターは、ラブドウイルス(水疱性口内炎ウイルス(VSV)等)、又はヘルペスウイルス(CMV及びHSV-1等)由来であってもよい。したがって、一実施形態において、発現系は、ウイルスベクターの構成要素をコードする。代表的な構成要素は、ベクターのキャプシド及びエンベロープを形成するタンパク質等のベクターの構造構成要素である。他の構成要素は、ベクターRNA又はDNAの複製に関与する酵素である。このような酵素はウイルスRNAの合成、成熟、及び輸送にも関与する。これらの酵素はまた、ウイルス構成要素のプロセシング及び成熟、並びにウイルスのゲノムの細胞染色体への組込みにも関与し得る。ウイルスベクターの構成要素である酵素は、ウイルスゲノムRNAのDNAへの逆転写にも関与し得る。ベクターの他の構成要素は、ウイルスベクターの遺伝子又は遺伝子産物の複製、転写、輸送又は翻訳を調節するタンパク質又はペプチドであり得る。このような因子はまた、細胞遺伝子の発現を活性化又は低下させることができ、ウイルスに対する細胞の防御機構を調節することができる。アデノウイルス及びレンチウイルスのプロテアーゼ(レンチウイルスのgag/pol遺伝子によってコードされる)、AAVのRepタンパク質、VSVのエンベロープ糖タンパク質(VSVg)等、いくつかのウイルスベクターの構成要素は細胞に対して毒性を示すことがよく知られている。この一覧は網羅的ではなく、ウイルスベクター又はウイルスの他の構成要素は、構成的に産生される場合、又は過度の高濃度で産生される場合、毒性を示す可能性がある。
【0089】
[00107]一実施形態では、ウイルスベクターはレンチウイルスベクターである。REV、Gag/Pol及びVSVg等のエンベロープタンパク質の発現は、レンチウイルスベクターの産生に関与する。したがって、いくつかの実施形態では、発現系は、プロモーターに作動可能に連結された、REV、Gag/Pol、及びVSVg等のエンベロープタンパク質の各々をコードするさらなる発現カセットを含み、少なくとも1つのウイルス構成要素は、クメルマイシン誘導性プロモーターの制御下にある。任意選択で、全てのウイルス構成要素はクメルマイシン誘導性プロモーターの制御下にある。いくつかの実施形態において、Gag/Polは構成的プロモーターの制御下にある。いくつかの実施形態では、Gag/Polはクメルマイシン誘導性プロモーターの制御下にある。
【0090】
[00108]一実施形態では、ウイルスベクターは組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)である。Repタンパク質の発現はAAVの生産に関与する。したがって、いくつかの実施形態において、誘導可能発現系は、クメルマイシン誘導性プロモーターに作動可能に連結されたRep40、Rep52、Rep68又はRep78をコードする核酸分子を含む発現カセットを含む。いくつかの実施形態において、発現系は、プロモーターに作動可能に連結されたRep40、Rep52、Rep68又はRep78をコードする1つ又は複数のさらなる発現カセットを含み、ここで、少なくとも1つはクメルマイシン誘導性プロモーターの制御下にある。いくつかの実施形態において、発現系は、Rep40又はRep52のうちの少なくとも1つをコードする発現カセット、及びRep68又はRep78のうちの少なくとも1つをコードする発現カセットを含み、ここで、少なくとも1つはクメルマイシン誘導性プロモーターの制御下にある。例えば、発現系は、Rep40とRep68、Rep40とRep78、Rep52とRep68、又はRep52とRep78を含み得る。任意選択で、全てのウイルス構成要素はクメルマイシン誘導性プロモーターの制御下にある。
【0091】
[00109]いくつかの実施形態では、遺伝子発現系は抗体フラグメント、抗体重鎖及び/又は抗体軽鎖をコードする。抗体フラグメント、抗体重鎖及び/又は抗体軽鎖は、別々の発現カセットにコードされていてもよく、そのうちの少なくとも1つはクメルマイシン誘導性プロモーターの制御下にある。
【0092】
[00110]本明細書で使用する「抗体」という用語は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、キメラ抗体及びヒト化抗体を含むことを意図している。抗体は、組換え体由来であっても、及び/又はトランスジェニック動物で産生されていてもよい。本明細書で使用する「抗体フラグメント」という用語は、Fab、Fab’、F(ab’)2、scFv、dsFv、ds-scFv、それらの二量体、ミニボディ、ダイアボディ及び多量体、多特異的抗体フラグメント、並びにドメイン抗体を含むことが意図されるが、これらに限定されない。Fab、Fab’及びF(ab’)2、scFv、dsFv、ds-scFv、二量体、ミニボディ、ダイアボディ、二重特異性抗体フラグメント及び他のフラグメントは、組換えタンパク質として発現させることができる。
【0093】
[00111]基本的な抗体構造単位は、2つの同一のポリペプチド鎖の対から構成される四量体を含むことが知られており、各対は1つの軽鎖(「L」)(約25kDa)と1つの重鎖(「H」)(約50~70kDa)を有する。軽鎖のアミノ末端部分は軽鎖可変ドメイン(VL)を形成し、重鎖のアミノ末端部分は重鎖可変ドメイン(VH)を形成する。VHドメインとVLドメインは一緒になって抗体可変領域(Fv)を形成し、これは主に抗原認識/結合を担う。重鎖及び軽鎖のカルボキシ末端部分は一緒になって、主にエフェクター機能を担う定常性領域を形成する。
【0094】
III.方法
[00112]目的のRNA又はタンパク質をコードする本明細書に記載の発現系は、その中にコードされる1つ又は複数の目的のRNA又はタンパク質の誘導性の産生のために哺乳動物細胞に導入し得る。したがって、本開示の一態様は、1つ又は複数の目的のRNA又はタンパク質の誘導性の産生のための哺乳動物細胞を作製する方法であって、本方法は、目的のRNA又はタンパク質をコードする本明細書に記載される発現系を哺乳動物細胞に導入するステップ、選択可能マーカーを細胞に導入するステップ、及び選択可能マーカーを保有する細胞を選択するために細胞に選択圧を加えることにより、発現系を保有する細胞を選択することを含む。
【0095】
[00113]目的の1つ又は複数のRNA又はタンパク質の産生には、種々の哺乳動物細胞を使用することができる。適切な細胞は当該技術分野において周知であり、限定されるものではないが、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ヒト胚性腎臓293(HEK293)細胞、VERO細胞、HeLa細胞、A549細胞、幹細胞、及びニューロンを含み得る。いくつかの実施形態において、細胞はHEK293細胞であり、任意選択で、米国特許第6,210,922号に記載されているような293SF-3F6細胞である。いくつかの実施形態において、細胞は懸濁液中で増殖される、及び/又は血清非存在下で増殖され得る。
【0096】
[00114]発現系は、当技術分野で公知の任意の適切な方法によって細胞に導入することができる。好適な方法としては、トランスフェクション、形質導入、感染、エレクトロポレーション、ソノポレーション、ヌクレオフェクション、及びマイクロインジェクションが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、核酸構築物はトランスフェクションによって細胞に導入される。適切なトランスフェクション試薬は、当技術分野において周知であり、ポリエチレンイミン(PEI)等のカチオン性ポリマー、リポフェクタミン及び関連試薬(Invitrogen)等のカチオン性脂質、並びにFugene及び関連試薬(Promega)等の非リポソーム試薬又はリン酸カルシウムが挙げられる。いくつかの実施形態において、発現系は、レンチウイルス、レトロウイルス、AAV及びアデノウイルス等の適切なウイルスベクターを用いる形質導入によって細胞に導入し得る。
【0097】
[00115]発現系又はその構成要素が導入された細胞の選択を可能にするために、選択可能マーカーを、発現系と共に又は発現系の1つ若しくは複数の発現カセットと共に、細胞内に導入してもよい。本明細書で使用する「選択可能マーカー」という用語は、核酸構築物を保有する細胞に選択的な利点を与える核酸構築物中のエレメントを指す。例えば、選択可能マーカーは、発現され、特定の薬剤に対する耐性を付与するタンパク質をコードし得る。或いは、選択可能マーカーは、発現され、特定の増殖条件下で細胞の生存能に必須なタンパク質をコードし得る。適切な選択マーカーは当業者には公知である。適切な薬剤選択可能マーカーの例には、ブラストサイジン耐性、ネオマイシン耐性、ハイグロマイシン耐性、又はピューロマイシン耐性が含まれる。
【0098】
[00116]選択可能マーカーは、発現カセットと同じ核酸分子上にあっても、又は異なる核酸分子上にあってもよい。選択可能マーカーが別の核酸分子上にある場合、選択可能マーカーを有する核酸分子は、他の核酸分子(複数可)よりも低い比又はパーセンテージ、例えば、1:4モル比、1:5モル比、若しくは1:10モル比、又は例えば、全核酸の25%、20%、若しくは10%で提供される。選択可能マーカーを取り込む細胞は、マーカーと共に導入される他の核酸、例えば発現系又はその構成要素を取り込んでいる可能性が高く、それによって発現系又はその構成要素を有する細胞の選択が可能になる。
【0099】
[00117]発現系の1つ又は複数の発現カセットを含む安定な細胞株は、1つ又は複数の発現カセットを含む個々の細胞を単離し、その細胞を培養して1つ又は複数の発現カセットを含む細胞集団を作製することによって作製することができる。したがって、一実施形態において、本方法は、個々の細胞を単離し、個々の細胞を培養して細胞集団を作製するステップをさらに含む。
【0100】
[00118]発現系の1つ又は複数の発現カセットを、同時に及び/又は逐次的に細胞に導入することができる。一例として、3つの発現カセットの全てを、単一のステップ(例えば、単一のトランスフェクション又は単一の形質導入)で細胞内に導入してもよい。或いは、第1及び第2の発現カセットを単一ステップで細胞に導入し、第3の発現カセット並びに任意選択で第4及び/又は第5の発現カセットをその後の1つ又は複数のステップで細胞に導入してもよい。或いは、各発現カセットを順次的に細胞に導入することもできる。したがって、一実施形態において、目的のRNA又はタンパク質を産生するための哺乳動物細胞を作製する方法は、発現系の第1の発現カセット及び第1の選択可能マーカーを哺乳動物細胞に導入するステップ;第1の選択可能マーカーを保有する細胞を選択するために細胞に選択圧をかけることにより、第1の発現カセットを保有する細胞を選択するステップ;第1の発現カセットを含む第1の個々の細胞を単離するステップ;第1の個々の細胞を培養して、第1の発現カセットを含む第1の細胞集団を得るステップ;第1の細胞集団の細胞に、発現系の第2の発現カセット及び第2の選択可能マーカーを導入するステップ;第2の選択可能マーカーを保有する細胞を選択するために細胞に選択圧をかけることにより、第2の発現カセットを保有する細胞を選択するステップ;第2の発現カセットを有する第2の個々の細胞を単離するステップ;第2の個々の細胞を培養して、第2の発現カセットを含む第2の細胞集団を得るステップ;発現系の第3の発現カセット及び第3の選択可能マーカーを第2の細胞集団の細胞に導入するステップ;第3の選択可能マーカーを保有する細胞を選択するために細胞に選択圧をかけることにより、第3の発現カセットを保有する細胞を選択するステップ;第3の発現カセットを保有する第3の個々の細胞を単離するステップ;並びに第3の個々の細胞を培養して、第3の発現カセットを保有する第3の細胞集団を得るステップを含む。
【0101】
[00119]本明細書に記載される発現系を含む哺乳動物細胞は、抗体又はウイルスベクター等の複雑な生物学的製剤の誘導性産生に使用することができる。したがって、一実施形態において、本方法は、さらなる構成要素をコードする1つ又は複数のさらなる発現カセットを細胞に導入するステップをさらに含む。さらなる発現カセットは、さらなる選択可能マーカー、及び/又は任意の他の発現カセット、及び/又は任意の他のさらなる構成要素と共に、細胞に導入することができる。例えば、発現系がウイルスベクターの誘導性産生のために使用される場合、さらなる構成要素は、目的の遺伝子(RNA又はタンパク質をコードする)を有するウイルス構築物を含み得る。
【0102】
[00120]本明細書に記載される発現系は、そこにコードされる1つ又は複数の目的のRNA又はタンパク質の誘導性産生のために使用され得る。したがって、本開示の一態様は、1つ又は複数の目的のRNA又はタンパク質の産生を誘導する方法であって:a)目的のRNAタンパク質をコードする本開示の発現系を含む哺乳動物細胞を得るステップ;b)誘導性プロモーターからの発現を誘導するために、誘導剤を細胞の増殖培地に添加するステップ;及びc)目的のRNA又はタンパク質の産生のための条件下で細胞を培養し、それにより目的のRNA又はタンパク質を産生するステップ、を含む方法である。
【0103】
