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特表2024-504287反射防止性、耐汚染物質蓄積性、及びUV耐久性を示すコーティングされた物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-31
(54)【発明の名称】反射防止性、耐汚染物質蓄積性、及びUV耐久性を示すコーティングされた物品
(51)【国際特許分類】
   G02B 1/111 20150101AFI20240124BHJP
   B32B 17/04 20060101ALI20240124BHJP
   B32B 27/36 20060101ALI20240124BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20240124BHJP
   B32B 9/00 20060101ALI20240124BHJP
   G02B 1/18 20150101ALI20240124BHJP
【FI】
G02B1/111
B32B17/04 Z
B32B27/36 102
B32B7/023
B32B9/00 A
G02B1/18
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540956
(86)(22)【出願日】2021-11-03
(85)【翻訳文提出日】2023-08-24
(86)【国際出願番号】 US2021057849
(87)【国際公開番号】W WO2022150095
(87)【国際公開日】2022-07-14
(31)【優先権主張番号】63/134,040
(32)【優先日】2021-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】399074983
【氏名又は名称】ピーピージー・インダストリーズ・オハイオ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】PPG Industries Ohio,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルー、ソンウェイ
(72)【発明者】
【氏名】シャオ、ジーピン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジールー
(72)【発明者】
【氏名】バジル、ジョン、ディー.
【テーマコード(参考)】
2K009
4F100
【Fターム(参考)】
2K009AA02
2K009BB11
2K009CC26
2K009CC42
2K009DD02
2K009EE05
4F100AA17B
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4F100YY00B
4F100YY00C
(57)【要約】
本発明は、光学カバーアセンブリを含む物品を対象とする。光学カバーアセンブリは、(A)外側表面及び反対側の内側表面を含む基材と、(B)基材の少なくとも外側表面に直接的に塗布された任意選択的な第1のコーティング層と、(C)少なくとも1つのコーティング層を含む反射防止コーティング積層体と、(D)基材の外側表面上のフルオロシランポリマーを含む最上部コーティング層と、を含む。光学カバーアセンブリは、疎水性及び延長されたUV耐久性を示し、車両、光センサ、LiDAR検出器、モーションセンサ、視覚カメラ、バックアップカメラ、セキュリティカメラ、IRカメラ、ヘッドライト、テールライト、信号灯、RADARエミッタ、RADAR検出器、航空機着陸灯、及びガス検出器のうちの少なくとも1つの部品として機能する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学カバーアセンブリを含む物品であって、前記光学カバーアセンブリが、
(A)外側表面及び反対側の内側表面を含む基材であって、前記基材が、ベッケ線法を使用して決定される場合、550nmの光波長で少なくとも1.40の屈折率を示す、基材と、
(B)前記基材の少なくとも前記外側表面に直接的に塗布された任意選択的な第1のコーティング層であって、前記第1のコーティング層が、使用される場合、少なくとも50nm、及び45μm未満のフィルム厚さ、並びにベッケ線法を使用して決定される場合、550nmの光波長で1.40~1.65の屈折率を有する、任意選択的な第1のコーティング層と、
(C)少なくとも1つのコーティング層を含む反射防止コーティング積層体であって、前記反射防止コーティング積層体が、前記第1のコーティング層(B)が使用される場合、それに直接的に塗布されるか、又は前記第1のコーティング層が使用されない場合、前記基材(A)の少なくとも前記外側表面に直接的に塗布され、前記反射防止コーティング積層体が、少なくとも50nm、及び1.0μm未満の総フィルム厚さを有する、反射防止コーティング積層体と、
(D)前記基材の前記外側表面上のフルオロシランポリマーを含む最上部コーティング層であって、前記フルオロシランポリマーが、少なくとも3000、若しくは少なくとも3500、及び最大で10,000、若しくは最大で7000の重量平均分子量を有し、前記フルオロシランポリマーが、アルコキシシラン基及び/若しくはアルキルシラン基を含むオルガノシラン官能基を更に含むパーフルオロポリエーテルを含み、かつ/又は、前記フルオロシランポリマーが、同じ若しくは異なり得る1~4個のフルオロアルキル基及び/若しくはパーフルオロアルキル基を有するシランを含む1つ以上のモノマー化合物から調製される、最上部コーティング層と、を含み、前記光学カバーアセンブリが、少なくとも110°(又は少なくとも112°、又は少なくとも115°)の初期脱イオン水接触角を示し、ASTM D7869-17に準拠する試験条件に前記光学カバーアセンブリを3000時間供した後、少なくとも90°の脱イオン水接触角を示し、前記物品が、車両、光センサ、LiDAR検出器、モーションセンサ、視覚カメラ、バックアップカメラ、セキュリティカメラ、IRカメラ、ヘッドライト、テールライト、信号灯、RADARエミッタ、RADAR検出器、航空機着陸灯、及びガス検出器のうちの少なくとも1つの部品を含む、物品。
【請求項2】
前記光学カバーアセンブリが、450nm~650nmの波長範囲内で、1.5%未満、又は1.0%未満、又は0.5%未満の片面の積分された鏡面反射のみの反射率を示す、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記光学カバーアセンブリが、895nm~915nmの波長範囲内で、1.5%未満、又は1.0%未満、又は0.5%未満の片面の積分された鏡面反射のみの反射率を示す、請求項1又は2に記載の物品。
【請求項4】
前記反射防止コーティング積層体(C)の各層の前記フィルム厚さが、その断面にわたって、5nm以下、又は3nm以下、又は1nm以下で変化する、請求項1~3のいずれか一項に記載の物品。
【請求項5】
前記光学カバーアセンブリが、車両に搭載されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の物品。
【請求項6】
前記基材(A)が、ソーダ石灰ガラス、ケイ酸アルミニウムガラス、ホウケイ酸ガラス、シリカガラス、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリ尿素-ウレタン、ポリエチレンテレフタレート、又はアリルジグリコールカーボネートを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の物品。
【請求項7】
前記基材(A)が、ポリカーボネートを含み、前記第1のコーティング層(B)が、前記基材(A)の前記外側表面に直接的に塗布されている、請求項6に記載の物品。
【請求項8】
前記基材(A)が、ソーダ石灰ガラス、ケイ酸アルミニウムガラス、ホウケイ酸ガラス、又はシリカガラスを含み、前記反射防止コーティング積層体(C)が、前記基材(A)の前記外側表面に直接的に塗布されている、請求項6に記載の物品。
【請求項9】
前記物品が、自律車両に搭載された視覚カメラの部品である、請求項1~8のいずれか一項に記載の物品。
【請求項10】
前記物品が、自律車両に搭載されたLiDAR検出器の部品である、請求項1~8のいずれか一項に記載の物品。
【請求項11】
前記物品が、光センサの部品である、請求項1~8のいずれか一項に記載の物品。
【請求項12】
前記物品が、モーションセンサの部品である、請求項1~8のいずれか一項に記載の物品。
【請求項13】
前記物品が、バックアップカメラの部品である、請求項1~8のいずれか一項に記載の物品。
【請求項14】
前記物品が、セキュリティカメラの部品である、請求項1~8のいずれか一項に記載の物品。
【請求項15】
前記物品が、IRカメラの部品である、請求項1~8のいずれか一項に記載の物品。
【請求項16】
前記物品が、テールライトの部品である、請求項1~8のいずれか一項に記載の物品。
【請求項17】
前記物品が、信号灯の部品である、請求項1~8のいずれか一項に記載の物品。
【請求項18】
前記物品が、RADARエミッタの部品である、請求項1~8のいずれか一項に記載の物品。
【請求項19】
前記物品が、RADAR検出器の部品である、請求項1~8のいずれか一項に記載の物品。
【請求項20】
前記物品が、航空機着陸灯の部品である、請求項1~8のいずれか一項に記載の物品。
【請求項21】
前記物品が、ガス検出器の部品である、請求項1~8のいずれか一項に記載の物品。
【請求項22】
前記第1のコーティング層(B)が、前記基材の少なくとも前記外側表面に直接的に塗布され、アクリルポリマー、ゾルゲル、又はポリシロキサンポリマーコーティングを含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の物品。
【請求項23】
前記反射防止コーティング積層体が、複数のコーティング層を含む、請求項1~22のいずれか一項に記載の物品。
【請求項24】
前記最上部コーティング層(D)が、ポリスチレン標準品を使用したゲル浸透クロマトグラフィーによって測定される場合、3000~7000、例えば4000の重量平均分子量を有するフルオロシランポリマーを含み、前記最上部コーティング層(D)が、50nm未満の厚さを有する、請求項1~23のいずれか一項に記載の物品。
【請求項25】
前記最上部コーティング層(D)が、前記反射防止コーティング積層体(C)に直接的に、又は介在層の上部に前記反射防止コーティング積層体(C)に間接的に、のいずれかで塗布されている、請求項1~24のいずれか一項に記載の物品。
【請求項26】
前記コーティング層(B)及び(C)の各々が、前記基材の両方の反対側の表面上にコーティングされ、前記光学カバーアセンブリが、
