(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-31
(54)【発明の名称】CCR6抗体
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20240124BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20240124BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20240124BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20240124BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20240124BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20240124BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240124BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240124BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240124BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20240124BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20240124BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20240124BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20240124BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20240124BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20240124BHJP
A61P 1/18 20060101ALI20240124BHJP
A61P 13/00 20060101ALI20240124BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240124BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20240124BHJP
A61P 19/00 20060101ALI20240124BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20240124BHJP
A61P 17/14 20060101ALI20240124BHJP
A61P 7/06 20060101ALI20240124BHJP
A61P 7/00 20060101ALI20240124BHJP
A61P 7/04 20060101ALI20240124BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240124BHJP
A61P 5/00 20060101ALI20240124BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20240124BHJP
A61P 21/04 20060101ALI20240124BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20240124BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240124BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20240124BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240124BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
C12N15/13
C07K16/28 ZNA
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61P43/00 111
A61P9/00
A61P1/04
A61P1/16
A61P11/00
A61P13/12
A61P37/02
A61P1/18
A61P13/00
A61P25/00
A61P37/08
A61P19/00
A61P31/00
A61P17/14
A61P7/06
A61P7/00
A61P7/04
A61P29/00
A61P5/00
A61P3/10
A61P21/04
A61P19/02
A61P29/00 101
A61P17/00
A61P17/06
A61P35/00
A61K9/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535852
(86)(22)【出願日】2021-12-14
(85)【翻訳文提出日】2023-08-10
(86)【国際出願番号】 AU2021051488
(87)【国際公開番号】W WO2022126180
(87)【国際公開日】2022-06-23
(32)【優先日】2020-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501249191
【氏名又は名称】モナッシュ ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100151301
【氏名又は名称】戸崎 富哉
(74)【代理人】
【識別番号】100152308
【氏名又は名称】中 正道
(74)【代理人】
【識別番号】100201558
【氏名又は名称】亀井 恵二郎
(72)【発明者】
【氏名】ロバート、レミー
(72)【発明者】
【氏名】マッケイ、チャールズ リーアイ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA83X
4B065AA86X
4B065AA87X
4B065AA87Y
4B065AA88X
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA25
4B065CA44
4B065CA46
4C076AA11
4C076BB11
4C076BB13
4C076CC29
4C076FF11
4C085AA13
4C085AA14
4C085DD62
4C085EE01
4C085GG01
4C085GG02
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA75
4H045DA76
4H045EA20
4H045EA50
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、CCR6、該受容体に結合させるための抗体及びその関連断片、該抗体及び断片の生産、並びに様々な病態、特に自己免疫疾患、炎症、感染症、腫瘍(oncology)、及び線維症の検出及び治療のための該抗体及び断片の使用に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CCR6に結合する抗原結合ドメインを含む抗原結合タンパク質であって、好ましくは、MIP-3αのCCR6への結合を阻害する抗原結合タンパク質。
【請求項2】
前記抗原結合ドメインがペプチドに結合し、前記ペプチドが、
- 配列番号2の配列からなるか;又は
- 配列番号2の配列内の配列からなり、前記ペプチドが、CCR6に結合可能な抗体を作製するための免疫原として有用である、請求項1に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項3】
前記抗原結合ドメインが、
- CCR6のアミノ酸1~28からなるペプチド、及び/又は
- CCR6のアミノ酸18~46からなるペプチド
に結合する、請求項1に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項4】
前記CCR6が、ヒトCCR6である、請求項1~3のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項5】
FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4、及び
FR1a-CDR1a-FR2a-CDR2a-FR3a-CDR3a-FR4a、
(式中、
FR1、FR2、FR3、及びFR4は、それぞれフレームワーク領域であり;
CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ相補性決定領域であり;
FR1a、FR2a、FR3a、及びFR4aは、それぞれフレームワーク領域であり;
CDR1a、CDR2a、及びCDR3aは、それぞれ相補性決定領域であり;
前記フレームワーク領域又は相補性決定領域のいずれかの配列は、本明細書に記載の通りである)
を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項6】
FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4、及び
FR1a-CDR1a-FR2a-CDR2a-FR3a-CDR3a-FR4a、
(式中、
FR1、FR2、FR3、及びFR4は、それぞれフレームワーク領域であり;
CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ相補性決定領域であり;
FR1a、FR2a、FR3a、及びFR4aは、それぞれフレームワーク領域であり;
CDR1a、CDR2a、及びCDR3aは、それぞれ相補性決定領域であり;
前記相補性決定領域のいずれかの配列は、本明細書の表1又は2に記載のアミノ酸配列を有し、好ましくは、前記フレームワーク領域は、表3又は4に記載のアミノ酸配列を有する)
を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項7】
FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4-リンカー-FR1a-CDR1a-FR2a-CDR2a-FR3a-CDR3a-FR4a
を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項8】
前記リンカーが、化学物質、1つ以上のアミノ酸、又は2つのシステイン残基間に形成されるジスルフィド結合である、請求項7に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項9】
前記抗原結合ドメインがCCR6に結合するか又は特異的に結合し、前記抗原結合ドメインが、
(i)配列番号11に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含む相補性決定領域(CDR)1と、配列番号12に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR2と、配列番号13に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR3と、を含むVH;
(ii)配列番号88に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一の配列を含むVH;
(iii)配列番号17に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR1と、配列番号18に記載の配列と少なくとも約65%、少なくとも約66%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR2と、配列番号19に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR3と、を含むVL;
(iv)配列番号89に記載の配列と少なくとも約少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一の配列を含むVL;
(v)配列番号11に記載の配列を含むCDR1と、配列番号12に記載の配列を含むCDR2と、配列番号13に記載の配列を含むCDR3と、を含むVH;
(vi)配列番号88に記載の配列を含むVH;
(vii)配列番号17に記載の配列を含むCDR1と、配列番号18に記載の配列を含むCDR2と、配列番号19に記載の配列を含むCDR3と、を含むVL;
(viii)配列番号89に記載の配列を含むVL;
(ix)配列番号11に記載の配列を含むCDR1と、配列番号12に記載の配列を含むCDR2と、配列番号13に記載の配列を含むCDR3と、を含むVH;及び配列番号17に記載の配列を含むCDR1と、配列番号18に記載の配列を含むCDR2と、配列番号19に記載の配列を含むCDR3と、を含むVL;又は
(x)配列番号88に記載の配列を含むVH及び配列番号89に記載の配列を含むVL
のうちの少なくとも1つを含む、請求項5~8のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項10】
(i)配列番号80に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むフレームワーク領域(FR)1と、配列番号81に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR2と、配列番号82に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR3と、配列番号83に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR4と、を含むVH;
(ii)配列番号84に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR1と、配列番号85に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR2と、配列番号86に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR3と、配列番号87に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR4と、を含むVL;
(iii)配列番号80に記載の配列を含むFR1と、配列番号81に記載の配列を含むFR2と、配列番号82に記載の配列を含むFR3と、配列番号83に記載の配列を含むFR4と、を含むVH;
(iv)配列番号84に記載の配列を含むFR1と、配列番号85に記載の配列を含むFR2と、配列番号86に記載の配列を含むFR3と、配列番号87に記載の配列を含むFR4と、を含むVL;又は
(v)配列番号80に記載の配列を含むFR1と、配列番号81に記載の配列を含むFR2と、配列番号82に記載の配列を含むFR3と、配列番号83に記載の配列を含むFR4と、を含むVH;及び配列番号84に記載の配列を含むFR1と、配列番号85に記載の配列を含むFR2と、配列番号86に記載の配列を含むFR3と、配列番号87に記載の配列を含むFR4と、を含むVL
のうちの少なくとも1つを更に含む、請求項9に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項11】
配列番号88及び89に記載のアミノ酸配列を含むか、から本質的になるか、又はからなる、請求項1~10のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項12】
前記抗原結合ドメインがCCR6に結合するか又は特異的に結合し、前記抗原結合ドメインが、
(i)配列番号11に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含む相補性決定領域(CDR)1と、配列番号12に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR2と、配列番号5に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR3と、を含むVH;
(ii)配列番号96若しくは97に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一の配列を含むVH;
(iii)配列番号17に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR1と、配列番号18に記載の配列と少なくとも約65%、少なくとも約66%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR2と、配列番号19に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR3と、を含むVL;
(iv)配列番号89に記載の配列と少なくとも約少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一の配列を含むVL;
(v)配列番号11に記載の配列を含むCDR1と、配列番号12に記載の配列を含むCDR2と、配列番号5に記載の配列を含むCDR3と、を含むVH;
(vi)配列番号96若しくは97に記載の配列を含むVH;
(vii)配列番号17に記載の配列を含むCDR1と、配列番号18に記載の配列を含むCDR2と、配列番号19に記載の配列を含むCDR3と、を含むVL;
(viii)配列番号89に記載の配列を含むVL;
(ix)配列番号11に記載の配列を含むCDR1と、配列番号12に記載の配列を含むCDR2と、配列番号5に記載の配列を含むCDR3と、を含むVH;及び配列番号17に記載の配列を含むCDR1と、配列番号18に記載の配列を含むCDR2と、配列番号19に記載の配列を含むCDR3と、を含むVL;又は
(x)配列番号96若しくは97に記載の配列を含むVH及び配列番号89に記載の配列を含むVL
のうちの少なくとも1つを含む、請求項5~8のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項13】
前記抗原結合ドメインがCCR6に結合するか又は特異的に結合し、前記抗原結合ドメインが、
(i)配列番号11に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含む相補性決定領域(CDR)1と、配列番号12に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR2と、配列番号13に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR3と、を含むVH;
(ii)配列番号88に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一の配列を含むVH;
(iii)配列番号94に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR1と、配列番号18に記載の配列と少なくとも約65%、少なくとも約66%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR2と、配列番号19に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR3と、を含むVL;
(iv)配列番号98に記載の配列と少なくとも約少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一の配列を含むVL;
(v)配列番号11に記載の配列を含むCDR1と、配列番号12に記載の配列を含むCDR2と、配列番号13に記載の配列を含むCDR3と、を含むVH;
(vi)配列番号88に記載の配列を含むVH;
(vii)配列番号94に記載の配列を含むCDR1と、配列番号18に記載の配列を含むCDR2と、配列番号19に記載の配列を含むCDR3と、を含むVL;
(viii)配列番号98に記載の配列を含むVL;
(ix)配列番号11に記載の配列を含むCDR1と、配列番号12に記載の配列を含むCDR2と、配列番号13に記載の配列を含むCDR3と、を含むVH;及び配列番号94に記載の配列を含むCDR1と、配列番号18に記載の配列を含むCDR2と、配列番号19に記載の配列を含むCDR3と、を含むVL;又は
(x)配列番号88に記載の配列を含むVH及び配列番号98に記載の配列を含むVL
のうちの少なくとも1つを含む、請求項5~8のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項14】
前記抗原結合ドメインがCCR6に結合するか又は特異的に結合し、前記抗原結合ドメインが、
(i)配列番号11に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含む相補性決定領域(CDR)1と、配列番号12に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR2と、配列番号5に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR3と、を含むVH;
(ii)配列番号96若しくは97に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一の配列を含むVH;
(iii)配列番号94に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR1と、配列番号18に記載の配列と少なくとも約65%、少なくとも約66%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR2と、配列番号19に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR3と、を含むVL;
(iv)配列番号98に記載の配列と少なくとも約少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一の配列を含むVL;
(v)配列番号11に記載の配列を含むCDR1と、配列番号12に記載の配列を含むCDR2と、配列番号5に記載の配列を含むCDR3と、を含むVH;
(vi)配列番号96若しくは97に記載の配列を含むVH;
(vii)配列番号94に記載の配列を含むCDR1と、配列番号18に記載の配列を含むCDR2と、配列番号19に記載の配列を含むCDR3と、を含むVL;
(viii)配列番号98に記載の配列を含むVL;
(ix)配列番号11に記載の配列を含むCDR1と、配列番号12に記載の配列を含むCDR2と、配列番号5に記載の配列を含むCDR3と、を含むVH;及び配列番号94に記載の配列を含むCDR1と、配列番号18に記載の配列を含むCDR2と、配列番号19に記載の配列を含むCDR3と、を含むVL;又は
(x)配列番号96若しくは97に記載の配列を含むVH及び配列番号98に記載の配列を含むVL
のうちの少なくとも1つを含む、請求項5~8のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項15】
CDR1が、(G/E)(F/Y)(T/S/P)F(S/K)(D/S)(Y/F)(Y/G)、GF(S/T/P)FSDYY、GFTFSDYY(配列番号3)、GFSFSDYY(配列番号6)、GFPFSDYY(配列番号11)、及びEYTFKSFG(配列番号14)からなる群から選択される配列を有し;
CDR2が、I(T/Y)(N/P)(G/R)(D/G/A/V/S)G(R/N)T、ITNG(D/G/A/V)GRT、ITNGDGRT(配列番号4)、ITNGGGRT(配列番号7)、ITNGAGRT(配列番号9)、ITNGVGRT(配列番号12)、及びIYPRSGNT(配列番号15)からなる群から選択される配列を有し;
CDR3が、(T/A)(S/R)(P/S)P(L/Y)(G/D)G(A/-)(W/Y)F(G/A/D)Y、(A/T)SPPLGGAWF(G/A)Y、TSPPLGGAWFGY(配列番号5)、ASPPLGGAWFGY(配列番号8)、ASPPLGGAWFAY(配列番号10)、TSPPLGGAWFAY(配列番号13)、及びARSPYDGYFDY(配列番号16)からなる群から選択される配列を有し;
CDR1aが、QS(I/L)(V/L)H(S/I)NGNTY、QS(I/L)VHSNGNTY、QSIVHSNGNTY(配列番号17)、QSLVHSNGNTY(配列番号20)、及びQSLLHINGNTY(配列番号21)からなる群から選択される配列を有し;
CDR2aが、(K/R)VS、RVS(配列番号22)、及びKVS(配列番号18)からなる群から選択される配列を有し;及び
CDR3aが、(F/S)Q(G/S)(S/T)HVP(L/R)T、FQGSHVPLT(配列番号19)、及びSQSTHVPRT(配列番号23)からなる群から選択される配列を有する;
請求項5~8のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項16】
FR1が、EVNLVESGGGLVQPGGSLKLSCAAS(配列番号24)、EVNLVESGGGLVQPGGSLKLSCEAS(配列番号25)、EVKLVESGGGLVQPGGSLKLSCAAS(配列番号26)、QDQLQQSGVALARPGASVKLSCKAS(配列番号27)、EVNLVESGGGLVQPGGSLILSCEAS(配列番号90)、及びEVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAAS(配列番号80)からなる群から選択される配列を有し;
FR2が、MYWVRQTPEKRLEWVTY(配列番号28)、LYWVRQTPEKRLEWVTY(配列番号29)、LYWVRQTPEKRLEWVAY(配列番号30)、LGWVKQRPGQGLEWIGE(配列番号31)、及びLYWVRQAPGKGLEWVAY(配列番号81)からなる群から選択される配列を有し;
FR3が、YYSDTVRGRFTISRDNAKNTLYLQMSRLKSEDTAMYYC(配列番号32)、YYSDTIRGRFTISRDNARNTLYLQMSRLKSEDTAMYYC(配列番号33)、YYSDSVKGRFTISRDNAKNTLYLQMSRLKSEDTSMYYC(配列番号34)、YYNEKVKGKVRLTADKSSNSVYMEFRSLTSEDSAVYFC(配列番号35)、YYSDAIRGRFTISRDNARNTLYLQMSRLKSEDTAMYYC(配列番号91)、及びYYSDSVKGRFTISRDNAKNTLYLQMNSLRDEDTAVYYC(配列番号82)からなる群から選択される配列を有し;
FR4が、配列WGQGTLVTVS(配列番号36)又はWGQGTTLTVS(配列番号37)を有し;
FR1aが、DVLMTQTPLSLPVSLGDQASISCRSS(配列番号38)、DVSMTQTPLSLPVSLGDQASISCRSS(配列番号39)、DVVMTHSPLSLPVSLGDQASISCRSS(配列番号40)、及びDIVMTQSPLSLPVTPGEPASISCRSS(配列番号84)からなる群から選択される配列を有し;
FR2aが、配列LEWYLQKPGQSPKLLIY(配列番号41)、LHWYLQKPGQSPKLLIY(配列番号42)、又はLEWYLQKPGQSPRLLIY(配列番号85)を有し;
FR3aが、KRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDLGVYYC(配列番号43)、KRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVGAEDLGVYYC(配列番号44)、NRLSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDLGVYFC(配列番号45)、及びKRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYC(配列番号86)からなる群から選択される配列を有し;及び
FR4aが、配列FGAGTKLELKR(配列番号46)、FGGGTKLEIKR(配列番号47)、又はFGQGTKLEIR(配列番号87)を有する
請求項15に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項17】
配列番号48~59、88、89、92、93、及び96~98のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含むか、から本質的になるか、又はからなる、請求項1~5のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項18】
前記抗原結合ドメインがCCR6に結合するか又は特異的に結合し、前記抗原結合ドメインが、
(i)配列番号3に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含む相補性決定領域(CDR)1と、配列番号4に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR2と、配列番号5に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR3と、を含むVH;
(ii)配列番号48に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一の配列を含むVH;
(iii)配列番号17に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR1と、配列番号18に記載の配列と少なくとも約65%、少なくとも約66%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR2と、配列番号19に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR3と、を含むVL;
(iv)配列番号55に記載の配列と少なくとも約少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一の配列を含むVL;
(v)配列番号3に記載の配列を含むCDR1と、配列番号4に記載の配列を含むCDR2と、配列番号5に記載の配列を含むCDR3と、を含むVH;
(vi)配列番号48に記載の配列を含むVH;
(vii)配列番号17に記載の配列を含むCDR1と、配列番号18に記載の配列を含むCDR2と、配列番号19に記載の配列を含むCDR3と、を含むVL;
(viii)配列番号55に記載の配列を含むVL;
(ix)配列番号3に記載の配列を含むCDR1と、配列番号4に記載の配列を含むCDR2と、配列番号5に記載の配列を含むCDR3と、を含むVH;及び配列番号17に記載の配列を含むCDR1と、配列番号18に記載の配列を含むCDR2と、配列番号19に記載の配列を含むCDR3と、を含むVL;又は
(x)配列番号48に記載の配列を含むVH及び配列番号55に記載の配列を含むVL
のうちの少なくとも1つを含む、請求項5~8のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項19】
前記抗原結合ドメインがCCR6に結合するか又は特異的に結合し、前記抗原結合ドメインが、
(i)配列番号6に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含む相補性決定領域(CDR)1と、配列番号7に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR2と、配列番号5に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR3と、を含むVH;
(ii)配列番号49に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一の配列を含むVH;
(iii)配列番号20に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR1と、配列番号18に記載の配列と少なくとも約65%、少なくとも約66%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR2と、配列番号19に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR3と、を含むVL;
(iv)配列番号56に記載の配列と少なくとも約少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一の配列を含むVL;
(v)配列番号6に記載の配列を含むCDR1と、配列番号7に記載の配列を含むCDR2と、配列番号5に記載の配列を含むCDR3と、を含むVH;
(vi)配列番号49に記載の配列を含むVH;
(vii)配列番号20に記載の配列を含むCDR1と、配列番号18に記載の配列を含むCDR2と、配列番号19に記載の配列を含むCDR3と、を含むVL;
(viii)配列番号56に記載の配列を含むVL;
(ix)配列番号6に記載の配列を含むCDR1と、配列番号7に記載の配列を含むCDR2と、配列番号5に記載の配列を含むCDR3と、を含むVH;及び配列番号20に記載の配列を含むCDR1と、配列番号18に記載の配列を含むCDR2と、配列番号19に記載の配列を含むCDR3と、を含むVL;又は
(x)配列番号49に記載の配列を含むVH及び配列番号56に記載の配列を含むVL
のうちの少なくとも1つを含む、請求項5~8のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項20】
前記抗原結合ドメインがCCR6に結合するか又は特異的に結合し、前記抗原結合ドメインが、
(i)配列番号3に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含む相補性決定領域(CDR)1と、配列番号7に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR2と、配列番号8に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR3と、を含むVH;
(ii)配列番号50に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一の配列を含むVH;
(iii)配列番号17に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR1と、配列番号18に記載の配列と少なくとも約65%、少なくとも約66%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR2と、配列番号19に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR3と、を含むVL;
(iv)配列番号57に記載の配列と少なくとも約少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一の配列を含むVL;
(v)配列番号3に記載の配列を含むCDR1と、配列番号7に記載の配列を含むCDR2と、配列番号8に記載の配列を含むCDR3と、を含むVH;
(vi)配列番号50に記載の配列を含むVH;
(vii)配列番号17に記載の配列を含むCDR1と、配列番号18に記載の配列を含むCDR2と、配列番号19に記載の配列を含むCDR3と、を含むVL;
(viii)配列番号57に記載の配列を含むVL;
(ix)配列番号3に記載の配列を含むCDR1と、CDR2配列番号7に記載の配列と、配列番号8に記載の配列を含むCDR3と、を含むVH;及び配列番号17に記載の配列を含むCDR1と、配列番号18に記載の配列を含むCDR2と、配列番号19に記載の配列を含むCDR3と、を含むVL;又は
(x)配列番号50に記載の配列を含むVH及び配列番号57に記載の配列を含むVL
のうちの少なくとも1つを含む、請求項5~8のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項21】
前記抗原結合ドメインがCCR6に結合するか又は特異的に結合し、前記抗原結合ドメインが、
(i)配列番号3に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含む相補性決定領域(CDR)1と、配列番号7に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR2と、配列番号8に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR3と、を含むVH;
(ii)配列番号51に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一の配列を含むVH;
(iii)配列番号20に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR1と、配列番号18に記載の配列と少なくとも約65%、少なくとも約66%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR2と、配列番号19に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR3と、を含むVL;
(iv)配列番号58に記載の配列と少なくとも約少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一の配列を含むVL;
(v)配列番号3に記載の配列を含むCDR1と、配列番号7に記載の配列を含むCDR2と、配列番号8に記載の配列を含むCDR3と、を含むVH;
(vi)配列番号51に記載の配列を含むVH;
(vii)配列番号20に記載の配列を含むCDR1と、配列番号18に記載の配列を含むCDR2と、配列番号19に記載の配列を含むCDR3と、を含むVL;
(viii)配列番号58に記載の配列を含むVL;
(ix)配列番号3に記載の配列を含むCDR1と、配列番号7に記載の配列を含むCDR2と、配列番号8に記載の配列を含むCDR3と、を含むVH;及び配列番号20に記載の配列を含むCDR1と、配列番号18に記載の配列を含むCDR2と、配列番号19に記載の配列を含むCDR3と、を含むVL;又は
(x)配列番号51に記載の配列を含むVH及び配列番号58に記載の配列を含むVL
のうちの少なくとも1つを含む、請求項5~8のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項22】
前記抗原結合ドメインがCCR6に結合するか又は特異的に結合し、前記抗原結合ドメインが、
(i)配列番号3に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含む相補性決定領域(CDR)1と、配列番号9に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR2と、配列番号10に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR3と、を含むVH;
(ii)配列番号52に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一の配列を含むVH;
(iii)配列番号20に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR1と、配列番号18に記載の配列と少なくとも約65%、少なくとも約66%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR2と、配列番号19に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR3と、を含むVL;
(iv)配列番号56に記載の配列と少なくとも約少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一の配列を含むVL;
(v)配列番号3に記載の配列を含むCDR1と、配列番号9に記載の配列を含むCDR2と、配列番号10に記載の配列を含むCDR3と、を含むVH;
(vi)配列番号52に記載の配列を含むVH;
(vii)配列番号20に記載の配列を含むCDR1と、配列番号18に記載の配列を含むCDR2と、配列番号19に記載の配列を含むCDR3と、を含むVL;
(viii)配列番号56に記載の配列を含むVL;
(ix)配列番号3に記載の配列を含むCDR1と、配列番号9に記載の配列を含むCDR2と、配列番号10に記載の配列を含むCDR3と、を含むVH;及び配列番号20に記載の配列を含むCDR1と、配列番号18に記載の配列を含むCDR2と、配列番号19に記載の配列を含むCDR3と、を含むVL;又は
(x)配列番号52に記載の配列を含むVH及び配列番号56に記載の配列を含むVL
のうちの少なくとも1つを含む、請求項5~8のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項23】