[00121]発現系は、クメート誘導性プロモーター及びクメルマイシン誘導性プロモーターを含む。したがって、適切な誘導剤としては、クメートエフェクター分子及びクメルマイシンエフェクター分子が挙げられる。一実施形態において、クメートエフェクター分子はクメートである。任意の適切な濃度のクメートを使用してよく、例えば、約1~200μg/ml、約50~150μg/ml、又は任意選択で約100μg/mlである。一実施形態において、クメルマイシンエフェクター分子はクメルマイシンである。任意の適切な濃度のクメルマイシンを使用してよく、例えば、約1~30nM、約5~20nM、又は任意選択で約10nMである。クメートエフェクター分子及びクメルマイシンエフェクター分子は、ほぼ同時に、又は逐次的に、増殖培地に添加し得る。
【0104】
IV.組成物
[00122]本開示の発現系は、各々が核酸分子を含む3つ以上の発現カセットを含む。本明細書に記載の発現カセットは、1つ又は複数の核酸分子又は構築物として提供され得る。核酸分子又は構築物は、細胞の遺伝物質に組み込まれても、又はプラスミドに組み込まれてもよいことは理解される。したがって、一態様において、本明細書に記載の発現系の1つ又は複数の発現カセットは、発現系の発現カセット(複数可)を含む1つ若しくは複数のプラスミドの形態で、及び/又は発現系の1つ若しくは複数の発現カセットを含む細胞の形態で提供され得る。一実施形態において、1つ又は複数の発現カセットは、1つ又は複数のプラスミド上に提供される。一実施形態において、1つ又は複数の発現カセットは、細胞の遺伝物質に組み込まれ得る。
【0105】
[00123]本開示の別の態様は、目的のRNA又はタンパク質の誘導性発現に有用な哺乳動物細胞を含む。したがって、一実施形態において、本開示は、目的のRNA又はタンパク質をコードする本明細書に記載の発現系を含む哺乳動物細胞を提供する。本明細書で使用される場合、「発現カセットを含む細胞」、「発現系を含む細胞」、又は同様の句は、示される発現カセット又は発現系の核酸分子(複数可)が導入された細胞を意味する。核酸分子を細胞に導入する適切な方法は、当技術分野で周知である。
【0106】
[0124]一実施形態において、哺乳動物細胞は、ウイルスベクターの誘導性産生に有用である。したがって、一実施形態において、哺乳動物細胞は、ウイルスベクターの1つ又は複数の構成要素をコードするさらなる発現カセットを含む。一実施形態において、ウイルスベクターはレンチウイルスベクターである。一実施形態では、ウイルスベクターはアデノ随伴ウイルス(AAV)である。
【0107】
[00125]一実施形態において、哺乳動物細胞は、ウイルスベクターの構成要素をコードする発現カセットを含むウイルスパッケージング細胞である。一実施形態において、ウイルスパッケージング細胞は、例えばレンチウイルスREV、Gag/pol、及び/又はVSVg、任意選択でVSVg-Q96H-I57L等のウイルスエンベロープタンパク質をコードする発現カセットを含むレンチウイルスパッケージング細胞である。一実施形態では、ウイルスパッケージング細胞は、例えばRep40、Rep52、Rep68、Rep78、又はRep40若しくはRep52のうちの少なくとも1つと、Rep68若しくはRep78のうちの少なくとも1つとの組合せをコードする発現カセットを含むAAVパッケージング細胞である。例えば、発現系は、Rep40とRep68、Rep40とRep78、Rep52とRep68、又はRep52とRep78を含み得る。
【0108】
[00126]ウイルス構築物はDNA又はRNAから作製され、それらが由来するウイルス(レンチウイルス、レトロウイルス、AAV及びアデノウイルス等)の遺伝物質の一部を含む。ウイルス構築物は、目的の組換えタンパク質又はRNAを産生する目的の遺伝子を保有し、送達するように改変されており、例えば、細胞治療及び遺伝子治療による病気の治療並びにワクチン接種に用いることができる。ウイルス構築物は、細胞培養物において組換えタンパク質やRNAを産生する目的の遺伝子を導入するためにも使用できる。適切なウイルス構築物は当技術分野で周知であり、使用されるウイルスベクターやウイルスの種類によって異なる。したがって、一実施形態において、ウイルスパッケージング細胞は、目的の遺伝子を保有するウイルス構築物をさらに含む。ウイルス構築物の種類は、使用されるウイルスパッケージング細胞(又はウイルスベクター)に依存する。例えば、ウイルスパッケージング細胞がレンチウイルスパッケージング細胞である場合、ウイルス構築物はレンチウイルス構築物である。ウイルスパッケージング細胞がAAVパッケージング細胞である場合、ウイルス構築物はAAV構築物である。
【0109】
[0127]一実施形態において、哺乳動物細胞は抗体の誘導性産生に有用である。したがって、一実施形態において、哺乳動物細胞は、抗体の1つ又は複数のさらなる構成要素をコードする発現カセットを含む。
【0110】
[00128]1つ又は複数の目的のRNA又はタンパク質のカスタマイズ可能な発現のための可撓性ツールを提供するために、哺乳動物細胞は、本明細書に記載の発現系の一部のみを含んでいてもよい。例えば、哺乳動物細胞は、本明細書に記載の発現系の第1及び第2の発現カセットを含む「発現準備」細胞であってもよい。第3の発現カセットは、例えば、目的のRNA又はタンパク質をコードするようにユーザーによってカスタマイズされ得るプラスミドに組み込まれ、目的のRNA又はタンパク質の誘導性産生用の細胞を作製するために発現準備細胞に導入され得る。
【0111】
V.キット
[00129]本明細書に記載の発現系は、目的のRNA又はタンパク質の誘導性発現のためのキットとして提供され得る。したがって、一態様には、目的のRNA又はタンパク質の誘導性発現のためのキットが含まれる。一実施形態において、キットは、本開示の発現系をコードするプラスミドを含む。別の実施形態において、キットは、本開示の発現系及び1つ又は複数の誘導剤を含む細胞を含む。さらなる実施形態において、キットは、発現系の第1及び第2の発現カセットを含む「発現準備」細胞、並びにクメルマイシン誘導性プロモーター、クローニング部位及びポリアデニル化シグナルを含むプラスミド並びに/又は第3の発現カセットを含むプラスミドを含む。
【0112】
[00130]発現系がウイルスベクターを産生する場合、キットは、ウイルスベクターの構成要素をコードする本開示の発現系を含むウイルスパッケージング細胞、及び適切なウイルス構築物を含み得る。
【実施例
【0113】
[00131]以下の非限定的な例は、本開示を例示するものである:
VI.実施例
[00132]本開示において、ヒト胚性腎臓細胞(HEK293細胞)由来の細胞株等の細胞株を、クメート遺伝子スイッチのリプレッサー(CymRとして知られている)及びクメルマイシンキメラトランスアクチベーター(λR-GyrB)を産生するように操作した。HEK293由来の293SF-3F6細胞を本明細書では使用したが、これは、スケールアップを容易にすること及び規制遵守のために、無血清培地中において懸濁培養で増殖するためである。得られた細胞株は、293SF-CymR/λR-GyrBと呼ばれる(図1)。
【0114】
[0133]誘導前(Off)と誘導後(On)の遺伝子発現のOn/Off比を比較することによって決定されるように、クメート/クメルマイシン遺伝子スイッチによってもたらされる誘導レベルは、リプレッサー構成のクメート遺伝子スイッチと比較して130倍高く、逆トランスアクチベーター構成のクメート遺伝子スイッチと比較して30倍高かった(図5)。
【0115】
[00134]本明細書では、レンチウイルス(LV)由来のウイルスベクターのパッケージング細胞及び産生細胞の作製に用いることにより、複雑な生物学的製剤を製造するための新規クメート/クメルマイシン遺伝子スイッチの有用性を示す。LVは遺伝子治療及び細胞治療の応用において非常に重要なベクターである(Dropulic,2011;Escors and Breckpot,2010;Matrai et al.)。本明細書で記載するLVのパッケージング細胞及び産生細胞は、293SF-CymR/λR-GyrB細胞に由来し、懸濁培養及び無血清培地での増殖が可能である。LVを産生するためには、細胞は、水疱性口内炎ウイルス(VSVg)のエンベロープ糖タンパク質及びヒト免疫不全ウイルス(HIV)のGag/pol遺伝子によってコードされるプロテアーゼ等の細胞毒性タンパク質を産生する必要がある。これらの遺伝子エレメントを含む細胞は、非常に厳密に制御された誘導性遺伝子発現系を用いることによってのみ構築することができる。
【0116】
[0135]アデノ随伴ウイルス(AAV)のパッケージング細胞の作製も本明細書で記載する。AAVは、遺伝子治療及び細胞治療の用途のためのもう1つの重要なウイルスベクターである(Balakrishnan and Jayandharan,2014;Kotterman and Schaffer,2014;Robert et al.,2017;Weitzman and Linden,2011)。より具体的には、AAVの高細胞毒性Repタンパク質を発現する細胞株(293SF-Rep)を構築するためのクメート/クメルマイシン遺伝子スイッチの使用が、本明細書で実証される。Repタンパク質はAAVの複製及び組立てに必須である。本明細書で示すように、293SF-Rep細胞は、クメート及びクメルマイシンで誘導した後、AAVを産生することができた。
【0117】
実施例1.293SF-CymR/λR-GyrBの構築
[00136]293SF-CymR/λR-GyrB細胞株を作製するための最初のステップは、クメート遺伝子スイッチのリプレッサーを発現する安定な細胞株(293SF-CymR)を構築することであった。
【0118】
293SF-CymR細胞株(クローン198-2)の構築
[00137]無血清懸濁培養に適応したHEK293細胞のクローン(クローン293SF-3F6(Cote et al.,1998))を、CymR遺伝子のレシピエントとして使用した。簡単に述べると、この細胞をCMV5プロモーターによって制御されるCymR遺伝子をコードするプラスミド(図2A)(本明細書で開示する第1の発現カセットの一例)及びピューロマイシン耐性をコードするプラスミドでトランスフェクションした。トランスフェクション後、細胞を96ウェルプレートでピューロマイシンの存在下で希釈した。耐性コロニーを摘出し、増幅した。CMV5CuOプロモーターで調節されたGFPを発現するLV(LV-CMV5CuO-GFP、図3A)でクローンに形質導入することにより、クローン中のCymRの存在を試験した。LV-CMV5CuO-GFPを形質導入し、クメートで誘導した後のGFP発現レベルは、蛍光顕微鏡で可視化するか、又はフローサイトメトリーで誘導細胞と非誘導細胞を比較することによって定量化した(On/Off比)。On/Off比が最も良好なクローンを増殖させ、バンク化した(誘導もLV処理もしていない細胞集団のサブセットを、細胞増殖及び細胞バンク化に使用した)。次に、On/Off比の最も良いクローン(#169と#198)を、半固形培地中で低細胞密度でプレーティングしてサブクローニングした。その後、よく分離されたコロニーを、前述(Caron et al.,2009)のように、ロボット型セルピッカー(ALS セルコレクター(CellCellector)(商標))を用いて摘出した。サブクローンを増幅し、LV-CMV5CuO-GFPで細胞を形質導入することにより、CymRの遺伝子発現調節能を試験した。最良のサブクローンの1つをクローン198-2と呼ぶ。
【0119】
293-CymR細胞へのλR-GyrBの挿入
[00138]293SF-CymR細胞(クローン198-2)に、CMV5CuOプロモーターによって制御されるλR-GyrBトランスアクチベーターをコードするプラスミド(図2B)(本明細書で開示される第2の発現カセットの一例)及びブラストサイジン耐性をコードするプラスミドをトランスフェクションした。トランスフェクション後、細胞を96ウェルプレートにブラストサイジンの存在下でプレーティングした。耐性コロニーを摘出し、増幅し、12xlambda-TPLプロモーターで制御されたGFPを発現するLV(LV-12xlambda-TPL-GFP、図3B)を形質導入することにより、λR-GyrBの存在について検査した。クメートとクメルマイシンで誘導した後、フローサイトメトリーでGFP発現を測定し、最高のOn/Off比に基づいて最良のクローンを選択した。最良のクローンを増幅し、上記のようにバンク化した。96ウェルプレートで限界希釈してサブクローニングした。コロニーを摘出、増殖させ、LV-12xlambda-TPL-GFPを形質導入して、誘導後にフローサイトメトリーで分析することにより、上記のようにλR-GyrBの存在について試験した。
クメート/クメルマイシン遺伝子スイッチはクメート遺伝子スイッチよりも良好な誘導レベルを提供する
【0120】