(D’)前記基材の前記内側表面上に、前記反射防止コーティング積層体(C)に直接的に、又は介在層の上部に前記反射防止コーティング積層体(C)に間接的に、のいずれかで最上部層として塗布された防曇性コーティング層であって、前記防曇性コーティング層(D’)が、15°未満、又は10°未満、又は5°未満の初期水接触角を示す、防曇性コーティング層、を更に含む、請求項1~25のいずれか一項に記載の物品。
【請求項27】
前記光学カバーアセンブリが、ヘッドライトの部品である、請求項26に記載の物品。
【請求項28】
前記反射防止コーティング積層体(C)内の前記コーティング層のいずれも、アルコキシシラン含有組成物からは形成されていない、請求項1~27のいずれか一項に記載の物品。
【請求項29】
前記反射防止コーティング積層体(C)内の前記コーティング層のうちの少なくとも1つが、SiO、SiO(式中、xは、1を含む1~2である)、ZrO、TiO、TiO、Ti、Ti、Al、Ta、CeO、MgO、Y、ZnO、SnO、Nb、MgF、及びWOのうちの少なくとも1つから形成され、物理的蒸着を介して塗布されている、請求項1~28のいずれか一項に記載の物品。
【請求項30】
光学カバーアセンブリを含むLiDAR検出器部品であって、前記光学カバーアセンブリが、
(A)外側表面及び反対側の内側表面を含む、905nmの光波長で透過性であるポリカーボネート基材と、
(B)前記基材の少なくとも前記外側表面に直接的に塗布されたアクリルポリマー、ゾルゲル、又はポリシロキサンポリマーを含む第1のコーティング層であって、前記第1のコーティング層が、ベッケ線法を使用して決定される場合、550nmの光波長で1.40~1.65の屈折率、並びに少なくとも50nm、及び45μm未満のフィルム厚さを有する、第1のコーティング層と、
(C)前記第1のコーティング層に直接的に塗布された少なくとも1つのコーティング層を含む反射防止コーティング積層体であって、前記反射防止コーティング積層体が、少なくとも50nm、及び1.0μm未満の総フィルム厚さを有する、反射防止コーティング積層体と、
(D)前記基材の前記外側表面上のフルオロシランポリマーを含む最上部コーティング層であって、前記フルオロシランポリマーが、少なくとも3000、若しくは少なくとも3500、及び最大で10,000、若しくは最大で7000の重量平均分子量を有し、前記フルオロシランポリマーが、アルコキシシラン基及び/若しくはアルキルシラン基を含むオルガノシラン官能基を更に含むパーフルオロポリエーテルを含み、かつ/又は、前記フルオロシランポリマーが、同じ若しくは異なり得る1~4個のフルオロアルキル基及び/若しくはパーフルオロアルキル基を有するシランを含む1つ以上のモノマー化合物から調製される、最上部コーティング層と、を含み、前記光学カバーアセンブリが、少なくとも110°、又は少なくとも112°、又は少なくとも115°の初期脱イオン水接触角を示し、ASTM D7869-17に準拠する試験条件に前記光学カバーアセンブリを3000時間供した後、少なくとも90°の脱イオン水接触角を示す、LiDAR検出器部品。
【請求項31】
前記コーティング層(B)及び(C)の各々が、前記基材の両方の反対側の表面上にコーティングされ、前記光学カバーアセンブリが、
(D’)前記基材の前記内側表面上に、前記反射防止コーティング積層体(C)に直接的に、又は介在層の上部に前記反射防止コーティング積層体(C)に間接的に、のいずれかで最上部層として塗布された防曇性コーティング層であって、前記防曇性コーティング層(D’)が、15°未満、又は10°未満、又は5°未満の初期水接触角を示す、防曇性コーティング層、を更に含む、請求項30に記載のLiDAR検出器部品。
【請求項32】
前記光学カバーアセンブリが、895nm~915nmの波長範囲内で、1.5%未満、又は1.0%未満、又は0.5%未満の光の片面の積分された鏡面反射のみの反射率を示す、請求項30又は31に記載のLiDAR検出器部品。
【請求項33】
前記最上部コーティング層(D)が、前記反射防止コーティング積層体(C)に直接的に、又は介在層の上部に前記反射防止コーティング積層体(C)に間接的に、のいずれかで塗布されている、請求項30~32のいずれか一項に記載のLiDAR検出器部品。
【請求項34】
光学カバーアセンブリを含むLiDAR検出器部品であって、前記光学カバーアセンブリが、
(A)外側表面及び反対側の内側表面を含む、905nmの光波長で透過性であるガラス基材であって、前記ガラス基材が、ソーダ石灰ガラス、ケイ酸アルミニウムガラス、ホウケイ酸ガラス、又はシリカガラスを含む、ガラス基材と、
(B)前記第1のコーティング層に直接的に塗布された少なくとも1つのコーティング層を含む反射防止コーティング積層体であって、前記反射防止コーティング積層体が、少なくとも50nm、及び1.0μm未満の総フィルム厚さを有する、反射防止コーティング積層体と、
(C)前記基材の前記外側表面上のフルオロシランポリマーを含む最上部コーティング層であって、前記フルオロシランポリマーが、少なくとも3000、若しくは少なくとも3500、及び最大で10,000、若しくは最大で7000の重量平均分子量を有し、前記フルオロシランポリマーが、アルコキシシラン基及び/若しくはアルキルシラン基を含むオルガノシラン官能基を更に含むパーフルオロポリエーテルを含み、かつ/又は、前記フルオロシランポリマーが、同じ若しくは異なり得る1~4個のフルオロアルキル基及び/若しくはパーフルオロアルキル基を有するシランを含む1つ以上のモノマー化合物から調製される、最上部コーティング層と、を含み、前記光学カバーアセンブリが、少なくとも110°、又は少なくとも112°、又は少なくとも115°の初期脱イオン水接触角を示し、ASTM D7869-17に準拠する試験条件に前記光学カバーアセンブリを3000時間供した後、少なくとも90°の脱イオン水接触角を示す、LiDAR検出器部品。
【請求項35】
前記反射防止コーティング積層体(B)が、前記基材の両方の反対側の表面上にコーティングされ、前記光学カバーアセンブリが、
(C’)前記基材の前記内側表面上に、前記反射防止コーティング積層体(B)に直接的に、又は介在層の上部に前記反射防止コーティング積層体(B)に間接的に、のいずれかで最上部層として塗布された防曇性コーティング層であって、前記防曇性コーティング層(C’)が、15°未満、又は10°未満、又は5°未満の初期水接触角を示す、防曇性コーティング層、を更に含む、請求項34に記載のLiDAR検出器部品。
【請求項36】
前記光学カバーアセンブリが、895nm~915nmの波長範囲内で、1.5%未満、又は1.0%未満、又は0.5%未満の光の片面の積分された鏡面反射のみの反射率を示す、請求項34又は35に記載のLiDAR検出器部品。
【請求項37】
前記コーティング層(C)が、前記反射防止コーティング積層体(B)に直接的に、又は介在層の上部に前記反射防止コーティング積層体(B)に間接的に、のいずれかで塗布されている、請求項34~36のいずれか一項に記載のLiDAR検出器部品。
【請求項38】
光学カバーアセンブリを含む車両ヘッドライトカバーであって、前記光学カバーアセンブリが、
(A)外側表面及び反対側の内側表面を含むポリカーボネート基材と、
(B)前記基材の少なくとも前記外側表面に直接的に塗布されたアクリルポリマー、ゾルゲル、又はポリシロキサンポリマーを含む第1のコーティング層であって、前記第1のコーティング層が、ベッケ線法を使用して決定される場合、550nmの光波長で1.40~1.65の屈折率、並びに少なくとも50nm、及び45μm未満のフィルム厚さを有する、第1のコーティング層と、
(C)前記第1のコーティング層に直接的に塗布された少なくとも1つのコーティング層を含む反射防止コーティング積層体であって、前記反射防止コーティング積層体が、少なくとも50nm、及び1.0μm未満の総フィルム厚さを有する、反射防止コーティング積層体と、
(D)前記基材の前記外側表面上のフルオロシランポリマーを含む最上部コーティング層であって、前記フルオロシランポリマーが、少なくとも3000、若しくは少なくとも3500、及び最大で10,000、若しくは最大で7000の重量平均分子量を有し、前記フルオロシランポリマーが、アルコキシシラン基及び/若しくはアルキルシラン基を含むオルガノシラン官能基を更に含むパーフルオロポリエーテルを含み、かつ/又は、前記フルオロシランポリマーが、同じ若しくは異なり得る1~4個のフルオロアルキル基及び/若しくはパーフルオロアルキル基を有するシランを含む1つ以上のモノマー化合物から調製される、最上部コーティング層と、を含み、前記光学カバーアセンブリが、少なくとも110°、又は少なくとも112°、又は少なくとも115°の初期脱イオン水接触角を示し、ASTM D7869-17に準拠する試験条件に前記光学カバーアセンブリを3000時間供した後、少なくとも90°の脱イオン水接触角を示す、車両ヘッドライトカバー。
【請求項39】
前記コーティング層(B)及び(C)の各々が、前記基材の両方の反対側の表面上にコーティングされ、前記光学カバーアセンブリが、
(D’)前記基材の前記内側表面上に、前記反射防止コーティング積層体(C)に直接的に、又は介在層の上部に前記反射防止コーティング積層体(C)に間接的に、のいずれかで最上部層として塗布された防曇性コーティング層であって、前記防曇性コーティング層(D’)が、15°未満、又は10°未満、又は5°未満の初期水接触角を示す、防曇性コーティング層を更に含む、請求項38に記載の車両ヘッドライトカバー。
【請求項40】
前記光学カバーアセンブリが、450nm~650nmの波長範囲内で、1.5%未満、又は1.0%未満、又は0.5%未満の片面の積分された鏡面反射のみの反射率を示す、請求項38又は39に記載の車両ヘッドライトカバー。
【請求項41】
前記光学カバーアセンブリが、ASTM D7869-17に準拠する試験条件に前記光学カバーアセンブリを3000時間供した後、0.5%未満のヘイズ値を示す、請求項38~40のいずれか一項に記載の車両ヘッドライトカバー。
【請求項42】
前記最上部コーティング層(D)が、前記反射防止コーティング積層体(C)に直接的に、又は介在層の上部に前記反射防止コーティング積層体(C)に間接的に、のいずれかで塗布されている、請求項38~41のいずれか一項に記載の車両ヘッドライトカバー。
【請求項43】
光学カバーアセンブリを含むカメラ部品であって、前記光学カバーアセンブリが、
(A)外側表面及び反対側の内側表面を含むガラス基材であって、前記ガラス基材が、ソーダ石灰ガラス、ケイ酸アルミニウムガラス、ホウケイ酸ガラス、又はシリカガラスを含む、ガラス基材と、