前記抗原結合ドメインがCCR6に結合するか又は特異的に結合し、前記抗原結合ドメインが、
(i)配列番号11に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含む相補性決定領域(CDR)1と、配列番号12に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR2と、配列番号13に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR3と、を含むVH;
(ii)配列番号53に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一の配列を含むVH;
(iii)配列番号17に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR1と、配列番号18に記載の配列と少なくとも約65%、少なくとも約66%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR2と、配列番号19に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR3と、を含むVL;
(iv)配列番号55に記載の配列と少なくとも約少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一の配列を含むVL;
(v)配列番号11に記載の配列を含むCDR1と、配列番号12に記載の配列を含むCDR2と、配列番号13に記載の配列を含むCDR3と、を含むVH;
(vi)配列番号53に記載の配列を含むVH;
(vii)配列番号17に記載の配列を含むCDR1と、配列番号18に記載の配列を含むCDR2と、配列番号19に記載の配列を含むCDR3と、を含むVL;
(viii)配列番号55に記載の配列を含むVL;
(ix)配列番号11に記載の配列を含むCDR1と、配列番号12に記載の配列を含むCDR2と、配列番号13に記載の配列を含むCDR3と、を含むVH;及び配列番号17に記載の配列を含むCDR1と、配列番号18に記載の配列を含むCDR2と、配列番号19に記載の配列を含むCDR3と、を含むVL;又は
(x)配列番号53に記載の配列を含むVH及び配列番号55に記載の配列を含むVL
のうちの少なくとも1つを含む、請求項5~8のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項24】
(i)配列番号26に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むフレームワーク領域(FR)1と、配列番号30に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR2と、配列番号34に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR3と、配列番号36に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR4と、を含むVH;
(ii)配列番号38に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR1と、配列番号41に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR2と、配列番号43に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR3と、配列番号46に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR4と、を含むVL;
(iii)配列番号26に記載の配列を含むFR1と、配列番号30に記載の配列を含むFR2と、配列番号34に記載の配列を含むFR3と、配列番号36に記載の配列を含むFR4と、を含むVH;
(iv)配列番号38に記載の配列を含むFR1と、配列番号41に記載の配列を含むFR2と、配列番号43に記載の配列を含むFR3と、配列番号46に記載の配列を含むFR4と、を含むVL;又は
(v)配列番号26に記載の配列を含むFR1と、配列番号30に記載の配列を含むFR2と、配列番号34に記載の配列を含むFR3と、配列番号36に記載の配列を含むFR4と、を含むVH;及び配列番号38に記載の配列を含むFR1と、配列番号41に記載の配列を含むFR2と、配列番号43に記載の配列を含むFR3と、配列番号46に記載の配列を含むFR4と、を含むVL
のうちの少なくとも1つを更に含む、請求項23に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項25】
前記抗原結合ドメインがCCR6に結合するか又は特異的に結合し、前記抗原結合ドメインが、
(i)配列番号14に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含む相補性決定領域(CDR)1と、配列番号15に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR2と、配列番号16に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR3と、を含むVH;
(ii)配列番号54に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一の配列を含むVH;
(iii)配列番号21に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR1と、配列番号22に記載の配列と少なくとも約65%、少なくとも約66%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR2と、配列番号23に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR3と、を含むVL;
(iv)配列番号59に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一の配列を含むVL;
(v)配列番号14の記載を含むCDR1と、配列番号15に記載の配列を含むCDR2と、配列番号16に記載の配列を含むCDR3と、を含むVH;
(vi)配列番号54に記載の配列を含むVH;
(vii)配列番号21に記載の配列を含むCDR1と、配列番号22に記載の配列を含むCDR2と、配列番号23に記載の配列を含むCDR3と、を含むVL;
(viii)配列番号59に記載の配列を含むVL;
(ix)配列番号14に記載の配列を含むCDR1と、配列番号15に記載の配列を含むCDR2と、配列番号16に記載の配列を含むCDR3と、を含むVH;及び配列番号21に記載の配列を含むCDR1と、配列番号22に記載の配列を含むCDR2と、配列番号23に記載の配列を含むCDR3と、を含むVL;又は
(x)配列番号54に記載の配列を含むVH及び配列番号59に記載の配列を含むVL
のうちの少なくとも1つを含む、請求項5~8のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項26】
前記抗原結合ドメインがCCR6に結合するか又は特異的に結合し、前記抗原結合ドメインが、
(i)配列番号6に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含む相補性決定領域(CDR)1と、配列番号7に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR2と、配列番号5に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR3と、を含むVH;
(ii)配列番号92に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一の配列を含むVH;
(iii)配列番号20に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR1と、配列番号18に記載の配列と少なくとも約65%、少なくとも約66%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR2と、配列番号19に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR3と、を含むVL;
(iv)配列番号93に記載の配列と少なくとも約少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一の配列を含むVL;
(v)配列番号6に記載の配列を含むCDR1と、配列番号7に記載の配列を含むCDR2と、配列番号5に記載の配列を含むCDR3と、を含むVH;
(vi)配列番号92に記載の配列を含むVH;
(vii)配列番号20に記載の配列を含むCDR1と、配列番号18に記載の配列を含むCDR2と、配列番号19に記載の配列を含むCDR3と、を含むVL;
(viii)配列番号93に記載の配列を含むVL;
(ix)配列番号6に記載の配列を含むCDR1と、配列番号7に記載の配列を含むCDR2と、配列番号5に記載の配列を含むCDR3と、を含むVH;及び配列番号20に記載の配列を含むCDR1と、配列番号18に記載の配列を含むCDR2と、配列番号19に記載の配列を含むCDR3と、を含むVL;又は
(x)配列番号92に記載の配列を含むVH及び配列番号93に記載の配列を含むVL
のうちの少なくとも1つを含む、請求項5~8のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項27】
(i)一本鎖Fv断片(scFv);
(ii)二量体scFv(di-scFv);
(iii)抗体の定常領域、Fc、又は重鎖定常ドメイン(CH)2及び/若しくはCH3に連結された(i)又は(ii)のうちの1つ;あるいは
(iv)免疫エフェクター細胞に結合するタンパク質に連結された(i)又は(ii)のうちの1つ
(v)ダイアボディ;
(vi)トリアボディ;
(vii)テトラボディ;
(viii)Fab;
(ix)F(ab’)2;
(x)Fv;
(xi)抗体の定常領域、Fc、又は重鎖定常ドメイン(CH)2及び/若しくはCH3に連結された(v)~(x)のうちの1つ;あるいは
(xii)免疫エフェクター細胞に結合するタンパク質に連結された(v)~(x)のうちの1つ
の形態である、請求項1~26のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項28】
抗体又はその抗原結合断片である、請求項1~26のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項29】
モノクローナル抗体又はその断片、任意で可変ドメインである、請求項28に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項30】
(N末端からC末端又はC末端からN末端の順に)
- 配列番号88及び89;
- 配列番号96及び98;
- 配列番号97及び98;
- 配列番号88及び98;
- 配列番号96及び89;
- 配列番号97及び89;
- 配列番号48及び55;
- 配列番号49及び56;
- 配列番号50及び57;
- 配列番号51及び58;
- 配列番号52及び56;
- 配列番号53及び55;
- 配列番号54及び59;又は
- 配列番号92及び93;
のアミノ酸配列を含むか、から本質的になるか、又はからなる、請求項5~8のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項31】
Fc領域を更に含み、前記Fc領域が、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)を誘導する能力が低下するように操作されている、請求項1~30のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項32】
前記抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)を誘導する能力が低下するように操作されたFc領域が、配列番号60(ここでは、アラニンは118位である)に従って234位、235位、及び331位、又は234位、235位、及び331位と等価な位置において変異、欠失、又は改変されている、請求項31に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項33】
前記変異が、L234F、L235E、及びP331Sである、請求項32に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項34】
前記Fc領域が、配列番号61に示すアミノ酸配列を含むか、から本質的になるか、又はからなる、請求項32に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項35】
Fc領域を更に含み、前記Fc領域が、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)を誘導する能力が増強するように操作されている、請求項1~30のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項36】
前記ADCCを誘導する能力の増強が、Fc受容体と相互作用する前記Fc領域におけるアミノ酸の変異、欠失、又は改変によって付与される、請求項35に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項37】
変異、欠失、又は改変されるアミノ酸が、配列番号60(ここでは、アラニンは118位である)に従って239位、330位、及び/若しくは332位、又は239位、330位、及び/若しくは332位と等価な位置にあり、好ましくは、前記アミノ酸が、S239D、A330L、及びI332Eに変異する、請求項36に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項38】
前記Fcが、配列番号62に示すアミノ酸配列を含むか、から本質的になるか、又はからなる、請求項37に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項39】
前記Fcが、配列番号62に示すアミノ酸配列を含むか、から本質的になるか、又はからなる、請求項9又は10に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項40】
前記Fcが、配列番号62に示すアミノ酸配列を含むか、から本質的になるか、又はからなる、請求項11~14のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項41】
免疫グロブリン可変ドメイン、抗体、dab、scFv、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv断片、ダイアボディ、トリアボディ、線状抗体、一本鎖抗体分子、又は多重特異性抗体の形態である、請求項1~40のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項42】
請求項1~41のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質をコードしている核酸。
【請求項43】
請求項42に記載の核酸を含むベクター。
【請求項44】
請求項43に記載のベクター又は請求項36に記載の核酸を含む細胞。
【請求項45】
請求項1~41のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質と、薬学的に許容し得る担体、希釈剤、又は賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項46】
CCR6の発現に関連する病態又は疾患を治療又は予防する方法であって、それを必要とする対象に、請求項1~41のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質又は請求項45に記載の医薬組成物を投与し、それによって、前記対象における前記CCR6の発現に関連する病態又は疾患を治療又は予防することを含む方法。
【請求項47】
前記CCR6の発現に関連する疾患又は病態が、炎症病態、自己免疫疾患、感染症、線維症、又はがん、又は肺障害である、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記炎症病態が、心血管炎症、胃腸炎症、肝炎症障害、肺炎症、腎炎症、眼炎症、膵炎症、泌尿生殖器炎症、神経炎症障害、アレルギー、骨格炎症、感染によって引き起こされる炎症、移植によって引き起こされるか又は応答する炎症である、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記自己免疫疾患が、後天性免疫不全症候群、円形脱毛症、強直性、脊椎炎、抗リン脂質症候群、自己免疫性アジソン病、自己免疫性溶血性、貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性内耳疾患(AIED)、自己免疫性リンパ増殖症候群(ALPS)、自己免疫性血小板減少性紫斑病(ATP)、ベーチェット病、心筋症、セリアックスプルー疱疹状皮膚炎、慢性疲労免疫、機能不全症候群(CFIDS)、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIPD)、瘢痕性類天疱瘡、寒冷凝集素病、クレスト症候群、クローン病、デゴス病、若年性皮膚筋炎、円板状狼瘡、本態性混合型クリオグロブリン血症、線維筋痛症線、維筋炎グレーブス病、ギラン・バレー症候群、橋本甲状腺炎、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、lgA腎症、インスリン依存性糖尿病、若年性慢性関節炎(スティル病)、若年性関節リウマチ、メニエール病、混合性結合組織病、多発性硬化症、重症筋無力症、悪性貧血、結節性多発性動脈炎、多発性軟骨炎、多線性症候群、リウマチ性多発筋痛、多発性筋炎及び皮膚筋炎、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、乾癬性関節炎、レイノー現象、ライター症候群、リウマチ熱、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症(進行性全身性硬化症(PSS)、全身性硬化症(SS)としても知られている)、シェーグレン症候群、スティッフマン症候群、全身性エリテマトーデス、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞性動脈炎、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、白斑、又はウェゲナー肉芽腫症である、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記自己免疫疾患が、乾癬である、請求項47に記載の方法。
【請求項51】
前記自己免疫疾患が、多発性硬化症である、請求項47に記載の方法。
【請求項52】
前記線維症が、肺線維症、特発性肺線維症、嚢胞性線維症、肝硬変、心内膜心筋線維症、陳旧性心筋梗塞、心房線維症、縦隔線維症、骨髄線維症、後腹膜線維症、進行性塊状線維症、腎原性全身性線維症、クローン病、ケロイド、強皮症/全身性硬化症、関節線維症、ペイロニー病、デュピュイトラン拘縮、又は癒着性関節包炎である、請求項47に記載の方法。
【請求項53】
請求項1~41のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質又は請求項45に記載の医薬組成物を含むキット又は製品。
【請求項54】
炎症病態、自己免疫疾患、感染症、線維症、又はがん、肺障害、又はCCR6の発現に関連する病態若しくは疾患を治療するための医薬の製造における、請求項1~41のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質の使用であって、好ましくは、前記疾患が、炎症性又は自己免疫性の疾患である使用。
【請求項55】
炎症病態、自己免疫疾患、感染症、線維症、又はがん、肺障害、又はCCR6の発現に関連する病態若しくは疾患の治療において使用するための、請求項1~41のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質。
【請求項56】
前記自己免疫疾患が、乾癬である、請求項54に記載の使用又は請求項55に記載の通り使用するための抗原結合タンパク質。
【請求項57】
前記自己免疫疾患が、多発性硬化症である、請求項54に記載の使用又は請求項55に記載の通り使用するための抗原結合タンパク質。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CCR6、該受容体に結合させるための抗体及びその関連断片、該抗体及び断片の生産、並びに様々な病態、特に炎症、自己免疫、感染症、及び腫瘍(oncology)の検出及び治療のための該抗体及び断片の使用に関する。
【0002】
関連出願
本願は、その内容全体が参照によって本明細書に援用されるオーストラリア仮出願第2020904653号に対する優先権を主張する。
【背景技術】
【0003】
ケモカインは、多様な機能を有する細胞外シグナル伝達分子である。ケモカインは、走化性、細胞の成長、場合によっては腫瘍の成長、悪性細胞のホーミング、及び転移を含む、多くの細胞プロセスを開始及び/又は維持することができる。
【0004】
ケモカインはまた、免疫系の細胞の輸送にも深く関与しており、多くの自己免疫疾患、炎症、並びにウイルス、細菌、及び他の感染症への応答に関わっている。ケモカインは、細胞膜を貫通する1つ以上の領域を有する複数回膜貫通型膜タンパク質であるGタンパク質共役型受容体(GPCR)の一種で、ケモカイン受容体として知られている受容体に結合して活性化又は阻害することによって作用することができる。
【0005】
ケモカイン受容体6(CCR6;CD196)は、未成熟樹状細胞、B細胞サブセット(成熟、ナイーブ、及びメモリー)、及びT細胞サブセット(皮膚及び腸ホーミングエフェクター/メモリーT細胞、並びにTh17細胞)で発現する。CCR6は、Th17細胞の炎症組織への遊走に関与し、リンパ球の活性化及び輸送に関わっている。その主要なリガンドであるMIP-3α(CCL20;CKb4;LARC;MIP-3a;MIP3A;SCYA20;ST38)によってCCR6受容体と結合することを通して誘導される細胞の走化性は、粘膜表面、皮膚、脳、及び眼における恒常性維持及び炎症のプロセスにおいて重要な役割を果たす。
【0006】
炎症、特に自己免疫疾患では、CCR6-MIP-3α軸を介したシグナル伝達に部分的に基づくオートクリン及びパラクリン機序が関与している可能性がある。
【0007】
様々な病態、特に炎症、感染症、腫瘍(oncology)、及び線維症を検出及び治療するための、CCR6に結合させるための改善された試薬、特にCCR6に結合し、MIP-3αが媒介する活性を阻害することができる新規抗体及びその断片が必要とされている。
【0008】
本明細書における任意の先行技術に対する言及は、この先行技術が何らかの権限で一般知識の一部を形成することも、この先行技術が当業者によって理解される、関連があるとみなされる、及び/又は先行技術の他の部分と組み合わされると合理的に予測され得ることも認めるものではなく、また示唆するものでもない。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、CCR6発現に関連する疾患を治療するための抗原結合タンパク質を提供する。好ましくは、抗原結合タンパク質は、MIP-3αのCCR6への結合を阻害する。
【0010】
本発明は、ペプチドに結合させるための抗原結合タンパク質であって、該ペプチドが、
- 配列番号2の配列からなるか;又は
- 配列番号2の配列内の配列からなり、該ペプチドが、CCR6に結合可能な抗体を作製するための免疫原として有用である抗原結合タンパク質を提供する。
【0011】
本発明は、
- 配列番号2の配列からなる;
- 配列番号2の配列内の配列からなり、CCR6に結合可能な抗体を作製するための免疫原として有用であるペプチドを提供する。
【0012】
本発明はまた、
- CCR6のアミノ酸1~28からなるペプチド、及び
- CCR6のアミノ酸18~46からなるペプチドに結合する抗原結合タンパク質を提供する。好ましくは、CCR6は、ヒトである。
【0013】
本発明は、CCR6に結合させるための抗原結合タンパク質であって、
FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4、及び
FR1a-CDR1a-FR2a-CDR2a-FR3a-CDR3a-FR4a、
(式中、
FR1、FR2、FR3、及びFR4は、それぞれフレームワーク領域であり;
CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ相補性決定領域であり;
FR1a、FR2a、FR3a、及びFR4aは、それぞれフレームワーク領域であり;
CDR1a、CDR2a、及びCDR3aは、それぞれ相補性決定領域であり;
該フレームワーク領域又は相補性決定領域のいずれかの配列は、本明細書に記載の通りである)
を含む抗原結合タンパク質を提供する。
【0014】
本発明は、CCR6に結合させるための抗原結合タンパク質であって、
FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4、及び
FR1a-CDR1a-FR2a-CDR2a-FR3a-CDR3a-FR4a、
(式中、
FR1、FR2、FR3、及びFR4は、それぞれフレームワーク領域であり;
CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ相補性決定領域であり;
FR1a、FR2a、FR3a、及びFR4aは、それぞれフレームワーク領域であり;
CDR1a、CDR2a、及びCDR3aは、それぞれ相補性決定領域であり;
該相補性決定領域のいずれかの配列は、以下の表1又は2に記載のアミノ酸配列を有する)
を含む抗原結合タンパク質を提供する。好ましくは、フレームワーク領域は、各抗体に由来する様々なフレームワーク領域をアラインすることによって決定することができる特定の残基におけるアミノ酸差異を含む、以下の表3又は4に記載のアミノ酸配列を有する。本発明はまた、CDR1、CDR2、及びCDR3が抗体の可変重鎖(VH)からの配列であり、CDR1a、CDR2a、及びCDR3aが抗体の可変軽鎖(VL)からの配列である場合、又はCDR1、CDR2、及びCDR3がVLからの配列であり、CDR1a、CDR2a、及びCDR3aがVHからの配列である場合も含む。
【0015】
任意の実施形態では、本発明は、CCR6に結合させるための抗原結合タンパク質であって、該抗原結合タンパク質が可変重鎖のCDR1を含み、該CDR1が配列番号3、6、11、14 102、又は103のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含み、好ましくは、該可変重鎖のCDR1の配列が配列番号11に記載のアミノ酸配列を含む抗原結合タンパク質を提供する。
【0016】
任意の実施形態では、本発明は、CCR6に結合させるための抗原結合タンパク質であって、該抗原結合タンパク質が可変重鎖のCDR2を含み、該CDR2が配列番号4、7、9、12、15、又は104のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含み、好ましくは、該可変重鎖のCDR2の配列が配列番号12に記載のアミノ酸配列を含む抗原結合タンパク質を提供する。
【0017】
任意の実施形態では、本発明は、CCR6に結合させるための抗原結合タンパク質であって、該抗原結合タンパク質が可変重鎖のCDR3を含み、該CDR3が配列番号5、8、10、13、16、106、又は107のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含み、好ましくは、該可変重可変鎖のCDR3の配列が配列番号5に記載のアミノ酸配列を含む抗原結合タンパク質を提供する。
【0018】
任意の実施形態では、本発明は、CCR6に結合させるための抗原結合タンパク質であって、該抗原結合タンパク質が可変軽鎖のCDR1を含み、該CDR1が配列番号17、20、21、94、108、又は109のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含み、好ましくは、該可変軽鎖のCDR1の配列が配列番号17又は94に記載のアミノ酸配列を含む抗原結合タンパク質を提供する。
【0019】
任意の実施形態では、本発明は、CCR6に結合させるための抗原結合タンパク質であって、該抗原結合タンパク質が可変軽鎖のCDR2を含み、該CDR2が配列番号18、22、又は110のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含み、好ましくは、該可変軽鎖のCDR2の配列が配列番号18に記載のアミノ酸配列を含む抗原結合タンパク質を提供する。
【0020】
任意の実施形態では、本発明は、CCR6に結合させるための抗原結合タンパク質であって、該抗原結合タンパク質が可変軽鎖のCDR3を含み、該CDR3が配列番号19、23、又は111のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含み、好ましくは、該可変軽鎖のCDR3の配列が配列番号19に記載のアミノ酸配列を含む抗原結合タンパク質を提供する。
【0021】
任意の実施形態では、本発明は、CCR6に結合させるための抗原結合タンパク質であって、該抗原結合タンパク質がCDR1、2、及び3を含む可変重鎖を含み、CDR1が配列番号11のアミノ酸配列を含み、CDR2が配列番号12に記載のアミノ酸配列を含み、CDR3が配列番号5に記載のアミノ酸配列を含む抗原結合タンパク質を提供する。
【0022】
任意の実施形態では、本発明は、CCR6に結合させるための抗原結合タンパク質であって、該抗原結合タンパク質がCDR1、2、及び3を含む可変軽鎖を含み、CDR1が配列番号17又は94のアミノ酸配列を含み、CDR2が配列番号18に記載のアミノ酸配列を含み、CDR3が配列番号19に記載のアミノ酸配列を含む抗原結合タンパク質を提供する。
【0023】
任意の実施形態では、本発明は、CCR6に結合させるための抗原結合タンパク質であって、
- 配列番号88に記載の配列を含むVH及び配列番号89に記載の配列を含むVLを含む;
- 配列番号96に記載の配列を含むVH及び配列番号98に記載の配列を含むVLを含む;
- 配列番号97に記載の配列を含むVH及び配列番号98に記載の配列を含むVLを含む;又は
- 配列番号88に記載の配列を含むVH及び配列番号98に記載の配列を含むVLを含む
抗体のCCR6への結合を競合的に阻害する抗原結合タンパク質を提供する。
【0024】
任意の実施形態では、本発明は、配列番号88、96、又は97のいずれか1つに定義される可変重鎖を有する抗体のCDRH1、CDRH2、及び/又はCDRH3を有する抗原結合タンパク質を提供する。
【0025】
任意の実施形態では、本発明は、配列番号89又は98のいずれか1つに定義される可変軽鎖を有する抗体のCDRL1、CDRL2、及び/又はCDRL3を有する抗原結合タンパク質を提供する。
【0026】
任意の実施形態では、本発明は、配列番号88、96、又は97のいずれか1つに定義される可変重鎖及び配列番号89又は98のいずれか1つに定義される可変軽鎖を有する抗体のCDR1、CDR2、及び/又はCDR3を有する抗原結合タンパク質を提供する。
【0027】
任意の実施形態では、本明細書に記載の抗原結合タンパク質は、
FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4-リンカー-FR1a-CDR1a-FR2a-CDR2a-FR3a-CDR3a-FR4a
を含む。
【0028】
本明細書で定義される通り、リンカーは、化学物質、1つ以上のアミノ酸、又は2つのシステイン残基間に形成されるジスルフィド結合であり得る。
【0029】
本発明は、CCR6受容体に結合させるための抗原結合タンパク質であって、
FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4、及び
FR1a-CDR1a-FR2a-CDR2a-FR3a-CDR3a-FR4a、
(式中、
FR1、FR2、FR3、及びFR4は、それぞれフレームワーク領域であり;
CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ相補性決定領域であり;
FR1a、FR2a、FR3a、及びFR4aは、それぞれフレームワーク領域であり;
CDR1a、CDR2a、及びCDR3aは、それぞれ相補性決定領域であり;
CDR1は、(G/E)(F/Y)(T/S/P)F(S/K)(D/S)(Y/F)(Y/G)(配列番号102)、GF(S/T/P)FSDYY(配列番号103)、GFTFSDYY(配列番号3)、GFSFSDYY(配列番号6)、GFPFSDYY(配列番号11)、及びEYTFKSFG(配列番号14)からなる群から選択される配列を有し;
CDR2は、I(T/Y)(N/P)(G/R)(D/G/A/V/S)G(R/N)T(配列番号104)、ITNG(D/G/A/V)GRT(配列番号105)、ITNGDGRT(配列番号4)、ITNGGGRT(配列番号7)、ITNGAGRT(配列番号9)、ITNGVGRT(配列番号12)、及びIYPRSGNT(配列番号15)からなる群から選択される配列を有し;
CDR3は、(T/A)(S/R)(P/S)P(L/Y)(G/D)G(A/-)(W/Y)F(G/A/D)Y(配列番号106)、(A/T)SPPLGGAWF(G/A)Y(配列番号107)、TSPPLGGAWFGY(配列番号5)、ASPPLGGAWFGY(配列番号8)、ASPPLGGAWFAY(配列番号10)、TSPPLGGAWFAY(配列番号13)、及びARSPYDGYFDY(配列番号16)からなる群から選択される配列を有し;
CDR1aは、QS(I/L)(V/L)H(S/I)NGNTY(配列番号108)、QS(I/L)VHSNGNTY(配列番号109)、QSIVHSNGNTY(配列番号17)、QSLVHSNGNTY(配列番号20)、及びQSLLHINGNTY(配列番号21)からなる群から選択される配列を有し;
CDR2aは、(K/R)VS(配列番号110)、RVS(配列番号22)、及びKVS(配列番号18)からなる群から選択される配列を有し;及び
CDR3aは、(F/S)Q(G/S)(S/T)HVP(L/R)T(配列番号111)、FQGSHVPLT(配列番号19)、及びSQSTHVPRT(配列番号23)
からなる群から選択される配列を有し;
好ましくは、
FR1は、EVNLVESGGGLVQPGGSLKLSCAAS(配列番号24)、EVNLVESGGGLVQPGGSLKLSCEAS(配列番号25)、EVKLVESGGGLVQPGGSLKLSCAAS(配列番号26)、QDQLQQSGVALARPGASVKLSCKAS(配列番号27)、EVNLVESGGGLVQPGGSLILSCEAS(配列番号90)、及びEVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAAS(配列番号80)からなる群から選択される配列を有し;
FR2は、MYWVRQTPEKRLEWVTY(配列番号28)、LYWVRQTPEKRLEWVTY(配列番号29)、LYWVRQTPEKRLEWVAY(配列番号30)、LGWVKQRPGQGLEWIGE(配列番号31)、及びLYWVRQAPGKGLEWVAY(配列番号81)からなる群から選択される配列を有し;
FR3は、YYSDTVRGRFTISRDNAKNTLYLQMSRLKSEDTAMYYC(配列番号32)、YYSDTIRGRFTISRDNARNTLYLQMSRLKSEDTAMYYC(配列番号33)、YYSDSVKGRFTISRDNAKNTLYLQMSRLKSEDTSMYYC(配列番号34)、YYNEKVKGKVRLTADKSSNSVYMEFRSLTSEDSAVYFC(配列番号35)、YYSDAIRGRFTISRDNARNTLYLQMSRLKSEDTAMYYC(配列番号91)、及びYYSDSVKGRFTISRDNAKNTLYLQMNSLRDEDTAVYYC(配列番号82)からなる群から選択される配列を有し;
FR4は、配列WGQGTLVTVS(配列番号36)又はWGQGTTLTVS(配列番号37)を有し;
FR1aは、DVLMTQTPLSLPVSLGDQASISCRSS(配列番号38)、DVSMTQTPLSLPVSLGDQASISCRSS(配列番号39)、DVVMTHSPLSLPVSLGDQASISCRSS(配列番号40)、及びDIVMTQSPLSLPVTPGEPASISCRSS(配列番号84)からなる群から選択される配列を有し;
FR2aは、配列LEWYLQKPGQSPKLLIY(配列番号41)、LHWYLQKPGQSPKLLIY(配列番号42)、又はLEWYLQKPGQSPRLLIY(配列番号85)を有し;
FR3aは、KRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDLGVYYC(配列番号43)、KRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVGAEDLGVYYC(配列番号44)、NRLSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDLGVYFC(配列番号45)、及びKRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYC(配列番号86)からなる群から選択される配列を有し;及び
FR4aは、配列FGAGTKLELKR(配列番号46)、FGGGTKLEIKR(配列番号47)、又はFGQGTKLEIR(配列番号87)を有する)
を含む抗原結合タンパク質を提供する。
【0030】
本発明は、配列番号48~59、88、89、92、93、及び96~98のいずれか1つのアミノ酸配列を含むか、から本質的になるか、又はからなる抗原結合タンパク質を提供する。
【0031】
本発明はまた、抗体の抗原結合ドメインを含む抗原結合タンパク質であって、該抗原結合ドメインが、CCR6に結合するか又は特異的に結合し、該抗原結合ドメインが、
(i)配列番号3に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含む相補性決定領域(CDR)1と、配列番号4に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR2と、配列番号5に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR3と、を含むVH;
(ii)配列番号48に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一の配列を含むVH;
(iii)配列番号17に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR1と、配列番号18に記載の配列と少なくとも約65%、少なくとも約66%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR2と、配列番号19に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR3と、を含むVL;
(iv)配列番号55に記載の配列と少なくとも約少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一の配列を含むVL;
(v)配列番号3に記載の配列を含むCDR1と、配列番号4に記載の配列を含むCDR2と、配列番号5に記載の配列を含むCDR3と、を含むVH;
(vi)配列番号48に記載の配列を含むVH;
(vii)配列番号17に記載の配列を含むCDR1と、配列番号18に記載の配列を含むCDR2と、配列番号19に記載の配列を含むCDR3と、を含むVL;
(viii)配列番号55に記載の配列を含むVL;
(ix)配列番号3に記載の配列を含むCDR1と、配列番号4に記載の配列を含むCDR2と、配列番号5に記載の配列を含むCDR3と、を含むVH;及び配列番号17に記載の配列を含むCDR1と、配列番号18に記載の配列を含むCDR2と、配列番号19に記載の配列を含むCDR3と、を含むVL;又は
(x)配列番号48に記載の配列を含むVH及び配列番号55に記載の配列を含むVL
のうちの少なくとも1つを含む抗原結合タンパク質を提供する。
【0032】
本発明の任意の態様では、抗原結合ドメインは、
(i)配列番号24に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むフレームワーク領域(FR)1と、配列番号28に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR2と、配列番号32に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR3と、配列番号36に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR4と、を含むVH;