[00139]LV-12xlambda-TPL-GFPで形質導入した後の293SF-CymR/λR-GyrBの最良のクローンのうちの3つのOn/Off比を試験することにより、クメート/クメルマイシン遺伝子スイッチの有効性を評価した。293SF-CymRの最良クローン(上述)と293SF-CymR/rcTAの最良クローンで得られたOn/Off比も比較のために試験した。293SF-CymR/rcTAのクローンは、293SF-3F6細胞にCMVで制御されるCymRをコードするプラスミドとCMV5CuOプロモーターで制御される逆トランスアクチベーターrcTAをコードするプラスミドをトランスフェクションし(図2C)、上記のように両遺伝子を染色体に安定に組み込んだクローンを単離することにより作製した。293SF-CymR/rcTAの場合、クメートの添加はrcTA遺伝子の転写を活性化する(CymRによる阻害を解除することによる)。合成後、rcTAはCR5プロモーターに結合し、転写を活性化する(Mullick et al.,2006)(図4)。293SF-CymR/rcTAクローンを構築するために使用されたステップの詳細な説明は、材料及び方法と題されたセクションに示す。
【0121】
[00140]293SF-CymR及び293SF-CymR/rcTAクローンのOn/Off比を、それぞれLV-CMV5CuO-GFP及びLV-CR5-GFPを細胞に形質導入し、誘導後にフローサイトメトリーによりGFP発現レベルを測定することにより試験した。LV-CR5-GFPはCR5プロモーターによって制御されるGFP遺伝子を保有する(図3C)。観察されたOn/Off比は、293SF-CymR、293SF-CymR/rcTA、及び293SF-CymR/λR-GyrBクローンでそれぞれ約30、100、及び4000であった(図5)。CymR/λR-GyrBを発現している細胞では、CymRのみを発現している細胞、又はCymR/rcTAの組合せを発現している細胞と比較して、On/Off比が130倍(4000/30)及び40倍(4000/100)高いという事実は、クメート/クメルマイシンスイッチがはるかに優れた誘導レベルを提供することを示す。
【0122】
実施例2.LV産生のためのパッケージング細胞の構築
[00141]複雑な生物学的産物を産生するためのクメート/クメルマイシン遺伝子スイッチの有用性を示す一つの例として、293SF-CymR/λR-GyrBクローンの一つを用いて、LVを産生するための誘導性パッケージング細胞株を構築した。LVは、がん又は遺伝性疾患を治療するために患者に送達される細胞を遺伝子改変するために使用されるため、細胞治療にとって極めて重要である(Dropulic,2011;Milone and O’Doherty,2018)。細胞治療の分野における課題の1つは、臨床応用に必要な量の良質なLVを合理的なコストで適時に産生することである。
【0123】
[00142]LVの産生を容易にするための1つの解決策は、LVの組立てに必要な遺伝的エレメントを全て含むパッケージング細胞を構築することである。第3世代LVの場合、LVを産生するために3つの遺伝子が必要である:Rev、Gag/Pol及びエンベロープタンパク質(Cockrell and Kafri,2007;Dropulic,2011;Pluta and Kacprzak,2009)。最も一般的に使用されるエンベロープタンパク質はVSVgである。パッケージング細胞株が利用できるようになったこのtにより、科学者はトランスフェクションを行う必要なく、LVを産生できる安定した産生クローンを作成することができる。一過性のトランスフェクションに比べ、産生クローンの利点は、再現性及び簡便性(トランスフェクション及びプラスミドの調製が不要)である。懸濁培養に適応したパッケージング細胞の利用は、LV産生のスケールアップを大幅に促進する。加えて、無血清培地を使用することで、より安全でより特性決定された生成物が得られ、これによりcGMP製造が容易になる。
【0124】
[00143]LVを産生するのに必要な遺伝子(Gag/polとVSVg)の一部は細胞毒性があるため、宿主細胞を殺すことを回避するように、細胞増殖と細胞バンク化中は厳密にoffにしなければならない。このため、LVのパッケージング細胞の構築の成功は、効率的な誘導性発現系を用いることによってのみ可能であった(Broussau et al.,2008;Farson et al.,2001;Kafri et al.,1999;Ni et al.,2005;Pacchia et al.,2001;Sanber et al.,2015;Sparacio et al.,2001)。
【0125】
[00144]パッケージング細胞を作製するための第1のステップは、Rev、Gag/pol及びVSVg遺伝子を保有するプラスミドを構築することであった。まず、RevとVSVgの転写が13xlambda-TPLプロモーターによって制御されるプラスミドを構築した(図6及び15)。Gag/Polの発現については、2つの異なるプロモーター:11xlambda-hbgmin及びCAGプロモーターを試験した(図6及び16)。CAGはアクチンプロモーターにCMVエンハンサーを融合した強力な構成的ハイブリッドプロモーターである(Miyazaki et al.,1989)。後者の場合、Gag/polが強力な構成的CAGプロモーターによって制御されているにもかかわらず、Revタンパク質の非存在下では、そのmRNAは細胞質に輸送されず、ポリタンパク質に翻訳されない。このため、Gag/polポリペプチドの産生にはRevの存在が必要である。したがって、Rev遺伝子の転写は間接的にGag/polポリペプチドの合成を制御している。
【0126】
[00145]パッケージング細胞を産生するために2つの戦略が採用された。最初の戦略では、293SF-CymR/λR-GyrB細胞を、11xlambda-hbg-Gag/Pol、13xlambda-TPL-Rev、13xlambda-TPL-VSVg(本明細書で開示する第3、第4及び第5発現のカセットの例)のプラスミド、及びネオマイシンに対する耐性をコードする第4のプラスミド(本明細書で開示する選択可能マーカーの一例)でトランスフェクションした。第2の戦略では、293SF-CymR/λR-GyrB細胞を、CAG-Gag/Pol、13xlambda-TPL-Rev、13xlambda-TPL-VSVg、及びハイグロマイシンに対する耐性をコードするプラスミド(本明細書で開示する選択可能マーカーの他の例)でトランスフェクションした。
【0127】
[00146]トランスフェクション後、選択剤を細胞培養培地に添加した。耐性細胞のプールをナノウェルに希釈してクローニングした。単一細胞に由来する耐性コロニー(プレーティング時に写真撮影して記録した)を、ロボット型セルピッカー(セルコレクター(商標))を用いて単離し、384ウェルプレートに移した。その後、細胞を増殖させ、LVの産生について試験した。
【0128】
[00147]パッケージング細胞のクローンを、CMVによって制御されるGFPを発現するLVをコードするプラスミド(LV-CMV-GFP)(図3D)(本明細書に開示されるレンチウイルス構築物の一例)でトランスフェクションすることによって、LVの産生についてスクリーニングした。トランスフェクションされなかった細胞のサブ集団は、最良のクローンの増幅及び細胞バンク化のために保持した。一過性トランスフェクション後に産生されたLV-CMV-GFPの力価は、HEK293細胞への形質導入後、フローサイトメトリーで測定した。CAG-Gag/Polプラスミド又は11xlambda-hbgmin-Gag/Polプラスミドを用いたいずれの戦略も、培養培地1ml当たり1.0X10形質導入単位(TU)を上回る力価を有するパッケージング細胞を作製することができた。いくつかのクローンは、1.0X10 TU/mlを超える力価も産生した。(図7)。クメートスイッチのみで構築したパッケージング細胞を用いてLVを産生するクローンを単離する以前の試みは失敗に終わった(図示せず)。
実施例3.LVの安定産生体の構築
[00148]パッケージング細胞(クローン3D4(図7B))を用いて、一過性トランスフェクションを必要とせずにLVを産生する能力を有する産生クローンを作製した。簡単に述べると、パッケージング細胞3D4を、LV-CMV-GFPをコードするプラスミド(図3D)とネオマイシン耐性をコードするプラスミドで共トランスフェクションした。トランスフェクション後、選択剤(ネオマイシン)を細胞に添加し、ネオマイシン耐性コロニーをナノウェルプレートに希釈してクローニングした。ロボット型セルピッカー(セルコレクター(商標))を用いてコロニーを単離し、384ウェルプレートに移した。クローンを増殖させ、誘導剤(クメート及びクメルマイシン)を添加してLV-CMV-GFPの産生を試験した。HEK293細胞への形質導入後、フローサイトメトリーでLVを滴定した。いくつかのクローンは、培養培地中で1.0X10 TU/mlの範囲でLV-CMV-GFPを産生することができた(図8)。
【0129】
パッケージング細胞における遺伝子発現の調節
[00149]LVのパッケージング細胞におけるクメート/クメルマイシン遺伝子スイッチの有効性を確認するために、LVの産生に必要な遺伝的エレメント(Rev、Gag及びVSVg)の発現を、誘導の前後でウェスタンブロットにより解析した。予想通り、Rev、Gag及びVSVgの発現は、クメート及びクメルマイシンの添加後に強く誘導され(図9)、誘導前には検出された発現は非常に弱いか、又は全く発現していなかった。
【0130】
実施例4.AAV産生のためのパッケージング細胞の構築
[00150]アデノ随伴ウイルス(AAV)由来のウイルスベクターを産生するための1つの一般的な方法は、機能的AAV粒子を組み立てるのに必要なエレメントを保有する3つのプラスミドによるHEK293細胞の一過性トランスフェクションによるものである(Balakrishnan and Jayandharan,2014;Grieger and Samulski,2012;Robert et al.,2017;Wright,2009)。プラスミドは:i)AAVによって送達される遺伝子(ウイルス構築物)を保有する発現プラスミド、ii)アデノウイルス由来の必須ヘルパー遺伝子をコードするヘルパープラスミド、及びiii)AAVのRep遺伝子とCap遺伝子を含むRep-Capプラスミドである。RepはAAVゲノムの複製及びパッケージングに関与する4つのタンパク質(Rep40、Rep52、Rep68、及びRep78)を産生する。CapはAAVのキャプシドを構成する構造タンパク質をコードしている。AAVの産生を容易にする1つの可能性のあるアプローチは、LVの場合のように、AAVの産生に必要なエレメントを含むパッケージング細胞を使用することであり得る。しかし、Repは細胞毒性タンパク質をコードしているため、AAVのパッケージング細胞を作製することは難しい。クメート/クメルマイシン遺伝子スイッチの有用性及び有効性をさらに証明するものとして、この遺伝子スイッチの制御下でRepタンパク質を産生するAAV用パッケージング細胞(293SF-Rep)が構築された。293SF-Rep細胞を用いたAAVの産生も実証された。
【0131】
[00151]293SF-Rep細胞を構築するために、293SF-CymR/λR-GyrB細胞に、13xlambda-TPLプロモーター(図10A)によって各々調節されるRep52をコードするプラスミド、Rep68をコードするプラスミド及びRep78をコードするプラスミド(本明細書で開示する第3、第4及び第5の発現カセットの例)、並びにハイグロマイシン耐性をコードするプラスミド(本明細書で開示する選択可能マーカーの例)をトランスフェクションした。本実験では、Rep40のプラスミドは含まれなかったが、これはRep40はRep52の存在下でAAVを産生するのに必須ではないためである(Chahal et al.,2018)。トランスフェクション後、培養培地にハイグロマイシンを添加し、ハイグロマイシン耐性プールを作製し、96ウェルプレートで限界希釈してクローニングした。ハイグロマイシン耐性コロニーを単離して増殖させ、3つのプラスミド:Cap用(pCMV-CAP)、アデノウイルスヘルパー遺伝子用(pHelper)、及びCMVプロモーターで調節されるGFPを有する発現プラスミド(pAAV-CMV-GFP)で一過性トランスフェクションすることによってAAVの産生を試験した(図10b)。産生されたAAVの量は、HEK293A細胞にAAVを形質導入し、蛍光顕微鏡を用いて半定量的に、又はフローサイトメトリーで定量的に、GFP陽性細胞の割合をスコア化することで測定した。AAVを産生する能力を有するクローンを増幅し、バンク化した(トランスフェクションも誘導もしていない細胞のサブ集団をこの目的に使用した)。クメート及びクメルマイシンによる誘導後、Repタンパク質の産生が、これらのクローンのいくつかについてウェスタンブロットで証明された(図11)。クローン13からのAAV産生を、プラスミドの比率を変えて検討した(図12)。いくつかの条件下で、クローン13は一過性トランスフェクションにより、1ml当たり2.5X10個のAAV-CMV-GFPの感染性ウイルス粒子(IVP)を産生することができた。誘導がない場合、産生されたAAVの量はこの方法の感度を下回った。
【0132】
材料及び方法
プラスミド構築
