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特表2024-504276リスクベースのインスリン送達変換のためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-31
(54)【発明の名称】リスクベースのインスリン送達変換のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G16H 50/30 20180101AFI20240124BHJP
【FI】
G16H50/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023539889
(86)(22)【出願日】2022-02-03
(85)【翻訳文提出日】2023-06-28
(86)【国際出願番号】 US2022015065
(87)【国際公開番号】W WO2022169942
(87)【国際公開日】2022-08-11
(31)【優先権主張番号】63/145,224
(32)【優先日】2021-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504016422
【氏名又は名称】デックスコム・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン・ディー・パテク
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
(57)【要約】
インスリン送達の速度が高血糖リスク又は低血糖リスクのレベルによって決まる自動ボーラス決定を使用して、安全かつ信頼性の高い範囲制御を提供するように受信データを調整することによって、高血糖及び低血糖を管理するためのシステム及び方法が提供される。加えて、いくつかの実施態様は、インスリン送達を血糖リスクに基づく速度に変換することに向けられている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インスリンデータ及びグルコースデータを受信するように構成されている比較部であって、前記インスリンデータ及び前記グルコースデータから導出された代謝データ及び行動データの別々に導出された推定値間の乖離を、最近の血糖測定値が最近のインスリンと一致しない程度を定量化することによって識別するように構成されているモデル一致評価部を含む、比較部と、
前記グルコースデータに基づいて、現在又は将来の高血糖又は低血糖のうちの少なくとも1つのリスクを定量化するように構成されている血糖リスク評価部と、
前記比較部及び前記血糖リスク評価部からのデータに基づいてインスリン送達速度を調節するように構成されているインスリン送達監視部と、
を備える、リスクベースのインスリン送達速度変換器。
【請求項2】
前記モデル一致評価部は、代謝状態又は行動状態の2つの異なるモデル間の乖離を評価し、後で使用するために出力として前記乖離を提供するように更に構成されている、請求項1に記載のリスクベースのインスリン送達速度変換器。
【請求項3】
前記モデル一致評価部は、代謝状態又は行動状態の2つの異なる開ループ予測間の乖離を分散として定量化するように更に構成されている、請求項1又は2に記載のリスクベースのインスリン送達速度変換器。
【請求項4】
前記比較部は、持続グルコースモニタリングシステム(CGM)フィードバック、他の感知された入力、又はユーザ入力のうちの少なくとも1つに基づいて、患者の生理学的状態又は行動状態の少なくとも一方を推定し、前記モデル一致評価部に出力を提供する、状態推定部を更に備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のリスクベースのインスリン送達速度変換器。
【請求項5】
前記状態推定値は前記モデル一致評価部によって使用される、請求項1~4のいずれか一項に記載のリスクベースのインスリン送達速度変換器。
【請求項6】
前記血糖リスク評価部は高血糖リスクを評価し、前記高血糖リスクは前記インスリン送達監視部による前記インスリン速度の計算に用いられる時間窓を調節するために使用される、請求項1~5のいずれか一項に記載のリスクベースのインスリン送達速度変換器。
【請求項7】
前記インスリン送達監視部は、外部プロセスからの提案されたボーラス速度又は基礎速度の少なくとも一方を考慮する、請求項1~6のいずれか一項に記載のリスクベースのインスリン送達速度変換器。
【請求項8】
前記インスリン送達監視部は、必要なインスリンの量が送達されることになる時間窓に関するインスリン速度を計算する、請求項1~7のいずれか一項に記載のリスクベースのインスリン送達速度変換器。
【請求項9】
前記時間窓は、前記血糖リスク評価部によって定量化された血糖リスクのレベルから決定される、請求項8に記載のリスクベースのインスリン送達速度変換器。
【請求項10】
前記インスリン送達監視部は、前記比較部によって決定された前記乖離を最小化するために必要なインスリンの量を決定するインスリン計画部を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のリスクベースのインスリン送達速度変換器。
【請求項11】
前記インスリン送達監視部は、外部ソースからの提案された基礎速度を前記インスリン計画部によって識別されたインスリン必要量と調整して、次の定期的更新のための承認された基礎速度を決定する監視部を備える、請求項1~10のいずれか一項に記載のリスクベースのインスリン送達速度変換器。
【請求項12】
前記インスリン送達監視部は、前記承認された基礎速度を基礎速度と個別のボーラスを混合したものに変換するように構成されている、請求項11に記載のリスクベースのインスリン送達速度変換器。
【請求項13】
比較部においてインスリンデータ及びグルコースデータを受信することと、
前記比較部のモデル一致評価部を使用して、最近の血糖測定値が最近のインスリンと一致しない程度を定量化することによって、前記インスリンデータ及び前記グルコースデータから導出された代謝データ及び行動データの別々に導出された推定値間の乖離を識別することと、
血糖リスク評価部を使用して、前記グルコースデータに基づいて現在又は将来の高血糖又は低血糖のうちの少なくとも1つのリスクを定量化することと、
インスリン送達監視部を使用して、前記比較部及び前記血糖リスク評価部からのデータに基づいてインスリン送達速度を調節することと、
を含む、リスクベースのインスリン送達速度変換方法。
【請求項14】
前記モデル一致評価部を使用して、代謝状態又は行動状態の2つの異なるモデル間の乖離を評価することと、後で使用するために前記乖離を出力として提供することと、を更に含む、請求項13に記載のリスクベースのインスリン送達速度変換方法。
【請求項15】
前記モデル一致評価部を使用して、代謝状態又は行動状態の2つの異なる開ループ予測間の乖離を分散として定量化することを更に含む、請求項13又は14に記載のリスクベースのインスリン送達速度変換方法。
【請求項16】
前記比較部の状態推定部を使用して、持続グルコースモニタリングシステム(CGM)フィードバック、他の感知された入力、又はユーザ入力のうちの少なくとも1つに基づいて、患者の生理学的状態又は行動状態の少なくとも一方を推定することと、出力を前記モデル一致評価部に提供することと、を更に含む、請求項13~15のいずれか一項に記載のリスクベースのインスリン送達速度変換方法。
【請求項17】
前記状態推定値は、前記モデル一致評価部によって使用される、請求項16に記載のリスクベースのインスリン送達速度変換方法。
【請求項18】
前記血糖リスク評価部によって高血糖リスクを評価することを更に含み、前記高血糖リスクは前記インスリン送達監視部による前記インスリン速度の計算に用いられる時間窓を調節するために使用される、請求項13~17のいずれか一項に記載のリスクベースのインスリン送達速度変換方法。
【請求項19】
前記インスリン送達監視部は、外部プロセスからの提案されたボーラス速度又は基礎速度の少なくとも一方を考慮する、請求項13~18のいずれか一項に記載のリスクベースのインスリン送達速度変換方法。
【請求項20】
前記インスリン送達監視部は、前記必要なインスリンの量が送達される時間窓について前記インスリン速度を計算する、請求項13~19のいずれか一項に記載のリスクベースのインスリン送達速度変換方法。
【請求項21】
前記時間窓は、前記血糖リスク評価部によって定量化された血糖リスクのレベルから決定される、請求項20に記載のリスクベースのインスリン送達速度変換方法。
【請求項22】
前記インスリン送達監視部のインスリン計画部によって、前記比較部によって決定された前記乖離を最小化するために必要なインスリンの量を決定することを更に含む、請求項13~21のいずれか一項に記載のリスクベースのインスリン送達速度変換方法。
【請求項23】
前記インスリン送達監視部の監視部によって、外部ソースからの提案された基礎速度を前記インスリン計画部によって識別されたインスリン必要量と調整して、次の定期的更新のための承認された基礎速度を決定することを更に含む、請求項13~22のいずれか一項に記載のリスクベースのインスリン送達速度変換方法。
【請求項24】
前記インスリン送達監視部を使用して、前記承認された基礎速度を基礎速度と個別のボーラスを混合したものに変換することを更に含む、請求項23に記載のリスクベースのインスリン送達速度変換方法。
【請求項25】
少なくとも1つのプロセッサと、
非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記システムに、
比較部においてインスリンデータ及びグルコースデータを受信させ、
前記比較部のモデル一致評価部を使用して、最近の血糖測定値が最近のインスリンと一致しない程度を定量化することによって、前記インスリンデータ及び前記グルコースデータから導出された代謝データ及び行動データの別々に導出された推定値間の乖離を識別させ、
血糖リスク評価部を使用して、前記グルコースデータに基づいて現在又は将来の高血糖又は低血糖のうちの少なくとも1つのリスクを定量化させ、
インスリン送達監視部を使用して、前記比較部及び前記血糖リスク評価部からのデータに基づいてインスリン送達速度を調節させる命令を含む、非一時的コンピュータ可読媒体と、
を備える、システム。
【請求項26】
前記コンピュータ可読媒体は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記システムに、前記モデル一致評価部を使用して、代謝状態又は行動状態の2つの異なるモデル間の乖離を評価させ、後で使用するために前記乖離を出力として提供させる命令を更に含む、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記コンピュータ可読媒体は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記システムに、前記モデル一致評価部を使用して、代謝状態又は行動状態の2つの異なる開ループ予測間の乖離を分散として定量化させる命令を更に含む、請求項25又は26に記載のシステム。
【請求項28】
前記コンピュータ可読媒体は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記システムに、前記比較部の状態推定部を使用して、持続グルコースモニタリングシステム(CGM)フィードバック、他の感知された入力、又はユーザ入力のうちの少なくとも1つに基づいて、患者の生理学的状態又は行動状態の少なくとも一方を推定させ、出力を前記モデル一致評価部に提供させる命令を更に含む、請求項25~27のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項29】
前記状態推定値は、前記モデル一致評価部によって使用される、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
前記コンピュータ可読媒体は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記システムに、前記血糖リスク評価部によって高血糖リスクを評価させる命令を更に含み、前記高血糖リスクは前記インスリン送達監視部による前記インスリン速度の計算に用いられる時間窓を調節するために使用される、請求項25~29のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項31】
前記インスリン送達監視部は、外部プロセスからの提案されたボーラス速度又は基礎速度の少なくとも一方を考慮する、請求項25~30のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項32】
前記インスリン送達監視部は、必要なインスリンの量が送達されることになる時間窓に関するインスリン速度を計算する、請求項25~31のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項33】
前記時間窓は、前記血糖リスク評価部によって定量化された血糖リスクのレベルから決定される、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記コンピュータ可読媒体は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記システムに、前記インスリン送達監視部のインスリン計画部によって、前記比較部によって決定された前記乖離を最小化するために必要なインスリンの量を決定させる命令を更に含む、請求項25~33のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項35】
前記コンピュータ可読媒体は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記システムに、前記インスリン送達監視部の監視部によって、外部ソースからの提案された基礎速度を前記インスリン計画部によって識別されたインスリン必要量と調整させて、次の定期的更新のための承認された基礎速度を決定させる命令を更に含む、請求項25~34のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項36】
前記コンピュータ可読媒体は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記システムに、前記インスリン送達監視部を使用して、前記承認された基礎速度を基礎速度と個別のボーラスを混合したものに変換させる命令を更に含む、請求項35に記載のシステム。
【請求項37】
インスリンデータ及びグルコースデータを受信するように構成されている比較部であって、前記インスリンデータ及び前記グルコースデータから導出された代謝データ及び行動データの別々に導出された推定値間の乖離を、最近の血糖測定値が最近のインスリンと一致しない程度を定量化することによって識別するように構成されているモデル一致評価部を含む、比較部と、
前記グルコースデータに基づいて、現在又は将来の高血糖又は低血糖のうちの少なくとも1つのリスクを定量化するように構成されている血糖リスク評価部と、
前記比較部及び前記血糖リスク評価部からのデータに基づいてインスリン送達速度を調節するように構成されているインスリン送達監視部と、
基準インスリン速度(RIR)を決定するように構成されている基準インスリン速度更新部であって、前記RIRは平衡を達成すると考えられるインスリンの内部基準である、基準インスリン速度更新部と、
を備える、リスクベースのインスリン送達速度変換器。
【請求項38】
前記RIR更新部は前記比較部内に含まれている、請求項37に記載のリスクベースのインスリン送達速度変換器。
【請求項39】
前記RIRは前記比較部によって使用される、請求項37又は38に記載のリスクベースのインスリン送達速度変換器。
