(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-31
(54)【発明の名称】被包された水素化触媒を製造する方法
(51)【国際特許分類】
B01J 33/00 20060101AFI20240124BHJP
B01J 37/00 20060101ALI20240124BHJP
B01J 29/16 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
B01J33/00 Z
B01J37/00 D
B01J29/16 M
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535845
(86)(22)【出願日】2021-03-04
(85)【翻訳文提出日】2023-08-10
(86)【国際出願番号】 US2021020867
(87)【国際公開番号】W WO2022169468
(87)【国際公開日】2022-08-11
(32)【優先日】2021-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】316017181
【氏名又は名称】サウジ アラビアン オイル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Saudi Arabian Oil Company
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100163050
【氏名又は名称】小栗 眞由美
(74)【代理人】
【識別番号】100224775
【氏名又は名称】南 毅
(72)【発明者】
【氏名】コセオグル,オマール レファ
【テーマコード(参考)】
4G169
【Fターム(参考)】
4G169AA03
4G169AA08
4G169AA09
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4G169AA20
4G169BA01C
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4G169ZF02A
4G169ZF02B
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4G169ZF05A
4G169ZF05B
4G169ZF09A
4G169ZF09B
(57)【要約】
本開示の実施の形態は、被包された水素化触媒を製造する方法において:多孔質担体および多孔質担体上に担持された少なくとも1種類の金属を含む水素化触媒を調製する工程であって、多孔質担体は、アルミナ、シリカ、チタニア、またはその組合せから作られ、少なくとも1種類の金属は、IUPACの第6族、第9族および第10族の金属から選択される工程;硫黄含有化合物を含む触媒活性化前駆体、窒素含有化合物を含む触媒失活前駆体、またはその両方を水素化触媒の細孔上に施して、充填済み水素化触媒を形成する工程;および充填済み水素化触媒に被覆材料を被覆して、被包された水素化触媒を製造する工程であって、被覆材料が高分子またはパラフィン系オイルから作られる工程を有してなる方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被包された水素化触媒を製造する方法において、
多孔質担体および該多孔質担体上に担持された少なくとも1種類の金属を含む水素化触媒を調製する工程であって、該多孔質担体は、アルミナ、シリカ、チタニア、またはその組合せから作られ、該少なくとも1種類の金属は、国際純正応用化学連合(IUPAC)の第6族、第9族および第10族の金属から選択される工程、
硫黄含有化合物を含む触媒活性化前駆体、窒素含有化合物を含む触媒失活前駆体、またはその両方を前記水素化触媒の細孔上に施して、充填済み水素化触媒を形成する工程、および
前記充填済み水素化触媒に被覆材料を被覆して、前記被包された水素化触媒を製造する工程であって、該被覆材料が高分子またはパラフィン系オイルから作られる工程、
を有してなる方法。
【請求項2】
前記触媒活性化前駆体、前記触媒失活前駆体、またはその両方が、前記多孔質担体の細孔内、該担体の表面上、またはその両方に充填された、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記施す工程が、前記触媒活性化前駆体、前記触媒失活前駆体、またはその両方を前記水素化触媒中に含浸させる工程、または該触媒活性化前駆体、該触媒失活前駆体、またはその両方を該水素化触媒中に吸着させる工程を含む、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記施す工程が、前記触媒活性化前駆体、前記触媒失活前駆体、またはその両方を前記水素化触媒上に吹き付ける工程;該触媒活性化前駆体、該触媒失活前駆体、またはその両方を該水素化触媒上に注ぐ工程;該水素化触媒を該触媒活性化前駆体、該触媒失活前駆体、またはその両方の中に浸漬する工程;または該水素化触媒を該触媒活性化前駆体、該触媒失活前駆体、またはその両方の中に浸す工程を含む、請求項1から3いずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記施す工程が、セ氏20度(℃)から80℃の温度で行われる、請求項1から4いずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記施す工程が、1バール(100kPa)から3バール(300kPa)の圧力で行われる、請求項1から5いずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記調製する工程が、
アルミナ、シリカ、またはチタニアの内の少なくとも1つを結合剤と混合して、ブレンドを製造する工程、
前記ブレンドを触媒粒子に押し出す工程、
前記触媒粒子をか焼して、か焼済み触媒粒子を生成する工程、
前記か焼済み触媒粒子に前記少なくとも1種類の金属を含浸させて、含浸済み触媒粒子を生成する工程、および
前記含浸済み触媒粒子をか焼して、水素化触媒を製造する工程、
を含む、請求項1から6いずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記ブレンドを押し出す前に、該ブレンドにゼオライトを加える工程をさらに含む、請求項1から7いずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記水素化触媒が、0.01ミリメートル(mm)から5.0mmの平均断面寸法を有する、請求項1から8いずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記触媒活性化前駆体が、有機硫化物、有機二硫化物、有機多硫化物、元素硫黄、またはその酸化形態を含む、請求項1から9いずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記触媒活性化前駆体が、メタンチオール、チオフェン、ジアルキルジスルフィド、ジアリールジスルフィド、またはその組合せを含む、請求項1から10いずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記触媒活性化前駆体が、ジメチルジスルフィド(DMDS)を含む、請求項1から11いずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記触媒失活前駆体が、有機窒素化合物を含む、請求項1から12いずれか1項記載の方法。
【請求項14】
前記触媒失活前駆体が、アミン、カルバゾール、インドール、キノリン、アミド、アクリジン、アニリン、アンモニア、またはその酸化形態を含む、請求項1から13いずれか1項記載の方法。
【請求項15】
前記触媒失活前駆体が、メチルジエタノールアミン(MDEA)を含む、請求項1から14いずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の説明】
【0001】
本出願は、その全ての開示がここに引用される、2021年2月2日に出願された米国特許出願第17/165393号に優先権を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本開示の実施の形態は、広く、被包された水素化触媒を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
