(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-31
(54)【発明の名称】屈曲部を持つ塞栓フィルタ
(51)【国際特許分類】
A61F 2/01 20060101AFI20240124BHJP
【FI】
A61F2/01
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023542701
(86)(22)【出願日】2022-01-14
(85)【翻訳文提出日】2023-08-16
(86)【国際出願番号】 US2022012571
(87)【国際公開番号】W WO2022155501
(87)【国際公開日】2022-07-21
(32)【優先日】2021-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144417
【氏名又は名称】堂垣 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147212
【氏名又は名称】小林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム ディー.モンゴメリー
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160MM37
4C160NN03
4C160NN09
4C160NN11
(57)【要約】
説明する実施形態は、塞栓フィルタシステムに関する。塞栓フィルタシステムは、概略的に、第1端と第2端とを有する細長要素を含み、塞栓フィルタ組立体は、取付け区分の遠位の捕捉区分を有するフレームを備え、捕捉区分は、セル端を有する複数のセルを形成するように配列される複数のストラット要素と、フレームがセル端の間で曲がるために作動可能であるように複数のセルの隣り合う2つのセルのセル端にかつその間で作動可能に結合される少なくとも1つの屈曲要素と、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療機器であって、
第1端と第2端とを有する細長要素と、
取付け区分の遠位の捕捉区分を有するフレームを備える塞栓フィルタ組立体であって、前記捕捉区分が、セル端を有する複数のセルを形成するように配列された複数のストラット要素と、前記フレームが前記セル端の間で曲がるために作動可能であるように複数のセルの隣り合う2つのセルのセル端に及びその間に作動可能に結合された少なくとも1つの屈曲要素とを含む、塞栓フィルタ組立体と、
を備える、医療機器。
【請求項2】
前記捕捉区分が、前記塞栓フィルタ組立体が圧縮状態から原位置で拡張状態へ向かって移行するように構成されるように、前記取付け区分に対して半径方向に拡張可能である、請求項1に記載の医療機器。
【請求項3】
前記捕捉区分が、患者の組織との間にシールを確立するために作動可能なシール確立ゾーンと、患者の蛇行する体内組織構造の形に合わせて屈曲するために作動可能な屈曲ゾーンとを含む、請求項1又は2に記載の医療機器。
【請求項4】
前記屈曲要素が、前記フレームが前記フレームの隣接部分より大きい可撓性を有する前記屈曲ゾーンを画定する、請求項3に記載の医療機器。
【請求項5】
前記屈曲要素が、第1方向に少なくとも1つのカーブを有しかつ前記第1方向と反対の第2方向に少なくとも1つのカーブを有する蛇形である、請求項1~4のいずれかに記載の医療機器。
【請求項6】
前記複数のセルが閉鎖セルである、請求項1~5のいずれかに記載の医療機器。
【請求項7】
前記複数の閉鎖セルの各々が、第1頂点と、前記第1頂点に対向する第2頂点とを含む、請求項6に記載の医療機器。
【請求項8】
前記少なくとも1つの屈曲要素が、前記複数の閉鎖セルの第1閉鎖セルの前記近位頂点と前記複数の閉鎖セルの第2閉鎖セルの前記遠位頂点との間で作動可能に結合される、請求項7に記載の医療機器。
【請求項9】
前記複数の閉鎖セルが、前記フレームの長手長さに沿って第1セル列及び第2セル列を形成し、前記第1セル列の前記複数の閉鎖セルの各遠位頂点が、前記屈曲要素を介して前記第2セル列の前記複数の閉鎖セルの各近位頂点に作動可能に結合される、請求項8に記載の医療機器。
【請求項10】
前記少なくとも1つの屈曲要素が、前記屈曲要素の第1端と第2端との間の複数の屈曲点において曲がるように適合されている、請求項1~9のいずれかに記載の医療機器。
【請求項11】
前記少なくとも1つの屈曲要素が、長さが延びるように適合されている、請求項1~10のいずれかに記載の医療機器。
【請求項12】
患者の管腔の中で展開するための塞栓フィルタ組立体であって、前記塞栓フィルタが、
長手軸線の周りに配置され、より小さい潰れ構成からより大きい拡張構成まで拡張するために作動可能なフレームであって、前記フレームが、シール区分及び捕捉区分を画定する複数のフレームを含み、前記シール区分が、前記患者の前記管腔と境界を接するように構成され、前記捕捉区分が前記捕捉ゾーン内のフレーム要素間に位置付けられた屈曲要素を含み、前記フレームが、屈曲要素を持たない前記フレームの隣接部分より前記屈曲要素において前記長手軸線から離れて曲がるために作動可能である、フレーム、
を備える、塞栓フィルタ。
【請求項13】
前記屈曲要素が、前記フレームの長さに沿った共通の長手位置において前記フレームの円周の周りで整列する、請求項12に記載の塞栓フィルタ。
【請求項14】
前記フレームが、前記捕捉区分の少なくとも一部分が潰れ直径に維持されているとき前記シール区分が拡張直径まで拡張するために作動可能であるように部分的に展開するために作動可能である、請求項12に記載の塞栓フィルタ。
【請求項15】
前記捕捉区分が、前記捕捉区分が部分的に展開されたとき、前記捕捉区分を通過して流れる流体をろ過するために作動可能である、請求項14に記載の塞栓フィルタ。
【請求項16】
前記フレームが、展開したとき前記管腔内で前記フレームを直交向きに維持するように屈曲要素において角張るために作動可能である、請求項12に記載の塞栓フィルタ。
【請求項17】
前記屈曲要素が、湾曲形、曲り形、ジグザグ形、蛇形又はコイル形を含む、請求項16に記載の塞栓フィルタ。
【請求項18】
前記フレーム要素が、複数の閉鎖セルを形成し、各閉鎖セルが、近位頂点と遠位頂点とを含む、請求項12に記載の塞栓フィルタ。
【請求項19】
第1屈曲要素が前記複数の閉鎖セルの第1閉鎖セルの前記近位頂点と前記複数の閉鎖セルの第2閉鎖セルの前記遠位頂点との間で作動可能に結合される、請求項18に記載の塞栓フィルタ。
【請求項20】
患者の管腔の中で展開するための塞栓フィルタ組立体であって、前記塞栓フィルタが、
長手軸線の周りに配置され、より小さい潰れ構成からより大きい拡張構成まで拡張するために作動可能なフレームであって、前記フレームが、シール区分及び捕捉区分を画定する複数のフレーム要素を含み、前記シール区分が前記患者の前記管腔と境界を接するように構成され、前記捕捉区分が、前記捕捉区分内のフレーム要素間に位置付けられた屈曲要素を含み、前記フレームが、前記捕捉区分の少なくとも一部分が潰れ直径に維持されるとき前記シール区分が拡張直径まで拡張するために作動可能であるように部分的に展開されるために作動可能である、フレーム、
を備える、塞栓フィルタ組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年1月14日に提出された仮特許出願第63/137385号(参照によりその全体があらゆる目的のために本明細書に援用される)の利益を主張する。
【0002】
2018年10月17日に提出された米国仮特許出願第62/747026号(発明者William Montgomery 及びEdward Shaw)に対する利益を主張する2019年10月17日に提出された国際特許出願第PCT/US2019/056737号は、参照によりその全体が全ての目的のために本明細書に援用される。
【背景技術】
【0003】
脈管内処置は、最小限の侵襲性又は外科的手法より比較的侵襲性の少ない手段による脈管内アクセス、診断及び/又は修復を含めた広範囲の医療上の必要性に対処する。いくつかの脈管内処置において、塞栓片は、取り除かれるか又は脈管の中を循環する可能性がある。塞栓片が循環すると、軽度から重度の心臓血管合併症を引き起こす可能性あり、心臓発作あるいは死亡にさえ繋がる。
【0004】
塞栓保護機器は、様々な脈管内処置に関連付けられるリスクを緩和するためにこのような脈管内処置に関連して開発され使用されてきた。いくつかの塞栓保護機器は、塞栓片を捕捉し、これを血液からろ過するように作用する。捕捉された塞栓片は、塞栓保護機器の取外し前に吸引できる(例えば、能動的に又は受動的に)。それに加えて又はその代わりに、塞栓保護機器は、脈管から塞栓保護機器が取り外されるとき塞栓片が塞栓保護機器によって保持されるように、塞栓保護機器内に塞栓片を捉えるように構成できる。但し、これらの処置の共通のリスクは、取外し過程において、捕捉された塞栓片の一部又は全てが意図せずに脈管の中へ放出されて戻されることである。
【0005】
脈管内での塞栓保護機器の適切な向きは、塞栓片捕捉及び除去を容易にする際の重要なファクタである。但し、従来の機器は蛇行する脈管内で展開可能であるが、そのいくつかは、展開した後に脈管内で機器の向きを定めたり配置し直すための手段が欠けている。塞栓保護機器の向きが悪いと、塞栓保護機器と血管壁との間の1つ又は複数のギャップによって及び/又は塞栓片が塞栓保護機器によって完全に捕捉されない結果脈管から塞栓保護機器を取り外すと塞栓片が意図せず血液の中へ放出されることによって、塞栓片が塞栓保護機器を迂回する場合がある。適切に向きを定めることは、蛇行する体内組織構造においては特に難しい。
【発明の概要】
【0006】
第1実施例(「実施例1」)によれば、医療機器は、第1端と第2端と有する細長要素と、取付け区分に対して遠位にある捕捉区分を有するフレームを備える塞栓フィルタ組立体と、を含み、捕捉区分は、セル端を有する複数のセルを形成するように配列された複数のストラット要素と、フレームがセル端の間で曲がるために作動可能であるように複数のセルの隣り合う2つのセルのセル端の間でその間に作動可能に結合される少なくとも1つの屈曲要素と、を含む。
【0007】
実施例1に加えて別の実施例(「実施例2」)によれば、捕捉区分は、塞栓フィルタ組立体が圧縮状態から原位置で拡張状態へ移行するように構成されるように、取付け区分に対して半径方向に拡張可能である。
【0008】
実施例1又は2に加えて別の実施例(「実施例3」)によれば、捕捉区分は、患者の組織との間のシールを確立するために作動可能なシール確立ゾーンと、患者の蛇行する体内組織構造の形に合わせて屈曲するために作動可能な屈曲ゾーンと、を含む。
【0009】
実施例3に加えて別の実施例(「実施例4」)によれば、屈曲要素は、フレームがフレームの隣接部分より大きい屈曲性を有する屈曲ゾーンを画定する。
【0010】
実施例1~4のいずれかに加えて別の実施例(「実施例5」)によれば、フレームは、捕捉区分が自己拡張するように構成される。
【0011】
実施例1~5のいずれかに加えて別の実施例(「実施例6」)によれば、フレームは金属材料を含む。
【0012】
実施例6に加えて別の実施例(「実施例7」)によれば、金属材料はニチノールを含む。
【0013】
実施例1~7のいずれかに加えて別の実施例(「実施例8」)によれば、フレームは、取付け区分と捕捉区分が単一モノリスコンポーネントによって形成されるように単一体構成である。
【0014】
実施例1~8のいずれかに加えて別の実施例(「実施例9」)によれば、屈曲要素は、第1方向に少なくとも1つのカーブを有し、第1方向とは反対の第2方向に少なくとも1つのカーブを有する蛇形である。
【0015】
実施例1~9にいずれかに加えて別の実施例(「実施例10」)によれば、ストラット要素は、正方形、長方形、台形、丸みのある正方形、丸みのある長方形又は丸みのある台形を有する。
【0016】
実施例10に加えて別の実施例(「実施例11」)によれば、カットチューブはレーザーカットチューブである。
【0017】
実施例9又は10に加えて別の実施例(「実施例12」)によれば、フレームは、螺旋形の中間区分を含む。
【0018】
実施例1~12のいずれかに加えて別の実施例(「実施例13」)によれば、複数のセルは四辺形の閉鎖セルである。
【0019】
実施例13に加えて別の実施例(「実施例14」)によれば、複数の閉鎖セルの各々は、第1頂点と、第1頂点の反対側の第2頂点とを含む。
【0020】
実施例14に加えて別の実施例(「実施例15」)によれば、少なくとも1つの屈曲要素は、複数の閉鎖セルの第1閉鎖セルの近位頂点と複数の閉鎖セルの第2閉鎖セルの遠位頂点との間に作動可能に結合される。
【0021】
