(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-31
(54)【発明の名称】アスファルト結合材及びルーフィング材用経年劣化防止添加剤
(51)【国際特許分類】
C08L 95/00 20060101AFI20240124BHJP
C08L 91/00 20060101ALI20240124BHJP
C04B 26/26 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
C08L95/00
C08L91/00
C04B26/26 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540763
(86)(22)【出願日】2022-01-20
(85)【翻訳文提出日】2023-08-23
(86)【国際出願番号】 US2022013168
(87)【国際公開番号】W WO2022159610
(87)【国際公開日】2022-07-28
(32)【優先日】2021-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523248932
【氏名又は名称】エルゴン、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クーリー、ケン
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン、ジェリー
(72)【発明者】
【氏名】ダランガ、コドリン
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン、ロバート、ドウェイン
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002AE052
4J002AG001
4J002FD032
4J002GL00
(57)【要約】
バージンアスファルト結合材、エアブローンバージンアスファルト結合材、又は再生アスファルト結合材材料、及び(i)1又は複数のカルボニル基を含有する化合物を含む第1の材料、及び(ii)第1の材料の1又は複数のカルボニル基と反応してヒドロキシル基を反応生成物に添加する第2の材料を含む成分の反応生成物である経年劣化防止剤のうちの少なくとも1つを含む、アスファルト含有材料において使用するためのアスファルト結合材組成物、ここで経年劣化防止剤は約25mg KOH/g超のヒドロキシル価を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バージンアスファルト結合材、エアブローンバージンアスファルト結合材、アスファルト舗装材を含む再生アスファルト結合材材料(RAP)、又はアスファルトシングルを含む再生アスファルト結合材材料(RAS)のうちの少なくとも1つを含むアスファルト結合材;及び
(i)1又は複数のカルボニル基を含有する化合物を含む第1の材料、及び(ii)前記第1の材料の前記1又は複数のカルボニル基と反応してヒドロキシル基を反応生成物に追加する第2の材料を含む成分の反応生成物である経年劣化防止剤、ここで前記経年劣化防止剤は約25mg KOH/g超のヒドロキシル価を含む、
を有する、アスファルト結合材組成物
を備える、アスファルト含有材料。
【請求項2】
前記アスファルト結合材組成物が防湿バリアを提供する熱間塗布されたアスファルト膜である、請求項1に記載のアスファルト含有材料。
【請求項3】
前記アスファルト含有材料が、防湿バリア又は防水フィルム、下ぶき、アスファルト系接着剤、又はシーラント、ルーフィング材、又は前記アスファルト結合材組成物を備えるアスファルト舗装材である、請求項1又は2に記載のアスファルト含有材料。
【請求項4】
前記アスファルト含有材料が前記アスファルト結合材組成物でコーティング又は飽和されているルーフィング基材を備えるルーフィング材である、請求項3に記載のアスファルト含有材料。
【請求項5】
経年劣化防止剤をアスファルト結合材に添加することによってアスファルト結合材組成物を形成する段階、ここで前記アスファルト結合材は、バージンアスファルト結合材、エアブローンバージンアスファルト結合材、アスファルト舗装材を含む再生アスファルト結合材材料(RAP)、又はアスファルトシングルを含む再生アスファルト結合材材料(RAS)のうちの少なくとも1つを有し;前記経年劣化防止剤は、(i)1又は複数のカルボニル基を含有する化合物を含む第1の材料、及び(ii)前記第1の材料の前記1又は複数のカルボニル基と反応してヒドロキシル基を反応生成物に添加する第2の材料を含む成分の反応生成物であり、ここで前記経年劣化防止剤は約25mg KOH/g超のヒドロキシル価を含む、
を備える、アスファルト含有材料の経年劣化作用を遅らせるための方法。
【請求項6】
防湿バリア、防水フィルム、下ぶき、アスファルト系接着剤又はシーラント、ルーフィング材、又は前記アスファルト結合材組成物を含有するアスファルト舗装材を生成する段階をさらに備える、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ルーフィング材を生成するために前記アスファルト結合材組成物でルーフィング基材をコーティング又は飽和させる段階をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ルーフィング基材が繊維マットを備える、請求項4に記載のアスファルト含有材料又は請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ルーフィング材の少なくとも1つの表面に適用されるルーフィング用骨材をさらに備える、請求項8に記載のアスファルト含有材料又は方法。
【請求項10】
前記第1の材料の前記1又は複数のカルボニル基が、1又は複数のカルボン酸基、無水物、エステル基、アミド基、又はイミド基を備える、請求項9に記載のアスファルト含有材料又は方法。
【請求項11】
前記第1の材料が、1又は複数の植物系材料、ロジン酸、又は脂肪酸を備える、請求項1から10のいずれか一項に記載のアスファルト含有材料又は方法。
【請求項12】
前記第1の材料が、ひまし油、カシューナッツ殻油、綿実油、トウモロコシ油、落花生油、ナタネ油、米ぬか油、ベニバナ油、サルサパリラ根油、大豆油、ヒマワリ油、トール油、植物油、及び小麦胚芽油のうちの1又は複数を備える、請求項1から11のいずれか一項に記載のアスファルト含有材料又は方法。
【請求項13】
前記第1の材料が、C
1~C
36カルボン酸、ジカルボン酸、無水物、ケト酸、カルボン酸基及び無水物基の両方を含有する化合物、又はトリカルボン酸のうちの少なくとも1つを備える、請求項1から12のいずれか一項に記載のアスファルト含有材料又は方法。
【請求項14】
前記第1の材料が、トール油、未精製のトール油、又はトール油ピッチのうちの少なくとも1つを備える、請求項1から13のいずれか一項に記載のアスファルト含有材料又は方法。
【請求項15】
前記第1の材料が、石炭系材料又は石油系材料を備える、請求項1から14のいずれか一項に記載のアスファルト含有材料又は方法。
【請求項16】
前記経年劣化防止剤が、iii)前記反応生成物を形成する際に前記第1の材料又は前記第2の材料のうちの少なくとも1つと反応する不飽和基を有する第3の材料をさらに備える成分の反応生成物である、請求項1から15のいずれか一項に記載のアスファルト含有材料又は方法。
【請求項17】
前記第3の材料が、DCPD、ピペリレン、イソプレン、又は不飽和アルコールのうちの少なくとも1つを備える、請求項16に記載のアスファルト含有材料又は方法。
【請求項18】
前記第2の材料が、ポリオール、アミンアルコール、又はそれらの組み合わせを備える、請求項1から17のいずれか一項に記載のアスファルト含有材料又は方法。
【請求項19】
前記第2の材料が、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジメチロールプロピオン酸、グリセリン、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、スクロース、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、メタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、エタノールアミン、アミノメチルプロパノール、ポリスルフィドポリオール、又はプロパノールアミンのうちの1又は複数を備える、請求項1から18のいずれか一項に記載のアスファルト含有材料又は方法。
【請求項20】
前記第2の材料が、ポリアルキレンエーテルポリオール、又はポリアルキレンポリオールのうちの少なくとも1つを備える、請求項1から19のいずれか一項に記載のアスファルト含有材料又は方法。
【請求項21】
前記第2の材料が、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、又はポリプロピレングリコールを備える、請求項20に記載のアスファルト含有材料又は方法。
【請求項22】
前記第2の材料がポリブタジエンジオールを備える、請求項20に記載のアスファルト含有材料又は方法。
【請求項23】
前記経年劣化防止剤が約35mg KOH/g超のヒドロキシル価を有する、請求項1から22のいずれか一項に記載のアスファルト含有材料又は方法。
【請求項24】
前記経年劣化防止剤が約50mg KOH/g超のヒドロキシル価を有する、請求項1から23のいずれか一項に記載のアスファルト含有材料又は方法。
【請求項25】
前記経年劣化防止剤が約100未満の酸価を有する、請求項1から24のいずれか一項に記載のアスファルト含有材料又は方法。
【請求項26】
前記経年劣化防止剤と混合した前記アスファルト結合材が、100°Cで40時間のPAV経年劣化後、-5.0°C超又はそれと等しいΔTcを提供する、請求項1から25のいずれか一項に記載のアスファルト含有材料又は方法。
【請求項27】
前記経年劣化防止剤と混合された前記アスファルト結合材が、100°Cで40時間のPAV経年劣化後、-3.0°C超又はそれと等しいΔTcを提供する、請求項1から26のいずれか一項に記載のアスファルト含有材料又は方法。
【請求項28】
前記経年劣化防止剤が、100°Cで40時間のPAV経年劣化後、前記経年劣化防止剤を伴わない同様に経年劣化した結合材と比較して、より正のΔTc値を提供する有効量で存在する、請求項1から27のいずれか一項に記載のアスファルト含有材料又は方法。
【請求項29】
前記アスファルト結合材組成物が、前記アスファルト結合材に対して前記経年劣化防止剤の約0.5重量パーセント(wt%)~約15wt%を備える、請求項1から28のいずれか一項に記載のアスファルト含有材料又は方法。
【請求項30】
前記アスファルト結合材が、再生アスファルト舗装材を有する前記再生アスファルト結合材材料を備える、請求項1から29のいずれか一項に記載のアスファルト含有材料又は方法。
【請求項31】
前記経年劣化防止剤が、約200°C未満の温度で、カルボン酸を含む前記第1の材料を、1又は複数のポリオール又はアミンアルコールを含む前記第2の材料と反応させて前記第1の材料のヒドロキシル価を増大させることから導出される成分を含む、請求項1から30のいずれか一項に記載のアスファルト含有材料又は方法。
【請求項32】
前記経年劣化防止剤が、約200°C超の温度で、エステル基を含む前記第1の材料を、1又は複数のポリオール又はアミンアルコールを含む前記第2の材料と反応させて前記第1の材料のヒドロキシル価を増大させることから導出される成分を含む、請求項1から31のいずれか一項に記載のアスファルト含有材料又は方法。
【請求項33】
前記アスファルト結合材がRASを備える、請求項1から32のいずれか一項に記載のアスファルト含有材料又は方法。
【請求項34】
防湿バリア、防水フィルム、下ぶき、アスファルト系接着剤又はシーラント、ルーフィング材、又はアスファルト舗装材を生成する際に使用するためのアスファルト結合材組成物であって:
バージンアスファルト結合材、エアブローンバージンアスファルト結合材、アスファルト舗装材を含む再生アスファルト結合材材料(RAP)、又はアスファルトシングルを含む再生アスファルト結合材材料(RAS)のうちの少なくとも1つを有するアスファルト結合材;及び
アスファルト添加剤を、1又は複数のポリオール又はアミンアルコールと反応させて前記アスファルト添加剤のヒドロキシル価を増大させることから取得される経年劣化防止剤、ここで前記経年劣化防止剤は、非改質アスファルト添加剤を含む同様に経年劣化した結合材と比較して、100°Cで40時間PAV経年劣化させた後、改質経年劣化防止剤を含有する経年劣化アスファルトにおいて、より小さい負のΔTcを提供する、
を備える、アスファルト結合材組成物。
【請求項35】
前記経年劣化防止剤は、約25mg KOH/gを超えるヒドロキシル価を有し、前記アスファルト添加剤は、1又は複数のポリオール又はアミンアルコールと反応する前に、約25mg KOH/g未満のヒドロキシル価を有する、請求項34に記載のアスファルト結合材組成物。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
