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特表2024-504292シェル及びプレート技術によるグランド復水器スキッドシステム
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  • 特表-シェル及びプレート技術によるグランド復水器スキッドシステム 図1
  • 特表-シェル及びプレート技術によるグランド復水器スキッドシステム 図2
  • 特表-シェル及びプレート技術によるグランド復水器スキッドシステム 図3A
  • 特表-シェル及びプレート技術によるグランド復水器スキッドシステム 図3B
  • 特表-シェル及びプレート技術によるグランド復水器スキッドシステム 図4
  • 特表-シェル及びプレート技術によるグランド復水器スキッドシステム 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-31
(54)【発明の名称】シェル及びプレート技術によるグランド復水器スキッドシステム
(51)【国際特許分類】
   F28F 9/02 20060101AFI20240124BHJP
   F28B 1/00 20060101ALI20240124BHJP
   F01D 25/32 20060101ALI20240124BHJP
   F01K 9/00 20060101ALI20240124BHJP
   F28D 7/16 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
F28F9/02 B
F28B1/00
F01D25/32 C
F01K9/00 E
F28D7/16 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541672
(86)(22)【出願日】2022-01-26
(85)【翻訳文提出日】2023-07-10
(86)【国際出願番号】 EP2022025025
(87)【国際公開番号】W WO2022167147
(87)【国際公開日】2022-08-11
(31)【優先権主張番号】102021000002348
(32)【優先日】2021-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517029381
【氏名又は名称】ヌオーヴォ・ピニォーネ・テクノロジー・ソチエタ・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】Nuovo Pignone Tecnologie S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロンキエリー,アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】ソレーニ,アレッサンドロ
【テーマコード(参考)】
3L103
【Fターム(参考)】
3L103AA02
3L103AA05
3L103AA31
3L103AA37
3L103BB05
3L103BB26
3L103CC02
3L103CC30
3L103DD15
3L103DD52
(57)【要約】
【解決手段】 本開示は、熱力学的機械、すなわち蒸気タービンのためのグランド復水器スキッドシステムに関し、グランド復水器スキッドシステムは、シェル及びプレート熱交換器をグランド復水器(10)として備え、シェル及びプレート熱交換器は、ガスケットのない溶接された管板で形成されている。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスケットのない溶接された管板で形成されたシェル及びプレート熱交換器をグランド復水器(10)として備えるグランド復水器スキッドシステム。
【請求項2】
前記グランド復水器(10)の下流にタンク(16)が接続されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記タンク(16)の上部が、ファン(17)によって少なくとも1つの排出システムに接続されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記タンク(16)の上部が、蒸気排出器によって少なくとも1つの排出システムに接続されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記タンク(16)の底部が、少なくとも1つの復水出口(19)に接続されている、請求項2に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、いわゆるシェル及びプレート技術に基づくグランド復水器を含むグランド復水器スキッドシステムに関する。本明細書で開示される実施形態は、具体的には、シェル及びプレート熱交換器がグランド復水器として機能するように構成される、蒸気タービン及び/又はエンジン発電機、又は機械駆動ステーションなどの改善された熱力学的機械に関する。
【背景技術】
【0002】