(ii)配列番号38に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR1と、配列番号41に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR2と、配列番号43に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR3と、配列番号46に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR4と、を含むVL;
(iii)配列番号24に記載の配列を含むFR1と、配列番号28に記載の配列を含むFR2と、配列番号32に記載の配列を含むFR3と、配列番号36に記載の配列を含むFR4と、を含むVH;
(iv)配列番号38に記載の配列を含むFR1と、配列番号41に記載の配列を含むFR2と、配列番号43に記載の配列を含むFR3と、配列番号46に記載の配列を含むFR4と、を含むVL;又は
(v)配列番号24に記載の配列を含むFR1と、配列番号28に記載の配列を含むFR2と、配列番号32に記載の配列を含むFR3と、配列番号36に記載の配列を含むFR4と、を含むVH;及び配列番号38に記載の配列を含むFR1と、配列番号41に記載の配列を含むFR2と、配列番号43に記載の配列を含むFR3と、配列番号46に記載の配列を含むFR4と、を含むVL
のうちの少なくとも1つを更に含む。
【0033】
本発明はまた、抗体の抗原結合ドメインを含む抗原結合タンパク質であって、該抗原結合ドメインが、CCR6に結合するか又は特異的に結合し、該抗原結合ドメインが、
(i)配列番号6に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含む相補性決定領域(CDR)1と、配列番号7に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR2と、配列番号5に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR3と、を含むVH;
(ii)配列番号49に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一の配列を含むVH;
(iii)配列番号20に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR1と、配列番号18に記載の配列と少なくとも約65%、少なくとも約66%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR2と、配列番号19に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR3と、を含むVL;
(iv)配列番号56に記載の配列と少なくとも約少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一の配列を含むVL;
(v)配列番号6に記載の配列を含むCDR1と、配列番号7に記載の配列を含むCDR2と、配列番号5に記載の配列を含むCDR3と、を含むVH;
(vi)配列番号49に記載の配列を含むVH;
(vii)配列番号20に記載の配列を含むCDR1と、配列番号18に記載の配列を含むCDR2と、配列番号19に記載の配列を含むCDR3と、を含むVL;
(viii)配列番号56に記載の配列を含むVL;
(ix)配列番号6に記載の配列を含むCDR1と、配列番号7に記載の配列を含むCDR2と、配列番号5に記載の配列を含むCDR3と、を含むVH;及び配列番号20に記載の配列を含むCDR1と、配列番号18に記載の配列を含むCDR2と、配列番号19に記載の配列を含むCDR3と、を含むVL;又は
(x)配列番号49に記載の配列を含むVH及び配列番号56に記載の配列を含むVL
のうちの少なくとも1つを含む抗原結合タンパク質を提供する。
【0034】
本発明の任意の態様では、抗原結合ドメインは、
(i)配列番号25に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むフレームワーク領域(FR)1と、配列番号28に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR2と、配列番号33に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR3と、配列番号36に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR4と、を含むVH;
(ii)配列番号39に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR1と、配列番号41に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR2と、配列番号43に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR3と、配列番号46に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR4と、を含むVL;
(iii)配列番号25に記載の配列を含むFR1と、配列番号28に記載の配列を含むFR2と、配列番号33に記載の配列を含むFR3と、配列番号36に記載の配列を含むFR4と、を含むVH;
(iv)配列番号39に記載の配列を含むFR1と、配列番号41に記載の配列を含むFR2と、配列番号43に記載の配列を含むFR3と、配列番号46に記載の配列を含むFR4と、を含むVL;又は
(v)配列番号25に記載の配列を含むFR1と、配列番号28に記載の配列を含むFR2と、配列番号33に記載の配列を含むFR3と、配列番号36に記載の配列を含むFR4と、を含むVH;及び配列番号39に記載の配列を含むFR1と、配列番号41に記載の配列を含むFR2と、配列番号43に記載の配列を含むFR3と、配列番号46に記載の配列を含むFR4と、を含むVL
のうちの少なくとも1つを更に含む。
【0035】
本発明はまた、抗体の抗原結合ドメインを含む抗原結合タンパク質であって、該抗原結合ドメインが、CCR6に結合するか又は特異的に結合し、該抗原結合ドメインが、
(i)配列番号3に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含む相補性決定領域(CDR)1と、配列番号7に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR2と、配列番号8に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR3と、を含むVH;
(ii)配列番号50に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一の配列を含むVH;
(iii)配列番号17に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR1と、配列番号18に記載の配列と少なくとも約65%、少なくとも約66%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR2と、配列番号19に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR3と、を含むVL;
(iv)配列番号57に記載の配列と少なくとも約少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一の配列を含むVL;
(v)配列番号3に記載の配列を含むCDR1と、配列番号7に記載の配列を含むCDR2と、配列番号8に記載の配列を含むCDR3と、を含むVH;
(vi)配列番号50に記載の配列を含むVH;
(vii)配列番号17に記載の配列を含むCDR1と、配列番号18に記載の配列を含むCDR2と、配列番号19に記載の配列を含むCDR3と、を含むVL;
(viii)配列番号57に記載の配列を含むVL;
(ix)配列番号3に記載の配列を含むCDR1と、配列番号7に記載の配列を含むCDR2と、配列番号8に記載の配列を含むCDR3と、を含むVH;及び配列番号17に記載の配列を含むCDR1と、配列番号18に記載の配列を含むCDR2と、配列番号19に記載の配列を含むCDR3と、を含むVL;又は
(x)配列番号50に記載の配列を含むVH及び配列番号57に記載の配列を含むVL
のうちの少なくとも1つを含む抗原結合タンパク質を提供する。
【0036】
本発明の任意の態様では、抗原結合ドメインは、
(i)配列番号24に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むフレームワーク領域(FR)1と、配列番号29に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR2と、配列番号32に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR3と、配列番号36に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR4と、を含むVH;
(ii)配列番号38に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR1と、配列番号41に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR2と、配列番号43に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR3と、配列番号46に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR4と、を含むVL;
(iii)配列番号24に記載の配列を含むFR1と、配列番号28に記載の配列を含むFR2と、配列番号32に記載の配列を含むFR3と、配列番号36に記載の配列を含むFR4と、を含むVH;
(iv)配列番号38に記載の配列を含むFR1と、配列番号41に記載の配列を含むFR2と、配列番号43に記載の配列を含むFR3と、配列番号46に記載の配列を含むFR4と、を含むVL;又は
(v)配列番号24に記載の配列を含むFR1と、配列番号28に記載の配列を含むFR2と、配列番号32に記載の配列を含むFR3と、配列番号36に記載の配列を含むFR4と、を含むVH;及び配列番号38に記載の配列を含むFR1と、配列番号41に記載の配列を含むFR2と、配列番号43に記載の配列を含むFR3と、配列番号46に記載の配列を含むFR4と、を含むVL
のうちの少なくとも1つを更に含む。
【0037】
本発明はまた、抗体の抗原結合ドメインを含む抗原結合タンパク質であって、該抗原結合ドメインが、CCR6に結合するか又は特異的に結合し、該抗原結合ドメインが、
(i)配列番号3に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含む相補性決定領域(CDR)1と、配列番号7に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR2と、配列番号8に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR3と、を含むVH;
(ii)配列番号51に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一の配列を含むVH;
(iii)配列番号20に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR1と、配列番号18に記載の配列と少なくとも約65%、少なくとも約66%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR2と、配列番号19に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR3と、を含むVL;
(iv)配列番号58に記載の配列と少なくとも約少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一の配列を含むVL;
(v)配列番号3に記載の配列を含むCDR1と、配列番号7に記載の配列を含むCDR2と、配列番号8に記載の配列を含むCDR3と、を含むVH;
(vi)配列番号51に記載の配列を含むVH;
(vii)配列番号20に記載の配列を含むCDR1と、配列番号18に記載の配列を含むCDR2と、配列番号19に記載の配列を含むCDR3と、を含むVL;
(viii)配列番号58に記載の配列を含むVL;
(ix)配列番号3に記載の配列を含むCDR1と、配列番号7に記載の配列を含むCDR2と、配列番号8に記載の配列を含むCDR3と、を含むVH;及び配列番号20に記載の配列を含むCDR1と、配列番号18に記載の配列を含むCDR2と、配列番号19に記載の配列を含むCDR3と、を含むVL;又は
(x)配列番号51に記載の配列を含むVH及び配列番号58に記載の配列を含むVL
のうちの少なくとも1つを含む抗原結合タンパク質を提供する。
【0038】
本発明の任意の態様では、抗原結合ドメインは、
(i)配列番号24に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むフレームワーク領域(FR)1と、配列番号28に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR2と、配列番号32に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR3と、配列番号36に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR4と、を含むVH;
(ii)配列番号38に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR1と、配列番号41に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR2と、配列番号44に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR3と、配列番号46に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR4と、を含むVL;
(iii)配列番号24に記載の配列を含むFR1と、配列番号28に記載の配列を含むFR2と、配列番号32に記載の配列を含むFR3と、配列番号36に記載の配列を含むFR4と、を含むVH;
(iv)配列番号38に記載の配列を含むFR1と、配列番号41に記載の配列を含むFR2と、配列番号44に記載の配列を含むFR3と、配列番号46に記載の配列を含むFR4と、を含むVL;又は
(v)配列番号24に記載の配列を含むFR1と、配列番号28に記載の配列を含むFR2と、配列番号32に記載の配列を含むFR3と、配列番号36に記載の配列を含むFR4と、を含むVH;及び配列番号38に記載の配列を含むFR1と、配列番号41に記載の配列を含むFR2と、配列番号44に記載の配列を含むFR3と、配列番号46に記載の配列を含むFR4と、を含むVL
のうちの少なくとも1つを更に含む。
【0039】
本発明はまた、抗体の抗原結合ドメインを含む抗原結合タンパク質であって、該抗原結合ドメインが、CCR6に結合するか又は特異的に結合し、該抗原結合ドメインが、
(i)配列番号3に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含む相補性決定領域(CDR)1と、配列番号9に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR2と、配列番号10に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR3と、を含むVH;
(ii)配列番号52に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一の配列を含むVH;
(iii)配列番号20に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR1と、配列番号18に記載の配列と少なくとも約65%、少なくとも約66%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR2と、配列番号19に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR3と、を含むVL;
(iv)配列番号56に記載の配列と少なくとも約少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一の配列を含むVL;
(v)配列番号3に記載の配列を含むCDR1と、配列番号9に記載の配列を含むCDR2と、配列番号10に記載の配列を含むCDR3と、を含むVH;
(vi)配列番号52に記載の配列を含むVH;
(vii)配列番号20に記載の配列を含むCDR1と、配列番号18に記載の配列を含むCDR2と、配列番号19に記載の配列を含むCDR3と、を含むVL;
(viii)配列番号56に記載の配列を含むVL;
(ix)配列番号3に記載の配列を含むCDR1と、配列番号9に記載の配列を含むCDR2と、配列番号10に記載の配列を含むCDR3と、を含むVH;及び配列番号20に記載の配列を含むCDR1と、配列番号18に記載の配列を含むCDR2と、配列番号19に記載の配列を含むCDR3と、を含むVL;又は
(x)配列番号52に記載の配列を含むVH及び配列番号56に記載の配列を含むVL
のうちの少なくとも1つを含む抗原結合タンパク質を提供する。
【0040】
本発明の任意の態様では、抗原結合ドメインは、
(i)配列番号25に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むフレームワーク領域(FR)1と、配列番号28に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR2と、配列番号32に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR3と、配列番号36に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR4と、を含むVH;
(ii)配列番号39に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR1と、配列番号41に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR2と、配列番号43に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR3と、配列番号46に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR4と、を含むVL;
(iii)配列番号25に記載の配列を含むFR1と、配列番号28に記載の配列を含むFR2と、配列番号32に記載の配列を含むFR3と、配列番号36に記載の配列を含むFR4と、を含むVH;
(iv)配列番号39に記載の配列を含むFR1と、配列番号41に記載の配列を含むFR2と、配列番号43に記載の配列を含むFR3と、配列番号46に記載の配列を含むFR4と、を含むVL;又は
(v)配列番号25に記載の配列を含むFR1と、配列番号28に記載の配列を含むFR2と、配列番号32に記載の配列を含むFR3と、配列番号36に記載の配列を含むFR4と、を含むVH;及び配列番号39に記載の配列を含むFR1と、配列番号41に記載の配列を含むFR2と、配列番号43に記載の配列を含むFR3と、配列番号46に記載の配列を含むFR4と、を含むVL
のうちの少なくとも1つを更に含む。
【0041】
本発明はまた、抗体の抗原結合ドメインを含む抗原結合タンパク質であって、該抗原結合ドメインが、CCR6に結合するか又は特異的に結合し、該抗原結合ドメインが、
(i)配列番号11に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含む相補性決定領域(CDR)1と、配列番号12に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR2と、配列番号13に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR3と、を含むVH;
(ii)配列番号53に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一の配列を含むVH;
(iii)配列番号17に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR1と、配列番号18に記載の配列と少なくとも約65%、少なくとも約66%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR2と、配列番号19に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR3と、を含むVL;
(iv)配列番号55に記載の配列と少なくとも約少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一の配列を含むVL;
(v)配列番号11に記載の配列を含むCDR1と、配列番号12に記載の配列を含むCDR2と、配列番号13に記載の配列を含むCDR3と、を含むVH;
(vi)配列番号53に記載の配列を含むVH;
(vii)配列番号17に記載の配列を含むCDR1と、配列番号18に記載の配列を含むCDR2と、配列番号19に記載の配列を含むCDR3と、を含むVL;
(viii)配列番号55に記載の配列を含むVL;
(ix)配列番号11に記載の配列を含むCDR1と、配列番号12に記載の配列を含むCDR2と、配列番号13に記載の配列を含むCDR3と、を含むVH;及び配列番号17に記載の配列を含むCDR1と、配列番号18に記載の配列を含むCDR2と、配列番号19に記載の配列を含むCDR3と、を含むVL;又は
(x)配列番号53に記載の配列を含むVH及び配列番号55に記載の配列を含むVL
のうちの少なくとも1つを含む抗原結合タンパク質を提供する。
【0042】
本発明の任意の態様では、抗原結合ドメインは、
(i)配列番号26に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むフレームワーク領域(FR)1と、配列番号30に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR2と、配列番号34に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR3と、配列番号36に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR4と、を含むVH;
(ii)配列番号38に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR1と、配列番号41に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR2と、配列番号43に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR3と、配列番号46に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR4と、を含むVL;
(iii)配列番号26に記載の配列を含むFR1と、配列番号30に記載の配列を含むFR2と、配列番号34に記載の配列を含むFR3と、配列番号36に記載の配列を含むFR4と、を含むVH;
(iv)配列番号38に記載の配列を含むFR1と、配列番号41に記載の配列を含むFR2と、配列番号43に記載の配列を含むFR3と、配列番号46に記載の配列を含むFR4と、を含むVL;又は
(v)配列番号26に記載の配列を含むFR1と、配列番号30に記載の配列を含むFR2と、配列番号34に記載の配列を含むFR3と、配列番号36に記載の配列を含むFR4と、を含むVH;及び配列番号38に記載の配列を含むFR1と、配列番号41に記載の配列を含むFR2と、配列番号43に記載の配列を含むFR3と、配列番号46に記載の配列を含むFR4と、を含むVL
のうちの少なくとも1つを更に含む。
【0043】
本発明の任意の態様では、抗原結合ドメインは、
(i)配列番号80に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むフレームワーク領域(FR)1と、配列番号81に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR2と、配列番号82に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR3と、配列番号83に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR4と、を含むVH;
(ii)配列番号84に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR1と、配列番号85に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR2と、配列番号86に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR3と、配列番号87に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR4と、を含むVL;
(iii)配列番号80に記載の配列を含むFR1と、配列番号81に記載の配列を含むFR2と、配列番号82に記載の配列を含むFR3と、配列番号83に記載の配列を含むFR4と、を含むVH;
(iv)配列番号84に記載の配列を含むFR1と、配列番号85に記載の配列を含むFR2と、配列番号86に記載の配列を含むFR3と、配列番号87に記載の配列を含むFR4と、を含むVL;又は
(v)配列番号80に記載の配列を含むFR1と、配列番号81に記載の配列を含むFR2と、配列番号82に記載の配列を含むFR3と、配列番号83に記載の配列を含むFR4と、を含むVH;及び配列番号84に記載の配列を含むFR1と、配列番号85に記載の配列を含むFR2と、配列番号86に記載の配列を含むFR3と、配列番号87に記載の配列を含むFR4と、を含むVL
のうちの少なくとも1つを更に含む。
【0044】
本発明はまた、抗体の抗原結合ドメインを含む抗原結合タンパク質であって、該抗原結合ドメインが、CCR6に結合するか又は特異的に結合し、該抗原結合ドメインが、
(i)配列番号14に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含む相補性決定領域(CDR)1と、配列番号15に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR2と、配列番号16に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR3と、を含むVH;
(ii)配列番号54に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一の配列を含むVH;
(iii)配列番号21に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR1と、配列番号22に記載の配列と少なくとも約65%、少なくとも約66%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR2と、配列番号23に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR3と、を含むVL;
(iv)配列番号59に記載の配列と少なくとも約少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一の配列を含むVL;
(v)配列番号14に記載の配列を含むCDR1と、配列番号15に記載の配列を含むCDR2と、配列番号16に記載の配列を含むCDR3と、を含むVH;
(vi)配列番号54に記載の配列を含むVH;
(vii)配列番号21に記載の配列を含むCDR1と、配列番号22に記載の配列を含むCDR2と、配列番号23に記載の配列を含むCDR3と、を含むVL;
(viii)配列番号59に記載の配列を含むVL;
(ix)配列番号14に記載の配列を含むCDR1と、配列番号15に記載の配列を含むCDR2と、配列番号16に記載の配列を含むCDR3と、を含むVH;及び配列番号21に記載の配列を含むCDR1と、配列番号22に記載の配列を含むCDR2と、配列番号23に記載の配列を含むCDR3と、を含むVL;又は
(x)配列番号54に記載の配列を含むVH及び配列番号59に記載の配列を含むVL
のうちの少なくとも1つを含む抗原結合タンパク質を提供する。
【0045】
本発明の任意の態様では、抗原結合ドメインは、
(i)配列番号27に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むフレームワーク領域(FR)1と、配列番号31に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR2と、配列番号35に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR3と、配列番号37に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR4と、を含むVH;
(ii)配列番号40に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR1と、配列番号42に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR2と、配列番号45に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR3と、配列番号47に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR4と、を含むVL;
(iii)配列番号27に記載の配列を含むFR1と、配列番号31に記載の配列を含むFR2と、配列番号35に記載の配列を含むFR3と、配列番号37に記載の配列を含むFR4と、を含むVH;
(iv)配列番号40に記載の配列を含むFR1と、配列番号42に記載の配列を含むFR2と、配列番号45に記載の配列を含むFR3と、配列番号47に記載の配列を含むFR4と、を含むVL;又は
(v)配列番号27に記載の配列を含むFR1と、配列番号31に記載の配列を含むFR2と、配列番号35に記載の配列を含むFR3と、配列番号37に記載の配列を含むFR4と、を含むVH;及び配列番号40に記載の配列を含むFR1と、配列番号42に記載の配列を含むFR2と、配列番号45に記載の配列を含むFR3と、配列番号47に記載の配列を含むFR4と、を含むVL
のうちの少なくとも1つを更に含む。
【0046】
本発明はまた、抗体の抗原結合ドメインを含む抗原結合タンパク質であって、該抗原結合ドメインが、CCR6に結合するか又は特異的に結合し、該抗原結合ドメインが、
(i)配列番号6に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含む相補性決定領域(CDR)1と、配列番号7に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR2と、配列番号5に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR3と、を含むVH;
(ii)配列番号92に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一の配列を含むVH;
(iii)配列番号20に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR1と、配列番号18に記載の配列と少なくとも約65%、少なくとも約66%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR2と、配列番号19に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR3と、を含むVL;
(iv)配列番号93に記載の配列と少なくとも約少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一の配列を含むVL;
(v)配列番号6に記載の配列を含むCDR1と、配列番号7に記載の配列を含むCDR2と、配列番号5に記載の配列を含むCDR3と、を含むVH;
(vi)配列番号92に記載の配列を含むVH;
(vii)配列番号20に記載の配列を含むCDR1と、配列番号18に記載の配列を含むCDR2と、配列番号19に記載の配列を含むCDR3と、を含むVL;
(viii)配列番号93に記載の配列を含むVL;
(ix)配列番号6に記載の配列を含むCDR1と、配列番号7に記載の配列を含むCDR2と、配列番号5に記載の配列を含むCDR3と、を含むVH;及び配列番号20に記載の配列を含むCDR1と、配列番号18に記載の配列を含むCDR2と、配列番号19に記載の配列を含むCDR3と、を含むVL;又は
(x)配列番号92に記載の配列を含むVH及び配列番号93に記載の配列を含むVL
のうちの少なくとも1つを含む抗原結合タンパク質を提供する。
【0047】
本発明の任意の態様では、抗原結合ドメインは、
(i)配列番号90に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むフレームワーク領域(FR)1と、配列番号28に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR2と、配列番号91に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR3と、配列番号36に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR4と、を含むVH;
(ii)配列番号39に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR1と、配列番号41に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR2と、配列番号43に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR3と、配列番号46に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR4と、を含むVL;
(iii)配列番号90に記載の配列を含むFR1と、配列番号28に記載の配列を含むFR2と、配列番号91に記載の配列を含むFR3と、配列番号36に記載の配列を含むFR4と、を含むVH;
(iv)配列番号39に記載の配列を含むFR1と、配列番号41に記載の配列を含むFR2と、配列番号43に記載の配列を含むFR3と、配列番号46に記載の配列を含むFR4と、を含むVL;又は
(v)配列番号90に記載の配列を含むFR1と、配列番号28に記載の配列を含むFR2と、配列番号91に記載の配列を含むFR3と、配列番号36に記載の配列を含むFR4と、を含むVH;及び配列番号39に記載の配列を含むFR1と、配列番号41に記載の配列を含むFR2と、配列番号43に記載の配列を含むFR3と、配列番号46に記載の配列を含むFR4と、を含むVL
のうちの少なくとも1つを更に含む。
【0048】
本発明はまた、抗体の抗原結合ドメインを含む抗原結合タンパク質であって、該抗原結合ドメインが、CCR6に結合するか又は特異的に結合し、該抗原結合ドメインが、
(i)配列番号11に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含む相補性決定領域(CDR)1と、配列番号12に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR2と、配列番号5に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR3と、を含むVH;
(ii)配列番号96若しくは97に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一の配列を含むVH;
(iii)配列番号17に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR1と、配列番号18に記載の配列と少なくとも約65%、少なくとも約66%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR2と、配列番号19に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR3と、を含むVL;
(iv)配列番号89に記載の配列と少なくとも約少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一の配列を含むVL;
(v)配列番号11に記載の配列を含むCDR1と、配列番号12に記載の配列を含むCDR2と、配列番号5に記載の配列を含むCDR3と、を含むVH;
(vi)配列番号96若しくは97に記載の配列を含むVH;
(vii)配列番号17に記載の配列を含むCDR1と、配列番号18に記載の配列を含むCDR2と、配列番号19に記載の配列を含むCDR3と、を含むVL;
(viii)配列番号89に記載の配列を含むVL;
(ix)配列番号11に記載の配列を含むCDR1と、配列番号12に記載の配列を含むCDR2と、配列番号5に記載の配列を含むCDR3と、を含むVH;及び配列番号17に記載の配列を含むCDR1と、配列番号18に記載の配列を含むCDR2と、配列番号19に記載の配列を含むCDR3と、を含むVL;又は
(x)配列番号96若しくは97に記載の配列を含むVH及び配列番号89に記載の配列を含むVL
のうちの少なくとも1つを含む抗原結合タンパク質を提供する。
【0049】
本発明の任意の態様では、抗原結合ドメインは、
(i)配列番号80若しくは95に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むフレームワーク領域(FR)1と、配列番号81に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR2と、配列番号34に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR3と、配列番号83に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR4と、を含むVH;
(ii)配列番号84に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR1と、配列番号85に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR2と、配列番号86に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR3と、配列番号87に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR4と、を含むVL;
(iii)配列番号80若しくは95に記載の配列を含むFR1と、配列番号81に記載の配列を含むFR2と、配列番号34に記載の配列を含むFR3と、配列番号83に記載の配列を含むFR4と、を含むVH;
(iv)配列番号84に記載の配列を含むFR1と、配列番号85に記載の配列を含むFR2と、配列番号86に記載の配列を含むFR3と、配列番号87に記載の配列を含むFR4と、を含むVL;又は
(v)配列番号80若しくは95に記載の配列を含むFR1と、配列番号81に記載の配列を含むFR2と、配列番号34に記載の配列を含むFR3と、配列番号83に記載の配列を含むFR4と、を含むVH;及び配列番号84に記載の配列を含むFR1と、配列番号85に記載の配列を含むFR2と、配列番号86に記載の配列を含むFR3と、配列番号87に記載の配列を含むFR4と、を含むVL
のうちの少なくとも1つを更に含む。
【0050】
本発明はまた、抗体の抗原結合ドメインを含む抗原結合タンパク質であって、該抗原結合ドメインが、CCR6に結合するか又は特異的に結合し、該抗原結合ドメインが、
(i)配列番号11に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含む相補性決定領域(CDR)1と、配列番号12に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR2と、配列番号13に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR3と、を含むVH;