水素化触媒が、原油の蒸留に典型的に由来する炭化水素原料からの不純物の除去に使用されている。よくある不純物に、硫黄化合物と窒素化合物がある。これらの不純物は、硫化水素とアンモニアに触媒的に転化され、その後、炭化水素原料から除去される。
【0004】
一般に、水素化触媒は、その上にモリブデン、タングステン、ニッケル、およびコバルトなどの金属が堆積された担体からなる。これらの水素化触媒を調製する従来の方法は、担体が、例えば、含浸によって、金属成分と複合化されていることで特徴付けられる。これらの金属成分は、硫化物形態にあるときにだけ活性である。それゆえ、水素化触媒には、一般に、硫化処理が行われる。
【0005】
従来の硫化処理は、実験施設内とその場での硫化がある。実験施設内での硫化プロセスは、炭化水素原料を水素化処理する上で、中で触媒が使用されることになっている反応器の外で行われる。そのようなプロセスにおいて、触媒は、反応器の外で硫黄化合物(触媒活性化前駆体)と接触させられ、金属が金属硫化物に転化される。その場での硫化プロセスは、炭化水素原料を水素化処理する上で、中で触媒が使用されることになっている反応器内で行われる。ここで、触媒は、高温の反応器内で、硫化剤(触媒活性化前駆体)と混合された水素ガス流と接触させられ、金属が金属流出物に転化される。これらの実験施設内とその場での硫化において、触媒中の金属成分を活性化させるために、触媒活性化前駆体が必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、触媒活性化前駆体と触媒失活前駆体の過剰な供給を避けつつ、触媒活性が改善された水素化触媒が引き続き必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の実施の形態は、触媒活性化前駆体、触媒失活前駆体、またはその両方を、被覆層を通じて水素化触媒の細孔上に被包することによって、この必要性を満たすものである。これにより、触媒活性化前駆体と触媒失活前駆体を精製プロセスに持ち込む必要性がなくなるか、または大幅に減る。
【0008】
本開示の1つ以上の態様によれば、被包された水素化触媒を製造する方法は、多孔質担体および多孔質担体上に担持された少なくとも1種類の金属を含む水素化触媒を調製する工程であって、多孔質担体は、アルミナ、シリカ、チタニア、またはその組合せから作られ、少なくとも1種類の金属は、国際純正応用化学連合(IUPAC)の第6族、第9族および第10族の金属から選択される工程;硫黄含有化合物を含む触媒活性化前駆体、窒素含有化合物を含む触媒失活前駆体、またはその両方を水素化触媒の細孔上に施して、充填済み水素化触媒を形成する工程;および充填済み水素化触媒に被覆材料を被覆して、被包された水素化触媒を製造する工程であって、被覆材料が高分子またはパラフィン系オイルから作られる工程を有してなることがある。
【0009】
記載された実施の形態の追加の特徴および利点が、以下の詳細な説明に述べられており、一部は、その説明から当業者に容易に明白となるか、または以下の詳細な説明および特許請求の範囲を含む、記載された実施の形態を実施することによって、認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示の特定の実施の形態の以下の詳細な説明は、それに付随する図面と共に読まれたときに、最もよく理解できる。
【
図1】本開示の1つ以上の実施の形態による、被包された水素化触媒を製造する方法の一般化流れ図
【
図2】本開示の1つ以上の実施の形態による、被包された水素化触媒を製造する方法の別の実施の形態の一般化流れ図
【
図3】実施例3の熱重量分析(TGA)を示すグラフ
【
図4】実施例6および実施例8のTGAを示すグラフ ここで、そのいくつかの実施の形態が添付図面に示されている、様々な実施の形態を詳しく参照する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示に使用されているように、「触媒」は、特定の化学反応の速度を増加させる任意の物質を称する。本開示に記載された触媒は、以下に限られないが、水素化分解、水素化脱金属、水素化脱硫、水素化脱窒素、水素化、またはその組合せなどの様々な反応を促進するために使用することができる。本開示に使用されているように、「分解(cracking)」は、一般に、炭素炭素結合を有する分子が、炭素炭素結合の1つ以上の切断により複数の分子に切断される、または芳香族化合物などの、環状部分を含む化合物から、環状部分を含まない化合物に転化される化学反応を称する。「水素化分解(hydrocracking)」は、水素の存在下での炭化水素の分解を称する。
【0012】
本開示に使用されているように、水素化触媒に関する「触媒活性」は、水素化分解反応、水素化脱金属反応、水素化脱硫反応、水素化脱窒素反応、水素化反応などの、水素化処理反応を触媒する水素化触媒の能力を称する。
【0013】
本開示に使用されているように、「充填済み水素化触媒」は、水素化触媒と、その水素化触媒の細孔上の触媒活性化剤、触媒失活剤、またはその両方とを含む触媒を称する。
【0014】
本開示に使用されているように、「高分子」は、種類が同じか異なるかにかかわらず、単量体を重合させることによって調製された高分子化合物を称する。
【0015】
被覆された水素化触媒
本開示の実施の形態は、被覆された水素化触媒に関する。本開示の被覆された水素化触媒は、多孔質担体および多孔質担体上に担持された少なくとも1種類の金属を含む水素化触媒であって、多孔質担体は、アルミナ、シリカ、チタニア、またはその組合せから作られ、少なくとも1種類の金属は、国際純正応用化学連合(IUPAC)の第6族、第9族および第10族の金属から選択された水素化触媒;多孔質担体の細孔上に充填された、少なくとも1種類の硫黄化合物を含む触媒活性化剤、少なくとも1種類の窒素化合物を含む触媒失活剤、またはその両方;および水素化触媒の表面上の被覆層であって、水素化触媒内に触媒活性化剤、触媒失活剤、またはその両方を被包し、高分子、パラフィン系オイル、またはその両方から作られた被覆層を含むことがある。理論で束縛する意図はないが、被覆層で水素化触媒を被包することにより、その被覆層が、多孔質担体上に充填された触媒失活剤の脱着または分解を遅くするので、追加の触媒失活剤の必要性が低下する。
【0016】
先に述べたように、被覆された水素化触媒は、水素化触媒を含む。この水素化触媒は、多孔質担体および少なくとも1種類の金属を含むことがある。
【0017】
多孔質担体は、アルミナ(Al2O3)、シリカ(SiO2)、チタニア(TiO2)、ゼオライト、またはその組合せを含むことがある。1つ以上の実施の形態において、多孔質担体は、ゼオライトを含むことがある。ここに用いられているように、「ゼオライト」は、細孔性の結晶化アルミノケイ酸塩材料を称する。本開示のゼオライトは、国際ゼオライト協会(IZA)構造委員会により定義されたようなFAU、MFI、MOR、またはBEA構造型を有することがある。1つ以上の実施の形態において、多孔質担体は、アルミナ(Al2O3)、シリカ(SiO2)、チタニア(TiO2)、またはその組合せを含むことがある。多孔質担体は、5から1000、5から500、5から300、5から200、5から100、2から1000、2から500、2から300、2から200、2から100、1から1000、1から500、1から300、1から200、または1から100のアルミナ対シリカのモル比を有することがある。
【0018】
多孔質担体は、0.4ml/gから1.5ml/g、0.4ml/gから1.25ml/g、0.4ml/gから1.0ml/g、0.4ml/gから0.75ml/g、または0.4ml/gから0.5ml/gの細孔容積を有することがある。多孔質担体の細孔容積は、担体上に吸着された窒素の量を測定する、ブルナウアー・エメット・テラー(「BET」)法で測定することができる。
【0019】