【請求項40】
前記血糖リスク評価部は、前記RIRを受信し、前記RIRを使用して現在若しくは将来の高血糖又は将来の低血糖のうちの少なくとも1つのリスクを定量化するように構成されている、請求項37~39のいずれか一項に記載のリスクベースのインスリン送達速度変換器。
【請求項41】
前記インスリン送達監視部は、前記RIRを受信し、前記RIRを使用して、将来のインスリンの目標トラジェクトリと前記乖離を最小化するために必要なインスリンの量とを決定するように構成されている、請求項37~40のいずれか一項に記載のリスクベースのインスリン送達速度変換器。
【請求項42】
前記インスリン送達監視部は、乖離データを受信し、乖離データを使用して、将来のインスリンの前記目標トラジェクトリと前記乖離を最小化するために必要なインスリンの量とを決定するように更に構成されている、請求項37~41のいずれか一項に記載のリスクベースのインスリン送達速度変換器。
【請求項43】
前記モデル一致評価部は、代謝状態又は行動状態の2つの異なるモデル間の乖離を評価し、後で使用するために出力として前記乖離を提供するように更に構成されている、請求項37~42のいずれか一項に記載のリスクベースのインスリン送達速度変換器。
【請求項44】
前記モデル一致評価部は、代謝状態又は行動状態の2つの異なる開ループ予測間の乖離を分散として定量化するように更に構成されている、請求項37~43のいずれか一項に記載のリスクベースのインスリン送達速度変換器。
【請求項45】
前記比較部は、持続グルコースモニタリングシステム(CGM)フィードバック、他の感知された入力、又はユーザ入力のうちの少なくとも1つに基づいて、患者の生理学的状態又は行動状態の少なくとも一方を推定し、前記モデル一致評価部に出力を提供する、状態推定部を更に備える、請求項37~44のいずれか一項に記載のリスクベースのインスリン送達速度変換器。
【請求項46】
前記状態推定値は、前記モデル一致評価部によって使用される、請求項45に記載のリスクベースのインスリン送達速度変換器。
【請求項47】
前記血糖リスク評価部は高血糖リスクを評価し、前記高血糖リスクは前記インスリン送達監視部による前記インスリン速度の計算に用いられる時間窓を調節するために使用される、請求項37~46のいずれか一項に記載のリスクベースのインスリン送達速度変換器。
【請求項48】
前記インスリン送達監視部は、外部プロセスからの提案されたボーラス速度又は基礎速度の少なくとも一方を考慮する、請求項37~47のいずれか一項に記載のリスクベースのインスリン送達速度変換器。
【請求項49】
前記インスリン送達監視部は、必要なインスリンの量が送達されることになる時間窓に関するインスリン速度を計算する、請求項37~48のいずれか一項に記載のリスクベースのインスリン送達速度変換器。
【請求項50】
前記時間窓は、前記血糖リスク評価部によって定量化された血糖リスクのレベルから決定される、請求項49に記載のリスクベースのインスリン送達速度変換器。
【請求項51】
前記インスリン送達監視部は、前記比較部によって決定された前記乖離を最小化するために必要なインスリンの量を決定するインスリン計画部を含む、請求項37~50のいずれか一項に記載のリスクベースのインスリン送達速度変換器。
【請求項52】
前記インスリン送達監視部は、外部ソースからの提案された基礎速度を前記インスリン計画部によって識別されたインスリン必要量と調整して、次の定期的更新のための承認された基礎速度を決定する監視部を備える、請求項37~51のいずれか一項に記載のリスクベースのインスリン送達速度変換器。
【請求項53】
前記インスリン送達監視部は、前記承認された基礎速度を基礎速度と個別のボーラスを混合したものに変換するように構成されている、請求項52に記載のリスクベースのインスリン送達速度変換器。
【請求項54】
比較部においてインスリンデータ及びグルコースデータを受信することと、
前記比較部のモデル一致評価部を使用して、最近の血糖測定値が最近のインスリンと一致しない程度を定量化することによって、前記インスリンデータ及び前記グルコースデータから導出された代謝データ及び行動データの別々に導出された推定値間の乖離を識別することと、
血糖リスク評価部を使用して、前記グルコースデータに基づいて現在又は将来の高血糖又は低血糖のうちの少なくとも1つのリスクを定量化することと、
インスリン送達監視部を使用して、前記比較部及び前記血糖リスク評価部からのデータに基づいてインスリン送達速度を調節することと、
基準インスリン速度(RIR)更新部を使用してRIRを決定することであって、前記RIRは平衡を達成すると考えられるインスリンの内部基準である、決定することと、
を含む、リスクベースのインスリン送達速度変換方法。
【請求項55】
前記RIR更新部は前記比較部内に含まれている、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記RIRは前記比較部によって使用される、請求項54又は55に記載の方法。
【請求項57】
前記血糖リスク評価部は、前記RIRを受信し、前記RIRを使用して現在若しくは将来の高血糖又は将来の低血糖のうちの少なくとも1つのリスクを定量化するように構成されている、請求項54~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記インスリン送達監視部は、前記RIRを受信し、前記RIRを使用して、将来のインスリンの目標トラジェクトリと前記乖離を最小化するために必要なインスリンの量とを決定するように構成されている、請求項54~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記インスリン送達監視部は、乖離データを受信し、乖離データを使用して、将来のインスリンの前記目標トラジェクトリと前記乖離を最小化するために必要なインスリンの量とを決定するように更に構成されている、請求項54~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記モデル一致評価部を使用して、代謝状態又は行動状態の2つの異なるモデル間の乖離を評価することと、後で使用するために前記乖離を出力として提供することと、を更に含む、請求項54~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記モデル一致評価部を使用して、代謝状態又は行動状態の2つの異なる開ループ予測間の乖離を分散として定量化することを更に含む、請求項54~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記比較部の状態推定部を使用して、持続グルコースモニタリングシステム(CGM)フィードバック、他の感知された入力、又はユーザ入力のうちの少なくとも1つに基づいて、患者の生理学的状態又は行動状態の少なくとも一方を推定することと、出力を前記モデル一致評価部に提供することと、を更に含む、請求項54~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記状態推定値は、前記モデル一致評価部によって使用される、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記血糖リスク評価部によって高血糖リスクを評価することを更に含み、前記高血糖リスクは、前記インスリン送達監視部による前記インスリン速度の計算に用いられる時間窓を調節するために使用される、請求項54~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記インスリン送達監視部は、外部プロセスからの提案されたボーラス速度又は基礎速度の少なくとも一方を考慮する、請求項54~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記インスリン送達監視部は、必要なインスリンの量が送達されることになる時間窓に関するインスリン速度を計算する、請求項54~65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記時間窓は、前記血糖リスク評価部によって定量化された血糖リスクのレベルから決定される、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記インスリン送達監視部のインスリン計画部によって、前記比較部によって決定された前記乖離を最小化するために必要なインスリンの量を決定することを更に含む、請求項54~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記インスリン送達監視部の監視部によって、外部ソースからの提案された基礎速度を前記インスリン計画部によって識別されたインスリン必要量と調整して、次の定期的更新のための承認された基礎速度を決定することを更に含む、請求項54~68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
前記インスリン送達監視部を使用して、前記承認された基礎速度を基礎速度と個別のボーラスを混合したものに変換することを更に含む、請求項54~69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
少なくとも1つのプロセッサと、
非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記システムに、
比較部においてインスリンデータ及びグルコースデータを受信させ、
前記比較部のモデル一致評価部を使用して、最近の血糖測定値が最近のインスリンと一致しない程度を定量化することによって、前記インスリンデータ及び前記グルコースデータから導出された代謝データ及び行動データの別々に導出された推定値間の乖離を識別させ、
血糖リスク評価部を使用して、前記グルコースデータに基づいて現在又は将来の高血糖又は低血糖のうちの少なくとも1つのリスクを定量化させ、
インスリン送達監視部を使用して、前記比較部及び前記血糖リスク評価部からのデータに基づいてインスリン送達速度を調節させ、
基準インスリン速度(RIR)更新部を使用してRIRを決定させ、前記RIRは平衡を達成すると考えられるインスリンの内部基準である、命令を含む、非一時的コンピュータ可読媒体と、
を備える、システム。
【請求項72】
前記RIR更新部は前記比較部内に含まれている、請求項71に記載のシステム。
【請求項73】
前記RIRは前記比較部によって使用される、請求項71又は72に記載のシステム。
【請求項74】
前記血糖リスク評価部は、前記RIRを受信し、前記RIRを使用して現在若しくは将来の高血糖又は将来の低血糖のうちの少なくとも1つのリスクを定量化するように構成されている、請求項71~73のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項75】
前記インスリン送達監視部は、前記RIRを受信し、前記RIRを使用して、将来のインスリンの目標トラジェクトリと前記乖離を最小化するために必要なインスリンの量とを決定するように構成されている、請求項71~74のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項76】
前記インスリン送達監視部は、乖離データを受信し、乖離データを使用して、将来のインスリンの前記目標トラジェクトリと前記乖離を最小化するために必要なインスリンの量とを決定するように更に構成されている、請求項71~75のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項77】
前記コンピュータ可読媒体は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記システムに、前記モデル一致評価部を使用して、代謝状態又は行動状態の2つの異なるモデル間の乖離を評価させ、後で使用するために前記乖離を出力として提供させる命令を更に含む、請求項71~76のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項78】
前記コンピュータ可読媒体は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記システムに、前記モデル一致評価部を使用して、代謝状態又は行動状態の2つの異なる開ループ予測間の乖離を分散として定量化させる命令を更に含む、請求項71~77のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項79】
前記コンピュータ可読媒体は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記システムに、前記比較部の状態推定部を使用して、持続グルコースモニタリングシステム(CGM)フィードバック、他の感知された入力、又はユーザ入力のうちの少なくとも1つに基づいて、患者の生理学的状態又は行動状態の少なくとも一方を推定させ、出力を前記モデル一致評価部に提供させる命令を更に含む、請求項71~78のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項80】
前記状態推定値は、前記モデル一致評価部によって使用される、請求項79に記載のシステム。
【請求項81】
前記コンピュータ可読媒体は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記システムに、前記血糖リスク評価部によって高血糖リスクを評価させる命令を更に含み、前記高血糖リスクは前記インスリン送達監視部による前記インスリン速度の計算に用いられる時間窓を調節するために使用される、請求項71~80のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項82】
前記インスリン送達監視部は、外部プロセスからの提案されたボーラス速度又は基礎速度の少なくとも一方を考慮する、請求項71~81のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項83】
前記インスリン送達監視部は、必要なインスリンの量が送達されることになる時間窓に関するインスリン速度を計算する、請求項71~82のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項84】
前記時間窓は、前記血糖リスク評価部によって定量化された血糖リスクのレベルから決定される、請求項83に記載のシステム。
【請求項85】
前記コンピュータ可読媒体は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記システムに、前記インスリン送達監視部のインスリン計画部によって、前記比較部によって決定された前記乖離を最小化するために必要なインスリンの量を決定させる命令を更に含む、請求項71~84のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項86】
前記コンピュータ可読媒体は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記システムに、前記インスリン送達監視部の監視部によって、外部ソースからの提案された基礎速度を前記インスリン計画部によって識別されたインスリン必要量と調整させて、次の定期的更新のための承認された基礎速度を決定させる命令を更に含む、請求項71~85のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項87】
前記コンピュータ可読媒体は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記システムに、前記インスリン送達監視部を使用して、前記承認された基礎速度を基礎速度と個別のボーラスを混合したものに変換させる命令を更に含む、請求項71~86のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項88】