実施例14に加えて別の実施例(「実施例16」)によれば、複数の閉鎖セルは、フレームの長手方向の長さに沿って第1セル列及び第2セル列を形成し、第1セル列の複数の閉鎖セルの各遠位頂点は、屈曲要素を介して第2セル列の複数の閉鎖セルの各近位頂点に作動可能に結合される。
【0022】
実施例1~16のいずれかに加えて別の実施例(「実施例17」)によれば、少なくとも1つの屈曲要素は、屈曲要素の第1と第2端との間の複数の屈曲点で曲がるように適合されている。
【0023】
実施例1~17のいずれかに加えて別の実施例(「実施例18」)によれば、少なくとも1つの屈曲要素は、長さを延ばすように適合されている。
【0024】
実施例3に加えて別の実施例(「実施例19」)によれば、フレームは、長手軸線を画定し、フレームは、フレームの屈曲ゾーンが屈曲するとき長手軸線が非線形であるように屈曲ゾーンで屈曲するために作動可能である。
【0025】
実施例1~19に加えて別の実施例(「実施例20」)によれば、フレームは、少なくとも1つの屈曲要素がフレーム要素の拡張中に複数の閉鎖セルを相互から部分的に機械的に分離するために作動可能なように、調節可能に展開可能である。
【0026】
第2実施例(「実施例21」)によれば、患者の管腔の中で展開するための塞栓フィルタ組立体は、長手軸線の周りに配置され、より小さい潰れ構成からより大きい拡張構成へ拡張するために作動可能なフレームを含み、フレームは、シール区分及び捕捉区分を画定する複数のフレーム要素を含み、シール区分は、患者の管腔と境界を接するように構成され、捕捉区分は、捕捉ゾーン内のフレーム要素の間に位置付けられる屈曲要素を含み、フレームは、屈曲要素を持たないフレームの隣接部分より屈曲要素において長手軸線から離れる方向に曲がるために作動可能である。
【0027】
実施例21に加えて別の実施例(「実施例22」)によれば、屈曲要素は、フレームの長さに沿って共通の長手位置においてフレームの円周の周りで整列する。
【0028】
実施例21に加えて別の実施例(「実施例23」)によれば、塞栓フィルタ組立体は、更に、フレームに結合されたフィルタ要素を含む。
【0029】
実施例21に加えて別の実施例(「実施例24」)によれば、フレームは、捕捉区分の少なくとも一部分が潰れ直径に維持されているときシール区分が拡張直径まで拡張するために作動可能であるように、部分的に展開されるために作動可能である。
【0030】
実施例24に加えて別の実施例(「実施例25」)によれば、捕捉区分は、捕捉区分が部分的に展開されるとき捕捉区分を通過して流れる流体をろ過するために作動可能である。
【0031】
実施例21に加えて別の実施例(「実施例26」)によれば、フレームは二次的機器の送達を可能にするように構成される。
【0032】
実施例21に加えて別の実施例(「実施例27」)によれば、フレームは、展開されたとき管腔内でフレームを直交向きに維持するために屈曲要素において角張るために作動可能である。
【0033】
実施例27に加えて別の実施例(「実施例28」)によれば、屈曲要素は、湾曲形、曲り形、ジグザグ形、蛇形又はコイル形を含む。
【0034】
実施例21に加えて別の実施例(「実施例29」)によれば、フレーム要素は、複数の閉鎖セルを形成し、各閉鎖セルは近位頂点と遠位頂点とを含む。
【0035】
実施例29に加えて別の実施例(「実施例30」)によれば、第1屈曲要素は、複数の閉鎖セルの第1閉鎖セルの近位頂点と複数の閉鎖セルの第2閉鎖セルの遠位頂点との間に作動可能に結合される。
【0036】
実施例29に加えて別の実施例(「実施例31」)によれば、複数の閉鎖セルは、フレームの長手長さに沿って第1セル列及び第2セル列を形成し、第1セル列の複数の閉鎖セルの各遠位頂点は、屈曲要素を介して前記第2セル列の複数の閉鎖セルの各近位頂点に作動可能に結合される。
【0037】
実施例29に加えて別の実施例(「実施例32」)によれば、フレームは、屈曲要素が複数の閉鎖セルを相互から部分的に機械的に分離するために作動可能であるように、調節可能に展開可能である。
【0038】
第3実施例(「実施例33」)によれば、患者の管腔の中で展開するための塞栓フィルタ組立体は、長手軸線の周りに配置されより小さい潰れ構成からより大きい拡張構成まで拡張するために作動可能なフレームを含み、フレームは、シール区分及び捕捉区分を画定する複数のフレーム要素を含み、シール区分は、患者の管腔と境界を接するように構成され、捕捉区分は、捕捉ゾーン内においてフレーム要素の間に位置付けられる屈曲要素を含み、フレームは、捕捉区分の少なくとも一部分が潰れ直径に維持されるときシール区分が拡張直径まで拡張するために作動可能であるように部分的に展開されるために作動可能である。
【0039】
複数の実施例を開示するが、例示的な実施例を示しこれを説明する下記の詳細な説明から当業者には他の実施例が明らかであろう。したがって、図面及び詳細な説明は限定的ではなく例示的であると見なすべきである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
添付図面は、本開示の理解を更に深めるために含められ、本明細書に援用され、その一部を成し、実施例を図解し、説明と一緒に本開示の原則を明らかにするのに役立つ。
【0041】
【
図1】
図1は、いくつかの実施形態に従った塞栓フィルタフレームの図である。
【0042】
【
図2】
図2は、いくつかの実施形態に従った未拡張カット塞栓フィルタフレームの図である。
【0043】
【
図3】
図3は、いくつかの実施形態に従った塞栓フィルタシステムのフレーム及びフィルタの図である。
【0044】
【
図4】
図4は、いくつかの実施形態に従った屈曲しているときの塞栓フィルタフレームの図及び塞栓フィルタフレームの屈曲要素の拡大図である。
【0045】
【
図5】
図5は、いくつかの実施形態に従った塞栓フィルタシステムを組み立てる方法のフローチャートである。
【0046】
【
図6A】
図6Aは、いくつかの実施形態に従った塞栓フィルタシステムを組み立てる方法の図である。
【
図6B】
図6Bは、いくつかの実施形態に従った塞栓フィルタシステムを組み立てる方法の図である。
【
図6C】
図6Cは、いくつかの実施形態に従った塞栓フィルタシステムを組み立てる方法の図である。
【
図6D】
図6Dは、いくつかの実施形態に従った塞栓フィルタシステムを組み立てる方法の図である。
【0047】
【
図6E】
図6Eは、いくつかの実施形態に従った塞栓フィルタシステムを展開する方法の図である。
【
図6F】
図6Fは、いくつかの実施形態に従った塞栓フィルタシステムを展開する方法の図である。
【0048】
【
図7】
図7は、いくつかの実施形態に従った塞栓フィルタシステムを組み立てる方法のフローチャートである。
【0049】
【
図8A】
図8Aは、いくつかの実施形態に従った塞栓フィルタシステムを組み立てる方法の図である。
【
図8B】
図8Bは、いくつかの実施形態に従った塞栓フィルタシステムを組み立てる方法の図である。
【
図8C】
図8Cは、いくつかの実施形態に従った塞栓フィルタシステムを組み立てる方法の図である。
【
図8D】
図8Dは、いくつかの実施形態に従った塞栓フィルタシステムを組み立てる方法の図である。
【
図8E】
図8Eは、いくつかの実施形態に従った塞栓フィルタシステムを組み立てる方法の図である。
【
図8F】
図8Fは、いくつかの実施形態に従った塞栓フィルタシステムを組み立てる方法の図である。
【
図8G】
図8Gは、いくつかの実施形態に従った塞栓フィルタシステムを組み立てる方法の図である。
【
図8H】
図8Hは、いくつかの実施形態に従った塞栓フィルタシステムを組み立てる方法の図である。
【
図8I】
図8Iは、いくつかの実施形態に従った塞栓フィルタシステムを組み立てる方法の図である。
【
図8J】
図8Jは、いくつかの実施形態に従った塞栓フィルタシステムを組み立てる方法の図である。
【
図8K】
図8Kは、いくつかの実施形態に従った塞栓フィルタシステムを組み立てる方法の図である。
【
図8L】
図8Lは、いくつかの実施形態に従った塞栓フィルタシステムを組み立てる方法の図である。
【0050】
【
図9】
図9は、いくつかの実施形態に従った塞栓フィルタシステムを埋植する方法のフローチャートである。
【0051】
【0052】
【
図11】
図11は、塞栓フィルタのストラットに沿って屈曲要素を持つ塞栓フィルタフレームの図である。
【0053】
【
図12】
図12は、
図12の塞栓フィルタの図であり、塞栓フィルタは、完全に展開されたシール部分と、部分的に拘束されたままのフィルタ部分とを含む。
【発明を実施するための形態】
【0054】
本開示は限定的に解釈されることを意図しない。例えば、本出願において使用する用語は、用語が属する分野において意味する文脈で広義に解釈すべきである。
【0055】
当業者は、本開示の様々な形態が、意図する機能を果たすように構成された様々な方法及び装置によって実現できることが、容易に分かるだろう。言い換えれば、意図する機能を果たすために他の方法及び装置を本明細書に援用できる。又、本明細書において言及する添付図面は必ずしも縮尺通りではなく、本開示の様々な形態を図解するために誇張される場合があり、その意味で図面は限定的と解釈されるべきではない。
【0056】
特定の相対的用語は、コンポーネント及び特徴の相対的位置を示すために使用する。例えば、「上」、「下」、「上側」、「下側」、「左」、「右」、「水平」、「垂直」、「上向き」及び「下向き」は、文脈上特に指定しない限り、絶対的意味ではなく相対的意味で(例えば、コンポーネント又は特徴が、どのように相互に対して相対的に位置付けられるか)使用する。同様に、本開示全体を通じて、プロセス又は方法を示す又は説明するとき、方法は、方法が最初に実施される特定の行為に依存することが文脈から明らかである場合を除いて、任意の順番で又は同時に実施できる。
【0057】
不確実性の用語に関しては、「ほぼ」及び「約」は、明記される値を含む値及び明記される値に妥当に近い任意の値を含む値を意味するために交換可能に使用できる。明記される値に妥当に近い値は、当業者が理解し容易に確認するように妥当に小さい量だけ明記される値から逸脱する。妥当な逸脱は、例えば、計測誤差、計測及び/又は製造設備較正の差異、計測の読取り及び/又は設定における人的エラー、他のコンポーネントと関連付けられる計測値の差異を考慮して性能及び/又は構造的パラメータを最適化するために加えられた調節、特定の実現シナリオ、人又は機械による不正確な調節及び/又は物体の操作などに起因する可能性がある。
【0058】
本明細書において使用する場合、「結合」は、直接的又は間接的かに関係なく又永久的又は一時的かに関係なく、接合、接続、取付け、付着、固着又は接着を意味する。
【0059】
本明細書において使用する場合、「エラストマー」は、その元来の長さの少なくとも1.3まで伸長しかつ解除したときほぼその元来の長さまで急速に収縮する能力を有するポリマー又はポリマーの混合物を意味する。「エラストマー材料」は、必ずしも同じ伸長及び/又は回復度までではないが、エラストマーと同様の伸長及び回復特性を示すポリマー又はポリマーの混合物を意味する。「非エラストマー材料」は、エラストマー又はエラストマー材料と類似しない伸張及び回復特徴を示す即ち一般に知られるようなエラストマー又はエラストマー材料と見なされないポリマー又はポリマーの混合物を意味する。
【0060】
本開示の様々な形態は、塞栓フィルタ機器、システム及び方法に関する。例示的な塞栓フィルタシステム1000を
図1において図解する。塞栓フィルタシステム1000は、概略的にフィルタ1100と細長要素1200とを含む。様々な実施例において、塞栓フィルタシステム1000は、フィルタ1100及び細長要素1200が相互に対して自由に関節式に動けるように構成される(例えば、細長要素1200とフィルタ1000との間で45度まで曲がる)。下で更に論じるように、いくつかの実施例において、フィルタ1100は、フィルタ1100の長手長さに沿って相対的な関節式動きを容易にする1つ又は複数の特徴を含む。フィルタ1100に沿った関節式動きは、蛇行する又はその他の難しい体内組織構造(例えば動脈又は血管などの管腔)の中でフィルタ1100を展開し易くする。いくつかの実施例において、フィルタ1100は、フィルタ1100の長さに沿って関節式動きを容易にする1つ又は複数の特徴を含むが、他の実施例において、塞栓フィルタシステム1000は、そうしたフィルタ1100の長さに沿った相対的関節式動きを容易にする1つ又は複数の要素などの1つ又は複数の付加的コンポーネントを含む。フィルタ1100の長さに沿って関節式に動くために作動可能なフィルタ1100を有する塞栓フィルタシステム1000を提供することによって、塞栓フィルタシステム1000が、これが中で部分的に又は完全に展開される脈管に対してフィルタ1100を適切に整列するために受動的に自身の向きを定められるようにする。又は、塞栓フィルタシステム1000は、この整列のためにオペレータによって原位置で操作できる。