多孔質担体は、1000平方メートル毎グラム(m2/g)まで、または100m2/gから1000m2/g、100m2/gから900m2/g、100m2/gから800m2/g、100m2/gから500m2/g、120m2/gから1000m2/g、120m2/gから900m2/g、120m2/gから800m2/g、120m2/gから500m2/g、150m2/gから1000m2/g、150m2/gから900m2/g、150m2/gから800m2/g、150m2/gから500m2/g、180m2/gから1000m2/g、180m2/gから900m2/g、180m2/gから800m2/g、180m2/gから500m2/g、200m2/gから1000m2/g、200m2/gから900m2/g、200m2/gから800m2/g、または200m2/gから500m2/gの表面積を有することがある。結合剤は、100m2/gから200m2/g、100m2/gから150m2/g、または150m2/gから200m2/gの表面積を有することがある。
【0020】
多孔質担体は、10オングストローム(Å)から10,000Å、10Åから9000Å、10Åから8000Å、10Åから5000Å、50Åから10000Å、50Åから9000Å、50Åから8000Å、50Åから5000Å、100Åから10000Å、100Åから9000Å、100Åから8000Å、100Åから5000Åの平均細孔径を有することがある。この平均細孔径は、式Ps=4V/Sで計算することができ、式中、Ps=細孔径、V=細孔容積、およびS=表面積である。
【0021】
多孔質担体は、球体、円柱、三葉形、ねじれた三葉形、および四葉形の群から選択される形状に形成することができる。多孔質担体を造形する方法の例としては、押出し、噴霧乾燥、造粒、凝集、油滴などが挙げられる。ここに用いられているように、「油滴」プロセスは、液体を非混和性液中に注いだ際に生じる沈殿を称する。
【0022】
先に述べたように、少なくとも1種類の金属を多孔質担体上に担持させることができる。この少なくとも1種類の金属としては、IUPACの第6族、第9族および第10族の金属が挙げられるであろう。いくつかの実施の形態において、IUPACの第6族、第9族および第10族の金属としては、Co、Mo、Ni、W、またはその組合せが挙げられるであろう。1つの実施の形態において、少なくとも1種類の金属は、CoO、MoO3、NiO、WO3などの酸化物形態にあることがある。他の実施の形態において、少なくとも1種類の金属は、Co9S8、MoS2、Ni3S2、WS2などの硫化物形態にあることがある。
【0023】
水素化触媒は、分解機能と水素化機能の両方を有する二機能の触媒であることがある。分解機能は、ゼオライト、アルミナ、シリカ、またはチタニアなどの分解成分によって与えられることがある。水素化機能は、IUPACの第6族、第9族および第10族の金属を含む少なくとも1種類の金属によって与えられることがある。いくつかの実施の形態において、少なくとも1種類の金属は、混合または含浸によって多孔質担体に加えることができる。例えば、IUPACの第6族、第9族および第10族の金属は、混合により多孔質担体に導入され、か焼によって、その場で酸化物に転化されることがある。
【0024】
水素化触媒は、水素化処理反応の触媒として使用することができる。現在記載されている水素化触媒により処理することのできる例示の炭化水素原料としては、ナフサ、ディーゼル、真空軽油、真空残留物などの原油留分、または脱アスファルト油、コーカーナフサ、軽油、および流動接触分解循環油などの中間精製流が挙げられる。水素化処理反応において、主な反応は、硫黄、窒素、および金属の除去であることがある。水素化触媒は、水素化脱硫(HDS)、水素化脱窒素(HDN)、または水素化脱金属(HDM)、水素化分解(HCR)、水素化(HYD)機能性の1つ以上を有することがある。
【0025】
1つ以上の実施の形態において、水素化触媒は、0.01ミリメートル(mm)から5.0mm、0.1mmから5.0mm、0.5mmから5.0mm、0.01mmから3.0mm、0.1mmから3.0mm、0.5mmから3.0mm、0.01mmから2.5mm、0.1mmから2.5mm、0.5mmから2.5mm、0.01mmから2.0mm、0.1mmから2.0mm、または0.5mmから2.0mmの平均断面寸法を有することがある。水素化触媒の断面寸法は、透過電子顕微鏡法(TEM)、乾式篩、またはレーザ光散乱技術を使用して測定できる。
【0026】
先に述べたように、被覆された水素化触媒は、触媒活性化剤、触媒失活剤、またはその両方を含む。触媒活性化剤、触媒失活剤、またはその両方は、多孔質担体の細孔中に含浸される、または吸収されることがある。
【0027】
触媒活性化剤は、硫黄含有化合物を含むことがある。1つの実施の形態において、触媒活性化剤としては、有機硫化物、有機二硫化物、有機多硫化物、元素硫黄、またはその酸化形態が挙げられるであろう。例えば、触媒活性化剤としては、メタンチオール、チオフェン、ジアルキルジスルフィド、ジアリールジスルフィド、またはその組合せが挙げられるであろう。触媒活性化剤としては、ジメチルジスルフィド(DMDS)が挙げられるであろう。触媒活性化剤は、メルカプタン酸化(Merox)ユニットからのジスルフィド油を含むことがある。Meroxユニットからのジスルフィド油は、一般式R-S-S-R’を有することがあり、式中、RとR’は、炭素数が1から20の範囲にあるアルキル基である。いくつかの実施の形態において、この一般式は、DMDSを含むことがある。
【0028】
触媒失活剤は、窒素含有化合物を含むことがある。1つの実施の形態において、触媒失活剤としては、有機窒素化合物が挙げられるであろう。例えば、触媒失活剤としては、アミン、カルバゾール、インドール、キノリン、アミド、アクリジン、アニリン、アンモニア、またはその酸化形態が挙げられるであろう。触媒失活剤としては、メチルジエタノールアミン(MDEA)が挙げられるであろう。
【0029】
被覆された水素化触媒は、被覆層も含むことがある。その被覆層は、水素化触媒内に触媒活性化剤、触媒失活剤、またはその両方を被包することができる。
【0030】
被覆層は、高分子、パラフィン系オイル、またはその両方を含むことがある。1つ以上の実施の形態において、高分子としては、オレフィン、カーボネート、芳香族化合物、スルホン、フッ素化炭化水素、塩素化炭化水素、アクリロニトリド、またはその組合せに由来する高分子材料が挙げられるであろう。その高分子材料としては、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはその組合せが挙げられるであろう。1つ以上の実施の形態において、パラフィン系オイルとしては、炭素数が20から50のN-パラフィンろうが挙げられるであろう。
【0031】
1つ以上の実施の形態において、被覆層は、50μmから100μm、50μmから90μm、50μmから80μm、40μmから100μm、40μmから90μm、または40μmから80μmの平均厚さを有することがある。
【0032】
1つ以上の実施の形態において、被覆層は、350℃まで、20℃から350℃、30℃から350℃、40℃から350℃、50℃から350℃、100℃から350℃、20℃から300℃、30℃から300℃、40℃から300℃、50℃から300℃、100℃から300℃、20℃から250℃、30℃から250℃、40℃から250℃、50℃から250℃、または100℃から250℃の融点を有することがある。
【0033】
1つ以上の実施の形態において、被覆された水素化触媒は、0.05mmから6.0mm、0.06mmから6.0mm、0.1mmから6.0mm、0.5mmから6.0mm、0.05mmから3.0mm、0.06mmから3.0mm、0.1mmから3.0mm、または0.5mmから3.0mmの平均断面寸法を有することがある。
【0034】
被覆された水素化触媒を製造する方法
本開示のさらなる実施の形態は、上述した被包された水素化触媒(被覆された水素化触媒)を製造する方法に関する。先に述べたように、被包された水素化触媒は、水素化触媒を被覆して、水素化触媒の細孔上の触媒活性化前駆体、触媒失活前駆体、またはその両方を被包することによって、製造することができる。水素化触媒を高分子またはパラフィン系オイルで被覆することによって製造された、被包された水素化触媒は、触媒活性化前駆体、触媒失活前駆体、またはその両方を過剰に供給せずに、触媒活性が改善された水素化触媒の調製を可能にする。理論で束縛する意図はないが、被覆層で水素化触媒を被包することにより、その被覆層が、多孔質担体上に充填された触媒失活剤の脱着または分解を遅くするので、追加の触媒失活剤の必要性が低下する。