比較部において複数の入力を受信することと、
入力から導出された代謝データ及び行動データの別々に導出された推定値間の乖離を識別することと、
血糖リスク評価部を用いて、グルコースデータに基づいて現在又は将来の高血糖又は低血糖のリスクを定量化することと、
前記比較部からの及び前記血糖リスク評価部からのデータに基づいて、インスリン送達監視部を使用してインスリン送達速度を調節することと、
を含む、方法。
【請求項89】
前記入力は、グルコースデータ、インスリンデータ、感知された入力データ、又はユーザ入力データのうちの少なくとも1つを含む、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
前記乖離を識別することは、最近の血糖測定値が最近のインスリンと一致しない程度を定量化することを含む、請求項89に記載の方法。
【請求項91】
前記比較部において、
状態推定部を使用して、受信された入力に基づいて患者の生理学的状態又は行動状態を推定することと、
モデル一致評価部に出力を提供することと、
1つ以上の状態変数について、代謝状態又は行動状態の2つの異なるモデル間の乖離を評価することと、
前記乖離を出力することと、を更に含む、請求項88~90のいずれか一項に記載の方法。
【請求項92】
前記乖離を評価することは、状態推定部変数と、前記モデルが持続グルコースモニタリングシステム(CGM)データが無い場合に同じ変数について予測していたと考えられるものとの間の差を演算することを含み、前記乖離は前記変数の2つのバージョン間の差である、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
内部の基準インスリン速度(RIR)を決定することと、前記RIRを出力することとを更に含む、請求項91に記載の方法。
【請求項94】
前記血糖リスク評価部において、
現在又は将来の高血糖の少なくとも一方のリスクを決定することと、
現在又は将来の低血糖の少なくとも一方のリスクを決定することと、
現在又は将来の高血糖の少なくとも一方の前記リスク及び現在又は将来の低血糖の少なくとも一方の前記リスクを出力することと、を更に含む、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
前記インスリン送達監視部において、
将来のインスリンの目標トラジェクトリを決定することと、
規範的インスリン計画部を使用して、モデル一致評価部によって決定された乖離を最小化するために必要なインスリンの量を決定することと、
提案された基礎速度又は提案されたボーラス速度を前記規範的インスリン計画部によって識別されたインスリン必要量と調整して、承認された基礎速度又は承認されたボーラス速度を決定することと、
前記承認された基礎速度又は前記承認されたボーラス速度を出力することと、を更に含む、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
複数の入力を受信し、前記入力から導出された代謝データ及び行動データの別々に導出された推定値間の乖離を識別するように構成されている比較部と、
グルコースデータに基づいて、現在又は将来の高血糖又は低血糖のリスクを定量化するように構成されている血糖リスク評価部と、
前記比較部からの及び前記血糖リスク評価部からのデータに基づいてインスリン送達速度を調節するように構成されているインスリン送達監視部と、
を備える、システム。
【請求項97】
前記入力は、グルコースデータ、インスリンデータ、感知された入力データ、又はユーザ入力データのうちの少なくとも1つを含む、請求項96に記載のシステム。
【請求項98】
前記乖離を識別することは、最近の血糖測定値が最近のインスリンと一致しない程度を定量化することを含む、請求項97に記載のシステム。
【請求項99】
状態推定部を使用して、受信された入力に基づいて患者の生理学的状態又は行動状態を推定し、
モデル一致評価部に出力を提供し、
1つ以上の状態変数について、代謝状態又は行動状態の2つの異なるモデル間の乖離を評価し、
前記乖離を出力する
ように構成されている前記比較部を更に備える、請求項96~98のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項100】
前記乖離を評価することは、状態推定部変数と、前記モデルが持続グルコースモニタリングシステム(CGM)データが無い場合に同じ変数について予測していたと考えられるものとの間の差を演算することを含み、前記乖離は前記変数の2つのバージョン間の差である、請求項99に記載のシステム。
【請求項101】
内部の基準インスリン速度(RIR)を決定し前記RIRを出力するように構成されている基準インスリン速度更新部を更に備える、請求項99又は100に記載のシステム。
【請求項102】
現在又は将来の高血糖の少なくとも一方のリスクを決定し、
現在又は将来の低血糖の少なくとも一方のリスクを決定し、
現在又は将来の高血糖の少なくとも一方の前記リスク及び現在又は将来の低血糖の少なくとも一方の前記リスクを出力する
ように構成されている前記血糖リスク評価部を更に備える、請求項101に記載のシステム。
【請求項103】
将来のインスリンの目標トラジェクトリを決定し、
規範的インスリン計画部を使用して、モデル一致評価部によって決定された乖離を最小化するために必要なインスリンの量を決定し、
提案された基礎速度又は提案されたボーラス速度を前記規範的インスリン計画部によって識別されたインスリン必要量と調整して、承認された基礎速度又は承認されたボーラス速度を決定し、
前記承認された基礎速度又は前記承認されたボーラス速度を出力する
ように構成されている前記インスリン送達監視部を更に備える、請求項102に記載のシステム。
【請求項104】
少なくとも1つのプロセッサと、
非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記システムに、
比較部において複数の入力を受信させ、
入力から導出された代謝データ及び行動データの別々に導出された推定値間の乖離を識別させ、
血糖リスク評価部を用いて、グルコースデータに基づいて現在又は将来の高血糖又は低血糖のリスクを定量化させ、
前記比較部からの及び前記血糖リスク評価部からのデータに基づいて、インスリン送達監視部を使用してインスリン送達速度を調節させる命令を含む、非一時的コンピュータ可読媒体と、
を備える、システム。
【請求項105】
前記入力は、グルコースデータ、インスリンデータ、感知された入力データ、又はユーザ入力データのうちの少なくとも1つを含む、請求項104に記載のシステム。
【請求項106】
前記乖離を識別することは、最近の血糖測定値が最近のインスリンと一致しない程度を定量化することを含む、請求項105に記載のシステム。
【請求項107】
前記コンピュータ可読媒体は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記システムに、前記比較部において、
状態推定部を使用して、受信された入力に基づいて患者の生理学的状態又は行動状態を推定させ、
モデル一致評価部に出力を提供させ、
1つ以上の状態変数について、代謝状態又は行動状態の2つの異なるモデル間の乖離を評価させ、
前記乖離を出力させる命令を更に含む、請求項104~106のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項108】
前記乖離を評価することは、状態推定部変数と、前記モデルが持続グルコースモニタリングシステム(CGM)データが無い場合に同じ変数について予測していたと考えられるものとの間の差を演算することを含み、前記乖離は前記変数の2つのバージョン間の差である、請求項107に記載の方法。
【請求項109】
前記コンピュータ可読媒体は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記システムに、内部の基準インスリン速度(RIR)を決定させ、前記RIRを出力させる命令を更に含む、請求項104~108のいずれか一項に記載の方法。
【請求項110】
前記コンピュータ可読媒体は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記システムに、前記血糖リスク評価部において、
現在又は将来の高血糖の少なくとも一方のリスクを決定させ、
現在又は将来の低血糖の少なくとも一方のリスクを決定させ、
現在又は将来の高血糖の少なくとも一方の前記リスク及び現在又は将来の低血糖の少なくとも一方の前記リスクを出力させる命令を更に含む、請求項109に記載の方法。
【請求項111】
前記コンピュータ可読媒体は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記システムに、前記インスリン送達監視部において、
将来のインスリンの目標トラジェクトリを決定させ、
規範的インスリン計画部を使用して、モデル一致評価部によって決定された乖離を最小化するために必要なインスリンの量を決定させ、
提案された基礎速度又は提案されたボーラス速度を前記規範的インスリン計画部によって識別されたインスリン必要量と調整させて、承認された基礎速度又は承認されたボーラス速度を決定させ、
前記承認された基礎速度又は前記承認されたボーラス速度を出力させる命令を更に含む、請求項110に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年2月3日に出願された「SYSTEMS AND METHODS FOR RISK BASED INSULIN DELIVERY CONVERSION」と題する米国仮特許出願第63/145,224号に対する優先権の利益を主張し、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
持続グルコースモニタリングシステム(continuous glucose monitoring、CGM)及び接続されたデバイスの採用が増すにつれて、グルコース時系列データの利用可能性及び信頼性が、近年、増加している。しかしながら、信頼性の高いグルコースデータが利用可能であるにもかかわらず、インスリン及び食事データの正確な追跡、並びに食事時間のインスリンのボーラスの最適化された、効果的なタイミングは、糖尿病を有する多くの人々にとって引き続き問題となっており、不十分なグルコース制御をもたらす。
【0003】
従来の糖尿病管理アルゴリズムは時間をかけて反復的に開発されており、そこに含まれる多数のモジュールは、ユーザに関する様々な考慮事項及び相互作用に柔軟性をもたらそうとして、機能が重複又は競合さえしている場合がある。
【0004】
本開示の様々な態様及び実施形態が提示されることは、これら及び他の考慮事項に関するものである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
インスリン送達の速度が高血糖リスク又は低血糖リスクのレベルによって決まる自動ボーラス決定を使用して、安全かつ信頼性の高い範囲制御(control to range)を提供するように受信データを調整することによって、高血糖及び低血糖を管理するためのシステム及び方法が提供される。加えて、いくつかの実施態様は、インスリン送達を血糖リスクに基づく速度に変換することに向けられている。
【0006】
一実施態様では、リスクベースのインスリン送達速度変換器は、インスリンデータ及びグルコースデータを受信するように構成され、かつ、最近の血糖測定値が最近のインスリンと一致しない程度を定量化することによって、インスリンデータ及びグルコースデータから導出された代謝データ及び行動データの別々に導出された推定値間の乖離を識別するように構成されている、モデル一致評価部を含む、比較部と、グルコースデータに基づいて現在又は将来の高血糖又は低血糖のうちの少なくとも1つのリスクを定量化するように構成されている血糖リスク評価部と、
比較部及び血糖リスク評価部からのデータに基づいてインスリン送達速度を調節するように構成されている、インスリン送達監視部と、を備える。
【0007】
一実施態様において、リスクベースのインスリン送達速度変換方法は、比較部においてインスリンデータ及びグルコースデータを受信することと、比較部のモデル一致評価部を使用して、最近の血糖測定値が最近のインスリンと一致しない程度を定量化することによって、インスリンデータ及びグルコースデータから導出された代謝データ及び行動データの別々に導出された推定値間の乖離を識別することと、血糖リスク評価部を使用して、グルコースデータに基づいて現在又は将来の高血糖又は低血糖のうちの少なくとも1つのリスクを定量化することと、インスリン送達監視部を使用して、比較部及び血糖リスク評価部からのデータに基づいてインスリン送達速度を調節することと、を含む。
【0008】
一実施態様では、システムは、少なくとも1つのプロセッサと、非一時的コンピュータ可読媒体であって、少なくとも1つのプロセッサによって実行されるとシステムに、比較部でインスリンデータ及びグルコースデータを受信させ、比較部のモデル一致評価部を使用して、最近の血糖測定値が最近のインスリンと一致しない程度を定量化することによって、インスリンデータ及びグルコースデータから導出された代謝データ及び行動データの別々に導出された推定値間の乖離を識別させ、血糖リスク評価部を使用して、グルコースデータに基づいて現在又は将来の高血糖又は低血糖のうちの少なくとも1つのリスクを定量化させ、インスリン送達監視部を使用して、比較部及び血糖リスク評価部からのデータに基づいてインスリン送達速度を調節させる命令を含む、非一時的コンピュータ可読媒体と、を備える。
【0009】
一実施態様では、リスクベースのインスリン送達速度変換器は、インスリンデータ及びグルコースデータを受信するように構成され、かつ、最近の血糖測定値が最近のインスリンと一致しない程度を定量化することによって、インスリンデータ及びグルコースデータから導出された代謝データ及び行動データの別々に導出された推定値間の乖離を識別するように構成されている、モデル一致評価部を含む、比較部と、グルコースデータに基づいて現在又は将来の高血糖又は低血糖のうちの少なくとも1つのリスクを定量化するように構成されている血糖リスク評価部と、比較部及び血糖リスク評価部からのデータに基づいてインスリン送達速度を調節するように構成されているインスリン送達監視部と、基準インスリン速度(reference insulin rate、RIR)を決定するように構成されている基準インスリン速度更新部であって、RIRは平衡を達成すると考えられるインスリンの内部基準である、基準インスリン速度更新部と、を備える。
【0010】
一実施態様において、リスクベースのインスリン送達速度変換方法は、比較部においてインスリンデータ及びグルコースデータを受信することと、比較部のモデル一致評価部を使用して、最近の血糖測定値が最近のインスリンと一致しない程度を定量化することによって、インスリンデータ及びグルコースデータから導出された代謝データ及び行動データの別々に導出された推定値間の乖離を識別することと、血糖リスク評価部を使用して、グルコースデータに基づいて現在又は将来の高血糖又は低血糖のうちの少なくとも1つのリスクを定量化することと、インスリン送達監視部を使用して、比較部及び血糖リスク評価部からのデータに基づいてインスリン送達速度を調節することと、基準インスリン速度(RIR)更新部を使用してRIRを決定することであって、RIRは平衡を達成すると考えられるインスリンの内部基準である、決定することと、を含む。
【0011】