【0061】
図1に示すように、塞栓フィルタシステム1000は、第1端1002と第2端1004とを含む。いくつかの実施例において、フィルタ1100は、フィルタ1100の第1端1102が塞栓フィルタシステム1000の第1端1002を少なくとも部分的に画定するように、細長要素1200から遠位に延びる。同様に、いくつかの実施例において、細長要素1200は、第1端1202と第2端1204とを含み、細長要素1200は、細長要素1200の第2端1204が塞栓フィルタシステム1000の第2端1004を少なくとも部分的に画定するように、フィルタ1100から延びる。様々な実施例において、フィルタ1100の第2端1104は、細長要素1200と結合される。いくつかの実施例において、フィルタ1100の第2端1104は、細長要素1200の第1端1202と結合される。いくつかの実施例において、フィルタ1100の第2端1104を細長要素1200の第1端1202と結合することは、細長要素1200の第1端1202がフィルタ1100の第2端1104の遠位に位置するように(例えば、フィルタ1100と細長要素1200が部分的に相互に重なるように)フィルタ1100の第2端1104を細長要素1200の第1端1202と結合することを含む。
【0062】
様々な実施例において、塞栓フィルタシステム1000は、1つ又は複数の補助システムと組み合わせて使用できる。例えば、
図1に示すように、1つ又は複数の補助コンポーネントを含めて1つ又は複数の補助システム2000を塞栓フィルタシステム1000と組み合わせて利用できる。いくつかの実施例において、補助システム2000及び/又はそのコンポーネントは、市販品(COTS)のシステム又はコンポーネントとすることができる。1つの非限定的な補助システム2000として、COTSカテーテルがある。他の非限定的補助システム2000は、引き剥がしシースを含めて拘束シース、塞栓フィルタシステム1000及び補助システム2000の1つ又はそれ以上を通過する流体の逆流を制御する際に使用されるものなどの弁及びコネクタ(例えば、Tuohy-Borst Connector)及び制御ハンドルを含む。補助システム2000は、塞栓フィルタシステム1000の送達、展開、操作及び/又は取外しの1つ又はそれ以上に関連して使用できる。様々の実施例において、塞栓フィルタシステム1000は、自身が、このような引き剥がしシース、コネクタ及び/又は止血弁などの弁の1つ又はそれ以上を含むことができる。
【0063】
塞栓フィルタシステム1000は、概略的に、治療エリアと塞栓片の存在が合併症を引き起こして体内組織構造に害を及ぼす可能性がある1つ又は複数の体内組織領域との間で、塞栓フィルタシステム1000の1つ又は複数のコンポーネント(フィルタ1100など)が脈管の治療エリアの順行又は「下流」であるように患者の脈管内のターゲット部位まで前進するように構成される。当業者は、治療エリアから下流にシステムを位置付けることが、治療時に治療エリアから取り除かれた塞栓及びその他の断片が血流と一緒に塞栓フィルタシステム1000へ向かって移動し、ここで塞栓片が血液からろ過できるようにするが分かるだろう。
【0064】
血管又は脈管の領域内で塞栓フィルタシステム1000のフィルタ1100を適切な向きにすることは、脈管内処置と関連して適切な展開及び血液からの塞栓片のろ過の成功を容易にする上で重要なファクタである。但し、脈管の特定の部分において及び/又は特定の条件の下では、血液から塞栓片をうまくろ過するために作動可能であるように塞栓フィルタを展開するのが難しい。本明細書において開示する塞栓フィルタシステム1000は、血管壁などの脈管の表面に沿って自身で受動的に整列して、フィルタ1100の長さに沿って相対的に関節式に動かして、脈管内でフィルタ1100を適切に整列させる。脈管内で整列すると、概略的に塞栓片が塞栓フィルタシステム1000を迂回するときに通る通路として作用する可能性があるフィルタ1100と血管壁との間のギャップを最小限に抑える。しかし、いくつかの実施形態において、塞栓フィルタシステム1000は、塞栓フィルタシステム1000を展開して脈管とフィルタ1100を適切に整列するために塞栓フィルタシステム1000を操作する能力をオペレータに与える。
【0065】
様々な実施例において、関節式動きは、フィルタ1100が部分的に展開された状態で細長要素1200を1回又は数回前進させ引き戻すことによって得られる。例えば、脈管内でフィルタ1100を部分的に展開したまま細長要素1200を前進及び/又は引戻しすることによって、フィルタ1100及び細長要素1200の1つ又はそれ以上に圧縮又は引張荷重を与えるように動作可能であることができる。上述の通り、様々な実施例において、フィルタ1100は、フィルタ1100の長さに沿って相対的な関節式動きを容易にする1つ又は複数の特徴を含むことができるが、他の実施例において、塞栓フィルタシステム1000は、フィルタ1100の長さに沿った相対的な関節式動きを容易にする1つ又は複数の要素などの付加的な1つ又は複数のコンポーネントを含む。様々な実施例において、圧縮及び/又は引張荷重を加えると、塞栓フィルタシステム1000は、フィルタ1100の1つ又は複数の特徴及び/又は1つ又は複数の付加的コンポーネントを曲げる、逸らす、又は変形させてフィルタ1100の長さに沿った相対的な関節式動きを可能にする。
【0066】
展開されると、塞栓フィルタシステム1000は、塞栓フィルタシステム1000が展開される脈管の領域を通過して流れる血液と相互作用する。いくつかの実施例において、塞栓フィルタシステム1000は、血液が塞栓フィルタシステム1000を通過して流れるとき又はこれと相互作用するとき血液及び/又は塞栓片をろ過するように適合される又はそのように構成できる。いくつかの実施例において、塞栓フィルタシステム1000は、それに加えて又はその代わりに、周囲脈管を通過する血液及び/又は塞栓片の正常な又は妨害の無い流れとなるであろうものから血流及び/又は塞栓片を指向し直す。このように、様々な実施例において、塞栓フィルタシステム1000は、血液及び/又は塞栓片が患者の脈管の領域を通過して流れるときろ過されかつ/又は再指向されるように、患者の脈管の領域内で展開できる。
【0067】
次に
図1及び2を参照すると、塞栓フィルタシステム1000のフィルタ1100は、第1端1002と第2端1004とを有する本体1106を含む。フィルタ1100は、概略的に、捕捉区分1108を形成する構造要素と、取付け区分1114と関節区分1118とを含む。いくつかの実施例において、関節区分1118は、第1端1102と第2端1104との中間にあるので、中間区分と呼ぶことができる。
図2は、フィルタ1100の二次元平面図であり、捕捉区分1108、取付け区分1114及び関節区分1118の間の関係を図解するために広げて平らにされてフィルタ1100の完全円周を示す。
【0068】
様々な実施例において、フィルタ1100は、塞栓フィルタシステム1000が展開される領域の患者の脈管を通過して流れる血液及び/又は塞栓片と相互作用するように構成された構造体である。下で更に詳しいく論じるように、フィルタ1100又は1つ又は複数のその部分は、カットチューブ、ワイヤフレーム、鋳造又は射出成形部品又はこれらの組合せから形成できる。いくつかの実施例において、フィルタ1100の1つ又は複数の部分は、当業者には分かるように、この1つ又は複数の部分が自己拡張特性を持つ又は呈するように、ニチノールなどの形状記憶材料で形成できる。但し、他の実施例において、フィルタ1100のコンポーネントの1つ又はそれ以上を、拡張補助(バルーンなど)を使用して拡張可能なその他の弾性金属から形成できる。例えば、支持要素の1つ又はそれ以上を、ポリマー又はステンレス鋼などの生体適合性合金から形成できる。いくつかの実施例において、フィルタ1100又はその1つ又は複数の部分はポリウレタン又は圧縮ナイロンなどの耐性エラストマー材料で構成できる。
【0069】
図1及び2に示すように、フィルタ1100は、捕捉区分1108(本明細書において構造要素とも呼ぶ)を含む。捕捉区分1108は、血液及び塞栓片をフィルタ1100の内部領域及びいくつかの実施例において細長要素1200の中へ導く又は通すように構成される。従って、捕捉区分1108は、塞栓フィルタシステム1000の下流へ流れる前に血液に塞栓フィルタシステム1000と相互作用させる血流の障害物として作用する。様々な実施例において、捕捉区分1108は、塞栓片を血液からろ過するために血液を一時停止するようにより大きい展開プロフィルまで原位置で展開される機能を持ちながら塞栓フィルタシステム1000を管腔内で送達できるように(例えば小さい送達プロフィルで)、塞栓フィルタシステム1000が送達構成から展開構成へ移行するのと一緒に、収縮構成(例えば
図2)と拡張構成(例えば
図1)との間で移行するように構成される。
【0070】
展開構成において、フィルタ1100は、概ねトランペット形、円錐形又は円錐台形であり、フィルタ1100の第1端1102と第2端1104との間のフィルタ1100に沿った2つの異なる長手方向の場所においてフィルタ1100の横断面積が異なる。いくつかの実施例において、第1端1102の横断面積は、第2端1104の横断面積より大きい。いくつかの実施例において、フィルタ1100は、例えば、
図1及び3に示すように第1端1102から第2端1104まで概ねテーパー状である。このような構成は、本明細書において開示するようにフィルタ1100がフィルタ1100の中へかつ/又は細長要素1200の中へ血液を通すように作用できるようにする。
【0071】
様々な実施例において、捕捉区分1108は、1つ又は複数の紐、メッシュ、格子、ワイヤ、リング、ストラット又はその他の適切な支持要素などの1つ又は複数の支持要素で構成される。例えば、
図1及び2に示すように、捕捉区分1108は、まとまって少なくとも部分的に捕捉区分1108を形成する1つ又は複数の閉鎖セル1112を形成するように配列される複数のストラット要素1110を含む。図示するように、これらの閉鎖セル1112は、1列又は複数列(例えば、1、2、3、4又は4列超え)で配列される。但し、フィルタ1100の捕捉区分1108が収縮構成から拡張構成へ移行するために作動可能である限り、紐、メッシュ、格子、ワイヤ、リング及びその他の適切な支持要素をストラット要素1110の代わりに又はこれと組み合わせて利用できる。
【0072】
いくつかの実施例において、閉鎖セル1112は、捕捉区分1108の構造要素の拡張構成と収縮構成との間の移行に対応するため又はこれを容易にするために形状を変化するように構成される。例えば、捕捉区分1108の構造要素が拡張構成のとき、閉鎖セルは、
図1に示すように四辺形(例えばダイアモンド形)とすることができる。但し、本明細書において示す閉鎖セルの形状は限定的なものとして解釈すべきではなく、様々な他の形状(例えば、多角形)及び/又はサイズが想定されることが分かるだろう。
【0073】
又、閉鎖セルの列の数及び/又は列当たりの閉鎖セルの数は、所望の拡張プロフィル(例えば展開直径)及び所望の収縮プロフィル(例えば送達直径)を得るために増減できるので、本明細書において示す実施例は、限定的なものとして解釈すべきではない。概略的に、所与の閉鎖セルサイズ及び形状の場合、閉鎖セル1112の数を増大すると拡張プロフィル直径及び収縮プロフィル直径は増大し、閉鎖セル1112の数を減少すると拡張プロフィル直径及び収縮プロフィル直径は減少する。同様に、所与のセルサイズ及び形状及び列当たりの閉鎖セル1112の数の場合、閉鎖セル1112の列の数を増大するとフィルタ1100の長さは増大し、閉鎖セル1112の列の数を減少するとフィルタ1100の長さは減少する。
【0074】
いくつかの実施形態において、閉鎖セル1112は、フィルタ1100が拡張構成(例えば実質的にダイアモンド形)のとき実質的に細長形状を含む。各閉鎖セル1112は、所定の方向において閉鎖セル1112の最も離れた距離を画定する頂点1113を含む。例えば、閉鎖セル1112が実質的にダイアモンド形であるとき、各閉鎖セルは、第1長手方向頂点1113a、第2長手方向頂点1113b、第1側方頂点1113c及び第2側方頂点1113dを含む。第1及び第2側方頂点1113c及び1113dは、同じ列内の閉鎖セル1112の境界面を表し、第1及び第2長手方向頂点1113a及び1113bは、隣接する列が存在する場合閉鎖セル1112が隣接する列の対応する閉鎖セルと境界を接するところを表す。例として、フィルタ1100は、第1列1115a及び第2列1115bなどの複数の閉鎖セル列1112を含む。第1列1115aは、第1閉鎖セル1112aを含み、第2列1115bは、第2閉鎖セル1112bを含む。閉鎖セル1112a、1112bの各々は、第1長手方向頂点1113a及び第2長手方向頂点1113bを有し、第1長手方向頂点1113aは、第2長手方向頂点1113b及び第2端1104に比べて第1端1102に近く、第2長手方向頂点1113bは、第1長手方向頂点1113a及び第1端1102に比べて第2端1104に近い。第1閉鎖セル1112aは、フィルタ1100の長手長さに沿って第2閉鎖セル1112bに隣接する。第1閉鎖セル1112aの第2長手方向頂点1113bは、第2閉鎖セル1112bの第1長手方向頂点1113aに隣接して位置付けられる。