(ii)配列番号88に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一の配列を含むVH;
(iii)配列番号94に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR1と、配列番号18に記載の配列と少なくとも約65%、少なくとも約66%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR2と、配列番号19に記載の配列と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むCDR3と、を含むVL;
(iv)配列番号98に記載の配列と少なくとも約少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一の配列を含むVL;
(v)配列番号11に記載の配列を含むCDR1と、配列番号12に記載の配列を含むCDR2と、配列番号13に記載の配列を含むCDR3と、を含むVH;
(vi)配列番号88に記載の配列を含むVH;
(vii)配列番号94に記載の配列を含むCDR1と、配列番号18に記載の配列を含むCDR2と、配列番号19に記載の配列を含むCDR3と、を含むVL;
(viii)配列番号98に記載の配列を含むVL;
(ix)配列番号11に記載の配列を含むCDR1と、配列番号12に記載の配列を含むCDR2と、配列番号13に記載の配列を含むCDR3と、を含むVH;及び配列番号94に記載の配列を含むCDR1と、配列番号18に記載の配列を含むCDR2と、配列番号19に記載の配列を含むCDR3と、を含むVL;又は
(x)配列番号88に記載の配列を含むVH及び配列番号98に記載の配列を含むVL
のうちの少なくとも1つを含む抗原結合タンパク質を提供する。
【0051】
本発明の任意の態様では、抗原結合ドメインは、
(i)配列番号80に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むフレームワーク領域(FR)1と、配列番号30に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR2と、配列番号82に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR3と、配列番号83に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR4と、を含むVH;
(ii)配列番号84に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR1と、配列番号85に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR2と、配列番号86に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR3と、配列番号87に記載の配列と少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%同一の配列を含むFR4と、を含むVL;
(iii)配列番号80に記載の配列を含むFR1と、配列番号30に記載の配列を含むFR2と、配列番号82に記載の配列を含むFR3と、配列番号83に記載の配列を含むFR4と、を含むVH;
(iv)配列番号84に記載の配列を含むFR1と、配列番号85に記載の配列を含むFR2と、配列番号86に記載の配列を含むFR3と、配列番号87に記載の配列を含むFR4と、を含むVL;又は
(v)配列番号80に記載の配列を含むFR1と、配列番号30に記載の配列を含むFR2と、配列番号82に記載の配列を含むFR3と、配列番号83に記載の配列を含むFR4と、を含むVH;及び配列番号84に記載の配列を含むFR1と、配列番号85に記載の配列を含むFR2と、配列番号86に記載の配列を含むFR3と、配列番号87に記載の配列を含むFR4と、を含むVL
のうちの少なくとも1つを更に含む。
【0052】
本明細書に記載の通り、抗原結合タンパク質は、
(i)一本鎖Fv断片(scFv);
(ii)二量体scFv(di-scFv);
(iii)抗体の定常領域、Fc、又は重鎖定常ドメイン(CH)2及び/若しくはCH3に連結された(i)又は(ii)のうちの1つ;あるいは
(iv)免疫エフェクター細胞に結合するタンパク質に連結された(i)又は(ii)のうちの1つ
の形態であってよい。
【0053】
更に、本明細書に記載の通り、抗原結合タンパク質は、
(v)ダイアボディ;
(vi)トリアボディ;
(vii)テトラボディ;
(viii)Fab;
(ix)F(ab’)2;
(x)Fv;
(xi)抗体の定常領域、Fc、又は重鎖定常ドメイン(CH)2及び/若しくはCH3に連結された(v)~(x)のうちの1つ;あるいは
(xii)免疫エフェクター細胞に結合するタンパク質に連結された(v)~(x)のうちの1つ
の形態であってよい。
【0054】
前述の抗原結合タンパク質は、抗体の抗原結合ドメインとも呼ばれることもある。
【0055】
好ましくは、本明細書に記載の抗原結合タンパク質は、抗体又はその抗原結合断片である。典型的には、抗原結合タンパク質は、抗体、例えばモノクローナル抗体である。
【0056】
本明細書で使用するとき、抗原結合タンパク質は、可変ドメインであってもよい。
【0057】
本発明は、(N末端からC末端又はC末端からN末端の順に)
- 配列番号48及び55;
- 配列番号49及び56;
- 配列番号50及び57;
- 配列番号51及び58;
- 配列番号52及び56;
- 配列番号53及び55;
- 配列番号54及び59;
- 配列番号88及び89;
- 配列番号92及び93;
- 配列番号96及び98;
- 配列番号97及び98;
- 配列番号88及び98;
- 配列番号96及び89;又は
- 配列番号97及び89;
のアミノ酸配列を含むか、から本質的になるか、又はからなる抗原結合タンパク質を提供する。
【0058】
本発明の任意の態様及び本明細書に記載の任意の抗原結合タンパク質では、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)を誘導する能力が低下するように操作されたFc領域が更に含まれる。好ましくは、ADCCを誘導する能力の低下は、Fc受容体と相互作用するFc領域におけるアミノ酸の変異、欠失、又は改変によって付与される。好ましくは、変異、欠失、又は改変されるアミノ酸は、配列番号60(ここでは、アラニンは118位である)に従って234位、235位、及び331位にあるか、又は234位、235位、及び331位と等価な位置にある。好ましくは、アミノ酸は、L234F、L235E、及びP331Sに変異する。典型的には、Fcは、配列番号61に示すアミノ酸配列を含むか、から本質的になるか、又はからなる。
【0059】
本明細書で使用するとき、本発明の抗原結合タンパク質の相補性決定領域配列(CDR)は、IMGT付番システムに従って定義される。
【0060】
本発明は、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、及びFR4のうちの1つ以上を形成するアミノ酸配列がヒト配列である、本明細書に記載の抗原結合タンパク質を提供する。
【0061】
本発明は、本明細書に記載の配列を有する抗原結合タンパク質を含むか又は本明細書に記載のCDR及び/若しくはFRの配列を含む、抗CCR6受容体抗原結合タンパク質、免疫グロブリン可変ドメイン、抗体、dab、scFv、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv断片、ダイアボディ、トリアボディ、線状抗体、一本鎖抗体分子、又は多重特異性抗体を提供する。
【0062】
本発明は、本明細書に記載の配列を有する抗原結合タンパク質を含むか又は本明細書に記載のCDR及び/若しくはFRの配列を含むダイアボディ又はトリアボディを提供する。
【0063】
本発明は、本明細書に記載の抗原結合タンパク質、免疫グロブリン可変ドメイン、抗体、dab、scFv、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv断片、ダイアボディ、トリアボディ、線状抗体、一本鎖抗体分子、又は多重特異性抗体を含む融合タンパク質を提供する。
【0064】
本発明は、標識又は細胞毒性剤にコンジュゲートされた本明細書に記載の抗原結合タンパク質、免疫グロブリン可変ドメイン、抗体、dab、scFv、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv断片、ダイアボディ、トリアボディ、線状抗体、一本鎖抗体分子、又は多重特異性抗体、又は融合タンパク質の形態のコンジュゲートを提供する。
【0065】
本発明は、本明細書に記載の抗原結合タンパク質、免疫グロブリン可変ドメイン、抗体、dab、scFv、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv断片、ダイアボディ、トリアボディ、線状抗体、一本鎖抗体分子、又は多重特異性抗体、融合タンパク質、又はコンジュゲートに結合させるための抗体を提供する。
【0066】
抗原結合タンパク質を形成する複数のポリペプチド鎖に関する本発明の態様では、発現コンストラクトは、例えばプロモータに動作可能に連結されたVHを含むポリペプチドをコードしている核酸と、例えばプロモータに動作可能に連結されたVLを含むポリペプチドをコードしている核酸と、を含む。
【0067】
別の例では、発現コンストラクトは、例えば、5’→3’の順に動作可能に連結された以下の構成要素:
(i)プロモータ
(ii)第1のポリペプチドをコードしている核酸;
(iii)配列内リボソーム進入部位;及び
(iv)第2のポリペプチドをコードしている核酸
を含み、
該第1のポリペプチドがVHを含み、該第2のポリペプチドがVLを含むか、又はその逆である、バイシストロニックな発現コンストラクトである。
【0068】
本発明はまた、別個の発現コンストラクトであって、そのうちの1つがVHを含む第1のポリペプチドをコードしており、別のものがVLを含む第2のポリペプチドをコードしている発現コンストラクトも企図する。例えば、本発明はまた、
(i)プロモータに動作可能に連結されたVHを含むポリペプチドをコードしている核酸を含む第1の発現コンストラクト;及び
(ii)プロモータに動作可能に連結されたVLを含むポリペプチドをコードしている核酸を含む第2の発現コンストラクト
を含む組成物を提供する。
【0069】
本発明は、本明細書に記載のベクター又は核酸を含む細胞を提供する。好ましくは、細胞は、単離されている、実質的に精製されている、又は組換え体である。一例では、細胞は、本発明の発現コンストラクト、又は
(i)プロモータに動作可能に連結されたVHを含むポリペプチドをコードしている核酸を含む第1の発現コンストラクト;及び
(ii)プロモータに動作可能に連結されたVLを含むポリペプチドをコードしている核酸を含む第2の発現コンストラクト
を含み、
第1及び第2のポリペプチドが会合して、本発明の抗原結合タンパク質を形成する。
【0070】
本発明の細胞の例としては、細菌細胞、酵母細胞、昆虫細胞、又は哺乳類細胞が挙げられる。
【0071】
本発明は、本明細書に記載の抗原結合タンパク質、免疫グロブリン可変ドメイン、抗体、dab、scFv、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv断片、ダイアボディ、トリアボディ、線状抗体、一本鎖抗体分子、又は多重特異性抗体、融合タンパク質、又はコンジュゲートをコードしている核酸を提供する。好ましくは、核酸は、配列番号3~62及び80~98に対応するアミノ酸配列のうちのいずれか1つ以上をコードしているヌクレオチド配列を有する。好ましくは、核酸は、配列番号63~79、99、又は100のうちのいずれか1つ以上に対応するヌクレオチド配列を有する。
【0072】
本発明は、本明細書に記載の核酸を含むベクターを提供する。好ましくは、核酸は、配列番号3~62及び80~98に対応するアミノ酸配列のうちのいずれか1つ以上をコードしているヌクレオチド配列を有する。好ましくは、核酸は、配列番号63~79、又は99、又は100のうちのいずれか1つ以上に対応するヌクレオチド配列を有する。
【0073】
本発明は、本明細書に記載のベクター又は核酸を含む細胞を提供する。
【0074】
別の実施形態では、本明細書に記載の細胞を含む動物又はそれに由来する組織が提供される。
【0075】
本発明は、抗原結合タンパク質、又は本明細書に記載のCDR及び/若しくはFRの配列、又は本明細書に記載の免疫グロブリン可変ドメイン、抗体、dab、scFv、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv断片、ダイアボディ、トリアボディ、線状抗体、一本鎖抗体分子、又は多重特異性抗体、融合タンパク質、又はコンジュゲートと、薬学的に許容し得る担体、希釈剤、又は賦形剤と、を含む医薬組成物を提供する。
【0076】
本発明は、抗原結合タンパク質、又は本明細書に記載のCDR及び/若しくはFRの配列、又は本明細書に記載の抗原結合タンパク質、免疫グロブリン可変ドメイン、抗体、dab、scFv、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv断片、ダイアボディ、トリアボディ、線状抗体、一本鎖抗体分子、又は多重特異性抗体、融合タンパク質、又はコンジュゲートと、希釈剤と、任意で標識と、を含む診断用組成物を提供する。
【0077】
本発明は、抗原結合タンパク質、又は本明細書に記載のCDR及び/若しくはFRの配列、又は本明細書に記載の免疫グロブリン可変ドメイン、抗体、dab、scFv、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv断片、ダイアボディ、トリアボディ、線状抗体、一本鎖抗体分子、又は多重特異性抗体、融合タンパク質、又はコンジュゲートを含むキット又は製品を提供する。
【0078】
本発明は、CCR6受容体に結合させるための抗原結合タンパク質を生産するための、本明細書に記載のCDR1、CDR2、FR1、FR2、FR3、及びFR4のうちの1つ以上に係る配列の使用を提供する。
【0079】
本発明は、CCR6に対する親和性の増大した抗CCR6受容体抗原結合タンパク質を生産するための、抗原結合タンパク質、又は本明細書に記載のCDR及び/若しくはFRの配列の使用を提供する。
【0080】
本発明は、本明細書に記載の抗原結合タンパク質又はCDR及び/若しくはFRの配列の変異から生産した核酸分子のライブラリであって、該ライブラリ中の少なくとも1つの核酸分子が、CCR6に結合させるための抗原結合タンパク質をコードしているライブラリを提供する。
【0081】
本発明は、本明細書に記載の細胞又は動物において本明細書に記載の核酸を発現させることを含む、本明細書に記載のCCR6受容体に結合させるための抗原結合タンパク質を生産する方法を提供する。
【0082】
本発明は、個体におけるCCR6の発現に関連する病態又は疾患を予防又は治療する方法であって、本明細書に記載の抗原結合タンパク質、免疫グロブリン可変ドメイン、抗体、dab、scFv、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv断片、ダイアボディ、トリアボディ、線状抗体、一本鎖抗体分子、又は多重特異性抗体、融合タンパク質、コンジュゲート、又は医薬組成物を、該病態又は疾患を治療する必要のある個体に提供する工程を含む方法を提供する。CCR6の発現に関連する疾患又は病態は、乾癬、感染症、線維症等の自己免疫若しくは炎症性の病態、又はがん、特に本明細書に記載の上皮がん、又は慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、及び呼吸器合胞体ウイルス(RSV)等の肺障害であってよい。
【0083】
本発明は、個体におけるCCR6の発現に関連する病態又は疾患の発症を遅延させるか又は重症度を低下させる方法であって、本明細書に記載の抗原結合タンパク質、免疫グロブリン可変ドメイン、抗体、dab、scFv、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv断片、ダイアボディ、トリアボディ、線状抗体、一本鎖抗体分子、又は多重特異性抗体、融合タンパク質、コンジュゲート、又は医薬組成物を、がん又は該病態若しくは疾患を治療する必要のある個体に提供する工程を含む方法を提供する。好ましくは、疾患は、多発性硬化症又は乾癬である。
【0084】
本発明は、個体における乾癬又は関節炎を予防する方法であって、本明細書に記載の抗原結合タンパク質、免疫グロブリン可変ドメイン、抗体、dab、scFv、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv断片、ダイアボディ、トリアボディ、線状抗体、一本鎖抗体分子、又は多重特異性抗体、融合タンパク質、コンジュゲート、又は医薬組成物を、乾癬又は関節炎を発症するリスクのある個体に提供する工程を含む方法を提供する。好ましくは、乾癬は、斑状乾癬である。
【0085】
本発明の任意の態様では、抗原結合タンパク質は、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)を誘導する能力が増強されるように操作されたFc領域を含む。好ましくは、ADCCを誘導する能力の増強は、Fc受容体と相互作用するFc領域におけるアミノ酸の変異、欠失、又は改変によって付与される。好ましくは、変異、欠失、又は改変されるアミノ酸は、配列番号60(ここでは、アラニンは118位である)に従って239位、330位、及び/若しくは332位にあるか、又は239位、330位、及び/若しくは332位と等価な位置にある。好ましくは、アミノ酸は、S239D、A330L、及びI332Eに変異する。典型的には、Fcは、配列番号62に示すアミノ酸配列を含むか、から本質的になるか、又はからなる。
【0086】
本発明の任意の態様では、抗原結合タンパク質は、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)を誘導する能力が低下するように操作されていないFc領域を含む。好ましくは、配列番号60(ここでは、アラニンは118位である)に従って234位、235位、及び/若しくは331位にあるか、又は234位、235位、及び/若しくは331位と等価な位置にあるアミノ酸は、それぞれF、E、及び/又はSではない。言い換えれば、234位のアミノ酸はFではない、235位のアミノ酸はEではない、及び/又は331位のアミノ酸はSではない。
【0087】
本発明は、個体における乾癬を予防又は治療する方法であって、乾癬を発症するリスクがあるか又は乾癬を治療する必要のある個体に、CCR6の活性を阻害する抗原結合タンパク質を提供する工程を含み、該抗原結合タンパク質が、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)を誘導する能力が低下するように操作されたFc領域を含む方法を提供する。好ましくは、ADCCを誘導する能力の低下は、Fc受容体と相互作用するFc領域におけるアミノ酸の変異、欠失、又は改変によって付与される。好ましくは、変異、欠失、又は改変されるアミノ酸は、配列番号60(ここでは、アラニンは118位である)に従って234位、235位、及び331位にあるか、又は234位、235位、及び331位と等価な位置にある。好ましくは、アミノ酸は、L234F、L235E、及びP331Sに変異する。典型的には、Fcは、配列番号61に示すアミノ酸配列を含むか、から本質的になるか、又はからなる。好ましくは、乾癬は、斑状乾癬である。
【0088】
本発明は、個体における乾癬を治療する方法であって、本明細書に記載の抗原結合タンパク質、免疫グロブリン可変ドメイン、抗体、dab、scFv、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv断片、ダイアボディ、トリアボディ、線状抗体、一本鎖抗体分子、又は多重特異性抗体、融合タンパク質、コンジュゲート、又は医薬組成物を、乾癬を治療する必要のある個体に提供する工程を含む方法を提供する。好ましくは、乾癬は、斑状乾癬である。
【0089】
本発明は、個体における乾癬又は関節炎の進行を軽減する方法であって、本明細書に記載の抗原結合タンパク質、免疫グロブリン可変ドメイン、抗体、dab、scFv、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv断片、ダイアボディ、トリアボディ、線状抗体、一本鎖抗体分子、又は多重特異性抗体、融合タンパク質、コンジュゲート、又は医薬組成物を、乾癬の進行を軽減する必要のある個体に提供する工程を含む方法を提供する。好ましくは、乾癬は、斑状乾癬である。
【0090】
本発明は、個体におけるCCR6の発現に関連する病態又は疾患の臨床症状を安定化又は反転させる方法であって、本明細書に記載の抗原結合タンパク質、免疫グロブリン可変ドメイン、抗体、dab、scFv、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv断片、ダイアボディ、トリアボディ、線状抗体、一本鎖抗体分子、又は多重特異性抗体、融合タンパク質、コンジュゲート、又は医薬組成物を、該病態又は疾患の治療を必要とする個体に提供する工程を含む方法を提供する。好ましくは、疾患は、多発性硬化症又は乾癬である。
【0091】
本発明は、CCR6の発現に関連する病態又は疾患の症状を有すると同定された対象を治療する方法方法であって、本明細書に記載の抗原結合タンパク質、免疫グロブリン可変ドメイン、抗体、dab、scFv、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv断片、ダイアボディ、トリアボディ、線状抗体、一本鎖抗体分子、又は多重特異性抗体、融合タンパク質、コンジュゲート、又は医薬組成物を投与して該対象を治療することを含む方法を提供する。
【0092】
本発明は、がん又はCCR6の発現に関連する病態若しくは疾患を治療するための医薬の製造における、本明細書に記載の抗原結合タンパク質、免疫グロブリン可変ドメイン、抗体、dab、scFv、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv断片、ダイアボディ、トリアボディ、線状抗体、一本鎖抗体分子、又は多重特異性抗体、融合タンパク質、コンジュゲート、又は医薬組成物の使用を提供する。
【0093】
本発明は、CCR6の発現に関連する疾患又は病態を診断する方法であって、がんの有無を決定したい組織又は細胞を、本明細書に記載の抗原結合タンパク質、免疫グロブリン可変ドメイン、抗体、dab、scFv、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv断片、ダイアボディ、トリアボディ、線状抗体、一本鎖抗体分子、又は多重特異性抗体分子、融合タンパク質、コンジュゲート、又は診断用組成物の形態の試薬と接触させる工程と、該組織又は細胞と該試薬との結合を検出する工程と、を含む方法を提供する。方法は、インビボ又はインビトロで行ってよい。方法は、疾患又は病態を有すると同定された対象を治療する工程を更に含み得る。CCR6の発現に関連する疾患又は病態の例は、本明細書に記載される。
【0094】
本発明の任意の態様では、CCR6の発現に関連する疾患又は病態は、関節炎である。関節炎は、任意の種類であってよく、例えば、変形性関節症、関節リウマチ、及び乾癬性関節炎を含む、本明細書に記載されている任意の種類であってよい。
【0095】
本発明は、0.1~5nMの範囲の親和性で生細胞上のCCR6に結合する本発明に係る抗原結合タンパク質を提供する。
【0096】
本明細書に記載の抗原結合タンパク質、タンパク質、又は抗体は、ヒト定常領域、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、若しくはIgG4の定常領域又はそれらの混合物等のIgG定常領域を含み得る。VH及びVLを含む抗体又はタンパク質の場合、VHは、重鎖定常領域に連結することができ、VLは、軽鎖定常領域に連結することができる。
【0097】
本発明の抗原結合タンパク質の機能的特徴は、本発明の抗体にも準用される。
【0098】
本明細書に記載の抗原結合タンパク質は、精製されていてもよい、実質的に精製されていてもよい、単離されていてもよい、及び/又は組換え体であってもよい。
【0099】
本発明の抗原結合タンパク質は、本発明の抗原結合タンパク質を発現するハイブリドーマを成長させた培地から採取した上清の一部であってもよい。
【0100】
本発明は、CCR6に結合させるための抗原結合タンパク質を含む単一ドメイン抗体を提供する。
【0101】
本明細書で使用するとき、文脈上その必要がある場合を除き、「含む(comprise)」という用語、並びに「comprising」、「comprises」、及び「comprised」等のその用語の変形は、更なる添加剤、成分、整数、又は工程を除外することを意図するものではない。「comprising」及び「including」という用語は互換的に使用される。
【0102】
本発明の更なる態様及び先の段落に記載した態様の更なる実施形態は、一例として与えられる以下の説明から、そして、添付図面を参照して明らかになるであろう。
【0103】
配列の簡単な説明
配列番号1-ヒトCCR6のアミノ酸配列。
配列番号2-配列番号1の1~28のアミノ酸配列。
配列番号3~62及び80~98-本発明のCDR、FR、及び抗原結合ドメインの配列に対応する、以下の表1~7に記載のアミノ酸配列。
配列番号63~79、99、及び100-表8に示す様々なVH、VL、及びFcの領域のヌクレオチド配列。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【
図1】最初に、本明細書に記載の競合的リガンド結合アッセイ及び走化性アッセイを用いて有望な抗CCR6 mAbをランク付けした。
【
図2】最初に、本明細書に記載の競合的リガンド結合アッセイ及び走化性アッセイを用いて有望な抗CCR6 mAbをランク付けした。
【
図3】hCXCR1、hCXCR2、hCXCR3トランスフェクタントは、抗CCR6ハイブリドーマ培養上清で染色されなかった。
【
図4】hCXCR1、hCXCR2、hCXCR3トランスフェクタントは、抗CCR6ハイブリドーマ培養上清で染色されなかった。
【
図5】低IgG血清中で成長させ、部分的に精製した抗CCR6 mAbを、
125I-MIP3αのL1.2/hCCR6トランスフェクタントへの結合を阻止する能力について比較した。53103は、R&D製の抗hCCR6 mAbである。
【
図6】低IgG血清中で成長させ、部分的に精製した抗CCR6 mAbを、MIP3αによって誘導されるL1.2/hCCR6トランスフェクタントの遊走を阻止する能力について比較した。53103は、R&D製の抗hCCR6 mAbである。
【
図7】精製された抗CCR6 mAbは、MIP-3αによって誘導されるL1.2/hCCR6トランスフェクタントの遊走を阻害した。
【
図8】本明細書に記載のELISAによる抗hCCR6 mAbのエピトープマッピング。
【
図9】AB6及びAB7抗CCR6クローンによるヒトPBMCの染色。新鮮ヒトPBMCをリンパ球集団でゲーティングし、抗CD3-FITC抗体及び抗CCR6-APC抗体で染色した(クローンAB6(a)及びクローンAB7(b))。
【
図10】CDR移植による抗CCR6(AB6)mAbのヒト化。
【
図11】フローサイトメトリーによるマウスAB6 mAb(mAB6)及びヒト化AB6 mAb(hAB6)の特性評価。mAB6及びhAB6のmAbは、hCCR6をトランスフェクトしたL1.2細胞(緑線)は認識するが、トランスフェクトしていないL1.2細胞(黒線)は認識しない。
【
図12】精製ヒトNK細胞を用いたADCCアッセイ:L1.2 hCCR6対Fcが操作されたhAB6。標識された標的細胞(hCCR6 L1.2-PK26)を、精製ヒトNK細胞(エフェクター細胞)、及び1ug/mLのアイソタイプ対照、非枯渇ヒト化AB6抗体(3SFc hAB6)、又はヒト化枯渇抗体(3MFc hAB6)と共にインキュベートした。TO-PRO-3ヨウ化物で細胞死をモニタリングした。
【
図13】ヒトCCR6ノックインマウス(hCCR6+/mCCR6-/-)の作製。hCCR6+/mCCR6-/-由来脾細胞の染色。脾細胞を抗B220 APC mAb及びhAB6 FITC(緑)、抗mCCR6(R&D;青線)、又はアイソタイプ対照(黒線)で染色した。
【
図14】ヒトCCR6ノックインマウス(hCCR6+/mCCR6-/-)の作製。hCCR6+/mCCR6-/-由来脾細胞の染色。脾細胞を抗B220 APC mAb及びhAB6 FITC(緑)、抗mCCR6(R&D;青線)、又はアイソタイプ対照(黒線)で染色した。
【
図15】hCCR6+ノックインマウスを用いたEAEの抗ヒトCCR6 mAb処理。8~12週齢の雌hCCR6 Tgマウス(各群5匹)に、完全フロイントアジュバント中100μgのrMOG 1-117を皮下注射した。免疫し、48時間経過した後に、マウスに200ngの百日咳毒素を静脈注射した。個々の動物を毎日観察し、以下の通り臨床スコアを評価した:0=臨床疾患なし、1=尾の緊張の喪失のみ、2=軽度の不全単麻痺又は不全対麻痺、3=重度の不全対麻痺、4=対麻痺及び/又は四肢不全麻痺、5=瀕死又は死亡。8日目(黒矢印)、マウスにヒト化非枯渇抗hCCR6抗体(hAB6)(2mg/kg)又はアイソタイプ対照(ヒト化抗hCXCR3)抗体をIV注射した。
*P<.005、
**P<.001、ANOVA検定。
【
図16】mCCR6+/+/hCCR6+マウスにおけるCCR6枯渇。リンパ球集団において350000個の事象を記録した(脾細胞)。mCCR6+/+/hCCR6+マウスにhAB6 3MFc(d及びf)、hAB6 3SFc(b及びg)、又はアイソタイプ対照(c及びe)を注射した。#a)は、FITCアイソタイプ対照抗体による染色である。
【
図17】アイソタイプ又は抗ccr6 mAbで処理した免疫動物からの脊髄の代表的な染色された組織切片(予防研究)。連続切片をヘマトキシリン・エオジン(H&E)で染色して炎症性細胞浸潤の程度を決定し、ルクソール・ファストブルー(LFB;矢頭)染色してミエリンの完全性を証明し、そして、ビールショウスキー銀染色して軸索の喪失及び損傷を確認した(矢印)。
【
図18】8~12週齢の雌hCCR6 Tgマウスに、完全フロイントアジュバント中100μgのrMOG 1-117を皮下注射した。免疫し、48時間経過した後に、マウスに200ngの百日咳毒素を静脈注射した。平均臨床スコアが2に達したとき(15日目)、動物を2mg/kgのヒト化抗hCCR6又はヒト化抗hCXCR3のmab(アイソタイプ群)で処理した。19日目に動物に2回目の注射をした。
*P<.005、
**P<.001、ANOVA検定。
【
図19】乾癬の予防研究。マウスにおけるIMQによって誘導された皮膚炎症は、表現型的に乾癬に類似している(IMIQUIMOD誘導乾癬モデル(The Journal of Immunology 2009 vol.182 no.9 5836-5845))。予防研究では、hCCR6 Tgマウスの剃毛した背部皮膚をIMQクリーム又は対照クリーム(ワセリン)で毎日処理した。(A)7日間処理した後のマウス背部皮膚の表現型提示。IMQクリームの最初の適用と同じ日から始めて、アイソタイプ対照抗体(5mg/kg)又はヒト化抗hCCR6 mab、hAB6(3Mfc又は3SFc、5mg/kg)でマウスを毎日処理した。(B)IMQ処理は、ケラチノサイトの増殖及び分化を変化させる。IMQ又はワセリンクリームで7日間マウスを処理した。マウス背部皮膚のH&E染色(ワセリン対照;IMQ+アイソタイプ又はIMQ+hAB6 3MFc)。(C)IMQは背部皮膚の肥厚を誘導した。抗hCCR6は、背部皮膚の肥厚を有意に低減した。
【
図20】乾癬の治療研究。
図19の実験に採用したのと同じIMQモデルを用いたが、IMQクリームの最初の適用後6日目から始めて、アイソタイプ対照抗体(5mg/kg)又はヒト化抗hCCR6 mab、hAB6(3Mfc又は3SFc、5mg/kg)でマウスを毎日処理した。この治療研究では、IMQによって誘導された背部皮膚の肥厚を測定したところ、抗hCCR6抗体はいずれも、対照と比較して背部皮膚の肥厚を有意に低減した。
【
図21】インビトロADCCアッセイ。hAB6枯渇抗体(IgG1及びIgG1 Fc最適化)の細胞溶解能を、非枯渇hAB6(Fc KO)及びアイソタイプ対照と比較した。hAb6枯渇抗体は、非枯渇又は対照と比較して細胞殺傷能が有意に増大していることが示された。
【
図22】関節炎の治療研究。上図:0日目及び1日目に、ヒトCCR6トランスジェニックマウスに200μLのK/BXN血清を注射(i.p.)した。実験のエンドポイントまで毎日、足首の太さ及び臨床指標スコアを測定することによって、関節炎の発生を評価した。マウスが関節炎の症状を示し、累積臨床スコアが4に達したとき(4日目)、マウスを2つの群に分けた:アイソタイプ対照mAb抗体を注射した群;抗hCCR6-FcKO抗体(青)を注射した群;及び抗hCCR6枯渇抗体(緑)を注射した群、20mg/kg(体重)を注射し、その後1週間にわたって隔日で5mg/kgを注射。対照として、0日目及び1日目にヒトCCR6を発現していないマウス(WT)に200μLのK/BXN血清を腹腔内注射し、抗hCCR6枯渇抗体(赤)で処理した。下図:実験エンドポイント時のマウス足首の代表的な画像。
【
図23】hCCR6 L1.2細胞に対するhAB6(黒曲線)及びhAB6変異体(WT/3-3;青曲線;1-21/WT;緑曲線;1-23/WT;赤曲線;1-21/3-3;橙曲線;1-23/3-3;桃色曲線)のFACS結合解析。各データ点ごとにバックグラウンド蛍光値を差し引き、プロットした。GraphPad Prismソフトウェアを用いてEC50を計算した。
【
図24】(a)6週齢のヒトCCR6トランスジェニックマウスを動物用小屋で7日間馴化させた。ブレオマイシン(BLM)(Sigma)をPBSで200μg/mLに希釈した。ブレオマイシン又はPBS(100μL)を1日1回28日間マウスの剃毛した背部の1箇所に皮下注射した。その後、8日目から27日目まで週3回5mg/kgの抗ヒトCCR6 mAbをi.p.注射することによって、マウスを処理した。対照マウスは、アイソタイプ対照又はPBSをIP注射することによって処理した。(b)皮膚の厚さは、BLM処理後に厚さが増加し、抗ヒトCCR6抗体でマウスを更に処理すると厚さが減少することを示す。
【
図25】組織学的評価。PBS、アイソタイプ抗体、及び抗ヒトCCR6で処理したマウスからの皮膚(a)及び肺組織(b)をホルマリン固定し、パラフィンに包埋した。次いで、顕微鏡による評価のために切片をH&E、マッソンのトリクローム染色、及びピクロシリウスレッドで染色した。
【発明を実施するための形態】
【0105】
本明細書において開示され、定義される本発明は、文書又は図面で言及されるか又は明らかになる個々の特色のうちの2つ以上の全ての代替的な組み合わせにも及ぶことが理解されるであろう。これら異なる組み合わせは全て、本発明の様々な代替態様を構成する。
【0106】
本発明の更なる態様及び先の段落に記載した態様の更なる実施形態は、一例として与えられる以下の説明から、そして、添付図面を参照して明らかになるであろう。
【0107】
次に、本発明の特定の実施形態について詳細に説明する。本発明は実施形態と併せて説明されるが、本発明は、本発明をこれら実施形態に限定するものではないことが理解される。それどころか、本発明は、特許請求の範囲によって規定される本発明の発明の範囲内に含まれ得る全ての代替例、変形例、及び等価物を網羅することを意図する。
【0108】
本発明者らは、CCR6に結合し、その活性を阻害又は低下させる抗原結合タンパク質、例えば抗体を開発した。本明細書に記載の抗原結合タンパク質は、CCR6によって媒介される炎症、腫瘍成長、及び転移活性のうちの1つ以上の側面を阻害又は低減する能力を有する。
【0109】
概要
本明細書全体を通して、特に別段の記載がない限り又は文脈上必要のない限り、単一の工程、物質の組成、工程群、又は物質の組成物群への言及は、それらの工程、物質の組成、工程群、又は物質の組成群のうちの1つ及び複数(すなわち、1つ以上)を包含すると解釈されるものとする。従って、本明細書で使用するとき、単数形「a」、「an」、及び「the」は、特に文脈上明確に指示しない限り、複数の態様を含み、逆もまた同様である。例えば、「a」に対する言及には1つだけでなく2つ以上も含まれ、「an」に対する言及には1つだけでなく2つ以上も含まれ、「the」に対する言及には1つだけでなく2つ以上も含まれる等である。
【0110】
当業者であれば、本発明は具体的に説明するもの以外の変形及び改変を受け入れる余地があることを理解するであろう。本発明は、このような変形及び改変を全て含むことを理解されたい。本発明はまた、本明細書で言及又は指定される全ての工程、特色、組成物、及び化合物を個々に又は集合的に含み、更に、該工程又は特色の任意の及び全ての組み合わせ又は任意の2つ以上も含む。
【0111】
当業者は、本発明の実施において使用することができる、本明細書に記載するものと類似の又は等価な多くの方法及び材料を認識する。本発明は、いかなる方法であっても記載する方法及び材料に限定されるものではない。
【0112】
本明細書において言及する特許及び刊行物は全て、参照することによりその全体が援用される。
【0113】
本発明は、本明細書に記載する特定の実施例によって範囲が限定されるものではなく、実施例は、例示のみを目的とすることが意図される。機能的に等価な生産物、組成物、及び方法は、明らかに本発明の範囲内である。
【0114】
本明細書における本発明の任意の実施例又は実施形態は、特に具体的に記載のない限り、本発明の任意の他の実施例又は実施形態に準用されると解釈されるものとする。
【0115】
特に別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、(例えば、細胞培養、分子遺伝学、免疫学、免疫組織化学、タンパク質化学、及び生化学における)当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有すると解釈されるものとする。
【0116】
特に指定しない限り、本開示で利用される組換えタンパク質、細胞培養、及び免疫学的技術は、当業者に周知の標準的手順である。このような技術は、J.Perbal,A Practical Guide to Molecular Cloning,John Wiley and Sons(1984)、J.Sambrook et al.Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbour Laboratory Press(1989)、T.A.Brown(editor),Essential Molecular Biology:A Practical Approach,Volumes 1 and 2,IRL Press(1991)、D.M.Glover and B.D.Hames(editors),DNA Cloning:A Practical Approach,Volumes 1-4,IRL Press(1995 and 1996)、及びF.M.Ausubel et al.(editors),Current Protocols in Molecular Biology,Greene Pub.Associates and Wiley-Interscience(1988,including all updates until present),Ed Harlow and David Lane(editors)Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbour Laboratory,(1988)、及びJ.E.Coligan et al.(editors)Current Protocols in Immunology,John Wiley & Sons(現時点までの全ての改訂を含む)等の出典における文献全体を通して記載及び説明されている。
【0117】
本明細書における可変領域及びその一部、免疫グロブリン、抗体及びその断片の説明及び定義は、Kabat Sequences of Proteins of Immunological Interest,National Institutes of Health,Bethesda,Md.,1987 and 1991、Bork et al.,J Mol.Biol.242,309-320,1994、Chothia and Lesk J.Mol Biol.196:901 -917,1987、Chothia et al.Nature 342,877-883,1989、及び/又は又はAl-Lazikani et al.,J Mol Biol 273,927-948,1997における議論によって更に明らかにすることができる。
【0118】
用語「及び/又は」、例えば「X及び/又はY」は、「X及びY」又は「X又はY」のいずれかを意味すると理解されるものとし、両方の意味又はいずれかの意味についての明示的な裏付けを提供すると解釈されるものとする。