アスファルト材料(例えば、アスファルト舗装材及びアスファルトシングル)は、世界で最もリサイクルされている材料の一部であり、舗装された表面及び橋の橋台の肩部において、未舗装の道路での砂利の代替として、また新たなリサイクルされた舗装混合物におけるバージンアスファルト結合材の置き換えとして、リサイクルされるときに使用されているのを見出す。アスファルトをリサイクルすることは、ある難題を提起する。その理由は、特に応力があるか又は低い温度のときに、アスファルトが時間と共に劣化し、柔軟性を失い、酸化してもろくなり、亀裂ができる傾向があるからである。これらの作用は、主に、アスファルト結合材、例えばビチューメン含有結合材の有機成分の経年劣化に起因したものであり、特に天候に露出されて起こる。経年劣化したアスファルト結合材はまた、強粘性である。結果として、再生アスファルト材料は多くの場合、バージンアスファルト結合材と異なる特性を有し、加工するのが困難である。舗装及びルーフィングの適用に際し、道又は屋根のいずれかを作るために使用される材料の組成は、多大な程度、得られる舗装材及びルーフィング材のパフォーマンス(例えば、経年劣化、亀裂、気泡、耐湿性、耐摩耗性、耐藻性、柔軟性/適応性、及び粘着性)を決める。
【発明の概要】
【0002】
元来使用されていたバージンアスファルト結合材の元来の特性の一部又はすべてを保護する又は若返らせるバージン又は経年劣化したアスファルト材料の経年劣化作用を遅延、低減する、又はさもなければそれを克服することのできる組成物及び方法が開示されている。いくつかの実施形態において、開示されている組成物及び方法は、バージンアスファルト及びアスファルト舗装材(RAP)、アスファルトシングル(RAS)、又はその両方を含む再生アスファルト結合材材料を含有するアスファルト結合材混合物に存在している総アスファルト結合材の経年劣化速度及びパフォーマンス特性を変更することができる。
【0003】
開示されているアスファルト結合材組成物又は混合物は、防湿バリア及び防水フィルム、下ぶき、アスファルト系接着剤及びシーラント、ルーフィング材(ルーフィングシングル、ロール状ルーフィング材及びビルトアップルーフィングなど),アスファルト舗装材、アスファルト舗装回復又は保護材料などの生成の際を含むがそれらに限定されないいくつかの適用において使用されることがある。通常、ルーフィング材は、ガラス繊維マット、基材を飽和させて上部及び底部をコーティングするアスファルト系コーティング、及び上部のコーティングに埋め込まれる顆粒の層などの基材を含む。アスファルトのコーティングはまた、砕いた石灰石などのフィラーを含有することができる。
ルーフィングシングルはまた、束になったときにシングルが互いに固着するのを防ぐために、ケイ砂などのバックダスト材料を含有する裏面のコーティングを有することがある。通常、舗装材料は、アスファルト結合材、骨材粒子、及び他の任意選択の添加剤の混合物を含む。
【0004】
開示されている組成物及び方法は、高レベルの遊離ヒドロキシル基を含有するべく変更される改質アスファルト経年劣化防止剤を使用する。このような改質経年劣化防止剤は、バージン、再生、及び特に酸化したアスファルト結合材材料内での加工及びパフォーマンス特性を改善できる。さらに、このような経年劣化防止剤を統合することは、バージンアスファルト結合材の経年劣化の有害な作用を遅らせるか、より多い量の再生アスファルト材料の使用を可能にするか、又はその両方であり得る。
【0005】
いくつかの実施形態において、本開示は、防湿バリア又は防水フィルム、下ぶき、アスファルト系接着剤又はシーラント、ルーフィング材、アスファルト舗装材、又はアスファルト舗装回復又は保護材料を生成する際に使用するためのアスファルト結合材組成物を記載する。アスファルト結合材組成物は、バージンアスファルト結合材、エアブローンバージンアスファルト結合材、アスファルト舗装材を含む再生アスファルト結合材材料(RAP)、又はアスファルトシングルを含む再生アスファルト結合材材料(RAS)のうちの少なくとも1つを含有するアスファルト結合材を有し得る。組成物はまた、(i)1又は複数のカルボニル基を含有する化合物を含む第1の材料、及び(ii)第1の材料の1又は複数のカルボニル基と反応してヒドロキシル基を反応生成物に添加する第2の材料を含む成分の反応生成物である経年劣化防止剤を有し、ここで経年劣化防止剤は約25mg KOH/g超のヒドロキシル価を含む。
【0006】
別の実施形態において、本開示は、バージンアスファルト結合材、エアブローンバージンアスファルト結合材、RAPを含む再生アスファルト結合材材料、又はRASを含む再生アスファルト結合材材料のうちの少なくとも1つを含有するアスファルト結合材を含むアスファルト結合材組成物を備えるアスファルト含有材料を記載する。
アスファルト結合材組成物はまた、(i)1又は複数のカルボニル基を含有する化合物を含む第1の材料、及び(ii)第1の材料の1又は複数のカルボニル基と反応してヒドロキシル基を反応生成物に添加する第2の材料を含む成分の反応生成物である経年劣化防止剤を有し、ここで経年劣化防止剤は約25mg KOH/g超のヒドロキシル価を含む。アスファルト含有材料の例は、防湿バリア又は防水フィルム、下ぶき、アスファルト系接着剤又はシーラント、ルーフィング材、アスファルト舗装材、又はアスファルト舗装回復又は保護材料を含み得るがそれらに限定されない。
【0007】
別の実施形態において、本開示は、経年劣化防止剤をアスファルト結合材に添加することによってアスファルト結合材組成物を形成する段階を備える、アスファルト含有材料の経年劣化作用を遅らせるための方法を記載しており、ここでアスファルト結合材は、バージンアスファルト結合材、エアブローンバージンアスファルト結合材、RAPを備える再生アスファルト結合材材料、又はRASを備える再生アスファルト結合材材料のうちの少なくとも1つを含み、経年劣化防止剤は、(i)1又は複数のカルボニル基を含有する化合物を含む第1の材料、及び(ii)第1の材料の1又は複数のカルボニル基と反応してヒドロキシル基を反応生成物に添加する第2の材料を含む成分の反応生成物であり、ここで経年劣化防止剤は約25mg KOH/g超のヒドロキシル価を含む。
【0008】
別の実施形態において、本開示は、防湿バリア又は防水フィルム、下ぶき、アスファルト系接着剤又はシーラント、ルーフィング材、又はアスファルト舗装材などのアスファルト含有材料を製造する方法を記載する。方法は、コーティング組成物を形成するため、アスファルト結合材組成物に、本明細書において記載されている経年劣化防止剤を添加することを含み、コーティング組成物は、バージンアスファルト結合材、酸化(例えば、エアブローン)アスファルト結合材、経年劣化したアスファルト結合材、例えばRAP又はRAS、又はそれらの組み合わせを含む。
【0009】
別の実施形態において、本開示は、コーティングされたルーフィング基材を含むルーフィング材を記載しており、コーティング又は飽和が、アスファルト結合材を含有するアスファルト結合材組成物、及び(i)1又は複数のカルボニル基を含有する化合物を含む第1の材料、及び(ii)第1の材料の1又は複数のカルボニル基と反応してヒドロキシル基を反応生成物に添加する第2の材料を含む成分の反応生成物である経年劣化防止剤を備え、ここで経年劣化防止剤は約25mg KOH/g超のヒドロキシル価を含む。
【0010】
開示されている経年劣化防止剤は、経年劣化速度を遅延又は低下させる、又はルーフィング材で使用されるバージン酸化又はエアブローンアスファルト又はバージンアスファルト結合材の元来の特性の一部又はすべてを設けるべく経年劣化したアスファルト結合材を復元又は復活させるのに有用である。
【0011】
いくつかの実施形態において、本開示は、防湿バリア、防水フィルム、下ぶき、アスファルト系接着剤又はシーラント、ルーフィング材、アスファルト舗装材、又はアスファルト舗装回復又は保護材料を生成する際に使用するためのアスファルト結合材組成物を記載する。アスファルト結合材組成物は、バージンアスファルト結合材、エアブローンバージンアスファルト結合材、又は再生アスファルト結合材材料のうちの少なくとも1つを含み、アスファルト添加剤を、1又は複数のポリオール又はアミンアルコールと反応させて添加剤のヒドロキシル価を増大させることから導出される経年劣化防止剤をさらに含み、経年劣化防止剤は、非改質アスファルト添加剤を含む同様に経年劣化したアスファルト結合材と比較して、摂氏100度で40時間PAV経年劣化させた後、改質経年劣化防止剤を含有する経年劣化したアスファルトにおいてより小さい負のΔTcを提供するアスファルト結合材を備える。いくつかのこのような例では、経年劣化防止剤は約25mg KOH/gを超える、35mg KOH/gを超える、40mg KOH/gを超える、又は50mg KOH/gを超えるヒドロキシル価を有し得る。
【0012】
本開示の上掲の概要は、本発明の各実施形態又はすべての実装を記載することを意図したものではない。後続の記載が、より具体的に、説明的な実施形態を例証する。本願全体のいくつかの場所で、例の列挙を通じて誘導が得られ、その例は様々な組み合わせで使用できる。それぞれの例で、記された列挙は代表的な群として機能するだけであり、排他的な列挙として解釈されるべきではない。
略語、頭字語、及び定義
【0013】
「経年劣化」は、再生アスファルトに存在するか、又はそれから回復するアスファルト結合材を示す。経年劣化したアスファルト結合材は、経年劣化及び外部の天候に露出した結果として同じグレードであるバージンアスファルト又はバージンアスファルト結合材と比較して高い粘度を有する。「経年劣化」という用語はまた、エアブローンプロセスを介して、又は本明細書に記載の実験室経年劣化テスト法を使用して(例えば、さらに下記で説明するRTFO及びPAV)人工的に経年劣化させたアスファルト結合材もまた含み得る。経年劣化したアスファルト結合材は、もろいものであり得、バージンアスファルト結合材と比べて高いスティフネス又は高い軟化点を有し得る。
【0014】
「骨材」は、石灰石、花崗岩、トラップロック、砂利、圧砕石砂、圧砕石、圧砕石岩、ルーフィング顆粒、及び、アスファルト結合材に添加され、ルーフィング材の作成などの特定の適用、又は舗装材の適用において有用な鉱物などの粒子性の鉱物材料を示す。
【0015】
「経年劣化防止剤」はアスファルト系材料又はアスファルト結合材の経年劣化の速さを遅延させるか、又はバージンアスファルト又はバージンアスファルト結合材の元来の特性の一部又はすべてをもたらすため経年劣化したアスファルト系材料又は経年劣化したアスファルト結合材を復元するか復活させるため、経年劣化したアスファルト結合材又はバージンアスファルト結合材に結合し得る材料を示す。いくつかの実施形態において、開示されている経年劣化防止剤は、新規化合物又は、本明細書に開示されている基準を満たす反応(例えば、ヒドロキシル価の増大)を経る業界の者に公知の材料を含み得る。経年劣化防止剤のような材料の有効性は、経年劣化防止剤のない同様の経年劣化したアスファルト結合材と比較されるか、出発材料がそのヒドロキシル価を増大させるべく開示されている改質を経る例において、摂氏100度でPAV経年劣化の40時間後に経年劣化防止剤を含有するアスファルト結合材混合物のΔTcの値を、非改質の材料と比較することにより、調べることができる。
【0016】
「アスファルト舗装材」又は「アスファルト舗装混合物」は、アスファルト結合材及び骨材、及び任意選択で、骨材及びアスファルト結合材を混合するのに適した他の構成要素を示す。
【0017】
「アスファルト結合材」は強力な粘性の液体又は半固体の形態の石油を示す。管轄に応じて、結合材という用語は「アスファルト」及び「アスファルト結合材」又は「ビチューメン」と示すことができる。「ビチューメン」は、黒又は暗黒の色合いの(固体、半固体、又は粘性の)セメント質物質のクラスを示し、天然又は製造された高分子量の炭化水素から主に構成され、アスファルト、タール、ピッチ、及びアスファルテンが典型的であるものである。「アスファルト結合材」という用語は、本開示の中で、「結合材」、「アスファルト」、及び「ビチューメン」という用語と互換的に使用され得る。
【0018】
「Mクリティカル」又は「クリープクリティカル」のグレードは、アスファルト結合材の低温の弛緩グレードを示す。クリープクリティカル温度は、ASTM D6648に係るクリープ時間に対する弯曲のクリープスティフネスのスロープが、0.300の絶対的な値を有する温度である。代替的に、スティフネス及びクリープクリティカル温度は、4mmの動的せん断レオメーター(Dynamic Shear Rheometer(DSR))テスト又はベンディングビームレオメーター(Bending Beam Rheometer(BBR))テストから判定され得る。
【0019】
「改質経年劣化防止剤」は、材料のヒドロキシル価を増大させる(例えば、約25mgのKOH/g超へのヒドロキシル価の増大)、開示されているプロセスを経る材料について言及するために使用される。いくつかの実施形態において、改質経年劣化防止剤は、ヒドロキシル価及び経年劣化防止特性を設ける又は増大させる開示されているプロセスを経るアスファルト結合材混合物で先行して使用されていない新規化合物を含み得る。他の実施形態において、改質経年劣化防止剤は、ヒドロキシル価を設ける又は増大させ、経年劣化防止特性を生成又は増大させる、開示されているプロセスを経た、従来の又は市販されている経年劣化防止剤又はアスファルト添加剤の改質されたバージョンを含み得る。したがって、「改質経年劣化防止剤」について言及することは、薬剤がアスファルト結合材の経年劣化速度を低減するよう材料のヒドロキシル価を増大すべく開示されている改質を経る前に、出発材料が認識されている又は市販されている経年劣化防止剤又はアスファルト添加剤でなければならないことを意味しない。
【0020】
「ニート」又は「バージン」結合材は、アスファルト材料(例えば、アスファルト舗装材又はアスファルトシングル)にある又はそれからリサイクルされるまだ使用されていないアスファルト結合材であり、パフォーマンスグレードのアスファルト結合材を含むことができる。
【0021】
「部分的エステル」は、エステル結合を含有し、また未反応なカルボキシル基及び未反応のヒドロキシル基のいずれか又は両方を含有する材料を示す。
【0022】
「部分的エステル化」は、1又は複数の部分的エステルを生成するエステル形成反応を示す。
【0023】