[00152]プラスミドは分子生物学の標準的方法を用いて構築し、大腸菌(E.coli)で増幅した後、市販のキット(Qiagen Valencia,CA)を用いてクロマトグラフィーにより精製した。精製後、ナノドロップ(NanoDrop)(商標)分光光度計(Thermo Scientific)を用いて260nmでプラスミド濃度を測定した。プラスミドの完全性は制限酵素による消化で確認した。このプロジェクトに必要なプラスミドは、以下に記載するように作製した。
【0133】
[00153]pBlast:pUC57にクローニングされたブラストサイジン耐性遺伝子の発現カセットの配列は、遺伝子合成会社(GenScript)に注文した。
【0134】
[00154]pHygro:pUC57にクローニングされたハイグロマイシン耐性遺伝子の発現カセットの配列は、遺伝子合成会社(GenScript)に注文した。
【0135】
[00155]pkCMV5-CuO-mcs;このプラスミドは、pkCMV5-CuO-Rev(Broussau et al.,2008)から制限酵素で消化することによりRev遺伝子を除去して作製した。
【0136】
[00156]pKCMV5-CuO-rcTA-Hygro:pAdenovatorCMV5-CuO-rcTAからBlpI及びSwaI消化によりrcTA配列(Mullick et al.,2006)を除去し、KpnI(平滑化)及びBlpI消化によりpKCMV5-CuO-Rev(Broussau et al.,2008)のRev配列の置換に使用し、これによってpKCMV5-CuO-rcTAプラスミドを作製した。ハイグロマイシン発現カセットを、NruI及びBssHIIでの消化によりpMPG-CMV5-CymRopt-Hygro(Gilbert et al.,2014)から除去し、末端を埋めて、事前にAflIIで消化して埋めておいたpKCMV5-CuO-rcTAプラスミドにライゲーションした。
【0137】
[00157]pKCMV5-CuO-λR-GyrB:λR-GyrB配列を、NdeI及びDraI消化によってpGyrb(Zhao et al.,2003)から除去し、末端を埋めた。λR-GyrB配列を含むDNAフラグメントを用いてpKCMV5-CuO-Rev(Broussau et al.,2008)のRev配列を置換した。
【0138】
[00158]pLVR2-CR5-GFP:pRRL.cppt.CR5-GFP.WPRE(Mullick et al.,2006)からのLVベクター配列(RSVからGFP)を、SphI及びSalIでの消化によりLVR2-GFPプラスミド(Vigna et al.,2002)に移した。
【0139】
[00159]9_SG_pMA-12xlambda-CMVmin-Protease:このプラスミドはGeneArt(ThermoFisher)に注文した。これは12xlambda-CMVminプロモーターの制御下にあるアデノウイルスプロテアーゼ配列を含む。
【0140】
[00160]pME_005(pVV-13xlambda-CMVmin-VSVg-Q96-I57L):pNN02のCMV5プロモーターを、pVR10(下記参照)から増幅した12xlambda-CMVminフラグメントで置換した。配列決定により、得られたプラスミドは12コピーの代わりに13コピーのlambdaOPを有することが明らかになった。
【0141】
[00161]pMPG-CMV5-CymR:ハイグロマイシン発現カセットをNruI/AscI(埋込み)消化によりpMPG-CMV5-CymRopt-Hygro(Gilbert et al.,2014)から除去し、プラスミドをライゲーションして再環状化した。
【0142】
[00162]pMPG-Puro:プラスミドpTT54(Poulain et al.,2017)からピューロマイシン発現カセットを単離し、インサートを含まないpMPG(Gervais et al.,1998)由来のプラスミドに挿入した。
【0143】
[00163]pNN02(pVV-CMV5-VSVg-Q96-I57L):このプラスミドを構築するために、最初にpTT5ベクター(Durocher et al.,2002)からDS及びFR配列を含むBglII/BbsI断片を除去し、末端を埋め、プラスミドを再環状化することによりpVV-CMV5を作製した。次に、GenScriptから注文したVSVg遺伝子(配列番号19に示すVSVg-Q96-157L、配列番号20に示すアミノ酸遺伝子バンクのアクセッション番号ABD73123.1に基づいてコドン最適化されている)をpVV-CMV5のPmeI部位にクローニングした。
【0144】
[00164]pNRC-LV1(pNC109):レンチウイルスベクター(図3参照、発現カセット[CMV-GFP]なし)の完全な骨格を含む3つのDNAフラグメントを、遺伝子合成会社(Integrated DNA Technologies)に注文し、次いでギブソンアセンブリーによって、pMK(ジーンアート(GeneArt)(商標)、ThermoFisher)由来のクローニングベクターに結合した。得られたプラスミドをpBV3と呼ぶ。より高い力価を得るために、フラグメント(CMV5’UTR-HIV-1Ψ-RRE-cPPT、Genbankアクセッション番号FR822201.1)を遺伝子合成会社(GeneScript)に注文し、XbaI/SalI消化によりpBV3の相同領域を置換するために使用した。
【0145】
[00165]pNRC-LV1-CMV-GFPq(pNC111):CMV-GFPをpCSII-CMV-GFPq(Broussau et al.,2008)からPCRにより増幅し、ゴールデンゲートアセンブリによりEsp3I部位を有するpNRC-LV1に導入した。
【0146】
[00166]pSB178(pKCR5-VSVg-Q96H-I57L)及びpSB174(pKCR5-Rev)は共に、CMV-B43カセットをクメートスイッチ(Mullick et al.,2006)からのCR5プロモーターに置換するように改変されたpKCMV-B43ベクター(Mercille et al.,1999)に由来する。 VSVg-Q96H-I57L(配列番号19、これは配列番号20に示すようにアミノ酸遺伝子バンクのアクセッション番号ABD73123.1に基づいてコドン最適化されている)及びRev(Gene bankアクセッション番号AF033819.3)の配列を遺伝子合成会社(GenScript)に注文し、CR5プロモーターの下流にクローニングしてそれぞれpSB178及びpSB174を作製した。
【0147】
[00167]pSB189(pkCMV5-hbgdelta-Gag/pol2):Gal/pol遺伝子(HIV-1完全ゲノムGene bankアクセッション番号AF033819.3)及びヒトβグロビンのイントロンの一部(Gene bankアクセッションMK476503.1)をGenScriptに注文した。両フラグメントを、CMV-B43カセットをCMV5プロモーター(Massie et al.,1998a)に置き換えることによって改変したpKCMV-B43(Mercille et al.,1999)由来のプラスミドにクローニングした。クローニングの間、CMV5のイントロンの一部をヒトβグロビンのイントロン配列で置換した。
【0148】
[00168]pSB201(pMPG/TK*/Neo):このプラスミドは、pMPG/TK*neo/CymR-nls(Mullick et al.,2006)からAscI消化によりCymR-nlsカセットを除去することにより作製した。
【0149】
[00169]pSB211(pCAG-Gag/polIIIb):Gag/Polllb配列(GeneBankアクセッション番号EU541617.1)を遺伝子合成会社(Genscript)に注文し、CMV-B43カセットをCAGプロモーター(Blain et al.,2010)に置換することにより改変されたpKCMV-B43(Mercille et al.,1999)由来のプラスミドにクローニングした。
【0150】
[00170]pSB213(p11xlambda-hbgmin-Gag/polIIIb):12lambda-hbgminプロモーターとイントロンをBamHI(埋込み)で消化することによりpVR28から抽出し、XhoI(埋込み)及びEcoRI(埋込み)で消化することによりpSB211(pCAG-Gag/polIIIb)のCAGプロモーターを置換するために使用した。プロモーターの塩基配列を決定した結果、クローニング中に1つのlambdaOpリピートが失われ、プロモーターには(12ではなく)11のlambdaOp反復が残っていると考えられた。得られたプロモーター(11xlambda-hbgmin)の概略図を図16に示す。
【0151】
[00171]pTet07-CMV5-CuO-GFP:CMV5-CuO配列を、最初にpRRL.ctpt.CMV5-CuO-rcTA(Mullick et al.,2006)から抽出し、SpeI及びBamHIで消化し、末端を埋め、事前にXbaIで消化し、平滑化させたpNEB193mcs(NEB)にライゲーションすることによってpNEB-CMV5-CuOを作製した。次に、pNEB-CMV5-CuOからのCMV5-CuO配列を、両方のDNAをPacI及びBlpIで消化した後、pTet07-CSII-5-GFP(以下に記載)にライゲーションした。
【0152】
[00172]pTet07-CSII-CMV-mcs:プラスミドLVR2-GFP(Vigna et al.,2002)を、XhoI部位にBspEIリンカー(TCGATCCGCA)を挿入することによって最初に改変した。次いで、Tet07オペレーターを含む3’LTRを、BspEI及びPmeIで消化することによりこの構築物から除去し、BspEI及びBsmIで予め消化した(事前に平滑化した)pCSII-CMV-mcs(Miyoshi et al.,1998)にライゲーションした。
【0153】
[00173]pTet07-CSII-mcs:pTet07-CSII-5-mcsのCR5プロモーターをPacI及びAgeIで消化して除去し、空のLV骨格を作製した。
【0154】
[00174]pTet07-CSII-5-mcs及びpTet07-CSII-5-GFP:Tet07-CSII-CMV-mcs及びTet07-CSII-CMV-GFP(Broussau et al.,2008)からのCMVプロモーターをCR5プロモーターに置換し、将来の構築物においてプロモーターを容易に変更するために、PacI部位をプロモーターの5’末端に挿入した。簡単に説明すると、まずpCSII-CMV mcs (Miyoshi et al.,1998)由来のプラスミドを鋳型として用いて、第1のCMVプロモーターのSnabI部位(5’LTRの5’末端)からcppt配列までの部分をカバーするPCR断片を増幅した。2回目のPCRは、pRRL.cppt.CR5-GFP.WPRE(Mullick et al.,2006)からCR5プロモーターを増幅するために行った。第1のフラグメントの3’末端と第2のフラグメントの5’末端にPacI部位を挿入した。PCR産物をアニールし、T4 DNAポリメラーゼで処理し、5’LTRの5’にあるCMVからmcsまでの部分を一緒にカバーする1つのフラグメントを生成した。このフラグメントをSnabI及びAgeIで消化し、Tet07-CSII-CMV-mcs及びTet07-CSII-CMV-GFPプラスミドに挿入した。配列決定により、CR5プロモーターの6つのCuOコピーのうち5つがクローニング中に欠失したことが明らかになった。
【0155】
[00175]pTet07-CSII-12xlambda-TPL-GFPq:pVR9からの12xlambda-TPL-GFPq配列を、BamHIで消化することにより最初にpUC19に挿入し、これによりpUC19-12xlambda-TPL-GFPqを作製した。次に、12xlambda-TPL-GFPq配列を、EcoRIで消化した後、Tet07-CSII-mcsにライゲーションした。
【0156】
[00176]pVR1(pKC_12xlambda-CuO-TPL-MCs):12xlambda-CuOプロモーターをGenScript1に注文し、pKCMV5-CuO-MSCのCMV-CuOプロモーター領域をKpnI/AgeIで消化することにより置換した。
【0157】
[00177]pVR2:(pKC_12xlambda-CuO-msc-PolyA)は、CMV5-CuOプロモーターの代わりに、GenScriptにより合成された12xlambda-TATA-CuOをpKCMV5-CuO-mcsのAcc65I/BglII部位に導入することにより作製した。
【0158】
[00178]pVR5(pKC_12xlambda-CuO-TPL-GFPq):pAd-CMV5-GFPq(Massie et al.,1998b)をBamHIで消化して得たGFP遺伝子を、BglIIで消化したpVR1にライゲーションした。
【0159】
[00179]pVR6(pKC_12xlambda-CuO-GFPq):BamHIで消化したpAdCMV5-GFPq(Massie et al.,1998b)からのGFPqを、BglIIで消化したpVR2にサブクローニングすることにより得られた。
【0160】