【0035】
前記方法は、上述した多孔質担体およびその多孔質担体上に担持された少なくとも1種類の金属を含む水素化触媒を調製する工程を含むことがある。
図1および2を参照すると、調製する工程は、結合剤110を調製する工程、およびアルミナ、シリカ、チタニア、またはその組合せの少なくとも1つを調製する工程を含むことがある。結合剤を、アルミナ、シリカ、チタニア、またはその組合せの少なくとも1つと混合して、ブレンドを製造することができる。この結合剤は、水素化触媒の成分を互いに保持することができる。様々な結合剤が、適していると考えられる。例えば、結合剤としては、粘土、鉱物、アルミナ、シリカ、チタニア、またはその組合せが挙げられるであろう。粘土としては、カオリンが挙げられるであろう。アルミナは、アタパルジャイト、ベーマイト、または部分的に酸で解膠された(acid-peptized)アルミナの1つ以上を含むことがある。
【0036】
いくつかの実施の形態において、アルミナ、シリカ、チタニア、またはその組合せの少なくとも1つを結合剤と混合する前に、ゼオライトを調製し120、アルミナ、シリカ、チタニア、またはその組合せの少なくとも1つおよび結合剤を含むブレンドと混合する200ことができる。代わりの実施の形態において、ゼオライトを、アルミナ、シリカ、チタニア、またはその組合せの少なくとも1つと共に加えてもよい。
【0037】
さらに
図1および2を参照すると、いくつかの実施の形態において、ブレンドを押し出して300、ゼオライト、アルミナ、シリカ、チタニア、またはその組合せを含む触媒粒子を生成することができる。他の実施の形態において、その触媒粒子は、噴霧乾燥、造粒、凝集、油滴、またはその組合せにより製造されることがある。いくつかの実施の形態において、触媒粒子を製造する工程は、多孔質担体を製造する工程を含むことがある。多孔質担体は、沈殿、混練、練り200、またはその組合せにより製造されることがある。混練されたまたは練られた担体に、10℃から50℃、10℃から40℃、20℃から50℃、または20℃からの温度での熱処理を施すことがある。少なくとも1種類の金属を混合または含浸によって多孔質担体に加えて、触媒粒子を生成してもよい。例えば、少なくとも1種類の金属は、混合によって多孔質担体に導入し、か焼によって、その場で酸化物形態に転化してもよい。あるいは、酸化物形態にある少なくとも1種類の金属を、混合によって多孔質担体に導入して、触媒粒子を生成してもよい。
【0038】
触媒粒子をか焼して400、か焼済み触媒粒子を生成することができる。か焼温度は、500℃から650℃、または500℃から600℃に及ぶことがある。か焼字管は、0.5時間から6時間、0.5時間から3時間、1時間から6時間、または1時間から3時間に及ぶことがある。か焼工程400は、酸素含有雰囲気内で行われることがある。
【0039】
か焼済み触媒粒子に少なくとも1種類の金属を含浸して500、含浸済み触媒粒子を生成することができる。本開示に記載された含浸工程500は、少なくとも1種類の金属のインシピエントウェットネス含浸に基づく。浸漬含浸、蒸発含浸など、か焼済み触媒粒子に少なくとも1種類の金属を含浸する500他の方法も使用してよい。
【0040】
か焼済み触媒粒子を、少なくとも1種類の金属を含む溶液と接触させることができる。先に述べたように、少なくとも1種類の金属としては、IUPACの第6族、第9族および第10族の金属が挙げられるであろう。いくつかの実施の形態において、IUPACの第6族、第9族および第10族の金属としては、Co、Mo、Ni、W、またはその組合せが挙げられるであろう。1つの実施の形態において、少なくとも1種類の金属は、CoO、MoO3、NiO、WO3などの酸化物形態にあることがある。他の実施の形態において、少なくとも1種類の金属は、Co9S8、MoS2、Ni3S2、WS2などの硫化物形態にあることがある。
【0041】
か焼済み触媒粒子は、周囲条件でその溶液に接触させることができる。その溶液は、か焼済み触媒粒子を溶液と接触させる前に、ある期間に亘り混合されることがある。か焼済み触媒粒子を、少なくとも1種類の金属を含む溶液と接触させた後、溶液または溶媒などの過剰の液体を混合物から除去して、含浸済み触媒粒子を生成することができる。液体成分を除去する工程は、含浸済み触媒粒子から過剰な溶液を除去し、含浸済み触媒粒子を乾燥させる工程を含むことがある。含浸済み触媒粒子から過剰な溶液を除去する工程は、その混合物にデカンテーション、濾過、真空濾過、またはその組合せを行う工程を含むことがある。いくつかの実施の形態において、乾燥は、50℃から200℃、50℃から180℃、50℃から150℃、100℃から200℃、100℃から180℃、または100℃から150℃の温度で行われることがある。乾燥期間は、3時間から30時間、3時間から20時間、または3時間から10時間であることがある。
【0042】
1つ以上の実施の形態において、か焼済み触媒粒子を含浸する工程500は、20℃から40℃、20℃から35℃、または20℃から30℃の温度で行われることがある。1つ以上の実施の形態において、か焼済み触媒粒子を含浸する工程500は、0.5バール(50kPa)から3バール(300kPa)、0.5バール(50kPa)から2.5バール(250kPa)、1バール(100kPa)から3バール(300kPa)、1バール(100kPa)から2.5バール(250kPa)、1.5バール(150kPa)から3バール(300kPa)、または1.5バール(150kPa)から2.5バール(250kPa)の圧力で行われることがある。
【0043】
含浸済み触媒粒子をか焼して600、水素化触媒を生成することができる。か焼温度は、500℃から700℃、500℃から650℃、または500℃から600℃に及ぶことがある。か焼時間は、0.5時間から6時間、0.5時間から5時間、0.5時間から3時間、1時間から6時間、1時間から5時間、または1時間から3時間に及ぶことがある。か焼工程600は、酸素含有雰囲気内で行われることがある。
【0044】
前記方法は、水素化触媒の細孔上に触媒活性化前駆体、触媒失活前駆体、またはその両方を施して、充填済み水素化触媒を形成する工程をさらに含むことがある。いくつかの実施の形態において、触媒活性化前駆体、触媒失活前駆体、またはその両方は、多孔質担体の細孔内、多孔質担体の表面上、またはその両方に充填されることがある。触媒活性化前駆体および触媒失活前駆体が、多孔質担体の細孔内、多孔質担体の表面上、またはその両方に一旦充填されたら、触媒活性化前駆体および触媒失活前駆体は、それぞれ、触媒活性化剤および触媒失活剤を構成することができる。
【0045】
触媒活性化前駆体、触媒失活前駆体、またはその両方は、多孔質担体の細孔内、多孔質担体の表面上、またはその両方への、触媒活性化前駆体、触媒失活前駆体、またはその両方の十分な吸着または脱着を行うのに十分に長い期間に亘り施されることがある。いくつかの実施の形態において、触媒活性化前駆体、触媒失活前駆体、またはその両方は、気相、液相、または気液相で施されることがある。
【0046】
さらに
図1および2を参照すると、1つ以上の実施の形態において、施す工程は、水素化触媒中に触媒活性化前駆体、触媒失活前駆体、またはその両方を含浸700させて、充填済み水素化触媒を生成する工程を含むことがある。本開示に記載された施す工程は、多孔質担体の細孔内、多孔質担体の表面上、またはその両方への触媒活性化前駆体、触媒失活前駆体、またはその両方のインシピエントウェットネス含浸に基づく。浸漬含浸、蒸発含浸などの、水素化触媒中に触媒活性化前駆体、触媒失活前駆体、またはその両方を含浸700させる他の方法も利用してよい。
【0047】