一実施態様では、システムは、少なくとも1つのプロセッサと、非一時的コンピュータ可読媒体であって、少なくとも1つのプロセッサによって実行されるとシステムに、比較部でインスリンデータ及びグルコースデータを受信させ、比較部のモデル一致評価部を使用して、最近の血糖測定値が最近のインスリンと一致しない程度を定量化することによって、インスリンデータ及びグルコースデータから導出された代謝データ及び行動データの別々に導出された推定値間の乖離を識別させ、血糖リスク評価部を使用して、グルコースデータに基づいて現在又は将来の高血糖又は低血糖のうちの少なくとも1つのリスクを定量化させ、インスリン送達監視部を使用して、比較部及び血糖リスク評価部からのデータに基づいてインスリン送達速度を調節させ、基準インスリン速度(RIR)更新部を使用してRIRを決定させ、RIRは平衡を達成すると考えられるインスリンの内部基準である、命令を含む、非一時的コンピュータ可読媒体と、を備える。
【0012】
一実施態様では、方法は、比較部において複数の入力を受信することと、入力から導出された代謝データ及び行動データの別々に導出された推定値間の乖離を識別することと、血糖リスク評価部を使用して、グルコースデータに基づいて現在又は将来の高血糖又は低血糖のリスクを定量化することと、インスリン送達監視部を使用して、比較部からの及び血糖リスク評価部からのデータに基づいてインスリン送達速度を調節することと、を含む。
【0013】
一実施態様では、システムは、複数の入力を受信し、入力から導出された代謝データ及び行動データの別々に導出された推定値間の乖離を識別するように構成されている比較部と、グルコースデータに基づいて現在又は将来の高血糖又は低血糖のリスクを定量化するように構成されている血糖リスク評価部と、比較部からの及び血糖リスク評価部からのデータに基づいてインスリン送達速度を調節するように構成されているインスリン送達監視部と、を備える。
【0014】
一実施態様では、システムは、少なくとも1つのプロセッサと、非一時的コンピュータ可読媒体であって、少なくとも1つのプロセッサによって実行されるとシステムに、比較部で複数の入力を受信させ、入力から導出された代謝データ及び行動データの別々に導出された推定値間の乖離を識別させ、血糖リスク評価部を使用して、グルコースデータに基づいて現在又は将来の高血糖又は低血糖のリスクを定量化させ、インスリン送達監視部を使用して、比較部からの及び血糖リスク評価部からのデータに基づいてインスリン送達速度を調節させる命令を含む、非一時的コンピュータ可読媒体と、を備える。
【0015】
本概要は、以下の発明を実施するための形態で更に記載される概念の選択を簡略化された形態で紹介している。したがって、この概要は、特許請求される主題の重要な特徴又は本質的な特徴を特定することを意図しておらず、特許請求される主題の範囲を限定するように使用されることも意図していない。
【0016】
前述の概要、並びに例示的な実施形態についての以下の発明を実施するための形態は、添付の図面と併せて読むとより良く理解される。実施形態を例示する目的で、実施形態の例示的な構成が図面に示されている。しかしながら、実施形態は、開示された特定の方法及び手段に限定されない。図面は以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態の高レベルの機能ブロック図である。
図2】リスクベースのインスリン送達速度変換器の一実施態様のブロック図である。
図3】リスクベースのインスリン送達速度変換の方法の一実施態様のフロー図である。
図4】リスクベースのインスリン送達速度変換で使用される比較部の一実施態様のブロック図である。
図5】リスクベースのインスリン送達速度変換で使用される比較の方法の一実施態様のフロー図である。
図6】リスクベースのインスリン送達速度変換で使用される血糖リスク評価部の一実施態様のブロック図である。
図7】リスクベースのインスリン送達速度変換で使用される血糖リスク評価の方法の一実施態様のフロー図である。
図8】リスクベースのインスリン送達速度変換で使用されるインスリン送達監視部の一実施態様のブロック図である。
図9】リスクベースのインスリン送達速度変換で使用されるインスリン送達監視の方法の一実施態様のフロー図である。
図10】例示的な実施形態及び態様が実施され得る例示的なコンピューティング環境を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
特許請求される主題は、図面を参照して説明され、同様の参照番号は、全体を通して同様の要素を指すように使用される。以下の説明では、説明の目的で、特許請求される主題の十分な理解を提供するために、多数の特定の詳細が記載される。しかしながら、特許請求される主題は、これらの特定の詳細なしに実施され得ることが明らかであり得る。他の例では、特許請求される主題の説明を容易にするために、構造及びデバイスがブロック図の形態で示される。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態の高レベル機能ブロック図100である。プロセッサ130は、インスリンデバイス110及びグルコースモニタ120と通信する。インスリンデバイス110及びグルコースモニタ120は、患者140と通信して、それぞれ、患者140にインスリンを送達し、患者140のグルコースレベルを監視する。プロセッサ130は、本明細書で更に説明される計算並びに他の動作及び機能を実行するように構成される。インスリンデバイス110及びグルコースモニタ120は、別個のデバイスとして、又は単一のデバイスとして、単一のデバイス内で、又は複数のデバイスにわたって実施され得る。プロセッサ130は、インスリンデバイス110、グルコースモニタ120において、若しくはスタンドアロンデバイスとして、(又はインスリンデバイス110、グルコースモニタ120、若しくはスタンドアロンデバイスのうちの2つ以上の任意の組み合わせにおいて)、ローカルに実施され得る。プロセッサ130又は示されているシステムの一部分は、サーバ又はクラウドベースのシステム内など、遠隔に位置することができる。
【0020】
インスリンデバイス110などのインスリンデバイスの例は、インスリンシリンジ、外部ポンプ、及び患者に、典型的には、皮下組織内にインスリンを送達するパッチポンプを含む。インスリンデバイス110はまた、インスリン吸入器、インスリンジェット注射器、静脈内注入ポンプ、及び埋め込み型インスリンポンプなどの異なる手段によってインスリンを送達するデバイスを含む。いくつかの実施形態では、患者は2つ以上のインスリン送達デバイスを組み合わせて使用し、例えば、長時間作用型インスリンをシリンジで注射し、食事前に吸入インスリンを使用する。他の実施形態では、これらのデバイスは、グルカゴン、プラムリンチド、又はグルコース様ペプチド-1(glucose-like peptide-1、GLP-1)などの、グルコースレベルの制御を助ける他の薬物を送達することができる。
【0021】
グルコースモニタ120などのグルコースモニタの例は、規則的な間隔、例えば、1、5、又は10分などでグルコース値を記録する持続グルコースモニタを含む。これらの持続グルコースモニタは、例えば、経皮的に挿入されるか、完全に埋め込まれるか、又は組織を非侵襲的に測定する電気化学センサ又は光学センサを使用することができる。グルコースモニタ120などのグルコースモニタの例はまた、静脈内血糖モニタ、マイクロ灌流サンプリング、又は周期的フィンガースティックなどの、グルコースを測定するために血液又は他の流体を周期的に抜き取るデバイスを含む。いくつかの実施形態では、グルコース読み取り値は略リアルタイムで提供される。他の実施形態では、グルコースモニタによって決定されたグルコース読み取り値は、その後の検索のためにグルコースモニタ自体に記憶され得る。
【0022】
インスリンデバイス110、グルコースモニタ120、及びプロセッサ130は、スマートフォン、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、及びタブレットなどの様々なコンピューティングデバイスを使用して実施され得る。他のタイプのコンピューティングデバイスが、担持されてもよい。好適なコンピューティングデバイスが、コンピューティングデバイス1000及びクラウドベースのアプリケーションとして図10に示されている。
【0023】
インスリンデバイス110、グルコースモニタ120、及びプロセッサ130は、ネットワークを通して通信してもよい。ネットワークは、公衆交換電話網(public switched telephone network、PSTN)、携帯電話網、及びパケット交換網(例えば、インターネット)を含む様々なネットワークタイプであってもよい。1つのインスリンデバイス110、1つのグルコースモニタ120、及び1つのプロセッサ130のみが図1に示されているが、担持され得るインスリンデバイス、グルコースモニタ、及びプロセッサの数に制限はない。活動モニタ150及び/又はスマートフォン160はまた、患者140から、又は患者に関する食事及び/又は活動データを収集し、食事及び/又は活動データをプロセッサ130に提供するように使用されてもよい。
【0024】
プロセッサ130は、オペレーティングシステム及び1つ以上のアプリケーションを実行し得る。オペレーティングシステムは、どのアプリケーションがインスリンデバイス110及び/又はグルコースモニタ120によって実行されるかを制御してもよく、並びにアプリケーションがインスリンデバイス110及び/又はグルコースモニタ120の1つ以上のセンサ、サービス、若しくは他のリソースとどのように相互作用するかを制御してもよい。
【0025】
プロセッサ130は、インスリンデバイス110及びグルコースモニタ120から、並びにいくつかの実施態様では患者140からデータを受信し、本明細書で更に記載される計算、動作、及び/又は機能のうちの1つ以上を実行するように構成及び/又は使用されてもよい。
【0026】
本明細書で企図され説明されるリスクベースのインスリン送達変換は、患者に対するインスリン送達速度を決定及び/又は送達するように設計された任意の従来の糖尿病管理プラットフォームに適用可能である。適用可能な実施形態としては、従来の完全手動開ループ療法、意思決定支援療法、範囲制御自動インスリン送達(automated insulin delivery、AID)、目標制御(control to target)AID、モデル予測制御(model predictive control、MPC)、線形二次ガウス(linear quadratic Gaussian、LQG)、比例積分微分(proportional integral derivative、PID)などが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施態様では、本明細書で更に説明されるように、インスリン送達監視部(例えば、本明細書で更に説明されるインスリン送達監視部245)は、予期される代謝状態対実際の代謝状態の乖離と高血糖リスクレベルとに基づいて、インスリン送達速度を調節する。
【0027】
また更に、いくつかの実施態様によれば、インスリン送達の速度が高血糖リスクのレベルによって決まる自動ボーラス決定を使用して、安全かつ信頼性の高い範囲制御を提供するように受信データを調整することによって、高血糖を管理する、人工膵臓(artificial pancreas、AP)アルゴリズムが提供される。更なる実施形態は、低血糖リスクに対処するように実装され得る。加えて、いくつかの実施態様は、インスリン送達を血糖リスクに基づく速度に変換することに向けられている。
【0028】
図2は、リスクベースのインスリン送達速度変換器230の一実施態様のブロック図である。リスクベースのインスリン送達速度変換器230は、比較部235と、血糖リスク評価部240と、インスリン送達監視部245と、を備える。
【0029】
リスクベースのインスリン送達速度変換器230への入力は、持続グルコースモニタリングシステム(CGM)データ205と、他の感知された入力データ210と、インスリンデータ215と、ユーザ入力データ220と、構成及び/又はセットアップ入力データ203と、を含む。外部プロセスデータ225(例えば、提案された基礎速度及び/又は提案されたボーラス速度)もまた、リスクベースのインスリン送達速度変換器230のインスリン送達監視部245に入力される。リスクベースのインスリン送達速度変換器230の出力290は、承認された基礎速度及び/又は承認されたボーラス速度を含む。
【0030】
リスクベースのインスリン送達速度変換器230は、定期的に及び/又はオンデマンドで動作して、血糖リスク及びモデル乖離に基づいて、次回の時間間隔に対する承認された基礎速度及び/又は承認されたボーラス速度を提供する。リスクベースのインスリン送達速度変換器230のオン/オフ基準は、例えば、患者がボーラスを開始しているときに、又はデータ信頼性に基づいて適用され得る。いくつかの実施形態では、リスクベースのインスリン送達速度変換器230は、定期的に、例えば5分毎に、新しいCGM値が受信されるときはいつでも、などで動作する。
【0031】
入力されたCGMデータ205(例えばグルコースデータ)、他の感知された入力データ210、及び入力されたインスリンデータ215(例えば、インスリンオンボード(IOB)計算による以前に投与された基礎/ボーラスインスリン)は、現時点まで(すなわち現在まで)のそれぞれのデータを含む。いくつかの実施形態では、CGMデータは、特定の時間間隔に関してCGMデータが欠落しているか又は信頼できないとき、予測されたデータで置き換えられてもよい。ユーザ入力データ220は、食事及び/又は運動及び/又は他の活動に基づくデータを含み得る。食事及び運動及び他の活動は、いくつかの実施形態では、明示的に無視されるか、又は許可されない場合がある。
【0032】
追加の入力は、外部プロセスから提案される基礎速度及び/又は外部プロセスから提案されるボーラス速度などの、外部プロセスデータ225を含んでもよく、外部プロセスは、(例えばインスリンポンプからの)事前にプログラムされた基礎プロファイル、別のAPアルゴリズム(例えばAIDシステム)、患者により開始されるインスリン送達(基礎又はボーラス)などを含み得る。本明細書に記載されるシステム及び方法は、インスリン送達監視部245に関してより詳細に記載されるように、提案された又は外部で導出されたボーラス及び/又は基礎速度を、承認されたボーラス及び/又は基礎速度に変換する。特定の構成要素に出入りする矢印が高レベルで示されているが、任意のプロセスへの入力又は任意のプロセスからの入力(及び結果的な出力)は、当業者によって理解され得るように、同時に、順次、又は処理後などに、別のプロセスへの入力となり得ることに留意されたい。
【0033】
入力が、患者又は別のシステムのいずれかによって定義される、24時間にわたる持続皮下インスリン注入(CSII)中の時間間隔当たりのインスリンの最小量を典型的に定義する、デフォルト基礎インスリン送達プロファイルを含む場合、このプロファイルは、本明細書に記載されるリスクベースのインスリン送達速度変換器230からのフィードバックループを有し得ることが企図される。しかしながら、いくつかの実施形態では、基礎インスリン送達プロファイルは患者によって定義されてもよい。理論に束縛されることを望むものではないが、患者は、行われなかったボーラス又は取らなかった食事を補償するために、例えば、本明細書に提供される技法、プロセス、及び/又はアルゴリズムに悪影響を及ぼし得るボーラス食事を最小化又は回避するために、基礎速度を修正してもよい。したがって、本明細書に記載されるシステム及び方法は、患者若しくはシステム、又は他のユーザ、エンティティ、構成要素、モジュール、若しくはデバイスに出力する前に、外部ソースからの提案されたボーラス速度及び/又は基礎速度を監視する(すなわち、必要に応じて変換し、承認する)ように設計される。
【0034】