(B)前記第1のコーティング層に直接的に塗布された少なくとも1つのコーティング層を含む反射防止コーティング積層体であって、前記反射防止コーティング積層体が、少なくとも50nm、及び1.0μm未満の総フィルム厚さを有する、反射防止コーティング積層体と、
(C)前記基材の前記外側表面上のフルオロシランポリマーを含む最上部コーティング層であって、前記フルオロシランポリマーが、少なくとも3000、若しくは少なくとも3500、及び最大で10,000、若しくは最大で7000の重量平均分子量を有し、前記フルオロシランポリマーが、アルコキシシラン基及び/若しくはアルキルシラン基を含むオルガノシラン官能基を更に含むパーフルオロポリエーテルを含み、かつ/又は、前記フルオロシランポリマーが、同じ若しくは異なり得る1~4個のフルオロアルキル基及び/若しくはパーフルオロアルキル基を有するシランを含む1つ以上のモノマー化合物から調製される、最上部コーティング層と、を含み、前記光学カバーアセンブリが、少なくとも110°、又は少なくとも112°、又は少なくとも115°の初期脱イオン水接触角を示し、ASTM D7869-17に準拠する試験条件に前記光学カバーアセンブリを3000時間供した後、少なくとも90°の脱イオン水接触角を示す、カメラ部品。
【請求項44】
前記反射防止コーティング積層体(B)が、前記基材の両方の反対側の表面上にコーティングされ、前記光学カバーアセンブリが、
(C’)前記基材の前記内側表面上に、前記反射防止コーティング積層体(B)に直接的に、又は介在層の上部に前記反射防止コーティング積層体(B)に間接的に、のいずれかで最上部層として塗布された防曇性コーティング層であって、前記防曇性コーティング層(C’)が、15°未満、又は10°未満、又は5°未満の初期水接触角を示す、防曇性コーティング層、を更に含む、請求項43に記載のカメラ部品。
【請求項45】
前記光学カバーアセンブリが、450nm~650nmの波長範囲内で、1.5%未満、又は1.0%未満、又は0.5%未満の光の片面の積分された鏡面反射のみの反射率を示す、請求項43又は44に記載のカメラ部品。
【請求項46】
前記光学カバーアセンブリが、ASTM D7869-17に準拠する試験条件に前記光学カバーアセンブリを3000時間供した後、0.5%未満のヘイズ値を示す、請求項43~45のいずれか一項に記載のカメラ部品。
【請求項47】
前記カメラ部品が、車両に搭載され、レンズ又はレンズスクリーンを含む、請求項43~46のいずれか一項に記載のカメラ部品。
【請求項48】
前記コーティング層(C)が、前記反射防止コーティング積層体(B)に直接的に、又は介在層の上部に前記反射防止コーティング積層体(B)に間接的に、のいずれかで塗布されている、請求項43~47のいずれか一項に記載のカメラ部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐汚染物質蓄積性及びUV耐久性を示す反射防止コーティングされた物品に関する。
【背景技術】
【0002】
自動運転(「自律」)車両、及び自律車両に搭載されたセンサによって検出可能であるマーキングを含む車両の周囲の他の物体に関連する技術が最近進歩している。自律車両は、センサ、カメラ、レーダ、超音波、ライト、及びレーザなどの、検出システムの組み合わせを使用して、自律車両がこのような物体の周囲を安全にナビゲートし得るように、障害物を検出及び位置特定する。いくつかの検出システムは、例えば、悪天候、又は検出システム表面上に液滴、細流、若しくはシートの形態の氷及び水を含む汚れ及び他の汚染物質の蓄積に起因して、長距離、又は理想的ではない環境で物体を検出する能力が限定される。太陽光、変動する温度、雨、雪などの環境条件に曝露された保護コーティングは、経時的に表面から浸食し始める可能性がある。このような限定は、自律車両が障害物を安全にナビゲートすることを妨げ得る。これらのアセンブリのコーティングされた表面の容易な洗浄及び延長されたUV耐久性は、消費者市場及び工業市場の両方において、自律車両市場、並びに他の多くの工業にとって重要なセールスポイントである。同様に、このようなアセンブリにおける反射防止特性は、正確で最大の信号処理を確実にするために電磁放射線の伝送を最大化するための鍵である。
【0003】
汚れ又は他の汚染物質の容易な除去、及び汚染物質蓄積の防止は、自動車及び自立車両などの製品にとって望ましい特性である。タール、アスファルト、動物の糞、道路塩、洗剤などの環境汚染物質は、コーティングされた車両の表面、建築表面、及び他の工業基材を損傷し得る。損傷は、化学的エッチングなどの、汚染物質とコーティングされた表面との化学反応によって引き起こされ得るか、又は洗浄中に汚染物質を除去する際に、基材からコーティングの一部又は全部を物理的に除去(すなわち、「凝集破壊」)することを伴い得る。凝集破壊はまた、洗浄中にコーティングされた表面から汚染物質を不完全に除去することも含み得る。
【0004】
加えて、不十分なUV耐久性に起因する、現在の洗浄し易い(easy-to-clean、「E2C」)コーティングの汚染物質軽減特性の短い持続時間は、それらの使用を限定している。
【0005】
先行技術の欠点を克服するために、電磁放射線の透過性、耐汚染物質蓄積性、及びUV耐久性を示す反射防止コーティングされた物品を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、光学カバーアセンブリを含むコーティングされた物品を対象とし、光学カバーアセンブリは、
(A)外側表面及び反対側の内側表面を含む基材であって、基材が、ベッケ線法を使用して決定される場合、550nmの光波長で少なくとも1.40の屈折率を示す、基材と、
(B)基材の少なくとも外側表面に直接的に塗布された任意選択的な第1のコーティング層であって、第1のコーティング層が、使用される場合、少なくとも50nm、及び45μm未満のフィルム厚さ、並びにベッケ線法を使用して決定される場合、550nmの光波長において、1.40~1.65の屈折率を有する、任意選択的な第1のコーティング層と、
(C)少なくとも1つのコーティング層を含む反射防止コーティング積層体であって、反射防止コーティング積層体が、第1のコーティング層(B)が使用される場合、それに直接的に塗布されるか、又は第1のコーティング層が使用されない場合、基材(A)の少なくとも外側表面に直接的に塗布され、反射防止コーティング積層体が、少なくとも50nm、及び1.0μm未満の総フィルム厚さを有する、反射防止コーティング積層体と、
(D)基材の外側表面上のフルオロシランポリマーを含む最上部コーティング層と、を含む。フルオロシランポリマーは、少なくとも3000、及び最大で10,000の重量平均分子量を有する。フルオロシランポリマーは、アルコキシシラン基及び/若しくはアルキルシラン基を含むオルガノシラン官能基を更に含むパーフルオロポリエーテルを含み、並びに/又はフルオロシランポリマーは、同じ若しくは異なり得る1~4個のフルオロアルキル基及び/若しくはパーフルオロアルキル基を有するシランを含む1つ以上のモノマー化合物から調製される。光学カバーアセンブリは、少なくとも110°の初期脱イオン水接触角を示し、ASTM D7869-17に準拠する試験条件に光学カバーアセンブリを3000時間供した後、少なくとも90°の脱イオン水接触角を示す。物品は、車両、光センサ、LiDAR検出器、モーションセンサ、視覚カメラ、バックアップカメラ、セキュリティカメラ、IRカメラ、ヘッドライト、テールライト、信号灯、RADARエミッタ、RADAR検出器、航空機着陸灯、及びガス検出器のうちの少なくとも1つの部品を含む。
【0007】
本発明はまた、光学カバーアセンブリを含むLiDAR検出器部品にも関し、光学カバーアセンブリは、
(A)外側表面及び反対側の内側表面を含む、905nmの光波長で透過性であるポリカーボネート基材と、
(B)基材の少なくとも外側表面に直接的に塗布されたアクリルポリマー、ゾルゲル、又はポリシロキサンポリマーを含む第1のコーティング層であって、第1のコーティング層が、ベッケ線法を使用して決定される場合、550nmの光波長で1.40~1.65の屈折率、並びに少なくとも50nm、及び45μm未満のフィルム厚さを有する、第1のコーティング層と、
(C)第1のコーティング層に直接的に塗布された少なくとも1つのコーティング層を含む反射防止コーティング積層体であって、反射防止コーティング積層体が、少なくとも50nm、及び1.0μm未満の総フィルム厚さを有する、反射防止コーティング積層体と、
(D)基材の外側表面上の上記のようなフルオロシランポリマーを含む最上部コーティング層と、を含み、光学カバーアセンブリは、少なくとも110°の初期脱イオン水接触角を示し、ASTM D7869-17に準拠する試験条件に光学カバーアセンブリを3000時間供した後、少なくとも90°の脱イオン水接触角を示す。
【0008】
本発明はまた、光学カバーアセンブリを含むLiDAR検出器部品にも関し、光学カバーアセンブリは、
(A)外側表面及び反対側の内側表面を含む、905nmの光波長で透過性であるガラス基材であって、ガラス基材が、ソーダ石灰ガラス、ケイ酸アルミニウムガラス、ホウケイ酸ガラス、又はシリカガラスを含む、ガラス基材と、
(B)第1のコーティング層に直接的に塗布された少なくとも1つのコーティング層を含む反射防止コーティング積層体であって、反射防止コーティング積層体が、少なくとも50nm、及び1.0μm未満の総フィルム厚さを有する、反射防止コーティング積層体と、
(C)基材の外側表面上の上記のようなフルオロシランポリマーを含む最上部コーティング層と、を含み、光学カバーアセンブリは、少なくとも110°の初期脱イオン水接触角を示し、ASTM D7869-17に準拠する試験条件に光学カバーアセンブリを3000時間供した後、少なくとも90°の脱イオン水接触角を示す。
【0009】
本発明はまた、光学カバーアセンブリを含む車両ヘッドライトカバーにも関し、光学カバーアセンブリは、
(A)外側表面及び反対側の内側表面を含むポリカーボネート基材と、
(B)基材の少なくとも外側表面に直接的に塗布されたアクリルポリマー、ゾルゲル、又はポリシロキサンポリマーを含む第1のコーティング層であって、第1のコーティング層が、ベッケ線法を使用して決定される場合、550nmの光波長で1.40~1.65の屈折率、並びに少なくとも50nm、及び45μm未満のフィルム厚さを有する、第1のコーティング層と、
(C)第1のコーティング層に直接的に塗布された少なくとも1つのコーティング層を含む反射防止コーティング積層体であって、反射防止コーティング積層体が、少なくとも50nm、及び1.0μm未満の総フィルム厚さを有する、反射防止コーティング積層体と、