【0119】
本明細書で使用するとき、「由来する」という用語は、指定の整数が、必ずしも特定の起源から直接得られるとは限らないが、その起源から得ることができることを示すものとする。
【0120】
本明細書における例えば残基の範囲への言及は、包括的であると理解される。例えば、「アミノ酸56~65を含む領域」への言及は、包括的に理解されるであろう、すなわち、その領域は、指定の配列における56、57、58、59、60、61、62、63、64、及び65と付番されたアミノ酸の配列を含む。
【0121】
選択された定義
CCR6は、C-X-Cモチーフケモカイン受容体6(CD196;BN-1、C-C CKR-6、CC-CKR-6、CCR-6、CD196、CKR-L3、CKRL3、CMKBR6、DCR2、DRY6、GPR29、GPRCY4、STRL22、C-Cモチーフケモカイン受容体6)としても知られている。CCR6 1は、脾臓、リンパ節、膵臓、結腸、虫垂、小腸等のリンパ組織及び非リンパ組織を含む多くの異なる細胞及び組織で発現するGタンパク質共役型受容体(GPCR)である。CCR6は、B細胞、未成熟樹状細胞(DC)、T細胞(Th1、Th2、Th17、Treg)、ナチュラルキラー細胞(NKT細胞)、及び好中球で発現する。
【0122】
CCR6は、マクロファージタンパク質3α(MIP3α)としても知られているCCL20に対して高い親和性で結合する。他のケモカイン受容体とは異なり、CCR6は、高い特異度で他のケモカインリガンドと結合することはない。
【0123】
インターロイキン4(IL-4)及びインターフェロンガンマ(IFNγ)は、ランゲルハンス細胞の発生においてCCR6の発現を抑制し、インターロイキン10(IL-10)は、その発現を誘導する。炎症促進性Th17細胞は、CCR6及びそのリガンドであるCCL20(MIP-3)を発現し、CCR6は、炎症促進性細胞の炎症部位への遊走に影響を与える。一部のTh17細胞は、CCL20(MIP-3)のケモカイン勾配を介して炎症部位に遊走する。幾つかのモデルでは、CCR6の欠損によって自己免疫性脳脊髄炎の重症化が抑えられる。
【0124】
CCR6はまた、消化器悪性腫瘍の発生及び転移拡散において機能を有すると考えられている。結腸直腸がんではCCR6の発現がアップレギュレートされることが判明した。CCR6は、クローン病とも関連していた。
【0125】
本明細書で提供される用語「CCR6」は、CCR6の活性を維持する(例えば、ネイティブタンパク質と比較して少なくとも50%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の活性の範囲内)C-X-Cモチーフケモカイン受容体6(CCR6)タンパク質の天然に存在する形態、ホモログ、又はバリアントのいずれかを含む。幾つかの実施形態では、バリアント又はホモログは、天然に存在する形態と比較して、配列全体又は配列の一部(例えば、50、100、150、又は200個の連続アミノ酸部分)にわたって、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有する。実施形態では、CCR6タンパク質は、UniProt配列参照番号P15684によって同定されるタンパク質、そのホモログ又は機能的断片である。
【0126】
単に命名を目的とし、限定するものではないが、ヒトCCR6の例示的なアミノ酸配列は、配列番号1である。
【0127】
本明細書で使用するとき、CCR6への言及は、CCR6の少なくとも1つの生化学的又は生物物理学的活性を有する分子への言及である。CCR6の生化学的又は生物物理学的活性としては、抗原刺激に対する急性炎症応答、細胞表面受容体シグナル伝達経路、細胞防御反応、走化性、樹状細胞の走化性、炎症応答、後腎管の形態形成、中脳の発生、好中球アポトーシスプロセスの負の制御、好中球の活性化、好中球の走化性、ホスホリパーゼC活性化Gタンパク質共役型受容体シグナル伝達経路、血管新生の正の制御、心筋細胞アポトーシスプロセスの正の制御、細胞増殖の正の制御、細胞質カルシウムイオン濃度の正の制御、好中球走化性の正の制御、血管透過性の正の制御、受容体の内部移行、及びシグナル伝達が挙げられる。
【0128】
「CCR6活性を阻害する」という表現は、本発明の抗原結合タンパク質が、リガンドのCCR6への結合;リガンドによって誘導されるCCR6の高次構造変化;CCR6の活性化;Gタンパク質の活性化;CCR6によって媒介される細胞シグナル伝達;インビトロ若しくはインビボにおけるCCR6によって媒介される細胞遊走、炎症、腫瘍成長、血管新生、若しくは転移性の応答;CCR6によって媒介される腫瘍細胞の成長;及び/又はCCR6によって媒介される白血球(例えば、好中球、好酸球、肥満細胞、又はT細胞)の遊走を含むがこれらに限定されない、CCR6の任意の1つ以上の活性を阻害又は低下させることを意味すると理解される。「MIP-3によって媒介されるCCR6活性を阻害する」とは、本発明の抗原結合タンパク質が、MIP-3によって媒介又は誘導される上記の1つ以上の活性を阻害又は低下させることを意味すると理解される。更に、活性は、好適なインビトロ、細胞、又はインビボのアッセイを用いて測定され、活性は、抗原結合タンパク質を含まないことを除いて同じ条件下の同じアッセイにおけるCCR6活性と比較して少なくとも1%、5%、10%、25%、50%、60%、70%、80%、若しくは90%、又はそれ以上ブロックされる又は低下する。好ましくは、CCR6活性は、MIP3によって媒介又は誘導される。
配列番号1:
MSGESMNFSDVFDSSEDYFVSVNTSYYSVDSEMLLCSLQEVRQFSRLFVPIAYSLICVFGLLGNILVVITFAFYKKARSMTDVYLLNMAIADILFVLTLPFWAVSHATGAWVFSNATCKLLKGIYAINFNCGMLLLTCISMDRYIAIVQATKSFRLRSRTLPRSKIICLVVWGLSVIISSSTFVFNQKYNTQGSDVCEPKYQTVSEPIRWKLLMLGLELLFGFFIPLMFMIFCYTFIVKTLVQAQNSKRHKAIRVIIAVVLVFLACQIPHNMVLLVTAANLGKMNRSCQSEKLIGYTKTVTEVLAFLHCCLNPVLYAFIGQKFRNYFLKILKDLWCVRRKYKSSGFSCAGRYSENISRQTSETADNDNASSFTM
【0129】
「単離タンパク質」又は「単離ポリペプチド」という用語は、その由来起源又は原料が理由でネイティブの状態で付随している天然で会合する成分とは会合せず、同じ原料に由来する他のタンパク質を実質的に含まないタンパク質又はポリペプチドである。タンパク質は、当該技術分野で公知のタンパク質精製技術を使用して、天然で会合する成分を実質的に含まないようにするか又は単離によって実質的に精製することができる。「実質的に精製される」とは、タンパク質が夾雑物質を実質的に含まない、例えば、夾雑物質を少なくとも約70%、又は75%、又は80%、又は85%、又は90%、又は95%、又は96%、又は97%、又は98%、又は99%含まないことを意味する。
【0130】
「組換え体」という用語は、人工的な遺伝子組換えの産物を意味すると理解されるものとする。従って、抗体抗原結合ドメインを含む組換えタンパク質の文脈では、この用語は、B細胞の成熟中に生じる天然組換えの産物である、対象の体内に天然に存在する抗体を包含しない。しかし、そのような抗体が単離された場合、抗体抗原結合ドメインを含む単離タンパク質であるとみなされる。同様に、タンパク質をコードしている核酸が単離され、組換え手段を用いて発現された場合、得られるタンパク質は、抗体抗原結合ドメインを含む組換えタンパク質である。組換えタンパク質はまた、例えばそれが発現する細胞、組織、又は対象内に存在する場合、人工的な組換え手段によって発現されるタンパク質も包含する。
【0131】
「タンパク質」という用語は、単一のポリペプチド鎖、すなわち、ペプチド結合によって連結された一連の連続アミノ酸、又は互いに共有結合若しくは非共有結合的に連結された一連のポリペプチド鎖(すなわち、ポリペプチド複合体)を含むと解釈されるものとする。例えば、一連のポリペプチド鎖は、好適な化学物質又はジスルフィド結合を用いて共有結合的に連結させることができる。非共有結合の例としては、水素結合、イオン結合、ファンデルワールス力、及び疎水性相互作用等が挙げられる。
【0132】
「ポリペプチド」又は「ポリペプチド鎖」という用語は、前述の段落から、ペプチド結合によって連結された一連の連続アミノ酸を意味すると理解されるであろう。
【0133】
本明細書で使用するとき、「抗原結合タンパク質」という用語は「抗原結合ドメイン」と互換的に使用され、抗原に特異的に結合することができる抗体の領域、すなわち、VH若しくはVL、又はVH及びVLの両方を含むFvを意味すると解釈されるものとする。抗原結合ドメインは、抗体全体の状況にある必要はなく、例えば、単離されていてもよく(例えば、ドメイン抗体)、又は例えばscFv等の本明細書に記載の別の形態であってもよい。
【0134】
本開示の目的のために、「抗体」という用語は、Fvに含まれる抗原結合ドメインにより、1つ又は少数の密接に関連する抗原(例えば、CCR6)に特異的に結合することができるタンパク質を含む。この用語には、4本鎖抗体(例えば、2本の軽鎖及び2本の重鎖)、組み換え体又は改変抗体(例えば、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、CDR移植抗体、霊長類化抗体、脱免疫化抗体、シンヒト化(synhumanized)抗体、半抗体、二重特異性抗体)が含まれる。抗体は一般に定常ドメインを含み、それは定常領域、又は定常断片、又は結晶化可能断片(Fc)に配置され得る。抗体の例示的な形態は、基本単位として4本鎖構造を含む。完全長抗体は、共有結合的に連結している2本の重鎖(約50~70kD)及び2本の軽鎖(それぞれ約23kDa)を含む。軽鎖は一般に可変領域(存在する場合)及び定常ドメインを含み、哺乳類ではκ軽鎖又はλ軽鎖のいずれかである。重鎖は一般に、可変領域、及びヒンジ領域によって更なる定常ドメイン(複数可)に連結された1つ又は2つの定常ドメイン(複数可)を含む。哺乳類の重鎖は、以下の種類:α、δ、ε、γ、又はμのうちのいずれか1つである。各軽鎖はまた、重鎖のうちの1本と共有結合的に連結される。例えば、2本の重鎖並びに重鎖及び軽鎖は、鎖間ジスルフィド結合及び非共有結合的相互作用によって互いに保持される。鎖間ジスルフィド結合の数は、異なる種類の抗体間で異なる場合がある。各鎖は、N末端可変領域(それぞれ約110アミノ酸長のVH又はVL)及びC末端における1つ以上の定常ドメインを有する。軽鎖の定常ドメイン(約110アミノ酸長のCL)は、重鎖の第1の定常ドメイン(330~440アミノ酸長のCH1)と整列し、ジスルフィド結合する。軽鎖の可変領域は、重鎖の可変領域と整列する。抗体重鎖は、2つ以上の追加のCHドメイン(例えばCH2、CH3等)を含み得、CH1定常ドメインとCH2定常ドメインとの間にヒンジ領域を含み得る。抗体は、任意の種類(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、及びIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2)又はサブクラスであり得る。一例では、抗体は、ネズミ(マウス又はラット)抗体又は霊長類(ヒト等)抗体である。一例では、抗体重鎖は、C末端のリジン残基が欠失している。一例では、抗体は、ヒト化、シンヒト化、キメラ化、CDR移植、又は脱免疫化されている。
【0135】
「完全長抗体」、「インタクトな抗体」、又は「全抗体」という用語は、抗体の抗原結合断片とは対照的に、実質的にインタクトな形態の抗体を指すために互換的に使用される。具体的には、全抗体は、Fc領域を含む重鎖及び軽鎖を有するものを含む。定常ドメインは、野生型配列定常ドメイン(例えば、ヒト野生型配列定常ドメイン)又はそのアミノ酸配列バリアントであってよい。
【0136】
本明細書で使用するとき、「可変領域」とは、抗原に特異的に結合することができる、本明細書で定義する抗体の軽鎖及び/又は重鎖の部分を指し、相補性決定領域(CDR)、すなわち、CDR1、CDR2、及びCDR3、並びにフレームワーク領域(FR)のアミノ酸配列を含む。例えば、可変領域は、3つのCDRと共に、3つ又は4つのFR(例えば、FR1、FR2、FR3、及び任意でFR4)を含む。VHは、重鎖の可変領域を指す。VLは、軽鎖の可変領域を指す。
【0137】
本明細書で使用するとき、「エピトープ」(「抗原決定基」と同義)という用語は、抗体の抗原結合ドメインを含む抗原結合タンパク質が結合するCXCR6の領域を意味すると理解されるものとする。特に定義しない限り、この用語は、必ずしも抗原結合タンパク質が接触する特定の残基又は構造に限定されるものではない。例えば、この用語には、抗原結合タンパク質が接触するアミノ酸及びこの領域の外側の5~10個(又はそれ以上)又は2~5個又は1~3個のアミノ酸に及ぶ領域が含まれる。幾つかの例では、エピトープは、抗原結合タンパク質が折り畳まれたときに互いに近接して配置される一連の不連続なアミノ酸、すなわち「高次構造エピトープ」を含む。当業者はまた、「エピトープ」という用語がペプチド又はポリペプチドに限定されるものではないことを認識するであろう。例えば、「エピトープ」という用語は、糖側鎖、ホスホリル側鎖、又はスルホニル側鎖等の分子の化学的活性表面基を含み、特定の例では、特定の三次元構造特性及び/又は特定の電荷特性を有し得る。
【0138】
本明細書で使用するとき、「対象」という用語は、ヒトを含む任意の動物、例えば哺乳類を意味すると解釈されるものとする。例示的な対象としては、ヒト及び非ヒト霊長類が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、対象は、ヒトである。
【0139】
本発明者らは、CCR6に結合し、その機能を阻害する抗体を開発した。この抗体はCCR6に高い親和性を有し、リガンド(MIP-3α)によって媒介される走化性を阻害する。これら抗体は、CCR6が免疫細胞の表面に天然に提示されたとき、それに結合することが示されている。実施例を含む本明細書に記載されている抗体の特性を考慮すると、これら抗体は、MIP-3α活性又はCCR6発現に関連する疾患の発症を遅らせたり、重症度を軽減したりするのに有用である。更に、これら抗体は、MIP-3α活性又はCCR6発現に関連する確立された疾患の臨床的に観察可能な症状を安定化させ、反転させることが示されている。
【0140】
「抗体」又は「免疫グロブリン」又は「Ig」は、免疫系において抗原と結合し、それによって異物を同定し、中和する機能を果たす、脊椎動物の血液又は他の体液中にみられるガンマグロブリンタンパク質である。
【0141】
抗体は、一般に、2本の同一の軽鎖(L)及び2本の同一の重鎖(H)で構成されるヘテロ四量体の糖タンパク質である。各L鎖は、1つの共有結合的ジスルフィド結合によってH鎖に連結される。2本のH鎖は、H鎖のアイソタイプに応じて、1つ以上のジスルフィド結合によって互いに連結される。また、各H鎖及びL鎖は、規則的に離間した鎖内ジスルフィド架橋を有する。
【0142】
H鎖及びL鎖は、特定のIgドメインを規定する。より詳細には、各H鎖は、N末端に可変ドメイン(VH)を有し、続いて、α鎖及びγ鎖ではそれぞれ3つの定常ドメイン(CH)を、μアイソタイプ及びεアイソタイプでは4つのCHドメインを有する。各L鎖は、N末端に可変ドメイン(V L)を有し、続いて、もう一方の末端に定常ドメイン(CL)を有する。VLはVHと整列し、CLは重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)と整列する。
【0143】
抗体は、異なるクラス又はアイソタイプに割り当てることができる。5つのクラスの免疫グロブリンが存在する:それぞれα、δ、ε、γ、及びμと命名された重鎖を有するIgA、IgD、IgE、IgG、及びIgM。γクラス及びαクラスは、CHの配列及び機能の比較的軽微な差に基づいて更にサブクラスに分けられ、例えば、ヒトは、以下のサブクラスを発現する:IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2。任意の脊椎動物種からのL鎖は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ及びラムダと呼ばれる2つの明らかに異なる種類のうちの1つに割り当てられ得る。
【0144】
定常ドメインは、ジスルフィドによって互いに保持された両H鎖のカルボキシ末端部分を含むFc部分を含む。ADCC等の抗体のエフェクター機能は、Fc領域の配列によって決定され、この領域は、特定の種類の細胞上にみられるFc受容体(FcR)によって認識される部分でもある。
【0145】
VH及びVLは、互いに対合して抗体の重鎖又は軽鎖のアミノ末端ドメインを含む「可変領域」又は「可変ドメイン」を形成する。重鎖の可変ドメインは、「VH」と称されることもある。軽鎖の可変ドメインは、「VL」と称されることもある。Vドメインは、抗原結合に影響を与え、特定の抗原に対する特定の抗体の特異性を規定する抗原結合タンパク質を含有する。V R&D領域は、約110アミノ酸残基に及び、各9~12アミノ酸長の「超可変領域」と呼ばれる極めて可変性の高い短い領域(一般に約3つ)によって隔てられた15~30アミノ酸のフレームワーク領域(FR)と呼ばれる比較的不変の領域(一般に約4つ)からなる。FRは、大部分がβシート構造をとり、超可変領域は、βシート構造をつなぐループを形成し、場合によってはβシート構造の一部を形成する。
【0146】
「超可変領域」、「HVR」、又は「HV」は、配列が超可変である及び/又は構造的に規定されたループを形成する抗体可変ドメインの領域を指す。一般に、抗体は6つの超可変領域を含み、3つはVHに(H1、H2、H3)、3つはVLに(L1、L2、L3)ある。多数の超可変領域の図解が使用されており、本明細書に包含される。
【0147】
本明細書で使用するとき、「相補性決定領域」(CDR;すなわち、CDR1、CDR2、及びCDR3と同義)という用語は、抗体可変領域のアミノ酸残基を指し、その存在は特異的抗原結合に大きく寄与する。各可変領域ドメイン(VH又はVL)は、典型的には、CDR1、CDR2、及びCDR3として同定された3つのCDRを有する。VHのCDRは、本明細書ではそれぞれCDR H1、CDR H2、及びCDR H3とも称され、CDR H1はVHのCDR1に対応し、CDR H2はVHのCDR2に対応し、CDR H3はVHのCDR3に対応する。同様に、本明細書ではVLのCDRをそれぞれCDR L1、CDR L2、及びCDR L3と称し、CDR L1はVLのCDR1に対応し、CDR L2はVLのCDR2に対応し、CDR L3はVLのCDR3に対応する。一例では、CDR及びFRに割り当てられるアミノ酸位置は、Kabat Sequences of Proteins of Immunological Interest,National Institutes of Health,Bethesda,Md.,1987 and 1991(本明細書では「Kabat付番システム」とも称される)に従って定義される。別の例では、CDR及びFRに割り当てられるアミノ酸位置は、Enhanced Chothia Numbering Scheme(http://www.bioinfo.org.uk/mdex.html)に従って定義される。本発明は、Kabat付番システムによって定義されるFR及びCDRには限定されず、標準的な付番システム、あるいはChothia and Lesk J.Mol.Biol.196:901-917,1987;Chothia et al.,Nature 342:877-883,1989;及び/若しくはAl-Lazikani et al.,J.Mol.Biol.273:927-948,1997の付番システム;Honnegher and Plukthun J.Mol.Biol.309:657-670,2001の付番システム;又はGiudicelli et al.,Nucleic Acids Res.25:206-211 1997で論じられているIMGT付番システムを含む全ての付番システムを含む。一例では、CDRは、Kabat付番システムに従って定義される。任意で、Kabat付番システムに係る重鎖CDR2は、本明細書に列挙される5つのC末端アミノ酸を含まないか、又はこれらアミノ酸のうちのいずれか1つ以上が別の天然に存在するアミノ酸で置換されている。これに関して、Padlan et al.,FASEB J.,9:133-139,1995は、重鎖CDR2の5つのC末端アミノ酸は一般に抗原結合に関与しないことを立証した。
【0148】
「フレームワーク」又は「FR」残基とは、本明細書に定義される超可変領域又はCDR残基以外の可変ドメイン残基残基である。VHのFRは、本明細書ではそれぞれFR H1、FR H2、FR H3、及びFR H4とも称され、FR H1はVHのFR1に対応し、FR H2はVHのFR2に対応し、FR H3はVHのFR3に対応し、FR H4はVHのFR4に対応する。同様に、本明細書ではVLのFRをそれぞれFR L1、FR L2、FR L3、及びFR L4と称し、FR L1はVLのFR1に対応し、FR L2はVLのFR2に対応し、FR L3はVLのFR3に対応し、FR L4はVLのFR4に対応する。
【0149】
「抗原結合タンパク質を形成するためのペプチド」とは、一般に、抗原に対する抗体の特異性を付与する高次構造を形成し得るペプチドを指す。例としては、全抗体若しくは全抗体関連構造、可変ドメインを含む全抗体断片、可変ドメイン及びその断片(軽鎖及び重鎖を含む)、又は超可変領域若しくは定常領域の全てではなく一部を含む軽鎖及び重鎖の断片が挙げられる。
【0150】
「インタクトな」又は「全」抗体とは、抗原結合タンパク質に加えて、CL及び少なくとも重鎖定常ドメインCHI、CHI2、及びCHI3を含むものである。定常ドメインは、ネイティブ配列定常ドメイン(例えば、ヒトネイティブ配列定常ドメイン)又はそのアミノ酸配列バリアントであってよい。
【0151】
「全抗体関連構造」には、全抗体の多量体化形態が含まれる。
【0152】
「可変ドメインを含む全抗体断片」は、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びFv断片;ダイアボディ;線状抗体;一本鎖抗体分子;並びに抗体断片から形成される多重特異性抗体を含む。
【0153】
Fab断片は、H鎖の可変領域ドメイン(VH)及び1本の重鎖の第1の定常ドメイン(CHI)に加えてL鎖全体からなる。各Fab断片は、抗原結合に関して一価である、すなわち単一の抗原結合タンパク質を有する。
【0154】
Fab’断片は、CHIドメインのカルボキシ末端に抗体ヒンジ領域からの1つ以上のシステインを含む追加の数個の残基を有することにより、Fab断片とは異なる。Fab’-SHは、定常ドメインのシステイン残基(複数可)が遊離チオール基を有するFab’に対する本明細書における呼称である。
【0155】
F(ab’)2断片は、二価の抗原結合活性を有する2つのジスルフィド連結されたFab断片にほぼ相当し、依然として抗原を架橋することができる。
【0156】
「Fv」とは、完全な抗原認識及び結合部位を含む抗体断片である。この断片は、緊密に非共有結合的に会合している1つの重鎖可変領域ドメイン及び1つの軽鎖可変領域ドメインの二量体からなる。
【0157】
一本鎖Fv(scFv)種では、軽鎖及び重鎖が二本鎖Fv種に類似の「二量体」構造で会合することができるように、1つの重鎖可変ドメイン及び1つの軽鎖可変ドメインが柔軟性ペプチドリンカーによって共有結合的に連結され得る。これら2つのドメインが折り畳まれることにより、抗原結合のためのアミノ酸残基に寄与し、抗体に抗原結合特異性を付与する6つの超可変ループ(H鎖及びL鎖からそれぞれ3つのループ)が生じる。
【0158】
「sFv」又は「scFv」とも略される「一本鎖Fv」は、接続されて一本のポリペプチド鎖を形成するVH抗体ドメイン及びVL抗体ドメインを含む抗体断片である。好ましくは、scFvポリペプチドは、VHドメインとVLドメインとの間にポリペプチドリンカーを更に含み、これにより、scFvが抗原結合のための所望の構造を形成することが可能になる。
【0159】
「単一可変ドメイン」とは、結合部位全体よりも親和性は低いものの、抗原を認識し、結合する能力を有するFvの半分(抗原に特異的なCDRを3つだけ含む)である。
【0160】
「ダイアボディ」とは、同じポリペプチド鎖(VH-VL)において軽鎖可変ドメイン(VL)に接続されている重鎖可変ドメイン(VH)を含む断片である、2つの抗原結合部位を有する抗体断片を指す。小抗体断片は、Vドメインが鎖間では対合するが鎖内では対合せず、その結果、二価断片、すなわち2つの抗原結合部位を有する断片が得られるように、VHドメインとVLドメインとの間に短いリンカー(約5~10残基)を有するsFv断片(前段落を参照)を構築することにより調製される。
【0161】
ダイアボディは、二価又は二重特異性であり得る。二重特異性ダイアボディは、2つの抗体のVHドメイン及びVLドメインが異なるポリペプチド鎖上に存在する、2つの「クロスオーバー」sFv断片のヘテロ二量体である。トリアボディ及びテトラボディも当技術分野で一般的に知られている。
【0162】
「単離抗体」とは、同定され、既存の環境の構成要素から分離及び/又は回収された抗体である。夾雑成分とは、抗体の治療的使用に干渉する物質であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質性又は非タンパク質性の溶質を含み得る。
【0163】
「ヒト抗体」とは、ヒトが生産する抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を有する抗体及び/又は本明細書に開示されるヒト抗体を作製するための技術のいずれかを用いて作製された抗体を指す。このヒト抗体の定義は、具体的には、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を除外する。ヒト抗体は、ファージディスプレイライブラリを含む当技術分野で公知の様々な技術を用いて生産することができる。ヒト抗体は、抗原曝露に応答してそのような抗体を生産するように改変されているが、その内因性遺伝子座は無効化されているトランスジェニック動物に抗原を投与することによって調製することができる。
【0164】
非ヒト(例えば、げっ歯類)抗体の「ヒト化」形態は、非ヒト抗体由来の最小限の配列を含有するキメラ抗体である。ほとんどの部分で、ヒト化抗体は、レシピエントの超可変領域の残基が所望の抗体特異性、親和性、及び能力を有するマウス、ラット、ウサギ、又は非ヒト霊長類等の非ヒト種(ドナー抗体)の超可変領域の残基で置き換えられたヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。場合によっては、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)残基が、対応する非ヒト残基で置き換えられる。更に、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にもドナー抗体にもみられない残基を含む場合もある。これら改変は、抗体の性能を更に洗練させるために行われる。一般に、ヒト化抗体は、超可変ループの全て又は実質的に全てが非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、FRの全て又は実質的に全てがヒト免疫グロブリン配列のものである少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含む。ヒト化抗体は、任意で、免疫グロブリン定常領域(Fc)の、典型的にはヒト免疫グロブリンの定常領域の少なくとも一部も含む。
【0165】
「モノクローナル抗体」とは、実質的に均質な抗体の集団、すなわち、微量に存在し得る可能性のある天然に生じた変異を除いて同一である個々の抗体を含む集団から得られる抗体を指す。「モノクローナル抗体」は、抗原の1つの抗原性部位又は決定基に対して高度に特異的である。その特異性に加えて、モノクローナル抗体は、他の抗体が夾雑することなく合成することができるという点でも有利である。モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ法によって調製することもでき、又は細菌、真核動物、又は植物の細胞で組換えDNA法を用いて作製することもできる。「モノクローナル抗体」は、ファージ抗体ライブラリから単離することもできる。
【0166】
本明細書におけるモノクローナル抗体には、所望の生物活性を示す限り、重鎖及び/又は軽鎖の一部は特定の種に由来するか又は特定の抗体のクラス若しくはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一又は相同であるが、鎖(複数可)の残りは、別の種に由来するか又は別の抗体のクラス若しくはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一又は相同である「キメラ」抗体、並びにそのような抗体の断片も含まれる。本明細書における対象となるキメラ抗体には、非ヒト霊長類(例えば、旧世界ザル、類人猿等)に由来する可変ドメイン抗原結合配列及びヒト定常領域配列を含む「霊長類化」抗体が含まれる。
【0167】
「抗CCR6抗体」又は「CCR6に結合する抗体」という用語は、抗体がCCR6を標的とする診断及び/又は治療剤として有用であるように、十分な親和性でCCR6に結合することができる抗体を指す。好ましくは、無関係の受容体タンパク質に対するCCR6抗体の結合の程度は、例えばラジオイムノアッセイ(RIA)によって測定したとき、CCR6に対する抗体の結合の約10%未満である。特定の実施形態では、CCR6に結合する抗体は、<1μM、<100nM、<10nM、<1nM、又は<0.1nMの解離定数(Kd)を有する。
【0168】
「結合親和性」とは、一般に、分子の単一結合部位(例えば、抗体)とその結合パートナー(例えば、抗原)との間の非共有結合的相互作用の合計の強度を指す。一般に、「結合親和性」とは、結合対(例えば、抗体及び抗原)のメンバー間の1:1の相互作用を反映する固有結合親和性を指す。分子XのそのパートナーYに対する親和性は、一般に解離定数(Kd)によって表すことができる。親和性は、本明細書に記載されるものを含む、当技術分野において公知の一般的な方法によって測定することができる。低親和性抗体は、一般に緩徐に抗原と結合し、容易に解離する傾向があるが、高親和性抗体は、一般に迅速に抗原と結合し、長く結合したままである傾向がある。結合親和性を測定する様々な方法が当技術分野で公知であり、そのいずれも本発明の目的に使用することができる。
【0169】
本明細書で使用するとき、抗原結合タンパク質又はその抗原結合ドメインと抗原との相互作用に関して「結合する」という用語は、相互作用が抗原上の特定の構造(例えば、抗原決定基又はエピトープ)の存在に依存することを意味する。例えば、抗体は、タンパク質全体ではなく特定のタンパク質構造を認識し、結合する。抗体がエピトープ「A」に結合する場合、標識された「A」及びタンパク質を含有する反応において、エピトープ「A」を含有する分子(又は遊離している未標識の「A」)が存在すると、抗体に結合する標識された「A」の量が減少する。
【0170】
本明細書で使用するとき、「特異的に結合する」という用語は、本発明の抗原結合タンパク質が、特定の抗原又はそれを発現する細胞と、別の抗原又は細胞とよりも高頻度で、迅速に、長い持続時間にわたって、及び/又は高い親和性で反応又は会合することを意味すると解釈されるものとする。例えば、抗原結合タンパク質は、他のCCRに結合するよりも実質的に高い親和性(例えば、1.5倍、又は2倍、又は5倍、又は10倍、又は20倍、又は40倍、又は60倍、又は80倍から100倍、又は150倍、又は200倍)でCCR6(例えば、hCCR6)に結合する。本発明の例では、CCR6(好ましくはヒト)に「特異的に結合する」抗原結合タンパク質は、CXCR1、CXCR2、CXCR3、又はCXCR7等の別のケモカイン受容体に対するよりも少なくとも1.5倍、又は2倍、又はそれ以上(例えば、5倍、又は10倍、又は20倍、又は50倍、又は100倍、又は200倍)高い親和性で結合する。一般に、必ずしもそうではないが、結合への言及は特異的結合を意味し、各用語は、他の用語への明示的な支持を提供すると理解されるものとする。
【0171】
本明細書で使用するとき、「検出可能には結合しない」という用語は、抗原結合タンパク質、例えば抗体が、バックグラウンドを10%未満、又は8%未満、又は6%未満、又は5%未満上回るレベルでしか候補抗原に結合しないことを意味すると理解されるものとする。バックグラウンドは、タンパク質の非存在下及び/若しくは陰性対照タンパク質(例えば、アイソタイプ対照抗体)の存在下で検出される結合シグナルのレベル、並びに/又は陰性対照抗原の存在下で検出される結合レベルであり得る。結合レベルは、抗原結合タンパク質を固定化し、抗原と接触させるバイオセンサー解析(例えば、Biacore)を用いて検出される。
【0172】
本明細書で使用するとき、「有意には結合しない」という用語は、ポリペプチドに対する本発明の抗原結合タンパク質の結合レベルが、バックグラウンド、例えば、抗原結合タンパク質の非存在下及び/若しくは陰性対照タンパク質(例えば、アイソタイプ対照抗体)の存在下で検出される結合シグナルのレベル、並びに/又は陰性対照ポリペプチドの存在下で検出される結合レベルよりも統計学的に有意に高くはないことを意味すると理解されるものとする。結合レベルは、抗原結合タンパク質を固定化し、抗原と接触させるバイオセンサー解析(例えば、Biacore)を用いて検出される。
【0173】
「親和性成熟」抗体とは、改変(複数可)を有しない親抗体と比べて抗原に対する抗体の親和性を向上させる1つ以上の改変をその1つ以上のHVRに有する抗体である。好ましい親和性成熟抗体は、標的抗原に対してナノモル、又は更にはピコモルの親和性を有する。親和性成熟抗体は、当該技術分野で公知の手順によって生産される。
【0174】
「ADCC」とは、ヒトでは主にナチュラルキラー(NK)細胞によって媒介される免疫応答である抗体依存性細胞傷害と呼ばれるプロセスを指す。ADCCでは、NK細胞の表面のFcγRIIIが、標的細胞の表面にディスプレイされた抗原に結合した抗体のFe領域を認識する。これによりNK細胞が活性化され、パーフォリン及びグランザイムを放出して、標的細胞の溶解及びアポトーシスを引き起こす。
【0175】
「CDC」とは、2つの主要な経路のいずれかを介して作用し得るタンパク質のカスケードの作用を通して細胞を死滅させ得る、補体依存性細胞傷害と呼ばれる複雑なプロセスを指す。
【0176】
「ADCP」とは、抗体依存性細胞媒介性貪食と呼ばれるプロセスを指す。このFe受容体によって媒介されるプロセスでは、抗体が結合した標的細胞は、マクロファージ、単球、好中球、及び樹状細胞等の貪食細胞に飲み込まれる。このプロセスには複数のFc受容体が関与している。
【0177】
「ブロッキング」抗体又は「アンタゴニスト」抗体は、それが結合する抗原の生物活性を阻害又は低下させるものである。好ましいブロッキング抗体又はアンタゴニスト抗体は、抗原の生物活性を実質的又は完全に阻害する。
【0178】
「アゴニスト抗体」とは、本明細書で使用するとき、対象となるポリペプチドの機能活性のうちの少なくとも一つを模倣する抗体である。
【0179】
本明細書における意味では、「Fc領域」とは、1つ以上のジスルフィド結合によって接合された2本のポリペプチド鎖からなる二量体であり、各鎖はヒンジドメインの一部又は全部に加えてCH2及びCH3のドメインを含む。各ポリペプチド鎖は、「Fcポリペプチド鎖」と称される。2本のFeポリペプチド鎖を区別するために、本明細書では一方を「A鎖」と称し、他方を「B鎖」と称する。より具体的には、本発明で使用することが企図されるFc領域はIgG Fc領域であり、これは、哺乳類又はヒトのIgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4 Fc領域であり得る。ヒトのIgG1 Fc領域では、少なくとも2つの対立遺伝子型が知られている。
【0180】
本明細書における意味では、「Fc含有タンパク質」とは、本明細書に記載のFc領域と、標的分子に結合する結合領域とを含むタンパク質である。「Fc含有タンパク質」という用語は、Fc領域を含有する抗体又はFc融合タンパク質を包含する。
【0181】
「CCR6発現に関連する疾患又は病態」には、本明細書に記載の炎症性病態、本明細書に記載の自己免疫疾患、感染症、線維症、又はがん、特に本明細書に記載の上皮がん、又は慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、及び呼吸器合胞体ウイルス(RSV)等の肺障害が含まれるが、これらに限定されない。他の疾患又は病態については、本明細書で更に説明する。
【0182】
語句「治療的に有効な量」は、一般に、(i)特定の疾患、病態、若しくは障害を治療する、(ii)特定の疾患、病態、若しくは障害の1つ以上の症状を減弱、改善、若しくは排除する、又は(iii)本明細書に記載の特定の疾患、病態、若しくは障害の1つ以上の症状の発症を遅延させる本発明の抗原結合タンパク質の量を指す。
【0183】
「治療する」又は「治療」という語は、不所望の生理学的変化又は障害を減速させる(減少させる)ことを目的とする治療的処置を指す。本発明の目的のために、有益な又は所望の臨床結果は、検出可能であろうと検出不可能であろうと、症状の軽減、疾患の程度の減少、疾患の安定化(すなわち、悪化しない)状態、疾患の進行の遅延又は減速、疾患状態の改善又は緩和、及び(部分又は完全)寛解を含むが、これらに限定されない。また、治療は、治療を受けなかった場合の予測生存時間と比較して生存時間が延長することを意味する場合もある。治療によって疾患又は障害が完全に消失するとは限らないが、感染の合併症及び副作用並びに疾患又は障害の進行を軽減又は最小化することはできる。治療の成否は、特に、個体の身体検査、細胞病理学的、血清学的DNA又はmRNAの検出技術によってモニタリングすることができる。
【0184】
乾癬の治療は、角質層における核の保持、顆粒層の欠如、インボルクリン発現パターンの変化、表皮の肥厚、紅斑、鱗屑、又は本明細書に記載される他の特徴によって一般的に示される、斑、過剰増殖ケラチノサイト、表皮分化の乱れ(錯角化)を含む乾癬の臨床的又は生化学的に観察可能又は測定可能な特徴のうちのいずれか1つ以上の重症度の軽減又は反転によって観察又は測定することができる。
【0185】
「予防する」及び「予防」という語は、一般に、所与の疾患又は障害を有していない個体がその疾患又は障害に進行するのを保護する又は妨げるための予防的又は防止的処置を指す。
【0186】
乾癬を発症するリスクのある個体は、公知の生化学的及び臨床的な感受性の指標に基づいて、医師によって同定され得る。
【0187】
語句「薬学的に許容し得る」とは、物質又は組成物が、製剤を構成する他の成分及び/又はそれを用いて治療される哺乳類と化学的及び/又は毒物学的に適合しなければならないことを示す。
【0188】
本発明者らは、CCR6に結合することを見出した多数の可変ドメインクローンのCDR配列を決定した。これらCDR配列を以下の表1に示す。
【0189】
一実施形態では、表1及び表2に示す配列を有するペプチドが提供される。これらペプチドは、抗原結合タンパク質、可変ドメイン、抗体、及び関連断片の構築に特に有用である。
【0190】
【0191】
【0192】
本発明者らは、CCR6に結合することを見出した多数の可変ドメインクローンのFR配列を決定した。これらFR配列を以下の表3及び表4に示す。CCR6に結合する抗原結合タンパク質を形成するために、上記のCDRと共に他の公知のFR配列を使用することもできる。
【0193】
【0194】
【0195】
特定の実施形態では、以下の表5又は6に示す配列を有する抗原結合タンパク質が提供される:
【0196】
【0197】
【0198】
【0199】
【0200】
【0201】
【0202】
【0203】
特定の実施形態では、抗原結合タンパク質は、CCR6のエピトープに結合し、該エピトープは、CCR6のアミノ酸1~28を含む。好ましくは、CCR6は、ヒトである。典型的には、エピトープは、配列番号1の1~28のアミノ酸配列を含む。
【0204】
タンパク質への変異
本発明はまた、本明細書に開示される配列と少なくとも80%の同一性を有する抗原結合タンパク質又はそれをコードしている核酸を提供する。一例では、本発明の抗原結合タンパク質又は核酸は、本明細書に開示される配列と少なくとも約85%、又は90%、又は95%、又は97%、又は98%、又は99%同一の配列を含む。
【0205】
あるいは又は更に、抗原結合タンパク質は、任意の例に従って本明細書に記載されるVH又はVLのCDR(複数可)と少なくとも約80%、又は85%、又は90%、又は95%、又は97%、又は98%、又は99%同一のCDR(例えば、3つのCDR)を含む。
【0206】
別の例では、本発明の核酸は、任意の例に従って本明細書に記載される機能を有する抗原結合タンパク質をコードしている配列と少なくとも約80%、又は85%、又は90%、又は95%、又は97%、又は98%、又は99%同一の配列を含む。本発明はまた、遺伝コードの縮重の結果として本明細書に例示される配列とは異なる、本発明の抗原結合タンパク質をコードしている核酸も包含する。