含浸工程700は、水素化触媒を、触媒活性化前駆体、触媒失活前駆体、またはその両方を含む溶液と接触させる工程を含むことがある。先に述べたように、触媒活性化前駆体は、硫黄含有化合物を含むことがある。1つの実施の形態において、触媒活性化前駆体としては、有機硫化物、有機二硫化物、有機多硫化物、元素硫黄、またはその酸化形態が挙げられるであろう。例えば、触媒活性化前駆体としては、メタンチオール、チオフェン、ジアルキルジスルフィド、ジアリールジスルフィド、またはその組合せが挙げられるであろう。触媒活性化前駆体としては、ジメチルジスルフィド(DMDS)が挙げられるであろう。触媒活性化前駆体は、Meroxユニットからのジスルフィド油を含むことがある。Meroxユニットからのジスルフィド油は、一般式R-S-S-R’を有することがあり、式中、RとR’は、炭素数が1から20の範囲にあるアルキル基である。いくつかの実施の形態において、この一般式は、DMDSを含むことがある。触媒失活前駆体は、窒素含有化合物を含むことがある。1つの実施の形態において、触媒失活前駆体としては、有機窒素化合物が挙げられるであろう。例えば、触媒失活前駆体としては、アミン、カルバゾール、インドール、キノリン、アミド、アクリジン、アニリン、アンモニア、またはその酸化形態が挙げられるであろう。触媒失活前駆体としては、メチルジエタノールアミン(MDEA)が挙げられるであろう。
【0048】
1つ以上の実施の形態において、含浸工程700は、セ氏20度(℃)から80℃、20℃から75℃、20から70℃、25℃から80℃、25℃から75℃、25から70℃、30℃から80℃、30℃から75℃、または30℃から70℃の温度で行われることがある。1つ以上の実施の形態において、含浸工程700は、1バール(100kPa)から3バール(300kPa)、1バール(100kPa)から2.5バール(250kPa)、1バール(100kPa)から2バール(200kPa)、1.5バール(150kPa)から3バール(300kPa)、1.5バール(150kPa)から2.5バール(250kPa)、または1.5バール(150kPa)から2バール(200kPa)の圧力で行われることがある。
【0049】
水素化触媒は、周囲条件で前記溶液に接触させられることがある。水素化触媒を溶液と接触させる前に、その溶液は、ある期間に亘り混合されることがある。溶液中に分散された水素化触媒を含む混合物は、多孔質担体の細孔内、多孔質担体の表面上、またはその両方への触媒活性化前駆体、触媒失活前駆体、またはその両方の十分な吸着または脱着を行うのに十分に長い期間に亘り混合されることがある。
【0050】
水素化触媒を、触媒活性化前駆体、触媒失活前駆体、またはその両方を含む溶液と接触させた後、溶液または溶媒などの過剰な液体を混合物から除去して、充填済み水素化触媒を生成することができる。液体成分を除去する工程は、充填済み水素化触媒から過剰な溶液を除去し、充填済み水素化触媒を乾燥させる工程を含むことがある。充填済み水素化触媒から過剰な溶液を除去する工程は、その混合物にデカンテーション、濾過、真空濾過、またはその組合せを行う工程を含むことがある。いくつかの実施の形態において、乾燥は、50℃から200℃、50℃から180℃、100℃から200℃、または100℃から180℃の温度で行われることがある。乾燥期間は、3時間から30時間、3時間から20時間、または3時間から10時間であることがある。
【0051】
いくつかの実施の形態において、施す工程は、水素化触媒上に、触媒活性化前駆体、触媒失活前駆体、またはその両方を吹き付ける工程を含むことがある。例えば、触媒活性化前駆体、触媒失活前駆体、またはその両方は、コンベヤベルトにおいて水素化触媒上に吹き付けられることがある。1つ以上の実施の形態において、施す工程は、水素化触媒上に、触媒活性化前駆体、触媒失活前駆体、またはその両方を注ぐ工程を含むことがある。1つ以上の実施の形態において、施す工程は、触媒活性化前駆体、触媒失活前駆体、またはその両方の中に水素化触媒を浸漬する工程(immersing)を含むことがある。浸漬された水素化触媒から液体を切ることがある。1つ以上の実施の形態において、施す工程は、触媒活性化前駆体、触媒失活前駆体、またはその両方の中に水素化触媒を浸す工程(soaking)を含むことがある。浸された水素化触媒から液体を切ることがある。
【0052】
いくつかの実施の形態において、触媒活性化前駆体が水素化触媒の細孔内、水素化触媒の表面上、またはその両方に充填される場合、水素化触媒中に含まれる少なくとも1種類の金属は、水素化脱硫(HDS)、水素化脱窒素(HDN)、水素化分解(HCR)、水素化(HYD)、または水素化脱金属(HDM)機能性を最大にするために硫化物であることがある。硫化処理は、その場で、または実験施設内で行われることがある。その場での硫化は、水素の存在下で酸化物形態にある少なくとも1種類の金属を触媒活性化前駆体で処理することによって、行われることがある。触媒活性化前駆体は、硫化水素を生成することがあり、その硫化水素は、金属酸化物を、Co9S8、MoS2、Ni3S2、WS2などの金属硫化物に転化する。いくつかの実施の形態において、その場での硫化は、水素圧下で行われることがある。1つ以上の実施の形態において、その場での硫化は、20℃から250℃、20℃から200℃、30℃から250℃、または30℃から200℃の温度で行われることがある。1つ以上の実施の形態において、実験施設内での硫化は、触媒活性化前駆体として有機多硫化物を提供することによって、行われることがある。有機多硫化物としては、式R-Sn-R’を有するジアルキル-ポリスルフィドが挙げられるであろう。式中、RとR’は、炭素数が1から20のアルキルであり、nは3から10の範囲にある数である。いくつかの実施の形態において、有機多硫化物としては、ジ-tert-ブチルポリスルフィド(TBPS454)が挙げられるであろう。他の実施の形態において、水素化触媒に、硫黄の融点より低い温度で元素硫黄が含浸されることがある。その条件で、硫黄は昇華し、水素化触媒の細孔中に実質的に組み込まれることがある。硫黄含浸触媒は、炭化水素溶媒と接触させられて、混合物を予め濡らし、反応させられて、金属酸化物を金属硫化物に転化することがある。
【0053】
いくつかの実施の形態において、触媒失活前駆体が水素化触媒体の細孔内、水素化触媒の表面上、またはその両方に充填される場合、触媒失活前駆体は、水素化触媒の活性を加減することがある。いくつかの実施の形態において、アンモニア水または無水アンモニアの形態で窒素が反応器に注入されて、水素化触媒の活性を加減することがある。いくつかの実施の形態において、タンクまたは管からアンモニアが漏れたり、溢れたりすることなど、高圧アンモニア注入の危険な状況を最小にするために、触媒失活前駆体は、メチルジエタノールアミン(MDEA)を含むことがある。例えば、アミンは、水素の存在下で180℃より高い温度で反応器に注入される場合、容易に分解して、水素化触媒を失活するのに必要なアンモニアを形成することがある。
【0054】
図2を参照すると、前記方法は、充填済み水素化触媒を被覆材料で被覆710して、被包された水素化触媒800を生成する工程をさらに含む。充填済み水素化触媒を、高分子またはパラフィン系オイルを含む被覆材料で被覆710する工程は、充填済み水素化触媒上に被覆層を生成することができる。先に述べたように、その高分子としては、オレフィン、カーボネート、芳香族化合物、スルホン、フッ素化炭化水素、塩素化炭化水素、アクリロニトリド、またはその組合せに由来する高分子材料が挙げられるであろう。その高分子材料としては、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはその組合せが挙げられるであろう。パラフィン系オイルとしては、炭素数が20から50のN-パラフィンろうが挙げられるであろう。
【0055】
充填済み水素化触媒を被覆710する工程は、充填済み水素化触媒上に被覆材料を吹き付けることにより行われることがある。
【0056】
いくつかの実施の形態において、被覆層は、充填済み水素化触媒を完全に取り囲むことがある。被覆層は、水素化触媒、触媒活性化前駆体、触媒失活前駆体、またはその組合せを完全に取り囲むことがある。
【0057】
1つ以上の実施の形態において、被覆層は、50μmから100μm、50μmから90μm、50μmから80μm、40μmから100μm、40μmから90μm、または40μmから80μmの平均厚さを有することがある。
【実施例】
【0058】
以下の実施例は、本開示の1つ以上の追加の特徴を説明している。これらの実施例は、本開示の範囲または付随の特許請求の範囲をいかなる様式でも限定する意図がないことを理解すべきである。
【0059】