(D)基材の外側表面上の上記のようなフルオロシランポリマーを含む最上部コーティング層と、を含み、光学カバーアセンブリは、少なくとも110°の初期脱イオン水接触角を示し、ASTM D7869-17に準拠する試験条件に光学カバーアセンブリを3000時間供した後、少なくとも90°の脱イオン水接触角を示す。
【0010】
本発明はまた、光学カバーアセンブリを含むカメラ部品にも関し、光学カバーアセンブリは、
(A)外側表面及び反対側の内側表面を含むガラス基材であって、ガラス基材が、ソーダ石灰ガラス、ケイ酸アルミニウムガラス、ホウケイ酸ガラス、又はシリカガラスを含む、ガラス基材と、
(B)第1のコーティング層に直接的に塗布された少なくとも1つのコーティング層を含む反射防止コーティング積層体であって、反射防止コーティング積層体が、少なくとも50nm、及び1.0μm未満の総フィルム厚さを有する、反射防止コーティング積層体と、
(C)基材の外側表面上の上記のようなフルオロシランポリマーを含む最上部コーティング層と、を含み、光学カバーアセンブリは、少なくとも110°の初期脱イオン水接触角を示し、ASTM D7869-17に準拠する試験条件に光学カバーアセンブリを3000時間供した後、少なくとも90°の脱イオン水接触角を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
任意の動作例、又は別途示される場合を除き、本明細書及び特許請求の範囲で使用される構成成分、反応条件などの量を表す全ての数は、全ての例において「約」という用語によって修飾されているものとして理解されるべきである。したがって、相反することが示されない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本発明によって得られる所望の特性に応じて変動し得る近似値である。少なくとも、均等論の原理の適用を特許請求の範囲の範囲に限定しようとするものではなく、各数値パラメータは、少なくとも報告された有効数字の数に照らし合わせて、かつ通常の四捨五入技法を適用することによって解釈されるべきである。
【0012】
本発明の広い範囲を記載する数値範囲及びパラメータは、近似値であるにもかかわらず、特定の例において記載される数値は、できる限り正確に報告される。しかしながら、任意の数値は、本質的に、それぞれの試験測定において見出される標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を含有する。
【0013】
また、本明細書に列挙される任意の数値範囲は、その中に包含される全ての部分範囲を含むことを意図していることを理解されたい。例えば、「1~10」の範囲は、列挙された最小値1と列挙された最大値10との間(それらを含む)、すなわち、1以上の最小値と10以下の最大値とを有する、全ての部分範囲を含むことが意図される。
【0014】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、冠詞「a」、「an」、及び「the」は、明示的かつ明白に1つの参照に限定されない限り、複数の参照を含む。
【0015】
本明細書に提示されるような本発明の様々な実施形態及び実施例は、各々、本発明の範囲に関して非限定的であると理解される。
【0016】
「光学」とは、光及び/又は視覚に関する、又はそれらに関連することを意味する。例えば、光学素子又はデバイスは、光が透過されるディスプレイ素子及びデバイス、スクリーン、並びに窓などのシート製品を含み得る。「カバー」とは、スクリーン又はレンズを意味する。本発明の光学カバーアセンブリ及び物品において使用される基材(A)は、ガラス又は様々なポリマーのいずれかを含み得る。好適なガラス基材としては、Corning Incorporated製のGorilla(登録商標)ガラス、Schott AG製のホウケイ酸ガラス、又は旭硝子株式会社製のDragontrail(登録商標)ガラスなどのソーダ石灰シリカガラス、又はアルミノケイ酸ガラスが挙げられる。
【0017】
プラスチック基材の好適な例としては、ポリオール(アリルカーボネート)モノマー、例えば、PPG Industries,Inc.によって商標CR-39で販売されているモノマーである、ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)などのアリルジグリコールカーボネートから調製されるポリマー;例えば、ポリウレタンプレポリマーとジアミン硬化剤との反応によって調製されるポリ尿素-ポリウレタン(ポリ尿素ウレタン)ポリマー、このようなポリマーの組成物は、PPG Industries,Inc.によって商標TRIVEX(登録商標)で販売されている;ポリオール(メタ)アクリロイル末端カーボネートモノマー、ジエチレングリコールジメタクリレートモノマー、エトキシル化フェノールメタクリレートモノマー、ジイソプロペニルベンゼンモノマー、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートモノマー、エチレングリコールビスメタクリレートモノマー、ポリ(エチレングリコール)ビスメタクリレートモノマー、又はウレタンアクリレートモノマーから調製されるポリマー;ポリ(エトキシル化ビスフェノールAジメタクリレート);ポリ(酢酸ビニル);ポリ(ビニルアルコール);ポリ(塩化ビニル);ポリ(塩化ビニリデン);ポリエチレン;ポリプロピレン;ポリウレタン;ポリチオウレタン;ビスフェノールAとホスゲンとから誘導されるカーボネート結合樹脂などのポリカーボネート、このような材料は、商標LEXAN及びTUFFAKで販売されている;ポリエステル、例えば商標MYLARで販売されている材料;ポリ(エチレンテレフタレート);ポリビニルブチラール;ポリ(メチルメタクリレート)、例えば、商標PLEXIGLASで販売されている材料、並びに多官能性イソシアネートをポリチオール又はポリエピスルフィドモノマーと反応させることによって調製されるポリマーで、ホモ重合、又はポリチオール、ポリイソシアネート、ポリイソチオシアネート、及び任意選択的にエチレン性不飽和モノマー又はハロゲン化芳香族含有ビニルモノマーと共重合及び/又は三重合されるもの、が挙げられる。また、このようなモノマーのコポリマー、並びに記載されたポリマー及びコポリマーと他のポリマーとのブレンドも好適であり、例えば、相互浸透性網目構造生成物を形成する。
【0018】
基材は、典型的には、透過性であり、外側表面及び反対側の内側表面を有し、それらの各々は、独立して、例えば、平坦、凸状、又は凹状であり得る。「外側」表面とは、アセンブリの外側及び大気に向けられ、かつ/又は曝露される表面を意味する。「透過性」とは、透過損失を引き起こす、顕著な光散乱を伴わない電磁放射線(可視かどうかに関係なく)を透過する特性を意味する。可視光に対して透過性である基材を通して見ると、その向こうにある物体は完全に見える。本明細書で使用される場合、透過性である基材及びコーティングは、少なくとも70%の光透過率(透過率%、可視光を使用して以下の等式1によって定義される)を示し得る。試験物品は、電磁放射線送信機アンテナと受信機アンテナの間に搭載され、基材のコーティングされた面が送信機に面している。水は、測定の前にコーティングされた基材に噴霧され得る。挿入損失(insertion loss:IL)が測定され、受信機で検出されなかった送信信号の量を指す。この方法は、基材が入射レーダ周波数を吸収しないか、又はわずかな量を吸収する「損出レス」状態を想定している。
【0019】
等式1.透過率%=100×10IL/10
加えて、本発明の物品を調製するために使用される基材は、短距離及び長距離の両方の周波数を含む、自律車両のための送信機及び受信機などの信号デバイスにおいて使用される電磁放射線に対して透過性である。例えば、LiDAR検出器の部品である光学カバーアセンブリにおいて使用される基材は、典型的には、905nmの光波長を有する電磁放射線に対して透過性である(すなわち、少なくとも70の透過率%を示す)が、可視範囲内などの他の波長に対して透過性ではない場合がある。基材又はコーティングの十分な透過性は、センサ/検出器、信号エミッタ、光源、又はカメラなどの、基材及び/又はコーティングが部品であるデバイスにおける光信号の正確かつ最大の放射及び/又は感知を促進する。
【0020】
本発明の特定の例では、基材(A)はベッケ線法を使用して決定される場合、550nmの光波長で少なくとも1.40、又は少なくとも1.60の屈折率を示す。ベッケ線法では、試験される材料の試料の小部分(多くの場合、粒子状の削りかす)を既知の屈折率の一連の液体に浸漬し、偏光顕微鏡を使用して検査する。粒子によって示されるコントラストの程度は、粒子と液体との間の屈折率の差の程度を示す。液体が試験片のそれとは異なる屈折率を有する場合、光の線又は狭い帯域(ベッケ線)は、試験片の輪郭の周り又はその中で観察され得る。この線の動きは、顕微鏡の焦点を最良の焦点から最良の焦点のわずかに上に変更すると観察され得る。線の存在は、材料の屈折率と搭載液との間の差を示し、その不在は、屈折率における一致を示す。
【0021】
本発明の物品を調製するために使用される光学カバーアセンブリは、任意選択的に、基材の少なくとも外側表面に直接的に塗布された(B)第1のコーティング層を含み得る。それは、基材の両方の反対側の表面に塗布され得る。第1のコーティング層は、使用される場合、少なくとも50nm、又は少なくとも500nm、又は少なくとも750nm、及び最大で45μm、又は最大で25μm、又は最大で1μmのフィルム厚さ、並びにベッケ線法を使用して決定される場合、550nmの光波長で少なくとも1.40、又は少なくとも1.42、又は少なくとも1.45~最大で1.65、又は最大で1.62、又は最大で1.60の屈折率を有する。例えば、第1のコーティング層は、50nm~45μm、又は50nm~25μm、又は50nm~1μm、又は500nm~45μm、又は500nm~25μm、又は500nm~1μm、又は750nm~45μm、又は750nm~25μm、又は750nm~1μmのフィルム厚さを有し得る。加えて、第1のコーティング層は、ベッケ線法を使用して決定される場合、550nmの光波長で1.40~1.65、又は1.40~1.62、又は1.40~1.60、又は1.42~1.65、又は1.42~1.62、又は1.42~1.60、又は1.45~1.65、又は1.45~1.62、又は1.45~1.60の屈折率を示し得る。
【0022】
本明細書に記載される全てのコーティングのフィルム厚さは、特に断りのない限り、コーティングの乾燥フィルム厚さを指すことに留意されたい。
【0023】