【0207】
核酸又はポリペプチドの同一性%は、ギャップ作成ペナルティ=5及びギャップ伸長ペナルティ=0.3で、GAP(Needleman and Wunsch.Mol.Biol.48,443-453,1970)解析(GCGプログラム)によって決定される。クエリー配列は、少なくとも50残基長であり、GAP解析は、少なくとも50残基の領域にわたって2つの配列をアラインする。例えば、クエリー配列は、少なくとも100残基長であり、GAP解析は、少なくとも100残基の領域にわたって2つの配列をアラインする。例えば、2つの配列はその全長にわたってアラインされる。
【0208】
本発明はまた、本明細書に記載の抗原結合タンパク質をコードしている核酸にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする核酸も企図する。「中ストリンジェンシー」とは、本明細書では、2×SSCバッファ、0.1%(w/v)SDS中において45℃~65℃の範囲の温度で、又は等価な条件下で実施されるハイブリダイゼーション及び/又は洗浄であると定義される。「高ストリンジェンシー」とは、本明細書では、0.1×SSCバッファ、0.1%(w/v)SDS若しくはそれよりも低い塩濃度において、少なくとも65℃の温度で、又は等価な条件下で実施されるハイブリダイゼーション及び/又は洗浄であると定義される。本明細書における特定のストリンジェンシーレベルへの言及は、当業者に公知のSSC以外の洗浄/ハイブリダイゼーション溶液を用いた等価な条件を包含する。例えば、二本鎖核酸の鎖が解離する温度(融解温度又はTmとしても知られている)を計算する方法は、当技術分野で公知である。核酸のTmに類似する(例えば、5℃以内又は10℃以内)又は等しい温度は、高ストリンジェンシーであるとみなされる。核酸のTm計算値から10℃~20℃又は10℃~15℃以内であると、中ストリンジェンシーとみなされる。
【0209】
本発明はまた、本明細書に記載の配列と比較して1つ以上の保存的アミノ酸置換を含む、本発明の抗原結合タンパク質の変異体形態も企図する。幾つかの例では、抗原結合タンパク質は、10個以下、例えば、9個、又は8個、又は7個、又は6個、又は5個、又は4個、又は3個、又は2個、又は1個の保存的アミノ酸置換を含む。「保存的アミノ酸置換」とは、アミノ酸残基が、類似の側鎖及び/又は疎水性及び/又は親水性を有するアミノ酸残基で置換されるものである。
【0210】
塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β-分岐側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)、及び芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を含む、類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーが、当技術分野において定義されている。疎水性指標については、例えば、Kyte and Doolittle J.Mol.Biol.,157:105-132,1982に記載されており、親水性指標は、例えば米国特許第4554101号に記載されている。
【0211】
本発明はまた、非保存的なアミノ酸変化も企図する。例えば、特に興味深いのは、荷電アミノ酸の別の荷電アミノ酸による置換及び中性又は正に荷電したアミノ酸による置換である。幾つかの例では、抗原結合タンパク質は、10個以下、例えば、9個、又は8個、又は7個、又は6個、又は5個、又は4個、又は3個、又は2個、又は1個の非保存的アミノ酸置換を含む。
【0212】
一例では、変異(複数可)は、本発明の抗原結合タンパク質の抗原結合ドメインのFR内で生じる。別の例では、変異(複数可)は、本発明の抗原結合タンパク質のCDR内で生じる。
【0213】
抗原結合タンパク質の変異体形態を生産するための例示的な方法としては、以下が挙げられる:
・ DNA(Thie et al.,Methods Mol.Biol.525:309-322,2009)又はRNA(Kopsidas et al.,Immunol.Lett.107:163-168,2006;Kopsidas et al.BMC Biotechnology,7:18,2007;及び国際公開第1999/058661号)の変異誘発;
・ ポリペプチドをコードしている核酸の変異誘発細胞、例えばXL-1Red、XL-mutS、及びXL-mutS-Kanr細菌細胞(Stratagene)への導入;
・ 例えば、Stemmer,Nature 370:389-91,1994に開示されているDNAシャッフリング;及び
・ 例えば、Dieffenbach(ed)and Dveksler(ed)(In:PCR Primer:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratories,NY,1995)に記載されている部位特異的突然変異誘発。
【0214】
本発明の変異体抗原結合タンパク質の生物活性を決定するための例示的な方法は、例えば抗原結合等、当業者には明らかである及び/又は本明細書に記載される。例えば、抗原結合、結合の競合的阻害、親和性、会合、解離、及び治療有効性を決定する方法は、本明細書に記載される。
【0215】
本明細書で使用するとき、アミノ酸の特性は以下の表に定義される:
【0216】
【0217】
【0218】
定常領域
本発明は、抗体の定常領域を含む本明細書に記載の抗原結合タンパク質及び/又は抗体を包含する。これには、Fcに融合した抗体の抗原結合断片が含まれる。
【0219】
本発明のタンパク質を生産するのに有用な定常領域の配列は、多くの異なる供給源から得ることができる。幾つかの例では、タンパク質の定常領域又はその一部は、ヒト抗体由来である。定常領域又はその一部は、IgM、IgG、IgD、IgA、及びIgEを含む任意の抗体クラス、並びにIgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4を含む任意の抗体アイソタイプに由来し得る。一例では、定常領域は、ヒトアイソタイプIgG4又は安定化IgG4定常領域である。
【0220】
一例では、定常領域のFc領域は、例えばネイティブ又は野生型のヒトIgG1又はIgG3 Fc領域と比較して、エフェクター機能を誘導する能力が低下している。一例では、エフェクター機能は、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)及び/又は抗体依存性細胞媒介性貪食(ADCP)及び/又は補体依存性細胞傷害(CDC)である。Fc領域含有タンパク質のエフェクター機能のレベルを評価する方法は、当該技術分野で公知である及び/又は本明細書に記載されている。
【0221】
一例では、Fc領域は、IgG4 Fc領域(すなわち、IgG4定常領域から)、例えば、ヒトIgG4 Fc領域である。好適なIgG4 Fc領域の配列は、当業者には明らかである及び/又は一般に利用可能なデータベースで入手可能(例えば、National Center for Biotechnology Informationから入手可能)である。
【0222】
一例では、定常領域は、安定化されたIgG4定常領域である。「安定化されたIgG4定常領域」という用語は、Fabアーム交換又はFabアーム交換を受ける傾向又は半抗体の形成又は半抗体を形成する傾向が軽減するように改変されたIgG4定常領域を意味すると理解される。「Fabアーム交換」とは、IgG4重鎖及び結合した軽鎖(半分子)が別のIgG4分子からの重鎖-軽鎖対と交換される、ヒトIgG4のタンパク質改変の種類を指す。従って、IgG4分子は、2つの異なる抗原を認識する2つの異なるFabアームを獲得することができる(その結果、二重特異性分子が得られる)。Fabアームの交換は、インビボでは天然に生じ、インビトロでは精製血液細胞又は還元型グルタチオン等の還元剤によって誘導することができる。「半抗体」は、IgG4抗体が解離して、それぞれ1本の重鎖及び1本の軽鎖を含有する2つの分子を形成するときに形成される。
【0223】
一例では、安定化されたIgG4定常領域は、Kabatのシステム(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest Washington DC United States Department of Health and Human Services,1987 and/or 1991)に従ってヒンジ領域の241位にプロリンを含む。この位置は、EU付番システムに従ってヒンジ領域の228位に相当する(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest Washington DC United States Department of Health and Human Services,2001及びEdelman et al.,Proc.Natl.Acad.USA,63,78-85,1969)。ヒトIgG4では、この残基は一般にセリンである。セリンをプロリンに置換すると、IgG4ヒンジ領域は配列CPPCを含む。これに関して、当業者であれば、「ヒンジ領域」が、抗体の2つのFabアームに可動性を付与するFc領域とFab領域とを連結する抗体重鎖定常領域のプロリンリッチ部分であることを認識する。ヒンジ領域には、重鎖間ジスルフィド結合に関与するシステイン残基が含まれる。これは一般に、Kabatの付番システムに従ってヒトIgG1のGlu226からPro243まで及ぶと定義される。他のIgGアイソタイプのヒンジ領域は、重鎖間ジスルフィド(S-S)結合を形成する最初のシステイン残基及び最後のシステイン残基を同じ位置に配置することにより、IgG1配列と整列させることができる(例えば、国際公開第2010/080538号を参照)。
【0224】
安定化されたIgG4抗体の追加の例は、(EU付番システムに従って)ヒトIgG4の重鎖定常領域の409位のアルギニンが、リジン、スレオニン、メチオニン、又はロイシンで置換された抗体である(例えば、国際公開第2006/033386号に記載)。定常領域のFc領域は、更に又はあるいは、アラニン、バリン、グリシン、イソロイシン、及びロイシンからなる群から選択される残基を(EU付番システムに従って)405に対応する位置に含んでいてもよい。任意で、ヒンジ領域は、241位のプロリン(すなわち、CPPC配列)を含む(上記の通り)。
【0225】
別の例では、Fc領域は、エフェクター機能が低下するように改変された領域、すなわち「非免疫刺激性Fc領域」である。例えば、Fc領域は、268、309、330、及び331からなる群から選択される1つ以上の位置に置換を含むIgG1 Fc領域である。別の例では、Fc領域は、以下の変化:E233P、L234V、L235A、及びG236の欠失のうちの1つ以上並びに/又は以下の変化:A327G、A330S、及びP331Sのうちの1つ以上を含むIgG1 Fc領域である(Armour et al.,Eur J Immunol.29:2613-2624,1999;Shields et al.,J Biol Chem.276(9):6591-604,2001)。非免疫刺激性Fc領域の追加の例は、例えば、Dall’Acqua et al.,J Immunol.177:1129-1138 2006;及び/又はHezareh J Virol;75:12161-12168,2001)に記載されている。
【0226】
別の例では、Fc領域は、例えばIgG4抗体からの少なくとも1つのCH2ドメイン及びIgG1抗体からの少なくとも1つのCH3ドメインを含むキメラFc領域であり、該Fc領域は、240、262、264、266、297、299、307、309、323、399、409、及び427(EU付番)からなる群から選択される1つ以上のアミノ酸位置に置換を含む(例えば、国際公開第2010/085682号に記載)。例示的な置換としては、240F、262L、264T、266F、297Q、299A、299K、307P、309K、309M、309P、323F、399S、及び427Fが挙げられる。
【0227】
本明細書で使用するとき、例えば、配列番号60の234位、235位、又は331位と等価な位置のアミノ酸残基は、当業者に公知の任意の手段によって決定することができる。例えば、1つ以上の配列と配列番号60のアミノ酸配列とのアラインメントにより、当業者が、配列番号60の234位、235位、又は331位と等価な位置のアミノ酸を決定することが可能になる。当業者は、タンパク質の三次元構造を配列番号60のアミノ酸配列を有するタンパク質の三次元構造と比較し、配列番号60の234位、235位、又は331位と等価な位置にあるアミノ酸残基を決定することができる。
【0228】
抗体結合ドメイン含有タンパク質
別の実施形態では、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、及びFR4のうちの1つ以上を形成するアミノ酸配列が、ヒト配列に由来するか又はヒト配列の形態である、上記の抗原結合タンパク質が提供される。
【0229】
抗原結合タンパク質は、非ヒト(例えば、マウス)及びヒトの免疫グロブリン配列を含むヒト化形態で提示され得る。典型的には、抗原結合タンパク質のCDR配列以外は全て、マウス、ラット、又はウサギ等の非ヒト種由来である。場合によっては、抗原結合タンパク質のフレームワーク残基も非ヒトであってよい。抗原結合タンパク質が全抗体の形態で提供される場合、典型的には、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部はヒトであり、それによって様々なヒトエフェクター機能が可能となる。
【0230】
非ヒト抗原結合タンパク質をヒト化する方法は当技術分野で周知であり、好適なプロセスの例としては、Jones et al.,(1986)Nature,321 :522;Riechmann et al.,(1988)Nature,332:323;Verhoeyen et al.,(1988)Science,239:1534におけるプロセスが挙げられる。
【0231】
ヒト免疫グロブリン配列由来の抗体ライブラリを用いた本明細書に記載のファージディスプレイ法は、ヒト抗原結合タンパク質及びヒト抗体を作製するのに有用である。
【0232】
また、機能的な内因性免疫グロブリンを発現することはできないが、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現することはできるトランスジェニック哺乳類も使用できる。これらマウスは、ヒト重鎖及び軽鎖の免疫グロブリン遺伝子を胚幹細胞にランダム挿入又は標的挿入することによって作製することができる。宿主の重鎖及び軽鎖の免疫グロブリン遺伝子は、挿入によって又は幾つかの他の組換え事象によって、例えば宿主JH領域のホモ接合性欠失によって機能しないようにすることができる。トランスフェクトされた胚幹細胞を増幅させ、胚盤胞に微量注入してキメラマウスを生産し、次いで、飼育してヒト抗原結合タンパク質を発現するホモ接合体の後代を生産する。CCR6エピトープで免疫した後、ヒトモノクローナル抗体を得ることができる。トランスジェニック動物系の利点の一つは、ヒト免疫グロブリンの導入遺伝子がB細胞分化中に再編成され、その後、トランスジェニックマウスでクラススイッチ及び体細胞変異を受けるため、治療的に有用なアイソタイプを生産できることである。
【0233】
本発明のCDR及びFRを含む可変ドメインは、抗体を免疫系に自己であると思わせるように表面に露出した残基が置換されることにより免疫原性が低下させられていてもよい。Padlan,E.A.,1991,MoI.Immunol.28,489に例示的な方法が提供されている。一般に、抗原結合タンパク質近傍のアミノ酸残基の内部充填は変化しないままなので親和性は保持され、一般に、結合特性に影響を与えるCDR残基又は隣接残基はこれらプロセスでは置換されない。
【0234】
別の実施形態では、好ましくは表1~6のいずれか1つに示される配列を有する、本明細書に記載の抗CCR6抗原結合タンパク質、免疫グロブリン可変ドメイン、抗体、dab、scFv、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv断片、ダイアボディ、トリアボディ、線状抗体、一本鎖抗体分子、又は多重特異性抗体が提供される。
【0235】
低分子量抗体断片は、全抗体と比較して固形腫瘍へのアクセスが改善され、より迅速にクリアランスされる可能性があり、これは、治療及びインビボ診断の適用において特に有用であり得る。
【0236】
特定の実施形態では、抗原結合タンパク質は、一本鎖Fv断片(scFv)の形態で提供される。Fv及びscFvは、定常領域を欠くインタクトな結合部位を有するので、インビボでの使用中の非特異的結合を低減するのに好適である。scFvを含む融合タンパク質は、scFvのアミノ末端又はカルボキシ末端のいずれかにエフェクタータンパク質が融合するように構築してよい。
【0237】
別の実施形態では、上記の抗原結合タンパク質を含むダイアボディ、又はトリアボディ、又は他の多重特異性抗体が提供される。多重特異性抗体は、多量体化を可能にするポリペプチドドメインを用いて組み立てることができる。例としては、FcのCH2領域及びCH3領域、並びにCH1領域及びCカッパ/ラムダ領域が挙げられる。ロイシンジッパードメイン(bZIP)、ヘリックス-ループ-ヘリックスモチーフ、Src相同性ドメイン(SH2、SH3)、EFハンド、ホスホチロシン結合(PTB)ドメイン、又は当該技術分野で公知の他のドメインを含む、他の天然に存在する他のタンパク質多量体化ドメインを使用してもよい。
【0238】
別の実施形態では、本明細書に記載の抗原結合タンパク質、免疫グロブリン可変ドメイン、抗体、dab、scFv、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv断片、ダイアボディ、トリアボディ、線状抗体、一本鎖抗体分子、又は多重特異性抗体を含む融合ドメイン又は異種タンパク質が提供される。
【0239】
異種ポリペプチドは、本発明の抗原結合タンパク質又はそれを含む分子のN末端又はC末端に組換え的に融合又は化学的に共役させることができる。
【0240】
抗体又は抗原結合タンパク質が融合した異種ポリペプチドは、CCR6発現細胞を標的とするのに、又は精製若しくはポリペプチドのインビボ半減期の増加等の幾つかの他の機能に、又は当技術分野で公知の方法を用いたイムノアッセイで使用するのに有用であり得る。
【0241】
好ましい実施形態では、ヘキサ-ヒスチジンペプチド等のマーカーアミノ酸配列が、融合タンパク質の簡便な精製に有用である。他には、インフルエンザ血球凝集素タンパク質由来のエピトープに対応する「HA」タグ及び「flag」タグ等があるが、これらに限定されない。
【0242】
更に、本発明の抗原結合タンパク質、免疫グロブリン可変ドメイン、抗体、dab、scFv、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv断片、ダイアボディ、トリアボディ、線状抗体、一本鎖抗体分子、又は多重特異的抗体は、グリコシル化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、アミド化、公知の保護基/ブロック基による誘導体化、タンパク質分解的切断、細胞リガンド又は他のタンパク質への連結等によって修飾することができる。
【0243】
本発明の抗原結合タンパク質は、ペプチド結合又は修飾ペプチド結合、すなわちペプチドアイソスターによって互いに接合されたアミノ酸で構成され得、20種の遺伝子にコードされたアミノ酸以外のアミノ酸を含有していてもよい。本発明の抗原結合タンパク質は、翻訳後プロセシング等の天然のプロセス又は当技術分野で周知の化学的修飾技術によって修飾され得る。このような修飾は、研究文献だけでなく、基本書にも十分に説明されている。修飾は、ペプチド骨格、アミノ酸側鎖、及びアミノ末端若しくはカルボキシル末端、又は炭水化物等の部分を含む抗原結合タンパク質のいずれの箇所でも起こり得る。所与の抗原結合タンパク質中の幾つかのタンパク質に同じ種類の修飾が同程度又は様々な程度で存在し得ることが理解される。また、所与の抗原結合タンパク質は、多くの種類の修飾を含有していてもよい。抗原結合タンパク質は、例えばユビキチン化の結果として分岐していてもよく、分岐を有する又は有しない環状であってもよい。環状、分岐状、及び分岐環状の抗原結合タンパク質は、翻訳後の天然のプロセスから生じることもあり、合成法によって作製することもできる。修飾としては、アセチル化、アシル化、ADP-リボシル化、アミド化、フラビンの共有結合、ヘム部分の共有結合、ヌクレオチド又はヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質又は脂質誘導体の共有結合、ホスホチジルイノシトールの共有結合、架橋、環化、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有結合的架橋の形成、システインの形成、ピログルタミン酸の形成、ホルミル化、γ-カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカーの形成、ヒドロキシル化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、ペグ化、タンパク質分解的プロセシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化、硫酸化、アルギニル化等の転移RNAが媒介するアミノ酸のタンパク質への付加、及びユビキチン化が挙げられる。
【0244】
別の実施形態では、化学治療剤、薬物、成長阻害剤、毒素(例えば、細菌、真菌、植物、若しくは動物起源の酵素的に活性な毒素、又はその断片)等の細胞毒性剤又は放射性同位体等の標識(すなわち、放射性コンジュゲート)にコンジュゲートした、上記の抗原結合タンパク質、免疫グロブリン可変ドメイン、抗体、Fab、dab、scFv、ダイアボディ、トリアボディ、又は融合タンパク質の形態のコンジュゲートが提供される。別の態様では、本発明は更に、免疫複合体を使用する方法を提供する。一態様では、免疫複合体は、細胞毒性剤又は検出可能な剤に共有結合的に結合した上記の可変ドメインのいずれかを含む。
【0245】
別の実施形態では、上記の抗原結合タンパク質、免疫グロブリン可変ドメイン、抗体、dab、scFv、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv断片、ダイアボディ、トリアボディ、線状抗体、一本鎖抗体分子、又は多重特異性抗体、融合タンパク質、又はコンジュゲートに結合させるための抗体が提供される。
【0246】
別の実施形態では、上記の抗原結合タンパク質、免疫グロブリン可変ドメイン、抗体、dab、scFv、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv断片、ダイアボディ、トリアボディ、線状抗体、一本鎖抗体分子、又は多重特異性抗体、融合タンパク質、又はコンジュゲートをコードしている核酸が提供される。
【0247】
上記の一般式のいずれか1つに係るCDR又はFRをコードしているポリヌクレオチド又はそれで構成される抗原結合タンパク質は、例えば、化学合成又はcDNA若しくはゲノムのライブラリから単離することによって任意の供給源からの核酸から作製することができる。例えば、B細胞、形質細胞、又はハイブリドーマ細胞等の抗体生産細胞及び対象となる特定のクローンに対するオリゴヌクレオチドを用いたPCR増幅によって単離された関連核酸からcDNAライブラリを作製することができる。単離された核酸は、当技術分野で公知の任意の方法を用いてベクターにクローニングすることができる。次いで、当技術分野において公知の方法、例えば、組換えDNA技術、部位特異的変異誘発、PCR等を用いて関連するヌクレオチド配列を変異誘発して(例えば、Sambrook et al.,1990,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,2d Ed.,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,N.Y.and Ausubel et al.,eds.,1998,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,NYに記載されている技術を参照)、例えばアミノ酸の置換、欠失、及び/又は挿入を作成するために、異なるアミノ酸配列を有する抗原結合タンパク質を作成する。
【0248】
タンパク質の生産
別の実施形態では、上記の細胞又は非ヒト動物において上記の核酸を発現させることを含む、上記の抗CCR6抗原結合タンパク質を生産する方法が提供される。
【0249】
本発明の抗原結合タンパク質の生産には、一般に、本発明の抗原結合タンパク質をコードしているポリヌクレオチドを含有する発現ベクターが必要である。本発明の抗原結合タンパク質をコードしているポリヌクレオチドは、本明細書に記載される技術を含む当技術分野で周知の技術を用いる組換えDNA技術によって得られ、抗原結合タンパク質を生産するためのベクターにサブクローニングされ得る。抗原結合タンパク質の生産及び分泌のための、ヒト細胞を含む哺乳類細胞の使用を含む多くの異なる発現系が企図される。細胞の例としては、293F、CHO、及びNSOの細胞株が挙げられる。
【0250】
タンパク質をコードしている配列並びに適切な転写及び翻訳の制御シグナルを含む発現ベクターは、当技術分野で公知の方法を用いて構築することができる。これらは、インビトロ組み換えDNA技術、合成技術、及びインビボ遺伝子組み換えを含む。特定の実施形態では、プロモータに動作可能に連結された抗原結合タンパク質をコードしている核酸を有する複製可能なベクターが提供される。
【0251】
抗原結合タンパク質を生産するために、発現ベクターがトランスフェクトされた細胞を従来の技術によって培養してよい。従って、特定の実施形態では、プロモータに動作可能に連結された本発明の抗原結合タンパク質をコードしているポリヌクレオチドを含む宿主細胞又は細胞トランスフェクタントが提供される。プロモータは、異種であってもよい。様々な宿主発現ベクター系を利用することができ、特定の系では、ベクター系の転写機構は宿主細胞に特に適合している。例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)等の哺乳類細胞に、ヒトサイトメガロウイルス由来の主な前初期遺伝子プロモータエレメントを含むベクターをトランスフェクトしてよい。更に又はあるいは、挿入された配列の発現を調節する又は遺伝子産物を必要に応じて修飾及びプロセシングする(様々な形態の翻訳後修飾を含む)宿主細胞を用いてもよい。特定の翻訳後修飾プロセスを有する哺乳類宿主細胞の例としては、CHO、VERY、BHK、HeIa、COS、MDCK、293、3T3、W138、BT483、Hs578T、HTB2、BT2O、及びT47D、NSO、CRL7O3O、及びHsS78Bstの細胞が挙げられる。
【0252】
タンパク質分子の意図される使用に応じて、多数の細菌発現ベクターが有利に選択され得る。一例として、抗原結合タンパク質を大量に生産したい場合は、大腸菌発現ベクターpUR278等の容易に精製される高レベルの融合タンパク質産物を発現させるベクターを使用することができる。発現産物は、lacZとの融合タンパク質の形態で生産されてもよい。他の細菌ベクターとしては、pINベクター等が挙げられる。pGEXベクターを使用して、外来ポリペプチドをグルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として発現させることもできる。これら融合タンパク質は一般に可溶性であり、グルタチオン-アガロース親和性マトリックスに吸着及び結合させ、続いて、遊離グルタチオンの存在下で溶出させることにより、溶解した細胞から容易に精製することができる。クローニングされた標的遺伝子産物をGST部分から放出させることができるように、発現するポリペプチドにトロンビン及び/又は第Xa因子プロテアーゼ切断部位を設けてもよい。
【0253】
オートグラファ・カリフォルニカ(Autographa californica)核多角体ウイルス(AcNPV)は、ヨトウガ(Spodoptera frugiperda)細胞を含む昆虫系で外来遺伝子を発現させるためのベクターとして使用することができる。使用される具体的なプロモータは、タンパク質のコードがどの配列に挿入されるかに依存し得る。例えば、この配列をポリヘドリン遺伝子に個別にクローニングし、ポリヘドリンプロモータの制御下に置いてよい。
【0254】
アデノウイルス等のウイルスベースの発現系を哺乳類細胞で利用してもよく、それにより、対象となるコード配列はアデノウイルス後期プロモータ及びトリパータイトリーダー配列にライゲーションされ得る。次いで、インビトロ又はインビボ組換えを用いて、このキメラ遺伝子をアデノウイルスゲノムに挿入することができる。領域E1又はE3に挿入すると、感染した宿主細胞で抗原結合タンパク質を発現することができる生存可能な組換えウイルスが得られる。挿入された抗原結合タンパク質コード配列の効率的な翻訳には、ATG開始コドン及び隣接配列を含む特定の開始シグナルが必要になる場合がある。開始及び翻訳制御シグナル並びにコドンは、天然及び合成の両方の様々な起源から得ることができる。転写エンハンサエレメント及び転写ターミネーターを使用して、ウイルスベースの系の発現効率を高めることもできる。
【0255】
組換えタンパク質を長期間高収量で生産することが必要な場合は、安定な発現が好ましい。一般に、選択マーカー遺伝子を使用し、それにより、トランスフェクション後、細胞を濃縮培地で1~2日間成長させ、次いで、対応する選択マーカー、例えば抗生物質耐性を含有する細胞をスクリーニングすることができる選択培地を含有する培地に移す。その結果、プラスミドが染色体に安定的に組み込まれた細胞は成長し、フォーカスを形成し、次に、これをクローニングし、増幅させて、細胞株にすることができる。単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼ、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ、及びアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼの遺伝子は、それぞれtk細胞、hgprt細胞、又はaprT細胞で採用することができる遺伝子の例であり、それによって、適切な選択系が提供される。以下の遺伝子:メトトレキサートに対する耐性を付与するdhfr、ミコフェノール酸に対する耐性を付与するgpt、アミノグリコシドG-418に対する耐性を付与するneo、及びハイグロマイシンに対する耐性を付与するhygroは、抗代謝物選択系において使用することができる遺伝子の例である。
【0256】
本発明の抗原結合タンパク質は、イオン交換クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー(特に、特異的抗原であるプロテインA又はプロテインGに対する親和性)、及びゲル濾過カラムクロマトグラフィー)、遠心分離、示差溶解、又はタンパク質を精製するための任意の他の標準的な技術を含む公知の方法によって、組換え発現系により精製され得る。抗原結合タンパク質を融合タンパク質の形態で提供することによって、精製を促進又は支援することができる。
【0257】
分析スケールのバイオリアクター(典型的には、5L~約50Lのバイオリアクター)又は生産スケールのバイオリアクター(例えば、75L、100L、150L、300L、又は500Lであるがこれらに限定されない)にスケールアップされる研究室におけるパイロット発現系で始まるスケーラブルなプロセスによって、大量の本発明の抗原結合タンパク質を生産することができる。望ましいスケーラブルなプロセスとしては、HPSEC又はrCGEによって測定したときに低レベル~検出不可能なレベルの凝集、典型的にはタンパク質の5重量%以下の凝集からタンパク質の0.5重量%以下の凝集しか存在しないものが挙げられる。更に又はあるいは、総ピーク面積の少なくとも80%、更には99.5%又はそれ以上もがインタクトな抗原結合タンパク質となるように、インタクトな抗原結合タンパク質を表す総ピーク面積の観点で検出不可能なレベルの断片化が測定されることが、スケーラブルなプロセスでは望ましい場合がある。他の実施形態では、本発明のスケーラブルなプロセスは、約10mg/Lから約300mg/L又はそれ以上の生産効率で抗原結合タンパク質を生産する。
【0258】
インタクトな抗体のタンパク質分解的消化及び宿主細胞における組換え発現を含む様々な技術が、抗体断片の生産のために開発されている。後者に関しては、下記の通り、Fab、Fv、及びscFvの抗体断片は全て、大腸菌で発現させ、大腸菌から分泌させることができ、抗体断片は、抗体ファージライブラリから単離することができ、Fab’-SH断片は、大腸菌から直接回収し、化学的に結合させて、F(ab’)2断片を形成させることができる。別のアプローチでは、組換え宿主細胞培養物からF(ab’)2断片を直接単離する。
【0259】
別の実施形態では、上記の核酸を含むベクターが提供される。ベクターは、例えば、プラスミド、コスミド、ウイルス粒子、ファージの形態であってよい。様々な手順で適切な核酸配列をベクターに挿入することができる。一般に、DNAは、当技術分野で公知の技術を用いて適切な制限エンドヌクレアーゼ部位(複数可)に挿入される。ベクター構成要素には、一般に、シグナル配列、複製起点、1つ以上のマーカー遺伝子、エンハンサエレメント、プロモータ、及び転写終結配列のうちの1つ以上が含まれるが、これらに限定されない。これら構成要素のうちの1つ以上を含有する好適なベクターの構築には、当業者に公知の標準的なライゲーション技術が採用される。
【0260】
抗原結合部位は、直接だけでなく、シグナル配列又は成熟タンパク質若しくはポリペプチドのN末端に特異的切断部位を有する他のポリペプチドであってよい異種ポリペプチドとの融合ポリペプチドとしても組換え的に生産することができる。一般に、シグナル配列は、ベクターの構成要素であってもよく、ベクターに挿入される抗原結合部位をコードしているDNAの一部であってもよい。シグナル配列は、例えば、アルカリホスファターゼ、ペニシリナーゼ、lpp、又は熱安定性エンテロトキシンIIリーダーの群から選択される原核生物のシグナル配列であってよい。酵母分泌の場合、シグナル配列は、例えば、酵母インベルターゼリーダー、α因子リーダー、又は酸性ホスファターゼリーダー、又はカンジダ・アルビカンス(C.albicans)グルコアミラーゼリーダーであってよい。哺乳類細胞の発現では、哺乳類シグナル配列を使用して、例えば、同種又は近縁種の分泌ポリペプチドからのシグナル配列並びにウイルスの分泌リーダー等のタンパク質の分泌を指示することができる。
【0261】
本発明の抗原結合タンパク質のポリペプチド構成要素をコードしているポリヌクレオチド配列は、上記の標準的な組換え技術を用いて得ることができる。ポリヌクレオチドは、ヌクレオチドシンセサイザー又はPCR技術を用いて合成することができる。ポリペプチドをコードしている配列が得られたら、原核生物宿主において異種ポリヌクレオチドを複製及び発現することができる組換えベクターに挿入する。入手可能でありかつ当技術分野で公知の多くのベクターを本発明の目的に使用することができる。適切なベクターの選択は、ベクターに挿入される核酸のサイズ及びベクターで形質転換される具体的な宿主細胞に主に依存する。各ベクターは、その機能(異種ポリヌクレオチドの増幅若しくは発現、又はその両方)及びそれが存在する具体的な宿主細胞との適合性に応じて様々な構成要素を含有する。
【0262】
一般に、宿主細胞と適合性のある種に由来するレプリコン及び制御配列を含有するプラスミドベクターが、これら宿主に関連して使用される。発現ベクター及びクローニングベクターはいずれも、ベクターが1つ以上の選択された宿主細胞で複製することを可能にする核酸配列並びに形質転換細胞で表現型選択を行うことを可能にするマーキング配列を含有する。このような配列は、様々な細菌、酵母、及びウイルスについて周知である。アンピシリン(Amp)及びテトラサイクリン(Tet)耐性をコードしている遺伝子を含むので、形質転換細胞を同定するための容易な手段を提供するプラスミドpBR322からの複製起点は、ほとんどのグラム陰性細菌に好適であり、2μmプラスミド起点は酵母に好適であり、種々のウイルス起点(SV40、ポリオーマ、アデノウイルス、VSV、又はBPV)は哺乳類細胞におけるクローニングベクターに有用である。pBR322、その誘導体、又は他の微生物プラスミド若しくはバクテリオファージは、内在性タンパク質を発現させるために微生物生物によって使用され得るプロモータを含有していてもよく、又は含有するように改変されていてもよい。
【0263】
更に、宿主微生物に適合するレプリコン配列及び制御配列を含むファージベクターは、これら宿主に関連して形質転換ベクターとして使用することができる。例えば、λGEM.TM.-11等のバクテリオファージは、大腸菌LE392等の感受性宿主細胞を形質転換するために使用することができる組換えベクターの作製に利用することができる。
【0264】
本発明の発現ベクターは、2つ以上のプロモータ-シストロン(シストロンとは、単一のポリペプチドを生産するための全ての情報を含むDNAのセグメントである)対を含み得る。プロモータとは、シストロンの上流(5’)に位置し、その発現を調節する非翻訳制御配列である。原核生物のプロモータは、典型的には、誘導性及び構成性の2つの種類に分類される。誘導性プロモータとは、培養条件の変化、例えば栄養素の有無又は温度変化に応答して、その制御下にあるシストロンの転写レベルの上昇を開始させるプロモータである。
【0265】
種々の有望な宿主細胞によって認識される多数のプロモータが周知である。制限酵素消化を介してソースDNAからプロモータを除去し、単離されたプロモータ配列を本発明のベクターに挿入することによって、軽鎖又は重鎖をコードしているシストロンDNAに選択されたプロモータを動作可能に連結させることができる。標的遺伝子の増幅及び/又は発現を指示するために、ネイティブプロモータ配列及び多くの異種プロモータの両方を使用することができる。幾つかの実施形態では、異種プロモータが利用されるが、その理由は、一般に、異種プロモータは、ネイティブな標的ポリペプチドプロモータと比較して標的遺伝子をよく多く転写させ、より高収量で発現させることができるためである。
【0266】
種々の有望な宿主細胞によって認識されるプロモータは周知である。原核生物宿主と共に使用するのに好適なプロモータとしては、PhoAプロモータ、β-ガラクタマーゼ及びラクトースプロモータ系、アルカリホスファターゼ、トリプトファン(trp)プロモータ系、並びにtac又はtrcプロモータ等のハイブリッドプロモータが挙げられる。細菌系で使用するためのプロモータは、本発明の抗原結合タンパク質をコードしているDNAに動作可能に連結されたシャイン・ダルガーノ(S.D.)配列も含む。しかし、細菌で機能する他のプロモータ(他の公知の細菌又はファージプロモータ等)も同様に好適である。これらのヌクレオチド配列は公開されているので、当業者であれば、リンカー又はアダプターを用いて標的の軽鎖及び重鎖をコードしているシストロンにこれらを動作可能にライゲーションさせて、任意の必要な制限部位を供給することができる。
【0267】
本発明の一態様では、組換えベクター内の各シストロンは、発現したポリペプチドの膜を横切る移行を指示する分泌シグナル配列構成要素を含む。一般に、シグナル配列は、ベクターの構成要素であってもよく、ベクターに挿入される標的ポリペプチドDNAの一部であってもよい。本発明の目的のために選択されるシグナル配列は、宿主細胞によって認識され、プロセシングされる(すなわち、シグナルペプチダーゼによって切断される)ものでなければならない。異種ポリペプチドに対してネイティブなシグナル配列を認識せず、プロセシングしない原核宿主細胞の場合、シグナル配列は、例えば、アルカリホスファターゼ、ペニシリナーゼ、Ipp、又は熱安定性エンテロトキシンII(STII)リーダー、LamB、PhoE、PeIB、OmpA、及びMBPからなる群から選択される原核シグナル配列によって置換される。本発明の一実施形態では、発現系の両シストロンで使用されるシグナル配列は、STIIシグナル配列又はそのバリアントである。
【0268】
別の態様では、本発明に係る免疫グロブリンの生産は宿主細胞の細胞質で起こり得るので、各シストロン内に分泌シグナル配列が存在する必要はない。これに関して、免疫グロブリンの軽鎖及び重鎖は、発現し、折り畳まれ、組み立てられて、細胞質内で機能する免疫グロブリンを形成する。特定の宿主株(例えば、大腸菌trxB株)は、ジスルフィド結合形成に好都合な細胞質条件を提供し、それによって、発現されたタンパク質サブユニットの適切な折り畳み及び組み立てを可能にする。
【0269】
本発明は、分泌され、適切に組み立てられた本発明の抗原結合タンパク質の収量を最大にするために、発現したポリペプチド構成要素の量的比率を調節することができる発現系を提供する。このような調節は、少なくとも部分的には、ポリペプチド構成要素の翻訳強度を同時に調節することによって達成される。
【0270】