グランド復水器スキッドシステムは、蒸気タービンシーリングシステムに由来する蒸気、特に蒸気タービンのシャフト上のシールの第1セクションを通過して漏れる蒸気を凝縮するために使用される。具体的には、タービンが真空システム内に排気する場合、タービンの低圧端が大気中に引き込まれないようにするために、シール蒸気をシール内に注入する必要がある。低圧端からのこのシール蒸気、及び高圧端からの通常の漏出は、軸受筐体に向かって漏れ出て吹き出す傾向がある。潤滑油システムにおける水の蓄積を引き起こすこの漏出の可能性を低減するために、グランド復水器スキッドシステムが、シャフトシールの外側部分において非常にわずかに真空引きする(典型的には1又は2in-Hg)ために使用される。典型的には、グランド復水器シェル側圧は0.96baraである。
【0003】
グランド復水器スキッドシステムは、蒸気を凝縮するための小型熱交換器と、蒸気流の非凝縮性留分を抽出するための排気装置とを含む。更に、グランド復水器スキッドシステムはまた、消音器、配管、フィルタ、弁、計装、及び構造支持体を含む。
【0004】
蒸気タービンシーリングシステムに由来する蒸気を凝縮するために使用される熱交換器は、グランド復水器とも呼ばれ、通常、水冷式シェル及びチューブ熱交換器であり、冷却水がチューブを通って流れ、蒸気がチューブの上を(シェルを通って)流れる。復水が集まるシェルの底部には出口が設置される。
【0005】
グランド復水器としてのシェル及びチューブ熱交換器の使用は、API規格612によっても要求されており、この規格は、蒸気タービン及びその補助機器に関する、石油及びガス(石油、石油化学及び天然ガス)市場部門への基準規範である。その有効性及び適用は世界的に認識されており、オイル及びガス技術におけるその適用性は、エンドユーザのための直接的な保険基準として使用することができる。API 612規範によれば、復水器の標準ソリューションは、1.25mm(0.050インチ)以上の公称壁厚及び少なくとも15.88mm(0.625インチ)の直径を有する鋼シェル、黄銅又は白銅管と、管側に水を有する固定管板とを有する。適用される冷却水の種類に応じて、代替的な材料選択が可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、シェル及びチューブ熱交換器として構成されたグランド復水器の高い信頼性にもかかわらず、このソリューションはまた、多くの欠点を有する。すなわち、
a)高い占有面積、大きな体積、重量及びコスト。
b)低い熱交換能力。
c)過度な設計水準による機器使用の制限。
d)管束が損傷した場合、流路に溶接された管板を考慮した復水器のレイアウト(TEMA BEMソリューション)、及び適切に利用するのに十分でない流路寸法に起因して、管を塞ぐことが実行不可能である。
e)管束の存在に起因して構成要素の複雑さが増加。その結果としての
f)高い設置コスト及び維持コスト。
【0007】
この解決策は、蒸気タービン油をシールすることによって冷却流体に生じ得るいかなる汚染に対しても保証しないので、シェル及びプレート熱交換器はグランド復水器として使用されない。実際、シェル及びプレート熱交換器は、溶接された管板システムを提供せず、むしろ、パッケージがプレート・ガスケット・ソリューションによって接合されるが、漏出しやすい傾向にある。シェル及びプレート熱交換器の主な境界は、高温かつ高圧のケースに接続される。
【0008】
本発明によれば、シェル及びプレート熱交換器をオイル及びガス分野におけるグランド復水器として使用することが提案される。この目的のために、シェル及びプレート熱交換器には、生じ得るいかなる漏出及び汚染をも回避するために、溶接されたプレートパッケージが設けられる。
【0009】
したがって、一態様では、本明細書に開示される主題は、グランド復水器としてのシェル及びプレート熱交換器に関し、当該シェル及びプレート熱交換器はガスケットを除外した管板パッケージを備える(図2図3)。
【0010】
更に、別の態様では、本明細書で開示される主題は、寸法、重量、及びコストに対する明らかな利益を有し、同様の安全条件を維持し、より高い熱効率を有する新しい技術ソリューションに関する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明の開示されている実施形態及びそれに付随する利点の多くは、以下の詳細な説明を添付の図面を参照しながら読み進めることによってこれらが深く理解されたときに、より完全に理解されるであろう。
図1図1は、シェル及びプレート熱交換器から構成されるグランド復水器の斜視図を示す。
図2図2は、シェル及びプレート熱交換器から構成されるグランド復水器の内部流れ分布の概略図を示す。
図3A図3Aは、シェル及びプレート熱交換器から構成されるグランド復水器における高温流体の内部流れ分布の概略図を示す。
図3B図3Bは、シェル及びプレート熱交換器から構成されるグランド復水器における低温流体の内部流れ分布の概略図を示す。
図4図4は、グランド復水器としてシェル及びプレート熱交換器を備えるグランド復水器システムの斜視図を示す。
図5図5は、グランド復水器としてシェル及びプレート熱交換器を備えるグランド復水器システムの配管及び計装図(P&ID)の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