第1のコーティング層(B)は、主に、ポリカーボネートなどの高分子基材上に好適であり、典型的には、光学コーティングの分野において公知の「ハードコート」組成物を含む。第1のコーティング層(B)は、例えば、アクリルポリマー、米国特許出願公開第2002/0061407A1号に開示されるようなゾルゲルコーティング、又はポリシロキサンポリマーを含み得る。ポリシロキサンハードコートの例は、SDC Technologies Inc.(Irvine,Calif.)からCrystalCoatとして市販されており、他の好適なハードコートは、Red Spot Corporation(Evansville,Ind.)、又はMomentive Performance Materials(Strongsville,OH.)から市販されている。第1のコーティング層(B)は、浸漬コーティング、スピンコーティング、ロールコーティング、フローコーティング、メニスカスコーティング、又はスプレーコーティングなどの様々な方法のいずれかによって堆積され得る。ハードコートを調製するために使用される組成物は、UV照射硬化性、IR照射硬化性、又は熱硬化性であり得る。「硬化性」という用語は、例えば、硬化性組成物と関連して使用される場合、示される組成物が、例えば、限定されないが、熱(雰囲気硬化を含む)及び/若しくは触媒曝露を含む手段によって、官能基を通して重合可能若しくは架橋可能であることを意味する。「硬化する」、「硬化した」という用語、又は同様の用語は、硬化した又は硬化性組成物、例えば、いくつかの具体的な説明の「硬化した組成物」と関連して使用される場合、硬化可能な組成物を形成する重合性成分及び/又は架橋性成分の少なくとも一部が重合し、かつ/又は架橋していることを意味する。加えて、重合可能な組成物の硬化は、限定されないが組成物の反応性官能基の反応につながる熱硬化などの硬化条件に当該組成物を供することを指し、重合及び重合物の形成をもたらす。重合可能な組成物が硬化条件に供される場合、重合の後、及び反応性末端基のほとんどの反応が発生した後、残りの未反応の反応性末端基の反応速度は徐々に遅くなる。重合可能な組成物は、少なくとも部分的に硬化するまで硬化条件に供され得る。「少なくとも部分的に硬化した」という用語は、重合可能な組成物を硬化条件に供することを意味し、組成物の反応性基の少なくとも10パーセント又は少なくとも20パーセントなどの少なくとも一部の反応が起こって、重合物を形成する。重合可能な組成物はまた、実質的に完全な硬化(反応性基の少なくとも70パーセント、又は少なくとも80パーセント、又は少なくとも90パーセント、最大で100パーセントが反応するなど)が達成されるように、硬化条件に供され得、更なる硬化は、硬度などのポリマー特性において有意な更なる改善をもたらさない。
【0024】
第1のコーティング層(B)の堆積の前に、物品の表面は、コロナ又はプラズマ放電又は化学エッチング(特に、NaOH又はKOH溶液を使用して)などの、いくつかの周知の技術のいずれかによって、接着性を高めるように変性され得る。本明細書に記載されるコーティング層の各々は、物理的蒸着(PVD)、化学的蒸着(CVD)、スロットダイコーティングプロセス、スプレーコーティングプロセス、スピンコーティングプロセス、又はディップコーティングプロセスを含む従来の技術を使用して独立して塗布され得る。
【0025】
本発明の物品を調製するために使用される光学カバーアセンブリは、(C)第1のコーティング層(B)が使用される場合、それに直接的に塗布されるか、又は第1のコーティング層(B)が使用されない場合、基材(A)の少なくとも外側表面に直接的に塗布される、反射防止コーティング積層体を更に含む。典型的には、基材(A)が、ソーダ石灰ガラス、ケイ酸アルミニウムガラス、ホウケイ酸ガラス、又はシリカガラスなどのガラスを含む場合、反射防止コーティング積層体(C)は、基材(A)の外側表面に直接的に塗布される。
【0026】
「積層体」とは、少なくとも1層のコーティング層、より多くの場合複数のコーティング層、通常は2~5層のコーティング層を意味する。複数のコーティング層を使用して、反射防止コーティング積層体(C)を形成する場合、隣接する層は、典型的には、異なる屈折率を有する。例えば、低屈折率層(1.40~1.48など)は、中間屈折率層(1.62~1.85など)又は高屈折率層(1.90~2.10など)に隣接し得る。このような層は、異なる屈折率の任意の組み合わせで積層体中に存在し得る。
【0027】
本発明の特定の例では、反射防止コーティング積層体(C)内のコーティング層のうちの少なくとも1つは、SiO、SiO(式中、xは、1を含む1~2である)、ZrO、TiO、TiO、Ti、Ti、Al、Ta、CeO、MgO、ZnO、Nb、Y、SnO、MgF、及びWOのうちの少なくとも1つから形成される。このようなコーティングは、典型的には、物理的蒸着(PVD)を介して塗布される。多くの場合、反射防止コーティング積層体(C)内のPVDを介したコーティング層のいずれも、アルコキシシラン含有組成物からは形成されない。
【0028】
反射防止コーティング積層体(C)は、少なくとも50nm、又は少なくとも250nm、又は少なくとも500nm、及び最大で1.0μm、又は最大で900nm、又は最大で800nmの総フィルム厚さを有する。例えば、反射防止コーティング積層体(C)は、50nm~1μm、又は50nm~900nm、又は50nm~800nm、又は250nm~1μm、又は250nm~900nm、又は250nm~800nm、又は500nm~1μm、又は500nm~900nm、又は500nm~800nmのフィルム厚さを有し得る。各層のフィルム厚さは、その断面にわたって内部的に一定となる傾向がある。例えば、本発明の特定の例では、反射防止コーティング積層体(C)の各層のフィルム厚さは、その断面にわたって5nm以下、又は3nm以下、又は1nm以下で変化する。
【0029】
上記のように、反射防止コーティング積層体(C)内の複数のコーティング層の各々は、隣接する層とは異なる屈折率を示す。各層の反射率及び厚さは、界面から反射された光ビームに破壊的な干渉、及び対応する透過光ビームに建設的な干渉を生成するように選択される。結果として、コーティングされていない基材と比較して、コーティングされた物品からの総反射率が有意に低減される。コーティングされた物品からの総反射率の低減の大きさが最大化されるように、各層の屈折率及び厚さ、並びにコーティング積層体の構成が最適化され得る。したがって、多層反射防止コーティングは、2つ以上の層を有する光学コーティング積層体として定義され、各々は、選択された屈折率及び厚さを有し、層の特定の順序を有し、総反射低減が最大化されるように、反射ビームにおける破壊的な干渉を増加させるように構成されている。異なる観点から、コーティング積層体は、総透過率の増加が最大化されるように、対応する透過ビームにおける建設的な干渉を増加させるように構成されていると言うことができる。反射防止コーティングの性能は、片面からの反射率を他の面からの反射率を除くことによって、又は両面からの総反射率によって、又は総透過率によって測定され得る。反射防止コーティングの効果はまた、基材の片側又は両側からの反射率ΔRの低減、又は透過率ΔTの増加としても定義され得る。反射防止コーティング積層体の光吸収は、通常無視できるので、反射率の低減は、透過率の増加に概ね等しい。すなわちΔR=ΔTである。ΔR又はΔTが大きい程、反射防止コーティングの性能は、より良好である。ΔR又はΔTは、コーティングされた物品の反射率又は透過率と、コーティングされていない基材の反射率又は透過率との差から計算され得る。基材の片面上のみのコーティングの場合、コーティングが反射防止とみなされるためには、コーティングされた物品の反射率は、コーティングされていない基材の反射率よりも低いか、又はコーティングされた物品の透過率は、コーティングされていない基材の透過率よりも高い。
【0030】
本発明の特定の例では、光学カバーアセンブリは、450nm~650nmの波長範囲内で、1.5%未満、又は1.0%未満、又は0.5%未満の片面の積分された鏡面反射のみの反射率を示す。追加的又は代替的に、光学カバーアセンブリは、895nm~915nmの波長範囲内で、1.5%未満、又は1.0%未満、又は0.5%未満の片面の積分された鏡面反射のみの反射率を示し得る。コーティングされた試料の片面の積分された鏡面反射のみの反射率は、PMT/ingaas 150mm積分球を有するPerkin Elmer Lambda 1050分光光度計を使用して測定される。測定箇所では、ガラス基材の裏表面に黒色の電気テープが貼付される。次いで、テープは、マーカー又はペンの後端を用いて完全に擦られて、全ての空気を除去し、ガラス表面とテープの接着剤との間に完全な接触を提供する。反射率の測定は、鏡面反射鏡を基準材料として用いて行われる。0%ラインは、反射率ポートでカスタム光トラップを用いて収集される。総反射率(鏡面反射を含む)の測定は、球体の鏡面反射スポットに設置されたスペクトルオンプラグを用いて行われ、拡散反射率(鏡面反射を含まない)の測定は、球体の鏡面反射スポットから取り外されたスペクトルオンプラグを用いて行われる。鏡面反射のみの反射率は、鏡面反射を含むスペクトルから鏡面反射を除いたスペクトルを差し引くことによって決定される。
【0031】
本発明の物品を調製するために使用される光学カバーアセンブリは、(D)基材の外側表面上のフルオロシランポリマーを含む最上部コーティング層を更に含む。最上部コーティング層(D)中のフルオロシランポリマーは、少なくとも3000、例えば少なくとも3500、及び最大で10,000、例えば最大で7000の重量平均分子量を有する。本発明の特定の例では、フルオロシランポリマーは、3000~7000、例えば4000の重量平均分子量を有する。重量平均分子量は、ポリスチレン標準物質を使用するゲル浸透クロマトグラフィーによって測定される。フルオロシランポリマーは、アルコキシシラン基及び/又はアルキルシラン基などのオルガノシラン官能基を更に含むパーフルオロポリエーテルを含み得る。フルオロシランポリマーは、追加的又は代替的に、同じ若しくは異なり得る1~4個のフルオロアルキル基及び/若しくはパーフルオロアルキル基を有するシランなどの、1つ以上のモノマー化合物から調製され得る。フルオロシランの組み合わせは、それらのうちの少なくとも1つが、上記で定義されたようなフルオロシランポリマーを含むという条件で、最上部コーティング層(D)中で使用され得る。最上部コーティング層(D)を形成するために使用される組成物は、塩素化され得るアルコキシシラン及び/又はアルキルシランなどの他のオルガノシランを更に含み得る。
【0032】