比較部235は、最近の血糖測定値が最近のインスリン(及び任意選択で追加のデータ、例えば炭水化物の記録)と一致しない程度を定量化することによって、代謝データ及び行動データの別々に導出された推定値(例えば、CGMデータを有するものとCGMデータを有さないもの)間の乖離を識別するように構成される。
【0035】
図3は、リスクベースのインスリン送達速度変換の方法300の一実施態様のフロー図である。方法300は、リスクベースのインスリン送達速度変換器230によって実行され得る。
【0036】
310において、例えば比較部235において、入力が受信される。入力は、例えば、グルコースデータ(例えばCGMデータ205)、インスリンデータ215、他の感知された入力データ210、ユーザ入力データ220、並びに/又は構成及び/若しくはセットアップ入力データ203などを含み得る。
【0037】
320において、最近の血糖測定値が最近のインスリンと一致しない程度を定量化することによって、インスリンデータ及びグルコースデータから導出された代謝データ及び行動データの別々に導出された推定値間の乖離(D)が識別される。
【0038】
330において、血糖リスク評価部240を使用して、グルコースデータに基づく現在又は将来の高血糖及び/又は低血糖のリスクが定量化される。
【0039】
340において、インスリン送達速度は、インスリン送達監視部245によって、比較部235からの及び血糖リスク評価部240からのデータに基づいて修正される。
【0040】
図4は、比較部235などの比較部の一実施態様のブロック図である。図4に示すように、比較部235は、状態推定部420と、モデル一致評価部430と、基準インスリン速度(RIR)更新部440と、を備える。
【0041】
状態推定部420は、CGMフィードバック、他の感知された入力、及び/又はユーザ入力に基づいて、患者の生理学的状態及び/又は行動状態の推定値を提供してもよい。
状態推定部420は、患者の生理学的状態(例えば、様々な区画内のグルコース、インスリン、若しくは他の物質の質量若しくは濃度)及び/又は行動状態(例えば、(現在又は最近の)摂食若しくは身体活動)の推定値を生成する、カルマンフィルタ又は類似のものなどの、モデルベースの状態観察部を含んでもよい。状態推定部420からの出力はモデル一致評価部430に提供されてもよく、次いでモデル一致評価部430は1つ以上の量的乖離D435として生成を行う。いくつかの実施形態では、乖離は任意選択で、基準インスリン速度(RIR)425に対して演算され得る。出力は乖離D435又はRIR425を含む複数のベクトル/行列の形態とすることができ、出力はいくつかの実施形態ではその履歴を任意選択で含み得る。
【0042】
いくつかの実施形態では、状態推定部420は、個別化された生理学的モデルに基づき得る1つ以上の代謝状態の推定値を提供して、以下の出力を生成する:調整された推定代謝入力、入力データの持続時間に対する患者の推定代謝状態、推定状態の信頼性の数値的評価、及び調整された推定代謝入力の信頼性の数値的評価。状態推定部420は、個別化された生理学的モデルが推定部420によって使用されている範囲で、(任意選択的にフィルタリングされた)外挿入力、任意の抽出された状態、及びモデルパラメータを受信するように構成される。実施態様に応じて様々な推定部を使用することができる。一実施態様では、推定部420は、時系列の開始時に代謝状態ベクトルの最良推定値から将来への代謝状態の開ループ推定を実行し、個別化された生理学的モデルを順方向に予測範囲の最後までずっと再生する。例及び実施態様は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2020年11月12日に出願された、発明者Stephen D.Patekの「JOINT STATE ESTIMATION PREDICTION THAT EVALUATES DIFFERENCES IN PREDICTED VS.CORRESPONDING RECEIVED DATA」と題する米国特許出願第17/096785号に記載されている。
【0043】
モデル一致評価部430は、1つ以上の状態変数について、代謝状態及び/又は行動状態の2つの異なるモデル間の乖離を評価するプロセス又はモジュールであってもよく、又はそれを含んでもよい。言い換えれば、モデル一致評価部430は、(利用可能なデータの全てに基づく)状態推定部変数と、モデルがCGMデータ(開ループ推定値)が無い場合に同じ変数について予測していたと考えられるものとの間の差として乖離D435を演算し、この乖離は変数の2つのバージョン間の差である。特に、代謝が完全にモデル化/予測され得る場合、CGMデータは必要とされない。しかしながら、代謝を完全にモデル化/予測することはできず、本明細書に記載されるインスリン送達監視部245は乖離を使用することができる。
【0044】
例示的な状態変数としては、以下が挙げられる:血漿グルコースの濃度又は質量、間質グルコースの濃度又は質量、身体の他の区画中のグルコース、1つ以上の区画における皮下組織中の速攻型又は長時間作用型インスリン、皮下若しくは静脈内注入から又は内因性分泌から生じる血漿、肝臓、又は末梢中のインスリン、身体の様々な区画におけるインスリン又はグルコースの取り込み、作用、クリアランスを記述する状態、医薬品に関連する薬物動態学的及び/又は薬力学的状態、食事中の炭水化物の吸収に関連する状態、など。
【0045】
一実施態様では、差分値は、最近のCGMデータが状態推定のために使用される生理学的モデルと一致しない程度の尺度として計算される。一例では、代謝状態及び/又は行動状態の2つの異なる開ループ予測間の乖離がデルタに定量化され、例えば、状態観察部(カルマンフィルタを含む)の比較によって、他のコンパートメントモデルにおける他の状態が他の開ループ推定値と推定される。1つのそのような実施態様では、各内部状態xについて、開ループ予測をCGM記録と一致させると考えられるデルタDxが(可能であれば)演算される。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2017年12月8日に出願された発明者Bretonの「INSULIN MONITORING AND DELIVERY SYSTEM AND METHOD FOR CGM BASED FAULT DETECTION AND MITIGATION VIA METABOLIC STATE TRACKING」と題する米国特許出願第15/580,935号に、例が記載されている。例えば、モデルのインスリン作用状態に関連するデルタを演算することができる。ただし、モデル一致評価部430は、これらの乖離D435を、分散、差分値、デルタ変数などとして定量化してもよい。CGM信号の連続性が、最近のCGMデータの値及び/又は傾向とともに、モデル一致評価部430によって考慮されてもよい。別の実施形態では、(i)血糖(blood glucose、BG)を含む全ての情報と、(ii)BGを除く全ての情報とを使用して、人工知能(artificial intelligence、AI)モデルと機械学習(machine learning、ML)モデルとの間の乖離が定量化される。他の有用なモデルとしては、患者の特定の生理機能に合わせて微調整されてもされなくてもよい、インスリン作用に対応する状態を含むグルコース-インスリン動態のコンパートメントモデル(例えば最小モデルなど)、血糖測定値、最近のインスリン送達、及び炭水化物の記録に基づいて患者のインスリン作用状態を推定するためのカルマンフィルタ、インスリン作用状態の開ループ推定(最近のインスリン記録のみを使用)、などが挙げられる。
【0046】
RIR更新部440は、内部基準インスリン速度450を決定することができる。RIR450は、患者が定義した基礎プロファイルと重複する場合があるが、食事及び他の行動事象の補償のために特に設計される、患者、医師、又は外部プロセスによって定義される基礎プロファイルとは異なる。むしろ、RIR450は、平衡を達成すると考えられるインスリンを構成するものに対する内部基準である。RIR450は、時間平均基礎速度である、経時的に適合される、患者依存性である、固定される、0である、プログラムされる、学習される、処方される、などであってもよく、又はこれらの組み合わせであってもよい。RIR450は、1日総基礎(1日総インスリン(total daily insulin)すなわちTDI)、補正係数、及び/又は肥満度指数(body mass index、BMI)/体重から更に導出され得る。RIR450は、例えば5分毎に更新されてもよく、又は(CGMからの)データ取得率によって定義されてもよい。RIR450は、状態推定、BG予測、及びモデル一致評価部430からの乖離の解釈を改善するために、状態推定部425によって使用され得る。これに応じて、RIR更新部440は、インスリン送達のための基準としての時間で変化する基礎速度を置き換えることができる。
【0047】
いくつかの実施形態では、基準インスリン速度RIR(450)は、状態推定及び予測におけるインスリンの基準点(RIR425として示されている)として状態推定部420に戻される。追加的又は代替的に、いくつかの実施形態では、乖離D(435)又は基準インスリン速度RIR(450)は血糖リスク評価部240に提供され(それぞれ、(622及び642の)D及び(625及び645の)RIRとして図6に示されている)、その場合、RIRは、患者の予めプログラムされた基礎速度プロファイルの代替として、低血糖又は高血糖のリスクを定量化する際に過去のインスリン送達を解釈するための基準点として機能し得る。追加的又は代替的に、いくつかの実施形態では、乖離D(435)又は基準インスリン速度RIR(450)はインスリン送達監視部245に提供され(それぞれ822のD及び825のRIRとして図8に示されている)、その場合、RIRは、患者の予めプログラムされた基礎速度プロファイルの代替として、外部プロセスデータ225からの過去及び将来の提案される基礎推奨値及び/又は提案されるボーラス推奨値を解釈する際の基準点として機能し得る。予めプログラムされた基礎速度プロファイルは、基礎速度の上昇による通常の食事の部分的管理など、このプロファイルがインスリン基準として不適切になるような時刻特徴を有する場合がある。
【0048】
図5は、リスクベースのインスリン送達速度変換で使用される比較の方法500の一実施態様のフロー図である。方法500は、比較部235を使用して実行され得る。
【0049】
510において入力が受信される。入力は、例えば、グルコースデータ(例えばCGMデータ205)、インスリンデータ215、他の感知された入力データ210、ユーザ入力データ220、並びに/又は構成及び/若しくはセットアップ入力データ203などを含み得る。
【0050】
520において、患者の生理学的状態及び/又は行動状態が、状態推定部420などの状態推定部を使用して、受信された入力に基づいて推定される。出力は、モデル一致評価部430などのモデル一致評価部に提供される。追加的又は代替的に、出力は、後で使用するために他の構成要素及び/又はモジュールに提供されてもよい。
【0051】
530において、1つ以上の状態変数について、代謝状態及び/又は行動状態の2つの異なるモデル間の乖離D435が評価される。例えば、状態推定部変数と、モデルがCGMデータが無い場合に同じ変数について予測していたと考えられるものとの間の差が演算され、乖離は変数の2つのバージョン間の差である。乖離Dは、後で使用するために他の構成要素及び/又はモジュールに提供され得る。
【0052】
540において、内部のRIRが決定され、後で使用するために(本明細書で更に説明される)様々な構成要素及び/又はモジュールに提供される。
【0053】
図6は、血糖リスク評価部240などの血糖リスク評価部の一実施態様のブロック図である。血糖リスク評価部240は、高血糖リスク620及び低血糖リスク640を決定する。高血糖リスク620及び低血糖リスク640は、状態推定部420の出力を使用して決定され得る。追加的又は代替的に、高血糖リスク620及び低血糖リスク640はそれぞれ、モデル一致評価部の乖離D622(高血糖リスクの場合)及びD642(低血糖リスクの場合)を使用して決定され得る。追加的又は代替的に、高血糖リスク620及び低血糖リスク640は、それぞれ基準インスリン速度RIR625及び基準インスリン速度RIR645を使用して決定され得る。
【0054】
血糖リスク評価部240は、現在及び将来の高血糖及び/又は低血糖のリスクをそれぞれ定量化する。血糖リスク評価部240は、血糖データ、インスリンデータ、ユーザ入力データ、状態推定部の出力、RIR、及びモデル一致評価部の乖離Dなどの入力からリスクのレベルを計算し、いくつかの実施形態では予測されたグルコースに基づいてもよい。いくつかの実施形態では、血糖リスク(例えば、低血糖計算値及び/又は高血糖計算値)は、予測/状態推定を使用する。血糖リスク評価部240は、低血糖指数(low blood glucose index、LBGI)/高血糖指数(high blood glucose index、HBGI)におけるような血糖リスク空間定量化、並びに/又は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、発明者Stephen D.Patekの「METHOD,SYSTEM AND COMPUTER READABLE MEDIUM FOR ASSESSING ACTIONABLE GLYCEMIC RISK」と題する米国特許第10,638,981号に記載されている例及び実施態様であり得る。
【0055】
高血糖及び/又は低血糖の各評価はそれぞれ多変量のものであり得る。これには、(特定の範囲について、又はトラジェクトリ全体について、又は「ハリケーン経路」についてのいずれかの)予測されたBGが含まれてもよい。一実施態様では、血糖リスク評価部240は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2017年12月8日に出願された発明者Bretonの「INSULIN MONITORING AND DELIVERY SYSTEM AND METHOD FOR CGM BASED FAULT DETECTION AND MITIGATION VIA METABOLIC STATE TRACKING」と題する米国特許出願第15/580,935号に記載されている例のような、Bretonに記載されているdeltaを含むことができる。血糖リスク評価部240は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2015年3月16日に出願された発明者Rack-Gomerの「GLYCEMIC URGENCY ASSESSMENT AND ALERTS INTERFACE」と題する米国特許出願第14/659500号に記載されているもののように、高血糖リスクを単独で又は低血糖リスクと組み合わせて評価するように構成されてもよい。リスク関数の適合はパラメータ化されてもよい。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、発明者Stephen D.Patekの「METHOD,SYSTEM AND COMPUTER READABLE MEDIUM FOR ASSESSING ACTIONABLE GLYCEMIC RISK」と題する米国特許第10,638,981号に記載されているような、正規化されたリスクによって、より自然な方法でのリスク関数の形状のパラメータ化が可能になる。例示的なリスクベースの窓は、例えば、5分間にわたる、30分間にわたる、基礎/ボーラスの組み合わせである、時間関数である、などであり得る。
【0056】
図7は、リスクベースのインスリン送達速度変換で使用される血糖リスク評価の方法700の一実施態様のフロー図である。方法700は、血糖リスク評価部240を使用して実行され得る。
【0057】