「PAV」は加圧経年劣化試験(Pressurized Aging Vessel)を示す。ASTM D6521-19a、Standard Practice for Accelerated Aging of Asphalt Binder Using a Pressurized Aging Vessel(PAV)に記載されているようなアスファルト結合材の経年劣化の加速をシミュレーションするために、PAVが使用される。
【0024】
「再生アスファルト」及び「リサイクルされたアスファルト」は、RAP、RAS、及び古い舗装材、シングル製造スクラップ、ルーフィングフェルト、及びリサイクルされるアスファルト結合材を含有する他の生成物又は適用に由来する再生アスファルト結合材を示す。
【0025】
「再生アスファルト舗装材」及び「RAP」は先行して使用されていたアスファルト舗装/道路又は他の類似した構造から除去され又は掘り出され、ミリング、引き裂き、破壊、圧砕、又は粉砕を含む様々な周知の方法のいずれかで再利用すべく加工されたアスファルトを示す。
【0026】
「再生アスファルトシングル」及び「RAS」は、屋根から剥がした物、製造業者の廃棄アスファルトシングル、及び消費者廃棄物を含む源からのシングルを示す。
【0027】
「ルーフィングアスファルト結合材」又は「コーティングアスファルト結合材」は、ASTM D 3462によって定義されているようなルーフィング材を作るのに適したアスファルト結合材を示す。88°C(190°F)~113°C(235°F)の最低軟化点、及び25°C(77°F)での15dmmの最低限の浸透力である。
【0028】
「ルーフィングフィラー」又は「フィラー」は、ルーフィングアスファルト結合材の製造で使用される鉱物などの材料を示す。フィラー材料は、通常、100~400メッシュの粒子径を有し、総計のルーフィングアスファルト結合材組成物は1~80重量パーセントの範囲である。
【0029】
「ルーフィング顆粒」又は「顆粒」は、ルーフィングシングルの上部に適用される鉱物などの材料を示す。顆粒は通常8~40メッシュの粒子径を有する。
【0030】
「ルーフィング材」は、アスファルト結合材を含有する材料を示し、ルーフィングシングル、ロール状ルーフィング材、ビルトアップルーフィング、消費者廃棄物(例えば、剥がしたシングル)又は製造業者廃棄シングル、シングル製造スクラップ、ルーフィングフェルトなどが含まれる。
【0031】
「RTFO」はローリング薄膜オーブン(Rolling Thin Film Oven)を示す。RFTOは、ASTM D2872-19、Standard Test Method for Effect of Heat and Air on a Moving Film of Asphalt(Rolling Thin-Film Oven Test)に記載されているアスファルト結合材の短期の経年劣化をシミュレーションするため使用される。
【0032】
「S-クリティカル」又は「スティフネスクリティカル」グレードは、アスファルト結合材の低い温度のスティフネスグレードを示す。スティフネスクリティカル温度は、ASTM D6648-08(2016)に従ってテストされるアスファルト結合材が300MPaの弯曲のクリープスティフネス値を有するか、BBRテスト又はΔTcのいずれかに記載の4mm DSRテストにより判定されるような温度である。
【0033】
「SHRP」は新道路研究計画(Strategic Highway Research Program)及びそのパフォーマンスグレード(PG)の仕様を示す。
【0034】
「軟化剤」は、再生アスファルト結合材を混合すること、及びそれをアスファルト系材料の生成プロセスの間バージンアスファルト結合材に取り込むのを容易に(又は促進)する低粘度添加剤を示す。
【0035】
「ΔTc」は低い温度クリープ又はm値クリティカル温度が、低温のスティフネスクリティカル温度から減算されたとき取得される値を示す。ΔTcパラメータを判定するために4mm DSRテスト手順及びデータ分析の方法論が使用され得る。例示的なDSRテスト手順及び方法論はまた、公開国際出願WO2017/027096A2、WO2017/213692A1、及びWO 2017/213693A9に開示されており、その各々の開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。4mm DSRテスト及び分析手順はまた、Sui, C., Farrar, M., Tuminello, W.、Turner, T.によるA New Technique for Measuring low-temperature Properties of Asphalt Binders with Small Amounts of Material, Transportation Research Record: No 1681, TRB 2010に記載されている。Sui, C., Farrar, M. J., Harnsberger, P. M., Tuminello, W.H., Turner, T. F., New Low Temperature Performance Grading Method Using 4 mm Parallel Plates on a Dynamic Shear Rheometer、TRB Preprint CD, 2011, and Farrar, M., et al,(2012), Thin Film Oxidative Aging and Low Temperature Performance Grading Using Small Plate Dynamic Shear Rheometry: An Alternative to Standard RTFO, PAV and BBR、Eurasphalt & Eurobitume 5th E&E Congress-2012 Istanbul(pp. Paper O5ee-467)、Istanbul: Foundation Eurasphaltもまた参照されたい。ΔTcパラメータはまたAASHTO T313(第2版、2019)又はASTM D6648-08(2016)に基づくBBRテスト手順を使用して判定できる。BBRテスト手順が使用されるとき、テストは相当する数字の温度で実行すべきで、300MPaのスティフネス不良基準及び0.300のクリープ又はm値不良基準の結果が、不良基準を下回る1つの結果及び不良基準を上回る1つの結果で取得されるようにする。いくつかの例において、-5°Cより低いΔTc値のアスファルト結合材に対して、これは3又はそれより高いテスト温度でBBRテストを実行することを必要とすることがある。先に言及したBBR基準の要求が適合されていないときのデータから計算したΔTc値は、正確でなくともよい。
【0036】
すべての重量、部分、及び割合は、特に指定しない限り、重量基準である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
一態様において、本開示は、アスファルト結合材、及び(i)1又は複数のカルボニル基を含有する化合物を含む第1の材料、及び(ii)第1の材料の1又は複数のカルボニル基と反応してヒドロキシル基を反応生成物に添加する第2の材料を含む成分の反応生成物である経年劣化防止剤を備えるアスファルト結合材混合物を提供し、ここで経年劣化防止剤は約25mg KOH/g超のヒドロキシル価を有する。アスファルト結合材は、バージンアスファルト結合材、酸化又は経年劣化(例えばエアブローン)アスファルト結合材、RAP又はRASなどの再生アスファルト結合材材料、又はそれらの組み合わせを含み得る。開示されている経年劣化防止剤は、アスファルトルーフィング結合材の経年劣化の速度を低下させることが示されている。出願人は、先行して、このような改質経年劣化防止剤が、バージンアスファルト結合材の元来の特性の一部又はすべてを保護又は保持するために、アスファルト舗装の経年劣化の作用の一部を遅らせ、低減し、又はさもなければそれを克服することができることを示しており、公開国際出願WO2021/011677A2を参照されたい。その開示は全体が参照により本明細書に組み込まれる。増大したヒドロキシル価を有する開示されている経年劣化防止剤が、得られるアスファルト結合材混合物の経年劣化特性を改善するために、リサイクルRAP、リサイクルRAS又は両者の組み合わせなどの再生又はリサイクル材料を含有するアスファルト結合材と共に使用された。
【0038】
アスファルト系材料が経年劣化すると、材料内のアスファルト結合材が酸化し、それはアスファルト材料の特性に悪影響を与える。例えば、経年劣化したアスファルト結合材は多くの場合、特に低い温度でよりもろくなり、アスファルト材料に亀裂を生じさせるか、意図したように機能しなくさせる。異なるアスファルト結合材がいかに効果的に経年劣化に反応するか、又は異なる構成要素がいかに効果的に経年劣化に対するアスファルト結合材の反応に影響を与えるかを測定するために、異なるパラメータが使用される。アスファルト結合材の経年劣化特性を評価するための1つの特に有用なパラメータは、混合物のデルタTc(ΔTc)を知ることである。ΔTcは、材料のmクリティカル温度を測定し、それをSクリティカル温度から減算することによって計算できる(例えばΔTc=Tc,S(60s)-Tc,m(60s))。従来の文献を検討する者に対する一般的な注意及び歴史的な注意事項として、ΔTcを調べている先行文献の一部は、減算の順序を替えており、これにより計算されたΔTcの符号が変わっている場合がある。例えば、Anderson, R. M, King, G.N., Hanson, D.I., Blankenship,P.Bの「Evaluation of the Relationship between Asphalt Binder Properties and Non-Load Related Cracking」,Association of Asphalt Paving Technologists, Volume 80, pp 615-663(2011)のもとの報告は、フィールドコアからの回復された結合材のデータに基づいて、ΔTcを使用して、アスファルト舗装が非荷重関連の混合物亀裂の危険性がある点に到達したとき、また潜在的な破壊限界に到達したときを特定できることを示した。しかし、その調査で、著者らは、Sクリティカル温度をクリープ又はmクリティカル温度から減算し、したがって、不良なパフォーマンス特性を有する結合材では、正であるΔTc値が算出された。
【0039】
おおよそ2011年から、業界の研究者は、減算の順序を逆にすることで一致し、したがって、mクリティカル温度が、スティフネスクリティカル温度から減算されたとき、不良なパフォーマンス特性を呈する結合材では、負であるΔTc値が算出される。業界は概して、不良なパフォーマンスの結合材が、パフォーマンスの低下に伴ってより負になることは、より直観的であるようだということに一致している。したがって、今日業界では、また本願で使用されているものとして、ΔTcの警戒限界値が-3°Cで、潜在的な破壊の値が-5°Cである。
【0040】
ΔTcパラメータはまた、経年劣化が、アスファルト結合材の弛緩特性などのアスファルト結合材の特性に及ぼす影響を評価するのに使用できる(例えば、「低い温度のクリープグレード」と称される特性)。40時間のPAV経年劣化にさらされた現場のテストプロジェクトでは、ΔTc値は、非荷重関連のブロック亀裂、特にビチューメン混合物表面での結合材弛緩の損失から生じると概して考えられているトップダウン疲労亀裂に関連するアスファルト材料(例えば、アスファルト舗装材)の損傷との相関関係を示した。mクリティカル温度における変化はまた、酸化アスファルト結合材の脆化のレベルが増大する速度又は程度を定量化するのに使用することができる。同様に、酸化アスファルト結合材のSクリティカル温度を判定することは、酸化したアスファルト結合材混合物の低温でのスティフネス特性の変化を特定する手段として使用できる。
【0041】
したがって、経年劣化に伴い過度に負のΔTc値が生じることに対して影響を受けにくいアスファルト結合材混合物を取得することが望ましい。アスファルト結合材混合物の長期的なパフォーマンスにアスファルト結合材の経年劣化が与える影響を低減するか遅延させるために、多くの材料が調査され、様々な程度の成功を収めてきた。1つのクラスの材料は、経年劣化防止剤又は再生添加剤と称されている。それらの材料は多くの場合、RAP及びRASなどのリサイクルされた原材料に生じた経年劣化を逆転させる、又はバージン結合材の経年劣化作用を遅らせるという目標を掲げて市場に出されている。いくつかの実施形態において、経年劣化防止剤は、経年劣化したアスファルト結合材のレオロジー特性を復元するのに役立ち得て、それにより、より多くの割合のアスファルト結合材混合物がRAP又はRAS材料で形成されるのを可能にし得る。
【0042】
探究された経年劣化防止剤の一群は、ステロールを含む。ステロールは、ステロイドアルコールとしても知られており、多くの場合、植物、動物、菌類、又は細菌などの天然供給源に由来する有機分子の群である。ステロールは、経年劣化結合材のΔTcの増大を促進し、それにより結合材が材料のより長い寿命にわたりそのパフォーマンス特性を保持するのを可能にすることが判明している。ステロールは、アスファルト経年劣化防止剤として有望性を示してきたが、そのような材料を生成するのに関連するコストが比較的高い場合がある。
【0043】
アスファルト経年劣化防止剤の別の群は、例えば、ひまし、カシューナッツの殻、ナタネ、大豆、ヒマワリ、トール、野菜及び他の植物系油を含むバイオ系供給源から取得されるものを含む。これらの材料の幾分かは、ステロールに比較して相対的に安価で、取得するのが容易であり得るが、それらの材料の多くは、不良な経年劣化防止剤であり、他の欠点を抱えていることが判明している。例えば、植物油は、結合材を軟化するのに役立つが、若返ったアスファルトから浸出する傾向があり、結合材が経年劣化した状態に戻り、経時的に、アスファルト舗装にわだち掘れが発生し得ることをが判明している。