[00180]pVR9(pKC_12xlambda-TPL-GFPq):9_SG_pMA-12xlambda-CMVmin-Proteaseの12xlambda-CMVminプロモーターをPCRで増幅し、予めAgeI/KpnIで消化したpVR5に挿入し、pVR5の12xlambda-CuOフラグメントを置換した。
【0161】
[00181]pVR10(pKC_12xlambda-CMVmin-GFP):pVR6のKpnI-AgeIフラグメント(12xlambda-CuOを含む)を、9_SG_pMA-12xlambda-CMVmin-Proteaseを鋳型として事前にPCRで増幅した、同様に消化した12xlambda-CMVminフラグメントと置換することにより作製した。
【0162】
[00182]pVR17(pVV-13xlambda-CMVmin-MCS):pME_005からCMVmin-VSVgフラグメントをSalI及びHindIIIで消化することにより除去し、プラスミドpVR10を鋳型として用いることによってPCRにより得られたCMVminプロモーターを含むDNAフラグメントで置換することにより得た。
【0163】
[00183]pVR19(pVV-13xlambda-TPL-VSVg-Q96H_I57L):pSB178からのVSVg(TPL-VSVg)のcDNAを含むSacI/HindIIIフラグメントを同様に消化したpVR17(pVV-13lambda-CMVmin-mcs)にサブクローニングすることにより得た。
【0164】
[00184]pVR21(pVV-13xlambda-TPL-Rev):pSB174からのRev配列(TPL-Rev)を、StuI/NheI制限部位を用いてpVR17にサブクローニングすることにより得た。
【0165】
[00185]pVR28(pK-12xlambda-hbgmin_ex_Gag-Pol):CMVプロモーター/エンハンサー及びTPLをコードするpSB189のAflIII/XhoIフラグメントを、pVR9からの12xlambdaプロモーター及びTPLを含むAflIII/XhoIフラグメントで置換した。
【0166】
[00186]pVR41、pVR42、pVR43及びpVR44:13xlambda-TPLプロモーターの制御下に置かれた、それぞれRep78、Rep68、Rep52及びRep40をコードするAAV2遺伝子を含むプラスミド。プラスミドは以下のように作製した:Rep78、Rep68、Rep52及びRep40をコードするヒト最適化AAV2遺伝子をGenScriptで合成し、それぞれをpUC57のEcoRV部位にサブクローニングし、18_SG、19_SG、20_SG及び21_SGを作製した。Rep68及びRep78配列内の内部P19プロモーターのTATAボックスは、TATTTAAGC配列をTACCTCTCA配列に変更することにより、その活性を低下させるように改変した。pUC57-RepクローンをBglII/NotIで消化し、Rep遺伝子をコードするフラグメントをVSVgの代わりに同様に消化したpVR19(pVV-13xlambda-TPL-VSVg)にサブクローニングし、pVR41(pVV-13xlambda-TPL-Rep78)、pVR42(pVV-13xlambda-TPL-Rep68)、pVR43(pVV-13xlambda-TPL-Rep52)及びpVR44(pVV-13xlambda-TPL-Rep40)を得た。
【0167】
[00187]pVR46-Cap:CMV5プロモーターによって調整されるAAV2のCAP遺伝子をコードする。このプラスミドを構築するために、AAV2のCAP遺伝子とその上流の非翻訳領域をpTT3のCMV5プロモーター(Massie et al,1998a)の後にクローニングすることによってpTT3CAP1を生成した。CMV5プロモーターのスプライスアクセプター部位とCap遺伝子のスプライスドナー部位をAleI/SwaIで消化し、末端をライゲーションすることにより除去した。
【0168】
細胞培養
[00188]293SF-CymR及び293SF-CymR/rcTAを、6mM L-グルタミン(Hyclone)を補充したSFM4-Transfx-293培地(Hyclone)で培養した。半固形培地でのサブクローニングは、クローナセル(ClonaCell)(商標)FLEX methylcellulose(StemCell Technology)、2x SFM4-Transfx-293(Hyclone)、6mM L-グルタミン、2.5%クローナセル(商標)ACF CHO補充物質(StemCell Technology)の混合物で行った。293SF-CymR/λR-GyrBは、6mM L-グルタミンと10mg/ml rTransferin(Biogems)を添加したLow-Calcium-SFM培地(LC-SFM)(Gibco)で展開し、SFM4-Transfx-293で懸濁増殖させた。細胞株293SF-PacLVIIIB-L及び293SF-LVPIIIB-GFPは、6mM L-グルタミン及び10mg/ml rTransferinを補充した50% LC-SFMと、4mM L-グルタミン及び0.1%コリフォア(Kolliphor)(登録商標)を補充した50%ハイセル(Hycell)(商標)TransFx-H(Hyclone)の混合物で展開し、100%ハイセル(商標)TransFx-H中で懸濁維持した。懸濁培養の場合、細胞はシェイクフラスコで110rpmで培養した。293A(American Type Culture Collection)、293rtTA(Broussau et al.,2008)及び293rcTA(Mullick et al.,2006)は、5%ウシ胎児血清(Hyclone)を添加したダルベッコ改変イーグル培地(Hyclone)で培養した。全ての細胞株は、37℃、5% CO2加湿雰囲気で維持した。
【0169】
レンチウイルスの産生及び滴定
[00189]LV-CMV5CuO-GFP、LV-12xlambda-TPL-GFP及びLV-CR5-GFPを、293SF-PacLV#29-6を用いて、以前に記載されたように(Broussau et al)、pTet07-CSII-CMV5-CuO-GFP、pTet07-CSII-12xlambda-TPL-GFP及びpLVR2-CR5-GFPをそれぞれ用いて、LC-SMF+1%FBS中、静置条件でトランスフェクションし、ドキシサイクリン1μg/mL及びクメート50μg/mLを添加することにより産生した。産生されたLVをスクロースクッション上で超遠心して濃縮し(Gilbert et al.,2007)、懸濁液を用いて新鮮な293SF-PacLV #29-6を形質導入し、各LVについて産生細胞株のプールを作製した。このプールをLC-SFM+1%FBS中で懸濁増幅し、ドキシサイクリン1μg/mL及びクメート50μg/mLを添加してLV産生を誘導した。産生されたLVは48時間後及び72時間後に採取し、スクロースクッション上で超遠心して濃縮し、-80℃で凍結した。LVのCMV5CuO-GFP、12xlambda-TPL-GFP、及びCR5-GFPを、それぞれ293A、293rtTA、293rcTA細胞に形質導入して滴定し、GFP発現細胞の割合を以前に記載されているようにフローサイトメトリーで解析した(Broussau et al.,2008)。
【0170】
細胞株の作製
293SF-CymR
[00190]SFM4-TransFx-293で増殖させた293SF-3F6細胞株(Cote et al.,1998)を、リポフェクタミン(商標)2000 CD(Invitrogen)を用いて、pMPG-CMV5-CymR-opt及びpMPG-Puroを9:1のDNA比を用いてトランスフェクションションした。両DNAは事前にMfeIで消化した。48時間後、細胞を0.4μg/mlのピューロマイシン(Sigma)を含むSFM4-Transfx-293培地で5,000細胞/ウェル及び10,000細胞/ウェルで96ウェルプレートに希釈した。選択された細胞クローンは、1000細胞/mlと3000細胞/mlで半固形培地にプレーティングしてサブクローニングした。ロボット型セルピッカーセルコレクター(商標)(ALS,Germany)を用いてコロニーを単離し、96ウェルプレートに移した。CymRの存在についてクローンをスクリーニングするため、各クローンを2つの集団に分けた。一方の集団はGFP発現の解析に使用し、他方の集団はクローン増殖及びバンク化のためにそのまま残した。CMV5CuOプロモーターで調節されたGFPを発現するLV(LV-CMV5CuO-GFP)を形質導入した後、クローンのGFP発現を解析した。形質導入は最初に96ウェルプレートで行い、クメート(Sigma-Aldrich)を100μg/mlで細胞に誘導した。クローンをGFP強度について選択し、次にOn/Off条件下(誘導剤あり、及びなし)でのGFP発現について2回目のスクリーニングを行った。
【0171】
293SF-CymR-rcTA
[00191]293SF-3F6細胞を、リポフェクタミン(商標)2000 CDを用いて、pMPG-CMV5-CymR-optプラスミド及びpMPG-Puroプラスミド(比9:1)でトランスフェクションした。両DNAは事前にMfeIで消化した。2日後、0.4μg/mlのピューロマイシンの存在下、細胞を96ウェルプレートでウェル当たり5000細胞と10000細胞に希釈した。ピューロマイシン耐性のコロニーを48ウェル又は24ウェルプレートに移した。細胞が50~80%のコンフルエントに達した時点で、25cmのフラスコにまとめて5つの異なるプール(C、D、E、F、G)を形成した。この時点から、ピューロマイシンは培地に添加しなかった。プールを混合してプールCDEFGを形成した。
【0172】
[00192]プールCDEFGを、PEIプロ(PEIpro)(登録商標)(Polyplus Transfection)を用いて、直鎖化(XmnI)pkCMV5-CuO-rcTA-Hygroプラスミドの1:1複合体でトランスフェクションした。24時間培養後、細胞を25μg/mLのハイグロマイシンBを含む培地(Invitrogen)に96ウェルプレートで1ウェル当たり1500細胞ずつ移した。コロニーをプールし、遠心分離し、25μg/mLのハイグロマイシンを含む新鮮培地に再懸濁し、異なるミニプール(AからHの文字)を形成した。
【0173】
[00193]プールC、F、G及びHを完全に分散した細胞として半固形培地にプレーティングした。半固形培地中のコロニーを、自動化TiSSM法(Transfection in Semi-Solid Medium)によりrcTAの存在及びレベルについてスクリーニングし、陽性のコロニーをセルセレクター(商標)により96ウェルプレート中で単離した。簡単に言えば、コロニーはセルセレクター(商標)を用いたスキャンによって同定された。PEI MAX(登録商標)(Polysciences)とCR5プロモーター制御下でDsRed蛍光タンパク質をコードするレポータープラスミド(Clontech laboratories)の3:1複合体(pkCR5.DsRed)をセルセレクター(商標)ロボットアームで各コロニーに沈着させた。トランスフェクション後24時間で、コロニーからの基本的なDsRed蛍光を検出するためのスキャンを行った(OFFレベル)。その後、クメート誘導剤(Sigma-Aldrich、Cat No.268402、Lot No.13613HB)を最終濃度100μg/mLで含む液体SFM4培地オーバーレイを半固体培地層上に塗布し、一晩拡散させた。トランスフェクション後48時間(誘導後24時間)に、DsRed蛍光(ONレベル)を測定するために2回目のスキャンを行った。その後、OFFとONの画像を比較し、高誘導特性を持つコロニーを同定し、これらのコロニーをセルセレクター(商標)で摘出し、個々のウェル(96ウェルプレート)に沈着させた。TiSSMから単離されたクローンは、徐々に24ウェルプレート及び25cmフラスコに移した後、バンク化した。
【0174】
293SF-CymR/λR-GyrB
[00194]293SF-CymR(クローン198-2)を、PEIプロ(登録商標)によりプラスミドpKCMV5-CuO-λR-GyrB及びpBlastを9:1のDNA比でトランスフェクションした。DNAは予めそれぞれXmnIとXbaIで消化した。トランスフェクションから48時間後、細胞を7μg/mlのブラストサイジン(Enzo)を含むLC-SFM培地で希釈し、1000細胞/ウェルで96ウェルプレートに移した。1週間後、ブラストサイジンの濃度を10μg/mlに高めた。選択したクローンは、LC-SFM培地で0.3細胞/ウェル及び1.0細胞/ウェルに96ウェルで限界希釈し、選択せずにサブクローニングした。遺伝子発現を調節する能力についてクローンをスクリーニングするため、各クローンを2つの集団に分けた。一方の集団はGFP発現の解析に用い、他方の集団はクローン増殖及びバンク化のために未改変のままとした。クローンは、12xlambda-TPLで調節されたGFPを発現するレンチウイルスベクター(LV-12xlambda-TPL-GFP)で導入した後、GFP発現を解析した。形質導入は最初に96ウェルプレートで行い、100μg/mlのクメート(Sigma-Aldrich)と10nMのクメルマイシン(Promega)で細胞を誘導した。クローンをGFP強度について選択し、次にOn/Off条件下(誘導剤あり、及びなし)でのGFP発現について2回目のスクリーニングを行った。