【0075】
様々な実施例において、捕捉区分1108は、長手長さに沿ったフィルタ1100の屈曲を容易にするように構成される1つ又は複数の特徴を含む。これらの特徴は、フィルタ1100の長さの少なくとも一部分に沿って屈曲ゾーン1130を画定する。例えば、
図1~4に示すように、フィルタ1100は、フィルタ100を長手軸線に関して屈曲ゾーン1130に沿って曲がる又は屈曲できるように構成される屈曲要素1300を含む。屈曲要素1300は、フィルタが蛇行する体内組織構造の中を進行し展開できるようにする。いくつかの実施形態において、シールゾーン1140も、フィルタ1100上で画定され、シールゾーン1140は、患者の体内組織構造と境界を接し、フィルタ1100と体内組織構造との間の取外し可能なシールを形成するために作動可能である。屈曲ゾーン1130及びシールゾーン1140は、フィルタ1100と蛇行する体内組織構造との間で最適に境界を接し易くする。例えば、フィルタ1100は、フィルタ1100が周囲の体内組織構造との間に効果的なシールを形成し、周囲の体内組織構造の自然の曲線又はプロフィルを伸ばしたり引っ張ることなく周囲の体内組織構造のプロフィルに合わせるために作動可能であるように、屈曲ゾーン1130においてフィルタが屈曲する又は曲がるように管腔(例えば、大動脈弓付近の鎖骨下動脈)の中で展開できる。
【0076】
いくつかの実施形態において、屈曲ゾーン1130は、フィルタ1100の曲げ又は屈曲を容易にする少なくとも1つの屈曲要素1300を含む。例えば、屈曲要素1300は、フィルタ1100の部分がフィルタの隣接する部分へ伝達される力の量を減じるように相互から部分的に緩衝されるように、フィルタ1100の部分に間隔を設ける又は部分的に機械的に分離できる。いくつかの実施形態において、屈曲要素1300は隣り合う閉鎖セル1112の間に延びる。屈曲要素1300は、閉鎖セル1112の頂点1113から延びることができる。例えば、屈曲要素1300は、第1閉鎖セル1112aの第2長手方向頂点1113bと第2閉鎖セル1112bの第1長手方向頂点1113aとの間に延びる。屈曲要素1300を第1セル1112aと第2セル1112bとの間に配置することによって、第1セルと第2セルは、部分的に機械的に他方の動きから分離され緩衝される。更に、閉鎖セル1112を屈曲要素1300によって部分的機械的に分離することによって、フィルタ1100が、屈曲中により一定の直径を維持できるようにする。例えば、曲げ又は屈曲は主に屈曲要素1300に生じるので、閉鎖セル(例えばダイアモンド形閉鎖セル)は、曲げを達成するために圧縮されず、したがって、圧縮に応答して半径方向に拡張しない。これは、展開されたときフィルタ1100をより一定した所望の直径に維持できるようにする。
【0077】
いくつかの実施形態において、屈曲要素1300は、伸縮して、セル列1115をより近接させたりより離間して位置付けられるようにするために作動可能である。更に、屈曲要素1300の各々は、他の屈曲要素1300から相互に独立する。これによって、フィルタ1100本体をよじれさせることなく又はフィルタ1100の長手長さに沿って折畳み又は折り目を生じることなく、フィルタ1100の長手長さに沿ったフィルタ1100の曲げ又は湾曲を容易にする。例えば、フィルタ1100は、第1列1115aの閉鎖セル1112と第2列1115b(並びに第3列1115cなど)の閉鎖セル1112との間に延びる複数の屈曲要素1300を含むことができる。屈曲要素1300の1つの部分は、フィルタ1100の弧長の周りで部分的に又は完全に延びることができ、屈曲要素の1300の別の部分は、フィルタ1100の別の弧長の周りで部分的に又は完全に圧縮でき、長手長さに沿って(
図4に示すように)フィルタが曲がる又は屈曲できるようにする。いくつかの実施形態において、完全に圧縮されかつ/又は完全に伸長される屈曲要素1300は、曲げ力の実質的な増大がない場合、フィルタ1100の更なる曲げ又は湾曲に対するリミット又はストッパとして役立つ。このように、屈曲要素1300は、セル112の列1115の機械的分離を容易にして、列1115が独立して「屈曲」できるようにする(例えば、波形血管において)。
【0078】
別の実施形態において、屈曲要素1300は、屈曲要素1300が閉鎖セル1112に結合される位置の周りで360度関節式に動くために作動可能である。例えば、フィルタ1100が閉鎖セル1112の第1列1115a及び第2列1115bを含む実施形態において、屈曲要素1300は、フィルタ1100の長手長さに沿った位置においてフィルタ1100と交差する平面内で360度関節式に動くことができる。これは、更に、患者の体内組織構造の表面及び三次元プロフィルに合わせて旋回する、曲がる又はその他屈曲する能力を列1115に与えることによって、フィルタ1100が患者の体内組織構造特に蛇行する組織構造の形に合わせることができるようにする。屈曲要素1300は上述の通り関節式に動くことができるので、固有の体内組織構造例えば大動脈弓に対処するために比較的急激な曲げ又は屈曲をフィルタ1100の長手長さに沿って得ることができる。
【0079】
様々な実施例において、屈曲要素1300は、フィルタ1100の屈曲及び閉鎖セル1112の部分的機械的分離を容易にするために特徴を含む。屈曲を容易にするための特徴は、屈曲要素1300が曲がり、屈曲し、圧縮し及びその他関節式に動けるようにできる。例えば、屈曲要素1300は、様々な形状、長さ及び角度に弾性的に変形できる蛇形延長部を含む。蛇形延長部は、
図4に示す波状又は蛇形経路(例えば、ほぼ正弦波形)を含むことができる。例えば、屈曲要素1300は、結合部分1302と屈曲部分1304とを含むことができる。屈曲要素1300の結合部分1302は、セル1112を形成するストラット要素1110と境界を接し、屈曲部分1304は、蛇形延長部を含む。蛇形延長部は、概ね第1方向に延びる第1部分と、約180度曲って反対側の第2方向に延びる第2部分とを含む。他の実施形態において、屈曲部分1304は、ジグザグ形、コイル形又は屈曲要素1300が様々な方向に関節式に動けるようにするために作動可能な別の形状を含むことができる。他の実施形態において、屈曲要素1300は、様々な他の形状例えばジグザグ(例えば、
図10Cに示すように)、コイル又は螺旋(例えば
図10Bに示すように)、カーブ、U字形、C字形及び隣り合う閉鎖セル1112a、1112bの2つの頂点1113a、1113bの位置を調節し易くする他の任意の形状を含むことができる。
【0080】
様々な実施例において、屈曲要素1300の特定の形態又は特徴(例えば、ターンの急さ、区間又は部分の長さ、スロットのサイズ及びその間の距離)は、屈曲要素1300を提供し指定される量だけ相互に対するセル1113の関節式動きを容易にするように選択される。例えば、屈曲要素1300の特定の形態又は特徴(蛇形又は螺旋形屈曲要素1300のターンの半径)は、長手軸線間に形成される相対角度(即ち、関節式動きの角度)が30度まで、45度まで、60度まで、90度まで又は180度までであるように捕捉区分1108が関節式に動けるように構成できる。上記の相対角度は、限定的ではなく、例示的であることを意図する。例えば、屈曲要素1300は、90度~180度までの関節式動きの角度になるように構成できる。それに加えて又はその代わりに、いくつかの実施例において、屈曲要素1300の長さは、増減するように変更するか又そうでなければ関節式動きを容易にする特定の形態又は特徴の数、形状及び構成(例えば、ターンの数、部分のピッチ、スロット幅)を変更でき、それによって、受動的関節式動きの角度を変更できる。屈曲要素1300はセル間1112にもっと大きい屈曲を与えることができるが、セル1112の各々は様々な他の位置(例えば、側方頂点1113c、1113d)で結合されそれが相互に対するセル1112の行程を拘束するので、屈曲要素は実際には本明細書において説明するよりもっと小さい屈曲を示す場合があることが分かるだろう。
【0081】
様々な実施例において、屈曲要素1300は、様々なパターンで捕捉区分1108の周りに位置付けできる。例えば、いくつかの実施形態において、屈曲要素1300は、各閉鎖セル1112の間に位置付けできる。他の実施形態において、屈曲要素1300は、閉鎖セル1112の間に周期的に位置付けでき、これによって屈曲要素を含まないフィルタに比べて屈曲を増大できるが、各セル1112の間に屈曲要素1300を有するフィルタに比べて屈曲は小さい。いくつかの実施形態において、屈曲要素1300は、フィルタ1100の1つの区分に位置付けられる。例えば、フィルタ1100が大動脈弓に関連して使用される場合、フィルタ1100は、第1方向への捕捉区分1108の屈曲を促進するようにフィルタ1100の1つの面に位置付けられた屈曲要素1300を含むことができる。
【0082】
屈曲要素1300は、屈曲要素1300によって相互に作動可能に結合される隣り合う閉鎖セル1112aの2つの頂点1113a、1113bが相互に対して関節式に動けるようにするために作動可能である。いくつかの実施形態において、屈曲要素1300は、頂点1113a、1113bが、3つの方向において(例えば相互に対する移動は特定の平面に限定されない)相互に対して移動できるようにするために作動可能である。例えば、頂点1113a、1113bは、屈曲要素1300を介して頂点が長手方向に相互に離れたり近づくいたりするために作動可能である(例えば、屈曲要素1300は、長手軸に沿って又はこれに対して平行に拡張し圧縮/収縮するために作動可能である)。更に、屈曲要素1300は、閉鎖セル1112が相互に平面から外れるように曲り関節式に動くために作動可能である(例えば、閉鎖セルによって形成される平面はゼロより大きい角度で相互に対して傾斜する)。同様に、屈曲要素1300は、閉鎖セルが同じ平面上に留まるように曲って関節式に動くために作動可能であるが、第1閉鎖セル1112aの2つの長手方向頂点1113a、1113bの間に形成される長手軸線及び第2閉鎖セル1112bの2つの長手方向頂点1113a、1113bの間に形成される長手軸線が相互に対して傾斜する(例えばゼロより大きい角度で)ように曲がるために作動可能である。言い換えると、屈曲要素1300は、曲りが任意の方向に即ち閉鎖セル1112の頂点1113との接続位置の各々の周りで360度生じることができる場合、伸長し、潰れ、曲がるために作動可能である。
【0083】
図11を見ると、屈曲要素1300は、屈曲ゾーン1130の他の位置に例えば閉鎖セル1112を形成するように配列されるストラット要素1110に沿って組み込める。1つの実施形態において、屈曲要素1300は、ストラット要素の長さに沿ってストラット要素1110の中へ組み込める。ストラット要素1130は、第1端1131aと第2端1131bとを含むことができ、屈曲要素1300は、第1端1131aと第2端1131bとの間に位置付けられる。したがって、屈曲要素1300は、閉鎖セル1112の端部又は頂点の代わりに閉鎖セル1112の縁に沿って位置付けできる。これによって、フィルタ1100がフィルタ1100の長手長さに沿って回動又は屈曲できる位置をより多く含むことによってフィルタ1100の屈曲又は整合性を増大できる。フィルタ1100の長さに沿った屈曲要素1300の位置の数の増大は、又、ターゲット部位における急なターンを進行するための蓄積長さを増すことができる。任意の数の屈曲要素1300をフィルタ1100の長さに沿って及び様々な組合せ及び構成で実現できる。例えば、屈曲要素1300を、列1115の各閉鎖セル1112の頂点にかつ閉鎖セル1112の各々の各ストラット要素1110の長さに沿って位置付けることができる、屈曲要素1300を、閉鎖セル1112のいくつかの頂点にかつ閉鎖セルのストラット要素1110のいくつかの長さに沿って位置付ける、又はその組合せとすることができる。フィルタ1100の屈曲は、フィルタ1100に配置された屈曲要素1300の数を増大することによって増大する。
【0084】
屈曲要素1300がストラット要素1110の長さに沿って組み込まれる場合、屈曲要素1300は、概ねフィルタ1100に沿って長手位置に相互に円周上に整列して、屈曲要素列1306を形成できる。屈曲要素列1306内の屈曲要素1300は、フィルタ1100を送達構成に圧縮し易くするために僅かに食い違いにすることができる。但し、屈曲要素1300が僅かに食い違うときでも、屈曲要素1300は、フィルタ1100の屈曲を容易にする円周ゾーン内に位置付けられる。