【0044】
「REJUVENATION OF RECLAIMED ASPHALT」と題する、公開国際出願WO2013/163463A1(Grady et alからArizona Chemical、又は「Grady」に対する)は、アスファルト舗装材の生成でトール油に由来するものなどのエステル官能性経年劣化防止剤を使用することを記載している。Gradyは、エステル官能基を経年劣化防止剤に組み込むことにより、結合材のガラス転移の開始温度が低下し、それにより、アスファルトの低温耐性および耐疲労亀裂性が、アスファルト舗装材のその他の特性とともに改善され得ると述べた。しかし、本発明者らは、Gradyにより開示された高エステル官能のトール油誘導体は、アスファルト結合材に不良な効果を及ぼし、高エステル官能誘導体が作製された非改質トール油材料よりも劣るパフォーマンス特性を経時的に呈する傾向があることを見出していた。本発明者らは、Gradyにより開示された誘導体の低いパフォーマンス特性は、Gradyにより開示された反応パラメータの下で生成される材料の低いヒドロキシル価含有量(例えば、低いヒドロキシル価)に起因すると考えている。
【0045】
現在開示されている経年劣化防止剤(例えば、増大したヒドロキシル価を有するもの)は、トール油などのカルボニル含有化合物、他の植物系材料(例えば、植物由来の原材料又は抽出物)、又はカルボニル基と反応して反応生成物にヒドロキシル基を付加し、約25mg KOH/g超のヒドロキシル価をもたらすことができる第2の材料との反応を経る他のアスファルト添加剤を含む出発材料から導出させることができる。理論に拘束されることなく、例えばトール油材料における遊離ヒドロキシル基の数を増大させることによりそのような薬剤において遊離ヒドロキシル基の数を増大させることは、そのような材料の極性を増大させてそれらの適合性を高め、これによって経年劣化アスファルト結合材及びその他の材料を軟化して混合するのを促すのに、より適していると考えられる。例えば、アスファルト結合材は、材料の複合混合物であり、経年劣化の機構は完全には理解されていないが、酸化に起因して、結合材材料の脂肪族基又はセグメントの相対的な量の、より極性の高い構造への全般的なシフトがあり、これには例えば、経年劣化した結合材材料内でのエーテル、過酸化物、及びアルコール基の形成が含まれる。このシフトにより、結合材は、経時的により硬化し、より極性を増す。本発明者らは、そのような化合物内の遊離ヒドロキシル基の相対的な数を増大させることによりトール油又は他のカルボニル含有剤などの出発材料の極性を増大させることが、アスファルト結合材の経年劣化防止剤としてのそれらの効力を著しく増大させることができるということを見出してきた。得られる経年劣化防止剤は、経年劣化したアスファルト結合材との相溶性が高まり、経年劣化したアスファルト結合材を溶媒和して軟化させ、材料のmクリティカル及びSクリティカルグレードを低下させるだけでなく、アスファルト結合材混合物のΔTcを増大させるのを促し得ると思われる。改質経年劣化防止剤は、部分的に、経年劣化したアスファルト結合材を軟化することによって、機能的なアスファルト結合材混合物を生成し、ひいては混合物が容易に調製され、舗装され、締め固めるのを可能にするよう促し得る。さらに又は代替的に、改質経年劣化防止剤は、バージンアスファルト結合材の経年劣化作用を遅らせる、又は妨げることを促し、より長い耐用年数にわたり、これらを使用することを可能にし得る。
【0046】
開示されている改質経年劣化防止剤は、アスファルト結合材の経年劣化速度を変更(例えば、低減又は遅延)することができ、又は経年劣化又は再生アスファルト結合材を若返らせる、復元する、又は復活させて、バージンアスファルト結合材の一部又はすべての特性をもたらすことができる。増大したヒドロキシル価を有する開示されている経年劣化防止剤を含有する開示されているアスファルト結合材組成物又は混合物はまた、バージン、再生、及び高度に酸化したアスファルトの加工及びパフォーマンス特性を改善し、それによりアスファルト源又はアスファルト結合材を保護、リサイクル、及び再利用するのに役立ち得る。いくつかの実施形態において、開示されている経年劣化防止剤は、アスファルト結合材混合物のスティフネス、有効な温度の範囲、低温特性などの物理的及びレオロジー的特性を変更又は改善することができる。開示されている経年劣化防止剤を含有するこのようなアスファルト結合材混合物は、防湿バリア及び防水フィルム、下ぶき、アスファルト系接着剤及びシーラント、ルーフィング材(ルーフィングシングル、ロール状ルーフィング材、及びビルトアップルーフィングなど)、アスファルト舗装材、アスファルト舗装回復又は保護材料などを含むが、それらに限定されない様々なアスファルト系材料を生成するのに有用であり得る。
【0047】
開示されている経年劣化防止剤を導出するために使用され得る出発材料は、第2の材料(例えば、ポリオール又はアミンアルコール)と反応して、得られる生成物のヒドロキシル価が約25mg KOH/gを超えるように、反応生成物における遊離ヒドロキシル基の数を増大させることができる、アクセス可能な又は利用可能なカルボニル基を含有する1又は複数の化合物を含む。そのような出発材料は、ポリオールと反応し(例えば、エステル結合を形成する)、又はアミンアルコールのアミン基と反応し(例えば、アミド結合を形成する)、カルボン酸基、エステル基、アミン基、イミド基、又はそれらの組み合わせを含有するものを含むことができる。例示的なカルボニル含有化合物は、グリセリド及びトリグリセリド、例えば、様々な植物油及び天然油、様々なトール油、植物油、ロジン、ピッチ、木材化学材料、エンジン油、再生油、脂肪酸、一酸、二酸、三酸、C1~C36カルボン酸、エステル、ケト酸、オキソカルボン酸、ポリエステル、無水物、無水物及びカルボン酸基の両方を含有する化合物、様々なアミド及びイミド、上記で参照した種類の基を2つ又はそれより多く含有する化合物、それらのブレンドなどを含み得るがそれらに限定されない。さらに又は代替的に、出発材料は異なるカルボニル含有化合物の混合物又はブレンドを含み得、さらに又は代替的に、カルボニル基を含有しないが反応に加わり得る共反応体を含む。下記の例は主に出発材料(例えば、第1の材料)としてトール油に注目しているが、本明細書に開示されている概念は、トール油に限定されない。
【0048】
好ましい出発材料は、1又は複数の反応性カルボニル基(例えば、カルボン酸、エステル、アミド、イミドなど)を伴うもの、及び取得するのに相対的に安価であるものを含む。このような好ましい出発材料は、ひまし、カシューナッツの殻、綿実、トウモロコシ、落花生、ナタネ、米ぬか、ベニバナ、サルサパリラ根、大豆、ヒマワリ、植物、小麦胚芽、その他の植物系油などの植物系材料;再生油;ロジン及びロジン酸;脂肪酸;それらの混合物などを含み得るがそれらに限定されない。さらに又は代替的に、出発材料は、コールタールピッチ、石炭抽出物、石油由来の反応物、それらの誘導体又は混合物などを含むがこれらに限定されない、1又は複数の石炭又は石油系材料を含み得る。開示されている改質の技法はまた、従来の経年劣化防止剤を含む他の市販のアスファルト添加剤に、及びそのような薬剤及び添加剤がポリオールの1又は複数のヒドロキシル基又はアミンアルコールのアミン基と反応して、アスファルト結合材混合物に改善された経年劣化防止特性を付与する、充分にヒドロキシル官能性の改質経年劣化防止剤又は添加剤を設けることができる場合には、市販のアスファルト添加剤に適用することができる。いくつかの実施形態において、出発材料における利用可能なカルボニル基は、酸化プロセス又は他の合成技法を通して増大させることができる。
【0049】
出発材料における遊離ヒドロキシル基の相対的な数は、様々な技法を使用して増大させることができる。いくつかの実施形態において、利用可能なヒドロキシル基を不当に消費又は枯渇させることなくこのようなポリオール又はアミンアルコールの添加を有利にする材料の反応条件及び化学量論比を制御しながら、カルボニル含有出発材料を1又は複数のポリオール又はアミンアルコールと反応させることで、遊離ヒドロキシル基の数を増大させることができる。さらに又は代替的に、出発材料のヒドロキシル価は、アルコール分解―エステル交換反応を通じて、又は異なる反応機構、触媒を使用するか、又は異なる反応物質を使用することによって増大させることができる。各々のそのような例の目標は、反応生成物に未反応の(つまり、遊離)ヒドロキシル基を残しながら、部分的エステル化を達成することである。
【0050】
遊離ヒドロキシル基の利用可能性は、例えばASTM法D1957-86(1995)を使用することによって、得られる化合物のヒドロキシル価の観点から測定することができる。開示されている経年劣化防止剤は、ポリオール又はアミンアルコールとの反応後に、得られるヒドロキシル価が約25mg KOH/gを超え、より好ましくは少なくとも約35mg KOH/g、最も好ましくは少なくとも約50mg KOH/gを有するはずである。比較のため、市販の脂肪酸エステル及びロジン酸エステルは、通常0~5mg KOH/g及び5~12mg/KOH/gの範囲のヒドロキシル価を有する。未精製のトール油は、約1mg KOH/g程度のヒドロキシル価を有する。
【0051】
最終的なヒドロキシル価は、開示の結合材混合物への最終的な必要性に応じて、ΔTcに対する所望の調整を取得するために、一層高い又は低い値に対して必要に応じて調節できる。いくつかの実施形態において、開示されている経年劣化防止剤は、摂氏100度で40時間PAV経年劣化させた後の経年劣化防止剤を含有する経年劣化アスファルトにおいて、未改質剤を含む同様に経年劣化させた結合材と比較して、ΔTcの負がより小さいヒドロキシル価を有する。
【0052】
いくつかの実施形態において、最終的なヒドロキシル価は、出発材料の酸価に依存して、出発材料(例えば、第1の材料)内で利用可能な酸基の数、第2の材料(例えば、選択されたポリオール又はアミンアルコール)内のヒドロキシル基の数、反応物の初期の極性などに基づいて調節され得る。開示されている改質プロセスは、いくつかの実施形態において、出発材料の酸価を低減し得る。例えば、1又は複数のポリオール又はアミンアルコールと脂肪酸材料を反応させることは、脂肪酸のカルボニル基の少なくとも一部をポリオール(例えば、エステル化で)又はアミンアルコール(例えば、アミド形成で)と反応させ、材料の得られる酸価をより低いものにさせることができる。いくつかの実施形態において、開示されている経年劣化防止剤は、約100未満、約70未満、約30未満、又は一層小さい値の酸価を有し得る。いくつかの実施形態において、出発材料の酸価は最初に増大して、開示されているポリオール又はアミンアルコールと結合するために、出発材料内に、より反応性のある酸の基をもたらし得る。出発材料の酸価は、様々な技法を使用して増大させることができる。例えば、出発材料は、例えばDiels-Alder添加又はエステル添加により出発分子のカルボン酸基の数を増大させるべく、酸又は無水物(例えば、アクリル酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、コハク酸、ネオデカン酸、その他の二酸など)を含むか又はそれと反応することができる。利用可能なカルボン酸基の増大は、得られる生成物のヒドロキシル価を増大させるために使用される第2の材料(例えば、ポリオール又はアミンアルコール)間の追加の結合を可能にすることができる。さらに又は代替的に、出発材料の利用可能なカルボン酸基の少なくとも一部は、例えばアスファルト結合材混合物における他の機能を果たすために、得られる改質経年劣化防止剤の内部に残留し得る。例えば、カルボン酸基は、骨材とのアスファルト結合材の混合に役立ち、それと結合することを促すことができる。
【0053】
いくつかの実施形態において、開示されている改質プロセスは、ヒドロキシル価を増大させるために、アルコール分解―エステル交換プロセスを含むことができる。例えば、1又は複数のエステル結合を含む出発材料(例えば、大豆油又は他の植物系油)は、エステル交換触媒を使用してポリオールと反応させることができる。2つを超えるヒドロキシル基を有するポリオールは、エステル結合で有機基を置き換えることができる。ポリオールのヒドロキシル基の1つは、除去された有機基に供与されて、除去されたものの反応生成物に残る可能性のある新たなアルコールを形成する。ポリオール(ヒドロキシル基がない)は、改質した出発材料において脱エステルしたカルボニル基(除去された有機基がない)と新たなエステル結合を形成し、1又は複数の付加的な遊離ヒドロキシル基をもたらす。
【0054】
いくつかの実施形態において、出発材料は未精製又は精製された材料であり得る。例えば出発材料は、低コスト、純粋な又は不純な副生成物、又はより価値の高い生成物の製造からの廃棄物ストリームであり得る。
【0055】
いくつかの実施形態において、開示されている経年劣化防止剤は、改質されたトール油を含み得る。従来のトール油は、製紙の副生成物であり、アビエチン酸及びその異性体などのロジン酸;パルミチン酸、オレイン酸、及びリノール酸を含む様々な脂肪酸、脂肪族アルコール;ステロール;及び他のアルキル炭化水素誘導体を含む、様々なロジン及び脂肪酸材料を含む異なる化合物の複合混合物を含む。トール油の組成は、供給源、改良のレベルなどに応じて、大いに変動する。トール油の質又は精製度を定量化する典型的な技法は、酸価、脂肪酸含有レベル、又はその両者を参照することである。従来式のトール油は、約100~200又は約125~165の範囲の酸価で購入できる。トール油は、例えば未精製のトール油及び蒸留又は改良した未精製のトール油を含む多くの形態で入手可能である。未精製のトール油の蒸留は、様々な単離された形態の脂肪酸をもたらし、これは、トール油ヘッドとして知られる高飽和で揮発性の長鎖脂肪酸、様々な程度の不飽和度を有するC8~C20脂肪酸を含むトール油脂肪酸、及び主にC18~C20の三環式モノカルボン酸を含むトール油ロジン又はピッチを含む。商業的に蒸留されたトール油は、主にトール油の脂肪酸、及び様々な比率のトール油のロジンの混合物を含む。いくつかの実施形態において、開示されている経年劣化防止剤は、未精製のトール油、蒸留されたトール油、トール油ヘッド、トール油ピッチ、又はそれらの混合物から導出され得る。