【0175】
[00195]クメートスイッチ及びクメート/クメルマイシンスイッチの誘導能の比較
[00196]293SF-CymR、293SF-CymR/rcTA及び293SF-CymR/λR-GryBのクローンを、8μg/mlのポリブレンの存在下、レンチウイルスベクターで形質導入した。293SF-CymR及び293SF-CymR/rcTAを、それぞれ20TUのMOIでLV-CMV5CuO-GFP及びLV-CR5-GFPで形質導入し、翌日100μg/mlのクメートの添加により細胞を誘導した。293SF-CymR/λR-GyrBクローンには、LV-12xlambda-TPL-GFPを5TUのMOIで導入し、翌日100μg/mlのクメート及び10nMのクメルマイシンを添加して細胞を誘導した。細胞は固定し、形質導入72時間後のフローサイトメトリー解析のために処理した。
【0176】
レンチウイルスベクター(293SF-PacLVIIIA)用のパッケージング細胞
[00197]293SF-CymR/λR-GyrBクローン7-2を、PEIプロ(登録商標)を用いて懸濁液中でpSB213(p11xlambda-hbgmin-Gag/polIIIb)、pVR19(pVV-13xlambda-TPL-VSVg-Q96H-I57L)、pVR21(pVV-13xlambda-TPL-Rev)及びpHygroをそれぞれ40%、25%、25%及び10%のDNA比でトランスフェクションした。プラスミドはそれぞれBspHI、ZraI、XmnI、及びXmnIで消化した。トランスフェクション36時間後で、細胞を65μg/mLのハイグロマイシンを含む培地で0.35x10細胞/mlに希釈した。4日及び8日後、細胞をナノウェル(ALS Automated Lab Solutions GmbH,Jena,Germany)に4.7細胞/ナノウェル、ハイグロマイシン濃度50μg/mlでプレーティングした。懸濁液中での選択を並行して続けた。205個(懸濁液中で4日間選択)及び171個(懸濁液中で8日間選択)の耐性コロニーをプールし、2つの異なるミニプールを形成した。このミニプールと懸濁液で得られたプールを、細胞密度0.6細胞/ナノウェルでナノウェルプレートに希釈してクローニングした。ナノウェル中の単離された細胞は、セルセレクター(商標)(ロボットセルピッカー)のカメラシステムを用いて、0日目に記録された。合計366個のコロニーがセルセレクター(商標)を用いて単離され、384ウェルプレートに移された。
【0177】
レンチウイルスベクター(293SF-PacLVIIIB)用のパッケージング細胞
[00198]293SF-CymR/λR-GyrBクローン7-2を、pSB211(pCAG-Gag/polIIIb)、pVR19(pVV-13xlambda-TPL-VSVg-Q96H-I57L)、pVR21(pVV-13xlambda-TPL-Rev)及びpHygroをそれぞれ40%、25%、25%及び10%のDNA比で用いて、PEIプロ(登録商標)で懸濁液中にトランスフェクションした。プラスミドはそれぞれBspHI、ZraI、XmnI、及びXmnIで消化した。トランスフェクション36時間後で、細胞を80μg/mLのハイグロマイシンを含む培地で0.5x10細胞/mlに希釈した。8日後、細胞をナノウェルプレートに1.4細胞/ナノウェル、ハイグロマイシン濃度50又は25μg/mlでプレーティングした。173の耐性コロニーをプールしてミニプールを形成した。このミニプールは6日後、20μg/mlのハイグロマイシンを添加した培地で、細胞密度0.6細胞/ナノウェルでNanowellプレートに希釈してクローニングした。ナノウェル中の単一細胞の存在を示す写真は、セルセレクター(商標)(ロボットセルピッカー)のカメラシステムを用いて0日目に得た。セルセレクター(商標)を用いて348個のコロニーを単離し、384ウェルプレートに移した。
【0178】
レンチウイルスベクター(293SF-LVPIIIB-GFP)の産生細胞
[00199]パッケージング細胞293SF-PacLVIIIB、クローン3D4を、PEIpro(登録商標)を用いて、プラスミドpNC111(pNRC-LV1-CMVGFP)及びpSB201(pMPG/TKneo)をDNA比4:1で懸濁液中でトランスフェクションした。プラスミドは事前にそれぞれFspI及びXbaIで消化した。トランスフェクション36時間後で、細胞を400μg/mLのgeneticin(Gibco)を含む培地で0.5x10細胞/mlに希釈した。選択培養18日後、細胞を0.6細胞/ナノウェル(G418なし)の細胞密度でナノウェルにクローニングするために希釈した。セルセレクター(商標)のカメラシステムを用いて、ナノウェル中の単一細胞の存在を示す写真を0日目に得た。セルセレクター(商標)を用いて380個のコロニーを単離し、384ウェルプレートに移した。
【0179】
パッケージング細胞(293SF-PacLVIIIA、293SF-PacLVIIIB)及び産生細胞(293SF-LVPIIIB-GFP)からのクローンのスクリーニング
[00200]GFPを発現するレンチウイルス(LV-CMV-GFP)の産生についてクローンを分析した。最初に96ウェルプレートで、次に24ウェルプレートで、最後に6ウェルプレート懸濁液で試験した。パッケージング細胞からのクローンをpCSII-CMV-GFP(Broussau et al.,2008)でトランスフェクションし、クメート/クメルマイシン及び酪酸ナトリウムを添加して誘導した。産生クローン(293SF-LVPIIIB-GFP)はトランスフェクションせず、クメート/クメルマイシン及び酪酸ナトリウムで誘導した。産生されたLV(LV-CMV-GFP)は、293A細胞の形質導入により滴定し、GFPレベルは、96ウェルプレート及び24ウェルプレートで産生されたLVについては蛍光顕微鏡観察により評価し、6ウェルプレートで産生されたLVについてはフローサイトメトリーにより滴定した(Broussau et al.,2008)。
【0180】
Gag/pol、VSVg及びREVのウェスタンブロッティング
[00201]293SF-PacLVIIIB、クローン3D4からの細胞を、p24、VSVg及びREVタンパク質の発現についてウェスタンブロットで試験した。誘導の当日、2500万個の細胞を遠心分離し、125mlの振盪フラスコ中で最終濃度1.0x10細胞/mLになるように25mlのハイセル(商標)培地に再懸濁した。誘導は1時間後に80μg/mlのクメート及び10nMのクメルマイシンを用いて行った。陰性対照として、500万個の293SFCymR/λR-GyRB細胞を遠心分離し、-80℃に移した。誘導18時間後に8mMの酪酸ナトリウムを添加した群と添加しなかった2つの細胞群を調製した。誘導の0、24、48、72時間後に細胞培養物5mlを採取した。遠心分離により細胞を回収し、細胞ペレットを-80℃に移した。ウェスタンブロット解析のために、細胞を解凍し、RIPA緩衝剤(50 mM Tris-HCl pH8、150mM NaCl、0.1% SDS、1% NP-40、0.25%デオキシコール酸Na)で溶解した。氷上で30分間インキュベートした後、サンプルを超音波処理し、ライセートを遠心分離で清澄化した。タンパク質濃度はBIO-RAD DC(商標)protein Assay(Bio-Rad Laboratories)で測定した。同量の総タンパク質をNuPAGE(商標)4-12% Bis-Tris Gel(Invitrogen)で分離し、抗HIV1 REVマウスモノクローナル抗体(ab85529、abcam)、ウサギポリクローナルHIV p24 Ab(ProSciカタログ#7313)、ウサギポリクローナル抗VSVgタグ抗体(ab83196、abcam)、次いで西洋ワサビペルオキシダーゼコンジュゲートロバ抗ウサギ免疫グロブリン(Ig)G抗体又は西洋ワサビペルオキシダーゼコンジュゲートヒツジ抗マウス免疫グロブリン(Ig)G抗体(GE Healthcare UK Limited)を用いてウェスタンブロッティングで解析した。シグナルは、ECL(商標)Western Blotting Detection Reagents(Perkin Elmer,Inc)を用いて化学発光により明らかにし、デジタルイメージングシステム(イメージカント(ImageQuant)(商標)LAS 4000 mini biomolecular imager,GE Healthcare)で解析した。
【0181】
293SF-Rep細胞の作製
[00202]4mMのグルタミンと0.1%のコリフォア(登録商標)を添加したハイセル(商標)培地中で、PEIプロ(登録商標)を用いて、293SF-CymR/λR-GyrBにpVR43、pVR42、pVR41及びpUC57-TK-Hygroをそれぞれ55%、30%、15%、及び10%の割合でトランスフェクションすることにより、Rep52、68、78を発現する細胞のプールを作製した。トランスフェクションの前に、RepをコードするプラスミドはSpeIで直鎖化し、pUC57-TK-HygroはXmnIで直鎖化した。トランスフェクション48時間後に、細胞を遠心分離し、ハイグロマイシン(40又は50μg/ml)を含む培地に再懸濁し、最終濃度を0.5 x 10細胞/mlとした。生存率及び細胞増殖は定期的にモニターした。約3週間培養したプールの細胞から、少量の凍結バイアルバンクを作製した。
【0182】
[00203]細胞バンクの1バイアルを、4mMのグルタミン及び0.1%のコリフォア(登録商標)を添加しハイセル(商標)培地で、選択なしに解凍した。解凍の2日後に40μg/mLの選択ハイグロマイシンを添加した。96ウェルプレートでサブクローニングを行う前に、細胞を選択培地で3倍に希釈した。サブクローニングは選択なしの2種類の培地:4mMのグルタミンと0.1%のコリフォア(登録商標)を添加したハイセル(商標)と、6mMのグルタミン及び10mg/Lのトランスフェリンを添加したHSFMで行った。
【0183】
[00204]96ウェルのコロニーを24ウェルプレートに移した。ウェルがコンフルエントになった時点で、細胞集団の3分の1を別の24ウェルプレートに移し、一過性トランスフェクションによるAAVの産生を試験した。トランスフェクションでは、培養液を新しい培地に交換し、1μg/mlのプラスミドと2μg/mlのPEIプロ(登録商標)を用いて細胞をトランスフェクションした。トランスフェクションは、ptt3CAP1、pHelper(CellBiolab)、pAAV-GFP(CellBiolab)の混合物を用いて行った。誘導はトランスフェクションの4時間後に50μg/mlのクメートと10nMのクメルマイシンで行った。採取はトランスフェクションの72時間後に行い、バランCD、BalanCD(登録商標)培地を用いて293SF-3F6細胞でAAVの標準遺伝子移入アッセイ(以下に記載)を用いて滴定を行った。AAVを産生できるクローンを増幅し、凍結細胞のバイアルを調製した。
【0184】
Rep発現のウェスタンブロット解析
[00205]293SF-Repクローン(#13、18、35及び36)の細胞を40μg/ml ハイグロマイシンを添加したハイセル(商標)培地で培養した。クローンを、誘導なし、又は異なる濃度のクメート及びクメルマイシンで誘導した後、REPタンパク質の存在についてウェスタンブロットで試験した。250万個の細胞を遠心分離し、6ウェルプレートに1.0 x 106 cells/mLの濃度で2.5mlの新しいハイセル(商標)培地に再懸濁した。細胞を次の濃度のクメート(μg/ml)とクメルマイシン(nM)で誘導した:0.5μg/ml/1nM;5μg/ml/1nM;又は50μg/ml/10nM。細胞培養物は、誘導72時間後に遠心分離によって回収し、細胞ペレットを-80℃に移した。細胞ペレットを解凍し、300μlのRIPA(50 mM Tris-HCl pH 8,150 mM NaCl,0.1% SDS,1% NP-40,0.25%デオキシコール酸 Na)を用いて溶解した。氷上で30分間インキュベートした後、サンプルを超音波処理し、溶解液を遠心分離で清澄化した。タンパク質濃度は、BIO-RAD DC(商標)protein Assay(Bio-Rad Laboratories)で測定した。同量の総タンパク質(30μg)をNuPAGE(商標)4-12% Bis-Tris Gel(Invitrogen)で泳動し、マウスモノクローナルIgG1抗-REP AAV(ARP American Research Products,Inc.カタログ番号03-61069)、次いで西洋ワサビペルオキシダーゼコンジュゲートヒツジ抗マウス免疫グロブリン(Ig)G抗体(GE Healthcare UK Limited)を用いたウェスタンブロッティングで解析した。シグナルはECL(商標)Western Blotting検出試薬(Perkin Elmer,Inc)を用いて化学発光で明らかにし、デジタル画像システム(イメージカント(商標)LAS 4000 mini biomolecular imager,GE Healthcare)で解析した。