最上部コーティング層(D)は、反射防止コーティング積層体(C)に直接的に、又は結合層などの介在層の上部に反射防止コーティング積層体(C)に間接的に、のいずれかで塗布され得る。この最上部コーティング層は、典型的には、大気条件に曝露され、光学カバーアセンブリに重要なUV耐久性及び疎水性を提供する。「疎水性」とは、そのように記載される材料(例えば、モノマー又はポリマー)が非極性特性を有し、アルカン及び油などの非極性溶媒と相互作用する、それと混和性である、又はそれによって溶解する傾向を有することを意味する。定義によれば、分子は、二原子分子の2つの原子間に等しい電子の共有が存在する場合、又は分子内に全体的な双極子が存在しないように、より複雑な分子内の極性結合の対称配置のために、非極性であり得る。本発明では、「疎水性」とは、光学カバーアセンブリが、少なくとも110°、又は少なくとも112°、又は少なくとも115°の初期脱イオン水接触角を示すことを意味すると理解される。「接触角」とは、静的接触角を意味し、AST Products(Billerica,MA)のVGA Optima Water Contact Angle Analyzerなどの光学ゴニオメータ/テンシオメータを使用して、セシルドロップ測定技術を介して測定される。1μlの体積の脱イオン水の液滴を光学カバーアセンブリの試料の外側表面に置き、液滴の画像を記録する。次いで、静的接触角は、画像解析ソフトウェアを使用して液滴の周りにYoung-Laplace等式を当てはめることによって定義される。
【0033】
「UV耐久性」とは、光学カバーアセンブリが、ASTM D7869-17(2017年3月発刊)に準拠する試験条件に光学カバーアセンブリを3000時間供した後、少なくとも90°の脱イオン水接触角を示す。
【0034】
視覚的に透過性である光学カバーアセンブリの場合、本発明の物品を調製するために使用される光学カバーアセンブリは、典型的には、ASTM D7869-17に準拠する試験条件に光学カバーアセンブリを3000時間供した後、0.5%未満のヘイズ値を示す。ヘイズとは、透過において見られるほぼ透明な試料の表面からの光の前方散乱として定義され、入射から2.5度を超える散乱した光のみがヘイズに寄与するとみなされる。 ヘイズは、透過した光の総量と比較して、拡散的に散乱する光のパーセンテージである。ヘイズ値は、例えば、ASTM D-1003(2003年発刊)に準拠する試験条件下で、BYK-Gardnerから入手可能なHazeGard Plusヘイズメータを使用して、550ナノメートルで測定される。
【0035】
最上部コーティング層(D)は、少なくとも1nm、又は少なくとも5nm、又は少なくとも10nm、及び最大で50nm、又は最大で40nm、又は最大で30nmのフィルム厚さを有する。例えば、最上部コーティング層(D)は、1nm~50nm、又は1nm~40nm、又は1nm~30nm、又は5nm~50nm、又は5nm~40nm、又は5nm~30nm、又は10nm~50nm、又は10nm~40nm、又は10nm~30nmのフィルム厚さを有し得る。典型的には、最上部コーティング層(D)は、50nm未満の厚さを有する。
【0036】
本発明の物品は、車両、光センサ、LiDAR検出器、モーションセンサ、視覚カメラ、バックアップカメラ、セキュリティカメラ、IRカメラ、ヘッドライト、テールライト、信号灯、RADARエミッタ、RADAR検出器、航空機着陸灯、及びガス検出器のうちの少なくとも1つの部品を含む。部品のうちの1つ以上は、自律車両内にあり得る。本発明の特定の例では、物品は、自律車両に搭載された視覚カメラ、光センサ、LIDAR検出器、モーションセンサ、バックアップカメラ、又はライト(例えば、ヘッドライト、テールライト、ブレーキライトなど)の部品である。
【0037】
本発明の特定の例では、コーティング層(B)及び(C)の各々は、基材の両方の反対側の表面上にコーティングされ、光学カバーアセンブリは、基材の内側表面上に、反射防止コーティング積層体(C)に直接的に、又は介在層の上部に反射防止コーティング積層体(C)に間接的に、のいずれかで最上部層として塗布された防曇性コーティング層(D’)を更に含む。防曇性コーティング層(D’)は、15°未満、又は10°未満、又は5°未満の初期水接触角を示す。この構造は、光学カバーアセンブリが、以下に記載されるヘッドライトカバーなどのヘッドライトの部品である場合に特に好適である。
【0038】
本発明は更に、光学カバーアセンブリを含む車両ヘッドライトカバーにも関し、光学カバーアセンブリは、
(A)外側表面及び反対側の内側表面を含むポリカーボネート基材と、
(B)基材の少なくとも外側表面に直接的に塗布された、上記のようなアクリルポリマー、ゾルゲル、又はポリシロキサンポリマーを含む第1のコーティング層であって、第1のコーティング層が、ベッケ線法を使用して決定される場合、550nmの光波長で1.40~1.65の屈折率、並びに少なくとも50nm、及び45μm未満のフィルム厚さを有する、第1のコーティング層と、
(C)第1のコーティング層に直接的に塗布された少なくとも1つのコーティング層を含む、上記のような反射防止コーティング積層体であって、反射防止コーティング積層体が、少なくとも50nm、及び1.0μm未満の総フィルム厚さを有する、反射防止コーティング積層体と、
(D)基材の外側表面上の上記のようなフルオロシランポリマーを含む上記のような最上部コーティング層であって、それが、反射防止コーティング積層体(C)に直接的に、又は介在層の上部に反射防止コーティング積層体(C)に間接的に、のいずれかで塗布され得る、最上部コーティング層と、を含み、光学カバーアセンブリは、少なくとも110°、又は少なくとも112°、又は少なくとも115°の初期脱イオン水接触角を示し、ASTM D7869-17に準拠する試験条件に光学カバーアセンブリを3000時間供した後、少なくとも90°の脱イオン水接触角を示す。
【0039】
本発明の車両ヘッドライトカバーに使用される光学カバーアセンブリは、典型的には、450nm~650nmの波長範囲内で、1.5%未満、又は1.0%未満、又は0.5%未満の片面の積分された鏡面反射のみの反射率を示す。加えて、本発明の車両ヘッドライトカバーで使用される光学カバーアセンブリは、典型的には、ASTM D7869-17に準拠する試験条件に光学カバーアセンブリを3000時間供した後、0.5%未満のヘイズ値を示す。
【0040】
別の特定の例では、本発明は、光学カバーアセンブリを含むLiDAR検出器部品に関し、光学カバーアセンブリは、
(A)外側表面及び反対側の内側表面を含む、905nmの光波長で透過性であるポリカーボネート基材(可視光に対して透過性であってもなくてもよいことに留意されたい)と、
(B)基材の少なくとも外側表面に直接的に塗布された、上記のようなアクリルポリマー、ゾルゲル、又はポリシロキサンポリマーを含む第1のコーティング層であって、第1のコーティング層が、ベッケ線法を使用して決定される場合、550nmの光波長で1.40~1.65の屈折率、並びに少なくとも50nm、及び45μm未満のフィルム厚さを有する、第1のコーティング層と、
(C)第1のコーティング層に直接的に塗布された少なくとも1つのコーティング層を含む、上記のような反射防止コーティング積層体であって、反射防止コーティング積層体が、少なくとも50nm、及び1.0μm未満の総フィルム厚さを有する、反射防止コーティング積層体と、
(D)基材の外側表面上の上記のようなフルオロシランポリマーを含む上記のような最上部コーティング層であって、それが、反射防止コーティング積層体(C)に直接的に、又は介在層の上部に反射防止コーティング積層体(C)に間接的に、のいずれかで塗布され得る、最上部コーティング層と、を含み、光学カバーアセンブリは、少なくとも110°、又は少なくとも112°、又は少なくとも115°の初期脱イオン水接触角を示し、ASTM D7869-17に準拠する試験条件に光学カバーアセンブリを3000時間供した後、少なくとも90°の脱イオン水接触角を示す。
【0041】
本発明のLiDAR検出器部品の代替例では、基材(A)は、外側表面及び反対側の内面を含む、905nmの光波長で透過性であるガラス基材(重ねて、可視光に対して透過性であってもなくてもよい)を含み得、ガラス基材は、ソーダ石灰ガラス、ケイ酸アルミニウムガラス、ホウケイ酸ガラス、又はシリカガラスを含む。このシナリオでは、第1のコーティング層(B)は、任意選択である。
【0042】
LiDAR検出器部品の両方の例では、反射防止コーティング積層体は、基材の両方の反対側の表面上に(第1のコーティング層が存在する場合、その上部に、又は基材上に直接的に)コーティングされ得、光学カバーアセンブリは、基材の内側表面上に、反射防止コーティング積層体(C)に直接的に、又は介在層の上部に反射防止コーティング積層体(C)に間接的に、のいずれかで最上部層として塗布された防曇性コーティング層を更に含み得る。防曇性コーティング層は、15°未満、又は10°未満、又は5°未満の初期水接触角を示す。
【0043】
本発明の別の例では、光学カバーアセンブリを含むカメラ部品が提供され、光学カバーアセンブリは、
(A)外側表面及び反対側の内側表面を含むガラス基材であって、ガラス基材が、ソーダ石灰ガラス、ケイ酸アルミニウムガラス、ホウケイ酸ガラス、又はシリカガラスを含む、ガラス基材と、
(B)第1のコーティング層に直接的に塗布された少なくとも1つのコーティング層を含む反射防止コーティング積層体であって、反射防止コーティング積層体が、少なくとも50nm、及び1.0μm未満の総フィルム厚さを有する、反射防止コーティング積層体と、
(C)基材の外側表面上の上記のようなフルオロシランポリマーを含む最上部コーティング層であって、それが、反射防止コーティング積層体(B)に直接的に、又は介在層の上部に反射防止コーティング積層体(B)に間接的に、のいずれかで塗布され得る、最上部コーティング層と、を含み、光学カバーアセンブリは、少なくとも110°、又は少なくとも112°、又は少なくとも115°の初期脱イオン水接触角を示し、ASTM D7869-17に準拠する試験条件に光学カバーアセンブリを3000時間供した後、少なくとも90°の脱イオン水接触角を示す。カメラ部品は、車両に有用であり、レンズ及び/又はレンズスクリーンを含み得る。
【0044】
カメラ部品において使用される反射防止コーティング積層体は、基材の両方の反対側の表面上にコーティングされ得、光学カバーアセンブリは、基材の内側表面上に、反射防止コーティング積層体(B)に直接的に、又は介在層の上部に反射防止コーティング積層体(B)に間接的に、のいずれかで最上部層として塗布された防曇性コーティング層を更に含み得る。防曇性コーティング層は、15°未満、又は10°未満、又は5°未満の初期水接触角を示す。
【0045】
本発明のカメラ部品で使用される光学カバーアセンブリは、典型的には、450nm~650nmの波長範囲内で、1.5%未満、又は1.0%未満、又は0.5%未満の、片面の積分された鏡面反射のみの反射率を示す。加えて、本発明のカメラ部品で使用される光学カバーアセンブリは、典型的には、ASTM D7869-17に準拠する試験条件に光学カバーアセンブリを3000時間供した後、0.5%未満のヘイズ値を示す。