【0056】
トール油のヒドロキシル価、特にトール油に存在しているこのような脂肪酸、ロジン酸、及び類似した化合物のヒドロキシル価は、比較的低温下でトール油をポリオール又はアミンアルコールと反応させることによって増大させることができる。ヒドロキシル基又はアミン基は、トール油の脂肪酸及びロジン酸の1又は複数のカルボニル基(例えば、カルボン酸基)と反応してエステル又はアミド結合を形成することができる。反応条件、時間、及び化学量論は、反応において使用される個々のカルボニル及びポリオールに独特であり得るが、反応速度は、反応温度と化学量論比の制御を通じて大量の残留ヒドロキシル基の保持を促進しながら、そのようなポリオール又はアミンアルコールの添加を有利にするように制御できる。開示されている反応は、比較的低温でエステル触媒を排除して実行され得て、利用可能なヒドロキシル基がその後の架橋副反応によって消費されないようにし、それにより、得られる化合物に高いヒドロキシル価を確実にもたらすように促す。
【0057】
ポリオール及び脂肪酸を使用する反応のため、反応温度は200°C未満にし得る。200°Cを超える温度は、エステル基の形成を促進でき、得られる化合物のヒドロキシル価を著しく減少させる。
【0058】
アミンアルコール及び脂肪酸を使用する反応のために、反応温度は、アミド反応を有利にするのに充分に高く(例えば、約150℃)てもよいが、概してエステル化を有利にする反応温度(例えば、約180℃を超える)より低い。200°Cを超える温度は、エステル基の形成を促進でき、得られる化合物のヒドロキシル価を著しく減少させる。
【0059】
より大きい分子量の出発材料(例えば、ロジン酸及び高分子量の酸)及びエステル系出発材料(例えば、ポリエステル、植物油、トリグリセリドなど)は、開示されているポリオール又はアミンアルコールと反応するには、上で論じた低分子量脂肪酸と比較して、より高い反応温度、より長い反応時間、又は反応触媒が必要となる可能性がある。
【0060】
第1の材料の1又は複数のカルボニル基と反応して、反応生成物のヒドロキシル基の数を増大させるために使用される第2の材料は、ポリオール、アミンアルコールなどを含むことができる。適しているポリオール及びアミンアルコールは、2つ又はそれより多い遊離ヒドロキシル基を含有するポリオール又は1又は複数のヒドロキシル基を含有するアミンを含むことができるが、それらに限定されず、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジメチロールプロピオン酸、グリセリン、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、スクロース、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、メタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、エタノールアミン、アミノメチルプロパノール、ポリスルフィドポリオール、プロパノールアミン、それらの混合物などを含む。いくつかの実施形態において、ヒドロキシル基の源は、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリプロピレングリコール、又は複数の利用可能なヒドロキシル基を有する類似のエーテルポリオールなどのポリアルキレンエーテルポリオールを含み得る。さらに又は代替的に、ヒドロキシル基の源は、ポリブタジエンジオールなどのポリアルキレンポリオールを含むことができる。いくつかの実施形態において、ヒドロキシル基の源は、未精製又は精製された材料を含み得る。例えば、ヒドロキシル基の源は、より価値の高い生成物の製造から生じる低コスト、純粋であるか又は純粋ではない副生成物又は廃棄物ストリーム(例えば、穀物からエタノールを製造する際に取得されるグリセリン)であってもよい。
【0061】
例示的なポリアルキレングリコールは、出発材料において混和性、可溶性又は分散性であり、低から高の分子量、例えば約190~約8000g/mol、好ましくは約190g/molを超える数平均分子量を有するエチルオキシド、プロピルオキシド、又はブチルオキシドの繰り返し単位を含む。このようなポリアルキレングリコールは、例えば、それぞれCARBOWAX(商標)PEG300及びCARBOWAX PEG400としてDow Chemical Coから入手可能な、供給されているPEG300及びPEG400のような液体;ワックス;固体;又はそれらの組み合わせを含み得る。ポリエチレンポリオールは、トール油などの出発材料と反応させるとき、テストした他のポリオールと比較して、より低いヒドロキシル価で同等の若返り特性を呈する改質剤が得られる好ましいポリオールのクラスを表す。理論に拘束されるわけではないが、そのような材料の長鎖ポリエーテル結合は、得られる経年劣化防止剤の極性を増大させるのにまた役立つ可能性があり、それにより、改質経年劣化防止剤が経年劣化アスファルト結合材との適合性が高まり、おそらく経年劣化結合材の酸化分子の凝集を遅らせると考えられる。
【0062】
いくつかの例において、開示されている経年劣化防止剤は、反応成分の一方又は両方(例えば、カルボニル基を含有する第1の材料、ヒドロキシル基に寄与する第2の材料、又は両方)を第3の材料(例えば、共反応物質)と反応させて、経年劣化防止剤反応生成物を生成することによって、調製され得る。第3の材料は、得られた反応生成物を生成する際に他方の出発材料のうちの少なくとも1つと反応及び結合するよう構成された1又は複数の不飽和基を含有することができる。第3の材料は、例えば、反応生成物の分子量を増大させて、生成物の引火点を改質する、又は反応生成物の製造コストを低減するのを促すことによって、得られた反応生成物の物理的特性を改質するために使用できる。第3の材料は、カルボニル又はヒドロキシル基のいずれかを含んでいても良く、又はいずれも含まなくても良い。第3の材料のために使用できる材料は、ジシクロペンタジエン(DCPD)、ピペリレン、イソプレン、又は脂肪族アルコールなどの不飽和アルコールを含むがそれらに限定されない。例えば、大豆油又はトール油、無水マレイン酸、及びDCPDなどの出発材料は、最初、一緒に反応させた後、1又は複数のポリオール又はアミンアルコールと反応させて、約25mg KOH/gを超えるヒドロキシル価を有する得られた反応生成物をもたらすことができる。その他の使用できる反応は、DCPD、スチレン、不飽和酸又は無水物間のディールス・アルダー反応;DCPD及び植物油又は植物系油;無水マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、ネオデカン酸、又はアクリル酸と反応させた植物油又は植物系油;無水マレイン酸と反応させたロジン酸などを含み得る。反応は、反応生成物の段階的な生成又は単一の反応スキームとして実行できる。
【0063】
いくつかの実施形態において、開示されている経年劣化防止剤は、アスファルト又はアスファルト舗装が経年劣化しているとき-5°C超又はそれと等しいΔTc値を保持できる。いくつかの実施形態において、開示されている経年劣化防止剤は、40時間の100°CでのPAV経年劣化後、-5°C超又はそれと等しいΔTcであるか、より好ましくは-3°C超又はそれと等しいΔTcであるアスファルト結合材をもたらし得る。いくつかの実施形態において、開示されている経年劣化防止剤は、開示されている経年劣化防止剤を含まない同様に経年劣化したアスファルト結合材、又は同様であるが非改質の材料又はより低いヒドロキシル価を有する経年劣化防止剤を使用して製造された経年劣化結合材と比較したとき、経年劣化後に、正により大きいΔTc値及び減少したR値であるアスファルト結合材をもたらす。
【0064】
さらに又は代替的に、開示されている改質経年劣化防止剤は、RAS及びRAPなどの再生されるビチューメン材料を含有する結合材のレオロジー特性の低落を変更、低減、又は遅延できる。開示されている経年劣化防止剤は、存在している結合材の総量に対して、約0.5~約15wt%、又は約1~約10wt%、又は約1~約3wt%で、アスファルト結合材混合物に添加することができる。
【0065】
開示されている経年劣化防止剤は、アスファルト産業において抵抗剤として先行して使用されたことはないが、開示されている高いヒドロキシル価(例えば、約25mg KOH/gを超える、35mg KOH/gを超える、40mg KOH/gを超える、又は50mg KOH/gを超える)を有するように改質され、本明細書に開示される所望のΔTcをもたらす新規の材料から導出され得る。そのような新規化合物は、ポリオール、脂肪族変性ポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールなどを含み得る。
【0066】
開示されている経年劣化防止剤は、アスファルト結合材材料のいずれかの適した源と結合させることができる。いくつかの実施形態において、アスファルト結合材混合物は、バージンアスファルト結合材、酸化アスファルト結合材、再生アスファルトから抽出されたアスファルト結合材、又はそれらの組み合わせを含み得る。
RASは、アスファルト結合材の含有量が多いことにより、再生及び再利用に関して魅力的な構成要素である。
RASは、例えば、約5wt%のアスファルト含有量を有し得るRAPと比較して、15~35wt%の範囲のアスファルト結合材の含有量を有する。概して、2つの主要な型のRAS材料があり、引き剥がしルーフィングシングル及びルーフィングシングルタブ(製造業者の廃棄物とも称す)を含む。引き剥がしルーフィングシングルは、必要とされている物理的寸法に対して生成されている間に新たなアスファルトシングルが削られるとき、ルーフィングシングルタブが生成される間、存在している屋根の解体又は置き換えの間生成される。引き剥がしルーフィングシングルの質は、その環境への露出に起因してかなり変動し得る。開示されている経年劣化防止剤は、RAS含有アスファルト結合材混合物、例えば引き剥がしルーフィングシングルから生成されたものの高温及び低温特性、及び低温及び高温の両端のPGグレードを改善することが示された。
【0067】
当業者が認識するように、開示されている経年劣化防止剤はアスファルト系材料の生成において広い範囲で使用し得る。続く開示は、ルーフィング材(例えばルーフィングシングル、ルーフィングロール、ビルトアップルーフィングなど)の生成におけるこのようなアスファルト結合材混合物の使用に、主に注目している。しかし、このようなアスファルト結合材混合物は、そのような適用に限定される必要がなく、アスファルト舗装、アスファルト舗装メンテナンス(例えば、アスファルト舗装の修復又は保存)生成物、下ぶき、アスファルト系接着剤及びシーラント、アスファルト系防湿バリア又はフィルム、アスファルト系コーティング材料などを含むがこれらに限定されない他の適用での使用が想定される。
【0068】
ルーフィング材は、ルーフィングシングル、ロール状ルーフィング材、及びビルトアップルーフィングを含み得る。そのようなルーフィング材は、ガラス繊維マット、アスファルト結合材系コーティング混合物、及び上部のコーティングに埋め込まれる顆粒の層などの基材の材料を使用して構築できる。基材マットは、熱い飽和剤のアスファルト結合材組成物でしみ込ませることができ、それは次にさらなるアスファルト結合材で両側(例えば、上部及び底部)をコーティングし、最終的に上部層の顆粒で表面を覆うことができる。本明細書で使用される場合、「上部」という用語は、ルーフィング材が屋根に設置されたときに、上に面しているか、屋根と反対を向く側を意味し、「底部」は、下に面しているか、屋根の方を向く側を意味する。
【0069】
飽和剤、上部、及び底部アスファルトコーティング組成物のうちの少なくとも1つは、開示されている経年劣化防止剤含有アスファルト結合材混合物で構成され得、異なる層のアスファルト結合材組成物が同じである必要がない。経年劣化のほとんどが、日光に直接さらされる位置に層があることに起因して、上部アスファルト層の内部で生じるため、少なくとも上部アスファルトコーティング組成物が、開示されている経年劣化防止添加剤を含むことが望ましい場合がある。
【0070】
ルーフィング材用の基材マットは、ガラス繊維、鉱物繊維、セルロース繊維、ラグ繊維、ポリマー繊維などの合成繊維、又はそれらの混合物の不織布マットなどの繊維材料のウェブ、スクリム、又はフェルトを含むがそれらに限定されないアスファルト結合材系ルーフィング材を強化する際に使用するための公知のいずれかの型であり得る。いくつかの実施形態において、基材は、セルロース繊維から生成されるフェルトマット、又はガラス繊維から生成されるガラス系マットなどの有機材料であり得る。いくつかの実施形態において、生成されるルーフィングシングルは、有機フェルトの型である。
【0071】
コーティングアスファルト結合材の上部表面は、上にコーティングされるか中に埋め込まれるかのいずれかのルーフィング顆粒を含み得る。ルーフィング顆粒は、所望の耐候性、耐火性、視覚装飾的な外面、又はそれらのいずれかの組み合わせに貢献するよう促す。いくつかの実施形態において、顆粒は圧砕及びスクリーニングされた鉱物材料であり、続いて上部のアスファルト結合材コーティング組成物でコーティング又は埋め込まれる。いくつかの実施形態において、顆粒は、スレート、玄武岩、ネフェライトなどの硬質の鉱物系岩石である。いくつかの実施形態において、顆粒は顆粒の同じ型であるか、顆粒の異なる型、質感、形状、及び/又は色の混合物であり得る。顆粒はまた、コーティング顆粒(例えば、セラミックコーティング、赤外反射コーティング、又は色付きコーティング)、又は添加剤(例えば、銅化合物)を含み得る。ルーフィング顆粒の供給業者は、3M、GAF、及びHarsco Mineralsを含む。