710において、血糖データ、インスリンデータ、ユーザ入力データ、状態推定部の出力、RIR、及び/又はモデル一致評価部の乖離Dなどの入力が受信される。
【0058】
720において、現在及び/又は将来の高血糖のリスクが決定(例えば定量化)される。
【0059】
730において、現在及び/又は将来の低血糖のリスクが決定(例えば定量化)される。
【0060】
740において、リスクは、インスリン送達監視部(例えばインスリン送達監視部245)、患者、医師、又は他の医療専門家若しくは医療管理者などに出力される。
【0061】
図8は、インスリン送達監視部245などのインスリン送達監視部の実施態様のブロック図である。インスリン送達監視部245は、規範的インスリン計画部820及び監視部840を備える。
【0062】
インスリン送達監視部245は、比較部235及び血糖リスク評価部240からのデータに基づいてインスリン送達速度を調節する。インスリン送達監視部245は、利用可能であれば、外部プロセスからの提案されたボーラス速度及び/又は基礎速度を更に考慮する。多くの場合、提案される(基礎又はボーラス)インスリン速度は、例えば、従来の完全手動開ループ療法(CSII基礎インスリンプロファイル)、意思決定支援療法(推奨アルゴリズム)、範囲制御自動インスリン送達(AID)、目標制御AID、MPC、LQG、PIDなどから利用可能である。しかしながら、本明細書で説明されるシステム及び方法は、完全独立型アルゴリズム及びいくつかの実施態様内で機能することができる。
【0063】
実施態様に応じて、インスリン送達監視部245は、高血糖リスクに基づくインスリンの強化(速度の増加)、低血糖リスクに基づくインスリンの減弱(速度の減少)、又は両方を含み得る。いくつかの実施形態では、インスリン送達監視部245は、必要なインスリンの量が送達されることになる時間窓に関するインスリン速度を計算し、時間窓は血糖リスク、例えば高血糖リスク又は低血糖リスクのレベルから決定される。いくつかの実施形態では、インスリン速度は、比較部235、例えばモデル一致評価部430に基づいて計算される。
【0064】
一実施態様では、インスリン送達監視部245は、本明細書で更に説明されるように、BGが許容可能な値の上側包絡線未満に留まることを保証する目的で、提案された値を高血糖のリスクに応じて適合させることによって、提案された基礎速度を承認された基礎速度へと適合させるが、その場合、上側包絡線は時間の関数である(例えば、時刻であってもよく、又は他のパラメータに対して変化してもよい)。
【0065】
規範的インスリン計画部820は、高血糖及び/又は低血糖のリスクを考慮して(かつ任意選択で、推定された障害状態及びRIR825を使用して)、将来のインスリンの目標トラジェクトリ(target trajectory)を決定し、これは提案される基礎速度及び/又はボーラス速度に変換される。規範的インスリン計画部820は、既存のアルゴリズムのための補助層として又は独立型アルゴリズム内で機能し得る。
【0066】
規範的インスリン計画部820は、比較部235のモデル一致評価部430によって決定された乖離を最小化するために必要なインスリンの量を決定する。この量は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2017年12月8日に出願され米国特許出願公開第2019/0254595(A1)号として公開された、発明者Marc D.Bretonの「INSULIN MONITORING AND DELIVERY SYSTEM AND METHOD FOR CGM BASED FAULT DETECTION AND MITIGATION VIA METABOLIC STATE TRACKING」と題する米国特許出願第15/580,935号に記載されているようなISOB(insulin that should be on board)(必要残留インスリン)などの、必要なインスリンの標準量であってもよく、又は、将来の血漿インスリンの観点若しくは他の生理学的な観点から提供されてもよい。
【0067】
1つの例示的な実施形態(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願第15/580,935号に記載されている)では、評価される状態は、患者を上側BG包絡曲線に戻すためにどれだけの量のインスリンを要すると考えられるかに基づくIOB対ISOBであり、その場合、上側BG包絡線は時刻に依存する曲線であり、例えば、曲線値は日中は高く(例えば160mg/dl)、夜間は降下する(例えば120mg/dl)。いくつかの実施形態では、上側BG包絡線は、BGが時間窓の間に最終値まで降下することを可能にするように設計されたBGの現在の推定値に基づいて計算される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるシステム及び方法は、時に生じる高血糖に対する不十分な対応の問題を解決するために、最大曲線値を課すことで高血糖リスクに対する実体のある対応を保証する。注目すべきことに、上側包絡線はISOBによって目標として使用されるが、これはインスリン送達を微調整するための制御アルゴリズムの目標とは同じではない。いくつかの実施形態では、規範的インスリン計画部820は、推定されたBGに基づいてオンデマンドで生成される上側BG包絡曲線によって定義される目標に基づいて、ISOBを演算する。いくつかの実施形態では、包絡線は睡眠プロファイルから決定される。ただしこのことは必要条件ではなく、実際は特定の実施態様では行われない場合がある。いくつかの実施形態では、ISOBは、上側及び下側の両方のBG包絡線の関数として演算されてもよく、例えば、ISOBは、高血糖上側包絡線曲線値と、インスリン遮断閾値又はロジックに従う低BG包絡線との間のどこかでBGを達成するように演算され得る。
【0068】
いくつかの実施形態では、インスリンは、ユーザ提供の基礎速度プロファイルに対して又は基準インスリン速度(RIR)に対して、皮下インスリン送達(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願第15/580,935号に記載されているISOBを参照されたい)の観点から直接的に表現され得る。いくつかの実施形態では、規範的インスリン計画部の出力は、BG上側包絡曲線、又は患者の理論上のインスリントラジェクトリを最適化するための他の機序に基づくことができる。
【0069】
(一致又は不一致のレベルを示すことになる)インスリン送達速度を決定するために使用される時間窓(「速度窓」と呼ばれることもある)は、血糖症(例えば、高血糖又は低血糖)のリスクの関数であってもよく、したがって可変である。例えば、高血糖のリスクが高い場合には、必要なインスリンの全量を可能な限り速い速度で、すなわちボーラスとして送達することができる。
【0070】
監視部840は、規範的インスリン計画部820と組み合わされてもよく、又はそこから分離されてもよい。監視部840は、外部ソース(例えば、外部プロセスデータ225)からの提案された基礎速度(及び任意選択で提案されたボーラス速度)を、規範的インスリン計画部820によって識別されたインスリン必要量と調整して、次の定期的更新のための承認された基礎速度(及び/又はボーラス)を決定する。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願第15/580,935号には、ISOBを計算しIOBと比較することによってインスリン必要量を決定する実施態様が記載されている。しかしながら、インスリン必要量を決定する他の方法を使用してもよい。
【0071】
監視部840は、元の入力からの入力に加えて、状態推定部420の出力、モデル一致評価部430の出力(すなわち乖離D)、RIR更新部440の出力(すなわちRIR450)を処理してもよく、基礎インスリン及び任意選択でボーラスインスリンを記述する外部で導出されたプロセスからの入力(すなわち外部プロセスデータ225)を更に含んでもよい。したがって、監視部840は、外部プロセスをインスリン計画のために本明細書に記載されるシステム及び方法と調整するのに有用であり得る。
【0072】
いくつかの実施形態では、インスリン送達監視部245は、ボーラス推奨値を、ボーラスと基礎の組み合わせ、例えば、最大速度で送達される量、及びある期間にわたって上昇した基礎速度として送達される量に変換してもよい。変換はシステムの状態及び血糖リスクに基づくことができ、本明細書に記載される方法及び/又はシステムの前のステップ及び/又はモジュールにフィードバックすることができる。いくつかの実施態様では、変換は、次の決定が行われ得るときまでに通知され得る。いくつかの実施態様では、リスクベースのインスリン送達速度変換器230は、インスリン送達の速度を生成するように設計された任意の開ループ又は閉ループ人工膵臓アルゴリズムの出力を取得し、その速度を基礎速度と個別のボーラスを混合したものに変換する。いくつかの実施態様では、個別の(補正)ボーラスは高血糖リスクに基づいて基礎速度と協調される、すなわち、インスリン送達監視部245は、推奨される補正ボーラスを速度に変換し、その場合速度窓は、(例えば、30分などの固定された速度窓ではなく)高血糖リスクの関数として演算される。
【0073】
一例では、高血糖リスクを計算するために予測された血糖が使用され、高血糖リスクはモデル一致評価部430によって血糖状態間及び/又はインスリン状態間の分散を定量化するために使用され、その場合、高血糖のリスクが大きいほど速度窓が短くなる。換言すれば、高血糖の最も高いレベルでは、必要なインスリン量が個別のボーラスとして送達される。このように、速度窓は可変であり、高血糖のリスクがより高く演算されるほど、速度窓が5分(又は、データ取得のリフレッシュ及び/若しくは制御部更新の任意の周期率)に近づいていくようになっている。一例として、リスクベースのインスリン送達速度変換器230が、ISOBとIOBとの間の差が3単位であると演算した場合、これは高レベルの高血糖リスクでは5分で送達され得るが、低レベルの高血糖リスクでは30分にわたって送達され得る。特にここでは、介入前の高血糖リスクを使用して、ISOBが次の制御部更新まで適用されることになるインスリン送達の速度に変換され、この結果高い高血糖リスクにおいて、ISOBが個別のボーラスとして送達されるようになる。ただしいくつかの実施形態では、ISOBの速度への変換は、介入前及び介入後の両方の予測されたBGの情報に基づいてもよい。標準的なモデル予測制御(MPC)とは対照的に、速度値はISOB値を修正したものであり、これは最適化の結果ではない。
【0074】
上記した例では高血糖リスクの使用について説明したが、ISOBの速度への変換は、高血糖リスク及び低血糖リスクの両方の情報に基づいてもよい。
【0075】
以下の式に示すように、速度窓は、高血糖リスクに基づく速度への、個別ボーラスの変換の分母であり得る。
インスリン送達速度=(一致のレベルに基づく必要なインスリンの量)/(必要なインスリンの量が送達されることになるリスクベースの時間窓)。
【0076】
この場合、監視部840から結果として得られる推奨値は、個別の補正及び/又は食事ボーラスの効果を達成するのに十分に大きく、又は低い基礎送達速度を含むのに十分に小さくすることができる。
【0077】
いくつかの実施形態では、インスリン送達監視部245の積極性は、患者の1日の総インスリン必要量(TDI)の評価に基づいて制約されてもよい。例えば、IOBとISOBとの間の差に対する適切な応答を計算するために必要とされるパラメータは、TDIの関数として制約され得る。TDIの進行中の修正によって、規範的インスリン計画部の積極性がどの程度許容されるかが調節される。制御アルゴリズムの積極性がどの程度許容されるかについての別個のチェックとして、補正係数の飽和値が使用され得る。ここで補正係数に対する制限が実施されてもよい。
【0078】
インスリン送達監視部245からの出力290は、承認された基礎速度及び任意選択で承認されたボーラス速度を含む。出力290はまた、患者、医師又は他の医療専門家若しくは医療管理者、ディスプレイ、コンピューティングデバイスなどに送信されるメッセージも含んでもよい。例えば、予測されたBGトラジェクトリが不確実さの説明とともに表示されてもよい。インスリン送達の推奨される値又は量は、特定の時間間隔に対して、及び/又は様々な条件(例えば、「~の場合」、「~のときに」、「~に基づいて」、「食事告知なしの範囲内時間(time in range)」、など)に関して、提供又は記述され得る。
【0079】
図9は、リスクベースのインスリン送達速度変換で使用されるインスリン送達監視の方法900の一実施態様のフロー図である。方法900は、インスリン送達監視部245を使用して行われ得る。
【0080】
910において、現在及び/又は将来の高血糖及び/又は低血糖のリスクなどの入力、状態推定部420の出力、モデル一致評価部430の出力(すなわち乖離D)、RIR更新部440の出力(すなわちRIR450)、並びに基礎インスリン及び任意選択でボーラスインスリンを記述する外部で導出されたプロセスからの入力が受信される。
【0081】
920において、将来のインスリンの目標トラジェクトリが決定される。
【0082】
930において、規範的インスリン計画部を使用して、モデル一致評価部430からの乖離Dを最小化する及び/又は高血糖リスクを最小化するために必要なインスリンの量が決定される。
【0083】
940において、提案された基礎速度及び/又は提案されたボーラス速度は、承認された基礎速度及び/又は承認されたボーラス速度を決定するために、規範的インスリン計画部によって識別されたインスリン必要量と調整される。
【0084】
950において、承認された基礎速度及び/又は承認されたボーラス速度が、例えば、送達デバイス、患者、医師又は他の医療専門家若しくは医療管理者、ディスプレイデバイス、コンピューティングデバイス、などに出力される。
【0085】
実施例1-従来のインスリンポンプ療法の実施の監視
【0086】
一実施態様では、本明細書に記載されるシステム及び方法は、ユーザがプログラムした基礎速度プロファイルと、炭水化物の推定値、炭水化物比率、補正係数、及びIOBを使用して演算された機能的食前インスリンボーラスとを有するインスリンポンプ療法システム(外部プロセス)とともに、動作可能に使用される。この例では、システム/方法は以下のように動作する。
【0087】
比較部235は、現在の代謝状態ベクトルの開ループ及びCGMに基づく推定値を、以下のうちの1つ以上を含む様々な方法で量的に調整する:一致(若しくは不一致)のレベルをインスリン送達の失敗(例えば、ポンプ閉塞)に帰することによって→ポンプ障害状態推定値の設定、一致/不一致を予期しない低い/高い「インスリン作用」に帰することによって→インスリン感受性パラメータが、小さ過ぎる/大き過ぎるという事実の認識、及び/又は、定量化された一致/不一致を、告知されていない食事(又は患者が承認したよりも炭水化物含有量の高い食事)に帰することによって→インスリン作用に関するモデル一致評価部430の乖離(D)の漸増的適合。
【0088】
血糖リスク評価部240は、指定された計画期間にわたって適用可能な高血糖リスク及び/又は低血糖リスクの定量値を推定する。このことはユーザからの更なる介入を想定していないことに留意されたい。
【0089】
インスリン送達監視部245(動作可能に接続されたインスリン送達デバイスからのユーザがプログラムした基礎速度プロファイルを把握している)は、任意選択で患者からの現在のボーラス要求を見て、患者からの将来の介入を想定せずに、指定された計画期間にわたる基礎速度プロファイルの効果を推定し、現在のボーラス要求(存在する場合)を修正するか若しくは要求されていないインスリンボーラスを発すること、計画期間の持続時間にわたって基礎速度プロファイルを修正すること、及び/又はボーラスが計画期間中の将来のある時点で送達されることを指定することを決定し得る。