実施例1-水素化触媒
水素化触媒を、30質量%のゼオライトおよび70質量%の結合剤から調製した。ゼオライトとして、FAU構造型を有するUSYゼオライトを使用し、結合剤として、アルミナを使用した。ゼオライトと結合剤を混合して、担体を形成した。この担体を、それぞれ、担体の総量に基づいて、4質量%のニッケルおよび16質量%のモリブデンと混合した。その混合物を押し出し、20時間に亘り130℃で乾燥させ、次いで、1時間に亘り600℃でか焼して、水素化触媒を生成した。
【0060】
実施例2-DMDS充填済み水素化触媒
水素化触媒を150℃で1時間に亘り炉内で乾燥させて、揮発性物質を除去した。2.5グラム(g)の乾燥済み水素化触媒に、触媒活性化前駆体として、ジメチルジスルフィド(DMDS)のアリコートを加えた。1.6gのDMDSを水素化触媒の細孔中に吸収させて、充填済み水素化触媒を生成した。
【0061】
実施例3-DMDS充填済み水素化触媒のTGA
10mgの充填済み水素化触媒を、気流下で熱重量分析(TGA)により分析した。25から900℃の範囲に亘り20℃/分の加熱速度で、TA Instruments(モデル番号TGA Q500)によりTGAデータを得た。
図3に示されるように、DMDSおよび水素化触媒の総量に基づいて、50℃ではたった1質量%のDMDSしか放出されず、100℃では5質量%が放出され、次いで、300℃では、10から12質量%のDMDSが充填済み水素化触媒から放出された。300℃の後では、曲線は平らであり、DMDSの全てが気流下で脱着および/または分解されたことを示す。
【0062】
実施例4-被包されたDMDS充填済み水素化触媒(被覆された水素化触媒)
0.26グラムのn-パラフィンろうを使用して、4.1グラムのDMDS充填済み水素化触媒を被覆した。被覆層は、充填済み水素化触媒の細孔上のDMDSを被包した。
【0063】
実施例5-TBA充填済み水素化触媒
水素化触媒を150℃で1時間に亘り炉内で乾燥させて、揮発性物質を除去した。6.4グラム(g)の乾燥させた水素化触媒に、触媒活性化前駆体として、t-ブチルアミン(TBA)のアリコートを加えた。水素化触媒の細孔中に2.5gのTBAを吸収させて、充填済み水素化触媒を生成した。
【0064】
実施例6-TBA充填済み水素化触媒のTGA
実施例6において、実施例5の40.35mgの充填済み水素化触媒を、気流下でTGAにより分析した。25から900℃の範囲に亘り20℃/分の加熱速度で、TA Instruments(モデル番号TGA Q500)によりTGAデータを得た。
図4に示されるように、TBAおよび水素化触媒の総量に基づいて、50℃ではたった0.94質量%のTBAしか放出されず、100℃では4.4質量%が放出され、次いで、310℃では、13から14質量%のTBAが充填済み水素化触媒から放出された。310℃の後では、曲線は平らであり、TBAの全てが気流下で脱着および/または分解されたことを示す。
【0065】
実施例7-被包されたTBA充填済み水素化触媒(被覆された水素化触媒)
実施例7において、0.8グラムのn-パラフィンろうを使用して、15.9gのTBA充填済み水素化触媒を被覆した。被覆層は、充填済み水素化触媒の細孔上のTBAを被包した。
【0066】
実施例8-被包された充填済み水素化触媒のTGA
実施例8において、実施例7の40.35mgの充填済み水素化触媒を、気流下でTGAにより分析した。25から900℃の範囲に亘り20℃/分の加熱速度で、TA Instruments(モデル番号TGA Q500)によりTGAデータを得た。
図4に示されるように、TBA、水素化触媒、およびn-パラフィンろうの総量に基づいて、50℃ではたった0.21質量%のTBAしか放出されず、100℃では0.81質量%が放出され、次いで、650℃辺りで、15.0質量%のTBAおよびパラフィンろうが被覆された水素化触媒から放出された。650℃の後では、曲線は平らであり、TBAおよびろうの全てが気流下で脱着および/または分解されたことを示す。
【0067】
本開示の第1の態様は、被包された水素化触媒を製造する方法において、多孔質担体および多孔質担体上に担持された少なくとも1種類の金属を含む水素化触媒を調製する工程であって、多孔質担体は、アルミナ、シリカ、チタニア、またはその組合せから作られ、少なくとも1種類の金属は、IUPACの第6族、第9族および第10族の金属から選択される工程;硫黄含有化合物を含む触媒活性化前駆体、窒素含有化合物を含む触媒失活前駆体、またはその両方を水素化触媒の細孔上に施して、充填済み水素化触媒を形成する工程;および充填済み水素化触媒に被覆材料を被覆して、被包された水素化触媒を製造する工程であって、被覆材料が高分子またはパラフィン系オイルから作られる工程を有してなる方法に関することがある。
【0068】
本開示の第2の態様は、触媒活性化前駆体、触媒失活前駆体、またはその両方が、多孔質担体の細孔内、担体の表面上、またはその両方に充填された、第1の態様を含むことがある。
【0069】
本開示の第3の態様は、施す工程が、触媒活性化前駆体、触媒失活前駆体、またはその両方を水素化触媒中に含浸させる工程、または触媒活性化前駆体、触媒失活前駆体、またはその両方を水素化触媒中に吸着させる工程を含む、第1または第2の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0070】
本開示の第4の態様は、含浸させる工程が、浸漬含浸、インシピエントウェットネス含浸、または蒸発含浸を含む、第1から第3の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0071】
本開示の第5の態様は、施す工程が、触媒活性化前駆体、触媒失活前駆体、またはその両方を水素化触媒上に吹き付ける工程;触媒活性化前駆体、触媒失活前駆体、またはその両方を水素化触媒上に注ぐ工程;水素化触媒を触媒活性化前駆体、触媒失活前駆体、またはその両方の中に浸漬する工程;または水素化触媒を触媒活性化前駆体、触媒失活前駆体、またはその両方の中に浸す工程を含む、第1から第4の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0072】
本開示の第6の態様は、触媒活性化前駆体、触媒失活前駆体、またはその両方が、気相、液相、または気液相中で充填される、第1から第5の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0073】
本開示の第7の態様は、施す工程が、20℃から80℃の温度で行われる、第1から第6の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0074】
本開示の第8の態様は、施す工程が、1バール(100kPa)から3バール(300kPa)の圧力で行われる、第1から第7の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0075】
本開示の第9の態様は、調製する工程が、アルミナ、シリカ、またはチタニアの内の少なくとも1つを結合剤と混合して、ブレンドを製造する工程、ブレンドを触媒粒子に押し出す工程、触媒粒子をか焼して、か焼済み触媒粒子を生成する工程、か焼済み触媒粒子に少なくとも1種類の金属を含浸させて、含浸済み触媒粒子を生成する工程、および含浸済み触媒粒子をか焼して、水素化触媒を製造する工程を含む、第1から第8の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0076】
本開示の第10の態様は、ブレンドを押し出す前に、ブレンドにゼオライトを加える工程をさらに含む、第1から第9の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0077】
本開示の第11の態様は、ゼオライトが、FAU、MFI、MOR、またはBEA構造型を有する、第1から第10の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0078】
本開示の第12の態様は、少なくとも1種類の金属が、酸化物形態または硫化物形態にある、第1から第11の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0079】