図12を見ると、セル1112の頂点1113に屈曲要素1300を組み込むことに加えてストラット要素1110の長さに沿って屈曲要素1300を組み込むことによって、フィルタ1100は、もっと短い長さで展開できる。付加的屈曲要素1300を持つことによって、フィルタ1100の屈曲性が増して、一方の長手方向の端部が拘束されたままであり他方の長手方向の端部が展開されるように部分的に展開されるフィルタ1100の場合フィルタ1100の長手長さの移行をもっと短くできるようにする。移行領域が短くなるので、フィルタ1100は、フィルタ1100の一部分がまだ拘束構成であるときに周囲組織(例えば血管壁)との間にシールが生成されるように血管内で展開されるように作動可能である。これによって、血管プロフィルがフィルタ1100の長さ全体に沿ったフィルタ1100の展開を制限又は限定する位置において、フィルタ1100を展開して作動できるようにする。更に、フィルタ1300の作動長さは、展開の範囲が増大すると言う点で増大する。具体的には、屈曲要素を含まない実施形態において、フィルタ1100は、フィルタ1100が周囲組織に接触するのに充分の直径まで拡張してこの組織との間にシールを形成するために、少なくとも2~3cm以上拘束されない必要がある場合がある。但し、屈曲要素1300を含む実施形態の場合、屈曲要素1300の含まない実施形態と比べて、組織との間にシールを作るために拘束されないフィルタ1100の長さを著しく減少する。例えば、屈曲要素1300を使用する実施形態は、フィルタ1100の第1長さ(第1長さはセル1112のほぼ1.5個分に等しい)が拘束されないとき、フィルタ1100がその長手長さの少なくとも一部分について拡張状態まで拡張するために作動可能であるように、フィルタ1100の展開を容易にするために作動可能である。この比率は、本明細書において例証するものと比べて増減するときフィルタ1100の直径と一緒にある程度変動することが分かるはずである。
【0085】
いくつかの実施形態において、屈曲要素1300は、形状記憶材料で形成される。屈曲要素1300の形状記憶特性は、屈曲要素1300が予設定された形状又は構成に戻るのを容易にする。屈曲要素1300は、弾性変形してニュートラル構成へ戻るために作動可能である。例えば、屈曲要素1300は、通常の作動条件の下で弾性変形するように構成される(例えば、屈曲要素1300が所与の脈管内処置のとき最大予想関節式動きに対処するために弾性変形するように構成される場合)。予想作動条件の下で(例えば、関節式動きの予想角度)弾性変形するように屈曲要素1300を構成することによって、塞栓フィルタシステムは、関節式動きをさせるために要求される力が取り除かれたとき屈曲要素1300がその事前設定形状に弾性的に戻るようにフィルタ1100が弾性的な様式で関節式に動けるようにする。このような構成は、塞栓フィルタシステム1000が、脈管内処置後の潰れ及び取外しのため線形整列できるようにする。いくつかの実施形態において、屈曲要素1300は、屈曲要素1300が延びる起点となる捕捉区分1108を形成する構造要素の相対的な関節式動きを許容するように非剛性である。
【0086】
屈曲要素1300が形状記憶材料で形成される実施形態において、屈曲要素1300を変形させるために要求される力は、捕捉区分1108を形成する構造要素を変形させるために要求される力より小さくして、屈曲要素1300を引き続き変形させる力に抵抗して構造要素が形状設定(shape-set)された構成に戻れるようにできる。例えば、フィルタ1100が原位置で展開されるとき、捕捉区分1108を形成する構造要素は、送達機器内の拘束構成から拡張構成へ向かって展開できる。屈曲要素1300は、捕捉区分1108を形成する構造要素の一部が自己拡張し、他の部分が拘束構成に維持されるとき、弾性的に変形する又は撓むことができる。屈曲要素1300は伸長、収縮及び関節式動きをするために作動可能なので、捕捉区分1108は、第1閉鎖セル1112aを形成する捕捉区分1108の構造要素が直接第2閉鎖セル1112bを形成する構造要素に直接結合される実施形態に比べて、展開に対する抵抗が減少して、更に送達構成へ向かって展開するために作動可能である。言い換えると、閉鎖セル1112の列1115は、閉鎖セル1112の列1115がその頂点1113で直接一緒に結合される場合に比べて、より速やかに(フィルタ1100全体としてより小さい展開で)展開構成まで展開するため又はターゲット組織と確実に接触するために作動可能である。これは、フィルタ1100が展開構成へ向かって展開される「開花(flowering)」として説明できる。
【0087】
屈曲要素1300は、フィルタ1100がその長手長さに沿って曲がる又は屈曲できるようにするために作動可能なので、フィルタ1100は、ターゲット管腔において直交して展開するために作動可能である。例えば、管腔が長手軸線に対して直角に見たとき実質的に円形断面を含むとき、フィルタ1100は、フィルタの長手軸線に対して直角に見たときフィルタ1100の断面が同様に円形であるように展開されるために作動可能である。言い換えると、展開されたとき、フィルタ1100は、各々の長手軸線が同様に位置付けられるように管腔の形状に整合する(例えば、管腔とフィルタ1100は同軸である)。このことは、特に、機能上のシールが形成されて管腔を通過して流れる流体の全てがフィルタ1100を通過して流れるように、フィルタ1100の第1端1102において重要である。これは、更に、蛇行する又は様々な管腔の交差部である体内組織構造(例えば大動脈弓に在るような口付近)において重要性がある。
【0088】
いくつかの実施形態において、屈曲要素1300が延びる起点となる捕捉区分1108の構造要素は、完全な閉鎖セルを形成しない場合がある。例えば、構造要素は、フィルタ1100の第1端1102に位置付けられるとき部分セルを形成できる。屈曲要素1300は、閉鎖セル1112の間に位置付けられると限定されず、部分セルの間又は閉鎖セル1112と部分セルの間に延びることができる。更に、屈曲要素1300は、セルの長手方向頂点1113a、1113bから延びることに限定されず、捕捉区分1108の構造要素によって形成された側方頂点1113c、1113dから延びる場合もある。したがって、屈曲要素1300は、列1115内のセル並びに異なる列1115間を結合できる。
【0089】
上述の通り、フィルタ1100は、1つ又は複数の形状記憶合金を含むことができるので、拡張可能な1つ又は複数の区分を含むことができる。したがって、様々な実施形態において、フィルタ1100は、送達構成と展開構成との間で移行するように構成され展開構成のとき、フィルタ1100の1つの部分は、フィルタ1100の他の部分に比べて拡張する。例えば、送達構成において、フィルタ1100の様々な区分の各々は、下で更に説明するように送達カテーテルを通過して又はカテーテル内でなど患者の脈管を通過して送達するのに適するプロフィル(例えば、直径)を持つ。逆に、展開構成のとき、フィルタ1100の様々な区分の1つ又はそれ以上は、フィルタ1100の他の様々な区分の1つ又はそれ以上に比べて拡張する。
図1に示すように、塞栓フィルタシステム1000は、展開構成で示され、捕捉区分1108の構造要素は関節区分1118、取付け区分1114及び細長区分1200の各々に比べて拡張する。いくつかの実施例において、フィルタ1100は、捕捉区分1108の構成要素が自己拡張可能であるように構成される。但し、他の実施例において、フィルタ1100は、捕捉区分1108の構造要素が拡張補助(バルーンなど)を使用することによって拡張可能であるように構成される。
【0090】
様々な実施例において、細長要素1200は、第1端1202と第2端1204とを有する長手方向に延びる構造体である。いくつかの実施例において、細長要素1200は、フィルタ1100によって塞栓フィルタシステム1000の中へ導かれる血液及び/又は塞栓片を受けるように構成される。したがって、いくつかの実施例において、細長要素1200は、ルーメンを含む。様々な実施例において、細長要素1200は、脈管を通過して前進可能であるように構成される。したがって、細長要素1200は、概略的に、1つ又は複数の送達カテーテルを通過して前進することを含めて、脈管を通過する前進と同様の負荷条件の下でコブ又はねじれのリスクなしに、可撓性でありながら長手方向に安定し圧縮可能である。いくつかの実施例において、細長要素1200は、細長要素1200の構造に安定性を加えるフレームワークとして細長要素1200のボディ部分に取り付けられた編まれた、巻かれた又はカットされた補強部材を含むことができる。補強部材は、適切な材料で作られた複数のワイヤストランドを編むことによって紐にすることができる。いずれにしても、補強部材(例えば補強部材を形成するワイヤ又はフィラメント)は、金属及び合金(例えばニチノール)、ポリマー材料、エラストマー材料、天然材料又はこれらのいずれかの組合せで作ることができる。補強部材は、対称的に編む(例えば、典型的な紐を形成するために上下構造に対向するバイアスを持つ)か又は非対称バイアスを持ち、編まれたワイヤの各ストランドは、編みワイヤの長手軸に対して0°~10°、10°~20°、20°~30°、30°~40°、40°~50°、50°~60°、60°~70°、70°~80°、80°~90°又はこれの任意の組合せのピッチ角度で配向される。
【0091】
細長要素1200は、したがって、熱可塑性ポリマー、有機シリコーンポリマー又はポリアミドを含めて医療用ポリマー材料を含む(但し、これらに限定されない)様々な材料を含むことができる。ポリエーテルブロックアミド(例えばPEBAX(登録商標))、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及びステンレス鋼は、非限定的な適切な例である。細長要素1200は、押出しなどの既知の方法で形成できる。いくつかの実施例において、細長要素1200は、細長要素1200の材料に沿って又はその中に延びる1つ又は複数のファイバ又は紐などの1つ又は複数の補強要素を含むことができる。例えば、いくつかの実施例において、細長要素1200は、コイル補強ナイロン又はPEBAXを含むことができる。
【0092】
いくつかの実施例において、細長要素1200は、高硬度材料を使用して形成でき、細長要素1200の硬度は、50~60ショア硬度単位、60~70ショア硬度単位、70~80ショア硬度単位、80~90ショア硬度単位又はこれらの組合せとすることができる。このような材料は、熱可塑剤、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA又はアクリル樹脂)、ポリスチレン(PS)、アクリルニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、変性ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)、酢酸酪酸セルロース(CAB);ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン(HDPE),低密度ポリエチレン(LDPE又はLLDPE),ポリプロピレン(PP),ポリメチルペンテン(PMP)を含む半結晶汎用プラスチック;ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンオキサイド(PPO)、変性ポリフェニレンオキサイド(Mod PPO)、ポリフェニレンエーテル(PPE),変性ポリフェニレンエーテル(Mod PPE)、熱可塑性ポリウレタン(TPU);ナイロン11及びナイロン12などのポリアミド、ポリオキシメチレン(POM又はアセタール)、ポリエチレンテレフタレート(PET、熱可塑性ポリエステル)、ポリブチレンテレフタレート(PBT、熱可塑性ポリエステル)、ポリイミド(PI、イミド化プラスチック)ポリアミドイミド(PAI、イミド化プラスチック)、ポリベンゾイミダゾール(PBI、イミド化プラスチック)、ポリスルホン(PSU)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアリルスルホン(PAS);ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK);フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、エチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、エチレン、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、パーフルオロアルコキシ(PFA)又はこれらの組合せ、共重合体又は誘導体を含むフルオロポリマー、を含むことができるが、これらに限定されない。その他の一般的に知られる医療用材料は、エラストマー有機シリコーンポリマー及びポリエーテルブロックアミドを含む。特に、ポリアミドは、ナイロン12、ナイロン11、ナイロン9、ナイロン6/9及びナイロン6/6を含むことができる。特定の実施形態において、PET、ナイロン及びPEは、高圧用途に使用される医療用バルーンのために選択できる。いくつかの実施形態において、細長要素1200は、破裂圧力抵抗を改良するための紐(braid)補強構造を含むことができる。いくつかの実施形態において、細長要素1200は、表面の摩擦力を減じるために親水性コーティング又はその他のタイプの低摩擦コーティング及び/又はライナの1つ又は複数の層を含むことができる。具体的な材料の選択は、バルーンの所望の特性又は意図する用途に依存する。