【0046】
自立車両を含む今日使用中の多くの車両は、様々な目的のために信号を送受信するための送信機及びセンサなどの部品を利用しる。このような車両の継続的な正確かつ安全な動作のためには、電波の形態で典型的に電磁放射線であるこれらの信号が決して妨げられないことが不可欠である。送信機及びセンサを被覆するコーティングされた基材は、そこを通る信号の伝送を可能にしなければならない。本発明の物品を使用することによって、汚染物質の蓄積を軽減し、これらの部品の耐久性を延長することは、特に有益である。
【0047】
上述の実施形態及び特性の各々、並びにこれらの組み合わせは、本発明によって包含されると言うことができる。したがって、例えば、本発明は、以下の非限定的な態様に関する。
【0048】
第1の態様では、光学カバーアセンブリを含む物品であって、光学カバーアセンブリが、
(A)外側表面及び反対側の内側表面を含む基材であって、基材が、ベッケ線法を使用して決定される場合、550nmの光波長で少なくとも1.40の屈折率を示す、基材と、
(B)基材の少なくとも外側表面に直接的に塗布された任意選択的な第1のコーティング層であって、第1のコーティング層が、使用される場合、少なくとも50nm、及び45μm未満のフィルム厚さ、並びにベッケ線法を使用して決定される場合、550nmの光波長で1.40~1.65の屈折率を有する、任意選択的な第1のコーティング層と、
(C)少なくとも1つのコーティング層を含む反射防止コーティング積層体であって、反射防止コーティング積層体が、第1のコーティング層(B)が使用される場合、それに直接的に塗布されるか、又は第1のコーティング層が使用されない場合、基材(A)の少なくとも外側表面に直接的に塗布され、反射防止コーティング積層体が、少なくとも50nm、及び1.0μm未満の総フィルム厚さを有する、反射防止コーティング積層体と、
(D)基材の外側表面上のフルオロシランポリマーを含む最上部コーティング層であって、フルオロシランポリマーが、少なくとも3000、若しくは少なくとも3500、及び最大で10,000、若しくは最大で7000の重量平均分子量を有し、フルオロシランポリマーが、アルコキシシラン基及び/若しくはアルキルシラン基を含むオルガノシラン官能基を更に含むパーフルオロポリエーテルを含み、かつ/又は、フルオロシランポリマーが、同じ若しくは異なり得る1~4個のフルオロアルキル基及び/若しくはパーフルオロアルキル基を有するシランを含む1つ以上のモノマー化合物から調製される、最上部コーティング層と、を含み、光学カバーアセンブリが、少なくとも110°(又は少なくとも112°、又は少なくとも115°)の初期脱イオン水接触角を示し、ASTM D7869-17に準拠する試験条件に光学カバーアセンブリを3000時間供した後、少なくとも90°の脱イオン水接触角を示し、物品が、車両、光センサ、LiDAR検出器、モーションセンサ、視覚カメラ、バックアップカメラ、セキュリティカメラ、IRカメラ、ヘッドライト、テールライト、信号灯、RADARエミッタ、RADAR検出器、航空機着陸灯、及びガス検出器のうちの少なくとも1つの部品を含む、物品。
【0049】
第2の態様では、光学カバーアセンブリが、450nm~650nmの波長範囲内で、1.5%未満、又は1.0%未満、又は0.5%未満の片面の積分された鏡面反射のみの反射率を示す、第1の態様に記載の物品。
【0050】
第3の態様では、光学カバーアセンブリが、895nm~915nmの波長範囲内で、1.5%未満、又は1.0%未満、又は0.5%未満の片面の積分された鏡面反射のみの反射率を示す、先行態様のいずれか1つに記載の物品。
【0051】
第4の態様では、反射防止コーティング積層体(C)の各層のフィルム厚さが、その断面にわたって、5nm以下、又は3nm以下、又は1nm以下で変化する、先行態様のいずれか1つに記載の物品。
【0052】
第5の態様では、光学カバーアセンブリが、車両に搭載されている、先行態様のいずれか1つに記載の物品。
【0053】
第6の態様では、基材(A)が、ソーダ石灰ガラス、ケイ酸アルミニウムガラス、ホウケイ酸ガラス、シリカガラス、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリ尿素-ウレタン、ポリエチレンテレフタレート、又はアリルジグリコールカーボネートを含む、先行態様のいずれか1つに記載の物品。
【0054】
第7の態様では、基材(A)が、ポリカーボネートを含み、第1のコーティング層(B)が、基材(A)の外側表面に直接的に塗布されている、第6の態様に記載の物品。
【0055】
第8の態様では、基材(A)が、ソーダ石灰ガラス、ケイ酸アルミニウムガラス、ホウケイ酸ガラス、又はシリカガラスを含み、反射防止コーティング積層体(C)が、基材(A)の外側表面に直接的に塗布されている、第6の態様に記載の物品。
【0056】
第9の態様では、物品が、自律車両に搭載された視覚カメラの部品である、先行態様のいずれか1つに記載の物品。
【0057】
第10の態様では、物品が、自律車両に搭載されたLiDAR検出器の部品である、第1~第8の態様のいずれか1つに記載の物品。
【0058】
第11の態様では、物品が、光センサの部品である、第1~第8の態様のいずれか1つに記載の物品。
【0059】
第12の態様では、物品が、モーションセンサの部品である、第1~第8の態様のいずれか1つに記載の物品。
【0060】
第13の態様では、物品が、バックアップカメラの部品である、第1~第8の態様のいずれか1つに記載の物品。
【0061】
第14の態様では、物品が、セキュリティカメラの部品である、第1~第8の態様のいずれか1つに記載の物品。
【0062】
第15の態様では、物品が、IRカメラの部品である、第1~第8の態様のいずれか1つに記載の物品。
【0063】
第16の態様では、物品が、テールライトの部品である、第1~第8の態様のいずれか1つに記載の物品。
【0064】
第17の態様では、物品が、信号灯の部品である、第1~第8の態様のいずれか1つに記載の物品。
【0065】
第18の態様では、物品が、RADARエミッタの部品である、第1~第8の態様のいずれか1つに記載の物品。
【0066】
第19の態様では、物品が、RADAR検出器の部品である、第1~第8の態様のいずれか1つに記載の物品。
【0067】
第20の態様では、物品が、航空機着陸灯の部品である、第1~第8の態様のいずれか1つに記載の物品。
【0068】
第21の態様では、物品が、ガス検出器の部品である、第1~第8の態様のいずれか1つに記載の物品。
【0069】
第22の態様では、第1のコーティング層(B)が、基材の少なくとも外側表面に直接的に塗布され、アクリルポリマー、ゾルゲル、又はポリシロキサンポリマーコーティングを含む、先行態様のいずれか1つに記載の物品。
【0070】
第23の態様では、反射防止コーティング積層体が、複数のコーティング層を含む、先行態様のいずれか1つに記載の物品。
【0071】
第24の態様では、最上部コーティング層(D)が、ポリスチレン標準品を使用したゲル浸透クロマトグラフィーによって測定される場合、3000~7000、例えば4000の重量平均分子量を有するフルオロシランポリマーを含み、最上部コーティング層(D)が、50nm未満の厚さを有する、先行態様のいずれか1つに記載の物品。
【0072】
第25の態様では、最上部コーティング層(D)が、反射防止コーティング積層体(C)に直接的に、又は介在層の上部に反射防止コーティング積層体(C)に間接的に、のいずれかで塗布されている、先行態様のいずれか1つに記載の物品。
【0073】
第26の態様では、コーティング層(B)及び(C)の各々が、基材の両方の反対側の表面上にコーティングされ、光学カバーアセンブリが、
(D’)基材の内側表面上に、反射防止コーティング積層体(C)に直接的に、又は介在層の上部に反射防止コーティング積層体(C)に間接的に、のいずれかで最上部層として塗布された防曇性コーティング層であって、防曇性コーティング層(D’)が、15°未満、又は10°未満、又は5°未満の初期水接触角を示す、防曇性コーティング層を更に含む、先行態様のいずれか1つに記載の物品。
【0074】
第27の態様では、物品が、ヘッドライトの部品である、第26の態様に記載の物品。
【0075】
第28の態様では、反射防止コーティング積層体(C)内のコーティング層のいずれも、アルコキシシラン含有組成物からは形成されていない、先行態様のいずれか1つに記載の物品。
【0076】
第29の態様では、反射防止コーティング積層体(C)内のコーティング層のうちの少なくとも1つが、SiO、SiO(式中、xは、1を含む1~2である)、ZrO、TiO、TiO、Ti、Ti、Al、Ta、CeO、MgO、ZnO、Nb、Y、SnO、MgF、及びWOのうちの少なくとも1つから形成され、物理的蒸着を介して塗布されている、先行態様のいずれか1つに記載の物品。
【0077】
第30の態様では、光学カバーアセンブリを含むLiDAR検出器部品であって、光学カバーアセンブリが、
(A)外側表面及び反対側の内側表面を含む、905nmの光波長で透過性であるポリカーボネート基材と、
(B)基材の少なくとも外側表面に直接的に塗布されたアクリルポリマー、ゾルゲル、又はポリシロキサンポリマーを含む第1のコーティング層であって、第1のコーティング層が、ベッケ線法を使用して決定される場合、550nmの光波長で1.40~1.65の屈折率、並びに少なくとも50nm、及び45μm未満のフィルム厚さを有する、第1のコーティング層と、
(C)第1のコーティング層に直接的に塗布された少なくとも1つのコーティング層を含む反射防止コーティング積層体であって、反射防止コーティング積層体が、少なくとも50nm、及び1.0μm未満の総フィルム厚さを有する、反射防止コーティング積層体と、
(D)基材の外側表面上のフルオロシランポリマーを含む最上部コーティング層であって、フルオロシランポリマーが、少なくとも3000、若しくは少なくとも3500、及び最大で10,000、若しくは最大で7000の重量平均分子量を有し、フルオロシランポリマーが、アルコキシシラン基及び/若しくはアルキルシラン基を含むオルガノシラン官能基を更に含むパーフルオロポリエーテルを含み、かつ/又は、フルオロシランポリマーが、同じ若しくは異なり得る1~4個のフルオロアルキル基及び/若しくはパーフルオロアルキル基を有するシランを含む1つ以上のモノマー化合物から調製される、最上部コーティング層と、を含み、光学カバーアセンブリが、少なくとも110°、又は少なくとも112°、又は少なくとも115°の初期脱イオン水接触角を示し、ASTM D7869-17に準拠する試験条件に光学カバーアセンブリを3000時間供した後、少なくとも90°の脱イオン水接触角を示す、LiDAR検出器部品。