本開示の第13の態様は、IUPACの第6族、第9族および第10族の金属が、Co、Mo、Ni、W、またはその組合せを含む、第1から第12の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0080】
本開示の第14の態様は、水素化触媒が、0.01mmから5.0mmの平均断面寸法を有する、第1から第13の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0081】
本開示の第15の態様は、触媒活性化前駆体が、有機硫化物、有機二硫化物、有機多硫化物、元素硫黄、またはその酸化形態を含む、第1から第14の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0082】
本開示の第16の態様は、触媒活性化前駆体が、メタンチオール、チオフェン、ジアルキルジスルフィド、ジアリールジスルフィド、またはその組合せを含む、第1から第15の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0083】
本開示の第17の態様は、触媒活性化前駆体が、ジメチルジスルフィド(DMDS)を含む、第1から第16の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0084】
本開示の第18の態様は、触媒失活前駆体が、有機窒素化合物を含む、第1から第17の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0085】
本開示の第19の態様は、触媒失活前駆体が、アミン、カルバゾール、インドール、キノリン、アミド、アクリジン、アニリン、アンモニア、またはその酸化形態を含む、第1から第18の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0086】
本開示の第20の態様は、触媒失活前駆体が、メチルジエタノールアミン(MDEA)を含む、第1から第19の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0087】
以下の請求項の1つ以上に、移行句として「ここで(“wherein”,“where” or“in which”)」という用語が利用されることに留意のこと。本技術を定義する目的のために、この用語は、構造の一連の特徴の列挙を導入するために使用される制約のない移行句として請求項に導入され、より一般に使用されている制約のない後書きの「含む(comprising)」と同様に解釈されるべきであることに留意されたい。本技術を定義する目的で、「からなる(consisting of)」という移行句は、請求項の範囲を、列挙された成分または工程および天然に存在する不純物に限定する閉じたプリアンブル用語として請求項に導入されることがある。本技術を定義する目的で、「から実質的になる(consisting essentially of)」という移行句は、1つ以上の請求項の範囲を、列挙された要素、成分、材料、または方法の工程、並びに請求項の主題の新規の特徴に重大な影響を与えない、列挙されていない要素、成分、材料、または方法の工程に限定するために、請求項に導入されることがある。移行句「からなる」および「から実質的になる」は、「含む(comprising)」および「含む(including)」などの制限のない移行句の一部であると解釈することができ、よって、一連の要素、成分、材料、または工程の列挙を導入するための制限のない語句の使用は、「からなる」および「から実質的になる」という閉じた用語を使用する一連の要素、成分、材料、または工程の列挙も開示すると解釈すべきである。例えば、成分A、B、およびCを「含む」組成物の記載は、成分A、B、およびC「からなる」組成物、並びに成分A、B、およびC「から実質的になる」組成物も開示するものと解釈されるべきである。本出願において表現されるどの定量値も、「含む(comprising)」および「含む(including)」という移行句と一致する制限のない実施の形態、並びに「からなる」および「から実質的になる」という移行句と一致する閉じたまたは部分的に閉じた実施の形態を含むと考えられる。
【0088】
本明細書および付随の特許請求の範囲で使用される場合、名詞は、文脈上明らかにそうでないことが示されない限り、複数の対象を含む。動詞「含む(comprises)」およびその活用形は、非排他的な方法で要素、成分または工程に言及するものと解釈されるべきである。言及された要素、成分または工程は、明示的に言及されていない他の要素、成分または工程と共に存在しても、利用されても、または組み合わされてもよい。
【0089】
さらに、量、濃度、もしくは他の値またはパラメータが、範囲、好ましい範囲、または好ましい上限値と好ましい下限値のリストのいずれかとして与えられている場合、これは、範囲が別々に開示されているか否かにかかわらず、任意の範囲の上限値または好ましい値と任意の範囲の下限値または好ましい値との任意の対から形成される全ての範囲を具体的に開示していると理解すべきである。数値の範囲がここに列挙されている場合、特に明記のない限り、その範囲は、その端点、およびその範囲内の全ての整数と分数を含むことが意図されている。本発明の範囲は、範囲を定義する場合に列挙された特定値に限定されることは、意図されていない。成分が、0から始まる範囲で存在すると示されている場合、そのような成分は、随意的な成分である(すなわち、その成分は、存在しても、しなくてもよい)。随意的な成分は、存在する場合、組成物または共重合体の少なくとも0.1質量%であることがある。
【0090】
材料、方法、または装置が、「当業者に公知である」、「従来の」という用語、もしくは同義語または句でここに記載されている場合、その用語は、本出願の出願時に従来のものである材料、方法、および装置が、この説明により包含されることを示す。
【0091】
性質に与えられた任意の2つの定量値は、その性質の範囲を構成することがあり、所定の性質の全ての挙げられた定量値から形成される範囲の全ての組合せが、本開示に考えられることを理解すべきである。本開示の主題を詳細に、かつ特定の実施の形態を参照して説明してきた。1つ以上の実施の形態の構成要素または特徴のどの詳細な説明も、その構成要素または特徴がその特定の実施の形態または任意の他の実施の形態に必須であることを必ずしも暗示するものではないことを理解すべきである。さらに、請求項の主題の精神および範囲から逸脱せずに、記載された実施の形態に様々な改変および変更を行えることが当業者に明白であるはずである。
【手続補正書】
【提出日】2023-08-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0091
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0091】
性質に与えられた任意の2つの定量値は、その性質の範囲を構成することがあり、所定の性質の全ての挙げられた定量値から形成される範囲の全ての組合せが、本開示に考えられることを理解すべきである。本開示の主題を詳細に、かつ特定の実施の形態を参照して説明してきた。1つ以上の実施の形態の構成要素または特徴のどの詳細な説明も、その構成要素または特徴がその特定の実施の形態または任意の他の実施の形態に必須であることを必ずしも暗示するものではないことを理解すべきである。さらに、請求項の主題の精神および範囲から逸脱せずに、記載された実施の形態に様々な改変および変更を行えることが当業者に明白であるはずである。
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
実施形態1
被包された水素化触媒を製造する方法において、
多孔質担体および該多孔質担体上に担持された少なくとも1種類の金属を含む水素化触媒を調製する工程であって、該多孔質担体は、アルミナ、シリカ、チタニア、またはその組合せから作られ、該少なくとも1種類の金属は、国際純正応用化学連合(IUPAC)の第6族、第9族および第10族の金属から選択される工程、
硫黄含有化合物を含む触媒活性化前駆体、窒素含有化合物を含む触媒失活前駆体、またはその両方を前記水素化触媒の細孔上に施して、充填済み水素化触媒を形成する工程、および