【0093】
上述の補強部材は、細長要素1200の端部がフィルタ1100の第2端1104の中へ挿入されるとき細長要素1200の本体部分が強化されるように細長要素1200を形成するために、高硬度材料と組み合わせることができる。いくつかの実施例において、高硬度材料は、細長要素1200の端部を第2端1104に接着するのを容易にする(例えば、加熱中により大きい流量及び機械的係合を容易にすることによって及び/又は摩擦/静摩擦係合を増大することによって)。いくつかの実施例において、前述のようにUV硬化接着剤などの接着剤を使用して接着を助けることができる。
【0094】
いくつかの実施例において、細長要素1200へ入る血液及び/又は塞栓片は、細長要素1200の第2端1204から細長要素1200の第1端1202までなど、細長要素1200のルーメンを通過して流れる。いくつかの実施例において、1つ又は複数の補助システム2000は、細長要素1200の第1端1202などにおいて細長要素1200のルーメンと流動可能に結合できる。いくつかのこのような実施例において、このような補助システム2000は、細長要素1200のルーメンの内容物(例えば塞栓片及び/又は血液)を吸引するために作動可能とすることができる。
【0095】
いくつかの実施例において、細長要素1200のルーメンは、作業ルーメンを形成し、これを通過して、1つ又は複数の医療機器(例えば、ガイドワイヤ、体内プロテーゼ)を塞栓フィルタシステム1000に近接する治療エリアまで進行させることができる。様々な実施例において、細長要素1200のルーメンは、医療機器送達のための作業ルーメンとして並びに塞栓片及び/血液の流れを再指向するための構造として作用する。いくつかの実施例において、細長要素1200の作業ルーメンは、4Fr~26Frの範囲又はそれ以上とすることができる。
【0096】
細長要素1200のルーメンを通過させることができる医療機器の例は、カテーテル、血栓摘出機器、アテローム切除機器、塞栓摘出機器及びこれらに関連付けられるツール、造影剤、薬物送達剤、ステント、ステントグラフト及び弁を含めた脈管内プロテーゼなどを含むが、これらに限定されない。
【0097】
様々な実施形態において、塞栓フィルタシステム1000は、フィルタ1100の1つ又は複数の部分に沿って及び任意に細長要素1200の1つ又は複数の部分に沿って配置された膜を含む。例えば、
図3に示すように、膜1400は、フィルタ1100の捕捉区分1108及び関節区分1118の外面の周りに配置される。このような実施例において、捕捉区分1108に沿って膜1400を配置することによって、膜1400は、これが無ければ捕捉区分1108の及び関節区分1118ボイド(例えば閉鎖セル1112)を通過して自由に排出されることになる塞栓片をろ過して塞栓フィルタシステム1000内に留めるように作用する。
【0098】
特定の条件の下で、脈管から塞栓フィルタシステム1000を引き戻すために要求される力は、かなり高い(例えば、フィルタ1100と細長要素1200との間の関節式動きを容易にするために関節区分1118を曲げるために要求される力より高い)場合がある。例えば、塞栓フィルタシステム1000の取外しは、送達カテーテル内の塞栓フィルタシステム1000を引き戻すことを含み、これは、展開フィルタ1100を再び潰すことを含み、送達カテーテルの遠位端は、塞栓フィルタシステム1000が送達カテーテルのルーメンの中へ引き戻されるときフィルタ1100を半径方向に潰す支持面として作用することができる。
【0099】
膜1400は、それに加えて又はその代わりに、捕捉区分1108及び関節区分1118の内面の周りに配置できる。いくつかの実施例において、膜1400は、任意に、細長要素1200とフィルタ1100の取付け区分1114の重なり区分の一部分を被覆するように延びることができる。
【0100】
いくつかの実施例において、膜1400は、塞栓フィルタシステム1000の中へ流れる血液及び塞栓片をろ過する又はその他の調整をするように作用する。いくつかの実施例において、膜1400は、特定の血液媒質に対して透過性であり(血液透過性)他の血液媒質及び/又は塞栓片に対して不透過性である。具体的には、いくつかの実施例において、膜1400は、塞栓フィルタシステム1000の中へ流れる特定の血液媒質(例えば、赤血球、白血球、血漿、血小板)がフィルタ1100の膜1400を透過して脈管の中へ再び進入しできるように構成される一方、膜1400は、他の特定の血液媒質及び塞栓片に対しては不透過性である。いくつかの実施例において、膜1400は、指定サイズ又はそれ以上の塞栓片に対して不透過性である。即ち、いくつかの実施例において、膜1400は、指定サイズ又はそれ以上の塞栓片がフィルタ1100の膜1400を透過して脈管に再進入するのを妨害するように作用する。
【0101】
いくつかの実施例において、塞栓フィルタシステム1000の中へ流れて透過せずに脈管に戻される血液媒質及び塞栓片は、フィルタ1100内に捕捉され留められるか、あるいは更に細長要素1200の中へ導かれる。いくつかの実施例において、下で更に詳しく説明するように、フィルタ1100は、次いでフィルタ1100内に捕捉された血液媒質及び塞栓片を、塞栓フィルタシステム1000を脈管から取り外すのと一緒に除去できるように潰れることができる。
【0102】
いくつかの実施例において、細長要素1200の中へ導かれる血液及び/又は塞栓片は、脈管から塞栓フィルタシステム1000を取り外す前にこれから吸引できる。フィルタ1100内に捕捉される塞栓片を取り除くことは、患者の脈管から塞栓フィルタシステム1000を取り外すとき捕捉された塞栓片が患者の脈管の中へ意図せず放出されるリスクを最小限にするのに役立つ。例えば、塞栓片ろ過処置中の既知のリスクは、取外し中にフィルタ1100の膜1400が裂けるリスクである。塞栓片でいっぱいになった塞栓フィルタは、塞栓片の無い塞栓フィルタより概ね大きい断面積を占める。この断面積の増大は、塞栓フィルタを送達カテーテル内に完全に引っ込めることができる構成まで充分に塞栓フィルタを潰すことが困難にすることと関連する場合がある。フィルタが送達カテーテル内に引っ込められない場合でも、塞栓片でいっぱいになった結果として大きくなった直径を持つフィルタを蛇行する脈管を通過して引き戻すことは難しい可能性がある。
【0103】
膜1400は、延伸ポリテトラフルオロエチレン(延伸PTFE)、延伸変性PTFE、PTFEの延伸共重合体、FEP、PFAなどのフルオロポリマー、ナイロン、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリエステル、シリコーン及びシリコーンエラストマ(例えば、SYLGARD(商標)184)、ウレタン、熱可塑性ポリウレタン、ポリプロピレンなどのポリマーを含むが、これらに限定されない様々な材料を含むことができる。
【0104】
様々な実施例において、このような材料の1つ又は複数の領域は、更に又はその代わりに、材料の透過性を制御するためにその中に1つ又は複数の穿孔を形成することによって修正できる。例えば、延伸フルオロポリマー(又はその他の適切なポリマー)などの材料は、更に、指定の気孔率を得るために材料の1つ又は複数の領域を穿孔することによって修正できる。例として、材料の中へ孔又は穿孔をレーザーカット又はレーザードリルすることを含む。織り、編み又は格子構造を有する他の材料も、その透過性/気孔率に応じて適切な材料として役立つ場合がある。更に、所望の透過性は、当業者には分かるように膜材料の層を増減することによって得ることができる。それに加えて又はその代わりに、膜1400の透過性は、膜材料の微小構造を操作することによって最適化できる。そのような例において、延伸フルオロポリマーのノード&フィブリル構造を、所望の透過性を得るために修正/最適化できる。例えば、延伸フルオロポリマーは、延伸フルオロポリマーのノード&フィブリル構造が下で論じるように指定サイズの塞栓片(及び他の血液媒質)に対して概ね不透過性であるように処理できる。
【0105】
いくつかの実施例において、膜材料は、1つ又は複数の部分又は領域が指定サイズまでの媒質に対して透過性であり、他の1つ又は複数の部分又は領域が指定サイズ又はそれ以上の媒質に対して不透過性であるように、構成できる。いくつかの実施例において、膜材料中に存在する気孔又は穿孔(又はノード&フィブリル微小構造におけるボイド)は、例えば近位端から遠位端まで及び/又は1つ又は複数の離散場所において変動する場合がある。
【0106】
様々な実施例において、膜1400は、膜1400が約140μm以上の塞栓片に対して不透過性であるように構成できる。いくつかのこのような実施例において、平均孔径(又は穿孔サイズ又は膜1400のノード&フィブリル微小構造においてはボイドサイズ)は、140μm未満とすることができる。他の実施例において、膜1400は、膜が40μm~99μmの範囲の塞栓片など140μmより小さい塞栓片に対して不透過性であるように構成できる。このような実施例は、限定的であることを意図しない。例えば、所望の場合には、膜1400は、100μm、120μm、140μm、160μm、180μm、200μm(又はこれより大きい)又はその間の任意のサイズの塞栓片に対して透過性であるように構成でき、この場合、平均孔径(又は穿孔サイズ又は膜1400のノード&フィブリル微小構造においてはボイドサイズ)は150μmを超えることができる。
【0107】
様々な実施形態において、塞栓フィルタシステム1000は、送達構成で脈管内の治療エリアまで前進し、その後、塞栓フィルタシステム1000は、展開される又そうでなければ展開構成へ移行するために作動可能である。送達構成において、塞栓フィルタシステム1000は、概ね収縮構成である。いくつかの実施例において、送達構成において、捕捉区分1108は、捕捉区分1108が下で更に論じるように送達カテーテルを通過するなどで脈管内を送達されるように作動可能であるように(例えば、小さい送達プロフィルで)半径方向に収縮される。いくつかの実施例において、関節区分1118、取付け区分1114及び細長要素1200の1つ又は複数の領域の1つ又はそれ以上は、付加的に半径方向に収縮できるが、そうである必要はない。展開構成において、捕捉区分1108は、血流を妨害してこれから塞栓片をろ過するために作動可能な半径方向拡張構成(
図1)へ移行する。いくつかの実施例において、関節区分1118、取付け区分1114及び細長区分1200の1つ又は複数の領域の1つ又はそれ以上は、付加的に送達構成において半径方向に拡張できるが、そうである必要はない。
【0108】
脈管内処置が完了した後、塞栓フィルタシステム1000は、脈管から取り外すために作動可能である。いくつかの実施例において、塞栓フィルタシステム1000によって捕捉された塞栓片は、本明細書において述べたように、塞栓フィルタシステム1000を脈管から取り外す前に塞栓フィルタシステム1000から吸引されるか又はその他の方法で除去できる。いくつかの実施例において、塞栓フィルタシステム1000を取り外すために、塞栓フィルタシステム1000は、展開構成から送達構成へ移行する。いくつかの実施例において、展開構成から送達構成へのこの移行は、塞栓フィルタシステム1000の1つ又は複数の部分(例えば、フィルタ1100及び細長区分1200の1つ又は複数の部分)の収縮を含む。例えば、様々な実施例において、塞栓フィルタシステム1000の取外しは、フィルタ1100の捕捉区分1108を脈管内取外しに導くプロフィル(例えば直径)まで半径方向に収縮又は圧縮することを含む。捕捉区分1108の構造要素の直径は、塞栓フィルタシステム1000が送達構成であるとき、塞栓フィルタシステム1000が展開構成であるときより小さいことが分かるはずである。
【0109】
塞栓フィルタシステム1000は、多様な送達方法に関連して脈管内の治療エリアまで送達されるために作動可能である。したがって、塞栓フィルタシステム1000は、多様な方法で組み立てるためにも作動可能である。以下に詳述するのは、塞栓フィルタシステム1000に関連する様々な組立て及び送達方法である。