真核宿主細胞における発現に関して、ベクター構成要素には、一般に、シグナル配列、複製起点、1つ以上のマーカー遺伝子、エンハンサエレメント、プロモータ、及び転写終結配列のうちの1つ以上が含まれるが、これらに限定されない。
【0271】
真核宿主細胞で使用するためのベクターは、シグナル配列又は対象となる成熟タンパク質若しくはポリペプチドのN末端に特異的切断部位を有する他のポリペプチドを含有していてもよい。選択される異種シグナル配列は、好ましくは、宿主細胞によって認識され、プロセシングされる{すなわち、シグナルペプチダーゼによって切断される)ものである。哺乳類細胞の発現では、哺乳類シグナル配列並びにウイルス分泌リーダー、例えば単純ヘルペスgDシグナルが利用可能である。
【0272】
このような前駆体領域のDNAは、抗体をコードしているDNAにリーディングフレームでライゲーションされる。
【0273】
一般に、哺乳類の発現ベクターに複製起点構成要素は必要ない。例えば、SV40起点は、典型的には、初期プロモータを含有するという理由だけで使用されることがある。
【0274】
発現ベクター及びクローニングベクターは、典型的には、選択マーカーとも呼ばれる選択遺伝子を含有する。典型的な選択遺伝子は、(a)抗生物質又は他の毒素、例えば、アンピシリン、ネオマイシン、メトトレキサート、若しくはテトラサイクリン等に対する耐性を付与する、(b)栄養要求性欠損を補完する、又は(c)複合培地からは入手できない重要な栄養素を供給するタンパク質をコードしており、例えばバチルス綱(Bacilli)のD-アラニンラセマーゼをコードしている遺伝子である。
【0275】
選択スキームの一例は、宿主細胞の成長を阻止する薬物を利用する。異種遺伝子による形質転換が成功した細胞は、薬物耐性を付与するタンパク質を生産するので、選択レジメンで生き残る。このような優性選択の例では、ネオマイシン、ミコフェノール酸、及びハイグロマイシン等の薬物を使用する。
【0276】
哺乳類細胞に好適な選択マーカーの例は、抗原結合タンパク質をコードしている核酸を取り込む能力のある細胞の同定を可能にするもの、例えば、DHFR又はチミジンキナーゼ、メタロチオネイン-I及び-II、好ましくは霊長類のメタロチオネイン遺伝子、アデノシンデアミナーゼ、オルニチンデカルボキシラーゼ等である。野生型DHFRを採用した場合の適切な宿主細胞は、調製され、増殖したDHFR活性が欠損しているCHO細胞株(例えば、ATCC CRL-9096)である。例えば、DHFR選択遺伝子で形質転換された細胞は、まずDHFRの競合的アンタゴニストであるメトトレキサート(Mtx)を含有する培養培地中で形質転換体全てを培養することによって同定される。あるいは、アミノグリコシド系抗生物質、例えばカナマイシン、ネオマイシン、又はG418等の選択マーカーに対する選択剤を含有する培地中で細胞を成長させることによって、抗体、野生型DHFRタンパク質、及びアミノグリコシド3’-ホスホトランスフェラーゼ(APH)等の別の選択マーカーをコードしているDNA配列で形質転換又は共形質転換された宿主細胞(特に内因性DHFRを含有する野生型宿主)を選択することもできる。
【0277】
発現ベクター及びクローニングベクターは、通常、mRNA合成を指示するために、核酸配列をコードしている抗原結合タンパク質に動作可能に連結されたプロモータを含有する。種々の有望な宿主細胞に認識されるプロモータは周知である。
【0278】
真核生物遺伝子は、一般に、転写が開始される部位から約25~30塩基上流に位置するATリッチ領域を有する。多くの遺伝子の転写開始点から70~80塩基上流に見られる別の配列は、CNCAAT領域(Nは、任意のヌクレオチドであってよい)である。ほとんどの真核生物遺伝子の3’末端には、コード配列の3’末端にポリAテールを付加するためのシグナルとなり得るAATAAA配列がある。これら配列は全て、真核生物の発現ベクターに好適に挿入される。
【0279】
酵母宿主と共に使用するのに好適な促進配列の例としては、3-ホスホグリセレートキナーゼ、又はエノラーゼ、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース-6-リン酸イソメラーゼ、3-ホスホグリセリン酸ムターゼ、ピルビン酸キナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼ、及びグルコキナーゼを含む他の糖分解酵素のためのプロモータが挙げられる。
【0280】
成長条件によって転写が制御されるという追加の利点を有する誘導性プロモータである他の酵母プロモータは、アルコールデヒドロゲナーゼ2、イソシトクロムC、酸性ホスファターゼ、窒素代謝に関連する分解酵素、メタロチオネイン、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ、並びにマルトース及びガラクトースの利用に関与する酵素のプロモータ領域である。
【0281】
哺乳類宿主細胞におけるベクターからの抗原結合タンパク質の転写は、宿主細胞系に適合する限り、例えば、ポリオーマウイルス、鶏痘ウイルス、アデノウイルス(アデノウイルス2等)、ウシパピローマウイルス、トリ肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルス及びシミアンウイルス40(SV40)等のウイルスゲノムから、異種哺乳類プロモータ、例えば、アクチンプロモータ又は免疫グロブリンプロモータから、及び熱ショックプロモータから得られるプロモータによって制御される。
【0282】
抗原結合タンパク質をコードしているDNAの高等真核生物による転写は、エンハンサ配列をベクターに挿入することによって増加させることができる。エンハンサ配列としては、哺乳類遺伝子(グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α-フェトプロテイン、及びインスリン)から知られているものが挙げられる。しかし、典型的には、真核細胞ウイルス由来のエンハンサが使用される。例としては、複製起点の後期側にあるSV40エンハンサ(bp100-270)、サイトメガロウイルス初期プロモータエンハンサ、複製起点の後期側にあるポリオーマエンハンサ、及びアデノウイルスエンハンサが挙げられる。
【0283】
真核宿主細胞(酵母、真菌、昆虫、植物、動物、ヒト、又は他の多細胞生物からの有核細胞)で使用される発現ベクターは、転写の終結及びmRNAの安定化に必要な配列も含む。このような配列は、真核生物又はウイルスのDNA又はcDNAの5’、時には3’の非翻訳領域から一般に入手可能である。これら領域は、抗原結合タンパク質をコードしているmRNAの非翻訳部分にポリアデニル化断片として転写されるヌクレオチドセグメントを含有する。
【0284】
別の実施形態では、上記のベクター又は核酸を含む細胞が提供される。核酸分子又はベクターは、ゲノム外の独立した分子として、好ましくは複製可能な分子として遺伝的に改変された宿主細胞若しくは宿主中に存在してもよく、又は宿主細胞若しくは宿主のゲノムに安定的に組み込まれてもよい。
【0285】
本発明の宿主細胞は、任意の原核細胞又は真核細胞であってよい。
【0286】
原核細胞の例は、大腸菌(E.coli)又は枯草菌(Bacillus subtilis)のようなクローニングに一般的に使用されるものである。更に、真核細胞は、例えば、真菌細胞又は動物細胞を含む。
【0287】
好適な真菌細胞の例は、酵母細胞、好ましくは、サッカロミセス(Saccharomyces)属の細胞、最も好ましくはサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)種の細胞である。
【0288】
動物細胞の例は、例えば、昆虫細胞、脊椎動物細胞、好ましくは哺乳類細胞、例えば、HEK293、NSO、CHO、MDCK、U2-OS、Hela、NIH3T3、MOLT-4、Jurkat、PC-12、PC-3、IMR、NT2N、Sk-n-sh、CaSki、C33Aである。これら宿主細胞、例えばCHO細胞は、リーダーペプチドの除去、H鎖(重鎖)及びL鎖(軽鎖)の折り畳み及び組み立て、分子の正しい側のグリコシル化、並びに機能性分子の分泌を含む、本発明の抗体分子に対する翻訳後修飾を提供することができる。
【0289】
当該技術分野で公知の更なる好適な細胞株は、American Type Culture Collection(ATCC)のような細胞株寄託機関から入手可能である。
【0290】
別の実施形態では、上記の細胞を含む動物が提供される。特定の実施形態では、導入遺伝子を含有する動物及びその組織は、本発明の抗原結合タンパク質の生産において有用である。核酸分子を導入遺伝子として非ヒト宿主に導入し、その後に発現させることが、抗原結合タンパク質の生産のために採用され得るが、例えば、このような導入遺伝子をトランスジェニック動物の乳汁中で発現させることは、抗原結合タンパク質を定量的な量で得る手段を提供する。これに関して有用な導入遺伝子は、本発明の核酸分子、例えばカゼイン又はβ-ラクトグロブリンのような乳腺特異的遺伝子からのプロモータ及び/又はエンハンサ構造に動作可能に連結された、本明細書に記載の抗原結合タンパク質のコード配列を含む。動物は、非ヒト哺乳類であってよく、最も好ましくは、マウス、ラット、ヒツジ、子ウシ、イヌ、サル、又は類人猿である。
【0291】
組成物
幾つかの例では、本明細書に記載の抗原結合タンパク質は、経口、非経口、吸入噴霧、吸着、吸収、局所、直腸、鼻腔、頬側、膣、脳室内、従来の非毒性の薬学的に許容し得る担体を含有する剤形中の移植リザーバを介して、又は任意の他の便利な剤形によって投与することができる。「非経口」という用語は、本明細書で使用するとき、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、髄腔内、脳室内、胸骨内、及び頭蓋内への注射又は注入技術を含む。
【0292】
抗原結合タンパク質を対象への投与に好適な形態(例えば、医薬組成物)に調製する方法は、当技術分野で公知であり、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences(18th ed.,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,1990)及びU.S.Pharmacopeia:National Formulary(Mack Publishing Company,Easton,Pa.,1984)に記載の方法が挙げられる。
【0293】
本発明の医薬組成物は、静脈投与あるいは体腔又は器官若しくは関節の内腔への投与等の非経口投与に特に有用である。投与用組成物は、一般に、薬学的に許容し得る担体、例えば水性担体に溶解した抗原結合タンパク質の溶液を含む。種々の水性担体、例えば緩衝生理食塩水等を使用することができる。組成物は、pH調整剤及び緩衝剤、毒性調整剤等の生理学的条件に近似させるために必要な薬学的に許容し得る補助物質、例えば酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、乳酸ナトリウム等を含有していてもよい。これら製剤中の本発明の抗原結合タンパク質の濃度は大きく変動し得、選択される具体的な投与方法及び患者の要求に従って主に流体体積、粘度、体重等に基づいて選択される。例示的な担体としては、水、生理食塩水、リンゲル液、デキストロース溶液、及び5%ヒト血清アルブミンが挙げられる。混合油及びオレイン酸エチル等の非水性ビヒクルを使用することもできる。リポソームを担体として用いてもよい。ビヒクルは、等張性及び化学的安定性を高める微量の添加剤、例えばバッファ及び防腐剤を含有する場合もある。
【0294】
製剤化する際、本発明の抗原結合タンパク質は、剤形に適合するように、そして、治療的に/予防的に有効な量で投与される。製剤は、上記の注射液の種類等の種々の剤形で容易に投与されるが、他の薬学的に許容し得る形態、例えば経口投与のための錠剤、丸剤、カプセル剤、又は他の固体、坐剤、腟坐剤、点鼻液又はスプレー、エアロゾル、吸入剤、リポソーム形態等も企図される。医薬用の「徐放性」カプセル剤又は組成物を使用することもできる。徐放性製剤は、一般に、長期間にわたって一定の薬物レベルを与えるように設計され、本発明の抗原結合タンパク質を送達するために使用することができる。
【0295】
国際公開第2002/080967号には、例えば喘息を治療するための抗体を含むエアロゾル化組成物を投与するための組成物及び方法が記載されており、これらは本発明の抗原結合タンパク質の投与にも好適である。
【0296】
別の実施形態では、上記の抗原結合タンパク質、免疫グロブリン可変ドメイン、抗体、dab、scFv、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv断片、ダイアボディ、トリアボディ、線状抗体、一本鎖抗体分子、又は多重特異性抗体、融合タンパク質、又はコンジュゲートと、薬学的に許容し得る担体、希釈剤、又は賦形剤とを含む医薬組成物が提供される。
【0297】
本発明はヒトで適用されるが、獣医学的診断又は治療目的にも有用である。本発明は、ウシ、ヒツジ、ウマ、及び家禽等の飼育動物又は家畜;ネコ及びイヌ等のコンパニオンアニマル;並びに動物園の動物に有用である。
【0298】
その抗原結合タンパク質を調製し、それを必要とする対象に投与する方法は、当業者に周知であるか、又は当業者によって容易に決定される。抗原結合タンパク質の投与経路は、経口、非経口、吸入、又は局所であってよい。
【0299】
これら全ての投与形態は本発明の範囲内であることが明らかに企図されるが、投与形態は、注射用、特に静脈内又は動脈内への注射又は点滴用の溶液である。通常、好適な注射用医薬組成物は、バッファ(例えば、酢酸、リン酸、又はクエン酸のバッファ)、界面活性剤(例えば、ポリソルベート)、任意で安定化剤(例えば、ヒトアルブミン)等を含み得る。
【0300】
非経口投与用の調製物としては、無菌の水性又は非水性の溶液、懸濁液、及びエマルションが挙げられる。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油等の植物油、及びオレイン酸エチル等の注射用有機エステルである。水性担体としては、水、アルコール/水溶液、エマルション、又は懸濁液が挙げられ、生理食塩水及び緩衝媒体が含まれる。本発明では、薬学的に許容し得る担体としては、0.01~0.1M、好ましくは0.05Mのリン酸バッファ又は0.8%生理食塩水が挙げられるが、これらに限定されない。他の一般的な非経口ビヒクルとしては、リン酸ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース、デキストロース及び塩化ナトリウム、乳酸リンゲル、又は固定油が挙げられる。静脈内ビヒクルとしては、流体及び栄養素の補給液、リンゲルデキストロースベースのもの等の電解質の補給液等が挙げられる。また、例えば、抗菌剤、抗酸化剤、キレート剤、及び不活性ガス等の防腐剤及び他の添加剤が存在していてもよい。
【0301】
より詳細には、注射可能な用途に好適な医薬組成物には、滅菌水溶液(水溶性の場合)又は分散液、及び無菌の注射可能な溶液又は分散液を即座に調製するための滅菌粉末が含まれるが、このような場合、組成物は無菌でなければならず、容易に通針できる程度に流動性がなければならない。該組成物は、製造及び保存条件下で安定でなければならず、好ましくは細菌及び真菌等の微生物の汚染作用から保護される。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコール等)、及びこれらの好適な混合物を含有する溶媒又は分散媒であってよい。例えば、レシチン等のコーティングを使用することによって、分散液の場合は必要な粒径を維持することによって、及び界面活性剤を使用することによって、適切な流動性を維持することができる。本明細書に開示される治療方法において使用するのに好適な製剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,16th ed.(1980)に記載されている。
【0302】
微生物の作用は、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサール等の種々の抗菌剤及び抗真菌剤によって阻止することができる。多くの場合、組成物中に等張剤、例えば糖、マンニトール、ソルビトール等のポリアルコール、又は塩化ナトリウムを含むことが好ましい。注射可能な組成物は、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチン等の吸収を遅延させる剤を該組成物中に含めることによって持続的に吸収させることができる。
【0303】
滅菌注射液は、必要に応じて本明細書に列挙した成分のうちの1つ又は組み合わせと共に、適切な溶媒中に必要量の活性化合物(例えば、抗原結合タンパク質)を配合し、続いて滅菌濾過することによって調製され得る。一般的に、分散液は、塩基性分散媒と上に列挙したもののうちの必要な他の成分とを含有する滅菌ビヒクルに活性化合物を配合することによって調製される。滅菌注射液を調製するための滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、真空乾燥及び凍結乾燥であり、これにより、活性成分の粉末に加えて、その既に滅菌濾過された溶液から任意の更なる所望の成分が得られる。注射用製剤は加工され、アンプル、バッグ、ボトル、シリンジ、又はバイアル等の容器に充填され、当該技術分野で公知の方法に従って無菌条件下で密封される。更に、調整物は、キットの形態で包装され、販売されることもある。このような製品は、好ましくは、関連する組成物が、障害に罹患しているか又は罹患しやすい対象の治療に有用であることを示すラベル又は添付文書を有する。
【0304】
投薬量及び投与のタイミング
本発明の抗原結合タンパク質の好適な投薬量は、特定の抗原結合タンパク質、治療される病態、及び/又は治療される対象に応じて異なる。例えば、最適以下の投薬量から開始し、投薬量を漸増的に改変して最適又は有用な投薬量を決定することによって好適な投薬量を決定することは、熟練した医師の能力の範囲内である。あるいは、治療/予防のための適切な投薬量を決定するために、細胞培養アッセイ又は動物試験からのデータが使用され、好適な用量は、毒性がほとんど又は全くない活性化合物のED50を含む循環濃度の範囲内である。投薬量は、採用される剤形及び利用される投与経路に応じてこの範囲内で変動し得る。治療的に/予防的に有効な用量は、最初に細胞培養アッセイから推定することができる。細胞培養物で決定したときのIC50(すなわち、症状を最大半量阻害する化合物の濃度又は量)を含む循環血漿濃度範囲を達成するために動物モデルで用量を公式化することができる。このような情報を用いて、ヒトにおいて有用な用量をより正確に決定することができる。血漿中のレベルは、例えば、高性能液体クロマトグラフによって測定することができる。
【0305】
幾つかの例では、本発明の方法は、予防的又は治療的に有効な量の本明細書に記載のタンパク質を投与することを含む。
【0306】
「治療的に有効な量」という用語は、治療を必要とする対象に投与したときに、その対象の予後及び/若しくは状態を改善する並びに/又は本明細書に記載される臨床状態の1つ以上の症状を、その状態の臨床的診断又は臨床的特徴として観察され、許容されるレベルを下回るレベルまで軽減若しくは阻害する量である。対象に投与される量は、治療される病態の特定の特徴、治療される病態の種類及び段階、投与様式、並びに対象の特徴、例えば、全身健康状態、他の疾患、年齢、性別、遺伝子型、及び体重に依存する。当業者であれば、これら及び他の要因に応じて適切な投薬量を決定することができるであろう。従って、この用語は、本発明を特定の量、例えばタンパク質(複数可)の重量又は量に限定すると解釈されるべきではなく、むしろ、本発明は、対象において指定の結果を達成するのに十分な抗原結合タンパク質(複数可)の任意の量を包含する。
【0307】
本明細書で使用するとき、「予防的に有効な量」という用語は、臨床状態の1つ以上の検出可能な症状の発症を予防又は阻害若しくは遅延させるのに十分な量のタンパク質を意味すると解釈されるものとする。このような量は、例えば、投与される特定の抗原結合タンパク質(複数可)及び/又は特定の対象及び/又は病態の種類若しくは重症度若しくはレベル及び/又は病態の素因(遺伝的又はその他)に依存して変化することを、当業者であれば認識するであろう。従って、この用語は、本発明を特定の量、例えば、抗原結合タンパク質(複数可)の重量又は量に限定すると解釈されるべきではなく、むしろ、本発明は、対象において指定の結果を達成するのに十分な抗原結合タンパク質(複数可)の任意の量を包含する。
【0308】
本明細書に記載の障害を治療するための本発明の組成物の有効用量は、投与手段、標的部位、患者の生理学的状態、患者がヒトであるか動物であるか、投与される他の医薬、及び処置が予防的であるか治療的であるかを含む多くの異なる要因に応じて変化する。通常、患者はヒトであるが、トランスジェニック哺乳類を含む非ヒト哺乳類も治療可能である。安全性及び有効性を最適化するために、当業者に公知のルーチンな方法を用いて治療投薬量をタイトレーションしてよい。
【0309】
抗原結合タンパク質を用いて特定の障害を治療する場合、投薬量は、例えば、約0.0001~100mg/kg(宿主の体重)、より通常は0.01~5mg/kg(例えば、0.02mg/kg、0.25mg/kg、0.5mg/kg、0.75mg/kg、lmg/kg、2mg/kg等)の範囲であり得る。例えば、投薬量は、1mg/kg(体重)若しくは10mg/kg(体重)、又は1~10mg/kgの範囲内、好ましくは少なくとも1mg/kgであってよい。上記範囲の中間の用量も本発明の範囲内であることが意図される。毎日、隔日、毎週、又は経験的解析によって決定された任意の他のスケジュールに従って、このような用量を対象に投与してよい。例示的な治療法では、長期にわたって、例えば少なくとも6ヶ月間、複数回投与することを伴う。更なる例示的な治療レジームは、2週間に1回、又は1ヶ月に1回、又は3~6ヶ月に1回の投与を伴う。例示的な投与スケジュールとしては、1~10mg/kg又は15mg/kgを連日、30mg/kgを隔日、又は60mg/kgを毎週が挙げられる。一部の方法では、結合特異性の異なる2つ以上の抗原結合タンパク質を同時に投与し、その場合、投与される各抗原結合タンパク質の投薬量は、指定の範囲内である。
【0310】
本明細書に開示される抗原結合タンパク質は、複数回投与することができる。1回の投与と1回の投与との間隔は、毎週、毎月、又は毎年であってよい。患者における標的ポリペプチド又は標的分子の血中レベルを測定することによって、間隔を指定の通り不規則にすることもできる。一部の方法では、血漿ポリペプチド濃度が1~1000μg/mL、一部の方法では25~300μg/mLになるように投薬量を調整する。あるいは、抗原結合タンパク質を徐放性製剤として投与してもよく、その場合、必要な投与頻度がより少なくなる。投薬量及び頻度は、患者における抗原結合タンパク質の半減期に応じて変化する。抗原結合タンパク質の半減期は、安定なポリペプチド又は部分、例えばアルブミン又はPEGに融合させることによって延長することもできる。一般に、ヒト化抗体が最も長い半減期を示し、キメラ抗体、非ヒト抗体が続く。一実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質を非コンジュゲート形態で投与してよい。別の実施形態では、本明細書に開示される方法において使用するための抗原結合タンパク質をコンジュゲート形態で複数回投与してもよい。更に別の実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質を非コンジュゲート形態で投与し、次いで、コンジュゲート形態で投与してもよく、又は逆であってもよい。
【0311】
投薬量及び投与頻度は、処置が予防的なものであるか治療的なものであるかに応じて変化し得る。予防適用では、抗体又はそのカクテルを含む組成物は、患者の抵抗性を増強するために、既に疾患状態にはない患者又は疾患前状態の患者に投与される。このような量は、「予防的に有効な用量」であると定義される。この使用でも、正確な量は患者の健康状態及び全身免疫に応じて異なるが、一般に、1用量あたり0.1~25mg、特に1用量あたり0.5~2.5mgの範囲である。比較的低投薬量を長期間にわたって比較的低頻度の間隔で投与する。一部の患者は、一生涯治療を受け続ける。
【0312】
治療適用では、疾患の進行が軽減又は終息するまで、好ましくは患者が疾患の症状の部分的又は完全な改善を示すまで、比較的短い間隔で比較的高投薬量(例えば、1用量あたり約1~400mg/kgの結合分子、例えば抗原結合タンパク質、放射性免疫複合体では5~25mgの投薬量がより一般的に使用され、細胞毒素-薬物コンジュゲート分子ではより高用量)の投与を必要とすることがある。その後、この特許を予防レジームで投与することができる。
【0313】
一実施形態では、(例えば、ベクター中の)抗原結合タンパク質をコードしている核酸分子で対象を治療してよい。ポリペプチドをコードしている核酸の用量は、患者1人あたり約10ng~1g、100ng~100mg、1μg~10mg、又は30~300μgのDNAの範囲である。感染性ウイルスベクターの用量は、1用量あたり10~100個又はそれ以上のビリオンで変動する。
【0314】
治療剤は、予防的及び/又は治療的処置のために、非経口、局所、静脈内、経口、皮下、動脈内、頭蓋内、腹腔内、鼻腔内、又は筋肉内の手段によって投与することができ、幾つかの方法では、剤は、例えば頭蓋内注射等、CCR6細胞が蓄積した特定の組織に直接注射される。抗体の投与には、筋肉内注射又は静脈内注入が好ましく、幾つかの方法では、特定の治療用抗体を頭蓋内に直接注入し、幾つかの方法では、抗体を徐放性組成物又はデバイスとして投与する。
【0315】
本発明の抗原結合タンパク質は、任意で、治療を必要とする障害又は病態の処置(例えば、予防的又は治療的)に有効な他の剤と組み合わせて投与することができる。
【0316】
別の実施形態では、上記の抗原結合タンパク質、免疫グロブリン可変ドメイン、抗体、Fab、dab、scFv、ダイアボディ、トリアボディ、融合タンパク質、又はコンジュゲートと、希釈剤と、任意で標識とを含む医薬組成物が提供される。乾癬の治療又は予防の場合、好ましくは、医薬組成物を局所投与に適応させる。
【0317】
特定の実施形態では、抗原結合タンパク質又はそれを含む分子は、検出可能に標識される。酵素、放射性同位体、コロイド状金属、蛍光化合物、化学発光化合物、及び生物発光化合物を含む多くの異なる標識を使用することができる。蛍光色素(フルオレセイン、ローダミン、テキサスレッド等)、酵素(セイヨウワサビペルオキシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、アルカリホスファターゼ等)、放射性同位体(32P又は125I)、ビオチン、ジゴキシゲニン、コロイド状金属、化学又は生物発光化合物(ジオキセタン、ルミノール、又はアクリジニウム)を使用することができる。
【0318】
検出方法は、使用される標識の種類に応じて変化し、オートラジオグラフィー、蛍光顕微鏡観察、直接及び間接的な酵素反応を含む。例としては、ウェスタンブロッティング、オーバーレイアッセイ、RIA(ラジオイムノアッセイ)、及びIRMA(イムノラジオイムノメトリックアッセイ)、EIA(酵素イムノアッセイ)、ELISA(酵素結合免疫吸着測定法)、FIA(蛍光イムノアッセイ)、及びCLIA(化学発光イムノアッセイ)が挙げられる。
【0319】
キット
別の実施形態では、上記の抗原結合タンパク質、免疫グロブリン可変ドメイン、抗体、dab、scFv、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv断片、ダイアボディ、トリアボディ、線状抗体、一本鎖抗体分子、又は多重特異性抗体、融合タンパク質、コンジュゲート、又は医薬組成物を含むキット又は製品が提供される。
【0320】
他の実施形態では、上記の治療適用において使用するためのキットであって、
- 抗原結合タンパク質、免疫グロブリン可変ドメイン、抗体、dab、scFv、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv断片、ダイアボディ、トリアボディ、線状抗体、一本鎖抗体分子、又は多重特異性抗体、融合タンパク質、コンジュゲート、又は医薬組成物のうちの1つ以上の形態の治療組成物を保持する容器;
- 使用説明書が記載されたラベル又は添付文書
を含むキットが提供される。
【0321】
特定の実施形態では、キットは、がんを治療するため、あるいは上記のがんに関連する合併症又はCCR6発現に関連する病態若しくは疾患を予防するための1つ以上の更なる活性要素又は成分を含んでいてもよい。
【0322】
キット又は「製品」は、容器と、該容器上又は該容器に付随するラベル又は添付文書とを含み得る。このような容器は、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、ブリスターパック等を含む。容器は、ガラス又はプラスチック等の様々な材料から形成することができる。容器は、病態を治療するのに有効な治療組成物を保持し、そして、滅菌アクセスポートを有し得る(例えば、容器は、皮下注射針によって穿刺可能な栓を有する静脈注射溶液用のバッグ又はバイアルであってよい)。ラベル又は添付文書は、対象病態を治療するために治療用組成物が用いられることを示す。一実施形態では、ラベル又は添付文書は使用説明書を含み、治療用組成物を使用してCCR6発現を特徴とする疾患又は病態を治療、予防、又は検出できることを示す。
【0323】
キットは、(a)治療用組成物と;(b)その中に第2の活性要素又は成分が含まれている第2の容器とを含み得る。本発明のこの実施形態におけるキットは、がんに起因する障害の治療又は合併症の予防に他の活性要素を使用できることを示す添付文書を更に含んでいてもよい。あるいは又は更に、キットは、注射用静菌水(BWFI)、リン酸緩衝生理食塩水、リンゲル液、及びデキストロース溶液等の薬学的に許容し得るバッファを含む第2の(又は第3の)容器を更に含んでよい。それは、他のバッファ、希釈剤、フィルタ、針、及びシリンジを含む、商業的、そして、ユーザの観点から望ましい他の材料を更に含んでいてもよい。
【0324】
特定の実施形態では、治療用組成物は、治療用組成物を保持するための入れ物を含む、使い捨て又は再使用可能なデバイスの形態で提供され得る。一実施形態では、デバイスはシリンジである。デバイスは、1~2mLの治療用組成物を保持することができる。治療用組成物は、使用準備が整った状態でデバイス内に提供されてもよく、更なる成分の混合又は添加を必要とする状態で提供されてもよい。
【0325】
他の実施形態では、上記の診断適用において使用するためのキットであって、
- 抗原結合タンパク質、免疫グロブリン可変ドメイン、抗体、Fab、dab、scFv、ダイアボディ、トリアボディ、融合タンパク質、又はコンジュゲートのうちの1つ以上の形態の診断用組成物を保持する容器;
- 使用説明書が記載されたラベル又は添付文書
を含むキットが提供される。
【0326】
キットは、(a)診断用組成物と;(b)その中に第2の診断剤又は第2の標識が含まれている第2の容器とを含み得る。それは、他のバッファ、希釈剤、フィルタ等を含む、商業的、そして、ユーザの観点から望ましい他の材料を更に含んでいてもよい。
【0327】
治療又は診断される病態
別の実施形態では、個体におけるCCR6発現を特徴とする疾患又は病態を治療する方法であって、上記の抗原結合タンパク質、免疫グロブリン可変ドメイン、抗体、Fab、dab、scFv、ダイアボディ、トリアボディ、融合タンパク質、コンジュゲート、又は医薬組成物を、該病態を治療する必要のある個体に提供する工程を含む方法が提供される。典型的には、病態は、炎症病態、感染症、線維症、又はがん、特に本明細書に記載の上皮がん、又は慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、及び呼吸器合胞体ウイルス(RSV)等の肺障害である。
【0328】
他の疾患及び病態としては、種々の炎症病態が挙げられる。例は、増殖成分を含み得る。具体例としては、ざ瘡、狭心症、関節炎、誤嚥性肺炎、疾患、蓄膿、胃腸炎、炎症、下痢を伴うインフルエンザ、壊死性腸炎、大腸炎、骨盤内炎症性疾患、咽頭炎、胸膜炎、口峡と咽頭の炎症、発赤、潮紅、咽頭痛、ウイルス性胃腸炎及び尿路感染症、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、慢性炎症性脱髄性多発神経根筋障害、慢性炎症性脱髄性多発神経炎又は慢性炎症性脱髄性多発神経根筋障害が挙げられる。
【0329】
別の実施形態では、がん、慢性炎症、自己免疫疾患、感染症、又は線維症を治療するための医薬の製造における、上記の抗原結合タンパク質、免疫グロブリン可変ドメイン、抗体、dab、scFv、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv断片、ダイアボディ、トリアボディ、線状抗体、一本鎖抗体分子、又は多重特異性抗体、融合タンパク質、コンジュゲート、又は医薬組成物の使用が提供される。
【0330】
本発明は、様々な自己免疫疾患及び炎症性疾患の診断又は治療に適用される。炎症性障害は、急性であっても慢性であってもよい。炎症性障害としては、心血管炎症(例えば、アテローム性動脈硬化症、脳卒中)、胃腸炎症、肝炎性障害、肺炎症(例えば、喘息、人工呼吸器誘発肺損傷)、腎臓炎症、眼炎症(例えば、ブドウ膜炎)、膵臓炎症、泌尿生殖器炎症、神経炎症性障害(例えば、多発性硬化症、アルツハイマー病)、アレルギー(例えば、アレルギー性鼻炎/副鼻腔炎、皮膚アレルギー及び障害(例えば、発疹/蕁麻疹、血管性浮腫、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、乾癬)、食物アレルギー、薬物アレルギー、昆虫アレルギー、肥満細胞症)、骨格炎症(例えば、関節炎、変形性関節症、関節リウマチ、脊椎関節症)、感染症(例えば、細菌又はウイルスの感染症;口腔炎症障害(すなわち、歯周病、歯肉炎、又は口内炎);及び移植(例えば、同種移植片若しくは異種移植片の拒絶反応又は母体胎児間寛容等)が挙げられる。
【0331】
自己免疫疾患としては、例えば、後天性免疫不全症候群(AIDS、自己免疫成分を有するウイルス疾患)、円形脱毛症、強直性、脊椎炎、抗リン脂質症候群、自己免疫性アジソン病、自己免疫性溶血性、貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性内耳疾患(AIED)、自己免疫性リンパ増殖症候群(ALPS)、自己免疫性血小板減少性紫斑病(ATP)、ベーチェット病、心筋症、セリアックスプルー疱疹状皮膚炎;慢性疲労免疫、機能不全症候群(CFIDS)、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIPD)、瘢痕性類天疱瘡、寒冷凝集素病、クレスト症候群、クローン病、デゴス病、若年性皮膚筋炎、円板状狼瘡、本態性混合型クリオグロブリン血症、線維筋痛症線維筋炎、グレーブス病、ギラン・バレー症候群、橋本甲状腺炎、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、lgA腎症、インスリン依存性糖尿病、若年性慢性関節炎(スティル病)、若年性関節リウマチ、メニエール病、混合性結合組織病、多発性硬化症、重症筋無力症、悪性貧血、結節性多発性動脈炎、多発性軟骨炎、多線性症候群、リウマチ性多発筋痛、多発性筋炎及び皮膚筋炎、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、乾癬性関節炎、レイノー現象、ライター症候群、リウマチ熱、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症(進行性全身性硬化症(PSS)、全身性硬化症(SS)としても知られている)、シェーグレン症候群、スティッフマン症候群、全身性エリテマトーデス、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞性動脈炎、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、白斑、及びウェゲナー肉芽腫症が挙げられる。
【0332】
好ましくは、自己免疫又は炎症病態は、多発性硬化症、関節リウマチ;アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、乾癬等の皮膚過敏症;炎症性腸疾患、ブドウ膜炎、ドライアイ疾患、全身性強皮症(強皮症)、歯周病、白斑、SLE/円板状狼瘡/グレーブス病、アテローム性動脈硬化症、喘息、又は遅延型過敏症である。
【0333】
多発性硬化症(MS)は、脳及び脊髄の軸索を取り囲むミエリン鞘の脱髄を伴う炎症性疾患である。MSの症状としては、脳及び/又は脊髄の白質の瘢痕、並びに感受性の喪失、又はピリピリ感、チクチク感、若しくはしびれ等の感覚の変化(知覚鈍麻及び異常感覚)、筋力低下、クローヌス、筋痙攣又は移動困難を含むがこれらに限定されない多種多様な神経症状;協調及び平衡の障害(運動失調);発声(構音障害)又は嚥下(嚥下障害)における問題、視覚障害(眼振、視神経炎等)、疲労、急性/慢性疼痛、並びに膀胱及び腸の障害が挙げられるが、これらに限定されない。様々な程度の認知障害及びうつ病も一般的である。MSの症状は、通常、悪化の突発性急性期に、神経機能の徐々に進行する増悪時に、又はその両方が組み合わさって現れる。
【0334】
関節リウマチは、多くの組織及び器官で発症する可能性があるが、主に滑膜関節を攻撃する慢性全身性炎症障害である。この過程は、滑膜細胞の過形成、過剰な滑液、及び滑膜における線維組織の発生に続発する、関節周囲の滑液包の炎症応答を伴う。疾患過程の病理は、関節軟骨の破壊及び関節の強直を引き起こすことが多い。関節リウマチはまた、肺、心膜、肺胸膜、強膜、及び結節病変に広汎性炎症を生産し、皮下組織が最も多い。
【0335】
本明細書で使用するとき、線維症としては、以下の病態:肺線維症、特発性肺線維症、嚢胞性線維症、肝硬変、心内膜心筋線維症、陳旧性心筋梗塞、心房線維症、縦隔線維症、骨髄線維症、後腹膜線維症、進行性塊状線維症、腎原性全身性線維症、クローン病、ケロイド、強皮症/全身性硬化症、関節線維症、ペイロニー病、デュピュイトラン拘縮、癒着性関節包炎の幾つかの形態のうちの任意の1つ以上が挙げられる。
【0336】
前新生物及び新生物疾患は、本発明の方法を適用することができる具体例である。広い例としては、乳房腫瘍、結腸直腸腫瘍、腺がん、中皮腫、膀胱腫瘍、前立腺腫瘍、生殖細胞腫瘍、肝細胞腫/胆管、がん腫、神経内分泌腫瘍、下垂体新生物、小20円形細胞腫瘍、扁平上皮細胞がん、メラノーマ、非定型線維黄色腫、セミノーマ、非セミノーマ、間質性ライディッヒ細胞腫瘍、セルトリ細胞腫瘍、皮膚腫瘍、腎腫瘍、精巣腫瘍、脳腫瘍、卵巣腫瘍、胃腫瘍、口腔腫瘍、膀胱腫瘍、骨腫瘍、子宮頸部腫瘍、食道腫瘍、喉頭腫瘍、肝腫瘍、肺腫瘍、膣腫瘍、及びウィルムス腫瘍が挙げられる。
【0337】