【0072】
ルーフィング材の製造に適したアスファルト結合材組成物は、概して、適したアスファルト結合材を選択し、ルーフィング材として有用な特性を取得するためにアスファルト結合材を加工することによって生成される。例えば、ルーフィングアスファルト結合材は、通常、ある程度の硬度を保持し、太陽光にさらされて生成される高温条件下で流動しない。このような増大した硬度は、概して、浸透力レベルの低減、粘度の増大、及び軟化点の上昇を伴う。
【0073】
いくつかの実施形態において、ルーフィングの適用という状況で経年劣化したアスファルト結合材を含むことが望ましい。アスファルト結合材を経年劣化させることは、例えば、軟化点を上昇させる(例えば、目標軟化点を約85°C(185°F)から約99°C(210°F)に)、及びルーフィング材の高温での屋根の流れに耐える能力を増大させるのを促す、もろくなりすぎずにシングルの浸透力を低減する(例えば、目標の浸透力約15dmm)、融解粘度を適した範囲に調節する、また概して、太陽、高温、及び悪天候の条件へさらされて耐える結合材の能力を改善させるために、アスファルト結合材の物理的特性を改質することができる。
【0074】
いくつかの実施形態において、結合材を経年劣化させることは、アスファルト混合物の軟化点を上昇させるなど、アスファルト結合材の物理的特性を改質するために、溶融したアスファルト結合材に数時間(例えば、約1時間~約72時間)空気を吹き込むことによって結合材を意図して酸化させる「エアブローン」プロセスにより実行できる。時間の長さは、使用するアスファルト結合材原料の型、処理温度、空気流量、処理装置の設計、生成されるアスファルト結合材コーティングの所望の特性などの様々な要因に依存する。さらに又は代替的に、RAS又はRAPから抽出された結合材を使用することは、ルーフィングの適用のため経年劣化した結合材材料の簡便な源をもたらす。
【0075】
ルーフィング材の一般的な仕様は、ASTM D225-07(「Asphalt binder Shingles(Organic Felt)Surfaced into Mineral Granules」American Society for Testing and Materials、Annual Book of ASTM Standards, Volume 04.04, West Conshohocken, PA, 1996);及びASTM D3462M-19(「Asphalt binder Shingles Made From Glass Felt and Surfaced with Mineral Granules.」American Society for Testing and Materials, Annual Book of ASTM Standards, Volume 04.04, West Conshohocken, PA, 1996)に定められている。ルーフィングアスファルト結合材組成物の付加的な特性は、軟化点、すなわち「SP」、ASTM D36M-14(2020)による;浸透力、すなわち「pen」、25°Cで実行させるASTM D5M-20による;融解粘度、Model RV Brookfield Viscometerを使用し、204℃(400°F)で実行したASTM D4402M-15により、第18スピンドル、6RPM、又はModel RV Brookfield Viscometerを使用し、第21スピンドル、50RPMを使用;耐久性、ASTM D4798M-11(2019)による;引火点、ASTM D92-18による;及び安定性、260°C(500°F)のオーブン温度で最長5日間実行するように修正されたASTM D3791M-11(2018)による、を含むがこれらに限定されない当技術分野で知られている任意の適したテスト、又は同様のテスト手順によって測定することができる。
【0076】
いくつかの実施形態において、ルーフィング材を生成するため構成されるアスファルト結合材組成物は、約75wt%~約95wt%のバージン結合材、及び約5wt%~約25wt%の、RASなどの再生アスファルトから抽出された結合材を含む結合材材料のブレンドを含むことができる。結合材ブレンドは、所望されるように、さらに加工(例えば、エアブローン)することができる。新たに製造されるシングルは、約15~約35wt%、例えば約20wt%という結合材の総含有量を有し得る。
【0077】
開示されている経年劣化防止剤は、新たに製造されるルーフィング材を生成するために、RAS又はRAPから再生又は抽出された経年劣化したアスファルト結合材、意図して酸化/経年劣化させた(例えばエアブローン)アスファルト結合材、バージンアスファルト結合材、又はそれらの混合物を含有するものを含む、上記のアスファルト結合材混合物に添加され得る。開示されている経年劣化防止剤を、バージンアスファルト結合材、酸化アスファルト結合材、再生アスファルト結合材又はそれらの組み合わせに加えること、及び開示されているルーフィング材のうちの1又は複数を製造するために使用される得られたアスファルト結合材混合物を使用することは、経年劣化結合材の分解又はレオロジー特性を変更又は抑制し、ルーフィング材の耐用年数を改善する可能性がある。例えば、開示されている経年劣化防止剤は、高温でのスティフネス、有効な温度の範囲、及び低温でのスティフネス、及び/又はアスファルト結合材の弛緩特性を改善できる。
【0078】
開示されているアスファルト結合材混合物は、開示されている経年劣化防止剤、結合材源(例えば、バージン、酸化、RAS、RAP、又はそれらの組み合わせ)、及び他の任意選択の添加剤を一緒に加熱し、混合又はブレンドして、混合物を形成することによって、調製できる。当業者は、成分の添加及び混合の多くの順序が可能であることを認識するであろう。一態様で、アスファルト結合材の経年劣化特性を改善するための方法は、開示されている経年劣化防止剤を、アスファルト結合材と約100°C~約250°Cの温度で混合又はブレンドすることに関与する。いくつかの実施形態において、開示されている経年劣化防止剤は、約125°C~約175°C、又は180°C~205°Cの温度で、アスファルト結合材と混合される。
【0079】
いくつかの実施形態において、開示されているアスファルト結合材組成物はまた、開示されている経年劣化防止剤、例えば、酸化防止剤、接着促進剤、フィラー、ポリマー、顔料、安定剤、溶剤、ワックスなどの材料に加えて、他の材料(例えば添加剤)を含み得る。このような添加剤の型及び量は、当業者が精通しているものである。添加剤は、意図的な使用(例えば、熱間塗布されたアスファルト膜を生成する)、予期された環境、パフォーマンス特性などに基づき選択され得る。有用なポリマーは、例えば、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、ポリブタジエン、エチレン-プロピレンコポリマー、エチレン-プロピレン-ジエンターポリマー、反応性エチレンターポリマー(例えば、ELVALOY(商標))、ブタジエン-スチレンブロックコポリマー、スチレン-ブタジエン-スチレン(SBS)ブロックコポリマー、イソプレン-スチレンブロックコポリマー、及びスチレン-イソプレン-スチレン(SIS)ブロックコポリマー、クロロプレンポリマー(例えば、ネオプレン)などを含み得る。硬化エラストマー添加剤は、接地タイヤのゴム材料を含んでいても良い。例えば、2015 Standard Specifications for the State of California(セクション37, pg.423)、及びセクション39、Hot Mix Asphalt、 pg.447開始、またhttp://www.dot.ca.gov/dist1/d1lab/SECTION%2039%20%20HMA.pdf and http://caltrans-opac.ca.gov/publicat.htmで入手可能、を参照されたい。
【0080】
開示されている結合材組成物はまた、コーティング組成物の重量基準で、約1~80wt%、45~60wt%、50~75wt%、又は60~80wt%の量で、1又は複数のフィラーを含み得る。いくつかの実施形態において、フィラーは、堆積岩又は鉱物の粒子、例えば石灰石又は炭酸カルシウム、ドロマイト、シリカ、タルク、頁岩、粘土、雲母、堆積岩粒子、又はそれらの組み合わせである。他の適したフィラーは、フライアッシュ、カーボンブラック、及び無機繊維又はそれらの組み合わせを含む。フィラーは、上部、底部、又はマットコーティング層のうちの1又は複数を含むことができる。いくつかの実施形態において、フィラーは、ルーフィング材、例えばシングルに所望の機械的特性を付与すること、原材料のコストを低減すること、又は両者のために機能する。開示されているルーフィング材は、梱包を助け、輸送中に個々のシングルが互いに固着するのを防ぐことを促すために、底部アスファルトコーティングに無機又は有機剤(例えば、ケイ砂)を含むことがまたできる。
【0081】
本願は、以下の非限定的な実施例でさらに説明されるが、特に示さない限り、すべての部分及び割合は重量によるものである。
実施例1
【0082】
アスファルト結合材混合物で使用されるバージン結合材と比較した、再生アスファルト源におけるビチューメン含有結合材の特徴を、表1に示す。
【表1】
【0083】
表1のデータは、精製所で生成される典型的なバージン結合材が、40時間のPAV経年劣化後でも-3°Cを超えるΔTcを保持できることを示す。さらに、表1のデータは、RAPから回復された結合材が-4°C未満のΔTc値を有する可能性があること、及び新たなビチューメン混合物における高レベルのRAPの影響により、ΔTc値がさらに低下し得ることを示す。さらに、RASリカバー結合材のΔTcの値が極度に負であることは、ビチューメン混合物へRASを組み込んだ全体的な影響について付加的に精査することを必要とする。
【0084】
RASアスファルト結合材は、通常、特に酸化して非常に硬い;したがって、RASはRAPアスファルト結合材で実験されるよりも高い程度のΔTcの影響が予期される。RASアスファルト結合材のΔTcの計算は、BBR分析が難しいことに起因して、RAPアスファルト結合材よりも複雑であり得る。下掲の表は、TRB E-Circular 241で報告されている国立アスファルト技術センター(NCAT)レポート16-01のRAS結合材からの推定のΔTcデータ、及びAI IS 240から得られたさらなるデータを提示している。表2:予測されたRAS結合材のΔTc
【表2】
実施例2
【0085】
未精製のトール油の改質経年劣化防止剤の調製:2つの代表的な改質経年劣化防止剤が、未精製のトール油、及びヒドロキシル基の供給源としてPEG400又はグリセリンのいずれかを使用して調製された。
【0086】
サンプル1は、ASTM D1957-86(1995)によって判定される酸価約160及びヒドロキシル価約1mg KOH/gを有する未精製のトール油680グラムを使用して調製した。未精製のトール油は、混合を促進するため約70°Cに加熱して、続いて約320グラムのPEG400(分子量400g/モルのポリエチレンエーテルグリコール)を添加した。フラスコの内容物を加熱して180°Cに昇温させ、少量のエステル化反応(つまり、部分的エステル化)を開始してPEGをトール油化合物に結合させるが、ヒドロキシル基が反応で充分に消費されるのを防ぐ。さらに、どのエステル化触媒も、生じるエステル化の程度を制限するため、反応に使用されなかった。反応は、酸価65~85が取得されるまで昇温で保持された。得られた改質経年劣化防止剤は、ヒドロキシル価約35~60mg KOH/gのサンプルであり、部分的エステルである。
【0087】
サンプル2は、ASTM D1957-86(1995)によって判定される酸価約160及びヒドロキシル価約1mg KOH/gを有する未精製のトール油785グラムを使用して調製した。未精製のトール油を約70°Cに加熱して混合を促進し、続いてグリセリン約215グラムを添加した。フラスコの内容物を加熱して180°Cに昇温させ、少量のエステル化反応を開始して、グリセリンをトール油化合物に結合させた。どのエステル化触媒も、生じるエステル化の程度を制限するため、反応に使用されなかった。反応は、酸価50~70が取得されるまで昇温で保持された。化学量論及び反応条件に基づき、グリセリンは、3つのグリセリンヒドロキシル基のうち約1~1.25だけが反応し、約1.75~2.0のヒドロキシル基が遊離したままでいるのを可能にするようにトール油と結合することが予期された。得られた改質経年劣化防止剤は、ヒドロキシル価約45~75mg KOH/gを有する。
実施例3
【0088】
実施例2の改質経年劣化防止剤の効力を調査するために、5つのアスファルト結合材を生成して、様々な条件で経年劣化テストをした。結合材は、1ガロンの缶の低せん断LIGHTING(商標)ミキサーを使用して、成分を187.8°C~204°C(370~400°F)の温度で約30分間混合することで、生成した。
【0089】
結合材1は、バージン結合材PG64-22だけからなっていた。
【0090】
結合材2は、改質経年劣化防止剤サンプル1を4%混合して、PG64-22を96%含んでいた。
【0091】
結合材3は、改質経年劣化防止剤サンプル1を8%混合して、PG64-22を92%含んでいた。
【0092】
結合材4は、改質経年劣化防止剤サンプル2を4%混合して、PG64-22を96%含んでいた。
【0093】
結合材5は、改質経年劣化防止剤サンプル2を8%混合して、PG64-22を92%含んでいた。