【0078】
第31の態様では、コーティング層(B)及び(C)の各々が、基材の両方の反対側の表面上にコーティングされ、光学カバーアセンブリが、
(D’)基材の内側表面上に、反射防止コーティング積層体(C)に直接的に、又は介在層の上部に反射防止コーティング積層体(C)に間接的に、のいずれかで最上部層として塗布された防曇性コーティング層であって、防曇性コーティング層(D’)が、15°未満、又は10°未満、又は5°未満の初期水接触角を示す、防曇性コーティング層を更に含む、第30の態様に記載のLiDAR検出器部品。
【0079】
第32の態様では、光学カバーアセンブリが、895nm~915nmの波長範囲内で、1.5%未満、又は1.0%未満、又は0.5%未満の光の片面の積分された鏡面反射のみの反射率を示す、第30又は第31の態様に記載のLiDAR検出器部品。
【0080】
第33の態様では、最上部コーティング層(D)が、反射防止コーティング積層体(C)に直接的に、又は介在層の上部に反射防止コーティング積層体(C)に間接的に、のいずれかで塗布されている、第30~第32の態様のいずれか1つに記載のLiDAR検出器部品。
【0081】
第34の態様では、光学カバーアセンブリを含むLiDAR検出器部品であって、光学カバーアセンブリが、
(A)外側表面及び反対側の内側表面を含む、905nmの光波長で透過性であるガラス基材であって、ガラス基材が、ソーダ石灰ガラス、ケイ酸アルミニウムガラス、ホウケイ酸ガラス、又はシリカガラスを含む、ガラス基材と、
(B)第1のコーティング層に直接的に塗布された少なくとも1つのコーティング層を含む反射防止コーティング積層体であって、反射防止コーティング積層体が、少なくとも50nm、及び1.0μm未満の総フィルム厚さを有する、反射防止コーティング積層体と、
(C)基材の外側表面上のフルオロシランポリマーを含む最上部コーティング層であって、フルオロシランポリマーが、少なくとも3000、若しくは少なくとも3500、及び最大で10,000、若しくは最大で7000の重量平均分子量を有し、フルオロシランポリマーが、アルコキシシラン基及び/若しくはアルキルシラン基を含むオルガノシラン官能基を更に含むパーフルオロポリエーテルを含み、かつ/又は、フルオロシランポリマーが、同じ若しくは異なり得る1~4個のフルオロアルキル基及び/若しくはパーフルオロアルキル基を有するシランを含む1つ以上のモノマー化合物から調製される、最上部コーティング層と、を含み、光学カバーアセンブリが、少なくとも110°、又は少なくとも112°、又は少なくとも115°の初期脱イオン水接触角を示し、ASTM D7869-17に準拠する試験条件に光学カバーアセンブリを3000時間供した後、少なくとも90°の脱イオン水接触角を示す、LiDAR検出器部品。
【0082】
第35の態様では、反射防止コーティング積層体(B)が、基材の両方の反対側の表面上にコーティングされ、光学カバーアセンブリが、
(C’)基材の内側表面上に、反射防止コーティング積層体(B)に直接的に、又は介在層の上部に反射防止コーティング積層体(B)に間接的に、のいずれかで最上部層として塗布された防曇性コーティング層であって、防曇性コーティング層(C’)が、15°未満、又は10°未満、又は5°未満の初期水接触角を示す、防曇性コーティング層を更に含む、第34の態様に記載のLiDAR検出器部品。
【0083】
第36の態様では、光学カバーアセンブリが、895nm~915nmの波長範囲内で、1.5%未満、又は1.0%未満、又は0.5%未満の光の片面の積分された鏡面反射のみの反射率を示す、第34又は第35の態様に記載のLiDAR検出器部品。
【0084】
第37の態様では、コーティング層(C)が、反射防止コーティング積層体(B)に直接的に、又は介在層の上部に反射防止コーティング積層体(B)に間接的に、のいずれかで塗布されている、第34~第36の態様のいずれか1つに記載のLiDAR検出器部品。
【0085】
第38の態様では、光学被覆アセンブリを含む車両ヘッドライトカバーであって、光学被覆アセンブリが、
(A)外側表面及び反対側の内側表面を含むポリカーボネート基材と、
(B)基材の少なくとも外側表面に直接的に塗布されたアクリルポリマー、ゾルゲル、又はポリシロキサンポリマーを含む第1のコーティング層であって、第1のコーティング層が、ベッケ線法を使用して決定される場合、550nmの光波長で1.40~1.65の屈折率、並びに少なくとも50nm、及び45μm未満のフィルム厚さを有する、第1のコーティング層と、
(C)第1のコーティング層に直接的に塗布された少なくとも1つのコーティング層を含む反射防止コーティング積層体であって、反射防止コーティング積層体が、少なくとも50nm、及び1.0μm未満の総フィルム厚さを有する、反射防止コーティング積層体と、
(D)基材の外側表面上のフルオロシランポリマーを含む最上部コーティング層であって、フルオロシランポリマーが、少なくとも3000、若しくは少なくとも3500、及び最大で10,000、若しくは最大で7000の重量平均分子量を有し、フルオロシランポリマーが、アルコキシシラン基及び/若しくはアルキルシラン基を含むオルガノシラン官能基を更に含むパーフルオロポリエーテルを含み、かつ/又は、フルオロシランポリマーが、同じ若しくは異なり得る1~4個のフルオロアルキル基及び/若しくはパーフルオロアルキル基を有するシランを含む1つ以上のモノマー化合物から調製される、最上部コーティング層と、を含み、光学カバーアセンブリが、少なくとも110°、又は少なくとも112°、又は少なくとも115°の初期脱イオン水接触角を示し、ASTM D7869-17に準拠する試験条件に光学カバーアセンブリを3000時間供した後、少なくとも90°の脱イオン水接触角を示す、車両ヘッドライトカバー。
【0086】
第39の態様では、コーティング層(B)及び(C)の各々が、基材の両方の反対側の表面上にコーティングされ、光学カバーアセンブリが、
(D’)基材の内側表面上に、反射防止コーティング積層体(C)に直接的に、又は介在層の上部に反射防止コーティング積層体(C)に間接的に、のいずれかで最上部層として塗布された防曇性コーティング層であって、防曇性コーティング層(D’)が、15°未満、又は10°未満、又は5°未満の初期水接触角を示す、防曇性コーティング層を更に含む、第38の態様に記載の車両ヘッドライトカバー。
【0087】
第40の態様では、光学カバーアセンブリが、450nm~650nmの波長範囲内で、1.5%未満、又は1.0%未満、又は0.5%未満の片面の積分された鏡面反射のみの反射率を示す、第38又は第39の態様に記載の車両ヘッドライトカバー。
【0088】
第41の態様では、光学カバーアセンブリが、ASTM D7869-17に準拠する試験条件に光学カバーアセンブリを3000時間供した後、0.5%未満のヘイズ値を示す、第38~第40の態様のいずれか1つに記載の車両ヘッドライトカバー。
【0089】
第42の態様では、最上部コーティング層(D)が、反射防止コーティング積層体(C)に直接的に、又は介在層の上部に反射防止コーティング積層体(C)に間接的に、のいずれかで塗布されている、第38~第41の態様のいずれか1つに記載の車両ヘッドライトカバー。
【0090】
第43の態様では、光学カバーアセンブリを含むカメラ部品であって、光学カバーアセンブリが、
(A)外側表面及び反対側の内側表面を含むガラス基材であって、ガラス基材が、ソーダ石灰ガラス、ケイ酸アルミニウムガラス、ホウケイ酸ガラス、又はシリカガラスを含む、ガラス基材と、
(B)第1のコーティング層に直接的に塗布された少なくとも1つのコーティング層を含む反射防止コーティング積層体であって、反射防止コーティング積層体が、少なくとも50nm、及び1.0μm未満の総フィルム厚さを有する、反射防止コーティング積層体と、
(C)基材の外側表面上のフルオロシランポリマーを含む最上部コーティング層であって、フルオロシランポリマーが、少なくとも3000、若しくは少なくとも3500、及び最大で10,000、若しくは最大で7000の重量平均分子量を有し、フルオロシランポリマーが、アルコキシシラン基及び/若しくはアルキルシラン基を含むオルガノシラン官能基を更に含むパーフルオロポリエーテルを含み、かつ/又は、フルオロシランポリマーが、同じ若しくは異なり得る1~4個のフルオロアルキル基及び/若しくはパーフルオロアルキル基を有するシランを含む1つ以上のモノマー化合物から調製される、最上部コーティング層と、を含み、光学カバーアセンブリが、少なくとも110°、又は少なくとも112°、又は少なくとも115°の初期脱イオン水接触角を示し、ASTM D7869-17に準拠する試験条件に光学カバーアセンブリを3000時間供した後、少なくとも90°の脱イオン水接触角を示す、カメラ部品。
【0091】
第44の態様では、反射防止コーティング積層体(B)が、基材の両方の反対側の表面上にコーティングされ、光学カバーアセンブリが、
(C’)基材の内側表面上に、反射防止コーティング積層体(B)に直接的に、又は介在層の上部に反射防止コーティング積層体(B)に間接的に、のいずれかで最上部層として塗布された防曇性コーティング層であって、防曇性コーティング層(C’)が、15°未満、又は10°未満、又は5°未満の初期水接触角を示す、防曇性コーティング層を更に含む、第43の態様に記載のカメラ部品。
【0092】
第45の態様では、光学カバーアセンブリが、450nm~650nmの波長範囲内で、1.5%未満、又は1.0%未満、又は0.5%未満の光の片面の積分された鏡面反射のみの反射率を示す、第43又は第44の態様に記載のカメラ部品。
【0093】
第46の態様では、光学カバーアセンブリが、ASTM D7869-17に準拠する試験条件に光学カバーアセンブリを3000時間供した後、0.5%未満のヘイズ値を示す、第43~第45の態様のいずれか1つに記載のカメラ部品。
【0094】
第47の態様では、カメラ部品が、車両に搭載され、レンズ又はレンズスクリーンを含む、第43~第46の態様のいずれか1つに記載のカメラ部品。
【0095】
第48の態様では、コーティング層(C)が、反射防止コーティング積層体(B)に直接的に、又は介在層の上部に反射防止コーティング積層体(B)に間接的に、のいずれかで塗布されている、第43~第47の態様のいずれか1つに記載のカメラ部品。
【0096】
本発明の特定の実施形態が、例示の目的で上に記載されてきたが、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の詳細に多数の変更が行われ得ることは、当業者に明らかであろう。
【国際調査報告】