【0090】
この実施態様による1つの例示的な状況(条件のセット)では、予めプログラムされた基礎プロファイルが患者の空腹時基礎プロファイル(又はRIR)に対して上昇しているとき、その上昇した基礎速度は、基礎インスリン送達を行って未告知の食事に部分的に対処しようとするユーザの試みを表している場合がある。この場合、監視部は、その一部を別個のボーラスに変換することによって、その上昇した基礎速度の効果を加速する役割を果たす。
【0091】
この実施態様による別の例示的な状況(条件のセット)では、比較部235が、(i)未告知の/過小評価された炭水化物が存在するか、又は(ii)インスリン感受性の低下がモデル不一致の最も可能性の高い説明であるかのいずれかであると判定し得る場合には、血糖リスク評価部240は、臨床的に有意な上昇した高血糖のリスクRを推定することができ、ユーザが個別のボーラスBを最近指定した場合には、インスリン送達監視部245は、以下のいずれかを行う:指定された計画期間Tに関する予めプログラムされた基礎速度プロファイルと関連付けられたインスリンの総量のうちのある割合FをBに加えたものに等しいボーラスを今度は送達し(ある割合は推定された高血糖のリスクRの関数として演算される(例えば、F=k*R/(1+k*R)、上式でkはパラメータである))、インスリンの残りの割合(1-F)を、指定された計画期間Tの間、低減された新しい一時的な基礎速度として送達すると決定する、又は、ユーザの判断に従い、Bのみを送達し、監視部が先取りして基礎インスリンをボーラスに変換する将来の機会を待つことができる(このことはデータの信頼性などの様々な要因に依存し得る)。
【0092】
この実施態様による更なる別の例示的な状況(条件のセット)では、比較部235が、予想外に高いインスリン作用(瞬間的に高いインスリン感受性が示唆されている)がモデル不一致の最も可能性の高い説明であると推定する場合には、血糖リスク評価部240は、臨床的に有意な上昇した低血糖のリスクRを推定し、ユーザが個別のボーラスB≧0を最近入力した場合には、インスリン送達監視部245は、指定された計画期間に関する一時的な基礎速度をリスクに基づいて設定し得る。例えば、特定のIOBを達成する要望に基づけば、ユーザのボーラスBが分かれば、指定された時間枠内でそのIOBを達成するように基礎速度を設定することができ、その場合、目標IOB及び時間枠の両方は、推定された低血糖のリスクの関数として演算される。追加的又は代替的に、インスリン送達監視部245は、ボーラスに関してユーザに警告して、追加の炭水化物がなければボーラスによって低血糖のリスクが悪化し得ることを示唆してもよい。
【0093】
実施例2-自動インスリン送達(AID)アルゴリズムの監視
【0094】
この第2の例示的な実施態様では、本明細書に記載されるシステム及び方法は、患者がボーラスを要求する機会の有無にかかわらず、基礎速度の自動調整及び/又は自動インスリンボーラスを含む自動インスリン送達治療システム(外部プロセス)とともに動作可能に使用される。比較部235は、実施例1に記載されているように及び推定されたRIRに更に基づいて、現在の代謝状態ベクトルの開ループの推定値及びCGMベースの推定値を量的に調整する。
【0095】
血糖リスク評価部240は、指定された計画期間にわたって適用可能な低血糖リスクの定量値を推定する(注:ユーザからの更なる介入はないと想定する)。
【0096】
インスリン送達監視部245は、患者のRIRに基づいて、RIRよりも高い基礎速度の推奨値及び/又はインスリンボーラス要求/推奨値に応じて、患者からの将来の介入がないと想定して、現在のボーラス要求/推奨値(存在する場合)を修正するか又は新しいボーラスを導入すること、AID基礎速度推奨値を修正すること、及び/又はボーラスが指定された計画期間内の将来のある時点で送達されることを指定することを決定し得る。
【0097】
この第2の実施態様による1つの例示的な状況(条件のセット)では、比較部235が、(i)未告知の/過小評価された炭水化物が存在するか、又は(ii)インスリン感受性の低下がモデル不一致の最も可能性の高い説明であるかのいずれかであると判定する場合、血糖リスクプロファイラは、臨床的に有意な上昇した高血糖のリスクRを推定し、ボーラス推奨値又は要求が存在しない場合には、インスリン送達監視部245は、指定された計画期間Tに関するAID推奨の基礎速度プロファイルと関連付けられたインスリンの総量のうちのある割合Fに等しいボーラスを今度は送達し(ある割合は推定された高血糖のリスクRの関数として演算される(例えば、F=k*R/(1+k*R)、上式でkはパラメータである))、AIDの基礎速度推奨値と関連付けられたインスリンの残りの割合(1-F)を、低減された新しい基礎速度として送達し得る。追加的又は代替的に、上で導入されたボーラスは、AID推奨の基礎速度と患者のRIRとの間の差の関数として演算され得る。
【0098】
この第2の実施態様による別の例示的な状況(条件のセット)では、比較部235が、(i)未告知の/過小評価された炭水化物が存在するか、又は(ii)インスリン感受性の低下がモデル不一致の最も可能性の高い説明であるかのいずれかであると認識する場合、血糖リスク評価部240は、臨床的に有意な上昇した高血糖のリスクRを推定し、ユーザが個別のボーラスBのみを指定した場合には、インスリン送達監視部245は、指定された計画期間Tに関するAID推奨の基礎速度プロファイルと関連付けられたインスリンの総量のうちのある割合FをBに加えたものに等しいボーラスを今度は送達すること(ある割合は推定された高血糖のリスクRの関数として演算され、例えば、F=k*R/(1+k*R)であり、上式でkはパラメータである)、及び、AIDの基礎速度推奨値と関連付けられたインスリンの残りの割合(1-F)を、低減された新しい基礎速度として送達することを決定する。代替として、インスリン送達監視部245は、ユーザの判断に従い、Bのみを送達し、監視部が先取りして基礎インスリンをボーラスに変換する将来の機会を待ってもよく、このことは例えばデータ信頼性又はフェイルセーフ特徴に基づき得る。
【0099】
この第2の実施態様による更なる別の例示的な状況(条件のセット)では、比較部235が、予想外に高いインスリン作用(瞬間的に高いインスリン感受性が示唆されている)がモデル不一致の最も可能性の高い説明であると認識する場合、血糖リスク評価部240は、臨床的に有意な上昇した低血糖のリスクRを推定し、ユーザが個別のボーラスB≧0だけを指定した場合には、インスリン送達監視部245は、指定された計画期間にわたって一時的な基礎速度を設定することを決定し、例えば、特定のIOBを達成する要望に基づき、ユーザのボーラスBが分かれば、指定された時間枠内でそのIOBを達成するように基礎速度を設定することができ、その場合、目標IOB及び時間枠の両方は、推定された低血糖のリスクの関数として計算される。(例えば、未告知の炭水化物を補償するために)低減された基礎速度が必要であったと判明した場合には、補償された上昇した基礎速度として又は個別のボーラスとして、その差を後から導入することができる。追加的又は代替的に、監視部は、ボーラスBを不変のままにすると決定してもよいが、B=0でない限り、ボーラスについてユーザに表示/警告して、追加の炭水化物がなければボーラスによって低血糖のリスクが悪化し得ることを示唆してもよい。
【0100】
図10は、例示的な実施形態及び態様が実施され得る例示的なコンピューティング環境を示す。コンピューティングデバイス環境は、好適なコンピューティング環境の単なる一例であり、使用又は機能の範囲に関していかなる限定も示唆するように意図されていない。
【0101】
多数の他の汎用若しくは専用コンピューティングデバイス環境又は構成が使用されてもよい。使用に好適であり得る周知のコンピューティングデバイス、環境、及び/又は構成の例としては、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、ハンドヘルド若しくはラップトップデバイス、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースのシステム、ネットワークパーソナルコンピュータ(personal computer、PC)、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ、組み込みシステム、上記のシステム又はデバイスのいずれかを含む分散コンピューティング環境などを含むが、これらに限定されない。
【0102】
コンピュータによって実行されるプログラムモジュールなどのコンピュータ実行可能命令が使用されてもよい。一般に、プログラムモジュールとしては、特定のタスクを実行するか、又は特定の抽象データ型を実施するルーチン、プログラム、オブジェクト、構成要素、データ構造などが含まれる。通信ネットワーク又は他のデータ伝送媒体を介してリンクされたリモート処理デバイスによってタスクが実行される分散コンピューティング環境を使用することができる。分散コンピューティング環境では、プログラムモジュール及び他のデータは、メモリ記憶デバイスを含むローカルコンピュータ記憶媒体及びリモートコンピュータ記憶媒体の両方に位置され得る。
【0103】
図10を参照すると、本明細書で記載される態様を実施するための例示的なシステムは、コンピューティングデバイス1000などのコンピューティングデバイスを含む。その最も基本的な構成では、コンピューティングデバイス1000は、通常、少なくとも1つの処理ユニット1002とメモリ1004とを含む。コンピューティングデバイスの正確な構成及びタイプに応じて、メモリ1004は、揮発性であっても(ランダムアクセスメモリ(random access memory、RAM)など)、不揮発性であっても(読み取り専用メモリ(read-only memory、ROM)、フラッシュメモリなど)、又はこれらの2つの何らかの組み合わせであってよい。この最も基本的な構成は、図10に破線1006で示されている。
【0104】
コンピューティングデバイス1000は、追加の特徴/機能を有してもよい。例えば、コンピューティングデバイス1000は、磁気若しくは光ディスク又はテープを含む(取り外し可能な及び/若しくは取り外し不可能な)追加の記憶装置を含むが、これらに限定されない。そのような追加の記憶装置は、取り外し可能な記憶装置1008及び取り外し不可能な記憶装置1010によって図10に示されている。
【0105】
コンピューティングデバイス1000は、通常、様々なコンピュータ可読媒体を含む。コンピュータ可読媒体は、デバイス1000によってアクセスすることができる任意の利用可能な媒体であり得、揮発性及び不揮発性媒体、取り外し可能及び取り外し不可能媒体の両方を含む。
【0106】
コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、又は他のデータなどの情報の記憶のための任意の方法又は技術において実施される揮発性及び非揮発性の、取り外し可能な及び取り外し不可能な媒体を含む。メモリ1004、取り外し可能な記憶装置1008、及び取り外し不可能な記憶装置1010は全て、コンピュータ記憶媒体の例である。コンピュータ記憶媒体は、RAM、ROM、電気的消去可能プログラム読み出し専用メモリ(electrically erasable program read-only memory、EEPROM)、フラッシュメモリ若しくは他のメモリ技術、CD-ROM、デジタルバーサタイルディスク(digital versatile disk、DVD)若しくは他の光記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置若しくは他の磁気記憶デバイス、又は所望の情報を記憶するように使用することができ、かつコンピューティングデバイス1000によってアクセスすることができる任意の他の媒体を含むが、これらに限定されない。任意のそのようなコンピュータ記憶媒体は、コンピューティングデバイス1000の一部であってもよい。
【0107】
コンピューティングデバイス1000は、このデバイスが他のデバイスと通信することを可能にする通信接続1012を含有し得る。コンピューティングデバイス1000はまた、キーボード、マウス、ペン、音声入力デバイス、タッチ入力デバイスなどの入力デバイス1014を有し得る。ディスプレイ、スピーカ、プリンタなどの出力デバイス1016がまた、含まれ得る。これらのデバイスは全て、当該技術分野において周知であり、ここで詳細に考察する必要はない。
【0108】
一実施態様では、リスクベースのインスリン送達速度変換器は、インスリンデータ及びグルコースデータを受信するように構成され、かつ、最近の血糖測定値が最近のインスリンと一致しない程度を定量化することによって、インスリンデータ及びグルコースデータから導出された代謝データ及び行動データの別々に導出された推定値間の乖離を識別するように構成されている、モデル一致評価部を含む、比較部と、グルコースデータに基づいて現在又は将来の高血糖又は低血糖のうちの少なくとも1つのリスクを定量化するように構成されている血糖リスク評価部と、比較部及び血糖リスク評価部からのデータに基づいてインスリン送達速度を調節するように構成されているインスリン送達監視部と、を備える。
【0109】
一実施態様において、リスクベースのインスリン送達速度変換方法は、比較部においてインスリンデータ及びグルコースデータを受信することと、比較部のモデル一致評価部を使用して、最近の血糖測定値が最近のインスリンと一致しない程度を定量化することによって、インスリンデータ及びグルコースデータから導出された代謝データ及び行動データの別々に導出された推定値間の乖離を識別することと、血糖リスク評価部を使用して、グルコースデータに基づいて現在又は将来の高血糖又は低血糖のうちの少なくとも1つのリスクを定量化することと、インスリン送達監視部を使用して、比較部及び血糖リスク評価部からのデータに基づいてインスリン送達速度を調節することと、を含む。
【0110】
一実施態様では、システムは、少なくとも1つのプロセッサと、非一時的コンピュータ可読媒体であって、少なくとも1つのプロセッサによって実行されるとシステムに、比較部でインスリンデータ及びグルコースデータを受信させ、比較部のモデル一致評価部を使用して、最近の血糖測定値が最近のインスリンと一致しない程度を定量化することによって、インスリンデータ及びグルコースデータから導出された代謝データ及び行動データの別々に導出された推定値間の乖離を識別させ、血糖リスク評価部を使用して、グルコースデータに基づいて現在又は将来の高血糖又は低血糖のうちの少なくとも1つのリスクを定量化させ、インスリン送達監視部を使用して、比較部及び血糖リスク評価部からのデータに基づいてインスリン送達速度を調節させる命令を含む、非一時的コンピュータ可読媒体と、を備える。
【0111】