一態様によれば、本主題は、完全に溶接されたプレートで形成されたシェル及びプレート熱交換器をグランド復水器として備えるグランド復水器スキッドシステムに関する。
【0013】
別の態様によれば、本主題は、ガスケットのないシェル及びプレート熱交換器をグランド復水器として備えるグランド復水器スキッドシステムに関する。
【0014】
ここで図面を参照すると、図1は、参照番号10によって全体として示され、シェル10’を備えるシェル及びプレート熱交換器から構成されるグランド復水器の斜視図を示す。グランド復水器10には、冷却されるべき蒸気タービンシーリングシステムからの空気及び蒸気の流れのための第1の入口11と、冷却されるべき蒸気及び空気の流れと熱とを交換するための、通常は水である冷却流体の流れのための第2の入口12とが設けられている。グランド復水器10にはまた、冷却流体の流れのための第1の出口13と、空気及び少なくとも部分的に凝縮された蒸気の流れのための第2の出口14とが設けられている。次いで、空気及び少なくとも部分的に凝縮された蒸気の流れは、最終的な分離のために外部の温水溜めに搬送される。図1はまた、グランド復水器10を支持する構造15の一部を示す。
【0015】
図2Aは、複数の自由空間が設けられたプレート群を形成するように互いに積み重ねられているが、互いに分離されている複数のプレート10’’を備えるシェル及びプレート熱交換器から構成されるグランド復水器10の内部流れ分布の概略図を示す。各空間は、2つの隣接するプレート10’’の間に含まれる。2つの隣接するプレート10’’の間に含まれる空間は、冷却されるべき空気及び蒸気の流れSの入口11及び出口14を接続する第1の流路と、冷却流体の流れFの入口12及び出口13を接続する第2の流路とを交互に画定する。プレート10’’は、第1の流路と第2の流路とを分離した状態に保つために溶接されている。熱は、冷却されるべき空気及び蒸気の流れSと、プレート10’’を通過する冷却流体の流れFとの間で交換される。完全に溶接されたプレート群は、シェル10’に組み立てられる。
【0016】
図3Aは、プレート10’’の一方の側を流れる、冷却されるべき空気及び蒸気の流れSを示し、図3Bは、同じプレート10’’の他方の側を流れる冷却流体の流れFを示す。
【0017】
図4は、本開示によるグランド復水器10としてシェル及びプレート熱交換器を備えるグランド復水器システムの斜視図を示す。グランド復水器システムはまた、空気及び蒸気の流れSから復水を更に分離するためのタンク16と、復水を排出するための出口18及び出口19を通して残留空気及び蒸気を排出するための2つの電動排出ファン17、又は代替的に蒸気排出器システムとを備える。
【0018】
図5は、本開示による、シェル及びプレート熱交換器をグランド復水器として備えるグランド復水器システムの配管及び計装図(P&ID)の概略図を示す。
【0019】
シェル及びプレート技術に基づくグランド復水器を含むグランド復水器スキッドシステムは、シェル及びチューブ技術に基づくグランド復水器に対して、以下を含む多くの利点を伴う。
-よりコンパクトで柔軟なレイアウト。従来のシェル及びチューブレイアウトよりも高い効率を可能にするシェル及びプレート熱交換器。更に、特定の需要に応じて、血管の直径、長さ、及び流れ方向のような単純なパラメータの最適化によって適切な設計を開発することができる。
-より高い熱伝達率及び効率性(低減された熱交換表面)。同等のシェル及びチューブレイアウトよりも最大で8倍高い熱交換係数を保証するシェル及びプレート熱交換器。
-設置面積、容積及び重量の大幅な低減と、より低い設置コスト。
-非常に高い熱交換係数の結果として、より低い冷却水流量要求。同様の仕事で冷却水流量の大幅な節約が達成される。
-より高性能でより大きな標準サイズの用途が得られるので、限定され、標準化された熱交換ソリューション。
-パフォーマンス信頼性と頑強な設計。
-様々な石油化学用途において、ホールドアップ体積が小さく、信頼性が高く、費用効果の高い生産。特に、シェル及びチューブ技術に対して、材料及びサイズ分類に応じて、コスト利益が15~35%の範囲に含まれる。
-プレートレイアウト(すなわち、波形形状)と、疲労問題を排除することができる幾何学的制御とによる、強固な耐疲労性。
-広範囲の活発な媒体を含む、液体、気体、及び2相混合物を扱う能力。これは、流体の類型及び腐食/浸食効果に関して制限がないことを意味する。
-ガスケットを除外した管板パッケージを完全に溶接するソリューションに起因して、450℃もの高温と共に、PED及びASMEに従って100bar g(1450psi g)までの圧力を扱う能力。
-あらゆる漏出の問題を解決するための、完全に溶接するソリューション(レーザ溶接による波形管板群)と、ガスケットがないこと。
-カーボンスチール、ステンレススチールからチタンまでの材料適用性。いかなる種類の冷却水もカバーすることができる材料選択に関して制限がないこと。
【0020】
本発明の態様を様々な特定の実施形態の観点から説明してきたが、請求項の趣旨及び範囲から逸脱することなく多くの修正、変更、及び省略が可能であることが当業者には明らかであろう。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
【国際調査報告】