【0094】
得られた結合材の高温及び低温特性は、経年劣化なし、AASHTOT-240に従ったRTFO経年劣化サンプル、及び20時間100°CでAASHTOR28に従ってPAV経年劣化させるサンプルに対して、4mm DSRテスト手順を使用して測定した。結果を表3に示す。
【表3】
【0095】
非経年劣化条件で加熱される結合材のP/Fの温度は、AASHTO T-315に従ってテストした場合、結合材のスティフネスが約1キロパスカル(kPa)に等しくなる温度である。RFTO経年劣化条件での結合材のP/Fの温度は、AASHTO T-315に従ってテストした場合、結合材のスティフネスが約2.2kPaに等しくなる加熱温度である。RFTO経年劣化条件での結合材のP/Fの温度は、AASHTO T-315に従ってテストした場合、結合材のスティフネスが約5000kPaに等しくなる低い温度である。表3の結果は、サンプル中に経年劣化防止剤が存在しない場合、P/F温度は、改質経年劣化防止剤が存在する場合よりも速い速度で上昇することを示す。
【0096】
20及び40時間、100°Cで経年劣化させたPAV経年劣化サンプルについて、AASHTO T-313に従って、低温BBRテストを使用して、ΔTc値をまた測定した。20及び40時間の経年劣化サンプルの結果を、表4及び5にそれぞれ示した。
【表4】
【表5】
【0097】
経年劣化防止剤の存在を含んでいなかった結合材1について、BBRテストでの低温ΔTcが、サンプル1又は2の改質経年劣化防止剤を含むサンプル結合材のいずれよりも比較的低かった。テストされる改質経年劣化防止剤を含むすべての結合材サンプルが、より正に大きなΔTcを呈した。改質経年劣化防止剤の20時間PAV経年劣化結合材サンプルに関するすべてのΔTc値は、-1.1のΔTcを呈した純粋なPG64-22と比較して正に大きかった。改質経年劣化防止剤の40時間のPAV経年劣化結合材サンプルのΔTc値は、同様に、改質経年劣化防止剤を含む結合材サンプルの最低ΔTc-1.8と比較して、-3.9のΔTcを有する純粋なPG64-22よりも優れていることを示した。
【0098】
表3~5にまとめられたデータは、高いヒドロキシル価を有する改質経年劣化防止剤は、経年劣化した結合材サンプルの柔軟性、及びm値に関連するクリティカル弛緩特性の両方に顕著な好ましい影響を与えたことを示している。
実施例4
【0099】
アルコール分解―エステル交換反応による改質経年劣化防止剤としての大豆油の調製:約800グラムの大豆油を実験用フラスコに添加する。フラスコを約70°Cに加熱して、混合を促進した。約100グラムのグリセリン及び5グラムのエステル交換触媒(リシノール酸リチウム)が次に、フラスコに添加される。フラスコの内容物は、2時間約250°C加熱され、次に約270°Cに加熱されて、10時間保持された。材料は次に、いずれの反応のないグリセリンをも除去すべく蒸気スパージされる。得られる化合物は、100mg KOH/gのサンプルを超えるヒドロキシル価を有していた。
実施例5
【0100】
アミンアルコールでのトール油の改質経年劣化防止剤の調製:45~75mg KOH/gのヒドロキシル価である、約800グラムのサンプル2の材料を、実験用フラスコに加え、混合を促進するために約70℃に加熱した。約20グラムのモノエタノールアミンがフラスコに添加された。フラスコの内容物が、約140°Cまで加熱され、アミド形成促進のため、2時間保持した。得られた材料は次に、いずれの未反応のモノエタノールアミンをも除去すべく蒸気スパージされる。より低い温度の反応は、エステル形成を最小限に抑え、これによってヒドロキシル基を保護しながらも、アミド形成を促進する。得られる化合物は、50mg KOH/gを超えるヒドロキシル価を有していた。
実施例6
【0101】
アミンアルコールでのトール油の改質経年劣化防止剤の調製:酸価約160である約800グラムの未精製のトール油を実験用フラスコに添加した。フラスコを70°Cに加熱して混合を促進し、続いてモノエタノールアミン約100グラム加えた。フラスコの内容物が、140°Cまで加熱され、アミド形成促進のため、3時間保持した。材料は次に、いずれの未反応のモノエタノールアミンをも除去すべく蒸気スパージされる。より低い温度の反応は、エステル形成を最小限に抑え、これによってヒドロキシル基を保護しながらも、アミド形成を促進する。得られる化合物は、約60~90の酸価及び65mg KOH/gを超えるヒドロキシル価を有している。
実施例7
【0102】
ポリオールでのトール油の改質経年劣化防止剤の調製:約160の酸価及び約1のヒドロキシル価である未精製のトール油約785グラムを、実験用フラスコに加え、混合を促進するために約70℃に加熱した。約24グラムの無水マレイン酸がフラスコに添加された。フラスコの内容物を約205°Cに加熱して2.5時間保持し、Diels-Alder付加物の形成を促した。フラスコの内容物は、次に、約180°Cに冷却し、続いて約235グラムのグリセリンを添加して、わずかなレベルのエステル化反応を開始してグリセリンをトール油付加物に結合させるが、ヒドロキシル基が反応で充分に消費されるのを防ぐ。この温度は、最終的なヒドロキシル含有量も維持しながら、わずかなレベルのエステル化反応を開始する。さらに、どのエステル化触媒も、生じるエステル化の程度を制限するため、反応に使用されなかった。反応は、酸価70~90が取得されるまで昇温で保持された。得られたサンプルの改質経年劣化防止剤は、ヒドロキシル価約60~95mg KOH/gのサンプルを有している。
実施例8
【0103】
ポリオールでのトール油の改質経年劣化防止剤の調製:約160の酸価及び約1のヒドロキシル価である未精製のトール油約785グラムを、実験用フラスコに加え、混合を促進するために約70℃に加熱した。約315グラムのグリセリンが添加された。フラスコの内容物を加熱して180°Cに昇温させ、約1.5時間保持した。反応マスは、次に約235°Cに加熱して1時間保持した。反応マスは、次に270°Cまで加熱して、保持し、約10未満の酸価にさせた。得られたサンプルの改質経年劣化防止剤は、ヒドロキシル価約60~100mg KOH/gのサンプルを有している。
実施例9
【0104】
大豆油改質経年劣化防止剤の調製:大豆油及びグリセリンの混合物を、初期の反応生成物を作成するために反応させた。初期の反応生成物は、次に、ロジン酸と約235°Cでさらに反応させ、1時間保持した。反応マスは、次に250~280°Cまで加熱して、保持し、約10未満の酸価にさせた。得られたサンプルの改質経年劣化防止剤は、ヒドロキシル価約60~100mg KOH/gのサンプルを有している。
【0105】
改質経年劣化防止剤の上記の例のいずれかのための出発材料、ポリオール、及びアミンアルコールは、本明細書に開示される技法に従って任意の材料を含むように置き換えることができる。さらに、上記の例の技法のいずれも、変更する、又は本明細書で説明する他の例又は技法と組み合わせることができる。
比較例1
【0106】
トール油ピッチ:5又は10%の非改質トール油ピッチを含むPG64-22ブレンドに関連する実験を実行した。トール油ピッチは、Union Campから、商品名Tallexであるものを取得した。もはや市販されていない。サンプルのブレンドが生成され、20及び40時間 PAVで、ASTM D65217に従って経年劣化させた。
【0107】
結合材6はPG64-22を95%含み、5%のトール油ピッチが加えられていた。
【0108】
結合材7はPG64-22を90%含み、10%のトール油ピッチが加えられていた。
【0109】
結合材ブレンドは、1ガロン缶の低せん断LIGHTINGミキサーを使用して、成分を187.8°C~204°C(370~400°F)の温度で約30分間混合することで、生成した。
【0110】
4mm DSRテストを下掲にて示す経年劣化条件で実行し、異なる経年劣化条件でのブレンドの低温のSクリティカル及びMクリティカルのグレードを判定する。低温のMクリティカル値を低温のSクリティカル値から減算することで取得されるΔTcを、各経年劣化条件で判定した。
【表6】
【0111】
表5のデータは、結合材6及び7の非改質トール油ピッチが、添加剤を含まないPG64-22と比較して、40時間PAV経年劣化サンプルのΔTcを改善する(例えば、より正に大きいΔTcをもたらす)ことができなかったことを示している。
【0112】
このように、開示された化合物、組成物、及び方法の好ましい実施形態を説明してきたが、当業者は、本明細書において見出せる教示が、添付の特許請求の範囲のさらに他の実施形態に適用され得ることを容易に理解する。本明細書に引用されているすべての特許、特許出願、出版物、及び電子的に入手可能な資料の完全な開示は、参照により組み込まれる。先の詳細な説明及び実施例は、理解の明瞭性だけのために与えられた。不要な限定がそれから理解されるものではない。本発明は、示され記載された正確な詳細に限定されない、なぜなら当業者に明白なバリエーションが、特許請求の範囲により定義される本発明の範囲に含まれるからである。例示として本明細書に開示される本発明は、いくつかの実施形態において、本明細書に特に開示されていないいずれかの要素がない中で、適切に実施され得る。
【手続補正書】
【提出日】2023-08-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バージンアスファルト結合材、エアブローンバージンアスファルト結合材、アスファルト舗装材を含む再生アスファルト結合材材料(RAP)、又はアスファルトシングルを含む再生アスファルト結合材材料(RAS)のうちの少なくとも1つを含むアスファルト結合材;及び
(i)1又は複数のカルボニル基を含有する化合物を含む第1の材料、及び(ii)前記第1の材料の前記1又は複数のカルボニル基と反応してヒドロキシル基を反応生成物に追加する第2の材料を含む成分の反応生成物である経年劣化防止剤、ここで前記経年劣化防止剤は約25mg KOH/g超のヒドロキシル価を含む、
を有する、アスファルト結合材組成物
を備える、アスファルト含有材料。
【請求項2】
前記アスファルト結合材組成物が防湿バリアを提供する熱間塗布されたアスファルト膜である、請求項1に記載のアスファルト含有材料。
【請求項3】
前記アスファルト含有材料が、防湿バリア又は防水フィルム、下ぶき、アスファルト系接着剤、又はシーラント、ルーフィング材、又は前記アスファルト結合材組成物を備えるアスファルト舗装材である、請求項1又は2に記載のアスファルト含有材料。
【請求項4】
前記アスファルト含有材料が前記アスファルト結合材組成物でコーティング又は飽和されているルーフィング基材を備えるルーフィング材である、請求項3に記載のアスファルト含有材料。
【請求項5】
経年劣化防止剤をアスファルト結合材に添加することによってアスファルト結合材組成物を形成する段階、ここで前記アスファルト結合材は、バージンアスファルト結合材、エアブローンバージンアスファルト結合材、アスファルト舗装材を含む再生アスファルト結合材材料(RAP)、又はアスファルトシングルを含む再生アスファルト結合材材料(RAS)のうちの少なくとも1つを有し;前記経年劣化防止剤は、(i)1又は複数のカルボニル基を含有する化合物を含む第1の材料、及び(ii)前記第1の材料の前記1又は複数のカルボニル基と反応してヒドロキシル基を反応生成物に添加する第2の材料を含む成分の反応生成物であり、ここで前記経年劣化防止剤は約25mg KOH/g超のヒドロキシル価を含む、
を備える、アスファルト含有材料の経年劣化作用を遅らせるための方法。
【請求項6】
防湿バリア、防水フィルム、下ぶき、アスファルト系接着剤又はシーラント、ルーフィング材、又は前記アスファルト結合材組成物を含有するアスファルト舗装材を生成する段階をさらに備える、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ルーフィング材を生成するために前記アスファルト結合材組成物でルーフィング基材をコーティング又は飽和させる段階をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ルーフィング基材が繊維マットを備える、請求項4に記載のアスファルト含有材
料。
【請求項9】
前記ルーフィング材の少なくとも1つの表面に適用されるルーフィング用骨材をさらに備える、請求項8に記載のアスファルト含有材
料。
【請求項10】
前記第1の材料の前記1又は複数のカルボニル基が、1又は複数のカルボン酸基、無水物、エステル基、アミド基、又はイミド基を備える、請求項
1から4、8及び9のいずれか一項に記載のアスファルト含有材
料。
【請求項11】
前記第1の材料が、1又は複数の植物系材料、ロジン酸、又は脂肪酸を備える、請求項1から
4及び8から10のいずれか一項に記載のアスファルト含有材
料。
【請求項12】
前記第1の材料が、ひまし油、カシューナッツ殻油、綿実油、トウモロコシ油、落花生油、ナタネ油、米ぬか油、ベニバナ油、サルサパリラ根油、大豆油、ヒマワリ油、トール油、植物油、及び小麦胚芽油のうちの1又は複数を備える、請求項1から
4及び8から11のいずれか一項に記載のアスファルト含有材
料。
【請求項13】
前記第1の材料が、C
1~C
36カルボン酸、ジカルボン酸、無水物、ケト酸、カルボン酸基及び無水物基の両方を含有する化合物、又はトリカルボン酸のうちの少なくとも1つを備える、請求項1から
4及び8から12のいずれか一項に記載のアスファルト含有材
料。
【請求項14】
前記第1の材料が、トール油、未精製のトール油、又はトール油ピッチのうちの少なくとも1つを備える、請求項1から
4及び8から13のいずれか一項に記載のアスファルト含有材
料。
【請求項15】
前記第1の材料が、石炭系材料又は石油系材料を備える、請求項1から
4及び8から14のいずれか一項に記載のアスファルト含有材
料。