【0110】
次に、
図5は、塞栓フィルタシステム1000を含む医療機器の組立ての1つの方法例を概説するフローチャートである。図示するように、ステップ5000において、塞栓フィルタシステム1000を提供する。上述の通り、塞栓フィルタ組立体は、概略的に、細長要素1200と結合されたフィルタ1100を含み、膜1400がフィルタ1100の1つ又は複数の部分に沿って及び任意に細長要素1200の1つ又は複数の部分に沿って延びる。ステップ5002において、送達カテーテルを提供する。様々な実施例において、送達カテーテルは、上述のようなCOTS送達カテーテルとすることができる。様々な実施例において、送達カテーテルは、遠位端と近位端と近位端から遠位端まで延びるルーメンとをを有する長尺要素を含む。フィルタ1100と細長要素1200と膜1400とを含む塞栓フィルタシステム1000と一緒に、COTS送達カテーテル6000を
図6Aに示す。COTS送達カテーテル6000は、任意に、コネクタ6100などの1つ又は複数のコネクタを含むことができ、コネクタは、止血弁又はその他の要素を含むことができる。塞栓フィルタシステム1000が
図6Aに示されることが分かるはずである。
【0111】
再び
図5を見ると、ステップ5004において、塞栓フィルタシステム1000の近位端は、送達カテーテルのルーメンの中へ挿入され、塞栓フィルタシステム1000の近位端が送達カテーテルの近位端の近位へ延びるまで送達カテーテルのルーメンを通過して近位方向へ前進する。例えば、
図6Bに示すように、塞栓フィルタシステム1000の第2端1004は、送達カテーテル6000の遠位端6002において送達カテーテル6000のルーメンの中へ挿入され、塞栓フィルタシステム1000の第2端1004が送達カテーテル6000の近位端6004の近位に延びるまで送達カテーテル6000のルーメンを通過して近位方向に前進する。
【0112】
再び
図5を見ると、ステップ5006において、塞栓フィルタシステム1000は、フィルタ1100が送達カテーテル6000のルーメン内に受け入れられるまで近位方向に引き戻される。
図6C及び6Dは、送達カテーテル6000に対する塞栓フィルタシステム1000の近位方向の引戻しを図解し、
図6Cにおいて、塞栓フィルタシステム1000は、フィルタ1100が部分的に送達カテーテル6000のルーメン内に受け入れるように引き戻され、
図6Dにおいて、塞栓フィルタシステム1000は、フィルタ1100が送達カテーテル6000のルーメン内に完全に受け入れられるように引き戻される。
【0113】
図6Dに示すようにフィルタ1100が完全に送達カテーテル6000のルーメン内に受け入れられた状態で、送達カテーテル6000を、患者の脈管の中へ挿入でき、脈管の中の治療部位まで前進でき、その後、塞栓フィルタシステム1000は、フィルタ1100が送達カテーテル6000の遠位端6002から遠位方向に延びるように送達カテーテル6000に対して前進できる(例えば、送達カテーテル6000に対して塞栓フィルタシステム1000を遠位方向に前進させる及び塞栓フィルタシステム1000に対して送達カテーテル6000を近位方向に引き戻す、の1つ又はそれ以上によって)。いくつかの実施例において、上述のように、捕捉区分1108などフィルタ1100の1つ又は複数の部分は、血流を妨害してこれから塞栓片をろ過するために半径方向に拡張するように構成される。
【0114】
例えば、
図6E及び6Fに示すように、塞栓フィルタシステム1000は、フィルタ1100が送達カテーテル6000の遠位端6002から延びるように送達カテーテル6000に対して遠位方向に前進する。
図5Eは、送達カテーテル6000の遠位端6002から延びて部分的に展開した(例えば半径方向に拡張した)フィルタ1100の一部分を示し、
図6Fは、送達カテーテル6000の遠位端6002から延びて完全に展開した(半径方向に拡張した)フィルタ1100を示す。
図6E及び6Fは、明確にするために体外の塞栓フィルタシステム1000及び送達カテーテル6000を示すことが分かるだろう。
【0115】
図7は、塞栓フィルタシステム1000を含む医療機器組立体の別の方法例を概説するフローチャートである。図示するように、ステップ7000において、
図5のステップ5000に関して上で論じたのと同様に塞栓フィルタシステム1000を提供する。ステップ7002において、
図5のステップ5002に関して論じたのと同様に送達カテーテルを提供することを含む。ステップ7004において、COTS拘束シース又は塞栓フィルタシステム1000と組み合わせて使用するために明確に指定される拘束シースなどの拘束シースを提供する。拘束シースは、任意に、分割可能である又そうでなければ塞栓フィルタシステム1000及び送達システムから剥ぎ取られるように構成された拘束シースとすることができる。
図8Aは、塞栓フィルタシステム1000及び拘束シース8000と一緒にコネクタ6100を持つ送達カテーテル6000の図である。
【0116】
図7に戻ってみると、ステップ7006において、塞栓フィルタシステム1000の近位端は、拘束シースのルーメンの中へ挿入されて、塞栓フィルタシステム1000の近位端が拘束シースの近位端の近位に延びるまで拘束シース8000のルーメンを通過して近位方向へ前進する。例えば、
図8Bに示すように、塞栓フィルタシステム1000の第2端1004は、拘束シース8000の遠位端8002において拘束シース8000のルーメンの中へ挿入され、塞栓フィルタシステム1000の第2端1004が拘束シース8000の近位端8004の近位に延びるまで拘束シース8000のルーメンを通過して近位方向に前進している。
【0117】
再び
図7を見ると、ステップ7008において、塞栓フィルタシステム1000は、フィルタ1100が拘束シース8000のルーメン内に受け入れられるまで近位方向に引き戻される。
図8C~8Fは、拘束シース8000に対する塞栓フィルタシステム1000の近位方向の引戻しを図解する。
図8C~8Eにおいて、塞栓フィルタシステム1000は、フィルタ1100が拘束シース8000のルーメン内に部分的に受け入れられるように引き戻され、
図8Fにおいて、塞栓フィルタシステム1000は、フィルタ1100が拘束シースのルーメン内に完全に受け入れられるように引き戻される。様々な実施例において、下で更に説明するように、拘束シース8000に対する塞栓フィルタシステム1000の引き戻しは、任意に送達カテーテル6000が脈管内に挿入されている状態で実施できる。いくつかの実施例において、拘束シース8000に対する塞栓フィルタシステム1000の引き戻しは、
図8C~8Fに示すように、任意に、送達カテーテル6000、塞栓フィルタシステム1000及び拘束シース8000の1つ又はそれ以上を通過して延びるガイドワイヤを使って実施できる。
【0118】
それに加えて、いくつかの実施例において、細長要素1200は、オペレータがマーカーの各々の位置を観察することによって細長要素1200の遠位端に結合されたフィルタ1100が現在患者の体内のどれだけ遠くに配置されているかが見えるように、近位端(例えば、
図8Dにおいてオペレータが操作している細長要素1200の端部)に1つ又は複数の可視マーカー及び遠位端(例えば、フィルタ1100に近接する端部)に1つ又は複数の可視マーカーを持つことができる。いくつかの実施例において、近位マーカーは、肉眼で見え、遠位マーカーは、蛍光顕微鏡(例えば、放射線不透過)で見える。いくつかの実施例において、近位端及び遠位端の一方又は両方は、1つだけ可視マーカーを含む。いくつかの実施例において、可視マーカーは規則的に又は可変的増分で(例えば、1mm、0.5cm、1cm、2cm又はオペレータにとって有益と見なされる他の適切な増分で)細長要素1200の長さの一部分に沿って配置される。同様に、可視マーカーは、細長要素1200の両端に又はフィルタ1100及び/又は関節区分1118の長さに沿って配置することができる。上述のように、いくつかの実施例において、遠位端に配置された可視マーカーは、高可視性タンタル又は蛍光顕微鏡画像において可視のその他の金属又は合金などの材料から作られた放射線不透過マーカーである。近位端及び遠位端のいずれか又は両方に配置されたマーカーを使用することによって、オペレータは、患者の体内でのフィルタ1100の相対位置をより良く理解できる。
【0119】
再び
図7を見ると、ステップ7010において、拘束シースの遠位端は、送達カテーテルの近位端において送達カテーテルのルーメンの中へ挿入される。例えば、
図8G及び
図8Hを見ると、塞栓フィルタシステム1000のフィルタ1100を拘束シース8000のルーメン内に拘束したまま、拘束シース8000の遠位端8002は、送達カテーテル6000の近位端6004において送達カテーテル6000のルーメンの中へ挿入される。いくつかの実施例において、これは、コネクタ6100など送達カテーテル6000のコネクタの中へ拘束シース8000の遠位端8002を挿入することを含む。
図8Gは、拘束シース8000とその中に拘束された塞栓フィルタシステム1000のフィルタ1100が送達カテーテル6000の近位端6004へ向かって前進するところを示し、
図8Hは、送達カテーテル6000の近位端6004において送達カテーテル6000のルーメン内に挿入された拘束シース8000の遠位端8002を示す。
【0120】
図7に戻ると、ステップ7012において、拘束シースの遠位端が送達カテーテルの近位端において送達カテーテルのルーメンに挿入された状態で、塞栓フィルタシステム1000は、フィルタ1100が送達カテーテルのルーメン内に受け入れられるまで拘束シース及び送達カテーテルに対して遠位方向に前進する。例えば、
図8Iに示すように、拘束シース8000の遠位端8002が送達カテーテルの近位端6004において送達カテーテル6000のルーメンに挿入された状態で、塞栓フィルタシステム1000は、フィルタ1100が送達カテーテル6000のルーメン内に受け入れるまで、拘束シース8000及び送達カテーテル6000に対して矢印Aの方向に遠位方向に前進する。
図8Jは、部分的に、フィルタ1100が送達構成で(例えば半径方向に拘束されて)送達カテーテル6000内に受け入れられこれによって拘束されるように、送達カテーテル6000のルーメンの中へ挿入された塞栓フィルタシステム1000を示す。
【0121】
図7に戻ると、塞栓フィルタシステム1000のフィルタ1100が送達カテーテルのルーメン内に受け入れられた後に、拘束シースはステップ7014に従って取り外される。様々な実施例において、拘束シース8000は、取外しにおいて送達カテーテル6000のルーメンから取り外される。いくつかの実施例において、拘束シース8000は、拘束シースの遠位端8002が塞栓フィルタシステム1000の近位端1004から離れる又はその遠位の位置まで並進するまで、塞栓フィルタシステム1000の細長要素1200に沿ってかつこれに対して近位方向に前進する。但し、いくつかの実施例において、上述のように、拘束シース8000は、分割可能である、又そうでなければ塞栓フィルタシステム1000及び送達カテーテル6000から引き剥がされるように構成される。このような分割可能な拘束シースは、1つ又は複数のコネクタ(例えばTuohy-Borstコネクタ)が拘束シース8000に近位で塞栓フィルタシステム1000の細長要素1200に結合される場合取外しを容易にする。いくつかのこのような実施例において、分割可能拘束シースは、拘束シース8000の近位で塞栓フィルタシステム1000の細長要素1200に結合されたコネクタを取り外す必要なく、塞栓フィルタシステム1000及び送達カテーテル6000から取り外せる。
【0122】
このような分割可能拘束シース8000の取外し例を
図8J及び8Kに示す。これらの図において、拘束シース8000は、塞栓フィルタシステム1000及び送達カテーテル6000から取り外すために2つの区分に分割される。
図8Lは、フィルタ1100が完全に送達カテーテル6000のルーメン内に受け入れられた塞栓フィルタシステム1000を示す。
【0123】
図8Lに示すようにフィルタ1100が完全に送達カテーテル6000のルーメン内に受け入れられると、送達カテーテル6000は、患者の脈管の中へ挿入され、その中の治療部位まで前進でき、その後、塞栓フィルタシステム1000は、フィルタ1100が送達カテーテル6000の遠位端6002から遠位に延びるように、送達カテーテル6000に対して前進できる(例えば、送達カテーテル6000に対して塞栓フィルタシステム1000を遠位方向に前進させる、塞栓フィルタシステム1000に対して送達カテーテル6000を近位方向に引き戻す、の1つ又はそれ以上によって)。上述のように、捕捉区分1108の構造要素などフィルタ1100の1つ又は複数の部分は、血流を妨害してこれから塞栓片をろ過するために半径方向に拡張するように構成される。