【0185】
29SF-Rep細胞を用いたAAVの産生及び遺伝子移入アッセイ
[00206]293SF-Rep細胞(クローン13)を遠心分離(300×g、5分間)してハイグロマイシン(クローンの選択を維持するために使用)を除去し、トランスフェクションの2時間前にハイセル(商標)TransFx-H(Hyclone)に再懸濁し、6ウェルプレートで最終密度が1.0×10細胞/mLになるようにした。細胞懸濁液を、1μg/mLのDNA(Cell BiolabsのpAAV-GFPとpHelper、及びpVR46-Capを異なる比率で使用)及び2μg/mLのPEIプロ(登録商標)(Polyplus)を用いてトランスフェクションし(図12)、4時間インキュベートした後誘導剤を添加した。両誘導剤とのプラスミド混合物を調製し、最終濃度がクメルマイシン10nM及びクメート50μg/mLになるようにトランスフェクションした細胞に添加した。誘導された細胞は、3日間インキュベートした後、最終濃度2mMのMgCl2(Sigma-Aldrich)、0.1%のトライトン(Triton)(商標)X-100(Sigma-Aldrich)、2.5 U/mLのベンゾネーゼ(MilliporeSigma)の溶解溶液で溶解した。溶解2時間後、ウイルス粒子を安定化させるためにMgSO4を最終濃度37.5mMで添加した。溶解した細胞を13,000rpmで3分間遠心し、上清を採取して凍結した。バランCD(登録商標)HEK293培地(FUJIFILM Irvine Scientific)中の細胞を用いて、産生されたAAVの力価を測定した。293SF-Rep細胞を12ウェルプレートに0.5 x 10細胞/mLでプレーティングし、ルシフェラーゼ(HD-LUC、ΔE1、ΔE3)をコードする組換えアデノウイルスベクター(Umana et al.2001)にMOI5で感染させた。AAVを含む細胞溶解液を1:10から1:300に希釈し、感染細胞に添加した。24時間インキュベートした後、全細胞密度と生存率を記録し、293SF-Rep細胞を2%ホルムアルデヒド(Polysciences Inc.)で固定し、フローサイトメーター(BD LSRフォルテッサ(LSRFortessa(商標)))で解析した。単一細胞のGFP%(10,000イベント)を用いて、希釈倍率を考慮した感染性ウイルス粒子(IVP)/mLの力価を算出した。
【0186】
[00207]本出願は実施例を参照して説明してきたが、特許請求の範囲は実施例に記載された実施形態によって限定されるべきではなく、全体として本明細書と一致する最も広い解釈が与えられるべきであることを理解されたい。
【0187】
[00151]全ての刊行物、特許及び特許出願は、個々の刊行物、特許又は特許出願が、参照によりその全体が組み込まれることが具体的かつ個別に示されている場合と同じ程度に、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本出願における用語が、参照により本明細書に組み込まれる文書において異なるように定義されていることが判明した場合、本明細書において提供される定義が、その用語の定義として機能する。
【0188】
配列表
CymR遺伝子(配列番号1)シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)
ATGAGCCCCAAGAGGAGAACCCAGGCCGAGAGAGCCATGGAGACCCAGGGCAAGCTGATCGCCGCTGCCCTGGGCGTGCTGAGAGAGAAGGGCTACGCCGGCTTCAGAATCGCCGACGTGCCTGGAGCCGCCGGAGTGAGCAGAGGCGCCCAGAGCCACCACTTCCCTACCAAGCTGGAGCTGCTGCTGGCCACCTTCGAGTGGCTGTACGAGCAGATCACCGAGAGGAGCAGAGCCAGACTGGCCAAGCTGAAGCCCGAGGACGATGTGATCCAGCAGATGCTGGATGATGCCGCCGAGTTCTTCCTGGACGACGACTTCAGCATCAGCCTGGACCTGATCGTGGCCGCCGACAGAGACCCCGCCCTGAGAGAGGGCATCCAGAGGACCGTGGAGCGGAACAGATTCGTGGTGGAGGACATGTGGCTGGGAGTGCTGGTGTCCAGAGGCCTGAGCAGAGATGACGCCGAGGACATCCTGTGGCTGATCTTCAACTCTGTGAGGGGCCTGGCTGTGAGAAGCCTGTGGCAGAAGGACAAGGAGAGATTCGAGAGAGTGCGGAACAGCACCCTGGAGATCGCCAGAGAGCGCTACGCCAAGTTTAAACGGTGA
【0189】
CymRタンパク質(配列番号2)シュードモナス・プチダ
MSPKRRTQAERAMETQGKLIAAALGVLREKGYAGFRIADVPGAAGVSRGAQSHHFPTKLELLLATFEWLYEQITERSRARLAKLKPEDDVIQQMLDDAAEFFLDDDFSISLDLIVAADRDPALREGIQRTVERNRFVVEDMWLGVLVSRGLSRDDAEDILWLIFNSVRGLAVRSLWQKDKERFERVRNSTLEIARERYAKFKR*
【0190】
CMV5-CuO(配列番号3)由来のCuO(P2)シュードモナス・プチダ
AACAAACAGACAATCTGGTCTGTTTGTA
【0191】
CuO(P1)(配列番号4)シュードモナス・プチダ
AGAAACAAACCAACCTGTCTGTATTA
【0192】
CMV5-CuO(配列番号5)合成
CGTTACATAACTTACGGTAAATGGCCCGCCTGGCTGACCGCCCAACGACCCCCGCCCATTGACGTCAATAATGACGTATGTTCCCATAGTAACGCCAATAGGGACTTTCCATTGACGTCAATGGGTGGAGTATTTACGGTAAACTGCCCACTTGGCAGTACATCAAGTGTATCATATGCCAAGTCCGCCCCCTATTGACGTCAATGACGGTAAATGGCCCGCCTGGCATTATGCCCAGTACATGACCTTACGGGACTTTCCTACTTGGCAGTACATCTACGTATTAGTCATCGCTATTACCATGGTGATGCGGTTTTGGCAGTACACCAATGGGCGTGGATAGCGGTTTGACTCACGGGGATTTCCAAGTCTCCACCCCATTGACGTCAATGGGAGTTTGTTTTGGCACCAAAATCAACGGGACTTTCCAAAATGTCGTAATAACCCCGCCCCGTTGACGCAAATGGGCAAGCTTGCCGGGTCGAGGTAGGCGTGTACGGTGGGAGGCCTATATAAGCAACCGGTATAATACAAACAGACCAGATTGTCTGTTTGTTACCGGTGTTTAGTGAACCGGGCGCGCCTCATATCGCCTGGAGACGCCATCCACGCTGTTTTGACCTCCATAGAAGACACCGGGACCGATCCAGCCTCCGCGGTCACTCTCTTCCGCATCGCTGTCTGCGAGGGCCAGCTGTTGGGCTCGCGGTTGAGGACAAACTCTTCGCGGTCTTTCCAGTACTCTTGGATCGGAAACCCGTCGGCCTCCGAACGGTACTCCGCCACCGAGGGACCTGAGCCAGTCCGCATCGACCGGATCGGAAAACCTCTCGAGAAAGGCGTCTAACCAGTCACAGTCGCAAGGTAGGCTGAGCACCGTGGCGGGCGGCAGCGGGTGGCGGTCGGGGTTGTTTCTGGCGGAGGTGCTGCTGATGATGTAATTAAAGTAGGCGGTCTTGAGCCGGCGGATGGTCGAGGTGAGGTGTGGCAGGCTTGAGATCCAGCTGTTGGGGTGAGTACTCCCTCTCAAAAGCGGGCATGACTTCTGCGCTAAGATTGTCAGTTTCCAAAAACGAGGAGGATTTGATATTCACCTGGCCC
【0193】
1xlambdaOP(配列番号6)バクテリオファージ
TCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAG
【0194】
12xlambdaOP(配列番号7)合成
TCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAG
【0195】
13xlambdaOP(配列番号8)合成
TCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAG
【0196】
12xlambdaCMVmin(配列番号9)合成
TCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGACTCTAGATAGGCGTGTACGGTGGGAGGCCTATATAAGCAGAGCT
【0197】
13xlambdaCMVmin(配列番号10)合成
TCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGACTCTAGATAGGCGTGTACGGTGGGAGGCCTATATAAGCAGAGCT
【0198】
13xlambda-TPL(配列番号11)合成
TCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGACTCTAGATAGGCGTGTACGGTGGGAGGCCTATATAAGCAGAGCTCGTTTAGTGAACCGTCAGATCGCCTGGAGACGCCATCCACGCTGTTTTGACCTCCATAGAAGACACCGGGACCGATCCAGCCTCCGCGGTCACTCTCTTCCGCATCGCTGTCTGCGAGGGCCAGCTGTTGGGCTCGCGGTTGAGGACAAACTCTTCGCGGTCTTTCCAGTACTCTTGGATCGGAAACCCGTCGGCCTCCGAACGGTACTCCGCCACCGAGGGACCTGAGCGAGTCCGCATCGACCGGATCGGAAAACCTCTCGAGAAAGGCGTCTAACCAGTCACAGTCGCAAGGTAGGCTGAGCACCGTGGCGGGCGGCAGCGGGTGGCGGTCGGGGTTGTTTCTGGCGGAGGTGCTGCTGATGATGTAATTAAAGTAGGCGGTCTTGAGACGGCGGATGGTCGAGGTGAGGTGTGGCAGGCTTGAGATCCAGCTGTTGGGGTGAGTACTCCCTCTCAAAAGCGGGCATTACTTCTGCGCTAAGATTGTCAGTTTCCAAAAACGAGGAGGATTTGATATTCACCTGGCCC
【0199】
11xlambda-hbgmin(配列番号12)合成
TCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGAGTTTACCTCTGGCGGTGATAGTCGACTCTAGATAGGCGTGTACGGTGGGAGGCCTATATAAGCAGAGCTCGTTTAGTGAACCGTCAGATCCCTGGAGACGCCATCCACGCTGTTTTGACCTCCATAGAAGACACCGGGACCGATCAACCTAAGCTTCCAACCGGTGTTTAGTGAACCGGGCGCGCCTCATATCGCCTGGAGACGCCATCCACGCTGTTTTGACCTCCATAGAAGACACCGGGACCGATCCAGCCTCCGCGGTCACTCTCTTCCGCATCGCTGTCTGCGAGGGCCAGCTGTTGGGCTCGCGGTTGAGGACAAACTCTTCGCGGTCTTTCCAGTACTCTTGGATCGGAAACCCGTCGGCCTCCGAACGGTACTCCGCCACCGAGGGACCTGAGCGAGTCCGCATCGACCGGATCGGAAAACCTCTCGAGAAAGGCGTCTAACCAGTCACAGTCGCAAGGTAGGCTGAGCACCGTGGCGGGCGGCAGCGGGTGGCGGTCGGGGTTGTTTCTGGCGGAGGTGCTGCTGATGATGTAATTAAAGTAGGCGGTCTTGAGACGGCGGATGGTCGAGGTGAGGTGTGGCAGGCTTGAGATCCAGCTGTTGGGGTGAGTACTCCCTCTCAAAAGCGGGCATTACTTCTGCGCTAAGATTGTCAGTTTCCAAAAACGAGGAGGATTTGATATTCACCTGGCCCGATCTGGCCATACACTTAACGTACACATATTGACCAAATCAGGGTAATTTTGCATTTGTAATTTTAAAAAATGCTTTCTTCTTTTAATATACTTTTTTGTTTATCTTATTTCTAATACTTTCCCTAATCTCTTTCTTTCAGGGCAATAATGATACAATGTATCATGCCTCTTTGCACCATTCTAAAGAATAACAGTGATAATTTCTGGGTTAAGGCAATAGCAATATTTCTGCATATAAATATTTCTGCATATAAATTGTAACTGATGTAAGAGGTTTCATATTGCTAATAGCAGCTACAATCCAGCTACCATTCTGCTTTTATTTTATGGTTGGGATAAGGCTGGATTATTCTGAGTCCAAGCTAGGCCCTTTTGCTAATCATGTTCATACCTCTTATCTTCCTCCCACAGCTC