実施態様は、以下の特徴の一部又は全部を含み得る。コンピュータ可読媒体は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、システムに、モデル一致評価部を使用して、代謝状態又は行動状態の2つの異なるモデル間の乖離を評価させ、後で使用するために乖離を出力として提供させる命令を更に含む。コンピュータ可読媒体は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、システムに、モデル一致評価部を使用して、代謝状態又は行動状態の2つの異なる開ループ予測間の乖離を分散として定量化させる命令を更に含む。コンピュータ可読媒体は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、システムに、比較部の状態推定部を使用して、持続グルコースモニタリングシステム(CGM)フィードバック、他の感知された入力、又はユーザ入力のうちの少なくとも1つに基づいて、患者の生理学的状態又は行動状態少なくとも一方を推定させ、モデル一致評価部に出力を提供させる命令を更に含む。状態推定値はモデル一致評価部によって使用される。コンピュータ可読媒体は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、システムに、血糖リスク評価部によって高血糖リスクを評価させる命令を更に含み、高血糖リスクはインスリン送達監視部によるインスリン速度の計算に用いられる時間窓を調節するために使用される。インスリン送達監視部は、外部プロセスからの提案されたボーラス速度又は基礎速度の少なくとも一方を考慮する。インスリン送達監視部は、必要なインスリンの量が送達されることになる時間窓に関するインスリン速度を計算する。時間窓は、血糖リスク評価部によって定量化された血糖リスクのレベルから決定される。コンピュータ可読媒体は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、システムに、インスリン送達監視部のインスリン計画部によって、比較部によって決定された乖離を最小化するために必要なインスリンの量を決定させる命令を更に含む。コンピュータ可読媒体は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、システムに、インスリン送達監視部の監視部によって、外部ソースからの提案された基礎速度をインスリン計画部によって識別されたインスリン必要量と調整させて、次の定期的更新のための承認された基礎速度を決定させる命令を更に含む。コンピュータ可読媒体は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、システムに、インスリン送達監視部を使用して、承認された基礎速度を基礎速度と個別のボーラスを混合したものに変換させる命令を更に含む。
【0112】
一実施態様では、リスクベースのインスリン送達速度変換器は、インスリンデータ及びグルコースデータを受信するように構成され、かつ、最近の血糖測定値が最近のインスリンと一致しない程度を定量化することによって、インスリンデータ及びグルコースデータから導出された代謝データ及び行動データの別々に導出された推定値間の乖離を識別するように構成されている、モデル一致評価部を含む、比較部と、グルコースデータに基づいて現在又は将来の高血糖又は低血糖のうちの少なくとも1つのリスクを定量化するように構成されている血糖リスク評価部と、比較部及び血糖リスク評価部からのデータに基づいてインスリン送達速度を調節するように構成されているインスリン送達監視部と、基準インスリン速度(RIR)を決定するように構成されている基準インスリン速度更新部であって、RIRは平衡を達成すると考えられるインスリンの内部基準である、基準インスリン速度更新部と、を備える。
【0113】
一実施態様において、リスクベースのインスリン送達速度変換方法は、比較部においてインスリンデータ及びグルコースデータを受信することと、比較部のモデル一致評価部を使用して、最近の血糖測定値が最近のインスリンと一致しない程度を定量化することによって、インスリンデータ及びグルコースデータから導出された代謝データ及び行動データの別々に導出された推定値間の乖離を識別することと、血糖リスク評価部を使用して、グルコースデータに基づいて現在又は将来の高血糖又は低血糖のうちの少なくとも1つのリスクを定量化することと、インスリン送達監視部を使用して、比較部及び血糖リスク評価部からのデータに基づいてインスリン送達速度を調節することと、基準インスリン速度(RIR)更新部を使用してRIRを決定することであって、RIRは平衡を達成すると考えられるインスリンの内部基準である、決定することと、を含む。
【0114】
一実施態様では、システムは、少なくとも1つのプロセッサと、非一時的コンピュータ可読媒体であって、少なくとも1つのプロセッサによって実行されるとシステムに、比較部でインスリンデータ及びグルコースデータを受信させ、比較部のモデル一致評価部を使用して、最近の血糖測定値が最近のインスリンと一致しない程度を定量化することによって、インスリンデータ及びグルコースデータから導出された代謝データ及び行動データの別々に導出された推定値間の乖離を識別させ、血糖リスク評価部を使用して、グルコースデータに基づいて現在又は将来の高血糖又は低血糖のうちの少なくとも1つのリスクを定量化させ、インスリン送達監視部を使用して、比較部及び血糖リスク評価部からのデータに基づいてインスリン送達速度を調節させ、基準インスリン速度(RIR)更新部を使用してRIRを決定させ、RIRは平衡を達成すると考えられるインスリンの内部基準である、命令を含む、非一時的コンピュータ可読媒体と、を備える。
【0115】
実施態様は、以下の特徴の一部又は全部を含み得る。RIR更新部は比較部内に含まれる。RIRは比較部によって使用される。血糖リスク評価部は、RIRを受信し、RIRを使用して現在若しくは将来の高血糖又は将来の低血糖のうちの少なくとも1つのリスクを定量化するように構成される。インスリン送達監視部は、RIRを受信し、RIRを使用して、将来のインスリンの目標トラジェクトリと乖離を最小限にするために必要なインスリンの量とを決定するように構成される。インスリン送達監視部は、乖離データを受信し、乖離データを使用して、将来のインスリンの目標トラジェクトリと乖離を最小限にするために必要なインスリンの量とを決定するように更に構成される。コンピュータ可読媒体は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、システムに、モデル一致評価部を使用して、代謝状態又は行動状態の2つの異なるモデル間の乖離を評価させ、後で使用するために乖離を出力として提供させる命令を更に含む。コンピュータ可読媒体は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、システムに、モデル一致評価部を使用して、代謝状態又は行動状態の2つの異なる開ループ予測間の乖離を分散として定量化させる命令を更に含む。コンピュータ可読媒体は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、システムに、比較部の状態推定部を使用して、持続グルコースモニタリングシステム(CGM)フィードバック、他の感知された入力、又はユーザ入力のうちの少なくとも1つに基づいて、患者の生理学的状態又は行動状態の少なくとも一方を推定させ、出力をモデル一致評価部に提供させる命令を更に含む。状態推定値はモデル一致評価部によって使用される。コンピュータ可読媒体は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、システムに、血糖リスク評価部によって高血糖リスクを評価させる命令を更に含み、高血糖リスクはインスリン送達監視部によるインスリン速度の計算に用いられる時間窓を調節するために使用される。インスリン送達監視部は、外部プロセスからの提案されたボーラス速度又は基礎速度の少なくとも一方を考慮する。インスリン送達監視部は、必要なインスリンの量が送達されることになる時間窓に関するインスリン速度を計算する。時間窓は、血糖リスク評価部によって定量化された血糖リスクのレベルから決定される。コンピュータ可読媒体は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、システムに、インスリン送達監視部のインスリン計画部によって、比較部によって決定された乖離を最小化するために必要なインスリンの量を決定させる命令を更に含む。コンピュータ可読媒体は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、システムに、インスリン送達監視部の監視部によって、外部ソースからの提案された基礎速度をインスリン計画部によって識別されたインスリン必要量と調整させて、次の定期的更新のための承認された基礎速度を決定させる命令を更に含む。コンピュータ可読媒体は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、システムに、インスリン送達監視部を使用して、承認された基礎速度を基礎速度と個別のボーラスを混合したものに変換させる命令を更に含む。
【0116】
一実施態様では、方法は、比較部において複数の入力を受信することと、入力から導出された代謝データ及び行動データの別々に導出された推定値間の乖離を識別することと、血糖リスク評価部を使用して、グルコースデータに基づいて現在又は将来の高血糖又は低血糖のリスクを定量化することと、インスリン送達監視部を使用して、比較部からのデータ及び血糖リスク評価部からのデータに基づいてインスリン送達速度を調節することと、を含む。
【0117】
一実施態様では、システムは、複数の入力を受信し、入力から導出された代謝データ及び行動データの別々に導出された推定値間の乖離を識別するように構成されている比較部と、グルコースデータに基づいて現在又は将来の高血糖又は低血糖のリスクを定量化するように構成されている血糖リスク評価部と、比較部からの及び血糖リスク評価部からのデータに基づいてインスリン送達速度を調節するように構成されているインスリン送達監視部と、を備える。
【0118】
一実施態様では、システムは、少なくとも1つのプロセッサと、非一時的コンピュータ可読媒体であって、少なくとも1つのプロセッサによって実行されるとシステムに、比較部で複数の入力を受信させ、入力から導出された代謝データ及び行動データの別々に導出された推定値間の乖離を識別させ、血糖リスク評価部を使用して、グルコースデータに基づいて現在又は将来の高血糖又は低血糖のリスクを定量化させ、インスリン送達監視部を使用して、比較部からのデータ及び血糖リスク評価部からのデータに基づいてインスリン送達速度を調節させる命令を含む、非一時的コンピュータ可読媒体と、を備える。
【0119】
実施態様は、以下の特徴の一部又は全部を含み得る。入力は、グルコースデータ、インスリンデータ、感知された入力データ、又はユーザ入力データのうちの少なくとも1つを含む。乖離を識別することは、最近の血糖測定値が最近のインスリンと一致しない程度を定量化することを含む。コンピュータ可読媒体は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、システムに、比較部において、状態推定部を使用して、受信された入力に基づいて患者の生理学的状態又は行動状態を推定させ、モデル一致評価部に出力を提供させ、1つ以上の状態変数について、代謝状態又は行動状態の2つの異なるモデル間の乖離を評価させ、乖離を出力させる命令を更に含む。乖離を評価することは、状態推定部変数と、モデルが持続グルコースモニタリング(CGM)データが無い場合に同じ変数について予測していたと考えられるものとの間の差を演算することを含み、乖離は変数の2つのバージョン間の差である。コンピュータ可読媒体は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、システムに、内部基準インスリン速度(RIR)を決定させ、RIRを出力させる命令を更に含む。コンピュータ可読媒体は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、システムに、血糖リスク評価部において、現在又は将来の高血糖の少なくとも一方のリスクを決定させ、現在又は将来の低血糖の少なくとも一方のリスクを決定させ、現在又は将来の高血糖の少なくとも一方のリスク及び現在又は将来の低血糖の少なくとも一方のリスクを出力させる命令を更に含む。コンピュータ可読媒体は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、システムに、インスリン送達監視部において、将来のインスリンの目標トラジェクトリを決定させ、規範的インスリン計画部を使用して、モデル一致評価部によって決定された乖離を最小化するために必要なインスリンの量を決定させ、提案された基礎速度又は提案されたボーラス速度を規範的インスリン計画部によって識別されたインスリン必要量と調整させて、承認された基礎速度又は承認されたボーラス速度を決定させ、承認された基礎速度又は承認されたボーラス速度を出力させる、命令を更に含む。
【0120】
本明細書に記載される様々な技法は、ハードウェア構成要素若しくはソフトウェア構成要素に関連して、又は適切な場合には、両方の組み合わせに関連して実施され得ることを理解されたい。使用することができる例示的なタイプのハードウェア構成要素としては、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field-programmable Gate Array、FPGA)、特定用途向け集積回路(Application-specific Integrated Circuit、ASIC)、特定用途向け標準製品(Application-specific Standard Product、ASSP)、システムオンチップシステム(System-on-a-chip system、SOC)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device、CPLD)などが含まれる。本開示の主題の方法及び装置、又はその特定の態様若しくは部分は、フロッピー(登録商標)ディスケット、CD-ROM、ハードドライブ、又は任意の他の機械可読記憶媒体などの有形媒体に具現化されたプログラムコード(すなわち、命令)の形態をとることができ、プログラムコードがコンピュータなどの機械にロードされて実行されると、機械は本開示の主題を実施するための装置となる。
【0121】
例示的な実施態様は、1つ以上のスタンドアロンコンピュータシステムのコンテキストにおいて本開示の主題の態様を利用することに言及し得るが、この主題は、そのようには限定されず、むしろ、ネットワーク又は分散コンピューティング環境などの任意のコンピューティング環境に関連して実施され得る。更に、本明細書で開示される主題の態様は、複数の処理チップ若しくはデバイスにおいて、又は複数の処理チップ若しくはデバイスにわたって実施されてもよく、同様に、複数のデバイスにわたって記憶が行われてもよい。そのようなデバイスは、例えば、パーソナルコンピュータ、ネットワークサーバ、及びハンドヘルドデバイスを含み得る。
【0122】
システム及び技法は、構造的特徴及び/又は方法論的行為特有の言語で記載されているが、添付の特許請求の範囲で定義されるシステム及び技法は、必ずしも記載される特定の特徴又は行為に限定されないと理解されるべきである。むしろ、上記の特定の特徴及び行為は、特許請求の範囲を実施する例示的な形態として開示されている。
【符号の説明】
【0123】
100 高レベル機能ブロック図
110 インスリンデバイス
120 グルコースモニタ
130 プロセッサ
140 患者
150 活動モニタ
160 スマートフォン
203 セットアップ入力データ
205 CGMデータ
210 他の感知された入力データ
215 インスリンデータ
220 ユーザ入力データ
225 外部プロセスデータ
230 インスリン送達速度変換器
235 比較部
240 血糖リスク評価部
245 インスリン送達監視部
290 出力
420 状態推定部
425 基準インスリン速度(RIR)
430 モデル一致評価部
435 乖離
440 基準インスリン速度(RIR)更新部
450 内部基準インスリン速度
605 入力
620 高血糖リスク
640 低血糖リスク
820 規範的インスリン計画部
840 監視部
1000 デバイス
1002 処理ユニット
1004 メモリ
1006 破線
1008 取り外し可能な記憶装置
1010 取り外し不可能な記憶装置
1012 通信接続
1014 入力デバイス
1016 出力デバイス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】