具体的ながんの例としては、腺がん、腺腫、腺線維腫、腺リンパ腫、歯牙腫(adontoma)、エイズ関連がん、聴神経腫、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、腺様嚢胞がん、副腎皮質がん、原因不明骨髄様化生、脱毛症、胞状軟部肉腫、アメロブラストーマ、角化血管腫、好酸球増多を伴う血管リンパ組織過形成、硬化性血管腫、血管腫症、アプドーマ、肛門がん、血管肉腫、再生不良性貧血、星状細胞腫、血管拡張性運動失調症、基底細胞がん(皮膚)、膀胱がん、骨がん、腸がん、脳幹神経膠腫、脳及び中枢神経系腫瘍、乳がん、鰓腫、中枢神経系腫瘍、カルチノイド腫瘍、子宮頸がん、小児脳腫瘍、小児がん、小児白血病、小児軟部肉腫、軟骨肉腫、絨毛がん、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、結腸直腸がん、皮膚T細胞リンパ腫、がん腫(例えば、ウォーカー、基底細胞、基底扁平上皮、ブラウン-ピアース、腺管、エールリッヒ腫瘍、クレブス2、メルケル細胞、粘液性、非小細胞肺、燕麦細胞、乳頭、スキルス、細気管支、気管支原性、扁平上皮細胞、及び移行細胞)、がん肉腫、子宮頸部異形成、葉状嚢肉腫、セメント質腫、脊索腫、分離腫、軟骨肉腫、軟骨芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、胆管腫、真珠腫、円柱腫、嚢胞腺がん、嚢胞腺腫、隆起性皮膚線維肉腫、線維形成性小円形細胞腫、腺管がん、未分化胚細胞腫、内分泌がん、子宮内膜がん、上衣腫、食道がん、ユーイング肉腫、肝外胆管がん、眼がん、眼:メラノーマ、網膜芽細胞腫、卵管がん、ファンコニー貧血、線維腫、線維肉腫、胆嚢がん、胃がん、消化器がん、消化器カルチノイド腫瘍、尿生殖器がん、生殖細胞腫瘍、妊娠性絨毛疾患、神経膠腫、婦人科がん、巨大細胞腫、神経節腫、神経膠腫、グロムス血管腫、顆粒膜細胞腫、男性胚細胞腫、血液悪性腫瘍、ヘアリーセル白血病、頭頸部がん、肝細胞がん、遺伝性乳がん、組織球症、ホジキン病、ヒトパピローマウイルス、胞状奇胎、高カルシウム血症、下咽頭がん、過誤腫、血管内皮腫、血管腫、血管外皮腫、血管肉腫、血管肉腫、組織球障害、組織球悪性腫瘍、組織球腫、肝細胞腫、汗腺腫、軟骨肉腫(hondrosarcoma)、免疫増殖性小、オポーマ(opoma)、眼球内黒色腫、膵島細胞がん、カポジ肉腫、腎臓がん、ランゲルハンス細胞組織球症、喉頭がん、平滑筋肉腫、白血病、リー・フラウメニ症候群、口唇がん、脂肪肉腫、肝臓がん、肺がん、リンパ浮腫、リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、平滑筋肉腫、白血病(例えば、b細胞性、混合細胞性、ヌル細胞性、t細胞性、t細胞慢性、リンパ管肉腫、リンパ性急性、リンパ性慢性、肥満細胞性、及び骨髄性)、白血肉腫症、ライディッヒ細胞腫、脂肪肉腫、平滑筋腫、平滑筋肉腫、リンパ管腫、リンパ管細胞腫、リンパ管腫(lymphagioma)、リンパ管筋腫、リンパ管肉腫、男性乳がん、腎臓の悪性ラブドイド腫瘍、髄芽腫、メラノーマ、メルケル細胞がん、中皮腫、転移性がん、口腔がん、多発性内分泌新生物、菌状息肉症、骨髄異形成症候群、骨髄腫、骨髄増殖性障害、悪性カルチノイド症候群カルチノイド心疾患、髄芽腫、髄膜腫、メラノーマ、間葉腫、中腎腫、中皮腫、筋芽腫、筋腫、筋肉腫、粘液腫、粘液肉腫、鼻腔がん、上咽頭がん、腎芽細胞腫、神経芽細胞腫、神経線維腫症、ナイミーヘン染色体不安定症候群、非メラノーマ皮膚がん、非小細胞肺がん(nsclc)、神経鞘腫、神経芽細胞腫、神経上皮腫、神経線維腫症、神経線維腫、神経腫、新生物(例えば、骨、乳房、消化器系、結腸直腸、肝臓)、眼球がん、食道がん、口腔がん、中咽頭がん、骨肉腫、オストミー卵巣がん、膵臓がん、副鼻腔がん、副甲状腺がん、耳下腺がん、陰茎がん、末梢性神経外胚葉腫瘍、下垂体がん、真性多血症、前立腺がん、骨腫、骨肉腫、卵巣がん、乳頭腫、傍神経節腫、非クロム親和性傍神経節、松果体がん、形質細胞腫、がん原遺伝子、希少がん及び関連障害、腎細胞がん、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、ロスムンド・トムソン症候群、細網内皮症、横紋筋肉腫、唾液腺がん、肉腫、神経鞘腫、セザリー症候群、皮膚がん、小細胞肺がん(sclc)、小腸がん、軟部組織肉腫、脊髄腫瘍、扁平上皮細胞がん(皮膚)、胃がん、滑膜肉腫、肉腫(例えば、実験的ユーイング肉腫、カポジ肉腫、及び肥満細胞肉腫)、セルトリ細胞腫瘍、滑膜腫、精巣がん、胸腺がん、甲状腺がん、移行細胞がん(膀胱)、移行細胞がん(腎盂/尿管)、絨毛がん、奇形腫、莢膜細胞腫瘍、胸腺腫、絨毛腫瘍、尿道がん、泌尿器系がん、ウロプラキン、子宮肉腫、子宮がん、膣がん、外陰がん、ワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、及びウィルムス腫瘍が挙げられるが、これらに限定されない。
【0338】
本発明は、本明細書に記載の抗原結合タンパク質、免疫グロブリン可変ドメイン、抗体、dab、scFv、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv断片、ダイアボディ、トリアボディ、線状抗体、一本鎖抗体分子、又は多重特異性抗体、融合タンパク質、コンジュゲート、又は医薬組成物を、乾癬を発症するリスクのある個体に提供する工程を含む、個体における乾癬を予防する方法を提供する。好ましくは、乾癬は、斑状乾癬である。乾癬の予防は、皮膚の紅斑、鱗屑、又は肥厚が存在しないことによって測定することができる。
【0339】
本発明は、本明細書に記載の抗原結合タンパク質、免疫グロブリン可変ドメイン、抗体、dab、scFv、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv断片、ダイアボディ、トリアボディ、線状抗体、一本鎖抗体分子、又は多重特異性抗体、融合タンパク質、コンジュゲート、又は医薬組成物を、乾癬の治療を必要とする個体に提供する工程を含む、個体における乾癬又は関節炎を治療する方法を提供する。好ましくは、乾癬は、斑状乾癬である。
【0340】
乾癬の治療は、臨床的又は生化学的に観察可能又は測定可能な任意の形質によって決定され得る。好ましくは、乾癬の治療は、皮膚の紅斑、鱗屑、又は肥厚の減少によって決定される。
【0341】
関節炎の治療の成功は、臨床的又は生化学的に観察可能又は測定可能な任意の形質によって決定され得る。例えば、関節リウマチの治療は、関節リウマチに関連する症状の持続時間の重症度に関する対象における改善を観察することによって評価することができる。例えば、改善の同定は、対象の1つ以上の関節リウマチメトリックのスコアが改善したかどうかを決定することを含む、RA又は炎症に関するスコア、検査、又はメトリックを使用することを含む。スコア、検査、又はメトリックは、米国リウマチ学会奏効率(American College of Rheumatology Response Rate(ACR)、例えばACR20、ACR50、及びACR70);低疾患活動性(Low Disease Activity(LDA))を達成した対象の割合;疾患活動性スコア28(Disease Activity Score 28(DAS28)、例えば、C反応性タンパク質に基づく);関節腫脹;圧痛関節、疼痛の患者による評価;全体的な疾患活動性及び身体機能;疾患活動性及び急性期反応物質レベルの医師による全般評価;及びACR70応答者状態を達成した対象の割合のうちの1つ以上からなる群から選択され得る。更に、関節リウマチメトリックは、好ましくは、医師による疾患活動性の全般評価;患者報告アウトカム;健康評価質問票(Health Assessment Questionnaire(HAQ-DI));患者による疾患活動性の全般評価(patient global assessment of disease activity(VAS));抗薬物抗体(ADA)の測定又は存在;圧痛関節数(TJC);腫脹関節数(SJC);患者による疼痛の評価;関節リウマチの就労の不安定性スケール;略式健康調査(SF-36);米国リウマチ学会(ACR)(例えば、ACR20、ACR50、及びACR70);低疾患活動性(LDA)を達成した対象の割合;疾患活動性スコア28(DAS28;例えば、C反応性タンパク質に基づくDAS28);臨床的疾患活動性指数(Clinical Disease Activity Index(CDAI));単純疾患活動性指数(simple disease activity index(SDAI));及び臨床的寛解基準からなる群から選択される。当業者であれば、関節リウマチのメトリックのスコアを評価するための標準的な方法を熟知しているだろう。
【0342】
実施形態では、本発明の方法は、RAメトリックを少なくとも約1%、3%、5%、7%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、又はそれ以上減少させる。
【0343】
変形性関節症の治療が成功したかどうかも、当業者であればよく分かるであろう。例えば、治療は、西オンタリオ大学及びマクマスター大学の関節炎指数(Western Ontario and McMaster Universities Arthritis Index(WOMAC))、全器官磁気イメージングスコア(Whole-Organ Magnetic Imaging Score(WORMS))、間欠的及び持続的な変形性関節症痛(Intermittent and Constant Osteoarthritis Pain(ICOAP))スコア;11点数値評価スコア(Numeric Rating Score(NRS))スコア、医師による疾患活動性の全般評価、患者報告アウトカム、健康評価質問票(HAQ-DI)、患者による疾患活動性評価の全般評価(VAS)を用いた疼痛レベル、抗薬物抗体(ADA)の測定又は存在、圧痛関節数(TJC)、腫脹関節数(SJC)、患者の疼痛評価、関節リウマチの就労の不安定性スケール、略式健康調査(SF-36)、米国リウマチ学会、ACR、(例えば、ACR20、ACR50、及びACR70);低疾患活動性(LDA)を達成した対象の割合;疾患活動性スコア28(DAS28;例えば、C反応性タンパク質に基づくDAS28)、臨床疾患活動性指数(CDAI)、単純疾患活動性指数(SDAI)、臨床寛解基準、及び個人の評価(例えば、アンケート又は患者の全般評価)が本発明に従って治療された対象において観察されることからなる群から選択される1つ以上のメトリックの改善を観察することによって評価することができる。
【0344】
更に、変形性関節症の治療は、個体における変形性関節症(例えば、中等度から重度の変形性膝関節症及び/又は中等度から重度のびらん性変形性手関節症)に関連する疼痛の減少を観察することによって評価することができる。疼痛病態は、異痛症、痛覚過敏、及び異痛症と痛覚過敏との組み合わせからなる群から選択され得る。更に、治療は、膝の滑膜炎/滲出液の体積、膝の骨髄病変、及び磁気共鳴画像法によって示される変形性関節症の程度を決定することによって評価することができる。
【0345】
乾癬性関節炎(PsA)とは、乾癬に関連する慢性炎症性関節炎を指し、体に赤い斑点が生じる一般的な慢性皮膚病態である。乾癬患者の約20人に1人は皮膚病態と共に関節炎を発症し、症例の約75%では乾癬が関節炎に先行する。PsAは、軽度から重度の関節炎に及ぶ様々な形で示され、関節炎は、通常手指及び脊椎で発症する。PsAは、時に、破壊性関節炎を伴う。破壊性関節炎とは、過剰な骨びらんを特徴とする障害を指し、その結果、肉眼的なびらん性変形が生じ、関節を切断することになる。
【0346】
脊椎で発症した場合、PsAの症状は、強直性脊椎炎の症状に類似している。強直性脊椎炎(AS)は、1つ以上の椎骨の炎症を伴う炎症性障害である。ASは、脊椎の椎骨間の関節及び仙腸関節及び脊椎と骨盤との間の関節を含む、軸骨格及び/又は末梢の関節で発症する慢性炎症性疾患である。ASは、最終的に、発症した椎骨が癒合したり、一緒に成長したりする原因となり得る。ASを含む脊椎関節症は、乾癬性関節炎(PsA)並びに/又は潰瘍性大腸炎及びクローン病を含む炎症性腸疾患(IBD)を伴うことがある。
【0347】
ASの初期徴候は、CTスキャン及びMRIスキャンを含むX線検査によって決定することができる。ASの初期徴候は、多くの場合、不鮮明な肋軟骨下骨の皮質縁によって証明されるように、仙腸関節炎及び仙腸関節の変化を含み、続いて、びらん及び硬化が生じる。疲労もASの一般的な症状として認められている。
【0348】
PsAの特徴的なX線特色としては、関節びらん、関節腔の狭小化、関節周囲及び軸骨膜炎を含む骨増殖、「ペンシル・イン・カップ」変形及び先端骨溶解症を含む骨溶解、強直症、棘突起形成、並びに脊椎炎が挙げられる(Wassenberg et al.(2001)Z Rheumatol 60:156)。関節リウマチ(RA)とは異なり、PsAの関節併発は非対称性であることが多く、少数関節である場合もある。骨粗鬆症は、非定型である。初期PsAにおけるびらん性変化は、RAと同様に辺縁性であるが、びらんに隣接する骨膜骨が形成されるため、疾患の進行と共に不規則かつ不明確になる。重症例では、びらん性変化がペンシル・イン・カップ変形又は肉眼的骨溶解の発生にまで進行することがある(Gold et al.(1988)Radiol Clin North Am 26:1195;Resnick et al.(1977))J Can Assoc Radiol 28:187)。手根骨、並びに手の中手指節関節(MCP)、近位指節間関節(PIP)、及び遠位指節間関節(DIP)における非対称のびらんがX線撮影で見えることがあるが、DIP関節で最初に発症することが多い。指節骨房、並びに腱及び靭帯の骨への付着部位に異常が見られる。DIPのびらん性変化の存在は、PsAの診断を裏付けるための感受性かつ特異的なX線所見を提供することができる。また、手は、ほぼ2:1の比率で足よりもはるかに高頻度に発症する傾向がある。
【0349】
従って、PsAの治療の成功には、PsAに関連する症状(関節炎、乾癬、及び強直性脊椎炎に関連する症状又はメトリックの改善を含む)のうちの任意の1つ以上の改善又は消失が含まれる。
【0350】
投薬量、投薬頻度、投与経路等については上に詳細に記載した。
【0351】
別の実施形態では、がん又は炎症性障害を診断する方法であって、がん又は炎症性障害の有無を決定したい組織又は細胞を、抗原結合タンパク質、免疫グロブリン可変ドメイン、抗体、dab、scFv、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv断片、ダイアボディ、トリアボディ、線状抗体、一本鎖抗体分子、又は多重特異性抗体、融合タンパク質、コンジュゲート、又は上記の診断用組成物の形態の試薬と接触させる工程と、該試薬と該組織又は細胞との結合を検出する工程とを含む方法が提供される。方法は、インビボ又はインビトロで行ってよい。
【0352】
インサイチュ診断の場合、本発明に係る抗原結合タンパク質とCCR6上のエピトープ領域との間に特異的結合が生じ得るように、静脈内、鼻腔内、腹腔内、脳内、動脈内への注射又は他の経路によって、診断される生物に抗原結合タンパク質を投与してよい。抗体/抗原複合体は、抗原結合タンパク質若しくはその機能的断片に結合した標識、又は任意の他の当技術分野で公知の検出方法によって簡便に検出され得る。
【0353】
本発明に係る診断適用で使用され、本明細書に記載されるイムノアッセイは、通常、検出のために標識された抗原、抗体、又は二次試薬に依存する。これらタンパク質又は試薬は、酵素、放射性同位体、並びにコロイド状金及びラテックスビーズ等の着色粒子を含むがこれらに限定されない蛍光、発光、及び発色物質を含む、当業者に一般的に知られている化合物で標識することができる。これらのうち、放射性標識は、ほとんど全ての種類のアッセイに使用することができ、ほとんどの変形で使用できる。酵素にコンジュゲートした標識は、放射能を避けなければならない場合又は迅速な結果が必要な場合に特に有用である。蛍光色素は、使用するために高価な機器を必要とするが、非常に高感度の検出方法を提供する。これらアッセイにおいて有用な抗体としては、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、及びアフィニティー精製ポリクローナル抗体が挙げられる。
【0354】
あるいは、プロテインA若しくはG又は第2の抗体等の免疫グロブリンに対して親和性を有する標識物質との反応によって、抗原結合タンパク質を間接的に標識してもよい。抗原結合タンパク質を第2の物質とコンジュゲートさせ、抗原結合タンパク質にコンジュゲートした第2の物質に対して親和性を有する標識された第3の物質を用いて検出することができる。例えば、抗原結合タンパク質をビオチンとコンジュゲートさせ、標識されたアビジン又はストレプトアビジンを用いて抗原結合タンパク質-ビオチンコンジュゲートを検出することができる。同様に、抗原結合タンパク質をハプテンにコンジュゲートさせ、標識された抗ハプテン抗体を用いて抗原結合タンパク質-ハプテンコンジュゲートを検出することもできる。
【0355】
特定の実施形態では、イムノアッセイは、アナライトの存在を検出するための二重抗体法を利用し、ここでは、検出可能な標識で標識された第2の抗体との反応性によって抗原結合タンパク質を間接的に標識する。第2の抗体は、好ましくは、抗原結合タンパク質が由来する動物の抗体に結合するものである。言い換えれば、抗原結合タンパク質がマウス抗体である場合、標識された第2の抗体は抗マウス抗体である。本明細書に記載のアッセイにおいて使用される抗原結合タンパク質の場合、この標識は、好ましくは、抗体でコーティングされたビーズ、特に磁気ビーズである。本明細書に記載のイムノアッセイで採用される抗原結合タンパク質の場合、標識は、好ましくは、放射性物質、蛍光物質、又は電気化学発光物質等の検出可能な分子である。
【0356】
アナライトの存在を迅速に決定するのに適応しているため高速フォーマットシステムと呼ばれることも多い別の二重抗体システムを、本発明の範囲内で採用することもできる。このシステムには、抗原結合タンパク質とアナライトとの間に高い親和性が必要である。本発明の一実施形態によれば、CCR6の存在は、それぞれがCCR6タンパク質に特異的な一対の抗原結合タンパク質を用いて決定される。該抗原結合タンパク質の対の一方を本明細書では「検出抗原結合タンパク質」と称し、該抗原結合タンパク質の対の他方を本明細書では「捕捉抗原結合タンパク質」と称する。本発明の抗原結合タンパク質は、捕捉抗原結合タンパク質としても検出抗原結合タンパク質としても使用できる。本発明の抗原結合タンパク質は、単一のアッセイにおいて一緒に、捕捉抗原結合タンパク質及び検出抗原結合タンパク質の両方として使用することもできる。従って、本発明の一実施形態では、生体液サンプル中のCCR6を検出するために二重抗原結合タンパク質サンドイッチ法を用いる。この方法では、アナライト(CCR6タンパク質)は、検出抗原結合タンパク質と捕捉抗原結合タンパク質との間に挟まれ、該捕捉抗原結合タンパク質は、固体支持体に不可逆的に固定化されている。検出抗原結合タンパク質は、抗原結合タンパク質-アナライトのサンドイッチの存在、ひいてはアナライトの存在を同定するために、検出可能な標識を含有する。
【0357】
例示的な固相物質としては、ラジオイムノアッセイ及び酵素イムノアッセイの分野で周知であるマイクロタイタープレート、ポリスチレン製の試験管、磁気、プラスチック、又はガラスのビーズ、及びスライドガラス等が挙げられるが、これらに限定されない。抗原結合タンパク質を固相に共役させる方法も、当業者には周知である。より最近では、ナイロン、ニトロセルロース、酢酸セルロース、ガラス繊維、及び他の多孔性ポリマー等の多くの多孔質材料が固体支持体として採用されている。
【0358】
本明細書において開示され、定義される本発明は、本文又は図面で言及されるか又は明らかになる個々の特色のうちの2つ以上の全ての代替的な組み合わせに及ぶことが理解されるであろう。これら異なる組み合わせは全て、本発明の様々な代替態様を構成する。
【0359】
以下の実施例は、本発明を説明することを意図するが、決して本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0360】
実施例1-抗ヒトCCR6モノクローナル抗体の作製
収集の20時間前に5mM酪酸で刺激し、完全フロイントアジュバント(1回目の腹腔内免疫)又は不完全フロイントアジュバント(2~6回目の腹腔内免疫)中に乳化させた2×107個のL1.2/hCCR6トランスフェクト細胞で、C57BL/6マウスを2週間間隔で合計5~6回免疫することによって、ヒトCCR6(hCCR6)に対して反応性のモノクローナル抗体を作製した。最後の免疫は、PBS中で静脈注射した。4日間後、脾臓を除去し、標準的な方法を用いて細胞をSP2/0細胞株と融合させた。10%Fetalclone(HyClone)、1×HATサプリメント(Sigma Aldrich)+マウスIL-6を含有するDMEM(Gibco/lnvitrogen)中でハイブリドーマを成長させた。10~14日成長させた後、最初のスクリーニングのために培養上清を採取した。
【0361】
ヒトCCR6をトランスフェクトしたL1.2細胞、及びトランスフェクトしていないL1.2細胞、又はhCXCRI、hCXCR2、若しくはhCXCR3等の無関係の若しくは密接な受容体をトランスフェクトしたL1.2細胞を用い、免疫蛍光染色及びFACSCalibur(BD Biosciences)を用いた解析を使用して、CCR6に対して反応性のモノクローナル抗体を同定した。既報の標準的手順を用いて、細胞のモノクローナル抗体染色を行った(Lee et a/.,2006,Nat.Biotech.24:1279-1284)。
【0362】
抗体の生産は、ハイブリドーマを組織培養フラスコで成長させ、培養培地を収集することを含んでいた。幾つかの実験では、培養上清中の抗体濃度は、更に精製することなく進行させるのに十分であった。選択された抗体の生産をスケールアップし、モノクローナル抗体をプロテインGクロマトグラフィーによって精製し、濃縮し、PBSにバッファ交換した。全IgG ELISAを用いてモノクローナル抗体濃度を決定した。
【0363】
高レベルのhCCR6を発現するL1.2トランスフェクタントを使用してマウスを免疫し、hCCR6をトランスフェクトしたL1.2細胞と反応した約40個のモノクローナル抗体をフローサイトメトリーを介して最初に同定したところ、そのうちの約10個はL1.2/hCCR6トランスフェクタントと特異的に反応したが、トランスフェクトしていないL1.2細胞又は密接に関連する受容体hCXCRI、hCXCR2、若しくはhCXCR3をトランスフェクトしたL1.2細胞とは反応しなかった(
図3)。
【0364】
クローン性を確保するために、選択したハイブリドーマを、希釈プレーティングを用いて384ウェルプレートにサブクローニングした(以下の表7に示す)。L1.2/hCCR6トランスフェクタント及びトランスフェクトしていないL1.2細胞を用いたフローサイトメトリーによって、サブクローンの交差反応性の特異性を確認した。
【0365】
【0366】
実施例2-抗ヒトCCR6可変領域遺伝子のシーケンシング
抗hCCR6ハイブリドーマからの全RNAを用いて、シーケンシング解析用のcDNAを合成した。マウスの軽鎖(mIgCk)及び重鎖(mIgG2a)の定常領域にアニーリングするプライマーを用いてRT-PCRによって可変領域遺伝子を増幅させ、可変重鎖(VH)及び可変軽鎖(VL)の遺伝子をシーケンシングした。
【0367】
実施例3-モノクローナル抗体によるリガンドのCCR6への結合の競合的阻害
リガンド結合解析のために、Peprotech(New Jersey,USA)から組換えヒトCCL20(MIP3α)(「リガンド」)を入手した。125l-ボルトン-ハンターで標識したMIP3αをPerkin-Elmer(Boston,MA,USA)から購入し、比活性は2200Ci/mMであった。細胞を結合バッファ(50mM Hepes、pH 7.5、1mM CaCI、5mM MgCb、0.5% BSA)で1回洗浄し、2.5×106細胞/mLの濃度で結合バッファに再懸濁させた。冷精製モノクローナル抗体又は希釈ハイブリドーマ培養培地(冷競合物質)を96ウェルプレートに添加し、続いて、1×105個の細胞を含有する等体積(40μL)の結合バッファを添加した。細胞及び競合物質を室温で15分間プレインキュベートした。次いで、放射性標識リガンド(最終濃度0.5~2nM)を各ウェルに添加して、最終反応体積を120μLとした。室温で60分間インキュベートした後、150mM NaCIを含有する結合バッファ1mLで細胞を3回洗浄した。細胞ペレット中の放射能(結合した標識の量)をTopCount液体シンチレーションカウンター(Packard)でカウントした。放射性標識リガンドなしで細胞をインキュベートすることによって、非特異的バックグラウンド結合を計算した。サンプルを2度繰り返しアッセイした。
【0368】
最初に、ヒトCCCR6トランスフェクタントに結合すると同定された抗CCR6モノクローナル抗体のパネルを、アッセイ前に20時間5mMの酪酸で処理したhCCR6/L1.2トランスフェクタントへの125I標識リガンドの結合を競合的に阻害する能力についてスクリーニングした。インキュベーション及び洗浄後、細胞に結合した標識の量を測定し、抗体を添加しなかった対照反応と比較することによって阻害率を決定した(
図1及び5)。
【0369】
実施例4-トランスフェクタント走化性アッセイ
ヒトCCR6をトランスフェクトしたL1.2細胞をスピンダウンし、遊走培地(MM=RPMI 1640、0.5%BSA)で洗浄し、107細胞/mLで再懸濁させた。組織培養インサート(Becton Dickinson & Co.,Mountain View,Calif.)を24ウェル組織培養プレートの各ウェルに入れ、直径3mmの孔を有するポリエチレンテレフタレート膜で隔てられた上側及び下側のチャンバーを形成した。24ウェル組織培養プレートのアッセイ培地600μLに走化性MIP3α(アッセイ培地で希釈)を添加した。100μL中100万個の細胞を抗体と共に30分間プレインキュベートした。精製したmAbをウェルの上側チャンバーに添加し、5%CO2、37℃のインキュベーター内で18時間、細胞を下側のチャンバーに遊走させた。遊走後にインサートを除去し、LSRIIサイトメーター(BD Biosciences)で細胞をカウントした。30秒の設定時間の間の事象を取得することによって、相対細胞数を得た。この方法は再現性が高く、生細胞のゲーティング及び残屑の排除を可能にすることが判明した(
図2、6、及び7)。
【0370】
実施例5-エピトープマッピング
抗CCR6 mAbによって認識されるCCR6内の領域を決定するために、エピトープマッピング研究を行った。最初に、ヒトCCR6のN末端領域並びに第1、第2、及び第3の細胞外ループに対応するビオチン化ペプチドをELISAで使用した。この予備的マッピング研究の結果は、全ての抗ヒトCCR6 mAbがCCR6のN末端領域を認識することを示した。
【0371】
次いで、ヒトCCR6のN末端領域全体に及ぶ2つの重複するビオチン化ペプチドを合成し、より詳細な抗CCR6 mAbエピトープマッピング研究に使用した。ペプチド1(MSGESMNFSDVFDSSEDYFASVNTSYYT、配列番号2)はヒトCCR6のアミノ酸位置1~28に対応し、ペプチド2(YFASVNTSYYTVDSEMLLCTLHEVRQFSR、配列番号101)はヒトCCR6のアミノ酸位置18~46に対応する。簡潔に説明すると、マルチウェルプレートをストレプトアビジンでコーティングし、洗浄した後、ビオチン化ペプチドを別々のウェルに添加し、ペプチドのプレートへの結合を促進するためにインキュベートした。次いで、それぞれの抗体をプレートのウェルに添加し、プレートをインキュベートすることによって、異なる抗ヒトCCR6抗体を試験した。陰性対照として、アイソタイプ対照及びバッファのみを含めた。洗浄後、適切なコンジュゲート抗体を添加し、プレートをインキュベートした。プレートを再度洗浄し、固定化されたペプチドへの抗体の結合を可視化した(
図8及び9)。
【0372】
結果:抗hCCR6抗体のほとんどは、ヒトCCR6のN末端領域を認識する。より正確には、抗体の大部分は、最初の28AAを含む領域と反応する。クローンAB7だけがAA18~46を含むエピトープを認識する。
【0373】
実施例6-ヒト化AB6 mAbの作製
標準的な分子技術を用いてAB6 mAbのCDR(CDR-H1:;CDR-H2;CDR-H3;CDR-L1;CDR-L2;及びCDR-L3)をヒトのフレームワーク領域に移動させることにより、ヒト化AB6 mAbを作製した(
図10及び11)。IMGT/V-QUEST及びIMGT/Junctions解析ツールを用いて、重鎖及び軽鎖の両方の可変領域の配列がマウス抗体の配列と密接にアラインしたヒト生殖系列遺伝子を同定した。これら選択されたヒト生殖系列遺伝子のフレームワーク配列を、マウスAB6 CDRのアクセプター配列として使用した(IMGTデータベースによればIGHV3-48
*02及びIGKV2-28
*01ヒト遺伝子)。しかし、重要な「バーニア」ゾーンにはマウス残基が保持されていた。また、CHO細胞で発現するようにコドン最適化されたヒト化VH及びVL遺伝子は、Genescriptによって合成された。
【0374】
抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)を増強又は減少させるために、標準的な部位特異的変異誘発技術によってヒト化AB6抗体のFcバリアントを作製した。ADCCを増強するために「3M」として知られているトリプル変異S239D/A330L/I332E(Eu付番システム)をFc領域に導入して、ヒト化AB6-3MFc抗体を得た。また、ADCCを減少させるためにトリプル変異L234F/L235E/P331S(Eu付番システム)をFc領域に導入して、ヒト化AB6-Fc-KO抗体(3SFC)を得た。
【0375】
実施例7-フローサイトメトリーによる抗体依存性細胞傷害ADCC解析
L1.2 hCCR6トランスフェクト細胞のエフェクター細胞依存性溶解を誘導するhAB6(3MFc及び3SFc)の能力をフローサイトメトリーによって評価した。簡潔に説明すると、エフェクター細胞及び抗体と共にインキュベートしたときに識別できるように、L1.2 hCCR6をトランスフェクトした細胞を膜色素PKH26で標識した。標識された標的細胞を培養培地で3回洗浄し、1×106/mLの濃度で培養培地に再懸濁させた。標識された標的細胞を丸底96ウェルプレートに分注し(100μL/ウェルで1×105)、20μg/mLのhAB6又はヒトIgG1アイソタイプ対照(Sigma)と共に37℃で30分間プレインキュベートした。フィコール上で遠心分離することによって、ヘパリン処理した血液(健常個体から得た)からPBMCを調製した。その後、標的細胞を含む96ウェルプレートに、エフェクター細胞:標的細胞(E:T)比1:50でPBMC(エフェクター細胞)を添加し、37℃で3時間インキュベートした。LSRIIサイトメーター(BD Biosciences)で解析する直前に、TO-PRO 3ヨウ化物を添加して細胞死を検出した。
【0376】
結果:ヒトCCR6陽性細胞の枯渇(3MFc)又はブロッキング(3SFc)のために、ヒト化抗hCCR6抗体のエフェクター機能を操作することができる(
図12及び16)。
【0377】
実施例8-ヒト化hCCR6トランスジェニックマウスの作製
ヒトCCR6遺伝子を含むBACクローンRP11-319P19を用いてヒトCCR6トランスジェニックマウスを作成した。制限エンドヌクレアーゼによってBACを線状化した。ヒトCCR6遺伝子断片を精製し、前核マイクロインジェクションによって1日齢のC57BL/6胚に注入した。次いで、胚をICR代理母雌に移植し、得られた後代をヒトCCR6導入遺伝子の存在についてPCRでスクリーニングした。hCCR6+マウスをmCCR6-/-マウスと交配し、hCCR6+/mCCR6-/-系統を作製した(
図13)。
【0378】
結果:抗ヒトCCR6抗体の抗炎症活性に関連してヒトCCR6を研究するために、マウスにおいて、その内因性プロモータによって駆動されて、hCCR6の特徴的なインビボ発現パターンを再現するhCCR6を発現させた。hCCR6遺伝子及びその制御領域をコードしているヒト細菌人工染色体(BAC)クローンを導入遺伝子としてマウスに導入した。トランスジェニックマウスは、末梢血及び脾臓のリンパ球においてこのヒトケモカイン受容体の表面発現を示し、これはヒトのCCR6の発現パターンに類似していた(
図14)。
【0379】
実施例9-実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)に対するヒト化AB6 mAbのインビボ効果
CD4+Th17細胞によって優先的に発現される受容体であるCCR6及びその対応するリガンド(CCL20、MIP-3α)が多発性硬化症に関与していることは、幾つかの研究で実証されている。従って、ヒト化AB6 mAbを用いてCCR6+細胞をブロックすると、EAEマウスモデルにおいて免疫抑制が生じ、疾患の転帰が寛解されるかどうかを決定するために実験を行った。
【0380】
EAEを誘導するために、8~12週齢の雌hCCR6 Tg C57BL/6マウスに、完全フロイントアジュバント(DIFCO Laboratories,Detroit,MI)中100μgの組換えマウスMOG 1-117(Clements CSet al.Proc Natl Acad Sci U S A 2003;100:11059-11064)を皮下注射した。免疫し、48時間経過した後に、マウスに200ngの百日咳毒素を静脈注射した。個々の動物を毎日観察し、以下の通り臨床スコアを評価した:0=臨床疾患なし、1=尾の緊張の喪失のみ、2=軽度の不全単麻痺又は不全対麻痺、3=重度の不全対麻痺、4=対麻痺及び/又は四肢不全麻痺、5=瀕死又は死亡。抗体の投与のタイミングは臨床的に観察可能な疾患の発症前であるため、抗CCR6抗体が疾患の発症を遅らせたり、重症度を軽減したりできるかどうかを試験する機会が提供される。
【0381】
免疫後8日目にPBS、精製ヒト化抗CCR6 mab、又はアイソタイプ対照(5mg/kg)を単回注射した。
【0382】
結果:hCCR6トランスジェニックマウスをヒト化抗hCCR6抗体(hAB6-3SFc)の単回注射で処理すると、EAEの発生が有意に減少した(
図15)。
【0383】
実施例10-上記実施例9に記載したEAE研究の動物の組織学的解析。
アイソタイプ又は抗ccr6 mAbで処理した免疫動物からの脊髄の代表的な染色された組織切片(予防研究)。連続切片をヘマトキシリン・エオジン(H&E)で染色して炎症性細胞浸潤の程度を決定し、ルクソール・ファストブルー(LFB;矢頭)してミエリンの完全性を証明し、そして、ビールショウスキー銀染色して軸索の喪失及び損傷を確認した(矢印)(
図17を参照)。hAB6抗体を投与すると、T細胞、B細胞、及びマクロファージ等の炎症細胞の浸潤がブロックされた。この抗体はまた、ミエリンの分解を低減し、軸索の喪失及び損傷を阻止した。
【0384】
実施例11-実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)に対するヒト化AB6 mAbのインビボ効果
8~12週齢の雌hCCR6 Tgマウスに、完全フロイントアジュバント中100μgのrMOG 1-117を皮下注射した。免疫し、48時間経過した後に、マウスに200ngの百日咳毒素を静脈注射した。平均臨床スコアが2に達したとき(15日目)、動物を2mg/kgのヒト化抗hCCR6 mab又はヒト化抗hCXCR3 mab(アイソタイプ群)で処理した。19日目に動物に2回目の注射を行った。結果を
図18に示す。
【0385】
結果:ヒト化AB6 mAbを15日目に投与したところ、臨床疾患が安定化し、その後19日目に投与したところ、不全単麻痺又は不全対麻痺が観察可能なほど改善した。このことは、CCR6を標的とすることで、疾患を安定化させるだけでなく、多発性硬化症等の脱髄及び/又は単核細胞のCNSへの浸潤を特徴とする疾患の症状を反転させ得ることを示唆している。
【0386】
実施例12-IMIQUIMOD(IMQ)誘発乾癬モデルに対するヒト化AB6 mAbのインビボ効果
IMQによって誘発されたマウスの皮膚炎症は、表現型的に乾癬に類似している(IMIQUIMOD誘発乾癬モデル(van der Fits,et al.The Journal of Immunology 2009 vol.182 no.9 5836-5845))。IMQを皮膚に適用すると、適用部位(典型的には背部)が紅斑、鱗屑、及び肥厚の徴候を呈する。IMQで処理した皮膚は、ケラチノサイトの過剰増殖によって引き起こされる表皮肥厚の増加も示す(van der Fits,et al.2009)。マウスモデルにおけるIMQ処理の結果、ケラチノサイトが過剰に増殖し、表皮の分化が妨げられ(錯角化)、これは、角質層における核の保持、顆粒層の欠如、及びインボルクリンの発現パターンの変化によって一般的に呈される(van der Fits et al.2009)。これらの観察可能かつ測定可能な形質は、斑状乾癬の特徴的な組織像と一致する。
【0387】
予防研究
hCCR6 Tgマウスの剃毛した背部皮膚をIMQクリーム又は対照クリーム(ワセリン)で毎日処理した。
図19は、IMQクリームを最初に適用したのと同じ日(すなわち0日目)に処理を開始し、7日間処理した後のマウス背部皮膚の表現型の提示を示す。マウスをアイソタイプ対照抗体(5mg/kg)で毎日処理したところ、表皮の肥厚、紅斑、及び鱗屑を呈したが(右端)、ヒト化抗hCCR6 mab、hAB6(3Mfc又は3SFc、5mg/kg)で処理したところ、表皮の肥厚、紅斑、及び鱗屑の形成が阻止された。(B)IMQ処理は、ケラチノサイトの増殖及び分化を変化させる。IMQ又はワセリンクリームで7日間マウスを処理した。マウスの背部皮膚のH&E染色(ワセリン対照;IMQ+アイソタイプ又はIMQ+hAB6 3MFc)は、IMQがケラチノサイトの過剰増殖を引き起こし、分化を変化させることを示したが、これはhAB6 3MFcによって阻止された。(C)IMQは背部皮膚の肥厚を誘導した。抗hCCR6は、3Mfc又は3SFcのいずれであろうと、アイソタイプ対照と比較して背部皮膚の肥厚を有意に減少させた。結果は、抗CCR6抗体が乾癬の形成を阻止し、この効果がFc機能とは無関係であることを示唆している。
【0388】
治療研究
hCCR6 Tgマウスの剃毛した背部皮膚をIMQクリーム又は対照クリーム(ワセリン)で毎日処理し、IMQクリームの最初の適用後6日目から始めてアイソタイプ対照抗体(5mg/kg)又はヒト化抗hCCR6 mab(3Mfc又は3SFc、5mg/kg)で毎日処理した。この治療研究では、IMQによって誘導される背部皮膚肥厚を測定したところ、抗hCCR6抗体、hAB6 3Mfc、又はFc KO(3SFc)はいずれもアイソタイプ対照と比較して背部皮膚肥厚を有意に減少させた。これら結果は、本発明の抗CCR6抗体が乾癬を治療し、その進行を遅らせることができることを示す(
図20)。
【0389】
実施例13-インビトロADCCアッセイ。
hAB6枯渇抗体(IgG1及びIgG1 Fc最適化)の細胞溶解能を、非枯渇hAB6(Fc KO)及びアイソタイプ対照と比較した。hAb6枯渇抗体は、非枯渇又は対照と比較して、細胞殺傷能が有意に増加したことが示された(
図21)。
【0390】
実施例14-関節炎治療研究
0日目及び1日目に、ヒトCCR6トランスジェニックマウスに200μLのK/BXN血清を注射(i.p.)した。実験のエンドポイントまで毎日、足首の厚さ及び臨床指標スコアを測定することによって、関節炎の発生を評価した。マウスが関節炎の症状を示し、累積臨床スコアが4に達したとき(4日目)、マウスを2つの群に分けた:アイソタイプ対照mAb抗体を注射した群;抗hCCR6-FcKO抗体(青)を注射した群;及び抗hCCR6枯渇抗体(緑)を注射した群、20mg/kg(体重)を注射し、その後1週間にわたって隔日で5mg/kgを注射。対照として、0日目及び1日目にヒトCCR6を発現していないマウス(WT)に200μLのK/BXN血清を腹腔内注射し、抗hCCR6枯渇抗体(赤)で処理した。
【0391】
実験のエンドポイントにおけるマウス足首の代表的な画像。
図22に示すように、結果は、抗CCR6枯渇抗体がマウスにおいて関節炎の症状及び徴候を有意に減少させることを実証する。
【0392】
実施例15-h6H12の親和性成熟
hAB6のVH及びVKの核酸配列が変異を受けて、VK配列1-21、1-23及びVH配列3-3が生産された。野生型hAB6 VH及びVL並びに/又は変異型1-21、1-23 VH、若しくは3-3 VLの様々な組み合わせのいずれかをそれぞれ有する様々な変異型抗体(
図23)を生産するように、これら配列を配置した。本明細書に記載の抗体をVH/VL:WT/3-3、1-21/WT、1-23/WT、1-21/3-3、及び1-23/3-3として示す。ヒトCCR6 L1.2細胞に対するフローサイトメトリー細胞結合アッセイによって、これら得られた抗体の親和性を試験した。
【0393】
ヒトCCR6を発現する細胞株(L1.2ヒトCCR6)を用いたFACS結合アッセイを用いて、hAB6及び変異体hAB6-IgG1のヒトCCR6に対する結合特性を実施した。約2.5 105個のhCCR6 L1.2細胞/試験をFACS結合バッファ(FBB)(PBS、0.5%BSA、0.1%NaN3(pH7.4))で洗浄し、hAB6又はhAB6の変異体(4.4μg/mL)及び抗体の連続3倍希釈液で染色した。氷上で1時間後、細胞をFBB(pH7.4)で洗浄し、PEコンジュゲート抗ヒトFc抗体(Jackson ImmunoResearch)で洗浄した。氷上で30分後、細胞をFBB(pH7.4)で3回洗浄し、1%ホルムアルデヒドに再懸濁させ、FACS LSRフローサイトメーター(BD Immunocytometry Systems)を用いて分析した。GraphPad Prismを用いてEC50値を算出した。EC50値(nM)は、3.4(hAB6)、3.2(WT/3.3)、0.46(1-21/WT)、0.39(1-23/WT)、0.41(1-21/3-3)、及び1.2(1-23/3.3)であった。
【0394】
実施例16-強皮症治療研究
ブレオマイシン誘発強皮症モデルにおいて、抗CCR6枯渇抗体の治療有効性を評価した。簡潔に説明すると、6週齢のC57/BL6マウスを動物小屋で7日間馴化させた。
【0395】
ブレオマイシン(BLM)(Sigma)をPBSで200μg/mLに希釈した。100μLのブレオマイシン又はPBS(ビヒクル)を、28日間にわたって1日1回マウスの剃毛した背部の1ヶ所に皮下注射した。その後、8日目から27日目まで週3回、5mg/kgの抗ヒトCCR6 mAb(hAB6、本明細書に記載)のi.p.注射でマウスを処理した。対照マウスはアイソタイプ対照又はPBSをi.p.注射することによって処理した。実験プロトコルの概略図を
図24a)に示す。
【0396】
典型的には、ブレオマイシンによる処理後に厚みの増加が観察され、これは強皮症を示す。アイソタイプ対照抗体を投与すると、この厚さは増加し、持続する。しかし、
図24b)に示すように、ブレオマイシン注射後に抗ヒトCCR6抗体を投与したマウスでは、背面皮膚の厚みが有意に減少した。
【0397】
図25はマウスの組織学的評価の結果を示す。
図25a)は皮膚組織のH&E、マッソントリクローム染色、ピコシリウスレッド染色を示し、
図25b)は肺組織の同じ染色を示す。
【0398】
これら結果は、本発明の抗CCR6枯渇抗体が、全身性強皮症を含む強皮症の治療及び症状の軽減に有用であることを示す。
【配列表】
【国際調査報告】