【請求項16】
前記経年劣化防止剤が、iii)前記反応生成物を形成する際に前記第1の材料又は前記第2の材料のうちの少なくとも1つと反応する不飽和基を有する第3の材料をさらに備える成分の反応生成物である、請求項1から
4及び8から15のいずれか一項に記載のアスファルト含有材
料。
【請求項17】
前記第3の材料が、DCPD、ピペリレン、イソプレン、又は不飽和アルコールのうちの少なくとも1つを備える、請求項16に記載のアスファルト含有材
料。
【請求項18】
前記第2の材料が、ポリオール、アミンアルコール、又はそれらの組み合わせを備える、請求項1から
4及び8から17のいずれか一項に記載のアスファルト含有材
料。
【請求項19】
前記第2の材料が、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジメチロールプロピオン酸、グリセリン、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、スクロース、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、メタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、エタノールアミン、アミノメチルプロパノール、ポリスルフィドポリオール、又はプロパノールアミンのうちの1又は複数を備える、請求項1から
4及び8から18のいずれか一項に記載のアスファルト含有材
料。
【請求項20】
前記第2の材料が、ポリアルキレンエーテルポリオール、又はポリアルキレンポリオールのうちの少なくとも1つを備える、請求項1から
4及び8から19のいずれか一項に記載のアスファルト含有材
料。
【請求項21】
前記第2の材料が、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、又はポリプロピレングリコールを備える、請求項20に記載のアスファルト含有材
料。
【請求項22】
前記第2の材料がポリブタジエンジオールを備える、請求項20に記載のアスファルト含有材
料。
【請求項23】
前記経年劣化防止剤が約35mg KOH/g超のヒドロキシル価を有する、請求項1から
4及び8から22のいずれか一項に記載のアスファルト含有材
料。
【請求項24】
前記経年劣化防止剤が約50mg KOH/g超のヒドロキシル価を有する、請求項1から
4及び8から23のいずれか一項に記載のアスファルト含有材
料。
【請求項25】
前記経年劣化防止剤が約100未満の酸価を有する、請求項1から
4及び8から24のいずれか一項に記載のアスファルト含有材
料。
【請求項26】
前記経年劣化防止剤と混合した前記アスファルト結合材が、100°Cで40時間のPAV経年劣化後、-5.0°C超又はそれと等しいΔTcを提供する、請求項1から
4及び8から25のいずれか一項に記載のアスファルト含有材
料。
【請求項27】
前記経年劣化防止剤と混合された前記アスファルト結合材が、100°Cで40時間のPAV経年劣化後、-3.0°C超又はそれと等しいΔTcを提供する、請求項1から
4及び8から26のいずれか一項に記載のアスファルト含有材
料。
【請求項28】
前記経年劣化防止剤が、100°Cで40時間のPAV経年劣化後、前記経年劣化防止剤を伴わない同様に経年劣化した結合材と比較して、より正のΔTc値を提供する有効量で存在する、請求項1から
4及び8から27のいずれか一項に記載のアスファルト含有材
料。
【請求項29】
前記アスファルト結合材組成物が、前記アスファルト結合材に対して前記経年劣化防止剤の約0.5重量パーセント(wt%)~約15wt%を備える、請求項1から
4及び8から28のいずれか一項に記載のアスファルト含有材
料。
【請求項30】
前記アスファルト結合材が、再生アスファルト舗装材を有する前記再生アスファルト結合材材料を備える、請求項1から
4及び8から29のいずれか一項に記載のアスファルト含有材
料。
【請求項31】
前記経年劣化防止剤が、約200°C未満の温度で、カルボン酸を含む前記第1の材料を、1又は複数のポリオール又はアミンアルコールを含む前記第2の材料と反応させて前記第1の材料のヒドロキシル価を増大させることから導出される成分を含む、請求項1から
4及び8から30のいずれか一項に記載のアスファルト含有材
料。
【請求項32】
前記経年劣化防止剤が、約200°C超の温度で、エステル基を含む前記第1の材料を、1又は複数のポリオール又はアミンアルコールを含む前記第2の材料と反応させて前記第1の材料のヒドロキシル価を増大させることから導出される成分を含む、請求項1から
4及び8から31のいずれか一項に記載のアスファルト含有材
料。
【請求項33】
前記アスファルト結合材がRASを備える、請求項1から
4及び8から32のいずれか一項に記載のアスファルト含有材
料。
【請求項34】
前記ルーフィング基材が繊維マットを備える、請求項7に記載の方法。
【請求項35】
前記ルーフィング材の少なくとも1つの表面に適用されるルーフィング用骨材をさらに備える、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記第1の材料の前記1又は複数のカルボニル基が、1又は複数のカルボン酸基、無水物、エステル基、アミド基、又はイミド基を備える、請求項5から7、34及び35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記第1の材料が、1又は複数の植物系材料、ロジン酸、又は脂肪酸を備える、請求項5から7及び34から36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記第1の材料が、ひまし油、カシューナッツ殻油、綿実油、トウモロコシ油、落花生油、ナタネ油、米ぬか油、ベニバナ油、サルサパリラ根油、大豆油、ヒマワリ油、トール油、植物油、及び小麦胚芽油のうちの1又は複数を備える、請求項5から7及び34から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記第1の材料が、C
1
~C
36
カルボン酸、ジカルボン酸、無水物、ケト酸、カルボン酸基及び無水物基の両方を含有する化合物、又はトリカルボン酸のうちの少なくとも1つを備える、請求項5から7及び34から38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記第1の材料が、トール油、未精製のトール油、又はトール油ピッチのうちの少なくとも1つを備える、請求項5から7及び34から39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記第1の材料が、石炭系材料又は石油系材料を備える、請求項5から7及び34から40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記経年劣化防止剤が、iii)前記反応生成物を形成する際に前記第1の材料又は前記第2の材料のうちの少なくとも1つと反応する不飽和基を有する第3の材料をさらに備える成分の反応生成物である、請求項5から7及び34から41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記第3の材料が、DCPD、ピペリレン、イソプレン、又は不飽和アルコールのうちの少なくとも1つを備える、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記第2の材料が、ポリオール、アミンアルコール、又はそれらの組み合わせを備える、請求項5から7及び34から43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記第2の材料が、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジメチロールプロピオン酸、グリセリン、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、スクロース、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、メタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、エタノールアミン、アミノメチルプロパノール、ポリスルフィドポリオール、又はプロパノールアミンのうちの1又は複数を備える、請求項5から7及び34から44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記第2の材料が、ポリアルキレンエーテルポリオール、又はポリアルキレンポリオールのうちの少なくとも1つを備える、請求項5から7及び34から45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記第2の材料が、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、又はポリプロピレングリコールを備える、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記第2の材料がポリブタジエンジオールを備える、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記経年劣化防止剤が約35mg KOH/g超のヒドロキシル価を有する、請求項5から7及び34から48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記経年劣化防止剤が約50mg KOH/g超のヒドロキシル価を有する、請求項5から7及び34から49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記経年劣化防止剤が約100未満の酸価を有する、請求項5から7及び34から50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記経年劣化防止剤と混合した前記アスファルト結合材が、100°Cで40時間のPAV経年劣化後、-5.0°C超又はそれと等しいΔTcを提供する、請求項5から7及び34から51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記経年劣化防止剤と混合された前記アスファルト結合材が、100°Cで40時間のPAV経年劣化後、-3.0°C超又はそれと等しいΔTcを提供する、請求項5から7及び34から52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記経年劣化防止剤が、100°Cで40時間のPAV経年劣化後、前記経年劣化防止剤を伴わない同様に経年劣化した結合材と比較して、より正のΔTc値を提供する有効量で存在する、請求項5から7及び34から53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記アスファルト結合材組成物が、前記アスファルト結合材に対して前記経年劣化防止剤の約0.5重量パーセント(wt%)~約15wt%を備える、請求項5から7及び34から54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記アスファルト結合材が、再生アスファルト舗装材を有する前記再生アスファルト結合材材料を備える、請求項5から7及び34から55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記経年劣化防止剤が、約200°C未満の温度で、カルボン酸を含む前記第1の材料を、1又は複数のポリオール又はアミンアルコールを含む前記第2の材料と反応させて前記第1の材料のヒドロキシル価を増大させることから導出される成分を含む、請求項5から7及び34から56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記経年劣化防止剤が、約200°C超の温度で、エステル基を含む前記第1の材料を、1又は複数のポリオール又はアミンアルコールを含む前記第2の材料と反応させて前記第1の材料のヒドロキシル価を増大させることから導出される成分を含む、請求項5から7及び34から57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記アスファルト結合材がRASを備える、請求項5から7及び34から58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
防湿バリア、防水フィルム、下ぶき、アスファルト系接着剤又はシーラント、ルーフィング材、又はアスファルト舗装材を生成する際に使用するためのアスファルト結合材組成物であって:
バージンアスファルト結合材、エアブローンバージンアスファルト結合材、アスファルト舗装材を含む再生アスファルト結合材材料(RAP)、又はアスファルトシングルを含む再生アスファルト結合材材料(RAS)のうちの少なくとも1つを有するアスファルト結合材;及び
アスファルト添加剤を、1又は複数のポリオール又はアミンアルコールと反応させて前記アスファルト添加剤のヒドロキシル価を増大させることから取得される経年劣化防止剤、ここで前記経年劣化防止剤は、非改質アスファルト添加剤を含む同様に経年劣化した結合材と比較して、100°Cで40時間PAV経年劣化させた後、改質経年劣化防止剤を含有する経年劣化アスファルトにおいて、より小さい負のΔTcを提供する、
を備える、アスファルト結合材組成物。
【請求項61】
前記経年劣化防止剤は、約25mg KOH/gを超えるヒドロキシル価を有し、前記アスファルト添加剤は、1又は複数のポリオール又はアミンアルコールと反応する前に、約25mg KOH/g未満のヒドロキシル価を有する、請求項
60に記載のアスファルト結合材組成物。
【国際調査報告】