【0200】
λR-GyrB遺伝子(配列番号13)合成
ATGAGCACAAAAAAGAAACCATTAACACAAGAGCAGCTTGAGGACGCACGTCGCCTTAAAGCAATTTATGAAAAAAAGAAAAATGAACTTGGCTTATCCCAGGAATCTGTCGCAGACAAGATGGGGATGGGGCAGTCAGGCGTTGGTGCTTTATTTAATGGCATCAATGCATTAAATGCTTATAACGCCGCATTGCTTGCAAAAATTCTCAAAGTTAGCGTTGAAGAATTTAGCCCTTCAATCGCCAGAGAAATCTACGAGATGTATGAAGCGGTTGGGATGCAGCCGTCACTTAGAAGTGAGTATGAGTACCCTGTTTTTTCTCATGTTCAGGCAGGGATGTTCTCACCTGAGCTTAGAACCTTTACCAAAGGTGATGCGGAGAGATGGGTAGATATCTCGAATTCTTATGACTCCTCCAGTATCAAAGTCCTGAAAGGGCTGGATGCGGTGCGTAAGCGCCCGGGTATGTATATCGGCGACACGGATGACGGCACCGGTCTGCACCACATGGTATTCGAGGTGGTAGATAACGCTATCGACGAAGCGCTCGCGGGTCACTGTAAAGAAATTATCGTCACCATTCACGCCGATAACTCTGTCTCTGTACAGGATGACGGGCGCGGCATTCCGACCGGTATTCACCCGGAAGAGGGCGTATCGGCGGCGGAAGTGATCATGACCGTTCTGCACGCAGGCGGTAAATTTGACGATAACTCCTATAAAGTGTCCGGCGGTCTGCACGGCGTTGGTGTTTCGGTAGTAAACGCCCTGTCGCAAAAACTGGAGCTGGTTATCCAGCGCGAGGGTAAAATTCACCGTCAGATCTACGAACACGGTGTACCGCAGGCCCCGCTGGCGGTTACCGGCGAGACTGAAAAAACCGGCACCATGGTGCGTTTCTGGCCCAGCCTCGAAACCTTCACCAATGTGACCGAGTTCGAATATGAAATTCTGGCGAAACGTCTGCGTGAGTTGTCGTTCCTCAACTCCGGCGTTTCCATTCGTCTGCGCGACAAGCGCGACGGCAAAGAAGACCACTTCCACTATGAAGGCGGCCCATGGATGGGCCCTAAAAAGAAGCGTAAAGTCGCCATCGATCAGCTCACCATGGTGTTTCCTTCTGGGCAGATCTCAAACCAGGCCCTGGCCTTAGCACCGTCCTCTGCCCCAGTCCTTGCCCAGACCATGGTCCCTTCCTCAGCCATGGTACCTCTGGCTCAGCCCCCAGCTCCTGCCCCAGTTCTAACCCCGGGTCCTCCCCAGTCCCTGTCTGCACCTGTTCCAAAGAGCACCCAGGCTGGGGAAGGCACGCTGTCGGAAGCCCTGCTGCACCTGCAGTTTGATGCTGATGAAGACTTGGGGGCCTTGCTTGGCAACAGCACAGACCCAGGAGTGTTCACAGACCTGGCATCTGTGGACAACTCAGAGTTTCAGCAGCTCCTGAACCAGGGTGTGTCCATGTCTCACTCCACAGCTGAGCCCATGCTGATGGAGTACCCTGAAGCTATAACTCGCCTGGTGACAGGGTCCCAGAGGCCCCCTGACCCAGCTCCCACACCCCTGGGGACCTCGGGGCTTCCCAATGGTCTCTCCGGAGATGAAGACTTCTCCTCCATTGCGGACATGGACTTCTCTGCTCTGCTGAGTCAGATCAGCTCCAGCGGCCAATAA
【0201】
λR-GyrBタンパク質(配列番号14)合成
MSTKKKPLTQEQLEDARRLKAIYEKKKNELGLSQESVADKMGMGQSGVGALFNGINALNAYNAALLAKILKVSVEEFSPSIAREIYEMYEAVGMQPSLRSEYEYPVFSHVQAGMFSPELRTFTKGDAERWVDISNSYDSSSIKVLKGLDAVRKRPGMYIGDTDDGTGLHHMVFEVVDNAIDEALAGHCKEIIVTIHADNSVSVQDDGRGIPTGIHPEEGVSAAEVIMTVLHAGGKFDDNSYKVSGGLHGVGVSVVNALSQKLELVIQREGKIHRQIYEHGVPQAPLAVTGETEKTGTMVRFWPSLETFTNVTEFEYEILAKRLRELSFLNSGVSIRLRDKRDGKEDHFHYEGGPWMGPKKKRKVAIDQLTMVFPSGQISNQALALAPSSAPVLAQTMVPSSAMVPLAQPPAPAPVLTPGPPQSLSAPVPKSTQAGEGTLSEALLHLQFDADEDLGALLGNSTDPGVFTDLASVDNSEFQQLLNQGVSMSHSTAEPMLMEYPEAITRLVTGSQRPPDPAPTPLGTSGLPNGLSGDEDFSSIADMDFSALLSQISSSGQ
【0202】
マウスNF-κBのp65サブ単位のC末端部分(配列番号15)
PSGQISNQALALAPSSAPVLAQTMVPSSAMVPLAQPPAPAPVLTPGPPQSLSAPVPKSTQAGEGTLSEALLHLQFDADEDLGALLGNSTDPGVFTDLASVDNSEFQQLLNQGVSMSHSTAEPMLMEYPEAITRLVTGSQRPPDPAPTPLGTSGLPNGLSGDEDFSSIADMDFSALLSQISS
【0203】
ウサギβ-グロビンポリA(配列番号16)
AATAAAGGAAATTTATTTTCATTGCAATAGTGTGTTGGAATTTTTTGTGTCTCTCA
【0204】
bGH(ウシ成長ホルモン)ポリA(配列番号17)
CTGTGCCTTCTAGTTGCCAGCCATCTGTTGTTTGCCCCTCCCCCGTGCCTTCCTTGACCCTGGAAGGTGCCACTCCCACTGTCCTTTCCTAATAAAATGAGGAAATTGCATCGCATTGTCTGAGTAGGTGTCATTCTATTCTGGGGGGTGGGGTGGGGCAGGACAGCAAGGGGGAGGATTGGGAAGACAATAGCAGGCATGCTGGGGATGCGGTGGGCTCTATGG
【0205】
SV40ポリ(A)シグナル(配列番号18)シミアンウイルス40
AACTTGTTTATTGCAGCTTATAATGGTTACAAATAAAGCAATAGCATCACAAATTTCACAAATAAAGCATTTTTTTCACTGCATTCTAGTTGTGGTTTGTCCAAACTCATCAATGTATCTTA
【0206】
コドン最適化VSVg-Q96-157L(配列番号19)合成
ATGAAATGTCTGCTGTACCTGGCATTCCTGTTTATCGGAGTCAACTGCAAGTTTACTATCGTCTTCCCCCACAATCAGAAAGGCAATTGGAAGAACGTGCCAAGCAATTACCACTATTGCCCCAGCTCCTCTGACCTGAACTGGCATAATGATCTGATCGGCACCGCCCTGCAGGTCAAGATGCCCAAATCCCACAAGGCCATCCAGGCTGACGGGTGGATGTGCCATGCTTCTAAATGGGTGACCACATGTGACTTCCGGTGGTACGGACCAAAGTATATCACTCATAGCATTCGCTCCTTCACCCCCTCCGTGGAGCAGTGCAAAGAGTCTATTGAACAGACCAAGCAGGGGACATGGCTGAACCCTGGATTTCCCCCTCAGTCCTGTGGGTACGCCACAGTCACTGACGCTGAGGCAGTGATCGTCCAGGTGACACCACACCATGTCCTGGTGGACGAGTATACTGGGGAATGGGTGGATTCACAGTTCATTAACGGAAAATGCAGCAATTACATCTGTCCTACAGTCCACAACTCTACTACCTGGCATAGTGATTATAAGGTGAAAGGCCTGTGCGATAGCAATCTGATCTCCATGGACATTACTTTCTTTAGTGAGGATGGCGAACTGAGTTCACTGGGGAAGGAGGGAACCGGCTTTCGGAGCAATTACTTCGCATATGAAACAGGCGGGAAAGCCTGCAAGATGCAGTACTGTAAACACTGGGGAGTCCGCCTGCCATCTGGCGTGTGGTTCGAGATGGCAGACAAGGATCTGTTTGCCGCTGCACGATTCCCAGAGTGCCCCGAAGGCAGCTCCATCTCTGCCCCCAGTCAGACTTCAGTGGACGTGAGCCTGATTCAGGATGTGGAGAGAATCCTGGACTACAGTCTGTGCCAGGAAACCTGGTCAAAAATTAGGGCTGGCCTGCCTATCTCACCAGTGGACCTGAGCTATCTGGCTCCCAAAAACCCTGGGACTGGACCCGCCTTCACCATCATTAATGGGACACTGAAGTACTTCGAGACCCGGTATATCAGAGTGGACATTGCCGCTCCTATCCTGAGCCGAATGGTGGGCATGATCTCCGGGACAACTACCGAGCGGGAACTGTGGGACGATTGGGCTCCTTACGAGGATGTCGAAATTGGACCAAACGGCGTGCTGAGGACATCTAGTGGCTACAAATTTCCTCTGTATATGATCGGCCACGGGATGCTGGACTCTGATCTGCATCTGTCAAGCAAGGCACAGGTGTTCGAGCACCCCCATATCCAGGACGCAGCCTCTCAGCTGCCTGACGATGAAAGTCTGTTCTTTGGGGATACCGGACTGAGCAAAAATCCAATTGAGCTGGTGGAAGGATGGTTTTCCTCTTGGAAGAGTTCAATCGCCTCCTTCTTTTTCATCATTGGACTGATCATTGGCCTGTTCCTGGTCCTGCGGGTGGGCATTCACCTGTGCATCAAGCTGAAACATACCAAGAAAAGACAGATTTACACCGACATTGAGATGAACAGACTGGGCAAGTGA
【0207】
VSVg-Q96-157Lアミノ酸(配列番号20)水疱性口内炎ウイルス
MKCLLYLAFLFIGVNCKFTIVFPHNQKGNWKNVPSNYHYCPSSSDLNWHNDLIGTALQVKMPKSHKAIQADGWMCHASKWVTTCDFRWYGPKYITHSIRSFTPSVEQCKESIEQTKQGTWLNPGFPPQSCGYATVTDAEAVIVQVTPHHVLVDEYTGEWVDSQFINGKCSNYICPTVHNSTTWHSDYKVKGLCDSNLISMDITFFSEDGELSSLGKEGTGFRSNYFAYETGGKACKMQYCKHWGVRLPSGVWFEMADKDLFAAARFPECPEGSSISAPSQTSVDVSLIQDVERILDYSLCQETWSKIRAGLPISPVDLSYLAPKNPGTGPAFTIINGTLKYFETRYIRVDIAAPILSRMVGMISGTTTERELWDDWAPYEDVEIGPNGVLRTSSGYKFPLYMIGHGMLDSDLHLSSKAQVFEHPHIQDAASQLPDDESLFFGDTGLSKNPIELVEGWFSSWKSSIASFFFIIGLIIGLFLVLRVGIHLCIKLKHTKKRQIYTDIEMNRLGK*
【0208】
参考文献
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【0209】
[関連出願との相互参照]
[0001]本出願は、2021年1月7日に出願された米国仮出願第63/134,816号の優先権の利益を主張するものであり、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0210】
[配列表の組込み]
[0002]2022年1月5日に作成されたシーケンスリスト「P61102PC00 Sequence Listing_ST25」(26,894バイト)のコンピュータ可読形式は、参照により本明細書に組み込まれる。
図1
図2A)】
図2B)】
図2C)】
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図9C
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16-1】
図16-2】
【配列表】
2024504240000001.app
【国際調査報告】