前記充填済み水素化触媒に被覆材料を被覆して、前記被包された水素化触媒を製造する工程であって、該被覆材料が高分子またはパラフィン系オイルから作られる工程、
を有してなる方法。
実施形態2
前記触媒活性化前駆体、前記触媒失活前駆体、またはその両方が、前記多孔質担体の細孔内、該担体の表面上、またはその両方に充填された、実施形態1に記載の方法。
実施形態3
前記施す工程が、前記触媒活性化前駆体、前記触媒失活前駆体、またはその両方を前記水素化触媒中に含浸させる工程、または該触媒活性化前駆体、該触媒失活前駆体、またはその両方を該水素化触媒中に吸着させる工程を含む、実施形態1または2に記載の方法。
実施形態4
前記施す工程が、前記触媒活性化前駆体、前記触媒失活前駆体、またはその両方を前記水素化触媒上に吹き付ける工程;該触媒活性化前駆体、該触媒失活前駆体、またはその両方を該水素化触媒上に注ぐ工程;該水素化触媒を該触媒活性化前駆体、該触媒失活前駆体、またはその両方の中に浸漬する工程;または該水素化触媒を該触媒活性化前駆体、該触媒失活前駆体、またはその両方の中に浸す工程を含む、実施形態1から3いずれか1つに記載の方法。
実施形態5
前記施す工程が、セ氏20度(℃)から80℃の温度で行われる、実施形態1から4いずれか1つに記載の方法。
実施形態6
前記施す工程が、1バール(100kPa)から3バール(300kPa)の圧力で行われる、実施形態1から5いずれか1つに記載の方法。
実施形態7
前記調製する工程が、
アルミナ、シリカ、またはチタニアの内の少なくとも1つを結合剤と混合して、ブレンドを製造する工程、
前記ブレンドを触媒粒子に押し出す工程、
前記触媒粒子をか焼して、か焼済み触媒粒子を生成する工程、
前記か焼済み触媒粒子に前記少なくとも1種類の金属を含浸させて、含浸済み触媒粒子を生成する工程、および
前記含浸済み触媒粒子をか焼して、水素化触媒を製造する工程、
を含む、実施形態1から6いずれか1つに記載の方法。
実施形態8
前記ブレンドを押し出す前に、該ブレンドにゼオライトを加える工程をさらに含む、実施形態1から7いずれか1つに記載の方法。
実施形態9
前記水素化触媒が、0.01ミリメートル(mm)から5.0mmの平均断面寸法を有する、実施形態1から8いずれか1つに記載の方法。
実施形態10
前記触媒活性化前駆体が、有機硫化物、有機二硫化物、有機多硫化物、元素硫黄、またはその酸化形態を含む、実施形態1から9いずれか1つに記載の方法。
実施形態11
前記触媒活性化前駆体が、メタンチオール、チオフェン、ジアルキルジスルフィド、ジアリールジスルフィド、またはその組合せを含む、実施形態1から10いずれか1つに記載の方法。
実施形態12
前記触媒活性化前駆体が、ジメチルジスルフィド(DMDS)を含む、実施形態1から11いずれか1つに記載の方法。
実施形態13
前記触媒失活前駆体が、有機窒素化合物を含む、実施形態1から12いずれか1つに記載の方法。
実施形態14
前記触媒失活前駆体が、アミン、カルバゾール、インドール、キノリン、アミド、アクリジン、アニリン、アンモニア、またはその酸化形態を含む、実施形態1から13いずれか1つに記載の方法。
実施形態15
前記触媒失活前駆体が、メチルジエタノールアミン(MDEA)を含む、実施形態1から14いずれか1つに記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被包された水素化触媒を製造する方法において、
多孔質担体および該多孔質担体上に担持された少なくとも1種類の金属を含む水素化触媒を調製する工程であって、該多孔質担体は、アルミナ、シリカ、チタニア、またはその組合せから作られ、該少なくとも1種類の金属は、国際純正応用化学連合(IUPAC)の第6族、第9族および第10族の金属から選択され
、該多孔質担体は、FAU、MFI、MOR、またはBEA構造型を有するゼオライトをさらに含む工程、
硫黄含有化合物を含む触媒活性化前駆体、窒素含有化合物を含む触媒失活前駆体、またはその両方を前記水素化触媒の細孔上に施して、充填済み水素化触媒を形成する工程、および
前記充填済み水素化触媒に被覆材料を被覆して、前記被包された水素化触媒を製造する工程であって、該被覆材料が高分子またはパラフィン系オイルから作られる工程、
を有してなる方法。
【請求項2】
前記触媒活性化前駆体、前記触媒失活前駆体、またはその両方が、前記多孔質担体の細孔内、該担体の表面上、またはその両方に充填された、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記施す工程が、前記触媒活性化前駆体、前記触媒失活前駆体、またはその両方を前記水素化触媒中に含浸させる工程、または該触媒活性化前駆体、該触媒失活前駆体、またはその両方を該水素化触媒中に吸着させる工程を含む、
請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記施す工程が、前記触媒活性化前駆体、前記触媒失活前駆体、またはその両方を前記水素化触媒上に吹き付ける工程;該触媒活性化前駆体、該触媒失活前駆体、またはその両方を該水素化触媒上に注ぐ工程;該水素化触媒を該触媒活性化前駆体、該触媒失活前駆体、またはその両方の中に浸漬する工程;または該水素化触媒を該触媒活性化前駆体、該触媒失活前駆体、またはその両方の中に浸す工程を含む、
請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記施す工程が、セ氏20度(℃)から80℃の温度で行われる、請求項1から4いずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記施す工程が、1バール(100kPa)から3バール(300kPa)の圧力で行われる、
請求項1から4いずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記調製する工程が、
アルミナ、シリカ、またはチタニアの内の少なくとも1つを結合剤と混合して、ブレンドを製造する工程、
前記ブレンドを触媒粒子に押し出す工程、
前記触媒粒子をか焼して、か焼済み触媒粒子を生成する工程、
前記か焼済み触媒粒子に前記少なくとも1種類の金属を含浸させて、含浸済み触媒粒子を生成する工程、および
前記含浸済み触媒粒子をか焼して、水素化触媒を製造する工程、
を含む、
請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記ブレンドを押し出す前に、該ブレンドにゼオライトを加える工程をさらに含む、
請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記水素化触媒が、0.01ミリメートル(mm)から5.0mmの平均断面寸法を有する、
請求項1から4および7のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記触媒活性化前駆体が、有機硫化物、有機二硫化物、有機多硫化物、元素硫黄、またはその酸化形態を含む、
請求項1から4および7のいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記触媒活性化前駆体が、メタンチオール、チオフェン、ジアルキルジスルフィド、ジアリールジスルフィド、またはその組合せを含む、
請求項1から4および7のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記触媒活性化前駆体が、ジメチルジスルフィド(DMDS)を含む、
請求項1から4および7のいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記触媒失活前駆体が、有機窒素化合物を含む、
請求項1から4および7のいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
前記触媒失活前駆体が、アミン、カルバゾール、インドール、キノリン、アミド、アクリジン、アニリン、アンモニア、またはその酸化形態を含む、
請求項1から4および7のいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
前記触媒失活前駆体が、メチルジエタノールアミン(MDEA)を含む、
請求項1から4および7のいずれか1項記載の方法。
【国際調査報告】