【0124】
図9は、塞栓フィルタシステム1000を含む医療機器を患者の脈管内の領域まで送達する方法の例を概説するフローチャートである。図示するように、ステップ9000~9008は、
図7に関連して上で説明するステップ7000~7008と同じである。ステップ9010において、送達カテーテルは、患者の脈管の中へ挿入され、送達カテーテルの遠位端が脈管の治療エリアに位置するまで前進する。したがって、上の論証では塞栓フィルタシステム1000が送達カテーテル6000内に受け入れられた後に患者の脈管内の治療エリアまで送達カテーテルを前進させることを含むが、いくつかの実施例において、送達カテーテル6000は、その代わりに患者の脈管の中へ挿入され、送達カテーテル6000の中へ塞栓フィルタシステム1000を挿入する前に送達カテーテルの遠位端が脈管の治療エリアに位置するまで前進できる。
【0125】
ステップ9012において、拘束シースの遠位端は、送達カテーテルの近位端において送達カテーテルのルーメンの中へ挿入される。このステップは、送達カテーテルが原位置にある状態で(即ち、送達カテーテルが患者の脈管内に挿入されたまま)ステップ9012が実行される点を除いて、ほぼ
図7の7010と同じである。したがって、拘束シース8000の遠位端8002が送達カテーテル6000の近位端6004において送達カテーテル6000のルーメンの中へ挿入されるところを示す
図8G及び8Hを参照する。当業者は、本開示の発明的概念が、原位置で又はその代わりに脈管内の治療エリアまで送達カテーテルを前進させる前に送達カテーテルの近位端において送達カテーテルのルーメンの中へ拘束シースを挿入するステップを実行できるようにすることが分かるはずである。
【0126】
このような多角的システムは、塞栓フィルタシステム1000を、従来のシステムではアクセスできないような脈管の遠隔領域まで送達できるようにする。このようなシステムは、又、脈管の外傷を最小限に抑えながら塞栓フィルタシステム1000を脈管の遠隔領域へ送達できるようにする。例えば、当業者は、付加的なコンポーネントが送達カテーテルのルーメン内に受け入れられるとき送達カテーテルの剛性を増すことが分かるだろう。比較的剛性である送達カテーテルは、脈管の特定の領域に到達するために蛇行する体内組織構造を進行するためには作動可能ではないか、かつ/又は非可撓性の結果として脈管を傷つける場合がある。本明細書において説明する塞栓フィルタシステム1000は、比較的可撓性の送達カテーテルが、送達カテーテルの剛性を増すように作用するような1つ又は複数の付加的コンポーネントを送達カテーテルの中に配置することなく、まず脈管内の治療エリアまで(例えば比較的蛇行する領域内又はこれを通過して)前進させることができるようにする。更に、このような構成は、塞栓フィルタシステム1000が治療エリアまで前進するとき、送達カテーテルが、保護境界として及び周囲脈管から塞栓フィルタシステム1000を分離する支持面として作用できるようにする。
【0127】
ステップ9014及び9016は、上で
図7に関連して説明したステップ7012及び7014と同じである。同様に、図解し上で説明するように、塞栓フィルアシステム1000のフィルタ1100を送達カテーテルのルーメンを通過して治療部位まで前進させた後に、塞栓フィルタシステム1000は、フィルタ1100が送達カテーテルの遠位端から遠位方向に延びて血流を妨害してこれから塞栓片をろ過するために拡張するように、送達カテーテルの遠位端から展開されるために作動可能である(例えば、送達カテーテルに対して塞栓フィルタシステム1000を遠位方向に前進させる及び塞栓フィルタシステム1000に対して送達カテーテルを近位方向に引き戻す、の1つ又はそれ以上によって)ことが分かるはずである。
【0128】
本明細書において説明する塞栓フィルタシステム1000の多角性は、又、脈管からの塞栓フィルタシステム1000の引き戻し及びその現位置での再配置を容易にする。例えば、脈管内での塞栓フィルタシステム1000の展開中又はその後、オペレータは、塞栓フィルタシステム1000のフィルタ1100と細長要素1200との間の角度関係を操作して、システムが展開される血管にフィルタ1100をより良く整列させることができる。例えば、上述のように、塞栓フィルタシステム1000は、関節区分1118が細長要素1200の前進及び後退に応答して曲がる又は湾曲することによってフィルタ1100と細長要素1200との間に相対的な関節式動きを生じさせるために作動可能である。フィルタ1100が血管内で展開されるとき、フィルタの1つ又は複数の部分は血管壁に係合し、それによってフィルタ1100と血管との間の係合を生じる。
【0129】
フィルタ1100が血管と係合した状態で、細長要素1200は、前進又は後退させるために作動可能である。特定の条件の下で、フィルタ1100が少なくとも部分的に血管壁と係合した状態で細長要素1200が前進すると、塞栓フィルタシステム1000を圧縮負荷条件に置く。フィルタ1100がこれが展開される血管と不適切に整列する例など特定の例において、このような圧縮負荷条件は、塞栓フィルタシステム1000の関節区分1118を曲げて、それによって、上述のようにフィルタ1100(又は少なくともその遠位端)と細長要素1200との間の相対的関節式動きを生じさせる。逆に、特定の条件の下で、フィルタ1100が少なくとも部分的に血管壁と係合した状態で細長要素1200が後退すると、塞栓フィルタシステム1000を引張負荷条件に置く。フィルタ1100が細長要素1200と整列しない例などの特定の例において、この引張負荷条件は、塞栓フィルタシステム1000の関節区分1118を直線化し、それによって、フィルタ1100(又は少なくともその遠位端)と細長要素1200との間に相対的な関節式動きを生じ、フィルタ1100と細長要素1200を相互に整列する方向へ移動する。したがって、細長要素1200は、フィルタ1100(又は少なくともその遠位端)と細長要素1200との間に関節式動きを生じるように前進および後退でき、血管内でフィルタ1100を適切に整列するためにこれを利用できる。血管内でのフィルタ1100の適切な整列は、フィルタ1100と細長要素1200との間の整列を必要とせず、フィルタ1100と細長要素1200との間の不整列を必要とする場合があることが分かるはずである。
【0130】
上に説明する様々な実施例及び図面の塞栓フィルタシステム1000は、その中に関節区分1118を有するフィルタ1100を組み込むが、いくつかの別の実施例において、塞栓フィルタシステム1000は、それに加えて又はその代わりに、フィルタ1100の近位に位置付けられフィルタ1100と細長要素1200の1つ又は複数の部分との間の関節式動きを可能にする独立した1つ又は複数の関節要素を含むことができる。即ち、いくつかの実施例において、塞栓フィルタシステム1000は、フィルタ1100から独立した(例えばその一部ではなく)関節要素を含む。例えば、フィルタ1100は、関節区分1118を含むことなく捕捉区分1108の構造要素を含むことができる。
【0131】
このような実施例における関節要素は、関節区分がフィルタ1100の統合部分ではなくフィルタ1100及び細長要素1200の1つ又はそれ以上に結合される(間接的に又は直接的に)独立コンポーネントである点を除いて、上で説明するフィルタ1100の関節区分1118と機能的に同じとすることができる。したがって、いくつかの実施例において、関節要素は、螺旋形にカットされた又はスロット付きの管状構成体を含む。上述のように、カットチューブを含む例において、コイル/螺旋又はスロット付き区分を形成するためのチューブのカットは、チューブの内部ルーメンが露出するようにチューブの厚みを通過して(例えば、チューブの外面からチューブの内面まで)延びる。このようなチューブの厚み全体のカットは、チューブの1つ又は複数の関連部分における曲り(例えば1つ又は複数の螺旋巻きの曲げ)に対処できるギャップを与える。
【0132】
図10A~10Cは、好ましい屈曲要素1300を示す。上で開示するように、屈曲要素1300は、蛇形(例えば
図10A)、コイル形(
図10B)及びジグザグ形(
図10C)を含めて多様な構成を含むことができる。更に、様々な実施形態において、屈曲要素1300は、捕捉区分1108と連続的に形成でき(例えば、複数のストラット要素1110)、この場合、屈曲要素1300は、捕捉区分1108の他の部分に比べて薄く、狭く、又は屈曲要素1300の屈曲性を増し易くするために小さいプロフィルを持つ。
【0133】
いくつかの実施形態において、細長要素1200は、その長さを脈管内処置に関連して容易に修正できるように構成される。例えば、いくつかの実施例において、細長要素1200は、細長要素の長さを第1長さからそれより短い第2長さへ修正できるようにカットできる。いくつかの実施例において、細長要素1200は、塞栓フィルタシステム1000が送達カテーテル6000のルーメン内に受け入れられるときに細長要素1200の長さを修正できるように構成される。いくつかの実施例において、取付け/取外し可能なハブが、送達カテーテル6000のルーメンを流体に対してシールするために細長要素1200の近位端に結合される。例えば、ハブは、細長要素1200の近位端において漏出の無い接続部を形成するために使用されるように、ルアテーパー接続部、ホースバーブ接続部又はこれらの組合せ(例えば、ルア-バーブ取付け接続部)を適宜持つことができる。いくつかの実施例において、ハブは、細長要素1200の近位端に永久的に取り付け又は結合することができ、他の実施例において、ハブは、取外し可能にこれに取り付けできる。
【0134】
いくつかの実施例において、細長要素1200は、取り外されるように構成される複数の予設定区分を含む。例えば、いくつかの実施例において、細長要素1200は、第1取外し可能区分と第2取外し可能区分とを含み、第1及び第2取外し可能区分のいずれか一方又は両方を取り外して、第1長さからそれより短い第2長さへ細長要素の長さを修正できる。いくつかの実施例において、取外し可能区分は、カッティングによって取り外されるように構成できる。他のいくつかの実施例において、取外し可能区分は、それに加えて又はその代わりに、細長要素1200の他の部分に対して取外し可能区分を捻り、曲げ又は引っ張ることによって取り外されるように構成できる。
【0135】
いくつかの実施例において、細長要素1200などの塞栓フィルタシステム1000の1つ又は複数の部分又はコンポーネントは、細長要素1200の直径を示すためにカラーコード化することができ、この場合、第1カラーは、第1直径(例えば、6Fr)を示し、第2カラーは第2の異なる直径を示す。このようなカラーコード化は、脈管内処置に関連してCOTS送達カテーテルと一緒に使用するための適切な直径をユーザーが識別できるようにする。
【0136】
本明細書において論じる構成は、様々な用途のためにスケールアップ又はスケールダウンできる点でスケーラブルであることが分かるはずである。即ち、本明細書において論じる特定の構成は、例えば大動脈弓内への留置に関連して図解し説明するが、システムの多角性は、患者の脈管の他のほぼ任意のエリアにおいて実現できるようにする。例えば、本明細書において論じる様々な構成は、腕頭動脈及び/又は頸動脈及び/又は鎖骨下動脈などの様々な末梢血管及び管腔内での用途に大きさを合わることができる。同様に、大動脈弓に関するとき、本開示は、大腿、経心尖及び開胸術に関連して使用できる。更に、本開示は、心臓に近接する血管に限定するものとして解釈されるものではない。例えば、本明細書において説明する機器及びシステムは、様々な他の血管再生処置における塞栓片の移動を防止するために心臓の上及び下の脈管を含めて体内の脈管全体で実現できる。これに加えて、実施形態は、人間だけではなく哺乳類の体内組織構造を有する様々な器官に関連して使用できる。したがって、本明細書において説明する実施形態は、本開示の範囲内の修正及び変更を包括する。したがって、塞栓フィルタシステム1000は、多様なサイズで形成でき、サイズは、任意に、塞栓フィルタシステム1000がCOTS送達カテーテルの多様なサイズに関連して使用できる多様なサイズに製造できるように、COTS送達カテーテルのサイズに基づくことができる。上述のように、塞栓フィルタシステム1000の1つ又は複数のコンポーネントはそのサイズに基づいてカラーコード化できる。
【0137】
本出願の発明の範囲について、概略的に及び固有の実施例に関しての両方で説明した。実施例には本開示の範囲から逸脱することなく様々な修正及び変更を加えることができることが、当業者には明らかであろう。同様に、本明細書において論じる実施例の様々なコンポーネントは組合せ可能である。したがって、実施例は発明の範囲の修正及び変更を包括することを意図する。
【国際調査報告】